リプレイ
奴崎・娑婆蔵
【奴崎組】
ブッツケで治水か
助太刀致しやすぜ、薬袋の
【飛翔】にて現場を上から視界に納めつつ臨みやしょう
土の硬軟に、それから、掘った溝の維持に活かせそうな石・岩などがあるまいか――
周辺地形を【観察】、薬袋のが川傍へ溝を数刳り貫いて掛かる上で良さげな向きあらば、適宜通達致しやす
勿論あっし自身も【イカロスウイング】を広く放ち地を抉る仕掛けに協力致しまさァ
水を程度ハケさせられたなら『影業』も用いてヒト>モノの優先度で掬い上げ救い上げ回ると致しやしょう
古来、時に荒ぶりもする水の流れは竜と喩えられなんぞもしたそうで
では薬袋のにリンドラゴのお嬢、ドラゴニアンふたり、うまいこと世話してやって下せえよ?カハハ
薬袋・透
【奴崎組】
昔ダムに沈んだ村の映像を見たことあったけど、ちょうどこんな光景だったわね
しかしここまで水が来てると汲み出すんじゃ間に合わないかも……怪力無双で川の横にいくつも溝を掘って水の流れを分岐させ水量を分散させるわ
水中での作業は召喚したうろこちゃんに貫通撃のバフを付与してお願いしましょう
遠くから聞こえる鯨の鳴き声にしんみり
しつつ現地の復讐者と協力して作業を続けるわね
それにしても現地の復讐者の彼……翡翠さんだったかしら?どうも他人とは思えないのよね……
僕と同じ召喚術使いだと言うことを抜きにしても……
アドリブ絡み歓迎
●
「昔ダムに沈んだ村の映像を見たことあったけど、ちょうどこんな光景だったわね」
水の中、ところどころに見え隠れする建物。
その涼し気差とは別に、薬袋・透(無彩の魔女の系譜・g02087)は物悲しい光景だと思った。
かつて日常が存在した場所が水没しており、現在進行形で困っている人が居るならば放置は出来まい。
「しかし、ここまで水が来てると汲み出すんじゃ間に合わないかも……。川の横にいくつも溝を掘って水の流れを分岐させ水量を分散させるわ」
「ブッツケで治水……か」
透の隣に一人の男が現れた。
難しいと知って顔色変えずに挑む男である。
危険な戦場の中にすらニッコリ笑って駆けて行きかねない雰囲気がある。体の傷も恐れない、命よりも大切なモノがあるゆえに。
「助太刀致しやすぜ、薬袋の」
「助かります。組長」
その名は奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)。
言わずと知れた奴崎組である。
彼の漢気の前に組織は今も拡大中であるとか。
「それじゃ僕は、うろこちゃんと一緒にキワをぶちぬいていくんで」
「ならば、あっしは空から確認いたしやしょう。同じ流れの中でも、一口に土と言っても硬軟あるでしょうし使える岩の類もござんしょう」
透が契約したジンのうろこちゃんにお願いしていると、娑婆蔵は頷いてベルトに込められた力を解き放つ。
イカロス・ウイングをセットUP!!
意思を持つ帯は柔王M……いや縦横無尽に飛び回るのだ!
やがて娑婆蔵は空から指示を重ねていく。
そして自身も溝を掘ったり、要救助者を助けていく。
「見かけないディアボロスがいまさぁ。あれが現地の御人でござんしょうか。疲れてるでしょうに……再び水の中へ」
娑婆蔵が空から確認していると、組の者やその知り合いではないディアボロスを見つけた。
おそらくはクノロス級がアヴァタール級を増やすために狙ったであろう現地ディアボロスと思われる。
その人物は片時も足を止めず、誰かを救うため、あるいは家財を回収するために水の中に潜り続けているのだ。
「天道、路を照らすたあ良く言ったもんで。あの頑張りが無きゃあ、あっしらもここまで救援に来たか判らねえ」
「そうかな? 多分……どっちにしても来たんじゃないかな? あの人も……僕らが来なくても救助し続けただろうし。そんなものだと思いますよ」
娑婆蔵が影を操り物を拾い上げに降りてくると、透は奇妙な視線で現地ディアボロスを眺めていた。
恋でも憎悪でもない、良く知らない人の筈なのに、まるで旧知の人物に送るような眼なのだ。
(「それにしても現地の復讐者の彼……翡翠さんだったかしら? どうも他人とは思えないのよね……僕と同じ召喚術使いだと言うことを抜きにしても……」)
透は溝を掘って水を抜く過程であの人物に出逢っていた。
狭い村である、ある意味で当然と言えよう。しかしその時から奇妙な既視感がぬぐえないのだ。
不謹慎だが何年も一緒に居た仲間と共にプールにでもやって来たような気やすさがある。
『バヨー……ン。バ……エーン』
「あ……また聞こえる」
そんな中で透は彼方から聞こえる低音の声を聴いた。
空であろうが、例え水中であろうが聞こえる物悲しい声である。
「木曽三川に板東太郎。古来、時に荒ぶりもする水の流れは竜と喩えられなんぞもしたそうで。もしかしたら、あれも龍の一種だったのかもしれやせんねえ。……では薬袋のにリンドラゴのお嬢、ドラゴニアンふたり、うまいこと世話してやって下せえよ? カハハ」
おそらくは空飛ぶクジラであろう。
娑婆蔵はその事を察しながらも、透の様子に憎しみがないことから静かな例えをした。
クロノヴェーダであるがゆえにいずれ倒すしかないが、必ずしも憎しみに駆られて殺す必要はない。
治水の一環であり、仕方なく処理するのだと口にする情けがあった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
リューロボロス・リンドラゴ
【奴崎組】
任せよ、組長。
海も川も湖も、ドラゴンの領域よ。
【水中適応】で溺れる者たちのもとへと急行よ。
くははは、《水中戦》も得意な竜なのでな。
泳ぎも潜水もお手の物よ。
我が加護により溺れてる者も水中呼吸が可能になるが……。
意識を失っておる者や、深く沈んでおる者は危険よな。
深く潜って見落とさぬようにせねばの。
《光使い》と【完全視界】で水中での視界確保。
【怪力無双】もある。
両手だけでなく尻尾も用いて一度の潜水で複数人助けたいの。
見逃さぬよう事前に現在の行方不明者の数を聞いておきたいところよ。
無論【パラドクス通信】での追加行方不明者情報も得ておくぞ。
村人達を陸地に送ったら《火炎使い》で暖めようぞ。
●
「うまいこと世話してやって下せえよ? カハハ」
「任せよ、組長」
リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)は小さな胸を反らせた。
彼女が定義する龍において、治水の為に法力を振う存在こそが相応しい。
「海も川も湖も、ドラゴンの領域よ」
そう言って天より水中へザプンと飛び込んだ。
水中適応で溺れる者たちのもとへと急行する。
その力は現地ディアボロスの比ではなく、さらに言えば息継ぎなど不要だ。西洋におけるドラゴンは暴力と権威の象徴であるが、東洋においては原初の生命であり水の化身でもあるのだ。
「あ、楽に成った」
「くははは、水中戦も得意な竜なのでな。泳ぎも潜水もお手の物よ。我が加護により溺れてる者も水中呼吸が可能になるが……」
リューロボロスの守護圏内に入った仲間がまず水に適応した。
これはディアボロスの周囲に水圧耐性や水中呼吸を授ける能力である。
「僕だけでなくあっちの……翡翠さんって人にもお願いできる?」
「断る理由はないな。だが気が付けば勝手に使うであろう。……急ぐとすれば、意識を失っておる者や、深く沈んでおる者は危険よな。深く潜って見落とさぬようにせねばの」
仲間の要請にリューロボロスは快く頷いた。
加護を止める理由はないし、そもそも気が付けばディアボロスは勝手に使用できるものだ。
それよりも水中で気絶した人々は大変である。家屋に押し潰された者などは時間との勝負。
「……そうだ、声をかけるならば何人が行方不明なのかその翡翠とやらに聞いておくのだな。それと金剛力を借りるぞ。一刻も早く助けねば」
リューロボロスは話すキッカケを作ってやったわけではない。
しかし勝手に加護が増えるのもまた龍というも。
水中に潜って借りた怪力で倒れた家屋を次々に崩していく。水中適応のお陰で息継ぎの必要が無いのでは段違いだ。
「尾で固定するとして……こうなってくると天眼通も欲しく成って来るな。誰ぞが用意すると言っていたが……」
家屋を崩し、必要そうな物を尻尾に引っ掛けて人々を救助した。
やがてパラドクス通信で残り何人を助けなければならぬか聞けたころ……俄に視野が明るくなっていく。おそらくは完全視界を使える仲間もまたやって来たのだろう。
「人も増えたし残り僅か、ならば適当なところで切り上げ、温めてやらねばな」
そういってリューロボロスは火種を用意すべく陸上へと向かうのであった。
成功🔵🔵🔴
効果1【水中適応】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
●
「何人居るか?」
翡翠と呼ばれた男は少しだけ悩んで答える。
問答の間が僅かな休息になるほどに彼は動き続けていた。
「多くて七十だか八十だが半分は外苑だよ。谷はともかく俺と同じ尾根の連中は巻き込まれてるかどうかが怪しいかな? 無事な奴に聞いてくれれば直ぐに判ると思う。問題なのは下の方だけど……」
人数を聞くと本当に寒村であった。
谷やら尾根の筋にある平坦な場所に、家族が二つ三つ邑を作って居る。
それらに付き十名ちょっとで、新しく生まれた子供や食料が無くて死んでしまう子供の数で前後する程度だろう。
本村と言うべきに五十人弱、谷・尾根・下手の邑三つ全てを合わせても百人は居ないという。
「合わせて四十は助けた? すまねえ、恩に着る。その上で……我儘言ってるのは判ってんだけど、もう一つ頼まれてくれねえか? 家財道具たあ言わねぇ。食い物だけでも拾えるだけ拾ってくれまいか? 既に助けてもらった上に恥知らずもいいとこだが……生きてても食うものなきゃあやってけねえからよ。この通りだ。俺が持ってるもんなら全部やっから」
翡翠はその間、一言も自分の身の上について話さなかった。
生計やらなにやら全ておいて、村の連中を助けてほしいと頭を下げたのだ。
例えディアボロスが所持品全てを報酬に持って行ったとしても、自分の腕一本で食っていける自信があるのか?
