リプレイ
②パルマの市民の蜂起
アンネローゼ・ディマンシュ
『世界の全てだからって、赦されない』
『真の善は悪なる世界を蝕む毒』
『秩序の為に人があるのではなく、人の為に秩序があると知れ』
この3つの曲はわたくしが歌ったものですわ
このアンネローゼ・フォン・ディマンシュが!
そう言いながら広場で演奏を
注目と人が集まった所でパルマ市民を率いて『ディアボロスの音楽隊』がパルマの街中を行進
人々の目に触れ耳で聴く音楽隊が士気を上げていきます
そこにわたくしが救った人々や音楽に感銘を受けた人々が3つの歌で三重奏を謳い、わたくしは新たな歌を作り四重奏へと昇華
『希望の輪が広がり連鎖する事こそ正しき革命の響きで踊り』
さぁ、響き合いましょう!踊り合いましょう!
正しき革命と共に!
●未来への四重奏
パルマ公国は夜奏の力で支配されている。
それは言わば、明けない夜の帳を下ろされ続けているようなものだ。
夜空に輝く月や星、静寂も良いものだが、日が昇って明けてこそ、それぞれの美しさを識ることができる。
幾度も訪れたパルマの地に再び降り立ったアンネローゼ・ディマンシュ(『楽士大公』ディマンシュ大公・g03631)は、嘗て自分が歌った数々の詩を思い返す。
――『世界の全てだからって、赦されない』
――『真の善は悪なる世界を蝕む毒』
――『秩序の為に人があるのではなく、人の為に秩序があると知れ』
一曲目は例え相手が世界そのものだとしても、大切な存在を破壊するならば破壊仕返す覚悟。それこそが正義であり、言葉を問い質し続ける意志そのものだという詩。
二曲目は、世界を変えたければまずは進み続けることを示す歌。人々の当たり前を守るという毒が、歴史侵略者を冒していく未来を謳いあげたものだ。
三曲目は人の命と営みを奪う決まりならば、破壊してしまえばいい。ゆえに刻みなさい、と民衆に謳いあげた真なる秩序の礼賛曲。これまでは排斥力のせいでディアボロスの存在が忘却されてしまうこともあった。だが、これらの歌はパルマの人々に忘れられることなく伝わっている。
「わたくしが歌った詩が今も残っているのですね」
胸に手を当てたアンネローゼは一度、そっと瞼を閉じた。
彼女が立つ広場にはパルマの人々が行き交っている。彼らの心の奥には歌の力が宿っているのだろう。
今こそ、動き出すべき時だ。
「奏でましょう。このアンネローゼ・フォン・ディマンシュが!」
神奏のヴァリウスという美しき名を冠するヴァイオリンを手にした彼女は演奏を始めた。音響魔術と共に奏でられていく音楽は瞬く間に広場中に広がっていく。
「この曲って……?」
「聞いたことがあるな。ああ、あの歌だ!」
立ち止まった人々はアンネローゼに注目していく。多くのパルマ市民に届かせるため、懸命に演奏を続けるアンネローゼはこれからのことに思いを馳せた。彼女の目的はディアボロスの音楽隊として、パルマの街中を行進していくこと。
こうして人々の目に触れ、耳で聴く音が士気を上げていくはずだ。
これまでに淫魔の支配から救った人々。そして、音楽に感銘を受けた人々。彼らもまたアンネローゼに気付き、三重奏を謳ってくれていた。アンネローゼはそこに新たな旋律を重ね、四重奏へと昇華してゆく。
――『希望の輪が広がり、連鎖する事こそ正しき革命の響きで踊り』
「さぁ、響き合いましょう! 踊り合いましょう!」
アンネローゼの曲と言の葉は人々の心に前に進むための灯を燈していった。
これはパルマの夜明けを目指す為の詩。
いざ、正しき革命と共に。正義の行進は、此処から始まっていく。
大成功 🔵🔵🔵
効果1 【士気高揚】LV1が発生! 効果2 【ダメージアップ】LV1が発生!
②パルマの市民の蜂起
ミシェル・ラークリーズ
とうとうこの時が来た。前は生きるのにも大変そうだったパルマの人々が笑顔でいる。今こそ淫魔の支配を打ち破り、自由を取り戻す時だ。関わったものとして、最後まで、見届けようと思う。
皆が集まる商店街で再びあの歌を歌う。嘗て意気消沈していたパルマの皆さんの前で歌った歌を。
さあ皆で手を繋ごう。皆で歌おう、踊ろう。皆で笑顔になれば何も怖くない。
皆で空を見上げればほら、希望の太陽が見える。
さあ、今こそ貴方たちの手で自由を勝ち取る時だ。たとえ圧倒的な力でも皆が希望を失わなければ、きっと打ち破れる。僕は人の力を信じているよ。
●あの歌を再び
一陣の風が街中に吹き抜けていく。
それはまるで、これから起こる革命と決戦の予感を覚えるような風だった。
「とうとうこの時が来たね」
ミシェル・ラークリーズ(彩光のグレイス・g03431)は今、賑わう商店街を歩いている。街並みは変わらないが、以前に訪れた時も雰囲気が和やかになっている気がした。
淫魔の音楽隊に人々が堕落させられていた時や、それまで行われていなかった処刑が始まった時。
以前は生きるのにも大変そうだったように思えたが、今のパルマの人々には笑顔がある。ふと、手を繋いで歩いていく双子の姉妹が見えた。それだけではなく、以前に罪人として捕まっていた男の姿もあった。
どちらもミシェルが救った者達だ。
「……良かった」
無事な姿が見られたことでミシェルは安堵を抱いた。
今こそ淫魔の支配を打ち破り、人々の自由を取り戻す時。これまでに多くの人達と関わった者としてパルマの行く末を最後まで見届けたい。ミシェルの願いは強く、その心には揺らがぬ思いが宿っていた。
行き交う人々を見渡したミシェルは、ゆっくりと息を吸う。
もう一度、あの歌を紡ぎたい。嘗ては意気消沈していた、パルマの人々の前で歌った曲を。
――さあ皆で手を繋ごう。皆で歌おう、踊ろう。皆で笑顔になれば何も怖くない。
ミシェルが響かせた歌声はオペレッタの始まりの如く、賑わう街の最中に広がっていく。
「あれ?」
「誰かが歌っているみたい」
顔を上げた人々がミシェルに注目していった。彼らに笑顔を向けたミシェルは更なる歌詞を紡ぎあげていく。
音楽家の家に育った彼は幼い頃から教わってきた。音楽は人に勇気を与え、生きる力を与えるものであるべきだ。その教えを今も信じて、守り続けたいと願っている。
きっと、此処以外でも蜂起の歌が響き始めているのだろう。ディアボロスの歌という、希望を導く標が。
ミシェルは曲に想いを込めた。通りで立ち止まった人達の視線は真っ直ぐに此方に向けられている。その瞳の中には希望の欠片が映っているように思えた。
「希望に満ちた歌だ……」
「笑顔の国かぁ。うん、みんな笑顔がいいね」
歌に聴き入りながら語る人々に向け、ミシェルはクライマックスのフレーズを謳い上げた。
――皆で空を見上げればほら、希望の太陽が見える。
そして、彼は呼びかける。
「さあ、今こそ貴方たちの手で自由を勝ち取る時だ。僕は人の力を信じているよ。だから、今こそ――!」
いざなうのは蜂起への思い。
たとえ圧倒的な相手であっても、皆が希望を失わなければ悪は打ち破れるはず。強く語ったミシェルは片腕を大きく振り上げ、人々に思いの丈を伝えていった。
大成功 🔵🔵🔵
効果1 【勝利の凱歌】LV1が発生! 効果2 【ガードアップ】LV1が発生!
②パルマの市民の蜂起
宝心・ライラ
アドリブ連携歓迎
聞こえるわ、懐かしい歌
あの日会場が一つになって歌った素敵な太陽の歌っ!
これは駆けつけないわけにはいかないわね!
「ジャンさーん!」
蜂起の場に向かいかつて共演したサーカス団と団長のジャンさんを探す
見つけたら大きく手を振りながら駆け寄るわ
「また共演しましょ。ジャン一座とシルク・ドゥ・スーリールの第二回公演よ!」
サーカス団のみんなと路上講演をしながら太陽の歌を歌い騒ぎ、場を大いに盛り上げるわ!
「ところでジャン一座って言うのも味気ないわよね?お名前つけてみない?太陽のサーカス団なんてどうかしら!」
フランス語で太陽はソレイユ
私が知る偉大なサーカスの名前
きっとジャンさん達にピッタリだわ!
●太陽の歌を背に
――皆で空を見上げればほら、希望の太陽が見える。
何処かから歌声が響いてきていた。
商店街の方から聞こえる歌に耳を澄ませた宝心・ライラ(ミス・ハッピーエンド・g01071)は笑みを浮かべる。
「聞こえるわ、懐かしい歌が!」
あれは太陽がくれる希望を謳う曲。あの日、サーカス会場がひとつになったときの思い出は今も色褪せていない。
きっとディアボロスの誰かが歌い、周りの人も一緒に声を重ねているのだろう。
「これは駆けつけないわけにはいかないわね!」
ライラと同じように通りを歩く人々は足を止めて音楽を聴いている。そんな人々の中に、ライラは見覚えのある顔を見つけた。同じタイミングで向こうも此方に気付いたらしい。
「ジャンさーん!」
「やあ、久し振り」
ライラが名を呼び、手を振ったのは大道芸人の団長・ジャン。
かつて共演したサーカス団の面々も彼と一緒に行動していた。どうやら買い出しの途中だったらしく、商店街から聞こえる歌を懐かしんでいたらしい。
駆け寄ったライラは、皆が自分を覚えてくれていたことを喜ぶ。排斥力の強い世界ではディアボロスは忘れられてしまうことが多い。しかし此処では排斥力が弱まっていることもあり、こうして歌を懐かしむ再会が叶った。
「また共演しましょ。ジャン一座とシルク・ドゥ・スーリールの第二回公演よ!」
「それはいいな! 是非とも頼む」
「賛成!」
ジャンは快く頷き、団員達もライラの誘いに乗ってくれた。
そうと決まれば路上公演のはじまりだ。買い物の荷物を片付けに行った団員達が広場に戻ってきたところで、ライラはまず歌の指揮をとった。
「――さあ皆で手を繋ごう」
ライラが歌い出すと、続けてサーカス一座達が声を重ねてゆく。
「皆で歌おう、踊ろう」
「皆で笑顔になれば何も怖くない」
「皆で空を見上げればほら、希望の太陽が見える」
紡がれていく太陽の歌に合わせて芸を披露していく団員達。ライラも手拍子を打って場を盛り上げていった。サーカスとは人々に笑顔と楽しみを与えるもの。
ライラはあの日のようにジャグリングを披露しながら大いに楽しみ、周りの人々も一緒になって歌い踊った。
そうして、路上公演が終わった後。
「ところでジャン一座って言うのも味気ないわよね? お名前つけてみない?」
「名前か……」
「私ね、考えたの。太陽のサーカス団なんてどうかしら!」
フランス語で太陽はソレイユ。
自分が知る偉大なサーカスの名前でもあるとライラが語ると、ジャンと団員達は悩み始めた。
「偉大すぎて恐れ多いなぁ」
「素敵だけど悩ましい!」
「じゃあ、支配の夜が明けたら皆で改めて話し合うのはどう?」
団員のひとりが提案したのはつまり、パルマ公国がルドヴィカの支配から解放された後に決めるということ。
ライラは頷き、再び微笑む。
「そうね、それがいいわ。どんな名前になっても、きっとジャンさん達にピッタリよ!」
交わす笑顔の明るさは太陽の如く。
パルマを暗く覆っている夜奏の支配は、きっと――これから明けてゆく。
大成功 🔵🔵🔵
効果1 【フライトドローン】LV1が発生! 効果2 【命中アップ】LV1が発生!
②パルマの市民の蜂起
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
パルマ公国……長く関わってきた気がするな
あとは背を一押しだ
自由を取り戻そう
再会できそうなら
『ナイト・アフター・ナイト』で演奏した多数の群衆や
『断罪のソレイユ』で牢から救った人々と少女
朝から夕方前まで、時間の許す限り、食堂や酒場中心に
奏で歌い街を巡る
街を偵察、観察
人の集まる場所や影響力のありそうな人も巻き込んでいこう
俺はチェロの伴奏に
“人の手に取り戻すよう”情熱的なアレンジを
革命歌を歌唱して回る
街中や広場ならSiegesliedのスピーカーを
集う人々と歌声合わせて盛り上げ
演説を交える
パルマ公国を民の手に
淫魔宰相の支配から、人の意思を、心を、運命を取り戻そう
さあ立ち上がろう、同志達
●運命はこの手に
思えば、このパルマ公国には長く関わってきた。
淫魔楽団が訪れていたときや、パルマの街で処刑が行われ始めたこと。
音色に取り憑かれたと形容できる淫魔達を屠り、幾つもの処刑を救ってきたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は感慨深さを抱く。
「パルマ公国を取り戻す為に、あとは背を一押しするだけだ」
広場を行き交う人々を瞳に映したエトヴァは静かな決意を固めた。強い意志と共に踏み出した彼は街中を練り歩く気概でいた。それはすべて、この場所に自由を取り戻すため。
今回は時間が許す限り、食堂や酒場を中心として様々な場所を巡る予定だ。
「さて、まずはここかな」
エトヴァは開いている食堂で演奏と歌を披露することに決めた。
偶然か、それとも運命か。其処には以前に演奏を聞いてくれた多数の群衆の中にいた数人が集まっていた。彼らはエトヴァを見ると友好的な笑みを向けてくれた。
そっと手を振ったエトヴァはチェロを構えた。伴奏と共に紡ぐのは、あのときの音色。
抒情的な夜想曲はまるで夜に澄み渡る音色のように、人々の心に染みた。エトヴァが思いを込めた演奏は皆の反抗心に呼びかける一手となっていく。周囲から拍手が送られる中、エトヴァは丁寧にお辞儀した。
「聞いてくれてありがとう」
「いいや、お礼を言うのはこちらの方だよ」
「あの……」
「この前はありがとう、おにいさん」
エトヴァに対し、無実の囚われ人だった者達が声を掛けてくれた。演奏中に訪れたのか、その中には見覚えのある者達がいた。処刑台の牢から助け出した女性と、その腰に掴まっていた幼い少女だ。
「あぁ、あなた達は……無事で何より」
あのときに断罪されずに良かった、と語ったエトヴァは少女の頭を撫でてやった。嬉しそうに笑む女の子がこうして元気に生きていることが何より喜ばしい。
彼らに別れを告げたエトヴァは新たな酒場を目指していく。
希望を導く曲を奏でて歌い、街中を巡る。その際にエトヴァは大学や聖堂、劇場の前にも立ち寄った。これからそれぞれの場所で演説や演奏、歌唱を始める仲間の姿があった。
人の集まる場所や影響力のありそうな人も巻き込んでいけば、一斉蜂起への道は確実にひらけるだろう。
「――では一曲」
次の酒場に到着したエトヴァは音を響かせた。
人の手に取り戻すよう、情熱的なアレンジを加えた革命歌を朗々と歌唱していくエトヴァ。その思いは何処までも真っ直ぐだ。集う人々もエトヴァと歌声を合わせ、大いに盛り上がった。
「パルマ公国を民の手に。さあ立ち上がろう、同志達」
そして、エトヴァは語る。彼が持参したマイクから拡声された演説は街に響いていく。
今こそ淫魔宰相の支配から、人の意思を、心を。
そして――。
運命そのものを、取り戻す時だ。
大成功 🔵🔵🔵
効果1 【照明】LV1が発生! 効果2 【反撃アップ】LV1が発生!
②パルマの市民の蜂起
レイラ・イグラーナ
パルマ大学内の人が大勢集まる所で演説を行います。
必要であれば【士気高揚】も使用。
市民たちよ、私たちは自由です。
例え恐怖で体を押さえつけられ、ギロチンで首を落とされようとも、この意思は何者にも縛られません。
皆様の自由な意思は何を求めますか? そこの方、貴方は何かしたいことはございますか?
自由を、未来を求める意思は何者にも阻むことはできません。
阻もうとするものがいても、皆様の束ねられた意思はそれを弾き返すことができます。
未来へ進もうとする意志の力は、何よりも強いのですから。
市民たちよ、今こそ立ち上がり、未来を掴み取る時です。
武器を取り、隊列を組み、進みましょう、市民たちよ!
●自由はすぐ其処に
陽射しは暖かく、敷地内に芽吹く緑を明るく照らしていた。
パルマ公国の地に降り立ったレイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は現在、最古の大学のひとつとも呼ばれている大学の中に訪れている。
講堂や教室には生徒や教師達がおり、それぞれに授業や講義の時間を過ごしていた。
やがて、昼時になったことで生徒達は中庭や食堂に向かっているようだ。
「そろそろ良い頃合いですね」
それまで人の流れを見ていたレイラは構内の人が大勢集まる場所を目指す。其処は緑豊かなに庭園。此処で演説を行えば、若い世代や教師にも一斉蜂起への呼び掛けが伝わるだろう。
普段は夜型であるゆえに朝方は少しばかり眠かったが、今のレイラには強い思いがある。
緋色の瞳をそっと細めた彼女は、これから行う演説への思いを整えた。
そして、緑溢れる庭から高らかな声が響いていく。
「市民たちよ、私たちは自由です」
「何だ?」
「自由って――」
レイラの凛とした声は人を惹き付けた。振り返った学生が不思議そうな顔をしているが、まず興味は引けた。後は具体的に呼び掛けていくだけだ。静かに頷いたレイラは声を紡ぐ。
「例え恐怖で体を押さえつけられ、ギロチンで首を落とされようとも、この意思は何者にも縛られません」
「ああ、近頃行われていた処刑の話か……」
「ルドヴィカ様の行いは恐ろしいよな」
構内がざわざわとしている。教師の一人はレイラが何について語っているのかを聡く理解したらしく、静かに、と周囲の生徒に呼びかけてくれた。レイラは両手を広げ、主張と共に問い掛けを向ける。
「皆様の自由な意思は何を求めますか? そこの方、貴方は何かしたいことはございますか?」
「お、俺?」
「ええ、貴方です」
視線を向けられた生徒は驚きながらも神妙に答えた。
「そうだな……。誰も処刑されない、安心できる生活が欲しい!」
「即ち自由に生きられる街を望むということですね。そう、未来を求める意思は何者にも阻むことはできません」
青年からの答えを聞いたレイラは首肯する。
未来を阻もうとする者がいても、束ねられた意思は弾圧されたりしない。むしろ弾き返すことができるのだと語ったレイラの思いは本心からのものだ。
「未来へ進もうとする意志の力は、何よりも強いのですから。さぁ、今こそ立ち上がり、未来を掴み取る時です!」
レイラの言葉は人々の心に響いていった。
それによって士気が上がり、強い熱意が周囲に伝播していく。
きっと彼らはいずれ勇気のある行動に移るはず。武器を取り、隊列を組み、目指すは自由に続く道。
「進みましょう、市民たちよ!」
レイラの呼び掛けを受けた者達が一斉に腕を振り上げた。おお、と返された声は力強い。
そうして此処から、革命に続く一歩が刻まれていく。
大成功 🔵🔵🔵
効果1 【士気高揚】がLV2になった! 効果2 【ダメージアップ】がLV2になった!
②パルマの市民の蜂起
ミシェル・ロメ
この街で淫魔たちが行ってきた所業
人の願いを歪め、欲望で塗り潰し貶める
無実の罪で断頭台に送り命を刈り取る
絶望と悪意に満ちた血塗れの残酷劇
だけど、本当に大切なものはそう簡単に壊れない
僕は人の心の強さを信じるよ
断頭台に散った神父様
だけど受け継いだ願いと聖歌は、今も僕の中に
パルマ大聖堂前で民衆を前に、祈りを込め聖歌を紡ぐ
光あれ
祝福あれ
咲き誇れ 希望の花よ
苦難に耐ゆる路傍の花は
幾度踏み躙られてなお
凛として天を仰ぎ見る
嗚呼、聖なるかな
其はいと強く尊きもの
幸福を願い愛おしむ優しさ
命の息吹はやがて実を結び
新たな希望の種となって遍く世に満ちるだろう
僕たちは決して負けない
天に輝く希望の星が、いつだって見守っている
●希望を導く詩
パルマ大聖堂前にて、思い返すのはこれまでの出来事。
この街は長らくルドヴィカに支配されており、以前はウィーンから招かれた淫魔楽団が訪れていた。淫魔達が行ってきた所業は人の願いを歪め、欲望で塗り潰して貶めること。
ミシェル・ロメ(とわにひびくうた・g04569)は、そっと胸元に手を当てた。
無実の罪で断頭台に送り、命を刈り取る処刑。其処に満ちていたのは絶望と悪意。血塗れの残酷劇はもう二度と起こさせたくないと願うミシェルは、オラトリオのリリコと一緒に聖堂を振り仰ぐ。
「……だけど、本当に大切なものはそう簡単に壊れない」
ミシェルは信じていた。
人の心の強さを。そして、立ち上がる勇気はどんな人の胸の奥にも宿っていることを。
聖堂や教会を眺めていると断頭台に散った神父様のことが思い起こされる。赤子の頃に教会の前に捨てられていた自分を拾ってくれた彼と過ごした日々を思うと、あたたかな気持ちが巡った。
彼の死を塗り替えることは、今はできない。
しかし、受け継いだ願いと聖歌は今もミシェルの中に生きていた。
此処には祈りに訪れる人が多くいる。支配の中でも神に祈ることを忘れない敬虔な人々がいる証だ。
ミシェルは両手を重ねる。リリコも合わせて少年の傍に寄り添った。
それは聖堂前に訪れた民衆へ、祈りを込めた聖歌を紡ぐため。
『――光あれ 祝福あれ。咲き誇れ 希望の花よ。
苦難に耐ゆる路傍の花は 幾度踏み躙られてなお 凛として天を仰ぎ見る』
静かな歌い出しと共に、透き通った声が響き渡ってゆく。
ミシェルは瞼を閉じ懸命に歌い続けた。それによって街行く人々が立ち止まり、歌に耳を澄ませた。
「わぁ、綺麗な歌……」
「天使様が舞い降りたみたいだ」
人々はミシェルの歌への感想を口にした。以前にもこうしてパルマの皆の前で歌を唄ったことがある。あのときはバイオリンを演奏して、愛した人がいたことを忘れないで欲しいと歌った。
自分にとっての神父様のように、目の前にいるひとりひとりに大切な人がいるはず。
あの日と同じく、人々は耳を傾けてくれるだろうか。そっと瞼をひらいたミシェルの青い双眸が陽の光を反射する。その瞳に映った人々は柔らかな微笑みを浮かべていた。
そうして、少年は詩を紡ぎ続ける。
『嗚呼、聖なるかな。
其はいと強く尊きもの 幸福を願い愛おしむ優しさ。
命の息吹はやがて実を結び 新たな希望の種となって遍く世に満ちるだろう』
咲き誇れ、希望の花。どうか、この祝福の光と共に。
天から降り注ぐ陽射しを受け、双眸を細めたミシェルは一曲を紡ぎ終えた。周囲からは拍手が巻き起こり、良かったよ、すごく綺麗だった、希望が見えたなどの声があがる。
ミシェルは正しき革命への思いを抱き、人々に語り掛けた。
「僕たちは決して負けない」
何故なら――。
天に輝く希望の星も、此処に輝く太陽の光も、いつだって見守ってくれているから。
大成功 🔵🔵🔵
効果1 【口福の伝道者】LV1が発生! 効果2 【凌駕率アップ】LV1が発生!
②パルマの市民の蜂起
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します
いよいよルドヴィカとの決戦ね!
断頭台に掛けられる人が居なくなるように頑張らなくちゃ!
あら、ちょうど劇場が有るのね!
此処にちょっとお邪魔して、一曲歌わせて貰おうかしら!
大勢のファンを虜にする、アイドルの本領発揮ってところね!
皆!アタシはディアボロス!
さ、今こそ革命の時よ!
以前のパルマの依頼でも流したアタシのデビュー曲、『BREAKTHROUGH!!』を歌うわ!
【友達催眠】も使いつつ、革命への意思を高めていくの!
大事なのは、『自分の心のままに動くこと』!
『BREAKTHROUGH』の意味は『突破・打開』!
ルドヴィカが作ったこの自由も何もない世界を、皆の力で打ち破りましょ!
●いざ、突破の時
いよいよ夜奏のルドヴィカとの決戦の時。
パルマ公国内では、人々が淫魔宰相の恐怖支配に負けない抵抗の心を持ち始めていた。ルドヴィカの力に陰りが見えている今こそ、蜂起の手を打つべき時だ。
「断頭台に掛けられる人が居なくなるように頑張らなくちゃ!」
ソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)は掌を強く握り締め、決意を言葉にした。
人々に希望の未来を示し、一斉蜂起に導くには何処がいいだろうか。ソラはパルマの街を巡っていき、様々な場所の様子を眺めていった。そんな中で見つけたのは――。
「あら、ちょうど劇場が有るのね!」
明るい笑みを浮かべたソラは、木造建築の美しい建物、ファルネーゼ劇場に向かっていった。圧倒されるほどの大きな門を振り仰いだソラは名案を思いつく。
「此処にちょっとお邪魔して、一曲歌わせて貰おうかしら!」
劇場で歌うこと。
それこそまさに大勢のファンを虜にする、アイドルの本領が発揮できる場所と事柄だ。
ソラは劇場の前の目立つ場所に立ち、通りを行き交う人々を見渡した。劇場に施された美しい彫刻を背にして、ソラは高らかに呼び掛けていく。
「皆! アタシはディアボロス!」
「ディアボロス……?」
「あの音楽隊の?」
「処刑台から皆を解放してくれた人達だ」
「知ってるよ、ディアボロス!」
ソラの声を聞きつけた人々は視線を此方に向けてくれた。なかには不思議そうにしている者もいたが、多くの人がディアボロスの名を知ってくれているようだ。
これもきっと、ソラをはじめとしたディアボロスが処刑台から罪なき囚人を救ってきたからだ。
(「向こうに前に捕まってた人がいる
……!」)
以前に救出した人物のうちのひとりが偶然にも視線の先にいた。いい調子だと感じたソラはマイク兼用の杖、レゾネイトを胸の前に掲げる。吹き抜けた風によって拡声杖の先端に結ばれた大きなリボンが揺れた。
「さ、今こそ革命の時よ!」
杖で拡声された声が劇場前に大きく響く。
人々の注目を集めたところで、ソラが歌っていくのは――あの日と同じ曲。
「皆、お待たせー! このアタシ、ソラ・フルーリアが希望を示すわ! 聴いてね、アタシのデビュー曲!」
その名も――『BREAKTHROUGH!!』
巨大なステージライトを召喚したソラこそ、アイドル時代の新星。トップでセンターな彼女が歌い上げていく楽曲は、以前のパルマの事件でも流したものだ。
民衆の中には聞き覚えのある者もいるだろう。友好的な視線を向けつつ、ソラは皆の革命への意思を高めていく。
「いい? 大事なのは、『自分の心のままに動くこと』!」
この曲のタイトルの意味は、突破と打開。
ソラはめいっぱいに声を轟かせ、人々に呼び掛け続けた。
「ルドヴィカが作ったこの自由も何もない世界を、皆の力で打ち破りましょ!」
拡声杖から響き渡る声。
その歌声はきっと――否、必ず。皆の心に希望の道を描き出すものになっていく。
大成功 🔵🔵🔵
効果1 【友達催眠】LV1が発生! 効果2 【ダメージアップ】がLV3になった!
②パルマの市民の蜂起
ニア・マシュマリー
ニア……。声掛けしようと思ったけど……。
小さい私が言っても説得力あるか……。不安……。
力は……。見せると怖がられるかもしれないし……。
誰か協力してくれる大人がいてくれたら……。
あの人……。確かクローバーの……。
お久しぶり……。無事に逃げれてたみたいで……。よかった……。
お願いなんだけど……。今度はニアを助けて……。
この街でもう処刑させないため……。今から革命するの……。
でも……。ニア達だけじゃ難しい……。この街みんなの戦う意思がほしいの……。
そのことを伝える声掛けを……。手伝って……。
大丈夫……。あなたも……。あなたの大切な人も……。ニアが絶対守るから。
(アドリブ・連携歓迎です)
●今の貴方に幸運を
ディアボロスが処刑を阻止し続けたこと。
そして、歌を残していったことで民衆の間に希望が生まれ始めている。広場で行き交う人々を眺めていたニア・マシュマリー(いつの間にか吸血鬼・g07451)は良い兆しを感じていた。
しかし、今のニアは困っている。
「ニア……。声掛けしようと思ったけど……。ちょっと不安……」
今すべきことは皆に一斉蜂起を呼びかけること。
されどニアは引け目を感じていた。ディアボロスとしての力を見せればいいのかもしれないが、自分の能力は怖がられてしまいかねないものだと思っている。誰か協力してくれる大人がいてくれたら、と考えていた時。
「パパ、あの子ってもしかして……!」
「本当だ、あのときの子だ」
不意に誰かの声と視線がニアに向けられる。顔を上げたニアはその親子の片方を知っていた。
「あの人……。確かクローバーの……」
「やあ、また会えたね」
「お久しぶり……。無事に逃げれてたみたいで……。よかった……」
「あのね、パパからあなた達の話を聞いてたの。私はリアーヌ。パパを助けてくれてありがとう!」
セヴランとリアーヌ親子はニアに深く礼を告げた。
ニアと同じ年頃らしい少女は鈴蘭の花を持っている。本当に幸福と幸運が訪れたのだと思うと、ニアの心に優しい気持ちが満ちていった。そして、ニアは青年達を真っ直ぐに見つめる。
「お願いなんだけど……。今度はニアを助けて……」
「命の恩人の頼みなら何だって聞こう」
「うん、私もニアちゃんの力になりたい! あとお友達になろ!」
二人は快く願いに応えてくれた。ニアはこくりと頷き、ディアボロスが行っていることを伝えていく。
「今から革命するの……」
ルドヴィカの圧政を封じ、二度とこの街で処刑を行わせないため。しかしニア達だけでは事を成すのは難しい。街の皆の戦う意思が欲しいと願えば、セヴランは真剣に頷いた。
「そのことを伝える声掛けを……。手伝って……」
「わかったよ。まずは僕の店に来る人達にこのことを伝えに行こう」
「パパはおっきな食堂のシェフなのよ! ニアちゃんにもご飯をごちそうするねっ」
おいで、とリアーヌに手招かれたニアは双眸を淡く細めた。成り行きとはいえ友達ができたことで、ニアの胸の裡にはこれまで以上の強い思いが宿った。
「大丈夫……。あなたも……。あなたの大切な人も……。ニアが絶対守るから」
大切な人が生きる世界を護り通す。
少女の誓いは深く、その意志はこれから巡る戦いに向けられた。
大成功 🔵🔵🔵
効果1 【完全視界】LV1が発生! 効果2 【ダメージアップ】がLV4になった!
