リプレイ
エレオノーラ・アーベントロート
あら、淫蕩な儀式と聞いていましたけれど、随分と愉しそうなことをしていますわね。
サバトでもこんな惨状には中々なりませんわ。もしかして、血に興奮する性質ですの? うふふ、いい趣味ですわね。
あぁ、貴方達は邪魔ですわ。
わたくしにも色々と考えることはあるのですけれど――とりあえず、貴方達はブチ殺しておいた方が良いと思っていますの。
電磁レールガン「フェアレーター」から「第十二の魔弾【狂愛】」を投射。
周囲の一般人が邪魔ですし、強い誘導性を持つ【狂愛】の魔弾で的確に欲望のバイオリニストを狙い、一体ずつ仕留めていきますわ。
わたくし、音楽は劇場で鑑賞する主義ですの。出直してくださいませ。
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
うーん、淫魔大樹のエネルギー回収方法がとても淫魔ですね…
まずは邪魔なヴァイオリニストへ対処しましょう
宙に展開した鍵盤でヒロイックシンフォニーを演奏
幻想の英雄を喚び、剣戟で戦いを挑みます
音楽家として、復讐者として、ウィーンに巣食う淫魔には負けられません
相手のカプリースには、己の演奏に集中することで凌ぎます
身動きを封じられようと、指先さえ動けば幻想の勇者は操れる
私の欲望はウィーンを解放すること
今更、その様な音色で揺ぐものではありません
仲間と連携して1体ずつ集中攻撃し数を減らしていきます
一般人に流れ弾が当たらぬようにだけ、立ち位置に気をつけて
悪趣味な薔薇園の掃除といきましょう
宝心・ライラ
連携アドリブ歓迎
「淫魔大樹はハッピーエンドを迎えたの。水を差すのはやめてちょうだい」
ぷんぷんと頬を膨らませながら
惚けた表情の市民には
(これはこれで幸せな最期を迎えられそうかも?)
と思いつつ、笑顔が足りないのでやっぱり不合格
後で助けてあげるからねと一声かけるわ
「音楽は元より自由。そして自由を紡ぐ私は誰にも縛られたりしないのよ!」
五弦バンジョー「ハイファイブ」で幕間曲を奏で、世界に暗幕を下ろすわ
上下左右の感覚が狂えば彼らは碌に演奏も出来ず、音色の連携も断てるはず
ついでに戸惑っている間に生命力もいただくわ
「淫蕩の演奏会はこれにて閉幕。第二部は幸せのオーケストラよ!」
●欲望と希望の音色
薔薇と血の香りが満ちた花園。
此処は薔薇の貴婦人マルメゾンが作り上げた淫蕩の儀式場だ。囚われた人々は意思と自由を奪われ、洗脳音楽と堕落の花香によって正気を失わされている。
エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)は、棘で互いを切り裂き、血を啜りあっている人々を瞳に映した。辺りには甘美で淫靡な雰囲気が漂っているが、復讐者達は気を確かに持っている。
「あら、淫蕩な儀式と聞いていましたけれど、随分と愉しそうなことをしていますわね」
「うーん、これが淫魔大樹のエネルギー回収方法……」
とても淫魔らしい、と呟いたソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は肩を竦めた。とても直視できるような状況ではないが、この状態は非常にまずい。
「淫魔大樹はハッピーエンドを迎えたの。水を差すのはやめてちょうだい」
宝心・ライラ(ミス・ハッピーエンド・g01071)も、ぷんぷんと頬を膨らませながら現状を非難した。その通りですわ、と答えたエレオノーラは敵への皮肉交じりに語っていく。
「サバトでもこんな惨状には中々なりませんわ。もしかして、マルメゾンやあなた達は血に興奮する性質ですの? うふふ、いい趣味ですわね」
「まずは邪魔なヴァイオリニストへ対処しましょう」
エレオノーラとソレイユは洗脳音楽を響かせている欲望の淫魔達を見据える。ライラはしかと身構えながら、今も血を啜り続けている人々にも目を向けた。
(「これはこれで幸せな最期を迎えられそうかも?」)
ハッピーエンドの解釈は人それぞれであることから、ライラはふとした思いを抱く。しかし、この場に囚われている人々には笑顔が足りない。自分の意志で行っているなら兎も角、操られているならば許しておいてはいけないものだ。
「やっぱりこのハッピーエンドは不合格。後で助けてあげるからね!」
人々に声を掛けたライラは敵に向き直る。
するとバイオリニスト達も復讐者達に敵意を向け、更なる音楽を奏でようとしてきた。
「我らの儀式を邪魔するならば、容赦はしない」
「覚悟しろ」
「あぁ、貴方達は邪魔ですわ。わたくしにも色々と考えることはあるのですけれど――とりあえず、」
エレオノーラは敵の言葉など意にも介さず、一気に先手を取った。
――狂愛、解放。
そして、エレオノーラは続く言葉と共に電磁レールガンを構える。相手が動く隙すら与えずに投射された魔弾は儀式場を戦場へと塗り替えていく。
「貴方達はブチ殺しておいた方が良いと思っていますの」
フェアレーターの名を冠するレールガンの威力は相当なもの。身を穿たれたバイオリニストは咄嗟に反撃に入ったが、エレオノーラは更にその先を読んでいる。
同時にソレイユが宙に展開した鍵盤でヒロイックシンフォニーを奏でていった。
幻想の英雄を喚ぶことで接近戦を挑み、剣戟で敵を薙ぎ払う狙いだ。相手の演奏に負けぬように指先で鍵盤を叩きながら、ソレイユは思いを言の葉に乗せる。
「音楽家として、復讐者として、ウィーンに巣食う淫魔には負けられません」
ソレイユのシンフォニーに対抗するようにバイオリニスト達が鳥籠のカプリースを奏でていく。秘めたる欲望に働きかける演奏は此方の動きを止めるものだ。されど今のソレイユの欲望、即ちやりたいと願うことは敵の撃滅。
己の演奏に集中することで凌いでいく彼は、たとえ身動きを封じられようとも指先だけは動かし続けようと決めていた。そうすれば幻想の勇者は戦い続け、いずれバイオリニスト達を倒すだろう。
「私の欲望は――」
ウィーンを解放すること。今更、その様な音色で揺ぐものではない。
ソレイユが紡いだ音も言葉も真っ当なものであり、ライラも深く同意した。敵の演奏は激しくなっていくが、ライラも果敢に対抗していく。
「音楽は元より自由。そして自由を紡ぐ私は誰にも縛られたりしないのよ!」
ライラは五弦バンジョーのハイファイブで以て幕間曲を奏でていった。世界に暗幕を下ろすべく、インテルメディオの楽曲は戦場に響き渡っていく。それは前後も上下左右もあべこべになった世界の中で繰り広げられる愉快な幕間劇。パラドクスによって感覚を狂わされたならば、彼らはきっと碌に演奏も出来なくなるはず。
「これで音色の連携も断てるはず! ついでに戸惑っている間に生命力もいただくわ」
淫魔達に大樹のエネルギーを吸収させないよう、ライラは容赦のない攻撃を繰り出し続けた。ソレイユとライラの音楽がバイオリニスト達を圧倒していく中、エレオノーラは誘導弾で以て敵のみをしかと貫いている。
第十二の魔弾はその名の如く、離れぬと誓った狂愛のように敵を追尾していた。ソレイユも人々に流れ弾や被害が向かわぬように気をつけながら戦っている。
見るにバイオリニスト達も一般人を気にかけているようだ。
何故なら人々は淫蕩儀式を成功させるための大事な器だ。エネルギーを回収しきるまでは生かしておかなければならないことを、彼らも承知しているのだろう。
だが、儀式の方にも気をつわなければならないバイオリニスト達は圧倒的に不利だ。
「悪趣味な薔薇園の掃除といきましょう」
「わたくし、音楽は劇場で鑑賞する主義ですの。出直してくださいませ」
ソレイユが演奏を重ねていけば、エレオノーラが其処に敵の隙を見出した。そして、フェアレーター迸る狂愛の魔弾がひといきに敵を撃ち貫いた。
「淫蕩の演奏会はこれにて閉幕。第二部は幸せのオーケストラよ!」
ライラはハイファイブを高く掲げて、倒れ伏したバイオリニスト達に自分達の勝利を宣言する。
ウィーンが迎えるべき本当のハッピーエンドは今、此処から奏でられていく。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【動物の友】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【傀儡】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
三苫・麻緒
うわっ、刃物で切るより痛そうなことさせてる!?
音色が原因の一つらしい上に今後の行動の障害でしかなさそうだし、悪趣味な音楽はさっさと止めないとだね
≪連続魔法≫で魔力の球の数を増やして、相手の音楽をかき消すくらいの気持ちでぱんぱかとド派手に炸裂させていくよ
手数でその場を≪撹乱≫させて、自由と言いながら実は絶妙なバランスで成り立っているであろう音楽をぶち壊しちゃえ!
勿論一般人には被害が及ばないよう注意
万一人質に取るような輩がいたら速攻で倒しちゃおう
反撃の旋律は球の破裂音をノイズとして、少しだけでも効果を弱められないかな
残りはもう「終わったらご褒美ご飯(特盛)」をおまじないとして我慢するしかない…!
