死せる民の叫び、聞き届けるは黄天の将(作者 紅葉茉莉
5


#大戦乱群蟲三国志  #廃都洛陽の蟲将の巣  #洛陽 

 立ち込める死臭、それは部屋中に倒れ伏す民達よりする物か。
 否、それだけではない。おぼつかない足取りでさ迷い歩く民達からも同じような臭いが周囲に広がり、この部屋には動く者も動かぬ者も、人間という人間全ては死せる存在で。
 何らかの手段で生きているかのように、されど明らかに不自然な動きをする、数多の死体が存在する異様な部屋となっていたのである。
「さあさぁ、お前たち、助けてほしいのか、俺の力が必要なのか?」
「タスケ……カタキ」
「そうかそうか、なら何とかしてやらないとなぁ!」
 そんな部屋の一角で繰り広げられるは、一人生ける存在として腕を組み、己の体に滾る力に満足げに頷く将と。
 死せる状態のまま無理矢理動かされ、助けを、無念を晴らして欲しいと懇願する民の骸のやりとりが行われていたのである。
 動く死者が救いを求め、体の限界迎え倒れ望みが適わぬと無念を示せば、願いを叶えて、無念を晴らしてやるとばかりに将の力は高まって。
 人の尊厳を踏みにじり、最後の最後まで利用する悪辣な蟲将が歓喜の声を上げていたのであった。

 ここは新宿駅グランドターミナル、そしてミレー・マリエット(サキュバスのガジェッティア・g03547)が今回発生している事件について説明すべく、ディアボロス達を出迎えていた。
「こんにちは、今回は群蟲三国志の世界でちょっと酷い事件が起こっていまして、その一つをぱぱっとどうにかするお仕事ですよ。
 現場は漢の首都、だった。ここ大事です、だった、洛陽です。過去形なのはまあ、人は誰もいないという事でして」
 首都でありながら誰もいない、それは生ける人間が一人も残っておらず、白骨となった死体が無造作に放置されている有様。
 そんな都市内部には巨大な蟻塚のような建造物が多数作られており、その中には夥しい数の人間の死体が蓄えられそのエネルギーを用い、蟲将を強化しつつあるという。
「今は蓄えた死体を使っての強化中、一応真正面からぶつかって勝てないわけじゃありませんけど強化を打ち消したりこれ以上強化せずに済むのならそれに越した事はありません。
 今回はどうやら死体の扱い、が関係する形になるようですね、殺したも最大限に利用しつくす、それも都合の良いように、というやつです」
 現状は呂布ほどの力はないものの、強化が続けばいずれそれに匹敵する力を持ち得る可能性のある敵、となれば早期に叩く事がどれだけ重要か。
 死者の尊厳を踏みにじる存在に如何なる手段で対抗すべきかミレーは説明を続けていた。

「蟲将の巣の中は、倒れた死体だけでなく一応、動く人間……のような存在が助けを求めて徘徊しているみたいです。
 あと放置していると蟲将の為に邪魔してきますが簡単に倒せちゃいます。けれど、そこが今回の厄介なポイント! どうやら民の願いを聞き入れ無念を晴らす、という感じで、動く死体を倒しちゃうと蟲将が強化されちゃうんです。
 ですがその部分こそがこの強化の盲点、思いを託せない、つまりは倒れなければ強化は万全ではない、つまり倒さないように無力化すれば強化を阻めちゃうんですね、これが! まあ大変でしょうけど」
 ディアボロスならば簡単に排除できる動く死体、無念の民をどうにかして封じ込め、また蟲将に願いを届けられぬよう、倒さないように妨害すれば強化は止まり、やがて解除されるという。
 蟲将自ら動く死者を倒す事も防げれば完璧、といった所だろうか。
「あとですね、蟲将の巣の外には警護する部隊が徘徊していますのでこれは突入前にサクッと倒しちゃって大丈夫です、外のゴタゴタは伝わりませんよ。
 それと巣の中はアリの巣みたいな形の迷宮、って感じですけど大きさはそれほどないので、突破は簡単ですね」
 突入を阻む集団が警護している点は厄介だが、洛陽の警戒は甘くそこまでの到達は容易であるともミレーは語り、成すべき事は警護の排除、巣の探索、強化妨害、そして蟲将の撃破の4点だと付け加えた。

「分かっているのはこの位ですね、ちょっと派手に、そして酷いことをやりすぎちゃってると思いませんか? 思いますよね、うんうん。
 でも今なら強化が不十分な状況で一気に攻め立てるチャンス、ここでバシッと決めちゃって、今後どうするかを考えていくのも良いんじゃないでしょうか? って事で出発しちゃいましょう」
 そうミレーは最後に結び、パラドクストレインにディアボロスを案内、非道な行いにて壊滅した死都洛陽へとディアボロスを送り出すのであった。

 野ざらしにされた白骨死体に風が吹きつけ、まるで泣き叫んでいるような音を立て。
 荒れ果てた洛陽の都には大小様々な蟻塚が点在していた。
「ったく、造るついでに警護たぁ面倒だな、こんな場所に誰も来れるわけないだろうに」
「そう言うな、何もしなくてもいいって考えりゃ楽な仕事だろう」
 文句を言いつつ死体を運び、蟻塚に放り込む蟲将やそれを諌めながらも表情に不満を出しつつある蟲将などもいて、なるほど説明どおり警備に力を入れていない事が伺えて。
 そんな蟲将が無警戒に徘徊する中、住まう主を失い手入れされなくなった家の壁が崩れ落ち、轟音を立てていたが誰一人気にする者は無く、故に警戒の甘さが浮き彫りになっていた。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【託されし願い】
3
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【泥濘の地】
2
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【トラップ生成】
3
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV1 / 【ガードアップ】LV2 / 【凌駕率アップ】LV3(最大) / 【反撃アップ】LV2 / 【アクティベイト】LV2 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV2 / 【アヴォイド】LV1 / 【ダブル】LV1 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

紅葉茉莉
 こんにちは、紅葉茉莉です。
 今回は大戦乱群蟲三国志、洛陽にて発生している蟲将の巣を襲撃、破壊するシナリオとなっています。

 シナリオの流れとしては、まずは無警戒の洛陽を移動、周囲を警護しているトループス級を撃破、その後巣の内部を探索し、望むのであればアヴァタール級の強化を阻む細工を実行。
 その後、最深部にて強化途中のアヴァタール級蟲将の管亥を撃破する流れとなります。