②パルマの市民の蜂起
冰室・冷桜
人の中に紛れて他の人らを手助けする方向でいきましょうか
人の多そうなとこを中心にー……食堂とかから回っていきますかね
演奏会を楽しんでいる人たちを見つけたら、【友達催眠】を発動してその中に紛れ込むわ
どれもいい歌よね、勇気が湧いてくるってーいうの?
そんな感じでさ
恐怖で支配されるだけじゃ希望なんて出てこなかったけど……この歌を聞いているそういうのが湧いてきそうじゃん
周りの意見に同調しつつ、気持ちを盛り上げてく感じで
料理とかもガンガン頼んで盛り上げましょ
そういえば、知ってる?
ディアボロスがまたここに来て、演奏したり演説するそうよ
それをまた聞いたらさ、アタシたちでも何かできそうな、そんな気がしない?
②パルマの市民の蜂起
ガーデニア・ラディーチェ
アドリブ歓迎
ロズ以外の他人に興味は無いけれど
血腥いことはロズが悲しむでしょうから
だから、少しだけお手伝いを
食堂で一般の人々が演奏会をしている所に混ぜて貰うわ
人々の演奏に合わせて
【士気昂揚】を目的にした人形ロズリエルとの【ダンス】を披露するわ
ステップに合わせて、白薔薇の花吹雪も舞わせて
ね、皆さんは楽園の存在は信じてるかしら
誰もが幸せに暮らせる夢の様な場所よ
此処には無いのかしら?
でも
無いなら、創れば良いじゃない
あなたたちの手で
だって
人生という名の物語は、あなたたち自身が主人公なんでしょう?
間違っても、ルド何とかさんじゃ無いわ
今が、それぞれの物語を取り戻す時よ
あなたたちの物語は、此処から始まるの
②パルマの市民の蜂起
ソレイユ・クラーヴィア
アドリブ連携歓迎
人の集まる酒場へ行きます
既に演奏が始まっているなら
その場にあるピアノかチェンバロを弾いて輪に加わります
曲は皆の口ずさむディアボロスの歌を
派手に装飾音を散らして
酒場の外を歩く人も立ち止まって中を覗き込みたくなる様な演奏を心がけます
歌う人々の中には断頭台広場で逃した人もいるでしょうか
老若男女、様々な人々が檻に閉じ込められて
身に覚えのない理不尽に怯えていました
そんな日々に別れを告げるのです
他ならぬ私達の言葉で、行動で
人は虐げられる為に生まれてきたのではありません
自由に歌い、踊り、楽しめる世界にするために
今こそ立ち上がる時
市民あってこその為政者
ルドヴィカにノンを突きつけに行きましょう!
●勇気の切欠
演説に演奏、歌。
パルマ公国に訪れたディアボロス達はそれぞれの方法で民衆に呼び掛けていく。
そんな中で冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)は、彼女なりの思いを抱いて行動していた。派手に呼びかけるのも効果的だが、それ以外にも手はある。
冷桜が実行しようと決めたのは人々の中に紛れて行動すること。他の人達の歌や演説を密かに手助けする方向が自分のできることであり、役目だと考えていた。冷桜はまず、人が多い場所――昼時の食堂に向かった。
其処には既に一般の演奏家がおり、食事を楽しむ者達にディアボロスの歌を披露している。
排斥力が巡る時代でも、歌は人々の心に残っていた。
――手を繋ぎ、希望の虹の橋を渡りましょう。
食堂内ではパルマの人々が歌声を重ねている。
演奏会を楽しみ、未来への思いを抱いている人々の瞳には希望が宿っていた。冷桜は彼らをそっと見つめた後、友達催眠の力を発動させる。人々の中に自然に紛れ込んでいった冷桜は、暫し歌に耳を傾けた。
パルマの人の心に残り続けていただけあって、やはり良い音楽だと思える。
「久々に楽しい時間が過ごせたよ!」
「ふふ、食事もいつもより美味しい気がしたわ」
「どれもいい歌よね、勇気が湧いてくるってーいうの?」
笑い合う客の会話に混じり、冷桜は双眸を細めた。メーラーデーモンのだいふくも冷桜の隣の席に座り、足をぱたぱたと揺らして楽しんでいる。食堂の客達は和気藹々とした様子だが、冷桜はあとひと押しが必要だとも感じていた。
必要なのは希望と勇気。
彼らの背を押すためにも、冷桜は真っ直ぐな思いを言葉にしていく。
「恐怖で支配されるだけじゃ希望なんて出てこなかったけど……この歌を聞いているそういうのが湧いてきそうじゃん」
「ええ、その通り!」
「あ、こっちにおすすめ料理をお願い」
冷桜は周囲の意見に同調したように、客も冷桜と同じ気持ち第てくれているようだ。同じ意志を持つ者がいれば心強さが生まれる。冷桜は皆の気持ちを盛り上げる為に、料理を頼んでいく。美味しくて楽しい食事が人の心を和ませるということを冷桜は知っている。
よかったら皆でどうぞ、と運ばれてきた料理を勧めた冷桜。窓の外を見遣った冷桜は今が良いタイミングだと判断した。
「そういえば、知ってる?」
「ん?」
「ディアボロスがまたここに来て、演奏したり演説するそうよ」
「まぁ、本当に?」
「それをまた聞いたらさ、アタシたちでも何かできそうな、そんな気がしない? ――ほら、見て」
人々に呼び掛けた冷桜は食堂の入口を示す。
其処には今しがた語った通り、あらたなディアボロスの姿があった。
●花を咲かせる心
人々が行き交う昼間の街。
この国で処刑が行われ始めた頃、或いはもっと前からパルマの人々の表情は暗くなっていた。しかし、今は違う。
ガーデニア・ラディーチェ(クチナシの花護り・g03839)は変わり始めた街の様子を瞳に映していた。ただひとつの愛に生きる彼女にとって、ロズリエル以外の他人に興味はない。
だが、血腥いことが起こり続ける現状をロズリエルが見たとしたら悲しむ。
だから、少しだけお手伝いを。
ガーデニアは傍らに佇む人形のロズリエルをそっと見上げた。覗き込むように視線を返してくれる彼に頷きを見せ、ガーデニアは街中へ踏み出していく。彼女が向かったのは一般の人々が演奏や歌を唄っている食堂。既に希望が巡り始めているこの場所で、更なる思いを生み出せば、きっと団結力も強まる。
「こんにちは、少しお邪魔するわね」
ガーデニアは一礼すると、流れている演奏に合わせてステップを踏み始めた。
ロズリエルと美しいダンスを披露しはじめたガーデニアの、緑の髪がしなやかに揺れる。印象的な髪の色と花を見た客のひとりが、ふと呟いた。
「あの可愛い子……。知ってるぞ、前に処刑を止めに向かった子だ」
「じゃあディアボロス?」
「素敵。こんなに綺麗なダンスを見たのは久し振り!」
ガーデニアに称賛の声が向けられ、手拍子が重なっていく。刻むステップに合わせて白薔薇の花吹雪を舞わせたガーデニアは、曲の最後までしかと踊り終えた。
そうして、ガーデニアはロズリエルと共に一礼をした。其処から語られていくのはこの国の現状について。
「ね、皆さんは楽園の存在は信じてるかしら」
其処は誰もが幸せに暮らせる夢のような場所だとガーデニアは語った。
「楽園?」
「此処には無いのかしら?」
「そうだな、ここは楽園だなんて呼べない」
一般人達の声を聞いたガーデニアはそっと頷く。この国は処刑という恐怖で支配されている。それゆえに人々にとっての楽園には程遠い。しかし彼女はそれを解ったうえで語り掛けていた。
「無いなら、創れば良いじゃない」
あなたたちの手で。
自分達の意思と、志を持って。
ガーデニアの呼びかけに対し、人々はざわめいた。
「だって人生という名の物語は、あなたたち自身が主人公なんでしょう? 間違っても、ルド何とかさんじゃ無いわ」
その言葉によって民衆の瞳に光が宿り始める。
ガーデニアは茜色と夜空色の双眸を緩やかに細め、片手を皆に差し伸べた。
「今が、それぞれの物語を取り戻す時よ」
あなたたちの物語。
それは今、此処から始まるのだから――。
●協奏の導き
「――こんにちは」
ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は酒場兼食堂に足を踏み入れた。
既に其処には音楽家による演奏が始まっており、他の仲間も訪れていたらしい。ディアボロスが訪れるということが示されていたのでソレイユは大いに歓迎された。
「おお、兄さんがあのディアボロスか!」
「何か楽器は弾ける?」
「歌でも良いぞ。ほら、こっちこっち!」
先に話が通っていたこともあってソレイユは大人気だ。頷いたソレイユはチェンバロを弾くことに決め、再び始まる演奏の輪に加わっていった。
――さあ皆で手を繋ごう。皆で歌おう、踊ろう。皆で笑顔になれば何も怖くない。
希望の太陽を歌う曲は皆も口ずさめるものだ。ディアボロスの歌を響かせるソレイユは派手に装飾音を散らしていき、この歌がもっとたくさんの人に届くよう願った。
その思いは広がっていき、酒場の外を歩く人も立ち止まって中を覗き込んでいくほど。より演奏に力を入れたソレイユがふと出入り口を見遣ると、見覚えのある人物が入ってくるところだった。
あれは確か、自分と同じ名をした自動人形の処刑から救った市民のひとりだ。ソレイユに気付いた青年の後ろには老人の姿もあった。無事に生き延び、こうして自由に動けるようになったのだと知れたことが喜ばしい。
ソレイユと彼らの視線が重なる。
一緒になって歌ってくれる彼らもソレイユの姿が見られたことに嬉しさを抱いてくれている。そして、ソレイユは曲を演奏しながら語っていく。
「これまでは老若男女、様々な人々が檻に閉じ込められて身に覚えのない理不尽に怯えていました」
「うむ……」
「そんな日々に別れを告げるのです。他ならぬ私達の言葉で、行動で」
「そうだ、こんな生活はもうごめんだ!」
ソレイユの言葉に老人が頷き、青年が強く答える。かつて助け出された相手に呼び掛けられ、より強い勇気が湧いてきているようだ。ソレイユは集まった人々を静かに見渡し、その心に呼び掛けていく。
「人は虐げられる為に生まれてきたのではありません」
自由に歌い踊り、楽しめる。
そんな世界にするために戦う意志は正しきものだ。今こそ、皆で立ち上がる時。
市民あってこその為政者であり、恐怖で縛り付けるだけの者が支配し続ける国など正常ではない。
「ルドヴィカにノンを突きつけに行きましょう!」
「ああ!」
「僕達の街、この国のためにも!」
ソレイユの呼び掛けに応えた者達は立ち上がり、拳を振り上げる。
こうして、人々の心には灯火が宿った。
同じ立場に立って呼び掛けた冷桜。民衆が置かれた立場について語り掛けたガーデニア。歌と音楽の力で人々の心を動かしていったソレイユ。
成果を感じた三人はそっと視線を交わし、此処から始まっていく一斉蜂起への思いを馳せた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【友達催眠】がLV2になった! 【士気高揚】がLV3になった! 【勝利の凱歌】がLV2になった! 効果2 【アクティベイト】LV1が発生! 【ダメージアップ】がLV5になった! 【ガードアップ】がLV2になった!
②パルマの市民の蜂起
丸越・梓
アドリブ歓迎
傀儡が悪いとは決して言わない
それで得られる安寧や幸福も確かにあるだろう
然し自らの意志で顔を上げて
己らの自由と未来を掴もうとするのなら
俺は支えたい
不意に誰かがぶつかった
すまないと謝罪し
怪我はないかと片膝ついて顔を見れば
「──アルメル?」
以前にこの国で出会った、あの時の少女で
再会は嬉しく
息災だったかと穏やかに瞳細め問うて
この子が、この子の愛する人が、国が
恐怖に晒されることなく
希望を持って歩んでいけますようにと
危険に誰も巻き込みたくない
だがこの国を導くのは彼らだ
「聞いてくれ」
祖国を救うのは貴方方であると
そして俺たちはそんな貴方達を絶対に護ってみせると誠実に伝え説得
──彼らの勇気に、敬意を
②パルマの市民の蜂起
セレスティア・リュミエール
他の方との絡み、アドリブ歓迎致します
機は熟した…と言うことね
さあ、この革命裁判に終止符を打ちましょう
人が多そうな場所、広場等でバイオリンでの演奏と歌を届けましょう
演奏内容は過去のディアボロスさん達が伝えた歌を主として演奏
さあ、皆さんも一緒に奏でましょう。明日の希望へつながる、あの歌を
「動物の友」で近くの鳥さんたちに飛び立ってもらったりパフォーマンスをお願いしてみましょう
この国を、人の心を、希望の歌で満たしていきましょうね
歌っている他の方が居たら演奏も合わせます
さあ、今こそ奮起の時です
鳥籠に捕らわれていたアドリアン達も見ているかしら
もし見つけたら、笑顔を向けて
この国を救って見せるわ、絶対に
●再会と約束
誰かの言いなりとしての傀儡であること。
丸越・梓(零の魔王・g01362)は、それが悪いとは決して言わない。
聞こえは良くないが、それで得られる安寧や幸福も確かにあるだろうことを知っているからだ。然し、この国の人々が自らの意志で顔を上げ、己らの自由と未来を掴もうとするのなら――。
支えたい、と願った梓は広場を見つめた。
同じく、街の広場に訪れたのはセレスティア・リュミエール(碧月のソルシエル・g05430)だ。
「機は熟した……と言うことね」
「いよいよだな」
「さあ、この革命裁判に終止符を打ちましょう」
梓とセレスティアは以前にも共に戦ったことがある者同士。再び目的を同じくした二人は人々に希望と勇気を齎すべく、それぞれの行動に入っていった。
まずセレスティアはバイオリンでの演奏と歌を届けようと考えている。
演奏の内容は過去にディアボロス達が伝えた歌だ。彼女が準備に入っている間、梓は街を行き交う人の様子を確かめていた。この広場は往来が多く、皆に音楽を聴いて貰うにも丁度いい場所だ。
しかし、そのとき不意に誰かが梓の足にぶつかった。
「わわっ」
「すまない、怪我はないか」
どうやら走ってきた少女が転びそうになり、梓の足に掴まったらしい。倒れかけた少女に対して片膝をついて顔を見れば、その子の顔には見覚えがあった。
「アルメル?」
「おにいちゃん!」
「えへへ、アルメルだけじゃなくてオレリアもいるよ」
その名を呼ぶと、アルメルの後ろから同じ顔をした少女が顔を出す。以前に助けた双子の少女達は広場にいる梓を見つけ、急いで駆けてきたようだ。再会を嬉しく感じた梓はアルメル達を優しく撫でてやった。
「息災だったか」
「うん、げんきー」
「アドリアン兄様もむこうにいるよ」
元気な声で返事をした少女達の瞳に怯えや哀しみは少しも見えない。オレリアが示した先にはセレスティアと話すアドリアンの姿があり、梓は穏やかに瞳を細めた。双子の様子を気にしながらも、セレスティアと話すアドリアンはとても嬉しそうにしている。それから暫し、兄妹達と二人の会話は続いた。
「――そうですか、セレスティアさんに梓さんと仰るのですね」
「ええ、前は名前を伝える時間もなくてごめんなさい」
「いいえ、必ずまた会えると思っていましたから。お二人にも、それから皆さんにも!」
セレスティアとアドリアンは改めての自己紹介をしており、和気藹々とした雰囲気で語った。暫し梓と戯れていた双子も明るく笑っている。途中で兄が手招いたことで、姉妹はぱたぱたと駆けていく。
「アズサおにいちゃん、だいすき!」
「またあとでね!」
双子はアドリアンの元に帰っていく。その背を見送りながら、梓は思う。
どうか、この子達が。
この子達の愛する人が、国が――恐怖に晒されることなく希望を持って歩んでいけますように。誰も危険に巻き込みたくない。されど、これからこの国を導くのは彼らだ。
セレスティアと梓は広場の中央に立ち、人々への呼び掛けを行っていく。
「聞いてくれ」
「さあ、皆さんも一緒に奏でましょう。明日の希望へつながる、あの歌を」
梓が街往く人々に声を掛け、続けてセレスティアがバイオリンをそっと弾き始める。事前に周囲の鳥達に音楽が鳴ると同時に飛び立って欲しいと願っていたので、演奏と共にたくさんの羽ばたきの音が響いた。
紡ぐのは希望の太陽の歌。
この国を、人の心を。歌詞通りの希望の歌で満たしていきたい。
セレスティアの奏でる音楽はやさしく響き渡り、その音色に乗せて観衆が手拍子をはじめた。演奏を見つめているアドリアンとオレリア、アルメルが皆を先導するように歌を唄いはじめる。
響き合う声と想い。自由を目指して飛び立った小鳥達の軌跡を目で追い、ディアボロス達は語った。
「さあ、今こそ奮起の時です」
「祖国を救うのは貴方方である。そして、俺たちはそんな貴方達を絶対に護ってみせる」
セレスティアが呼び掛け、梓は心配など無いと後押しの言葉を述べた。
清廉かつ誠実なディアボロスの言葉は民衆に伝わっていく。
動き出すことは容易ではない。立場が上の者に立ち向かうということは並大抵のことではない。だが、この国に住まう本人達が立ち上がらなければ本当の革命は成せない。
ゆえに――彼らの勇気に、敬意を。
梓が真っ直ぐな眼差しを向けたことで、人々の瞳にも強い光が宿っていった。
セレスティアはアドリアン達に笑顔を向け、梓も双子の少女達に手を振る。この広場に集った人々は必ず決起してくれるだろう。一斉蜂起の時は近いと感じたセレスティアは宣言した。
「この国を救って見せるわ、絶対に」
これは必ず叶える約束。
希望に満ちた未来へのみちゆきは、此処から紡がれていく。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【完全視界】がLV2になった! 【動物の友】LV1が発生! 効果2 【能力値アップ】LV1が発生! 【命中アップ】がLV2になった!
②パルマの市民の蜂起
ア・ンデレ
リューロボロスちゃん(g00654)といっしょにうたでみんなをげんきづけるよ。
アンデレちゃんがもってきたアイドルいしょうをふたりできて、さいこうのうたをみんなにとどけよう。
アンデレちゃんはあかいいしょう、リューロボロスちゃんはあおいいしょうだよ。
せかいいちすごいアンデレちゃんと、せかいいちかわいいリューロボロスちゃんがあわされば、なんだってできる。
アンデレちゃんと、リューロボロスちゃんが、いるだけで、せかいはゆうきにつつまれる。
アンデレちゃんと、リューロボロスちゃんが、いるだけで、せかいはえがおにつつまれる。
アンデレちゃんと、リューロボロスちゃんが、いるだけで、せかいはすごいにつつまれる。
②パルマの市民の蜂起
リューロボロス・リンドラゴ
アンデレ(g01601)と共に歌うぞ!
幼子達に、家族達に聞かせようぞ!
アンデレに推されてついつい着てしまったアイドル衣装は慣れぬものだが……良い。
アイドルもまた人々の夢である!
未来ある幼子二人、強く可愛くかっこよく楽しく歌おうではないか!
我は龍、我こそはドラゴン、我らこそはディアボロス!
然り、我らは強くてかっこいいのだ!
だが幼子達よ。
ぬしらも強くなれる。かっこよくなれる。可愛くなれる。
断頭台に怯えず、心のままに喝采を送って良い。
望んだ生き方をして良いのだ!
夢を抱いて明日を望める世界を共に取り戻そうぞ!
戦いとは武器を持つだけではない。
屈せぬのも戦いよ!
屈せぬぬしらは強くて綺麗でかっこいいのだ!
●ふたりはせかいいち
多くの人々が行き交うパルマの街中。
ア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)とリューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)は人が多く集まる広場を巡り、此処に住む人々に元気を与えたいと願っていた。
「いっしょにうたでみんなをげんきづけるよ」
「うむ、共に歌うぞ!」
ア・ンデレが明るい笑顔を湛えたことで、リューロボロスも意気込む。
幼子達に、家族達に――たくさんの人に歌を聞かせて、希望を導く。リューロボロスは広場を行き交う民衆の様子を眺めつつ、衣装が曲がっていないかを確かめた。
今日の二人の装いは、ア・ンデレが用意したアイドル風衣装。
ア・ンデレは印象的な赤で彩られたもの。リューロボロスは落ち着いた青で纏められた様相だ。
「リューロボロスちゃん、すごくにあうよ」
「アンデレに推されてついつい着てしまったが……良い」
アイドル衣装はリューロボロスにとっては慣れないものだが、赤と青の色違い衣装は人の目を引く。あの子たち可愛いね、と同年代の少女達が既に注目してくれていた。
「ふたりで、さいこうのうたをみんなにとどけよう」
「そうだな。アイドルもまた人々の夢である!」
この時代で言うならば舞台女優や歌姫などだろうか。ア・ンデレとリューロボロスは視線を重ね、広場の中央に向かっていった。二人は幼いが、それでこそ伝えられることがある。
未来ある幼子が二人で希望を歌う。それは先に進むための明るい標にもなる。
「強く可愛くかっこよく楽しく歌おうではないか!」
「せかいいちすごいアンデレちゃんと、せかいいちかわいいリューロボロスちゃんがあわされば、なんだってできる」
「うむ! では――」
こほん、と咳払いをしたリューロボロスは周囲を見渡し、人々に呼び掛け始めた。
「我は龍、我こそはドラゴン、我らこそはディアボロス!」
「ディアボロス?」
「あの子達が、あの噂の……?」
「わあ、ディアボロスさん!」
復讐者の名を胸に刻んでいる者。噂で聞き及んだ事がある者。その名を聞いて喜ぶ子供達。様々な者が行き交う中で、ア・ンデレは両手を大きく振ってみせた。
「いまからうたうよ」
「然り、我らは強くてかっこいいのだ!」
ディアボロスと呼ばれたことでリューロボロスも胸を張る。リズムを刻んだア・ンデレがその場でくるりと回ったことで、アイドル衣装が可愛らしく揺れた。
リューロボロスも倣って軽く踊り、可愛さをアピールしていく。
そして、ア・ンデレは歌を紡いでいった。
「アンデレちゃんと、リューロボロスちゃんが、いるだけで、せかいはゆうきにつつまれる」
「幼子達よ。ぬしらも強くなれる。かっこよくなれる。可愛くなれる」
両手を広げたア・ンデレとリューロボロスは歌いながら、懸命に語り掛けていく。言の葉を音に乗せ、唄っていく少女達を見つめている人々に笑みが浮かんでいた。
「アンデレちゃんと、リューロボロスちゃんが、いるだけで、せかいはえがおにつつまれる」
「断頭台に怯えず、心のままに喝采を送って良い!」
望んだ生き方をして良い。
夢を抱き、明日を望める世界を共に取り戻そう。
ア・ンデレが歌う可愛い詩に続けられる、リューロボロスの力強い言葉。相反するような詩と声ではあるが不思議と調和している。人々は言葉や歌に誘われるように手拍子や喝采を贈り、大いに湧いている。
戦いとは武器を持つだけではない。
心で抗い、誰かを護ることもまた戦いだ。
少女達の歌声と踊り、訴えかける言の葉は心の奥に響いていった。リューロボロスとア・ンデレは手を繋ぎ、くるくると踊ってゆく。通りすがりの人も思わず立ち止まり、二人の声に耳を傾けていた。
そして、ア・ンデレは満面の笑みを浮かべる。
「アンデレちゃんと、リューロボロスちゃんが、いるだけで、せかいはすごいにつつまれる」
「屈せぬのも戦いよ! 屈せぬ、ぬしらは強くて綺麗でかっこいいのだ!」
ディアボロスだけがすごいのではない。
立ち上がる勇気を持った皆が美しく、強くなれる。もう既にその資格がある。リューロボロスとア・ンデレが謳い上げたことは人々の胸に深く刻まれた。
「可愛いー!」
「ありがとう、ディアボロス!」
「わたしたちもあんなふうになれるのかな?」
「なれるっていってたよ! なりたいっ!」
パルマの人々、特に幼い子供達にもリューロボロス達の思いが伝わったようだ。荒事には巻き込めないが、若者達がこの思いを抱き続けてくれたのならばパルマの未来は明るい。
ア・ンデレは嬉しそうな笑みを浮かべ、隣に立つリューロボロスにそっと歌の一節を紡いだ。
「アンデレちゃんと、リューロボロスちゃんが、いるだけで――」
「世界は正しき道に向かっていくのだ!」
そうして、仲良く笑いあった二人はパルマの空を振り仰いだ。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【勝利の凱歌】がLV4になった! 効果2 【ラストリベンジ】LV1が発生! 【ガードアップ】がLV3になった!
②パルマの市民の蜂起
エトワール・ライトハウス
ルドヴィカとやらは美しい髪が好きか……!
いいな、気が合いそうだ! クロノヴェーダなのが実に惜しい。
まあ、それはそうと役割は果たさないとな。
無双馬レオンを連れて、大通りを歩きながら広場へ向かう。
何分粗忽者の軍人だからな、変に気取った歌を歌うより……これだ!(アイテムの『ラッパ』を吹き始める)
騎兵として戦ってきて、一つの経験則が俺の中にある。
――勢いだ。
背中を押してくれる勢いがあれば、人は恐怖と戦えるものなのさ!
勇気なんて、後から「ああ、あれがそうだったのか」と思い出すだけで十分!
そんな勢い任せの突撃の専門家として、俺はラッパを吹き鳴らす!
レオンもPDの嘶きよろしくな! 【士気高揚】は任せたぞ!
●嘶きは遥か高く、輝きはすぐ傍に
夜奏のルドヴィカ。
淫魔宰相としてパルマ公国を支配する彼女が好むのは、美しい髪の持ち主だという。
「ルドヴィカとやらは良い趣味をしている。いいな、気が合いそうだ!」
エトワール・ライトハウス(Le cabotin・g00223)はいい笑顔を浮かべていた。同じ趣向を持つ者として、彼女がクロノヴェーダなのが実に惜しい。しかし、それはそれとして――此度の好機を逃す訳にはいかない。
「役割は果たさないとな」
気合いを入れたエトワールはパルマの街を巡ることに決めた。彼の傍らには無双馬のレオンがいる。しなやかな尾を揺らしながら鋭い眼差しを街に向けるレオンもまた、この国のことを考えているのかもしれない。
エトワールとレオンは大通りを歩きながら広場へ向かう。
人々に蜂起を呼び掛け、勇気を与えるには歌が効果的だ。しかし、エトワールは自分は粗忽者の軍人だと自己評価していた。この場合は変に気取った歌を紡ぐよりも、もっと相応しい役目がある。
「ここに取り出したるは……これだ!」
エトワールが取り出したのは年代物のラッパ。
これは敵に対峙する騎兵を勇気づけてきた、勇壮な音色を響かせる逸品。いつの時代もラッパの音は様々な合図や、人々を鼓舞する音として使われてきた。
それに騎兵として戦ってきたエトワールの中にはひとつの経験則がある。
そう、それは――。
「勢いだ! 分かるよな、レオン」
人は考えれば考えるほど尻込みしてしまうことがある。だが、覚悟を決めて勢いで乗り切ることも時には必要だ。
レオンの背をそっと撫でたエトワールは手綱を引いた。
これから行うのは皆を勢い付けるための演奏。レオンの背に乗ったエトワールは笑みを浮かべた。
「つまり背中を押してくれる勢いがあれば、人は恐怖と戦えるものなのさ!」
必要なのは勇気と切欠。
勇気なんてものは、後から『ああ、あれがそうだったのか』と思い出すだけで十分なもの。少なくともエトワールはそうであると信じている。何故なら勇気とは、最初から人の心の中にあるものなのだから。
「行くぞ、レオン!」
そんな勢い任せの突撃の専門家。それがエトワールだ。
レオンと共に駆けたエトワールは勢いのままに、勇猛な音色のラッパを吹き鳴らしていく。
「あの音色は?」
「かっこいいお馬さんだ!」
「あのお兄さんも素敵!」
一緒に嘶きをあげるレオンにも視線が注がれ、エトワールは更に大きな音色を響かせた。士気が高揚していくのはディアボロスの力でもあるが、ただそれだけではない。
人の思いを信じ、この国の幸福を願う者。エトワールという星の名を持つ者が今、此処で輝いているからだ。
大成功 🔵🔵🔵
効果1 【士気高揚】がLV4になった! 効果2 【能力値アップ】がLV2になった!
②パルマの市民の蜂起
カリーナ・アバルバネル
アイドル(の卵)として、歌でみんなを鼓舞する!
昼は学んだり働いたり、夜は眠り、休日に遊ぶ。春夏秋冬が巡り季節ごとの催事を楽しむ。生まれて育ち、愛を育み、人生の実りを得ていつの日か全てに別れを告げて旅立つ。歴史に名を刻むような英雄ではない、どこにでもいる普通の人の、普通の人生を辿る歌をゆっくりと一人一人に語り掛けるように歌う。
「生きることは素晴らしく、喜びに溢れています。ですが今はその喜びが奪われています。このままでは皆さんの子供たちや更にその子供たちからも奪われるでしょう」
「今、その元凶の淫魔宰相の力は弱まっています。今、立ち上がり戦う時なのです。これ以上奪われないために」
②パルマの市民の蜂起
ハニエル・フェニックス
うーん、歌唱やダンスは少し出来るけど……新しい歌作るとかはまだちょっと出来ないかな。
ここは誰かの歌に合わせて歌ったり踊ったりして市民の皆を元気付けよう!
やっぱり酒場がいいかな、そこのウェイトレスさんみたいな格好して踊りたい!
あえて簡単な振り付けのダンスにしよう。
お酒で気持ちが大きくなってる人を誘惑して、まずは誰か一人から一緒に踊ればきっと皆に広がるよね。
前にあった別の場所の舞踏会の時みたいに【士気高揚】に加えて、手を取り合って同じリズムに乗る事で勇気がでると思うんだ。
ディアボロスだけが強いから戦えるんじゃない、皆自由に楽しく生きていいんだって分かってもらえるはず!
