復讐者、長江に遊び孫呉を掣肘す(作者 銀條彦
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#大戦乱群蟲三国志  #樊城の戦い:呉  #呉 

●蟲の居所
 ギチギチと。
 擦り鳴らされる鉄の双鞭に内心で震え上がりながらも伝令が報告を述べる。
「……くだらん。そんな情報は、何の役にも立たない。もっと良い報告を持ってこい」
 陣の最奥にと坐して報告を受ける偉丈夫は赤き蛾の蟲将。
 彼こそがこの部隊を率いる指揮官であろう。
 アヴァタール級の一体として創り出された彼としては最大限の理性が発揮され、兵達は素っ首落とされる事もなく次の偵察場所についての新たな命令を受けるや矢の如き勢いで再び飛び出してゆく。
「ふん。そうだ、疾く行け。 ……すべては呉王の勝利の為に」

●三国志行き超特急
 新宿駅に列車型パラドクス……パラドクストレインが現れる。
 駆けつけたディアボロス達を、見るからに飄々とした佇まいの老武道家が迎え入れた。
「ほっほ、この車両は群蟲三国志行きじゃ。ご足労いたみいるばかりじゃのう」
 時先案内人は自らの名を孫・浩然(人間の破軍拳士・g01370)と名乗り、西暦219年のとある大戦乱の兆しについて滔々と語り始める。

「かのディヴィジョンでは大陸中央部に位置する『荊州』の地を巡って『蜀』と『魏』が今まさに大戦乱を引き起こさんとしておる。が、今回おぬしらに阻止してもらいたいのはこれら二国ではない。残る三国の一つ、『呉』の蠢動じゃ」
 すでに『蜀』との交渉によって割譲された荊州南部の『長沙』を拠点とした『呉』は、現在その地から偵察部隊を派遣して『蜀』『魏』二国の動きを伺っている様だ。
 なかでも『蜀』にとっての重要拠点である『江陵』に対しては特に盛んに偵察兵を送り出しており、漁夫の利を得ようとする『呉』の虎視眈々ぶりもまた大戦乱を拡大する一因となり得る。
「呉の偵察兵らが正しく情報を得て持ち帰ればその情報を元にした作戦が中華の地に更なる大戦乱を引き起こすじゃろう……そこで妨害工作じゃ。狙うべきは『情報を持ち帰らせない』もしくは『間違った情報を持ち帰らせる』といった辺りかのう?」
 白い口髭を指先でいじりながらそう告げた老案内人はニンマリと笑ってみせる。
 今回の列車に乗り込むディアボロス達の任務は指揮官の蟲将を討ち取る事によって『呉』の諜報活動の妨害し、可能ならば偽の情報を流して『呉』国を混乱させて欲しいというものである。

「長江の中域にあたる長沙地方は河川が複雑に絡み合う地形をしており見通しが非常に悪い。そして残念じゃが呉の偵察部隊が現れる時刻までは予知されんかった」
 そこで今回は『長沙』付近にまでパラドクストレインで移動した後、河川の合流地点などに向かい、敵の偵察部隊が出没するまでそこで待機する必要がある。
「なぁに、相手方とて秘密裡の作戦行動中ゆえ現地はいたって平穏そのものじゃ。どうせなら敵が近付くまでは釣りでも水遊びでも好きなように英気を養ってくるがええじゃろ」
 目尻に刻んだ深いシワを寄せ、新宿島では味わえぬヴァカンスを楽しむチャンスじゃと浩然が笑う。
 クロノヴェーダが支配するディヴィジョンでの戦いはこれが初陣となる者も多い一行を思い遣っての事だろう。

 今回、偵察の実働部隊にクロノヴェーダの姿は見受けられない。
 指揮官こそクロノヴェーダアヴァタールの蟲将だがその周囲を固める兵はいずれも一般兵のみの部隊である。
「とはいえ彼奴らは只の雑兵ではなく正規の訓練を受けた兵士揃いじゃ。どれほど場が混乱しようとも己が仕事はきっちりとやり遂げようとするじゃろうのお。 ……たとえば指揮官が『敵』から攻撃されるような事態となれば兵らは逃げ出すじゃろうがそれは決して恐慌に駆られてのものではなく、蟲将の邪魔とならぬ為でありそして確実に情報を本国へ伝える為じゃろうて」
 だがさて。
 ……蟲将との決戦の場において『敵』たるおぬしらが所属を偽ればどうなるか。
「無論、蟲将を確実に仕留めて来るのがまず第一。その上で今後を有利と為す為の工作が仕掛けられれば尚良し、という訳じゃ」
 そうすれば一般兵を皆殺しにする必要も無くなるとぽそり呟くと同時、老案内人の眼光がにわかに鋭利なものとなり……だがそれはほんの一瞬。
 すぐさま取り戻された好々爺な笑顔と助言が、列車にと乗り込もうとする者たちへと向けられる。

「改竄されぬ歴史上において、呉軍は魏と同盟して荊州の戦いに参戦し蜀の関羽を打ち取っておる。改竄世界史でその通り転がるとは限らんが……まあ、ある程度の目安程度にと気に留めておくがよい。ほっほっほ」
 そして。
 新宿駅を発した軌道はまっすぐ大戦乱群蟲三国志ディヴィジョン、『呉』の長沙へと。

●やがて大河へと流れ到る幾筋もの思惑
 広大たる長江望むいずこかに置かれた『呉』軍の陣。
 偵察兵らは3~5人ずつの組に分かれ、『長沙』周辺の警戒活動を行い指揮官へ報告を行った後、新たな命令を受けて指定された場所の偵察へと向かう……を繰り返している。
 一般人のみで構成された偵察部隊は性急に成果を求める指揮官の無茶振りに、しかし、最大限の勤勉をもって応えようとしている。
 船を操り長江支流を辿る彼らが再び自陣へと戻る為、ディアボロス達が待機する地点を通り掛かるまでにはまだしばし時が必要である様だ……。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
4
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【狐変身】
2
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【モブオーラ】
2
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【スーパーGPS】
4
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【書物解読】
2
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。

効果2

【能力値アップ】LV6 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV4 / 【ガードアップ】LV1 / 【フィニッシュ】LV2 / 【反撃アップ】LV4 / 【ドレイン】LV1 / 【ダブル】LV1

●マスターより

銀條彦
 このシナリオは『大戦乱群蟲三国志』シナリオです。

 いきなり最初は長江で③ヴァカンスです。果報は寝たり遊んだりしながら待ちましょう。
 一定の時間が経過した後、③のクリア有無に係わらず呉の密偵部隊が付近に現れます。
 これらに対して②敵部隊哨戒任務で有効なプレイングを仕掛けることでアヴァタール級『太史慈』の居場所を突き止め、④決戦へと持ち込みます。
 蟲将『太史慈』以外の偵察部隊はすべて非クロノヴェーダの一般兵ですので全滅させる事自体はたやすいです。
 あえて見逃した場合、彼らは忠実に任務を果たし攻撃を受けた事を『呉』へ報告すべく逃げ帰ります。
 もしも『呉』に対して何らかの偽情報を流すのであればヴァカンス終了後~アヴァタール級戦の決着前に①流言飛語を選択して下さい。
 その内容によっては今後の展開を大きく変えることも可能でしょう。

 みなさまのご参戦、心よりお待ちしておりますね。
41

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


鵙目・隆尋
しゅえゆーさん(g00998)と
折角の川辺だけど、舟遊びは敵に見つかると大変
何より、舟がないから……岸辺で遊ぶか釣りかな
おうまは水浴びする?
(川を指差して蓮風に尋ね)
あ、そうか……
じゃあ全部終わったらさっぱりしよう?

ねぇ、しゅえゆーさんは釣りしたことある?
そう尋ねて彼の話に耳を傾けて
俺?俺はね、あんまりそういう遊びはしなかったからね
興味がなかった訳じゃないんだけど
釣りって、時間が無いと難しいでしょう?

そういう余暇の時間をね
作るのが壊滅的に下手なの、俺

でも、初心者が二人一緒に初挑戦するのもいいかもしれないね

そんな話をしながら
見つけた木陰でのんびりと釣りに挑戦

釣った魚は食べないなら川に戻すんだって


羅・雪羽
隆尋(g00735)と
敵は来なくとも警戒は怠らず
パラドクストレインが無ければこの地へは行けぬ
この地の環境に今の内に慣れておこう

舟は見つかる、敵に見つかる可能性を考えれば避けるべきだ
……蓮風は戦馬、戦の前には遊ぶことはない
体を洗うのは戦の後の方が喜ぶだろう

……ならば釣りだな

釣りはしたことがない
普段は……昔は城内の見回りや鍛練をしていた
確かに釣りは時間を費やすものだ、纏まった時間がなければやることはできない
私も時間があったとしても釣りをしていたかどうかは分からない

釣れるかは分からないが、時間を消費するには良いだろう
……釣った魚は返した方が良いのか?ならば、何故釣るのだ?
いや、調理する時間はないか


●水魚之交
 夏空の下、晴れわたる長江は河というよりも湖を思わせるほどに広大で。
 傍らに立つ青年へ、煌めく水面をほらと指差してみせた鵙目・隆尋(幼年期の終わり・g00735)。
 舟遊びが出来ればさぞ楽しいだろうねと明るく笑う少年に対し、河を、そしてずっとその向こうを見つめる羅・雪羽(嵐雪刹主・g00998)の青瞳は険しい。
 たとえ敵の到来は無くとも、彼はクロノヴェーダが支配するこの世界において警戒を怠るつもりはない様だ。
「舟は見つかる、敵に見つかる可能性を考えれば避けるべきだ」
 決して咎めるのでは無く、ただ冷静に自らの所見を述べて聞かせるような雪羽の口調。
 長江を盛んに行き来する呉軍の偵察兵に発見される危険性を用心深く指摘する。
 逆にいえば見つかること前提……敵に己を見つけさせたい場合の策としては使えるやもと怜悧に思考走らせた青年武人の脳裡は、既に来たるべき戦いへと思い馳せていた。
「ん。そうだね。折角だけど見つかると大変。何より、舟がないから」
 隆尋の方もすんなり彼の言う所を理解し、こくんと頷いて。
 だったら岸辺で遊ぼう、釣りをするのもいいねと思いついた代案をワクワクと挙げてゆく。
 いかにも生真面目の表情で考え込んだ雪羽はならば釣りをと答え、二人はさっそく支度に取り掛かった。
 戦場とヴァカンスの狭間揺らめく此岸に彼らはしばし憩う。

