リプレイ
百鬼・運命
「敵に結構な数もいるし、力づくで押し返すよりは誘導したほうがよさそうだな」
ショーディは判断能力が低くて争いの音、光、炎に向かえと命令されている。なら品川区側でそういうのが起これば素直にそちらに向かうはず。
発煙筒と爆発物などを大量に用意。現地についたら港区と品川区周辺でマンホールを通って地下下水道へ。
「まるでどこぞの戦争映画みたいだ」
匂い対策に酸素マスク。
下水道は川へつながっているので、障害物を腐食で破壊しつつ、水の流れに沿って品川区目黒川まで移動
下水道を使ったとばれないように慎重に外の様子を伺い外へ、出口から少し離れた一般市民に迷惑にならない場所で爆発物と発煙筒を使いショーディをおびき寄せる
結島・詩葉芭
「せんぱいディアボロスさんたちが、のこしてくれたもの。しっかり、うけつがなくては、ですね」
事件についてこう感じ、クロノヴェーダを赦さずディアボロスとして解決を目指します
「①【攻略旅団】大天使の軍勢を押し返す」に挑戦し、有効そうであればパラドクス「園芸魔法(エンゲイマホウ)」を使って、遠くからも見えるよう、高い建物に蔓を這わせたり光らせたりして、悪魔の派手な戦いが起きているように演出。新宿区へ誘導します
他のディアボロスが有利になるように行動し、連携できそうなら、作戦の足りない部分を補う形で助力します
最大の目的は、この事件の解決で、そのためならばある程度の怪我や些細な失敗はやむを得ないものとします
●地下を超えて
暗黒の中、僅かな光と共に進む二つの人影があった。
数人が並べるほどの大きさの空間――そこは地下であった。大型の下水道である。
しばらく使われていないのか、乾いた腐敗臭、じっとりとした暑さが汗を滴らせ、乾ききっていない汚物が、時折足元を不快に滑らせる。
と、やや先行する百鬼・運命(人間の鬼狩人・g03078)が、肩ほどの高さに分岐した一回り細い下水道を睨むと、
「これだな、ちょいと高いか」
後ろの連れに向かい、酸素マスク越しに、くぐもった声で話しかけた。
運命は20歳。飄々とした態度を常に崩さないが、漆黒の瞳は常に強い意思の光を失わない男だ。
背の大太刀とバックパックを背負い直すと、
「ほらっ」
傍らへと両手を差し伸べる。
「……」
言われた結島・詩葉芭(インセクティアの神算軍師・g02796)。常には変わらない表情に僅かに朱がさすも、小さく頷いた。
詩葉芭は6歳。薄く入れた紅茶色の髪に、碧眼の少女――いや、幼女というべきか。
自力で登ることもできるだろうが、運命の腰をやや超える程度の身長では、全身が汚れるのは避けられない。
詩葉芭が運命に抱き上げられ、続いて運命も両手で自身を引き上げ、枝の下水道へと這い上がる。
運命が、汚れに濡れた手を顔を顰めながら見つめ、
「最近使われた跡がある、こっちが品川区で間違いないな……って」
と、そこまで言いかけて、傍らの詩葉芭の何か言いたげな視線に気づいた。
「どうした?」
「ありがとう、です」
「……どういたしまして」
小さく笑い合い、それから頷くと。先を急ぎ、再び歩き始めた。
それは運命の一言で始まった。
「敵に結構な数もいるし、力づくで押し返すよりは誘導したほうがよさそうだな」
そう言って、提案した運命の策。
港区側から品川区側へ下水道で侵入し、判断能力が低く、争いの音、光、炎に向かえと命令されたショディーたちを誘導するのが狙いだ。
一方、詩葉芭は高い建物へ目立つパラドクスで攻撃し、やはり誘導することを考えていた。
結果、雑居ビル街である品川区内が望ましいだろう、と詩葉芭も同行していたのだ。
――品川区、目黒川。
コンクリート護岸の一角に黒々と開いた下水道。出口を覆う金属製の格子が僅かに震えた。その向こうには影に潜む運命と詩葉芭の姿。
周囲の様子をうかがっていた運命が、彼のオリジナル・パラドクス『神蝕呪刃』の腐食で脆くした格子を慎重に外す。
「まるでどこぞの戦争映画みたいだ」
言うなり、まず運命が岸に這い上がり、手伝われて詩葉芭が続く。
静かだ。
雑居ビル街の一角。港区側とは違い、一見、以前のままの東京のようにも見える。
だが、日中のこの時間ならば常に走っていただろう車の走行音はかすかに聞こえるだけだ。周囲にひとけも無い。近くのビルも都合よく無人のようだ。
運命が手早く発炎筒と爆発物の準備を終えると、詩葉芭へと強く頷いた。すかさず詩葉芭がオリジナル・パラドクス『園芸魔法』(エンゲイマホウ)を発動させるべく、目を閉じ、精神を集中する。
その脳裏に、港区の人たち、敗れたディアボロスの運命がよぎる。
(「せんぱいディアボロスさんたちが、のこしてくれたもの。しっかり、うけつがなくては」)
次の瞬間、目を見開き。
詩葉芭は力ある言葉を解き放った。
「……何です?」
今まさにショディーたちを率い、進軍を開始しようとしていたガブリベルが訝しげな声を上げた。
彼らの背後、品川区側のビル街の一角から突然、爆発音と灰色の煙が上がったのだ。
さらには、ビルの上層に光輝く植物が絡みつき、窓ガラスがひび割れ、割れたガラスが砕け落ちるのが見える。
途端に反応したショディーたちが、一斉にそちらへ向かい動き始める。
ガブリベルは僅かに逡巡するも、
「確認なさい。悪魔の仕業ならば、知らせるのです」
やはり放置はできない、と残ったショディーもすべて向かわせた。だが自分自身はその場にとどまる。
(「アークデーモンの攻撃? そんな余裕は港区には無いはず。ですが――」)
そこまで考えたガブリベルの思考を、戦闘音が断ち切った。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【腐食】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
木野宮・詩乃
だめ…一生懸命生きてる人を、傷つけるのも騙すのもダメ…
皆頑張って生きてる…だから守ります…私に出来ることをして…
大天使の軍勢の誘導…攻撃から誘導を試してみますね
『――接続、竜を狩る英雄の物語をここに』
敵天使を見つけ次第オーガスタスさんに襲撃をかけてもらう…
『その刃は竜を殺す、空を飛ぶ竜を殺す』
その後は歌と音で私の存在がバレるから…私を囮にして離れて貰います
勿論オーガスタさんが集中攻撃された場合も大丈夫…私が生きている限りは再生できる
『彼は地に這いずろうとも、血に塗れようとも瞼を閉じぬ、それは何故か』
私も歌いながら、演奏しながら、頑張って誘導する…
だって彼も私も……
『決して諦めぬ存在なのだから』
ベアトリス・リュウフワ
白かろうと黒かろうと、結局は飛び回る蝿と変わりありませんわ。
臣民の手に負えぬのであれば、わたくし自ら出向き、駆除して差し上げましょう。
どれだけ数を揃えようとも所詮はまがいもの。
【壁歩き】で軍勢の死角をつくように回り込み、側面を突くように――舞踏会を開催いたしましょう。
【剣撃】で雑兵の攻撃を弾き、首をはねますわ。
わたくしの崇高な精神――【勇気】を以てして、回避する動きも最小限に。
さすれば必然的に、反撃の隙が生まれるでしょう。
【ダンス】で鍛えた足取りを以てすれば、わたくしの動きを捉えることなど困難。
わたくしの芸術的で【挑発】的な舞踊を目にすれば、連中の動きもより分かりやすいものになるでしょう。
●強行、誘導
ショディーたちが品川区に入り、雑居ビルの間を抜けようとした時。
(「どれだけ数を揃えようとも所詮はまがいもの」)
ショディーたちの死角、右後背に立つ雑居ビルの壁面から、ベアトリス・リュウフワ(強欲と傲慢のミルフィーユ・g04591)が仕掛けた。
15歳の小柄な少女が、長剣と一体になって跳ぶ。黒髪が流れ、やはり黒のゴシックドレスが風に舞う。
まったく無防備だった先頭のショディーの首を一息に跳ね飛ばした。そのまま止まることなく流れるような剣筋のまま、気づいたショディーが反撃しようとするも、攻防一体の踏み込みで紙一重で避けざま、もう一体の腕を切り飛ばす。
「白かろうと黒かろうと、結局は飛び回る蝿と変わりありませんわ」
