リプレイ
百鬼・運命
【ヨアケ】で参加
■心情
島津豊久…いろいろと有名な猛将だ
軍師としては不謹慎だが、相手が高名な武将というなら剣士としては腕が鳴る
きっちり倒して沖縄を奪還させてもらおうか
■考察
さてと情報は大事だし、出来れば島津豊久との会話を弾ませて少しでも情報を得たい所
天魔武者がどうやって沖縄に来たのかとか、追い払った冥海機の事とかも気になるしな
なのでできるだけ🔴を貯めない様に戦おう
■行動
相手はジゲン流剣士
示現流相手ならよく初立ちを躱せというが…他にも先手を取って斬り倒すのが有効だろうか?
大太刀を構えて『勇鼓吶喊』を使用
突撃してくる敵に対して防御が無意味なら、此方も真正面から斬り込み【先行率アップ効果】で先手を取って倒していこう
普段は搦手の方を好むが、たまにはこういうのも悪くない
豊久と会話することを考えるなら、そのほうが受けもいいだろうしな
とはいえこの戦い方だと倒した後にスキが隙ができやすい
【未来予測】も使って敵の位置を予測しつつ、ヨアケの味方と連携してお互いの攻撃後の隙を失くすように立ち回っていこう
●
ディアボロスたちはとうとう沖縄奪還にこぎつけた。
「軍師としては不謹慎だが、相手が高名な武将というなら剣士としては腕が鳴る。きっちり倒して沖縄を奪還させてもらおうか」
敵将は”薩摩隼人”島津豊久……いろいろと有名な猛将だ。
百鬼・運命(ヨアケの魔法使い・g03078)は肩をすくめつつ笑った。
脳裏に描く図面は色々と青い。青写真は確りと詰めて現実に変えねばならぬ。
「さてと情報は大事だし、出来れば島津豊久との会話を弾ませて少しでも情報を得たい所だ。天魔武者がどうやって沖縄に来たのかとか、追い払った冥海機の事とかも気になるしな」
運命は此処で軍師としての思考を留めた。
話の流れを溜めて動かない状況にはせず、意気揚々と話させる流れを作る。
魔法を使うのではなく、まるで魔法の様な所業を導く事こそ軍師のお仕事だ。
「示現流相手ならよく初立ちを躱せというが……むしろ、ここは他にも先手を取って斬り倒すのが有効だろうか?」
パラドクスは基本的に必中だ。
ゆえに単純な殴り合いをするならば基礎底上げ系の残留効果が有効。
状況により最適解は千差万別だが、その上で彼一人だけではなく今回の仲間たちの作戦を聞いた限りでは、先制能力の底上げこそが最も有効だろうと判断した。
「普段は搦手の方が好きなんだけどね、たまにはこういうのも悪くない」
「……頭で考えることをやめる。そっちの方が好きだね。何かに打ち込めるってのは、すごくいい時間だしなあ!!」
運命が神刀を抜いて方まえると、仲間が聖剣を解放した。
余計な事は考えない、夕日をバックに気持ちよく殴り合う。
そんな戦いは軍師には合わないが、剣士としてなら理解できるし、それは別の立場である仲間も同様なのだろう。
そして敵味方が邂逅する。
ゆっくり、急いで、ゆっくり、急いで。そんな感じでペースを緩めていた敵が立ち止まって逆襲に出たのである。
『よーやく来たか! 歓迎すっど!』
『待ちかねたど!』
敵は逃げるのを止めた。
正確には後方へ向けた交互に行っていた緩急の動きを、一気にディアボロス側へと向けたのである。
「躊躇が無い。流石は薩摩! 行くぞ!」
『イーエエアアアア!』
運命は仲間のエールもあって敵とすれ違うように神刀を振るう。
文若の徒と侮られる事も多いし、ネタ扱いされることも多い。
だが、剣士として本気を出した彼は血気盛んに切り込むことも出来るのだ。いや、どの姿も彼であり必要に合わせて切り替える精神性こそが本性であろう。
『キエェエエエエエエエエ!』
敵は一気に切り込むと全力で斜めに切り込んで来た。
示現流の元になった流派の一つ、タイ捨流は走り込む機動剣術だ。
戦場で走って敵の元に飛び込み、当て易いように斜めに切る。そして当てることを重視したタイ捨流から、威力重視に切り替えたのが示現流である!
「……おとっとお! 味方同士の間合いを調整するぞ! 連携して被害を抑えるんだ!」
是ならば行ける!?
だが完全には避け切れなかった運命は、その傷みよりも複雑に変わる未来の予想に顔をしかめた。
未来予測は必ずしも戦闘向きではない、ゆえに味方同士が連携し易い方向に動く為に絞って、流れを変えようとしたのである。
「さて、敵の豊久はどう感じるやら? 出来れば今後の為にも喜んでて欲しいんですがね」
「ああ。豊久と会話することを考えるなら、そのほうが受けもいいだろうしな」
エールを送ってくれた仲間とハイタッチしながら運命は頷くのであった。
こうして釣り野伏に挑むか挑まないかより別たれた未来は、ひとまず進み始めたのである。
🎖️🎖️🎖️🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【未来予測】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
月見里・千隼
【奴崎組】
※連携、アドリブ歓迎
島津豊久…
薩摩屈指の勇猛果敢さで有名だな
豊久の狂気は部下のトループス級の末端まで行き渡り士気は高く
ほんのひと時でも油断し引き摺りこまれれば
ひと呑みされ喰われるほど凄まじい覇気だが
逆に俺達復讐者が薩摩の天魔武者を残らず全て呑み込むように確実に討伐するぞ
伊吹の故郷である沖縄本島奪還は俺達夫婦の悲願の一つ、だからこそこの決戦は絶対に負けられん
俺は敢えて釣り野伏せを発動させて島津豊久と話してみたい
戦場は武者の晴れ舞台、ならばド派手に戦おうか
作戦であれど背を向けて惨めに死ぬか果敢に挑み死ぬか位は選ばせてやる
『血腥月』で炎の魔力が込められた弾丸を撃ち
チェストする敵なら振り下ろされる初太刀に刻印をつけ刀ごと爆破
俺へ向かう敵の地面に刻印をつけ爆破
更に発生した引火性の高い微細な粒子に着火して蹂躙するかの如く一気に爆破して囮も伏兵ごと冷徹に殲滅していこう
は、はははっ…!
生憎、貴様らの刃でくたばるほど俺はひ弱ではないぞ!
命を賭けた駆け引きはやはり血が騒ぐ、面白くなってきた!
凍雲・雪那
【奴崎組】
アドリブ連携歓迎
釣り野伏は発動させる方針
ん。釣り野伏……また、面妖な魔術を。
そっちの犠牲に釣り合うよう、強化される術、だね。
ふーん……上等。敵の策が何だろうと、腑喰い破って敵を倒すがディアボロス。
死にに来るなら、遠慮無く冥府に送ってやるよ、ジゲン流。
敵の知恵捨に、こちらも二の太刀を考えないで吶喊。
確か、シチューにカツを求める、だっけ。
どうせ互いの攻撃は必中。下手に逃げても意味が無いなら、敢えて距離を詰めるよ。
丁度、ボクの術も——触らなきゃ意味が無いもので。
刀を振り下ろすその瞬間に、半身になって斬撃を避けつつ、パラドクス発動。
僅かでも、少しでも、何処だって構わない。触れればそれで、それだけで良し。
真白き霜に包まれて、雲耀の間に凍て尽くせ。
ん。
トループス級と言えど、喜んで死にに来る覚悟は見事。
やっぱり、亜人のクソ共とは違うね。
……まあ、だからなんだって話だけどさ。
敵は、クロノヴェーダは、何であろうと叩き潰す。
さあ、次はその身体、凍り付かせてやるよ島津豊久。
●
「……沖縄本島を解放するには島津豊久をやっつけなきゃだねぇ」
「島津豊久……薩摩屈指の勇猛果敢さで有名だな。強烈なナニカを感じる」
月見里・千隼(硝煙と魔弾の騎手/現代ラストジョッキー・g03438)は愛する妻の言葉に頷いた。
豊久の狂気は部下のトループス級の末端まで行き渡り士気は高い。
「ほんのひと時でも油断し引き摺りこまれれば、ひと呑みされ喰われそうな凄まじい覇気だな。だが、逆に俺達復讐者が薩摩の天魔武者を残らず全て呑み込んでやろうじゃないか」
ゴクリと唾を飲みたくなる。
だが千隼は喉の水分が全て蒸発したような感覚を抱いた。
そして狂騒が自分にも伝播していくのを感じる。
「アイドルも小細工せずに、自分達の力で堂々と戦いトップに上り詰めてこそ本物! この作戦となにか通じるものがあるわね!」
「あちらが罠に嵌まるのを望んでいるなら望み通りにしてやろうじゃないか! こっちも罠を仕掛けるが悪く思うなよ。これが俺たちの戦法だ」
彼の声に仲間達が次々と応じる。
島津兵たちの狂気が、敵将の狂気が伝染したかのようだ。
仲間の故郷であり、戦えぬ人々が住まう沖縄を取り戻す! その為にディアボロスたちは命を懸ける!
「ナニカを感じる……ん。これが冥海機が攻めあぐねていた理由、かな」
「ん。釣り野伏……また、面妖な魔術を。あっちの犠牲に釣り合うよう、強化される術、だね」
その時、雪の様に、灰の様に揺らめく何かを感じた。
仲間の言葉に凍雲・雪那(報仇雪恨の皓巫姫・g07783)が静かに応じる。
その仲間ともども顔色を変えず、ただ無表情に戦場を観察していた。
「ふーん……上等。敵の策が何だろうと、腑喰い破って敵を倒すがディアボロス。死にに来るなら、遠慮無く冥府に送ってやるよ、ジゲン流」
雪那の顔色は変わらないが、決して無感動ではない。
永久氷壁の様な表情と白い肌に、火の様に熱いナニカが蠢く。
「罠を認識した上で踏み抜き、相手の土俵に立った上で勝ってこそ、我々の強さを見せつけられるのではないでしょうか」
「ほな全力で釣られてあげましょか」
同じ組に所属する仲間達もまた同様だ。
罠があるからどうだという思いがあるし、そも戦いは続く。
また同じような機会があるかもしれないし、ここで止まってなどいられまい。
戦列を組むために、あるいは此処で渡り合うためにこそ肩を並べた。
「作戦であれど背を向けて惨めに死ぬか果敢に挑み死ぬか位は選ばせてやる」
「確か、シチューにカツを求める、だっけ。こっちも行こうか、丁度、ボクの術も……触らなきゃ意味が無いからね」
千隼と雪那はそれぞれのスタンスで戦う事にした。
どの道、逆連鎖戦では必中である。
下手に逃げるよりも、敢えて前に出る雪那。そして動かずにその場で射撃する千隼であった。
「戦場は武者の晴れ舞台、ならばド派手に戦おうか。血のように、紅く爆ぜろ!」
千隼は銃で敵の刀に向けて射撃し、刃で何かが煌いた。
その瞬間に炎が逆巻き始めるのだが、特殊なクロノオブジェクトでもない限り、それで壊れたりはしない。
だが、相手の士気をへし折り、その得物を砕かんとする気合を込めて放ったのだ。
「やったか!?」
『キィエエエエエエ!』
燃え上がる爆炎に、仲間の誰かが叫んだ。
だがしかし、その瞬間に炎を立ち割って敵が千隼に切り込んだのだ。
されど、それもまた計算の内。敵の足元には何やら刻印が刻まれて居たのだ!
『デエアアアアア!』
「ぐっ!? だが、そんな事は承知の上だ。生憎、貴様らの刃でくたばるほど俺はひ弱ではないぞ!」
は、はははっ……!
そんな風に千隼は血煙に笑った。
刻印は爆破場所を示す印、敵の方何もつけたし飛び込むその場所にも刻んでいる。
『まだまだ! オアアアア!』
「そう? でも、ここで終わり。cold,frost,coma,――Hypothermia」
爆炎の中から斬りこんで行く敵に対し、雪那は指先を延ばした。
雪女の手が触れたかのように劇的な変化を見せる。
僅かでも、少しでも、何処だって構わない。触れればそれで、それだけで良し。仲間が設置した残留効果により、敵が振り向くよりも先に発動する!
「真白き霜に包まれて、雲耀の間に凍て尽くせ」
雪那が触れた瞬間に、周辺の気温ごと敵の体温が低下した。
そして次の瞬間には熱いと思う程に、温度が相転換する。
極低温で水分が凍結し、敵の体が無残に砕け散り始めたのだ。
『ぐふっ?! じゃっどん! ただでは死なんどおおおお!!』
「……っ。ん。トループス級と言えど、喜んで死にに来る覚悟は見事。やっぱり、亜人のクソ共とは違うね」
だが、敵の斬撃はそのまま振り下ろされた。
雪那を切裂きながら刃が砕け散っていく。
だが、肉を割き血をまき散らすよりも早く……ボロボロと、いやサラサラと砕けて行った。
「……まあ、だからなんだって話だけどさ。敵は、クロノヴェーダは、何であろうと叩き潰す。さあ、次はその身体、凍り付かせてやるよ島津豊久」
(「いつになく口数が多いな。だが、それは俺もか。命を賭けた駆け引きはやはり血が騒ぐ、面白くなってきた!」)
雪那の様子に千隼はあえて口にし無かった。
その心意気は嫌いではないが、クロノヴェーダは倒すなんて常識だ。ツッコミを入れる予知などはないのだから。
そして発動する釣り野伏。
ディアボロスたちの戦いやいかに?
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【寒冷適応】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
●
戦いが始まった。
キンコンカンと火花が散り、ガンガンガンと雷鳴にも似ている戦場音楽。
その眼差し、その絶叫、その命の輝き。
君を許さないという言葉と、君を愛しているという言葉に差がない様な真剣さだった。
『よか。よか兵児どもばい』
そこで若武者が笑っていた。
笑って言葉よりも重い刃の音、命のやり取りに笑っていた。
命の煌き、情熱の煌きに両手を広げて迎え入れていた。
『若先生。そのようにされては気付かれてしまいますぞ』
『はん! おいらを追い詰めた相手。とっくに気づいちょる。いや、誰もが釣り野伏ば気付かん。そんな幻想ば素てい』
『な、なんですと! いえ、どこかで使えば気が付かれる。当たり前でありもすか』
必殺の釣り野伏が見抜かれる。
そんな事を若武者は当然のように答えた。
それは直感であり、同時に冷め切った戦場の知恵である。
『じゃっどん、そいでは、なして罠にば掛かるちゅうて?』
『皆目見当つかぬ。じゃが、そこにきゃつらの意味があろ。ゆえに、あそこで愉しめるもんが愉しんじょる。勝利の為に罠と知って噛み破らんとす、ゆえにきゃつらも偉か兵児じゃ』
全力攻撃に全力攻撃で応対する。
罠に何らかの罠で逆襲する。
騙し騙され、あらゆる手を使って相手をぼてくりまわす。
必殺戦術へすら過信はしない、勝利に対して狂信はしない。
『来いや! 兵児ども来いや! どちらも偉か、我らが糧に成れ! おいらもみなの糧になるど!』
『おお! みなあつまっちゅう! おいらの英霊共が凱旋じゃ!』
『みい! 若先生が煌いちょる。みなの魂で輝いちょるぞ!』
若武者は背中に桜島を見た。
炎に燃えて、そして薩摩十字の飾りも旗指物も皆輝き始めていた。
釣り野伏も魔術の一種、将ごとに形態の差はあろう。だが、この若武者によっては、魂の煌きをまとい、鬼(幽鬼)と共にある事こそその姿! 幽鬼が軍団連れし若武者こそが、鬼島津が豊久である。
『かー! なんち羨ましか。若先生の元にみなあつまっちょう』
『ようし、おいも死ぬるぞ! 若先生と共に死ぬるぞ!』
だが、自分たちが仲間の為に、将と崇める漢の為に、同じ家中に属する仲間の為に将自ら命を懸ける。そこに護衛達もまた、心熱くのであった。
音羽・華楠
……私は、出来れば島津豊久と話したいです。
豊久が会話に応じてくれ易くなるなら、敢えて釣り野伏を発動させたいなと。
豊久との戦闘が大変になるでしょうが……そこは責任を持って、何とか出来るよう尽力する所存です。
……まぁ、他の皆さんが釣り野伏を発動させない方を選んだら、それはそれで仕方無いですけど。
ジゲン流剣士たちを追撃しますが――
……一の太刀にて敵を倒すことを理想とする、二の太刀要らずのジゲン流ですか。
私にも、二の太刀要らずを理念とする剣技があるんですよ。
……どちらが上か試してみたくなりました!
