リプレイ
喩・嘉
※アドリブ、連携歓迎
司馬懿と相対したと思えば次は諸葛亮か
なんとも忙しいな
だが、まずはいつもどおりの戦だ
肩慣らしといこう
羽扇を振るい、「幻鶴翼陣」を使用
幻影の兵士を召喚すると、軍を指揮して敵軍と戦わせる
敵の作り出した拠点は早々に攻略するのが要
時間を与えず、迅速行動を命じて攻め立てる
完全に撃破しきる前には攻撃を止める
守都・幸児
※アドリブ、連携歓迎
諸葛亮ってのは有名な将なのか?
そいつは会うのが楽しみだな
簡単には会わせてもらえねえみたいだが
ああ、いつもどおりに行くとしよう
俺の使う技は「成」
俺自身は【忍び足】で物陰に隠れ偵察兵に接近
喩嘉の幻影の兵たちに敵が気を取られたところを
闇の棘を出現させて敵を貫くぞ
近接された場合は武器の鉄骨で敵の攻撃を防ぎながら
敵の死角から闇の棘で攻撃する
棘の数や出現位置は状況に応じて変えるぞ
敵兵の逃走防止に行く手を阻むように生やしたりな
仲間の邪魔にならねえようにも気をつけるぞ
まずは敵陣までの道が開ければいい
そのために必要最低限の偵察兵を倒して
先に進む
敵は完全には撃破せずに「その前に攻撃を止める」ぞ
蜀軍の策源地である漢中を発すること約500里(200km)。とはいえ、険峻な山々を越えて北上するのは容易なことではなく、そうしてやっと渭水(いすい)の南岸、五丈原に至る。
ここまでくれば、長安までの300里(130km)あまりは、渭水沿いに下っていくだけである。指呼の距離と言ってよい。
「司馬懿と相対したかと思えば、次は諸葛亮か。なんとも忙しいな」
寒風が吹くなか、喩・嘉(瑞鳳・g01517)は羽扇で口元を隠しながら呟いた。
「そうだな、諸葛亮だ」
応じて頷いた守都・幸児(祥雲・g03876)は喩嘉の方に首を回し、
「で、『諸葛亮』っていうのは、有名な将なのか?」
「『後世』に名を残したという意味では、もしかすると最も有名だな」
喩嘉の言葉に幸児は、
「それは会うのが楽しみだな」
と、目を細める。
台地の上に布陣する蜀の本陣はまだ見えないが、ふたりは既に間道を進む偵察兵の姿を捉えていた。
「まずは、いつも通りの戦だ。肩慣らしといこう」
喩嘉が羽扇を振るうや、背の高い枯れ草の間から、陽炎のように兵士たちがわき上がった。
「なにッ!」
虚を突かれた蜀軍剣蟻兵どもは狼狽したが、それでも岩塊を生み出して防壁と成す。
「そうはさせない。
数は力だ。歩兵部隊、突撃」
投げつけられた岩を飛び越え、喩嘉は地面に突き立ったそれの上に着地する。その上から、喩嘉は羽扇を敵陣に突きつけた。
喩嘉の号令とともに、歴史の中に消え去った兵士たちは槍を構えて突進し、鶴が翼を広げるように敵陣を押し包み、刺し貫いた。
「うぬ!」
それでも剣蟻兵どもは堅陣を維持し続け、岩を放って応戦しようと試みたが、
「あぁ、いつも通りに行くとしよう」
喩嘉に応じた幸児は、背の高い枯れ草の陰に隠れて敵兵に迫っていた。
懐に入られるまでそれに気づかなかった敵兵だったが、咄嗟に剣を繰り出してくる。
しかし幸児はH形鋼を軽々と振り回し、それを弾き返した。
「……しまった、すこし曲がってしまったか?」
まぁ、いい。まずは目の前の敵を蹴散らして、敵陣までの道を開くことだ。
「拠点は早々に攻略するのが要だ、幸児。攻め立てるぞ」
「もちろんだ!
研げよ、棘よ、成し遂げろ!」
敵兵の四方八方から、闇色の棘がわき上がって襲いかかる。幻影の兵に蹴散らされた敵兵は棘に全身を引き裂かれて悶絶した。中には本陣に急報を知らせんと退こうとした者もいたが、闇の棘はそれにも襲いかかって、押し包んだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【未来予測】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
シル・ウィンディア
蜀が動き出した?
呉が落ちたことがやっぱり原因かな?それとも…。
何はともあれ、敵が動いてくれているんだから、こっちもできる限り情報を取らないとね。
敵に見つからないように、物陰に隠れつつセルフクラフトで障害物を作って、影から敵を確認。
直視せず、手鏡で間接的に見ることもして、気づかれないようにして…。
敵が後ろを向いたら、もしくは、気づかれたら、一気に攻撃に転じるよ
高速詠唱からの地嵐弾で撃ち抜いていくよっ!
ただのトループスなんかじゃないのはわかっているから、確実に一体ずつ攻撃を仕掛けるよっ!
敵の攻撃は、創世の光剣で致命箇所を防御しつつ、反撃を行うね。
敵トループスは
完全撃破前に攻撃は止めるよ
レオアリア・フォルシオン
その前に攻撃を止める
こちらも偵察をして機を見計らった後、奇襲が上手くいくタイミングを見据えて飛翔し郷愁を仕掛ける
フォルシオン統一王朝初代皇帝『征竜帝』レオアリア・フォン・フォルシオン、押し通るわ!
そう言って周囲を非物質を凍結させる冷気と氷雪で満たし、軍単位で蜀の偵察兵を凍結させていく
無論の事蟲将だけをね
拠点を構築し投げつけてくる岩に対しては飛翔で回避し、そのまま反撃として氷塊を蜀の蟲将の拠点へと投げつけ、グレネードの如く上空で爆散させて蟲将の精神や魂を凍り付かせる冷気と氷雪を浴びせかけていく
反撃も相当来るでしょうけど、パラドクスをぶつけて相殺しながら飛翔で回避していくわよ!
「蜀が動き出した? やっぱり、呉が落ちたことが原因かな?」
シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)は首をかしげて、
「それとも……」
と、思案する。巨岩の陰に身を潜め、手を伸ばして手鏡だけを出す。そこには小さく、草を払いつつ進む蜀軍剣蟻兵の姿が映っていた。
「それも理由の1つかもしれないけれど。
そういうのもいろいろと、敵の本陣に迫れば、わかるかもしれないわ」
レオアリア・フォルシオン(フォルシオン統一王朝初代皇帝『征龍帝』・g00492)は龍殺しの剣『ゲオルギウス』を構えて敵兵の動向を窺いつつ、シルの呟きに応えた。
「それもそうね。何はともあれ、敵が動いてくれているんだから……こちらも、できる限り情報を取らないとね」
ふたりがこそこそと小声でやりとりをしていると、剣蟻兵どもの間でもなにやら話すことがあったのか、先頭を進んでいた兵が仲間の方を振り向いて、こちらに背を向けた。
「今!」
「えぇ!」
シルが飛び出す。ほとんど同時に、レオアリアも続いた。
「フォルシオン統一王朝初代皇帝、『征竜帝』レオアリア・フォン・フォルシオン! 押し通るわ!」
「確実に、1体ずつ攻撃を仕掛けるッ!」
シルは先頭の敵兵に狙いを定め、
「母なる大地よ、空を翔る風よ……!」
魔力で生み出した無数の礫が、シルの周囲に浮かび上がる。
「我が声に従い、障害を撃ち砕けッ!」
シルが剣の切っ先を突きつけると、周囲の礫は巻き起こる暴風を纏って弾丸と化す。数えきれぬほどの礫に襲われた敵兵は、全身を引き裂かれて絶命した。
「なにッ!」
敵兵どもはすぐさま反撃に転じ、生み出した岩塊を防壁としつつ、その1つを手にとって投げつけてきた。
「く……!」
シルは咄嗟に小剣でそれを弾く。衝撃に手が痺れたが、歯を食いしばってそれに耐える。
「まだまだッ!」
と、さらに礫を生み出していく。
「偵察の兵は、アナタたち剣蟻兵だけなのね? 周りに人間がいないなら、楽でいいわ!」
「ぬかせ!」
眼前に襲い来る岩塊。翼を広げて舞うレオアリアは、身体を回転させ、わずかに飛行する軌道を変えただけでそれを避けた。
「うずうずしてる、他のみんなには悪いけれど。ここはわたくしたちで、蹴散らしてしまうわ!
