【《七曜の戦》東京北部防衛】北東京天魔武者合戦
このシナリオは
《七曜の戦》に関連して発生する特別シナリオ
「人類史防衛戦」の一つです。
このシナリオでは、最終人類史の「北区・板橋区・足立区・練馬区」に侵攻してきた「天正大戦国」のクロノヴェーダに対して、「迎撃戦」を行ないます。
「迎撃戦」を成功させれば「北区・板橋区・足立区・練馬区」を防衛する事が出来ます。
※市街地防衛
ワイルド・カードでの提案により、市街地の防衛拠点化が行われています。
そのため、クリアに必要な👑が減っています。
※最終人類史
戦場が『最終人類史』の領域であるため、戦闘関連の残留効果は最大レベルで発揮されます(それ以外は10LV)。
その為、難易度が下がっており、有利に戦闘を行える代わりに、獲得できるEXPとPPが通常よりも少なくなっています。
松平信康
服部半蔵
本多忠勝
『信濃の獅子』真田信之
《七曜の戦》東京北部防衛襲撃~襲来の天魔武者(作者 長野聖夜)
#天正大戦国
#【《七曜の戦》東京北部防衛】北東京天魔武者合戦
#《七曜の戦》
#人類史防衛戦『東京都北部』
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●
――東京、練馬区。
「……なんと面妖な。この様なディヴィジョンが存在するとはな」」
人気の無い、見覚えの無い無機物的な建物群を見ながら、その男は自らがたどり着いた周囲を見回している。
――空は穢れ。
――大地に生気は無く。
――そして。
「世界に満ちる空気さえも汚泥に塗れておる。まるで地獄の様な、この場所こそかのディアボロス達の本拠地なのであろうな」
そう誰に共無く呟き、同時に周囲に人気が無いこともまた、『信濃の獅子』と呼ばれる天魔武者は微かに憂いげに顔を顰めつつ、だが、と軽く頭を横に振り、自らの兵達を一瞥して、笑った。
「だが、例え此処が地獄であろう、恐れる事は無い。我が真田の六文銭、地獄の船の渡し賃に事欠かぬのだからな」
その言葉と共に。
その手に握る刀の切っ先を『信濃の獅子』真田信之が高々と掲げ。
「故に、恐れず、進め、我が兵(つわもの)達よ! あの面妖な建物達を破壊せしめ、ディアボロス達の拠点を陥落させるのだ!」
その雄叫びの様な咆哮を受け。
機射隊の軍勢が、轟く様な声音と共に、板橋区を殲滅するべく行動を開始した。
●
「……《七曜の戦》、遂に開戦したな」
新宿駅グランドターミナルの一角で。
西園寺・真哉(人間のカースブレイド・g03199)がディアボロス達を見回しながら、粛々と話を続けている。
「《七曜の戦》は全てのディヴィジョンが『決戦時空』に揃い、世界各地で戦端が開かれる、正しく『戦争』そのものだ。この戦いの帰趨にで、俺達ディアボロス……だけではなく、最終人類史の運命は決まっていくだろう」
既に、その歴史の奪還戦は開始されている。
けれども、歴史の奪還戦だけが《七曜の戦》ではないのだ。
「戦争であるならば、当然、俺達ディアボロスだけが一方的に侵攻することが出来るわけじゃ無い。当然他のディヴィジョンが嘗て俺達が奪還した地帯を侵略してくるだろう」
――故に、それに対する備えと防衛は必須となる。
その防衛地区として今回真哉がディアボロス達に告げるその場所は……。
「北東京の『北区・板橋区・足立区・練馬区』の4つの地区の防衛。俺が今回皆に頼みたいのは、『練馬区』の防衛になる」
この辺りの地区は、先制攻撃が行えなかった戦場であるため、敵の戦力は強大になっている。
だが、その強大な戦力を恐れる必要は無い。
何故ならば……。
