最終人類史のハロウィン2022

 攻略旅団の提案により、獣神王朝エジプトで確保された『ラムセスの黄金アンク』と平安鬼妖地獄変で確保された『地獄変』、2つのクロノ・オブジェクトを組み合わせ、新宿島を守護する防衛結界を構築する研究が行われて来ました。

 対象物に短時間、強固なバリアを張る『ラムセスの黄金アンク』の効果範囲は広くなく、大量のエネルギーが必要です。
 まず効果範囲の問題に対しては、並行して研究中だった幻想竜域キングアーサーの『ベルファスト大結界』の術式を組み合わせることで、バリアを新宿島を覆う規模の防衛結界に拡大できそうなことが判明しました。
 そして、大量のエネルギーの供給源として期待されるのが『地獄変』です。

『地獄変』を巡る戦いを通じ、この巻物には一般人の『嫌悪』『恐怖』『畏れ』といった負の感情を集めてエネルギーとして蓄え、そのエネルギーを他の儀式等に転用する機能があることが分かっていました。
 そして研究の結果、蓄積できるのは『鬼や妖怪、お化けなどが根底にある感情』であれば、必ずしも負の感情でなくても構わないことが判明したのです。
 一度に収集できる感情エネルギーは『一定の指向性を持っている』必要があるため、平安鬼妖地獄変のクロノヴェーダは、自分達の直接のエネルギーにもなる『恐怖や嫌悪』を強め、集めようとしていたと考えられます。

 しかし、ディアボロスならば、『鬼や妖怪、お化けなどが根底にある、多くの人々に希望や喜びの感情を抱かせるイベント』を開催して、地獄変を完成させることが出来る筈です。
 そう、ハロウィンです!

 かくして、今年のハロウィンパーティーは新宿島の防衛のため、重要なイベントとして大々的に行われる事になりました。
 最終人類史の人々も『ハロウィンパーティーを楽しめば、ディアボロスと新宿島を護る事になる!』と、喜び勇んで準備を行っています。

 ディアボロスの皆さんにも、ハロウィンを盛り上げる協力要請が来ています。
 自分の考えた企画で人々を楽しませるも良し、人々の企画に加わって盛り上がるも良し。気軽に参加してください!

千年の弥栄、永遠の魔法(作者 藍鳶カナン
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#最終人類史(新宿島)  #最終人類史のハロウィン2022  #ハロウィン  #地獄変  #ラムセスの黄金アンク 


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●千年の弥栄
 遥か千年あまりの時を超えてきた稀有なる巻物に、
 遥か千年の彼方まで、あるいはそのずっと先までも、
 誰もが笑顔で語り継げるような、そんな楽しい物語を描き出せたなら――。

「それはもう飛びっきりの! 極上の魔法じゃないかしら!!」
 扉を開くのは千年の都・京都へ向かうバラドクストレイン。歓び満開の笑顔でディアボロス達を迎え、楽しげに弾む声音でクレメンティア・オランジュリー(オランジェット・g03616)は仲間達にそう語りかけた。
 秋がひときわ豊かに深まる十月の終わり。
 誰もが悪戯っぽく瞳を煌かせ、子供みたいに心弾ませながら待ち望む、ハロウィンの夜がやってくる。
 昨年は新宿島のみでのハロウィン開催だったが、今年はハロウィンのためにパラドクストレインも大活躍。次々奪還された幾つもの区や、夏の終わりまで平安鬼妖地獄変であった京都や奈良の地へ向かう臨時列車が皆を各地のハロウィンパレードやパーティー会場へと連れて行ってくれる。
「様々な場所でハロウィンのパレードやパーティーの開催が叶うのも、各地の奪還に力を尽くした皆様の活躍あってこそ! きっと何処もかしこも飛びっきり楽しいハロウィンになるんじゃないかしら! それも飛びっきり特別な!!」
 今年のハロウィンは、飛びっきり特別で、飛びっきり重要なものなんです、と取っておきの秘密を明かすようにショコラの瞳を煌かせ、クレメンティアが語るのは――今年のハロウィンが、新宿島を護る防御結界の構築に繋がるのだという話。
 攻略旅団の提案による研究結果がここに結実する。
 獣神王朝エジプトで確保された『ラムセスの黄金アンク』のバリアに幻想竜域キングアーサーの『ベルファスト大結界』の術式を組み合わせる事で新宿島を覆える規模の防御結界に拡大できる可能性があると判明。勿論それには膨大なエネルギーが必要になってくるのだが、これを平安鬼妖地獄変で確保された『地獄変』に集めたエネルギーで賄おうというのだ。
 最終人類史よりも時を千年あまり遡った平安鬼妖地獄変にて、数多の一般人の負の感情を力として蓄えていた『地獄変』。だが研究により『鬼や妖怪、お化けなどが根底にある感情』であれば、負の感情とは真逆の感情でも力として蓄積可能な事が明らかになった。たとえば『鬼や妖怪、お化けなどが根底にある、歓びや希望の感情』であってもだ。
「多くの人々にそんな感情を抱いてもらえる催しといったら、それこそハロウィン! ですよねっ!!」
 誰もが悪戯っぽく瞳を煌かせ、子供みたいに心弾ませながら待ち望むハロウィン、そのパレードやパーティーが盛り上がる程に多くの人々の歓びや希望の感情が防御結界構築のためのエネルギーとなって蓄えられていく。多くのディヴィジョンでは来たる七曜の戦に向けて戦力増強が図られているのは多くの者が識るところ。
 刻一刻と強さを増していくクロノヴェーダとの戦いは、苛烈さをも増し、熾烈を極めていくに違いない。
 新宿島を護る防御結界は最終人類史の存亡さえ左右するほど重要なものとなるだろう。
「一般人の方々も『自分達がハロウィンを楽しめば、ディアボロスと新宿島を護ることに繋がる!』とそれはもう皆様大いに意気込んでくださってるって話です! というわけで、多くの人々の歓びも希望も、笑顔も満開に咲かせる事ができるよう、私からは京都のハロウィンパレードとパーティーへの御誘いですっ!!」
 ――私達自身も思いきり楽しみながら、ハロウィンをめいっぱい盛り上げにいきましょう!

 意外にも思えるが――千年を超える歴史を紡ぐ古都というのは、実は世界でも数少ない存在だ。
 その稀なる古都のひとつ、京都でも幾つものハロウィンイベントが催されているが、
「私からまず皆様をお誘いするのは夜のハロウィンパレード! 八坂神社から円山公園を抜け、知恩院や青蓮院の前を通って平安神宮へ至る、神宮道(じんぐうみち)と呼ばれる通りでのハロウィンナイト・パレードですっ!!」
 篝火を焚かれ荘厳にライトアップされた八坂神社からはじまる夜のハロウィンパレード、最終人類史の人々にとって憧れの英雄やアイドルのごとき存在であるディアボロスたちが仮装してパレードに加わってくれるとなれば勿論誰もが大喜び。出発地点の八坂神社から加われば始まりから皆が歓喜に沸くだろうし、途中で夜空高くから雰囲気たっぷりに舞い降りて加わればそのたびに皆の歓声が咲くだろう。
「何せ京の都も最終人類史の一角! 【飛翔】をはじめ、残留効果すべてがLV10で使えちゃいますから!!」
 八坂神社から円山公園を抜け、知恩院や青蓮院の前を通って平安神宮へ至る、神宮道。
 美しい灯籠に彩られた夜の通りでのパレードは仮装をひときわ幻想的に映えさせるだろう。鬼や妖怪、お化けに限らずともあなた自身があなたらしく楽しめる仮装なら、どんな仮装であれ京都の人々にも楽しんでもらえるはず!
 仮装や残留効果などを活かしたパフォーマンスで人々を『魅せる』のもいいし、主催側が用意した甘いオーロラをたっぷり抱いて、きらきら、きらきらと振りまきながらのパレードやパフォーマンスとなれば、沿道の観客達も沸きに沸くはずだ。
 甘いオーロラはラッピング用オーロラフィルムで包まれたお菓子達、振りまかれたオーロラを受け取った人々がその煌きを開けば現れるのは、可愛らしい手鞠飴や、花や星月をパステルカラーで模る和三盆糖、南瓜餡や紫芋餡入りの生八つ橋。勿論南瓜クッキーのジャック・オー・ランタンや蝙蝠やお化け型のチョコレートなど、ハロウィンらしいお菓子を自前でこの甘いオーロラに仕込むのだってきっと楽しい。
 神宮道では木々や家屋の軒先などにも甘いオーロラの煌きがオーナメント代わりに幾つも飾られているから、もしもそれを欲しそうに見上げている子供がいたなら、そっと手を繋いで【浮遊】で空中に煌くオーロラのもとまで連れていってあげて、飛びきりの想い出をも贈り物に!
 神宮道が三条通と交差するあたりへと至れば、パレードに加わるのは牛車の妖怪・朧車を模した車を立派な黒毛の牛が牽くハロウィン牛車達。それだけでも見応えたっぷりだろうけど、
「近くの京都市立動物園も全面協力してくれますから、残留効果を活かせば皆様次第では動物園の動物とも一緒にパレードもできちゃいます! 動物さんが同意してくれるなら、ちょっとした仮装をさせてあげるのも楽しいんじゃないかしら!!」
 思う存分にパレードを華やげて盛り上げて、辿りつくのは此方も篝火を焚かれ荘厳にライトアップされた平安神宮。
 彼の地へと都が置かれるより百数十年も前の創祀とされる八坂神社から、平安遷都から千百年を経た記念の年に創祀された平安神宮へと至るパレードが華やかなフィナーレを迎えたなら、
「お次は皆様、どうぞどうぞハロウィンパーティーへ!」

 秋の京都で迎えるハロウィンの夜を彩る宴の会場は、美しい夜景を望めるホテルのパーティーホール。
 雅やかな文様を浮かび上がらせる京唐紙で彩られたホールも今夜はハロウィン仕様で華やかに飾られ、ハロウィンの起源がアイルランドにあることにちなんでか、陽気で楽しげな音色を奏でるアイリッシュフィドルと京の都らしい和楽器のひとつ、箏とが華麗にコラボレーションする旋律が陽気に楽しげに、華やかにホールを満たしたなら、
 始まるのはハロウィンのダンスパーティーだ。
 皆が仮装したままダンスに興じる宴はさながら楽しさいっぱい詰め込んだ玩具箱にして宝石箱。皆に混じって踊るのだって楽しいし、フィドルも箏も数多く用意されているというから、興味があるなら演奏側に混じるのだって飛びきり楽しいはず。
「何せ【操作会得】もLV10! 初めてフィドルや箏に触れるひとだって戸惑うことなく楽しく演奏できちゃうはずです!」
 もちろん日頃から愛用している楽器で演奏に加わるのだって、熱烈な大歓迎を受けるに決まってる!
 華やかで可愛らしい手鞠寿司、幾つもの寿司が美しい市松模様を織り成す京寿司の真髄・押し寿司をはじめ、数多の料理を京風やハロウィン風に仕立てた美味を京都のクラフトビール片手に立食スタイルで摘まむのだって、夜景が最も美しく望める一角に設えられたバーで宝石めいたカクテルやノンアルコールカクテルを傾けるひとときだってあなたの心を豊かに満たしてくれるはず。
 京の都の夜景を眺めながらなら勿論、そして。
 ハロウィンを楽しむ皆の、歓喜や希望が輝くような笑顔を眺めながらなら、なおのこと。
 そうして歓びと幸せ溢れるパーティーもフィナーレを迎え、各地のハロウィンも大いに盛り上がったなら――。

「白紙になっていた『地獄変』に、楽しいハロウィンの想い出が物語みたいに描き出されるって話です!!」
 間違いなくそれが叶うはずと信じるクレメンティアの瞳には、はやばやと歓喜の輝きが燈って光る。
 最終人類史よりも時を千年あまり遡った平安鬼妖地獄変にて、数多の嫌悪や恐怖に畏れを呑み込み悲劇ばかりを描いてきた『地獄変』。それが遥か千年あまりの時を超えた先の最終人類史で楽しいハロウィンの想い出を描き出すことになるのなら。
「ね、それってほんとに飛びっきりの! 極上の魔法じゃないかしら!!」
 だって防御結界の構築も途轍もなく重要だけれど、それよりも何よりも。
 地獄変に楽しいハロウィンの想い出が描き出されるということは、刻逆という未曽有の災禍に呑まれ今も先行きの見えない日々を送る最終人類史のひとびとが、憂いや不安を忘れて歓びや幸せに胸を満たされて、明日からの日々を生きる力と希望を抱いた証なのだから。
 ――どうぞどうぞ、よろしくね!

●永遠の魔法
 世界でも稀なる千年の古都、京の都に原初の夜闇が訪れた。
 凛と艶めく夜闇が京の一角を抱きすくめたのは、篝火を焚いて荘厳なライトアップで八坂神社を彩るハロウィンパレードの始まりをひときわ煌びやかに演出すべく、あたりの灯りが一旦落とされたからだ。原初の夜闇の底から夜空を振り仰いだなら一瞬の魔法で満天に煌きが振りまかれたような星の空。だが星空に見惚れた子供達が言葉を失ったのも一瞬だけのこと。
「なあなあ、ディアボロスの人らが空飛べるって、ほんまなん?」
「ねえねえ、ディアボロスの人らはどんな動物とでも仲良くなれるって、ほんまなん?」
 星空からディアボロスを連想したらしい男の子の声に、彼の言葉で誰かから聴いた話を思い出したらしい女の子の声。
 ほんまみたいやねぇ、今夜見られるんちゃう? と二人の母親らしい女性の声が応えた、そのとき。
 夜闇に赤々と耀く篝火が燃え上がる。荘厳にライトアップされた八坂神社の威風堂々たる朱塗りの西楼門が闇に輝くように浮かび上がる。パレードの出発の音色が高らかに響き渡れば子供達はわあと歓声をあげ、
「ディアボロスの人ら来てくれるかな、めっちゃかっこいい仮装で!」
「めっちゃ綺麗なんとか、めっちゃ可愛いのとか、めっちゃ楽しい仮装とかやったりするかもー!」
 小さな鴉天狗に扮した男の子が瞳を輝かせて駆け出せば、小さな魔女に扮した女の子が満開の笑みを咲かせて後に続く。
 子供達の声が飛びきり弾んで胸が期待にはちきれんばかりなのは、ただ楽しさを受け取るばかりでなく、自分達が思いきりハロウィンを楽しむことがディアボロスや新宿島を護ることに繋がるのだと聴いているからだ。
 僕も! わたしも! ディアボロスを護る!! と大いに張りきる子供達に続きながら笑み交わすのは勿論その両親で、
「めいっぱい楽しむことにかけちゃ子供らには負けへんよね」
「当然! 誰が一番楽しめるか勝負しよか、って、どうやって一番を決めたらええんか判らんけど!」
 二人も子供の頃に返った心地で悪戯に笑って、そのまま弾けるような笑みも咲かせた。
 歴史侵略者達に奪われたこの地を取り戻して、自分達を『帰還』というかたちで救ってくれたばかりでなく、日々の暮らしそのものをも支えてくれるディアボロス達。その存在に想い馳せるたびに何も恩返しをできないことが切なくて、だからこそ今夜こんなかたちでディアボロス達の力になれることが嬉しくて堪らない。小さな小さな力ではあっても、すべてを取り戻すための戦いを自分達も手伝えるのだということが、こんなにも嬉しくて。
 たとえ一夜の、たとえ一瞬の歓びや幸せでも、このハロウィンが胸に齎してくれる光はきっと消えないものになる。
 稀なる千年の弥栄を抱くこの京の都で、明日からも愛しい者達と笑い合うたびに、消えない光は輝きを増していく。
 ――そんな永遠の魔法が、きっと今夜この地にかけられるから。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【傀儡】
1
周囲に、ディアボロスのみが操作できる傀儡の糸を出現させる。この糸を操作する事で「効果LV×1体」の通常の生物の体を操ることが出来る。
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【狐変身】
1
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【強運の加護】
4
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【照明】
3
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
2
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【修復加速】
1
周囲が、破壊された建造物や物品の修復が容易に行える世界に変わる。修復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」する。
【口福の伝道者】
4
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【ハウスキーパー】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建物に守護霊を宿らせる。守護霊が宿った建物では、「効果LV日」の間、外部条件に関わらず快適に生活できる。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV4 / 【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV5 / 【凌駕率アップ】LV3(最大) / 【反撃アップ】LV4 / 【アクティベイト】LV1 / 【リザレクション】LV1 / 【ドレイン】LV3 / 【アヴォイド】LV1 / 【ダブル】LV1 / 【ロストエナジー】LV2 / 【グロリアス】LV2

●マスターより

藍鳶カナン
 こんにちは、藍鳶カナンです。
 ハッピーハロウィン! 京都でハロウィンするよ! するよ!!
 OPとマスターよりをがっつり御確認の上で御参加いただけると嬉しいです!

