リプレイ
備傘・鍬助
…なんか、平和そうでも病んでる村の典型みたいな所っぽいな
独り身稼業の医者がこんな所で愚痴ってても始まらないのは解ってるんだがなぁ…
てなわけで、観光を楽しむ…ふりして、新宿医院名物、現地での辻治療をやらかしてみようか
まぁ、平和そうな村でも肉体労働はあるだろうし、体も解せば心もほぐれるってなもんだ
…常に生贄を求められる村だ
大切な人を捧げて、心身ともに疲れてる奴なんて、腐るほど、いるだろうしな
そういう奴らに、後悔や、恨み言、生贄の末路の情報を聞いて、説得材料を集めよう
宗教的な存在だ
倫理観と感情じゃ、止められないもんだ
時にゃ、ぶん殴ってでも止めなきゃいけない時もあるもんだ
アドリブ、絡み、好きにしてくれ
●平和な街の歪んだ価値観
西暦501年、グレートブリテン島の湖水地方。
クロノヴェーダの支配を受けているとは一見思えないほど、人とドラゴニアンが平和そうに暮らしている街は、竜の花嫁が最期の時を過ごす街。
「……なんか、平和そうでも病んでる村の典型みたいな所っぽいな」
穏やかに流れる時間と風景。けれどここには確かに死の影が潜んでいる。のどかな景色を眺めながらも、備傘・鍬助(戦闘医・g01748)は思わずそんな感想を口にするのだった。
独り身稼業の医者がこんな所で愚痴っていても始まらないのはわかってるのだが、医者視点で見るとどうしてもそう思えてしまうのだ。
表向きには平和な街だ。確かに湖もそこに咲き誇る花も美しい。それらを眺めた後、鍬助は観光を楽しむふりをして街へと繰り出した。なるほど、大道芸人や吟遊詩人が路上でパフォーマンスを行い、それを眺める人々も楽し気に拍手と投げ銭を送る。街は活気に満ちていた。
それならばと、鍬助も路地にいくらか干し草を集め、そこにシーツを敷いて簡易ベッドを作り出す。ここで、新宿医院名物である辻治療を行うつもりなのだ。
「あら、あなたもここで商売を?」
さすがにこの時代に白衣は医者を示すものという認識はないようで。ただ、興味を惹かれた様子の女性が鍬助に声をかけてきた。
「整体術を。疲れた身体を解せば、心もほぐれるってなもんだ」
「ふふ、確かにみんな商売繁盛で忙しいから疲れもたまってるかしらね」
少し話をしてみれば、この女性が件の花嫁のガーデンパーティーのため、会場に飾る花を準備していたのだとわかる。今はひと段落して、街に戻って来たそうだ。
「竜の花嫁か……大切な人を竜に捧げるんだ。悲しんでる奴もたくさんいるんだろうな」
「え、どうして? 名誉なことだもの。みんな喜んでいるわ」
女性はきょとんとした様子で、おかしなことを言うのね、という顔をしている。
「だが、もう二度と会えなくなるんだろう?」
「けれど代わりに竜鱗兵を生み出せるのよ。誰にでも出来ることじゃないわ」
「……」
どうやら思っている以上に竜の花嫁というものの存在は妄信されているようだ。
もう少し後悔や恨み言なんかが聞けると思ったのだが、花嫁の命を捧げることを疑問に思っているのは、彼女に近いごく一部の人間だけなのかもしれない。
(「宗教的な存在だ……この世界では当たり前だとは言え……」)
それがおかしいと教えてやる必要がある。
(「時にゃ、ぶん殴ってでも止めなきゃいけない時もあるもんだ」)
だが、この女性にそれを言っても仕方なさそうだ。説得材料にするならば、やはり花嫁に近しい存在から話を聞くべきか。
「みんな竜の花嫁たちのおかげで商売も繁盛してるの。身体をほぐしてほしい人はいると思うわ。あなたのことも宣伝しておくわね」
そう言って女性は手を振って、去っていくのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
シル・ウィンディア
野茉莉さん(g05024)と一緒に
服はディアコレのストリート部門のお洋服。
事前準備で、おにぎり、卵焼き、タコさんウインナーに唐揚げをお弁当箱に詰めていくね
わぁ、お花も湖も素敵だね~
とっても綺麗っ♪
野茉莉さん、お弁当作ってきたんだけど一緒に食べよ?
ん?食べさせあい?
楽しそうだねっ!
それじゃ、まずはこれを…
フォークで卵焼きを刺して、野茉莉さんの口元に運ぶよ
…どう、おいしいかな?
口元にごはんを持ってこられたら、はむって食べるよ
ちょっと恥ずかしいけどうれしいねっ♪
スイーツあるんだっ♪おいしそうなのー♪
ドーナツもいいけど大福も捨てがたいね
他愛無いお話をして…
この日常の為にわたしは頑張ってるんだよねっ!
遠野・野茉莉
シルちゃん(g01415)とご一緒します。
私は甘味を準備していきます。
お饅頭、大福、後はお気に入りのもちもちのどーなつですっ。
お花、それに湖も綺麗です…。
ぁ、お弁当ありがとうございますっ。
それに凄く美味しそう。お料理もお上手なのですねっ。
それと折角ですから、食べさせっこをしてみたいです。
きっとシルちゃんの可愛らしい顔を間近で見れると思いますから、ね。
…ぁ。でも、私の恥ずかしい顔を見られてしまうのですね…。
ぅぅ…。
その後に私が用意した甘味をおやつで頂きます。
好きなものを選んで下さい、ね。
最後に。
シルちゃん。誘ってくれてありがとうございました。
●この日常を守るため
「わぁ、お花も湖も素敵だね~。とっても綺麗っ♪」
パラドクストレインに乗ってやってきたのは、西暦501年のグレートブリテン島の湖水地方。季節は同じく春だから、湖の周りには色とりどりの花が咲き誇り、その美しさにシル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)は、煌めく湖面のような青い瞳を輝かせると、一緒にやって来た遠野・野茉莉(蒼白月花・g05024)を振り返った。
「はい、シルちゃん。このお花、それに湖も綺麗です……」
風光明媚な場所だとは聞いていたけれど、実際に目にするとそれは本当に言葉で言い表せないような絶景で。野茉莉は美しい花々とそれに負けない眩しい笑顔のシルににっこりと微笑んで見せた。
「ほんとピクニックにぴったりだよね」
わくわくと湖のそばを歩くシルは、ディアコレでも披露した可愛らしいお出掛け服。オフショルダーの軽やかなトップスにハイウエストのスカートは二つの異なる布地を合わせたおしゃれなもの。空色のハイヒールでどこまでも駆けていけそうだ。
「シルちゃん、どこかに向かっているのですか?」
辺りを見回しながら歩くシルへと、野茉莉はきょとんと首を傾げつつ後をついていく。
「お弁当を食べるのにいい場所を探してて……ここはどうかな?」
「まあ、お弁当……!」
「うん、出発前に作って来たんだよ。野茉莉さん、一緒に食べよ?」
「ありがとうございますっ」
ちょうど良さそうな芝生の上に腰を下ろして。目の前には湖とそのそばで咲き誇る青い釣り鐘状の可愛らしい花たち。その近くにはツツジに似た色とりどりの低木があったりと、湖畔に咲く花々が見渡せる好位置だ。
「中身はね、おにぎり、卵焼き、タコさんウインナーに唐揚げだよ」
「凄く美味しそうです……シルちゃん、お料理もお上手なのですねっ」
「えへへ、ありがと!」
遠慮しないで食べてねと差し出してくれたお弁当をじっくり眺めた後、野茉莉はおずおずとこう提案する。
「あ、あの……折角ですから、食べさせっこをしてみたいです」
そうすれば、目の前のシルの可愛らしい顔をもっと間近で見れると思うから……と、そんなことも思いながら。
「ん? 食べさせあい? 楽しそうだねっ!」
快諾したシルが、じゃあ自分からと、まずはフォークで卵焼きを突き刺し、野茉莉の口元へと持っていく。
「はい、あーん♪」
屈託のないシルの様子に、野茉莉は自分から言い出したものの、思わずもじもじしてしまい。
(「……ぁ。でも、私の恥ずかしい顔を見られてしまうのですね……ぅぅ……」)
頬を薔薇色に染め、恥じらいながら口を開けて卵焼きをいただく。
「……どう、おいしいかな?」
ふわふわの卵焼きはシルが愛情をこめて作ってくれたのがわかるから。
「とっても美味しいです。さすがシルちゃんです」
「えへへ、よかったー」
「では、今度は私からですね」
野茉莉はフォークにタコさんウインナーを刺して、今度はシルへと差し出す。
「いただきます♪」
差し出してくれたおかずを可愛らしく、はむっといただくと、近い距離にいる照れくささと嬉しさが同時に沸き上がって、お互いに顔を見合わせ笑い合う。