●いつか花咲く歌の力
歌には不思議な力がある。
悲しい時に聞く静かな曲は心に寄り添ってくれる。嬉しい時に聞く楽しい歌は気持ちをもっと上げてくれる。苦しい気持ちの時に聞けば、少しずつ心が癒えていく。
歌の力は強い。カリーナ・アバルバネル(人間の無双武人・g04135)は、歌が人の心に齎す力を信じていた。
「アイドルとして、歌でみんなを鼓舞するのがわたしの役目……!」
まだ卵ではあるが、それでもアイドルのひとりであることは間違いない。
カリーナは多くの人が集まるという食堂兼酒場に向かいながら強い思いを抱く。そんな彼女と同じ場所を目指しているディアボロスがいた。
彼女の名はハニエル・フェニックス(第七の天使・g00897)。
「うーん、皆を元気付けたいけど……新しい歌を作るとかはまだちょっと出来ないからなぁ」
代わりに歌唱やダンスは少し出来る。
それならばここはひとつ、誰かの歌に合わせて歌ったり踊ったりすればいい。意気込んだハニエルは市民のことを思いながら、どんな格好なら親しみやすいかを考えていた。
「やっぱり酒場で踊るんだから、そこのウェイトレスさんみたいな格好して踊りたいな!」
少し頼めば服を借りられるはず。
意気揚々と酒場に向かったハニエルはこうして、パフォーマンスの準備を整えたというわけだ。
そして、店で出会った二人は互いがディアボロスだということを知り、協力しあうことを決めた。まずは食事を楽しむ人々にハニエルが料理を給仕していく。
「はーい、おまたせ!」
「ありがとう、お嬢ちゃん」
「きみ、新しいウェイトレスなのかい?」
「今日だけなんだけどね、ちょっとお手伝いしてるんだ。それから、今日は特別ステージがあるよ!」
笑顔を振りまくハニエルに対してお客は好感を持っているようだ。
其処へカリーナが登場していき、人々に呼び掛けていった。
「生きることは素晴らしく、喜びに溢れています。ですが今はその喜びが奪われています。このままでは皆さんの子供たちや更にその子供たちからも奪われるでしょう」
「……そうだな」
「そんな未来、誰だって嫌に決まっている」
「そうだよ、だから打ち破ろう!」
カリーナの語り掛けに反応するお客に続き、ハニエルも同意を示す。
どうぞ、とハニエルが合図を送ったことでカリーナは朗々と歌を謳いはじめた。
昼は学んだり働いたり、夜は眠り、休日に遊ぶ。
春夏秋冬が巡り、季節ごとの催事を楽しむことこそが普通。
生まれて育ち、愛を育み、人生の実りを得る。そして、いつの日か全てに別れを告げて旅立つ。
誰もが歴史に名を刻むような英雄ではない。されど、どこにでもいる普通の人の方が多い。そんな人が普通の人生を辿る歌をゆっくりと、ひとりひとりに語り掛けるように歌う。
ハニエルはその歌に合わせ、可愛らしいダンスを踊っていった。もっと違う踊りで人を惹き付けることもできるが、ハニエルが選んだのは簡単な振り付け。敢えてそうした理由は、誰もが踊れるようにするためだ。
「ハニエルちゃんだっけ、こちらに酒を!」
「はーい!」
「こっちにも頼むよ」
「待って待って、少し飲み過ぎだよ。飲みたいならまず一緒に踊って!」
「へ?」
お酒で気持ちが大きくなっている人の手を取り、ハニエルはウェイトレス姿でくるくると回った。まずは誰かひとりをこうして一緒に踊らせれば、きっと皆に同じ気持ちが広がっていく。
明るい笑みを浮かべるハニエルが思い返しているのは、以前にあった舞踏会のこと。
自分が巡らせた士気高揚の力に加えて、手を取り合って同じリズムに乗ることで皆にも勇気が湧いていくはず。ハニエルの天真爛漫な振る舞いは功を奏し、ダンスと歌の輪が楽しく広がっていった。
「もっと歌って!」
「わかった、じゃあもう一度あの歌を――」
ハニエルに呼び掛けられたカリーナは更なる歌声を響かせる。
場に満ちていくのは人々の希望を描く歌。客達はカリーナとハニエルに注目しており、次はどんなパフォーマンスを見せてくれるのか期待していた。
今が語りかけるチャンスだと感じたカリーナは皆に伝えていく。
「元凶の淫魔宰相の力は弱まっています。今こそ、立ち上がり戦う時なのです」
これ以上、奪われないために。
カリーナの思いを感じ取ったハニエルも胸に手を当て、強く語っていった。
「ディアボロスだけが強いから戦えるんじゃない、皆が自由に楽しく生きていいんだ!」
「いいぞ、ハニエルちゃん!」
「ハニィちゃんもカリーナちゃんも最高だ。俺達は君らについていくぞ!」
腕を振り上げた人々はディアボロスの思いを受け取った。これで告げたかった思いは分かってもらえたはず。
後は蜂起の時を待ち、この国を支配から解き放つだけ。
カリーナとハニエルはそっと頷きを交わし、希望を抱いた人々を見つめた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【エアライド】LV1が発生! 【士気高揚】がLV5になった! 効果2 【命中アップ】がLV3になった! 【ダメージアップ】がLV6になった!
②パルマの市民の蜂起
薬袋・透
【透明】アドリブ絡み歓迎
明莉と広場や大通りを巡ってゲリラライブ
あら?あそこに見えるのは「勃発!アイドルバトル」でダンスパフォーマンスを見てくれた人達ね?今日は歌うからぜひ聞いていってちょうだい!
歌詞
長い夜を超えて夜明けを迎えに行こう
ハッピーエンド掴みたいなら
小さなことから始めるの
誰にでも出来る簡単なこと
手と手を取り合って一歩を踏み出そう
そうしたらきっと停滞していた世界は変わり始めるから
Parce que le paradoxe réside dans la puissance des sentiments
溢れる思いを力に変えて!
歌い終わったら次の場所に向かうわよ!
②パルマの市民の蜂起
薬袋・明莉
【透明】
広場でゲリラライブだ!
情熱を込めて透の作った歌を歌い上げよう
曲調は元気になれる明るいアップテンポ
透のソプラノに合わせテノールのハモりを入れて響きを増幅、ひとりひとりが力を合わせればより大きな力になることを表現
聴衆を煽り手拍子やコーラスを求めて
群衆の中に以前「序曲・晴天」で助けた人を見つければ手を振るパフォーマンス
Parce que le paradoxe réside dans la puissance des sentiments
溢れる思いを力に変えて!
ついでに俺達以外にも各所でディアボロスがこういうイベントやってる、って噂流して貰おう
噂の力は馬鹿に出来ないからな
アドリブ絡み歓迎
●幸せを掴むために
悲しみや苦しみ、痛みや支配。
革命裁判として罪なき者が処刑されていたことで、パルマ公国の人々は悲哀と恐怖の底にいた。
しかし、それはもう過去のこと。下ばかり向いていた人々の眼差しは前に向けられはじめている。希望の道に進むために、その背を押すこともディアボロスとしての役目のひとつ。
薬袋・透(無彩の魔女の系譜・g02087)と薬袋・明莉(情熱のアーティスト・g02002)は、パルマ公国に生きる人々のことを思い、しっかりと頷きあった。
「さて、行くか」
「全力のゲリラライブ開始ね」
交わす視線は真っ直ぐだ。胸の内に宿る意志は二人とも同じ。
これまでも処刑から救ってきた人がいるが、パルマの支配が続くならばまた同じことが繰り返されるかもしれない。
透は明莉と共に広場や大通りを巡り、反抗への勇気を導くライブ計画を立てていた。
「あら? あそこに見えるのは……」
「あれって前の人達だよな」
透達はふと、見知った顔が大通りに歩いていることに気付く。あれは確かアイドルバトルが勃発したときに自分達のダンスパフォーマンスを見てくれていた者達だ。あのときの明莉達はアクロバットを取り入れた、一糸乱れぬ正確さと力強さで魅せる実力派アーティストとして人々を魅了した。
二人が手を振ると、向こうもこちらの存在に気付いてくれたようだ。
「おお、君たちは……!」
「今日は歌うからぜひ聞いていってちょうだい!」
「今度もすごいものを見せてやるからな」
透と明莉は彼らに笑顔を向け、広場を指し示した。
そして、ライブの準備は整えられていき――二人は集まってきた人々に明るく呼び掛けていった。
「みんな、聞いて!」
「これは恐怖も戸惑いも吹き飛ばす歌だ!」
其処から歌われていくのは、情熱を込めた歌。元気になれる明るいアップテンポなこの曲は透の作った楽曲だ。リズムに乗って歌い始めた透は、名前通りの透き通った声を響かせていく。
明莉は透のソプラノに合わせてテノールのハモりを入れる。響きを増幅させる狙いの声もまた、とても印象的に広場に広がっていった。
長い夜を超えて夜明けを迎えに行こう。
ハッピーエンド掴みたいなら 小さなことから始めるの
誰にでも出来る簡単なこと
手と手を取り合って一歩を踏み出そう
そうしたらきっと 停滞していた世界は変わり始めるから
この歌は、ひとりひとりが力を合わせればより大きな力になることを表現したものだ。
明莉は透と一緒に懸命に歌っていった。
その際、聴衆に呼びかけるように両手を叩く。そうすればコールアンドレスポンスの流れで、手拍子やコーラスがあがっていった。群衆の中には以前、勝利の凱歌を使って演説をした対象の姿もあった。
今日は偶然にも晴天。
あの日と変わりない人々が拍手をしてくれていることに気付いた明莉は、そちらに大きく手を振った。パフォーマンスは大成功。民衆に向け、透と明莉は声を合わせて歌い続ける。
Parce que le paradoxe réside dans la puissance des sentiments.
溢れる思いを力に変えて!
二人の歌声は響き合い、降り注ぐ陽射しがきらきらと輝く。
手拍子は続き、人々の眼差しが彼らに注がれる。其処には期待や希望を託す意思が見えた。透は広場を大きく駆けていき、ひとりずつにしっかりと声を届けていく。
歌声はまだまだ響き、歓声や応援の言葉が二人に届けられた。誰もが皆、笑っている。暗い顔をしている者はひとりもおらず、楽曲によって人々は勇気付けられていた。
そして、クライマックスを迎えたとき。歌詞を覚えた人々が二人と声を合わせて歌ってくれた。
――Parce que le paradoxe réside dans la puissance des sentiments!
「そうよ、溢れる思いを力に変えて!」
歌い終えた後、透は人々に向かって深くお辞儀をする。
ライブは成功を収め、パルマの民には熱狂と勇気が与えられた。しかし、まだ声が届いていない人もいるだろう。出来る限り多くの人に歌を届けたいと願い、透は明莉の手を引く。
「次の場所に向かうわよ!」
「ついでに俺達以外にも各所でディアボロスがこういうイベントやってるって噂を流して貰うか」
「名案ね、そうしましょ」
「噂の力は馬鹿に出来ないからな」
蜂起のための道筋は確かに描かれていく。再び頷きを交わした透と明莉は次の舞台に向かっていった。
全ては、そう――希望のために。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【強運の加護】LV1が発生! 【泥濘の地】LV1が発生! 効果2 【リザレクション】LV1が発生! 【能力値アップ】がLV3になった!
②パルマの市民の蜂起
シル・ウィンディア
【ルーチェ・ソラーレ】で参戦
衣装は制服風のアイドル衣装に着替えてっと…
緊張している人に、ぽんって肩を叩いて
リラックスリラックスっ♪
さぁ、行こうかっ!
民衆の前に走って行ってご挨拶っ!
こんにちわ、【ルーチェ・ソラーレ】ですっ!
わたしたちの歌を、聞いてくださいっ!!
挨拶をしてから、チームのみんなで歌いだしを歌うよ
演奏が始まったら、音に合わせてエアライドも使ってダンスを披露!
個別の歌のパートは、サビの後半
「太陽も飛び起きるほど声を上げて
見たことのない朝を奏でるよ」
同じパートを歌う人と心と声を合わせて…
そして、最後は
せーのって民衆を巻き込んで、全員で
「明日を歌おう!」
って思いっきり大きく元気な声で歌うね
②パルマの市民の蜂起
白水・蛍
【ルーチェ・ソラーレ】で参戦。
私は演奏係ですのでそれ程緊張はしませんね。何時も通りですし。
歌に合わせて≪チェレキギタソー≫を構えて<演奏>します。
ゆっくりとサビの部分は盛り上げて。
歌も音も皆で紡ぐのです。
そう。それは我々だけではなく、此処にいる皆さんで紡ぐ。
それが音楽。音を楽しむ。音楽の本懐。恐れないで。怖がらないで。
あなた方の後ろに、に我々は、皆さんはいるのです。
我々の伝えたい事を【勝利の凱歌】に込めて今高らかに歌いましょう。奏でましょう。
汝、怖がるなかれ。汝、恐れるなかれ。
あなた方の味方は此処にいる全て。
此処にいる者があなたと共に勇気を謳う一人です。
②パルマの市民の蜂起
一ノ瀬・綾音
【ルーチェ・ソラーレ】
これまで積み重ねてきたものを、一気に解放してあげる時!
淫魔が音楽で相手を誑かすなら――そこから目覚めさせるのも音楽が相応しい!
come va!(挨拶)
今日だけの限定ユニット、【ルーチェ・ソラーレ】だよっ!
多くは語らない、まずは私達の歌を聞いて!
友達催眠を使いつつ、みんなで歌いだしを歌うよ。
そして個別パートはBメロ前半……
「例え空を覆う暗闇の中から黒い刃が牙を剥いても」
盛り上がってきたらみんなの中に混ざっていき、まるで扇動するように歌い続ける。
そしてサビの最後、全員で「明日を歌おう!」って元気よく!
さぁ!ターンチェンジの時間だ!
このゲーム盤を引っくり返す――革命を、ここに!
②パルマの市民の蜂起
一里塚・燐寧
【ルーチェ・ソラーレ】
パルマの人達を応援したくて
サイコーの復讐者アイドル軍団と、皆で歌う曲を作ったよぉ
舞台を借りて準備は万端
ピンク基調のアイドル衣装を纏って壇上に上がるねぇ
あたし達は『ルーチェ・ソラーレ』
太陽の光みたいに皆を照らしちゃうよぉ!
曲の流れは「歌い出し→Aメロ→Bメロ→サビ」
Aメロ~サビは前後半でパート分けして、歌い出しとサビ最後は皆で!
息を合わせて、いっくよぉ!
「さぁ!ここからが僕らの舞台だ 夜のセンリツを掻き消すんだ」
前奏を挟んでAメロ前半はあたし担当
「星すらもない夜をずっと彷徨ってた お互いの顔も見えなかった」
初めは重い歌詞だけど、ここからどんどん盛り上がるよぉ
期待してよねぇ!
②パルマの市民の蜂起
ベアストリア・ヴァイゼンホルン
【ルーチェ・ソラーレ】
ん……一つ……決めてみる……?
久し振りにアイドルするけど、まぁ、いつも通りに僕は僕で通させてもらうよ。
僕のは軍服風のアイドル衣装だよ。
僕は壇上には走って登らず、手を振りながら歩いて登るよ。
元気のいいMCは皆に任せて、僕は愛想を振りまくようにして、特に子供には優しくね?
ふふっ……楽しみにしておいてね……。
歌い出しなどは皆と合わせて、踊りは……頑張ってみるよ。
担当パートはサビ前半……歌はいつも練習しているから頑張ってっと……。
「行くよ!ここからは僕らの未来だ
愛のセンリツをかき鳴らそう」
最後は皆と一緒に元気よく……といきたいけど、僕はクールに決めさせてもらうよ。
②パルマの市民の蜂起
月下部・小雪
【ルーチェ・ソラーレ】です。
グループ名、す、素敵な響き、ですね!
ボクはアイドルさんじゃないけれど(ほ、本当です!アイドルさんはもっときらきらなんです!)
ピンク色のコスプレアイドル衣装に着替えて、パルマのみなさんを元気づけます!
ボクはAメロ後半が担当、ですね。じょ、上手に歌える、でしょうか……
燐寧さんの終わり際に合図があったら、こけそうになりながらも前にでます!
♪だけどボクらはもう二度とは迷わないさ♪
♪響いてく声が君を教えてくれた♪
き、緊張したけれど、コダマもパルマのみなさんに混じって応援して、くれてました!
このまま、最後まで頑張りますね。
♪明日を歌おう!♪
さぁ、みなさん、か、革命の時間、です!
②パルマの市民の蜂起
アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎
【ルーチェ・ソラーレ】
如何なる場所であれ、ライブが始まればそこはアイドル達の独壇場。
きっちりと盛り上げにかかりましょうか。
あらかじめ群衆に紛れ込んでライブ開始と同時に応援開始
群衆の間をすり抜け可能な限りの声かけを行い集客
集められるだけ集めたのち、群衆が気兼ねなく応援できるように声かけを行います
今こそ立ち上がる時。皆さんの声を、魂の力を彼女達へ届けてあげて下さい。
それが眼前の闇を打ち払う、大きな一歩となります。
タイミングを合わせ拳を振り上げ群衆へ合図を送り
サビの最後『明日を歌おう!』をアイドル達と群衆が一体になって歌うよう誘導します
さあ皆さん、行きますよ……声を合わせ、高らかに!
②パルマの市民の蜂起
アンゼリカ・レンブラント
【ルーチェ・ソラーレ】で参戦するよ!
制服風のアイドル衣装に着替え
ふりふりのスカートってなんか落ち着かないね
緊張してる?そうかなー
口の端を上げてにっこり、よーし気合い十分っ
民衆の前に走って行って笑顔で挨拶するね
こんにちはー!【ルーチェ・ソラーレ】だよ
わたしたちの歌、聞いてね!
この頃には緊張はきっと解けているかな!
チームのみんなで歌いだしを歌い
演奏に合わせてダンスも披露だよ
個別の歌のパートは、シルと一緒にサビ後半
「太陽も飛び起きるほど声を上げて
見たことのない朝を奏でるよ」
を歌い上げるね
私の笑顔が太陽みたいって言ってくれた人がいる
今の笑顔がそうだと、いいな
最後は全員で声を合わせるよ
「明日を歌おう!」
②パルマの市民の蜂起
瀧夜盛・五月姫
【ルーチェ・ソラーレ】、だよ。
ふ、ふふ、慣れた。慣れちゃった。慣れてしまった。
いつも通りなぜか衣装が、なぜか舞台が、なぜか歌まで用意、されてる。
姫、アイドルじゃない、じゃなかったはず……なのに、ステージ、立っている。
……嗚呼、しかたない。
姫のパート、Bメロの後半? ん、間違えず、歌う、よ。
み、みなさん。こんにゅ……こんにち、わ?
姫たちの歌、き、聴いて――ッ
〽断ち切れないよ 立ち続けるよ 固い絆が支えになるから
……姫がお力、借ている神様、御利益は縁切りに縁結び。
だからかな、この段落には、引かれるもの、ある。
〽明日を歌おう!
最後の一節。そう、明日だ。
明日を歌う為にも、この戦い……負けられない、ね。
●絶望を希望に
断頭台。それは恐怖と畏怖が向けられる場所。
罪人とされた者が死を待つだけの台は絶望の象徴とも呼べるものだろう。処刑の日に断頭台の前に集められた民衆は、親しみ深い相手や見知らぬ相手が処されるところを見ていることしか出来なかった。
助け出すことも出来ず、異を唱えることも叶わず。
ただ残酷な死を見つめるだけ。
なかには好奇の目で処刑を見ていた者もいたかもしれないが、それは淫魔や自動人形に煽られていたせいもある。この時代で処刑が当たり前のものだったとしても、他者の死を目の当たりにする状況が多くあるのは健全ではないはずだ。
断頭台とは恐怖そのもの。死と絶望しか生み出されないはずだった場所だ。
しかし――今日この日に、明るい太陽のような希望が齎される。
「よし、ここらでいいよねぇ」
一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は大きな広場に訪れ、断頭台の舞台を見上げていた。
此処はパルマの街中で一番大きな処刑台が作られていた場所だ。しかし、まだこの場所で処刑は行われていない。罪人とされた者が囚われる鳥籠型の檻は台の後ろに置かれたまま。
舞台の大きさから見て、ギロチンが三つほど設置される予定だったのかもしれない。だが、台の上にはまだ処刑器具は設置されていない。おそらくより派手な処刑台を作ろうとしている途中で手が回らなくなったものなのだろう。
舞台の広さは十分。
階段付きの台は地面より数段分高くなっており、人が立てば注目を浴びること間違いなし。
そんな場所を見つけた燐寧達は現在、ライブの準備を整えている。ピンク基調のアイドル衣装を身に纏った燐寧は、パルマの人達を応援するための楽曲を作詞してきていた。
「サイコーの復讐者アイドル軍団と、皆で歌う曲を作ったよぉ。いい感じに思いついちゃったからね!」
「ルーチェ・ソラーレ……。グループ名、す、素敵な響き、ですね!」
「でしょ? 脳直で出て来たやつだけど、なかなか合ってると思うんだぁ」
月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)がユニット名について語ると、燐寧が明るく笑ってみせる。そんな笑顔もきらきらで素敵だと思いながら、小雪も気合いを入れた。
自分はアイドルではないけれど、誰かの力になれるのならば全力を尽くしたい。燐寧と同じピンク色のコスプレアイドル衣装に着替えた小雪はやる気でいっぱいだ。
そんな中、ベアストリア・ヴァイゼンホルン(復讐者は狂気を纏うのか?・g04239)は今回の舞台となる処刑台を眺めている。もう誰も処刑されないことを示すための場所としてはぴったりだ。
「ん……一つ……決めてみる……? まぁ、いつも通りに僕は僕で通させてもらうよ」
ベアストリアにとっては久し振りのアイドル活動だが、軍服風のアイドル衣装の着こなしはばっちり。
衣装を整えた一ノ瀬・綾音(星影の描き手・g00868)も、強い思いを抱いていた。
「これまで積み重ねてきたものを、一気に解放してあげる時!」
淫魔が音楽で相手を誑かすなら、そこから目覚めさせるのも音楽が相応しい。絶望の舞台を終わらせ、希望の序幕とする気概が綾音の中に宿っている。
アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)も今日は制服風のアイドル衣装に着替えており、自分がちゃんと着こなせているか確認していた。
「ふりふりのスカートってなんか落ち着かないね」
「緊張しちゃってる?」
「うーん、緊張してる? そうかなー」
同じく制服風の衣装を身に纏っているシル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)に問われたことで、アンゼリカは軽く首を傾げた。白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は普段のまま、舞台の大きさを改めて確かめていた。
「私は演奏係ですのでそれ程緊張はしませんね。何時も通りですし」
「ふ、ふふ、慣れた。慣れちゃった。慣れてしまった」
その隣では、瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼/大怨霊の愛し姫・g00544)がふるふると頭を振っている。
いつも通りになぜか衣装があり、なぜか舞台があり、なぜか歌まで用意されていた。姫はアイドルじゃない。そうじゃなかったはずなのに――もうすぐ、ステージに立つことになる。
「……嗚呼、しかたない」
「リラックスリラックスっ♪ さぁ、行こうかっ!」
「よーし気合い十分っ」
シルが五月姫の肩をぽんと叩いてやれば、アンゼリカも口の端を上げてにっこりと笑った。蛍はチェレキギタソーを構え、オラトリオのスパーライトと共に演奏への思いを抱く。
アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)は仲間達の様子を見つめ、そろそろ開始の時間であることを告げた。
「はじめましょう」
如何なる場所であれ、ライブが始まればそこはアイドル達の独壇場。アイネリスはステージに上がるのではなく、あらかじめ民衆に紛れ込んでおく役割だ。
シルに蛍、綾音に燐寧、ベアストリアと小雪とアイネリス、アンゼリカに五月姫。
この九人で挑むライブはきっと、人々の心に勇気を与えていくものになる。
「さぁ、きっちりと盛り上げにかかりましょうか」
「それじゃあ皆、いっくよー!」
アイネリスが配置に付き、燐寧達も舞台に上がっていく。それぞれの思う場所に立ったディアボロス達は、何事かと集まってきた人々を見渡した。
今日、ここは処刑台などとは呼ばれない。
これは希望を導くアイドルステージ。これから、最高のライブが始まっていく場所だ。
●明日の笑顔のため
「何だ? あの処刑台が使われるのか?」
「まだ設置途中だったあの場所が……? でも、ギロチンがないよね」
広場に集まってきたパルマの人々はざわめいていた。見上げる舞台上には何人かの少女が後ろ向きに立っているだけ。普段の処刑とは違うと感じ取った民衆は不思議そうな顔をしていた。
皆の興味が舞台に向かられていると感じたアイネリスは人々の間をすり抜けていき、声を掛けていく。
「今からアイドル達のステージが始まるそうですよ」
「ステージ……」
「アイドルって?」
「見ていてください。きっとこれから始まります」
人々が首を傾げる中、アイネリスはそっと舞台を示した。そして――少女達が顔を上げ、民衆の方に振り向いた。
「――come va!」
「あたし達は『ルーチェ・ソラーレ』! 太陽の光みたいに皆を照らしちゃうよぉ!」
綾音が挨拶を告げた後、燐寧が自分達のユニット名を声にした。
語られた通り、その意味は太陽の光。
これからパルマに射し込む明るい陽射しをイメージしたものだ。
「こんにちはー! ルーチェ・ソラーレだよ! わたしたちの歌、聞いてね!」
「今日だけの限定ユニット、ルーチェ・ソラーレ! 多くは語らない、まずは私達の歌を聞いて!」
アンゼリカも両手を大きく掲げ、綾音も皆に呼び掛けていく。それと同時にシルが皆の前に走っていく。中央への挨拶は済んだので、次は左右の客にアピールするとき。
「こんにちわ、ルーチェ・ソラーレですっ! わたしたちの歌を、聞いてくださいっ!!」
「ふふっ……楽しみにしておいてね……」
シルとは反対にベアストリアは壇上を歩いていき、皆に手を振っていく。元気のいい挨拶は皆に任せ、ベアストリアは愛嬌を振り撒く要員。集った者の中には子供もいたので、彼女は優しく微笑む。
「み、みなさん。こんにゅ……こんにち、わ? 姫たちの歌、き、聴いて――ッ」
「あの、あの。よ、よろしくおねがいします……」
続いた五月姫と小雪は挨拶を噛んでしまったが、それもまた可愛らしく、親近感を生むものになっていた。人々は突然に現れたアイドル達に少し驚いていたが、次第にその存在を受け入れていく。
「ルーチェ・ソラーレか」
「いいぞ、どんな歌を聞かせてくれるんだ?」
「るーちぇ!」
「そらーれ!」
大人も子供も彼女達に興味を向けていた。蛍は民衆を見渡し、今こそ演奏を始めるときだと判断する。
そうして、其処からチェレキギタソーの音色が響き始める。最初はゆっくりと前奏が紡がれていく。蛍は仲間に視線を送り、歌い出しのフレーズに入る直前に音の波を響かせていった。
(「歌も音も皆で紡ぐのです。さぁ……」)
次の瞬間、歌声が重なる。
――さぁ! ここからが僕らの舞台だ。
――夜のセンリツを掻き消すんだ。
燐寧と小雪、綾音に五月姫、ベアストリアにシル、アンゼリカ。
七人の声は七色の虹を作り上げるかのように響き渡った。この頃には緊張していた小雪やアンゼリカの心も解れており、蛍の演奏に合わせたダンスが披露されていく。
この歌は来る夜明けを願うもの。
歌い出しが終われば、次は各自のソロや合唱パートに移っていく。
まずは燐寧が一歩前に踏み出す。
「星すらもない夜をずっと彷徨ってた お互いの顔も見えなかった」
まだ暗いパルマの現場を示す歌詞は今の人々の心を如実に映し出していた。重い歌詞ではあるが、ここからどんどん盛り上がっていく。人々が歌に惹き付けられていく中、燐寧はそっと小雪に合図を送った。
燐寧の視線を受けた小雪は、少しこけそうになりながらも前に出る。
「だけどボクらはもう二度とは迷わないさ、響いてく声が君を教えてくれた――♪」
小雪の声がステージに響き、希望の前奏として紡がれる。
途中で声が震えそうになったが、小雪は民衆の中にアイネリスと一緒にいるコダマを見つけた。モーラット・コミュ特有の愛らしい尾がぴこぴこと揺れている。
コダマもパルマの皆と一緒に応援してくれているのだと思うと、最後まで頑張ろうという気持ちが湧いてきた。
小雪の次は綾音のパート。
綾音は友達催眠の力を巡らせながら、民衆に思いの丈を語りかけるように声を響かせた。
「例え空を覆う暗闇の中から黒い刃が牙を剥いても」
「断ち切れないよ 立ち続けるよ 固い絆が支えになるから」
歌声に続く形で五月姫が声を巡らせる。五月姫が力を借りている神様の御利益は縁切りと縁結び。だからだろうか、歌のこの段落には自身も惹かれるものがある。
綾音が五月姫に手を伸ばせば、そっと両手が繋がれる。
重なるメロディを奏でた二人が後ろに下がると、次はベアストリアが前に出ていく。
華麗にターンを決めて躍り出た彼女の担当は、曲が盛り上がっていく部分。いつも練習している成果を出そうと決めたベアストリアは声を紡ぐ。
「行くよ! ここからは僕らの未来だ 愛のセンリツをかき鳴らそう」
ベアストリアが謳いあげた直後、蛍が奏でていく曲調も次第に強く、明るくなっていく。
そして、サビの最後はシルとアンゼリカの協奏。
エアライドの力を使って空中を駆けたシルに続き、アンゼリカが人々をまっすぐに見つめる。天光色の瞳が民衆を映し込む中、シルが華麗なダンスを皆に披露した。
「「太陽も飛び起きるほど声を上げて 見たことのない朝を奏でるよ」」
心を合わせた少女達の声が重なったとき、舞台を見つめていた人々から歓声があがる。
アイネリスは周囲の者達がすっかりステージに魅了されていることを感じ取り、手拍子を始めた。それに合わせて人々も応援の声や拍手を送っていく。
しかし、まだ此処では終わらない。
「今こそ立ち上がる時。皆さんの声を、魂の力を彼女達へ届けてあげて下さい」
「ああ!」
「それが眼前の闇を打ち払う、大きな一歩となります」
「そうね、素晴らしいことだわ」
アイネリスの呼び掛けによって、人々の心が更に動いた。蛍は演奏を続けながら舞台の盛り上がりを感じ取る。
ライブステージ。
そう、それはアイドル達だけではなく、此処にいる皆で紡ぐもの。
「これこそが音楽というもの。音を楽しむ。音楽の本懐。恐れないで。怖がらないで。あなた方の後ろに、我々は、皆さんはいるのですから」
蛍の言葉の後、音楽がクライマックスに近付いていった。
一列に並んだ歌い手の少女達は両手を広げ、最後の一節を高らかに謳い上げていく。
――明日を歌おう!