彼女の長剣――触れるものを蝕まんとする呪剣――をひと振りするや、構えた。それはベアトリスのオリジナル・パラドクス――『舞踊の剣』(コンテンポラリー・ダンス)。
「さあ、踊りましょう。その命、尽きるまで――」
言うなり、再びベアトリスが踊る。
不意打ちで開始された戦い。
数体であれば、押し切れたかもしれない。だが、即座に追加のショディーたちが集まってくる。そうなれば――。
「「「武装選択:Chaos Word」」」
新手のショディーたちが一斉に、クロノヴェーダを讃える言葉で唄う。次の瞬間、ベアトリスが強烈な頭痛を覚えた。まるで直接脳を引き裂くような痛み。僅かに舞が乱れ、ベアトリスの眼差しが険しさを帯びる。
ベアトリスの剣技は剣速と体裁きが全てだ。動きが鈍れば勝ち目はない。
その時、
「――接続、竜を狩る英雄の物語をここに」
力ある言葉が放たれ、ベアトリスの周りの空間が裂けた。直後、次元を越えて召喚された大剣が、水平に振りぬかれる。ベアトリスの周囲のショディーたちが一撃の元になぎ倒され、一体が崩れ落ちる。
ベアトリスの後方、そこに木野宮・詩乃(歌風一陣・g00875)が立つ。
詩乃の背丈を越える音叉槍――音響槍イルミンスールを踊るように振るった。重なる純音が戦いの楽曲と成して周囲を包むや、召喚された大剣の持ち手がベアトリスを庇うように現出する。
その名は『竜狩りの剣士:オーガスタス』――詩乃のオリジナル・パラドクス『音奏“竜狩りの蛮勇”』(ミューシカルム・ヘロス)だ。
魔力と楽曲で疑似召喚された英雄が、裂帛の気合を上げてショディーたちへ戦いを挑み、同時に詩乃が叫んだ。
「今ですっ!」
その機を逃さず、ベアトリスがショディーの攻囲を突破し、詩乃自身も振り返って走り始める。
しかも、歌いながら、だ。オーガスタスを可能な限り戦い続けさせる為に――だが。
走る詩乃の周囲の空間が次々と歪んだ。逆説連鎖戦の原則、それは絶対だ。攻撃すれば――。
「「「武装選択:Cheap Life」」」
ショディーたちがオーガスタスへと不可視の斬撃を一斉に撃ち放ち、同時にその攻撃の意思が空間を超え、走る詩乃へも襲い掛かった。
いくつかは魔力障壁が逸らしたが、左腕、右足が大きく切り裂かれ、血が舞う。黒髪も一房切り裂かれ、痛みに緑の瞳が揺れるも、構わず走り続ける。
元居た場所では、オーガスタスもまた無数の不可視の刃を浴び、血を滴らせながら尚戦い続けるのが見えた。
(「彼は地に這いずろうとも、血に塗れようとも瞼を閉じぬ」)
歌が続く限り。彼女の生ある限り。
それは何故か? だって、彼も私も……。
(「決して諦めぬ存在なのだから」)
距離を取っていたのが功を奏し、程なく射程範囲を脱出することに成功した。
その頃にはベアトリスとも合流し、頷き合うや、誘導を続けるべく今度こそ本格的に走り始める。
それを見届けたガブリベル、
(「あれはディアボロス……!? あの戦いで殺し尽くしたと聞いていましたが、生き残りがいたのですか」)
「……ショディーだけでは荷が重いですね。やむを得ません」
小さくため息をつくや、ばさりと翼が大きく羽ばたく。
澄んだ水晶の鐘の音と共にガブリベルが不埒者を排除するべく飛ぶ。港区から即座に品川区へと至り。
誘導が、成功した。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
ツィルニトラ・プリルヴィッツ
お年寄りを甚振って…これ以上の無体は許さないわ!
【飛翔】し竜翼翔破で悪魔達を●不意打ち
迎撃の大鎌の軌道を●戦闘知識で●観察し●看破し回避
ハルバードで確実に一体は仕留めるわ
一連の行動に伴う強風は●風使いの魔術で制御
農園を荒らさぬそよ風にまで軽減
いいわ、悪魔らしい振舞いをするならば、私は良き魔法の竜神としてこの人達を守護するまで (※只のドラゴニアン少女である)
指一本、手出しはさせない!
夫婦を背に●高速詠唱で風の弾丸を放ち悪魔達の接近を牽制
ねえ、どうしてこんな危険な場所で二人は農業をしてるのかしら?
(事情は時先案内人から聞いてるけど…二人の口から出た言葉と感情を知ることは後で役に立つ筈…)
雛並・ひなみ
だめだよ…だめ
そんなこと、させないから
おじいさん、おばあさん、私たちの後ろに居てね…
ここで死のうなんて絶対だめ…
【初富】で、おじいさんとおばあさんに危害を加えそうな個体から順に撃破して寄せ付けないよ
【飛翔】を使えば、前後左右だけじゃなく、上下の幅も守備範囲に加えられるんじゃないかなって
発生している効果2のエフェクトは可能な限り自分にも適用するつもり
私だって怖いけど、一般の人をこれ以上怖い目に遭わせないために、必死に戦うよ
もちろん、後から来て漁夫の利を持って行こうとするのも許せないけどさ…
●特徴
・内気
・弱そう
・赤面症
・メイン武器は鞘付き木刀
・攻撃時、敵相手でも「ご、ごめんなさい」とか謝ってしまう
花鶴・景臣
はっ、弱い者虐めしか出来ないのか
此処の悪魔はチキンしかいねえのな?
挑発し、注意を逸らして鉄パイプでぶちのめす
気絶狙い不意打ち上等
卑怯者に礼を尽くす謂れはない
邪魔な角も、翼も要らねえだろう?
死角を減らすべく最低限連携は惜しまず
敵の挙動は常に観察、隙を探す
畑も野菜も極力荒らさないよう立回る
替えの武器も使える農具は駄目だ
もう使えねえ物かガラクタか
悪運に頼りつつ臨機応変に対応
大鎌は軌道を見定め回避を試みる
防げなけりゃ刀の鞘で受け流す
傷が残ったらただじゃおかねえぞ
終ったら植物知識で畑の手入れ
すまねえ、荒らしちまって
人間と同じだよ
花も野菜も無闇に踏み躙られて良い物じゃない
それが愛情を受けて育ったなら尚更な
長谷川・優香
★アドリブ、連携歓迎
「悪魔に会っては悪魔を滅し、天使に会えば天使を調伏す。ディアボロス稼業の辛いところですか。無辜の民を襲うような外道にはこの世の地獄を見てもらわないといけないようですね」
刈取の悪魔撃破のため、こちらも『契約召喚』にて天使を呼び出して戦わせます。攻撃の際に持っている銃型サモンデバイス『GUNCOM』の【魔術知識】や【情報収集】にて悪魔への有効打を考えながら攻撃をします
また、相手の攻撃については【結界術】で結界を張り対応をします
罪なき老夫婦を襲うなんて言語道断。外道には御使いからの天罰を。我が身、既に鉄なり 我が心、既に空なり、悪鬼必滅。さあ、悪魔よ地獄へと還りなさい。
●農園の戦い
晩夏の畑を日が、じりじりと照りつける。
しかし、老人の首筋に流れ落ちる汗は、緊張と恐れから来たものだ。
頭上の悪魔たちに向かい、必死に叫ぶ。
「わしらは逆らいはせん、放っておいてくれんか!」
「いけません、おじいさん!」
傍らの老婦人が止めようと声をあげるが、その声音にも怯えの色が濃い。
農作業を行っていた老夫婦の頭上に現れた刈取の悪魔たちが、空を飛びながら甲高い笑い声を上げる。
「イーヒッヒッヒッ! 何をしているんだぁー?」
言うなり、老人に向かい降下しようとした悪魔の一体が、
「……なんだ?」
怪訝とした声をあげて空中で止まった。その見下ろす眼下。
いつの間に現れたのか、長谷川・優香(サクセサー・オブ・レメゲトン・g00350)が、驚く老夫婦へ微笑みかけながら、制するように手を差し伸べ、背後にかばう。
悪魔たちを見上げ、
「悪魔に会っては悪魔を滅し、天使に会えば天使を調伏す。ディアボロス稼業の辛いところですか」
柔和な表情のまま、ごく自然に物騒なことを言い放った。
そうして、ことさら見せ付けるように、デジタルサマナーの証――銃型サモンデバイス『GUNCOM』を起動する。
「ディアボロスだぁ? ハッ、何を言い出すかと思えば! やつらはもう死んじまったんだよぉ?」
悪魔の一体が嘲笑するや、それに追従するかのように一斉に笑い声を上げる。
ひとしきり笑い終わるや、生意気なポニーテールの女を引き裂くべく鎌を構えて襲いかかり、優香の口元が僅かに綻ぶ。
「死んじゃえよぉ……あがっ!」