復元せよ、我が歴史!」
それは、非物質総てを凍てつかせる氷雪の歴史。
レオアリアは生み出した氷塊を、敵兵ども目がけて叩きつける。剣蟻兵どもは苦しげに、その剣を取り落とす。
凍てついたのは剣蟻兵の腕ではない。そこに内包される『概念』、そして『因果』。クロノヴェーダという『存在』そのもの。
「その復元を以て、我は魔竜から簒奪した淡雪を掌握する!」
レオアリアの言葉とともに、剣蟻兵どもは砕け散った。
レオアリアは耳を澄まして辺りを窺う。付近を偵察している剣蟻兵どもは、まだどこかにいるようであるが……。
いつまでもそれにかまっている暇はない。ディアボロスたちの狙いは、このような兵卒どもではないのだから。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【セルフクラフト】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
八百陣・葵漆
なるほど……これが諸葛亮の『石兵八陣』
軍のぶつかり合いとなれば、兵は消耗してまともな戦いにはならないね
もっとも、少数の精兵ならば消耗も許容範囲
ディアボロス相手には決定打とはなりえないか
さて、何が起ころうと備えは万全さ
(『万全の備え』:『アイテムポケット』から各種道具を取り出す)
方位磁石で方向確認して、出口を目指して進んでいこうか
突風には吹き飛ばされないようにハーケンを地形に引っかけて対処
津波も同様の手段に加えて、水量次第では水中スクーターを使っても良さそうだ
石礫は折りたたみ式の盾で防ぐとしようか
様々な道具で臨機応変に対処して、石兵八陣を攻略するよ
アンゼリカ・レンブラント
さーて石兵八陣、気合入れて突破しないとだ
共に挑むディアボロスがいれば進んで協力しよう
時間あればそれぞれの残留効果をどう合わせるか調整
さぁ、陣に入れば勇気を胸に前へ前へ
トラップ発動には気を付けないとね
恐れてはいないけど消耗は抑えないと
石礫はオーラの障壁に気合でしのぎ、
切り払えるなら切り払い進むよ
津波に対しては
【水中適応】の効果を発揮するときだ!
体力を生かして水の中を泳いでいくよー
水中で石がぶつかってきても負けるもんか、
鍛えた体は伊達じゃないぞっ!
みんなの持参した残留効果も生かせるなら進んで生かそう
誰かが乗り越えれば進めるんだ、負けるもんか!
出口まで懸命に進むよ
さぁ、魏延が見えたかな?
いざ勝負だよ
「あれが『石兵八陣』……」
額に手をかざしたアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)の前方には、蜀軍の旈旗が立ち並んでいる。そこは不気味に静まりかえり、動く兵はいない。それでいながら、異様な気配を発しているのである。
「剣蟻兵どもの相手が出来なかったのは残念だが……それよりも面白い物に一番乗りできたから、良しとしようか」
羽扇を手にした八百陣・葵漆(勝利こそが正義・g01007)が、「くくく」と喉の奥で笑う。
軍門をくぐって陣に踏み込んだふたりが見たのは、遠目には人にも見える、積み上げられた無数の石であった。
「なるほど……これが諸葛亮の『石兵八陣』。まぁ、これは話に聞いたとおりだね」
辺りを見渡し、葵漆は鼻を鳴らす。歴史を元にした通俗小説「三国志演義」に登場したそれも、諸葛亮によって敷かれた同様の陣であった。
「よーし、気合い入れて突破しないとだ!」
勇気を胸に前へ前へ、である。アンゼリカは拳を握りしめ、その背を支えるように葵漆も、恐れることなく奥へと進んでいく。
しかし、突如として石の隙間から突風が吹きすさび、ふたりを吹き飛ばさんと襲いかかってきた。
袖口で顔を覆った葵漆は顔をしかめつつも、手にした鉤を石の隙間に打ち込んで身体を支える。
それでも吹きすさぶ風は凄まじく、鉤を握る手が白く冷たくなるほどに力を込めなければならなかった。
「なにが起ころうと、備えは万全さ。
さて、敵陣は……」
嘯いた葵漆は懐から方位磁石を取り出したが、その針はぐるぐると無規則に回っている。
「この程度は想定済みってことかい?」
肩をすくめて、それを放り投げた葵漆。
もっとも、つま先立って遠望すれば、かなた五丈原の台地の上に帥旗がはためいていることが分かる。そちらを目指して進めばよい。
「もし大軍が迷い込めば、押し合いへし合い消耗して惑うことになるのかもしれないね」
と、葵漆は思案した。真偽は分からないが、そうなったときこそ、この陣は二度と抜け出せない迷宮になるのかもしれない。
「少数の精鋭、つまり僕たちディアボロス相手には、決定打とはなりえないか」
そう、呟いたときである。
激しい地鳴りが、四方八方からわき上がった。
身構える間もなく、怒濤の水流が襲いかかる。
「このーッ!」
しかしアンゼリカは退くどころか、その濁流に身を躍らせた。
「輝ける水の奔流よ、私と共に最大まで輝けッ!」
心に灯す、黄金の魂。それは輝く水流となって、濁流の中であっても光り続けた。
【水中適応】によって自在に水に潜るアンゼリカであったが、大津波は周囲の石柱を打ち壊しつつ襲い来る。その石が激しくぶつかって、アンゼリカの口から大きな泡が漏れる。
それでもアンゼリカは、
「負けるもんか! 鍛えた身体は伊達じゃないぞ!」
と、力強く水を掻き、流れに逆らって進む。
「誰かが乗り越えれば、進めるんだ! 負けるもんか!」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
平良・明
この陣は大人数向けだというのなら、大戦乱を意識して作られたものなのでしょう
付け入る隙はたくさんありますから、なるべく速くに突破していきたいです
風への備えに口元を守り呼吸をまもり、ゴーグルで視界を確保して陣に入ります
石礫には十分警戒して、私の掴めるチャンスは水が襲い掛かって来た時です
【水中適応】を使って津波に飛び込み、水の中を進んで一気に距離を稼ぎます
誰かが抜けれさえすれば皆の道が開くので、よく連携して陣をのりこえていきます
白石・明日香
ああもう!鬱陶しいわねこの陣形!
此処はもう一気に強行突破で行くしかない!
