護り合わないと進めない道(作者 baron)
#幻想竜域キングアーサー
#世界樹ダンジョン攻略戦(第二層)
#世界樹
#妖精郷
#フローラリア
#薔薇の戦士スカアハ
#炎のベディヴィア卿
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『燃やせモヤセ、真っ赤に燃やすが良い!』
『燃え尽きよ! 燃え落ちよ! 落日の日は来たれり!』
『伐採せよ! 伐採せよ!』
次々に炎を吐き出すドラゴン軍団。
火力に物を言わせたその陣容は、死すら恐れずただ壊すためだけに存在していた。
『炎を越えて奔れ赤の車輪よ!』
『ぐあああ!』
真っ赤に燃える戦場をスカアハの操るチャリオットが蹂躙する。
流石はジェネラル級というべきだが……。
『やる! だがしかし!』
『ちっ。この程度、我には世界樹の加護がある!』
炎に撒かれただで済むはずがない。
基本的には反撃のみで済ませて居るものの、それでもスカアハの傷は少なくない。
それを癒しているのは世界樹の力だ。この領域の守護者である彼女を癒してくれているのだ。
『畏るべきは世界樹。だがその力、いずれ我らが軍門に下してくれよう!』
『黙れ! 貴様らなぞ我が槍で屠ってくれよう!』
だが敵は大軍団であり、恐れ知らずで火力の高いドラゴンたちだ。
少しずつ世界樹の癒せる許容範囲を超えており、いずれスカアハが倒れる日が来るだろう。
それこそ余力が僅かに成れば、円卓の騎士が突っ込んでくることもあり得るからだ。
薔薇の戦士はその事を理解しつつも、世界樹を守る為、そして万が一にでもやって来れば我が身に変えて討ち果たす覚悟を決めていた。
「世界樹の第二層外周ではドラゴンとフローラリアの戦いが始まって居ます。ディアボロスは第一層を攻略できたことで、その隙を伺いながら迷宮の中を進むことが出来て居ます」
南河・緋奈子(人間の陰陽師・g03255)が地図と資料を手に説明を始めた。
巨大な大木の中に存在する道……まるでダンジョンのような場所を、ディアボロスは抜けている。
「現在は本来防衛を指揮するフローラリアがドラゴンと戦って居ます。ただ相性的にも数の問題としてもドラゴン側が有利なので、今のうちに迷宮を抜けて第二層を攻略してしましょう」
中とは別に、大きな枝の上では薔薇の戦士スカアハが飛んでくるドラゴンと戦っている様なのだ。
「スカアハは反撃に専念してダメージを抑えているようですが、相手は火力重視型がメインのドラゴンで数も多いようです。防御力どころか、世界樹が与えている治癒力すら越えて徐々にダメージが累積している模様ですね。……もちろん援護することは可能ではあります」
このままでは持たないだろう。それゆえに、本来は敵であるが、フローラリアを援護したり、討伐に手心を加えることを許容する作戦が多いのだという。
「クロノヴェーダを助けるのは気分が乗らないけど……仕方ないわね」
「ドラゴンに渡すよりマシというところかしら。ところで、スカアハや世界樹の攻略条件はどうなっていて?」
「タイミング的には微妙な所ですが、基本的には第二層の奥へディアボロスが到着するか、ドラゴンが守護者であるスカアハを倒すか……というところですね。ただし、前者の場合でもスカアハはドラゴンを食い止めている間に死ぬ可能性が高いと思われます」
歴戦のディアボロス達は、にっくきクロノヴェーダに協力することを苦々しく思う。
しかし現時点でブリテンを支配下におき、いずれも屈強な円卓騎士を揃えるドラゴン勢には渡したくない。
それゆえに協力をする者もおり、その趨勢に敏感であった。
「あ、やっぱ死んじゃうんだ?」
「第二層を制圧すると治癒力が失われると推測されます。その時点で余力が残って居れば、第三層を守護するために突破して上層に向かうとは思いますけどね。その辺りはドラゴンとの戦いにどれだけ力を割かれるか、ギリギリであるかどうかに寄ります」
「んー。その場合が良く判らないな。スカアハは倒されてしまう方が楽なんじゃないか? 漁夫の利ってやつだ」
緋奈子が推測を答えると、また新しい疑問が出て来る。
少々の問題なら判らない……で済ませるところだが、同様の疑問は多いのだろう。
何人かが同じ顔をしていたので、緋奈子はある程度の推測とこれまでのデータを元に答える。
「第一に単純な話ですが、ジェネラル級はアヴァタール級以下のクロノヴェーダを従える能力があります。スカアハが倒されれば、周辺のフローラリアは全て軍門に下るでしょうし、クロノヴェーダならば誰でも使える機構がある場合、それらの使用権も移るでしょう」
「そっか。目の前にいるドラゴンも、ジェネラル級である円卓の騎士が直ぐ傍で操ってるからスカアハに従わないんだもんね」
「無いとは思うけど直通の通路とかあっても面倒だよね……。仕方がないか他には?」
緋奈子の説明になるほどと頷く者も居た。
クロノヴェーダの支配権は協力であり、群蟲三国志など魏呉蜀の兵士が部下として混ざっている事もあった。
「第二に次の層でも三つ巴で戦える可能性があります。要するに彼女たちがドラゴンを引き付け、空を飛んで一気に侵入出来ないようにする傘のようなものですね」
「なるほど。スカアハは対空ミサイル代わりか。オレたちにも向いてるのがアレだが」