悪魔が鎌を振り下ろすことはできなかった。そのさらに上空から、猛然と襲いかかったツィルニトラ・プリルヴィッツ(自称/捏造 魔法竜神・g02012)のハルバードの一撃が悪魔の背中に直撃したからだ。
『竜翼翔破』――ドラゴニアンの竜翼と飛翔により十分な加速を乗せた一撃。
轟音を上げて、そのまま地面へと叩きつける。斬撃というより、叩き潰すと表現するべきだろう。無論、即死である。
地面に半ば食い込んだ黒竜のハルバードを、軽々と引き抜くツィルニトラに、優香が笑いかける。
「お見事」
「ありがとう♪」
理想的な開幕不意打ちを決め、笑いあう黒髪の娘たちが、突然の襲撃にあっけにとられたままの悪魔たちへと、二人同時に空を睨み。
ハルバードを悪魔たちへと向けるツィルニトラ、
「悪魔らしい振舞いをするならば、私は良き魔法の竜神としてこの人達を守護するまで。指一本、手出しはさせない!」
「無辜の民を襲うような外道には、この世の地獄を見てもらわないといけないようですね」
不敵な笑みに変えた優香が言葉を継ぐ。
「邪魔すんじゃねぇ!!」
下卑た叫びをあげるや、悪魔たちが一斉に襲いかかる。
ツィルニトラがハルバードを強く握り締めるや再び飛翔し。
優香がガンデバイスのキーボードへ高速入力と同時に契約された天使が召還され。
戦いが、始まった。
直線に飛ぶと見せたツィルニトラが、迎え撃つ大鎌の軌道を読むや弧を描いて飛び、間一髪で大鎌が空振りして抜ける。
追う悪魔が蝙蝠の羽を羽ばたかせた。互いに飛ぶ敵味方が空中で交差する。
空間が歪み、時折光と音、爆発が轟く戦場。
それに怯える老夫婦へと、雛並・ひなみ(老舗パン屋の看板娘・g01350)が安心させるように、
「おじいさん、おばあさん、私たちの後ろに居てね……」
その声はどうしても緊張が隠せず、紅潮した顔は今にも泣きそうだ。
だが、セーラー服姿の小柄な少女に、必死にそう言われれば、老人たちに否はない。
老夫婦が強くうなづき、後方に下がるのを確認するや、ひなみも飛翔する。
鞘から木刀を抜き放つと同時、
「雛並流……子の型、初富!」
空中戦が続く戦場の只中に、真っ向から突入して悪魔たちへと斬りかかる。
「ご、ごめんなさい!」
なぜか謝りながら、すり抜けざまに小手に一撃。明るい髪のお下げがゆれる。
「ごめんなさい!」
勢いのまま反転、右側背にいた二体目の胴に第二撃。そこから宙返りと同時に重力の力を借りて一気に降下、
「ごめんなさぃぃぃぃ!」
三体目の頭へと叩き付ける。
斬撃の瞬間、半ば目をつぶって――必死すぎてちょっと泣いてた――斬りかかっているにもかかわらず、余力さえ残して見事な三連撃が決まる。
木刀とはいえ、彼女のオリジナル・パラドクスである。直撃すればただではすまない。
手首を砕かれた悪魔、胴を押さえた悪魔、そして頭を割られ血を流す悪魔が、ひなみを睨み付けるや一斉に叫んだ。
「「「いてぇだろうがよぉぉ! お前は絶対に殺す、くびり殺してやるぅぅぅ!」」」
威圧的な大音声。ただの脅しではない。畏怖によって敵の正常な判断力を奪うパラドクス『悪魔の宣告』だ。
元々気弱な、ひなみである。ひとたまりもない。
「ぇ、ぇ、ぇ……はぅぅーーー生きてて、ごめんなさいーーー!」
ガチ怯え、半泣きである。それだけではない、動きが止まり、いかにも無防備だ。
そこへトドメとばかりに悪魔が殺到する刹那、死角から花鶴・景臣(灰に帰すまで・g04686)が空を翔る。
景臣は、敵の挙動を常に観察し続け、隙を探していたのだ。
「オラァ!」
叫びざま振るう鉄パイプが、無防備な悪魔を捕らえた。ひとたまりもなく吹き飛び、地面に落ちて動かなくなる。
残留効果――ツィルニトラと、ひなみのものだ――で景臣も飛翔し、空中で残りの悪魔へ向け言い放った。
「はっ、弱い者虐めしか出来ないのか! 此処の悪魔はチキンしかいねえのな?」
紫の瞳が怒りに歪み、敵には『狂犬』めいた言動の景臣。
まだ少年と形容してよい姿に、逆上した悪魔が襲いかかるも、狙っていた景臣の眼差しが冷静に光る。
大鎌の軌道が避られないと見切るや、左腕で鞘ごと刀を抜いて悪魔の大鎌を受け流す。
鞘が削れる感覚に舌打つと同時、右腕で刀を引き抜きざま袈裟に断ち切った。その太刀筋で時空が歪む。パラドクスだ。
斬撃を外したと察した悪魔が、再び襲いかかろうとして、気づいた。自らが飛行する力を失い、落下していることを。
景臣の一撃は悪魔の翼――いや、パラドクスの力で飛行能力そのものを、偶然にせよ、ごく僅かな時間絶ったのだ。
「あ、あああああーーー!!」
悲鳴を上げて悪魔が落下する。その直下――古びた支持柱だ。井戸を掘る際の物だろう、地中深く打ち込まれた鋼のそれが天に向かって鋭く屹立し、
次の瞬間、悪魔の背から胸を貫いた。
深々と突き刺さり、はやにえめいた姿で二度、三度痙攣するも、すぐに動かなくなる。
それは『ストリートストライク』――戦場にあるあらゆるものを、閃きと幸運に任せ、武器とするパラドクス。
「卑怯者に礼を尽くす謂れはない。翼も要らねえだろう?」
そう、言い捨てた。
最後の一体。仲間たちがあっという間に打ち倒されたことに、悪魔が怯えた叫びを上げるや、逃げ出そうとする。
だが、サモンデバイスで戦況の解析を続けていた優香が、先に気づいた。素早く大天使にコマンド。
契約する大天使――装飾された盾、優美な形状の片手槍をを持つ――が悪魔の背に槍をかざした。天使の羽が輝き、
「外道には御使いからの天罰を。我が身、既に鉄なり 我が心、既に空なり、悪鬼必滅。さあ、悪魔よ地獄へと還りなさい」
優香の言葉と同時。槍から、光が放たれた。直線状に放たれたオーロラめいた輝きが、一瞬で悪魔に追いつく。
閃光が閃く。それは弱った悪魔を焼き尽くすには十分なものであった。
悲鳴さえ、上げる間も無かった。
静けさを取り戻した農場へと、優香が視線を投げた。その眼差しが翳る。
パラドクスの戦い。主戦場は空であり、ツィルニトラの風の制御があっても、なお農場は無傷ではなかった。
露地のあちこちは抉れ、支柱は折れ、数個のキャベツは倒された悪魔につぶされてしまっている。
景臣が、悪魔の死体を外の瓦礫へと乱暴に放りなげ、その一方で、土を丁寧に盛りなおす。
その手つきは付け焼刃ではない。戦っている時でさえ、畑や野菜を極力荒らさないよう立回っていたのだ。
此処に居ない「誰か」の為に美しい花々を育て続ける――リターナー、景臣のもう一つの姿だった。
老婦人も加わり、倒れた支柱を建て直すと、ふと景臣が作業しながら、
「すまねえ、荒らしちまって」
「いや、助けてもらって、こんなことまでしてもらって……ありがとうね」
その間に水を汲んで戻り、自分も作業に加わろうとする老人へと、ツィルニトラが静かに口を開いた。
「ねえ、どうしてこんな危険な場所で二人は農業をしてるのかしら?」
問われた老人が、一つ一つかみ締めるように語りだす。
「わしにはこれくらいしかできん。じゃが、この東京の他所で農業など、もはやできぬじゃろう」
それはそうだろう。他区であったとしても、天使や悪魔に依存しない生き方を、恐らくクロノヴェーダは放置しない。
「畑を貸しておった子たちに会えること位が楽しみだったのじゃがな……それでも、あの子たちの作物を放ってはおけん」
畑の殆どが数坪ほどの貸しスペースだったのだろう。都会の人たちに土地を貸し、農業を教えていたのだ。
「ここの井戸も、わし等が逝くまでくらいは持つじゃろう……」
すべてを諦めたように、それだけ言うと、老人は押し黙った。
老婦人は最後まで口を挟まなかった。夫に寄り添う姿が、最期までつき従うことを、何よりも雄弁に語っていた。
ひなみ、どうしても我慢できずに、
「だめだよ……だめ。そんなこと、絶対だめ……」
ポツリと呟いた。
静寂に包まれた農園を、風だけが吹き抜けていった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV2が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!
