リプレイ
三間・勲
(連携アドリブ歓迎)
アルタン・ウルクも脅威ですが冥海機の支配を見過ごす事もできません。行きましょう。
これまでの経験上、随伴艦の無力化には乗組員の動きを何らかの方法で抑えるか戦艦の攻撃手段を奪うのが特に有効なようでした。
なので迷う事はありません。【水面走行】で戦艦へ速やかに接近し、壁面を伝い戦艦に乗り込んだら手持ちの軍刀を用いて船に搭載されたレーダーや砲身の破壊を試みます。
一般人からの攻撃はこちらに効かないので無視しても構いませんが……
新宿島で入手できるのであれば、持ち込んだ防犯用カラーボールをぶつけて怯ませるなどして、船内を混乱させましょう。
或いは袋いっぱいのスーパーボールをぶちまけます。船内は揺れますし、跳ねて転がって、足場を邪魔できるかもしれません。僕も転ばないように気を付けます。
それでも抵抗する方が居れば……ごめんなさい、軍刀の峰打ちで動きを鈍らせる程度に留めます。
同行の味方が周囲の注意を引いて下さる場合は僕は兵器の無力化に専念し、一般人の被害が出ないよう迅速な行動に努めます。
開放された乗車ドアの先に広がる一面の海原。
冥海機ヤ・ウマトの舞鶴鎮守府を目指し、復讐者の少年――三間・勲(漁火・g10186)は進んで行った。
発動した水面走行の効果によって海は静かに凪いでおり、意図せぬ限り復讐者が沈むことは無い。ヤ・ウマトの海戦では、必須と言って良い効果である。
「アルタン・ウルクも脅威ですが、冥海機の支配を見過ごすこともできません」
舞鶴奪還の決意を胸に彼方を見遣れば、見えるのは数隻の随伴艦隊。
戦闘では敵を援護し、戦死すれば新たな敵に生まれ変わる彼らは、防衛戦力と交戦する上で真っ先に無力化すべき対象だ。
それは今回の作戦においても同様だ。標的と定めた艦隊へ、勲は速やかに接近していった。
「さて。それでは始めましょう」
程なくして戦艦の一隻に取りつくと、勲は壁面を器用に伝って甲板へと乗り込んだ。
随伴艦を無力化するにあたり、特に有効とされる手段は二つ――乗組員を何らかの方法で抑えるか、艦隊の攻撃手段を奪うこと。そして今回、勲はその二つを並行して行うことにした。
「パラドクスを使わない相手など恐れるに足りません。さあ、どんどん破壊していきますよ」
艦上を吹き抜ける一陣の風が、作戦開始を告げる。
甲板に並ぶ艦砲に叩き込まれるのは『烈風神葬撃』を駆使した突撃だ。勲が振るう軍刀の斬撃を浴びて、砲身部はたちまちひしゃげ、折れ曲がっていく。
無論、その騒ぎを船の人間が聞き逃す筈はない。
「そこのお前、何をしている!」「ディアボロスか……!? くそっ、排除しろ!」
「おっと、ようやくのお出ましですね」
一般人への対処など、復讐者である勲には造作もない。
飛んで来る銃弾を難なく避けながら、無力化作戦はいよいよ激しさを増していった。
銃撃と怒声が木霊する。
復讐者の襲撃を告げる警報音が、随伴艦隊から立て続けに響く。
物々しい騒ぎの中、一隻目の艦砲を全て破壊した勲は、二隻目、三隻目と慣れた動きで艦船を無力化していった。
「ごめんなさい、少しだけ辛抱して下さい!」
「な、何だこれは
……?」「うわっ、あ、足が!?」
艦隊の無力化にあたり一般人の命は奪わない――今回の作戦において、勲が特に徹底した点がそれだ。
追手がしつこい艦船では、大量のスーパーボールをぶちまけて乗組員を翻弄していく。殺傷力など無きに等しい玩具だが、絨毯の如く転がれば数秒くらいの足止めは可能となる。それは同時に、勲が砲を破壊するには十分すぎる猶予だった。
「こ、この……っ」
「ごめんなさい、少し眠っていて下さい」
それでも時折突破して来る者は、勲の軍刀が峰打ちで気絶させる。
海上の移動手段を確保した上で、兵士や乗組員を無力化し、砲塔を破壊――勲の迅速かつ的確な動きによって、随伴艦隊は次々に戦闘能力を喪失していった。
「これで良し、と。無力化はあらかた終わったようですね」
砲塔の破壊された艦船を飛び下りた勲は、艦隊の様子を見回して呟いた。
手が回り切らなかった船には、救援機動力で駆けつけた仲間が乗り込んでいくのが見える。
残った艦船はあと僅か。随伴艦隊の無力化は遠からず完了するだろう。そうすれば妨害を受ける心配もなく、存分に戦闘に専念することが可能だ。
「……さて。本番はここから、ですね」
間もなく始まるであろう、冥海機との激戦。
その予感に復讐者の怒りを滾らせながら、勲は黙々と支度を進めて行った。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【水面走行】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
猫猫・春風
三間さんの【水面走行】を頼りに戦艦に乗り込む。
甲板で大騒ぎし、艦内の警備員と交戦します。
殺さず、できるだけ長く戦いを長引かせ、できるだけ多くの警備員を引き付けて。
