リプレイ
リナ・ターナー
わ、わた、私、私、私は――(私、なんだっけ? 誰だっけ? ああ、うるさい、『声』が。斃せ斃せ、決して許すな、と脳内の『声』が鳴り止まない。あらゆる思考を、記憶を塗りつぶし、日常、家族、友人、恋人を、大切だった記憶を塗り潰す)――電車に(乗った気がする)――説明を(受けた気がする。斃せ、と)わた、わたしは、斃す、斃す斃す(視界に広がるは砂の世界。熱砂の地平線を、疾駆し)あ、あああ、あ、斃す、斃す、斃す(疾駆し、疾駆し、『白鰐神群』に挑みかかって――)
●斃せ
町外れの空き地でその試験は行われていた。
そこに駆けつけたリナ・ターナー(リターナーの破軍拳士 × カースブレイド・g04038)たちをカバ頭のクロノヴェーダ『タウエレト』は不審な目で見た。
「何者だ? 今は試練の最中である。即刻この場を立ち去れ」
タウエレトを守るように白ワニのクロノヴェーダたち『白鰐神群』が前に出る。
「わ、わた、私、私、私は――」
リナは情けない表情で自問した。
(「私、なんだっけ? 誰だっけ? ああ、うるさい、『声』が。斃せ斃せ、決して許すな、と脳内の『声』が鳴り止まない。あらゆる思考を、記憶を塗りつぶし、日常、家族、友人、恋人を、大切だった記憶を塗りつぶす」)
痛む頭を押さえた。けれどもかろうじて直前の記憶を思い出す。
「――電車に」
(「乗った気がする」)
パラドクストレイン。復讐者だけが乗れる電車だ。
「――説明を」
(「受けた気がする。斃せ、と」)
新宿駅で時先案内人にそう言われた気がする。
ならば自分のなすべきことは。
「わた、わたしは、斃す、斃す斃す」
リナは砂を舞い上げ駆け出した。ワニの群れに真っ直ぐに突っ込む。
「あ、あああ、あ、斃す、斃す、斃す」
群れの中心にたどり着いた。その瞬間彼女の脇腹に一体のワニが噛みつく。
ワニはそのまま肉を噛みちぎろうとした。
リナはそれの腹に拳を叩きこむ。その勢いを殺さず近くにいたもう一体のワニごと拳をねじ込み地面にぶち当てる。
衝撃に砂ぼこりが舞い上がった。
彼女は自身の腹から流れる血を見て高揚感を覚えわずかに微笑む。斃した。斃せた。
――もっとだ。もっと斃せ。斃せ、斃せ。
脳内に声が響く。
「斃す」
そしてリナは次の斃すべき存在に向かって駆け出したのだった。
成功🔵🔵🔴
効果1【エアライド】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
ローレン・ターキー
「どうしてこう、信仰心の高い連中ってのは引っ掛かりやすいんだろうねぇ」
・救助は他のディアボロスに任せ、単独で敵護衛を潰しにかかる
救助活動を始めるところを見られたら元も子もないので、彼らよりも先に武器を持たない状態で白鰐連中の前に姿を現し、警戒しながら近づいてくるだろう一匹に武装解放で取り出した肉断ちの刀を一閃振るう。
・空飛ぶ白鰐の注視を稼ぎ、出来るだけ埋められた生存者の位置から遠ざけるように場所を変えていくのがメイン目標。
そのまま武装解放で武器を使い分けながら白鰐を翻弄しつつ、ホワイトロールで突っ込んできた相手には二手必殺による回避からのカウンターを叩き込みたい。
※アドリブ台詞大歓迎!