「おうまは水浴びする?」
 弾むような足取りで場所探しに勤しむ隆尋がくるりと振り返る。
 隆尋がおっとりと、おうま、と呼びかけた相手は逞しき体躯誇る一頭の馬。
 雪羽に手綱引かれて伴う無双馬『蓮風』である。
 少年が指さした河の清水はいかにも涼しげで、脚浸らせればさぞや心地よかろう。
 無邪気な少年の厚意に、雪羽はごく淡やかに目を細めて。
「……蓮風は戦馬、戦の前には遊ぶことはない。体を洗うのは戦の後の方が喜ぶだろう」
「あ、そうか……じゃあ全部終わったらさっぱりしよう?」
 蓮風の尾が高くかろやかな一振りで応える。

「ねぇ、しゅえゆーさんは釣りしたことある?」
「釣りはしたことがない。普段は……昔は城内の見回りや鍛練をしていた」
 ほどなくうってつけの木陰へと辿り着いた二人は並び座り、釣りを始める。
 竿も餌針も最低限。
 だが、魚を獲る獲れない以上にこうしてゆったりと糸垂れながら河渡る風に吹かれ、語らうこの時間こそがかけがえない彼らのヴァカンスの本題なのだろう。
 己の身の上話へ熱心に耳を傾ける隆尋の視線に気づいた雪羽は自分ひとり喋りすぎたと我に返り、隆尋はどうだと水を向ける。
 しゅえゆーさんのお話もうちょっと聞きたかったのに残念と笑った後、少年はうーんと軽く首を廻らせた。
「俺? 俺はね、あんまりそういう遊びはしなかったからね。興味がなかった訳じゃないんだけど……釣りって、時間が無いと難しいでしょう?」
「確かに釣りは時間を費やすものだ、纏まった時間がなければやることはできない」
 他の者であればあるいはここで、何故と少年の話の腰を折って訊ねたかもしれないが雪羽は素直に共感し相槌を打つばかり。
 だから……少年はふぅと小さな溜め息漏らした後もあっけらかんと語り続ける事ができた。
「そういう余暇の時間をね。作るのが壊滅的に下手なの、俺」
「私も時間があったとしても釣りをしていたかどうかは分からない」
 決してあれこれと詮索せず否定せず、あるがまま、青年は受け止めてくれる。
 今、大河のようにゆったりと流れるこのひと時の居心地が好いのは、きっと、木陰の所為ばかりでは無い。
「そっか。ま、でもそんな初心者二人が一緒に初挑戦するのもいいかもしれないね」
 隆尋の出したそんな結論に鷹揚に頷きながら。
 釣れるか分からないが時間潰しにもこの地の環境に慣れるのにも丁度良いと川面の波紋ながめる雪羽も何処か楽しげで。
 のんびりとした時間が流れる中、ツン、と先に動いたのは隆尋の針。
 力を込めて引けばうまく合わせを入れられたらしく、重みが懸かった竿がぐぐっと撓り……上がる水飛沫。
「やった! しゅえゆーさん見て見て! なんだろう……フナ? コイかな?」
「おそらくはコクレンだな。頭から尻尾の先まで食べられて美味い」
「わ、大当たりだ!」
 雪羽の説明にいっそう眼を輝かせた隆尋だったが、初めての釣果の口から丁寧に針を抜き取った後、魚はすぐさまポチャンとリリースされた。
「釣った魚は食べないなら川に戻すんだって」
 泳ぎ去る黒い魚影を見送りながら、隆尋がそう呟けば……では何故魚を釣るのだと怪訝に雪羽の眉が寄せられる。
 眼前の少年は何故だろうねとふわり笑うばかりだが彼を困らせるのは雪羽にとっても本意では無い。
「……いや、そもそも調理する時間はないか」

 そして、二人はまた釣り遊びを再開する。
 木洩れ日注ぐその風景は、兆す戦乱の気配をしばし押し留めるかのように平和そのものだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【操作会得】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!

春原・春雨
【水遊び現場を撮らせてもらっちゃおう作戦!】
つまり、戦いを長引かせるように立ち回って欲しいってことだね。
でも、まだ戦いは激化してないから、その間、なにかで時間をつぶす必要がある、と。
……水遊び!? なるほど、美男美女揃いの復讐者が水着(言ってない)でキャッキャウフフ(言ってない)……これは貴重なものが見られそう!
良いところで声をかけて、写真を撮らせてもらっちゃおう! 水着姿や濡れスケの良い感じの写真が撮れるかも……
スケベなことを考えてるわけじゃないよ(考えてる)。戦いの記録は必要だから……ね!


平良・明
これが大陸の風……。ざわつきますねぇ……。
今日も元気にいい旅と往きましょう。

旅と言えば河!どこまでも流れて行けそうです!
河と言えば魚!焚火で焼きましょう!
魚と言えば釣り!現地調達です!

旅の河辺にて魚を釣る!
旅河魚釣!何かの故事、四字熟語みたいですね!

おっと、初めて日本の外に出て頭がおかしくなっていました。
そもそも私は魚釣りができません。でもお魚食べたい。

ならば。パラドクスの試用です、キャンプ道具もまずは家で試してみてから実戦投入が基本ですから。

静かに川の中に歩いて行き、魚が近づいて来たら……掴み取る……

この時代の長江に何が居るかは知りませんが食べれる魚がいいですねぇ。
【共同可】


孫・リア
改竄されててもこの長江は変わらないんだね、まだ時間あるし折角だから久々に川遊びしちゃおうっと(防具を外して身軽になる)
それと他の人達とも交流出来たらいいな、こういう作戦はお互いの力を合わせないとうまく成功しないからね
はぁ〜……川遊びなんて本当に久しぶり………………はぁ本当の太史慈殿は忠義溢れる義理堅い武将なのにこんな風に改竄されるなんて……叔父様達も?……あの人も?皆尊敬すべき勇猛で知略溢れてるのにこんな風に歪められちゃってるの?
…………あー!こんな風に考えるのは駄目ね!
今回の作戦が最初の一歩、絶対に元の私達の国に戻してみせる
…さて決意も新たにしたしもうこのまま泳いじゃお!

【共闘アドリブ歓迎】


皇・銀静
準備
釣り道具やいくつかの食材

こういう時間も無駄にはなりません
とりあえずは…料理ですね!
戦いの前に英気を養うにはやはり食!

と言う訳で食事の用意と準備運動をするとしましょうか!

釣り
やはりこうした河での釣りというのは良いものです
どんな魚が取れるか
中々に楽しみですね!
流石に刺身にするのは少し難しいかもしれませんから
しっかり焼くとしましょうか

料理
おにぎり
けんさん焼き(味噌を塗った焼きおにぎり
弁慶焼き(それに青菜漬けを撒いたの

お味噌汁に西京焼き

後は緑茶を用意しつつのんびりと

さて…誰もいないなら…こういう時こそ修練もまた大事

戦覇の素振りを行う

試合をする時もこうした準備運動は大事でしょうからね


●淵広魚大
 長江中流域を流れる主要な支流の一つ、湘江の岸へと春原・春雨(記憶喪失の王子様・g01554)が颯爽と降り立つ。
 かの老案内人がヴァカンスを勧めたくなるのも納得できる程に天気は晴朗。
 高貴たる血を思わせる端正を宿す少年が、独り、悠久たる大河のほとりにと佇むさまはさながら達人の筆により描かれた一幅の絵画にすら喩えられよう。
 そんな春雨から発せられた第一声は……。
「水遊び現場を撮らせてもらっちゃおう作戦!」
 であった。
「……美男美女揃いの復讐者が水着でキャッキャウフフと……これは貴重なものが見られそう!」
 ヴァカンスに対する少年の夢と希望は膨らむばかり!
 そして。