シルは思いっきり元気な声で。綾音は人々のもとに駆けていき、燐寧も笑顔を振り撒いた。ベアストリアは自分らしくクールに決め、小雪とアンゼリカは懸命に歌う。五月姫も思いを込めて紡いだ。
彼女達を見守る蛍とアイネリスも最後は一緒に声を合わせた。
皆の中に混ざっていった綾音は人々を先導するように、声を張り上げる。
「さぁ! ターンチェンジの時間だ! このゲーム盤を引っくり返す――革命を、ここに!」
「さぁ、みなさん、か、革命の時間、です!」
小雪も一生懸命に声を出し、抗うことの大切さを伝えていった。
アンゼリカはステージを見ている人達が笑顔でいることに気付いた。以前、自分の笑顔が太陽みたいだと言ってくれた人がいる。今の笑顔がそうだといいと願い、アンゼリカも人々に手を振った。
五月姫も最後の一節に思いを馳せ、その決意を言葉にする。
「そう、明日だ。明日を歌う為にも、この戦い……負けられない、ね」
この歌は勝利の凱歌だ。
自分達が伝えたかったこと、これからの戦いを勝利でおさめること。蛍は気持ちや思いが十二分に伝わったと感じ、舞台の前に立つアイネリスと視線を重ねた。
汝、怖がるなかれ。汝、恐れるなかれ。
あなた方の味方は此処にいる全て。此処にいる者があなたと共に勇気を謳う一人だから――。
ルーチェ・ソラーレの面々が大きく手を振っていると、民衆から或る声があがりはじめた。
「アンコール!」
「もう一度、歌を聞かせて!」
「お願い、ルーチェ・ソラーレ!」
それは仲間の誰かが導いたのではない、人々の純粋な思いが言葉になったものだ。顔を見合わせたメンバー達は少しきょとんとしていたが、すぐに笑顔になり、その願いを受け取った。
「それじゃ、アンコールに答えよっかぁ」
「は、はい……頑張り、ます!」
燐寧が嬉しそうに口許を緩め、小雪は気を引き締める。其処へコダマがぴょこんと飛んできたことで緊張しすぎずに済んだ。微笑ましい光景を見つめていた綾音も掌を握り締め、アンコールに応える気概を抱いた。
「綾音ちゃん達の歌、もっと楽しんでね!」
「姫も、応えたい……。繋いだ縁と、断ち切るべき、縁の歌を……」
「太陽みたいな、皆の笑顔をみせてね!」
五月姫とアンゼリカもそれぞれに思いを抱き、パルマの人々に視線と笑顔を見せた。
「もう一度、高らかに歌いましょう。奏でましょう」
「せーのっ!」
其処から蛍が演奏を始めたことで、シルは民衆に元気よく呼び掛けた。
アイネリスは曲の歌い出しが始まるタイミングに合わせ、大きく拳を振り上げた。群衆へ合図を送ったことでアイドル達と皆が一体になって歌える地盤が出来た。そうして、アイネリスは希望を導く歌を示す。
「皆さん、行きますよ……声を合わせ、高らかに――!」
🎵
さぁ! ここからが僕らの舞台だ
夜のセンリツを掻き消すんだ
星すらもない夜をずっと彷徨ってた
お互いの顔も見えなかった
だけど僕らはもう二度とは迷わないさ
響いてく声が君を教えてくれた
例え空を覆う暗闇の中から
黒い刃が牙を剥いても
断ち切れないよ 立ち続けるよ
固い絆が支えになるから
行くよ! ここからは僕らの未来だ
愛のセンリツをかき鳴らそう
太陽も飛び起きるほど声を上げて
見たことのない朝を奏でるよ
明日を歌おう!
🎵
パルマの街に明るい歌声が響く。
明日のために。この国の人々の平穏を勝ち取るための歌は深く奏でられ、強い思いが紡がれていった。
一度きりのライブの為に作られたこの歌には最初、決められた題名はなかった。
しかし、パルマの人々はこの曲をこう呼び始める。
明日を照らす太陽の光。未来を歌った少女達を称え、未来に進む意志を忘れないための曲。
絶望を希望に導いた、その歌の名は――『ルーチェ・ソラーレ』!
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●一斉蜂起
暗い夜奏の闇に覆われた国、パルマ公国。
日が昇り、新たな朝が訪れていても此処はルドヴィカが下ろす闇の支配下にあった。逆らえば死刑を宣告され、罪なき者達が無情に処刑台に送られる日々の中で、人々は恐怖の底に囚われていた。
しかし、恐怖や絶望は塗り替えられる。
ディアボロスが謳い上げた歌と音楽が、語り掛けた言の葉が、そして――与えた希望がパルマを夜明けに導く。
勇気は明日への道標。
広場で歌われた四重奏、商店街で再び演奏された太陽の曲、路上で開かれた公演が標となった。
酒場で奏でられた革命の歌や、大学で演説された未来を掴み取るための言葉。大聖堂前で紡がれた聖なる曲に、劇場前で響き渡った突破と打開の歌。
嘗て救った者と出逢い、更なる縁を重ねたこと。酒場の演奏会に混じって思いを同じくしたり、華麗な舞踊を披露して、チェンバロの音色で未来への思いを呼び掛けたこと。
国を導く者はこの街に生きる人だと呼び掛け、バイオリンの音色で奮起を語り掛けたこと。
未来を担う子供達に歌で呼び掛け、語った人の強さ。蜂起への勇気を与え、響き奏でたラッパの音色。
歌で人々の心を癒やし、士気をあげたこと。そして、ハッピーエンドを掴むことを歌い、パルマの人々に太陽の光のような曲を贈ったこと。
その全てが功を奏した。
此処に集ったディアボロス達は多くの導きと希望を人々に与えた。それによって、街中で蜂起の声があがっている。
「今こそ、我々の手でこの国の未来を取り戻そう!」
「僕達はあの方達に救われた。けれど、自分達でも動き出さなければいけない!」
「私達の国に平和を!」
広場では決起した人々が集い、反抗への意思を固めていた。商店街の方からも新たな人々が訪れており、革命の思いはより強くなっているようだ。彼らは誰かに扇動されて従わされているのではない。
ディアボロスという希望に先導されるように、自らの意思で集まってきた者ばかり。
「俺達ひとりずつには大きな力はない、だが――!」
「力を合わせよう。皆の思いが束ねられれば怖いものはない!」
「ああ、平穏の為に祈りを……」
「どうか、ディアボロス様達に祝福と幸運が訪れますように」
「我々の学びのために、そして未来を生きる子供達のためにも、立ち上がろう!」
パルマ大学の内部、劇場前に集う人々や大聖堂の聖職者達も各々の思いを胸に抱いていた。
酒場に集った者達も今日ばかりは酒に浸ったりはしていない。皆で重ねる乾杯は、この革命と反抗に勝利してから。祝杯をあげるときに取っておけばいい。
誰もが前を向き、同じ方向を向いている。
多くのディアボロスが各所で語り掛けたことにより、パルマ市民の心は揺らがぬ炎が宿っていた。
その思いは、深い夜闇を灯す篝火のように灯り続けるだろう。
そして、夕闇が青空の色を滲ませた頃――パルマ公国の各地で一斉蜂起が始まった。
「皆、歌を謳え!」
「あの方達が歌った、希望や太陽の歌を!」
「ルドヴィカ様……いや、ルドヴィカの圧政に終止符を!」
「私達の未来を取り戻すために!」
歌が紡がれ、声が重なる。
何にも負けない意志を束ねた、たくさんの人々の声。其処には強い意思がある。
確かな希望と未来を想う歌。それは決戦への序曲の如く、パルマの街中に響き渡っていった。
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大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【エアライド】がLV3になった! 【勝利の凱歌】がLV8になった! 【友達催眠】がLV3になった! 【完全視界】がLV3になった! 【壁歩き】LV1が発生! 効果2 【命中アップ】がLV5(最大)になった! 【ガードアップ】がLV6になった! 【アクティベイト】がLV2になった! 【能力値アップ】がLV4になった! 【ラストリベンジ】がLV3になった!
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●コロルノ宮殿へ
夕暮れ刻。
街中に響き渡るパルマの民衆の歌を背に、ディアボロスは北へ向かっていく。
目指すのは淫魔宰相・夜奏のルドヴィカが居城にしている場所、コロルノ宮殿。
現在、一斉蜂起した市民を抑えるために、宮殿に配備されていた淫魔や自動人形の殆どが市街地に向かっている。その隙を突き、ルドヴィカにまで迫るのが今の目的だ。
パルマの人々には強い抵抗の意思と力を合わせて立ち向かう団結力がある。
おそらく街に向かった配下達は、ルドヴィカが倒されれば気配を察知して逃げていくはずだ。パルマの人々の蜂起という戦いを無駄にしないためにも、早々に決着を付ける必要がある。
コロルノ宮殿に訪れたディアボロス達は周囲の様子を探った。
配下の数が少ないとはいえ、宮殿内部には幾つかの気配がある。出入り口である門の前には淫魔の姿があり、その奥にも護衛のクロノヴェーダの影が見えた。
まずは門付近や奥に続く通路に配備された淫魔の剣舞団。
次にルドヴィカが居る庭園の前を護る解体少女を倒さなければならない。宮殿に近付いたことで向こうもディアボロスの気配に気が付いたらしく、配下達が動き出した
「困ったわ、侵入者のようね」
「この危機的状況になんてこと……! 皆、あたし達で迎撃するわよ」
「ええ、邪魔者を排除してルドヴィカ様に褒めて貰いましょう!」
淫魔の剣舞団は武器を構え、それぞれに身構えていた。淫魔達は積極的にディアボロスに襲いかかる姿勢が見える。
庭園の前では、騒ぎを察知した自動人形達が無感情な様子で状況を把握していた。
「敵襲、感知しました」
「我々の役目はルドヴィカ様の護衛です」
「この先には一歩も通しません」
淫魔とは反対に、解体少女達はその場を動かない。庭園の方からはルドヴィカが奏でる弦楽器の音色が響いているが、自動人形達を倒さなければ先には進めないだろう。
これは決戦の前哨戦。
コロルノ宮殿内ではこれから激しい攻防が巡る。パルマの夜明けに続く戦いは、此処から幕あけていく。
⚔ ⚔ ⚔ ⚔ ⚔ ⚔ ⚔ ⚔ ⚔
④👾施設を警備するトループス級『淫魔の剣舞団』
レイラ・イグラーナ
革命の火は灯りました。
この火は、意思はもう止められません。
無理やりにでも力で押さえつけようというのであれば、不肖、革命家レイラ・イグラーナがお相手いたします。
両手に「銀の針」を持ち、鉤爪のように扱い近接戦闘を行います。
こちらも『ダンス』を踊るように相手の動きに合わせて動くことで敵の振るう剣を回避、時折『フェイント』を織り交ぜることで相手はこちらの動きに合わせられないようにして着実にダメージを重ねます。
重ねたダメージとフェイントで相手に隙ができたなら【手製奉仕・爪】による銀の針での『斬撃』で切り裂きます。
パルマ公ルドヴィカの元まであと僅か、このままなだれ込みましょう!
④👾施設を警備するトループス級『淫魔の剣舞団』
ハニエル・フェニックス
さって、皆を焚き付けちゃったし……頑張って助けないと!
その為にはまず、あの警備をやっつけちゃわなきゃね。
うん、確かにダンスは上手。
それに綺麗だし……でも、私は止まってられないから!
こう言う時はとにかく【飛翔】して、空中戦だ!
私も空中をダンスするみたいに飛んで対抗しよう。
それに【泥濘の地】で敵の移動速度を落とせば、上手く踊るのを邪魔できる気がする!
しっかり偵察して情報収集すれば、私のダンスの知識と合わせて敵の動きをある程度読めると思うんだよね。
無防備な振り付けが来る一瞬を狙って、リングスラッシャーで斬り裂いちゃえ!
④👾施設を警備するトループス級『淫魔の剣舞団』
渕上・澪乃
アドリブ、連携歓迎
パルマの人達がああやって立ち上がってくれたんだ
次は僕達が道を開いていかないとね
【壁歩き】と【エアライド】を使って相手の攻撃を避けつつ飛び回るよ
氷の足場も作ってこっちも相手を攪乱するように動きたいね
時々『高速詠唱』で氷の弾を飛ばして少しずつダメージを与えて隙が出来たら一気に接近して「蒼月」で斬る
ダンスと剣術ならこっちも負けないよ
④👾施設を警備するトループス級『淫魔の剣舞団』
カリーナ・アバルバネル
アドリブ・連携お任せ
クロノヴェーダを目の当たりにしたら、今までの恐怖が蘇ってきて勇気が挫けてしまうかもしれない。
遂に灯った革命の火を消させはしない。露払いをさせてもらうよ!
複雑な動きやフェイントには目もくれず、パラドクスを利用して一気に間合いを詰めて気を込めた掌打を打ち込む。この後にルドヴィカとの戦いもあることを考えると、長引かせるわけにはいかない。
一撃を与えたら成果を確かめずにひとまず離脱を優先。間合いを取り、狙いを付けてから再度突撃して行く。以下繰り返し。距離を取って戦う人に狙いを絞らせない効果もあると思うし、愚直な戦法だけど折れず曲がらず、クロノヴェーダを貫き通すまで止まらないよ!
●決戦の地を目指して
革命の火は灯り、事は動き出した。
コロルノ宮殿の門へ駆けるディアボロス達は、敵影を捉えていた。宮殿内はしんと静まり返っているようだが、遠くからはルドヴィカが弾く弦楽器の音が聞こえている。
パルマ市内の蜂起を抑えるために警備は最小限に留められているらしく、ルドヴィカの護衛は薄い。
それでも警備と護衛が全くいないわけではない。此処から巡っていく戦いを思い、復讐者達はそれぞれに思いを抱いた。
「この火は、意思はもう止められません」
パルマの人々が抱いた革命への意志は強い。レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は行く先を阻む淫魔達の姿を見据え、一気に門の前に飛び込んでいく。
「さって、皆を焚き付けちゃったし……頑張って助けないと!」
ハニエル・フェニックス(第七の天使・g00897)も街の人々への思いを胸に、淫魔の剣舞団に狙いを定めた。
「パルマの人達がああやって立ち上がってくれたんだ。次は僕達が道を開いていかないとね」
渕上・澪乃(月の番人・g00427)は先を見据え、掌を握り締める。
(「――大丈夫。僕達なら、きっと出来る」)
普段から抱く思いを胸に、澪乃は出入り口の周囲に張り巡らされた壁を歩いていく。
仲間の後に続くカリーナ・アバルバネル(人間の無双武人・g04135)も気を引き締め、敵の拠点に挑む気概を抱いた。
いざクロノヴェーダを目の当たりにすれば今までの恐怖が蘇ってきてしまう。せっかく抱いた勇気の灯が消え、挫けてしまうかもしれない。カリーナの裡にそんな思いが過ったが、すぐにその考えは振り払われた。
「遂に灯った革命の火を消させはしない。露払いをさせてもらうよ!」
迎え撃つのは施設を警備する淫魔達。
敢えて彼女達を無視して駆け抜けることも出来るが、後顧の憂いは断っておいた方がいい。レイラとハニエル、澪乃とカリーナは強い意思を抱き、淫魔に向かった。
「敵襲よ!」
「ふふ、ここで葬ってあげましょう」
淫魔達の声が聞こえたことでハニエルは右へ駆け、淫魔が持つ鋭い剣を見つめる。
「その為にはまず、あの警備をやっつけちゃわなきゃね」
「無理やりにでも力で押さえつけようというのであれば、不肖、革命家レイラ・イグラーナがお相手いたします」
レイラは左を見遣り、ハニエルとは別の淫魔に向かっていった。
更に澪乃も左へ、カリーナは右に進むことで戦力を散らばらせる。門に配備されていた敵の数は多くはない。こうして一対一に近い戦いに持ち込めば、誰かが集中攻撃を受けることもなさそうだ。
レイラは銀の針を両手に構え、鉤爪のように振り下ろした。
其処からパラドクスの力が巡り、小さくも鋭い風圧が戦場に疾走る。対する淫魔は舞うような動きで一撃を受け止め、その場でターンをしてみせた。
勢いをつけた剣舞が反撃としてレイラに放たれた。されど彼女も淫魔の動きに負けてはいない。さながら二人でダンスを踊るようにステップを刻むレイラと淫魔の攻防が続く。
其処へ力を紡いだのはカリーナだ。
――六式・蛟龍遊海。
流れるような動きで敵の懐に飛び込んだカリーナは、真気を込めた掌底の一撃を叩き込んだ。
「うん、確かにダンスは上手。それに綺麗だし……でも、私は止まってられないから!」
攻防の様子を見遣ったハニエルは自分が相手取る淫魔に攻撃を仕掛けた。
こういうときに彼女が取る戦法は飛翔すること。レイラと敵がダンスをするように戦うのならば、ハニエルも空中を舞うように淫魔に対抗していくだけ。
その間、澪乃が目にもとまらぬ速さで斬撃を放つ。蒼月を振るい、敵の身を切り裂く姿はまるで舞うが如く。美しい軌跡を描いた澪乃は夜帷の翼を大きく広げた。
だが、淫魔達も両手に構えた黒剣で以て斬撃を仕掛けてくる。
「負けない……!」
「悪いけど、まともに受けるわけにはいかないんだ。こっちまでついて来られるかな」
カリーナは両腕をクロスさせた状態で淫魔の斬撃を受け止め、痛みに耐えた。澪乃は斬撃を受け流しながら衝撃を抑え、エアライドの力で空中に跳び上がる。澪乃はそのまま軽い身のこなしで以て敵を翻弄していった。
舌打ちをした淫魔が剣を構え直している隙にハニエルが次の手を打っていく。
「綺麗だけど、邪魔させてもらうね!」
ハニエルは泥濘の地の効果を巡らせ、門付近の足場を変化させていった。
僅かに敵の動きが鈍ったことを確かめ、ハニエルは一気に攻勢に入る。天使の翼を羽ばたかせたハニエルは回転する無数の光の輪を出現させていき、敵群へ放った。
目の前の相手を中心にして巡った光輪は、次々と相手を斬り裂く。
「この子達……!」
「いけない、強いわ!」
「私達は人々の思いを背負ってここに来ました。それゆえに強く在るのです」
淫魔達が慌てる中、レイラはフェイントを織り交ぜることで相手を撹乱した。向こうがこちらの動きに合わせられないようにしていくことで着実にダメージを重ねる戦法だ。
銀の針が煌めいた刹那、斬撃が淫魔を貫く。
これまでに重ねたダメージとフェイントは功を奏し、相手に大きな隙ができた。今です、とレイラが合図と視線を送ってくれたことでハニエルも力を巡らせる。
レイラによる銀の針での斬撃が再び振るわれる中、ハニエルが生み出した光輪が迸っていく。
「みんな斬り裂かれちゃえ!」
ハニエルが紡いだ光が淫魔の身を貫き、一体目の敵がその場に倒れた。他の敵も弱っていることを確かめたカリーナも更なる一撃を叩き込むために駆ける。
この後にルドヴィカとの決戦があることを考えると、此処での戦いを長引かせるわけにはいかない。
「天心正雷九剣、六式――もう一度行くよ!」
蛟龍遊海の動き、即ち移動と攻撃、離脱までが一体になった一撃を放つカリーナの眼差しは鋭かった。眼鏡の奥の瞳に宿るのは決戦に向ける強い思い。
一撃が見事に敵を穿った瞬間、続けて澪乃が蒼月を振るい上げた。もしたったひとりでこの淫魔達を相手取るのであったならば、あの舞踊から繰り出される剣戟に押し負けていたかもしれない。
だが、今は頼もしい仲間がいる。
高速詠唱からの連撃を紡いでいく澪乃は空中で回転を入れ、落下する力に合わせて斬撃を振るった。
「ダンスと剣術ならこっちも負けないよ」
二体目の淫魔を打ち倒した澪乃は、横に刃を振るうことで蒼月に付着した血を払う。カリーナは新たな標的に狙いを定め、レイラとハニエルも一気に残りの淫魔に攻撃の矛先を向けた。
間合いを取り、狙いを付けてから再び突撃していくカリーナ。その横をすり抜けて先行するハニエルのリングスラッシャーが宙を舞い、光の連撃として淫魔を切り裂き続けた。
決して折れず、曲がらず。カリーナは愚直なまでに真っ直ぐな掌底の一撃を放つ。
「クロノヴェーダを貫き通すまで私達は止まらないよ!」
それによって更なる淫魔が地に伏した。
そして、レイラは行く手を阻む敵に凛とした眼差しを向ける。その攻撃はたった一瞬のこと。針の斬撃が残した残像は鋭い糸のような軌跡を描き出す。
まるでそれは此処から続く決戦への道を繋げ、導きを示すような流れを見せてくれた。やがて、彼女達の前を塞いでいた淫魔がすべて倒れ伏す。他の場所にも淫魔は潜んでいるだろうが、この場の敵は片付いた。
「パルマ公ルドヴィカの元まであと僅か、このままなだれ込みましょう!」
レイラは先を見据え、仲間達に呼び掛ける。
ハニエルが頷き、澪乃が先を見据え、カリーナも心を強く持った。
門を抜け、宮殿内を駆け抜けて、庭園のルドヴィカを守る護衛の元を更に越えて――其処からが本番だ。
パルマの未来を決める戦いは、間もなく本当の始まりを迎える。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1 【一刀両断】LV1が発生! 【飛翔】LV1が発生! 【士気高揚】がLV6になった! 【水中適応】LV1が発生! 効果2 【ガードアップ】がLV8になった! 【ダメージアップ】がLV7になった!
④👾施設を警備するトループス級『淫魔の剣舞団』
ニア・マシュマリー
新しいお友達も……。そのお父さんも守るって誓ったから……。こんなところで止まれないの……。
だから……。まずはあの人たちを越えていくために……。お願い……。みんなも力を貸して……。
ニアは駆け抜けるチャンス狙いながら……。
ありったけの闇を生み出して……。いっぱい……。いっぱいあの子たちを呼ぶ……。
みんな……。まずは足を狙って動けなくして……。その後から好きなだけ真っ赤に染めようね……。
そのためなら……。ニアもいっぱい闇を作るから……。
ニアが駆け抜けれるスペースが出来たら……。そこを目掛けて全力で走り抜ける……。
この先に……。まだ戦わないといけない相手がいるから……。
(アドリブ・連携歓迎です)
④👾施設を警備するトループス級『淫魔の剣舞団』
一里塚・燐寧
連携アドリブ歓迎
切っ掛けを作ったのは、そりゃ復讐者かもしれないけどねぇ
実際、こーやって勇気を出して頑張ってるのは、パルマで生きてる皆なわけでさ
……負けてられないねぇ。マイクをチェーンソーに持ち替えて、暴れちゃうよぉ!
敵の根城までの道、邪魔者はぶった切り尽くすっ!
走りながら≪テンペスト・レイザー・バーストモード≫を構え
『屠竜技:散華乱刃斬』を発動
一息で一気に踏み込み、回転鋸刃の横一閃で無数の傷を刻み、そのまま斬り抜けて反撃をかわす
一連の【一撃離脱】の動きを目にも止まらぬ【早業】で繰り返し
敵の数を減らしながら着実に敵陣の深くへと突き進んでいくねぇ
そんな「剣の舞」じゃ、あたしと一緒には踊れないよぉ!
④👾施設を警備するトループス級『淫魔の剣舞団』
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
長居をするつもりはありません
ここは早々に突破させてもらいます
宙に展開した鍵盤で「月虹」を演奏
喚び出した月の化身に通路上にいる淫魔を薙ぎ払わせて
突破口を作りましょう
ダンスの相手をお望みですか?
残念ですが、私はもう少し慎ましやかな方のほうが…
静かに壁の花にでもなっていただければと
冗談交じりで月の化身に仕掛けさせて
己は魔力障壁で剣戟を受け流しましょう
相手の連携を断つように攻撃をしかけ
1体ずつ仕留めていく事を心がけます
突破口が開けば、飛翔して駆け抜けてしまいましょう
応援してくれた、私達に同調し蜂起してくれた市民の方々に報いる為
出来るだけ早く、ルドヴィカのもとへ辿り着かなくては
④👾施設を警備するトループス級『淫魔の剣舞団』
エトワール・ライトハウス
アドリブ連携◎
さて、それじゃあパルマ市民の勇気を無駄にしない為に頑張ろうか
相手は人型、PDで何百キロもの重さが乗る弾丸を当てれば倒せない相手ではなかろうが……あの舞の動きは厄介だな
こっちもレオンを走らせてなるべく間合いを取るとして……『マシンピストル』を使って『強力粘着弾』の弾幕を張ろうか
戦場を舞台に見立てるというなら、その舞台を覆うこのトリモチで淫魔の脚を止める!
と見せかけて、本命は噴き出すトリモチで隠れた地面の【泥濘の地】
ただの粘着物と見せかけてから残留効果の強力な妨害で、相手の動揺を誘う
トドメは【神速反応】で高めた集中力で、生じた隙を撃ち抜くぞ!
●突破口を開け
一斉蜂起と革命への意志。
パルマに集った思いの力は強く、深く巡っている。
「切っ掛けを作ったのは、そりゃ復讐者かもしれないけどねぇ」
コロルノ宮殿に突入する直前、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)はこれまでのことを思い返す。
多くのディアボロスが住民に呼び掛け、様々な人達が思いに応えてくれた。住民達に反抗の心が芽生えていたとしても、彼らだけではこの状況は訪れなかった。
逆にディアボロスだけでも決戦に至る好機を手繰り寄せることは出来なかっただろう。
「新しいお友達も……。そのお父さんも守るって誓ったから……。こんなところで止まれないの……」
ニア・マシュマリー(いつの間にか吸血鬼・g07451)も燐寧の隣に立ち、街の人々のことを思う。燐寧は彼女の声に深く頷き、その通りだと答えた。
「実際、こーやって勇気を出して頑張ってるのは、パルマで生きてる皆なわけでさ」
「うん……。だから……。まずはあの人たちを越えていくために……。お願い……。みんなも力を貸して……」
ニアの思いに応じるように闇から現れた赤い腕が蠢く。
少女が抱いているであろう懸命な思いを受け止め、燐寧もチェーンソーを起動させた。
「負けてられないねぇ。さぁて、暴れちゃうよぉ!」
テンペスト・レイザーの刃が回転し始めたことで鋭い音が周囲に響き渡った。先程はマイクを持ってステージを舞台にしていたが、今は違う。駆動刃に持ち替えての突破戦が此処から始まってゆく。
「さて、それじゃあパルマ市民の勇気を無駄にしない為に頑張ろうか」
エトワール・ライトハウス(Le cabotin・g00223)も無双馬のレオンに跨り、行く先を見据える。
自分が吹き鳴らした音色が人々に希望と勇気を与える一助になったのだと思うと、普段以上に気合いも入った。決戦への意気込みは十分であり、勢いも味方につけられている。
ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)も仲間達と共に進む決意を固め、思いを言葉にした。
「長居をするつもりはありません。ここは早々に突破させてもらいます」
「行こう……」
「邪魔者はぶった切り尽くすっ!」
戦いの舞台に踏み込んでいく燐寧とニアは頷きあい、エトワールとソレイユもひといきに駆け出した。既に門に入ってすぐの敵は仲間が相手取ってくれている。その先に進み、別の敵を狙い討つことを決めた四人は淫魔の姿を捉えた。
「侵入者よ!」
「みんな、必ず阻止するわよ」
「ルドヴィカ様に褒めてもらうために!」
淫魔達は剣を構え、敵意を剥き出しにしている。
本来ならば守護役の淫魔が多く配備されているのだろうが、現れたのは三体のみ。即座に視線を交わしたディアボロス達は二手に分かれ、各個撃破を狙う作戦に入った。
右手の通路から現れた一体に向かったのはニアと燐寧。
左側に位置している二体にはエトワールとレオン、ソレイユが向かい、それぞれの攻勢に移っていく。
まず機動力を活かして飛び込んだのはエトワールだ。
相手は人型。何百キロもの重さが乗る弾丸を当てれば倒せない相手ではないだろうが――。
「あの舞の動きは厄介だな。――レオン!」
頼む、と無双馬に呼び掛けたエトワールは手綱を引いた。レオンをたえず走らせることで相手の視線を誘導しながら、一気に攻め込む狙いだ。上手く間合いを取りながらマシンピストルを構えたエトワールは、強力粘着弾を装填していた。殺傷力は皆無に近いが、其処から張られる弾幕は淫魔達の身を穿つことになる。
「戦場を舞台に見立てるというなら、その舞台を壊してやろう!」
「きゃ!」
「ダンスの相手をお望みですか? 残念ですが、私はもう少し慎ましやかな方のほうが……」
トリモチで淫魔の脚を止めていくエトワールに続き、ソレイユが宙に展開した鍵盤に指先を添えた。奏でられていくのは幻想ソナタ、月虹の曲。闇夜を照らし出す月光は穏やかな加護と荒々しい狂気を孕む化身へと変じていく。
そして、喚び出された月の化身は通路上にいる淫魔を薙ぎ払った。
「突破口を作りましょう」
「ああ!」
ソレイユの呼び掛けにエトワールが答え、更なる銃弾を解き放っていった。だが、淫魔もそれに全く対応できないわけではない。踊るような身のこなしで避けていった淫魔はエトワールに斬りかかってくる。
「そんなもの、私達に通用すると思って?」
「トリモチだけ……と見せかけて、本命はこっちだ」
「……え?」
噴き出すトリモチで隠れた地面が泥濘の地となって揺れ動いた。それによって淫魔の動きが鈍る。パラドクスではない通常攻撃ではダメージも与えられないと知った上で、敢えて行動していたエトワールの作戦勝ちだ。
其処へレオンが高く嘶き、淫魔達の動きを止めた。その隙を狙ったソレイユが鍵盤から音を響かせる。
「では、後は静かに壁の花にでもなっていただければと」
冗談交じりの言葉と共にソレイユが月の化身に仕掛けさせていった。魔力障壁で剣戟のダメージを受け流したソレイユは一気に力を解き放つ。
「そんな……こんなところで負けるなんて……」
二人と一体の合わせ技によって一体目の敵が嘆きながら伏していった。残る敵にエトワールとソレイユが目を向ける。
そんな中、もう一方で闘うニアと燐寧も善戦していた。
「ありったけの闇を……」
ニア達が戦っていることで他のディアボロス達が先行して通路の奥に進むことが出来ている。
自分も駆け抜けるチャンス狙いながら、ニアは闇を増幅させていく。
いっぱい、めいっぱいに。闇の赤い手を呼び出し続けるニアは片手を掲げた。その動きに呼応する形で槍を手にした赤い腕達が淫魔を貫いている。
だが、淫魔も踊るような剣閃で持って手を蹴散らした。
その度にニアの身体にも鋭い痛みが走る。それでもニアは闇に呼び掛け、蠢く靄の中から新たな子達を喚んだ。
「ん……。まだまだ……」
「ニアちゃん、無理しすぎないでね!」
「平気……。りんねも痛くない……?」
「あたしはまだまだ大丈夫!」
燐寧とニアは声を掛け合い、互いを支え合った。燐寧は駆ける足を止めないまま屠竜技を振るい続けている。散華乱刃斬の名の如く、迅い斬撃が淫魔を穿った。しかし、相手の斬撃も燐寧の身を切り裂いている。
されど燐寧は怯まない。敵の根城までの道を一直線に駆け抜けると決めているからだ。ニアは彼女の強さを肌で感じ取りながら、淫魔の足に狙いを向けた。
「みんな……。好きなだけ真っ赤に染めようね……」
そのためならば痛みを無視してでも、ニアもいっぱい闇を作るから。赤い手達に呼び掛けたニアは更に深い闇を巡らせていった。連続で槍を突き刺されたことによって淫魔の体勢が大きく崩れる。
「今だよ……。りんね……」
「ありがと、ニアちゃん!」
ニアの声に応えた燐寧は最大の好機を読み取っていた。ひといきに踏み込んだ燐寧は回転鋸刃の横一閃で以て敵に無数の傷を刻んでいく。甲高い悲鳴があがったが、其処で手を緩める燐寧ではない。
そのまま斬り抜けて反撃を弾いた燐寧は、強く地面を蹴り上げた。高く跳躍しながら空中で宙返りをした燐寧が地面に降り立った瞬間、淫魔がその場に倒れる。
これで残るは一体。四人は攻撃の機を合わせ、止めを刺しに掛かる。
「そんな剣の舞じゃ、あたしと一緒には踊れないよぉ!」
「最後の一人……。みんなで倒そう……」
「撃ち抜くぞ。駆けろ、レオン!」
「月の調べ、光の加護よ。彼女に終わりの旋律を」
燐寧はテンペスト・レイザー・バーストモードを振り下ろし、ニアが赤い手達に連撃を願った。其処にソレイユが奏でた月虹の旋律が響き渡り、無双馬と共に駆けたエトワールが集中力を高めた一撃を解き放つ。
「申し訳……ございませ……ルドヴィカ、様――」
最後の淫魔は剣を取り落とし、其処で動きを止めた。ルドヴィカへの忠誠は高かったらしいが、今はそのことに思いを馳せてはいられない。唇を噛み締めたニアは一度そっと闇を鎮め、奥を目指して全力で駆け抜けていく。
「この先に……。まだ戦わないといけない相手がいるから……」
「ここまで来たら、頑張るしかないよねぇ?」
燐寧はこれから先への展開に思いを馳せ、最後まで戦い抜く気概を抱いた。エトワールもレオンによく頑張ったと告げ、まだまだ戦いが続くことを伝える。
レオンが響かせる蹄の音やディアボロスの足音は敵に此方の到来を報せるものになるだろう。されど、これもまたディアボロスからの宣戦布告にもなる。エトワールは前を見つめ、手綱を強く握った。
「仲間がいて心強いが、まだ気は抜けないな」
「油断せずに行きましょう」
他に淫魔がいないことを確かめたソレイユは翼を広げ、先へ飛翔していく。
応援してくれた人々。ディアボロスに同調して蜂起してくれた市民に報いる為にも急ぎたかった。
出来るだけ早く。いざ、ルドヴィカのもとへ――。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【寒冷適応】LV1が発生! 【アイテムポケット】LV1が発生! 【飛翔】がLV2になった! 【士気高揚】がLV7になった! 効果2 【ロストエナジー】LV1が発生! 【先行率アップ】LV1が発生! 【グロリアス】LV1が発生! 【能力値アップ】がLV5になった!
