荊州呉軍撃滅戦

 ジェネラル級蟲将であり、呉の大都督でもある『烈烈たる国士・呂蒙』は、関羽亡きあとの荊州を支配すべく、荊州南部から北部へと侵攻を行っていました。
 このまま、荊州の全てを支配すれば、呉の国力は増大し、三国の覇者となるのも夢では無かったかもしれません。
 しかし、ディアボロスが赤壁を突破し、呉の首都建業に迫ろうとしたことで、呂蒙の戦略は頓挫しました。
 首都が陥落し、王である『孫権』がディアボロスに滅ぼされれば、荊州を制圧したとしても何の意味も無い。
『烈烈たる国士・呂蒙』は、呉王『孫権』を護る為、荊州に駐屯していた呉の全軍を率いて、建業に向けて進軍を開始したのです。

 赤壁を突破したディアボロスは、呉の首都である『建業』に迫ろうとしていましたが、このまま建業を攻めれば、決戦中に『呂蒙』の軍の攻撃を受け、建業攻略は失敗に終わるでしょう。
 それを防ぐ為、まずは、荊州呉軍を率いて撤退してくる『呂蒙』を迎撃し、荊州呉軍を壊滅させなければなりません。

『呂蒙』は、少しでも早く建業に合流する為、自身を先頭に精鋭部隊だけで先行しています。
 今ならば、少数精鋭で『呂蒙』を討ち取る事も可能かもしれません。

烈烈たる国士・呂蒙

呂突蒙進(作者 土師三良
16


#大戦乱群蟲三国志  #荊州呉軍撃滅戦  #呉  #呂蒙 


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●大戦乱群蟲三国志にて
「なんだとぉ!?」
 荊州の制圧を控えた呉軍のジェネラル級蟲将『烈烈たる国士・呂蒙』が叫んだ。
 人間として生まれていたら『細面』だの『優男』だのと評されていたであろう外見(その顔の下半分は黒い布に覆われていた)にそぐわぬ大音声だった。
 それほどまでに激しい衝撃を受けたのだ。
『ディアボロスが赤壁を突破し、建業に迫っている』という報告によって。
「……よし。トループス級の精鋭を選別し、特別部隊を編成しろ」
 呂蒙が側近の一人にそう命じたのは、大音声を発してから三秒後のことであった。驚愕に費やした時間は一秒。放心している間に過ぎ去った時間も一秒。残りの一秒で思考し、行動を決定したのだ。
「俺はその特別部隊とともに建業に戻る。一日でも早く、一刻でも早く、建業の守りを固めねばならんからな。他の者たちも準備が出来次第、後に続け」
「『他の者たち』というのは……すべての兵ですか?」
「当然だろうが!」
 恐る恐る尋ねた側近に対して、呂蒙は怒号をぶつけた。
「孫権様をお守りし、攻め寄せる敵を撃退し、呉の国を立て直すためには、この荊州呉軍のすべての力が必要だ。ゆえに死に物狂いで……そう、先行する俺の部隊を追い抜かさんほどの勢いで建業を目指せ。実際、追い抜かしても構わんぞ」
「しかし、それほど激しい強行軍となりますと、我ら蟲将はともかく、人間どもの兵士が保たないかと……」
「構わん。脱落する兵士は見捨てろ」
 非情な答えを返した呂蒙であったが、またもや一秒ほど考えた後、言葉を付け足した。
 より非情な言葉を。
「しかし、すべての兵士を見捨ててはならん。『死に物狂い』とは言ったが、生かさず殺さずの要領で以て、できるだけ多くの人数を建業までつれてこい」
「建業に着いた頃には疲労困憊して使い物にならなくなっているかもしれませんが……」
「なあに。生きていれば、それで充分だ」
 呂蒙の口元を覆う布が妙な形に歪んだ。
 笑ったのかもしれない。
「この強行軍を耐え抜いて生き延びた人間からは、より強いトループス級が産まれることだろう」

●新宿駅グランドターミナルにて
「このパラドクストレインの行き先は『大戦乱群蟲三国志』だ」
 パラドクストレインの車内に足を踏み入れたディアボロスたちにそう告げたのはインセクティアの精悍な青年。
 時先案内人の李・令震である。
「赤壁に巣くっていた呉軍を打ち破ったことによって、呉の本拠地である建業までの道が切り開かれた。この調子で一気に攻め込み、呉王『孫権』を撃破すれば、呉を滅亡させることができるだろう……が、呉の戦力は建業の軍だけじゃない。荊州南部を制圧していた呉の大都督『烈烈たる国士・呂蒙』が荊州呉軍の全軍を率いて建業に向かって来ているんだ」
 蜀の関羽が撃破され、更に魏が陳留まで撤退したため、荊州呉軍の戦力はかなり強大なものとなっている。そんな軍勢が建業の防衛軍と合流してしまったら、ディアボロスの快進撃は止まってしまうだろう。
「だから、建業を叩くのは後回しにして、荊州呉軍を壊滅させなくちゃいけない。とはいえ、真っ向から挑んで全滅させる必要はないぜ。頭の呂蒙を討ち取ってしまえばいいんだ」
 幸い……と言っていいのかどうかは判らないが、呂蒙は最速で建業の呉軍に合流すべく、わずかな護衛だけを連れて先行しているという。もちろん、その後ろには荊州呉軍の大兵団が続いているのだが、うまく戦えば、大兵団と戦うことなく、呂蒙を撃破できるだろう。

 先行している呂蒙を狙うのは難しいことではない。
 しかし、彼と戦っている間に後方の荊州呉軍が追いついてしまったら、元の木阿弥だ。大兵団が加わることによって戦場は混乱に陥り、呂蒙はそれに乗じて撤退してしまうだろう(もちろん、撤退先は荊州ではなく、建業である)。
「まずは荊州呉軍に対して遅滞戦術をおこなう必要がある。奴らの動きを止め、あるいは別の方向へ動くように仕向けて、呂蒙への合流を防いでくれ」
 呂蒙は知勇兼備の将軍であり、大都督として呉全軍を統括する指揮能力は非常に高い。しかし、個体としての戦闘能力は標準的なジェネラル級の域を超えるものではないという。
「本人もそれを心得ているから、無茶な戦い方はしないはずだ。劣勢になったら、後方の荊州呉軍が追いついてくるまで時間稼ぎを試みるだろうな」
 その状況を利用すれば、会話によって情報を得ることもできるかもしれない。

「最終人類史には『男子、三日会わざれば刮目して見よ』という呂蒙の格言が残っているのだとか……」
 そう語る令震の顔はいつものように無表情であったが、声音にはどこか不敵な響きがあった。
「ディアボロスが戦ってきた期間は三日どころじゃない。樊城の戦いを阻止した時よりも……いや、ついこの間の赤壁での戦いの時よりも格段に強くなってるってことを呂蒙に教えてやろうぜ」
 そして、彼は力強い声で宣言した。
「では、行くぞ!」
 パラドクストレインが走り始めた。

●大戦乱群蟲三国志にて
 森をまっすぐに穿つ街道。
 その一角に砂埃があがっていた。
 呂蒙が疾走しているのだ。数十体の蜂形トループス級たちを引き連れて。
 一行の左手の森が開け、陽光を照り返す湖が現れた。緑の木々と青い湖面に挟まれた秋の森の光景は心和むものであった……が、呂蒙たちにそんな余裕があるはずもない。
「呂蒙様! 先行し過ぎではありませんか!?」
 右手の森を不安げに見ながら、一体のトループス級が進言した。
「やはり、本隊と行動すべきです! 神出鬼没のディアボロスどもからすれば、こんなところを少数で走っている我らは絶好の……」
「危険は百も承知!」
 トループルス級がすべてを言い終える前に呂蒙が叫んだ。走り続けながら。
「しかし、止まるわけにはいかん! 孫権様をお守りできるのは俺だけなのだから!」
 不遜とも受け取れる発言ではあるが、呂蒙の声には奢りも誇りもない。
 そこにあるのは悲壮な覚悟。
「そう、俺だけなのだ」
 と、烈烈たる国士は悲しげに呟いた。
「陸遜亡き今となっては……」



 ジェネラル級蟲将『烈烈たる国士・呂蒙』との会話を試みます。
 戦闘開始直後は、呂蒙が会話に応じる事はありません。
 が、戦闘が劣勢になってくると、荊州呉軍が援軍に来るまでの時間稼ぎとして会話に応じてくるでしょう。

 勿論、大戦乱群蟲三国志全体や呉に不利になる情報を出してくる事は無いと思われますが、魏や蜀に関する情報であれば、時間を稼ぐ為に、それなりの情報を出してくる可能性があります。

 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。



特殊ルール 👿または👾で出現する敵との会話に専念する。戦闘行動は行わない。
👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

→クリア済み選択肢の詳細を見る


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
2
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【水源】
1
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【隔離眼】
1
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
2
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV3 / 【命中アップ】LV3 / 【ダメージアップ】LV9 / 【ガードアップ】LV2 / 【反撃アップ】LV2 / 【リザレクション】LV1 / 【アヴォイド】LV2 / 【ロストエナジー】LV1 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

土師三良
 土師三良(はじ・さぶろう)です。よろしくお願いします。

●このシナリオの概要
 呉の本拠地・建業を目指しているジェネラル級の蟲将『烈烈たる国士・呂蒙』をやっつけてください。
 呂蒙は『孫権様をお守りできるのは(陸遜を除けば)俺だけだもんねー』みたいなことを言ってますが、べつに自信過剰というわけではなく、実際に有能な指揮官なのです(ただし、個人としての戦闘力は普通のジェネラル級レベル)。彼を撃破できなかったとしたら、それはたんに一人のジェネラル級を逃したということではなく、孫権の喉元まで迫っていたディアボロスの刃がポキーンと叩き折られちゃったことを意味します。

●選択肢について
 基本的には②→③→④(→余裕があれば①)という順番です。

 ①呂蒙との会話(👑11)
 呂蒙が『やべー。俺、劣勢じゃね?』と判断した場合、時間稼ぎとしてディアボロスと会話したり、質問に答えてくれたりするかもしれません。もちろん、呉の機密情報等を漏らすことはありませんが。
 ④の🔵が少ない状態(呂蒙が劣勢ではない状態)では、この選択肢を選んでも意味がありません。

 ②荊州呉軍への遅滞戦術(👑11)
 呂蒙の後方にいる荊州呉軍の主部隊の行動を遅滞させます。荊州呉軍は少数のアヴァタール級とトループス級および多数の一般人兵士で構成されています。一般人多めとなると、普段の戦闘では使い道のないパラドクス効果も活かせるかも?
 これをクリアせずに④に挑戦すると、荊州呉軍が呂蒙に合流して、④のリプレイで失敗や苦戦が多発するかもしれません。

 ③👾護衛するトループス級『呉軍鋭蜂兵』(👑7)
 呂蒙を警護している精鋭トループス級たちとの戦いです。ちなみにトループス級も呂蒙も馬等には乗らず、自分の足で走っています。

 ④👿荊州南軍決戦『烈烈たる国士・呂蒙』(👑30)
 呂蒙との戦いです。彼にとっての勝利条件は『生きて建業にたどりつくこと』なので、『死なばもろとも! 玉砕上等!』的な戦い方はしません。

 それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


レオアリア・フォルシオン
さて、一般人多めとなると一般法則破壊を無視する戦術も取れるわね

『創炎の根源』を用いた罠を創り出し、主部隊の後方から爆炎を立ち上げて一般兵に恐怖の感情を抱かせるわ
そこに避難勧告の残留効果を使い、一般人兵士をその場から避難という体で追い払っていくわ

その混乱に乗じて蟲将に『不意打ち』を仕掛け、トループス級を主に数を減らしいていくわ
『一撃離脱』を肝に銘じ、ある程度の数を減らすのと一般人兵士が離散したをの確認したら撤退

また別の主部隊の軍勢を見つけたら、そこでも同じような事をして攪乱していくわ
あくまでこれは遅滞戦術……時間稼ぎ
呂蒙を討ち取る時間を十分に稼げれば良いという事を目標として戦っていくわ


孫・リア
建業に行かせはしないわよ、呂蒙殿がいないなら烏合の衆も同じだもの

彼らの行く先に『江水』を使って雨を降らせて大河を作って行く手を阻むわ
私達は河の恩寵を受けて暮らしてる、だからこそ怖さも知っている。
河も何もない所でこんな巨大な河があれば動けないでしょう?