「ちょっと恥ずかしいけどうれしいねっ♪」
「食べさせっこができて嬉しいです」
幼少時に実の両親に捨てられた過去のある野茉莉は、何も信じられず心を閉ざしていたのだが、今の両親に優しく育てられたことによって少しずつ心を開き、こうして会話も出来るようになったのだ。過去の記憶がないこともあって自分に自信が持てない一面もあるが、シルのような優しい友人のおかげで一歩一歩前に進んでいるとも感じられる。
そうして二人で美味しくお弁当をいただきながら景色を眺め、他愛ない話に笑い合って。
「シルちゃん、私も甘味を用意してきたんです」
「あ、スイーツあるんだっ♪ おいしそうなのー♪」
出発前に準備してきた饅頭に大福、もちもちのドーナツを広げて見せればシルの顔も輝いて。
「好きなものを選んで下さい、ね」
「うーん、ドーナツもいいけど大福も捨てがたいね」
まずは大福からとシルが手を伸ばせば、野茉莉はお気に入りのもちもちドーナツを口に運ぶ。
美しい景色と優しい友人と一緒に食べる好物はいつも以上に美味しく感じて。野茉莉はシルの顔を見て、改めて礼を述べた。
「シルちゃん。誘ってくれてありがとうございました」
「楽しんでくれたなら良かったよ。きっとこの世界に住む人々も同じ。この日常の為にわたしは頑張ってるんだよねっ!」
平穏な日常を守るために戦っているのだと、この世界にも広がる青い空を見てシルは思う。
たくさんの世界で活躍しているシルの頼もしい顔を眺めながら、野茉莉もその思いを強くする。心優しく時に頼もしいシルだからこそ、野茉莉も安心して一緒に来ることが出来たのだ。
湖畔の長閑な時間はあともう少し続くのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
ラズ(g01587)と一緒に
ディアコレ服で参加
湖畔の休暇と、紅い花を探しに
夢心地の色彩
青空の下、そよぐ草木に花咲き、風が心地好く
良い眺めだな
昼寝がしたくなるよ
隣のラズには、こんな景色も似合うなと見つめ
……歩いてみようか
興味津々なラズの様子に笑みこぼして
いいよ、行っておいで
草原で跳ねまわる白狐さんを見ながら
笑っている
長閑な眺めに、心ほどいて、翼を揺らし
笑いながら、幸せな景色を見守っていよう
うとうとしかけた所へ、前足の感触
微睡み覚めて、鮮やかな色
……あ、それじゃないかな。上出来だ
花を受け取り、服に挿して
満面の笑みに、ラズの頭を撫でよう
ラズ、一緒に摘みに行こうか
導かれるまま、青と緑の景色へ溶けていく
ラズロル・ロンド
エトヴァ(g05705)と
ディアコレ服で参加
湖畔を二人で歩き景色を堪能…堪能…なにこの景色スゴい
砂漠かオアシス街か新宿島の景色が印象に強い古代エジプト人なので
草木が溢れ一面緑の景色は新鮮
知りたがり狐は興味津々
エトヴァに行ってもいい?と聞くと
狐化ダッシュし草原を飛び回り転がり草木を満喫する
途中草が鳴り小動物を見ると思わず、獲物か?と狐本能丸出しで狩りモード
飛びつくも惜しくも逃がす
ちぇー!と辺りを見渡せば紅い花を見つけれたらいいな
一輪咥えてエトヴァの元へ戻ろう
眠るエトヴァを覗き込むと気持ちよさそう
前足でテシテシ起こし
あっちに沢山咲いてたよと知らせます
撫でられれば嬉しく喉を鳴らし
人に戻り摘みに向かう
●美しい色彩に囲まれて
湖水地方に広がるのは、美しい青空とそれを映す鏡のような湖。そしてその周囲を彩る新緑と色とりどりの花々たち。
「良い眺めだな」
夢心地の色彩に溢れる湖畔を歩き、心が洗われるような景色を眺めながらエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は、見上げた空にも似た美しい蒼穹の瞳を細めた。
いつもは黒を纏う彼が着ているのは、先日開催されたディアコレで披露した現代服。白のハイネックのカットソーに合わせるのは丈の長い落ち着いた色のスプリングコート。同色の帽子がさらにおしゃれさを際立たせている。
「……なにこの景色スゴい」
エトヴァの隣を同じように歩きながら辺りを眺めていたラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)は、見慣れない光景に紫の瞳を好奇心で輝かせていた。
「一面緑の景色は新鮮だー」
エジプト出身の彼にとって、砂漠やオアシス街は見慣れているが、こんなに草木が溢れている光景はとにかく新鮮で。ディアコレで参加した新宿駅前の様子ともまた違っている様子に、全てのものが目新しくて、忙しなくきょろきょろと見渡してしまう。
そんなラズロルもディアコレで披露した現代服を着てきた。ゆったりとした前開きのパーカーは鮮やかな黄緑と黒が映え、新宿駅前の景色にもよく馴染んでいた。いつもは腰に巻いている鮮やかな色の帯は左腕に。そこで誇らしげに飾られた記章は、彼がかつての時代を盟友と共に生き抜いてきた証でもある。大切な想いと共に現代服にもよく調和していた。
「こんなに気持ちが良いと昼寝がしたくなるよ」
そよぐ風に草木や花が揺れている様子に、エトヴァは柔らかく微笑むが、ラズロルは景色を見るのに忙しい様子。彼にはこんな景色も似合うなと思いながら、ならばもう少し色々と見るためにも歩いてみようか。紅い花もまだこの辺りには咲いていないようだ。
しばらく二人で歩いていると目の前には遥か彼方まで見渡せるような緑溢れる草原が広がっていて。どうやら向こうの方にも花が咲いていそうだ。未知の世界に興味津々でふさふさの狐尻尾を揺らしていたラズロルは、わくわくとした様子でエトヴァへと問いかける。
「行ってもいい?」
「いいよ、行っておいで」
きっとそうだろうなと思っていたところもあり、エトヴァは思わずこぼれた笑みをラズロルに向け首肯した。
返事を聞くや顔を輝かせ、あっという間に白い毛並みの狐に変身したラズロルは四本足で草原を飛び回り、転がり回ってこの自然を満喫する。
陽の光をたっぷり浴びた植物の温かみと匂いを感じながら、故郷とは違った緑いっぱいの草原の空気を吸い込みながら思うままに走っていく。
広々とした草原の茂みが不意に揺れて、そこからぴょんと飛び出たうさぎの姿を見つければ、狐の本能のまま、逃げるうさぎを獲物と見定め追いかけていく。
その様子を遠くから見ていたエトヴァは元気に跳ね回る白狐の姿に微笑みを浮かべる。こんなにも長閑な眺めはなかなかない。一生懸命うさぎに飛びついたラズロルだが、一歩及ばす逃げられてしまったようだ。ちぇー! という心の声が聞こえた気がして、それもまた可笑しくて、エトヴァは復讐者になった時に得た翼をゆったりと揺らし、この幸せな景色を見守るのだった。
うさぎを逃したラズロルは残念そうにしていたが、ふと辺りを見回せば探していた紅い花が。これも走り回ったおかげだろう。たくさんの小さな花弁からなる可愛らしい花。それを一輪摘むと口にくわえてエトヴァの元へと走り出す。
木の下でうとうととしてるエトヴァを見つけたラズロルは、彼が昼寝をしたいと言っていた言葉を思い出していた。気持ちよさそうに眠っているけれど、せっかくの収穫を報告したくて、狐の前足でてしてしと叩いては優しく目覚めを促す。
柔らかい肉球の感触に、まどろみから目覚めたエトヴァは視界に入ってきた鮮やかな紅に何度か目を瞬かせる。
「……あ、それじゃないかな。上出来だ」
受け取った花を服に挿して飾れば、これからパーティーに参加する服装としても遜色ない。
あっちにたくさん咲いていたと知らせてくれたラズロルの頭を労うように優しく撫でれば、彼も嬉しそうに喉を鳴らして。
「ラズ、一緒に摘みに行こうか」
「うん、案内するよ」
白狐から人の姿に戻れば、こっちだよとエトヴァを案内するラズロル。
その途中に見る景色もやはり美しく、この壮大な景色を堪能しながら二人はゆっくりと歩いて行くのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
【狐変身】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
花塚・夜壱
【卯月】3人参加
俺はディアコレで着た和服で参加
二人のディアコレ姿は、次の楽しみにとっておこう
3人で出かけられて良かった、今日は一緒に楽しもう
まずは、散策に行こうか
桜があれば嬉しいんだが…キングアーサーでは難しいか?