……いいや、おそらくそんなことは考えても居ないに違いない。
リュウ・ターレン
【奴崎組】
アドリブ/連携歓迎
……溺れるところ見るんは嫌やね。
シュウも手伝ったってな。
こういう時は一人と一匹、別れたらええわ。
自分は【水中適応】【完全視界】貰って、溺れる人らの救出。
もこもこ(モーラット)のシュウェジンは溝堀のお手伝い。
砕けそうな岩とかあったら【パラドクス】で砕いて埋める。
必要に応じて【パラドクス通信】で連絡とりあって臨機応変に動けたらええなって。
白水・蛍
【奴崎組】
アドリブ/連携歓迎
使用可能な効果1・2は全部使用。
治水作業ですか。では、参りましょうか。
溝堀と言う事なのでちょっと力業で参ります。
スパーライトと一緒に地面を【パラドクス】で掘り返します。
魔力弾を分割させないでそのまま地面に穴を開ける形を。
スパーライトに分割しない魔力の弾丸で地面に穴を開ける役目をお願いします。
その穴と穴をつないだりするのを細かく割った魔力の弾丸で調節するのは私がやります。
時間は多くないでしょうから手早くやってきましょう。
●
「……溺れるところ見るんは嫌やね。シュウも手伝ったってな」
駆けつけてきたのはリュウ・ターレン(奪われた者。奪い返す者。・g07612)たちである。
モーラットのシュウェジン共々みんなで捜索やら水抜きのお手伝いだ。
「せや、こういう時は一人と一匹、別れたらええわ。シュウをお願いしまっさ」
「治水作業への補助ですか。構いませんよ。では、参りましょうか」
リュウは同行して来た白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)にシュウを預けた。
彼自身は水中に潜るので、モーラットの特性を考えれば地上の方が良かろうと判断したのである。
それにおぼれた人を助けるだけならともかく、家財道具や食料を拾うには地上にも手が必要だからだ。モーラットの手は猫の手よりは役に立とう。
「溝堀と言う事なのでちょっと力業で参りましょう。スパーライトもシュウもお願いしますね」
蛍は自身が連れて来たオラトリオのスパーライトに声をかけ、シュウの力も合わせて作業に入った。
琴を取り出して音を奏でる。
「我が音に応えて来たれ、これ即ち全てを壊す魔力の砲撃。ひ、ふ、み・よ……いむななや、ここのたり!」
まず軽く弾き地面に穴を開け、土を掘れるかを実験。
次いで本格的に穴を開け、二つの穴が合一するかの実験を行った。
「スパーライトは上から地面に穴を増やしてください。その穴と穴をつないだりするのを細かく割った魔力の弾丸で調節するのは私がやります。シュウはそうですね……穴を大きくしてってください。そう、そこです」
土の際が斬り裂かれ、あるいは風穴を空けられて『向こう側』に水が流れてく。
蛍が音に魔力を与えることで音魂となり、それらが彼女が琴で奏でることによって弾丸として撃ち込まれていくのだ。
水を一気に下流まで押し流すのではなく、ある程度の単位で少しずつ抜いていく。こうすることで食料が流れ過ぎずに済むだろう。
「おっ……このビリビリはシュウやな。頑張っとるんか。こっちも頑張らなあかんな」
リュウは蛍から完全視界を借りたことで、泥で汚れ始めた水の中を見通した。
すると水面の方でスパークが散るのが見えたので、状況を把握することが出来る。
流石に人が埋まっているのは無理だが、泥に紛れているくらいならば余裕で見通せるのが大きかった。
「時間は多くないでしょうから手早くやってきましょう」
「せやね。他の仲間ともども一気にまいていこか」
そこまで把握した辺りでパラドクス通信を仲間に送ってみると、土木作業が終盤に入ったのだと聞くことが出来た。
水が次第に抜けて行き、鉄砲水……というか土石流によって沈んだ村がやがて顔を出す。
しかし仲間が与えた加護である水中適応があったとしても、水が肺に入ったままであったり低体温症は危険なのだ。
周囲は水の香りが強く、見た目には涼しげに見え始めている。
だが一刻の猶予も無いと、ディアボロス達は懸命に救助作業を続けたという。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
野本・裕樹
【凪】
仲間を作る為の行動、致命的に間違っていると感じるのは価値観の違いなのでしょうね。
させませんよ、悪意の無い純粋な願いだったとしてもやってはいけない事があります。
村も水没したままでは困りますしね。
18の頃のならくさん…こんな感じだったんですね。
少し身長差埋まりましたか?並んだら姉妹に見えますかね?
因みに裕樹は【エイティーン】使いが増えた事を大いに喜び、半分冗談のつもりで誘った結果こうなっている(残り半分はやはり悪ノリ)
…っと、大事な依頼の最中でしたね。
ええ、まずはこの川の水を何とかしないと。
了解です、【エイティーン】で少しは筋力も増していますからね。
力仕事なら負けませんよ!頑張りましょう。
狭間・ならく
【凪】
サテ、何からするかね。
……すそはらえと言や川辺──川の水に呪を流すようなのが陰陽師もやる手管だそうだがな。
その水が溢れてるっつーのはあんま良くないな。
(狩衣姿で【エイティーン】の効果を初めて使用しているが特に理由はない。強いて言えば悪ノリの産物だ)
そう言うならお前が率先して水着とやら着てくれば良かったじゃねーか。
ユーキお前こんな眼付き悪い姉妹欲しいか?