「なんか、すみません」
 実は春雨本人は実際に声を発しているつもりはなかった無邪気な欲望のすべては外に筒抜けだった。
 まるっと聞かされる事となった平良・明(いつも作業着の用務員さん・g03461)は少し申し訳なさげ、足早に少年の後ろを通り過ぎてゆく。
 彼は25歳という実年齢以上に様々な人生経験を伺わせる容貌の青年だったが耳目を集めるような華とは無縁。
 自らを美男子などと考えた事もないし、服装だって着慣れたいつもの作業服。水着で水遊びの予定も皆無であった。
(「だけど……思わず昂ぶりワクワクと胸躍らせる心地は分からないでも無いですよね」)
 初めて浴びる大陸の風は、微風に戦乱の兆しを乗せてどこかざわついてもいる様にも感じられ……。
 そのまましばし河沿いを散策する明。
 やがて青年の足がふと行き当たった岩場。絶好の釣りポイントである。
「旅と言えば河! どこまでも流れて行けそうです! 河と言えば魚! 焚火で焼きましょう!」
 大都会で在り続けなければならない宿命負った新宿区を遠く離れ……嗚呼、今や彼もまた興奮の坩堝。
「魚と言えば釣り! 現地調達です! そして、旅の河辺にて魚を釣る! 旅河魚釣! 何かの故事、四字熟語みたいですね!」
 旅情、と呼ぶにはあまりにも熱く激しい明のテンション。
 見知らぬ土地……しかも圧倒的なスケールの大自然に身を置く解放感が、彼をして独り言をそのまま声に出して叫ぶ旅人化させてゆく。
「…………おっと、初めて日本の外に出て頭がおかしくなっていました。そもそも私は魚釣りができません」
 スン、と、唐突に。
 我に返った明は途端に冷静に現状を客観視し始めて思案する。
 でもやっぱりお魚は食べたい、と。
「ならば」
 ざぶりと音を立てたのは最初の一歩かぎり。
 河岸を離れて川の流れの中を歩み出した彼の姿は、さながら行雲流水。
(「パラドクスの試用です、キャンプ道具もまずは家で試してみてから実戦投入が基本ですから」)
 まるで大河へと溶け込んだかのように気配がスッと薄れ……。
(「……掴み取る……よし!!」)
 まったく警戒する様子もなく近付いて来た魚影を捉えるや、指先のみ、只の一撃で仕留める。
 明のアサシネイトキリングは魚の捕獲と活け締めを同時に達成しており、外傷も最低限。
 大成功である。ただ一点、故事成語は旅河魚『殺』となりそうな気がしないでもない。
 ウナギに似たタウナギという魚で、血肉の色こそ赤黒くヘビを連想させるが炒めてよし揚げてよしのポピュラーな食用魚であった。
「本家と違って独特のクセはあるでしょうけれど、ここはやはり蒲焼きにチャレンジしてみましょうか」
 既にぬかりなく炭火起こしを済ませていた明はいそいそと焼き網をセッティングし、ナイフと串を構える。

「幸先よいですねえ。この調子で、今日も元気にいい旅と往きましょう」

●河以委蛇故能遠
 彼もまた常在戦場。
 思いがけず得た自由時間であっても皇・銀静(銀雷閃・g02337)はそれを無駄な余暇とするつもりは無かった。
「とりあえずは……料理ですね! 戦いの前に英気を養うにはやはり食!」
 てきぱきと火の準備を整え、育ち盛りの少年武人が長江に釣り糸垂れる事しばし。
「やはりこうした河での釣りというのは良いものです。どんな魚が取れるか中々に楽しみですね!」
 川面をすぅっと泳ぐ魚影に銀静が息を飲んだ後、しばらく続いた知恵比べと根競べ。
 ちょいちょいと竿を振って誘いをかけ、針に食いついた後も騒がず焦らずしばらくは泳がせて……。
 抵抗が弱まったと見切ったところで一気に釣り上げられる。特徴的なヒゲをもつ斑模様の大魚だ。
「鯰? いえ、どうやら雷魚のようですね。西京漬けにはうってつけかもしれません」
 自らの釣果にすっかりと顔をほころばせながら下処理を済ませた銀静。
 流石に刺身で食べるのは色々と難があるだろうと、前もって準備しておいた味噌床をしっかり塗りつけた彼は即席の西京焼き作りにと洒落込む。
「これで良し。先におにぎりをいただくとしましょうか……」
 焚き火の前に腰を下ろした銀静はまず素朴な塩むすびを頬張り、温めておいた味噌汁を啜る。心と胃袋に沁みる取り合わせに思わずほぅと息を漏らす。
 そんな彼の鼻腔をくすぐり始めた、味噌が焼ける、香ばしい匂い。
 彼が炙っている料理は川魚の西京焼きだけでは無かった。
 味噌焼きおにぎりだ。しかも銀静が用意したのは只の味噌焼きおにぎりではない。
 摺り下した生姜を効かせた味噌を塗った『けんさん焼き』、味噌おにぎりを青菜漬けの葉で包んだ『弁慶焼き』。
 新潟と山形、改竄前の歴史におけるご当地おにぎりの豪華2本立てなのである。
 焼きあがった雷魚もまた淡白な白身に西京味噌のコクと甘みが実に馴染んでおり、塩むすびと交互に齧り付けば食はますます進むばかり。
 そして、締めにと啜った緑茶の程よい渋みと爽やかな香りが銀静の心身を和らがせる。
 ふぅと満足のひと心地。

「さて……誰もいないなら……こういう時こそ修練もまた大事」
「ええええっ!?」
 すっくと立ち上がり、勇ましく青龍偃月刀を構えようとした銀静の後背からひどく落胆した声が響いた。
 殺意も敵意も感じさせないその声の主はディアボロスであり、同じ列車に乗り合わせた春雨であった。
「銀髪碧眼のその美貌で! その前振りで! 水浴びとかはしないのっ??」
「あいにくと。水練よりもまずは迫る闘いにと備え、『戦覇横掃』の素振りでも行おうかと」
 年下の少年のものすごい(アレな内容の)剣幕も何処吹く風で、試合をする時もこうした準備運動は大事でしょうからねとにこやかに応じた銀静の返答は春雨の耳にはもはや届かず……。
 号泣ダッシュで立ち去った仲間の背中を不思議そうに見送った後、少年武人は鍛錬を開始するのだった。

●沈魚落雁、閉月羞花
 奪われて、喪って、歪められ……。
 どれほど無惨に人の歴史が改竄されようとも長江の悠久たる流れは変わらない。
 その有り様に切なくなると同時、慰められる心地も覚えて孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)は複雑だった。
 しかし根っからカラリと大陸気質な少女の憂いは長く留まらない。
「ま、湿っぽくなってたってどうにもならないものね。まだ時間あるし折角だから久々に川遊びしちゃおうっと!」
 新宿区を囲む海とも見慣れた長江下流域とも異なる水の風景を前に、今すぐにも飛び込みたい衝動を抑えてリアは纏う武具を外してゆく。
 少女の戦場の装いはすっかりと身軽な軽装姿となって、窮屈から解放された赤茶の狐尻尾がぴょこんと踊る。
 白い素足が、ちゃぷんと、川面も浸されて。
「はぁ~……川遊びなんて本当に久しぶり……」
 懐かしい大河、そして風。
 しばらくは童心に返って浅瀬に手足を遊ばせてその感触や水飛沫を楽しんでいたリアだったが。
「…………はぁ。本当の太史慈殿は忠義溢れる義理堅い武将なのにこんな風に改竄されるなんて……」
 同じ孫姓持つ老案内人から聞いた予知情報を反芻する度にこみ上げてくる、怒り。
 『太史慈』を名乗る蟲将は所詮アヴァタール級クロノヴェーダであり数ある分身体の1体。
 まったくの別人、いや別物だとどれほど自分を言い聞かせようとそんな理屈で『復讐者(ディアボロス)』たる彼女の感情が抑え込める筈も無かった。
「……叔父様達も……あの人も?」
 少女の脳裡をよぎった愛おしい面影も、今やもう、無かったこととなった刻の一部……。

「あー! こんな風に考えるのは駄目ね!」
 力なく垂れていた狐耳にピンと力を込め、暗澹に染まろうとする自らの心を吹き晴らすかのようにブンブンと強く首が振られる。
「今回の作戦が最初の一歩、絶対に元の私達の国に戻してみせる」
「そのとおり! その為にも……さあ、この長江の水をもっともっと力いっぱい浴びちゃおう」
「そうね……って、あれ? いつの間に?」
 ねんがんの麗しき水浴びの乙女のキャッキャウフフ(言ってない)に遂にたどついた春雨殿参上である。
「決してスケベなことを考えてるわけじゃないよ(考えてる)。戦いの記録は必要だから……ね!」
 おそらくはここで春雨が声を掛けなければ、決意を新たにしたリアは勢いのまま本格的に泳ぎ始めていただろうし、良いカンジの濡れスケ美少女が一丁できあがっていただろう。
 が。
 そんな盗撮まがいで写真を撮るだなんてこの少年の良心やら勇気やらが許さないのである。
「なんだか良くわからないけど……私も、他の人達とも交流出来たらいいなって思ってた所だし心強いわね」
 幸いにして、ディアボロス仲間との合流をとっても喜んでくれたリアは記念撮影にもすっかりと乗り気だった。
 ……もしかしたら同性と勘違いされているが故の反応なのかもしれないが。

「じゃあハイ、チー……」
「隠れて!」
 紆余曲折を経ての作戦達成。
 ニコニコと大変に可憐なえびす顔とともにカメラを構えた春雨だったが、突如。
 半ば強引に彼の腕を引いたリアは、近くの茂みめがけて飛び込んだ。脱ぎ捨てた武具は彼女の無双馬『星星』によってすべて回収済みだ。
 何故いきなりこんな目に合わされたのか、その理由を春雨が悟るまでにそう多くの時は要しなかった。

 三人連れの男達を載せた小船が一隻、まるで人目を憚るように眼前を通り過ぎていったのである。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
【士気高揚】LV2が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV3になった!

