【獣神王朝エジプト奪還戦】すなまみれのおばけ(作者 稀之)
#獣神王朝エジプト
#【獣神王朝エジプト奪還戦】建設王ラムセス2世
#獣神王朝エジプト奪還戦
#ファーストアタック
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●シナイ半島
「なんだこの体たらくは! これでは戦いに間に合わぬではないか!」
痺れを切らした『建築王ラムセス2世』の怒声が砂漠地帯に響き渡る。
来る12月18日、ディヴィジョンの存続をかけた獣神王朝エジプト奪還戦に備え、ラムセス2世は防御壁の建築計画を実行に移した。
ディアボロスのみならず他ディヴィジョンからの侵略にも対抗しうる絶対防衛城壁の建築を任されたのは砂の生物、『すなおばけ』であった。砂漠地帯での作業にうってつけの働き手と思われたが、のんびりとした本人たちの性格も相まって作業は遅々として進んでいない。スケジュールから大きく外れていることにラムセスは怒り心頭であった。
「それもこれも、ファラオへの信仰心が損なわれているためだ。このような低能どもの手を借りねば対防衛城壁の建築にも難儀するとは、不愉快極まりない!」
ラムセス2世が己の力を誇示するかのようにマッスルポーズを取る。鍛え上げられた肉体は筋肉が隆起に合わせて黄金に輝き出した。
「この戦いに勝利した暁には、この地を建築王ラムセス2世の王国とし、獣神王朝エジプトの栄華を取り戻してみせようぞ!」
苛立ち混じりに野心を口にするラムセス2世をよそに、すなおばけたちは互いに笑い合いながら防御壁の建築を進めていった。
●新宿駅グランドターミナル
「ついに、獣神王朝エジプトを人類史に取り戻すための戦いがはじまります!」
12月18日に開戦となる獣神王朝エジプト奪還戦を前に、ソフィー・ルロワ(人間のサウンドソルジャー・g03401)は昂りを抑えきれない様子で戦争に至るまでの経緯を話はじめた。
獣神王朝エジプトはリターナー化による見せかけの死者の復活を利用し、一般人から絶大な信仰のエネルギーを収奪していた。断片の王である『クフ王』は信仰のエネルギーから生み出した強力なクロノ・オブジェクトを用いることで七曜の戦いに備えて盤石の態勢を整えていた。
だが、強大なクロノ・オブジェクトを生み出していた大いなるトートの撃破を始め、巨大砂上船スフィンクスの奪取、アスワン大城壁の破壊、トループス級エンネアドの生産地であったナセル湖の機能停止、さらには信仰の礎であった死者の書の破壊により、クロノ・オブジェクトの有意性を失い、クフ王は人々の信仰を失うこととなった。
「そして百門の都テーベに攻め寄せた私たちはルクソール会戦に勝利しました。テーベの城壁を破壊し、クフ王を守護するべく出撃した神域の守護神マフデトをも撃破することで、ついに断片の王を追い詰めることができました」
追い詰められたクフ王は七曜の戦いに勝利する為に準備していた『太陽の船』をはじめ、歴代のファラオであるジェネラル級マミーを解き放ち、決戦態勢に入った。
「獣神王朝エジプトを取り戻すための戦いですが、敵はクフ王の配下だけではありません。排斥力の弱まった獣神王朝エジプトの土地を奪おうと、幻想竜域キングアーサーのドラゴン、断頭革命グランダルメの自動人形も戦いに介入してくるようです」
さらに南からは『巨獣大陸ゴンドワナ』の巨獣の群れが、東のシナイ半島からは『蹂躙戦記イスカンダル』のジェネラル級ディアドコイ『救済者プトレマイオス』が多数の亜人を率いて攻め寄せて来る。獣神王朝エジプト奪還戦ではエンネアドやマミーに加えて、4勢力のクロノヴェーダと交戦することになる。
「未知のディヴィジョンも放ってはおけませんが、今回の目的はあくまで獣神王朝エジプトの奪還です。その下準備として、皆さんにはシナイ半島の砂漠地帯に向かっていただきます」
シナイ半島ではジェネラル級の『建築王ラムセス2世』が決戦に向けて砂漠地帯に絶対防衛城壁の建築を進めている。
この作業を担うすなおばけを討伐し防御壁の建築を阻止することができれば、奪還戦を有利に戦うことが可能となる。
「とは言え、敵の数は膨大です。ある程度の数を減らせればそれで良しとして、無理をせず帰還してください。死力を尽くして戦うのは12月18日、獣神王朝エジプト奪還戦です。何と言っても断片の王であるクフ王は健在なのですから」
今回の作戦はあくまで前哨戦。そう念押ししたソフィーはディアボロスたちをシナイ半島に送り出した。
リプレイ
イシュア・アルミゴス
無能な部下に部下をコントロールできない上司
うーん末期だ。どうしようもないね、大人しくイスカンダルに降参したほうが
幸せかもよ
ドローンを展開しすなおばけの頭上にゆっくりと近づけ興味をひくように
誘導。ある程度集まったら爆弾を投下し速攻で離脱する
わお、数は多いね!数だけは多いね。これ完成したらほんとヤバかったんじゃない?