――《雷幻想・絶剣》!!
『フェアリーレイピア・ティンカーベル』を用いての超電磁抜刀術で、ジゲン流剣士たちを斬り捨てていきましょう。
敵の反撃の袈裟斬りも、それがこちらに届く前に相手を絶命させる――
或いは、振り下ろされる刀ごと相手を叩き斬る、それくらいのつもりで対抗します。
相手の大声、気迫に呑まれてなどやるもんですか!
『最初の一太刀を以って最後の一刀と為す』
私の考える抜刀術の極意です。
――堪能しましたか?
エレオノーラ・アーベントロート
ちょっと前にこの島で島津と名の付く武者とは戦いましたわね、あちらはアヴァタール級でしたけれど。
史実ではあの時戦った武者の甥にあたるとか。
うふふ、今日も愉しい戦いになりそうですわね。
戦場で、背を向ける敵がいるならやることなんて一つ。
この後のことなんて後で考えますわ。
こちらが追撃できる程度の速度で撤退を始めるジゲン流剣士を即座に追撃。電磁レールガンから「第九の魔弾【群像】」を投射。200に分裂する弾丸の弾幕でジゲン流剣士たちをブチ抜いていきますわ。
さぁさぁ、まさか背中を撃たれて死ぬなんて、無様な真似はしませんわよね?
その剣がわたくしの命を断つか、わたくしがその体を吹き飛ばすか、愉しく悔いのない最期の過ごし方を選んでくださいませ!
防御も回避も不要、宣言通り、弾幕をかいくぐって刀がわたくしに届くか、その前にわたくしの弾幕でブチ抜かれるかの愉しい命のやりとりをしましょう。
うふふ、イイですわね。
名前が同じだけの紛い物――なんて思っていましたけれど、認識を改めさせて頂きますわ。
●
未来から過去が垣間見える。
予知とはそんな物であり、正確にはそうではなくとも、物語として物語は綴られる。
「狂信的な忠誠心が、兵員の死亡を前提とした作戦を可能とする」
「それはどうにも、4世紀もの時を隔てても変わらない構造らしい」
「……冥海機と交戦していようと、所詮は同じ穴の貉。ならば同じように撃つまでだ」
そんな風に、とある少女が語ったという。
これは魔術『釣り野伏』が発動するまでの序曲。
砲撃の轟音、斬撃の切断音。剣電弾雨の戦場音楽を背景とした物語。
「ちょっと前にこの島で島津と名の付く武者とは戦いましたわね、あちらはアヴァタール級でしたけれど。史実ではあの時戦った武者の甥にあたるとか」
エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)はくすくすと笑った。
血煙あげて戦い合う人々、鋼の絆を結んだ天魔武者たち。
敵味方の上げる、その勲しを見て、楽しげに笑ったのである。
「うふふ、今日も愉しい戦いになりそうですわね。戦場で、背を向ける敵がいるならやることなんて一つ。この後のことなんて後で考えますわ」
エレオノーラは楽しいから笑った。
戦いが、敵味方の心根が、騙し騙されるのも嫌いではないが、命懸けの戦いこそ愉しやと。
「プレッシャーを感じます。みんなもでしょうか? 豊久が会話に応じてくれ易くなるなら、敢えて釣り野伏を発動させたいなと思いましたが……」
音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は周囲に満ちる気配を感じた。
これでは隠れるなど不可能であろうと思えるほどの強烈なプレッシャー。
もしかしたら将ごとに差があるのかもしれないが、少なくとも豊久は隠れる気など無いのだろうと思えるほどの強烈さであった。同時に見つけたら、手を振ってくれるのではないかと思えるほどに殺気が無い。
「……私は、出来れば島津豊久と話したいです。豊久との戦闘が大変になるでしょうが……そこは責任を持って、何とか出来るよう尽力する所存ですね」
「お好きになさったら? それもまた佳しですわ」
華楠の決意に対してもまたエレオノーラは笑った。
それぞれが術を尽くし、命を懸け、創意工夫を行う事こそが命の営みだ。
ソレを邪魔する気など無いし、眺めて居たいとも思うし、自分もまたソレを乗り越えて行きたいとも思うのだ。見守りたいと思うと同時に、自分の意見を貫こうと思うのもまたアリだろうとすら思う。
実際のところ、釣り野伏を発動させまいという作戦もまた良かった。
僅差であり、どちらが良しと言う訳でもない。
その上で方向性が決まったのであれば、それもまた良しとして戦い抜くべきだと残敵に迫ったのである。
「さぁさぁ、まさか背中を撃たれて死ぬなんて、無様な真似はしませんわよね?」
『きさんらがおいの死か? 来い!』
エレオノーラは敵の返事を良しとした。
どうせ殺し殺されるのだ、躊躇も情けも不要!
「その剣がわたくしの命を断つか、わたくしがその体を吹き飛ばすか、愉しく悔いのない最期の過ごし方を選んでくださいませ!」
『先に斬れば良かろうど!』
エレオノーラが放つ炸裂する魔弾。
それは投射されるや即座に分裂、その数は200.
強烈な弾幕が自らの体を貫くと知ってなお、敵は駆け続けた。
『イエエエエエエ!』
「うふふ、イイですわね」
ザン! と全力で振り下ろされる一撃に、エレオノーラは手を振ってガード。
レールガンが切断されるのを防ぐと同時に、避け切れない攻撃を最低限の動きで防いだのである。
「……一の太刀にて敵を倒すことを理想とする、二の太刀要らずのジゲン流ですか。私にも、二の太刀要らずを理念とする剣技があるんですよ」
自らの命を懸けているのに、口笛でも吹きそうなご機嫌な笑顔。
華楠はそれを見て苦笑したくなったが、自らの口元もまた吊り上がっているのを感じる。
狂騒が狂騒を呼び、ただの魔術師ではいられなくなった漢が此処に。
「……どちらが上か試してみたくなりました! 抜かば斬れ、抜かずば斬るな、この刀……ただ斬ることに大事こそあれ――急急如律令!!」
華楠は腰に佩いた剣に片手の指先を当てた。
そしてもう片方の指で印を組む。
二本の指が剣印と呼ばれる形を作ると、静に走り出したのだ。
「シャアァアアアアアアア!」
「――雷幻想・絶剣!!」
走り出し、敵が振り下ろす前に鈴がチリンと鳴った。
鞘走るは稲妻、イヅナと呼ばれる超高速の一撃である。
華楠は鞘と刃に反発し合う強烈な磁界を発生させていたのだ。
「最初の一太刀を以って最後の一刀と為す。私の考える抜刀術の極意です」
敵の反撃の袈裟斬りも、それがこちらに届く前に相手を絶命させる……。
そんな気迫で放たれ、その件すら砕かんと放った一撃である。
科学現象を妖精の力で補助し、そして陰陽五行がうち木気から金気に至る雷の力を持って放った攻撃である!
それは音を置き去りにし、雷すら切れるほどの剣速の居合を実現し、それを以って対象を斬る。!!
『ほうか。いずこの術理も同じか。考えることはみな同じじゃのう。ガハハハ! 次は……』
「……堪能しましたか?」
気が合いそうではあるが、敵であり、この島の住民を虐待した連中なのだ。
華楠はこうも思う。『そんな笑えるくらいなら、人々をどうして虐待したのか』と。
「良い敵でしたね。名前が同じだけの紛い物――なんて思っていましたけれど、認識を改めさせて頂きますわ」
(「そうかもしれませんね。でも、その態度は嫌いじゃありませんが……クロノヴェーダは好きには成れませんね」)
楽し気なエレオノーラの気分を邪魔する気にはなれない。
だが、それなら何でクロノヴェーダではなく、ディアボロスとして生まれなかったのかと疑問に思う華楠であった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【無鍵空間】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
【先行率アップ】がLV2になった!
百鬼・運命
【ヨアケ】で参加
■心情
さて、これで『釣り野伏』は発動
島津豊久も此方の会話に乗ってくるだろう
とはいえその分、敵の攻撃は苛烈だ
注意して立ち回らないとな
■考察
史実通りの『釣り野伏』なら伏兵と反転した囮部隊による包囲殲滅だが、魔術化した場合はどのように動くのか…
まあどのように動くにしても豊久は前に出てくるだろう
ならば突出して島津豊久の率いる部隊に食らいつこう
乱戦になれば包囲されるのは防げるし
伏兵がいるにしてもこの動きで釣り出せるだろう
■行動
まずは島津豊久の護衛を排除
【先行アップ】で先手を取り包囲されるより早く豊久達に肉薄
【トラップ生成】の煙幕で乱戦に持ちこみ、周囲に【赤嵐刃】の刃を浮かせて派手に斬り込もう
それと煙幕の効果はもう一つ
煙幕で視界が悪くして、味方の動きを隠す事
要は俺を囮とし、味方を伏兵とした史実の「釣り野伏」に近い戦法
囮として伏兵がいればそれを釣り出し、いなくとも豊久達の注意を引けば味方が「不意打ち」しやすくなる
なお囮として派手に動くので、その対策に【反撃アップ】の活性化は必須だな
アオイ・ダイアログ
【ヨアケ】から!
さて、初手は上手く行ったらしいですね
あまり後方に下がっていても仕方ないようなので、私も近場で立ち回りましょうか
その為のこの武器です!
運命さんの煙幕の中に突っ込んで姿を隠しますよ
【完全視界】で煙幕中の視界を確保します
とはいえ声でバレる可能性はあるので油断は禁物ですね
初撃は囮になった運命さんに食いつくタイミングまで我慢ですかね
囲んでくるなら跳弾する弾幕が結構刺さるはず!
肝練りしたい人は並べーっ!
運命さんの周囲にも撃ち込んで乱戦をサポートです
煙幕の中でも動き回って正確な位置は特定し辛くしますよ
釣り野伏で血気に逸ってるなら動きが読みやすく……なってるといいけど
声弾を刀に当てて逸らしたり、口にぶち当てて声を閉じさせたりして対処します
声量というだけなら私もそこそこ覚えがあるんですよ!
鼓膜の前に私の声で風穴開けてあげますよ!
●
聞こえるか! 緋猿の雄たけびが!
暴れ出したら、もう止められない!