最近は炎のペディヴィア卿以外にも、究竟竜ラモラックの脅威が観測されている。
もしスカアハが居なければ、一気に二体の円卓の騎士が第三層を制圧するという可能性もあるだろう。
その場合はフローラリアの小勢力と、ドラゴンの大勢力と戦う事になる。
逆にスカアハが生きていた場合、ドラゴンたちもそこまでイケイケで突っ込んで来るとは思えなかった。
「……もっとも逆に言えば、ジェネラル級を残してしまうというデメリットでもあります。先ほど言いましたが余力があり過ぎると第三層にフリーハンドで逃げ込む可能性もあります。今のところディアボロスもまた侵略者であるというスタンスを崩していませんので、援護し過ぎるのも良くないかもしれません」
「その場合はスカアハも倒して、ドラゴンも倒すって感じよね」
「こっちが上手くやればドラゴンだって警戒するだろうしな!」
「作戦はメンバー次第だしな。そもそもスカアハに援護しないって手もある。漁夫の利を第二層で終わらせて、第三層はドラゴンを強く警戒って手もあるんだ」
緋奈子は相談が本格的に成って来たことを感じると、資料と地図を置いて見守る事にした。
『この乗り物に罠を作っておくわ。解除できないから、自分たちが使う時は盾か何かで護り合いなさい』
アヴァタール級のクロノヴェーダが、花と蔦で造られたゴンドラを前に、地面である木々にルーンを刻んだ。
ゴンドラに手を掛けると周囲から枝が鞭のように飛んで、一度引き揚げてから再び伸び始める。
常に飛んでくるわけではないが、あちこちからビュンビュン伸びて来るのが面倒だった。
そこまでは良い、盾か何かで防ぐのは簡単だ。しかし面倒なのは、このゴンドラは蔦を引いて進むという事だ。
一人では蔦を引くだけで精一杯、二人で進む場合はなんとかできるだろうが、それだけで疲弊してしまうだろう。
『了解しました。あっしらは空を飛んでくる奴の警戒っすね?』
『そういうことよ。一気に来るとしたらドラゴンでしょうしね。時間を掛けさせて、この罠で捕まえれば良いわ』
巡回ゆえに常に見張っているわけでもないだろうが、空を飛ぶ相手を警戒するのは難しくない。なんだったら飛翔してきたやつだけに反応するルーンもあるかもしれない。
そして飛翔してきた場合、フローラリアが攻撃というよりは邪魔をするようだ。
すると邪魔されて飛び抜けられない間に、蔦が飛んで来て絡みついてしまうのだろう。
流石にドラゴンの軍勢が無数に飛んできたら無理だが、そこはスカアハを信頼しているフローラリア達であった。
リプレイ
瓜生・コウ
スカアハの援護をする必要はあるが、さりとてあまり余裕を持たれても困るというわけか…面倒だな、
【暗夜の一撃】で、スカアハ自身にも何時でも刃を突き立てることができるというプレッシャーを与えつつ、スカアハの敵を背後から屠ろう。
スカアハのチャリオットは移動に便利そうだな、同じ敵を狙うなら途中まで(勝手に)相乗りと行くか、スカアハはイヤがるだろうが、タダでさえ敵は多い、あまりオレの相手してるヒマはなかろうからな。なんなら【完全視界】でレーダー代わりを引き受けてやってもいい。
●
「無数のドラゴン軍団……奥に控えるのは円卓の騎士か」
瓜生・コウ(〈森の魔女〉・g07388)は世界樹外周で行われて居る戦闘を眺めた。
恐るべき勢いでドラゴンが来襲し、炎を吐き出しあるいは突っ込んでいる。
「それゆえにスカアハの援護をする必要はあるが、さりとてあまり余裕を持たれても困るというわけか……面倒だな」
これに対して薔薇の女戦士は槍を投げて迫りくる竜を屠り、突き落とし……。
あるいは戦車を操って蹴散らしていた。しかし衆寡敵せず、いずれやられてしまうだろう。
だが同時にスカアハはフローラリアのジェネラル級であり、いつかは戦うべき相手だ。生き残れば次の階層で戦うだろうし、無いとは思うがドラゴンと共闘する可能性もあった(むしろ逆だと信じたいが)。
「フン……」
コウは無言で敵集団の中に突っ込み、スカアハの後ろから迫る敵を撃った。
次々に迫るドラゴンに射撃し、あるいは格闘戦を挑んでいく。
その間も殺気を放ち、スカアハを狙わないのは仕方がないから、いつでも攻撃して良いのだぞと無言で戦い続ける。
(「しかしアレは移動に便利そうだな。同じ敵を狙うなら途中まで(勝手に)相乗りと行くか」)
コウは言葉も無く勝手にスカアハの戦車に飛び乗り、移動手段として利用することにした。
流石に嫌がるので何時でも使えるわけでもないが、援護を行う彼女が後ろに居るのはそれなりに役にたったのだろう。コウが撤退するまで、何度か相乗りするチャンスを経験したという(パラドクスでの移動なので、思ったよりも機動性を感じなかったが。
成功🔵🔵🔴
効果1【完全視界】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
白石・明日香
更に時間を稼がないとね!
枝から落ちないように精神集中して残像で攪乱しながらダッシュで接近してドラゴンの群れの只中に突入!
ブレスとか爪攻撃の挙動を見切って躱しスカアハを攻撃している個体で近い奴から片端に早業呪詛、捨て身の一撃で解体してあげる!
後はスカアハを庇いながら可能な限り踏みとどまって抗戦を継続しようか!
