咎追人(作者 蘇我真)
#平安鬼妖地獄変
#妖刀の鬼狩人
#妖刀
⊕
●咎を追う者
生暖かい風が吹く。野分――台風――が近いのだろう。
暗雲が垂れ込め、鼠色の空は今にも泣き出しそうだった。
京の都から離れたところにあるその村は戸をぴしゃりと閉め切っている。誰ひとり外に出ようという者はいなかった。
だが、それは正確には台風への備えではない。
「うぅ……腹、減ったァ……」
「食いてェ……きゅうり、食いてェなァ……」
河童達が村内を彷徨い歩いていたからだ。
村人たちは家に閉じこもり、お武士様助けてくれろと祈っている。
その祈りは叶えられた。武士がやってきたのである。
年の頃は15歳ほどだろうか、背は高いものの体が細く、甲冑を着こんでいるというよりも甲冑に着られている。浅黒い肌に鴉の濡れ羽色の髪をし、鳶色の瞳をしたうら若き紅顔の少年だ。
「人に仇なす悪鬼羅刹よ、この鴉丸(からすまる)が成敗いたす!」
家の外から聞こえてくる、まだ声変わりしたばかりの凛として初々しい声色。それでも今の村人たちには頼もしく聞こえたものだった。
「や、やめて……堪忍してくれェ……」
「う、ぐあぁぁっ!」
鈍い音。河童達の叫び。助かった、村人たちが見合わせる顔はいずれも喜色満面だ。
だが、村人たちは知らない。
少年が腰のおどろおどろしい刀を抜いた瞬間、その全身が黒いもやの影に変わっていたのを。
しばらくどたばたと争う音がして、ほどなく静かになる。少年の声が響いた。
「もう大丈夫ですよ」
おずおずと、家の扉がそこかしこから開いていく。そして打ち倒されて昏倒した河童達と刀を収めて無傷の少年とを認めて、一気に開け放たれた。
「あ、ありがとうごせえます、武士様!」
「どうか頭を上げてください、私のような若輩者には過ぎた礼です」
謙遜する少年の鳶色の瞳、その奥は光を吸い込むように昏く濁っていた。
●咎追人
「平安鬼妖地獄変で新たな動きがあったよ。鬼狩人の武士が姿を現して、妖怪を調伏してるぞ」
カマル・サディーク(人間の王墓守護者・g03220)は、言葉とは裏腹に暗い顔をしていた。
「問題は、その武士も妖刀に支配されてることなんだけどな……」
ディアボロス達は攻略旅団の方針によって、旧都である奈良方面への道を切り開いていた。
しかし、奈良の都に向かえば向かう程に荒廃は酷くなる。
妖怪の被害や飢餓により村が壊滅する。すると生き残りの村人が妖怪になり、近隣の村を襲う。そうして襲われた村の生き残りが妖怪に……という惨事の連鎖が発生していた。
そんな襲われる村のひとつに鬼狩人の武士が駆けつけ、妖怪を打ち払い村を守ってくれる予兆が見えた。
だが、これは偽りの希望に過ぎない。
今回カマルが見た鬼狩人の武士は妖刀を持つクロノヴェーダであり、村人から覚醒したばかりの妖怪達を叩きのめし、戦力として連れ去ろうとしているのだ。
「今からパラドクストレインで向かうと、河童になりたての村人たちが近隣の村へ向かう途中の時間帯につく。だからみんなには、妖怪にならざるを得なかった村人達を救出し、その後、鬼狩人の武士がいる村に向かってクロノヴェーダ、鴉丸を倒してほしいんだ」
妖怪はなり立てのうちなら、人間に戻せる可能性がある。とはいえ、その条件は簡単ではない。
彼らは飢え、荒みきっていたから妖怪へと堕ちてしまったのだ。ただその場だけ救ってもそのうちまた妖怪になってしまうだろう。
なので、まず彼らの村を暮らしていけるほどに復興させてからその旨を伝え、納得させてから撃破する必要がある。
カマルは続いてタブレットで周囲の地図を指で描いていく。
バツ印のついた村は、川の傍にあった。
「ここが、河童になった人たちが元々暮らしてた村。傍の川がたびたび氾濫して田畑や家を打ち壊していくみたい。もし復興をするのなら、治水的なサポートをしてあげるといいんじゃないかな」
そこから指先を滑らせて道を描き、山裾、ふもとにあるマル印のついた村へとつなげる。
「ここがボクが予兆を見た村。元々、バツ印の村とは親交があって、バツ印の村から魚とかを貰って、代わりに山菜をあげてたみたいだ」
河童はカマルが描いたこの道を通ってマル印の村へと向かうかはわからない。ただ、河童となった村人達は覚醒直後である為、動きが鈍い。村から足跡をたどって追いつくのは難しくないだろう。
「なんで流れとしてはまずは、彼らが河童から人に戻っても生きていけるように廃墟となったバツ印の村を復興した後、移動する河童達の元に向かって戦いを挑むといいんじゃないかな」
