近江国逢坂関『殺し間』攻略戦

『伊勢国』の織田信雄を撃破した事で『近江国』への侵攻を開始します。
 まずは、攻略旅団の提案に従い、東海道、中山道、北陸街道が敵の軍用路となっている場合の備えとして、近江の逢坂関の制圧を目指します。
 奪還した京都の地から近い為、海からの潜入により、逢坂関の制圧を目指してください。
 しかし、逢坂関には近江を支配するジェネラル級天魔武者『明智光秀』による、特殊な防衛陣地『殺し間』が構築されている為、この防衛陣地を打ち破らなければなりません。

明智光秀

十重に連なる殺し間の檻(作者 椎名遥
7


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 近江国、坂本城。
 天守閣より琵琶湖を見下ろし、『坂本城』の城主である明智光秀は一度小さく頷く。
「なるほど、伊勢国の信雄殿はディアボロスに討ちとられましたか。あの器量を見れば、驚くほどの事では無いですが……残念な事ではありますね」
 『織田信雄が討たれ、伊勢国はディアボロスに奪われた』。
 周辺諸国に配置していた部下から受け取った報告は、天魔武者の勢力にとって大きな打撃を告げるもの。
「これで、資格を持つ者が1人消えましたか……いよいよ、《七曜の戦》後を見据えて動き出さねばならないでしょう」
 わずかに瞑目して思考を纏めると、光秀は部下へと幾つもの指示を飛ばす。
 間近に迫った《七曜の戦》のみならず、その後に続く戦いにも備えて作戦を練り、迎撃を構築し、部下を配置して。
「逢坂関についてはいかがしましょう。あれだけの戦力を配置し続けるのは……」
「ふむ……」
 部下の進言に、一瞬、光秀は思考を巡らせ。
 そうして、首を横に振る。
「……いえ、殺し間の解除は認めません。ディアボロスが攻めて来ないとしても、要衝の警戒を緩めるべきではないですから」
「かしこまりました」
 敵はディアボロスだけではない。
 周辺勢力である他のクロノヴェーダもまた、土地と歴史を奪い合う競合相手。
 故にこそ――、

「ディアボロスであろうとも、他勢力であろうとも――逢坂関の殺し間にて、迎え撃てぬ相手はいないのですから」


「みんな、集まってくれてありがとう!」
 新宿駅グランドターミナル。新たに出現したパラドクストレインの前で、サルタディア・ウェンテスタ(人間のナイトブレイド・g08931)はディアボロス達へ大きく手を振って笑いかける。
「天正大戦国の伊勢国で、織田信雄を撃破したって報告は聞いているかな?」
 『松ヶ島城』城主である『織田信雄』。
 それを撃破したことによって、伊勢国の国境を越えることが可能となった。
「攻略旅団の方針とあわせて、次に目指すのは『近江国』。その為に――まずは『逢坂関』を攻略するよ!」
 近江国から『京都・奈良』に向かう要衝である『逢坂関』。
 ここを制圧することができれば、《七曜の戦》で『京都・奈良』への危険の一つを排除できる事が可能な上、戦後の近江国の攻略でも大きな役割を果たす事となるだろう。

「それで、逢坂関の攻略方法だけど……場所的に、奪還した京都側から向かうのがいいだろうね」
 逢坂関は京都から数百メートルしか離れていない近場である為、京都側の海から上陸して向かうのが妥当だろう。
 そこから逢坂関へと制圧に向かうというのが、順当な攻略手順であり――相手が想定している流れでもある。
「近江国を支配するジェネラル級天魔武者『明智光秀』。彼は海側からの逢坂関への進行を予想して、平安鬼妖地獄変奪還戦直後から迎撃の準備を整えていたんだ」
 光秀のみが使えるという特殊な防衛陣地『殺し間』。
 敵の侵攻路を予測し、森の中などの地形に複数の部隊を隠して配置したその区域に踏み込めば――いかに慎重に行軍しようとも、複数部隊からの集中攻撃を受け撤退に追い込まれる。
 相応の戦力を必要とし、準備に時間がかかる上、敵がこないと意味が無い……という欠点はあれど、敵の侵攻地点を予測できるのならば、防衛戦では無類の強さを発揮する戦術である。
「とは言え――どんな戦術であっても、その本領を発揮できるのは相手がそれを知らない時だけ。タネが分かれば対策もできる」
 『殺し間』を形成するのは、隠して配置された複数の部隊の連携。
 ならば、上陸した後に直接『逢坂関』に向かうのではなく。その周辺に潜む、殺し間を構成する敵部隊を各個撃破していけばいい。
「逢坂関に向かう山間部……大体この辺りに隠れてる敵部隊を発見して、撃破していくのが今回の目標だね!」
 地図を指差して、おおよその場所をぐるりと囲むサルタディアに、ディアボロス達も頷きを返す。
 海を渡って潜入し、山中を探って隠れている部隊を見つけ出し、撃破したら増援が来る前に撤退する。
 それが、今回の作戦の流れとなる。
「この一回だけで『殺し間』を無力化することはできないかもしれないけど、何度か繰り返して一定数の部隊を撃破できれば、普通の陣形くらいの脅威度に落とせると思うから――そうなったら、逢坂関の制圧にとりかかれるね!」

 京都に向かう交通の要衝『逢坂関』。ここを抑える事は《七曜の戦》を戦う上で重要となるかもしれない。
 同時に、史実の明智光秀の居城である『坂本城』は逢坂関からの距離も近いため、逢坂関を制圧しておけば《七曜の戦》後の攻略の拠点とも出来るかもしれない。
「……もっとも、史実の近江には『安土城』も存在していたから、そのあたりの調査も必要になりそうだけどね?」
 そっと息をついてディアボロス達に笑いかけると、サルタディアはくるりと踊るように身を翻してパラドクストレインへと歩き出す。
 間近に迫った《七曜の戦》。その後も続く天魔武者との戦い。
 考えることはいくつもあるけれど、まずはできることを一つずつ。
「さあ、行こう――逆転劇を始めよう!」


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【一刀両断】
2
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【神速反応】
2
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【光学迷彩】
3
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【無鍵空間】
1
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【水面走行】
3
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【落下耐性】
1
周囲のディアボロスと、「効果LV×300m半径内」の通常の生物に、どんな高所から落下しても、落下時の衝撃を2mの高さから落下した程度に軽減する能力を与える。
【パラドクス通信】
2
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
3
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【水中適応】
3
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。
【イルカ変身】
1
周囲が、ディアボロスが体長2m程度のイルカに変身できる世界に変わる。変身したイルカは最大時速「効果LV×20km」で泳げるが、変身中はパラドクスは使用できない。

効果2

【能力値アップ】LV4 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV4 / 【ガードアップ】LV1 / 【フィニッシュ】LV2 / 【反撃アップ】LV3 / 【アクティベイト】LV2 / 【先行率アップ】LV3 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV1 / 【ダブル】LV6

●マスターより

椎名遥
 入念な準備を経て作り出される鉄壁の防御陣形。
 なお、準備に時間と人手がかかるため、外した場合の損害は意外と大きかったりする。
 あと、きまずい空気も意外と厄介。

 そんな感じでこんにちは。椎名遥です。
 『伊勢国』の織田信雄を撃破した事で、『近江国』への侵攻ができるようになりました。
 ――が、そこに立ちふさがるのが明智光秀の『殺し間』。
 この中では、【飛翔】していなくても不用意に【飛翔】したような集中攻撃を受ける効果があるため、強行突破しようとした場合は相当の被害が予想されます。
 それを避けるために、周辺で殺し間を作っている敵部隊を各個撃破していくシナリオとなります。

●選択肢
 ①敵部隊哨戒任務
 『逢坂関』周辺の山や森などに隠れている敵部隊を探します。
 無視しても戦闘に入ることはできますが、敵に気付かれて先制攻撃を受けることになります。

 ②海を泳ぐ
 京都側から海を渡って『逢坂関』周辺を目指します。
 公序良俗にさえ気を付ければ、後は何でもOK。
 クロール背泳ぎバタフライ。水上歩行も水中歩行も。

 ③作戦行動中のトループス『織田鉄砲隊』
 周辺で殺し間を作っている敵部隊との戦いになります。
 作戦の撃破目標のため、シナリオを成功させるにはクリア必須の選択肢です。

 ④アヴァタール級との決戦『滝川一益』
 ボスとの戦いになります。
 倒すことでシナリオは完結します。

 基本的なシナリオの流れとしては、
 ②→①→③&④
 となります。

 期間中に成功条件を満たした場合は、防衛陣地を失った逢坂関をディアボロスが確保。《七曜の戦》では、この方面からの天魔武者の侵攻を阻止する事が出来ます。
 (この方面での防衛戦が必要なくなります)

 もうすぐやってくる一大決戦《七曜の戦》。
 それを有利に進めるためにも、天正大戦国の戦いを先に進めるためにも、制圧しておきたい逢坂関。
 無事に突破して、幸先よく戦に挑めるように。
 がんばりましょう!
28

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


ラウム・マルファス
京都近くに敵が沢山いるのは怖いからネ。少しでも数を減らしたいナ。

海上はコッソリしなくても大丈夫なのカナ?アメンボ型ドローンに乗って水上を進むヨ。

そういえばディヴィジョン境界の海って、海抜低いとどうなるんダロ。関あたりは山だから大丈夫だろうけど、低いところは水没しないのカナァ。水面の高さも変動するのカナ?今度何処かの奪還地域見に行ってみよウ。危なそうなら対策しないとネ。

陸が近づいたら情報収集用の汎用ドローンを飛ばすヨ。海から来るって敵が予想してるなら、予想通り来たと思わせておこウ。殺し間に意識を向けさせておけば不意打ちもしやすいデショ。

敵のいるところは避けて、ぐるっと回り込んで上陸するヨ。


相原・相真
海を泳いで侵入ね
まあ時期的にもちょうどいいし、のんびりいきましょう

【水中適応】を使用、ウェットスーツを着用して泳いでいきます
ボンベとかなくても溺れないってのは、便利だけどやっぱり違和感すごいな…

この辺の海は魚とかいるかな?
いるならその辺眺めながら、いなければいないで水中の景色眺めながらいきましょう
時々は水面に上がって方角確かめるのも忘れずに

泳ぎながらなんとなく思い出す水の思い出
高校の授業でプールで泳いだし、旅団のみんなと海行ったりもした
…昔は家族といったこともあったっけ
……うん、頑張ろう(気合入れ直し)

上陸時は敵に気づかれないよう注意してっと
さーて、それじゃ気持ち切り替えていきますか…!


イリヤ・レダ
※アドリブ・連携OKです

うんうん アケチさんくらいはしってるよ
賢そうに見えて微妙だった人だよね?

まあ、今回はクロノヴェーダでなりすましらしいけれど

うんうん、壮大な陣形を機能させずに邪魔するっていうのはディアボロスっぽいし、被害の軽減にも役立ちそうだよね
オウミって地域はまだあんまり土地勘無いけれど頑張っていこう!

パラドクスは「緋閃の断影」を
イルカに変身(「れっどあいずほわいとどるふぃん」になります)して、さくっと移動しちゃおう
荷物や装備も無くさないようにしないとね

水泳を満喫したいところだけれど、見張り見つかっても詰まらないし
水深がある所を通過して景観を楽しむくらいかなあ


眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎

天正戦国の光秀が信長に対してどう動くのか
うまく利用出来ねぇかと思わないでもないが……
今は目の前の状況をなんとかするしかねえな

海域での行動と水面走行の扱いは少しヤ・ウマトで実地訓練してきた
問題なく扱えるはずだ、とばして行くぜ
目標地点付近まで辿り着いたら、念の為サルタディアの情報を書き込んだ地図をチェック
出来れば奇襲がハマり易い地形を軽く探れたら良いんだが
とりまバレないよう、警戒しつつ身を隠せるルートを見つけてくしかねえかな


ラヴィデ・ローズ
……海かぁ
この体(ドラゴニアン)になってなんとなく避けてたけど
慣れておかないと、なぁ

【水面走行】発動
そうそう、便利な力もあるんだった
最初の一歩こそ恐る恐るも、陸と同じ感覚にほっと
これならいけそうだ
飛ぶのが面倒になったらしきベルを抱え
不思議な状況を楽しみつつ目的地へ走る

仲間の姿を海中に見つければ興味が湧いて
【水中適応】を借りられそうなら潜ってもみたい
未知の景色はやっぱり惹かれるもの
――息、出来る!
海面の光に見惚れたり
行き交う魚に手を触れたり
火に水だからか、心なしか大人しく抱かれたままのベルにも笑みが……
おっと
本格的に楽しむためにも、平和を勝ち取らなきゃね

気合いが入ったところで
仲間と共に乗り込むよ


金刺・鞆
京都、奈良にはすでに住民が帰還し暮らしております。ゆえ、七曜の戦での侵攻を許すような事態は避けたいところ、です。
いえ、いえ。われらが今このときに尽力し、防がねばならぬ、ですね。
頑張りましょう。えい、おー! です!

それではまずは海を……うみ……。
……とも、去年いっぱい練習いたしましたがまだまだ水泳は不安にて。
ここは【水中適応】で乗り切りましょうね、いぬ。

水着……だと怪我などあぶないでしょうか……?
だいばーすーつ、などを着用して、海中をゆきますとも。迷子にならぬよう気をつけて、魚や水上からの光をすこしだけ楽しみつつ、です!

水から上がったらスーツを脱いで。いぬも水気を払う、です?
ぶるぶると犬のよう。


黒城・廉也
アドリブ連携可

海って何処となくテンション上がるッス……
あ、でも今回遊びじゃないので勿論気合は入れますよ?

水面走るか水中かは迷ったんスけど、いざと言うとき潜った方が敵に悟られにくいと思うんで、水中適応を使って水中から攻める感じで行くッス
いくら水の中にいても大丈夫っていうのも不思議な感覚ですね

記憶術で地図はバッチリ覚えましたし、周りの仲間のタイミングを見計らって上陸しますか
当然ながら敵に見つからないように慎重に!

