【獣神王朝エジプト奪還戦】統一王の振るう槍(作者 秋月きり)
#獣神王朝エジプト
#【獣神王朝エジプト奪還戦】統一王ナルメル
#獣神王朝エジプト奪還戦
#ファーストアタック
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改竄世界史、獣神王朝エジプト。
其処に一体のクロノヴェーダがいた。玉座に座り、闘技場を見下ろす彼奴の名は統一王ナンメル。獣神王朝エジプトを支配する歴史侵略者にして、ジェネラル級マミーの一体であった。
その彼の前では、100体、否、それ以上に及ぶトループス級クロノヴェーダが槍を振るっている。それは試合と言うにはあまりにも殺伐としており、むしろ、殺し合いの様相を示していた。
「統一王の配下に弱者は必要なし」
殺し合う配下『鋭槍の守護者』達を見下ろし、ナンメルはククリと笑う。その笑みは、恍惚の表情を形成していた。
「余の兵士となるのならば、戦いに勝ち抜き、余の兵士に相応しき武を示すのだ。そう。トループス程度、片手で屠れなければ、余の兵士とはなれぬぞ」
だが、その前で戦い続ける部下達は、勿論トループス級である。
そんな無体な命令に、しかし、鋭槍の守護者達は従い、槍を振るい続ける。殺し、殺し、殺し続けるその行為には、意味があった。何故ならば――。
「勝利した者は、ナイルの水が引いた後、余と共にテーベに攻め上がる栄養を与えよう。彼奴ら同様にな」
ナンメルの周囲には、幾多の『鋭槍の守護者』達が控えている。彼らは皆、その幾渡にも及ぶ殺し合いに勝利し、統一王の寵愛を受けるに至った者達だ。
ならば、と闘技場の鋭槍の守護者は奮起する。自身等もまた、同じトループス級。同じ位階に至れない理由は無い。
「戦え。余のために。殺せ。この獣神王朝エジプトのために。一層多くの敵を屠れば、報償は思いのままぞ?」
ククク、カカカと統一王ナンメルの哄笑と、そして剣戟の音が闘技場内に響き渡っていった。
新宿島新宿駅ホームにパラドクストレインが到着する。それが指し示す先は獣神王朝エジプト。現在、攻略中の改竄世界史の一つであった。
「皆様! 獣神王朝エジプト奪還戦が始まりました!」
乗るしかない! この大波に! とずずいと進み出でた彼女の名は、シルシュ・エヌマエリシュ(ドラゴニアンのガジェッティア・g03182)。復讐者達を導く時先案内人の一人であった。
「皆様の知る通りですが、獣神王朝エジプトは一般人のリターナー化による『見せかけの死者の復活』を利用し、そこから得られる絶大な信仰のエネルギーを収奪していました」
そして信仰エネルギーから生み出した強力なクロノ・オブジェクトによって断片の王の戦いである『七曜の戦い』に備え、盤石な体勢を整えていたのだ。
「ですが! 巨大なクロノ・オブジェクトを生み出していたジェネラル級エンネアド『大いなるトート』の撃破を始め、数々の皆様の活躍により、彼の地を支配するクロノヴェーダ達は人々の信仰を失う事となりました」
例えば巨大砂上船スフィンクスの奪取。例えばアスワン大城壁の破壊。例えばトループス級エンネアドの生産地であったナセル湖の機能停止等。
そして何より、信仰の礎であった死者の書の破壊により、見せかけの死者の復活と言う優位性を失ったことが、彼らの信仰を奪う大きな一手となった。
「この機会を逃さず、百門の都テーベに攻め寄せた皆様の活躍により、クフ王を守護すべく出撃してきた『神域の守護神』マフデトを撃破。断片の王である『クフ王』を追い詰めたのです」