●囮
スーツ姿の探偵兼傭兵のローレン・ターキー(喰えない便利屋・g00835)はため息交じりにつぶやいた。
「どうしてこう、信仰心の高い連中ってのは引っ掛かりやすいんだろうねぇ」
蘇ったリターナーたちは信心深いという。落とした命をせっかく拾ったにもかかわらずその信仰心のせいでまた落とす。これではあまりに報われない。
幸い他に救助しようとしている復讐者たちがいる。それを成功させるためには彼らから注意をそらさなくてはならない。
ローレンはタウエレトを守るように前に出た白鰐神群に一歩近づいた。
「いやぁ、俺はしがない探偵兼傭兵なんだが、一度神様と話をしてみたくてね」
傭兵という言葉に一体のワニが警戒した様子でローレンに近づいてくる。
「わた、わたしは、斃す、斃す斃す」
その横をリナが駆け抜けていった。そのままワニの群れへと突っ込んでいく。
ワニの注意が一瞬それた。
ローレンは異空間に収納された肉断ちの刀を解放。それはひとりでに宙を舞い近づいていたワニののど元を掻っ切った。
それを見た別のワニが宙を泳ぎ彼に迫る。
ローレンは目にも留まらぬ早業で横に跳んで攻撃を回避。しかしその方向からも急加速で接近していたワニに右肩を噛まれる。
「ってェな!」
しかしリナのパラドクスの残留効果により肉体を強化されているため大事には至らなかった。
ローレンはバールのようなものを異空間から解放して二体の頭を横薙ぎに殴る。
「神様ってのはこんなもんなのか? もっと楽しませて欲しいな!」
不敵に笑って手招きして見せる。そのまま不自然に盛り上がった地面からゆっくりと遠ざかるように動く。
すると白鰐神群はまんまと彼の誘導に乗りこちらに向かってきた。これで当分は安全に救助活動が行えるだろう。
ローレンはニヤリと笑って敵を迎え撃った。
成功🔵🔵🔴
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
アル・シャラザッド
「ひゃあ!じ、地面から人……いえ、マミーになってしまった方が……!」
まだ完全なクロノヴェーダにはなっていない……なら助けられるはず
こ、怖いですが、救えるはずの人を前に怖がっている訳にはいきません
「ニア(スフィンクス)……お願いします、説得の時間を作るための足止めを」
スフィンクスラッシャーで、護衛等の邪魔を退けます
「思い出して下さい、貴方が蘇ったのはなんの為か……
大切な人、守るべきものがあったからではないのですか……?
神の言いなりにマミーとなってしまえば、その大切な人を、守るべきものを自らの手で壊すことになってしまうのですよ……!
貴方の心は、身体は、それを赦せないのではないでしょうか……?」
●大切な人
「神様ってのはこんなもんなのか? もっと楽しませて欲しいな!」
ローレンの声にアル・シャラザッド(千夜一夜の探訪者・g01492)は我に返った。
「リ、リターナーの人たちを助けないと……!」
アルは盛り上がった地面に駆け寄る。
すると突然その土から人の手が生えた。
「ひゃあ! じ、地面から人……いえ、マミーになってしまった方が……!」
アーティフという名の青年のみマミーになってしまうと時先案内人から説明を受けた。彼はまだマミーになったばかりのためクロノヴェーダとして完全に目覚めた訳ではないという。
(「なら助けられるはず。こ、怖いですが、救えるはずの人を前に怖がっている訳にはいきません」)
仲間たちが体を張って時間を稼いでくれている。傍らにはサーヴァントのスフィンクス『ドニアザード』もいてくれる。一人ではないのだ。こんなところで二の足を踏んでいる場合ではない。
アルは自分を奮い立たせる。そして土をかき分け現れた全身を包帯で覆われたマミーをしっかりと見据えた。
「思い出してください、貴方が蘇ったのはなんのためか……」
「うう……神の、兵に……なる、ため……」
「本当にそうですか? 大切な人、守るべきものがあったからではないのですか……?」
ゆっくりとアルの方へと歩み寄っていたマミーの動きが止まった。
「大切な、人……ラナ……うう、結婚……約束……!」
マミーが頭を抱えて一歩後退る。
「ラナさん。それが貴方の、大切な人ですね……?」
代わりにアルが一歩踏み出す。
「神の言いなりになってしまえば、その大切なラナさんを、守るべきものを自らの手で壊すことになってしまうのですよ……! 貴方の心は、身体は、それを赦せないのではないでしょうか……?」
「……それは、あり得ない」
マミーは顔を上げた。
「彼女は……美しく、賢く、信心深い。神の兵は……神を信じる者を、傷つけない。だから、彼女を傷つけるなんて、あり得ない」
その言葉には今までとは違い強い想いが籠められているようだった。よほど恋人と神を信じているのだろう。
マミーをリターナーに戻すには後一押し必要だ。
