【大戦乱群蟲三国志奪還戦】アルタン・ウルク

 このシナリオは【大戦乱群蟲三国志奪還戦】に関連する特別シナリオです。
 大戦乱群蟲三国志のジェネラル級及び、排斥力の低下した大戦乱群蟲三国志に攻め込んできた、吸血ロマノフ王朝、冥海機ヤ・ウマト、蛇亀宇宙リグ・ヴェーダ、アルタン・ウルクの4ディヴィジョンの軍勢に対して、戦闘を仕掛けます。
 この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
 勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。

 このシナリオの攻撃対象は、西涼方面から侵攻してきた『アルタン・ウルク』の軍勢です。
 アルタン・ウルクは、クロノヴェーダとしても異質な存在であり、襲撃を行う際は十分に注意する必要があるでしょう。
「成功したシナリオ数×5%」だけ、「㉓アルタン・ウルク」の敵残存率を低下させます。

【大戦乱群蟲三国志奪還戦】アルタン・ウルク行進(作者 ツヅキ
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 不気味な音が遠く響いた。
 それは地響き。
 西涼の荒野を異形たちが群れだって進む時に起こる大地の悲鳴だった。
 形容しがたい闇色の巨体は節々が蠢き、赤く光る眼球のような器官が無数に輝いていた。
 その名はアルタン・ウルク。
 あらゆるものを蹂躙しながら突き進む、異形の群れ――。

 大戦乱群蟲三国志における断片の王の候補は三人。曹操・劉備・孫権の三英傑が競い合い、強大な断片の王を生みだすことで七曜の戦の勝利を目指していた。
「けれど、ディアボロスによって『呉王・孫権』が撃破され、三国最大の勢力を誇った『魏王・曹操』さえも倒された。消去法的に選ばれた『蜀王・劉備』では断片の王に覚醒しても力不足。排斥力は低下し、周辺ディヴィジョンからの侵略に脅かされているという状況よ」
 まさに四面楚歌の状況を打開するため、劉備は『魏への北伐』と『呉への東征』を宣言する。
 諸葛亮に『出師表』を読み上げることを命じ、史上最大規模の大戦乱を引き起こそうと動き出したのだ。
「大戦乱に巻き込まれた人々は虐殺され、そのエネルギーと死体を使った戦力増強が劉備の狙い。これを阻止するため、『大戦乱群蟲三国志奪還戦』を仕掛けることが決定したの」
 この戦争に先駆け、中国全土で大戦乱を引き起こそうとする蟲将の軍勢及び周辺ディヴィジョンからの侵略者の軍勢に対するファーストアタックが実行される。
「これは軍勢の戦力を戦争前に削いでおくことを目的とする強襲戦よ。今回の相手は正体不明のクロノヴェーダ、アルタン・ウルク。その行進はとても本能的で、何を考えているのかは一切わからない」

 アルタン・ウルクは謎に包まれた存在だ。わかっていることは、強い、ということ。『司馬懿』の命令でディヴィジョン北西部を監視していた蟲将『王異』でさえ、即時撤退を命じるほどの。
「気を付けてね。とても、恐ろしい何かを感じる。無理はしないで、撤退のタイミングを見失わないようにね」


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。

 まだ、残留効果はありません。

●マスターより

ツヅキ
 これは 【大戦乱群蟲三国志奪還戦】に関連する集団戦一章のみの特別シナリオです。
 西涼方面から進軍してくるアルタン・ウルクの迎撃を行います。

 成功した本数に比例して、『㉓アルタン・ウルク』の敵残存率を低下させることができます。

●大群のトループス級『アルタン・ウルク』
 謎の勢力であり、クロノヴェーダとしても異質な特徴を持っています。
 会話は行わず、知性があるかも不明です。
100

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


三苫・麻緒
なんというか、エゼキエルのアークデーモンより悪魔っぽくない?
なんて、まずは目の前のことに集中しないと
見た目がかわいかろうがキモかろうがやることは同じだよ