百鬼・運命
「これはいい塩梅の枝ぶりだな」
先のリプレイの結島さんのパラドクスのおかげで、見晴らしがよい上に身を隠せるおあつらえ向きの狙撃ポイントが出来たので、それを利用。
スナイパーパックのドローンによる高空偵察で上空から戦場を俯瞰(完全視界)して援護狙撃。通信手段があれば各参加者に敵や味方の位置をナビゲート
「さて、とはいえなるべく早めにけりをつけたいところだな」
品川区は天使の支配領域。時間が立てば天使に援軍が来る事も考え、敵味方の位置把握だけでなく、援軍も警戒して戦場を俯瞰。一応残った発煙筒等あれば撤退時の保険として各所に仕掛けておきます。
「使わずに済めばそれに越したことはないけどな」
アドリブ絡み歓迎
ベアトリス・リュウフワ
うふふ、羽虫の分際でこのわたくしに痛みを与えるなど――万死に値する。
おっと、いけませんわ。怒りのあまり言葉遣いが乱れてしまいましたの。
『王女』として、平静さを欠いてはいけませんわね。
ネメシス形態で一時的に『理想のわたくし』へと変貌。
高身長、漆黒のドレス、そして、美麗を極めた大人の顔立ち――素晴らしい。
全盛の姿を仮想することにより、眼前の天使たちをより一層【蹂躙】しやすくなることでしょう。
縦横無尽に【残像】を残しながら駆け巡ることにより、少しでも回避できるように努力いたしますわ。
【ダッシュ】【ダンス】を併用した舞踏術で間合いを一瞬で詰め、迅速に彼奴らの翼をもぎ、首をはねましょう。
疾く消えなさい。
木野宮・詩乃
護衛止めないと…だからもう逃げません
頑張って生きている夫婦の為
一緒に戦ってくれる皆の為に
私に出来る事をして、止める
『――接続、在りし日の想いを込めます』
ゆっくりと槍を振り音を奏でる
心地よく落ち着く音を
きっと一緒に戦っている人の力にもなるはずだから
『暖かな日差しが朝を告げる、希望に溢れた優しい朝を』
魔力を込めて詩を紡ぐ
魔力を込めて槍を振るう
『暖かい声が貴方を迎える、それはかけがえのない幸せ』
生きるための力
想いは途絶えないと伝える為に
鋭さと緩慢を混ぜ、浄化の力を込めて
『思い出して、貴方の胸にある輝く日々を』
生きとし生ける者全てに伝える
明日に繋ぐ力、生きる力を呼び起こせるように
生きる事を諦めない為に
●弾丸、剣、そして詩
品川区、雑居ビルの最上階。
小火でも起きたのか、焼け焦げ、荒れ果てた室内は放棄されてからの年月を感じさせる。
燃え残ったパーテーションが倒れ、事務机は厚く埃が積もり、焦げた書類も放置されたままだ。
さらに最近起きた破壊の跡――窓のいくつかに場違いのように植物の蔓が広がり、割れたガラスが散乱している。
百鬼・運命(人間の鬼狩人・g03078)が窓際へと近寄り、窓枠と僅かに残るガラス越しに地上の様子を確認し、笑みを浮かべる。
「これはいい塩梅の枝ぶりだな」
――結島さんに感謝だな、おあつらえ向きの狙撃ポイントだ。
言うなり、傍らの鎧とも機械とも付かない人型のソレに乗り込んだ。
作動音と共に『極限環境戦用電動型動力甲冑』が起動。マウントされた大型ドローンがローター音を立てて飛び立つ。
続いて背部のロングレンジライフルを構え、スコープを開き狙撃体制へ。
運命のオリジナル・パラドクス――兵装換装『スナイパーパック』だ。
動力甲冑内の運命、周囲のモニターに表示された俯瞰情報の確認もそこそこに、照準の微調整を繰り返す。
程なく照準内に走り続けるベアトリス、詩乃の姿を捕らえた。
そして、そのさらに後方、追うショディーたちへ狙いを定めると、トリガーを引き絞った。
雑居ビル街、無人のアスファルト上を逃走劇が続く。
ディアボロスたちと点々と落ちる血の後を、ショディーたちと、そのさらに後方を飛ぶガブリベルが追う。
誘導を続け、走り続けるベアトリス・リュウフワ(強欲と傲慢のミルフィーユ・g04591)は。
――激怒していた。
「うふふ、羽虫の分際でこのわたくしに痛みを与えるなど――万死に値する」
つい、言葉で漏れて。
傍らで走る木野宮・詩乃(歌風一陣・g00875)の戸惑う表情に、小さく首を振って微笑みかける。
(「――おっと、いけませんわ。怒りのあまり言葉遣いが乱れてしまいましたの」)
「……大丈夫です、そろそろ……」
詩乃が何かを察したかのように言い、ベアトリスも頷く。
(「『王女』として、平静さを欠いてはいけませんわね。」)
と、その時。
銃声が轟いた。同時に後方から二人のショディーの悲鳴があがる。
見ると、胸に直撃を受けたショディーがアスファルトへと倒れこみ、右腕を貫かれたもう一体が無表情のまま、
「武装選択:Dirty Cook」
自らを狙う狙撃手へと顔を向け、翼から赤き光の雨が湧き上がる。
「追いかけっこは終わり、ですわね」
言うが早いか、ベアトリスが黒いゴシックドレスの裾をはためかせながら優雅にターン。同時に長剣を抜き放ち、
詩乃も白い戦闘衣服ミューセイオンを翻し、音響槍イルミンスールを掲げた。澄んだ純音が音叉に共鳴し響きわたり、
二人同時にショディーへ向かって突進する――ショディーが気づいた――が、遅い!
ベアトリスの初太刀がショディーの赤い光の雨を放出する羽を両断し、二の太刀が足を水平に切り裂いて動きを止め、
「せえぇぇい!」
十分に加速した三の太刀が、ショディーの首をはね飛ばした。瞬時に命を断ち切られたショディーが崩れ落ちる――『正道の剣』(アン・ドゥ・トワ)
同時に詩乃が、起き上がり掛けたショディーの背を槍で貫き、トドメを刺すも、
「ベアトリスさん、それ……」
眼を見開き、ベアトリスを見つめる。
ベアトリスも気づいた。傍らのショーウィンドーにうつった、自分の姿を。
15歳、少女だったはずの彼女の身長が伸び、艶なす漆黒の髪と美麗を極めた相貌に、今こそ正しき持ち主を得たかのような漆黒のドレス。唇には朱まで入った艶やかな立ち姿。
ネメシス形態だ。時に傷つき、不利を覚えたディアボロスが己の肉体をより復讐に特化した形態に変えるのだ。
「素晴らしい。さぁ、このまま一気に決めますわよ。疾く消えなさい!」
仮想した全盛の姿にベアトリスは凄惨に笑うと、集まってくるショディーたちへと視線を投げるや、戦場へと突撃する。
「――接続、在りし日の想いを込めます」
援護するべく、詩乃も歌う。オリジナル・パラドクス――『音奏“幸せな日々”』(ミューシカルム・フォルトゥナ)
優しく振る音響槍の奏でる、心地よく落ち着く曲に乗って詩が戦場を包み、運命の弾丸が戦場を貫く。
――暖かな日差しが朝を告げる、希望に溢れた優しい朝を――
魔力を込めて詩を紡ぐ。
魔力を込めて槍を振るう。
「五つ目ですわ!」
倒したショディーから長剣を引き抜き、血を振るい落とすと同時に残像を残すステップで、新手の攻撃を回避。
ベアトリス、黒い貴婦人が華麗な殺しのダンスを舞う。
――暖かい声が貴方を迎える、それはかけがえのない幸せ――
生きるための力。
想いは途絶えないと伝える為に。
鋭さと緩慢を混ぜ、浄化の力を込めて。
死角からショディーがベアトリスを狙うも、
「そこだ」
運命が狙撃で足を止めるや、詩乃の槍舞がショディーを一文字に切り裂いた。
反撃によるものだろう、いつの間に負傷したのか運命の頬を一筋の血が流れ、不敵に笑う。
――思い出して、貴方の胸にある輝く日々を――
生きとし生ける者全てに伝える。
明日に繋ぐ力、生きる力を呼び起こせるように。
生きる事を諦めない為に。
「これで最後」
運命の狙撃で、頭部をぶち抜かれたショディーが力なく倒れた。
幾度もの反撃により、動力甲冑は大きく損傷を受けているが、辛うじて健在のモニターを素早くチェック。
(「援軍は……なし。とはいえなるべく早めにけりをつけたいところだな」)
品川区は天使の支配領域だ。時間が立てば援軍が来る可能性もある。
ここまでは良し、撤退時の保険に仕込んだ発炎筒も使わずに済みそうだ。
「……あとは」
運命の眼差しが険しさを増した。
ベアトリスと詩乃が空を見上げた。
硬質の澄んだ鐘の音が、響き渡る。
天のきざはしを背に、純白の翼がはばたく。
天才彫刻家が作り上げたかのような、彫像めいた姿。
大天使『受胎福音』のガブリベルが、地上を、ディアボロスたちを睥睨する――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
三日月・昴
老人達を危険真っ只中のこの場所に、残してはおけぬ!