それにこの大雨ならまともに周りも見渡せないし動けない……あぁそこの森で止むまで水が引くまで雨宿りしていればいいわ
その隙に終わらせるだけよ

……それにそうよね、蟲将とはいえ叔父様の危機に子明殿が駆けつけないわけがないものね、私の夫であるあの人も尊敬してる人……
例え名を奪った蟲将で他人でも『呂蒙』の名を持つなら油断なんてしないわ

【アドリブ共闘歓迎】


喩・嘉
一般兵が多く含まれている荊州呉軍か
できるだけ彼らを負傷させることなく作戦を遂行させたいな
こういう場面こそ軍師の腕の見せ所かな

進行方向に布陣
羽扇を振るい、「金犼吼計」を使用して犼を召喚
威圧して離散させることを狙いつつ
犼の吐息から放たれる腐霧により、一般兵の持つ武器の刃だけを【腐食】で腐らせていく
一般兵の持っている武器など、蟲将や俺たちに対してはあまり意味はないのだが
それでも兵士にとっては頼みの綱である
丸腰で戦場に立ちたいと思う兵士がいるわけがない
彼らの気持ちを挫くには効果があるだろう

挑んでくる一般兵がいれば気絶を狙い
トループス級に対しても、反撃を主に多数と戦っていく


レオニード・パヴリチェンコ
ん。一般人もたくさん居る部隊、と
それなら邪魔する手は考えられる、ね

脱落した兵は置いていけ、とのことだけれども、全員を置いていくわけにもいかないでしょう?
物影に身を隠しながら狙撃の準備
部隊を射程に捉えたら狙撃を敢行……狙うのは一般人
だけど、本人じゃなくて足元
魔弾を撃ち込んで、足を止めさせたところを蔓で捉えて足を止めさせていくよ
一人二人なら放っておけるだろうけれど、それが更に増えていけば蟲将も無視するわけにはいかなくなる筈
足を止めた一般人たちへの対処を始めたら、蟲将本人たちへと狙撃
撃破狙いではなく気を逸らすのが目的、一度撃ったらすぐに移動して別の場所から再び狙撃
これを繰り返して行軍を邪魔する、よ


杏・紅花
無理やり戦駆り出されて、ボロボロになるほど行軍させられるなんて
そんなのゴメンでしょっ

見張りの虫人間には「誘蛾の灯」でひかりの蚕蛾を浴びせる
これ以上は進ませない、とろんと判断力を失わせて、隙やミスを誘引する

そうやって戦場を駆け巡りながら、一般兵に【士気高揚】で勇気づけ

呉の、自分たちの国の未来を、悲観しないで
あなたたちが生きていれば、国は残る
だから、生きるという覚悟をもって
恐れないで、立ち止まって
言われるがままに流されないで!

この声が、届きますように


守都・幸児
一般兵はなるべく戦から遠ざけてやりてえな
文字通り足止めしてやるとするか

【忍び足】で物陰に身を潜めながらなるべく荊州呉軍へ近づき
一般兵に片っ端から【罪縛りの鎖】を使う
効果範囲が届く限りめいっぱいな
物資を積んだ荷馬車とかがあれば馬にも使うぞ
驚かせて悪いが、少しの間我慢してもらう

脱落した兵は置いてくってことだから
遠慮なく置いてってもらおうじゃねえか
鎖が消えた後は、どこに行こうが兵たちの自由だ
早々に戦意を失って逃げようとする兵がいれば
そいつの鎖は解除してやるぞ

こっそり動くつもりだが
動けねえ兵に無理をさせようとするトループス級がいれば
殴って倒して【一撃離脱】してやるぞ
一般兵に攻撃されたら反撃で気絶を狙う


●序幕
 レールが敷かれていない草原に、JR山手線の車両に似た列車が停まっていた。
 異様な光景ではあるが、その列車がパラドクストレインとなれば、話は別だ。
「アヴァタール級以上の蟲将は皆、三国時代の勇将たちの名を奪った偽物に過ぎない。それは判っているけれど――」
 車両側面に並ぶ黄緑色の扉が一斉に開き、妖狐の娘が無双馬とともに降り立った。
 孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)である。姓からも判るように、このディヴィジョンの出身者だ。
「――子明殿の名を持つ者となれば、油断はできないわね」
「『烈烈たる国士』なんて二つ名を持ってるくらいだものね」
 敵将の字(あざな)を口にしたリアに続いて、ドラゴニアンの角と翼と尻尾を有した少女が降車した。
 レオアリア・フォルシオン(フォルシオン統一王朝初代皇帝『征龍帝』・g00492)だ。
 次に姿を現したのは、十歳にも満たないであろう金髪紅眼の男児。自身の背丈よりも長い狙撃銃を携えている。その姿はハロウィンの仮装めいていたが、じっくり観察すれば、気付くだろう。狙撃銃が玩具ではないことを。そして、かなり使い込まれた代物であることも。
「呂蒙の相手をする前に、人間の兵士が沢山いる大部隊に対処しなくちゃいけないんだよね?」
 狙撃銃を持った男児――レオニード・パヴリチェンコ(“魔弾卿”・g07298)は誰にともなく確認した。
「そうだ」
 と、答えたのは四人目の降客。青黒い角と腕を有した鬼人の偉丈夫――守都・幸児(祥雲・g03876)である。
 自分の後に降りてきたインセクティアの美丈夫に幸児は尋ねた。
「一般兵たちを戦から遠ざける際にはなるべく傷つけないよう、穏便な方法でいきたいところだな。できるか、喩嘉?」
「できるとも」
 喩・嘉(瑞鳳・g01517)という名の美丈夫は頷いた。
「そういう場面こそ、軍師の腕の見せ所だ。もちろん、皆の腕も必要だがな」
「任せて!」
 元気な声をあげて最後に降りてきた者もまたインセクティアだった。曼珠沙華が描かれた竹管を腰に下げた少女――杏・紅花(金蚕蠱・g00365)。
「あたしの細腕でいいなら、いくらでも見せちゃうよ」
 言葉に反して、彼女の腕は長い袖に隠されていた。

●杏・紅花(金蚕蠱・g00365)
 街道を断ち切る広い川の前で荊州呉軍の部隊が立ち往生してる。
 川の水は濁ってないけれど、川面から水底を見通すことはできないだろうね。雨がざあざあ降って、波紋だらけになってるから。
「後続部隊の確認に行っていた兵が戻ってきました。やはり、雨が降っているのはこの周辺だけのようです」
「ならば、敵方のパラドクスと見て間違いあるまい。そもそも、この川も地図には存在しないはずのものだからな」
 川岸で蟲将の仕官たちがやりとりしている。
 あたしはその様子を近くの岩陰から伺っていた。リアさんと一緒にね。あと、クダギツネの天も竹筒から顔だけ出して観察中。無双馬の星星はさすがに目立っちゃうから、引っ込めてるよ。
「局地的な雨と地図に載ってない川――これって、リアさんの仕業だよね?」
 天の頭の上に手を翳して雨から守りつつ、あたしはリアさんに確認した。
「そうよ。『水源』の効果を伴うパラドクスで川を生み出すついでに雨も降らしたの。河の恩寵を受けて暮らしてる呉国民は河の怖さも知っているはず」
 もっとも、部隊の行く手を遮る川は黄河や長江レベルの大河じゃないので、渡河不可能ってわけじゃない。蟲将の中には空を飛べる奴だっているだろうし。
 実際、蟲将たちは渡る気満々で――
「これ以上、呂蒙様から引き離されるわけにはいかん!」
 ――とかなんとか喚いてる。
 でも、最初に『立ち往生』と言ったことからも判ると思うけど、人間の兵士たちのほうは及び腰。未知の川に対して警戒心と恐怖心を抱いてるみたい。それでなくとも、新宿島で言うところの『もちべーしょん』っていうのは低いはず。むりやり戦に駆り出された挙げ句、ボロボロになるまで行軍させられそうになってるんだから。
「えーい! なにを愚図愚図しておるか!」
 と、蟲将の一人が一般兵たちを叱りつけた時、遠くから『パァーン!』とう銃声が聞こえた。
「こん!?」
 天がびっくりして、顔を竹管の中に引っ込めちゃった。
「たぶん、今のはレオニードだね」
 と、リアさんが呟いた。

●レオニード・パヴリチェンコ(“魔弾卿”・g07298)
 ボクの視線の先では後続部隊が行軍中。すぐに停滞中に変わるだろうけどね。
 先頭の部隊がいる場所は雨模様みたいだけど、それはパラドクスによる局地的な雨らしい。この辺りは曇り空。明るすぎず、暗すぎず、視界を遮るものはなく、強い風もなし。絶好の狙撃日和ってところかな。
 藪の中に身を潜め、愛用の狙撃銃『M1891/10 Freikugel』を伏射の姿勢で構え……撃つ!
「うひゃ!?」
 スコープの向こうで一般兵が素っ頓狂な悲鳴をあげて姿勢を崩した。死んではいないよ(ボクが本気で撃ったら、悲鳴をあげる暇もなく即死してる)。足下を狙ったからね。
 発射したのは、森の精を宿した魔弾。着弾点から蔓が生えて、兵士の足に絡みついている。
 別の兵士の足下にも同じ魔弾を発射。
 三人目にも発射。
 そして、四人目、五人目、六人目……。
 兵士たちが次々と蔓に捕らわれていく。敵に目視されない場所からの狙撃なんて、クロノヴェーダを相手にしての逆説連鎖戦ではまず不可能。でも、標的が人間の兵士となれば、ワンザイドゲームもあり得る。それ相応の狙撃技術があればの話だけど。
「んわぁーっ!?」
「なんじゃ、こりゃあ!?」
「……う、動けねえ!」
 あれ? ボクが撃ってない場所からも何人かの悲鳴があがってる。
 スコープをそちらに向けてみた。騒いでいるのは、荷馬車の近くにいる兵士たち。地面でウネウネ動いてるものがあるけれど、それらは魔弾の蔓じゃない。枷がついた鎖だ。その枷が兵士たちや荷馬車の馬の足にがっちり嵌まってる。
「パラドクス効果の『罪縛りの鎖』を使ったんだぜ」
 すぐ傍から声が聞こえてきたので、僕はスコープから目を離して、そちらを見た。
 ガサガサと音を立てて藪の中に入ってきたのは幸児さんだ。
「もっとも、あいつらには罪なんかなさそうだけどな」
 そう言って、幸児さんはにっこり笑った。

●守都・幸児(祥雲・g03876)
 鎖や蔓のせいで歩けなくなった兵士たち。
 そいつらに対する蟲将どもの対応は二つに割れた。
 一つは、無視を決め込む。まあ、妥当だよな。全体的に見れば、鎖とかに絡まれた兵士たちはほんのちょっとだけだから。
 もう一つは――
「なにをやっておるか!」
 ――と、怒鳴りつけたりして、無理にでも進ませようとする。これも妥当かもしれない。一人でも多くの兵を建業に連れて行きたいだろうからな。兵力としてではなく、卵を産みつけるための謂わば『蟲将の元』として。
 後者の反応をしている蟲将たちの中には鎖や蔓をぶった切って回ってる奴もいるし、パラドクスを発生させた敵(つまり、俺やレオニードだ)の姿を求めて四方に油断なく目を走らせてる奴もいる。
「このままだと見つかっちゃうね。狙撃ポイントを変えたほうがよさそうだ」
 レオニードが後ろに這い進み、藪から出ていった。
 俺も移動した。ただし、後ろじゃなくて正面に。
 藪から飛び出して、敵の隊列に乱入すると――
「て、敵襲ぅ!」
 ――蟲将の一人が目を剥いて(ただの慣用句だぞ。複眼は剥けない)叫んだので、パラドクス『帳(トバリ)』をぶつけてやった。硬化した腕が割れて闇が漏れ出し、その蟲将を包み込んでいく。
 闇に絡み取られながらも、そいつは槍を繰り出してきた。もちろん、ただの槍攻撃じゃなくてパラドクスの一撃だ。
 闇と化した腕で俺は槍の穂先を払いのけた。すかさず、再攻撃! ……したいところだけども、ぐっと堪える。こっちの目的は敵を全滅させることじゃなく、呂蒙って奴に合流させないこと。兵士を無理に歩かせようとする蟲将をちょこっと邪魔できりゃあ、それで充分なんだよ。
「敵襲! 敵襲!」
 同じことを叫び続けてる蟲将を後目にさっさと退避。
 周囲には人間の兵士たちがいるが、その大半は呆気に取られて棒立ちになってる。ただし、あくまでも『大半』であって、全員じゃない。ほんの数人だけど、攻撃を仕掛けてくる奴らもいた。
「おまえたちの勇気は認めてやるけど――」
 俺はそいつらを殴りつけ、突き飛ばし、蹴り倒して、隊列の外まで走り抜けた。
「――蟲将のために命を張ったところで、なんの見返りも得られやしないぞ」
「幸児の言うとおりよ」
 と、後ろのほうから聞こえてきたのはレオアリアの声。俺と入れ替わるようにして、隊列に乱入したらしい。
「卵を産みつけられることを『見返り』だと思っているのなら、止めはしないけどね」