 ※ソロ参加やペア参加がおすすめです!

 ※パレード選択肢の舞台はOPのとおりです。パーティー選択肢の舞台は実在のホテルではなく、藍鳶が用意した架空のホテルへ御案内させていただきますね。

●運営予定(プレイングについて)
 選択肢1と2を同時募集させていただきますね!
 両方ともに、11月3日(木曜日)の朝8:30確定(藍鳶の手許に届いた)分までのプレイングを優先採用予定。
 以降にいただいたプレイングは採用が難しいかもしれませんので、上記以降はダメ元でお願いします。

 どちらか片方のみの御参加でも、両方の御参加でも、お好みでどうぞ!
 なお、出来る限り頑張りますが、全採用の確約はいたしかねます。プレイング内容・タイミング・状況(藍鳶の作業量限界など)次第では採用できない場合がある旨、あらかじめご了承いただければ幸いです。

●残留効果
 最終人類史なので(持ち込みしなくても)すべてLV10で使用可能です。
 必要であれば他の方々の迷惑にならない範囲でご利用ください。

●仮装
 仮装の描写希望! という方は、南瓜行列SDのある方もない方もプレイングで何の仮装か軽く触れていただけると、とてもとてもありがたいです!(イラストを参照して花嫁って描写したけど本当は死体の花嫁の仮装だった! 的な切ない事態を防ぐためにご協力いただけると嬉しいです……!)

●選択肢1:ハロウィンパレード地獄変
 OPを参考に、皆様お好みの仮装で心のままにパレードをお楽しみください!
 絶対やりたいことに絞り込んだ集中型のプレイングがおすすめです。

 ※サーヴァントは主人の意志のみで召喚可能ですが、その他の存在(妖精やジン等の召喚存在)の召喚には、彼らを召喚する・彼らと一緒に戦う・彼らに命じて戦わせる等のパラドクスが必要です。召喚存在と一緒にパレード希望の方は該当パラドクスをお忘れなきようお願いいたします(持参のみでOK。パラドクスを使うというプレイングは不要です)。

●選択肢2:ハロウィンパーティー地獄変
 この選択肢のリプレイは【パーティーを楽しんだ翌朝、ホテルのカフェでブランチ代わりのアフタヌーンティーを楽しみながら、前夜のパーティーについて回想したりお連れ様と語り合ったりするリプレイ】となります。

 パーティーの内容はOP参照。
 翌朝、紅葉がほんのり色づき始めた庭園を望めるカフェテラスでアフタヌーンティーを楽しみつつ、『昨夜のパーティーでフィドルを演奏したのが楽しかったな』等と回想したり、『ダンスすっごく盛り上がったね』『昨夜乾杯したカクテル、本当に美味しかった』等とお連れ様と語り合ったりするといった形で、パーティーの様子を描写します(リプレイは前述のとおりですが、パーティー部分のプレイングは、当日にパーティーを楽しむプレイングでも、翌朝にパーティーの時のことを回想するプレイングでも、どちらでもOKです)。

 アフタヌーンティーで饗されるのは京都のハロウィンらしいスイーツやセイボリー。具体的なメニューは当日のお楽しみ。
 ドリンクは『珈琲・紅茶・抹茶ラテ・ほうじ茶ラテ・黒蜜きなこミルク・柚子スカッシュ』からホットorアイスでおひとつどうぞ! 柚子スカッシュのみ、ホットの場合は柚子茶になります。

●NPC
 クレメンティア・オランジュリー(オランジェット・g03616)がおります。
 エドワード期のドレス姿できゃっきゃしていると思います。
 何かありましたらプレイングでお声をかけてやってくださいませ。構って頂けると喜びます!

●注意事項
 ・全面的に禁煙です。
  お酒は、実年齢および見た目が20歳以上の方のみOK。

 ・お連れ様がいる場合は、プレイングの冒頭に相手の御名前とIDを記載してください。
  愛称などではなく、登録名(姓か名かどちらか一方でOK)でお願いします。

 それでは、皆様の御参加をお待ちしております。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


●千年の弥栄、永遠の魔法
 遥か千年あまりの時を超えてきた稀有なる巻物に、
 遥か千年の彼方まで、あるいはそのずっと先までも、
 誰もが笑顔で語り継げるような、そんな楽しい物語を描き出せたなら――。

 そんな飛びきりの、極上の魔法を叶える夜が訪れた。
 祭典を魔法へ昇華する数多の舞台のひとつが此の地、世界でも稀なる千年の古都、京の都。夏の終わりまでは時空の彼方へ奪い去られ、歴史侵略者どもに身勝手な改竄を施され、平安鬼妖地獄変と呼ばれるディヴィジョンへ堕ちていた此の地も今や無事に最終人類史へ帰還した。
 然れど京の都の一角にひととき、平安の世と同じ原初の闇が訪れる。
 だがこの闇は人々に不安を齎すものにあらず、人々に祭典への期待を募らせる、いわば前座の、原初の闇。
 篝火が燈された。
 原初の夜闇に赤々と輝く篝火が燃え上がる。此処が最終人類史であることを証立てる照明も次々と燈されて、祇園社の――八坂神社の西楼門が闇に輝くように浮かび上がったなら、極上の魔法を叶えるための祭典が幕を開けた。
 
来栖・禊
珠(g05713)と一緒に

南瓜の頭に花婿の衣裳を組み合わせた仮装は、妹に合わせたんだ
たまの顔を歪ませることができたなら、サプライズ成功だ
当日まで内緒にしていたみたいだったけど、バレバレだよ

あれ、ししゃもも花婿さんなの?
君には南瓜のお姫様になったおもちをエスコートしてほしいな

飛翔の力で浮くと、間隙を縫って移動する
冷気の支配者で不気味な空気を振り撒いて

──Boo!!

大人も子供も関係ない
他人の驚く顔は可笑しくて面白い

文句を言いつつ、僕のフォローをしてくれるたまは本当に良い子だ
その姿も、優しさも──生前の頃と、何も変わらない

パレードが終わるまで、進み続けよう
少しでも多くの、二人だけの思い出を残すために


百瀬・珠
禊(g01033)兄さん

今年の仮装はゴーストの花嫁
ボロボロに見えるデザインもメイクにも拘ったの
友達にも内緒にしていたのに、まさか合わせてくるなんて!

兄さんの仮装はお洒落で格好いい
それがまたうち好みで……とても悔しい

兄さんのくせに!
兄さんのくせに!
兄さんのくせに!
デザインは違うけど、花婿のししゃもと被ってるっつーの!

子供にも容赦がない兄は大人げなくて
うちの目も虚ろになってくる

南瓜頭に隠されて、どんな顔をしているかわからないけど
きっと反省なんてしていない

──仕方ない
どうしようもない人だけど、うちの兄さんだから

驚かせた人々にお菓子をプレゼント
Happy Halloween
素敵な夜を楽しんでくださいね


ノスリ・アスターゼイン
怪鳥+海賊
クレメンティアと過ごしたい

上空から
点燈と共にオーロラの甘い雨を降らせようか

クレメンティアを見つけたら
ふわりと降り立ち

やぁ姫君
海賊に攫われてみる?

なんて
ウィンク

その傘
逆さにしてみて

誘いに乗ってくれたなら
沢山のオーロラを傘一杯にどっさり


一緒に配りに行こう

人々の華やぎを見たいのは勿論
皆の笑顔を喜ぶあんたの姿も見たいから

仮装に寄って来る子がいれば
ばさぁっと攫う振りで抱き上げて笑い合ったり
高所の菓子を欲しがる子も
遊び心を忘れない大人達も
浮遊で連れて行くよ

爪は怪我させないように柔らかいけど
この手では俺自身が菓子を食えないのが難点だなぁ

そんな茶目っ気に満ちた呟きも
あんたが笑ってくれる種になるかな


アンゼリカ・レンブラント
ワルキューレ風の仮装でパレードに参加
光の翼に輝く剣で凛々しいと嬉しいね

その姿で甘いオーロラをたっぷり抱いては
飛翔して空を舞い、照明の輝きも加え
夜空に星形状のパラドクスを放出するよ
きらきらと輝くそれは、天の星が増えたが如きだと嬉しい

視線を空に集めることができたら、
振りまかれるはお菓子を包んだオーロラ
さぁ【おいしくなあれ】!
今日の甘味はきっときっと、忘れられない美味となるよ

お菓子を口にしてくれたら
鴉天狗に扮した男の子も!小さな魔女に扮した女の子も!
さぁ空の散歩にご招待だよ
浮遊して空中に煌くオーロラのもとまで一緒に行き輝きに触れ

動物の友で仲良くなった鳥たちに挨拶しつつ
パレード全体を空から見て楽しむよ


空木・朱士
仮装衣装は不思議の国のアリスのトランプ兵。
プラスでマント着用してカッコつけてみた。
ちょっと英雄ぽくね?

スタートの八坂神社から
(少し顔引き攣らせながらも)笑顔で回りに手を振ったり
オーロラ菓子を配ったり。
自前で金平糖や動物の飴細工も仕込んでみた。
喜んでくれたら良いけどなぁ。

子供達も勿論だけど、父さんも母さんも爺ちゃんも婆ちゃんも皆々、一緒に手を繋げばきっと楽しい。
絶対に手ぇ離すなよ、と良いおいて浮遊でゆっくり浮き上がる。
あんまり高くは危ないからな、オーナメントの吊るされた木に手が届くところまで。

最初は緊張したり恥ずかしかったりしたけど…今は楽しいし、皆が嬉しそうにしてくれたら、俺も嬉しいな。


シル・ウィンディア
仮装:白猫のつけ耳付けしっぽの猫少女。

せっかくのハロウィンだし、目一杯楽しまないとっ!
にゃんにゃんいくにゃーっ!
はめ外してもいいよね?

飛翔でみんなの元に飛んでいって、空中で旋回っ!そして、ふんわりと地上に降りて挨拶するよ。

こんにちわー。ディアボロスですっ!
とりっくおあとりーとっ!
ということで、めいっぱいのどきどきわくわくする体験を持ってきたよ!
そうして、子供達を集めてっと
さぁ、浮遊の効果を使って子どもたちを空の世界へご招待!
絶対に手は離さないでね。
…どうかな、ディアボロスと一緒に飛ぶ世界は。
怖いかもしれないけど、下を見てみようか。
大きな地上が見えるでしょ
…これが、わたし達の守ってきたものなんだ


永辿・ヤコウ
仮装:オペラ座の怪人
クレメンティアさんに薔薇を一輪プレゼント
案内への労いと感謝を籠めて

ヤビにも揃いの薔薇を飾り
弾む心のまま
共に尻尾を揺らしながらパレード参加

他の動物さん達とも
尻尾仲間ですねと親近感
毛並みを撫でて薔薇を贈って
気付けば僕とヤビを先頭に
狐の行列になっていたりして

天気雨ならぬ甘い飴が降る中
自慢のふさふさの尻尾に
たんまりとオーロラ菓子を蓄えたなら
もふっと飛び込んで来た子供や子狐の
宝探しが始まるかも

一番大きなお菓子を見つけたひとが一等賞ですよ
…あ、待って、擽ったい

こうして屈託なく燥いで笑い転げる時間が、
遊び疲れて眠る子狐を抱き上げる温もりが、
尊く愛しくて
尻尾セラピーは、きっとお互い様ですね


ソレイユ・クラーヴィア
錬晏(g05657)と

海賊姿に仮装
動物の友を使用し
動物達とパレードをします

初めて見る動物ばかりで、わくわくしますし
どの仔と行こうかとても悩みますね
ゾウやゴリラ等の珍しい動物も良いですが
つい馴染み深い羊の所へ
羊なら群れ行動に慣れていますし
驚かなくて大丈夫だと話し一緒に行きましょう

ふふっ、錬晏は羊が初めてですか?
大人しくてもこもこ温かい動物なのですよ
あ、ウサギも可愛い
良ければ私も一羽来て欲しいです

羊もウサギもふわふわもふもふでとても可愛く
海賊帽子を被れば交響海賊団のいち員ですよ、なんて
船長宜しく楽しげに先導しますね
錬晏は凄腕用心棒でお願いします
ゾウも見上げて楽し気に

後でいっぱい飼葉をあげましょうね


夏候・錬晏
弟分のソレイユ(g06482)と

南瓜行列SDの『黒豹戦士』の装いで
目の端に見える金色の髪や装飾で視界を明るい気がする
いつもと違う装いというのは気分を高揚させるよな

【動物の友】で一緒にぱれーどに参加してくれるものを募集しようか
なんだこの毛むくじゃら…ひつじというのか?ソレイユの故郷では馴染みの動物か

俺の格好は肉食獣だから怖がらせなければいいが…
耳や尻尾は作り物だが【傀儡】を駆使して動かせるかな

ふふ、ウサギもふわふわだな
一緒に行くか?と話しかけて何羽か抱えつつ

ゾウにも共に歩こうと声を掛けてソレイユ船長に続く
希望者がいれば【浮遊】でゾウの背中に誘導する

ああ、護衛の任喜んで引き受けよう

アドリブ歓迎


竜城・陸
ルクス(g00274)と

去年のハロウィンで扮した「異国の踊り子」の仮装
こっちの方がお揃いみたいだしね
――とは、口に出さないけど

【飛翔】で空を泳いで、観客へオーロラのお裾分け
パフォーマンスらしく、ゆるく[投擲]して手の中へお届けしよう
得意だからね、落とさせたりしないさ
中身は故郷の春花を模した飴細工
陽色のゴースに、淡紫のスミレ、白はプリムローズ
冬を待つ季節だからこそ、こういう趣向も魔法めいていいでしょう

宙を舞う彼女の手元へもひとつ、投げ渡して
――ね、君のは何色だった?
なんて笑いかければ
返った笑みと彼女の仕草に少しどきりとして
思わず視線を逸らしてしまう

――頬が熱いのは
もう、気のせいだなんて言えないな


ルクス・アクアボトル
陸(g01002)と

心が動けばどんな感情でも良い――のね?
ふふ。それなら、得意分野

仮装は「人魚」
ここは……素直に「飛翔」する方が良いわね

空を泳いで、観客のすぐ傍にまで舞い降りて
オーロラから取り出して渡すのは、青い瓶詰のキャンディ

何か返事が返りそうになったら――唇に指先を当てて、「しー」のジェスチャーとウィンク
人魚の薬だもの。静かに楽しんで?

何度かそんなことをしながら、宙に戻る最中、受け取ったのは甘い花一つ

……知ってるクセに、と、からかうように笑って、ちろ、と舌を花びらに


一里塚・燐寧
【燐五】

恋人とハロウィンパレードに参加~
≪テンペスト・レイザー≫を持ち血まみれのエプロンを着て、映画の殺人鬼に扮するよぉ

んふふ、あたしも人混みはそんな得意じゃないよぉ
でもこのパレードが、これからの戦いにも役に立つって聞いたらねぇ?

不安なら、ぎゅって手を握ってよぉ
どんだけもみくちゃになっても、絶対に離れないからさ

『呪式:燐鬼火玉』で怨念の鬼火を漂わせ、二人で歩む
新宿島の優しい空気で怨念が成仏するたび、新たに旅立つ魂を継ぎ足して
火が絶えないようにしながらお菓子を配ってくねぇ
ほら、ジャーキーあげる。何のお肉かは秘密だよぉ?

