強襲！　甲賀の里！（作者 メリーさんのアモル）

2

リプレイ

「忍者ね。不意打ちに奇襲、そういう手段を使われたら怖いが、真っ向勝負ならこっちに分がある」
「忍者さんね。不意打ちとかやなかったらそこまで怖くはないな」
　敵の情報を聞いて、そう呟くのは少しぼんやりした様子の神山・刹那（梟雄・g00162）と眼光鋭いリュウ・ターレン（奪われた者。奪い返す者。・g07612）だ。
「お、士気が高ぇ敵か！　厄介だが……その分やりようはあるぜ。引っ掻き回してやんよ！」
　一方、士気が高いという点に着目してやる気を燃やすのは自信に溢れた表情が魅力的なネフェリア・フリート（剛腕粉砕・g05427）だ。
　３人は簡単にどう攻めるかを打ち合わせ、いよいよ戦場となる『甲賀の里』に到着する。
　到着した３人のうち、２人は一度姿を隠し、まず地面を蹴って敵に向けて一気に飛び出すのはネフェリア。
「魔力展開、ぶん殴る！」
　発動するパラドクスはその名も『WC:Agility Knuckle！』。
　集まっていた『伊賀忍者』、その外周の一体をガントレットに魔力を纏わせた高速の拳で貫く。
　攻撃は見事な攻撃は『伊賀忍者』に一切の反撃を許さなかった。
「まさか、ディアボロスか！」
（「あとは、一撃離脱！」）
　そして、ネフェリアは素早く後方に飛び下がる。
「追え！　ディアボロスを逃すな！」
（「士気が高ぇなら……追い掛けてくるよなあ！」）
　ネフェリアの予測通り、『伊賀忍者』達は一斉にネフェリアを追いかけ始めた。
　その数はあまりに多く、危険だ。
　『伊賀忍者』達は一斉に背中にマウントしている大型十字手裏剣を投げる。
　ネフェリアはそれをガントレットで受け止め、可能な限りダメージを軽減するが、それにも限界がある。この数を全て喰らえば、重傷は免れない。
　しかし、そうはならなかった。
「士気は高いのは、こっちも同じやし、多少のダメは覚悟の上ヨ」
　唐突にネフェリアの側面から現れ、姿を晒したのはリュウ。
　ネフェリアへのパラドクスの一部をディフェンスし、反撃として空中に文字を描く。
「我空にえがく。その字は飛と弾。即ち、飛ぶ弾丸。なんてな」
　描かれる文字は「飛」と「弾」。
「その身ぶち抜いたるわ」
　それはデーモンの力を引き出し、魔力の弾丸が空中を飛ぶ。
　そして、それだけ敵が誘引されたその隙に。
「忍びの者が姿さらしてどうすんだってことだよ。たわけ」
　彼らの背後から現れた刹那がパラドクス『星薙の太刀』を放つ。
　それは、体を限界まで捻り、遠心力と体のバネ、そして刀の重さを加えた一撃で相手を防御ごと両断する一太刀。
　慌てた『伊賀忍者』は脚部から放出した大量の霧をスクリーンとして自分の姿を映し出し、反撃するが、刹那の鋭い一太刀はは霧ごと『伊賀忍者』を一刀両断した。
　ネフェリアの初撃、リュウとネフェリアのダメージを負いながらの反撃、そして刹那の不意打ち。
　それぞれが攻撃対象の少ないパラドクスだったため、減らせた数はあまり多くはないが、それでも確実に開幕で『伊賀忍者』の一団に動揺を与えることに成功したはずだ。
　これをどう活かすかはここからさらに攻撃するディアボロス達次第だろう。