●レオアリア・フォルシオン(フォルシオン統一王朝初代皇帝『征龍帝』・g00492)
『止めはしないけどね』なんて言ったけど、止めないわけにはいかないのよね。
 というわけで、周囲に仕掛けておいた罠をわたくしは発動させた。
 あちこちで爆発音が轟き、火の手が上がる。
 更に『避難勧告』のパラドクス効果も使用。赤い光が明滅してサイレンが鳴り響き、兵士たちはこの危険地域から一斉に逃げ出し……あら? 赤い光なんて灯らないし、サイレンも鳴らないじゃない。いったい、どういうこと?
 ああ、そうか。よく考えたら、ここは(少なくとも、兵士たちにとっては)危険地域じゃなかったわね。わたくしも他のディアボロスも彼らを傷つける気は毛頭ないのだから。
 とはいえ、少なくない兵士たちが恐慌状態に陥った。あちらに逃げたかと思えば、こちらに駆け出し、ぐるぐると走り回って、叫び、喚き、怒鳴り散らしてる。
 そんな混沌ととした状況の中、兵士たちを落ち着かせようとしているトループス級の蟲将もいたけれど――
「うげぇ!?」
 ――当人(当虫?)が情けない声をあげて体勢を崩す結果となった。パラドクス『屠竜撃』による罠に引っかかったのよ。
 その隙をついて、わたくしは竜骸剣『ゲオルギウス』を振るい、『屠竜撃』の第二段階――ドラゴンをも屠る一撃を浴びせた。一撃といっても、標的は二体。体勢を崩したトループス級と、その傍にいた別のトループス級。前者は即死したけれど、後者は耐え抜き、そして、反撃してきた。
 朴刀が走り、血が弾ける。斬り裂かれたのは、『ゲオルギウス』を保持した右腕。しかし、わたくしは愛剣を落とすなどという無様な真似は見せず、即座にまた『屠竜撃』を放った。
 その攻撃でトループス級は死亡。でも、戦いが終わったわけじゃないわ。右往左往する兵士たちをかき分けて、他のトループス級たちが迫ってくる。
 もう少し蟲将の数を減らしたかったのだけれど、ひとまず撤退したほうがよさそうね……と、思った矢先、静かながらも頼もしい声が聞こえた。
「無駄な足掻きはやめろ、虫ども。勝敗は既に決したのだ」
 喩嘉の声よ。

●喩・嘉(瑞鳳・g01517)
 混乱を来した後続部隊の正面に立ち、俺は儼乎たる声音で勧告した。
「無駄な足掻きはやめろ、虫ども。勝敗は既に決したのだ」
 ああ、嘘だとも。敵は大軍。まともに戦ったら、こちらに勝ち目はない(勝てたとしても辛勝だろう)。ならば、はったりを利かせるしかあるまい? 時に軍師には山師のごとき振る舞いが求められる。
 もちろん、言葉だけでは説得力が足りないことはよく判っているので――
「出よ、犼。その力を揮え」
 ――パラドクスも使わせてもらう。
 朱色の羽扇を大仰に一扇ぎ(大軍を威圧するためには所作にもはったりを利かせねばな)。羽扇が五色に輝き、俺と敵たちの間に塵旋風が巻き起こった。
 その風の中から現れ出たのは、黄金色に煌めく獅子のごとき神獣だ。
「嘯嘯嘯嘯嘯!」
 神獣は咆哮し、二体のトループス級に襲いかかった。
 いや、短剣のごとき牙が立ち並ぶその口から発せられたのは咆哮だけじゃない。不気味な霧も吐き出された。それはパラドクス効果『腐食』の霧。何人かの兵士たちが装備している剣の刃や槍の穂先が錆びつき、砂像のように崩れ去った。当然、その兵士たちは周章狼狽した。逃げ出した者もいる。
「えーい! この程度のことでうろたえるな!」
「武具がなくとも、拳で戦えるだろうが!」
 神獣に攻め立てられた二体のトループス級が兵士たちを叱咤激励(割合は叱咤が九に激励が一といったところ)しながら、俺に向かって槍を突き出してきた。その槍はクロノ・オブジェクトであるらしく、『腐食』の影響は受けていない。だからこそ、『この程度』だの『武具がなくとも』などと言えるのだろう。
 槍に傷つけながらも、俺は再び羽扇を振った。それに応じて神獣が二体のトループス級に牙を突き立て、爪で斬り裂き、とどめを刺した。『腐食』の霧を吐き続けながら。またもや何人かの兵士たちの武具が腐れ落ち、大地に還った。
「嘯嘯嘯嘯嘯!」
 神獣はトループス級の骸を前足で撥ね飛ばし、先程よりも激しい咆哮を轟かせた。
 その残響に紛れて――
「こいつらに言われるがままに流されないで! 生きるために今は逃げて!」
 ――兵士たちに訴えかける紅花の声が後方から聞こえてきた。

●孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)
 雨が止んだ。というか、私が止めた。他の人たちの邪魔にならないようにね。
 で、『他の人たち』の一人である紅花殿が隊列に飛び込んだ。
「これ以上は進ませない」
 腕全体が隠れる長い袖をバサッと打ち振るえば、何十か何百かという蚕蛾(の幻影?)が飛び立ち、キラキラと閃く鱗粉が雪のように舞い散った。
 それを浴びたのは、即席の川を渡ろうとしていた三体の蟲将。目を塞がれたのか、あるいは心が惑わされたのか、動きがちょっと鈍ってる。
 その隙に紅花殿は距離を詰め――
「ていっ! ていっ! てぇーい!」
 ――袖越しに拳骨を次々と食らわせた。
「なんだ、この小娘は!?」
「敵か! 敵だな!」
「この川を作ったのも貴様かぁ!?」
 鱗粉まみれの蟲将たちは慌てふためき、怒鳴り散らしながらも、紅花殿に反撃を食らわせた。
「ちがーう! 川は作ったのは私よ!」
 そう叫びながら、私は星星を呼び出して騎乗し、戦いに加わろうとした。
 でも、それより先に――
「無駄ナ足掻キハヤメロ、虫ドモ!」
 ――街道の脇から幸児殿が飛び出してきたかと思うと、腕に纏った靄のような闇を一体の蟲将に浴びせた。棒読みっぽくなってるのは、誰かの言葉(最有力候補は喩嘉殿)を真似たからかな?
 更に――
「そうよ。勝敗は既に決したわ」
 ――レオアリア殿も乱入。残る二体を『屠竜撃』で攻め立てた。
 一方、紅花殿は別の蟲将たちを新たな標的に定めて鱗粉と殴打を放ちつつ、人間の兵士たちに語りかけている。
「建業に敵が迫っているからといって、呉の未来を……そう、自分たちの国の未来を悲観しないで! あなたたちが生きてさえいれば、国は残る! だから、生きるという覚悟をもって!」
「黙れぇーっ!」
 鱗粉のパラドクスのお返しに槍を怒声付きで繰り出す蟲将たち。
 でも、紅花殿は怯むことなく、兵士たちに訴え続けた。
「こいつらに言われるがままに流されないで! 生きるために今は逃げて!」
「惑わされるな! 呉国の未来を真に思うならば、前進せよ! 建業に迎え! 命を捨てて、孫権様に尽くせぇーっ!」
 一体の蟲将が負けじと声を張り上げた。
 なかなか勇ましいけれど、彼の言葉を聞いて『はい! 喜んで命を捨てまーす!』なんて思った人は一人もいなかったみたい。皆、武器を捨て去り、建業がある方角に背を向けて、すたこらさっさと逃げ出した。後続部隊の蟲将たちに押し止められるだろうけど、時間は充分に稼げたわね。
 
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV3が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!

獅子堂・崇
アドリブ連携歓迎

敵軍の動きを鈍らせればいいんだな。呂蒙の部隊に合流させないようにか。

【泥寧の地】を蟲将と人の部隊の間に作り出して、2つの部隊を分断を狙う。足が鈍り、距離が離れていることに気付けば蟲将たちも足を止めないわけにはいかないだろう。

そこを狙って蟲将の部隊に対して【衝撃波】を叩き込んで奇襲を仕掛ける。
全体は狙わず、分断した一部を攻撃しては引くを何度か繰り返してから撤退する。

ここで無理をする必要はないからな。アヴァタール級が出張ってくるようなら素直に引くとしよう。


●幕間
 喩嘉と神獣は撤退したが、武器を溶かされた兵士たちが恐慌状態から脱することはなかった。
 それどころか、混乱に拍車がかかった。
 前方から人混みが押し寄せてきたからだ。彼らは、先行していた別部隊の兵士たち。そう、リアの生み出した川に行く手を阻まれ、紅花の言葉に焚き付けられて、逃げ出してきたのである。
「貴様ら、なにをしておる!?」
「血迷ったか!」
「戻れ! 戻らぬか!」
 蟲将たちが叱りつけたことで(中には暴力を用いる蟲将もいた)、脱走兵の勢いは少しばかり弱まった。
 しかし、混乱が完全に鎮まる前に――
「うぉぉぉーっ!」
 ――新たな台風の目が飛び込んできた。
 それは眼光鋭き弊衣蓬髪の青年。
 獅子堂・崇(破界拳・g06749)である。

●獅子堂・崇(破界拳・g06749)
 あー、しくじった。
 パラドクス効果の『泥濘の地』で以て、なんやかやしてやろうと思っていたんだが、俺を含めて誰も『泥濘の地』を発動させてなかったんだ。
 せめて、脱走兵を止めようとしている蟲将の数を少しでも減らしておこう……ってなわけで、俺は雄叫びをあげて隊列に乱入した。
 兵士の大半はパニックに陥っていたが、胡乱な奴(俺だ)を警戒できる程度の理性は残っているらしく、蜘蛛の子を散らすように俺の周りから逃げていった。
 おかげで狙いやすくなったぜ。周りから逃げなかった輩――トループス級の蟲将を!
「食らえ!」
 俺はトループス級の懐に踏み込み、我流の格闘技によるパラドクス『動地(ドウチ)』を放った。
 命中!
 打ち上げた肘に顎を砕かれ、相手はもんどり打って地に伏した。
 その手応えに酔う暇もなく、背中に激痛が走った。続けざまに三回。
 振り返った俺の視界に入ってきたのは、血に塗れた朴刀を手にした三体のトループス級。次の瞬間、俺はテレポートもかくやという超スピードでそいつらに『動地』を食らわせていた。十人に攻撃されたら十人に反撃できるし、百人に攻撃されても百人に反撃できる(命中するとは限らないが)。それが逆説連鎖戦。
 三体のうちの二体は即死。残りの一体にとどめを……と、身構えたところで、こっちに迫ってくる別の蟲将が見えた。アヴァタール級だ。一人で相手取るには厄介だし、そもそも相手取る必要もない。
 やれるだけのことはやった。河岸を変えよう。
 呂蒙という大物が待っている河岸に……。
 
苦戦🔵​🔴​🔴​

光道・翔一
連携、アドリブ歓迎

…その急ぎ様、余程本国の守りが手薄な状況らしいのが目に見えて感じ取れるな。

…どちらにせよ、今の状況がアンタ等にとって非常に危険なのは、まぁ懸念されたとおりなんだか。
…まずは護衛の方から片付けさせてもらうぞ。


敵の槍攻撃は『精神集中』して刺突のタイミングを見極め、『ダッシュ』等足を使って致命傷を避けるように回避

状況を見て、強化を施した得物で刺突を受け流し、敵の体勢を崩していくのも狙っていく

こうした回避や受け流しによってできた隙を突き、切り返すように『早業』で得物で攻撃を加え、敵を『両断』ないし『破壊』していく


ミレイ・ドリムータ
呂蒙を確実に討つためには、まず周りの蜂どもを蹴散らすのが先決ね。

【SPD】
先ずは復讐の刃で防犯用カラーボールを出現させて、蜂兵の群れにまとめて【投擲】するよ。
カラーボールが弾けて動揺してる蜂兵を、すかさずデュークと一緒に滅多打ちするよ。
いくら体の色を変えられたとしても、体表に付いた蛍光塗料の色までは変えられないでしょ?
最初に対峙した蜂兵を倒したら、その後はひたすらカラーボールを出して蜂兵の胴体辺りに投げつけ、他の味方の援護をする。

絡み、アドリブ歓迎


平良・明
この指止まれと言っても、よそ見して止まるものではないですが
嫌なら追いかけて、複眼ほじくり返すだけなので、この指止まっていきませんか?