今回は選びませんでしたが、水面を走るって言うのもした事無いし楽しそうッスよね。どんな気分何でしょうか…


 空は青く晴れ渡り、波は日差しの下で潮騒の音を奏で。
 潮の香りと共に渡る風は、汗ばむ肌から少しだけ熱を運び去って。
「それではまずは海を……うみ……」
「……海かぁ」
 何処かのどかな空気の中で、海を眺めて複雑な表情で金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)とラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)は波に手を伸ばす。
 海を持たない信濃に生まれ、水に馴染みの薄かった鞆にとって、海はまだまだ未知の世界。
 一方で、呪いの炎の武器と共にあるラヴィデにとっては、海はある意味では自身とは対極の場所。
 別に水に振れたからと言って炎が使えなくなるわけでもないけれど、そこはそれで気分の問題。
「……とも、去年いっぱい練習いたしましたがまだまだ水泳は不安にて」
「この体になってなんとなく避けてたけど、慣れておかないと、なぁ」
「「……むぅ」」
 じっと海を見つめる二人に小さく笑みを返しつつ、相原・相真(銀腕・g01549)は荷物を広げて準備を整える。
「海を泳いで侵入ね。まあ時期的にもちょうどいいし、のんびりいきましょう」
 着用したウェットスーツに、展開する水中適応の残留効果。
 それとあわせて、手持ちの荷物を防水仕様の鞄に入れて。
「海って何処となくテンション上がるッス……あ、でも今回遊びじゃないので勿論気合は入れますよ?」
 同じように準備を整え、どこか楽し気に最終確認をした黒城・廉也(後輩サキュバス・g02175)が荷物を纏めて背中に背負い。
 巡らせる視線の先――今は見えない海の先にあるのは『近江国』。
「向こうに居るんスよね。明智光秀」
「うんうん アケチさんくらいはしってるよ。賢そうに見えて微妙だった人だよね?」
 京都側の海辺から、その先を見据える廉也にイリヤ・レダ(『緋』を封ずるモノ・g02308)が幾度となく頷く。
 天下統一を目前とした織田信長を本能寺の変によって討ち、しかしその後は三日天下と呼ばれるほどにあっけなく退場することとなった戦国武将。
 その名は、歴史に明るくないイリヤでも知っているほどに有名な存在ではあるけれど……、
「まあ、今回はクロノヴェーダでなりすましらしいけれど」
「天正戦国の光秀が信長に対してどう動くのか、うまく利用出来ねぇかと思わないでもないが……」
「今はまだ、何もわからないからね」
 ふむ、と思考を巡らせる眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)に、イリヤも軽く苦笑交じりに首を傾げる。
 武将本人ではなく、その名を奪い纏ったクロノヴェーダである以上、その価値観も行動基準も歴史に刻まれた本人のものとなるはずもない。
 けれど一方で、全くの無関係で終わるとも限らない。
 『織田信長』の息子の名を持ち、断片の王の一族として覚醒する可能性を秘めていた『織田信雄』のように、名前に何らかのつながりを持っている可能性も否定はできないのだから。
 ……とはいえ、いずれにしても進んでみないことには始まらない。
「今は目の前の状況をなんとかするしかねえな」
 軽く頭を振って、とりとめもない思いを一旦横に寄せて。
 意識を切り替えるように拳を打ち合わせる人鳥に、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)と鞆も頷きを返す。
「京都近くに敵が沢山いるのは怖いからネ。少しでも数を減らしたいナ」
「京都、奈良にはすでに住民が帰還し暮らしております。ゆえ、七曜の戦での侵攻を許すような事態は避けたいところ、です」
 『平安鬼妖地獄変』の戦いを経て奪還を果たし、帰還した人々が暮らす京都。
 その目と鼻の先に陣地をつくられている状況は、七曜の戦を目前に控えていることも合わせて歓迎できるものではない。
 ――否。
 警戒で終わらせず、敵の企みを叩き潰し、人々を守り抜いてこそのディアボロス。
「いえ、いえ。われらが今このときに尽力し、防がねばならぬ、ですね」
「うんうん、壮大な陣形を機能させずに邪魔するっていうのはディアボロスっぽいし、被害の軽減にも役立ちそうだよね。オウミって地域はまだあんまり土地勘無いけれど頑張っていこう!」
 ぐっと拳を握る鞆にイリヤも頷き拳を握り
 共に握った拳を突き上げると、彼女たちは海へと歩き出す。


「それじゃ、さくっと移動しちゃおう――パラドクス『緋閃の断影』」
 イリヤの握る緋色の刃が宙へと閃き、その軌跡に残すのは自身の血液で描く魔法陣。
 その法陣から放つ緋色の光がイリヤを包み込み――彼の身を白い体に赤い瞳を輝かせるイルカへと変じさせて。
 背負った荷物を落とさぬようにと気を付けつつも、波を裂いて泳ぎだすイリヤが先陣を切って海へと乗り出し。
「そっか、便利な力があるんだった」
 上がる飛沫に目を細めつつ、恐る恐る一歩を踏み出すラヴィデが展開するのは水面走行の残留効果。
 足を踏み出すその先で、波に揺らぐ海面が一時動きを沈め。
 鏡のように凪いだその水面は、平地と変わらぬ確かさをもってラヴィデの体を受け止めて。
「……うん、これならいけそうだ」
 二度、三度、水面を軽く踏んで感触を確かめると、小さく安堵の息をつき。
 上空から警戒の混じった視線を向けてくるベルに安心するように手を振ると、ラヴィデは水面を蹴って走り出す。
 最初はゆっくりと、そうして少しずつ速度を上げて。
 ディアボロスとなったからこそ見ることのできる不思議な景色と状況に、わずかに目を細めて微笑んで。
 駆けるラヴィデと並ぶように、同じく水面を駆ける人鳥が、アメンボ型ドローンに乗ったラウムが、共に肩を並べて海を渡る。
「海域での行動と水面走行の扱いは少しヤ・ウマトで実地訓練してきた。こっちでも問題なく扱えるはずだ、とばして行くぜ」
「うん、急ごうカ……海上はコッソリしなくても大丈夫なのカナ?」
「見られている様子もないからな。身を隠せる場所も少ないし、急ぐことを優先しよう」
 水面走行に水中適応、冷気の支配者での海面凍結。
 上手く行ったものも、失敗したものも。人鳥が、ラウムが、ディアボロス達が試して得た経験は、その全てが次とつながる力となっている。
 そして――試して調べることは、今この場にも。
「……そういえばディヴィジョン境界の海って、海抜低いとどうなるんダロ? 関あたりは山だから大丈夫だろうけど、低いところは水没しないのカナァ」
「どうなんだろうな。まだわからねェことも多いからなァ……」
 ふと、浮かんだ疑問に首を傾げるラウムに、人鳥もまた首を傾げる。
 もとより『刻逆』は超常の現象。何とかなっている可能性も無いではないけれど、対策が必要な状況になっている可能性も同じくらいには考えられる。
「水面の高さも変動するのカナ? 今度何処かの奪還地域見に行ってみよウ。危なそうなら対策しないとネ」
「そのためにも、さっさと片付けてしまわねえとな!」
「うン、そうだネ」
 小さく苦笑を浮かべつつ、身を沈めた人鳥がさらに強く水面を蹴り、ラウムがドローンの出力を上昇させて。
 背後に白の水飛沫を上げながら、より速度を高めるディアボロス達が先へと急ぎ。
 ――バシャリ、と。
 響いた水音にラヴィデが振り向けば、そこには大きく飛び上がったイルカ姿のイリヤと、その下を泳ぎ去る無数の魚影達。
「ああ、そっちも楽しそうだね」
 飛ぶのが面倒になったのかポスッと落ちてきたベルを抱えつつ、ふと、視線を巡らせるラヴィデが足元の――その水面下の景色へと目を向ける。
 凪いだ水面を通して見る海中は、地上の状況など無関係なように穏やかで。
 このまま水上を走っていっても目的地に着くことはできるけど、未知の景色にはやっぱり惹かれるものがある。
「せっかくだし……行ってみようか!」
 小さく息を吸って覚悟を決めて、軽く飛び上がると同時にベルを抱えなおして水上走行を解除して。
 そうして――ラヴィデは水中へと身を躍らせる。
「――っ」
 硬く目を瞑り、息を止め。
 軽い衝撃と共に全身を包み込む冷たい感触を感じながら、恐る恐る目を開けて。
(「――! 息、出来る!」)
 そこに広がる光景に、ラヴィデは知らず息を呑む。
 海面の揺らぎを受けて、散らされながら差し込む日の光が水中を照らし。
 澄んだ海の流れの中に揺れる海藻の茂みを縫って、まばらながらも群れを作る魚達が泳ぎ遊び。
 そして、その中を水中適応の力を借りて泳ぎ歩いて行く仲間達。
「ふむ、ふむ……ほう、ほほう」
「いくら水の中にいても大丈夫っていうのも不思議な感覚ですね」
「ボンベとかなくても溺れないってのは、便利だけどやっぱり違和感すごいな……」
 モーラット・コミュ『いぬ』と一緒に海底を歩く鞆が、周囲や水上を見上げて幾度となく頷いて。
 周囲へと視線を巡らせながら、静かに泳ぐ相真と廉也が苦笑をかわす。
 ディアボロスの周囲を、水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界へと作り変える『水中適応』の残留効果。
 水中であっても問題なく過ごせるとは言えど、慣れ親しんだ地上とは異なる感覚には多少の違和を感じはするけれど――それも、次第に慣れてゆき。
 違和感に慣れれば、周囲の景色を楽しむ余裕も増えてくる。
「これが、この地の海ですか……この辺りにも魚はいるんですね」
「あれから二年くらいたっているから、川や河口から住み着いたのもいるのかもしれないスね」
 行き交う魚影を興味深げに見送る相真に、少し首を傾げる廉也が頷きを返す。
 まだまだ数も種類も豊富とは言えないけれど……それでも、変質した世界の中で魚たちも生きていて。
「……あ」
「おっ……と」
 近寄ってきた魚に鞆とラヴィデが手を伸ばしてみれば、身をくねらせる魚は指の隙間をすり抜けるようにして逃げ去るけれど。
(「水着……だと岩などで破れそうであぶないですが、だいばーすーつ、なら大丈夫、です!」)
 砂を踏み、水を蹴り、転がる岩を飛び越えて。
 遠くまで離れることなく様子をうかがう魚を、少しだけ、と追いかけて。
 暫しの追いかけっこを楽む二人の姿を眺めつつ、相真はそっと笑みを浮かべる。
 海の中を泳ぎながら、なんとなく思い出すのは水の思い出。
 高校の授業でプールで泳いだこと、旅団のみんなと海に行ったこと。
(「……昔は家族といったこともあったっけ」)
 今は遠く離れることになった、父母と妹……彼らとの日常。
 その姿を思い返し、相真はしばし目を閉じて――、
「……うん、頑張ろう」
 一度頷き、気合を入れ直し。
 『取り戻す』と。その譲れぬ決意と共に相真は前を見据える。
 いまだ終わりは見えないけれど、一歩ずつでも確かに進んできた。
 ここからの戦いもまた、取り戻すべき日常へと続いているのだから。
 そうして、海底を歩き、泳ぎ、時には水面に上がって仲間の位置と現在地を確認して。
「さて、と」
「……そろそろッスかね?」
 目的地が近づいてきたことを確かめると、相真と廉也は頷きあう。
 ここから陸へと上がれば、そこは敵地。
 光秀の作る必殺の『殺し間』。
「気をつけなさいね、いぬ」
『!』
 抱えた『いぬ』へと鞆が呼びかければ、その腕の中で、むん、と『いぬ』も胸を張って応じて。
 その姿にラヴィデもベルを抱えて笑みを浮かべる。
 水上の景色に水中の景色。
 そして、火に水だからか、心なしか大人しく抱かれたままになっているベルの姿。
 こんな状況でもなければ見ることのなかっただろう、いくつもの景色は新鮮で楽しいものだけど、
「――!」
「おっと、本格的に楽しむためにも、平和を勝ち取らなきゃね」
 合図とするように、ざぶん、と深く潜ってきたイリヤに頷いて。
 小さく息を吐くとラヴィデは海面を見上げて水を蹴り、仲間達と共に一息に水上へと浮上する。
「もっと水泳を満喫したいところだけれど、見張りに見つかっても詰まらないし」
「俺も水面走るか水中かは迷ったんスけど、いざと言うとき潜った方が敵に悟られにくいと思うんで水中選んだんッスよね」
 水上へと飛び上がると同時に変身を解除し、海面へと着地するイリヤが浮かべた苦笑に廉也も頷きを返す。
 水中水上、どちらの経路もそれぞれにリスクとリターンと魅力があって、できれば全部をもっと試してみたいところでもあるけれど、
「今回は選びませんでしたが、水面を走るって言うのもした事無いし楽しそうッスよね。どんな気分なんでしょうか……」
「おう、こっちはこっちで眺めもいいし、風を感じながら走るのもいいもんだぜ」
「それも楽しそうッスね。次があれば、そっちも試してみましょうか。そのためにも――」
「――ああ、そのためにも」
 肩を竦める人鳥と視線を交わして笑い合って――そうして、二人は意識を切り替え表情を引き締める。
 海中、海上の景観を楽しむのは一旦ここまで。
「まずは上陸地点から、だな」
 波間に身を隠して陸地を見据えつつ、人鳥が取り出すのはサルタディアからの情報を書き込んだ現地の地図。
 無論、それで相手の動きの全てがわかるわけではないけれど――それでも、ある程度の目星を付けることはできる。
「出来れば奇襲がハマり易い地形を軽く探れたら良いんだが……とりまバレないよう、警戒しつつ身を隠せるルートを見つけていくしかねえかな」
「記憶術で地図はバッチリ覚えましたし、敵に見つからないタイミングを見計らって上陸したいところッスね」
 後は、監視の目をかいくぐって上陸して行くことになるけれど――出来るならば、もう一手。
 欲しいのは、警戒しているだろう相手の意識をすり抜けるための、タイミングを作りだす『何か』。
「それじゃ、上陸に合わせてこの汎用ドローンを向こう側へ飛ばすヨ」
「警戒されそうだけど……いや、迎撃態勢整えてる時点で、警戒はとっくにされてるか」
「そう言うことだヨ」
 首を傾げるイリヤに笑みを返して、波間に身を隠したラウムの飛ばすドローンが大きく弧を描いて海の上を渡り、地上へと上がり、その奥へと進んで――直後、森や木々の隙間から降りかかる無数の火線に貫かれて爆散し。
「――っ!」
 一瞬だけ、多重に鳴り響いた銃声は、侵入してきたドローンを消し飛ばした直後に消え去って。
 後には何事もなかったかのような姿を見せる浜辺が残るのみ。
 気配を殺し、陣形を崩すことなく。語らず、逸らず、粛々と、侵入者を殲滅する必殺の布陣。
「……これが『殺し間』、カ」
「うん、うん……これは、正面から行くのは無謀だね」
 まざまざと見せつけられた脅威に、ラウムとイリヤが息をのみ。
 しかし、小さく笑うと視線を巡らせる。
「とは言え、今ので相手の意識は向こう側に向いただろうね」
「うン。海から来るって敵が予想してるなら、予想通り来たと思わせておこウ。殺し間に意識を向けさせておけば不意打ちもしやすいデショ」
 真正面から突破するのが無謀であれば、その逆を突いて攻めるのみ。
 多数の行軍に向かない狭い道、険しい道は、必然的に警戒は薄くなっているはず。
「敵のいるところは避けて、ぐるっと回り込んで上陸しよウ」
「さーて、それじゃ気持ち切り替えていきますか……!」
 ドローンの上に身を伏せたラウムが、波に隠れるように身を沈めた相真が。
 海上を滑るようにして大きく回り込み、見つけ出すのは小さな浜辺。
 広さとしては畳二つ分あるかどうか。砂浜から森の奥へと続く道も獣道が一本あるのみだけど――だからこそ、潜入口としては最上。
「上陸時は敵に気づかれないよう注意してっと……よし!」
 足音を立てることなく陸へと降り立った相真が周辺へと視線を巡らせ。
 それに並ぶように、続くように、仲間達が海上から浜辺へと足を降ろす。
 ここからは天魔武者の拠点への侵攻作戦。
 一度、二度、深呼吸を繰り返して意識を集中し。
 得物を握りなおして感触を確かめて。
「スーツを脱いで、体をふいて……いぬも水気を払う、です?」
『♪』
 ぶるぶると身を震わせて水を飛ばす『いぬ』を、しゃがみ込んだ鞆がタオルで包んで乾かして。
 水中から解放されて空へと飛び上がろうとするベルをラヴィデが捕まえて。
 そうして、最後に軽く身を払って砂を振り落としたら準備完了。
 音を立てないように気を付けながらも、景気付けとばかりに手を打ち合わせて。
 ラヴィデは、鞆は、仲間達と共に歩き出す。

「それじゃ、気合が入ったところで」
「頑張りましょう。えい、おー! です!」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水面走行】LV3が発生!
【水中適応】LV3が発生!
【イルカ変身】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV3が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!