「最終人類史での戦闘では、皆のパラドクスの効果が最大限に発揮されている上に北地区は、皆の提案によって【建物復元】を有効利用するための、戦略が用意されているからな」
更に言えば、この地区には元々の住人は未だ帰還しておらず、他の地区の一般人達の立ち入りも禁じている。
つまるところ、迎撃態勢は万全、と言う事だ。
「此処まで準備が整っているのであれば、トループス級レベルの天魔武者であれば、恐らく皆の敵にはならないだろう。とはいえ、流石にジェネラル級を撃破できる程では無いけれどな」
故に、敵部隊を撃破し、その場から撤退すれば勝利となる。
只、もし、トループス級があまりにも圧倒されることがあれば……。
「もしかしたら、ジェネラル級が出てくる可能性もある。とは言え、撃破は無理だが、彼等と戦う為の情報を得ることは出来るかも知れないな」
そう静かに呟く真哉のそれに。
ディアボロス達がそれぞれの表情を浮かべるのだった。
「……北東京の戦場の侵攻軍は、どうやら徳川家康縁の4体のジェネラル級天魔武者が率いているらしい。恐らく4手に分かれての進軍だろう」
――故に、情報を得ることがもし出来るのであれば、それは……。
「《七曜の戦》後は、関東で戦端が開かれる可能性もある。ならば、もしジェネラル級天魔武者の情報を少しでも引き出すことが出来れば、今後の戦いに役に立つかも知れない」
――けれどもそれは、もし出来たら、の話だ。
「あくまでも一番優先すべきことは、東京北区の防衛の為に、天魔武者部隊を撃破したら、出来る限り速やかに撤退する事だ。その主目的は決して忘れないようにな。どうか皆、宜しく頼む」
その真哉の言の葉と共に。
真哉の背後に現れたパラドクストレインに、ディアボロス達は乗り込み、東京北区の防衛に向かうのだった。
リプレイ
文月・雪人
真田信之はこの地を地獄と評するか
人の手により歪められた自然は
成程、平安や戦国の地とは大違いだ
歴史の歩みは、必ずしも全てが最善ではなかったのかもしれない
それでも
人々が笑顔で暮らせるこの時代を、俺は大切に思ってる
人々に託された思いを胸に、戦おう
各種効果を最大限に使えるのは有難い
地の利もまた此方にある
煙幕を焚いて【光学迷彩】で潜み
【完全視界】で見通しながら敵を誘導
建物を利用して分断し
連携を断って倒していくのはどうだろうか
【パラドクス通信】で作戦打合せ
冷静に戦況を読みつつ
仲間と連携して戦おう
『式神召喚・燈』使用
煙幕に潜み敵の動きを観察
見出した弱点は仲間と情報共有
式神を召喚し、先手を取って攻撃していくよ
イリヤ・レダ
※アドリブ・共闘OKです
防衛戦…
遮蔽物も用意されていて、人々の避難も完了している
地理を把握した場所で迎え撃つ為だけに戦えるのは有難いね
スマホで戦場の地形を確認しつつ、布陣しよう
退きながら戦えるように、拠点候補は複数把握しておきたい
倒壊した時にすぐ離脱出来て、射線を通しやすい高さのある場所がいいな
共闘するディアボロスとも声やハンドサインで連携を取りつつ効率的に殲滅していきたい
パラドクスは「緋封 解放」を
緋色の嵐による範囲攻撃で敵に打撃を与えていこう
トドメは仲間に任せてもいい
敵の出鼻を挫ける様に確実に葬っていきたい
引き際も大事だと思うから、参加者の1/3が戦闘不能になったら
仲間を連れて撤退する
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
全く失礼な事を言うもんだ
言った奴には少し縁を感じなくもないが……ま、全力で打ち倒しおかえり願うとするか
此れだけ建物が多く強固なら突撃もしにくいだろう?
お前達は皆打ち倒す!