ダッシュで突き進みなが向かい来る突風だろうが津波だろうがイシツブテだろうが早業呪詛、捨て身の一撃で纏めて解体してあげる!そしてそのまま突き進むただひたすらに前へ!
孫・リア
これが石兵八陣……いずれ訪れる戦であの人が破れなかった陣……私に破れる……かな?……いや破ってみせる!この石兵八陣は蟲将が作ったもの!本物の孔明殿の陣じゃないもんね!あとここ夷陵じゃないし五丈原だし破れるはずよ!
『黒衣』で阿黒に先行してもらって完全視界等使える技能使うだけ使って油断せずに進んでいくわ
避けられそうなら避けていき避けられないなら石礫は偃月刀と槍で破壊して津波は泳いでいって突風は受けてもなお進むだけ!皆で連携していけば絶対に抜けられる!
さぁさぁ行くわよー!
【アドリブ共闘歓迎】
伏見・萬
(連携アドリブ歓迎・残留効果はできるだけ利用する)
…やり方があるとかねぇとか聞いた気もするが、要するに陣に入って抜けりゃァいいんだな?
【完全視界】で視界を確保。近くに他のディアボロスがいれば協力する
周囲を警戒し、進む方向を見失わないように注意
吹き飛ばされそうなら地面や付近の物に武器を突き立てる、『一線』(鋼糸)を引っかける等して耐える
礫は回避か、無理なら武器で破壊
波は来るならどっかへ引くんだろう、目指す方向に流れていくなら乗ってもいいかもしれねぇ
誰かが抜ければOKなら、出口付近まで来たら手近な仲間をひっ掴んで投げ、力技で突破させる
葵漆とアンゼリカが拓いた道を、さらに4人のディアボロスたちが進んでいた。
と言っても、荒れ狂う風はひとつ瞬きするごとに向きを変え、彼らはその都度に身を伏せ、石柱にしがみつかなければならなかった。
「あぁ、もう! 鬱陶しいわね、この陣形!」
白石・明日香(体亡き者・g02194)が顔をしかめて、彼方の帥旗を睨んだ。
「こんな陣を敷くのは、よほど性格が悪いに違いないわ!」
髪もバタバタと暴れて、左右の髪留めもちぎれ飛びそうである。
「これが、『あの人』が破れなかったという陣……私に、破れる……かな?」
砂利が目に入った。孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)は目をしばたたいて、それを流す。
「この陣が大軍を相手にするために作られたなら、大戦乱を意識したものなのでしょう。
付けいる隙はたくさんあるはずです」
と、平良・明(嶺渡・g03461)はゴーグルで目元を守りながら、今度は北西から吹き始めた風に向き直った。
「なるべく速くに突破していきたいものです」
「やり方もあるとか、ねぇとか聞いた気もするが……よくはわからんな。
要するに、入って、抜けりゃアいいんだろ?」
伏見・萬(錆びた鉄格子・g07071)が、わずかに歯を見せた。握ったナイフを深々と、柄まで地面に食い込ませて身体を支える。さらに鋼糸を放って石柱に絡ませ、仲間たちが飛ばされぬように押さえつけた。
身体を支えられたリアは礼を言って身を起こし、
「そうね。絶対に破ってみせる! この『石兵八陣』は蟲将がつくったもの! ここは夷陵じゃないし、本物の孔明殿の陣でもないものね!」
と、拳を握りしめる。ここ五丈原はむしろ、諸葛亮を名乗る者にとって験のよい地ではない。無論、蟲将には知ったことではないだろうが……。
「諸葛亮とやら……喰われるのはテメェだ、逃げられると思うなよ……!」
闇すら見通して獲物を狙う、獣の目。目を細めた萬は足音もたてぬ身のこなしで駆けた。
「阿黒も、よろしく!」
リアの肩から飛び立った鴉は、暴風にも負けずに辺りを窺い、主を導いていく。
もはや暴風とてディアボロスたちの視界を遮るものではなく、彼らは五丈原の台地を目指した。
「気をつけて!」
リアが鋭く声を放ち、左右に得物を構えた。それに反応して見上げたディアボロスたちの頭上から、空を覆うほどの石礫が振ってくる。
「ち……!」
「このッ!」
とうてい避けきれるものではない。萬は鋼糸を一杯に広げてそれらを防ぎ、双剣を手にした明日香は、なおも襲い来る石礫を弾き返していく。
しかし……。
「キリがないな」
萬が犬歯を露わにして笑った。
「もう! ここは一気に強行突破で行くしかないッ!」
声を張り上げた明日香が、先頭に立って駆けだした。少なからぬ石礫が身体に当たるが、その歩は止まらない。
その勢いに恐れをなしたわけでもあるまいが、彼らが進む前方から、大津波が襲いかかる。
「石礫よりむしろ、好都合というものですよ!」
明はむしろ挑戦的に、水流に飛び込んでいった。
内に秘めたる勇気が、己を守る障壁となる。明は敵艦に狙いを定めた魚雷のように、大波をかき分けて突進した。
「そうね。なにが来ようと、進むだけ! 皆で連携していけば、絶対に抜けられる!」
リアも流れに身を投じ、
「さぁさぁ行くわよー!」
と、渾身の力で水を掻く。
「波が来るなら、どっかへ引くんだろう」
その勢いに苦しみ喘ぐ中では長く感じた濁流も、実際の時間はそれほどでもなかったようだ。萬の言うとおり、陣の内部を荒れ狂った水流はやがて、現れたときと同様の勢いで引いていった。
「どうやら、目指す方向とそう違わないようだぞ」
それは好都合と、萬は水を掻く手にいっそう力を込める。
「まもなくです。ここを乗り越えさえすれば、皆の道が拓かれます」
流れから脱した明が、やっと姿を見せた出口……軍門を指し示した。
ここでまたしても邪魔が入ってはたまらない。現に、後方から新たな地鳴りが聞こえてくる。
「明日香、おめぇが行け!」
萬は傍らに立っていた明日香を持ち上げた。その意図を察した明日香も、
「任せて。突き進む! ただひたすらに前へ!」
萬が明日香の身体を投じ、明日香は萬の肩を蹴る。宙を舞った明日香は翻る蜀の旗を斬り捨てながら軍門を破壊し、くぐり抜けた。
「……む」
じっと動かず、瞑想していたかにも見えた諸葛亮が、ぴくりと動いた。
「私の『石兵八陣』を破る者が現れるとは……」
諸葛亮は羽扇で口元を隠して、肩を揺らす。
「ホホホ……面白い」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水中適応】がLV2になった!
【断末魔動画】LV1が発生!
【完全視界】LV2が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!
八百陣・葵漆
諸葛亮を引きずり出したいけど
そのために魏延に力を認めさせないとか
『幻妖英霊兵』で呼び出した兵を指揮して戦うよ
軍師なりの戦いを見せるとしよう
先ずは車懸かりの陣で絶え間ない攻撃を繰り出そう
こんな陣形、見たことがあるかい?
しかし『五丈原の焔』を受ければ一気に壊滅だ
だからそのタイミングを推測して、一部の兵を囮にして
残りの兵を下げることで被害を最小限に食い止めるよ
その後は敵の攻撃後の隙目掛けて一斉攻撃だ
さて、本題だ
魏の攻略のために蜀と一時的に共同作戦をしたくてね
どうだい?七曜の戦の迫る中、早急に決着を付けたいのはそちらも同じだろう?