(辺りを見回し)(何かほとんど知り合いだな?)……マ、深く考えるこたねェか。頭数はあるに越したことねーし。
手分けすりゃ早かろ。ンじゃ、こっちはナラクさんたちで掘るかね?(あからさまに面倒くさそうに)(力仕事はモコモコにやらせようそうしよう)
文月・雪人
【凪】
※アドリブ連携歓迎
ええと、どちら様で?……なんてのは冗談だってば
いやはや水着じゃないのが残念だね、なんて
なるほど姉妹、髪色はどちらも金色だしね
今度ナラクも狐耳付けてみたり?(クダ吉の耳をぴこぴこ
なんて軽口はこの辺で、作業の方も頑張ろう
俺も少しなりとも力になれたらと
可能なら仲間の効果も借りて、連携して作業を進めたい
『龍脈解放』のパラドクス使用
パラドクスのエネルギーで大地を抉り、或は隆起させていく
川の流れを分岐させる仲間の作戦を手伝うと共に
隆起させた大地で、一時的に避難できる陸地も確保出来たらと
クダ吉も手伝ってくれるのかい?ありがとう
モコモコ野郎には負けられない?成程
二人とも頑張れー!(応援
●
「サテ、何からするかね」
狭間・ならく(【嘘】・g03437)はピチピチの肌で水辺に立っていた。
水没していた村から徐々に水が引いていく。
「……すそはらえと言や川辺──川の水に呪を流すようなのが陰陽師もやる手管だそうだがな。その水が溢れてるっつーのはあんま良くないな」
年中行事を思い出しながらナラクは苦笑した。
雛人形に厄を込めて流したり、燃やしてから灰を流したり。
あるいはこの世の端から追放し、律令の中にはそんなものは存在しないと理屈をこね回している。ああ、思い返せばヒルコ神もまた流されたのだったか……オオヒルメムチ(ヒルコの女性版)は流されなかったのに。
「とりまクジラの尻ぬぐいをしねえとな。龍黄薬や神便鬼毒酒なんざお呼びでねえが」
「仲間を作る為の行動、致命的に間違っていると感じるのは価値観の違いなのでしょうね」
ナラクが語る薬は神通力をくれる妙薬だが龍(クジラ)の排泄物であり、野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)はその事を知ってるので苦笑した。
人は見たい物を見る、あばたもエクボという言葉の見本だが……。
それ以上に、あの空飛ぶクジラとの価値観の相違はいただけない。
「させませんよ、悪意の無い純粋な願いだったとしてもやってはいけない事があります。村も水没したままでは困りますしね」
そういいながら裕樹は視線と笑みを柔らかい物に変えた。
苦笑は微笑みに変わり、遠くを睨む瞳は近くをニコリと眺める。
「18の頃のならくさん…こんな感じだったんですね」
「ええと、どちら様で? ……なんてのは冗談だってば」
感心したような裕樹の言葉に文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)が大仰に驚いて見せる。
なんと奥様……じゃなくてナラクはエイティーンを使っていたのでした。
年齢半分のバーゲンセールである。もちろんそんなことに意味はなく、強いて言えば悪ノリの産物だ。
「いやはや水着じゃないのが残念だね、なんて」
「そう言うならお前が率先して水着とやら着てくれば良かったじゃねーか」
雪人の言葉にナラクは三白眼を向けた。
肌はピチピチになったが此処はビーチではないし、そんな悠長なことをやっているような状況でもないのだ。
「まあまあ。少し身長差埋まりましたか?並んだら姉妹に見えますかね?」
「なるほど姉妹、髪色はどちらも金色だしね。今度ナラクも狐耳付けてみたり?」
まんざらでもなさそうな顔で裕樹が話を向けると雪人は楽し気に混ぜっかえした。
管狐のクダ吉を掲げて耳をピコピコさせながら笑顔を置向ける。
「ユーキお前こんな眼付き悪い姉妹欲しいか?」
「うん。ワタシ欲しいデスヨ。お姉ちチャン」
ナラクは呆れたような顔で物前をする雪人にチョップを落す。
お前が言うなと釘を刺しつつ、周囲を見渡した。
「戯言はここまでだ。見りゃ判んだろ?」
「……っと、大事な依頼の最中でしたね。ええ、まずはこの川の水を何とかしないと」
裕樹は素直にエイティーン使いが増えた事を大いに喜び、残り半分はやはり悪ノリであった。
しかし壊滅した村を見ていつまでも笑って居られる訳もない。
どちらかと言えば、悪い予報がこれ以上続かない様にと空元気であったのかもしれない。
「俺たちも少しなりとも力になれたらいいね。……溝を作ってるのか。じゃあ向こうを手伝って来るよ。龍脈の力を借りればそこまで苦労しない筈だからね」
「……マ、深く考えるこたねェか。頭数はあるに越したことねーし」
一瞬で真面目な顔をした雪人に頷きつつも、ナラクは何処かで見た顔ばかりなのを思い出す。
ここには奴崎組から数名が駆けつけており、彼女たちの力を借りれば人命だけならば難しくはないはずだ。
「手分けすりゃ早かろ。ンじゃ、こっちはナラクさんたちで掘るかね? よし、やるぞモコモコ野郎。主にお前がな」
「了解です、エイティーンで少しは筋力も増していますからね。力仕事なら負けませんよ! 頑張りましょう」
ナラクは腕をまくって見せる裕樹の二の腕をつまみながら、モーラットのモコモコ野郎を眺めた。
そしてガチムチではないがゆえに、柔らかい部分をつままれた裕樹が涙目になっている間に指示を出す。
「クダ吉も手伝ってくれるのかい? ありがとう。モコモコ野郎には負けられない? 成程。二人(?)とも頑張れー!」
その様子を見ていた雪人は、微笑みになり掛かった苦笑を浮かべつつ大地の力を借りる。
今の状況はマイナスが大きいが、古来より洪水は山の恵みを農地に届ける存在だ。
禍福が逆転し、いつか幸いに成れば良いねと思いながら溝を作ったり、陸地を集約したりするのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【エイティーン】LV2が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV2が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
水が抜かれて徐々に引いていく。
村から建物が顔を出し、多くの人々が救助されあるいは無事であったことが判って来た。
残るは水が集まってしまう、谷と下手の場所だろうか?
とはいえ谷は元から下流に向かう場所なので、詰まっている場所さえ何とかすれば、栓を抜くように水を抜けるはずだ。
そしてまだ救助されていない人は合わせても十名を越えず、水中適応の効果もある。
むしろ、水に浸かってしまった食料を可能な限り回収する方が面倒だろうか?
いずれにせよ、鉄砲水どころか土石流と化した濁流による事件は集結した。
後は人々が生きていくための問題かもしれない。
薬袋・透
【奴崎組】アドリブ絡み歓迎
とりあえず翡翠さんの死は回避できたかしら?後は今後の復興の下地作りね
【水中適応】で潜って食料を引き上げるわ
そのままじゃ使えないし【熱波の支配者】で水を飛ばして。
そういえばエジプトあたりじゃ川の氾濫跡に畑を作ったりしてたらしいわね……ここもいい感じに土がおこされているし少し【土壌改良】すれば問題なさそう
作業の途中、ふと魔導書の変化を感じて確認。新しく記載された翡翠の名と召喚術の項目。
なるほど、他人と思えないわけだわ。僕の血脈で、僕に本という形で召喚術の力を託してくれた人なんだもの
狭間・ならく
人手いるか?
足りてねーなら手伝うが別にいらねェってンなら休んでるぞナラクさんはよ。
(とかなんとか言いながらもモコモコ野郎はやる気のようだ)(力仕事はコイツに任せようとナラクさんも思っている)
誰か地図持ってねェか?
あったほうが効率よく回れるだろ。
(【スーパーGPS・パラドクス通信】にて効率化と情報共有)
……ふむ。
マ、こんなもんか。今日の飯と明日の種籾がありゃあとは現地の連中が自力でなんとかするだろ。(ひらひら手を振った)(過干渉は好みでないとかわざわざ言うのが面倒だった)
●
「とりあえず翡翠さんの死は回避できたかしら?」
薬袋・透(無彩の魔女の系譜・g02087)は現地ディアボロスの様子を確認する。
最初はずっと泳ぎっぱなしで、何度も潜っては救助に当たって居た。
しかし今では休憩がてらに誰が居て、誰が居ないかを調べて回る余裕があった。
「まだ見つかってない人が居るかは継続して確認するとして……後は今後の復興の下地作りね」
透はひと段落付いたことでホっと息を吐きつつ、今後の事を考えた。
そこで気になるのが先ほど翡翠と言う男が口にしていた言葉である。
「人手いるか? 足りてねーなら手伝うが別にいらねェってンなら休んでるぞナラクさんはよ」
「あー。急場は過ぎたけどもうちょっと協力して欲しいかな。泳ぎ疲れてるなら無理には良いけど」
狭間・ならく(【嘘】・g03437)の言葉に、透は硬軟織り交ぜてお願いした。
ナラクはストレートに言わないと本当に何もしない部分があるし、同時に困っているならば『やらない』と口にしても裏で協力してくれるところがある。……というか奴崎組に所属するメンツは判り難い人物と、ド・ストレートな人物が多いとも言うが。
「なんだ急ぎじゃねえならほっとくか。モコモコ野郎はその気見てえだしな。面倒な作業が終わるまでは様子見っと」
そういう訳でナラクは絶賛待機中であった。
モーラットのモコモコ野郎だけが頑張って頑張って仕事している。
少なくとも力仕事が終わるまで彼女は動かないだろう。エイティーンの影響でエネルギーが余り過ぎない限りはきっと。
「とりあえず潜って食料を引き上げるわ。さっきも頼まれちゃったしね」
そう言って透は下手側の支邑へと泳ぎに行った。
少し走ってザプンと浸かれば水が心地良い。
これが娯楽出来たのならば長閑で良いのだが、残念ながら水没した家があるのでそうもいかないのだ。
「あったあった。乾かせば行けると良いんだけど……駄目ならこのまま植える成り、煮込んで食べないと駄目ね」
水中適応の効果で自在に潜りつつ、まだ無事な建物があれば中で創作活動。
水の浸かってない土器などを引き上げ、あるいは水潜れになった器から食料を回収する。
そんな作業を繰り返す中……。
「そーいや誰か地図持ってねェか? あったほうが効率よく回れるだろ」
「地図? んな気の利いた物はねえよ。……だが、あんたの言うとおりだな。ちょっと待ってな」
ナラクの言葉に透と話していた翡翠と言う男が応じた。
そして翡翠は村人たちと少しばかり話し合うと、勘違いしている細部を直して何やら描き始めたのだ。
「こんなんでいいか?」
「……ふむ。マ、こんなもんか。助かる。こいつを皆に回しとくわ」
板切れに炭で描いた簡単な地図であった。
しかし現代に通じる技術など殆ど無い時代である。
それを考えれば素朴であるが随分と良い出来だと言えるだろう。『良い絵を描こう』という欲が無い事が、良い事につながったとも言えるし、推敲をしてないから拙いとも言える。
「あら。何か作ったの? さっき急に地形のアナウンスが入ったけど」
「いんや。ナラクさんは何もしてないぜ。何かしたのはあいつだな」
透が髪や簡単に乾かしながら戻ってくると、ナラクは手を拭くまで待ってから板を見せた。
そこにはスーパーGPSとパラドクス通信を組み合わせて送られた情報の元になった……翡翠の描いた地図がある。
(「なるほど、他人と思えないわけだわ。僕の血脈で、僕に本という形で召喚術の力を託してくれた人なんだもの。それにこの絵……少しだけあの子の絵に似てるわ」)
透が急に自ら上がって来たのには訳がある。
水中適応があるのでもっと行動できたのだが、作業中、魔導書に反応があったのだ。
新しく記載された翡翠の名前とその召喚術のアレンジ。おそらくは助かった事と……絵を描いたことで縁が繋がったのではないかと透は信じたかった。
「お、結構拾えたな。今日の飯と明日の種籾がありゃあとは現地の連中が自力でなんとかするだろ。ナラクさんは出番が来るまであっちで寝てるぜ」
そう言ってナラクは木の板を渡すと掌をヒラヒラとさせてその場を離れた。
きっと過干渉は好みではないし、村だけならばともかく仲間の過去に口を突っ込むのもどうかと思ったのだろう。
「食事もだけど、そういえばエジプトあたりじゃ川の氾濫跡に畑を作ったりしてたらしいわね……ここもいい感じに土がおこされているし少し土壌改良すれば問題なさそう……って、ちょっと手伝えとは言わないけどアイデア出しなさいよ!」
地図を参考に畑を何処に使用かと、透がブツブツ言いながら顔を上げると既にナラクは風のように去って居た。
モコモコ野郎が心配そうに顔を上げるが、何でもないのよと主人に似ず真面目なモーラットに透は手を振る。
こうして村人の救助と……将来の計画が少しだけ進んだ。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
野本・裕樹
問題は食料ですか、そうですよね。
食べ物に困らない、それがどれだけ恵まれた環境であるか。
新宿島は本当にすごいです。
私も二の腕つまめるくらいに食べられてますしね…くっ!