貴方に少しでも粘ってもらわないとワタシ達も困るからね。利害の一致と言う奴
●
「更に時間を稼がないとね!」
白石・明日香(体亡き者・g02194)は何度目かの戦いで手応えを感じていた。
ドラゴン軍団の圧力自体は同じだが、スカアハが傷ついていくペースが以前よりもマシな気がしたのだ。
「懸念はあるけど、そんなのは後回し! 今は少しでも状況を良くしないとね!」
スカアハを助け過ぎて余力が生じれば、撤退する体力を残してしまう。
しかし飛鳥としてはそれも止む無しだと思っていた。
現時点で円卓の騎士を含めて三体のジェネラル級が居るのだ。万全の備えなんか存在しないし、ドラゴンと連戦よりはフローラリアとの決着をこの手で付ける方が幾分かマシな気がしたのだ。
「次々行くわよ!」
明日香は枝から落ちない程度に気を付けて、残像を残しながら接近。
精神を集中させてドラゴンの中に飛び込んでいった。
そしてスカアハに追随しながら、余計な事は考えずにドラゴンを倒していく。
『余計な事を』
「貴方に少しでも粘ってもらわないとワタシ達も困るからね。利害の一致と言うやつ」
後は憎まれ口を叩き合いながら光の槍を生成した。 両掌に集まった熱量が熱い。
投げつければドラゴンを貫き、焔に撒かれながら戦い続ける。
そして接近して来るドラゴンの爪を槍で押し留め、反対に腹を貫いて戦い抜いたのである。
『……』
「何よ」
『……何でもない』
光の槍をちらりと見たスカアハに、明日香は少しだけ不満を覚えた。
記憶を失い本来の使い方を忘れて久しいのだ。
もっと全力を振いたい、そう思いながら明日香は限界が来たところで撤退していった。
戦いにのみ専念した為か、それともただの偶然か……そこには多くの竜が屍を晒したという事である。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
杏・紅花
覚悟決めて戦う姿って、すきだよお
スカアハも敵なんだろうけど、その姿は、またいつか見たいから、ドラゴン追っ払お
ドラゴンは空飛んでるから、あたしも【飛翔】して相対
ひとりのあたしが目玉を狙って「峨眉刺」を投擲
視界奪えたらもうけもん、注意を逸らせたら、本体のあたしが蛇腹剣「撓」で翼の骨じゃない薄いところを狙う
ぶんと繰り出せば、ワイヤーソーに取り付けた刃がぱたぱた羽ばたいて、ねえねえ、いっぱい羽のある、ちっちゃいドラゴンみたいじゃない?蛇かなあ。
アドリブ、連携歓迎
●
不退転の決意を決めて戦い続ける女戦士。
その体はいたるところに傷がつき、あるいは僅かに癒された痕になっている。
「覚悟決めて戦う姿って、すきだよお」
杏・紅花(金蚕蠱・g00365)はその姿に武侠を見た。
使命もあろう、忠義もあろう。
だがしかし、紅花が根本に見るのは『数を頼むドラゴンが気に食わない』という一点だ。案外、円卓の騎士と死闘を演じて居たら満足して見守っていた気がしないでもない。
「スカアハも敵なんだろうけど、その姿は、またいつか見たいから、ドラゴン追っ払お」
人は見たい物を見るというが、紅花はその典型でありソレを良しとしていた。
彼女から見ればスカアハと戦うのは別に嫌ではないし、和解できるならお話しするのも良いと思う。戦いも平和も区別なく、もしディアボロスだったらずっとお話しできるのにね。と思う程度の事だ(それはそれで、尊敬すべき敵が居なくなるので寂しいとも思うが)。
「数はチカラだぞ! ていっ!」
紅花は分身すると、その一人が指輪を回転させ、仕込んだ暗器を引っかけた。
袂に入れた針が指輪を指抜代わりにしてクルリと固定され、そのまま突き刺すこともできるし、投げつけるためのストッパーにもなるのだ。暗器とはいえ分身が特攻気味に使っている為、バールか何かで突き刺すくらいの威力はあった。
「目には当たったけど流石に目玉は無理か。まあいいや、あたしが何とかすればいいだけだしね」
紅花は蛇腹剣なみの威力があるワイヤーソーをドラゴンの翼に引っ掛け、ブンと引いた。
刃にも匹敵する糸ノコが巻き付いているのに、ドラゴンが暴れ出せば翼はズタズタだ。
千切れた羽で慌てるその姿は、御チビさんのドラゴンというよりは蛇さんであろうか?
「うーん。まだまだ紅十三妹みたいに大活躍は遠いなあ。でも、あたしも少しずつ強く成ってるしね。いつかはあんな感じで戦えるよね?」
紅花は女武侠のストーリーを思い出しながら、スカアハと重ね合わせて見守りながら戦っていた。
やがて満足が行ったのか、それとも怪我を負ったのか撤退したという。
成功🔵🔵🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
牧島・星奈
【V☆】
ふふん、ここはこの星光閃姫☆キラメスターの活躍の場ね!
キラキランサーを構え、ゴンドラの上で仁王立ちになって【戦覇横掃】【薙ぎ払い】で飛んでくる枝を次々と叩き切る!
ゴンドラ引いてるジンライくんにあたしの雄姿を見せられないのが残念だけど!