提案を本気で進めるかはともかくとして
これなら魏延は諸葛亮を呼ぶはずだ
「諸葛亮を引き摺り出したいけれど……そのためにはまず、あの魏延か」
八百陣・葵漆(勝利こそが正義・g01007)は、多数のクロノヴェーダ兵どもを引き連れて姿を見せた敵将を遠望した。
「ほほう……? 丞相の敷いた陣を破るとは。さて、どれほどの腕前か」
敵将は腰に吊した瓢箪を手にし、中の酒をあおる。
「さぁ、来い。ここまで来られた褒美に、この俺、前軍師・征西大将軍『魏延』が、手ずから鍛錬をつけてやろう!」
「言われなくとも。軍師なりの戦いを見せるとしよう」
葵漆は羽扇で敵将を指し示す。
「軍略は、精兵あってこそ為る。さぁ、僕の指揮で存分に働いてもらうよ」
志半ばで斃れた、精兵たちの霊魂。葵漆は彼らに妖力で形作った身体を与え、甦らせる。
「掛かれ!」
精兵たちは葵漆の声に応じて、堵列を成して魏延に襲いかかった。
しかし魏延は方天戟を振るい、その槍を次々とたたき落としていった。
「匹夫ども、劉備様の覇道を邪魔するな!」
魏延の怒りが炎となって、精兵たちを焼き尽くす。
「さすがだね。だが、こんな陣形、見たことあるかい? これが、車懸かりの陣だ」
傷ついた兵を下げ、すかさず次の兵を送り込む葵漆。
「さて、本題だ。魏の攻略のため、僕たちと一時的に手を組むというのはどうだい?
早急に決着をつけたいのは、そちらとて……」
語りかけた葵漆であったが、敵将は。
「戦いはまだ始まったばかりだというのに、ごちゃごちゃとやかましいぞ!
この程度で、俺と対等とでも思ったか!」
その怒りは再び業火となって兵たちを焼き尽くし、葵漆にも襲いかかる。
「く……」
跳び下がった葵漆は、ヒリヒリと痛む手の甲をさすった。
苦戦🔵🔴🔴
シル・ウィンディア
わたし達は一人じゃないんだ。だから、こうやって来ることができるんだ。
さて、魏延さん、しばらくお付き合いをお願いするよっ!!
飛翔の効果で速度を上げての低空飛行。
ジェネラル相手に牽制する余裕なんてないからね。
飛翔のスピードでの撹乱を試みつつ、高速詠唱
隙を減らして全力魔法の七芒星精霊収束砲!
最初から行っちゃうよっ!!
敵の攻撃に対しては、左手の創世の光剣で炎を切り払ったり致命箇所を防御したりで被弾を下げるようにするね。
強いよね…。さすがジェネラル級。
でも、この世界に、あなたみたいに強い相手は、どれくらいいるのかな?
それとも、あなたが倒れたらそこまで強い人はいないのかな?
聞きつつも攻撃の手は緩めないよ
アンゼリカ・レンブラント
さぁ石兵八陣、突破したよ!
あれくらいで私たちは止められない――
勝負だ魏延!
踏み込むタイミングを仲間の攻撃に合わせ、
勇気を胸に、パラドクスの突撃戦法で攻撃っ!
反撃もしっかり堪えて一撃離脱、
再度仕掛けるむタイミングを伺うよ
相手の必殺の一撃も強烈だけど、
同様の技は私も使えるし技能も負けてない
押し負けず戦っていくよ!
近距離戦を挑むので、フェイントも交えたかく乱で
遠距離攻撃の仲間が撃ち込む隙を作り出す等臨機応変に動くよ
戦いが進む中刃を交えつつ少しずつ言葉を投げかけよう
流石に強いね!
でもかつて蜀最強だった関羽はお前以上だったんだろ?
関羽の弟の張飛とかも、お前より強いのかな!
聞きつつも攻撃の手は緩めず戦うよ
伏見・萬
(連携アドリブ歓迎・残留効果はできるだけ利用する)
力比べってんなら、それもいい
俺には、知恵比べよりよっぽど向いてらァ
値踏みされンのは、まァちょいと癪に障るがな
【魔骸連刃】で、青い鉱石のような刃を腕から生やして攻撃
兵の包囲を食い破って魏延に迫る
「半端なモンで囲んでも、俺のツマミが増えるだけだぜ?」
喰い放題も悪くねェが、てめぇもがっつり齧らせて貰うぜ、魏延とやら
戦いながら魏延の動きを観察し、情報として持ち帰る
負傷は【ドレイン】で耐え、動ける限りは攻撃の手を緩めない
…強ェ奴が好きなんだろ。
てめぇが認める程のモンは、てめぇんとこにどれぐらいいる?
外に探しに出にゃならんほど、足りねェって事もねぇだろうが
「ディアボロスどもが、我らと手を組むだと……? えぇい、訳のわからぬ事を言う」
首をかしげる魏延。その前に、アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)が立ちはだかった。
「『石兵八陣』、突破したよ! あれくらいで、私たちは止められない……!」
アンゼリカは黄金で装飾された大剣を振りかぶり、魏延を目がけて突進した。
「勝負だ、魏延!」
「ははは、たったそれだけの人数で、ここまで入り込んできた蛮勇は褒めてやろう!」
「たとえ『たったそれだけ』だって、わたしたちは1人じゃないんだ! だから、こうやってここまで来ることができるんだ!」
シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)は白銀の長杖を手にして、地を蹴った。低空を【飛翔】し、ぐんぐんと速度を上げる。
相手は一騎当千のジェネラル級である。手の内を窺っている余裕はないとみたシルは、はじめから全力を出すつもりで詠唱を開始した。
「六芒星に集いし世界を司る6人の精霊たちよ、過去と未来を繋ぎし時よ……」
6つの属性の力を呼び出し、それを収束させていこうとするシル。
しかし。
魏延の周囲には蜀軍の兵が満ちあふれており、シルはその相手に手間取った。
「く……。
七芒星に集いて虹の輝きとなり、すべてを撃ち抜きし光となれッ!」
それでもシルは詠唱を続け、矢を避けながら旋回して一点に集めた魔力を放つ。凄まじい反動に、展開された魔力の翼が大きく震えた。
「なかなかのものだが……ッ!」
魏延は魔力の砲撃を浴びつつも方天戟を突き込み、シルの眼前へと迫っていた。
シルは小剣で、襲い来る焔を斬り払った。が、灼熱に炙られた剣を握る手はジリジリと焦げる。
「このッ……!」
反撃したとはいえ、シルの魔法を浴びた魏延に隙が出来ないはずはない。
焔に怯みそうになるところだが、アンゼリカはあえて前に進む。
「勇気を胸に! めいっぱい叩き込むよッ!」
溢れる勇気を胸に、アンゼリカは魏延に挑みかかる。その全身は光に包まれ、しっかりと構えた大剣を、一直線に繰り出した。
「ぬぅッ!」
激しくぶつかる、アンゼリカの大剣と魏延の方天戟。しかし、堵列する兵どもの繰り出す得物を斬り飛ばしつつ繰り出したぶん、わずかにアンゼリカが遅れたか。
闘気を纏った必殺の一撃に、アンゼリカの両腕、いや全身は痺れた。
「そんなものか!」
2人を弾き飛ばした魏延が口元を歪める。
「強いよね……さすがジェネラル級」
歯を食いしばって、シルは『ユグドラシル・ウィング』を構え直した。それを握った左の掌が、痛む。
「うん。さすがに、強いね」
アンゼリカも、取り落とした大剣を拾い上げて、再び敵将に向き直った。
「この世界に、あなたみたいに強い相手は、どれくらいいるのかな? それとも、あなた以上の人はいないのかな?」
「でも、かつて蜀最強だった関羽は、お前以上だったんだろ? 関羽の義弟・張飛も、お前より強いのかな?」
2人に打ちかかられつつも、魏延は巧みにそれを裁き続けている。
「てめぇんとこに、てめぇが認めるほどのモンは、どの程度いる?