こわー…トートほんとに撃破できててよかった…
「わお、数は多いね! 本当に、数だけは!」
シナイ半島に降り立ったイシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)の視界に、広大な建設現場の眺望が広がる。
見渡す限りの砂漠地帯にずらりと並ぶ防壁をしばし呆然と眺めていたイシュアの口から、こわー、と素直な思いが漏れだした。
「これ、完成したらヤバかったんじゃない? トート、ほんとに撃破できててよかった……」
安堵のため息をつくイシュアの視線が、楽しそうに砂をかき集めるクロノヴェーダの群れに移る。
一か所に集められた砂はいつしか砂丘となり、すなおばけたちが手を加えることで建築王ラムセス2世が望む絶対防御城壁の一部として組み込まれた。
またひとつ、完成に近づいたことに、すなおばけたちは歓喜の声を上げる。ともに働く仲間同士でハイタッチを行い、砂を巻き上げながら陽気なダンスを踊りはじめた。
「なるほど、これは予定通りに進まないわけだ。無能な部下に部下をコントロールできない上司。うーん、末期だ。どうしようもないね。大人しくイスカンダルに降参したほうが幸せかもよ」
とはいえ遊び半分。いや、徹頭徹尾と言うべきかな。子どもみたいなクロノヴェーダの性質は利用できる。そう見切りをつけたイシュアは、エイリアノス王朝式カノプス壺に飛行ユニットを接続した。
「ご先祖様ご先祖様、ちょっと手を貸してください」
フライトドローンに変化したカノプス壺を空に解き放つ。
飛行する壺に興味を示したすなおばけの一体が仲間を集め、互いの身体を繋ぎ合わせることで巨大な砂のお城に変化した。
「思った通りだね。珍しい物や楽しそうな事に引き付けられる。そういう性格だと思ったよ」
ドローンを捕まえようと手を伸ばすクロノヴェーダに向けて、カノプス壺から手製の爆弾を投下する。
激しい爆発により砂のお城が崩れ去る光景を見届けたイシュアは、他の群れから目を付けられる前に前線から離脱した。
大成功🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
シルヴィオ・リュデケ
なるほど、戦力を僅かにでも削れば良いんだな、承知した
敵がちょっと可愛いのが気にかかるな
うんうん、防御壁を作っていたのか、えらいおばけ達だ
忍び足である程度の距離まで接近したら
【ミラージュプレデター】で放った吸血コウモリに敵を襲わせよう
敵が混乱して、防護壁の建築どころではなくなってくれたら儲け物だ
できる限り体を霧散させないよう間髪入れずに仕留めたいところだが
相手も数が多いからな
残像を用いての回避行動も忘れないようにしよう
深追いはしないとも、これは前哨戦だからな
いくらか倒したところで撤退しよう
ここはどうもすぐに砂まみれになっていけない
口の中までザリザリになってしまった
シナイ半島に足を踏み入れたシルヴィオ・リュデケ(ナイトウォーカー・g08427)が、突貫工事の現場を安全地帯からしばし観測する。
「なるほど、ここに立ちはだかる戦力を僅かでも削れば良いんだな」
ただでさえ遅れている作業を阻害することで戦争を有利に進める。現場に赴いたシルヴィオは事前調査の有用性を改めて理解した。
しかし、ふーむ。唸るような声を上げたシルヴィオが、小さな子どもを思わせるすなおばけの働きぶりを見守る。すなおばけが転んで崩れる姿に肝を冷やし、仲間と笑い合いながら元に戻る姿にほっと胸を撫で下ろす。新たな壁の一部が組みあがった時などは、気づけば感無量とばかりにうんうんと頷いていた。
「ああやって防御壁を作っていたのか。えらいおばけ達だ」
見た目の可愛らしさは何よりの武器かもしれないな。若干のやり辛さを感じながらも、人類史奪還に迷いはない。作業に没頭するクロノヴェーダにそっと歩み寄ったシルヴィオは、シルバーナイフを用いて自らの腕に傷をつけた。
「小さくとも捕食者だ、侮るなよ」
傷口から流れ出した血がコウモリに変化する。次々に生み出された群れは背を向けるすなおばけを取り囲み、砂の身体に噛み付いた。