孫・リア
来たわね……船を使ってきたのなら川沿いに陣があるのは確定でいいかな?
星星は一旦召喚解除にして待機、何かがあれば呼び出して狐のまま飛び乗って逃げる準備もしておこう
【狐変身】を使って更に【モブオーラ】で気配を消して茂みから彼らを観察
流石に人を警戒してても狐は見ても警戒しないでしょうね、この辺り野生の狐は結構いるし
…それにしても彼ら結構疲れてそうね、一般人だし兵士としての練度は低そう、愚痴の言い合いで何か情報収集喋ってくれればいいんだけど
船が川岸から離れそうになったら距離を開けて狐のまま泳いでついていって陣の場所を確認
その後はそこを離れて陣を監視できる場所まで一旦退却しましょうか

【アドリブ共闘歓迎】


 河沿いの森を一匹の狐が駆ける。
 妖狐の孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)がパラドクスで狐変身を行った姿である。
 彼女の愛馬はすでに召喚を解除されており……野性の獣が水辺を走り河を窺うさまが人目に留まろうとも不審に思う者は誰もいなかった。
 一般兵の目に留まるという事象そのものが隠密を心がける現在のリア周辺には起こりにくい。
(「来たわね……船を使ってきたのなら川沿いに陣があるのは確定でいいかな?」)
 リアが発見した一隻の小船は、その不審な挙動や乗り込んだ3人組のやり取りから呉の偵察兵であること間違いないようだ。
 呉といえば水軍。この群蟲三国志ディヴィジョンにおいてもそうであるという保証はまったく無いが、長沙の地形を考えれば水路として利用しようと考えるアヴァタール級が現れてもおかしくはない。
(「……それにしても彼ら結構疲れてそうね。偵察兵としての錬度自体は決して低くないように見えるけど……」)
 正規の訓練を受けた彼らであっても、常に蟲将に脅かされながら酷使され敵地を行き来する任務はクロノヴェーダならざる心身を消耗させるのかもしれない。
(「気の知れた仕事仲間だけしかいない今なら、愚痴の言い合いとか何かで情報喋ってくれないかしら……」)
 ピンと赤茶の尖り耳を澄ませれば、辺りは無人であるにもかかわらず3人組が何やら声を潜め始めていた。
 意を決したリアは再び河の水にと己を浸しての犬掻きで小船の後方にまで接近する事に成功する。
 パラドクスが使えない変身中であっても残留効果がディアボロスの少女を守ってくれているのだ。
「……また怒鳴られるんだろうなあ」
「こ、今度こそは大丈夫さ……」
「ほら、あと一昼夜も進めば本陣はすぐそこだ。しゃんとせんか」
 三人組の中で一番の年長らしき男が気合を入れ直す為に発した声に、リアは自らの狙いが当たった確信を得てすみやかに小船から距離を取った。
(「このまま尾けてゆけば太史慈殿の陣まで間違いなく辿り着けそうね」)
 場所さえ突き止められれば無理をする必要はない。
 他のディアボロス達の哨戒が、あるいは救援機動力が、頼もしい仲間達を必ずや決戦場へと導いてくれる筈なのだから。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【狐変身】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

皇・銀静
一つ機密文書でも書いてみますか

「この手紙は読んだ後速やかに焼いて捨てる事。呉への襲撃は7日後、濁と時間を合わせ同時進行で行う事を夏侯惇様へ伝達せよ」

この後手紙はきちんと封書して見れないように

後は周囲を気にしながらもこそこそと

ええと…此処でしたっけ

しかし…これだけで報酬が出るなんて…でも誰にも見られてはいけないんでしたね…

神経質に周囲を確認しつつも誰かが見ているのには一切気づかない様子

地形を細かく確認してここだとと何度も確認

よしっ…

そのまま封書を埋めておく

これでいいんでしたね

再度周囲を確認

自分を観察している者達には一切気づかない様子でそそくさとその場を後にする

之で親にも兄弟にも食べさせられる…


「ええと……此処でしたっけ」
 きょろきょろと念入りに辺りを見回しながら、足早に。
 目指す廃墟の物陰にようやく辿り着いた少年の口から思わず声が漏れた。
「しかし……これだけで報酬が出るなんて……でも誰にも見られてはいけないんでしたね……」
 しばらくは何度も何度も……まるで追跡者達の到着を待ってくれているかの鈍重さで場所の確認を繰り返し、ようやくほっと安堵の息を吐く。
「よしっ……」
 いかにも気弱そうな少年はもはやすっかりと油断しており、厳重に封泥された竹簡をあっさりと地面に放り出して穴掘りに没頭し始めた。
 ボロ布を頭から被ってかえって悪目立ちするさまは滑稽でいっそ憐れを誘う。
 早く早くと焦る手元が先の竹簡をみるみると埋めてゆき、必死に隠そうとするあまり逆に不自然すぎるほど丹念にその上を固め終えた少年はそのままそそくさと現場を後にした。
「之で親にも兄弟にも食べさせられる……」
 去り際にそんな呟きを残しながら。
 その後入れ替わりに踏み込んだ3人組の男達によって暴かれた密書は彼らを大いに驚愕させる事となる。
 読後すみやかに焼却せよとの但し書きが記されたその内容は、一触即発である筈の蜀と魏が手を結び近日中にも呉への同時侵攻を開始するという信じ難いものだったのだ。
 他に『夏侯惇様へ伝達せよ』の一文も見受けられ、真実であるならばもはや一兵士の手になど到底負えない事態だが……。
「ま、まずは……指揮官の指示を仰がねば」
 ……当然ディアボロスが用意した偽書である。
 江陵に程近い交易街で偵察中の呉兵を発見した皇・銀静(銀雷閃・g02337)が打った一芝居は奏功しつつあるようだ。

「で、アイツはどうする?」
「何も知らされていない只の付近住民だろう、捨てておけ」
「……金に困っての危ない橋渡りか。ちゃんと報酬を受け取れればいいが、な」
 銀静本人はモブオーラ等を駆使して離脱後すみやかに姿を晦ましており、それもまた、偵察兵達の眼には地の利に長けた民という印象を強くさせたようである。
 おそらくは使い捨てられるであろう家族思いの少年に対しやや同情的な空気すら漂わせつつ。
 彼ら3人は、これほどの重要情報の伝達であればおそらくあの少年を捕まえて尋問し、指示を出した人物を捕えたとしても末端にも届かぬだろうと結論する。
 呉にとっての火急の報を記した偽密書を携えた偵察兵達は、一路、本陣を目指して出立したのだった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【士気高揚】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!

鵙目・隆尋
しゅえゆーさん(g00998)と
河川の合流する辺りで物陰に隠れるようにして
敵がやってくるのを待つよ

光学迷彩で姿を隠しておけば
きっと向こうからは見つけにくいよね?
これ、おうまも隠れられるのかな?

一応、陸の移動をしてる部隊もあるかもしれないから
川に気を取られ過ぎないように
しゅえゆーさんと手分けして警戒しておくよ

敵を見つけたら
しゅえゆーさんの袖を引いて
指差しで敵を見つけた事を伝えるね

人数は多くても5人って話だったし
しゅえゆーさんと俺なら負けないだろうけど
でも、それしちゃうと敵の蟲将の居場所
判らないままになっちゃうから、今は我慢

おうまも我慢してね?

見つけた敵を見失わないように、距離を保って追跡しよう


羅・雪羽
隆尋(g00735)と
河川の合流する場所にて身を隠して待機

蓮風は隠せなければ離れるか、身を隠せる程の障害物を見つけて貰うか
現地で確認をして、いずれか判断しよう

自分の付近の陸地、河を目視にて周囲を確認
隆尋と手分けして行うが、発見した時に速やかに教えられるよう
離れ過ぎない位置を心がける

敵を発見した際は見える敵に気付かれなければ手を挙げて報告
気付かれそうならば合流して情報を共有

今は敵を追跡することが最優先
戦闘にならないよう注意して追跡をしよう
追跡を始める際に蓮風にも合図して同行

今回のような任務は蓮風も初めてではない
余程の事が無い限りは問題はないだろう
……気遣いには、感謝する


 鵙目・隆尋(幼年期の終わり・g00735)がもたらした刻明の祝福が、彼と羅・雪羽(嵐雪刹主・g00998)とを包み込む。
 これでこの場には居ないディアボロス仲間からのモブオーラに加えて光学迷彩効果が彼らを助ける事となった。
「きっと向こうからは見つけにくいよね?」
「ああ、後は身を隠すばかりだ」
 支流との合流地点の1つであるそこは初心者である彼らふたりをキャッチ&リリースで楽しませてくれた木陰から程近く。
 船の行き来に警戒する雪羽は本流側の岩場に、河と同時に陸路を使用する偵察兵が出た場合にも備えるつもりの隆尋は支流を見下ろす崖上の木立に姿を伏せた。
 互いを見失わない程度の距離内で二手に分かれてそれぞれに河の監視を続け、偵察兵の到来を待ち構える。
(「おうまは……自分で隠れられるから大丈夫みたいだ」)
 雪羽の無双馬である蓮風だって大切な仲間だと考えて隆尋は気を配るが心配は無用。
 主人の意を汲む愛馬は今この場には居ない。
 しばらくは我慢の時間。とはいえ雪羽にも隆尋にもさして苦にはならない。
 そして広大たる河のやがて夕焼けにと染まる頃、2人はほぼ同時、一隻の小船を見つけて互いに合図を送り合う事となる。
 乗り合わせる敵兵は4人。いずれも人間である。
「決して商人や漁師の類いではない。訓練を受けた兵士である事は間違いない」
 ごく最低限の荷物と統率の取れた言動。
 新宿島漂流前から戦場に在り続けた雪羽が、彼らこそが呉の偵察部隊であるとの判断を下しその後を追い始める。
「しゅえゆーさんと俺なら負けないだろうけど、でも、それしちゃうと敵の蟲将の居場所判らないままになっちゃうから」
 水音に潜ませるようにごく小さく、合流した雪羽にだけ伝わる小声で事も無げに笑う隆尋。
 2人だったらどんな敵だって、きっと平気。
 ただ……いかにも堅物な彼の佇まいにはやや不釣合いな魔の翼の横に、いつもならば黙と従っている筈の無双馬が居ない事だけが残念で。
「今は敵を追跡することが最優先だ」
 それを察したのか、雪羽が静かに一言を添える。
 サーヴァントである蓮風を瞬時に喚び寄せること自体は容易いが、2人同時に騎乗することは出来ないし発見のリスクも高まる事は隆尋だって理解している。
「うん、そうだね。おうまも我慢してね?」
 きっと伝わると、少年は撫でる動作とともに宙を見上げて。
 しゅえゆーさんとおうまがその勇壮を発揮するだろう決戦の場まではあともう少し。
 物陰伝いに船の追尾は続き、注意深くそれを先導し続ける雪羽。
「……気遣いには、感謝する」
 表情一つ変えぬままに。
 青年はぽつりとその一言を少年に呟くのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【スーパーGPS】がLV2になった!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!