 トループスの黄巾党残党は何の変哲もなく、設定されたパラドクスで戦闘を仕掛けてきますが警戒が甘く初手から優位に戦うことが出来るでしょう。
 スルーして巣の中に突入、探索をするという事も可能ではありますが、雑とはいえ巣の探索、の選択肢で警備を掻い潜って侵入する工夫が必要になり、肝心の探索が疎かになりえます。
 またアヴァタール級との戦闘になれば流石に異変を感じ駆けつけますので、面倒が増えるだけなのでお勧めしません。

 探索では通常の探索行動以外にも、今回の強化で用いられる民の死に対しどういった感情か、憤りかを示したり、強化を打ち消す選択肢に備えて準備などを行ったりして下さい。

 強化を打ち消す選択肢では、蟲将の強化に繋がる動く死者、無念の民たちを如何にして止めるか、様々な手段を用いて強化を阻んで下さい。
 なお、強化を打ち消さずアヴァタール級に直接挑む事も可能ではあります。

 強化されたアヴァタール級の管亥は、純粋な戦闘力強化。
 願いを、無念を体に宿し命中、回避、攻撃力などが強化されていますが、強化妨害をされれば徐々に力が減少、やがて電池が切れたかのようにパワーアップはなくなります。

 以上の情報から、皆様のお好きな行動でこのシナリオに挑んでいただければ、と思います。
 では、ここまで長文を読んで頂きありがとうございました、ご縁がありましたらよろしくお願いします。
32

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎

洛陽…森や呂布に守られて、何があるのかと思ったら死体の山か
思ったより悲惨な状況に絶句するも
任務を粛々とこなすため行動を開始する

まずはやる気の見えない黄巾兵の始末から
<地形の利用>で身を隠しつつ
徘徊して孤立した小隊から【平穏結界】で囲って討ち取っていく

「蟻塚の役割も知らされずに任務に?ご苦労なことだ」

言葉を掛けるがくれてやる慈悲はない
偃月刀でイナゴを<薙ぎ払い>羽音を潰していく
武器を弾き飛ばし羽を<両断>した黄巾兵を尋問

「この洛陽を統括している総大将を教えてもらおうか」

森で聞いた『大司馬』
軍の役割かと思ったが
長老や一族の長を示す「大」の可能性もある
端兵が知っていればいいが


安藤・優
※アドリブ連携歓迎
死体の転がる廃都か……惨い事するよね。
こういう状況見るとさ、改めて自分の戦う理由を思い出すよね。

こんにちは!死ねぇー!!!
やる気の無い黄巾兵のイナゴ共に元気よく挨拶しながら突撃して【双刃陽炎】でバッサバッサと斬り捨てていくよ。
最善は殲滅、だけど逃げて散っていく奴を追い掛けるほど暇でもないだよ、さっさと蹴散らして突入しよう。


やる気が無くて士気の低い雑兵風情がスローガン一つで強くなれると思うな!


シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携歓迎

これが極東の大国の都だった場所、かぁ。
消し飛ばされた自分の故郷と、骸だらけの都の跡。
どちらがマシなんだろうね……
いや、どっちも許さない。そうだよね。


後から邪魔されないためにも、他の塚を壊す人のためにも、見周りは排除しとかないとね。
油断してるなら奇襲から入ろうか。同行者が仕掛けて慌ててるところに付け込む形で更に奇襲、とか効きそうだよね?
【トラップ生成】でくくり罠の役目をする呪詛の手が生えてくるようにしてもいいかも。
空も飛べそうだから、霞網みたいなのを邪魔になるように張るとか……少し厳しいかな?

どうせなら相手が態勢立て直す前に頭数を思い切り減らしたいね。もちろん最善は一気に殲滅。


 荒れ果てた都を風が吹きぬけ、不気味な音色を奏でる中に混じる足音。
 されど警備の兵は別の場所を見回る者の足音と考え、見向きもせずに各々の仕事をこなしていた。
「洛陽……森や呂布に守られて、何があるのかと思ったら死体の山か」
「死体の転がる廃都か……惨い事するよね。こういう状況見るとさ、改めて自分の戦う理由を思い出すよね」
 物陰に潜み、目的である蟻塚の近くまで到着した夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)と安藤・優(名も無き誰かの代表者・g00472)があまりに酷い都の惨状に対し言葉を交わす。
 想定以上に悲惨な状況、言葉を失いかけながらも成すべき事をするのみと錬晏が心を落ち着ければ、優もぐっと拳を握り締め。
「これが極東の大国の都だった場所、かぁ」
 二人の後ろからシエルシーシャ・クリスタ(鬼人の妖精騎士・g01847)が変わり果てた都を見ての率直な感想を語れば、荒廃した都が呼応するように響き渡った家屋の崩れ落ちる音。
「消し飛ばされた自分の故郷と、骸だらけの都の跡。どちらがマシなんだろうね……いや、どっちも許さない。そうだよね」
 己が故郷を思い、眼前の惨状と比べつつ。どちらも許せぬとシエルシーシャが語れば彼女の前に居る二人、錬晏と優も無言で頷き肯定し。
 既に引き起こされた惨劇、動く時計の針は戻せぬならば、次なる惨劇を止めるべく全力を尽くすのみ。
 警備の兵は気付く気配なし、ならば一気に仕掛けると頷き合って散開し黄巾党残党に攻撃を仕掛けようとしていた。