「眠くなるほど遅いぞ」「雑魚雑魚」「海軍は陸軍より弱いぞ」などと挑発して、甲板の地形を利用して対処しましょう【地形の利用】、同行の味方が制限なく行動できる機会を作ります。
その過程で重要人物(船長や一等航海士など)が現れた場合(【強運の加護】?)、その重要人物を直接攻撃し人質に取ることになります。
勲の襲撃によって艦隊が無力化されていく中、戦場には新たな復讐者が応援で駆けつけていた。
猫猫・春風(ウェアキャットの破軍拳士・g10716)。この作戦を初陣とするバウンサーである。
「戦える艦船は後少しね。速攻で無力化してやるわ!」
波濤の飛沫を思わせる白い髪を揺らして水面を駆け、春風が狙うのは未だ無力化されていない艦船だ。バールのようなものの先端を突き立てながら、猫そのものの身軽さで壁面を登り、瞬く間に甲板へと乗り込んだ。
寄って来る兵士や乗組員を殺さず無力化し、艦の武装を片っ端から破壊する。
勲の行動方針を踏襲しながら、春風は戦闘行動を開始。甲板を舞台に、襲い来る一般人を片っ端から叩きのめしていく。
「ディアボロスの襲撃だ!」「くそっ、叩き落とせ!」
「ふん、遅いわね。欠伸が出るわ!」
復讐者としては駆け出しの彼女だが、相手はパラドクスの使えない一般人である。元より苦戦などしようがない。
飛んで来る銃撃を回避しながら、春風は手加減した一撃で兵士を着実に無力化していった。
そうして戦闘開始から数分も経たぬうち、気絶させて拘束した一般人たちを残らず船内の部屋に閉じ込めると、春風は甲板に晒された砲塔を見上げる。
「船員の全員を誘い出す手間も惜しいし……さっさと終わらせちゃいましょうか」
パラドクスの力で砲塔の眼前に転移し、鈍器を振り下ろしていく春風。
砲の全てを捻じ曲げ、砲撃能力を奪ったことを確認すると、彼女は次なる艦船を求めて甲板から身を躍らせた。
それから数分も経つと、無事な艦船は一隻を残すのみとなっていた。
春風は仕上げとばかり甲板に乗り込むと、早くも慣れた動きで敵を挑発し、無力化していく。
「前座には丁度良いわね。かかって来なさい!」
「我等を侮辱するか、貴様!」「生かして帰すな!」
次々に船が無力化される焦燥に、春風の挑発はこれ以上なく効いたらしい。
恐怖から目を背けるように襲い来る乗組員たちを春風は難なく制圧しながら、艦船の砲塔を見遣った。手元の鈍器を構え、パラドクスを発動し、最後の一撃を叩き込むために。
「これで……終わりよ!」
ストリートストライクの一撃が、砲塔に叩き込まれる。
復讐者の作戦完了を告げるように、砲のへし折れる音が海原に木霊した。
かくして随伴艦隊は戦闘能力を喪失し、一隻残らず海域を離脱していく。
入れ替わるように、異変を察知して向かって来るのは、ハイペリオンを指揮官とする冥海機の群れだ。
舞鶴を守る盾のように展開する彼女たちに対処しなければ、鎮守府への攻撃は困難だろう。真正面から戦って撃破するか、或いは他の手段を選ぶか。
復讐者に選択を迫るように、冥海機の部隊は着々と迫って来ていた。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【強運の加護】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
三間・勲
【CCTS】
(連携アドリブ歓迎)
新宿島の皆さんにディアボロスの活躍をより深く知ってもらえるのは名案ですね。
で、でも安全第一でお願いしますね、蒼葉さん……!
目標は軍事施設の破壊ですが、まずは道を阻む敵を減らしておきましょう
前線で戦う猫猫・春風(g10716)さんをディフェンスしつつ援護します
皆が一緒ですから、きっと勝てますよ!
引き続き【水面走行】を使って前進し、信号ラッパの〈演奏〉と共に『メタルクルーズ』に向けてパラドクス攻撃を行います
敵の砲撃には注意深く敵の位置や動きを観察する事で致命傷を避けるよう努め、【グロリアス】等の効果で粘りながら着実に敵を殲滅していきます
鳴海・蒼葉
【CCTS】
連携アドリブ喜んで☆
時々:なのだ、なんだぜ
勲ー、小春風ー、助太刀に来たのだ~♪
おっと、アタシ達が頑張ってるところを新宿島のみんなに見てもらいたいからさ、もち動画は撮るんだぜ☆
(いつも通りカメラ回して、UTYOU-TENをぺかー)
Hello!世界、アタシの声が聞こえるかな?
ウェ~イ、青空ラジオ出張版の時間なのだ♪
今日もアタシと軍曹が、ディアヴォロス達の勇姿をお届けするんだよ☆
んふっふ、ドローンと軍曹にもカメラ付けてるから臨場感増し増しに期待だぜ💖
分かってるって、だーいじょぶだよ勲♪もう、心配性だなぁ(ニコニコ)
小春風スゴいのだ!うん、アタシも負けてらんないね☆
魔改造バリスティックシールドWith【フライトドローン】でサーフィンしながら敵の注意を引くのだ♪
避けきれなかったらGHT展&開!☆『グワッ(俺を盾にすんなー!)』
水中戦だけなら押し負けるかもだけど、空中に出たんなら…この瞬間は空中戦なんだぜ!(暴論)
すかさず【デモニックボム】で爆破☆
動きが止まったら…今だよみんな!