神山・刹那
さて、敵部隊の散策か
こういうのはあんまり得意じゃないんだが、不意打ちくらって折角の勝負に水を刺されるのもつまらん
見つけ出して叩き潰してやるか

精神集中で雑草の傾き、不自然な枝葉の折れを見逃さず、それらを見つけたら足元に注意しつつ、その方向に進み、敵の気配を感じたら身を隠しながら敵の位置を確認する
「あそこか。不意打ちするつもりがされるとは、思わないだろうな」


イリヤ・レダ
※アドリブ・共闘OKです

今度は伏兵の捜索か…、これは骨が折れそうだね
ただ、「逢坂関を通過する者に対する包囲網」だと限定してくれているからねサルタディアさんには感謝しかない

部隊構成は鉄砲隊が中心だし、斜線が通らないと機能しない
高さもあり、身を伏せられる所を好みそうではあるなあ

資料を確認しつつ、ポイントを絞って順番に調べていくのが良さそう
同行するディアボロスさんともパラドクス通信で情報共有しつつ、しっかりとチェックしていこう

一方で「ここに陣取られたらキツイ」という
場所に敵兵がまだいない場合は妨害もアリかな
パラドクスは「詭雷の連環」を
足元を泥濘化しておいたら、布陣を避けるかも…?

まあ、捜索優先で


篠村・蓮十郎
罠を仕掛ける者は、仕掛けられている事に気付かぬものだ。
まあ、それはこちらにも当てはまる話ではあるな……
驕らず事に当たるとしよう。

遮蔽物に身を隠し周囲を観察
踏み締められた地面や足跡、掻き分けられた草木など、何者かの通った痕跡を探し索敵を行う

巡回経路がある場合、その周辺に接近するのは危険だな
そういったものを発見し次第パラドクス通信あるいは手信号を用いて周囲の味方へ伝達
発見されぬよう迂回しての進行を促しておく

進路の痕跡を追い首尾良く敵部隊を発見出来れば
位置を確認しある程度接近した所で潜伏し体勢を整える


相原・相真
…さて、気を取り直しての捜索といきましょうか

まずは現代の資料で周辺の地形を確認
現状との齟齬に気を付けながら捜索を行っていきます
【パラドクス通信】を利用して他の皆さんと連絡を取りながら動きましょう

周囲の確認時には随伴ドローンを利用
自分では行きづらい場所などから[偵察]を行っていきます
敵の裏をかいているとはいえ、
高く飛ばせすぎないなど敵から発見されないよう気を付けておきましょう

敵のいそうな場所については『逢坂関へ射線を通せる位置』くらいしか思いつきませんが、
その辺は他の皆さんと協力して地道に探っていきます
後はドローン同様、先にこちらが発見されないよう隠密行動ですね

アドリブ・連携歓迎です


金刺・鞆
むん。ここからは気を引き締めてかからねば、です!

伏兵の捜索、こちらだけがその位置を知ることが出来れば最良……ですね。
ふむふむむん。なれば【光学迷彩】を使用して木陰に隠れながら周囲を確認してゆきましょう。警戒はされていても、まだわれらが直接発見されたわけではない、ゆえ。多少なりと効果が見込めるとよいのですが。

サルタディアさまが事前に『この辺り』とおっしゃった範囲と、先ほどのどろーん、が撃ち落とされた地点を直線状に……結べそうでしょうか?
迎撃には視界が通っている必要があります。ゆえに、そうした条件を満たす場所を重点的に探ってゆきましょう。
新宿島から持ってきた遠眼鏡なども役に立つ、です?


ラウム・マルファス
次は潜んでる部隊を探さないとネ。
さっき見た射線から、多少方角の当たりは付くカナ?
光学迷彩を使いつつ、なるべく風下へ回るヨ。風速にもよるけど、砲撃やレーザーの残滓が残ってるかも。
静音タイプの汎用ドローンを情報収集タイプに換装して、センサーで検知できないかやってみよウ。火薬とかの臭いが狙い目かナァ。目立たないように、ボクと同じ位置を随行させるヨ。
ボク自身は周囲の地面や植物を観察して、敵の通った跡を探すヨ。

もし見つけられたら味方と場所を共有。パラドクス通信が借りれるとありがたいネ。

頻繁に移動はしていないと思うケド、補給や交代の相手と鉢合わせしないよう気を付けよウ。


眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎

無事、相手の懐に潜り込めたか
殺し間とかいう陣形もだいぶ厄介そうだな、この目で効果の一端を見れたのは良かった。それに大凡の位置も割り出せそうだしな

さてェ、こういう場所だ……あるに越した事はねえだろ
完全視界を発動しておくぜェ
通信が使えるようなら、状況把握に役立てよう

ダンジョンペンギン3兄弟
ブラザーズの長男、タロにも索敵を手伝って貰うか
こいつは気配を消すのが得意だからな
俺が通れないような隙間や細道から別ルートで探らせよう
後は、陣の効果範囲にうっかり入らないように気をつけねえとだな
地図に記した大凡の位置とドローンが破壊された地点から
効果範囲もあたりをつけられるか?


ラヴィデ・ローズ
よーしよし、ベルのお淑やかなうちに
サクッと探し当てちゃおうか

銃声とサルタディアちゃん情報の敵布陣を参考に動く
逢坂関へのルートを特に警戒しているだろうから
後背を取れるよう回り込んで包囲の一点を突きたいね

身を隠しつつ獣道を進もう
銃ね。オレが待ち伏せするならどこだろうな……
茂みや樹上、高低差のある地形、且つ複数で集中攻撃できる地点
物音、足跡、先の銃撃での臭いや痕跡含め警戒を
道中【平穏結界】発動
仲間の光学迷彩と合わせ、先に見つけてやろう
物音は極力控えるとして
パラドクス通信が使えたら情報共有に活用

……ベルも手伝ってくれるといいんだけど
ま、戦いでやる気を出してくれればいいか

あとは頃合いを見て一斉に、――ね


黒城・廉也
アドリブ連携可

よし……とりあえず上陸は出来ましたね
あの銃撃を直に見る事が出来たのは割と幸運かもしれません

目立たせないように風の魔力で調整し、静かに雷狼を召喚
自分の先を行かせて死角や少し離れた位置を周囲の様子を探らせるッス
元々偵察としても活用できるはずです
怪しいなら気づかれる前に解除します
俺含め、物音を立てないようにしましょう

身を隠しつつも先ほどの射線から敵の居場所を推測するッス
敵が隠れるなら茂みや高台と色々想像できますけど
射線が絞れて、先ほどの発砲による火薬の匂いとかも残ってそうですし、そこまで難しくない……はずッス
それに、皆さんがいますし

パラドクス通信で適宜連携することも忘れずに


 呼吸を沈め、耳を澄ませ、気配を探り。
 周囲から視線も殺気も向けられていないことを確かめて、
「よし……とりあえず上陸は出来ましたね」
「ああ。無事、相手の懐に潜り込めたか」
 そうして、黒城・廉也(後輩サキュバス・g02175)と眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)は視線を交わして小さく息をつく。
 布陣する兵士に見つかることなく上陸することはできた。
 ここまでは順調。
 だが――作戦は、ここからが本番ともいえる。
「まずは周囲の地形の確認ですね。現代の資料なので、現状との齟齬は気を付けないといけませんが」
 声を潜める相原・相真(銀腕・g01549)が取り出すのは、『逢坂関』周囲の詳細地図――新宿島で入手した現代の地図は、数世紀分の齟齬はあれど参考資料としては十分。
「次は潜んでる部隊を探さないとネ」
「むん。ここからは気を引き締めてかからねば、です!」
 小さく笑うラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)と共に、ぐっと拳を握る金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)がモーラット・コミュの『いぬ』と並んで地図をのぞき込み。
 周囲の地形を見比べながら、人鳥が、廉也が、その地図の上へと指を滑らせる。
「殺し間とかいう陣形もだいぶ厄介そうだな……だが、この目で効果の一端を見れたのは良かった」
「ええ。あの銃撃を直に見る事が出来たのは割と幸運かもしれません」
 逢坂関を通過する者を殲滅する包囲陣『殺し間』。
 その脅威の一端は既に見た通り。
 力押しで突破を図ろうとするならば、数え切れない程の火縄銃の集中砲火に甚大な被害を覚悟する必要があるだろう。
 ――だが、
「さっき見た射線から、多少方角の当たりは付くカナ?」
「そのあたりの情報とあわせれば、大凡の位置も割り出せそうだな」
 首を傾げつつ小さく笑うラウムに、人鳥も頷きを返す。
 事前の情報に加えて、その力を実際に目にしたことは、攻略を考える上では大きな意味を持つ。
 攻撃された位置、方角、種別、実際の地形――それだけに止まることのない多数の情報が、相手の居場所を伝えてくれるのだから。
「『逢坂関を通過する者に対する包囲網』だと限定してくれているからね。サルタディアさんには感謝しかない」
「サルタディアさまが事前に『この辺り』とおっしゃった範囲と、先ほどのどろーん、が撃ち落とされた地点を直線状に……結べそうでしょうか?」
 イリヤ・レダ(『緋』を封ずるモノ・g02308)が指差す地図に書き込まれた大きな丸の内側に、鞆がバツ印を一つ書き加え。
「敵のいそうな場所については『逢坂関へ射線を通せる位置』くらいしか思いつきませんが……」
「逢坂関へのルートを特に警戒しているだろうから、後背を取れるよう回り込んで包囲の一点を突きたいね」
 首を傾げて地図を見つめる相真に頷きながら、ラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)が地図の上に引くのは一筋の朱線。
 撃墜地点から逢坂関へ、想定されるだろう進軍ルートを示す朱線と周囲の地形をジッと見つめて、イリヤは、鞆は、思考を巡らせる。
 『殺し間』の陣形は、おそらくは逢坂関を中心として敷かれているはず。
 その上で、予想されるルートを迎撃しようとするならば、
「部隊構成は鉄砲隊が中心だし、射線が通らないと機能しない……」
「迎撃には視界が通っている必要があります。ゆえに、そうした条件を満たす場所を重点的に探ってゆきましょう」
 地図の情報に、海上から遠目で見た情報を重ね合わせて考えを擦り合わせ。
 思いつくままに候補となりそうなポイントを地図上に書き込んで。
「そうすると……ドローンが破壊された地点から考えて、陣の効果範囲はこれくらいか? 探索中にうっかり入らないように気をつけねえとだな」
 人鳥が推測する大凡の危険地帯を赤ペンで書きこんだら、最後にもう一度、入り口から逢坂関までのルートをたどり直して見落としが無いかを確認して。
「一先ず、今の時点で考えられるのはこれくらいか。後は実際に回ってみて、だな」
「そうですね……さて、気を取り直しての捜索といきましょうか」
 一通りの確認を終えると、篠村・蓮十郎(鋼剣・g09914)は相真と頷き合って立ち上がる。
 考えるべきことは考えた。後はそれを確かめるのみ。
「今度は伏兵の捜索か……これは骨が折れそうだね」
「こういうのはあんまり得意じゃないんだが、不意打ちくらって折角の勝負に水を刺されるのもつまらん。さっさと見つけ出して叩き潰してやるか」
「オレもあんまり得意じゃないけど……そうも言ってられないよね」
 苦笑を浮かべるイリヤと神山・刹那(梟雄・g00162)が、視線を鋭くして静かに得物に手をかけ。
 歩き出す二人に続くラヴィデが、腕の中のベルにふと視線を落として、
「……ふふっ」
 プイ、と。顔を背けて丸くなるその姿に小さく笑みを浮かべ、そっと息を吐くと知らずの内に体に入っていた力を抜いて。
 あくまで自然体のままに、その先へと歩き出す。