③👾護衛するトループス級『解体少女』
ヨルド・ミデン
理(g06522)と一緒
アドリブ歓迎
✤
パルマの民達は、今頃抗う強い意志で蜂起してくれている頃だろうか。
皆で革命の舞台の幕を上げよう。
庭園、人形の少女と相対する。
お互い、護るために刃を交えるのなら、真剣勝負だ。
まこととの連携で挑む。
【エアライド】を駆使して波動は避けることを意識し、接近戦に持ち込む。
大鎌の刃に静かな怒りの念を纏い、刃をぶつける重たい一撃を。
相手の攻撃も重そうだ、あえて刃に刃をぶつけ己と相対させることで隙を生じさせる。
剣の様な、盾。
反対に、まことが盾となってくれるのならば、自分が剣となりその隙を狙う。
愛らしい人形のその容姿。次があるのなら、その手に握るのは一輪の花であることを願う。
③👾護衛するトループス級『解体少女』
明日河・理
ヨルド(g06910)と
アドリブ歓迎
_
盛り上がってるとこ悪いけど
アンタらにはいい加減舞台を降りてもらう
主役はこの世界の人々で
間違っても俺たちじゃ無いだろ
ヨルドを最優先にディフェンス
彼女との連携を意識し
俺は陽動と盾役を担う
逆に俺が剣役になっていても
ヨルドを護るのだけは絶対譲れない
俺がどれだけ傷付こうが構いやしねえけど
彼女を傷付けることだけは絶対許さない
冷静に戦場を把握し
地形も最大限利用しつつ
臨機応変に素早く対応
お前たちに特別恨みがあるわけじゃないけど
互いに護りたいものがあって相対する以上
手加減する道理はない
俺は何を護るべきなのか見誤ることはしない
勇猛果敢に攻め込み
せめて祈るは
彼女らの安息の眠りを
●庭園前にて
突破口が開かれた門を潜り、一直線に庭園を目指す。
パルマの民も今頃、強い意志で蜂起を続けてくれているだろう。悪しき体制への反抗と革命を謳う歌は街中に響き、パルマの夜明けを求めている。声を上げることもまた戦いであり、民衆が持つ正しき力だ。
「さぁ、皆で革命の舞台の幕を上げよう」
「……ああ、この手に勝利を」
ヨルド・ミデン(その生に幸あれ・g06910)と明日河・理(月影・g06522)は共に宮殿を駆け、庭園に続く通路を進んだ。門付近で邪魔をする淫魔達がいたが、彼女達の相手は別の仲間が担ってくれている。
道を拓いてくれた仲間に感謝を抱きながら、理は先を見据えた。
庭木や鳥籠の檻が見えてきたところで二人は別の気配を感じ取る。其処には庭園への入口を守る自動人形達が立っており、行く手を塞いでいた。
奥からはルドヴィカが弾き奏でる夜想曲が響いているが、自動人形は此方を見据えている。
「盛り上がってるとこ悪いけどアンタらにはいい加減、舞台を降りてもらう」
「お互い、護るために刃を交えるのなら、真剣勝負だ」
「侵入者は排除します」
理とヨルドが人形に声を掛けたが、返ってきたのは冷たい声だけ。重そうな鋸剣を構えた解体少女は今にも襲い掛かって来そうだ。理は地を蹴り、ヨルドも一気に跳躍する。
「主役はこの世界の人々で、間違っても俺たちじゃ無いだろ」
歴史侵略者も復讐者も時代を越えて来た者だ。本来の歴史に生きる人々に委ねてこその世界だと語り、理は夜導の一閃を敵に叩き込んだ。周囲では自分達と同様に庭園前に辿り着いたディアボロスがいる。
それぞれのグループで一体ずつ相手取れば此処を早く突破できるだろう。ヨルドはそのように判断して、理と同じ標的に狙いを定めていく。
エアライドの力を駆使して宙を駆けたヨルドは、静かな怒りの念を大鎌に籠めて振るった。
対する自動人形は無言のまま処刑者の剣から波動を巡らせている。悍ましき力を受けたヨルドの尾が震えたが、それもたった一瞬のこと。
すべてを避けることは難しいが、波動に耐えて痛みを堪えることはできる。
「ヨルド、気をつけろ」
「大丈夫だ、まこと」
理はヨルドを出来る限り庇いながら果敢に立ち回っていく。以前に誓った剣と盾の役割は崩さない。剣役になっていても
ヨルドを護ることだけは絶対に譲れなかった。
「排除します」
無感情に先程と同じ言葉を繰り返した自動人形が、再び鋸剣を振り下ろす。重い衝撃が理を襲い、鋭い痛みが身体中に駆け巡っていった。そのまま刃を食い込ませようとする人形に対し、ヨルドが即座に大鎌を振るい上げる。
刃同士を衝突させることで剣を弾いたヨルドは理を守った。
敢えて刃に刃をぶつけて己と相対させることで隙を生じさせる狙いは上手く巡っている。
その様子はまるで、剣のような盾。
理は痛みを押し込めながら体勢を整え、人形への反撃に移っていった。
クロノヴェーダたる縁のみを断ち斬る一閃は、自動人形相手であっても痛みや衝撃を齎さない。対する解体少女は精神を揺さぶる波動を放ち続け、理達に対抗した。
「俺がどれだけ傷付こうが構いやしねえ。けど、彼女を傷付けることだけは絶対許さない――」
理は強い言の葉を紡ぎながら、冷静に戦場の様子を把握する。
庭園の前であるがゆえに足元が草に覆われている部分もあった。出来る限り足を取られないようにしながら、理は臨機応変に素早く動いていく。
ヨルドも我が身すら顧みず、全力の一撃を振るい続けた。
「私はルドヴィカ様をお護りするのみ」
「……そうか」
自動人形の言葉を聞き、ヨルドは頭を振った。その忠誠心たるや見上げたものだが、互いに譲れないものがあるゆえに思いは平行線を辿るだけ。相容れない相手であることを改めて知りながら、ヨルドと理は力を揮った。
「お前たちに特別恨みがあるわけじゃないけど、手加減する道理はない」
「まことも、盾になってくれる。それなら僕も――」
剣と盾は表裏一体。
ヨルドは自分達が成し遂げるべきことをしかと理解している。彼が盾となってくれるのならば、己が剣となればいい。ヨルドは敵の隙を狙い、理も其処に続いた。
「俺は何を護るべきなのか見誤ることはしない」
勇猛果敢に攻め込んでいく理は宣言を声にしていき、攻撃と同時に祈りを捧げる。
――彼女らに安息の眠りを。
理の一撃が巡った直後、自動人形の首にヨルドの大鎌が押し当てられた。刃が深く沈んだ次の瞬間、解体少女の名を持つものは真っ二つに切り裂かれた。夜の帳が下りはじめる最中、何処かから風で飛んできた花弁がひらりと舞う。
「どうか、次があるのなら、」
ヨルドは願った。その手に握るのは剣ではなく、一輪の花であることを――。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1 【悲劇感知】LV1が発生! 【平穏結界】LV1が発生! 効果2 【ロストエナジー】がLV2になった! 【ガードアップ】がLV9になった!
③👾護衛するトループス級『解体少女』
三苫・麻緒
どんなに背中を押されたとしても巨大な相手に立ち向かうのは勇気のいること
積み重ねと勇気が生んだチャンスを本命につなぐためにも、露払いにだって全力を尽くすよ!
【飛翔】で機動力を確保しつつ、解体少女たちの頭上を取りに行こう
弱った個体から攻撃して各個撃破狙い
≪氷雪使い≫で冷気を操って生み出す霰を硬く、大きいものに
一粒の威力を上げた霰を思いっきり降らせて、そのボディを≪粉砕≫してあげる!
相手の反撃はとにかく鋸剣の間合にはいらないよう注意
霰で接近を妨害しながら飛翔速度に物を言わせて逃げ回ろうかな
急に目の前に現れるようなら、いっそ加護の力で刃を受け流しながら懐に飛び込んでゼロ距離射撃を浴びせるのもいいかもね
③👾護衛するトループス級『解体少女』
ガーデニア・ラディーチェ
アドリブ、連携◎
あらあら、随分と力任せなお人形さん達ね?
力に任せて解体だなんて、ちっとも品が無いじゃない
それに、美しくないわ
ロズ、本当の美しさというものを見せてあげましょう
革命のこともあるし、すぐに終わらせるわよ
一体ずつ確実な撃破を狙うわ
華嵐を放って、敵の注意を引きつけるわよ
敵の剣は、様子をしっかり【観察】して
剣が振り下ろされる瞬間に合わせて、大鎌で受けるわ
華嵐の【連射】に合わせて、【ダンス】を踊る様に攻撃を繰り出して
【残像】も交えて、敵を【撹乱】するわ
折角の庭園も、力任せに暴れるあなた達のせいで台無しじゃない
攻撃の合間に隙を見つけたら、叩き込むわ
ロズとの【蓮撃】で、一気に片付けるの
●花は散らず
宮殿に響き渡る弦楽器の音色を頼りに向かった先。
庭園の入口に佇む影を見つけ、三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)とガーデニア・ラディーチェ(クチナシの花護り・g03839)は駆ける速度を緩めた。
「見つけた。あれが敵だね」
「あらあら、可愛いお人形さん達ね?」
小柄な影は四つ。それらがルドヴィカを守る護衛の自動人形だと気付いた二人は、素早く目配せを交わす。
共に宮殿に侵入した他のディアボロス達は二人一組になり、一体の敵を撃破する狙いらしい。偶然にも並んで駆けていた麻緒とガーデニア、そして自律型人形のロズリエル。彼女達は素早く身構え、協力する姿勢を取った。
「ルドヴィカ様のもとには行かせません」
「随分と力任せな子のようね」
対する自動人形は無表情で鋸剣を振り上げた。ガーデニアは静かに微笑み、相手が見た目に反して荒々しい方法を使うものなのだと悟る。咄嗟にロズリエルがガーデニアの前に踏み出したことで、敵の刃から生まれた風圧は受けずに済んだ。
どうやら相手は刃を振るってみせただけで、此方の出方を窺っているようだ。
「そっちから来ないなら、こっちから行くよ!」
翼を広げた麻緒は解体少女の頭上に飛び立った。その際に思うのはパルマ公国の人々のこと。
どんなに背中を押されたとしても、巨大な相手に立ち向かうのは勇気がいること。権力だけではなく恐怖という力で押さえつけられていた住民達の心は、これまで夜の底に沈んでいたようなものだろう。
しかし今、復讐者の積み重ねと人々の勇気が好機を作り出している。このチャンスを本命に繋ぐためにも、麻緒は懸命に闘うことを決めていた。たとえ露払いであったとしても全力を尽くすのみ。
「霰降りも乙女もかしましく!」
なんてね、と語って宙を舞った麻緒は魔法陣を展開した。敵の頭上から撃ち出すのは大量の霰。弾丸の如き勢いで解体少女の襲いかかる薄いミント色の霰粒は容赦なく降り注ぐ。
それと同時にガーデニアが華の嵐を巻き起こした。解体少女に向けて銃弾を放ったロズリエルに合わせ、回り込んだガーデニアが大鎌を振り下ろす。
対する自動人形は死を招く剣を豪快に振るい返した。見た目以上の力で此方を薙ぎ払おうとする勢いは恐ろしい。
「力に任せて解体だなんて、ちっとも品が無いじゃない」
されどガーデニアはすぐに身を翻し、斬撃の余波を受けるだけに留めた。せっかく綺麗な衣装なのに、と口にして解体少女を見遣ったガーデニアはロズリエルと共に花の舞う戦場を作り上げていく。
「…………」
「次も思いっきりいくからね」
無口で無感情な人形に対して麻緒は言葉を発していった。覚悟して、と告げた麻緒は更なるパラドクスを巡らせる。冷気を操って生み出す霰は一粒の威力こそ高くはないが、厚い弾幕となって相手へと襲い掛かり続けた。
降らせ続ければ威力も上がり、敵の身を大きく穿つことも可能になるだろう。
「そのボディを粉砕してあげる!」
「力に頼るだけじゃ美しくないわ。ロズ、本当の美しさというものを見せてあげましょう」
麻緒が轟かせた抉る霰が解体少女を貫いていく中、ガーデニアもロズリエルに呼び掛けた。頷いて応えた彼が再び魔銃の引鉄を引けば、六発の華麗な魔弾が対象の動きを封じていく。
「革命のこともあるし、すぐに終わらせるわよ」
ガーデニアは敵の剣の動きをしかと観察することでダメージの軽減を狙った。街の方に向かわされたルドヴィカの配下は住民を必要以上に傷付けない。とはいっても、多少の被害はあるかもしれない。
悲劇を起こさせない為にも決着は早々に付けた方がいい。
敵の剣が振り下ろされる瞬間に合わせ、ガーデニアは大鎌を大きく振り上げた。衝突する刃と刃が甲高い音を立てる。華嵐の連射に合わせ、ダンスを踊るように攻撃を繰り出していくガーデニア。
残像が見えるほどのしなやかな動きを見つめ、麻緒もより一層の気合いを入れた。見れば自分達が相手取る自動人形の動きが鈍くなっている。どうやら先程に麻緒が降らせた霰が脚部を貫き、大きな穴をあけたようだ。
「よーし、あと少しだね」
少しばかり可哀相にも思えたが相手はクロノヴェーダだ。
遠慮なく壊させて貰った方がいいと判断した麻緒は攻撃の手を更に強めた。破損しているとはいえ相手の反撃は激しく、逆説連鎖の力は間合いすら越えてくるのですべてを避けきることは出来ない。それでも麻緒は決して諦めず、飛翔しながら敵を誘導していく。
こうやって敢えて逃げ回る理由はひとつ。麻緒には頼もしい仲間がついているからだ。
「今だよ。めいっぱいお願い!」
ガーデニアを呼んだ麻緒は空中でくるりと回った。
解体少女の視線が回転する麻緒に注がれた瞬間、ガーデニアとロズリエルが打って出る。
「折角の庭園も、力任せに暴れるあなた達のせいで台無しになりそうだったわ。ルドヴィカ様とやらの大事な場所を荒らさなくて済んでよかったわね?」
復讐者達が相手取ることで庭園は無事なまま。ガーデニア達は華の嵐の中を駆け抜け、見事な連撃で以て少女人形を貫いた。其処へ飛び込んだ麻緒は魔法陣を描き、敵の目の前から霰を解き放つ。
「――これで終わり!」
零距離からの霰弾丸の雨は淡い色を広げながら、解体少女に終幕を齎した。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1 【飛翔】がLV3になった! 【完全視界】がLV4になった! 効果2 【ダメージアップ】がLV8になった! 【ロストエナジー】がLV3になった!
③👾護衛するトループス級『解体少女』
アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎
善き人々が立ち上がった今、遅れを取るわけにはいきません。
私も役目を果たすとしましょう。
なるべく最短距離で駆け抜けたい
火炎燐を投擲し【爆破】、爆炎による撹乱を行いながら前進
<燻る軌跡>を発動し敵の意識の外から【不意打ち】
こちらを狙っている相手には距離を取って槍刃で撃ち抜き
気づいていない者には即座に接近し剣刃で斬り捨て仕留めます
隙を見せた者は片端から落として行きますよ
反撃は【エアライド】での跳躍や剣刃、槍刃と【念動力】を併用し受け流して回避
直接斬られないように注意しておきましょう
有象無象がどれだけ出てこようと無駄な事。
一切葬ってあげるわ。
③👾護衛するトループス級『解体少女』
アンゼリカ・レンブラント
連携、アドリブ歓迎
ここに生きる人達が
未来に進む意志を心に立ち上がった
さぁ明日への道はまだまだここから
拓いていくよ!
完全視界で敵位置・動きなどを確認して
仲間と仕掛けるタイミングを合わせ敵陣に突入するっ
飛翔での最高速度で近づき、パラドクスの近接戦を挑むよ
1体1体確実に撃破していくね!
大型武器の間合いの内側に入り込み、
グラップルの技量や怪力無双を生かし肉弾戦で大立ち回りだ
その際は囲まれないよう位置取り、
一度に多くの攻撃を受けないように
時にフェイント攻撃やエアライドのジャンプで攪乱に努め、
仲間に必殺の攻撃を当ててもらう等臨機応変に動くね
消耗の激しい敵個体を狙い、
呼吸を整えた《光獅子闘拳》で粉砕だよっ!
●刃と拳
今、時代は変わりはじめている。
歴史侵略者が捻じ曲げた状況を変えるべく、善き人々が立ち上がった。
パルマ公国の住民は未来に進む意志を心に抱き、現在も蜂起という戦いの最中にいる。
アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)とアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)は自分達が繋げることが出来た思いを確かめ、共に宮殿の奥に進んでいた。
「後れを取るわけにはいきません。私達も役目を果たすとしましょう」
「さぁ明日への道はまだまだここから。拓いていくよ!」
歌と舞台で伝えた思いはディアボロスとしての原動力になっている。なるべく最短距離で駆け抜けたいと願ったアイネリスの思いの通り、門付近を阻んでいた淫魔は他の仲間が相手取ってくれていた。
アンゼリカ達が辿り着いたのは庭園の前。
其処には出入り口を塞ぐように四体の自動人形が立ち塞がっている。既に解体少女に向かっている仲間もいた。自分達も一体をしかと相手取るべきだと察し、二人は頷きあう。
「私達はあの個体の相手をしましょうか」
「うん、行こう!」
アイネリスはアンゼリカに呼び掛け、火炎燐を投擲した。其処から生まれた爆炎によって撹乱を狙った彼女は、駆ける勢いのまま一気に前進する。
発動、燻る軌跡。敵の目を引きつけた所へ、視界の外から飛来する槍刃を解き放つ。
撃ち貫く一閃は見事に不意打ちとなり、解体少女の片腕に大きな衝撃を与えた。それによって人形の体勢が大きく揺らいだが、相手は無表情のままで敵意を向けてくる。
「排除します」
「そうはならないよ。排除するのはこっちの方だから!」
アンゼリカはアイネリスが行うことを知っていたので、完全視界の力を巡らせていた。爆炎の中を駆け抜けたアンゼリカは敵の位置と動きを把握している。
言い放つと同時に飛翔したアンゼリカは拳を包む手甲を大きく掲げた。戦姫闘拳から生み出された黄金獅子のオーラを帯びたアンゼリカは一気に打撃を叩き込む。
自分達の役目はこの一体を確実に撃破すること。そうすれば先程から聞こえてきていたルドヴィカの演奏が終わる前に庭園内に飛び込めるはずだ。しかし、対する解体少女も高速の振動剣を振るってきた。
「……排除」
腕を壊されていても尚、自動人形は鋸剣の刃を鋭く振り下ろす。アイネリスは一気に距離を取ることで直撃を避け、槍刃で以て撃ち抜き返していった。
敵の刃で弾かれても、即座にアンゼリカが間合いの内側に入り込んでいく。
「零距離からの攻撃、受け止めきれるかな?」
アンゼリカは持ち前のグラップルの技量を活かし、怪力無双の連撃を繰り出していった。相手がどれほど巨大な得物を持っていたとしても得意の肉弾戦で大立ち回りしてやればいい。
幸いにも他の個体は別のディアボロス達が抑えてくれている。絶対に囲まれない状況に戦い易さを感じたアンゼリカは次々と拳を突き放った。
「排、除……を……」
解体少女は表情を変えぬまま同じ言葉を繰り返している。
ただ愚直なまでにルドヴィカを守る意思だけは伝わってきていた。愛らしい見た目に反して強い力を持つ自動人形を見据え、アイネリスは頭を振る。どれほどの忠誠心を抱いていようとも相手は倒すべき存在。容赦も遠慮も不要だ。アンゼリカが相手の注意を引いてくれている間にアイネリスは次の一手に入った。
「斬り捨ててあげるわ」
アイネリスは即座に接近していき、剣刃で自動人形の腹部を狙う。斬り捨てて仕留めることだけがこの先に進むための手段だ。崩れそうな腕を支えながらも自動人形はアイネリスに反撃を放とうとしている。だが、彼女はエアライドの力を使って高く跳躍した。剣刃と槍刃に念動力を併用していき、受け流したアイネリスの傷は未だ浅い。
「今がチャンスだね。やろう!」
「隙を見せたら終わり。片端から落として行きますよ」
アンゼリカはアイネリスを追う解体少女に拳を向け、終わりへの合図を送った。頷いたアイネリスは更に槍刃を構え、跳躍してきたアンゼリカとタイミングを合わせに掛かる。
不規則なジャンプで相手を撹乱したアンゼリカは、アイネリスとは反対方向に移動した。
「……!?」
自動人形が危機を察して絶句したが、時すでに遅し。
「有象無象がどれだけ抗おうとも無駄な事。一切葬ってあげるわ」
「さぁ受けてみろ、黄金獅子の一撃をっ!」
アイネリスが剣刃の斬撃を叩き込み、呼吸を整えたアンゼリカが光獅子闘拳を抉り込むように放った。物凄い勢いで斬り捨てられ、粉砕された解体少女は断末魔すら残さずに崩れ落ちる。
「やったね、私達の勝利!」
「まだ気は抜けませんが、これで後はルドヴィカに挑むだけですね」
庭園の奥から響いている音色にはまだ続きがあるようだが、曲の終わりも近いらしい。アンゼリカとアイネリスは庭園の出入り口を見据え、此処から続いてゆく戦いへの思いを抱いた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【士気高揚】がLV8になった! 【怪力無双】LV1が発生! 効果2 【ダメージアップ】がLV10(最大)になった!
③👾護衛するトループス級『解体少女』
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎
完全視界で見通す
聴こえるか、革命の音色が
地を揺るがすほどの民の歌が響かないのなら
もう一曲、聴いて頂こうか
ああ、民衆が歌っているんだ
俺も、音楽家として戦おうじゃないか
戦場を偵察、観察、隙や攻撃動作を看破
泥濘の地を発動、人形達の連携を阻害しつつ
チェロで革命歌を演奏し、パラドクス攻撃
軽やかに、高らかに解放の歓喜を弦の調べで謳おう
躍動と、高揚と、疾走感のままに
喚び出す英雄達は、民衆の姿
誰もが革命の英雄になれる夜
さあ、戦おう、打ち果たそう
夜を、縛めを、闇を
夜明けが訪れるまで、歌い続けよう
敵群の動きを封じ討つ
強運の加護を共に
反撃の波動は魔力障壁の結界術で相殺し、剣はエアライドで跳び避ける
③👾護衛するトループス級『解体少女』
セレスティア・リュミエール
他の方との絡み、アドリブOKです
宮殿道中の淫魔達は他の仲間たちにお任せして、私は庭園へ向かい解体少女への対応
さすがに本陣、数は少なくとも錬度はありますね
この先にルドヴィカが……貴方達が自動人形ね
貴方達に構っている暇はないの。押し通らせて頂きます
パラドクスで召喚したヴェルソーの力で水流を作り出し敵を拘束しつつ攻撃をします
ヴェルソー、お願い、敵を押し流して!
流せなくとも動きを阻害して味方の攻撃が当たりやすい様にできたら……!
攻撃は杖で防御、鋸剣で削られるでしょうけど何とか受け流して
基本は味方のサポートをメインに動き、攻撃を受けそうならヴェルソーで拘束
さあ、希望を齎す革命へと突き進みましょう
●響け、この声
聴こえるか、革命の音色が。
地を揺るがすほどの民の歌が響かないのならば、もう一曲。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は宮殿内に響く、弦楽器の音色に耳を澄ませた。ルドヴィカが奏でているであろう音楽も美しいものだが、個人的に好ましいのはパルマの人々が謳う革命の歌の方だ。
「聴いて頂こうか、あの意志の歌を」
「この先にルドヴィカが……貴方達が自動人形ね」
エトヴァに続き、セレスティア・リュミエール(碧月のソルシエル・g05430)も宮殿の奥を目指していた。見据えた先には幾つかの影があり、この先には通すまいと示すように佇んでいる。
此処までの道中に現れた淫魔達は他の仲間に任せた。彼や彼女達のお陰で、エトヴァやセレスティアは庭園への道に進めていた。此方を迎え撃ったのは四体の自動人形達。既に他の仲間が三体の人形に向かっており、エトヴァとセレスティアは四体目を相手取ることになった。
「ルドヴィカ様はどなたとも会うことはありません。どうかお引取りください」
解体少女は丁寧な口調で語り掛けてきたが、その手に持っている鋸剣の先はディアボロスに向けられている。相手はトループス級とはいえルドヴィカの護衛を担うもの。油断も慢心も禁物だと感じたエトヴァは気を引き締めた。
「ああ、民衆が歌っているんだ。俺も、音楽家として戦おうじゃないか」
「さすがに本陣、数は少なくとも錬度はありますね」
セレスティアも剣の構え方から敵の実力を知り、警戒を強めながら詠唱を紡ぐ。
――来たれ、天の雨齎す、秀麗なる水神。逆巻く水流を呼び起こし、大海の如く、飲み込んで。
彼女の声に応えた水神の名はヴェルソー。
「貴方に長く構っている暇はないの。押し通らせて頂きます」
召喚した水神に攻撃を願い、セレスティアは解体少女を真っ直ぐに見つめた。
水瓶から大地に零れ落ちた聖なる雫は穏やかに揺蕩う水面を生み出す。其処から突如、螺旋の水流が巻き起こった。示した対象を飲み込まんとする水流は容赦がない。
対する自動人形は大海の如き水を刃で掻き分け、反撃に入ろうとしてきた。
其処へすかさずエトヴァがパラドクスを巡らせる。
彼は到着してから今までの間に、戦場となった庭園前を観察しており、相手の隙や攻撃動作を看破しようと試みていた。泥濘の地の力を発動させることで人形達の連携を阻害したエトヴァは、チェロで革命歌を演奏する。
雄々しき楽曲によって幻影の英雄を創造したエトヴァは、敵への攻撃を開始した。
「しかと聴くと良い」
軽やかに、高らかに。支配からの解放に向かう歓喜の歌を弦の調べで謳う。
エトヴァが感じた心の躍動と高揚。そして、此処まで駆け抜けてきたディアボロスの疾走感のままに奏でる音。
喚び出す英雄達は民衆の姿。
そう、今宵は誰もが革命の英雄になれる夜だ。
「さあ、戦おう、打ち果たそう」
夜を、縛めを、闇を。
夜明けが訪れるまで、歌い続けよう。
エトヴァは民衆の姿の幻影を戦わせていく。自動人形に薙ぎ払われても立ち向かう民衆の姿を英雄と認めたエトヴァは、心の赴くままに演奏を続けていった。
その間にセレスティアが更なる力を巡らせ、解体少女を穿っていく。
「ヴェルソー、お願い、敵を押し流して!」
たとえ幻影といえども民衆に刃が振るわれる前に自動人形を倒したい。セレスティアの思いを受けたヴェルソーは水流を作り出し、絶え間ない攻撃を巡らせた。
無論、エトヴァが巡らせた民衆の幻影と共に戦える心強さもある。
セレスティアは水流に逆らってくる人形から視線を離さず、その刃をしかと杖で受け止めた。たとえ流せなくとも動きを阻害する力はある。エトヴァや味方の攻撃が当たりやすくなるよう自ら立ち回ったセレスティアは防御に徹した。
鋸剣で削られる前に杖を逸し、身を翻す。
ヴェルソーが幾度も放ってくれる水流。それは穏やかなれど、時に暴虐を尽くす大海の如く迸った。
「排除しま、す
……!?」
不意に解体少女の足が水流に取られる。
敵の動きを封じようと狙っていたエトヴァはそのことに気付き、一気に畳み掛けるべきだと判断した。もはや鋸剣を持つことすらままならない相手を捉え、エトヴァは旋律を奏でる。
「加護を共に――」
反撃の波動を魔力障壁で受け止めたエトヴァはエアライドの力で跳んだ。其処へセレスティアが放ったヴェルソーの水撃が轟いていき、最後の解体少女を打ち倒した。
他の三体もほぼ同時に撃破されており、これで庭園への道は完全にひらけた。
エトヴァとセレスティアは頷きを交わし、他の仲間達とも視線を重ねる。そうして、セレスティアは呼び掛けていく。
「さあ、希望を齎す革命へと突き進みましょう!」
その声は凛と響き渡り、次なる戦いへ皆を導く標となっていった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【プラチナチケット】LV1が発生! 【水源】LV1が発生! 効果2 【ラストリベンジ】がLV4になった!