「ふわぁ……あー、交代の時間はまだかよ」
 欠伸をしつつ一人の黄巾党残党がボヤき、周囲の面々も面倒臭そうに死体を運ぶ。
 だが彼らに訪れるのは交代要員ではなくディアボロスの襲撃で。
「こんにちは! 死ねぇー!!!」
 突然聞こえた廃都に不釣合いな叫び声、その主は優。
 両手で握る鉄塊剣は地面を擦り、火花を散らし残党向けて一直線に進んでくる。
 敵襲など完全に想定外の状況、それ故に反応の遅れた残党たちはあっさりと優の間合いへの侵入を許したばかりか、武器を構え受けを取るのも間に合わず。
「揺らぎ」
 一歩、地面を擦っていた鉄塊剣がふわりと腰の高さまで浮いて。
「虚ろえ」
 二歩、飛び散る火花が焔となって剣と優を包み込み。
「炎天の刃」
 三歩、焔による熱で生み出される蜃気楼が数多の残像作り出し、視覚を乱しながら鉄塊剣が轟音と共に振るわれて。
 無防備な胴部に打ち込まれ、その質量にて断ち切れば残党の上半身と下半身が分かたれて、空中を舞う上半身が焔に焼かれて炎上すれば、それと同時に立ち竦んだままの下半身が力なく倒れ伏す。
 完全なる奇襲、何とか状況を把握した黄巾党残党が武器を掲げて何やら宗徒を刺激するような文言叫び、味方を鼓舞して力を高め。
「くっ、敵だ、やり返せ!」
 各々が武器を手に猛攻、されどそれらの攻撃は残像をかき消すに留まって、何とか優に刃を突き立て傷つけることに成功した者もいたがそれは互いに間合いに入ったと同義。
 感じる殺気、思わず武器引き盾として構えるも手遅れ、反撃に振るわれた鉄塊剣の衝撃で武器ごと大きく残党は吹き飛ばされていたのであった。
「やる気が無くて士気の低い雑兵風情がスローガン一つで強くなれると思うな!」
 猛攻からの叫び、それは相手を威圧し戦意を削ぐ優の策、故に恐怖から援軍を呼ぼうと数体の残党が走り出すがそれを許さぬ一手が投じられたのはその時で。
「ナックラヴィー、呪え、縋れ、啜れ」
 ぴちゃり、ぴちゃりと響き渡るは不気味な水音、それは呪詛を通す『門』としての役割持った水溜りから響く音。
 慌てて逃げて、仲間を探し走り出した黄巾党残党の足元に広がるそれはシエルシーシャの生み出した罠であり、にゅるりと伸びた黒き手がまるでくくり罠の如く足首掴み転倒させれば、生命力を吸い上げる。
「しまっ!? 罠か、誘い出されたってのかよ!?」
 強襲され離脱しようとすれば足元から伸びる手に掴まれ逃げることも不可能、完全に混乱状態に入ったが追撃は止まらない。
 罠のように広がる水溜りを避けて走っても、呪詛は相手を見つけ捕まえるまで止まらずに。
 踏み抜かぬのなら此方から出向くまで、とばかりに水溜りから黒き手が伸び残党に縋り付く。
「くそっ、ふざけっ……おい、とっとと来い!」
 追い込まれつつある状況、だが何とか立て直そうとしたのだろうか信徒のイナゴを呼びつける黄巾党残党、その言葉に呼応して多数のイナゴが羽ばたきながら戦場へと突入し。
 敵対者と見なした優とシエルシーシャを噛み千切り、命を奪わんと飛びつくがその進軍は思わぬ一手によって阻まれる。
「霞網、みたいなのを張るのは厳しかったけど……直前で邪魔するぐらいはできるんだよね」
 ポツリと呟くシエルシーシャ、その言葉と同時に家屋の屋根に広がる水溜りから伸びた黒き手が、視認性の低い霞網を投擲。
 事前に仕掛け、追い込む事で標的を捕らえる網罠、故に唐突に呼び出され自在に動く標的を前にしては効果が見込めぬ罠なれど。
 イナゴの進路を塞ぐように投網の要領で放り投げられ広がるそれは、ほんの一瞬飛び交うイナゴを絡めとり動きを阻害。
 咄嗟に黄巾党残党が手にした剣で網を断ち切り拘束解くも、戦闘における無駄な行動を強いたのは十分すぎる成果であり。
「次はあいつら、イナゴだし容赦なくやっていいよ」
 シエルシーシャの言葉に従い、飛び交うイナゴを掴み、そのまま握りつぶし呪詛の手が動ける黄布党残党目がけて伸びていき。
 援軍待ちわびる一群は次々とその数を減らしていく。

 何故援軍が来ないのか、その理由はこうである。
「蟻塚の役割も知らされずに任務に? 身も入らないわけだ」
 音も立てず密やかに、孤立し徘徊する小集団を狙い忍び寄る錬晏。
 結界張り上げ周囲と隔離、外部より異常に気付きにくい状況を作り上げ、無警戒に歩く残党向けて急接近。
 殺気に気付く残党だったが、元より敵襲などありえないと考えていた軍勢、故に咄嗟の反応も出来ぬまま耳に届いたその言葉。
 何か言い返すことも出来ず、一人の残党が最後に見たものは己の首に向け伸びる、龍の透かしが浮かぶ漆黒の刃であった。
「なっ!? どこから……ぐおあっ!?」
 想定外の襲撃にて同胞を倒され慌てふためく黄巾党残党、だがその混乱が収まるのを待つような錬晏ではない。
 続けざまに振るわれた刃の一撃で別の残党が倒れ伏し、何とか状況を把握した最後の一人が背中の羽を震わせ大音量の衝撃で錬晏を打ち倒さんと反撃するもそこまで。
「その程度で……私は止められん、ぞ」
 轟音にて発生した衝撃波、それを受けた衣服がはためき震える最中、躊躇なく踏み出す一歩。
 改造された厚底の布靴は刺し子で彩られ、ぐっと地面を捉え踏みしめ次なる一撃を繰り出す支えとなり、横薙ぎに振るわれた刃が残党震わす巨大な羽を一刀両断。
 続けざまに武器まで跳ね飛ばし、首元に刃突きつけ彼はこう尋問する。
「この洛陽を統括している総大将を教えてもらおうか」
「な、なにを……俺たちはしらねぇ、ただここで仕事をしろって!」
 怯えた様子で返答する残党、恐らく本当に何も知らないだけなのだろう。
 森で聞いた『大司馬』の言葉、軍の役割かはたまた長老や一族の長を表すものなのか、やはり端兵では知らぬかと首を振り。
 命乞いなど聞く耳持たぬと一撃、残党を絶命させれば次なる小隊を狙い移動を開始。
 こうして、援軍に向かうはずの小隊を錬晏が片っ端から削り倒していたのである。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!

 ディアボロスによる奇襲、それにより警護の兵である黄巾党残党の多くが討ち取られ、混乱状態となっている。
 だが蟻塚への侵入を阻まんと僅かに残った集団が集結、必死の抵抗を試みようとしているが最早その抵抗も風前の灯、ディアボロスの容赦ない追撃により、全滅の時は近づいていた。
レイ・シャルダン
夜明ちゃん(g00805)と一緒に
連携、アドリブ歓迎

酷い…ドイツの戦場でもこのような凄惨な姿はみられなかった…
何でここまで出来るんだ…。
蟲将達の所業、許すわけには行かない。
ええ、全員殴り(斬り)倒してしまいましょう。

サイバーゴーグル【Boeotia】のテンプルをノックして起動し
戦場を"観察"して"情報収集"を行い戦闘を有利に
フライトデバイス【アクロヴァレリア】による"空中戦"を行います。