水が綺麗だから、花も美しいんだろうか…
二人の言う通り、地に咲く花も、水面に映る花も綺麗だ
素敵な出会いがあって嬉しい
…ただ、二人とも、近づきすぎて落ちないように気をつけて
…誰か今、腹が鳴ったか?
そろそろ良い時間だし、お弁当にしよう
お饅頭は持ってきてないが…
おにぎり、たこさんウィンナー、甘い卵焼き…他にも色々作って来た
口に合えば良いんだが
ドキドキしつつも、二人の嬉しそうな表情にホッと一息
印歌・良空
【卯月】
これはピクニックっちやつですね……!
わぁ、夜壱君とカナト君とご一緒できて嬉しいです
湖もお弁当も楽しみやわぁ
カナト君はほんに楽しみにしてくださったんですね
ウチも場所的に動きやすい方が良さそうな気がしたんでいつもの和装にいたしました
綺麗な湖はこんなに水が澄んで見えるんですね
水面が空を映して周囲には小さなお花が咲いとって素敵な景色やわぁ
こうしてしゃがみ込んで眺めるお花もいいもんですね
……う。落ちへんように気を付け、ます…
えへへ、お腹鳴ったんウチです…
わぁ、夜壱君のお弁当ウチも楽しみにしてたんです
これがお弁当のアイドルのタコさんウィンナー…!
カナト君見てください、ほんにタコさんのようです…っ
カナト・ラウルス
【卯月】
二人と一緒に出かけることができるのは本当に嬉しい
実は前日からワクワクしていて寝付けなかったのは恥ずかしいので内緒です
あ、夜壱はその格好で来たんだね…!
僕もせっかくだから着てくれば良かったなあ…
結局、朝遅くなっちゃって僕はいつもの格好です
木に咲く桜も素敵だったけど、地に咲くお花もとっても綺麗だから、お花見には申し分ないと思うな
湖もキラキラしてて綺麗…
水面に空が映ると空と陸の境界線、分からなくなっちゃうね
ふふ、流石に落ちないから大丈夫
夜壱は心配性だね
あ、お弁当!
実は楽しみにしてたんだ
夜壱の料理、前々から食べてみたかったから
良空はタコさんがお気に入り?
卵焼きも食べてみてよ、すごく美味しいよ!
●共に過ごすかけがえのない時間を
目の前に広がるのは、春を迎えた湖水地方の風光明媚な景色。
2022年の新宿から501年のグレートブリテン島へとやってきた花塚・夜壱(月下鬼人・g00016)は、新緑と花々が広がるその光景に目を細めると、同行者たちを振り返った。
「3人で出かけられて良かった。今日は一緒に楽しもう」
夜壱の手には持参した三人分の弁当があって。これからこの弁当と湖水地方の美しい景色を楽しめるとあって、印歌・良空(沙羅双樹の子護唄・g05874)も、きらきらとその琥珀色の瞳を輝かせた。
「これはピクニックっちやつですね……!」
目の前に広がる美しい景色はもちろん、夜壱が持ってきたお弁当も楽しみだと良空は幸せそうに微笑んで。そして何より。
「夜壱君とカナト君とご一緒できて嬉しいです」
この楽しみを分かち合える仲間がいることが一番だと嬉しそうに語るのだった。
「うん、二人と一緒に出かけることができるのは本当に嬉しい」
柔らかな微笑みを浮かべてそう二人へと同意したカナト・ラウルス(桜華狂咲・g00321)は、陽の光を浴びて輝く湖面と湖畔に咲く花を見ては三人でここに来れたことを実感する。新宿島へやってくる前は花咲く城下町で暮らしていたカナトにとって一面の緑や花々が特別珍しいわけではない。けれどこうして一緒に気心の知れた仲間とのお出掛けは思わず心躍ってしまって。
(「実は前日からワクワクしていて寝付けなかったのは……恥ずかしいので内緒です」)
口には出さなかったものの、その気持ちを察したのか、良空はにこにことカナトの様子に目を細めて。
「カナト君はほんに楽しみにしてくださったんですね」
「そうなんだよ……あ、夜壱はその格好で来たんだね……!」
先日開催されたディアコレでディアボロスたちは新しい衣装を披露していたのだが、夜壱はその時に仕立てた和服でやってきていたのだ。
夜壱が着ているのは和服でありながら、着物をたすき掛けにして袖をすっきりとまとめ、昔武士が履いていたとされるたっつけ袴を履き、裾の部分を縛って動きやすいものになっている。
「僕もせっかくだから着てくれば良かったなあ……」
カナトもディアコレ用に何着か特別な衣装をあつらえたのだが、昨夜寝つけなかったせいもあって朝は時間がなく、結局いつもの格好で来てしまったのだ。
「ウチも場所的に動きやすい方が良さそうな気がしたんで、いつもの和装にいたしました」
良空も桜に映える天女のような素敵な衣装や、旅団で合わせたお揃いのロゴTシャツを現代風にコーディネートしたのだが、動きやすさ重視で、こちらもいつもの格好となってしまったのだ。
「では、二人のディアコレ姿は、次の楽しみにとっておこう」
また次にもきっとこんな機会があるだろうと、そんな未来の楽しみをひとつ増やしながら夜壱はまずは散策しようと二人を湖の方へと誘う。
「桜があれば嬉しいんだが……キングアーサーでは難しいか?」
おそらく新宿島と同じ時間軸のイギリスになら桜も咲いているだろうが、遥か昔の歴史が改竄されたキングアーサーにおいてはどうだろうと夜壱は首を傾げながら辺りを見渡す。
「桜はここにはないかもしれないけど、桜色のお花なら咲いとるみたいですね」
ほら、と良空が指差した先にツツジに似た花が風に揺れていた。
「木に咲く桜も素敵だったけど、地に咲くお花もとっても綺麗だから、お花見には申し分ないと思うな」
歩いて行けばまるで花の絨毯のように、色鮮やかな花々が辺りに広がっていて。
「水面が空を映して周囲には小さなお花が咲いとって素敵な景色やわぁ」
澄んだ湖に映る花が幻想的で美しい。
「水が綺麗だから、花も美しいんだろうか……」
カナトと良空が言うように、地に咲く花も、水面に映る花も等しく美しいというその事実に、新たな発見と素敵な出会いがあったようで嬉しく思う夜壱だった。
「うん、湖もキラキラしてて綺麗……これだけ綺麗だと、水面に空が映ると空と陸の境界線、分からなくなっちゃうね」
三人が湖の近くまで寄っていけば、良空がまっさきにその淵へしゃがみこむ。
「こうしてしゃがみ込んで眺めるお花もいいもんですね」
「ああ、そうだな。……ただ、二人とも、近づきすぎて落ちないように気をつけて」
「……う。落ちへんように気を付け、ます……」
自分がぼんやりした世間知らずであることを自覚している良空は素直に頷き、ちょっと後ろに下がって。
「ふふ、流石に落ちないから大丈夫。夜壱は心配性だね」
それを後ろから見守っていたカナトは、自分たちを気遣ってくれる夜壱の優しさにくすぐったさを感じながら、この美しい光景をゆっくりと眺めるのだった。
そしてその時、湖畔の静寂を破るぐーという可愛らしい腹の虫の鳴く音。
「……誰か今、腹が鳴ったか?」
「えへへ、お腹鳴ったんウチです……」
恥ずかしそうに、でも正直に手を挙げて名乗り出た良空は、期待に満ちた目で夜壱を見上げて。
「そうか、ならそろそろ良い時間だし、お弁当にしよう」
「わぁ、夜壱君のお弁当、ウチも楽しみにしてたんです」
「あ、お弁当! 実は僕も楽しみにしてたんだ」
