リプレイ
菅原・小梅
◆行動
やはり道真公…曾々お爺様と同じ名を騙る者が居るのですね。
紛い物とは言え、尽きぬ妄執に駈られているのならば菅原の一門たる私がその怨念を晴らしてみせましょう。
故に木っ端の妖怪風情が邪魔をするならば有象無象の区別なく愛刀『月下残滓』にて斬り薙ぎ払うのみ。
刀に宿る炎熱の力と氷雪の力を解放し、剣劇の音色を以て
【天神刀法『飛雪千里』】の極意を披露しましょう。
時には剣気とも呼ばれる殺気を放って牽制し、敵の動きに先んじるのです。
道真公よ、神算鬼謀にして琴心剣胆たる菅原の小梅が武威をご覧あれ。
瘴気や狂気などに囚われたままでは…幾ら雑兵を並べようとも我が道を阻む事は叶いませんよ?
※アドリブ&連携歓迎
●真夜中飛頸落斬奇譚
『あは、ははは!!』
『怨怨怨怨!!』
暗き中飛び回る鬼の首の群れを見上げながら菅原・小梅(紅姫・g00596)は眉を顰めた。
「やはり道真公……曾々お爺様が、」
この離宮八幡宮を根城にするのは菅原道真を象ったジェネラル級クロノヴェーダ 菅原道真。
小梅とて重々理解している。
あの紛い物は、あくまで歪な影法師だ、と。だが――。
「同じ名を騙るなど……!紛い物とは言え、尽きぬ妄執に駈られているのならば」
小梅が背の大太刀に手掛け、鯉口切った微かな音に気が付いたのだろう。飛び回っていた飛頭蛮の視線が刺さる。
「菅原の一門たる私が――」
『怨怨怨怨怨!!』
「その怨念、晴らして見せましょう」
背の大太刀 月下残滓を抜き打ち、モノノ怪の視線ごと真っ二つ。
あはれ、断たれた頭だった物は左右へ別れ跳びどろりと溶けた。
『この恨み!』
『晴らさでおくべきか!』
空より舞い飛ぶ頭が細い小梅に食いつかんと大口を開け迫る!
「――秘剣 雪月花」
真横に振り抜いた一刀を飛頭蛮が噛みつき止められたのも一間のみ。
遠心力と体重乗せ振り回されたパラドクス―天神刀法『飛雪千里』―の斬撃は上下に泣き別れた飛頭蛮から飛ぶはずの血飛沫さえ凍て落とす。
「琴心剣胆たる菅原の小梅が武威をご覧あれ……!」
八方から飛び掛かる飛頭蛮の群れを時に柄頭で殴り落としながら、小梅は内心悔いていた。
“菅原道真公”は、名の有るお方だ。会うこと叶わぬと知りながら、その知恵と慧眼に憧憬した。
「――名が有るゆえにクロノヴェーダにされようと、瘴気と狂気に塗れた姿を晒すなど」
菅原の一門に名を連ねる小梅にとって、名ばかりの化け物は遺憾に他ならない。
いくら視線に刺されようようと。
『あはははは!』
「――笑うな」
殺気帯びた赫灼に震えた鬼頭を断つ。
「……幾ら雑兵を並べようとも我が道を阻む事は叶いませんよ?」
一曲見舞った剣舞は確かに幾つもの鬼首を断った。
大成功🔵🔵🔵
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎
残留効果を活用
菅原道真公の手の者か
史実の彼の伝承はかねがね……しかし物騒だな
飛び回る相手だ、翼広げて空中戦を
【飛翔】し遠方より双眼鏡で偵察しつつ接近、情報共有
観察し戦況を常に把握
味方と連携し強襲、狙いを合わせて着実に戦力を削っていく
一つ襲えば、か……
後から集ってくるものへ、光の輪を撃ち込み迎撃
味方が包囲されないように、不規則起動で飛び回り、フェイントかけつつ撹乱
連携の要を撃ち崩していく
手薄な箇所を見逃さず切り崩そう
反撃には視線そのものを飛翔で撹乱しつつ、串刺しは魔力障壁を展開し防御
十分に戦力を削るか、不利になれば
戦況を見て撤退合図、全員無事で帰還する
エルフリーデ・ツファール
アドリブ&連携歓迎
魔力媒体のため煙草は常に吸ってます
おうおう、随分な人数が出張って来てるようだが下手に狙いを絞ったり策がない分、こういう方が私としては気が楽で良いぜェ。
さて、そんじゃまいっちょぶわーっと行きますか。
出来るだけ引き付けてこちらの最大火力【砲撃】で【吹き飛ばし】やるとするか。
相手の動きが乱れれば追撃、すぐにでもこちらを捉えようとする動きを見せれば悪いが退かせてもらうとしようか。
戦場はここだけじゃあないんでな。
「さてさて。どの程度燃え尽きたかな、ッと」
●焔光飛翔夜会譚
黒い逆十字の耳飾りが、温い夜風に揺れる。
『怨怨怨怨怨!』
黒い紙巻煙草を咥えながら魔力高めたエルフリーデ・ツファール(紫煙の魔術師・g00713)が空を仰いだ。
「ハハ――随分と熱烈な歓迎だ」
「菅原道真公の手の者だが、数“は”多いのだな」
並び立ち双眼鏡越しに飛び交う飛頭蛮眺めたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が同意する。
此処は離宮八幡宮。
主の名は数多の伝承捻じ曲げられたジェネラル級クロノヴェーダ 菅原道真――!