事前に地図を用意
味方の位置を把握できるよう〇スーパーGPS起動
〇パラドクス通信を用い連絡を取り合い戦う
周囲には〇使い魔使役で使役した雀を周囲に散開
敵の襲来を警戒させる
其の上で自身に〇光学迷彩を施し敵の攻撃に反応し易いよう〇未来予測と〇神速反応使用し敵を待つ
敵襲来確認後は〇焔矢で敵を攻撃
〇建物復元で強固になった建物を盾にして突撃をいなし敵が近付きすぎたなら低空で〇飛翔して距離を取りながら一体ずつ確実に倒していく
ネリリ・ラヴラン
守りの準備は万端っ
それなら、あとはわたし達が守りきるだけね!
あまり高層の建物は無いと思うから
【飛翔】も使って上空から敵の位置を見晴らすよ
多少危険はあるけれど位置を皆と共有して急いで対処したいわ
勿論偵察だけをしに来たわけじゃないよ
それ以上は一歩でも立ち入り禁止って知らしめるべく
その場で黒の衝撃を高速詠唱、全力の魔法を届けてあげるわ
奪還が完了したらもうここはわたしの知っている練馬ではなくなるのかもだけれど…
それでも、クロノヴェーダさん達に渡す土地は欠片も無いわ!
アドリブや連携は歓迎だよ
長月・夜永
*アドリブ&連携大歓迎
人の街に土足で踏み入って好き勝って言ってくれちゃって、ホント失礼な人達だね
ん?あれはネリリちゃん?
なら術を見てボクが来てるの直ぐに気づいてくれるかな?
進軍経路上にワイヤートラップを仕掛けた後
『パラドクス通信』で連携を取りつつ、広範囲に『忍法・白霧』を展開
周囲を先も見えない濃霧で覆いながら確実に刈取って行きます
濃霧の中だとビーム兵器の威力も半減でしょ?
ソレなりに場数踏んでるし舐めないでよね。
呉守・晶
チッ!徳川家康配下の部隊か
七曜の戦が、こういうものだって分かっていてもムカつくな
今まで苦労して奪還してきた、この東京を一部だろうと奪おうと攻めてくるんだからな!
その上、漸く全域を奪還した23区を地獄呼ばわりするとはな
いいぜ、返り討ちにしてやる!
【トラップ生成】で煙幕を張って、更にアークイーターの封印を一部解除して刀身を無数の鋼糸に変異させて、辺りにワイヤートラップとして張り巡らせたり、敵に巻き付けたりするぜ
煙幕は敵の砲撃の狙いを付けにくくする為のものと見せかけて、本命はアークイーターの鋼糸の罠を隠す為だぜ
ハッ!これで竜騎兵の機動力を活かして煙幕から抜けようとしたらバラバラになっちまうぜ?