『キィエエエエエエエエエー!』
戦場を切裂く大絶叫。
彼方から土煙を上げて飛び込んで来るナニカ。
「釣り野伏……。豊久の姿が見えない状態でも凄い圧を感じました。ですが……」
「これで『釣り野伏』は発動。島津豊久も此方の会話に乗ってくるだろうさ。とはいえその分、敵の攻撃は苛烈だけどな」
百鬼・運命(ヨアケの魔法使い・g03078)たちは恐ろしい程のプレシャーを感じるが、臆す気はない。
緒戦での勝利で戦況を優位にしつつ、島津豊久も会話に応じてくれ易くなったのだから。
全ては計画通りであるとも言える。
「注意して立ち回らないとな。史実通りの『釣り野伏』なら伏兵と反転した囮部隊による包囲殲滅だが」
「改竄世界史だと魔術の一種だったか。とても厄介だが、豊久に牙を届かせるには邪魔者を排除せねばな」
運命を始めとしてディアボロスたちは、頷き合って配置に着く。
窮地に立ち向かう不敵さがあった。
「あえてそちらの釣り野伏にかかってやろうじゃないか。直接斬るのだけが業じゃない。あっちだって策を弄したんだ。お互い様ってやつだ」
「ん。大将首に、齧り付くのも良いけど。変な所で、横槍入れられちゃ困るから、さ」
むしろこの窮地をチャンスに変えて、叩き潰してやろうという風情である。
そして敵味方がぶつかる前に、可能な限りの手配をした。
罠と判ってぶつかるならば、そのくらいはしても罰は当たるまい。
「さて、初手は上手く行ったらしいですね。あまり後方に下がっていても仕方ないようなので、私も近場で立ち回りましょうか」
アオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)は濛々とあがる土煙を見た。
重量物の突撃時に揚がるスモーク・ウォールだ。
今からやって来るんですねーと、他人事のように構える。
「まあどのように動くにしても豊久は前に出てくるだろう。ならば突出して島津豊久の率いる部隊に食らいつこうか」
「あ、来てます来てます。戦闘ですよー。じゃあ準備しますねー」
運命の言葉にアオイは背伸びしながら答えた。
掌を使って夕日の遮光を行ったりはしない。
また、目を凝らして土煙を覗きもしない。完全視界による残留効果で、周囲を完全に見通しているのだ。
そしてその時がやって来た。
反転突撃するクロノヴェーダと、迎え撃つ格好になったディアボロスの激突である。
「乱戦になれば包囲されるのは防げるし、伏兵がいるにしてもこの動きで釣り出せるだろう。よし、このまま……」
運命はトラップを設置し、周囲に煙幕を敷いた。
突撃陣と迎撃陣がぶつかる際に、乱戦に持ち込む為である。
だが、彼は一つだけ忘れて居た。
『チェーエエエエストオオ!!! 小賢しか!』
先頭を征く島津豊久は、鉄鞘を抜いて地面を切裂いて行く。
その猛威がたちまちのうちに煙幕を吹き飛ばしてしまったのだ。
そう、煙幕はパラドクスを使わずに行える片手間な行動。味方が片手間で出来ることは敵も出来る、あっという間に無効化されてしまったのである。
(「うえっ!? 運命さんが……持って行かれたあああ! でも! 運命さんの犠牲は無駄にしません!」)
煙幕が展開され、簡単に晴れて行く間をアオイは見ていた。
運命に隠れるように姿を消し、相手が動くのを待っていたからだ。
それゆえに一切の躊躇なく、攻撃が出来たのである。なお、運命は豊久に壁ドン(?)されただけで死んでない。
「この一瞬の隙を突きます! その為のこの武器です! 肝練りしたい人は並べーっ!」
『『おう!!』』
アオイは警戒に援護攻撃を始める。
それは敵集団の動きを巧みにとらえ、挑発もあって上手く嵌った。
煙幕は無効化されたんじゃないかって? 確かにそう、でも、それは一瞬ではない。そしてパラドクスはその一瞬の間に攻撃できるという事、一見無意味な行為であっても、意思疎通の取れた複数人で効率的に連携すればその意味は大きいのだ。
「包囲しようが陰に隠れても無駄ですよ。全てを暴く弾幕結界です!」
『逃げる気はごわはんど! 肝練りじゃあ! イエエエエアアア!!!』
アオイは走りながら、あちこちから現れた薩魔術師に対して二丁拳銃を撃ちまくった。
声を弾丸とした武装で、連射しあるちは跳弾で四方八方へと放つ。
敵は避ける気も無く打撃戦の構えであり、次々に炸裂していった。
「やっややややや! 声量というだけなら私もそこそこ覚えがあるんですよ!」
走って逃げるだけではなく、声の弾丸を敵の刀や口にぶち当てて攻撃の相殺を狙う。
響き渡り反射する声の弾丸は攻性防壁にも似て、声の結界が攻防一体の役割を果たす。
「鼓膜の前に私の声で風穴開けてあげますよ!」
「弾幕には弾幕、佳いですわね! うふふ、あなたたちもイイですわね! ご安心くださいませ。あなたたちを放っておいて大将首だけ狙いに行く――そんな野暮はしませんわ。きっちり全員ブチ殺してあげますから、全員そこに並びなさいな!」
アオイの他にも過密な攻撃を行う者がおり、ディアボロスたちは敵集団に一歩も引かない。
なお、その頃……ふっ飛ばされた御仁であるが……。
「くそっ!! 流石は島津豊久、いや釣り野伏か。読んでこれとは。だがし、俺の仕掛けはもう一つある!」
運命は神刀を掲げて豊久の斬撃をからくも防いだ。
正確に言えば通り抜けるだけの行動だったので、受け流す形でその場に留まったのだ。
足元には二本の足跡が残り、その脇に豊久が鉄鞘で刻んだ亀裂が走っている。
「アオイさん! 味方は!?」
「順調ですよー。オペ娘しましょうか? あ、そっちにも言ってますよ~」
まず運命が狙ったのは、味方の行動を隠す事。
しかしその行動には続きがある。
真っ先に相手の行動を抑え込もうとうする行動自体が囮なのだ、運命自身を囮とすることで、史実に近い釣り野伏を行う戦法である。もしトラップではなく別の残留効果であれば、完全に嵌っていただろう。
『しねい! 撃ち殺したるど!』
「来るのは知ってるさ。そして、既に攻撃は放って居る」
運命は二本の指先で一枚の符を挟んでいた。
それは既に放った斬撃を解放し、反撃を行うもの。
既に発動している効果を解放するだけであり、弾丸が撃ち込まれる速度よりも早く、無数の紅色の刃が敵を切り刻んだのであった。赤い嵐と銃弾が飛び交い、激戦を彩り始めたという。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
月鏡・サヨコ
私は武士ではなく、兵士だ
無為な死に浪漫を見いだす、妄想狂じみた性癖とまともに付き合うつもりはない
……これより、人類史を不当に占拠した敵軍を撃滅する
前線での激しい近接戦闘を支援すべく、後衛からの砲撃戦に徹する
仲間の背後や側面から迫る敵を攻めたり、行動した仲間の隙をフォローするように動き、部隊全体の損耗を抑えよう
仲間が劣勢に追い込まれたり、敵に包囲されたときは、【フライトドローン】を救援のために飛ばして、足場として脱出するよう促す
長時間の飛行は危険だけど、この乱戦の中なら一瞬乗り継ぐぐらいは出来るだろう
攻撃時は『水偵連携砲撃』を発令
《巡洋戦艦海戦装『黒姫』》から放つ子機の爆撃と機銃の弾幕で逃げ場を潰し、主砲からの砲撃を浴びせて粉砕しよう
今まで、沖縄本島での虐殺と略奪をほしいままにしてきたのだろう
そのツケにしては、これでもまだ安すぎるぐらいだ
反撃は【未来予測】で太刀筋を読んだ上で、《海戦装用増設防盾》を押し当てるように防ぐことで、胴体や首への直撃を免れる
●
土煙が上がり、あるいは煙幕が濛々と立ち込める中をディアボロスたちは見ていた。
奇襲にこそ意味は無いが、不意打ち気味に強襲してから、がっぷり四つに組む。
「関ヶ原で島津の総大将を逃すため鮮烈に散った猛者、そして島津の捨てがまり。こいつらは死を恐れてない。むしろ誉に感じてる」
「成る程、術師と名乗っちゃいるが其の実態は忠義熱く強力極まる勇士の集まり、と」
生きて、死んで、誰かの心の中にこそ鮮烈に蘇る。
そんな姿を見て、好ましいと思うディアボロスも居た。
だが、全員がそうであるわけでも無い。
「私は武士ではなく、兵士だ」
「無為な死に浪漫を見いだす、妄想狂じみた性癖とまともに付き合うつもりはない」
「だが、殿軍を殲滅した間に包囲されているな」
月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は静かな眼で戦場を観察した。
殺し愛いなどという、戦の中でのみ咲く仇花に興味はない。
敵は殺す、それが兵士の役目。兵器から兵士に成ろうともそれは変わらない。そしてディアボロスに成ったからには、クロノヴェーダを確実に殺すまでの存在だとサヨコは自分を規定したのである。
「前線での激しい近接戦闘を支援すべく、後衛からの砲撃戦に徹する」
「だが、その前にやって置く事がある」
「これで包囲網からの脱出が可能」
完全視界も使って戦場を観察。
冷静に戦闘で何をするべきかを判断するが、優先順位というものもある。
サヨコはフライトドローンの残留効果を設置し、その内の一台に命令、それが終わるとさらに一台に命令と言う風に、次々と指示を出しておいたのだ。
「どう行動するかは各々の判断に任せる」
「もはや躊躇は不要」
「これより、人類史を不当に占拠した敵軍を撃滅する」
サヨコは皆が包囲網より脱出できる手段を用意した。
足場として使えば脱出できるだろうし、視界を横切れば囮には成るかもしれない。
そこまでの用意をした上で、不安要素は捨てて攻撃に専念したのだ。
「これでもう逃げ場はない……撃てーっ!」
そして既に海戦装から放って居た子機を呼び出した。
主砲の着弾観測などのセオリー通りに使いつつ、戦場を観察する。
敵味方の位置を観測しつつ、子機も機銃で攻撃を掛けて行く。
だが、物事にはやはり優先度というものがあるものだ。以前の様な冷たい存在ではなく、否定するかもしれないが……今の彼女には心があるのだから。仲間の損耗を嫌い、後ろに回り込む敵を牽制し、あるいは倒れながらも隠れて攻撃を掛ける敵を見つけてトドメを刺していく。
『おのれ、このままでは死なんど! チェストー!』
「その動きは予測済み。問題ない」
打ち込んだ主砲へ、反撃として繰り出される強烈な斬撃!
海戦装に増設した、防盾で逆行する様に押し当て、威力を殺しながら致命的打を防いだのだ。直撃して胴や首が絶たれなければ、何の問題も無いと。
「今まで、沖縄本島での虐殺と略奪をほしいままにしてきたのだろう」
「そのツケにしては、これでもまだ安過ぎるぐらいだ」
「死ぬが良い」
何処までも冷たい声のまま……。
口数が多くなっている自分を観測するサヨコであった。
満足して死ぬ敵が許せないのか、それとも新宿での生活が、何かをもたらしたのかと僅かに疑問を覚えたのである。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
レオニード・パヴリチェンコ
釣り野伏せ、厄介な術ではあるけれど
これを踏み越えられなければ世界を取り戻せるわけもない
一歩ずつでも確実に進んでいこう
まずは護衛から倒させてもらう、よ
剣士の集団だとばかりと思っていたけれど、術士も居るんだ、ね
油断せずにいこう
弾幕相手に足を止めるのは悪手
幸い、銃口の位置は分かってる
腕の向きと動きに注視しながら動き回って弾幕すべてが直撃しないようにする、よ
キミたちの魔術も見事だけれどボクの魔弾だって負けてない
弾幕を掻い潜るように軌道を操った魔弾で敵の瞳らしき部分を撃ち抜く、よ
リュウ・ターレン
アドリブ歓迎
連携積極的に
周囲の味方をPOWでディフェンス
残していたらめんどくさいっつうんなら倒していくしかないわな。
ボスとは1対1で対面したい事やし!ほなそのそっ首貰ってくで。
【ダメージアップ】残しときたいところやね。一撃に全力出したいわけやし。【先行率アップ】で相手の先手を取り、【ダメージアップ】でその一撃を重くして、一撃でその首を取る。そういう目論見。
そして、パラドクスを。【青炎暴風】。
――字曰く、炎と風。青き炎は吹き荒れし荒々しき風によって煽られ、その勢いを増す。
炎と風で相乗効果で全部薙ぎ払ったらぁ!
相手の攻撃は念動力で敵の攻撃の軌道を少し操作しつつ、薙ぎ払いで攻撃を逸らしつつ、オーラ操作と【魔晶手甲】で防御固めてダメージ減らして致命傷回避。
致命傷さえ回避してればええんよ。後は動ける。動けるってことはまだまだ相手を倒せるって事やからな。
●
「釣り野伏せ、厄介な術ではあるけれど」
次々と迫り来る薩魔術師たち。
その脅威をかみしめるようにレオニード・パヴリチェンコ(“魔弾卿”・g07298)は迎え撃つ。
「これを踏み越えられなければ世界を取り戻せるわけもない」
包囲に回りつつも、迎え撃った仲間により減っていく敵。
一歩ずつでも確実に進んでいこうと意を新たにしたのである。
「まずは護衛から倒させてもらう、よ」
「残していたらめんどくさいっつうんなら倒していくしかないわな」
レオニードの言葉にリュウ・ターレン(奪われた者。奪い返す者。・g07612)は笑った。
これからもっと強い敵と戦うのに、わらわらと取りつかれてはたまらない。
四方からたかって来る姿はハエかそれとも怨霊かと笑ったのだ。
「ボスとは1対1で対面したい事やし! ほなそのそっ首貰ってくで」
リュウが水晶の筆を操ると、周囲の熱気が制御されていく。
それは戦いの為の力を導き、ディアボロス達には力を、クロノヴェーダには炎を与えて行く。
『ぬ? 暑い? こんなもん、おいらには効かんど! チェ……』
「南の人間に熱波が効かぬは承知! ――字曰く、炎と風」
迫る敵に対し、リュウは描き切った文字を軽く小突く。
さすれば周辺に炎をまき散らし、敵を猛火で包み込むのだ。
青き炎は吹き荒れし荒々しき風によって煽られ、その勢いを増す。
『チェストオ!』
「炎と風で相乗効果で全部薙ぎ払ったらぁ!」
炎を割って現れる薩魔術師!
リュウはその動きを読み、念動力と薙ぎ払いで攻撃を可能な限り逸らした。
そして自身も闘気を総動員しつつ、術を施した手甲で防御することにより、可能な限りダメージ減らしつつ特に致命傷を避けたのである。
「何がチェストや。致命傷さえ回避してればええんよ。後は動ける。動けるってことはまだまだ相手を倒せるって事やからな」
リュウは血煙に笑いながら、まだ衝撃の残る手を見つめる。
手を開き、握り、指先が動くことに満足しながら。
命があれば儲けもの、そして五体は満足、これでまだまだ戦い抜けるだろうと笑ったのである。
「剣士の集団だとばかりと思っていたけれど、術士も居るんだ、ね。油断せずにいこう」
レオニードはその様子を見ながら冷静に攻撃を始める。
動き回りながら残る相手の姿を観察し、可能な限り射線の中に入らないようにした。
『見つけたど! その首、もいだる!』
「キミたちの魔術も見事だけれどボクの魔弾だって負けてない。家の精よ、紡げ」
レオニードは放った魔弾を宿る精霊に委ねる。
地方によってさまざまな呼ばれ方をする、家の精霊が魔弾を住処として操り始めた。
敵が放つ銃弾を掻い潜り、その身へこちらも浴びせて行くのだ。
『うがっ! おおおお! だだだだ!!』
「っ! ……」
レオニードの放った弾は敵の顔面に直撃。
対して彼は敵の銃口を確認しながら避け続けていた。
逆連鎖戦ではパラドクスは必中、だが、弾幕全てが当たらない様に心掛けその威力を殺していったのである。
「これで……倒したかな? ふう」
やがてレオニードたちは全てのトループス級を倒し切った。
残るは薩摩隼人、島津豊久あるのみ!
少年の両肩を抱くように、お姉さんたちが豊久へと言葉を投げた。
「さ、島津豊久!沖縄でのバカンスは楽しんだかしら! 季節はもう秋なんだから、そろそろ帰ってもらわないと!」
「島津豊久、あんたの兵達はみーんな私達復讐者が溶かしたからねぇ。桜島に帰れないほど熱い太陽光で跡形も無く溶けて死ぬ命日にしちゃうよ!」
生きて帰らせる気は毛頭ない。
清々しく秋空澄み渡り晴れたいい天気の今日を、豊久の命日にしてやろうと、ディアボロスたちが集結し始めたのである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【寒冷適応】がLV2になった!
【温熱適応】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
●
死屍累々たる戦場。
島津の軍勢は一人の勝利も無く、同時に敗走も無かった。
全てが前を向いて倒れ、あるいはド根性のあまり無数の攻撃を受けてどちらが前後か分からないほどだ。
『偉か。みな、偉か。皆目見当はつかん、じゃっどん何かをおいは掴んだど』
島津豊久は仲間の死体を前に笑っていた。
残酷でも冷たいのでもない。
この窮地に対して自分くらいは笑わねば、仲間に対して失礼だと、花も実もある嘘をついているのだ。
『やあやあやあ、我こそは! 遠からん者は音に聞け、近き者は目にも見よ!』
『我は島津が家中、薩魔隼人ば島津豊久じゃ!』
『いざ尋常に等とは言わんど、これも戦の習い、夜討ち朝駆け当然じゃもんなあ。されど、おいはこれより戦線を布告す』
『薩摩の皆と、おのれらに戦いを挑むど! 天魔の武者よ、成るべし、寄るべし』
『おまんらの口上あらば聞いちゃろう。我ら島津に挑みし者の言葉があれば、聞いちゃろうぞ! のう!』
『『『おう!』』』
豊久が太刀を大地に付き刺すと、周囲から炎が吹きあがる。
それだけではない、倒したはずの敵が……まるで豊久の軍勢であるかのようにそこに居た。
いや、死体はまだそこにある。だが、思い出深き仲間達を覚えているかのように、幻影の兵士たちが豊久と共に集っていたのである。
『釣り野伏ば戦いは、これからよ。恐れぬのであれば掛かってこい! おのが意思を叩きつけんとするならば、口上ばあげるとええぞ! みなで聞いちゃるど!』
豊久の姿は紅蓮に輝き、背中には桜島のように猛火を従者に引き連れる。使者を英霊として引き連れる。
太刀はその意思を示し、何かあれば聞いてやろうと、ディアボロスの強さを認めて大地に突き立っていた。
三笠・濃藍
ピントのズレた質問の方がいい、との事だったね
なら、織田信長に関する事……逝去ではなく、周知の事実を掘り下げようか
以外と、最終人類史勢力は断片の王としての織田信長については何も知らないからな
ああ、良い戦いっぷりじゃないか
流石は薩摩隼人……織田信長の信も厚いだろうね
素直にそこは褒めるし、私が織田信長なら確実に重用するだろうからこれは本心だ
織田信長が君達にヤ・ウマトを制圧しろと言ったのは慧眼と言わざるを得ないな
ああ、成程……信長公は策士が本領なのだな?
