リプレイ
黄泉王・唯妃
アドリブ&連携歓迎
ふむ。大陸のジェネラル級の先鋒戦、というところですか。
これは参加しない手はありませんね。
という訳で氷壁峡谷を突破する方法ですが。
……まあ、シンプルに【飛翔】で参りましょうか。
他の方もそれに追随すれば速度も上がるし、通りやすい道をつけてくださることもあるでしょう。
身を低くして地面を跳ねるように、超低空で最高速度を維持しながら一気に突破いたしましょう。
「砲煙弾雨と呼ぶには少々温くはありますが、まあ本命はまだまだ奥。こんなところで手間取っている場合ではありませんからね」
イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎
キリマンジャロ頂上の氷壁……その先に待ち構えて居たのはマンモス、それもジェネラル級だったとはね。
此処に住まう巨獣達がやたらと好戦的だった理由も呆気なく判明したし
アナグマを決め込まれる前に塒を強襲し仕止めるとしようか。
道中の氷の迷宮とは違い、崩壊中とは言え一本道なのは良いよね。だって心の赴くままに【飛翔】し翔け抜ければ良いんだから。
低過ぎて剥がれ落ちた氷塊や割れ目とかに引っ掛かるのは間抜けだから10~20mぐらいに高度を保って最大速度で翔ぶよ。
『聖なるかな。静かな夜空に瞬く星。恐れに満ちた闇の中に、希望の光は今日輝きます』
……飛ぶ前に主に祈りを捧げたらイロハは一条の流星になるよ。
大丈夫、運悪く剥がれ落ちた氷塊がぶつかってきたとしても
鍛え上げたこの身に練り上げたオーラを纏って、全身全てを一つの武器として立ちはだかる障害の悉くを試練として【貫き通し】てしまえば良いんだから。
此処を乗り越えても、まだまだ小型巨獣やカルジネス達も倒さないとなんだから最初から飛ばして行くよー
月下部・小雪
結局、キリマンジャロはドラゴンさんの感じていた『共鳴』とは関係なさそうですが……
そ、それでも放っておくわけにはいかない、ですね。
わわっ、せ、せっかく切り開いたグラゴルモさんへの道がふさがって、しまいます!?
そんなこと、させません。急いで峡谷を駆け抜けましょう!
【超高機動型モーラット・コミュ】になったコダマの先導の元、
崩れ落ちて来る氷塊を避けながら10m~20m程度の高度を維持して【飛翔】しながら進んでいきます。
飛行の邪魔になりそうなものはコダマのビーム砲で破壊してもらいます!
崩落に巻き込まれている小型巨獣さん達、ちょ、ちょっと申し訳ない気持ちにもなりますが、
こ、これも生存競争というやつなので、ごめんなさいです。
※アドリブ連携大歓迎
ガンドラ・ブラッディア
連携・アドリブ歓迎
竜域ダンジョンの、ドラゴンもだが、自らの拠点を、崩してでも、先を見据えた、その戦略性、厄介極まる。
此処を闊歩する、巨獣たちも随分、狂暴化している、理由もまた、単純だったが、緩和する術もなし。
……時間は、無さそうだな。急がねば。
【飛翔】を用いて、低空にて氷壁峡谷を、突破しよう。
飛翔途中で、妨げになる氷塊が、崩れ落ちて、きたならば、呪竜波濤を発動、我が呪槍を振るい、エネルギーを放って、貫き、粉砕するまで。
勢い維持が、最優先故に、通り道の確保、重要である。
危険が無ければ、のんびりと、観光も視野だが……我輩は竜なのでな。この一本道を、思うがままに、全力で飛ぶというのも、悪くはない。
巨獣大陸ゴンドワナ、巨大高山の山頂。
そこで今、ジェネラル級たる巨獣の上げる咆哮が、氷壁峡谷の終焉を告げていた。
既に随所では氷壁の崩壊が始まっているが、最深部への経路まで塞がれた訳では無い。進むべき道は一本、邪魔な氷壁は力ずくで突破するのみ。これより復讐者たちの為すべきことは至ってシンプルであった。
月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)は峡谷へ踏み込むと同時、そこに広がる破滅の光景に目を見開いた。あちこちではビル程もある巨大な氷壁が崩れ落ち、地面には巨大な亀裂が広がっていく。時折響いて来るのは、崩壊に巻き込まれて亀裂に落下していく巨獣たちの、悲鳴にも似た絶叫であった。
「わわっ、せ、せっかく切り開いたグラゴルモさんへの道がふさがって、しまいます!?」
「もきゅきゅ!?」
モーラット・コミュのコダマを抱きかかえた小雪は驚愕も露わに、仲間たちを振り返る。
「グラゴルモさんの狙い通りには、させません。急いで峡谷を駆け抜けましょう!」
「同感だ。あまり時間は無さそうだな」
真っ先に飛翔を発動したガンドラ・ブラッディア(黒矛・g03101)は、頷きをひとつ。最深部へ続く道を凝視した。
彼女を含む4名の復讐者は、全員が飛翔の残留効果を積み上げた者ばかり。飛行可能な高度こそ微々たるものだが、出せる速度は優に時速300kmを超える。
巨獣の集中攻撃を受けぬよう高さを調整すると、ガンドラは仲間たちへ合図を送った。
「よし、問題ない。このまま一気に飛び抜けるぞ」
「そうだね、アナグマを決め込まれる前に仕止めるとしようか。――聖なるかな。静かな夜空に瞬く星。恐れに満ちた闇の中に、希望の光は今日輝きます」
ガンドラに続いて、イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)も地面を蹴って宙に飛んだ。
速度を最高に調整し、一気に加速。数秒前まで立っていた地点を瞬く間に置き去りにし、3人の仲間と共に飛んで行く。
復讐者たちが向かう先、未だ見えぬ最深部――その奥から、グラゴルモの咆哮が悍ましい響きを伴って峡谷に木霊した。
「しかし、キリマンジャロ頂上の氷壁……その先に待ち構えて居たのはマンモス、それもジェネラル級だったとはね」
イロハは仲間と速度を合わせて飛翔しながら、何とも意外そうな表情で言った。
「此処に住まう巨獣がやたらと好戦的だった理由も呆気なく判明したしね」
「そ、そうですね。結局、ドラゴンさんの感じていた『共鳴』とは関係なさそうですが……そ、それでも放っておくわけにはいかない、ですね」
イロハに頷きを返しながら、小雪が凍土象グラゴルモの姿を思い描く。
今まで戦って来たジェネラル級の姿形は、いずれもアヴァタール級のそれと似通ったものだ。恐らく今回も同様だろう。
問題なのは戦闘力だ。《七曜の戦》に現れた凍結氷河グレシラックほどでは無いにせよ、グラゴルモの実力はバオルモスのそれを凌ぐことは間違いない。
「うぅっ……少し緊張、します……」
「大陸のジェネラル級の先鋒戦、というところですか。これは参加しない手はありませんね」
そんな小雪の傍を、黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)は飛翔しながら微笑んで見せた。
会話の最中も、氷壁は進路を邪魔するように崩壊して来るが、それらを唯妃たちは飛翔を駆使した立体軌道で難なく回避していく。クロノ・オブジェクトとはいえ、パラドクスを介した攻撃ではない現象だ。十分な速度が確保されている以上、凌ぐことは造作もない。
「自らの拠点を崩してでも縄張りを守る、か。恐らくは本能的な行動なのだろうが……」
先頭を飛翔するガンドラの脳裏に去来するのは、かつて奪還した竜域ダンジョンのことだった。
あの時、最下層を守護するドラゴンたちは、最後の手段としてダンジョンの崩壊を選択している。そんな彼らの戦略性に基づく行動と、グラゴルモの行動が結果的にとはいえ重なったのは、何とも皮肉なものだ――そう思いながら前の方を凝視していた矢先。氷壁の両脇で、雷鳴めいた轟音が断続的に響いた。
直後、巨大な氷塊が次々と倒壊して来る。崩壊の進行が、明らかに速度を増していた。
「こんな時に、面倒な……!」
「正面から抜ける方が良さそうですね。一気に突破いたしましょう」
回避よりも破壊しながら進んだ方が速い。
唯妃を筆頭にそう判断した復讐者たちのパラドクスが、眩い輝きを放って氷壁の峡谷を照らす。
「勢い維持が最優先だ。貫き、粉砕するまで!」
先頭のガンドラは即座に呪槍を振るい、氷塊めがけて直進。中心部めがけ『呪竜波濤』のパラドクスを放った。
並の民家くらいなら容易く潰せそうな巨大氷塊の中心を、呪いと竜の力を帯びた刺突が捉える。
貫通力に優れた一撃を受けた氷塊は穿たれた大穴から亀裂を広げ、那由他の欠片となって砕け散った。だが、障害となる塊は一つではない。安堵する暇も無く4人の前に氷塊が次々と襲い来る。
「やれやれ。心の赴くままに翔け抜けるの、邪魔しないで欲しいんだけどな」
グラゴルモの妨害に、イロハは溜息をひとつ。闘気を纏った拳を一際大きな塊へと向けた。
ここで足止めを食うようでは話にならない。飛翔の速度をそのままに、流星の如くイロハが迫る。彼女の肉体全てを一つの武器と為し、立ちはだかる障害の悉くを試練として。
「破っ!」
鋭い突きの一撃と共に、竜の形をした気が打ち出される。パラドクスの刺突で敵を貫く『関帝青龍破』の一撃だ。
巨竜が一直線に肉薄し、気の牙で標的を砕く。巨大な質量を誇る氷塊は紙細工同然にひしゃげ、そのまま宙に四散した。
直後、行く手を塞ぐように散らばる拳大の塊を、唯妃は展開した『細蟹』で捉え、仲間たちの進む道を切り開く。
「砲煙弾雨と呼ぶには少々温くはありますが、本命はまだまだ奥。こんな所で手間取っている場合ではありませんからね」
斬糸の結界に触れるたび氷の塊が切り裂かれ、霧のごとき極小の粒となって溶けるように消えていく。
いかなる巨塊をも穿ち砕くガンドラとイロハの刺突。そして無数の礫を消し去る、唯妃の斬糸。大きい物も小さい物も、迫りくる氷塊は唯一つの例外も無く砕かれ、裂かれ、復讐者たちの身体に触れることさえ出来ずに消えていった。
――ブオオオオオオオオオオオオ!!
グラゴルモの咆哮が、一際大きく木霊する。
次の瞬間、道の両脇から交差するように剥がれた氷塊が二つ、復讐者めがけて落ちて来る。
「きょ、今日のコダマは竜巻のような荒々しい動きで、行きます!」
「もきゅきゅっ!」
同時、小雪の号令一下、飛ぶコダマが『超高機動型モーラット・コミュ』で加速した。
旋回式連装ビーム砲で氷塊を狙い定め、4人の復讐者を先導するように速度を上げる。
「コダマ! 邪魔なものは、ぜんぶビーム砲で破壊です!」
「もきゅー!」
眼前に迫る氷。巨大だが単純な軌道をもって落ちて来るそれへ、高速機動を持って飛翔するコダマの砲撃が直撃する。
閃光と衝撃――それは、コダマが小雪の号令を完遂した証だ。
ビームを浴びた氷塊の奏でる盛大な破砕音が、崩壊ラッシュのひとまずの終わりを告げるように轟かせる中、復讐者たちは危険地帯を無事に潜り抜けた。
「……ふう。ひとまず、最初の山は越えたようですね」
唯妃が後方を振り返った直後、飛翔して来た道は崩落する氷塊であっという間に塞がれた。
視線を前方に移せば、崩壊の速度は先程より多少緩やかになっている。恐らくは中枢に近い氷壁ほど崩壊に時間を要するのだろう。それは同時に、復讐者たちが着実に最深部へ近づいていることの証でもあった。
「とはいえ、此処も何時まで保つかは分かりませんね。急ぎましょうか」
「うむ。危険がなければのんびりと観光も悪くなかろうが……」
我輩は竜である故、偶には刺激的な道中も悪くは無い――ガンドラはそう言って笑みを浮かべる。
破壊の余波は、じきに峡谷の隅々まで行き渡るだろう。そうなればクロノヴェーダである巨獣たちも無事では済むまい。巻き込まれる運命の小型巨獣たちを想い、小雪は微かな申し訳なさに胸を抑えた。
(「こ、これも生存競争というやつなので、ごめんなさいです」)
巨獣がクロノヴェーダだと分かっていても、死にゆく獣たちを想像すれば心は痛む。
だが、振り返ることは許されない。この悲劇を二度と起こさない為にも、グラゴルモを撃破すること――それが今の小雪たちが為すべき、ただ一つの目標だ。
「此処を乗り越えた後が本番だからね。小型巨獣やカルジネスも倒さないとなんだから、飛ばして行くよー!」
先陣を切るように、イロハが先頭を飛びながら檄を飛ばす。その言葉に、3人の復讐者たちも頷きで応じた。
「グラゴルモの実力、どれ程か……今から楽しみです」
「放っておくには危険な巨獣だ。ここで確実に決着をつける!」
「い、行きましょう、コダマ! このまま最深部まで一直線、です!」
道中の突破はあくまで前哨戦に過ぎない。
グラゴルモの待つ最深部を目指し、復讐者たちは再び飛翔の速度を上げていった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV4が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV2が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
冰室・冷桜
凶暴化の原因については意外と呆気ないものだったけれど……ってーことは、何かバックアップがあったとかでもなく、単独のジェネラル級が氷壁をクロノ・オブジェクト化させてたってこと?
単に壊れにくいだけのものだったけど、他のディヴィジョンじゃ特別なクロノ・オブジェクトの殆どは断片の王から与えられてたとか、作ってた奴は代わりに戦闘力低めみたいなパターンだったと思うけど
マジで縄張り争いしてる獣同然のコイツらのエネルギー源はどこから湧いてきてんだ……?
ま、当座としてはここのボスさんにお会いしなきゃね
注意すべきはルートより状況
【飛翔】はご一緒する面子に借りて発動しつつ、私は【完全視界】発動
こんだけでかい壁やら氷が崩れてるんだから、落下の拍子に塵やなんやりも結構舞い上がる筈
道中落下してくるのを壊しながら進むとしても避けた方がロス少ないのは避けた方がいいしね
視界不良で無駄な時間を取られないよう気を付けましょう
20mくらいの高度と最高速度を維持しつつ、落下してくるのは召喚しただいふくに迎撃を任せましょ
一里塚・燐寧
お山を壁に重要施設でも隠してるのかと思ったら、マジで単なる縄張りだったってことぉ?
ちょーっと拍子抜けだけどぉ……ここで巨獣がポコポコ生まれてきちゃあ、先々の探索にも支障が出そーだねぇ
おっけい。ここまでやったからには、最後まできっちり潰しちゃおっか
【飛翔】を発動、障害物に対処しながら崩れ行く氷壁峡谷の低空を翔け抜けるよぉ
《テンペスト・レイザー》を前方に突き出すように構えて、氷塊をすぐ迎撃できるよーに
分厚い刀身と回転鋸刃は、振り抜かないでまっすぐぶつけるだけでも相応の破壊力を生んでくれるからねぇ
実際氷塊にぶつかりそうな時は『呪式:空牙嵐墜』を発動
《焼尽の呪炎》を爆発させることによる急制動で、躱せるものは躱しつつ
突っ込んでブッ壊して強行突破する方がかえって安全な時は、パラドクスを乗せた刃を迷いなく叩きつけるよぉ
いやー、まるでゲームの強制スクロールステージみたいだねぇ
足を止めたら、氷に飲み込まれてゲームオーバー……おーこわいこわい
さーて、そろそろ大歓迎の時間かなぁ
楽しいパーティにしなきゃねぇ?
