リプレイ
①マリー王妃の誕生日の準備をしよう
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
王妃の表情が明るくなって良かったです
更に楽しくなるような会にしなくてはいけませんね
収穫の秋をテーマにした企画はどうでしょうか
場所は鏡の間
窓を少し開ければ、秋の日差しで温められた部屋に涼やかな秋風が吹き込んで、気持ちの良い季節です
テーブルの上には林檎や葡萄などの秋の収穫物をテーマに飾りつけ
それらを用いた菓子や料理とワインやシードルも並べます
ドレスコードとして林檎や葡萄等の収穫物をテーマにした
ワンポイントカラーを衣装に取り入れるのは如何でしょう
暑い夏が過ぎ、厳しい冬の前に、一時の安らぎとなる豊かな秋を目で見て、味でも楽しめるような
見ているだけでわくわくする会になればいいなと思います
●Thème
欧州の秋は早い。十月も半ばを過ぎる頃には、木々は黄に赤に色づき始めて冷えゆく空気を少しだけ温めてくれる。
ここ、ベルサイユ宮殿においてもそれは例外ではなかった。鏡の間より庭園の先を望めば、遥かに広がる森の木々も秋空の下で鮮やかに燃え立って見える。
窓辺に一人立つ質素なワンピースの後姿を見つけて、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は襟に飾った蝶ネクタイを直し、口を開いた。
「ご無沙汰しております、マリー王妃」
呼べば雪のように白い肌をした女が、緩やかにこちらを振り返る。恭しく一礼すれば、『ごきげんよう』と微笑み返す女の双眸には一点の曇りもなく、少年は釣られるように安堵の笑みを浮かべた。
(「王妃の表情が明るくなって、よかったです」)
その表情を見る限り、心配事の種が一つ減ったというのは確かなのだろう。ならば今度は、心置きなくパーティーを楽しんでもらえるよう取り計らわなくては――自然と背筋の伸びる思いで、ソレイユは切り出した。
「本日は、王妃の誕生日パーティーのことで伺いました。皆で色々と考えたのですが……収穫の秋をテーマにする、というのはいかがでしょうか?」
壁やテーブルには林檎や葡萄など秋の実りを飾り、それらをふんだんに使った料理と、ワインやシードルなどの酒類を含めた飲み物を並べる。夏の茶会の時と同様、厳格なドレスコードは設けないが、ささやかな約束事として、参加者は衣服に『秋』の色を取り入れる。
提案を一つ一つ丁寧に伝えて、少年は続けた。
「会場は、この鏡の間でと考えています。外はもう肌寒いほどですが、ここからであれば庭の様子もよく見えますし」
秋の陽射しで温められた室内に、開けた窓から吹き込む涼風はきっと心地よい。いかがでしょうかと尋ねれば、王妃はにこやかに微笑って頷いた。
「とても素敵と思います。それ以上、妾からお願いすることはありませんわ。……また、皆様にお会いできるのが楽しみです」
「では、そのように手配させていただきます。皆もきっと、王妃にお会いする日を楽しみにしていることでしょう」
では、と再度一礼して、ソレイユは鏡の間を歩き出した。
そうと決まれば、のんびりしてはいられない。暑い夏が過ぎ、厳しい冬を迎える前の一時の安らぎ――豊かな秋を五感で楽しめるような、最高の誕生日パーティーを開くのだから。
大成功 🔵🔵🔵
効果1 【勝利の凱歌】LV1が発生! 効果2 【ガードアップ】LV1が発生!
②マリー王妃達と話をしよう
一蝶・信志
王妃様と当日のお衣装とメイクを相談しましょう
皆がパーティーの企画を考えてくれるでしょうから、
それに沿った範囲でパターンを複数用意するわ
選んだお召し物に合わせてヘア・メイクやネイルを提案したいの
自分を可愛く飾ってあげるのは前向きな気持ちになるためにも大切だもの
若い頃の王妃サマはパリのファッションリーダーだったのだし
きっとステキなアイデアをお持ちだったりするんじゃないかしら?
ワタシ、昔はメイクのお仕事がしたくて勉強もしてたのよね…
今はもう諦めちゃったけど
王妃サマ、今から好きな場所で人生をやり直せるとしたら
どんな場所でどんなことをなさってみたい?
※
女性的な口調と装い
王妃に失礼のないように行動します
②マリー王妃達と話をしよう
レイラ・イグラーナ
本格的にパーティが始まる前に、ダブー将軍との戦いの報告も兼ねてマリー王妃とお話に参ります。
ダブー将軍を討ち、パリに陣取っていた大陸軍は追い出すことに成功いたしました。革命家たちはまだ居座っていますので、完全に取り戻したとはいえませんが……パリに住まう人民の皆様にとって最大の脅威はなくなりました。
それにしても悪夢だなんて……以前にお会いした時に相談して頂いてもよろしかったのですよ?
ふふ、冗談です。ご自身のことよりもパリ市民を思う王妃のお気持ち、感服いたしました。
(私は革命家。もし王妃がパリ市民のことより自分を優先するような人物であったなら、こうして談笑などできなかったでしょう)
②マリー王妃達と話をしよう
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ◎
【友達催眠】を併用
正装にて礼儀正しく接し
少しでも眉を顰めたり、悲し気な素振りあれば
誕生会の準備の話に戻ろう
準備の傍ら、王妃様と会話を
近況を尋ね、世間話を交えて
お久しぶりですね、マリー王妃様
悪夢を見ておられたとのこと……
気を落ち着けて、眠れる薬草茶など、お届けしましょうか
そういえば、以前のお茶会のとき……
『革命家や大陸軍からパリを解放して……みなが安心して暮らせるようになればと、願っています』と……
そう仰っておられましたね
この度、大陸軍は無事に退けることができました
パリの民も歌声を合わせてくれました
その願いが叶ったとき……王妃様ご自身は……
何を望まれますか?
●Bavardage
来たるべきパーティーの本番に向けて、やるべきことは多い。余分な調度品を脇に寄せ、テーブルや椅子を運び込み――慌ただしく動き始める復讐者達を、王妃マリーは鏡の間の片隅で見つめていた。その後ろ姿は自分も何かすべきかと迷いながら、何ができるのか、どうすればいいのか――恐らくは、パーティーの準備に限ったことではなく――量り兼ねているかのように見える。
「王妃サマ、ちょっといいかしら?」
努めて朗らかな声を作って、一蝶・信志(シンディ・g04443)は王妃の背中に呼び掛けた。しゃんと背筋を伸ばして振り返る女の姿は血色もよく、生来の美しさを取り戻したように見える。
「パーティーのお衣装とメイク……お化粧について相談させていただきたいの。お時間を頂けると嬉しいのだけど……」
「構いませんが……そこまでしていただいて、よろしいのでしょうか。ただでさえ、このような――」
「いいのよ、王妃サマが主役のパーティーだもの。このくらいのことは、ね?」
一冊のノートを口許に添えて、信志は茶目っ気たっぷりに片目を瞑る。王妃は少しためらう素振りを見せたものの、結局は同意した。椅子を勧めれば静々と従う王妃の着席を待ってから、信志は自らも角を挟んで斜めの席に腰を下ろした。
「今回のドレスコードは、『秋の色』なのでしょう?」
「ええ、是非そのようにとお願いしました」
「だったら、こんなドレスはいかが?」
熟れた林檎のような深紅に、二色の葡萄を思わせる紫と暗紅。テーマに沿って選んだ数着のドレスの写真をテーブルに並べて見せながら、信志は微笑む。マリー・アントワネットといえば、若い頃にはパリのファッションリーダーとも言われた人物だ――目の前の王妃は思った以上に控えめな性格のようだが、選択肢を提示すれば自身の意向も表明しやすいだろう。
「自分を可愛く飾ってあげるのは、大切なことよ。前向きな気持ちになれるもの。……なんて、王妃サマならご存知かもしれないけれど?」
「……そう、ですね。そうかもしれません。……このところはずっと、そんなことを考える余裕もありませんでしたから……」
でしたら、と王妃が指差したのは、落ち着いた栗色に秋の陽射しを縫いつけたような一着だった。OKと写真を摘まみ上げ、信志はにこやかに続ける。
「このドレスに似合うように、メイクやネイルを考えてみるわ」
「ありがとうございます。とてもお詳しいのですね」
「まあ、それなりにね。ワタシ、昔はメイクのお仕事がしたくて勉強してたから……今はもう、諦めちゃったけど」
選ばれたドレスの写真をクリップでノートの表紙に留め、信志は遠い日を手繰るように天井を仰いだ。アーチ状の天井には豪奢なシャンデリアが吊り下げられ、午後の陽射しにキラキラと輝いている。
そこへ、床板を踏むコツコツという足音が二つ並んでやってくる。近づく気配に視線を戻せばそこには、レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)とエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)の姿があった。
「お久しぶりですね、マリー王妃様」
恭しく正装の腰を折り、青い天使は一礼した。吸血鬼の娘もまた同様に、メイド服の裾を摘まんで片足を引き、切り出す。
「パーティーが始まる前に、ご報告をと思いまして。既にお聞き及びかもしれませんが、ダブー将軍は討ち取られ、パリに陣取っていた大陸軍も撤退いたしました。革命家達はまだ居座っておりますので、完全に取り戻したとは言えませんが……パリに住まう人民の皆様にとって、最大の脅威はなくなったと言っても良いでしょう」
「ありがとうございます。本当に……本当に、安心しました」
綻ばせる唇に心からの安堵を覗かせて、王妃は応じた。少しでも彼女が心を痛めるような素振りがあれば早々に話を切り上げようと考えていたエトヴァだったが、どうやらその心配もなさそうだ。
お元気そうで何よりですと微笑って、レイラは続けた。
「それにしても悪夢だなんて……以前にお会いした時に相談していただいてもよろしかったのですよ?」
「今では見なくなった……と伺いましたが。よろしければ、気分を落ち着ける薬草茶などをお届けしましょうか」
気遣うようにエトヴァが重ねると、王妃は淡い金髪をゆるゆると振って応じた。
「ありがとうございます。でも、本当にもう大丈夫なのです。自分が自分でなくなってしまうような……とても嫌な夢でしたけれど、本当にぱったりと見なくなりましたから」
「……自分が自分でなくなるような?」
穏やかならぬ話に、復讐者達は顔を見合わせる。詳細を尋ねるべきか否かと迷っていると、王妃は記憶を手繰るようにしばし思案し、そして自ら口を開いた。
「怪物になってしまう、夢だったのです。夢の中では、妾は大きな樹の怪物で――罪もない市民を大勢取り込んで、悪夢を見させているのです。……思い出すだけでも、悍ましいことですわ」
「……それって……?」
語られる『夢』の光景には、明らかな既視感があった。眉をひそめる復讐者達の様子にはしかし、気付かぬ様子で王妃は続ける。
「でも、今から何日か前……ディアボロスの皆さんが、取り込まれていた人々を助け出して下さったのです。恐ろしい大樹は、枯れて――それからというもの、同じ夢を見ることはなくなりました。……あら」
どうかなさって、と、少女のようにいとけない表情で王妃は青い瞳を瞬かせた。傍らに佇む復讐者達が、難しい顔をしていることに気付いたためであった。
「いえ、なんでもありません」
できるだけ柔らかな笑顔を作って、エトヴァは応じた。王妃の見る余りにも具体的な『夢』は、ウィーンの淫魔大樹そのものだが、かの大樹は既に潰えたのだ。両者の関係について考えるのは、今でなくともいいだろう。
「そういえば以前のお茶会のとき、王妃は仰っていましたね。革命家や大陸軍からパリを解放して、皆が安心して暮らせるようになれば……と」
「ふふ、そうでしたね」
八月の残照に照らされた、祈るような言葉の一つ一つを思い出す。懐かしむように瞳を細めて、レイラが続けた。
「ご自身のことよりもパリ市民を思う王妃のお気持ち、感服いたしました」
「結果、大陸軍は退き、パリの民も歌声を合わせてくれました。つまり――貴女の願いは、叶ったわけですが」
慎重に言葉を選びながら、エトヴァは言った。
「王妃様ご自身は、今、何を望まれるのでしょうか?」
「皆さんに、ということでしょうか? ……でしたら、これ以上、何を望むことができましょうか」
どんなに言葉を尽くしても、この恩に報いることなどできはしない。そう微笑して、王妃は応じた。
「妾はいずれパリに戻り、国民のために働くことになるでしょう。それが叶うのも、すべては皆さんのお陰です」
「…………」
穏やかな口調で紡がれる言葉に、レイラは複雑な想いで王妃を見た。ここは所詮、紛い物の歴史だ――彼女の望みが叶ったとしても、その先に真の意味での未来はあり得ない。けれど。
(「もし貴女がパリ市民のことよりも自分を優先するような人物であったなら、私は今頃、こうして談笑などできなかったでしょうね……」)
苦難の時を経てなお民に尽くそうとする王妃の姿には、一人の革命家として感銘を禁じ得なかった。なんと言葉を続けたものか考えあぐねていると、ねえ、と信志の声がする。
「そういう具体的な話もいいけど、もう少し個人的な希望もお聞きしてみたいわ。ね、王妃サマ」
「なんでしょう?」
細い首を傾けると、豊かなブロンドがさらりと揺れる。『悲劇の王妃』を真っ直ぐに見つめて、信志は問うた。
「王妃サマは――今から好きな場所で人生をやり直せるとしたら、どんな場所で、どんなことをなさってみたい? 」
「…………」
しばし、沈黙が続いた。会場の準備を進める仲間達の、賑やかな声が遠くに聞こえている。少し長い逡巡の後、そうですね、と、マリー・アントワネットは言った。
「どこであれ皆さんのように、人々のために働くことができたなら――それはきっと、素晴らしいことなのだろうと思いますわ」
夢見る少女のように紡いだ瞳には、淡い憧憬が揺れている。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【エイティーン】LV1が発生! 【勝利の凱歌】がLV2になった! 【友達催眠】LV1が発生! 効果2 【能力値アップ】LV1が発生! 【ラストリベンジ】LV1が発生! 【アクティベイト】LV1が発生!
