リプレイ
八重垣・千尋
『飴市』!!聞いただけでわくわくしちゃうなぁ♪飴は腹ペコな事が多い私にとっては必需品だから…でもこんなに沢山の飴を見るのははじめて…!どの飴もとっても美味しそう!
べっこう飴に手毬飴に金平糖……ハッ!私のだけじゃなくてお店に来てくれたお客さんに渡すのも欲しいな…!
(ニコニコといっぱいの荷物を持って)
あーとは…飴細工。昔は遠くから見るだけだったけど今は私も買えるんだ…。
えっと、犬さんの形ってできますか?
(出来上がった犬の飴細工に目を輝かせながら)わぁ、すごい…!まさに職人技ですね!!
はわー……この飴はしばらく取っておきたいけど…私のことだからお腹が減ったら食べちゃうんだろうな…。でも食べたい時に食べ物が食べられるなんて幸せだよね。
東京都・練馬区、石神井公園。
車道沿いの道から背の高い木々に縁取られた道を折れてしばらく歩いたその先には、忍び寄る夕闇の中にあってなお鮮やかに、煌めくような世界が広がっていた。
「わあ……飴市だぁ!」
屋台の並びを照らす照明の熱いほどの光を浴びて、八重垣・千尋(悪食わんこ・g09408)は金色の瞳をキラキラと輝かせた。飴市――いつもお腹を空かせていることで定評のある彼女にとっては、魅力的なことこの上ない響きである。話に聞いただけでも十分わくわくしていたのに、いざ連綿と軒を連ねる屋台と色とりどりの飴達を目の前にすれば、脚が一気に軽くなる。みかん色の鮮やかな振袖をひらひらとなびかせて、千尋は一番近くの屋台へ駆け込んだ。
「こんなにたくさんの飴を見るのは、はじめて……!」
腹減らしの千尋にとって、飴は必需品だ。いざという時の命綱、と言っても過言ではない。それが一所にこんなにも集まって、しかもどれもこれも美味しそうときたら心躍らせずにはいられない。ソワソワと店先を覗き込んでいると、ヒルコの彼女を幼子と思い込んだのだろう、店主らしい初老の女性が飴を入れるための編み籠を差し出してくれた。ありがとうと満面の笑顔でこれを受け取って、千尋は意気揚々と店先に屈みこむ。
「どの飴もとっても美味しそう……! べっこう飴に、手毬飴に、金平糖もいいなあ――ハッ! 私のだけじゃなくて、お店に来てくれたお客さんに渡す分も欲しいな……!」
「お店?」
独り言を耳に留めた店主が不思議そうに聞き返す。うん、と元気いっぱいに頷いて、千尋は返した。
「私、軽食屋をやってるんです。お会計の時にお一つどうぞ、ってしたら、お客さんもきっと喜んでくれるかなって!」
それじゃあ、これください――と、籠に山盛りの飴を買い込んで、千尋はうきうきと最初の店を後にする。市は広場一杯続いているのだから何も急ぐことはないのだが、欲しいと思った時が買い時なのだ。
「いきなり買いすぎちゃったかなあ? ……あ」
並ぶ屋台の間を縫うように歩きながら、娘ははたと小さな足を止めた。目についたのは、飴細工――職人の手で生み出される甘い芸術品は、かつて彼女にとっては高嶺の花であった。
(「昔は遠くから見るだけだったけど……今は私も買えるんだ」)
見つめる視線は、些か物欲しげに映ったろうか。何か作ろうか、と呼び掛ける優しそうな職人にこくこくと首を振り、千尋は店先へ走り寄る。
「えっと、犬さんの形ってできますか?」
おずおずと注文すればお任せあれと見得を切り、職人は熱した飴の塊を適量千切り取ると、魔法のように伸ばして整え、あっという間に犬の形を作り上げてしまう。
「わぁ、すごい……! まさに職人技ですね!!」
仕上げに食紅で色付けをしたら、可愛い柴犬のでき上がり。感激しつつ棒の先に座った仔犬を受け取って、千尋は笑みを深くする。
(「しばらく取っておきたいけど――きっと、お腹が減ったら食べちゃうんだろうな」)
けれど食べたい時に食べたいものを食べられるなんて、それはきっと幸せなこと。なくなったらまた買えばいいのだと思い直して、千尋は再び屋台の並びへと繰り出した。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
織乃・紬
ウルリクちゃん(g00605)と【B】
今年の浴衣で煌めきを一眸し
ホント!信じられない技巧よな
俺なぞ平べッたい鼈甲飴が関の山よ
裾を揺らせば、訊ねに笑い
物の上手とならずとも好きではあるかンね
手鞠飴に金平糖、かろく名を唱えて
因みに金平糖ッてえのは縁起物でさ
とりどりな意味合いがあるンだぜ
そオそ、だが今は語るまい!
先入観なしに選ぶほうが楽しいでしょ
つウわけで、俺も薦めを聞かせてよ
店主サマの真新な印象で是非!
(選ぶ飴は【お任せ】)
ンはは!さッすがの熟練だ
ドチラも随分似合いのよう
然して、俺ばかりが素敵を得ては
留守番の天使ちゃんが拗ねちまうな
俺は土産も買ッてくけど、アンタは?
何となしの誘いに乗る相手は予想外で
瞬く眸で追う選択にオヤと笑み
目が合えば仰け反り、誤魔化し
ア~、俺は青と白の手鞠飴さ!
朝顔を想う彩のまあるいかたち
小瓶を覘いて、舌上に転がし
きッと、あの子は喜ぶだろうから
馳せる容は穏やか、次いで悪どく
ね、アンタの好奇を満たせたならば
俺も知る権利があるのではない?
――さて金平糖に添う意味は何れかな~?
ウルリク・ノルドクヴィスト
紬(g01055)と【B】
西日に照り咲く飴細工の
硝子が如く繊細な造詣を眺め
…此れが人の手で作られたとは
浴衣姿も馴染む君は
こういうものにも親しいかと
様々な飴の名一つ一つ、紬へ訊ねると
小気味良く返る言葉が心地好い
実に博識だな…縁起物?
飴を贈るにも意味が寄り添うのか
然して、第一印象で迎えるものを選ぶにも迷うばかり
店主へ薦めを伺う視線を向けた
(選ぶ飴は【お任せ】)
見立ての品は互いに相応しく思え
店主を頼って良かったと勿論買求め
土産は…其れなら俺も見繕おう、と思い立つ
目に留まったのは金平糖の詰まった小瓶
何処か星に似ている気がして
縁起物との御墨付もあるがゆえ
…紬はどれを土産に?
其れを渡す天使の子は、どんな子だろうと
連れ添う子に想像馳せつつ問うて
幼心にも惹かれそうな手毬飴の愛らしさや
君の、和らいだ表情の珍しさ、にも答えの一端を知ったような
掛けた問いを其の儘
わるい笑みで翻されれば
一瞬言葉に詰まって
同居人、ただの、同居人だ――
勘繰り無用と念押すが
顔には馬鹿正直に熱が乗る
…不味い、弱味を握られた気がしてきた
秋の日は、足早に過ぎゆく。
西の空にわずかに残る茜雲の下、吊り提灯とスポットライトの眩しいほどの明かりの中で、無数の飴達が輝いている。
「……此れが人の手で作られたとは、驚きだな」
木の台に並べられた硝子細工にも似た動物や植物は、細部の造詣から色彩まで実に精緻で、言われなければこれが飴でできているなどとは思いもしないだろう。感嘆に唸るウルリク・ノルドクヴィスト(永訣・g00605)の肩越しに店先の飴達を覗き込んで、織乃・紬(翌る紐・g01055)は言った。
「ホント! 信じられない技巧よな。俺なぞどんなに頑張ッても、平べッたい鼈甲飴が関の山よ」
緋白黒の派手な浴衣を襷掛けに着こなす男には、夜祭の風景がよく馴染む。様になるなと率直な賛辞を送って、ウルリクは問うた。
「君は、こういうものにも親しいのか」
「そうねェ。物の上手とならずとも、好きではあるかンね」
裾の白波をひらりと揺らして、紬は店先に並ぶ飴の海に視線を落とした。角度をつけたひな壇状の陳列棚では、プラスチックのケースに入れられた色も形もとりどりの飴達が、どこか懐かしい耀きを放っている。
「種類の違う飴に、それぞれ名前がついているのか」
「そ、アレは手鞠飴、ンでコイツは金平糖。オハジキ飴に、甘露飴なンてのもある」
「博識だな……」
ぽんぽんと小気味よく語られる飴の名に素直に感心して、ウルリクは紅玉の瞳を瞬かせる。でしょ、と童心に返ったような心持ちで笑い、紬は瓶入りの金平糖を一つ取り上げて見せた。
「因みに金平糖ッてえのは縁起物でさ、とりどりな意味合いがあるンだぜ」
「ほう。縁起物……? 飴を贈るにも意味が寄り添う、ということか」
「そオそ。だが今は語るまい!」
そう言って、紬は金平糖の瓶を棚へ戻した。何故、と問われれば片目を瞑って、男は悪戯に応じる。
「先入観なしに選ぶほうが楽しいでしょ」
「…………それは、そうかもしれないが」
とはいえ第一印象で選ぼうにも、何分、こうした場には縁遠い。どうしたものかと視線を彷徨わせていると、棚の向こう側に立つ店主の女性と目が合った。
「何かお探しですか?」
「いや……特に何かをということではないのだが……」
「こちとら飴市初心者なモンでね。よかッたら、美人の店主サマのお薦めを聞かせてよ」
息を吸うようにすらすらと出てくる調子のよい言葉は、いかにも世慣れた紬らしい。まあお上手と笑った女主人は満更でもない様子で、並ぶ飴達を覗き込んで言った。
「味のお好みはありますか? 例えば男の方なら、お酒の飴なんかも人気ですが……」
「え、酒? 酒の飴があンの?」
ぴくりと耳をそばだてて、紬は突然前のめりに尋ねる。すると店主は我が意を得たりというように、店の奥から別のケースを取り出してきた。
「飴の中に焼酎を入れたものです。お酒なので、表には置いていないんですが……他にも洋酒や、泡盛の飴などもございますよ」
「ンはは! さッすが見る目があるね! よし、俺はこいつを貰ッてこ! ウルリクちゃんは?」
「では、洋酒の物を貰おうか」
味見をどうぞと差し出された口当たりの軽い飴は、歯を立てるだけでさくりと崩れ、ほろ苦い酒精と飴の甘さが口の中で混じり合う。思った通り悪くないと口角を上げて、紬は言った。
「けど、俺ばかりが素敵を得ちゃ、留守番の天使ちゃんが拗ねちまうな。俺は土産も買ッてくけど、アンタは?」
「土産、か。……そうだな」
「……オヤ?」
何とはなしの誘いに、よもや彼が肯くとは思わなかった。ぱちりと呆けたように黒い瞳を瞬かせ、紬は友人の手元を覗き込む。色違いの金平糖が詰まった瓶をあれこれと吟味しつつ、ウルリクは言った。
「君は、どれを土産に――、……どうかしたか?」
「いやァ別に! ア~、そうだな、俺は……コイツにしよッかな」
ぶつかった視線を誤魔化すように逸らして、紬は目についた丸い瓶を取り上げる。その中には、朝顔の彩を思わせる青と白のころころとした愛らしい手鞠飴が詰まっていた。小瓶の小さな曲面に映り込んだ男の眼差しはいつになく和いで、今はここにない『天使』の面影を追っているかのようだ。
「きッと、あの子は喜ぶだろうから」
「そうか。……いったい、どんな子なのだろうな」
「はは、まあ追々ね。ところで、そういうアンタは誰に贈ンの?」
今度は、ウルリクの方がきょとんと瞳を瞬かせる番だった。一瞬、何を問われたのか理解できずに見つめていると、手向けられた穏やかな笑みは一転、悪どい色を帯びる。
「アンタの好奇を満たせたならば、俺も知る権利があるのではない?」
ン? と執拗に覗き込む眼差しは、そう易々と逃がしてくれそうにはない。溜息と呼ぶには軽く、けれど呼吸と呼ぶにはやや重い息を吐いて、ウルリクは応じた。
「同居人、……ただの、同居人だ」
小瓶の中に詰まった金と銀の金平糖は、夜空に輝く星にも似ている。しかも縁起物だというのだから、空を愛し、星に焦がれる子どもに贈るのにそれ以上のものもない気がして――じっとその彩に見入っていると、傍らでにまりと笑む気配がした。
「……勘繰りは無用だぞ」
「はいはい、勘繰り無用ね、分かってるッて。さァて、金平糖に添う意味はどれかな~?」
「…………」
こういう時、馬鹿正直に顔に出てしまう自分の体質が呪わしい。手に取った瓶を包んでくれるよう店主に依頼して、竜は熱を帯びた目元を誤魔化すように眉間を揉んだ。
(「……弱味を握られたような、気がする」)
叶うならばこの夜の光と熱が、彼の記憶を惑わせてはくれないか。あるいはこのままどこかで、酔い潰してしまおうか? そんなことを考えながら、ウルリクは求めた金平糖をチェスターコートのポケットにしまい込んだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
カラタチ・リッカ
【A】ミアちゃん(g07746)と
飴細工体験てのは折角だからしてみたいよねぇ
今日だけの思い出作りしよ〜
どんなの作れるんだろって調べてみたら
初心者向きなのはウサギの形とかー…
あとはイルカ…なんてのもあるようで
迷ってしまうところだねぇ
リスもカワイイ生きもので似合いそう
俺様はリンゴ飴みたいに赤い
金魚のカタチ作ってみようかなぁと思ってて
何となくサカナっぽいものを生成しつつ
ミアちゃんのはどんな風に出来た〜?
作り手の気持ちが籠ってる一品だと思うよ…!
それぞれ飴細工つくれた後は
公園の出店もちょっと覗いてみようか
隣のミアちゃん浴衣は
朝焼けの花っぽい柄で爽やか気分に〜
俺様は浴衣…甚平だっけかな着るの初めて〜だし
こうして一緒にお祭で歩くのも
初めてだったような気もするけれど
やってみような初めてが重なってって
またやろ〜が増えてくのかなぁ…なんて
屋台で見かけた、リンゴ飴とか
綿飴も美味しそうだったから
今日は此れを食べながら帰ろうか〜
目で見て楽しむ飴細工の方は、
もう暫く思い出と一緒に取っておけそうかも?
ミア・メア
【A】カラ(g05558)と!
飴細工の体験、面白そうですの
新たな思い出作り致しましょう~!
ふんふん、色々な形が作れるのですね
ウサギもイルカも惹かれますが…ハッ、リスもある!
ミアはリスの飴に致します!
カラは…わ、赤い金魚!
お祭りって感じでいいですねえ
説明を聞きお手本を見て
真面目に飴作り…おや?リスって手足が5本ありましたっけ…
ええと、
ミアのはこんな哺乳類から逸脱したっぽい感じになってしまい…
カラのはお魚です、金魚です!お上手ですよう!
出来上がりはともあれ楽しかったです!
ゆるり他店もめぐりつつ
カラは浴衣、甚平?は初めて?今日の甚平、涼やかでよくお似合いです!
ですね、お祭りご一緒は初でした筈
こういう楽しい初めてが沢山あるのは嬉しいですし
「またやろ~」が増えたら、更に嬉しいですねえ
賛成です!
林檎飴のお店が気になってた所でして
綿飴も大変魅惑的…!
先程の飴細工はまだ残しておけそうです?
ならば、ミアも暫く食べずに飾っておきましょう
自作の飴は少々不格好ですが
見る度に今日の楽しさを思い出せてくれますもの
秋の日はつるべ落とし、という言葉がある。
西の空を染めた鮮やかな夕映えも今はすっかり夜の帳に隠れ、代わりに街の灯りが輝き出す時間――人々で賑わう石神井公園の飴市もまた、煌びやかな光の中にあった。
「あ、いたいた――カラ!」
露店がひしめく広場の入り口に知った顔を見つけて、ミア・メア(璃々・g07746)は大きく手を振った。朝ぼらけに露をまとう花を描いた白地の浴衣は、この秋仕立ててもらったばかりの逸品だ。するとその声に気づいたのか、甚平姿のカラタチ・リッカ(空言・g05558)が片手を挙げて呼び掛ける。お待たせしましたと小走りに駆け寄ると、白狐は柔和な笑みで応じた。
「いいねぇ、その浴衣。爽やかでいい感じ!」
「カラもよくお似合いですよ! 甚平、涼やかでいいですね」
「そう? だったらいいんだけど……俺様、こういうの着るの初めてだから」
緊張したと冗談めかして、カラタチは額の黒い狐面を側頭部へ回した。出逢ってもう随分経つけれど、考えてみればこうして祭りの日を共にするのは初めてのような気がする。行こうかと声を掛け合ってゆるり歩き出す道は、祭の灯に照らされて煌々と輝いている。
「飴と一言で言っても、色々な種類があるんですね……」
「だねぇ。ところで飴細工体験って、どんなの作れるんだろ?」
観音開きのパンフレットをぱらりと開いて眺めながら、カラタチは首を傾げた。カラー印刷のチラシには飴市の出展者名がずらりと並び、囲みの記事で飴細工の歴史や手順などが紹介されている。せっかくだからしてみたいよねぇ、と水を向ければ、ミアは花柄の青い団扇を口許へ寄せ、こくこくと頷いた。
「とっても面白そうですの。思い出作りにはぴったりですね」
「じゃ、決まりだね! 早速行ってみよっか」
小さく折り畳んだチラシを紺地の甚平のポケットへしまって、カラタチはきょろきょろと辺りを見回した。そう遠くないところに『飴細工体験』の文字を掲げた屋台を見つけて、二人は足取りも軽く飴市の雑踏を抜けてゆく。体験を申し込むや早々に通された店の裏手の作業場には、ベニヤ板を並べただけの簡素な作業台が並び、その上に着色用の食紅と、割り箸の先に拵えた飴細工のサンプルがいくつか置かれていた。丸みを帯びたフォルムの可愛らしい動物達を意気揚々と覗き込み、ミアは声を弾ませる。
「ふんふん、色々な形が作れるのですね」
「こっちに作り方が書いてあるよ。初心者向きなのはウサギとかー……あとはイルカなんてのもあるね」
「ウサギもイルカも惹かれますが……ハッ、リスもある!」
作業台に貼り付けられた飴細工の作り方と実際の飴細工を見比べていると、店主が熱した飴を持って来てくれた。説明を聞き、お手本をよく見て頭の中で大体のイメージを掴んだら、後はスピード勝負――飴が冷えて固まらないうちに作業開始だ。
「ミアはリスの飴に致します!」
「リスもカワイイ生き物でよさそうだねぇ。迷ってしまうところだけど……俺様は、金魚を作ってみようかなぁ?」
半透明の白い飴は熱く触れるのも多少覚悟がいるが、一塊を割り箸の先に取り、指先で摘まんで伸ばして徐々に形を整えていく。なんとなく魚のように見えなくもない形に飴を整えて、カラタチは作業台に置かれた細い筆を取り上げた。
「あ……色を付けるんですね?」
「そ。リンゴ飴みたいに赤い金魚がいいなぁと思って――ミアちゃんはどんな感じ?」
「え? ええっと、今、頑張っていますので……!」
聞き返されてはっと手元に視線を落とし、ミアはあせあせと棒の先の飴を丸め戻した――リスに手足は五本ない。諸々を察して思わず笑み零し、カラタチは言った。
「大事なのは、作り手の気持ちがこもってるかどうかだよ。きっと!」
鋏を入れたり、竹串で模様を刻んだり、あれこれ手を尽くして無心に飴に向き合うこと数分。たった数分ではあるが、時間制限があるだけにかなりの集中力を求められる作業だ。色付けを終えた時には二人ともすっかり擦り減ってはいたが、手元には努力の結晶が二つ、形となって残っている。
「は~、できた……! 集中すると疲れるねぇ」
「わ、わ、金魚です! カラのはお上手ですよう!」
「ふふ~ありがとう。ミアちゃんのは?」
「ミアのは……ええと……哺乳類から逸脱したナニカっぽい感じになってしまい……」
屈託のないカラタチの問いにスイスイと視線を泳がせて、ミアは手元の飴を隠した。五本目の手はなんとか埋め戻したものの、リスなのかメンダコなのか分からない飴の中心には、黒い色素でちょんちょんと円らな瞳が打たれている――まあ、これはこれで可愛いので、よしとしようではないか?
「と、とにかく。でき上がりはともあれ、楽しかったです!」
「そうだねぇ。やってみようとか、初めてのことがこうやって重なって……またやろ~が増えてくといいよねぇ」
また来たい。またやりたい。そういう『次』を望むから、人は毎日を生きてゆける。
ですね、と満面の笑顔で頷くミアへにっこりと笑み返して、カラタチは屋台の並びへ目を移した。
「せっかくだから、他の出店もちょっと覗いてみようか」
「! 賛成です!」
ここへ来る道々に見かけた真っ赤に艶めく林檎飴も、ふわふわの羊のような綿菓子も、飴市には気になる品がまだまだたくさん溢れている。行きましょうと小さな拳を握り締めて、ミアはそわそわと立ち上がった。
帰り道のお楽しみを屋台の甘味に譲ったなら、広い世界にたった一つの飴細工は今宵の思い出と共に、二人の目を当分の間楽しませてくれることだろう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】がLV2になった!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
鬼歯・骰
【KB】【B】
誰が踊るか
反射で言い返すものの、砂糖の匂いには浮かれ気味
これだけ種類があると全部欲しい気持ちもあるんだが
それは無理そうだから真剣にゆっくり選びたいところ
甘いのは当然として、好みだけで言えば割とシンプルなのが良い
凝った細工のは面白いが食うには躊躇いそうだしな
べっこう飴やら手毬飴やら、味の種類重視であれこれ選んでいれば
互いに当分飴には困らねぇことになりそうだ
ツリガネも人の事とやかく言えた義理じゃねぇな
てか噛まずに食った方が煙草の量減らせるんじゃねぇのか
ほら、と猫の顔した金太郎飴の袋を善意のオマケで乗せれば
返ってきた瓶のサイズに少し笑いながらも
有難く頂いておこう
ハルトヴィヒを見かけたら気晴らしできてるかと声をかけ
小腹が空いた時にでも食ってくれと、ハッカ飴の小袋を渡そう
疲労回復と眠気覚ましに摘むに程度にゃ、たまには良いだろ
ブレッツェルが食えそうなもんは…後で別の屋台覗いてくるか
まだまだ戦いは続くんだし、こういう祭りで気分リセットするのも大事だろ
お疲れさん、これからも宜しく頼むよ
鐘堂・棕櫚
【KB】【B】
飴市!
いかにも骰さんが喜んで小躍りしそうなお祭りじゃないですか
浮かれて買い込み過ぎないようにしまょうとからかいつつも
目から楽しめる飴の彩りに散策の足は止まりがち
俺はせっかちなんで、飴は噛めるやつが好みです
有平糖やナッツが練り込まれたものメインに選んでいたら
気付けば骰さんと負けない量に
骰さんはやっぱり甘ければ甘いだけいいんです?
可愛いと食べ難いって感覚、あなたでもお持ちなんですねえ……
なんて素で驚いてたら仕返しのように、愛らしい猫の飴を寄越されました
なんですかこれ拷問ですかと笑いつつも
お礼の代わりに巨大な練り飴の瓶を押し付けて
禁煙はまあ、おいおいにでも?