農園を作った子供達が一番望んでいるのは二人が無事でいる事、無事に再会する事であると伝えて説得、また、プランターで育てられるものがあれば移して、食べられるものがあれば収穫して持っていこうと伝える。
「お主らは子供達が無事である事を望んでいるだろう?子供達も同じ事を考えているとは思わぬか?無事に再会する事、それが必要な事であろう?」
「我が出来るだけ抱えていくから任せておくがいい。一つでも無事な姿を見れば子供達は喜び十分報いる事ができる。収穫した野菜をおいしく食べてもらったと子供たちに語る事が出来れば、子供達は育ててよかったと喜ぶのではないか?」
獅子城・羽鳥
《情熱》と残留効果活用
避難時は持ち運びを手伝いながら思い出話を聞く
アドリブ歓迎
ご家族の命は失われても、その記憶はあなた達の中で生きている
誰かに語り継ぐ前にここであなた達が命を落とし、覚えている者が消えた時こそ真の死なんだ
思い出の品があれば持ち出し、言葉でも語り継いで行こう
あなた達は他人に必要とされている技術を持っている
そのあなた達の言葉ならご家族や教え子の思い出も聞き入られ、覚えてもらえる筈だ
避難先は麻布山善福寺がいいか
同じく大切な人や物を失った人達が集まり、奴等に負けまいと協力しながら生きている
そこで農業技術と共に思い出も語り継ごう
ここを荒らす天使や悪魔は俺達が倒す
再び耕せる日が必ず来る
ツィルニトラ・プリルヴィッツ
私達はディアボロス
そして私は魔法の竜神ツィルニトラ!
(…凄い怪訝な顔で見られているわ…)
二人のお名前は?
(収穫手伝いつつ)
この土、よく手入れされているわね
正純さん、美恵子さんの真心が伝わってくるわ
畑を貸した人達も来るのが難しいこの状況
それでも世話しているのは、子や孫のように“愛している”からかしら
もし避難先から戻っても、その間にこの土が荒れる事は避けられない
でも、今ならその心配を減らす事は出来るの
【土壌改良】の効果を説明
これがあれば私達が去っても土が死ぬ事はないわ
一つ条件があるの
あえてそのままの場所を作るから、戻って来たらあの場所を一から手入れして、また野菜を育てて
神様との約束よ
花鶴・景臣
…ったく
悪いが説得の類は門外漢でな
俺は俺がやれる事をするだけだ
じいさん、ばあさん
他の奴に貸してた畑があるんだっけか?
時期が時期なら収穫も考えなきゃならねえし
流石に、畑全体を老体に任せる訳にもいかねえだろ
俺が手伝ってやるからさっさと済ませるぞ
極力パラドクスの恩恵に頼らず自身の手で
植物知識を駆使して丹念に、真摯に畑に向かう
…愛情をたっぷり受けて育ったんだろうよ
どの野菜も、きっと見事な物に違いない…何だよ
俺だって笑う時は笑うんだぜ?
畑を貸した奴等もそうだったんじゃないか?
あんた達が、此処に未練がある事も察してる
だが…人々を笑顔にしてやれる技術があるんだ
騙されたと思って、もう少しだけ足掻いてみねえか?
●想いの欠片
永久に続くかのような沈黙を、老人が破った。
「助けてくれて感謝する。良ければ、好きなだけ野菜も持っていってくれ。どうせ食べ切れんからな」
言い、作業に戻ろうとするのを、ツィルニトラ・プリルヴィッツ(自称/捏造 魔法竜神・g02012)の真剣な声が止めた。
「うん、でもね。それでも私たちは、お爺ちゃんたちを助けたいの。このまま放ってはおけないの」
老人が僅かに首を振る。
「何故そこまで……縁もゆかりも無い、老い先短い老人じゃぞ」
言われたツィルニトラ、ほんの少し考えるように目を伏せ、すぐに意思の光が輝く瞳で老人を見つめ返す。
おもむろに両手を腰にあて、胸を張って仁王立ちに。そうして、
「私達はディアボロス。そして私は魔法の竜神ツィルニトラ! 二人のお名前は?」
ドラゴニアンの少女が、堂々と名乗ったのだ。
突然のことに老人があっけに取られ、特に魔法の竜神の所で怪訝そうに見返すも、名乗りを返した。
そうして、まだ戸惑う老人に、
「これで縁もゆかりもできたわ、そうでしょ?」
得意そうに微笑んで見せる。
(「……ったく」)
露地の補修を終えた花鶴・景臣(灰に帰すまで・g04686)が心の中だけで嘆息した。
(「説得の類は門外漢だからな、俺は俺がやれることをするだけだ」)
立ち上がると、周囲の畑を見回して、
「時期が時期なら収穫を考えなきゃならねえ。きゅうりはもう終わってる時期じゃねぇか。トマトも、そろそろのはず。収穫に手が回ってないんだろ?」
見ると、何列もの露地に立派に育ったきゅうりが揺れている。そうして、
「皆手伝え、とりあえず急ぎの収穫だけさっさと済ませるぞ」
老人が何か言いかけるも、景臣の手つきを真似してディアボロスたちが収穫を始めると、もう何も言わなかった。
貸しスペースは一区画1坪程。
家族向けの数区画まとめた一角に、小さな看板が立てられていた。子供だろうか、消えかけた名前が書き込まれている。
恐らくもう、この世には居ないであろう名前。それが見渡す限りに広がる。沢山の想いの欠片が。
ふと収穫の手を止めた三日月・昴(双月の黒月・g01556)。少女は、その光景から眼を離すことが出来なかった。
彼女も又、天使と悪魔の戦いに巻き込まれた一人であるが故に。その中に、知る人がいるかもしれないという怖さ故に。
何かを振り払うように、老人たちへと顔を向け、訴える。
「お主らは子供達が無事である事を望んでいるだろう? 子供達も同じ事を考えているとは思わぬか? 無事に再会する事、それが必要な事であろう?」
だが、老人は頑なだった。
「最後に会った子からでも、もう1年以上じゃ……今となっては生きては……」
「なっ……」
昴、デーモンの少女は失われた親友を、彼女が生きていると、自分が人々を明るく照らすことができると信じている。
信じなければ、もう一歩も歩けなくなってしまうかもしれないから。
だが老人は、全てを諦めてしまっていた。だから、昴は叫んだ。
叫ばずにいられなかった。
「だからといって、老人たちを危険真っ只中のこの場所に、残してはおけぬ!」
その真っ直ぐな言葉に。虚を付かれた老人が苦しそうに、笑った。
「ありがとうな……だがな、そんなに、いけないことかの。家と畑を守ることが。もう息子夫婦も……孫たちも居らぬ」
顔を伏せ、血を吐くような言葉。
「ここから逃げたとて、もう老人じゃ。他所さまに迷惑をかけるばかりで、何も出来ん。ならば、残ったものと運命を共にして、誰が責めるというのじゃ……?」
静寂に包まれて。ただ、風だけが吹きすさぶ。
ふと、老人が何かに気づいて、顔を上げた。
「お前さんは、わしらを責めるのかの……?」
獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)だった。
誠実そうな相貌。つねに柔和な、誰からも人が良いと称される吟遊詩人の青年。その琥珀色の瞳に真摯な色が宿る。
「ご家族の命は失われても、その記憶はあなた達の中で生きている。誰かに語り継ぐ前にここであなた達が命を落とし、覚えている者が消えた時こそ真の死なんだ」
初めて、老人の顔が歪んだ。
羽鳥の心を痛みが刺した。サイボーグであるはずの彼の心に。
だが、彼は知っていた。痛みがあるからこそ、情熱は、心は、人に届くことを。
「ごめんな、爺さん。だけど、あなた達は、彼らをもう一度殺そうとしてるんだ……違うか?」
「しかし、わしらが生き伸びたとて、何ができると……」
「できることは有る、有るんだ。善福寺……聞いたこと無いか?」
麻布山善福寺――東京都内でも名高い寺院の一つだ。
そして今は、リーダーの医師の元、大切な人や物を失った避難民たちが集まり、悪魔たちに負けまいと協力しながら生きている地であった。ディアボロスたちの協力の元、悪魔に一矢報いたと聞く。水を確保し、農地を切り開こうとしているが、苦戦しているとも。