成功🔵🔵🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
クロニカ・ベルフォワール
本来戦闘は得意ではなく怖くて足が竦みそう
剣は防御の為に構え防戦
痛くても彼に言いたい事がある
彼は試練を乗り越えた
それほど失った日々は尊すぎたのだろう
「きっと私も貴方と同じ行動をしたわアーティフ…けど」
…少し理解できてしまう
もう一度会えるなら、声を聴けるなら
私も何でも差し出すわ…でも意味が無いの
この世にあの人は居ないから
正直彼が羨ましい位
剣をギュと握る
「ねえ貴方は私とは違う
だって貴方の彼女はこの世で今も待ってるのよ」
「こんな所で何をしているのよ!今すぐ帰って抱きしめて、ただいまって言ってあげなさいよ!」
違うでしょう、貴方がするべき事はと頭でも叩いてやりたい
少しの怒りが乗ったブレイブスマイトを振るう
●伝えたい言葉
戦いを怖がっていたのはアルだけではなかった。
クロニカ・ベルフォワール(夢の面影・g03698)は元お嬢様であるため当然荒事には慣れていない。すくみそうになる足をなんとか踏ん張り魔晶剣を構える。
戦いが怖い彼女がここに来たのはマミーとなったアーティフにどうしても言いたいことがあったからだ。
(「彼は試練を乗り越えた。それほど失った日々は尊すぎたのだろう」)
クロニカにも好きな人がいた。だから理解できてしまう。
(「あの人にもう一度会えるなら、声を聴けるなら、私は何でも差し出すわ」)
目を閉じればあの人と過ごした夢のような時間がまるで昨日のことのようにはっきりと思い起こされる。
「きっと私も貴方と同じ立場だったら、同じ行動をしていたわアーティフ」
(「でも意味がないの。この世にあの人はいないから」)
もうあの人の笑顔を見ることはできない。もう触れることはできない。もう会うことはできない。
「……けど、貴方は私とは違う」
クロニカは魔晶剣の柄を握りしめた。そして目を開きマミーの包帯まみれの顔をにらむ。
「だって貴方の彼女はこの世で今も待っているのよ」
会いたい人に会うことができる。それがたまらなく羨ましかった。
「こんな所で何をしているのよ! 今すぐ帰って抱きしめて、ただいまって言ってあげなさいよ!」
「うう……ラナ……あ、会いたい……!」
絞り出された言葉に勇気をもらいクロニカはマミーに駆け寄る。
「違うでしょう、貴方がするべき事は!」
魔晶剣にほんの少しの嫉妬心とパラドクスの力を込めて強烈な一撃を叩きこんだ。
するとマミーの全身を覆っていた包帯がほどけてごく普通の青年の姿へと変わっていった。アーティフをリターナーへと戻すことに成功したのだ。
彼は涙を流しながら微笑みクロニカたちに歩み寄った。
「有難う……君たちのおかげで、僕は正気を取り戻せたよ……!」
クロニカは苦笑してアーティフの背中を軽く叩く。
「私たちのことはいいから、早くここから離れて。もう貴方がするべきことはわかっているのよね?」
「ああ、ラナの所に帰るよ。本当に有難う、この恩は一生忘れないよ!」
クロニカたちはアーティフが愛しい人の所に向かって走り出した背中を見送った。
大成功🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
四十万・八千代
同じリターナーとしては放っておけないな
二度目の死を迎える前になんとか掘り起こして引っ張り上げてやる
アイテムポケットで穴の砂を収納して、穴の外に出すのも挑戦。効率悪かったら止めて手で掘る
「スコルピオンスティング」の【罪縛りの鎖】ってクロノヴェーダに効くなら穴堀りの邪魔をされないように向かってくる奴等に使う
掘り起こしても逃げないリターナーには説得を
しっかりしろ、折角蘇ったんだろうが
こんなところでじっとしていても砂に埋もれてまた死んじまうんだぞ
あんた達どれだけ幸運だと思ってるんだ、自分の足で、考えで、もう一度大切なもん手に入れられるチャンスが来たんだぞ
二度目はもうないかもしれないんだ、逃げてくれ
イツカ・ユメ
大切な人に会いたいって気持ちは判るし、会わせてくれるって言われたら理不尽な命令にも従いたくなっちゃうのも判る
だからこそ
その気持ちを利用するのが許せないのよ
今すぐにその神様を名乗るやつをぶん殴りたいけれど、
まずは皆を助けるのが先ね
【大声】で呼びかけながら、生き埋めにされた人達を助けるよ
【パラドクス通信】も活用して、他の人達と協力して手分けして素早く救助するね
ほら、キットも手伝って!【ダッシュ】して急ぐよ!
救助した人達には、ここは危ないから逃げるように伝えるね
…あなた達が生きて、幸せになることを
あなた達の大切な人は望んでいる筈だから
こんな所で死ぬなんて大馬鹿野郎よ!
大切な人の分まで生きなきゃダメ!