これが地獄変のほんとの最終幕
一緒に平安の戦いを生き抜けて、ほんとによかったよぉ


瀧夜盛・五月姫
【燐五】
衣装:落語『死神』の死神に扮し、【浮遊】によるものか少し浮いている

ひっ……。去年もお菓子、配った、けれど……人が沢山、やっぱり慣れない。
燐さんの後ろ、隠れて、しまいたくなる。
……そう、だね。お菓子、配らなきゃハロウィン、成立しない。
大丈夫。手、握りたい、けれど、やれる、よ。姫も、やる。

 ゆらり、ゆらゆら
 青い灯燭、棚引かせ
 死神は往く、仏の枕辺(まくらへ)

さて、死神を祓う言葉。知ってる?
ん、『アジャラカモクレン、テケレッツのパー』、よく知ってる。
じ、じゃあ、金平糖、あげる。
金平糖はお薬、だから、ね。

ん、よかった。
夜叉姫、祓い、取り戻した、平らか安らかなる灯燭は、決して、消させない、よ。


四葩・ショウ
やぁ御機嫌よう、素敵なレディ
是非とも『おれ』にエスコートを……なーんて
差しのべたのは白い手袋の掌
ケット・シーの仮装で跪いてみせたなら

クレメンティアさん(g03616)とこうして話すの、はじめてですね
わたし、この辺りを歩くのって実ははじめてなんです

タクトみたいにレイピアをふるってみせて
クレメンティアさんのパフォーマンスはどんなのだろう?
きらきら、甘いオーロラをふりまいたなら、ふるまったなら
歓びが、笑顔が咲いて、煌くから
同じ光で満ちるこころと一緒に
ふわふわの付け耳もかぎしっぽもはずんで、揺れる
水たまりを歩けば続く肉球型の足跡

クレメンティアさん!
いつも有難うございます
甘いオーロラひとつ、差し出して


咲樂・神樂
⚰️樂祇
祇伐の使い魔の桜月兎「だいふく」の仮装

トリック・オア・トリート!
光と桜を纏いながらくるり泳ぐ宝石人魚
かぁいい妹の隣を歩める幸せがあたしの一番のトリート

だいふくはいつも祇伐に可愛がられて羨ましいもの
今日はあたしがだいふく
撫でてもいいのよ

パレード出発!沢山笑顔を咲かせましょ
子供達が喜べば祇伐も喜ぶから
気合いも入るわ

かぁいい人魚がはぐれないように手を握る
シャボン玉の泡沫の中を見てご覧
甘いオーロラがあるわ
子供達に声をかけ泡沫を捕まえられなかった子にはあたしから贈る
あなたもシャボン玉に入って、飛んでみる?
一緒に遊びましょ!
懐っこくてかぁいいわ

祇伐?
ふふ、かぁいい
ヤキモチは私にとってはご褒美なのに


咲樂・祇伐
🌸樂祇
桜水晶の宝石人魚

はっぴーはろうぃん!
桜を纏い浮遊で空を泳ぎながらくるりと一回転
今日の私は宵穹游ぐ宝石人魚よ
甘いオーロラを沢山抱えて皆に笑顔を咲かせるの!

今日のお兄様は可愛い兎さんですね
だいふくちゃんが人だったらこんな感じだったのかな
桜蕾の尻尾も愛らしいわ
撫でるのは…少し
はずかし…

冷たい手のひらに指先を重ねて出発!
シャボン玉を魔法で作って中にオーロラをそっと入れ
桜吹雪と共に贈りましょう
空の人魚からの贈り物です
子供達も泡沫に包まるなら、一緒にふわりと泳ぐのもいいわ!
大丈夫、しっかり掴まえています