①マリー王妃の誕生日の準備をしよう
冰室・冷桜
うーし、いろいろアイデアも出てるみてーですし、私は実際の準備とか会場の飾りつけの方に力を入れてくとしますかねー
えーと、出てきたプランを確認しながら用意する飾りやら材料を確認して―と
簡単な飾り付けとかはだいふくも召喚して手伝いをさせてっと
王妃様たちにもこんな感じでいいすかねーみたいな感じで確認をしつつーと、王子様たちは子供ですし、こーゆーのにも興味とか湧いたりしますかね
興味あるようなら誘って、高い場所の飾り付けーとかそういうのは避けつつ、簡単なのなら教えながら一緒にやったりしましょうか
イベントは準備も含めて楽しむもん、ってね
①マリー王妃の誕生日の準備をしよう
トロワ・パルティシオン
誕生日か……こういうのは誰と祝うかが大事だよね。
テレーズ王女とシャルル王子に面会して提案するよ。
「ご機嫌麗しゅうございます、殿下。此度の王妃様の祝宴ですが、お二人から贈り物をされてはいかがでしょうか」
(※王族には敬語で接する)
家族からメッセージカードを貰ったらマリー王妃もきっと嬉しいはずさ。
二人には当日までに書いておいてもらおうか。
カードはパーティーの趣向に合わせて季節の果物が描かれた物を、予備も含めて何セットか渡しておこう。
想いは言葉にしなきゃ伝わらない。
そしてその言葉を形に残せたら、とても素敵なことだと思うんだ。
「ああ、このことは王妃様にはどうかご内密に。当日のサプライズといたしましょう」
●Preparations -Nov.01-
「うーし、コンセプトも決まったみてーですし、ちゃっちゃと飾りつけていきますかねー」
パーティー前日、11月1日。
鏡の間の片隅で制服の袖を捲り上げ、冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)は言った。パーティーの準備と一口に言っても、会場の設営から料理の準備、主賓である王妃らのドレスアップと、やるべきことは多岐に渡る。冷桜の担当は、会場となる『鏡の間』の飾りつけだ。
「えーと、何々? 秋をテーマに? ……ってーと、秋っぽい色を使うのがいいすかね」
折り紙を切ってつないで作ったガーランドは、壮麗なベルサイユには一見するとミスマッチに思えるかもしれないが、貴重な宝石やアンティークに勝るとも劣らず魅力的だ。真心を込めた手作りの温もりは、会場の厳かな空気を少しだけ和らげ、明るく親しみやすい雰囲気を創り出してくれる。
「はい、だいふくはそっちの端っこ持って」
お供のメーラーデーモンとも協力しながら、冷桜はてきぱきと用意したガーランドを壁に飾りつけていく。せーのでいくよ、と小さな山羊を振り返って――ふと、その先でこちらを見つめる視線に気がついた。目を凝らして見れば、横に長い鏡の間の反対側から、マリー王妃の二人の子女がこちらの様子を窺っている。
(「王子様たちは子どもですし、こーゆーのにも興味とか湧いたりしますかね」)
王家の子女、とはいえまだ年若い子らだ。これからここで何が始まるのか、復讐者達が今度は何をしようとしているのか、興味がないはずもない。
「王子様、王女様、よかったらこっちに来て一緒に飾りつけしてみませんか?」
「私達もやってよろしいの?」
尋ねるテレーズ王女に勿論と頷いて、冷桜は応じた。
「イベントは準備も含めて楽しむもんですからね。あ、でも、高いとこに登るのはやめて下さいよ」
何かあったら責任重大なんで、とへらり笑って、少女は紙袋から新たなガーランドを取り出し、興味津々の王女と王子に手渡した。何事も経験――というやつである。
すると、そこへ。
「ああ、いたいた――ここにいらしたのですね、テレーズ王女。シャルル王子も」
コツコツとブーツの踵を高い天井に響かせて、トロワ・パルティシオン(迷子のコッペリア・g02982)がやってくる。振り返った姉弟を前に改めて一礼し、娘は言った。
「ご機嫌麗しゅうございます、殿下。実は、お二方に一つ、ご提案があって伺ったのですが……」
「提案?」
「はい。此度の王妃様の祝宴ですが、お二人から王妃様へ贈り物をされてはいかがでしょうか?」
楽しく飾ったパーティー会場も、趣向を凝らした料理の数々も勿論大切だが、誕生日会において何より大切なのは、『誰と祝うか』だ。王妃にとって実子である姉弟と共に誕生日の祝宴を迎えられるのは、これ以上ない喜びだろう。
「お母さまに贈り物?」
「と、言っても……わたくし達にご用意できるものなんて……」
母親同様、このベルサイユで軟禁に近い生活を送っている王女と王子には、贈り物といって用意できるものがすぐには思い付かないようだった。ご安心をと微笑んで、トロワは二人に新宿島から持って来たバースデーカードを取り出して見せる。
「こちらに、メッセージカードをご用意しました。お二人にお渡ししておきますので、パーティーが始まるまでに、一言メッセージを書いていただけませんか?」
一年に一度の特別な日。王族の子育てといえば乳母や世話係などに任せるのが常なのかもしれないが、仮にそうだとしても、子どもからメッセージ付きのカードを貰って嬉しくない母親はいないはずだ。林檎や葡萄など、季節の果物のイラストが描かれたカードを数枚、予備も含めて手渡すと、王女と王子はまじまじとカードを覗き込み、そして少し落ち着かないような、気恥ずかしそうな様子で顔を見合わせた。
「メッセージ……というのは、」
「何を書いたらいいのかな……?」
「なんでも構いませんよ。日頃の感謝を書いてもよいでしょうし、なんなら『お誕生日おめでとう』の一言だけでも、いいんです」
「なるほど……」
どうしようかと言い合いながらも、言葉を交わす姉弟の表情は母親である王妃同様、以前と比べると少し明るくなったように思う。そうだ、と悪戯っぽく片目を瞑って、トロワは付け加えた。
「ああそれから、このことは王妃様にはどうかご内密に。当日のサプライズといたしましょう」
想いは、言葉にしなければ伝わらない。そしてその言葉を形に残せたなら、それはとても素敵なことだとトロワは想うのだ。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【ハウスキーパー】LV1が発生! 【冷気の支配者】LV1が発生! 効果2 【ダブル】LV1が発生! 【ロストエナジー】LV1が発生!
①マリー王妃の誕生日の準備をしよう
一蝶・信志
作業できそうな場所をお借りして、ネイルチップを作りましょう
直接お爪に施術するよりは王妃サマのご負担も軽くなるし、
何パターンか作っておけば当日のお支度で気軽に選ぶこともできるわ
王妃サマがお選びになったのは、リストの中でもシックなテイストのドレスね
ネイルも色が主張しすぎない上品さを心がけて作った方がいいかしら
肌に馴染むベージュ系をベースに、少しだけワインカラーも取り入れて華やかに
ゴールドのグリッターや小さなラインストーンをあしらったチップもいいわね
そうだわ、お茶目可愛いネイルセットも作りましょう
林檎や葡萄、南瓜を立体的に作って…
ふふっ、こういう遊び心も大事でしょ?
ああ、時間を忘れてしまいそう
秋色に染まる庭園を望むベルサイユの一室に、聞こえるか聞こえないかの鼻唄が渡る。ベルベットの肘掛け椅子に足を組み、一蝶・信志(シンディ・g04443)は傍らのテーブルに手を伸ばした。蓋を開けたプラスチックの収納ボックスの中には、ジェルやマニキュア、ラインストーンなど、ネイルアートに必要な道具が一式きちんと整頓されている。
(「王妃サマがお選びになったのは、リストの中でもシックなテイストのドレスだった。……なら、上品さを心がけて作った方がいいかしら?」)
ドレスの色は、深い栗色。それに合わせるなら、ネイルも主張しすぎないものがいいだろう。ネイルチップスタンドに左右十指分の透明なチップをセットして、信志はジェルの小瓶を取り上げる。
(「ベースはベージュ系。でもそれだけじゃ、いくらなんでも地味ね」)
肌に馴染むベージュをベースに、少しだけワインカラーを取り入れて。ゴールドのグリッターや小さなラインストーンをあしらうのも悪くない。考えているとあれもこれも良いように思われて迷ってしまうのだが、それがネイルアートの楽しいところだ。それにネイルチップであれば、王妃に時間を取ってもらう必要も少なく、予めいくつかのパターンを用意しておくことができる。
(「直接お爪に施術するより王妃サマのご負担も軽くなるし、当日のお支度で気軽に選ぶこともできるしね」)
派手さは控え、上品さを念頭に置いて――けれどあまり、遊び心がないのもつまらない。そうだわと悪戯に金色の瞳を輝かせ、信志は予備のチップを取り出すと新しいスタンドに並べていく。
「お茶目可愛いネイルセットも作りましょう。林檎や葡萄、南瓜なんかも、立体的に作って――ふふっ。ああ、時間を忘れてしまいそうだわ」
どんな時も、遊び心は忘れない。それは何も、自分が楽しむためではなくて――誰かが楽しんでしたことというのは、受け取る側にも必ず伝わるものなのだ。
「さ、もうひと頑張りしましょうか」
明日はいよいよ、パーティー本番。綺麗に並べたネイルチップを選んで欲しいと伝えたら、王妃はどんな顔をするだろうか。
大成功 🔵🔵🔵
効果1 【アイテムポケット】LV1が発生! 効果2 【先行率アップ】LV1が発生!
①マリー王妃の誕生日の準備をしよう
音羽・華楠
マリー王妃から気になる話が聞けたみたいですが――それについて考察するのは今ではありません。
……淫魔大樹については、もっと良く知ってそうな連中が居ますし(ロベスピエールとか)。
今はマリー王妃の誕生会の準備に集中です。
私は当日に出す料理の試作・準備をしましょう。
個人的に、是非とも作りたいのが『クグロフ』!
八月のお茶会でも持ってきた人が居ましたが、新宿島で読んだ文献によると史実のマリー王妃の好物だったとか。
……この1793年のマリー王妃も好きだと良いのですが。
具材として、秋の味覚の『ラ・フランス』を使います。
この時代ではまだ見付かってない、フランス原産の洋梨……味わってもらいたいですね。
●Preparations -Nov.02-
11月2日朝、ベルサイユ。
マリー・アントワネット王妃の誕生日パーティー当日を迎え、宮殿内は早朝から慌ただしい気配に包まれていた。会場の飾りつけを終え、王妃や子女の身支度を整える一方で、この時間に最も忙しくなるのがパーティーに出す料理の準備だ。メインの料理は今が旬の食材を使ったメニューを用意することで決まり、復讐者達は調理場を借りて準備に勤しんでいた。音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)も、そんな復讐者達の中の一人だ。
(「マリー王妃から何やら気になる話が聞けたみたいですが……淫魔大樹については、もっと良く知ってそうな連中がいますしね」)
どこかで見た革命淫魔の顔を思い浮かべながら、華楠はボウルに小麦粉を開ける。王妃の悪夢については確かに気がかりだが、その辺りについては必要とあらばパーティーの中で本人と話をする機会もあるだろう。それよりも今は、肝心要の料理の支度である。
「ええと……? あとは砂糖と塩と、牛乳と卵とイースト……全部混ぜればいいんですね」
ボウルの中で混ぜ合わせるのは、フランスの伝統菓子『クグロフ』。中心部が空洞になった特徴的な形状の菓子は八月の茶会でも見かけたが、以前新宿島で読んだ文献によればマリー王妃の好物だったとも言われている。それを知ってからというもの、個人的に作ってみたいと思っていたのだ。
(「この1793年のマリー王妃もお好きだと良いのですが」)
料理というものは、『美味しい』と言ってくれる人の顔を想像すればそれだけで、作る側も楽しくなるものだ。鼻歌交じりに材料を混ぜて捏ね、バターを加えてさらに捏ね。秋の味覚のラ・フランスを小さくカットして混ぜ込んだら、生地がしっかり膨らむまでそのまましばらく発酵させる。この時代にはまだ見つかっていないフランス生まれの洋梨を口にしたら、王妃はどんな反応を示すだろう――? 想像を膨らませれば楽しくて、頬を緩める華楠であった。
大成功 🔵🔵🔵
効果1 【口福の伝道者】LV1が発生! 効果2 【ガードアップ】がLV2になった!
