春告草の咲く頃に(作者 椎名遥
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#天正大戦国  #多脚城塞『千早城』からの救出  #河内国  #於犬の方  #千早城 

 河内国の山の奥。
 再建された新たなる『千早城』の前で、二つの影が言葉を交わす。
「信長様の安土城とは比べ物にもなりませんが、この千早城も難攻不落の名城。於犬の方の居城として相応しい」
「あとは、燃料になるヒルコ達が届けば起動できるという訳ですね」
「そちらもワイが万事手配しておりますから、ご安心を。於犬の方は、動力部の最終調整を行っていてください」
「これで、この私も、一国一城の主ですね。ヒルコと燃料が届くのが待ち遠しいです」
 『豊臣秀吉』、そして『於犬の方』。
 城を見上げる二体のジェネラル級天魔武者の笑い声が冬の山中に響き渡り――。

 ――そして、月日は巡り。

「届きませんねぇ……」
「届きませんなぁ……」
 夕焼け色に染まる本丸から山の向こうを眺めつつ、於犬の方がこぼした呟きに秀吉も首を傾げつつ頷き返す。
 動力部の最終調整もとうに終わり、燃料さえ届けばいつでも城は動き出せる。
 ……けれど、まだ届かない。
 季節は冬から春に変わり、緑の新芽が顔を見せ始めているというのに――いまだに、一人の村人も到着しない。
「その……これはちょっと、遅すぎるのではないでしょうか?」
「ううむ……」
 多脚要塞『千早城』。その強みはいかなる地形であろうとも踏破し、自由に移動できることにこそある。
 故に――動けなければ、無駄な仕掛けを抱えた小型の城でしかない。
「……もうちょい、待ってみましょう。先日、特急便を手配しましたんで、そいつらさえ届けば何とかなるはずです」
「早く届くといいんですけどねぇ……」


「みんな、集まってくれてありがとう!」
 新宿駅グランドターミナルに集まったディアボロス達に満面の笑顔で挨拶をすると、サルタディア・ウェンテスタ(人間のナイトブレイド・g08931)は大きくお辞儀をして手にした資料を机へと広げる。
「天正大戦国の河内国、『千早城』を巡る動きは知ってるかな?」
 豊臣秀吉の指揮の下で南北朝時代に築かれた城塞を再建し、本丸部分に蜘蛛のような機械の脚をつけて自由に移動できるようにした新たなる城塞――多脚城塞『千早城』。
「天正大戦国で国境を越えるには、その国の城を落とさなければならないんだけど……そのお城が逃げ出せるようになってしまうと、攻め落とすのはとても大変なことになるだろうね」
 すでに千早城は完成し、この城を動かす燃料となる『ヒルコと一般人』を待つだけとなっている。
 今のところ、人々が千早城に運び込まれることはディアボロス達の活躍によって阻止できており、攻略旅団の提案を基にした攻略の準備も進められているが……、
「その作戦も、実行まではもうちょっと時間がかかるから……今は、人々を助けて千早城の起動を防いでほしいんだ!」
 そう告げるサルタディアに、ディアボロス達は頷きを返す。
 護送されているヒルコと一般人を救出することができれば、燃料を得ることができない千早城は動くことができずその真価を発揮することは叶わない。
 その間に千早城を攻略して、城主『於犬の方』を撃破することができれば――あるいは、千早城を奪い取ることも可能となるかもしれない。

「作戦の流れは……すでに経験している人もいるかもしれないけど、大きく分けて三段階だね」
 第一段階は、助け出した人々が生きていくための隠れ里の準備。
 第二段階は、敵集団に切り込み、護送されている人々を逃がすこと。
 第三段階は、追撃をかけようとする相手を撃破すること。
「ただ、隠れ里と言っても、今の時期ならそこまで本格的な準備はいらないと思うよ」
 すでに季節は冬から春に移り変わり、一月前と比べても寒さは数段和らぎ、野山の草木や獣たちも顔を見せている。
 無論、何の備えもなければ、百人規模の人々が命をつなぐ事は難しい環境であることは確かだが、それでも本格的な冬ごもりの準備までする必要はなく――それをする時間もない。
「ヒルコと一般人は、河内国の山の中を通って千早城へと向かっているんだけど……問題なのは、その手段」
 切り札の一つともいえる『千早城』を起動させるための、最後の鍵となる一般人達。
 それが長い間届かなかったことを受けてか、今回の護送はできる限り早く運ぶことを目的としている。
「そのために使われているのが、『甲海丸』。外見的には、大きめの車くらいのでっかいメカカブトガニなんだけどね」
 機械化改造を施された、カブトガニ型妖怪『水陸両用機械化妖怪『甲海丸』』。
 その甲羅は見た目に違わず高い防御力を持っているが――それ以上に問題となるのは、その大きさ。
 護送する村人を甲羅の上に乗せた上でなお、クロノヴェーダの力でもって突き進む行軍速度は、村人が徒歩で進むものとは比べ物にならない。
 同時に――甲羅の上に乗せた人々の存在は、ディアボロスに対する盾や人質としての意味も持つ。
「ディアボロスに一般人が救出されそうになると、甲海丸は一般人を殺害することも選択肢に入れて動くようになるよ」
 『千早城』を起動させるために必要な村人たち。けれど――それが不可能となるなら別の使い方も出てくる。
 動揺を引き出す、慎重さを奪う、隙を作らせる……『使い方』はいくらでもあるのだから。
 それを阻止しようとするならば、一般人を守るための対策も必要になるだろう。
「甲羅の上に4~6人の村人を乗せた甲海丸は、全部で20体……個体としての戦力はそこまででもないけれど、村の人たちを助けようとするなら一工夫は必要になりそうだね」
 山中を脇目も振らずに進軍していることもあって、奇襲を仕掛けることは難しくはない。
 その上で、とれる手段は……、
「相手が対応する前に速攻で仕留めるか、陽動をかけて注意を引き受けている間に別動隊が救出するか、後は……他にも策はありそう、かな?」
 強行軍で進むということもあってか、数名のヒルコも百名程度の一般人も相応に体が強いものが選ばれている。
 逃げる道を開いて呼びかければ、自力で逃げ出すこともできるだろう。
 そうして、人々を助け、追撃しようとするクロノヴェーダを撃破することができれば、作戦は成功となる。

「千早城を巡る戦いも、そろそろ大詰めだね」
 一通りの説明を終えて、一息つくとサルタディアは一度手を打ち合わせる。
 河内国を攻略するために、千早城の攻略は避けては通れない。
 そして、そのための準備も着々と進んできている。
「攻略まであと一歩、というほど近くはないけど……それでも、もう二歩か三歩くらいまでは近づいてるはず!」
 だから、とサルタディアは踊るようにくるりと身を翻すと、ディアボロス達をパラドクストレインへと導く。
「さあ、行こう――逆転劇を始めよう!」


 新緑が芽吹き始める山の中を、無数の巨影が駆けてゆく。
 残雪も雪解けの川も、ちょっとした崖ですら苦にすることなく、蹴散らし乗り越え飛び越えて。
 止まることなく速度を落とすことなく、村人を背に乗せたまま甲海丸は山の奥へと突き進む。
「はえー……大したもんですなー」
 その甲羅の上からあたりを見回しつつ、村人は感嘆の息を漏らす。
 避難先にやってきた天魔武者から故郷に帰れると告げられ、その場でこの背に乗せられて――そうして、昼夜を問わず走り続けて今に至る。
 自分の足で歩くよりも何倍も早く進むことができていることには、ただただ驚くばかりだけど……、
「……あれ? でも、なんでまた山の中に?」
「うむ、気になるか!?」
「――ひゃぁ!?」
 ふとこぼした独り言に即座に答えが返り、村人はびくりと背を伸ばし。
 そんな彼らの姿に、甲海丸と並んで走りながら指揮官――アヴァタール級天魔武者『島津義弘』は笑い声をあげる。
「まあ、細かい説明は省くが、燃料が必要になったのでな!」
「燃料、ってーと……こいつらも飯を食わなきゃならんとか、そういうことですかね?」
「とりあえずはそう思っておけばいい。なんにせよ、すぐに片付くことだ。時間もかからぬ故、気にするな!」
「は、はあ……そういうもんですか」
「うむ、そういうものだ!」
 首をかしげる村人に、義弘は力強く頷き返す。
 別に、噓を言っているわけではない。
 燃料は確かに必要なのだ――『甲海丸』ではなく、『千早城』のために。
「そら、また崖を飛び越えるぞ。落ちても助けてはやらんから、しっかり掴まっておけ!」


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【水源】
1
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【怪力無双】
3
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【一刀両断】
2
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【神速反応】
2
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【浮遊】
2
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【動物の友】
1
周囲の通常の動物がディアボロスになつき、意志の疎通が可能になる。効果LVが高い程、知能が高まり、友好的になる。
【セルフクラフト】
1
周囲が、ディアボロスが、一辺が1mの「コンクリートの立方体」を最大「効果LV×1個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。
【泥濘の地】
2
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。

効果2

【能力値アップ】LV5 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV4 / 【ガードアップ】LV1 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV2 / 【先行率アップ】LV3 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV1 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

椎名遥
 ギミック満載の秘密兵器。
 こんなこともあろうかと、で逆転するための秘策となるのか。あるいはただの置物で終わるのか。
 後者の場合でも、次回作で活躍の機会があったりなかったり。

 そんな感じでこんにちは。椎名遥です。
 河内国で再建され、現在燃料待ちの千早城。
 その起動を止めるためのシナリオとなります。

●選択肢
 ①河内国に隠れ里を作ろう
 救出した一般人の為の隠れ里を作ります。
 雨風や寒さを凌げる準備があると良いかと思われます。
 季節も春に入って暖かくなっているために、そこまで本格的な冬ごもりの準備は必要ありませんが、使える時間も半日程度と短めになっています。
 素早く、手早く、速やかに。
 ※この選択肢は、他の選択肢のリプレイが執筆されると選べなくなります。

 ②一般人を襲うトループス級『水陸両用機械化妖怪『甲海丸』』
 村人を運搬しているトループス級との戦いです。
 背中に乗せられている村人たちを救出するには、何らかの対策が必要になります。

 ③護衛するトループス級『上泉信綱』
 ボスの取り巻きを相手にする、対集団戦です。
 相手の人数はディアボロスと同数ですが、実力は同等~やや上程度となっています。
 無視してボスを殴りに行った場合、その戦いに乱入してくるためにボス戦の難易度が上がります。
 ※難易度は上がりますが、勝てなくなるわけではないです。

 ④アヴァタール級との決戦『島津義弘』
 ボスとの戦いになります。
 倒すことでシナリオは完結します。

 千早城を巡る戦いも大詰め。
 うまく解決していければ、攻略旅団の提案も受けて千早城の攻略戦に移ることもできるかもしれません。
 より良い結果をつかめるように。
 がんばりましょう!
28

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


神山・刹那
さて、どの程度のものまで用意していいのかわからないが、とりあえず味噌に醤油、あと白米は必需品だよな
野菜とかはこれから山菜とか取れるだろうし、現地調達してもらおう

白米の入った俵と味噌、醤油の入った樽を用意し、隠れ里の倉庫の様な場所に置く
必要になったら必要な量だけ持っていける様に入れ物も用意しておく
「食い物はこれくらいあれば十分かね?住むところとかは他の奴に任せよう」


眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎

なんとか一番厳しい季節を越える事が出来たか、なによりだぜ
敵も焦れてきたようで、アプローチを変えてきたか

時間がねえ、流石に今まで通りとは行かなそうか……
ある程度は敵の巡回ルートから遠く、水場も近い場所
春になりゃ洞窟なんかでもやり過ごすだけならいけるかねェ
いっちょ偵察と行きますか

パラドクス通信は繋げて随時連絡共有
良い場所が見つかったら、クリニーングで環境を整えておこう
他により使えそうな場所が見つかればそっちにシフトするかな
人手が必要そうな事がありゃ、俺も手を貸す

道具や支援物資の持ち込みはトレインに乗る程度しか望めないだろうが
なんとかするしかねえな、持ち込めるだけ持ち込もう


ラヴィデ・ローズ
命を動力源に、ねぇ……
悪趣味極まりない計画を打ち砕けると思うと、わくわくしてきちゃうな

支援キット持ち込み
自他の残留効果は積極的に活用

さて、手分けして効率を上げるとして
オレは……食かなぁ
いま芽吹いてる中で主要な食用植物にあたりをつけたら
【植物活性】を辺りに巡らせて、滞在してるうちに出来るだけ育てたり増やしたりしておこう
隠れ里に使うくらいだ
余裕があれば出入口付近の樹木もわさわさ成長させて自然の要塞っぽくして、と
命が脅かされる恐怖を感じる機会を
少しでも減らしてやりたい

力仕事も勿論やらせていただきますよ~
【パラドクス通信】で連絡を取り合いつつ
手の足りない作業に加勢して、こんなときこそ皆で協力しないとね


金刺・鞆
半日……みじかい、ですね。家を建てている時間があるかどうか。
そのまま使えそうな建物のある土地がないか、ともも急ぎ探してみましょう。洞窟などの環境を整える案もこの季節ならば大丈夫そう、です?
そちらも並行して探し、よい地があらば【パラドクス通信】で連絡、共有、合流、です!