─あら…お兄様は子供達にも人気ね

少し唇尖らせて腕を引く
ヤキモチじゃ…ないんだから
少しの、悪戯です


●門跡へ祇園をよぎる極光夜、こよひ逢ふ人みなうつくしき
 十二月の庚寅の朔に、天に赤気有り。長さ一丈余なり。 形雉尾に似れり――。
 平安の世より更に時を遡る推古天皇の御世のこと、日本書紀に綴られたこの記録がこの国最古の天文記録にしてオーロラの観測記録であると言われている。極稀にこの国からでも観測できるオーロラは、その大概が赤い輝きのものだ。
 然れど、極上の魔法を叶える西暦2022年のハロウィンの夜に。
 荘厳にライトアップされた八坂神社の威風堂々たる朱塗りの西楼門に夜空から降りまかれたのは、青に翠に桃に紫、様々に彩りを変えつつ舞い降る甘い甘いオーロラの雨の煌き。西楼門前の人々から一斉に歓声が湧きあがったのはオーロラの美しさゆえのみならず、夜空からそれを齎したのが悠然と【飛翔】する、海賊の姿のディアボロスだと気づいたから。
 観客に手を振り皆の歓声と甘いオーロラの尾を引きつつ太田社や北向蛭子社などの境内摂末社前の上空を飛翔し、本殿前の舞殿の傍に白いパラソルを見つけたなら、海賊ことノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)は口許に笑みを刷いて、
 黒き外套を舞わせ、ハッピーハロウィン、と白の前へ軽やかに降り立ったのは猛禽のそれに変じた足、
「やぁ姫君、海賊に攫われてみる?」
「ハッピーハロウィン! とっても魅力的にお誘いくださる海賊さんは猛禽さん? 怪鳥さんかしら!?」
 蜜色の片目を瞑ってみせれば、途端に白きドレスを纏う娘に楽しげな笑みが咲いた。
 猛禽の怪鳥さんデス、と笑み返し、それ逆さにしてみて、と望めば地面に向けてぽんっと咲いた白いパラソル。白のなかへ青に翠に桃に紫と踊る煌きをどっさり降らせたならクレメンティア・オランジュリー(オランジェット・g03616)が、ここにオーロラの海が生まれたみたいと声音を弾ませて、
「ね、ノスリ様。白いパラソルにオーロラの海って、何だかそれだけで物語ができちゃいそうな気がしないかしら!」
「あっは、いいねそれ。だったら――ね、一緒に物語を配りに行こうか」
 なんて言うものだから、童心に返る心地で笑って彼女をいざなう魔法の物語を贈る旅。
 ――人々の華やぎを見たいのは勿論、
 ――皆の笑顔を喜ぶあんたの姿も見たいから。
 篝火と竹細工の灯籠のあかりで幻想的に彩られた円山公園にも甘いオーロラと皆の笑顔を咲かせて、こちらも篝火と照明で荘厳に三門をライトアップされた知恩院前に出れば、大きく開けたそこに二人で思いきり振りまく甘い極光きらめく幸せの雨。誰もが飛びきりの笑顔で手を伸ばすなか、小さな手が裾を引くのに気づけばノスリは悪戯な笑みを覗かせ、
 黒き外套をばさぁっと派手に翻せば、ティンカーベルに扮した女の子はたちまち猛禽の手を持つ海賊の腕のなか。
「ひゃあああ、ノスリ様の悪戯っこ!」
「だってほら、物語の海賊ってこういうもんデショ?」
 攫われちゃうときゃあきゃあはしゃぐ女の子を抱き上げ笑い合い、僕と勝負やと挑んでくる小さなピーターパンとの戦いを受けて立ち、此方も悪戯っぽく笑むクレメンティアと一緒になって挑んでくる数多の子供達にもみくちゃにされれば己自身も笑顔が絶える暇なんてなくて、
 海賊のお宝が欲しいねんと小さなシンドバッドにねだられたなら、宝物でいっぱいの空まで連れて行くよ、と子供達の手を掬って【浮遊】でノスリは、彼らを優しく大地から解き放つ。
 知恩院前から青蓮院前へと続く神宮道、門跡寺院の一院たる青蓮院では威風堂々たる大樹が今も豊かに枝葉を広げていて、神宮道に緑の天蓋を差しかける。灯籠に照らされ緑の合間にきらきら煌く甘いオーロラ、ふわり空中に連れられ自分でそれを手に入れたなら誰もの笑顔が満開で、そわそわしている大人達と瞳が合えば、二人で次々と彼らも物語の空へ御招待。
 黒い鉤爪は幼子の頬にもぷにっと触れられる柔らかなもの、なれど手を猛禽のそれに変じて気づいたことがひとつ。
「この手じゃ俺自身が菓子を食えないのが難点だなぁ」
「ね、ノスリ様。そんなときは『俺に食べさせて?』って、どうぞどうぞ私達におねだりしてくださいな!」
 茶目っ気たっぷりに呟けば、閃いた! とばかりに笑み咲かせたクレメンティアが、ね? と皆を見回し、途端に子供達がわくわくきらきらと瞳を輝かせた。どうぞどうぞ召し上がれ! と蝙蝠チョコがオレンジを彩る自前らしいオランジェットを彼女が差し出したのを皮切りに、子供達だけでなく大人達からも次々と差し出される手鞠飴に和三盆糖、生八つ橋。
 ――こんな夜なら、飢えも渇きも忘れられるだろうか。
 夜空に波飛沫めいた真珠の煌きが踊る。
 心が動けばどんな感情でも良い、というわけではないけれど。
 今夜叶えられる極上の魔法に求められているものは、鬼や妖怪、お化けなどが根底にある、歓びや希望の感情だ。たとえば美しい妖怪に逢えた歓び、微笑みかけてもらった感動、秘めやかに語りかけてもらえた高揚。そういった感情を齎すなら、
 まさにサキュバスの十八番だもの、と甘く艶めく紅唇に笑み咲かせ、
「ふふ。それなら、得意分野」
「だろうね。今夜は是非とも存分に君の十八番を発揮してもらわなければ」
 八坂神社の本殿の屋根を【飛翔】で越え、舞殿の上で撓やかに舞う人魚はルクス・アクアボトル(片翼の白鯨・g00274)。わぁと歓声を湧かせた人々の手許へと次々に甘いオーロラが舞い込めば、いっそう嬉しげな笑顔で皆が手を振る相手は人魚の傍らの青き踊り子。金貨めいた装身具をしゃらり鳴らして甘いオーロラをふわり宙に踊らす挙措は優雅で、それでいて投擲の技能に裏打ちされた煌きの軌跡は過たずに人々の手に届く。
 敢えて昨年仕立てたアラビア風の踊り子の仮装で竜城・陸(蒼海番長・g01002)が今夜のパレードに臨んだのは、此方の方が彼女とお揃いみたいだから――とは彼の胸にだけ秘めた内緒の話。
 微風めいた笑みをくすくすと零す彼女はそれに気づいているのかいないのか。八坂神社の境内を抜け篝火と竹細工の灯籠でほんのり紅葉に色づき始めた樹々が照らされる円山公園へ入ったなら、灯籠のあかりをきらきら弾く水面を見つけたルクスの藍と紅の瞳が悪戯にきらり。
「こんなパフォーマンスもありよね?」
「いいね、きっとみんな歓ぶよ」
 夜空でひそり陸に明かせば円山公園中央のひょうたん池へ舞い降りたルクスは池にかかる橋の下を潜って、池周りの紅葉と灯籠のあかりが最も映える水面で水色から青に色づく人魚の尾をぱしゃり。爆ぜるような歓声が湧けば、橋の上で誰より瞳を輝かせていた吸血鬼の青年の前までふうわり舞い泳ぎ、胸元から取り出したオーロラを開けば現れるのは、
 宝石めいた深い青に輝く、硝子の小瓶。
 青硝子の裡でキャンディが煌く様はまさに人魚の秘薬めいて、彼の手を包み込むように手渡せば、頬を紅潮させた吸血鬼が何かを言いかけたけれど、彼の言葉を封じたのは麗しき人魚が紅唇に人差し指を当てる所作と蠱惑的なウィンクで。
 ――人魚の薬だもの。静かに楽しんで?
 これ新宿でやってたら彼女の信奉者になった人達が『学園』に詰めかけてただろうな、と胸裡で苦笑しつつ柔和な微笑みは絶やさずに、夜空に青を舞わせながら陸が皆に贈るのは数多のオーロラ。青から翠へ、桃から紫へ、彩りを変えながらきらきら煌いて手許にやってきた贈り物をそっと開いて、
「お花の飴……!!」
「そう。冬を待つこの時季に、春の花咲く魔法もいいものだと思わない?」
 眩い陽色のゴースの花を模した飴を見つけた小さな雪ん子が飛びきり嬉しげな声をあげれば、周りの人々も一斉に陸からの贈り物を開けて歓声を咲かす。故郷たる幻想竜域の春の花、陽色のゴースに、淡紫のスミレ、真珠色のプリムローズを飴細工で咲かせた己からの贈り物を眼にするたびに人々が笑顔になる様が心にあたたかなひかりを燈してくれるから、
 こよひ逢ふ人みなうつくしき――と『学園』の授業で識った与謝野晶子の歌が胸に浮かべば、ああ、本当だね、と陸は眦を緩めた。黎明の双眸を細めれば、篝火と灯籠に彩られた世界はいっそう幻想的で、夢のごとき光景へと舞う人魚へも甘やかな春花を秘めたオーロラをひとつ贈れば。
「――ね、君のは何色だった?」
「……知ってるクセに」
 此方も甘やかなキャラメル色に艶めく指先が青に紫に煌き揺らめくオーロラを開いて、揶揄うような笑みひとつ。赤い舌を覗かせ淡紫のスミレの花弁をルクスが軽く愛撫してみせたなら、
 途端に跳ねた鼓動に心まで跳ねたから、思わず陸はパレードの先を見遣る素振りで眼を逸らす。
 ――頬に甘やかな熱を感じるのは、
 ――もう、気のせいだなんて言えないな。
 篝火と竹細工の灯籠のあかりに彩られた円山公園は幻想的で幽玄で、パレードに参加している人々の仮装を今夜にいっそう相応しく映えさせていた。名高い枝垂れ桜も今夜は甘いオーロラに彩られ、その手前をふわり花嫁が歩めばその衣装がきらりきらりとオーロラの煌きを踊らせる。然れども、花嫁のヴェールやドレスの裾はすりきれていて、花嫁自身も血の気の失せたかんばせに青い唇をそうっと笑ませ、手には氷めく青薔薇のブーケを煌かせて。
 本当に死者の世界から来たみたい……!
 そんな観客の声が聴こえればゴーストの花嫁を装う百瀬・珠(replica・g05713)は御機嫌で、パレードの先へ、先へ。
 けれど誰にも秘密の一夜を楽しむ心地で円山公園との境界にある知恩院の南門を潜った、その瞬間。
 灰色の南瓜頭が突然にゅっと珠の眼前に現れた。
「花婿が迎えにきたよ、花嫁さん」
「きゃああぁぁあ!?」
 顔は見えずとも声で当然正体は識れる。サプライズ成功と南瓜頭の裡でほくそ笑む来栖・禊(error・g01033)は、花嫁な珠と並ぶのに実に似合いな花婿の礼装で、
「何で兄さんがうちの仮装知ってるの!? 友達にだって内緒にしていたのに、まさか合わせてくるなんて……!!」
「ふっふっふ、たまのことなら何でもお見通し。バレバレだったよ」
 あまりの衝撃に思わず珠の声音が跳ねた。ドヤ顔(予想)で兄がそう言ってくるのも、燕尾を柊の葉のごとき意匠で誂えたダークグレイのテールコート姿が洒落てて格好良くてばっちり自分好みなのも悔しくて、
 兄さんのくせに!
 兄さんのくせに!
 兄さんのくせに!
「うちにはちゃんと花婿がいるのに! デザインは違うけど、花婿のししゃもと被ってるっつーの!」
「あれ、ししゃもも花婿さんなの? 君には南瓜のお姫様になったおもちをエスコートしてほしいな」
 肩をぷるぷる震わせつつ片手をぱっと掲げれば、にゃふっと宙に舞ったのは今夜は首元に青薔薇を飾ってタキシードめいた衣装を纏った珠のスフィンクス。だが禊が召喚した彼のスフィンクスはリボンもハロウィンカラーに替えて同じ色のドレスでおめかししていて、
 兄さんのくせにそつがない……!!
 此方の用意周到ぶりに戦慄しているらしい妹を「ほらパレードを続けなきゃ」と言いくるめつつ促して、抜かりなく彼女の隣を確保した禊は皆を楽しませようかと嘯いて珠との【飛翔】で知恩院前の夜空へふわり。観客達から歓声が咲いたなら珠は、兄さんもちゃんと皆のこと考えてるんだとほっとしたけれど、ああ、その安堵も束の間のことだったなんて!
 青蓮院前へと続く神宮道に緑の天蓋を差しかける大樹、その枝葉の上を飛翔しながら禊はひそり【冷気の支配者】で気温を下げて、緑の天蓋の下にいる人々がぞくりと背筋を震わせたと思しきタイミングを見計らったなら、
 ――Boo!!
「うわああぁぁあ!?」
「きゃああぁぁあ!?」
 緑の天蓋から今度も突然にゅっと南瓜頭を出して、人々にサプライズな御挨拶!!
 南瓜頭の裡の表情はやっぱり窺えないけれど、飛翔しつつも兄の足取りはしてやったりとばかりに弾んでいて、
「兄さん大人げない! すっごくすっごく大人げない……!!」
「いやいや、こういうのもハロウィンの楽しみだろ?」
 嫌な予感がしたから一応【寒冷適応】を使っておいて良かったと思いながら、兄さんだけお楽しんでどーすんの! と珠はぴしっと禊を叱りつけ、仕方ないなぁと溜息ひとつ。
 ――どうしようもない人だけど、それでもうちの兄さんだから。
「Happy Halloween! 素敵な夜を楽しんでくださいね」
 驚かせてしまった人々を今度こそ驚かさないように、声をかけながらゆうるり舞い降りた珠はとっておきの猫型クッキーをお詫び代わりにプレゼントして、
「わわ、ありがとうな~! 大丈夫大丈夫、めっちゃびびったけどおもろかったから!」
「腰ぬかすとこやったけど、彼氏が抱きとめてくれたから良しとするわ!」
 皆がそう笑ってくれる様に今度こそほっと胸を撫で下ろした。
 忘れずに気温を戻しつつ妹の様子を見遣り、禊は誰にも気づかれぬままに相好を崩す。文句を言いつつも僕をフォローしてくれるなんて、たまは本当に良い子だ。
 ――皆を気遣う姿も、優しさも、
 ――命を散らしてしまう以前の頃と、何も変わらない。
 行こう、と手を伸べれば「渋々ながら」という表情を作りつつも、素直に此方の手を取る妹が今夜も愛おしくて堪らない。
 パレードが終わりを迎えるまで、一緒に進み続けよう。
 ひとつでも多くの、二人だけの想い出を重ねるために。
 篝火が赤々と燃え上がる。
 熱き赤と橙の裡に黄金の輝きを秘めて燃え盛る篝火達を従えて、国宝たる八坂神社の本殿が夜闇に浮かび上がる様はまさに荘厳の一言に尽きた。本殿と拝殿をひとつの屋根でともに擁くこの社は、青龍の棲まう龍穴の上に建っている――と語られる伝承を素直に信じられると思えるほどに。
 だが国宝より更に空木・朱士(Lost heart・g03720)の眼を惹きつけたのは、舞殿の前に組まれている大太鼓。本来ならば十一月三日の舞楽奉納のために組まれるものだが、極上の魔法を叶えるこの特別な夜のために一足早く組み上げられたそれは燃え盛る火焔の裡に龍と金色の太鼓を配した意匠の、高さ三メートルをも超える勇壮なもの。すげぇなと見上げていた朱士がディアボロスだと気づかれた途端、あれよあれよと言う間に彼は台座の上に立たされていた。
 京の都も今や最終人類史の一角、準備するまでもなく全ての残留効果がLV10で使えるから、二本の撥を手にして太鼓と向き合ったなら【操作会得】の力で迷わずに。
 左手で図(ずん)と打ち、右手で百(どう)と打ち、力強い響きを特別な夜のために打ち鳴らせば、
 わぁっと湧いた歓声に応えて振り返り、己が瞳と同じ紅の彩に染まるマントを翻してみせる。銀色を帯びた金属鎧の胸元や膝に配されたのはスペードの意匠、トランプ兵の仮装にマントを加えたこの姿は、
 ――ちょっと英雄ぽくね?
「トランプの兵士っていうか騎士様や! 騎士様がおるでー!!」
「ん? まあいいか、そういうことにしておくか!!」
 なんて思ったところに聴こえてきた声に朱士は、緊張も気恥ずかしさも忘れて相好を崩した。
 大太鼓の前から振りまく甘いオーロラも八坂神社から円山公園、知恩院へ向かうパレードに加わりながら振舞うオーロラも観客達に幾つもの笑顔を咲かせて、オーロラを開けて金平糖を見つけた子供がはしゃぐ様や、干支の動物の飴細工を見つけた人々の間で自分の干支の飴を求める交換会が盛り上がる様を見れば、仕込んで来た甲斐があったなと朱士の胸も弾んで。
 此方も国宝、夜闇に荘厳な美しさを浮かび上がらせる知恩院の三門前に至れば、
「一緒に写真お願いします!」
「格好いいよなこの門! 俺らも負けずに格好良くいこうぜ!」
 意を決したように申し出てきたブリキの木こりな青年と三門を背に肩を組んでの撮影会。
 可愛らしい歓声をあげた小さなアリスやドロシーが駆け寄ってきたのをはじめ、大勢の人々が集まってきたなら手を伸べて招く空中散歩。美しい紅葉をほんのり色づかせ始めた桜の樹々に飾られた甘いオーロラに手が届くよう、
 ――子供達も勿論だけど、
 ――父さんも母さんも爺ちゃんも婆ちゃんもみんなみんな、一緒に手を繋げばきっと楽しい。
 柔らかに【浮遊】で浮かびあがれば、初めての感覚に誰もが顔を輝かせた。
「ディアボロスと手ぇ繋いでないと落っこちるからな、離しちゃ駄目だぞ」
 皆一緒だと両手が塞がってしまう者が出てしまうから、代わる代わる桜の梢まで浮かび上がってやり、最後には最終人類史ならではのLVを活かして、大人達も子供達も連れて皆で揃っての空中散歩。
 美しく色づき始めた桜紅葉を皆で樹上から眺める幸福感ときたら、それはもう――!!
 極上の魔法を叶える京の都の夜空に、華麗な極光が大きく広がり舞い降りる。
 荘厳にライトアップされた堂々たる知恩院三門の上空から、美しい翠の輝きに桃色真珠めいた輝きを覗かせ、凛冽に冴える青から優雅な紫へと彩りをきらりきらり変えては煌くそれは、様々な菓子を秘めた甘いオーロラ。飛びきりの極光を皆へ贈ったのは、光り輝くように夜空を【飛翔】する、
「……!! ワルキューレだぁっ!!」
「当たり! みんなのために北欧からオーロラを連れてきたよ!!」
 恐らくこの神宮道のパレード中、最もオーロラの似合う仮装で参じたアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)。
 金の髪は結わぬまま光の翼とともに夜風に踊らせて、北欧の空を映したような色合いの鎧を纏って輝く剣を携えるその姿は凛々しくて、戦乙女が高々と剣を掲げれば、夜空に彼女のパラドクス・天輪輝星(テンリンキセイ)が数多光り輝く星々を噴き上げる様に爆ぜるような歓声が湧いた。
 特別な夜の幻想的な雰囲気を損ないそうだから【照明】は使わずに、己の勇気を結晶させた星々で夜空をいっそう華やかに彩れば振り仰ぐ人々皆が瞳を輝かせたけれど、戦乙女の魔法はまだまだ終わらない。三門の上から知恩院前に広場のごとく開けたあたりへ舞って、惜しみなく甘いオーロラを振りまいたなら、
「さぁ【おいしくなあれ】! 今日の甘味はきっときっと、忘れられない美味になるよ!!」
 満開の笑顔で咲かせるとっておきの魔法。
 ――手鞠飴は夢のような甘露に、
 ――和三盆糖は極楽の砂糖細工に、
 ――生八つ橋は天上の至福が蕩ける菓子に、
 菓子達はアンゼリカの望みひとつで元々の美味を十重二十重に花開かせ、胸を高鳴らせつつ口にした人々皆も感動と感激で笑顔を満開に花開かせる。
 めっちゃ美味しい! もっと欲しい!! と顔を輝かせてはしゃぐ小さな鴉天狗と小さな魔女を見つけたなら、
「それじゃ、自分で取りにいってみる?」
「「連れてってくれるん!?」」
 戦乙女は青蓮院前へ続く神宮道でオーロラを煌かせる緑の天蓋を黄金の眼差しで示し、狼の着ぐるみ姿の男の子が、
 ――僕な、実はフェンリルやねん。
 なんて秘密を明かしてくれればアンゼリカはひときわ輝く笑み咲かせ、
「さぁ、みんなみんな空の散歩に御招待だよ!!」
 子供達と手を繋いでふうわり【浮遊】で空中へ浮かびあがった。
 大地から解き放たれ、子供達と一緒に夜風になる心地で空中に歩む神宮道。大樹の豊かな緑の合間で灯籠のあかりを受けて煌く甘いオーロラに手を伸ばすのは空の星に手を伸ばすのにも似て、子供達が次々歓声をあげれば、その声が気になったのか緑の奥からひょこりと野生のフクロウが顔を覗かせる。
「こんばんは! 一緒に散歩しない!?」
 屈託ない笑顔と【動物の友】で語りかければ、ホゥと応えたフクロウがちょこんとアンゼリカの肩に乗った。
 新たなこの友と一緒に遥か高みへ飛翔すれば、空からパレード全体を眺めることが叶うだろう。だが【浮遊】では【飛翔】ほど高く浮かぶことは叶わない。子供達と一緒にパレード全体を眺められる高さまで昇ることは叶わない。
 どうしようかなと悩めば通りがかりに察したらしいクレメンティアから「ね、アンゼリカ様」と耳打ちひとつ。
 彼女からのおすすめは――。
 麗しくも華やかな甘いオーロラが振りまかれ、眩い輝きを夜空に鏤める星々が解き放たれる。
 戦乙女に扮した相棒が咲かせた光と人々の笑顔に流石アンゼリカさんと破顔して、それならわたしもと意気込みたっぷりにシル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)も夜空へ【飛翔】で舞い上がった。
「今夜は羽目外しちゃってもいいよね? にゃんにゃんいくにゃーっ!」
 極上の魔法を叶えるこの夜、夜空を翔けるシルは青き髪にも瞳にもドレスにも映える白猫の耳と尻尾で装う猫少女、首元の鈴をちりんちりんと鳴らしつつ、にゃんにゃんいっちゃうのは――夜空へ向けての天翔残影砲(シルエット・ブラスト)!
 光り輝く魔力砲撃の連射を夜空へ咲かせるこのパラドクスは光の精霊の力を活かして術者の残像をも咲かせる術、幾人もの白猫少女が夜空へ光を咲かせながら飛翔で舞う様には勿論地上から歓声が咲いて、
「にゃんこさんがいっぱいー!!」
「ふふっ、楽しんでもらえたかな? こんばんは、ディアボロスですっ! とりっくおあとりーとっ!!」
 瞳を輝かせて手を振る子供達のもとへ舞い降りて、飛びっきりの明るさ咲かせた御挨拶!
 可愛らしい猫又や小さな長靴を履いた猫などに扮した子供達もいっぱい集まってきたなら憧れいっぱいの眼差しで見上げて来る子供達に手を差し伸べて、
 ――めいっぱいのどきどきわくわくする体験を持ってきたよ!!
 愛おしい体温を伝えてくる小さな手をきゅっと握って、子供達を【浮遊】で空中散歩に御招待!
「絶対に手は離さないでね?」
「「はーい!」」
 本当は、素直にそう応えてくれる子供達に、シルがこの上なく愛する光景を見せたかった。だが【浮遊】で昇れる高さでは己がいつも飛翔しながら見霽かす光景を子供達に見せてあげることは叶わない。然れどやはり通りがかりのクレメンティアが「ね、シル様」と耳打ちしてきたのに頷いて、豊かな緑に抱きすくめられるような青蓮院前を抜けていけば、
 視界が大きく開けたそこは、神宮道が三条通へ向けて降りていく下り坂の上。
 ここなら、と胸を高鳴らせれば、同じことを聴いてきたらしいアンゼリカと眼が合った。子供達やフクロウを連れた相棒と笑みを交わし、改めて子供達の手をきゅっと握り直したシルとアンゼリカは、坂道の頂で子供達を連れて【浮遊】する。
 美しい京の都の夜景が見えた。
 三条通と交差して更なる先へと向かう神宮道、そこを先行していくパレードが華やかな賑わいを連れて琵琶湖疎水にかかる慶流橋を渡り、夜闇に朱の輝きを聳えさせるような大鳥居を潜って、国立近代美術館や府立図書館、市立美術館の間を通って岡崎公園の先の平安神宮をめざしていく様を、坂道の頂の空中から見霽かす。
 わぁ、と最初に声をあげたまま呼吸も瞬きも忘れてしまった子供達の、震えるような感動が伝わってきた。満ちる幸福感が涙になって溢れてきそうになるのを堪えてシルは、深い感慨とともに子供達へ語りかける。
 ――これが、わたし達が取り戻したもの。そして、これから護っていくものなんだ。
 ――そして、みんなの気持ちがわたし達の、ディアボロス達が戦っていくための力になるんだよ。