夜乃・零
アドリブ/連携歓迎
・
人を惑わせるなんて
悪いことしてるよなあ
くるりと『赫焉』を回して
欲望のバイオリニストを一瞥
おまえが元凶だな
耳障りな、うるせえ音楽だ
その楽器へし折ってやらねえとな
周囲の状況を把握しつつ
一般人を優先して守る
誰にも怪我はさせねえよ
躱せそうな攻撃は避け
無理なときは得物で防ぐ
仲間のピンチも、俺が助ける
連携や声掛けを大事に
一瞬の隙を狙って敵を薙ぎ払って
見えた"悲劇"は、
本能的に幻覚だと見破り
遠慮もなく一刀両断
ここで余計なモン見せるなよ
俺の心を乱せるのは、
さあ、そろそろ終わりだろう
くだらねえ演奏会も、悲劇も、ここまでだ
レオニード・パヴリチェンコ
ん。敵に追撃を加える機会
ボクも頑張る、よ
敵は大勢、囲まれないように動きながら攻撃を繰り返していく、ね
一般人を襲っている相手を優先して攻撃していこう
建物を遮蔽物にしながら魔弾で狙い撃つ
敵は倒すことよりも魔弾から伸びる蔦と根で敵の動きを鈍らせることをメインに
一撃で仕留めるだけの決定力はないから、ね。そういうのが得意な仲間をサポートする形で動いていこう
敵は武装に合わせた攻撃をしてくる
逆を言えば、武装から見極めることができればダメージも抑えられるはず
普通の武器なら攻撃に合わせて跳ぶ、銃を盾にして防ぐなどで致命傷を避ける
楽器とかなら耳をできる限り塞いで距離をとって演奏ができるだけ聞こえないように
●泡沫と狙撃と幻影と
薔薇は奇妙なまでに青く、血は何処までも赤く。
淫蕩儀式が繰り広げられている薔薇の花園は、淫魔が巡らせる魔力に満ちていた。
「うわっ、刃物で切るより痛そうなことさせてる!?」
三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)は血を啜りあう人々の姿を目の当たりにして、思わず一歩後ろに下がる。この儀式場に漂う香りもそうだが、響いている音楽も洗脳のためのものらしい。
「人を惑わせるなんて、悪いことしてるよなあ。けど――」
「ん。これは敵に追撃を加える良い機会」
夜乃・零(常闇・g04477)の言葉を次ぐように、レオニード・パヴリチェンコ(“魔弾卿”・g07298)が静かに頷く。ウィーンの現状はあまり良くないものだが、此処に淫魔達が出てきたならばやることはひとつだけ。
零は洗脳音楽を流している敵を見据え、偃月刀――赫焉をくるりと回した。名を与えられた刃の切っ先は欲望のバイオリニスト達に向けられている。
「おまえが元凶だな。耳障りな、うるせえ音楽だ」
その楽器をへし折ってやらねえと、と語った零は薄く口端をあげた。彼の意見に全面同意らしい麻緒も背の翼を広げ、相手を威嚇するように身構える。
「悪趣味な音楽はさっさと止めないとだね」
薔薇の香りも厄介だが、あの音色も人々を惑わせる原因のひとつだ。痛みを快楽として誤認させられているだけではなく、いずれ死を迎えるだけの未来など訪れさせてはいけない。それに今後の行動の障害でしかなさそうだし、と言葉にした麻緒はバイオリニストが動くよりも先に攻勢に入った。
「ボクも頑張る、よ」
レオニードも決意を言葉に変え、周囲を素早く見渡す。音楽を奏でる敵は大勢いる。此方にも仲間がいるが、出来る限り囲まれないように動きながら攻撃を繰り返していく戦法がいいだろう。
距離を取りながら戦場内を駆けていくレオニードは、敵の様子をしかと見つめた。此度、バイオリニストは人々に音楽を聞かせ続けることで襲っている。つまり、淫蕩に浸せることを主目的としているということだ。
それならば一般人の近くで演奏している相手を優先していけばいい。いつまでも精神を汚染されたまま、偽の快楽を与え続けられるのは苦しいだろう。
「――森の精よ、縛れ」
狙いを定めたレオニードは森の精を宿した魔弾を撃ち放った。狙撃されたバイオリニストは腕を貫かれたことで呻き声をあげたが、演奏をやめようとしない。甘く誘い掛けるような旋律のセレナーデがレオニードにも向けられたが、着弾した魔弾の効果が巡っていく。頑丈な植物の蔓が溢れ出したことで相手の演奏が僅かに揺らぐ。
それと同時に炸裂音が響いた。
それは麻緒が生み出していく爆ぜる泡沫が弾けた音だ。
「遠慮なんてせずに、ド派手に行くからね!」
麻緒は連続で魔力を紡いでいき、魔球の数を増やしていった。相手の音楽をかき消すくらいの気持ちでぱんぱか、ぱちぱちと炸裂する泡沫は激しい。
「あの小娘が厄介だな。狙い打て」
バイオリニストのひとりが号令をかけたことで、幾重にも重なった鳥籠のカプリースの音色が麻緒を襲った。しかし、そのことを予測していた零がすかさず麻緒の援護に入る。
「こっちも忘れて貰っちゃ困るんだが?」
不敵な笑みを見せた零はしかと状況を把握していた。演奏を邪魔する者がいれば必ず敵は其方に集中する。それゆえに零は待ち構える形で立ち回り、戦場の覇者の如き勢いで敵陣を薙ぎ払う。
俺が助ける、と誓った思いは本気だ。そのまま麻緒とレオニードとの距離を把握した零は、仲間に声を掛けながら更なる攻勢に移っていった。一瞬の隙を狙って敵を切り裂けば、確かな手応えが返ってきた。
「誰にも怪我はさせねえよ。仲間も、罪もない人もな」
「く……!」
呻いたバイオリニストが零に放ったのは悲劇のオーヴァチュア。
旋律の影響を受けないよう音の魔力の軌道から外れていった零。その目の前に幻影が現れた。羅刹めいた緋色の影がゆらりと揺らめき、零は咄嗟に赫焉で防御態勢を取った。
されど、すぐにそれが幻影だと悟った零は攻撃に移った。
「これが悲劇だって? ここで余計なモン見せるなよ。俺の心を乱せるのは――」
本能的に、違うものだと見破った零は、黒い影に遠慮する素振りなどもなく、ひといきに一刀両断する。仲間が惑わされなかった様子に静かな安堵を覚え、レオニードも更に激しい攻撃に入る。
(「一撃で仕留めるだけの決定力はないから、ね」)
だからこそ自分はサポートを。レオニードは前線で暴れていく零や、泡沫を容赦なく弾けさせていく麻緒の背を見つめた。己の力はよくわかっているゆえ、敵は倒すことよりも魔弾から伸びる蔦と根で敵の動きを鈍らせることを重視した。
音楽が襲い来るときは耳をできる限り塞ぎ、敵との距離をとった。演奏の影響をゼロにすることは出来ずとも、復讐者としての力を巡らせれば影響を減らせるはずだ。
そうしていけば、仲間が止めを刺してくれる。
連携によって数体が地に伏したことを確かめ、麻緒はレオニードにそっと笑いかけた。
「よし、まとめて倒せたね! 狙撃のおかげかな」
「ん。助かるのはお互い様」
レオニードからの視線と言葉を受けた麻緒はめいっぱいに球を爆ぜさせる。
「音楽って、自由と言いながら実は絶妙なバランスで成り立っているんでしょ? 残念だけど、ぶち壊しちゃうよ!」
「さあ、そろそろ終わりの時間だな」
「撃ち貫くから、後はお願い」
麻緒は旋律に対して、球の破裂音をノイズとして抵抗していく。それでも欲望が膨れ上がることを止められなかった麻緒は、心の中であるおまじないを唱えた。
しかし敵が響かせる曲の影響もあり、いつの間にか願望を口に出してしまっていたらしい。
「終わったらご褒美のご飯。終わったら特盛のご飯。山盛りのご飯……!」
「ごはん?」
「そりゃいいな。無事に解決したら祝勝飯だ!」
「って、声にしちゃってた!?」
レオニードも零もしっかりと聞いていたようで、麻緒は慌てて泡沫を破裂させる。其処から攻防は巡り、レオニードの狙撃が敵をよろめかせた。
赫焉を振り上げた零は今が好機だとして、一気に決着を付けにかかる。
「くだらねえ演奏会も、悲劇も、ここまでだ」
そして、其処でバイオリニスト達の演奏は止まった。
それに反して薔薇の香が妙に濃くなった気がする。復讐者達は妙な予感を覚え、其々に気を引き締めていき――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV2が発生!
アンゼリカ・レンブラント
ウィーンを救う時はすぐそこまで来ている
さぁまずは淫魔たちを蹴散らすぞ!
できるだけ仕掛けるタイミングを共に戦う仲間と合わせ
パラドクスの閃光と衝撃波で攻撃するよ!
打ち込んだ後は反撃をしっかり耐えて一撃離脱、
再度消耗している個体から攻撃だよ
数の利さえなくなれば、決して負けない!
敵からの攻撃・反撃はしっかり障壁とオーラで凌いでいく
敵の技量は高いのは流石にジェネラル級直属
でも、淫魔絵画の世界では友達とも呼べる子とも巡り合えた
その子のためにも、ここで生きている人々の為にも
ウィーンを救うんだ、勇気を燃やし負けないっ
敵陣が崩れたら、仲間と包囲していく
誰も逃がさない
力を込めた《光剣閃波》をお見舞いし殲滅するね!
一ノ瀬・綾音
奴は女神なんかじゃないし、こんな血の流し合いなんて快楽なんかじゃない。ただの苦痛でしかない!
それで流した血は供物になんかならないただの無駄なものなのに!
こんな儀式、どうにか終わらせないと……そのためにはとりあえず周囲の敵の排除から!
相手の攻撃は欲望に働きかけるもの……だけど、今の綾音ちゃんの欲望ってなんだと思う?
戦闘欲?嫉妬?いいや、そんなのでは断然ない――君たちを一人残らず倒したいという欲望だ!
高速詠唱で【綺羅星の星光】を放って相手を倒していくよ!
あとは一般人がこいつに傷つけられないようになるべく庇うように戦うね。一般人同士の戦いは今は抑えられないけどトループスとの戦闘の余波からなら……!
トロワ・パルティシオン
ここでの大勢は決したけども、向こうが足掻くのは当然か。もちろん見過ごしはしないけどね。
血液嗜好、ヘマトフィリア……ううん、正直要らない知識なんだけど。流石は淫魔と言うべきかな?
とにかく、まずはトループス級を片付けようか。
戦いが長引くと周りへの被害が気になるな、『切り拓く光芒』で一気に決めるとしよう。
横薙ぎで纏めて倒したい所だけど、厳しいなら大上段からの振り下ろしで攻撃だ。
身動きし辛くても重力に任せるだけで十分、真っ二つに断ち切ってしまおうか。
これでお終い……っと、時間切れか。やれやれ、また修理しないといけないな。
後はどうにかして儀式を止めたい所だけど。当然君が出てくるよね、ジェネラル級……!