●それぞれの幸せ
クロニカたちがマミーを説得していたのと同じ頃。マミーになれず二度目の死を迎えようとしていたリターナーたちを助けようとしている復讐者たちがいた。
「同じリターナーとしては放っておけないな」
四十万・八千代(悪食ハッカー・g00584)も一度死して蘇ったリターナーである。それ故にこの理不尽な試練を見過ごせなかった。
「大切な人に会いたいって気持ちはわかるし、会わせてくれるって言われたら理不尽な命令にも従いたくなっちゃうのもわかる。だからこそ、その気持ちを利用するのが許せないのよ」
イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)も八千代の言葉にうなずく。
彼女は記憶がなく自分の大切な人たちがどうなったのかわからない。当然会うこともできない。だからこそ大切な人に会いたい気持ちがよくわかるのだ。
そんな話をしながらも彼らは砂を掘り返していた。
イツカは最初大声でリターナーたちに呼びかけながら救助しようとしていた。しかし大声を出せば白鰐神群に見つかってしまう可能性がある。そこでパラドクス通信を利用して小声で相談しつつ手分けして救助することにしたのだ。
八千代もいろいろと考えたものの結局は自力で掘り返す方が効率がいいと判断。盛り上がった地面を必死に掘ってリターナーたちを引っ張り出した。
「大丈夫か?」
「ゲホッゴホッ……あ、ああ。助かったよ、有難う」
「早くここから逃げろ。また埋められるぞ」
「しかし、神に逆らうなんて……」
コミュニケーションにあまり自信がない八千代。だが人が嫌いなわけではない。人の命がかかわっているのだからと自分を奮い立たせた。
「しっかりしろ、せっかく蘇ったんだろうが。あんたたちどれだけ幸運だと思ってるんだ、皆が皆蘇るわけじゃないんだぞ。自分の足で、考えで、もう一度大切なもん手に入れられるチャンスが来たんだぞ」
「……そうか、そうだよな。有難う、逃げるよ」
一方イツカの方も逃げることを躊躇する少年を説得していた。
「……あなたたちが生きて、幸せになることをあなたたちの大切な人は望んでいるはずだから。こんな所で死ぬなんて大馬鹿野郎よ! 大切な人の分まで生きなきゃダメ!」
「……うん、わかったよ。有難うお姉さん!」
彼らの説得の甲斐あってほとんどのリターナーを逃がすことができた。
だが一人だけどうしても逃げようとしない老人がいた。
「おじいさん、あなたも逃げないと……!」
「ワシはもう、幸せに生きたんだよ。そして家族に見守られて幸せに死んだ。その上神様はワシにもう一度生きる機会をくださった。もう十分なんだよ。ワシはこれ以上など望んでいないんだ」
「そんな……!」
駆けつけた八千代も説得に加わろうとした時。
「白鰐、それは囮だ! 試練を邪魔する者どもを殺せ!」
タウエレトの声が辺りに響く。見つかってしまったのだ。
「わたしたちが時間を稼ぐよ! 丁度神様をぶん殴ってやりたいと思っていたしね。行くよキット!」
イツカとサーヴァントのモーラット・コミュ『キット』が向かってくる数体のワニの前に立ちふさがる。
八千代もイツカの隣に並びながらパラドクス通信でもう一人の仲間に言う。
「敵は俺たちが何とかする。だから、説得を頼んだぞクロム」
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
クロム・クロフォード
おいらは、知ってるんだ
1度いなくなっちゃった家族はもう戻らないて、だってままだって、ぱぱだって、おにぃだって捜しても探しても見つからなかった
うん、分かってる目の前で惨殺されたんだもん、失ったものはもう戻らないて
でも、皆は生き返った
このままだと失った物を戻せるチャンスも
戻せないかもしれないけど、見守れるそのチャンスもなくなるんだよ
皆はそんなの望んでるの?
おいらはわかる望んでないて!
死にたくないて!
この思いを皆に伝えなきゃ!