●神宮へ三条をよぎる極光夜、こよひ逢ふ人みないとおしき
 篝火と灯籠に彩られた神宮道に、夜空から極光が舞い降りる。
 夢幻めいて美しく、祭典らしく華やかな賑わい満ちる神宮道が三条通と交差する地で更に大きな歓声が湧きあがったのは、妖怪朧車を模した車を立派な黒牛が牽くハロウィン牛車達がパレードに加わったから――ばかりではなく、妖怪朧車達さえも従える風情で、威風堂々たるアジアゾウが長い鼻を夜空へ掲げ、高らかな鳴き声を響き渡らせたからだ。
「大受けしてるぞ、ソレイユ船長!」
「ええ錬晏、私達の交響海賊団、大成功の予感ですね……!」
 沿道から湧きあがる大歓声がふわふわカイウサギを抱いた夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)の心をいっそう高揚させ、羊を率い、ついでに牛車団の黒牛達とも仲良くなったソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)の胸をも浮き立たせる。ああ、素晴らしきかな【動物の友】よ!
 先立って訪れた京都市立動物園では様々な動物が二人を迎えてくれたが、ゾウやゴリラなどの珍しい上に存在感たっぷりな大型動物に惹かれつつも、ソレイユがパレードへ誘ったのは故郷たる断頭革命グランダルメでも馴染み深かった羊達。
「なんだこの毛むくじゃら……ひつじというのか? ソレイユの故郷では馴染みの動物か」
「ふふっ、錬晏は羊が初めてですか? 大人しくてもこもこ温かい動物なのですよ」
 美しいという文字を『大きな羊』で表す文化圏、古代中国たる大戦乱群蟲三国志を故郷とする錬晏がこの最終人類史で羊と初対面となったのは、彼の地の広大無辺な規模の証左であるのだろう。白いもこもこの毛を纏い黒い顔でめえぇと鳴く羊達を撫で、彼らは群れ行動に慣れていますから、パレード向きだと思います、と微笑む弟分に、成程な、と屈託のない笑みを向けて、錬晏が一緒に行くかと誘ってみたのは、長い耳をぴるぴるさせるカイウサギ達。
「俺の格好は肉食獣だから、怖がらせなければいいが……」
「大丈夫みたいですよ。動物園生まれなら肉食獣に追われた経験もないでしょうし、錬晏の優しさも伝わってますから」
 獣神王朝のエンネアド風の黒豹戦士に仮装した彼の顔が一瞬不安に翳ったけれども、小さな鼻をひくつかせたカイウサギが兄貴分の胸にぴょこんと飛び込んでいく様にソレイユも破顔する。愛らしいその姿に、私とも御一緒してください、と新たな一羽も誘って、象殿もともに歩こう、と錬晏が誘ったアジアゾウの堂々たる姿を見上げて、蒼穹の眼差しを細めた。
 黄昏の瞳を眼帯で隠したソレイユの装いは五線譜やト音記号を帽子や外套の彩りにした交響海賊団の長、
「海賊帽子を被れば動物達も交響海賊団の一員ですね。錬晏は凄腕用心棒でお願いします」
「凄腕用心棒……いい響きだな。ああ、今夜の護衛の任、喜んで引き受けよう。ソレイユ船長」
 剣でなく指揮棒を揮った海賊ソレイユ船長が指揮する交響海賊団、今こうして神宮道のパレードに加わった彼らは飛びきり大きく楽しげな歓声に抱擁されながら平安神宮をめざす。
 鮮やかな朱の輝きが聳えたつような大鳥居も眩いほどだが、楽しげに交響海賊団を指揮する弟分の金の髪や、己が手にする黄金杖や黄金の装身具がひときわ錬晏の視界を明るくしてくれる心地。日常とは異なる装いが齎してくれる高揚のままに、
「こちらの背に乗ってみたいという希望者はいるだろうか! おられるならば私がお連れしよう!」
 海賊帽子を被って誇らしげに歩むアジアゾウを示しながら声を張れば、沿道から次々手と声が上がる。朗らかな笑みで迎え歓びと期待に頬を紅潮させる子供達の手をとれば、ふわりと【浮遊】でゾウの背中へ御招待。
 咲き誇る子供達の歓びの声、沿道からの拍手喝采。
 何とか【傀儡】で動かせないものかと錬晏が苦心しつつも無理だった仮装の黒豹耳や尻尾も、彼が浮遊したり地に降り立つたびに弾むように動く様に笑みを零してソレイユは、一緒にパレードを歩む可愛らしい悪魔や僵屍な子供達に羊のもこもこやカイウサギのふわふわを堪能させてやりながら、自身の胸も足取りも弾む思いで夜風に指揮棒を躍らせた。
 京都の人々にも自分達にも楽しい想いをさせてくれた動物達には、勿論パレードの終わりに御礼をしっかりと。
 ――後でいっぱい、飼い葉を御馳走させていただきますからね。
 極上の魔法を叶えるこの夜に、振り仰いだ夜空で眼を惹くのは星月よりも、青に紫に翠に桃に煌いて舞う甘いオーロラ達。鮮やかな赤がひときわ美しく見えたのはそれゆえだろうか。夜闇に馴染んで艶めくランププラックの彩に染まる外衣の裡から赤き薔薇を取り出してみせた黒狐の耳と尾を揺らすオペラ座の怪人が、案内への労いと感謝を、と微笑した。
 永辿・ヤコウ(繕い屋・g04118)が薔薇を一輪差し出した相手は白きドレスを纏う娘。
「僕からの労いと感謝を籠めた贈り物です、クレメンティアさん」
「ファントムの赤薔薇……! ありがとうございます、ヤコウ様! どうぞどうぞ、お返しを受け取ってくださいな!」
 贈られた赤薔薇を嬉しげに襟元へ飾ったクレメンティアが煌くオーロラを開いて見せれば、柔らかな淡黄の生地で南瓜餡をぽふんと挟み、きなこを振った三角形の生八つ橋が現れて、
 ――ね、ちょっと油揚げに似てないかしら?
 秘密を明かすように語られれば、言われてみれば、と思わず笑み崩れ、黒毛八尾のクダギツネと一緒に味わったなら、さあ再びパレードへ! 黒い毛並みに映える胸元の白に薔薇を飾ってやって、似合いますよ、ヤビ、と片割れとも相方とも思えるクダギツネの姿に満足気に宵菫の双眸を細め、
「尻尾仲間の皆さんにも贈らせてくださいね」
 振り返れば動物園からついてきた狐達がふぁさりと尾を揺らすから、妖狐は親近感たっぷりに彼らの毛並みを撫でて薔薇を贈って、気づけば混じっていたふわふわの仔狐達の姿に瞬いた。狐の仔は春に生まれて秋に巣立つから、野生でも動物園でもこの時期に仔狐と出逢うことはまずないのだけれど、
 季節はずれで生まれた、野生の仔かな……?
 そう当たりをつけたなら後々問題にならぬよう動物園の狐達には近づけず、おいでと手招きすれば嬉しげに飛び込んできた仔狐達にも薔薇の贈り物。きゃうきゃうと楽しげにはしゃぐふわふわ達に眦を緩めれば、今度は視界に縞々の尻尾が映る。
「ね、ヤコウ様ヤコウ様、ファントム様! この子にもお願いできるかしら!」
「ええ勿論……って、何か威嚇してきてませんかこの子!? 可愛いですけど!!」
 ばんざいポーズでぴゃーと威嚇してくるレッサーパンダともあっというまに【動物の友】で仲良くなり、クレメンティアが誘ってきたらしいこのかわいこちゃんにも薔薇一輪の贈り物! 声を上げて笑い合えばその楽しさや動物達に惹かれたらしい子供達が駆け寄ってきて、彼女や仲間が振りまくオーロラを自慢のふさふさ尻尾でぽふぽふぽふんと受けとめたヤコウが、
「さあ、一番大きなお菓子を見つけたひとが一等賞ですよ」
「「わかったー!!」」
 飛びきり豊かな毛並みの尻尾をふぁっさあと揺らして見せれば、悪戯っぽく目配せしあった子供達がせーので一斉に尻尾へダイブ! もふもふふかふかと尻尾を探られ、待って待って、擽ったい、擽ったいです……!! と思いきり笑って訴えるのも仔狐達が遠慮なく毛並みに潜って尻尾の芯を甘噛みしてくるのも楽しくて。
 林檎まるごとそのまま閉じ込めたアップルパイを手にした女の子、白無垢と狐面で装う狐の嫁入りの小さな花嫁を赤薔薇で祝福したなら、遊び疲れた風情でうとうとし始めた仔狐達をヤコウはそっと腕に抱いた。皆と屈託なくはしゃいで笑い転げるひとときの、間近に感じる小さないのちのぬくもりの、
 ――なんと尊く、愛おしいことか。
 祇園社こと八坂神社から知恩院前を、青蓮院前を通って平安神宮へ向かうこの道は、八坂神社から円山公園を逆側へ抜けて清水寺へ向かうのとはまた異なる趣深さ。夜闇に輝くように鮮やかな大鳥居を仰いだ妖精猫の王というより王子は、その麓へ至るよりも前に白きドレスを纏う娘を見出した。
 青と紫、そして白。初夏の雨を彩る花の色で装ったケット・シー、四葩・ショウ(Leaden heart・g00878)が白手袋の掌を差し伸べ、恭しく跪いてみせたなら、
「やぁ御機嫌よう、素敵なレディ。是非とも『おれ』にエスコートを……なーんて」
「ひゃあああ! これが噂の、ショウ様の王子様ムーブ……!!」
 嬉しげに声を弾ませたクレメンティアが迷わず妖精猫の手を取った。
 何処の噂ですか、と思わず小さく吹き出して、本気で感激しているらしい彼女にショウは微笑み返し、
「クレメンティアさんとこうして話すの、はじめてですね。わたし、この辺りを歩くのも実ははじめてなんです」
「ね、それじゃあ初めての記念に、どうぞどうぞ受け取ってくださいな!」
 甘いオーロラに覗いた蝙蝠チョコがオレンジを彩るオランジェットに更なる笑みを綻ばせた。個人的に語らうのは初めてのことなれど、彼女が時先案内した時空へ幾度も馳せて力を尽くしてきたショウは、クレメンティアにとって飛びきり信頼するディアボロスのひとりであるらしい。
 十代の乙女同士の笑声はそれこそきらきら踊る煌きめいたもの、笑い合って甘いオーロラを振りまいて、夜空に舞う青から紫へ、翠から桃へと彩り変える煌きを操るように妖精猫の王子がタクトのごとく硝子のレイピアを揮えば、その鋩に跳ねた甘いオーロラが更にきらきら踊って人々の笑顔を咲き誇らせる。
 クレメンティアさんはどんなことをするのかな、と横目で窺えば気づいた彼女に密かに耳打ちされて破顔して、
「それじゃあ一緒に!」
「どうぞどうぞ、御覧あれ!」
 一緒に駆ける先は琵琶湖疎水にかかる慶流橋、鮮やかな朱塗りの欄干をふわり【浮遊】で越えたらショウは夜空へ軽やかに王冠を投げ上げ、クレメンティアは白いパラソルをぽんっと咲かせ。水面に着水すると同時に【水面歩行】でくるりその場で回って、ショウが王冠を見事キャッチして一礼すれば歓声が湧いた。
 ディアボロスと手を繋いでいれば誰にでも【浮遊】と【水面歩行】が可能なのだと聴けば、なおのこと。
 甘いオーロラの煌きたっぷり振舞いながら、橋の上で疎水の水面で幾つもの笑顔を咲かせ、嬉しげな子供達と一緒に何時の間にか傍にやってきていたレッサーパンダをもふっと抱きしめればショウのこころにも皆と同じ光と煌きが満ちて溢れだす。
 白金のふわふわ猫耳もかぎしっぽも上機嫌に弾んで、再びパレードに合流すれば神宮道には肉球型の足跡が記されて。
 今度はショウから満開の笑みで甘いオーロラを差し出して、また二人で笑い合った。
 ――クレメンティアさん! いつも有難うございます!
 ――こちらこそ! これからもどうぞどうぞ、よろしくね!!
 煌々たる篝火を従えて、威風堂々と聳え立つ大鳥居。
 照明のあかりで夜闇に鮮やかな朱を輝かせるがごとき京の都で最大の鳥居を【飛翔】しながら潜って、夜空に桜水晶の宝石人魚が舞う、桜の彩と花模様で装う桜月兎が跳ねる。
 桜花の彩と宝石の光を纏って夜空に游ぐ咲樂・祇伐(花祇ノ櫻禍・g00791)、常よりもいっそう華やぐ妹の間近でこの夜を楽しめることが咲樂・神樂(離一匁・g03059)にとっては何よりのトリートで、かぁいい妹にいつも可愛がられている兎の『だいふく』に扮した神樂は、撫でてもいいのよ、なんて言ってみるけれど、
 撫でるのは、少し、はずかし……と祇伐が桜色に頬を染める様も愛らしくて心が躍る。
 祇伐としては『だいふくちゃん』な兄の桜蕾の尻尾が気になるけれど、まさかお兄様の尻尾触りたいとは言い出せない。
 言い出せない、けれど……!!
 今はそれをさておいて、京の都に生きる皆のために、
「はっぴーはろうぃん!!」
「トリック・オア・トリート!!」
 夜空の【飛翔】を【浮遊】に切り替えて、より皆の目線に近い高さで桜水晶の宝石人魚がふわり一回転、桜月兎も軽やかに夜空に跳ねて、二人揃って甘いオーロラを振りまけば、わあっと咲いた人々の笑顔と歓声が祇伐と神樂を出迎えた。
 翠に桃に、青に紫に、彩りきらきら揺らめき踊る甘いオーロラを、
 憧れのディアボロスと出逢えた歓びと感動に瞳を輝かせる子供達を、
 虹色の煌きくうるりめぐるシャボン玉に包み込んで、ふうわり浮かび上がらせることができたなら――。
 間違いなく飛びきりの笑顔を皆に咲かせることが叶うだろうけれど、それを叶えるためには夢のような魔法のシャボン玉を創りだすためのパラドクスが必要になる。今夜までにその準備を間に合わせることはできなかったけれど、
「大丈夫よ、祇伐。シャボン玉がなくても、あたし達には桜があるもの!」
「はい、お兄様! 私達の桜で、皆の笑顔をたくさん咲かせるの!」
 今夜携えてきた二人のパラドクスも、このパレードに極上の華やぎを齎すもの。
 桜水晶の煌きを夜空に鏤めながら宝石人魚が舞えば、夜空に桜の花々の軌跡を描くよう桜月兎が跳ねれば、春爛漫の彩の、春暁の彩の桜吹雪が一斉に舞い上がる。秋の夜闇が桜の相舞で満たされたなら、幻惑の櫻龍が舞い降り、式神の桜龍が翔け、観客達の誰も想像し得なかった絶佳に一瞬の静寂が落ちたのち――爆ぜるような歓声が湧きあがった。
 二人の術はともに桜吹雪と桜龍を招くもの、しかもこれで終わりではない。
 子供達をシャボン玉に包んで浮かべることは叶わずとも、
「あなたも桜龍に乗ってみる?」
「大丈夫、しっかり掴まえています!」
 神樂や祇伐が子供達と手を繋ぎ、桜龍に乗るよう【浮遊】させて、神樂や祇伐が桜龍の動きに合わせて【飛翔】したなら、あまり高くは昇れずとも桜龍に乗って飛んでいるかのごとき体験を贈ることが叶うだろう。勿論速度はあまり上げずに。
 たちまち瞳も笑顔も輝かせて駆け寄ってくる子供達を迎えて、桜の園へ、桃源郷ならぬ桜源郷へ!!
 春爛漫の彩の、春暁の彩の桜吹雪が舞う先で、輝くような朱塗りの社殿と緑釉瓦の屋根が美しい平安神宮が待っている。
 子供達の笑顔に歓ぶ祇伐の姿に神樂が目許を和ませるのも、
 子供達が神樂にめいっぱい懐く様に祇伐がやきもちを焼いたのも、
 ――もう少し、後になってからの話。

