心堅石穿(作者 相馬燈
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#大戦乱群蟲三国志  #陳留大攻囲戦  #魏  #魏王『曹操』  #鈴鳴りの計略家『荀彧』  #陳留 

●軍師荀彧、玉座にて魏王に謁見す
「曹丕様が戦死された今、ディアボロスが陳留に攻め寄せるのは必定」
 陳留の玉座にて、魏王『曹操』に軍師の『荀彧』が現状を報告していた。
 切迫した状況は続いているが、荀彧に焦りはない。
 魏王曹操も無言で頷いたのみだ。
「迎撃態勢に問題はありません」
 荀彧は滔々と続けた。
「陳留を取り巻く防衛ラインは、未だ崩されておりません。ディアボロスは個々の防衛拠点の撃破には成功するでしょうが、陳留に辿りつくことは不可能です」
 更に語を継ぐ。
「そして、全ての拠点を破壊して陳留に辿り着いた時、彼らは、真の絶望を見る事になるでしょう」
 数ヶ月もあれば良い。
「我らの準備が整った暁には、ディアボロスを蹴散らし、この大戦乱群蟲三国志の全ては、曹操様の物となるのです」

●防衛戦を突破するために
「魏王『曹操』が籠城する『陳留』を目指せるようになりましたが、そこまでの道行きは依然困難なものです」
 宵星・影晃(人間の陰陽師・g03235)が言う。
「陳留の周囲にはまだ多数の防衛拠点が築かれております。防衛拠点を無視し、陳留を力攻めしようとすれば、防衛拠点と陳留の城壁が協応し迎え撃ってくるでしょう」
 そうなれば攻略の難しさは飛躍的に高まる。
「そしてこの防衛拠点が健在の場合、陳留を制圧したとしても、魏王『曹操』や有力なジェネラル級蟲将の撤退が可能になってしまいます。侮りがたい策です」
 流石に有能な軍師が健在なだけあり、敵の作戦は周到である。
「やはり、ここは地道に事を運んでいくべきかと。すなわち、陳留を包囲しつつ、防衛拠点を一つずつ潰していく……それが魏王『曹操』を滅ぼす為の有効な術となるかと思われます」

「幸い一つ一つの防衛拠点の規模は大きくなく、制圧自体はそれほど難しくはありません」
 しかし拠点同士は緊密に連携している。拠点に攻め込んだ場合、すぐ陳留や周囲の拠点から増援が派遣される模様だ。
「したがって、まずは迅速に防衛拠点を制圧。その後に増援で現れるアヴァタール級『狂奔将軍・徐福』や護衛の『魏軍虎衛兵』撃破して、戦場より脱出する必要があります」
 長居は無用。
 拠点や敵将を撃破した後は、速やかに撤退するべきだ。
「防衛拠点を護るトループス級『魏軍拠点参謀』は、防衛に特化した備えをしております。短期間でそれを打ち破る工夫も必要となるでしょう」
 防衛拠点は、櫓が組まれていたり、木組みの柵や壁が用意されているという。
「もし不用意に近づけば、敵軍に捕捉されて一斉攻撃を受ける可能性もあります。しかし」
 影晃は言葉を切って、強調した。
「木製の柵や壁を配置したのは敵の失策。これに身を隠すなどして近づけば、勝機はあると思われます」
 仮に不用意な飛翔などしてしまえば瞬く間に叩き落される程の拠点だ。油断は禁物ではあるが……。

「古来から、援軍の無い籠城に勝機は無いとされております。魏王『曹操』がそれを知らぬはずはなく、攻略に時間を掛け過ぎれば、敵の強力な援軍が現れる事になるでしょう」
 影晃はディアボロスたちに信頼をこめた眼差しを向けて、
「皆様であれば必ずや突破できると信じております。ご武運を」

●魏軍防衛拠点にて
 木組みの柵や壁に囲まれた、魏軍防衛拠点の中央。
 広場のようになっているその場所で、魏軍拠点参謀たちが得意げに言葉を交わしていた。
「この拠点を突破できる者など、おりますまい」
「防備する軍を攻めるには、守る側の数倍もの戦力が必要となりましょう。これだけの拠点ともなればまさに難攻不落」
 なにやらそれらしいことを言いつつも、何となく中身がない魏軍拠点参謀たちの言葉であった。
「上空の警戒を怠りなきよう。飛翔する人影を見つけたら、一斉攻撃で撃ち落とすのです」
 物見櫓の上で、拠点参謀の一人が言った。
「反撃されてもそれで我々全員が倒れることなどありませんからな。良い獲物というもの」
 空から、仕留められたばかりの野鳥の死骸が落ちてくる。
「野生動物を使って情報を集めるので注意せよと、荀彧様が仰っておりました。拠点に近づくものは、野良犬だろうが野鳥だろうが皆殺しにいたしましょう」
 迎撃の準備はできている。
 防備の堅い拠点であることは確かであった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【水源】
2
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【神速反応】
2
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【隔離眼】
1
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【光学迷彩】
3
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV4 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV3 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV2 / 【アヴォイド】LV2 / 【ダブル】LV1

●マスターより

相馬燈
 陳留大攻囲戦のシナリオをお送りします。相馬燈です。
 今回は魏軍の防衛拠点を襲撃し、トループス級『魏軍拠点参謀』を撃破、その後に増援としてやってくるアヴァタール級『狂奔将軍・徐福』が率いる部隊を打倒して、撤退するという流れになるかと思われます。
 防衛拠点とそこを守る魏軍拠点参謀たちは迎撃準備をしっかりと整えているため、不用意に近づいたりすると集中砲火を受けてしまうことも考えられます。飛翔などは禁忌というわけですね。
 拠点には物見櫓があり、そこにも魏軍拠点参謀が立っています。
 周囲には木組みの柵や、背の高い木の防壁がありますので、これを利用できるかも知れません。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


九条・雅
息子の朔夜(g09155)と参加

先日再会した息子をいきなりこの世界に連れてきて大丈夫かと思ったが、流石アタシの息子だけあってもう順応し始めているね。まあ、無理は禁物だ。戦況を良く見て動くんだよ。



ふむ、防備を固める為に柵と防壁ね。隠れるのは最適だ。【光学迷彩】で姿を隠し、【観察】で敵の位置を把握、一気に【グラップル】【気絶攻撃】で殴り倒す。後は柵と防壁を【火炎使い】【薙ぎ払い】で焼き払ってやるか。木製だから良く燃えるだろう。

朔夜は・・・後方か。自分が弱いことを考慮してる様だね。相変わらず頭の回転がいい子だ。こうして実戦を体験する事が大事だ。頑張ろう、朔夜。


九条・朔夜
母親の雅(g03417)と参加

母上についてこの世界にやってきて凄い堅牢な防備と多くの軍の兵士に最初はびっくりしたけど、オレは元々戦闘集団にいたし、何より母上と一緒だ。未熟なりに弁えて行動するから心配しないで、母上。

強い人達が先陣を務めてくれるから、俺は足手まといにならないよう後方で
援護に回ろう。【観察】で敵の動きを見て、確実に【残像】で致命傷を回避。【光学迷彩】の効果も使わせてもらう。

先陣を切った人達の攻撃が決まったら、【罠使い】で作った【火炎使い】【爆破】の手榴弾を【投擲】して敵を更に撹乱。敵の反撃は青龍の戦陣で反撃する。

これが復讐者の戦いか。母上の助けになれるよう、頑張るよ、オレ。


秋風・稲穂
地道な拠点攻め…
まあコツコツやって、一つずつ潰していくのが近道…か
ま、これだけ障害物があるんだ
隠れながら進むのは何とでもなるかな

防壁に体を付けて、陰に隠れながら進もう
光学迷彩を利用してちょっとでも見つかり辛くして【忍び足】で移動
慌てず、けれども時間をかけないように近付いていこう

物見櫓に近付いたら、【ダッシュ】で一気に駆け上がって魏軍拠点参謀に襲い掛かろう
Burn the darkとL・デルフェスを抜刀
そしてサドンアーミーを発動して一気に【斬撃】で襲い掛かるよ
一気に【連撃】で斬り刻んでいこう
敵の計略にも【臨機応変】に対応
【呼吸法】で心を落ち着かせ、なるべく惑わないようにしよう

アドリブ連携等歓迎


夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎

何度目かの陳留防衛拠点の攻略
…拠点の様相も様々だな

まずは高所より<情報収集>して拠点の構成を確認
防衛に特化しているとはいえ、死角を把握しておかなければ
ただ敵に付け入る隙間を与えてしまうというのに

設備の充実さが仇になったか

だが利用しない手はない
遮蔽物が多い<地形の利用>と【光学迷彩】で参謀らが気が付く限界まで近づいていく

仲間の攻撃と連動して、迎撃しようとする蟲将らの足元に【泥濘の地】を敷き場を<撹乱>
機を逃さず打って出て、混乱する参謀らは仲間に任せて己は櫓へ
偃月刀で<両断>して打ち崩し高所からの攻撃を防ぐ

初陣の者もいるなら、可能な限り援護しよう


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

ふむ、中々に厄介な布陣ですね
まずは見つからぬように出来るだけ接近する所からでしょうか

光学迷彩を使用
あらかじめ見張りの兵士の視線の届く範囲を観察
気づかれにくいと判断した範囲の柵や壁に隠れて隠密に接近し
他の仲間と攻撃タイミングを合わせて、一気に仕掛けていきます