「よーしよし、ベルのお淑やかなうちにサクッと探し当てちゃおうか」


 茂みをすり抜け、泥濘をかわし。
 草葉を揺らす風に合わせて静かに地を蹴り、木々の影から影へと身を移し。
(「……今のところ、痕跡は見つからないな」)
(「周囲の気配も、特に変化はないですね」)
(「了解した。ならば、このまま進むとしよう」)
 パラドクス通信で以って声を出すことなく言葉を交わす刹那と相真に、蓮十郎も頷きを返すと森の中の獣道を静かに進む。
 ここは敵地の只中。一歩の踏み違いが『殺し間』へと踏み出すことになる危険地帯。
 その中で相手に見つかることなく、しかし、相手を先に見つけ出す。
 それは、決して簡単なことではないけれど――決して不可能なことでもない。
(「伏兵の捜索、こちらだけがその位置を知ることが出来れば最良……ですね。ふむふむむん。なれば……」)
 物音を極力控え、遠くから見えないよう位置取りにも注意して。
 木陰に身を隠して周囲を見回す鞆が静かに手を打ち合わせれば、周囲の景色が僅かに揺らいで鞆の姿を森の中へと溶け込ませる。
(「光学迷彩、にて。警戒はされていても、まだわれらが直接発見されたわけではない、ゆえ。多少なりと効果が見込めるとよいのですが」)
(「平穏結界も合わせるよ。物音は極力控えて、先に見つけてやろう」)
(「それじゃ、こっちも……えっとコレで……ちゃんと隠れれてル? ゲーミングな迷彩だったりしナイ?」)
 鞆に合わせ、ラヴィデが振りまく呪炎が作り出す平穏結界と、ラウムが呼び出す迷彩化ドローンの光学迷彩。
 重ねて発動する身を隠すための残留効果に加えて、
「さてェ、こういう場所だ……あるに越した事はねえだろ」
 完全視界を展開する人鳥が、わずかな影も逃すことなくその奥まで視線を走らせる。
 知識と技術と残留効果と。幾つもの力を重ねて合わせて身を隠し、索敵し。
 事前の予想と実際の地形の差異を擦り合わせながらも、廉也が、イリヤが、鞆が思考を巡らせる。
(「地図から予想していたのとは、やっぱり少し地形も違うッスね。ただ、敵が隠れるなら茂みや高台と色々想像できますけど……」)
(「そうだな。鉄砲隊が中心なら、高さもあり、身を伏せられる所を好みそうではあるなあ」)
(「そうしますと……あっちとこっちと……むむ。新宿島から持ってきた遠眼鏡なども役に立つ、です?」)
 地形を読んで、相手の思考を読んで。
 狙われやすい場所と見つかりやすい場所を避けて、狙いをつけやすい場所に目星をつけて。
(「銃ね。オレが待ち伏せするならどこだろうな……茂みや樹上、高低差のある地形、且つ複数で集中攻撃できる地点。そして、それを見つけようとするなら……物音、足跡、先の銃撃での臭いや痕跡、かな?」)
(「その辺りか……む、少し待て」)
 相手の隠れ場所と、それを見つけ出すための要素と。
 一つ一つを挙げながら周囲を見回すラヴィデに刹那が頷きを返し――その視線が、一瞬、鋭く細められる。
(「何か見つかったか?」)
(「ああ……まだ、これと確証がある程じゃないがな」)
 駆け寄る蓮十郎に刹那が示すのは、わずかに傾く雑草と、その先で揺れる折れた枝葉。
 それが何によってつけられたものかはわからない。
 自然の雨風か、動物か――あるいは天魔武者か。
(「周囲に足跡は見当たらないけド……逆に、それが怪しいかもネ」)
(「隠す知恵があるわけですからね」)
 周囲の地面を探るラウムが、気配を探る相真が。
 一段警戒を強めて、自身の周囲へとドローンを展開する。
(「汎用ドローンを情報収集タイプに換装して、センサーは最大稼働」)
(「先にこちらが発見されないよう、細心の注意で隠密行動ですね」)
 精神を集中してドローンを操り、周囲の情報を収集し。
 僅かに残る痕跡から、予想される経路を見据え――そこから一歩退いて。
(「頻繁に移動はしていないと思うケド、補給や交代の相手と鉢合わせしないよう気を付けよウ」)
(「巡回経路がある場合、その周辺に接近するのは危険だからな。こんな処で発見されてはかなわん。念のため、発見されぬよう迂回して進むとしよう」)
 ラウムと蓮十郎を先頭に、茂みに身を隠すディアボロス達がそのルートを大きく回り込むようにして進行する。
 無論、獣道を離れて道無き道を進む以上、草葉や枝がその行く手を阻んでくるけれど――、
「雷狼は……流石に、見つかる可能性が高いッスね」
「なら、ここは頼んだぜ――タロ」
 風槍を巡らせる廉也の周囲に風の魔力が集束し――しかし、小さく首を振ってその魔力を霧散させ。
 それと入れ替わりに呼びかける人鳥の声に応じて、敬礼を返すダンジョンペンギン3兄弟『ブラザーズ』長男のタロが茂みを潜りその先へと先行する。
(「……行けますか?」)
(「アイツは気配を消すのが得意だからな……大丈夫だと思うがな」)
 身を隠して先行し、周囲を探り索敵する。
 それらを十全に行うことは、サーヴァントであるタロにとっては至難の技。
 けれど――小柄な体を先行させることが出来るならば、それだけでも十分意味はある。
 茂みの先で左右を見回し、振り返って枝を持ち上げ手招きするタロに人鳥が片手を上げて応じ。
 それに続けて茂みを潜りながら、ラヴィデはそっと苦笑を浮かべる。
(「……ベルも手伝ってくれるといいんだけど……ま、戦いでやる気を出してくれればいいか」)
 背中でうつらうつらと舟を漕ぎだしたベルを、起こさないように軽く揺すって背負い直し。
 そうして再度探索へと戻る――その寸前、
(「……みなさま、お待ちを。こちらをご覧ください、ませ」)
(「あァ……見つけたぜ」)
 覗き込む鞆と人鳥が草葉の陰に見つけ出すのは、一つの新しい足跡。
 それを意識した上で改めて周囲を見回せば、足跡を消す偽装の痕が一つ二つと見えてくる。
(「なるほど、な」)
 その痕跡をたどり、わずかに折れた草葉の先へと視線を巡らせて蓮十郎は小さく頷く。
 動物のものではありえない、人型の存在がつけた確かな足跡。
 ――尻尾は掴んだ。
(「敵はこの先に布陣している、と」)
(「そういう事だな」)
 相真の言葉に頷き返し、蓮十郎は仲間達を振り返る。
 敵陣は間近。
 だからこそ、ここで下手を打つわけにはいかない。
(「罠を仕掛ける者は、仕掛けられている事に気付かぬものだ。まあ、それはこちらにも当てはまる話ではあるな……」)
(「この足跡自体が誘いの可能性もありますからね……敵の裏をかいているとはいえ、油断せずに発見されないよう気を付けておきましょう」)
(「ああ。驕らず事に当たるとしよう」)
 逸る心を抑える蓮十郎が得物を握り直して先を見据え。
 相真の展開する随伴ドローンが、わずかに離れた場所に浮遊して周囲の様子を偵察する。
 相手の考えを読んで、その裏を突く動きを意識して――しかし、そこで止まることなく、さらにその裏の考えまでも思考を巡らせて。
 焦らず、しかし出来る限りの速さで以って、その先へ。
(「そこから右に50メートル先、候補のポイントがあるね」)
(「一番怪しいのはそのポイントですかね。射線が絞れて、先ほどの発砲による火薬の匂いとかも残ってそうですし、見つけ出すのはそこまで難しくない……はずッス」)
(「風速にもよるけど、砲撃やレーザーの残滓が残ってるかも。火薬とかの臭いが狙い目かナァ……なるべく風下から回るヨ」)
 地図を確認するイリヤの通信に廉也とラウムが頷き、回り込むルートを呼びかければ。
 それに応じて先行する相真と蓮十郎が、身を隠しながらも速やかにその地点へと歩を進め。
 そうして――、
「……外れ、か?」
「まあ、こういう事もあるかな」
 気配を殺して接近した物陰から見える、兵士の気配のない高台に刹那が小さく息を吐き。
 それに苦笑を返しながら、イリヤが周囲を探りつつも簡易的な鳴子を仕掛けて回る。
 この場所に問題があったのか、あるいはより良い場所を見つけ出したのか。
 どちらかはわからないけれど、
「『ここに陣取られたらキツイ』という場所の一つは潰せたんだし、これも収穫としておこう」
「ふむ。それもそうか」
 相手の動きを縛ることが出来る泥濘の地と違って、鳴子はただ音が出るだけのものだけど――離れても解除されないし、相手の布陣を妨害するならば、これで十分。
 ここに危険があると思わせることが出来れば、それだけで動きを制限することはできるのだから。
 それに――まだ、追跡は終わっていない。
「……見つけたか。お手柄だぜ、タロ」
 高台の縁へと続く足跡を指し示すタロに人鳥が笑みを返し
 そっとその端から崖の下を見下ろせば――その下に見えるのは、鉄砲を構えて海辺を見据える、10を超える天魔武者の姿
「見晴らしのいい高台よりも、一段下でも遮蔽のある場所を選んだってことっスね」
「そういう事みたいだね。あとは頃合いを見て一斉に――ね」
 相手の布陣を確認すると、廉也とラヴィデが頷き合って一旦高台の内側へと身を潜め
「敵部隊はそこか。周囲に他の部隊は――」
「うン。調べた限りじゃ、見当たらないネ」
「遠眼鏡でも、それらしき姿は、見えませぬ」
 身を伏せて高台の縁から周囲に視線を走らせる蓮十郎に、ドローンからの情報を受け取るラウムと遠眼鏡を覗き込む鞆が頷いて。
 そうして、静かに――しかし、確かな意志と共に得物を握る。
 身を隠して相手を探るのはここまで。
 ここからは、全力での奇襲と殲滅戦。
「不意打ちするつもりがされるとは、思わないだろうな」
「ええ。このまま一息に」
「うんうん、搔き乱して断ち切って――無傷でなんて返してやらない」
 刹那の抜き放つ『覇龍』の刃と、相真の握る銀腕の拳が日の光を受けて光を放ち。
 刻印銃を構えるイリヤの周囲に緋色の飛刃が旋回し。
 そうして――彼らは地を蹴り兵士達へと急襲をかける。

「さあ――いくよ!」
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【神速反応】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV2が発生!
【光学迷彩】LV2が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【ダブル】がLV5になった!
【アヴォイド】LV1が発生!
【フィニッシュ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!

神山・刹那
さて、奇襲は早さが命
お前らには悪いが、ここで一人残らず討ち取らせてもらう
お前らもそのくらいの覚悟はしてきてるだろ?
見苦しい命乞いなんてしてくれるなよ

陣笠ブレヱドで斬り刻もうと此方に突進してきたら、精神集中で体の感覚を鋭敏にし、腰を限界まで捻り、反発力をそのまま斬撃に変換し、そこに膂力と刀の重量と遠心力を乗せた一撃で、防御の火縄銃と、回転数で弾き飛ばそうとする陣笠ブレヱドごと真っ二つに斬り捨てる
「相手が悪かったな。この距離で銃が刀に勝てるわけねぇだろ」


ラウム・マルファス
味方とパラドクス通信も使って連携
不意打ちを狙い、敵が対応するまでの一瞬の間に味方が攻撃できるようタイミングを図ル

光学迷彩と完全視界で狙いをつけて、接近戦を挑む人が攻撃する直前にパラドクス発動
動力部を空気に変換して、敵を機能停止させるヨ
視線が媒介だから音も前兆もないからね、攻撃に気付くまで一瞬でも時間が稼げるといいナ

戦闘が始まったらトラップ生成や薬品で煙幕を作って敵の視界を阻害しつつ、敵の動きを観察して味方に伝えるヨ
可能なら少し距離を取って、全体を見ておこウ
他の方向から敵が近づいてくるかもしれないしネ
不意打ちされないよう、周囲にも気を配っておくヨ


イリヤ・レダ
※アドリブ・共闘OKです
※ネメシス化すると頭上の光輪と翼だけでなく頭髪も緋色に染まります
(更に長髪化します)

布陣した鉄砲隊、ね
きっと常に警戒を切らさず、交代要員が来るまで伏せているんだろうね
敵ながら、その姿勢は尊い 居場所を暴くまで苦労もしたしね

ただ、手強いからこそ
この場で実力を発揮する前に討ってしまうのがいいだろうね

通信等の連携で先手をとりたいけど、撃ち合いになったら被弾も致し方ない
まずは飛刀を投擲して、こちらの射線外から襲い掛からせたい
パラドクスは「緋封 解放」を
緋色の嵐が退路を絞りつつ、敵を圧搾する
更に燃焼効果をこちらではなくて、向こうに押し付けることもできるかもしれないからね 


金刺・鞆
むん。無事索敵成功、です。伏兵もその存在さえ割れているならば、対処のしようもあるというもの。
時先案内人の予知のちから、改めて強力なものであると感じますとも。これが広く知られることのないよう、今後も気をつけねば。

【パラドクス通信】にて各々の動きを揃えて……それでは奇襲とまいりましょう。いざ殺し間殺し、です!

いぬには牽制のために電撃をお願いね。深追いはしないで、おまえの雷に怯んだものからわたくしが攻撃いたしましょう。

扇を手に舞い、比売神さまの御力を御下賜いただきます。
わたくしが用いるは神氷、『海渡』。生半な炎程度では揺らがぬこの氷柱の御業、その熱光線とやらで防げるものか試してみるがよい、です!


眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎

よーしよし、ナイスだタロ。サンキューだぜ
出来るだけ相手の戦力を削りたい、手は多い方がいいからな
お前達三兄弟の力ァ、もうちっとだけ貸してくれ
イケるか?

パラドクス通信で味方と連携を密に。仕掛け時はきっちり合わせるぜ
敵の的をしぼらせない動きで攻めたいところだ

パラドクスにより、長男に加えて一時的に次男と三男も呼び出す
タロは回り込んで死角から銃撃
ジロは俺と一緒に斬り込むぞ、お前の素早さと二刀流アテにしてるからな
サブは俺のジャケットのフードに入って死角のカバーと氷の魔法で援護してくれ
俺もバイビークと氷晶剣で立ち回る、遊撃気味に動きながら
斬撃を叩き込んで行くぜ


ラヴィデ・ローズ
当たりだね
よしよし。準備運動も済んだことだ

【パラドクス通信】でタイミングを合わせ一気に仕掛けよう
ベル……は、呼びかけるまでもないご様子で
遅れず、パラドクスを重ねる
戦闘には『レゼル』使用

知覚を妨げる【平穏結界】は
新手を遅らせることに活きるかな
伝令を出されたら手間だからね
この場を離れようと背を見せる敵がいれば優先狙い
基本は仲間と狙いを合わせ、弱った敵から迅速に減らそう

へぇ、この間合いもイケる口か
ブレードには少し驚くが面白い。親近感ってやつかな?
刃には刃を返し、鉄の兵との刹那の邂逅に興じよう
……あとは
ベルのブレスに纏めて焼かれないよう注意、だな

長いこと待ってもらったのに、悪いね
詫びを受け取ってくれ


篠村・蓮十郎
ここまでは良し……
奴らの強みを押し付けられる前に仕留めるとしよう。

パラドクス通信にて足並みを揃え
後続が遅れない様留意しつつ先陣を切る

ダッシュで敵陣へ突入、こちらを視認された瞬間に腕部内蔵型軽機関銃で制圧射撃を行い牽制と撹乱を敢行

敵群中心部へ食い込み背後を皮鉄で防御
身を捻りつつ義手の裏拳を見舞う[旋風]の一撃を放ち
放たれる火炎弾ごと周囲の敵を薙ぎ払い破壊する

一撃を加えた後は皮鉄と試製鉄刀で防御体勢を維持しつつ
殴打を続け敵を引きつけよう

貴様らに居座られては都合が悪いのでな。
叩き潰させてもらう。


黒城・廉也
アドリブ可

気が付かずにこちらが襲撃される、なんてことにならなくて良かったッス。……それじゃ、こっちから行きましょうか!