クィト・メリトモナカアイス
おぉおぉおぉぉう。
とんでもない王がいたもの。
獣の本能なのか、クロノヴェーダの本能なのか。あるいは断片の王の意思なのか。
何を思ってドンドコやってるのかは分からぬけれど。
とりあえず倒すのがヨシ。
というわけでモナカ斬撃型、ゆくぞー。
他の人の【飛翔】を借り、さらに【エアライド】を追加。
こんな時に必要なのは単純な最高速度もだけど、瓦礫にぶつからず速度を出し続けられるるーと選び。
敵の集中砲火を受けない低空を飛翔しつつ、エアライドの空中ジャンプを使った急な方向転換も使って、最適な移動経路を見つけていい感じのルートで速度を保って飛び続ける。
おっきな瓦礫相手だと難しいけど、ちょっとした瓦礫くらいならモナカ斬撃型の「斬撃のセイロンキャット」。モナカから生やした刃による斬撃で瓦礫を切り裂き、押しとおる。
もう逃げも隠れもさせぬ。
ちっさなマンモスもちゅうくらいのマンモスもおおきいマンモスも。
全員しばき倒す。
第一波の崩落をひとまず凌いだのも束の間、更なる振動と衝撃が氷壁峡谷を襲った。
いまだ諦めない復讐者の存在を、凍土象グラゴルモは察知しているのだろう。ひときわ高い咆哮を轟かせ、最深部への道を封じようとしている。
――ブオオオオオオオオオオオオォォォォォォォ!!
「おぉおぉおぉぉう。とんでもない王がいたもの」
クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は可愛らしい咆哮を返すと飛翔の効果を発動し、ふわりと宙に浮いた。
高山山頂から氷の迷路の道中、幾度となく耳にした咆哮は、今やすべてを無に帰す勢いで響き渡る。
同時、復讐者たちの行く手から、氷壁の崩れる地響きが折り重なるように轟いて来た。残された時間はいよいよ少ない。
「急いだ方が良さそうだわね。さっさと行きましょうか」
クィトと同じく飛翔を発動した冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)が、発動した完全視界で進路を凝視した。
高速移動を行う際、崩壊する氷壁で生じた氷霧や塵に、視界を奪われないようにする為だ。準備を完了すると、氷壁地帯の突破に全神経を集中する。
「んじゃ、さっさと象さんの元へレッツゴーだわね」
「んむ、とりあえず倒すのがヨシ。モナカ斬撃型、ゆくぞー」
クィトもまた猫型の浮遊球型ガジェットを展開すると、冷桜たちと肩を並べるように最深部へと飛翔していった。
落下して来る氷塊を物ともせずに、三人の復讐者たちは飛び続けた。
「やっほー。折角だし、もうちょっと飛ばして行こうかぁ!」
一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)が飛翔の残留効果を新たに発動し、飛翔の速度を更に上げる。
その最高時速は実に450キロ。道中で巨大な氷塊に激突するリスクを避ける為、常に全速で飛翔している訳では無いが、問題なく飛び続ければ最深部の到達にはそう時間も掛からないであろう速さだ。
時折、握り拳程度の氷塊が前方に落下して来るが、クィトのモナカ斬撃型が振るう刃を浴びてたちまち砕け散っていく。
「んむ、今のところ大きな塊は見えない」
先頭の様子を視認しながら、クィトが言った。
とはいえ状況は予断を許さない。巨大氷塊に即対処できるよう燐寧と冷桜も武器を構え、慎重かつ迅速に飛翔を続ける。
「しっかし、お山を壁に重要施設でも隠してるのかと思ったら、マジで単なる縄張りだったなんてねぇ」
「だわね。凶暴化の原因についても意外と呆気ないものだったけれど……」
やや拍子抜けしたように言う燐寧に、冷桜が同意を返した。だが、その表情には未だ納得しきれない色がある。
(「グラゴルモ……これだけの氷壁を単独でクロノ・オブジェクト化させたってコト?」)
そんな冷桜が思い起こすのは、《七曜の戦》に現れたジェネラル級『凍結氷河グレシラック』のことだ。
戦場に突如として出現したあの巨獣も、周囲に氷河の領域を展開して同胞たちを集めていた。グラゴルモがそれよりも長い期間、山頂に籠り続けていたなら有り得なくはない――それが、冷桜の理性が出した仮の推測であった。
(「……んー。だとすると、マジで縄張り争いしてるコイツらのエネルギー源は、どこから湧いてきてんだ……?」)
つくづく会話が出来ない種族であることが残念だと、飛翔を続けながら冷桜は思う。
「せめて簡単な言葉のやり取りが出来る知能だけでもあれば良かったですが。……ま、無いものを嘆いても仕方ないわね」
「そうだねぇ。ここで巨獣がポコポコ生まれてきちゃあ、先々の探索にも支障が出そーだし――」
燐寧が言いかけた矢先、先頭のクィトが合図を送って来た。
「んむ、前方注意。おっきい氷塊がいっぱい来そう」
「おっけい。ここまでやったからには、最後まできっちり潰しちゃおっか!」
「だわね。当座としてはここのボスさんにお会いしなきゃね」
隊列を組みかえるように、魔晶剣《テンペスト・レイザー》を構えた燐寧が先頭に出る。
グラゴルモを目指す復讐者たちの飛翔は、止まることを知らず。崩壊の進む峡谷を、ひたすらに進み続けるのだった。
「さーてぇ、どんどん砕いて行っちゃうよぉ!」
崩壊する峡谷に、重々しいエンジン音が響いた。
《テンペスト・レイザー》が奏でる回転鋸刃の駆動音だ。燐寧が用いる武器の中でも切削による破砕力という点において、このチェーンソー大剣が発揮する威力は一級品である。燐寧は落下して来る氷塊をすぐに迎撃できるよう、相棒の剣を前方に突き出すように構え、後続の二人を先導するように低空を飛翔していく。
「前方右上、でかいの来るわよ!」
冷桜の注意が飛んだ直後、大きな本棚ほどもある直方体の氷塊が前方に次々落下してきた。
燐寧は速度をそのままに《テンペスト・レイザー》が勇猛な唸りを上げる。分厚い刀身と回転鋸刃は、単純な激突だけでも相応の破壊力を生んでくれるのだ。
「このまま突っ込む! クィトちゃん、冷桜ちゃん、援護頼んだよぉ!」
「んむ、任された」
「オッケーですわよ!」
クィトと冷桜が合図を返すと同時、燐寧は『呪式:空牙嵐墜』を発動して最高速度まで加速。
みるみる接近する氷塊のど真ん中に回転鋸刃を突き刺した。ギィンと甲高い音が轟き、巨大な氷塊が衝撃で破砕する。
立て続けに降って来る大きな氷塊。燐寧は怨念の鬼火を爆発させた推力で加速すると、妨害する塊を滅茶苦茶な立体軌道で一つ残らず破壊していった。
「『モナカ』斬撃型、連携攻撃」
「だいふくセット! ゴー!」
なおも直撃すれば危険な大きさを保つ塊を、刃を生やしたモナカ斬撃型が『斬撃のセイロンキャット』で砕き続ける。
そこに続くのは冷桜のメーラーデーモン、だいふくだ。『電槍田楽刺し』で見舞う槍の轟雷が氷塊を残らず粉砕し、無害な氷の塵に変えていく。上に下に、右に左に、空中でも自由自在の方向転換を可能とするのは、クィトが発動したエアライドの賜物だ。飛翔の速度をそのままに、柔軟な制動をも手に入れた今、三人を阻むものは何もない。
要した時間は僅かに数秒。難なく氷塊をやり過ごし、崩壊する道を抜けたことを確かめて、燐寧が思わず口笛を鳴らす。
「いやー、まるでゲームの強制スクロールステージみたいだねぇ。
足を止めたら、氷に飲み込まれてゲームオーバー……おーこわいこわい」
力ずくでの強行突破を選んで正解だったと燐寧が安堵の吐息を洩らした、しかし次の瞬間であった。
『パオオオオオオオ!』『パオオオオオオオオオ!!』
前方からズゥンと重い足音が響き、巨獣の咆哮が重なるように響き渡る。
グラゴルモのそれより幼さを残した声の主は、峡谷で暮らしていた小さなバオルモスたち――小型巨獣の群れだ。
楽園の崩壊に巻き込まれた巨獣たちは復讐者たちの姿を認めるや、死なば諸共とばかりに迫って来る。グラゴルモの命令に従い、命に代えても足止めを果たす気なのだろう。
鬼気迫る勢いで殺到するマンモス型巨獣たち。対する復讐者たちもまた、すぐさま戦闘態勢を整えた。
「ちょーっと気の毒な気はするけど……私たちも、ここで止まる訳にはいかないのよね」
「もう逃げも隠れもさせぬ、全員しばき倒す。ちっさなマンモスもちゅうくらいのマンモスもおおきいマンモスも」
槍を構えただいふくが、迫りくる小型巨獣の前に立ちはだかる。
邪魔をする者は容赦しないと言い放ち、クィトが浮遊型ガジェットで群れを狙い定める。
「さーて、大歓迎の時間かぁ。楽しいパーティにしなきゃねぇ?」
《テンペスト・レイザー》を天高く掲げ、不敵に笑う燐寧。
復讐者たちの耳朶を一層激しく打つ小型巨獣たちの咆哮が、戦いの始まりを告げた。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
【飛翔】がLV5になった!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV3になった!
黄泉王・唯妃
アドリブ&連携歓迎
さて。奥に大物が控えてはいますが目の前の小物を片付けなければ奥に進むのは難しそうですね。
とは言え此処で二の足を踏む復讐者などいないでしょう。
さりとて焦らず。
ゆるりゆるりといつものように、散歩に向かうような気軽な足取りで前へと向かいましょう。
【罠使い】らしく【トラップ生成】で作る罠は落とし穴。横の大きさよりも縦の深さを重視し、その穴の中に【早業】で【斬糸結界】を仕込みます。
相手の機動力を奪うだけではなく、斬糸の切れ味とその巨体ゆえの自重で穴の中で無惨な姿へとなるでしょう。
アヴァタール級へと向かえば自然とそれを護衛するため、小型の巨獣が此方へと向かうでしょうから他の方への陽動にもなりますね。
「用があるのは奥のデカブツだけなのですが。邪魔をする、というなら命を代償に向かってらっしゃいな」
「足止めはお任せを。他の皆様はとどめをお願いいたしますね」
月下部・小雪
氷壁峡谷の崩壊には巻き込まれずに済みましたが……ここからが本番、です。
襲い掛かってくる子マンモスさんや護衛の骨巨獣さんをやっつけていきましょう。
パパマンモスさんを守ろうと、り、立派ですけど、でも、ここは突破させてもらいます!
迷路でも子マンモスさんとはいっぱい戦い、ました。戦い方の予習はばっちり、です!
突撃してくる子マンモスさん達を【泥濘の地】で足止めして、
【巨大戦鎚装備型モーラット・コミュ】になったコダマがどかーんと地面を叩いた衝撃波で、ふ、吹っ飛ばします!
巨獣さん達はあまり賢くはないので、あ、あまり連携とかはお得意じゃない、みたいです。
ひ、一人一人の力じゃ勝てないかもしれませんが、こうやって足止めしているうちに、仲間の強力な一撃を待つ連携で戦います!
※アドリブ連携大歓迎
ガンドラ・ブラッディア
アドリブ・連携歓迎
敵であり、疑似的なれど、親子である者達を、傷付けて排除は、心が痛む。
しかして、手を止め踵を返すは、在り得ない道。
野生の掟は、弱肉強食故に、打ち砕くのみ。
勇鼓吶喊を発動。此処より先、我が呪槍を以て、一切の迷いなく、蹴散らそう。
【未来予知】にて、都合1秒程度だが、敵の挙動を先読み、一気に薙ぎ払い、出鼻を挫く。
深追いはせず、薙ぎ払っては引き、一撃離脱を、主とする。
仲間達が、罠を張るならば、其方へ誘導しつつ、寸前でエアライド等で飛び退き、引っ掛ける手伝いも、行おう。無論、引っ掛かって、動きを鈍らせた、小型巨獣には、呪槍をお見舞いだ。
狩人と野生動物。古来より変わらない、関係性だな。
我輩らにある、複雑な知性の、アドバンテージ、存分に活かす。
そして…………ハァッ!! ……最後に決めるは、純粋な力である。
クィト・メリトモナカアイス
モナナナナナ……!
……改めて見るとなんだけど。多いし大きい。
比較的小さいマンモスの向こうに大きい骨巨獣はいるし、その奥にもっとおっきなマンモスいるし。
んむー、それじゃあ足止めは任せた。
我はここでちゃーじしておこう。
ということでモナカ砲撃型にエネルギーチャージ。
皆が足止めしてくれるのを信じてひっさつのいちげきまでエネルギーを溜める。
十分にエネルギーがたまったら「砲撃のジャーマンレックス」。黄金色のエネルギービームでミニルモスたちを吹っ飛ばす。
吹っ飛ばした後にもまだミニルモスたちが残っていたらちょっとチャージのビームで攻撃。
奥にいる巨獣との戦いに殴りこんでこぬように。
汝らに恨みとかそういうのがあるわけではないけれど。人が生きるため、生きる世界を取り戻すため、容赦はせぬ。
反撃の猛吹雪は……寒い!寒冷適応もないし頑張って耐える。
うぬぬ、黄金猫拳打棒がちべたい。
崩壊する氷壁を突破した復讐者たちは、グラゴルモの居所である最深部を目指して進んでいた。
目的地への到達はもはや目前。そこで彼らが遭遇したのは、侵入者を葬り去ろうと殺到して来る小型巨獣の群れだ。
『パオオオオオ!』『パオオオオオォォォーッ!!』
死なば諸共とばかり、悲鳴とも絶叫ともつかぬ咆哮を上げて殺到するマンモス型巨獣たち。
無論、それに付き合う気など復讐者にはない。氷壁峡谷最後の戦い、その緒戦がいま始まろうとしていた――!
「モナナナナナ……! ……改めて見るとなんだけど。多いし大きい」
クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は迫る小型巨獣に威嚇を浴びせ、そう呟いた。
小型の二文字こそ付くものの、巨獣たちの大きさは7メートルにも及ぶ。他ディヴィジョンのクロノヴェーダに比すれば、この時点で超大型と言っても遜色ないサイズだ。
間違っても油断は出来ないと自信に言い聞かせ、クィトはちらと戦場の奥へ目を向ける。
「んむ。大きい骨鎧獣とおっきなマンモスの気配もする。小さいマンモスたちの向こう側から」
視線の先、大きく口を開けた氷の隧道から洩れて来るのは、今までの峡谷探索で感じたことが無い程の冷たい空気。
そして、聞き間違える筈も無いグラゴルモの唸り声だった。
――ブオオオオオオオオ……!!
「たぶん、あの隧道の先が氷壁峡谷の最深部……んむ、まずは邪魔なミニルモスを撃破すべし」
「そうですね。氷壁の崩壊には巻き込まれずに済みましたが……こ、ここからが本番、です!」
戦意を露わに頷くのは、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)だ。
復讐者の最終目的は凍土象グラゴルモの撃破。峡谷を突破した自分たちは、即ちスタートラインに立った状況に過ぎない。グラゴルモの撃破を確実なものとする為には、配下である巨獣たちの撃破は必須だった。
『パオオオオオォォォ!』『パオオオォォォオオ!』
「奥に控える大物の前に、まずは小物を排除する訳ですね。良いでしょう」
其の間にも、復讐者を踏み潰さんと迫る小型巨獣たち。それを前に黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)が平然と頷く。
「此処で二の足を踏む復讐者などいないでしょうから。さりとて焦らず、ゆるりゆるりといつものように」
初めての敵が相手でも、唯妃に気負いはない。
散歩に向かうように気軽な足取りは復讐者としての豊富な経験と、それに裏付けられた自信を示すもの。
一方の小雪も戦闘準備を完了し、敵に関する情報を仲間たちに伝えていった。
「『単体では弱敵だが群れると面倒』――それが小型巨獣さんと戦う時の注意点、です!」
「承知した。多くの標的を狙えるパラドクスで数を減らすよう戦うべし……と言うことだな!」
ガンドラ・ブラッディア(黒矛・g03101)は頷きを返すと、呪槍の切先を敵群に向けた。
青色の瞳で見遣る先、群れの小型巨獣と視線がかち合う。マンモス型巨獣たちの眼には、道連れにしてでも復讐者を倒し、グラゴルモを守るという悲壮な決意があった。敵とは言え自らの命を懸けた決死の抵抗に、ガンドラは迷いを振り切るように呪槍を固く握りしめる。
(「敵であり疑似的なれど、親子である者たちを排除するのは心が痛む……」)
だが、とガンドラは思う。
自分と仲間たちは復讐者で、巨獣たちはクロノヴェーダなのだ。
手を止めて踵を返すのは、元より在り得ぬ道。弱肉強食という掟に従い打ち砕く――それが、取り得る唯一の道だった。
「行くぞ、皆。速攻で撃破する!」
せめて苦しみは長引かせぬように。無言の誓いを胸に秘め、ガンドラは仲間と共に攻撃を開始した。
『パオオオオオオッ!!』
「パパマンモスさんを守ろうと、り、立派ですけど、でも、ここは突破させてもらいます!」
小型巨獣たちが真っ赤な目をギラリと輝かせて波濤の如く迫る中、小雪は群れの側面へと移動。敵の横腹を狙い定めた。
氷の迷路では、今までに幾度となく戦って来た敵だ。当然、その攻略ポイントも彼女はある程度把握している。すなわち、複数を同時に攻撃できるパラドクスを用いること。そして、その前段階として足を封じることだ。
「コ、コダマインパクト、です!」
「もっきゅっきゅ!」
小雪が『巨大戦鎚装備型モーラット・コミュ』を発動する。
パラドクスの光を帯びた門から飛び出したのは、無骨で巨大な戦槌を装備したコダマだ。小雪の号令が飛ぶと同時、コダマの戦槌が地面を叩き、衝撃波となって小型巨獣の群れへと襲い掛かる!