村の人達の不安を無くす為に。
【水中適応】がありますから私も潜って食料の回収をしましょう。
【パラドクス通信】も使ってできるだけ効率良く。
水に濡れるくらい食料不足で明日に怯える事に比べれば何て事ないです。
回収の目途が立ったら今度は食料への【クリーニング】でお手伝いを。
見た目が無事な食べ物でも油断できませんから。
【クリーニング】しておけば、お腹を壊す心配も少ないでしょう。
少しでも多くの食べ物を食べれる状態にしたいですね。
文月・雪人
救助が未完なら俺も急ぎ手伝おう
仲間と連携し
残留効果も有難く使用
【水中適応】はクロノヴェーダを除く全ての生物が水中での呼吸が可能となるから
救助対象の人々も使えるのが本当に有難い
【パラドクス通信】で情報確認しつつ
【完全視界】で見通して要救助者を捜索
【怪力無双】で障害物を排除しつつ水上へ引き上げる
人々を救助し安全を確保したら
引き上げるべき物資についても聞いてみよう
倉庫の位置など分かれば効率的に運べるかも
運搬には持参した大きな麻袋と【怪力無双】使用
何度も往復して物資の運搬を行うよ
【クリーニング】も有難いね
洪水の後は伝染病も心配だから
安全を確保した食料は
味見と称して【口福の伝道者】で増やすのも忘れずに♪
●
「救助が未完なら俺も急ぎ手伝おう」
文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は最後まで人命救助に力を尽くした。
水中に適応し、泥の中を見通し、GPSで見知った地形情報を聞いて通信で聞きながら。
そして剛力で残骸を持ち上げ……これらの道筋を作ってくれた仲間に感謝する。
「水中適応は救助対象の人々も使えるのが本当に有難いな。これが無かったら現地のディアボロスはともかく村人は危なかったかも。龍神様に感謝だね」
ディアボロスは一人ではない。
ここまでの力を積み上げて来た仲間のありがたさを雪人は知った。
「となると残る問題は食料ですか、そうですよね。食べ物に困らない、それがどれだけ恵まれた環境であるか」
そんな中で野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)は主に食料を中心に拾っていた。
人間は食べられないと生きていけない。
寒村では食料が少なく、金よりも食事が重要だからだ。
「新宿島は本当にすごいです。私も二の腕つまめるくらいに食べられてますしね……くっ!」
裕樹はそう言いながら己の腕をつまんだ。
将来があるもん……とか思いつつ先ほど二の腕をつまんだ人物を思い出す。
……アレ……年齢差を考えると成長してもあんまり変わらない体質の人もいるのでは。いえ、あの人はきっとサラシでも巻いてるんです。と現実逃避する。
「にゃふふ。柔らかいのはしょうがない、裕樹は女の子だからね。逆に俺が女装しても何処か筋張っちゃうからね。あ、村人は最後の一人を見つけたよ」
「……想像したじゃないですか。でもみんな無事だったのは良い事ですね」
雪人は最後に救助した人の事を通信で伝えると、その結果を裕樹にも伝えに来た。
最大の山場は越したことで、残る問題はこの状態でも生きていくことが問題になる。
「ともあれ食料を探しましょうか。水に濡れるくらい食料不足で明日に怯える事に比べれば何て事ないです」
「倉庫はこっちらしいよ。谷川の方は主に林業らしいから、やっぱり倉庫回りだね」
そうして二人は時間をかけて少しずつ食料を見つけて行った。
とはいえ元が寒村である、そう多いはずも無し。
「クリーニングしておきましょう。見た目が無事な食べ物でも油断できませんから……散!」
裕樹は持ち込んだパラドクスで食料を清潔にすることにした。
せっかくご飯を食べてもお腹を壊しては何にもならないからだ。
「クリーニングも有難いね。洪水の後は伝染病も心配だから。……こういう知識も新宿では伝わってるそうだよ」
そういって雪人は水辺と汚染の恐ろしさを語る。
江戸時代に町が清潔だったのは肥料回収のために、町の中心部にトイレがあったからだ。
そして水害の度に問題に成ったのは、町の中心部にあったトイレから汚染された事だ。
何故ならば、井戸もまた町の中心部にあったからである。
「はい、これお願いしますね。味は保証できませんけど」
「いえいえ。ありがたい事ですよ……いただきます」
そして裕樹が作った御粥を雪人は手を合わせて食べていく。
そのたびに空の器に食事が満たされていった。
口福の伝道者は味見では駄目だが、しっかりした食事をとると増やす効果がある。
僅かな量の食事で済ませば、種もみをそのまま植えることで何とかなるかもしれない。
こうして最後の不安は取り除かれた。
人はみな救助され、明日を生きていくための食料も蘇った。人々が魚に変化する未来は打ち砕かれたのだ。
後は……あの哀れな勇魚を解放してやるだけだろう。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【クリーニング】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
●
『どうして僕は一人なのだろう?』
勇魚は空を泳ぎながら言いました。
その力を使って人々を魚に変える努力をして言いました。
きっと泳げる友達が現れるでしょう。
きっと同じ姿をした友達も現れるでしょう。
その時が待ち遠しいと勇魚は言いました。
『どうして僕は一人なのだろう?』
『はやく友達に逢いたいよ』
そんな風に勇魚は口にするのです。
しかし今日も勇魚は一人きり。
天空に座す一人きりの存在を、王と呼ぶのです。
あなた達は勇魚の王とお話ししますか?
あなた達は勇魚の王と戦いますか?
どちらでも構いません、辿る結果は最終的に同じ物なのですから。
どちらであろうとも、クロノヴェーダとディアボロスが出逢えばすることは一つですよね。
薬袋・透
そういえば52Hzの鯨って都市伝説が現代にあったわね…彼もその類いなのかしら?単なる敵として倒すのは違う気がするのよね…上手い感情のおとしどころは見つけたけど後は乗ってくれるかね…
さて、はじめまして。
貴方のやろうとした事は人を殺し魂をねじ曲げるダメなこと、でも寂しい気持ちも分からなくもないの
だからね、僕と友達にならない?同じ姿には、なれないけど僕達良い友達になれると思うの。ディアボロスとクロノヴェーダなのが残念なくらい
友達としての遊びは僕と貴方の力比べ。そのときだけは立場を忘れて純粋にぶつかり合いましょう。勝者が生き残り敗者は絶える。楽しそうでしょ?