先走って狙い撃ち…なんてことにならないようにパラドクス通信で連携を図り攻め入りましょう
崖下の着地地点を気にせずに済むように落下耐性も使いましょうか

月夜・翠風に獄炎の悪魔の魔力欠片を使って攻め込みます
完全視界で煙等に視界を塞がれないようにしつつ
勿論、戦闘中も通信を活用して連携は意識
ただでさえ奇襲で入り乱れそうですしね

ブレヱド……まさか笠に見せかけた武器だったとは
なら、獄炎で笠の刃諸共焼き尽くして見せましょう
全力魔法で俺の魔力を上乗せ
鳥を象った爆炎と共に、行きます!


(「……当たりだね」)
(「むん。無事索敵成功、です」)
 声を出すことなく、気配を殺し。
 そのまま静かに身を隠して、ラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)と金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)は静かに頷きあい。
(「よーしよし、ナイスだタロ。サンキューだぜ」)
 そっと、ダンジョンペンギン『ブラザーズ』長男の『タロ』とハイタッチをかわしつつ、眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)は視線を下へと走らせる。
 高台の縁から続く小さな崖。そこから下の様子を窺えば――そこに見えるのは、海辺から逢坂関へと続く道を見据えて、動くことなく銃を構える天魔の兵士達。
「きっと常に警戒を切らさず、交代要員が来るまで伏せているんだろうね。敵ながら、その姿勢は尊い……居場所を暴くまで苦労もしたしね」
 その兵たちの姿に、イリヤ・レダ(『緋』を封ずるモノ・g02308)は心からの称賛を込めて目を細め。
 ――そうして、
「ここまでは良し……奴らの強みを押し付けられる前に仕留めるとしよう」
「うん。手強いからこそ、この場で実力を発揮する前に討ってしまうのがいいだろうね」
 鉄刀を握る篠村・蓮十郎(鋼剣・g09914)に頷き返し、イリヤもまた『緋幻の刺刃』に魔力刃を形成する。
 練度も、数も、その士気も。
 布陣する陣容を見るだけで、片鱗だけであったとしても彼らの構成する『殺し間』の恐ろしさは伝わってくる。
 だからこそ――その真価を発揮させるわけにはいかない。
 『殺し間』を機能させることなく、伏兵を潜ませることなく打ち倒す。
 相手の策を踏み越えた、今、この時こそが、その好機。
「伏兵もその存在さえ割れているならば、対処のしようもあるというもの」
(「時先案内人の予知のちから、改めて強力なものであると感じますとも。これが広く知られることのないよう、今後も気をつけねば」)
 ぎゅっと、手にした武器を握りしめて。
 鞆は僅かに目を閉じ――決意をこめて目を開く。
 できうる限りの条件は整えた。
 その上でなお、決して楽な戦いにはならないだろうけれど――。
「出来るだけ相手の戦力を削りたい、手は多い方がいいからな。お前達三兄弟の力ァ、もうちっとだけ貸してくれ――イケるか?」
『『『――!』』』
 人鳥の呼びかけに、ダンジョンペンギンの三兄弟が並んで敬礼を返し。
「よしよし。準備運動も済んだことだ。ベル……は、呼びかけるまでもないご様子で」
『――!』
 手にした『レゼル』を軽く振るうラヴィデの視線に、ミニドラゴン『ベル』が小さく呪炎を吹いて見せ。
「いぬは牽制のために電撃をお願いね。深追いはしないで、おまえの雷に怯んだものからわたくしが攻撃いたしましょう」
『――♪』
 鞆の呼びかけに、むん! とモーラット・コミュの『いぬ』が応えて。
 それに微笑みながら鞆が顔を上げれば、
「「「――」」」
 無数のドローンを展開するラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)と、愛刀『覇龍』に手をかける神山・刹那(梟雄・g00162)。
 そして、風の魔槍『月夜・翠風』を握る黒城・廉也(後輩サキュバス・g02175)が静かに――しかし、確かな視線で頷き返す。
 得物の準備――よし。
 パラドクス通信――よし。
 戦いに臨む心意気――よし。
 後は、覚悟を決めて切り込むのみ。
「気が付かずにこちらが襲撃される、なんてことにならなくて良かったッス……それじゃ、こっちから行きましょうか!」
 廉也の呼び出す風と共に、弓をつがえて敵を見据え。
 廉也は、鞆は、ディアボロス達は崖下へと身を躍らせる。
「先走って狙い撃ち……なんてことにならないように気を付けて」
「それでは奇襲とまいりましょう……いざ殺し間殺し、です!」


「さて、まずは――」
「状況を作る、ヨ」
 飛び下りざまに、ラヴィデが『レゼル』から放つ呪炎の火矢が四方へと走り、それを起点として展開する平穏結界が戦場を外部から切り離し。
 同時に、ラウムの操るドローンから撃ち出される無数の砲弾が地面へと突き刺さり、周囲一帯を煙幕に包み込む。
 作り出される平穏結界の範囲は100mにも及ばず、生成される煙幕も敵の視界を奪う程の効果は見込めないけれど――僅かでも新手を遅らせることができるなら、一瞬であっても敵が対応するまでの間を稼ぐことが出来るなら、それで十分。
「その隙は、逃しませぬ!」
 動揺しながらも銃を構えようとする兵士を見据え、鞆が霊力をこめた和弓を引き絞り。
 さらに重ねて放つ、ラヴィデの火矢が、ラウムのドローンの砲撃が。
 続けざまに撃ち込む一斉射撃が兵士を包み込み――巻き起こる爆炎を裂いて走る熱光線を、同時に閃く刹那と蓮十郎の刃が切り払う。
「さて、奇襲は早さが命」
「先陣を、切らせてもらうとしよう!」
 なおも止まることなく飛来する熱光線を、火炎弾を見据え。
 最小限の動きで次弾を回避し、潜り抜け――同時に、蓮十郎が右腕の義手から放つ機関銃が兵士を牽制し。
 弾幕が乱れた一瞬を逃すことなく刹那が岸壁を蹴り、更なる加速と共に兵士へと肉薄する。
「『――っ!』」
 閃く刃は、構えた銃の引き金を引くよりも速く走り抜け。
 銃身を、鎧を、そして兵士を断ち切り両断し。
 その背を狙い放たれる無数の熱光線を、飛び込む蓮十郎が打ち払う。
 周囲に展開する防御装甲『皮鉄』に、鉄刀を握る『壱號機械腕』。
 防壁が兵士の砲火を受け止め、刃が切り払い。
 そして――、
「っ、邪魔だ!」
 装甲越しに伝わる衝撃をも力として身を捻り、渾身の力を込めて振り抜く鋼鉄の義手の裏拳。
 拳圧により巻き起こる突風を伴って放つ旋風の一撃が、 火炎弾を、周囲の兵士を纏めて薙ぎ払って退かせ。
「「――おおっ!」」
 爆ぜ散る火の粉を裂いて走る銃弾を切り払い、人鳥が、廉也が、地を駆ける。
 銃弾、火炎弾、熱光線。
 止まることなく放たれる無数の弾幕を、銃槍を握る人鳥が、魔槍を振るう廉也が、足を止めることなく弾き、切り落とし、回避して。
 押し寄せる弾幕を左右に素早く地を蹴る廉也が回避するも、その先を狙ってさらに追撃が放たれる――よりも早く、
「やらせないよ」
「――っ、そこっ!」
 イリヤが放つ飛刀が兵士の手を貫き、兵の動きを鈍らせ。
 その隙を逃すことなく、風を纏い踏み込む廉也の槍が、兵士の銃を弾き飛ばして鎧を突き砕き。
 崩れ落ちる兵士を足場として、大きく飛び上がるイリヤの体を渦巻く魔力が包み込む。
 一瞬で背中まで伸びた白髪が、頭上に戴く光輪が、背中に広がる白翼が。
 イリヤの内から溢れ出る魔力を受けて緋色に染まり、ネメシス化の力をその身へと巡らせて。
「逃がさないよ」
 そのまま身を翻して宙を蹴り、周囲から放たれる銃弾をかわしざまに投げる飛刀が兵士の銃を弾き。
 兵士が崩れた体制を立て直すより早く、飛び込む人鳥の銃槍が火縄銃とぶつかり合う。
 押し込む銃槍を受け流し、飛び退く兵士が銃を構え――しかし引き金を引くよりも早く、さらに踏み込む銃槍の穂先が銃身を払い。
「そっちだッ!」
「はいっ。合わます、いぬ!」
 続く蹴撃が相手の体勢を崩すに合わせて、鞆の放つ霊弓と『いぬ』の雷撃。
 重ねて放つ連携攻撃が、兵士を貫き焼き払い。
 ――崩れ、倒れこむ兵士の残骸を背後から貫く熱光線を、ラヴィデの呪炎の火矢とラウムのドローンが相殺する。
「ここまでは、順調かな」
「とはいエ、まだまだここかラ」
 奇襲を仕掛け、相手の陣形は崩した。
 それでも、相手の数はいまだ自分達よりも多く、士気も崩壊には程遠い。
 故に、勝負はまだここから。
「基本は仲間と連携して、弱った敵から迅速に」
「全体の動きにも気を配らないとネ」
 ふっ、と小さく息をつき。
 笑みを交わすラヴィデが呪炎の花弁を散らし、ラウムがさらに無数のドローンを展開し。
 撃ち出す火矢とトラップが、押し寄せる兵士の足をすくい狙いを乱し――それに続け、地を蹴るディアボロスの刃が、天魔武者の砲火と交錯する。
「『――っ!』」
 斬撃打撃、拳打に刺突。
 銃弾、霊弓、雷撃に、熱光線に火炎弾。
 ディアボロスと天魔武者の繰り出す数多の攻撃が交錯し。
 無数に爆ぜる火花と爆炎を潜り抜け、駆ける蓮十郎が、刹那が、刃を閃かせる。
 四方より撃ち込まれる砲撃は、気を緩めればそのまま押し返されそうなほどの密度をもって襲い来るも――、
「その程度で――」
「――止められると思うな!」
 前面へと展開する皮鉄の守りで砲火を凌ぎ、その下を潜り抜けて距離を詰め。
 その勢いのままに蓮十郎の放つ鉄刀と拳打が、銃ごと断ち切らんと放つ刹那の斬撃が。
「貴様らに居座られては都合が悪いのでな。叩き潰させてもらう」
「お前らには悪いが、ここで一人残らず討ち取らせてもらう。お前らもそのくらいの覚悟はしてきてるだろ? ――見苦しい命乞いなんてしてくれるなよ!」
 足を止めることなく、拳と刃を繰り出し。
 前へと駆ける二人の連撃が真正面から弾幕を押し切り、兵士を切り伏せ退かせ。
「「まだっ!」」
 さらに続けて駆ける廉也の槍とラヴィデの長剣が、飛び退きざまに兵士が放つ熱光線を切り払い。
 その残滓を突き抜けて、風を纏い、呪炎を散らし、閃く二つの刃が銃弾を切り裂き兵士へと走り――その刃を、踏み込む兵士の鋼の陣笠が受け止める。
「っ、と!」
 切り込む刃が陣笠を切り裂くよりも早く、高速回転する陣笠の縁が刃となって二人の得物を打ち払い。
 そのまま止まることなく縦横に閃く陣笠の刃と、動きに合わせて乱れ撃つ火縄銃が、ラヴィデを、廉也を退ける。
 陣笠状の頭部を高速回転させて、接近してきた敵を切り裂く武装――『陣笠ブレヱド』。
「へぇ、この間合いもイケる口か」
「ブレヱド……まさか笠に見せかけた武器だったとは」
 意識の外から放たれる隠し刃に、ラヴィデはそっと笑みを浮かべ、廉也は小さく感嘆の息をつき。
 ――しかし、その手も足も、一瞬たりとも動きを止めることは無く。
「その仕掛けには少し驚いたけど……面白いね。親近感ってやつかな?」
 長剣と、弓と。二つの姿を行き来する『レゼル』へと呪炎を纏わせ、続けざまにラヴィデが撃ち放つ火矢が追撃の火炎弾を撃ち落とし。
 爆ぜ散る二種の火の粉の中を、握る魔槍と共に廉也が駆ける。
「どんな隠し武器でも、獄炎で笠の刃諸共焼き尽くして見せましょう!」
 槍に秘めた風の魔力に重ね、人鳥から譲渡された獄炎の悪魔の魔力の欠片から引き出す爆炎を纏い。
 鳥を象った爆炎を背に、より強く、より速く。
 弾幕を抜けて距離を詰め、風炎を纏う魔槍が陣笠の刃と打ち合い、弾き合い――退く兵士へと、距離を取らせることなくさらに踏み込み、切り上げる風槍がその身を上空へと弾き上げ。
 ――続け、
「まだっ――荒れ狂う裂空の槍! 業火と共に敵を穿つは! 紅蓮、滅槍牙っ!」
 爆炎の翼を羽ばたかせ、さらに高く上空へと飛翔する廉也が槍を巡らせ、風を纏い、爆炎を纏い。
 地上へと飛翔すると共に、風炎を纏い突き下ろす一穿が兵士の陣笠を貫き滅焼し。
「おっと、それはやらせないよ」
 その背を狙う新手の刃を、ラヴィデが長剣へと切り替えた『レゼル』の刃で受け止める。
「銃には弓を、刃には刃を――」
 高速回転と共に押し込まれる刃を、長剣を操り受け流し。
 続く切り上げは飛び退く兵士を掠めるに止まるも――即座に弓へと切り替え放つ矢が、飛び退きざまの熱光線を撃ち落とし。
「さあ、刹那の邂逅に興じようか」
 そのまま再度長剣へと切り替え、火の粉を裂いて切り込む刃が陣笠の刃と交錯し、火花を散らして弾きあう。
 呪炎と共に駆けるラヴィデと、炎を放つ鉄の兵と。
 射撃と銃撃。刃と刃。幾つもの距離で、幾つもの形で。
 ぶつかり合う二つの影が無数の火花を戦場に咲かせ――そうして、
「――ここまでだよ」
 至近距離から放たれる火炎弾を真正面から断ち切り、その残滓を突き抜けて放つ『レゼル』の刺突は回転する陣笠に弾かれるも――しかし止まることなく身を翻し、返す刃が兵士の追撃よりも早くその胴を両断する。
 多少の伏せ札があろうとも、個別の戦力において勝るのはディアボロス。
 されど――数において勝るのは天魔武者。
「「『――っ!』」」
 廉也が振り抜く槍に乗せた爆炎の魔力と、ラヴィデが弓に籠めた呪炎の火矢。
 重ねて放つ二つの炎が兵士へと突き刺り、打ち倒し――その炎壁を突き抜ける熱光線と火炎弾がディアボロスへと降りかかり。
 ――しかし、
「まだだよ」
「これくらい、です!」
 イリヤの緋色の魔力を宿して縦横に閃く『緋刃』が。
 鞆が宙へと放つ、水神の加護を纏うかるたの札が。
 刃と霊符の結界が砲火を受け止め、その守りに隠すようにラウムがドローン群を走らせる。
「搦め手、隠し罠を持っているのハ、そっちだけじゃないヨ」
 地を這わせる蛇型ドローンと低空飛行するステルスドローンが砲撃に紛らせて放つ煙幕弾。地面を変化させて作り出す落とし穴に泥濘の地。
 殺傷能力こそ低くとも、視界と動きを縛るトラップが攻勢の手を鈍らせ。
「それニ――こういう手もあるヨ」
 一瞬、ラウムの瞳が魔力の光を放ち。
 事象を書き換える魔法を宿す眼鏡『Rewriter』を通して、見据える瞳は視界に収めた対象をより深く解析する。
 火炎弾を、火縄銃を、兵士自身を。
 物質的・魔術的、両面からの解析を瞬時に行うと共に、構成する物質を別の存在へと置き換えて、
「――万物解析。視えてるヨ」
 ただ、見据える――その動作を媒介として発動する魔術が、対象の各所を空気へと変換して機能不全へと落とし込み。
 僅かに生まれた弾幕の隙間を縫って、イリヤが、鞆が、撃ち放つ刃と霊弓に並走するようにして人鳥が駆ける。
「よっしゃいくぜ、ブラザーズ!」
 その左右を守るのは、ダンジョンペンギン『ブラザーズ』の兄弟たち。
 死角へと回り込むタロの銃撃が兵士の動きを牽制し。
 その隙を突いて放つ人鳥の銃槍の刺突は、兵士の陣笠に受け止められるも――回転するその刃が振るわれるよりも早く、飛び退きざまに振るう銃槍が兵士の体勢を崩し。
 それに合わせて切り込むジロが二刀を閃かせれば、一瞬の間をおいて十字に切り裂かれた兵士が崩れ落ちる。
 サーヴァントとの絆を辿り、仲間のダンジョンペンギンたちと共に戦うパラドクス『ブラザーズ・パレード!』。
 長男のタロは銃を。次男のジロは二刀の剣を。そして――、
「出番だぜ、サブ!」
 崩れる兵士の背後から火縄銃を構える新手へと、一息に飛び込む人鳥が抜き放つ氷晶剣の蒼刃が銃を跳ね上げ。
 同時に、人鳥の纏うジャケットのフードに身を隠したサブが兵士へと杖を突き付け、放つのは氷の魔法。
 至近距離からの氷雪の嵐が兵士を凍てつかせ、背後へと跳ね飛ばし。
 相手が体勢を立て直すよりも早く、回り込む蓮十郎の鉄刀が閃きその体を両断する。
「これで何体目かは、もはや数え切れんが……流石に数も減ってきたな」
「残りハ……そろそろ両手で数えられるくらいかナ?」
 そっと息をつく蓮十郎に、ラウムが小さく笑って頷き返す。
 無尽蔵、とすら錯覚しそうな程にいた兵士も、もはや数体を残すのみ。
 ならば――最後まで、気を緩めずに、逃がさずに。
「このまま叩き潰させてもらう」
「うン。背中は任せテ」
 小さく息を吐いて呼吸を整え。
 地を蹴る蓮十郎を支援するように、ラウムが展開するドローンが銃砲を巡らせる。
 煙幕、砲弾、仕掛け罠。
 無数の支援砲撃が兵士の動きを鈍らせ、その隙間を縫って切り込む蓮十郎が放つ刃が、機関銃が、拳が――幾つもの得物を切り替え放つ旋風の如き連撃が、兵士達を薙ぎ払い。
 反撃とばかりに放たれる火炎弾をラウムの魔眼が大気へと分解した瞬間、さらに飛び込む蓮十郎の裏拳が兵士を捉えて跳ね飛ばし。
 弾かれ、まとめられた兵士の周囲を包囲するように、鞆の呼び出す神気の氷柱が続けざまに突き刺さる。
「是なるは神の足跡。神氷、『海渡』」
 歌うように、舞うように、言葉を紡ぎ扇を躍らせ。
 足を踏む度、波紋の様に神気が地表を走り、結ぶ先で氷柱を作り出す。
 それは比売神より賜りし神力の顕現。
 熱光線を受け止め、火炎弾を受け止め。しかし決して揺るぐことの無い神気を帯びた氷の御柱。
「生半な炎程度では揺らがぬこの氷柱の御業、その熱光線とやらで防げるものか試してみるがよい、です!」
 奉じる舞の終わりを告げるように、一際強く地を踏む鞆の足元から波紋が多重に走り。
 神気の波を受けた氷柱は、さらに強く、大きく、巨大な氷の柱となって内に兵士を呑み込みそびえ立ち――。
 パン、と。
 一度、鞆が手を打ち合わせれば、氷柱は飲み込んだ兵士もろともに砕け散り。
 ――その残滓となった氷片を巻き上げて、緋色の風が吹き抜ける。
「残りは……7体? 8体? どっちにしても、逃がさないよ」
 イリヤの内に封じた緋天の力。
 ネメシス化によって外へと滲み出ようとするその力を、僅かに解放し――髪も、光輪も、翼も、イリヤの全てがその一瞬だけ、より深く緋へと染まる。
「緋封 解放――『語らずのレダ』よ……!」
 爆発的に湧き上がる魔力が周囲一帯を緋へと染め。
 その魔力を以って風を従え、巻き起こるのは緋色の烈風。
 逃げ道など与えない。内よりの抵抗など許さない。
 熱光線も火炎弾も、その全てを呑み込み力と変えて、天へと続く緋色の嵐が捉えた兵士を焼き払い。
「これで、残るは――」
「後、4体っスね」
 緋色の余波が残る中を、刹那が、廉也が、人鳥が。
 気合の声と共に駆け抜ける。
「焼き払え、獄炎!」
「防げ、サブ!」
 風を裂いて走る熱線を廉也とサブの氷炎の魔力が打ち払い。
 続け、その余波を突き抜る次弾を、同時に背後から放たれる呪炎の火矢が相殺する。
「準備はいいかな、ベル?」
 握る『レゼル』の狙いを外さぬままにラヴィデが肩へと視線を走らせれば、やる気十分とばかりに大きく息を吸い込むベルが応え。
「準備は万端……あとは、ベルのブレスに纏めて焼かれないよう注意、だな」
 軽い苦笑と共に大きく息を吸い込み、ラヴィデは敵を見据えて精神を集中し。
 燃え盛り、舞い散る呪炎の紫黒の花弁が弓へと収束し、作り出すのは一本の矢。
「花と散れ――巡天(リュ・ド・ヴァン)」
 ラヴィデの放つ紫黒の火矢と、ベルの放つ呪炎の吐息。
 揃いの呪炎に命をくべる、二つの炎が螺旋を描いて混じり合い。
 産み出す一つの巨大な炎の牙が、熱光線と火炎弾を呑み込み焼き払い――なおも威力を減らすことなく、その先の兵士の身をも貫いて。
 その炎の残滓と共に、
「決めます、人鳥!」
「応よ――いくぜ、廉也! ジロ!」
 獄炎の魔力を宿す廉也の魔槍の一穿が。
 ジロの二刀に重ねて人鳥が放つ氷晶剣の三重の斬撃が。
 そして――
「さあ、勝負といこうか!」
 敵を見据え、刀を握り、さらに強く刹那が地を蹴る。
 すでに銃の間合いは過ぎ、この距離は刀の間合い。
 無論、この距離であっても相手が対応できることは知っているけれど――それでも、相手の本領が銃であることに変わりはない。
「相手が悪かったな。この距離で銃が刀に勝てるわけねぇだろ」
 相手を間合いに捕らえる寸前、腰を、体を限界まで捻り。
 その反発力を以って放つのは、あらゆる守りを断ち切る渾身の一刀。
「薙ぎ払え! 星ごと奴を!」
 反発力と遠心力と体のバネ、そして刀の重さを斬撃に乗せ。
 放つ一太刀は、火縄銃を、陣笠を――その守りを真正面から断ち切り、両断し。
「――星薙の太刀」
 ふっと、息を吐いて刀を振り抜く刹那の背後で、音も無く兵士が崩れ落ち。