それまで黙っていた老婦人が、初めて口を開いた。
「おじいさん、それなら……」
傍らで収穫を続ける景臣が、手元の野菜を見つめながら、言葉を継ぐ。
「どれも、丸々と育って。見事な物だ。……愛情をたっぷり受けて育ったんだろうよ」
口調は乱暴なのに、笑顔さえ浮かべた表情はどこまでも優しい。
ツィルニトラが、笑顔の少年に珍しいものを見たような表情を浮かべると、景臣が「俺だって笑う時は笑うさ」と苦笑に変わる。そうして、
「畑を貸した奴等もそうだったんじゃないか?」
静かに老人に語りかける。
「あんた達が、此処に未練がある事も察してる。だが……人々を笑顔にしてやれる技術があるんだ。騙されたと思って、もう少しだけ足掻いてみねえか?」
そう、結んだ。
「わしは……わしらは……」
俯く老人。握り締めた手が震え、老婦人が心配そうに夫の肩へと手を置く。
その時だった。
どこからかの歌声に、老人が顔を上げる。
昴だ。アカペラの歌声が、はじめは小声で。それがどんどん大きくなって。
昴の歌――『♪遥か彼方の空へ(ハルカカナタノソラヘ)』
それは失った故郷へ向かって叫び、届かせてみせる諦めない希望の想いを込めた曲。
羽鳥が奏でる、長剣に組み込まれたハープも加わって。二人のパラドクスの重なる音色が力となる。
――老人に勇気を与える為に。
老人が、まっすぐにディアボロスたちを見詰めた。瞳には決意の色が滲む。
「また、帰って来られるかの」
「ここを荒らす天使や悪魔は俺達が倒す。再び耕せる日が必ず来る」
羽鳥の誓いにディアボロスたちが強く頷き、
「畑の土も死ぬことはないわ、私たちがここを去ったとしても。ずっとじゃないけど、帰ってくるまでなら十分」
ツィルニトラが太鼓判を押す。
「……わかった」
長い沈黙の末に、強く、強く老人が言った。
「わしらの残り少ない未来、あなた方に託させてくだされ」
老夫婦が揃って頭を下げる。
と、何かを思いついたツィルニトラが、
「あ、でも一つだけ条件があるの。あえてそのままの場所を作るから、戻って来たらあの場所を一から手入れして、また野菜を育てて」
「なんじゃと?」
老人が少し考えて、そのくらいで良いならと苦笑して頷くと、ふと、遠い眼差しを浮かべる。
「なぜじゃろうな……ずっと前に、似たようなことを言われた気がするの……」
(「……そう、だったのね」)
突然、ツィルニトラは理解した。
戦いの果てに復興もされず、悪魔たちに弾圧される港区で、老人たちが農業を続けられていた理由が。
ここにもあったのだ。死んでいったディアボロスたちの思いの欠片が。繋がる想いが。
だが、ツィルニトラは何も言わずに。
「神様との約束よ?」
微笑んだのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】がLV3になった!
【土壌改良】LV1が発生!
【強運の加護】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【アヴォイド】がLV2になった!
雛並・ひなみ
【飛翔】を使った素早い動き、上下左右の移動で敵を撹乱するよ
【強運の加護】で少しでも運が味方してくれたらいいな
敵が着地したタイミングを狙って【腐食】を使用、敵の足元の物を腐食させてバランスを崩せたらいいかも
十倉で発動する【活性治癒】は自分や仲間の回復に活かせたらいいな
効果2のエフェクトは出来るだけ適用、この後追加される効果1についても、活かせそうなものは活用したいかも
昔私が思ってた天使とはずいぶん違う…辛い目に遭ってる人を助けるのは大事なことだけど…
だめだよ…思い通りにはさせてあげない
私だって間違ったことするし、思うこと全部が正しいとは思わないけど…あなたのやろうとしてることは絶対間違ってるよ
●決戦
雛並・ひなみ(老舗パン屋の看板娘・g01350)が地上から、空の大天使と対峙する。
『受胎福音』のガブリベルが、空中に留まりながら値踏みするように、
「やれやれ……ショディーたちは全滅ですか。粗悪品とは言え、確かにディアボロスのようですね」
あきれたように首を振る。
「昔、私が思ってた天使とはずいぶん違う……辛い目に遭ってる人を助けるのは大事なことだけど……」
「ほう、違いますか。私たちこそ、紛れもない大天使なのですが」
ガブリベルが丹精な相貌に笑みを浮かべた。
おかしなことを言う、とばかりに、ゆっくり羽ばたくや興味深げに徐々に高度を下げてくる。
ひなみを侮ったのか、過去のディアボロスたちを殺し尽くしたことへの驕りか、警戒が薄い。
「私だって間違ったことするし、思うこと全部が正しいとは思わないけど……あなたのやろうとしてることは絶対間違ってるよ」
言いながら、左手で背後に隠した鞘の鯉口を切る。
その間に、大天使が道路上に着地。これから戦う相手に、十分に間合いを取った位置だ。だが、だからこそ、ひなみは賭けに勝った。
ガブリベルの素足が腐食したアスファルトへ、ずぶりと足首まで沈みこんだ。
大天使の煩わしげな視線が足元に向かい、僅かに体勢が崩れる。
(「ごめんなさい!!」)
ひなみが、路面が砕けたかと錯覚させるほどの、爆発的な勢いで踏み込んだ。
飛翔も加え、瞬間移動めいた速さで、ガブリベルの間合いに飛び込みざま、
「雛並流……酉の型、十倉!」
心の中で謝りながら、必殺の突きを放つ。
木刀の先端に練り上げた剣気が収束し、驚愕を浮かべたガブリベルの首元を貫き、後方へ抜けた。
ごっそりと首の肉を抉り飛ばし、血が噴き出す。深手だ――だが。
「(だめ、浅い!)」
勢いのままビルのコンクリート壁を蹴り、三角に飛翔して大天使の背後へ回り込むや、追撃を入れようとして――。
清浄な鐘の音が響き渡った瞬間、ひなみの心から戦意が消え去る。
『生誕の福音』――新たな信者が誕生した祝福の鐘の音で、敵を信者へと洗脳する大天使のパラドクスだ。
「あれ……私、どうしてこんなこと……。天使さまなのに……」
ひなみが、ゆっくりと着地。木刀がだらりと下がり、ぼんやりとした頭でガブリベルを見上げる。その手が祈りの形に。
荒い息を吐き片手で首を押さえるガブリベル。白いトーガが血で真っ赤に染まり、尚歪んだ笑顔を貼り付けたまま、
「ああ、ああ、なんと罪深いことでしょう……大天使たる、この私を傷つけるなんて。この罪は滅びでしか贖えません」
ガブリベルが無造作に、ひなみへと巨大な鐘を振り下ろす――。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
獅子城・羽鳥
②で知った老夫婦の想い、自分の怒りを持って臨む
人間を巻き込まずクロノヴェーダ同士だけで争ってろ!
虐殺も腹立つがコイツはもっと胸糞悪いな
人間を虫ケラ以下としか思ってない癖に聖人ぶって人の心を弄んで……
天使の見てくれした巨大蠅を叩き落としてやるよ
残留効果活用
連係・アドリブ歓迎
自分のパラドクスと敵の攻撃方法の特性を考慮して戦う
他の味方と連携して戦える場合、可能ならば援護
勝利のためある程度のダメージはやむを得ないが
仲間を不利にする行動はしない
基本的に一撃離脱、臨機応変、地形の利用、空中戦使用のヒット&アウェイ
内蔵火器も近接武器も使う
精神攻撃系の攻撃は《情熱》で耐えつつ
ドレインの機会を作れるよう動く
ツィルニトラ・プリルヴィッツ
人を信仰や畏怖を得る為の餌としか思わぬ貴女達に、この先へ行かせる訳にはいかないわ
この地に散った先人、そして天使と悪魔の抗争に今も苦しむ人々に代わって魔法の竜神として神罰を下してあげる
この音色…精神干渉!