砂漠の砂と化した仲間に歩み寄った他の個体は、ぽかんと口を大きく開けたままシルヴィオに目を向けた。
「んんっ? きみはだれ? たたかいごっこしたいの? よおし、ぼくもまけないよ!」
笑顔を浮かべたすなおばけたちが砂嵐となってシルヴィオを取り囲む。砂煙の中から姿を現したクロノヴェーダがシルヴィオに噛み付くが、砂の牙が肉を貫くよりも先に、コウモリの群れが生命力を吸い尽くしていた。
包囲網から解放されたシルヴィオが大きくむせ返る。砂嵐の中心に居たことで全身が砂まみれになっていた。
「まいったな。口の中までザリザリになってしまった」
手近な敵を残らず取り除いたシルヴィオは、来る奪還戦への思いを強く抱きながらシナイ半島を後にした。
大成功🔵🔵🔵
効果1【コウモリ変身】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
ジズ・ユルドゥルム
すなおばけ…ってあの遊び好きのクロノヴェーダか?
あれに城壁の建築を任せるとは…子供が砂遊びで作った砂の城の中に住むようなものじゃあないか…。
こちらが出向くだけで仕事をほっぽり出してくれるのは助かる。
ジンに騎乗し、逃げも隠れもせず飛翔して敵群の前に姿を現してやろう。
膨大な数を全て相手にするのは骨が折れそうだ。
遊びに来てやったぞ、おばけたち!などと声を掛けて、
集団から何体かをこちらへおびき寄せたい。
成功したなら、飛翔して攻撃を躱しつつ、敵を各個撃破しよう。
反撃には、光の刃を放射しておばけ同士がつながるのを阻止したり、砂の手を破壊して対処。
深追いはせず、頃合いを見て撤退しよう。
「遊びに来てやったぞ、おばけたち!」
さんさんと輝く太陽の下、凛としたジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)の声がシナイ半島の砂漠地帯に響き渡る。
建築作業に精を出していた砂の怪物、すなおばけの群れが一斉に空を見上げる。鳥型のエネルギー体に騎乗するジズの姿にすなおばけたちは興奮しきりで、嬉しそうに手を叩きながら遊び友達の来訪を歓迎した。
「やはり、あの遊び好きのクロノヴェーダで間違いないな。あれに城壁の建築を任せるとは……」
歓待を受けるジズは敵の動きに注意を払いながらも、眼下に広がる絶対防御城壁に目を向ける。
「子どもが砂遊びで作った城の中に住むようなものじゃあないか。それだけ敵が追い詰められている証左と言えるのかもしれないが、指揮系統すらまともに機能していないとは……」
ぴょんぴょんと飛び跳ねるすなおばけは必死に手を伸ばしてもジズに届かないと見るや、足元の砂をすくい上げて丸い砂団子をつくった。
的当てとばかりに、空に向けて砂団子を投げつける。すなおばけにとってはボール遊びに過ぎない行為だが、クロノヴェーダの強大な力で投げつけられた砂は岩石のような強度を持ってジズに襲い掛かった。
「右だケレイ!」
とっさの判断でジンに指示を出し、投石を回避する。外したことがよほど面白かったらしく、近くの仲間を集めて急ごしらえの的当てゲームを開催した。
「攻撃……のつもりでもないな。当たったところで撃ち落とされることはないだろうが、あまり数が集まり過ぎると厄介だ」
ジズは雨あられと飛び交う砂団子から背を向ける。まてー、と楽しげな声を上げたすなおばけの群れは互いを密着させ、大きな砂のお城へと変化しはじめた。
「今だ! ケレイ、奴らの腕を!」
くるりと反転したケレイが翼から光の刃を放出する。繋ぎ合わせた手を断たれて砂地に倒れこんだクロノヴェーダは追撃の刃を受け、定形を維持できずに崩れ去った。
「深追いは禁物だな。城壁の建築が阻止できれば、それで十分だ」
新手の出現を警戒したジズは急ぎ砂漠地帯を離れ、新宿島に帰還した。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
無堂・理央
ディアドコイの猛攻で戦力すり減らせてるっぽい?