二人に楽しみと言われ、その期待に応えられるだろうかとほんの少し心配になるけれど、お腹をすかせた仲間達へと弁当を振舞うべく、夜壱は腰を下ろすのにちょうど良い場所を見つけ案内する。
「これがお弁当……」
「ああ、お饅頭は持ってきてないが……おにぎり、たこさんウィンナー、甘い卵焼き……他にも色々作って来た」
三人分の弁当はずっしり重くて。たくさんのおかずが詰まった宝箱のような弁当を眩しそうに眺める良空。
「夜壱の料理、前々から食べてみたかったからとっても楽しみ」
「そうか、口に合えば良いんだが……」
そうしてまず良空が選んだのは。
「これがお弁当のアイドルのタコさんウィンナー……!」
籠の鳥である良空にとっては、こういったお弁当ひとつをとっても珍しく、こうしてタコさんウィンナーを見るのも初めてだったのだろう。
「カナト君見てください、ほんにタコさんのようです……っ」
赤いウィンナーにしっかり八本足が生えていて。目の部分には黒ゴマが飾られ、可愛らしいことこの上ない。
「良空はタコさんがお気に入り?」
にこにことその様子を見守りつつ、カナトは卵焼きに手を伸ばす。口の中にちょうどよい甘さが広がり、なんとも優しい味わいだ。
「卵焼きも食べてみてよ、すごく美味しいよ!」
「タコさんをいただいたあとに必ずいただきます……!」
しばしタコと見つめ合っていた良空はようやく意を決してウィンナーを口に運ぶ。
「美味しいです……!」
「そうか、それは良かった」
実は内心ドキドキしていた夜壱だが、二人の満面の笑みにほっと一安心。自らもおにぎりを口に運び、美しい景色の中いただく食事の美味しさに満足する。
「これがピクニック……本当に二人とご一緒できて嬉しいです」
「うん、素敵な景色に美味しい料理に最高だね」
それぞれの出自も生い立ちも違うけれど、こうして異世界で過ごすかけがえのない時間はとても尊くて。
三人は弾ける笑顔で楽しい時間を過ごすのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【活性治癒】がLV2になった!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ドレイン】がLV2になった!
【アヴォイド】LV1が発生!
パキラ・ミー
【CQCQ】
お空を飛んでいるモノが気になるのだが
いすみのおにーさんに頷くのだ
まずは楽しむのだね
座る場所を探しきょろきょろ
湖が見えるお花がいっぱいあるとこへ
木陰はまだ寒いだろうか
お弁当は何から食べるか悩むのだよ
金糸卵や桜でんぶが乗ったお稲荷に、緑色のお豆が乗っ…
うー…(ぱく
ん?グリンピースより瑞々しくて甘いのだ
豆にも色々あるのだねえ
梅ダレ掛けの唐揚げも美味しいのだ
おにーさん、あーんしてみるのだ?
おにーさんほど大きくなると世界の見え方が違いそうなのだねえ
謎の音に隣を見る
プー(モラ)…何故お花を食べているのだ?
蜜を飲みたかった??
あっておもちょこっとだと思うのだよ
一緒にお弁当を食べるのだ(あーん
一角・實生
【CQCQ】2名
懇意にしている食堂が行楽用の弁当も作っていたのでそれを持って行くよ
俺は燃費が悪いし、ミーさんと合わせて二人前より多い重箱サイズを
お茶は温かいものと冷たいものを両方準備
ミーさん、まずは腹ごしらえとこの世界に慣れよう
ミーさんの後ろから彼女の好みの場所へとついて行く
温かいお茶があるから少し位なら涼しい場所でも大丈夫
野菜をどんどん口に運ぶ姿につい笑んでしまう
ミーさん大きくなりそうだなあ、俺もその内追い抜かれてしまいそうだ
確かに俺とミーさんだと見え方はちょっと違うかも
ん、それ美味しかったかい?(あ、と口を開け)
プミラさんもおなか減ってたのか
自分のはっぱを食べないように気を付けるんだよ
●好奇心と湖畔のひととき
幻想竜域キングアーサーのグレートブリテン島の湖水地方は、新緑に色とりどりの花たちと、訪れた者たちの目を楽しませてくれる。
花見の時は一人だったのもあり、道中で買った三色団子を摘まんだ程度だったけれど、今日は育ち盛りの同行者もいるので、一角・實生(深潭鷲・g00995)は重箱サイズの行楽弁当を持参してやってきた。ちょうど懇意にしている食堂が、行楽用の弁当を作っていたのだ。
「見たことないものがいっぱいなのだ」
到着するなり、あっちもこっちも目新しい新鮮なものだらけで観察に忙しいパキラ・ミー(我楽多の星・g01204)は、目の前に広がる湖水地方の風光明媚な景色に緑色の瞳を輝かせ、妖狐の尻尾をぱたぱたさせている。相棒のモーラット・コミュ『プミラ』も同じように辺りを観察し、つぶらな瞳をきらきらさせていた。
「おにーさん、何かが空、飛んでるのだ」
ぐるりと辺りを見回していたパキラの視線はついには空へと向かい。遥か遠くにドラゴンと思しき影が上空を飛んでいるのが見えた。
「そうだね。この世界ではドラゴンが空を飛ぶ姿を目撃できるみたいだ。……ミーさん、まずは腹ごしらえとこの世界に慣れよう」
まずはこの景色を眺めながら弁当を食べようと實生が提案すれば、パキラはこくりと頷いて。
「まずは楽しむのだね」
「ミーさんが好きな場所で食べようか。どこか気になる場所はあるかい?」
「好きな場所……」
問われ、パキラは歩きながら再びきょろきょろする。
せっかくなので湖が見える場所がいいし、それでいて花がたくさん咲いているところがいい。木の根元に腰を下ろすのもよさそうだけれど。
「木陰はまだ寒いだろうか?」
新宿島よりも少し気温は低いようなので、木陰ともなると少し肌寒いかもしれない。
「温かいお茶があるから少し位なら涼しい場所でも大丈夫」
「おにーさんは準備がいいのだ」
ならばとパキラが選んだのは、湖が見渡せる少し小高い場所にある木の根元。辺りにはツツジのような低木に咲く花や、青い釣り鐘状の花が咲いている眺めのいい場所。
「うん、いい場所だね」
そうして腰を落ち着けたところで實生が取り出したのは大きな重箱に入った弁当。とても二人前とは思えないが、実は良く食べる實生の燃費の悪さを考えればこれで正解なのだ。
蓋を開ければ目にも鮮やかな色とりどりのおかずたち。別の重箱にはご飯ものが詰まっているようだ。
錦糸卵や桜でんぶが乗ったお稲荷には、緑色の豆が乗っていて、何から食べようか悩んでいたパキラは興味を惹かれてそれに手を伸ばす。
「ん? グリンピースより瑞々しくて甘いのだ」
ぱくりと口に入れてみれば、思っていた味と違っていて不思議だが、とても美味しい。
「よく似てるけど品種が違うみたいだね」
同じように稲荷を口に運んだ實生がその美味しさと嬉しそうなパキラに目を細める。
「豆にも色々あるのだねえ」
野菜のおかずをどんどん口に運んでいくパキラの姿に、實生の口元は思わずほころんで。
「ミーさん大きくなりそうだなあ、俺もその内追い抜かれてしまいそうだ」
今はかなりの身長差があるけれど、成長を感じさせる食べっぷりに思わずそんな言葉が漏れる。
「おにーさんほど大きくなると世界の見え方が違いそうなのだねえ」
「確かに俺とミーさんだと見え方はちょっと違うかも」
視点の高さが違うだけで、見え方が変わるものもきっとたくさんあるだろう。實生は過去の記憶の多くを失っているが、幼い自分も、きっと両親を見上げていたのだろうと想像してみる。