①マリー王妃の誕生日の準備をしよう
紫空・千景
【甘唄】
ルリラとケーキを作りたい
甘味を作るのは得意だ、腕が鳴るな
矢張り誕生日に祝いの形があるのは嬉しい物だろう?
…他ならぬ、私もそうだった
目に見える祝いは心に灯るからな
薔薇…ふっ、良いと思うぞ
此処の華やかさによく似合う
苺の赤薔薇
クリームの白薔薇
花びらの形作りは任せてくれ
心得はある、魅せ方のコツもな?
そっとルリラに耳打ちして
…と、青薔薇も入れたいと思うんだ
彼女の眸は奇跡の色だから
やりたい事は叶えてほしくてな
応援の意と気持ちを込めて
…噫、なれるのならば支えに
翼の揺らめきに目を細めながら咲う
あのケーキの光景を教えてくれた両親に会えなくとも
嬉しさは誰かに伝えれると
他の誰でもない、私が信じていたいから
①マリー王妃の誕生日の準備をしよう
ルリラ・ラプソディア
【甘唄】
千景さんとお誕生日のケーキ…用意するの…
薔薇をね…うんと飾った華やかなケーキ…
せっかくの誕生日だから…
マリーさまに…喜んでもらいたい…
ベルサイユといえば、薔薇…というイメージ
いちごで赤い薔薇
クリームで白い薔薇をかざりましょう…?
千景さんにコツを教わりながら一生懸命に
…青い、薔薇も?
…うん…うん…
とっても素敵だとおもうの
青薔薇の花言葉…夢がかなうって…あるの
マリーさまが、これからどんな時間を歩んでいくのか…
その夢の形を応援できるに…支えになれば、いいね…
ぱたぱたと何処か生き生きとした翼の揺らめきを見せながら
…きっと、伝わる…
「さて……腕が鳴るな」
白い袖を捲り上げて、紫空・千景(暁の切り札・g01765)は紅い唇の端を上げた。甘味を作るのは得意中の得意だ――長い黒髪を調理の邪魔にならないよう高い位置でまとめ上げ、てきぱきと手際よく器具を広げていくその姿を、ルリラ・ラプソディア(Ⅻの子守歌・g00784)はどこかそわそわとした様子で覗き込んでいる。
「ルリラは何か、やりたいことはあるか?」
「うーん
…………」
首を傾げてしばし考え、あまりよくは分からないけれどと言い置いて、天使の少女は応じた。
「せっかくの誕生日だから……マリーさまに……喜んでもらいたい……かな……?」
「そうだな。それは大いに同感だ」
ささやかだけれども特別なその日に、祝いの形があるのは嬉しいものだ。千景自身もそうだった。気持ちが大事、というのは大前提にしても、目に見える贈り物はそれはそれで心に温もりを灯してくれる。
そうだ、と思い立ったように口にして、ルリラは傍らの友を見た。
「薔薇をね……うんと飾った華やかなケーキは……どう?」
ベルサイユ、といえば――というのはさておき。荘厳華麗な宮殿の装いには、薔薇の花がよく似合う。提案にふ、と口許を綻ばせ、千景は応じた。
「いいと思うぞ。やってみよう」
焼き上げたスポンジを生クリームでコーティングし、薄くスライスした苺で赤薔薇を、絞り器に入れたホイップクリームで白い薔薇を咲かせていく。
「花びらの形作りは任せてくれ。心得はある……魅せ方のコツもな?」
「う……うん。わたしも……やってみる……」
大切なのは、力まないこと。丁寧に、けれども慎重になりすぎず、大胆に絞ること。ルリラが千景の指導を請う形で、二人はケーキのデコレーションを仕上げていく。ようやく形になったところで絞り器を手放すと、小さな吐息が重なった。
さてと食紅の容器を手に取って、千景は微笑む。
「最後に、青薔薇も咲かせよう。彼女の――王妃の眸は、奇跡の色だから」
「うん……とっても、素敵だとおもう」
青薔薇の花言葉は、『夢が叶う』。
彼女が何かを望むなら、叶えて欲しい――それが何かは分からないけれど、そうであって欲しいと二人は想う。
気分がよいことの表れか、ぱたぱたと無意識に背中の翼をはためかせながらルリラは言った。
「マリーさまが、これからどんな時間を歩んでいくのか……分からない、けど。このパーティーが……支えになれば、いいね……?」
「ああ、そうだな」
いつもより少し生き生きとした少女の表情を見つめて、千景は柔らかに微笑んだ。地球は未だ壊れたまま、彼女に誕生日ケーキの幸せを教えてくれた両親にも、逢えないままでいるけれど――。
「私が教えてもらった喜びを、別の誰かに伝えることはできる。……他の誰でもなく、私がそう信じていたいんだ」
甘いケーキに込めた想いが、薄幸の王妃に伝わりますように。飾る一輪の青薔薇は、宝石のように輝いている。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【光学迷彩】LV1が発生! 【強運の加護】LV1が発生! 効果2 【ダブル】がLV2になった! 【リザレクション】LV1が発生!
①マリー王妃の誕生日の準備をしよう
甘花・蜜充
【秋色葡萄】
ベルサイユ宮殿に登城するならば相応の秋色の装いが必要ね。
ふふ、まつゆ、緊張しすぎよ。
もちろんみつみだって緊張はしているけれど、なによりマリー王妃に喜んでいただきたいもの。
気合は十分だわ。
マリー王妃が好んで召し上がったお菓子のひとつとして伝わっている焼きメレンゲを作るわ。
卵白をしっかり固く泡だてたら、薔薇の形と貝の形に絞り出してオーブンで焼くわ。
冷めるのを待つ間にクリームも泡立てて一緒に提供できるようにするわね。
焼き上がった焼きメレンゲの貝の形の方にはアラザンを飾って
薔薇の方と一緒にコーキが用意してくれたお皿にのせて……
さぁ、コーキ、こっちにも仕上げをお願いね。
①マリー王妃の誕生日の準備をしよう
葉切・松露
【秋色葡萄】
偉い人に料理作るなんて、めちゃくちゃ緊張するですよ〜。みつみちゃん、なんでそんなピシッとしてるですか……?うう……。
でも厨房に立てばそんな居心地の悪さは消え去って。
王妃様って、家族と離れて嫁いできたんですよね。
…うん、寒くなってきたし、あれにしよう。
旬のポロ葱とじゃがいもを、バターでじっくり炒める。紘希、焦げないように混ぜててくれますか?
丁寧に濾して…。おっとっと。あ、紘希ありがとう!
とろとろになるまで煮込む。火を止めたら牛乳を入れて、味付けは塩だけで充分!
栄養満点の、ポロ葱のポタージュです!
こっちは完成!
紘希が用意してくれたお皿に入れれば、ご馳走に見えますよね!
(アレンジ◎)
①マリー王妃の誕生日の準備をしよう
不知火・紘希
【秋色葡萄】
王妃さまのお誕生日、おめでたいね!
マリー王妃さまが幸せになるために僕ができることはあるかな?
ん、失礼のないようにしなくちゃ。
作業するし、あとでパーティー用にお着替えしよっか。秋色似合ってたよ、まーくん。
収穫の秋かぁ。
よし、僕はまーくんとみつみちゃんのお料理を引き立てることを頑張ろう
銀食器やテーブルセットにバラや矢車菊と葡萄の蔦を組みあわせて、王妃さまの好きそうなデザインを、その場でアートをフル活用して描くよ
お料理を目でも楽しめるようとびきりステキに!
それができたら料理のお手伝いをするよ
お野菜を混ぜたり、盛り付けをしたり…
お皿やお料理に込めた僕らの願い。
ステキな誕生日になりますように
「偉い人に料理作るなんて、めちゃくちゃ緊張するですよ~……」
調理台の前で木べらを両手に握り締め、葉切・松露(ハキリアリのきのこ農家・g03996)は震えていた。その隣では、秋めくチョコレート色のワンピースにエプロンをつけた甘花・蜜充(ドリームキャンディ・g05453)が、てきぱきと調理の下準備を整えている。
「みつみちゃん、なんでそんなピシッとしてるですか……?」
「ふふ、まつゆは緊張しすぎよ。もちろんみつみだって緊張はしているけれど、それよりなによりマリー王妃に喜んでいただきたいもの」
気合は十分、ふわりと膨らむ袖で小さなガッツポーズを作り、蜜充は笑う。緊張しいの松露としては、その心の強さが今は頼もしく、そして少し羨ましい。
ようしと袖を捲って自身もエプロンを身に着け、不知火・紘希(幸福のリアライズペインター・g04512)は意気込んだ。
「失礼のないようにしなくちゃね。年に一度の誕生日だもん、マリー王妃さまのために僕達にできることを頑張ろうよ」
「うう……前向き……」
眩しそうにキュッと目を瞑って、松露は調理台に向き直る。野菜を洗おうと汲み置きの水を手に取って、ふと――そこに映り込む自分の顔に、今は遠い家族の面影を見たような気がした。
「……王妃様って、家族と離れて嫁いできたんですよね」
オーストリアはウィーンに生まれ、わずか十四歳にして結婚。フランスへと嫁ぎ、そして革命の炎に巻かれて、三十七の若さで散った。それが、史実が語る彼女の生涯だ。今、この宮殿で細々と日々を紡ぐ彼女の――本来、もうここにはいないはずの彼女の道行きが、この先どうなるのかは分からないけれど。
気付けば緊張も、手の震えも、居心地の悪さも消えていた。
「……うん。ここのところ寒くなってきたし、あれにしよう」
火を入れたかまどに浅い鍋を置き、旬のポロ葱とじゃがいもをバターでじっくりと炒めていく。
「紘希、焦げないように混ぜててくれますか?」
「うん! 手伝うよ」
繊維が残らないよう丁寧に濾して、とろとろになるまで煮込んだら、牛乳を加え、塩で味を調える。これで、味も栄養も満点のポロネギポタージュのでき上がりだ。
「こっちは完成だよ! みつみちゃんはどうですか?」
「ばっちり。そろそろ焼き上がると思うわ」
蜜充が作っていたのは、マリー王妃が好んだとされている焼きメレンゲだ。固く泡立てた卵白を絞り出して焼いただけのシンプルな菓子だが、薔薇の花と貝の形に整えたメレンゲにホイップクリームを添え、星光にも似たアラザンを飾れば、見た目にも華やかな一品になる。
「さぁ、コーキ、こっちにも仕上げをお願いね」
「OK、まかせて!」
ここまで手伝いに徹していた紘希だが、彼の本当の役目は二人の料理を引き立てること。満面の笑顔で差し出したテーブルセットに描かれた葡萄の蔦と青いヤグルマギクは、彼が絵付けしたものだ。一人一人の用意する料理はささやかなものかもしれないが、この器に盛り付ければ目で見ても楽しめる一品になるに違いない。
ふふ、と笑み零した松露の表情は、もうすっかり和らいでいた。
「このお皿に入れたら、なんでもご馳走に見えますね!」
「あら、実際ご馳走よ?」
冗談めかして一笑し、蜜充は重ねた食器とでき上がった料理を給仕のワゴンに載せていく。さあ――そろそろ、時間だ。
忘れ物はないねと互いに確認し合い、三人はワゴンを押して調理場を出る。他の復讐者達がやってきたのだろう、遠くざわめき始める微かな声を聴きながら、紘希はふわりと笑みを浮かべた。
(「今日のこの日が王妃にとって、忘れられない一日になりますように」)
そしてどうかそんな想いが、彼女の心を温めてくれますように。
迎える王妃の姿を脳裏に思い描きながら、復讐者達は足早に『鏡の間』へと向かうのであった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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●L'Anniversaire
『鏡の間』。
広大な庭園に面した全長約75メートルにもわたるバロック様式の広間は、『鏡の回廊』とも呼ばれる、ベルサイユ宮殿を象徴する部屋である。部屋の片側には庭園を望む大窓が、反対側の壁には何百枚という鏡が並び、射し込む秋の柔らかな陽光は天井から吊り下げられたシャンデリアと無数の鏡に反射して、広間全体を千々に煌めかせている。
そこへ――栗色のビロードに金の刺繍を縫い取ったドレスを身にまとった女が一人。そろそろと確かめるような足取りで、板張りの床を踏んでくる。
「まあ……」
白磁の頬をにわかに染めて、王妃マリー・アントワネットは青く大きな瞳を瞠った。
壁を飾る秋色のガーランドに、白いクロスの眩しいダイニングテーブル。葡萄の蔓を描いた食器と、今が旬の食材をふんだんに取り入れた料理。そして彼女の好きな甘い菓子と――三色の薔薇を咲かせた、大きなケーキ。
それらを前にしてなんと言えばよいものか、言葉は見つからないままに王妃は復讐者達を振り返る。彼らは皆一様に、秋を思わせる彩りの衣服に身を包み、穏やかな表情を浮かべていた。
「マリー王妃、お誕生日おめでとうございます!」
朗々と告げる誰かの声が、祝宴の幕を開ける。美しい王妃はまさに花の綻ぶような笑顔で、ありがとうございますと一礼した。
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
トロワ・パルティシオン
ベージュ色なブレザーの学生服に、南瓜をイメージしたオレンジ色のネクタイをしっかりと締めて出席だ。
王女・王子と一緒に王妃様の下に向かって、二人からのプレゼントに移ろう。
「陛下、本日はおめでとうございます。僕らからは御覧の通りですが……実はですね」
(※王族には敬語)
会話が途切れるようなら助け船を出すけど、基本的には家族の団欒を微笑ましく見守ろうか。
そしてその様子に僕自身、失われた家族との再会を改めて心に誓うよ。
「(やっぱり家族はいいものだね、羨ましいな)」
「(僕もいつか必ず……待っててね、アン姉、ドゥ姉)」
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
アオイ・ダイアログ
葡萄をイメージしたカクテルドレスを纏って行きますよ🎵
やっはろーマリーさん🎵
誕生日おめでとうございます🎵
マリーさんが段々元気になってきてて私も嬉しいです🎵
快気祝いもしちゃいますか?