心情↑
フェアリーコンボを使って、縦横無尽に走り回り自分の思いを、皆に訴え、掘り起こして避難するように誘導する。
妨害された時も、エアライドを使って避けながら伝える。
プレイング↑
●残される者の想い
クロム・クロフォード(ドラゴニアンの妖精騎士・g02791)も八千代とイツカと手分けしてリターナーの救出に当たっていた。砂まみれになりながらも何とかこの付近の最後の一人を逃がした所でタウエレトの怒鳴り声が聞こえる。
「白鰐、それは囮だ! 試練を邪魔する者どもを殺せ!」
慌てて身構えた時パラドクス通信が入った。
「わたしたちが時間を稼ぐよ! 丁度神様をぶん殴ってやりたいと思っていたしね。行くよキット!」
「敵は俺たちが何とかする。だから、説得を頼んだぞクロム」
クロムは拳を握りしめてうなずく。
「わかったよ。おいらに任せて!」
言葉と共に走り出す。地面を蹴って跳びさらに空を蹴ってもう一度跳ぶと邪魔な白鰐神群を飛び越える。そして一人残ったリターナーの元へとたどり着いた。
「おじいちゃん、だめだ!」
リターナーの老人は穴の中へ戻ろうとしていた。
クロムはその老人の手を握って引き留める。
「ワシは試練を受けたいんだ。離しておくれ」
「だめだよそんなの! だっておいらは、知ってるんだ。普通は一度いなくなっちゃった家族はもう戻らないって。ままだって、ぱぱだって、おにぃだって捜しても探しても見つからなかった。本当はわかってたよ、目の前で殺されたんだもん。失ったものはもう戻らないって」
クロムの手を振り払おうとしていた老人の動きが止まった。
「でも、おじいちゃんは生き返った。このままだと家族の成長を見守れるチャンスもなくなるんだよ。おじいちゃんの家族はまた悲しい思いをするんだよ。おじいちゃんはそんなの望んでるの?」
「それは……」
失くしてしまわないように老人の手を強く握りしめた。
「おいらはわかる、望んでないって! 死にたくないって!」
これがクロムのリターナーたちに伝えたい思いだった。家族を失った彼だからこそ失う苦しみがわかる。だからリターナーたちにもその家族にも自分のようになってほしくなかったのだ。
考え込んでいた老人は握られた手を見つめながら口を開いた。
「……神様を裏切るのは恐ろしい。でも孫の成長を見守れないのは、唯一の心残りだったんだ。だから救いのない神の言葉より、心のこもった君たちの言葉を信じることにするよ」
「よかった……!」
老人はクロムたちに頭を下げてその場を後にした。
こうして復讐者たちはすべてのリターナーを救うことに成功したのだ。
大成功🔵🔵🔵
効果1【エアライド】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
リナ・ターナー
(白い脇腹に歯跡が穿たれ、赤い血が零れ、激痛に呻くも、しかし、戦の高揚感が勝って、肉を撃つ響き、にぶい感触に麻薬めいた多幸感を覚え、ああ嬉しくなってきて!!)
あは、……あははははっ!
(哄笑する。無意識に嗤いが出て。斃せ斃せ、もっと斃せ……っ! ちが、ちが、違うの、これは私じゃなくて、私はこんな嗤い方はしないのです。これは私じゃなくて、正常ならすぐに冷静に戻るけれど、だけど、いまは非日常の、戦乱の場――斃せ斃せ斃斃斃せと声が。なら、まだ少しだけ、狂気に浸りたくて、)
(エアライド。空中を蹴って風に乗り、最短距離で翔び、スラリと『妖刀』を抜き、次のワニを勢いままに刺したく、)
●正気と狂気のはざま
最前線で戦い続けるリナ・ターナー(リターナーの破軍拳士 × カースブレイド・g04038)の身体に傷が増えていく。しかしどの傷も彼女の体力を減らすような深手ではない。それどころか傷が増える度にリナの気分は高まっていった。ワニに噛みつかれた脇腹の痛みさえどうでもいい。
(「痛みが、肉のにぶい感触が、麻薬めいた多幸感を覚え、ああ嬉しい!!」)
「あは、……あははははっ!」
楽しくて嬉しくて戦場のど真ん中で高らかに嗤う。けれどもハッとして我に返り普段の情けない表情に戻った。
「ちが、ちが、違うの、これは私じゃなくて、私はこんな嗤い方はしないのです」
誰に言うでもなく自分に言い聞かせるように呟く。
「これは私じゃなくて、正常ならすぐに冷静に戻るけれど、だけど、いまは非日常の、戦乱の場」
――斃せ斃せ斃斃斃せ。
声が脳内に響く。
借りのある人の所に帰らなくてはならない。けれども声が消えてくれないのだ。
(「なら、まだ少しだけ、肉を撃つあの感触を味わいたくて、狂気に浸りたくて」)
気づけば白鰐神群はリナの周りからいなくなっていた。どうやらリターナーの救出をしていた仲間たちが見つかったらしい。
――斃せ斃せ、もっと斃せ。
リナは空を三度蹴って最短距離でワニに追いつく。地に自身の足がつく前に呪われた妖刀を抜き放ち刃にサソリのごとき猛毒を宿らせる。そして地に降りながらワニの背にその刃を突き立てる。ワニの硬い表皮もろとも肉を貫き地に刺さって止まる。
その時のリナは嗤っていたのか情けない表情をしていたのか。それを知る前にワニは事切れた。
敵を斃した高揚感に恍惚としながらも次の標的を探そうとリナはゆっくりと顔を上げる。すると逃げていくリターナーの老人とそれを見送るクロムの姿が目に入る。見回せば白鰐神群は一体残らず消えていた。先程のワニが最後の一体だったらしい。
「おのれぇ……!」
タウエレトがカバの顔をゆがめてこちらをにらんでいた。
「我が神聖なる試練を邪魔する不届き者どもめ! 私が直々に貴様らに神罰を下してやる!」
敵の指揮官たるタウエレトがその巨体を揺らし復讐者たちに襲いかかる。
大成功🔵🔵🔵
効果1【罪縛りの鎖】がLV2になった!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
春原・春雨
助けに来たよー! 死者を騙して手下にしようなんてひどいこと、させないよ!