具体的な強さの理由や程度、統率の取れた行動の可否等相手の動きを≪観察≫して、撤退タイミングの判断材料を集めるよ
退路を塞がれないよう位置取りも注意
あとは≪風使い≫で吹雪の風速を上げて出し惜しみなしでぶつかってみる!
他の人と狙いを合わせて確実に数を減らしていきたいね
目の周りに吹雪をぶつけて相手の視界悪化も狙えたらいいな

反撃は加護の力で素早くガードを固めるのが得策かな
可能なら光線が直撃しそうな場所に力を集めてしっかり受け止め切れるようにしたいね


平良・明
正直な感想、気味が悪いです
ここまで気味が悪いのは不思議なものです

初めて相手する敵なので十二分に気をつけて
ご安全に精々数を減らしていきましょう
大軍であるなら狙いを付けずに狙えるのがよい
「ベディヴィアフレイム」を使い敵群に向けて火炎を放射します

ちょっと、なるべく触られたくはないので後退しながら戦います
知性どころか生き物っぽさも感じられないので、囲まれないように敵の動きに対処

考え無しならそれはそれで相手しやすいです
無理はせずに、味方と連携しつつほどほど削ったら撤退に移ります


神坂・樟葉
連携アドリブ歓迎。

角と牙の生えたイカスミパスタと言ってはみたが、ありゃ異形の者じゃのう。
妄執に取り憑かれておるようにも見えるか……はてさて。
強さが分からん以上、ひとまず様子見じゃな。喰界、食えるようなら食ってしまえ。


目的は敵の戦力を少し削る事と、敵の能力を見る事。
ある程度戦ったら撤退を進言する。殿に式神を利用してもよさそうなら利用する。


フミラ・ヴィグリーノ
モンゴルというと匈奴とかの騎馬軍団をイメージすると言いますけどあれはウマとは言えませんよね?
敵の眼球の動きに気を付けながら距離を保って高速詠唱、全力魔法で一刻も早く目の前の敵を氷漬けにして斬り砕きます!
ビームは挙動を見てとにかく回避!身を護る術がないので当たったら不味いですし・・・・
敵がこんな感じではモンゴル側に人は存在するのでしょうか?


テクトラム・ギベリオ
様々なものを見てきたがあれは…あれは生き物なのか?
呪いか怨嗟が具現化したと言われた方がまだ信じられるぞ。
敵勢力が即時撤退するほどの力だ、十分に警戒しよう。

知能はあまり高くないようだが、群れで行動するあたり侮れん。
【パラドクス通信】で仲間同士位置や状況を確認しよう。
こいつらについて分かる事があれば尚良いが…。一先ずそれは置いておく。

あの赤いの全てが眼球と思うと悪夢だが、光線の出処が見えているのは幸い。
「念珠操術」で眼球に攻撃し、光線の軌道に注意し直撃を避けながら対処する。
【通信】を活用し仲間と連携を取り死角から敵を減らそう。

数が減っていると良いが…退き際が肝心だ。
被害が大きくなる前に撤退するぞ。


ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎

モンゴルで四狗というと四駿四狗というのが居たな
他のパラドクスも含めて一応、モンゴルの連中に関連する名前ではある様だが……
何れにしても少しでも多く情報を得て対処しないと、だな

モンゴル帝国には俺にとっての未来でキエフ大公国、俺の故郷を滅ぼすらしい事に思う事は在るが……流石に此れは、な

相棒の無双馬に〇騎乗して〇ダッシュで駆け抜け敵から距離を取りつつ戦闘

其処に〇高速詠唱の〇連続魔法で敵の視界を遮る事狙いの〇天空神の怒りと〇光(使い)の〇誘導弾の〇弾幕による閃光弾擬きを叩き込んでいく

又、〇完全視界を活かし敵の動きや状態等を〇観察
少しでも情報を〇看破出来るように〇情報収集も戦いながら行う


伏見・逸
(連携アドリブ歓迎・残留効果はできるだけ有効活用する)
おう、こいつはまた…なんだろうな、モップのバケモンか?
…ああ。だが悪くねえ。てめえらが俺の禍か、俺がてめえらの禍か、試してみようじゃねえか