ただ、気付かぬ飛頭蛮を幸いとエトヴァは周囲を観察するも、分かるのは虫一匹も鳴かぬ異様。
騒めく木々にさえ身を潜めさせる深き怨恨。
細かに周囲窺うエトヴァの隣、使い込まれた樫の杖を手にエルフリーデが口角を上げた。
元々全て知った上でここに来ているからこそ、互いに奥に焔湛えた瞳を交わせばある程度の目的を伝えるには十分。
蒼翼が空へ行く背を横目に、風に帽子押さえた魔女は歯を剥いた。
『怨、怨!』
『この恨み――』
「ああ、はいはい聞こえてるぜェ?――さぁて、派手に行くか!」
「史実の彼の伝承はかねがね……しかし物騒なあなた達の夜はもう終わりだ」
エトヴァ目掛けて飛び掛かった飛頭蛮をエルフリーデが樫の杖先端から放った見えぬ砲撃で撃ち落とす。
ウインクのお茶目な魔女に頬緩めたエトヴァは微笑み返し、指を鳴らせば、発動したパラドクス―リングスラッシャー―。
輝く翼より飛び出した光輪がエルフリーデの背後に迫った飛頭蛮2つを上下に断った。
「……!」
「まだ、続くのだろう?」
エトヴァが悠然と微笑めば、煙草吹かしたエルフリーデはお返しと言わんばかりに蒼の輝きに群れようとした飛頭蛮を吹き飛ばす。
「当然っ……!さあさあ、集まってもらうとしますか!」
「一つ襲ったんだ――来るっ!」
翼無くとも宙舞う飛頭蛮は嵐の如くうねる視線が輝くエトヴァを執拗に視線絡みつかせ襲う。
――端的に言えば、目立つから。
要は理由など無い。
夜光虫の如く輝きに群がる飛頭蛮は情け容赦なく視線で蒼を切りつける……!
だが歴戦ゆえの勘が、串刺しを逃れるだけの力を発揮していた。
数は多いが“浅く切られる”程度で留める臨機応変さと空中戦への知識、そこから得た風を扱う知恵が飛頭蛮の視線を遮り、エトヴァの身を守り続ける。
「っ、ぐ……!」
『怨怨怨!』
『あは、はははは!』
“――冷静になれ”と羽搏きで飛頭蛮翻弄しながら、エトヴァは考える。
襲い来るそれらに規則性は無く、統括された痕跡も無。そして――“数を減らそうと実感が湧きにくい”ではないか!
「(明らかに数打ちの有象無象。道真公が作っている……?)」
空駆けながら感じたのは“この場に統括者がいない”ということ。
輝き目立ったことで、囲まれはしたが収穫はあった。八方覆い来た飛頭蛮を振り払うように光輪で斬り空泳ぎ見えぬ道真公を探し続ける。
これほど駒の飛頭蛮が恨みを映しているのだ。必ず――!
と、下を見た時だ。
煙草吹かしたエルフリーデがエトヴァに地面示し――“下へ”、とわらった。
『怨――』
『この恨み晴らさでおくべきか!』
『おのれえぇぇ!』
迫る飛頭蛮を背に、エトヴァは展開した魔力障壁を足場に真っ直ぐ地面へ向け飛ぶ。
地面スレスレで障壁をクッションに前転の要領で仰いだ空に文様燃える魔法陣――エルフリーデが織り上げるは陽光!
空気がふるえる。
奔る火は炎となり焔へ。
集う輝きが夜を穿つ!!
「眩く輝く朝焼けのように――黄金色に染め上げろ!」
バラドクス―Morgenschein ist golden―!