以上が、今までの事のあらましだ。ふんぬーと鼻息荒いシルシュの様子は、復讐者達の活躍がどれ程痛快でどれ程心地良い物かを強く語っているようであった。
「追い詰められた『クフ王』は、七曜の戦いに勝利するために準備していた『太陽の船』を始め、歴代のファラオであるジェネラル級マミーを解き放ち、決戦態勢に入りました。……と、ここまでが獣神王朝エジプトの状況です」
だが、他の改竄世界史達も、現状について指を咥えて見守る筈も無い。
排斥力の弱った獣神王朝エジプトの土地を奪おうと、幻想竜域キングアーサーからはドラゴン達が、断頭革命グランダルメからは自動人形達が、戦いに介入して来ているのだ。
「更に、南からは新たなディヴィジョン『巨獣大陸ゴンドワナ』の巨獣の群れが、東のシナイ半島からは、『蹂躙戦記イスカンダル』のジェネラル級ディアドコイ『救済者プトレマイオス』が多数の亜人を率いて、攻め寄せてきます。獣神王朝エジプト奪還戦では、彼の地を支配するエンネアドやマミーに加え、他4勢力のクロノヴェーダとも戦う事になるでしょうね」
そして、此度、パラドクストレインが繋がったのは、その前哨戦の為である。
これらの軍勢に対して攻撃を仕掛け、戦力を削れれば、戦争の機先を制することが可能となるだろう。
「とは言え、何れの勢力も大戦力です。引き際を違えず、充分な打撃を与えたら直ぐに撤退する事が重要となります」
なにも、本番前に大怪我をする必要はないのだと、シルシュはうんうんと、頷いていた。
「そして、此度、皆様にはジェネラル級マミー『統一王ナンメル』の配下であるトループス級マミー『鋭槍の守護者』とぶつかって頂きます」
エジプト第1王朝初代王を名乗るジェネラル級マミーの配下である彼奴らは、何と、殺し合いの末に生き残ったトループス級のみを厳選した、精鋭中の精鋭と言う。蠱毒でしょうか? とは時先案内人の談であった。
「経緯はともあれ、精鋭である事は間違いありません。努々、油断せぬよう、お願いします」
だが、対する復讐者達もまた、精鋭中の精鋭。猛者達が揃っている。負けるはずもないの確信が、彼女の瞳の中には存在していた。
「獣神王朝エジプトとの決戦を行う事が出来たのは、皆様の力、また、攻略旅団による功績が大きく占めていると思います」
大いなるトートの撃破、巨大砂上船サフィーナ・ミウの奪取、そして、アスワン大城壁の破壊。これらは攻略旅団による提案が無ければ、実現が不可能だった筈だ。
勿論、それを実行した復讐者達もまた、流石という他無いのだが。
「ですが、これまでの奪還戦と違い、獣神王朝エジプトの断片の王『クフ王』が健在であり、防衛の布陣を引いている事もまた、事実です」
例えば断片の王が不在なTOKYOエゼキエル戦争。例えば断片の王を喪った機械化ドイツ帝国。そして、断片の王が降伏を目論んだ平安鬼妖地獄変。その事実だけ見ても、獣神王朝エジプト奪還戦は今までの戦いとは一線を画す戦いとなるだろう。
「少しでも勝率を上げるため、ファーストアタックの戦いで、敵の戦力を削って下さい」
斯くして、時先案内人に見送られ、復讐者達はパラドクストレインへと乗り込むのであった。
リプレイ
小佐田・輪
この状況で蟲毒とは……不合理デスがそれ以上の何かがあるのデショウカ
『紡ぎ紡がれし百物語』を使いマス
王朝の滅びの物語をしマショウ
雷や川の氾濫等天罰っぽい幻影と共に攻撃デス
フフ、自分たちが神で滅ぼす側だと思っていマシタカ?