周囲のディアボロスと連携し、隙や死角ができないように動きでフォローする
敵を観察し、習性や弱点がないかなどの情報をできるだけ収集する
【禍竜の鉄槌】使用で攻撃
撃破可能な個体を優先して狙い、できるだけ効率よく数を減らす
【泥濘の地】で敵の動きを鈍らせ、観察と撤退をやりやすくする
敵の触手は長ドスで斬り落とす

撤退判断は周囲のディアボロスと合わせるが
出来るだけ粘り、全員の離脱を確認してから撤退


レオニード・パヴリチェンコ
……ん。知性の有無、という意味では巨獣も近かったけれど
不気味さならこちらが数段上……いや、遥かに、かな
でも、敵として戦うのなら必ず撃ち抜く
それだけ、だよ

……七曜の戦ももう遠くない
未知の……それもこんな不穏そうな相手なら僅かでも情報が欲しい
多少の無茶は……してみせよう

蟲将のジェネラル級が撤退した以上、姿形に差異がないとしてもジェネラル級に相当する個体が居る筈
その存在を探しながら突っ込むよ

突進してくる巨体を掻い潜るようにしながら中を突っ切りながら、眼球へ魔弾を撃ち込む
発射する場所が分かるなら多少は避けたりして傷も抑えられる筈
それにあの巨体の動き、小さな敵を狙って潰すには向いていない……その隙を突く


御門・風花
連携やアドリブ歓迎します。

「どんな敵が相手でも、迎撃するだけです」
右手で『白銀の魔剣』を、左手で『黒鋼の魔剣』を抜刀し、逆手二刀で構えます。
「ミセリコルデ、戦闘を開始します」
パラドクスを発動。敵に動じずに目を閉じて敵の動き、周囲の気の流れに【精神集中】します。
「アルタン・ウルク。何度見ても嫌な気配がします」
パラドクスによる気の察知で虚空からの召喚攻撃を感知し、得意のスピードで回避しつつ、高速で魔剣を振るい、敵の巨体や召喚された群れを雷刃で【両断】します。
「視えていますよ」
共に戦う仲間を守るために、風花は怯まずに【勇気】を以て前衛として敵を引き付けます。

深追いはせず、味方と協力して退避を。


ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に

……事前に情報は貰ってたけどさあ
気持ち悪い!怖いよ!!モンゴルどうなってるの?
まあ、ここまで来たからにはやろう、うん

“金杯”を傾け、穢れが溢れる
――伝承、開放
攻め寄せる異形の波濤へ、
荒野を染める穢れの領域と竜頭の獣達で溶かしにかかる
逃げながら戦うってなると、僕はこれが一番だと思ったからね
……にしても!知ったこっちゃないって来られると自信なくすなあ!

反撃に際してはMoon-Childを外骨格化させ、衝撃に備えつつ
穢れを変幻自在と扱う【闇使い】の技で、
障壁めいて立ち昇らせ威力を減らす努力はしとく!

遅れてる味方がいるならディフェンスして助けに行って、
引っ張って撤退するよ!


白戸・もがり
いやあ、コレ戦っていい相手なのかな? って思っちゃうくらいだ
でも数を減らせるなら、それに越したことはないしねえ。お手並拝見だよ


本能的な行進ってことは、あんまり戦略的な行動はしないと思うけど
進行方向に立つのは危なそうだから、大群の側面にいる敵を狙って攻撃していく
囲むくらいのことはしてくるかもだから、兎に角引き撃ち作戦でいこう
後退しつつ攻撃、狙った相手から確実に倒す。これで敵全体の様子を見る