「さてさて。どの程度燃え尽きたかな、ッと」
戦場は此処だけではない。が、全ては観測だ。時ある今こそ残骸を確かめる。
第二陣が来る前に……。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
一角・實生
◎
この場所が湛えていた厳かな空気を取り戻す為にも
正しい歴史を取り戻す為にも
本戦前のこの戦いは重要なものとなる、気を引き締めて行こう
飛んでいるものを撃ち落とすのは得意なんだ
空中戦の戦闘知識を生かしグラナトゥムで敵を銃撃していく
貫通撃でまとめて狙撃し体勢を――いや頭勢かな?――崩し仲間が攻撃しやすいように
この地の残留思念とはどのようなものだろう
浄化の力をのせてパラドクスを発動し敵を焼くよ
即席の光源にもなるその力で敵の突進の軌道を読み、回避へ繋げたい
復讐者だという以外にも――父が日系人だから
きっとこの戦いはそういう意味でも俺に繋がっている
余力を残し撤退したいな
パラドクス通信で報告し合い、同時に退こう
モロク・アルデバラン
◎
狩られぬように狩れ、であるな。骨の折れる戦いなのだ。
だが、やれぬとは言わぬ。やらねばならぬのだ。
さて電撃も氷雪も闇雲に撃ち続けていれば、いずれジリ貧である。
一気に攻め立てる。目には目を。数には数を
故にパラドクス【アポリオン】に頼るとしよう
【飛翔】を駆使してとにかく動き続け、詠唱中に囲まれぬよう立ち回る
接近された場合は『ステューパ』の【結界術】で緊急防御
パラドクスの蝗には敵の目を狙うように指示
視線さえ奪えば敵の戦力も落ち、【不意打ち】も通るかもしれぬ。口も塞げればなお良いが、敵の数次第であるな
眷属よ、邪気共を食らいつくすのだ
無論、限度はある
蝗の群れが押し込まれる気配があれば、潮時と考える
●真夜中狩猟譚
ふと、パラドクストレインで知った顔と目が合ったから。
グラナトゥムの方針先端に哭戒を取り付けながら一角・實生(深潭鷲・g00995)がスコープを覗き、心を口にすれば。
「この場所が本来持っていたはずの空気を取り戻す為にも、正しい歴史を取り戻す為にも、」
「狩られぬように狩らねばならぬ。骨の折れる戦いなのだ」
真夜中の温い風に白布――靡いたグトゥラを整え止め輪のアガルを整えたモロク・アルデバラン(誇り高き砂暮らし・g01160)が顎を擦った。
ふと指先に絡めた電撃と氷雪の魔術に目を細めながら、モロクは瞳滑らせ實生を見る。
「――實生殿、球数無ければいずれはジリ貧、とは思わんかね?」
「そうだね、アルデバランさんもそう思うのかい?でも……」
實生の視線が空へ向かえば、我が物顔で夜空を飛び回る飛頭蛮の数は恐らく果ては無い。だが、全てにおいて球数には限度がある。
土台から不利な戦いなど重々承知。
だが――“やめる選択肢などあり得ない”!
「吾輩の術式が押され次第潮時とするのはどうであるか?」
「いいね、できれば俺の弾丸が残っている内ばベストだけど、どうだい?」
實生の銃口が空を仰ぎ、モロクが爪先で中空に描く魔法陣が輝かせる二人は気付けば背中合わせ。
「目には目を、数には数としよう!」
「撃ち落とすのは得意でね――!」
モロクの魔力に応えた悪魔召喚、パラドクス―アポリオンアポカリプス―で召喚された蝗の群れが飛頭蛮と争うように空を埋める傍ら、パラドクス―標厳つ霊―の一射は白き浄化稲妻となり丑三つ時の怪異を貫いた。
そこからは一種混戦に近しいほど戦場は入り乱れる。
蝗の群れ抜けた個体を實生が即時グラナトゥムで撃ち落とし、實生の死角をモロクが高速詠唱で織り成した電撃で撃ち落とす。
『ああああああ、ああ、ははは!』
『怨怨、怨!』
視線突き刺し蝗振り払う個体の額に風穴。
「っ、中々減ら無いね……!」
「そうであるなぁ……!」
實生の翼喰らわんと突貫した首が凍て落ちた。
肩で、息をする。
實生は常に気を張り打ち漏らしが無いように、モロクは蝗が大群になればなるほどの術式 的な負荷と合わせもとより仲介する悪魔との不仲を治め戦うからこその負荷。
チリチリと奔る緊張感が肌を毛羽立てた、その時。
『我が恨み晴らさでおくべきか――!』
「アルデバランさんっ――!」
「っ、下がれ!」
木々の間から飛び出した飛頭蛮を避けられたのは咄嗟に張れた結界のお陰だろう。
モロクの呼びかけで咄嗟に転がり避けた實生の無事を横目に、再度突貫する飛頭蛮を氷雪の魔術で撃ち落とした時、振り返ったモロクの視界に――“牙”。
ヒュウ、と喉が鳴る。
『怨怨怨怨怨怨!』
「……っ、!」
「――動かないで」
耳を掠めたのは常の柔らかさを忘れ去った様な冷えた声。
言葉通りに全てを信じ身動ぎ一つしなかったモロクの横突き抜けた白き稲妻の一射が迫る飛頭蛮を射落とした。
既にいくつもの飛頭蛮に食いつき蝕み続けた蝗の群れが徐々に食われ押され始めている。
風穴を開けほとんどを一撃の元に屠り続けた飛頭蛮はこと切れどろりと溶け消えた。
「……潮時である」
「なら最後は派手に行こうか」
夜空に銃口向け言い放った實生の言葉に、声押し殺し笑ったモロクの爪先が空を指す。
實生がバラドクス 標厳つ霊でか細い糸辿り着けたのは蕩けた飛頭蛮のもの。
生み出され量産された成れの果て。嘆けど救われぬこころ。
さびしい。
さびしい。
寂しい。
ゆっくりと瞼押し上げた碧が織り成すは紺青と白絡み合う“光”。
同じく幾重にも重ねた詠唱の果て、モロクが指先に電撃纏う雪の魔力を留めた。
「串刺しが出来るのが自分だけだと思わないことだね……!」
「――邪気を喰らうとするである」
二つの稲妻が白んだ空に奔る。
爆ぜる光の余韻と、相応の戦果と確実な電撃戦の成功を残して。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
嵐魔・京史郎
ウワーッ!きしょい!実に気色悪い!その上不気味である!