呂・伯魚
異なる歴史では呉が魏と組んで関羽を討ち、その仇討として蜀が呉に攻め込んだわけが……戦乱を避けるには、呉と魏が組まないようにするのが一番か?

長江で釣った魚を手に、支流沿いの村で魚売りのフリでもして嘘の情報を流そうか。
流す情報はこうだ。

「実は蜀と魏は裏で手を組んでいて、呉を騙そうとしている。荊州の動向に呉が意識を裂いている隙に、魏は呉の本国を強襲するつもりだ。そしてその混乱に乗じて、関羽は反転し南下して荊州南部を奪取するつもりだ」

信じてくれれば、魏と組むのは躊躇してくれるかな。
江陵を取って本国が落ちたのなら意味ないからね。

しかし、長江で魚が釣れてよかった。坊主だったらいきなり作戦失敗だからね。


田抜・薫衣
他の方が流している「蜀と魏が通じている」という噂の補強

兵士を相手にする商売女という体で、噂を流しますよぉ。「蜀の陣営を訪ねたら、呉の人間がいた」みたいな感じ。地理的に不自然なら、蜀と呉を入れ替えます。近隣に陣営がないなら、「私は旅芸人で数日前まで何処そこに~」って体ですねぇ。
「なぜ呉の人間と気付いたか」とか《伝承知識》を活用し説得力を増したいところ。身に着けてる物とか、言葉の訛りとかでしょうかぁ?

適当なところで姿を消しますが、「余計な事しゃべったので暗殺された」みたいな演出を残しても愉しいですねぇ。うふふ♪

仲間と連携する場合は、他の邪魔をせず、足りない部分を補うよう行動します。


「さぁさ獲れたての魚だ! お安くしておくから今後のご贔屓に!」
 その日、魚売りの行商を迎え入れた農村に出来た人だかり。
 いずれも呂・伯魚(未だ大鵬には至らず・g03243)が持ち込んだ鮮魚の数々を買い求めようとする住民達である。
「ほぉ、こんなにはずんでくれるのかい。こいつは有り難い」
 荊州が豊かな穀倉地帯である為か、村人達はさほど生活に困窮した様子も無くその表情はいずれも明るい。
 今はまだクロノヴェーダの蟲共に『収穫』されずに済んでいる彼らだが、荊州における大戦乱が現実の物となった時に待ち構える運命は死か蟲化あるのみであろう。
 復讐者として必ずや阻止せねばならないとの思いを胸に、伯魚は愛想の良い魚売りの演技を続ける。
「本当に此処は良い土地だが……どうにも先行きがキナ臭くってそう長居もしていられないか」
 伯魚が思わずといった様子で溜め息とともに漏らした独り言を村人達は陽気に笑い飛ばした。
「キナ臭いってのは同じ荊州でも蜀と魏の話だろう、ハハハ」
「そりゃあここいらだって小競り合いは絶えないが割譲以降はいたってのん気なものさ」
 望んだ通り、釣り糸へ食いつかせた伯魚はガラリと神妙な顔つきに変わり、「ここだけの話だが」と声を小さく潜める。
 いかにも意味深に寄せられる白皙の疵顔。
「……どうやら魏と蜀はもうとっくに手打ちになってて裏じゃガッチリと手を組んでるらしいんだ。なんでそんな面倒な事をするかって? そりゃ呉を騙し討ちにする為にさ」
 ざわり。
 伯魚を囲む人の輪に困惑と動揺が波紋のように広がってゆく。
「このまま呉が荊州に意識を裂いてくれれば晴れて魏は呉の本国を強襲できるし、関羽将軍も混乱に乗じてこの荊州南部へと雪崩れ込んでくる……って寸法だ」
 まさかと笑う者、そんなと恐怖する者……客の村人達の反応は様々だったが、伯魚のもたらしたその情報は決して『ここだけの話』にはならないだろうと点だけは確実だった。
 善意の忠告として、旅の商人から来た与太話として……明日を待たず魏蜀共闘の話は村の内外にと知れ渡り、ほどなく呉の偵察兵の耳にまで届くに違いない。
(「異なる歴史では呉が魏と組んで関羽を討ち、その仇討として蜀が呉に攻め込んだという。ならば、戦乱を避けるには呉と魏が組まないようにするのが一番か」)
 そう考えた伯魚の作戦通りである。
 呉本国が脅かされるとなれば江陵への野心も魏との同盟も躊躇せざるを得なくなるのだから……。

 その後、持ち込んだ魚全てを売り尽くした伯魚は村を後にした。
「しかし、長江で魚が釣れてよかった。坊主だったらいきなり作戦失敗だからね」
 ある意味で出たとこ勝負だった策のとりあえずの成功に、伯魚はほっと胸を撫で下ろす。
 時先案内人からの勧めは有り難かったが……ほぼ作戦準備に費やされた彼の川釣りはヴァカンスからは程遠い忙しなさであったという。

 そして他の街においてもディアボロスによる工作は始まっていた。
 田抜・薫衣(狸ではない洗い屋・g01806)は長江沿岸に隠れ潜み、偵察部隊の一隻に狙いを定めていた。
 目的地が最寄りの交易街だと知った彼女は先回りし、行き交う人々相手に客引きする流しの娼婦として彼らとの接触に成功する。
 とはいえ極秘任務中である兵士達はすげなく彼女を追い払おうとするばかり。
 だが、薫衣が主に兵士相手の商売女であると巧みにアピールした途端に彼らの態度は一変する。
「ほう。女……最近、蜀兵を客に取ったことは無かったか?」
「うふふ♪ つい先だって蜀の陣中へ呼ばれた時は皆さま随分と殺気立たれておいでで……難儀いたしましたわぁ」
 ひらり、思わせぶりな顔布を捲ればそこには婀娜めいた微笑。
 これは思わぬ拾い物だと色めきたった偵察兵の男達は、安宿に一室に彼女を連れ込んだ上で改めて話の続きを催促する。
「嗚呼、そういえば。あの陣には江南訛りの強い御仁もお見受けしましたが……」
「なにっ!?」
「身なりからして呉の人間で、蟲将様でもないのにまるで賓客扱い。私のような卑しき者はお傍に侍ることすらお許しいただけませんでしたわぁ。 ……ですがまぁ呉と蜀は荊州を分け合う誼と考えれば、さほどに不思議な光景ではないのかもしれませんねぇ」
 動揺する男達を横目に、事の重大さをまるで理解しておらぬ様子でただコロコロと笑うばかりの薫衣は化粧直しを口実にいったん室外へと席を外した。
 そして、それが呉の偵察兵が見た最後の薫衣の姿となる。

「遅いな……」
「待て。今、あの女の悲鳴が聞こえなかったか?」
 不審に思い後を追った呉兵らが見つけられたのは廊下に遺された血溜まりだけ。
「くそっ、口封じか!」
 もしも本当に呉領内で内通者が手引きしているとなれば一刻を争うと男達は慌てて宿を出立し……夜闇に潜む薫衣は、独り、妖しくほくそ笑む。
「うふふ、これぞ田抜流忍術♪」
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【スーパーGPS】がLV3になった!
【書物解読】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【命中アップ】LV1が発生!

アルメア・グラウプナー
「なるほどなるほど、ここが中国…初めて来たが、なかなかに興味深そうな歴史ある所じゃないか」
「ゆっくり見回りたいところだが、その前にまずは与えられた仕事をこなさなければな、はっはっは!」

・行動
さて、相手の数や動き等をきっちりと【情報収集】しなければな。
主に使うのは私の狙撃眼だ。【モブオーラ】を纏いながら【地形を利用】して身を隠しつつ、遠距離から義眼の機能と【完全視界】を用いて敵の偵察部隊を見つけていくとしよう。
特に良く確認するのは敵の数や隊列、そして組織的な動きがどうなっているかだな。
それらが明らかになれば、敵の詳細な目的も大将の器も全て露わにできるだろうさ。


 日没を迎え、夜闇にと沈む景色の中にあってなおも燦然と。
「なるほどなるほど、ここが中国……初めて来たが、なかなかに興味深そうな歴史ある所じゃないか」
 磊落に笑うアルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)の長いブロンドの髪が月光に照り映える。
 ラインやドナウの趣きとはまったく異なるが、長江の備える雄大はいかにもこの女傑の征途に似つかわしい。
「ゆっくり見回りたいところだが、その前にまずは与えられた仕事をこなさなければな、はっはっは!」
 大仰に機械仕掛けの手が高々と掲げられ、戦に生きる女の笑いは獰猛さを増すばかり。
「さて、まずはきっちりと情報をぶん獲ってやらねばな」
 その呟きと同時、アルメアが放つ威圧にも近い存在感の一切が急速に薄れ出してゆく。
 複雑に入り組んだ長沙の地形も、難なく踏破する彼女にとっては絶好の隠れ場。
 そして、照明の類いを一切持たずとも今のアルメアは夜闇すら苦としない。
 右眼に瞬く真紅……狙撃眼『ファルケン』によって完全視界が齎されている故である。
 ほどなく、蛇行する川面の一点、小さな篝火を焚いて進む小船の存在を察知する事となる。
(「敵偵察部隊の規模はおそらく小隊程度。尤も、蟲将以外は一般兵。ディアボロスの敵ではないだろうがな」)
 その後もアルメアは夜を徹して隠密偵察を続け、江陵方面から河を下る別の小船を発見する。
 彼らもまたとある河と河の合流地点を過ぎて以降は先の小船と全く同じ航路を取っているようだ。
 集結先は、河の中央に位置する中洲であった。
 河の中洲とはいっても長江のそれとなれば小島と呼んで差し支えない程度の面積を誇っており……船着場と化した岸には何隻かの船が見受けられた。
 そして、更にその奥に張られた陣幕の存在を狙撃眼が伝えるやアルメアは歓喜する。
「遂に辿り着いたか……ハハッ! アヴァタールとして創られし蟲芥よ。貴様の大将としての器も目的も余さず露わとしてくれよう!」
 尊大とさえ言える芝居がかった華麗なる立ち居振る舞いでありながら、彼女は同時に軍人としての有能を発揮する。
 敵偵察部隊の統率は良く取れており、夜襲であれ朝駆けであれ、おそらく兵らは変わらず己の職務を全うする事だろう。
 ならばディアボロス戦力の集結を待つが得策と踏んだ彼女の赤瞳は、既に何名かの友軍の姿を捉えつつあるのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!