具体的な強さにもよるけど、それで数える程度の敵だけが釣られてくるなら順に倒し
大群が丸ごとこっち来そうなら、或いは距離が近くなり過ぎた段階で撤退するよ
侵攻速度が速いなら、少し早めに撤退開始する事は念頭に置いておく


「わ……」
 三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)は思わず息を呑んでその光景を見つめた。
 一面の、蠢く黒色。体表を覆う触手のようなものは獲物を求めるように波打ち、赤く輝く眼球をぎょろぎょろと前後左右に動かしている。
「なんだか、エゼキエルのアークデーモンより悪魔っぽくない?」
「うむ。まさしく異形の者じゃのう」
 まじまじと、神坂・樟葉(自称超特級厨陰陽師・g03706)はアルタン・ウンクの大群を見晴るかした。地平線まで地上を埋め尽くすほどの大群であった。
「これではまるで角と牙の生えたイカスミパスタじゃな」
「少なくともウマとは言えませんよね。モンゴル――即ち匈奴といえば騎馬軍団のはずですが、まるで相似性が見えてきませんわ」
 ため息をつくフミラ・ヴィグリーノ(未踏の沃野・g09477)の感想は最もである。ただでさえ不気味な外観をしているのに、さらにあの赤く輝く眼がより一層恐ろしげな雰囲気を醸し出しているのが遠目からでもよくわかった。
「モンゴルで四狗というと四駿四狗というのが居たけどね。他の要素もかなり関連性が高そうに想えるけど……」
 同じくモンゴルに注目するルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)は無双馬『スヴェルカーニエ』に飛び乗って馬首をめぐらせる。
「できるだけの情報は得たい。けど、距離も取りたいところだな」
「そうなりますね。あまり近づきたい相手ではありません。慎重にまいりましょう」
 フミラは相手が視界に入った時点で高速詠唱し、猛吹雪で迎え撃った。表面を凍てつかせる氷結すらもアルタン・ウルクは力ずくで割り進みながら進軍を続ける。
 ルィツァーリは相手の側面すれすれを疾駆しながら目を凝らした。しかし、外面を観察する過程で特に新たな情報は得られそうになかった。
「正直言って、あまりお近づきになりたい相手ではありませんね」
 よくもまあ、ここまで気味悪くいられるものだと平良・明(嶺渡・g03461)は感心すら覚える。
「やろうと思ってできることじゃないですよ。十二分に気を付けて相手してやらねばなりません」
「ああ、まるでモップのバケモンみてぇだ」
 伏見・逸(死にぞこないの禍竜・g00248)は明と連携しつつ死角を無くして布陣を試みるが、すぐにそれが意味をなさないことに気が付いた。
「ちッ……」
 波濤のごとく押し寄せるアルタン・ウルクは何も考えていない。ただ前へ突き進むついでにこちらをその触手で引き千切ろうとしてくるのみだ。
「……だが、悪くねえ。てめえらが俺の禍か、俺がてめえらの禍か、試してみようじゃねえか」
 急降下で突っ込む逸は力ずくで敵の巨体を穿ち、明の放射する炎の渦のただ中へと叩き込む。
「炎の海も構わず、ですか」
 距離をとって後退しながら明はさすがに呆れ顔だ。知性どころか生き物らしさの欠片すらない。
「あれは生き物なのか、本当に?」
 眼球の光線が掠めた頬を手の甲でぬぐい、テクトラム・ギベリオ(砂漠の少数民族・g01318)は乾いた笑い声を立てた。
「私も戦いのなかで様々なものを見てきたが……いっそのこと、呪いか怨嗟が具現化したと言われた方がまだ信じられるぞ」
 とにかく、情報収集は後回しにして相手の死角から攻め込みたいところだ。とはいえあれだけ眼球があると一口に死角といっても難しそうではあるが。
「……ボクは、ジェネラル級を探してみるよ」