タウエレトに水の力で対抗しよう!
水の妖精ウンディーネを召喚して、ボクの剣にも水をまとわせる。水の斬撃は距離を取って戦えるから、前に出て戦う仲間を援護しよう。仲間達の攻撃の隙間を埋めて、タウエレトが反撃しにくいようにするよ!
【水上歩行】を残留させるから、タウエレトの水を使った攻撃から立ち直りやすくなるはず。無効、とはいかなくても溺れなくなるし、反撃もしやすくなるはず!
戦いが終わったら、ナイルの流れを見つめて考えてみよう。
クロノヴェーダは生者だけじゃなくて死者の敵でもあることが分かった。生死さえもてあそぶ彼らは何者なんだろう?
クロニカ・ベルフォワール
ご機嫌用
貴方がここのマスター?
何でも愛する者を人質に他者に試練を与えているとか
剣を構えて低い声で微笑む
「ええ、ええ、趣味の悪い事。…私とても怒ってますのよ」
お前達は何の権利があって人から愛を奪い私たちを弄ぶの
何人“私”を増やせば気が済むの
何度私からあの人を奪えば気が済むの
「ふざけんじゃないわよ!!」
怒りで我を忘れそう
怒りが足を動かす為の勇気
怒号を響かせ
ブレイブスマイトで切りかかる
防御をする頭は無く
戦う力はあっても戦う術は知りません
【八千代の手助を受入れます】
ヤチヨの行動に足をとめ
震える手でもう一度剣を握り直す
「ヤチヨ…どうして」
何故あの人も貴方もアーティフも
自分以外の為に傷付こうと思えるの
四十万・八千代
【クロニカをディフェンスする】
確実に守れるわけじゃないのは分かってるんだが
彼女にはこの戦い、最後まで立って見届けて貰いたいと思ったから……出来るだけね
連携して戦える場合は可能ならば、援護を行う
砂だらけだろうしな、足を取られないよう移動には積極的に【飛翔】【エアライド】を使う
周囲が水だらけになったときには【水面歩行】も
敵の「タウエレトストリーム(WIZ)」に対し「イグジストハッキング」を使うことで、
現実世界へハッキングを仕掛けタウエレトの存在を書き換えダメージを与える
……ようこそ、俺の世界へ
大丈夫、これ試練だから。あんたが選ばれし者なら乗り越えて本当の神になれるんじゃないか?
リナ・ターナー
(口元は三日月型に歪み、愉しくて愉しくて、だけどなぜか頬には涙が流れていて、)
(エアライドで最後の巨体へ跳ぶ。「妖刀」に毒を漲らせて)
あははっ
(「神罰を下す」だなんて嗤わせるわ。我らは既に罪人じゃあないか。「戦い」という罰を受刑した「新宿島」の囚人たち。奪われた日常が「罰」だったのであれば、私が、私たちが何をしたと。我らは不当に奪われた!ならば奪い返す権利がある!思い知れっ!我らが――復讐者がこの地に来たぞ!)
(誰かが私と並走しようが眼中に入らず、敵の盾が涙を放つなら水面歩行と二度目のエアライドを併せて涙を越えたくて、刀で切り込みたくて、)
そうだっ!怒れ!赦せるか!赦せるかあーっ!
イツカ・ユメ
周囲の人達と連携を取り合うよ
困った時はクロムくんの指示に合わせるね
相手の動きを【観察】して、弱点等戦闘に役立ちそうな発見があったら伝えるね
水流は【水面歩行】で水面を蹴って【飛翔】と【エアライド】で宙を舞って避ける!
よーし、【レジェンダリースマイト】で皆を応援しつつ援護するね
……奏でるのは過去の伝承歌じゃなくて
いつか、遠い未来に残るかもしれない、今を生きるわたし達の戦いの歌
高らかに歌いながら剣を構え、再現する一幕は先陣を切ったクロニカちゃんの一撃
『ふざけんじゃないわよ!!』
彼女に貰った勇気と、わたし個人の怒りを乗せて全力で叩き込むよ!
もう何も奪わせない
誰も傷つけさせない
覚悟しろ、大カバ野郎!