宙に展開した鍵盤で「鐘」を演奏
不可視の使者を喚び、蟲将の死角から攻撃します
戦端が開かれれば、後は出来るだけ速攻を心がけ
仲間と攻撃対象を揃え、体力の低い者から集中攻撃して
相手の連携を断つように動きます

どんな完璧な策にも、付け入る隙はあるものです
冷静に見極めて、攻めていきましょう


喩・嘉
※連携アドリブ歓迎

仲間が使用する【光学迷彩】はぜひ活用させてもらおう

防衛拠点の攻略には、工兵がいると便利だな……
と、いうわけで工兵を呼ぶか
羽扇を振るい「幻衡軛陣」を使用
幻影の工兵を召喚し、秘密裏に接近させる
物見櫓に爆弾を仕掛けさせ、仲間たちと連携をしながら、頃合いを見て一つずつ起爆

関係のないところにも爆弾を仕掛けておけば、
俺たちとは関係のない場所に注意を引かせるなどの目眩しにも使用できるだろう

防衛に絶対の自信を持っている奴らの慌てる姿を
ぜひ遠くから悠々と眺めたいものだな


守都・幸児
※連携アドリブ歓迎

木組みの柵か
こいつを利用させてもらおう
【光学迷彩】の力を借りて柵に身を隠しながら
【忍び足】で柵の向こうに敵兵がいる場所を探すぞ

俺の使う技は「成」
闇の棘を生やす技だ
敵兵の気配を感じたら【追跡】して
柵越しに闇の棘を生やし、【貫通撃】で敵兵を貫く
なるべく静かに、焦らず狙って確実にな
様子がおかしいとさらに敵兵が駆けつけてきたら、そいつらも一網打尽にするぞ
これを移動しながら複数個所で繰り返し
皆と連携して敵兵を【撹乱】しながら減らしていってやるぞ

難攻不落って言われると落としてやりたくなるもんだ
蟻の穴から堤も崩れる、って言葉があるだろう
この敵陣に蟻はいねえみてえだが
穴は俺たちがあけてやるよ


●拠点突入
「異常はないようですね」
「当然でしょう。この防衛拠点、おいそれと攻められるものではありますまい」
 頑丈な木製の防壁や太い木を編んで作られた柵が、幾重にも張り巡らされた魏軍の防衛拠点である。
 櫓の上で警戒に当たっていた魏軍拠点参謀は、周囲に異常なきことを伝え、その足下で同様の蟲将たちが語らっていた。
 しかし陣地を固めれば固めるほど、皮肉にも死角が出来てしまうものである。
 だからこそ――本当の意味で、堅牢ではないのだ。
 自らの策に酔ったのだろうか。その盲点に、魏軍拠点参謀たちは、誰一人として気付いてはいない。
「何度目かの陳留防衛拠点の攻略……拠点の様相も様々だな」
 防壁の一つに身を隠して、夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は独りごちていた。陳留防衛のために作られただけあり、拠点の防備は、一見、確かなものに見える。今まで見てきた拠点と比較しても、それは間違いないと錬晏は思う。
 事実、
「高所より情報を集めたいところだったが……流石にそこまで甘くはないか」
 物見櫓の上には魏軍拠点参謀が立っており、拠点の周囲にも、陣地を見下ろすことが出来るような高台は存在しなかった。
 即ち――その辺りの警戒も行き届いている、ということなのだ。
 しかしながら、
「設備の充実さが仇になったな。正面から攻めれば苦戦は必至だが――」
 一つの案が採れなくとも、武人としての知識と経験を活かし、錬晏は臨機応変に立ち回る。光学迷彩の効果も利用して柵や壁に身を隠し、見回りや物見の魏軍拠点参謀に近づいていく。
「初陣に近い者もいるようだ。可能な限り援護しよう」
 同じくこの陣地に突入した黒髪の少年のことを、錬晏は考える。
 或いは――自らの初陣を思い返していたのだろうか。

「地道な拠点攻め……まあコツコツやって、一つずつ潰していくのが近道……か」
 頑丈な木の壁に背を預けて、秋風・稲穂(剣鬼・g05426)は、ぴょこりと狐耳を動かした。あちこちに魏軍拠点参謀の気配があり、もし無策に突っ込んでいけば、瞬く間に集中攻撃を喰らってしまうだろう。
「ま、これだけ障害物があるんだ。隠れながら進むのは何とでもなるかな」
 自分にしか聞こえないような小声で言いつつ、稲穂は神経を研ぎ澄ませる。光学迷彩の効果も重ねておけば、見つかりにくくはなるだろう。
 もとより、それで警戒する蟲将の目を完全に逸らすことは出来ない。
 見つからないように工夫を凝らすことは、必要なのだ。
 それを稲穂は良く弁えていた。
「こちらに異常はありません」
「よし。ですが怠りなく警戒を続けるのです。襲撃は必ずある。そう考えておいて間違いはないのですからね」
(「流石にピリピリしてるね」)
 木の壁からちょっと顔を出して、稲穂は魏軍拠点参謀の様子を窺う。
 そして視線が逸れた隙に、柵から柵へと忍び足で移動していった。
「こういう時は慌てず騒がず。それでいて迅速に、だね」
 目指すは、陣地の中でもひときわ目立つ物見櫓であった。
 もしかすると、周囲に指示を下すためのものかもしれない。
 何にせよ、櫓を狙うという稲穂の着眼点は、鋭い。

「ふむ、中々に厄介な布陣ですね」
 木で出来た柵に身を隠しつつ、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は呼吸を整える。
 ここも数ある拠点の一つではあるのだが、流石に、正面から攻め入れば苦戦は必至。
 近づいてみると、それがよく分かった。
「まずは見つからぬように接近する所からでしょうか」
 固まって行動するのは得策ではないため、ソレイユは同行するディアボロスたちとは異なる方向から陣地内に入り込んでいた。魏軍拠点参謀は周囲を見回っており、陣地中央の広場にも、相当な数が集まって戦闘準備を整えている。
 まさに水も漏らさぬ態勢である。
 けれど――それが却って、ソレイユを始めとするディアボロスたちに身を隠す場所を与えているのだった。
(「どんな完璧な策にも、付け入る隙はあるものです。冷静に見極めて、攻めていくしかないですね」)
 発揮した光学迷彩の効果は、共に戦うディアボロスの侵入をも助けるだろう。
 思いながらも、慎重に、陣地の奥深くへと侵入していく。
「あの辺りは死角になるでしょうか。あそこまで辿り着くことが出来れば」
 気配を殺しながら、壁から壁へ。
 敵の視線が逸れた隙に、柵から柵へ。
 死角となる大きな柵の影へと滑り込むように移動したソレイユは、そこで味方が仕掛けるのを待つことにした。

●攻撃準備
「沢山建てたもんだな。こいつは使えそうだ」
 時を同じくして。
 数名のディアボロスたちと連携して拠点に入り込んだ守都・幸児(祥雲・g03876)は、手近な柵に身を隠し、敵陣の様子を窺っていた。光学迷彩の力を拝借しているため、見つかりにくくはなっている。
「みんなは上手く入り込めたかな……」 
 魏軍拠点参謀は、物見櫓の上から警戒するだけでなく、見回りにまで人員を割いていた。
 実際に踏み入れてみれば、なるほど大した警備である。ここまで入り込むことが出来たのも、光学迷彩の効果や忍び足の技量を駆使して注意深く進んだからだろう。効果をもたらした味方に感謝しつつ、幸児は進んでいく。

「過ぎたるは猶及ばざるが如し、と言ったところか」
 そこから少々離れた地点で木組みの柵の影に身を隠した喩・嘉(瑞鳳・g01517)が、ささやくように呟いていた。
 陣形を堅固にしようとすればするほど、隙が生じるもの。まるで重い鎧を纏った兵が軽捷さを欠くように、行き過ぎた防備は却って、攻め手の乗じるところとなる。
 その程度のことに、ここの魏軍拠点参謀は思い至らなかったらしい。
「光学迷彩はありがたいな。さて、防衛拠点の攻略となれば、やはり工兵がいると便利か……」
 光学迷彩の効果を活かして物陰に潜んだ喩嘉は、そこで羽扇を振るい、工兵の幻影を呼び出した。
 幻衡軛陣(ゲンコウヤクジン)。
 召し寄せられた工兵たちが、喩嘉の命を受けて、速やかに任務を果たさんとする。
「気付かれぬようにやれ。――行動開始」