それまでは大人しく良い子でいてね。約束よ。
●たった一つの冴えたやり方
いまだに水が残る上手の場所を越えて薬袋・透(無彩の魔女の系譜・g02087)はやって来ました。
空を飛んでも良いけれど、刺激する気はなかったし暑いので泳いでから辿り着いたのです。
『フォーン。オーン。オオオオオーン』
空の彼方でクジラが啼いています。
空飛ぶクジラ、なんというメルヘン。
しかしその啼き声は非常に悲しそう。まるで泣き声の様です。
「そういえば52Hzのクジラって都市伝説が現代にあったわね……」
この世で最も高い声を持つクジラの一族よりも高音で啼くクジラ。
それなのに回遊パターンはもっと小さなクジラの物で、奇形であるとも、あるいは一頭だけ残った最後の種とも言われておりました。
「彼もその類いなのかしら? 単なる敵として倒すのは違う気がするのよね……」
正直な所、お話しする必要なんてまるでありません。
所詮、クロノヴェーダとディアボロスは戦うのが宿命ですからね。
しかしそれでは気分が良くないのです。
「上手い感情のおとしどころは見つけたけど後は乗ってくれるか、ね……」
怒りに満ちるはディアボロス。
ディアボロスを見れば倒して仲間に替えるのがクロノヴェーダ。
二人は上手くお話できるでしょうか?
「さて、はじめまして」
『何をしに来たの?』
口車は得意ではないので、透さんは誠心誠意お話しようと思います。
「貴方のやろうとした事は人を殺し魂をねじ曲げるダメなこと、でも寂しい気持ちも分からなくもないの」
『どうして? このままじゃあ寂しいよ』
透はお話ししました、しかし通じません。
だってクジラは寂しいから何とかしようと努力しているからです。
それをダメと言われても通じませんよね。
「だからね、僕と友達にならない?」
『ボクと一緒になってくれるの?』
透の言葉にクジラは初めて声が浮き沈みました。
ディアボロスを倒せば同じ姿のクロノヴェーダが生まれるというのを、感覚的に知っているのでしょう。
「同じ姿には、成れないけど僕達良い友達になれると思うの。ディアボロスとクロノヴェーダなのが残念なくらい」
『それじゃあダメだよ、それじゃあボクは一人きり』
クジラは残念に思いました。
だってお話するだけならば他のクロノヴェーダでも良いでしょう。
だって欲しいのは同じ姿をしたお友達ですものね。
「だからね。友達としての遊びは僕と貴方の力比べ。その時だけは立場を忘れて純粋にぶつかり合いましょう。勝者が生き残り敗者は絶える。楽しそうでしょ?」
『それならいいよ。ボクが勝ったら友達だちだよ』
そこで透は言い方を工夫しました。
クロノヴェーダが望むのは、最終的にディアボロスを殺して自分と同じアヴァタールにすることです。
どうやっても殺そうとしてくるはずなので、殺してもOK、勝者が全部決めると伝えたのです。
ディアボロスたちは負けたら新宿に流れ着きますが、そんな事はクジラは知りませんし、負ける気なんかありませんものね!
「それまでは大人しく良い子でいてね。約束よ」
『さようならボクの友達。次に会ったらその時は……』
そうして二人は別かれました。
大成功🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
文月・雪人
孤高なるいさなの王
そうだね、話せるなら俺も話してみたい
仲間が欲しい、友が欲しい、その気持ちはよく分かるから
俺もまた、透の案に賛成だよ
俺もいさなの王と友達になりたい
クロノヴェーダである以上倒すしかないのだけれど、それでも
友として渡り合い
見送る事が出来たらと思う
なあいさなの王よ、君の話を聞かせてよ
君の故郷はどんな所だったんだい?
寒い所かい?温かい所かい?それとも世界中を旅してた?
友達と一緒に何がしたい?
大海原を一緒に泳ぎたい?
それとも共に歌や音楽を奏でるかい?
俺もね、近頃は笛の練習をしてるんだ
友の腕にはまだまだ全然及ばないけど
少しは上達したんだよ
穏やかに笛の音を響かせる
攻撃ではなく、ただの笛の音を
野本・裕樹
悲しい事です…孤独である事が勇魚の価値観を狭めてしまったのだと思います。
その大き過ぎる身体に対し狭すぎる世界を、価値観を広げてくれる友人がここにはいなかった。
それを指摘できる者も。
多分気付いていないのでしょうね、アナタの仲間を増やす行為が私達の仲間を奪うという事にも。
相手の立場で考えられない、それではきっと友達は作れないと思いますよ。
お説教はこれくらいにしましょう、ぶつかり合う事で生まれる友情もあるらしいですよ。
試してみますか?
恐らく戦わなくてはならない、それは避けられない事。
勇魚がそれを受け入れてくれるかは不明ですけれど…
私達が「強敵」であるなら「とも」となれる可能性もあるのでしょうか。
●井の中の蛙は喜劇だが、居の中の鯨は悲劇である
「悲しい事です……。孤独である事が勇魚の価値観を狭めてしまったのだと思います」
その話を聞いた野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)は悲しそうな顔を浮かべた。
クジラの動機は良く判る。。
「その大き過ぎる身体に対し狭すぎる世界を、価値観を広げてくれる友人がここにはいなかった。それを指摘できる者も」
クロノヴェーダ化したことで、思考が一つの方向性で固まり過ぎている。
多分気付いていないだろう。仲間を増やす行為が自分の仲間を奪うという事にも。
番(つがい)には成れずとも、もし早い段階で話をする『本当の意味での友人』が居れば、種族を越えた友人に成れたであろうに。
「仲間が欲しい、友が欲しい、その気持ちはよく分かるから。俺もまた、透の案に賛成だよ」
文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は仲間の誘導を名案であると思った。
どうやってもディアボロスを殺して、自分と同じアヴァタールを作ろうとするのだ。
ならばその結論を大前提として、村人を襲わない様にするのは悪くはあるまい。それに……。
「孤高なるいさなの王。そうだね、話せるなら俺も話してみたい。俺もいさなの王と友達になりたい」
クロノヴェーダである以上倒すしかないのだけれど、それでも。
友として渡り合い、見送る事が出来たらと思うのだ。
そして二人もクジラに逢いに赴いた。
『君はだあれ?』
「相手の立場で考えられない、それではきっと友達は作れないと思いますよ。とはいえ、意味が判りませんよね」
友達という言葉が、完全に自分と同じ姿の誰か。で固定されてしまっている。
そして自分一人の考えで完結してしまい、相手の意思を尊重するという概念が最初からないのだ。
「お説教はこれくらいにしましょう、ぶつかり合う事で生まれる友情もあるらしいですよ。試してみますか?」
『さっきの小さな子が言っていたね。かまわないよ。友達は沢山いた方がいいから』
戦わなくてはならない、それは避けられない事。
クジラは自分が勝つ気でいるし、新宿に戻る事を知らないので受け入れていた。
(「私達が『強敵』であるなら『とも』となれる可能性もあるのでしょうか」)
新宿で知った概念を思い出す。
河原で気が済むまで殴り合ったら、男たちは友人になるのだという。
「なあ、いさなの王よ、君の話を聞かせてよ。君の故郷はどんな所だったんだい?」
『土の中だよ。土の中で目が覚めたんだ』
以外と言えば意外だが、このクジラは海に居たのではないらしいと雪人は驚いた。
あるいは一度死んでから、周囲が陸地などになったのかもしれない。
元は山と川しかない土地が、後に三角州になって陸が広くなったという話は新宿ならずとも聞くことがある。何処か発掘されたのだと思えば、クジラの姿の中に標本みたいな骨の部分があるのにも納得が出来た。
「寒い所かい? 温かい所かい? それとも世界中を旅してた?」
『空を飛んだよ。きっとボクらは空を泳いで土の中で眠るんだ。だから家族を探そうと、友達を探そうと泳いだよ』
どうやらこのクジラには以前の記憶がないらしい。
だから出土してクロノヴェーダ化したら、そのまま泳いで……。
おそらくは暴れ出したのだろう。恐竜の化石やクジラの骨が竜や魔物であると噂されるような地域もある。そんな場所で噂が真実と化し、妖怪に成ったらこうもなろう。
「友達と一緒に何がしたい? そういえば海には君ソックリな魚も居るそうだけど、大海原を一緒に泳ぎたいかな? それとも共に歌や音楽を奏でるかい?」
『海の中には居るの? ここより大きな水の塊だよね。歌は好きだよ』
クジラは目をパチクリとやって驚いた。
そういえば山の神と海の神が、お互いの領域で暴れる生物を交換したという話を思い出す。
クロノヴェーダ化した場所が陸地であるならば、鳥の様に空を飛ぼうと思っても、海にまで思いを馳せなかったに違いあるまい。排斥力で移動できない場合は猶更だろう。
「俺もね、近頃は笛の練習をしてるんだ。友の腕にはまだまだ全然及ばないけど……少しは上達したんだよ」
雪人はしんみりした表情で友人の事を思い出した。
蜘蛛の鬼妖に殺された親友。
もし彼が殺される段階で介入出来たら、その時は助けられるのだろうか?