猫猫・春風
【CCTS】
【水面走行】の効果で、正面から戦場に入ります。
相手の射程圏内に入れば【エアライド】を使い、不規則な行働で攻撃を回避しながら、十分な速さで接近します。
敵が自分の攻撃範囲に入ってきたら、【グラップル】の時間です。
その間にダメージを受けることがありますが、【ガードアップ】と【強運の加護】で耐えます。
自分一人で戦っていたら、自殺行為に等しい戦い方でした。でも、今必要なのは孤軍奮闘のシーンではありません。仲間が私と一緒に戦っています!
行きます!自由と栄光のためです!
随伴艦隊を無力化し、舞鶴鎮守府に向けて進む復讐者たち。
そこへ現れたのはアヴァタール級冥海機『ハイペリオン』を指揮官とする、鎮守府護衛艦隊の一団であった。
舞鶴の地を死守するべく鉄壁の陣形で行く手を阻むのは、トループス級『メタルクルーズ』の群れ。そんな彼女たちを排除すべく、復讐者たちは攻撃を開始する。
全ては鎮守府を破壊し、舞鶴の地を奪還する為に――。
『ディアボロスを発見! これより排除する!』
「勲ー、小春風ー、助太刀に来たのだ~♪」
隊伍を組んで迫る冥海機の艦隊。威圧感に満ちた其の光景とは余りに不釣り合いな軽い声が、舞鶴の海に響いた。
声の主である鳴海・蒼葉(💖爆殺天使💖・g09783)は、仲間である二人――三間・勲(漁火・g10186)と猫猫・春風(ウェアキャットの破軍拳士・g10716)の加勢へ、今まさに駆けつけたところなのであった。
頼もしい味方の登場に、勲と春風の顔が輝く。
「蒼葉さん……! 応援ありがとうございます!」
「とても心強いわ。よろしく!」
「まっかせるのだ~♪ という訳で、さっそく撮影開始☆」
そんな二人の表情を蒼葉のカメラが逃さずキャッチ。ぺかりと光る天使の輪『UTYOU-TEN』を浮かべ動画撮影を開始した。
自分たちが頑張っている姿を新宿島の人々に見てもらうのも、蒼葉にとっては大事な作戦の一環である。
「Hello! 世界、アタシの声が聞こえるかな? ウェ~イ、青空ラジオ出張版の時間なのだ♪
今日もアタシと軍曹が、ディアヴォロスたちの勇姿をお届けするんだよ☆」
カメラを前に弾けるような笑顔を浮かべる蒼葉。
ダンジョンペンギンの『軍曹』とフライトドローン、そして蒼葉――三者のカメラで同時撮影を始めれば、そこはもう彼女と仲間たちの舞台である。カメラを前にした勲は、戦場の其れとはやや違う緊張を覚えながら、蒼葉の耳元で念を押すようにそっと囁いた。
「新宿島の皆さんに、僕たちの活躍をより深く知ってもらうのは名案ですね。で、でも安全第一でお願いしますね……!」
「分かってるって、だーいじょぶだよ勲♪ もう、心配性だなぁ☆」
一見はっちゃけているように見えるが、蒼葉とて復讐者の一人。作戦目標の達成に手を抜くことはしない。
現に彼女は水面走行を発動し、その気になれば直ぐにでも戦闘を開始できる状況だ。じわじわと迫り来るメタルクルーズを前にも動じることなく、手にしたカメラを春風に向ける。
「それでは小春風! 戦闘開始を前に、決意をぜひ一言!」
蒼葉の言葉に、春風は頷きを一つ。
向けられたカメラに対して正面を切り、口を開いた。
語るのは、自分がこれより仲間と一緒に戦うこと。そして、必ず戦いを勝利で飾ること。
そうして春風は深呼吸をひとつ。視聴者となる人々の一人一人へ語り掛けるように、凛とした口調で告げた。
「行きます! 自由と栄光のため!」
「小春風スゴいのだ! うん、アタシも負てらんないね☆」
「施設を破壊する前に、まずは道を阻む敵から対処しましょう。さあ、蹴散らしますよ!」
勲が奏でる信号ラッパの音色が、戦闘開始を高らかに告げる。
燃える戦意を胸に秘めながら、復讐者たちは冥海機の群れへ真正面から向かって行った。
鎮守府を死守すべく展開する冥海機『メタルクルーズ』の部隊。
そこへ攻撃を仕掛ける三人が組んだのは、三角型の鏃に似た隊列だった。鏃の先端、先陣を切って水上を駆けるのは春風。その両脇を守るように固めるのは勲と蒼葉だ。
「頑張りましょうね、春風さん。皆が一緒ですから、きっと勝てますよ!」
「フォローはバッチリ引き受けるよ♪ 大船に乗った気持ちでゴーなのだ☆」
二人の心強い声に春風は頷きを一つ。敵陣めがけ疾駆していった。
瞬く間に近づいて来たメタルクルーズを前に、褐色の肌が緊張に震える。随伴艦隊の一般人とはまるで違う、強烈な重圧。思わず鈍りそうになる足を更に踏み込みながら、春風は勲に笑みを送った。
「援護をありがとう。きっと勝てる、その言葉も嬉しい。けれど、私からもひとつだけ」
握り固めた拳にパラドクスを宿しながら、春風が言う。
「きっとではなく。絶対に勝ちましょう、皆で!」
「おおー、小春風カッコいい! アタシも思い切り暴れるのだ!」
「ええ、頼もしいですね……! 僕も負けていられません、行きましょう!」
勲のラッパが一際勇壮な調べを奏でる。続けて、敵の狙いを撹乱するように蒼葉がドローンを展開。
次の刹那、春風はエアライドで水面と宙を蹴り、瞬時にメタルクルーズへと肉薄していた。狙うのは、眼前で艦首滑空砲の構えを取る個体だ。敵が攻撃する暇など与えない。拳に宿したパラドクスを、いま破軍衝の一撃に変えて放つ。