「ここまでの拠点を作ったのか。自慢するだけのことはあるな」 
 時を同じくして、九条・朔夜(赫灼のスフィーダ・g09155)もまた敵防衛拠点の深くへと踏み込んでいた。
 自分の背よりもずっと高い木の壁に隠れ、見回りの魏軍拠点参謀の動向を窺う。
「オレは元々戦闘集団にいたし……」
 ――何より今回は母上と一緒だ。
 力を合わせれば、堅陣も打ち破ることができる。その自信が、朔夜にはあった。
「慎重にね」
 意気軒昂な息子――九条・朔夜(赫灼のスフィーダ・g09155)を見て、九条・雅(赫焉のパシオン・g03417)が言った。
 光学迷彩の力も用いて物陰に身を隠しているので、今のところ見つかる心配はないが、いつ戦いが始まるかは分からない。
 敵拠点の只中なのだ。
 これから、相当に厳しい戦いが予想された。
「未熟なりに弁えて行動するから心配しないで、母上」
 過酷な戦場では、無理をした者から斃れていく。
 自らの領分を弁え、可能なことを最大限にする――その落ち着きと判断力は、戦闘集団にいたと言う朔夜の経験から来るものだろうか。
 朔夜は味方の動きにも注意を払っていて、
(「先日再会した息子をいきなりこの世界に連れてきたけど」)
 危険度の高い戦場に身を置いても、朔夜は少しも恐れていない。寧ろその意気は、既に敵を呑んでいるとさえ言えた。
(「流石アタシの息子だけあって、もう順応し始めているね」)
 それでも心配してしまうのが、母というものなのだろう。
「まあ、無理は禁物だ。戦況を良く見て動くんだよ」
 雅は敵に気取られないよう、小声で言った。
 用意した光学迷彩は、朔夜だけではなく、他のディアボロスたちの行動にも寄与するものだ。その辺りの選択もまた、武人たる彼女の優秀さの証と言えよう。
(「それにしても、防備を固める為に柵と防壁ね。隠れるのには最適だ」)
 思った雅の隣で、朔夜が攻撃の態勢を整えていた。

●攻撃開始
「いざ!」
 頃合いを見計らい、真っ先に攻撃を仕掛けたのは錬晏であった。地面を泥濘に変えて味方を援護しつつ、高台より迎撃しようとした魏軍拠点参謀を見上げて、黒龍偃月刀を隻手でギリと握りしめる。
 パラドクスを解放し、跳躍した彼は、さながら天に昇る黒竜だ。
「撃ち落とすのです! 早く!」
 櫓の上に立っていた魏軍拠点参謀が自らの周囲に弓兵を召喚して早口に命令を下した。即座に放たれる雨の如き矢の数々――それを斬り払いながらも飛び上がった錬晏を、拠点参謀は呆然と見上げるしかない。
「咆えろ!」
 黒龍咆哮。
 振り下ろされた黒龍偃月刀が櫓ごと、魏軍拠点参謀を破壊した。
「敵襲です!」
「見れば分かることです! 全く、なんということだ。わざわざ死にに来たというのですか!」
 口々に言い合いながら、それでも何とか襲撃者に対処しようとしているあたり、魏軍拠点参謀もなかなかに侮れない。
「……今だ!」
 機を見た朔夜が、物陰から手榴弾を投擲して、物見櫓を始めとした高台の爆破を試みた。
「朔夜!」
「――ッ」
「仕留めたり」
 背後から匕首を閃かせた魏軍拠点参謀の反撃に、朔夜の脇腹が切り裂かれる。それでも錬晏の撹乱と、雅の声掛けもあってか、咄嗟に反応した朔夜は急所を狙った精確な一撃を避けて深手を免れていた。
 次の瞬間、閃かせた光華の太刀によって拠点参謀を斬り倒す。
「ば、馬鹿な……がはっ……」
 青龍の戦陣。
 攻撃されれば、迅速なる対処を以て意表を突き、敵を討ち取るのみ。
 朔夜の眼前で、黒龍偃月刀を手にした錬晏が奮迅の戦い振りを見せていた。
 一人斃した。
 朔夜は思う。
 間違いなく、援護にはなったのだ。
「これが復讐者の戦いか」
 ぽたり、ぽたりと切り裂かれた傷から血が滴り落ちる。
 だが、まだ問題なく戦える。
 傷は浅い。
「朔夜は……大丈夫だね。相変わらず頭の回転がいい子だね」
 手負っても戦意を失うことなく、即座に対処することができる――雅が朔夜の伸び代を感じて心の中で頷いた。
 こうして実戦を体験することこそが、大事なのだ。
 朔夜を囲もうとした魏軍拠点参謀が、側面から走ってくる鬼人の無双武人に気付いて息を呑む。
「煉獄の恐ろしさを喰らうがいいよ!」
 赫灼の闘気を纏った雅は、まさしく戦場の鬼そのもの。
 轟! と吹き荒れる炎のような攻撃に晒されて、壁を突き破って拠点参謀が倒れ伏した。
 別の者が赫焉の刀に貫かれて血を噴く。
 降り注ぐ弓矢の雨の中、刀でそれを払いつつ、着物を翻しながら駆けて雅は朔夜と合流する。
「大丈夫かい、朔夜」
 気遣う雅に、赫灼の闘気を滾らせつつも、朔夜は神妙な顔で頷いてみせた。
「大丈夫。母上の助けになれるよう、頑張るよ、オレ」

●一気呵成
 不意の爆発が魏軍の拠点を内部から震わせた。
 敵が拠点の外から攻め寄せてくると思っていた魏軍拠点参謀たちは、内側から突き崩され、流石に慌てふためいている。
 と、右往左往する蟲将たちが、拠点内に悠然と立つ黒髪の美丈夫を見出した。
「防衛に絶対の自信を持っている奴らの慌てる姿、遠くから悠々と眺めたいものだったがな」
「まさか、お前が」
「そのまさかだ、と言っておこうか」
 幻影の工兵たちの攻勢が、魏軍拠点参謀に少なくないダメージを与えていた。拠点参謀は襤褸襤褸になりながらもパラドクスを行使し、匕首を閃かせて喩嘉の背後から迫る。が、最早、不意打ちとは到底言えない。
 ひらりと身を翻し、喩嘉は急所への刺突を避ける。
「仕留めきれぬ、とは……!」
「まさに策士策に溺れる、だな」
 拠点参謀が無念そうに倒れる。
 ディアボロスたちが奮闘する中、あちこちで耳を聾する音が鳴り響いており、魏軍拠点参謀は混乱を呈し始めていた。
 敵の隙を突くのが、戦いだ。
 この機を逃すわけにはいかない。
(「上手く行けば皆の助けにもなるな」)
 思いながら幸児がパラドクスを発動すれば、壁際に立っていた参謀がまるで槍衾にでも突かれたように串刺しとなった。

 ――研げよ、棘よ、成し遂げろ。

「何処から!?」
「ぐあッ……!?」
 地面や壁、そして柵から突き立った闇色の棘に刺し貫かれる魏軍拠点参謀たち。
 それはまるで昆虫採集用のピンで串刺しにされる蟲のようだ。
「弓兵、用意!」
 パラドクスにより呼び出された敵の弓兵が、雨あられと矢を射掛けてくる。
「やっぱり、そう簡単には倒れねえよな」
 木の防壁の、影から影へ。
 駆け抜けながら幸児は次なる攻撃の態勢を整える。多少の矢が体に突き立ったが、頑丈な躰はその程度の攻撃をものともしない。
「難攻不落って言われると落としてやりたくなるもんだ」
 蟻の穴から堤も崩れる――その言葉を幸児は思い出していた。
「この敵陣に蟻はいねえみてえだが、穴は俺たちがあけてやるよ」

●制圧
「一気に畳み掛けましょう」
 味方の攻撃に合わせて、ソレイユもここぞとパラドクスを解放した。
 宙に鍵盤が出現し、十指を流れるように動かして奏でるのは――幻想独奏曲「鐘」。
「あんなところに……!」
「邪魔はさせませんよ」
 演奏に合わせて、曇天の雲が割れ、光が降り注いだ。
 天の階と呼び得るその光景に、驚く暇もあらばこそ――櫓の上の魏軍拠点参謀が『何ものか』に打たれ、そのまま墜落していった。不可視の一撃が刹那に敵の命を刈り取ったのだ。
 ――この私は囮に過ぬぞ……お前の仲間は、お前を助けぬ……すぐに思い知ることとなろう……。
 精神を揺さぶり破壊するような声が、何処からともなく響き渡り、ソレイユは不快げに眉を寄せる。
「そんな言葉、聞き入れはしませんよ」
 死の直前に放たれた、敵の疑心計だ。
 振り払うように首を振って、ソレイユは断言した。
「私は仲間を信じていますから」

「派手にやってるね」
 ディアボロスたちが攻撃を仕掛けるのに乗じて、稲穂は漆黒のBurn the darkと白銀のL・デルフェスを抜刀。今までの忍び足とは打って変わって疾風のような速さで駆けると、パラドクスを発動。一気に櫓へと駆け上がる!
「なっ……!?」
「迂闊だよ」
 背後からの思いもよらぬ急撃。
 魏軍拠点参謀の首が宙に舞う。
 ――お前は死地にいるのだ。その生命、最早長くないと思え。
 不思議と響いた声が、着地した稲穂の精神を揺さぶってきた。
「往生際が悪い……でも、もうお仕舞いだよ。自慢の拠点もね」
 呼吸法を駆使して影響を最小限に抑えながら、稲穂は戦場を駆け、双剣を振るって敵を討つ。
 その戦い振りは、まさしく剣鬼と呼ぶに相応しいものだ。
 残る魏軍拠点参謀も、尽く討たれて――。
 防衛拠点は、ディアボロスたちの勇敢かつ工夫を凝らした戦いにより、見事制圧されたのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【光学迷彩】LV3が発生!
【水源】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV2が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!