夜明ちゃんと共に空から敵の中枢へ突撃を
両手に剣を持ち(機械魔導弓【ACRO】―近接戦闘形態―)
敵陣を剣の舞で彩りましょう。
貴女と共になら何も恐れる事は無い

敵の攻撃に対し、一撃離脱での空中への回避行動を行います。


赤薙・夜明
レイさん(g00999)が狙い易いよう私が前に出ましょう
背中を貴女に預けます。

人の苦しみを利用して力に変えようなど
決して許される事ではありません。
あなた達にはただただ強い怒りを感じます
全員殴り倒してやらなくては気が済みませんからね。

デーモンの翼とフライトデバイスの出力を使用して
飛翔、高い機動力を利用しながら敵の中へ突っ込み
そのスローガンを掲げる者から叩きのめして行きます

密集して中に飛び込まれると
同士撃ちを避けるのに手が鈍りますからね

1対多は不利ではありません
そして私の友人レイさんが居るので
その二倍有利というわけです

彼女と声を掛け合い、回避、離脱のタイミングを合わせます


 多数の仲間を倒され、混乱状態の黄巾党残党が何とか蟻塚を守ろうと集結したその瞬間、黒き影が一群を突っ切り蟻塚の中へと飛び込みながら周囲に煙幕弾をばら撒いていた。
「ぐわぁ、なんだっ、急に!?」
 立ち込める煙に視界を奪われ、更に混乱が加速する集団だが一網打尽にする好機到来というもの。
「誰かが強行突入したようですね、それも置き土産を残して。丁度いい、あれを利用しましょう。レイさん、私が前に出ますので背中を貴女に預けます」
「ん……夜明ちゃん、わかった」
 デーモンの翼を広げ、残存戦力の動きを、そして仲間の動きを見極めつつ赤薙・夜明(白蛇の手の後裔・g00805)がレイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)に言葉をかければ、ここに来るまでに見た惨状から一瞬返答に詰まるレイ。
 だがそれでも、いや、だからこそ凄まじい怒りによって容赦なく敵を倒すと決意を込めてレイは言葉を返していたのだ。
「それにしても。人の苦しみを利用して力に変えようなど決して許される事ではありません。
 あなた達にはただただ強い怒りを感じます、全員殴り倒してやらなくては気が済みませんからね」
 返ってきた怒りを孕んだその言葉、ならばそれを相手に力としてぶつけるのみと夜明は翼と共に赤き流線型のフライトデバイス、FliegendeErdbeereが煌めけば、その体は宙に浮き。
 何時でも突撃出来るとレイに目配せすれば、彼女もまた戦況を分析するように電脳ゴーグルの側面、テンプル部分を軽く叩いて起動させ敵の配置などの情報を入力し二人で攻める最適解を導き出す。
「蟲将達の所業、許すわけには行かない。全員殴り倒してしまいましょう」
 淡々と、されど強い怒りを込めた言葉をレイが返せばそれが戦闘開始の合図であり。
 漆黒のフライトデバイス、アクロヴァレリアの力でレイが空中に浮上した時には夜明は敵陣へ一直線に突っ込んでいた。
「なんだかんだと良く回る口ですね、二枚舌でしょうか?」
 仲間を鼓舞しようと教義を叫び、徹底抗戦を叫ばんとした残党の姿あり、それこそが標的とばかりに急接近する夜明。
 FliegendeErdbeereに搭載されたスラスターの推力を最大に、そして広げたデーモンの翼が持つ斥力が作用すれば直線的な動きに反発する力が加わって、上下左右不規則な軌道に変化。
「右……いや、正面!? ぐおあああ!?」
 突撃の方向を予測出来ず、なんとか受けようと武器を構えた残党であったが防御も不可能、ブレて右側へ逸れたように見えた夜明はいつの間にやら真正面、そして繰り出す拳には見えぬ何かが纏わりつき。
 胴体に叩き込まれた一撃は突撃の勢いそのままに、残党の体を後方へと突き飛ばしていたのである。
 だが突撃し、攻め立てるのは彼女だけではない。
「ドイツの戦場でもこのような凄惨な姿はみられなかった……お前たち、何でここまで出来るんだ……」
 あまりに酷すぎる洛陽の姿、躊躇なく殺戮を、そして死体を物のように扱う蟲将たちの振る舞いに怒りを隠さず飛翔して、夜明がこじ開けた陣形の綻びに突っ込むレイ。
 左右一対、漆黒の双刃構え切り込めば、狙われた残党が見た光景は如何なるものであったのか。
 それは振り下ろしか。いや、それとも薙ぎか。
 見えた、いや、見えたと思っただけなのか。
 何処から出たのか、何処を狙って放たれたのか、そもそも刃の一撃であったのか。
「ぎぃぁあああああ!?」
 己が身に走る激痛、体中に出来た傷跡、それも全て形が歪であり一つとして同じものはない。
 それは波紋に揺れる水面に映る、歪んだ三日月の様であった。
「くそっ、全員であたれっ! 囲め、打ち落とせ!」
 一瞬で陣が瓦解、だが突っ込んできたのなら包囲できると誰かが叫び何とか立て直そうとする残党、されど先んじて状況を見極めていた面々に如何なる抵抗が出来ようか。
「夜明ちゃん、右から」
「ええ、一旦離脱です」
 飛び掛る残党を察知、レイが危険を知らせれば夜明が急上昇、繰り出された攻撃を回避して。
 追う様にレイも高度を上げれば、残党たちは追いすがるように跳躍、その巨大な羽で高度を上げつつ手にした槍を突き出すが。
「あらら、同士討ちを避けるからかちょっと密度が薄いですよ」
 追いすがり、されど同時に仕掛ければ仲間同士の衝突がありえると隙間のある攻撃を見て夜明が呆れた様に声を出し、槍の一撃をいなしていき。
「1対多は不利ではありません。そして私の友人レイさんが居るのでその二倍有利というわけです」
「ええ、貴女と共になら何も恐れる事は無い」
 状況を、そして立ち回りを工夫すれば多数相手でも互角以上に立ち回れると言い放ちながら残党を蹴り落とせばレイが逃さず、黒き刃の追撃を。
 瞬時に切り刻まれた残党は羽を散らして落下、そして残る黄巾党残党も二人の一撃離脱に翻弄されその数を減らし、やがて殲滅されていたのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【飛翔】LV2が発生!
効果2【反撃アップ】LV2が発生!

名茂菜木・人志
(まさに鬼畜外道の所業…!許せんッ!!)

巣の中に忍び足5を使って忍び込み、倒れた死体や動いている死体をなるべく多く探します。
【トラップ生成】を使って「影でできたトラバサミ」を大量に生成し、動いている死体はそこに誘い込みトラバサミを踏ませて動けなくします。
(恨むなよ…。)

また、警備の兵に気取られてこちらに迫ってきても時間が稼げるように、煙幕弾を投げまくって撹乱します。

(この無念、我々が必ず晴らす…!)