 そうして――周囲に静寂が戻る。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【落下耐性】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
【先行率アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!
【反撃アップ】がLV3になった!
【ダブル】がLV6になった!

 ふ、と。
 静寂を取り戻した森の中で、誰かが息をつく。
 『殺し間』を構成する伏兵は撃破した。
 後は新手が来る前に撤退するのみ。

 ――否。

『――』
 鳥の声も、虫の声も無い。
 森の中に満ちるのは静寂だけではなく――姿を見せぬ、天魔の殺意。
『光秀様が構築した『殺し間』を、こうも蹂躙するとは……大した手並みだな、ディアボロスよ』
 響く言葉と共に風が吹き抜け、直後、その場に現れるのは一つの影。
 無数の武装と迷彩模様の装甲を身に纏う、アヴァタール級天魔武者『滝川一益』。
『この地点を潰されたことは失態だったが――引き換えに、包囲陣形は構築させてもらった』
 静かにディアボロスを見据える一益が、刀を抜き放ち、銃を構え。
 同時に――前方から、頭上から、背後から。
 周囲全ての茂みから、殺意と敵意が吹き付ける。
『光秀様と比べれば劣るが――それでも我が陣形、容易く破れるなどと思うな』
 その言葉が、気配が、ディアボロスに理解させる。
 形こそ違えども、ここは自分達を殲滅するために天魔の将が作り上げた、即興の『殺し間』なのだと。

『覚悟を決めるがいい。ここがお前達の死地となる』
神山・刹那
ネメシスモード・いしはま絵師のDC参照

くくく。覚悟しろと。結構、結構
分の悪い賭けは嫌いじゃない
なら、俺は俺の命を全賭けして、お前の首を取り、生きて帰るだけだ
逃げるんじゃねぇぞ?大将

奇襲隊指揮 -常在奇襲-でこちらの死角の位置から攻撃してくるのなら、精神集中で周囲からの情報を鋭敏にした聴覚と触覚で感じ取り、本能と直感によって最良の行動を選択し、迅速反応で相手がこちらの行動を読む前に懐に飛び込み、上空から雲を裂き、大地よ砕けよと言わんばかりの渾身の一太刀で斬り捨てる
「賭けは俺の勝ちだな。楽しかったよ」


ラウム・マルファス
囲まれちゃったカァ。どうしようカナ。

手持ちの薬品で煙幕を張るヨ。こうすれば、同士討ちが怖くて手を出せないでショ……ってのが狙いと思わせておいて、本命は別サ。

モグラ型ドローンに凍結剤搭載。地中から包囲を抜けて、敵の背後から攻撃するヨ。ダメージよりも撹乱重視。ついでに関節が凍れば一瞬でも動きが鈍るカモ。

水軍は敵の動きを観察し、木々に光学迷彩で隠れたりしながら逃げ回るヨ。真上に船がいるときに防衛ラインしたら一時的に拘束できないカナ?無理でも大型船なら小回りは効かなさそうだしネ。動きが止まったら燃焼剤を積んだカラス型ドローンで燃やそウ。


イリヤ・レダ
※アドリブ・共闘歓迎です
※ネメシス化すると頭上の光輪と翼だけでなく頭髪も緋色に染まります
(更に長髪化します)

ああ、勇将よ 貴方の云うとおりだ
この「殺し間」の破壊は貴方の撃破とオレ達の生還無くしては成り立たない

さあ、己が刃に命運を預けて渡り合おうか
将がオレ達の前に現れたなら、それは好機でもあるからね

パラドクスは「緋封 解放」を
仲間が活路を切り開きやすいように、オレは水軍を牽制しよう
この、緋色の嵐から容易く逃れられると思わないで

周囲の戦況を確認しつつ、中衛と後衛の中間の様な立ち位置を保ちつつ立ち回るようにする
飛刀を投擲と刻印銃での弾幕で幻惑しつつ味方と意思疎通しながら、好機を待つとしよう


金刺・鞆
これは……ぱらどくすによる召喚……? あるいは交代用に控えていた兵を集めたか。
どちらであっても、あばたーる級の先制を許すことになりそう、かと。
ここが正念場、ですね。

まずは包囲の陣を切り崩したいところ。わたくしの耐久力を活かしてみなをディフェンスしつつ、突破口を探りましょう。
態勢を立て直せるならばそれでよし、なれど包囲が抜けられるものではなかった場合……腹を括ってあばたーる級の撃破からの撤退に狙いを切り替えます。
どのみち集中砲火を受けるのであれば、いっそ【飛翔】してあばたーる級の背面に回り込めたらよいのですが。
是成は血に刻まれし悔恨の一矢――外さない!

撤退時には殿を引き受けましょう。さあ、早く!


黒城・廉也
囲まれちゃいましたか
あれだけドンパチやってれれば、気が付きますよね
殺し間自体はどうにか出来ましたが、この場を切り抜けないといけないッスね……

変わらずパラドクス通信を使い、皆との連携を第一にして動きます
先程以上に周囲の警戒は怠らずに
増援とかに気が付けないと流石にマズイ気がするんで……そこら辺には気を使っていきましょう

完全視界を使い敵の射線に入らないよう、飛び回りつつ、硬魔鋼線を張り巡らせ敵の動きを阻害します
鋼線を切られたとしてもその対応が隙になるはず

敵の動きを絞り込めたなら、全力魔法の込めたパラドクスで一点突破
陣形も船も、撃ち抜いて見せます


篠村・蓮十郎
優位に立っただけで勝った気になっているようだな。
その言葉、そのまま返してやる。

包囲を無力化するには骨が折れるな
時間を掛ければ不利は必至か

壱號機械腕を振るい地面を粉砕
巻き上がる飛礫と土煙で自身の位置を覆い隠し、撹乱を図った上で突撃を敢行
滝川一益を狙い指揮の乱れを誘う

辿る経路は不規則に
味方の動きで敵の隊列が乱れた場合は弾幕が薄くなるであろう位置へ身を滑り込ませ被弾を抑える

防御は正面へ集中させ可能な限り迅速に肉薄
こちらの間合いへ捉えれば直ちに攻撃を仕掛ける
試製鉄刀を大上段から振り落とし、剣法[七胴]の一刀にて奴を両断し斬り捨てる

こんな所で死ぬつもりも無いのでな。
踏み越えて行くまでだ。


ラヴィデ・ローズ
気分屋ベルは暴れるだけ暴れて消えちゃったが
オレはそうもいかないんだよなぁ……

いいさ、こうじゃなくちゃね

パラドクスは『レゼル』にて
操る残像は『ドラゴンオーラ』由来
奇襲の狙いやタイミングを残像で乱しつつ
押し引き、引っ掻き回してやろうか
攻撃は勿論
先に撃たせても敵位置が割れて反撃時の精度が上がるだろうし
仲間の動きにも役立つ筈
針の筵に座らせた、とでも思ったかい
生憎と、逆境には縁があるんだ

【完全視界】で薮や穴みたいな
暗闇に潜む敵の視認性も上がってるかな
油断なく
連携して隙、死角を補い合う
防御時には『sweetie』の結界(術)も緩衝程度に展開
泥臭く喰らい付いていこう
なにせ此処は通過点

死地は自分で決めるさ


眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎

即座に建て直したか、流石にやるじゃねえの
だが、こちとら少数対多の戦いは慣れてんだよ
この程度で墜とせると思ってんなら認識を改めるべきだって事を教えてやらァ

一糸乱れぬ陣形で来ると言うのなら、その悉くを爆滅する
食い破ってやるぜェ……その包囲
手持ちの兵装で味方と連携しながら行く
トラップ生成で足音や物音を発生させる音の罠を敵の背後に仕込み
撹乱する事で的を絞らせないよう立ち回ろう

泥濘の地で足を絡め取る事で、陣形の初動を遅らせる事を試みつつ
味方の攻撃と合わせて狙うは滝川、両の手から伸ばした10本の強化魔力糸で絡めとり周囲の部下ごと一気に爆破して蹴散らそう

いただくぜ!災禍の星よ、爆ぜろォ!!