●遅きに失した援軍
「既に落とされた後か。ウム……やりおる」
 余燼けぶる魏軍防衛拠点を前にして、狂奔将軍・徐福が唸った。
 奇襲戦法を得意とする、獰猛な蟲将である。
 だからこそ、ディアボロスたちが如何に見事に拠点を制圧してのけたか、察したことだろう。
「虎衛兵、前に出よ」
「御意」
「奪って得意になっているのだろうが、すぐに奪い返してくれる。行くぞ、命を捨てて戦え!」
 ディアボロスは、迎え撃つ側だ。
 もし人員に余裕があるようであれば、魏軍虎衛兵のみに戦力を集中するのではなく、徐福を攻める者がいても良いかもしれない。
 制圧された魏軍拠点に、徐福率いる蟲将の軍勢が迫る。
喩・嘉
※連携、アドリブ歓迎

さて、拠点を制圧できたか
防衛拠点っていうのは、奪われた時には逆に攻めにくいものであることをわからせてやろう
残っている櫓があれば登り、敵の接近を確認
必要があれば仲間に共有

爆破であたりを荒らしてしまったからな
新たな蟲もやってきたことだし、掃除と行こうか
清らかな水で一掃してやる

羽扇を振るい、「青龍水計」を使用
どこからともなく膨大な水の流れを呼び出すと、魏軍虎衛兵を押し流す


夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
※残留効果活用

皆で一気呵成に攻め立てたお陰で、早くに落せたか
援軍が来ることが分かっているのに油断するわけない

拠点内を見渡し利用できるものがないか<情報収集>して備える
元々あった防壁や柵は
蟲将の攻撃を躱すのに再利用できるかな

まずは虎衛兵からだ

偃月刀にまとった朱殷の闘気は未だ衰えず
これまで培った<戦闘知識>で甲殻の弱い所を<看破>すれば
パラドクスの一撃を畳み込み確実に討ち取っていく

援軍を率いる将は意図的に意識から排除するように
虎衛兵との戦いに<精神集中>する

反撃の覇王拳は【神速反応】で軌道を見切り
拠点内の防壁や柵を<地形の利用>で己の楯としながら戦おう


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

さて、次は援軍の歓迎会ですか
まったく、忙しいですね
指揮官の徐福は油断ならぬ相手でしたから
念の為、背後には気をつけつつ配下から落としていきましょう

錬晏の様子もちらりと見て
配下に集中している様子なら、攻撃を援護するように仕掛けていきます

宙に展開した鍵盤で「ヒロイックシンフォニー」を演奏
幻想の英雄を喚び、蟲兵に斬りかかるよう指揮
装甲が固そうな相手ですから、関節部分を狙います

かなり壊してしまいましたが、拠点は拠点
地の利を活かし、高所から相手の動きをつぶさに観察し
弱っている相手から仲間と狙いを揃え
手早く撃破していきたいです

反撃には魔力障壁で威力を軽減
此方もそう簡単に倒れてなどやれませんよ


守都・幸児
※連携、アドリブ歓迎

よーし制圧だっ
せっかくの拠点だ、存分に活用させてもらうとするか
俺は引き続き木組みの柵を利用する
今度は内側から外に攻撃するためにだがな

敵軍がただ正直に入り口から入ってくるとは思えねえ
あの虎衛兵たちとは何度か戦ったことがあるが、力もあって硬い連中だ
きっと柵を壊して乗り込もうとしてくるだろうよ
だから、そこを狙う
俺の使う技は「定」
木組みの柵を守るように、柵の外側一面に結界を張ってやる
触れれば刃に変じる結界だ
敵が柵を壊そうと触れたなら
結界の刃で自滅することになる
連中の硬い装甲は一撃じゃ貫けねえかもしれねえが
柵が壊されるのを見越して、内側にもう一枚結界を張っておくぞ
二段構え、ってやつだ


九条・雅
息子の朔夜(g09155)と参加



残留効果活用

朔夜、わき腹の傷は大丈夫かい?ああ、これが復讐者の戦場だ。厳しいだろうがこれから実戦で学んでいけばいい。



増援か。こういう敵は連携すると実に堅牢になる。なら朔夜と連携してまとめて吹き飛ばすとするか。気合を込めて乱世猛将波!!

ああ、戦場の常で不意に思わぬ所から奇襲を受ける可能性があるので、【戦闘知識】【観察】でよく周りを気をつけて、【残像】で急所を外す。

朔夜には危なかったらすぐ警告して出来ればディフェンス。この世界は常時戦争中だ。何が起きるがわからない。神経を研ぎ澄ませて供えるんだよ、朔夜。


九条・朔夜
母の雅(g03431)と参加

残留効果活用

復讐者の戦いは反撃には反撃が返ってくるのを忘れてた。功を焦って手傷を負うとは軍師失格だな。今度は慎重に動こう。

むむ、防壁がいくらか取り除かれたとはいえ、敵の戦陣が隙が無くて手堅い。未熟者のオレが迂闊に手を出すと痛い目に遭いそうなので、【観察】【情報収集】でじっくりと戦況を見つめ、隙を【看破】する事に努める。完璧で無敵な戦陣は存在しない。きっと綻びがあるはずだ。

攻撃は母さんと連携して【高速詠唱】で不動降魔印。得た情報を元に狙いを定めて撃つ。

母さんに負担をかける訳にはいかないので攻撃は【残像】と【結界術】による防御壁で出来るだけ被害を減らしたい。


秋風・稲穂
さてと、お次は迎撃か
モテると辛いね
しかし対応が早いなあ
敵ながら天晴ってやつだね

せっかく物見櫓があるんだし、利用して敵の動きを観察しよう
敵も勝って知ったる自軍の拠点だし、攻め場所も知ってるだろうしね
どういう攻め方をするか、上から眺めさせて貰って分析しよう

ついでにその状況をパラドクス通信で皆に共有しとこ
敵軍の動きを観察出来たら、後はこっちから攻めていこう
櫓から跳躍して戦場に躍り出よう
【不意打ち】気味に部隊の横を取って雷波一閃で薙ぎ払う!
敵の拳気を剣で受け、ガードしながらその勢いを利用して後方へ飛んで【一撃離脱】
ヒット&アウェイで戦場を駆け、引っ掻き回してやろう

アドリブ連携等歓迎


●索敵
「思いのほか早くに落とせたか。皆で一気呵成に攻めた甲斐があったな」
 蟲将の援軍が攻め寄せてくるまでの、ほんの僅かな間を利用して。
 制圧した魏軍拠点の中を、警戒を解かぬまま夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は見回っていた。
 纏う武人の漢服に乾いた風を受けつつ、黒龍偃月刀を手に周囲を見る。蟲将の援軍があることは分かっているのだ。
「さて、如何に迎え撃つか、だが……」
 辺りに、さほど損傷のない木製の防壁や、木組みの柵が散見された。
 利用できるものは何でも利用する。それも一つの戦法である。
「よーし、あとは攻めてくる奴らを倒すだけだな」
 言って両の拳をガツリと打ち合わせた守都・幸児(祥雲・g03876)もまた、周囲の環境を利用しようと考えていた。
「折角の拠点だ、存分に活用させてもらうとするか」
 使えると思ったのは、太い木を編んで作られた柵だ。バシバシ叩いて強度を確認すると、幸児は満足げに笑みを見せた。
 錬晏も共に使えそうな壁や柵を出来る範囲で確認していく。
「これは攻撃を躱すのに使えるかな」
「あの虎衛兵たちとは何度か戦ったことがあるが、力もあって硬い連中だ。どんなやり方で攻めてくるかもわからねえ」
「ああ、警戒するに越したことはない」
 錬晏が小さく首を縦に振る。
 虎衛兵を指揮する将のことは、敢えて頭の隅へと追いやっていた。

「さてと、お次は迎撃か。モテると辛いね」
 物見櫓の上で、秋風・稲穂(剣鬼・g05426)が小手をかざして周囲を見回していた。
 蟲将の援軍が攻め寄せてくる前に、その位置を掴んでしまおうというのだ。
 高台に上るということは、敵に見つかりやすくなり、下手をすると突如パラドクスが飛んでくる危険性もある。が、稲穂を始めとするディアボロスたちは制圧した拠点の地の利を存分に活かし、蟲将が攻め寄せる前に素早く索敵を行っていた。
「しかし対応が早いなあ。敵ながら天晴れってやつだね」
 流石に、あの荀彧が緻密と豪語していただけのことはある。
 稲穂は敵の情報を集めつつ、パラドクス通信を用いて、拠点内のディアボロスたちと連絡を取っていた。
 折角、迎撃できる状況に至ったのだ。連携しておくに越したことはない。

「次は援軍の歓迎会ですか。まったく、忙しいですね」
 幾つかある櫓の上で、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)が一息ついていた。
 拠点を制圧したかと思えば、そう間を置かずして、蟲将の軍勢が奪還のため来襲するという。
「指揮官は徐福でしたか。油断ならぬ相手です」
 同種の防衛拠点で、既に徐福を名乗るアヴァタール級と戦ったことのあるソレイユである。
「念の為、背後には気を付けつつ戦うとしましょうか」
 奇襲戦法を得意とする蟲将だ。
 アヴァタール級はそれぞれが別個体だが、その性質は異ならないはず――。
 間近に迫る戦いを想定しつつ、ソレイユは戦場の地形を確認する。
「地の利はこちらにあります。手早く片付けたいですね」
「ああ、戦力も十分だ」
 まだ無事な櫓が拠点内には幾つもあった。その一つに立って同じく索敵していた喩・嘉(瑞鳳・g01517)が、パラドクス通信機で声を送ってくる。
「幾ら蟲が湧こうが、一掃してしまえるだろう」
 敵を引き込み、迎え撃つ布陣である。
 前に出て戦う者、そして支援をする者と、ディアボロスたちの陣容は整っている。バランスの取れた布陣と言っていい。
 間もなく蟲将の軍勢がやってくる。ディアボロスたちはそれぞれ適した位置で、それを待ち受ける。
 冷静に対処しさえすれば必ず勝利することが出来る――喩嘉はそう判断していた。
「防衛拠点っていうのは、奪われた時には逆に攻めにくいものであることをわからせてやろう」
「では私は援護を担いましょう」
 通信機から、ソレイユの声が響く。
 そして稲穂が、二振りの剣を手に、敵を窺いながら言った。
「それじゃ私は思いっきり引っ掻き回してやろうかな」