　突如ディアボロスの襲撃を受け、しかもすっかり手玉に取られた『伊賀忍者』達。
　彼らは酷く動揺していた。
　そして、その隙を逃すディアボロスではなかった。
「すっげー！　ニンジャだシュリケンだ、イガのニンジャじゃーん！　イガとコウガの違い全然分からないけど！」
「きっひひひ。さぁさぁ戦だ戦だぁ！　やはり僕みてぇな刀にゃそれが居場所に他ならねぇ！」
　動揺する『伊賀忍者』の真正面に姿を現すのは２人のディアボロス。
　パンクスタイルがよく似合う女性、カルメン・リコリスラディアタ（彼岸花の女・g08648）と、女性と見まごうおかっぱ髪の笑顔の男性、咲・小次郎（人裂小次郎・g08511）だ。
「忍者か。知り合いにも何人かいるけどよ、忍者名乗るってことは相当出来るんだよな」
　２人ほど豪胆でないなりに、その背後で冷静に『伊賀忍者』を睨むディアボロスも一人。赤茶の髪に一房色の違う髪がよく目を惹くシューニャ・シフル（廃棄個体 No00・g07807）だ。
「さぁさ皆の衆お立合い！　これより『人裂小次郎』がまかり通る！　……死に伏せたい者から、来るが良い！」
　ヘラヘラ笑いながら、小次郎が真っ直ぐに敵陣に突っ込んでいく。
　その手に構えられるは身の丈を大きく超える大太刀『人吊竿』。
「魅せてやろう。これが……鍔眼返しだ」
　と決めたなら、大型十字手裏剣を投擲しようとする『伊賀忍者』に向けて青眼の構えから一気に踏み込む。
「馬鹿な、神速か……」
　その速度はあまりに早く、『伊賀忍者』を一瞬で両断する。これこそがパラドクス『鍔眼返し』だ。
　それでもなお、投擲も早く、小次郎もまたその一撃を受けるが、ヘラヘラ笑う彼にそのダメージの入った気配はない。
　一気に敵陣の中心に入り込み、一瞬のうちに剣技で味方を倒した小次郎に周囲の『伊賀忍者』が警戒する。即座に攻撃しないのは、先ほど攻撃の隙を突かれたばかりだからだろう。
　だが、ディアボロスは３人いたことをお忘れなく。
「爆ぜろ常世の鬼火、夢幻焔影に咲き陶酔の果てに火の葬列と共に荼毘になれ」
　発動するパラドクスはカルメンの『火事花の劫火弾幕』。
　まずカルメンの周囲に黒と紫の蝶の形した鬼火が大量に召喚され、次々と弾幕をばら撒くように広範囲に放たれていく。
　それは小次郎を取り囲む『伊賀忍者』に近づき、花火のように爆ぜて、まとめて『伊賀忍者』を削る。
「くそっ、よくも、ディアボロス！」
　だが、やはり士気の高さが災いする。彼らは自分達を圧倒せんとするディアボロスを許せない。
　彼らは、一斉に大型の十字手裏剣を２人のディアボロスに向けて投擲する。
「そんなところに突っ立ってると穴だらけになるぜ？」
　だが、その攻撃さえもがディアボロスの狙うところ。
　曲芸じみた動きでシューニャがあらぬ方向に弾丸をばら撒く。
　直後、その弾丸はまさに先程の『伊賀忍者』が放った手裏剣の側面に命中して跳弾し、綺麗に『伊賀忍者』達に命中していく。
　シューニャのパラドクス『Around Kill』だ。
「今は前哨戦だしある程度ぶっ倒して敵戦力を削いだら速やかに撤退するぜ」
「あぁ、やる気があるのはいいな。機会があったらまたやりあおうぜ」
　カルメンが撤退を進言し、シューニャが『伊賀忍者』にそんなセリフを告げながらそれに続く。
　殿を務めるのは小次郎で、彼の剣技に警戒しつつ攻撃する『伊賀忍者』の手裏剣投擲を『鍔眼返し』で反撃しつつ戦線を離脱。
　ここに十分数の敵を殲滅したのであった。

最終結果:成功
完成日	2023年08月09日