「梅ダレ掛けの唐揚げも美味しいのだ」
会話を楽しみながらもたくさん食べて、美味しいものを次々発見するパキラ。まだ食べていない様子の實生を見かねてパキラは唐揚げを口元に持っていく。
「おにーさん、あーんしてみるのだ?」
「ん、それ美味しかったかい?」
そうして口を開けると、さっぱりした梅ダレが染みた唐揚げが口いっぱいに広がって。
「うん、美味しいね」
温かいお茶とともに弁当を楽しんでいると、隣の方からもしゃもしゃという怪しげな音がしたので、ぱっとそちらに目をやる二人。
「プー……何故お花を食べているのだ?」
パキラが呆れたようにそう問いかけると、プミラは口をもごもごさせながら身振り手振りで意図を伝える。
「蜜を飲みたかった??」
確かにツツジのような花からは甘い香りがしている。
「あってもちょこっとだと思うのだよ」
「プミラさんもおなか減ってたのか」
大丈夫、たくさんあるよと弁当を指し示し實生はプミラを手招く。
「おにーさんもああ言ってくれてるから、一緒にお弁当を食べるのだ」
花の蜜も気に入っていたようだが、そのお誘いにプミラはつぶらな瞳を輝かせると弁当の前にちょこんと座る。
「はい、あーん」
小さく切り分けたおかずを口に運ぶと美味しそうに忙しなく口を動かす様がとても可愛い。
湖畔で過ごす和やかなひと時はこうして過ぎていくのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【プラチナチケット】がLV2になった!
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【ダメージアップ】がLV3になった!
●飲み込んだ想い
竜の花嫁となったティナの門出を祝すガーデンパーティーの準備は進められていた。
彼女のことを想うアベルと、ティナの親友・リタは街へと向かっていたが、出店を眺めているだけでパーティーの時間には別荘地の方へと戻っていくようだ。
彼らの容姿と名前は新宿駅前で説明済みなので、ディアボロスたちが間違えることはない。
街で二人に声をかけることも出来るし、パーティー会場では花嫁と離れたところで吟遊詩人や大道芸人のパフォーマンスを表面上楽しんでいるようだが、二人とも表情は晴れない。
花嫁ティナの意向で、彼女を祝う気持ちがある者は誰でも参加可能なパーティーとなっているので、行商人や吟遊詩人を装わなくても違和感は持たれない。もちろんどのような方法で接触しても構わないので、まずは花嫁に近しい存在から彼らの本当の気持ちを引き出すことが出来れば、花嫁を説得する助けとなるだろう。
備傘・鍬助
異文化の習慣に口出し、ねぇ…
これも依頼の辛い所だ
通りすがりの医者として、調子の悪そうな人を診察していこう
ま、絡み酒してる奴は第一麻酔でおとなしくさせて、周りが静かになった所で、アベルに接触してみよう
で、お前さんは、納得ってわけじゃなさそうだが…
それでも、名誉な事だと無理して納得してるのなら、よそ様の文化にケチ付けるわけにもいかないから、ティナが本懐を遂げた後、私は私の仕事をやり遂げるだけさ
だが、そうでないのなら…
一言、男としてのお前さんがどうしたいのか、言ってみな
私は、よその文化がどうなろうが知った事ではないが、男女の仲にはその限りじゃないからよ
本気で取り戻したいなら、力は貸す
どうしたいんだ?
セレスティア・リュミエール
他の方との絡み、アドリブOKです
思い合う人たちが引き裂かれる、そんなことは許せません
必ず阻止しましょう
ハープの演奏者として参加しますね
リタさんとアベルさんに接触し問いかけ
花嫁の説得に同席してもらえるようにします
祝いの場ですのに浮かない顔をされますのね
不安なことがあればご相談に乗りますよ
そう…貴方達は竜の花嫁になるのが、本当に名誉だと思う?本当に?
貴方の、貴方達の本当の望みは何?
友人が、想い人が竜の花嫁になること?きっと、違うはず
これまで通り、隣で何時までも笑い合って生きていくこと、そうでしょう?
それなら、立ち上がって。彼女を救うために、想いを遂げるために
そのために私たちはここにきたのですから
●零れた言葉を掬い上げて
竜の花嫁のために催されたガーデンパーティーは多くの人が集まり賑わっていた。
「異文化の習慣に口出し、ねぇ……」
本来ならそんなことをすべきではないという考えの備傘・鍬助(戦闘医・g01748)ではあるが、先ほどの街での様子からもこの制度が洗脳のごとき力で世界を縛っていることがわかった。このまま放っておくわけにはいかないだろう。
とりあえず通りすがった医者として、宴の高揚感からか飲みすぎて酔っぱらっている人を見つけては介抱したり、安静な場所で休むように手配して、花嫁と親しい二人を探そうとしたのだが。
「いやーティナちゃんが竜の花嫁に選ばれて、お前も鼻が高いだろう!」
ちょうど鍬助の目の前で酒に酔った男が大声で絡み始めたのが、花嫁と心を通じ合わせていた青年アベルだと気づく。
「……どこの世界にもこういう奴はいるもんだなあ……」
頭を搔きながら、明らかに迷惑がっているけれど邪険にもできないでいるアベルと男の間に割って入る鍬助。
「あーちょっと飲みすぎだな。さ、こっちで休んだ方がいい」
半ば強引に連れていくが、そもそも足元もふらついているのだから本当に飲みすぎだ。
「いやー俺は酔ってない! まだまだ飲めるぞ!」
大人しく言うことを聞かなさそうだったので、そっとパラドクス【第一麻酔】で無力化させ、木陰辺りに転がしておく。
「あの、ありがとうございました……」
ひと段落したところを見かねて、アベルが鍬助へと礼を述べる。
「いや、困っているみたいだったからな。それに本当に飲みすぎは身体に毒だ。……ところで、お前さんは竜の花嫁と親しい間柄のようだね?」
「はい、アベルといいます。その、ティナとは将来を共にすると……約束はしていなくてもそう思っていました」
「そうか……少し、話をいいか?」
その時、広いガーデンの一角から、美しいハープの演奏が聞こえてきた。思わずそちらに目をやった二人は、神秘的な雰囲気を纏った銀髪の女性が美しい曲を奏でている姿を見つける。
落ち着いた色のドレスと髪飾りから広がる繊細な薄手のヴェールを纏う彼女はセレスティア・リュミエール(碧月のソルシエル・g05430)。彼女もまた、アベルたちから心の内を聞き出そうとやってきたディアボロスであり、演奏者としてパーティーに参加していたのだ。それを瞬時に悟った鍬助はアベルをそちらへと誘う。
「音楽は心を癒す。少し聴いていかないか?」
そうしてセレスティアの方へと近づいて、その美しい音色に二人で耳を傾ける。曲が終われば辺りにいた人々から称賛の拍手が送られる。
「あ、アベル! ねえ大丈夫? あなたが酔っ払いに絡まれてるって聞いて……」
そこへティナの一番の親友だというリタも駆けつけてきて。うまい具合に役者は揃った。どうやら鍬助が助ける前にその様子を目撃し、リタに伝えた人物がいたようだ。
「ああ、リタ。大丈夫だよ。この方が助けてくれて……」
「まあそうだったの。ありがとうございます。せっかくのお祝いのパーティーなんだから、ね……」