●備えは怠りなく
「朔夜、わき腹の傷は大丈夫かい?」
 深手ではなく、十分に動ける程度の怪我だった。武人である九条・雅(赫焉のパシオン・g03417)にはそれがひと目で分かったが、それでも聞かずにはいられなかったのだ。
「大丈夫だよ、母さん。……反撃には反撃が返ってくるのを忘れてた」
「ああ。それが復讐者の戦いだ」
 制圧した拠点で敵を迎え撃つ準備を整えながら、九条・朔夜(赫灼のスフィーダ・g09155)が言った。
「功を焦って手傷を負うとは軍師失格だな。今度は慎重に動こう」
 勝敗は兵家の常、百戦百勝の軍師はいない。多少の失着に冷静さを失うような朔夜ではないのだ。
「厳しいだろうがこれから実戦で学んでいけばいい」
 雅は静かに闘気を滾らせ、拠点を襲って来ようとする敵に備えていた。
「増援が来たようだね。どう見る? 朔夜」
「むむ、慌てて取り返しにきたとは言え、敵の陣形は手堅いな」
 パラドクス通信の効果で、味方から索敵結果を伝えられていた朔夜である。
 情報を集め、周囲に残存している木の壁や柵の位置もおおよそ把握すると、手近な壁に身を隠して待ち受ける。
「敵の陣形は相当に硬そうだ。でも完璧で無敵な戦陣は存在しない。きっと綻びがあるはずだ」
「ああいう敵は連携すると実に堅牢になる。それをさせないってわけだね」
 満足げに雅は言うと、武器を手に、その闘気をいっそう燃え上がらせた。
「この世界は常時戦争中だ。何が起きるがわからない。神経を研ぎ澄ませて備えるんだよ、朔夜」

●魏軍拠点の戦い、迎撃戦
「進軍せよ」
「隠れ潜んでいるに違いあるまい。探し出して撃滅せよ」
 ディアボロスに制圧された防衛拠点に、魏軍虎衛兵が攻撃を開始した。
 奇襲を得意とする徐福の指揮下にあるためか、正面から堂々と攻めかけるのではない。まるでディアボロスたちの予想を外そうとするかのように、壊れかけていた木の壁や柵を薙ぎ倒すようにして侵入してきたのである。
 ――けれど。
「やっぱりそう来たな」
 それは幸児の思う壺であった。
 魏軍虎衛兵は力を誇示するように柵に手をかけ――その巨腕が、瞬時に生じた刃によって斬り裂かれた。
「――!?」
 吹き飛ばされた腕の断面を見て驚愕する虎衛兵。似たようなことが周囲の数体の身にも起こっていた。
 結界である。
 柵や壁の表面に貼られているように見えるのは、幸児の手に成る見様見真似の紙符だ。それらが柵の表面を覆うように結界を構築し、触れた敵に容赦なく刃を見舞ったのである。その為もあって敵は足止めを食い、まず目の前の邪魔者を排除しようと陣を組んだ。
 幸児を釘付けにし、突出してくれば強烈なカウンターを見舞おうという肚である。
 虎衛兵のその戦法はしかし、攻める側としては些か積極性に欠くと言えよう。
「来いよ、切り裂いてやる」
 符を握りしめながら、幸児は引き付けた敵を、拠点内部へと誘導することを考えていた。
「二段構え、ってやつだ」
 そこら中に結界を展開して、徐々に後退しつつ、敵を消耗させていくのだ。
 そうすればやがて、軍師の計略が蟲将どもを呑み込むだろう。

「前進せよ」
「相互に連携し突出はするな、何処に潜んでいるか分からん」
 巨体を誇る虎衛兵がゆっくりと前進してくる。
 ずしりと地を踏みしめて拠点の内部へと攻め入るその様は、並の兵隊であれば目にしただけで肝を潰しそうだ。
「散開したか。力押し一辺倒というわけではないようだな」
 錬晏は敢えて敵軍を自陣に引き込み、木の防壁を背にして待ち受けていた。敵は固まって行動するのではなく、ある程度距離を取り、ディアボロスを見つけ次第、反撃を加えることを目論んでいるように見える。
 しかしそれは上手く対処できれば、
「各個に撃破出来るということだ」
 こちらへ前進してくる虎衛兵が二体。
 左右は壁である。
 錬晏は攻撃の機を見計らいながらも、薄目を閉じて精神を集中させていた。
 ――今!
 目を見開き、武人の漢服を翻して飛び出した錬晏が、黒龍偃月刀を手に残像を引きながら突貫する。
「ヌゥ! 現れたな!」
「喰らえい!」
 身を低くした錬晏の頭上を虎衛覇王拳がかすめていく。懐に飛び込んでの覚醒の一撃――具現化した朱殷の闘気が刃となり虎衛兵の鎧を貫いた。もう一体が振り下ろす拳に潰される前に、影を引き、地を蹴って飛び退く。
 そして再び地を蹴ると、拳を振り落とした蟲将の首に錬晏は黒龍偃月刀を突き立てていた。
「まずはお前たちからだ。踏み入ってきた失策を悔いるがいい」
(「錬晏は――配下に集中していますね」)
 物見台の上でソレイユが戦闘を見下ろしていた。
 視認されればパラドクスの攻撃が飛んでくるだろうが、既に乱戦である。
(「弱っている敵から狙うべきですね」)
 錬晏を始めとするディアボロスたちが、上手く戦場の状況を利用しているとソレイユは思う。 
「援護します」
 奮戦する錬晏の立ち回りや手負っていく敵の状態を見つつ、ソレイユは宙に展開した鍵盤を流れるように打鍵し始めた。響き渡る勇壮な曲は、その名もヒロイックシンフォニー。紡がれる音楽が形を取ったように、幻影の英雄が戦場に躍り出る。
 英雄は奏者の意図を汲んで、物言わずに頑強なる敵へと突貫していった。
 攻撃態勢を整えようとしていた虎衛兵――その傷んだ腕の関節部に英霊が剣を突き刺し、そのまま斬り落とす。
「上手くいきましたか」
 反撃さえ満足にさせない的確な攻撃である。
「流石だ」
 錬晏が視線を櫓の上に向けて、微かに笑んだ。
 頷きを返してソレイユが周囲を見回す。
「もうひと押しですね」

●武者と軍師
「怯むな、進め!」
「攻め入ってきたな。でもこの位置だったら……!」
 相互に連携を取りながら魏軍虎衛兵たちが拠点内に踏み入ってくる。
 が、仕掛けてくる方向や戦闘の状況を、朔夜はしっかりと見定めていた。
 目配せすると、愛刀を手にした雅が、ざりと地を踏み締める。
「このまま行けい! 連携し敵を撃滅するのだ」
「そう簡単にいくかい――?」
 木組みの柵の影から躍り出た雅は、赫灼の闘気を身に纏いながら、突っ込んできた二体めがけてパラドクスを解放した。
 乱世猛将波――使い慣れた赫焉の刀を横に薙いだ瞬間、凄まじきオーラの奔流が虎衛兵たちに襲いかかる!
「ヌゥ……!」
 胸部に深い斬撃を刻まれながらも、たたらを踏んだだけで耐えた辺り、虎衛兵も流石に精強である。
「守りを固められるわけには、ね……!」
「援護するよ、母さん」
 修験者のそれに似た十六夜の装束を纏う朔夜から、光り輝く神気が迸った。邪悪なる者を調伏するその力が、虎衛兵たちを包み込み、苛む!
「ヌゥゥ! 小癪な奴!」
 虎衛兵が地面に指を突き立て、大地を転覆させた。虎衛大地廻の猛威は地盤ごと朔夜を粉砕しようと迫るが――。
「そんなもの当たるかよ!」
 予め周囲の状況を把握していた朔夜は、それを最大限に使って攻撃を避ける。
 瓦礫が落ちてくる中、手近な木の壁の後ろへ飛び込み、敵の動きを窺いながら援護を続ける。
「やるじゃないか、朔夜」
 虎衛兵が態勢を崩したところへ、雅が鬼気迫る勢いで斬り込んでいく。
(「母さんに負担をかける訳にはいかないからな……!」)
 歴戦の猛者たる雅の戦い振りを見ながら、朔夜が印を結んだ。

