巨大神像の再稼働実験

 アブ・シンベル神殿の決戦に勝利し、ジェネラル級マミー『ネフェルタリ・メリエンムト』の撃破に成功した事で、ナセル湖の儀式は停止しました。
 儀式の停止により、ナセル湖に沈む無数の死体から、多数のクロノヴェーダが覚醒する事態を未然に防ぐことが出来ました。
 更に、残存のクロノヴェーダは、テーベ方面へと撤退したようで、獣神王朝エジプトの南部については、クロノヴェーダから解放されたと言ってよいでしょう。

 この状況を踏まえ、攻略旅団の提案により『アブ・シンベル神殿に残された、巨大神像についての調査』を開始します。
 可能性は決して高くありませんが、もし稼働させる事ができれば、巨大砂上船『サフィーナ・ミウ』と同様、今後の獣神王朝エジプトでの戦いを有利にできるかもしれません。

巨大神像大地に立つ!(作者 つじ
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#獣神王朝エジプト  #巨大神像の再稼働実験  #アブ・シンベル神殿  #巨大神像  #ナセル湖 


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●遺されたもの
 アブ・シンベル神殿における決戦、ジェネラル級マミー『ネフェルタリ・メリエンムト』との戦いを制したディアボロス達に、時先案内人の盾祀・楓(人間の風塵魔術師・g03193)が労いの言葉をかける。
「見事な戦いでした。あの神殿が落ちたのを見て、残ったクロノヴェーダもテーベ方面へと撤退したようです。つまり、獣神王朝エジプトの南部については、クロノヴェーダの手から解放されたと言っても良いでしょう」
 ナセル湖を堰き止めていた『アスワン大城塞』も機能を停止したので、ナセル湖に貯められていた湖水がゆっくりとナイル川に流れ込み始めている。この水は、恐らく今後数ヶ月をかけて、ナイル川を氾濫させていくものと思われる。
 それこそが、本来の歴史において、あるべき姿なのだろう。
「こうして、クロノヴェーダの撤退したアブ・シンベル神殿が残ったわけですが……」
 攻略旅団からの提案により、今回はこちらの調査が行われることになった、と彼は言う。アブ・シンベル神殿での戦闘では、クロノヴェーダを模した巨大神像が猛威を振るい、ジェネラル級のネフェルタリ・メリエンムトもまた、自らに似せた神像を操りこちらに襲い掛かってきた。弱点を突かなければまともにやりあっていられない相手だったが、もしもそれを再稼働し、ディアボロスの手で使用できるようになれば、今後の戦いにおける切り札となり得る。
「鹵獲した砂上船『サフィーナ・ミウ』も絶賛活躍中ですからね。こちらにも、期待したくなるというものです」
 『大いなるトート』の作品であろうこれらを、どこまで利用できるかは未知数、というか成功の可能性は高くはないだろうが、試してみる価値はあるだろう。
「我こそは、と思われる方は是非挑戦してみてください」

●再起せよ!
 ディアボロスとの戦闘を経た巨大神像は、今のところどれも破損している状態だ。動くかどうか試す以前に、まずは一定の修理が必要となるだろう。
 おそらく、ではあるがクロノヴェーダがこの神像を整備するための工具、そして予備部品の類がこのアブ・シンベル神殿には残されていると思われる。巨獣のミイラとネフェルタリ像が地下に眠っていたことから、それらもあるとすれば地下方面ということになるか。
「まあ……ミイラと神像の登場時に崩落が起きましたので、探索は一筋縄ではいかないでしょうが……」
 とにかく、ここで修復に必要な材料や道具を見つけ出せば、【操作会得】を利用して、整備方法や修復方法を知る事が出来るかもしれない。
 そして、ある程度修復が叶えば、その後は実際に搭乗しての起動チェックに入ることになるだろう。
「そこから先はトライアンドエラーですね。巨大神像に搭乗していたアヴァタール級が、実際にどう動かしていたかなどを参考に、色々と試してみましょう」

 このディヴィジョンの攻略は順調と言ってよい状況で、首都のテーベにも手が届きかけている。決戦を控えたこの状況で、戦力を積み増しできる意義は大きい。
「困難は多いかもしれませんが、皆で力を合わせ、是非とも成功させましょう」
 最後にそう言い添えて、楓は一同を送り出した。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【狐変身】
1
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【動物の友】
1
周囲の通常の動物がディアボロスになつき、意志の疎通が可能になる。効果LVが高い程、知能が高まり、友好的になる。
【無鍵空間】
1
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【修復加速】
3
周囲が、破壊された建造物や物品の修復が容易に行える世界に変わる。修復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」する。
【操作会得】
3
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV6 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV5 / 【先行率アップ】LV2 / 【アヴォイド】LV1

●マスターより

つじ
 どうも、つじです。
 今回の舞台は『獣神王朝エジプト』、アブ・シンベル神殿にて、敵の使っていた巨大神像の再稼働を目指していただきます。

●選択肢
 ①→②の順です。

①崩壊したアブ・シンベル神殿の探索
 宝探しです。
 神殿の地下、巨大神像と巨獣のミイラが眠っていた巨大空間にお送りします。そこから網の目のように伸びた通路を進み、神像復旧に役立ちそうな工具や資材を探してください。あちこち崩落している上、罠が仕掛けられていたりもします。
 かなり広いので、どの辺にありそうか当たりをつけていくと成果を得られやすいです。
 神像はもとより、機材もまた『大いなるトート』が用意したクロノ・オブジェクトな道具ですので、謎めいた見た目をしている場合が多いです。

②巨大神像再稼働実験
 調査・修復と、その段階でどこまで動くかの実験を行っていただきます。
 順に段階を踏んでいくことになりますが、最終的に立ち上がるところまでいったら大成功、くらいのイメージです。

 稼働実験については、これまで戦った敵の様子などを参考にすると成功率が上がるでしょう。少なくとも第一段階として、搭乗者は『水着やレオタードのような、体の動きが伝わりやすい格好』が必須であると予想されます。

 以上になります。それでは、皆さんのご参加お待ちしています。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
効果を活用

戦っていて感じたが
浪漫……だよな、巨大な乗物

行く手、周囲を偵察、観察し進む
罠は【未来予測】し発見・回避
周辺と床や壁の様子、色や音の響きが異なる箇所に注目
隠し扉や通路がないかな……?
異変に細心の注意を
暗所は暗視バイザー併用

照明のランプの炎なびかせ、風使いも合せ気流を感じ
空気が抜ける方向の逆、密閉度の高い方へ行く

ネフェルタリの研究所に当たる場所はないだろうか……
巨大空間がカタパルトなら
整備関係は近く、資材や部品は奥や中央の物置とか

通路の曲がり角に印をつけ迷子回避
線で軽くマッピング、不自然な空間がないか確認

謎めいた物は手に取り確かめ
ナイフを刺して傷がなければオブジェクトかな


フルルズン・イスルーン
見つけたいものはあるけど、広い上に罠がある。
そういう時は、使ってた人の気持ちになるのだ。

【書物解読】用意! 神秘を紐解こうハングドマン・ゴーレム!

まずは11ft棒、ランタンとヘッドライト、ロープ用意。
つるはしはゴーレムで代用かな。
観察と看破で注意して、不審なものは棒で突きながらゆくのだ。
『一般法則破壊』がねぇ。閉じ込められたら壁を破壊かな。

さて、整備なら格納庫があるはず。
広い場所が必要になるから、隠してたとしても通路が不自然に迂回になる。
マッピングしながら探索すれば、空白で浮き彫りにできるんじゃないかな?