●光の協奏曲
淫魔大樹の断末魔はエネルギーとなってウィーンに巡っている。
完全な劣勢に陥る前に力を回収しに訪れた淫魔達はきっと手強いだろう。これから始まる戦いを思い、アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)は薔薇園めいた淫蕩儀式場に乗り込んでいく。
ウィーンを完全に救う時はすぐそこまで来ているはず。
「さぁまずは淫魔たちを蹴散らすぞ!」
「ええ、行きましょう。ここでの大勢は決したけども、向こうが足掻くのは当然か。もちろん見過ごしはしないけどね」
アンゼリカの呼びかけに答えたトロワ・パルティシオン(迷子のコッペリア・g02982)は、周囲を見遣った。辺りには淫魔の音楽と薔薇の香りにあてられ、勝機を失っている人々がいる。
彼や彼女は一糸まとわぬ姿で互いを傷付けあい、血を啜りあうという背徳的なことを行わせられているようだ。
「血液嗜好、ヘマトフィリア……ううん、流石は淫魔と言うべきかな?」
正直要らない知識なんだけど、と呟いたトロワは頭を振った。今は一刻も早く洗脳音楽だけでも解き、トループス級を片付けることが何よりも先決となる。
「ああ……女神よ……」
「マルメゾン様……」
人々は背徳に浸りながらジェネラル級クロノヴェーダの名を呼んでいた。この薔薇園を作り上げた薔薇の貴婦人マルメゾンは茨の奥の方に控えているようだ。おそらくこの場を配下に任せ、エネルギーを集めることに集中しているのだろう。
一ノ瀬・綾音(星影の描き手・g00868)は拳を握り締め、強い思いを抱く。
「奴は女神なんかじゃないし、こんな血の流し合いなんて快楽なんかじゃない。ただの苦痛でしかない! それで流した血は供物になんかならないただの無駄なものなのに!」
許せない。このような儀式は終わらせなければならない。
怒りにも似た感情を胸に、綾音はアンゼリカやトロワと頷きを交わした。周囲の敵の排除が最優先だという思いは皆同じ。復讐者の到来に気付き、身構えた欲望のバイオリニスト達を見据えた少女達は一気に攻勢に出た。
「いくよ!」
アンゼリカは仲間に呼びかけ、光の剣を振り上げる。其処から迸った閃光と衝撃波は瞬く間にバイオリニストを貫き、大きな衝撃を与えた。其処へ続いたトロワは機械剣モードのダモクレスブレイドを召喚する。
「戦いが長引くと周りへの被害が気になるな……」
一般人はエネルギーの器とされているため、すぐに殺されるようなことはない。だが、音楽と薔薇の力で急速に弱っていることも確か。切り拓く光芒で一気に攻め込んだトロワは淫魔達を薙ぎ払う。
綾音も最初から全力の光魔法を放っていく。
「さぁ、ゲームオーバーの時間だよ」
敵は光を受けたことで苦しげな顔をしたが、尚も演奏を続けた。アンゼリカへの悲劇のオーヴァチュアに加え、鳥籠のカプリースが綾音とトロワにも襲い掛かってくる。
幻影が音楽に合わせて踊り、旋律は復讐者達の欲望を引き出していく。
「くく、どうだ?」
「欲のままに振る舞ってもいいんだ。さぁ、心を解放しろ」
バイオリニスト達は不敵に笑い、綾音達に呼びかけてきた。相手の攻撃は欲望に働きかけるもの。トロワが強く耐えていく中、綾音は湧き上がる欲望に意識を向けていた。
「……今の綾音ちゃん達の欲望ってなんだと思う?」
「――?」
綾音が逆に問い返してきたことで淫魔達は疑問を浮かべた。欲などひとつに決まっているといった様子のバイオリニスト達に対し、綾音は凛と語ってゆく。
「戦闘欲? 嫉妬? いいや、そんなのでは断然ない」
「そうだね、もっと別のものだ」
トロワも綾音の言葉に同意を示し、リミッターを解除したダモクレスブレイドを大きく振り上げた。アンゼリカも幻影を打ち払い、一撃離脱の形で敵を相手取り始める。
そして、次の瞬間。
「君たちを一人残らず倒したいという欲望だ!」
「その通り、運命を切り拓くとしよう!」
綾音は言葉を紡ぎ終えると同時に綺羅星の星光を解き放った。
其処へトロワの光芒が重なり、光の協奏曲が響いていくかのような光線が迸る。大上段からの振り下ろしがバイオリニストを打ち倒し、大量かつ高威力の綾音が楽器ごと淫魔達の息の根を止めていった。
「こっちは任せて!」
更にアンゼリカが弱った個体に狙いをつけ、容赦のない光剣の一閃で淫魔を切り伏せる。されど流石はジェネラル級直属のバイオリニスト立ちた。相手が宿す音楽の技量は称賛すべきものだった。
何故なら、アンゼリカはずっと幻影を見せられているからだ。
それは淫魔絵画の世界で友達になった子が刃に倒れるという悲劇の幻影だった。偽物だとはわかっているが、心が軋むような感覚が巡っていく。だが――。
「違う、偽物だ。その子のためにも、ここで生きている人々の為にも……私達はウィーンを救うんだ!」
勇気を燃やせば、何にだって負けない。
幻影を再び振り払ったアンゼリカは閃波を解き放ち、仲間と共に勇猛果敢に攻め込んでいく。
「誰も逃がさない」
「一人残らず倒して、次に進むよ!」
アンゼリカの全力を込めた光剣の一閃が巡り、綾音が繋げた光線が敵を殲滅していった。淫魔達は次々と倒れていき、最後に残った一体にはトロワが向かう。
あとは重力に任せるだけで十分。真っ二つに断ち切ってしまえば洗脳音楽は完全に止められる。刹那、鋭い一撃が最後のバイオリニストを切り裂き、演奏は其処で途切れた。
「これでお終い……っと、時間切れか。やれやれ、また修理しないといけないな」
トロワが軽く肩を竦めた瞬間。
薔薇の香りが妙に強くなり、辺りの空気が一瞬にして張り詰める。はっとした復讐者達が薔薇園の奥に目を向けると、其処にタリスマンを手にした女性淫魔が立っている姿が見えた。
「あれって……」
「薔薇の貴婦人マルメゾン!」
「当然君が出てくるよね、ジェネラル級……!」
アンゼリカと綾音、トロワはあまりにも強い薔薇の香に眉をひそめる。名を呼ばれたマルメゾンは無言のまま此方を一瞥した後、配下のトループス級が全滅していることを確かめた。
そして――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【フライトドローン】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【ダブル】LV1が発生!
【命中アップ】がLV3になった!
🌹 🌹 🌹 🌹 🌹 🌹 🌹
●薔薇のマルメゾンと茨の園
欲望のバイオリニストが倒された直後。
薔薇園めいた儀式場の奥から現れたのは、薔薇の貴婦人マルメゾン。
「あなた達がディアボロスですか。淫魔大樹を崩壊させた者達であり、そして……」
この場所を作り上げた張本人であるマルメゾンは、手にしたサファイアのタリスマンを揺らしながら、忌々しげに唇を噛み締めた。其処には復讐者への強い憎悪と敵意が隠されている。
何者をも近付けぬオーラを纏っているのは、相手がジェネラル級クロノヴェーダであるからだろう。
そうして、マルメゾンはそっと呟く。
「ルドヴィカ様の仇……」
その口から紡がれたのは、かつて淫魔宰相として君臨していた淫魔の名だ。淫魔同士で交流でもあったのか、マルメゾンの瞳には静かな怒りが宿っている。
しかし、マルメゾンは向こうから襲い掛かってくるようなことはなかった。
「いいえ、個人的な思いは潜めましょう。今はジョゼフィーヌ様の命令を第一に――」
冷静さを取り戻したマルメゾンは復讐者から視線をそらし、薔薇園の奥に消えていく。零れた言葉通り、今は淫魔大樹のエネルギーを集めることに専念すべきだと考えたのだろう。
配下達が倒れても、この薔薇園に堕落の香が充満している限りは遠隔からでも人間達からエネルギーを奪える。
それゆえに相手にとって、交戦することは非効率的でしかないのだ。
このまま彼女を放っておいても、この儀式場で淫蕩に耽る人々を救い出せばエネルギーの回収は止められる。
だが、その間にマルメゾンは交戦することなく逃走していく。
薔薇園の奥に進んで戦いを挑めばマルメゾンも流石に迎え撃ってくるだろう。だが、向こうが劣勢になれば『竜騎皇妃』ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネがマルメゾンを回収に訪れると予知されている。
敢えて薔薇の貴婦人を追わず、戦いを回避して安全に人々を助けるか。
このまま薔薇園の奥へ進み、勝てるか否か未知数な戦いを挑みに向かうか。
または、ジョゼフィーヌから情報を引き出すべく、戦いながら相手が出てくる場面を待つか。
人々の安全。ジェネラル級の撃滅。敵との駆け引き。
どの道を選んでも決して間違いではない。この戦いにどのような幕引きを導くかは、復讐者の選択次第だ。
🌹 🌹 🌹 🌹 🌹 🌹 🌹
一蝶・信志
ヒートアップしちゃったネコチャンにはバケツの水をぶっかけるといいのよ
びっくりして逃げてくれるし、
濡れた身体をなんとかするのに必死になってるうちに冷静になってくれるから
血の汚れや臭いも洗い流してくれるから、一石三鳥ね🌟
人々に絡みつく薔薇を引きちぎりながら一生懸命声を掛けるわ
みんな、がんばって!
何もかも奪われてしまったこの街で、
もういちど暮らしていくと決めたのでしょう?
負けてはダメよ
ワタシたちの心には、淫魔に打ち勝つ強さがある
何度でも立ち上がる勇気がある!
それを思い出してほしいの
※「魔法少女シンディ」を自称し、女性のように振舞う
パラドクス使用時は一般人に被害のないように細心の注意を払う
●差し伸べる手
薔薇の貴婦人マルメゾンが姿を現し、奥に消えていった後も淫蕩儀式は続いていく。
一蝶・信志(シンディ・g04443)は敵を相手取ることは敢えて止め、薔薇の香りを吸い込み過ぎないよう気を付けた。
儀式に呑み込まれている人々を助ける手段はふたつ。
マルメゾンを倒して、魔力で出来たこの薔薇園を壊すか。またはこの場で人々に直接声をかけるなどして、ひとりずつ正気に戻していくかのどちらかだ。
「ヒートアップしちゃったネコチャンにはバケツの水をぶっかけるといいのよ」
ふわりと衣装を翻し、信志はにこやかに微笑む。
そうすればびっくりして逃げてくれるうえ、濡れた身体をなんとかするのに必死になっているうちに冷静になってくれる。身体に深刻な被害もなく、血の汚れや臭いも洗い流してくれる。
「つまりは一石三鳥ね」
少しばかり傷が痛むかもしれないが後でしっかり治療すればいい。そして、信志は一般人達の保護に向かった。
「……!」
「い、痛い……っ」
「大丈夫よ、今すぐにこんな棘なんて引きちぎってあげる」
はっとした人々は一瞬だけ正気に返りかけたが、まだ洗脳の力は強い。それでも信志は諦めず、人々に絡みつく薔薇を除去しながら懸命に声を掛けていく。
おそらくマルメゾンに戦いを挑みに向かう者もいるだろう。そちらは信頼して任せておけば良い。
その間にひとりでも多く被害者を助けておくことも間違いではない。正義の魔法少女として、信志は目の前の人々を放っておくことが出来なかった。
「う、うう……」
「マルメゾン様は……女神……」
人々は周囲に咲く堕落の花の影響で、薔薇の貴婦人を崇めようとしている。されどそれも精神を汚染されているからだ。信志は意識が朦朧としている様子の青年を助け起こし、真剣な言葉をかけていく。
「みんな、がんばって!」
何もかもが奪われてしまったこの街で、これ以上は奪わせるものか。
建物ならば何度でも直せる。壊れてしまったものならば作り直せる。だが、人の命は代わりがきかない。
「もういちど暮らしていくと決めたのでしょう? 負けてはダメよ!」
ワタシたちの心には、淫魔に打ち勝つ強さがある。
そう語った信志の眼差しは強い。崩壊した街に戻り、元の生活を取り戻そうと決めたように――。
「何度でも立ち上がる勇気がある!」
だから、自分を取り戻して。
懸命に生きることを思い出してほしいと信志が告げた時。
「はっ! 俺は何を……!」
「良かった、意識を取り戻したのね。待っていて、すぐにこんな薔薇園なんか消えてなくなっちゃうから!」
信志は正気に戻った青年に笑いかけた。
周囲にはまだ洗脳されたままの者もいるが、まずは第一歩目を刻めた。こうして復讐者の力が重なれば、きっと――否、絶対に人々を救出していける。
信志は人の心の強さと仲間を信じ、真っ直ぐな眼差しを青い薔薇に向けた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【水源】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
ソレイユ・クラーヴィア
【賽】
連携アドリブ歓迎
マルメゾンを逃せば、再び人々が災禍に見舞われます
願わくば、この場で撃破を
戦況とマルメゾンの負傷や反応を観察し
状勢が傾き始めたと感じたら
【賽】の仲間と連携して、感情を繋いだコンビネーションで一斉攻撃し撃破を狙います
宙に展開した鍵盤で「嵐」を演奏
幻想の嵐を上空から叩きつけてやりましょう
命中アップで狙いを定め、ダメージアップの恩恵も借り
出来るだけの火力を出す事を意識します
反撃の動物は魔力障壁で凌ぎ
枝葉の束縛は飛翔で逃れます
可能なら再度の総攻撃
ルドヴィカは最期まで堂々たる態度を崩さず見事な淫魔宰相でした
それに比べて、貴方はどうなのです?