●鏖殺
「圧されているだと……? 有り得ぬ!」
「態勢を立て直せ。然る後に反撃せん」
 ディアボロスたちの猛攻を受けて、じりじりと後ろへ退がっていく魏軍虎衛兵たち。
 残存する戦力を合流させ、守りを硬め、何とか持ち直そうとしているが――ディアボロスの攻め手はまだ途切れていない。
「頭上注意だよ」
 稲穂がその銀色の髪や尻尾に風を受けながら降ってきた。魏軍虎衛兵の側面に降り立ち、驚いた敵の懐に飛び込んで双剣を振るう。
「――薙ぎ払う!」
 雷波一閃。
 双剣から紫電が迸ったと見えた瞬間、眩い光が爆ぜ、雷の力が虎衛兵たちに襲いかかった。鎧めいた胸部を抉るように吹き飛ばされ、たたらを踏む虎衛兵たち。
「しまった……!?」
「だが……こちらの間合いだ」
 余りにも重い拳の一撃が放たれる。
 盤石さえ粉微塵にするであろう虎衛覇王拳は、まともに受ければディアボロスとて只では済むまい。
「残念、その手は喰わないよ」
 が、読んでいた稲穂は双剣をクロスさせ、バックステップ。攻撃の威力を受け流し、態勢を崩すことはない。
「よし、一時撤退」
 そして頃合いを見計らい、稲穂が飛び退いた。
 蟲将たちは翻弄され、更なる脅威に気付くことさえできなかったのだ。
「戦いで随分荒らしてしまったからな。お前たちもろとも清らかな水で一掃してやる」
 櫓の上に立った喩嘉が、砂塵を受けた瑞応龍袍を軽くはたいた。
 ここぞと羽扇を横に薙げば、その動きに応じて地鳴りめいた音が響き――突如として現れた膨大な水流が、戦いを繰り広げていた魏軍虎衛兵たちを纏めて呑み込む!
 青龍水計。それこそは喩嘉が得意とする計略である。
 魏軍虎衛兵の全滅を見届けて、神算鬼謀の軍師は言った。
「ひとまず片付いたな。残るは徐福だけか」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水源】がLV2になった!
【神速反応】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【命中アップ】LV3が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【先行率アップ】LV1が発生!

●僑軍孤進
「虎衛兵の攻めは失敗に終わったか。余程の手練れと見えるな」
 乾いた風が砂を巻き上げて彼方へ去っていく。
 徐福は、得物である『針』を提げて、拠点へと踏み込んでいく。
 一人になっても、その戦意は全く衰える気配がない。
「ディアボロスめ。纏めて息の根を止めてくれる」
九条・雅
息子の朔夜(g09155)と参加

息の根を止めるねえ。折角息子と出会えたんだ。ここで死ぬ訳にはいかないね。朔夜、敵は単体だがこれまでの大軍勢の大将だ。油断するんじゃないよ。

敵の飛ばしてくる針は【残像】で急所を外しながら【薙ぎ払い】で打ち払って行く。なるべく【ダッシュ】で本体に早く接近したいね。

接近できればこちらのものだ。全力の獄炎斬を【怪力無双】【強打】で全力で振り下ろし、【グラップル】【粉砕】で鬼の腕で殴って装甲ごと【破壊】する。

さあ、どきな!!アタシ達の行手を阻む輩は容赦しないよ!!


九条・朔夜
母の雅(g03417)と参加

うん、母上と再会できた。少なくともここは死地じゃない。大軍勢で実に手強かった。外見から見て凄く強そうだけど退く理由はない。母上と、ここにいる皆と、必ず打ち破ってみせる。

敵の放ってくる針は未熟者のオレには辛い。【残像】の急所外しと【結界術】の防御壁で倒れないように踏みとどまる。

敵は物凄く強いけど、単体だから、【戦闘知識】【観察】で良く動きを見れば必ず隙を【看破】出来るはず。

仲間が痛手を与えたら【高速詠唱】で破軍衝。母上より受け継いだ鬼の腕を
全力で振り抜いて敵の体を【破壊】する。

アンタもここを護りたいんだろう。でもオレ達も譲れない。突破させて貰うぜ。


●結束は断たれず
「息の根を止めるねえ。折角息子と出会えたんだ。ここで死ぬ訳にはいかないね」
 赫灼の闘気を滾らせて赫焉の刀を構える。その切っ先を徐福にぴたりとつけた九条・雅(赫焉のパシオン・g03417)は、その赤き瞳に決意を湛えて、凄まじい剣気を迸らせた。
 達人は達人を知る。
 眼前の蟲将が恐ろしい大敵であることを、雅は感じ取っていた。
「朔夜、敵は単体だがこれまでの大軍勢の大将だ。油断するんじゃないよ」
「うん、母上と再会できた。少なくともここは死地じゃない」
 雅と共に九条・朔夜(赫灼のスフィーダ・g09155)は討つべき蟲将と対峙していた。魏軍防衛拠点の戦いも大詰めだ。敵の軍勢は実に手強かった――負った傷の痛みを意識の外に追い出しながら、改めてそう思う。
 激戦を潜り抜けて、朔夜まだ戦場に立っている。こうして雅と共に戦えている。
 だから、
「退く理由はない。母上と、ここにいる皆と、必ず打ち破ってみせる」
 相手はまさにこの戦いにおける最後の砦だ。侮ってかかれば返り討ちに遭う。それほどの難敵である。
「そうか。では――揃って死ぬがいい」
 虻の羽で虚空を叩き、徐福は斬り込んできた雅を迎え撃つ。いや、翻弄するように動き、斬撃を紙一重で避けていく。
(「流石に疾いね。踏み込みすぎてもいけない。離れすぎても……!」)
 敵は素早い動きで好機を狙っていた。その武勇と同様に、どうやら頭も切れるらしい――そう朔夜は見る。
「喰らいな!」
「ム……!」
 雅の鮮やかな横薙ぎを後退して避けつつ、徐福は針を投擲した。
 無数の標本針と化したそれは、大軍勢から放たれた無数の矢もさながらに雅に迫る。
 退くか。
 それとも進むか。
(「退く理由はない――その通りだよ、朔夜」)
 雅が迷うことなく選んだのは、前進であった。
 残像を生じさせつつ、降ってくる針の雨を潜り抜ける。
 体を貫かれようが、武器を落とさなければいい。足を止めなければいい!
「接近できればこちらのものだよ――!」
 鬼の拳で殴る。
「甘いな」
「そうかい!?」
 容易く当たりはしない。避けると読んでいた。
 更に踏み込み、灼熱の炎を纏った赫焉の刀が、唸りを上げて徐福に迫る!
「ヌゥ……!」
 全霊の袈裟斬りが徐福を切り裂く!
(「凄いな……これが」)
 雅と徐福の戦い振りを目の当たりにして、朔夜は思う。きっと一人でぶつかり合えば、あんな風にはできない。猛き蟲将と鎬を削る雅の姿を、彼女と同色の瞳に映して、朔夜は鬼人の拳を握りしめた。
 まだ足りない。まだ、今は――心のなかで歯噛みしながらも朔夜は戦場を、敵の動きを見る。
「ここだ……!」
 葛藤していてさえ、頭は冷静に知恵を巡らせていたのだ。
 地を蹴り、十六夜の装束を翻して疾駆する。
「来たか、小僧!」
 徐福が針を投じると、それが分裂し、無数の標本針が雨のように降り注ぐ。
「やっぱりそう来たか……!」
 怯むような朔夜ではない。
 肩を突き刺された。
 脚も片方貫かれた。
 けれど――傷みも、心を侵食するような情念をも振り払い、駆ける。
 勝って必ず二人で帰還する。そう心を定め、朔夜は狂奔将軍に突撃する――!
「捕まえたぞ!」
「何だと……!」
 徐福も彼をただの策士と侮ったわけではなかったはずだ。
 けれど勇猛な蟲将を心の底から驚かせるほど、その踏み込みは凄まじいものだった。
(「母上より受け継いだ鬼の腕……ここで!」)
 硬化した腕を振り被る。そして渾身の破軍衝が徐福の胴にめり込み、吹き飛ばした――!
「ぐ、っ……やりおる……!」
 大きく後ろへ退がりながら、着地する徐福。
 蟲将の前で、二人同時に赫灼の闘気を燃え上がらせながら、雅と朔夜が構えを取り直した。
「アンタもここを護りたいんだろう。でもオレ達も譲れない。突破させて貰うぜ」
「そういうことさ。分かったら、どきな!! アタシ達の行手を阻む輩は容赦しないよ!!」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【ガードアップ】LV1が発生!