というかボク前に黄金都市でミニチュア神殿のデータとってるけど。
参考にならないかな?


イシュア・アルミゴス
わぉ、神殿攻略には参加できなかったけどすっごいね!
こんなでっかいのがよくもまあ…。動力なんだろ?
エンネアドパワー?

まずは道を作らないと話にならないよね。残留効果に怪力無双があれば
利用しながらひとまず奥に進んでいこう。壁を槍で叩いて反響音から
隠し部屋とかないか調べながら進むよ。

こういうのは地下に大体怪しいのがあるって相場が決まってるよね。
罠や鍵があれば無鍵空間で解除してひとまず奥に進んでいこう。
ネフェルタリは研究だかなんだかをしてたっていうし何処かに秘密の
出入り口とか無いかな。ジェネラル級の残したものがあるなんてワクワクが抑えられない!


逆叉・オルカ
神殿の探索か……崩壊したとは言え重要拠点、心が躍るな。
希少な品が眠っているに違いない!
そしてあの巨像…あれを弄れるとなると腕が鳴るっ。
よし、俺たちは神殿の地下を調べるぞ。重要部品の倉庫があるはずだ。行こうモ助(モーラット)

仲間と連携しながら発掘作業
新宿から持ち込んだ大きなスコップから残留効果まで使えるものはなんでも使い、慎重に瓦礫を撤去してゆく
見つけたパーツは丁寧に纏め、【操作会得】で調べながら発掘
クロノオブジェクトかそうでないかや、回収したパーツが破損してないかとか。勿論後でもやるがそこは知的好奇心でね。
大きいものは怪力無双で運搬しよう

ついでに使えそうな素材も回収
神殿の破片も何かに使いたいな


レイ・シャルダン
連携・アドリブ歓迎です。
残留効果は積極的に使用します!

うぅぅ…。
ロボ…。
ロボって感じしませんでしたけど乗れる、弄れる、夢みたい。
ガジェッティアの血が騒ぎます!!
本体も気になりますが、工具、予備部品も興味深いですね!
ど…どんなオーパーツが隠れているのでしょう!
必ず見つけましょうね…!!

AIサイバーゴーグル【Boeotia】を使用して辺りを"観察"し"情報収集"を行います。
地下方面に向かいずんずん進みます、途中邪魔な瓦礫等は"怪力無双"で運搬し
後に続く人等も渡りやすいようにしましょうね。

あの大きさの物を自由に弄れる、そういう広い工房が必ずあるはずです。
整備用工具は必ずそこに、予備部品は倉庫??


樹・春一
ダンジョン探索に欠かせないもの……
そう! クリーニング!
砂まみれのものより綺麗なものの方が見つけやすいでしょう! 罠もよく見えますよ! 多分!
ぱっぱっぱーっとお掃除しちゃって、目当てのものを見つけましょう!

ところで何探してるんですか? 使えそうなもの?
怪しいものは全部持っていけばいいですよね。これどうですか! 土偶みたいな!
やっぱり本命は一番奥でしょうけど、細かな行き止まりも気になってしまいがち!
あとはあれですね。隠し通路的な?
落とし穴だと思ったら、落ちた先に通路があった的な?
ならば! トラップを叩いて進むしかありません!
後続もトラップ作動済みなら楽でしょうしね! いざ、安全確保です!


クィト・メリトモナカアイス
んんーむ。ぼろぼろ。
像も神殿もみるかげもなし。
それもこれもネフェルタリのせい。なんてやつ。

んむ。我としては。
ネフェルタリが神像から出てくる時にブチブチしてたコード。あれが欲しい。
ネフェルタリに限らず、他のに乗ってた……大いならないトートとかもコードをブチブチしてた。
あれの予備があるととても嬉しい。

とはいっても場所は全く分からぬ。のーでー。
こういう時は運に身を任せるのだ。ゆくぞー。
【強運の加護】を頼りに黄金猫拳打棒、お手伝いガジェットヘペレルくん、それに「モナカ」たちと一緒に神殿の瓦礫をのけたり砂を掘り返したりして地下の探索を進めていく。

いいものでてこーい。


ジズ・ユルドゥルム
こういう場所を探索するのは、何かこう、不思議とわくわくするな。
……新宿島で見た映画の影響か?

さて、機材の探索ときたか。
像とは言え、ああも人間のように柔軟かつ激しく動けるのなら
燃料ないしは人体で言う血液のようなものが体内に存在してもおかしくない気がするが…。

在り処は…詳しい者に聞けばいいか。
というわけで神殿内に生息する小動物達を見つけて質問しよう。
「人がたくさん出たり入ったりする部屋はなかったか」
「変なにおいや音のする部屋はなかったか」
可能なら道案内も頼みたいな。

道中は【完全視界】や【未来予測】で罠に警戒。小動物が罠にかかりそうになったら救出。
障害物に道が塞がれていたら…物理で殴って壊そう。


アンネリーゼ・ゾンマーフェルト
古代のクロノヴェーダとは思えない高度な機械技術
敵の所業とはいえ、抗いがたい魅力があるわ
正しい目的のために使えるよう、私たちのものにしましょう

≪多目的ゴーグル≫をかけ、必要に応じて≪リヒトシュヴェーアト≫の刃を光源として探索を行いましょう
≪リヒトシュヴェーアト≫は瓦礫を切り出しての発掘作業や、進路を塞ぐ壁の溶断にも使用するわね

機体の整備施設に至るまでに、排気ダクトのような人では入れない狭い入り口があれば
【狐変身】を利用し細長く小さな身体で侵入を試みましょう
侵入成功したら内側から解錠、ないしは壁をパラドクスで破壊し仲間を呼ぶわ