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●夜奏のルドヴィカ
コロルノ宮殿内、鳥籠の檻が並ぶ庭園。
夕暮れ特有の橙色の空は薄れ、空の色は夜の闇に包まれはじめていた。
一番星が輝き、薄い月の光が庭園を照らしている。淫魔達を屠り、庭園の出入り口を守る護衛人形を倒したディアボロス達は庭園内に足を踏み入れていた。
其処にはこれまで静かな音色が奏でられていた。弦楽器から響いていた音は一曲分だけ紡がれた後、ぴたりと止んだ。
「このパルマを支配できるのは私だけ。誰にも渡さないわ。絶対に……」
演奏を止め、顔をあげたのは夜奏のルドヴィカ。
深い金の瞳をディアボロス達に向けた彼女は、言葉とは裏腹に微笑みを浮かべていた。
弦から弓を離したルドヴィカは既に配下達が倒されたことを知っている。それでいて尚、敢えて演奏を続けていた彼女はディアボロスの到来に驚いてはいなかった。
「民衆を焚き付け、一斉蜂起させて……一体何が目的か――なんてことは問わなくても分かるわ」
ルドヴィカは内心では焦っているのだろう。だが、それを敢えて表に出さないのはプライドがあるからだ。此方を歓迎はしていない様子だが、言葉を交わす余裕はあるらしい。
「それで、私をどうしたいのかしら。無惨に殺すの? 私が民衆に行った処刑のように、無慈悲に? 貴方達が私の大切な下僕にしたように、無遠慮に?」
言葉に少しばかりの挑発も混じっているが、それは戦いの気配を感じ取っているからこそ。ひとたび攻撃を仕掛ければルドヴィカはすぐさま応戦する。
もし彼女から何かを探りたいのならば、問いかける者だけは攻撃の手を止めるべきだろう。
攻撃を行いながら何かを問い掛けても答えてくれなくなるだけ。友好的に語り掛けたとしても、まともに答えてくれるかどうかは不明だが――何か目的があるのならば問う価値はある。
さりとて、夜奏のルドヴィカは倒すべき歴史侵略者だ。
どのような返答や問答があったとしても撃破することが最終目的。彼女を生かしておくことは、パルマ公国が深い闇に覆われたままの未来が続くことを意味しているからだ。
幸いにもルドヴィカが持っていた民衆から力を吸い取る強化能力は無効化されている。
相手はジェネラル級ではあるが、それによって少しは戦いやすくなっているはずだ。ルドヴィカもそのことを理解しているが、敵に弱みを見せまいとしている。
「いいわ、好きにしなさい。ただし私も全力で抵抗させて頂くわ」
ルドヴィカは再び弦楽器を奏でる構えを取った。このままにしておけばパルマの夜明けを閉ざしていくが如く、甘美なる悪夢の旋律が響き渡るのだろう。
夜奏の調べはこれ以上、奏でさせてはならない。
この戦いで何を問い、何を志し、何を手にするのか。それは戦いに挑む復讐者達の選択と意志次第。
そうして此処から、パルマの明日と夜明けを勝ち取る為の戦いが巡っていく。
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①淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』との会話
ベアストリア・ヴァイゼンホルン
僕は髪を翻しながら静かに降り立ち、カーテシーをしながら名乗り、跪いて首を垂れ、彼女に対して最大級の敬意を示すわね。
初めまして……閣下……良いヴァイオリンをお持ちで……。
と、軽く挨拶を済ませ、先ず聞きたいことを一つ。
パルマ公は……今でもお元気……でしょうか……?
これは最優先事項ではないけれども、安否確認の為にね?
次からが本題よ……。
王とは……考えや利害が一致していないようですが……。
『何か』が……関係しているのでは……ございませんか……?
その『何か』を利用し……本当の『革命』を成そうとお考えなのでは……?
と、スッと顔を上げて彼女の目を見るようにして質問させてもらうわね。
【アドリブ・連携歓迎】
①淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』との会話
ソレイユ・クラーヴィア
アドリブ歓迎
先の戦闘で乱れた身なりを軽く整え
普段は結んでいる金髪も解き
櫛を当てておきましょう
はじめましてルドヴィカ
戦いの前に戯言を一つ
良ければお付き合いください
貴方が淫魔でありながら大陸軍に加担するのは何故ですか?
ナポレオンの皇后とはいえ
堕落によるエネルギーの搾取を好む淫魔が処刑を主導するなど愉快な仕事では無かったのでは?
その結果がこの始末です
ナポレオンに何か言ってやりたい事の一つでもあるのではないでしょうか
以前私は、断片の王の座を狙う淫魔ロベスピエールという者と邂逅しました
貴方は淫魔が断片の王を目指すと聞いたら、大陸軍から鞍替えしていましたか?
ナポレオンとは一体何者なのか
一旦を掴めるなら幸い
①淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』との会話
セレスティア・リュミエール
アドリブ、他の方との絡みOKです
革命裁判、私から家族を奪った、忌まわしい物
私はディアボロスとなって抜け出せたけれど、お父様とお母様は……!
……怒りと憎しみはあるけれど、今は情報が大事ね
長い髪を靡かせて、優雅にご挨拶を
御機嫌よう。パルマ女公、ルドヴィカ様?素敵な音色を奏でますのね
聞きたいことがあるのですが、よろしいかしら
パリにあるオベリスク……あれの力の送り先は1793年?
それとカタコンブの人骨、掘り出しているようだけれど……自動人形の素材に?
自動人形に従属し、財貨やエネルギーを上納しているようだけれど不満はないのですか?
知っているとも限らない
確固たる答えは出ないでしょうけど、絞りこみぐらいは
①淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』との会話
アンゼリカ・レンブラント
連携アドリブ歓迎
歌う時にいつも以上に美しくセットした髪
戦闘で一度乱れた髪を直しお会いするよ
スカートの裾を持ち一礼
こんにちはルドヴィカさん
美しい音色だね
平和な世界で
こんな旋律に合わせ舞うことが
出来たら良かったのだけど
貴女は自分をどうしたいかと問うたが
私もどうしたいかに気になる、断片の王ナポレオンがね
私達がドイツで交戦した淫魔に王の加護はないようだった
貴女の窮地にも王は何をしているのか――
淫魔の立場を浮き彫りにするよう現状を示し
反応を窺う
例えばロベスピエールのような
同じ種の断片の王が現れたなら
貴女の雌伏は終わりを迎えるのでしょうか
否、もしかして
既に貴女はナポレオンに背く準備をしているのでしょうか?
●会話の始まり
夜風が吹き抜け、庭園の草木が大きく揺れた。
葉が重なり合って擦れ合う音はざわめきのような響きとなり、空に浮かぶ暗雲は宮殿に深い影を落とす。
「何か聞きたそうな顔をしているわね」
夜奏のルドヴィカはディアボロス達から向けられている視線の意図を察知する。敵意を送っているにもかかわらず、誰も攻撃を仕掛けて来ないからだ。
身構えてはいても、敢えて事が動くことを待っているディアボロスもいる。
「いいわ、特別に答えてあげましょう。ただし質問していいのは私が気に入った子だけよ。こんな状況なんだもの、これくらいの選り好みはいいでしょう?」
ルドヴィカは自分が囲まれている状況を示し、薄く笑んでみせた。
その視線はまるで品定めをするようなものだ。そうして、ルドヴィカは四人の復讐者を指差した。
「まずは貴方と貴方。他の子も捨て難いけれど、後はそちらの二人ね」
最初に指差されたのはセレスティア・リュミエール(碧月のソルシエル・g05430)とアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)。次に選ばれたのはベアストリア・ヴァイゼンホルン(復讐者は狂気を纏うのか?・g04239)とソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)だ。
誰もが長い髪であるか、美しく整えられた髪をした者だった。他にも気に入られる条件が整っていた者もいたが、ルドヴィカの好みに合致した中の四名が選ばれたようだ。
セレスティアはまず一礼しながら、一歩前に踏み出す。
ルドヴィカが執り行っていた革命裁判はセレスティアから家族を奪った忌まわしいもの。
(「私はこうして助かったけれど、お父様とお母様は
……!」)
怒りと憎しみは消えていないが、セレスティアは自分の感情を抑えた。長い髪を靡かせた彼女は、相手の弦楽器に目を向けながら挨拶の言葉を紡ぐ。
「御機嫌よう。パルマ女公、ルドヴィカ様? 素敵な音色を奏でますのね」
「こんにちはルドヴィカさん。美しい音色だったね」
平和な世界で、先程のような旋律に合わせて舞うことが出来たら良かったのだけど。
そう語ったアンゼリカがスカートの裾を持って礼をすると、ベアストリアも同じくカーテシーの振る舞いをした。そのまま跪いて首を垂れたベアストリアは最大級の敬意を示す。
「初めまして……閣下……良いヴァイオリンをお持ちで……」
「はじめましてルドヴィカ。ご指名ありがとうございます。戦いの前に戯言をひとつ、良ければお付き合いください」
ソレイユも先の戦闘で乱れた身なりを整えており、普段は結んでいる金髪を解いていた。
四名それぞれの所作を見つめたルドヴィカは満足そうに笑む。誰もが礼儀正しく好ましい者であり、自分の見立ては正しかったと思っているようだ。
「何でも聞きなさい。答えられるとは限らないけどね?」
周囲のディアボロスは会話が終わるまで手を出さないように心掛けている。そのことにも気分を良くしたらしいルドヴィカは金の双眸を細めた。
こうして其処から、ディアボロスと淫魔宰相の会話が始まっていく。
●オベリスクと1793年
まず疑問を投げかけたのはセレスティアだ。
「パリにあるオベリスク……あれの力の送り先は1793年? それからカタコンブの人骨を掘り出しているようだけれど……自動人形の素材にしているのでしょうか」
セレスティアの問いかけをじっと聞いているルドヴィカ。
少しばかり考えているらしいルドヴィカが何も言わないので、セレスティアは更なる質問を言葉にした。
「自動人形に従属し、財貨やエネルギーを上納しているようだけれど不満はないのですか?」
「根本的に逆なのよね」
「逆と言うと……?」
「勘違いしているようだから教えてあげるわ」
ルドヴィカはセレスティアを見つめ返し、首を横に振った。そして、彼女は語っていく。
「このディヴィジョンの資材も一般人も、全て断片の王の所有物よ。だから上納などではなくて、私達の仕事に対して正当な対価を貰っている……と言えばわかりやすいかしら。断片の王のモノである一般人からエネルギーを搾り取る仕事をして、対価として、その一部を報酬としているの」
「対価を貰っているから不満はない、ということですか」
「人間の社会と、そうは違わないと思わない? 嫌いな上役がいても正当な報酬があれば働くでしょう?」
語られたことに対してセレスティアが確認する。
ルドヴィカはどうやら全部の質問に答えるつもりはなく、気になった部分だけに答えるようだ。
「人骨がどうかなんてことよりも……パリのオベリスクが1793年に力を送っているですって? 面白い事を言うのね」
「違うのですか?」
セレスティアが更なる疑問を抱くと、ルドヴィカは意味深な雰囲気で口元を緩めた。
「アレは、1793年の力を使って、このディヴィジョンを強化する為のものよ」
「それはどういう――」
「貴女の質問に答えるのはここまで。嘘はついていないけれど、すべて正直に答えるのもつまらないでしょう」
「……はい」
ルドヴィカに制されたことでセレスティアは素直に頷いた。もし自分がルドヴィカの機嫌を損ねてしまったら他の三人の質問が無辜にされてしまうかもしれないと考えたからだ。
少なくとも断片の王と配下の在り方についてはわかった。また、想像とは逆ではあったが、それによってオベリスクと1793年の関係性について確かめられたので収穫としては上々だ。
●断片の王とクロノヴェーダ
次はベアストリアがルドヴィカの前に踏み出す。
「パルマ公は……今でもお元気……でしょうか……?」
「あら、それを聞いてどうするのかしら」
「いえ……」
ルドヴィカはベアストリアに対して不思議そうな視線を向けた。しかし、これは最優先事項の質問ではない。安否確認の為と挨拶代わりの問い掛けであり、次からがベアストリアが聞きたいことの本題だ。
「閣下は断片の王とは……考えや利害が一致していないようですが……。『何か』が……関係しているのでは……ございませんか……? その『何か』を利用し……本当の『革命』を成そうとお考えなのでは……?」
ベアストリアは顔を上げ、ルドヴィカの目を見つめた。
そこに返ってきた答えは――。
「クロノヴェーダにとって断片の王は本当に特別なものよ。たとえ心が服従しきっていなくてもね。だから、断片の王の命令は絶対に聞くけれど、考えや利害が違うのは当然だわ」
「なるほど……」
「何かや革命だなんて聞かれても、答えられることはないわね。でも、そうね……ひとつ言えるとしたら――ナポレオンが断片の王の戦いに勝ち抜いたとしても、私の立場は『降伏して配下になったジェネラル級』のまま。『自動人形のジェネラル級』に比べて一段、落ちる地位なの。だけどね、これも悪い事ではないのよ」
「一段……落ちていても……?」
「ええ。もしナポレオンを打倒する断片の王が現れたら、容易に鞍替えできるということ。誰が王でも、私は『降伏して配下になったジェネラル級』という立場は変わらないのだから。そうでしょう?」
「あなたは……断片の王には必ず従う……。しかし……王がナポレオンでなくとも……構わない……」
「そういうことね」
ベアストリアが総合した言葉に対して、ルドヴィカは頷いてみせた。
その会話を聞いていたソレイユとアンゼリカは、今こそナポレオンについて聞いてみる時だと察する。それと同時に、ソレイユは自分が聞こうと思っていた問い掛けの答えが出たと感じていた。
「貴方が淫魔でありながら大陸軍に加担するのは、降伏したからなのですね。自身で認めた上下関係があるから逆らわない……いえ、逆らえないのでしょう。しかし、ナポレオンしか王と認めないわけではないということですか」
ソレイユが断定する形で語ると、ルドヴィカは頷く。
「理解が早くて助かるわ」
ルドヴィカはナポレオンの皇后にあたる位置にいるとはいえ、大前提としてある種族間の地位の差は覆せないようだ。
ソレイユはルドヴィカは見据え、純粋な疑問をぶつけた。
「では、これまでのことは愉快な仕事では無かったのでは? その結果がこの始末ですから」
「宰相ともなると愉快なことばかりではやっていけないわね」
「それならば、ナポレオンに何か言ってやりたい事のひとつでもあるのではないでしょうか」
「ふふ。それよりも私は今、あなた達にこそ言ってやりたい事がたくさんあるわ。パリの革命裁判所を放棄せざるを得ない状況を作り出したディアボロスに、ね?」
ルドヴィカは笑っているが、その視線は鋭い。
返答の意味を察したソレイユはそれ以上は何も言わず、わかりました、とだけ答えた。
その話を聞いていたディアボロスは語られた情報を確かめていく。
(「ルドヴィカはナポレオンに背く準備をしていたわけじゃなかった……ということだね」)
アンゼリカはそのように判断した。
どんな思想を持つかは自由だが、王が下した命令には逆らえないという条件があるのだろう。
また、ルドヴィカの話に、断片の王と同族のジェネラル級は忠誠度や地位が高めになるようだ。
それを踏まえてアンゼリカは問う。
「貴女は自分をどうしたいかと言ったけれど、私もどうしたいかに気になってたよ。貴女じゃなくて、断片の王ナポレオンがね。私達がドイツで交戦した淫魔に王の加護はないようだった。貴女の窮地にも王は何をしているのか――」
「それは私も知りたいところね」
アンゼリカは現状を示したが、ルドヴィカの反応は冷めたものだった。何かを隠しているのか、それとも本当にそう思っているのか。その真意は知れず、それ以上はナポレオンについて聞き出すことが出来なかった。
だが、アンゼリカは別の切り口を見つけている。
ルドヴィカは、たとえナポレオンが敗れても、新たな断片の王に仕えれば良いと思っている。
それならば――。
●ロベスピエールについて
「例えばロベスピエールのような同じ種の断片の王が現れたなら、貴女の雌伏は終わりを迎えるのでしょうか」
「あのマクシミリアン・ロベスピエールのこと?」
アンゼリカが問いかけると、ルドヴィカは意外な反応を見せた。
何故か含み笑いをしたルドヴィカ。その様子を見たソレイユは何か聞き出せるかもしれないと判断する。
「以前私は、断片の王の座を狙う淫魔ロベスピエールという者と邂逅しました。貴方は淫魔が断片の王を目指すと聞いたら、大陸軍から鞍替えしていましたか?」
ソレイユが更に問いかけたことでルドヴィカは笑い出す。
何かが面白いから笑っているのではなく、嘲笑混じりの笑い方だ。
「ロベスピエールと会ったのね。ふふ、ここでその名前を聞くなんて……。あの男、まだ生きながらえていたの。もうとっくに退場したかと思っていたわ」
「あの、そう思うのはどうしてですか?」
あまりにもルドヴィカがおかしそうに笑うので、気になったセレスティアが問い掛けてみた。
「あの男にも思想の自由は許されているわ。でも、ロベスピエールとナポレオンでは格が違いすぎるの。だから私も含めて、多くの淫魔がナポレオンに従った。今更ロベスピエールに鞍替えなんてありえないわね」
「格が違うって、そんなに?」
「ロベスピエールは……その程度の小物……?」
驚くアンゼリカの隣でベアストリアも首を傾げた。
「ええ。今もあちらに配下として残っているのはロベスピエールを妄信している者くらいよ」
ルドヴィカから語られたのは、ロベスピエールが大物にはなれない器だと思われているということ。思想は自由だということが全てだろうか。少なくともルドヴィカがロベスピエールを重要視していない事実はわかった。
「成程、強き者に従う方が賢いという判断ですか」
「それが貴女の思想なのですね」
ソレイユは納得した様子で語り、セレスティアもルドヴィカがあのように笑った理由を悟る。
やや意外な話もあったが、これでルドヴィカの考えや一部の情報は手に入った。
●敵対の意思
やがて、ルドヴィカが静かに言い放つ。
「そろそろ終わりにしましょう。随分と答えてあげたのだから、感謝くらいはして欲しいわね」
彼女は微笑んでいたが、先程からずっと瞳の奥に敵意を宿し続けている。
その証拠に、次に語られた声には棘があった。
「それにしても1793年を知っているということは――あの時代にも往来できるなら、あなた達は脅威だわ」
語られた通り、此方を排除すべき敵だと認識しているのだろう。
改めて弦楽器を構えたルドヴィカは復讐者達に強い眼差しを向けてくる。
「残念ね。あなた達がディアボロスでなくクロノヴェーダであるのならば良かったのに。そうしたら私は、あなた達にとっての断片の王に鞍替えしてあげたのに」
言葉とは裏腹に害意を向けてくるルドヴィカ。これまでのやりとりで彼女の物言いや考え方は理解できている。
今の言葉は完全なる拒絶だ。
クロノヴェーダとディアボロスは共存などできないという意味だろう。復讐者側もそのことを悟っていた。相手はディアボロスにも特定の断片の王がいると思っているようだが、其処に口を挟む者は誰もいなかった。
そして、ルドヴィカは身構える。
「後は決着を付けるだけかしら。話している間に私にも戦い抜く覚悟が出来たし――さぁ、かかってらっしゃい」
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⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
シル・ウィンディア
パルマを開放するために…
無駄に散る命を生み出さないためにも…
ルドヴィカ、あなたに死を届けに来たよ。
わたしから交わす言葉は、これだけ
ここから先は、言葉はいらないから…
それじゃ、パルマの夜明けを得るために、、一筋の光を生み出す戦いを始めようかっ!!
生命力を吸収されても、心に勇気をもって…
ルーチェ・ソラーレを歌って対抗するよ
そんなものじゃ、わたし達の光を閉ざすことはできないからっ!
小手先技が通用するとは思わないから、一撃を入れるために…
ルドヴィカの周りを、残像を生み出して走って攪乱しつつ高速詠唱。
一瞬の隙を逃さずに…
タイミングを見て、迷わずにっ!
全力魔法の六芒星精霊収束砲だっ!
夜を撃ち抜く光をっ!!
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します
皆が聞きたいことを聞き終わるまで攻撃はしないでおくわね!
聞きたいことは聞き終わったみたいね!
それじゃ、ディアボロスライブ本番を始めましょ!
「レゾネイト」からの【誘導弾】で牽制しつつ、隙を作っていくわよ!
周りが暗闇になっても、「レゾネイト」から【勝利の凱歌】を歌って生命力吸収に対抗するわ!
どれだけ奪い取られても諦めない!
それがアタシ達、ディアボロスよ!
一撃を入れる隙が出来たら、【全力魔法】の【熱狂と湧然の四元光芒!】で幕引きにしてあげる!
さぁ、此処がアナタのラストステージ!
アタシが言いたいことは一つだけ!
アナタを倒して、今こそ自由なきパルマに光をもたらしてみせるわ!
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
珠洲代・ユウ
※アドリブ・連携歓迎です
・心情
革命裁判も、そこで殺された人を使った実験・儀式も許せないよ!
必ずここでルドヴィカを倒さなくちゃ!
・行動
会話が終わるまでは戦闘は控えておくよ。
戦闘が始まったらまずはルドヴィカの動きを観察。癖があるのであれば、一緒に戦う仲間にも共有するよ。
暗闇の中でも慌てずに行動。【完全視界】の効果があるからルドヴィカの姿は見通せるはず。
これまでの淫魔との戦いの経験やさっきの観察から、ルドヴィカの動きを計算して隙を見つけるの。
そうして見つけた隙に、ガジェットウェポンによる一撃を撃ちこむ!
少ない攻撃の機会を確実に活かすよ!
あなたの支配する夜はもう終わり!
パルマは夜明けを迎えるんだから!
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
白水・蛍
アドリプ/連携○
さて、いい加減終わらせましょう。
このような、音楽を人々を傷つける為に使うなど言語道断!
この手であなたを倒します。
目の前が暗くなろうとも【完全視界】があれば問題ありません。
音楽とは、音楽家とは、人々を楽しませるための歌を綴り、寿ぎを紡ぐ者。
それはまさしく人々の為。
――皆様と描く未来への希望。言の葉にて綴りましょう。その一端を此処に!
音楽は、人々の心を奮い立たせるため、人々が楽しむための物。
この手で、この声で紡ぐのは凱歌。
人々を勇気づける為のもの。
私は、私達は未来を見るのです。平和な、希望に満ち溢れた未来を!
そこにあなたはいりませんわ!
●響く凱歌と始まりの音
「聞きたいことは聞き終わったみたいね!」
ルドヴィカと仲間の会話が終わった後、ソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)は真っ直ぐな眼差しを標的に向けた。白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)も先程にルドヴィカが呟いた言葉を拾い、静かに頷く。
「さて、いい加減終わらせましょう」
「革命裁判も、そこで殺された人を使うことも許せないよ!」
ソラと蛍に続き、珠洲代・ユウ(今を映す琥珀・g03805)も思いを言葉にした。
必ずここでルドヴィカを倒す。
そうしなければいけないと心に決めたユウは強い思いを抱き続けていた。淫魔宰相の地位を持つジェネラル級を倒せば、この時代の情勢も変わっていくはずだ。
その近くにはシル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)の姿もある。
彼女達は他の仲間と共に会話の終幕を待っていた者達だ。
戦いの最中であっても質問者が手を止めれば、ルドヴィカは何かしらの返答をしてくれただろう。しかし、敢えて全員が攻撃を行わなかったのは人としての礼儀を重んじていたからでもある。
ルドヴィカもその気遣いを理解していたらしく、ディアボロスに対してそれなりのことを答えてくれた。
しかし、こうして戦いが始まった以上は互いに手加減や容赦は出来ない。ディアボロスとクロノヴェーダという間柄であるならば、最後は戦いで決着を付けることが運命付けられているようなもの。
シルは地を踏み締め、強い言葉を投げ掛けていく。
「パルマを開放するために……無駄に散る命を生み出さないためにも……ルドヴィカ、あなたに死を届けに来たよ」
「このような音楽を、人々を傷つける為に使うなど言語道断! この手であなたを倒します」
「それじゃ、ディアボロスライブ本番を始めましょ!」
シルがはっきりと言葉を発した直後、蛍とソラも思い思いの声を紡いだ。
対するルドヴィカは肩を竦め、鋭い眼差しを向けてきた。
「言うことはそれだけかしら?」
倒されもせず、死を受け取ることなどない。まるでそのように語っている様子のルドヴィカ。彼女から視線を逸らさぬまま、シルは首肯してみせた。
「わたしから交わす言葉は、これだけ」
「あら、勿体ない。私にだってお話する余裕くらいあるわよ?」
「ここから先は、言葉はいらない純粋な勝負だから……。それじゃ、パルマの夜明けを得るために、一筋の光を生み出す戦いを始めようかっ!!」
六芒星精霊収束砲――ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト。
超高出力砲撃系精霊魔術を解き放ったシルは全力で叫ぶ。激しい砲撃がルドヴィカを穿った瞬間、シルの青白い魔力翼が展開し砲撃の反動を抑えた。
それと同時にソラが四元光芒を発動していく。
この状況で牽制は通じないとソラは聡く判断した。むしろ此方が少しでも隙を見せようものならば、相手はどんな状況でも容赦なく打って出るだろう。
拡声杖のレゾネイトを天に掲げたソラは、上空に出現した魔法陣から四大元素のエネルギーを集中させる。
シルと同じタイミングで放たれた魔力砲は確かにルドヴィカを貫いた。
だが、ルドヴィカは不敵に笑うのみ。
「綺麗な技ね。ふふ……」
相手から声が響いた刹那、周囲の空間から光が奪われた。それは一瞬のことであったが、ディアボロス達は身体がざわつくような異変を感じ取っていた。
「たとえ目の前が暗くなろうとも問題は……――?」
蛍は暗闇になった瞬間に周囲を見通そうとしたが、闇はすぐに晴れる。しかし、それと同じくしてディアボロス達からエネルギーが奪われていた。途端に力が抜けるような感覚が蛍達を襲っていく。
僅かによろめきそうになったが、蛍はしっかりと耐えた。
「音楽とは、音楽家とは、人々を楽しませるための歌を綴り、寿ぎを紡ぐ者。それはまさしく人々の為。どれほど力を奪われようとも……皆様と描く未来への希望。言の葉にて綴りましょう。その一端を此処に!」
此処に綴るは未来への凱歌。
街の舞台で奏でたように蛍はチェレキギタソーを爪弾いた。それは皆で綴りし未来への希望の証。蛍の言の葉が響き渡ったことで、皆に勇気が与えられる。
その間、ユウはルドヴィカの動きを観察していた。何か癖が存在するのであれば、一緒に戦う仲間にも共有するつもりだった。されど相手はジェネラル級。これまでの淫魔とは違う雰囲気を纏っており、隙も未だ見えない。
闇が訪れた時は慌てずに冷静に周囲を見ていたユウは先を見据えた。
夜闇の奥のルドヴィカの姿は問題なく見通せる。ユウはガジェットウェポンを構え、相伝の戦術による攻撃に入った。
「この一撃を確実に活かすよ!」
強く語ったユウは強烈な一撃を放っていった。
ユウに対抗するルドヴィカは口許に笑みを湛え続けている。勝算があるのか、それとも余裕があるように見せているだけなのか。何にせよ、侮ってはいけないと感じたユウは次の一手に備えた。
「無駄よ。さぁ、私の闇に呑まれなさい」
ルドヴィカは反撃として再び闇を作り出していく。
だが、誰も暗闇に惑わされはしなかった。真に警戒すべきことはエネルギーの吸収だと理解していたからだ。
「う……」
「力が吸い取られてる、けど……!」
力を奪われたユウは足元が揺れているような感覚を味わっている。シルもふらつきそうになったが、心を強く持った。たとえどれだけ生命力を奪い取られようとも負けない。
――明日を歌おう。
シルはルーチェ・ソラーレの一節を歌い、勇気で以て心を奮い立たせた。
「そんなものじゃ、わたし達の光を閉ざすことはできないからっ!」
小手先の技が通用する相手ではない。
パラドクスを打ち込み、ルドヴィカの力を削り続けることが勝利に繋がる道だ。一撃を入れ続けるためにシルは決意を抱き、ルドヴィカの周りを残像を生み出しながら駆ける。
「どれだけ奪い取られても諦めない! それがアタシ達、ディアボロスよ!」
ソラも凛と宣言しながらダメージに耐えた。
「音楽は、人々の心を奮い立たせるため、人々が楽しむための物です。この手で、この声で紡ぐのは凱歌。人々を勇気づける為のもの。だから――」
ソラの言葉に同意を示した蛍も凱歌を紡ぎ続ける。
ルドヴィカは容赦なく闇を作り出していき、ディアボロスの力を奪い取っていった。
ユウは力を振り絞り、更なる一撃を放つ。
「あなたの支配する夜はもう終わり! パルマは夜明けを迎えるんだから!」
「さぁ、此処がアナタのラストステージ! アタシが言いたいことは一つだけ!」
「何かしら?」
其処にソラが熱狂と湧然の四元光芒を広げていき、ユウの一撃に砲撃を重ねていく。首を傾げたルドヴィカは未だ余裕そうだが、ディアボロス達は勇猛果敢に戦い続ける意思を持っていた。
レゾネイトを天に掲げるソラは強く言い放つ。
「アナタを倒して、今こそ自由なきパルマに光をもたらしてみせるわ!」
「私は、私達は未来を見るのです。平和な、希望に満ち溢れた未来を! そこにあなたはいりませんわ!」
「夜を撃ち抜く光をっ! 足りないなら、まだまだ……もっと紡ぐだけっ!!」
更に蛍が未来への凱歌を謡い、シルが全力の六芒星増幅術を解放する。ディアボロスが繰り出すパラドクスの奔流はルドヴィカに迫り、相手から広がる闇も更に色濃く巡っていた。
されど、戦いは始まったばかり。
誰もが最後まで戦い抜き、勝利を掴むことを信じていた。
勇敢な少女達の思いは魔砲や歌、鋭い一閃となり、そして――それらは夜を照らす確かな光となってゆく。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1 【クリーニング】LV1が発生! 【水源】がLV2になった! 【書物解読】LV1が発生! 【プラチナチケット】がLV2になった! 効果2 【ドレイン】がLV2になった! 【ラストリベンジ】がLV5(最大)になった!
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
音羽・華楠
……私がパルマ公国に来たのは今日が初めてです。
淫魔宰相が人々をどれほど苦しめてきたのかは話でしか知りませんし、彼女の撃破がどれだけ熱望されてるかも実感出来ません。
ですが――それは些細なことです。
復讐者である私があなたを殺すのに、「歴史侵略者だから」以外の理由など要りません!
《雷幻想・瞬動》発動。
雷速の体動を得て、速度差と攻撃の手数でルドヴィカを圧倒する狙いです。
ジェネラル級といえど、稲妻と同等の速さとなった私に簡単に追い付き、反応出来るとは思えませんから。
ルドヴィカの反撃も、彼女の手で触れられなければパラドクスは発動しません。
【完全視界】で彼女の一挙手一投足を見逃さず、雷速の反応で回避を。
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
エレナ・バークリー
此処に来るまで随分迷いました。パルマ公国ともここまでの戦いにも関わっていない者が、最後だけ顔を出すのはいかがなものかと。
ですがそれは気にする必要は無かった。私は一介の復讐者。それだけでいい。
淫魔宰相ルドヴィカ閣下、エレナ・バークリー、推して参る!