ハルトヴィヒさんをお見掛けしたら手を振って
手の中の戦利品をずらりお披露目
これなんか食べやすいですよと
塩味の小さなあられが沢山入ったべっこう飴をお土産にお渡しします
ほら、頭を使うことも多いですから脳への栄養って大事ですし
大きな戦いが終わったんですから、しっかりした息抜きもお仕事ですよね
お疲れさまでした!と向ける笑顔は二人と一匹へ
「おお――ここが噂の飴市ですね! いかにも骰さんが喜んで小躍りしそうなお祭りじゃないですか」
「誰が踊るか」
息を吸うようにおちょくってくる鐘堂・棕櫚(七十五日後・g00541)の言葉にこれまた脊髄反射で言い返して、鬼歯・骰(狂乱索餌・g00299)は顔をしかめた。背の高い木々に囲まれた広場に、並ぶ屋台の軒先には色とりどりの飴、飴、飴――骰でなくとも甘党の人間にとっては、堪らない催しだ。そして骰自身、会場を満たす甘い砂糖の匂いに、まったく浮かれていないといえば嘘になる。
冗談ですよと笑って、棕櫚は懲りもせずからかうように言葉を重ねた。
「浮かれて買い込み過ぎないようにしましょうね!」
「どういう心配だ。ガキじゃねえんだぞ」
渋い顔で返してみるも、実際のところあまり自信はない。これだけ種類があるとなると、全部コンプリートしてみたくなるのが人の性である。訂正、甘党の性である。とはいえ数百はあろうかという飴達をすべて試して回るというのは時間的にも物理的にも難しいであろうから、ここはじっくりと腰を据えて品定めしたいところだ。
行く道の左右には、スポット照明に照らされた色とりどりの飴達がキラキラと輝いて二人を待ち構えている。
「それにしても、飴って映えますよねえ。骰さんはどんなのが好みなんです? やっぱり甘ければ甘いだけいいんですかね」
「そうだな。まず甘いのは当然として……割とシンプルなのがいい」
「ほう? というと?」
「凝った細工のは面白いが、食うにはためらいそうだしな」
「…………可愛いと食べ難いって感覚、あなたでもお持ちなんですねえ……」
「あ?」
これ以上なく手短に聞き返す声が、一オクターブ低い。あははと誤魔化すような笑顔で、棕櫚は続けた。
「俺はせっかちなんで、飴は噛めるやつが好みです。有平糖とか、トフィーとか――あ。あのお店、ちょっと覗いてみましょうか?」
気になるものが目につく度に足を止め、漫ろ歩く祭りの道は長い。べっこう飴に手毬飴、金平糖におはじき飴と、なるべく違う味のものを選んで気の向くままに買い求めていくと、空っぽだった買い物袋はあっという間に満杯近くにまで膨れてしまった。
「ありゃ、随分買い込みましたねえ」
「アンタも人のこととやかく言えた義理じゃねぇだろ」
「あ、バレました?」
困ったように髪を掻く棕櫚の鞄には、色違いの有平糖がこれでもかと詰まっている。そら見ろとばかりに鼻を鳴らして、鬼人は言った。
「お互い当分飴には困らねぇな。けど、噛まずに食った方が煙草の量減らせるんじゃねぇのか?」
「あはは、禁煙はまあ追々にでも――うん?」
そらと手渡されたものを反射的に受け取って、棕櫚はぱちりと瞳を瞬かせた。窓のついた紙袋の中には、浅葱色の円の中にそれはそれは可愛らしい白猫の顔を描き出した、大粒の組飴が入っている。
「えっ、ちょ――なんですがこれ、拷問ですか」
「人の善意になんて言い草しやがる」
「いや、可愛いですけど! 可愛いからこそやっぱり、拷問じゃありません?」
眉を下げて笑いつつ、棕櫚は受け取った飴を鞄に収める。そして代わりにと、だいぶ大きな――具体的に云うと、業務用かな? というような大きさの――練り飴の瓶を取り出して、骰の手に握らせた。
「でけぇな」
「それくらいないと足りないかなと思いまして?」
買い物袋にはもう絶対に収まらない大きさの瓶を小脇に抱えて、骰は思わず苦笑する。これで絆されるつもりは更々ないが、まあ、今日のところの失言、放言は、大目に見てやることとしよう。
「……おや?」
膨れ過ぎた荷物を整理しようと会場の隅に移動しかけて、棕櫚ははたと足を止めた。ひとけの少ない木陰には、どうやら先客がいるらしい。わふん、と吼える声がしたかと思うと、一頭のパンツァーハウンドが二人を目掛け駆けてくる。
「こんばんは、ブレッツェルさん。ということは――」
尻尾を振ってまとわりつく犬の向こうに見知った顔の時先案内人を見つけて、棕櫚はひらひらと手を振った。
「どうもハルトヴィヒさん、いらしてたんですねえ」
「相変らずって顔だな。ちゃんと気晴らしできてるか?」
人懐こさを全部犬に持って行かれたのではないかというほどに無愛想な少年は、二人を視認するとただ一言、まあなとだけ応じた。もっともそんなすげない反応はいつものことで、棕櫚は鞄の中から戦利品を取り出すと、大きな掌に掲げて見せた。
「調子に乗ってつい買い過ぎちゃいました。よかったらお一ついかがですか? 例えばこれなんか――」
甘い物が苦手でも食べやすいと思うんですが、と付け加えて、手渡したのは塩味の効いたあられ入りのべっこう飴。そこへ薄荷飴の小袋を重ねて、骰は言った。
「こいつは大して甘くねえから食えるだろ。眠気覚ましにでも摘まんでくれ」
「……俺はいい。そういうのはお前らが食った方が」
「そう仰らず。甘いものは脳の働きに必要不可欠なんですよ? そうでなくとも、皆さん頭を使うことも多いでしょうし」
続く言葉を遮って、棕櫚は言った。ある意味では仕事人間とも言えるこの少年は、どうも、休息など必要ないと思っているような節がある。しかし当たり前のことながら、全力で走り続ければ息切れをするのが人間というものだ。そして息切れをしたまま動き続ければ、当然身体は参ってしまう。
「まだまだ戦いは続くんだ。こういう祭りで気分リセットするのも大事だろ」
「骰さんに同調するのもなんですが、息抜きはサボリとは違いますからね。大きな戦いが終わったんですから、しっかり休むのもお仕事の内ですよ?」
お疲れ様でした、と大戦の労を労って、棕櫚は半ば強引にハルトヴィヒの手に飴を握らせる。すると――何かを訴えるように、足下に座った犬が骰の足をテシテシと叩いた。
「お前も何か欲しいのか? しょうがねえな――どっかその辺の屋台覗いてくるから、待ってろ」
「わふ!」
焦げ茶色のつむじをくしゃりと撫でてやると、パンツァーハウンドは嬉しそうに黄緑色の瞳を輝かせた。主の甘え下手は今に始まったことではなし、この際この人懐こい犬を気の向くままに甘やかしてみるのもよいかもしれない。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】LV1が発生!
篝・ニイナ
【白花/A】
気分が良くなる囃子の音
少年が纏う鬼灯の浴衣は
俺が操る炎の灯りを思わせて好ましい
鬼灯の鬼の字も、小さな実を隠す空っぽな袋も俺に似合って
そんな柄に包まれた白磁の少年を見て思う、少しの優越感と親心に似た誇らしさ
俺のためにその浴衣着てくれたの?
なんて、うぬぼれてもいい?
恐竜の飴に少年は目を奪われて
溢れた声に作ってみるかと提案してみれば
より眩しい表情に大きな頷き
それぞれ作ることになった飴細工に
俺は何を宿そう
ああ、そうだ
アイデアが生まれれば、この黒曜の手には不相応に器用な手先を駆使して作られる分身
デフォルメされた見た目に鼈甲のツノが刺さってるのが愛嬌あるけど、まあまあイケメンじゃない
ラルムクンから貰った、彼お手製のまあるく可愛らしい白い犬の飴
うんうん、見える、見えるなあ
どこかの誰かの面影が、俺の好きな仔犬の顔が
これは、食べられないかも
そう思っていれば彼も同じだったよう
じゃあ、お互い溶けないように大事にしないとね
溶けて消えないようにってそれ俺の台詞
そばに居るからって俺の炎で溶けないでよ?
ラルム・グリシーヌ
【白花/A】
様々な煌めき抱いた甘色溢れる飴市
君と歩く祭り途が嬉しくて
朱く燈る瞳と重なれば柔く笑む
この浴衣、俺に似合うかな?
鬼灯の名も彩りもニイナみたいで
なにより俺の大好きな君の色だから着てみたかったんだ
見てニイナ、恐竜の飴細工があるよ
小さくても格好良いね
俺も作れるかなぁと零せば
なら挑戦してみる?
彼の魅力的な提案に顔を輝かせて頷く
初めての飴細工作りに胸躍らせつつ
彼は何を作るんだろう
飴のように煌めく黒曜の手元を見遣ると
徐々に命を吹き込れていく彩と形は…
あ、ニイナだ!凄い!
嬉々と受け取れば、彼の得意げな声と笑み
ふふ、小さな君は格好良いより可愛いかな?
流石に食べられない…いや鼈甲の角だけなら
と思うけどやっぱり駄目!
彼の器用さに感心し乍ら
熱い飴が固まる前に作るのは
白くてふわふわの仔犬
小さな自分は作れないから
代わりに君が好きなものにしたよ
ちょっと歪だけど可愛いでしょ?
交換し合った世界に一つだけの飴色は
2人の色に輝いていて
甘やかな幸せが咲き綻ぶ
ニイナはこの飴のように溶けて消えないで
──ずっと傍に居てね
祭囃子の軽やかな音色が、風に乗って心地良い。旧い記憶はないはずなのに不思議と気分が高揚するのは、どこかでこんな笛の音を耳にしたことがあるからだろうか。
「ニイナ、どうかした?」
「ん?」
問う声に伏せていた瞼を持ち上げて、篝・ニイナ(篝火・g01085)は少しだけ視線を下げて傍らを見やる。すると、覗き込むようにこちらを見上げるラルム・グリシーヌ(ラメント・g01224)の視線にぶつかった。四方から注ぐ祭の灯に照らされた飴市は極彩色に染めて、二対の瞳を千々に煌かせている。
「なんだか嬉しそうだった」
「そう? そっちこそ随分楽しそうじゃないの」
黒地に鮮やかな鬼灯を描いた浴衣をまとい、白銀に輝く髪に黒い狐の面を飾って。そんなことないよと少年は大人ぶるのだが、これをはしゃいでいると言わなければ何を以てはしゃいでいると言えばいいのか分からないくらいだ。何が気になるのやら浴衣の袖や合わせを確かめるようにチラチラ見つつ、ラルムは言った。
「この浴衣、似合うかな?」
「――似合わないって言ったら?」
「え」
円くて大きい仔犬のような瞳は、いつもそうだ。あからさまな冗談にも一瞬、本気で戸惑ってしまう。罪悪感が酷いからなるべくやらないようにと思っているのに、それでもつい揶揄ってしまうのはニイナの悪い癖である。
ごめんごめんと眉を下げて、鬼人は意地悪げな笑みを柔くした。
「冗談に決まってるじゃん。……俺のために着てくれたの?」
「…………うん」
「はは、だよね――……うん?」
今度は、ニイナの方が目を円くする番だった。そんなことはないだろうと思いながら自惚れたことを言ってみたのに、臆面もなく肯定するのだからこの少年は時々ずるい。あせあせと視線を落として浴衣の生地を握り締め、ラルムは言った。
「ために、っていうのはちょっと違うかもしれないけど。鬼灯って名前も、彩りもニイナみたいで……だから、俺も着てみたかったんだ」
大好きな君の色だから、と照れ臭そうに零して、少年はやんわりと口許を綻ばせる。鬼の灯と書いて、ホオズキ――炎を操り夜を駆ける鬼に、これ以上相応しいものもないだろう。ニイナ自身に言わせれば、小さく珠のような果実を隠す、派手でそのくせ空っぽな緋色の袋もまた彼らしい。それをこのいたいけな少年がまとっているのを前にすると、ほんの少しの優越感と、親心にも似た誇らしさが胸の底から湧き起こる。
「俺のご機嫌とったって、なんでもかんでも奢らないよ?」
「分かってるよ――あ、ねえ見てニイナ」
あれと示した白磁の指の向こうには、『飴細工』の暖簾を掲げた屋台があった。そしてその軒先には、様々な恐竜を模した飴細工が並んでいる。途端にキラキラと瞳を輝かせて、ラルムは足早に店先へと駆け寄った。
「小さくても格好良いね! 俺も作れるかなぁ?」
「作ってみる? ここ、体験もやってるみたいだけど」
「えっ……作れるの?」
何気なく提案してみれば、橄欖の瞳がいっそう眩しく輝いた。二つ返事で頷く少年へ頷き返して、ニイナは店主に呼び掛ける。店の裏手に用意された体験コーナーにはベニヤ板の作業台が拵えられ、柔らかく熱せられた飴と、着色のための食紅が並べられていた。
(「ニイナは何を作るんだろう――?」)
職人の説明を聞くのもそこそこに、鬼人は飴をひと塊手に取ると何やら形を作り始める。その手元をしげしげと覗き込みつつ、自身も飴に手を伸ばして、ラルムは熱っと声を洩らした。一方で飴のように艶めく黒曜の指先は、ちょっとやそっとの熱など苦でもないというように器用に飴の形を整えていく。
まずは手で捏ねて人型を作り、髪となるパーツを加え、鋏も入れて大まかな形を取る。伸ばしたり千切ったりしながら細部を整え、最後に細い筆で食紅を塗って、命と彩を吹き込んでいけば――。
「あ――ニイナだ!」
凄い、と円い目を更に円くして、ラルムは素直な賞賛を贈る。最後に髪の生え際にべっこう飴の角を押し込んで、ニイナは可愛らしくデフォルメされた自身の分身を傍らの少年へ差し出した。
「ちょっと愛嬌ありすぎだけど、まあまあイケメンじゃない」
「わあ……凄い凄い! でもどうしよう――こんなの食べられないよ!?」
べっこう飴の角だけならば、あるいは――と実物と飴を交互に見やり、やっぱり無理、とラルムは唸る。嬉々として受け取ったかと思えば相変わらずの百面相に、ニイナはくつくつと可笑しそうに喉を鳴らした。
「それはそれとして、ラルムクンのはどうなってるの。早くしないと固まっちゃうよ?」
また少し意地の悪い声色を含ませてみれば、やってる途中だもん、と気持ち頬を膨らせて、ラルムは手元に目を戻す。半透明の白い飴が固まってしまう前に、捏ねて伸ばして形づくるのは仔犬――ふわふわの毛並みが印象的な、白い仔犬だ。
「へえ、案外器用だね」
「さすがに君みたいに上手にはできないから……代わりに、君が好きなものにしたよ」
ちょっと歪だけど、可愛いでしょ――?
そう言って、はにかむようにラルムは笑った。丸々としたフォルムはクマのような犬のような形をしているが、ちょんと打たれた黒い瞳が愛くるしい。まるでどこかの誰かの面影を写し取ったような仕上がりの飴をくるくると回して眺めながら、ニイナは問う。
「ねえラルムクン」
「何?」
「俺がどうして白い仔犬が好きなのか、知ってる?」
「…………なんで?」
聞き返す彼は、多分分かっていないのだろう。首を傾げるその仕種が、名前を呼んで駆けてくる姿が、仔犬にそっくりなことなんて――まるで、自覚していないのに違いない。
教えない、と返せばむきになって頬を膨らせるのを慣れた仕種でいなしながら、ニイナは笑った。
「これは、俺も食べられないかも」
交換しあった飴細工は、広い世界にたった一つの宝物。甘やかな幸福を映して綻ぶ飴色をそっと口許に寄せて、ラルムは呟くように口にした。
「ニイナはこの飴みたいに溶けて消えないで、……ずっと傍にいてね」
「溶かす前提で話さないでよ――ってか、それはどっちかってーと俺の台詞」
ふ、と勝ち気に口角を上げ、ニイナは挑むような口振りで続けた。
「傍に居るからって、俺の炎で溶けないでよ?」
「溶けたりしないよ。絶対!」
根拠なき自信を満面の笑みに変え、ラルムは大きく頷いた。
そう――たとえこの先、胸に逆巻く復讐の火がどれほど烈しくこの身を焦がしても。
そこに彼が居てくれるならば燃え残っていられると、鬼はただ、そう信じている。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!
フィオリナ・ネージュ
【雫猫】
B/お任せ
2023浴衣着用
祭囃子に並ぶ屋台、きらきらの飴細工に
慣れない浴衣ながらあれもこれも眺め彷徨い
うずうずしてしまいます
職人さんが眼の前で飴を様々な形に変化させて
あ、これは猫さん!これは……
昇り龍…?凄いですね…!
贅沢なテーマパーク、本当に!
ねえ、いとちゃん!私達も何か作って貰いましょう?
イメージに合うものを自由にお願いします
帰ってエトやつゆちゃんにも飴細工見せたくて
お土産も選んで買っていきましょうか
ふふ、どれに、しようかなーです
あ、…この飴うちのお店に置いてる張り子犬にそっくり
縁起物ですし、私はこれで!
いとちゃんの選んだ四つ葉で幸せたくさん降ります
作ってもらった飴細工はいとちゃんと見せっこ
勿体なくて食べるの躊躇っちゃいますね!
屋台の灯りに透けた飴を翳して暫し眺めて
それからもうひとつ、こんぺいとのお土産!
あのね、いとちゃんの色がつまった
小瓶のお星さまを見つけたの!
私のも?星が集まり咲いた花は嬉しくて
飴を口の中で転がし
大好きなお友達と巡る思い出は
いつだって溶けない甘い魔法
雫芽・いとり
【雫猫】
【B】お任せ
浴衣お任せ希望
浴衣でおめかし、お祭りにいざ!
祭囃子が耳に届いたら気持ちもそわそわ
食欲の秋と芸術の秋を両方取りの飴細工
覗いてみたら気付けば視線は釘付けに
こっちはバラだ!すごい綺麗!
ヤギさんにイルカさんもいるー!
植物園に動物園に水族館、飴のテーマパークみたいだね
うんうん、私達のも作ってもらっちゃお!
何が出来るかな~?わくわくが止まらない
わたしはねー、うん、これにきーめた!
お土産に選んだのは幸運四葉なクローバー
お留守番のつゆとエトちゃんには
縁起物と幸運をお持ち帰りだ!
受け取った2人のイメージの飴を並べたら
フィオちゃんと顔を見合わせてにこにこ笑顔
ずっと見ていたいけど、そしたら溶けちゃう…
ねえねえ、写真撮っておこ!
ここなら大丈夫って溶けない宝石箱
ふふー、私もフィオちゃん色が詰まった
こんぺいとー買っちゃったんだ!
あのねあのね、こうして並べたら…
ほら!フィオちゃんの花飾りみたいでしょ!
開けた小瓶の蓋の中で花開く
甘くて優しい秋の思い出
大好きなお友達と作っていく
ずっと褪せないアルバムだ
蒼い人魚の尾びれにも似たシフォンのショールを揺らして、秋の夜風が吹き抜ける。ひらり、浴衣の裾がひらめく感覚はまだ少し慣れなくて、フィオリナ・ネージュ(華たそがれ・g09310)はぎこちなく祭りの灯の中に足を止めた。どこからか響く祭囃子の笛の音が踊る中、飴を商う屋台の並びは方々から降る照明を受けて、真昼のように輝いている。
「これが飴市……? というのですね……」
初めて訪れる場所ながら、露店の軒先に並ぶ宝石のような飴達を目の当たりにすれば、自然と心は弾みだす。
凄いよね、と花咲むような笑顔で応じて、雫芽・いとり(芽吹ノ雫・g09163)は友人の傍らへ並んだ。
「お店にあるもの全部、飴なんだもん。それにあの笛の音を聴くと、なんだかそわそわしちゃうんだよ」
暖かな蜜柑色から淡いレモンクリームへ、移ろう浴衣の袖には波打つ髪に咲かせたのと同じ、円みを帯びた白い花が咲いている。普段はあまり着る機会もないのだが、祭りの夜にまとう浴衣はなぜだか不思議と心を浮き立たせてくれる。
「フィオちゃんの浴衣も素敵だね!」
「ありがとうございます。でもまだちょっと、慣れなくて……」
二色のアネモネの花咲く袖で口許を隠して、フィオリナは少し気恥ずかしげに笑みを零す。すぐに慣れるよと笑み返して、いとりは友人の背を押した。
「さ、行こっ。いざお祭りに出発だよ!」
立ち並ぶ屋台はいずれも、二十三区内に店を構える老舗の飴屋や、製菓会社が協賛して出展しているものらしい。道を縁取る軒先には、玉飴から組飴まで千差万別の飴達が並んでいるが、中でも二人の目を引いたのはやはり、飴職人達の粋を凝らした飴細工であった。硝子細工にも見紛うような精緻な花や動物達は、すべてが飴でできているというのだから驚きだ。
「わあ、飴細工だ……! これ一つで食欲の秋と芸術の秋、両方どりって感じだね!」
「あ……あちらで何か、作っていらっしゃるようですよ……?」
声を弾ませるいとりの袖をくいと引いて、フィオリナは道の先を指差した。煌びやかな屋台に縁取られた通路の先には人だかりができており、その向こうには――。
「わ、実演だよ! フィオちゃん、行ってみよ!」
琥珀色の双眸をみるみる輝かせて、いとりはフィオリナの手を引き駆け出した。連なる人の輪の向こう側を背伸びして覗き込めば、そこでは半被を着た飴職人が熱した飴を手に取って、まさに飴細工を作っているところであった。
「す、すごいです。飴の形が、どんどん変わって――あ、猫さん? ……えっ、昇り龍……!?」
まるでそういう素材であるかのように、半透明に輝く飴は飴職人の手の中で変幻自在に形を変えていく。時に引き延ばし、時にくっつけ、鋏を入れつつ細やかな造形を完成させていくその様は魔法のようで、一度吸い寄せられた視線はもう逸らすことができなくなってしまう。
十数分にわたる実演を最初から最後まで見届けて、二人は観客に混じり惜しみのない拍手を送った。興奮冷めやらぬまま覗いた店先には、先ほど造られたばかりの昇り龍と並んで、花や動物など多種多様の飴細工が輝いている。
「こっちはバラだ! すごい綺麗! それにヤギさんもイルカさんも……なんだか、飴のテーマパークみたい!」
「植物園に、水族館に、動物園まであるなんて。贅沢なテーマパーク、ですね」
同じ植物や動物でも、よく見れば一つ一つ、形や表情が違っているのもまた楽しい。あれがいい、これがいいと一頻り話し合っていると、初老の飴職人がにこやかに声を掛けてきた。
「宜しかったら、何かおつくりしましょうか」
「え――いいんですか!」
ぱ、と顔を見合わせて、ぜひ、と二人は声を揃える。私達のイメージで、と無茶なお願いをしてみれば、老いた飴職人は快く引き受けてくれた。いったい何ができるのかとわくわく胸を弾ませて、見つめること物の数分ででき上がったのは、色違いの薔薇を抱いた二羽の白兎――翡翠がかった碧い花の方をフィオリナへ、蜂蜜色の花の方をいとりへと手渡して、職人は言った。
「ウサギみたいに可愛いお嬢さん達だから」
「まあ、お上手ですね」
浴衣の白い袖で口許を隠しつつ、フィオリナはころころと笑って礼を述べる。そして何かを思いついたように、そうだ、と口にした。
「エトやつゆちゃんにも見せてあげたいですね。お土産も買っていきましょうか?」
「あ――いいね、それ! そうしよう!」
今日は留守番の可愛い相棒達の顔を思い浮かべながら、二人は再びいそいそと軒先に背を屈める。しかしいざ選ぶとなると、これもまた随分と悩ましいものだ。
「わたしはねー、うん、これにきーめた!」
「それは……クローバー、ですね?」
「そう、幸運の四葉のクローバー! フィオちゃんは?」
「私は……この子にしようかと。うちのお店に置いてる、張り子犬にそっくりなので」
今日はここにいないあの子達にも、縁起物の飴がたくさんの幸せを運んでくれますように。選んだ飴を包んでもらい、二人は足取りも軽く飴細工の露店を後にする。今しがた作ってもらったばかりの可愛らしいウサギ達は、屋台を照らす明りに掲げると微かに透けて、柔らかな光を点して見えた。
「勿体なくて、食べるのためらっちゃいますね!」
「本当、ずっと見ていたいけど、そしたら溶けちゃう……あ。ねえねえ、写真撮っておこ!」
スマートフォンのフレームで四角く切り取った世界は、溶けることのない宝石箱。甘い秋の思い出をぱしゃりと一枚、もう一枚、アルバムの中に収めたなら、今日の日が色褪せることはない。
これで大丈夫ねと笑って、フィオリナはいとりの手を取った。
「そうだ、あのね。さっき歩いている途中で、いとちゃんの色がつまった
小瓶のお星さまを見つけたの!」
「お星さま?」
「そう、こんぺいと! 今から買いに行っても、いいかしら……?」
おずおずと尋ねれば、勿論と輝く瞳が眩しい。行こうよとつないだ手を引いて、いとりは言った。
「それじゃあ私も、フィオちゃん色が詰まったこんぺいとー、探しちゃお!」
星を集めて、花を咲かせて、煌びやかなこの夜がもう少しだけ続きますように。鈴のような笑い声を背に残して、少女達は駆けていく。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】がLV3になった!
効果2【凌駕率アップ】LV2が発生!
ノスリ・アスターゼイン
【A】カラスと
ハルトヴィヒ、千陽とも話せたら嬉しい
飴の彩りは勿論
広場に集う和装の艶めきも華やかで良いね
浴衣似合っているね とか
あ、その飴、どの屋台? とか
一般人とも気さくに交流を深めつつ
祭りを楽しもう
己もマジックアワー色の浴衣で逍遥
着物姿での道行きは未だ慣れず
ちょっと休憩、と飴細工屋を覗く
ひかりの中にあって
何故か影濃い一角を目にしたからだけども
笑みを零して
手にした明星のランプを作業台に置く
やぁ、カラス
なに作ってるの?
製作中の手元を覗き込む
器用なものだな、と自らも挑戦
戦場でのナイフの扱いは得手だが
料理となるとからきしだ
熱っ?!
え、もう固まった?!
ハルトヴィヒのブレッツェルや千陽のもふにも
モデルになって貰ったりで
皆で誰が一番上手に作れるか対決、もとい、巻き込みつつ
最初は上手くいかないながらも
素直にコツを聞いて学んで作ったのは
翼を広げた猛禽
お、なかなかの出来!