何せあの陰陽師を裏で支配していた平安京の断片の王、安倍晴明を傘下に加えたがるのだから
実際にそうかもしれないし、そうじゃないかもしれない
しかし良き対応は『ピントが外れた質問』……織田信長は逝去しているかもしれない状態で、こう質問したら思わず突っ込みを入れるんじゃないかな
君の在り方は真っすぐかもしれない……
しかし、沖縄で流された民の血は君達のせいだ
故に、ここで責任を取ってもらうよ
●
最初の印象は灼熱の炎が迫るというものだ。
歩けばまるで溶岩が流れて来るかのようであり、跳ねれば噴火するかの如く。
だが、気の良い言葉を決め場、ハッキリとそこに『誰か』が居るのが伺える。
(「ピントのズレた質問の方がいい、との事だったね」)
三笠・濃藍(藍色の静寂・g09861)は島津豊久を見ながら思案する。
これより何を話すべきか、会話をどう導くべきかを悩む。
(「なら、織田信長に関する事……逝去ではなく、周知の事実を掘り下げようか。以外と、最終人類史勢力は断片の王としての織田信長については何も知らないからな」)
そこで信長の存命ではなく、その性質を尋ねることにした。
既に死んでいるならついでに語るだろうし、そもそも信長の情報すら知らないのだ。
正史で言われているような苛烈な覇王なのか、正史で再評価されつつある身内に甘い時代の再建者なのか、それとも全く別のタイプなのかすら判って居ないのだから。
「ああ、良い戦いっぷりじゃないか。流石は薩摩隼人……織田信長の信も厚いだろうね」
濃藍はストレートに感心することにした。
素直に『そこの部分』は褒めるし、彼女が織田信長なら確実に重用するだろうからこれは本心だ。対する反応は微妙に差があったが、そこは彼の性格的に理解できる範囲である。
『ほうじゃろう! 薩摩が兵児はみな益荒男ぞ。おまんらも良か兵児じゃが、おいらも負けとらんでごわす』
緋猿がニカっと笑った。狂騒の獣が俄に人となる。
周囲に満ち溢れていた焔気が、統御されて人の形に成ったかのようだ。
そして自らの威明である『薩摩隼人』という言葉を名指しされて、部下も含める辺りが島津豊久という武将が持つ人の良さなのだろう。
「織田信長が君達にヤ・ウマトを制圧しろと言ったのは慧眼と言わざるを得ないな。ああ、成程……信長公は策士が本領なのだな?」
『はん?』
濃藍が言葉を続けると、相好を崩した顔が少し動く。
指摘されたとかではなく、妙な事を言われて疑問を覚えたような雰囲気だ。
「そうだろう? 何せあの陰陽師を裏で支配していた平安京の断片の王、安倍晴明を傘下に加えたがるのだから」
実際にそうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
濃藍としては『ピントが外れた質問』……織田信長は逝去しているかもしれない状態で、こう質問したら思わず突っ込みを入れるのではないかと思った。だからあえてその言葉を続けたのだ。しかし、微妙な反応の差が、ここに来て大きくなった。それは彼女が意図した事の範囲か、それとも沙汰の外か?
『陰陽が寺の坊主を支配しとった断片の王を従えるは信長公が差配じゃろ、じゃっどん、こん戦は関係なか。この戦は島津が家中の戦ぞ。《七曜の戦》の間、他ディヴィジョンへの自儘な侵攻は禁止っち言われたが、その間は命を守とった、それが全てじゃ』
なんというか、『意識が完結している』というのが正直な感想だった。
あくまで自分は島津の一党であり、命令は七曜の戦で攻めるなというから守っている。
厳命された部分は護るが、言われて居ない事はしても良い。そして自分が従うべき命令、そして命を共にするべき兵は島津に属する兵だけだと言わんばかりの態度であった。
(「流石にディビジョンの区別はあるだろうけど、京都と高野山の区別がついてるかも怪しいな。下手をすると天海の事すら知らないかもしれない。まるで戦国物の小説を読んでるかのようだ」)
関与するのは島津だけで、場合によっては九州方面くらいだろうか?
他の地域をまったく気にしない辺り、戦国物の小説で出て来る、将軍と大名と豪族たちの関係のようだった。あくまで大名子飼いのジェネラル級であり、断片の王が持つ命令系統の外なのだろう。秀吉配下の淀殿や黒田(?)のような物だろうし、近畿と違て離れてる分だけ気にもしていないかもしれない。
(「信長に関しては会った事はあるような感じだけど、それ以上でもそれ以下でもなければ、最近の様子も知らなさそうだ。話を聞き出す事には成功したけど、方向性を失敗したかな……でも、だからこそ判った事もある」)
濃藍はピントの外れた質問で、豊久に突っ込ませた。
だが、方向性が見当はずれの向きに飛んでいってしまったのだ。
しかし、これは逆説的に『別の部分』を射抜いたとも言える。
「君の在り方は真っ直ぐかもしれない……。しかし、沖縄で流された民の血は君達のせいだ。故に、ここで責任を取ってもらうよ」
『これでも本領ば比べたら手加減しとるんじゃがのう。柔過ぎる。じゃっどん言い訳する気はなか、その怨みば受け止めようぞ、これも戦場の習いじゃ。戦に成ったら遠慮のう、掛かって来い』
間違いなく中央に報告すらしてない。場合によっては薩摩の大名とも疎遠だろう。
沖縄全土を速攻で獲れるわけでも無いので、時間が掛かるのは薩魔本国も予定通りの筈だからだ。
だから直ぐに攻め立てれば、薩魔の国は無防備だろうと思われた。
天海が会談後に即座に警告したとしても、届かないか重視されない可能性があるという点で今回の情報は有益と言える。
さらに言えば九州方面どころか、島津が管理して居るかもしれない複数の国からも援軍はないと思われた。
そしてこの事は他の地域にも言える事なのかもしれない。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【防空体制】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
文月・雪人
島津が境界を越えた経緯は不明だが
ヤ・ウマト側の罠だったのではないかと仮定しつつ
可能な範囲で豊久に当時の武勇伝を語って貰い
境界の霧の発生・突破・消滅へと至った経緯について調べたい
釣り野伏の罠、成程これが薩摩隼人の戦い方か
死を恐れるどころか全てを糧に、聞きしに勝る勇猛さだ
だが俺達もまたディアボロス、クロノヴェーダに復讐せんと、怒りを燃やして戦う者だ
罠だろうと関係ない、倒すべき敵がそこにあるのなら
どれだけの強敵であろうとも、全力で戦い倒すまで
この挑戦もお前なら無謀だとは言わぬだろう
ここ沖縄は、天正大戦国ではなく、冥海機ヤ・ウマトの地だ
お前達が越えてきた『境界の霧』もまた、冥海機達の仕掛けた罠だったのでは?
敵地の海戦ともなれば、不利な戦いも必至だろうに
それでも臆さず飛び込み攻め上り、この島の実効支配をもぎ取った
そんな勇猛果敢な敵将の首を取ろうというのに
これしきの罠で臆してどうするか
強敵相手は元より承知
俺達もまたそれだけの覚悟を持ってここにいる
今は全力で戦うのみ!
※改めて名を名乗り、勝負を挑みたい
●
『他になんぞ言いたい言葉あるかの? ありゃあ聞いちゃるぞ。なければ早速戦じゃ』
仲間と言葉を交わした島津豊久は、太刀の柄に手を置いたまま語り掛けて来る。
不意打ちするなどとは思っても居まいが、戦国ならばやる者がいて当然、警戒せねば失礼ということだろう。
「ん-。あー、はいはい。次は俺だよ」
文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は白銀の刀を腰に履いたまま歩み出た。
だけれども指先は何時でも印を組めるようにしている。
その辺りは豊久も察したのか、刀ではなく指先の方をチラリと見た。薩魔術師の事を考えれば、魔法の知識もあるのだろう。また、正史でも島津豊久と言えば、教養深い薩摩人だったという。
(「ここは境界の霧の発生や、突破・消滅へと至った経緯について調べたいね。さて、では流れをどう持って行くべきか」)
雪人もまた話の工夫を考え始めた。
直接聞いても駄目だろう、敵に教えるわけがないからだ。
「釣り野伏の罠、成程これが薩摩隼人の戦い方か。死を恐れるどころか全てを糧に、聞きしに勝る勇猛さだ。だが俺達もまたディアボロス、クロノヴェーダに復讐せんと、怒りを燃やして戦う者だ」
考えをまとめながら雪人は言葉を紡ぐ。
仲間の会話を見れば、ここまでの流れは問題なさそうだ。
相手を褒めて、武勇伝を語らせる方向自体は間違ってはいない。
「罠だろうと関係ない、倒すべき敵がそこにあるのなら、どれだけの強敵であろうとも、全力で戦い倒すまで。ただ……この挑戦もお前なら無謀だとは言わぬだろう」
『ほう?』
雪人は改めて宣戦を布告し、罠がありそれに気が付いているという事を言い切った。
それは豊久の方でも想像していたが、続きを期待させる内容に笑みを浮かべる。
それは挑むべき敵は強ければ強い方が良いという戦士の笑みであり、戦うならばどんな困難でも勝つぞという気概に共感したのだろう。
「ここ沖縄は、天正大戦国ではなく、冥海機ヤ・ウマトの地だ。お前達が越えてきた『境界の霧』もまた、冥海機達の仕掛けた罠だったのでは? 敵地の海戦ともなれば、不利な戦いも必至だろうに」
雪人は境界の霧を天正大戦国側ではなく、ヤ・ウマト側である可能性を告げた。
この論調ならば、島津がやったのであれば自分たちの功績だと胸を張るだろう。
何しろ境界の霧が出るところまでは大前提で、その後に苦労するのは何処の勢力でも同じだからだ。
『ん。ほうか、そう見たんか』
「そうだ。それでも臆さず飛び込み攻め上り、この島の実効支配をもぎ取った。そんな勇猛果敢な敵将の首を取ろうというのに、これしきの罠で臆してどうするか。強敵相手は元より承知、俺達もまたそれだけの覚悟を持ってここにいる。今は全力で戦うのみ!」
島津が境界を越えた経緯は不明だが……。
ヤ・ウマト側の罠だったのではないかと仮定しつつ、自分たちも同じだと語る。
相手を持ち上げ過ぎても問題だが、その上で自分たちも同じだというのならば問題ない。どんな相手でも臆さない、どんな罠でも噛み破る用意があるという事は、とりもなおさず自分たちの強さの証明にもなるのだから。
『壁ばぶち破ったのは、おい達ぞ。人モドキ船モドキば関係なか。ここぞ言う場所に兵児ば集め、不断の努力で霧ば見つけたらドンドン行くがじゃ。そいで次々飛び込こむ、そしたら何とかなるど』
答えはまさかの気合と根性である。
兵士を集め、揺らぎである霧を気合で見つけたら、命知らずにも飛び込んでいくという。
ただ初動はともかく、流れ自体はディボロスもさほど差はない。
『……ふむ。意外に思わんゆうことは、同じようにやっちょるゆうのは、あながち嘘じゃなかの』
「方法は違うし、細かい手段は言えないけどね」
戦争をした相手を追撃し、パラドクストレインで後続を送り込む。
そして勝ちきれば、相手の領域と繋がるのだから。
それを戦争相手に限らず、気合をいれて根性で探し回る事で代用しているのだろう。てっきりパラドクストレインよりやり易いクロノオブジェクトか何かかと思えば、以外でもあったし、豊久の性格を見ればあまり違和感はなかった。
(「でも、まさか何処に開くのか当てずっぽうでやってるのか? いや、そこも含めて歴史のつながりを参考にしている? ともあれ、これ以上はしゃべってくれなさそうだ。後は戦いで決着をつけるだけだね」)
読めてないわけでも無いだろうが、豊久はあっさり喋った。
天海と同じように、こちらにナニカの手段があることに即座に思い至っている。
おそらくはこのような手段は案外、一般的なのかもしれない。豊久はそれを確認する為にこそ、アッサリ喋ったのだろう。逆に言えば不要ならば目的を読んでいる状態でしゃべらない可能性は戦った。
「名乗りはいずれ正式に上げさせてもらうよ。では、後ほど」
『おうさ。その時は覚えちゃろう、益荒男ば兵児どもの名ば末期の川まで忘れんど。奪衣婆がおらな、その先までじゃ』
別れ際もまた気風が良い。
他にも尋ねようとした者もいるが、名残も無くサッパリと送り返す。
ただ戦場で会おうと、気分良く戦おうと笑って別れたのであった。
それが島津豊久と言う男である。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
神山・刹那
島津豊久、敵ながら天晴れだ
これほどの猛者と戦えることを天に感謝しよう
多勢に無勢な戦いは不粋だな。まぁ、俺もお前さんのような奴とはそんな戦いはしたくない
真っ向勝負の一騎打ちと行こうじゃねぇか
いざ、死に生くを問わず、死力を尽くさん!
島津の退き口で勇猛な島津兵の亡霊達を召喚されても、怯むことも臆することもなく、名乗りをあげて自らの名を名乗り、残像が残る速さで真っ正面から豊久に挑み、邪魔をする亡霊の太刀と銃撃は急所に当たりそうなもの以外はかすっても気にすることなく突っ切り、豊久の目前まで来たら跳躍し、上空から雲を裂き、大地よ砕けよと言わんばかりの渾身の一太刀で斬り捨てる
「我が名は刹那!神山刹那!島津豊久、一騎打ちの真っ向勝負を望まん!」
「チェェストォォォォォッ!」
●
会話を終えたディアボロス達が下がり、島津豊久が下がろうとした時。
一人その場に残る者があった。だが、決して刃を抜きもしないし、追いかけもしない。
『なんが?』
疑問形だが豊久は尋ねているわけではない。
この期及んで問答を続ける意味は無い。
気分が良い事もあるが、確認したいこともあったので答弁をしただけだ。既にその場は過ぎお互いにスッキリしたのだから、敵に教えることはない。
『まだ何ぞ用かの?』
「決まってるだろう? 武人が二人居たらコイツ以外に用はないさ」
ゆえに豊久の言葉は思っている事を話せと促したのだ。
そして神山・刹那(梟雄・g00162)は勘違いをせず、己が持つ刀の鞘を叩いた。
いや、そもそも彼がしたかったのは刃を振り回して挨拶することに他ならない。
「一言で言えば、お前と戦ってみたかった。他に理由は要らんよ」
そう言って刹那は爽やかに笑った。
島津豊久、敵ながら天晴れだ。
これほどの猛者と戦えることを天に感謝しよう……そう思うが、刃を交わす敵を目の前に褒め言葉でなれ合うのも不要だろう。
「多勢に無勢な戦いは不粋だな。まぁ、俺もお前さんのような奴とはそんな戦いはしたくない。真っ向勝負の一騎打ちと行こうじゃねぇか」
そう言って鞘から抜き放ち、斜め上方へと構えた。
八相の構えと呼ばれる、待機しつつも、攻撃に移行するための構えである。
『プッ……ハハハハ! おはん、さては阿呆じゃろう?』
豊久は盛大に笑い始めた。
陽性の笑みであり、何処にも後を引かぬ笑いである。
彼は決して他人を馬鹿にするタイプではなく……挑発が必要ならば馬鹿にするとしても、今は必要ないのだからそのつもりは毛頭ない。
『じゃが、おいは阿呆は嫌いじゃなか。その『物見』ばのっちやろう』
島津豊久と言う男には、熱い部分と何処か冷めた部分がある。
炎の熱さと氷の冷徹さを備えた島津人……いや鎌倉武士の典型と言えるだろう。
頭鎌倉のバーサーカーは、刹那の意図を見抜いた。ゆえに阿呆と称する。遥か古代中国では、巨大過ぎる宮殿の故事を元に気宇壮大過ぎる相手の事を阿呆と称したという。そう、刹那の行動には意味があるのだ。
「悪いな。どうしても『今の』お前と戦ってみたかった」
『釣り野伏ば威を眺めるがええぞ。おい達が力、益荒男どもの声を聴くがええ』
必殺の罠が発動しており、『今の』島津豊久は強敵中の強敵である。
その強さがどれほどなのか分からないし、案内人からは有利など見込めないと言われた。
だが、この強さを実感できるのは今しかないのだ。
そしてそれがどの程度の強さなのか、そしていつまで続きそうなのか?