「吹き飛ばしてあげる!」
命中アップを帯びた拳が敵の顔面に直撃し、衝撃波が迸った。
金属塊の砕ける鈍い手応えと同時、頭部を失ったメタルクルーズが全身を爆散させながら海の藻屑となって消えていく。
仲間の仇討ちとばかり、反撃で次々に降り注ぐ滑空砲の嵐。それを春風がガードアップで防ぎ続ける傍らでは、勲と蒼葉もまた攻撃を開始していた。
「勲ー、アタシたちも突撃だぜー!」
「ええ。一機も残さず沈めてやりましょう!」
信号ラッパの音色に乗って、蒼葉の悪魔爆弾が群れを為して飛んでいく。
そこへ続き、勲もラッパで勇壮な楽曲を奏でながら、パラドクスを帯びた旋律で冥海機の精神を圧し潰していった。
春風の攻撃を嚆矢に開始された戦闘に、メタルクルーズもまた決死の反撃を浴びせて来た。
エネルギーブレードに砲撃の連射……一般人が浴びでもすれば即死を免れない猛攻を前に、復讐者は一歩も退かず。なおも熾烈な攻撃でトループス級冥海機の群れを着実に葬っていく。
『こんなところで、舞鶴を落とさせる訳には……!』
「負けられないのは、僕たちも同じです!」
無論、復讐者とて無傷ではない。
特に勲などは春風のディフェンスを交えながら戦っており、被弾の回数もそれだけ多かった。だが、積み重ねた残留効果に加え、統一された意思のもとで動く三人の奮戦は、それでなお敵に付け入る隙を与えない。
斬り込み役の春風が大暴れし、それを勲と蒼葉がフォローする――只一人でも連携が駆ければ即座に破綻を免れぬ戦闘を、三人はまさに阿吽の呼吸でこなし続けていた。
「止めてみろー! 魔改造バリスティックシールドWithフライトドローン~☆」
UTYOU-TENを七色に煌めかせながら、蒼葉が戦場を駆けまわる。
水上とドローン、二つの足場を目まぐるしく切り替えながら敵を翻弄し、放つはデモニックボムの一撃だ。ドローンに跳び乗る蒼葉へ狙いを定めるメタルクルーズの群れ。その只中めがけ、蝙蝠の如き悪魔爆弾が一斉に飛び込んでいく。
「空中に出たんなら……この瞬間は空中戦なんだぜ! 爆破☆」
『なっ
……!?』
ズンと轟く衝撃が、冥海機の隊列を吹き飛ばす。
ベストの瞬間をしっかり収める軍曹の頭をぽんぽんと叩き、蒼葉は戦場にカメラを向けた。
そこに映るのは、悪魔爆弾で動きを止めた冥海機たち。そして、彼女たちを畳みかける絶好の機会。
これより始まる決定的瞬間を1秒たりとも逃さぬようにドローンを操作しながら、蒼葉が仲間の二人に拳を突き上げる。
「動きが止まった! 今だよ!」
返答の言葉よりも早く、勲と春風が冥海機へと殺到した。
一層高らかにシンフォニーを響かせる勲。拳と共に衝撃波を打ち出す春風。
二人の猛攻を前に、メタルクルーズの群れは応戦虚しく、次第に押し込まれていった。春風は傷ついて悲鳴を上げる肉体を叱咤しながら、なおも拳を振るう。
初陣にも関わらず敵陣に飛び込んでの大立ち回り。単独行動であれば自殺行為に等しい戦い方だと春風は思う。だが、
(「必要なのは孤軍奮闘のシーンではない。今、私は仲間と一緒に戦っているのだから
……!」)
多少の負傷など覚悟の上。頼もしい仲間たちの援護があると分かれば、体の奥からは力が泉のように湧いて来た。
勲と蒼葉が託した想いを背に、嵐の如く暴れ続ける春風。そこへ、生き残った数機の冥海機が砲の狙いを定める。
だが――そんな敵の動きなど、勲には最初から想定の範囲内だ。
「これ以上、仲間を狙うことは許しませんよ」
『……!?』
砲撃よりも刹那早く、勲の旋律が激しさを増す。
開闢と熱狂のシンフォニーが、万力の如き重圧を伴い冥海機の脳を圧迫していく。
パラドクスの圧に耐え切れず冥海機が次々に爆散するとほぼ同時、春風の拳が放つ衝撃波が、残った最後の敵を粉砕した。トループスを残さず討ったことを確認し、UTYOU-TENを七色に煌めかせる蒼葉。カメラを手にした軍曹が、三人の勝利を祝福するように、一際大きな鳴き声を舞鶴の空に響かせた。
かくして戦闘を終えれば、後に残ったのはハイペリオンと鎮守府の施設群である。
施設群の姿は今や復讐者の眼からも視認でき、上手くすれば攻撃も出来そうな距離まで接近を果たしていた。
「とはいえ、それを『彼女』が黙って見ている訳は無いですよね……」
鎮守府を守るように海上に立ちはだかるハイペリオンを見遣り、勲が呟く。
現時点で勲らの人数は三人。アヴァタール級を引きつけながら施設破壊だけを狙うことも辛うじて出来る戦力だ。
無論、ハイペリオンを撃破してから施設群を攻撃するという選択肢もある。その場合は時間はかかるがリスクは確実に低く抑えられるだろう。
『やってくれたわね、ディアボロス……許さないわ……』
春風と蒼葉が見遣る先、怒りを露にハイペリオンが三人の元へ迫る。
どうやら、あまり悩んでいる時間はなさそうだ。
アヴァタール級を相手に全員で戦うか、或いはアヴァタール級と施設群に人手を分けて戦うか。すべては復讐者たちの選択にかかっている――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV2が発生!