両手を掲げて万歳
何故か群がっていた観客の一般人たちへも
子供みたいに見て見ての仕草
上出来も不出来も味は保証済みだから
皆で交換出来たら良いな
並ぶ屋台の軒に吊られたスポットライトの光条が、秋の夜を煌々と照らしていた。店先に並ぶ彩り豊かな飴達は光の中で輝いて、会場を訪れた人々の艶やかな和装と共に祭りに華を添えている。
「なかなか賑わってるじゃない」
練馬区は石神井公園。盛大な飴市の入り口に立って、ノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)は誰にともなく口にした。ただでさえその面立ちは人目を引くというのに、青い黎明から黄金の夜明けへ、移ろうマジックアワーの浴衣をゆったりと着こなし、光の具合によって色を変える黒琥珀の翼を背に広げた姿は、道ゆく人々の視線を大いに惹きつける。時にそわそわとこちらを見つめる若い娘達へ悪戯な笑みを手向け、時に復讐者に興味津々の子ども達の相手をしながら、夜を舞う猛禽は祭りの人混みを分けていく。
(「この辺で、ちょっと休憩していこうかな」)
和装をまとうこと自体は初めてではないが、黒い鼻緒の下駄には未だ慣れない。どこか休めるところはないかと周囲を見渡して――ふと、飴細工の屋台の裏手に簡素な作業場が設けられていることに気付く。そして飴細工体験に勤しむ親子連れやカップルなどの中に顔見知りの姿を見つけて、ノスリはにまりと口角を上げた。
「やぁ、カラス。なに作ってるの?」
「……ノスリ、か」
明星の如き手持ちのランプを丸太のテーブルへことりと置けば、忍びは青年の名を呼んで、幾らか眩しげに瞳を細めた。その手の中では、無駄に可愛らしい三毛猫の飴細工が完成を見ようとしている。テーブルの向かい側には彼の『同僚』――千陽とハルトヴィヒの姿もあった。顔見知りの復讐者との邂逅にぱたりと金色の尾を振って、千陽は朗らかに笑う。
「こんばんは、ノスリくんも来てたんだね!」
「ちょっと見学に。それにしてもカラスは器用だね――俺も戦場じゃナイフは得手だけど、料理はからきしだよ」
ちなみにそっちは、と水を向けると、千陽は分かりやすく笑って誤魔化した。その隣のハルトヴィヒは――いつにも増して渋い顔で延々と飴を捏ねている辺り、状況は察して然るべきであろう。
隣いい、と一言断ってベンチに腰を下ろし、ノスリはテーブルの中心に置かれた白い飴に手を伸ばした。
「どれどれ、俺も……って、熱っ!?」
「固まる前の飴だからな。当然熱いが……冷えるのも早い」
ぼそりと口にして、カラスは割り箸を片手で割ると、ノスリへ差し出した。
「適当に一塊取って、箸の先で形を作る。固まり過ぎたら、そこの火で温め直すといい」
「なるほど……なんとなく分かった気がする」
じゃあ、と笑ってテーブルの下を覗き込み、ノスリは足下に伏せをしたパンツァーハウンドと、その背中に寄りかかったスフィンクスへと呼び掛けた。
「ふたりとも、よかったらモデルになってくれない?」
元々、手先は器用な方だ――自分で言うのもなんだが、コツさえ掴んでしまえば覚えは早い。まずは習作の犬猫で大体の感触を掴み、本番は腰を据えてじっくりと。真剣に向き合うこと十数分の作業の後、でき上がったのは――。
「お、なかなかの出来!」
それはこの世に一つだけの、甘やかな猛禽の鳥。広げた翼は指で大体の形を整えた後、竹串を使って羽根の一枚一枚を彫り込んだ。できた、と少年のように屈託のない声を上げ、見てみてと頭上に掲げてみせれば、周囲の人々からは温かな拍手が返る。その出来栄えは初めての挑戦という割には大したもので、忍びは率直な感心を口にした。
「筋がいいな」
「はは、それは光栄。まあでも、上出来も不出来も味は保証済みだからね」
ちょっとくらい失敗しても、食べてしまえばみな同じ。後で交換こしよう、などと持ち掛けてみると、マスクに隠れた忍びの口許が微かな笑みを刷いた――ような気がした。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
マリアラーラ・シルヴァ
ねーねーハルトヴィヒ可愛い飴をみつけたの!
そんな風に飴細工してるハルトヴィヒに
色とりどりのプチ金平糖を見せびらかすよ
こんなにちっちゃいのに色んな味が付いてるなんて凄いねって
赤いのはイチゴで緑はメロン味と思ってるんだけど…
ひょっとして赤はトウガラシとかじゃないよね?
なんて言いつつマリアも隣にお邪魔させてもらって
飴細工を始めちゃうね
ぐにぐにしながらぽそぽそ独り言
七曜の戦いはとっても大勝利で復讐者の皆は喜び合ってるんだけど…
パパママを取り戻す手がかりとかは何にもなかったの
なんにも…
だからちょっと元気なかったんだけど
飴細工してるハルトヴィヒ見て気づいたの
虚しかったり焦ってたりしてるのはきっとマリアだけじゃない
今はまだ一歩一歩できることを少しずつ
そんな時期だからみんな笑顔でお祭り参加してるのかなって
みんなオトナだなって
そう気づいたの
ぽそぽそは独り言なんだけど
そんなの建前だってハルトヴィヒは気づいちゃうよね
だから…お話聞いてくれてありがとねって
星の形になった飴をプレゼントなの
マリアはまだ頑張るよって
「ねーねー、みてみて、ハルトヴィヒ!」
幼い少女の呼ぶ声は、突拍子もなく聞こえてきた。既に固まりかけた飴をいじる手を止めて、時先案内人の少年は不承不承視線を下げる。するとそこには、色とりどりの金平糖が詰まった瓶を掲げるマリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)の姿があった。カラフルポップな朝顔柄の浴衣風ワンピースは、今日のために誂えたとっておきだ。
「可愛い飴をみつけたの! ね! こんなにちっちゃいのに色んな味が付いてるなんて凄いね!」
「……よかったな」
何と返したものか一瞬思案した後――この間、コミュニケーション能力が欠落したこの少年がとんでもないことを言いだすのではないかと、周囲の案内人達は若干案じていたのだが――ハルトヴィヒはごく手短に、そうとだけ応じた。でしょ、と丸々とした大きな瞳を輝かせて、マリアラーラは物怖じすることなく続けた。
「緑はメロン味で、赤いのはイチゴだと思ってるんだけど……トウガラシとかじゃないよね? あ、ねえ、もうちょっと詰めて! マリアもやるの!」
そう言って少年を少し奥へ詰めさせると、少女は丸太のベンチにぴょこんと腰を下ろした。しかし、柔らかく熱した飴に手を伸ばそうとすると、少年の手がそれを制した。
「?」
「熱いから、直接触るな」
これを使えと割り箸を少女の手に握らせて、ハルトヴィヒはまたそっぽを向く。けれどそんな態度にはお構いなしにありがとう、と礼を述べると、マリアラーラは割り箸を割り、二本になった棒の先に飴を取って捏ね始める。そしてぐにぐにと弄り回しながら、呟くように口にした。
「七曜の戦はとっても大勝利だったけど……パパとママを取り戻す手がかりとかは、なんにもなかったの」
なんにも、と繰り返して、少女は再び黙り込む。そしてまたしばらく飴をぐにぐにとやって――なんの形をめざしているのかは、今のところ定かでない――でもね、と続けた。
「飴細工してるハルトヴィヒ見てね、気づいたの。虚しかったり、焦ってたりしてるのは、きっとマリアだけじゃない……って」
「…………」
じろりと一瞥した氷晶の瞳が、『どうして俺で』と言っていた。が、彼がただ単に祭りを楽しみたいという理由でここへ来たのでないことくらいは、誰が見ても一目で分かる。向けられた視線には気付くことなく、少女は言った。
「今はまだ一歩一歩、できることを少しずつ、そんな時期だから――みんな笑顔で、お祭り参加してるのかなって。みんな、オトナだなって」
できた、と口角を上げて、マリアラーラは丸太のベンチを飛び下りる。そして少し歪な星の形になった飴を、傍らの少年へ差し出した。
「だから、マリアもまだ頑張るの。……お話、聞いてくれてありがとね」
復讐者達の戦いは、まだまだ続く。だからこそ次の勝利を掴むため、彼女達は穏やかな夜に羽根を休めるのだ。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
レジーナ・ネイサン
【CANVAS】A
今年の浴衣で参加
夜は涼しくなってきたね
飴市、だって
金平糖とかも好きだけど
今日は飴細工
目の前で出来上がっていくのは面白いよね
うん、凄い技術だ
職人の仕事を見てたら自分もやってみたくなってしまって
私たちもやってみない?
彼方で体験できるんだって
何の形にしよう…
アピールしているトトが目に留まって
よし、トト
モデルになってくれる?
ブラシのそれはポーズをつけてるつもりかな
あはは
可愛くしてね、だって
黒く色付けした飴で形を整え
朱い隈取や装飾を付け
…いや!これじゃダメだ!
トトの愛らしさの10分の1も表現出来てない…!
1ミリ単位で調整を続けて
ふう
集中を解いて隣を見れば
ふふ、ギィースも試行錯誤してるみたいだな
真剣な横顔は少し新鮮で
自分も頑張ろうって気になる
これで完成!
はい、トト受け取って…って食べるの躊躇無いな!?
ブラシも良かったね
かわいいじゃない
受け取った飴を手にクルクル回る
気に入った、ってさ
それから、ギィースにも
淡桃色の蓮の飴細工を
…これ私に?
ありがとう
凄くかわいい
えぇー、食べるの勿体ないな
ギィース・エレクレ
【CANVAS】A
去年の浴衣
本当だね、風がとっても気持ちいい
飴市?おぉ、職人さんが飴で作ってる
固まる前に作ってる!
この龍とか凄いよ!
本物みたいで飴とは思えない
ふふっ、レジーナちゃんらしいね!
じゃ自分達で作ろう!
トトは片手を上げてモデルポーズをしている
レジーナちゃんはトトか
じゃ、俺はブラシちゃん!ブラシちゃんいい?
ふむふむ、先に丸くして毛をツンツンと…
アレ??なんか白いウニみたいになった!
なかなか難しいね、レジーナちゃん
って真剣な顔で集中して作ってる
レジーナちゃんは職人さんだよねー
じゃ俺は商人として売れると思うモノを作ろう!
ん、何とかカタチになったかな?
わぁ!レジーナちゃんのトト飴凄い!そっくりだね
トト良かったね!もう食べてる!??
美味しいって…もう!
ブラシちゃんもどうぞ。レジーナちゃんほど似てないけど頑張ってみたよ?
ふふっ、よかった
えっ?俺にも?ありがとう!
わぁ!蓮の花だー!綺麗!
俺はブラシちゃんもう一個!絵の具だらけブラシちゃんにしてみました!
ふふっ、頑張って食べてね!
足早な秋の夕陽が飛び去って、どれほど経っただろう。しかし足を踏み入れた飴市は、四方八方から照らす祭の灯に照らされて真昼のように明るい。
藍色に染めた団扇を口許に添えて、レジーナ・ネイサン(灰色キャンバス・g00801)はぽつりと言った。
「夜は大分涼しくなってきたね」
スケルトンの魚達を描いたアーティスティックな白地の浴衣はいかにも、ウォールペインターとして名を馳せる彼女らしいチョイスだ。その声にだねえと頷いて、ギィース・エレクレ(誘惑の道化師・g02447)はいかにも怪しげなサングラスの奥の瞳を少年のように輝かせる。
「本当だね、風がとっても気持ちいい! あ――あそこ、なんかやってる? レジーナちゃん、行ってみよ!」
「ん? どこ?」
賑わう会場の中に一際大きな人だかりを見つけて、二人は足早に屋台の並びを抜けていく。浴衣姿の人々の背中越しにひょいと覗き込んでみると、そこでは初老の飴職人が飴細工を実演している真っ最中であった。
「おぉ、職人さんが飴で作ってる――固まる前に作ってる! あの龍とか、凄くない!?」
精緻な昇り龍の飴細工は極めて精緻で、小さいのにまるで本物のような迫力がある。子どものようにはしゃぐ声に応じて、レジーナは『うん』と頷いたが、色素の薄い灰金の双眸は魅せられたように職人の手元に吸い寄せられていた。
「……凄い技術だ」
形のないものが、形を作っていく。それだけならば普通の彫刻と変わりないが、素材は飴だ。作業する手に少しでも迷いやためらいがあれば、すぐに冷えて固くなり、思い通りにはならなくなってしまう。それを観衆の目の前でああも鮮やかにやってのけるのだから、飴職人の技術というものには驚かされるばかりである。
「……レジーナちゃん」
「何?」
聞き返せば、手にした煙管の先を反対の掌に打ちつけながら、ギィースはにまにまと笑って応じた。
「ちょっと、やってみたくなったでしょ?」
言葉も忘れて見入る娘の後ろ姿が、そう言っている。そわそわと沸き立つ気持ちを見透かされたようで、レジーナは一瞬面喰らったように瞳を瞬かせ、そしてすいと視線を逸らして言った。
「……やってみてもいい?」
金平糖の一つも買えればいいと、何気なく訪れた飴市であるけれど。目の前であんな技を見せつけられたら、アーティストとして黙ってはいられない。
勿論、とニヤニヤ口を楽しげに開いて、ギィースは言った。
「レジーナちゃんなら絶対、そう言うと思ってたから」
行こ、と気安く浴衣の袖を引き、向かった先は飴細工の体験場。屋台の裏手に用意された作業場には、割り箸や竹串などの道具に加え、着色のための食紅などが一通り揃って置かれている。店主に頼んで二人分の飴を用意してもらい、ビールケースを引っ繰り返しただけの椅子に腰を下ろして、さて、とレジーナは首を傾げた。
「なんの形にしようか――うん?」
視界の端で、黒い尻尾がフサフサと揺れた。改めてみれば、ギィースの黒い浴衣の肩でこれまた黒いクダギツネがまるで挙手するように片手を『お手』の形にして、じっと彼女を見つめている。糸のように細めたその目が言わんとすることを察知して、ふ、と娘は口角を上げた。
「よし、トト。モデルになってくれる?」
「もっきゅ!」
「あはは、ブラシちゃんもポーズとってる。じゃ、俺はブラシちゃんにしようかな!」
自分を忘れるなというように思いきり主張するモーラットも、どうやら仲間に入りたいらしい。ギィースが尋ねればもきゅもきゅと嬉しそうに鳴いて、帽子を被ったモーラット・コミュは――精一杯格好をつけているらしい――ポーズを決めた。
「もきゅもきゅ、もっきゅう!」
「これ、ブラシちゃん何か言ってる?」
「うん。可愛くしてね、だって」
「おう、……ちょっとプレッシャー……」
だが可愛らしい相棒達からどんな重圧が掛かろうとも、飴細工造りは一発勝負。あれこれ悩み、迷っている暇はない。店主が持ってきてくれた半透明の柔らかな飴を一塊、割り箸の先に載せたなら、早速作業開始だ。
「熱っ。そうか――溶けてるってことは、熱いんだな」
「まずは全体を丸くして、それから毛をツンツンと……アレ??」
思ったよりも熱くて柔らかい飴は、触るだけでも一苦労なうえ、ちょっと引っ張ると伸び過ぎてしまう。ウニみたいになっちゃった、としょぼくれつつ、ギィースは傍らの娘を見やる。
「なかなか難しいね、レジーナちゃん」
「いや、これじゃダメだ! トトの愛らしさの十分の一も表現できてない……!」
「おっと、悩みの次元が違うね?」
飴を全体的に黒く色づけしてから、形を整え、朱い食紅で狐の隈取や装飾を彩っていく。ミリ単位の調整を繰り返して、それでも満足しない彼女の横顔はまさに職人そのものだ。
「本当、レジーナちゃんは職人さんだよねー。じゃ俺は、商人として売れると思うモノを作ろっと!」
いつになく真剣な表情で、熱々の飴と格闘すること数分。最初は力加減が分からずにやり過ぎてしまっていたことにも段々と手慣れてきて、成形から着色まで黙々と二人は手を動かし続ける。そして更に数分が経ってようやく、できた、とレジーナは声を上げた。
「これで完成! ギィースはどう?」
「んー、なんとかカタチになったかな? って、わぁ、レジーナちゃんのトト飴凄い!」
そっくりだねと率直な賞賛を送って、ギィースは声を弾ませる。初めて挑戦したとは思えない精巧な出来栄えは、普段から造形に親しむレジーナだからこそ成し得たものだろう。贈られた賛辞に少しだけ得意げな顔をして、レジーナは棒の先に拵えた飴をクダギツネの前に差し出した――のだが。
「はいトト、受け取っ……あっ!?」
その間、恐らく一秒もなかったであろう。目の前に差し出された分身のような黒狐の飴を、クダギツネは一瞬の迷いもなく口に入れてしまった。まだ写真も撮ってなかったのに、と飼い主は慌てたが、幸せそうに飴を転がす狐はまったくどこ吹く風である。
「おいしいって? いやそりゃおいしいだろうけど……もう!」
「まあ、飴は食べるものだからね」
本望だよ、と、レジーナは笑った。ギィースの作った飴細工をもらったモーラットはクルクルと嬉しそうに回りながら、もっきゅもっきゅと歌っている。そんな姿を見ていると――来てよかった、という気にもなる。
「それから、ギィースにも」
「えっ、俺にも? あ、でも、実は俺ももう一個作ったんだよ!」
互いの手に握らせたのは、淡桃色の蓮の花と、食紅の絵具に塗れたもう一匹のモーラット。食べてしまうのは少し、否かなりためらわれるけれど――それはきっとこれまで口にしたどんな飴よりも、優しい味がするのだろう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
大鉄・焔
【A】
リーゼ(g02798)と
2023浴衣着用
おーマジで飴だらけだ、すげぇな
飴って洋菓子でも使うのか?
金太郎飴発見
同じ柄でも微妙に表情違うの可愛いよな
キツネ柄貰うよ
リーゼなんかほしいのある?
早速?食いしん坊め
そんじゃ金太郎飴、ほい
口に放り込もうと
飴細工作じゃん楽しそう!
興味あるなら作ってみるか?
ふ、負けねぇぞ
そんじゃ俺はリーゼっぽいの作ろう
駄菓子屋の息子に恥じぬ器用さで
薄桃色に青水玉のキャンディ を作ってみせる
リーゼといえば、お菓子!ってコトで
飴で出来たアメ!
不出来な洒落っぽい言動をまじえてカラカラ笑う
うおお、確かに狐かなとは思ったが
ジン付き、だと
やべぇな、かわいい、尻尾も二つで再現度たけぇ
交換して食べるか?
しまった
ジンのとこ食べづれぇ…
だが食う!
ガリっと噛付けばバリバリ飴をかみ砕き食べる
この狐、飴はかみ砕く派であった
ジン、うめ~
あはは、ホンモノは食わねぇよ
次はどこ…っとと
ひっぱられ
っふふOK、どこへでもお供しますぜ
リーゼロッテ・エカルト
【A】
焔(g00462)と
2023浴衣着用
すっごーい
飴がたくさんある。宝石みたい…
ん?飾りとして使うことはあるみたいだけど私はあまりやったことないなぁ
金太郎飴ってすごい技術だよね
狐の可愛いー
迷っちゃうな…ん!手鞠飴買おう
焔も一緒に食べない?
食いしん坊だもん
今に始まったことじゃありませーん
食べさせてもらおうとあーっと口開け美味しそうに食べた
飴細工できるんだ?やろやろ!
私に作ってくれるの?じゃあ私も焔の作る
お菓子作りで私に勝てるかな?
…できた!じゃじゃーん!想像通りだと思うけど
なんと、ジン君付きっ
我ながら良い出来栄え
(尻尾が2本の可愛い黒狐
背中にちょこんとジンジャーブレッドマンが乗っている、上手な飴細工完成)
おお!焔上手だね
焔から見た私はこんな風なのね
これは褒められているのでいいの、かな?
うん!交換こ!
もったいないけどいただきますっ
ふふ。甘くておいしいね
…焔、あっという間に食べちゃった
当たり前だけどなんか残酷だ
次はあっち!気になるの見つけたの
いこいこ!
手を引こうとしながら早歩きで行こうと
艶々としたビー玉のような玉飴に、和紋や花を描き出す組飴。虹色の鮮やかな棒付き飴に、様々な色と形が楽しい金平糖。一夜限りの飴市には、飴と名のつく物がなんでも揃っている。壮観とも言えるその光景を前に、大鉄・焔(灰塵・g00462)は感嘆の声を洩らした。
「おーマジで飴だらけだ。すげぇな……」
緋色の糸が交じる前髪に手を翳して、見渡す屋台の軒先はどこを見ても飴ばかり。小柄な――と言うと、彼はひどく気を害するかもしれないけれど――青年の背後からちょこんと顔を覗かせて、リーゼロッテ・エカルト(菓葬・g02798)もまた蒼と碧の二色の瞳を輝かせる。紫陽花の花咲く白地の淡い浴衣は彼女にとっては異国の装いながらも、ミルクティー色の柔らかな髪の彩によく似合っている。
「ほんとにすっごーい……! 飴が宝石みたいだね……!」
「飴って洋菓子でも使うのか?」
「んー……? 飾りとして使うことはあるみたいだけど、私はあんまりやったことないなぁ」
少なくとも、色も形も店によってそれぞれ異なる飴が、何百種類と一堂に会するようなことはそうそうないと、故郷の記憶を手繰りながらリーゼロッテは応じる。すると、黒と赤の切り返しの背中が目の前でふと立ち止まった。
「金太郎飴発見! 同じ柄でも微妙に表情違うの、可愛いよな」
「これって凄い技術だよね……あ、動物の顔のもあるよ、狐のも!」
断面が絵柄になって現れるように計算し、棒状の飴を何本も組み合わせて作る組飴は、日本伝統の飴の中でも代表的な逸品だ。同じものは一つとない飴達との一期一会も、こうした夜市の楽しみである。
「俺はキツネ柄を貰うよ。リーゼはなんかほしいのある?」
「迷っちゃうけど……ん、手鞠飴にしよ! これくださいっ」
籠に取った飴を喜色満面に店主へと差し出して早々に支払いを済ませ、リーゼロッテはさっさと袋を開けると錦色の手鞠飴を一粒口へ放り込む。
「焔も一緒に食べない?」
「早速かよ? この食いしん坊め」
「食いしん坊だもん。今に始まったことじゃありませーん」
それがどうしたというように開き直って、リーゼロッテは言った。そろりと歯を立ててみれば小さな鞠は呆気なく砕け、口の中で甘やかに溶けていく。
「はあ、美味しい!」
「早っ。もう舐めたのか? そんじゃこっちも、ほい」
あーんと開いた口の中に焔がキツネ顔の飴を放り込んでやると、蕩けるような笑顔がますます深くなる。幸せ一杯、舌の上で飴を転がしながら、あ、とリーゼロッテは声を上げた。
「ねえねえ、あそこ。飴細工体験できるみたいだよ?」
「お、楽しそう! 興味あるなら作ってみるか?」
「うん! やろやろ!」
待っていましたとばかりに表情を輝かせて、リーゼロッテは焔の手を引いた。足早に人混みを駆け抜けて訪れた体験場は、子どもから大人まで多くの人々で賑わっている。係の飴職人に簡単なレクチャーを受けたら、柔らかい飴と着色用の筆と食紅を受け取り、作業開始だ。
「お菓子作りで私に勝てるかな?」
「ふ、負けねぇぞ。これでも駄菓子屋の息子だからな」
ここで、駄菓子屋は仕入れをするだけでは――などと野暮なことを言ってはいけない。自信満々手を伸ばした半透明の柔らかな飴は思った以上に熱かったが、焔は怯むことなくそれを一塊掴みとり、半分にした割り箸の先にくっつけていく。
「そんじゃ俺は、リーゼっぽいの作ろうかな」
「えっ? じゃあ私も、焔の作る!」
どちらの方が上手にできるか、いざ勝負。油断するとすぐに固まってしまう飴と格闘すること数分、黙々と作業を進めてでき上がったのは――。
「よっし、できた! リーゼといえば、お菓子! ってコトで……」
どうぞと焔が差し出したのは、薄桃色をベースに青色の水玉を打ったアメ――飴でできた、アメである。端を平たく伸ばして襞状に捩じった形はちゃんと個装のキャンディの形をしていて、彼の手先の器用さが窺える。上手だね、と素直な賞賛を送って、リーゼロッテは嬉しそうに頬を緩めた。
(「なるほど、焔から見た私はこんな風なのね……?」)
褒められていると思っていいのかはよく分からないが、可愛らしいキャンディを『っぽい』と手渡されるのは、決して悪い気もしない。そっちは、と促されて我に返り、少女は少しばかり得意気に自身の飴細工を差し出した。斯くして、それは。
「じゃじゃーん! 想像通りだと思うけど、はい! 黒い狐にジン君つきだよ!」
「うおお、確かに狐かなとは思ったが――ジン付き、だと!?」
「ふふん、我ながらいい出来栄えだよ!」
どうだと胸を張るのも納得の飴細工は、お座りをした可愛らしい黒狐。だが、二本に別れた尻尾と朱色の食紅で施した化粧は、どこからどう見ても焔そのものだ。おまけにその背中には、『ジン君』――リーゼロッテの操る人形にしてジンジャーブレッドのマスコットがちょこんと乗っかっている。
「やべぇな、かわいい。尻尾も二つで再現度たけぇな!」
思わず目元を朱に染めて、焔は勝負も忘れ素直な感想を吐く。でき上がった飴細工はどちらも可愛くて、食べてしまうのが勿体なく思えるけれど――。
「……交換して食べるか? ジンのとこ食べづれぇけど……」
「うん! もったいないけど、いただきますっ」
飴もお菓子も、食べてこそ。せーので一口含み合った、次の瞬間――ガリッ、と無慈悲な音がした。
「…………」
「ジン、うめ~。……ん? リーゼ、どした?」
「いや……あっという間に食べちゃったな……と……」
どうやらこの狐、飴は噛み砕く派であったらしい。浴衣の胸にジンジャーブレッドの人形を抱く少女を前に、ホンモノは食わねえよ、と嘯いて、焔は悪びれた風もなく笑った。
さて――この次はどこへ向かおうか。煌く飴市の夜は、まだ見ぬ飴達との新たな出逢いに溢れている。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【狐変身】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
永辿・ヤコウ
ラヴィデさん(g00694)
【B】
紺地の浴衣で大人びて凛と――の心積もりで居たものの
いざ会場を見渡せば
色とりどりの宝石達に
耀く瞳を隠せない
彼方も此方もと
興味津々に屋台達へ駆け寄っては
ハッと我に返り
澄まし顔でラヴィデさんの隣に戻るのも幾度目か
でもやっぱり
そわそわ尻尾が揺れてしまう
――わ、星を掴まえたみたい
ひときわ目を惹いたのは
金平糖の惑星屋さん
様々な色、味わいが店内にずらりと並んで
眺めているだけでも心弾むけれど
丸い小瓶の中に好きな彩りを好きなように詰めて
オリジナルの星を作れるという、素敵なコンセプト
ラズベリーにソーダ味…あ、ワインに甘酒もありますよ!