帰るべき村がある事を説得しつつ戦い撃破することで、河童になってしまった村人を元に戻す事ができるはずだ。
「その後だけど、マル印の村で武士、鴉丸の持つ妖刀・縁切りと戦って倒してほしい」
村人を妖怪に変えたのも、この妖刀・縁切りの策略の可能性が高いとカマルは言う。
「鴉丸には悪いけど、ここで撃破しない限り、何度も似たような事件を引き起こす……助けたい、と思う人はいるかもしれないけど……」
戦闘時以外はまさに人間の武士のような立ち居振る舞いをするが、いざ戦いになれば妖刀として戦ってくる。
「すでに妖刀に魅入られて時間もかかってるから、人間には戻せないだろうね……でも、上手くすれば話はできるかもしれない」
武士は元々鬼と戦っていたはずだ。大江山の鬼について知っていることもあるだろう。戦いの手を止めて尋ねることになるが、挑戦してみる価値はある。
「これが平安鬼妖地獄変の世界なんだな……救いがないかもしれないけれど、だからこそ救いの光を見せてあげてほしい」
そう言って、カマルはディアボロス達に向かって頭を下げるのだった。
●咎を負う者
村には、何もなかった。
耕してきた田畑も、家も、何もかも。
「もう、何度目だろう」
老人の節くれだった、枯れ木のような腕から力が抜けていく。
「せめて、魚くらい残してってくれりゃあ……」
残ったのは濁流の汚泥や流木といった傷痕だけ。
「野菜、あの村から貰えねえかな……」
「無理だろ、だって交換するもの、なんもないんだぜ……」
「いいよな、あの村は鉄砲水もなくてよ……」
村人たちは話し合う。いや、ただ、呪詛を交互に吐き続けているだけだった。
「なんで、俺達だけ……」
悲嘆にくれる彼らの腕が、伸び始める。
「アイツらダッテ……同じ目に遭えバ……」
髪の毛が抜け、頭頂部から皿が覗く。伸びた腕には鱗がポツポツと増え始める。
羨望、嫉妬。彼らは罪という名の甲羅を背負っていた。
リプレイ
シャムス・ライラ
天災はどうしようもないが…
村人の為少しでも尽力できれば
「暁の一片」を使用
【活性治癒】で村人や生き物達を癒す
これでいくらか息を吹き返してくれれば良いが
さて、鉄砲水が問題ならば
【地形の利用】を使用
川の幅が狭いのか、川底が浅いのか
この土地柄について情報収集し
村人と共に対策を練ってみよう
何度も水害にあっているなら
浸水地域や堤防が切れやすい場所もわかるだろう
まずは地図を作成
家や重要な施設は危険な場所には立てないよう
組合を作り当番制で堤防を見周り
破損個所は修繕するのが良い
大規模な洪水に備え
上流に敢えて遊水地
つまり水を溢れさせても良い場所を作り
下流での水害を減らす方法もある
仲間と連携
※アドリブ歓迎
伊狩・真琴
心が荒めば人も妖怪に至る……私も気を付けないといけませんね。
さて、治水工事と言えば川の幅を広げたり、
大きな池を作って増水しても溢れにくくしたり、
土壁を積み上げるといった事になるでしょうか。
それならば丁度いい手がありますね。
【鬼神通・大怪腕】で巨大な腕を呼び出して、工事をしましょうか。
宙に浮く巨大な腕を動かして、川を広げたり溜め池を掘ったり、
掘った土を積み上げて押し固めて堤防を作ったりしましょう。
余裕があれば、村に残った汚泥や流木も召喚した腕で拾ってどけるとしましょう。
自然に抗うのは並大抵のことではありませんが、
やれる限りのことはやっていきましょう。
歓裂・獅熊
腹減ってンのなら一杯食わせてやりてェ……ってのが料理人のサガってやつで。若輩ながら助太刀致しやす
とは言え治水は門外漢。サポートに徹しやしょう
【エアライド】で現場で小回りが利くようにして誘導係をやりまさァ。鉄砲水の跡となれば不整地でやしょうし、ジャンプで視点を高く出来れば捗りそうだ
後はスコップ片手にお手伝いをできればと。技能に関しちゃサッパリなんで適当に使い走らせてくだせい。積極的に協力的に働きまさァ
時間があるなら【料理】だな
村ン人らも腹ァ空かせてるでしょうし。重湯とかドロッドロになるまで煮込んだ粥とかなら胃腸にも良さそうだな。何ならお仲間が持ち込んだ芋とかも入れるか?
※アドリブ歓迎
ジェラーナ・キラーバーン
困窮する村人を救い導くのは私の務め。
偉大なる火の神の加護が村の皆様にありますよう、しっかり務めますわ。
生きとし生けるもの全て、食を謳歌する義務がございます。
という訳で炊き出しを行います。
私の聖なる炎を以てして四足の獣を狩り、スープを拵えて配りましょう。
それから景観。
荒廃した村の姿は痛ましいものです。
再生に必要なものは?