【命中アップ】がLV2になった!
鳴海・蒼葉
連携アドリブ喜んで☆
時々:なのだ、なんだぜ
『クエェェェ(蒼葉!復唱しろ)』
いえっサー《ムリにやり合わない、命大事に》だね♪
『クェ(うむ、では行くぞ)』
(再びカメラを回し)
Hello!世界、アタシの声が聞こえるかな?
ウェ~イ、みんなお待たせ☆青空ラジオ出張版の続きだぜ♪
次はアタシのソロパート!楽しんでね☆
残留効果と持ってる技能を全部フル活用するよ!
(UTYOU-TENをぺかぺかさせてなるべく目立ち、オーガー達が視界に入らない位置から挑発)
へいへいへ~い☆
部下は弱かったし、アンタはアタシ1人でじゅうぶんなんだよ♪(いや、全然じゅうぶんじゃないけどねー平常心)
魔改造バリスティックシールドWith【フライトドローン】でまたサーフィンしながら敵の注意を引いてオーガー達から引き離すのだ♪
ドローンのスピードも上がってるし、ダンスの要領で回避してけばばえるしいけるっしょ☆
避けきれなかったらGHT展&開!☆『グワッ(俺を盾にすんなー!)』
攻撃しないとは言ってないから【終焉の炎棺】をゴーーーシューート!!
『ディアボロス……此処から先は通さないわ……』
巨大鮫型ユニットを背負い、陰気な気配を帯びてハイペリオンが迫る。
メタルクルーズとは桁の違う重圧感を前に、鳴海・蒼葉(💖爆殺天使💖・g09783)は深呼吸を一つ。破天荒なまでに明るい声を戦場に響かせた。
「Hello! 世界、アタシの声が聞こえるかな?」
回るカメラが蒼葉を捉える。
映るのは海上でピースサインを送る蒼葉と、軍曹のみ。先程まで一緒だった仲間の姿はない。
そう――蒼葉は今、ハイペリオンと一対一で対峙しているのだ。仲間たちが鎮守府を襲撃する時間を一秒でも稼ぐ為に。
「ウェ~イ、みんなお待たせ☆ 青空ラジオ出張版の続きだぜ♪
次はアタシのソロパート! 楽しんでね☆」
余裕を崩さない蒼葉の態度を、ハイペリオンは挑発と受け取ったらしい。巨大鮫型ユニットの口からせり出す魚雷を一斉に突き付け、戦闘開始を告げる。
『いい度胸ね、貴女……だったら望み通り沈めてあげるわ……!』
四つの赤い眼光が、パラドクスの輝きを帯びて戦場を覆った。
同時、発射されて迫る魚雷を前にも慌てること無く、軍曹が「クエェェ」と鳴く。彼が言わんとすることを蒼葉もまた即座に理解し、復唱した。
「いえっサー! 《ムリにやり合わない、命大事に》だね♪」
「クェ!」
自分の仕事は只一つ。あの大鮫を相手に一秒でも長く粘ること。
鎮守府へ向かった仲間の成功を願いながら、蒼葉の孤独な戦いは幕を開けた。
炸裂する魚雷が海を震わし、巨大な水柱となって立ち上る。
舞い散る水飛沫、その只中で目を奪うのは、蒼葉の頭上で煌めくUTYOU-TENだ。
七色の輝きで挑発するように海上を駆けながら、蒼葉は空飛ぶ棺を召喚。ハイペリオン目掛けて反撃を叩きつける。
「へいへいへ~い☆ 部下は弱かったし、アンタはアタシ1人でじゅうぶんなんだよ♪」
『言ってくれるわね……!』
棺の爆発を物ともせず、食いついて来るハイペリオン。
その執念深く執拗な攻撃は、狙いが完全に蒼葉へ向いた証だ。蒼葉はドローンを敵の周囲に展開し、UTYOU-TENをぺかぺかと発光させながら、魔改造バリスティックシールドを構えて挑発を続行していく。
「へっへ~い、もう終わり? 拍子抜けなのだ☆」
「グワッ!」
『……許さない……!』
大鮫の咆哮が舞鶴の海に響く。