●
――東京都練馬区の一角で。
「防衛戦……ですか」
塹壕の様に用意された建造物の影に息を潜めて囁いたのは、イリヤ・レダ(『緋』を封ずるモノ・g02308)
イリヤの手元には、何時の間にか小型の通信機が1つある。
その通信機越しに。
「うん、そうだね、イリヤちゃん。でも、今回は守りの準備は万端っ、あとはわたし達が守り切るだけ! そういうことだよね?」
そう明るくはきはきとした声で、ネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)が激励をかけてくる。
そのネリリの激励に、イリヤは確かに、と丁寧に相槌を打った。
「アナタの言うとおりですね。遮蔽物は用意されていて、しかも人々の避難も完了しています。更にこの都市の地理は……」
「無論、俺達の頭の中にバッチリ入っているぜ! それぞれの位置情報も把握できる様に、確り準備してきたからな!」
そうイリヤに朗らかに応えたのは、愛馬『スヴェルカーニエ』に跨がる、ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)
「こう言う時、各種効果を最大限に使えるのはありがたい話だね。お陰で、少し軽口を叩いも、相手には気付かれないし」
ルィツァーリの言葉に、自身も周囲の仲間達が何処に居るのかを把握しながら同意したのは文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)
「そうだな、雪人さん」
雪人の呟きに首肯するのは、雪人と協力して煙幕で周囲に満たした呉守・晶(TSデーモン・g04119)
雪人と晶が煙幕による迷彩を焚いたのは、偏に、危険を承知で上空からの偵察を買って出たネリリのため。
無論、ネリリが今何処にいるのかは、ルィツァーリの提案で使用が決定されたスーパーGPSで把握している。
――と、此処で。
「チッ」
晶が小さく舌打ちするのが耳に入り、雪人が如何した? と問い返した。
「いや……徳川家康配下の部隊が侵略してくるってのは、七曜の戦……要は戦争なんだから分かってはいる。いるが……如何してもムカつくもんはムカつくからな」
その晶の愚痴に同感だよ、とルィツァーリが首肯する。
「此処が『地獄』とか、本当に失礼極まりないって感じだよな」
「確かに真田信之は、この地を地獄と評しているな。けれど、それは一理あると俺は思うよ」
と、ルィツァーリ達を宥める様に雪人は返していた。
(「人の手により歪められた自然は、確かに、平安や戦国の地とは大違い、だからね」)
そんな雪人の胸中を感じ取ったか。
まあ……とルィツァーリが微かに言葉を濁す。
「確かにあんたの言う通り、言った奴には少し縁を感じなくは無いけれど……さ」
そう唇を尖らせた様なルィツァーリの声音に、雪人は思わずくすりと微笑むと。
「そんなもんか? ……俺からすれば俺達が今まで苦労して奪還してきた、この東京を地獄呼ばわりして奪い取ろうなんてふざけるな! って感じだが」
その晶の率直な感想に、まあね、と雪人が微笑を苦笑に変えて、首肯を返す。
「少なくとも真田信之がいた時代とは違う、人々が笑顔で暮らせる様になったのがこの時代だ」
――例え、歴史の歩みの全てが、必ずしも最善では無かったにしても。
それでも、数多の人々が平和に自然な笑顔を浮かべることが出来るこの世界を……。
「……俺は、彼等の求める時代よりも大切に思っている。だから人々に託された想いを胸に、俺も戦うと決めているんだ」
その雪人の締めくくる様な言の葉に。
「そうだな。どっちにせよ返り討ちにしてやらなきゃいけないのは変わらねえんだ! だったら、俺達の手でぶっ潰してやれば良いって事だしな!」
そう晶が意気込みを語った刹那。
「皆、敵部隊、来るよ!」
空中で煙幕に身を潜めていたネリリがそう叫ぶとほぼ同時に。
「……わたしが偵察だけをしに来た訳じゃ無いって事……教えてあげるんだからっ!」
ネリリは、煙幕の向こうの機射隊を捕捉し……そして。
「絶対に……外さないんだからっ!」
召喚した漆黒の弓に漆黒の矢を番えて。
ヒョウ! と言う鋭い音と共に、漆黒の矢をネリリが射るのに合わせる様に。
「そこだね」
雪人が自らの管狐『クダ吉』を中心に、無数の影の猫や大鷲などの式神達を召喚、一機阿世に側面から突撃させ。
「行きますよ。『語らずのレダ』よ……!」
その反対側の建造物に身を潜めていたイリヤが全身を緋色に染め上げながら。
念隔式飛刀『緋刃』を、空間を断つ様に横一文字に振るった刹那。
――轟!
と緋の暴風が解き放たれ、先行する武田機射隊に容赦なく洗礼を浴びせかけた。
●
『なっ?! 敵襲!?』
建築物の影から解き放たれた緋の嵐とクダ吉に率いられ突進してくる式神の獣達の群れ。
タイミングをほぼぴったり合わせた雪人とイリヤの旋風と獣達の群れによる攻撃が容赦なく機射隊の足並みを乱す。
『怯むな! この程度で我等が……!』
先発隊のリーダーなのであろう、その指揮官の檄よりも早く。
――びゅう!