「もきゅー!」
『パオオオォォォォーッ!!』
戦槌のもたらす衝撃が、小型巨獣の地響きをかき消す程の轟音を伴って、巨獣の群れを横腹から食い破った。
ダメージアップを帯びた衝撃波の威力は強烈で、派手に吹き飛ばされた小型巨獣が次々に吹き飛ばされて砕け散る。同時、泥濘の地によって造り替えられた地面が群れを捉え、その移動速度を奪い始めた。完全に足を止めることは叶わないが、突撃の勢いは目に見えて衰え始めている。好機を察知した小雪と唯妃は、後方のガンドラとクィトに視線を向けた。
「と、突撃してくる子マンモスさんたちは、ボクたちが捌きます!」
「手伝いましょう。お二方は、追い込まれた巨獣たちへのトドメをお願いいたしますね」
「んむ、任された。我は今のうちに砲撃型のチャージをしておこう」
「承知! ならば充填完了まで、我輩が巨獣の相手をする!」
流れるような意思疎通の元、四人は阿吽の呼吸で行動を開始した。
クィトは浮遊型ガジェットのモナカ砲撃型を展開。一撃必殺のエネルギー充填を開始する。
最低限の動きで攻撃準備を開始する姿は無防備とも言えるが、彼女の下へ巨獣たちの攻撃は未だ及ばない。小雪が先導し、唯妃がフォローを行う形で、巨獣の群れの動きを巧みに誘導しているからだ。
7メートルにも及ぶ巨躯の怪物相手にも、小雪と唯妃はまったく臆することは無い。ベテランの風格さえ漂わせる動きで、たちまち群れの動きを制御し、ガンドラの待ち構える場所へと追いやっていく。
「う、うまく沼に嵌まりました! そっちに巨獣が向かいます!」
「了解だ。小型巨獣の頭数、減らすとしようか……!」
小雪の合図に応じて、ガンドラが発動したのは『勇鼓吶喊』の一撃だ。
呪槍を構えたガンドラは、身の丈を遥かに超える巨獣の群れへと勇猛果敢に突撃。パラドクスを介した薙ぎ払いをもって、敵の群れを前から横から縦横無尽に食らいついていった。
「やっぱり、巨獣さんたちは……あ、あまり連携とかはお得意じゃない、みたいですね」
「うむ。狩人と野生動物、古来より変わらない関係性だな」
小雪が泥濘の地を発動する傍ら、ガンドラが未来予知を駆使して群れの進む方向を誘導しながら呪槍を振るう。
優先的に狙うのは、泥濘で動きを鈍らせ孤立した個体だ。一対一の状況を作り出して、的確に葬り去る――その動きは熟練の狩人のごとく研ぎ澄まされ、無駄がない。
「我輩らにある『知性』のアドバンテージ、存分に活かすとしよう。……ふんっ!」
『パオオオオッ!』
「せいっ!!」
『パオオオオオーッ!!』
薙ぎ払っては引き、一撃離脱。ふたたび薙ぎ払っては引き、一撃離脱。
全身を氷で覆った巨獣の体当たりが時折反撃で飛んで来るが、その程度でガンドラも、小雪も、動きを止めることはない。残留効果で攻防を強化し、泥濘の地で足を封じ、更には二人の駆使するパラドクスが多数の敵を標的とするものであったことも手伝って、小型巨獣たちは瞬く間に数を減らしていった。
「……ハァッ!!」
戦いを最後に決めるは純粋な力。そう告げるかのように更なる一体を葬り去ると、ガンドラはクィトを振り返った。
「チャージ完了までの時間は!?」
「んむ、もうちょい。あと15秒くらい」
クィトは淡々とした口調で『モナカ』砲撃型の砲口を指さした。
搭載したレーザー砲で小型巨獣を狙い定める浮遊ガジェットからは、猫の鳴き声を思わせる甲高い音が次第に大きさを増して、攻撃準備を完了しつつある。
それを見たガンドラは頷きをひとつ、すぐに唯妃へ合図を飛ばした。
「もう少し時間を稼ぐ必要がありそうだな。唯妃、残った敵を其方に遣るぞ!」
「ええ。いつでも」
微笑を浮かべた唯妃の眼前には、トラップ生成で造った巨大な落とし穴が待ち構えていた。
無論、クロノヴェーダたる巨獣が非殺傷性の罠でダメージを負うことはない。どころか、下手をすれば反撃を喰らうだけで終わりかねない行動だ。
だが、それで良い。彼らを葬る本命は別に存在するのだから。
『パオオオオオオオオオオッ!!』
目障りな復讐者を踏み潰さんと、唯妃めがけ殺到する小型巨獣たち。
しかし次の瞬間であった。パラドクスで巨獣の眼前に瞬間移動した唯妃の腕が、虚空へ悠然と振るわれたのは。鋼すら容易に切断する切れ味を誇る極細の糸をパラドクスで空間に展開し、殺到する巨獣たちの進路上に張り巡らせる。
「――斬糸結界」
『パオオォォオッ!』『パオオオオオーッ!!』
全身を切断された巨獣たちが、断末魔の悲鳴を上げて絶命していく。
鼻が、足が、胴体が、パーツのように切断され、そのまま転がり落ちていく。唯妃の仕掛けた落とし穴めがけて。
「ここまで刻めば這い上がっては来られない筈。――巨体ゆえの自重で、穴の中で無惨な姿となってもらいましょう」
それは、まさに罠使いの本領発揮。
骸となった巨獣たちを一瞥すらせず、唯妃は手向けとばかり嫣然と微笑みを浮かべる。
――クィトのモナカ砲撃型がチャージを完了したのは、まさにその瞬間だった。
「んむ、ベストたいみんぐ。『モナカ』砲撃型、ビーム発射ー」
クィトは生き残った小型巨獣たちを指さすと、レーザー砲の狙いを定める。
同時、黄金色に輝くエネルギーが砲口から溢れ、光の槍となって巨獣たちの群れを貫いた。
『砲撃のジャーマンレックス』。黎明にも似た純粋な破壊のエネルギーは、光で捉えた巨躯を次々とパラドクスで焼き焦がし、那由他の塵へと変えていく。防御も回避も、一切の抵抗を巨獣たちに許さぬまま。
『パオオオオオ!!』『パオオオォォォ!!』
だが、巨獣たちとて討たれてばかりではない。
反撃の吹雪を唯妃へ放っていた巨獣の群れが、仇討ちとばかり反撃の矛先をクィトにも向けて来たのだ。
この程度は想定済みとばかり、一足先にガードアップで耐え凌ぐ唯妃。一方のクィトは全身を雪に包まれながら、小さな歯をカチカチと鳴らした。
「あら、大丈夫ですか?」
「うぬぬ、黄金猫拳打棒が、ち、ちべたい」
鈴を鳴らすような声で笑う唯妃に、クィトが歯の根が合わないままに声を返す。
ダメージこそ大したことはないが、パラドクスではない寒さは中々に堪えるらしい。せめて寒冷適応でもあれば――ふと、そんなことを考えた。
そんな一幕を挟みつつも、復讐者たちは着実に小型巨獣の群れを狩って行った。
調子を取り戻したクィトもモナカ砲撃型を駆りながら、戦場の敵を一体も残さず倒し尽くす構えだ。奥に居るグラゴルモらとの戦いに殴り込んでくるような事態は、予め排除せねばならない。
「汝らに恨みとかそういうのがあるわけではないけれど。人が生きるため、生きる世界を取り戻すため、容赦はせぬ」
そのすぐ傍で、ガンドラは呪槍を振るいながら小雪に問う。
「敵の残りは、どのくらいだ!?」
「あ、あと3割くらい、です……!」
頭数の多さは小型巨獣の唯一とも言えるアドバンテージだ。それが失われつつある今、戦いの帰趨は決まったと言って良いだろう。見上げるような巨体と、圧倒的な頭数を武器とする巨獣の群れ。しかし小雪は最初から、彼らに負ける恐れを抱いたことはない。
「ひ、一人一人の力じゃ勝てないかもしれません。でも、皆で力を合わせれば……こうやって、勝てます!」
小雪の言葉は紛れもない現実となって、復讐者の前に広がっていた。
転がる巨獣の屍を背に、唯妃は残る小型巨獣たちに挑発の視線を飛ばしながら口を開く。凍土象グラゴルモの待つ最深部をその細い指先で指し示して。
「用があるのは奥のデカブツだけ。邪魔をする、というなら命を代償に向かってらっしゃいな」
唯妃の言葉は分からずとも、挑発のニュアンスは伝わったらしい。
命を懸けて復讐者を止めようとする巨獣の群れを前に一歩も退かず、唯妃は続く仲間たちを振り返る。
「さあ、決着の頃合いです。後はお願いいたしますね」
グラゴルモと護衛が待つ最深部に辿り着くため。
小型巨獣を殲滅すべく、次なる復讐者たちが一斉に攻撃を開始した。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV4になった!
一里塚・燐寧
あは、どいつもこいつも生き残りたいって顔してんじゃん
ただねぇ、きみらが今の人たちが住む世界と時代を奪って居座ってる以上は、あたしら見逃せないんだよねぇ
そーゆーことだから、すぱっとやらせてもらうよぉ?
《テンペスト・レイザー》を掲げた状態で大きくジャンプ
そこから着地と同時に、落下速度を乗せた分厚い刀身を全力で大地に叩きつけるよぉ
『呪式:魂飛剥散』によって、地面が受けた衝撃は呪詛として周囲の敵に転写され、直接刃を受けたかのように肉体を粉砕されるの
こっちは時間かけてらんないからねぇ、サクサク退場してもらうよぉ!
反撃に対しては、敵の角や牙を《テンペスト・レイザー》の分厚い刀身を盾代わりに防いだり
刀身を横殴りに叩きつけて脳にまで伝播する衝撃を与え、一時的にふらつかせることで威力を抑えるよぉ
巨獣が溜まってるあたりここは安全なのかもだけど、引き続き氷壁の崩落には注意
危ないときは【飛翔】で素早く離脱するねぇ
ふー、こんだけマンモス狩ってると、ご先祖様の苦労がちょっとわかるよぉ
イロハ・アプリルシェルツ
※アドリブ&連携歓迎
登山中や氷壁峡谷で何度も遭遇したマンモス相手だから
一応警戒してはいたんだけど、巨獣同士で情報の共有はされてないみたいだね。
身体能力は飛び抜けてるけど知性は動物並みっぽいから当然なんだろうけど。
巨獣は空を飛べないのが基本だし効果的なのは移動力を削ぐこと。
そう懐より取り出したるは聖水、此方を振り撒き大地を聖別して【泥濘の地】と化そうか。
幸いな事に巨獣の中で飛べる存在は確認されていないし
少しずつでも足を遅くすることで狙い撃つのに絶好の的になるからね。
巨体で数が多いのは本来ならそれだけで脅威と呼べるけど
混乱させれば群れ全体として反撃は出来ないだろうから
【飛翔】を発動して上空から不作為に個体を選んでより混乱を招ける様に攻撃していくよ。
ゾウは足裏に伝わる振動を耳の代わりに聞くって聞いた事があるんだけど
【泥濘の地】を使ってればそれも難しいだろうし、今は普段より感覚が鈍ってそうだね。
此処はキミ達に取っては楽園なのかもしれないけど人のエゴで滅ぼさせて貰うよ。
復讐者たちの猛攻によって、小型巨獣の群れは壊滅寸前まで追い込まれつつあった。
唯一のアドバンテージであった数の暴力も、もはや頼りにはならない。
それでも尚、屈服を拒否するように吼えるマンモス型巨獣たちの声には、今や悲壮な色さえ帯び始めていた。
『パオオオォォォォーッ!!』
「あは、どいつもこいつも生き残りたいって顔してんじゃん」
そんな巨獣たちへ、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は容赦のない言葉を投げつける。
「ただねぇ、きみらが今の人たちが住む世界と時代を奪って居座ってる以上は、あたしら見逃せないんだよねぇ。
……そーゆーことだから、すぱっとやらせてもらうよぉ?」
燐寧は掲げ持った《テンペスト・レイザー》を激しく唸らせ、攻撃の意思を小型巨獣たちに叩きつけた。
滅びゆく様がどれほど哀れを誘おうとも、巨獣はクロノヴェーダだ。彼らが奪った大地を取り戻さない限り、南アフリカの大地に生きる人々は永久に帰還できない。である以上、燐寧のすべきことは同情や慰めではない。
すなわち、徹底的な殲滅。それ以外にあり得ないのだ。
「ふむ……一応警戒してはいたんだけど、巨獣同士で情報の共有はされてないみたいだね」
イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)は小型巨獣たちの動きを観察し、そう結論付けた。
氷土象バオルモスを始め、ここに至るまで幾度もイロハらが戦って来たマンモス型巨獣たちだが、復讐者に対して何かしら対抗策の類を用意したような様子はない。卓越した身体能力とは裏腹に、動物程度の知性しか持たない相手ならば当然の結果とも言えた。
「まあ、それならイロハたちは全力で弱点を突くだけさ。恨みはないけど、ここで終わりにしようか」
戦場の外に敵の気配らしきものは無いが、なにぶん崩壊が続いている状況だ。
イロハは飛翔の高度を高すぎない程度に保ち、攻撃準備を完了。燐寧と共に小型巨獣の群れへと向かって行った。
泥濘の地で移動速度を落とし、群れから孤立した敵を優先して攻撃。これを幾度も繰り返し、頭数をすり減らす。
そんな復讐者側の作戦に嵌まり数を減らした巨獣たちへ、イロハが取った行動は更なる追い打ちだ。
「さあ大地を聖別しよう。この、懐より取り出したる聖水でね」
巨獣たちの足を捉える泥濘に、イロハの手から聖水が散布された。
極寒に晒されて空気中で凍結した聖水は、硝子片のような輝きを放ちながら巨獣群の進路へと飛散。同時、追加発動された泥濘の地によって、小型巨獣の足がガポリと地面にめり込んでいく。
『パオオオッ!?』『パオオオッ!!』
もはや巨獣たちに全力突撃は叶わず、泥濘をかき分けるように進むのみ。
巨大な体躯に遅い速度――復讐者から見れば、狙い撃つのに此れほど絶好の的もないだろう。そして無論、イロハと燐寧はその好機を逃さなかった。
「やはり空を飛べない巨獣たちに、泥濘の効果は抜群だね。……じゃ、行こうか」
「ふっふーん、オッケー!」
イロハの合図に、燐寧の《テンペスト・レイザー》が唸る。
お前たちクロノヴェーダを残らず屍に変えてやる――そう告げるように。
「こっちは時間かけてらんないからねぇ、サクサク退場してもらうよぉ!」
イロハと燐寧、二人の復讐者が小型巨獣の群れへ突撃して行く。
対する巨獣たちは最後まで抵抗する構えらしい。分厚い氷で全身を覆い固め、迫りくる燐寧をギロリと睨む。捨て身の突撃で圧し潰す心積もりのようだ。
だが、そんな僅かな抵抗さえ、燐寧は許しはしなかった。
「一人一人ってのもめんどくさいし、纏めてブッ飛ばしたげるよぉ!」
燐寧は《テンペスト・レイザー》を天高く掲げた態勢で天高くジャンプ。
エアライドによる二段跳躍から地面を狙い落下。体重を落下速度に乗せて、分厚い刀身を全力で叩きつける。
地面に与えた衝撃を呪詛として敵に転写する『呪式:魂飛剥散』のパラドクスだ。小さな体に込めた落下の位置エネルギーがダメージアップによって増幅し、小型巨獣の群れに食らいつく。
『パオオ!!』『パオオオオォーッ!!』
迎撃態勢を取った小型巨獣たちの肉体が、氷の破砕音を立てながら次々と砕け散った。
彼我の間合いも体格も、呪詛による転写は物ともしない。全身に刃の傷を刻み込まれ、巨獣たちはたまらず絶命していく。
多数の敵を攻撃できるパラドクスであったことも手伝い、群れに与えたダメージは甚大だった。元より頭数を減らしていた小型巨獣たちは、燐寧のパラドクスで更に多くを討ち取られ、もはや残りは片手で数えられる程度だ。
『パオオオォォォォ!!』
生き残った巨獣が最後の抵抗とばかり、燐寧に寒甲の体当たりを浴びせるが、もはや悪足掻きでしかない。
ガードアップで強化された体で突撃を防ぎ切ると、燐寧はイロハへ合図を送る。
――最後の一撃は、任せる。
その合図に応じるように、イロハは飛翔の速度を上げて敵群に迫った。
翳した両掌の内に煌めく液体を生成。これより滅ぶ運命の巨獣たちと目を合わせ、ぽつりと呟きを漏らす。
「此処はキミたちに取っては楽園なのかもしれないけど。……人のエゴで滅ぼさせて貰うよ」
同時、煌めく液体が巨獣の群れへ降り注ぐ。
パラドクスの力で生成した『アルカヘストシャワー』の一撃だ。
敵の肉体を溶かす万能溶解液を浴びた巨獣の群れは、大波を浴びた砂の城の如く輪郭を失い、瞬く間に崩れ去っていく。
『パオオオオオオッ!!』『パオ……ォォ――』
そうして、幼い巨獣たちの悲鳴が完全に途絶えた後。
戦場に生き残りがいないことを確かめると、イロハは戦場周辺の氷壁を警戒していた燐寧に完了の合図を返した。
「敵の全滅を確認したよ。後はグラゴルモの下へ向かうだけだ」
「おつかれぇ。ふー、こんだけマンモス狩ってると、ご先祖様の苦労がちょっとわかるよぉ」
燐寧は冗談めいて言うと、その視線を峡谷の奥へと向ける。
復讐者たちを阻むものは、もはや何もない。後はグラゴルモを撃破すれば、氷壁峡谷は完全なる終焉を迎えるだろう。
(「歴史の奪還戦以外で戦う初めてのジェネラル級か……少し緊張するね」)
序盤の戦を終えて、峡谷には再び崩壊の音が響き始めていた。
立ち止まる暇はない。休息の暇もない。今はただ、前に進むのみ。
小型巨獣との戦場に別れを告げて、復讐者たちは決戦の場へと進んで行った。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【建物復元】LV1が発生!