鬼の形相で飛んでくる生首は確実に夢に出るぞ!
…と、取り乱してしまったが一旦落ち着こうか…
さて、妖怪飛頭蛮の群れ、間違いなく戦争の邪魔になる!ここで数を減らせば後々楽にはなるであろう!
今のうちに【炸裂追尾ミサイル「カトンボ17号」】で撃ち墜としてやろう!【フライトドローン】を駆使すれば的確な爆撃を浴びせられる!
クハハハハ!吾輩の科学力に平伏すがいい!
連携アドリブ歓迎である
九十九・静梨
※アドリブ・連携歓迎
凄まじい怨みの念ですわね
新宿島の時代でもその名前は知る人ぞ知ると言われてましたわね
学問の影はみるまでも無し
その怨が戦国に行く前に止める為にもまずは削ぎましょう
パラドクスを発動
更に【照明】を発動し暗闇による不利を消しましょう
続いて足元をパラドクス効果で◆爆破しそれを推進に敵へと◆突撃
同時に雷気大槍で明るさに戸惑う敵を◆薙ぎ払い
奇襲と筋肉による派手で大きな動きで注目を集めつつ◆攪乱しますわ
反撃で影を喰おうとしてきたら
踏みつけで流し込んだ闘気を影のある地面に伝い爆破
カウンターで◆吹き飛ばし
そこをすかさず拳の◆強打で追撃
味方の被害拡大か道真登場で
味方を援護し爆破で攪乱しながら撤退
●悪魔之筋肉科学譚
『怨!』
猫背気味に纏う白衣を靡かせた嵐魔・京史郎(虹色眼鏡サイエンティスト・g04327)が夜空を仰ぎ開口一番、叫ぶ。
「ウ、ウワーッ!きしょい!実に気色悪い!その上不気味である!」
「凄まじい怨みの念ですわね」
イヤー!と声上げた京史郎の横、倣って空仰いだ九十九・静梨(魔闘筋嬢・g01741)は少女のソプラノながらひどく冷静に事実を口にした。
「鬼の形相で飛んでくる生首……確実に夢に出るぞ!」
ひい!と自身を抱きしめ震えた京史郎と相対するように、軽く体を解し肩を回した静梨が紅玉の瞳を瞬かせ小首を傾げる。
「あなた、新宿島の時代でもその名前は知る人ぞ知ると言われている彼の学問のお方のことはご存じですの?」
「聞いたことはあるが……吾輩とて、あんなきしょい飛頭蛮の群れを扱っているなんて予想外であるっ!」
不思議と噛みあう二人の会話はテンポよく、なんやかんや言いながら不思議なスイッチをポケットから取り出し、言葉と裏腹に一切震えの無い指先で持つ京史郎の姿に静梨は肩に掛かった金髪を払い、瞳を弓形に笑む。
「彼の怨が戦国に行く前に止める為にもまずは削ぎましょう――準備はよろしくて?」
「勿論である。吾輩の科学力に平伏させてやるのである!」
「ええ。――九十九家家訓!『やるときは派手にすべし』!我が筋肉に宿りし闘気!」
朗らかに頷いていたはずの少女 静梨が橙色の炎にも似た闘気を纏うや、この暗がりでは一見して黒のワンピースに見えていたデモニックマッスルスーツの下の|筋肉《マッスル》が膨張する。
パラドクス―闘筋技・闘筋大爆破―!
ちなみに突然の|筋肉《マッスル》に並び立っていた京史郎は瓶底眼鏡の下、二桁回ほど瞬きした。
「ひょひえ」
「まき起こすはド派手な爆発でしてよ!」
ドンッ!とジャンプ一つで石畳を放射状に割り空へ飛び立った静梨は知らない。今更ボタンに添えた京史郎の指先が震えていたことと、爆風の余波でちょっともやし気味な京史郎がよろめいたなんて。
『あはははは!』
「あなた、煩くってよぉ?」
『ギャッ』
|ジャンプ《飛翔》しいっそ太陽の如く輝く静梨は飛び様、眼前の飛頭蛮の顎を膝で蹴り上げるや踏み台に、引き抜いたデモニックスピリッツランス『雷気大槍』を手に牙を剥いた。
『怨、怨』
『この恨み――』
「遅いでしょ」
それは嵐が如く。
筋肉の躍動に恍惚な表情と裏腹に凶悪な振る舞いは飛頭蛮を寄せ集めるには十分。
次々飛頭蛮を殴りつけ蹴りつけ、時に電気大槍を軽々揮うその下で、呆気に取られていた京史郎がハッとして眼鏡をかけ直す。
「い、いいいいやいやいくら吾輩とて驚きましたぞ突然のマッスル」
しかも眩しい。
なんかめっちゃ圧倒されてる。気持ちの面積的な意味で。
「さて、妖怪飛頭蛮の群れ、間違いなく戦争の邪魔になる!」
ほほほ!と高飛車な笑いと飛頭蛮の悲鳴をBGMに京史郎が大真面目に叫ぶ。
事実、ここである程度数を減らさねば手間が増える。何せ今回の戦争は時間との戦いだ。省けるものは省きたいし、今除ける者は今除きたい。
「今のうちに吾輩の科学力で撃ち墜としてやろう!」
『あはははは!』
『怨、怨怨怨!』
叫ぶ京史郎に気が付いた飛頭蛮がギラつく視線隠さず突進する!