敵味方の数や配置、状態などの状況を判断しマス
幻覚で攪乱、敵の連携を断ちつつ攻撃デス
撃破できそうな敵を優先、敵の数を減らしマショウ
深入りしすぎず、囲まれないように
自分や仲間、敵の様子などからこれ以上攻めるのは難しいと判断したら撤退デス
皆サンとも可能な限り連携、援護しマス
他に有用な残留効果、技能があれば活用しマス
様々な勢力が入り乱れるこの蟲毒、必ずワタシたちが生き残りマス
桐生・巧
アドリブ連携歓迎
蟲毒と言っているでありますが、要はバトルロワイヤルで生き残った精鋭!
それ即ち、選び抜かれたリア充オブリア充!
であれば、こちらは全力をもって敵を滅ぼすのみ!
いざ、リア充は死ねぇぇぇぇぇい!
魔改造エアガンを片手に敵へ突撃し、全力でデコイになるであります!
戦場の状態や敵味方の位置を把握しつつ、弾幕や制圧射撃で敵を攪乱、味方に繋げるであります!
相手の攻撃は強化装甲の防御と忍耐力で耐えるであります!
味方が撤退を始めたら自分が殿として残るであります!
撤退が終了したら『自爆』を発動、そのまま新宿島へ帰還するであります!
ダメージにより戦闘続行が困難と判断した場合も同様であります!
一里塚・燐寧
はーん、人間蟲毒を生き残った精鋭部隊ねぇ?
殺し合いなんかで無駄に人材を浪費してるから、こんなに追い詰められてるんじゃないのぉ?
……ま、残った奴が精鋭なのは間違いないや、油断せず行くよぉ!
まず【泥濘の地】を展開して敵の足周りを悪くするねぇ
一人一人の動きが遅れれば、陣形を動かすのは更に遅くなるはずだよぉ
敵がもたついている間に高速詠唱でエネルギーをチャージ
『闇雷収束咆・怨響波』を≪DCブラスター≫からブッ放すよぉ!
無数のプラズマ弾で盾をすり抜けて敵の身体を焼き
【ダメージアップ】で深手を負わせていくねぇ
砲撃で敵の陣形を崩して反撃の威力を減衰
包囲される前に撤退するよぉ
ばいばーい、続きはまた今度ねぇ!
戦いは、何も開戦の合図と共に始まる物ではない。
密かに。しめやかに。
戦争が始まる前に、戦いそのものは始まっているのだった。
トループス級クロノヴェーダ『鋭槍の守護者』達の前に現れ出でたのは、少数の人間達であった。何奴、との誰何の声はない。それが誰だか、彼らはとうに理解していたのだ。
「ディアボロスだ! 討て!」
呼び掛けは早く、そしてそれを合図として各々が槍を構える。流石は統一王ナンメル配下の精鋭部隊と言った処か。
「油断せずに行くよぅ。怨み募りし魂よ、群がり集いて荒れ狂え。汝ら、寄る磯なき細波にあらず。津波と化して仇を呑まん」
響き渡ったのは一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)の声であった。妙に間延びした声は、しかし、真摯に、そしてふふりと零した笑みと共に形成される。紡がれた詠唱は、周囲の怨念を我が身に集める召喚術式だ。その怨念を吸い上げ、喰らい、そして、燐寧は自身の体内で、高エネルギーを練り上げる。
「な~んてね、ダババーっていくよぉ!」
まさしくそれは極光と呼ぶに相応しい一閃であった。
彼女から放たれたエネルギーは広域に拡散し、鋭槍の守護者達を灼き切っていく。肉の焦げる臭いが辺りに立ちこめ、上体を消失させられた数体の腰以下が、その地に転げ落ちた。
「いやー。折角蠱毒から生き延びたのに、勿体なかったねぇ。って、聞く耳そのものを吹き飛ばしちゃってるよねぇ。ごめんねぇ」
「謝罪の言葉は不要と見たッ!」
本気か建前か。それを悟らせない謝罪を引き継ぎ、鬨の声を上げる者がいた。
魔改造エアガンを片手に抱き、仁王立ちする青年――桐生・巧(リア充スレイヤー・g04803)である。
その瞳は熱く燃え上がり、その背には熱っ苦しいまでの炎、正確に言えばその幻影が燃えさかっていた。