陣・頼人
【V☆】
力仕事は男の仕事。
僕はゴンドラを引っ張る役を務めるよ。
枝の狙いは星奈の乗るゴンドラ。
だから【トラップ生成】【罠使い】で周囲にワイヤーを張り巡らせ、枝が絡まってゴンドラを攻撃出来ない様にする。
彼女の実力を疑う訳じゃないけど、女の子の危機に何もしないって訳にはいかないからね。
一応両腕は塞がっていてもアームドフォートは使えるのでガトリング砲の【制圧射撃】で弾幕を張りながら進む。
さすがに狙い撃ちとかは無理だけど。
●
「対飛翔用のアラートにワイヤートラップってとこかな? 判り易い反面、解除は無理っと」
陣・頼人(武装騎士ヴィクトレオン・g00838)はゴンドラの近くに描かれたルーンを評した。
ルーンの専門家ではないが、トラップとして使って居るならば目測は付く。
「つまり、何が何でもコレに乗って行けって事?」
「そういう事だね。そして敵は偶に動いているかどうかを確認すれば良いんだ。巡回するほど敷地が広いならば、節約術を兼ねてるんだろう」
牧島・星奈(星光閃姫☆キラメスター・g05403)が確認すると頼人ことジンライは答えた。
敵はこの辺一帯を全て見回り、特にドラゴンの侵攻を阻まねばならない。
スカアハが食い止めているとはいえ、中には『ジェネラル級を無視して進んだ方が良いのでは?』と考えるドラゴンだっているだろう。そういう奴を発見し、いち早く倒すのが警備を任されたフローラリアの役目だと思われた。
「そしてゴンドラを動かすには二人必要で、途中で発見されたらガンガン邪魔も入って来るっと……。ふふん、ここはこの星光閃姫☆キラメスターの活躍の場ね!」
星奈は見たままの事をそのまま繰り返した。
そこからアイデアの一つも献策すれば良いのだが、ポンコツぶりを見せて胸を張っている。
色んな意味で少年は目を反らせながら、見えて居るけど見なかった事にした。
「ああ。僕は蔦を引っ張る役をやるから間も居は任せるよ」
「ええ。絶対に何も近づけないんだから! ぜーんぶ叩き落としてあげるわ!」
こうして二人の共同作業が始まった。
ジンライが蔦を引っ張ってゴンドラを動かし、キラメスターが槍を振るって迫る枝葉を撃ち落とす役割分担だった。
この時はまだ、あんなことが起きようとは想像もしていなかったのである。
ともあれ切り立った場所をゴンドラは進んでいく。
隣のエリアまで歩いて行けない場所に飛翔用のセンサーがあるということは、確かに有益なのだろう。
「そろそろ疲れてない? 代わろうか?」
「力仕事は男の仕事。言い出しっぺの法則は守るよ……これくらいはへっちゃらだから」
疲労と注意散漫は一般法則破壊の対象外だ。
意外と筋肉あるんだなーとか思いつつ、枝を跳ね飛ばすことで休憩時間を稼ぐ星奈。そして弱音を見せないですんだと溜息をつく頼人であった。
「あ。大変。ピンチピンチ。さんち? ピンチ!」
「さんち? あ……三か所ってことか。正面と撃ち漏らしをお願い。大多数は僕が落とすよ」
暫くして三方向から枝が飛んで来たので、アームフォートの出番だった。
ガトリング砲で飛んでくる数を落とし、あるいは勢いを減らし、そして槍が一閃されて迫る枝を叩き落とす!
上手く行ったときは『やったね!』とハイタッチしたい所だが、そうもいかない!
「今度は坂だよ!」
「そっか。世界樹だもんな傾斜もあるか……」
最大の山場は山成りになった場所だった。
昇りは力が馬鹿みたい要るし、降りはと言うと……。
「ストップストップ!」
「ゴンドラは急に止まれないってば!」
ガクンと力が抜けたかと思うと、一気に滑り出し始めた。
跳んでくる枝を確実に弾く為、仕掛けておいたトラップのワイヤーもあったりするが焼け石に水である。ゴンドラが傾いて高速移動するのを、なんとか制御しつつ移動していったのである。
(「あぶな……もうちょっとで抱きつくところだった」)
(「手の皮が破れてない? 唾でもつけて……あ、そういうわけにもいかないよね」)
はた目には颯爽と抜けたようでも、言葉には出来ぬ苦労があったという事だったとさ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
陣・頼人
【V☆】
ちょっとした大冒険だったね……
けど、まだまだ冒険は続くみたいだよ。
いけそう? 星奈。
数は向こうの方が上。
だったらこっちは【地形の利用】で周囲の地形を遮蔽物にしながら【トラップ生成】【罠使い】で周りの地面を粘着系トラップに変えて敵の足を止め、そして星奈のパラドクスと同時に【ヴィクトリーガンパレード】を敵群に叩き込んで数を減らしていく。
敵の反撃は【連射】【制圧射撃】でアームドフォートのガトリング砲でキノコを空中で迎撃して爆発させる。
牧島・星奈
【V☆】
さっきまでゴンドラで揺られてたからちょっとひと休みしたいところだけど
それでも、ジンライくんは戦おうとしてるんだ
だったら正義のヒロインのあたしが弱音吐く訳にはいかないよねっ!
「星光閃姫☆キラメスター参上!キラッ☆と、やっつけちゃうよー!」
敵を前にカッコよく名乗りを済ませたらさっさとジンライくんに便乗して遮蔽物に身を隠す
迫ってきた敵が【トラップ生成】のネバネバトラップにかかったらジンライくんに合わせて【ティンクルスターカッター】で真っ二つにしちゃうよ!
毒胞子はなるべく吸わないようにするけど、吸っちゃったら【勇気】と気合でどうにかする!
(※毒の効果はお任せします)
●
「ちょっとした大冒険だったね……」
少年は汗だくになって向こう岸に着くと、すりむけた手の平を隠した。
結構大変だったが、女の子の前で恰好悪い所は見せられまい。
それに……。
「けど、まだまだ冒険は続くみたいだよ。いけそう? 星奈」
「いけるいける。大丈夫、問題なし」
陣・頼人(武装騎士ヴィクトレオン・g00838)の言葉に牧島・星奈(星光閃姫☆キラメスター・g05403)は彼の背中に浮かぶ汗には気が付かなかった。
背負った砲門が覆い隠していたからだ。
しかしこれまでどれだけ苦労を掛けたかは知っている。
(「さっきまでゴンドラで揺られてたからちょっとひと休みしたいところだけど……それでも、ジンライくんは戦おうとしてるんだ」)
星奈は平衡感覚の揺れがまだ整って居なかったが、そんな弱気は吐けないと気合を入れた。
男の子が頑張ってるのに自分がへこたれるわけにはいかない!
「数は向こうの方が上。なら地形を利用しながら叩くよ! 時間を稼いでいればこっちには援軍が来る!」
「おっけ! ……だったら正義のヒロインのあたしが弱音吐く訳にはいかないよねっ!」
二人は敵のトループス級が迫る中、落ち着いて防御に回る事にした。
自分から突っ込んでいっても良い事は何もないし、やろうと思えば相手の攻撃の数だけ反撃できるのが逆連鎖戦である。
隠れて攻撃しても反撃できてしまうのが逆連鎖戦であるが……。
意味はないかというと、相手からの余計な攻撃を受けないという意味では有効に機能するのだ。
『こっちだ! こっちに居たぞ!』
「星光閃姫☆キラメスター参上! キラッ☆と、やっつけちゃうよー!」
動き続けるゴンドラを見て迎撃に来た敵兵士たち。
そこに立ちふさがるのは星奈……いやキラメスターだ!