「――吾輩に近寄る事など出来んぞ!カトンボ17号を食らうがいい!」
パラドクス―炸裂追尾ミサイル「カトンボ17号」―。
クハハハハ!!とご機嫌な笑い声も加えそれこそ一帯飛頭蛮が指折り数えられる勢いになるほど科学的爆発と筋肉的爆発が飛び交った。
飛頭蛮、京史郎、静梨――と一怪異と二人の笑い声が真夜中に響き渡る。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
田淵・あゆみ
◎
東風吹かば匂いおこせよ梅の花…(小声で一節吟じて、一番初めに習った吟詠だったと思い出す)
この詩好きなのに、怨念の塊みたいになっちまってんのかよ天神さん。
飛翔使わせてもらって突っ込むよ
上から急降下して【絶望シャウト】で衝撃波を放ちながら突っ切るように動く
こちらに気を取られて群れの動きが乱れれば良し
深追いはしない、一撃与えてそのまま突き抜けて離脱、を繰り返す
反撃は連撃やダンスなどで緩急をつけて飛ぶことでかわし、最悪急所は避けるように動く
仲間と連絡連携、状況は把握しながら動くよ
囲まれそうになる、負傷が重なるなど動きが鈍くなりそうなら即退却
ライカ・ネイバー
連携アドリブ大歓迎
(戦闘中はダッシュ、ジャンプ、空中戦、地形の利用で常に走り回ります)
ああ忙しい忙しい、猫の手も借りたい気分ですね〜
わたしは犬の方が好きですけど。
んじゃ始めますか〜!
ここだけに時間も割けませんし手っ取り早くやりましょ
『改変:神行法向』発動〜
こっちも【飛翔】してお相手しますねぇ
ガッと加速してすれ違い様に射撃あんど斬撃で叩き潰しまーす
三次元軌道で【フェイント】を入れながら、ノンストップで狩っていきますね〜
向こうの突進は予兆を確認
急加速と急停止を上手く使って躱しましょ
無理そうなら剣でガードしておきますか
数が増えすぎた辺りで逃げの一手と
そのまま飛んで撤退しますねぇ
あでぃおすあみ〜ご〜
●真夜中舞踏空襲譚
「東風吹かば匂いおこせよ梅の花……結構好きだったぜ、これ、一番初めに習った吟詠だったんだ」
怨念の底へ堕ち行く天神の影法師。
捻じ曲げられた歴史とは知りながら、こみ上げる遣る瀬無さに田淵・あゆみ(人間のサウンドソルジャー・g06882)は胸元を握った。
だがこれは電撃の前哨戦、止まっている暇など無い。――好き“だった”からこそ“取り戻す”為に!
吹いた真夜中の温い風ごと斬り飛ばす。
「ああ忙しい忙しい」
『ギャッ』
『怨おん!?』
「ああ、もう猫の手も借りたい気分ですね~……っと!」
ギャア、と響く悲鳴を足場にライカ・ネイバー(エクストリームお手伝い・g06433)は飛ぶように駆ける――し、実際この地に降り立ってからライカは「んじゃ始めますか~!」と微笑み浮かべて以降――ただの一度も、離宮八幡宮の地面に足を付けていない。
手近な大木を鼻歌歌いながら駆け上がり蹴り出すと、ひどく軽やかに飛頭蛮を踏みつけては抜き打った回転刃で斬り続けている。
パラドクス―改変:神行法向―!
「よ、っと!」
『このうら、』
「はあい、お静かに~」
口開いた飛頭蛮の顎から上と下へと別れてしまう。
突貫した飛頭蛮が大口開けて食い付いたその刃は回転式。
『アッァ、が、ギギャッ!』
「っつ、時間は割いていられませんのでぇ」
ィィィイイ、と低い駆動音響かせる回転刃こと鎖刃剣『クリムゾン・ハウンド』を振り抜き斬る。
傍目に見て、ライカの戦い方は酷く器用なものであった。
木を蹴り出し飛頭蛮を踏み潰し様跳ねて以降、ジャンプの勢いでダッシュし反転、突貫してきた飛頭蛮に鎖刃剣を突き刺し、刺された慣性に従い反転し落ち行こうとするソレを踏みつけ一段上へ。上から降るように襲い来た次の頭へ、抜き様の刃不意打つように突き刺し、足を掛け飛び上がり更に上へ。
翼無き空中戦――いっそ地形利用戦闘の神髄に近しいその動きはノンストップ!