毎日悪夢を見るようじゃあまり眠れなかったですよね
取り除けたようでよかったですよ
それにしても……マリーさんは真面目ですよね
いずれパリの人達の導にならないとだなんて
一市民な私にはちょっと眩しいです
……いずれ、この隠れ潜む生活が終わったとしても
また共にありたいと私は思います
もちろんテレーズさんやシャルルくんもです🎵
そんな先があってもいいと思うんです
まぁでもまずは、このパーティーを楽しみましょう🎵
●宴席にて
「やっはろーマリーさん♪ お誕生日おめでとうございます♪」
葡萄色のカクテルドレスに羽織ったショールをひらひらとさせて、アオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)は鏡の間へと駆け込んだ。蒼いサイドテールをぴょこぴょこと揺らして王妃の御前に滑り込むと、少女は満面の笑顔で話し掛ける。
「マリーさんが段々元気になってきて私も嬉しいです♪ 毎日悪夢を見てたんじゃ、あまり眠れなかったですよね」
「ありがとうございます。皆さんには、本当にご心配をお掛けしてしまい……」
「いいんですよ! マリーさんの心配事が取り除けたならそれでオッケーです。今日は快気祝いもしちゃいましょう♪」
親指と人差し指で環をつくり、アオイはチャーミングに片目を瞑る。王妃は控えめに微笑んだが、その表情は落ち着いて、少なくとも今の彼女は安寧の中にあるようだ。
(「それにしてもマリーさん、真面目ですよねえ」)
いずれはパリの人々の導に、などとは、為政者とてなかなか言えることではない。小市民の立場からすると眩しいくらいだが――そんな王妃マリー・アントワネットだからこそ、これからも共に在りたいと思うことができる。
「この隠れ潜む生活が終わったとしても、一緒にいられたらいいですね。もちろん、テレーズさんやシャルルくんもです♪」
他の復讐者達と何やら話し込んでいる王女と王子をちらりと見て、アオイは言った。壊れた世界を元に戻そうともがきながら、なかったはずの未来を望むことを、矛盾だと言う人もあるかもしれないが――それでも、そんな未来があってもいいのではないかと、アオイは想ってしまうのだ。
「まぁでも、まずは、このパーティーを楽しみましょう♪ この話はまた後でゆっくり、ね!」
さあさあと背を押す少女に促されて、王妃マリーは柔らかく笑み、料理の並んだテーブルに着席した。
そこへ静々と、トロワ・パルティシオン(迷子のコッペリア・g02982)が歩み寄る。ベージュ色のシックなブレザーに鮮やかな彩を添えるパンプキンカラーのネクタイを軽く整えて、娘は恭しく一礼した。
「陛下、本日はおめでとうございます。お楽しみいただけていますでしょうか」
「ええ、とても」
ありがとうございますと頭を下げて、マリー・アントワネットは微笑む。煌びやかな鏡の間に設けられた宴席は、復讐者達の思いやりと秋の温もりに溢れている。王妃の穏やかな様子に釣られるように口許を和らげて、トロワは言った。
「僕らからは、御覧の通りですが……実はですね」
少しだけ勿体をつけて言うと、王妃はきょとんとして蒼い瞳を瞬かせる。すいと差し伸べたブレザーの腕の先には、それぞれ秋の彩に着飾ったテレーズ王女とシャルル王子が、いくらか畏まった様子で並んでいる。二人は膝の上に揃えた手に、何やら小さな紙切れのようなものを携えていた。
「テレーズ王女とシャルル王子より、陛下に贈り物がおありだそうです。……殿下」
どうぞと先を促して腰を折り、トロワはスマートに身を引いた。空いたスペースにおずおずと踏み出して、王子と王女はやや緊張気味に口を開く。
「あの、お母様」
「お誕生日、おめでとうございます」
どこか落ち着かない様子で差し出したのは、事前にトロワが渡しておいたメッセージカード。秋の果物が描かれた紙面には、Bon anniversaire――お誕生日おめでとう――の文字が躍っている。見る間に頬を紅潮させて、王妃は二人の子女を見た。
「……あなた達が、これを?」
「はい。トロワ様に勧めていただいて……」
受け取っていただけますかと尋ねる王女のはにかむような横顔を見つめ、トロワは思わず頬を緩める。会話が途切れるようであれば助け船を出そうと控えて居たが、この様子ならその心配もないだろうか。
(「(やっぱり家族はいいものだね――羨ましいな)」)
胸に去来するのは、今はここにない姉達の面影。
その姿を目の前の家族に重ねると、少しだけ、胸を締め付けられるような想いがする。
(「いつか必ず、逢いにいくから……待っていてね」)
諦めなければきっといつか、その想いが実を結ぶ日はやってくる。そう信じて、トロワは穏やかに瞳を伏せた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
犬神・百合
千草ちゃん(g03137)と
秋桜の刺繍をあしらった
ボルドー色のアフタヌーンドレスでお誕生会へ
ふふ、大丈夫とっても素敵よ
そうだ、良かったら少し香水つける?
金木犀が柔らかに香るの、香りも装いの一つよ
エスコートしてもらいながら微笑んで会場へ
マリー王妃、お誕生日おめでとうございます
夏のお茶会の時よりもお元気そうで安心しました
ええ、とても良き日々を良き一年であります様に
テレーズ様とシャルル様もお元気そうで良かったわ
彼の言葉に小さく笑いが漏れて
でもそれは素敵な事と思うから
マリー様は何が食べたいかしら?
皆でお菓子のテーブルを回りましょ
ねえ、マリー様
こんな風に過ごしたくなったら
いつでもわたくし達を呼んでね?
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
雪定・千草
百合さん(g05341)と
ブリティッシュスタイルのスーツを着てお誕生日会へ
色は秋らしいブラウン系
ネクタイには秋桜の刺繍
髪をしっかり一つ結び
こんなしっかりした格好、久々かも
変な所はないでしょうか?
金木犀の香り、大好きですと香水もお借りします
緊張しますが、優しく手を引いてエスコートはしっかりと
お誕生日おめでとうございます、マリー王妃
あなたにとって良い年になりますように
…俺も甘いもの、大好きなんです
今日はいっぱい食べましょうね
とこっそり言います
場所、服装、どれも普段は味わえない雰囲気
楽しいですね
あと、此処で百合さんのドレス姿見れたのが嬉しいです
目に焼き付けます
見惚れて転ばないように、気を付けないと
ベルサイユ宮殿、回廊――。
「こんなしっかりした格好、久々かも……」
少なからず緊張した様子でネクタイを直し、雪定・千草(霞籠・g03137)は呟くように口を開いた。秋めくブラウンのスーツはかっちりとしたブリティッシュ・スタイルで、コスモスの刺繍を施したネクタイがよく似合う。背中に届こうかという白い髪を首の後ろできちんと一つ結びにして、少年は不安そうに傍らの少女を振り返る。
「変な所はないでしょうか?」
「ふふ、大丈夫。とっても素敵よ」
なんとも所在なさげな少年はまるで大きな仔犬のように見えて、犬神・百合(ラストダンス・g05341)はころころと微笑った。こうした社交の場には慣れているものか、彼女の方が随分と落ち着いているように見える。そうだ、と思い立ってドレスと同じボルドー色のバッグの中から小瓶を取り出して、百合は言った。
「良かったら少し香水つける? 香りも装いの一つよ」
「あ……そうですね。それじゃあ、お借りします」
蓋を外してワンプッシュ、スーツの肘裏へ吹きかけると、金木犀の甘い香りが柔らかく香り立つ。大好きな匂いにほんの少し、張り詰めていた気持ちが弛んで、千草はようやく少し口許を和らげた。緊張はまだ完全に解けたわけではないが、これなら少なくとも、何もない所で足を滑らせることもあるまい。スーツの襟をしっかりと正して、少年は色の白い手を伸べた。
「お手をどうぞ」
「あら、ありがとう」
レディをエスコートするのは、紳士の務め。同じ花の咲くアフタヌーンドレスの手を取ってゆったりと歩いていけば、鏡の間に集まった人々の賑やかな声が聞こえてくる。パーティーは既に始まっているようだ。
既に多くの人々に囲まれた主賓の元へ歩み寄り、二人は丁重に一礼した。
「お誕生日おめでとうございます、マリー王妃」
「夏のお茶会の時よりもお元気そうで安心しました」
口々に言葉を重ねると、白百合の王妃はにこやかに笑み、頭を垂れて応じた。
「皆さんにもよく言われます。こうして今日を迎えられたのも、皆さんのお蔭ですわ」
「次の一年がまた、あなたにとって良い年になりますように。……実は俺も、甘いもの大好きなんです」
今日はいっぱい食べましょうね、と、千草が囁くと、王妃は少しだけ気恥ずかしそうに頬を染め、そうですね、と笑った。まるで少女のような表情が微笑ましくて、百合は釣られるように笑いながら傍らに控えた王妃の子女へも頭を下げ、そして言った。
「テレーズ様とシャルル様もお元気そうで良かったわ。ねえ、マリー様――こんな風に過ごしたくなったら、いつでもわたくし達を呼んでね?」
「……はい。ありがとうございます」
皆でお菓子のテーブルを回りましょう、と提案すると、ぜひと応じて王妃は席を立つ。楽しそうに連れ立ってゆく二人の背を眺めて千草はようやく本当に肩の力が抜けていくのを感じていた。
絢爛豪華な鏡の間といい、かしこまった装いといい、目に映るものは何もかも普段と違うけれど――ここは温かくて、そして楽しい。
(「見惚れて転ばないように気をつけないと」)
千草ちゃん、と呼ぶ声に応じて、少年は足早に歩き出した。向かう先の長机には、秋の味覚を取り入れた料理がずらりと並んでいる。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【士気高揚】LV1が発生! 【アイテムポケット】がLV2になった! 効果2 【ダメージアップ】LV2が発生!
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
紫空・千景
【甘唄】
ルリラとパーティに参加しながらマリーを見守ろう
皆が各々考えた彼女への祝い
どれもが伝われば良い
どれもが彼女の笑顔を咲かせてくれたならと
綻ぶ様子が見れたならルリラと視線を合わせ
私達も安堵の花咲く様に綻ぶんだろう
悪夢が融けたなら大丈夫だろうさ
質の良い眠りと
心地好い目覚めが、屹度
一番気になるのは共に作った薔薇のケーキ
赤と白の彩はお気にめしたか
青の意は気づいて貰えたろうか
見守るに留めながら
噫、有るよ
毎年、父がケーキを作ってくれて
父の誕生日は母と一緒にケーキを作った
喜んでくれたらハイタッチしてたな
ふっ、私達もするか?ハイタッチ
小気味好い音を響かせて
ルリラにケーキの思い出は?
…ん、なら此れから作ろう
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
ルリラ・ラプソディア
【甘唄】
千景さんとマリーさまを見守る
皆からの祝いマリーさまはいっぱいに笑顔
花綻ぶ笑顔に姿にほっとした
悪夢のない毎日
マリーさまは楽しい時間を紡いでいける、かな?
生まれた日は…大事な日
マリーさまが穏やかにすごしている姿にその幸いを祈り続けたいと思う
薔薇ケーキ…どうだったかな?
2人で考えた薔薇の贈り物
隠れた言葉気づいてもらえたらいいな、なんて…
千景さんも、家族とこんなふうにお祝いをしたこと、ある?