そうですね、炎です♪
ということで、ゴミや廃家屋など荒廃を連想する一切を焼いてさしあげます。
荒廃と再生の為の破壊は全く印象が異なります。
新しく土地を開き、村を興す。
さぁさ、これで呪い言葉を吐く余裕なんてありませんわよ。
偉大なる火の神の御心のままに、再生に向けて頑張りましょう♪
●帰るべき場所
「えェえェ、確かに川がうねうねと曲がりくねってやす!」
村内、エアライドで近くの廃屋の屋根に上った歓裂・獅熊(人間の特級厨師・g05192)は、地形を確認して声を上げた。
鼠色の空の下、灰色の髪に南風が吹き付ける。
その銀の瞳には大きく蛇行し、カーブの部分が細くなっている川が映し出されていた。
「ありがとう。やはり、この蛇行が氾濫の原因だな」
シャムス・ライラ(極夜・g04075)は出発前にカマルが描いた地図を思い起こし、そこに獅熊が確認した川を書き加えて状況を俯瞰する。
「川幅を広げたり、上流に遊水地を作る手もあるが……やはり、この蛇行した部分をまっすぐするのがいいだろう……頼めますか?」
「ええ、任せてください」
話を振られた伊狩・真琴(成鬼・g02897)がパラドクスを発動する。
「出ろ、大怪腕!」
鬼神通・大怪腕。宙に浮かぶ二本の腕。1本だけで彼女の身体ほどの大きさを持ち、その腕で川の向こう岸を掘り、土砂を運び、手前側の蛇行部分を埋め立てていく。
「こうやってまっすぐにすればいいんですよね?」
「ええ。私は計画は立てられても実行はできませんから、伊狩殿には感謝します」
「いえいえ、何事も役割分担ですから。ついでに堤防とか作ってもいいですか?」
「そうですね、余力があるのでしたら是非。見回りと建築場所について村人たちに伝え残さなくては。さて、どう伝えたものか……」
腕を組み考え込むシャムス。この時代の農民の識字率は低い。口伝えにするかしないだろうが、今この村には人がいない。
そう、いないのだ。誰一人。
「この世界では土葬が一般的ですか?」
村で獅熊へそう尋ねるシスター姿のディアボロスはジェラーナ・キラーバーン(救いの炎の伝道師・g04957)だ。
河童になった村人はいないのは当然として、餓死した遺体や濁流に呑まれたであろう水死体が散見される。生き残りはいなかった。
「えェ。確かそうでさァ」
「でしたら火葬は取りやめですね。彼らの信じるものの為に、敢えて教義を曲げましょう。彷徨える魂を導くことも大切ですから」
ジェラーナは遺体を土に埋め、墓を作る。
そうしてシスターらしく跪き、祈りの言葉を贈った。
「では……破壊と再生と参りましょう♪」
かと思えばその身体から燃え盛らんばかりの聖火を発生させる。
「さあ、偉大なる火の神の御心のままに……♪」
墓の横には集められた流木や廃家屋、折れ果てた木材の山。真琴とジェラーナが二人で一か所にまとめたものだ。
それをパラドクス、慈悲の聖炎が焼き尽くしていく。
「いやァ、めちゃくちゃに燃やしやすねェ、アタシの火力でもあれほどはやりやせんぜ……」
つなぎ役として村や川を行き来している獅熊は彼女が暴走しないか、いささか不安を覚えていた。だが、遺体の扱いを見て任せても大丈夫だろうと思いなおしてもいた。
「全てを燃やし尽くしたら、次は料理です。人々が妖魔から元の姿に再生なされたとき、口にするものが必要でしょう。四足の獣を狩り、スープを……」
「あァちょいと待ってくだせい! スープはいい考えでさァ、ただ獣そのまんまはいけませんぜ」
ただ、ことが料理に及ぶと話は別だ。そこは料理人である獅熊が譲れない。
「そういう人は胃腸が弱ってるのが相場でさァ、具はドロッドロに煮込んだ粥くらいにしといた方が無難ってもんですぜ」
「ふむ、煮込むのですか。では我が聖なる炎で一瞬のうちに灰塵へ――」
「だから弱火でじっくりコトコト煮込むんですってェ。えェと……今から煮込めば河童が人に戻った頃には食える塩梅にしやしょう!」
「ふふっ、獅熊さん、ジェラーナさんにつきっきりみたいですね。こっちまで声が聞こえてきます」
川岸、治水作業で額に汗を流す真琴とシャムスは、一息入れて声のする村の方を振り返る。
そこではシャムスが呼び出した隼が、上空を円を描くように飛んでいた。
隼が羽ばたく度に白光をきらきらとこぼしていく。
「ええ。でも帰るべき場所は賑やかな方がいいでしょう」
もしかするとあの癒しの光よりも、元気な人の声の方が活力になるかもしれない。そんな風にシャムスは思う。
「二足ですが、あの鳥も焼いてスープに……」
「いや隼は肉食なんで臭みが……っていうか、あれパラドクス! 食えやしませんって!」
氾濫しない川と食事、人々の笑い声。それらが用意されつつあった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【セルフクラフト】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【ガードアップ】LV2が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
那木・遠名
【アドリブ、連携歓迎】
村の復興支援は上手くいったみたいね。
なら安心して人に戻れるように、戦う最中もその事を語りかけていくわ。
河童達はまだ動きが鈍いようだから、まずは急いで追い付かないとね。
足跡を辿って駆けていくわ。
視界に捉えたら不意をつく為に木々を利用して身を隠しながら近づくわね。
「つらかったわね?でも人を襲っては駄目なのだわ?」
不意に背後から河童達へ語りかけながら【結界術】で暗闇の結界へ閉じ込めるわ。
「暮らしやすい村をあげるわ。だからちゃんと人に戻るのよ?」
微笑みながら式神の星を降り注がせて攻撃するわね。
無事に人に戻って、他の仲間が整えてくれた村で安らかに暮らしてほしいわ?