持ち込めるだけの支援キットをともも用意いたしまして……むむん、当座の食糧はある程度どうにかできるとして、継続的な生活を営むにはあと何が必要でしょうか?
やはり畑……つくりたい、ですねえ。周辺の地をひとまず整地したいところ。
作物の種などは支援キットにも含まれていたでしょうか。なければこちらはさして嵩張りませぬし別口で用意しましょうね。


ナディア・ベズヴィルド
アドリブ・連携可
仲間の残留効果も利用

なにせ時間があまりない
排斥力を考慮した大工道具を持っていけるだけ持っていく
工具があれば木を伐り、生活の道具や家を作る事も叶いましょう
本当は手厚く皆の手助けをしたい所なのですが致し方ありませんね
人々が安心して住まう場所を探さねば

【パラドクス通信】で皆と情報共有をしながら
【使い魔使役】で鳥を使い空から住むに適した場所を探してみる
捨てられた集落、身を潜むのに向いていそうな洞窟…あるかしら
いい場所が見つかれば皆と合流し場所の整備を
水場が近くになくとも【水源】を利用し畑用、生活用とに分けて泉を作るわ

時間が許す限り迎え入れる準備を
資材の準備、焚き木…やる事がいっぱいだわ


文月・雪人
カブトガニの特急便とは、また厄介なものを用意したものだけど
先ずは隠れ里の整備からだね

【怪力無双】の効果も借りつつ
食料や衣類を中心に支援セットを持てる限り持って行く

今回は今までよりも時間がない
【パラドクス通信】で仲間と連携しつつ
場所の選定には地の利に長けた者の力を借りるとしよう

現地の動物(出来れば鷹などの鳥類)を探して【使い魔使役】使用
隠れ里に適した場所の探索を手伝って貰う

山中の見つかり難い場所に
放棄された廃村や、雨風を凌げる洞窟等はあるだろうか
使い魔の耳目を借りて候補地を確認し
適した場所を見つけ次第皆を案内して貰う

現地に着いたら急いで作業を
使える廃屋あれば修復や清掃し
人々の住める環境を整えよう


九条・雅
相棒のエアハルト(g03454)と参加

犠牲ありきの作戦は頂けないね。横暴な圧政者から隠れる隠れ里を作るのか。故郷の事もあるのでとても他人事とは思えない。手伝うか。

ふむ、物資を色々持ち込むので運ぶ人手が必要かね。【怪力無双】でどんどん運ぶよ。食糧、建物の為の資材、薪の調達。なんでも行ってくれ。

ああ、アタシは元々戦闘集団にいた。悪党の成敗も仕事だが、復興も大切だから良くやったよ。こういう力仕事は慣れてる。

命に貴賎は無い。どの命も安全に生きる権利がある。出来るだけの事をさせて貰うよ。


エアハルト・ヴィオレ
相棒の雅(g03417)と参加

どの世界も横暴な圧政者に蹂躙されるのは罪無き一般の人達です。その蹂躙から護る里を作るのですね。全力を尽くしましょう。

物資も揃ってますし、作物も建物も他の方にお任せできると。では折角食物を持ち込んでいただいてるので、ご飯を炊いておにぎりに、温かい味噌汁を作りましょう。相棒の影響でおにぎりと味噌汁の作るのは慣れてますよ。

出来上がったおにぎりと味噌汁を【口福の伝道者】で増やしましょう。流石に一人では無理ならば、他の方にヘルプを。

私の故郷の世界に限らず、圧政者の悪意で無為に摘み取られる命などあってはなりません。ええ、出来るだけの事をさせて貰います。


 月日は巡り、季節は変わり。
 早春の山を見回して、以前のことを思い返しつつ眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)は、ほっと一つ息をつく。
「なんとか一番厳しい季節を越える事が出来たか、なによりだぜ」
 まだまだ日が落ちれば過ごすには厳しい寒さではあるけれど……とりあえずは、死と背中合わせの時期は越えた。
 とはいえ千早城はいまだ健在で、燃料を求める敵の動きもまた健在。
「敵も焦れてきたようで、アプローチを変えてきたか」
「カブトガニの特急便とは、また厄介なものを用意したものだけど……先ずは隠れ里の整備からだね」
 木々の向こう、山の先。いまだ見えない遠くで蠢くクロノヴェーダの動向へと目を向ける人鳥に、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)が苦笑を返しつつ背負った大きめの鞄を地面に置いて。
 あたりを見回し、新芽を芽吹かせる木の枝に止まる鳥を見つけると、そっとそちらに手を伸ばす。
「場所の選定には地の利に長けた者の力を借りるとしよう……ちょっと手を貸してくださいね」
「捨てられた集落、身を潜むのに向いていそうな洞窟……人々が住むに適した場所、空から探してもらえるかしら?」
 雪人とナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)と。
 二人が使い魔とした鳥を通じて空から周囲の情報を探り。
「そちら側……右手の方に、雨風を凌げそうな洞窟がありますね」
「おう、いっちょ偵察と行きますか」
「近くにそのまま使えそうな建物のある土地がないか、ともも急ぎ探してみましょう」
 使い魔の耳目を借りた雪人が指差す先へと、頷きを一つ返すと人鳥が駆け。
 それとは別方向の茂みをかき分けて、金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)も周囲を見回しながら探索へと入る。
 使い魔を通して情報を得られるとはいえ、それはあくまで鳥の視点からのもの。
 木々に遮られて隠れた情報や、地上を歩いて初めて気付ける情報もまた存在している。
 その大半は、多少の時間を使えば解決できることではあるけれど――今は、その時間が何より貴重。
「時間がねえ、流石に今まで通りとは行かなそうか……」
 空と地上で並行して探索を行い、得られた情報を随時連絡共有して。
 それをもとにして人鳥は、鞆は、さらに探索を前へ前へと進めてゆく。
「ある程度は敵の巡回ルートから遠く、水場も近い場所。春になりゃ洞窟なんかでもやり過ごすだけならいけるかねェ」
「洞窟もこの季節ならば大丈夫そう、です? いろいろ並行して探し、よい地があらばパラドクス通信で連絡、共有、合流、です!」
 山道や獣道から相手の巡回ルートを予想して、周囲の地形や上空からの情報で水場や平地をピックアップ。
 助けた人々では通れないような川や崖や段差を迂回して、道を塞ぐ土石と倒木を――、
「「これくらいっ」」
 怪力無双の力を借りた九条・雅(赫焉のパシオン・g03417)が、道を塞ぐ障害を脇へと投げ捨て。
 無数の土砂を、エアハルト・ヴィオレ(天籟のエヴァンジル・g03594)の振り抜く白銀の長剣が薙ぎ払う。
「犠牲ありきの作戦は頂けないね」
「どの世界も横暴な圧政者に蹂躙されるのは罪無き一般の人達です。その蹂躙から護る里を作るのですね……全力を尽くしましょう」
「ああ。隠れ里のことは、とても他人事とは思えないからね」
 横暴な圧政者から隠れる為の隠れ里は、平安の地において人里を護る役目を背負う役目を担ってきた雅にとっても故郷に重なるもの。
 エアハルトに頷きを返し、道を塞ぐ岩を見据えて握りしめる雅の拳に鬼の力が集い。
 突き出す拳が岩を粉々に砕いて爆ぜ飛ばして――、
「出来る限り――手伝うよ」
 障害物を取り除いて開かれた道の先に見えるのは――開けた土地と、朽ちかけながらも形を残すいくつかの小屋。
 あたりを見回して立地条件を確認して、隠れ里を作るための条件に適していることを確認すると、ディアボロス達は一度小さく息をつき。
 ――そして、即座に荷物を降ろして次の作業へと入る。
「なにせ時間があまりない。排斥力を考慮した大工道具を持っていけるだけ持ってきましたが……」
「半日……みじかい、ですね。家を建てている時間があるかどうか」
 大工道具を取り出すナディアにも、家の立て付け具合を確認して首を傾げる鞆にも、余裕の色はあまりない。
 隠れ里を作るために使える時間は、およそ半日。
 ディアボロス達の力を以てしても、万全と言えるだけの準備をするには到底足りない。
 けれど、だからこそ。
「命を動力源に、ねぇ……悪趣味極まりない計画を打ち砕けると思うと、わくわくしてきちゃうな」
「めんどくせー話だが……その分もツケにして、倍にして返してやらねえとな」
 ラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)は、神山・刹那(梟雄・g00162)は、笑みを深めて拳を打ち合わせる。
 困難、難題、逆境だからこそ、その闘志はより強く勢いを増して燃えるのだから。
「さあ、やろうか」


 形を残しているとはいえど、年単位で人の手が入らなくなっていたであろう小屋。
 手入れされることなく風雨に晒された傷みは、見えるところにも見えないところにも刻まれている。
「ん……この柱はまだ使えそうだな」
「こっちの壁は……ちょっと補修が必要かな?」
 柱を揺すって頷く人鳥の隣で雪人が壁を軽く叩いて……ぼろりと崩れて空いた穴に苦笑しつつも手早く板を打ち付け補強して。
 クリーニングの力も借りて、空気を入れ替え、汚れを拭き取り、壊れた部分を修繕して。
 次の補強用の板を手渡しつつナディアが荷物を寄せて作ったスペースへと、雅とラヴィデが次々に荷物を運び込む。
「色々持ち込んできたからね。どんどん運ぶよ」
「力仕事も勿論やらせていただきますよ~。こんなときこそ皆で協力しないとね」
 壊さないよう慎重に、けれどできる限り手早く速やかに。手渡す荷物を種類ごとに並べて整理して。
 見る見るうちに積みあがってゆく荷物を、刹那と鞆が一つ一つ指差して確認する。
「さて、どの程度のものまで用意していいのかわからないが、とりあえず味噌に醤油、あと白米は必須だよな」
「持ち込めるだけの支援キットをともも用意いたしましたが……」
 何は無くとも、まず必要なのは食料。
 白米の入った俵と味噌、醤油の入った樽。
 必要に応じて小分けにして取り分ける為の入れ物も用意しておけば、当面の食料問題は解決できる。
 けれど、その上で……、
「むむん、当座の食糧はある程度どうにかできるとして、継続的な生活を営むにはあと何が必要でしょうか?」
 一通り並んだ荷物を見つめて、鞆はむむんと首を傾げる。
 資材に、薪に、衣類に食料。
 パラドクストレインに乗せられる範囲で、できる限りの道具や支援物資は持ってきた。
 気温や天候と合わせ、今の季節であれば人々が命を繋ぐために必要な最低限の衣食住は足りているけれど、
「あとは……安心でしょうか?」
「むん。なるほど」
 首を傾げるナディアの答えに、鞆は二度三度と頷きを返す。
 安心できる住居、暖かな寝床、そしておいしいご飯。
 隠れながら生き続けていくには、物だけではなく心の健康も大事なこと。
「では折角食物を持ち込んでいただいてるので、ご飯を炊いておにぎりに、温かい味噌汁を作りましょう」
「ああ、頼めるかい」
「大丈夫です。相棒の影響でおにぎりと味噌汁の作るのは慣れてますよ」
 竃に火を入れ、鍋を置いて安定性を確かめて。
 修繕した設備の様子を確認がてら、調理に向かうエアハルトに頷き返すと雅は軽く腕まくりして、
「それじゃ、アタシは……」
「では、住居をもう少し整備しておきたいですし、予備の資材の確保をお願いできますか?」
「なら、俺も手を貸すぜ。雨風を避けられる場所があるだけでも違うだろうからな。なんとかするしかねえんだ、やれることはやらねえとな」
 あたりを見回す雅に雪人が小屋の周りの物置らしき跡地を指差して、それに頷き返すと人鳥も工具を手にして加わり。
 それを合図とするように、では、と皆が手分けをして小走りに動き出して。
「さて、手分けして効率を上げるとして、オレは……食かなぁ。いま芽吹いてる食用植物っていうと、確か……」
「資材の準備、焚き木……やる事がいっぱいだわ」
 森へと向かうラヴィデに籠を手渡しつつ、ナディアがやるべきことを数えて小さく苦笑を浮かべる。
 多くを望めばきりがないけれど、使える時間も物資も限られている以上はどこかで区切りをつけなければならない。
 それでも、時間が許す限り迎え入れる準備を、できる範囲で精一杯に。
「本当は手厚く皆の手助けをしたい所なのですが致し方ありませんね。できる限り人々が安心して住まえる場所にしましょう」
「よい、しょ……っと」
 スコップを地面に突き刺して埋まった石を取り除いて回るナディアと並び、鞆の手にした鎌が茂る雑草を刈り取り周りの地面を切り開いて。
 目立つ場所の整地をして回りつつ、鞆はふむんと息をつく。
「やはり畑……つくりたい、ですねえ」
 即座に成果が得られるものではないけれど、採取や狩猟以外でも食料を得られる手段はあるに越したことはない。
 それに、隠れながらの生活でも『やれること』があるのは精神的にも大きな意味がある。
「……作っちゃいましょうか」
「ですねえ」
 ナディアと顔を見合わせて頷きあい、二人で地面に手をついて。
 意識を集中して呼びかければ、それに応えるように水源の効果が発動して地面が湿り気を帯び、
「とりあえず……畑用、生活用とに分けて泉を作るわ」
「あとは、肥料を入れて種をまいて……むむん。用意してきた作物の種、いろいろ試してみましょうか」
 そこからあふれ出る清水が畦を通り、残っていた草の切れ端を流れの先へと運んでゆき。
 流れる水を引き込んで畑作りに取り掛かる鞆の姿を眺めつつ、ナディアは軽く微笑むと背を伸ばして立ち上がる。
「さて、次は……」
 ふ、と息をついて視線を森へと向けた先には、ちょうど木々の中から戻ってきたラヴィデと刹那、雅の三人の姿。
「ヨモギにハコベ、ふきのとう……思ったよりも見つけられたねぇ」
「この様子なら、野菜とかはこれから山菜とか取れるだろうし、現地調達してもらうのでも大丈夫だろうな」
「薪に蔦にと、資材に使えるものも結構あったからね」
 ラヴィデと刹那の背負う籠には、周囲の様子を探索がてら収穫してきた野草の数々。
 雅の背には、資材や薪に使えそうな木々の枝葉。
 それぞれが、籠に一杯……とは言えずとも、短い時間で集めるには十分な量を中に納めて。
「……と、そっちにもナズナがあるね」
「おっと、よく見てるね」
 言葉を交わしつつも、雅が指差す先に顔をのぞかせていた野草をラヴィデが手早く収穫し。
 次も採れるようにと植物活性を巡らせるラヴィデの傍らで、刹那が近くの木に目印の紐を括り付けて。
「ああ、アタシは元々戦闘集団にいた。悪党の成敗も仕事だが、復興も大切だから良くやったよ。こういう仕事は慣れてるんだ」
「なるほどねぇ」
 軽く笑ってみせる雅に、ラヴィデも笑みを返す。
 時代や場所が変わり、求められるものも変わっている以上、過去の経験をそのまま使えるわけではない。
 けれど、一部であっても重なる部分があるならば、その経験は十分に意味がある。
「さて、と。食料はこれくらいでいいとして……」
 収穫した野草を籠へと放りこみ、ついでとばかりに出入り口近くへとラヴィデが掌を向ければ、木々がわさわさとざわめき僅かに枝葉を茂らせる。
「自然の要塞っぽくするには、ちょっと時間が足りないけど……命が脅かされる恐怖を感じる機会を、少しでも減らしてやれればいいんだけどね」
「まあ……見えづらいだけでも、少しは安心できたりはするか」
 首を傾げて苦笑するラヴィデに、刹那も軽く笑って枝の上に草葉を重ねて視界を通りづらくして。
 一歩離れて出来を確認すると、肩を竦めて刹那は籠を背負いなおす。
「さて、カモフラージュはこれくらいとして……食い物はこれくらいあれば十分かね? 住むところとかは他の奴に任せよう」
「そうだね。頼まれていた資材も調達できたことだし、後は向こう次第だけど……」
 背負った資材を確認しつつ、雅は駆け寄ってきた雪人へと籠を手渡すとそのまま小屋の周囲を見回して、
「一通りは、仕上がったみたいだね」
「ええ。最低限ですが、人々の住める環境は整えました」
 命綱となる食料資材を収めた倉庫は強度を高めて念入りに。
 多くの人々を受け入れなければならない住居は、雨風を凌げるだけの強度でできる限り数を増やして。
「これで、後は……」
「後は、連れてこられた人々を迎えに行くだけだが……その前に、と」
 額に浮かんだ汗をぬぐう雪人にタオルを手渡しつつ、人鳥が広場に作ったテーブルにお皿と器を並べ。
 離れた場所にいる仲間たちもパラドクス通信で集めると、エアハルトが出来立ての食事を配って回る。
「簡単なものですが、おにぎりと味噌汁です。向かう前に、最後の仕上げのお手伝いをお願いしますね」
 腰を下ろしたエアハルトが手にしたおにぎりを口へと運んで飲み込めば、その側に口福の伝道者の効果を受けてその百倍もの数のおにぎりが現れて。
 味噌汁を鞆が口に運べば、同じようにして多数の味噌汁が現れると共に、作業を続けて冷えた体の中に味噌汁の熱がじわりと染み込んでゆき、
「……ほぅ」
 知らず、口からこぼれた安堵の息に、エアハルトはそっと微笑み。
 そうして、両手で持った器から伝わる熱を感じながら、その水面をじっと見つめる。
 今も山の中を運ばれている人々の感じているだろう寒さは、きっとこれ以上のもの。
 そして――このままであれば、わずかに残った命の熱も奪われる。
 だから、
「私の故郷の世界に限らず、圧政者の悪意で無為に摘み取られる命などあってはなりません」
「命に貴賎は無い。どの命も安全に生きる権利がある」
 視線を交わし、言葉を交わし。
 エアハルトは、雅は――ディアボロス達は、武器を握り立ち上がる。
 今すぐに人々を元の暮らしに帰すことはできないけれど、その命を守ることはできる。
 『いつか』と前置きをすることになるとしても、平和を取り戻すことは必ず成し遂げる。
 故に、
「今は、出来るだけの事を」
「ええ、出来るだけの事をさせて貰います」
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【神速反応】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【凌駕率アップ】LV1が発生!