それを確かめるために、刹那は集団ではなく己一つの命で確かめようとしていた。
「いざ、死に生くを問わず、死力を尽くさん!」
『おうさ! いくどおおおおおおお!!!!!』
刹那が斜めに構えた刀と、足元に力を籠める。
そして豊久が怒号を挙げたのは同時であった。
さすれば踏み込みに入るのは刹那が僅かに先であろうか?
「我が名は刹那! 神山刹那! 島津豊久、一騎打ちの真っ向勝負を望まん!」
刹那は亡霊たちの軍勢を見ても、ひるむことなく当初の行動に出た。
僅か数歩の距離を全力で走り抜ける。
前に前に出ることで、出遅れた刀は自動的に大上段へ。そして自らに襲い掛かる死兵たちを置き去りにしていった。
『若先生。なんぞ策があり申すぞ』
『ご注意……いや、お覚悟召されい』
『当然! 阿呆であってもイカレではなか、ならば全て噛み破る。容赦も躊躇も模様眺めも不要ぞ。かかれぃ!』
多角的な情報を瞬時に受け取り、瞬時に判断する。
最も近い亡霊の目で、耳で、思考で刹那の行動を理解する。
僅か一瞬の行動の中に割り込む時間的な逆行! 逆連鎖に割り込めない筈の意識と指示が、逆行しながら豊久に追いついて来たのである。
『おおおお!!!』
『ちぇえええい!!』
『うるああ!!!!』
無数の死兵が突っ込んで来る。
半ばで折れた刀を振り上げ、先が潰れた銃を撃つ。
届かない筈の攻撃が何故か当たり、放てない筈の弾が何故か撃てる。
何故ならばそれらは幻影、幽霊、幽鬼である鬼の兵。そいつが無理なら、心同じくする誰かが斬り、放つだろう。
「幽鬼の伏兵!? だが、そんなもの知るか!」
刹那はここで加速した。
今までの最速の一歩を越える、現時点で最速の一歩!
残像が残るスピードであるが、それでも届かない! ならば……相手の攻撃を避ける事すら忘れて、敵よりも飛び込んだのであった。
「チェェストォォォォォッ!」
『キエエエエエエエ!!』
知っているだろうか?
機動剣術であるタイ捨流には、敵の目の前でジャンプする動きがあった。
相手の間合いを外し、タイミングをずらして切り捨てる技だ。
刹那は威力を底上げするためにこそジャンプし、豊久は間合いを崩すために飛んだ。
(「読まれてる? そんな事は知るか! 一意専心!」)
だが、刹那は躊躇なく刃を振った。
それが結果的に、早く刃を振り抜くことに成功した。
渾身の力でヤイア場が振り下ろされる!
しかし、結果的に立っているのは豊久の方だった。
『おん、魅事。こがいに早う一人逝くとは御見事でごわす』
「くそっ……だが、関羽とは違う。鋼の絆……それが……釣り野伏か」
倒れながら刹那は、豊久が輝かせている島津十字の一つが消えているのを見た。
そして誰かが、笑いながら豊久の代わりに逝ったのを感じたのである。
輝ける島津十字の数は……残り九。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【一刀両断】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
●
有利な戦い、それを覆す幽鬼の伏兵。
それらは豊久に情報を渡し、あるいは火力を底上げし、そして痛みを引き受けている。
『む……これはいかん。でぃあぼろすば、ちっとも油断できん。ここは仕方なか。すまんの』
『いえいえ。若先生のお力になれるならば。そいでは』
一騎打ちを終えた豊久はその場で自らの体を確認した。
真新しい亀裂を直し、負荷を軽減し、新たな力へと変える。
すると島津十字の輝きがまた一つ消え、代わりに豊久は万全の態勢に入った。
その心構えに油断も、いささかの曇りもない。
『いかがされました?』
『ちくっと不思議でのう。じゃが皆目見当ばつかん。今は……まだ、の』
熱さと同時に冷静さを保つ豊久は、ディアボロスの強さに首を傾げた。
釣り野伏に気が付き、果敢に挑むその覚悟。
そして、不利と知ってなお、勝ち切る自身。
釣り野伏と自らの強さに自信のある豊久に対し、ディアボロスは勝てる気であるのだ。
『おいが勝つよりも先に見極めねばならんど。勝ちば狙う、じゃっどん、遺さなならんやもしれぬ』
普通ならば勝てる、だが……。
残りの力が尽きるまでに勝ち切れるか?
豊久は全く油断せず、冷静に状況を判断したのである。
何故ならば、新たに力を消費し、残りの島津十字の輝きは八。
ディアボロスが強く、さらにナニカを有することを、豊久は見極めようとしていた。
音羽・華楠
ここからは切り結ぶ刃で語るのみですね――
――島津豊久!
私は陰陽師、音羽華楠!
陰陽五行と妖精たちの献身で昇華した私の剣技で、あなたを討ちます!!
豊久が光と炎を纏う剣技を振るうなら、私は雷を纏う剣技で対抗しましょう――
――《雷幻想・瞬動》!
雷速の体動と反応を以って『フェアリーレイピア・ティンカーベル』を振るいます。
豊久の剣技も二の太刀要らずの一の太刀。
それを躱した後の大きな隙を狙うのが戦術の定石でしょうが――しませんよ、そんな真似!
どのみち、逆説連鎖戦で敵のパラドクスは回避不可能。
なら、回避も防御も頭から捨て、攻撃は最大の防御の心持ちで全身全霊の攻撃を放つことこそ正解……!
その攻撃で豊久を倒し切れば、向こうの刃は私に届きませんし!!
豊久の胴体のど真ん中を狙い、刺突を打ち込みます。
……一つ、言い忘れてました。
この《瞬動》を以って私は、復讐者最速を自負してます!
その矜持で己を鼓舞し、最高の一撃を!!
釣り野伏はネメシス形態に近いと解釈。
臆して技を鈍らせることこそ被害を広げそうなので、腹を括ります。
●
「まさか幽鬼たちの視点を共有した戦術リンクシステム?」
音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は術師だが、新宿の知識にも詳しい。
それゆえに島津豊久がやって居ることに気が付いた。
正確には、良く分からないなりに、新宿で手に入れた知識を使って間を埋めたのだ。
「複数の視点を統合し、もっとも都合の良い場所から攻撃する。……しかもそれだけではないと……まさに鬼島津」
使者たちが豊久に情報を渡し、あるいは幻影の兵士に宿り攻撃する。
そして豊久の刃となり、豊久の代わりにダメージを引き受けるのだ。
これでは有利に戦うのは難しいと案内人に言われたわけである。だが、この道を通ると提案したのは華楠たちなのだ。ただ見ているわけにはいくまい。
「ですが……これだけの事をしでかすには、エネルギーが保てるわけがない。ネメシス形態に近いものと見ました」
「ここからは切り結ぶ刃で語るのみですね――」
「――島津豊久!」
華楠は目を閉じた。
そして色々な物を犠牲にすることを覚悟する。
楽な勝利、確実な勝利、名誉やら何やら。そして格好良く戦うなどいう贅沢を捨てることにした。幽鬼たちとの合一が、仮にネメシス形態に近い戦術としても何時までも保てるわけがない、そのために時間を稼ごうと考えたのだ。
「私は陰陽師、音羽華楠! 陰陽五行と妖精たちの献身で昇華した私の剣技で、あなたを討ちます!!」
そして堂々と名乗りを上げて宣戦布告する。
この戦いで勝てないとしても、その力の一端なりと奪わねばなるまい。
でなければ相手に失礼だし、そもそも戦い切れないだろうと判断したのである。
『よか。おなごば斬らんち言わんど。戦場に立ったら覚悟した兵児、切って切られて当たり前じゃもんのう』
(「豊久が光と炎を纏う剣技を振るうなら、私は雷を纏う剣技で対抗しましょう――――雷幻想・瞬動!」)
ニカっと笑って勝負を受ける豊久に、華楠はレイピアを抜いた。
体を半分前に向け、残り半分も使ってレイピアを突き進ませるための態勢だ。
(「豊久の剣技も二の太刀要らずの一の太刀。それを躱した後の大きな隙を狙うのが戦術の定石でしょうが――しませんよ、そんな真似!」)
後の先というものは、パラドクスを使った戦いには向かないのだ。
もちろん、パラドクスの中に仕込むことは可能だが……。
(「どのみち、逆説連鎖戦で敵のパラドクスは回避不可能。なら、回避も防御も頭から捨て、攻撃は最大の防御の心持ちで全身全霊の攻撃を放つことこそ正解……! その攻撃で豊久を倒し切れば、向こうの刃は私に届きませんし!!」)
ここまで来たら余計な事を考えても無駄。
確実に攻撃を命中させ……いや、クリーンヒットさせる。
必殺技は強烈なダメージを与えるから必殺技なのではない。必殺だからこそ、クリーンヒットしないように相手も防御するのだ。ならばど真ん中を貫き通し、確実に当て、確実に貫くことを目標とするまでである!
『いくど!』
「はあああ!」
それは徒競走のスタートダッシュにも似ている。
最速を行くために、それぞれが理想的と思える態勢を取るのだ。
そして時が来たらば、全力で動くのみ!
「……一つ、言い忘れてました。この《瞬動》を以って私は、復讐者最速を自負してます!」
その矜持で己を鼓舞し、最高の一撃を!!
疾きこと風の如く、動くこと雷霆の如し!
我が身よ動け、雷天大壮――急急如律令!!
『イヅナの技か! よか!』
その瞬間、豊久は太刀を滑らせた。
するりと右の指の間を抜けそうになる一撃が、途中で強烈になる。
両手で構えていたはずの一撃が、気が付けば左手一本で支えていたのだ。
「まさか片手一本で振り抜くとは。……その代り、命拾いしたようですね」
光と炎の剛撃と見たが、光に近い俊足の斬撃に移行していた。
おそらく豊久の一の太刀は、タイ捨流と示現流の複合剣術だ。
どちらかに比重を移せるのだろう。ただ、華楠が防御を捨てて攻撃に全部振りし、それに対抗するために速度に全部振りしたのだ。威力が多きく損なわれ、結果として相打ちに近い形になったのであろう。
(「相打ち……このまま足を止めて戦うならば実質的に負けですね。しかし、こちらは連携して戦えます。何よりも重要な『刻』こそを切り裂かせていただきましたよ!」)
これは剣術の勝負でも、正統な一騎打ちでもない。
釣り野伏の効果時間を削り取り、ディアボロス全体の勝利の為に華楠は戦い抜いたのである。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【エイティーン】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
麗・まほろば
じゃじゃーん! 空前絶後の! 超絶孤高の超々々々弩級戦艦!
海を愛し、海に愛された零式英霊機! 大海原のチャリオット!
麗・まほろば、出撃だよ!!
気合と根性? 聞いてあきれる、果てにあなたたちがやったのは新大陸で略奪と弾圧だ!
だめだよ。そんなのは武士でもなんでもない。尊敬にも礼を尽くすにも値はしない。
遥かなこの沖縄の地で、名も残さずに果てていけ。
全門開花! 目標! ジェネラル級天魔武者!
雨霰のようにビームを展開してほかのディアボロスたちへの援護射撃とする!
自身への斬撃は【51センチまほろば砲】を1秒の【未来予測】で盾とする。これはクロノ・オブジェクトだ。一撃で首を落とされる……ということだけは避けられると思いたい。
瘴気や硝煙が立ち込めようとも【完全視界】でクロノヴェーダを見失いはしない。
クロノヴェーダの斬撃がまほろばをとらえたその時、【防衛ライン】でそれ以上のまほろばへの侵攻をけん制する。
そのときが一瞬の好きになるはずだ。集中砲火、いっくよー!
●
戦場に砲火が咲き始めた。
周囲を吹き飛ばし、轟音と火花が周囲を染める。
「じゃじゃーん! 空前絶後の! 超絶孤高の超々々々弩級戦艦!」
彼方より現れしは一人の少女。
腕を組み、小さな胸を突き出して、ただ傲然と言い放った。
「海を愛し、海に愛された零式英霊機! 大海原のチャリオット! 麗・まほろば、出撃だよ!!」
麗・まほろば(まほろばは超々々々弩級戦艦ですっ!・g09815)は傲然と吼えた。
誰が聞いているとか関係ない。ディアボロスもクロノヴェーダも知るものか。
聞きたいならば聞け、聞きたくなければ耳を塞いでいろとでも言わんばかりだ。
「気合と根性? 聞いてあきれる、果てにあなたたちがやったのは新大陸で略奪と弾圧だ!」
『ほうか。天魔武者ば大名は圧政こそが本分。誰憚る事なか。好きに言うとええ、それがおまんの正義なんじゃろ。おい達はおい達の正義ば貫くど」
その言葉に島津豊久は一切揺らがなかった。
むしろ感情に任せて動くならば、その場でまほろばを切裂くつもりであった。
「だめだよ。そんなのは武士でもなんでもない。尊敬にも礼を尽くすにも値はしない。遥かなこの沖縄の地で、名も残さずに果てていけ」
『来いや。来んならいくど!』
これだけは使いたくなかった……まほろばはそう思う。
自信が持てる全力を此処で使う事にした。
エネルギーを……それも零式英霊機としての存在エネルギーを使うからとても疲れる。だが、ここでこの男は倒さねばならぬと思った。義憤とか使命とか、そういうものじゃなくて、他者が大切にしているモノを理解してなお、それがどうしたかと言い切れる頭が鎌倉時代から進歩して居ない男を放置できないと思ったのだ。
「全門開花! 目標! ジェネラル級天魔武者! 蒸散、熔融、崩潰。好きなもの、選んでいいよ?」
まほろばは背後の空間を展開、亜空に接続して戦艦群を出撃させた。
艦首はまるでつぼみの様に開かれ、中心に取り付けられた超大口径の砲塔から黒く輝くビームを放射する。
『全部』
「……」
その言葉を聞いた時、まほろばは思わず口笛を吹きそうになった。
かろうじて踏み留まると、収束することなく砲撃していく。
あえて幅広く周辺へと砲火を解き放ったのだ。
(「きっと真っ直ぐ突っ込んで来る。でも、収束はしない……よ! 雨霰のようにビームを展開してほかのディアボロスたちへの援護射撃とする!」)
豊久は間断なく解き放たれるビームを無視する。
広範囲を薙ぎ払う攻撃に対し、最適解で突撃して来るだろう。
その事を判っても、まほろばは行動を変更しなかった。だって、今見ている姿は未来の光景、その先を掴む為には行動を変えるわけにはいかないのだ。
『チェエエエエエエストオオ!』
「いまっ!」
まほろばは釣り野伏を発動させない為に、寝ないで考えた対処を此処で使った。
自分でも良い案だとは思ったが、生憎と彼女に続く者が居なかったので、発動派が追い抜いてしまった。しかし、その時に考えたアイデア自体が、彼女のアーカイブから失われたわけではないのだ。
『そっ首のみを? やりおる』
「そっ。ここからが真骨頂だよ!」
まほろばは未来予測に従ったまま、最後の瞬間だけを動かした。
この残留効果は未来に従うと、相手もそれに合わせて行動を変えてしまう。
だから戦闘向きではないと言われるのだが、まほろばは相手にとって都合の良い未来を残したのだ。そして、自分の首が切り落とされるという未来だけを回避したのである。
「集中砲火、いっくよー!」
土煙や硝煙が濛々と立ち込めるが、それを完全視界でカバー。
周囲を撹乱することで、あえてこの戦場を作り出したのだ。
それは自分の本命を隠すためであり、同時に仲間の動きを覆い隠すためであった。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【修復加速】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
百鬼・運命
【ヨアケ】
■心情
さて余計な言葉は無粋か…
復讐者。『ヨアケの星』の百鬼・運命。いざ参る!