「即座に建て直したか、流石にやるじゃねえの」
 周囲一帯、巡らせる視界に敵兵の影は無く――しかし、突き刺さる殺気は潜む兵士の存在を雄弁に伝えて来る。
 自分達を包囲する天魔兵の気配に、眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)は小さく称賛の笑みを浮かべ。
「囲まれちゃったカァ。どうしようカナ」
「あれだけドンパチやってれれば、気が付きますよね。殺し間自体はどうにか出来ましたが、この場を切り抜けないといけないッスね……」
 軽く肩を竦めるラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)と、それに頷き返す黒城・廉也(後輩サキュバス・g02175)の言葉に、静かな緊張の色が滲む。
 鉄砲部隊との戦いに集中していたのは確か。だが――それでも、周囲への警戒を怠っていたわけではない。
 その警戒の網をすり抜けて、包囲網を形成されたということは……、
「これは……ぱらどくすによる召喚……? あるいは交代用に控えていた兵を集めたか」
 小さく息を吐き、警戒を深め、金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)は全身に霊力を巡らせる。
 これが敵将のパラドクスによるものなのか、あるいは純粋な用兵の手並みによるものなのか。
「どちらであっても、あばたーる級の先制を許すことになりそう、かと」
 見据える鞆の視線の先で、自然体を崩すことなく――しかし油断なく、ディアボロスと対峙するアヴァタール級天魔武者『滝川一益』。
『『殺し間』の一角は崩されたが、ここでお前達を討てば対価としては十分だ。故にこそ――』
 その手にする刀が、空へと大きく振りかぶられて。
 ――そして、
『さあ、覚悟を決めるがいい!』
 空を裂く一閃を合図として。
 木々の奥から、茂みの影から。
 前後左右、全ての方位から撃ち込まれる銃弾の雨を、鞆の放つ水神の加護を纏ったかるた札の防壁が受け止める。
 殺到する銃弾の雨を弾くたびに防壁が散らされ、しかし、更なる霊力をこめて防壁を強めて押し返し。
「っ、ここが正念場、ですね」
「そう、そして――ここが勝負所だ」
 ぐっと拳を握る鞆にイリヤ・レダ(『緋』を封ずるモノ・g02308)が頷き――呼びかけるのは、自身の内へと沈み込もうとする緋の魔力。
 イリヤの身に封じられし『緋天の力』を今一度開放し。
 髪を、翼を、そして頭上の光輪を、再び緋色へと染め上げて。
 ネメシス化の力と共に緋色の長髪を風に翻し、吹き荒れる緋の烈風と、それに乗せて閃く飛刀の刃が銃弾の雨を打ち払う。
「ああ、勇将よ 貴方の云うとおりだ。この『殺し間』の破壊は貴方の撃破とオレ達の生還無くしては成り立たない」
 周囲を包囲する兵力の底は見えず。
 この場を支配する将である『滝川一益』は、単身で複数のディアボロスを同時に相手取れるほどの実力者。
 互いの戦力だけを比べるならば、詰んでいると言わざるを得ない状況だが――それがどうした。
「くくく。覚悟しろと。結構、結構。分の悪い賭けは嫌いじゃない」
「さあ、己が刃に命運を預けて渡り合おうか。将がオレ達の前に現れたなら、それは好機でもあるからね」
 戦況を冷静に分析し。
 しかし、神山・刹那(梟雄・g00162)は、イリヤは、臆することなく一益を見据えて刃を突き付ける。
 退く道はない。
 ならば、いかな死地であろうとも踏み越えるのみ。
『その意気やよし。だが――できると思うか?』
「さて、どうだろうね」
「できるかどうか――試してみようか!」
 降りかかる銃弾の雨をイリヤの操る念隔式飛刀『緋刃』が閃き弾き返し、その下を身を沈めた刹那がジグザグに走り抜けて距離を詰め。
『鉄砲隊、水軍部隊、照準――放て。刀兵、両翼より追い込め!』
 駆けるその先を先読みするように、続けざまの銃弾が、砲撃が、それらと共に襲い来る斬撃が刹那の刃を阻み。
 飛び退く先を先読みして一益の放つ砲撃を鞆の防壁が受け止め――巻き起こる爆炎が晴れるよりも早く、同時に飛び込むラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)と刀兵が煙の中で刃を交錯させる。
(「気分屋ベルは暴れるだけ暴れて消えちゃったが、オレはそうもいかないんだよなぁ……」)
 『滝川一益』の武装は、刀と銃砲火器と、両の掌に備えた光弾の発振器。
 だが、それ以上に――周囲に布陣する、鉄砲隊、奇襲隊、水軍部隊。
 それら兵団を使いこなす連携攻撃こそが、一益の本領。
 この将と相対することは、ある意味では一つの軍と相対するに等しいもの。
 ――だが、
「いいさ、こうじゃなくちゃね」
 軽く苦笑を零すと共に、纏う呪炎の花弁を後に散らし。
 幻影を残して閃く『レゼル』の刃が刀を弾き上げ。
 続く蹴撃で体勢を崩した兵士を背後へと押しやれば、その兵をすれ違いざまに篠村・蓮十郎(鋼剣・g09914)の刃が切り伏せて。
「まずは指揮の乱れを誘う――砕けろ!」
 その動きのままに握る右腕の義手『壱號機械腕』へと霊力を収束させ、その拳を渾身の力をこめて地面へと打ち付ければ。
 粉砕された地面から巻き上がる飛礫と土煙と。
「こうすれば、同士討ちが怖くて手を出せないでショ」
(「……ってのが狙いと思わせておいて、本命は別だけどネ」)
 さらに、その中を縦横に飛翔するラウムのドローン群が撃ち放つ煙幕弾と。
 幾つもの遮蔽が兵士の視界を遮る中、飛礫を足場として駆ける廉也の鋼糸と人鳥の魔力糸が迫る兵士の腕を縛り、足を払い。
 動きを封じられた兵士へと、身を翻しざまに人鳥の放つ爆槍・爆剣と廉也の放つ魔力弾と。二つの連撃が続けざまに突き刺さる。
「こちとら少数対多の戦いは慣れてんだよ。この程度で墜とせると思ってんなら認識を改めるべきだって事を教えてやらァ」
「ええ! 道を開きます。後は――」
「ああ――優位に立っただけで勝った気になっているようだな。その言葉、そのまま返してやる」
 打ち倒される兵士の脇をすり抜けて、鉄刀と共に蓮十郎が駆ける。
 呼吸を整え、意識を集中し。
 握る試製鉄刀を大上段に構え。
 敵将を見据えてさらに一歩、地を蹴り相手を間合いへと捉え、
「――っ!」
 放つ刃は割り込む兵士を刀ごと断ち切り、さらに先に立つ一益へと走り――しかし、
『ふむ、残念だったな』
 僅かに狙いを逸らされた一太刀は、一益のかざす刀に受け止められ。
 噛みあう刀と刀が拮抗し、押し返され――、
「っ、だが!」
「撃たせませぬ!」
 鉄刀を押し切る刃を飛び退きかわし、同時に蓮十郎が義手より放つ機関銃の連射が一益の追撃を牽制し。
 その弾幕を振り払い、一益の構える砲塔が火を放つよりも早く、鞆の霊矢が砲門を撃ち抜き狙いを逸らし。
『鉄砲隊、3番、4番、撃てい!」
「やらせないヨ――今ッ!」
「「ああっ!」」
 なおも追撃をかける鉄砲部隊の銃撃を、ナノマシンの防壁を装着したラウムのドローンが盾となって受け止め。
 さらに重ねて放つイリヤの飛刃に刻印銃、廉也の展開する四属性の魔法陣からの魔力弾が銃弾を撃ち落とし――、
「さあ――いくぜ!」
 周囲を埋め尽くす銃火の中、気合の咆哮と共に刹那が駆ける。
 叫ぶ闘志に応えるように、渦を巻いてその身の内から溢れ出るのはネメシス化としての力。
 黒髪に白銀の光を宿し、右手に劫火を、左手に蒼雷を従えて。
 切り込む兵士の刃を潜り抜けざまに切り伏せ、その勢いのままに木々を足場に大きく跳躍し。
「断ち切る、受けて見せろ!」
『――っ!』
 飛び込む勢いを乗せて繰り出す斬撃と一益の太刀が打ち合い、拮抗し――押し返されるよりも早く、呪炎を刀身へと纏わせるラヴィデの斬撃が、さらに重ねて人鳥が撃ち込む銃槍の突撃が。
 重ねて放つ三重の連撃が一益の刃を押し切り、退かせ――、
「っ、まだだよ」
「「ああ、まだだっ!」」
 刃を振り抜いた直後、即座に『レゼル』の形態を弓へと切り替えたラヴィデの火矢が、胸甲に太刀傷を刻まれながらも一益が両の掌から放つ光弾を貫き。
 爆ぜる爆風を突き抜け、さらに前へと刹那は、人鳥は、ディアボロス達は駆ける。
「く、くくっ」
 掠める兵士の銃や刃に頬を裂かれながらも、刹那の口の端に浮かぶのは楽し気な笑み。
 一太刀入れたとはいえ、状況はいまだ相手の手の内。順当に戦えば押し負ける可能性の方が高い。
 だが、一太刀は届いた。