とネリリが空中より射った漆黒の矢がその頭部に突き刺さり、ガシャン! という鈍い音と共に破砕した。
悲鳴を上げる間も無く、力尽きた指揮官に敵部隊が浮き足立つが。
『上! 上から矢が飛来したんだ! 撃て、撃て、撃ちまくれー!』
如何に煙幕と迷彩で巧妙に隠れていても、上空から矢が振れば分かる。
正に撃ち落とすべき的と判断されたネリリに一斉砲撃を開始するよりも先に。
――ビィン!
と、一瞬彼等の四足が鋭い糸の様なものに取られ足下を切り裂かれた。
『ぬうっ……これは……?!』
一瞬、機射隊の1機がそう動揺を示した瞬間。
「……人の街に土足で踏み入って好き勝手言ってくれちゃって、ホント、失礼な人達だね」
そんな呆れた様な声が不意に上がり。
同時に、周囲の機射隊の周囲の気温が急激に低下し、濃い白霧が戦場を覆い尽さんと包み込み始める。
その地上での突然の変化をネリリは認め、その白霧の主に思い至り、はっ、と息をのむ。
「あっ! もしかして、この濃霧……夜永ちゃん……!?」
そのネリリの言葉を受けて。
「ヤッホー、ネリリちゃん☆ ボクが来てるの、気付いてくれたんだ! 取り敢えずボクも来たし、既に接敵しているから降りてきた方が安全だよ!」
そう長月・夜永(は普通の女のコである・g03735)が青いボブヘアを風に泳がせながら通信機越しに声を掛けるのに頷きネリリが滑空を開始。
周囲にワイヤートラップを展開した夜永からの忠告にありがと! と笑顔で返して漆黒の矢を続けて射る。
休む間もなく解き放たれたそれに射貫かれ、濃霧で視界を覆われた機射隊の1機が崩れ落ちた。
みるみる内に数を減らした先遣隊の様子に気が付き、機射隊本体がおっとりがたなで肉薄しようと……。
「……馬鹿な奴等だな。雪人さんと一緒に用意した煙幕が、俺達への砲撃の狙いをつけにくくする為だけの訳ないだろ?」
その呟きと共に。
肩に担いでいる筒を構えた本体の機射隊に掛かっていた無数の糸を、晶が口の端に笑みを浮かべてグイ、と引いた。
――己が魔晶剣『アークイーター』の刀身を、無数の鋼糸剣『細キ解スモノ』に変形させて混ぜ込んだそれを。
『アークイーター』の刀身が、その肩のビーム砲ごと、機射隊を纏めて締め上げた瞬間。
「今だ! 行くぜ!」
――轟!