「蠱毒と時先案内人は言ったでありますが、要は彼奴ら、バトルロワイヤルで生き残った精鋭! それ即ち、選び抜かれたリア充オブリア充! であれば、こちらは全力をもって敵を滅ぼすのみ!」
良く判らない理屈だったが、その想いを糧に、巧が戦いに挑むこと自体は復讐者側の不利益にならない。
それ故か、それとも別の理由があったのか、彼にツッコミは入らなかった。
「いざ、リア充は死ねぇぇぇぇぇい!」
斯くして、けたたましいアラーム音が響き渡る結果となったのだ。
「ひぃ?!」
「く、クレイジー?!」
その警告音が意味する所はただ一つ。彼の自爆である。
敵陣に突っ込み、意味不明な宣言と共に自爆を敢行する特攻戦士など、如何に鍛え上げた屈強な鋭槍の守護者であっても慮外の存在だ。自爆より早く仕留めるべしと盾を構え、槍衾の如く鋭槍を突き立てていく。
だが、無数の血煙が湧き、鮮血や装甲片が空を舞っても、巧を止めるに至らなかった。
彼を中心に空気が弾け、風が沸き立ち、そして熱波が放射線状に広がっていく。まさしく自爆。まさしくカミカゼであった。
「いやー。敵も不合理であれば、味方も不合理デスネ」
それは、自爆した仲間を視線の端で捕らえる小佐田・輪(紡ぎ紡がれしオカルトマスター・g01356)の台詞であった。だが、安心して欲しい。あれだけ激しい爆発の中心地にいたにも関わらず、巧に見られた傷痕は、僅かな焦げや黒煙のみであった。むしろ、刺されたと思わしき傷痕の方が痛々しく感じてしまう。パラドクス恐るべし、と言った処であった。
「まあ、それでも、この状況で蠱毒を噛ました兵士さんデス。それ以上の何かがあるのかも知れませんデス」
或いはトループス級が故、殺し合いをしても数を減らすことがない、と言う事だろうか。
そもそもクロノヴェーダとは不条理且つ理不尽な物。不合理な行動もまた、突っ込んだら負けという奴だろう。
「ともあれ、私も全力で応戦しマショウ。さあ、百物語のはじまりはじまりデス……」
にふりと昏い笑みを零した彼女は手にした得物――怪しいオカルト雑誌だった――を繰る。呪文書宜しく捲られたそのページに描かれたそれは、雷や河の氾濫、何れかの王朝、あるいは都市国家が迎えた滅びの特集ページであった。
無論、戦場でオカルト雑誌を読むことが、彼女の為すべき事では無い。彼女の為すこと。それは――。
「フフ、自分たちが神で滅ぼす側だと思っていマシタカ?」
ページを繰る度、雷が、濁流による圧壊が、鋭槍の守護者達に叩き付けられていく。その全ては幻覚であり、実際に鋭槍の守護者達を抉る物ではないが、しかし、それが紡ぐ滅びは久しく、彼にとっての害悪であった。
「……まあ、幻覚の中にある怪電波は本物ですケドネ」
怪電波で敵を侵し、幻覚を見せる。それが輪の操るパラドクスなのだ。それらに巻き込まれた鋭槍の守護者の数体がのたうち回り、地面へと転がっていく。思い込みの力か、ある物は口から多大な液体を零し、またある物は全身に大火傷の痕を刻んでいた。
「そうデスネ。この戦いこそまさしく蠱毒。ですが、様々な勢力が入り乱れるこの蠱毒、必ずワタシたちが生き残りマス」
それこそが、復讐者達の矜持であり、為すべき事であった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【通信障害】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【アクティベイト】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
不知火・紘希
初代ファラオくんか……。寵愛の少年ファラオくんと対峙したのも、ずいぶん前みたいだけど数か月前のことなんだよね。
精鋭なのはよくわかったよ。エジプトのクロノヴェーダって強いもの。
だけど殺し合ったりして得た力じゃ足りないって統一王なら知ってるはず!