施設発見後は【機械知識】と【発明】の才覚で
修復に必要な部品を選別するわね


●アブ・シンベル神殿跡地
 地中より突き破られて崩れた大地に、暴れまわった巨大神像により踏み固められた地形。繰り広げられた戦いの痕跡を見下ろし、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は「んんーむ」、と小さく唸る。倒れた数々の神像にせよ、神殿そのものにせよ、ぼろぼろとなってもはや見る影もない。
「それもこれもネフェルタリのせい。なんてやつ」
「まあ、俺達も加担はしているわけだが……」
 決戦の際に地下より現われた巨獣のミイラとネフェルタリ神像、破壊の大半はそれらが原因だが、その巨大な敵を張り倒したのはほかでもない、クィトやエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)をはじめとしたディアボロス達だ。特にそこに倒れている女神像など、弱点であった胸部をタコ殴りにされている。二人にも覚えがあるだろう。
「うぅぅ……ロボ……」
 とはいえ、倒れてなお力強さを感じさせるその造形に、レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)が我慢できないといった様子で呟く。厳密にはロボなのか議論の余地はあるが、この手のものを弄って乗れるのは夢のような状況だ。
「ガジェッティアの血が騒ぎます!!」
「浪漫……だよな」
 言いたいことはわかる、と頷くエトヴァの横で、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)もまたその巨体に感嘆の声を上げる。
「しかし、こんなでっかいのがよくもまあ……。動力なんだろ?」
「確かに、なにか燃料を積んでいるのだろうか……」
 イシュアの抱いた疑問に、ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)が口元に手を遣り、思考する。前に巨大神像と戦った際には、別段そのような特徴は見られなかった。しかしながら、クロノオブジェクトと言えど、これだけのものを動かすには相応のエネルギーを必要とするはず。
「もしかしてこう……私達も見たことのないオーパーツが!?」
「敵の所業とはいえ、古代のものとは思えない高度な機械技術には、抗いがたい魅力があるわ」
 瞳を輝かせるレイの様子に、アンネリーゼ・ゾンマーフェルト(シュタールプロフェート・g06305)が頷いて返した。
「正しい目的のために使えるよう、私たちのものにしましょう」
 強大なその力をこれからの戦いに生かすため、一同は崩落によって露になった神殿の地下へと降り立つ。神像が地上に出る際に大きく破壊されたそこには、まだ地上からの光が眩く降り注いでいた。
「神殿の探索か……崩壊したとは言え重要拠点、心が躍るな」
 降り積もった瓦礫や砂ぼこりを踏み越え、破片の一つを拾い上げ、逆叉・オルカ(オルキヌスの語り部・g00294)がその先の通路へと目を凝らす。半壊し、クロノヴェーダにも放棄されたためか、照明の類は灯されておらず、日の光の届かぬ場所は暗闇に包まれている。
「きっと、希少な品が眠っているに違いない」
 さて、それでは目指すべき場所はどこか。最初の一歩踏み出す前に、一行は方針を確かにしようと試みる。
「方針か。全く分からぬ」
「お宝でしたら一番奥にあるのが相場ですよね! とはいえ細かい行き止まりも気になります!」
 クィトと樹・春一(だいたいかみさまのいうとおり・g00319)の発言は、大雑把だがスタート地点としては丁度良いか。続けて、イシュアとエトヴァが決戦時の敵の発言を元に案を出す。
「ネフェルタリは、研究だかなんだかをしてたっていう話だったね?」
「そうだな、研究所に当たる場所があるかもしれない」
 しかしながら、それがどれだけこちらの役に立つかは未知数だ。特に今回触れる神像に関しては、『大いなるトート』の領分である可能性が高い。
「そうなると……確実なのは、資材や部品を置く物置とかだろうか」
「ああ、使える部品を仕舞っている倉庫の類があるはずだ」
 エトヴァの言にオルカが頷く。それに対してフルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)は、トートとの決戦で得たデータを元に頭を捻る。黄金都市にあったアブ・シンベル神殿のミニチュア、その地下部分のデータは、半壊したとはいえ今回の探索に役立てられるはず。構造はある程度わかれど、それぞれの部屋の用途まではわからないが……。
「そういう時は、使ってた人の気持ちになるのだ」
 登場時に盛大に神殿をぶっ壊していたことから、現在居るこの地下空間は、正確には地上に出るための場所ではないのだろう。ここが格納庫だと仮定すると――。
「あの大きさの物を自由に弄れる、そういう広い工房が必ずあるはずですよね」
「部品分けして運ぶにしても、比較的大きな通路が必要になるねぇ」
 技師の視点でレイとフルルズンがそう付け加え、データを元に当てはまりそうな場所を定める。そうして示された目指すべき方角は、しかし盛大に瓦礫で埋まっていた。
「……迂回した方が良いかな?」
 四方に点在する通路の入り口を見回して、一同は各々、奥を目指して進み始める。

●予備資材の倉庫
 崩落による瓦礫の少ない箇所を選んで、アンネリーゼはリヒトシュヴェーアトを掲げて見せる。柄から伸びた光刃が、通路の先の暗闇を照らし出した。空中を舞う砂埃によるものか、どこかぼんやりとした灯の向こうを覗き込んで、彼女は探索可能かを吟味する。
「進めそうではあるけど……」
 ここから見渡せる範囲は広くない。光の届かぬ場所、角を折れた先がどうなっているのかはいまいち読み取れないのだが。
「立ち止まっていても仕方あるまい。こういう時は運に身を任せるのだ」
 進んでみてから考えれば良い、というわけで、ガジェットたちを引き連れたクィトは、先頭を切ってその通路へと足を踏み出した。ゆくぞー。
「こういう場所を探索するのは、何かこう、不思議とわくわくするな」
 アンネリーゼと共に続いたジズが、静かな通路の様子を見回しながら言う。壁には照明具を掲げるためと思しき飾りがいくつもあるが、今は一つも灯されていない。ここを使っていたエンネアドは逃げ去ったと聞いているが、去り際にその辺りの処理も行っていったのだろうか。
 新宿島で見た映画に倣えば、こういう場所には罠があると相場が決まっている。一か所だけ色の違う床や、手を突いた壁が引き金となり、仕掛け弓だの落とし穴だの謎の大岩だのが襲ってくるのだ。
「毒蛇の群れが降ってくるとかいうのもあり得るか……?」
「何の話?」
 思わず口をついたそれに、アンネリーゼが問い返す。
「サソリならいたが」
 どこからか神殿内に紛れ込んでいたらしいそれを発見し、クィトがそう付け加える。これに関しては、罠ではなさそうだが。
「丁度良い、一つ道案内を頼んでみよう」
 動物を友とする効果で以て、ジズは居合わせたサソリに働きかける。人の出入りが多かった場所……と行きたいところだが、このサソリがいつからここに居るのか不明だ。ならば、せめて崩れていない通路を選べるようにするべきか。
「行き止まりを避けて進みたいのだが……」
 そんな彼女の願いを聞き入れて、それは一行を先導し始めた。
 崩れた区画を避けるように、いくらか分かれ道を超えたところで、彼女等は一際大きく崩れた行き止まりへと辿り着く。ここまで案内してくれたサソリは、崩れ落ちた建材と思しき岩の合間に姿を消してしまった。
「……困ったな」
「どこかに潜り込める隙間があるのでしょうか」
 サソリの消えた辺りに、アンネリーゼがしゃがみ込む。観察に力が入るのは、少しばかり違和感があるから。道中でいくらか崩落箇所は見てきたが、此処はこれまでとは違い、どこか『徹底した』気配を感じられる。もしかすると、上の戦いの影響ではなく、人為的に崩されているのでは?
「ふむ。では少しどけてみるか」
 クィトの指示でスカラベ型のガジェットたちが動き出し、大小の瓦礫をごろごろと転がしどけ始める。通路脇の目立つ石くれがいくらか消えると、その向こうに通風孔らしき小さな空間が見つかった。
「これくらいの大きさなら……」
 問題はないだろう、そう判断したアンネローゼは「先を見てくる」と申し出ると、狐の姿へと変じ、するりとそちらに入り込んでいった。
 クィトとジズが待つことしばし、瓦礫から離れるようにと言う声の後に、ドアを塞いでいた瓦礫の山がパラドクスで貫かれる。
「皆さん、こちらへ」
 槍と化した狐の尾が消えた後、突き破られた瓦礫の隙間を抜けて、壁の向こうに至ると、そこには比較的大きなスペースが設けられていた。大部屋には壁沿いに棚らしきものが置かれ、それぞれに個性的な物品が収められている。
 大小さまざまなそれを検分するべく、三人は各々に棚へと歩み寄っていった。
「これは……補修用の部材みたいね」
 石材……のように見えるが、神の絵図の描かれた、石板状のそれは妙な高度を誇っている。装甲板として使われるものだろうか。
 恐らくは、ここが目的の資材置き場。関節を繋ぐのに使いそうな金具や潤滑油らしきものが多数置かれているそこで、ジズも「なるほど」と頷き、足元に転がった部品を手に取った。
「それでは、これが――」
 何? とりあえずそこまで言ってみたが、手にした物体の用途が思いつかず眉根を寄せる。人によっては「電子基板に似ている」と言えるだろうが、彼女がそこまで新宿に慣れるのは、多分もうちょっと先の話だ。
 ここまでの時点で補修材料としては上々だが、クィトの目当てのものはまだ見つかっていないらしく、彼女は辺りを見回しながらさらに奥を目指す。
「何を探しているの?」
 アンネリーゼの問いに、先日の戦いを思い返しながらクィトは答える。
「ネフェルタリが神像から出てくる時にブチブチしてたコード。あれが欲しい」
「コード、か」
 言われてみれば見覚えがあるな、とジズが続ける。この神殿で戦ったトートもまた、搭乗席では無数のコードに繋がれていたような。
「あれの予備があると、とても嬉しい」
 実際のところ、目の付け所としてはとても良い。再稼働実験を行うにあたって、コックピットに使うその辺りの部品がなければ始まらないだろう。
「そうね。もう少し探してみましょう」
 工匠の目線でそれに同意し、アンネリーゼはもう一度光源代わりの剣を掲げた。
 彼女等の予想通り、そういくらも歩かぬうちに、リール状に丸められたコードの束は発見できるだろう。