 原初の闇。生まれ育った時代では馴染み深い、夜の闇。
 然れど馴染み深い闇に篝火が燈されて、赤々と輝く篝火が燃え上がるだけでなく、此処が最終人類史であることを証立てる照明も次々と燈されて、祇園社の――八坂神社の西楼門が闇に輝くように浮かび上がったその時、湧きあがった大勢の人々の歓声に瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)は微かに身を竦ませた。
 皆が楽しそうに、幸せそうにしているのは五月姫の胸にも歓びの光を咲かせること。だが、大勢の人のなかに自分が入っていくことが、人混みに呑まれることが怖いのだ。
 然れど、恋人が息を呑んだことに当然気がついた一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)が、あたしも人混みはそんな得意じゃないよぉ、と柔く笑ってみせる。
「でもこのパレードが、これからの戦いにも役に立つって聞いたらねぇ?」
「……そう、だね。お菓子、配らなきゃハロウィン、成立しない」
 意を決したようにこくりと頷く五月姫の様子に燐寧は眦を緩め、助け舟を出してみたけれど、
「不安なら、ぎゅって手を握ってよぉ。どんだけもみくちゃになっても、絶対に離れないからさ」
「大丈夫。手、握りたい、けれど、やれる、よ。姫も、やる」
 本当は燐寧の背に隠れてしまいたいのだろう彼女の決意が固いのなら、一緒にパレードで皆を楽しませるまで!
 賑わいのなか燐寧の手で唸りをあげたのは呪詛と怨念を宿す大剣にしてチェーンソー、テンペスト・レイザー。頭を振って見せれば桃色の髪や白い頬に散る返り血が篝火のあかりに映え、血塗れのエプロンも夜風に翻る。
 映画の殺人鬼に扮した燐寧のパラドクスが怨念の鬼火を生み出せば、彼女が操る鬼火を纏わせて貰った五月姫が【浮遊】で地面から少しばかりゆうらり浮かぶ。髑髏の仮面を頭に乗せ、黒の羽織と着物に身を包み、人間の寿命を表す蝋燭を手にした今夜の彼女は、落語に登場する死神だ。
 ――ゆらり、ゆらゆら、
 ――青い灯燭、棚引かせ、
 ――死神は往く、仏の枕辺(まくらへ)。
 血塗れのチェーンソーを猛らせる燐寧、鬼火を纏って雰囲気たっぷりに口遊む五月姫はたちまち人目を惹いて、格好いいと眼を輝かせて駆け寄ってくる子供がいたなら、
「さて、死神を祓う言葉。知ってる?」
「ええ!? 知らへん、教えて教えて!!」
 ねだられるままに教える、『アジャラカモクレン、テケレッツのパー』。
「「『アジャラカモクレン、テケレッツのパー』!!」」
 他の子供達までもいきなり唱和したのには再び身を竦めそうになったけれど、子供達が楽しい響きの言葉として気に入ってくれたのだと思えば嬉しくて、五月姫のかんばせも僅かに綻んだ。金平糖、あげる。金平糖はお薬、だから、ね。と子供達の掌に甘い煌き降らせれば、ありがとうー! と彼らに笑みが咲いたのも嬉しくて。
 この調子でいこうねぇ、と燐寧が優しく背に触れ促してくれるままに、八坂神社から円山公園、知恩院前から青蓮院前へ。
 辿るほどに皆の歓声が、笑顔が咲き誇る。ふわりふわり揺れていた怨念の鬼火もひとつひとつ満足気に消えていくから、
「んふふ、これ今夜の優しい空気で成仏していってるんだねぇ。なら新たに旅立つ魂をどんどん継ぎ足さなきゃ!」
「そう、なの? それなら、嬉しい、ね」
 禍々しいというよりも邪気払いのようにも思えてきたテンペスト・レイザーの駆動音。唸る刃を上機嫌で夜空に掲げながら燐寧は次々と怨念の鬼火を招来し、ひとつひとつ消えていけばまた招き、観客と瞳が合えば「殺人鬼がやってきたよぉ~」と茶目っ気たっぷりに脅かして、
「ほら、ジャーキーあげる。何のお肉かは秘密だよぉ?」
「いやぁ怖い! けど美味しそうやから、いただきまーす!!」
 謎の肉めかしたジャーキーを配ってはそのたびに、京の都の人々と笑い合って手を振り合って、いっそう賑わいと華やぎを咲かせていく神宮道の先へと向かう。三条通では動物達までもがパレードに加わって、夜闇に輝く大鳥居を潜れば、仲間が招来した桜吹雪が舞いあがり、桜龍が舞い降りる。
 夜闇に荘厳に、壮麗に浮かびあがる平安神宮が見えてきた。
 明治に創祀された神宮だ。昭和に一度焼失し、再建された神宮だ。
 然れど、平安神宮は――平安遷都1100年を記念し、平安京の雅を甦らせ後世に伝えんとして、四海平安の祈りとともに創建された神宮だ。神門たる應天門を潜れば正面に見えるのは平安京の大内裏の大極殿を模した外拝殿。勿論往時のものと完全に同じであるはずはないけれど、平安鬼妖地獄変で内裏に足を踏み入れたわけではないけれど。
 それでも、五月姫と燐寧はどちらからともなくぎゅっと手を握り合っていた。
 左近の桜が紅葉に色づきはじめている。右近の橘が眩い陽色の実をつけている。
 大極殿を模した外拝殿が夜闇に荘厳に照らし出されていて、大勢の人々の歓びと幸せの笑顔も照らし出されていて。
 二人の頬には知らず涙が伝っていた。涙に濡れたままの瞳を見交わして、恋人達は小さく笑い合う。
「一緒に平安の戦いを生き抜けて、ほんとによかったよぉ」
「ん、よかった。……ほんとうに、よかった」
 ――これが地獄変のほんとの最終幕。
 ――夜叉姫、祓い、取り戻した、平らか安らかなる灯燭は、決して、消させない、よ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
【飛翔】LV2が発生!
【傀儡】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV2が発生!
【修復加速】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【ハウスキーパー】LV2が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【反撃アップ】LV2が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【ガードアップ】LV4が発生!
【能力値アップ】LV3が発生!
【凌駕率アップ】LV2が発生!
【アクティベイト】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

●千年の魔法、永遠の弥栄
 遥か千年あまりの時を超えてきた稀有なる巻物に、
 遥か千年の彼方まで、あるいはそのずっと先までも、
 誰もが笑顔で語り継げるような、そんな楽しい物語を描き出せたなら――。

 そんな飛びきりの、極上の魔法を叶える夜が訪れた。
 祇園社こと八坂神社から円山公園を抜け、知恩院前に青蓮院前を通り、平安神宮へと向かうハロウィンパレードは、篝火や灯籠のあかりに甘いオーロラ、仮装姿のディアボロス達が齎した賑わいと華やぎに、数多の人々の歓喜と希望、笑顔と幸福に溢れたフィナーレを迎えて、これ以上望むべくもないほど晴れやかな終幕を得た。
 然れど極上の魔法を叶える夜の高揚はさめやらぬ。
 大地を離れて昇るところは京の都の美しき夜景を望めるホテルのパーティーホール。雅やかな文様を真珠めく胡粉の煌きで浮かび上がらせる京唐紙で三方の壁面を彩られたホールの残る一面は磨き上げられた硝子の壁面、そこから見霽かせる夜景は街あかりの美しさのみならず、極上の魔法を叶える夜のためにライトアップされた神社仏閣をも随所に望める贅沢ぶりだ。
 特別なハロウィンのためのパーティーに橙がかった蜜色の煌きを振りまく硝子のシャンデリアは真下から見上げてみたなら悪戯なジャック・オー・ランタンの顔を覗かせ、金糸銀糸であちこちに張られた蜘蛛の巣には黒水晶や煙水晶の蜘蛛、南瓜にキャンドルを仕込んだ様々な笑顔のジャック・オー・ランタンも気紛れに据えられて、煌きに満ちたフロアには、
 数多の美味が踊る、
 西洋と東洋の音色が踊る、
 夢幻めいたパレードの装いのままの人々が踊る。
 祭典を魔法へ昇華する夢幻の続き、夢幻の第二幕、あるいはカーテンコールもやがて涯てへと至り、そして――。
 
シャムス・ライラ
可愛い百(g04201)と

昨日の様子を思い出しつつ
あふたぬーんてぃー

私はいつも通り珈琲
ソワソワする百の正直な耳や尾の動きが可愛らしく

昨夜は…
ああ、ごめんごめん
宴と言ったら気配を消して壁の一部になるものと
※職業、諜報員
モブオーラを展開したのは違ったか

百の和装
横笛を吹く様子も凛としていて…似合ってた
日本の王子様のような

丁度日本の楽器もあって
筝って、爪弾くと深い音色なんだね
百の笛にもあって良い演奏だったと
格好は太陽仮面だったけど(笑)
※仮装は太陽のお面をつけた特撮系の悪役(?)、太陽仮面

お酒も入ってたし…ね
百は結構いける口
えっ忘れないと駄目?
と楽しそうに
(人姿で戯れられるのも良いなと)

アドリブ等歓迎


一・百
シャムス(g04075)と

大切な人と2度目の京都
この落ち着いた感じ好きだな

あったかいほうじ茶ラテを頼み
スイーツが楽しみで耳や尾がソワソワ
甘いの好きだし一緒にお出掛け嬉しい

まさか宴でモブオーラ…
どこに隠れようとしたんだか(苦笑
それにシャムスの仮装
目をひいてたと思うよ…
衣装も凝っていてミステリアスな感じで
何を着てもさらりと着こなしてしまうんだから

王子ではないと思うが…
※仮装は牛若丸
日本の笛は初めて触れたけど
操作会得で直ぐ吹けたな
シャムスの演奏も様になってて良かったよ
和楽器も面白いな

…お酒
飲んだ後のことは忘れて
と恥ずかしくて尾で顔を扇ぐ
(酔って狐姿で戯れてることを人姿でして甘えたらしい

※アドリブ歓迎


百瀬・珠
禊(g01033)兄さん

今年のハロウィンも、とても楽しかった
小鳥のように可憐に歌い
ドレスの裾を蝶々のように翻して踊る

素敵なパーティーだったから、まだ夢を見ているみたい
だって、うちの目の前に好みのイケメンが微笑んでいて──って、違う!

素顔を晒すその彼が、兄だと気付いて目が覚めた
止まってる心臓がキュッと縮んだような気がして
べっ別にときめいてないからね──!

うちを見つめる目はまるで──観察しているよう
うちがすることを楽しんでるみたい
変わってると思う
でも、見てくれることに、喜んでる自分もいて──

なんて
誤魔化すように、紅茶で喉を潤して
贅沢なおもてなしねと料理を絶賛
ボケッとしてたら、ぜーんぶ食べちゃうよ!


来栖・禊
珠(g05713)

当日まで内緒だと聞いていたメニューは、目にも楽しいけど
ぼんやりしている妹はまだ夢の中にいるみたいだ

華麗な旋律
個性豊かな仮装とダンス
京風やハロウィン風の料理の数々に、宝石めいたカクテルも旨かった

だから、パーティーの続きを夢見ていても不思議じゃない
熱い紅茶を淹れる頃には、たまの目も覚めるだろう

「おはよう」
たまの眼が俺をはっきりとらえれば、これが現実だと気付いたようだ
口元を歪める姿がわかりやすくて、笑ってしまう

とても良い夢を見ていていたんだな
幸せそうな顔をしていたから
ずっと、見ていられるって思ったんだ

でも、せっかくの料理を全部食べられるのは困るな
意地悪しないで、俺の分も残してくれ


永辿・ヤコウ
ラヴィデさん(g00694)

踊り出したくなるフィドルの音
雫めく箏の響き

心の赴くまま奏でれば
きっとイイ曲になりますよ

ファントムの仮面の下で悪戯に瞳を瞬くも
楽器に触れられる機会とあっては
ただ純粋にそわそわ

弓を手に取り
初のフィドル演奏
操作会得のお陰もあって滑らかだから
わくわくが止まらない
況して其処に
様々な音が次々に加わったなら!

演奏後
一瞬の空白
どっと弾けた笑い声

各種美味を肴に
クラフトビールや宝石カクテルで皆と乾杯したことまで
全てが眩い宴の思い出

ほうじ茶ラテを両手で包み
ほぅと吐息
スイーツもセイボリーも堪らなく美味で尻尾が揺れる

楽し気に語るあなたの様子も愛おしい
零す笑みに見惚れてしまう

僕も、しあわせです


ラヴィデ・ローズ
ヤコウくん(g04118)と

すごい、昨日あれだけ乾杯したのに頭スッキリだぁ
演者側なんて縁がなくて、楽しかったなぁ~

操作会得で楽器が上手に扱えると
ドラキュラ伯爵仮装も様になってた…かも!
ヤコウくん、何かイイ曲知ってる?
とか、初め二人でフィドルを試し弾きしてたら
現地の人達も楽器や靴音、手拍子で段々混ざってくれて
それっぽい賑やかな音楽になったんだっけ
そう、キミの言ったとおりに
旋律に指が躍る不思議な感覚
あの一体感…皆笑ってて、言葉は要らなくて

ディアボロスになって
体験出来ることも世界も本当に広がった
彼と過ごす穏やかで優しいこの時も、そのひとつ
美味を味わいつつ
小さく思い出し笑い
ん?
いいや、幸せだなあってさ


シル・ウィンディア
ダンスも楽しいけど、今回はちょっとチャレンジしてみたいから…
演奏側で行くよっ!
ふふふ、こう見えてもギターとかはやったことあるから、全く素人ってわけではないしね。

操作会得もあるけど、実際に箏を使っている人に事前にレクチャーを受けて少しだけ練習。
ふむふむ、こんな感じか…

よし、それじゃ、ちょっと派手に行きましょうかっ!
奏でるリズムは、少しアップテンポに和ロック風味!
さぁさぁ、楽しく踊ってね!それに負けないくらいに演奏も頑張るからっ!!

みんなの音楽に合わせて、体も動いちゃいそうになるけど、それに負けないように、演奏しつつも心に笑顔を羽ずれずに、だね!

演奏が終わったらみんなにお辞儀しておしまいっとっ!


エレノア・グローア
ルル(g00784)と

まあ!可愛らしいスイーツね
ほら、このお菓子はお花をイメージしているのかしら?
向こうで色付いてる紅葉にも負けない優しい赤色だわ

直ぐ口にするのは勿体なくて
ほうじ茶ラテをひとくち
ルルの様子を窺えばほわり翼が広がっていて
愛らしい姿にくすり微笑んだ

ふふ、ごめんなさいね
ルルの演奏とても素敵だったこと思い出しちゃった
何度聴いても鈴のように繊細で綺麗な音
指先で奏でる音に加えて
ルルが歌えばライトが集められたかのようにひと際輝いてるの
だからいつだって目が離せなくなっちゃう
見てくれるひともそうだけど
舞台へ共に立つひとにも魅せたいの
わたしもルルの演奏で踊れてとても楽しかったわ!
また次が楽しみね?


ルリラ・ラプソディア
エレおねえちゃん(g00058)と

紅葉…もう秋がやってくる
季節が巡るのはとても、はやいね
でも、この紅に染まる景色が…わたしは大好きで
きらきら薄紅の瞳に景色を映して楽しむ
ん…スイーツも、とってもかわいい…ね
ほんとう…すぐに食べるのがもったいなくて
わたしも黒蜜きなこラテを一口…
ほんわり優しい味に、ほわり翼が嬉しそうに広がる

…?
微笑を零すおねえちゃんを見て首を傾げる
……エレおねえちゃんも…おねえちゃんも、綺麗なダンスだったの
花弁が舞うように幻想的で夢のように幸せにみちた時間
わたしも…たのしかった
舞台を見つけて一緒に立つたびに
楽しいどきどき止まらないの
だから――ありがとう
たのしい、時間いっぱいだったの


ノスリ・アスターゼイン
クレメンティアと過ごしたいな

ね、
今度こそ攫わせてくれる?

パレードから重ねた茶目っ気で
ダンスへお誘い

ドレス姿だもの
くるりと回ったら
花が咲くみたいで可憐だろうなと
見てみたくてさ

ステップは
演奏に合わせて
或いは気儘に
心と足の弾むに任せよう

大人も子供も
手を引いて巻き込んで
次第に大きな輪になれば

大輪の花になったな
と弾ける笑み

宝石カクテルで休憩の後
宴の仕舞いは
二人でゆったり踊ろうか
手毬寿司の愛らしさなど
囁くように語らいながら
優美に咲かせるドレス一輪

翌朝

よく眠れた?

きなこミルクを手に
クレメンティアを席に招いて
ハロウィンメニューを堪能

其処彼処で零れる皆の笑い声が耳に温かい

どうか此のさいわいが
幾年も栄えますように


雪白・硝子
紬さま(g01055)と
中華なアリスの仮装

柚子スカッシュの杯持てば
笑む花唇に弾けるひとくち
夢うつつな貴方に、ころり

昨宵のうたげは楽しくありました
稽古の外で箏に触れること
わたくし、はじめてでしたから
未だ弦の音が胸に響くよう

――ま。風情のないひと、
確かに美しくありましたけれど
わたくしの奏でる音のことも
どうか、褒めてくださいまし

こちらが連れてと恋うまえに
珍しく手を引いてくださって
とてもうれしくありましたのに
せつなさで胸の締まるよう

杯を置き、容を袖にかくし
弱る声音に眸でわらう

鞠のよに転がりますね、紬さま
そんなようすの可笑しさに
好奇のまま突きたくもなる

きっと、わたくしのならう
絵物語の少女もそうあったはず


織乃・紬
雪白ちゃん(g01203)と
僵尸風な帽子屋の粧いで

祭り騒ぎに酒精三昧
そんな翌日に起きるは辛く
目覚めの温い珈琲を求めて

アー、本当に楽しくあッたねエ
うんうんと頷くも船漕ぐようで
それは手繰る少女の箏音が
心地良くあるからでもあれど
素直に紡ぐのは、柄でもない

俺の娯楽はカクテルだッたな
そンでもッて、やッぱ手鞠寿司
ありゃアね、目も舌も大満足だ
写真撮ッときゃ良かったかも

――えエ? や、箏は専門外だし
良し悪しとか、俺は解ンないしい
そりゃ恋われて渋々が多い、けど
い~や、今突くトコかねソレ!?