思わず弾んだ声に
店主さんとも目が合って
味見するかい、なんて粋な提案とウィンクを貰ったなら
二つ返事で飛びつくのも
きっと仕様がないこと
お酒の味わいに
オトナの遊び心も感じて更にわくわく
薔薇色のローズヒップ味、紅茶味は琥珀、淡い金色のシードル味
悩みに悩んだ末
秋色を詰め込んだ惑星の完成
互いの瓶を見せ合いっこ
一粒ずつ味わうごとに
星々の瞬きみたいに笑顔も煌く
ラヴィデ・ローズ
ヤコウくん(g04118)と【B】
浴衣に合わせた薄手の羽織は
夏の終わりの夜には思った以上に丁度良い
祭りの空気に飴たちの甘い香りも漂うとなれば
お互いに思い思いの店へと誘われて
はぐれかけたりもご愛嬌、ということで
ひときわ目立つ目印でもあるそわそわ尻尾に笑ってしまう
うんうん、わかるよ? 全部欲しくなっちゃうよねぇ
意地を張る彼の分も大人なオレが代弁してあげよっと
さぁて、片っ端から味わい尽くしてもいいけれど……
星、と聞けば追う視線の先
おお、ほんとだ
遠くって目に見え辛いだけで、空の星もこのくらい色んな種類があるのかも
なんて夢を見させてくれる金平糖たちに緩む頬
瓶に捕まってるのがまたかわいいね
粋な計らいにありがたく乗って
お兄さんのオススメは?
店主に尋ねつつ選ぼう
なんたって星を捕まえてきた張本人だから
ステキな味を紹介してくれる気がするよ
あ、でも
明るく鮮やかな紫色のワイン味は、勧められなくても選んじゃう
ふふふ、小さな宇宙の完成かな?
ヤコウくんいつもセンスいいよねぇ
にこにこ一緒に味わいながら
祭りの夜を楽しもう
途切れることのない人の波が、極彩色の光の海を渡っていく。朗らかに溢れる笑顔の理由は勿論、広がる屋台の並びに連なる甘く華やかな飴菓子達だ。
「これは――本当に、宝石のようですね」
広場の入り口ではたと足を止め、永辿・ヤコウ(繕い屋・g04118)は菫色の瞳を大きく見開いた。紺地の浴衣を締める縹に一輪の白薔薇を挿したシンプルな装いで、今宵は凛と大人びる――つもりでいたというのに、こんな景色を目の当たりにしては輝く瞳を隠せるはずもない。
錦色の紋様が美しい手鞠飴も、ザラメ糖で化粧をした色とりどりのフルーツキャンディも、目に映るものはすべてが魅惑的で、黒下駄の足は屋台の軒先を心惹かれるままに行ったり来たり、忙しなく駆け回ってしまう。
「このべっこう飴なんか、まるで本物の琥珀のよう……で……」
店先の飴に手を伸ばしかけて、狐ははたと手を止めた。そして来た道を振り返ると、きょろきょろと辺りを見回して、それからすす、と引き返す。この間、できるだけ澄まし顔に務めたつもりではあったのだが――。
「おかえり、ヤコウくん」
そう言って、ラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)は悪戯猫のような笑みをにんまりと深くした。こちとらずっとここに居ましたよいう風を装っているのに、わざわざ『おかえり』だなんて人が悪い。けれど口で何を言おうと、どんなに平静を装ってみようと、ぱたぱたと振れる長い尾が示す高揚だけは隠せないのが妖狐という種族の厄介なところだ。
こほん、と小さく咳払いをして後ろ手に尾を押さえ、ヤコウは言った。
「失礼しました。ちょっと、あちらに気になるお店があったもので……」
「うんうん、わかるよ? 全部欲しくなっちゃうよねぇ。あ――これは意地っ張りな誰かさんのために、大人なオレが代弁してあげてるんだけどね?」
黒地に縞の袖の中で腕を組み、ラヴィデはにまにまと意味ありげに言った。
日に日に秋も深まりゆく季節――吹きつける夜風の涼気の中では、浴衣に合わせた薄手の羽織が丁度よい。しかもその風が、祭囃子の音色と輝石の如き飴達の甘い香りを運んでくるのだから、誘われるままに逸れかけるくらいはご愛嬌、というところだろう。それに長くふさふさとした彼の尻尾は人混みの中でも目立つから、ちょっと離れたくらいではそうそう見失ったりはしない。
拗ねたように顔を背けるヤコウへごめんごめんと笑って、ラヴィデは続けた。
「さぁて、それじゃあどうしようか。片っ端から味わい尽くしてもいいけれど……?」
「……星」
「え? ホシ?」
そっぽを向いたままの菫色の眼差しが、何かを見つけたようだった。青年の見つめる先を視線で辿って、おお、とラヴィデは得心する。そこには、色の違う二十、否三十は下らないだろう金平糖を並べた屋台と、店主らしい若い男の姿があった。
「金平糖の惑星屋さん……ですか」
「ほんとだ。ちょっと覗いてみようか?」
暖簾を潜って覗き込んだ店先は、さしずめ砂糖菓子の銀河であった。よく見れば色だけでなく大きさや形も少しずつ異なる金平糖が、色相環を作るように美しく並んでいる。
わあ、と少年のような歓声を上げて、ラヴィデは頬を緩めた。
「凄いね。遠くって目に見え辛いだけで、空の星もこのくらい色んな種類があるのかもねえ」
「丸い小瓶の中に好きな彩りを好きなように詰めて、オリジナルの星を作れる……という、コンセプトだそうです。素敵ですね」
「うんうん、瓶に捕まってるのがまたかわいいよね!」
屈託なく笑えば優美な微笑で応じて、ヤコウは金平糖のケースに並べて置かれたサンプルの小瓶を取り上げる。そしてまたぱたりと、黒く長い尾が揺れた。
「ラズベリーにソーダ味……あ、ワインに、甘酒もありますよ!」
思わず声を弾ませてしまってから、青年ははっと我に返った。ちらりと視線を横に流せば微笑ましげな店主の眼差しにかち合って、再びそっと目を逸らす。すると、よかったら味見をしていきますか、と、粋な提案が降ってきた。
「味見――」
そんなに物欲しそうな顔をしていただろうか、と、ヤコウは俄かに目元を染めた。だが勿論、そんな申し出は断るべくもない。ラヴィデに至ってはまったく気にした風もなく、レジカウンターに身を乗り出して言った。
「是非お願いしたいな。ねえお兄さん、どれかオススメってある?」
なんといっても彼こそは、この星達を捕まえてきた張本人。尋ねれば店主は色の違う金平糖のケースを一つ一つ取り上げて、丁寧に解説をしてくれた。
薔薇色はローズヒップ味。琥珀色は紅茶味。淡い金色はなんとシードル味で、明るく鮮やかな紫色はワイン味。どれもこれも心惹かれる響きであり、普段はそうそうお目に掛かれない変わり種ばかりだ。試しにどうぞと掌に転がされたワイン味の小さな星は、口に含めばほろりとほどけ、最後に微かな酒の風味を残す。
「ラヴィデさん」
「ヤコウくん」
ほとんど同時に呼び合った名前が、『買っていこう』と言っていた。備えつけのプラスチックのシャベルで好みの金平糖を掬い、二人は丸い瓶の底にそれぞれ甘やかな星を重ねていく。あれもいい、これもいいと悩みに悩んだ末にでき上がったヤコウの惑星は、葡萄酒の紫からシードルの金を経て甘酒の白へ、白む秋の夜のような彩をしている。
「ふふふ、小さな宇宙の完成かな? ヤコウくんいつもセンスいいよねぇ――オレのはこんな感じ」
「あ……やっぱり、ワインは入れたんですね」
「そりゃあ外せないでしょ! 他にもほら、果実酒の奴なんかもあったよ」
それぞれの宇宙を手に会計を済ませて、二人は星の屋台を後にする。早速蓋を開けて一粒含んでみれば、甘さの中に香る酒気が快い。
「これ、やばいね。癖になりそう」
「お店の名前を憶えておきましょうね」
会場に煌く星々の中から見つけた宝物に、いつかまた出逢えますように。一粒ごとに綻ぶ笑顔は頭上遥かに瞬く本物の星のように、祭りの灯の中で輝いている。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】がLV4になった!
効果2【ドレイン】がLV3になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
クーガ・ゾハル
ニカ(g06414)と【A】へ
まるで、いきものやガラスみたいなのに
ぜんぶたべられるやつなのか
すごいな、ショクニンワザってやつだ
キツネの顔でニカにうなずこう
ネネは大人しくしてて、えらいやつだな
おれは、ええと……ニカも動物(?)なら
ヨシ、猫変身したときの、おれにしよう
こうやって、こう……ん? もふもふって、どうやるんだ
なかなか、うまくのびないぞと苦労
ニカ作のネネは
すごく……のびのび、してるな?
なんだか、そう、ウチューから来たネネって感じだ
きっとテレパシーとか使えるぞ
そして、おれのは
……なんかまるくて、短くて
ずんぐり、ねこ、というより
どう見ても、帯かざりのタヌキそっくりだ
へへ、なんだこれ
くしゃりとしぶくなった顔をみあわせて、おもわず笑う
これはたぶん、おれたちにしか作れないやつだ
おう、それでこそアメだもんな
せーので口に入れれば広がる甘さ
ニカを、ネネを見るたび
夏が来るたび
きっと、この甘さを思い出せるぞ
ベロニカ・バーゲスト
くー(g05079)と一緒に【A】!
2022浴衣
くー、みてみて!これぜんぶアメだって!すごいね!
ね!と、今日はキツネの君をみる
アメは大好き、でもこんなにガラスみたいできれーなカタチをしたアメは見たことない!
ならんでるアメ細工もステキでわくわくしちゃうけど、今日は二人で好きなアメつくるんだ
くーはなに作る?
ニカはねぇ、ネネ作るよ!
黒兎のジン、ネネにうごかないでね!なんておねがいしたら
くーにゃんかぁ!
よし、じゃあがんばろー!
まずはカタチを……丸っこく
あれ、うしろ足むずかし……
耳は、あれ、のび、のびな……のばしすぎた!
おもったよりむずかしい!
できた!ってみせたものは、なんかこう、メイジョーしがたいなにかで
おかしい、こんなハズでは
くーのつくったアメを見て
まんまるの、ねこ…たぬ…?
それから思わず顔を見合わせてわらっちゃった
ふはっ、アメつくるのむずかしいねぇ
ね、せっかくだから食べてみよ!
おかしな形もせーので食べたらあまくて
おいしいって笑った
ヘンな形のアメだって
ずっと思い出にのこって
何度だってわらえるよ
「くー、みてみて! これぜんぶアメだって!」
すごいね、と声を弾ませて、ベロニカ・バーゲスト(迷い香・g06414)は黒土の道を縁取る屋台の軒先を指差した。その指の示す方へ目を向けて、クーガ・ゾハル(墓守・g05079)もまた雑踏の中に足を止める。
「まるで、いきものやガラスみたいだな」
訪れた屋台の軒先には、動物や植物を象った煌びやかな飴細工が飾られていた。硝子細工のように精緻で特徴を捉えたその仕上がりは見事と言うより他になく、白狐の面の奥に覗いた金色の片目が好奇心にきらりと光る。
「なのに、ぜんぶたべられるやつなのか……ショクニンワザってやつだ」
「アメは大好きだけど、こんなにガラスみたいできれーなカタチをしたアメは見たことない! ね、はやくいこ!」
飾られた飴細工はどれも美しく、見ているだけでわくわくと胸が弾んだ。が――今日ここを訪れたのは、ただ飴を眺めるためだけではない。自らの手で世界に一つの飴細工を作るために、二人はこの飴市へやってきたのだ。
飴細工体験の看板を掲げる屋台の裏手には、簡素な作業場が用意されていた。並べたビールケースに板を渡しただけの机には飴を熱するための機材と着色用の食紅、筆が並べられている。店主に促されるまま背の低い椅子に腰を下ろして、ベロニカは言った。
「くーはなに作る? ニカはねぇ、もう決めてるよ!」
運ばれてきた半透明の飴の塊は柔らかく、そして熱い。割り箸を使うよう店主に促されて、ベロニカは鋏で切り取った飴を箸の先に取りつけると、黒の着色料を加えて練り込んでいく。そうして作り上げるのは、一羽の黒兎だ。
まだ丸い飴の塊に過ぎないそれが何になろうとしているのかを察して、クーガは首を傾けた。
「おれは、ええと……ニカが動物なら……」
狐面越しに流す視線でサンプルの飴細工を一つ一つ確かめるように見て、ヨシ、と青年は箸を取った。
「猫変身したときの、おれにしよう」
「くーにゃんかぁ! よし、じゃあがんばろー!」
意気揚々と声を上げて、二人は本格的に作業に取り掛かる。しかし箸を両手に一本ずつ分けて持ち、時折バーナーの火で炙りながら先端に取りつけた飴を成形するのは、簡単そうに見えて存外難しい。
「まずはカタチを……丸っこくして……あれ? うしろ足むずかし……」
「こうやって、こう……ん? ……もふもふって、どうやるんだ」
特に難しいのが、細かい毛や細いパーツの成形だ。力を入れ過ぎれば不必要に伸びてしまうし、入れなさ過ぎてもほとんど伸びない。しかもその伸び具合が時間と共に変化する飴の硬さに依存するものだから、なかなか丁度よくはならないのだ。
あれー、と戸惑いの声を上げて、ベロニカは灰色がかった金色の眉を下げた。
「耳は、あれ、のび、のびな……のばしすぎた! おもったよりむずかしい……!」
「細いパーツを作る時は、鋏も使うといいですよ」
「! なるほど!」
店主のアドバイスも取り入れながら、箸の先の飴を捏ねては炙り、炙っては捏ねること十数分――どうにか一連の作業を終える頃には、褐色の膚には珠の汗が滲んでいた。ふーっと大きく息を吐いて、ベロニカは翡翠の袖から覗く手で額を拭う。
「できた! けど……」
右手に握り締めた端の先にちょこんと鎮座しているのは――名状しがたきナニカ。始めにしっかり色をつけたお蔭で黒いことは黒いのだが、不安を煽る形のせいか、赤い食紅で打った目が絶妙に禍々しい。
あれえ、と肩を落として、娘は言った。
「おかしい……こんなハズでは……」
「おれは、いいと思うぞ。すごく……のびのびして……」
明らかに伸ばし過ぎた手足や耳の先は細くなりすぎて蔦のように巻いているが、伸びやか――と言っても日本語的には間違いではない。多分。
言葉を探すように逡巡して、クーガは続けた。
「なんだか、そう、ウチューから来たって感じだ。きっと、テレパシーとか使えるぞ」
「それ、ほめられてるのかなあ……」
少々自信がないが、クーガの言葉に他意がないことは考えなくとも理解っている。くーは、と尋ねれば青年はこくりと頷いて、右手に持った完成品の飴細工をベロニカの眼前へ突き出した。
「おれのは、なんか……まるくて、短くて、ずんぐり、だ」
「これは――ねこ? ……たぬ……?」
右の眼に眼帯をした焦げ茶色の毛並みの生き物は、猫というよりもどちらかというと、彼の帯を飾った狸のようなフォルムをしている。どちらからとなく見合わせた顔はお互い、思った以上に渋くて、二人は思わず吹き出した。
「へへ、なんだこれ」
「アメつくるのむずかしいねぇ!」
でき上がった飴細工は、必ずしも当初思い描いた通りの出来ではない。けれど、世界でただ二人、彼らにしか作れない特別な飴だ。どっちもどっちと思えば不格好な兎と猫もなんだか可愛く見えてきて、ベロニカは満足そうに口角を上げる。
「ね、せっかくだから食べてみよ!」
「おう、それでこそアメだもんな」
ちょっとくらいおかしな形でも、口に入れてしまえば飴は飴。せーの、でぱくりと口に含めば、麦芽糖のシンプルながら優しい甘さが口いっぱいに広がっていく。おいしい、と笑い合えたなら、『飴』にとってはそれが一番大切なことなのだ。
「夏が来るたび、きっと、思い出すんだろうな」
「そうだね。それできっと、何度だってわらえるよ」
今年、今宵のこの時間に、小さな笑顔が咲いたことを。ほんの少し不格好で、けれども甘い飴細工が確かにここにあったことを。そしてそんなささやかな記憶の積み重ねが、続く未来を歩むための力になっていくのだろう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】がLV4になった!
【水面走行】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】がLV3(最大)になった!
【命中アップ】がLV2になった!
金刺・鞆
【B、お任せ】
ロキシアさま(g07258)と秋祭りのおでかけ、なのです。
先日、一緒に遊びにゆくお約束をしておりましたゆえね。むふふ。
今日はめいっぱい飴細工を堪能する、ですよ!
繊細だったり、かと思えば色とりどりに華やかであったり……これらがぜんぶ飴でできているというのがたいへんにおどろき、ですねえ。
お料理やおやつをいただいたあとに飴ちゃんを差し入れるのが、ここ最近のロキシアさまとのるーてぃーん、なのですが。これだけ繊細な細工の飴を平時から取り入れるのはとてもむずかしそうな……むむむん。
あ、でもカラフルな飴でしたらなんとかなるやも?
飴ちゃんのいんすぴれーしょんが刺激されますとも。むん!
(差し出された飴にちょっぴりきょとん、と。あーん……口を開ければよいのでしょうか?)
(あむっと飴を頬張って、甘さに思わずにっこにこ、です!)
むふふ、ほんのりイチゴの風味がいたします!
おかえしはこちらもなにか飴を選びましょう。りんご飴の鮮やかな赤色もお召し物に合いそうですが、味の好みを重視したいような……むむん。
ロキシア・グロスビーク
【B、お任せ】
鞆ちゃん(g03964)と秋祭り。一人でも甘さたっぷり
二人ならもっと甘々に美味しくなるはず
そうそう、飴なら鞆ちゃん!って思ってさ。ふふ
うん、今日は楽しむのをゼンリョクで!
アイコンなおかおできりり、甘味溢れる催しに臨む。一瞬だけ!
浴衣は今年のものを。浴衣……?
今は秋祭りだから帯刀してないしうかれモードです
屋台の目出度い色にも負けない。のっと、遥かに上回る色彩と調理の妙
飴作りはげーじつだね
そう?僕は別に凝ってたり、お高いものじゃあなくてもいーよ
(きみとのひとときを楽しんだり、笑顔に癒されたり)
十分さ、じゅうぶん
細緻極まる飴景色の中、満喫する鞆ちゃんの姿に目を細めて
ふぅん、カラフル。こんなかんじの?
道すがら購入したレトロな渦巻きキャンディを鞆に見せて
インスピレーションのお供に、糖分をどうぞ?あーん
おいしい?ふふふ、イチゴはイチオシだからねっ
あや、嬉しいなー。他にはレモン味も好きだけどさ
折角だしお店の人に選んでもらうのはどーかな?
穏やかに過ぎ行くひとときは、きっと甘露より甘いのです
「ふおおお、すごい……!」
屋台の店先を飾る色とりどりの飴玉は、まるで宝石のように輝いて見る者を魅了する。見たこともないような数と種類の飴を前に金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)が声を震わせると、ね、と和やかにロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)は言った。
「凄いよね。やっぱり、思い切ってきてみてよかったよ」
七曜の戦を終えて早ひと月以上。近いうちにどこかへ遊びに行こうとは話していた二人だったが、とはいえ事件は待ってはくれない。戦後処理に新たな事件と日々の忙しなさに追われていたところ、丁度、この飴市の噂を耳にしたのだ。
「一人で来てもよかったんだけど、二人の方が楽しいし……何より、飴なら鞆ちゃん! って思ってさ」
「なのです! 今日はめいっぱい飴細工を堪能する、ですよ!」
特にこれといった目当てがあるわけではないが、ふらふらと店を眺めて漫ろ歩くのもまた楽しい。
ふふっと軽やかに笑みを零して、ロキシアは和装の襟元を飾った灰色の襟巻を背に流した。真紅の槍も、白銀の刀も、今日は他所へ置いてきた――どこからか聞こえる笛と太鼓の踊るような響きに包まれて、気分は秋祭り一色だ。
「今日はゼンリョクで楽しんでこ!」
甘くて美味しい時間は、誰かと共有してこそ。です、と元気よく金魚の尾のような帯を揺らして、鞆はむんと拳を握り締める。しかしきりりと気合を入れたのも束の間、会場に満ちる甘く愛らしい甘味の彩と匂いは、二人の表情をたちまち溶かしてしまう。こと、硝子工芸のように精緻な飴細工が並ぶ一角は、壮観の一言である。
「繊細だったり、かと思えば色とりどりに華やかであったり……これらがぜんぶ飴でできているというのが、たいへんにおどろき、ですねえ」
「飴作りはげーじつ、だね」
職人さんって、すごいや――と率直な感想を口にして、ロキシアは飴細工の並びを覗き込む。海や陸の動物達に、植物、食べ物とその色形は様々だが、その造形には熟練の職人達の技術の粋が込められている。
ふむうと少し難しそうな顔をして、鞆は言った。
「これだけ繊細な細工の飴を、平時から取り入れるのはとてもむずかしそうな……むむむん」
食事やおやつを共にした後、口直しの飴を一つ差し入れる。それが、このところ二人の間の『お約束』だ。しかし値段を見ても、芸術作品のようなその仕上がりを見ても、毎回これをというのはさすがにハードルが高い。
何やら唸っている少女の姿にぴんと来たのか、ロキシアはその傍らに並ぶと、小袋に分けられた組飴を一つ取り上げた。
「僕は別に、凝ってたり、お高いものじゃあなくてもいーよ。ほら、こーゆーのならいっぱい入ってるし」
それに美味しそう、と少年は微笑む。本当のところを言えば飴というのは付随品のようなもので、共に過ごし、なんでもない会話を楽しみ、その笑顔で癒される時間があればそれで十分なくらいなのだ。
「本当――これで十分さ、じゅうぶん」
並ぶ屋台の間をあっちへ行ったりこっちへ行ったり、忙しく跳ねていく青薔薇の後ろ姿を眺めるだけで、紅色の瞳はやんわりと優しい光を宿す。しばし飴屋の店先を覗き回りながら、鞆はハッと瞳を光らせると、近くの屋台へ駆け込んだ。
「これなら、飴ちゃんのいんすぴれーしょんが刺激されますやも……!」
その屋台の店先には、日本伝統の色鮮やかな飴達が、プラスチックのケースに入れられ置かれていた。一つ一つのケースには玩具のようなシャベルが置かれていて、所定のビニール袋一杯に好きな飴を好きなだけ、詰め込んでいいというシステムらしい。
「こういうカラフルな飴でしたら……?」
「ふぅん、カラフル。こんなかんじの?」
「はっ!? いつのまに買い物を……!?」
飴を覗き込む鞆の目の前に棒付きのうずまきキャンディをちら付かせて、ロキシアはにんまりと笑んだ。
「インスピレーションのお供に、糖分をどうぞ? あーん」
「あーん……あむ」
一瞬面食らいつつも素直に開いた口へ、押し込まれた飴は大きくて甘い。むふふ、と思わず破願して、鞆は落っこちそうな頬を両手で支えた。
「ほんのりイチゴの風味がいたします!」
「おいしい? ふふふ、イチゴはイチオシだからねっ」
レトロな棒付きキャンディは、香料の匂いが昔懐かしい優しい甘さだ。一頻りそれを味わってから、ようしと鞆は浴衣の袖を捲った。
「では、おかえしにこちらもなにか飴を選びましょう。りんご飴の鮮やかな赤色も今日のお召し物に合いそうですが、味の好みも重視したいような……?」
「あや、嬉しいなー。他にはレモン味も好きだけど――でもせっかくだし、お店の人に選んでもらうのはどーかな?」
おすすめはどれか、どんな味で、どんな食感なのか。人の好さそうな店主に話を聞きながら、鞆はビニール袋に飴を詰めていく。僕もやろっと、としゃがみ込んだロキシアと共に、真剣に飴を選ぶこと十数分――これでよしとビニール袋の口を絞って、二人は顔を見合わせた。
「鞆ちゃん」
「ロキシアさま」
いつもありがとう――これからも、宜しく。
そう言って交わした小袋には、薔薇を描き出したイチゴ味の組み飴と、モーラットの顔を描いた半透明の白い玉飴が主に入っている。けれどそんな飴達よりもなお甘く抗い難きものは、穏やかに過ぎ往く今宵の一時なのである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】がLV5になった!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【ドレイン】がLV4になった!