ヒュウ、と吹いた口笛はテンポよく戦うライカ見上げたあゆみのもの。
「いいね……俺、乗り遅れちゃダメなんじゃねぇの?」
徐々にライカの周りにまとわりつき始めた飛頭蛮の群れへ走り出す。
『あはははは!』
玉砂利踏んだあゆみに気付き、その外郭に居た一匹が飛んで来たことを幸いと、踏み出したあゆみの8ホールがその鼻っ面を踏み抜き飛び上がる!
『この恨み晴らさでおくべきか』
『怨怨、ギャア!』
支えるように効果齎す“飛翔”の力も相俟って階段駆け上がるようにあゆみはゆく。
「なあ、ちょっと一曲いいか?」
「もちろん!犬派のわたしだって猫の手を借りたい気分ですから~」
ライカに声掛ければ返って来たのは囲まれ苦境の中にあっても、笑顔。
互いにディアボロスだ。こんな真夜中、化け物の群れに飛び込む“人”などいやしない。
「じゃあ、とびきりのナンバーだ!――さぁ、踊ろうぜ!」
手に馴染むSM58のマイクスタンド蹴り起こし月明かりの下叫べ!
パラドクス―絶望シャウト―!
形も声も無い。裡から砕く衝撃の稲妻奔る最高のナンバー。
『ッ、い、ギィ!?』
『あああああああああ!!』
濁った飛頭蛮の悲鳴をあゆみはイヤホン、ライカはヘッドホンで聞こえないフリ。ある程度撃ち落としたが、二人を取り囲む中央の層が落ちただけ。にじり寄るように迫る中層第二陣へあゆみがシャウトする中、他の飛頭蛮を踏み潰したライカが叫ぶ。
「後ろ、視線来ます!」
「っ、うぁ」
ほんの僅かな間。
ライカの射撃が撃ち落とすその直前、あゆみの背中が浅く切られた。
息を吐き出すのも束の間、ハッと顔上げた歩みが叫ぶ。
「――そのまま真後ろを撃て!」
「っ、!」
間一髪。
口開け食らい付こうとした飛頭蛮が落ちる。
――潮時。
「カーテンコールだ」
「そうですねぇ、あでぃおすあみ~ご~」
そのままあゆみのシャウトで飛頭蛮蹴散らし、残りをライカの射撃が落とし、真っ直ぐ背を向け二人は群れを駆け抜ける。
月明かりのゲリラダンスライブはこれにて閉幕。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【アヴォイド】LV1が発生!
御森・白露
◎
恨み節が響いておるのう。五月蝿くて敵わんわ。
のう?真輝殿(g04665)よ。
うーむ、うじゃうじゃと飛び回っておるな。
やろうと思えばここから届かせられぬでもないが……
やはり近くに行く方が良かろうよ。跳べい真輝殿!
片膝をついて身体を固定、衝撃に備えて真輝殿の踏み台となる。というか引っ込みおったなあ奴……
空に飛んだ真輝殿を援護するように【五ノ刻】を発動、闇の刃にて周囲の飛頭蛮の視界を奪いつつ撃ち落とす。
落ちてくる真輝殿は空中で確保、そのまま【エアライド】で着地し、撤退するとしようか。
帰るまでが依頼じゃからのう。くはは!
矢木・真輝
※アドリブ・連携歓迎
白露(g05193)と、一緒。
(やや震えながら、白露にしがみつくようにしながら真夜中の戦場へと向かう)
……っ!
(敵を見るなりびくりと跳ねて)
※のんびり屋モードからオーラモードへ切替
……結局俺がやんのかよ。
まぁいいか。こんな奴らさっさとぶっ潰して帰ろうぜ。
浮いてやがるのはちと面倒だが……白露、肩借りんぞ!
白露を踏み台にして敵に接近、尾を叩き付けるように【両断】。
串刺しねぇ……お望みなら【貫通撃】でぶっ刺してやらぁ。
●白銀昇狐月譚
『怨、怨怨』
『はは、あははは!』
『この恨み晴らさでおくべきか――!』
「うーむ、うじゃうじゃと飛び回っておるな」
真夜中、風切って空中飛び回る飛頭蛮に御森・白露(放浪する転寝狐・g05193)がうっとうしそうに眉顰める隣。
おどろおどろしい離宮八幡宮の空気に尾を抱え、夜風が木々を騒めかせる度白露にしがみ付いていた矢木・真輝(風を奏でる放浪者・g04665)が、叫ぶように我が物顔で夜飛び回る飛頭蛮に肩を震わせたのも、一度だけ。
なにせ、“いいこと”を思いついたようにニヤリと笑った白露が肩を叩いたのだ。
「やろうと思えば――まあ、ここから届かせられぬでもない。が……やはり近くに行く方が良かろうよ」
「え」
「遠慮するな、跳べい真輝殿!」
嘘だろとか何でとかどうしてとか、まず聞かれない。
せめて近付いてみないか?という提案であれば――と夜空を見ていたはずの瞳が遠くなった真輝の口元が、隣を見た瞬間引きつる。
“さあ!”と言わんばかりに膝をつき、片膝をついて嬉々として肩を叩く白露が居たから。
「……結局俺がやんのかよ」
のんびり怖がっている暇はない。
髪を掻き混ぜ溜息一つ。ゆっくりと瞼上げた真輝の瞳は、月より鮮やかに輝いていた。
『あははは!』
笑い飛ぶ飛頭蛮。
幾つも聞こえる戦闘の音。
――それでも、数の減りは目覚ましくはない。
震わせた白銀の狐耳と視覚から得られた断片的な情報をザッと統合すれば簡単な答えだけが出た。
迷っている暇がないなら、やるべきはただ一つ。
「まぁ……いいか。こんな奴ら、さっさとぶっ潰して帰ろうぜ!」
「勿論じゃ」
上げた口角が揃えたように口元に弓形月を描く。
真夜中の温い風の中、朗々とうたおう。
「これは、ヒトならざるモノ、妖の獣。この身に纏いし魔力の源」
距離取ってから駆け寄った真輝の足が軽やかに白露の肩を足場に、迫っていた飛頭蛮を踏みつけ真輝はうたう。
『ギ、ぃッ』
「……この片鱗を、味わわせてやる」
パラドクス―妖獣の禍魔衣―!