もう一人が罠を仕掛ける間、正面防御を担当して敵を寄せ付けない。
『なんだこの粘着物は? ええい、ネバネバしてようとこの程度では!』
「うそっ、ネバネバ上等!? なーんちゃって……煌け綺羅星! 切り裂け暗闇!」
トラップではクロノヴェーダもディボロスも傷つきはしない。
しかしそんなことは百も承知であり、動きを阻害し時間を稼ぎ、回避力が下がった所をキラメスターは攻撃する。掌に作り出した星型の光で切り裂き、あるいは投げつけて行ったのだ。
『くう! だが、ただではやられんぞ。見るが良い、この驚きの白さを!!』
「毒胞子! 息を止めて下がるんだ! ……そいつは僕が薙ぎ払う!」
「うん、 お願い!」
頼人……いやジンライは敵集団が放った毒胞子ごとガトリング砲で粉砕しに掛かった。
しかし本命は、他の敵が投げつけて来るキノコ爆弾である!
『死なば諸共! やすやすと通してはスカアハ様に合わせる顔が無いぞ!』
「爆弾を抱えて特攻!? やるね、さすがはスカアハの弟子! だけれども……さぁ始めようか。勝利への行軍を!」
キノコ爆弾を抱えて突撃して来るフローラリアの勇士たち。
それらをまとめて射程に収めながら、ジンライはキラメスターを背に守り……さらにはゴンドラの道を守った。
彼の背中には動き続けるゴンドラがあり、次々と仲間が移動しているはずなのだから。そして仲間が来ているなら弾薬の節約をする必要もないと、反撃に構うことなく、一気に解き放って一斉射撃で蹴散らしたという事である。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
瓜生・コウ
キノコの化け物か、アヴァタール級との決戦で余計なちょっかい出されるのも避けたいし、何より魔女術ではキノコは重要な薬の材料だ、ここで少し補充しておくのもいいな。
どこから生えるかわからないキノコで包囲網を作って確実に行動を制限し、押しつぶすつもりだろうが、こちらは【完全視界】で胞子や暗闇越しに見える、オレの【不吉な予言】による【未来予測】が示すのはお前達の死と潰走のみだ。
どれ、面白いキノコは生えてるかな…?
一里塚・燐寧
アドリブ連携歓迎
随分と大きなキノコさんだねぇ?
薄切りにして、お味噌汁にでも入れたげるよぉ!
≪テンペスト・レイザー・バーストモード≫の刀身を後方に流すように構え
敵群めがけて迷いなく全力疾走で突進していくねぇ
胞子での侵蝕は【毒使い】の技能で身体面のダメージを抑え
【精神集中】と【勇気】で平常心を保つことで、被害を最小限に抑えるよぉ
胞子に怯まず、狂戦士のように一歩も止まらないで敵に肉薄したら
最後の数歩分を一瞬で踏み込みながら『屠竜技:散華乱刃斬』を発動!
神速の一閃で多重の斬撃を見舞う【早業】を放ち
そのまま斬り抜けて【一撃離脱】していくねぇ
おっとっと。薄切りとゆーか、みじん切りにしちゃったかなぁ?
白石・明日香
残留効果2はすべて使用。
さて、キノコ狩りと行きましょうか!
【飛翔】を使い低空飛行、残像で攪乱しながらダッシュで接近。【完全視界】で爆風の中の視界を確保して攻撃の挙動を見来て回避避けきれなかった奴は【活性治癒】で回復しながら間合いに入り範囲攻撃できるように武器改造して早業呪詛、捨て身の一撃で纏めて解体してあげる!
先、急ぐからゴメンね。
杏・紅花
わお、キノコたくさん!
どう見ても毒キノコって感じだあ〜
小さいキノコは可愛いような気もするけど、爆発するところはぜったい可愛くないっ
キノコばくだんがぶつかる前に、パラドクスで繰り出した糸で絡めとって避ける
糸の中でキノコばくだんが爆発したら、その勢いも利用して【飛翔】をスピードアップさせて敵に接近
鉤爪でキノコをさっくり切っていく
これは、お料理してもおいしくなさそうなキノコだな〜〜
アドリブ、連携歓迎
●
「わお、キノコたくさん!」
クルンクルンクルン!
仲間の放った爆風の後、誰かが大回転しながら着地した。
「どう見ても毒キノコって感じだあ~~。小さいキノコは可愛いような気もするけど……爆発するところはぜったい可愛くないっ」
ニィハオと杏・紅花(金蚕蠱・g00365)は挨拶し、敵に向かって見栄を切った。
その姿は舞台狭しと暴れまわる挟撃の役者のようである。
『ちっ。増援か!』
「キノコの化け物か。アヴァタール級との決戦で余計なちょっかい出されるのも避けたいし、何より魔女術ではキノコは重要な薬の材料だ、ここで少し補充しておくのもいいな」
少し遅れてやって来たのは瓜生・コウ(〈森の魔女〉・g07388)である。
どうやら紅花とペアを組んでゴンドラに乗って来たらしい。
「あたし達が代わりに戦うから、今のうちに次の仲間をお願いだよ!」
「「了解!」」
紅花が声を掛けると仲間たちは動いているゴンドラの手助けに向かったようだ。
その間を支えるのが前衛役の紅花であり、後衛役のコウである。
『何人来ようと同じことだ! 誰も通しはせぬ!』
「……どこから生えるかわからないキノコで包囲網を作って確実に行動を制限し、押し潰すつもりだろうが……」
敵は一見、集団で槍衾を作って通せんぼしているかのようだった。
しかしコウは銃を構え、魔術を行使することにした。
連中もまた時間稼ぎを行い、その間に攻撃しようとしている事は明白だったからだ。
「こちらはパラドクスによる完全な視界で胞子や暗闇越しに見える。そして何より……オレの『不吉な予言』による未来予測が示すのはお前達の死と潰走のみだ。Never―nevermore」
『ほざけ!』
コウが足元に銃弾を撃ち込みながら飛びずさると、周囲からキノコが生えて来る。
無数のキノコは雪崩のように増え、彼女を押し潰そうとするのだが……。
「そこだぁーっ!」
紅花が糸で絡めとったキノコ爆弾を投げつけて来た!