ハイタッチ…ふふ、仲よしさん
!…うん
したい、な…わたしも、ハイタッチ
わたし?――うん
まだ…これから…
だから、一緒に…作ってほしいの
自身には縁なき家族の絆
羨ましい反面
此れからと紡ぐ言葉に嬉し気に花唇は綻んだ
温かいスープにクグロフ、メレンゲに、大きな大きなバースデーケーキ。
広大な庭園に面した窓を背に、紫空・千景(暁の切り札・g01765)とルリラ・ラプソディア(Ⅻの子守歌・g00784)は色とりどりの料理と菓子が並ぶテーブルを眺めていた。一つ一つの料理を覗き込んでは頬を緩める王妃マリーの笑顔は大輪の花の綻ぶさまにも似て、ルリラはほっと胸を撫で下ろした。
「よかった。マリーさま……喜んでくれたみたい……」
「ああ、皆が各々考えた彼女への祝いだ。どれもちゃんと伝わればいいな」
同じく安堵の表情を浮かべて、千景は応じる。あんな風に笑ってもらえるのなら、手間暇惜しまず調理に臨んだ甲斐もあったというものだ。あの分なら、悪夢を見なくなったというのも強がりではないのだろう。生辰という一つの節目を迎えた彼女がこれからどうなってゆくのか――想い馳せれば、ルリラの秋桜色の瞳はわずかに複雑な彩を宿す。
「これから、マリーさまは……楽しい時間を紡いでいける、かな?」
「悪夢が融けたなら大丈夫だろうさ。……少なくとも今は」
質のいい眠りと心地よい目覚めが、繰り返し訪れる平穏な日々。それがいつまで続くのかは――今はまだ、誰にも何も言えないけれど。
「そう……ね。そうだと……いいな……」
庭園に移ろう季節に目を細めたり、奏でる音楽に耳を傾けてみたり。
そんな穏やかでささやかな幸いを、祈り続けたい。
視線を戻してみれば、王妃は青薔薇の咲いたバースデーケーキのひと切れを受け取って、嬉しそうに微笑む姿が見えた。ふ、と唇を和らげて、千景は明け色の瞳を細める。
(「赤と白の彩はお気に召したかな」)
薔薇園のケーキは、二人からの贈り物だ。一輪の青に込めたメッセージを、果たして彼女がどう受け取ったかは分からないけれど、きっと気付いてくれるだろう――何しろここは鏡の間。咲き誇る青薔薇は、彼女の瞳と同じ色をしているのだから。
ケーキを食べる王妃の姿をにこにこと見守りながら、ルリラは傍らの友を覗き込んだ。
「千景さんも、家族とこんなふうにお祝いをしたこと、ある?」
「ああ、あるよ。毎年、父がケーキを作ってくれて……父の誕生日は、母と私が一緒にケーキを作った。それで父が喜んでくれたら、ハイタッチしてたな」
「ハイタッチ? ふふ、仲良しさん」
仲睦まじい家族の姿は、想像するだけで微笑ましい。ルリラは、と聞き返されてぐるりと視線を巡らせると、天使の少女は少し考えてから、応じた。
「わたしは……うん。まだ、これから」
自分には縁のなかった、家族の絆。羨ましい、と思わないわけではないけれど――何も家族であることだけが、絆の形とは限らない。
「だから、一緒に……作ってほしいの」
例えば、そう――こんな風に。
すいと右掌を顔の前に掲げると、悪戯っ子のような笑顔が返る。ぱん、と小気味よい音を響かせ合わせた手の温もりは、これからの二人にとって忘れられないものになるだろう。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【士気高揚】がLV2になった! 【強運の加護】がLV2になった! 効果2 【能力値アップ】がLV2になった! 【リザレクション】がLV3(最大)になった!
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
甘花・蜜充
【秋色葡萄】
お揃いの葡萄ブローチを身につけ、フォーマルなドレスを纏って会場へ。
いざパーティーが始まるとなると、少し緊張するわね。
みつみたちの作ったお菓子やお料理はマリー王妃のお口に合うかしら。
召し上がって、おいしいと笑っていただけるといいのだけれど……。
もちろん、コーキのデザインは素敵だもの。問題ないはずよ。
まつゆとコーキと一緒にお料理やお菓子を食べながら
どうしても視線はマリー王妃とお菓子に……。
えっ、あ……そうよ。卵白とお砂糖で作るの。
しっかり泡立てればこんな風に絞り出しで形も作れるのよ。
もしお声がかかったなら、礼を尽くしてご挨拶を申し上げます。
お誕生日おめでとうございます、マリー王妃様。
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
葉切・松露
【秋色葡萄】
普段よりずっと綺麗な服に、キラキラ輝く宮殿。お揃いの葡萄のブローチを落ち着きなく弄って。
うぅ……緊張でガクガクしてきたです……!
紘希、ちょっと肩掴んでてもいいですか……?
料理を食べてる間はちょっと落ち着けるですよ。
みつみちゃん、これすっごく美味しいですね!何で出来てるんですか?卵白?おぉ……!
大丈夫、紘希のお皿もみつみちゃんのお菓子もとっても素敵です!!おれが保証するですよ!
もし声をかけて貰ったら挨拶に行くですけど……田舎者ですからみつみちゃんの後ろでちっさくなっておくですよ……。
お、おめでとうございます……!
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
不知火・紘希
【秋色葡萄】
シャツにチョコレート色のベスト、フォーマルな服装で
僕のお手製、葡萄のブローチは3人共通でつけるね
いよいよパーティー。
ステキな鏡の間に目を輝かせるけど、
みぃちゃんの緊張が伝わって、僕もドキドキ。
まーくんの肩を擦りながらちょっぴり不安
僕の描いたデザインは大丈夫かな?失礼ないかな?
えへへ、みぃちゃん、ありがとね。
お料理とお菓子もとっても心が籠ってるから大丈夫。
それにお祝いの席だもん。楽しまなきゃ。
2人とお料理や雰囲気を堪能するよ
でもやっぱりそわそわする様子には、思わず微笑んじゃう
王妃さまに声をかけてもらったら、きちんとご挨拶。
お誕生日おめでとうございます!どうかステキな日々を。
「うぅ……緊張でガクガクしてきたです……!」
右は秋に色づく広大な庭園にして、左は絢爛豪華な鏡の壁。頭上には、いくらするのか想像もつかない煌びやかなシャンデリア。心配になるくらいがたついている葉切・松露(ハキリアリのきのこ農家・g03996)の隣で、不知火・紘希(幸福のリアライズペインター・g04512)は円く大きな瞳を輝かせる。
「すごい、ステキな部屋だね! これが鏡の間かあ……」
「すてきですけど、キラキラしすぎですよ……!」
山奥のしがない椎茸農家に生れ育った身としては――故郷は好きだが、それはそれ、これはこれ――目に映る世界は少々眩し過ぎて、松露の声は震えた。今日のために準備した服は普段よりずっと綺麗だが、これもまた着られているようで落ち着かない。
そんな少年を一瞥して、甘花・蜜充(ドリームキャンディ・g05453)はフォーマルドレスの肩を竦める。
「まつゆちゃんは緊張し過ぎ。……まあ、でも、ちょっとは分かるけど……」
秋色の菓子や料理がずらりと並んだ長机の向こう側には、にこにこと料理を眺める王妃マリーの姿があった。その一挙一動を見つめてこくりと息を呑み、蜜充は続ける。
「みつみたちのお菓子やお料理も、マリー王妃のお口に合うかしら。……おいしいと、笑っていただけるといいのだけれど……」
準備よく手際よく、仕上げも完璧。完璧――のはずだけれど、朝早くから調理に準備に奔走した身として緊張は禁じ得ないものだ。ちょっと掴まってていいですか、と言いながら両手でがっちり掴んでくる松露の肩を擦り、紘希は苦笑混じりに言った。
「みぃちゃんが緊張してると、なんだか僕までドキドキしてきちゃうな。僕の描いたデザインは大丈夫かな? ……失礼ないかな?」
「もちろん、コーキのデザインは素敵だもの。問題ないはずよ」
「えへへ、ありがとね。……大丈夫だといいなぁ」
軽く整えたチョコレート色のベストの胸には、三人でお揃いの葡萄のブローチが輝いている。これも、今日のために紘希が用意したお手製だ。同じ意匠の絵付けを施した食器が、心の籠った料理ともども気に入ってもらえたらいいのだが。
「えっと……とりあえず、食べよっか?」
じっと見つめてばかりいても仕方ないし、何より今日は祝いの席。参加する側も楽しまなくては、失礼にあたるというものだ。カチコチになった松露の背中をぽんと叩いて、紘希は焼きメレンゲの小皿を取り上げる。はああと魂の抜けるような溜息を吐いて、松露は小皿を受け取った。
「食べましょう……食べてる間はちょっと落ち着けるです……うん?」
アラザンの光るメレンゲを口へ運べば、さくりと軽い歯触りの後、舌の上でほどけていくような食感。香ばしい匂いと、控えめな優しい甘さ。ぱあ、と一瞬で表情を輝かせ、松露は蜜充を振り返る。
「みつみちゃん、これすっごく美味しいですね! 何でできてるんですか?」
「えっ!? あっ、卵白とお砂糖だけど……しっかり泡立てればこんな風に絞り出しで形も……」
「卵白とお砂糖だけでこんなに美味しいですか? おぉ……!」
突然の勢いに気圧された様子の蜜充に、応じるのもそこそこにして松露はメレンゲに舌鼓を打つ。その様子に少し、張り詰めていた気持ちは解れたものの――。
「やっぱり気になる?」
問う紘希の声にカラフルなツインテールをぴゃっと跳ね上げて、蜜充は気恥ずかしそうに目元を染めた。並ぶ料理はどれもこれも美味しいけれど、気付けば視線はどうしても、王妃の動向を探ってしまう。
大丈夫ですよ、といつの間にやらすっかりリラックスした調子で、松露は満面の笑顔で言った。
「紘希のお皿もみつみちゃんのお菓子もとっても素敵です! おれが保証するですよ!!」
「だといいのだけど……」
そうまで自信たっぷりに言われたら、謙遜する気も起こらない。緊張を忘れてしばし和気藹々と食事を楽しんでいると――不意に、何かが背に触れた。ごめんなさい、と降る声に驚いて振り返り、蜜充は見る間に頬を紅潮させる。
「あ――マリー王妃様……!」
「王妃様!?」
すっかり油断しきっていたらしい松露は再びがちがちに硬直して、友人の背で立ち尽くす。その様子に思わず噴き出しそうになりつつも、紘希は姿勢を正して美しい王妃に向き直った。
「お誕生日おめでとうございます! どうかこれからも、ステキな日々をお過ごしください」
広大で、そしてとても小さなベルサイユ。箱庭の日々がいつまで続くのか、続けられるのかは分からないけれど――ここに暮らす彼女達の毎日が、せめて楽しく心豊かなものであればいい。願いを込めて一礼すると、王妃は慈しむように微笑んだ。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【口福の伝道者】がLV4になった! 【完全視界】LV1が発生! 【光学迷彩】がLV2になった! 効果2 【ガードアップ】がLV5になった! 【ダメージアップ】がLV3になった! 【アヴォイド】LV1が発生!
②マリー王妃達と話をしよう
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
葡萄色のポケットチーフを左胸に挿し
手土産に葡萄や栗などの秋の彩りと風味を閉じ込めたマカロンボックスを携えて
テレーズ王女、シャルル王子、両殿下の許へ伺いましょう
8月の催し以来、如何お過ごしでしょうか
以前の会の折はどこか茫洋としておられて
何か理由があるのだろうかと気にかかっておりました
母君である王妃陛下の不調が原因であったなら、お二人の心も此処に戻っておられたら良いのですが…
甘い菓子と、香りの良いお茶で肩の力を抜いて頂き
日々の暮らしや、楽しみな事などについて話を聞きます
もし8月の様子の原因についても語って下さるなら黙して聞き
語らぬ場合は深追いせず
笑顔が花開く様、音楽でも奏でましょう
②マリー王妃達と話をしよう
冰室・冷桜
ドレスとアクセはリンゴをイメージした赤系統でまとめていきましょーっと
はぁい、この前は準備のお手伝いありがとね。助かっちゃったし、楽しかったわ
王子様と王女様の下へと準備の時のことを口にしながら話しかけましょう
なーんか8月の時はちょっと様子が変だった気がするけど、今はどうかしらね
準備の時はそこまで気にならんかったけど……と様子を気にしつつ
あー、えー……さ、最近のご調子はどうよ。こー、困りごととか不安なこととかはない?