まさか、外に探しに出にゃならんほど足りねェってこともねぇだろうが……」
伏見・萬(錆びた鉄格子・g07071)も敵将に語りかけるが、
「お前たち程度の者がそれを聞いて、なんとする?」
と、魏延は哄笑した。
「勇将、綺羅星の如く……とはいえ、俺に勝る者はおるまいよ!」
芝居がかった仕草で方天戟をぐるりと回し、魏延は嘯いた。
「ちッ! 力比べするしかねぇってのか。それなら、それもいい」
忌々しげに舌打ちしつつも、萬はかえって迷いが消えたようで、
「俺には、知恵比べよりよっぽど向いてらァ!」
記憶にはないが、かつて喰らったのであろうクロノヴェーダの肉体から、鋭い刃を生成する。
「てめぇも、強い奴が好きなんだろ!」
魏延の首を狙って繰り出した刃が、方天戟とぶつかって鋭い火花を散らした。
さすがにたたらを踏み、半歩退く魏延。
次の瞬間に襲い来た方天戟を、萬は腕に生やした刃で受け止め、間合いを取る。
魏延麾下の兵どもはすかさず押し包もうとするが、萬の刃は襲い来る戟の穂先のことごとくを斬り飛ばした。
「半端なモンで囲んでも、俺のツマミが増えるだけだぜ?」
口の端を持ち上げた萬だったが、その左腕には、敵兵の放った矢が深々と突き刺さっていた。
苦戦🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
喩・嘉
力を示せというのなら、示してやろうか
「五里霧計」を使用し、あたりを濃い霧で包む
この霧により、俺だけでなく仲間たちも動きやすくなると良い
死角から強襲する
接近したら言葉をかける
俺は、お前たちに
『張飛』との決戦の場を設けることを要求する
俺たちが関羽を討ったことはすでに周知の事実
仲間を殺した俺たちが憎くはないか?
張飛は俺たちを討ちたいとは言っていないか?
戦場の設定、取り決めなどは話し合いで決めよう
要望を呑んでくれるのであれば、こちらが譲歩できるところもある
張飛は蜀軍が誇る猛将だ
俺たちに易々と殺されはすまい?
張飛の鬱憤を晴らせ、俺たちの情報を得ることができるのなら
お前たちにも悪い提案ではないはずだ
「ははは! 威勢はいいが、まだまだだな!」
大笑し、さらに仕掛けてこようとした魏延が、戸惑ったように辺りを見渡した。
「……む?」
「……深き霧の中で、迷い子のように惑え」
急に発生した濃霧が、敵も味方も押し包んでしまったからである。
「力を示せというなら、示してやろう」
喩・嘉(瑞鳳・g01517)が羽扇を振るうと、霧は意思を持つかのように五丈原の台地に漂って、辺りを乳白色の闇に変えてしまった。
その霧に紛れた喩嘉は、羽扇から1本の羽を抜き取る。その先には鋭い針があり、鈍い色の毒液に濡れていた。
「ぬぅッ!」
首筋にそれを突き立てられた魏延が、のけぞる。
「しかし、まだこの程度では『手傷』というにもほど遠いか……」
感嘆した喩嘉は霧に紛れつつ、
「張飛との決戦の場を設けることを要求する。
俺たちはすでに、関羽を討った。仲間を殺した俺たちが、憎くはないか? 張飛は俺たちを討ちたいとは言ってないか?」
位置を変えながら、喩嘉は魏延の様子を窺う。敵将はジッと動かない。
「要望を呑んでくれるのであれば、こちらから譲歩し、提供できる情報もある。
張飛の鬱憤を晴らし、情報を得ることが出来るなら、お前たちにとっても悪い提案ではないはずだ。
張飛は猛将だ。俺たちに易々と殺されなどしまい?」
条件を述べた喩嘉は、「如何に……?」と問いかけようとした。
しかし、その言葉を魏延が遮る。
「どいつもこいつも、張飛張飛と!」
魏延は喩嘉の気配を窺っていた。方天戟を振るうと、怒りとともにわき起こった焔が霧を吹き飛ばす。肌を焼く熱に、喩嘉はたまらず退いた。
「ごちゃごちゃぬかす前に、かかってこい!
貴様らの相手はこの、前軍師・征西大将軍、魏延様だ!」
苦戦🔵🔴🔴
獅子堂・崇
アドリブ連携歓迎
諸葛亮と話をするためにも、魏延に俺たちを認めさせる必要がある、か。
と言っても、俺には難しい話はわからないからな。
魏延に認めてもらう意味で全力を尽くすとしよう。
初めましてだな、魏延将軍。俺は獅子堂だ、よろしくな。
小手先の技は抜きだ。最初から最大の一撃で挑ませてもらう。
空高く【ジャンプ】して【念動力】を纏った跳び蹴りを放ち、魏延の技に対抗する。
流石に、強いな。蜀にはあんた程強いやつがまだまだいるのか?
夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
※残留効果適応
今まで息を潜めていた『蜀』
潰し合う『魏』『呉』を尻目に
漁夫の利を狙っていたのか
それとも我ら復讐者を見定めようとしていたのか
どちらにしたって性質が悪い
まずは『魏延』に我らの力を示そう
短く息を吐き目の前の戦いに向け<精神集中>
朱殷の闘気を偃月刀に纏わせ戦意を高める
「名は夏候、字は錬晏。いざ!」
名乗りと共に龍頭を模した形に偃月刀を<武器改造>
弓矢諸共噛み砕く勢いでパラドクスで攻撃
4本の腕の一本に噛みつき、仲間の攻撃に繋げる立ち回りを
俺は武人。謀は領分ではない
余計なことは言わず、ただひたすらに武をぶつける
武を通して語り合う事しかできない
真っ直ぐに、武を体感せよ
「この前軍師・征西大将軍、魏延様の前を素通りしようとは、無礼千万よ!」
「なるほど。確かに、征西大将軍を名乗るほどの者と刃を交える幸運をわからぬのは、非礼というもの」
夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は偃月刀を手に、
「我らの力を示してやろう」
と、身構えた。目を細め、細くゆっくりと息を吐き出し、敵将を見据える。
「俺には、難しい話はわからないからな」
獅子堂・崇(破界拳・g06749)は口をへの字にして肩をすくめつつも、
「諸葛亮と話をするためにも、この魏延に俺たちを認めさせる必要がある……か。
ならば、全力を尽くすとしよう!」
と、拳を握りしめて躍りかかった。
「初めましてだな、魏延将軍! 俺は獅子堂だ。よろしくな!」
錬晏もまた、魏延へと挑みかかる。
「俺は武人よ」
と、錬晏は口中で呟く。
謀は領分ではない。武を通じて語り合うことしか出来ない。ならば戯言など弄さず、ひたすらに武をぶつけるのみ。
「真っ直ぐに、武を体感せよ!」
錬晏は正面から、そして崇は跳躍して。
「おう、かかってこい! 俺こそが前軍師・征西大将軍、魏延様よ!」
「さすがに、たいした自信だ」
崇は苦笑する。
猛将を前にして、小手先の技は不要!