【泥濘の地】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!
再び崩壊を始めた戦場を後に、氷の隧道を一直線に駆け続ける復讐者たち。
追手が来ないことを確認しながら道を潜り抜けた先、そこに広がるのは四方を氷の絶壁で覆われた広大な空間だった。
今も崩壊を続ける氷壁峡谷にあって、この地だけは滅びと無縁のように静かな空気に満ちている。
――それは、ついに復讐者たちが最深部に辿り着いた瞬間だった。
そんな空間の中央で、僅かな骨鎧獣が付き従う中、その巨獣は悠然と佇んでいた。
姿形は、復讐者たちの下したマンモス型巨獣に似る。
全身を覆う剛毛と、純白の氷。天を突くような鋭い象牙。だが、その全身が放出する圧倒的な威圧感は、復讐者たちが氷壁峡谷で戦って来たどの巨獣よりも強烈だ。体躯もまた同様で、氷土象バオルモスのそれに比しても、なお一回りは大きい。
『ブオオオオオオオオ……オオオオオオオオオオ……!』
凍土象グラゴルモ。
このジェネラル級巨獣こそが氷壁峡谷の王であり、崩壊を引き起こした元凶なのだ。
もしも彼が逃げ延びたなら、いずれ新たな配下を増やし、再びゴンドワナ巨大高山で勢力を拡大していくだろう。
『カルルル!』『カルルルルル!!』
復讐者たちの姿を認めるや、カルジネスの一団が立ちはだかった。
このままグラゴルモに戦いを挑めば、確実に彼らが妨害を加えてくるだろう。
護衛のカルジネスを先に倒すか、危険を承知でグラゴルモに挑むか。或いは、同時に攻撃を行うか。
各々の決断を胸に、復讐者たちは戦うべき巨獣へと向かって行った――!
黄泉王・唯妃
アドリブ&連携歓迎
さて本命のご登場、ですが先にまわりの取り巻きを潰しておきますか。
行きますよ皆様。
【残像】を生み出す程の速度で接敵。拳打蹴打で【強打】【貫通撃】でその骨を砕いて回りましょう。
相手の反撃には【神速反応】を用いた【ジャンプ】で致命傷を避けれればそれで構いません。
パラドクスを用いた戦いに完全な回避など意味を成さないのはわかっていますからね。
「邪魔をしないのなら見逃してあげますがそうもいかないのがお前達でしょう? ならばここできちんと潰して後顧の憂いを絶たせていただくと致しましょう」
ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に
でーっかい。そんでもって寒い!圧ありまくり!
七曜でも見たけど巨獣のジェネラル級はとんでもないね
ヴェールを寒風に靡かせ颯爽と【寒冷適応】を行使
微力ながらお手伝いに参りましたロキシアくん!
まずは露払い、頑張るよ!
紅玉めいた瞳がカルジネスの一団を見据えます
大きい敵が沢山。頭数を活かせば僕たちを分断するのは容易くなる
不用意に動き回ると狙われて各個撃破されちゃうかな
そこまで相手が賢いかはわかんないけどね。用心用心
【泥濘の地】を適宜使用、
敵の協同して狩るような挙動があれば鈍らせるようにするね
味方からあまり離れないようにしつつ
それじゃあ先ずは一体!
ぶら下がってる黒いテディベアから、
明らかに容積より大きいマークスマンライフルをぬるりと引き抜き構え
撃てば、当たるっ!
敵を撃ち抜く!
反撃に際しては
来た来た、おっかない!
Moon-Childを外骨格化させ衝撃に備えつつ直撃を避けるよう動き回り、
銃で骨ミサイルの迎撃を試み被害の軽減に務めるよ
いちち、ジェネラル級の護衛だけあってやるもんだね……
ガンドラ・ブラッディア
アドリブ・連携歓迎
当然と言えば、当然だが、護衛はしっかり、しているようだ。本能的に、命を懸けて、守るべき相手を、分かっている。
戦術的にもだが、そんな彼らを、無視して通るは、無粋というもの。
此方もまた、命懸けで、相手をするのみ。
竜呪剣『泥血』を精製。これを振るい、赤影沼を広げ、今までの分と、今重ねた【泥濘の地】による、移動速度の低下。そして【未来予測】の、合わせ技で、より確実に、攻撃をぶつけるのだ。
反撃もまた、移動速度低下、未来予測に加え、エアライドを補助に、なるべく回避や、『泥血』や赤刃での、攻撃逸らし・防御をする、努力だな。少しでも、継戦して、いかねばならない。
POWが低い、仲間に対して、POW攻撃が、飛ぶのであれば、ディフェンスもする。
我が赤き竜影より、貫け赤刃達!
骨鎧獣カルジネス……文字通り、骨が折れる、相手ではあるが、罷り通らせて貰うぞ……!
護衛役の骨鎧獣を、まずは確実に撃破する。
凍土象グラゴルモと対峙した復讐者たちの、それが結論だった。
『カルルルルルルルッ!』
「骨鎧獣の奴等め、命を懸けてグラゴルモを守る気か。流石に護衛はしっかりしているようだな……!」
氷壁峡谷の最深部。そこで対峙する巨獣の群れを前に、ガンドラ・ブラッディア(黒矛・g03101)は言った。
ガンドラたちが対峙するのは、全身を骨で覆う奇怪な姿の巨獣たちだ。『骨鎧獣カルジネス』――グラゴルモの護衛である彼らが放つ威圧感は、見えない壁の如く復讐者の踏み込む足を躊躇わせる。先程戦った小型巨獣の群れよりも、明らかに強敵と分かる相手だった。
「頭数は10体から20体ほどか? 小型巨獣に比べれば数は少ないが……」
「ええ。戦闘力まで同じと見積もるのは楽観が過ぎますね」
ガンドラの横で、黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)が頷いた。
その視線は既にカルジネスの群れを狙い定め、先程から片時も離れない。唯妃たちを侵入者と見定めた巨獣の群れが、今もじりじりと距離を詰めて来ているからだ。小型巨獣の3倍にも及ぶ巨躯だけに、その迫力は正に桁が違う。トループス級とはいえ油断は出来ぬ相手とあって、復讐者たちは気を引き締め、戦いに意識を集中する。
「元より意思疎通など望めぬ相手ですが……本命を確実に撃破する為にも、先に潰させて貰いましょう」
「ああ。立ちはだかる者を無視して通るは無粋というもの、命懸けで相手をするのみ!」
息の合った動きで戦闘態勢を取る復讐者たち。
突進を開始するカルジネスの地響きが、死闘の始まりを告げた。
巨獣は身体性能において圧倒的なスペックを誇る種族だが、同時に明白な弱点が存在する。
それは知性に乏しく高度な連携行動を取れないこと。当然、足並みを揃えての行動などは望めない。護衛たるカルジネスもまた、その例に漏れなかった。
そして――ガンドラが戦闘開始と同時に突いたのは、まさにその弱点であった。
「刺し沈め。呪いの波剣を、以て放つは、取り込み貫く、血刃の影沼……!」
ガンドラの高らかな声が響き、掲げた掌に一振りの剣が生成される。
波打つ刀身は、フランベルジュと呼ばれる剣に似ていた。決定的に異なるのは刀身を覆い尽くす泥と血。ガンドラの振るう竜呪剣『泥血』・赤影沼の触媒となる呪いの剣だ。
「――我が赤き竜影より、貫け赤刃たち!」
刃の一閃が、攻撃開始の合図となる。
ガンドラの影がパラドクスで赤色に変じるや、それは瞬く間に地面を覆いつくし、カルジネスたちの足元を包んだ。同時、赤い影の覆う地面が深い泥濘へと変じ、巨獣たちの足が目に見えて鈍っていく。
『カルルルル!』『カルルルルルルッ!』
対するカルジネスたちは突然の異変に驚くどころか、益々怒り狂ったようにガンドラを狙い定めた。
足並みを揃えることなど端から頭にないとばかり、螺旋状の槍を頭部に生成していく巨獣たち。だが、次の刹那――その足を捉える泥濘から、赤い刃が槍衾のごとく飛び出した。
ドッ、ドドドドドドドドドッ!
骨の隙間を埋めるかの如く、刃が巨獣たちの全身を刺し貫く。轟く絶叫。巨体に傷を刻まれながら、しかしカルジネスの殆どは斃れること無く反撃の骨槍を次々と発射して来た。ガンドラは飛来する槍をガードアップで防ぎつつ、敵の耐久力に舌を巻く。
「……流石はジェネラル級の護衛ということか。気をつけろ、来るぞ!」
『カルルルルルッ!!』
先頭を行く一体が咆哮を上げると、たちまち疾駆の速度を上げた。
小さな侵入者など、一捻りで潰してやるという心積もりだろう。続く骨鎧獣たちも、我先にと突撃を開始する。
対する復讐者たちも、無論退く気はない。真正面から巨獣たちを打ち砕かんと、敢然とこれに立ち向かっていった。
「さて、行きましょうか――皆様」
「はいはーい! 微力ながらお手伝いに参りましたロキシアくんだよ、みんな宜しくね!」
激突の激しさを増す戦場。そこへ唯妃に元気な返事を送りつつ颯爽と駆けつけて来たのは、ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)であった。
ヴェールを寒風に靡かせ、挨拶もそこそこに寒冷適応を発動すると、ロキシアは紅玉めいた瞳でカルジネスを見遣る。
「でーっかい。そんでもって寒い! 圧ありまくり!」
『カルルルッ!!』
ロキシアの視線の先、全身に怒りを漲らせたカルジネスが迫る。
ガンドラが重ねた泥濘に足を取られるのも構わず、一直線に猛迫する群れの姿は暴走する巨大機関車の如く。その先頭へ、早くもロキシアは狙いを定めていた。
「よーし! まずは露払い、頑張るよ!」
漆黒のテディベア『Septentrion』から引き抜いた流体が瞬時に変形、一挺のマークスマンライフルに姿を変える。
テディベアの容積を遥かに超えた銃の大きさは、11歳という少年のロキシアには余りに不釣り合いだ。しかし、これは彼が愛用する立派な武器。クロノヴェーダを葬る為に作られた、絶大な威力を誇る得物なのである。
「撃てば、当たるっ! 敵を撃ち抜く!」
ライフルが放つ銃声が、景気よく戦場に鳴り響く。
パラドクスを帯びた『シルバーバレット』の一撃は、先頭を駆けるカルジネスの眉間を一撃で打ち砕き、絶命させた。
眼窩の赤い光が消失し、前のめりに斃れるカルジネス。それを見た巨獣たちは怒りの咆哮を次々に轟かせながら、復讐者へ殺到して来た。
『カルルルル!』『カルルルルルルルッ!!』
「来た来た、おっかない!」
カルジネスの全身を構成する骨が、ロキシアめがけ次々と射出される。
ミサイルと為した骨で標的を粉砕する『カルジネスミサイル』のパラドクスだ。ロキシアの視界の先、胡麻粒ほどだった骨は距離を縮めるにつれてバンカーバスター並のサイズとなって眼前に飛来、宙を泳ぐ肉食後めいた軌道で次々襲い来る。真面に受ければ復讐者でも大ダメージ確実の攻撃にも、ロキシアはまるで動じない。
「Moon-Child、展開!」
同時、懐から忍び出た流動体がロキシアの身を覆う。
ロキシアは直撃を避けるよう戦場を動き回るが、パラドクスを帯びた骨の群れは標的を逃さない。二度三度と着弾の衝撃が響き、少年の体が宙を踊った。
「ロキシア、大事はないか?」
「いちち、何とか。ジェネラル級の護衛だけあってやるもんだね……」
ガンドラの問いに、ロキシアがエアライドで宙を跳ねて地面に降りると、着地の衝撃で身体に走る衝撃に顔をしかめた。
ガードアップで威力を殺して尚この威力。やはり一筋縄では行かないということか。そこへ迫ろうとしたカルジネスの群れが、ふいに視線を左右に泳がせ始める。標的に選んだ唯妃が、突然二人に増えたのだ。
いや、厳密には増えたのではない。彼女のパラドクス『脚韻』によって生じた残像がカルジネスにそう見させているのだ。戦いの主導権を渡さぬよう、唯妃は独自の歩法を駆使しながら攻撃を仕掛けていく。ガンドラの刃を浴びて、手負いとなった二体のカルジネスめがけて。
「さあ、殺さねばならない蜘蛛の本体はどちらでしょう?」
体重どころか重力さえ感じさせない足運びで、『唯妃たち』が瞬く間に肉薄する。
自分たちを見て逃げぬどころか、あまつさえ襲い掛かって来る小さき侵入者の存在は、カルジネスにとって未知のものだったに違いない。邪魔な虫でも潰すかのように前脚を振り上げた巨獣たち。それらを振り下ろそうとした刹那、唯妃は巨獣たちへ同時に攻撃を繰り出した。
「さあ、さあ――」「本体はどちら?」
『カルルルルルッ!!』
蜘蛛の瞬発力をそのままに、低空跳躍による急制動と急停止による残像を保ちながら拳打と蹴打を浴びせる唯妃。
彼女のパラドクスを帯びた拳が唸るたび、踵が振り下ろされるたび、巨獣の骨片が戦場へ飛び散った。泥血の刃傷に加え、追撃で浴びせられた嵐の如き衝撃に耐え切れず、カルジネスが立て続けに断末魔の絶叫を上げて崩れ去る。本物の屍となった骨の山は、もはや二度と動くことは無かった。
それからも復讐者たちは激戦を繰り広げながら、ゆっくりと、しかし確実に巨獣たちを葬って行った。
「いやー……しぶとい敵だね、それにしても。分断するような賢さが無くて助かったよ」
なおも執拗に攻撃を浴びせて来るカルジネスと交戦を続けながら、ロキシアが冗談めいて肩を竦める。
積み重ねて来た残留効果の助けもあって、既に戦況は少しずつ復讐者の有利に傾きつつあった。撃破した巨獣は半分程度、残った個体も、この分なら後続の仲間に安心して任せられそうだ。息を合わせた連携攻撃の前に、着実に数を減らしつつあるカルジネスたち。未だ抵抗を諦めない彼らを見澄まして、唯妃は冷徹に告げた。
「邪魔をしないのなら見逃してあげますが、そうもいかないのがお前たちでしょう?」
『カルルルルルルルッ!!』
彼女の言葉が示す通り、カルジネスたちの戦意に未だ翳りは無い。どころか益々怒りを募らせたように、最後の一体までも戦い続ける気のようだった。主であるグラゴルモを、復讐者の力は脅かし得る――そう判断してのことだろう。無論、それは唯妃たちとて承知の上だ。
狩るか、狩られるか。復讐者と巨獣の戦いは、畢竟、そこに収まらざるを得ないのだから。
「ならば、ここできちんと潰して、後顧の憂いを絶たせていただくと致しましょう」
「ああ。骨鎧獣カルジネス……文字通り骨が折れる相手ではあるが、罷り通らせて貰うぞ……!」
呪いの剣を巨獣に突きつけ、ガンドラが告げる。
復讐者たちの猛攻は、グラゴルモの護衛を着実に駆逐しつつあった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【神速反応】LV1が発生!