ルドヴィカに恥じぬ戦いをなさっては如何です?
アンゼリカ・レンブラント
【賽】の皆と
残留効果を活用し、ジョセフィーヌ出現前に倒しきる
包囲するよう布陣し
仲間と連携し攻撃を重ねる
ルドヴィカは相容れない敵だったが、ある種の敬意を払うべき相手だった
毅然とした姿は崩さず、最後は
パルマ市民が歌った太陽と希望の曲を奏でてもくれた
お前は逃走などして彼女の名を汚すことはないだろうね?
タリスマンの影響を受けた仲間には自分を保つよう声がけ
私たちの勇気、未来に進む意思は奪わせないよね!そうだろっ
相手の消耗が分かれば、仲間のラッシュと共に
捨て身の覚悟と共に決着の一撃を狙う
私達の全てをウィーンを救いたい想いと共に
今こそ最大まで輝け、《光剣収束斬》
明日を照らす太陽の光となり
人々に夜明けの時を!
夏候・錬晏
【賽】の皆と同時攻撃を仕掛ける
※アドリブ歓迎。残留効果活用
弟分のソレイユに呼応して
俺の武、存分に振るおう
「ジェネラル級を誘い出せたんだ。逃すわけにはいかないよな」
油断なく静かに偃月刀を構えて敵の動きを<情報収集>
のちの戦いに少しでも役立つものがあれば仲間に共有しよう
全力の沛雨を降らせて動きを鈍らせ仲間の攻撃を援護
野バラの反撃に目の前がかすむ
穏やかな世界で主が笑みを浮かべて―――
だんっ
荒々しく蔓を<両断>して幻覚を断ち切る
その未来は紛れもなく俺が望んだもので
「は、お前に見せられる筋合いはないわ」
己で掴み取る。そう誓って戦っているんだ
舐めてもらっては困る
仲間も蔓に捕らわれていれば断ち切る
ここで散れ
●薔薇の欲望と幻想
復讐者達は薔薇園の奥に進む。
薔薇の貴婦人マルメゾンは此方の様子を見遣り、静かに溜め息をついた。
「わざわざ殺されに来るとは、いい度胸ですね」
その言葉には怒りが隠されている。ジョゼフィーヌの命令を忠実に守るため、憎き仇を無視してまで庭園の奥に下がったのだ。其処に復讐者達が訪れれば怒りも蘇るというものだ。
ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)と夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)はマルメゾンに真正面から対峙する。相手は薔薇の茂みを背にしており、一先ずは左右からの挟撃が狙えるだろう。
「貴女を逃せば、再び人々が災禍に見舞われます」
「逃すわけにはいかないよな」
――願わくは、この場で撃破を。
ソレイユが裡に秘めたる願いを言葉にした後、錬晏が深く頷く。弟分であるソレイユが此処まで力を尽くしてきた以上、己の武も存分に振るうときだと錬晏は感じていた。
「ルドヴィカと縁があったみたいだね。どんな関係?」
アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)は率直にマルメゾンに問いかけてみた。
彼女達の狙いはジョゼフィーヌが出現する前に薔薇の貴婦人を倒し切ること。相手の背には茂みがあるとはいえ、此処は敵のテリトリーだ。何があるかはわからない。
決して慢心はせず、仲間と連携を心掛けることを決めたアンゼリカは強く身構えた。
「ルドヴィカ様は淫魔宰相として尊敬しており、お慕いしておりました。それ以外に説明が必要ですか?」
マルメゾンは冷たく言い放つ。
敵ながらに端的に答えてくれたことに対してアンゼリカは、それで十分、と答えた。その間、錬晏は静かに偃月刀を構えていた。敵の動きを見つめ、戦いに少しでも役立てたいと考えたからだ。
こうして対峙しているだけでも敵の強さは感じ取れる。
一切の容赦も、一欠片の油断もしてはいけない。緊張が走るほどの強者のオーラが巡っているかのようだ。
されどソレイユは即座に動いた。
宙に展開した鍵盤に指先を添え、奏でていくのは『嵐』の楽曲。
幻想の嵐を上空に巻き起こしたソレイユは仲間達に呼びかけながら、旋律を響かせていく。
「私達の全力を叩きつけてやりましょう」
周囲に巡る力はソレイユの音楽にさらなる威力を与えてくれる。巻き上げ、叩きつけ、抉りとる強風。それを侮ってはならない。荒野を駆ける馬車の如く、一度走り出したら、全てを破壊するまで止まることは無いのだから。
嵐を受け止めたマルメゾンは薄く笑む。
「その程度で揺らぐとは思わないで頂きたいです」
刹那、悪しき堕落の薔薇の園が広がっていった。香気を受けた鳥や動物が召還され、狂暴化しながらソレイユ達に襲い掛かってくる。それだけではなく、薔薇が伸びる枝葉や棘で此方の動きを妨げようとしてきた。
その動きに気付いた錬晏が前に踏み出す。
「――させるか」
ソレイユの鍵盤に絡みつこうとした棘を黒刃の偃月刀で斬り裂いた彼は、全力の沛雨を降らせ返す。少しでも動物や棘の動きを鈍らせ、仲間の攻撃を援護していくためだ。
黒橡の大籠手を振るって枝葉を振り払った錬晏。その姿を見据えたマルメゾンはゆらりとタリスマンを揺らがせていく。再び攻撃が来ると察したアンゼリカはマルメゾンの気を引くべく、更に声をかける。
「ルドヴィカは相容れない敵だったけど、ある種の敬意を払うべき相手だったよ」
「……貴女、もしかして」
アンゼリカの物言いから、マルメゾンは或ることに気がついたようだ。復讐者全体がルドヴィカの仇でもあるが、その中でも直接的に彼女を討ったひとりがアンゼリカであることに――。
「そうだよ、ご明察。ルドヴィカは毅然とした姿を崩さずにいた。それから最期は、パルマ市民が歌った太陽と希望の曲を奏でてもくれたよ」
「ルドヴィカ様がそんな最期を……?」
マルメゾンはアンゼリカの言葉に気を取られ、一瞬だけ動きを止めた。
だが、すぐさまサファイアの護符を振りかざす。其処から煌めいた宝石の光は復讐者達の生命力を奪いながら欲を増幅させていった。アンゼリカは力が抜けるような感覚に侵されながらも、光剣を振り上げる。
身の丈以上の巨大な光の剣は輝きを増し、其処から放たれた収束斬がマルメゾンを貫いた。アンゼリカはすぐに身を翻し、次の一手に向けて光を集めていく。
このくらいで相手が倒れるとは元から思っていない。それゆえに何度でも剣閃を叩き込む気概が必要だ。
ソレイユもアンゼリカの言葉に合わせ、マルメゾンの気を引いていく。
「ルドヴィカは最期まで堂々たる態度を崩さず見事な淫魔宰相でした」
「そう、貴方達も認めてくださっているの。ふふ……」
マルメゾンは静かに笑む。
おそらく現在、最良の形で相手の意識を此方に向けさせられている。何故なら、今のマルメゾンは本当の意味で興味を持っているからだ。
敵の様子をしかと観察していた錬晏は、其処で気付く。
もしマルメゾンや淫魔に対する悪い言葉を語っていれば、まったくの逆効果になっただろう。
相手は任務を第一に考えねばならぬ立場だ。もし相手の怒りを買うような言葉を選んでいた場合、マルメゾンは憤怒に任せて復讐者に襲いかかるどころか此方を見限ってしまい、戦いを引き伸ばしながら逃走準備をしたかもしれない。
言葉で気を引くこと。それは相手が耳を傾けたいと感じるような内容であることが望ましい。
そう、たとえば――先程にアンゼリカが掛けたような言葉だ。
ソレイユは幻想ソナタの演奏を続けながら、敵の逃走について指摘する。
「それに比べて、貴方はどうなのです? ルドヴィカに恥じぬ戦いをなさっては如何です?」
「お前は逃走などして彼女の名を汚すことはないだろうね?」
アンゼリカも続けて問いかけを投げた。
するとマルメゾンは頭を振り、冷ややかな眼差しを向けてきた。
「あら、何を仰っているのかしら? 淫魔宰相様のことと、私がジョゼフィーヌ様の命に従うことに因果関係などないでしょう。ですが……あのルドヴィカ様を討ち取った力は認めましょう」
事実、復讐者達が繰り出した攻撃はマルメゾンに効いている。
此方の実力をしかと理解した薔薇の貴婦人は、次に錬晏に目を向けた。相手が片腕を伸ばした刹那、精神を堕落させる野薔薇が彼に絡みつく。
「錬晏……!」
「く……」
枝葉の束縛から逃れるべく飛翔したソレイユが呼びかけてきた声は遠くなり、目の前が霞むように揺らいだ。錬晏の視界には穏やかな世界の幻想が広がり、其処では彼が主と呼ぶ者が笑みを浮かべて立っていた。
だが、次の瞬間にアンゼリカが野薔薇を斬り裂く。
「大丈夫? 私たちの勇気、未来に進む意思は奪わせないよね! そうだろっ」
その呼びかけの直後、錬晏も自ら刃を振るった。
鋭く重々しい音と共に、荒々しく蔓を両断した彼は幻覚を断ち切る。この未来は紛れもなく己が望んだものではあるが、此処で見るべきものではない。
「は、お前に見せられる筋合いはないわ。舐めてもらっては困る」
己で掴み取ると誓って戦っているゆえ、惑わされなどしない。マルメゾンに言い放った錬晏は野薔薇の誘惑になど二度と負けないと心に決めた。
「ここで散れ」
「花と共に眠ってください」
切り込んだ錬晏と共に、ソレイユも無窮動の旋律に乗せて荒れ狂う嵐を轟かせ、マルメゾンを攻撃していく。
降りしきる雨は龍が暴れるが如く、縦横無尽に降り注いだ。
「貴方達は強い。それゆえに私も全力を出しましょう。ジョゼフィーヌ様が来てくださるまでは……!」
「そうはさせないよ!」
全力で駆けたアンゼリカの望み、つまり欲にも繋がる思いはウィーンを救いたいという想い。
――今こそ最大まで輝け、光剣収束斬。
「明日を照らす太陽の光となり、人々に夜明けの時を!」
裁きの光は目映い輝きを宿していき、マルメゾンを貫かんとして振り下ろされた。
全てを斬り裂き、この戦いを終わりを導いていく一閃は鋭く――何処までも真っ直ぐに青薔薇を貫いた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【腐食】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【リザレクション】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV4になった!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【庭師】で連携行動
連携アドリブ歓迎
ウィーンは俺の夢の街……
新宿で出会った心強い仲間と共に、真の解放を
【パラドクス通信】を共有し、仲間と連携を密に
戦場を偵察、観察し把握、情報共有
仲間とマルメゾンを包囲
俺は正面から気を惹く
包囲の手薄な所には注意喚起し
【防衛ライン】を敷く
包囲完成後
PD通信で、仲間へ一斉攻撃の合図
民を惑わせ、狂わせる薔薇。ここで刈り取ろう
――一斉攻撃だ!