罪悪感に彷徨う視線が笑みとらえ
また揶揄いかと、暫し唸っては

そうあるなら帽子屋が狂うも頷ける
でなきゃ、少女の相手は務まるまい!


空木・朱士
珈琲とセイボリーを楽しみながらぼんやりと紅葉を眺める。

昨日も思ったけど……ホテルでパーティーとか贅沢すぎる。
…本当に、夢のように贅沢な夜だった。

パレードで疲れちゃったから、俺はバーでゆっくりしたい。
勿論楽しくはあったけど、慣れない事したからなー。
ビアカクテルを飲みながら演奏やダンスで盛り上がってる仲間を見て知らず口角が上がる。

ふと夜景に目をやり、さっきまでの眩い笑顔達を想う。
結局、俺の方が貰った気がする。上手く言えないけどあったかいもの沢山。

クレメンティア、ハッピーハロウィン。
楽しんでるか?
ドレスの事とか分かんねぇけど、お姫様みたいで綺麗だな。
なあ、いつかの夜みたいにまた一杯付き合ってくれる?


●我が宿に紅葉色づく ひさかたの 天より光流れくるかも
 ――なんだか、何もかも全部夢だったみたい……!!
 凛と煌く朝の光も、爽涼たる朝の風も、何もかもが清冽に透きとおっていく朝を迎えれば、昨夜のパレードもパーティーも全てまるごと夢だったような気がしたけれど、ベッドサイドに綺麗に畳んで揃えておいた猫少女の仮装一式と甘いオーロラ、そしてパーティーでの演奏記念にもらった箏の爪が、昨夜シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)の心を躍らせた楽しさ全てが現実であったことを教えてくれた。
 ほっとついた息が朝の風に融けていくこの場所は、大地を離れた昨夜のパーティーホールではなく、紅葉がほんのり色づき始めた庭園へそのまま漫ろ歩きにも出られるカフェテラス。朝の光を淡い萌黄や京緋色に透かす紅葉が風にさらさらと揺れる様を眺めているうちにアフタヌーンティーセットがテーブルに饗され、昨夜は演奏に夢中になって美味を楽しむ暇がなかったシルは、自身のおなかが可愛らしく鳴く様にふふっと笑みを零す。
 だってダンスも楽しいけれど、未知なる世界にチャレンジしてみたかったから。
 迷わず跳び込んでみた世界は箏の演奏、勿論【操作会得】のおかげで不安はなかったけれど、折角専門の奏者がいるのなら多少なりともレクチャーも受けておきたいと望むのは当然のこと。慣れぬ箏爪が外れてしまわぬよう指先を軽く濡らし、座る角度に、調絃、奏法。ギターで身に着けた感覚と簡単なレクチャー、そして【操作会得】の力がシル自身の裡で融け合ったと感じたなら、
「よし、それじゃ、ちょっと派手に行きましょうかっ!」
 強気な笑み咲かせ、爪を躍らせ指も渡らせ弾き鳴らす旋律は夜空へ翔けだしていくようにアップテンポな和ロック風味! 雅な音色はそのまま跳ねて弾めば猫少女なシルの首元の鈴もちりんと跳ね、その音色を掬ってアイリッシュフィドルの旋律が絡みあってきて。
 悪戯な眼差し交わせばいっそう奔り出す東の彼方と西の彼方の音色、
「さぁさぁ、楽しく踊ってね! それに負けないくらいに演奏も頑張るからっ!!」
「「合点承知!!」」
 弾む声音を通らせれば返る声音も思いきり弾んで、鈴彦姫もレプラコーンも弾けるような笑顔でシルの旋律を全身で掬って華やかに回転してみせてはそのたびに誰もの笑みが重なっていく、極上の魔法を叶える夜のひとときを――。
 胸の芯から再び光が咲き溢れる心地で思い返したなら、京の洛外で育まれた和紅茶のカップを唇に寄せた。
 馥郁たる香りは穏やか、渋味より甘味と旨味を感じるそれを片手に、黒蜜バターを添える和栗のスコーンに手を伸ばす。
 狐色の裡から和梨とサワークリームの温かなとあわせがほわりと溢れくるココットパイにも笑みが零れたけれども、思わず一・百(気まぐれな狐・g04201)が見入ってしまった一品は、南瓜のクレーム・ブリュレ。黒糖のキャラメリゼは秋の夜闇のごとく艶めいて、竹の匙でぱきりと割れば現れたのは眩いほどのパンプキンオレンジ、朝陽みたいと思えば自然と眼差しはシャムス・ライラ(極夜・g04075)へ向いて、
「そういえばシャムス、なんで昨夜は壁際で輝いていたの……?」
「輝いて……? おかしいな、諜報員の習性でつい【モブオーラ】を展開しちゃってたはずなんだけど」
 訊けば彼は思案気に柳眉を寄せた。宴といえば己にとって参加するというより潜入するもの、言わばレジスタンス諜報員の身だしなみ的感覚で当然のようにモブオーラしていたシャムスだったが、
「シャムスの仮装、皆の目を惹いてたと思うよ……」
「【モブオーラ】LV10なのに!?」
 軽く小首を傾げた拍子にひょこんと揺れる百の狐耳が大変愛らしかったが今はその言葉の衝撃のほうが大きかった。衣装も凝っててミステリアスで、シャムスってば何着てもさらりと着こなしてしまうんだから、と柔く百に微笑まれたなら、そうか衣装の仕立てが素晴らしすぎたんだな、と納得しかけたが、
 ――違う、違うよシャムスさん! 
 ――あの太陽仮面が【モブオーラ】を凌駕しちゃってたんだよ……!!
 偶々二人の会話が耳に届いてしまってツッコミを我慢できなくなったシルからまっすぐな念が送られてくる。そう、夜空と白の彩に金をあしらった衣装こそ百が評したとおりだったが、【モブオーラ】LV10でもモブになりきれない存在感で彼を輝かせていたのは、眩いほどの笑顔を振りまく太陽仮面であった。
 果たしてシルの想いは届いたのか否か。どちらであれ得心の面持ちで珈琲を口に運んだシャムスは、仄かな甘みと瑞々しいフルーティー感を活かした中煎りの味わいに相好を崩し、桜の花の彩とかたちをした愛らしいもなかを手に取った。
 この桜もなかは最中皮に自分の好みの餡なり具なりを詰めて楽しむもので、先程の南瓜のクレーム・ブリュレを入れるのも美味しそうだが、ここは紫芋餡と白玉団子のおばけを入れてみたい。さりげなく百の桜もなかも作ってやりながら、
「私の仮装は置いておくとして、百の和装、横笛を吹く様子も凛としていて……似合ってた。日本の王子様みたいで」
「置くんだ……。俺のは王子ではないと思うが……仮装用に手に入れた笛だったから触るのも初めてだったんだけど」
 昨夜の彼の艶姿を思い起こして微笑すれば、温かなほうじ茶ラテのカップを両手で包み込みつつ桜もなかへの期待に狐尻尾そわそわさせていた百も、【操作会得】様々だなと眦を緩めた。
 この国とは別の時空で生まれ育った二人に詳細な知識はなかったけれど、百の仮装は月光で仄かな青に映える童子水干姿の牛若丸。初めて唇に寄せた横笛も百の息吹で澄んだ音色を唄わせ、折角ならとシャムスが爪弾かせてもらった箏も深い音色を響かせた。双方の音色が融け合い、月下の夜に何処までも広がっていきそうな心地がして――。
 シャムスの演奏も様になってて良かったよ、と彼だけでなく百も今朝になって告げたのは、昨夜は演奏のあとで、和楽器も面白いなという話から和風のカクテルとかあるのかな、と話題が飛んだから。
 美しい酒だった。
 可憐な花の彩咲く撫子に、若葉からその煌きが滴るような青時雨、深い森に光と蔭が揺らめくような照葉樹林、饗される杯いずれもが呑みやすくて知らず杯を重ね、これが最も和風なカクテルでしょうか、と楽しげな笑みとともにほっこり温かい卵酒が出される頃には百はすっかり夢心地。牛若丸のままなのについ【狐変身】したような気分になって、身を擦り寄せ膝に乗りたいと甘え、
「……お酒、呑んだ後のことは忘れて」
「えっ。忘れないと駄目なの?」
 うっかり思い出せば頬に熱が燈るから大きな狐尻尾でぱたぱた己を扇げば、あれを忘れるとこの桜もなかが百のだってことも忘れそうだけど、なんてシャムスが悪戯に甘い桜をひらり弄んでみせる。
 ――何せ、狐姿で戯れられるのも可愛いけれど、人の姿で甘えられるのも中々に好いものだったのだ。
 透きとおる朝の風はすっかり秋の香りを孕んでいた。
 清冽に澄むのに落葉が朽ちる甘い香りをあえかに孕む。然れど庭園の紅葉はほんのり色づき始めたばかりで、風に踊るたび光を透かす葉は淡い萌黄や京緋色。
 秋の彩映した紅水晶の眼差しをテーブルのティースタンドに戻せば、和紅茶のチーズケーキを彩る紅葉のかたちの琥珀糖が庭園の紅葉と同じ彩を透かしていることに気づき、ルリラ・ラプソディア(Ⅻの子守歌・g00784)はそっと花唇を綻ばせた。
 ――季節がめぐるのはとても、はやいね。
 ――でも、この紅に染まる景色が……わたしは大好き。
 吐息めいた淡い彼女の声も確り受け取って、エレノア・グローア(ソレイユ・g00058)は、秋も素敵な季節ね、と柔らかに笑みを咲かせる。桜もなかなどは可愛いものの、御品書きは当日のお楽しみと聴いていたスイーツは想像とはかなり異なり、エレノアを驚かせたけれど。
 真紅のグラサージュで魔女の毒林檎のごとく艶めく姫林檎の中には柚子餡が秘められていて、漆黒のマカロンから覗く緑と紫は蓬風味と紫芋風味のマスカルポーネクリーム、説明を聴いても少しどきどきする菓子達はやっぱりすぐ食べてしまうよりはもうしばらく雰囲気を楽しんでいたくて、
「どんな物語があるのかしら……なんて、想像してみるのも楽しそうね」
「ん……ちょっとの間、このまま見ていたい、かも」
 彼女の言葉にこくりと頷けば、ルリラはそっと両手で包み込んだ温かな黒蜜きなこミルクもこくり。濃厚な黒蜜の甘さもきなこの香ばしさも、温かなミルクがほんわり柔らかに包み込む優しい味わいに、ほわりふわり小さな純白の翼が広がれば、遥か時空を超えて新宿島に流れ着いた己をもほっと懐かしく安らがせてくれるほうじ茶ラテをひとくち味わったエレノアが、微風を擽るような笑みを零す。
 ひとつ瞬きしたルリラが小首を傾げれば、
「ふふ、ごめんなさいね。ルルの演奏とても素敵だったこと思い出しちゃった」
「……エレおねえちゃんも……おねえちゃんも、綺麗なダンスだったの」
 蜂蜜色の眼差しを愛おしげに細めたエレノアの花唇からは昨夜の煌きが言の葉になって零れてくるかのよう。たちまち己の胸にも昨夜の煌きが再び花開いた気がして、ルリラも紅水晶の瞳をいっそう緩めた。
 宴の世界を煌きで満たすは硝子のシャンデリア、橙がかった蜜色の煌きがきらきら踊れば清麗な白と金に彩られたルリラの琴剣にも柔らかな光沢が渡り、なのにルリラが琥珀色の指先を弦に踊らせれば、たちまち銀の鈴を思わせる澄みきった音色が溢れだす。
 繊細な音色が耳元の真珠にくるり触れ、花唇が開かれたなら、響き渡るのは聖堂に射す光にも似た歌声で、
「ルルが歌えばライトが集められたかのようにひときわ輝いてるの、だからいつだって目が離せなくなっちゃう」
「エレおねえちゃんの踊りも……花弁が舞うように幻想的で夢のように幸せにみちた時間をくれるの」
 見入らずにはおれないけれど、大切な子が紡ぐ音色に自然と身体が動いてしまうのもエレノアの性(さが)。ルリラの歌や琴剣の音色はいつも硝子の鳥籠や硝子の温室の扉を解き放ってくれるような心地を感じさせてくれるから、何処までも自由に羽ばたいて、何処までも自由に花を舞わせていける気がするから。
 蜂蜜と紅水晶の眼差しを交わすだけで舞踏と旋律を重ねて、思いのままに心を解き放っていくひとときが愛おしい。互いに魅せ合い、高め合っていけるならなおのこと。
「……たのしかった。一緒に重ねるたびに、楽しいどきどき止まらないの」
「わたしもルルの演奏で踊れて、とても楽しかったわ!」
 昨夜の祝杯代わりに今、黒蜜きなこミルクとほうじ茶ラテのカップを軽く触れ合わせて微笑み合う。
 ――たのしい時間いっぱい、ありがとう。
 ――また次が楽しみね?
 夢幻と煌きを鏤めたような夜だった。
 跳ねる光、弾む音色。
 軽やかにアイリッシュフィドルと雅やかな箏の協奏は日常で耳にする機会はそうそうなくて、けれど昨夜の双方は楽しげに調和して新たな世界を開いて見せてくれた。嬉しさ楽しさだけを掬って織り上げたような旋律は何処までも跳ね、飛びきりの幸せへ羽ばたかせてくれる。
 百瀬・珠(replica・g05713)は小鳥みたいに心のまま可憐に歌って、煌きの花園に舞う蝶のようにドレスの裾を翻して踊り、ハロウィンの装飾の金糸銀糸きらめく蜘蛛の巣がふぁさり舞い降りて来るサプライズだって、新しいヴェールみたいと笑ってきらりきらりと踊らせ自身の彩りのひとつに変えて――。
「……いいな、これ」
 華やかな桃色真珠を思わすカクテルはパールパウダー入りのホワイトキュラソーを使ったコスモポリタン。ひっそりと珠を透かし見れば妹を桃色真珠に閉じ込めてしまえた心地になって、傾ければフルーティーさの中にそれなりに確りとした酒精。楽しげな妹を眺めつつ酒粕チーズと九条葱のピッツァに手を出せば、此方も随分と満足のいくひとときが過ごせたのだけど、どうやら珠のほうはそれ以上だったらしく、
 昨夜のパーティーが余程楽しかったのか、朝を迎えてこのカフェテラスに連れてやってきてもいまだ夢見心地な妹の様子に来栖・禊(error・g01033)は楽しげに笑って、真紅のグラサージュで魔女の毒林檎のごとく艶めく姫林檎を黙ってぱくりと頬張った。だってこれを姫君が食べたら彼女は目覚めなくなってしまうかもしれない。
 ──なんて、冗談で思ったのに本気で背筋が冷たくなったのは禊だけの秘密だ。
 甘く砕けるグラサージュの裡には甘酸っぱい姫林檎、噛みしめれば芯から爽やかな柚子餡が溢れてきて、
 御機嫌で白磁のティーポットを手に取れば高めに掲げて、白磁のカップまで深紅の和紅茶を香りとともに躍らせて、促してみるのは夢見心地の姫君のめざめ。
 柔らかな光の繭に抱かれるような心地好い夢にずっと揺蕩っていたかったけれども、知らない紅茶の香りが温かに鼻先を擽るから、興味を惹かれて珠はふうわり夢から浮かび上がる。然れどうっすら目蓋を開いてみた世界はまだ夢の中のよう。
 だって、うちの目の前に好みのイケメンが微笑んでいて……、
「──って、違う!!」
「違わないんじゃない? おはよう、たま」
「違うからー!!!!」
 漆黒の瞳をこれ以上ないほど見開いた妹が跳ね起きたから、何となく勘で嘯いて、禊は仮装の南瓜頭も日頃のガスマスクも被らぬ素顔のままで柔く微笑してみせた。
 楽しげにこちらを観察しているように見えるのに、眦を歪めるように緩める様が愛おしげに感じられ、鼓動を打たぬはずの珠の心臓がきゅうっと締めつけられたような心地になって、
 昨夜は南瓜頭だったくせに!
 昨夜は南瓜頭だったくせに!
 昨夜は南瓜頭だったくせに!
「べっ、別にときめいてたりしないんだからね──!!」
「はいはい。何てことはないって。たまが幸せそうな顔してたから、良い夢見てるんだろうなって眺めてただけだから」
 ジャック・オー・ランタン型の南瓜のモンブランをざっくり二つに割って、珠は兄から受け取った和紅茶とともに雄々しく南瓜頭を制覇しにかかった。けれど、自分の反応を楽しんでいるだけなのだとしても──兄が自分を見てくれることを心の何処かで嬉しく想っていることも、確かで。
 南瓜頭を倒したなら色々誤魔化すようにくーっと和紅茶を呷って、
「ボケッとしてたら、ぜーんぶ食べちゃうんだからね!」
「いや困る、それ困るから。意地悪しないで、俺の分も残してくれ」
 今度は桜もなかを全部浚っていこうとする妹に、禊は苦笑しながら懇願した。
 ──魔女の毒林檎を独り占めしたことは、絶対の秘密だ。