【寒冷適応】LV1が発生!
【泥濘の地】がLV3になった!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎
あぁ、まだ取り巻きが居るんだね。
登山の最中にもカルネジスなら狩りの経験があるから既に手の内は知ってるんだよ。
流石に20m越えの巨体を相手に馬鹿正直に挑むのは愚行だから
【飛翔】の効果を使って空中戦を挑むとしようか。
巨獣は体の大きさ故に攻撃の予備動作が他のクロノヴェーダよりも見易いんだよね。
筋肉こそないけれど下半身や上半身の外骨格が前以て動きを見せるんだから。
とは言え無策で近寄れば振り払われたり、弾き飛ばされるのは必然だよね。
死角へと回り込むように立体的に動き続けて攻撃の手を休めないよ。
確かにキミの外骨格の角は大きさと質量も脅威だと思うよ。
でもさ・・・己より大きなものに挑む勇猛さに戦術を駆使する臨機応変さ
信念を貫き通す一撃・・・イロハの【ゲオルギウスの聖槍】はその全てでキミ達を上回っているんだよ。
骸が骨になるのは早そうだね・・・眠りまでは邪魔しないから先に逝くと良いよ。
グラゴルモも直ぐに後を追うことになるからね。
クィト・メリトモナカアイス
モナナナナナ……!
そういえば七曜の戦で見たキャルジニルはキャルルルルって鳴いてた。
もしかして鳴き声から名前を付けてるのかな……
んむ、かんわきゅーだい。
んむー、このゴンドワナでも、獣神王朝エジプトでも、七曜の戦でも。
飽きるほど殴ってきたやつ。もちろん手の内も全部知ってるし、ぱわーが高いのも分かってる。我はかしこい。
というわけでーいでよ、モナカ衝撃型。
まずは【飛翔】で撹乱しよう。
巨獣は飛べないしどう見てもカルジネスも飛べない……のだけれど、ジャンプすれば普通に届きそうだし骨の棘も伸びるみたいだし油断は禁物。
高空を飛翔するのではなく、こっちから接近して足の間とかを潜り抜けることで視界から外れて直撃を避ける。
そうやって敵を引き付けたところでモナカ衝撃型、かうんとだうんすたーと。
3カウントの後に放たれる衝撃波で引き付けたカルジネスたちをふっとばす。
とんでけー。
んむ、これでほんとに、残るは汝のみ。
月下部・小雪
つ、ついに最深部に到達、です!
あれがグラゴルモさん、ですか。い、今までで一番大きなマンモスさん、です!
でも、これ以上マンモスさんを増やさせるわけにはいきません。ここでやっつけます!
まずは取り巻きのカルジネスから、です。
【泥濘の地】で足止めしたら、周りを【飛翔】して挑発、です。グラゴルモさんから引き剥がしていきましょう!
【エアライド】を併用したジャンプで攻撃を避けたり、「魔力障壁」を張って敵の攻撃を凌いでいきます。
十分に引き剥がせたらこっちの番、です!
寒いところに住んでいるなら熱々の攻撃でやって、やります!
もきゅきゅーと気合を入れたコダマが【モーラット・コミュ・ファイア】に進化して攻撃、です。
モーラットの炎で骨も残さず焼き尽くしちゃいます!
の、残りはグラゴルモさんただ一匹、です。
【熱波の支配者】で周りの気温を上げて、氷壁峡谷の終わりを告げてあげます!
※アドリブ連携大歓迎
氷壁峡谷の最深部を、復讐者のパラドクスが駆け巡る。
都度、反撃で放たれる巨獣たちの骨は、その勢いを次第に衰えさせつつあった。
グラゴルモを護衛する骨鎧獣カルジネスを一体残らず撃破すること――復讐者の勝利条件は以上だ。シンプルで誤解の余地などない、極めて明快なオーダーと言える。
既に巨獣は半数程度にまで数を減らし、劣勢は明らかだ。そこへ最後の攻勢を加えんと現れた復讐者は、三人。
イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)と月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)、そしてクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)。奇しくもゴンドワナ巨大高山を初踏破した時と同じ顔触れだった。
『カルルルルル!』
「モナナナナナ……!」
カルジネスを前に威嚇を送るクィト。その姿に、ふとイロハは懐かしさを覚えて微笑んだ。
巨大高山の山頂で、同じように自分たちがカルジネスと対峙したあの時から、思えばまだ一ヶ月も経っていないのだ。
「何だか凄く昔のことのように思えるけど……山頂での狩りの経験があるのは有難いよ。敵の手の内が想像できるからね」
「んむー、このゴンドワナでも、獣神王朝エジプトでも、七曜の戦でも。みんなで飽きるほど殴ってきたやつ」
イロハと揃って飛翔で宙に身を躍らせながら、クィトが言った。
後方に控えるグラゴルモから一方的に攻撃を受けぬよう高度を調整。巨獣の体長を超えない程度の高さを保って飛ぶ彼女の視線と、カルジネスの敵意を帯びた視線がかち合う。
『カルルル……!』
「モナナナ……んむむ」
じりじりと距離を詰めて来るカルジネスを前に、クィトもまた一歩も譲らず。
そんな彼女の脳裏にふと蘇ったのは、かつて《七曜の戦》で対峙した『纏骨竜キャルジニル』のことだった。
「キャルジニルはキャルルルルって鳴いてた。もしかして鳴き声から名前を付けてるのかな……」
「確かに、可能性はあるかもね。さて……月下部さん、そっちの準備も大丈夫かな?」
「は、はい! いつでも行けます!」
コダマを連れた小雪が合図を返し、ふわりと飛翔した。
高山を踏破し、迷路を抜け、ここまで辿り着くまでに幾度も巨獣と戦って来ただけあって、三人の動きに一切淀みは無い。阿吽の呼吸と言う表現に相応しい動きで準備を終えると、小雪はカルジネスの奥に控えるグラゴルモをじっと睨んだ。
「つ、ついに最深部に到達、ですね! あれがグラゴルモさん……い、今までで一番大きなマンモスさん、です!」
小雪が見遣る先、峡谷の主たるジェネラル級に目立った変化はない。山頂で初めて聞いた時と同じ唸り声を漏らし、敵意に満ちた視線を復讐者たちに送るばかりだ。
その意思を汲んだように、カルジネスの一団はじりじりと小雪たちに迫って来ていた。
「足止めは、先発の皆さんがやってくれたみたい、ですね。このまま、倒しちゃいましょう!」
「んむ、敵の手の内は知ってるし、ぱわーが高いのも分かってる。我はかしこい。というわけでーいでよ、モナカ衝撃型」
「こっちの準備は完了だ。二人とも、よろしく頼むよ」
浮遊球形ガジェット『モナカ』衝撃型を浮かべ、クィトもまた戦闘準備を完了する。
そうして全員の準備が整うと同時、迫りくるカルジネスへ攻撃を開始するのだった。
体長20メートルにも及ぶ骨鎧獣カルジネスの群れ。
グラゴルモを守るべく立ちはだかる巨獣たちへ、三人の復讐者たちが突撃して行く。
戦闘前に効果を積み重ねた甲斐あって飛翔の速度は凄まじい。先程まで立っていた場所を瞬時に置き去りにすると、小雪が合図を送って来た。
「足止めは十分みたい、ですね。敵の注意を引きつけます!」
「我も敵を撹乱しよう。一人より二人の方がいらいらするはず。ゆくぞー」
小雪とクィトは流れるような連携で飛翔の速度を上げた。
対するカルジネスも、復讐者たちの接近を座して待ちはしない。守りに入っていては、グラゴルモを護衛する目的を果たすことは困難と判断したのだろう。泥濘に足を取られながら、小雪とクィトに次々と狙いを定めた。
『カルルルルッ!』
「こ、こっち、です!」
カルジネスの眉間に迫る小雪が、エアライドで空中を蹴って軌道を逸らす。
多少の被弾など気にはしない。展開した魔力障壁だけではなく、積み重ねたガードアップが、彼女の守りを常よりも高めてくれているからだ。うるさい羽虫を叩き落とそうと、頭上に意識を集中するカルジネスたち。そんな彼らの足の間を、今度はクィトが挑発するような蛇行軌道で潜り抜ける。
「んむ、いい感じで引きつけたかも」
「了解だ。そろそろ攻め時……だね」
巨獣の死角を縫うように飛んでいたイロハが、素手をグッと握りしめた。
使徒の手――揺るがぬ信仰を持つ彼女が過酷な鍛錬で鍛え上げた肉体は、それ一つが武器に等しい。そこに加えて、追加で重ねた三人分のダメージアップで増幅した怒りを込めれば、それは尋常ならざる威力を誇る一撃となるのだ。
『カルルルルルル!』『カルルルルッ!』
「確かにキミたちの攻撃は脅威だよ。外骨格の角の大きさ、質量、どれも凄い。でもさ……」
挑発で意識を逸らされ、連携の乱れ切ったカルジネスたちを前にイロハは思う。
巨獣の強さは、どこまでも『個』の強さでしかないと。己より大きなものに挑む勇猛さ、戦術を駆使する臨機応変さ、信念を貫き通す一撃……それら全てで、イロハは巨獣たちを上回ると。
「これが、その証拠さ。――『ゲオルギウスの聖槍』!」
拳を突き出した姿勢のまま、イロハがパラドクスを発動した。
世界の理が書き換えられ、揺るがぬ信仰で鍛えた肉体を極限まで強化する。そうして飛翔とともにイロハが繰り出す突撃はさながら破城槌のごとく、直撃したカルジネスの頭蓋を一撃で粉砕。宙を蹴って返しざまに放った一撃は、あまりにも硬く、あまりにも鋭く、次なる巨獣の後頭部を跡形も無く吹き飛ばす。
『カルッ――』
「眠りまでは邪魔しないから先に逝くと良いよ。グラゴルモも直ぐに後を追うことになるからね」
コンマ数秒の間に、二体の巨獣が屍と化した。
だが、彼らに驚愕している暇など無い。彼らの足元ではクィトがガジェットを展開し、カウントを開始しているからだ。
「モナカ衝撃型、かうんとだうんすたーと」
カルジネスの足元で、衝撃型にパラドクスが充填されていく。
クィトが所有する幾つかの球形ガジェットの中でも、衝撃型は不思議な力と絶妙にゆるい表情が特徴だ。しかし、振動することで放つ衝撃波は、可愛さやゆるさとは縁の遠い極悪な威力を誇る。そんな不穏な気配を察してか、カルジネスたちは次々とクィトから飛び下がろうと脚に力を込めた。
『カルルッ!?』『カルルルルルル!!』
「3……2……1……0。とんでけー」
だが、その判断は余りにも遅い。
クィトがカウント0と共に発動した『衝撃のコラット』によって発射された衝撃波が、カルジネスたちを捉えた。
ぴょこぴょこと尻尾を振りながら放たれるパラドクスはソニックブーム顔負けの衝撃となって、巨獣の身体を粉々に砕いていく。断末魔の悲鳴を上げることも許されず全身を粉砕されたカルジネスたちの骸が、砂山のようになって崩れ落ちた。
もはや、残る敵は片手で数える程度。
そこへ最後の一撃を加えるべく、小雪がコダマに合図を送る。
「寒いところに住んでいるなら熱々の攻撃でやって、やります!」
「もきゅきゅー!」
気合を入れたコダマの前に、小雪がパラドクスで魔法陣を描いた。灼熱を帯びた陣から飛び出した火の鳥をコダマが纏い、燃え盛る火球となって敵陣を焼き尽くす『モーラット・コミュ・ファイア』の一撃だ。
「こ、これがコダマの火魔法、モラ・フェニックス、です! コダマ、骨も残さず焼き尽くしちゃって、下さい!」
生き残ったカルジネスめがけ、火炎使いの力に目覚めたコダマが突撃する。
全身を明々と輝かせるコダマの姿は小さな太陽にも似て、触れた巨獣の全てを瞬く間に焼き尽くし、灰燼に帰した。
かくしてカルジネスの咆哮は途絶え、後には静寂のみが残された。
イロハは全ての護衛を討ち取ったことを確認すると、いまや只一体となった孤独な王を見遣り、告げる。この戦いは、自分たちの勝利で終わると。
「力を重ね、想いを重ね、その度に強くなる……それがイロハであり、復讐者という存在なのだからね」
「んむ、これでほんとに、残るは汝のみ」
イロハに頷いて、クィトもまたグラゴルモに告げた。
言葉が通じぬことは承知の上だ。たとえ知能に乏しい巨獣であろうとも、この状況で自身が追い詰められていることを理解出来ない訳はない。その証拠にグラゴルモの全身は、冷たい冷気に混じった濃密な殺意を放っている。
赤い眼に浮かぶ感情は、配下を討たれた怒りか。或いは邪魔する復讐者への苛立ちか。なおも冷気を増そうとする戦場に、ふいに暖かい空気が満ち始めたのはその時だった。
「これ以上マンモスさんを増やさせるわけにはいきません。ここでやっつけます!」
熱波の支配者を発動した小雪が、グラゴルモを見据えてはっきりと告げる。
氷に包まれた楽園、氷壁峡谷の終焉を。
そして――それを合図に、小雪を始めとする復讐者たちが次々に武器を構えた、次の瞬間だった。
『グララアアアアアアアァァァァァァァァァッ!!』
グラゴルモの口から迸ったのは、峡谷で耳にしてきた如何なる唸り声とも違う、一際大きな叫びだった。
その声に滲むのは、自らの聖域を侵した狼藉者たちに対する明白な抹殺の意思。対する復讐者もまた、そんなグラゴルモを撃破すべく次々と戦闘態勢を取る。
復讐者と凍土象の戦い――氷壁峡谷を舞台とする最後の決戦が、今始まろうとしていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!