「フルメタルシージ」を使って、容赦なく殲滅していきます
呼び出す機械兵器軍の照準は複射一殺
敵の攻撃は呼び出す砲台の影に隠れてやり過ごし
一匹一匹撫で回すように、囲んで蜂の巣にしていきます


●幕間
 呂蒙と蜂型のトループス級たちは湖畔沿いの街道を疾走していた。遙か後方で荊州呉軍が混乱に陥っていることも知らぬまま、ただ前だけを見据えて。
 風が吹いた。野分と呼べるほど激しくはないが、涼風と呼ぶには強すぎる秋の風。それは湖面に細波を生み、少しばかり砂埃をあげて街道を横切り、森の中へと入り込んで木々を揺らした。
 そのざわめきの中に紛れている別の音を聞き取ったのか――
「くそっ! 来たか!?」
 ――先頭を行く呂蒙が足の裏で地を抉るようにして急停止した。
 ほぼ同時に森の中から三人の男女と一体のサーヴァントが飛び出し、呂蒙の前に立ち塞がった。
 一人は、ビスチェとホットパンツの上に大きめのジャケットを纏った金髪碧眼の少女――ミレイ・ドリムータ(空虚と向き合う少女・g01550)。
 一人は、飾り気のない両刃の大剣を携えた青年――光道・翔一(意気薄弱なりし復讐者・g01646)。
 一人は、作業帽と作業着を身に着けた青年――平良・明(嶺渡・g03461)。
 そして――
「にゃあ」
 ――鼻先にカイゼル髭のような模様があるスフィンクスのデューク。
 彼らや彼女らと呂蒙が対峙した時間は三秒にも満たなかった。呂蒙の後方にいたトループス級たちが素早く跳躍して彼の前に着地し、防壁のごとき陣を築いたからだ。

●ミレイ・ドリムータ(空虚と向き合う少女・g01550)
「死に物狂いの急ぎ振りから察するところ……建業の守りはかなり脆弱のようだな」
 翔一が呟いた。その声には覇気がない。いえ、それ以前に生気がない。立ち並ぶ蜂型トループスたちに向けられた目は寝ぼけ眼のようだし、大剣を持ってないほうの手で頬をぽりぽりとかいてる様も緊張感に欠けるわね。
 それとは対照的に――
「ほざけ、匹夫!」
 ――壁越しに返ってきた呂蒙の声は感情たっぷり。ものすごく焦り、苛立ち、怒っていることがよく判る。
「まあまあ、落ち着いてくださいよ」
 と、明が穏やかな声を出した。
「急がば回れ。急いてはことを仕損じる。狭い呉国、そんなに急いでどこに行く……というわけで、ちょっと一休みして私たちと遊んでいきませんか?」
 明はそう尋ねると、呂蒙の反応を待つことなく、片手の人差し指をピンと立ててみせた。
「はい! この指、とーまれ! まあ、そちら様にとまる気があろうがなかろうが、とめさせていただきますけどね。この指で複眼ほじくり返してでも」
 なに言ってるのかちょっと判らない……というか、なんかコワい。
 一方、呂蒙の反応は実に判りやすいものだった。
「殺れ!」
 と、叫んだだけ。
 その簡潔な命令に応じて、トループス級たちがこっちに向かってきた。
「いくわよ、デューク!」
「にゃあ!」
 身構えるアタシの横でデュークが勇ましく鳴いた。
「先程は『一休みして』と言いましたが――」
 人差し指を立てたポーズのまま、明がトループス級たちに語りかけた。
「――訂正しましょう。一休みではなく、永眠ですね」

●光道・翔一(意気薄弱なりし復讐者・g01646)
「ミレイさんにデュークというサーヴァントがいるように――」
 誰もとまってくれなかった人差し指(いや、こうして戦闘状態になったのだから、とまってくれたとも言えるが)はそのままに、明さんは中指を親指にひっかけた。
「――私にも従者はいるのですよ。機械仕掛けの従者ですけどね」
『パチン!』とフィンガースナップの音が響き、パラドクスが発動。どこからともなく機械兵器たちが出現した。可愛らしさという点ではデュークには及ばないが、数では勝っている。きっと、火力もな。
 明さんが呂蒙に倣って『殺れ!』と命じるまでもなく、兵器群は銃弾や砲弾を吐き出した。トループス級は何体もいるが、標的にされた対象は一体のみ。集中砲火だ。
 その不幸な一体はあっという間に無数の肉片に変わった。
 だからといって、他のトループス級たちの気勢が落ちることはなかった。味方が一人死んだ程度のことで怯むほど軟弱ではないらしい。
 しかし、それは俺たちも同じ。敵を一体倒した程度のことで満足するほど惰弱じゃないさ。
「さあて……やるか」
 右手で肩に担いでいた名無しの剣を両手で構え直し、俺はトループス級たちに向かって突っ走った。
 トループス級のほうもこっちに突っ走ってるから、どちらも退かなければ、正面衝突してしまうわけだが――
「キェーッ!」
 ――敵さんは馬鹿げたチキンレースにつきあうつもりはないらしい。急ブレーキの音の代わりに奇声を発し、衝突する代わりに槍を繰り出してきた。

●平良・明(嶺渡・g03461)
 何本かの槍が高さも速さもバラバラに、それでいて同じ一点めがけて突き出されました。
 その『一点』にいたのは翔一さん。そう、『いる』のではなく、『いた』のです。ほんの一瞬前まで。
 彼は槍と槍の間をすり抜け、それらの持ち手であるトループス級の横を通り過ぎ、反転すると同時に剣を振り上げ、そして、瞬時に振り下ろしました。背後から逆袈裟&袈裟斬り。
 斬撃を浴びたのは一体だけではありません。槍で攻撃してきたすべてのトループス級たちが斬られました(攻撃の数だけ反撃が生じるのは逆説連鎖戦のお約束)。そして、斬られたすべてのトループス級が背中から錆色の血を流して倒れました。もちろん、ただの斬撃でクロノヴェーダがダメージを受けるはずがありません。翔一さんはなんらかのパラドクスを用いたのでしょう。
「それっ!」
 と、ミレイさんもパラドクスを発動! ……したのでしょうか? 彼女は二体のトループス級めがけて武器を投擲したのですが、その武器というのがなんとカラーボールです。それはトループス級に命中すると同時に弾け、オレンジ色の塗料を撒き散らしました。
 はっきりとは判りませんが、敵はダメージを受けた模様。ならば、あのカラーボールはやはりパラドクスの産物だったのでしょう。
「なんだ、あのボールは?」
 別の敵に斬りつけながら、翔一さんが尋ねました。
「『復讐の刃』で召喚したのよ」
 と、ミレイさんがパラドクスの名を口にしている間にデュークが塗料まみれのトループス級に飛びかかり――
「にゃにゃにゃにゃにゃあーっ!」
 ――顔面を何度も引っかきましたが、パラドクスによる攻撃ではありませんから、ノーダメージです。まあ、その闘志だけは評価してもよいかと……。
「えーい! 邪魔だ!」
 件のトループス級はデュークを払いのけ、そして、姿を消してしまいました。どこかに逃げたという意味ではなく、保護色で以て見えなくなったのです。
 しかし――
「丸見えよ!」
 ――ミレイさんは横手に跳び、見えざる敵の攻撃を躱しました。いえ、『見えざる』とは言えませんね。確かに本体は見えなくなっていますが、カラーボールの塗料までもは消えていませんから、容易に視認できるのです。
「保護色を使う前に体をよく洗っておくべきだったな」
 塗料が浮かんでいる位置に翔一さんが剣を振り下ろしました。
 刃が刻んだ軌跡から噴き上がったのは、見慣れた錆色の血。
 体液までもが透明になるわけではないようですね。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【能力値アップ】がLV2になった!

●幕間
 呂蒙とディアボロスたちは再び対峙した。
 両者を隔てていたトループス級の防壁はもう存在しない。皆、屍となって地面に転がっている。
「雑魚どもを倒したからといって、調子に乗るなよ」
 自分を守るために散ったトループス級たちのことなど文字通り一顧だにすることなく、呂蒙はディアボロスたちを睨みつけた。
 顔の下半分を覆う布越しに発せられた声は細い体躯に相応しい甲高いものであったが、同時に不気味な重い響きを有していた。怒りや苛立ちや殺意が渾然となった響き。
「貴様らは俺には勝てない。絶対に勝てない。背負っているものの大きさが違いすぎるからな」
 呂蒙の手元でジャラリという音がした。
 鎖の鳴る音だ。
「そう、俺が背負っているものは貴様らんぞには計り知れないほど大きい。孫権様の未来、呉国の命運、そして、亡き陸遜の思い……」
『背負ってるもの』とやらを並べながら、呂蒙は頭の上で鎖を振り回した。
 その動きに合わせて、淡い光の円が描かれた。
 蛍火のような輝きを放つ鉄球が鎖の先端に付いているのだ。
 
喩・嘉
現在の呉の状況、お前の置かれた立場の辛さ。
もしお前が同じ人間であったのなら、軍師として同情したと思う
だが、お前は蟲将で、貴様の都合など俺たちにとってはどうでも良い

羽扇を振るい「如法暗計」を使用。
あたりを闇の水で包み込み、幻影の間者を放つ
隙を見せたらいつでもその背後をとってやろう

実際に急所を突かれるのも痛手だろうが
常に周囲から狙われているという精神的な圧も、
お前には有効そうだと思ってな


守都・幸児
てめえが背負ってるもんのでかさはわかった
わかったが、でかい荷物ってのはそんなに自慢なのか?