「全力魔法」の『闇黒に舞い踊る白華の断絶』で戦場を極寒の闇に包み、「風使い」で気流を渦巻かせ氷の礫弾で彼女を攻撃します。
精霊剣の力も借りてパラドクスを制御しながら、【完全視界】で効果範囲内へ突入。「氷雪使い」の氷属性を宿した剣で「強打」の「斬撃」。
彼女の手に触れられないよう、「一撃離脱」の戦い方を旨とします。
闇も氷も風も私の味方。一人寂しく斃れなさい!
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
曖明・昧
「十星連が一人、曖明・昧だ。
ルドヴィカ、君に恨みはないけど、死んでもらう。
君の死は、グランダルメを取り戻すきっかけの一つとなるだろう。
よくわかんないけど。」
昧は2メートルほどの大きさの鋏を取り出す。
昧の持つ武器、天廻器『肆妖断』だ。
十星連のみが持つ、星の力を宿した武器だ。
昧は肆妖断にダンと愛称をつけ、可愛がっている。
「ダン、暴れてもいいぞ。」
その言葉により、ダンは星の力を解放する。
ダンは黒く禍々しい姿に変形する。
昧はダンを両手で持ってルドヴィカを断ちにかかる。
魅了の魔力はダンに喰わせて糧とする。
「君ごときに、笑顔はもったいない。」
笑いたくても笑えない人がいる。その人のために。
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
ハニエル・フェニックス
よーし、護衛はやっつけた!
すっかり暗くなっちゃったけど、もうひと頑張りしなきゃね。
ルドヴィカを見つけたらとりあえずかっこよく決めておこうっと!
ここを市民の皆が自由に踊って笑える世界にする為に、あなたの事は私達がやっつけちゃうんだから!ってびしっと指を突きつけたら、光使いの力でぴかっと光ってびっくりさせちゃおう。
その隙に【飛翔】で空に舞い上がって、今度は闇使いの力で夜の闇に紛れこんで一旦隠れよう。
こっちは【完全視界】で敵を捕らえて、私の全力の浄化の光を込めたエンジェリック・アローで撃っちゃうぞ!
光を奪うルドヴィカのパラドクスにどれだけ対抗できるか分かんないけど……一緒に踊った皆の為、頑張るぞ!
●復讐者と歴史侵略者
「よーし、護衛はやっつけた!」
戦場となった庭園に訪れたハニエル・フェニックス(第七の天使・g00897)は元気よく言い放つ。
この宮殿内に存在しているクロノヴェーダはもはやルドヴィカのみ。そのことを知らしめるための言葉として、ハニエルの宣言はとても有効だった。
「そう……あの子達はもう逝ってしまったのね」
ルドヴィカは少しだけ寂しそうな声を紡いだが、それもたった一瞬のこと。
辺りはすっかり暗くなっていたが、もうひと頑張りすべきときが今だ。そう考えたハニエルが身構えると同時に、エレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)と音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)が庭園に姿を現した。
「此処に来るまで随分迷いました。パルマ公国ともここまでの戦いにも関わっていない者が、最後だけ顔を出すのはいかがなものかとも思いましたが……」
「……私もパルマ公国に来たのは今日が初めてです。淫魔宰相が人々をどれほど苦しめてきたのかは話でしか知りませんし、彼女の撃破がどれだけ熱望されてるかも実感出来ません」
似た境遇の二人は現在、同じ思いを抱いていた。
「あら、そうなの?」
この状況で遠慮なんて要らないのに、と呟いたルドヴィカが冗談めかして笑う。
しかし、二人はこうして此処に居る。戦うの理由が見つかったからこそ戦場に訪れたのだ。
「ですが、それは気にする必要は無かった」
「そう、それは些細なことです。復讐者である私があなたを殺すのに、歴史侵略者だから以外の理由など要りません!」
「私は一介の復讐者。それだけでいい」
エレナと華楠は、己がディアボロスであることを深く理解していた。
ルドヴィカも彼女達の思いを真っ直ぐに受け止めたらしく、数度だけ手を叩く。どうやら拍手のつもりらしい。
「そうね、戦う理由なんてたったそれだけでいいのかもしれないわ」
「淫魔宰相ルドヴィカ閣下、エレナ・バークリー、推して参る!」
「市民の皆が自由に踊って笑える世界にする為に、あなたの事は私達がやっつけちゃうんだから!」
エレナが凛とした声で名乗り、びしりと指を突きつけたハニエルが光を巡らせたとき。それまで仲間を見守っていた曖明・昧(十星連・肆妖『無知蒙昧』・g06110)が言葉を重ねた。
「十星連が一人、曖明・昧だ」
昧は敢えて無言で佇み、己が名乗るべき時を待っていたようだ。
「ルドヴィカ、君に恨みはないけど、死んでもらう」
「あらあら、なかなかに言うじゃない」
「君の死は、グランダルメを取り戻すきっかけの一つとなるだろう。よくわかんないけど」
昧は最後に普段通りの言葉を付け加え、静かに身構えた。名乗りが終われば後は戦うだけ。短い会話ではあったが、機は熟したと察した華楠とハニエルは一気にパラドクスを発動させた。
――雷幻想・瞬動。
――エンジェリック・アロー。
片方は陰陽木行に属する雷の術。もう片方は光のオーラで作った大きな矢を放つ技。
ハニエルが作り出したのは可愛らしい天使めいた矢だ。それがルドヴィカに迫る中、華楠は自らへ雷を流すことで筋肉を活性化した。神経の命令伝達速度を上げた華楠は雷速の体動を得ていき、ひといきにルドヴィカに駆けた。
「疾きこと風の如く、動くこと雷霆の如し! 雷天大壮――急急如律令!!」
「キミのハートにブルズアイ、だぞ☆」
天使の矢がルドヴィカを貫き、素早い体術が繰り出される。
(「ジェネラル級といえど、稲妻と同等の速さとなった私に簡単に追い付き、反応出来るとは思え――!?」)
「ふふ、とても素早いのね。だけどこれはどうかしら?」
華楠は敵の動きを侮っているわけではなかった。だが、逆説連鎖の力は空間すら捻じ曲げる。反撃としてルドヴィカが手を伸ばしたことで華楠が触れられた。
見た目の上ではたったそれだけのことだったが、華楠に強い快楽と脱力感が与えられてしまう。抵抗する力が奪われ、それと同時にエネルギーが吸収されていった。
「流石はジェネラル級……。実力は相当なものみたいです。気を付けてください!」
「まだまだ攻撃が来――わあっ!」
エレナとハニエルが注意を呼びかけようとしたとき、周囲が暗闇に包まれる。
それは一瞬で晴れる闇だったが、この戦場にいる者すべての生命力を奪い取る力でもあった。飛翔していたハニエルは力が抜けていく感覚をおぼえ、ふらついてしまう。
だが、落下しそうになったその身体を昧が支えた。大丈夫だったかと仲間を気遣った彼はハニエルの無事を確かめた後、二メートルほどの大きさの鋏を取り出した。その武器の名は天廻器、肆妖断だ。
十星連のみが持つ、星の力を宿した武器であるそれを昧はダンと呼んでいる。
「ダン、暴れてもいいぞ」
――勇猛果断。
昧の言葉により、ダンから星の力が解放されていく。ダンは黒く禍々しい姿に変形していき、夜の闇を切り裂く勢いで荒ぶりはじめた。昧はダンを両手で持ち、ルドヴィカを断ちに掛かる。
「随分と厄介そうな子を持っているのね」
ルドヴィカは弦楽器の弓を振り上げ、ダンの一閃を受け止めた。しかし、昧から与えられたダメージは相当なのものだったようだ。身を引いたルドヴィカが僅かに苦しげな顔をした。
其処に好機を感じたエレナは全力で立ち向かう。
「凍てつきの闇に舞い踊る血染めの薄墨桜よ。生命を喰らえ。精神を啜れ」
我が求めるは、生命無き永劫の沈黙なれば。
――闇黒に舞い踊る白華の断絶。
戦場を極寒の闇で包み込んだエレナは気流を渦巻かせた。血染めの桜吹雪と見紛う氷晶の渦を巻き起こした彼女は精霊剣を強く握り締める。己のパラドクスを制御しながら闇に飛び込んだエレナは斬撃を見舞った。
このまま一撃離脱の戦法を取ろうとしたエレナだったが、ルドヴィカは標的とした者を逃さない。
「近くに来たなら、この快楽を味わっていきなさい?」
ルドヴィカはエレナに触れると同時にエネルギーを吸い取った。エレナが即座に彼女の近くから離脱したが、与えられた快楽と脱力感が尾を引いているような感覚に襲われる。
そして、ルドヴィカは手にした弦楽器で奏で始めた。巻き起こす桃色の風の香りには魔力が籠められ、ダンごと昧を包み込むような力が巡る。
「これはなかなかだな。よくわかんないけど」
昧はダンと共に衝撃に耐える。
ルドヴィカの攻撃を完全に避けることは不可能だ。一度攻防を交えただけで誰もがそのことを理解していた。しかし、同時にディアボロス達は別のことを悟っている。
相手はエネルギーを吸い取っているが、此方が与えたダメージがゼロになっているわけではない。つまり、長期戦にはなるが攻撃は確実に効いているということだ。
攻勢に入り続ければ勝機はあると見たエレナは、次々とパラドクスを打ち放っていった。
「闇も氷も風も私の味方。一人寂しく斃れなさい!」
「決して逃しません」
華楠も雷速の体動で以て、攻撃の手数でルドヴィカを圧倒する狙いだ。暗闇が幾度齎されようとも、力を吸収されようとも意識が続く限り、彼女の一挙手一投足を見逃さないと決めている。
「熱烈な視線ね。うふふ……」
ルドヴィカはまだ不敵に笑っていた。その様子はまるで自分がまだ戦えると語っているようだ。
華楠とエレナが攻撃に転じていく中、ハニエルは暗闇に対抗していった。相手の力は光を奪うものだが、ハニエルはめげずに光を巡らせ続ける。
「一緒に踊った皆の為、頑張るぞ!」
ハニエルの矢が繰り出されたところへ昧が踏み込み、ルドヴィカに肆妖断の切っ先を向けた。
「君ごときに、笑顔はもったいない」
ルドヴィカに斬り掛かった昧の心の裡には確かな思いがあった。それは、この戦いを勝利で終わらせること。
笑いたくても笑えない人がいる。その人のために。
ディアボロスは戦い続ける。
過去を取り戻していき、信じた未来に繋げていくためにも。この戦いは決して負けられない。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1 【エイティーン】LV1が発生! 【寒冷適応】がLV2になった! 【一刀両断】がLV2になった! 【活性治癒】がLV2になった! 効果2 【リザレクション】がLV2になった! 【ロストエナジー】がLV4になった! 【ドレイン】がLV3になった!
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
無慈悲な革命裁判に処刑、パルマの人々を堕落に誘った策謀
見逃す訳にはいかない……
貴女は民に害為した
ナポレオンの手駒としてだけでなく……
貴女自身の手で
覚えているか?
一つ一つの事件を
知っているのか?
そこで苦しみ抜いた人々がいたことを
完全視界を用い
戦況を偵察、観察し敵の攻撃動作や狙いを看破
仲間に情報共有し連携
チェロで奏でるのは昼間の革命歌の情熱的なアレンジ
革命の音色は、止められはしない
民衆から【託されし願い】を追い風に、音色の一矢が貫くだろう
――聴こえるか、民衆の声が
今、パルマに夜明けを
反撃は魔力障壁を展開、桃色の風を吹き飛ばし
演奏を止めない
暗闇には照明を
魅了には勇気と情熱、演奏で対抗
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
カリーナ・アバルバネル
アドリブ&連携お任せ
ルドヴィカよ報いを受けるときだ! 市民だけでもディアボロスだけでもここまでは来れなかったけど、今わたしたちはひとつだ!
エネルギー吸収は完璧に防ぐ方法はない。なるべく軽減しつつ、こちらの最大攻撃力を最短最速でブチかまして倒す。真正面から全力の正拳付きを食らわす。
ルドヴィカに掴まれることを想定し、オーラ操作で防具の九天真気を強化集中し、予め腕に雷盾符(ビームシールド)を装着。更に忍耐力と精神集中で快楽と脱力感に抵抗する。正面突破と無策は同義じゃないんだ。単純な猪突猛進と見せかけて用意は周到にする。
ルドヴィカを倒しても全てが終わるわけじゃない。でも、ひとつの達成ではあるんだ。
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
アンネローゼ・ディマンシュ
では、決着をつけましょう
照明で周囲を照らすと同時、パラドクスの効果でその照明にルドヴィカの暗闇を照らす効果を付与
そのままパラドクスで光の剣の幻影を作り出し、それを演奏しながら操作して攻撃開始
完全視界で暗闇を見通し、エアライドや壁歩き、飛翔を組み合わせて三次元的な動きでルドヴィカを翻弄していきますわ
ルドヴィカ、貴方が斃れれば革命裁判は終端を迎える
それは即ち、この断頭で市民を支配するグランダルメの支配が大きく揺らぐ事
これを狙ったわけではないのでしょうが…
故に、我ら復讐者はそれを以て…時に抗い、全てを取り戻すのですわ
●夜を終わらせる為に
無慈悲な革命裁判に処刑。
そして、パルマ公国の人々を堕落に誘った策謀。
どれもが見逃すわけにはいかない悪事であり、許してはいけないことだ。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)とカリーナ・アバルバネル(雲裳神龍・g04135)は夜の庭園に佇むルドヴィカを見据え、思いを声にした。
「貴女は民に害為した。ナポレオンの手駒としてだけでなく……貴女自身の手で」
「ルドヴィカよ、報いを受けるときだ!」
「民も国もすべて断片の王のものなのよ。所有物をどうしようが自由でしょう?」
二人の言葉に対し、ルドヴィカは不敵に笑うのみ。
ディヴィジョンのルールとしてはそうかもしれないが、それではあまりに理不尽すぎる。改変された過去とはいえ、この時代にも懸命に生きている人がいる。それをただの所有物だと語るクロノヴェーダとは相容れない。
アンネローゼ・ディマンシュ(『楽士大公』ディマンシュ大公・g03631)は、自分達の立場が何処までいっても平行線だということを知っている。
「では、決着をつけましょう」
「市民だけでもディアボロスだけでもここまでは来れなかったけど、今のわたしたちはひとつだ!」
アンネローゼの静かな言葉に続き、カリーナは拳を握り締めた。
此処に訪れているディアボロスだけではなく、パルマの街の人々もそれぞれに戦っている。敢えて街に残った仲間もおり、離れていても心は繋がっていた。
此処に集った仲間達は攻勢に入っている。
各自がルドヴィカとの間合いを取り、次々とパラドクスを放っていた。その中でエトヴァはルドヴィカに問いかける。
「覚えているか?」
「何をかしら」
「一つ一つの事件を知っているのか? そこで苦しみ抜いた人々がいたことを、死に晒された人がいたことを」
エトヴァの眼差しを受け止めたルドヴィカは頷いた。
「勿論よ。同時に貴方達の邪魔があったことを、全く知らずにいたとでも思っていたかしら?」
大淫魔都市ウィーンから招いた淫魔楽団を壊滅させられたこと。
パルマに用意した断頭台での処刑を阻止されたこと。そのすべてを知っていると語ったルドヴィカの視線は鋭かった。処刑をよしとするルドヴィカと、阻止し続けたエトヴァ達の思いは重なり合うことなどない。
其処へアンネローゼがパラドクスを発動させた。
「万象に偏在せし旋律を求める者達よ。私は貴公らへ、楽園も煉獄も奈落も自在なる夢の世界へと誘う幻夢の調べを奏でましょう」
幻夢の調べ・黄金色の悪夢は現世をも法悦させる――コンポーザー・オブ・モルフェウス。
妖力を限界まで集束させた風を周囲一帯に放つアンネローゼ。
悪夢を見せるも良い夢を見せるもアンネローゼの自由自在だ。対するルドヴィカの攻撃は周囲の光を奪い取り、ディアボロス達のエネルギーを奪うこと。
照明の光は闇となったが、エネルギーが吸収されると同時に元の明るさが戻ってくる。
「幻夢の調べというのね。ふふ、綺麗なものね」
エアライドを使って宙に駆けたアンネローゼに対し、ルドヴィカは余裕の笑みを浮かべていた。三次元的な動きでルドヴィカを翻弄するため庭園の隅にある宮殿の壁にまで下がろうかとも思った。だが、距離を取り過ぎても動向が捉えられなくなる。聡く状況を判断したアンネローゼは、敢えて宙を跳び回るだけに留まった。
ルドヴィカが市民から力を吸収して己を強化する力は封じられているが、相手もジェネラル級の実力を持つ者だ。
生半可な撹乱や翻弄では通じないほどの相手だということは理解できていた。
それゆえにアンネローゼはカリーナと視線を交わす。カリーナもエネルギー吸収を完璧に防ぐ方法はないと解っていた。躱せないものを避けようとするよりも、敢えて受けながら戦う姿勢を取る方が賢明だ。
カリーナは脱力感に耐えつつ、攻撃に入った。
此方の最大攻撃力を最短最速でブチかまして倒す。そう、それは即ち――真正面から全力の正拳突きを放つこと。
「天心正雷九剣――六式・亢龍徹陣!」
カリーナは全身全霊の力を込め、ルドヴィカを殴り抜いた。荒ぶる龍神が敵そのものを一直線に貫くかのような勢いで穿たれたルドヴィカが体勢を大きく崩す。
「……っ! 面白いほどに真っ直ぐなのね、貴女」
すぐに弦楽器の弓を構え直したルドヴィカだったが、かなりのダメージが与えられているようだ。
その様子を観察していたエトヴァは悟る。
ルドヴィカは直接攻撃らしい力は扱わず、音楽や淫魔の力で相手の力を吸い取る戦法を取っていた。それゆえに攻撃動作は、触れるか音楽を奏でることに限定される。
どうやら、先程のカリーナのような全力の一撃を受けるための体術を得手としているわけではないようだ。逆説連鎖の力で空間や時間を捻じ曲げることは出来るが、打撃や近接攻撃に弱い雰囲気が見えた。
「それならば……」
エトヴァは自分が出来ることをしようと決め、チェロを奏で始める。この攻撃は果敢に近距離で挑む仲間の援護になるはずだ。其処からエトヴァが演奏していくのは昼間の革命歌に情熱的なアレンジを加えた一曲。
演奏を続けるエトヴァと同様にアンネローゼもルドヴィカに対しての攻め方を理解していた。アンネローゼは光の剣の幻影を作り出し、それを演奏しながら操作してゆく。
「ルドヴィカ、貴方が斃れれば現在の革命裁判は終端を迎えるでしょう」
「あら、どうかしら? 私ではない別の誰かが宰相に据えられるかもしれないわよ」
「いいえ、それはただのはったりですね」
「……つまらないわね、少しも動揺しないなんて」
ルドヴィカは言葉で惑わそうとしてきたようだが、アンネローゼは動じない。ルドヴィカを倒せば、断頭で市民を支配するグランダルメの情勢が大きく揺らぐだろうとアンネローゼは考えていた。
「これから先がどうなろうと、我ら復讐者は支配の阻止を以て……時に抗い、全てを取り戻すのですわ」
「ふふ、やってみるといいわ」
「そうだね、ルドヴィカを倒しても全てが終わるわけじゃない。でも、ひとつの達成ではあるんだ!」
カリーナも強く言い放ち、更なる一撃を放つ。
相手に掴まれることを想定していたカリーナは九天真気に力を込め、予め腕に装着していた雷盾符で受けた。其処に巡るのは忍耐力と精神の集中。快楽と脱力感が齎されようとも抵抗する気概だ。
単純な猪突猛進と見せかけてカリーナの用意は周到。正面突破と無策は同義ではない。即ち、カリーナが取っている戦法と思いこそが此度の戦いを切り拓く動きとなる。
アンネローゼは身構え直し、エトヴァはカリーナの戦い方に称賛を抱きながら音を響かせた。
革命の音色は止められはしない。
民衆から託されし願いを追い風にして、音色の一矢が戦場を翔ける。
「――聴こえるか、民衆の声が」
矢の如く貫く衝撃波に込められているのは人々の思いと意志。その響きはルドヴィカが弾く音楽を掻き消すほどに響き渡り、エトヴァ自身の思いも乗せて迸った。
共鳴する者には明けの光を呼び、対立者には幕引きを。
エトヴァは思いを言の葉に込めてゆく。願いと望み、希望を描く光と共に――。
「今、パルマに夜明けを」
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1 【託されし願い】LV1が発生! 【怪力無双】がLV2になった! 【現の夢】LV1が発生! 効果2 【能力値アップ】がLV7になった! 【ロストエナジー】がLV5になった!
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
ニア・マシュマリー
あの人……。怖いくらい強い……。
でも……。勝たなきゃ……。この街で出来た……。大切な人達のために……。
今まで通りや……。頭を使って戦ってもあの人には届かない……。
なら……。ニアはありったけの血を使う……。
鎌を作るとき……。左腕も裂いていつもより大きく……。いつもより強い大鎌……。ニアの血をギリギリまで使って作る……。
あとは賭け……。勢い任せに突撃して……。全力の一振りを届けてみせる……。
聞こえてきたあなたの演奏……。ニア嫌いじゃなかったよ……。
でも……。この街に絶望の夜はもういらない……。
この街に必要なのは……。明るい希望と幸運に満ちた……。夜明けだから……。
(アドリブ・連携歓迎です)
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
アンゼリカ・レンブラント
お話に感謝いたします
やはり貴女の旋律に合わせ舞うことが出来たら
なんて、冗談じゃない
口調を戻し、仲間と踏み込む機を合わせ光剣で斬る
私が共に舞いたいのは今を懸命に生きる人達とだ
絶望の中で勇気を振り絞った市民の心
その気高さと尊さ、お前には分かるまい!
仲間と連携を意識して着実にダメージを与えるよ
近くの仲間にディフェンス
時に牽制に専心し隙を作り出すね
相手の反撃にも止まるもんか、光のオーラで突き放す
私の勇気、未来に進む意思は奪わせない
相手の消耗が分かれば、呼吸を整え
捨て身の覚悟と共に決着の一撃を狙う
私の全てを市民の想いと共に
今こそ最大まで輝け、《光剣収束斬》!
明日を照らす太陽の光となり
人々に夜明けの時を!
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
ソレイユ・クラーヴィア
アドリブ連携歓迎
戯言にお付き合い下さり、ありがとうございました
これより先は演奏にて存分に語るとしましょう
宙に展開した鍵盤で「凱歌」を演奏
幻想の騎士を喚び
馬上からの突撃攻撃を指揮します
暗闇で閉ざされようとも
指さえ動けば音楽は響き渡ります
元より油断ならぬ相手
魔力障壁で防ぎながらも多少の負傷は計算ずく
そして闇は明けるもの
どんなに深い闇夜に潜み甘美を啜ったとしても
全ては光の元に暴かれる
残留効果の照明を使い
闇を払う光を我らの手に
夜闇に覆われた恐怖の国を
太陽の様な笑顔溢れる自由と希望の国へ
その為に排除せねばならぬ相手であるならば
私は躊躇なく、この鍵盤を奏でましょう
美しき夜奏に終幕を
さようなら、ルドヴィカ
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
セレスティア・リュミエール
アドリブ、他の方との絡みOKです
問いかけが終わり、戦闘が不可避となったら戦いへ
貴方の考えはわかりました
相容れないということも含めて、ね
もはや貴族としての籍は持ち合わせておりませんが、今、この場ではあえて名乗りましょう
フランス貴族、リュミエール家の遺児として
民を苦しめる逆賊、ルドヴィカを討たせて頂きます
御覚悟を
戦闘ではパラドクスでバロンスを召喚
鎖で拘束して行動を阻害、攻撃だけでなく味方の支援に繋げます
この鎖は罪の大きさで強度が変わるの
貴方に解けるかしら?
民を虐げ、苦しめるあなたに公の名は相応しくないわ
今まで無実の民を処刑してきた罪、私たちが裁きます
さあ、罪を数え、報いを受けなさい、ルドヴィカ!
●ピアノソナタと光の希望
戦いが始まり、ディアボロス達は宣戦布告を行っていく。
ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)とセレスティア・リュミエール(碧月のソルシエル・g05430)、アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)も、改めてルドヴィカに礼を告げた。
「戯言にお付き合い下さり、ありがとうございました。これより先は演奏にて存分に語るとしましょう」
「貴方の考えはわかりました。相容れないということも含めて、ね」
「お話に感謝いたします。やはり貴女の旋律に合わせ舞うことが出来たら……なんて、冗談じゃない」
物腰は丁寧に。されどセレスティアは否定の意思を示し、アンゼリカは口調を戻している。ひとときだけ会話も出来たが、此処から先は容赦も情けもかけられない真剣勝負の場だ。
セレスティアもルドヴィカも、互いが相容れないことをしかと理解している。
「もはや貴族としての籍は持ち合わせておりませんが、今、この場ではあえて名乗りましょう。フランス貴族、リュミエール家の遺児として――民を苦しめる逆賊、ルドヴィカを討たせて頂きます」
どうか、御覚悟を。
セレスティアの凛とした声が紡がれた刹那、逸早く動いたソレイユが宙に展開した鍵盤で凱歌を演奏していく。
幻想の騎士を召喚したソレイユは、馬上からの突撃攻撃を指揮していった。対するルドヴィカは薄く笑み、周囲の空間から光を奪っている。
「敵同士としてしかいられないのが残念だわ。本当に好みの子達だったのに」
辺りを完全な暗闇に変えたルドヴィカはくすくすと笑った。
それと同時に周囲のディアボロスからエネルギーが吸い取られていく。その力を受けたニア・マシュマリー(いつの間にか吸血鬼・g07451)は、相手が秘めていた能力の強さを知った。
「あの人……。怖いくらい強い……」
「これは厄介な力ですね」
闇は一瞬で晴れていった。それでもまだ淀んだ空気が満ちているような気がして、ソレイユは違和を覚える。
「力が抜けていくみたいだけど……負けられない!」
「大丈夫でしたか?」
「うん……。平気……。勝たなきゃ……。この街で出来た……。大切な人達のために……」
ニアがよろめいたところへ、アンゼリカとセレスティアが駆け寄ってきた。自分達も力を吸い取られているが、仲間が倒れかけているところを見て放っておけなかったらしい。
こくりと頷いたニアは己に力を集めた。今まで通りの戦い方では敵わない。たとえ頭を使って戦ってもルドヴィカには届かないと理解できてしまった。だが、ニアは怯えているわけではない。
それならば、ありったけの血を使って全力で挑むだけ。
ニアは右腕だけではなく、左腕を裂くことで血の鎌を作り上げた。覚悟と信念の証でもある大鎌を振り上げたニアに続いて、セレスティアが天使の翼をもつ裁定の女神バロンスを召喚する。
「――来たれ、裁定を司る星の乙女」
女神の天秤が揺れ、対象の罪過が判定されていく。地面から湧き出た鎖がルドヴィカに迫っていく中、アンゼリカが斬り込んでいった。
「裁きの光よ、我が手に集いて剣となり、全てを斬り裂けぇっ!」
機を合わせたアンゼリカは光剣の一閃を叩き込む。
ルドヴィカが弦楽器の弓で刃を受け止めて払う中、セレスティアは鎖を更に解き放った。
「この鎖、貴方に解けるかしら?」
「甘く見てもらっては困るわね。こんな拘束、何の快楽にもなりはしないわ」
ルドヴィカはセレスティアの鎖を振り払う。相手の実力が相当なものだと感じたセレスティアはバロンスに更なる攻撃を願った。拘束は出来ても反撃は行われてしまう。一筋縄ではいかないことは誰もが悟っていた。
ニアは機会を窺いながら、思いを巡らせた。
ルドヴィカには本来、市民からエネルギーを奪いながら己を強化する能力があったという。
(「これでも……。ルドヴィカは弱ってる……。でももし万全だったら……」)
もしパルマ市民の協力が得られていなかったらルドヴィカは今よりも強い力を振るったのだろう。ゾッとするような想像が浮かんだが、今は心強い仲間がいる。
相手がどれだけ強くとも、これまで積み重ねてきたものが確かにある。ニアは最大の好機を探すべく、仲間達の後方から戦況を見つめていた。
ルドヴィカは弦楽器で演奏を行い、近付く者達からエネルギーを吸い取っている。
「私が共に舞いたいのは今を懸命に生きる人達とだ。絶望の中で勇気を振り絞った市民の心、その気高さと尊さ、お前には分かるまい!」
アンゼリカは押し負けない気持ちを抱きながら、身体に巡る脱力感に抗った。
その間、ソレイユも音を響かせ続けていく。
幾度、周囲が暗闇で閉ざされようとも指さえ動けば音楽は響き渡る。元より油断ならぬ相手だと解っていたゆえに、ソレイユは耐えていた。寧ろそれも計算ずくで彼は動いている。
「闇は明けるもの。どんなに深い闇夜に潜み甘美を啜ったとしても――」
全ては光の元に暴かれる。
照明で周囲を照らしたソレイユは、思いを言葉にしていった。
「闇を払う光を我らの手に。夜闇に覆われた恐怖の国を、太陽の様な笑顔溢れる自由と希望の国へ」
ルドヴィカがその為に排除せねばならぬ相手であるならば躊躇はない。
この鍵盤を奏で、旋律を紡ぎ、駆ける幻想の騎士にすべてを託す。ルドヴィカから吸い取られるエネルギーの流れは無視できないが、それでもソレイユは心を強く持った。
アンゼリカは近くの仲間をディフェンスしていくことを心掛けながら、攻撃を放ち続けた。
ルドヴィカに牽制は通じず、隙すら見せてくれない状態だ。攻撃に入る度に手痛い反撃が繰り出されたが、アンゼリカの心は折れてなどいない。
「止まるもんか……! 私の勇気、未来に進む意思は奪わせない!」
光と力が奪われて体勢が崩れようとも、アンゼリカの思いだけは揺らがない。セレスティアもバロンスと共に攻勢に入り続けた。ニアはアンゼリカが守ってくれることに感謝しながら、血を更に巡らせる。
「民を虐げ、苦しめるあなたに公の名は相応しくないわ」
「何とでも言えばいいわ。私はこの国の秩序のために動いただけだもの」
「秩序……。あれが……? でも聞こえてきたあなたの演奏……。ニア嫌いじゃなかったよ……」
セレスティアが言い放ったことに対し、ルドヴィカは静かに答えた。ニアは己の思いを伝えながら激しく続く攻防の行方を見据えている。他の仲間達も次々と攻撃を仕掛けており、ルドヴィカの力を削っていた。
そして、ニアは意を決する。
少女にとってあとは賭け。勢い任せに突撃して、全力の一振りを届けてみせるのみ。
「この街に絶望の夜はもういらない……。必要なのは……。明るい希望と幸運に満ちた……。夜明けだから……」
「今まで無実の民を処刑してきた罪、私たちが裁きます。さあ、罪を数え、報いを受けなさい、ルドヴィカ!」
ニアの言葉に続き、強く告げたセレスティアも鎖を戦場に巡らせた。
ルドヴィカを拘束できる時間は僅か。だが、攻撃を続ければそれも無意味ではなくなる。セレスティアが懸命に力を放っていくと同時に、ソレイユもピアノソナタを響かせ続けた。
「美しき夜奏に終幕を。刻限は目の前です」
高らかに謳え、その歌を。
勝利に続く歌と音はこの胸の中に宿っている。ソレイユの思いを受けた幻想の騎士が駆け、ルドヴィカを切り裂いた。
アンゼリカも響く曲に耳を澄ませながら、強い思いと共に飛び出していく。
己の全てを市民の想いと共に。
「今こそ最大まで輝け、光剣収束斬!」
アンゼリカが振るった巨大な光の剣がルドヴィカを貫いた。少女が身体に纏う光のオーラはルドヴィカが齎そうとしていた闇を払い、希望を描く一閃となってゆく。
「そんな……駄目よ。私が支配する夜こそ、パルマの秩序となるの……!」
よろめいたルドヴィカに焦りが見えてきた。すぐにはっとして取り繕ったが、重ねられた攻撃によって彼女の力が弱っていることは明白だ。
そして、ニアは全力の一振りを見舞いに駆けた。
「この一撃に……。ニアの想いも……。みんなの想いも……。全部のせる……。いくよ……。ルドヴィカ……」
少女の胸元には四つ葉のクローバーが大切に仕舞い込んである。
パルマ公国で得た思い出と、大切な縁が繋がった証だ。
そう、これは――君の、君達の。そして、みんなの――未来を照らす幸運への道標。
響き渡る旋律と振り下ろされる刃。少女が紡ぎ、全力を賭して振るった一閃がルドヴィカを深く貫いた。赤い血が散り、闇が斬り払われていく。セレスティアとソレイユは頷きあい、アンゼリカとニアも身構え直した。
巡り廻る運命の時。決着の瞬間は、間もなく訪れる。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1 【水面歩行】LV1が発生! 【エイティーン】がLV2になった! 【勝利の凱歌】がLV9になった! 【罪縛りの鎖】LV1が発生! 効果2 【リザレクション】がLV3(最大)になった! 【ロストエナジー】がLV6になった!