金刺・鞆
次は民らの救出ですが……敵の背に乗せられているのが厄介ですね。
ここは陽動と救出とに分かれて頑張りましょう。えい、おー!

ともはまず救出に専念いたします、です。陽動の虚をついて敵に近づき、【浮遊】のちからでみなをまとめて敵から遠ざける、ですよ!
ラヴィデさまとふたりで効果をかさねて、皆に手をつなぐよう伝えられれば最大六人、大丈夫のはず。
その他の残留効果も適宜使用し、最終手段としては民をディフェンスして守りましょう。
われらは天魔武者を打ち倒すもの、でぃあぼろす! 今からここは戦場になります。手を貸しますゆえ、お逃げくださいませ!

救出が完了したら、あとは全力で戦うのみ!
民らを追わせはいたしませぬ。むん!


ラヴィデ・ローズ
【救助班】

二班に分かれて物陰に潜み待機
陽動班が派手に動いて注意を引いた機に
【浮遊】で敵の背に近付き、他の救助担当と手分けして浮遊を分け与え人々を降ろす
浮遊効果は鞆ちゃんと重ね掛けして手早く。逃走自体は彼らの健脚で頑張ってもらおう
振り返らず走って。いいね
多くを語る間はないから
握る手と背を押す手で、心配ないと伝えたい

無事降ろせたら、皆で戦うことで【防衛ライン】他残留効果を活かして追走を阻む
現地民を狙った攻撃はディフェンス、追う挙動をみせた敵を優先的に狙い攻撃
追わせやしないさ
なあ、ベル……
ベル! ほら、暴れていいから
ミニドラブレスは花吹雪めいて吹きつける呪炎属性
結界ごとご自慢の装甲を溶かしてやろうか


九条・雅
【陽動班】

さて、無事に救出する為にまずは敵の注意を引きつけないとな。きっちり陽動しよう。こんな滅茶苦茶な方法で犠牲が出るのは堪ったもんじゃない。

敵の群れの前に躍り出て堂々とした態度で啖呵を切る。故郷に帰るってのは大事な事だ。それを人を騙す理由にするのは許せないねえ。勢いのある動きで立ち回りながら大太刀を抜いて派手に動くよ。

おっと、ここからは足止めだよ。【防衛ライン】を展開して敵の進行を阻む。

住民が避難し終わってない個体が突破して逃走を狙うなら大太刀を構えて逃走を阻止。アンタらはここで終わりだ。死の地へ運ぶ絡繰なんぞとっとと消えてもらうよ!!


エアハルト・ヴィオレ
【救助班】で参加

クロノヴェーダの上に乗せて死の地に連れて行くなんてそんな非道許せません。二班に別れて確実に助けましょう。

【陽動班】が派手に動いて敵の動きを引きつけてる間に同じ救助班の皆さんとタイミングを合わせて背中から近づき手分けして【浮遊】で敵の背から下ろします。

走れない人がいれば【フライトドローン】に乗せて逃走の補助を。ええ、後は私達が引き受けます。全力で走って!!

さあ、彼らが無事に逃げ延びられるように敵を一掃するのみ。剣を抜いて道を阻むように立ち、片っ端から切り払っていきましょう。


ナディア・ベズヴィルド
【陽動班】
まずは民を逃がす為に奴らの足を止めねばな

おやおや、そんなに急いで何処に行くのかしら?
故郷に帰れると偽り人集めをしているのは貴様等だな
だがもう先へは進ませぬ、無辜の民をむざむざと殺させはしない

【救助班】の動きを悟られぬように派手に立ち回る
奴らの行く手を阻むように『アルバリ』を発動させまずは進行を止めよう
言葉をかけると同時に【泥濘の地】も展開し行動の妨げになるように足場を悪くさせて
先に進ませぬのもそうだが、民がまだ避難し終わっていない個体が逃走を図ろうとする場合は
『アルバリ』の爪で行く手を遮ろう
民の避難が終った個体から順に仲間と協力し潰していく

装甲ごと砕いて地の底に沈めてくれようぞ


文月・雪人
【救助班】
絶対に助けよう

仲間と打合せの上で連携して作戦実行
森に隠れて待ち伏せし
陽動班が派手に動いて敵群の注意を引いたら
その隙を突いて甲羅に取り付き一般人を救出する

皆大丈夫か、助けに来た
天魔武者達は皆を生贄にする気だ
このままじゃ命が危ない
俺達が戦っている間に急いで逃げるんだ

【避難勧告】と声かけで避難を促し
手を繋いで【浮遊】、又は【フライトドローン】に乗せて
甲羅の上から降ろして森の中へ逃げ込ませる

隠れ里への誘導はクダ吉とフライトドローンに頼み
一般人達が走って逃げるのを背に庇って
森の木々を利用した【防衛ライン】で敵群を足止めしながら攻撃

【泥濘の地】利用し罠に嵌め、隙を突き『屠竜撃』
確実に倒していこう


眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎
【救助班】で行く

随分とまァ、形振り構わなくなって来たなァ
何をしようが全て阻止させて貰うぜ

持つべきもんは頼れる仲間って事で、二班に分かれて行動する作戦
俺も乗るぜ、奴らは移送を優先してるようだし
こちらの潜伏にはあまり気を配ってないはずだ
上手く横合い、もしくは後方から取り付きたいところだな

陽動班の仕掛けを待って動くつもりだが
泥濘の地だけはナディアに合わせて重ねる形で使おう
敵の気が陽動に向いてる内に、救助班の皆と共に浮遊を使って
一般人を下ろして行く

救助が終りゃあ後はやるだけだ、敵の動きを観察
構造を把握し、防護の薄い部分にパラドクスの溶解液を喰らわせて
ボロボロにしてやんよ


神山・刹那
鮫?いや、カブトガニだろう?
どう見たってカブトガニだろう?
まぁ、いいか。お前らを壊すことは変わらねえ
派手に暴れさせてもらおうか

電気触手に触れたら刀から感電すると思うので覇龍を思い切り正面に投げたら跳躍し、精神集中で集中力を高め、強打で地面を思い切りぶん殴り、大地を隆起させて串刺しにしたり、地割れに飲み込んで粉砕するなどして、敵を破壊する
「さて、派手に暴れて木を引くのはいいが、こんな謎メカが相手だとつまらんな」