俺は何か背負って戦ってるつもりはねえな
背中を任せられる相棒ならここにいるがよ

俺の使う技は「晦」   
喩嘉の幻影の間者に紛れて呂蒙を討つ
攻城兵器を召喚されたらその構造を【看破】して
仕掛けの大事な部位を破壊、動きを止める
攻城兵器なら俺たちだって虎牢関突破作戦のときに馴染みがある
経験を積んでるのはてめえだけじゃねえんだ

鉄球はパラドクスを乗せた武器の鉄骨で受ける
受けるが流石に直撃で勝負するつもりはねえ
鉄骨を斜めにして勢いを殺していなす

…俺にはてめえが
そのでかい荷物のせいで、身動き取れなくなってるように見えるがなあ


伏見・逸
(連携アドリブ歓迎・残留効果はできるだけ利用)
てめえが背負ってるもんはそりゃあ、でかいんだろうさ
今の俺が背負ってんのは、自分の命と意地と、こいつぐらいだ(翼を広げ)
…だがな。その分、身は軽いぜ

そもそも、何を背負ってるとか、てめえの自慢話を聞きに来たんじゃねえや
俺は喧嘩をしに来たんだ

周囲のディアボロスと情報を共有
隙や死角ができないように立ち位置を調整し、連携して動く

飛翔からの【狙い撃つ災禍】使用
対策を考えて来るなら、さらにその上から攻撃を叩き込むまで
四肢と長ドス、翼に尾、全部使って

…それも「軽い」ってか?
それなら、俺は俺を全部、てめえの隙をこじ開けるのに使う
重い一撃は他の奴が入れてくれるだろうさ


●喩・嘉(瑞鳳・g01517)
「なるほど」
 呂蒙の不遜極まりない発言を聞くと、幸児は大きく頷いた。
 そして、これまた大きく首をひねった。
「てめえが背負ってるもんのでかさはよぉーく判った……が、でかいもんを背負ってることが自慢になるのか?」
 挑発めいた問いかけではあるが、幸児は呂蒙を嘲っているのではなく、純粋に疑問を口にしただけだろう。しかし、答えを求めていたわけではないらしく、相手が反応する前に言葉を続けた。
「俺はなにかを背負って戦ってるつもりはねえな。背中を任せられる相棒なら、ここにいるがよ」
 その相棒とやらが誰なのかを呂蒙は尋ねなかった。そんなことに興味はないのだろう。
 俺もまた尋ねなかった。尋ねるまでもないからな。
「幸児と違って、俺は色々と背負ってるぜ」
 と、呂蒙に語りかけたのは逸さん。凶悪な面構えをした五十がらみの男性だ。
「とはいえ、てめえが背負ってるもんに比べりゃあ、たいしたことはねえ。自分の命と意地と……こいつぐらいだ」
『こいつ』であるところの翼を逸さんは大きく広げてみせた。言い忘れたが、彼はドラゴニアンだ。直立ドラゴン型ではなく、ドラゴンの特徴を有した人間型。
「『ぐらい』とか言ってるけど、逸の翼はカッコいいと思うぞ! 俺も生やしたいくらいだ!」
「そりゃどーも」
 子供みたいに目を輝かせて翼を見る幸児に苦笑を返した後、逸さんは呂蒙に向き直った。
「まあ、それはさておき……俺たちゃあ、なにを背負ってるだのなんだのといった自慢話を聞きに来たんじゃねえ。そう、ここに来たのは――」
 逸さんの言葉の後半は空から聞こえた。
 幸児に『カッコいい』と評された翼を動かし、舞い上がったからだ。
「――てめえと喧嘩をするためだ!」

●伏見・逸(死にぞこないの禍竜・g00248)
 文字通りの高みの見物をするために飛び上がったわけじゃねえが、空から戦場を見下ろすってのは気分の良いもんだ。
 皆の様子もよく見えるぜ。
 喩嘉は呂蒙と静かに睨み合っている。真っ赤な羽扇を手にしてな。
 幸児はさっきまで喩嘉の隣にいたんだが、今は横歩きして距離をあけている。硬化した腕が黒い影を纏っているように見えるのは、なにかのパラドクスを使ったからだろう。
 そして、呂蒙は……見えなくなっちまった。闇が地面から水のように沸き上がってきて半球状になり、奴を覆い隠しやがったんだ。鉄球の灯りが闇の中に薄ぼんやりと浮かんでいるから、おおよその位置は判るけどよ。
 間違いなく、この超局地的な暗闇はパラドクスの産物だ。
 そして、それを発動させたのは――
「苦境に陥った呉を救おうとしているおまえの気持ちは判るし、辛さもよく判る。同じ軍師として同情に堪えない……と言いたいところだが、それはおまえが人間であればの話だ」
 ――羽扇を振った喩嘉だろう。
「所詮、おまえは蟲将。故におまえが背負っているものなど、俺たちにとってはどうでもいい」
「『同じ軍師』が聞いて呆れるわ!」
 と、闇の中から呂蒙の怒声が聞こえてきた。ちょっと苦しげな声でもある。闇に包まれているせいで詳細は判らないが(パラドクス効果の『完全視界』を誰も使ってないもんで)、パラドクスでダメージを受けたらしい。
「こうして最前線で敵と直に交戦している貴様が軍師であるはずがない! 軍師を気取っているだけの雑兵だろうがぁーっ!」
 闇の中に浮かんでいた鉄球の輝きが激しくなった。そこから飛び散ったのは無数の小さな光点。蛍の群れのごときそれらは闇を消し飛ばし、周囲に火の粉を撒き散らし、更に喩嘉に纏わりつこうとした。
 だが、喩嘉は――
「……」
 ――声も出さずに飛び退り、蛍の群れを躱した。
 一方、呂蒙は――
「うげっ!?」
 ――情けねえ声を出して、よろめいた。

●守都・幸児(祥雲・g03876)
 喩嘉の生み出した闇に紛れて呂蒙の背後に回り込み、鉄球の灯りを目印にして密かに接近……してたんだが、呂蒙が喩嘉に反撃した途端に闇が消えちまったんで、目印は必要なくなった。
 よーし、いくぞ。新宿島で拾って以来ずっと愛用している武器――『工』の形をした鉄骨で以て、呂蒙の背中をドーン!
「うげっ!?」
 呂蒙がつんのめった。
 それでも、地面に顔をぶつけちまうような無様な姿は見せなかった。両手をついて蛙みてえに跳ね、斜め前に着地。
 そして、こっちに素早く振り返り――
「食らえ、雑兵!」
 ――パラドクスを使いやがったらしい(どうでもいいけど、ことあるごとに俺らのことを雑兵呼ばわりするよな。こういうのを『まうんと』って言うんだっけ?)。杭と荷車を組み合わせたような代物が奴と俺の間に出現した。杭は俺の鉄骨よりも大きいし、荷車のほうもそれに見合った大きさだ。これは攻城兵器ってやつだな。
「雑兵を舐めるなよ。おまえなんかよりよっぽど経験を積んでんだからな。攻城兵器の類にだって――」
 攻城兵器が作動するよりも早く、俺は側面に回り込んだ。
「――馴染みがあるぞ。虎牢関を攻める時にいくつも造ったり使ったりしたから!」
 でっかい杭の真ん中めがけて、本日二度目の鉄骨ドーン! 杭はへし折れた挙げ句に荷車から外れた。
「でかい荷物のことをてめえは自慢してたけどよぉ」
 残った荷車にもダメ押しの一撃を食らわせわながら、俺は呂蒙に言ってやった。
「俺には、てめえがそのでかい荷物のせいで身動き取れなくなってるように見えるぞ」
「それがどうした? 重責に縛られて自由に動けなくなること――それは人の上に立つ者の宿命であり、同時に誉れでもあるのだ! 貴様らのような雑兵には判らぬだろうがな!」
「ああ。さっぱり判らねえな」
 と、空から返事が降ってきた。
 逸だ。
「さっきも言ったけどよ。俺が背負ってるもんは、てめえのそれに比べりゃあ、たいしたことはねえ。だが、その分――」
 逸は翼(やっぱり、カッコいいな!)を急角度に折り曲げて、急降下してきた。
「――身軽だぜぇーっ!」
 鍔のない無味乾燥な刀(逸は『長ドス』って呼んでるよ)が一閃し、呂蒙の体から深緑色の血が噴き出した。
 たとえ逸が重いものを背負っていなかったとしても、その一太刀は十二分に重いだろうな。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【液体錬成】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV6になった!
【アヴォイド】LV1が発生!

ディアナ・レーヴェ
※男性は上/女性は下の名で呼捨、喩嘉は喩嘉

…知ってるわ。敵は私よりずっと賢い
だからこそ、形振り構っていられない!

木陰から【指定PD】。初手PD中で使う「嘘」は、
「――呂蒙様ーッ!ご無事ですか!?」
大声。肩には援軍の呉一般兵風の上着。まぁ即バレ上等の下手な擬態ね!
でも、ただ『三秒』
困惑した敵に隙ができさえすればいい、と薄く笑う

敵が生存重視なら、囲んで攻めて押し切るまでよっ!
反撃の蛍火が来たら全力で【突撃】
ね。胸倉掴める位に近づいたら、治癒も灼熱も一緒くたでしょう?

無謀?覚悟って呼んで欲しいわ!
戦場に立って、軽い荷で済んでる訳がないのはお互い様
特別だけど唯一じゃないわ。あなたも、私も、何もかも!


レイ・シャルダン
連携・アドリブ歓迎です。

そんなに沢山の物をたった一人で背負って頑張るから
呉の重鎮たちは皆病気で死んでいくんですよ。

ボク達の背負う物だってとてつもなく大きい。
でも、皆が協力しあって支えているから苦にならないんです。

貴方1人に、ボク達は負けない。
呂子明、貴方を討ちます。

『アクロヴァレリア』にを点火し"飛翔"
『Boeotia』による"観察"で"情報収集"
右手には『シュトライフリヒト』
左手いは『シャルダント』

敵に向かい瞬間的な超加速で突撃を行い
パラドクス精閃縫いを発動し
敵の強固な守りの間を縫うようにすり抜けその身を貫きます。


平良・明
邪魔なのは払えました
囲まれたら大概はどうしようもありませんし
邪魔と思えるのも私たちには仲間が居るからです

じゃあまずはいつも通りに距離を詰めて殴りましょう
いつも通りというのはこの丑から寅年までの一年の奮いを込めての事
歩いて歩いて殴って開いてきた一撃一撃です
この歩みと一撃が早いか遅いかは貰った御人が決めてください

「幾重火」を使ってぶん殴ります
来年は卯の年ですから折り紙は兎に
兎、かわいいです
火が己が内にあるならそれは、冷たい雪を弾き解かす熱となります
私は他から預かって戦うよりも、私がままに戦うのがいいです

降る蛍雪を弾いて、顔面ぶん殴ってやります
とまる指が五本もあってお得でしょう?


孫・リア
『あの人』もそうだったけど……名を奪ったとはいえ貴殿も立派な『呂蒙』殿だね、だけど奪われたままにはしておけないし『蟲の呉』の天下なんて認めないわ!

攻城兵器や精鋭部隊を呼ぼうと……貴殿の蛍火がどんなに熱くても私の炎のほうが!想いのほうが!強いし熱いわよ!

皆と連携して向かってくる攻城兵器や精鋭部隊を対処、炎で燃やして燃やしそびれたら偃月刀と槍で対処

蛍火の鉄球は一撃が重いだろうからなるべく避けて隙が生まれて次の攻撃が来るまでに
私の……ディアボロスとして孫家としての想いをありったけ呂蒙殿に叩き込む!