 黄巾党残党を強行突破、置き土産として煙幕をぶちまけたディアボロスは何者か?
 それは先んじて突入した名茂菜木・人志(鉄紺の狗鷲・g06505)である。
 戦闘に気を取られた一群を出し抜く形で忍び込んだ彼の目に映ったもの、それは無造作に放置された多数の死体であり……命を失ってなお、蟲将の為に利用されるべく、生きているかのように、されど緩慢な動作で徘徊する死体たちであった。
「これはなんという……まさに鬼畜外道の所業……! 許せんッ!!」
 拳を握り締め此度の暴挙への怒りを隠さぬ人志、されどここで感情のままに行動したとて事態が好転せぬ事を彼はよく理解していた。
 ならば何を行うか、それは蟲将への力の供給を阻害する事に他ならず。
 動く死体達に見つかっては面倒と密やかに、足音消して蟻塚の中を突き進む人志が探すは、多数の死体、それも動く死体達が出来るだけ存在する場所である。
 迷宮とはいえ規模は小さく、少し探せば動き回る死体が多い部屋を彼は早期に見つけることが出来ていた。
 となれば、後は動く死体達をこの場所に釘付けに出来れば最良。しかし攻撃をしてしまえば相手はすぐに壊れてしまうような民の亡骸、ならば攻撃ではなく動きを止める力だけでいい。
「ふむ、ならばこれでいいか」
 不意に人志が言葉を発し、手にした忍ダガーを落として金属音を鳴らすと死体たちが異変に気づき、全員が首を彼の方へと向けていて。
 敵か、はたまた何か縋れる相手と思ったか、ふらつく足取りで人志の方へとゆらり、ゆらりと歩き出していたのであった。
「タスケ……イヤダ……ガァッ!?」
 よたよたと歩く動く死者の集団、だがその行軍はほんの数メートルしか成されない。
 それは、地面に広がる影で出来た無数のトラバサミによって足を挟まれ、歩むことを阻まれたからである。
「すまんな、恨むなよ……お主らが抱いたこの無念、我々が必ず晴らす……!」
 民の躯を阻むトラバサミ、それらを用意し物音を立てて引き寄せて、その動きを封じた人志が言葉を紡ぎ動けぬ一団に背を向け歩き出す。
 この惨たらしき、民の躯を利用した蟲将を討つ為に。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【トラップ生成】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV2になった!

夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
※残留効果活用

黄巾兵の殲滅後に巣の中へ
腐敗の匂いに思わず顔を顰める

「戦場で幾度となく死を間近に見てきたが…死臭が酷いな」

死にかけの民の声を掬い、望みを受けとる
言葉だけ並べれば美談だが、その悲劇が蟲将の力になる…か
案内人の説明だと、苦しみから解放するために命を絶つこともできない

「…つくづく、胸糞が悪い」

言葉が漏れてしまうほどには、正直堪えている

中は視界が悪いだろうから灯りは助かる
歩は死臭が強くなる方角へ
【光学迷彩】で気配を消しつつ【トラップ生成】で後続のために淡く光る目印をつけていく

目的の部屋を見つけたら
そっと中を伺い命の数と場所把握に努めよう

行き場のない怒りをぶつけるのは後だ


シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・絡み歓迎
中が暗くても灯りは最小限に。目を慣らして行こう。

私も呪いを扱うけど、死んでも死ねずに動かされ続けるっていうのは格別に酷いね。
……倒しちゃいけないなら、閉じ込めるべきかな。
管亥は最深部らしいけど、そこ以外の巣の造りを確認しないと。
管亥自身が倒して強化する可能性もあるみたいだし、なるべく入口近くで塞ぎやすい部屋があればいいんだけど。

動く死者に【罪縛りの鎖】の効果があるかは確認しておこう。彼ら、通常の生物……だといいなぁ。
呪詛の手になるべく傷つけさせないのは神経を使うけど。
無理なら【トラップ生成】で投網とか…落とし穴は作れるかな?
何にせよ、本格的に動く前に準備と確認は済ませなきゃ。


 警護の殲滅後、蟻塚内部を探り歩を進めていたのは夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)とシエルシーシャ・クリスタ(鬼人の妖精騎士・g01847)の二人であった。
「戦場で幾度となく死を間近に見てきたが……死臭が酷いな」
 蟻塚という閉鎖空間故に薄まる事無く、死体が増えれば増えるほど濃密になっていったのだろう、腐敗臭に顔を顰める錬晏が思わず言葉を漏らしていた。
 そんな彼の後ろでは最小限の明かりとして、小さなランタンを掲げつつ薄暗闇に目を慣らしながら多数の死体を確認するシエルシーシャ。
「私も呪いを扱うけど、死んでも死ねずに動かされ続けるっていうのは格別に酷いね」
 動かず、倒れたままで腐敗が進み打ち捨てられた躯を見遣り、そして顔を上げれば視線の先には当ても無く徘徊する死者の姿。
 ある意味、もう動く事の無い死体の方が救われているかもしれないと彼女が言葉を紡げば、錬晏も頷いて。
「死にかけの、いや。死してなお苦しむ民の声を掬い、望みを受けとる。言葉だけ並べれば美談だが、その悲劇が蟲将の力になる……か」
 重苦しく口を開いた彼が見ていたもの、それは家族であったのだろうか、幾つもの死体を引きずりさ迷い歩く死者の姿であり。
 もう動く事のない、されど捨てることなど出来ない過去の思い出、救われたい願いを抱いたまま、死に切れず蟲将の力の為に利用される民の躯であったのだ。
「ダレカ……ムスコ、ツマ、タス、ケ……」
 死者となっても尚、家族の為にと動く死体、だがその願いに応じる蟲将はその望みを叶える事は無く、得た力でもって更なる惨劇を引き起こす事は明白で。
「これは……つくづく、胸糞が悪い」
 あまりに惨い洛陽の、そして民達の状況を前にして言葉が漏れるのを止められない程に、錬晏の精神に堪える惨劇は現実として眼前に広がっているのであった。
 だが目を逸らしたとてこの事実を無くすことは不可能、ならば同様の惨劇を食い止める為にここで終わらせるまで。
「あちらの方から死臭が強いな、恐らく数が多いのだろう」
「そうだね、それと巣の造りだけど……本当に、普通の蟻塚みたいに部屋が幾つもあるだけ、みたいだね」
 後続の仲間が迷わぬ様にと淡く光る目印残し錬晏が強き死臭のする方向へと進みつつ、シエルシーシャは巣の構造を詳細に観察。
 普通の蟻塚のように幾つもの部屋に分かれつつ、死体の保存に関して動くかどうか、腐敗しているかどうか、白骨まで進んだか、といったように死体の状態に応じて大まかに分け入れられている事を確認していたのであった。
「……倒しちゃいけないなら、さっき見たみたいに足止めするか閉じ込めるべきかな」
「ああ、それも手だな。案内人の説明では、苦しみから解放するために命を絶つこともできないとあったからな」
 最深部にて待つ蟲将、管亥に相対する前に徘徊する死体を如何に足止めしていくか、先に突入したディアボロスが仕掛けた罠で足を取られ動けぬ一団を見ていたシエルシーシャが考えを巡らせれば錬晏も閉じ込めに同意を示す。
 だが如何なる手段が最も効果的か、先の罠による足止めを見た上で他にも検討しておく必要はあるだろうとシエルシーシャが呼び出すは呪詛にて形を成した異形の手。
「ん、動いてる人に当たっちゃ駄目だよ、とりあえず鎖を当てるだけだからね」
 獲物を狙う猛禽類の如く、動く死体に掴みかかろうとした異形の手達を諌めつつシエルシーシャは出現した枷つきの鎖に命ずれば、それはまるで蛇のようにうねり動く死体に絡みつく。
 無抵抗のまま鎖に縛られたかのように見えた死体であったがそれも僅かな間のみ、鬱陶しい何かだと体をくねらせ、鎖を掴んで放り投げれば拘束は瞬時に解かれていたのであった。
「彼ら、通常の生物……じゃなくなってるんだね。まあ死んでるのに動いてるから生物じゃない、か」
 鎖による拘束は不可能、既に命が無いまま動くのならば、それは通常の生物という範疇より逸脱した存在であるということか。
 ならばとシエルシーシャが次に試すは一つの投網、よろめく死者に投げつければもとより戦闘力どころか、まともに動き回るのすら困難な存在である。
 網に絡め取られて転倒、移動することがほぼ不可能な状態になりながら、うめき声を上げていたのであった。
「成程、動きが悪い者ならばこの程度の罠でも十分に効果があるという事か」
「そうだね、けど……あっちの人はこれじゃ駄目みたい」
 相手によっては投網でも十分と錬晏が言葉を紡ぐも、拘束しきれぬ者が居る事をシエルシーシャは確認。
 先ほど見たトラバサミなら少々手荒だが確実に止めれるだろうと思案しつつ歩を進め、二人は各部屋をさ迷う死者の数や状態を確かめつつ深部を目指す。
 惨状を利用して己が力を高める蟲将へ、この行き場無き怒りをぶつける為に。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!