その時はその時間軸のままにした方が良いのか、それとも新宿に呼ぶべきか悩みもある。
『君も友達が居ないの?』
「居るよ。新しい、姿の違う友人が……沢山ね」
雪人は穏やかに笛の音を響かせていた。
その音色が悲しいのか、クジラはどんな気分なのか聞いて来た。
新宿で同じことをぶしつけに聞いたら殴られそうだが、クジラにはそんな空気を読む才能なんてあるまい。
だから攻撃ではなく、ただの笛の音を雪人は奏でるのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【狐変身】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
狭間・ならく
あァ、遊んでやろう。
いくらでもな。
(手にした刀)(振れば箏の音の響く)
なァ、おまえ──
どこから来た。
(刀は閃き、)
どこへ行く。
(言霊と、箏の音が響く)
誰と。
(音、)
どうして。
(音。)
ひとりで?
(音。)
──なァに、
、、、、
言葉遊びさ。深い意味なぞ無い。
(嘘か真か、それだってどうでもいいだろう?)
(少なくとも──ナラクさんの“友”というのはそういう連中だ)
野本・裕樹
言いたい事は言えましたし…「遊び」ましょうか。
遊びといってもただの遊びではありませんが。
恐らくは最初で最後、全力の、命懸けの遊び。
アナタの同じ姿の友達が欲しいという願い、存分にぶつけてきてください。
私も私で、この地の平穏を願ってぶつかっていきます。
事ここに至って小細工は不要、ぶつかると言ったからには正面からぶつからせてもらいます。
相手は巨大、多少の不利は承知の上です。
それでも私が本気である事は伝わるでしょう。
有利か不利かなんて思考も邪魔です、ただただ悔いを残さないように。
征きます、《鉄蝕閃》…友に贈る私の全力です。
…たまにはこういうのも悪くないですね、アナタもそう思いませんか?『いさなの王』。
文月・雪人
分かった、そろそろ時間だね
皆で一緒に遊ぼうか、全力で
俺もまた赤い目と角でネメシス形態となり
飛翔と水中適応で空を泳ぐよ
観察で相手の動きを看破しつつ
いさなの王よ、君の歌を聞かせてよ
君の心からの歌を
クロノヴェーダとディアボロス
目指すものが違うから
共に在る事は出来ないけど、それでも
こうして君と出会って、語って、遊んだことを
ずっとずっと覚えていられる様に
勿論負ける気は無い
【ガードアップ】で凌ぎながら
呼び起こされる郷愁を噛みしめて
『陰陽思念符』のパラドクス発動
自身の、仲間の、いさなの王の
強き想いを集めて強力な呪符を形成し
【反撃アップ】な全力魔法で、いさなの王へと放つ
想いを受け止め想いを返すよ
友の一人として
●
「分かった、そろそろ時間だね」
竜笛を奏で居ていた文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)はその演奏を止めた。
この地にディアボロスたちが集い始めたからだ。
「皆で一緒に遊ぼうか、全力で」
「言いたい事は言えましたし……『遊び』ましょうか」
雪人は角を生やし赤い目で全力を解放する事、野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)も戻って来る。
遊びといってもただの遊びではない。
戦いという名の交流であり、寂しがっている勇魚の為に斬り合い言葉を投げ合う戦いを行うのだ。
「あァ、遊んでやろう。いくらでもな」
狭間・ならく(【嘘】・g03437)は刀を抜くと軽く振った。
さすれば箏の音がして戦場に響く。
やや浅い構えは右に左に刀を振って、この音を自在に鳴らすためかもしれない。
「恐らくは最初で最後、全力の、命懸けの遊び。アナタの同じ姿の友達が欲しいという願い、存分にぶつけてきてください。私も私で、この地の平穏を願ってぶつかっていきます」
裕樹また呪刀を握って深く構えを取る。
何時でも先陣を切れるように準備しつつ、向こうから飛び込んできても間に合うようにするためだ。
相手の攻撃を受け止めた時、衝撃で刀からを話さないように注意を忘れない。
『あそぼう。アソボウ。遊ぼう』
そして待ちかねたのか勇魚が上空を回遊するのが見える。
ただそれだけで『圧』が周囲を満たし、暗くなったことでこの場が海底にでも成ったような気がした。
「来んぞ。構えろ」
「了解。何時でも行けるよ」
ナラクの言葉に雪人は一枚の呪符を掲げた。
既に周囲へ張ってある結界から守りの力を引き込み、自分たちを守るために再構築したのだ。
ディアボロスたちは飛翔し、ある時は浮遊しながら接敵距離へと位置を調整した。
「事ここに至って小細工は不要、ぶつかると言ったからには正面からぶつからせてもらいます」
裕樹は前へと進みながらも、相手の巨大さから相対距離を掴み兼ねた。
こちらから斬り掛かりに行っているのに、向こうが動き始めたら相手の方が先に到達しそうな気さえしてくる。
だが気遅れなどは不要、覚悟はとうに済ませた。出逢いの歌であり、見送りの歌である剣戟を響かせよう!
「なァ、おまえ──どこから来た」
その時、ナラクの言葉と共に箏の音がした。
裕樹が勇魚に接敵するよりも僅かに早く攻撃が届いたのだ。
理由は一つ、その攻撃が言葉と音。……音魂に乗せて放つ攻撃だからである。そしてこの音は記憶の中にある思い出を沸き立たせるモノであった。
『ひゃあああー。おおおんん♪』
「……どこへ行く。誰と。どうして。ひとりで?」
ナラクの攻撃に逆行して勇魚も反撃を仕掛けて来た。
周囲の認識が水面へと置き換わり、その巨体が重力より解放されて加速度を付けた体当たりとなる。
それに対してナラクはもう一度刀を振り、音をまとわせた刀で受け止めた。
「いさなの王よ、君の歌を聞かせてよ。君の心からの歌を」
雪人は世界が水へと置き換わった空間で、泳ぐように空を飛びながら声をかけた。
そして呪符へと力を籠め、葬ろうとする負の重いと、遊んであげようという正の思いを載せて行く。
その攻撃が始まる前に、裕樹の攻撃が届いたのだけれど。
「相手は巨大、多少の不利は承知の上です。それでも私が本気である事は伝わるでしょう。『それでも!』それは敗地に立たされたディアボロスが立ち上がる為に上げる声なのですから!」
有利か不利かなんて思考も邪魔だろう、ただただ悔いを残さないように。
征こう、……友に贈る私の全力を浴びせるために!
「噛み砕け、鐵喰!」
裕樹は体を急成長させながら呪刀を食いこませた。
超重量の筈の一撃が頼りなく思えてくるのを、必死の思いで闘気を重ねて押し込んでいく。
師匠相手の稽古では、相手の方が重いのは当然。アヴァタール級ならば強くて当然ではないかと吠える!
『ぼえええ~ん♪』
反撃とばかりに鳴り響く歌声。
何処か遠くにいる仲間へと掛ける声であり、こらから仲間へと成るであろうディアボロスに掛ける声!
「郷愁かあ……。俺は故郷を思い出しちゃうなあ」
そんな中で雪人は呪符に印を付け加え発動させながらふと思った。
故郷は奪われ書き換えられ既に無く、取り戻したとして元の姿ではないかもしれない。
「共に在る事は出来ないけど、それでも。こうして君と出会って、語って、遊んだことをずっとずっと覚えていられる様に。思いを届けるとしようか」
クロノヴェーダとディアボロスは目指すものが違う。
だがただの略奪者でないならば、郷愁の歌を聞いている限り、共通するモノがあるはずだ。
そんな自身の思い、勇魚の仲間を思う心を載せて呪符を発動する。
「陰であろうとも陽であろうとも、人の抱きし想いとは、いと強きものなり。ここは水底、ここは日向。君が行くところは……」
『ひょえーん♪ ふぉおおーん♪』
雪人が呪符を炸裂させながら放つ呪符に対し、勇魚の王は歌声を浴びせて来た。
迎え入れるような声であり、離すまいとする声である。
「彼岸なりってな。──なァに、言葉遊びさ。深い意味なんぞ無えよ」
「そういうのも良いんじゃない? 想いを受け止め想いを返すよ。友の一人として」
「……たまにはこういうのも悪くないですね、アナタもそう思いませんか? いさなの王」
嘘か真か、それだってどうでもいいだろう?
少なくとも──ナラクにとっての"友"というのはそういう連中だ。
今を生きるのに楽しければ攻撃だろうと友愛だろうと構わぬという彼女の言葉に、雪人や裕樹は頷いた。
戦いという交流があっても良いだろう。
そこに真実性があろうとなかろうと、勇魚の王が楽しいならばそれで良いのだ。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
【エイティーン】がLV3になった!
【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【リザレクション】がLV3(最大)になった!
【ドレイン】がLV2になった!
薬袋・透
【奴崎組】アドリブ絡み歓迎
そうねリューロボロスちゃん、甘いのは百も承知
だからこそ……全力をぶつけるべきなのだと思うわ
さっきぶり、約束通り遊びに来たわ
共に精魂果てるまで楽しみましょう?