……貴殿は蟲将とはいえ名に恥じない立派な将だったわ……それだけは認めるわ……

【アドリブ共闘歓迎】


●平良・明(嶺渡・g03461)
 長ドスの斬撃を浴びて胸を斜めに断ち切られたにもかかわらず、呂蒙はまだ二本の足でしっかりと立っています。さすがはジェネラル級。しかし、その胸の傷は……いえ、それ以外の傷も、決して浅手と呼べるようなものではないでしょう。頼れる仲間たちが放った渾身のパラドクスによって、ダメージは着実に累積しているはず。
 及ばずながら、私も浅手ではない傷を呂蒙の体に刻ませてもらいましょうか……と、思った矢先に隣から声がしました。
「逸さんや幸児さんはああ言いましたけど、本当は私たちだって背負ってるんですよ。とてつもなく重いものをね」
 声の主は、電脳ゴーグルとフライトデバイスを装着した銀髪の少女――ガジェッティアにして航空突撃兵のレイさんです。
 光の刃が伸びる機械仕掛けの剣を手にして、彼女は呂蒙に語り続けました。
「でも、皆で支え合っているから、どんなに重くても苦にならないんです。あなたたちもそれを見習ったほうがいいんじゃないですか? 沢山の物をたった一人で背負って頑張ったりするから、呉の重鎮たちはみんな病気で死んでいくんですよ」
「……は?」
 呂蒙が訝しげに眉(のように見える部位)をひそめました。
「べつに誰も病死してないが?」
「レイ殿が言ってるのは、本来の歴史における正史の呉のことよ。たぶんね」
 と、無双馬の星星に跨がったリアさんが注釈を加えました。
「その『本来の歴史』を取り戻すためにも――」
 少しばかり身を屈めるレイさん。腰の後ろに突き出たフライトデバイスから駆動音が聞こえてきました。
「――呂子明、あなたを討ちます!」
 叫ぶと同時に急上昇。その姿を目で追うことはできませんでしたが、彼女が視界から消えたのはほんの一瞬でした。
 すぐに急降下してきたからです。
 もちろん、それを棒立ちで待ち受けるような呂蒙ではありません。素早く身構えて、鉄球を振り回しました。
 もちろん、それを見て怖じ気付くようなレイさんではありません。フライトデバイスを噴かし、更に加速しました。

●孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)
「その守りを貫きます!」
 レイ殿が叫んだ。
「笑止千万!」
 呂蒙も叫んだ。
 光る剣が直線の軌跡を刻み、光る鉄球が弧線の軌跡を描く。
 二条の軌跡が交差して、剣の持ち手であるレイ殿が弾かれたように再び上昇した。いえ、実際に弾かれたのでしょうね。フライトデバイスが黒い煙を噴いてるし、本人も傷を負っているみたい。
 だけど、呂蒙のほうも――
「むぅ……」
 ――無傷では済まなかった。苦しげに呻きながら、脇腹を手で押さえてる。そこから滴り落ちているのは緑色の血。たいしたものだわ。それだけの傷を与えたレイ殿も、傷を受けてなお反撃を繰り出した呂蒙もね。
「ひひーん!」
 と、星星が嘶いた。私に代わって両者を讃えたつもりなのかも。
 その賞賛を呂蒙がどう受け取ったのかは判らない。彼が反応する前に新たな声が響いたから。
「呂蒙様ぁーっ! ご無事ですか!?」
 そして、声の主――大きなアームキャノンを携えた若い女性が街道の横の森から飛び出してきた。
 デーモンのディアナ殿よ。
 たぶん、彼女は呉の一般兵になりすましたつもりなんでしょうね。呂蒙のことを『様』付けで呼んだし、一般兵が着てそうな上衣を羽織っているから。
 でも、その程度のことでなりすませるはずがない。ディヴィジョンの一般人がディアボロスの外見に違和感を覚えることはないから、人間の兵士にはかろうじて通用するかもしれないけど、クロノヴェーダは騙せないわ。そのクロノヴェーダが智将として知られた呂蒙となれば、尚更よ。
 実際、呂蒙は騙されなかった。
「……なんなんだ、貴様は?」
 森から出てきたディアナ殿に冷ややかな目を向けてる。ちょっと驚いているというか、呆れているようにも見えるわね。
 でも、それは隙が生じたということでもある。
 その隙に乗じて、ディアナ殿は――
「Bravo! Guter Junge!」
 ――アームキャノンを発射した。母国語の罵倒だか揶揄だか(だと思う)を添えて。

●レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)
 ディアナさんのアームキャノンから撃ち出された砲弾が呂蒙を直撃し、人間の兵士なら一分隊は吹き飛びそうな爆炎が彼を包み込んだ……のですが、すぐに爆炎は消え去りました。
 いえ、正確には消え去ったのではなく、蛍火のような奇妙な無数の光点に変じて飛び散ったのです。きっと、それは呂蒙のパラドクス。喩嘉さんへの反撃の際に用いたのと同じものですね。
 蛍火の群れはあっという間にディアナさんに群がり、彼女の体を焼きました。
「熱っ!? でも、この程度の反撃を食らうのは想定内よ!」
 火のついた呉軍兵士の上衣を脱ぎ捨てながら(その下に着ているのは機械化ドイツ帝国のものらしき軍服です)、呂蒙に突進するディアナさん。
 しかし、呂蒙は横に飛び跳ねて身を躱しました。
「ふん! 背負うものなき雑兵に相応しい無策無謀な戦い振りだな!」
「無策無謀? 『覚悟』と言ってほしいわね!」
 ディアナさんはぴしゃりと言い返しました。
「あと、『背負うものなき』ってのも訂正しなさい! なにも背負わずに戦場に立ってる奴なんて一人もいないのよ! そう、一人もね!」
「まあ、論よりも証拠と言いますから――」
 と、話に加わったのは明さんです。
「――この一撃を受けた上で判断してください。私たちが背負ってるものが本当に重いかどうかを……」
 そう言いながらも、明さんは『この一撃』とやらをいきなり打ち込んだりせず、戦場に相応しからぬ行動を見せました。
 折り紙を懐中から取り出し、いじり始めたのです。
「来年は卯年ですから、ウサギにしましょうか」
 二十本の指が素早く滑らかに動き、折り紙をウサギさんに変えました。けっこう可愛いですね。
 でも、じっくり鑑賞する暇もなく――
「火が己がうちにあるなら、それは冷たい雪を弾き溶かす熱となります」
 ――紙のウサギさんは燃え上がりました。
 ウサギさんだけではありません。『火が己がうち云々』と詩人さながらに述懐していた明さんの体も炎に包まれました。
「卯は五行では木気に属するのだとか。よく燃えそうですね。そして、なによりも可愛いです」
 自分でも可愛いと思っていたんですね。

●ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)
「さっきも言いましたが、この一撃で――」
 炎を纏った平良は疾走して呂蒙との間合いを一気に詰め、燃える拳を突き出した。
「――判断してください」
 火の玉パンチが炸裂! 命中した箇所は呂蒙の顔面。蟲将にしては整っていた鼻梁が大きくひしゃげちゃった。
 でも、KOとはいかなかった。
「やはり、軽いわ!」
 負け惜しみにしか聞こえないことをほざきつつ、顔面崩壊クロノヴェーダは例の鉄球を回転させた。平良のアクションによって周囲に舞い散った紅蓮の火の粉に別の色が混じった。蛍火を連想させる不思議な光の色。そう、私に使ったのと同じパラドクス。
 蛍火は次々と平良に纏わりつき、彼の体を燃やした。まあ、既に本人のパラドクスで燃えてるんだけど……なんにせよ、ダメージを与えたことは間違いないわ。平良の中で燃えている戦意の炎を消してしまうほどのダメージでないことも間違いないだろうけど。
 炎といえば――
「この蛍火がどれほど熱くても! 私の炎のほうが! 想いのほうが! 熱い! そして、強い!」
 ――リアもめらめらと燃えてる。比喩じゃないわよ。平良と同じようにパラドクスを発動させて、星星もろとも炎に包まれてるの。
「行くわよ!」
 リアの叫びに応じて、星星が走り出した。人馬一体とはこのことね。だって、リアは手綱を握ってないんだから。代わりに持っているのは、短めの青龍偃月刀と同じく短めの馬上槍。
「図に乗るな、雑兵が! 貴様の想いとやらも消し飛ばしてやるわ!」
 呂蒙の叫びに応じて、トループス級の兵士たちが現れた。遅滞していた荊州呉軍が追いついた……というわけではなく、召喚系のパラドクスで呼び出されたんでしょうね。こういうパラドクスが使えるから、呂蒙は少数の兵士だけを連れて先行していたのかもしれない。
 召喚されたトループス級たちは呂蒙を守るフォーメーションを一瞬にして築き、リアを迎え撃った。
 だけど、リアは止まらない。
「名を奪ったとはいえ、貴殿も立派な『呂蒙』殿だね!」
 呂蒙に語りかけながら、立ちはだかるトループス級たちを右手の青龍偃月刀で叩き斬り、あるいは左手の馬上槍で刺し貫き、あるいは星星に蹴散らさせて、前へ前へと進んでいく。
 そして、ついにトループス級の壁を突き抜け――
「だけど、奪われたままにはしておけないし、蟲の呉の天下なんて認めないわ!」
 ――馬上槍を呂蒙の胸に突き立てた。
 途端に轟く爆発音。
 リアを包んでいた炎が膨れ上がって弾け散ったのよ。
 それによって生じた強烈な衝撃波をもろに受けて、呂蒙は後方に吹き飛ばされた。
 
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【士気高揚】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV2が発生!
【能力値アップ】がLV3になった!

ミレイ・ドリムータ
背負ってるもの、ねぇ……
生きてりゃ誰だって背負ってるものはあるよ。
その大小を比べてひけらかすのは野暮ってもんじゃないの?

敵の攻撃は【地形の利用】しながら避けて躱す。
隙をついて『古びたバール』を敵の頭上目掛けて【投擲】し、【ギガンティックウェポン】で敵を圧し潰すよ。
どんな兵士や兵器を召喚しようと、それごと纏めて圧し潰すだけよ!
言いつつデュークから『デュークのステッキ』を後ろ手でこっそり受け取り、再び【投擲】して2度目の【ギガンティックウェポン】を放つよ。

絡み、アドリブ歓迎


杏・紅花
なんかムズカシーことよく分かんないけどさ、オジサンは死にたいわけじゃなくって、生き延びたいんでしょ

じゃ、戦お。
逃げないでねえ〜

まずは不意打ち、含み針
もちろんただのフェイント
二発目ワイヤーソー、鉄球と同じくらいの射程幅
これもただの牽制
三発目袖からしゃきーんと長あい鉤爪

ねえ、無策で懐に飛び込んだら、どんな策で対応してくれる?

対応されれば「綾の綻」
残念、こっちでしたあ〜
無策で戦うほど、ばかじゃないもーん(たぶん!)

あたしには仲間がいるから
ひとりで何もかも背負ってるつもりになるなんて、
それじゃ、
強くなれないと、あたしは思うよ


アンゼリカ・レンブラント
呂蒙を逃しはしないよ
背負うとかじゃないけど
私達の想いはけして呉国を背負う蟲将に劣らない!

【飛翔】しダッシュで迫りパラドクスの光剣で攻撃
仲間の与えた傷を抉るように斬り、
反撃を気合十分!勇気を燃やし凌ぐ

かつて許昌において魏の6将全てと交戦したけど
覚悟を持ち戦う呂蒙は其れに負けない強さの筈

けれど、私達はそれに負けない
託された人々からの想いと、私達自身の奪還の志が
呂蒙の想いに劣るなんて言わせない!

仲間と連携を意識しダメージを重ね
相手の消耗が分かれば
力と想い、私の全部を込め捨て身の覚悟で両断を狙う

私たちはお前を超え、孫権を倒し、全てを取り戻す
今こそ最大まで輝け、《光剣収束斬》ッ!
呂蒙の命に、届けぇーっ!