シャムス・ライラ
さて、受け入れ準備は整った
後は、伝えるべき村人達を元に戻してやらねばな
地図を見つつ足跡を辿り
【エアライド】で最適な移動経路を選択しつつ
河童になった村人達を素早く追う
追いついたら
有効ならば【友達催眠】を使用
もの柔らかに話しかける
住まいをなくし
生活の糧も失われ…
辛かっただろう
だが、村は治水工事を行い再生しつつある
もう、鉄砲水で家や畑が押し流されることはない
飢えることもない
だから村を離れ
他の人里から奪う必要もない
帰ろう
そして今度こそ
平和な村を守っていこう
「客の訪い」を使用
動物は、村人を怖がらせないような
兎やリスのような小動物を
戻った村人達には
堤防の管理の仕方等を説明
仲間と連携、アドリブ歓迎
歓裂・獅熊
今は河童でも元は村ン人ら。あんまり傷つけたかァないが戻す前にノす必要があるってんなら仕方ない
せめて長引かないように、全力でお相手仕りやす
戦場では【美味三昧砲】をお見舞いしまさァ。【料理】がアタシの特技ってのもありやすが【口福の伝道者】を発生させときゃ、後々お代わり出すときに役立つかも
あとは包丁の【投擲】で牽制やらお仲間の援護やらをし、間合いを詰められたら【グラップル】で対応。アタシより河童さんの技能レベルのが高ェんで苦戦するでしょうが、ガードアップもありやす。動きを良く見て精一杯防ぐとしやす
積もる話もございやすが、まずは飯だ。精魂込めてたっぷり用意しやした。腹一杯食ってくだせェ
※アドリブ歓迎
伊狩・真琴
村の受け入れ準備はこれでなんとかなるでしょうか。
後は村人の方々を急いで追いかけて、連れ戻しましょう。
話を聞いてもらうにもまずは落ち着いてもらわないといけませんね。
現状一番切実な問題は空腹でしょうし、そこについても話しましょうか。
今、私たちの仲間があなた方の村で炊き出しを作っています。
誰かから食べ物を奪わなくても、村に帰れば暖かい食事が待っています。
川だってもう溢れないようになっていますから、見に来てください。
相撲術で組み付かれたら【鬼神変】で腕を巨大化して受け止めて、
力尽くで投げ飛ばしましょう。
落ち着くまで、何度でも繰り返し相手になります。
●VSトループス級~新生
河童と化した村人達にはすぐに追いつくことができた。
彼らは山裾の村までの道の上をしっかり歩いていたからだ。
「足跡が辿りやすくて助かったわね」
那木・遠名(魑魅魍魎の主(再出発)・g01355)は先行して足跡を追い、村で復興作業をしていた面子を誘導する。
「まだクロノヴェーダになり立てということもあり、人の意識が残っているのかもしれないな」
シャムス・ライラ(極夜・g04075)は地図を仕舞う。河童の甲羅が眼前に迫っている、もはや地図に頼る必要もなさそうだった。
「アンタら、あの村ン人ですかい?」
歓裂・獅熊(人間の特級厨師・g05192)が声をかけると、河童の耳が僅かに反応した。
「あんだぁ……?」
「腹、減ったァ……」
ゆらりと河童達が振り返る。元が村人だったとは思えない容貌だ。言われなければただの妖怪として退治していただろう。
その足取りはおぼつかなく、どことなく生まれたての子鹿を思わせる。
「こりゃあ間違いねェですぜ、河童違いじゃございやせん」
「説得する相手を間違えていたら、元も子もないですからね……」
伊狩・真琴(成鬼・g02897)は苦笑しつつ、河童へと声をかける。
「いいですか、落ち着いて聞いてください。今、私達の仲間があなた方の村で炊き出しを作っています」
「炊き出し……」
「飯、よこせェ……!」
言葉に反応したのか、それともクロノヴェーダの本能か。河童の1匹は真琴へと襲い掛かる。
水妖相撲術。しかし、その技にはキレがない。腹が減っているのか、なり立てだからか。真琴を転がすこともできないでいる。
「そうやって誰かを襲ったり、食べ物を奪わなくても、村に帰れば暖かい食事が待っているんです」
やろうと思えば鬼人神で投げ飛ばすこともできる。だが、真琴はまだそうしようとはしなかった。
「そうそう、今頃弱火でじっくり煮込んでくれてまさァ……多分」
鍋の番を任せた何かが若干不安なのか、歯切れが悪い獅熊の返事。
「っつうか、もう今すぐ食いてェってんなら、ささッと拵えやすがねェ」
あいにくと粥は持ち運びに適さない。だから握り飯を懐中汁粉の要領で溶かし、ほぐしてやれば……と懐から飯を出したところで河童がその腕へと食いついてくる。
「あァもう、そんながっつかねェでくだせェ、腹いっぱい食わせてやりやすから」
抵抗しない獅熊の手から握り飯を奪い取ると、がつがつと食べだす河童。
「うめェ、うめェ……」
塩と菜っ葉の刻んだだけの具でも、彼らにはご馳走だった。
「つらかったわね? でも人を襲っては駄目なのだわ?」
遠名はその隙を突き、河童達の背後へと回り込む。結界術をいつでも展開できるようにしながら、語りかけた。
「暮らしやすい村をあげるわ。だからちゃんと人に戻るのよ?」