雷鳴が唸る様な音と共に放ったルィツァーリの一発の誘導弾が彼だけが見える淡い光と共に機射隊に着弾し、爆発の花を咲かせて存在を消失させ。
「如何した、如何した! この程度で俺達を止めることなんて出来ないぜ!」
そう喝采の声を上げたルィツァーリが頭上に召喚した大砲から続けて弾丸を発射。
再び解き放たれた弾丸が、晶が締め上げていた機射隊をまた1機撃ち抜き、爆発で彩る。
そのあまりの勢いに建物が崩れかけるが……。
「皆、こっちです。第2ポイントまで転進しましょう」
位置取りを変えて戦場を俯瞰する様に見るイリヤの連絡に。
「ああ、そうだね。皆、例のポイントまで追い込むよ。……晶! 夜永!」
同様に少し距離を取る様にして仲間達の位置をGPSで把握していた雪人も応じる様に声を掛けると。
「ああ、了解だ!」
「成程ね! 任せてよ! ネリリちゃんもお願い!」
晶と夜永が同時に首肯し、パッ、と周囲にワイヤーを展開。
只のワイヤーでは意味が無いが、その中に晶のアークイーター……鋼糸剣『細キ解スモノ』が含まれていれば話は別だ。
阿吽の呼吸でネットの様に編まれたワイヤーで、一瞬機射部隊の足止めをするその間に。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇー!」
ヒョウ! とネリリが漆黒の矢を射かけて、またその数を減らしている。
「おおっと! 俺達の作戦は、これだけじゃ無いんだぜ!」
射かけられて力尽きた機射隊を一瞥したルィツァーリが、最初の奇襲の勢いで崩れた建物を再構築。
機射隊の真ん中にみるみる内に建て直した超高層ビルで分断した、その瞬間を見逃さず。
「風よ……!」
イリヤが再び全身を緋色に染め上げて全てを切り刻む緋色の嵐を巻き起こした。
巻き起こされた緋の轟嵐が機射隊の動きを阻害し、更に立てかける様に夜永が印を結ぶ。
「遅いよっ!」
夜永の叫びと同時に発生した濃い白霧が機射隊の1機を覆い尽くし、その機能を停止。
イリヤの緋色の嵐に飲み込まれた機射隊を夜永が一方的に蹂躙する間に。
もう片割れと化した機射隊を、煙幕の向こうの雪人が再び解き放ったクダ吉を初めとする式神達が狐火や残像で敵を翻弄しながら。
「将を射んと欲すればまず馬を射よ、か。この機射隊の弱点は足だな」
そう結論を出した雪人がその情報を晶達に共有しつつ、クダ吉に狐火を叩き込ませ、機射隊の足を溶解させたところで。
「奪還が完了したら、もうここは、わたしの知る練馬では無くなるのかもだけれど……!」
――それでも、クロノヴェーダさん達に。
「……渡す土地は、欠片も無いんだから!」
その叫びと共に。
ネリリが指に挟んだ2本の漆黒の矢を射出し、雪人の狐火で動きを止めた機射隊を撃ち抜いた直後。
「さっさとお帰り願うぜ、クロノヴェーダ!」
咆哮したルィツァーリが、巨大な大砲を顕現させ。
「天空の神よ、偉大なる雷神よ! 我が敵を討つ為に御身の焔矢を降らせたまえ!」
と神々への祈りを唱えて上空から巨大な誘導弾を降り注がせ、機射隊の1機を倒したその時だった。
「……っ! 霧の向こうに誰かがいるよ!」
夜永が自らの展開した白い濃霧と、雪人と晶が焚いた煙幕の向こうの気配を感じ取ったのは。
煙幕の向こうのの天魔武者もまた、微かに息を呑む様な気配を感じ、イリヤがそうか、と思わず呟く。
「……この気配……。オレ達は敵の出鼻を挫ければ良いと思っていましたが、深入りしすぎた様ですね」
イリヤの、その男が纏った気配を感じ取って思わず生唾を飲み下しながらのそれに。
晶とルィツァーリ、夜永の援護をしていた雪人も思わず目を見開いて、冷汗を垂らす。
「ああ、そうみたいだな」
その雪人の驚愕を裏付ける様に。
濃霧と煙幕の向こうで微かに息を呑んだそれが、そっと息を1つ吐いた。
『この世の地獄とでも言うべき面妖な建物群の入り乱れる場所での乱戦とは言え、よもや我が元まで辿り着くとはな……』
――この乱戦の中、この様な形で対面する事になったのが、幸か不幸かは分かりかねるが。
「あなたが、『信濃の獅子』真田信之さんって訳だね!」