「来た、な」
「うん……近いね」
 山道を挟む茂みの中、地面から伝わる振動に神山・刹那(梟雄・g00162)の呟きに、ラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)は静かに頷く。
 新緑が芽吹き始める時期とはいえ、物陰に雪を残す山の道は決して楽なものではないけれど。
 クロノヴェーダの力をもってすれば、増水した川も冬の間に崩れた崖も倒木も、道を阻む障害にはなり得ず。
 そして――その力を存分に振るって道を駆けるからこそ、ディアボロスがその動きを見落とすことは、ありはしない。
 大地を揺らがす足音が、踏み折られる木々の音が、その動きを如実に伝えてくるのだから。
「随分とまァ、形振り構わなくなって来たなァ……だが、何をしようが全て阻止させて貰うぜ」
「うん――絶対に助けよう」
 小さく苦笑を浮かべる眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)に、頷きを返しつつ文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)が道の向こうへと視線を向け――その先で一際大きな音を立てて木々がへし折れ、倒れる幹を踏み砕いて幾つもの影が山道を駆ける。
 トループス級クロノヴェーダ、水陸両用機械化妖怪『甲海丸』。
 周囲の村落から人々を集め、その背に乗せて千早城へと――死の地へと運ぶ、案内人。
「次は民らの救出ですが……敵の背に乗せられているのが厄介ですね」
 遠目にその姿を見つめ、ふむ、と金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)は息をつく。
 救い出すべき村人の身は敵の背の上。
 相手にとっても価値がある以上、簡単にその身に危険が及ぶわけではないけれど――状況が変われば即座に人質とも変わる場所でもある。
 故に――まず成すべきは、彼らの救出。
「さて、無事に救出する為にまずは敵の注意を引きつけないとな」
「ここは陽動と救出とに分かれて頑張りましょう。えい、おー!」
 愛刀を握りなおす九条・雅(赫焉のパシオン・g03417)が、ぐっと拳を握る鞆と視線を交わし、
「きっちり陽動しよう。こんな滅茶苦茶な方法で犠牲が出るのは堪ったもんじゃない」
「二班に別れて確実に助けましょう」
 雅と頷き合うエアハルト・ヴィオレ(天籟のエヴァンジル・g03594)と共に、人鳥は静かに立ち位置を調節して身を潜める。
(「奴らは移送を優先してるようだし、こちらの潜伏にはあまり気を配ってないはずだ」)
 作戦の遅れと、それを取り戻そうとする焦りと、目的地間近となったからのラストスパート。
 それらに後押しされた進軍速度は脅威的ではあるけれど――それは、周囲への警戒と引き換えのもの。
「上手く横合い、もしくは後方から取り付きたいところだな」
「ああ、まずは民を逃がす為に奴らの足を止めねばな」
 見る間に視界の中で大きさを増してゆく甲海丸の姿から視線を外さぬままに、人鳥は、ナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)は、地面へと手を触れる。
「さあ――行くぜ!」
「喰らえ『アルバリ』 第23星宿 血の盟約により我が声に応えよ」
 二人の呼びかける声に応えるように、周囲の地面が深き泥濘の地へと変じて甲海丸の足をすくい、鈍らせ。
 なおも止まることなく蠢く地面から生まれ出でる、幾つもの爪を備えた巨大な腕がその行く手を遮り封じ込め。
 たたらを踏み、警戒態勢をとる甲海丸の目の前へと――、
「おやおや、そんなに急いで何処に行くのかしら?」
 薄蒼の宝珠をかざすナディアが、愛用の大太刀を抜き放つ雅が、泥を踏み割り躍り出る。
「故郷に帰れると偽り人集めをしているのは貴様等だな」
「故郷に帰るってのは大事な事だ。それを人を騙す理由にするのは許せないねえ」
 得物を構え、油断なく相手を見据え。
 朗々と、堂々と、二人の紡ぐ啖呵が山中に響き渡る。
 あるいは、この隙をついて奇襲をかけることも、体勢を立て直す間を与えることなく切り込むこともできただろう。
 けれど――この場において、求められる役割はそれではない。
「だがもう先へは進ませぬ、無辜の民をむざむざと殺させはしない」
「ここから先は、通行止めだよ!」
 普段以上に強く通る声の詠唱と共にナディアが走らせるアルバリの爪が、突撃をかける甲海丸の防御結界とぶつかり合って弾き合い。
 勢いのある大きな動きで雅の振るう大太刀が、甲海丸の振るう雷光を纏う触手と打ち合い無数の火花を宙に散らし――、
「「お――おぉおおおっ!」」
 なおも止まることなく、気合の声と共に走る雅の刃が四方より襲い来る触手を切り払い。
 続く横薙ぎの触手を受け止め飛び退く雅へと小型の鮫型爆弾が追撃をかけるも――入れ替わりに切り込む刹那の刃がその悉くを両断し、爆炎を巻き起こす。
(「鮫? いや、カブトガニだろう? どう見たってカブトガニだろう?」)
 甲羅の下から出し入れする生身と鋼の入り混じった触手に、海産物を模した小型の自走爆弾。
 天魔武者とも妖怪とも……さらには機械化ドイツの名残すら感じさせるその正体に、興味が惹かれないわけではないけれど。
「……まぁ、いいか。お前らを壊すことは変わらねえ」
 敵と味方とやるべきことと。それさえ確かなら、剣を振るうには十分。
 今ここで求められるのは、仲間たちが人々を救出するまでの間、相手の意識を引き付ける陽動の役割。
 強く激しく、相手の注意を引きつけるように。
「派手に暴れさせてもらおうか!」
 巻き起こる爆炎を突き破る甲海丸の突撃を、同時に踏み込む刹那の拳が打ち返し。
 その衝撃に、互いの体が後ろへと弾き返されるも――倒れることなく踏みとどまり、即座に体勢を立て直して踏み込む刹那の刃が甲海丸の甲羅とぶつかり合い。
 そうして――、
「さて、と」
 衝撃と轟音が大気を振るわせる中。
 止まることなく戦場を駆ける甲海丸の背へと、雪人は足音を立てることなく木の枝から飛び移り。
 甲羅にしがみついたまま目を丸くする村人に、人差し指を唇に立てて静かに呼びかける。
「皆大丈夫か、助けに来た」
「助けに……と言うと……さっきの人が言ってた通り、帰れるってのは嘘ってことか?」
「ああ。天魔武者達は皆を生贄にする気だ。このままじゃ命が危ない、俺達が戦っている間に急いで逃げるんだ」
「われらは天魔武者を打ち倒すもの、でぃあぼろす! 今からここは戦場になります。手を貸しますゆえ、お逃げくださいませ!」
 雪人と、続けて浮遊で乗り込んできた鞆と。
 二人の呼びかけに、村人はおずおずと頷きを返して手を伸ばし……しかし、急旋回する甲海丸の動きに慌てて甲羅にしがみつく。
 甲海丸の意識は目の前の陽動班に向いているのか、雪人にも鞆達にも村人にも反応する気配はないけれど……。
 それでも、幾人もの人を背中に乗せるほどに巨体のトループス級。
 戦闘態勢で動き回るその背から飛び降りることは、そうそう一般人にできるものではない。
 とはいえ、
「大丈夫ですよ」
「手をつないでくださいませ。浮遊のちからでみなをまとめて敵から遠ざける、ですよ!」
 ラヴィデと鞆が手をつないで浮遊の効果を重ねあい、さらにもう片方の手で村人の手を取りその力を分け与えれば、彼らの体もまた浮遊の効果を得て宙へと浮き上がる。
「……こ、これは」
「静かに、ね」
「このまま、そっと降ります、です」
 驚く村人に安心させるように笑いかけ、宙を渡る彼らの体は戦場からわずかに離れた地上へと静かに降り立ち。
 ほっと息をつく彼らをかばうように立ちながら、ラヴィデはつないだ手をもう一度強く握ると、その背中を軽く押して戦場から遠ざける。
 多くを語るだけの時間は無いけれど、クロノヴェーダの策略に巻き込まれた村人の心配を少しでも軽くできるようにと願って。
「向こうに身を隠せる隠れ家がある。振り返らず走って。いいね」
「他の人もともたちが助けますから、ここはお任せを!」
 甲海丸と、その背にいる村人と、ディアボロスと、幾つもの場所を不安混じりに視線を巡らせて――そうして頷き、村人は走り出し。
 その背を見送り、笑みを浮かべると人鳥とエアハルトは次の甲羅へと飛び移る。
「よし。このまま次に向かうぜ」
「クロノヴェーダの上に乗せて死の地に連れて行くなんてそんな非道許せません。全員無事に助けましょう」
 まずは一組。クロノヴェーダの手の内にあった村人を助けることはできた。
 けれど――救出対象は20組近く。
 作戦はまだ始まったばかり。
(「こっちは助けたよ」)
「ああ、なら――」
「――まずはこの者から、仕留めるとしよう」
 パラドクス通信を介して届くエアハルトの声に、笑みを深めて踏み込む刹那の拳が甲海丸の甲羅を跳ね上げ。
 曝け出された腹部へと、ナディアの走らせる爪が突き刺さってその身を引き裂いて。
 崩れ落ちる巨体の脇をすり抜ける雅の刃が、続けて襲い掛かる新手の触手と切り結ぶ。
「さあ、次はどいつだい!」
 繰り出す赫焉の刀が無数の触手を切り飛ばし、続けて踏み込む斬撃が甲海丸の突撃を受け止め押し返し。
 足を止めた雅へと周囲から放たれる無数のミサイルを、腕を振り抜くナディアの動作に応じるように縦横に唸るアルバリの爪が薙ぎ払って。
 巻き起こる爆炎と深まる泥濘に動きを鈍らせる甲海丸の背中を飛び移りながら、人鳥が、鞆が、救出を務める仲間達が、村人をその背から救い地上へと降ろしてゆく。
「大丈夫。君達を追わせはしない」
「ええ、後は私達が引き受けます。全力で走って!!」
 人々を奪い返そうとする触手を切り払う刹那の背後で、ラヴィデとエアハルトが戦いの余波から人々を守りながらも逃げるように促して。
 震えながらも走り出す彼らを先導するように、雪人の走らせる彼のクダギツネ『クダ吉』とフライトドローンが避難勧告の光と共に山道へと駆けてゆく。
「ここまでは順調だね」
「ああ。今のところは、な」
 走れる人々は手を取り合って隠れ里へ。腰を抜かして走れない人も、エアハルトの呼び出すフライトドローンにしがみついて少しでも戦場から離れた場所へ。
 死地から遠ざかる人々を見送り、雪人がこぼした呟きに人鳥は頷きを返し――しかし、
「けど、安心するのはまだ早いよ」
「わかってる――っ!」
 雅の声に即座に応え――三人が同時に地面を蹴った直後、その空間へと無数のミサイルが突き刺さる。
 今はまだ、相手の目的は『村人を連れて、包囲網を突破する』こと。
 攻撃の狙いはディアボロス達であり、村人達は『千早城へ連れてゆくべき貴重品』。
 けれど、包囲を突破できずに撃破され、村人を連れ戻され、被害が重なっていけば――どこかのタイミングで、相手の目的と動きは変わってくる。
 それがどのタイミングになるのかはわからないけれど、
「今は、できる限り」
「ええ、早く助ける!」
 呼吸を合わせて身を沈め――同時に地を蹴る人鳥が、雪人が、乱舞する触手をすり抜けて甲海丸との距離を詰め。
 駆ける二人へと追いすがる甲海丸の突進を、雅の刃が押し返す。
「おっと、ここからは足止めだよ」
 いつか、どこかのタイミングで相手の動きが変わるとしても。
 そうなるまでの時間をできる限り稼ぎ、一手でも引き延ばすことが陽動役である自分たちの役目。
「よそ見する暇なんてやらないよ!」
 止まることなく翻る刃が無数のミサイルを切り払い。
 続け、巻き起こる爆炎を突き抜ける鋼の触手が極大の雷を纏って唸りをあげるも――、
「そいつは流石に、触れたら感電しそうなんでな」
 刹那の投げ放つ愛刀『覇龍』が矢の様に宙を走り触手を貫き、同時に爆ぜる雷光が周囲を白く染め上げて。
 その光に相手の動きが一瞬止まった隙を逃さず、地面を、木々を、相手の甲羅をも足場にして刹那は大きく飛び上がる。
「さて、派手に暴れて気を引くのはいいが、こんな謎メカが相手だとつまらんな……」
 わずかに苦笑しながらも呼吸を整え精神を集中し、練り上げた気を握る拳へと収束させて。
「奥義――」
 落下の勢いもこめて打ち下ろす拳は、村人達を抱えて飛び退く二人と入れ替わりにその甲羅を捉えて地面へと叩きつけ。
 なおも止まることのない衝撃が大地へと突き刺さり、揺らがせ、うねらせて。
「――玄武」
 言葉と共に、隆起する地面は刃となって甲海丸を貫き動きを封じ込め。
 その刃の隙間を縫うようして包囲網を突破しようとする甲海丸の足を、ナディアの操る『アルバリ』の爪が遮り押し込める。
「まだ民が避難し終わっていないのでな。先には進ませぬし、逃走も許しはしない。飲み込む者の守り星(アルバリ)の断罪を待つがいい」
 地の底から幾多にも湧き上がる、人の丈ほどのある巨大な爪。
 乱舞するその腕に動きを鈍らせた隙間を縫って、空を歩むラヴィデとエアハルトが人々の手を取り地上へと降ろしてゆく。
 相手の意識を引きつけないように、戦いに巻き込まれないように。
 細心の注意を払って人々を守り、逃がして。
「これで……残りは、二組かな?」
「あと少し、ですね」
 終わりが見えてきたことに僅かに安堵の息をつきながらも、再度飛び上がるエアハルトが人々の手を取り空へと浮かべ――瞬間、
「「――っ!」」
 宙にある彼らへと撃ち込まれるミサイルの砲撃を、とっさに身を乗り出したラヴィデが受け止め。
 同時に、エアハルトが走らせるフライトドローンが、体勢を崩して落下しそうになる村人を受け止めて地上へと降ろすも――、
「っ、まだです!」
 さらに続けて撃ち込まれる――『村人を狙って』撃ち込まれるミサイルを、飛び込む鞆が手にした扇を盾として受け止める。
「……人々を狙いますか」
 これまではディアボロスを狙っていた攻撃を、村人へと向けるように変化した甲海丸の動き。
 それは、村人を千早城へ運ぶことを諦め、ディアボロスに少しでも多くの損害を与える手段として使い潰すと決めたということ。
 その上でなお人々を庇いながら戦う負担は、ディアボロスにとっても無視することのできない重さとなるけれど――、
「それくらいで、私達を止められると思わないでください――さて、力を貸してくれますね、ドローン達?」
「残りは一組。人々は全員、助けさせてもらう!」
 それは同時に、目的を諦めなければならないほどに相手が追い込まれているということでもある。
 エアハルトの声に応えて、ライラックを象る四色のドローンが飛来する爆弾を迎撃し。
 爆発の隙間を縫って甲羅の背へと飛び上がった人鳥が、村人へと走る触手を大きく踏み込み銃槍の刃で受け止めて。
 押し返したその下を潜り抜ける雪人が人々の手を取って空へと身を躍らせた直後、わずかに遅れて飛び込む人鳥が村人の伸ばした手を取り浮遊の加護を安定させるも。
 なおも、雷光を纏う触手が宙にある彼らを捉えようと唸りをあげて――、
「いや、ここまでだ」
 ナディアの声が響いた直後。
 音もなく振り上げるアルバリの爪が触手を断ち切り、続けて翻る爪刃がその甲羅を切り裂き地の奥底へと引きずり込む。
「人々は全て救出した。ここからは――」
「ああ、ここからは加減無しだ」
 手にした杖『破天の詠歌』を突きつけるナディアと並び、雅が宙へと走らせる符が赤く輝く守護結界を作り出し。
 それに重ねるように、ラヴィデが握る燃える長剣『レゼル』と雪人の白銀の刀『雪月花』が同時に閃き、走り抜ける剣風が地面に刻み込んだ一筋の跡を中心として世界が変化し、村人たちが避難した隠れ里への道を封じ込める。
 戦闘中の道や通路が、クロノヴェーダはディアボロスを倒さない限り突破できない世界へと変わる残留効果【防衛ライン】。
 それが効果を表すのは『道』を突破しようとする行為に対してのものであり、道を通ることなく回り込むことが容易な山道では大きな効果は望めない。
 けれど――わずかな効果であっても、一歩でも人々が遠くまで逃げることができるなら、半手でも相手の隙を作れるならば、
「十分だよ。追わせやしないさ」
 逃げる村人の背を狙って放たれる爆弾を、飛び込むラヴィデの長剣が切り払い――その形態を即座に長弓へと切り替え、撃ち出す紫黒の火矢は巻き起こる爆炎を貫き、強引に突破を図ろうとする甲海丸の足を射抜いて体勢を崩し。
 その機を逃すことなく、
「救助が終りゃあ――」
「――あとは全力で戦うのみ! 民らを追わせはいたしませぬ。むん!」
 銃槍を握る人鳥が、扇を構える鞆が同時に地を駆ける。
 残る甲海丸は片手の指で数えられる程度。
 ぐっと拳を握る鞆がわずかに身を沈め――瞬間、舞うが如き動きで大きく空へと飛び上がり。
 足元を走り抜ける触手をも足場にさらに高く飛び上がると共に、手にした扇がくるりと翻って甲海丸を指し示す。
「……いま」
 パラドクス『マルメゾンローズ』。
 鞆の言葉に応えるように現れる薔薇の花々が甲海丸の脚を包み、体を包み、その棘と香気で相手の動きを封じ込め。
 その束縛から逃れる間を与えることなく、人鳥が銃槍を突き付ける。
「分析完了、構造把握。ボロボロにしてやんよ――アルカヘストシャワー」
 その切っ先から放たれるのは銃弾ではなく、構造と構成を読み取り瞬時に生成した万能溶解液。
 至近距離から浴びせる理外の溶解液が浴びせた装甲を見る間に腐食させ、穿たれる穴より内へと染み入る液がさらにその奥の機構をも溶かし尽くし。
 崩れ落ちる巨体から飛び退く人鳥へと、残る甲海丸の放つ爆弾の乱撃が追いすがるも――、
「「――まだっ!」」
 そのことごとくを、雅の展開する赫焉の結界とエアハルトの操る四色のドローンが撃ち落とし。
 巻き起こる爆炎が消え去るのを待つことなく――同時に駆ける雅とエアハルトの刃が、炎を突き抜ける鋼の触手と交錯する。
「アンタらはここで終わりだ。死の地へ運ぶ絡繰なんぞとっとと消えてもらうよ!!」
「さあ、彼らが無事に逃げ延びられるように敵を一掃するのみ。片っ端から切り払っていきましょう!」
 呼吸を合わせ、互いの死角を補うように立ち位置を変化させ。
 止まることなく、速度を上げて閃く刃が四方より襲い来る触手を切り裂き、爆弾を両断し――、
「「そこっ!」」
 さらに一歩、同時に踏み込むと共に突き出す双刃が甲羅を貫き相手を沈黙させて。
 その背を狙う新手の甲海丸の突撃を、刹那の拳が受け止める。
 相手の狙いは、この場の突破か、あるいはせめて一矢報いることか。
 どれなのかはわからないけれど――どれであっても変わらない。
「お前の行き先は決まっている」
「その装甲ごと砕いて地の底に沈めてくれようぞ――喰らえ『アルバリ』 第23星宿 血の盟約により我が声に応えよ 古ノ腕爪は絶対の流れ 数多に蠢き 災禍を払え」
 振り抜く拳に押し返されてよろめく甲海丸を、ナディアが振り下ろすアルバリの巨爪が地面ごと貫き地中へと引きずり込んで。
「さて、これで残るは二体――いや」
 薄く笑みを浮かべ、とん、と後ろへと飛び退くナディアの目の前を掠めて巨体が走り抜け。
 その勢いのままに、方向を変えようとする鋼の脚が地面を抉り――瞬間、より深くぬかるむ泥濘の地へと変じた地面が、その脚を滑らせる。
 その変化に相手が体勢を崩したのは、一瞬にも満たないわずかな間。
 けれど――今この瞬間においては致命的な間。
「その隙は見逃さない。確実に倒していこう――屠竜撃」
 作り出した隙を逃すことなく、雪人が繰り出す渾身の一刀が装甲ごと巨体を断ち切り。
 ふ、と。小さく息をつきながら刃を引き抜き。
 振り返りざまに放つ斬撃が、背後から放たれる爆弾を切り払う。
「残るは一体。後は――」
「ああ、任せて。やるよ、ベル」
 爆炎の先に見える巨影――最後の甲海丸の姿を見据えて、雪人に頷き返すとラヴィデは背中で丸くなっているミニドラゴン『ベル』をそっと揺らす。
「なあ、ベル……ベル! ほら、暴れていいから」
 ここまで出番がなかったことに拗ねているのか、プイと首を背けるベルの機嫌を取り。
 呼吸を整え、魔力を満たし、ベルと自身の魔力を共鳴させて。
 相手を見据えて構える魔弓へと、大きく息を吸い込むベルの口元へと、紫黒の呪炎が収束し――、
「さあ――いくよ!」
 紫黒の火矢と、花吹雪めいて吹きつけるミニドラブレス。
 宙を走る二つの呪炎が敵を捉えて装甲を溶かし、焼き払い。
 そうして――、
「ん……お疲れさま、ベル」
 周囲に視線を巡らせ、打ち漏らしがいないことを確認して。
 ほっと、ラヴィデは息をつく。