(残留思念由来の●魔術知識で●看破)
きつけ代わりに尻尾の鱗を一つ毟ってハルバードを生成
【飛翔】し廃墟のビルを得物で●粉砕
砂礫を用意し旋風撃
礫混じりの竜巻の轟音で福音掻き消し(風使い、吹き飛ばし)
ヒトの意識を弄んで、天の御使いが聞いて呆れるわ
…力を取り戻せても、私はそんな信仰は求めない!
竜巻で捕獲し、得物を一閃
あの夫婦のように、種を撒いて慈しんで育ててみせるわ
このディヴィジョン解放の希望の様に!
水晶の鐘の音が戦場に響き渡った時、最初に気付いたのはツィルニトラ・プリルヴィッツ(自称/捏造 魔法竜神・g02012)だった。
「この音色……精神干渉!」
ひなみへと大天使が巨大な鐘を振りかざし、反応した獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)、
「間に合えっ!」
地を蹴ると同時に背の飛行ユニットが展開、両踵のブースターを点火し急激に加速――パラドクス『鋼鉄翼の騎行』だ。
それでも到底間に合わない。振り降ろされる巨大な鐘に、ひなみが叩きつぶされる光景を幻視した、次の瞬間。
銃声が戦場を貫いた。
飛来する弾丸がガブリベルの右肩を貫き、パッと血が飛び散る。
大天使が微笑を引きつらせ、顔だけで振り向いた。虚空を睨み、何もない空中で鐘を一閃する。
この時、戦場を俯瞰している存在がいたとすれば、運命が遠隔操作した動力甲冑が機能停止した光景が見えただろう。
稼いだ僅かな時間。羽鳥はそれを無駄にはしない。
大天使が再び向き直った時には、ひなみを抱えて離脱。反撃を警戒し、攻撃さえせずにだ。
翻弄されたことを悟ったガブリベルの相貌から、初めて笑みが消えた。
その眼前に、ツィルニトラが立ちはだかる。
「ヒトの意識を弄んで、天の御使いが聞いて呆れるわ……力を取り戻せても、私はそんな信仰は求めない!」
ハルバードを構えるツィルニトラ、その怒りに同調したかのように、風が巻き起こり、
「この地に散った先人、そして天使と悪魔の抗争に今も苦しむ人々に代わって、魔法の竜神として神罰を下してあげる」
仁王立ちのドラゴニアンを中心に嵐が形成する。
敵意を隠さないガブリベル、
「竜神……異教の邪神ですか? ディアボロスに力を貸す者もいたようですが、全て滅んだと聞きましたが」
「おあいにくさま、元気にやらせてもらっているわ。五体満足、もちろん尻尾もね」
異教の神を名乗られれば、地上の代行者たる大天使がそれを許すハズもない。
「ならば、私の手で滅ぼしてさしあげましょう!」
大天使が水晶の鐘を構え、ツィルニトラが仕掛けた。
「魔を司りし竜の名の元に命ず! 吹き荒べ、旋風よ!」
ハルバードを高速回転させるや嵐が魔法の竜巻と変じ、大天使へと襲い掛かり動きを封じる。
ツィルニトラのオリジナル・パラドクス『捏造竜神魔技・旋風撃』(ツィルニトラ・マギ・トルナード)だ。
瓦礫とアスファルトの破片、そして風の刃が、大天使の体を浅く切り裂いて血が滲む。
対抗する大天使。打ち鳴らす鐘から、澄んだ音色が響き渡る――精神干渉!
だが風の壁で音を阻めたのか、まだ、動ける。それに力を得たツィルニトラが飛翔。
一度垂直に飛び、生じた竜巻の渦の中心へ飛び込むや、ハルバードと共に突撃する。
突進の勢いと竜の膂力を乗せた一撃を、ガブリベルの頭上へと叩きこもうとする、――だが。
見上げる大天使が、口の端を歪め。
――嗤った。
風が身体を切り裂くのも構わず水晶の鐘を掲げ、精神攻撃を発動させようとする。この瞬間、ツィルニトラは無防備だ。
「させるか!」
羽鳥だ。残留効果とブースターで竜巻を強引に突破するや、勢いのまま長剣『レオン=カスティリア』を一閃する。
大天使が鐘の柄で受け止め、力任せに振り払う鐘の一撃に、羽鳥が苦痛のうめきと共に吹き飛ばされるも、咄嗟に右腕に収納されたサブマシンガンを連射。顔を襲う弾幕に、左腕で庇う大天使が怯んだ刹那、直上からツィルニトラのハルバードの一撃が、ガブリベルを捉えた。
右肩口から入った刃がトーガを切り裂き、胸元を抉って抜け、大量の血が舞う。
しかし、倒れない。
「くぅあああああっ!!!」
咆哮と共に大天使が血に染まるトーガを破り捨てた。露わな上半身の流血が筋肉で止まり、傷も一見では判らない。
だが、荒い息は隠せず、邪魔した羽鳥を睨み据える。
羽鳥もまた一歩も引かず、怒りのまま睨み返した。損傷した左腕、むき出しになった機械にスパークが散る。
「人間を虫ケラ以下としか思ってない癖に聖人ぶって人の心を弄んで……人間を巻き込まず、クロノヴェーダ同士だけで争っていろ!」
「……人の形をしたまがい物が、人間を巻き込むな、とは可笑しなことを言う」
大天使が嘲るように嗤う。
羽鳥の琥珀色の瞳に冷たい光が宿った。僅かに気温が下がったとさえ、錯覚したかもしれない。
ツィルニトラが傍らで構え、大天使が翼を大きく羽ばたかせ。
その時、戦場が動いた。
大量の小さな筒状の物が、戦場の中心へと投げ込まれた。
発火音。軽い音と共に転がった発炎筒が、一斉に白煙を吹き上げる。
それが大天使とディアボロスたちを遮るように周囲を包み込み。
「完全視界!」の叫びが響き渡る。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV3になった!
【土壌改良】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!
百鬼・運命
まず動力甲冑から降り、デバイスウォッチとトラッピングで遠隔自動操縦して援護射撃を続行。反撃を無人機に集めて受けるダメージを抑える。
降りた後は発煙筒を回収して、こっそりと天使へ接近。隙を見て残った発煙筒すべてをばらまいてあたりを煙幕に包むと同時に、「完全視界!」と他メンバーにその使用を促し、視覚を失った天使を復讐者が一方的にボコれる(ガードアップ)状況を作る。
「残念ながらあっちは空だ」
なお視覚を失い、ボコられた天使は煙幕から逃れるため急上昇すると読み、飛翔効果で上空に先回り、太陽の中に隠れて待ち構え、大太刀で一刀両断に斬って捨てます。
「下を見下ろすよりも上を見上げるべきだったな」
アドリブ絡み歓迎
ベアトリス・リュウフワ
羽虫の親玉も結局は羽虫。
わたくしの崇高さや高潔さには遠く及びませんわね。
無様に踊りながら死になさい。
見たところ、その鐘はかなりの質量がありそうですわね。
つまり、安易に受け止めたり受け流したりしたら此方が不利。
回避の一択でしょう。
ただ――うふふ、『全力』で振るってくださるのは大いに結構。
時間や空間を操る特異な能力を持っていない限り、それを全力で振るうとなると必ず予備動作があるはず。
振るわれる角度、軌道を【戦闘知識】【精神集中】で読みつつ――優雅に歩きましょう。
懐にさえ潜り込めればわたくしの領域。
貴方の一撃を、【ダンス】で培った『全身運動』でかわし、【斬撃】をたっぷりと浴びせて返礼といたしますわ。
花鶴・景臣
さて――後はてめえだけだぜ、大天使様
天使の挙動は常に注視
死角から殴られでもしたら避けられねえ
しかも周囲に他の奴が居たら巻き込まれかねないからな
声掛けは盤石に、死角は補い合うよう行動
やばければガードアップの恩恵を頼りに
得物で可能な限り敵の攻撃を受け流す
結構なダメージは受けるだろうが、忍耐力でどうにか耐える
臨機応変…と言うよりは行き当たりばったりの行動は得意分野だ
地形を利用すれば死角からの不意打ちもいけるか?