クロム・クロフォード
作戦(共通事項)
戦闘時に相手に暇を与えないために波状攻撃を連携取れる人で仕掛ける
攻める順
デバフ→攻撃(バフ)→攻撃etcの順にやります。
心情
家族の事を出して、大切な人の事を出して縛り付けてる最低な神に、残してしまった者達の見守りたい会いたい気持ちを利用する神にオイラは怒ったよ!
あんな気持ちもう二度としたくないしさせない!
これはオイラの大切な友達(家族)との絆!
ここに集まったみんなの絆!
みんな行こう!
プレイング
妖精が翻弄し、おいらが力強く攻撃を仕掛ける
【水面歩行】【エアライド】【飛翔】を組み合わせて、水流及び盾から出てくる液体を【水面歩行】で歩き【エアライド】【飛翔】で背後や宙を有利な場所を取る
●怒りと絆を力に
「あははっ」
タウエレトの言葉を聞いてリナ・ターナー(リターナーの破軍拳士 × カースブレイド・g04038)は口角を上げながら紫の瞳から涙を流した。
(「『神罰を下す』だなんて嗤わせるわ。我らはすでに罪人じゃあないか。『戦い』という罰を受刑した『新宿島』の囚人たち。奪われた日常が『罰』だったのであれば、私が、私たちが何をしたと?」)
一方クロニカ・ベルフォワール(夢の面影・g03698)は敵を見据えて魔晶剣を構えながら微笑んだ。
「ご機嫌……よくはなさそうね。あなたがここのマスター? 何でも愛する者を人質に他者に試練を与えているとか」
笑っているがその緑の瞳に怒りの炎が宿っているのは明らかだ。
「ええ、ええ、趣味の悪い事。……わたくしとても怒ってますのよ」
そんな彼女たちをタウエレトは鼻で笑った。
「フン。恩知らずの不届き者どもに語る言葉などないわ!」
タウエレトが愚鈍な動きで地を揺らしながらこちらに向かってくる。
「恩?」
死者をリターナーとして蘇らせたことを言っているのだろう。しかし蘇らせたからといってもう一度死なせてもいい理由にはならない。一体今までどれだけの人をそんな身勝手な理由で殺してきたのか。
(「我らは不当に奪われた! ならば奪い返す権利がある!」)
(「何人『私』を増やせば気が済むの? 何度私からあの人を奪えば気が済むの?」)
リナとクロニカは同時に走り出していた。
だが空を蹴ったリナの方が早く接敵した。敵の盾を飛び越え毒と怒りを宿した妖刀でタウエレトの左肩を貫く。
「思い知れ! 我らが――復讐者がこの地に来たぞ!」
「ぐっ……!」
猛毒に侵され一瞬タウエレトが怯んだ。
そこにクロニカが真っ直ぐに突っ込んでいく。怒りに支配された彼女に最早戦いへの恐怖心はない。蛮勇とも呼ぶべき勇気を以て魔晶剣で敵の右わき腹を切り裂く。
「ふざけんじゃないわよ!!」
我を忘れる程の力を込められた強力な一撃にタウエレトはよろめいて盾を杖代わりに地に刺した。しかしその盾から攻撃直後で態勢を崩したリナとクロニカへと奇妙な液体を噴射する。これがタウエレトの涙、敵のパラドクスである。
妖刀を敵の肩から引き抜き後方へと跳んでいたリナに回避する術はなかった。彼女の身体に液体がかかる。その瞬間一気に体温を奪われ体が震えて身動きが取れず地面に倒れた。それでもリナは歯をガチガチ鳴らしながらクロニカに同調する様に叫んだ。
「そうだっ! 怒れ! 赦せるか! 赦せるかぁーっ!」
その鬼気迫った絶叫をクロニカは棒立ちで聞きながら目の前の背中を見つめた。
「ヤチヨ……どうして」
震える声で呟く。
怒りに身を任せていた彼女は当然防御など考えてはいなかった。そのためタウエレトの涙はクロニカに命中するはずだった。だがそうはならなかったのだ。
四十万・八千代(悪食ハッカー・g00584)が空を蹴り跳んでさらに文字通り空を飛んでタウエレトとクロニカの間に割って入ったのだ。彼女を守るために。
彼にとってもこれは上手くいくかわからない博打だった。それでも彼女の怒声を聞いて手助けをしたいと思ってしまったのだ。
「……君には、この戦い……最後まで立って、見届けてもらいたいと、思ったから……」
それだけ何とか絞り出すと震える指でハッキングツールの起動キーを押した。するとパラドクスの力によりタウエレトの存在情報そのものを書き換え存在をゆがませる。
「これ、試練だから。あんたが、本当の神なら、乗り越えられる、だろ……?」
八千代は今にも膝から崩れ落ちそうになる程の寒さに耐えながら不敵に笑って見せた。
タウエレトは口から血を吐きながらも未だその戦意を失うことはない。
「……恩知らずの、愚か者どもめがぁ!」