ラト・ラ
【B/お任せ】マティアスと(g00097)と
着物は裏柳色の小紋、帯は白銀の花模様
レースのショールを羽織る形で彼の隣に立つ
飴?これが?……芸術品ではなく?
ガラス細工にも見える繊細な美しさに驚く
ではわたしは……
華やかすぎず、慎ましい可愛さのものを――
と、抽象的なリクエストで職人の方を悩ませたかも
だ、だってそれ以外で自分に似合うものなんてわからないし…
かっこいいをリクエストする彼のことは
らしいな、なんて思いながら
くるくるりと回し動かされ次々と形を成す飴細工
片時も目が離せずに、好奇心に満ちた瞳が年甲斐なく煌めく
完成した作品は手に持つのも緊張して…
そんな中で彼が声をかけた交換会の提案
ええ、もちろん
バレンタインのクマを恋しく思っていた気持ちは実は同じ
迷うことなく嬉しげに頷いた
これはどれくらい飾っておけるものなのかしら…?
当たり前のように繋がれる手は
昔よりも頼もしくて
手も、指も、気付けばより男性らしくなって
(気恥ずかしさを覚えるのはおこがましい?)
空いている方の袖口でそっと口元を隠した
マティアス・シュトローマー
【B/お任せ】ラト(g00020)と
動画で観てから気になってたんだ
日本の飴細工!
ラトは見た事ある?
濃灰に幾何学柄の浴衣、若草色の帯を締めて秋祭りへ。飴細工のお店ではそれぞれ自分のイメージにあった飴をリクエストしよう
そうだなー
キリッとしていてカッコいい感じの動物をお願い!
俺に似てる感じの!
慎ましいって……修道女様はここでも質素倹約を?
ラトらしいといえば、らしいんだけど
職人の手が寸分の狂いもなく飴を仕上げていく様はまさに神技! 完成した飴を受け取れば、嬉しさでつい目が輝いてしまう
えーと
良かったら俺の飴とラトの飴、交換しない?
バレンタインの時のクマは食べちゃったし、部屋に飾れば会えない時も元気を貰えそうだなって
ふふん、なんと……!
上手く保管すれば年単位で持つらしいんだ
ま、そこまでしなくても、こうしてまた二人で買いに来れば――って例えばの話ね!
照れ隠しに軽口を叩きながら彼女の手を取る。迷子にならないように――いつか、こんな前置き無しでも彼女の手を引ける日が来ればいいのに
「うわー、凄いな! 本物の飴細工だ!」
ウサギに猫、犬にライオン。陸の仲間から海の仲間まで、ゴマ粒のような目を打たれた動物達が、割り箸の上にちょこんと座してこちらを見つめる光景に、興奮するなと言われてもそれは少々難しい。男児のような歓声を上げて、マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は傍らの娘を振り返った。
「動画で観てからずっと気になってたんだ、日本の飴細工! ねえ、ラトは見たことある?」
「飴? これが? ……芸術品ではなく……?」
煌く屋台の軒先に背を屈めて、ラト・ラ(*☽・g00020)は瞠目する。穴を開けた木の台に挿された飴の花や動物達は、いずれも硝子細工のように精緻で、そして美しい。ずり落ちかけた黒薔薇のショールを裏柳色の浴衣の肩へ掛け直して、ほう、と女は感嘆の息を洩らした。
「飴を素材にこんなに繊細な造形ができるなんて……驚きました。どのように作っているのでしょうか……」
「宜しければ、何かお作りしましょうか?」
二人の会話が耳に留まったものだろう。屋台のカウンターの向こう側で、年長の飴職人が嬉しそうに笑って問い掛ける。
「え――今、ここで?」
そんなことができるのかと、またもやラトは目を瞬かせた。こんな細かな造形を飴で作るというだけでも驚きなのに、それをこの場で作ると彼は言うのだろうか?
するとぐいと横から割り入って、マティアスが幾何学模様の浴衣の袖を振り上げた。
「はいはい! じゃあ、キリッとしていてカッコいい感じの動物をお願い! 俺に似てる感じのやつ!」
「分かりました。そちらのお嬢さんは?」
「え、と、わたしは……」
お嬢さん、と呼ぶ声にほんのりと目元を染めて、ラトは手持無沙汰に帯留めの輝石を弄る。こういう場で何を言えばいいのか皆目見当がつかずに、竜の娘はしどろもどろに応じた。
「では、その……華やかすぎず、慎ましいものを……できれば、可愛らしいものがいい、のですが……」
「慎ましいって……修道女サマはこんなとこでまで質素倹約を? まあ、らしいといえば、らしいけど……」
「だ、だって、他に何を言えばいいのかと……!?」
彼のように『俺に似てるカッコいい動物』などとさらりと言える逞しい精神性は、残念ながらラトには備わっていない。抽象的過ぎるでしょうかとおずおず尋ねてみれば、職人は微笑ましげに笑って、『大丈夫ですよ』と返した。そして柔らかく熱した飴の塊をぐいと伸ばし、無骨な鋏で適当な大きさに切り取ると、割り箸の先に取り付けて形を整えていく。潰して、伸ばして、細かな部分では鋏や竹串も用いながらまず造り上げるのは――。
「あ――ライオンだ!?」
気付いたのは、マティアスが早かった。襞状に伸ばした飴に竹串を押し当てて鬣を造り、顔の形を整えて、細い筆の先につけた食紅で目鼻を描き加えていく。寸分の狂いもなく飴を刻んでいくその手捌きは正に神業と呼ぶに相応しく、感嘆の声は思わず震えた。
「凄い! 速い! カッコいい!」
「本当に……素晴らしい技術ですね……」
興奮に声の大きくなる少年の隣で、ラトもまた食い入るように職人の手元を見つめていた。完成したライオンを木の台に挿し込んで、飴職人は早くも次の作業に取り掛かっている。割り箸の先がくるり、くるりと回るたびに形を変えていく様はまるで魔法を見ているようで、子どもじみた好奇心が疼いてしまう。そして瞬きも忘れて見入ること数分の後、手渡されたのは――。
「……これは」
手渡されたのは、宝石のように透き通って、けれども少しくすんだ褪紅色の薔薇の花。どうして、と言うように視線を送れば、老職人は少しだけ照れたように頬を掻いた。
「別嬪さんだから、お似合いかと思いまして」
「聞いた? 別嬪さんだって」
にやにやと覗き込むマティアスの声も、その瞬間はどこか遠くのもののように響いた。そろそろと緊張気味に受け取って、ラトは深緑の瞳を煌かせる。世界にただ一つ彼女のためだけに作られた飴は、祭りの灯の中できらきらと輝いている。
「ラート」
「! はい?」
聞いてる? と目の前で手を振られ、思わず声が裏返る。弾かれたように上げたその顔は少女のようにいとけなく見えて、マティアスは思わず頬を緩めた。
「ね、よかったら俺の飴とラトの飴、交換しない? バレンタインの時のクマは食べちゃったし……」
部屋に飾れば会えない時も、元気を貰えそうだと思って――などという本音は、そのまま声には出さないけれど。
すると柔らかに眦を下げて、ラトは応じた。
「ええ、勿論」
甘く愛らしく、そしてとっくの昔に溶けてしまったチョコレートのクマを、恋しく思っていたのはラトも同じだ。世話になった飴職人へ礼を述べて、二人は手持ちの飴を交換し、再び飴市の雑踏へと滑り出す。
「これはどれくらい飾っておけるものなのかしら……?」
「ふふん、それがなんと。上手く保管すれば年単位で保つらしいんだ! ま、そこまでしなくても、また二人で買いに来れば――」
口にしかけて、少年ははたと言葉を切る。それが明日か、一週間後か、はたまた数か月後になるのかは分からないけれど、いつかの『また』を当たり前のように考えている自分がいる。とてつもなく恥ずかしいことを口にしたような気分になって、マティアスは言った。
「これはその、例えばの話ね!」
だから迷子にならないでよ、と言い訳がましい軽口を叩いて、少年は傍らに遊んだ女の手を取った。いつの間にか自分のそれよりも大きく、そして少し骨ばった手と指の成長が、頼もしくて、微笑ましくて――そして少しだけ気恥ずかしくて、ラトはわずかに目元を染める。
(「そんな風に感じるのは、おこがましいかしら?」)
透明な袋を被った獅子の飴細工をそっと口許へ寄せ、竜の娘は視線を落とした。長く伸びた影は二つ、融けることも離れることもなく、飴市の光の中を渡っていく。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【隔離眼】LV1が発生!
【強運の加護】がLV3になった!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【アヴォイド】がLV2になった!
咲樂・祇伐
🌸樂祇
【A】
祭り会場を見渡して
あなたの視線に気が付き小首を傾げる
お兄様?どうしたの?
噫…温泉浴衣!実はそうなのです!
普通の浴衣でも通じるくらい可愛いと思うのです!
お気に入りだからと、わくわくしたままにくるりと廻り
飴市、まるで食べられる宝石がたくさんたくさん集められているみたいですね!
兄の指さす先をおっては、喜色が咲いて
可愛らしい飴には思わず歓声が上がってしまうわ
だってこんなの、可愛すぎます!
飴でこんなにもリアルに作れるなんて…まるで魔法ですね
私達で、飴を?
楽しそう!
私はちょっと…器用では無いけれど
お兄様に飴を作りたい
私が作るのは、蓮の花
泥の中より芽吹き、決して穢れず清らかに真っ直ぐに光を見つめて咲く
あなたの様な花を
私もそうありたいと焦がれる姿を
う、うーん?なんだか花弁が歪んだような
四苦八苦しながら仕上げ
…お兄様、喜んでくれるかな
わぁ……すごい、本物みたいな桜飴ですね!?
渡された桜は本当に見事で──咲く、花の数
花束に例えた意味
知らぬ振りで鼓動と共に隠すの
甘くて甘くて
蕩けてしまいそうだから
咲樂・神樂
⚰️樂祇
【A】
祇伐をイメージした春暁色の浴衣を着て、愛しい祇伐の横を歩く誇らしさときたら!
気になるのは、祇伐が送櫻館の温泉浴衣で来たということ
もしかして、湯上りかしら?
本当は、こんなかぁいい姿
他の人には見せたくないのだけど
こんな楽しそうな笑顔をみれば、苦言も引っ込んでしまうわね
飴市だって!
色んな飴ちゃんがあたし達を待ってるわ!
祇伐の好きな兎に金魚、白熊もありそうだわ
あたしの相棒のぴぃころ飴も
見て回るのは楽しいし、何よりころころ変わる祇伐の表情が愛おしい
ねぇ、せっかくだから
飴細工、作ってみましょ!
あたしは料理も得意だから自信もあるわ
祇伐の為に、いっとう甘くて美しい
飴花を咲かせて捧げたいの
勿論、作るのは──桜
祇伐を象徴する…『私を忘れないで』なんていじらしい花言葉のある花
ひとひらひとひら丁寧に、愛をこめて咲かせるわ
細い枝に、咲かせる桜は──12個
密やかに想いを託した渾身の桜飴、喜んでくれるかしら?
祇伐は…綺麗!蓮花の花飴だわ!
食べるのがもったいない
不格好なのも愛おしい
何よりあまーい贈り物だわ
光溢れる飴市に、行き交う人々の笑顔が花咲む秋の夜。咲樂・祇伐(花祇ノ櫻禍・g00791)はなんとも誇らしげに胸を張り、風を切って歩いていく。その訳は復讐者として、この和やかな祭りの光景を護れたということにもあるのだが、一番にはそう――目に入れても痛くないほど愛しい妹に寄せた春暁の浴衣を身にまとい、今正にその本人の傍らに並んでいるからである。ただ一つ、気掛かりなことがあるとすれば――。
お喋りな兄がじっと黙り込んだのを不思議に思ったものか、咲樂・神樂(離一匁・g03059)は足を止め、隣に立つ兄の顔を覗き込んだ。
「……お兄様? どうしたの?」
「祇伐……もしかして、湯上がりかしら。それ、送櫻館の温泉浴衣でしょう?」
「ああ、これですか!」
実はそうなのです、と、何ら悪びれた風もなく祇伐は言った。満開の桜が花開く浴衣は淡い菫色から浅葱、花色へと移ろって美しく、紫紺にこれまた花咲く羽織が艶やかにそれを引き立てる。
お気に入りの浴衣姿に声を弾ませ、その場でくるりと回って見せて少女は続けた。
「普通の浴衣でも通じるくらい可愛いと思うのです! お兄様もそう思いませんか?」
「それはそう思うけどお……」
客観的な事実はさておき、本音を言えば兄としては、こんなに愛らしい――言い換えれば無防備な――姿を赤の他人に晒したくはないのだが。足取りも軽く道を行く妹の嬉しそうな笑顔を見ていると、喉まで出かかった苦言も引っ込んでしまう。しょうがないわねえと神樂は嘆息したが、そんな兄のささやかな苦悩を知ってか知らずか、祇伐は屋台の並びへ視線を移し、紅い瞳を輝かせた。
「それにしても盛大な飴市ですね。食べられる宝石がたくさんたくさん集められているみたいです!」
「そうね、早速歩いてみましょうか。色んな飴ちゃんがあたし達を待ってるわ!」
並ぶ屋台の店先に飾られた飴は、小さな金平糖から日本伝統の玉飴、組飴まで、色も形もさまざまで見ていて飽きることがない。何より二人の目を楽しませてくれたのは、穴を開けた木の台に飾られた花や動物の飴細工だ。ウサギに金魚、白熊と、甘く可愛らしい動物達に吸い寄せられるように店から店へと飛び回る祇伐の桜色の後ろ姿は、まるで夜を舞う光蝶のようだ。
「ねえ、こっちにも可愛いのがあるわよ」
「わあ、本当に……! 飴でこんなにもリアルに作れるなんて……まるで魔法ですね!」
自身の尾に似た桜色の金魚を一匹覗き込み、娘は喜色満面に頬を緩める。童女のように上げる歓声を、はしたないとは言うなかれ――平気な顔をして受け流すには、並ぶ飴細工はどれもこれもが可愛過ぎる。感嘆に瞠目したかと思えば蕩けそうに眦を下げたりと、忙しなく移ろう妹の表情を愛おしげに見つめて神樂は言った。
「ねぇ、祇伐。せっかくだからあたし達も飴細工、作ってみましょ!」
「え――私達で? 楽しそうですけれど、でも……」
自分で言うのはなんだけれども、祇伐はそれほど器用な方ではない。ちらりと覗く実演販売の飴職人の手捌きは見事なもので、どう考えても真似できそうにはないのだが――。
どうしよう、と浴衣の膝に重ねた指を擦り合わせていると、そんな気がかりを見透かしたように兄は笑った。
「こういうのは気持ちよ。あたしはね、祇伐のために、いっとう甘くて美しい飴花を咲かせて捧げたいの!」
付き合ってくれるでしょ、と勝ち気に片目を瞑って問われれば、答えはもう決まっている。ふわりと口許を弛めて、祇伐は頷き、微笑んだ。
「私も、お兄様への飴を作りたいです」
「じゃあ決まりね! ほらほら、席が埋まっちゃわないうちに行きましょ!」
そうと決まれば話は早い。手近な飴細工体験の屋台で店主に声を掛け、兄妹は意気揚々と店の裏手の作業場に着席する。運ばれてきた固まりかけの飴はかなり熱いため、神樂は可愛い妹が火傷などしてしまわぬよう、飴をひと固まり鋏で切り取ると、割り箸の先にくっつけてから手渡した。割った箸を両手に一本ずつ握って先端の飴を捏ねながら、祇伐は緊張気味に口にする。
「こうやって形を作っていくのですね……ちょっと難しそうです、けれど」
「あたしは結構自信あるわよ。それに、何事も挑戦あるのみって言うじゃない?」
気を抜くとすぐに冷えて固まってしまう飴をバーナーの火で炙り、店主のアドバイスにも耳を傾けながら、二人は黙々と手を動かしていく。祇伐が慣れない手つきで懸命に作るのは、一輪の蓮の花だ。
(「なんだか、歪んでしまったような気が……しますが……」)
柔らかな飴を伸ばして思った通りの形に整えるのは、思ったよりも難しい。けれど一度始めたからには、途中で投げ出すわけにはいかない。何しろこれは、世界にただ一人、敬愛するべき兄に捧げる花なのだ。
(「泥の中より芽吹き……決して穢れず。清らかに、真っ直ぐに、光を見つめて咲く……」)
そんな姿に、祇伐は焦がれた。斯くありたいと、その背を追って走り続けた。だから少しくらいうまくいかなくても――諦めたりはしない。
四苦八苦の末にようやく最後の花弁を貼り付けて、できた、と少女は声を上げた。その手元を覗き込んで、神樂もまた嬉しげに破願する。
「あら綺麗! 蓮の花ね?」
「わ、分かりますか……?」
「勿論、食べるのがもったいないくらいだわ!」
少し歪な花弁も、彼女が一生懸命に作ったのだと思えばすべてが愛おしい。じゃあ、と居住まいを正して向き直り、神樂は透き通った桜の一枝を妹の眼前へ差し出した。
「あたしからは、これを」
「わぁ、すごい……本物みたいな桜飴ですね……!?」
彼女への贈り物に、迷う余地はなかった。ひとひら、ひとひら丁寧に、心からの愛を込めて咲かせた花は全部で十二輪――そこに込められた意味にはっと瞳を見開いて、祇伐は微かに息を詰める。しかし続く言葉は吹き抜ける夜風に攫われて、秋の星空へ融けていった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【おいしくなあれ】LV2が発生!
効果2【リザレクション】LV2が発生!
加奈氏・コウキ
【忍庵】
【D】の選択肢に参加する。
買った飴は、和を感じる物を各種。
例えば単純に餡子味の物。
兎や犬、猫等の動物の型を模した物。
それ以外にも、フルーツ系やケーキを模ったような洋風の物も少し買ってみた。
他にも塩味を感じる物も買っておいた。
これらを食べながら、皆とまた新たな飴との出会いの為、食べ歩きつつ、公園内を散策してみようと思う。
ちなみに相方や妹へのお土産として、少し多めに買ってある。
気に入ってくれるといいが。
服装は、浴衣が用意できなかったので普段の衣装で。
詳しく言うと、装備アイテムの【黒乃服】、【インビジブルコート】、【格闘用黒之手袋】、【漆黒踏破長靴】辺りを装備している。
こちらは全身イラストを見てもらうとわかりやすいかもしれない。
甘い物は嫌いではない。
もちろん、甘い物だけでは飽きもくるので、合間に塩味を感じるような飴も食べて、バランスを取っておこう。
何事もバランスが大事だ。
味方との絡み歓迎。
迷惑行為は一切しない。
他、グループ参加している皆との飴の交換も歓迎だ。
楽しく交流していこうと思う。
梅指・寿
【忍庵】【D】に参加よ。
ウィリディスさん(g08713)
幸哉くん、美幸ちゃん(g08802)
美波さん(g08616)
あんなちゃん(g00300)
コウキさん(g04391)
以上6人(一人オラトリオ)で参加ね。
おばあちゃんは張り切っちゃったわ
色んな職人さんの飴細工の様子を見て回って、おいしそうな飴を買いこんじゃって。
それで今は結構な姿になったわ。
右手には赤くてかわいい蟹の細工飴
左手には美味しくてかわいいすいか飴にいちご飴を袋で持って
口にはいちご飴を一粒コロコロと転がしているわね。
あら、このいちご飴おいしいわ。
皆も食べてみない?
はいあーん。
あっ普通に手渡しもするから安心してね
コウキさんの餡子の飴もおいしいし、美波さんの金太郎飴には思わずきゃーっとはしゃいでしまいそうだわ。
美幸ちゃんモチーフの飴も素敵であんなちゃんのお茶もありがたく頂いて。
あらら、チャンバラをやろうとしている子がいるわね…これは叱らなくちゃ。
こらっ食べ物で遊んじゃめっ。
いい子だからないないして仲良く飴を食べましょう?
ウィリディス・ファラエナ
【忍庵】
【D】
やはり職人技と言うものは見ていて面白いな。見るだけで満足して飴を買うのを忘れる所だった
一度やってみたかったんだ、ここからここまでくださいってやつを
目に映る飴を片っ端から買っていく。当然だが買いすぎは駄目だ、他の客の迷惑になる少しずつ買っていこう
しかし飴細工は一点もののようなもんだし、皆に一つづだな。しかし悩む…ここは【お任せ】でいこう
皆も結構買ったなあ。俺の一押しはこれだな。色々買ったが琥珀糖と宝石飴とやらが随分綺麗でな。
山ほど買ったから皆で食おう。
お、真堂君も飴細工を予約してたのか?こりゃすごい。ちゃんと羅刹だと分かる金太郎飴だ。
ほう、千歳飴ソードか。ならばこちらも見せねばなるまい…このねじ巻きキャンディランスを
香上・幸哉
【忍庵】
オラトリオの美幸を連れて皆さんと一緒に【D】へ
本当に飴だらけでなんだか空気も甘いような?飴細工の職人さんの作業風景も凄かったし、夢中になって張り付く美幸を連れてくるのが大変でした…
職人さんにも気を遣ってもらったみたいで、これ見てください。美幸のドレスと花をモチーフにして飴細工作ってくれたんです
えっ?これ金太郎飴に美幸の顔が。ありがとうございます!よかったね美幸。とっても可愛いよ
可愛くて食べられない?ああ…気持ちはすごくわかる
じゃあこっちは持ち帰って、これを食べようか。みぞれ玉だよ
地元の夜店にこう言ういろんなみぞれ玉を売る屋台が必ずと言っていいくらいあったんです。懐かしいなあ…
真堂・美波
【忍庵】で【D】に参加。アレンジ歓迎。
熱々の飴を手にした職人が瞬く間に形を整えて飴細工見学に興奮。
「すごかったでござるね~! 職人技!」
金魚の形をした飴細工を手に歩きながら、職人技の凄さや、みんなが買った
飴をシェアしての感想を言いつつ歩いていく。
「フルーツ味もあれば宝石のごとき綺麗なものもあり…あっイチゴ飴ありがとうでござるよ! おお、お茶までも。咽喉が乾いていたので有難く!」
甘味一辺倒の口元を渋いお茶で潤したり。
「美幸殿モチーフの飴は完成度すごいでござるね!」
「そうそう。皆様しばしお待ちを。予約していた飴を受け取って参りますので!」
いかにも忍者っぽく素早く立ち去り、細長い袋をいくつか抱えて戻る。
「ささ、ご覧あれ!」
忍庵の皆に渡す袋に入っているのは各自の顔の特徴をきちんと捉えた本格的なオーダーメイド金太郎飴。
ウィリディス殿の武者傀儡と香上殿の『美幸』殿もちゃんと金太郎飴になっている。
「喜んで頂けて嬉しいでござるよ~」
自分の顔が描かれた金太郎飴を口に入れながら、皆の喜ぶ顔が見れてご満悦。
四方堂・あんな
【忍庵】の皆と【D】
うーん、あまいにほひ
たまりませんなー
皆さん思い思いに買い込んだみたいね
ボクもいっぱい買ったさ
みんな派手派手に可愛いやつ選ぶと思ってさ。ボクはサクサクの軽いやつを、みんなで摘もうかなーって
口当たりの軽い、きなこや抹茶、黒ごまなどのペーストを挟んで切り出した色とりどりの有平糖を、大阪のおばちゃんよろしく配って回る忍者
本場の職人さんはやっぱ手際が違うよねー
お、飴ちゃんオーダーしたの?
へー、よくできてる……それだけに忍者の面が割れるのはまずいな
だから食べちゃおう
うーん、口の中が甘くって唾液腺がパンクしそうだ
こんな事もあろうかと、渋めの紅茶を用意していたのさ
騒がしくしつつマフラーから水筒を取り出したりしつつ
そして、テンションの上がった忍者は忍者刀としても具合の良さそうな千歳飴を刀のように構える
ふふふ、ボクは救いのヒーロー
常に強い者の味方さ!
あー、フリだってば!