●『太史慈』の名を負う翅は長江に舞う
 長江の流れに囲まれた中州に敷かれた本陣。
 幾人ものディアボロスが餌たる偽情報を偵察兵らに喰わせ、河伝いに帰還する彼らを追跡し……。
 遂に、偵察部隊の指揮を執り仕切るアヴァタール級蟲将『太史慈』の居場所が突き止められた。
 坐したまま兵から報告を受けては満足せず冷罵を繰り返すばかりの指揮官にすっかり心胆から寒からしめられ、震え上がる一般兵達の姿も陣幕の周囲には存在した。中洲の岸に繋留された何隻かの船は彼らの物なのだろう。
 もしも全滅させるのであれば彼らを逃がさぬ為の策と合わせ、決戦勝利後、何も知らず戻って来た他の偵察兵達をも漏らさず仕留める備えも必要となるだろう。
 しかし既に多くの偽情報を敵偵察兵に携えさせている今ならば、只、彼らがすみやかに中洲から逃げ去るさまを見送るだけでいい。
 もしも彼らが正しい偵察情報を持った兵だったとしても、偽情報と混ぜ合わせた状態で呉本国に届けばそれらはより混乱を助長するばかりでしか無いのだから。
 また、あえて愚かな襲撃者を装いここから更に偽情報を吹き込んだ上で兵らを帰すという策も取れる状況である。

 ……そんな復讐者達が巧みに張り巡らせた蜘蛛の巣に己が掛かっているなどと紅き蟲将当人は露とも気づいてはいない。
 とはいえ、策の8割方を成したとはいっても彼との決戦に勝利せねばすべては水泡に帰してしまう。
 かの敵の名は『太史慈』。
 呉最強の呼び声も高い英雄の武は、アヴァタールといえども強力無比であること想像に難くはないのだから……。
アルメア・グラウプナー
本来とは別物とはいえ、折角史書に名を残す武将と相見えるんだ。
気合の入った『挨拶』をしなければな。

という訳で、だ。
少し離れた所から、先の偵察で見つけた陣幕の中にいる大将にメテオールで爆裂鉄球をプレゼントしてやろう。
「やあやあやあ貴殿が太史慈殿か。挨拶をしに来たが少しノックが強すぎた様だな」
「それとも、この世界に合わせてこう言い直すべきかな――アルメア・グラウプナー一番乗り!…なんてな、ははははは!」

後は楽しい楽しい闘争の時間だ!
味方と連携し、基本的には後方にて銃火器での【砲撃】【制圧射撃】で支援を行う。
接近戦にはソードオフと爆裂鉄球で【臨機応変】に対応し、隙があればメテオールを再度プレゼントだ。


呂・伯魚
策は順調。後は頭を斬り落とせば完了、というわけだね。

偃月刀を手に太史慈と名乗る蟲を相手に斬り伏せよう。
一合、二合と敵の鉄鞭を斬り結ぶ。
単純な膂力ではこちらの方が分が悪いか。だが、こちらも場に残った残留効果の後押しがある。
何より、戦っているのは俺一人では無いからね。勝ち目は十二分にあるさ。

折角、偽情報を掴ませたんだ。一般兵は逃げて本国に帰ってもらおう。
それを抜きにしても蟲以外と戦うのは気が進まないしね。
無論、向かって来るなら刃を振るうのに躊躇は無いけどね。


 夜明けの空が白み始めた頃には、もう。
 呉偵察部隊が長江流域の中洲に布いた本陣を突き止めたディアボロス達は続々と集結しつつあった。
 今こそ決戦の火蓋を切っておとすべしと放たれた最初の嚆矢はアルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)の鉄球攻撃であった。
「私からの全力のプレゼントだ、見事受けて止めてみるんだな!」
 まるでハンマー投げを思わせる高速旋回から飛来したファイアヴェルクが炸裂し、轟雷一閃、陣幕が吹き飛ばされる。
「やあやあやあ貴殿が太史慈殿か。挨拶をしに来たが少しノックが強すぎた様だな」
 すわ敵襲かと俄かに騒がしい敵陣の最も奥深く。
 それまで坐すばかりだった蟲将が遂に立ち上がり、双つの鉄鞭を握り構えていた。
「よもやディアボロスとはな……」
 戦場外から撃たれた長射程パラドクスは逆説連鎖戦の理により大きく減衰したのち跳ね返された。
 だがもとより、アルメアにとって最初の『花火』は挨拶代わり。
 別物といえど史書に名を残すほどの武将が相手となれば、常より気合昂ぶるもまた当然である。
「それとも、この世界に合わせてこう言い直すべきかな――アルメア・グラウプナー一番乗り! ……なんてな、ははははは!」
「……ふん、敗残者は囀るばかりが得意か」
 麗しくも猛き女軍人と蟲貌の指揮官。
 不敵に嗤いあう両者の距離は瞬時に詰められ、炎の如き赤いオーラ発する鉄鞭が伸ばされて撓る。
 踊るような翅ばたき。大気裂く衝撃。
 音高く打ち鳴らされた軍靴が赤一閃へ応じるさまは愉しげですらある。
「楽しい楽しい闘争の時間だな!」
 義手と鉄球槌のクロスガードが蝶舞する強打を受け止めその威力を大きく減じて押さえ込んだ。
 ディアボロスのみに許された残留効果(エフェクト)が、彼女の昂揚に応え強く冴え渡る。
 蟲将の舌打ちは、直後、彼の腹部へ打ち込まれた渾身の一撃に呑まれた。
「……何っ!?」
「策は順調。後はキミという『頭』を斬り落とせば完了、というわけだね」
 アルメアが双鉄鞭を制止させた隙を衝き、疾駆の勢いそのままに呂・伯魚(未だ大鵬には至らず・g03243)が浴びせた其れは戦覇横掃。
 払暁を切り裂いて偃月の刃閃くさまは、まさに、復讐者の乾坤一擲。
 赤翅の将は大きくその体躯を揺らがせる事となり……肉薄した伯魚とは丁度入れ違い、再び大きく距離を取ったアルメアが再び大回転投法で畳みかけてゆく。
 一合、二合、パラドクス交わすたび轟く爆音と剣戟。
 幕落とされた激闘を尻目に、兵達は続々と小船へと乗り込み撤退を開始しつつある。
(「折角、偽情報を掴ませたんだ。一般兵には無事に本国へ帰ってもらわないと。それを抜きにしても……蟲以外と戦うのはやはり気が進まないしね」)
 その様子をちらりと肩越しに見送りながら、伯魚は人知れずほっと安堵の息を漏らした。
 向かって来るとあれば刃を振るう事に躊躇は無い彼だが、蟲以外との闘いはやはり気が進むものではない。
「何匹で来ようが同じだ……散り果てるがいい!」
 一気に間合いを詰めて襲いかかる伸縮自在の『太史慈』の鉄鞭。
 強く打ち据えられた伯魚の体は吹き飛ばされるが、その半ばは威力を削ぐ為に自ら跳んだものであった。
「単純な膂力ではこちらの方が分が悪いか。だが……」
 個の力ではいまだアヴァタール級にすら及ばずとも今、己は一人ではない。
 これまでに積み重ねた残留効果や戦場を同じくする復讐者達の存在を考えれば勝機は十二分だと伯魚は奮い立つばかりだ。
 そして。
「我が身灰燼に帰すならば世界を覆う巫山戯た此の歴史諸共であろうが……ははっ、今はまだその刻では無いな!」
 蟲将の武勇を体感するほどにアルメアは笑う、笑う、嗤う。
 燦然たる黄金から再び擲たれた鉄の流星は、今度こそ恐るべき遠距離砲撃として赤き右前翅を爆ぜ砕く。
「くっ……」
 まるで血飛沫の如く、火の粉の如く、はらはらと。
 宙へと撒かれた鱗粉とともに蟲将の口から初めて洩れた苦痛の声。
 メテオールの残響轟く戦場で、復讐者達の猛攻は尚も続く。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【士気高揚】がLV4になった!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV6になった!

田抜・薫衣
●ネメシス
外見描写は不要
脚力・感知力上昇
口調変化


陰から陰へと《忍び足》で敵に接近
物陰がなくとも、激しい戦闘における煙や音が十分な隠れ蓑となるはず
物理的・心理的な死角を見切り、対象の命に手を掛ける。それが忍びとしての《伝承知識》

間合いに入ったら、首関節の急所を狙って神経系に棒手裏剣を突き立ててやる。【フィニッシュ】で凌駕も許さない
格上なのは承知。他は度外視、一撃必殺のみにリソースを集中。反撃を受けようとも不死の身なれば、負傷も甘んじて受ける。


アンゼリカ・レンブラント
遅ればせながら助力するぞ!
古き武人の名を名乗る虫めー、覚悟しろ!