地を這う絹糸はパラドクスで造られており、キノコ爆弾を投げつける敵にも攻撃するし、巻き込んだキノコ野郎にも反撃するのだ!
「ほあっちゃー!」
そのまま紅花は鉤爪でさっくりキノコを切裂いていく。
コウを襲ったキノコ人間は、結局のところ彼女の言葉通り倒すこともできずに逆に倒されてしまったのだ。
「どれ、面白いキノコは生えてるかな……?」
「これは、お料理してもおいしくなさそうなキノコかも~」
その様子をコウは除き込み予言した未来と同じかを確認、とりあえず紅花は美味しそうでは無い事だけは保証する。
こうしている間に次の仲間たちが到着し、ゴンドラの渡し場における戦いは佳境を迎えようとしていた。
●
「随分と大きなキノコさんだねぇ?」
最期に到着した一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)の感想は仲間達と似ていた。
何というか巨大なキノコ人間がそこに居るのだ、他に感想なんかあるまい。
「さて、キノコ狩りと行きましょうか!」
「いーねー~。薄切りにして、お味噌汁にでも入れたげるよぉ!」
ゴンドラを引っ張って来た白石・明日香(体亡き者・g02194)が低空飛行で奪取すると、燐寧は伸びて来た枝を切り取ったチェーンソーを構え直した。
第二層のアヴァタール戦だけは、活かして再利用する派と倒してしまえ派がいるのだが……。
トループス級に関してはそんなことを考える必要もあるまい。一気に倒してしまうだけである。
『残像など!』
「残像効かぬは承知! っ立ち塞がるならば切り捨てるのみ!!!! ハック&スラッシュ!」
低空を高速で飛ぶ明日香はチョンチョンと足を地面につけ、一を変えて残像を残した。
それに対してキノコ爆弾を放出し、爆風で攻め立てるマイコニド。
だが明日香としてはその程度は覚悟の上、密度の薄い場所を抜けることで大半の爆風を置き去りにして、治癒魔法で傷を減らすことで対処した。そして自らの血を大鎌に集め切裂いたのである。
『白に染まれい!』
「この程度の痛みはへっちゃらだよぉ!」
一方で燐寧の方は真っ向から打撃戦。
足を止めずに避けもせずに胞子攻撃など何のその、代謝をコントロールして毒性を分解しながら攻め立てる。その姿はまさしくベルセルク……いや、この言葉には複数の存在が混同されているので、狂戦士の如くと言うべきか。チェーンソーからは真空の刃を生み出し、自らの体からは自分尾体が爆発しかねないほどのボディソニックを放って猛威を振るったのである!
「おっとっと。薄切りとゆーか、みじん切りにしちゃったかなぁ?」
高速で走り抜けた燐寧の周囲には、赤と白で染まっている。
前者はダメージ覚悟で走り抜けた彼女の血であり、城は敵の放った胞子の名残だ。
「先、急ぐからゴメンね」
(「そういえば……スカアハに色々思う所があったんだっけ? あたしは特にそういうのないけど。どうしよっか」)
明日香が傷の治療もそこそこに移動するのを見ながら、燐寧はこの後の戦いに思案を馳せるのであった。
狂戦士じみた戦いをしても彼女は決して考えることを放棄したわけではない。
思えばベルセルクもまた狂戦士と評されるが、その実は恐れを知らぬ興奮に、別の存在が混同した物であり知性も兼ね備えていたという。そういう意味では、狂戦士という面以外も持つという意味でベルセルクじみた戦いだったのかもしれない。
いずれにせよ渡し場を守っていたトループス級は倒された。
残るはアヴァタール級のみ。殺そうか、それとも逃がそうか?
後はその問題のみである。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【未来予測】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ドレイン】がLV2になった!
白石・明日香
残留効果2はすべて使用。
行きましょうか・・
【飛翔】で低空飛行しながら残像で攪乱しダッシュで接近。精神集中して敵の雹の雨を【未来予測】で見切って叩き落し、躱しきれないのは【活性治癒】で回復しながら強引に間合いに入り込み早業呪詛、捨て身の一撃で纏めて解体してあげる!
こちらの実力は分かったでしょ?で、此処からは相談なんだけどこの場は引いてくれない?スカアハはワタシ達が手伝ってあげたからしばらくは持ちこたえるでしょう。けど単独の貴方はこのままでは無駄死にしてしまう。それならいっそ上層まで引いて生き延びた貴方の主と共に私達とドラゴンを纏めて迎え撃った方が勝ち目が上がると思うのだけどどう?
一里塚・燐寧
アドリブ連携歓迎
んんー、あたし的にはアヴァタール級はブッ殺しちゃっておっけいなんだけど……
ま、火花バチバチしてまで通したい意見でもないし、その場のノリで決めちゃおっと
≪テンペスト・レイザーBM≫を構えて敵へと近づいていくよぉ
立ちはだかる茨の壁は、回転鋸刃でバッサリと伐採しちゃおう
全部刈りきれなくても脚は止めないよぉ
身体に突き刺さる分は【精神集中】して【勇気】を振るい起こし、耐える!
直線移動を壁に邪魔されないとこまで来たら
『屠竜技:急嵐の型』を発動!