「最初から、最大の一撃で挑ませてもらう!」
急降下する崇。その蹴り足に集約された念動力は赤色の光芒となって、さらに速さを増した。
「蹴り貫くッ!」
「むぅッ!」
しかし敵将・魏延も、それにまったく怯むことはない。
崇の念動力と、魏延の闘気。その衝突は、あたりでゆるゆるとなびいていた軍旗を巻き上げ、ついにはへし折ってしまうほどの衝撃をまき散らした。
「ぐぅッ……!」
吹き飛ばされ、背中から地に落ちる崇。背骨が軋み、肺は空気を求めて忙しない呼吸を要求した。
しかし魏延の方も無傷では住まず、やはり吹き飛ばされた敵将は、膝の土を払いながら立ち上がる。
「ほう……?」
「名は夏候、字は錬晏。いざ!」
息を漏らす魏延を目がけ、錬晏が斬りかかる。
振り下ろされる偃月刀は龍頭の如くに形を変じ、その牙は魏延の左腕に喰らいついた。
「我が刃は、牙の如く……!」
「むぅッ!」
唸った魏延は強引に龍の牙を引き抜き、方天戟を一閃させる。咄嗟に偃月刀で受け止めた錬晏であったが、その衝撃は退いて凌ぐしかない。
「かかれッ!」
その隙を、魏延は見逃さなかった。召喚された兵は戟を手に、次々と錬晏に打ちかかった。
捌ききれなかった脇腹から、鮮血が滴った。
とはいえ……。
「ははは! なかなか、やる」
肩から血を滴らせながら、魏延は哄笑した。
「俺の戟に頭を割られぬというなら、話くらいは聞いてやろう」
苦戦🔵🔵🔴🔴🔴🔴
守都・幸児
まずは小細工なしに俺たちの力を見てもらうとするか
力比べしてみてえしなあ
俺が使う技は「瞑」
戦は正面からやるだけではない、って言われると
ますます正面から行ってみたくなるもんだ
てなわけで、正面から【突撃】するぞ
狙うのは敵の召喚した兵の中で弓兵の多いところだ
弓兵は近接に弱いはずだからな
武器の鉄骨を回転させて盾代わりにして矢を防ぎ
同時に戟兵の接近も防ぎながら包囲を【看破】
弓兵を薙ぎ払い突破してやる
体に何本か矢が刺さっても構わねえ
毒矢にしとかなかったのは失敗だったな、って笑って
魏延に近付けたら思いきりぶん殴るぞ
偵察兵使ってこそこそ嗅ぎまわってる割にはやるじゃねえか
長安に興味があるのか
それとも、俺たちにか?
平良・明
連携、アドリブ歓迎
大変な道のりでしたがここからも大変です
まずはお腹を据えて、しっかり拳で挨拶していきます
大軍に囲まれてお話するには覚悟がいるものです
逃げ出すのも簡単に出来るのですが
今日はお話に来たので通してはくれないでしょうか
相手の炎に撒かれないように立ち回り
魏延の知覚を惑わして近づきぶん殴ります
呉は落ち魏は半壊、その他も引けている平原です
とりあえず、長安をどうするかの話がしたいところ
大事なのでしょう?長安
今はこれ以上暴れはしないと約束するので
腰を据えてお話しましょう
あと、陣を越えるのに喉が渇いたので、お茶もください
周囲を蜀兵に囲まれ、圧倒的に不利な状況でありながらも、次々と敵将に挑みかかるディアボロスたち。
魏延もまた、恐るべきジェネラル級クロノヴェーダである。繰り出される方天戟は鋭く、ディアボロスたちは懸命にそれを凌ぐしかない。
しかし、彼らの息をつかせぬ猛攻は、傲岸不遜ともいえる魏延であっても一目置かざるを得なかったらしい。
「俺の戟に頭を割られるまでの間でよければ、話くらいはしてやろう」
魏延はディアボロスたちを睥睨し、嘯いた。
「そいつはどうも。ありがてぇことだな!」
守都・幸児(祥雲・g03876)は拳を握りしめ、ぴたりとこちらに狙いを定める方天戟の切っ先を見据えた。
「だったら俺も小細工なしに、力を見てもらうとするか。力比べもしてみてぇしなぁ」
「ここまでも大変な道のりでしたが……まだまだ、大変なようですね」
平良・明(嶺渡・g03461)も、
「まずはお腹を据えて、しっかりと拳で挨拶していきましょう」
と、幸児とは距離をとって敵将を囲む。
幸児と明、そして魏延。三者はほぼ正三角形のかたちに広がって、互いに出方を窺った。
「いくぜ!」
始めに仕掛けたのは幸児であった。
敵将・魏延は猛将に見えて、なかなか巧みな用兵を見せる将である。
「ただ得物を振るうだけが戦ではないわ!」
「そう言われると、ますます正面から行ってみたくなるもんだ!」
魏延への進路を阻むように、弓兵が整列する。しかし幸児はそれを見ても足を止めることなく、闇を纏った両腕で抱えた鉄骨を振り回し、飛来する矢を次々とはたき落としていった。
「逃げるだけなら簡単にできるのですが……今日はお話に来たので、通してはくれないでしょうか?」
明はふらりと、無造作に間合いを詰めた。まるで散歩でもするかのような足取りがあまりに自然すぎて、踏み込みの届く距離に詰め寄られるまで、魏延の感覚は警戒を発しなかった。
「こんにちは」
敵将の顔を覗き込むように懐に飛び込んだ明は、その腹に強烈な一撃を叩き込んだ。
「ぐぬ!」
「俺を殺すつもりなら、矢には象でも殺せる猛毒を塗っておくんだったな!」
さすがの幸児とはいえ、襲い来る総ての矢を避けきることは出来なかった。その太股に、数本の矢が突き立っている。それでも幸児は前へと進み、大きく鉄骨を振り回して魏延に叩きつけた。
方天戟で受け止められたはしたものの、その衝撃で魏延の身体は宙に浮いた。
「おのれッ!」
怒りの込められた焔が、明へと襲いかかる。明は激しい痛みに襲われながらも、
「この熱さでは、喉が渇きますね。お茶をください」
と、平静を装う。
三者は再び対峙し、刃を、あるいは拳を交えながら言葉を交わす。
「偵察兵を使ってコソコソと嗅ぎ回ってるわりには、やるじゃねぇか。長安に興味があるのか?」
「呉は落ち、魏も半壊。長安をどうするつもりなのか、話がしたいところですね。
大事なのでしょう、長安?」
2人の攻撃をしのぎつつ、
「興味はあるに決まっている。俺たちは不穏な動きの見える長安を、探りに来たのよ」
と、魏延は顔をしかめた。
「北伐……とは違うな。洛陽・長安の地は、魏の領土というわけでもないからな」
苦戦🔵🔵🔴🔴🔴🔴
白石・明日香
残留効果はすべて使用。
【未来予測】を以ってして相手の動きを予測して残像で攪乱しながらダッシュで接近!