振りかぶる動作を確認した瞬間
懐に踏み込み、無銘で一閃
ついでだ――とっておきの『おまけ』もつけてやるよ
発現させた炎で焼き鳥の完成だ
てめえがこれから行くのは天国じゃねえ
地獄で閻魔様にでも懺悔してな
長谷川・優香
★アドリブ、連携歓迎
「全く、大天使を名乗る割には余裕もなければ品もない、これで人から信仰だけを得ようだなんて、三流以下といったところですね」
ガブリベル撃破のため、こちらも『契約召喚』にて天使を呼び出します。天使を呼び出したら、味方への攻撃を盾で防ぎ、その後手に持った槍にて攻撃を行う(残留効果2の【ガードアップ】【反撃アップ】を使用)
その後は『全力魔法』の技能を用いて召喚した天使に対して効果2の【命中アップ】、【ダメージアップ】を付与しながらガブリベルに魔法攻撃を仕掛けていきます
せっかくなので私が従えている者の真名を明かしましょう。彼の者はイズラーイール。あなた方クロノヴェーダに死を撒く者です
その時、まで。
百鬼・運命(人間の鬼狩人・g03078)は戦場を支配するべく、準備を続けていた。
戦場を見下ろす廃ビルの一室である。
回収した発炎筒を、束にまとめて一度に発火する為の仕掛けを施す。
細かい作業だ。右肩の真新しい傷に、僅かに指先が震えて舌打ちする。
(「……全く、逆説連鎖戦ってヤツは……」)
それは運命が支援射撃を行った時に、大天使の反撃で受けた負傷だ。
運命のパラドクスで遠隔操作された動力甲冑による攻撃にも関わらず、その反撃は術者をも同時に襲ったのだ。
残留効果で軽減したが決して浅くは無い。
「……まだか?」
花鶴・景臣(灰に帰すまで・g04686)が、細工が終わったもう一つの発炎筒の束を抱え、僅かな焦りと共に口を開く。
「今終わる……これで、OK」
「よし、やるぞっ!」
景臣が言うなり運命も発炎筒の束を抱え、窓から階下の大天使と対峙する仲間たちの姿を確認するや、思い切り投げ込んだ。同時に運命のオリジナル・パラドクス『トラッピング』を発動。
束が空中で解けバラバラになった発炎筒が、発火しながら戦場に散らばり一斉に白煙を上げ、運命が叫んだ。
「完全視界!」
白煙に包まれた戦場――本来、多少量が増えたとしても、霧のように完全に視界を閉ざす物ではない。
だが、パラドクスとなれば話は別だ。発炎筒の効果が数倍に増幅され、敵の視界を遮り、死角を産む。
そして、本来の白煙はディアボロスは無効化できる。それが積み上げた残留効果と合わされば――。
この場でそれを最も理解していたのは景臣だった。
発炎筒を投げると同時に戦場に飛び込むや、完全視界を発動。白煙と重なる視界がクリアとなり即座に動く。
「さて――後はてめえだけだぜ、大天使様」
景臣が白煙の影からガブリベルの視界へと一瞬姿を見せる。だが攻撃と見せかけてすぐに視界から消えた。
同時に、
「ベアトリス、いいぞっ!」
大天使の死角に立つ仲間の名を叫んで指示を与えるや、素早く位置取りを変える。
戦場が混沌とすればするほど、バウンサーたる景臣の領分なのだ。
「こんな小細工!」
大天使が怒りの叫びと共に、白煙の中に見えた人影へと水晶の鐘をなぎ払うも、
「羽虫の親玉も結局は羽虫。わたくしの崇高さや高潔さには遠く及びませんわね」
悠々と歩くベアトリス・リュウフワ(強欲と傲慢のミルフィーユ・g04591)が最小限の動きで回避する。
(「うふふ、全力で振るってくださるなら、大いに結構」)
狙いが正確でない大振りの攻撃である。戦闘知識に裏打ちされ、予備動作から軌道を読む彼女を捉えることは不可能だ。
あえて剣も構えず、優雅に歩みを続けるベアトリスが、踊るように鐘の一撃をかわすと同時に長剣の柄を握る。
「無様に踊りながら死になさい」
ベアトリスの周囲から白煙が散った。あまりの速さに衝撃波を纏う、瞬間移動とも見紛う踏み込み。
「なっ!」
驚愕するガブリベルの目の前で、黒髪の少女が冷たく微笑む。懐にさえ潜り込めれば、そこは彼女の領域だ。
常人が視認出来ない速度で斬撃を放ち、次の瞬間、大天使の背後にとん、と優雅な所作で着地。
微かな音を立て長剣が鞘に収まり、黒いレースの裾が遅れて翻る。
「ぐっ、ぐっ、あああああ!」
やっと無数の斬撃を浴びせられたことに気づいた大天使が、初めて苦悶の叫びを上げた。
咄嗟に左腕で急所は庇ったものの、切り裂かれた左腕、両太股、左肩、背中から血飛沫が舞う。ベアトリスの神速の抜刀術『進撃の剣』(クロエ)だ。
「今だ、叩き込め!」
大天使の動きが止まったと見るや景臣が叫び、長谷川・優香(サクセサー・オブ・レメゲトン・g00350)が反応する。
既に契約する天使は召喚済みだ、後は命令するのみ。
「せっかくなので私が従えている者の真名を明かしましょう。彼の者はイズラーイール。あなた方クロノヴェーダに死を撒く者です」
……聞こえる余裕もないでしょうけど。皮肉な呟きと共に、入力するサモン・デバイスが全力魔法アルゴリズムを起動。
デジタルサマナー、優香の使役する天使が掲げる片手槍から光が放たれた。オーロラめいた虹を帯びた白色破壊光線。
それが回避の余地なくガブリベルを焼き、反撃は読んでいた景臣が刀で受け流す。
多対1で真価を発揮する大魔法故に単体相手に威力は劣るが、残留効果が増幅し確実に大天使を追い詰める。
ガブリベルは不利を悟った。
反撃は録に出来ず。放った一撃も、まともに捉えることができない。
遅ればせながら、大天使は気づいた。白煙が濃いのは地上だけだ。消耗は激しいが、高空に上れば。
「まだです!」
言い捨てるなり翼を羽ばたかせると、一気に空へと飛翔する。
優香が眉をひそめ、
「全く、大天使を名乗る割には余裕もなければ品もない、これで人から信仰だけを得ようだなんて、三流以下といったところですね」
辛辣に評する。だが、それだけだ。飛翔すれば追うこともできるはずなのに。
「そう、貴方の逃げ先は、そこしかない。でも――」
ガブリベルの飛ぶ先、太陽の中に影を見つけ、優香の瞳に勝利の色が加わる。
空高く飛翔したガブリベル。
地上を見下すと湧き上がる白煙の間にディアボロスの姿が明らかになり、憎しみのままに叫んだ。
「これまで、です!」
太陽の光を浴びて水晶の翼が白く輝くや、翼から無数の羽が一斉に逆立つ。
一つ一つが水晶、それも鋭利な魔力を帯びた羽の弾丸だ。それを網と化して一斉に放つパラドクス『水羽の弾幕』
放たれれば、事実上、回避は存在しない。
だが、発動する直前、大天使のさらに上空、太陽の中から出現した人影が飛翔も重ねて全速で降下。
――運命だ。
運命は戦場を作り、ガブリベルの思考を誘導し、最後に空に上がることまで読んでいたのだ。
「下を見下ろすよりも上を見上げるべきだったな」
全力で放つ運命の大太刀――神刀『十束乃大太刀』が無防備なガブリベルの背中を捉えた。
「がはっ!」
肺の中の空気が全て抜けるような一撃が背中を抉り、天使の翼が両断され、バラバラな水晶の欠片と化して砕け散る。
悲鳴を上げ、大天使が地上へと叩きつけられる。
驚くべきことに、ガブリベルはまだ生きていた。
「主よ……、大天使たる、私が……敗れる、わけには……」
均整の取れた体躯を滴り落ちる血が斑に染め、下半身だけを僅かに覆うトーガが赤黒く染まって地に垂れる。
あちこちが欠けた大鐘を、杖代わりにやっと起き上がる。
その眼前。
白煙が散った正面に、景臣が立つ。
その手には名すら知らぬ刀。抜身の刃が、使い手の殺気に呼ばれ焔を帯びる。
「お前などに、私がぁぁ!!」
絶叫を上げて、大天使が鐘を振りかざした瞬間、景臣が踏み込んだ。一閃。
すれ違いざまに放った景臣の剣技『送葬』(ソウソウ)が、大天使の左胸から入り背中に抜けた。
切り裂かれた傷から炎があふれる――猛り狂う紅き地獄、それは逃れ得ぬ焔の海。
「……主よ、無力な私を、お許……し……天に……」
アヴァタール級大天使『受胎福音』のガブリベルは、それだけ口走ると崩れ落ち、もう動くことは無かった。
それを見下ろす景臣、
「てめえがこれから行くのは天国じゃねえ。地獄で閻魔様にでも懺悔してな」
そう、言い捨てた。
※
かくて、一つの戦いが終わる。
扉は、開かれるのか。
繋がれた想いは、明日への道か。
知る者は、未だ、居ない。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【水面歩行】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
【友達催眠】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV5になった!
【反撃アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!