 死の地へと運ばれていた村人達は、一人も取りこぼすことなく救出できた。
 彼らを奪い返そうとする甲海丸達も、逃すことなく撃破できた。
 ならば、後は――、
「残るはボスと、その取り巻き達……もうひと頑張り、だね」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【浮遊】LV2が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【泥濘の地】LV2が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【怪力無双】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV3になった!
【命中アップ】がLV3になった!
【先行率アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】LV3が発生!

金刺・鞆
とるーぷす級に向かう戦力は充分そう、です?
なれば、ともはあばたーる級を相手にいたします。この事件を解決できれば、排斥力の突破も叶うはず。頑張りましょう。
いぬ、力を貸してくださいね!

とても大きな金棒……それにすさまじいトゲ、です。あれが直撃したら流石に深手を負ってしまうやもしれませんね。
逆説連鎖戦である以上距離を取ってもダメージは受けるでしょうが、幾分かは軽減できるやも、です。いぬ、遠距離攻撃の用意を!
牽制はともが弓矢で行いますゆえ、即座に砲撃、ですよ。わかりましたね?

敵がいぬを狙ってくるようであれば、仕掛け扇に持ち替えて防御に入ります。
いぬはわたくしのたいせつな相棒、にて。手出しはさせませぬ!


文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

人々の脱出成功にほっとしつつも
戦いはまだまだここからだね
奴らを倒せば千早城への道も開ける重要な局面だ
気を引き締めて頑張ろう

素早く倒しきるべく仲間と役割分担
トループス級の撃破は仲間に任せて
アヴァタール級へと先に向かおう

島津義弘、鬼島津とも呼ばれていたか
金棒を振り回す様は、成程鬼に金棒だね
だが勢いに任せた攻撃で簡単に倒れるほど此方も軟な訳じゃない

目を赤く染め
額に2本の赤い角を生やしてネメシスモードへ
俺もまた鬼となってやろうじゃないか

【泥濘の地】で突入の勢いを殺しつつ
それを隠れ蓑に『龍脈解放』で不意打ち攻撃
大地から吹き上げるエネルギーと共に【命中・ダメージアップ】な大地の牙で貫こう


ナディア・ベズヴィルド
村人たちは皆逃がすことが出来ましたね、良かった
さて、残る者どもも今後の憂いを断つ為始末しましょう

貴様らの企み事は本当に禄でもないな…今に限った事でもないか
人々の命を軽んじる事は我らの逆鱗に触れる
故にお前は此処で果てるのだ
村人を逃がしてしまいましたと恥をさらし生きるよりその方がお前にとってはいいのかな?
はは、どちらでもいいわ
貴様の生き様死に様、興味はない。敵は殺すだけよ

先手必勝、《不意打ち》《早業》で相手が動く前に先に攻撃を
反撃には魔力障壁を展開しながら
仲間と連携をとり金棒の直撃を受けぬように相手の動きを注視し
パラドクス通信で皆に注意を呼びかけ乍ら立ち回る

仲間のWIZ攻撃にはディフェンスに入る


「これで、人々の脱出は成功かな」
「村人たちは皆逃がすことが出来ましたね、良かった」
 動きを止め、崩れゆく甲海丸の残骸を見回して文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は、ほっと息をつき。
 彼と並び、ナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)も、そっと頷きを返す。
 村人を死の地へと連れ去ろうとしていた天魔を撃破し、人々をその手から救い出した。
 ――故に、
「さて、残る者どもも今後の憂いを断つ為始末しましょう」
「戦いはまだまだここからだね」
 振り返りざまに二人が展開する、大地と風の魔力からなる二重の防壁が飛来する火球を受け止め。
 爆ぜ飛び、巻き起こる爆炎を裂いて、駆ける幾つもの影が刃を閃かせる。
 人々を連れ去ろうとしていた『甲海丸』は打ち倒した。
 後は、指揮官を務めるアヴァタール級天魔武者『島津義弘』と、その護衛たるトループス級天魔武者『上泉信綱』を残すのみ。
 そして――、
「「――お、ぉおおおっ!」」
 迫る白刃を、同時に飛び込む仲間達の刃が受け止め、弾き返し。
 ぶつかり合う剣戟の音が響く中、周囲へと視線を巡らせ戦況を読み取り、金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)は小さく頷き弓を構える。
(「とるーぷす級に向かう戦力は充分そう、です?」)
 トループス級と相対する仲間達は、5対5でおよそ互角。
 決して簡単な相手ではないけれど――共に戦ってきた仲間達なら、きっと大丈夫。
「なれば、ともはあばたーる級を相手にいたします」
 舞い散る火の粉の中、切り開かれた道の先に見えるのは炎よりもなお赤き鎧に身を包む、強大な鬼人。
 遠目であってもわかる程に、その一挙手一投足、爪先から手にする金棒の先端までもが余すことなく――トループス級とは次元の異なる力を宿している。
 ――けれど、退くわけにはいかない。
「この事件を解決できれば、排斥力の突破も叶うはず。頑張りましょう」
「奴らを倒せば千早城への道も開ける重要な局面だ。気を引き締めて頑張ろう」
 叩きつけられる闘気を真正面から受け止め、鞆は、雪人は、得物を握る。
 助け出した村人を守るために、千早城への道を開くために――その先へと進むために。
「いぬ、遠距離攻撃の用意を! 牽制はともが弓矢で行いますゆえ、即座に砲撃、ですよ。わかりましたね?」
 鞆の弓矢とモーラット・コミュ『いぬ』の砲撃と。
 重ねて放つ二つの射撃が義弘へと走り――同時に、義弘の構える金棒から火球が放たれる。
 『桜島国崩し』。
 轟音と共に撃ち出す極大の火球が砲撃を呑み込み、なおも勢いを弱めることなく鞆へと迫り。
 割り込むナディアが風壁を展開して受け止めるも――先の一撃など様子見でしかなかったと言わんばかりに、桁違いの熱量を宿した業火が風をも焼き払って荒れ狂う。
「っ、流石はアヴァタール級か。だが……」
 巻き起こる炎の嵐の只中で熱に曝され――しかし、怯むことなくナディアは魔力を巡らせる。
 より強く、より深く意識を集中し、手にした宝珠からさらなる力を引き出して。
「我らをこの程度と思ってくれるなよ」
 一瞬、さらに強く巻き上がる烈風が炎を巻き上げ。
 風に切り開かれた道を駆ける雪人の瞳が、炎を写したかのように赤く染まる。
「島津義弘、鬼島津とも呼ばれていたか。なら――俺もまた鬼となってやろうじゃないか」
 敵を見据える瞳は赤く染まり、額に生まれるのは鬼の如き2本の赤き双角。
 ネメシスモードの力を以て、さらに強く速く地を蹴って。
「いざ!」
 間合いに入る直前、一瞬身を沈めてさらに強く踏み込み距離を詰め。
 着地の勢いを泥濘の地で殺すと共に放つ渾身の一刀が義弘の金棒とぶつかり合い。
「――まだだっ!」
 弾き返される反動を利用して身を翻し、足元へと放つ斬撃が。
 さらに続けて、身を起こす動きと共に切り上げる一刀が。
 繰り出す雪人の連撃に合わせ、鞆が続けざまに放つ弓の連射が義弘へと走り――そのことごとくを、縦横に振るう金棒が受け止め、薙ぎ払う。
(「とても大きな金棒……それにすさまじいトゲ、です。あれが直撃したら流石に深手を負ってしまうやもしれませんね」)
(「鬼と称される島津義弘。その名を騙る者が金棒を振り回す様は、成程鬼に金棒だね」)
 手を止めることなく鞆の矢を打ち払いながらも、雪人へと振るう金棒の勢いは鈍ることなく。
 さらには空を打つ金棒の一撃は、風の鉄槌となって鞆を掠め走り抜け。
 わずかでも気を緩めれば、受け方を間違えれば。
 唸りを上げて乱舞する金棒の暴威は、距離も守りも介することなく、容易く弾き飛ばし叩き潰すだろう。
 けれど――、
「だが勢いに任せた攻撃で簡単に倒れるほど此方も軟な訳じゃない」
「逆説連鎖戦である以上距離を取ってもダメージは受けるでしょうが、幾分かは軽減できるやも、です」
 叩きつけられる一撃を見据え、合わせた刃に火花を散らしながらも雪人が操る刃が金棒を外へと逸らし。
 続け、風の鉄槌を潜り抜けざまに放つ鞆と『いぬ』の連撃が、引き戻そうとする金棒を撃ち抜き――作り出す一瞬の隙を縫って、踏み込む雪人の刃が義弘の胴を浅く薙ぐ。
 相手の動きを見極める、得意とする距離を取る、手札の技能を組み合わせる。
 逆説連鎖戦である以上、それらは一手で勝負を決するほどの劇的な効果には至らない。
 けれど――わずかずつであっても、その積み重ねは決して無駄になることはない。
『温いぞ、ディアボロス!』
 胴を薙ぐ斬撃に義弘の巨体が揺らぎ――しかし、同時に振り上げる金棒が雪人を捉え。
 その一撃をかざした刃で受け止め、後へと飛び退く雪人へと義弘が金棒を突き付ける。
 金棒の先端、備え付けられた発射口に炎が生まれ。
 そこより灼熱の魔力塊が撃ち放たれる――刹那、
「っ、いや、まだです――流れはやがて大河となりて――龍脈解放」
「ああ、まだだ。真紅に染まる地の獄よ 我が血で汚すがいい」
 宙にある雪人が素早く印を切り、着地と同時に大地へと気を送り込めば。
 それを呼び水とするように、切り合う動きの中で大地へと送り込んでいた雪人の気が、大地の気と――龍脈と同調して。
 そこより引き出す膨大なエネルギーの奔流と共に、大地が牙となって金棒を打ち上げ狙いを逸らし。
 その下を潜り抜けるように、ナディアの呼び出す『屠殺者の守り星(サール・ダベ)』が走る。
「呪いあれ 災いあれ――心の臓を灼熱で燃やし尽くさん」
 影に溶け込む程に暗き真紅の咢が、金棒をすり抜け義弘の肩へと喰らい付き。
 ――同時に、逆手で握る金棒より放たれる火球がナディアへと放たれ、展開する風壁とぶつかり合って爆炎を巻き起こす。
『く――は、ははは! ああ、やるではないかディアボロス!』
 魔術に肩を捉えられながらも、その手傷を意に介する素振りも無く。
 炎を裂いて走るナディアの風刃を、高笑いと共に義弘の金棒が巻き起こす旋風が薙ぎ払う。
『秀吉様の策を見抜いたこと。我らの手から村人を救い出したこと。そして今、このワシと戦い手傷を負わせたこと。全くもって見事なものよ!』
「貴様らの企み事は本当に禄でもないな……今に限った事でもないか」
 高らかに、楽しげに、笑い声をあげる義弘の姿にナディアはそっと息を吐き。
 そうして、侮蔑と共に相手を見据え手にした杖『破天の詠歌』を突き付ける。
「人々の命を軽んじる事は我らの逆鱗に触れる。故にお前は此処で果てるのだ」
 一族に代々伝わるその杖に宿る力は『水』――恵みの力、命を宿す母なる力。
 それを踏みにじる者にかける慈悲など、一片たりともありはしない。
「あるいは、村人を逃がしてしまいましたと恥をさらし生きるより、その方がお前にとってはいいのかな?」
『は――ははは! ああ、そうだな。お前の好みはどちらだ? 敵を生かして逃がすか、それとも死に花を与えるか?』
「はは、どちらでもいいわ。貴様の生き様死に様、興味はない。敵は殺すだけよ」
 投げる挑発に笑って答える義弘に、ナディアも殺意をこめて笑みを返し――直後、抜き放つ風刃と砲撃が交錯して。
「はっ」
 一瞬、早く走り抜ける刃が砲撃を逸らして義弘の腕を裂き。
 わずかに生まれたその隙を貫くように、鞆が和弓から放つ矢は引き戻した金棒に払われ、撃ち落とされるも――それは牽制。
 本命は、『いぬ』の作り出す主砲から放つ追尾式の特殊弾。
「いぬ、力を貸してくださいね!」
 呼びかけると共に、鞆が一際強く弓を引き。
 撃ち放つ一矢が金棒を弾いた直後、突き刺さる砲弾が義弘を退かせ。
『まだまだよ、この程度ではなかろうなあ!』
「無論!」
 しかし、膝をつくことなく踏みとどまり、追撃の矢と砲弾を切り払い。
 唸りを上げる義弘の金棒と雪人の刃が交錯し――、
「『お、ぉおおーっ!』」
 声に乗せた互いの気合をぶつけ合い。
 刃と金棒と、大地の牙と魔力塊と。
 あらゆる手札を尽くし、強く、激しく、切り結ぶたび、宙に弾ける火花は消えることなく数を増して。
 そうして――打ち勝つのは天魔の金棒。
『は、っはあ!』
 振り抜く金棒が雪人の刃を押し返してその身を弾き飛ばし。
 続く砲撃が、弓を、砲弾を、魔術を――迎撃することごとくを呑み込み、鞆へと走り爆発を巻き起こす。
 ――けれど、
「光の如く疾く 去りて成せ 虚空の壁よ!」
「いぬはわたくしのたいせつな相棒、にて。手出しはさせませぬ!」
 ナディアの展開する光壁と、扇を構える鞆の魔力障壁。
 二重の防壁が火球を受け止め、仲間を守り――それでも防ぎきれない衝撃が、二人を貫き血をしぶかせるも。
「今度はこちらの番だ。捧げたもう捧げたもう 血の盟約により我が声に応えよ」
「今です、いぬ!」
 怯むことなく敵を見据えるナディアが腕を振るい、流れる血を宙へと舞わせ。
 それに合わせて、鞆が巡らせる全霊の魔力が『いぬ』が展開する主砲へと収束し。
「第22星宿 血は契り 痛みは力 『サール・ダベ』 我が苦しみを知らしめよ!」
「エグゼキュート・ハウンドキャノンっ!」
 その血を触媒として展開する魔術の爪牙が。
 限界一杯まで力を高めて生成した特殊弾頭の砲撃が。
 重ねて放つ砲撃が突き込む義弘の金棒と正面からぶつかり合い、拮抗し――押し返されるよりもなお速く、
「――おおっ!」
 さらに重ねて、飛び込む雪人の斬撃と、同時に足元から放つ大地の牙と。
 幾重にも重なる連撃が金棒を弾き返し。そして――、
「――っ!」
 刃を振り抜く雪人が振り返った先で、義弘の右肩を覆う巨大な鎧にヒビが入り、砕け散り。
 その光景に、一瞬、義弘は驚愕の息を呑み――そうして、
『く、は――ははははっ!』
 より強く、深く、鬼気を纏い。
 高らかに笑い声をあげる義弘を見据えて、ナディアは魔力を巡らせる。
 勝負を決するにはまだ遠い。だが――こちらの刃は、確かに届いている。
『いいぞ、もっとだ。もっとお前達の力を見せてみろ!』
「ああ、いくらでも見せてやろう。次はより深く――心の臓を灼熱で燃やし尽くしてやろう」
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【動物の友】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
【セルフクラフト】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
【反撃アップ】がLV2になった!