作戦は、正に正念場を迎えようとしていた。
そして始まった攻防は、長時間に及んだ。
行動のリソースを防御と挑発に割いたことで、蒼葉には着実なダメージが蓄積していく。
それでもなおドローンを駆使し、ガードアップで守りを固め……そうして限界まで時間を稼いだ蒼葉は、口元に滲んだ血を拭い軍曹に問うた。
「きっつ~☆ どうする、もう帰る?」
「グェ!」
「あはは、冗談☆ クライマックスはここからだもんね♪」
『遺言は……それで終わり……?』
そして――勝利を確信したハイペリオンが一撃を浴びせようとした、次の刹那。
彼女の背後、今や遠く離れた舞鶴鎮守府から、けたたましいサイレンが響き始める。
それは鎮守府が襲撃されたことを告げる瞬間であり、蒼葉の奮闘が結実した証であった。
『……
……!!』
同時、ハイペリオンの顔色が蒼白に変じる。
目の前の復讐者に自分が踊らされたことを漸く悟ったのだろう。その瞬間を蒼葉は余さずカメラに収め、『終焉の炎棺』を発動。召喚した棺をハイペリオンの顔面に狙い定めた。
「今までのお返しなのだ☆ ゴーーーシューート!!」
『ぐっ……アァァァッ!!』
燃え盛る棺が大鮫の鼻面に直撃。
爆発と絶叫が木霊する中、反撃の魚雷をアヴォイドで避けながら、蒼葉は傷だらけの体で戦場を離脱していく。
鎮守府を襲撃した仲間たちの成功を、誰より強く確信しながら――。
苦戦🔵🔴🔴🔴
猫猫・春風
まずは、【光学迷彩】、【水中適応】の効果で、アリアさんと一緒に敵を迂回します、任務の中核である舞鶴鎮守府の海軍施設に潜入することです。敵が「正面に出ていない復讐者がいる」と気づく前に終わらせる必要があるので、侵入のスピードを確保する必要があります。【エアライド】は最適な移動経路を探すことができます。
そして、【パラドクス通信】の効果で、自分、三間さん、アリアさんが同時に行動を開始し、相手が対応できなくなることです。
最後に、【避難勧告】の効果で、いるかもしれない一般人を追い払いながら、燃料や弾薬などの引火性物質に火をつけて火災を起こし、海軍施設を破壊します。
計画がすべてうまくいくわけではなく、途中で敵に阻まれることもあるはずです。しかし、敵に遭遇しても避ける必要はなく、戦えばいいのです。どうせこちらの破壊計画がうまくいかなくても、海軍施設の破壊を進めている仲間は他にもいます。
アリア・パーハーツ
連携・アドリブ歓迎
▼
蒼葉ちゃんからのお願いだ、お手伝いに来ましたよっと
壊すならボク様に任せな
【光学迷彩】を拝借して気付かれないよう【水中適応】で海の中を移動
【パラドクス通信】を利用して、仲間との連携を取りつつ侵入し、タイミングを合わせて港湾部破壊を開始
鎮守府とやら初めて来たけど、随分壊し甲斐のある素材だな
【避難勧告】は広まってるけど、行って欲しくない方へは手榴弾を投げて誘導
一般人は退いた退いた
悪いけど壊すから、早く逃げな
海水を招いて召喚するのは大好きなホホジロザメを模したもの
よし、今日も可愛い
邪魔しに来たな、早速
蹂躙するなら此方が上手だ、邪魔するなよ
さあ行っておいで、全部噛み砕いてしまおう
非軍事施設…は壊さないようにするけど、中々難しい
武器商人の経験と勘で嗅ぎ分けつつ、手榴弾をぽいぽい投げて破壊活動
独鈷杵で滅茶苦茶に破壊しつつ爆弾も多用
お、三間君の方も派手に良い音が響くね
もう良さそう?いいかな
じゃあ撤退だー逃げろーっと、逃げ遅れはいないよね?