一歩の踏み込みで、一瞬のうちに肉薄し、必殺の横一閃!からの【一撃離脱】
そんな一連の流れを怒涛の【早業】で繰り出していくねぇ
さーて、どーなることやら?
天破星・巴
アドリブ連携歓迎
クロノヴェータと相容れぬ訳には行かぬので戦略的理想は漁夫の利
2勢力が潰し合ってくれるのが理想的じゃ
味方になることは無くても敵の敵でいてくれるなら敵に塩を送る事も吝かではないのじゃ
影移動を繰り返し雹の雨を回潜り接近、段々近くに来ると思わせ直前で的背後の影から不意打ち攻撃を行い味方の攻撃に巻き込まれないように一撃離脱
また背後から攻撃と思わせ横からなどフェイントを混じえながら戦う
ある程度まで追い詰めることが出来たら此処で無為に死ぬか此処の防衛を放棄しスカアハの援護に向かうか選ばせてあげるのじゃ
瓜生・コウ
北欧の女性原理的なセイズ(魔女術)というよりは男系原理を基礎とするルーン魔術の使い手、目深な帽子と隻眼はオーディン神に倣っているのかな
ヤドリギにはこちらもヤドリギの魔術で対抗するのがいい、術を破れば殺すつもりはなくても交渉材料になる、ヤドリギは光の神を殺し「金枝篇」の枝を手折ったネミの祭司は前任を殺して成り代わるものだったが、魔女術では性愛を祝福し殖える力を増幅するものだ、枝に乗せた死の概念に対し生の概念をぶつけることによって相殺し―壁に追い詰めたなら、口説き落とすとしよう、好みの外見だしな
「オレの術が上手だったようだな―知ってるだろ? ヤドリギの下にいる娘にはキスしていいんだぜ?」(壁ドン
一ノ瀬・綾音
んー、んんんん。まぁ、交渉の余地があるならちょっとは望みをかけてもいいかもしれない。それに確かに言わんとすることはわかるし……明日香さんの案に乗るか……
基本的に破竜剣で近接攻撃を仕掛けつつ、相手の攻撃が来たらヤドリギの矢だけ消し飛ばすように【綺羅星の星光】を発動。本体への攻撃は破竜剣による通常攻撃だけに留める。
程よい所で剣を収めて交渉開始。
ねぇ、これで実力差はわかったでしょ?
今のまま単騎で綾音ちゃん達に蹂躙されても、状況は変わらない。各個撃破されて終わり、最悪ドラゴンに漁夫の利を取られる。
だったら一度撤退してドラゴンとディアボロス、二面で迎え撃った方がまだいい感じになると思うけど……どう?
●
この区画の最終エリアに突入する前。
ディアボロス達は短い間でとある会議を行った。
「この階層は確保するという大前提だろ? なら構わねえぜ」
「そこは当然ね。その上で、我々とフローラリアで決着付けようって話」
この戦いでは二つの選択肢がある。
瓜生・コウ(〈森の魔女〉・g07388)は白石・明日香(体亡き者・g02194)の話を聞いて受け入れた。
「クロノヴェータと相容れぬ訳には行かぬので戦略的理想は漁夫の利。2勢力が潰し合ってくれるのが理想的じゃ」
天破星・巴(反逆鬼・g01709)は暫し考えて承諾。
「味方になることは無くても、敵の敵でいてくれるなら敵に塩を送る事も吝かではないのじゃ」
「まあ理屈としちゃあそれで十分だよな。オレとしてはディアボロスとしての本分さえ果たせれば、好き嫌いだけで十分だがな」
巴が戦略的価値を説くと、コウは肩をすくめて気分の問題だけで構わないと口にする。
クロノヴェーダにストレートな情報をする気はないが、世界樹第二層の解放前提ならばそれほど否定要素はないという点では共通していた。
「んんー、あたし的にはアヴァタール級はブッ殺しちゃっておっけいなんだけど……」
「んー、んんんん。まぁ、交渉の余地があるならちょっとは望みをかけてもいいかもしれない」
傾げる首はメトロノームの様に行ったり来たり。
一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)としては倒してしまっても良いが、一ノ瀬・綾音(星影の描き手・g00868)が言う様に話が通る相手に押し込む必要もないのは確かだ。もちろん騙されて留まられたら面倒なので、嘘を吐くようならば容赦の必要もないのだが。
「それに確かに言わんとすることはわかるし……明日香さんの案に乗るか……」
「なら。火花バチバチしてまで通したい意見でもないし、あくまでその場のノリって事でOK出しちゃうよぉ」
綾音が賛成に票を入れると燐寧としても恨みがあるわけでも無し。
あえて倒す理由があるとしても、新必殺技のお披露目くらいなので、この場で使う必要も無かった。花火(意味深)はまた今度みるとしよう。
「決まりね。行きましょうか……」
最期の一人が頷いたことで意見は統一され問題は無くなった。
明日香が出発を促すと、誰ともなく走り、あるいは飛翔して敵アヴァタールの元を目指す。
やがて上層へと向かう場所の一つにアヴァタール級が控えていた。
「目深な帽子と隻眼はオーディン神に倣っているのかな。北欧の女性原理的なセイズ(魔女術)というよりは男系原理を基礎とするルーン魔術の使い手か」
「良く判るねぇ」
北欧は専門だからなと言うコウの言葉に燐寧はなるほどと頷いた。
自分もシナイからアナトリア(トラキア)に関しては何があったか良く知っているが、中国の河南から日本の東北にかけて何があったか問われても難しい所だ。
「相手の出方は読める。だからヤドリギにはこちらもヤドリギの魔術で対抗するのがいい、術を破れば殺すつもりはなくても交渉材料になる」
「その辺は任せるわ。一気に攻め寄せて勝負を決めましょ」
コウが術を用意し始めると、明日香は構わずにダッシュで飛び出した。
低空飛行で急接近し、それに合わせて他の仲間たちも距離を詰めたのだ。
「っ……速攻!」
明日香は誰よりも早く攻撃を掛けると、自らの血を剣に宿して血の刃を作り上げた。
合体させた双剣ゆえに、本来の剣よりも遥かに長くまるで槍の様だ。これに対して敵が行ったのは……。
『天より墜ちよ。バガラズよ!』
「むう。これがスカアハ直伝の技かえ」
敵はルーンを刻んだヒールで回し蹴りを放ち、周囲に雹を形成する。
巴の視界には足の周囲に雹の刃が発生し、血の刃と切り結び始めた。明日香は捨て身で雹の中に突っ込み、強引に血の刃で切り刻んでいく!