慣れないなりに話しかけてー、ま、問題なさそうならそのまま歓談でもしましょうか
メッセージカードも後で渡すんでしょうし、緊張はほぐしとかないとね
「失礼します。少々、ご挨拶させていただいても宜しいでしょうか?」
革靴の踵をこつこつと鳴らしてテーブルサイドに歩み寄り、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は深々と一礼した。その一歩後ろには、林檎を思わせる紅いドレスに身を包んだ冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)の姿も見える。訪う小さなティーテーブルには、マリー・アントワネットの子女が二人――テレーズ王女とシャルル王子が向かい合って座っている。
どうも、と片手を挙げて、冷桜は言った。
「昨日は準備のお手伝いありがとね。助かっちゃったし、楽しかったわ」
「いえ、こちらこそ」
ありがとうございましたと頭を下げるテレーズ王女の隣で、それよりいくらかあどけなく、シャルル王子が『面白かったよ』と笑顔を見せる。母である王妃にメッセージカードを手渡すという、ささやかな『大役』を終えて、二人の表情はどこかほっとしているようにも見えた。
「八月の催し以来、如何お過ごしでしたでしょうか」
手土産の菓子箱を『よろしければ』とテーブルの上に滑らせて、ソレイユは言った。
「以前の会の折はどこか茫洋としておられて、何か理由があるのだろうかと気にかかっていたのですが……」
「…………」
ちらりと傍らの少年を見やり、冷桜は再び王女達に目を戻した。それについては、彼女も気にかけていたところだ。しかし年若い王女と王子はきょとんとして顔を見合わせると、意外そうに首を傾げた。
「あら……そうでしたか?」
「そうだったかな」
心配をおかけしたならごめんなさいと言い置いて、王女と王子は口々に応じた。
「何もすることがありませんでしたし、毎日ぼうっと過ごすくらいしかなかったので……」
「お母様も、あんまりお部屋の外に出てこなかったしね」
「ああ、なるほど」
そういうことでしたか、と、内心拍子抜けした思いでソレイユは言った。母である王妃の不調が二人の子女にも影響を及ぼしていたのなら――と考えたのだが、聞く限り特別そういうわけではないらしい。もっとも、母親の情緒不安定が子に伝染すること自体は珍しくもなく、一般的な親子の間にも生じるレベルの影響はあったのかもしれないが。
「えー……さ、最近のご調子はどうよ。こう、困りごととか、不安なこととかはない?」
「ありませんわ。ここにはディアボロスの皆さんもいらっしゃるし」
不慣れなりに言葉を選びながら冷桜が尋ねると、ゆるりと首を横に振ってテレーズ王女は応える。シャルル王子は興味津々の様子で卓上の菓子箱をつつき、傍らに立つ少年の顔を覗き込んだ。
「ねえ、これ開けてもいい?」
「ええ、勿論。こちらでお開けしましょう」
尋ねる幼い王子の声に微笑みで返して、ソレイユは燕尾服の胸から葡萄色のポケットチーフを抜き取り、菓子箱に直接触れないように紙箱を開けた。中には栗に葡萄に芋、南瓜と、秋の彩のマカロンが行儀よく収まっている。
わあ、と歓声を上げる姿に安堵を覚えつつ、少年は二色の瞳を柔らかく細めた。
「よろしければ、お二人のことをお聞かせいただけませんか」
肩の力を抜いて、甘い菓子と香り高い紅茶を供にゆったりと。日々の暮らしのよしなしごとを語る子ども達の笑顔は、野に咲く花のような無垢を湛えている。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【勝利の凱歌】がLV4になった! 【友達催眠】がLV2になった! 効果2 【ガードアップ】がLV6になった! 【アクティベイト】がLV2になった!
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
朔・彗藍
【星砂】
金木犀の彩りを添えた
ワンピースドレスを纏って
王妃様へ御祝いと敬意を
……前に一緒した舞踏会のときも思いましたが
ケペシュは正装もよく似合います
そっと彼の腕を組み
宮殿でパーティ……緊張しますが
折角ですから楽しんじゃいましょう
秋を取り入れたお料理とお菓子……!
はっ……つい取り乱してしまい
そうですか……?って幸せそうに笑み浮かべ
早速目に付いたクグロフをぱくり
美味しい……!
故郷以外の料理食べるの好きなのです
味を覚えて、帰ったら作ってみたい
それが好きな相手ごと思い出すから
ケペシュが好きなものも、沢山識りたいです
味見も勿論!張り切っちゃいますね
葡萄ジュースを掲げて乾杯を
ワインも、数年後に必ず、ですよ
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
ケペシュ・ナージャ
【星砂】
ドレスコードに則って正装
秋めいた金木犀の彩りを差し色に
前髪も緩く上げて
王妃様に敬意を
有難うございます
…彗は黄色もよく似合いますね
腕を組むように促しエスコートを
俺たちの場合は色気より食い気かもしれません
秋の味覚を楽しんでいきましょうか
気にしないでください
幸せそうに食べている彗の顔が俺は好きですから
その気持ちは分かります
新宿島に流れ着いてから、エジプトでは見たことのない食べ物をたくさん知りました
俺にとっては知らない食べ物も他の誰かにとっては「故郷の味」なんですよね
作ったら俺にも味見をさせてください
彗の作ったものなら何でも食べます
葡萄ジュースで乾杯に応えて
いずれは一緒にワインを飲みましょうね
「ケペシュは、正装もよく似合いますね。舞踏会の時もそう思いましたが……」
「ありがとうございます。彗も、黄色がよく似合っています」
肩の触れそうな距離に並んで、朔・彗藍(ベガ・g00192)とケペシュ・ナージャ(砂蠍・g06831)は顔を見合わせ、どちらからとなく微笑んだ。絢爛豪華な鏡の間を行く二人は、深まる秋を思わせるブラウンに金木犀の彩を差した正装と、同じ花の色をメインに飾ったワンピースドレス。秋の粋を集めたような色彩に身を包んで、二人は立ち話に興じる王妃に恭しく一礼し、祝意を述べて往き過ぎる。さりげなく差し出された右肘を取って腕を組み、彗藍は少しほっとしたような笑みを浮かべた。
「せっかくの機会ですから。今日はいっぱい、楽しんじゃいましょう」
本音を言えば、宮殿でパーティーと聞いて少々緊張していたのだ。けれども彼がエスコートしてくれるのなら、そう心配する必要もあるまい。緩く上げた前髪を撫でつけて、ケペシュは言った。
「俺たちの場合は色気より食い気かもしれませんけどね。秋の味覚を楽しんでいきましょうか」
「は――秋の味覚……お料理とお菓子……!」
そうだった、と言わんばかりに、春菫の瞳がキラリと輝きを放つ。きょとんとして見つめる眼差しに知らず知らず前のめりになっていたことを悟り、彗藍ははっと我に返ると、恥ずかしそうに赤面した。
「す、すみません。すみません……! つい、取り乱してしまい……」
それもこれも、目の前に並んだ料理の数々が、どれもこれも堪らなく美味しそうだから。百面相を極める娘の姿にくすくすと微笑まし気な声を零して、ケペシュは応じた。
「気にしないでください。幸せそうに食べている彗の顔が俺は好きですから」
美味しい食事は、すべての幸福の源だ。早速、目についたクグロフをひと切れ取って口に含めば、華やかな洋梨の香と甘さが口いっぱいに広がって、彗藍は思わず頬を緩めた。
「私、知らない国の料理を食べるの、好きなのです」
「ああ、その気持ちは分かります」
同じく一口クグロフをかじって、青年は言った。遥か古代のエジプトから、時間も場所も飛び越えて流れ着いた新宿島――そこには食べたことも、見たことすらない食べ物が山ほどあった。そしてそのどれもが、誰かにとっては『故郷の味』なのだ。そう思うと、漫然と食べるだけとはまた違う味わいがあった。うんうんと肯いて、彗藍はしっかりと味わいながら残りのクグロフを飲み下す。
「味を覚えて、帰ったら作ってみたいですね。そうすると、それを好きな相手のことごと、思い出せるから」
「いいですね、作ったら俺にも味見をさせてください。彗の作ったものなら何でも食べますよ」
「はい! ケペシュが好きなものも、たくさん教えてくださいね」
任せてというように拳を握った少女の笑顔は、まるで綻ぶ花のよう。そうだ、とテーブルを指差して、ケペシュは言った。
「よかったら、一杯どうですか?」
「! 勿論!」
グラスを満たすワインレッドは、今はまだただの葡萄ジュースだけれど――数年後には、もう一度。いつかのその日に想いを馳せて、擦り合わせたグラスの奏でる音は、ちりんと涼やかに澄み渡る。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【使い魔使役】LV1が発生! 【完全視界】がLV2になった! 効果2 【能力値アップ】がLV3になった! 【ダメージアップ】がLV4になった!
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
マティアス・シュトローマー
ラト(g00020)と
チョコレート色のスーツにイエローのシャツ。ネクタイは深いテラコッタ
今回もバッチリ決まってる!なんて頷いていたら軽く肩を叩かれ——やっぱり直されるネクタイ
…有難いんだけど、その
言ってくれたら自分で直すから
視線を逸らしながら思ってもない事をつい口にしてみる
ラトはその色が似合うし…綺麗だと思う
こっちは本心
マリー王妃が元気そうで良かったよ
ラトのパンプキンパイも喜んでもらえたし
ま、こんなに美味しければ当然だよなー
パイを食べながら何気なく鏡の方を見遣る
去年よりずっと縮まっている身長差に思わず出てしまったガッツポーズ
…えーと、庭園の方にも行ってみようよ
こほんと取り繕ってからそんな提案を
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
ラト・ラ
マティアス(g00097)と
オリーブグリーンのボートネック+Aラインのワンピースを纏い
ダークベージュのストールを手繰り寄せてから
いつも通りマティアスのタイを正す
……こうすればより完璧ね
自分でといわれてしまえば、瞬きを数度したあとに
もしかして反抗期…?と地味に衝撃が走る
そうね、
以前に比べて表情が穏やかになったというか
笑顔も増えた気がします
パンプキンパイは甘めの南瓜を選び
デザインは秋に色付くリーフをイメージして
…マティアスも気に入った?
傍の彼の眼差しは昔より近く、成長を感じる
嬉しいような寂しいような不思議な心地
彼の気持ちなんて今は露知らず
ええ、もちろん
行ってみましょう――誤魔化すように微笑んだ
「よーし、完璧! ばっちり決まって――うん?」
ちょんちょん、と肩に触れる手に気づいて、マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は瞳を瞬かせる。覗き込んだ手鏡の中をよく見てみると、肩越しにラト・ラ(*☽・g00020)の深緑の瞳が映り込んでいる。振り返ると、竜の娘は慣れた手つきでチョコレート色のスーツの肩を撫でつけ、シャツを飾ったテラコッタのネクタイを整える。
「……こうすればより完璧ね」
「………… ありがと」
きちんと決めたとつもりでも、いつもこうだ。自分の詰めが甘いのか、それとも彼女のチェックが厳しいのか――ばつが悪そうに蜜柑色の髪を掻いて、マティアスは複雑そうに視線を逸らした。
「ありがたいんだけど、その……言ってくれたら自分で直すから」
「…………?」
照れ臭さから飛び出した、心にもない言葉。一瞬、何を言われたか理解できずに首を傾げて瞬きし、そしてラトは戦慄した。
(「もしかして……反抗期
……!?」)
十六歳――まだまだ難しいお年頃。思い至った答えに地味な衝撃を受けて、娘は二の句を忘れ少年を見る。ただならぬ様子のラトを訝りつつ、マティアスはまじまじと目の前の娘を見つめて言った。
「ラトはその色が似合うし、……綺麗だと思う」
「え? あ……ありがとう」
素っ気なく接したかと思えば、突然の賛辞――戸惑うラトがオリーブグリーンの袖と深いベージュのショールを見比べるうちに、マティアスはふいと踵を返し、すたすたと歩いていってしまう。
(「反抗期……じゃ、ないのかしら
……?」)
男心というものは、どうしてなかなか難しい。
ますます首を捻りつつ、ラトは猫のような少年の後を追う。料理の並んだテーブルに手土産のパンプキンパイを並べていると、それにしてもとマティアスが言った。
「マリー王妃が元気そうで良かったよ」
「そうね。以前に比べて表情が穏やかになったというか……笑顔も増えたような気がするわ」
会場の反対側には、数人の復讐者達とテーブルを囲む王妃マリーの姿が覗いている。その横顔は随分と晴れ晴れして、八月の物憂げな様子が嘘のようだ。並べたパンプキンパイを早速一つ手に取ってかじり、視線は王妃に向けたままでマティアスは言った。
「ラトのこれも喜んでくれるかな。ま、美味しいんだから喜んでくれるよなー」
「あら。あなたも気に入った?」
甘めの南瓜を選び抜き、秋に色づく樹々の葉を模した形に仕上げた焼き目の香ばしいパンプキンパイ。何も特別な物ではないけれど、もし王妃が――目の前の彼が、ささやかな秋の味覚を楽しんでくれたのなら喜ばしい。何気なく視線を流せば、部屋の片側の壁を埋める鏡には正装の二人が並んで映り込んでいる。
「……よし」
「? どうかした?」
去年の今頃よりも随分と縮んだ身長差は、素直になり切れぬ少年の成長の証だ。前よりも近い眼差しが、一方では嬉しくもあれば寂しくもあり――視点の高さは近付いたのに、ままならないものだ。尋ねるラトの声に慌てて小さなガッツポーズを解き、なんでもないとマティアスは言った。そしてわざとらしい咳払いを一つして、スーツの腕を差し伸べる。
「それよりさ、庭園の方にも行ってみようよ」
「……ええ、もちろん」
気持ちのいい秋風と欧州の鮮やかな黄葉が、きっと二人を迎えてくれるはず。過ぎ往く季節への寂しさにも似た不思議な感傷を押し込めて、ラトは誤魔化すように微笑んだ。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【強運の加護】がLV3になった! 【隔離眼】LV1が発生! 効果2 【アヴォイド】がLV2になった! 【命中アップ】LV1が発生!
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
アンネローゼ・ディマンシュ
陛下に両殿下、誕生日パーティーはいかがです?