●整備区画の工具入れ
 ある程度の予備資材を得て、修復にとりかかる準備を大きく進めたディアボロス一行。しかし、それらを運び出す内に、決定的な不足物が明らかになってきた。資材自体は有用ながら、よく観察すればネジらしきものの頭や、ケーブルの先端処理、ジョイントパーツの接続部分などに、わけのわからない構造部が多数見受けられる。
「これは、専用の道具が必要そうだねぇ」
 手元の部品をがちゃがちゃと弄っていたフルルズンは、溜息交じりに辺りを見回す。
「巨像を弄れるのはまだ先か。仕方ないな」
「予備部品が見つかったのですから、近くに工具もありそうですね」
 神像本体も気になるけれど、まずはこちらだ。オルカと共に、レイもまた周囲に見落としが無いか目を配り始めた。この倉庫に置いていないのなら、先程探索中に見つけた広大な整備用スペースか、その周囲だろう。まさか整備用工具を離れたところに置いておくはずもあるまい。
 エトヴァの掲げたランプとフルルズンのカンテラの灯を頼りに、彼等は整備室と思われる場所の捜索を開始した。
 一見した際はさほど気にならなかったが、整備室らしき巨大なスペースの脇は、崩落した瓦礫で埋まっている。僅かに感じる気流とは逆方向……風の流れの生じない奥まったそこに当たりを付けたエトヴァは、まずは周囲へと気を配る。
「念のため、罠には気を付けた方が良いか……?」
「問題なさそうなら、少しばかり掘ってみよう」
 オルカが持参したスコップを持ち出して、レイもまた怪力無双で大きな瓦礫をどかしにかかる。スイッチだの落とし穴だのがないか周囲を棒でつついていたフルルズンも、ゴーレムに命じて発掘作業に加わり始めた。
 砂と石、邪魔なものをいくらか減らしたところで、レイの分析に使っていたサイバーゴーグルが、瓦礫の合間にそれを捉える。
「えっ!?」
 特徴的なその形に、急いで瓦礫をどかしてみると、そこには骨張り乾いた人間の腕が飛び出していた。助けを求めるように上へ向けられた掌、それが宙を掻くような形で固まっている。
「誰か崩落に巻き込まれた……とか?」
「さあ、どうだろうな……」
 恐る恐るそれを見るフルルズンと共に、エトヴァが慎重に周囲の砂をどける。するとその『腕』はぱたりと倒れ、肘から先しかないその全体像を露にした。薄気味悪いが、どけるにせよ葬るにせよ、放っておくわけにもいかない。ミイラの片腕にしか見えないそれをエトヴァが拾い上げると、妙な手ごたえが返ってきた。
「これは……?」
 試しに、そっとナイフの刃で表面を撫でると、予想通りそこには傷一つ付いていない。
「……クロノオブジェクトだ」
 はあ、何でこんな形に? 湧き上がる疑問を抑えながら、レイも差し出されたその『掌』に触れる。気持ち悪いくらい滑らかに曲がるその指を動かしていると、何かの拍子にその指先から複雑な形の金具が飛び出した。束ねた指先の本数、手の形によって別の金具が飛び出すそれは、まるで。
「ドライバー……みたいなものですかね」
 それも、先端が取り換えが可能なタイプのものが近いか。予備部材と合わせて後程確認してみるべきだろう、ということで、一同はそれの持ち帰りを決め、周囲に同型の工具が無いか発掘作業を続けた。
 特殊な工具があるならば、普通は一ヶ所に集めておくだろう。彼等の予想通り、その瓦礫には、ほかにも工具の類が埋まっていた。先程と同じようなミイラの腕に、大きな鳥の羽根型の切断器、そして次にオルカが見つけたのは、重厚なサソリのような造形のクロノオブジェクトだった。
「玩具みたいだねぇ」
「ただの人形というわけでもあるまい……」
 モ助と共にそれを観察していたオルカの横に、フルルズンのハングドマン・ゴーレムも立って、そこから何かしらの知識を得られないか分析を開始する。ブロックのように角ばった甲殻に、ギザギザしているが刃にはなっていないハサミ、操作会得効果も生かして構造を探っていた彼は、サソリの腕部分がひっぱれば伸びることを発見した。
 ……だからなんだ? 内心の疑問を押し殺しつつ、伸ばした腕の先のハサミを開く。バネ仕掛けのように勝手に閉じるそれで、試しにモ助の両足を挟んでみると。
「おー、なんか光ったよ」
 フルルズンがサソリ本体を指で示す。見れば、尾の部分に描かれた文様に沿って、根元から青白い光が伸びている。

 ……。

「……それだけ?」
「ああ……」
 彼女の問いにオルカが頷く。光ったが、それ以降は特に何も起きず、ハサミを離せばその光は消失した。
「やっぱり玩具なんじゃないかい?」
 などと言いつつ色々試していくうちに、二人はそれがセンサーの類であると看破することだろう。

 そんなこんなで使えそうな工具型クロノオブジェクトを掘り返し、彼等は集めたそれを持って、仲間達のところへと戻っていった。暗闇の地下通路を抜け、眩い日の光の下に出れば、戦いを終えた巨大神像達が、修復の時を待っている。