三間・勲
(連携アドリブ歓迎)
蒼葉さんが『ハイペリオン』を引き付けて下さっている内に迅速に目的を達成しましょう。
【パラドクス通信】で味方と連携を
僕は【水面走行】で正面から軍港付近まで接近し、味方が施設の破壊に専念できるよう敵の注意を引きます
届く範囲であれば【避難勧告】で外側からも一般人の避難を呼びかけます
単眼望遠鏡で観察し、一般人の居ない地点を狙って「流式爆撃戦術」で埠頭を中心に攻撃を加えます
港を壊すのは少々心苦しいですが、一般人が戦場に駆り出されるくらいなら、今は使えない方が良いでしょうから……
爆撃によってなるべく派手に音を立て敵の注目を集めます
敵が接近し戦闘を仕掛けて来たら、各種効果によって耐えつつ応じます
敵を倒し切る事が目的ではないので、程々に粘り、ある程度目的が達成された事を確認出来たら速やかに撤退です
味方の撤退を待って殿を務め、【フライトドローン】の効果をお借りしてドローンで攪乱しつつ逃げに徹します
時間を遡ること暫し、蒼葉とハイペリオンの戦闘が開始された丁度その頃。
三間・勲(漁火・g10186)を始めとする復讐者たちは、舞鶴鎮守府の施設群への接近に成功していた。
「蒼葉さんの方は順調にいったようですね。こちらも迅速に目的を達成しなければ……!」
水面走行を発動し、鎮守府へ接近していく勲。
その眼前に広がるのは舞鶴軍港の偉容だ。史実の其れよりも大幅に拡大された港湾地区の随所には、随伴艦のそれと思しき造船施設が並び、民間人が働くと思しき店や工場も随所に見て取れる。その一帯を勲は単眼望遠鏡で手早く観察し、襲撃する地点を設定。別行動中の仲間にパラドクス通信で連絡を送った。
「三間です。お二人とも、其方の様子はどうですか?」
「アリアだ。問題ないよ、海の中は静かなものだ」
「こちら春風。侵入経路はエアライドで探ったから、いつでも行けるわ」
通信機を介し、アリア・パーハーツ(狂騒・g00278)と猫猫・春風(ウェアキャットの破軍拳士・g10716)の声が届く。
彼女たちは水中適応を発動し、海中から鎮守府を奇襲するチームだ。勲が先んじて施設を攻撃し、敵の注意が向いたところへ死角から奇襲、破壊活動を行う――それが二人の仕事である。
そうして通信機で細かな連絡を済ませると、勲はそのまま埠頭へ移動。襲撃準備を完了した。
「ハイペリオンが健在だからなのか、警戒はそこまで厳しくないですね。これなら、十分に行けそうです」
「ええ、有難いわ。冥海機の厳重警戒下だったら、光学迷彩も役には立たなかったでしょうし」
海中から同意を返しつつ、春風は程なくしてアリアと共に配置についた。
準備は既に完了しており、いつでも襲撃に移れる状態だ。アリアはその旨を勲に伝え、合図を送る。
「壊すならボク様に任せな。さあ、作戦開始といこうか」
「ええ、よろしくお願いします。……始めましょう!」
同時、勲の身体から放たれたエネルギーが、爆撃機の姿となって飛んで行く。
仲間間の連携と、残留効果の有効活用。それらが見事に奏功し、襲撃は最高のタイミングで開始された。
鎮守府の埠頭、造船用の施設群に爆撃音が折り重なって轟く。
音の源は、勲が発動した『流式爆撃戦術』が仕掛ける絨毯爆撃だ。
「港を壊すのは少々心苦しいですが……一般人が戦場に駆り出されるくらいなら!」
パラドクスによって生み出された1/72スケールの爆撃機型エネルギーが、事前に巌が把握した無人エリアを狙い済まして、容赦のない攻撃を浴びせていく。衝撃に耐え切れず次々と倒壊していく建物。間を置かず、敵襲を察知した冥海機たちが次々と現れ、勲に反撃を浴びせて来た。
『えー、ちょっとマジ!? 襲撃とか聞いてないんだけど!』
口調こそ軽薄な冥海機たちだが、その反撃は少しも容赦がない。
パラドクスの力で瞬時に勲へ肉薄、叩きつける脚部衝角兵装が容赦なく勲を穿つ。ガードアップで硬化させた肉体を頼りに更なる攻撃を続行しながら、勲は仕上げとも言うべき一手を打った。
「島の人たちには離れてもらいましょうか。巻き込むわけには、行きませんからね!」
同時、施設群のあちこちに出現したサイレンが、一斉に警報を鳴らし始める。
危険エリアから一般人を引き離す、避難勧告の残留効果だ。果たして効果は覿面で、民間人用の建物からは次々と一般人が現われ、戦場となった一帯を脱出していく。
「これで、一般人が巻き込まれる心配は有りませんね。……後は、全力で施設を破壊するだけです」
敵は騒ぎを単独行動による敵襲と思っているのか、排除の矛先を完全に勲へ向けていた。
だが、それこそ正に復讐者たちの意図するところ。勲は通信機を手に、海中の二人へ攻撃開始の合図を送るのだった。
「今です。お願いします!」
「お、始まったか。三間君の方も派手に良い音が響くね」
通信機から届いた勲の合図に応じるように、アリアは先行して港湾内部に踏み込んだ。
目の前に広がるのは、海に面するように建ち並んだ造船所だ。軍港というだけあって、随伴艦を始めとする製造する施設は少なくないのだろう。
「鎮守府とやらは初めて来たけど、随分壊し甲斐のある素材だな。よし、始めようか」
「こちらは何時でも平気よ。敵が来たらすぐ報せるわ」
後続の春風が警戒を開始すると同時、アリアは『オーシャンファング』を発動。全身が海水で出来た巨大なホホジロザメを召喚すると、眼前の造船所目掛けてけしかけた。
「よし、今日も可愛い。さあ行っておいで、全部噛み砕いてしまおう」