「ええ、食べながらで構いません。私達の話を聞いてください」
シャムスは河童達へ告げる。
「村は再生しつつあります。川の形を変えました。鉄砲水で家や畑が押し流されることもありません」
それは説得のために紡いだ偽りの希望の光ではなく、実際に治水を行った結果だ。
「だから村を離れ、他の人里から奪う必要もありません」
「そうそう。私もお手伝いしたんですよ、この力で」
真琴は鬼神変をここで出した。その圧倒的な腕力で組み付いていた河童を引き離す。
河童は地に転がりながら、呆けた顔で真琴を見上げていた。
食事と力、実際に体験したことで河童達、いや村人達も肌で理解したようだった。
「帰りましょう。そして今度こそ、平和な村を守っていきましょう」
彼ら、ディアボロスの言葉は真実であると。
河童達の動きが止まる。
「ふぅ……わかってもらえたみてェですね」
「後は、元に戻してあげるだけね。なるべく痛くないようにしてあげなくちゃ」
遠名たちは改めて武器を構える。
「見えぬは畏れ、星は疾く降り注ぐ……急急如律令!」
それは、クロノヴェーダを人に戻す、新生の光だった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV2が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
那木・遠名
河童になった村人も助けたし、戦う前に鴉丸さんとお話出来るかしら?
近隣の村に向かうわね!
【友達催眠】の力を借りて同い年くらいの村の子を数人連れて近づくわ。
「その腰の立派な刀…もしかして、貴方は噂の武士さん?私、貴方みたいな人に憧れてるのよ!」
村の子にも同調を求めながら会話するわね。
「そんな立派な刀があれば、私も人助けが出来るかしら?一体何処に行けば手に入れる事が出来るの?教えてくれない?」
上手く自分が妖刀の犠牲者として、目を付けられないかしら?
「えー、駄目?なら武士さんの武勇伝を聞かせて!一体どんな強い鬼と戦ってきたの?」
もし断られたら経験を聞いて、何か大江山の情報が無いかを探ってみるわね。
●大江山の鬼~咎競人
「その腰の立派な刀……もしかして、貴方は噂の武士さん?」
山裾の村にて。村を訪れた鴉丸を認めた那木・遠名(魑魅魍魎の主(再出発)・g01355)が声を上げると、それを耳ざとく聞きつけた子供達も駆け寄ってきた。
「えっ! ほんと!?」
「すげえ、めちゃくちゃ斬れそう!」
遠名が想像していたよりもやや幼い面々だったが、及第点だろう。子供が鴉丸を取り囲む。
「いや、私はそれほどの者では……」
たじろぐ鴉丸。遠名は最後まで言わせない。
「そんな謙遜しちゃって! 私、貴方みたいな人に憧れてるのよ! ね?」
子供達へ顔を向けて同意を求めると、そうだそうだ、と同調の声が返ってくる。
武士様はこの時代のスーパーヒーローだ、扇動するまでもなく周囲の注目を一身に集める。
「参ったな……いいですか皆さん、もうすぐ妖怪が――」
「そんな立派な刀があれば、私も人助けが出来るかしら? 一体何処に行けば手に入れる事が出来るの? 教えてくれない?」
遠名が矢継ぎ早に声をかぶせて言葉を切る。刻まれる眉間の皺。鴉丸の困惑顔の中に、かすかな苛立ちが生まれていた。
「生憎、この刀は父から拝受したもので……」
「えー、駄目? なら武士さんの武勇伝を聞かせて! 一体どんな強い鬼と戦ってきたの?」
そして遠名が紡いだ何気ない一言が、鴉丸を豹変させた。
「鬼……そうだ、おれは、鬼との初陣で……っ!」
鴉丸は俯き、片手で顔を隠す。掌の奥でしかめ面が歪む。奥歯を噛み、耐えているかのように全身を震わせた。
「ぶしさまー?」
子供達も遠名と同じように、不思議そうな顔で鴉丸の異変を見つめていた。
「子供達を!」
鴉丸の全身に黒い靄がかかるのと、声がかかったのはほぼ同時だった。
成功🔵🔵🔴
効果1【エイティーン】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
歓裂・獅熊
敵を知り己を知らば……とも言いやす
アタシで良けりゃ、一枚噛ませて頂きやしょう
成る程。妙案でさァ。口下手なアタシにゃ思いつかねェ手でやす
ただ万が一、敵さんがキレたとき。村の子らが巻き込まれたとあっちゃァ、後味が悪い。虚無の剣やトラジディウェーブと似た技を使うって情報もありやすし、流れ弾がないとも限らねェ
っつー訳で、アタシは「遠名さんが一緒に連れてく村の子らをディフェンスする」と宣言しやす。近場の物陰に潜んでおいて何かあったら飛び出せるよう備えやしょう
【エアライド】もありやすし、最短経路で移動できるはずでさァ
何にもなけりゃァそれで万々歳。少なくとも遠名さんは情報収集に集中できやしょう
※アドリブ歓迎
盾破断煌刃。大上段から、全てを切り断つように放たれた刃を間に入った歓裂・獅熊(人間の特級厨師・g05192)が受け止める。
「ちいっ……!」