なら、そこにボク等ディアボロスの襲撃を重ねたら、ここを突破してプトレマイオスへ向かいやすくなりそうだね。
無双馬『クロフサ』に騎乗して戦場に向かうよ。
妖刀を鞘に納めたまま、居合い抜きの体勢で構える。
砂煙状の敵を叩く方法はすぐ思い付かないし、こういう時は相手が形取ってボク等を攻撃するタイミングでカウンターを叩き込むまで。
クロフサには速過ぎず遅過ぎずの速度で駆けて貰い、敵が攻撃する方向が限定されるように時には砂煙を突破して立ち位置を確保するよ。
程々に敵と戯れたらまた明日と帰らせてもらおっか。
ここでラムセス2世とかに会いたくないしね。
「これは思った以上に、ディアドコイの猛攻で戦力すり減らせてるっぽい?」
シナイ半島の砂漠地帯を広く見渡した無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)は、現場の雰囲気から建築王ラムセス2世の苦境を肌で感じ取った。
獣神王朝エジプト奪還戦まであまり猶予は残されていない。侵攻を止めるための絶対防御城壁を作り上げるのであればもっと多くの作業員を投入するべきだと、しごく当然の感想を抱いた。
「ここにボク等ディアボロスの襲撃を重ねたら、早々にプトレマイオスへ向かいやすくなりそうだね」
すなおばけが急ピッチの作業に適していないことは明らかだよね。適任者を割り当てられないほど苦しんでるんだったら、陥落は思った以上に早いかも。理央の頭にはラムセス2世を討伐し、プトレマイオスを退けるための青写真がありありと描かれていた。
「マミーやエンネアドはもちろん、ディアドコイにもシナイ半島は渡さないよ。余計な横槍を防ぐためにも、行くよクロフサ!」
妖刀童子切を腰に帯びた理央が無双馬のクロフサに騎乗し、戦場を駆ける。
砂漠地帯を疾走する黒馬を目にしたすなおばけたちは作業の手を止め、まってまってー、と笑い声を上げながらクロフサの後を追いかけた。
「うまい具合に追ってきたね。敵を引き離しすぎないでねクロフサ。頑張れば追いつけるって思わせておいたほうが、その気にさせられるんだから」
付かず離れず、適切な距離感で行われる鬼ごっこはすなおばけたちの好奇心を強く刺激した。砂の身体を霧散させたクロノヴェーダは砂煙に姿を変え、先行する理央とクロフサを取り囲む。
足を止めたクロフサの背後から、すなおばけが顔をのぞかせる。
理央は振り向きざまに童子切を引き抜き、一刀のもとにクロノヴェーダを斬り捨てた。
「これが、クロノヴェーダに未来を奪われた人達の想いだよ!」
追跡者を残らず退けた理央は、また明日、と小さく手を振ってシナイ半島から帰還した。
大成功🔵🔵🔵
効果1【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
カイス・ライル
一生懸命働いているようなのに、叱られているのは、忍びない
……良い働きをされても困るから、邪魔はさせてもらうが
適切に配下を使えない主こそが無能なのだと、知らせてやろう
大勢に囲まれないよう遠間から声を掛け、好奇心の強い者を誘い出したい
楽しそうだな、すなおばけ
隠れん坊が好きな者はいるか
いるならば……『Alyal』
這い上がれない闇の底に、ずっと隠しておいてやる
砂煙の包囲には、己の身をジンの闇に包んで
触れれば喰われるのは、そちらだ
隠れん坊の勝者は……どちらだろうな
ある程度の損害を与えたら、機を読み頃合いを見て引き上げる
お前達は、これから素晴らしい砂の城を作るんだろう
遊びの時間は、終いにしよう
カイス・ライル(屍負い・g06804)が降り立った砂漠地帯の一角では、防御壁建設の任務を与えられたすなおばけたちがのびのびと作業を進めていた。
他所のすなおばけに発破をかけているのか、未知のディヴィジョンから現れたディアドコイの対策に奮闘しているためか。この場に建築王ラムセス2世の姿は見当たらない。嫌な上司に睨まれずとも、すなおばけたちはそれぞれのペースで防御壁を組み上げていく。
「……のんびりとはしているが、一生懸命に働いているようだな。決して能力が劣るわけではない。適切に配下を使えない主こそが無能なのだと、この地を守護するジェネラル級は思い知ることになるだろう」