突然地面を割って膨大な水流が噴出。その勢いのまま水流は八千代へと向かっていき簡単に彼を吹き飛ばした。
「ヤチヨ!」
呆然としていたクロニカは空を舞い地面に打ち付けられた八千代に駆け寄る。
「何故あの人もあなたもアーティフも、自分以外のために傷つこうと思えるの……?」
クロニカは寒さに震える八千代を助け起こす。
そんな二人と震えながらももがき立ち上がろうとするリナの前に三人の復讐者が守るように立つ。
「死者をだまして手下にしようなんてひどいこと、もうさせないよ!」
「家族や大事な人のことを出して縛り付ける最低な神に、残してしまった者たちを見守りたい、会いたい気持ちを利用する神に、おいらは怒ったよ!」
「もう何も奪わせない。誰も傷つけさせない。覚悟しろ、大カバ野郎!」
春原・春雨(記憶喪失の王子様・g01554)とクロム・クロフォード(ドラゴニアンの妖精騎士・g02791)、イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)の三人だ。
クロニカの怒号とリナの絶叫、そして八千代の献身を見聞きして憤らない復讐者などいない。彼らの力の源はクロノヴェーダを許せないという怒りなのだから。
「みんな行こう!」
クロムの声をきっかけに彼と春雨がタウエレトに向かって走り出す。
それと同時にイツカは琴剣『smile song』を奏で歌う。その歌は伝承と呼ぶにはあまりに未熟でつたない。けれども友への想いがこもった歌で聞くものに勇気と希望を与えた。さらにそれはタウエレトの目前にクロニカの幻影を生み出す。
『ふざけんじゃないわよ!!』
幻影は先程のクロニカの攻撃を再現するようにタウエレトの右わき腹をさらにえぐった。
「おのれぇ!」
地中から再び激しい水流が噴き出しイツカを襲う。
だがイツカは敵の動きをよく観察していた。そのために攻撃の瞬間がわかり空を蹴って水流を回避する。
「今よ春雨くん!」
敵がイツカに気を取られている隙にすぐそばまで迫っていた春雨。彼は水の妖精ウンディーネの魔力を魔剣「クラウドバースト」に宿らせ真正面から斬撃を繰り出す。それは正確にタウエレトを捉えた。
しかし相手は川の神。水属性では相手に分がある。
「この程度で、私を倒せると思ったか?!」
ダメージは微々たるものだった。
タウエレトはクロノヴェーダの時間改竄の力で一瞬で距離を縮める。強靭なカバの膂力でハンマーを横薙ぎにして春雨の腹部を強打した。
「がっ……!」
春雨は衝撃で後方に吹き飛び地に伏した。残留効果で肉体が強化されていなければ気絶していただろう。
「隙は作ったよ、クロムさん……」
間髪入れずクロムが召喚した妖精が風の魔法でタウエレトを切り裂く。その間にクロムは空を蹴って敵の頭上を飛び越え背後に回る。そして地面へと落ちながらパラドクスの力を込めたフェアリーソードでタウエレトの背中を切り下ろした。
「これはおいらの大切な友だち、家族との絆! ここに集まったみんなの絆だ!」
「そんな……この、私が……こんな、愚か者どもに、敗れる、など……」
息つく暇も与えぬ復讐者たちの連携に遂にタウエレトは力尽き倒れた。巨体により地が揺れ砂ぼこりが舞い上がる。以後それが動くことはなかった。
「……やった、みんなやったぞ!」
勝利の喜びに彼らは歓声を上げた。
戦いの余韻に浸りながらも春雨は物思いにふける。
(「クロノヴェーダは生者だけじゃなくて死者、というか蘇ったリターナーの敵でもあることがわかった。生死さえ弄ぶ彼らは何者なんだろう?」)
その答えはまだわからない。ディヴィジョンの調査が進めばいずれわかる日が来るかもしれない。
こうして復讐者たちはリターナーの犠牲を一人も出すことなく事件を解決した。彼らはリターナーたちが二度と大切な人と別たれぬようにと願いながらパラドクストレインに乗り込んだのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【水面歩行】LV1が発生!
【託されし願い】がLV2になった!
【無鍵空間】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】がLV3になった!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【エアライド】がLV3になった!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【命中アップ】がLV3になった!