僕らが目指すのはできる限りの勢力を減らすことだね。
戦場ではすぐに地形を観察、敵の陣形を把握してダッシュで移動。
魔法で残像を描きながら回避して、仲間と連携しつつ隙を見るよ。
攻撃をサンライトブレイザーでいなしながら観察終了!
リピートベインで守護者たちの動きを再現して、突撃させていこう。
お返しの続きは戦争できっちりお届けするよ!
仲間にも声がけしながら撤退だよ
フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、連携ok
蠱毒の精鋭、敵も本気という訳ですね。
いずれ倒さねばならぬ敵なら、この場で少しでも削るだけです。
私達とて、大地の奪還のため、この場は退けません!
力を貸して下さいね、ユリウス。
陣形を整えた集団が相手となると、闇雲に攻撃するよりは、敵の綻びに狙いを集中して敵陣を崩した方が良いですね。
『氷炎の旋律』を奏でて敵を苛む領域を展開、敵が利用する地形を逆手に取って攻撃します。
後は、味方への誤射や孤立化にも注意です。
ナルメルが増援に来るか、此方が攻勢限界を迎えるなどして、敵の勢いが増してきたら、周囲の味方に警告しながら撤退を提案。味方の撤退に合わせて戦場から離脱します。
欲張り過ぎは禁物です。
ジズ・ユルドゥルム
ナルメルとか言ったか。この状況で部下同士で殺し合いとはな。
悪趣味というか、血に酔っているというか…。
粛々と殺し合いに応じる部下も部下か。
付き合っていられんな、連中の価値観には。
「轍読み」を起動。
この砂の地で、足で砂を踏み、腕で武器を振るならば、
舞い上がった風と砂が道標となって、敵の次の動作を教えてくれる。
振り上げた腕、踏み出した足、
あるいは盾から一瞬露出した首を狙って、風の刃で斬撃を加えよう。
臨機応変に陣形を変化させるならば、指示役の兵が居ないだろうか。
敵の動きを観察し、指示役を見つけて先に攻撃を加えたい。
あくまで目標は敵の数を減らすこと。
深追いはせず、頃合いを見て撤退しよう。
剣戟は響き渡り、数多のパラドクスが戦場に木霊している。
破砕音があった。爆発音があった。光が飛び交い、悲鳴が、雷鳴が、そして、血肉削る鈍い音が、辺りに響き渡っていた。
「これが、蠱毒の精鋭――」
復讐者達の強襲に、負けず劣らずと槍を振るうトループス級クロノヴェーダ達を前に、フィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)は感嘆の吐息を零す。
(「この気概。この練度。敵も本気という訳ですね」)
精鋭の槍は仲間を傷つけ、繰り出す陣形は少しのパラドクスではびくともしない。何より問題はその士気の高さだった。仲間が倒され、地に伏せても、その死体を乗り越え、次の槍が復讐者達の元へと殺到する。その気魄は流石と、舌を巻かざる得なかった。
「ですが、私達とて、大地の奪還のため、この場は退けません! ……力を貸して下さいね、ユリウス!」
共に立つサーヴァント、ダンジョンペンギン、ユリウスの名を呼び、フィーナは呪を紡ぐ。喚ぶは炎。喚ぶは氷。氷炎の嵐こそ、彼女の望むべく災害であった。
「精霊達よ、どうか、私に力を貸して。共に旋律を奏で、その想いをもって氷炎の波を誘い、我が敵を討ち果たせ……!」
吹き荒れた氷炎に、鋭槍の守護者達が一体、また一体と吹き飛ばされていく。ある物は血液ごと凍てつき、またある物はその身を燃料に焼却され、その遺骸を戦場に散らせていった。
「キミ達が精鋭なのは良く判ったよ!」
目には目を。歯には歯を。槍衾には槍衾を。
精鋭の守護者達の吶喊をリピートベインで模倣し、放つ不知火・紘希(幸福のリアライズペインター・g04512)は、溜め息と共に首を振る。