九条・雅
新陰流の開祖の名を持つ天魔武者ね。刀を使うものとしてはぜひ本物と相対したいとこだが・・彼の開祖も自分の磨いた技がこんな形で振るわれるのは不本意だろう。剣士の誇りと意地に掛けてアンタを討伐させてもらう。

その技は素早くて凄烈だろう。回避行動を取る前に斬られる可能性が高い。せめて【残像】で致命傷は外して【ガードアップ】でダメージを減らす

剣豪の集団だから手強いと思うがここにいるのは猛者が多い。連携して補いながら戦うよ!!

アタシも剣士だから刀の扱いには一理ある。攻撃を凌ぎ切ったら一気に攻勢に出る。【怪力無双】【一刀両断】を合わせた気合いの緋焔の一閃!!

アタシは剣士として奥義を悪用するアンタ達を斬る!!


エアハルト・ヴィオレ
ふむ、雅の様な武人は偉大な奥義を作り出した方は憧れですよね。ただ、目の前にいるのは彼の開祖の名を名乗ってるだけのカラクリですが。少なくとも、罪無き人々を虐げる為に使われるのは筋違いですね。

ふむ、遠距離からも撃ってくると。ならこちらも遠距離で対応しましょう。【ガードアップ】にてダメージを軽減し、ヴィオレ流戦術を用いて【連射】
【弾幕】【制圧射撃】にて愛用の銃で攻撃しましょう。【戦闘知識】【精神集中】を併用して確実に撃ち抜きます。

圧倒的な力と技で押してくるならば我ら復讐者も連携して立ち向かいましょう。この戦いは取らせて貰います。


眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎

うし、救助は残らず出来た、あとは蹴散らすだけだぜ
もう少しで届くところまで来てんだ、このまま一気に行く

避ける事が難しいならあえて受けようか
オーラ操作とで急所を保護しつつ、構える
念動力でズラせれば尚良し

速ェ、だがこれで死ぬと思ってんなら浅いねェ
肉を切らせて……何とやらってやつだ
今度はこっちがやらせて貰うぜ!

貰った傷からの血を触媒にパラドクスを発動
どこ行く気だ?離脱はさせねえぞ……
カウンター気味に敵を巻き込んで思いっきり薙ぎ払う
持ってけよ、ダメージアップのおまけ付きでな

天魔武者を膾切りにすんのも慣れて来たもんだなァ〜〜


神山・刹那
伝説の剣聖の名を貰った敵か
相手にとって不足無し!
来い!てめぇの剣を糧にして、俺はさらに上に登ってやる!

新陰流・体でこちらに急速接近してからの居合を仕掛けてくるのなら、精神集中で相手の居合いの軌道を予測し、肉体改造でその部分の筋肉に力を入れて締め上げ、一瞬で斬れないように強化し、相手が斬れず呆けた一瞬の隙に、斬り捨てる
「残念だったな。筋肉絞めときゃ一瞬で斬られることはねぇ。そして、動きが止まったその一瞬が、命取りだ。中々楽しい勝負だったよ」


ラヴィデ・ローズ
よぉし、あとはシンプルな切った張っただ
やろうか

パラドクスは『レゼル(長弓)』にて
仲間と連携。負傷した敵から狙い頭数を減らそう
いやぁ~、邪魔ばかりして悪いけど
何処へも向かわせないよ

残留した【泥濘の地】で
ご自慢の機動力を削ぎ、隙を生めたならラッキーだな
そこに【神速反応】を活かせば
敵からの攻撃に集中している反撃側時だけは
刃を刃で受け、致命傷から逸らすくらいは出来るかなぁ
翻弄?
跳び退きざま惑わす『ドラゴンオーラ』の炎の残像
ふふ。追いかけっこは終いにしようか

一刀、
ならぬ、一矢に懸けるはオレも同じ
精神を研ぎ澄ませ、見据え、捉える
射貫いてみせよう

いいねぇ
負ける気がしないや(仲間の士気に)