●それから罠の向こう側
 ダンジョン探索、特に廃墟系の場所を潜るのに欠かせないもの……そう、それはクリーニングである。ざっと石ころや砂埃をどけてやれば、壁の模様などもよく見えるだろう。満足げに頷いた春一は、あまり変わり映えのしない神殿地下の通路を見遣る。
「……何を探しているんでしたっけ?」
 まずいぞ、話を聞いていないタイプだ。
 とりあえず道を作らないと話にならない、と大きな瓦礫をどけつつ探索に注力していたイシュアは、春一の問いに足を止める。
「基本的には、神像の修理に使える整備部材や工具だね」
 クロノヴェーダ側の技術であるだけに、利用するにも解析するにも実物が必要になるだろう。恐らくはここに陣取っていたエンネアド達も、それなりの頻度で使っていたはずの道具だ、侵入者対策こそされていても、そんな奥に配置したりはしないはず。こうしている内にも、別のディアボロス達が目的のものを見つけているかも知れないが――。
 本当に、それだけで良いのか? たとえば、ジェネラル級しか触れない重要な部品が存在していたとしたら?
「というわけで、隠し部屋でもないかと疑っているんだけどね……」
 手にした槍の石突で、イシュアは手近な壁を叩いて見せる。鈍い反響音からは、その壁の後ろに空間があるか、などが何となく読み取れるだろう。
「なるほど! ではとりあえず片っ端から殴ってみましょう!」
 極端だな、と思いつつ。春一がいかにも怪しい壁に拳を振るうのを見送る。
「とりあえず罠にだけは気を付けよう」
 数々のクロノヴェーダを屠ってきた右腕が壁の文様を打ち据え、軽い音を立てる。その位置が悪かったのか、踏み込んだ足がスイッチを踏んだか、とにかくそのタイミングで床が抜けて、春一はその下に落ちていった。
「……は?」
 イシュアがその穴を覗き込むと、丁度翼を広げた春一がゆっくりと穴の底に降り立つところだった。どうやら怪我は無いらしい、上がってくるように促そうとしたところで、下から声が響いた。
「あ、こっちにも通路がありますよ!」
 神殿の構造が地下へと広がっているのなら、貴重品はその奥に隠しておくのでは?
 自らもそこに降りたイシュアは、穴の側面に隠されていた通路の先へと進む。地下の崩落した箇所をいくつかショートカットする形で繋がった道を行くと、やがて行き止まりへと辿り着いた。
「ここも隠し扉になってるみたいだね」
 壁を一度叩いて、その向こうに空間があることを確認する。しばらく時間をかけて開いたその先には、他より荘厳な装飾の施された部屋があった。
 さして大きくはない、狙っていた研究室とは違うようだが、しかし。見回せば、部屋の脇の小さな祭壇に、掌に乗るくらいのピラミッド状の物体が置かれていた。

 妙な文様の入ったそれは、用途不明だが重要そうに見えなくもない。たとえば、そう。呼び出した部下を前にして、これを指さし、幹部が言うのだ。貴様にはこれを授ける、やつら見事を退けてみせよ――。
「みたいな感じしませんか?」
「それはわからないけど……」
 しかし、ここまで慎重に隠してあるとなると、ジェネラル級の残したものである公算は高い。
 外まで持ち帰り、検討することに決め、二人は元来た道を引き返していった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【未来予測】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
【動物の友】LV1が発生!
【狐変身】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV3が発生!
【命中アップ】LV2が発生!
【能力値アップ】LV2が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!

●修復、そして再稼働
 ディアボロス達はひとまずの探索を終え、外に運び出した機材を改めて確認する。
 装甲版の補修材に、コックピット内に伸びるコードの予備、謎の電子基板など、材料はいくらかある。
 そして、神殿の外に存在する……というかバタバタと倒れているのは、ネフェルタリを模した女神像をはじめとする、全部で9体の巨大神像。
 少なくとも一体動かすことが出来れば、そのノウハウを生かして他の再稼働も行うことができるだろう。残りの資材や時間の問題から、全員で一体のテストに専念することが得策かもしれないが、何かしら狙いがあるのなら、特定の神像の補修にとりかかっても良い。
 最後に、発見した工具の類。

・ミイラの右手型特殊ドライバー
・ハヤブサの羽根型切断器
・砂色の薔薇型コード接続器具
・腕が伸びるサソリ型エネルギーテスター
・文様入りピラミッド型の起動キー

 などなど、種類は豊富で、使いまわせば全員が使えるだろう。
 これらの工具類と資材を組み合わせ、修復と実験起動を繰り返し、最終的には巨大神像の再稼働を目指すのだ。
フルルズン・イスルーン
ふむん、魔術と機械の混交。機械系はちょい苦手。
ハードの修復ならできるかな。
ガシェーというヤツの神像ダブってたよね。人型の。

それぞれを見本にニコイチの時間だ!

まず2つの同型機の残骸を用意して、見本用と修復用を決める。
壊れてる箇所と無事な箇所を、それぞれ見比べながら直すためにね。

ツールは【操作会得】で、【修復加速】も付けてと。
設計図と比較用メモを書きながら、観察と看破と。
高所足場もいる? 飛翔欲しいねぇ。

まずは内部をドライバーで開き、
エネルギーテスターで動力ライン、操縦命令信号の伝達系、駆動系が切れてないかチェック。
各種破損箇所をアート早業で図に書いて、似た補修パーツを探す。
これの繰り返しかな。


逆叉・オルカ
さて、やっと修復の時間だ!
ガジェッティアとしては腕が鳴るな
未知のロボを弄る、楽しい時間となりそうだ

仲間とどの機体を直すか決めたら、溟海残響で機体の脆くなっている箇所を探そう
様々なパーツと確認し、ミイラドライバーで予備のパーツと交換してゆくよ。
接続に問題ないかも蠍型テスターで確認
文様は回路にあたるのかな
…と言うかモーラットに反応したなら、巨像を動かすのはパラドクス動かすのと同じ原理、か?

攻略旅団からはヘジュ・ウルが着ていたパイロットスーツを持ってこよう。
体のどこにコードが接続されていたか確認もできるかもしれない。

騎乗してみたいな…若者に譲るか
(水着は持ってきた
感情の昂りもトリガーなのかもな


レイ・シャルダン
連携・アドリブ歓迎
使用出来る技能は積極的に使用。

ええ!ええ!皆で協力して修理しましょう。
こんなのを好きに弄れるだなんて……!

搭乗していいなら是非立候補したいです。
候補者は多そうなので、交代しながら出来ればいいかも?
普段の戦闘服『SKYRAIDER』が薄手のパイロットスーツなのでそこはクリアできそう。

『Boeotia』による"観察"で"情報収集"をおこないます。
この巨大神像とを武装と見立ててリンク出来ないかな…。
ナノマシン群『ナノマギア』による形状補修や
工具等の再現も出来ないか試したい。
動力はパラドクス?
必要出力値が不明なのでまずは小さいパーツから動かしてみましょうか。

知的好奇心が止まりません。


クィト・メリトモナカアイス
ネフェルタリが部下より性能が劣る物に乗ることをよしとするとは思えぬ。性格的に。
なのでネフェルタリは後回し。他で検証してから弄ろう。

というわけで我もガシェーのを弄る。
我のモナカもヘペレルくんも動力は不思議パワー。(パラドクス)
きっとこれも不思議パワーで動く。
【浮遊】でふわりと浮かんで作業開始。

【操作会得】で工具の使い方を調べ、サソリ型エネルギーテスターで接続を確認しながら慎重に作業を進める。
変につないでどかーんといったらとても困る。
ちぎれたコードや我らの攻撃で破損した箇所を予備パーツに換装。

修理が終わったらパイロットの人にピラミッド型起動キーを渡す。
汝にはこれを授ける、やつらを見事退けてみせよ。


イシュア・アルミゴス
サーフィナ・ミウの構造とか参考にならないかな?
どういう原理かは知らないけどトートの作品なら
似てる部分もきっとあるよね

操作会得で工具や材料の使い方を知り共有
こういう工具もトートが作ったのかな?拘ってるなぁ
修理する神像が決まれば修理箇所をチェックし
工具で修理していく。操縦席を確認し何かしらの
薬物を注入する機構がないかチェック。ハイテンションで暴走とか怖いしね

起動キーで動力が行くことを確認したら搭乗してみようかな
パイロットスーツ用のこれ全身タイツ?を用意してと
えーと…このコード体に刺すの?大丈夫?痛くない?
ネフェルタリ讃えないと駄目とかだと面倒だけどものは試しだしね
動け神像僕らのために!