仲間と連携し、間断なく一気に畳みかける
俺は牽制にみせた射撃から、本命は跳弾
包囲時か、撤退の気配時に挑発
俺はルドヴィカを討った一人。窮地でも貴人たる態度、見事だった
貴女は仇を前に逃げ出すのか?
反撃には魔力障壁を展開し
香気を軽減し枝を払う
シル・ウィンディア
【庭師】で連携行動
ルドヴィカ、か…。
最期の時にわたし達の歌を奏でていたんだよね。
敵であれ、わたし達の歌を、曲を認めてくれた。
ルドヴィカの仇というなら、討ちにくればいいよ。
ここにはその場にいた人が沢山いるからね
それとも、討つ機会をわざわざ逃すの?
正面からマルメゾンに声をかけて様子を見るよ
激高すれば儲けもの
正面以外の包囲をする味方から少しでも目を逸らせたらいいんだけどね
合図で示し合わせて一斉攻撃を開始っ!
この街の為、人々の為、わたし達は明日を歌うんだっ!!
高速詠唱で隙を減らして、全力魔法からの七芒星精霊収束砲…
ルドヴィカに見せたものから発展したもの
これで、淫魔という夜を切り裂いて見せるからっ!!
レイ・シャルダン
【庭師】で連携行動
勇気を出し、街の残った人達に…何てことを…。
淫蕩儀式…、日本語は美しく素晴らしいものであると知って居ますが。
なんとも耳障りのする不愉快な言葉だ。
大淫魔都市ウィーン等と不名誉な名前は今日限りで返上です。
【パラドクス通信】を用いて味方と連携
『アクロヴァレリア』を点火して"飛翔"
『Boeotia』による"観察"で常に"情報収集"を行い
抜けている穴を埋めていく様に味方をサポート。
正面から味方が攻勢を仕掛けている隙に側面、背面を抑え
敵が撤退出来ない様包囲
ボクの後ろは決して通さないと【防衛ライン】を敷き
掌に蒼き光を束ね、『ACRO』に番えて
合図に合わせパラドクスを発動します。
エリル・ウィスタリア
【庭師】で連携して行動。
なんて事をするのかしら。
青薔薇が似合うのは貴女ではない。この街の人達なの
…早く退場なさいな。
仲間達がマルメゾンの気を引いてくれている間に【地形の利用】しやすい場所を探しながら彼女の死角になりやすい位置へ移動。
逃さないように包囲網を形成するわ。
包囲網が完成したら仲間の合図を待って【不意打ち】攻撃。張り付いてパラドクスと弟とでひたすら殴り続ける。
攻撃は基本的に弟でガード。無理なら受ける
体力が危なくなったら【捨て身の一撃】を乗せたパラドクスを
あら?女神のように崇めてあげてもいいわ
…くだらない。幻覚か。
あの子を使うなんて、絶対に許さない
自分を傷つけて正気を保つ。
赤上・イズル
■【庭師】
■アドリブ・絡み歓迎
俺も淫魔大樹の1本を打ち倒した一人ではありますが
淫魔マルメゾンと会うのは初めてです
しかし初見にて最後の顔合わせといたしましょう
【飛翔】【パラドクス通信】を使い仲間と連携を取り行動
正面のチームの仲間達が挑発等をして敵の気を逸らしている隙に
退路塞ぐチームの仲間達と共に敵の背後に移動
【防衛ライン】を発動させ彼女の退路を阻む
ここからあなたを帰すわけにはいきません
我々ディアボロスの力をとくと味わってください!
仲間の合図と共に一斉攻撃
七つの残像を出現させ、彼女へ集中攻撃
幻覚に耐えつつ【ダブル】ですかさず追撃し攻撃の手を緩めない
連絡を取り合い包囲網に抜けがないようフォローし合う
三苫・麻緒
【庭師】で連携行動
青薔薇…花言葉は奇跡とか夢かなうだっけ
クロノヴェーダにはもったいないね
叶うのはウィーン復興の願いの方であるべきだよ
【飛翔】で機動力を確保
予めナイフも抜いておくね
他の人が意識を引き付けてくれている間に素早くマルメゾンの背後に回り込んで、仲間と連携して包囲網を張るよ
合図を受けたらパラドクスによる突撃攻撃
ナイフを突き立てては素早く身を反転させて、包囲網の穴を埋めるように戻ってをひたすら繰り返すよ
撤退させないよう、常に包囲網の中に押し込めるよう立ち回りたいね
反撃の蔦はナイフで≪解体≫
願いが叶った幻覚?
あのね、祝勝ご飯は自力で勝利を掴んでからじゃないと勝利の味にならないんだよ!(力説)
一里塚・燐寧
【庭師】連携
正面から攻撃
はーん、ルドヴィカちゃんのお仲間なんだぁ
あいつはクロノヴェーダにしちゃ気持ちのいい奴だったよぉ
あたし達の曲も気に入ってくれたしさ
きみも同じぐらい潔く戦わなきゃ、あの子が浮かばれないよねぇ?
……と挑発し冷静さを奪うよぉ
合図で一斉攻撃が始まったら『呪式:妖藤苦肉』を発動!
まず黒い蔦で敵を拘束して動きを鈍らせ
敵を捕縛している間に≪テンペスト・レイザー≫を構え肉薄し追撃
肉体改造で得た膂力で得物を振るい、袈裟斬りで両断を狙うよぉ!
拘束攻撃で、仲間が大技を使う時間を稼ぐっ!
反撃の蔦には自身の蔦を絡ませ呪詛で侵蝕し破壊
幻覚は「こんな都合のいい幸せあるはずない」という自己否定で抗うよぉ
マティアス・シュトローマー
【庭師】で連携
あの時は城壁の前までしか来れなかったけど、ここがウィーンか
この街があるべき姿を取り戻せるよう俺も力になるよ
仲間が陽動に出ている隙に、地形の利用で物陰に身を隠しながら敵の側面へ。連携を取り包囲網を形成しよう
【パラドクス通信】で合図をもらったら攻撃開始。【エアライド】で宙を蹴り衝撃波を伴う一撃をお見舞いするよ
狙いは翼。一瞬でもいい。敵の機動力を削り、仲間の攻撃に繋げる事ができたら
反撃は【飛翔/エアライド】で躱すか、間に合わなければ臨機応変に銃で迎撃を
【防衛ライン】を敷きつつ、包囲網の抜けが無いよう立ち回るのも忘れずに
迎えが来たから帰るだなんて、今更そんなつまらない事は言わないよね?
レイラ・イグラーナ
【庭師】で連携行動
包囲した上で一斉に攻撃を仕掛けます。
私は敵を正面から引き付けましょう。
そちらにとっても私たちは、私は仇と言えるでしょう。
あの場には多くのディアボロスがいました。決して一人で成し得たことではございませんが……ルドヴィカの心臓に、針を突き立てたのは私です。
こちらに目を向けさせ、仲間が包囲を進めている間は深入りせず野バラを回避、囚われた仲間がいるならお互いに助けることで包囲までの時間を稼ぎます。
包囲したらエトヴァ様の合図で一斉攻撃。
野バラの合間を縫い【手製奉仕・縫】。胸に銀の針を突き立てます。
その怒りは本物でしょう。ですが、ウィーンの街はここから始まるのです。邪魔はさせません。
火撫・穂垂
【庭師】で連携
火撫が長、名を穂垂。
義により、助太刀に馳せ参じた。
……アレを、獲るんだね。
アレとはこれまで縁もない。
気の利いた言葉も、掛けてあげられないし。みんなと対峙している間に、ボクは退路を塞ぐように回り込む。
逃がしはしない。
みんなに合わせて、一気呵成に仕留めてやる。
鎌は元より、草木を刈るもの。
振り回し、薙ぎ払い、蔦を落とす。これが、裏火撫の鎖鎌術。
そのまま、鎖でアレを捕えに行くよ。
言うて、格上。
そう簡単に、捕縛されてはくれないだろうし、できたとしても、僅かに鈍らせるだけかもだけど。
それで、じゅーぶん。
この人数なら、僅かな隙でも、命取り。
みんなで、隙や死角を補い合って、追い詰めないとね。
夜乃・零
【庭師】で連携
アドリブ歓迎
・
薔薇の香が妙に濃いな
鼻を啜って顰めっ面
追い掛け出会った貴婦人に笑って
そこから先には一歩も行かせねえ!
先ずは後方か側方へ移動して
逃げられねえよう囲い込む
人の足りねえところはカバーするよ
赫焉を構えて堂々と敵に対峙
必要とあらば、空へ上がり
上空から状況判断して
声を掛け合い
常に敵の向きや視線を意識
独りで戦ってる訳じゃねえんだ
背中も、隣も、任せてくれよ
危ないときはお互い様だ
攻撃は躱したり得物で防いだり
その宝石見ても何とも思わねえけど
どんな感情も欲も、今は振り払う
ああ? 帰ったら祝勝飯だろう?
その為にも負けられねえよな
仲間の合図が来たら一斉攻撃
堕ちるのは、おまえひとりで十分だ
エレオノーラ・アーベントロート
【庭師】で連携行動
この期に及んでそんなつまらない真似をしますの?
こちらが儀式の妨害に失敗すると考えているのか、こちらに勝てないと思っているのか。
弱者の考えは分かりませんわ――わたくしなら、全員ブチ殺して終わらせますのに。
他の復讐者が正面で敵を引きつけている間に【飛翔】で背面に回り込み包囲しますわ。
宝石? 綺麗ですわね。わたくしの前ではかすみますし、余計な添え物にしかなりませんけれど。
包囲後、エトヴァさんからの合図があったらさらに【飛翔】で高度を上げますわ。前方、後方、側面、そして頭上からわたくしも「第十三の魔弾【愛執】」の投射で一斉攻撃を。
わたくしの心を乱すにはエゴが足りませんわね。
一ノ瀬・綾音
【庭師】で連携行動
ルドヴィカか。
あの方、綾音ちゃん達のことを認めてた感じあるんだよね。
なんなら最期にパルマに――パルマの一般人にとっての希望の曲を弾いてくれた。曲だけは気に入ってたと言って。
尊敬する気持ち分かる。ただ綾音ちゃん達は倒してしまった。嫌われることなんてわかってる。
来るなら来て?綾音ちゃんもそのルドヴィカを倒したチームの一員だ。
包囲網に参加しつつ真正面から言って挑発して相手の気持ちを乱し足を遅らせる作戦で包囲を突破されないようにする。
一斉攻撃のタイミングが来たら全力魔法の『厄災の星光』!
これがルドヴィカにも放った綾音ちゃんの魔砲――パルマに、そしてウィーンに!希望を齎す命の輝きだ!
白水・蛍
【庭師】で連携
連携/アドリブ○
使用出来る効果は使用。
慌ててますね。とっとと尻尾巻いて帰る事をお勧めいたします。
貴女方は私達には勝てません。
帰らないのであれば、そのままこの地でその命、薔薇となって散るといいですわ!
【パラドクス通信】の合図で≪ブレイドハープ≫を取り出して、パラドクス発動。
我が奏でるは味方には未来への希望。
味方には<勇気>を。敵には怯懦を。
味方には勝利を。敵には敗北を。
未来へ進む為に我はこの凱歌を奉げる。
この音を、この歌と共にいざ進まん!
音は壁となり、風となり、相手を阻む。
相手の攻撃に一切ひるまず、<演説>という名の歌を、演奏を以て相手に突撃致します!!