『スリサズよ、阻め!』
敵はディアボロスたちが接近すると、畳返しの要領で地面を強打。
単純化された方法でルーンを押印し、畳ならぬ茨の壁が出現する!
「立ちはだかる茨の壁は、回転鋸刃でバッサリと伐採しちゃおう」
燐寧はスウェー移動で横にステップを掛けると、上半身が浮き上がるほどの加速で、仲間を飛び越しながら体を回転させた。
回転運動により乱れるはずの態勢と刃は無理やり矯正され、紫の鬼火をまとうチェーンソーが振り下ろされる!
『蘆原草薙げ。ミストルティン!』
「そんなんじゃ、綾音ちゃんたちは止まらない!」
敵は茨の壁を蹴り砕くことで、それぞれが必滅の一撃となるべく四方八方から反射するように迫る!
そこへ綾音が穢れを払う光を放った。
どこまでも追いかけて居いく浄化の光は、必滅の一撃を相殺しながら敵の元へ逆流していく。
それはまるで地上に落ちた流星が、逆行するかのようであった。
『天より墜ちよ。バガラズよ!』
「今じゃ! 己の影より穿つ一撃を受けよ!」
敵は次にかかと落としで凍れる死の断頭台を落した、だが一瞬早く巴は影の中を潜る様にして接近。
死角から死角を渡りながら、どうしても避けきれないと悟った段階で肩口で体当たりするかのように足を止める。そして相打ち気味に貫手で相手の腹を穿ち、体当たり分のダメージを上乗せして与える事に成功した。
「もう二度と無く……。またとなけめと人の言う。ヤドリギは光の神を殺し金枝の枝を手折ったネーミの祭司は前任を殺して成り代わるものだったが……魔女術では性愛を祝福し殖える力を増幅するものだ」
『ミスト……ル……ティン!』
コウは失われし物語を紡いだ。
それは改竄世界史では失われたストーリーであり、絶えた地方伝承である。
そして敵アヴァタール級……ミストルトゥ・ウイッチが女性であり、魔女の名を関しながら男性を示す術を使った事に交えて撃ち込んでいった(ルーンではなくドルイドの歌ならばまた別の手段を考え付いたであろう)。
「死と言うマイナスに失われたというマイナスを掛ければ相殺できる。オレの術が上手だったようだな―知ってるだろ? ヤドリギの下にいる娘にはキスしていいんだぜ?」
『……くっ殺せ』
コウは相手が茨を掴み取って投げようとしたところで、まるで予測していたように手を掴んだ。
そしてそのまま壁ドンを決めると、トドメを刺すのではなく耳もとで語り掛けた。
「……ねぇ、これで実力差はわかったでしょ?」
「……、此処からは相談なんだけどこの場は引いてくれない?」
『引けだと?』
その様子に苦笑しながら綾音と明日香は撤退勧告を行った。
クロノヴェーダとディアボロスゆえに降伏などできまいが、撤退して第三層に下がれと言うくらいは問題ない。
「今のまま単騎で綾音ちゃん達に蹂躙されても、状況は変わらない。各個撃破されて終わり、最悪ドラゴンに漁夫の利を取られる。だったら一度撤退してドラゴンとディアボロス、二面で迎え撃った方がまだいい感じになると思うけど……どう?」
(「始まったか―。さーて、どーなることやら?」)
綾音がそのまま交渉を続けていくのを見て、燐寧は口は挟まずにチェーンソーの刃を下に向けた。
攻撃する気はないがこちらに向かって来るなら返り討ちにするし、交渉が物別れに終われば戦っても良いというスタイルである。
「スカアハはワタシ達が手伝ってあげたからしばらくは持ちこたえるでしょう。けど単独の貴方はこのままでは無駄死にしてしまう。それならいっそ上層まで引いて生き延びた貴方の主と共に私達とドラゴンを纏めて迎え撃った方が勝ち目が上がると思うのだけどどう?」
「此処で無為に死ぬか、此処の防衛を放棄しスカアハの援護に向かうか選ばせてあげるのじゃ」
明日香は此処に来るまでにスカアハを手伝ってドラゴンを退けてきたことを説明。
その話を巴は要約して好きにしろと告げた。
「どうする? オレとしてはこのまま暫く悩んでいてくれても良いんだけど」
『……礼は言わないわ。お互いに生き延びたとして、次の階層で決着を着けるだけでしょうしね」
コウが頬に触れると、敵はそれを振り払って背を向けた。
されるがままに放置する程ではないが、背を預けてこの場を去るくらいには信用しても良いという事だろう。
「んー。まとまったかあー。まあ次の機会でいいけどね」
「戦うのは何時でもできるじゃろ。その時まで取っておくが良い」
燐寧は巴の言葉に頷いて刃の回転を止めた。
紫色の炎も鳴りを潜め、次の出番までお眠である。
「ふう。何とかなったね。交渉は疲れるもんだね」
「ふふ。ならゴンドラで送って行こうか?」
綾音は悪乗りしているコウにノーサンキューと断って帰還することにした。
「後少し……間に合うかしらね」
明日香はその後に続きながら……戦いが続く世界樹外周での戦闘に思いを馳せるのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【断末魔動画】がLV2になった!
【一刀両断】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
【未来予測】がLV2になった!
【操作会得】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV3になった!
【命中アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV6になった!
【ダブル】LV1が発生!