黄泉王・唯妃
アドリブ&連携歓迎
さて残すはジェネラル級ただ1匹。
対してこちらは血気盛んな方が盛りだくさんです。
あまり派手な事も出来ないので隙間を狙っていくとしますか。
攻撃が飛び交う中、【精神集中】で敵の挙動を【未来予測】。
足を振り上げるタイミングで【早業】を用いて相手の牙を経由するように別の足をパラドクスの糸で【捕縛】。梃子の原理と【神速反応】も積み込んで足を引いて転倒させましょう。
1人でダメそうなら他の方の行動を利用するのもありですね。
相手の反撃は『大地を踏み付ける』という行動があるならタイミングを計るのは容易なはず。足元からなら放たれるタイミングに【ジャンプ】を。別方向からなら【残像】を生みながらの移動でダメージを減らしましょう。
「大きいというのはそれだけで脅威ですけど、それさえ苦にしないのが我々なんですよ。今度は此方が数の暴力を使わせていただきます!」
ガンドラ・ブラッディア
アドリブ・連携歓迎
【寒冷適応】は常時使用。
怒るか、グラゴルモ。しかしてこれが、弱肉強食、自然界の掟。
自然ならざる、我輩らが言うのは、ナンではあるがな。
であれば自然に、近い形へ回帰し、その怒りに応えよう。
(ネメシス形態・巨躯の黒竜と化す)
この峡谷の戦いに、決着を付けようではないか。
行くぞ……!!(咆哮する)
我が必殺の、竜呪剣。その全てを束ね、必殺たる一振りを、精製する。
即ち『剣災』・竜之償。呪詛の魔力光で、出来上がった、巨剣を振るい、直接斬り付け、或いは魔力の衝撃波を、放ってくれよう。
【泥濘の地】で鈍らせ、【未来予測】で、動き始めを見て、ぶつけていく。
敵の反撃は、大地を踏みつけるのが視えたら【飛翔】し、飛来した氷塊や氷柱を、予測の補助を加えつつ、『剣災』で斬り払い、或いは急所のみ防ぎ、継戦していく。
【飛翔】で上がったなら、『剣災』を剣から矢の、形状に変形。
そのまま全力で、投擲して打ち砕く……!
凍てつく地に、斃れよグラゴルモ。
全ては、世の平和が為……!
オオオオオオオオオオオオオオッ!!!
ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に
戦闘に集中するため引き続き【寒冷適応】を使用するよ
彼らとは特段の因縁があるわけじゃあない
ドラゴンから齎された縁と、あとは人類史の奪還くらいか
原始的な闘争と、冒険がある
いいじゃん、そういうの。大好きだよ
情報として保持していた“魔槍”を実体化させ、ぐるり一回し
語り合おうか、グラゴルモ
【泥濘の地】で速度や足元の不調を認識させた所へ
狙いは柔軟に。味方の策のもう一押しとして
決戦兵器Ⅰ号(ファルス・ワン)、伝承、5種開放!
血色の槍頭に戴く眼がぎらりと輝き、
疾駆に伴い穂より漲るオーラが尾を引いて戦場を彩り
禍えり裂く赤棘の槍(ゲイ・ボルグ)ッ!
必殺の槍撃が閃く!
反撃に際しては
……Moon-Child!
ナノマシン流体を外骨格化、槍を構えダメージに備える
【エアライド】があるから、身体が吹っ飛んでも
無様に倒れることがないのがありがたいね。仲間に感謝しないとだ
生きたいよね。そりゃあさ
顔を流れる血を乱雑に拭き取り気丈に笑う
でも。僕も人類も生き残りたいんだ
皆で座れる椅子は無い。だから、退いて頂戴
ゴンドワナの大地を睥睨するかのように聳える巨大高山、その山頂。
氷に閉ざされた峡谷の主である凍土象グラゴルモを、ついに復讐者たちは追い詰めることに成功した。
だが、戦いの本番はここからだ。ここで凍土象を討ち損じれば、いずれ氷壁峡谷は再建され、再び配下を増やし、巨大高山を拠点に勢力を伸ばしていくだろう。
本能のままに縄張りを広げ、闘争を繰り返す巨獣種族。いま、そのジェネラル級との決戦が始まろうとしていた。
『グララアアアアアァァァァァァァァッ!!』
「怒るか、グラゴルモ。しかしてこれが弱肉強食、自然界の掟だ」
雄叫びを上げるグラゴルモに、ガンドラ・ブラッディア(黒矛・g03101)は告げた。
凍土象と対峙する彼女の全身には、今も容赦ない重圧が冷気と共に叩きつけられている。それらは全て眼前のグラゴルモの巨体から生じているものだ。小型巨獣はおろか、アヴァタールと比しても一回りは大きな巨体は、まさしく氷壁峡谷の王者を名乗るに相応しい風格を備えている。
しかし、そんな凍土象に、もはや護衛たる配下はいない。
孤独な王となったグラゴルモに今こそ引導を渡すべく、ガンドラは高らかに告げた。
「自然ならざる我輩が掟を語るのは、ナンではあるが……せめて、その怒りに応えよう。この姿に回帰してな!」
言うと同時、ガンドラの肉体が変貌を開始する。
人型の輪郭が瞬く間に膨らみ、鋭いフォルムへ変わっていく。巨躯の黒竜、彼女のネメシス形態へと。それは同時に、死力を尽くしてグラゴルモを排除すると言う、ガンドラの意思の表れでもあった。
「手を抜ける相手ではない。全力で行かせて貰う!」
「ええ、残すはジェネラル級ただ一匹。禍の芽は、ここで摘ませて貰いましょうか」
対峙するグラゴルモに、黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)が艶然と微笑みを浮かべて言う。
今回の決戦で、彼女の位置はガンドラよりもやや後方だ。その理由は、作戦に参加した復讐者たちはグラゴルモ撃破に戦意を燃やす者が多く揃っているという点にある。
派手な立ち回りは彼ら彼女らに任せ、自身はフォローに努める――それが唯妃の方針だった。
「悔いの無いよう存分に暴れて下さい、お二方。私は隙間を狙います」
「ありがと! じゃあお言葉に甘えて、思い切り戦っちゃおうかな!」
寒冷適応を発動し、ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)が声を弾ませた。
彼はグラゴルモをはじめ、巨獣種族と特段の因縁を持つ訳では無い。敢えて挙げてもドラゴン繋がりの縁と、人類史の奪還という復讐者が共有する目的が精々だろう。
だが、臨んだ以上は手は抜かない。それがロキシアという復讐者の流儀であった。
「原始的な闘争と、冒険がある。いいじゃん、そういうの。大好きだよ」
ロキシアの掲げた掌に、一振りの槍が実体化する。
情報として保持していた“魔槍”。これよりグラゴルモを貫く得物。それをぐるりと回し、鋭い切先を眼前の敵に向けて、ロキシアは好戦的な笑みで言う。
「さあ。――語り合おうか、グラゴルモ」
『ブオオオオオオオオオッ!!』
グラゴルモの咆哮が、崩壊していく氷壁峡谷に木霊する。
生命への執着を一切捨てること無く、自身の生存にどこまでも貪欲に。
――それが、死闘の始まりを告げる合図となった。
戦闘開始と同時、峡谷に二つの雄叫びが轟く。
それは竜と獣、ネメシス形態のガンドラとグラゴルモのぶつけ合う咆哮だ。
「オオオオオッ!!」
飛翔を発動し、宙に羽ばたくガンドラが、グラゴルモめがけて突撃する。
漆黒の巨体を武器に獲物めがけて急降下する姿は、さながら隕石のごとく。同時、彼女が周囲に展開した無数の竜呪剣が、パラドクスの力で次々に収束され始めた。
小さな水滴が融け合い巨大な水球へと変じるように、竜呪剣が巨大な一振りとなってガンドラの手に握られる。
その手で振るうのは、竜呪剣『剣災』・竜之償の一閃だ。呪詛の魔力光で出来上がった巨剣の唸りが魔力の衝撃波を生み、眼下の凍土象に襲い掛かる。ネメシス形態の力を込めた、ガンドラ渾身の一撃となって――!!
「砕け散れ、グラゴルモ! オオオオオォォォォォォォッ!!」
パラドクスを込めた魔力の一振りがグラゴルモの肉体を覆う氷を砕き、その巨体に爪痕を刻む。
巨獣の体当たりもかくやという一撃に、しかし凍土象は重い呻き声を僅かに洩らすのみ。ジェネラル級巨獣の名は伊達では無いということか。大地を踏みしめ、地面から生成した氷柱をお返しとばかりに次々とガンドラへ放つ。
『グララアアアアア!!』
ガンドラは竜呪剣を振るい氷柱を切り払わんとするが、パラドクスを帯びた攻撃にはさしたる効果を望めない。
即座にガードアップで肉体を硬化すると同時、氷柱が一斉にガンドラの巨体に突き刺さる。柱の一本一本が恐ろしく重い。ネメシス形態となって力を増したガンドラでも、直撃を浴びたらと思うと背筋の凍る思いがした。
「皆、油断するな。気を抜いたらやられるぞ!」
二の句を継がせる間も与えぬとばかり、グラゴルモの巨大な脚が再び持ち上がる。
いまだ健在のガンドラに追撃を浴びせようと言うのだろう。だが次の刹那、地を踏むはずの脚がふいに宙で止まった。
「さぁ、貴方の生命も運命も絡めとってあげましょう」
声の主は、唯妃であった。
グラゴルモが攻撃するタイミングを見計らい発動したのは『絲妃』の一撃だ。パラドクスで操る極細の糸が、凍土象の脚を縛り上げる。続け様、唯妃の細い手が宙でゆっくり弧を描くように動くと、絡め取った細糸はグラゴルモの牙を経由し、新たな脚へと絡みついて行った。
「好きなだけ暴れなさい。暴れれば暴れるほど苦しみますから」
妖艶な笑みを深め、唯妃が言う。
絲妃の細糸は強力な粘性を有し、相手がもがく程に動きを阻害する。巨体を誇るジェネラル級巨獣も例外ではない。
巨獣の脚を捉えた糸を引いて転倒を狙う唯妃。グラゴルモが巨体に力を込めて踏み止まる。その間にも絲妃の糸は千切れることなくグラゴルモの肉体を切り裂いて、じわりじわりと傷を刻んでいく。
『ブオオオオオオオ! ブオオオオオォォォォォ!!』
「大きいというのはそれだけで脅威ですけど、それさえ苦にしないのが我々なんですよ」
単純な腕力で言えば、グラゴルモのそれは唯妃の遥か上を行くだろう。
だが、現実の理を書き換えて行う逆説連鎖戦において、常識と言う概念は一切通じない。それを示すように小さな力で糸を引き搾り、巨体が僅かにバランスを崩すかに見えた直後、グラゴルモは力ずくで体勢を立て直して反撃の土凍を発動した。
「……成程。さしずめジェネラル級の意地、ということですか」
そのまま氷柱が直撃するかに見えた唯妃の体が、アヴォイドの発動でふっと消えた。
残像を残した高速移動で氷柱をやり過ごし、無傷を保ったままグラゴルモを見遣る。
「中々に足掻きますね」
「ああ。しかし、氷土象が進化した果てがアレか……まるで次元の違う強さだな」
ガンドラの言う通り、グラゴルモの戦闘力は極めて強大だった。
耐久力、攻撃力、獰猛さ、どれをとってもバオルモスのそれとは桁が違う。アヴァタール級の巨獣が進化した個体は、姿が同じだけの、もはや別次元の存在と言っても遜色ない。幾つも積み重ねた残留効果をもって、やっと互角に戦えるかどうか。後に続く仲間たちの戦いを考えれば、もう一撃だけでも加えておきたいところだ。
『グララアアアアアアアアアアア!!』
「凍てつく地に斃れよグラゴルモ。全ては、世の平和が為……! オオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
巨獣とガンドラの咆哮が、再びかち合う。
最終人類史の為、そこで待つ人々の為、下がる訳には行かない――そんなガンドラの決意を込めた叫びに合わせるように、グラゴルモ目掛けて突撃していく影があった。ロキシアであった。
「決戦兵器Ⅰ号(ファルス・ワン)、伝承、5種開放!」
発動した飛翔で低空を飛行。“魔槍”の機能を解放した彼は、更なる一撃を浴びせようとグラゴルモに迫る。
駆使するパラドクスは『禍えり裂く赤棘の槍』。ロキシアが指示の言葉を言い終えると同時、真っ赤な槍頭に戴く眼が不吉な輝きを帯びる。飛翔の速度を最高に、槍を構えてグラゴルモに迫るロキシアの姿は、まるで地を這う赤い流星のよう。
そして次の瞬間。流星は標的を捉えた。
「一接ぎのち咲き誇るは、紅い花――禍えり裂く赤棘の槍(ゲイ・ボルグ)!」
グラゴルモの頭蓋を守る眉間、その一点を狙い定め、いまロキシアは必殺の一撃を叩き込む。
因果律操作によって体内を荒れ狂うパラドクスに、苦悶の呻きを漏らすグラゴルモ。並のトループス級なら一撃で斃れてもおかしくない一撃に、しかし敵の猛攻は止まらない。
『ブオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
「……っ、Moon-Child、展開!」
巨大な脚が踏みしめた大地から氷柱の嵐が生じ、ロキシアを襲う。
ナノマシン流体を外骨格化すると同時、ガードアップで硬化した肉体で氷柱を受けたロキシアは、衝撃を殺すように後方へ跳躍。そのままエアライドで宙を蹴って着地する。
顔に不思議な温かさを感じて手を添えると、額が血で濡れていた。痛みは覚えるが深手ではない。流れ出た血を乱雑に拭き取って、グラゴルモを前にロキシアは気丈に笑った。
「生きたいよね、そりゃあさ。……でも。僕も人類も生き残りたいんだ」
グラゴルモが縄張りを守る為に戦うように、ロキシアたちも歴史を奪還する為に戦っている。
復讐者とクロノヴェーダは本質的に相容れない存在であり、両者の共存は叶わない。そうである以上、導かれる答えは一つしかなかった。
「皆で座れる椅子は無い。だから、退いて頂戴!」
この戦いに勝って、アフリカの大地を取り戻すために。
ロキシアと仲間たちは、更なる攻勢をグラゴルモに加えていくのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【トラップ生成】がLV2になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV7になった!
シル・ウィンディア
みんなが切り開いてくれた道なんだから、ここで途切れさせるわけにはいかないよね。
ということで、援護に来たよっ!
…しかし、おっきいねゾウさん。
世界樹の翼type.Aを敵の方へ突き出してから高速詠唱の七芒星精霊収束砲!
初っ端から派手に行かせてもらうからねっ!
その後は、その場にとどまらず移動を開始。
固定砲台にはならないで、脚を止めずに常に移動しつつパラドクス攻撃を仕掛けるよ。
短距離移動なら、飛翔でスピードを出して、エアライドの二段ジャンプでトリッキーな立体機動を行うね。
これで少しでも攪乱できればいいけど、過信は禁物だね。
敵のパラドクスはマントで体をくるんで防御。
後、寒冷地適応で寒さは和らげないかな?ダメージは仕方ないけど。
戦闘中も敵を観察して、気づいたことはパラドクス通信でみんなと情報共有。
仕草、攻撃動作…。
ん-、野生な感じだから癖は少なそうだけど、そういうのを情報共有だね。
ここぞという時には、全力魔法の七芒星精霊収束砲!
わたしの全力全開、遠慮せずにもってけーっ!!
あとは任せたよっ!