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
効果は相互活用

ここは協力して修復に当たろう
【修復加速】し、道具は【操作会得】で
文字が絡めば書物解読を
対象は……フルルズンさんのニコイチ修復がよさそうか

記録は大事だな
観察を怠らず、変化や結果、気づいたことを記録し
テスターでこまめに反応を見よう
だいたい、最後にこのピラミッドをアレするんじゃないか
手に握って、覚醒せよ――!
と呟くとか

……しかしまあ浪漫に溢れる代物だ
トートの仕業か

試乗可なら水着と薄手の羽織物で
シルエットが必要なのだろうか
手足を動かしつつ
コードの接続器具を……試す
操作に依存性がありそうだ
王妃への信仰心?はいらんか

起動・操作時は【未来予測】し、危険の兆候あれば停止や注意喚起


樹・春一
さっぱり! わかりません!!!
いや操作会得でわかりはするんですけど……なんか下手に触ると壊しそうで……
大きなものとか必要なもの運ぶ係しますね。みなさん器用だなあ

ですが信仰心とパッション、体力魔力にパラドクスならお任せください!
大丈夫です! 素です! 妙な術も薬物もございません!
鍛えられた肉体だって、まだマッスルには少しばかり遠いですがばっちり!
神から賜ったこの力と水着、ばっちり見せつけて差し上げましょう!

ただその、もし僕が危険な思想を口走り始めたりしたら、みなさん全力で殴っていただくとかしてもらって
一発二発殴ったところで死にはしません! 頑丈です!
操縦順番待ちの間にエネルギーためておきますね!


●修復作業開始
 暗闇の地下から光差す地上へ。積み上げられた資材と、揃えられた工具達、そしてあちらこちらで盛大に寝そべる巨大神像。神殿から見えるそれらの景色を前に、逆叉・オルカ(オルキヌスの語り部・g00294)がやる気に満ちた声を上げる。
「さて、やっと修復の時間だ!」
 ガジェッティアとしては腕がなる、本懐ともいえる舞台だ。それに関してはレイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)も同じようで。
「こんなのを好きに弄れるだなんて……!」
「ああ、楽しい時間となりそうだ」
 頷く彼等の様子を微笑ましげに見つつ、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)がそれに言い添える。
「しかしこれだけの規模だからな。ここは協力して修復に当たるのはどうだろう?」
「ええ、そうですね! 皆で協力して修理しましょう!」
 レイがそれに快く頷いて、修理対象である巨大神像達をぐるりと見回す。そうなると、問題になるのは『どれを直すか』だ。最初に目につくのはやはり、一番最後に倒され、神殿を盛大に破壊している神像なのだが。
「あの女神像は、ネフェルタリのものだったな?」
 うむ、とそれに頷いたクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)だが、あれに手を付けることに関しては難色を示した。
「あれは後回しの方が良い。他で検証してから弄ろう」
 先日戦った彼女はやたらと自負心の強いタイプだった。あのネフェルタリが、部下より性能が劣る物に乗ることをよしとするとは思えない。つまりこの中で最も高性能な神像を、実験に使ってしまうのはもったいない、というのが彼女の意見だ。
「一理あるな……」
 最初の実験体は、最悪壊しても構わないやつ程望ましい。それならば、とフルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)が指を立ててみせた。
「それなら、ガシェーというヤツの神像ダブってたよね。人型の」
 例の盗賊頭のマミーを模した神像は二体ある。それを使うべきだろうと彼女は言う。
「せっかく二体あるんだ、ニコイチにしてしまうのはどうだい?」
 まず2つの同型機の残骸を用意して、見本用と修復用を定める。そして壊れている箇所と無事な箇所をそれぞれ見比べていけば、確実に修復を進められるはず。
 彼女の見立て通り、手探りで修理を行う場合、その手法は非常に有効だ。ただ問題があるとすれば、対象が動かなくなった巨大神像であり、両者を並べるどころか体勢を変えることすら困難なことか。
「メモと設計図で何とかするしかないかなぁ」
 気が遠くなる話だが、何も見ないでやるよりは確実性が高く、手本があれば知識の無い者でも修理に加われるのが要素としては大きい。とにかく手を動かしていこう、とフルルズンは図面に手を付け始めた。

 浮遊効果でふわりと浮かび上がって、樹・春一(だいたいかみさまのいうとおり・g00319)が修復対象の巨大神像の額の辺りへと着地する。頭部全体が蜂の巣にされたもう片方と違い、こちらの神像は脳天にダメージが集中している分だけまだ見れる顔をしていた。ともあれ機能停止しぶっ倒れた際の破損はあちこちに見られ、そのままでは動く気配は全く見られない。とにかく最初に手を付けるべきはコックピットだろうと、破壊された脳天部分から中を覗き込んでみるが。
「いやあ……さっぱり! わかりませんね!!」
 元気だけはよろしい。操作会得効果である程度の見立ては利くが、この手の機械いじりに慣れていない彼からすると、手を出しづらい面はある。うっかり壊したら目も当てられないし。
「その分荷物運びならお任せください! 必要なものがあれば言ってくださいね!!」
「よい心がけだ。では工具とコードをいくらか頼む」
 こちらもふわふわと浮かんできたクィトがそう言って、コックピットの千切れたコード類を見回す。同様に、電脳ゴーグルでコックピット内を分析していたレイも、同じ結論に至ったようで。
「この辺りのコードは、全部取り換える必要がありそうですね」
 アヴァタール級を引きずり出すときに悉く切断したそれらは、今は力なく垂れさがっている。修復が済めば、以前のように乗組員に絡みつくような動きをするのだろうか。
 手始めにパラドクスによるナノマシンを展開してみた彼女だが、対象がクロノオブジェクトであるがゆえか、何の効果も見られなかった。やはりと言うべきか、少なくとも今は、探索で見つけた『専用工具』を使っていく必要がありそうだ。
「こういう工具もトートが作ったのかな? 拘ってるなぁ」
 春一の運んできた工具を手に、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)が感心したように言う。この手の謎めいた道具はサフィーナ・ミウ修復時には見られなかった。あちらの砂上船とは随分作りが違うのだろう。
「この工具の再現……くらいはできますかね」
 少なくともドライバーの形を真似るくらいはできるだろう。ミイラの手を模したとしか思えないそれをガチャガチャ動かしながら、レイは悩まし気にそう呟いた。

●1st trial
「ふむん、やはり中は魔術と機械の混交物って感じだねぇ」
 神像の傷口、修復の必要な損傷箇所を覗いて、フルルズンがそう呟く。ゴーレムとはまた違う、機械系はあまり得意ではない。しかしながら、道具が決まっているのなら必要なことは大体わかるだろう。破損した金具をドライバーで外し、取り換えて、補修材で装甲の隙間を埋める準備をする。手際よくそこまで進めたところで、「まだ塞ぐのは早いかな」とそれを脇に置く。
「みなさん器用ですねえ」
 はー、と感嘆の息を吐く春一が持ってきた工具、サソリ型のテスターを、クィトが手にしてそちらへ向かった。
「よし、では接続確認だ」
 雑に進めて大爆発、なんてことになったらさすがに困る。安全を見るなら、都度確認していくのが肝要だろう。
「我のモナカもヘペレルくんも動力は不思議パワー。きっとこれも不思議パワーで動く」
 こくりと頷いて、サソリの腕を伸ばした彼女は、クリップ状のハサミを開いて露出した金具に繋ぐ。神像を動かすのに何らかのエネルギーが必要だとして、正常な状態ならばその不思議パワーがここまで来ているはず。
「……何も起きないな」
 探索時の実験で見た青い光が見られず、オルカが首を傾げる。修復の仕方が間違っていたか? それとも……。
「電源が入ってないからですかね?」
 春一の言葉は直感的な思い付きではあるが、いかにもありそうな話ではある。一同は自然と、神像の頭部へと視線を向けていた。