 通信機から聞こえるのはレオニード・パヴリチェンコ(“魔弾卿”・g07298)の淡々とした声色だ。
「危険だぞ」
「……でも、ただ眺めているだけじゃ新しい情報は手に入らなそうだ。多少の無茶は……してみせるさ」
 レオニードは狙撃用ライフルを手に巨体の足下をかいくぐる。御門・風花(ミセリコルデ・g01985)の構える白銀と黒鋼の魔剣が陽の光を受けて閃いた。どんな敵が相手でもやることは変わらない。
「さあ、いらっしゃい。――ミセリコルデ、戦闘を開始します」
 目を閉じても――否、閉じるからこそ感じられる気配という名の不可視の像。アルタン・ウルクは自らが翻弄されていることに果たして気が付くだろうか。
「何度見ても嫌な気配です。背筋が凍り付くような……アルタン・ウルク、お前はいったい何者なの?」
 食らいつく巨大な牙の群れごと雷刃で斬り捨て、風花は物言わぬ巨体を仰ぎ見る。ぞっとするほどに不気味な眼光だ。召喚した牙の群れを念動力で操り、一斉に撒き散らしてくる。
「き、気持ち悪い! こんな怖いのが跋扈してるなんてモンゴルどうなってるの?」
 ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)の手元の金杯からあふれ出した穢れが迫り来る漆黒の波濤と混ざり合うように抗った。
 異形には異形を。竜頭の獣達は変幻自在に触手で覆われた巨体と組み合い、溶かし尽くそうと試みる。自らはそれでも足を止めない群れに呑み込まれないよう、常に逃げ続けながらの戦いだ。
「くう……!」
 とっさに外骨格化させた獣を盾ににして衝撃に備える。
「もう、どんだけなのさ!」
「いやあ、コレ戦っていい相手なのかな? ってレベルだよねぇ。とはいえ放っておくわけにもいかないし、お手並み拝見するよ」
 白戸・もがり(葬送の虎落笛・g02018)は大群の進行方向からぶつかるという危険を冒さずに側面側から攻撃をしかけた。
 前へ、前へ――本能のままに移動し続けるアルタン・ウルク相手に対しては有効な手であったようだ。まるで支流のように端にいた数体が、軟風に擬態した鎌鼬を後退しながら撃ち放つもがりを目指して本隊から離れる。
「ひたすらに進み、獲物を追うか。妄執に憑りつかれておるようにも見える能」
 樟葉はひとまず様子見を選んだ。とはいえ、眺めていたところで何か新情報が得られるようにも感じられないのが歯がゆいのだが。
 はらぺこの喰界ですら不味そうに齧りついているのを見るに、一筋縄ではいかない相手なのは明らかだ。
「これじゃ埒が明かないなあ。少なくとも、統率が取れてるって感じはしないけど……なら、こうだ!」
 風速を挙げた吹雪が吹き付け、アルタン・ウルクを真っ白に染め上げる。まったく何も感じないわけではないだろうに、彼らが足を止める気配はなかった。むしろ興奮し、さらに暴れようとする。
「前が視えようと視えまいと関係ないってわけ?」
「筋金入りだな」
 テクトラムが指を組み念じる力が眼球を穿った。体液のようなものを垂れ流しながら、アルタン・ウルクはそれでも突き進んだ。
「……まさに化け物か」
 あの赤く光る物体が全て眼球だと思えば悪夢そのもの。それでもテクトラムは目を背けず、光線の出処を見極めて可能な限りこちらの損害を抑えようと力を尽くした。
「突っ込むのは危険だ、退きながら戦おう!」
 スヴェルカーニエの手綱を掴み、ルィツァーリも追いつかれないように加速する。
「早い――」
 恐るべき速度でこちらを追い、並走してくるアルタン・ウルクの鼻先で天空神の怒りが弾けた。後ろ向きに跳びずさりつつ、明も火炎で応戦する。
「呑み込まれたら逃げ場がありませんね。まあ、考え無しに進むことしかしないのであればそれはそれで相手がしやすくもありますが」