ジェネラル級のクロノヴェーダは、トループス級やアヴァタール級とは隔絶した力を誇る存在として知られる。
個体によって多少の強弱はあるが、下に属する者であっても戦闘力の高さは下位階級の二つと比較にならない。
当然そうした強敵と戦うとなれば、復讐者側も戦力が揃うほど有利になることは自明の理だ。それはここ氷壁峡谷で行われている、凍土象グラゴルモとの戦いにおいても例外ではなかった。
故に今、シル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術士・g01415)は戦場へと駆けつけ、グラゴルモと戦っている。
仲間たちが切り開いた道を途切れさせず、次の仲間へと繋ぐ、その懸け橋となる為に――。
「皆、援護に来たよっ! ……しかし、おっきいねゾウさん」
救援機動力で戦場に到着すると同時、シルは戦場の中央にいるグラゴルモの巨躯に一瞬目を丸くした。
ゴンドワナの海でトループス級巨獣を見た経験のあるシルだが、ジェネラル級の体躯は彼らのそれより更に一回り大きい。戦闘力の高さに至っては言うに及ばずだろう。
そんな彼女の内心を知ってか知らずか、グラゴルモはシルの姿を認めるなり、怒りの咆哮を浴びせて来た。
『グラアアアアアアッ!!』
「声もおっきい……! 問答無用ってことだね、望むところだよっ!」
元より意思疎通など図れる相手出ないことは分かっている。
シルは飛翔を発動すると同時、高度を調整しながらグラゴルモ目掛けて突撃を開始した。初っ端から派手に戦えるのは彼女としても大いに歓迎できるところだった。
「後続の仲間たちが有利に戦えるように、少しでもダメージを稼ぐっ!」
飛翔の効果が高いことも手伝って、移動手段の確保に不自由することはなかった。
シルはエアライドを交えながら空中を自在に飛び回り、グラゴルモを翻弄する。弱点に繋がりそうな癖を見抜くのが困難と判断するのに、残念ながら多くの時間は要らず、シルはすぐさま行動を攻撃一本へと絞った。
世界樹の翼『ユグドラシル・ウィング』type.A展開。白銀の長杖を突き出し、七芒星精霊収束砲の発動を開始する。
「六芒星に集いし世界を司る6人の精霊達よ、過去と未来を繋ぎし時よ……」
『ブオオオオオオッ!!』
杖頭に鏤めた藍鉱石の蕾が放つ輝きを見て、グラゴルモもシルの意図を悟ったらしい。
全身から噴き出す冷気の勢いを増し、猛吹雪でシルを撃墜せんとする。
だが、遅い。高速詠唱を駆使したシルのパラドクスは、既にグラゴルモを捉えていた。
「七芒星に集いて虹の輝きとなり、すべてを撃ち抜きし光となれっ!! わたしの全力全開、遠慮せずにもってけーっ!!」
蕾が花開くと同時、四対の魔力翼を背に発射された魔力砲撃が、グラゴルモの土手っ腹を焼き焦がす。
トループス級の個体であれば蒸発してもおかしくない火力に、しかしグラゴルモは苦悶の呻きを僅かに漏らすのみ。
『ブオォ……』
(「効いてない……!? ううん、違う!」)
反撃の吹雪をガードアップで防ぎながら、シルは再び観察の目を向ける。
砲撃を浴びた箇所は盛大に焼け焦げ、巨獣の動きも先程に比べて僅かに鈍い。ダメージは着実に入っている――その手応えにシルはグッと拳を握りしめ、
「これで、少しは力になれたかな……あとは任せたよっ!」
続く仲間たちに、攻撃の続行を呼びかけるのだった。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV8になった!
クィト・メリトモナカアイス
やっぱ鳴き声で名付けてそう。
んむ、山登りから始まったこの戦いもこれで終わり。
やーるぞー。
【寒冷適応】で寒さに負けず戦う。
黄金猫拳打棒を手に「北より至れ月冠す火」。
これで我も我の黄金猫拳打棒も寒さには負けぬ。
他の復讐者と周囲を取り囲むようにして連携し、巨獣がこっちを向いていない隙をついて炎を灯す肉球で殴りつける。
んむ、まるでマンモスを狩るのごとく殴るのだ。
あとはたぶんこの骨格だと真上も死角になっていそう。
グラゴルモがこっちを見ていない隙に【飛翔】で飛び上がり、上空から勢いとすぴーどを乗せた炎の肉球叩きつけもちゃんすがあればやってみたい。
汝がのんびり暮らしてるだけであれば良かったのだけれど。
このアフリカの南半分もまた最終人類史の一部。
それを取り戻すため。汝を捨て置くことはできぬ。
反撃の氷塊や氷柱は【飛翔】で地上から離れて足から凍り付かないようにして移動を封じられないようにし、小さめのつららは黄金猫拳打棒でガードし、大きいのは避けていく。全部避けきれないときは小さなけがは仕方なし。
一里塚・燐寧
きみが居座ってる歴史の下では、今を生きるアフリカの人たちが……
そして、色んな生き物のご先祖様が、凍りついた時間に閉じ込められてるの
――悪いけど、容赦できないや
チェーンソーの尾を持つ巨大恐竜型ネメシスに変貌
自らの尾を牙で研ぎ、飛び散る火花を《焼尽の呪炎》として鋸刃に纏わせる
さぁさぁ、ここは白亜紀、恐竜の王国だよぉ
マンモスなんて新参者が威張り散らすにゃあ……一億年早いんだよねぇ!
【寒冷適応】を常時使用
更に【トラップ生成】で敵が踏むと煙幕を生じる罠を仕掛け、【完全視界】で一方的な視界の優位を得ちゃおう
立ち回りは【エアライド】による二段ジャンプを駆使した機動戦
恐竜の巨体を軽々と跳び跳ねさせ、突撃の狙いを撹乱しつつ接近してくねぇ
十分に近づいたら、跳躍の最高高度から落下する勢いを乗せた捨て身の一撃……『屠竜技:衝破轟震撃』!
宙返りして尻尾の刃を縦に振るい、敵の背の上からブチ込むよぉ
巨大な刀身の重量で叩き伏せ、回転鋸刃で骨肉を斬り削り、狙うは粉砕!
地球全部があたし達の縄張り……だから返してもらうよぉ!
イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎
凍土象グラゴルモ…ね。
好戦的だったのは人により滅ぼされたマンモス達の無念とか受け継いでいたのかな?
直接言葉を交わせないから想像でしかないけれど。
小山の様な巨躯で凍て付く吹雪が周囲を覆い尽くせば難攻不落の氷壁といった所だね。
だけど大洪水前には巨人や獣達が世界には蔓延ってたんだから人の身であっても倒せない道理は無いよ。
極限まで練り上げた【オーラ操作】して使徒たるイロハの手足も全身凶器と化そう。
氷の装甲と分厚い毛皮が阻もうと只管に【ヘレナの聖釘】で巨獣の足を打ち据え続けるよ。
煩わしさで吹雪のみならず蹴りや体当たりで反撃してくるかもしれないけれど
刹那先の未来が見えてれば大丈夫、【エアライド】で跳躍して踊る様に回避しよう。
そろそろ気付いたかな?キミの巨体は優れた武器であるけれど諸刃の刃。
強固な護りさえも貫き通す鉄拳に痛めつけられた足で身体を支えられるかな?
今こそ主の威光の前に首を垂れる時だよ。
念の為に確認しとくけど塒に何か残ってるかな?
氷壁の崩壊と共に埋もれては困るからね。
分厚い氷に閉ざされた極寒の世界、ゴンドワナ氷壁峡谷。
かつて巨獣たちの楽園であったその地は、崩壊の速度をいよいよ増しつつあった。それはまるで、復讐者たちによって追い詰められつつある凍土象グラゴルモの運命を、暗に示すかのようであった。
『グララアアアアアアア!!』
「モナナナナナナナナ……! んむ、やっぱ鳴き声で名付けてそう」
グラゴルモの咆哮に威嚇を返し、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は呟いた。
山登りから始まった高山の探索も、いよいよこれで最後だ。グラゴルモとの決戦に勝利すれば、戦いは復讐者の勝利で幕を下ろすことだろう。縄張りの拡大を続けようとする敵の目論見を阻止する為にも、負ける訳にはいかない。
「けど、追い詰められた獣はとても厄介。油断せずに、やーるぞー」
果たしてクィトの言う通り、先行した復讐者たちとの戦闘でグラゴルモは手負いとなっていた。
あちこちに傷を負った体で復讐者を睨みつける眼は、溢れんばかりの闘争心に満ちている。イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)は、その姿に、巨獣のどこまでも貪欲な生存本能の一端を垣間見た気がした。
「凍土象グラゴルモ……か。巨獣が好戦的なのは、今に始まったことじゃないけど……」
言葉の一つも交わせれば好戦的な理由を探れたかも知れないのにと、イロハは小さく溜息を漏らす。
高度な連携行動などを取れない程に乏しい知性は、復讐者たちが戦うにあたって利点も多い。だが、こと情報取得と言う点では非常に難しいのも事実だ。
「滅ぼされたマンモスたちの無念が宿って好戦的になったとか……あれ? マンモスってもっと後の時代だっけ」
「そうだねぇ。ざっと9000万年以上は後かなぁ?」
首を傾げるイロハに、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)が答える。
燐寧たちの前に存在している巨獣は、本来ならば地球の歴史に居る筈のない存在だ。悪意をもって人々を虐げるような他のクロノヴェーダ種族とは明白に異なるが、こと歴史の簒奪という意味では何ら変わらない。グラゴルモを、そして巨獣たちを排除して大地を奪還しない限り、奪われた土地が最終人類史に戻ることは永久に無いのだ。
「きみが居座ってる歴史の下では、今を生きるアフリカの人たちが……そして、色んな生き物のご先祖様が、凍りついた時間に閉じ込められてるの」
だから、と燐寧はグラゴルモに言う。
どこか仮面めいた笑みの奥に、復讐者としての怒りを忍ばせながら。
「――悪いけど、容赦できないや」
同時、燐寧の肉体が変貌を開始する。
それは人ならざる異形の姿、チェーンソーの尾を持つ巨大恐竜型のネメシス形態だ。
尾の鋸刃を牙で研げば、飛び散る火花が《焼尽の呪炎》と為って、鋸刃を炎で纏い尽くした。
「さぁさぁ、ここは白亜紀、恐竜の王国だよぉ」
不敵な笑みを感じさせる声色で、燐寧が言ってのける。
牙、爪、そして鋸刃の尾。全身の武器を余すことなく、グラゴルモの巨体に突きつけて。
「マンモスなんて新参者が威張り散らすにゃあ……一億年早いんだよねぇ!」
復讐者と巨獣、生存を懸けての縄張り争い。その死闘の始まりを、巨大恐竜に変貌した燐寧の咆哮が告げた。
『オオオオオオォォォォォォッ!』
序盤の激闘で傷を負ったとは言え、グラゴルモの強靭な生命力は健在だった。
未だ余力を残して暴れ続けるジェネラル級巨獣。クィトとイロハと燐寧が、そこへ一気呵成に攻撃を開始していく。
「んむむ……寒冷適応があっても、この気温は何ともちべたい。でも、これがあれば大丈夫ー」
そう言ってクィトが掲げたのは、純金製の獣神杖『黄金猫拳打棒』。
拳打棒は彼女が用いる武器であり、単体で温熱機能を有する物では無い。だが、そこにパラドクスが加われば別だ。
「今日の黄金猫拳打棒は真っ赤に燃えている! ……んむ、これで我も我の拳打棒も寒さには負けぬ」
棒先端の肉球が『北より至れ月冠す火』の発動と同時、ふいに熱を帯び始める。
高熱を帯びて真っ赤に光る肉球で敵を殴る、可愛らしくも強烈なパラドクスだ。それと同時、横を駆けるイロハが一足早くグラゴルモを攻撃の間合いに捉えた。
「準備はいいかい? じゃあ、行こうか」
言い終えると同時、疾駆の速度を上げたイロハが矢のように飛び出した。
飛翔を使用せず一直線に駆ける彼女が狙い定めるのは、グラゴルモの巨大な前脚である。先行した仲間が攻撃を浴びせた傷を狙い、パラドクス発動。『ヘレナの聖釘』で巨獣を打ち据えにかかった。
「さあ、今こそ主の威光の前に首を垂れる時だよ」
『ブオオオオオオオオオォォォォォォォォッ!!』
極限まで練り上げたオーラで包んだイロハの体は、五体すべてが凶器に等しい。
聖気を高め、揺るがぬ信仰を核とし、パラドクスで強化した体で拳をギュッと握りしめ。容赦なき鉄拳の連打をグラゴルモの巨大な脚めがけて叩きつけた。一撃、二撃、三撃、四撃……鉄拳が直撃する度に、強烈な振動が戦場を走る。尋常ならざる威力を物語るように、グラゴルモの肉体を覆う氷が衝撃で次々と砕け散っていく。
「小山の様な巨躯に、凍て付く吹雪。まさに難攻不落の氷壁といった所だね」
イロハは戦意を露に、尚も拳を振るい続けた。
いかんせん、氷の装甲と分厚い毛皮に守られた相手だ。その並大抵でないガードをこじ開けるように拳を繰り出しながら、ふと彼女は考える。かつて原始的な武器でマンモスに立ち向かったであろう人類も、同じ思いだったのだろうか――と。
「だけど、彼らもマンモスを狩っていた筈だ。だったらイロハたちが巨獣を倒せない道理は無いよね?」
『グラアアアアァァァッ!!』
渾身の一撃を叩きつけた次の刹那、グラゴルモの咆哮が木霊した。
巨獣の全身から噴き出す猛吹雪がパラドクスを帯びてイロハを襲う。イロハは直撃を避けるようにエアライドで後方に跳び下がり、体力を奪い去る吹雪を耐え凌ぐ。
「これで注意は十分引きつけたかな。……クィトさん、今だ」
「んむ」
刹那である。
イロハが仰ぎ見た先、クィトのメラメラと炎を灯した肉球がグラゴルモ目掛けて振り下ろされた。
狙う先は、先の戦闘で傷を受けた額の部分。飛翔を駆使し、速度を乗せた、炎の肉球叩きつけの一撃だ。真っ赤な隕石にも似たインパクトがグラゴルモの眉間に直撃し、可愛い肉球印が焼き印めいて跡を残す。燃え広がるパラドクスの炎はそのまま巨獣を焼き焦がし、踏ん張る四つ脚の真下に生じた氷の亀裂が蜘蛛の巣めいて広がった。
『ブオオオオオオォォォォォッ!!』
「……汝がのんびり暮らしてるだけであれば良かったのだけれど。このアフリカの南半分もまた最終人類史の一部」
だからこそ、とクィトはグラゴルモに言う。
反撃で飛来する氷柱を、ガードアップで硬化させた体で防ぎながら。
「それを取り戻すため。汝を捨て置くことはできぬ」
『オオオオオッ――』
何を馬鹿な、と。もし人間の知能と言語をグラゴルモが有していたのなら、そう言っただろうか。
そんな彼の咆哮をかき消すように、ふいに前方からけたたましい響きが轟いて来た。
最初に聞こえたのは地響きだ。次いで耳に届いたのは恐竜の吼える声。そして最後に空気を震わせるのは、氷の地面に激突しながら鋭い音をたてる鋸刃の音。
「足元の大地ごと、粉々に砕いてあげるよぉ!」
音の源は、燐寧だった。
ネメシス形態を取った燐寧は恐竜の巨体で見る間にグラゴルモに肉薄すると、エアライドで天高く跳躍。最高高度に達すると同時、捨て身の一撃を叩き込んだ。
『屠竜技:衝破轟震撃』発動。尻尾の鋸刃が鞭のようにしなり、次の瞬間、巨大な三日月の軌跡を描いてグラゴルモの背中目掛けて振り下ろされる。落下する勢いに巨体の体重を込めたパラドクスの斬撃は、グラゴルモの巨体を深々と切り裂いて、なおも燐寧の攻撃は終わらない。
「地球全部があたしたちの縄張り……だから返してもらうよぉ!」
『ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』
巨大な刀身の重量で叩き伏せ、回転鋸刃で骨肉を斬り削る。
血と、毛皮と、氷塊と、骨片が、凄まじい勢いで戦場にぶちまけられる。紛れもない致命傷だった。荒い息と共に返される反撃の体当たりを、ガードアップで難なく受ける燐寧。対するグラゴルモは全身を夥しい血で汚しながら、なおも生の執着を手放そうとはしない。峡谷を完全に崩壊させるべく、なおも苦悶に満ちた咆哮を上げ続ける。
「うわぁ、しぶといなぁ~。でも、もう少しって感じだねぇ!」
ジェネラル級巨獣の誇るタフネスに舌を巻きつつ、燐寧が言った。
敵の生命力は、確かに尋常ではなかった。だがいかに強靭であろうとも、グラゴルモとて不死身ではない。それを示すように、先程までの怒涛のごとき猛攻はじわじわと勢いを衰えさせつつある。
決着まであと一歩。クィトとイロハは確かな手応えに頷きを交わし合い、次なる攻撃の準備を終えた仲間たちを振り返る。
「んむ、今こそ好機。ごーごー」
「グラゴルモに引導を渡す時だね。さあ行こう」
ゴンドワナ巨大高山を探索する為、長く危険な道程を歩み続けた復讐者たち。
その終着点、ジェネラル級巨獣との決着の時が、いよいよ訪れようとしていた。
🎖️🎖️🎖️🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【熱波の支配者】がLV2になった!