●ミレイ・ドリムータ(空虚と向き合う少女・g01550)
「これで判っただろう? 私たちの想いの強さは、呉国を背負ってるおまえのそれに決して劣るもんじゃないってことがね!」
 派手に吹き飛ばされた呂蒙に向かって、露出度高め(アタシも人のことは言えないけど)の鎧を着込んだ金髪金眼の女の子が剣の切っ先を突きつけた。
 彼女は撃竜騎士のアンゼリカ。ちなみに呂蒙に向けた剣ってのは実体のある武器じゃなくて、パラドクスで生み出した光の剣よ。
「想いの強さだとぉ? 笑わせるな!」
 呂蒙が怒鳴った。
「貴様らを駆り立てているのは短絡で矮小な怒りや憎しみだろうが! まさに匹夫の勇よ! 俺が背負う崇高な大儀と比較するのもおこがましいわ!」
「最初に比較して煽ったのはそっちでしょ?」
 と、アタシは言ってやった。
「生きてりゃあ、誰だってなにかを背負わなくちゃいけないもの。そのお大きさだの重さだのをひけらかすっていうのは野暮だと思うな」
「黙れ、匹夫!」
 そう言われて、アタシが素直に黙るとでも?
 いえ、別に黙ってもいいけどね。たとえアタシが黙り込んだとしても――
「なんかムズカシーことよく判んないけどさー」
 ――ほら、今度は紅花が話し出した。スキップするような足取りで呂蒙との距離を詰めながら。
「さあ、戦お。逃げちゃダメだよ、オジサン」
「舐めるなぁーっ! 『烈烈たる国士』の二つ名を持つこの俺が逃げるわけないだろうが!」
 ウソついてんじゃないよ。荊州呉軍がやってきたら(仲間たちが足止めしてくれたので、すぐにはやってこれないだろうけどね)、その混乱に乗じて逃げ出すに決まってる。
 まあ、だからといって、呂蒙のことを臆病者だとは思わないけどね。逃げるのは命が惜しいからじゃなくて、自分の力が建業で必要とされているからなんでしょ? もし、そういう事情がなかったら、この『烈烈たる国士』は絶対に逃げたりせず、アタシたちと戦い抜こうとするんじゃないかな。
 陸遜の仇を討つためにね。

●アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)
 私は地面を強く蹴りつけ、パラドクス効果の『飛翔』を使って上昇した。紅花さんの戦い振りを空の特等席でじっくり見物させてもらおうか。
「じゃ、いくよー!」
 スキップからダッシュに移行する紅花さん。顔をちょっと突き出して唇を尖らせているように見える。含み針でも使うつもりかな?
「と、見せかけてぇー!」
 いや、違った。
 紅花さんは顔を引っ込め、代わりに左腕を突き出した。手を隠してしまうほど長い袖口からワイヤー状の刃が伸びてる。それで斬り刻むつもりかな?
「と、見せかけてぇー!」
 いや、また違った。
 今度は右腕が突き出された。『シャキッ!』という小気味いい音を立てて袖口から姿を現したのは長くて鋭い鉤爪。それで引き裂くつもりかな?
「と、見せかけ……」
「いいかげんにしろぉ!」
 おなじみの台詞は呂蒙の怒声にかき消された。
 怒声といっても、怒りに我を忘れているわけではないらしい。鎖を繰り出して紅花さんに攻撃を仕掛ける手並みはとても鮮やか。三段重ねのフェイントには惑わされてないようだ。
 鎖の先端の光る鉄球は物理法則を無視した動きを見せて、紅花さんの横腹に命中! その一撃はかなり強烈なものだったらしく、紅花さんは上下真っ二つに!
「と、見せかけてぇー!」
 いや、真っ二つに千切れたのは、パラドクスで瞬時に生み出されたと思わしきダミーだった(白い糸状のもので構成されてるみたい)。
 で、本物の紅花さんはといえば、いつの間にか呂蒙の背後に回り込んでいる。
「今度は見せかけじゃないよー!」
 鉤爪が閃き、呂蒙の背中から緑の血が盛大に噴き上がった。もっとも、紅花さんが返り血にまみれることはなかったけどね。素早く飛び退っているから。
「うぐぉーっ!?」
 と、苦しげな声(驚きの声でもある?)をあげながらも、呂蒙は振り返った。
 そして、一矢を報いるべく、紅花さんに突進……するつもりだったのだろうけど、それはできなかった。
 私が立ちふさがったから。

●杏・紅花(金蚕蠱・g00365)
 背中をざっくりと裂かれたオジサンがこっちに振り返り、ものすごい形相で迫って……くるかと思いきや、その行く手に(つまり、あたしとオジサンの間に)アンゼリカさんがカッコよく舞い降りた。
「今こそ最大まで輝け、光剣収束斬っ!」
 オジサンめがけて突進するアンゼリカさん。体当たりするかのような勢いだったけど、体と体がぶつかる前に光の剣がオジサンの胸に突き刺さった。でも、新たな傷が生じることはなかったよ。輝く刃が抉り抜いた箇所は、リアさんが馬上槍で抉り抜いた箇所とまったく同じだったから。
 オジサンのほうも負けじと――
「来たれーい!」
 ――パラドクスを発動。
 朴刀を持ったトループス級たちがオジサンの両隣にずらりと出現したかと思うと、一斉にアンゼリカさんに襲いかかった。
「かつて、許昌で魏の六将と交戦したことがあるんだけどね」
 アンゼリカさんはオジサンから光の剣を抜き、トループス級たちに応戦した。
「おまえは奴らに勝るとも劣らない強者だよ、呂蒙。でも――」
「――アタシたちは負けない!」
 ミレイさんが後を引き取り、『ばーる』という名の工具を放り投げた。
 オジサンじゃなくて、空に向かって。
 それを目で追いながら、オジサンが嘲りの言葉を吐いたけれど――
「馬鹿め! どこを狙って……ぬおわぁーっ!?」
 ――それは途中で絶叫に変わった。
 投げ上げられた『バール』が巨大化して、彼の頭の上に落ちてきたから。
 うわー、痛そー……と、同情してる暇はないんだよね。頭を押さえて悶絶しているオジサンを追撃すべく、あたしはまた走り出した。さっきと同じように絹糸で自分の偽物を生み出して(あたしは蚕のインセクティアなんだ)注意をそらしつつ、死角に回り込む。そして、手甲爪『切裂花』でグサリ!
 しかも、『グサリ!』は一回では終わらなかった。トループス級たちをかたづけたアンゼリカさんが再び光の剣を突き刺したの。
「そう! 負けない!」
 今度の命中部位はお腹。ディアナさんの砲弾を食らった箇所。
 それでもまだオジサンは倒れなかった。傷口が広がることも厭わずにもの凄い勢いで半回転して、体を刺し貫いていた『切裂花』と光の剣から逃れた。
 そして、後ろに何度か跳ねて間合いを広げ――
「来たれーい!」
 ――さっきと同じパラドクスを使った。アタシたちの前に召還されたのはトループス級たちじゃなくて、大きな投石器だけどね。
「にゃん!」
 投石器が作動するより早く、スフィンクスのデュークがお洒落な西洋風の杖(『すてっき』って言うんだっけ?)をミレイさんに投げた。
「随分とデカい攻城兵器だけど――」
 ミレイさんは『すてっき』を受け取ると、すぐにまた空に放り投げた。
「――あたしの武器ほどじゃないね」
 後はお察しの通り。
 そう、巨大化した『すてっき』が降ってきて、投石器は粉微塵になっちゃったの。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!
【アヴォイド】がLV2になった!
【リザレクション】LV1が発生!

レオアリア・フォルシオン
わたくし達は蜀に関しては関羽以外の事は知らない
ただ、気になる事は一つ
劉備の戦術と戦略…勘が冴えていると聞いた事があるけど、どうなの?
想像や考察の域で良いから答えなさい

そう言って答えを聞いた後、こんな言葉を
わたくし達は魏のジェネラル級について誰が死したか知っている
それが誰か知らないなら…敵の将について誰がいなくなっているかは、戦略の立案・構築に関わるわよね?

乗ってくるならこう提案を
魏と蜀の急所と危険な存在…重要なジェネラル級とクロノオブジェクトについて話しなさい
答えを聞いた後、こちらも魏の討死したジェネラル級の情報について正確な情報を出す
誇りには礼を返すわよ

さぁ、決着をつけましょうか


光道・翔一
…流石にジェネラル級、そう楽には落とせない、か
戦闘能力は同格内では並とのことだが、著名な英傑の名を持つだけのことはあるって所だな

…何だかんだ荊州の軍勢が明らかになったのは赤壁を突破した今になってだ
単なる偶然の帰結ってだけかもしれねーが……大軍を密に指揮統率する力は相応に本物なんかね


…って具合に呂蒙の動きに感心(それなりに本心からのつもりだが多分いい顔はされなさそう)を口にしてから、奴から見た厄介そうな魏と蜀の蟲将…献策に秀でた頭の回る奴とか、裏でコソコソすんのが得意な奴とかの情報でも聞き出してみるか

…無下にされたとして、その手には答えない程度には「蟲将全体」で足並み揃えてるって情報にはなるだろ


●幕間
「くそっ……雑兵ごときが……」
 大型投石器の成れの果てである無数の破片を前にして、呂蒙は荒い息と悔しげな呻き声を吐いていた。
 その体は投石器のように砕け散ってこそいないが、いくつもの傷が走り、緑の血が滝のように流れ落ちている。『烈烈たる国士』の異名を持つ彼といえども、ディアボロスたちを返り討ちにすることはおろか、この場から逃げることさえ難しいだろう。
「そろそろ、奴は時間稼ぎに走るでしょうね」
 呂蒙を油断なく睨みつつ、レオアリアが仲間たちに囁きかけた。
「ああ」
 と、小さく頷いたのは翔一だ。
「走らせてやろうじゃないか。訊きたいこともあるからな……」

●レオアリア・フォルシオン(フォルシオン統一王朝初代皇帝『征龍帝』・g00492)
「さすがはジェネラル級。そう簡単には落とせない、か……知勇ともに優れた英傑の名を持つだけのことはある」
 翔一が呂蒙を賞賛した。その言葉は決して空世辞ではなく、本心から礼賛も含まれているような気がする。
 呂蒙もそう感じたのか、少しだけ態度を軟化させて問いかけてきた。
「……なにが言いたい?」
「イヤね。それだけ有能だったら、魏や蜀の情報も掴んでいるじゃないかと思ってさ」
「その情報を教えなさい」
 と、わたくしも話に加わった……というか、割り込んだ。駆け引きは面倒よ。単刀直入にいきましょう。
「もちろん、タダでとは言わないわ。アンゼリカが言及した魏の六将の名前を教えてあげる。敵国のジェネラル級たちのうちの誰が亡くなっているかが判れば、今後の戦略の立案や構築が捗るでしょう?」
「そんな情報などいらぬわ!」
 取り付く島もないわね。
 ……と、思いきや、呂蒙は話を打ち切ったりしなかった。
「しかし、貴様たちに魏や蜀の情報をくれてやるのは吝かではない。我が呉国の利に繋がるかもしれぬからな」
 布で隠されているので、はっきりとは判らないけど、呂蒙の口元にはニヤリという笑みが浮かんでいるように見える。一石二鳥とでも思っているのでしょうね。時間稼ぎができる上に、魏や蜀が不利になる情報をディアボロスに与えられるのだから。
「で、なにを教えてくれるんだ?」
「魏と蜀を討ち滅ぼせる必勝の策だ!」
 翔一が促すと、呂蒙は大きく胸を張った。
「貴様らが呉に手出しせずに引き返し、魏と蜀に狙いを定めるのであれば、この策がきっと役に立つことだろう」
『呉を滅ぼした後で魏と蜀を狙う』という可能性は無視? まあ、いいわ。謹聴、謹聴。

●光道・翔一(意気薄弱なりし復讐者・g01646)
「蜀を攻めるのであれば、急所となるのは漢中だ。漢中を制圧し、そこから南下すれば、蜀の根拠地はすぐそこだ」
 爪先を使って地面に簡単な地図を描きながら、呂蒙センセイは『必勝の策』について講義してくれた。
「魏を攻めるのであれば、許昌から曹操を逃がさないことが重要だ。万が一、陳留に撤退された場合は華北への退路を塞ぎつつ、虎牢関を警戒する必要がある。広大な華北に逃げられてしまうと、曹操を追い詰めるのは極めて困難になるからな。また、仮に華北の退路を塞いだとしても、虎牢関に逃げ込まれれば、曹操を撃つのはやはり至難となるだろう」
 ……ふむ。
 俺はレオアリアさんに小声で尋ねた。
「どう思う?」
「参考にはなるけれど――」
 と、同じく小声でレオアリアさんは答えた。
「――教科書通りというか、あくまでも秀才レベルの戦略ね。天才レベルには及ばないわ」
 そうだな。この『必勝の策』を基本方針にして攻め込んだとしても、蜀の諸葛亮だの魏の荀彧(がいるかどうかは知らないが)だのといった天才に見破られて、対策を立てられてしまうかも……。
「戦略とかじゃなくて、魏や蜀の内情はなにか知らないの?」
 声量を普通のレベルに戻して、レオアリアさんが呂蒙に尋ねた。
「たとえば、蜀の劉備のこととか。彼は戦略眼に優れ、勘が冴えていると聞いたことがあるけど……実際のところはどうなの?」
「フン! 奸佞邪知とは奴のためにある言葉よ!」
 呂蒙の声は嫌悪の念に凝り固まっていた。まあ、敵国の王を嫌うのは当然のことだけども。
「己の野望や保身のためなら、腹心の部下でも平気で切り捨てる――劉備はそういう輩だ。関羽を討った貴様らなら、よく知っているだろう? 関羽の強さを……そして、劉備が関羽を救おうとしなかったことも……」
 そうだ。関羽が死んだ後、多くのディアボロスは予兆を見た。その予兆の中で劉備は関羽の死を嘆くどころか、『予定通り』なんて抜かしていたっけ。
 俺は改めて呂蒙に問いかけた。
「なぜ、劉備は関羽を見限った?」
「関羽が強すぎたからだ。蜀が三国の戦いに勝利した時、劉備を差し置いて断片の王になってもおかしくないほどにな」
「つまり、劉備は飼い犬に手を噛まれることを恐れた?」
「その通り。狡兎死して、走狗烹らる……いや、狡兎が死ぬ前に走狗を烹てしまったのだな」
 走狗は烹られたけど、新宿島には狡兎だって一匹も残ってないぞ。
 皆、場数を踏んで、猛虎に進化したからな。
「なるほど。色々と教えてくれて、ありがとう。じゃあ――」
『猛虎』の一員たるレオアリアさんが表情を引き締めた。
「――決着をつけましょうか」
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV2になった!
【平穏結界】がLV2になった!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!