宝心・ライラ
【庭師】で参加
連携アドリブ歓迎
正面で気を引きつつ一斉攻撃のチャンスを広げるわ
「さっきの幕間曲は聞いてくれた?ルドヴィカの演奏を参考に作ったのよ。自分の芸がこうして受け継がれたのだから、きっと彼女はハッピーエンドね!」
マルメゾンの気を引くために、無邪気に快活に、彼女が慕った者の死に身勝手な評価を下す
【パラドクス通信】で合図が出たら火吹き芸で一斉攻撃に加わる
第一目標は露払い
空飛ぶ炎の妖精さん達と繰り広げる夜のサーカスで薔薇香の粒子や蔦などを焼き払う
動物さん達とマルメゾンには練習無しの火の輪くぐりをしてもらうわ
「言ったでしょ、第2部は幸せのオーケストラ。私達であなたをハッピーエンドにしてあげる!」
●青薔薇の領域
音楽の都、ウィーン。
楽都とも呼ばれるこの街は、音楽を志す者からすれば夢や憧れそのもの。
「ウィーンは俺の夢の街……。だから、取り返す」
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は強い意志を抱く。仲間達と共に向かうのは、薔薇の貴婦人マルメゾンが儀式の続きを行おうとしている薔薇の花園の奥。
マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は油断なく身構えながら、周囲の様子を探る。
「前は城壁の前までしか来れなかったけど、ここがウィーンか。この街があるべき姿を取り戻せるよう俺も力になるよ」
ウィーンの真の解放を目指すマティアス達は、強敵相手に戦いを挑むことを選び取っていた。
奥へ掛ける際にレイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)が思ったのは、淫蕩儀式に参加させられていた人々のこと。
「勇気を出し、街の残った人達に……何てことを……」
大淫魔都市ウィーン。耳障りのする不愉快な名と言葉だと感じたレイは、不名誉な名前を今日限りで返上すると決めていた。赤上・イズル(赤き悪魔・g04960)も淫魔大樹に包まれていた街を思い、拳を握りしめる。
イズルも淫魔大樹の一本を打ち倒した一人だ。
「俺はマルメゾンと会うのは初めてです。しかし初見にて最後の顔合わせといたしましょう」
モーラット・コミュのマリコさんと共に駆けゆくイズルも決意を固めた。
周囲に咲き乱れる青い薔薇は妙に濃い香りを放っている。
「こんなに香ってると逆効果だな」
鼻を啜り顰めっ面をした夜乃・零(常闇・g04477)は頭を振った。その隣で三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)も青薔薇に注意を向けており、ふとした思いを声にする。
「青薔薇……花言葉は奇跡とか夢かなうだっけ。クロノヴェーダにはもったいないね」
「間違いないわね」
「うん、叶うのはウィーン復興の願いの方であるべきだよ」
エリル・ウィスタリア(雪を待つ花・g00912)が同意を示してくれたことで、麻緒も深く頷きを返した。
幾重にも重なった薔薇の茂みはマルメゾンが魔力で作り出したものだ。青い薔薇の花を背にして佇むマルメゾンの姿が見えたとき、誰もがその気迫と強者のオーラを感じ取った。
エリルはマルメゾンを見つめ、気圧されぬように強い言葉を投げかける。
「青薔薇が似合うのは貴女ではない。この街の人達なの。……早く退場なさいな」
「これは私が作った堕落の花なのに?」
薔薇の貴婦人が顔をあげると同時に、背後の青薔薇の蕾がゆっくりとひらいていった。堕落の花と呼ばれている薔薇はどうやら、ある程度ならば自由に操作できるらしい。
気を引き締め、この戦いに勝つと心に決めた火撫・穂垂(奉火・g00006)は凛とした口調で名乗る。
「火撫が長、名を穂垂。義により、助太刀に馳せ参じた。……アレを、獲るんだね」
薔薇の貴婦人は此方に気付いている。
穂垂とマティアスがその視線を受け止めると、マルメゾンが口を開いた。
「私を逃さないという心算ですか。ルドヴィカ様の仇である貴方がたが姿を表す意味、分かっておいででしょうね」
此方に目を向けたマルメゾンは静かながらも、怒りを宿した口調で問いかけてくる。
「ルドヴィカ、か……」
「あの方、綾音ちゃん達のことを認めてた感じあるんだよね。なんなら最期にパルマ――パルマの一般人にとっての希望の曲を弾いてくれた。曲だけは気に入ってたと言って」
シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)と一ノ瀬・綾音(星影の描き手・g00868)は、マルメゾンに対する思いと言葉を声にした。
目を細めたマルメゾンはタリスマンを揺らしながら、シル達に訝しげな視線を向ける。
「あのルドヴィカ様が……?」
「はーん、ルドヴィカちゃんのお仲間なんだぁ。あいつはクロノヴェーダにしちゃ気持ちのいい奴だったよぉ。あたし達の曲も気に入ってくれたしさ」
「ええ。私たちは……いえ、私は仇と言えるでしょう。あの場には多くのディアボロスがいました。決して一人で成し得たことではございませんが……ルドヴィカの心臓に、針を突き立てたのは私です」
一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は綾音の言ったことが本当だと語り、とレイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は自分が止めを刺したのだと主張した。
「きみも同じぐらい潔く戦わなきゃ、あの子が浮かばれないよねぇ?」
「…………」
挑発混じりの言葉を向けた燐寧の狙いは冷静さを奪うこと。表情こそ変えたものの、敢えて無言を貫いたマルメゾンは復讐者の言葉に懐疑的な思いを抱いているようだ。無理もない、敵である相手が語ることを信用する理由はないのだから。
しかし、復讐者が語っていることは真実だ。
「慌ててますね。とっとと尻尾巻いて帰る事をお勧めいたします。貴女方は私達には勝てません」
マルメゾンの反応を見た白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は、敢えて逃走を煽った。されど、それは逆の行動を誘導させるための言葉だ。エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)も相手を挑発するべく、態と強い言葉を選ぶことを心掛けていた。
「この期に及んでそんなつまらない真似をしますの? こちらが儀式の妨害に失敗すると考えているのか、こちらに勝てないと思っているのか。弱者の考えは分かりませんわ――わたくしなら、全員ブチ殺して終わらせますのに」
対するマルメゾンが激昂する様子はない。
どうやら今はジョゼフィーヌの命令を遂行することに重きを置いているらしい。
宝心・ライラ(ミス・ハッピーエンド・g01071)はマルメゾンの気を引くために無邪気に語りかける。
「さっきの幕間曲は聞いてくれた?ルドヴィカの演奏を参考に作ったのよ。自分の芸がこうして受け継がれたのだから、きっと彼女はハッピーエンドね!」
快活な口調ながらも、彼女が慕った者の死に身勝手な評価を下したのは敢えてのことだ。ライラ達の言葉に対し、マルメゾンはゆっくりと息を吐く。
「何がハッピーエンドなのでしょうか。それに私が勝てないとは……。それでしたら、試してみましょうか?」
「帰らないのであれば、そのままこの地でその命、薔薇となって散るといいですわ!」
蛍は敵が戦う意志を見せたことを悟り、更なる言葉を続けた。
おそらく『竜騎皇妃』ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネがこの場に現れたときが戦いが終わる瞬間だ。ジェネラル級が撤退に力を注ぐと決めているのならば、それを阻止する方法は殆どない。
たとえ防衛ラインを敷いたとしても、此処は相手の領域。薔薇が動くならば、道などどうとでもなるだろう。
それゆえに一刻も早く、ジョゼフィーヌの到来前にマルメゾンを倒すことが望まれていた。綿密な連携が必要な場面だが、この人数で囲い込めば様々な方向から敵を攻撃することが出来る。
エトヴァは集ってくれた仲間に感謝を抱きながら、一気に呼びかける。
「――皆、一斉攻撃だ!」
決戦の火蓋は切られた。
民を惑わせ、狂わせる薔薇を、ここで刈り取る。そのための戦いが此処から巡っていく。
●貫き通す意思
仲間の中で先陣を切ったのは正面右方に布陣した者達。
互いに頷きを交わし、視線を重ね合ったのはシルと燐寧、レイラと綾音の四人だ。
「教えてあげるよ。以前の戦いのこと」
マルメゾンに向け、真正面から声を掛けたのはシルだ。ときに時空すら捻じ曲げるパラドクスが発動する戦場は常に目まぐるしく巡り、一度相手を包囲したとしてもすぐに立ち位置は変わる。
それゆえに声を掛け続け、敵の気を引くことが重要にもなってくる。
「さっきも皆が言ってた通り、ルドヴィカは最期の時にわたし達の歌を奏でていたんだよね。敵であれ、わたし達の歌を、曲を認めてくれた。ルドヴィカの仇というなら、討ちにくればいいよ」
シルは複合精霊魔法を紡ぎ、マルメゾンに狙いを定める。
六属性を一点に収束させ、時の力を乗せて撃ち出した魔力砲撃が青薔薇の庭園に迸っていく。
「ここにはその場にいた人が沢山いるからね。それとも、討つ機会をわざわざ逃すの?」
「私を煽ろうと思っているのなら無駄です。元より、ジョゼフィーヌ様がいらっしゃるまでは退くつもりはありません」
「成程、割と冷静なんだ」
激昂させられればよかったが、マルメゾンに挑発は通じないようだ。されど此方と戦う気は十分にあるらしい。
「ルドヴィカを尊敬する気持ちは分かるよ」
「……偽りは見えませんね。ならばルドヴィカ様が貴女達の曲を気に入ったというのも本当なのでしょう」
綾音が思うままの言葉を告げると、マルメゾンは此方の言い分を認めた。最初は疑っていたが、復讐者が嘘をついているとも思えなかったのだろう。
「ただ綾音ちゃん達は倒してしまった。嫌われることなんてわかってる。だから……来るなら来て? 綾音ちゃんもルドヴィカを倒したチームの一員だったから!」
音楽に対する思いは通じたかもしれないが、自分達は敵同士。
言い訳はしないよ、と告げた綾音は詠唱を紡ぐ。
――焦熱の炎、極寒の氷、激流の水、烈震の土、浄化の光、堕落の闇よ。
シルの魔砲に重ねるようにして厄災の星光が解き放たれる。厄災の星光がマルメゾンに襲い掛かっていった直後、反撃の魔力が周囲に巡っていった。
「いいでしょう、仇討ちをさせて頂きます」
辺り一帯に精神を蕩かす香気を放つ薔薇が咲き乱れ、攻撃的な鳥や動物達が召還される。狂暴化した動物達はシルや綾音を襲ってきたが、魔砲を受けて消滅していったものもいた。