ネメシス発動
水中も空中も自由自在、泳ぐように動き回り戦う(飛翔、水中適応使用)
攻撃方法
長い尾で強打し一撃離脱
爪に鎌鼬や電気を纏わせ飛ばす
とどめにパラドクス
王への畏怖と友への敬愛を込め全力魔法で斬撃の両断
さよならは言わない、友達と別れる時の挨拶は『またね』だもの
またすぐ会う気もするし
戦後
翡翠さんへは僕の正体は黙っておくわ、向こうもなんとなく気づいているだろうし、僕自身が生き抜いて繋げばそれが何よりの証拠になるから
リューロボロス・リンドラゴ
【奴崎組】
ふん……。
甘いな、ぬしらは。
これだけのことをしでかした敵だというのに。
……だが。
竜の噂があやつを生んだというのなら、その寂しさの一端は我らドラゴンの責任か。
……良かろう、遊んでやる。(ネメシス)
我が巨体、我が威容。遊び相手として不足とは言わせぬぞ!
空を飛び、水を泳ぎ、どこまでも付き合ってくれるわ!(飛翔・空中戦・水中適応・水中戦)
無論歌にも付き合うぞ!(歌唱)
合唱よ!
1人ではできぬこと、味わうが良いわ!
どうせだ、チョコも味わってゆけ!
孤独を奏でるでかい口に、美味しいブレスを撃ち込んでくれるわ!
共に菓子を食う、それもまた友の醍醐味よ!
堕ちよ、王よ。
退位の時だ。
貴様はもう、独りではない。
奴崎・娑婆蔵
【奴崎組】
斬って斬れねえもののなし
手前、姓は奴崎名は娑婆蔵
人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』
改めて――助太刀致しやすぜ、薬袋の
約を交わされたッてんなら、後は白黒付けてやるのが鉄火場の倣いってなモンでさァ
鉄火場、鉄火場……
マア水浸しの土俵じゃありやすがね
・ネメシス発動、風火輪『火車』に搭乗
・敵を目掛け【飛翔】で水面をカッ飛び、【水中適応】を用い適宜水場へも突っ込みと、【臨機応変】かつ縦横無尽に立ち回る
・【パラドクス通信】にて味方布陣と敵捕捉状況とを共有
・【完全視界】も頼みに朧な敵の姿を探りつつ【初見殺し】発動
・【斬撃】を空間自体に伝播させ水流をも【両断】、いさなの王を薬袋の渾身の攻撃圏内へと追い立てん
白水・蛍
【奴崎組】
アドリブ/連携○
使用出来る残留効果全て使用。
※ネメシス発動状態
白水・蛍。いざ参ります。
皆さん「遊ばれる」ようですから。私はその場所を整えましょう。
この手で、この歌で奏でるは、未来への凱歌。
我々と孤高なりし王へと手向ける未来への歌。
貴方にも未来を見せましょう。希望があればまた会う事もありましょうから。
さあ、行きますわよ!
リュウ・ターレン
【奴崎組】
アドリブ・連携○
使える効果1・2は全部使用。
ネメシス使用。(左手に辞書程度の大きな本を持ち、悪魔の羽と悪魔ダンタリアンに引っ張られて口調が丁寧に)
ほう。意を通ずる者と。こういうのは初めて見るね。
やはりこの身の持ち主についてきて正解だ。面白い物が見れる。
もっともっと観察させて欲しいね。
さて、パラドクスをば。
反撃は【飛翔】【エアライド】で見切って回避。受けるよりも避け優先で。
・パラドクス演出
<魔晶筆>を取り出して空中に書く。書く字は「眠」「夢」「遊」。
王が望むのは遊び相手。用意してあげよう。夢の中でね。
遊んでいる間は楽しめるだろう。現実では知らないが。
そう寝てる間に終わらせてあげよう。
●
その空間は認識が書き換えられた水の底。
偽りのアクアリウムで泳ぐ勇魚は楽しそう。
だって、お友達がこんなに来てくれたのですからね。
「前衛が仕掛けました。敵は指定した場所から動く気配なし」
「そいつは行幸。約束を守れねえ奴じゃなくて良うござんした」
リュウ・ターレン(奪われた者。奪い返す者。・g07612)の報告に奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)は我がことのように喜んだ。
組の者がメンツをかけて約束したことを汚す馬鹿で無かったことを喜んだ。
そして騙されたことで労力を掛けられることよりも、その娘が快く見送れる(戦える)ことを喜んだのだ。
「ふん……。甘いな、ぬしらは」
リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)は不機嫌そうに鼻を鳴らした。
視線を滑らせて崩れた山辺に流し目を送る。
そこは無残に砕けており、渓流が滝の様に下手にある村の方へと流れていた。これだけの事をしでかした奴を許すのか? と言外に問うているのだ。
「そうねリューロボロスちゃん、甘いのは百も承知」
薬袋・透(無彩の魔女の系譜・g02087)は振り向かず静かに頷いた。
あの鯨が、いさなの王が何をやったかは良く知っている。
だがしかし、邪気の無い者を憎むかと言われたら難しい。ただ、やるべきことは判って居た。
「だからこそ……全力をぶつけるべきなのだと思うわ」
クロノヴェーダは価値観が相容れず『いさなの王』は特にそうだ。
だからといって許せるはずもないし、放置などもってのほか。
ゆえに『倒してその罪と生涯を終わらせる』ことに全力を尽くすと言いたいのだろう。
「そこが甘いというのだ……だが」
リューロボロスの鼻がもう一度鳴る。
だが今回は不機嫌さは伺えない。
覚悟を決めた者を笑う気はないし、勝手に見逃すのではなく、こうして助力を頼んで確実性を王と言うならば、力を貸すことにやぶさかではないのだ。
「竜の噂があやつを生んだというのなら、その寂しさの一端は我らドラゴンの責任か。……良かろう、遊んでやる」
リューロボロスは鯨が竜と信じられた逸話を思い出すと、目を閉じて全力を解放した。
瞳を開くころにはその身はまさしく竜と化して、天空を翔けて登っていく。
東洋では根源より成る最も古き一族であり、全ての生物の特徴を備えるとも言う。ゆえに水底であろうと空であろうとお構いなしだ。
「西洋においてはドラゴンは魔の化身、クジラのままであれどレヴィアタンなど様々な魔物です。しかし東洋の龍は荒れれば厄神、和なれば守り神とも言いますね」
白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は逸話を幾つか紐解いていく。
大地に埋まった鯨の骨は、龍の骨。排泄物は神通をもたらす新便器毒酒に、長寿を約束する竜黄薬。それらはその巨体と神秘性から、龍への信仰と混同されて信じられた事であった。
「いずれにせよ開演となれば、皆さんに相応しい歌を。とくとお楽しみください」
蛍は琴を爪弾き声を張り上げて唄い始めた。
この段階では攻撃でもなく特に効力はないが、音曲そのものに人を動かす感動がある。
平時には人々の心を和ませ、戦いに赴く者には勇壮な歌を。その先には未来あれ、幸あれと歌い上げていくのだ。
「ふむ。それではこちらも参りますか」
リュウは左手に辞書の様な本を持ち、ペラペラと捲りながら力を解放した。
悪魔の翼が羽ばたき始め、影からは無数の巻き物や竹簡が我の力を使えと叫び始める。
「斬って斬れねえもののなし。手前、姓は奴崎。名は娑婆蔵。人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』と号しやす」
娑婆蔵は見栄を切ると自転車に騎乗して空を翔ける。
さすれば車輪より地獄の業火が上がって、天空に炎の轍を刻んでいった。
「改めて――助太刀致しやすぜ、薬袋の。約を交わされたッてんなら、後は白黒付けてやるのが鉄火場の倣いってなモンでさァ」
「ありがたいわ。みんなのお陰であの子を満足させても村を守れる。……お願いします」
娑婆蔵が空を翔けて先行する透に追い付くと、彼女は翼を羽ばたかせ長い胴体をくねらせていた。
彼は、彼女は、ディアボロス達は全力を解放して次々とネメシスモードを解放したのだ。
相手は空飛ぶ鯨、いさなの王である。そのくらいで丁度良かろう。
「白水・蛍。いざ参ります。皆さん『遊ばれる』ようですから。私はその場所を整えましょう」
蛍はそんな一同の中で静かに歌を奏でていた。
指先の動きに合わせて歌が紡がれ、みなの力を後押しし始める。
その手で、この歌で奏でるは、未来への凱歌。
我々と孤高なりし王へと手向ける未来への歌。
荒ぶる巨兵としてではなく、迷い子を向か入れるリズムである。
「さっきぶり、約束通り遊びに来たわ。共に精魂果てるまで楽しみましょう?」
ネメシス化した彼女もまた空中も水中も自由自在。
泳ぐように動き回り、鯨である『いさなの王』に負けぬように声を張り上げたのだ。
『よく来たね、新しい友達。そして未来の家族。今日は精一杯遊んで、また会おう』
そこに邪気はない。