喩・嘉
※アドリブ、連携歓迎

こいつを倒してさっさと撤退するぞ

しかし、派手な技だな
こうも暴風が吹き荒れていると、こちらの攻撃も通りにくいか
では……
これではどうかな

羽扇を振るい、「白蛇厄凍呪」を使用する
白蛇を召喚し、徐福に向かわせて氷と毒の息を吹きかけさせる
これで多少なりとも動きが鈍れば
仲間が攻撃を仕掛ける隙を生むことができるだろう


守都・幸児
※アドリブ、連係歓迎

死角からの攻撃か
こっちは死角だらけだが、あいつの目には死角がなさそうなのが厄介だな
なら、見えねえとこから攻撃が来るのを覚悟して
ぎりぎりのところで少しだけ急所を逸らすことに【精神集中】するぞ
刺された瞬間、全身に力を込めて敵の針を捕まえてやる
俺は硬いぞ
貫けるもんなら貫いてみやがれ
(無意識のネメシス化で狙われそうな身体の急所が硬質化)
痛みに意識を持ってかれさえしなけりゃいい
くらって反撃する【捨て身の一撃】で対抗だ
俺が使う技は「悪鬼粉砕撃」
パラドクスの力を腕に乗せて
武器の藍鬼拐で徐福を思いきりぶん殴ってやる

長居は出来えねえからこそ、確実に一撃入れたい
さっさと決着つけて皆で撤退するぞ


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

いよいよ、徐福相手ですか
油断ならぬ相手ですから、いつも以上に周囲の様子に気を配って不意を突かれぬようにだけは気をつけておきます

宙に展開した鍵盤で「嵐」を演奏
周囲の破片を巻き上げ、削る様に相手へと仕掛けます
錬晏の攻撃を出来るだけ支援
揺らぐ感情が見えれば、回りを気にせず相対できるよう援護
きっとその感情を抱く、相応の理由があったのだろうから
前だけ向いて進んで欲しいです

反撃には魔力障壁を展開し、多少でも軽減を
此方の嵐に、あちらは土石流
押し負けるわけにはいきませんから、より強く演奏に集中しましょう

仲間と連携し絶え間なく攻撃を続けて、徐々に包囲網を狭めます
仲間へのW技は可能ならディフェンス


夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
※仲間へディフェンス

心は凪のようにあれ
师傅からいただいた言葉

「なかなか、ままならないな」

もう三度目だというのに、凪ぐどころか荒れ狂う感情
朱殷の闘気が龍を模し偃月刀に纏わりつき唸りを上げるも<精神集中>で辛うじて抑える

陳留にも、『徐福』にも、もう手が届くんだ
ここで負けるわけにはいかない

ネメシス化で黒い靄が籠手と佩楯を形成
<地形の利用>して<撹乱>しつつ、仲間と連携して追い詰めよう

隙を逃さず近接すれば一撃を叩きこむ
反撃には【神速反応】と護紋で被害を最小に

流れ込む情念は覚えがある
蟲将の侵略に気付いたあの日
復讐者となったあの日
主と死に別れた最期の日

俺は確かに、この針を受けたんだ


秋風・稲穂
さて、後は徐福を倒して離脱するだけか
やるべき事はやったんだ
最後もキチンと〆て、無事に帰ろう

未来予測で1秒先を読み、行動の指針に
得た未来を用いて、標本針を【斬撃】で迎撃して【破壊】する事で被弾を最小限に
意識を保つためにも【呼吸法】でしっかりと息を整えて抵抗していこう
此方も断頭フォルテッシモを発動
【ダッシュ】で肉薄
勢いを乗せた【突撃】から剣での【連撃】を叩き込もう
距離を詰めての剣戟戦をメインに戦闘
此方が前で壁になれば、仲間の攻撃もきっと通り易い
他の人の攻撃動作を未来予測で視たなら、一度距離を取ってその攻撃が通り易くなるように動こう
機動力を活かした戦い方で翻弄していくよ

アドリブ連携等歓迎


●魏軍防衛拠点、決戦
「死角からの攻撃か。こっちは死角だらけだが、あいつの目には死角がなさそうなのが厄介だな」
 先行して仕掛けた雅と朔夜が、連携の末、遂に徐福に傷を負わせた。
 敵が凄まじい武勇の持ち主であることは、ひと目その戦い振りを見ただけで分かった。守都・幸児(祥雲・g03876)は隙を突かれぬよう注意しつつ、目だけを動かして周囲を窺う。そしてすぐさま眼前の徐福を見据えて、精神統一をはかる。
 まだ柵や壁がそこらにある。利用されでもすれば厄介だった。
「さて、あいつを倒して離脱するだけか」
 何処か飄々とした口振りで秋風・稲穂(剣鬼・g05426)は言い、二剣を構えた。白銀のL・デルフェスと漆黒のBurn the dark――光と闇を象徴するかのような二振りが討つべき敵に向けられる。
「フム……この拠点を落としただけのことはある。甘い防衛体制ではなかったはずなのだが」
「こちらの攻勢が防備を上回ったからだろう。後はお前を討つだけだ、徐福」
 瑞応龍袍が風にはためく。
 朱色の羽扇を手にした喩・嘉(瑞鳳・g01517)は、先ず言葉で果たすべき目的を示し、ディアボロスたちを鼓舞した。冷静さを失ってはならない。勝って、無事に帰還しよう――そう言い聞かせるように。
 拠点を制圧して地の利を得たと言っても、まだここが危険地帯であることには変わりがない。力を合わせてここまで戦い抜いたのだ。共に戦った誰一人として、欠けさせてはならない。
 稲穂が小さく首肯し剣の柄を握りしめる。
「やるべき事はやったんだ。最後もキチンと〆て、無事に帰ろう」
「ほう。舐められたものだ」
 二人の言葉は、徐福にとって挑発とも取れるものだったろう。蟲将は手に提げていた『針』を構えて低く声を発した。
「出来るものなら……やってみるがいい」
「いよいよ、ですね」
 既に幾度か干戈を交えたことのある強大な蟲将を前に、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)も心の糸を張り詰めさせていた。敵はあの独特な武器を手に、縦横無尽な攻撃を仕掛けてくるはずだ。一瞬の油断が命取りになる。それをソレイユはよく分かっていた。
(「この徐福も別個体に過ぎないのですよね……でも」)
 ちらとソレイユは夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)に視線を送る。
 何度、共に戦ってきただろう。
 心中穏やかではいられないことなど、その心を推し量るまでもなく明らかだった。

 黒龍偃月刀の柄を隻手で強く握り込む。
 ――心は凪のようにあれ。
 师傅からいただいた、その言葉が錬晏の胸の内に木霊する。
(「もう三度目だというのに」)
 眼前のアヴァタール級――徐福は、クロノス級によって創り出された別個体だ。そんなことは分かっている。分かっているが……心は鎮まるどころか、まるで暴風雨の中に在るように荒れ狂っている。
 朱殷の闘気が唸り、龍を模して黒龍偃月刀に巻きつこうとしていた。精神を集中してそれを抑える。
 ――凪のようにあれ。
 小さく唇を動かす。
 そして一度だけ首を横に振った。
「なかなか、ままならないな」
 いみじくも味方が言った通り、後は眼前の蟲将と雌雄を決するのみだ。
 陳留にも、『徐福』にも、もう手が届く。ここで負けるわけにはいかない。

●凶猛
「なるほど、なかなか上手く得物を遣うが」
 横に薙いだ藍鬼拐が空を切り、手応えがないまま徐福が視界から消えた。
 一瞬、背筋が寒くなるほどの沈黙が戦場を支配する。
 幸児が素早く把握していた通り、周囲には柵や防壁が残存しているのだ。隙を晒せば致命の一撃が死角から襲い来るかも知れない。
 ――長居は出来えねえからこそ、確実に一撃入れたい。
 心を落ち着かせる。焦慮は泥沼のように足を取って動きを鈍らせる。だからこそ幸児は集中し考える。考え、時を窺う。
「流石に疾いね。でも」
「二刀遣いか。なるほど、動きにも自信があるらしい」
 防壁の後ろから飛び出した徐福、その『針』を、稲穂が白銀の剣で跳ね上げるように逸らしていた。
 稲穂の軽捷さも人後に落ちない。けれど相手は単騎のディアボロスを大きく上回るアヴァタール級だ。
(「少しでも動きを読めれば……」)
 未来予測の効果も最大限に活かして、稲穂は二刀流で斬り込んでいく。杭にも似た『針』を自在に操る徐福と打ち合う。
(「此方が前で壁になれば、仲間の攻撃もきっと通り易い」)
 味方が動く未来を予測して、稲穂は好機を生じさせようと二剣を振るい続ける。
「やはり素早いですね。ですが……」
 斬り込む味方を支援するように、ソレイユは宙に鍵盤を展開した。自らの楽音を以て皆を援け、眼前の敵を討つ――決意を込めて、その色違いの宝石を思わせる双眸に戦場の光景を映す。
「飛ぶように駆けるなら、それを阻止するのみです」
 嵐が始まる。
 止まることなき指運びにより奏でられる無窮動の旋律が、仲間を、武人を奮い立たせるように響く。
 錬晏は自らの心とも戦っているのだろう。葛藤している、と思う。
 だからこそ援護しよう。彼の弟分として。
 ――きっとそんな想いを抱く、相応の理由があったのだろうから。
 片手で黒龍偃月刀を操る錬晏が、針を駆使する徐福と烈しく打ち合っていた。
 鍵盤に指を踊らせながら、ソレイユは音に願いを込める。
 過去はどうあれ、前だけを向いて進んでほしいと――。

「狂奔将軍・徐福、か」
 パラドクスの力を解き放ちながら、喩嘉がぽつりとその名を口にした。ディアボロスさえも翻弄する凶猛さは、アヴァタール級とて本物だ。
「オオオオオォォォ――!」
 両の腕に力を込め、徐福は吼える。身に纏う黒き靄を解き放ち、周囲に散乱する物を盛大に巻き上げて土石流を生じさせる。
「しかし、派手な技だな」
 この超常の猛威を前にしても狼狽えるような喩嘉ではなかった。状況を正確に見通して、活路を見出す。如何なる状況にあっても、冷静さを失わずにそれをする。それが策を練る者が持つ、一つの才なのだ。
「こうも暴風が吹き荒れていると、こちらの攻撃も通りにくいか」
 暴風が、纏う漢服を翻す。濁流が黒き大蛇のように猛り狂って喩嘉に襲いかかる。
「では……これではどうかな」
 対して羽扇を振るい、喩嘉が呼び出したのは、氷により形作られた美しき白蛇であった。
「行け」
 羽扇の動きに導かれた白き氷の蛇は、濁流を越え、徐福を締め上げるように渦巻いて氷と毒の息を吹きかける。