軍勢の攻撃は精神集中して結界術で受けながら強引に間合いを詰めて早業呪詛、捨て身にの一撃で解体してあげる!
さて魏延、ワタシはこの先にいる諸葛亮と話したいのだけどいいかな?
議題は七曜の戦について話し合いたいとね。
細かい内容は彼に直接話すわ。さぁ、どうする?
孫・リア
武を示す……ね、まぁ諸葛亮殿は蜀にとってなくてはならない存在だからそうやすやすと会わせてはくれないわよね……だから魏延殿に私達の力を見せてあげるわ!
皆と連携して魏延殿に力を見せる!
なるほど彼も兵士を召喚して指揮できるのね……ならその指揮比べと行きましょうか
『孫軍』で同じように弓兵の幻影を召喚して魏延殿の弓兵が弓を放ったらその弓兵達に向かって弓を引いて攻撃するように支持、打った瞬間は無防備になりかけるしね
そして弓兵達が攻撃し終えたら今度は盾と槍を持った兵士を魏延殿を囲むように大量に召喚、一応突破出来るかもしれないけどこの数は骨が折れるでしょう?
さぁ諸葛亮殿に会わせて
【アドリブ共闘歓迎】
「ふぅ……!」
激闘に喉の渇きを感じたか、魏延は腰に吊した瓢から酒をあおる。
「よし、いいぞ。さぁかかってこい!」
魏延が方天戟を高々と掲げると、それに呼応するように雄叫びがあがる。魏延によって召喚された、戟を、そして弓を構えた兵たちである。
「なるほど、あなたも兵士を召喚して指揮できるのね」
馬上の孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)は、にわかにわき起こった兵どもを睥睨すると、
「……なら、その指揮比べといきましょうか! 私たちの武を、見せてあげるわ!」
と、魏延同様に偃月刀で天を突いた。
リアの背後から、奪われた歴史の中で孫家に忠誠を誓った精兵たちがわき起こる。
両軍の兵は互いに弓弦を引き絞り、敵陣を目がけて矢を放った。一斉に放たれた矢は空を黒々と多い、互いにぶつかり合った。
「さぁ、その武勇をここに示すわよ!」
「ゆけい!」
リアと魏延はほとんど同時に、敵を包囲せんと戟兵を前進させる。互いの戟がぶつかり合う音が響き渡った。
リアの率いる兵は強悍とはいえ、魏延と正面からぶつかり合ってしまうと、さすがに押し返される。リアは顔を歪めつつ、脇腹に吸い込まれた戟の穂先を偃月刀で斬り飛ばした。
しかし兵の中にいたひときわ煌びやかな甲を着た将が、敵兵の囲みを突破し、魏延に一太刀を浴びせた。
「小癪な!」
魏延の方天戟が襲う前に、役目を終えたその幻影はかき消えてしまう。
手応えを失った魏延がたたらを踏んだところに、白石・明日香(体亡き者・g02194)は飛び込んだ。
「……来る!」
ほとんどうつぶせと言ってよいほどに、明日香は深く身を屈めた。左右でまとめた髪がふわりと舞う先を、魏延の方天戟が唸りを上げて通り過ぎる。
「捨て身の一撃で、解体してあげる!」
そう叫んだ明日香が咳き込み、口から鮮血を吐いた。そして、両手に握った双剣『彼岸・此岸』を自らに突き立てる。
「血迷ったか!」
罵詈を浴びせる魏延を見て、口の端を持ち上げる明日香。持ち主の血を浴びた双剣は、さらにさらに赤く染まり、刃の輝きはいっそう増す。
『血の盟約』。明日香は居並ぶ戟兵どもの得物を斬り飛ばしながら、魏延へと迫る。繰り出される『彼岸』。それが受け止められるや、続いた『此岸』が敵将の腕を裂いた。
「さぁ、諸葛亮殿に会わせて」
「七曜の戦について諸葛亮と話がしたいのよ、ワタシは」
リアと明日香が魏延に詰め寄る。
「……それで? いかような話をしようというのか?」
「それは……細かい内容は、彼に直接話すわ」
「ふん。小娘どもごときに、いったいなんの話が出来る?
丞相閣下はお忙しい。無位無冠の処士どもの、あやふやな空言など聞いている暇はないのだ!」
苦戦🔵🔵🔴🔴🔴🔴
喩・嘉
蜀軍の戦力内容について
情報を得る方向で話を持ちかけてみるか
何も物理で殴ることだけが、戦いとは言うまい?
「馥郁香計」を使用
漂わせる香で敵の精神に干渉する
そのまま逃れることのできない苦痛を味わえ
俺の力もわかるはずだ
前軍師・征西大将軍という肩書きがよほど誇りと見えるが
そのようなものは、同じ階級制度を持つ者同士でなければ
まったく意味がないのだよ
なんなら、お前のその肩書きの凄さを、教えてくれるのか?
お前たちの軍にはどれほどの数、そしてどのようなすごい将がいて、
お前はその中で、どの位置にいる?
言えぬのならば、お前は無意味な言葉の羅列をしているに過ぎぬ兵卒ということだ
俺たちが相手にしないのも当然だろう
夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
※残留効果適応
手負いはお互い様
ネメシス化で黒い靄は生前の戦装束を模す
油断せず偃月刀を構え【神速反応】と先の<戦闘知識>から
戟の軌道を読んでいなし、頭を割られぬように立ち回る
先の戦で『関羽』を失ってから、すっかり意気消沈としているかと思っていたが…
中華統一の『王』の座は諦めていなかったか
『劉備』が『覇道』を目指す
人徳と名高い人物の名を持つ蟲将が目指す道の
不釣り合いさに少し笑みが溢れる
『覇道』とやらのために軍神『関羽』は使い捨てか?随分と贅沢を
『蜀』の軍勢はよほど層が厚いのだろうな
あんたが"前"軍師なのも、その表れか
仲間が<情報収集>しやすいよう
言葉少なに『魏延』との武に集中する
「先の戦で関羽を失ってから、すっかり意気消沈しているかとも思ったが……。
どうやら、劉備は王の座を諦めてはいなかったか」
夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は右手を袂に入れたまま偃月刀をくるりと回し、その切っ先を魏延に向けてピタリと止めた。
「ならば、やはり敵情をできる限り知っておきたい」
喩・嘉(瑞鳳・g01517)は周りを囲む兵どもをあしらいつつ、苦笑いを浮かべた。
失われた歴史における劉備は、有徳の人物であったとも聞く。
「その名を持つ者が目指す道が覇道とは……不釣り合いなことだ」
錬晏は奇妙な可笑しさを感じて、口の端を持ち上げた。
「ほほう、笑ったか。笑っている余裕があるとは、結構なことよ!」
魏延は怒っているようにも、案外と愉快に感じているようにも思える大声を発しつつ、斬りかかってくる。
「前軍師・征西大将軍、魏延様が、手ずから斬り捨ててやろう!」
襲い来る方天戟を、錬晏の刃が受け止めた。そのまま、打ち合うこと十数合にもおよぶ。腕が痺れそうになりながらも、錬晏はよく耐えた。
「戟に頭を割られては、かなわないからな!」
「その肩書きがよほど誇りとみえるが。
よければ、その肩書きにどの程度の凄さがあるのか、教えてはくれないか?」
と、喩嘉は皮肉交じりに問う。
「漢朝の文武百官は知っていても、あいにくと蟲将のような者の朝廷に、いかなる官職があるかは知らないからな」
かぶりを振った喩嘉が羽扇を敵将に突きつけると、辺りには馥郁たる香りが立ちこめた。
「ぬぅ……ッ!」
「なにも刃を交えるだけが戦ではあるまい? そのまま、逃れることのない苦痛を味わえ。俺の力も、分かるはずだ」
美しいもの、芳しいものが、善なるものとは限らない。その香りは敵将の精神から平静を失わせていく。魏延はその不快さを、怒りにまかせて振り払った。猛る炎が香りを吹き飛ばし、喩嘉の羽扇を焦がす。
「覇道のためには、軍神・関羽も使い捨てか?