安全地帯からしばし建築作業を眺めていたカイスは、すなおばけの好奇心旺盛な性格を見抜き、遠間から声を掛けた。
呼び掛けに気づいたすなおばけが作業の手を止める。視線のはるか先にカイスの姿を認めると、ぶんぶんと大きく手を振りながら砂を踏みしめて走り寄ってきた。
「きみはだれ? ぼくとあそびにきたの?」
「ああ、お前と遊びに来たんだ。そうだな……隠れん坊なんて、どうだ?」
「かくれんぼ!」
カイスの提案に、すなおばけは小躍りして喜びを表現する。
「俺が鬼だ。気づかれずに鬼の背中を触ればお前の勝ち。さあ、見つからないように隠れられるか?」
「もちろん! ぼくがいっとうしょう!」
得意げに答えたすなおばけが砂煙状に変化する。
敵の姿が消えると同時に、カイスは自身をジンの闇で包み込んだ。
「もう、いいかい?」
「もういいよー!」
包囲する砂煙の中、背後に回ったすなおばけがひっそりと姿を現す。
にっこりと笑いながらカイスの背に噛みつくが、砂の牙は標的に届かず、気づけばジンの生み出す深い闇に沈み込んでいた。
「Alyal、這い上がれない闇の底にずっと隠しておいてやる。これでお前が一等賞だ」
誰にも気取られずに仕事を終えたカイスはここらが潮時と、ひっそりとシナイ半島を後にした。
大成功🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
藤原・東子
気だるいダウナー系で慇懃無礼な一面のある、平安時代の京都に生きた貴族の娘です。
口調はステータスシートの「~ございます」の他に「~に(で)ござりまする」など
古風な言い回しを好んで使います。
パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず(口ではあまり気が向かないようなことを言いつつ)積極的に行動します。
他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします
見渡す限りの砂漠地帯に、陽気な笑い声が響き渡る。
すなおばけにとって絶対防御城壁の建設はあくまで遊びの延長に過ぎない。一歩進んでは立ち止まり、また一歩進んでは仲間とはしゃぎ回る。注意力は常に散漫であった。
「わらべの如き振る舞い……あの幼子は切迫した事態を理解するだけの知能を持ち合わせてはおられないのでしょう」
なれば、作業が遅々として進まずとも無理からぬこと。責めに帰すべきは適切な人事を欠いた主君にございましょう。弛緩した空気を肌で感じ取った藤原・東子(水鏡に語られし・g08398)が、建設現場に冷ややかな視線を送る。
ちょうど一仕事を終えて振り返ったすなおばけが東子に気づき、トコトコと歩み寄ってきた。
「おねえちゃん、だれ? いっしょにあそぶ?」
「遊び、でございますか。お手数をおかけいたしますが、あなた様にとって馴染み深い遊戯とはどのようなものか、手解き願えますか?」
「かんたんだよ! こうやって!」
すなおばけは身体の一部を棘付きの棍棒に変え、両手で固く握り締める。
「たたかいごっこ! どう? かっこいいでしょ!」
自慢の武器を見せつけるように、至近距離から棍棒を振りかざした。
「――っ!」
不意を突かれた東子は避けきれずに肩を打たれる。あったりー、と弾んだ声を上げたクロノヴェーダが頭部を狙って棍棒を高々と振り上げた。
どうにか追撃を避けた東子が笑顔の怪物から距離を置く。愛くるしい外見と無骨な鈍器の不調和は、得体の知れない不気味さを醸し出していた。
「いかな幼気に見えましても、その本質は邪にござりまするか」
走り寄るクロノヴェーダを真っ直ぐに見据えた東子が天に祈りを捧げる。
晴れ間の広がるエジプトの空に、巨大な積乱雲が浮かび上がった。
「天より落つるはめぐみの光」
雷光が輝き、掲げた棍棒を目掛けて雷が落ちる。
直撃を受けたクロノヴェーダの身体が崩れ、定形を保てずに砂漠地帯の一部と化した。
「此度の遊戯を存分に楽しまれたのでしたら、幸いにございます」
感情を込めずにつぶやいた東子は、新手と相まみえる前にシナイ半島から立ち去った。
大成功🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!