■考察
釣り野伏は絶賛発動中だが、効果は途中で切れる
なら効果が切れるまで敵の猛攻を凌ぐ…と言う考えは先ほどの一撃を受けて甘過ぎるか
凌ぐ工夫をした上でそれを生かして攻め込まねば押し切られそうだ
どちらにしても長丁場は覚悟しないとな
■行動
後手に回っては圧しつぶされる
敵を待たずに符と大太刀を構えて前に出て、豊久や軍勢と激突
先行アップや再び煙幕をトラップ生成したところに追加で落とし穴を仕掛けて一瞬の隙をつくるなど、まずは機先を制し『王佐土砂計』を使用しよう
火は土をかけても消える
土石流で溶岩をせき止め、割れ目を埋める等、猩々緋の陣にも対抗しやすかろう
更に【反撃アップ】や【泥濘の地】等、幾重にも策を重ねてまずは敵の攻撃力を削ぐ
これで漸く押し切られはしない程度か?
敵攻撃力は突出しているので、直撃を喰らわないようにアオイさんと連携
まとめて攻撃されない様に立ち位置に気を付け
お互いの隙を埋めたり、敵の追撃を妨害する等していこう
アオイ・ダイアログ
【ヨアケ】
ほんと見るからに強そうですねぇ
正直釣り野伏の効果が切れるまで耐えるのとかしんどそうなのであまりやりたくないですが、尻尾巻いて逃げるのもあり得ませんね
護衛は潰したので後は大将
しかしやたらと燃えてたりして熱いですね
真正面から戦うだけがバトルではないですよ!
中衛的な立ち位置で味方の斜め後ろくらいに陣取って援護をメインに立ち回ります
【完全視界】に【パラドクス通信】で連携はしっかりやりましょう
スティンガーに言霊が溜まったら甲冑の隙間を狙ってぶち込みます!
やたらと炎を出すので暑いでしょう。氷の花でクールダウンしてって下さい!
運命さんが狙われたら声弾を敵の武器に撃ち込んで逸らしにかかります
武器へ氷の花を纏わりつかせてわずかでも妨害になればいいんですが
一所に留まらず動き回って的にされないように注意ですね
キッチリ味方とフォローし合って隙を見せないようにしなくては
まだ勝つ為の戦いじゃなくていい
絶対に負けないように戦うんです!
●
「ほんと見るからに強そうですねぇ」
アオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)は心底めんどいという顔をした。
だが、時ここに至って否定する気も逃げる気もない。
「正直釣り野伏の効果が切れるまで耐えるのとか、しんどそうなのであまりやりたくないですが、尻尾巻いて逃げるのもあり得ませんね」
何より、その方が面白そうですしね。
とか言ってみる。別に格好良さそう……でも良いのだが。
「しかし、やたらと燃えてたりして熱いですね。ですが真正面から戦うだけがバトルではないですよ! オペ娘は任せてください!」
「頼んだ。ここからは時間との勝負。……いや、気合の勝負だ」
アオイの言葉に百鬼・運命(ヨアケの魔法使い・g03078)は頷いた。
無意識に眼鏡の位置を押し上げながら状況を分析する。
「さっきから島津十字の輝きが減っている。おそらく時間制限か、さもなきゃエネルギーロスの大きい状態なんだろう。あれを全部削り切らなきゃダメなんだが……そんな事を前面に出したら確実に気が付かれるからな。いや、この場合は対処を思いつくというべきか」
釣り野伏は絶賛発動中だが、効果は途中で切れる。
なら効果が切れるまで敵の猛攻を凌ぐ……と言う考えは先ほどの一撃を考えれば甘過ぎる判断だろう。
「凌ぐ工夫をした上でそれを生かして攻め込まねば押し切られそうだ。時間を長引かせるというよりは、結果的にそうなる程度にガンガン行かないと駄目だろう」
前進防御とでも言えば良いだろうか? シミュレーションでは良くある手だ。
どちらにしても長丁場は覚悟しないとならない。
後手に回っては圧し潰されると、運命は溜息を吐いて大太刀を抜いた。
神刀と符を使った、物魔の二刀流こそが彼の本領である。
「さて余計な言葉は無粋か……復讐者。『ヨアケの星』の百鬼・運命。いざ参る!」
そう言いながら運命は走った。
大太刀を掲げ、護符の束を滑るように流しながら走ったのだ。
そして敵が踏み出そうとするところへは落とし穴を用意しており、煙幕も垂れ流しておいたのだ。
『陰陽寺の坊主が正面からよう来た!』
「これでも神職さ! 坊さんとは系列が違うよ!」
だが豊久はアッサリと剣閃で煙幕を切裂き、足が穴嵌ったまま動く。
ここで豊久が地面を斬るとするのを運命は刃で止めた。
太刀と太刀が交錯し、火花を散らしていく。ここまでは小技と小技の応酬で、事前に仕込んだ運命の方が早いが、豊久にはまだ余裕がある。
『ホウ!』
「ここだ! 火は土をかけても消える! 陰陽道は学問だよ!」
大地は泥濘と化し、周囲の土が土石流となって巻き起こった!
それは豊久が切り裂いた地面を埋め尽くし、そのまま豊久を叩く!
だが、逆行する様に……豊久の位置から炎が噴き出したのだ。
『チェストー!』
「これで漸く押し切られはしない程度か? って、言ってる傍から! アオイさん!」
豊久は自分が踏み抜いた落とし穴から炎を噴出させた。
漂う煙幕の残り香を、毒ガスが駆逐するかのように放出されていく。
「はいはーい! やたらと炎を出すので暑いでしょう。氷の花でクールダウンしてって下さい!」
これまで中衛として援護に回っていたアオイは、蓄積された声の力を放った。
銃の形をしたマイクであり、蓄積装置であるソレは氷の力を宿して周囲を凍結させ始めたのである。
「武器へ氷の花を纏わり付かせて僅かでも妨害になればいいんですが……生きてます?」
「なんとかな。敵はジェネラル級、強いとは知っていたが……助かった」
アオイは走りながら、仲間たちのやや斜め後ろくらいをキープしている。
周囲を溶岩の様な炎が焼いて熱いのなんの、だがそれだけに運命に向かっていた矛先が逸れたのを確信していたのだ。
「俺の事は良い。それよりも首尾は!?」
「バッチリですよ。なので此処は甲冑の隙間でも狙ってやっつけちゃいましょう! 咲き誇れ、凍れる花。シュートッ!」
運命はアオイに、とある事を任せていた。
それは防御か? それとも援護? いいや違う!
『温いど! この程度ではおい達を倒せぬ!』
「ですよ! まだ勝つ為の戦いじゃなくていい。絶対に負けないように戦うんです!」
まるで歌舞伎に出て来る獅子舞の様に、赤い炎が戦場を引き裂いた。
砲煙が作った煙も、突撃の際に生じた土煙も、氷の華も何もかもを引き裂いていく。
だが……そこに隠されていたのは、攻撃でも罠でもない!
「待たせたな! ここからがディアボロスの真骨頂だ!」
「そういう事です。配置は完了! ディアボロスの戦いは、これからです!」
晴れていく煙の向こうに、ディアボロス達が攻撃態勢で勢揃いしていた。
近い者も居る、まだ遠い者もいる。一人の者も居れば、チームで参加した者もいた。
そう、アオイは完全視界で戦場を見渡しながら、彼らを導き、運命は矢面に立って時間を稼いでいたのであった。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【寒冷適応】がLV3になった!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
月鏡・サヨコ
……月鏡・サヨコ
これより、沖縄本島の民間人虐殺の首謀者、識別名:島津豊久を撃滅する
釣り野伏が残っているか否かで、行動の方針は変わるだろう
痛撃を加えるならば解除を待ちたいけれど、その前に追い散らされてしまっては意味がない
健在の状態で攻撃の好機を見つけたなら、積極的に攻めかかり、解除までの時間を稼ぐ
逆に解除後に動くことになった場合は、仲間の攻撃に乗じて接近し畳み掛けよう
《巡洋戦艦海戦装『黒姫』》からの砲撃によってまず牽制をかける
これは反撃を誘発させないために、敵には命中させない囮
爆煙と焔を濛々と立ち込めさせて目眩ましとし
【完全視界】で一方的に視野の有利を取った上で、懐に飛び込んで仕掛ける
――『月鏡流抜刀術・迅雷風烈』
抜刀と共に放つこの一閃は、いわば「零」の太刀
たった一瞬だけでいい
電磁誘導によって加速された居合斬撃と、【未来予測】による敵の初動の先読みを合わせ、僅かにでも先んじて一閃を浴びせる
反撃は《海戦装用増設防盾》で防御
装甲の傾斜で可能な限り刀身を受け流し、軌道を逸らして致命傷を防ぐ
●
星が砕けた。
燦然と輝く、島津十字の星が如き煌きがすべて失われている。
「……月鏡・サヨコ」
「これより、沖縄本島の民間人虐殺の首謀者、識別名:島津豊久を撃滅する」
「釣り野伏が残っているか否かで、行動の方針は変わるだろう……だが」
月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は目を閉じた。
逡巡は一秒、呼吸を止めている間に過ぎ去る。
まだ早いかとか、もう良いかもとか、そんな逡巡は必要ない。
「痛撃を加えるならば解除を待ちたいところだ」
「だが、その前に追い散らされてしまっては意味がない」
「ゆえに前に出る。解除されて居なければ解除までの時間を稼ぐまで。そして!」
目を見開き走り出した。
誰よりも早く、自分の役目を全うするために。
我が身惜しさで躊躇う気持ちなど、平気には不要なものだからだ。
『おう! 来たか!」
「……!」
サヨコは命中させたくなる攻撃を我慢した。
放つはその手前、いやもっと前。
逆連鎖戦で反撃を行えない程度の前面へ牽制砲撃を掛け、爆煙と炎で視界を塞ぐための行動である。
『小賢しか! チェストー!』
「──事実」
豊久は一閃して爆煙も炎も跳ね飛ばした。
当たり前だ、片手間で可能な牽制は、片手間で排除できるのが道理。
だが、この一瞬をサヨコは待っていたのだ!
「――『月鏡流抜刀術・迅雷風烈』……」
ブンっと音ならぬ音が弾け、電磁誘導された居合を放つ。
抜刀と共に放つ一撃は本来、それほど速いモノではない。
だが、居合の本質とはスキップアクションとブラインドアタック。彼女の攻撃は、その失われた一瞬に、隠すべきナニカを秘めて放つのだ。
『ん。さきの煙ばほっとけば良かったのう。じゃが見事』
「──屍を戦野に曝すは、固より軍人の覚悟なり。……全て計算通り」
煙を放って接近し、相手が煙を払う一瞬をこそ欲していた。
そして居合を使ったのは、煙を払う前には攻撃態勢ではない……そう思わせるためだ。
結果、サヨコの斬撃は豊久を切裂いた。そしてその反撃もまた、サヨコを切り裂いたのである。
『見事な『献身』じゃ。見ぃや。釣り野伏ば力は退散してしもうた。おいの仲間ば皆、成仏したど』
「くっ……計算通りと言ったはず」
豊久が笑って煙の向こうから、傷付いた甲冑を見せてくれた。
ここが傷ついているぞと、釣り野伏の効果が失われたのだと笑って見せてくれた。
サヨコは増設坊盾に寄り掛かり、軍刀を杖にして立ち上がった。
装甲の傾斜で致命傷を避け、命を繋ぎ、そしてサヨコの犠牲を持って、釣り野伏の効果を解除したという事を仲間達に示したのであった。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【一刀両断】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV4になった!
●
星が砕けて天に昇っていく。
星が砕けて地に潜っていく。
なんのことはない、島津十字に宿っていたエネルギーが、残留思念とか情報体の残り香とか呼ばれる物が失われただけだ。
『偉か。見事に釣り野伏ば力を凌ぎ切ったの。皆偉か、それでこそ命を懸ける意味があるちゅうもんじゃ』
『それとこれまで、よう付き従うてくれたの。皆偉か、草葉の陰か泉下か知らんがよう眠っちくれ』
『さて。おいも此処までか。良か、良き兵児に囲まれたらここまでど。おいの命『は』ここまでじゃ』
カラカラと笑いながら島津豊久は笑った。
せめて微笑まねば、一緒に戦ってくれた兵に申し分けない。苦心して挑んだ敵に申し訳ない。
なによりも、ここで諦めるとか、嘆いて逃げ回るという思考が豊久にはサッパリなかったのだ。
『でぃあぼろすにも釣り野伏ばあるかの?』
『それとも排斥力ば力があるとかの?』
『クロノオブジェクトやもしれぬ。しかし、まっこと見当つかぬの』
そう言いながら笑って迫り来るディアボロスを見た。
時間を稼ぎ、自分にダメージを与えたディアボロスが一度下がるのを見た。
そして、その姿に、ナニカがあるのを確信したのだ。
『良か。逃げるのは性に合わんど』
『あとちくっと戦えば、何かが掴める気がするわい』
『なら、ここは一番、おいが命を懸けて見抜くとするかの。そして島津のお家に伝えられたら、おいの勝ちでごわす』
このままでは、逃げたところで先がない。
自分の命や名誉だけではないのだ。
薩摩を統治する者も、それどころか天魔武者も先がないかもしれぬ。
炎の熱さと氷の冷静さを持つ島津豊久は、そう言って笑い、自分の命を最後の最後まで使い倒すことにしたのである。
エレオノーラ・アーベントロート
お話は愉しめまして?
獣じゃないんですもの。殺し合いの前に言葉を交わすのもまた華ですわ。
えぇえぇ、ですけれど、それが終わったのならもう言葉は不要――
エレオノーラ・アーベントロートと申しますわ。
わたくしがわたくしであるために余計な肩書はいりませんの。名前だけ憶えて逝って下さいませ!
電磁レールガン「フェアレーター」を手に戦闘を行いますわ。
気迫とともに繰り出される斬撃に対し、直撃を避けるように回避しながら、「第二十五の魔弾【惨劇】」を投射、砲撃をくわえますわ。
こちらが数秒先を見て動いたところでその動きに合わせて瞬時に動きを変えるくらいはしてくるでしょうし、【未来予測】は使わず。しっかりと目の前の島津豊久の剣を見据え、ギリギリのところで直撃を避け、剣を振り下ろした後の隙を狙い【惨劇】の魔弾を撃ちこんでいきますわ。
うふふ、ヒリつきますわね。
一歩そちらの剣が早ければ死。ぞくぞくしますわ。
そちらも愉しんでいてくれていまして?
●
「お話は愉しめまして?」
エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)はクスリと笑って島津豊久に向かって行った。
警戒とか策謀とかノーマークで近づいていく。
豊久はそういうことを自分からするタイプではないし、誰かと組む器量はあるだろうが、少なくともこの場には居ないのだ。
『おう。話はつかめたど。それよか戦いじゃ』
「あら、そっけない。獣じゃないんですもの。殺し合いの前に言葉を交わすのもまた華ですわ。えぇえぇ、ですけれど、それが終わったのならもう言葉は不要――」
お互いに必要があったから話したし、終わったからもう不要だろう。
そんな豊久にエレオノーラは肩をすくめた。自らは文明人でもある主張する彼女としては残念だ。だが、心の中にある暴力を好む面もまた、そんな豊久の事を嫌ってはいない。
「わたくしがわたくしであるために余計な肩書はいりませんの。名前だけ憶えて逝って下さいませ! 【惨劇】解放――」
と言う訳で、名乗りも無くただ攻撃に移行した。
余計な手間は不要、余計な段取りも流れも不要。
時、此処に至れば殺し合うのみ。電磁レールガンを構えてぶっ放し始めたのだ。
『ヒュウ♪ キィエエエエエー!!』
これに対し豊久は口笛を吹きながら突進して来た。
余計な事は考えず、ただ走り抜けて切り捨てるために駆ける。
そんな相手にエレオノーラはどうでるのか?