「こっちだって望むところだよ。もっとも、その前に決着がつくんだけどねぇ」
伸びる青薔薇の枝葉や棘は燐寧にも迫ってきていたが、素早く身を翻した彼女は攻撃を避ける。テンペスト・レイザーを掲げて枝を斬り裂いた燐寧は呪式を巡らせる。
棘を振り払うように巡った黒い蔦は周囲の動物達を拘束して動きを鈍らせていく。更にマルメゾンの片腕に巻き付いた蔦が行動を阻害した。回転刃が唸りを上げ、戦場に響き渡る。
「すっごい一撃、入れさせてもらうよぉ!」
ひといきに肉薄した燐寧は追撃として袈裟斬りを叩き込んだ。膂力で得物を振るう燐寧の狙いは、仲間が大技を使う時間を稼ぐこと。するとマルメゾンは強く腕を振るい、蔦を引き裂いた。
同時に精神を堕落させる野薔薇を放ち、燐寧の願望を引き出そうとしていく。
「……!」
「大丈夫ですか。どうやら幻覚が巡るようですね」
レイラはよろめいた燐寧に声を掛けながら、野薔薇の合間を縫っていった。手製奉仕・縫の力を発動しているレイラは、虎視眈々とマルメゾンの胸に銀の針を突き立てる機会を窺っている。
敵の動きを観察することで攻撃を予測していたレイラは幻覚に囚われぬよう、的確に立ち回った。
しかし、燐寧は或る幻覚に絡め取られかけていた。
(「あれって――先生?」)
燐寧だけに見えているのは初恋の人の姿。それも想いが通じているという状況だ。深層心理から引き出されたのだろうか。燐寧は強く唇を噛み締めた。これは穢されていいものではない。
強く抵抗することを心に決めた燐寧は、相手の蔦に自身の蔦を絡ませ、否定の呪詛を流し込みにかかる。
「こんな……こんなに都合のいい幸せなんて、あるはずない!」
自己否定をすることで幻覚から逃れた燐寧は、大きく地を蹴った。
レイラは仲間が自力で幻惑を解いたことに安堵を抱き、更なる攻勢に入っていく。
「ルドヴィカを思う、その怒りは本物でしょう。ですが、ウィーンの街はここから始まるのです。邪魔はさせません」
――滲む一滴、擦れる凩。銀の野薔薇が狭間を透かす。
刹那、レイラの縫針がマルメゾンを捉えた。
突き立てられた一閃は薔薇の貴婦人を貫く。それと同時に周囲に咲いていた堕落の花が幾つも散った。燐寧も妖藤を巡らせ、チェーンソーを振り下ろす。
「今が好機だよぉ!」
「この街の為、人々の為、わたし達は明日を歌うんだっ!!」
燐寧の呼びかけに応えたシルが全力の七芒星精霊収束砲を解き放った。これはルドヴィカに見せたものから発展した力であり、未来を歌うに相応しい魔砲だ。
「これで、淫魔という夜を切り裂いて見せるからっ!!」
「そう、これがルドヴィカにも放った綾音ちゃんの魔砲――パルマに、そしてウィーンに! 希望を齎す命の輝きだ!」
「何、この力は
……!?」
続いた綾音も相手の足を竦ませるほどに強烈な魔風を疾走らせた。集約された不安定魔力が迸り、そのエネルギーは凄まじい威力の魔砲に転換されていく。
青の薔薇園を走る抜ける輝き。それはまさに厄災の星光の如く、戦場を眩く照らした。
●打ち勝つ思い
正面から立ち向かう者が気を引いている間。
レイやイズル、エレオノーラとマティアスは敵の側面へ駆けていった。
向かって右側に向かってきた四人とは別に左側に進んだ者達もいる。互いに対角線上に布陣することで、常にマルメゾンを囲い込み続けることが目的だ。
「行きます」
アクロヴァレリアを点火して飛翔したレイは正面から向かった仲間とマルメゾンの様子を見つめる。ゴーグル型のデバイスで状況を分析し、観察することで抜けている穴がないか確認するためだ。
「ボクの後ろは決して通さないよ」
完全な逃走防止にはならずとも、レイは自分の方向に防衛ラインを敷いた。その間に真正面の仲間や、共に同じ方向に来た仲間に攻撃を仕掛けて貰う狙いだ。
その中でマティアスは物陰に身を隠していた。飛翔は機動力の面で優位だが、隠密性は兼ねていない。
仲間が目立ってくれている分、マティアスは密かに敵の側面へ回り込めるということだ。絶えず動く戦場で包囲網を形成し続けるにはかなりの努力と連携が必要だ。
「――だけど、負けない」
マティアスは困難を乗り越える気概を抱いている。
上手く回り込めたと判断したマティアスはエアライドの力を駆使して宙を蹴り、そのまま一気に衝撃波を放った。不意打ちめいた一撃を見舞われたマルメゾンは小さな悲鳴をあげた。
その隙にイズルも飛翔の力を巡らせた。彼は仲間との連携を密にすることを誓っている。
正面のチームの動向を気にしながら動くイズルもまた、敵の進路を阻む工作をしていく。仲間が気を逸らしている隙に防衛戦を張り巡らせたイズルはマルメゾンに宣言する。
「ここからあなたを帰すわけにはいきません。我々ディアボロスの力をとくと味わってください!」
敵の背後は薔薇の茂みがあるゆえ、回り込む距離も少なく済んだ。
目まぐるしい戦いが続くことは予想できるが、ジョゼフィーヌの到来までにマルメゾンの動きを阻む働きはできるだろう。エレオノーラも高く飛んでおり、マルメゾンに狙いを定めていた。
その際にエレオノーラが目を留めたのは薔薇の貴婦人が持つ青のタリスマンだ。
「宝石? 綺麗ですわね」
「サファイアに興味があるのでしょうか。それなら貴女達も見惚れさせてしまおうかしら」
エレオノーラの声を聞いたマルメゾンはサファイアの護符をかざし、復讐者の生命力を奪おうとしてきた。対するエレオノーラは首を横に振り、これ以上の関心はないと答える。
「いいえ。わたくしの前ではかすみますし、余計な添え物にしかなりませんけれど」
青のタリスマンを一瞥したエレオノーラは第十三の魔弾を解放した。前方、後方、側面、そして頭上。愛執の魔弾が投射されたことで、マルメゾンの身が貫かれる。
「……っ、なかなかやるようですが、甘く見られては困ります」
周囲に咲く薔薇の蔓を急激に伸ばしていったマルメゾンは、エレオノーラやマティアス達を貫き返そうとしてきた。イズルは咄嗟に危機を察知し、仲間に呼びかける。
「気を付けてください、かなりの魔力を感じます」
イズルは七つの残像を出現させ、マルメゾンへの攻撃の手を強めていった。対抗するイズルには幻覚が見せられ始めているが、耐える心構えはしてきている。
理想や願望を叶えた世界が広がっているように錯覚してしまう。だが、これはただの幻想だ。自分に言い聞かせたイズルは幻覚に耐えながら、単身で敵を包囲するかの如き連続攻撃を仕掛けた。
レイも掌に蒼き光を束ね、機械魔導弓に番えていく。
自分とマルメゾンの間に三つの魔法陣を展開するレイは、幻影を跳ね除けるほどに集中していた。
――eins, zwei, drei.
先ずは魔力で編んだ矢を変質させる属性の加護を。次に矢の魔力量を肥大化させる力の加護を。最後は流星の如き加速の加護を巡らせて。放たれた一矢は鋭く翔ける。
閃星の一矢が魔法陣を通過する度、その威力が増大していき――それは必殺の魔弾へと変貌を遂げた。
「きゃあ……!」
その矢をまともに受けたマルメゾンが声をあげる。
マティアスは好機が巡ってきたことを察し、更なる一撃を与えに掛かった。
振るうのは鉄の拳。敵との間にある壁を突き破るかのように、立ちはだかるもの全てを打ち払うもの。嵐のような衝撃波を纏う一撃がマルメゾンを真横から穿った。
鋼鉄の籠手を幾度も突き出し、打撃を与えていったマティアスはマルメゾンに直接問いかける。
「迎えが来たから帰るだなんて、今更そんなつまらない事は言わないよね?」
「いいえ、ジョゼフィーヌ様のご命令は絶対です。くぅ……まだ足りぬというなら……更なる幻影に惑いなさい」
痛みに耐えながら頭を振ったマルメゾンは堕落の花を咲き乱れさせた。マティアスだけではなくエレオノーラやイズル、レイにも余波が巡っていったが、誰も堕落には誘われなかった。
強い意志と、戦いに勝利するという思いがディアボロス達を支えている。
「わたくしの心を乱すにはエゴが足りませんわね」
静かに告げたエレオノーラの魔弾は新たな軌跡を描き、薔薇の貴婦人を撃ち貫いていった。
●幽艶たる淫魔
タリスマンを妖しく揺らすマルメゾン。
彼女の正面側左方に回ったのはエトヴァと蛍、ライラの三人だ。正面右方は勿論、側面や後方を狙って回り込む援護役の仲間にも皆が信頼を抱いている。
薔薇の貴婦人から目を逸らさぬまま、エトヴァは仲間と連携し続けている。
間断なく一気に畳みかけるのは定石。寧ろ急ぐまでの勢いがなければ、ジョゼフィーヌが訪れてしまうだろう。
「――踊れ、導け、祈りの下に」
エトヴァは聖なる祈りを込めた白銀の弾丸を両手の銃火器から連射している。相手を射貫く弾丸は牽制にみせかけており、本命は跳弾だ。無差別に放たれるように見えている弾丸には祈りと念動力の魔力が込められている。
縦横無尽に跳ねる銀弾はひとつ残らずマルメゾンを貫き、手痛いダメージを与えていた。
対抗するマルメゾンも悪しき堕落の薔薇の園を広げてきている。
「これは……厄介な銃弾ですね」
だが、エトヴァの白銀の弾丸は召喚された動物達ごと穿ち、相手の攻撃を防ぐ役割を担っていた。マルメゾンが僅かによろめいた隙を逃さず、次はライラが打って出る。
「これからご覧にいれるのは紅色の演目! 華麗に激しく情熱的に。炎と笑顔のカーニバル!」
火吹き芸で以て、召喚動物を焼き払ったライラは高らかに声を響かせた。第一目標であった露払いは完了しており、後はマルメゾン本人を攻撃していくだけ。
空飛ぶ炎の妖精達と繰り広げる、夜のサーカスは賑やかに巡った。
薔薇の香りは粒子ごと、伸びてくる蔦も一緒に焼き払ったライラは軽快に戦場内を駆け回っていく。
其処に合わせて動いたのは蛍だ。
先程の合図と共に取り出したブレイドハープから奏でられているのは行進曲。
――此処に綴るは進みゆく者達への凱歌。
「我が奏でるは味方には未来への希望。味方には勇気を、敵には怯懦を」
そして、味方には勝利を。
敵には敗北を。
「未来へ進む為に我はこの凱歌を奉げる。この音を、この歌と共にいざ進まん!」
蛍が歌い上げるのは英雄への凱歌だ。勇ましく進め、とその背を押す歌声は薔薇の園を満たしていく。未来への誘惑を共に巡りゆく歌はマルメゾンを追い詰める一手へと変わっていった。
その音楽にタイミングを合わせ、ライラも炎の勢いを強くする。マルメゾンは幾度も召喚術を行使していき、精神を蕩かす香気を何度も広げていくつもりらしい。
動物達が襲い掛かってくる中、ライラは固めを閉じて不敵に笑ってみせる。
「さぁ、動物さん達とマルメゾンには練習無しの火の輪くぐりをしてもらうわ」
「火の輪、くぐり……?」
「言ったでしょ、第二部は幸せのオーケストラ。私達であなたをハッピーエンドにしてあげる!」
訝しげに呟いたマルメゾンに向け、持論としてのハッピーエンドを語ったライラ。彼女と炎の妖精が織り成す火吹き芸は青の薔薇園を焼き尽くす勢いで迸った。
エトヴァも弾丸を撃ち続け、マルメゾンの気を引いている。