【トラップ生成】がLV3になった!
【狐変身】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV9になった!
月下部・小雪
長かったゴンドワナ巨大高山の冒険も、こ、これが正真正銘、最後の戦いです。
ボスマンモスのグラゴルモさん、お覚悟です!
グラゴルモさんの叫びに対抗するように、もきゅきゅきゅきゅーとコダマと一緒に気合を込めて戦います!
氷壁峡谷の寒さに負けないように【寒冷適応】と【熱波の支配者】をダブルで使っちゃいますね。
マンモスさん達の楽園はこれでおしまい、です。ぜ、全部溶けちゃってください!
崩壊する氷壁峡谷、【飛翔】と【エアライド】で飛び回りながら、落下してくる巨大な氷塊を目くらましにしながらかく乱です。
積み重ねた【泥濘の地】で相手の機動力も削いでいきます。
味方の攻撃に合わせて、巨大な巨獣をやっつけるために……
「武器改造」でいつもより巨大なチェーンソーを取り出したコダマが全身全霊で巨大チェーンソーを振りぬきます!
ボク達は巨獣さんみたいに体は大きくはありません。けど、みんなで紡いだ力は巨獣さん以上、です!!
こ、これで、今日から巨大高山はボク達ディアボロスの縄張りになった、でしょうか……?
※アドリブ連携大歓迎
イツカ・ユメ
念の為、寒さ対策にもこもこのコートを着込んで。
皆が繋いできたチャンスを無駄にしない為に、
いざ、氷の迷宮でマンモス狩りだよ!
……キット、踏まれてぺしゃんこにならないように気を付けてね?
勇気の歌や希望の音楽を奏でて、
歌って踊って皆を、自分自身を鼓舞しながら。
相手の動きや周囲の状況をしっかり観察して、
周りの皆と協力しながら臨機応変に攻め込むよ!
相手の弱点や攻撃の予備動作みたいな動きのクセ等、何か戦闘に役立ちそうな発見があったら皆に伝えるね。
皆が攻撃する隙を作れそうなら、目一杯目立って注意を引きつけて囮にもなるよ。
わたし達は、あなた達巨獣に比べたら小さくて弱いけれども。
力を合わせれば、どんなに強大な敵だって打ち倒せるってところを見せてあげる!
…吹雪の中でも、勝利を信じて声を張り上げる。
この唇から、この魂から、この歌だけは奪わせない為に。
凍り付いたこの地に、暖かな時間を取り戻す為に。
あなた達の楽園を、これでぶっ壊させてもらうんだよ!
氷のステージで奏でるド派手な子守唄で、永遠におやすみなさいっ!
アンゼリカ・レンブラント
マンモス狩り会場がここだと聞いて!
仲間たちの大勝利の一助となるべく加勢するよっ!
姿はアヴァタール級と似ているけど流石群れの長
まさに城のような凄まじい威容だけど、
攻城戦はむしろ得意なんだよ、望むところっ!
勇気を胸に、共に戦う仲間と動きを合わせ近接戦を挑む
パラドクスで斬り込んだら反撃を凌いですかさず一撃離脱、
足を使い小回りを生かし巨体を攪乱させる、
巨体相手の定石を守るよ
ダメージの多い仲間がいれば、注意を其方から引き離すよう
凍土象の視界を激しく動く等するよ
POWでディフェンスも行い、反撃の機会を得て痛打を叩き込む
巨体の攻撃は痛いけど!
技能はけして負けてないっ、そして奪還の志は寒甲を貫く!
気を吐き、常に仲間を鼓舞するような言葉をあげていくよ
これがゴンドワナ最初のジェネラル級決戦でしょう
ここまで戦ってきた皆なら、快勝で終わらせないとさぁ!
相手の消耗が分かれば、いざ仕留める機だね
皆に合わせ最大まで力を溜めた一撃を叩き込むよ
私達の心の光と焔よ、今最大の力となれ!
《神焔収束斬》よ、氷壁の王を貫けぇーっ!
氷壁峡谷を統べる凍土象グラゴルモとの戦いは、ついに佳境を迎えた。
度重なる戦闘によって傷を重ねた巨獣に、王としての威厳はもはやない。
目前に迫った楽園の崩壊にあくまで抗うように、しかし凍土象は最後の力を振り絞って復讐者を迎え撃たんとしていた。
「こ、これが正真正銘、最後の戦いです。ボスマンモスのグラゴルモさん、お覚悟です!」
月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)は堂々と胸を張り、満身創痍となった凍土象に告げた。
対するグラゴルモは全身を怒らせ、なおも徹底抗戦の様子を見せている。深手を負い、窮地に陥って尚、この巨獣に諦めるという選択肢はないらしい。
『ブオオオオオオオオオッ!!』
「「もきゅきゅきゅきゅー!」」
そんなグラゴルモの雄叫びに、気合の叫びを返す小雪とコダマ。
その傍では、新たに駆けつけたイツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)が、敵の巨体に思わず目を丸くしていた。
「ひえー……最深部にいたのが、こんな大きな巨獣だったなんてびっくり!」
イツカは小雪らと共に、かつて氷の迷路を最初に探索した復讐者の一人。あの時と同じように寒さ対策のコートを羽織った隣では、モーラット・コミュのキットが戦う気満々の様子である。
「いざ、マンモス狩りだよ! ……キット、踏まれてぺしゃんこにならないように気を付けてね?」
「きゅ!」
グラゴルモの全身から放たれる冷気が無くとも、氷壁峡谷は標高数千メートルの山頂に存在する場所である。
寒さに煩わされることのないよう、小雪は改めて寒冷適応と熱波の支配者を発動し、仲間たちのフォローを行った。
「さ、寒さに負けないように、頑張りましょう、皆さん!」
「ありがとー! 助かるわ、小雪ちゃん!」
感謝の言葉を送り、準備を終えるイツカ。一方、新たに駆けつけた復讐者のひとり――アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)も、丁度支度を終えたところであった。
「マンモス狩り会場がここだと聞いて! 仲間たちの大勝利の一助となるべく加勢するよっ!」
鍛えぬいた全身をブラッディオーラ『誓翼の闘魂』で覆ったアンゼリカは、いまや溢れんばかりの闘志に満ちている。
先鋒は引き受ける故、最後の一撃は任せると無言のうちに背中で語るアンゼリカ。二人もまた、そんな彼女の意思に応えるべく、頷きを交わし合った。
「頑張ろうね、小雪ちゃん」
「はい。思いっきり暴れて、勝っちゃいましょう!」
そうして小雪は深呼吸をひとつ。熱波の支配者がもたらす暖かい空気を送りながら、グラゴルモに告げる。
氷に閉ざされた峡谷に、今ここで――自分たち復讐者が終止符を打ってやると。
「マンモスさんの楽園はこれでおしまい、です。ぜ、全部溶けちゃってください!」
『グララアアアアアアアアアッ!!』
かくして、最後の死闘が幕を開けた。
戦況は既に復讐者の圧倒的な優勢であり、ここからグラゴルモが逆転する道は限りなく低い。
だが、それを理解する知性を持たぬであろうグラゴルモは、なおも戦意旺盛に咆哮をあげ、地響きを立てて迫って来た。
全身を血で汚してなお、要塞のごとき巨躯で突き進む姿は圧巻の一言だ。その全身から放つ強烈なプレッシャーにも臆することなく、アンゼリカはまっすぐに突っ込んで行く。
「流石群れの長。まさに城のような凄まじい威容だけど……攻城戦はむしろ得意なんだよ、望むところっ!」
虎口に飛び込むかの如き勇猛さで、アンゼリカが挑んだのは接近戦であった。
比べるのも馬鹿馬鹿しいような体格差を誇る巨獣を相手に、真正面から堂々と挑む姿は、まさに勇者のそれである。
無論、単なる特攻ではない。戦いの最中も、彼女は背中に眼が付いているかのように、後続のイツカと小雪に合わせながらグラゴルモを素早い足運びで翻弄していた。この作戦において果たす役割を熟知した上での動きだ。そんな彼女に、イツカと小雪もまた阿吽の呼吸で、攻撃や撹乱を行うベストの位置へ展開していく。
「小雪ちゃん!」
「はい! い、行きましょう!」
『ブオオオオオオオオッ!』
だが、それを大人しく待つグラゴルモではない。
機関車のごとき咆哮を上げると、傷だらけの巨体を分厚い氷で覆い、アンゼリカめがけ突撃して来た。
対するアンゼリカもまた、即座に光の剣を生成。反撃態勢を整える。
『グララアアァァァッ!!』
「……っ! 巨体の攻撃は痛いけど、でも……!」
氷と光、パラドクスの激突が衝撃となって荒れ狂う。
満身創痍となってなおジェネラル級の体当たりの威力はすさまじく、全身が砕け散るような力がアンゼリカを襲った。
だが彼女は倒れない。倒れる訳にはいかない。この戦いは復讐者にとってゴンドワナ最初のジェネラル級決戦なのだから。
「だったら……! 皆揃って快勝で終わらせないとさぁ!」
負けじと気を吐き、アンゼリカが鼓舞の言葉を上げた。
それに応えるように戦場を満たしていくのは、イツカが奏でる希望の音色。仲間を、そして自信を鼓舞する勇気の歌を歌いながら、イツカは『イツカノウタ<origin>』を発動する。どれほど強大な相手でも、力を合わせれば打ち倒せる――それを今から示さんと、彼女はグラゴルモを狙い定めた。
琴剣『smile song』を構え、キットが送るエールに励まされ。そうして彼女は、疾駆する足に力を込める。
「いつか叶う、夢はきっと叶う……そのいつかは、今だよ!」
『ブオオオオオオオオオオオ!!』
グラゴルモが全身に冷気を纏う。迫りくるイツカを迎え撃ち、吹雪で氷漬けにしてやると告げるかのように。
だが、イツカは恐れはしない。勝利を掴む信念を胸に、歌声のパラドクスで現れた勇士達の動きを追いかけ、グラゴルモの眉間目掛けて『smile song』の刺突を放つ。切先が、巨獣の眉間に深々とめり込んだ。
「いけえぇぇぇぇっっ!!」
『ブオオオオオオオオオオオオオオッ!!』
凍土象の絶叫が木霊する。
反撃で放つ吹雪が、瞬く間にイツカの四肢から感覚を奪い去っていく。ガードアップで耐え凌ぎ、懸命に地面を踏みしめてイツカは吹雪の中で再び歌を歌い始めた。戦って来た仲間たちと、これから戦う仲間たち。その全員で掴む勝利を信じて。
――この唇から、この魂から、この歌だけは奪わせない為に。
――凍り付いたこの地に、暖かな時間を取り戻す為に。
『smile song』の旋律に合わせ、吹雪の中を花が舞い散り始めた。
其の間にも戦場を囲む氷壁には亀裂が生じ、崩落の勢いはいや増していく。轟音が響き渡る中、グラゴルモの怒りと無念に満ちた絶叫が反響する。それは峡谷の崩壊と、グラゴルモの最期が眼前に迫りつつある証でもあった。イツカはなおも琴剣で旋律を奏でながら、氷壁峡谷の主に向かって敢然と告げる。
「あなたたちの楽園を、ぶっ壊させてもらうんだよ! ド派手な子守唄で、永遠におやすみなさいっ!」
イツカの口から叩きつけられる、明白な死の宣告。それをグラゴルモは拒絶するように、なおも暴れ狂う。
同時、小雪は飛翔を駆使しながらグラゴルモの周囲を飛び回り始めた。撹乱を行い、仲間の攻撃する隙を生み出すために。崩壊する巨大氷塊を盾にエアライドを交え、挑発するように目の前を盛んに飛び回る小雪。それを放置できるだけの余裕を既にグラゴルモは残していない。
「グラゴルモさん、ボクが相手です! こっち、です!」
『ブオ――』
怒りも露わに、グラゴルモが小雪を弾き飛ばそうとする。
邪魔な虫でも払うように鼻を振ろうと前に踏み出した次の瞬間、その前脚が泥濘の地に沈んだ。
今までの泥濘とは比にならない深さに、グラゴルモの速度が瞬く間に落ちていく。
それを可能にしているのは、小雪の魂に刻まれた大勲章だ。
復讐者が取る行動の成功率を天文学的な次元に引き上げる、まるで魔法の如き力を、今まさに彼女は行使していた。
すべてはグラゴルモを撃破し、この戦いを皆の勝利で飾る為に。
「グラゴルモさんに、す、隙が出来ました! 今です!」
「任せて! このまま一気に仕留めよう!」
移動の速度が大幅に鈍ったことを確認し、小雪がアンゼリカに合図を送る。その好機を逃すこと無く、アンゼリカは輝きを放つ光焔の大剣を構え、切先をグラゴルモに突きつけた。
「私たちの心の光と焔よ、今最大の力となれ! 《神焔収束斬》よ、氷壁の王を貫けぇーっ!」
パラドクスを帯びた光の刃がグラゴルモに直撃し、その巨体を神の炎で焼き焦がす。
氷に包まれた地こそが楽園であり、常に氷を身に纏う凍土象にとって、その苦痛は想像を絶するに違いなかった。崩壊していく峡谷の隅々まで響き渡るような絶叫を上げて、グラゴルモが悶え狂う。
そうして小雪は、今や瀕死となった峡谷の王を見下ろすと、『鎖鋸神滅型モーラット・コミュ』を発動した。この戦いに、今こそ決着をつける。その決意を胸に抱いて。
「ボクたちは巨獣さんみたいに体は大きくはありません。けど、みんなで紡いだ力は巨獣さん以上、です!!」
直後、コダマの掲げた超巨大チェーンソーが、電源供給によって回転を始めた。
ただのチェーンソーではない。大勲章の力で武器改造を施されたそれは、今やその大きさが何倍にも拡張されて、尋常ならざる威力を湛え、兵器級さながらの鎖鋸へと変貌を遂げていた。人はおろか巨獣でさえ、触れたものは容易に切断するであろうそれが、派手な音を立てながら、いまグラゴルモめがけて振り下ろされる。
「か、神様もやっつけられると噂の武器、です。コダマ、やっちゃってください!」
「もきゅう!」
ブンッ――。
コダマの振り下ろす超巨大チェーンソーが、グラゴルモの巨体に食い込んだ。
刃はそのまま巨獣の肉を切り裂き、生じた摩擦熱がパラドクスに変じ、業火となってグラゴルモの全身を包み込む。
『ブオオオオオオオオォォォォォォ!! ォォォォォォ――!』
そして長い長い断末魔の絶叫が途絶えた後――小山のような巨体が、地響きを立てて崩れ落ちた。
それがゴンドワナ巨大高山の氷壁峡谷を支配したジェネラル級、『凍土象グラゴルモ』の最期だった。
かくして戦いに勝利すると、峡谷はいよいよ崩壊の速度を速めていった。
グラゴルモの死によって最後の柱を失ったように、崩落する氷壁によって戦場が覆い尽くされていく。イツカは飛翔で上空に飛び上がり、周囲からの攻撃が無いことを確認すると、仲間たちに離脱の合図を送った。
「皆、急いで! 崩れるよ!」
一刻の猶予もないとばかり、10人を超える復讐者たちが一斉に飛翔する。
そうして欠けた面子が一人もいないことを確認すると、彼らは勝利の喜びを分かち合いながら帰還の途に就いた。
「こ、これで、巨大高山は……ボクたちディアボロスの縄張りになった、でしょうか……?」
完全崩壊した氷壁峡谷の景色を見下ろして、小雪は呟く。
その答えを知る者はいない。だがグラゴルモ亡き今、高山の氷はいずれ融け、本来の姿を取り戻していくだろう。
今回の勝利が、ゴンドワナにおける巨獣勢力の一角を崩したこと――それは紛れもない事実なのである。
いまだ謎多きディヴィジョン、巨獣大陸ゴンドワナ。
その巨大高山を巡る探索と戦いは、こうして復讐者の勝利で幕を下ろすのだった。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【熱波の支配者】がLV3になった!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
最終結果:成功 |
| 完成日 | 2023年10月31日 |
| 宿敵 |
『凍土象グラゴルモ』を撃破!
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