そう言ってブドウ色を主体としたドレスに身を包んでパーティーに参加
陛下にテレーズ殿下、シャルル殿下
これはわたくし達の拠点で広まっている最高級のアールグレイですわ
他にもぶどうジュースにオレンジジュース、リンゴジュース等を取りそろえておきましたわ
食べ物を食べたなら喉が渇いたでしょう
そう言ってグラスに飲み物を注ぎ、陛下達に献上しますわ
と、音楽家として演奏を披露しましょう
わたくしは音楽家のディアボロスですので
そう言ってヴァリウスを取り出し、ヴァイオリン演奏……
パルマ公国で演奏した曲を披露しますわね
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
葡萄色のポケットチーフを左胸に挿し
マリー王妃陛下へご挨拶に伺いましょう
本日より新たなる歳を歩み始められる陛下へ、心よりお慶び申し上げます
穏やかに健やかに、良き日々を過ごされますように
誕生日を楽しんでおられる様子であれば心から嬉しく
企画した甲斐もあったというもの
誕生日の贈り物というには気恥ずかしいですが
宜しければ、陛下のお好きな曲を演奏致します
夏のお茶会でも使ったクラブサンを弾き
楽しい曲も穏やかな曲も、場が盛り上がる様に様々な曲を演奏しましょう
王妃陛下も陛下なりに戦ってこられたのだろうと推察致します
今日という日は、大いに楽しんで癒やされて
また明日を生きる力に変えて下されば良いなと
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
エヴァ・フルトクヴィスト
お誕生日おめでとうございます。
今日この日、曇りなき笑顔で迎えられて本当に嬉しいです。
思えばあの処刑場から救い出してから一年。
ご苦労が沢山あったかと思いますが。
次なる一年はお子様方や、私達、
そしてフランスの皆さんと共に幸せな思い出を沢山作っていきましょう!
そして私からは魔女として。
瞳に合わせた蒼い石と、幸運を呼び込み邪を払うルーンを刻んだ、
普段使いのシンプルなネックレスを作りましたのでどうぞ。
そして、もう一つお祝いに。
お耳汚しで無ければ詠わせてください。王女の為の誕生し生きてこの日を迎えてくれた感謝の唄を。
天頂を過ぎた太陽が柔らかな光を投げかける中、祝宴は続く。子女と共にテーブルに着いた王妃の元へは、復讐者達が入れ替わり立ち代わり祝辞を述べに訪れていた。
「本日より新たなる歳を歩み始められる陛下へ、心よりお慶び申し上げます」
流れるように紡いで、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は丁重に腰を折った。
「これからも穏やかに健やかに、良き日々を過ごされますように」
「ありがとうございます。皆さんのお気持ちを、とても嬉しく思っております」
慣れた手つきでティーポットの紅茶をカップに注ぎ、アンネローゼ・ディマンシュ(『楽士大公』ディマンシュ大公・g03631)は王妃とその向かいに座す子女らへ差し出した。
「お食事は楽しんでいただけましたかしら。これは、わたくし達の拠点で広まっている最高級の紅茶ですわ。他にも葡萄や林檎などのジュースも取り揃えておきましたので、いつでも、お好きなものをおっしゃってくださいませ」
「まあ、ご丁寧に」
ぺこりと小さく礼をして、王妃は差し出されたティーカップを手に取ると、ベルガモットの香をしばし楽しみ、そしてゆっくりと口をつけた。よく食べ、よく話して丁度喉も渇いたところだったのだろう。ほっとしたような表情を浮かべる王妃に、アンネローゼは尋ねる。
「本日の誕生日パーティーはいかがです?」
「それはもう。とても楽しませていただいています。こんなによくして下さって……」
にこやかに応じる王妃マリー・アントワネットの表情に翳りはなく、このパーティーを心から楽しんでいることが窺える。その様子に安堵の表情を浮かべて、ソレイユは、燕尾服の胸を撫でおろした。あんな風に笑ってもらえるのなら、企画に準備にと奔走した甲斐があったというものだ。
(「王妃陛下も、陛下なりに戦ってこられたのでしょうね……」)
王妃マリー・アントワネットがここに至るまでのすべてが明らかになったわけではないけれど、『悪夢』のこと一つをとっても、彼女が人知れず辛い思いを抱えていただろうことは想像に難くない。
朗らかな空気に釣られるように笑って、エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)が口を開いた。
「今日この日、曇りなき笑顔で迎えることができて、本当に嬉しいです。思い返せば、あの処刑場から救い出してから、もう一年にもなるのですね……」
釣られたシャンデリア越しに豪奢な天井画を仰ぎ、エヴァは記憶を手繰り寄せるように紅い瞳を細める。血生臭い断頭台から王妃を救い出し、そして時空の歪みに隔てられたあの瞬間、彼女とこんな風に笑い合ってテーブルを囲む日を誰が予想しただろうか?
「たくさんのご苦労があったかと思いますが……次なる一年はお子様方や、私達、そしてフランスの皆さんと共に、幸せな思い出をたくさん作っていきましょう」
本当に、お誕生日おめでとうございます。そう言葉を掛ければ、返る笑顔は百合の花のごとく穢れなく、美しい。そうだと思い立って荷物を探り、エヴァは小さな小箱を取り出した。中身は星鏡の魔女の贈り物――王妃の瞳と同じ蒼い石のネックレスだ。
「幸運を呼び込み、邪を払うルーンを刻みました。よろしければ、普段使いにしていただければ嬉しいのですが」
「頂戴します。……本当に皆さん、ありがとうございます」
小箱を丁重に受け取って、王妃は改めて礼を述べる。そこで、ソレイユが控えめに切り出した。
「王妃陛下。お誕生日の贈り物というには少々気恥ずかしいですが……宜しければ、陛下のお好きな曲を演奏いたしましょうか?」
鏡の間の片隅には、夏の茶会でも持ち出した、一台のクラヴサンが置かれている。そういうことならと身を乗り出し、アンネローゼは葡萄色のドレスの腕に一挺のヴァイオリンを取り出して見せた。
「わたくしも音楽家にございますので、陛下の御前にて演奏の機会をいただけたら幸いですわ。ヴァイオリンはお好きでしょうか?」
「では、私も。お耳汚しでなければぜひ、詠わせてくださいませんか? あなたが生まれ、そして生きてこの日を迎えてくれたことに、感謝の唄を捧げたいのです」
今日という日の、お祝いに。
そう言ってエヴァまでもが加われば、王妃は驚いたように瞳を瞬かせ――けれどすぐさま柔らかに立ち返ると、応じた。
「では順番に、お願いできますか? 全部、お聴きしたいから」
お願いしますと請われれば、断る理由はどこにもない。
今日という日を大いに楽しみ、明日を生きる力に変えてもらえるよう――楽しい曲から穏やかな曲まで競うように重ねるメロディは、祝宴に鮮やかな彩を添えて響き合う。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【プラチナチケット】LV1が発生! 【勝利の凱歌】がLV6になった! 効果2 【ダメージアップ】がLV5になった! 【ガードアップ】がLV8になった!
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
シンプルなコートは深い葡萄色、ウエストコート、ズボンに
秋空色の硝子のピアス
実りの麦穂色のクラヴァットを
マリー王妃様
お誕生日おめでとうございます
素敵な装いでいらっしゃいますね
テレーズ王女様、シャルル王子様もご機嫌麗しく
微笑んで挨拶と祝いを伝える
広い鏡の間、叶うならチェロで華やかな祝いの曲でも奏でたい所だが
王妃の話し相手として
特別な一日が、快いものであるように
宜しければ、こちらを貴女へのお祝いに
贈り物は機械式の黄金色の懐中時計
当時の技術の粋に比べたら簡単なものかもしれないが
新宿で手に入るものを
「時を計る」という意味合い以上に
いかなる波が訪れようとも、マリー王妃様の夢の標となるように
④マリー王妃の誕生日パーティーに参加する
音羽・華楠
主賓のマリー王妃は落ち着いた色合いの装いです。
なら、私も派手な衣装は避けたいところ。
露出は抑えめ、動き易く、落ち着いた色彩のドレスを新宿島で見繕い、それを着て参加します。
胸元に柿の意匠のブローチを飾り、今回のドレスコードも満たして。
私はマリー王妃を始め、皆さんが楽しめるように裏方をこなしましょう。
空になった食器をその都度【アイテムポケット】で回収、洗い場へ運びます。
【アイテムポケット】に入り切らない場合は、一旦【隔離眼】で隠しましょう。
空いた食器が放置されたままじゃ、雰囲気が台無しですからね。
私の行動に気付かれると、マリー王妃も気にされるでしょうし。
残留効果を駆使し、さりげなくこっそりと……。
立ち話に興じる仲間達の向こう側に、マリー王妃と子女らの座すテーブルが見える。葡萄色のコートの裾を翻してその傍らへ歩み寄り、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は実る麦穂にも似たクラヴァットを正して一礼した。
「マリー王妃様、お誕生日おめでとうございます。テレーズ王女様、シャルル王子様もご機嫌麗しく――皆様、素敵な装いでいらっしゃいますね」
「ありがとうございます。そちらの耳飾りも、とても素敵ですね」
そう言って、王妃マリーはにこやかに笑んだ。思いがけない賛辞にわずかに目を見開いて、エトヴァは蒼い硝子のピアスに触れる。そして恐れ多いと気恥ずかしそうに眉を下げると、続けた。煌びやかな鏡の間には、復讐者達の奏でる音楽が連綿と流れ続けている。
「叶うなら、チェロで一曲献上しようかと思ったのですが。この様子では出番がなさそうですね。宜しければ少し、お話させていただいても?」
「ええ、勿論」
どうぞと勧める王妃の声に恭しく頭を下げ、エトヴァは手近な椅子を引いた。色々と確認したいことは多いが、まずは今日のこの日が王妃にとって快いものとなるように尽くすべきだろう。
そこへ、シックでシンプルな秋色のドレスを身にまとい、音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)がやってくる。その胸元には、柿の意匠のブローチがきらりと輝いている。
「失礼します。空の器をお下げしますね」
「あら――申し訳ありません」
お手伝いしましょうかと立ち上がりかけた王妃を慌てて制し、華楠は言った。
「どうぞお構いなく! 私は今日は裏方なので」
空いた食器が放置されたままでは、せっかくのテーブルアレンジが台なしだ。本当は気の一つも使わせないよう、さりげなくこっそりと済ませたいところであったのだが、机上の皿を回収するのにまったく気付かれないというのは難しい。
大丈夫、と笑って空の食器をアイテムポケットにしまい込み、華楠は言った。
「これを運ぶのなんて、どうってことありませんから。王妃はどうぞ、ご歓談を」
「本当にすみません。ありがとうございます」
娘の厚意を素直に受けて、王妃マリーは白金の睫毛を伏せる。再びこちらへ向き直った王妃に向けて、そうだとエトヴァは懐を探る。
「もし宜しければ、こちらを貴女へのお祝いに」
「まあ、なんでしょう?」
嬉しそうに顔を綻ばせる少女のような王妃へ、手渡す小箱の中身は黄金色の機械式懐中時計。新宿島で求めたそれは当時の技術の粋と比べてはごく簡素な造りかもしれないが――それが単に『時を計る』だけの道具でなく、あるはずのない道を歩く彼女の道標となればいいと、エトヴァは願う。そして一呼吸置いてから、天使はにわかに表情を引き締めて続けた。
「いくつか、お尋ねしたいことがあるのですが……」
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【託されし願い】LV1が発生! 【隔離眼】がLV2になった! 効果2 【ダメージアップ】がLV6になった! 【先行率アップ】がLV2になった!
②マリー王妃達と話をしよう
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
パーティーと同様に
シンプルなコートは濃い葡萄色、ウエストコートとズボンを合わせ
実りの麦穂色のクラヴァットを
今日は祝いの日
王妃様のお気分を害さぬように気をつけて
会話の合間に、質問をお尋ねしてみよう
マリー王妃様、良き日をお過ごしでしょうか
秋は実りの時期、美しい季節のお生まれですね
テレーズ王女様、シャルル王子様にも、心の晴れるひとときとなっていましたら幸いです
両殿下は、日々健やかにお過ごしでいらっしゃいますか?