安藤・優
さてと…イーグル(g06505)が足止めをしてくれてるみたいだし、
僕も【トラップ生成】と【泥濘の地】で足止めの手伝いでも。
あとは…説得かな?効果あるといいんだけれど。

願いを託す相手を間違えちゃダメだよ。
あいつはみんなの願いなんか叶えちゃくれないし、みんなを殺した仇でもあるんだ。
そこで待っていて、僕達が必ずみんなの仇を討ってみせるから、それまで絶対に、あんな奴に屈しちゃダメだ!

(……絶対に許さない、ぶっ殺す。)


レイ・シャルダン
夜明ちゃん(g00805)と
チーム外連携・アドリブ歓迎です

ああ…。
死者を…操って…おままごとですか?
これが蟲共の所業か。
史実の黄巾賊は反乱を起こしたただの農民です。
こんな事、する様な連中ではない…。
私の愛する…三國志を…汚すな。

技能の誘導弾を使用し、彷徨える死者達を呼び込み一か所に集め

パラドクスSchwereFesselnで彼らを拘束します。
パラドクス使用では体が朽ちてしまう場合は
武装、超常結界式【アルヴァーレ】で彼らの周囲に結界を張り
手出しが出来ない様にします。

何れにせよ、彼らは後でしっかり埋葬してあげねばなりません。
それを果たして救いと呼ぶのかは分かりませんが。
あと少し…我慢してください。


赤薙・夜明
引き続きレイさんと(g00999)
私がゆっくり願いを聞き出すその時間を作っていただきます。

囚われた人達の願いを聞き取り、それを叶える手助けをしましょう
邪魔してくる人が居れば
「しゃぅぁっ!」(蛇の威嚇音のような声)で怪我無く無力化します

残念ながら蟲将は貴方達を利用する事だけを考え
貴方達の願いを聞き届けるつもりはありません
こんな所に閉じ込めて居るのがその証拠
少しでも息があれば生きましょう
あなた達の願いは私達が届けます
一人の願いを聞けば【託されし願い】で
その願いを胸に次の願いを聞き届ける