シル・ウィンディア
背負っているもの、ね…。
それの重さなら、わたし達も負けはしないよ。
人類すべてを賭けて、ここにいるんだから…

それにね…。
わたし達は、あなた達に奪われたものを取り返しに来ただけだから。
あなたは、それの踏み台になるだけっ!!

飛翔で上空に舞い上がって、空中戦機動
上空を飛び回って、敵の気を惹くように動いていくよ。
上から敵の挙動とか癖に気づいたら、パラドクス通信で伝達・連携を行うね。

上空から一気に急降下して、敵に接近しつつ高速詠唱
創世の光剣で敵を貫いてみるよ。
ふふ、痛くないでしょ?本命はね…
全力魔法での七芒星精霊収束砲をゼロ距離からお見舞いっ!
さぁ、わたしの全部を持っていけーーっ!!


ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に

皆大小問わず何か背負ってて。覚悟だってしてる
それらに甲乙付けるような段じゃないのはきみが一番よく分かってるよね
“魔槍”を静かに構えて
僕は世界のすべてを見たい。ただそれだけ

この技がお手軽最強じゃないのはサリエルとの戦いで示された
必中なら防御を固め、反撃で術者を全力で潰せばそれまで
だから、全力の【ダッシュ】で先ずは一撃
5種伝承開放。禍えり裂く赤棘の槍(ゲイ・ボルグ)!

……流石。きみの想いの強さは本物だよ
反撃に槍を取り落とし、倒れたまま
でもね。この技、放ち方は自由なんだ

今一度咲き誇る、一接ぎは
例えば【念動力】でも。“魔槍”は翔ぶ
――禍えり裂く赤棘の槍(ゲイ・ボルグ)
討ち取ったり。


アンゼリカ・レンブラント
呂蒙の命まで届いていないなら届くまでやるだけ!

パラドクス通信を持参する仲間がいれば連絡を取り合い
ここまでの戦闘で把握した
呂蒙の癖や損傷具合を皆で共有し
再度間合いを詰め仲間の攻撃に合わせ
パラドクスの砲撃を撃っていくよ

許昌では戯れに人々の命を奪う蟲将を見た
先日赤壁では大量の一般人を殺す非道な作戦もあったよな
だから私達は蟲将の想いを献身と想いを許容しない
覚悟から生まれるお前の力は――真向から撃ち砕き、超えるっ!
勇気を心に燃やし敵からの攻撃を凌ぎ、ダメージを重ね

トドメの機を見て仲間と共に間合いを詰め
超至近距離から《終光収束砲》で決着を狙うよ
蟲将が支配する闇を終わらせる
その夜明けが如く最大まで輝けーっ!


●幕間
「『貴様らが呉に手出しせずに引き返し云々』とか仮定の話をしてたけど、本当は判ってるでしょ?」
 碧色の刃の小剣を手にした少女――シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)が満身創痍の呂蒙に問いかけた。
「ここまで来て引き返すわけがないってことくらいはね」
「複数の敵を相手にする時って、迷っちゃうよね」
 話題を変えたのは、ゴスロリの衣装に身を包んだロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)。十代前半のシルよりも更に幼い少女……に見えるが、実際は少年である。
「いちばん強い奴を真っ先に倒して、その後で弱っちい奴らをかたづけるか。それとも、少しでも早く頭数を減らすためにいちばん弱っちい奴を真っ先にかたづけるか。でも、今回は選択の余地がないかなー」
 いや、話題を変えたわけではなかった。魏と蜀に後れを取っている呉を『いちばん弱っちい奴』扱いしているのだ。
「黙れーい!」
 荒々しい声を出しながらも、呂蒙は南西の方角をちらちらと窺っていた。荊州呉軍が到来する可能性にまだ賭けているらしい。
「言っておくが、我が呉国は最初から魏と蜀の後塵を拝していたわけではないぞ! 貴様らが余計な介入をしなければ……今頃はきっと孫権様が覇権を握っていたはずだ!」
 大戦乱群蟲三国志で善戦を重ねてきたディアボロスに対する賞賛とも受け取れる言葉ではあるが、もちろん、当人にそんな意図はないだろう。
「しかし、これで終わったわけではない! 今からでも情勢を覆すことはできるっ!」
「できないよ」
 と、アンゼリカが無情に断言した。
「呉の命運は風前の灯火。おまえは『灯火』を守れない。『風』たる私たちを止められない」

●アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)
「いや、止められる! 孫権様を覇道にお導きするという重責を背負ったこの俺が! 背負うものなき匹夫ごときを止められぬわけがなぁーい!」
「まぁーた、背負ってるとか背負ってないとか言ってるし……」
 吼え猛る呂蒙に対して、ロキシアさんがわざとらしく閉口してみせた。
「あのね。皆、大小問わずなにか背負ってて、覚悟だってしてるの。それらに甲乙つけるような段じゃないのはきみが一番よく判ってるでしょ?」
「いえ、あえて甲乙つけさせてもらう」
 と、異存を唱えたのは呂蒙じゃない。
 シルだ。
「背負ってるものの重さなら、わたしたちも負けてないよ。最終人類史の命運を賭けて、ここにいるんだから。それに正当性だって負けてない。いえ、負けてないどころか、理はこちらにしかない。だって――」
 シルは空に舞い上がった。パラドクス効果の『飛翔』だ。
「――わたしたちは、あなたたちに奪われたものを取り返しに来たんだから!」
「抜かせ!」
 怒鳴りながら、シルを目で追う呂蒙。
 その隙に乗じて、ロキシアさんが駆け出した。手にしている武器は電磁槍。
 だけど、彼が槍の間合いに入るより先に呂蒙は視線を地上に戻し、かっと目を開いて、鎖を振った。
「甘いわ!」
 風を切る唸りに光の軌跡を添えて、淡く輝く鉄球がロキシアさんへと飛んだ。
「痛っ!?」
 鉄球に強打されて、ロキシアさんは槍を取り落とした。

●ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)
「痛っ!?」
『魔槍』と名付けた電磁槍(中二っぽいネーミングだと思うかもしれないけど、決して名前負けはしてないよ)が僕の手から落ちちゃった! 大ピーンチ!
「なーんてね♪」
 僕のパラドクス『禍えり裂く赤棘の槍(ゲイ・ボルグ)』は槍の一撃を繰り出す技なんだけど――
「さっすがー。君の想いの強さは本物だ、呂蒙」
 ――その繰り出し方は自由なんだ。
「でも、想いの丈をぶちまけすぎだよ。『秘すれば花』って言うでしょ」
 見えない足に蹴り上げられたかのように『魔槍』が跳ね起き、ブーメランさながらに回転しながら、呂蒙に向かって飛んだ(ね? 名前負けしてないでしょ?)。そして、穂先が呂蒙の胸に触れた瞬間、回転の仕方をブーメラン風からドリル風に変えて、あっという間に抉り込んでいった。
「ぬわぁーっ!?」
『魔槍』に刺し貫かれて絶叫する呂蒙。傷口から突き出た『魔槍』の柄は花柱のようだし、流れ落ちる緑の血は花片のよう。秘せずとも花だったかな?
「今だ!」
「うん!」
 アンゼリカちゃんの叫びに応じて、シルちゃんが急降下。呂蒙の左胸めがけて、青っぽい刀身の小振りな剣を突き出した。
 呂蒙はまたもや絶叫――
「ぬわぁ……え?」
 ――するかと思いきや、目をぱちくりさせて戸惑っている。剣を刺されたはずの胸はなんともなってない(今までの戦闘で受けた傷はあるけどね)。
 どうやら、シルちゃんの攻撃はパラドクスじゃなかったみたいだね。

●シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)
『創世の光剣』を使ったフェイント……かーらーのー!
「さあ! わたしの全部を持っていけぇーっ!」
 呂蒙の体から突き出ている電磁槍を握り、パラドクスを発動。
 わたしと奴の間に光の魔法陣が現れた(自分の目で確認することはできないけど、わたしの背中に八枚の魔力の翼も現れたはず)。
 そして、それはすぐに変化した。光の魔法陣から光の奔流へと。もちろん、流れていく方向にいるのは呂蒙よ。
 これぞ、パラドクス『七芒星精霊収束砲(ヘプタクロノス・エレメンタル・ブラスト)』。
「……っ!?」
 ほぼゼロ距離から奔流を受けて、後ろに吹っ飛んでいく呂蒙。その拍子に電磁槍がすぽーんと抜け、わたしの手の中に残った。
「はい、ロキシア」
 八枚の翼でパラドクスの反動をいなして後方に飛びながら、わたしは電磁槍を放り投げた。
 ロキシアがそれをキャッチして――
「他のディアボロスと違って、僕は復讐とか奪還とかにはそれほどこだわってないんだよね」
 ――くるりと回し、穂先を呂蒙のほうに向けた。
「パラドクストレインに乗り込むのは、世界のすべてを見たいからだよ。呉が滅びゆく様もしっかり見てあげるね」
「いや、滅ばん! 滅ばんぞぉ! たとえ俺がここで死んだとしても、この愛国の志を受け継ぐ者が必ず……」
「そういう御託は聞き飽きたよ!」
 と、呂蒙の熱弁にアンゼリカが割り込んだ。飛ぶような勢いで走りながら。
「蟲将の忠誠だの絆だのを美談に仕立てあげようたって無駄だ! 私たちはこの目で見てきたからな! 許昌で蟲将に虐げられていた人々を! 赤壁で生贄にされかけていた人々を!」
「それがどうした! 所詮、人間など使い捨ての消耗品! 崇高な大儀のために生きる俺たち蟲将と同列に語ることなど……」
 呂蒙はなにやらゴチャゴチャほざいたけれど――
「裁きの光とともに輝け、六芒星に集いた精霊よ!」
 ――アンゼリカがまた割り込んだ。今度は詠唱で。
 見慣れた魔法陣が彼女の前に現れた。どうして見慣れているかというと、わたしがよく使うパラドクス(さっきの『七芒星精霊収束砲』はそれの強化版よ)の魔法陣に似ているからよ。
「邪悪なる者すべてを撃ち抜けぇーっ!」
 再び光の奔流が放たれた。わたしの時みたいにゼロ距離じゃないけれど、アンゼリカは詠唱の間も走り続けていたので、間合いはかなり詰まってる。
 当然、呂蒙はそれを避けることができなかった。

●終幕
 その後も呂蒙は幾度となくパラドクスを食らい、ついに――
「む、無念……」
 ――両膝を地に落とした。
 それでも、傷だらけの腕をなんとか振り上げた……が、攻撃を繰り出すことはできなかった。いや、繰り出す力が残っていたとしても、攻撃するのは無理だろう。鉄球つきの鎖は断ち切られている。
「すまぬ……陸遜……」
 血が滴る手で鎖を握りしめたまま、烈烈たる国士は前のめりに倒れた。
 自分が背負っているものに押し潰されるかのように。
 
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV9になった!
【命中アップ】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2022年11月02日
宿敵 『烈烈たる国士・呂蒙』を撃破!