大包丁の腹で受け止める。しかしその威力はすさまじく、刃が滑り、持ち手の腕を薄くスライスした。
「アタシの出番がねェことを、祈ってたんですがねェ……!」
万が一の時の為、物陰に潜んで庇う機会をうかがっていた。おかげで鴉丸の攻撃を鍔迫り合いで受け止めることができたのだった。
子供達は多くが恐怖で蜘蛛の子を散らすように逃げていく。驚いて動けない子は遠名が抱き、避難させていた。
「鬼の名を出した途端、人が変わって……それがアンタの本性ですかい!」
「鬼……違う、おれ、は……鬼じゃ、ないっ!」
鴉丸の全身が黒い靄で覆われている中、顔部分だけは靄が覆えないでいる。
「こいつは……どういうことですかねェ」
「負け……おれ、弱かった……だからっ……!」
鍔迫り合いを続ける妖刀・縁斬りがより青白く光り輝く。
「こいつに、すがるしか……っ!」
黒い靄が今まで以上に噴出し、その顔を完全に覆いつくす。同時に、刀に込められた力が増す。
受けきれない。そう判断した獅熊はいなす方向に切り替える。包丁の腹を斜めに立て、持ち手をこれ以上切られないように腕を引く。
土煙が舞う。縁斬りの刃が地面へと突き刺さり、返す刀で地を擦り上げながら斬撃を放ってきた。
脛を斬られる。そう直感し、獅熊は跳躍する。足元から聞こえる風斬りの音。
安堵はしない。大包丁を立てて脇腹を守る。予想通り、再度の切り返しが来た。無重力状態での追撃を防ぐ。
撃剣の音。火花が舞う。直撃は免れた。それでも縁斬りは力任せに押し切る。空中ならば相手は踏ん張ることができないから、そのまま吹き飛ばし、地面に叩きつけてやればいい。
それが普通の相手ならば。
「よっ、とおッ」
エアライド。吹き飛ばされた獅熊は空中で受け身をとるように跳躍し、吹き飛ばしの勢いを完全に殺していた。軽やかに地へと足をつける。
「さて、敵さん、完全にキレちまったみてェですぜ。やっちますかい?」
大成功🔵🔵🔵
効果1【操作会得】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
レオネオレ・カルメラルメルカ
『イヒヒヒ。あっしはしがないウィザードでさぁ…』
一人称「あっし」
二人称は年上・同年代「(名前)のダンナ(姐さん)」
年下「(名前)の坊っちゃん(お嬢ちゃん)」
他者との連携やアドリブOK。
言動は三下のよう。
自分を弱く見せて平然と命乞いなどもするが演技であり、相手を油断させてからの攻撃をする。
演技が通じないと粗暴になり、一人称も「オレ」。
情報収集は相手をよく観察し、演技を交えて引き出す。
パラドクスは指定した物をどれでも使用、多少の怪我でも積極的に行動。
他のディアボロスに迷惑をかける行為はしない。
卑怯な思考だが、依頼の成功のため公序良俗に反する行動はしない。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●VS妖刀・縁斬り1
「へへっ、やっちまいましょうぜ、獅熊のダンナぁ!」
またガラの悪いのが入ってきた。
レオネオレ・カルメラルメルカ(陰竜・g03846)だ。十指に結んだ魔力の糸で戦場へと展開する。
「そっちのタネは割れてんだよ!」
地面を斬るような、低い脛切り。そこへお誂え向きに切れそうな魔力の糸を縦に束ねておいた。まるで藁つとのようだ。
レオネオレは跳ばない。ただ擦り足で後ずさる。脛の代わりに糸がざんばりと切れる。
すると、それが引き金となって上方から横倒しになった魔力の糸束が落ちてくる。踏み込んだ鴉丸の首を落とすギロチンだった。
縁斬りを振り切った鴉丸は踏ん張らない。そのまま肩から地面へと倒れこみ、地に背をつけるように半回転。上体を捻り、縁斬りの峰で落ちてくるギロチン糸を払いのけた。
「まだまだぁ! 死の舞踏は続きやすぜぇ!」
今度は地面スレスレをピンと張り詰めた魔力糸が、倒れこんだままの鴉丸の足元から滑り込んでくる。
鴉丸は即座に両手首を返し、ブリッジして体を持ち上げ、跳躍する。瞬間、血の華が咲いた。
「イヒヒヒ、ひっかかったぁ!」
上空に設置しておいた魔力の糸が鴉丸の身体を切り刻む。相手が避ける事を前提とした立体的な追撃罠。鴉丸のお株を奪う連続攻撃を食らわせて、レオネオレは哄笑するのだった。
成功🔵🔵🔴
効果1【壁歩き】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
伊狩・真琴
あなたがどんな方で、どんな思いで生きてきたのか、
正確なところは私には分かりません。
だけど、今のあなたは止めなければ。
念波の咆哮は気合いと意地で正面から受け止めて、真っ直ぐ進みます。
身体が押し返されそうなら、念動力で自分を押さえて無理矢理にでも前に進みます。
途中で相手が斬りかかってきたら、硬化した腕で受け止めて、
【鬼神変・骨頂砕】で妖刀を渾身の力で殴り返す。
救えなくても!意味なんて無くても!結果が何も変わらなくても!