召喚主であるアリアの命令にホホジロザメは宙をぐるりと旋回すると、魚雷めいて造船所へと突撃していく。
ダメージアップの効果で強化された大顎に、一介の施設が無事を保つことなど出来はしない。体当たりが外壁をぶち破り、内部の設備をホホジロザメはたちまち鉄屑へと変えていく。施設を維持するための巨大な配管や鉄骨を、手当たり次第に噛み砕きながら。
無論、アリア自身も加勢を忘れない。独鈷杵を振るい、爆弾を投げ、建物をたちまち瓦礫の山へと変えていく。そして、
『え、なに、こっちも敵襲!?』『ディアボロスがいる! 追い払うよ!』
「アリアさん、そろそろ頃合いよ。冥海機が嗅ぎつけたわ」
「来たな、早速。蹂躙するなら此方が上手だ、邪魔するなよ」
警戒を行っていた春風から連絡が届くと、アリアはすぐに標的を別の施設へ変えることにした。
捕捉されてまで一箇所で戦うのはリスクでしかない。降り注いでくる主砲の砲弾が直撃しないよう身を避けながら、春風と合流を済ませてすぐさま次なる目標地点へと駆けて行った。
「思ったより攻撃が少ないわね。埠頭の方に戦力が割かれた所為かしら」
「だろうね。とはいえ、のんびりもしていられない。これだけ派手に騒げば……」
海上を疾駆しながらアリアが言いかけた矢先、パラドクス通信機を介して味方の声が届いた。
蒼葉からであった。
「Hello~♪ みんな順調にいってるのだ?」
「何とかね。そっちはどうかな、蒼葉ちゃん?」
「だいじょーぶ、離脱も出来たしピンピンしてるよ♪ けど気をつけて、今そっちにハイペリオンが向かったから☆」
「まあ、これだけ騒げば当然だろうね。お陰で十分に暴れられたよ、こっちも頃合いを見て切り上げる」
そうして通信を終えると、アリアと春風は埠頭の方角を目指して駆けて行く。
進路上には、まだ造船用の施設が一つ残っている。あれを壊して離脱すれば作戦は完了だ。海に面した民間用の商店は標的から外すと、アリアは間違って人々が近づかぬよう、花火でも扱うような手つきで誘導用の手榴弾をばら撒いき始めた。襲撃開始時点では位置を冥海機に悟られる恐れもあって使わなかったが、露見した今となっては躊躇する理由も無い。
「ほら、退いた退いた。悪いけど壊すから、早く逃げな」
驚く人々の悲鳴が響く中、二人は最後の施設――造船用ドックと思しき場所へと突入していく。
エアライドによって掴んだ経路を辿りながら、春風は『潜入の心得』を発動。造船用のクレーンを全身闘気で覆った五体でへし折ると、内部に設けられていた作業用設備を併せて破壊し始めた。
「跡形も残さないわ!」
速く、静かに、気づかれず。
鉄拳に蹴り、更には小型拳銃の銃撃が破壊を撒き散らし、辺りの施設を原型も残さず壊し終えたまさにその時、施設内から駆けつけたオーガー級の攻撃が一斉に降り注いできた。脚部衝角兵装の接近戦に、主砲を用いた砲撃――パラドクスで復讐者二人を狙った攻撃を捌きながら、アリアは通信機越しに勲へ連絡を送る。
『ディアボロスはっけーん!』『逃がすなー!』
「三間君、こっちはそろそろ離脱の頃合いだ。埠頭の方は大丈夫かな?」
「僕の方も、ちょうど切り上げる頃合いです。殿は引き受けますから、急いで離脱を!」
勲の言葉に、春風とアリアもまた撤退の潮時を感じ取った。
施設への襲撃がハイペリオンにも露見した以上、これ以上の戦闘はリスクの方が大きい。引き際を見誤る愚を復讐者たちは犯すことなく、すぐさま離脱を開始した。
「長居は無用と言うことね。分かったわ、急ぎましょう」
「了解。じゃあボクらも撤退だー逃げろー!」
身を翻し、破壊したドックを飛び出す春風とアリア。
程なくして二人は埠頭で交戦する勲と合流し、舞鶴鎮守府を離脱していった。
それから数分後。
オーガー級の追撃を振り切った三人は無事に舞鶴湾を離脱し、帰還の途に就いた。
危惧していたハイペリオンとの遭遇も問題なく逃れることが出来、後は作戦成功の報を新宿島へ持ち帰るのみだ。
「……ふう。ここまで逃げれば、敵も追っては来ないでしょう」
勲は安堵の吐息を漏らし、彼方に見える舞鶴の港湾施設を見遣る。
見る影もなく破壊された敵の施設群は、冥海機勢力の現状を雄弁に示していた。今回の破壊活動によって、鎮守府はさらに追い詰められたことだろう。彼の地を治める龍驤との決戦も、そう先の話ではないはずだ。
「作戦は大成功ね。皆、お疲れ様」
春風は共に戦った仲間たちに微笑みを浮かべ、労いの言葉を贈る。
勲、蒼葉、そしてアリア、四人全員で掴んだ勝利を静かに噛み締めながら。と、そこへ――。
「二人とも。蒼葉ちゃんからだよ」
アリアが手に取った通信機から、共に戦った蒼葉の声が届いた。
「みーんなお疲れー☆ 帰りは一緒の電車で行こ~♪」
「クェ!」
戦場の彼方を見遣れば、手を振りながら水面を走って来る蒼葉の姿が見える。
軍曹と一緒にカメラを持って、無事な姿を三人に見せるように。そんな彼女にアリアもまた手を振って応じると、勲と春風にサムズアップを送った。
「戦闘不能者なし、施設の破壊にも成功だ。……帰りのパラドクストレインは、ちょっと賑やかになりそうだね」
「ええ。これで、舞鶴の解放にも一歩近づいたはずだわ」
「では、戻りましょう。僕たちの帰りを待つ新宿島へ!」
冥海機ヤ・ウマト、舞鶴鎮守府。
復讐者たちが勝ち取った港湾破壊作戦の成功に、かくして新たな一ページが加わった。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!