その言葉とは裏腹にリタの表情は暗く、およそパーティーを楽しんでいるようには見えない。
「演奏を聴いてくださりありがとうございます。お二人は竜の花嫁と近しい存在とお見受けしますが……」
そこへ演奏を終えたセレスティアが二人へと挨拶を兼ねて話しかける。
「祝いの場ですのに浮かない顔をされますのね。不安なことがあればご相談に乗りますよ」
「ああ、私もさっきから気になってたんだ」
二人にそう言われ、アベルもリタも表情を硬くし、一瞬何でもなさそうな表情を装う。
「すみません、そう見えましたか? けれど名誉なことですから。友達として寂しくはありますけど……」
「僕も祝福する気持ちは皆と同じです。彼女が喜んで受け入れたことですから……」
その当たり障りのない返答に、セレスティアは紫水晶の瞳で二人を見つめる。星月の運航から運命を導き指し示す、碧き月の魔女である彼女には、その言葉が彼らの本心でないことは手に取るようにわかる。
「そう……貴方達は竜の花嫁になるのが、本当に名誉だと思う? 本当に?」
「ああ、お前さんたちは、どう見ても納得ってわけじゃなさそうだが……」
「それは……」
二人とも本当の気持ちを口にしてはいけないとでも言うように言葉を飲み込む。
「それでも、名誉な事だと無理して納得してるのなら……ティナが本懐を遂げた後、私は私の仕事をやり遂げるだけさ」
それは命を捧げるということ。そして医者である鍬助はその後自分の仕事を果たすと告げた。
「貴方の……貴方達の本当の望みは何? 友人が、想い人が竜の花嫁になること? ……きっと、違うはず」
誰だって大切な人がいなくなることを望んだりしないから。それなのに、そんな当たり前のことを口にすることもできなくて。
大丈夫よ、と安心させるようにセレスティアは微笑んで、優しく語り掛ける。
「本当の望みは、これまで通り、隣で何時までも笑い合って生きていくこと……そうでしょう?」
「……本当は、もうティナに会えなくなるのが悲しいって伝えたかった……でも、あの子は嬉しそうで……」
ようやく零れたリタの本音。まだ何かをこらえている様子のアベルに、鍬助はそっと語り掛ける。
「アベル、男としてのお前さんがどうしたいのか、言ってみな」
自分はよそ者であり、こちらの文化がどうなのかは知らないと言い置いて、その上で問いかける。
「本気で取り戻したいなら、力は貸す……どうしたいんだ?」
「僕は……ティナに竜の花嫁になってほしくはない。僕の、僕だけの花嫁に……」
「ようやく本音を口にできたんだな」
誰もが祝福ムードの中、それを言うのは勇気のいったことだろう。けれど、彼らの気持ちこそが花嫁の心を動かす大きな力になるのだから。
「それなら、立ち上がって。彼女を救うために、想いを遂げるために。そのために私たちはここにきたのですから」
セレスティアが二人に手を差し伸べて。安心させるように微笑むと、アベルとリタの二人もようやくほんの少しの微笑みを浮かべる。
「できるんだろうか……」
「ティナを失いたくないわ」
まだ半信半疑と言った様子だが、二人はようやく自分たちの心の声を口に出すことができたのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
ラズ(g01587)と宴の会場へ
友達催眠、プラチナチケット使用
黒のベストとズボン、コート有
白シャツはビショップスリーブ
紅い花を飾る
アベルとリタへ話しかける
アベルさんの糸が見えたら
服に挿した花と見比べ
この花と同じ色?
花の名や思い出、彼の心中を聴く
糸を通じて若者達が結ばれる祭……
その糸も?
恋人同士ならわかるだろう
二人が確かに通じあっていた事
……その時のティナさんの気持ちは本物
簡単に消えるはずがない……今の貴方のように
彼女は幸せと思い込まされているんだ
……この街の空気のように
ラズに見上げられ
ああ、俺もまた……生きてこそ幸せを掴めると知った
……ティナさんを取り戻すんだ
想い、伝えてみないか
俺達が協力する
ラズロル・ロンド
エトヴァ(g05705)とパーティー会場へ
摘んだ紅色の花と色んな花を服の死角に仕込み
衣装はエトヴァとお揃いのコート無し
ベストは深緑に金糸飾り
僕はリタ君を中心に話を聞くよ
君達、浮かない顔だねぇ
花嫁へお披露目前にチェックして欲しいと手品を見て貰おう
1輪の花が急に手に現れるように見せ
次々と花を出す手品
視線誘導で別へ気を引きながら
最後に紅い花を出し
どう?喜びそう?と反応を見る
奇麗な赤だね
湖畔に咲いてて僕もお気に入り
へぇ、花嫁も好きなんだ
詳しく聞く為に
ねぇ、僕に話してみてよとPDを使う
思入れやエピソードを聞く
僕は大切な人が死んでしまうのは…辛いと思う
とエトヴァを見上げ
リタはこの制度どう思うのかも聞こう
●約束と想いは消えない
「ねえねえ、エトヴァ、おかしい所はない?」
先程湖畔で摘んだ紅い花を始め、たくさんの花を服の死角に仕込んだラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)は、エトヴァとお揃いの礼服に身を包み、自分の姿を点検していた。
「ああ、ラズ。よく似合っているよ」
そう笑顔で頷くのは、黒のベストにズボンとコートで揃えたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)。黒に映える白シャツはビショップスリーブという洗練された出で立ち。先程ラズロルと一緒に摘んだ紅い花が誇らしげに胸に飾られていた。
「そっか、良かった!」
エジプト出身のラズロルは普段着馴れていない服を着こなせていたことに安堵し、エトヴァと違ってコートは着なかったものの、深緑のベストに金糸飾りがついているのが気に入っている様子で嬉しそうに微笑んだ。
「おや、ちょうどあそこに二人がいるようだね」
開けた場所で楽器の演奏を聴いていたらしいアベルとリタは、先ほどまで話していた白衣を着た青年と、ハープを演奏していた神秘的な女性と別れると、何か思いつめた顔で話し込んでいる。
「話しかけるのは、僕に任せて!」
そう言うと、ラズロルはエトヴァと共に二人に近づくと、気さくな調子で話しかけた。
「君達、浮かない顔だねぇ」
「え、そ、そうかしら……?」
「君たちは……?」
残留効果の影響もあり、また生来の人誑しでもあるラズロルの笑顔が警戒心を与えなかったのか。二人は少し戸惑った様子を見せたものの、すぐに友好的な笑みを浮かべた。
「やあ、僕はラズロル。こっちはエトヴァ。これから花嫁へ手品をお披露目にいこうと思うんだけど、その前にチェックしてもらえないかな?」
「ええ、もちろんよ。でもティナは純粋だから、きっと大丈夫よ!」
「それじゃあ……いくよ」
先程死角に仕込んだ花たちを1輪ずつ手の中に急に現れるように見せれば、リタもまた純粋なのか驚いて。
「すごいわ」
視線誘導で仕込んだ花を出すのを悟られないように気を配りながら、ラズロルは次々と色の違う花をその手に出現させる。そうして一番最後に紅い花を出しては、二人の様子を窺う。
「どう? 喜びそう?」