アタシが殴んなきゃいけねえのはテメェだクソ妖刀!
ココ・ジスカールアンベル
■外見
笑顔(糸目)のシスター
同格の敵を攻撃する時は目が開きます
■性質
肉食昆虫の本質に、人間の血肉でかろうじて蓋がされたインセクティア。
敵と敵以外、肉と肉以外というような識別しかしていません。
戦闘しか考えない上に、言動は幻覚が見えてる系の純戦狂信者。
■行動
敵の視界に、唐突に、幽鬼のように現れます。
敵を同格以上と認識し、目を開いています
「貴方は肉ですか……?わが主の敵ですか……?」
敵の回答がなんであれ、まるで蟷螂のような動作で、パラドクス【星画く石蒜】により多重の居合を放ちます。
「わが主の敵は……何処でしょうか?」
攻撃後は、急に興味を失ったように、ふらふらと去っていきます
■その他
アドリブや連携歓迎
●VS妖刀・縁斬り2
突如始まった戦闘、巻き込まれないように家へと閉じこもり、戸をぴしゃりと閉める山裾の村人たち。
「あなたがどんな方で、どんな思いで生きてきたのか、正確なところは私には分かりません。」
伊狩・真琴(成鬼・g02897)の声は、もう全身を黒い靄に包んだ鴉丸には届かない。
「ウゥ……ウゥゥ……オオォォッ!」
呻くような、威嚇するような、獣じみた声を上げながら襲ってくるばかりだ。
「だけど、今のあなたは止めなければ!」
真琴もまた、言葉を届くことを期待してはいなかった。それは自らを鼓舞する為の宣言であり、意識して枷をかけてきた己の激情を解き放つための決意表明だった。
「オオォォオォォォオオンッ!!」
言葉にならない叫び。怨嗟響吼波だ。この世への怒りと絶望を込めた念波の咆哮が響く。
「ぅるせえぇッッ!!!」
質量を持った衝撃波を気合いと意地で真っ向から受けながら、一歩、また一歩と歩を進めていく。
「救えなくても! 意味なんて無くても! 結果が何も変わらなくても!」
鬼の血が真琴の腕を肥大化させる。
「アタシが殴んなきゃいけねえのはテメェだクソ妖刀!」
筋肉で何倍にも膨れ上がった腕で妖刀を殴りつける。
凄まじい衝撃。鴉丸の橈骨が砕ける。手首が折れ曲がってはいけない方向に反り返っている。それでも妖刀・縁斬りは鴉丸の手から離れようとしなかった。
「貴方は肉ですか……?」
そんな幽鬼のような鴉丸の前に、もう一人の幽鬼が現れる。
ココ・ジスカールアンベル(甜血の蟲籠・g04970)だ。銀の髪を黒の修道服に隠し、目深に被った頭巾の奥では笑顔を張り付けていた。
「わが主の敵ですか……?」
「ウゥゥウゥ……!」
鴉丸は答えない。折れた手首を補うように妖刀を両手で握りこむ。
「……わが主が与え給うもの……そして、わが主が奪い給うもの……」
自らに向けられた膨れ上がる殺意を感じて、ココは身を低くする。それは敵を認識すると自動的に反応する、機械のようだった。
「ウォウッ!」
鴉丸は足を払う一撃を放つ。手首を負傷したとは思えない威力を誇る一撃は、足を刈るには充分だっただろう。相手が二本足の人間ならば。
「それは貴方ですか……?」
言葉と同時に幾条もの剣撃が放たれる。数の暴力に、力強い一閃は弾き返された。
「違う……わが主の敵は……何処でしょうか?」
傷つけた手ごたえを虫の腕に残しながら、ココは興味を失ったように呟くのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【命中アップ】がLV2になった!
那木・遠名
まさか鬼の単語を聞くだけで暴走するなんて、よほどトラウマなのね?