 彼等の視線の先、操縦席ではイシュアとエトヴァがコードとその周囲の仕組みを調べていた。
「とりあえずは安全そう、かな?」
「操作に依存性があったりすると厄介だからな……」
 二人の疑っているのは薬物投与など、操縦者に対する仕掛けの有無だ。神像を動かしていた敵の中には明らかに様子のおかしな者もいたのだが、幸いその手の装置は見当たらなかった。
「これ以上は、動かしてみないと分からないね」
「となると、やはりアレか」
 言いつつ、エトヴァがそちらを見る。ここまでの調査中に、コックピットの一部、直立していれば乗り手の足元に当たる位置に、妙な窪みがあるのを発見していた。形からすると、神殿の奥で発見されたアレ、ピラミッド型の物体が丁度嵌りそうに見える。
「だいたい、こういうのがカギになっているんだよな……」
「でしたら、試してみましょうか」
 そう申し出たレイは、コックピット内のコードの一つを予備のものに付け替えて、自らの腕に絡みつけ、先端を肌へと接続する。彼女の纏う薄手の戦闘服ならば、乗り手の服として要は足りるだろう。まずは慎重に一本だけ、その状態でイシュアから『鍵』を受け取った彼女は、例の窪みへとそれを押し込んだ。
 磁石が引き合うような感触と共に、かちりとそれが嵌り込む――。

「……何にも起きませんね」
「サソリくんにも変化がないねぇ」
 あちこち測定していたフルルズンの声が外から聞こえる。何が足りないのかと首を傾げるレイに、様子を見に来たオルカが、ふむと鼻を鳴らしてモーラットを見る。
「感情の昂りもトリガーになるかもしれんな」
 テスターがモ助に反応したことから、必要なエネルギーはパラドクスと同じ原理ではないか、と彼は予測を立てていた。だとすれば、感情の動きによる影響も無関係とは言えないのでは?
 なるほど、とそれに頷いたクィトがコックピットへと潜り込むと、先程の『鍵』を一度外す。手にしたそれを差し出すと、彼女は厳かな調子で口を開いた。
「レイ・シャルダンよ。汝にこれを授ける」
「え……?」
「この神像を使い、やつらを見事退けてみせよ」
「は、はい……!」
 いきなりそんなことを言われても、といったところだがどうにかテンションを上げて、レイは起動キーを再度そこに嵌め込んだ。
 繋いだ一本のコードがピンと張るような感触、そして次の瞬間、巨大神像の右腕が、ぴくりと身じろぎするように震える。
「これは……起動成功です!」
「こっちのテスターも反応ありだよー」
 フルルズンの言うように、サソリ型テスターの尾の部分、そこに描かれた文様が青く発光を始めている。
「この文様は回路……というよりメーターだな?」
 ある程度の長さで前後する光を見ながらオルカが言う。
「とりあえず先端まで確認してみるか」
 エトヴァの提案に頷いて、一行はサソリのハサミを順に動かし、神像の右手までエネルギーが到達していることを確認した。途中に損傷箇所がいくつかあったが、幸いここまでは簡単な補修で済ませられた。
「しかし、搭乗者が動力源も兼ねるとは……」
 流石は不思議パワー。しかしこの仕組みは、あまり効率的とも思えないが、とクィトが思考する内に、テストは指先まで及んでいた。
「試しに指を動かしてみてくれ」
「わかりました!」
 オルカの声にレイが応えると、ぎぎ、と関節を軋ませ、神像の指先が僅かに空を掻いた。初動が上手くいけば後は応用、親指を立てたりピースを作ったり、レイは慎重に『腕』の動きを確かめていく。
「何だか不思議な気分ですね……」
 巨大なそれが自分の体の一部のように感じられる。これに乗り込んだアヴァタール級が皆テンション高めだったのは、この辺りが原因なのかもしれない。
「それじゃ、この調子で別のコードも繋いでみようか」
「あ、はい――」
 そこで、レイは自分が荒い息を吐いていたことに気付く。認識してしまえばそこからは早く、彼女は耐え切れぬままその場に膝をついた。
「ち、ちょっと待ってください……!」
「……これは、一旦外した方がよさそうだね」
 倒れかけた彼女を見て、イシュアが起動キーとコードを解除した。

●2nd trial
 稼働実験は一時中断。神像のコックピットから出て腰を下ろしたレイは、口を利くのもつらいのか、集まった一同へと端的にそれを告げる。
「ものすごく、疲れます……」
 肉体的にも精神的にも、体力や活力と呼ばれるものをごっそり持っていかれるような感覚。このまま長時間続けていれば、立ち上がれなくなりそうなほどに。
「しかし、どういうことだ……?」
 敵の一人から剥ぎ取ったというボロボロのパイロットスーツを広げながらオルカが首を傾げる。もはや引き裂かれて原型も怪しい代物だが、コードがいくつも接続されていたことは読み取れる。神像を動かすことで、そこまでエネルギーを吸われるのなら、クロノヴェーダとて無事では済まないはずでは?
「不思議パワーのもとが他にもある、とか」
「外部の供給源か……」
 例えば、敵にしか使えない儀式や設備が。崩れ去り無人となったアブ・シンベル神殿を見遣りながら、クィトはそう応じた。
「何にせよ、簡単に動かせないのは困る」
 修復をスムーズに進めたいのなら、都度エネルギーを供給してのチェックしていくことは不可欠だろう。そんな彼女の言葉に、名乗りを上げたのは割と手持無沙汰になっていた春一だった。
「でしたら、ここは僕が!」
 信仰心とパッション、もとい体力魔力には自信があります、と彼は言う。動力源としての耐久勝負なら望むところ。
 というわけで、水着を着てきた彼は換装したコードを次々とセットされ、コックピット内での仕事に取り掛かった。
「神から賜ったこの力と水着、ばっちり見せつけて差し上げましょう!!」
 砂漠の空に響く声音を聞いて、オルカが「なるほど」と頷く。
「これくらい気合が入っていれば、起動は問題なさそうだ」
「え! まだ素なんですが!?」
 とにかく、作業の目途は立った。あとは修復を進めていくまでである。

 飛翔が欲しくなるねぇ、などと言いながら倒れたもう一体の神像に上って、フルルズンは『お手本』の作図を始める。
「よく見るとこれ、コックピットの位置も違うんだねぇ……」
 修復に使っている神像は頭部分で、こちらのお手本用は首の後ろ辺りがコックピットになっている。同型機だと思われてはいたが、これはバージョン違いか、それともクロノヴェーダが量産体制というものがわかっていないのか。トートに聞いたらなんと答えるだろうと思いを巡らせつつ、フルルズンは手を動かしていった。
 用意できたそれを元に、修復作業は進行していく。
「もう一度、エネルギーを回してくれるか?」
「了解です!」
 エトヴァの求めに応じて、春一が短時間神像を起動する。補修作業によりつながった部分を、オルカがテスターで繋いで状況を確認。この辺りは細かい繰り返しの作業になるが、安全面を鑑みれば欠かせない手順だ。
「しかし、メーターの伸びが良いな……」
 青く輝くテスターの表示を見ながら呟く。個人差もあるかもしれないが、やはりテンションを上げていった方がエネルギー効率は良いらしい。