(「もちろん、どうもしませんわ! 余計なレスポンスなど不要!」)
なんと回避もせず、ただ撃ち込むことに専念していた。
未来はたちまちのうちに変わってしまうので、未来予測すらしない。
どうせ致命傷を回避するために未来予測を使うならば、最初からそのつもりで攻撃するまでだ、相手が挙動に追いついて来たら知らないとばかりにぶっぱなす。そして豊久もその覚悟を知って感心しつつも切り殺すために突っ込んで来るのであった。
(「うふふ、ヒリつきますわね。一歩そちらの剣が早ければ死。ぞくぞくしますわ。そちらも愉しんでいてくれていまして?」)
おうさ。そんな豊久の言葉が聞こえたような気が下。
魔弾は間断なくはっしゃされ、敵は最低限の動きと甲冑で防ぎながら走る。
振りかぶって刃の起動が安定した所でエレオノーラは僅かに身をかわしつつ次弾を放つ。だが、そして途中から加速する動きに、エレオノーラは完全に回避が出来なかったのだ。
「……釣り野伏、確かに見切りましたわ。だからこそ、かもしれませんけど」
「ほうじゃの。既に釣り野伏は切れちょる。これはおいとしたことがしくじった。まさか我が身が慣れてしもうとるとはの。手合わせ感謝すっぞ」
エレオノーラが重傷を負わなかったのは単純な事だ。
釣り野伏による加速に慣れてしまった為、素の状態での加速が少し遅れたのである。
素の状態でもかなりの威力を出せた筈だ、これもまた慢心であったと豊久は笑った。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
篠村・蓮十郎
……此処に於いて、今更語る事もあるまい。
早々に斬らせてもらうぞ。
僅かでも早く動くべく軽量化を狙い
装備を一度捨て、試製鉄刀と壱號機械腕のみで臨む
攻撃のみと割り切った、『玉砕覚悟である』との印象も与えておきたい
最早付け焼き刃は通用しない筈
不用意な牽制はせず、ただ一撃を打ち込む事のみに全身全霊を傾けよう
試製鉄刀を構え精神集中
奴の剣、その切先のみを見据え他は全て意識より取り除く
回避行動は最小限に
『避けない』と思わせておけば虚を突く好機にもなる
大振りに避ければ挙動で見破られるだろう
敢えて腕一つを捨てる事で狙いを気取られぬよう立ち回る
斬撃を限界まで引きつけた後、壱號機械腕で受けその軌道を察知し最小限の動きで躱す
無傷とは行かずとも、動けさえすれば十分に勝機はある
回避と同時に更に踏み込み肉薄
生半可な剣では無く渾身の一振りを
正中線を狙い、極一点に集中させた八度の刺突
剣技・八咫を以て捨て身の一撃を放つ
この身は元より死地にあり。
例え島津の剣であろうとも、退くつもりは無い。
●
一連の戦いを見守る男がいる。
その男は黙って装甲を剥落させた。
「……此処に於いて、今更語る事もあるまい。早々に斬らせてもらうぞ」
『ほう。それもまた『見切り』じゃの。よか』
篠村・蓮十郎(鋼剣・g09914)は装甲を外し、僅かでも速度を上げようと装備を捨てたのだ。
残すは試作鉄刀と、義手でもある壱號機械腕のみ。
豊久はその姿を、僅かでも早く切り、確実に当てる為だと見抜いた。
そして……足元を見る。
『どっちとも取れるが……まあええ、戦ってみりゃあ判ることじゃ』
(「見抜かれたか? いや、それはそれで構わん。躊躇が刃を鈍らせる! 後は全身全霊を打ち込むのみ!」)
最早、付け焼刃の駆け引きや小技など通じぬ。
そう思った蓮十郎は不用意な牽制などは行わず、ただ一撃を喰らわせることに専念した。
それ自体は間違っていないが、玉砕覚悟の特攻だと思わせる為の布石でもあった。だが、今回はその態勢から紙一重を狙う者が多い。見抜かれたのかもしれないと思いつつ、今更変更する気はない。
(「奴の剣、その切先のみ。他は知らん。剣技・八咫を以て捨て身の一撃を放つ、この身は元より死地にあり。例え島津の剣であろうとも、退くつもりは無い」)
集中する、集中する、一か所のみに集中する。
ただ、その一か所。そしてそのタイミング。
まるでFPSと呼ばれるゲームの様に、攻撃タイミングと打ち込みの場所に注目することにした。
『いくど! 前へ、前へ!』
豊久が腕を動かすと、周囲に居た幻影たちが突進して来る。
それまでの勢いや、変幻不可思議な射撃が飛んでこない。
むしろ、我が技を見よ、受けよ、喰らえとばかりに飛び掛かって来るのだ。
「突き崩す!」
その動きに逆行するかのように蓮十郎は踏みこんで行った。
試作鉄刀を用いず、壱號機械腕を盾代わりに、敵兵の幻影を跳ね除けながら飛び込んでいく。
『いりゃあああ!』
(「腕一つ! くれてやる!」)
幻影の兵士たちと共に突撃して来る豊久とすれ違う。
繰り出される刃を腕で受け、ねじり込むように跳ね除けながら鉄刀を突いた。
しかもそれだけではなく、瞬時に八度の突きを放ったのだ! 突きを放つ時には、逆手は不要、どうせ勢いをつけるために下げるのだ、ならば切られて衝撃を受けようとも構わぬと一心不乱に刃を打ち込んでいく。
『一意専心。ええ心がけじゃ』
「……なるほど、同じことができると。まあ当然だな。だが、それは俺達の勝利につながる」
めきめきと豊久の鎧が砕けていく。
敵もまた、身を小さくして最低限の動きで避けていたのだ。
避けた者同士、互いの威力も減ったという所か? いや、その点においては、意識を集中させダメージを増強した蓮十郎に分があるだろう。連撃の代わりに幻影の兵士たちを使い、互いに致命傷を避けながら攻撃に専念していたが、残留効果の分だけ上回ったと言える。そして、それはディアボロスたちが積み上げた絆と力である。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
文月・雪人
愈々戦闘開始
改めて名乗りを上げ挑みたい
文月雪人、平安の地に生まれし陰陽師。
改竄されし歴史の闇に呑まれども、復讐者となり蘇り、
人々の歴史を、生きた証を、希望ある未来へと繋ぐべく戦う者なり。
島津豊久、今こそその首、我らの手で討ち取ってみせようぞ!
小細工の効く相手ではなさそうだ
ならば真っ向勝負も悪くはないか
釣り野伏の効果があろうとも
此方にもまた積み重ねてきた【効果】がある
『光明一閃』使用
油断なく仲間と連携し
攻撃に刀を合わせて往なして凌ぎつつ
冷静に敵の動きを観察し攻撃への糸口を掴む
島津の退き口か
配下の召還に武器の使い分けまで多彩な戦法
だがその本質は捨て身の前面突破にある
ならばその突破時に焦点を合わせ、此方も渾身の斬撃をお返ししよう
一撃で効かずとも問題ない
この一撃は、積み重ねた仲間の攻撃があってこそ今繰り出せるものであり
この一撃は、続く誰かの攻撃へと繋げる為のものである
豊久が今なお一人ではなく、配下と共に在るように
俺達もまた信頼できる仲間と共に戦っているのだ
先ずは一撃一撃を重ねていく事に集中しよう
●
「文月雪人、平安の地に生まれし陰陽師」
いよいよ出番とばかりに文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は名乗り出た。
改めて名を名乗り、来歴を語っていく。
「改竄されし歴史の闇に呑まれども、復讐者となり蘇り、人々の歴史を、生きた証を、希望ある未来へと繋ぐべく戦う者なり。島津豊久、今こそその首、我らの手で討ち取ってみせようぞ!」
その言葉を豊久はじっと聞いていた。
待つ必要はないが、待つのが武士のというものだ。
必要ならば待たずに奇襲するのも鎌倉武士以来のセオリーだが、必要ならば幾らでも待とう。礼儀は相応しい者の為に立てる者であり、不要ならば使わないのが元寇以来のセオリーなのだから。
『また平安ば陰陽寺の坊主……いや、神職じゃったか? すまんすまん。しっかし、ようけ『人』がおるの、賑やかでええのう』
「みんな心強い仲間であるのは確かだけどね」
豊久は此処で職種の豊富さに着目した。
そこに聞くべきポイントがあるとみて、黙って聞いていたのだろう。誉を積み上げるために、立派な敵が居るなら黙っていたというのもあるのだが。
(「この期に及んでも情報収集を止めない……か。激昂も熱意に流される様子も無し。小細工の効く相手ではなさそうだ、ならば真っ向勝負も悪くはないか」)
むしろ、余計な事を喋り、余計な策謀を立てる方がマズイ気がする。
雪人は『やられたらやり返す』という当然の論理を肌身で感じていた。
ディアボロスがそうである様に、クロノヴェーダもまた学習する。まるで天海やラスプーチンの様に、自らの主の為に学習して後に活かそうとする意欲を感じたのである。
(「釣り野伏の効果があろうとも、此方にもまた積み重ねてきた【効果】がある。敵兵を抑えて、ここは素直に斬るとしようか」)
雪人は鋭い観察眼と洞察力で、豊久の本質を読み取った。
炎の石と、氷の冷静さを持つ厄介な敵だと見抜いたのだ。
そして隠された僅かな隙を見出し、仲間が傷つけた部分を見据える。その装甲部位に欠落があり、そして動きを鈍らせている事に気が付いたのである。
『では、そろそろいくど!』
(「島津の退き口か。配下の召還に武器の使い分けまで多彩な戦法。だがその本質は捨て身の前面突破にある。ならばその突破時に焦点を合わせ、此方も渾身の斬撃をお返ししよう」)
配下の幻影に指示を出す豊久。
だがこれまでの戦いで、必ず豊久自身も突っ込んで来るのを見た。
どちらかと言えば、この技の威力は低い。それゆえに、豊久自身も突っ込むことで、威力を補っているのだろうと看破したのである。つまり、防御して待って居れば必ず豊久が現れるのである。
『後の先かの? じゃ、それは迂闊じゃぞ! 軽か技はおいには効かん!』
(「っ! だろうね。でも、一撃で効かずとも問題ない。この一撃は、積み重ねた仲間の攻撃があってこそ今繰り出せるものであり、この一撃は、続く誰かの攻撃へと繋げる為のものである。君の技と同じだよ。先ずは一撃一撃を重ねていく事に集中しよう」)
豊久はこの期に及んで幻影の形を戻していない。
釣り野伏の効果が終わったのだから、ただの幻影でも良かろう。
だが、部下の形状を思い出し、維持することに意義があると信じているのだ。そして、それと同様に……否、それ以上に雪人はディアボロスの絆を信じていた。そして、それは如実に現れる結果であり、残留効果と言う力なのである。
『チエエエエィィィ!』
「……見えた、進むべき道はこの先に!」
幻影の兵士飛び込んで来る中で豊久も突っ込んで来る。
雪人は不屈の意志と勇気によって、運さえも味方に引き寄せようと全身全霊の力を込めて対抗する。無数の兵士たちを可能な限りいなし、そして豊久が振り下ろす刃を跳ねのけ重傷を避けながら、逆に刃を浴びせて行くのであった。その刃は豊久に届き、一撃を確かに食らわせていた。
『……解せぬ。おいは確かに切ったはずじゃ、かわしたはずじゃ。それがこの結果かの。ならば、これこそがおはんらの力と言うべきかの? まだ見切ってはおらんが、納得はしたど』
(「っ……流石。やはり策を弄するよりも、先に倒した方が良さそうだね」)
なんと、雪人が狙った事を豊久もまた理解し始めていた。
ディアボロス達には残留効果が、仲間たちが積み上げた頼もしい力がある。
だが、豊久はそれを理解して、取り込もうとしているのだ。
絶対に逃がしてはならない。ここで確実に倒してしまうべきだろう……そう思うと、背筋に冷たい物を感じるのであった。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【建物復元】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
ルィツァーリ・ペルーンスィン
【奴崎組】
アレンジ連携歓迎
味方へのPOW攻撃はディフェンス
成程、恐らく島津、薩摩藩が沖縄を支配していた縁から来る侵攻ってとこか?
そうなるとヤ・ウマト辺りは英国艦がインド、日本の艦が中国やロマノフを侵攻出来るかもしれんって事になるか?
いや今はこんな事考えてる場合じゃないか
目の前の武人に集中せねば騎士の名折れ!
我が名はルィツァーリ・ペルーンスィン!
そして共に戦いしは我が愛馬スヴェルカーニエ!
護らんと誓いし民の為、我が全力を以て御身を討ち取らせて頂く!
死中に活を求め……肉を切らせて骨を断つ!
其方の懐に潜り込めば幾ら音に聞く一の太刀と言えど俺を切り伏せるのにも多少は手間取るだろう?
勿論、そっちは格闘戦も得意だろうが振り払われ切り伏せられる迄、己の命が続く限り放ち続けるのみだ!
戦闘時は無双馬に〇騎乗し戦闘
攻撃は〇オーラ操作による〇結界(術)を〇高速詠唱で刃筋を逸らし致命傷を回避しつつ◯ダッシュで◯突撃
斬り伏せられる前に敵の懐に
其の後は〇捨て身の一撃で零距離〇焔矢を自身が倒れ伏す迄ぶちかまし続ける
月見里・千隼
【奴崎組】
※連携、アドリブ歓迎
味方をSPDでディフェンス
かなり思い入れがある戦国武将の名を冠する天魔武者…島津豊久とようやく戦えるな
豊久が名乗りを上げたならば俺も名乗るが薩摩隼人への礼儀だ
俺は最終人類史の北海道出身の騎手で伊吹の夫であり復讐者、月見里・千隼!
共に時を駆ける相棒の無双馬はチャンディラム!
釣り野伏せごと貴様…島津豊久の首を討ち葬る者だ!いざ、参る!
追い込み馬が最終直線に加速し華やかな逆転勝利するように
釣り野伏せが発動してる中だからこそ狂宴の戦いを愉しみつつ
この不利な状況と言う枷を打破し大逆転するのも一興だろう?
チャンディラムに騎乗し『乱月弾』を発動
殿部隊を駆使し武器を使い分け配下と共に捨て身の前面突破ならば
多少の負傷にも退かず苛烈に弾丸一撃一撃に俺の全身全霊全力を込めて乱射し迎撃する
関節や甲冑装甲の薄い箇所など脆い部位を狙い撃つのもいいな
【トラップ生成】の捕縛罠で妨害し僅かでも隙を作り
【パラドクス通信】で仲間との連携を密に
釣り野伏せでどうにかなる程
俺達復讐者はやわではないぞ!
凍雲・雪那
【奴崎組】
アレンジ連携歓迎
味方をWIZでディフェンス
ん。お話、終わった?
じゃあ、ボクからも簡潔に。
――復讐者、凍雲・雪那。
それ以上でも、それ以下でも無く。ボクの名乗りを、冥途の土産とするがいい!島津豊久!
いざ、参る!