※アドリブ、連携歓迎


「「――お、ぉおおおっ!」」
 神山・刹那(梟雄・g00162)の『覇龍』と九条・雅(赫焉のパシオン・g03417)の『赫焉の刀』。
 縦横に閃く二振りの刃が、それに倍する四振りの刃と交錯して幾つもの火花を宙へと散らし。
 弾きあう斬撃の隙間を縫って、切り込む新たな刃が刹那を退かせるも――しかし、続けて追撃をかける敵の動きをラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)の放つ『レゼル』の火矢と眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)の銃槍『バイビーク』の連射が鈍らせて。
 その機を逃さず、エアハルト・ヴィオレ(天籟のエヴァンジル・g03594)の赤銅色の拳銃が放つ銃弾が、呼吸を合わせて切り込む雅の刃が。
 重ねて打ち込む二人の連撃が敵を退かせ。
 続く刹那の刃が飛び退く相手を掠めるも――入れ替わりに飛び込む敵の刃が追撃を受け止め、再び宙に火花を散らす。
「「――はっ」」
 刃を振るい、受け止め、地を蹴り、走り。
 その手と脚を一瞬たりとも止めることなく刃を交えながら、雅は、刹那は、笑みを浮かべる。
 トループス級天魔武者『上泉信綱』。
「新陰流の開祖の名を持つ天魔武者ね」
「伝説の剣聖の名を貰った敵か。ああ――相手にとって不足無し!」
 トループス級とはいえ、その実力は自分達と同等かやや上か。
 僅かでも気を抜けば、相手を侮れば。
 新陰流の刃はその隙を見逃すことなく、この身を断つだろう――けれど、
「ふむ、雅の様な武人は偉大な奥義を作り出した方は憧れですよね。ただ、目の前にいるのは彼の開祖の名を名乗ってるだけのカラクリですが」
「ああ、わかってるさ」
 熱く激しく闘志を燃やす相棒の背を、背後から放つ銃弾で支援しつつ。
 エアハルトがかける言葉に、雅は小さく息を吐いて頷きを返す。
「刀を使うものとしてはぜひ本物と相対したいとこだが……彼の開祖も自分の磨いた技がこんな形で振るわれるのは不本意だろう」
「ええ。少なくとも、罪無き人々を虐げる為に使われるのは筋違いですね」
 相手の振るう剣は、背負った名前に見合うだけの確かなものを持っている。
 それでも――こんな『紛い物』に負けるわけにはいかない。
「剣士の誇りと意地に掛けてアンタを討伐させてもらう」
 意識を高めて相手を見据え、鋭い呼吸と共に走る雅の刃が炎を纏い。
 強く激しく、火の粉を散らして閃く一刀が、相手の渾身の一刀と真正面からぶつかり合い、弾き合い――、
「よぉし、あとはシンプルな切った張っただ。やろうか!」
「おう、救助は残らず出来た、あとは蹴散らすだけだぜ!」
 わずかに開いた距離をラヴィデの放つ火矢が押し広げ、その隙間へと槍と共に人鳥が駆ける。
 突き込む穂先は飛び退く相手を掠めるにとどまるも、止まることなく銃撃形態へと切り替えて。
 追撃に放つ魔力弾に、わずかに相手の動きが乱れた瞬間、
「っ――もう少しで届くところまで来てんだ、このまま一気に行く!」
 さらに脚に力を籠め、抉るほどに強く地面を蹴り。
 突き出す槍は受け止めた刃の上から相手を押し込み、跳ね飛ばし。
 続け、追撃をかけるラヴィデの魔弓の連射を、入れ替わりに飛び込む二体の相手が切り払う――よりも早く、
「奥義――朱雀」
 風の如き速さで駆ける刹那が、二体の間をすり抜けざまに刃を閃かせる。
 左右に走る刃が相手の刃を弾き、動きを牽制し――わずかに開いた道を見据えて地を蹴り、更なる速度でもってその先へ。
 紅蓮の翼を持つ朱雀のように、速く、鋭く、閃く刃が宙を走り。
 ――その刃を、直前で体勢を立て直した相手の刃が受け止め、弾き返し。
「来い! てめぇの剣を糧にして、俺はさらに上に登ってやる!」
 なおも止まることなく地を蹴る二つの影が、幾つもの火花を散らして切り結ぶ。
 弾き、かわし、受け止め、逸らし。閃く刃を潜り抜けると共に刃を放ち。
 走る斬撃をギリギリでかわすと共に、切り込む刃は半歩下がる相手を掠めるにとどまるけれど――、
「まだだ!」
 さらに一歩、踏み込む刹那の放つ返しの一太刀が、受け止めた相手を地上に叩き落として。
 その着地点を狙い、追撃をかけるエアハルトの狙撃を割り込む相手が切り払い。
 続けて居合の構えから放たれる剣風に乗せた魔力の砲撃を、エアハルトの纏う白銀色の天籟のオーラが受け流す。
「ふむ、遠距離からも撃ってくると。ならこちらも遠距離で対応しましょう」
 元より逆説連鎖戦である以上、射程距離に大きな意味はない。
 だが――手札がわかれば、相手がとる動きも、それに合わせた戦術もまた見えてくる。
「ヴィオレ流戦術……まさかこれを紐解く機会が来るとは」
 紐解くヴィオレの戦術書に記されているのは、家に伝わる戦術の数々。
 エアハルトに取っては披露するのはやや不本意なものだが、歴史に積み重ねられたその記述は確かなもの。
 読み取った戦力に合わせて適切な動きを検索し。
 相手の動きの先を読み、エアハルトが連射する銃弾の雨が切り払う刃を抜けて、その肩を、足を、腕を穿ち。
 ――しかし、負傷を堪えながらも十字に走る刃が弾幕を切り裂き、隙間を縫って駆ける相手の刃が泥濘を踏み越えラヴィデへと走る。
「いやぁ~、邪魔ばかりして悪いけど何処へも向かわせないよ」
 展開する泥濘の地に、相手の足が鈍ったのは一瞬にも満たないわずかな間。
 けれど、その隙を見極めて突き出す刃を長剣へと変じたレゼルで受け流し。
 反動を利用して飛び退くと同時に長剣を一振りして弓へと切り替え、放つ魔力矢が足元を射抜いて追撃の起点を潰して。
 たたらを踏んで動きが乱れた隙を逃さず、左右から切り込む人鳥と雅の連携を――それ以上の速さで駆ける新手の刃が迎撃する。
「「――っ!」」
 一瞬で交える剣戟は十を越え。
 幾つもの火花を宙に散らして三つの刃が交錯し――打ち勝つのは天魔の刃。
「速ェ――」
「剣豪の集団だから手強いとは思ってたけど――」
 迫る斬撃を残像を残して回避する雅に、影を切り裂きさらに伸びる一閃が追いすがり、受け止める刃ごとその身を弾き。
 弾きあう反動を利用して背後へと翻る刃が、回り込む人鳥の槍よりも早く走り抜けてその肩を裂く。
 押し込めども押し切れず、返す刃は回避すら許さずに敵を切り裂く――素早く凄烈な新陰流の太刀。
「「――だが!」」
「これで死ぬと思ってんなら浅いねェ」
「ここにいるのは猛者が多い。連携して補いながら戦うよ!!」
「おう、今度はこっちがやらせて貰うぜ!」
 頬を伝う血を拭って笑みを浮かべ、怯むことなく人鳥は、雅は得物を握り地を駆ける。
 天魔武者『上泉信綱』。その戦力は自分達に勝るとも劣らない程。
 それでも――こんなところで立ち止まるわけにはいかない。
 全力を尽くし、なお足りぬ部分を仲間と連携して補い合い。
 より強く、より速く――より高みへ。
「圧倒的な力と技で押してくるならば我ら復讐者も連携して立ち向かいましょう。この戦いは取らせて貰います」
 精度を高めるエアハルトの射撃に体勢を崩した相手へと、切り込む雅の刃が受け止めた相手を跳ね飛ばし。
 人鳥のパラドクスが周りの相手を牽制する間を縫って、飛び込む刹那の刃が追撃をかけて。
「ふふっ」
 斬撃を潜り抜けながらも手を止めることなく。
 構えた弓を放ちつつ、ふっとラヴィデは笑みを浮かべる。
 相手が弱くなったわけではないし、自分達が実力以上の力が発揮できるようになったわけでもない。
 けれど――少しずつ、確実に、戦いの流れはディアボロスへと向いてきている。
「いいねぇ、負ける気がしないや」
 戦いの流れを作り出す、仲間達が纏い高める士気の熱。
 それと共にあるならば、出来ないことなど何もないと――そう、思えて来る。
「それじゃ、今度は……オレの番かな?」
 くすりと笑って飛び退く直後、目の前を相手の刃が掠め。
 走り抜け――即座に翻り、続けざまに繰り出される連撃をラヴィデは長剣で受け流しつつ、振り抜く刃が纏う呪炎で相手を牽制すると同時に距離を取り。
 弓へと切り替えて撃ち出す火矢の連射が続けざまに走るも――そのことごとくを切り払い、駆ける相手は泥濘の地にも足を止めることなく距離を詰め。
 一文字に閃く刃が炎を切り散らし、さらに翻る刃が十字に閃き火の粉を、その先のラヴィデを切り裂いて――、
「ふふ。追いかけっこは終いにしようか」
 足場と剣技と弓術と――それら全てを合わせて、さらにもう一つ。
 飛び退きざまに展開したドラゴンオーラの残像が、切り裂かれながらも揺らめき姿を散らし。
 その像の裏側から、ラヴィデは構えた弓を相手に突きつける。
(「一刀、ならぬ、一矢に懸けるはオレも同じ」)
 呪われし武具が宿す力を最大まで引き出し、己が生気から生み出す紫黒の呪炎を収束して一つの矢を作り出し。
 精神を研ぎ澄ませ、見据え、捉える。
「射貫いてみせよう――『一射絶命』」
 打ち出す矢は狙い過つことなく相手を貫き、打ち倒し。
 崩れ落ちる姿に、ふっと息を一度つき――直後、ラヴィデは身を翻して次の相手へと矢を放つ。
 一体を仕留め、残るは四体。
 拮抗していた戦力が崩れた今こそが、勝負を決する好機。
「このまま――」
「ええ、終わらせましょう!」
 地を蹴る相手の動きを縛るように、足元に、目の前に、続けざまに打ち込むラヴィデの魔弓とエアハルトの射撃。
 重ねて放つ二種の連射が相手の動きを押し返し、切り払う動きとともに放たれる剣風を身を沈めて潜り抜けるとともに、エアハルトが振り抜く腕から放つ銃撃が切り込もうとする動きを牽制して退かせ。
 防御と回避と反撃と、それらを読んだ上でさらに先を見据える布石の銃弾が相手の動きを誘導し――、
「追い込みます!」
「ああ!」
 弾幕をかわして飛び退くその先へ、エアハルトが放つ銃弾に並走するように雅が駆ける。
 相手は確かに剣聖の名を背負う使い手。
 ――だけど、
(「アタシも剣士だから刀の扱いには一理ある」)
 人里を護る役目を担ってきた武人として、ディアボロスとして。
 積み重ねてきた鍛錬と経験は、決して劣るものではない。
「――いくよっ!」
 気合の声とともに闘志を燃やし、切り込むその背を相棒の銃に任せ。
 交錯する刃が雅の肩を割いて血をしぶかせるも――止まることなく更に前へと踏み込んで。
「エアハルト!」
「ええ!」
 合わせた刃で相手の刃を絡めとり、巻き上げ。
 直後、狙いすましたエアハルトの狙撃が死に体となった相手の胸を射抜いて――、
「まだだよ!」
 崩れ落ちるよりも早く、距離を詰める雅がその身を掴みあげ。
 怪力無双の力でもって背後へと投げ放つ体が、回り込み切り込もうとする相手の刃と視界を遮りわずかな間を作り出し。
 その一瞬で精神を集中し、鋭く息を吐いて雅は相手を見据える。
「アタシは剣士として奥義を悪用するアンタ達を斬る!!」
 心の炎を刃へと乗せて、気合と共に放つ緋焔の一閃が二体をまとめて両断し――焼け砕ける残骸を突き抜け、二つの影が疾駆する。
「これで、後は」
「てめぇらだけだ!」
 銃槍を握る人鳥が。
 愛刀を構える刹那が。
 残る二体の天魔武者を見据え、気合と共に全力で地を蹴り。
 刃と刃が火花を散らしてぶつかり合い、弾かれ――踏みとどまり、再度地を蹴って。
 地面を、木々を、岩を、あらゆるものを足場にして戦場を縦横に駆け巡り。
「「お――ぉおおおっ!」」
 裂帛の気合と共に繰り出す、渾身の刺突が、斬撃が。
 四つの刃が真正面から交錯し――僅かに早く、相手を捉えるのは天魔の刃。
 ――けれど、
「そっちが速いのは百も承知だが、肉を切らせて……何とやらってやつだ」
「残念だったな。筋肉締めときゃ一瞬で斬られることはねぇ」
 念動力とオーラ操作を合わせて作り出した即席の盾を割り込ませ。
 半歩深く踏み込み間合いを潰して受け止めるならば、刃は肉に食い込みこそすれど骨を断つには至らず、
「どこ行く気だ? 離脱はさせねえぞ……」
 引き抜こうとする刃を掴み取り、流れ出る血を媒介として銃槍バイビークのエンジン『Chaos Core』に火を灯し。
 近接強化形態へと変形させた刀身へと大天使と悪魔の混合魔力を流し込み――迸るその魔力を念動力とオーラ操作にて収束し、形成するのは巨大な紅き魔剣槍。
「持ってけよ、おまけ付きでなァ――バイビーク・ブラッドヴェイル!」
 至近距離から薙ぎ払う全霊の一刀が、正面に立つ相手を受け太刀諸共に両断し。
 止まることなく振り抜く刃は、わずかに早く飛び退いていたもう一体をも捉え――しかし、断ち切ることは叶わず。
 刃を盾にして受け止めた勢いを利用して距離を取る相手が、着地と共に刃を構え、身を沈め、地を蹴る。
 ――瞬間、
「そして、動きが止まったその一瞬が、命取りだ」
 一瞬で、走り抜ける刹那の刃が何よりも速く閃いて。
 振り返り、刃を構える刹那の前で両断された相手が崩れ落ちる。
「俺の勝ちだ。中々楽しい勝負だったよ」
「天魔武者を膾切りにすんのも慣れて来たもんだなァ〜〜」
 ふっと、わずかに笑みを浮かべる刹那に人鳥が笑みを返し。
 そうして――呼吸を整え頷き合うと、得物を握りなおして走り出す。

 取り巻きを務める相手は倒した。
 残るは指揮官ただ一人。
「千早城への道、開かせてもらうぜ」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
【水面歩行】LV1が発生!
【神速反応】がLV2になった!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!

九条・雅
相棒のエアハルト(g03454)と参加

さあ、最後はアンタを倒せば終わりだ。鬼島津。この名に恥じない迫力だねえ。でもこれ以上進ませない。


おお、流石に物凄い勢いの振り回しだ。ただ、大振りな分【観察】でよく見れば【残像】で急所は外せるかね。後【ガードアップ】でダメージを軽減。

攻撃を凌いだら【ダッシュ】で懐に潜り込んでまず右手の刀で【薙ぎ払い】気味に【斬撃】。まあ、高い確率で回避されると思うが、本命は左手の鬼神変だ!!【怪力無双】【破壊】【強打】で力の限りぶん殴る!!

鬼島津といえどもアタシ達の道行の邪魔はさせないよ!!消えな!!


エアハルト・ヴィオレ
相棒の雅(g03417)と参加

あれだけ大掛かりの作戦の指揮官です。それに相応しい器ですね。でも貴方がどんなに強大な力を持とうとここは譲れません。

ここは大金棒の攻撃の対応に集中しますか。【戦闘知識】【観察】【看破】で敵の動きと武器の軌道を見切り、【残像】で致命傷を受けないように急所を外し、【ガードアップ】でダメージを減らします。うわ、思わず転倒するかと思いました。

攻撃を凌げばこちらの反撃の時間です。【高速詠唱】で召雷破!!【精神集中】でしっかり狙いますよ。

確かに貴方は強い。でも負けれない!!散れ、鬼島津を名乗る者!!


眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎

さァ……お前で最後だ、デカブツ
俺達にはこの先に用があるんでね、退かねえならブチ抜くぜ

敵の動きをよく見つつ……自身の血を振りまきながら、牽制
バイビークの射撃で間合い外からつついて撹乱
ドローンを使って視界を塞ぎに行くのもおもろいかもな
一瞬でも値千金の仕掛け時だぜ

仕込みは上々……罠使いの本領発揮はここからァ
味方の動きに連動し、乱打の隙をついてパラドクスを発動
振りまいた血から、敵を追い込むように血と魔力による鎖を生成し絡め取る

仕留めるッ!
迷わず一気に距離を詰め、魔剣槍を突き込みバレル解放
全開の零距離放出を叩き込んでやらァ

千早城への道、切り開かせて貰うッ!
ピアシング……ロアァーーッ!!


神山・刹那
ネメシスモード・いしはま絵師のDC参照

鬼島津の名を頂く奴がいるとはな
つぅか、島津は九州だろ?なんでここに居るんだ?
まぁ、いい。鬼の首、貰っていくぞ!

島津大旋風で回転しながら飛び込んでくるのなら、精神集中でタイミングを見逃さず、神速反応で先手を取り、旋風となった相手の頭上の死角から、相手の棍棒ごと、雲を裂き、大地よ砕けよと言わんばかりの渾身の一太刀で斬り捨てる
「チェェストォォォォォッ!」