喧嘩なんてしないよ。これは元々七五三の……寿おばさまのほうが似合うかも!んふふ
世界各地に散らばるディヴィジョンが、その存亡を懸けて激突した『七曜の戦』から早一か月以上。最終人類史に奪還された東京二十三区や神奈川、近畿の各地では、新たに現地住民の最終人類史への『帰還』が試みられ、その生活も少しずつ軌道に乗りつつある。こうした中、帰還を果たしたばかりの人々の現状に対する理解と適応を促すべく、現在、最終人類史の各地ではさまざまな秋祭りが催されている。ここ、練馬区石神井公園で開かれる盛大な飴市もまた、そんな祭りの一つである。
「うーん、このあまーいにほひ。たまりませんなー」
砂糖の匂いが混じる風に鼻先をすんすんとひくつかせて、四方堂・あんな(気ままな忍者・g00300)は言った。本当に、と同意を示して、香上・幸哉(サキュバスの妖精騎士・g08802)は深い紫色の瞳を細める。
「見渡す限り飴だらけで……なんだか空気まで甘いような気がしますね。ね、美幸」
柔和な笑顔を手向ければ、傍らにふよふよと羽ばたく和装のオラトリオがこくこくと頷いた。先ほど見た飴細工の実演とその成果物をよほど気に入ったのだろう、小さな天使は貰った飴細工を大事そうに握り締めている。
「飴職人さんの作業風景も凄かったですし、ここへ来てみてよかったです。美幸が凄く夢中になっちゃって……引き剥がして連れてくるのは、ちょっと大変でしたけど」
「いや~無理もないでござるよ! 何しろすごかったでござるからな。あの飴職人の方の手捌きの美しきことと言ったら、あれぞ正に職人技でござる!」
今にも動き出しそうなほどに生き生きとした紅い金魚の飴細工を右手に掲げて、真堂・美波(アドベンチャラー・g08616)は熱弁を振るう。熱々の飴を苦もなく手に取り、瞬く間に形を整えていく飴細工職人の技巧に、未だ興奮冷めやらぬといった様子である。いやまったくと頷いて、ウィリディス・ファラエナ(毒虫・g08713)が後を次いだ。
「やはり職人技と言うものは見ていて面白いな。見るだけで満足して、つい飴を買うのを忘れるところだったが――」
「えっ。ウィリディスさんは何も買わなかったんですか……?」
「否、これこの通り」
驚いたように尋ねる幸哉へふるふると首を振り、ウィリディスは緑がかった黒衣の袖から飴の入った瓶や小袋を次から次へ取り出して見せる。豪勢でござるなと美波が驚きの声を上げれば、頭巾の隙間から覗く瞳をきらりと光らせ、忍びは悪戯に微笑する。
「一度やってみたかったんだ、ここからここまでくださいってやつをな」
そして実際にやった。目に映る飴を、片っ端から買ってみた。勿論買い占めになっては他の客の迷惑になるのであくまで少しずつではあるが、目につく店は大体網羅したと思っている。飴細工だけはすべてが一点物のため何もかもとは行かなかったが、これと選んで求めた翠の蝶の飴細工は、今改めてみても良い買い物であったと思っている。エメラルドの細工品のような蝶に綺麗だねと笑って、あんなは言った。
「皆さん思い思いに買い込んだみたいだね」
「おばあちゃんも張り切っちゃったわ。色んな職人さんの飴細工を見て回ってるうちに、あっちこっちの屋台でおいしそうな飴を買いこんじゃって……それで、今は結構な姿よ」
そう言ってコロコロと笑い、梅指・寿(不沈の香・g08851)は梅の花咲く両袖を掲げて見せた。右手には丸っこく愛らしい赤い蟹の飴細工。左手には果実をそのまま小さくしたような可愛らしいスイカ飴とイチゴ飴の袋を持ち、口の中ではイチゴ飴が一粒コロコロと転がっている。こう見えて元人間の『おばあちゃん』ながら祭りの熱には抗えぬもので、彼女もウィリディスに負けず劣らず散財してきた様子である。
「でね、このイチゴ飴がとってもおいしいの。皆も食べてみない?」
コロコロと尚も軽やかに口の中の飴を転がしながら、寿は落ちそうな頬に手を当てる。そして新たに一粒を小袋の中から取り出すと、きょろきょろと周囲を見回した。
「この飴市の何が凄いって、やはり数と種類でござりましょうな! フルーツ味もあればソーダ味もあり、からいも飴のような素朴なものもあれば宝石のような意匠を凝らしたものもあり――」
「美波さん、はいあーん」
「はっ、かたじけない。あーん!」
道中口にしたさまざまな飴について尚も熱弁を振るい続ける美波の口へ、寿はイチゴ飴を放り入れる。孫のような年頃の娘が途端に頬を緩めるのを見れば、釣られるように口角を上げて寿は傍らを振り返る。
「コウキさんも、はいあーん」
「いや、俺はその……普通に頂こう」
「あら、恥ずかしがり屋さんね」
じゃあどうぞ、と、加奈氏・コウキ(妖一刀流皆伝・g04391)の掌へ真っ赤な飴の一粒をぽとりと落として、寿は言った。
「コウキさんは何を買ったの?」
「こういう祭りだからな。色々と目についたものを集めてみたんだが……」
ふっくらとした小豆餡を白い飴で包んだ餡子飴に、ウサギや犬猫などの動物、ケーキなどの食べ物を模した飴細工。秋とはいえ残暑厳しい折には重宝する塩飴など、広げる戦利品はバラエティに富んでいる。元は和の香のするものを中心に買い集めようと思っていたのだが、煌びやかな屋台の軒先を覗いて歩くうちについ、色々と買い込んでしまった。それもこれも、この祭りの非日常的な空気の成せる業であろう。
「甘い物は別に嫌いではないんだが、飽きが来ないように塩味もカバーしてみた。何事もバランスだからな」
「なんだかんだ色々買ったよね」
黒いコートの腕に抱えた飴の山を覗き込み、あんなは悪戯っぽく笑う。すると微かに口許を和らげて、コウキは応じた。
「相方や妹へのお土産も買わないといけなかったんでな。気に入ってくれるといいんだが。……そう言うあんなも、色々買い込んだみたいだが……?」
「まあねー、こういうところに来るとつい、ね。みんな派手派手に可愛いやつ選ぶと思ってさ、ボクはサクサクの軽いやつを買ってきてみたよ。ほら、よかったらみんなで一緒に摘まも!」
そう言ってあんなが摘まんで見せたのは、きなこや抹茶、黒ごまなどのペーストを挟んで切り出した口当たりの軽い有平糖。大阪のオバチャンよろしく仲間達へ飴を配り回りながら、それにしてもと少女は続けた。
「話は戻るけどさ、本場の職人さんはやっぱ手際が違うよねー」
「ええ、手際もそうですが、観察眼が素晴らしいです。僕と美幸も飴細工を作ってもらったんですが……見てください」
これ、とオラトリオを呼び寄せて、幸哉は天使の手の中にある飴細工を指し示す。光の加減によって桃に菫に移ろい煌めく翼の形の飴細工は、小さな天使の花と衣装に着想を得た世界に一点だけの品物だ。
「おお、すごい完成度でござるね! あ――美幸殿で思い出した」
天使の手元を覗き込んで感嘆の声を上げたかと思うと次の瞬間、美波ははっとした様子で仲間達を振り返った。
「皆様しばしお待ちを。予約していた飴を受け取って参りますので!」
「え、飴ちゃんオーダーしてたの? そんなのいつのまに――」
思い掛けない言葉にあんなは双眸を瞬かせたが、しかしその問いには応えることなく、美波は銀色の残像を残してその場を後にする。知ってた? と問えば仲間の誰もが首を横に振ったが、待っているように言われたからには、あちこちフラフラと移動し続けるわけにもいかない。じゃあ、と広場の一角を指差して、コウキが言った。
「あの辺りで少し、休憩するか」
飴市の賑わいを少し離れた木立の間には、利用者向けの木のベンチとテーブルが並んでいる。せっかくだから戦利品を試食してみようという話になって、ウィリディスは買い込んだ飴の中から特に気になるものを幾つか選んで、テーブルの上に重ねていく。
「俺の一押しはこれだな。色々買ったが、中でもこの琥珀糖と宝石飴とやらが綺麗で――山ほど買ったから、皆で食おう」
「ええ、早速。ほら、美幸も一緒に食べよう? 動物の飴を買っておいたんだ」
犬猫の顔を描いた組飴を一粒取り上げて、幸哉は傍らのオラトリオへとそれを勧める。しかし天使は浮かない顔で眉を下げ、ふるふると首を横に振った。
「え? ……可愛過ぎて食べられない? ああ、うん……気持ちはすごくわかるけど……それなら、こっちはどう?」
そう言って新たに差し出したのは、みぞれ玉。その名の通り、みぞれのような粒の粗い白砂糖を塗したカラフルな玉飴だ。
「地元の夜店に、こういう色んなみぞれ玉を売る屋台が必ずと言っていいくらいあったんです。懐かしいなあ……」
興味津々に覗き込む仲間達に柔く微笑んで、幸哉は記憶の糸を手繰るように目を閉じる。在りし日の思い出はなんでもないことのようでありながら、こうして折に触れては記憶の淵から蘇り、心を温めてくれる。
「俺の飴も、よかったら食べてくれ。餡子飴が意外とちゃんと餡子の味がしておすすめだ」
「あら本当、おいしいわ!」
コウキの差し出す餡子飴を一粒口へ放り込んで、寿はその甘さにほわりと頬を染める。本物の餡を閉じ込めてあるというだけあって、その名に恥じない上品な甘さである。色も形も様々の飴達にわいわいと舌鼓を打っていると――頭上から、おういと呼び掛ける声がした。
「お待たせしたでござる! ささ、ご覧あれ!」
いったいどこから帰ってきたのやら、頭上の枝を飛び下りて、美波は仲間達の眼前に華麗なる着地を決める。両腕に抱えた袋の中から取り出したのは、なんと。
「えっ、凄い。なにこれ!?」
受け取った飴をまじまじと見つめて、あんなは驚きの声を上げた。それもそのはず――窓付きの紙袋には、仲間達一人一人の顔を描き出した、本格的なオーダーメイドの金太郎飴――ならぬ、『忍庵』飴が入っていたのである。ぴょんぴょんとその場に飛び跳ねながら、寿は小さな手を伸ばした。
「えっ、なあに、おばあちゃんにも見せて、見せて――きゃーっ、可愛い! 凄いわ、こんなのいつから注文していたの?」
「ふふん。こんなこともあろうかと、実は三週間前から頼んでおいたのでござる」
有能でござろうと黒い忍び服の胸を張り、美波はにまりと得意気に笑う。
「ウィリディス殿の武者傀儡と香上殿の『美幸』殿も、ちゃんと飴になっているでござるよ」
「こりゃすごい。ちゃんと羅刹だと分かる出来だ」
「本当だ――ありがとうございます! よかったね美幸、とっても可愛いよ!」
手渡された飴を改めて眺め、ウィリディスと幸哉は口々に感嘆の声を寄せる。思った以上に喜ばれて嬉しい反面、少々くすぐったい気持ちになって、美波は照れたように髪を掻いた。
「喜んで頂けて嬉しいでござるよ~」
「いや、ホントよくできてる……でも、ボク達忍者だからなあ。面が割れるのはまずいぞ?」
だから早く、食べちゃおう――そう冗談めかして、あんなは自身の顔を描いた組飴をぱくりと口へ放り込む。そしてうーんと眦を下げ、甘さの広がる頬を押さえた。
「口の中が甘くって唾液腺がパンクしそうだ。というわけで、渋めの紅茶を用意しておいたからみんなも一緒に飲むといいよ!」
「おお、お茶までも。一走りして咽喉が乾いていたので有難く!」
いただきますと一礼して、美波は紙コップに注がれた紅茶を受け取った。只管飴を食べ続けてそろそろさっぱりとしたものが恋しくなる頃合いだ。渋いお茶でしっかり喉を潤して、ほっと一息――ついたのも束の間、あんなは手に提げた紙袋の中から千歳飴を抜き取ると、刀の如く構えて見せた。
「これなんか、忍者刀としても具合がよさそうだね。ボクは救いのヒーロー、常に強い者の味方さ! ――なんちゃって、どう?」
「ほう、千歳飴ソードか。ならばこちらも見せねばなるまい……このねじ巻きキャンディランスを――」
「こらっ。食べ物で遊んじゃいけません!」
めっ、と人差指を立てて、寿は半ば乗りかけたウィリディスともどもチャンバラごっこを窘める。そして仲裁するように二人の間に割り入ると、手持ちのイチゴ飴を差し出した。
「いい子だからないないして、仲良く飴を食べましょう?」
「もー、おばさま! こんなのフリだってば!」
喧嘩なんてしないよ、と困ったように眉を下げてあんなは笑った。けれども天下の『おばあちゃん』には、誰だって敵いやしないのだ。
朗らかな笑い声が重なる中、祭りの夜は賑やかに更けていく。お茶と飴菓子で人心地ついたなら、新たな出逢いを求めてもう一度、煌く飴市に繰り出すのもよいかもしれない。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【士気高揚】がLV2になった!
【浮遊】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV6になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
エルマー・クライネルト
【Wertlos】
【B】内容お任せ
去年の緑の浴衣を着て祭りへ、馴染みの子供の付き添いだ
お前も仕立てて貰えばいいだろうに…私だけ浮かれてるみたいな言い方やめろ
まぁ、楽しんでいるのなら…まあいい
一応聞くが甘味は食べるのか
あまり食べるものに拘りを感じられない子供なので心配になるが問題ないようで一安心
何をひねくれているんだこいつは…ほら気になるものがあるなら奢ってやる
道中自分の分の飴の小袋と、食べ物を買い込みながら屋台を巡る
量り売りか、良いんじゃないか
む、そっちの飴はいいのか。あの金平糖も気になるが…痛っ、膝を蹴るな
綺麗にまとめたものだな、満足したようで何よりだ
瓶に好きなものを詰めて並べるのが私も好きだったな……何を想像しているんだ
帰り際に見知った時先案内人の姿を見つけたら
ハルトヴィヒ、と声をかけよう
君は飴よりも食べ物の方が良いだろうか、しかし折角の飴市なのでと
空色の飴の入った小袋を渡そう
秋祭りも2回目だが…慣れただろうか、楽しんでいるだろうかと少し野暮かと思いつつ気にしてしまう
タラス・ジュラヴリョフ
【Wertlos】
【B】
いつもの格好でお祭りに行くよ。知り合いのおじさんの付き添いね
エルマーって意外とイベント好きだよね、浴衣もウキウキで着てきたし
まぁいつも気張ってるし?こういう時くらい良いと思うよ
僕も楽しんでるよ、お祭りってものに縁がなかったから新宿島での出来事はいつも新鮮
甘いものは好きだよ、飴なら少し置いておいてもダメにならないしちょっとずつ食べるよ
…エルマーって僕のことなんだと思ってるのさ、拗ねてやろっかな
え、奢ってくれるの?やったあ!
あれなんだろう、量り売りだってさ
いろんな色や大きさがあって綺麗だね、これにしよう!
口出しに蹴りを入れつつ好きな色を袋に詰めて
宝石みたいってこういうののことを言うんだろうね
瓶に好きなものを詰めて並べる…?(普段の悪趣味な私物から色々と連想し)…へー
エルマーがハルトヴィヒさんに声をかけたなら一緒に挨拶
時先案内人と直接話すのは初めてだな、いつも事件の予知お疲れ様です
…なんか不器用な人の会話って面白いねと、側にいるサーヴァントに「ね?」と目線を送る
最終人類史、練馬区。
緑豊かな石神井公園の一角に広がる飴市を、華やかな浴衣姿の人々が行き交っていた。連なるスポットライトが照らす会場には、飴細工を始めとした伝統的な飴菓子から、フルーツ飴や綿飴など、飴と名のつく物を商う屋台が所狭しと並んでいる。
ペットボトルの水を片手に飲みながら、タラス・ジュラヴリョフ(大衆の聲・g07789)は呟くように口を開いた。
「エルマーって意外とイベント好きだよね」
突如呼ばれた名に瞳を瞬かせて、エルマー・クライネルト(価値の残滓・g00074)は足を止め、傍らに向けた視線を頭一つ分下げる。すると円く大きな菫色の瞳を上目遣いに巡らせて、少年は言った。
「浴衣もウキウキで着てきたし」
「おい、私だけ浮かれてるみたいな言い方はやめろ」
「どう見ても浮かれてるじゃん」
そう言って、タラスは再び水を呷った。抗議するエルマーはあくまで真顔ではあるものの、深緑に青海波を描く浴衣に白い狐の面をつけ、煙管のように吹き戻しを携えたその姿をして浮かれていないというのなら、他の何をそう表すればいいのか分からない。おまけにいつの間に買い込んだのやら、腕に提げた買い物袋には宝石じみた小袋の飴が折り重なるように入っている。
シナモンの利いた林檎味の脆いキャンディを奥歯でさくりと噛み砕き、エルマーは言った。
「俺はお前の付き添いだ。大体浴衣の一着くらい、お前も仕立てて貰えばいいだろうに……」
「浴衣はないけど、僕だってちゃんと楽しんでるよ。まぁいつも気張ってるし? こういう時くらいいいんじゃない。ただ、付き添ってるのは僕の方だけど」
「可愛くない子どもだな、お前は」
楽しんでいるならまあ、いいが――そうして互いに減らない口を叩き合い、凸凹の二人は屋台の並びを渡っていく。極寒にして苛酷な極北の改竄世界史に生を受けたタラスにとっては、こうした祭り自体あまり縁深いものではなく、目に映るものはすべてが新鮮で興味深い。道の左右を縁取る屋台に並ぶ煌びやかな飴達へ交互に目を配りながら、エルマーは言った。
「聞くが、甘味は食べるのか」
「甘いものは好きだよ。飴なら少し置いておいてもダメにならないし、ちょっとずつ食べる」
「そうか。一応、食べてはいるのだな」
「……エルマーって、僕のことなんだと思ってるのさ」
いささか気分を害したのか、少年は拗ねたように口を尖らせた。円く大きな眼鏡の印象もあるのだろうが、背けた横顔はこまっしゃくれた物言いに反してあどけない。
「何をひねくれているんだ、お前は」
「それ、エルマーが言う?」
「ああ、言わせてもらう。ほら、気になるものがあるなら奢ってやるぞ」
「えっ?」
いいの、とやっとのことで此方を向いた瞳が、途端に好奇の光を宿す。ああとエルマーが肯くと、タラスは俄かに歓声を上げ、手近な屋台へと駆けていく。
「まったく。子どもだから、心配してやっているのだろうが」
年の割に食べ物への拘りを感じられないのが些か心配であったのだが、喜び勇んで道を行く後姿を見る限りはどうやら杞憂だったらしい。見て、と指差す先へ視線を送ると、色も大きさも多彩な飴をケースに入れて並べた量り売りの屋台が目についた。
「ここにする! 買っていい?」
「ああ、構わん。あの金平糖などよさそうだぞ――痛っ」
何気なく口を挟んだその瞬間、エルマーの膝をショートブーツの爪先が蹴りつけた。口出し無用ということだろうが、スポンサーに対してその態度はいかがなものか――? 青年はぶつくさと呟いたが、タラスはそれに構うことなく好きな飴を備え付けのビニール袋に詰めていく。口の閉まるぎりぎりまで詰め込んだ袋を高く掲げてみると、色も形もさまざまの飴菓子は照明の光を透かしてきらきらと輝いて見えた。
「宝石みたいって、こういうののことを言うんだろうね」
「満足したなら何よりだ。瓶に好きなものを詰めて並べるのが私も好きだったな……」
「エルマーも? ……へー」
お世辞にも趣味がいいとは言えない彼の私物の数々を脳裏に思い描いて、タラスは口を噤んだ。
「……おい、今何を想像してる?」
「別に、なんにも」
「いや、絶対に何か妙なことを考えているだろう?」
何か言いたいことがあるなら言えとエルマーは言ったが、敢えて口に出さないのは飴を奢ってもらった側としての最低限の配慮である。不毛なやり取りを繰り返していると、ふと、近くで足を止める気配がした。
「エルマー?」
「――あ」
感情の乗らない無愛想な声には、聞き覚えがあった。顔を上げてその主を確かめ、青年はその名前を呼ぶ。
「ハルトヴィヒ、来ていたのか」
連れの人懐こいパンツァーハウンドはともかく、甘いものにも祭りにも然して興味のなさそうな彼がここにいるのは少し意外だ。『連れて来られた』と訂正して、仏頂面の時先案内人はじろりとタラスを見やる。
「……見ない顔だな」
「あ――初めまして。タラス・ジュラヴリョフと云います。いつも事件の予知、お疲れ様です」
そう言って、少年は一礼した。うって変わって礼儀正しいその言葉に眉間に皺を寄せつつ、エルマーは腕に提げた袋の中を探る。
「君は飴よりも食べ物の方が良いのだろうな。……しかし、せっかくの飴市だ」
取っておいてくれたまえと差し出したのは、空色の美しいラムネ味の玉飴が一袋。足下にまとわりついてくる犬の頭をくしゃりと撫でて、青年は続けた。
「楽しんでいるか――などと、君に聞くのは野暮だろうが。たまの息抜きは必要だぞ。……タラス」
「え――え? あ、では、失礼します!」
行こうとぶっきらぼうに呼び掛けて、エルマーはふらり歩き出す。その背中と時先案内人の顔を交互に見比べてもう一度一礼し、タラスはばたばたと駆け出した。
(「なんか、不器用な会話してるなあ」)
けれどもその距離感が、少しだけ面白い。変なの、と微かに笑って、少年はちらりと来し方を振り返る。じっとこちらを見送る案内人の傍らで、大砲を背負ったシェパード犬がぱたぱたと尾を振っていた――またね、と手を振れば、ワン、と元気のよい声が祭りの喧騒に融けていく。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【植物活性】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV5(最大)になった!
【グロリアス】がLV2になった!
紀・雪名
🍵茶屋で【B】参加、アドリブ歓迎/浴衣2023着用
今年も無事、秋まつりが開催と聞けばゆかない手はありませんよね。
公園散策もそこそこに、話題の飴細工の並ぶ店目当てに
林檎飴はもちろん既に買い食い
細かで可愛らしい飴細工を見るだけでも楽しいですよ。
飾りとしてもいいですね、でもやはり食べてこそなんぼでしょうか。
おすすめを店主に聞きながら、金平糖等お決まりの飴を手に持ちきれない程買いながら、
まだ足りないと【アイテムポケット】にもしまえるだけ買い込んで
眺めているだけの君(兄)にもと、こじゃれた「うちわ飴」を
※浴衣手に持つ「浅草 飴細工」
君、一つぐらい買って帰らないと来た甲斐がないよ。
なんだかんだ言いつつ、好みを見つけたようで腕を引かれながら帰りますか。
※飴指定していますが、それっぽければ差し替えも可です。
壇・紀名
🍵茶屋で【B】参加、アドリブ歓迎
浴衣は持ち合わせていないのでキセルを持った衣装で頼む
茶に合う飴細工を求めてきたが、甘いものは得意ではない
こんなにも甘いにおいが漂う場所はいささか居心地がわるいが
楽しんでいる彼奴に水を差すわけにもいかず見守るのみ
匂いだけで食べた気になりながら、細工は見事なもので…目を見張るものがある。
それをよそに、次から次へ手にする弟の姿に唖然としつつ
あきれてものも云えない
流石に、そろそろと言う所で「やめろ」と声をかけるべきだな
そんな俺の気揉みも他所に…差し出された飴細工
それもそうだが、俺が求めてきたものは茶に合う飴だ
進められた、飴を受け取りながらも
吟味していた「ひやしあめ」を手土産に〆として連れ帰ることにするか
訪れた都立石神井公園の飴市は、話に聞いて想像していたよりもずっと盛大な様相を呈していた。これはこれはと海のように青い眼差しを和らげて、紀・雪名(雪鬼・g04376)は口を開いた。
「今年も随分と賑わっているようですね。最終人類史の秋祭りは……」
七曜の戦を終えて、既にひと月以上が経つ。始まる前はいったい何がどうなることかと思ったが、越えてみればこうして季節は廻り、今年も無事に秋祭りがやってきた。ならば参加しない手はないと、こうして足を運んでみたのだが――。
「……砂糖の匂いが、凄いな」
ぼそりと言って、壇・紀名(夜叉・g08355)はわずかに眉をひそめた。茶に合う飴があればと思い弟の誘いに乗ってみたものの、本来、紀名は甘いものが得意ではない。所狭しと並ぶ屋台から香り立つ飴の甘い匂いはいささか居心地が悪いくらいだが、わざわざそれを口に出して祭りを楽しむ者達に水を差すほど、彼は無粋ではない。しかしそうして飲み込んだ言葉も弟にはお見通しのようで――くすりと口角を上げて、雪名は笑った。その手にはいつの間に買い求めたのやら、赤く艶めく林檎飴がてらてらと輝いている。
「細かで可愛らしい飴細工を見るだけでも楽しいですよ。飾りとしてもいいですね――もっとも、やはり食べてこそなんぼでしょうが」
「気が向けばな。……さっさと行くぞ」
散策もそこそこに分け入った屋台の並びには、スポットライトに照らされた色とりどりの飴達がこれでもかと並べられていた。玉飴、組飴といった伝統的な飴菓子から、綿飴、フルーツ飴のような屋台スイーツ、そして話題の飴細工と、並ぶ品々はどれ一つとして同じものがない。息を吸うだけで胸を満たす甘い匂いは喉を焼くようで、紀名はそれを誤魔化すように手にした煙管をひと吸いした。だが慣れた煙の匂いに胸が透いたのは一瞬で、吸い口を離せばすぐにまた香料の匂いが覆い被さってくる。
やはり遠慮しておけばよかっただろうか、という思いが一瞬、胸に過ったが――次の瞬間、青年ははたと足を止め、瞠目した。
「匂いだけで食べた気になる、が――……この細工は見事なものだ」
穴の開いた木の台に挿し込まれた竹ひごの上に、ちょこんと座った動物達や、透明の花弁を開いて咲き誇る花。硝子細工のように精密なその造形が、すべて飴でできているというのだからそれは素直に驚きだ。
いらっしゃい、と声を掛けてくる鉢巻姿の飴職人に人当たりのよい笑顔で会釈して、雪名はたおやかな笑みを浮かべた。濃淡の灰の切り返しの浴衣に白い花を咲かせ、銀雪が如く艶めく髪を青水晶の花でまとめたその横顔は、性の境界を曖昧にするほどに美しい。
「何か、おすすめはありませんか?」
「うちの飴は、なんでも美味いよ! どんな味が好みだい」
「そうですね、では――」
そんな調子で和気藹々と屋台の主達と言葉を交わしながら、雪名は目につく飴を次々に求めていく。瓶詰の星のような金平糖から、伝統的な茶飴、黒飴、梅飴と定番の飴を両手に持ち切れないほどに買い込んだかと思えば、それでもまだ足りぬというのかアイテムポケットへ突っ込んで、次の屋台へ移動する。『爆買い』と言っても差し支えのないその豪放さを紀名は半ば唖然として見つめていたが――いくらなんでも、さすがに買い過ぎではなかろうか?