ずいぶんと贅沢なことだ。さぞかし、蜀には人……いや、蟲がいるとみえる!」
錬晏の言葉に続いて、喩嘉も、
「お前たちの軍には、どれほどの数の、そしてどれほどの将がいる?
お前に勝る将が、数多くいるということか?」
と、問うた。
振り下ろされる敵将の方天戟を、錬晏はわずかな身じろぎだけで避けた。そのまま懐へと飛び込み、得物を振り下ろして伸びた魏延の腕に、偃月刀を振り下ろす。
「なかなか、やるわ!」
魏延の腕から血飛沫は飛んだが、返す刀で襲いかかった刃が、錬晏を斬り裂く。咄嗟に跳び下がったおかげで両断されずにはすんだが、胸の傷からは血が滴った。
「関羽将軍か……あれも、戦の果てとなれば、致し方がない」
四方を討伐する、方面軍の司令官に当たるのが四征将軍である。また、その上位にあたる将軍職に前後左右の4つの将軍職があるため、前軍師もそのような意味合いかもしれない。
細かなところはさておき、魏延が蜀において要職にあることは間違いがない。
「関・張の2将こそ我が君の股肱と言えど、征西大将軍を拝命した俺様は、それに勝るとも劣らぬ!」
苦戦🔵🔵🔴🔴🔴🔴
守都・幸児
魏延から情報を得る
司馬懿との関係を知りたい
司馬懿の名を出さずにな
お前強いな
今は諸葛亮よりお前とやり合いてえ気分だ
もう一本頼むぞ
全力でな
俺の使う技は「蒙」
鉄骨を持った俺がまた正面から魏延に突っ込むぞ
だがそっちは分身だ
俺本体は武器を藍鬼拐に持ち替えて
分身の俺が魏延の注意を引いた隙に
本体の俺が死角から拐で殴りつけて【不意打ち】するぞ
得物を振るうだけが戦ではない、だったな
さっそく参考にさせてもらったぞ
(無意識のネメシス化で腕の硬化が胴や頬にも広がり、拐が腕と一体化している)
わかんねえな
お前ほどの将がいりゃ、長安落とすのは容易かっただろうによ
何で蜀は今までそうしてなかったんだ
別に魏の領土でもねえんだろ?
平良・明
いやぁ…不穏ですよねぇ長安
大戦乱の外にある大事な場所だというのに
天下三分崩れたには、乱が起こるのは必然というものです
いかに力を保っていようと、王の器が疑われるのは孫権、曹操に並んで劉備も同じ事
まあ、私は王なんてものに興味はないですが
今までと同じように大戦乱を繰り広げるには状況が変わってきている
その事を諸葛亮ほどの者ならよくわかっていそうです
桟道のこちら側には新しい季節の風が吹いています
それを身をもって伝えましょう
「山歩き」で吹き起こす風に乗せて火に燃えない草木の幻影で魏延を「捕縛」
味方としっかり連携しながら復讐者の力を示します
「喩嘉! 錬晏! 大丈夫か?」
守都・幸児(祥雲・g03876)が敵将との間に割って入り、突き込まれた方天戟を、その柄を掴んで受け止めた。
両者はそのままの体勢でしばし力比べを続けるが、魏延は幸児の腹を蹴り飛ばし、距離を取る。
その程度は、たいした手傷にはならない。問題ない、とばかりに手をあげた喩嘉と錬晏を見て、幸児は安堵した。
「いやぁ……不穏ですよねぇ、長安」
平良・明(嶺渡・g03461)は飄々とした様子で、敵将を窺う。
奇妙な話ではある。断片の王となるべく、曹操・孫権・劉備の三者は相争っていた。だというのに、長安はその大戦乱の外にあって沈黙を守っているのである。
そして今、天下三分は崩れた。新たな乱が起こるのは必定、と明は見る。
「呉は滅び、魏も衰えました。ただ一国が力を保っているとはいえ、劉備の王の器も疑われるのは、仕方のないことです」
とどめなく。肩に力を込めぬ様子で話しつつ、明は四季の気配の中を歩く。
「まぁ、私は王なんてものに興味はないですが。今までと同じように大戦乱を繰り広げるには、状況が変わりすぎている。
……そのことを、諸葛亮ほどの者なら、よくわかっていそうですが」
と、目を細めた。
改めて構え直した幸児も、
「わかんねぇな。お前ほどの将がいりゃ、長安落とすのは容易かっただろうによ。
なんで蜀は、いままでそうしてなかったんだ?」
と、首をかしげる。
魏延は肩をすくめ、
「さっきも言ったように、長安は魏の領土じゃねぇからよ」
「そこだ。魏の領土じゃないならなおさら、手中に収めて勢力を伸ばせばよかったんじゃないのか?」
「さぁな。そのあたり、丞相はどのようにお考えなのか、俺にはわからん。
丞相の策は、誰にも見抜けんよ!」
問答は終わりだとばかり、魏延は斬りかかってくる。
しかしその足元を、異常な生育を遂げる草木が絡め取っていった。それは、吹き寄せる風とともに明が生み出した幻影である。
「小癪な……ッ!」
「諸葛亮の手の内は、確かに読めないが……今は、諸葛亮よりも、お前とやり合いてぇ気分だ。
もう一本頼むぞ、全力でな!」
幸児は鉄骨を構え、正面から魏延に挑みかかる。魏延は、
「動きが丸見えよ!」
と、方天戟を繰り出したが。
「正面から飛び込むばかりじゃないってことだ!」
両断されたのは、紙符を形代として生み出した分身である。
幸児本人は得物を『藍鬼拐』に持ち替え、敵将の右手に回り込んで、その側頭部に叩きつけた。
「ぐぬッ!」
「得物を振るうだけが戦ではない、だったな。
虚実の駆け引き、さっそく参考にさせてもらったぞ」
と、白い歯をのぞかせる幸児。
しかし魏延はすぐさま体勢を立て直し、
「どうしても貴様らが我が君の覇道を邪魔するというのなら……すべて、焼き尽くしてやるだけのことよ!」
轟々と唸りを上げて空を断ち斬る方天戟。生じた焔は竜巻となって戦場を包み、ディアボロスたちを焼いた。
残念だが……ここまでだ。敵兵に囲まれる不利な状況の中、これ以上戦いを続ければ、やがて犠牲者が出かねない。まだ血気盛んな者もいるが、ディアボロスたちはいったん退くことを決意する。
相応の収穫も、なかったわけではない。
魏延は方天戟の柄で肩を叩き、
「おっと、やりすぎちまったか。
北進に有益な手がかりが得られればよかったんだが……これでは、俺が丞相にお叱りをうけちまうな」
と、笑った。
苦戦🔵🔵🔴🔴🔴🔴