 振り回される大金棒が作り出す嵐の如き暴風陣。
 その中を飛来する風の鉄槌に爆裂火球の乱撃連打を潜り抜け、
「さァ……お前で最後だ、デカブツ。俺達にはこの先に用があるんでね、退かねえならブチ抜くぜ!」
『は、はははっ! 遠慮は無用だ打ち抜いて見せろ。手緩いならば、その細槍ごと圧し折ってくれるわ!』
 嵐の中を突っ切る眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)の銃槍と、自ら撃ち出す弾幕の中を駆け抜ける義弘の金棒が交錯し。
「ああ、やって見せるさ――アンタを倒せば終わりだ。鬼島津!」
 弾かれ、飛び退く人鳥へと追撃をかける金棒を、気合と共に切り上げる九条・雅(赫焉のパシオン・g03417)の刃が受け流し。
 逸らされた金棒の下を潜り抜け、飛燕の速さで駆ける神山・刹那(梟雄・g00162)の刃が義弘の胴を薙ぐも――、
「――浅い、か」
 刃を振り抜き、止まることなく飛び退く刹那を金棒がかすめ。
 続けて撃ち出される風撃を再度飛び込む人鳥が切り裂いて、
「こいつで――」
「――どうです!」
 弾け飛ぶ風を足場に跳躍して距離を取り、銃撃形態へと切り替える『バイビーク』から人鳥の放つ魔力弾が義弘の動きを牽制し。
 それに合わせ、エアハルト・ヴィオレ(天籟のエヴァンジル・g03594)が手にしたタクトを宙へと走らせる。
 振るうタクトが宙に印を描き出し、紡ぐ詠唱に応えるように集う風は雷光を宿して渦巻いて――、
「落ちろ!」
 閃くタクトに導かれ、叩きつける雷撃が義弘へと突き刺さり。
 同時に、
「「――っ!」」
 炎を宿す太刀を構える雅が。風よりも速く駆ける刹那が。
 左右から切り込み追撃をかけるも――、
『――甘いわ!』
 裂帛の咆哮が大気を揺らがせ、振り抜く大金棒が唸りを上げて巻き起こす烈風が、雷撃を、銃撃を、斬撃を、全てを吹き散らして荒れ狂い。
「っと……けど、まだだよ!」
 その風に押し返され、吹き飛ばされそうになりながらも空中で体勢を立て直し。
 着地すると同時に、雅は即座に地を蹴って――直後、その空間を金棒が走り抜け、大地を抉り爆ぜ飛ばす。
「さすがは鬼島津。この名に恥じない迫力だねえ」
「あれだけ大掛かりの作戦の指揮官です。それに相応しい器ですね」
 息つく間もなく襲い来る鬼神の暴威を凌ぎながらも、称賛混じりの笑みを浮かべる雅にエアハルトも苦笑交じりに頷きを返し。
「――でも」
「ああ、でも――これ以上進ませない」
 鋭く息を吐くと同時に、エアハルトが振り抜くタクトが荒れ狂う嵐を切り裂き。
 一瞬、風が止んだその中を、切り込む雅の太刀が金棒を受け止めて――刃が力尽くで押し込まれるよりも早く、続けて切り込むエアハルトが抜き放つ白銀の長剣を重ねて打ち込み、金棒を押し返す。
 相手がどれほどの名を背負っていようとも。どれほどの強大な力を持っていようとも。
 譲れぬものがある以上、退くという道はない。
 死力を尽くし、挑み、乗り越え――そうして、その先へと進むのみ。
「貴方がどんなに強大な力を持とうとここは譲れません」
『っ、ぬぅ!』
 金棒を押し返され、義弘の巨体が一歩退き。
 その機を逃すことなく、相手に体勢を立て直す間を与えることなく。
 人鳥の放つ魔弾の連射が義弘へと突き刺さる。
「さあ、勝負と行こうか!」
 身を沈め、地を蹴り、一瞬たりとも足を止めることなく魔弾を放ち。
 そのまま止まることなく飛び上がり――呼び出す無数のドローンを足場に空をも自在に駆け巡り。
「まだ――まだだぜ!」
 弾幕を砕いて走る風の鉄槌をギリギリでかわし、頬を掠める鬼神の暴威に血を散らしながらも放つ一射が相手の腕を射抜き。
 わずかに動きを乱した金棒を、魔弾に並走する刹那の刃が打ち払う。
「鬼島津の名を頂く奴がいるとはな……つぅか、島津は九州だろ? なんでここに居るんだ?」
 合わせた刃を操り、打ち下ろす一撃を横へとそらし。
 続けて切り込む刃は、半歩退く義弘を掠めるにとどまるも――そのまま跳躍して振り上げる金棒を受け止め、それを足場にさらに飛び上がることで威力を殺し。
 軽く苦笑を浮かべながらも空中で身を翻すと、刹那は背後の木の幹へと着地して。
「まぁ、いい――」
 瞬間――相手を見据える刹那の髪が白銀へと染まり。
 刀を握る右腕からは紅蓮の劫火が、左腕からは青く光る雷光が閃き、刹那の影を照らし出す。
 生命の危機が迫る死闘の中でのみ至ることのできる、ディアボロスの切り札『ネメシス形態』。
「――鬼の首、貰っていくぞ!」
 炎を、雷光を、その腕に握り。
 踏み込む足跡を木の幹へと刻み付け。
 放たれる風撃を切り裂き、爆ぜる暴風を後押しとしてさらに前へと加速して。
「『お――ぉおおおっ!』」
 叩きつける渾身の一刀が、唸りをあげる大金棒が。
 咆哮と共に真正面からぶつかり合う二つの鋼が火花を散らし、弾ける衝撃が互いの体を跳ね飛ばし――しかし膝をつくことなく踏みとどまり、即座に刹那の放つ横薙ぎが追撃の火球を切り裂いて。
『来るがいい、ディアボロス。見事我が首、落として見せろ!』
「ああ――」
「そうさせてもらいましょう!」
 巻き起こる爆炎を微塵に散らし、乱舞し疾駆する金棒の嵐を。
 臆することなく敵を見据える雅の刃が、エアハルトの剣が、幾度となく火花を散らして弾かれながらも退くことなく受け止める。
(「おお、流石に物凄い勢いの振り回しだ」)
 薙ぎ払いに叩きつけ、風車の如く回転させての連撃に、先端から放つ爆裂火球の魔力塊。
 息つく間もなく襲い掛かる連撃の圧力に押し込まれそうになりながら――しかし、歯を食いしばって堪えつつ、雅は胸中でそっと息をつく。
 鬼島津の二つ名で知られた猛将の名を背負う天魔武者『島津義弘』。
 先行した仲間達との戦いを経て消耗してなお、相手の力はいまだ健在。
 わずかでも気を抜けば、一歩でも退けば、それだけで戦いの流れを奪われかねない程の圧力をもって襲い掛かってくる。
 けれど――、
(「どの攻撃も、起点となるのはあの大金棒……ここは大金棒の攻撃の対応に集中しますか。」)
(「一つ一つは大振りな分、よく見れば急所を外すくらいはできるかね」)
 パラドクス通信を介してエアハルトと言葉を交わし。
 より深く、より鋭く、相手の動きを見据えて金棒を見極めて。
 かわし、捌き、受け流し。
(「避けるだけじゃない――もっと引き付けて、もっと小さい動きで」)
 周りの音すら聞こえなくなるほどの集中の中、エアハルトは瞬きすることなく迫る金棒を見据え。
 ぎりぎりまで引き付け、掠める一撃の余波を纏うオーラで軽減しつつ、さらに深く踏み込んで。
「うわ、思わず転倒するかと思いました――ですが!」
「見切ったよ――鬼島津!」
 風圧にあおられながらも金棒を潜り抜け、振り抜くエアハルトの長剣が金棒を弾いて義弘の体勢を崩し。
 その機を逃すことなく、切り込む雅の刃が義弘の胸甲に深々と刀傷を刻み込み――、
「――まだだ!」
 飛び退く義弘に、追随する刹那の刃が。
 さらに重ねて切り込む雅とエアハルトの連撃が。
 火の粉と雷光、血飛沫と衝撃。切り結ぶたびに幾つもの残滓を宙に散らしながらも、なおも止まることなくぶつかり合う刃と金棒が火花を散らし。
 一気呵成に繰り出す三重の剣戟が鬼神の金棒と打ち合い、押し返し――退かせ。
『お――』
「――おおっ!」
 退きながらも踏みとどまり、咆哮と共に突撃をかけようとする義弘のその足を――それよりも早く、人鳥の魔弾が打ち抜き。
 一歩、たたらを踏んだ隙を逃すことなく、即座に人鳥は距離を詰め。
 突き込む銃槍の穂先は引き戻した金棒に受け止められ、続けて振り上げる一撃が刃を巻き込み人鳥を跳ね上げるも――しかし、その力に逆らうことなく人鳥は大きく飛び上がる。
「仕込みは上々……罠使いの本領発揮はここからァ」
 周囲に展開したドローンを操り、視界を遮るように相手の目の前へと展開。
 それらは次の瞬間、振り抜く金棒に薙ぎ払われるけれど――、
「十分だ――こいつで追い込むッ!」
 空中で身を翻した人鳥が地上へと手をかざし。
 引き出す悪魔の魔力を通じて呼びかけるのは――乱打を潜り抜け、刃と銃撃をかわす中で地面と相手に振りまいてきた、自身の血。
 それを媒体として悪魔の魔力を通じ、作り出す無数の赤黒い鎖が義弘へと絡みついて動きを封じ込め。
 ――しかし、
『この程度で、この鬼島津を――縛れると思うな!』
 大気を震わせる咆哮と共に、振り上げる腕が地面から鎖を引きちぎり。
 その力に、纏う鎧が耐えかねたかのようにひび割れ、砕け散りながらも――なおも、義弘は大金棒を振りかぶる。
「そうかもなァ……だが、一瞬でも値千金の仕掛け時だぜ」
 人鳥の鎖が義弘の動きを封じ込めたのは、わずかな間。
 けれど――、
「それだけあればっ――召雷破!」
 詠唱と、右手のタクトと、左手の戦術書と。
 一瞬の間を縫ってエアハルトが三種三重に展開する雷撃の連打が、打ち払う金棒を越えて矢継ぎ早に義弘へと突き刺さり。
「『お、ぉおお!!』」
 なおも止むことなく降り注ぐ雷撃の雨を金棒を振るって打ち払い、止まることなく義弘は戦場を駆け。
 同時に――降り注ぐ雷光と共に、纏った炎と共に、雅が刃を走らせる。
「さあ――勝負だ!」
 呼吸を整え、精神を集中し、一瞬で地を蹴り距離を詰め。
 赫焉の炎を纏い閃く雅の刃が豪風を纏う大金棒と交錯し――火の粉と風が爆ぜ飛ぶ中、弾かれて宙を舞うのは雅の刀。
 ――だが、
「悪いけど、本命はこっちだ! 鬼島津といえどもアタシ達の道行の邪魔はさせないよ!! 消えな!!」
 空になった掌を拳に握り、さらに踏み込む雅の左腕に鬼の力が収束し。
 繰り出す鬼神の拳撃が義弘の胸甲を捉え、砕き、跳ね飛ばし――相手が地に落ちるよりも早く、銃槍と共に人鳥が駆ける。
「バイビーク――Chaos Core、起動ッ!」
 握る銃槍『バイビーク』のエンジンが唸りを上げ、その姿を近接強化形態へと変形させ。
 荒れ狂う大天使と悪魔の混合魔力を束ねて刀身へと纏わせ、作り出すのは一振りの巨大な紅き魔剣槍。
 その切っ先を義弘へと向ける人鳥の視界の先で――同時に、体勢を崩しながらも義弘が手にした金棒を人鳥へと突き付ける。
 引き延ばされたような時間の中、突き付ける金棒の先端に炎が宿り輝きを強め――しかし、
『舐めるな!』
「仕留めるッ!」
 迷うことなく地を蹴り、より早く駆け抜ける人鳥の刃が炎を切り裂き。
 その勢いのままに突き出す刃は、義弘の胴へと深々と突き刺さり――、
「全開の零距離放出を叩き込んでやらァ!」
 突き立つ刃を引き抜くことなく、刀身を強引に射撃形態へと移行。
「千早城への道、切り開かせて貰うッ! ピアシング……ロアァーーッ!!」
 そのまま至近距離、かつ最大威力で放つ混合魔力の奔流が義弘の体内で荒れ狂い。
 その勢いのままに胴体を貫き、背中から突き抜ける魔力が義弘の巨体を弾き飛ばし。
 ――しかし、
「『いいや――まだだ!』」
 渾身の零距離射撃を受け、胴体を大きく抉り取られ。
 それでも立ち上がり、金棒を振るい地を駆ける義弘に――それよりもなお速く、雷火を従え駆ける刹那が刃を握る。
 相手は名高き鬼島津。
 その名を背負う者が、致命傷を受けた程度で動きを止めるはずもない。
 故に――、
「その首、貰うぞ!」
 限界を間近に――否、踏み越えてなお勢いを落とすことなく、旋風の如く吹き荒れる金棒を見据え。
 極限の集中と共に駆け抜ける刹那が、唸る金棒よりも早く天へと駆け上がる。
「雷火の顎よ、我が敵を討て!」
 高々と飛び上がった空中から義弘を見下ろし。
 八相へと構えた愛刀『覇龍』へと右手の劫火と左手の雷を集約し。
 刃に束ねた力と共に、刹那は空を駆ける。
「チェェストォォォォォッ!」
 天地を貫く一条の矢の如く、駆け抜ける刹那が放つ渾身の一太刀。
 閃く剣光が雲を裂き、金棒を断ち切り、大地を砕き。
 そうして――、
「雲耀の太刀・天晴」
 刀を振り抜いた体勢から身を起こし。
 振り返る刹那の前で、金棒を振りかぶった体勢のまま動きを止めた義弘の体がわずかに揺らぎ。
 一呼吸ほどの間をおいて、ずるりと肩口から両断された体が崩れ落ち。
 地へと倒れ伏す巨体の響きが、戦いの終わりを告げるのだった。

「敵将、島津義弘。討ち取った」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】がLV3になった!
【強運の加護】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【一刀両断】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
【グロリアス】LV1が発生!
【先行率アップ】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2023年04月13日

多脚城塞『千早城』からの救出

 妖怪一夜城によって、ディアボロスを足止めした豊臣秀吉は、河内国に新たな城を築いたようです。
 その名も、多脚城塞『千早城』。
 多脚城塞『千早城』は、鎌倉時代の名城『千早城』があった場所に造られた、戦国時代の城の本丸に蜘蛛のような機械仕掛けの脚を取り付けた異形の城です。
 多脚城塞『千早城』は、魔力の扱いに長じたジェネラル級天魔武者『於犬の方』を城主とし、ヒルコを含めた河内国の住民を生贄にする事で、城ごと移動が可能になるという特殊能力を持ちます。
 豊臣秀吉は、多脚城塞『千早城』を、河内国中で逃げ回らせる事で、ディアボロスの攻撃を躱す事を目論んでいるようです。
 多脚城塞『千早城』は既に完成しており、残るは、河内国のヒルコや一般人を運び込み動力源とするだけとなっています。
 彼らが、動力源とされてしまえば、自由に移動する『千早城』の補足が困難となるので、移動中を襲撃して、彼らの救出を行ってください。

於犬の方


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#天正大戦国
🔒
#多脚城塞『千早城』からの救出
🔒
#河内国
🔒
#於犬の方
🔒
#千早城


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選択肢『河内国に隠れ里を作ろう』のルール

 豊臣秀吉の命令で、強制移住させられた河内国の人々が安全に暮らす事が出来る隠れ里を用意します。
 救出した河内国の人々が、冬を越せる程度の備えを準備しておきましょう。

 彼らが、快適に暮らす事ができれば『圧政』で力を得る天魔武者に、ダメージを与える事が出来るかもしれません。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】他の選択肢のリプレイが一度でも執筆されると、マスターはこの選択肢のリプレイを執筆できなくなる。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾一般人を襲うトループス級『水陸両用機械化妖怪『甲海丸』』のルール

 周囲の一般人を襲撃するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 放置すると村や町を破壊したり一般人を虐殺してしまうので、被害が拡大する恐れがあるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾護衛するトループス級『上泉信綱』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)を護衛するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える必要があるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『島津義弘』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「シメオン・グランツ」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。