踏み込んだ右足で飛頭蛮の顔踏み潰し、一歩進む要領で飛び上がって叩きつけた赤きオーラ纏う尾は壮絶な切れ味で骨ごと飛頭蛮を斬り伏せた。
そこからバク転のように尾を振り抜いた勢い殺さず、飛んで来た飛頭蛮を次の足場に。貫き潰しては真っ二つに断ち、踊るように苛烈な戦い繰り広げている。
パンッ、と肩と膝を払い立ち上がった白露は此処に来るまで尾を抱え怯えていた真輝が脳裏に過り、ふっと口元を緩めた。
「引っ込みおったなあ奴……――さぁて、我も始めるかのう」
描く呪詛は夏の大輪より鮮やかに。重ね重ねて八重咲の――……。
ぼう、と真夜中照らす呪詛陣の輝きにハッとした真輝が勢いよく飛頭蛮を蹴り出し空中へ身を躍らせた瞬間、逆さ雨が如く刃が降る!
パラドクス―月玲燐殿・五ノ刻 鈞天儀・十六夜―!
『この恨み晴らさでおくべ、き、ぃ――?』
「玻璃の刃とて侮るなよ?首を掻き斬るには充分よ」
急降下し視線で切り裂こうとしたいくつも飛頭蛮を貫いては砕けゆく儚き刃が、月明かりに照らされ雨のよう。
太い幹に着地し再び飛頭蛮へ飛び掛かる真輝が再び突然の逆さ刃雨に気を取られた隙を突くように赤く七支刀にも似た姿象った尾を振り飛頭蛮を圧倒する。
交差する赤と青は月だけが見つめる夜を炎と氷のように輝いた。
その力は八方から後詰の飛頭蛮が襲い来るまで。
「真輝殿!」
「っ、白露!」
徐々に突き刺さる視線が、掠めた鬼の牙がじくじくと痛み始めた頃、バランスを崩した真輝を白露が受け止めた瞬間が頃合いだった。
「悪ぃ、」
「なに、問題は無い。帰るまでが依頼じゃからのう。くはは!」
恨み節など聞く暇も無い。
林へ飛び込み煙に巻くように早駆け撤退を。
生きてこそ、成せる“続き”があるのだから――!
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【狐変身】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
竜城・陸
◎
――怨霊と畏れられ、神とも崇められる者、か
過去の自分も一歩間違えばああいうものになっていたと思うと、ぞっとしないな
【飛翔】の恩恵で上空へ
後方、戦場を俯瞰するように位置し
敵軍全体の動きを逐次把握しながら戦うよ
周囲の味方と声を掛け合い連携し
突出・孤立する方の出ぬように心がけよう
我が身より生じた光より、創出した武具を投擲することで攻手と為す
味方と息を合わせ、確実に敵の数を減らすよう心掛けるね
次々と新手が来るだろうから、応戦しつつも引き際は見誤らぬよう
必要なのは敵を全滅させることではなく
来るべき戦に備え、敵軍を少しでも摩耗させることだ
対処困難なほどに敵数が増える前に
皆と連携し、撤退をはかるとするよ
伏見・しろがね
アドリブ・連携可
「盲亀の浮木、優曇華の花待ちたること久し、此処で逢うたが百年目!」
と、復讐心に燃えてはいたが、道真公のあの様子を見てすっかり落ち着いてしもうたわ。
まさに正気を失っておるわい。
いつでも凛とした佇まいを崩さなかったあの者がああなるとはのう。
本物もあれほど脆ければまだやりやすかったのじゃが。
刀術(【斬撃】)の腕前は一般人の達人並みですが、刀を使う復讐者と比べると少しだけ見劣りするレベルですので、戦闘は刀(小狐丸白銀)、狐火(幻術)、クダギツネ、九尾(【貫通撃】)、ハッタリ(【挑発】)、騙し討ち(【フェイント】)を組み合わせた、狐らしい戦い方(【不意討ち】)をします。
●神威の片鱗を振り払う
「盲亀の浮木、優曇華の花待ちたること久し、此処で逢うたが百年目!――と言うのはまだ先じゃな」
伏見・しろがね(鬼斬り稲荷🦊・g01292)の脳裏を過るのは、パラドクストレイン内でみた、ジェネラル級クロノヴェーダ “菅原道真”の姿。
怨恨に塗れ、憐れにも……いっそ酷い様相であったかの天神。
当然、捻じ曲げられた歴史から一滴堕ちた影法師だ。現実ではない。
「……ああ、随分とやりにくいものよ」
“逆にわらわの方が落ち着いてしもうたわ!”としろがねが眉間に皺寄せ腕組んだまま夜空仰げば、飛頭蛮が我が物顔。
月明かりの下、淡く照らされたプラチナの毛並みが夜風に揺れる横で、海色鱗が月光を照り返す。
長く影伸ばす長身――竜城・陸(蒼海番長・g01002)が、掛けていた眼鏡をケースに収めて呟いた。
「――怨霊と畏れられ、神とも崇められる者」
「じゃが今は堕ちてしもうとるのう」
離宮八幡宮の圧へ呟かれた言葉へしろがねがむすりと返事をすれば“そうですね”と困ったようなな笑顔が返る。
全ては“歪な歴史”。
本来在らざる者――!