「あの子が好きな紅い花……きっと喜ぶわ。ねえ、アベル?」
「ああ、そうだね。きっと……」
そう言うと、アベルは懐から蝶々結びにされた紅く染められた糸を取り出し、切なそうな瞳でそれを眺める。
「その糸……もしかして、この花と同じ色?」
アベルが取り出した糸を見つめ、エトヴァが自分の胸に差した花を指し示す。途端、アベルの顔が明るくなる。
「そう、その紅い花でこの糸をティナが染めて……ティナが大好きな花なんだ」
「奇麗な赤だね。湖畔に咲いてて僕もお気に入り。へぇ、花嫁も好きなんだ」
「何やら思い出がありそうだね。良かったら聞かせてもらえないだろうか?」
「うん、僕たちに話してみてよ」
ラズロルが相槌を打ち、自然な形でエトヴァがそう切り出せば、アベルは懐かしそうに、時に切なそうに、ティナが好きな花の話や、二人が育った村で行われている祭りと風習。そしてアベルがティナの糸を選んだことや、彼女と踊りながら未来について考えていたことなどを話してくれた。
「花の名前は正確にはわからないのだけど……僕たちは勝手に『約束の花』と呼んでいたんだ。この花が二人の未来を約束すると……」
そこまで言って、はっとなってアベルは口元を押さえた。
「いや、彼女は竜の花嫁になるのだから……僕の未来にもう彼女はいないんだ」
「本当にそれでいいの?」
全てを諦めたようなアベルの言葉に、ラズロルは真っ直ぐな視線で問いかける。さらにエトヴァが真摯な眼差しでアベルを見つめる。
「先程の話を聞けば、彼女だって君が自分の糸を選んでくれて心から幸せだったはずだ。恋人同士ならわかるだろう? ……その時のティナさんの気持ちは本物。簡単に消えるはずがない……今の貴方のように」
「そうよ、アベル。あの子、本当に幸せそうだったのよ。あなたのことが大好きで……」
リタの口からもそんな言葉が漏れ、二人の幸せを引き裂く竜の花嫁という制度にやるせない気持ちを抱いているのは明らかだった。
「そう、消えるはずがない。彼女は幸せと思い込まされているんだ……この街の空気のように」
誰もが竜の花嫁を祝福する。それが当たり前のことだから。そのことに疑問を抱くことなどあるはずないのだからと、思い込まされて。
「竜の花嫁になったら、その命を捧げなくちゃいけない。僕は大切な人が死んでしまうのは……辛いと思う」
誰もはっきりと口にしないが、花嫁は死んでしまう。それは避けることのできない事実なのだ。
残酷な事実に、それでもラズロルは自分が二人の立場になったとして考えてみれば、これはど辛いことはないと思い、それを真っ直ぐ口にしては、隣のエトヴァをちらりと見上げた。
「ああ、俺もまた……生きてこそ幸せを掴めると知った」
ラズロルの視線に応えるようにエトヴァは頷く。
レジスタンスに参加し、喪った仲間の数はどれほどだろうか。取り戻したいと願っても、失われた命はもう戻らない。
「……ティナさんを取り戻すんだ。想い、伝えてみないか。俺達が協力する」
それは、先ほど白衣の青年とハープ奏者の女性が掛けてくれた言葉と同じ、思いやりと熱意に溢れたものだった。
ただそれでも、やはり無理なのではないかと自信を持つことが出来ず悩んでいたアベルとリタ。
「そうよ、アベル。私もティナを失いたくない」
アベルが握りしめている紅い糸が小刻みに震えていた。
「……ああ、そうだよ。彼女が本当に望むのなら諦めもする。でも、そうでないのなら……」
何かを決意した様子の二人を見て、エトヴァとラズロルは視線を合わせ、頷きあうのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】がLV3になった!
効果2【アクティベイト】がLV3(最大)になった!
●慈愛の花嫁
竜の花嫁に選ばれたティナは派手さはないが、純粋で優しい心の持ち主であろうことが窺えるおっとりとしながら優しい眼差しの娘だった。亜麻色の髪は腰ほどまであり、今はそれを三つ編みにして一つにまとめ、胸の前へと垂らしていた。
「まあ、ありがとう」
この近所に住むという子どもが花嫁の似顔絵を描いたというのでそれを大切そうに受け取り、ティナは空色の瞳を嬉しげに細めた。それは幼い子供が描いた落書きと呼んで差し支えない出来ではあったが、彼女はそうして贈ってくれた心が嬉しいと言うように丁寧に礼を言っては、子どもの頭を撫でていた。
このパーティーの主役であるはずなのに、でしゃばることもなければ、つまらなそうにすることもなく、訪れる人々に分け隔てなく言葉をかけ、会話を楽しみ、談笑している。
花嫁と接触すること自体は難しくない。あとは、どのような言葉をかけて彼女の心を動かすかだ。
先程顔を合わせているならば、ようやく本心を口にすることの出来たアベルやリタに協力をお願いすることも出来る。
説得に成功したとしても、今すぐ彼女を救えるわけではないが、心を動かすことが出来なければ、今後彼女を救う機会は得られないだろう。
自らの大切な人が同じ立場に立ったならば――そんな思いを抱きつつ、ディアボロスたちは竜の花嫁への接触を開始するのだった。
備傘・鍬助
ああやって微笑んでるのが、お前さんの隣なら、どれだけよかったか
アベル、覚悟極めろ
死神から恋人の心を取り戻すのは、並大抵の事じゃないぞ
ティナ、だったか?
随分と、幸せそうなこって…
ま、大変な名誉だって事は、今までで、散々、理解してきてるから、納得済みってのは、よく理解してる
が、お前さん、本当に後悔、してないのか?
恋人の必死な思いにも、心動かされる事、無いのか?
それなら、ついでに、心に無念を抱いて死んだ者の言葉も聞いておけ
霊命撃で、死んだ患者の魂を呼び出して、後悔の念を聞かせてやる
この町から逃げるってのなら、手も貸す
村人の説得も手助けしよう
なんなら、竜を倒してもやれる
…それでも、竜の花嫁を選ぶのか?
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
ラズ(g01587)と一緒に行動
もしもアベルさんから聞き出せたなら
二人で踊った、豊穣を祝う舞の曲をチェロで奏でよう
ラズの手品で驚かせたら
彼女に紅い花束を、差し出そう
ティナさんに贈り物を……二人で摘んできたんだ
お好きな花だと聞いたよ
アベルさんに話を聞いたよ
祭の為に、この花で糸を染めたそうだな
糸は、どうやって染めたのだろう?
手順を聞きつつ
その時に、誰を想い、どんな願いをかけただろう
その気持ち、思い出せないか
生半可な想いではなかったはずだ……花を搾り、手ずから染めた糸
その糸の先は、誰に繋がっていたろうか
確かな誓いがあったろう
頃合いにアベルさんとリタさんを呼んで
二人が心底の想いを伝えられるように繋ごう
ラズロル・ロンド
エトヴァ(g05705)と行動
ティナって子…運命とか約束とか…そういう縛りみたいのが好きなのかな?
今は竜の花嫁という運命に縛られて…認めちゃってるように見えるよ
……なんとかアベル君との運命を思い出してもらいたいな
紅は約束の色なんだろう?
ティナ君の下へ行き余興とばかりに手品を見せよう
紅の花を出し
君の運命は本当に竜の花嫁なのかな?
約束した運命があるんじゃ無いのかな?