思わぬ遭遇戦への驚愕を振り払う様にネリリが真田信之に声を張り上げると。
信之は如何にも、と深々と首肯し、まるで聞くだけで親しき友として、従属したくなる様な美しく深い声で名乗りを上げた。
『ディアボロス達よ。我こそは、『信濃の獅子』真田信之。どの様な理由であれ、貴様達が儂の元へと辿りついたのは事実。褒美にこの儂直々に、貴様達を三途の川へ渡河させてやろうぞ』
そう歌い上げる様に呟かれたそれにまるで蕩けてしまいそうな想いを一瞬、ネリリが抱いた次の瞬間には。
真田信之が、目にも留まらぬ速さで大太刀を袈裟懸けに己が腕の全力を籠めて振り下ろしている。
剛剣の強烈な一撃が吶喊していたルィツァーリを斬り裂き、血飛沫を周囲に回せていた。
「ぐっ……!」
「……! ルィツァーリちゃん!」
思わぬ斬撃にその場にルィツァーリが落馬したのに気が付き、はっ、とネリリが漆黒の矢を射る。
咄嗟のその矢を大太刀についた血糊を落とす様に振るって切り払った真田信之に向けて。
「俺達の世界を土足で踏み躙るだけでなく、俺達を三途の川に送り込んでやるだと!? ふざけるな! お前達の方こそ、とっとと此処から立ち去りやがれ!」
晶が憤怒の叫びを叩き付けながら、『細キ解すモノ』による無数の斬撃を展開。
それが真田信之を締め上げようとしたその時。
『出でよ! 我が精鋭達よ!』
真田信之が人々を親しき友と誤認させてしまう様な声で、そう歌う様に言葉を紡ぐと。
無数の天魔武者の軍勢が晶達ディアボロスを包囲殲滅せんとばかりに姿を現し、騎馬隊が一斉突撃を開始した。
「……っ! まずいですね……!」
天魔武者軍団に完全包囲されているのに気が付いたイリヤがかっ、と全身を緋色に染め上げて。
緋色の嵐を叩き付ける様に解放し、天魔武者軍団の一角を怯ませ。
「……確かに貴方の言うとおり、俺達が守ろうとしてるこの時代は、澱み、醜い世界なのかも知れない」
続けて雪人が小さく息をつきながら、クダ吉と式神達を突撃させた。
「それでも、此処は人々が笑顔で暮らせる時代なんだ。その笑顔を、貴方達クロノヴェーダに奪わせるわけにはいかない」
雪人の呟きに合わせてクダ吉が、自分達を攪乱せんとする騎馬部隊に狐火を灯し、影の獣達が無数の残像で攪乱を開始。
その間に、夜永が荒い息をつくルィツァーリを拾い、主を慮るスヴェルカーニの背に乗せ。
「流石にアンタの相手には、分が悪すぎるからね。此処は……」
そう言葉を続けたのに。
「ええ、潔く撤退しましょう、皆さん」
同意を示したイリヤが、先程、緋色の嵐を叩き付けた一角を指さすと。
『逃がすと思っているのか?』
その言葉と共に大太刀を以て夜永を撫で切りにせんとした真田信之に、意識を朦朧とさせながら、震える指をルィツァーリが突きつけると。
天空から彼にだけ見える淡い光に導かれた誘導弾が降り注ぎ、それに合わせて夜永が白い濃霧を周囲に展開、その視界を一瞬遮り。
「ハッ……! お前の声なんぞに惑わされてやるものかよ……!」
そこにクダ吉達が捌ききれなかった騎馬部隊の長槍に展開している魔力障壁を貫通、その身体を貫かれて流血している晶が不敵に笑って。
鋼糸剣『細キ解スモノ』を解放し、真田信之を一瞬拘束させ。
そこにネリリの一矢が迫るのを、真田信之が『細キ解スモノ』で出来た切創を厭わず、大太刀で切り払った隙を突いて。
雪人が晶に肉薄して肩を貸し、夜永とルィツァーリと後退しようとするのに頷き。
「皆さん、撤退しましょう」
緋の嵐で切り開いた退路をパラドクス通信で伝達したイリヤの言に従い、辛うじてディアボロス達は撤退を完了させたのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【過去視の道案内】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【動物の友】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV2が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!