 皆で修復を進めることしばし。一通り、目立つ損傷部のカバーが終わった……と思われたところで、一行はついに正式な稼働実験へと移る。疲弊してきている春一にもう一度力を振り絞ってもらうべく、クィトは外していた起動キーを彼へと預けた。
「では、汝にはこれを授ける。見事この神像を立ち上がらせて見せよ」
「お任せください!!!」
 勢い良くそう請け負うと共に、ハイテンションなエネルギーを受け取って、神像が起動する。
「さあ、立ち上がるのです!!」
 春一の気合に応じてコックピット内のコードが蠢き、彼のまだ細い体に強く絡みつく。供給されるエネルギーを元に、身じろぎした巨大神像は、春一の動きに従いゆっくりと体を起こし始めた。
 腕を支えに上体を起こし、膝を曲げて引き寄せた足に重心を移す。ぎしぎしと修復箇所を軋ませ、積もっていた砂を降らせながら、神像は腰を上げて。
「ヤーーーッ!!」
 最後の気合と共に膝を伸ばし――そこで、何か嫌な音がした。
 先程から大きく軋みを上げていた左足首、そこが自重に耐え切れず、砕け散ったのだ。
「アァーーーーーーッ!! 皆さん離れてください!!!」
 突如支えを失った神像は、バランスを崩し、思い切りその場に倒れ込んだ。轟音と共に、もうもうと砂煙が辺りを覆う。
 こうして二度目の起動実験は、惜しいところで失敗となった。

●3rd trial
「……さて、これはどういうことだ」
 起動実験でエネルギーを吸われ、へろへろになった春一をコックピットから引っ張り出した後、一行は破損した足首部分に集まっていた。
 作業は慎重に進めてきたはずだが、と砕けたそれを検分するクィトの隣で、フルルズンはこの辺りについて引いた図面を探す。
「ここの修復も、手本通りにやったんだよね?」
「いや、それが……」
 エトヴァが言葉を濁す。そもそもの話となるが、同型のガシェー神像を相手に、ディアボロス達もまた同じような戦法を取っていた。要するに、脚部と頭部に関しては破損部が共通しており、手本の乏しい中、ある程度手探りで修復することになったのだ。
 形の上では上手く修復したように見えていたが、戦闘時にチェーンソーでごりごりに削られた脚部は、『応急処置』では足りなかったらしい。
「さすがに、そこまで考えて戦えというのは無理な話だろう」
 苦笑交じりにエトヴァが言う。こればかりは仕方ないというほかない。
「まあ、足だけなら他の神像も参考にできるよね」
 さあ、出番だよ。フルルズンの呼び声に応えた『イート・ゴーレム』がばらばらに散った各部品をもぐもぐと捕食し始める。
「ヘペレルくんもお手伝いだ」
 スカラベ型の彼等が集めたものをゴーレムの体内に収め、重要部品をその中で再構築させつつ、一同はそれぞれに分担して補修始める。ここまで来れば手慣れたもの、修復加速の効果も相まって、作業は順調に進んでいった。

「――では、汝にはこれを授ける。あとは任せた」
「これ毎回やる意味ある?」
 テンションアップの意義もいまいちよくわからなくなってきた。全ての作業が片付いたところで、クィトから起動キーを受け取って、パイロット向けの全身タイツ姿に着替えたイシュアは、コックピットのコードを手に取った。それぞれが絡んでしまわないように引っ張って、先端を見る。これを繋いでいく必要があるわけだが。
「えーと……このコード体に刺すの? 大丈夫? 痛くない?」
「まあチクっとはしますね!」
「多少違和感はありますけど、大丈夫ですよ」
 躊躇いがちなイシュアに対して、経験者である春一とレイのコメントが飛ぶ。まあ、エネルギーはものすごく吸われますけど、と付け足された言葉に眉根を寄せながら、彼は身体の各所にコードを接続した。だらんと垂れたそれらを微妙な面持ちで眺めながら、どうにか自分を奮い立たせ、イシュアは神像を起動する。
「動け神像、僕らのために!」
 ぐん、と神像の身体が揺れて、搭乗者の身体とリンクする。活力を得て蠢きだしたコードが体に食い込み、全身を引っ張られる感覚を覚えながら、イシュアはその場で体を起こした。一度崩れた足首を確かめるように、慎重に。彼の動きをトレースした神像は、重い身体のバランスを取りながら、ゆっくりと体を起こした。
「……すごいね、これは」
 こちらを見守る皆の姿があっという間に視界から消えて、視点が一気に高くなる。
 膝が笑っているように感じるのは、関節の接合部がまだ弱いせいだろうか。とにかく、さしたる問題もなく、一帯を見下ろすほどの高みに至り、イシュアはひとまず安堵の息を吐いた。
 きっとそれは、下で見ていたディアボロス達も同様だろう。

●大いなる一歩
「これでようやく一つだねぇ」
「でも、思ったより順調でしたよ」
 フルルズンの言葉にレイが頷く。三度目の正直、というわけではないが、三回目の実験にしてようやく終わりが見えてきた。
「あとはフィードバックですね」
「ああ、膝が弱いって言ってたっけ」
 乗り手の声を参考に、二人は再度寝そべった神像の、脚部に向けて歩き出す。
「なるほど! では資材をお持ちしましょう!」
「キミ、回復するの早いね……」
 元気よくそれに続く春一を、先程まで神像を動かしていたイシュアが、疲労困憊の様子で見送った。

 気になる部分に補強を施し、残すところは最後の一つ、『ディアボロスならば誰でも動かせる』という確証を得るための、いわば実証実験だ。
「騎乗してみたいが……ここは若者に譲るか」
 せっかく水着は持ってきたけれど、とオルカはエトヴァに操縦席を譲る。技師として仕事の成果を外から見るのもまた乙なものだ。それに、この神像が実戦投入されれば、いずれ乗る機会も訪れるだろう。
「なら、お言葉に甘えよう」
「ん、あとよろしく」
 いい加減飽きてきたらしい、クィトが軽く手渡した起動キーを使い、エトヴァは巨大神像を目覚めさせた。
「覚醒せよ――!」
 水着姿の彼に接続されたコードがきつくその身に絡みつき、神像の各部とリンクさせる。心身の活力を急激に吸われていくのを感じながら、エトヴァはまず、一同の前に巨大な掌を差し出した。
「……せっかくだからな」
 その後の動きは危なげなく、スムーズに。エトヴァの操る巨大神像は、掌に皆が乗るのを確認した後、アブ・シンベル神殿の傍らに立ち上がる。

 砂漠の遥か上空を渡る風と、遮るものの無い彼方の景色、これもまた、彼等の掴んだ成果の一つだ。そして、巨大で力強いこの神像は、いずれディアボロス達の強力な武器となり、活躍してくれることだろう。
 ついに、待ち侘びた時が訪れる。沈み行く夕陽を背景に、一同を乗せた巨大神像は、エジプトの地に轍を刻んだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【修復加速】LV3が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
【操作会得】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】がLV6になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!
【先行率アップ】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2022年10月21日