戦場の残留効果で【能力値アップ】はかなり大きいね
きっと食らいついてみせる

太史慈からの攻撃はよく見て、
多少のダメージは覚悟の上で後の先!
反撃の拳を入れ、【勇気】と共に【突撃】し
武器での攻撃で押していこう!

仲間と連携も積極的に行い、
残留効果も使って戦うぞ!
相手は強い、1人ではかなわない相手だが
こちらには繋いだ想いが力をくれる。
それはありがたいことで、だからこそ負けないのさ

相手の隙を作りだすことに成功したら、
さらに一歩を踏み込んで《破軍衝》!
全力の一撃をねじ込むっ!
まだ相手が生存していれば、後続の仲間にタッチするよ
撃破完了なら皆で喜ぼう


「遅ればせながら助力するぞ! 古き武人の名を名乗る虫めー、覚悟しろ!」
 アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)の口上はあどけなくも凛々しく。
 金髪金瞳、黎明を思わせる鮮烈纏う少女の到来と太刀筋は蟲将の注意を惹いた。
 パラドクスを伴わない攻撃はどれ程に強く鋭くとも無効化されてしまう為ダメージにこそ繋がらないが、アンゼリカの狙いはいわば陽動。
「負け犬が何匹押し寄せようと無駄なこと……」
 蟲将は煩わしげに少女へと向き直り、逞しきその両腕が誇るように双鞭を振りかざす。
 急加速からの怒涛の連撃は、一見すれば只の力任せな荒技のようでいて顎元、こめかみ、鳩尾とまず確実に人体を無力化させる為の急所ばかりを狙い打って来ているのだとアンゼリカは見切り……だがあえての防戦一方。
 一瞬でも気を抜けば気絶どころか即撲殺されかねない連続攻撃を必死に耐え凌ぐ。
 もとより多少のダメージは覚悟の上。戦場に立ち続けられればそれでよいとする少女の苛烈は、いつしか死線にと射す一筋の勝機を手繰り寄せる。
「1人ではかなわなくとも私達は決して負けはしない! 繋いだ想いが力をくれる!」
 アンゼリカの『記憶』は識っている。
 後の先の極意を。
 赤き無尽衝の切っ先を懼れぬ吶喊から、真っ直ぐ、がら空きとなった胴部めがけて叩き込まれた拳は光迸る破軍衝。
「莫迦な……だがっ!!」
 黒き脇腹を抉るカウンターに動揺した蟲将の意識は、しかし、すぐにアンゼリカに対する更なる追撃をと立て直され……。
 そして。
 彼の内には、光に目を眩ませた故の闇への空隙が生まれる事となる。

「そう、ひとりでは無い」

 後背の死角から、するり、とうに忍び寄っていた影はそう嘯く。
 それを耳にした時にはもう棒手裏剣の刃は、深く、蟲将の首筋にと突き立てられていた。
 彼がアヴァタール級でなければ……『太史慈』の力を取り込んでいなければ、あるいは致命とさえなり得た一刺し。
 田抜流歩法、蛇の道。
 有り得ぬと、蟲将は戦慄を隠し切れない。
 個として脆弱な筈のディアボロスには有り得ぬ程の『力』を目の当たりにして。
 そして……それ程の存在を、蛾眼を以ってしても刺し貫かれるまで全く看破できなかった事実に対して。
 今やネメシスと化した田抜・薫衣(狸ではない洗い屋・g01806)は薄明の陰から陰を渡り、赤き翅の舞に変調を強いる。
「さすがにしぶとい……だが私達の力はまだまだこんなものじゃないぞ!」
 一方でアンゼリカは依然として彼女らしく雄々しく闘い続けており……。
 性質も戦法もまったく異なるディアボロス達の同時攻撃は、格上たる蟲将を撹乱する絶妙な連携効果を発揮する事となる。
「さぁ、みんな。あと一押しだっ!」
 奪われたすべてを取り戻す為にと、天高く。
 聖なる黄金の剣を掲げたアンゼリカの勇壮は後に続くディアボロス達を大いに鼓舞するのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【モブオーラ】がLV2になった!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】がLV2になった!
【ガードアップ】LV1が発生!

平良・明
大事な禿頭をこういう謀略に使うのはイヤですが今回は仕事です。

大きな嘘があるならばそこに小さな嘘を重ねて、真実味と造形を整えて行きましょう。

沂水関は鎮国寺、普浄の弟子を名乗り、魚食いの殺生坊主として街路に立ちます。

「打ち解けた様子の夏侯惇から関羽への信書」を偽造して、呉兵に接近。酒に酔ったふりをしながら絡んで、関羽千里行の物語と共に、自分の経歴をがなり立て、去り際に信書をポロっと落としていきます、わかりやすく「美髯公宛」と表に書いておきましょう。

隠密の伝令として僧ほど適している者はないでしょう。
そう、酒が入っていなければ。

あとは河に落ちてから【狐変身】で口に魚でもくわえて出てきて兵を監視します。


 平良・明(元用務員の巡礼・g03461)はモブオーラを駆使してとある寺院に忍び込んでいた。
 偵察兵を発見した彼は一計を案じたがその為には僧衣が必要なのである。
(「大事な禿頭をこういう謀略に使うのはイヤですが……今回は仕事ですから」)
 いかなるディヴィジョンにも溶け込めるディアボロスといえども特定職業や身分を偽装するのなら身なりから整える必要がある。
 内心でバチだけは当てないでくださいと天に詫びながら。
 愛用の帽子を外してスキンヘッドを晒した明は旅の仏僧にと扮し、敵の後を追って江陵に程近い港街へと辿り着いた。
 指揮官襲撃など知らぬまま、酒場に面した街路で任務に勤しむ兵達へと歩み寄った明は肴の蒲焼きを片手に赤ら顔。
 酔っ払いそのもの生臭坊主は千鳥足のまま辻説法をがなり立て始める。
「……おい若造! 拙僧を誰と心得る。沂水関は鎮国寺、普浄の弟子なるぞ!」
「だ、誰??」
 相手の困惑なぞ聞く耳持たぬ絡み酒。
 明の腕は偵察兵の一人をがっちり掴んで離さない。
「とくと語ってやろう、忠義篤き関公の五関破りを!」
 それは主君・劉備の妻子を守る為心ならずも曹操へと降った関羽が五つの関所で魏の六将を撃破した後に主従の再会果たす迄の壮大なる活劇巨編。
 明代の三国志演義に記された関羽千里行が怒涛の勢いで諳んじられてゆく。
「第三の関・沂水関において奸計から関公を救った普浄こそ我が師! 拙僧は関公宛ての密書を届けるという大任を仰せつかっておる最中だ!」
 懐から得意気に木簡を取り出せば、英雄譚にすっかりと聞き入り集った人垣からは拍手喝采が巻き起こる。
「いいぞ腐れ坊主!」
「関羽っちゅう御方はまったくたいした蟲将サマなんだねぇ」
 娯楽も情報網も未発達なこの時代。
 明の語りは、文字もろくに読めない庶民にとってあまりにも波乱万丈かつ爽快で胸打った様子だった。
(「大きな嘘があるならばそこに小さな嘘を重ねて、という目論見でしたが……」)
 街路の騒ぎは明の想定を超えて大きくなり過ぎた。
 旅僧の姿はいつしか人混みにと紛れてすっかり消え失せる。
「よく分からんが……この地域ではあのような物語が流行っている、という事か?」
「一応これも報告しておくか」
 迂闊な僧が落としていった木簡を手に、呉兵達はまるで狐に抓まれたように顔を見合わせるばかり。

 魏の夏侯惇を差出人とする偽の密書は、後日、呉本国にまで届けられる事となる。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【書物解読】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!

孫・リア
さて、蟲の太史慈殿はどのくらい強いのかな?

星星に乗って本陣に強襲【オーラ操作】と【火炎使い】で炎を纏って突撃して一般兵達を抑制、死にたくなければ国に帰れ!なんて言って一般兵と偵察兵達に向かって逃げるように叫ぶわ、彼らの命を奪うことはしたくないからね、万が一向かってきても相手にせず無視して進むわ

太史慈殿の近くまで来たら星星から飛び降りて『狐舞』を使用、太史慈殿の記憶からくる一撃は怖いからね、しっかりと見極めてこの偃月刀と槍、そしてオーラの尻尾で交わしつつ貫通撃をお見舞いするよ!

…やっぱり本物の太史慈殿の方が強いわね、ん?私の事は貴殿は知らないでしょう?…それと覚えてるかしら?