「おい、そろそろ――」
「はい。君にはこれを」
やめろ、と発しかけた言葉は、目の前に差し出された飴の輝きと弟の声に遮られた。氷像じみた鬼の手が差し出したのは、硝子の円盤のような平たい飴に色鮮やかな紅葉を描き、棒を挿したそれは美しい飴細工。小洒落た飴の煌きに紀名がただ瞳を瞬かせていると、掴みどころのない微笑で雪名は言った。
「君も、一つぐらい買って帰らないと、わざわざ来た甲斐がないよ」
「……それもそうだが、俺が求めてきたものは茶に合う飴だ」
差し出された飴を受け取りつつ、紀名は小さく嘆息した。
まあ、いい――一帯に満ちる甘い匂いにも、ようやく少し慣れてきたところだ。
「あの『ひやしあめ』というのは、なんだろうな?」
「さて、覗きに行ってみますか?」
鼻が慣れれば何も、急ぎ取って返すこともない。腕を引く手に連れられるまま、紀名は赤黒の外套を翻して歩き出した。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】がLV2になった!
【神速反応】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!
【能力値アップ】がLV7になった!
犬神・百合
【B】千草ちゃん(g03137)と
今年お仕立てしてもらった浴衣姿で
…もうあま~い香りがする…
ふふ、どのお店も凄いね!
千草ちゃんの目線を追えば金魚の飴細工に、りんご飴…
お祭りの灯りで染まった頬は誤魔化せるかな
一周年だね…ふふ…えへへ~
戯けるあなたが飴さんみたいに甘くて可愛くって思わず頬が緩んじゃう
素敵な飴さんみつけようね!言いながら、そっと手を握ろうと
動物さんは欠かせないわね、ペンギンさんあるかな?
って、はむすたーさん…ん~(恥ずかしくなって頬プクリ)
わ、海月さんも飴細工になっちゃうのね…!ふふ、嬉しいありがとう千草ちゃん
どうしよう奇麗で食べられないかも…うふふ
わたしも見つけたよ、まんまる淡い千草色のクラゲさん
二人分の下駄の音が賑やか中でもよく聞こえるのが何だか嬉しい──
うん…来年もその先もずうっとお祝いしたい
最後にちょっぴり寄り道したら、ご挨拶へ
他のお二人もいらっしゃるかしら…
いつもありがとうの気持ちに棒きり飴を
墨染様には手裏剣、獅堂様には猫ちゃん、ハルト様にはワンちゃん柄
はいどうぞ!
雪定・千草
【B】百合さん(g05341)と
今年仕立ててもらった浴衣で
飴細工、どれも綺麗で美味しそうですね
金魚の飴は去年の百合さんの浴衣姿を思い出します
そう、去年…この季節に、想いを結び合いました
一周年、わぁいです
照れくさくなって、少しおどけたら
お気に入りの飴を見付けましょう
手をそっと重ねて
動物の飴はとても可愛いですね
あ、ハムスターさんいますよ
頬を膨らませた時の百合さんにそっくりです
色々見て回ったら、赤いクラゲさんの飴細工を選んで百合さんへ
百合さんの浴衣モチーフになった、アカクラゲさんにそっくりです
今年のあなたにぴったりですね
百合さんも見つけてくれたんですね
俺も食べられないかも…でも涼やかで味も美味しそうです
…来年も同じように、記念を祝えたらいいな
そして、いつもお世話になっている方々へもご挨拶を
少しだけでも伝えられたら
墨染さん、いつも素敵なお誘い有り難うございます
あなたはお気に入りの飴を見付けられましたか?
見付けられたら、獅堂さんとハルトさんにもお礼を
お陰様で楽しい思い出も、大事な経験もいっぱいです
茫洋と夜を照らす光に吸い寄せられるように、浴衣姿の見物人達が暗い園路を辿っていく。吹き渡る秋の夜風に白い鼻先をスンと鳴らして、犬神・百合(ラストダンス・g05341)は言った。
「もうあま~い香りがする……」
赤白、緋色に華やぐ浴衣に透かし織りの衣を重ねた出で立ちは、夜の海を泳ぐ優雅な海月を思わせる。顔の片側を覆ったヴェールの下で黒曜の瞳を綻ばせ、娘は傍らの少年へ艶やかな微笑を向けた。
「ふふ、どのお店も凄いね!」
「ええ、飴細工があんなに……!」
涼やかな藍の瞳を今だけは金色に輝く祭の灯に染めて、雪定・千草(霞籠・g03137)は子どものように表情を綻ばせる。飴細工、だけではない――ケースに入れて並べられた伝統的な玉飴も、彩鮮やかなフルーツ飴も、並ぶ屋台の軒先では何もかもが煌々として蠱惑的に輝いている。
蒼銀に淡い水玉の浮かべた浴衣の袖を押さえながら、千草は飴細工を並べた屋台の店先を覗き込んだ。
「どれも綺麗で、美味しそうですね」
専用の木の台に挿し込まれた棒の先には、植物や動物を象った硝子細工のような飴達が並んでいる。絹のごとき曲面を描く尾が美しい金魚をそろりと手に取って、少年は続けた。
「金魚を見ていると、去年の百合さんの浴衣姿を思い出しますね。そう、……去年……」
は、と思わず息を止めて、二人は顔を見合わせる。見開き、瞬く二対の瞳の下で、頬は熱を帯びていた。そう――思い返せば正に去年のこの季節に、二人は想いを結び合ったのだ。
「一周年……ですよね」
「一周年だね。……ふふ、えへへ」
ふにゃりと相好を崩したその頬は、祭りの灯でも誤魔化し切れないほどに紅い。見つめ合えば気恥ずかしさに耐え切れなくなったのか、わぁい、とおどけて見せる少年の姿が堪らなく甘く、可愛くて、百合は一歩距離を詰め、緋色に透き通る袖を千草の袖へと寄せた。
「素敵な飴さんみつけようね!」
「ええ。お気に入りの飴を、きっと」
どちらからとなく絡む指先をそっと重ねて、行く道は真昼のように明るい光に満ちている。道を縁取る屋台の並びを右に左に吸い寄せられるように歩きながら、百合は言った。
「やっぱり、動物さんは欠かせないわね。ペンギンさん、あるかな?」
「あ、こっちにハムスターさんがいますよ。頬を膨らませた時の百合さんにそっくりです」
「あら本当、わたしにそっく……ん~~~」
そんなに分かりやすい膨れっ面を見せたことがあっただろうか。そんなはずはない――いややっぱり、自信がない。
恥ずかしさに結局ぷくりと頬を膨らせて、百合はじろりと上目遣いに千草を見る。だが不服げな眼差しはそれはそれで可愛らしくて、少年は困ったように、けれどもどこか嬉しそうに、冗談ですよと笑った。
「それよりあれ、見てください。もしかして、アカクラゲさんじゃないでしょうか?」
今年の彼女の浴衣のモチーフにもなった、波間を漂う緋色のクラゲ。赤と白の優雅な装いと、毒の刺胞の苛烈さを併せ持つ海の花はしかし、飴細工になるとどこか可愛らしい。
「わ、海月さんも飴細工になっちゃうのね……!」
「今年のあなたにぴったりですね。では――これは俺から、ということで」
「ふふ、嬉しい! ありがとう、千草ちゃん」
差し出された細工のクラゲは全体的に丸みを帯びてはいるが、鮮やかな傘の内側までしっかりと作り込まれている。その精緻な造形といい、色の美しさといい、掌ほどの大きさもない小さな飴には飴職人達の技術の粋が集められているようだ。
「どうしよう。こんなに奇麗じゃ、食べられないかも……あら」
こっちにも、と声を弾ませて、百合は白い手を伸ばす。掴み取った飴細工は、透き通った蒼の美しいミズクラゲだ。
「わたしも見つけたよ、まんまる淡い千草色のクラゲさん」
「ありがとうございます。涼やかで、美味しそうですね――……俺も、食べられないかもしれませんけど」
「ふふ、じゃあ当分、飾っておくしかないわね?」
買い求めた飴を互いに交換して、白と緋の二匹の海月は再び光の海へと泳ぎ出す。カランコロンと鳴る下駄の音は、賑わいの中にあっても近く傍に響き合うのが、堪らなく温かくて――しばしその音色に耳を傾けてから、呟くように千草は言った。
「……来年も同じように、記念を祝えたらいいな」
「うん。……来年も、その先も、ずうっとお祝いしたい」
世界の色や形がどれほど変わっても、肩を並べて歩くその歩幅は、このままで。
光の花咲く飴市は引き返してしまうにはまだ惜しい。秋の夜風に吹かれるまま、気の向くままに飴を仕入れてただ歩けば、やがて屋台の並びは途切れ、行く手には夜の木立が立ち上がってくる。その袂に一つ、見知った姿があった。
「あ――あれは、もしかして」
墨染さん、と呼び掛けて、千草は行く手に佇む男へ手を振った。ちらりとこちらを一瞥した紅い瞳に会釈して、少年は続ける。
「いつも素敵なお誘い有り難うございます。あなたはお気に入りの飴を見付けられましたか?」
「……ああ」
それなりに、と応じて、寡黙な忍びは紫紺の袖から飴細工をいくつか取り出して見せた。犬猫その他の動物を模った飴はどちらかと言えばデフォルメの利いた可愛らしいもので、百合はまあと口許を綻ばせる。
「これ、もしよろしければわたし達から。棒きり飴と――それから、これも貰って下さる?」
日頃の礼にと差し出したのは、手裏剣と、猫と犬とを描き出した組飴の袋。他のお二人は、と尋ねてみると、カラスはふるりと首を横に振った。
「ハルなら迷子だ。千陽が探しに行っているが……これは、俺から渡しておく」
ありがとう、と紡いだ声は短くとも、決して冷ややかではなかった。そしてまた一つ重ねる縁こそが、この先に続く彼らの日々を支える絆に変わっていくのだろう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】がLV6になった!
【冷気の支配者】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
朔・璃央
双子の妹のレオ(g01286)と
【D】
話には聞いてたけど本当に大きな公園だね
自然も豊かだし、遊ぶところも一杯あるみたい
家の近くにあったらよく来てただろうなぁって思うよね
そろそろ運動の秋になるし、また遊びに来てみようか
でも確かに今日は飴細工
匠の技を見ながらどれがいいか見繕わないとだね
レオの心が赴くままに選ぶのが良いかなと思うけど
なるほど確かにおまかせするのも良いね
あ、そのワンちゃんの素敵だね
見覚えのある犬のシルエットの飴に頬が緩む
受け取った飴を互いに綺麗だねぇって見比べながら
公園の散策を続けていこう
祭りの灯りに照らされてキラキラと輝く飴細工
綺麗すぎて食べるの勿体無いね
レオが見つけた誰かへ呼びかける声に視線をやれば
見かけた一人と一匹に相好を崩してご挨拶を
こんばんは、素敵なお祭りですね
噂にしか知らなったこの場所に来れたことも
こうして沢山の人達が訪れていることも
東京を取り戻したんだなって強く実感できますね
でもまだまだ取り戻すところはありますから
これからもよろしくお願いしますね、ハルトヴィヒさん
朔・麗央
双子の兄リオちゃん(g00493)と
【D】
石神井公園は初めて来たね
すごく大きな公園だね、池も緑もテニスコートもあるね
とても設備が充実したこんな公園があるなんて!
色々遊んでみたいけれど今日の目的は飴細工だねぇ
職人さんたちの妙技、ありきたりの言葉だけれどやっぱり凄い!
ねぇリオちゃん、どんな飴にしようかな
迷うからお店の人にお任せしようかな
それとは別に犬の飴を見つけ思わず購入
手にした飴を通してお祭りの光を眺めればキラキラして綺麗だよ
食べるのが勿体無い気がするけど食べないと逆にダメにしちゃう
帰ったらちゃんと食べるから今はキラキラを楽しみながらお散歩
お散歩中に見知った姿を見つけて声をかけてみよう
ハルトヴィヒくん、ブレッツェルちゃんこんばんは
素敵な夜だねぇ
実はさっきブレッツェルちゃんみたいな飴見つけたんだ、とプレゼント
お祭りができる場所が年々増えているのは
取り返した場所が増えたってことだね
それはハルトヴィヒくん達時先案内人さんの導きあってこそ
だからこれからもいつでも私たちを呼んでね
いつもありがとうね
石神井公園。東京都練馬区の南側に位置するそれは、二十ヘクタールを超える敷地に大小の池と史跡、運動場などを擁する大型の都立公園である。
「話には聞いてたけど……本当に大きな公園だね」
賑わう飴市の灯りに背を向け、池沿いの遊歩道を歩きながら、朔・璃央(昊鏡・g00493)は言った。牡丹と蝶をあしらった浴衣は去年、傍らを行く妹との揃いで仕立ててもらったものだが、今年ももうこの浴衣に袖を通す時期が来たのだと思うと、一年の速さに地味に吃驚してしまう。
そうだねえと重ねて、朔・麗央(瑞鏡・g01286)は道端の園内図を覗き込んだ。
「初めて来たよね。こんなところがあったなんて、知らなかったなあ――あ、テニスコートもあるんだ」
「家の近くにあったらよく来てただろうなぁって思うよね。アスレチックもあるっぽいし、今度は昼間に来てみようか」
「それもいいかも!」
折しも夏の暑さが成りを潜め、爽やかな凉風の吹く季節。運動の秋という言葉もあることだし、自然豊かな公園はこれからの時期の散策にはもってこいだ。
「どうせなら色々遊んでみたいもんね」
兄の提案に笑って応じ、麗央は右手に握った飴細工を提灯の明かりに掲げてみる。花色に細やかな金の模様が入った蝶の形の飴は、つい先程、飴市の職人が二人の目の前で作ってくれた世界に一つだけの品物だ――どんな飴にしてもらおうか、迷いに迷った挙句に『お任せします』と丸投げしたところ、若く粋な職人は浴衣姿の二人を見て、色違いの蝶を拵えてくれた。柔らかく熱い飴を苦もなく手に取り、千切ったり伸ばしたりして形を整えていく職人の技は正に魔法のようで、今思い出しても幼子のように胸が躍る。
「ああいうのを妙技、って言うんだよね。ありきたりの言葉だけれど、日本の職人さんってやっぱり凄い!」
「匠の技、だね。それより――さっき、何かもう一つ買ってなかった?」
作ってもらった飴とは別に、もう一つ。
尋ねればああと頷いて、麗央はゆったりとした袖の中からもう一本の飴細工を取り出した。割り箸の先端では、どこかで見たことのあるようなないような犬が手足を揃えて座っている。
なるほど、と納得ずくで頬を緩め、璃央は言った。
「素敵なワンちゃんだね。さすがレオ、見る目があるよ」
「えへへ、衝動買いしちゃった。つい、ね」
握った割り箸を魔法の杖のように振ってみれば、薄紅に翡翠、二頭の蝶がひらひらと夜を舞う。煌く祭の灯を受けてキラキラと光る飴達は、綺麗だとしか言いようがない。
自身の瞳と同じ色をした翅をまじまじと見つめて、璃央は少しだけ、残念そうに口にした。
「綺麗すぎて、食べるのがちょっと勿体ないね」
「分かる。でも、食べないと逆にダメにしちゃうよ?」
「それは勿論、そうなんだけどさ」
可愛い物、綺麗な物を手元に留め置きたいのは人の性。食べ物を粗末にできないのは、日本人の性だ。帰ったらちゃんと食べるからね、と精緻な硝子細工のような蝶達へ語り掛けて、双子の兄妹は池沿いの道を進んでいく。そうして随分と人気も少なくなってきたところで、あ、と麗央が声を上げた。
「ハルトヴィヒくん!」
人の多い飴市の中心から、逃げてきたのだろうか。池を望むベンチに、見知った時先案内人の姿があった。しかし本人が応じるよりも早く、ワフッと鳴く声がしてパンツァーハウンドが一匹、二人の方へ駆けてくる。遠慮なく飛びつかれてバランスを崩しそうになりながらも、麗央は犬を受け止め、そして笑った。
「ブレッツェルちゃんもこんばんは。素敵な夜だねぇ」
「こんなところで、休憩ですか?」
じろりと視線だけをこちらへ向けたハルトヴィヒへ相好を崩して、璃央が尋ねる。そんなところだ、と返す声は相変らず味も素っ気もないけれど、これでも初めて顔を合わせた時よりずっと柔らかくなったと思う。構わず少年の元へ歩み寄って、双子は口々に語り掛ける。
「素敵なお祭りですね。でも、甘いものはあまり得意でないのでしたっけ?」
「あ、そうだハルトヴィヒくん、さっきね、ブレッツェルちゃんみたいな飴見つけたんだよ!」
はいどうぞ、と差し出したのは、先ほどの――シェパードのような姿をした、犬の形の飴細工。しばしじろじろとその色形を見つめて、ハルトヴィヒは言った。
「……似てるな」
「でしょ?」
やったあと満面の笑みを綻ばせ、麗央は少年の手に飴細工を押しつける。すると無愛想な案内人は、少しだけばつが悪そうに応じた。
「……なんか、お前らには貰ってばっかりだ」
それは今夜だけでなく、今日までも。
言葉は足りないにも程があるが、その裏で彼は彼なりに、最終人類史の在り方に馴染もうとしてはいるのだろう――それは牛歩が如く緩慢な、見えにくい変化ではあるのだけれど。
気にしないでと笑って、麗央は言った。
「お祭りができる場所が年々増えているのは、取り返した場所が増えたってことでしょ。そしてそれは、時先案内人さんの導きがあってこそだもん。これは、ちょっとした御礼だよ」
「そうですね。噂にしか知らなかったこの場所に来れたことも、こうしてたくさんの人達が訪れていることも……東京を取り戻したんだなって、強く実感できます」
だが――世界を奪還するための戦いは、道半ば。
浴衣の袖から覗く色白の手を差し出して、璃央は言った。
「まだまだ取り戻すところはありますから、これからもよろしくお願いしますね。ハルトヴィヒさん」
「うん。だからこれからも、いつでも私たちを呼んでね!」
約束だよと重ねた少女の声に、蒼い瞳をわずかに細め、ハルトヴィヒは差し出された手を取った。送る側と送られる側、どちらが欠けても成り立たない――これは、きっとそういう物語なのだろう。
「……ワフ?」
主とその友人達を交互に見比べて、パンツァーハウンドは不思議そうに首を傾げていた。存外に円らなその双眸は、遠い祭の灯を映してちらちらと揺れている。
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御守・樹
【B】【お任せ】菊柄の浴衣に袖を通して
甘いものは特に好きってわけではないけど疲れた時とか酒のつまみとかで口にすることは割とある。
特に飴は手軽に取れるしな。
口の中で飴転がしながら苦みのあるビール飲むのは結構いけるんだよ。
腹が無駄にふくれないし、飴とビールの味はお互いに引き立て合う感じ。
なににするかなぁ。細工もんでなくても結構種類あるみたいだし…。
定番の金平糖とべっこう飴は欲しい。もしかしてべっこう飴も別フレーバーとかあるかな。
でも細工系はもったいなくて食べれないから避ける。本当もったいないって気持ちが先に来てしまう。
物珍しいものがあれば片っ端から買ってみたくもあるが…簡単に痛むもんでもないから買っても問題ないな。
買いすぎにならないよう3~5種類程度に抑えるよう気を付けよう。でも小さい袋の物ならもうちょい買ってもいいな。
見て楽しいものはいくらあってもいいし。
ふわり、吹きつけた秋の風には、甘い砂糖の匂いが混じっていた。都立石神井公園の入り口に立ってその看板を一瞥し、御守・樹(諦念の珪化木・g05753)は淡い菊紋を刻んだ紺地の浴衣の腕を組む。道路から敷地内へ足を踏み入れてみれば少しも歩かないうちに、木立の向こうが煌々と明るくなっているのに気付いた。
「飴市か。色々考えるよなあ」
甘いものは特に好きというわけではないが、疲れた時の栄養補給に、時には酒のつまみにもなるので、決して嫌いというわけでもない。中でも飴は持ち歩きが容易で手軽に食べられることから、何かと重宝する存在だ。
(「口の中で飴転がしながらビール飲むのは結構いけるんだよ」)
飴の甘みとビールの苦みが溶け合い、お互いに引き立て合うあの風味は、やってみなければ分からない味わいがある。何より、無駄に腹が膨れてしまわないのがいい。
行ってみるかと呟いて、青年は肩の上で震える半透明のアクアスライムを連れ、アスファルトの園路を歩き出す。存外に賑わう園内では前を行く人もすれ違う人も、誰もが等しく飴を求めてやってきた人々ばかりである。
「お――結構賑わってんなあ」
祭りの煌びやかな光に照らされた飴市の会場は、大勢の人々でごった返していた。何にするかなと呟いて、樹は人の流れに交じり屋台の並びへ足を踏み入れる。そこには古今東西、飴と名のつく物は何もかもが集められていた――噂の飴細工や伝統的な飴菓子は勿論、水飴、林檎飴、杏子飴から綿飴までなんでもありだ。
(「細工系はもったいなくて食べれないんだよな」)
食べてこその飴だと頭では理解しているが、ああも精巧な細工になるとどうしても勿体ない気持ちが先だってしまう。それよりは定番の飴がいいと道の左右に目を配り、樹ははたと足を止めた。
「……ん?」
これはと瞳を瞬かせれば、ゆっくり見ていって下さいねと微笑む店主の老婆と目が合った。店先にはプラスチックのケースに入った飴が何種類も並べて置かれているが、どれも値段は一律で、備え付けのトングで好きなものをとって袋に詰め、グラムで料金を払うものらしい。
(「これなら色々、少しずつ試せるな?」)
せっかくの飴市だ――少ない種類をまとめて買うより、色々なものを食べてみたい。どれとトングを手に取って、樹は飴のケースを覗き込んだ。
(「まずは金平糖と、べっこう飴と――」)
一口にべっこう飴と言っても『塩』と書かれたものもあれば梅肉の入ったものもあり、金平糖は色違いのものが何種類も並んでいる。その光景は、なるほど飴市というだけはある。気になるものをあれもこれもと放り込んでいくと、小さなビニール袋はあっという間に一杯になってしまった。
「さて、こんなもんかな――……あ」
袋の口を閉じようとしてふと、店の一番端に置かれたケースが目についた。中に入っていたのは、ザラメ糖をまぶした半透明の白い玉飴だ。何気なく目についたそれと肩口のスライムを見比べて、呟くように樹は言った。
「……こいつも買ってくか」
多少買い過ぎたところでそう簡単に傷むものでもないし、色とりどりの飴達はそこにあるだけでも目を楽しませてくれる。お前も食べるだろ、と尋ねてみれば、アクアスライムがぷるぷると身震いした。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【猫変身】LV1が発生!
効果2【ダブル】がLV2になった!
朔・彗藍
【星灯】B/お任せ
白地に瑠璃唐綿と芍薬が咲く浴衣
もうあれからひととせ巡ったのですね
貴女の藤を咲かせた飴に
夜空に咲いた華は今も尚心に記憶に
大切にしまっているの
ね、今日は私が千景の手を攫いましょうか?
そうと掬った手のひら
きゅうと握って戯れ、得意気に笑む
飴市……!
どんな飴が見られるか楽しみですね
職人さんの手元で
魔法みたいにかたちを変えた花や動物
一挙一動、千景と目線を重ねて
驚き綻ばせる
私達だけの飴、嬉しくて
どうしましょう
食べずに飾っておきたいくらい
ふふ、勿体無いですね?
――はい、……千景?
振り返る、無垢なおとで
貴女がわたしを呼ぶから
それは当たり前に返して
……!むきゅ
これ……甘いお星様!金平糖ですね?
唇に触れた星はそのままぱくり
ん、美味しい………!
優しいサプライズ
降ってきた甘い星に
私がゆるんじゃうのも
きっと千景はわかってるんだから
ずるいですよう!
口開けて、あーんです
千景もお星様食べて?
だってわたしの好きを共有したいから
なんて我儘を置いて
それから、一緒にまた貴女の
好きなものも見つけに行きましょう
紫空・千景
【星明】B/お任せ
今年仕立てた浴衣、夜明けの花纏
去年はお互いの着物柄の花飴を交換したな
早いものだと目を細める
あんたに咲いた牡丹の飴細工
共に見た空の華
おや、今日は攫われてしまったと楽しげに
同じくきゅうっと握り返して笑み咲かす
彗、飴市だそうだ
彼処に見えるのは……花?