抱いて避難させた子供達の頭を軽く撫でて、すぐ戦闘に加わるわね。
「残念だけどお話の時間は終わりね?」
今回の尻尾は一尾よ。
戦闘に戻るまでの間に捩じり終えて強度を増すわ。
そのまま駆ける勢いを乗せて尻尾を振り抜く一撃でご挨拶よ。
2段階溜まった【ネメシス形態】で尻尾の強度も増してるわ。【ダンス】の要領で接敵したまま鴉丸の周りをくるくるして、尻尾で刀と打ち合うわよ。
味方の皆が攻撃してくれると思うから、その隙をついて尻尾の螺旋を解放、貫いてみせるわ。
上手く倒せたら、最後にもう一度「初陣」の状況について聞けないかしら?
駄目元で話しかけてみるわね。
「残念だけど、お話の時間は終わりね?」
那木・遠名(魑魅魍魎の主(再出発)・g01355)は抱いて避難させた子供の頭をひと撫ですると、戦線へと復帰する。
「ここからは妖としての戦いよ」
遠名の妖狐の尾は捩り終えられている。今にも爆発しそうなほど、ギチギチに捩られた尾。
一尾の螺旋を解放すると、超速で遠名の身体が弾け飛んでいく。
「ウオオォォォォオオォッ!!」
鴉丸の叫びが、ビリビリと肌を刺す。質量を持った衝撃波のように遠名の勢いを削ぐが、完全に殺すまでには至らない。
「いい加減に、しなさいっ!」
ネメシス形態に変化した遠名は、舞を踊るかのように途中で起動を変える。正面からではなく側面、尾がしなやかな鞭となって鴉丸の頬と妖刀を同時に貫くように叩きつけられた。
普段ならば柔らかい毛並みかもしれないが、戦闘中の今では鋼鉄の固さを持っている。
その一撃を受けた妖刀・縁斬りの刀、その峰に小さくヒビが入った。
「あと一押しって感じね……」
歯痒そうにしながら、それでも遠名は仲間に後を託す。自分の分も聞いてくれるだろうと信じて。
成功🔵🔵🔴
効果1【狐変身】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
シャムス・ライラ
哀れとは思う
もう、戻れないのか…
子ども達の安全を確保し参戦
【忍び足】【エアライド】【モブオーラ】を駆使して接敵
交戦中の敵の背後に気配を消して回り込み
ネメシスモードで
ギミックブーツに仕込んだ刃で鋭く蹴り付け
急所に「アサシネイトキリング」
【怪力無双】【早業】で
素早く重い一撃を
せめて苦しませぬよう一息に
敵の攻撃で無重力状態になったら
【エアライド】で空を蹴り回避行動
変則的な動きで【攪乱】を試み
仲間の攻撃の陽動になるよう動きつつ
隙を見せれば再攻撃
止めを刺せそうならば
【捨て身の一撃】で一気に決着をつける
遺言があれば聞こう
もう君のように利用されるものが出ぬように…
仲間と連携、行動を補完
※アドリブ等歓迎
遠名の視界には、鴉丸の向こう、気配を消して忍び寄るシャムス・ライラ(極夜・g04075)の姿が見えていた。
「ッ!」
無言で蹴りを振りぬく。ギミックブーツの底に仕込んだ刃がきらめき、鴉丸の両足、腱を一文字に切り裂いた。
「グウウッ!!」
素早く重い一撃を両足首に受け、鴉丸は突っ伏すように倒れこむ。
まだ気は抜かない。手にしたままの妖刀・縁斬り。そのヒビの入った峰を、力任せに踏みつけてへし折る。
「オ、オオォォォ……」
断末魔。たちまちに、鴉丸の身体を覆っていた黒の靄が消えていく。そこに残ったのは手首を折り、両足の腱を切られて息も絶え絶えな若い武士だけだった。
「遺言があれば聞こう」
もう助からないだろう。せめて苦しむ時間を一秒でも短くするために、介錯を申し出るシャムス。
鴉丸は地面に這いつくばり、顔をしかめたまま、ただわずかに呻いた。
「おっかぁの芋粥……食いてぇ……」
「そうか……」
この世ではもう叶うことがない、何の変哲もない、ただの望みだった。
だからこそ、このような平凡な若い武士が命を落とすという事実がシャムスに今一度の決意をさせた。
彼のように利用されるものが出ぬようにしなければならない。
音もなく、静かに命を奪ってやりながら、そう決意するばかりだった。
●エピローグ
「この時代の芋粥ってのは別に粥に山芋を混ぜたモンじゃねェんでやすが」
川沿いの村へ戻ったディアボロス達は、河童から元に戻した村人達へ約束通り粥を振舞っていた。
山裾の村付近で掘った自然薯をすりおろして、とろろ粥にしている。
「まァ、これなら食いやすいし滋養もつくでしょう」
村人達も久しぶりの食べ物にありついて、自然と笑みをこぼしている。
火力が強すぎたのか、妙におこげになっている部分をこそぎ取りながらその味が確かなことを確かめたりしつつ、シャムスは重要な施設や家を建ててはいけない場所を口頭で指示しておく。
こうしてディアボロス達は僅かな時間彼らと触れ合った後、新宿島へと帰還するのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!