「なら、俺は俺の命を全賭けして、お前の首を取り、生きて帰るだけだ。逃げるんじゃねぇぞ? 大将!」


「「「お、ぉおおおおっ!」」」
 斬撃、銃撃、霊矢に魔弾。
 駆けるディアボロスの波状攻撃が包囲網を作る天魔の兵を切り裂き、突き崩し。
『うろたえるな! 刀兵5号、7号は右翼。銃兵8号は左翼、水兵部隊は頭上を死守せよ!』
 ――しかし、一益の指揮の下で動く兵が崩された穴を即座に埋め直し。
 そこより撃ち返される銃砲火器の弾幕と刀兵の刃がディアボロスの攻勢を押し返す。
「包囲を無力化するには骨が折れるな。時間を掛ければ不利は必至か」
「まずは包囲の陣を切り崩したいところ、ですが」
 迎撃の砲火の圧に押し返され。しかし、刃を振るい追撃を切り払い。
 小さく息を吐く蓮十郎に、防壁を展開する手を止めることなく鞆がそっと頷き、周囲へと視線を走らせる。
 周囲に潜み展開する兵団と、それらを率いる将の連携攻撃。
 一糸乱れぬその布陣を破ることは、いかな歴戦のディアボロスといえど、容易くはない。
 ――けれど、
「上等だ。一糸乱れぬ陣形で来ると言うのなら、その悉くを爆滅する」
「針の筵に座らせた、とでも思ったかい? 生憎と、逆境には縁があるんだ」
 砲撃を撃ち落し、斬撃と切り結び。
 怯むことなく、人鳥は、ラヴィデは静かに笑う。
 天魔の包囲陣形は鉄壁――だが、決して無敵ではない。
「食い破ってやるぜェ……その包囲」
 銃弾を切り払うと同時に、人鳥が銃槍より乱れ打つ魔弾が森の奥へと突き刺さり。
 そこを中心として世界が揺らぎ、泥濘へと変わる地面の上に作り出されるのは無数の音響トラップ。
 同時に、
「さて、と……それじゃあ」
 無数のトラップが作り出す足音、物音が響く中。
 その身に纏う『ドラゴンオーラ』を揺らめかせながら、ラヴィデが敵陣の中を駆け抜ける。
 踏み込み、飛び退き、左右へと身を振った直後にさらに前へ。
 泥濘の上を滑るように、踊るような動きで身を翻す度、その背後に幻影を残して。
「これで……どう動くかな?」
 火矢を潜り抜ける刀兵を長剣へと切り替えた『レゼル』で切り伏せ。
 続け、背後から切り込む刃を残像を残して回避しつつ、その動きのままに走らせる刃が受け止めた兵士を背後へと弾き返し。
 そのまま追撃――を、かける寸前で飛び退けば、ラヴィデの目の前を掠める銃弾が残像を貫いて走り抜け。
「おっと――見つけたよ」
「勝負を焦ったな!」
 その銃弾が放たれた先へと、即座に弓へと切り替え放つ火矢と、同時に人鳥の投げ放つ爆槍・爆剣の連撃。
 さらに重ねる廉也の魔弾が、姿を見せた伏兵を打ち倒す。
 音と、視覚と。トラップと技で攪乱するその効果は、決して大きなものではない。
 だが――僅かであっても、相手の包囲を乱すことが、意識を乱すことが出来れば。
「先に見つけられたなら、これで!」
 張り巡らせる鋼線を足場に、木々の陰から蔭へと飛び渡り。
 その動きのままに廉也が放つ魔弾は、動揺する兵士が体勢を立て直すよりも早くその手足を撃ち貫く。
(「これ以上の増援とかは、流石にマズイ気がしますし……ここで突破を狙いたいッスね」)
 廉也の影を追って視線を巡らす兵士の背後へと回り込みざまに、振り抜く鋼線がその身を縛り上げ。
 続けて放つ魔弾は、相手に声を発する間を与えることなくその身を貫き――止まることなく地を蹴る廉也は、鋼線を足場としてさらに大きく飛び上がる。
 張り巡らせる鋼線は、敵を縛る武器であり、自在に戦場を駆けるための足場であり。
 ――そして、敵の動きを察知するための触覚でもある。
「伏兵の居場所も絞り込めたし……一点突破を!」
 戦場に張り巡らせた鋼線が切られる感触から、おおよその兵士の居場所に辺りをつけ。
 鋭く息を吐くと共に無数の魔法陣を展開し、放つ魔弾の連射が包囲網を形成する伏兵たちへと突き刺さり。
 貫かれた穴へと、刹那が駆ける。
「仕掛けるぞ!」
 銃撃を捌き、剣戟を切り払い。
 立ちふさがる兵士を切り伏せると共に、それが崩れ落ちるのを待つことなく脇をすり抜け、さらに先へと刃を走らせ切り結び。
 縦横に閃く刃が無数の火花を散らして兵士を切り伏せ、押し返して。
「崩します!」
「ああ――切り込む!」
 攻勢を押し返されて足並みの乱れた兵士を見据え、鞆の放つ霊力の矢が正面の兵を射抜いて陣形を崩し――開いた隙間へと身を滑り込ませる蓮十郎が鉄刀を閃かせる。
 切り伏せ崩れ落ちる兵士の背後から放たれる砲撃を、身を沈めて不規則な経路で駆ける動きで回避しつつ、さらに地を蹴り前を――その先に立つ一益を見据えて地を蹴って。
「その首、貰い受ける」
『できると思うな、ディアボロス!』
 踏み込み、切り下す斬撃が身を逸らす一益をかすめ――止まることなく翻る刃で放つ弐の太刀、参の太刀が相手の太刀と打ち合い、弾きあい。
「『――っ!』」
 開いた隙間へと、鞆の放つ霊矢が、続けて切り込む刹那の一刀が。
 一益の刀を弾いて肩甲に傷を刻み――同時に一益が左掌から放つ光球が刹那を捉え。
 咄嗟に割り込ませた籠手と、鞆が放つかるた札の防壁を盾として直撃を凌ぎ飛び退く刹那へと、四方からの銃弾と砲撃が殺到するも、
「それ以上ハ、やらせないヨ」
「この、緋色の嵐から容易く逃れられると思わないで」
 ラウムが展開する汎用ドローンにヘリ型ドローン、イリヤの放つ飛刀と刻印銃。
 縦横に空を翔ける無数の刃と銃弾が、追撃をかける銃砲火器の弾幕を打ち落として空に無数の爆炎を作り出し。
 なおも止まることなく――爆炎を突き抜ける砲撃を吹き荒れる緋色の魔力が吹き散らす間を縫って、続けざまに放つドローンの砲撃が上空に浮かぶ大型船へと突き刺さる。
 それは、天魔の水軍兵を乗せた一隻の真白の大型船。
 水上のみならず、陸上も、空中すらも自在に翔けるその存在は、姿を隠して銃を放つ伏兵とは別の脅威となってディアボロスの動きを抑え込む。
 けれど――それが大きい脅威であるからこそ。
 撃破することが出来れば、動きを鈍らせることが出来れば、包囲網を破る助けとなる。
「頭上を取られるのは厳しいけド……」
「うん。あれの動きを止めれば、活路も開けるはず」
 ラウムが、イリヤが、視線を交わして頷き合い。
 タイミングを合わせて真正面から打ち込む二人がかりの弾幕が、船より放たれる銃撃砲撃の連射と撃ち合い、爆炎の華を咲かせ――押し込まれるも、
「まだだっ!」
 迫る砲弾を手元に集束させた緋の魔力壁で逸らしつつ、イリヤの放つ魔弾が砲塔に突き刺さって誘爆を巻き起こし、
 僅かに生まれた弾幕の隙間を縫って戦艦へと翔けるラウムのドローンは、舟を捉えるその寸前で迎撃されるも――しかし、
「本命はこっちだヨ。避けさせはしなイ。大型船なら小回りは効かなさそうだしネ」
 光学迷彩をかけて大きく回り込ませ、さらに上空から急降下させるカラス型のドローンが船へと突き刺さり。
 打ち付ける衝撃に反応し、搭載した大量の燃焼剤が爆発的な炎を甲板へとまき散らす。
 撃沈にはまだ足りず――しかし、上空を抑える水軍の船の動きが、一時、押さえ込まれた隙を逃すことなく。
「今が、チャンス!」
「それじゃ……出番だヨ、みんナ。換装完了。さァ、行っておいデ」
 一瞬だけ、緋の色をより深く纏い。
 解放する緋の魔力風でイリヤが周囲を薙ぎ払い。
 それに合わせて、ラウムが展開する手持ち全てのドローン群が一斉に砲撃する銃弾が、煙幕弾が、火炎弾が。
 幾つもの砲撃と煙幕が兵士の足並みを乱して。
「ああ。大勝負と――行こうか!」
 乱れた包囲網の隙間へと、刹那が気合と共に刃を走らせる。
 左右から、上空から。飛来する銃弾と刃の連撃が、駆ける刹那へと降りかかり――その悉くを、刃と体捌きでかわし、受け流し。
 精神を集中し、聴覚と触角と本能と直感と――その全てで以って周囲の状況を感じ、最良の選択を掴み取り。
「通しませぬ」
「道を開けてもらうっスよ!」
 手を打ち合わせる鞆の柏手の音に乗せて、響き渡る霊力が障壁となって上空からの砲撃を受け止め。
 その防壁の下へと潜り込む刀兵が刃を振るうよりも早く、廉也の振るう鋼線がその腕を縛り――動きを取り戻す間を与えることなく、続く魔弾が撃ち倒す。
「流石に、抵抗も大きいッスね」
 彼らが切り込む経路は、一益が率いる敵兵の布陣――その、最も厚い一角。
 必然、切り結ぶことになる兵の数は最も多く、一歩間違えれば押しつぶされる危険性も最も高くなる経路だけど――、
「ですが、ここさえ抜ければっ」
 砲撃を、斬撃を、受け止める度に障壁越しに伝わる衝撃に小さい体を揺らがせながらも、ぐっと拳を握って踏みとどまり。
 さらに続けて迫る砲撃を見据えると、鞆は障壁を足場として大きく空へと身を躍らせる。
 どのみち集中砲火を受けるのであれば、いっそ纏めて受け止める。
(「包囲が抜けられるものではなかった場合、撤退に狙いを切り替えるのも一つの手。ですが!」)
「いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ」
 両手に手挟む五十音かるたの札に霊力を宿し。
 放つ札は宙へと止まり、水神の加護を宿した障壁を作り出して砲火を受け止める壁となり。
 なおも道を阻む兵士を刃と魔弾で打ち倒し、その脚を止めることなく、刹那は、廉也は、障壁を足場として跳躍する。
 その先に――包囲陣を抜けた先に浮かぶのは、いまだ火の治まらない水軍の白舟。
 船底に備え付けられた無数の砲台が、迫るディアボロスを迎撃せんと動き、狙いを定め――その砲が火を噴く寸前、地上より放たれた銃弾が突き刺さり砲口を白く染め上げる。
 それは、戦場の地下を潜り回り込んだラウムのモグラ型ドローンの凍結弾。
「煙幕もドローン部隊も囮、本命はこっちだヨ。さア、今のうちニ」
「ああ!」
 駆動部が凍り付き、動きを止めた船底へと。
 飛び上がる勢いのままに着地した刹那が地上へと視線を走らせる。
 見据えるその視線の先にあるのは――こちらに背を向けた一益の姿。
「とったぜ」
 もっとも兵力が厚い場所だからこそ、切り抜けた先への相手の警戒は薄くなっているもの。
 笑みを浮かべ、全身に気を巡らせ。
「賭けは俺の勝ちだな。楽しかったよ」
 右手の劫火と左手の雷を『覇龍』の刃に集約し、八相の構えで相手を見据え。
 足場とした船底を蹴り砕く程の踏み込みで刹那は地上へと空を翔け――同時に、さらに上空へと飛翔し回り込んだ廉也が、鞆が、その魔力と霊力を開放する。
「我が元に集うは万象を為す地水火風、内に揺蕩う光闇の心魂。終焉を導く弾丸となりすべてを穿て」
 船を、一益を、視界へと収め。
 廉也が両手を合わせて銃のように狙いを定めれば、その先に一直線に形成されるのは6属性の魔法陣。
「その雪辱をば裔にてはたされよ――神儀金弓」
 静かに目を閉じ、祖霊へと意宣りを捧げ。
 鞆が構える弓につがえられるのは、神力を宿す一本の矢。
「陣形も船も、撃ち抜いて見せます――終の弾丸(ディマイズ・バレット)!」
「是成は血に刻まれし悔恨の一矢――外さない!」
 魔法陣を突き抜け六つの属性を宿して翔ける廉也の魔弾が。
 祖霊からの想いも宿し、渾身の霊力をこめて鞆が放つ霊矢が。
 二人の放つ渾身の射撃が、一益が反応するよりも一手早く、船を貫き一益の砲塔を撃ち抜き爆炎に包み込み。
 ――その爆炎をも断ち切って、走り抜ける刹那が刃を閃かせる。
「雷火の顎よ、我が敵を討て! 雲耀の太刀・天晴!!」
 それは、曇天すら雲を斬り散らし、晴天に変える、究極の一太刀。
 大地すらも砕かんばかりの力をこめて、振り抜く刃は一益の右腕を断ち切り、焼き、爆ぜ散らし。
「っ、まだだ、まだ終わらん!」
「いいや、ここで終わりだ――終わらせる」
 渾身の一刀を放った刹那へと一益が向ける刀を、イリヤが投げ放つ飛刃が弾き返す。
 連携を重ね、包囲を破り、腕を奪い。
 ディアボロスの刃は、あと少しで一益の首に届くまで迫っている。
 だからこそ――決して最後まで、手は緩めない。
「緋封 解放」
 イリヤの翼が、髪が、その全てがより深く緋へと染まり。
 周囲一帯の大気を染め上げる緋色の嵐の中、イリヤは、一益は。
 ディアボロスと天魔武者は、全てをかけてぶつかり合う。
「『――っ!』」
 飛刃と魔弾と風刃。
 刀と光弾、銃砲火器。
 イリヤが続けざまに撃ち込む連撃が、一益が展開する武装の連撃が。
 交錯し、弾き合い――撃ち勝つのはイリヤの緋刃。
 弾幕を抜ける幾つもの刃が、魔弾が、片腕を失い機能を十全に振るえぬ一益へと突き刺さり、その体勢を崩し、
「『まだだっ!』」
 体勢を崩しながらも一益の掌から放たれる光弾と、同時にラヴィデの放つ呪炎の火矢がぶつかり合い。
 相殺しながらも広がる爆炎を突き抜け、飛び込む人鳥が、蓮十郎が、銃槍と鉄刀を一益へと走らせる。
「――おおっ!」
 気合と力と魔力をこめ。
 突き込む鉾先は引き戻す太刀に受けられ、弾かれ――切り返されるよりも早く、側面から切り込む蓮十郎の刃が一益を退かせ。
 続け、飛び退く一益へと人鳥が放つ銃槍の射撃に、それに並走するように切り込む蓮十郎の鉄刀。
 二人がかりで切り込む連撃と一益の武装が交錯し、無数の火花を散らして弾き合い。
 互いに飛び退き距離を取り――しかし、
「こっちだっ!」
 それを許すことなく、イリヤが飛び退く一益を見据え――翼に魔力を纏わせ、羽ばたくと同時に地を蹴り。
 緋の残像を残して一瞬で背後へと回り込むと共に、一益へと掌をかざす。
 その身に封じた緋天の力を限界まで解放し、どこまでも深い緋へと染め上げた大気を一益へと集束させて。
「『語らずのレダ』よ……!」
 呼び声と共に、巻き起こる緋の烈風が一益を中心として渦を巻き。
 逆巻き、立ち上り――作り出すのは天地を貫く緋色の竜巻。
「このまま、押し潰す!」
『舐めるな――ディアボロス!!』
 より強く、より激しく。集束し、荒れ狂う烈風が、内に捕らえた一益を切り刻み――その風を、咆哮と共に一益が打ち破り。
 しかし、吹き散る緋風の残滓を散らし、駆ける人鳥が銃槍を閃かせる。
「ここまで追い込んだんだ。逃げられると思うなよ!」
 駆ける勢いと共に突き込む穂先と一益の刃がぶつかり合い――押し返そうとする瞬間、一益の足元が泥濘へと変じ。
 僅かに崩れた相手の力の流れを利用して、飛び越えざまに人鳥が振るうのは両の手から伸ばす十本の魔力糸。
「捉えたぜ、滝川一益!」
 閃く魔糸が十重に二十重に一益のみを絡め捕り。
 動きが封じられた相手を見据えて人鳥が呼び出すのは、その全周囲を包囲する程の爆槍・爆剣の刀剣群。
「いただくぜ! 災禍の星よ、爆ぜろォ!!」
 一斉に殺到する槍が、刃が、続けざまに巻き起こす爆発が一益を飲み込み、その身を爆炎の中へと飲み込んで。
「「――これで!」」
 ――その炎の先の敵影を、完全視界にて逃すことなく見通して。
 試製鉄刀を構える蓮十郎が、長剣『レゼル』を握るラヴィデが駆ける。
 おそらくは、これが最後の交錯。
 故にこそ、最後まで全力で――切り伏せる。
 炎を裂いて飛来する砲弾を、光弾を。
 前方へと展開する『皮鉄』で受け止め、『sweetie』の結界術で逸らし。
 さらに一歩、踏み込み間合いに捕らえた一益へと、蓮十郎は、ラヴィデは、刃を振りかぶる。
「剣法・七胴――叩き斬る!」
「切り裂け、『レゼル』――ミラージュスラスト」
 大上段から打ち込む、渾身の一太刀が。
 火影の残像を残して横薙ぎに走る、呪炎の一閃が。
 十字に閃く二つの剣閃が、爆炎諸共に一益を切り裂き走り抜け。
「こんな所で死ぬつもりも無いのでな。踏み越えて行くまでだ」
「なにせ此処は通過点。死地は自分で決めるさ」
 そっと息をつき、言葉と共に刃を横へと振り抜いて。
 振り返る二人の視線の先で、切り裂かれた炎の残滓が風に散り。
 吹き抜けたその後には、一益の姿も、周囲に展開していた兵の姿も残ることは無く。
 ただ、静けさを取り戻した森が残るのみ。

「敵将、滝川一益――討ち取った」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【一刀両断】がLV2になった!
【フライトドローン】LV1が発生!
【クリーニング】がLV3になった!
【飛翔】LV1が発生!
【神速反応】がLV2になった!
【光学迷彩】がLV3になった!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【先行率アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV4になった!
【アクティベイト】LV2が発生!

最終結果:成功

完成日2023年08月07日