そこに企みも妬みも恨みすらなかった。
しかし思考の方向性は一般人を殺し空を泳ぐ魚を作り出し、ディアボロスを殺して己と同じ姿を作り上げる。そんなKジャン上げに固定されているのだ。
「我が巨体、我が威容。遊び相手として不足とは言わせぬぞ! 空を飛び、水を泳ぎ、どこまでも付き合ってくれるわ! 無論歌にも付き合うぞ!」
『では唄おう。いっぱいいっぱい唄おう。みんなで今日という日を唄おう』
ソレを哀れとは呼ぶまい。
いさなの王にも誇りはあろう。
それゆえに余計な事は語らず、己の肉体で語ろうとリューロボロスは豪語した。そういえば龍のブレスを『歌』と呼ぶとは誰の言い出した言葉であったか。
「ほう。意を通ずる者と。こういうのは初めて見るね。やはりこの身の持ち主についてきて正解だ。面白い物が見れる」
もっともっと観察させて欲しいね。とリュウの中に居る存在は語った。
ネメシス化したことで表に出て来た人格が、リュウと交じり合って言葉を連ねる。
「君はどう思う?」
「さて? どちらにせよ、この物語の結末は知れてますけれどね」
興味深そうなリュウとは違い、蛍は『流れ』に寄らずストーリーの行く末を決めている様だった。
クロノヴェーダとディアボロスが出逢えば……その先は決まった様な物だからだ。
「鉄火場とくりゃあすることは一つでサぁ。鉄火場、鉄火場……マア水浸しの土俵じゃありやすがね」
娑婆蔵はその結論を代わりに出した。
正解であるのか不正解であるのかはあまり関係ない。
それは宿命の様な物であり、運命みたいな理由があるのだ。蛍は黙して語らないが、違ったとしてもその行く末は似たような物であろう。
そして周囲を確認し、前衛陣が退去したことを知って皆に号令を出す。
「幕を開けるといたしんしょう。先駆けは誰でも構いやせんが、極力トドメは薬袋のに」
「承知したぞ。いよいよと成れば合唱よ! 1人ではできぬこと、味わうが良いわ!」
娑婆蔵の指揮に従って真っ先に飛び出たのはリューロボロスだ。
その巨体をうねらせて進む様は勇ましく、もし彼女と同時期に動いた物が居なければ尖槍として突撃したの違いあるまい。
「む。この音は……」
「さあ、行きますわよ! 皆様と描く未来への希望。言の葉にて綴りましょう。その一端を此処に!」
蛍は声を張り上げると鯨にも龍にも負けぬ歌声を披露した。
音は誰よりも早く動き出し、味方を鼓舞し敵には痛みを与えていく。
いや、今回に限り傷みではなく過剰摂取というところか?
『歌を。唄を。何処までも響く唱を』
「貴方にも未来を見せましょう。希望があればまた会う事もありましょうから」
周囲を水辺に変えて突撃して来る勇魚に対し、蛍は音を並べ立てた。
そして紡ぎあげるのは笑い声、あるいは泣き声といった新宿の光景だ。
表情豊かな人々、そして生まれ変わるならばそこにしなさいと導く歌でもある。
『オオオオーン♪』
「先を越されたか。どうせだ、チョコも味わってゆけ! 共に菓子を食う、それもまた友の醍醐味よ!」
今週の、ビックリドッキリおやつタイム!
リューロボロスは体内組成を操って、分泌液を調整した。
それはカカオと油を主成分にした……早い早無しがチョコレートである!
「孤独を奏でるでかい口に、美味しいブレスを撃ち込んでくれるわ!」
『何だろう。この味は。でもなんだか面白い気がするね。一緒に歌おう。オオオーン!』
リューロボロスの撃ち込むブレスは、いさなの王の口の中に入っていった。
対する反撃は歌声であるが、なんだか甘い匂いがするのは不思議でもあるまい。
ちなみに鯨の排泄物の中から、竜黄薬という長寿の薬が取れると言うが、龍涎香と呼ばれる甘い匂いの天然香料にもなるという。
「さて、パラドクスをば。王が望むのは遊び相手。用意してあげよう。夢の中でね」
リュウは魔性の宿る筆で文字を描き始めた。
それは『眠』『夢』『遊』という言葉。
そして作り上げる夢は、同じ姿の友達と大空を、あるいは水中の中を自在に泳ぎ回る夢である。『描』という文字で締めれば、それは形となって襲い掛かり……おそらくはじゃれ合う様な姿になるだろう。
『ああ、ここに居たのだね僕の家族。いっぱいいっぱい遊ぼう!』
「遊んでいる間は楽しめるだろう。現実では知らないが。そう寝てる間に終わらせてあげよう」
リュウは敵の攻撃を回避しながら、締めとなる文字を描いていく。
想像で作り出された鯨の影に居るのは……。
「八ツ裂きにしてやりまさァ」
娑婆蔵はギコギコと車輪を漕いで空をカッ飛ぶ。
そして妖刀の刃を振り下ろし、同時にまとわせた衝撃波を叩き込む!
それは姿なき不可視の刃であり、実体の刃に重なる二重の刃。妖刀を受けただけでは護り切れず、振動波が体の中まで潜り込んで切り刻でいくのだ!
『あぃぃあああ!』
「姿を消しやしたね? だが、そいつぁ思った通りのこと!」
いさなの王も流石にたまらじと姿を消すのだが……。
娑婆蔵はその衝撃と振動を空間全体へと行き渡らせた。
反撃で傷つくことくらいは仕方ねえ。そこから先に追い込む為にゃあ必要でさあと割り切った。
「薬袋の!」
「はい!」
姿を消して襲い掛かるのは娑婆蔵へのみではない。
透は長い尾で強打しつつその位置を離れ、電撃を飛ばしながら距離を取った。
「最果てより来る悪風、見えざる牙。這い寄れ、食らいつけ!」
悪とは『とてつもなく強い』という意味の『古語』でもあるという。
最果てより来たる強者によって、病ではなく強大さで勇魚を討つ!
まるで大薙刀か何かを持つように両手を構え、見えないナニカを組み合わせる。
さすれば牙のように複雑に入り組んだ衝撃波が、生き物の顎の様に閉じていくのだ。
『イタイ……痛いよ。とても痛い』
「さよならは言わない、友達と別れる時の挨拶は『またね』だもの」
食い千切られていく、いさなの王。
透の言葉に傷みをすぐに忘れた。
もしかしたら標本の様な姿は、痛みを受けたような気がするだけで……もうとっくにそんな神経はなかったのかもしれない。
『そうか。さようなら友達。また逢う日が……あれ……ば。いいね』
「そうだね。またすぐ会う気もするし」
自分が死んでいるということを思い出したのか、いさなの王は崩れ去っていく。
透は静かに別れを告げ、パラドクストレインの方に歩き始めた。
「堕ちよ、王よ。退位の時だ。貴様はもう、独りではない」
その姿にリューロボロスは葬送の言葉を述べた。
立派であるとも、悲しいとも何とも言わない。朽ちるのは生物の定めだからだ。
クロノヴェーダという異形から、元の生物に戻れば死以外はあるまいて。
「老兵は死なず、ただ去り行くのみでござんすねえ」
娑婆蔵もまた戦場の習い、負ければこちらが荼毘に付され新宿に流れ着いただけだろうと締めくくる。
その時は自分たちはともかくとして、村人は困ったことになるだろう。だからここで勝つのは当然の沙汰であった。ゆえに覚悟を決めた仲間の心象を重んじ、特に何も語らぬのだ。
「村へ……何も言わずとも良いのですか? ナニカ残していくとか」
「翡翠さんへは僕の正体は黙っておくわ。向こうも、なんとなく気づいているだろうし、僕自身が生き抜いて繋げばそれが何よりの証拠になるから」
興味深そうにのぞき込むリュウ(暫定)に透は首を振った。
余計な言葉は要るまい。どこまで気が付いたかは別として、親類か縁者でも援軍にやって来たとでも思うだろう。
「そういえば今回の物語を歌にするとして、最後はどうなるの?」
「そうですね。私ならばこう語るでしょう。『彼女たちは預かり知らぬことですが、七曜の戦いにおいてディアボロスに声援を送った鯨の親子がいたのです』めでたし、めでたし……という感じでしょうか」
首を傾げた透の言葉に蛍はエアギターならぬエア琴を弾きながら歌を唄う。
物語であるならば真実など必要あるまい。
真実は当事者のみが知ればよく、宴会場では誰もが楽しめるストーリーであれば良し。クジラだってそう思うだろう。
そんな事を語りながら彼女たちは新宿へと帰還したのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【エアライド】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【プラチナチケット】がLV2になった!
【液体錬成】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
【命中アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
最終結果:成功 |
| 完成日 | 2022年08月01日 |
| 宿敵 |
『孤高なるいさなの王』を撃破!
|