【アドリブ共闘歓迎】


 振り仰げば、朝焼けの赤紅色。
 否、燃え上がるその耀きは孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)の全身から迸る闘気である。
「な……火計か?」
「敵の増援だっ!」
 復讐者リアと無双馬の星星。
 いまや中洲の小島全域にまで拡がった逆説連鎖戦の戦場を一陣の風となって強襲する彼女達を止められる者などいない。
「死にたくなければ国に帰れ!」
 それは恫喝であると同時に心からの懇願。
 駆け抜けざま言い放たれた少女の声は凛と戦場に轟き……人間の兵士達の撤退速度をいっそう加速させてゆく。
(「よかった……彼ら呉兵の命を奪うことはしたくないからね」)
 あくまでも少女の敵は蟲将。
 たとえ一般兵が立ち向かってこようが無視して突き進むつもりだったがその心配は無い様だ。
 ならばと無双馬に襲歩を取らせたリアの疾駆は、遂に、指揮官たる蟲将と対峙するに到る。
「おのれ、呉王に敵する者共めが!」
 刹那、妖狐の少女の眉が曇る。
 孫家への忠誠心溢れる蟲将の台詞もただアヴァタール級としての習性が言わせているに過ぎない。
 他国の格上クロノヴェーダと出逢えば彼はその瞬間から魏王や蜀王を称える台詞を口にし始めるだろう……『太史慈』の名を冠したままに。
「太史慈殿を、騙らないで!」
 堪えきれぬとばかり、叫び、星星の背からリアの体が大きく跳ねた。
 妖狐の尾から烈火迸り、その両腕にはそれぞれ千紫と万紅。
 槍の穂先が双鉄鞭と衝戟するや、偃月刀の軌跡が蟲将の脚を払う。
 紫花朱花咲き乱れよと狐は舞い、吼えうねる炎は既に傷深き蟲将を首級にせんと貫通撃を繰り出す。
 咄嗟の防御姿勢すら穿つ『狐舞』の前に切断された左腕がゴトリと地に落ちる。
「見惚れちゃう? けどそれが命取りよ!」
「ちっ」
 片腕はすぐさま生え直したがパラドクスを伴わぬ再生では失われた生命力は戻らない。
 だが、直後その複眼にこれまでとはまるで異なる光が灯る気配をリアは見逃さない。
「ならば全力で組み打ってくれようぞ!」
 徒手となった左腕から繰り出されたのは、先迄とまるで別人のような『太史慈』の一撃。
 遠く、及ばない。少女が識る『太史慈』の強さには。
 しなやかに受け流したリアもまた真っ向勝負で打ち合いに応じた。
「……よもや……御息女か?」
「ん? 貴殿は私の事を知らないでしょう?」
 それとも分身体へ別たれた『記憶』が其れを彼にと言わせたのか。
 少女の問いに、答えは無かった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【狐変身】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!

鵙目・隆尋
しゅえゆーさん(g00998)と
俺、この時代の事は疎いから良く判んないや
でも、詳しくは判らなくても
あれを倒さないといけないって事は判るよ
それで、充分でしょう?
しゅえゆーさんもおうまも気を付けてね

俺は魔骸連刃を使用していくよ
魔晶剣に組み込んだ部位から刃を召喚して攻撃
この時、命中アップを使って敵の意識を少し引きつける
その間に俺は接近して貫攻撃での一撃離脱を狙う

能力値アップとダメージアップで……
少しは攻撃の威力増してるといいんだけど

しゅえゆーさんとおうまが派手に立ち回る時は俺が攻撃して
しゅえゆーさんとおうまが攻撃する時は俺が陽動するように動く

鉄鞭の攻撃や反撃には反撃アップも使って相殺を狙っていくよ


羅・雪羽
引き続き隆尋(g00735)と

歴史は変えられた
変えられてしまった歴史を学ぶ必要はない
今は、取り戻す戦いをするのみ

……奴は強敵だ、隆尋も無理はせぬように
往くぞ、蓮風

蓮風に騎乗し、戦騎疾駆にて攻撃
得物による斬撃となぎ払いを使い、攻撃をした後はその場には留まらず
移動しながら再び接近して攻撃という流れを繰り返す
敵から攻撃が来るようであれば反撃

隆尋と連携して彼が攻撃を仕掛ける頃合いに合わせて攻撃
威力の他、反撃の効果も高まっているならば仕留められずとも消耗はさせられる

……隆尋、此処は疎いそうだな
また此処へ来る時には、この世界のことを話してやろう


 かくて長江に復讐者らの策は成就し指揮官たるクロノヴェーダも追い詰められ、勝利は目前。

「俺、この時代の事は疎いから良く判んないや」
 名だたる三国志の英傑の名前や長江に纏わる戦いのあれこれを挙げられても鵙目・隆尋(幼年期の終わり・g00735)には今ひとつピンと来ない。
 ディアボロスとして決戦へ臨むにあたっては別に何の支障もきたさないが、やはり、多少は予習とかしてくるべきだったかなと何気なしに呟いて。
「その必要はない」
 一寸の躊躇もなくそう断言した羅・雪羽(嵐雪刹主・g00998)の言は冷たい。
 硬きその冷気は眼前の会話相手の少年ではなく、少年の向こうに広がる改竄世界そのものへと向けられた怒りだ。
「歴史は変えられた。変えられてしまった歴史を学ぶ必要はない。今は、取り戻す戦いをするのみ」
「しゅえゆーさんらしいや。俺は……歴史は詳しくは判らなくてもあれを倒さないといけないって事は判るよ」
 雪羽の蒼瞳が睨んだ先へ、隆尋もまた視線を同じく遣れば……満身創痍となってなおも退かず闘い続ける赤き蛾羽から立ち昇る禍々しき闘気。
 それで充分だと互いに頷きあった二人は、一騎を供連れに。
「……奴は強敵だ、隆尋も無理はせぬように。往くぞ、蓮風!」
「しゅえゆーさんもおうまも気を付けてね」
 手負いの羽蟲に引導を渡すべく、戦場疾る人馬はまるで吹き荒ぶ嵐だ。
 馬上、青龍偃月刀を構えた雪羽がおもむろに一振り。鋭く重い金属音。
 眉間を狙い済まして伸びた赤き一突きに反応した雪羽は、即座に武器受けで弾き返したのである。
「見事。だが遅い……!」
 続く二の太刀も蟲将が僅かに速い。
 ……が、死角から射たれた黒刃がいまだ傷癒え切らぬその首筋を抉るように切り裂いていた。
「くっ!?」
「みんなからのエフェクト、ありがたく使わせてもらうよ」
 距離を取ってまずは援護に廻っていた少年は、一転、無拍子で敵に肉薄。
 炸裂した破鼓無尽衝は、魔晶剣から突き出す悪魔の鉤爪が隆尋の身を護り癒して、そして。
「贋造といえども呉最強の『武』、今此処に刈り取ろう」
「合わせるよ、しゅえゆーさん」
 決して脚を止めること無く戦場を蹂躙し続けてこその騎兵と心得る雪羽もまた巧みに蓮風を操り、雪崩れ打つ双鉄鞭の射線すべてを掻い潜るようにして迫る。

 交叉する、刃と刃。

 阿吽の二刀両断の前に、赤き蛾の蟲将は纏う闘気をすっかりと霧散させ……。
 歴史の蹂躙者たるクロノヴェーダの一将の命運は、遂に、復讐の因果応報の前に完全に断たれたのであった。
「お、おのれ…………呉王の行く先に七曜の勝利あらん事をっっ!!」
 蟲将あらざる有象無象の衆に討たれる屈辱。
 偵察の任果たせぬまま散らねばならない無念。
 そんな絶望すべてをない交ぜにした果てに断末魔を吐き出したかの分身体は、しかし、呉臣下としての矜持だけは最期まで手放そうとはしなかった。

 かくしてディアボロス達は、長沙において、アヴァタール級『太史慈』にまた一つ勝利を収める。
 帰還した呉兵らに吹き込まれた様々な偽情報は、今後、呉国が方針を定めるにあたって掣肘の棘と化し大戦乱の企みを遅らせることだろう。
 そして……。
「おうま、水浴び気持ちいい?」
 長江の水に膝まで浸かった隆尋が蓮風の鼻筋を優しく撫でる。
 迎えのパラドクストレインが到着するまでの僅かな時間を使って、今度こそおうまの体を洗ってあげたいという願い叶った少年は太史慈撃破の時以上に嬉しそうだった。
 主である雪羽も、戦勝の後であるなら止める理由は無いと隆尋のしたいように任せて水浴びにと付き合っている。
 いつしかすっかりと陽の昇った空を映す長江は少年の指にと掬い取られて、きらきらと煌めいて。
「……隆尋、此処は疎いと語っていたな。また此処へ来る時には、この世界のことを話してやろう」
「えっ、ほんと!?」
 思わぬ、不意の申し出。
 ぱぁっと瞳輝かせて是非にと笑う隆尋の様は晴れわたる夏空のようだと天仰ぎ……雪羽は穏やかに眼を細めるのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【スーパーGPS】がLV4になった!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV4になった!

最終結果:成功

完成日2021年09月12日

樊城の戦い:呉

 『蜀』と『魏』が行おうとしている大乱戦『樊城の戦い』に関して、『呉』の孫権は、奪還したばかりの荊州の拠点『長沙』から、『蜀』の重要拠点、江陵に向けて偵察兵を執拗におくって情報を集めようとしているようです。
 偵察によって正しい情報が集まれば、その情報を利用して『呉』の大軍勢が動くかもしれません。
 偵察部隊を発見し、部隊を率いるクロノヴェーダを撃破。偵察兵を全滅させるか、或いは、虚偽の情報を流すなどして、呉の動きを掣肘してください。

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🔒
#大戦乱群蟲三国志
🔒
#樊城の戦い:呉
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#呉


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選択肢『流言飛語』のルール

 一般人の集団に、嘘の情報や噂をばらまく事で、混乱させたり、ディアボロスが望む行動を取らせます。
 信憑性が高い嘘や、相手が信じたいと思っている嘘、或いは、相手の不安や不信に乗じるような噂を流せば、効果が高くなるでしょう。
 噂を流す対象の集団の情報や、流言飛語を流す目的については、オープニングやリプレイを確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『敵部隊哨戒任務』のルール

 周囲を警戒し、近づいてくる敵部隊を発見します。
 うまく成功すれば、敵に発見される事無く、一方的に発見する事が出来ます。
 一方的に敵を発見する事で、後の行動の成功率が大きく上昇する場合があります。
 周囲の状況や、近づいてくる敵部隊に関する情報などは、オープニング及びリプレイを参照してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『待ち時間でヴァカンス』のルール

 パラドクストレインで事件現場に移動した後、敵が動き出すまで、ただ待つだけという時間があるかもしれません。
 この時間を利用して、英気を養うのも、ディアボロスの仕事のうちです。
 オープニングやリプレイで指定された状況で、ちょっとしたヴァカンスを楽しみましょう。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】他の選択肢のリプレイが一度でも執筆されると、マスターはこの選択肢のリプレイを執筆できなくなる。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『太史慈』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「シメオン・グランツ」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。