「俺はルドヴィカを討った一人。窮地でも貴人たる態度、見事だった」
「……そう、ですか」
淫魔宰相についての言及が此処までだとは思っていなかったらしく、マルメゾンは複雑そうな顔をする。先程に少し語られていた通り、彼女はルドヴィカを尊敬していたらしい。
戦いの手は緩めぬまま、蛍はふとルドヴィカとマルメゾンの関係について問いかけてみた。
「ルドヴィカを慕っていたということですが、お聞きしても?」
「…………。ルドヴィカ様は……私が作り上げた、この堕落の花が好きだと仰ってくださいました。あの素晴らしき『幽艶たる月』の曲も……一度、私のためにだけに弾いてくださった」
嬉しかった、憧れていた、とマルメゾンは呟いた。
淫魔同士で交流もあったのだろう。悼むような言葉を零した薔薇の貴婦人は蛍を見据え、唇を噛み締めた。
その様子を見たライラは、そうだったのね、と声を落とす。マルメゾンが復讐者をルドヴィカの仇だと口にした意味をエトヴァも深く理解した。そして、エトヴァは静かに問う。
「貴女は仇を前に逃げ出すのか?」
「貴方がたを打ち倒すことは私の願いでもあります。ルドヴィカ様への想いも忘れたわけではありません。ですが……今の私は、ジョゼフィーヌ様にお仕えし、かの御方のために生きています!」
強い忠誠心を示したマルメゾンは宝石のタリスマンをかざし、反撃に映った。
「させません……!」
咄嗟に蛍が響かせた音は壁となり、風となり、相手を阻む。攻撃に決して怯むことなくライラとエトヴァは次の攻勢に入り、蛍は演説という名の歌を響き渡らせ続けた。
戦いはもうすぐ終幕を迎える。確かな思い、即ち核心を抱いて――ディアボロス達は勇猛果敢に戦ってゆく。
●青き薔薇と護りの城
同じ頃、敵を囲い込む為に左側へ駆けた者達も激しい猛攻に移っていた。
穂垂に麻緒、零にエリル。四人は協力しながら立ち回り、攻撃の手を緩めることなく動いている。
翼を広げて舞い上がった麻緒はナイフを構え、敵の視界に入り続けることで注意を引いていた。飛翔することは敵に自分の存在をアピールすることだとわかっているゆえ、麻緒は敢えて高く飛んでいる。
「そこに悪意があるなら、吹っ飛ばすだけだよ!」
「そうよ、やったことの責任は取って貰わないとね」
滑空した勢いを力に変えて突撃する麻緒に続き、エリルもからくり人形の「弟」と共に行動に移った。
マルメゾンとの距離は十分。張り付くほどの勢いで迫ったエリルはパラドクスを発動させる。其処からは弟と共に、ひたすら殴り続ける気概を抱いていた。
対するマルメゾンからは精神を堕落させる野薔薇の蔓が伸ばされたが、エリルは怯まない。
「そんなもの、くらってやったりしないわ」
「逃しはしない」
穂垂も仲間と一緒にマルメゾンの横合いに回り込んだ。
マルメゾンと穂垂には縁もゆかりもない。気の利いた言葉も、気を引くような言葉も掛けてやれないと思っていた。それゆえに穂垂はその役目を皆に任せ、信じることを決めている。
(「みんなが対峙している間に、ボクは――」)
仲間に合わせて一気呵成に攻め込んでいき、仕留める手伝いをしていくのみ。それこそが自分の担う役目であり、果たすべき使命でもあるとした穂垂は両端を手鎌とした鎖鎌を自在に操っていく。
マルメゾンは穂垂の一閃を受け、はっとした。鎌を見て嫌な予感を覚えたのだろう。
「それは、まさか……」
「鎌は元より、草木を刈るもの。振り回し、薙ぎ払い、蔦を落とす。これが――」
裏火撫の鎖鎌術。火撫の里の凶手たちが用いた戦闘術だ。
「アレを捕えに行くよ」
穂垂は刃で蔓を貫き、マルメゾン本人に鎖を巻き付けて動きを封じる。されど相手は格上。止められたのは一瞬のことではあるが、其処に生まれた好機は零がすかさず拾っていく。
零はわずかに薔薇の貴婦人に笑いかけ、構えた赫焉を堂々と差し向けた。
「逃げるなよ。そこから先には一歩も行かせねえ!」
跳躍した彼はその速度に乗せて刃を振り下ろす。常に敵の向きや視線を意識していた零は今や、マルメゾンの動き方や呼吸を手にとるように理解していた。そのまま竜翼で飛翔した零に対し、薔薇の貴婦人が生命力を奪う揺らぎを広げる。
「……ッ!」
「わ、大丈夫!?」
奪われた零の力は大きく、驚いた麻緒が咄嗟に身体を支えた。すると体勢を整えた零が笑みを浮かべ返した。
「平気だ。独りで戦ってる訳じゃねえんだ。心配せずに背中も、隣も、任せてくれよ」
危ないときはお互い様だ、と語った零は赫焉を再び振るっていく。マルメゾンが揺らすサファイアの護符は美しいが、惑わされ続けるような零ではない。
或る欲望が裡から滲み出ている感覚はあったが、どんな感情も欲も今はただ振り払うだけ。
そして、エリルも敵からの攻撃を弟でガードしながら受け止めた。
弟の損傷は激しく、体力も危うくなりそうな激戦だ。捨て身の一撃を乗せたパラドクスを放とうとしたエリルだったが、いつの間にかマルメゾンの放つ幻覚に囚われていた。
「あら? 女神のように崇めてあげてもいいわ……。――って、くだらない」
途中で、幻覚か、と呟いたエリルは掌を握った。痛みを感じるほどに強く握り締められた手には怒りが宿っていた。しかし、その痛みが心を現実に引き戻してくれてもいる。
「あの子を使うなんて、絶対に許さない」
惑わされないと決めたエリルは正気を保ち、マルメゾンを狙い続けた。
穂垂も果敢に立ち回り、薔薇の貴婦人の力が弱っていくことを確かめている。ジョゼフィーヌの到来にも気を付けなければならない状況だ。しかし、それ以前に倒し切れる予感もあった。
(「やっぱり、そう簡単に、捕縛されてはくれない。僅かに鈍らせるだけかもだけど……でも、」)
「それで、じゅーぶん」
静かな言葉を落とした穂垂は共に戦う仲間を見渡した。この人数で攻め込んでいる今、相手にとっては僅かな隙でも命取り。隙や死角を補い追い詰めていく成果は出ている。
そして、穂垂は麻緒と同時にマルメゾンの身体に刃を突き立てた。
「……っ、あぁ……っ!」
麻緒は素早く身を反転させて、包囲網の穴を埋めるように戻って攻め込んで、とい動きをひたすら繰り返している。反撃の蔦はナイフで解体する際に願いが叶った幻覚が巡っていたが、麻緒は何度もそれを振り払っていた。麻緒は撥ねる翼で勢いをつけながら、真っ直ぐに一閃を叩き込む。
見せられていたのは失ったものを取り戻す光景だったが、麻緒は敢えて直近の願いについて言葉にした。
「あのね、祝勝ご飯は自力で勝利を掴んでからじゃないと勝利の味にならないんだよ!」
「ああ? 帰ったら祝勝飯だろう? その為にも負けられねえよな」
力説する麻緒の声を聞いた零は、先程と同じように双眸を細める。エリルと穂垂もひといきに攻め込んだ。神蝕の呪刃が巡った刹那、裏火撫の鎖鎌術がマルメゾンを絡め取る。
「これで、決める」
「そんな……私が、こんなところで……。命令……ジョゼフィーヌ様の、ご命令が……」
穂垂が宣言した後、マルメゾンの身体が大きく揺らいだ。
彼女は自分を支えきれぬほどに疲弊している。もう真っ直ぐに立って戦う力すら残されていないのだろう。
「堕落の花よ、私に力を……。ジョゼフィーヌ様を守る城の如き、堕落の力を……」
マルメゾンが弱々しく青薔薇に手を伸ばす。しかし最早、其処には何の魔力も巡らなかった。彼女が口にしたのは、己の名をとある城と同じ『マルメゾン』とした理由の一端だったのかもしれない。されど、何もかもが遅い。
そして――零が振るった赫焉の刃が薔薇の貴婦人を斬り裂く。
「堕ちるのは、おまえひとりで十分だ」
竜翼の羽搏きと刀の一閃が導くは終焉。此の世の果てまで連れゆくような深い一撃が、淫魔を深く穿いた。
●大淫魔都市の終幕
薔薇の貴婦人と呼ばれし淫魔は、その場に膝をついた。
その瞬間、周囲に広がっていた青薔薇の園が瞬く間に枯れ消えていく。
マルメゾンの魔力が枯渇したのだということが分かり、復讐者達は戦いの終わりが訪れたことを悟った。
真正面、側面、右方と左方。最終的には背面からも。全ての面から繰り出された攻撃はマルメゾンを確実に弱らせていき、撃破に至るまでの力となった。
決着は『竜騎皇妃』ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネが訪れる前に付けられた。
薔薇園が枯れ果てたことによって、ジョゼフィーヌもマルメゾンが倒れたことを知るだろう。上位のジェネラル級との邂逅は成されなかったということだが、それこそが復讐者達の選択だ。
「あ……」
不意に、からん、と乾いた音が響いた。マルメゾンがあれほど大切に持っていたタリスマンを取り落とした音だ。息も絶え絶えに、虚ろな瞳をした薔薇の貴婦人は完全に倒れ伏している。
彼女はもはや、唇を震わせることしかできないようだ。
「ルドヴィカ様……私も、貴女と同じところへ……逝けるのでしょうか……。ああ、コンスタンス……ゴセック……ミューズィカ……貴方達とも、共に……」
気配が感じられなかったことから、マルメゾンは仲間の淫魔達が倒れたことも悟っていたらしい。
地面に転がっているサファイアの護符の光が次第に弱まっている。おそらくマルメゾンの命の灯が消えるとき、タリスマンの輝きも失われるのだろう。
「……申し訳、ありません……ジョゼフィーヌ様。どうか……どうか、貴女様だけは――」
マルメゾンは言葉の続きを紡ぐことなく事切れる。
薔薇は枯れ、光を失った宝石は暗く沈んだ。
しかしその色彩は、大淫魔都市としてのウィーンに最期が訪れたことの証でもあった。
やがて、淫蕩儀式に囚われていた人々は助け出された。
淫魔大樹から溢れ出ていた断末魔も消え、ウィーンの住民も命を奪われることなく正気を取り戻している。
復讐者達は淫魔の支配から解放された街を眺め、これから巡る未来を思う。
音楽の都ウィーン。ひいては、断頭革命グランダルメが辿っていくであろうみちゆきを――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV2が発生!
【飛翔】LV4が発生!
【腐食】がLV2になった!
【防衛ライン】LV1が発生!
【土壌改良】がLV2になった!
【エアライド】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!
【アヴォイド】がLV3になった!
【ダブル】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV5になった!
【ガードアップ】LV1が発生!
【ドレイン】がLV3になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
最終結果:成功 |
完成日 | 2022年11月02日 |
宿敵 |
『薔薇の貴婦人マルメゾン』を撃破!
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