「グ、アアァァァァァァ――!」
 絞り出すような、喉を破るような声をあげて徐福が空気を震わせる。
 纏う黒い靄が爆発するように解き放たれ、周辺物を巻き上げながら土石流を形成する。襲い来る濁流――それを前に。
 ソレイユは魔力障壁を展開しながら立ち、演奏を続けていた。
 音楽を止めはしない。
 より強く。集中して。
「負けるわけにはいきません」
 烈風が周辺物を飛ばし、徐福の体を弾丸のように抉る。
 吹き止まぬ風が蟲将を地に叩きつけ、そして吹き飛ばした。
 
●克つべき相手は
「負けねえ……やられはしねえぞ……!」
 歴戦のディアボロスとて無傷ではいられない。その激戦の中、幸児が徐福と向かい合う。
「その意気や良し。だがここが貴様の墓場だ。ひと思いに息の根を止めてやる」
 時空を歪めたパラドクスたる精密刺擲は、死角から獲物を狙う恐るべき虻のひと突きだ。
 ひと刺しが即、死に繋がりかねない――。
「貰ったぞ」
 斜め後ろから迫った徐福が低く言いざま、幸児の脾腹をその『針』で突いていた。
 からん、ころんと。
 片方の藍鬼拐が地に落ちる。
 蟲将が笑んだ。
 してやったりの笑みがしかし、次の瞬間、驚きの表情に変わった。
「俺は……」
 避けきれないのであれば受け止めるまで。ギリギリのところで急所への刺突を逸しつつ、針そのものを片手で握り込んで、幸児はそれを止めていた。途方もない膂力だ。針は肉体に食い込んでいる。食い込んでいるが、しかし――。
「俺は硬えぞ……貫けるもんなら貫いてみやがれ……!」
「ヌウウゥゥ……!」
 貫こうとするも、針が動かない!
 気付かぬ内にネメシス化で体が硬質化していたのだ。そうでなければ、蟲将の針は容赦なくその腹を貫いていたかも知れない。今も決して無傷ではないが、しかしその針は確かに止まっている――!
「お前は素早いからな……だったら、これでどうだ!」
「……!」
 察知した徐福が退がるも、もう遅い。
 解き放つは至近距離からの悪鬼粉砕撃。
 腕の筋肉が隆起し、渾身の拐の横薙ぎ――もう片方の藍鬼拐が徐福を強かに吹き飛ばす!
 そこへ。
「お前の相手はこっちだ」
 稲穂が仕掛ける。
 吹っ飛ばされながらも、徐福が得物の針を投じてきた。
 針が空中で分裂し、無数の標本針と化して正面から散弾のように飛んでくる。
 未来を視ただけで躱せるものではない。
 故にその反射神経を駆使して稲穂は二剣を振るい――前進しながら針を斬り払う!
 ぐさり、ぐさりと。
 針が脚に突き刺さる。腹にも、そして頬をかすめて血と共に後ろへ飛ぶ。
「捉えたよ!」
 武器に音楽を宿して、戦場の音をリズムに変えて、稲穂は駆ける。時空を歪めたためか徐福の手の中に戻っていた針さえも弾き、一撃、二撃、三撃――甲高い音を響かせて逸らし、漆黒のBurn the darkが遂に敵の得物を大きく跳ね上げた。同時、白銀のL・デルフェスが徐福の胸を遂に貫く――!
 剣の道を行く者の卓越した剣技が、凶猛なる蟲将を圧倒したのだ。
「ヌゥ……せめて貴様だけでも……」
「させん!」
 錬晏の声が戦場の空気を震わせる。
 隙を突いて、ここぞと斬りかかったのだ。
 ネメシス化により黒き靄が籠手と佩楯とを形成していた。黒き靄――それはまるで眼前の徐福の――。
「動じているな? その力、使いこなせていると思うのか」
 徐福が挑発の言葉を弄する。
 構わず残像を引き突進する錬晏。
「馬鹿め」
 突き出された針が分裂し、無数の標本針と化して襲いかかった。
 恐るべき憑依繋縛の猛威は、花を象った戦花護紋でも止められはしない。
 肩を、腕を、腹を、脚を貫かれる。
 極度に集中した心に一石が投じられるように、毒めいた情念が波紋を投げかける。
 ああ――心に、浮かび上がるものがある。

 ――蟲将の侵略に気付いたあの日。
 ――復讐者となったあの日。
 ――主と死に別れた最期の日。
 ――俺は確かに、この針を受けたんだ。

「止まらん、だと……!?」
「こんなところで膝を折るわけにはいかない」
 鮮血が舞い散る。
 ソレイユの戦いが、仲間の奮戦が後押ししたかのように、錬晏は駆ける。
 極度の集中により全てが遅く感じられる中、黒龍偃月刀の薙ぎ払いが徐福の胴を通り過ぎた。
「ぐ……っ……まさか……ここまで、とは……」
 蟲将がよろよろと退がり、そして倒れ込む。
 愛刀を振り抜いたままの姿勢で荒く息を吐く錬晏。
 ぽたりぽたりと、滴った血と汗が大地に吸い込まれていった。
 その肩に、気遣うようにそっと手を添えた者がある。
 見上げた。
 ソレイユだ。
 防衛拠点を巡る激戦の熾烈さを、ディアボロスたちの傷だらけの姿が物語っていた。
「はあ、ようやく倒したね。流石にこれでお仕舞いかな」
 稲穂が左右を見回して、一息。そして二振りの剣を鞘に収めた。
「よし、帰還しようか」
 戦いの余燼を吹き払うような風が、そよそよと銀色の髪や狐耳を揺らしていく。
「喩嘉」
「ああ、無事だ。流石に汚れてしまったがな……さあ、帰ろう」
 喩嘉が笑みを見せると、ふらつく幸児に手を差し伸べ――互いに支えあって歩きだした。

 魏軍防衛拠点を巡る戦いにまた一つ勝利を収め、ディアボロスたちが帰還する。
 心堅石穿。集った者たちの強き意志が、敵陣を打ち破ったのだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
【神速反応】がLV2になった!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV2が発生!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!

最終結果:成功

完成日2023年02月11日

陳留大攻囲戦

!重要連絡!

 攻略旅団の集中提案により、2月末日まで、必要成功数が大幅に減少中です(24→12)。
 必要成功数は、3月1日の朝8時30分に元の数値(24)に戻ります。
 攻略旅団の提案を生かすのならば、2月末までに陳留大攻囲戦を成功させる必要があります。

 陳留防衛線のジェネラル級蟲将『曹丕』を撃破したディアボロスは、魏王『曹操』の拠点『陳留』に攻め寄せる態勢を整えました。
 しかし、魏の計略家『荀彧』は、曹丕が防衛ラインで稼いだ時間を使って、陳留周辺に多くの防衛拠点を用意し、万全の迎撃態勢を整えていたのです。

 防衛拠点を残したままで陳留に攻め掛かった場合、陳留を攻めるディアボロスの後背を扼されてしまいます。
 そればかりか、陳留の制圧に成功したとしても、防衛拠点を利用して曹操をはじめとしたジェネラル級に脱出されてしまう事が予測されます。

 陳留から撤退させずに、魏王『曹操』と決着をつける為には、陳留を包囲した上で、場外に用意された防御拠点を1つづつ潰していく必要があるのです。
 防衛拠点の戦いでは、時間と共に陳留からの増援が現れるため、短期間で防衛ラインを破壊しつつ、増援を撃破して撤退する必要があるでしょう。

!注意!
 このシナリオタイプは、攻略旅団提案による期限延長の対象外となります。
 なんらかの方法で、魏の作戦を妨害した場合、期限延長が提案可能になったり、必要成功数が変更されたりする可能性があります。

魏王『曹操』

鈴鳴りの計略家『荀彧』


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#大戦乱群蟲三国志
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#陳留大攻囲戦
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#魏
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#魏王『曹操』
🔒
#鈴鳴りの計略家『荀彧』
🔒
#陳留


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選択肢👾護衛するトループス級『魏軍虎衛兵』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)を護衛するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える必要があるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾トループス防衛ライン『魏軍拠点参謀』のルール

 ディアボロスの侵入を防ぐ為に、トループス級クロノヴェーダ(👾)による防衛ラインが引かれています。
 防衛ラインは、都市を守る城壁や、道を塞ぐバリケード、関所の検問や、秘密基地の監視所などがありますが、この防衛ラインをクリアしなければ、事件の核心に迫る事は出来ません。
 防衛ラインを守るクロノヴェーダは、防衛拠点を利用して戦う為、戦闘で有利になります。
 なんの工夫も無く漠然と戦うだけでは、苦戦(🔴を得やすくなる)してしまうので注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】この選択肢の🔵が👑に達しない限り、マスターは他の選択肢のリプレイを執筆できない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『狂奔将軍・徐福』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「夏候・錬晏」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。