飴細工を作っているな、近くで見てみようか
瞬く間に形を変え之く花に見惚れ
動物が生まれればお互いの視線が重なり綻ぶ
……噫、此れが私達だけの
うむ、今食べるのは少し勿体ないな
少しの間だけ飾って、其の後は私達の中に仕舞おう
朽ちさせたくは無いからな?
少し欲張りの選択を
ふわりと寄り道した品はまだ仕舞った侭
――彗
名を呼ぶ
確認する様に
その先に返る名を欲する様に
紡ぎに満足し
隠していた星形の金平糖を
あんたが緩む魔法を掛けて唇の傍へ
こっちも美味しいぞと
小さな星屑添え
ふふ、彗に似合うと思ったんだ
狡さの代わりに、あーんは素直に
同じ味が幸せと知ってるから
嬉しい我儘を掬い上げて美味しいと咲う
私の好きは今増えたがなと戯れつつ
けれど見つけたくて
私達はまた巡るんだろう
祭囃子の笛の音を運ぶ涼やかな夜風は、秋の訪れを教えてくれる。煌く飴市の入り口に足を止めて、朔・彗藍(ベガ・g00192)は口を開いた。
「もうあれからひととせ巡ったのですね」
「そうだな。実に早いものだ」
黒い影と化した樹々の梢の先に夜空を仰いで、紫空・千景(夜明の導べ・g01765)は記憶の糸を手繰る。去年の今頃は京都・奈良の秋祭りで、互いの着物に咲いていた牡丹と藤の花飴を交換し、大輪の花火を見上げていたものだ。夜空に咲いた焔の色と輝きは今もなおこの胸に鮮明だというのに、それからもうそんなに時間が経ったのかと思うと感慨深い。もっともそれは、それだけ目まぐるしい日々が続いていたという証左でもあるのだろうが。
「ね、今日は私が千景の手を攫いましょうか?」
そう得意気に微笑んで、彗藍は千景の白い手を掬った。夜明け色に移ろう紺地に花を咲かせた千景の浴衣と、白地に瑠璃唐綿と芍薬の花をまとう彗藍の浴衣、群青と白青のコントラストは、祭りの光の中にあってよく映える。
するとおや、とおどけて見せて、千景は笑った。
「今日は、攫われてしまったか」
人混みに逸れてしまわぬようつないだ手を握り込んで、二人はぽっくり下駄をカラコロと鳴らし歩き出す。
「どんな飴が見られるか楽しみですね」
「彼処に見えるのは……花か?」
立ち並ぶ屋台の軒先には、動物や植物を象った精緻な飴細工が飾られていた。道の先にできた人だかりの向こうに飴細工を作る職人の姿を見つけて、千景は言った。
「丁度、実演をしているようだな。近くで見てみようか」
顔を見合わせ頷き合って、二人は雑踏を分けてゆく。そして飛び込んできた光景に、彗藍は息を呑んだ。
「すごい……」
まだ柔らかな半透明の白い飴が、飴職人の手の中で魔法のように形を変えていく。最初は何を作っているのかまったく見当もつかないのに、それは見つめる間にあれよあれよと形を変え、花や動物を模っていく。その一挙一動の度に視線を交わし、頬を緩めて見つめていると、その眼差しに気づいたのか――初老の飴職人は、二人に声を掛けてきた。
「お二人にも、何かお作りしましょうか?」
「! ぜひ!」
思わず二つ返事で頷いて、彗藍はいっそう笑顔を綻ばせる。一瞬、思案するように視線を廻らせたかと思うと、職人は固まりかけた飴を伸ばしてぱちん、ぱちんと鋏を入れ、二つの塊を割り箸の先に取り付けた。そしてものの数分のうちにでき上がったのは――。
「はい、お待たせいたしました」
「わ――これは……」
「もしや、か?」
千景の手には、つまみ細工の菊花のような明け色の花。
彗藍の手には、ベツレヘムの星にも似た透き通るような氷晶。
手渡された二種の飴細工には、不思議な既視感があった。それも当然――二つの衣装は今彼女達の長い髪をまとめている、髪飾りと同じ物なのだ。
素敵、と満面の笑顔を咲かせて、彗藍は受け取った飴細工を天にかざした。食べ物でできているとは凡そ思えぬ精緻な細工は、こうして屋台の照明に透かして見るとまるで本物の宝石のようだ。
「どうしましょう――食べずに飾っておきたいくらい、綺麗ですね?」
「うむ、今食べるのは少し勿体ないな……」
世界に一つしかない、彼女達のためだけに造られた飴細工だ。飴は食べてこそではあるが、すぐさま腹に収めてしまうにはあまりにも惜しい。勿体ないですよね、と眉を下げる彗藍へ笑み返して、千景は提案する。
「では、少しの間だけ飾って、その後は私達の中に仕舞おう。朽ちさせたくはないからな?」
異論などはあるはずもなかった。職人へ礼を述べ、受け取った飴を大事に握り締めて、二人は再び飴市の光の中へと歩き出す。そして行き交う人々の翳りない笑顔をしばし見送ってから、千景はふと、一歩先を行く娘の名を呼んだ。
「――彗」
「はい? なんでしょう」
無垢な声音に振り返って、彗藍は友の名を呼び返す。すると紡がれる音に満足げに口角を上げて、千景は右手に隠していた金平糖を一粒、不意打ちに彗藍の唇に添えた。
「むきゅ……?!」
「――こっちも美味しいぞ」
そのままぱくりと口に含めば、小さく甘い星屑が舌先でほろりと溶けていく。美味しい、と思わず口にすれば悪戯に笑み零して、千景は言った。
「彗に似合うと思ったんだ」
彼女が愛し、身にまとう星と、小瓶の中の甘い星とは、よく似ているような気がしたから。
するとふにゃりと眦を下げながら、彗藍は少しだけ不服そうに唇を尖らせる。
「全部分かってやってるんだから……ずるいですよう!」
「ふふ、なんとでも言うがいいさ」
彼女の喜びそうなことは、大体把握済みだ。得意気に睫毛を伏せれば、もう、と憤慨したような声がした。
「口開けて、あーんです」
有無を言わさぬ口振りで、彗藍は千景の口許へ手持ちの金平糖を差し出した。すると特に抗う素振りもなく、千景はあーんと口を開く。同じ色、同じ形、同じ甘さを共有すれば、幸せな気持ちが膨らんでいく。美味しい、と咲えば釣られるように綻んで、星花の娘は穏やかに紡ぐ。
「今度は、貴女の好きなものも見つけに行きましょう」
「ふ、私の好きは今増えたがな」
秋の夜はまだ、長いから。お気に入りの飴を見つけるまで、風の吹くまま吹かれるまま、この煌きの中を漫ろ歩くのもよいだろう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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効果2【能力値アップ】がLV9になった!
【ダメージアップ】がLV7になった!
レックス・ウェリタス
【01】
【B・お任せ】
23,浴衣
飴市かあ
こんなに勢ぞろいしてると本当、宝石箱みたいだ
ひらり揺らす魔法の絨毯みたいな薄布
和に咲かすは祖国の青と白の睡蓮
あ、和颯はやっと落ち着いた?
はしゃぐ気持ちは解るけどそろそろささらの視線に気付いてあげなね
大和撫子…映し出したパネルで調べるも――
うーんと、こてり首傾げ
いやね、大和撫子に当てはまりそうなの、ささらだけだなあって?
飴細工は折角だからお任せでお願いしてみようか
とりあえず四人分纏めて支払って
誰かが選んだものを知るのも好きだから、屹度わくわくは外に
期待を胸に宿した緋の眸でその飴を待つ
僕とレグルスはどんな飴なんだろ、なんてさ
綺麗な飴たちが惜しくなるのは解るけどね
データに残して、確り食べるのも礼儀だと僕は思うな
ふふ、飴に迷うのはイイけど
迷子には気をつけなね
全く、ホントに聞いてるのかな
手のかかる子と悪くない気持ちで笑うのは
多分、煌めく飴の魔法
…ってほら、言った傍からささらに怒られてるし
でも非日常にあるこうした変わらない物も案外好きなのだと
そっと愛猫を撫ぜる
柊・和颯
【01】
【B・おまかせ】
色々な飴がきらきらしていて、宝石箱みたいであります!
名前は聞いた事あるけど、見るのは初めての飴も!
これは目移りしてしまう…
あ、いえいえ、落ち着くでありますよ
お祭りとは風情も楽しむもの
せっかく浴衣を着ましたし、風情風情…
あ、ささらとお揃いの撫子柄であります
ほら、我大和撫子ですので!
……何か言いたそうでありますね、レックス殿
我も! 撫子であります!
飴細工も見事でありますね
何か作って頂きたい気もします
おまかせで一つお願い致したく!
わーい! レックス殿、有難うであります!
どんな飴が出来るかワクワク
作ってもらった飴細工も、可愛い飴も綺麗な飴も
食べるのが勿体ないぐらい素敵であります
どうしよう、どれを買おう
一つ選ぼうとすると、次に見るものがより素敵に見えて
でも、確かにそうであります
美味しく食べるのも礼儀!
甘くてほんわかと気持ちが温かくなるし
きらきら綺麗で気持ちまでキラキラしてくるしで
結局はしゃいでしまうけど
これもまた、お祭りの楽しみ方ということで!
思い出ひとつ、きらきら追加!
秋の夜は長い。日が落ちてもう随分と経つにもかかわらず、煌びやかな飴市の賑わいは一向に収まる気配がなかった。そしてその輝きに魅せられた者がまた一人、人混みの中を分けてゆく。
「色々な飴がきらきらしていて、宝石箱みたいであります! こ、これは、目移り不可避でありますね……!?」
組んだ両手を口許へ添えて、柊・和颯(めいたんてい・g07527)は声を震わせる。透き通るような菫青石のその瞳も、今日は色とりどりの飴達を映して極彩色に煌いている。
「あ、これはええと……聞いたことがあります! でも見るのは初めてで――あっ、こちらは?!」
道の左右を縁取る屋台を行ったり来たり、和颯は忙しなく覗き込んでいく。その背中を一歩後ろから眺めて、レックス・ウェリタス(Memento mori・g07184)は頬を緩めた。
「確かに、これだけ勢ぞろいしてると本当、宝石箱みたいだなあ」
光の加減で煤竹にも榛にも移ろう浴衣に咲かせるのは、遥か故国に咲いた青と白の睡蓮と太陽の紋。風に吹かれて踊る薄布は空飛ぶ魔法の絨毯のように、夜を歩くその背中を押してくれる。
ひとしきり周囲の店を飛び回ってようやく少し落ち着いたのか、道の真ん中で足を止めた和颯の傍らへ並んで、レックスは言った。
「和颯、ちょっとは落ち着いた?」
「いえ、落ち着いているでありますよ。お祭とは風情も楽しむものですし、せっかく浴衣も着たのですし」
風情風情、と自分に言い聞かせている時点で落ち着いてはいないように見えるのだが、まああまり深く追及するのはやめておこう。
「はしゃぐ気持ちは分かるけど、そろそろささらの視線に気付いてあげなね」
「あっ、そうそう。ささらといえば、ほら! これ、この浴衣! ささらとお揃いの撫子柄でありますよ! ほら、我大和撫子ですので!」
足元で若干くたびれた顔をしている浴衣姿のメーラーデーモンをひょいと抱き上げて、和颯は満面の笑みを浮かべる。ヤマトナデシコ、と耳慣れない言葉にこてんと首を傾げて、レックスは手元に浮かべたブルーのパネルに何事か打ち込むと、ネットの海をしばし彷徨ってから、今度は反対側へ首を倒した。
「うーん……」
「……何か言いたそうでありますね、レックス殿」
「いやね、大和撫子? に当てはまりそうなの、ささらだけだなあって……」
「うなっ、我も! 撫子でありますが!?」
がーん、とばかりに両目を白抜きにして、和颯はがっくりと肩を落とした。多分そういうところだよ、という突っ込みは胸にしまって、まあまあとレックスは笑った。
「それよりほら、見てごらん」
緋色の瞳で示す先に、会場の奥の方に何やら人だかりができていた。見れば飴細工を立てて並べた屋台の前で、初老の飴職人が和装の袖を襷掛けにして、今まさに飴細工の実演を行っているようだ。おおー、と一転瞳を輝かせ、和颯はレックスの袖を引く。
「レックス殿、参りましょう! さあ、さあ!」
「待って、引っ張らないで、伸びちゃうよ……!」
人混みを掻き分けて店の前に辿り着く頃には実演は終わったらしく、飴を持った人々が散り散りになっていく。手の空いた職人へすみませんと声を掛けて、和颯ははきはきと言った。
「我々にも何か作っていただけないでしょうか! おまかせで一つお願いいたしたく! レックス殿はいかがされますか?」
「僕もお任せにしようかな。ささらとレグルスの分もまとめて四人分、お願いするよ」
白黒の翼のスフィンクスを手元へ呼び寄せて、レックスはぺこり、日本式に頭を下げる。飴職人は二人と二匹の依頼を快諾すると、しばし一行の姿を観察し、そして早速手を動かし始めた。
「わ……凄い……!」
そこから先の十数分は、まるで魔法を見ているかのようだった――と言うより他になかった。固まりかけの飴を大きな鋏でぱちんと一塊切り取って、バーナーの火で炙って柔らかくしたら、割り箸の先に取りつけ、指で形を作っていく。時折鋏を入れたり、炙り直したり、飴を形づくる職人の手捌きには一切の迷いがない。魔法のような手捌きに思わず感嘆の声を洩らしつつ、見入ることわずか十数分の後、できあがった飴細工は――。
「はい、お待ちどおさま」
「わ……」
「わあ……!」
いったいどんな飴ができ上がるんだろう、と、わくわく胸を弾ませたのも束の間。あれよあれよと形が取られ、色を塗って仕上げられた飴は、まず水色から青へと移ろってゆく、細やかな細工が美しい立体的なハート型。既視感のあるその装飾に、あ、と和颯は声を上げた。
「これ、もしかして、我の翼でありますか?!」
背中に広げた魔力の翼をスカスカと触って、娘は表情を輝かせる。綺麗だったからね、と笑って、飴職人はもう一本、でき上がった飴細工を木の台に挿す。それは、濃い紅色をした一羽の小鳥だった。
「これは……僕のかな?」
「帯に鳥の羽根がついてたんでね。それにお兄さんの目の色が、綺麗な赤色だったんで」
「なるほど……!」
言われてふと、普段髪に飾っている二枚羽を帯へ移していたことを思いだし、レックスは感心したように頷いた。相手の特徴を瞬時に捉えて飴細工に昇華するのも、飴職人のスキルの一つということだ。後は猫ちゃんと山羊ちゃんに、と言って、職人はスフィンクスとメーラーデーモンを可愛くデフォルメした飴を一本ずつ持たせてくれた。わああ、と興奮気味に声を上げて、和颯は受け取った飴を祭の灯に翳してみる。
「凄いであります! カンペキであります! 食べるのが勿体ないぐらい……!」
「気持ちは分かるけどね。でも、しっかり食べるのも礼儀だと僕は思うな」
そう言って、レックスはスマートフォンのカメラを起動すると、猫の分と自分の分を二つ合わせて写真に収める。うう正論、と唸って、和颯もまたそれに倣った。ありがとうございましたと飴職人に礼を述べて、二人は再び、屋台の並びへと歩き出す。
「さて、次はどういたしましょう。どこで、どんな飴を買いましょうか?」
並ぶ飴達はどれもこれもが魅力的で、視線はただただ迷うばかり。ふふ、と軽やかに笑み零して、レックスは言った。
「飴に迷うのはイイけど、迷子には気をつけなね」
「はい! 気を付けるであります! いくでありますよ、ささら!」
メーラーデーモンの小さな手を引いて、和颯はてけてけと屋台の間を駆けていく。ほんとに聞いているのかな、と苦笑して、レックスは肩に停まった愛猫の背を撫でた。
「まったく、手のかかる子」
ぽつりと零した言葉ほどに悪い気がしないのは、甘く煌く飴達の魔法。気持ちまできらきらと輝き出すような光の中で、祭りの夜は更けていく。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【照明】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV10(最大)になった!
色葉・しゃら
ソレイユ(g06482)さまと【B】
麻の葉文様の浴衣で参加
祭りをご一緒に楽しめるなど光栄のいたり!
あふれる喜びで尻尾はぱたぱた
美しい飴に惹かれ目はきょろきょろです
ソレイユさま!鹿の細工がございますよ!
あの鳥は今にも飛び立ちそうです!
お、幼子のようだと笑われましょうか
駆け出すのはなんとか我慢です
呼吸を落ち着けると同時、ふと目に映ったのは
青い薔薇を象った飴細工
私、あれを買ってまいります!と、結局駆けだして
持ち帰った薔薇を、満面の笑みでソレイユさまへ
美しく繊細な青色、強く誇らしげに開く花弁
とてもとても、お似合いです
ソレイユさま、それは?私に?
貰った紅葉の飴を押し頂いて感無量
一生の宝にいたします!
あ…食べねばなりませんか
でも今夜ぐらいは…と、両手で大事に持ちましょう
私の時代…その…実はあまり覚えていないのです
ただ、病で伏せっているときには甘い蜜を貰ったりして…
その甘さは、心まで沁みいるような、温かな味でした
いただいた手まりの飴が口の中でからころ
今夜のこの飴も、同じくらい
甘くて美味しゅうございます
ソレイユ・クラーヴィア
しゃら(g07788)と【B】
藍色の浴衣に羽織姿
ボンボンならぬ日本の飴菓子に触れるのは初めて故に
見るもの全てが珍しく
可愛らしい巾着入りの鮮やかな手毬飴やら
硝子細工の様な飴細工を見れば
つい、店先に立ち止まってしまいます
嬉しそうに揺れる尻尾に眦を下げて
駆け出すしゃらの後をゆるりと歩けば
ふと目に留まったのは、清流に遊ぶ紅葉を象った飴細工
清く、瑞々しさに溢れたしゃらの姿が重なる気がして
買い求めれば、しゃらは受け取ってくれるでしょうか
青薔薇の飴細工には、その美しさとしゃらの心遣いが心から嬉しくて
大事にしますね
と言いかけて、大事に食べますね、と言い直し
言葉が重なれば笑みが溢れ
では、今夜は此方を
と先程目に止まった巾着入りの手毬飴を一つ摘んで
どうぞ、と差し出す
しゃらの故郷の時代から、この味はあったのでしょうか
語られる言葉に、家族から愛されていたであろう事が感じられて
刻の隔絶に心が痛むものの
しゃらの笑顔と飴の甘さに綻ぶ
また、飴を食べに行きましょうね
幸せに健やかに
この先も歩んでいけますようにと小さく願を込め
吊り提灯とスポットライトの暖かな灯に照らされた会場を、艶やかな浴衣に身を包んだ人々が行き交っていた。共通しているのはその誰もが、さまざまな飴菓子を手に笑っている、ということだ。
「ソレイユさま、ソレイユさま! こちらに鹿の細工がございますよ!」
飴細工を商う屋台の軒先へ駆け寄って、色葉・しゃら(言の葉あつめ・g07788)は麻の葉文様の浴衣の袖を振り上げる。恐らくは無意識の内にであろう、ぴこぴこ、ぱたぱたと動き振れる大きな狐の耳と尾は少年の屈託のない興奮を表しているかのようで、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は眦を下げた。群青に金の松竹梅を描いた浴衣は、彼の二色の瞳の色を思わせる。
「そんなに走ると、危ないですよ」
「あっ……すみません。ですがその、祭りをご一緒に楽しめるなど光栄のいたりと……!」
憧れの先輩復讐者との外出、というだけでも、幼い狐の心は踊ったものだろう。いえいえとソレイユは苦笑したが、年少者のはしゃぐ姿はいつだって微笑ましいもの。それに本音を言えばソレイユ自身もまた、この盛大な飴市の光景には高揚を禁じ得ないのだ。
「日本の飴菓子に触れるのは初めてですが……実に鮮やかなものなのですね」
故郷のボンボンとも違う、日本の飴。可愛らしい巾着に詰められた色鮮やかな手鞠飴も、断面に花や動物を描き出した組飴も、そして硝子の彫像にも似た飴細工も――見るものすべては新しく、珍しくて、歩みは遅々として進まない。
ですね、と力いっぱい頷いて、しゃらはきょろきょろと道の左右を縁取る屋台に目を配った。
「本当に、どの飴もみな美しく――あ。あの鳥などは、今にも飛び立ちそうですね!」
「ふふ、そうですね」
「あ、えと……お恥ずかしい。幼子のようなことを、申しまして……」
「いえ、私もまったく同感ですよ」
幼子のようなことも何も、齢十歳は十分に幼いと思うソレイユだが、そこはそれ、しゃらなりの矜持もあろうから口にはしないことにする。だが口にした言葉は素直な本音だ――芸術には一家言ある方だと自負しているが、木の台に挿された飴細工達はいずれも精巧で、対象の特徴をよく捉えている。
「躍動感といい……これがすべて飴から造られているというのは、驚きです」
「そ、そうですよね?」
呆れられたのではないと分かって、しゃらはほっと狩衣の胸を撫で下ろす。そしてふと路の先へ目をやって、灰銀の瞳を見開いた。
「あれは……」
屋台の店先に並んだ多彩な飴細工の中に、一輪、青い薔薇が咲いていた。光の当たり方によって無限に移ろう美しく繊細な青色と、強く誇らしげに開いた花弁は何かを、誰かを髣髴とさせるような気がして――。
「ソレイユさま、私、あれを買ってまいります! 少々失礼いたします!」
「え? ええ――」
構いませんがと言葉を続ける前に、男児は足早に駆けていった。転ばないと良いのだがと思いつつ、ソレイユはゆるりとその後を追う。左右の店先を交互に眺めて歩いてゆくとその一角に、一風変わった飴細工があることに気がついた。
「……あれは?」
それは透き通った飴の円盤に、清流に遊ぶ紅葉を描き出した美しい飴だった。その彩と透明感は、清く瑞々しさに溢れた男児の姿に重なるような気がして、ソレイユは数歩、行き過ぎた道を引き返す。店主に声を掛け会計を済ませていると、しゃらが息を弾ませながら戻ってきた。
「あの、ソレイユさま、これを――とてもとても、ソレイユさまにお似合いと思いました、ので!」
「おや……それは、ええと」
恐縮ですねと、返す言葉は自分でも驚くほどに惚けていたと思う。というのも、差し出された薔薇の色がソレイユ自身が好み、まとう青と同じ色をしていたからだ。それを識っているから、しゃらはこの花を選んだのだろう。
ありがとうございますとはにかみつつも受け取って、ソレイユは店主から受け取ったばかりの紅葉の飴を男児の前に差し出した。
「では、私からはこれを」
「え――私に、ですか?」
よろしいのですか、と声を震わせつつ、しゃらは受け取った飴を恭しくも両手で押しいただく。一生の宝にいたします、などと仰々しいことを言うものだから思わず吹き出しそうになって、ソレイユは言った。
「私も大事にしま――あ、いえ。大事にいただきますね」
「あ……そうですね。いつかは、食べねばなりませんか……」
飴細工は目で見て、舌で味わってこそ。少しだけ残念そうな顔をして、けれどもすぐに気を取り直し、でも、としゃらは続けた。
「今夜は、大事にさせていただきましょう」
「そうですね。では、今はこちらをどうぞ」
浅葱色の羽織の袖から取り出したのは、先ほど目に留めた巾着入りの手鞠飴。いただきます、と大きな瞳を輝かせるしゃらの口へ一粒入れてやれば、途端に弛む頬が可愛らしい。ぱたぱたと振れる尻尾をじっと見つめて、ふと、ソレイユは問うた。
「思ったのですが……しゃらの故郷の時代から、この味はあったのでしょうか?」
「え? ああ、いえ……私の時代のことは、その……実はあまり覚えていないのです」
飴玉を頬に留め置いて、男児は応じた。
「ただ、病で伏せっているときには甘い蜜を貰ったりして……その甘さは、心まで沁み入るような、温かな味でしたのを覚えています」
「……そうですか……」
返る言葉に、胸の底に鈍痛が湧いた。屈託なく笑うこの男児は、千年以上昔のこの国で、確かに誰かに愛されていたのだろう――だが彼を愛し、彼が愛したものはもう、時の彼方の泡沫と消えた。場所も時代も違えど同じ改竄世界史に生を受けたソレイユにとってそれは、身に覚えのない痛みではない。
でも、と続けて、しゃらは笑った。
「今夜のこの飴も、同じくらい甘くて美味しゅうございます」
舌の上で転がす飴玉が、歯の裏でからころと軽妙な音を立てる。心からの笑顔に胸の痛みが和らいでいくのを感じながら、ソレイユは言った。
「またこうやって、飴を食べに行きましょうね」
それは、なんでもない一時でも構わない。今はもう存在しない、けれどいつかどこかに確かに在った場所で生まれた命が、この先に続く未来を幸せに、健やかに、支え合って歩んでいけるように――どうかまた、と願いながら、少年は一粒の手鞠飴を自らの唇へ押し込んだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【液体錬成】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【ラストリベンジ】LV1が発生!