取り戻さなければ進めない!取り戻さねば戻れない!
「――俺は空へ」
「よかろう、わらわは管と共に下より追い詰めよう」
陸の竜翼が空気を抱き空へ舞うと同時、しろがねの指先が印を組む。
狐に遊んだ手でこんこん頷き放つは、今宵青白き狐の焔。
「正気を失ったものの配下など知れたもの――!」
『……!』
『怨怨怨怨怨、お、!?』
燃やせ焼き切れ塵と成れ、気付き突貫し視線で貫かんとする鬼首など恐れてなるものか!
ハッタリ程度で引ける雑兵――ようは“菅原道真公のご自慢の知恵”の恩恵御受けてはいない!
「はは、何――わらわと遊んでおくれ。貴様らが死すまでで良いは」
どうせ些末な時間じゃろうて――と、しろがねが九重の尾震わせ放つはパラドクス―狐火眩惑光―!
『この恨み晴らさでおくべ、きギャッ』
『あ、あははははははは!』
わらう飛頭蛮の不快なこと。
上から襲い来る鬼首へ狐火で目つぶしをしていた時、横から降り来る影。
「っ、……なに!」
『怨』
明らかにしろがねの首狙った視線を躱し、肩斬られた程度で収められたことは幸運だろう。
「――くろがね!」
向けた竹筒より飛び出した狐が食らいつき、頭蓋ごと頭を噛み砕くのを見届ける前に、囲まれぬようしろがねは走りだす。
「止まってはならぬか。厳しいものよな」
一方、上空において他の猟兵達が重ねた飛翔、エアライドが陸を支えていた。
月光下でも煌めく鱗が目立つのだろう、すぐに襲い来た飛頭蛮を指先を向け陸は告げる。
「――行こうか」
パラドクス―Ildánach―!
それは光。
陸の本質であり世に置いて遍くものを照らす輝き。
初めから形など無く、終ぞ形を持たず。さりとて“名”をもつもの。
『怨怨怨怨怨!』
『この恨み晴らさでおくべきか!』
「(かの天人公は、僕だったかもしれない)」
向かってきた首の群れを一息に薙ぐ。
数の暴力を一刀に伏し、掠めた視線と牙の先に“まだ戦える”と確信持ちながら、第二陣へと空蹴って。
見下ろしたしろがねの一瞬のピンチも相棒のクダギツネと共に軽やかに切り抜ける小柄なしろがねの姿にホッとしながら、光で生成した鏢を投擲する。
『怨怨お、ん˝っ!?』
「本当に……――ぞっとしないな」
天神と崇められた可能性をもつひとが、ああも陰陽師の掌で転がされるとは。陸にとっては不思議ではあったのだ。
しかしここは平安鬼妖地獄変。真の平安ではないのだ。
だからこそ、此度の引鉄引いた安倍晴明の口が上手いのか、それとも歪んだ歴史の菅原道真公が至らなかったのか。それとも、それが“歪んだ歴史”の定めだったのか。
「(わからない。けれど、)」
きっとこの戦を終わらせ、蓋を開ければ仕掛けも見えることだろう。
払い払って、頬掠めた鬼の牙ごと飛頭蛮を真っ二つ。
摩耗させなければ。
この電撃戦は未だ前哨戦なのだから――!!
ほたほたと落ちる血は紅梅が如く。ボンッ!と合図の如く下から飛ばされた鬼火が“潮時”を告げたのを見て、最後に陸が擲つは箒星が如き光の投擲槍!
「――また会いましょう。その時は、必ず!」
「いつか、真に相俟みえたならばのう!」
光に惹かれ、狐火に惑わせ飛頭蛮の群れを離脱する。
崩した群れの数は総じて多くも、生み出される有象無象は限りなく。
全てが無事に帰還し、収集した現実が歪な過去を割り裂くカギとなる――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV3になった!
【照明】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【反撃アップ】LV1が発生!