●我が宿に紅葉色づく ひさかたの 光皆より溢れくるかも
 清閑で、贅沢な朝だった。
 光も風も輝いて透きとおり、庭園の紅葉はほんのり色づき始めたばかりでも実に雅やかだ。極上の魔法を叶える夜を越えた今朝もなお、日常から離れたまま、昨夜の幸福感に浸ることが許される。
 苦味よりも瑞々しくフルーティーな酸味を楽しむ珈琲を面白がりつつ、空木・朱士(Lost heart・g03720)はセイボリーをひとつ。琥珀色きらめく柚子ぽんジュレで蒸し鶏と水菜を彩り、ジャック・オー・ランタンの南瓜チップを添えたカナッペは思った以上にこの珈琲と良く合ったが、
 ──昨夜のビアカクテルに合わせても旨かったろうな。
 ふと思い返せば、細めた紅の双眸に昨夜映した光景が甦るよう。まさか太鼓を打つ羽目になるとは思わなかったパレードはフィナーレの途端にどっと疲労感を御見舞いしてくれたけれども、幸福感と満足感に満ちた心地好いものであったのも確か。パーティーで演奏するなり踊るなりを楽しむ気力はなかったけれど、ビアカクテルを傾けながら仲間達が楽しんでいる様子を眺めるのも乙なもので。
 淡い金色のシルクを思わすホワイトエール系のクラフトビールとジンジャーエールを合わせたシャンディーガフ、普段なら物足りなく思えたかもしれないそれを今は心から楽しみながら、硝子の彼方へ眼差しを向ければ、澄んだ夜闇に光を鏤めた、京の都の夜景の中に八坂神社や知恩院をライトアップしている輝きも見えることに気がついた。
 此の地に住まう人々に歓びや希望、笑顔を齎しに来たのだれど、
 ──結局、俺のほうがいっぱいもらった気がするんだよな。
 瞳を輝かせて飴細工交換会を始めた人達、肩を組んだブリキの木こり、【浮遊】でふうわり大地から解き放たれたときの、皆の笑顔。思い返せば何度でも、胸にあたたかなひかりを燈してくれる、しあわせの数々を。
 何だか今夜は口角が下がることがない気がして、夜景を望む硝子にオレンジと白が映れば振り返ってまた笑う。
「クレメンティア、ハッピーハロウィン。楽しんでるか?」
「こんなに楽しさいっぱいでいいのかしら! って思っちゃうくらいに!!」
 そりゃ良かった、と笑みを深めて、ドレスの事とか分かんねぇけど、お姫様みたいで綺麗だな、と続ければショコラの瞳がきらり。あれ、これって帽子の浪漫とかパラソルの浪漫とかドレスのラインの浪漫とか語られるフラグじゃねぇ!? なんて気づきはしたけれど、今は機嫌も上々だから聴いてやらないこともない。
「なあ、いつかの夜みたいにまた一杯付き合ってくれる?」
「望むところです!!」
 朱士の杯と色を合わせたらしいノンアルコールカクテル、シンデレラを彼女が作って貰ったなら、軽やかに杯を鳴らして。
 ──浪漫を語られる会が催されたかどうかは、二人だけの秘密の話。
 夏の眩さはとうに時の彼方。
 透きとおる朝の光はひたすらに清かで優しく、淡い萌黄や京緋色に庭の紅葉を透かしていくのみなれど、それでも眩しいと言いたげに眼をしばたたかせる織乃・紬(翌る紐・g01055)の様子に雪白・硝子(ななつのやくそく・g01203)はその繊手が取る硝子杯で唄う柚子スカッシュの気泡よりも軽やかにころりと笑む。
 苦みよりも瑞々しいフルーティーな酸味を楽しむらしい、と聴いた珈琲の味わいが軽く彼の眼を瞠らせる様を見れば、
「昨宵のうたげは楽しくありました。稽古の外で箏に触れること、わたくし、はじめてでしたから……」
「アー、そうだね、本当に楽しくあッたねエ」
 いまだ弦の音が胸に響くよう──と硝子の花唇が紡ぐけれど、うんうんと相槌を打つ紬は舟を漕いでいるようにも思えて、少女はちょっぴりおかんむり。然れども決して聞き流しているわけではなく、中華の国に迷い込んだアリスを装う少女が昨夜奏でた音色を思い起こすだけで妙なる心地好さを覚えるからなのだとは、歳を重ねるほど素直に口にできなくなってしまったけれど。
 代わりに口にするのは、清流の名そのままに清しい水碧に透きとおった日本酒ベースのカクテルに、その清酒らしい酸味に惹かれるままに手を伸ばした美しい珠のごとき手毬寿司のこと。
 赤酢でほんのり桜色に染まるシャリを抱いた平目、鮮やかな紅葉麩、艶めく高菜に乗せられた、桜の塩漬けに──、
「ありゃアね、目も舌も大満足だ。写真撮ッときゃ良かったかも」
 舞妓のおちょぼ口でも食べられるように、なんて逸話からしてもう可愛い。
 語るうちに頭がはっきりしてきて饒舌になってゆけば、柚子の香しゅわり弾ける杯に唇を寄せていた少女が更に、
「──ま。風情のないひと、確かに美しくありましたけれど、わたくしの奏でる音のこともどうか、褒めてくださいまし」
「――えエ? や、箏は専門外だし、良し悪しとか、俺は解ンないしい」
 むうと剥れて拗ねてみせるものだから、慌てて紬が言い募れば、そっとテーブルに置かれた柚子スカッシュの杯を伝う滴がまるで涙のように煌いて。今朝も装うままのアリスブルーの袖が硝子の花のかんばせを覆い、
「こちらが連れてと恋うまえに珍しく手を引いてくださって、とてもうれしくありましたのに……」
「う。そりゃア恋われて渋々が多い、けど、い~や、今突くトコかねソレ!?」
 切なさで胸が締めつけられてしまうよう、と華奢な少女の肩が震える様を眼にしてしまったなら流石の紬の声もたちまちに弱々しくなっていくけれど、袖からひっそり覗かせた花の色の瞳が湛えるのは大人達をも翻弄する悪戯な少女の煌きで。
 良心の呵責やら罪悪感やらであちこち泳いでいた彼の眼差しと硝子の楽しげな眼差しが重なれば、
「ふふ。今朝も鞠のよに転がりますね、紬さま」
「ッと、こりゃアまた揶揄われたってことか……!!」
 こちらは鈴のように転がる笑み、鞠のように転がされた紬が天を仰ぐ様子も可笑しくて、ふと思い立つままに色々つついてみたくもなろうというもの、と好奇心をたっぷり湛えて硝子は改めて柚子スカッシュの杯に手を伸ばす。
 ――きっと、わたくしのならう、絵物語の少女もそうあったはず。
 愛らしくつんと天向く花唇へ悪戯に弾ける柚子の滴が流れ込んでいく様は新たな悪戯の予感も感じさせたけど、やられたと唸っていた紬の瞳にもやはり面白がるような光が宿る。何せこちらも少女同様、月餅を振舞う僵尸風な帽子屋を装ったまま。帽子屋が狂うも頷けると得心したなら倣うまでのことだ。
 ――でなきゃ、少女の相手は務まるまい!
 瞳を閉じて目蓋に朝の光を感じる。
 爽涼たる風がまだ涼やかな色合いを残す紅葉をさあっと鳴らす音を聴く。
 目蓋を開けば銀の双眸に映る朝の光は清らで透明で、紅葉が光を透かす淡い萌黄色と色づき始めた京緋色に口許を綻ばせ、
「すごい、昨日あれだけ乾杯したのに頭スッキリだぁ」
「それだけいいお酒だったってことでしょうね。質も、呑み方も」
 優しい光に満ちたカフェテラスの席に腰かけたままラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)が無邪気に大きく伸びをしたなら、永辿・ヤコウ(繕い屋・g04118)が淡く笑みつつ染み入るようにそう応えた。
 好い夜だった。佳い夜だった。
 飴色の光にも似たフィドルの音色は踊り出したくなりそうで、けれど二人が選んだのは自身ではなく弓を踊らせるほう、
「流石の【操作会得】も曲のセレクトまではしてくれないよねぇ。ヤコウくん、何かイイ曲知ってる?」
「深く考えなくても大丈夫ですよ、多分。心の赴くまま奏でればきっとイイ曲になりますから」
 初めてフィドルに触れる身であれ装いがドラキュラ伯爵とオペラ座の怪人であるなら見た目が様になることは間違いなく、腕は【操作会得】が保証してくれるとなれば仮面の下で宵紫の瞳を悪戯に瞬くファントムも楽しい予感に胸を躍らせ、じゃあいってみようかと軽くドラキュラ伯爵が促して、いざ弓を添えれば流れ出すのは二人で思わず顔を見合わせたほどに愛おしい響き、翔けだしたくなる音色。
 心の赴くままに弾き鳴らす音色を他の奏者達が支えてくれる、月下の夜に跳ねる光のごとき箏の音色が遊んでくれる、手で足で拍手でタップで皆が鳴らしてくれる拍子に乗って奏でて、跳ねるシャンデリアの煌きもフィドルで弦で受けとめ弾ませる心地で音色に乗せて、涯てまで翔けぬけたなら、誰もに飛びきりの笑みが弾けて咲いた。
 眩い一体感は万能感にも似て。
 言葉なんて今は何もいらない気がして、唯笑ってラヴィデが秋の夜闇めいた黒のクラフトビールを掲げれば、皆それぞれの杯を手にして乾杯の声を咲かせた。
 鴨のオレンジ煮をほぐして仕込む湯葉のラザニア、棒鱈の甘煮と南瓜のクロケット、手毬寿司も押し寿司も美しいけれど、こちらも色とりどりな手毬おこわも愛らしくて、刻んだ柴漬けを混ぜ込みハロウィンカラーに染めたタルタルソースで味わうふわふわ熱々の穴子のフリットはこの上なくクラフトビールが進む。
 極上の魔法を叶える夜のため用意した赤薔薇と同じ彩にグラスで煌く、鮮やかなジャック・ローズで乾杯できればヤコウも眩い光の歓喜に胸を満たされるようで、改めてなぞった昨夜の幸福に柔い吐息をつけば、両手に包んだほうじ茶ラテのあたたかな湯気に融け合って。
 この朝味わう和梨とサワークリームのココットパイも、艶めくバルサミコで彩った紫芋のテリーヌも、小振りのカップから堅焼きビスケットの匙で味わう聖護院かぶらと南瓜のシチューも、幸せな美味で妖狐の尻尾を揺らすから、竜人も暖かなこの雰囲気ごと味わうように未知なる美味へ手を伸ばす。
 果たしてフォアグラのアイスはスイーツなのかセイボリーなのか……!!
 こんなことで真剣に悩む日がくるなんて、以前には絶対に想像なんてできなくて。自分達は多かれ少なかれ何かを奪われてディアボロスに覚醒したはずなのに、覚醒したことで体験できることも世界も劇的に広がったことも、ラヴィデは素直に幸福として受けとめる。どっちでしたかと訊いてくるヤコウとすごす、穏やかで優しいこのひとときも、間違いなくそのひとつだから。
 彼が零した笑みは小さく、けれど限りなく暖かで。
 心が引き寄せらるままヤコウが見惚れていたなら、ラヴィデがいっそう目許を和ませた。
 ――いいや、幸せだなあってさ。
 ――ええ、僕も、しあわせです。
 誰をも拒まぬ清らな透明感に満ちた朝、
 昨夜の記憶を思い起こせば、ノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)の口許に生まれるのも笑みばかり。
 海賊帽の天辺にまでレッサーパンダをよじ登らせてやったパレードでの茶目っ気をそのままパーティーまで連れて、
「ね、今度こそ攫わせてくれる?」
「猛禽の怪鳥さんのお耳や鉤爪に触らせていただけるなら、歓んで!」
 ――どうぞどうぞ、攫っていってくださいな!!
 煌く光のもとでのダンスに誘えば、先程の子供達同様にわくわくきらきら輝いたショコラの瞳。
 もしかしなくても羽根が好き? と蜜色の眼差し細め、常にはいつも羽根ペンを携えている相手へ軽く身を屈めてやれば、とっても、と弾む声音と共に彼女の手が嬉しげになぞるのは猛禽の翼に変じていた耳。誰も傷つけぬ鉤爪を備えた猛禽の手でクレメンティアの手を掬ったなら、飛びきり楽しげな笑みごと煌きの波間へ攫って、軽やかなアイリッシュフィドルの音色を捕まえた。
 竜人と妖狐が奏でる音色に乗ってくるり回れば、花開くのは真珠色をハロウィンカラーが飾る絹の花に笑みの花。
 流れるほど翔けて跳ねて遊ぶフィドルの音色のままに煌きの波間をくるくる回って、大人も子供も二人で笑顔で捕まえ手を引き巻き込んで、曲が終わるまでに何人巻きこめるかタイムアタック! なんて気持ちになりつつ踊って回って翔けぬけて、
「見事に大輪の花になったな」
「それもとっても豪勢な花じゃないかしら!」
 曲の涯てに幾重にも咲く皆の笑顔を見て、弾けるように笑い合った。
 夜明け前のブルーアワーをそのままカクテルグラスに注いだようなアズールと、彼女が手にした菫のコーディアルのソーダ割りで乾杯したなら――と、昨夜の彩を思い起こしたところで今朝の彩を見つけたなら手招きして、
「おはよ、クレメンティア。よく眠れた?」
「おはようございます、ノスリ様! とっても楽しい心地で眠りについて――」
 オーロラの海の波間で踊る夢を見ちゃいました、と明かす彼女に、そりゃ飛びっきりだね、と笑って、黒蜜きなこミルクとほうじ茶ラテの杯を鳴らす。あのあと煌きと音色の波間に揺蕩うよう、囁くよう語らったのは、
 京野菜のピクルスを宝石のごとく鏤めた豚肉のリエットの華やかさ、
 薄桜色の鯛に菊花を散らし、色違いの香の物を市松模様に編んでまあるく握った、手毬寿司の愛らしさ。
 秋の茸たっぷり、西京味噌風味のチーズタルトを味わいながらノスリが桜もなかにリエットを詰めれば、クレメンティアの桜もなかも同様で、互いの手許を覗いてまた弾けるように笑い合った。
 このテーブルだけでなく、隣の、その先の、カフェテラスの其処彼処で零れる皆の笑い声が、耳に、心に、あたたかで。
 朝の光に想いがとけて、世界に広がっていくよう想いを燈す。
 ――どうか此のさいわいが、
 ――幾年も栄えますように。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【口福の伝道者】がLV4になった!
【狐変身】LV1が発生!
【照明】がLV3になった!
【強運の加護】がLV4になった!
【完全視界】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【飛翔】がLV3になった!
【活性治癒】LV2が発生!
効果2【凌駕率アップ】がLV3(最大)になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV4になった!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ロストエナジー】がLV2になった!
【ドレイン】LV3が発生!
【ガードアップ】がLV5になった!
【リザレクション】LV1が発生!
【グロリアス】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV4になった!

最終結果:成功

完成日2022年11月11日