「それにしても、クロノヴェーダがこれではモンゴル側に人は存在するのでしょうか……」
 フミラの吹雪に捲かれた個体が刃に裂かれ、ようやく失速し始めた。飛び交う光線が肌を裂き、鮮血が滴り落ちる。逸すが舌打ちした。
「まったく、何が何だかわかりゃしねえ奴らだぜ」
 どうやら、こいつらを調査するにはそれなりの準備がいりそうだ。見てくれからだけでは想像することしかできない。というか、見れば見るほど謎は深まるばかりだ。いまならこいつらを見て驚愕した蟲将の気持ちがよくわかる。クロノヴェーダの中でも異質な存在、それがこのアルタン・ウルクなのだ。
「足下にご用心だ」
 泥濘の地に嵌ったアルタン・ウルクの速度が目に見えて鈍る。逸は長ドスで触手を薙ぎ払い、仲間に声をかけて無事を確かめた。
「気を付けろよ、こいつら普通じゃねぇ」
「ええ。とても危険な相手です、遅れを取らないようにしなければ」
 風花は仲間を庇うように体を割り込ませ、踊るように戦場を動き回った。アルタン・ウルクの牙を斬り捨て、本体に刃を突き刺して止めを与える。一体を斃すだけでもかなりの苦労があった。
「ッ……」
 レオニードは荒い息をついた。もしいると仮定すれば最も深部にいるであろうジェネラル級を捜索することの難しさ。
 確かに体の大きさにおいて小さなこちらを狙って潰すには向かない体だ。しかし相手は大群、一体や二体が逸れても後から現れる無数のアルタン・ウルクが襲いかかる。
 眼球の位置から光線の軌道を予測するのもこれだけ周りに敵がいては限界があった。
「さすがに、退くべきか……」
 眼球のひとつを魔弾で撃ち抜いたのを最後にレオニードは撤退を決める。
「大丈夫、こっちへ!」
 とっさにロキシアが助けの手を差し伸べ、レオニードを群れの外まで引っ張り出した。
「間に合ってよかった! ……にしても! 知ったこっちゃないって来られると自信なくすなあ!」
 急いで離脱しながら、獣たちにはまだ攻撃を続けさせる。逃げながら戦うには有能な子たちだ。途中でもがりと合流し、敵の進行速度に舌を巻きながら置き土産を擲った。
 アルタン・ウルクを刻み、頽れさせたその体を乗り越えて次が現れる。きりがない、ともがりはため息をついた。
「釣られて分断した分はなんとか倒せたし、戦果はまあまあってところかな? このまま足を止めずに振り切ろう」
「わかりました」
 仲間と足並みを合わせ、風花も撤退に加わる。
「視えていますよ」
 刃が稲妻を導き、追手を引き離そうと抗った。
「先に行け」
 仲間の背中を守るように、逸はアルタン・ウルクの頭上から急降下してその体を砕いた。1体でも多く倒す、という気迫と誰一人逃げ遅れさせはしないという意思。
「殿は式神に任せておくれ」
 樟葉の期待に応え、喰界は最後の最後まで大暴れする。その間に明、麻緒、フミラが戦場を離れた。ルィツァーリは目を凝らし、不測の事態が起こらないかどうか敵の姿が地平の彼方に消えるまで見守った。
「モンゴル帝国……俺にとっての未来、俺の故郷であるキエフ大公国を滅ぼすという国……」
 アルタン・ウルクの死骸から匂う腐臭が風に乗ってここまで届いた。
「それなりには倒せたか」
 テクトラムは呟き、考え込むように口元を手で覆う。ある程度の距離が開いてしまえばアルタン・ウルクは途端に興味を失ってディアボロスから離れていった。
 大地を掘削し、貪りながら突き進むアルタン・ウルクの行列はそれ自体が一個の生物であるかのように蠢き、蹂躙しながら留まるところを知らない。果たしてそれらが何者なのか、アルタン・ウルクの正体は謎に包まれたままであった。
苦戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

最終結果:成功

完成日2023年04月11日