彼らだけではない。エジプトのクロノヴェーダの強さは身に染みて判っている。殺し合いを行わせ、そこから生き残った物のみを集めたこの部隊は、まさしく強者の部隊なのだろう。
だが。
「だけど殺し合ったりして得た力じゃ、僕らを倒すのに足りないって、統一王なら知ってるはず!」
絵筆を走らせ、更なるパラドクスを紡ぐ。実体化した絵画の槍達は、しかし、まるで精鋭が繰る槍撃の如く、鋭槍の守護者達を貫き、或いは打ち払い、物言わぬ骸へと変貌させていった。
それはまさしく、一騎当千とも言うべき攻撃であった。
だが、鋭槍の守護者達もまた、万夫不当の豪傑達だ。紡がれる数々のパラドクスに、晒され、しかし、それでも復讐者達へと群がっていく。一人が倒れれば二人が、二人が倒れれば四人が。槍を繰り、彼の超人達を串刺しにすべく、進撃してくる。
「砂よ。風よ。私たちに教えてくれ」
その動きを止めたのは、無数の風の刃、そして舞い上がった砂埃であった。
それを紡いだ存在こそ、ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)。簡素な木製槍を振るい、円舞の如く戦場を舞う戦乙女であった。
(「ナルメルとか言ったか。この状況で、部下同士の殺し合いに興じるとはな。悪趣味と言うか、血に酔っていると言うべきか……。粛々と殺し合いに応じる部下も部下か」)
唾棄の思いでパラドクスを振るい、槍を旋回させる。
付き合いきれない価値観に、ただ在るのは嫌悪のみだ。故に彼女は力を振るい、全てを斬り裂き吹き飛ばす。たとえトループス級がジェネラル級に逆らえないとしても、そのクロノヴェーダという生き方を選んだのは彼奴らそのものだ。同情の余地などある筈もなかった。
「砂よ。風よ」
再度、砂に、風に、自然そのものに呼び掛ける。
彼女の声に応じたのか、それともそれこそが彼女の技量なのか、吹き荒れる風と砂塵を受け、目前に立つ一体が体勢を崩し、踏鞴踏む。そして、それを見逃すジズではなかった。
「その首、貰った」
風の刃が駆け抜け、鋭槍の守護者の首筋を斬り裂いていく。如何に常識外の存在、歴史侵略者とは言え、その生命は無尽蔵というわけではない。積み重なる損害は彼の体力を梳り、遂には命をも刈り取っていく。血飛沫が舞い、零れ落ちた朱色が、まるで絵の具の如く、ぶちまけられていった。
「しかし、キリが無いな」
仲間の死を物ともせず、更に繰り出されたのは後続の鋭槍の守護者達による刺突だ。それらを受け、或いは槍で捌きながら、ジズは苦々しく表情を歪めるのであった。
そして、時間は半刻ほど経過する。潮目の変化があった。そう呟いたジズは、周囲に展開する仲間へと呼び掛けていた。
「潮時か。撤退する」
彼女の言葉に紘希とフィーナがこくりと頷く。
自身等が立ち向かった中隊の被害を鑑みれば、三、四割は削った所だろう。対して軽微な損傷はあっても、復讐者達に重傷や死者の類いはない。これ以上の深追いは厳禁なのは誰の目にも明白であった。
「じゃ、逃げよう! お返しの続きは戦争できっちりお届けするよ!」
「欲張り過ぎは禁物です。今はこれで充分」
二人の宣言と共に、戦場に新たなる力が吹き荒れる。
それは風の刃で、砂が奏でる暴風で、そして、氷炎の嵐と、描かれた鋭槍による無数の刺突であった。
「――ディアボロス!!」
全てが晴れた時、そこに怨敵の姿はなく。
ただ、怒りに燃える鋭槍の守護者達の咆哮のみが、戦場に残されていた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【過去視の道案内】LV2が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV3が発生!