質問は
断片の王、《七曜の戦》、『存在理由』……
これらを見聞きしたり……どこか思い当たる節はないでしょうか
お好きな絵画や音楽なども、お伺いしてみたく
秋や芸術の話が弾めば素敵な事
貴女に、確認したいことがある。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)
そう告げると、美しい王妃は一瞬きょとんと瞳を瞬かせた。しかしその言葉の意味するところを理解すると、しゃんと背を伸ばして向かい合う。
「なんでしょう。妾にお答えできることでしたら、なんなりとお尋ねください」
「ありがとうございます。お心遣い、痛み入ります」
恭しく礼を述べて、エトヴァは思案する。あくまでこれは祝いの席だ――王妃の気分を害さぬよう、十分気をつけねばなるまい。
「お母様。お話の邪魔になってはいけませんので、わたくし達は一度失礼いたします」
「ああ、すみません。お気を遣わせてしまって――」
「いいえ。どうぞごゆっくり」
詫びるエトヴァに深々と一礼して、王女テレーズは弟を促し、席を立った。その背中を見送って、青年は言った。
「気を遣わせてしまい、恐縮です。今日の催しが、テレーズ王女様、シャルル王子様にとっても、心の晴れるひとときとなっていましたらよいのですが……両殿下は、日々健やかにお過ごしでいらっしゃいますか?」
「ええ、そのようです。それより――お聞きになりたいことというのは……?」
栗色のドレスの膝に両手を添えて畏まり、王妃マリーは先を促す。真摯な眼差しに応えるべく姿勢を正して、エトヴァは切り出した。
「率直にお尋ねします。『断片の王』、『七曜の戦』、『存在理由』……といった言葉について、どこかで見聞きしたことはありませんか?」
王妃マリー・アントワネットが、この世界を取り巻く状況について何をどこまで知っているのか。それを理解することには、大きな意義があるはずだ。努めて真剣な表情で尋ねると、王妃は訝るように眉を寄せ、そして言った。
「断片の王……七曜の戦? いえ……分かりませんが、できる限り調べさせていただきます。でも、それはいったい……?」
「ああ、いえ――ご存知ないのであれば、よいのです」
お気持ちはありがたいですがと丁重に辞して、エトヴァは柔らかな表情を作り、続けた。
「では……今度は、王妃のお好きな絵画や音楽などについて、お伺いできますか?」
恐らく彼女は本当に、これらの言葉について知らないのだろう。首を傾げ、そして至って真面目に『調べる』とまで言う王妃が、嘘をついているようには到底思えなかった。
大成功 🔵🔵🔵
効果1 【活性治癒】LV1が発生! 効果2 【ドレイン】LV1が発生!
③マリー王妃の未来
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
ダブーを撃破したとはいえ、未だ王妃を狙う革命淫魔は健在です
身の安全の為、引き続きヴェルサイユ宮に留まって頂きます
しかしその時間は無為ではありません
どうか王女と王子、お二人との時間を大切に過ごして頂きたいのです
共に料理や掃除をしたり
王妃の子供の頃の話などを語られたり
不自由な中で苦楽を共にする事は家族の絆を深めるでしょう
共に在る今を大切に生きて下さい
革命淫魔を撃破した暁には
傷ついたパリ市民を援助する救護院を創立するなど
人々の為、存分に働いて頂ければ幸いです
正史の王妃と子供たちの末路を知ればこそ
いつか消滅するディヴィジョンであっても
親子の日々を大切にして欲しいと
小さな願いを込めて
③マリー王妃の未来
トロワ・パルティシオン
(※王族には敬語)
大陸軍は追い払いましたが、良いことばかりではありません。
今回の戦いではパリの現状に詳しい者達――『革命淫魔』の力を借りました。
ですが彼らは陛下の味方ではありません。
彼らは市民を無下に扱う不埒者であり、大陸軍と同じく陛下の身柄を狙っているのです。
ですので安全のため、引き続き外出はお控えください。
革命淫魔とはいずれ決別しますが、今はまだその時ではありません。僕らは現状の謎に迫り切れていないのです。
僕らもなるべくフォローはしますが、市民には今しばらく苦難が続くことをお詫びします。
人々の為を想う陛下の慈愛、感服いたします。
パリを真に解放した暁にはぜひ、そのお力を振るってくださいませ。
③マリー王妃の未来
レイラ・イグラーナ
ご機嫌如何でしょうか?
お楽しみ頂けていると良いのですが。
少しお話をさせて下さい。
方針:マリー王妃の無意識化でまだ淫魔と繋がりが残っている可能性も考慮しクロノヴェーダなら知っていそうな範囲での情報開示
このパリは救われましたが、パリを巡る戦いはまだ終わっていません。
革命軍の首魁ナポレオンが存在する1803年のパリ、そして存在を奪われ、歴史より消滅したパリ……私たちは全てのパリとそこに住まう人々を救うために戦っています。
荒唐無稽なお話と思われるかもしれません。
ですがおそらく王妃はナポレオンにとっても重要な人物。
もしかしたら何かしらの形でお力添えをお願いする可能性もございます。お話だけはしておきたく。
③マリー王妃の未来
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
アドリブ歓迎
敬語も交える
9年後の世界は別世界……
ダブーが現れたように、干渉が行われる可能性もあるだろう
二つの世界の鍵たるオベリスクは手中にあり
革命淫魔との関係は継続するも、その先は不確かだ
大きな動きもあろう
皆さんのように、と言ってくださったな
俺達は、理不尽な支配からの解放と共に
『取り戻す』ために戦う者だ
王家の血筋は、時代に翻弄されただろう
民を救うことも、苦難を強いることもあり得ただろう
混迷、変転、時代は踊り、されど人は只中を懸命に生きる……
その生が善きものであるように
貴女が民のため、人々のためを願われるなら
その意志こそが、道を拓くだろう
貴女が悪夢に呑まれずにいたように……
どうか覚えていて下さい
③マリー王妃の未来
一蝶・信志
ワタシがマダムに望むのは
「国民の母」としての使命を全うしていただくことだけ
もしかしたら身分としては既に王妃ではないのかもしれないのだけど
マダムが市民の一人としてもフランスのために働きたいと願っていらっしゃるなら、
ワタシは、市民とマダムの和解の架け橋になりたいわ
パリを解放した暁には、再建のために立ち上がる人々もたくさんいるでしょう
…ここがワタシたちの時間へと繋がらないとしても
歴史を守らなければ、――と、いうけれど
歴史が常に正しさを為してきたわけじゃない
誰の血が流れることもなく、すべての人が自由を手にすることができていたら
どんなにすばらしかったことでしょう
そんな夢を、つかの間だけでも見ていたいの
――それから一時間か、二時間ほどは経っただろうか。
宴も酣を過ぎる中、いくらかひと気の少なくなった鏡の間で、復讐者達と王妃マリーとの対話は続いていた。
「……大陸軍は追い払いましたが、良いことばかりではありません。今回の戦いではパリの現状に詳しい者達……『革命淫魔』達の力を借りました。ですが残念ながら、彼らは陛下の味方ではないのです」
一つ一つ言葉を選びながら、トロワ・パルティシオン(迷子のコッペリア・g02982)は言った。パラドクストレインの発着地として、多くの復讐者達がこのベルサイユ宮殿を経由してクロノヴェーダとの戦いに赴いてきたこともあり、王妃マリーは『ディアボロス』という存在について概ね正しく把握しているようだ。
真剣な表情で聞き入る王妃に正面から向き合って、娘は続ける。
「彼らは市民を無下に扱う不埒者であり、大陸軍と同じく陛下の身柄を狙っているのです」
「その通り――ダブーを撃破したとはいっても、決して油断はできません。ですから御身の安全のためにも、陛下には引き続き、ベルサイユ宮に留まっていただきたいのですが……」
トロワの言葉に同意を示して、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)が後を継ぐ。すると、王妃はわずかに表情を曇らせた。
「ですが、こうしている間にも民は……」
「勿論、革命淫魔とはいずれ決別しますが、今はまだその時ではありません。僕らは現状の謎に迫り切れていないのです。なるべくフォローはしますが……市民の方々には、今しばらく苦難が続くことをお詫びします」
紡ぐ言葉に心苦しい思いを滲ませて、トロワは眉を寄せる。しかし王妃は緩く首を振ると、毅然として応じた。
「……謝っていただく必要はございません。それは、皆さんができる限りのことをしてくださった結果なのでしょう。妾は、それに対して注文をつける立場にはありません」
そう言って、王妃は静かに長い息をついた。その言葉に嘘はない――けれどその一方で、市民の現状を思えば何もできない自分がもどかしいというのが正直なところだろう。
重たげな空気が淀み始める中で、レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)がぽつりと言った。
「……お話しさせていただきたいことがあるのですが」
そこで一度言葉を切り、レイラは周囲の仲間達に目を配る。彼女は既に、彼らの素性をある程度理解している――それに、現状を適切に理解してもらうためには一定の説明と情報開示は避けられないだろう。言葉はなく肯き合ってから、娘は続けた。
「荒唐無稽なお話と思われるかもしれませんが、聞いていただけますか?」
「……はい。どのようなお話であっても」
応える王妃は両手を膝の上に揃え、真っ直ぐに復讐者達を見つめている。では、と小さく咳払いして、切り出したのはエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)であった。
「先日、準備のためにこちらへ伺った時、貴女は言って下さいましたね。『皆さんのように』人々のために働けたら、と」
問えば王妃が無言で頷くのを確かめ、エトヴァは続けた。
「俺達は、『取り戻す』ために戦う者だ。そのために、ここではない場所からやってきて、理不尽な支配と戦っている」
「このパリは救われましたが、パリを巡る戦いはまだ終わっていません。敵の首魁ナポレオンが存在する1803年のパリ、そして存在を奪われ、歴史より消滅した2022年のパリ。私たちはすべてのパリと、そこに住まう人々を救うため……究極的には、彼らが『正しい歴史』に帰還できるようにするために戦っています」
続くレイラの言葉を受けて、王妃は静かに目を閉じた。長い沈黙が続いたが、無理もないとエトヴァは思う。
(「九年後の世界は別世界……ダブーが現れたように、干渉が行われる可能性もあるだろう。二つの世界の鍵たるオベリスクは手中にあり、革命淫魔との関係は継続するも、その先は不確か……大きな動きもあるだろうが……」)
復讐者達自身でさえ、時空を超えて挑む侵略者達との戦いについてすべてを正確に把握するのは至難の業だ。たとえ全体からすればわずかな情報でも、マリー王妃にしてみれば非常に難解なことに違いない。
混乱させてしまい申しわけありませんが、と前置いて、レイラが言った。
「すべてを理解していただく必要はございません。ただ、おそらく王妃はナポレオンにとっても重要な人物……もしかしたら今後、何かしらの形でお力添えをお願いする可能性もございます。ですから、お話だけはしておきたかったのです」
「……分かりました。妾に何ができるのかは分かりませんが、必要とあれば勿論、協力させていただきます」
しばし考え込んでから、王妃はやっとのことで言った。今は、その言葉だけでも十分だろう。
ありがとう、と微笑んで、一蝶・信志(シンディ・g04443)は言った。
「パリがこの先どうなるのかは、不透明だけれど……マダムが市民の一人としてもフランスのために働きたいと願っていらっしゃるなら、ワタシは、市民とマダムの和解の架け橋になりたいわ」
そしてできることなら、『国民の母』としてその使命を全うしてもらいたい。葡萄色に染めた爪の先を頬に添え、信志は続ける。
「パリを革命淫魔から解放し、クロノヴェーダを一掃した暁には、力を合わせてパリの復興を行いましょう。そのために立ち上がる人々も、きっとたくさんいるはずよ」
「……そう、ですね」
ドレスの膝を掻いて、王妃は声を詰まらせる。今の自分に、できることは少ない――というよりも、ほとんどない。その現実に、押し潰されそうで堪らなくなる。
憂いを帯びる横顔にわずかに眉尻を下げて、ソレイユは言った。
「心中、お察しいたします。しかし、この時間は決して無為なものではありません。ベルサイユに身を隠して頂く間は、どうか王女と王子、お二人との時間を大切に過ごしていただきたいのです」
「二人との時間……と、いうと?」
「なんでも構わないのです。共に料理や掃除をしたり、王妃の子どもの頃の思い出を語られたり……不自由な中で苦楽を共にすることは、家族の絆を深めるでしょう」
共に在る今を、大切に生きて欲しい。
正史の王妃と子ども達の末路を知ればこそ――いつかこの世界が消滅するとしても、親子の日々を大切にして欲しいとソレイユは想う。
そうですと続けて、トロワが言った。
「人々の為を想う陛下の慈愛、感服いたします。パリを真に解放した暁にはぜひ、そのお力を振るってくださいませ」
王妃は、分かりましたと応じた。その言葉は短くとも、告げる声には静かな決意が満ちている。更にその背中を押すように、エトヴァは続けた。
「貴女が悪夢に呑まれずにいたように……貴女が民のため、人々のためを願われるなら、その意志こそが道を拓くだろう。……どうか、覚えていて下さい」
傾き始めた陽射しは、既に赤らみ始めていた。祝いの宴ももう終わりだ。仲間達に付き添われて席を立つ王妃の横顔を見つめ、エトヴァは複雑な思いを巡らせる。
(「混迷、変転、時代は踊り、されどその只中を、人は懸命に生きる……その生が、善きものであるように」)
時代に翻弄され、王族として生きる中では、民を救うことも苦しめることもあり得ただろう。けれど少なくとも、彼女は今、精一杯正しくあろうと努めているのだと思いたい。
傍らで空色の袖を組み、信志は誰にともなく言った。
「歴史を守らなければ――と、いうけれど。歴史が常に正しさを為してきたわけじゃないのよね」
十八世紀、動乱のフランス。誰の血が流れることもなく、すべての人が自由を手にすることができていたら――それは、どんなにか素晴しかったことだろう?
やがて消えゆく小さな世界が見る夢を、たとえ束の間でも共に見ていたい。祈るような想いを胸に、復讐者達は遠ざかる王妃の白い背中を見つめていた。森の彼方に沈みゆく太陽は、燃えるように赤々と輝いている。
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