【アイスクラフト】展開。
裂帛の威、幽焔の気!
圧し潰されそうになる心を、必死で繋ぎ留めろ!
覇気は氷塊一つを潰して、盾にして防ぐ。
吶喊しながら、残る二つの氷塊を、連結、削氷、砥刃――蒼氷の大剣と為し、跳躍。
空中なら、割れる大地に足を取られる、心配も無い!
溶岩、有毒瘴気は装備のFrostAuraで防御……一撃を叩き込む瞬間まで、身体を動かせればそれでいい。
釣り野伏が発動していようが、いまいが、関係無い!
今はただ、ボクに出来る最大・最強の一撃を――豊久に叩き込む!
全力で、全開で!氷の巨刃を豊久に、すれ違いざま振るう!
……見事。
でも、ね。いくら、釣り野伏が機能、していても。
お前は、一人で。ボクらは、多数、だ。
戦いに、卑怯もクソも、無いだろ?
ここで死んでけ、島津武者。
月見山・伊吹
【奴崎組】
連携、アドリブ歓迎だよ!
味方をWIZでディフェンス
釣り野伏せが発動中ならそれごと島津豊久を溶せばいいんだよねぇ?
私は千隼の妻こと月見山・伊吹!沖縄生まれの北海道育ち!
この子はスフィンクスのシフォンだよ。
境界をも越える気合いと根性に
霧の向こうへ飛び込む覚悟と野蛮を超越した勇気はお見事だけども
私の生まれ故郷の沖縄本島は返してもらうからねぇ!
沖縄本島の奪還は私の目標の一つだからこの戦いは負けられない!
罪の無い人々の血で沖縄を染めたのは絶っっっ対にに許さないから!
猩々緋の陣はまるで桜島の大噴火みたいだねぇ…豊久の勇猛果敢さと狂気を具現化したようなパラドクスだよ。
知ってるかい?太陽光は桜島の溶岩なんかよりも遥かに熱いんだよ?
宇宙をも越え星を焦がす灼熱の太陽光の如き『日天子砲』を喰らえ!
致命傷にならないように太陽光の魔法障壁で防いでダメージを抑える
釣り野伏せも覇気も溶岩も瘴気も狂気も配下も豊久も全部全部ぜーんぶ
跡形も無く溶かしに溶かして…いいや蒸発させてやっつけるから覚悟してねぇ島津豊久!
●
あれから島津豊久は最後まで暴れ続けた。
鎧はぶちめいで、刃は切っ先が折れ目釘も怪しくなっている。
「ええやん。ええやん。ほな、行きましょか」
それでも恨み言すら言わずに戦い抜くその気概。
ディアボロス達もまた、笑みすら浮かべて迎え討とうとしていた。
「何も分からないまま沖縄から東京に流れ着いたけどよー。きっと今日この日の為に来たんだと思うんさ?」
「そうねえ。沖縄本島の奪還は私の目標の一つだからこの戦いは負けられない! 罪の無い人々の血で沖縄を染めたのは絶っっっ対にに許さないから!」
だからと言ってみんなが陽性では居られない、ウェットな人たちだっている。
それが気の良い男だからと言って、許せるわけではない。沖縄出身の月見山・伊吹(太陽の恵み、日蝕の災禍・g04125)たちは、敵を倒して沖縄を取り戻す日を夢ていた。
「境界をも越える気合いと根性に、霧の向こうへ飛び込む覚悟と野蛮を超越した勇気はお見事だけども……私の生まれ故郷の沖縄本島は返してもらうからねぇ!」
伊吹はハンカチで仲間の目元を拭った。
そして自身は感情をこらえて、スフィンクスのシフォンを抱きしめる。
今日ばかりはシフォンも強く抱くなとは言わない。
(「かなり思い入れがある戦国武将の名を冠する天魔武者……島津豊久とようやく戦えるな」)
仲間達の話を聞きながら月見里・千隼(硝煙と魔弾の騎手/現代ラストジョッキー・g03438)は感慨を抱いていた。
島津豊久と言えば、やはり関ケ原最後の戦いと言っても良いだろう。
文献も残ってはいるが、どうしても行きつくのはそこである。命を懸けて仲間を逃がし、島津を残すことで……最終的には徳川幕府を滅ぼす一因となった男だ。もし豊久が諦めていたら、きっと幕府のj崩壊はもっと後だったかもしれない。そうなると明治維新派あんなに綺麗に終わったか分からないほどだ。ただ故郷を奪われた妻たちの手前、それを口に出さないだけの分別が千隼には合った。
「境界を超えるのがまさかの気合いと根性とは恐れ入ったよ。でも、真っ直ぐ一直線で勝てるほど俺たちは甘くないぞ」
「ふふん、良いわね! 気合と根性! 霧を見つけ、そこに飛び込んでいった『意志』!あえて言わせて貰うわ! 『敵ながらあっぱれ』って奴ね!」
島津が境界を越えたホウホウを聞いてそれは驚きだった。
まさかの根性論。最後は気合で調べ尽くし、あるいは怪しい歪みに片っ端から飛び込んだのだろう。その向こうに何が待ち受けて居ようとも、まるで気にすることも無く。
「成程、恐らく島津、薩摩藩が沖縄を支配していた縁から来る侵攻ってとこか?」
「確信している理由はそう? 縁がなきゃこんな事やってられない。あると信じてれば兵力の無駄とは思わないだろうし」
ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)の言葉に凍雲・雪那(報仇雪恨の皓巫姫・g07783)が首を傾げる。
縁があれば良いという訳でも無かろうが、縁があれば信じることは出来る。
「そうなるとヤ・ウマト辺りは英国艦がインド、日本の艦が中国やロマノフを侵攻出来るかもしれんって事になるか?」
例えば境界の壁が単純にほころぶこと瞬間があるとか、気合で連続クリティカルしたら通り抜けられるとかとして、そのために戦力を無駄使いする理由にはならない。だが縁に寄る確信があったらどうだろう? 気合の入っている兵が多い大戦国や、単純に兵力の多いロマノフや亜人などならば決して無駄だとは思うまい。最終的にはそんな論理の順番だろうとルィツァーリは思った。
「俺は最終人類史の北海道出身の騎手で伊吹の夫であり復讐者、月見里・千隼! 共に時を駆ける相棒の無双馬はチャンディラム! 釣り野伏せごと貴様…島津豊久の首を討ち葬る者だ! いざ、参る!」
「私は千隼の妻こと月見山・伊吹! 沖縄生まれの北海道育ち! この子はスフィンクスのシフォンだよ」
月見山家は夫婦で名乗りを上げた。
共に並びたち、あるいは背中を守り合いながら戦うと誓い合う。そして名乗りには名乗り返す礼を持って挑む。
「ん。お話、終わった? じゃあ、ボクからも簡潔に」
「――復讐者、凍雲・雪那」
「それ以上でも、それ以下でも無く。ボクの名乗りを、冥途の土産とするがいい! 島津豊久! いざ、参る!」
同じ組に所属する仲間たちが名乗りを上げたことで、雪那も意識を改める。
どうでも良いという気だるさを越えて、組で習った『挨拶』は重要と言う言葉を思い出す。流儀なら仕方ない、円滑なコミュニケーションとして従っておこうという奴だ。
「おっと出遅れたな。今はこんな事考えてる場合じゃないか、目の前の武人に集中せねば騎士の名折れ!」
周囲の様子を見てルィツァーリも居住まいを正した。
騎士と武士に作法の差はあれ、誉れ高き戦いに名乗りは必要だ。
「我が名はルィツァーリ・ペルーンスィン! そして共に戦いしは我が愛馬スヴェルカーニエ! 護らんと誓いし民の為、我が全力を以て御身を討ち取らせて頂く!」
そういってルィツァーリは足で無双馬のスヴェルカーニエの腹を叩く。
ぶるるとした嘶きが、戦闘態勢は整っていると返って来たかのようだ。
見れば千隼が載って居るチャンディラムの方も同様と思われる。
そして最後の戦いがやって来る。
味方を突破した敵がこちらへやって来たのだ。
「釣り野伏せでどうにかなる程、俺達復讐者はやわではないぞ!」
『がはは! そんな事は思うとらんち。じゃっどん、ようやく判ったど。こん情報ば届けられたら……おいの勝ちでごわす。本家の誰かが見とったら、誰かが斥候を寄こして負ったら、おいが魂になってでも辿り着ければ、それで島津が勝つ』
その時、千隼は背筋が凍った。
満身創痍の豊久は、己の傷を指さしていた。
強烈な斬撃で傷ついた初期のダメージよりも、突破中に負ったダメージの方が大きい。残留効果で強化した……いや、ディアボロスの連携が持つ真骨頂に気が付かれたのだろう。
「釣り野伏せが発動中ならそれごと島津豊久を溶せばいいんだよねぇ?」
「そうそう。裂帛の威、幽焔の気! 圧し潰されそうになる心を、必死で繋ぎ留めろ! ってね」
それでもなお、伊吹と雪那は気合を入れる。
ここで倒せば良い、排斥力を越えて情報など届かせぬと立ち向かった。
伊吹は夫に優しい視線を送り、雪那は作り上げたアイスクラフトを砕いて装備を作り上げていく。
「死中に活を求め……肉を切らせて骨を断つ! さあ、行こう!」
ここでルィツァーリが愛馬の手綱を引き緩やかに歩み始めた。
少しずつ馬足を速め、周囲にナニカを召喚していくのだ。
「そうだな……そうだな。例え追い込んで居ようと、あの島津豊久。楽な戦いなどあるはずもないか」
正直な話、死者から情報を収集するようなクロノオブジェクトなど用意してはいまい。
大戦国の天魔武者ならば、エネルギーを確保する手段としてはともかく、情報までは重視すまいとも千隼は思うのだ。ならば……。
(「追い込み馬が最終直線に加速し華やかな逆転勝利するように、釣り野伏せが発動して居ようと居まいと狂宴の戦いを愉しみつつ、この不利な状況と言う枷を打破し大逆転するのも一興だろう?」)
そう思って千隼もまた不敵に笑う事にした。
この状況下で敵もまたこちらを突破するつもりで不敵に笑っているのだ。
ならばこちらも笑って見せねばと気合を入れ直したのである。
「先制する! 空駆けし天空の神よ、偉大なる雷神よ!我が敵を討つ為に御身の焔矢を降らせたまえ!」
ルィツァーリは騎乗突撃を掛けながら天空に大砲を出現させた。
次々に砲火を放つ姿は、神が放つ火矢であり雷撃の如く!
『キエエエエエー!!!』
(「其方の懐に潜り込めば幾ら音に聞く一の太刀と言えど俺を切り伏せるのにも多少は手間取るだろう? 勿論、そっちは格闘戦も得意だろうが振り払われ切り伏せられる迄、己の命が続く限り放ち続けるのみだ!」)
そんな中でも果敢に飛び込んで来る豊久。
ルィツァーリは長剣を振るって対抗し、最後まで大砲を撃つのを止めなかった。
ドン! と身を揺るがす衝撃に堪えつつ、手綱を緩めて敵の勢いを殺す。
『オオオオオ!』
「欠けた刃を炎で補っているのかい? 猩々緋の陣はまるで桜島の大噴火みたいだねぇ……豊久の勇猛果敢さと狂気を具現化したようなパラドクスだよ。でもね」
豊久の持つ折れた太刀は途中から赤く染まっているのを伊吹は見た。
そこから次第にブレ始め、周囲を焦がすのを身を持って体験する。
「知ってるかい?太陽光は桜島の溶岩なんかよりも遥かに熱いんだよ? 宇宙をも越え星を焦がす灼熱の太陽光の如き『日天子砲』を喰らえ!」
日輪よ! 日輪よ!
忌む災禍を燐と照らし清めよ!!
そう伊吹は吼える、シフォンも吠える!
灼熱のプラズマ雲を呼び、嵐を起こし、稲妻すら超える勢いで太陽光を収束させる!
『カーっ!!!!』
「ぐぐぐっぐぐ……。釣り野伏せも覇気も溶岩も瘴気も狂気も配下も豊久も全部全部ぜーんぶ、跡形も無く溶かしに溶かして…いいや蒸発させてやっつけるから覚悟してねぇ島津豊久!」
熱い、熱い!
この暑さは敵の放つ炎か、それとも己の放つ太陽光か?
それとも互いの精神が及ぼす熱気が空間すら歪ませるのかと魔法障壁の向こうで伊吹は思う。だが、負けてなどいられまい!
「ice,break,hail,assemble,creation,――Crystallize」
その頃、雪那は氷の塊を溶かしながら敵へと迫っていた。
焼け焦げるような熱気を盾にした氷で防ぎ、喉を焼く空気だけが熱い。
だがまだまだだ、この位はまだまだだと誰かがフォーマルハウトの彼方で嗤っている。
「空なら!」
『甘いど!』
吶喊しながら、残る二つの氷塊を、連結、削氷、砥刃――蒼氷の大剣と為し、跳躍。
目にするのは鎧まで焼け落ちた豊久、振う手自体が炎と化してこちらに手刀が迫って来る。
「……見事。でも、ね。いくら、釣り野伏が機能、していても。お前は、一人で。ボクらは、多数、だ」
「戦いに、卑怯もクソも、無いだろ?」
「ここで死んでけ、島津武者」
焼けつく痛みの中で、雪那は豊久の顔面に大剣をめり込ませた。
それに対し、頭突きで防御するあまりにも原始的なその姿。
致命傷を防ぎつつ、それでも敵を倒そうとするのはあちらも同様だろうと思うのだ。
何という益荒男! 何という情熱。だが御生憎様、氷の心を溶かすには足りないようだ。雪那はそんな表情を見ても女の顔を浮かべたりはしない。ただ狂騒の笑みには……笑みで返しても良いかもしれないかと思うだけ。
「月の満ち欠けは万物を狂わせる……これが最後の一撃だ!」
千隼はチャンディラムを走らせながら次々にトリガーを引いた。
愛する妻が作った魔力弾は、敵中で炸裂して月を埋めていく。
満ち欠けで威力が増減するならば、何度でも撃ち放つことで埋めてしまえば良いだけである。
『まだまだ! 前へ! 前へ!』
「うおおおおおおおおお!!!」
放つ度に敵兵が消える。
放つ度に斬撃が刻まれる。
攻撃し、反撃し、さらに攻撃を繰り返す。
『まえ、へ、まええ! 前へ!』
「落陽は此処に至る。月は……此処に満ちた!!」
パラドクス通信で連絡を取り合い、仲間たちと共に総攻撃。
全身の装甲が剥落し、炎の化身となって迫る島津豊久。
そこへ向けて再度の攻撃を掛けたのだ。一回のパラドクスで倒せなければ、なに、もう一度放つまで! みなと共に攻撃を続け……最後に立ち上った炎が……島津豊久の顔をしていたような気がした。
「――帰ろう」
「うん。帰ろう。みんなに報告しなくちゃねぇ」
「ああ、凱旋だ! 沖縄を取り戻したんだ!」
「皆でな……。ああ、景気に付けに奢ってくれた皆にお礼をしないと。さらばだ」
全身を砕け散らせながらも前進。
最後まで薩摩を目指し、最後まで勝利を掴み取ろうとし、最後まで諦めなかった。
そんな姿にディアボロスたちは何も言わない。勝負は明らかであり、後は沖縄を取り戻したと仲間に告げるだけなのだから。後悔は置いて行き、明日を掴み取る為に。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【動物の友】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
【アイスクラフト】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
【ダブル】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
最終結果:成功 |
完成日 | 2023年10月16日 |
宿敵 |
『薩摩隼人『島津豊久』』を撃破!
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