もし運命をねじれさせるのなら…僕は生きて約束を貫いてもいいと思うな
運命は誰かに決められるものじゃない
君自身が選び取るんだ
そう言って後ろを示せば紅の花束を持つエトヴァ
その後ろにはアベル君リタ君を控えさせ最後の一押しを決めてもらおう
●ねじれた糸の行方
パーティーの中心にいる竜の花嫁に選ばれた娘・ティナ。彼女はかけられる言葉に丁寧に頷いては慈愛に満ちた微笑みを浮かべ、訪れた人々に感謝を伝えている。
「ああやって微笑んでるのが、お前さんの隣なら、どれだけよかったか」
ティナと会話する機会を近くで窺っていた備傘・鍬助(戦闘医・g01748)は、一緒に連れてくることに成功したアベルにそんな言葉をかける。もちろんこれはアベルを奮起させるためでもあるのだ。
「アベル、覚悟極めろ。私らも協力するが、死神から恋人の心を取り戻すのは、並大抵の事じゃないぞ」
「はい……僕は黙ってティナを失いたくはありません……!」
鍬助と一緒にその様子を見ていたラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)は、リタの方へと顔を向けてふと思いついた疑問を口にする。
「リタ君、ティナって子……運命とか約束とか……そういう縛りみたいのが好きなのかな?」
「そうね、御伽話とか空想の話が好きだったから……夢見がちなところはあったわ」
「そっか……」
想い人と豊穣を祝う祭りで紅い糸によって結ばれた幸せと同じくらい、竜の花嫁に選ばれたという運命に自ら縛られ、認めているようにラズロルには思えたのだ。
そんなラズロルに対し、励ますようにぽんと肩を叩いたのはエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)。彼は胸元に飾った紅い花を示して頷いて見せる。
「一度結ばれた糸がねじれてこんがらがっているなら……」
「そうだね、解いてもう一度繋がないと」
放っておけば悲しい結末を迎えるこの二人の若者の恋物語を幸せに変えることができるのは、ここに来たディアボロスだけなのだから。
「さあ、あの日の運命を思い出してもらおう」
先程アベルから聞いておいた、二人が一緒に躍ったという豊穣を祝う舞の曲を、エトヴァは愛用のチェロで奏ではじめる。小夜啼鳥の名を持つその古めかしいチェロの美しい音色に、来訪者との会話を終えたティナがすぐに気づいたようだ。
「まあ、素敵な演奏……あら、アベルにリタも。皆さんでお祝いに来てくださったんですか?」
五人に気づいたティナは朗らかに笑うと、こちらに来てくださいと手招いた。
「ティナ、だったか? 随分と、幸せそうなこって……」
「はい、竜の花嫁に選ばれて……こんな風に皆さんにお祝いしていただいて……本当にありがたいことです」
多少皮肉がこもっているような鍬助の言葉にも、リタが言った通り純真なティナはただ幸せそうな笑顔を浮かべている。
「ま、大変な名誉だって事は、今までで、散々、理解してきてるから、納得済みってのは、よく理解してるが……お前さん、本当に後悔、してないのか?」
「後悔ですか?」
「恋人の必死な思いにも、心動かされる事、無いのか?」
ちらり、と後方に控えているアベルを視線で指し示すが、ティナはきょとんとした表情で首を傾げている。
「アベルも祝福してくれました。これ以上にない名誉、何を後悔することがあるでしょうか?」
「そうか……なら、心に無念を抱いて死んだ者の言葉を聞いてみるか?」
「霊媒師の方ですか? 志半ばに亡くなった方の無念は理解できます。けれどわたしに後悔はありません」
純粋な性格ゆえか、その意志は想像以上に固いようで。異文化の習慣とはいえ、ここまで洗脳する力があるのかと愕然とする思いだった。
このままではアベルの言葉も届かないだろう。まずは彼との運命を思い出してもらおうと、ラズロルがすっと進み出た。
「ティナ君、少しでも楽しんでもらえたらと思って余興を用意してきたんだ。見てもらえるかな?」
「まあ、ありがとうございます」
変わらない慈愛の微笑みを浮かべたティナへと、ラズロルは先程リタとアベルに確認してもらった手品を披露する。エトヴァとお揃いの礼服の死角に仕込んだ花たちが、一輪ずつその手に現れる様はまるで魔法のようで。夢見がちだと言っていた通りに、ティナは次々現れる色とりどりの花を見ては感激の声を上げた。
「まあ、すごいわ!」
そうして最後に出現したのは、あの紅い約束の花。
「ああ、この花は……」
差し出された花を受け取ると、ティナは先程までとは違う懐かしい色を瞳に浮かべて目を細めた。
「紅は約束の色なんだろう? 君の運命は本当に竜の花嫁なのかな?」
「え……」
「大切な人と約束した運命があるんじゃ無いのかな?」
エトヴァが奏でるチェロの演奏が、彼女にあの日の記憶を呼び戻したのだろうか。
「そう、約束……確かにアベルはわたしとの約束を守ってくれたの……」
ようやく何かを思い出した様子のティナへと、演奏を終えたエトヴァが花束にした紅い花を差し出す。
「ティナさんに贈り物を……ラズと二人で摘んできたんだ。お好きな花だと聞いたよ」
「ええ、そうよ。わたしの大好きな花……ありがとう……」
先程のかしこまった雰囲気から、友人に接するような少し砕けた口調へと変化したティナは心底嬉しそうに花束を受け取った。
「アベルさんに話を聞いたよ。祭の為に、この花で糸を染めたそうだな。どうやって染めたのだろう?」
ひとつひとつ、大切な思い出を確かめるように、エトヴァは手順を聞きながら、その時にティナが想っていたであろう気持ちを思い出させていく。
「わたしがこの花が好きだから、アベルはきっと気づいてくれるって。リタも応援してくれて、それで……」
大切な人を想い、花を摘み、そうして花びらを水とともに鍋で煮て、時間をかけて手ずから染めた大切な糸。
「その糸の先は、誰に繋がっていたろうか」
そこにあった確かな誓いを彼女はようやく思い出した様子ではっと顔を上げる。
「ティナ……僕はあの日見つけたこの糸と約束を手放したりはしない」
アベルの手にはあの日結ばれた紅い糸。ティナが心を込めて染めた確かな証拠。
「そうよ、アベル。わたしは本当に嬉しかったの。でも、竜の花嫁に選ばれて……あなたのことを考えてはいけないと自分で思い込むうちに、大切なことまで忘れてしまっていたのね……」
ドラゴンが支配する改竄されたこの世界では、竜の花嫁に選ばれるのは名誉なこと。それを受け入れるためには大切なものを手放さなければいけないと心を封じて。それが排斥力によるものなのか、彼女の意志なのかまではわからなかったけれど、そのことを思い出せたなら、なんとかする手立てもある。
「もし運命をねじれさせるのなら……僕は生きて約束を貫いてもいいと思うな」
一度はねじれた運命の糸。けれど大切な想いと約束と強い気持ちが彼らにあるのなら。
「運命は誰かに決められるものじゃない……君自身が選び取るんだ」
ラズロルは紅い花を手にしたティナへと、力強く頷いて見せた。
そこへ労うようにアベルの肩をぽんぽんと叩いた鍬助が、少しばかり声を潜めてこう告げる。
「ああ、この町から逃げるってのなら、手も貸す。村人の説得も手助けしよう。なんなら、竜を倒してもやれる」
畏怖と信仰の対象でもあるドラゴンへと歯向かうなどということは、この世界に暮らす人々にとって考えられないことのようで、心底驚いた顔をしたティナとアベルだが、その言葉の中に鍬助の強い想いを感じ取っては頭を下げる。
「さあ、アベル。死神から取り戻すんだ」
鍬助に背中を押されたアベルがティナの前に跪き、その手を取っては真摯な瞳で訴える。
「ティナ、君が竜の花嫁としての人生を喜んで選ぶのなら止めはしない。けれど少しでも心残りがあるのなら……僕はその運命に抗ってみせる」
「アベル……」
「そうよ、ティナ。私もあなたがいなくなるなんて嫌! でも言えなかったの……これからも一緒にいたいわ。そして幸せなあなたたち二人をそばで見たい」
リタも涙ながらにティナを抱きしめ想いを吐露する。
「二人の心底の想いを伝えられるように繋げたみたいだな」
「うん、まだこれからだけど……ティナ君が大切な約束を思い出したのなら……きっと大丈夫」
エトヴァとラズロルがそっと見守れば、鍬助もやれやれと言いながら頭を掻いて。
ディアボロスが去った後、彼らは排斥力によりその存在を徐々に忘れていくだろう。
けれどその胸に宿った確かな想いと誓いは、運命に抗う強い光となって深く心に刻まれることだろう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
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効果2【ロストエナジー】LV1が発生!