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
一里塚・燐寧
アドリブ連携歓迎
ルドヴィカちゃん
きみは今まで、野望のためにどれだけの首を落としてきたのかなぁ?
覚えてたら聞かせてよぉ
……全員分の怒りを、あたし達がぶつけるからさぁ
手にした≪テンペスト・レイザー・バーストモード≫を唸らせる
そして『屠竜技:剛勇猛進撃』を敢行するよぉ!
魅了の力があたしを迎え撃とうとする
極限の【精神集中】を保ち、【勇気】を湧き起こし
どんな【誘惑】にも屈しないよぉ
パルマの人達から【託されし願い】を心に感じる
みんな──今日この日から『明日を歌おう』!
間合いに入ったら、パラドクスを宿した回転鋸刃を敵の喉首目掛けて全力で振るうよぉ!
あたしが断頭台だ──その首が、パルマで断たれる最後の首だっ!
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
月下部・小雪
い、今こそパルマを解放するとき、です!
ボク達を信じて立ち上がってくれたパルマの皆さんのためにも、ぜ、絶対に負けられません!
【勝利の凱歌】にルーチェ・ソラーレの歌を重ね、相手の奏でる音楽に負けないよう頑張ります。
こ、ここには大好きなアイドルさんもいっぱいなのです!
クロノヴェーダの音楽になんて、ボクは誘惑されたりしません。
【託されし願い】で映るパルマ市民の願いの力を受け止めて、【コダマ・サンシャイン】です!
コダマが明日を照らす光になります!
こ、これが今のボク達の全力全開の一撃です!!
※アドリブ連携大歓迎
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
一ノ瀬・綾音
覚悟ができたならもう、遠慮なくやっていいよね。
ルーチェ・ソラーレ……その言葉に込めた思いを、今こそ見せてあげる!
みんなの信じてくれた思いに、全力で応えてみせる!そのために、君を討滅する!
ルドヴィカの暗闇に照明で対抗しつつ……
もはや問答はいらない、という風に殺気を出しつつ動きを観察、時折天銃で魔弾を撃って牽制攻撃しながら隙を見せたところで杖に持ち替え突撃、中距離から『厄災の星光』をぶっ放す!
さぁ、ゲームオーバーの時間だよ、ルドヴィカ。
明日を歌うための私達の希望――束ねて束ねて、大きな魔力へ。
この魔砲、私達だけじゃなく、このパルマ公国のみんなの思いもこもっていると知れ!
全力全開、手加減なしだーっ!
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎
お前は見誤った。
どんな絶望が訪れようとも、それに押し潰されるほど人は弱くはないわ。
彼らの声を、その力を思い知りなさい。
暗闇は【完全視界】で対処
パラドクス《精神鍛造》を発動し意志を力に変え、全速力の【飛翔】でルドヴィカへ突進
【連続魔法】で無数の剣刃を生成し続け接近戦を挑みます
守勢には入らず猛攻をかけ
動作を【観察】し攻撃や距離を取ろうとする動きを【看破】
剣刃を振るい逃げ場を塞ぎ、追い詰めるように攻めていきます
例え暗闇に生命力を奪われようとも怯まず【勇気】を胸に自身を奮い立たせ、倒れるまで攻撃を継続
平和への道程……
その障害となるお前を、ここで一切斬り捨てる。
●未来の為に明日を歌う
始まりを迎えたルドヴィカとの決戦。
この場に集ったディアボロス達はほぼ同時に攻撃を仕掛けていき、強敵と相対している。アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)は眼鏡の奥から鋭い視線を向け、ルドヴィカを見据えた。
「お前は見誤った」
「あら、何をかしら。思い当たることはあるけれど、ね」
アイネリスの言葉に反応したルドヴィカは苦笑いを浮かべている。おそらく処刑を阻止されたことや、対応の後手に回ってしまったことを思っているのだろう。
だが、アイネリスの指摘はそれとは全く別のことだ。
「どんな絶望が訪れようとも、それに押し潰されるほど人は弱くはないわ。彼らの声を、その力を思い知りなさい」
「ルドヴィカちゃん、きみは今まで、野望のためにどれだけの首を落としてきたのかなぁ?」
続けて、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)が巡る攻防の中でルドヴィカに問いかけてみた。すると相手は目を鋭く細め、軽く首を傾げた。
「絶望に野望ね……。それを聞いてどうするというの?」
「覚えてたら聞かせてよぉ」
「貴方達に阻止されたことだけでも、確か……七十三件あるわね。それ以外にも予定が狂って実行できなかった処刑も多くあるのよ。覚えているに決まっているわ」
「そっかぁ、じゃあ――全員分の怒りを、あたし達がぶつけるからさぁ。覚悟してよねぇ」
燐寧はテンペスト・レイザー・バーストモードを唸らせ、ひといきに駆ける。
駆動音がルドヴィカの演奏を掻き消していく中、一ノ瀬・綾音(星影の描き手・g00868)と月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)も次々と攻勢に入っていた。
「覚悟ができたならもう、遠慮なくやっていいよね」
「い、今こそパルマを解放するとき、です!」
「ルーチェ・ソラーレ……その言葉に込めた思いを、今こそ見せてあげる! みんなの信じてくれた思いに、全力で応えてみせる! そのために、君を討滅する!」
「ボク達を信じて立ち上がってくれたパルマの皆さんのためにも、ぜ、絶対に負けられません!」
小雪は勝利の凱歌にルーチェ・ソラーレの歌を重ねていく。
すると、ルドヴィカが静かな笑みを見せた。
「本当は適当に話をしてから逃げるつもりだったのよ。だけど、貴方達を見ていたら気が変わったの」
ルドヴィカはディアボロス全員を見渡しながら語る。
その真意はまだ汲み取れないが、どうやら言葉に嘘は含まれていないらしい。ルドヴィカが奏でる音楽は本気であり、此方の力を奪うものだ。しかし、心では決して負けたくはなかった。
小雪がコダマと共に頑張っている姿を見つめた綾音は静かに笑む。燐寧とアイネリスも頷き、戦いへの思いを強めた。
自分達の原動力は怒り。
だが、こうして懸命に頑張る誰かの姿もまた力に成り得る。
「魂の火を……!」
星辰鍛造――アストラル・フォージ。
アイネリスはパラドクスを発動していき、意志を力に変えた。其処から全速力で飛翔したアイネリスはルドヴィカへ突進してゆく。無数の剣刃を生成していった彼女は接近戦を挑む気概だ。
もはやルドヴィカに問答はいらない。綾音も殺気を放ちながら敵に天銃パープルフォースを構え、魔弾を撃ち放った。
されどパラドクスではない攻撃ではクロノヴェーダに決定的なダメージを与えられない。それもジェネラル級の相手となれば、牽制を続けていくよりも常に全力で挑む方が確実だ。つまり、相手には隙が殆どない。そのように判断した綾音は天銃を杖に持ち替え、突撃する戦法に出ていく。
発動――レディアント・アステル・ディザスター。
「焦熱の炎、極寒の氷、激流の水、烈震の土、浄化の光、堕落の闇……世界に溢れし六つの力よ、今こそ一つに集い、彼の者を滅する極光となれ!」
前方に展開した六芒星の各頂点に六属性の魔力を展開した綾音は一気に力を解き放った。
魔砲に転換されたそれはまさに厄災の星光と呼ぶに相応しい。照明の力を巡らせれば、ルドヴィカは周囲の光を奪い取りながら此方の力を吸収してくる。されど、綾音は何度も光を放つことで対抗した。
「身体の力が抜けて、いく……けど――負けられないから!」
「コダマも、ま、負けないで……! みんなの願いを一つに!」
必殺、コダマ・サンシャイン。
ふらついた綾音をそっと支えた小雪はコダマの力を信じている。パラドクスとして昇華させるほどの思いがコダマに注がれた瞬間、激しいプラズマが弾けた。
コダマは明日を照らすちいさな太陽となり、バチバチと鋭い音を立てながら突撃していく。
其処に合わせて燐寧が屠竜技を叩き込んだ。
「まだまだ! トドメを刺すまで止められないよぉ!」
「……!」
撃竜騎士としての力を存分に揮う燐寧の周りには赤紫のオーラが迸っている。鎖鋸大剣は鬼火を纏い、死を齎す凶刃となってルドヴィカを穿った。咄嗟に振るわれた弦楽器の弓と刃が火花を散らしながらぶつかりあう様は不思議だが、ルドヴィカも負けてはいなかった。
「やられてばかりではないところを見せてあげる。幽艶たる月に聞き惚れなさい」
ルドヴィカが奏でる音楽から、桃色の風が巻き起こる。香りに籠められた魔力は魅了の誘いとなって燐寧や小雪を襲った。蠱惑的な風が意識を惑わせそうになる。
しかし、復讐者達は決して屈しない強い思いを宿していた。
アイネリスは守勢には入らず、絶えず猛攻をかけ続けている。ルドヴィカの動作をしかと見つめた彼女は、相手の攻撃や距離を取ろうとする動きを看破していた。
剣刃を振るうことで逃げ場を塞ぎ、仲間に攻撃の合図を送るアイネリスの狙いはルドヴィカを追い詰めていくこと。幾度も暗闇からのエネルギー吸収が復讐者達を襲ったが、アイネリスは怯まない。
「何度でも照らしてみせる。この支配の暗闇など要らないの」
勇気を胸に自身を奮い立たせる彼女は、己が倒れる寸前まで攻撃を継続していく決意を抱いていた。
その思いは皆同じ。
「どんな誘惑にも屈しないよぉ。だって……パルマの人達から託されし願いを心に感じるからねぇ」
「こ、ここには大好きなアイドルさんもいっぱいなのです! そんな音楽になんて、ボクは誘惑されたりしません」
「そう、私達は皆の思いを背負ってきてるんだから!」
燐寧に小雪、そして綾音。ルーチェ・ソラーレの面々が天を示す。
其処にはディアボロスに願いを託したパルマの人々の現在の様子が映像として映し出されていた。誰もが胸に確かな意志を抱き、革命と解放の歌を謳いあげている。
さぁ! ここからが僕らの舞台だ
夜のセンリツを掻き消すんだ
行くよ! ここからは僕らの未来だ
愛のセンリツをかき鳴らそう
「その歌は――!?」
託されし願いの力を示したのは彼女達だけではなく、他のディアボロスもだった。途切れぬ映像は夜の庭園内に希望を満たしていく。ルドヴィカはパルマ市民の様子を目の当たりにすることで僅かに動揺する。
パルマ市民の願いと歌の力は今、ディアボロス達が決して負けられない理由となっている。
燐寧はテンペスト・レイザーを天に掲げ、高らかに呼び掛けた。
「みんな――今日この日から『明日を歌おう』!」
「さぁ、ゲームオーバーの時間だよ、ルドヴィカ。明日を歌うための私達の希望――束ねて束ねて、終わりに繋げる!」
「平和への道程ために……」
「みんなの思いを体現したコダマが明日を照らす光になります!」
綾音も想いを紡ぎ、アイネリスも凛と宣言していき、小雪はコダマと共に身構えた。
魔力を重ねていく綾音は、たくさんの人々の感情の巡りが自分達の力になってくれているのだと感じている。
「これほどの音楽の力があるなんて……」
唇を噛み締めたルドヴィカは完全なる闇を作り出し、弦楽器の音で歌を打ち消そうとした。
だが、闇も音楽もディアボロスの猛攻によって払われている。
「この魔砲には私達だけじゃなくて、このパルマ公国に生きるみんなの思いもこもっていると知れ! 行くよ! 全力全開、手加減なしだーっ!」
綾音が紡ぎあげた膨大な魔力は凄まじい威力の魔砲に転換され、ルドヴィカを穿つためだけの力として収束した。
そして、其処に目映い光を纏うコダマが小雪の元から飛び上がる。アイネリスと燐寧も一気に敵の間合いに入り、無数の剣刃と回転鋸刃を大きく振り上げた。
「こ、これが今のボク達の全力全開の一撃です!!」
「平穏の障害となるお前を、ここで一切斬り捨てる」
「あたしが、ううん、あたし達が断頭台になる!」
体当たりは真正面から。刃は喉首に目掛けて。全力のパラドクスが振るわれた時、戦況は大きく変わった。
此処から巡りゆくのは終幕の音色。
夜を照らす太陽が導く、新たな未来への路が此処にある。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【託されし願い】がLV3になった! 【クリーニング】がLV2になった! 【書物解読】がLV2になった! 効果2 【ドレイン】がLV4になった!
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
エトワール・ライトハウス
アドリブ連携◎
話したい子たちがいるならそれを待ってから決戦を挑む
抵抗してくれるならありがたい
軍人としては気が楽だ
相手はジェネラル級、力の源泉を封じたとしても侮れる相手ではないな
レオンの足で間合いを取りながら銃を撃つ基本の戦いはしてみるが、これで倒せるわけもない
なので、目くらまし目的に【照明】。俺たちには【完全視界】がある
作った隙にPDでの突進を仕掛ける、体勢が崩れたなら相手も回避よりPDで迎え撃つ可能性は高いだろう
淫魔宰相の魅了、俺一人で耐えるのは困難だろうが……
【託されし願い】でパルマ市民の様子を映して攻撃を続行
お前を打倒するなら、彼らの願いこそ相応しい
ノクターンの時間だ、夜奏のルドヴィカ!
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
レイラ・イグラーナ
貴女が流させた人民の血は、貴女の血によってのみ贖われる。それが革命です。この国と市民が未来へ進むため、討たせて頂きます。
格上の相手、他の復讐者と連携は密に行います。
近づいて眼差しや風の香りが直撃しないよう、中距離から「銀の針」を『投擲』しながら戦闘を行います。ダメージにはならないでしょうが、演奏を妨害する『撹乱』程度にはなるでしょう。
他の復讐者の攻撃で隙ができたなら『精神集中』しルドヴィカの攻撃を縫って接近、派手さはなく、されど素早く、確実に【手製奉仕・縫】で銀の針をルドヴィカの胸に突き立てます。
Нет、終わりではありません。この国と市民たちの自由は、これから始まるのです。
⑤👿決戦、パルマ公国『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』
マリアラーラ・シルヴァ
夜闇へパラドクスするよ
マリアには貴女が重圧で苦しみながら
かき抱けるものだけでも守ろうと
戦ってる様に見えたよ
裁判所を放棄した先が遠いパルマへの凱旋
態々ウィーンから楽団呼び寄せ
下僕呼ばわりなのに部下への手厚い扱い
現状を維持するための地位自体への執着…
見えた理由を指折り数えながら
決意を揺さぶる言葉を重ねて満足させる
精神攻撃のつもりなの
貴女は賢く責任感あるけど
宰相は向いてないと思うの
なまじ支配で元気を吸収できるから
下僕大好きなのに支配を介さないと関係築けないって
一人ぼっちしてるんだもの
でも下僕の心に触れたら
支配とか関係なく貴女の事好きだったよ
ちゃんと頑張りは…願いは叶ってた
だからもう休んでいいと思うの
●願いの英雄譚
淫魔宰相、夜奏のルドヴィカ。
その名の通り、宰相の地位に就けるほどの力と演奏能力を有しているクロノヴェーダは不敵に笑っていた。
仲間達が其々の思いを抱き、彼女を討ち倒すための攻勢に入っていく最中。レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は真っ直ぐな眼差しをルドヴィカに向けていた。
「貴女が流させた人民の血は、貴女の血によってのみ贖われる。それこそがこの革命です。パルマの市民が未来へ進むため、討たせて頂きます」
「ええ、どうぞ。こちらも抵抗するけどね?」
「抵抗してくれるならありがたい」
ルドヴィカの声に答えたのはエトワール・ライトハウス(Le cabotin・g00223)だ。軍人としては気が楽だ、と口にしたエトワールの傍にはこれまで共に戦ってきた無双馬のレオンも控えている。
交錯する視線。其処には戦い抜く意思が宿っていた。
各々が身構え、パラドクスを発動させてゆく。その中でマリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)はルドヴィカの姿をじっと見つめていた。ルドヴィカはその視線に気付いていたらしく、ディアボロスの攻撃を捌きながらマリアラーラの方にも眼差しを向ける。
「何か言いたいことでもあるのかしら、お嬢さん」
「うん、あるよ。夜奏のルドヴィカと呼ばれる貴女のこと。マリアには貴女が重圧で苦しみながら、かき抱けるものだけでも守ろうと戦ってるように見えたよ」
「……私が?」
マリアラーラの物言いに怪訝な顔をしたルドヴィカ。彼女に対し、少女は語ってゆく。
裁判所を放棄した先。パルマへの凱旋。ウィーンから楽団呼び寄せたこと。配下を下僕呼ばわりしているというのに、部下の扱いは手厚いこと。そして、現状を維持するための地位への執着。
見えた理由を指折り数えたマリアラーラは、ルドヴィカが戦う決意を揺さぶる言葉を重ねていった。
それは追い詰められ散るルドヴィカを満足させる、逆の意味での精神攻撃として紡がれている。
「幼子の戯言ね」
対するルドヴィカは冷静に対処しようとしていた。幼子だと一蹴したのはマリアラーラを侮っているのではなく、そのように語ることで自分を落ち着けているようだ。サキュバスと淫魔。似た性質を持つものとして、マリアラーラが夢と魅了の魔力を宿した甘い言葉を使っていると分かっているようだった。
反撃として繰り出されたのは、空間から光を奪い完全な暗闇とする静寂の世界。
エネルギーを吸収して自分のものとするルドヴィカと、マリアラーラの魂が闇の中で静かに衝突している。
闇の空間になるのは力を吸い取る時のみ。
戦い続けるレイラとエトワールはそのことを聡く理解しており、薄れていく闇に潜みながら攻撃に入った。
これまでの戦いでわかっている通り、ルドヴィカは明らかな格上の相手。それゆえにレイラは仲間との連携を密にすることを心掛けていた。
「相手はジェネラル級、力の源泉を封じたとしても侮れる相手ではないな」
「そうですね……。もし能力が封じられていないままだったら……想像するだけでも恐ろしいです」
エトワールとレイラは、本来の能力を発動できていないルドヴィカを見つめる。それでいて尚、この人数を相手取っていられるのだから相当なものだ。
気を強く持ったエトワールはレオンの手綱を握り、常に間合いを取りながら銃を撃ち続けた。されどこれは牽制にすらなっていないことも解っている。
齎される闇には照明で対抗しながら、彼はしかとルドヴィカを見据えた。
隙すら見当たらないほどの攻防が巡っているが、エトワールが出来ることはひとつ。此方から隙を作るべく、パラドクスによる突進を仕掛けることのみ。
「ふふ、真っ直ぐに向かってくる姿勢は好きよ」
「……そんな言葉には惑わされない」
槍状のオーラを纏った体当たりを見舞った瞬間、ルドヴィカがエトワールに片目を瞑ってみせた。だが、それは彼女が音楽と共に巻き起こす誘惑と魅了の一手だ。その効果はレイラにも迫り、ふらつくような感覚が齎されている。
眼差しに風の香り、その言葉。誰もが厄介だ。
耐えたレイラは地面を強く踏み締め、銀の針をひといきに投擲した。
たった少しでも良い。僅かな間だけでも演奏を止められれば抜け出す好機も見出せる。
(「狙うなら、あの弦楽器を――」)
滲む一滴、擦れる凩。銀の野薔薇が狭間を透かすように。
レイラの一閃は鋭く巡り、針の一閃がルドヴィカの楽器を貫いた。
広がっているのは淫魔宰相とも呼ばれる力を持つ淫魔の魅了だ。もしエトワールがたった一人で戦いに挑んでいたのならば耐えられなかったかもしれない。抵抗するのも困難だろうが、今は違う。
「見ろ、ルドヴィカ!」
エトワールは天を振り仰いだ。其処には託されし願いの力で映されたパルマ市民の様子があった。
街では歌が響いている。
未来へ進む為の思いを抱き、懸命に声をあげている人々がいた。他のディアボロス達も願いの光景を示しており、民衆が謳う歌と共に声や音楽を奏でている。
レイラとマリアラーラも天を見上げ、エトワールは力を巡らせていった。
「俺は立ち続けるんだ、立てなかった人達のために」
エトワールは紡ぐ。英雄譚の再執筆――ルー・ドゥを。
纏うオーラの正体は彼自身の力ではなく、復讐者の勝利を願う人々の信仰を源にしたものだ。託されし願いがある今、エトワールに迷いはない。同時にレオンの加速度が上がっていく。
「何……? さっきの突撃とは比べ物にならないほどの速さが――」
「お前を打倒するなら、彼らの願いこそ相応しい。ノクターンの時間だ、夜奏のルドヴィカ!」
鋭いエトワールの一撃がルドヴィカを穿ち、悲鳴が上がった。
マリアラーラは今こそ畳み掛けるときだとして、自分なりの言葉と力を巡らせてゆく。
「貴女は賢くて責任感があるけど、宰相は向いてないと思うの」
「……言ってくれるわね」
「なまじ支配で元気を吸収できるから、下僕が大好きなのに支配を介さないと関係を築けないっていう、一人ぼっちしてるんだもの。支配とか関係なく、みんな貴女の事が好きだったんじゃないかな」
「だから何だというの?」
痛みを堪え、苦しげな表情を浮かべたルドヴィカに対してマリアラーラはそっと告げる。
「ちゃんと頑張りは……願いは叶ってたよ。だからもう休んでいいと思うの」
「……っ!」
はっとしたルドヴィカの瞳が見開かれた。
だが、淫魔宰相としての顔を見せた彼女は首を横に振る。
「駄目よ。革命裁判を続けなければ……。そうじゃなきゃ……いけないのに――」
息を荒らげているルドヴィカは、ディアボロスの猛攻やマリアラーラの言葉によってかなり弱っていた。言葉が途切れがちになっているのも意識が朦朧としはじめているからだろう。
誰もが今、戦いの終わりを感じ取っていた。
●夜奏曲
「――今だよ、皆!」
「綾音ちゃん達はいつでも全力だよ」
「最高のステージで締めくくってあげる!」
最初に呼び掛けたのはシルだ。彼女が解き放つ六芒星の力に綾音が力を重ね、其処に続いて動いたソラの四元光芒が繋がることで色鮮やかな色彩を生み出された。
蛍は仲間達を見渡し、アイネリスと共にルーチェ・ソラーレの曲への思いを強める。
「あなたの支配は今夜で終わりです」
「舞台から下りることは逃れられないの」
凱歌と星辰の力がルドヴィカに向かっていく中、燐寧とアンゼリカが打って出た。
「行くよ。その首が、パルマで断たれる最後の首だっ!」
「明日を照らす太陽の光となり、人々に夜明けの時を!」
「願いも想いも、大切なこと、ですから……。そうですよね、コダマ……!」
繰り出される燐寧のスレイヤーアーツとアンゼリカのジャッジメントセイバーの威力は激しい。小雪とコダマも協力しあいながら、戦いの終わりを目指していく。
「夜明けは近いんだよ。たとえまだ暗闇の中でも……」
「明けない夜なんて絶対にない!」
更に其処へ、ユウのガジェットウェポンが唸りをあげる勢いで繰り出され、カリーナの全力連撃が重ねられていった。
「歴史侵略者であるあなたを倒す。それだけです」
「今が斃れゆくときです!」
続いた華楠は雷幻想の力でルドヴィカを翻弄していき、エレナも白華の断絶を巡らせることで相手を圧倒した。
「グランダルメの未来を、取り戻す。よくわかんないけど」
「この先がどうなるか分からなくても私達は勝つよ。絶対に!」
昧が振るうダンの一閃に合わせ、ハニエルが打ち出すエンジェリック・アローがルドヴィカを貫く。エトヴァが奏でる革命歌が響き渡る中、アンネローゼも幻影剣を解放していく。
「ここには勇気と情熱がある。決して揺らがない、人の感情は強いんだ」
「言ったでしょう、決着をつけましょうと」
ルドヴィカが倒れた後の未来を思いながらディアボロス達は全力を尽くしていった。
マリアラーラも思いを伝えるために言葉を重ねる。
「もう大丈夫なのよ、ルドヴィカ」
休んでいいと語った思いは嘘ではなく心からのものだった。
その最中にソレイユが凱歌による幻想の騎士を遣わせ、セレスティアがバロンスに審判の力を巡らせる。相当に追い詰められている状況だが、ルドヴィカは双眸を細めながらディアボロス達に語り掛けてきた。
「ああ、やっぱり私の見立ては正しかったわ。貴方達は美しい……」
「何を急に――」
「うふふ、敵を褒めてはいけないかしら。貴方の質問に答えた後、本当は逃げる隙を窺うつもりだったのよ」
ソレイユが問い返すとルドヴィカは笑みを深める。
だが、彼女は逃げる素振りなど今まで見せてこなかった。セレスティアは自分達が会話をしていたときのことを思い返し、純粋な疑問を投げ掛ける。
「覚悟が出来たと言っていたけれど、どうして?」
「私達が敵同士であることは絶対に変わらないわ。けれども、気になったの。気に入ったと言った方が良いかしら。パルマの民を動かすほどの言葉、紡ぐ音、そして――貴方達の在り方を」
それは宰相としてではなく、ルドヴィカの個人的な思いなのだろう。
彼女は語る。自分は此処で倒れる運命だと分かった。それならば無様に逃げ去るよりも好ましいと思う美しい者達に屠られるのがいい、と。だからこそルドヴィカは、戦う直前になってやっと、覚悟ができたと語ったのだ。
この状況を導いたのは此処に集ったディアボロスの力だけではない。パルマの街で民衆に語り掛け、心を震わせる歌や舞を披露した者。淫魔や自動人形に立ち向かい、道を切り拓いたもの。街に残って人々と共に詩を紡ぎ続ける者。
すべてのディアボロスや民衆が作り上げた結果が、今という決着の時だ。
ルドヴィカの言葉を聞いていたニアは震える身体と痛みを抑え、大鎌を支えにして立ち上がった。
「ニアの思い……。足りないならもっと……。ルドヴィカに……。伝えたいから……」
大技を放ったニアの体力は限界に近い。
だが、ルドヴィカが美しい最期を求めているならば、応えたいと思った。ニアは痛みと流れる血に耐えながら、有り得なかったはずの二撃目を叩き込みに向かってゆく。
刹那、鋭い刃が月光を反射して煌めいた。
「ああ……でも――私が作る秩序……。この秩序が保てなくなれば、この国が終わってしまうわ……」
ルドヴィカは壊れかけた弦楽器を握り締めながら、わなわなと震える。
淫魔宰相としての矜持と責任。ルドヴィカ本人としての自由な享楽への思い。ふたつの立場の狭間で彼女の心は揺れ動いているのかもしれない。
弱りきったルドヴィカは最早、パラドクスの発動はおろか攻撃すら出来ない状態だ。
次が最期を与える一撃となる。
レイラは終わりを齎すべく、ルドヴィカの元へ駆けた。其処に派手さはなく、されど誰よりも素早く、確実に。そして次の瞬間、レイラの銀の針がルドヴィカの胸に突き立てられた。
「もういいんだ。夜と共に静かに眠れ――マリア・ルドヴィカ・フォン・エスターライヒ」
最期を見守るエトワールが優しく告げ、レイラも凛と語る。
「Нет、終わりではありません。この国と市民たちの自由は、これから始まるのです」
夜の影を縫い留めるような静かな一閃。
淫魔宰相、夜奏のルドヴィカ。その支配に終幕を下ろしたのは自由への希望だった。
「貴方達は、無秩序めいたものを自由と呼ぶのね。そう……それなら、」
ディアボロスを見つめたルドヴィカは眩しげに眸を細める。
立っているのもやっとであろう状態で、ルドヴィカは手にしていた弓を弦に添えた。戦いによって楽器の一部が歪んでいたが、彼女は僅かでも演奏を試みた。
ルドヴィカの死が近付いていることを悟っていたディアボロス達は、敢えて演奏を見守る。
「これが……私がパルマに贈る、最後の曲……」
其処から響き渡ったのは、パルマの人々が謳っていた太陽と希望の曲の一節。
奏でられる音は夜の狭間に解けていく。
曲だけは気に入っていたのよ、と静かに微笑むルドヴィカ。闇に沈むように倒れ込んだ淫魔宰相はそのまま事切れた。彼女が何を思って革命の旋律を響かせたのかは想像するしかなくなかったが、確かなことがひとつだけある。
ディアボロスは此処で勝利を得た。
街に派遣されていた淫魔や自動人形の配下もルドヴィカの敗北を知ればすぐにでも撤退していくはずだ。パルマ公国は夜奏の支配から解放され、真の意味での夜明けを迎える。
行こう、とディアボロスのひとりが仲間達を誘った。向かう先はもちろんパルマの街だ。
報せを聞いた人々は喜びと共に謳っていくのだろう。
夜奏のルドヴィカが討たれたことを。託した願いを受けたディアボロスが勝ち取った自由の歌を。
そして――新たな未来を導いていく、勝利の凱歌を。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【託されし願い】がLV5になった! 【現の夢】がLV2になった! 効果2 【ロストエナジー】がLV7になった!
最終結果:成功
完成日 2022年06月24日
宿敵
『淫魔宰相『夜奏のルドヴィカ』』を撃破!