 巣の探索が進む中、仲間の見つけた動く躯たちの集まる部屋へと足を踏み入れる面々の姿があった。
「申し訳ないですが、私がゆっくり願いを聞き出すその時間を作っていただきます」
 別の部屋で死せる民の多くが足を止められているが故、この場で対応できると踏んだ赤薙・夜明(白蛇の手の後裔・g00805)が仲間に声をかければ、それに頷くのはレイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)と安藤・優(名も無き誰かの代表者・g00472)の二人。
 三人が見遣る先には生前の面影を残しつつ、すでに体の各所が破損し、腐敗が始まりながらも無理矢理動かされている民の躯たちがあったのだ。
「タスケ……クルシ。アイツ…………ハナシ……」
「アノコハ……ドコ? サガシ、テ」
 光宿らぬ瞳でもって、拘束された仲間の解放を、そして見つからぬ自分の子供を捜す死せる民達。
 そんな姿をこれ以上見ていられないとばかりに動きを見せたのは優であった。
「あっちはイーグルが止めてくれてたけど、こっちも酷い。何とか足を止めるさ」
「ええ、本当に……引き寄せは私がしますので、優さんも協力お願いしますね」
 先んじて走り出す優、そんな彼を援護せんと機械魔導弓【ACRO】を展開、光り輝く矢を次々と放ち、此方に気付いていない死者の気を引くレイ。
 突如眼前を通り抜けた矢を見れば、嫌でも異変に気付く物。遠方にてさ迷う死者達が首を向け、よろよろとした足取りで向かって来る事を認めれば、次は別の部屋へ向かわぬ様にと離れていく死者の足元狙い矢を放つ。
 進路を阻むようにして突き刺さるその矢によって、縫い止められたかのように足を止める動く死者、そして時間を稼ぐにはそれで十分。
「ありがと、それじゃ足を止めるよ」
 飛び込んだ優が礼を言いつつ、広げた掌を地面に押し付ければ周囲の地形がぬかるむ沼のように変貌。
 見境なく縋り付かんとしていた死者たちは足をとられ、前のめりに倒れる者や何とか踏みとどまるもまともに歩めぬ者達が続出し、一行が何かを仕掛けるには十分すぎる状況を作り出していたのであった。
「これでお話できますね、それでは……」
 仲間の作り出した状況で適切な距離保ち、死者の望みを聞きだせると夜明が動く死者に近付けば見境なく縋ろうとする死者たち。
 両手を伸ばし、大きく口を開けながら一斉に。何とか掴みかからんとしていくが、それを遮るは夜明の叫び。
「しゃぅぁっ!」
 蛇が威嚇する際に、喉の奥底から放つような威嚇音。それを思わせるような叫びでもって動く死者達の動きを一瞬止めれば濁りきった死者の目を見て、言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
「残念ながら蟲将は貴方達を利用する事だけを考え、貴方達の願いを聞き届けるつもりはありません。こんな所に閉じ込めて居るのがその証拠」
 ほんの僅かに感じさせる、蟲将から提示された微かな希望。されどそれこそが幻だとあえて現実を突きつけて。
 拒絶せんと耳を体を揺らす死者、その両肩をがっしり掴み、顔を逸らさず言葉を続ける。
「少しでも息があれば生きましょう、あなた達の願いは私達が届けます」
 命を絶たれたその体、だがその体の中に、魂の中に生きた望みがあるというのなら。
 その願いを、思いを受け取り届け、叶えると夜明は訴えかける。
「そう、願いを託す相手を間違えちゃダメだよ。あいつはみんなの願いなんか叶えちゃくれないし、みんなを殺した仇でもあるんだ」
 一人を相手に夜明が訴えかけるのならば、多くに声を届けるとばかりに声を張り上げる優。
 縋るべきは蟲将ではない、死んでも尚、徹底的に搾取し思いを踏みにじる相手に救いを求めては、願いを託してはいけないと彼の言葉は民達の呻き声をかき消すように響き渡っていたのである。
「そこで待っていて、僕達が必ずみんなの仇を討ってみせるから、それまで絶対に、あんな奴に屈しちゃダメだ!」
 罠で、泥のような地面で、死せる民の動きを縛っているが。それは仇を討つためで。
 だからこそ、自分たちに願いを、思いを託して欲しいと彼は呼びかけ、夜明もまた、自分を信じて欲しいとばかりに死者を見据えるが。
「グ、アァア! イノッタラ! タス……テ、クレ……ッテ!」
「アノカタ……ダケガ! ハナシ、キ……イテ、ネガッ! ダカラ、オマエ……ウソツキ!」
 返ってきたのは、この蟻塚を支配する蟲将を祈ることで助かるという妄執、それに支配された歪んだ救いへの道筋と。
 話を聞いてくれたのは蟲将だけで、それ以外は全てまやかしと刷り込まれていたのだろう。
 都合よく自分たちの望みを聞いて、願いを託せると訴えかけるディアボロスたちなど存在しない、と決め付け拘束を解かんと暴れまわる姿であったのだ。
 だが、もとより崩壊を始めていた体、それらを無理矢理動かせばどうなるかは分かりきった事。
 多くの死者達が倒れ、足を折りまともに歩めぬ体になりながら、蟲将に救いを求め這いまわろうとした刹那。
「ああ……死者を……操って……おままごとですか? これが蟲共の所業か」
 怒りを隠さず、歯軋りしながら民を見据えていたレイが呟き魔力障壁である超常結界式【アルヴァーレ】を展開。
 這い回り移動しようとした死せる民達をその中へと閉じ込め、移動を防いでいたのである。
「恐らく、蟲将にだけ縋るように暗示、されているのでしょう……残念、ですが」
 ぐっと拳を握り締め、助けを求め、されど阻まれ苦悶の表情浮かべる民達を見据えるレイ。
「ああ、言葉が届かない事も、考えてた、けどさ」
 覚悟はしていた、だが納得いかないとばかりに優も搾り出すように声を上げ苦しみ悶える民を見る。
 言葉を届け、願いを受け取ることは不可能。魂までも汚し尽くすこの所業。
 殺された民など完全に道具としてしか見ていない、あまりに卑劣な蟲将の行いが今、眼前に広がっているのであった。
「思いは、願いは。託して貰えませんでしたか。ならば、やることをやりましょう」
 今のままでは魂は救えない、だがそうであろうと成すべき事は成さねばならない。
 肩を掴んでいた死せる民をその場へ寝かし、生成されていた投げ縄で拘束しつつ夜明が声を出せばそれが引き金となり。
 レイと優も同様に、縄やトラバサミなど動きを止める罠を展開、何とか動き蟲将の下へと向かおうとする民達をその場へ縛り付けていくのであった。
「心の中まで、個々の思いまでも、無茶苦茶に……史実の黄巾賊は反乱を起こしたただの農民です。こんな事、する様な連中ではない……私の愛する……三國志を……汚すな」
 死せる民達の動きを封じる中、憤りを隠さずにレイが言葉を紡いでいく。
 それは残る二人も同じであろう、優の握り締めていた拳にはうっすらと血が滲み、夜明も深く息を吸い。
 自分を落ち着ける為か、獲物を待ち受ける蛇が気配を殺すかの様に呼吸を整え、感情を押さえ込んでいたのである。
「行きましょう、後は蟲将を倒してからです」
 ここで何時までも感傷に浸る時間は無い、恐らく仲間が蟲将が鎮座する場所まで進んでいるだろうと夜明が促せば、優とレイも頷き移動を始める。
 あまりにも悪辣な行為を行った蟲将達へ、優は絶対に許さぬと、必ず殺すと怒りを滾らせ。
 事が終われば埋葬を、されどそれが救いと呼べるものかは分からぬが、今しばらくは我慢して欲しいとレイは望み、三人は最深部へと進んでいくのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【託されし願い】LV2が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV2が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!

フロッシュ・ギルアダー
探索こそ、アタシの出番、だな!ダッシュで、駆け巡るぜー!残像も、連撃もいらないなら、いつもより、速くなれるじゃん!
皆へ追い風となる、情報を届けるため、いざ走れ!風使いだけにな!

目指すは、アヴァタール級のすみか……でも今、挑むのは無謀だし、なにより広いなここ……!よし、バルダラックに、力を貸してもらおう。
待って待って、今回やるのは、ぶっ壊しじゃないぜ。技を撃つなら、目印として、壁や床に傷をつけるほーで、頼むじゃん!

アタシは別方向を、探索!倒しちゃダメなら、相手をジャンプで飛び越えながら……呼吸法を応用して、相手の呼吸を読んで、探すじゃん!
見つけたら、早業で方向転換!逃げろ、逃げろ……!


シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携歓迎
あの人たちは屍と魂で作ったクロノオブジェクトってことかな。
本当に悪趣味。

出来るなら戦場は周りに死者たちがいない場所がいい。
他の皆と協力してそういう場所を探すか作って、誘い込めれば……

その上で最深部も【光学迷彩】使って偵察。天井際を【飛翔】した方が死者たちに見つかりにくいかな?
もっといい、分断しやすい場所があれば戻って伝えよう。無理そうでも判断材料にはなる。

もし蟲将に見つかったら誘い込みに挑戦。
矢でも射って、効かない事に慌てた様に。全力でみっともなく逃げよう。
雑魚だと思ってくれれば、周り倒して強化するより私を追う事を優先してくれないかな。
……強化で傲慢さも増してることを祈ろう。


 蟲将の糧となる動く死者達、その動きが拘束された頃。迷宮内部を吹き抜けるは一陣の風。
「探索こそ、アタシの出番、だな! ダッシュで、駆け巡るぜー!」
 それは己が体に風纏い、奥底に眠る存在より力を借り受け速さを求め駆け抜けるフロッシュ・ギルアダー(ソニック・ホリック・g00750)の姿。
 普段ならば速度を生かし、残像を展開しつつ連撃を叩き込むという一連の動作を見せる彼女であるが、今求められているのは攻撃ではなく迷宮内部の構造把握。
 となれば、迅速に構造を付き止め最短経路、若しくは妨害を回避できるルートを把握し、印を刻むことが最善で。
「よし、バルダラック! 力をもうちょっとだけ、借してもらうぜ」
 動く死者には一瞥すらせず、その横を走りぬけ。
 気付いた頃には既にその姿が見えなくなる程に、迷宮内部を全速力で駆け抜けながらフロッシュは歪に組み合わさった牙持つ巨蟲のバルダラックを召喚。
 その巨大な蟲が進路の邪魔だと、動く死者に向かい大顎を開いた瞬間である。
「待って待って、今回やるのは、ぶっ壊しじゃないぜ。技を撃つなら、目印として、壁や床に傷をつけるほーで、頼むじゃん!」
 慌て攻撃中止の命令、死者を倒してはいけないと指示を出し、地面や壁にだけ攻撃痕を刻むように要請すればその命令が何とか直前に届いたか。
 首を捻って地面に刻まれる牙の痕、空振りされた攻撃が自身に向けられていた事に気付きつつも死者の動きは緩慢で、ゆらゆらとバルダラックに手を伸ばすだけであった。
「っと、手を出されても、振りほどくだけで! アタシは別方向を、探索! だからこの辺は、任せるじゃん!」
 妨害しようとする死者達を、倒さず足止めしながら目印刻んでくれと頼むフロッシュ。
 面倒くさそうに地面に、壁に傷を付け、組み付く死者を振りほどくバルダラックに見送られた彼女は更に加速し突っ込んで。
 進路を塞ぐように立つ死者を飛び越え、奥へ奥へと突き進んでいくのであった。
「あー……目立ってるけど追いつけない、なら問題無い、のかな?」
 そんなフロッシュの突撃を、アヴァタール級の住処へ躊躇無く突っ込む姿を追いながら天井付近を漂い地形を見極めていたのはシエルシーシャ・クリスタ(鬼人の妖精騎士・g01847)
 盛大に目立ち、耳目を引き付け駆け抜けてくれたおかげで動く死者達は上方より見下ろす彼女に気付く事無く、追いつけぬ存在を追い無為に徘徊するだけに戻っていたのであった。
「しっかし……あの人たちは屍と魂で作ったクロノオブジェクトってことかな。本当に悪趣味」
 安全に地形を把握しながらも、動く死者達に思いを馳せつつ蟲将の行いに辟易するシエルシーシャ。
 だが感情に流されてはならない、蟲将の鎮座するであろう最深部、恐らく侍らせているであろう動く死者達から分断できる場所は無いのか。
 無いのならば、死者の居ない場所を作るか、はたまた戦闘中に動く死者が入り込まない場所を作り出せないか、と思案して、迷宮の構造を頭に叩き込んでいた彼女であったが不意に遠方から近付く気配。
「んー? あれ、戻って来た?」
 その気配は先ほど迷宮内部を駆け抜け、最短経路を探しに向かったフロッシュで。
 どうやらすぐ近くが蟲将が鎮座す最深部であったのだろう、気付かれる前に反転、急ぎ離脱してきたらしく。
「あっちを曲がればすぐそこだ、下手に近付くとばれる、逃げろ、逃げろ!」
 敵の位置を知らせながら各所に傷を刻み、後方から続く仲間の為であろう目印付けて戻るフロッシュ。
 全速力で戻る彼女を見送りながら、シエルシーシャは別の事を考えて。
「この辺りは居ない、通路に誘い込めれば分断できる、かも? ちょっと仕掛けてみよう」
 そう、彼女が狙うは蟲将をどうにか動く死者から引き剥がす策、少しでも死者から距離を取ってくれれば此方も戦い易いと考えて。
 曲がり角のその先へ、踏み込みながら手にした弓へ矢を番え。踏ん反り返っていた蟲将の管亥目がけて放っていたのである。
「おわっ!? なんだぁ」
「あっ、駄目、効いてない、に、逃げなきゃっ!」
 放った一矢は管亥に当たるもその外殻に弾かれて傷一つ付けられず。
 不意打ちに驚く相手を前に、暗殺に失敗したので撤退だ、と慌てた様子で反転するシエルシーシャ。
 敵対者など入って来ない、自分が力を思うがままに操れる、その時まで障害は無いと考えていたが想定外の侵入者。
 だが攻撃を受け付けなかった体故、傲慢になっていたのか管亥はゆっくりと歩き、威嚇するように声を張る。
「ハハハッ! 丁度いい、暇だったんだ、遊んでやるぜぇ?」
 肩慣らしだと言わんばかりに歩きつつ、手にした槍を一振りすれば地面が抉れ衝撃波が壁砕く。
 まだ死者との距離は近いがほんの少しでも離れた事は事実であり、それはシエルシーシャの狙い通り。
「……強化で傲慢だったね。これで、ちょっとは楽になるかな?」
 そう呟きながら隠れる彼女の耳に、仲間が近付く足音が聞こえてきていた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

 迷宮の構造を把握し、また蟲将の糧となり得る動く死者達を拘束し、更なる強化を阻んできたディアボロス。
 更に、最奥にて鎮座し従者のように扱っていた民の躯を後方に、挑発的な攻撃を受けたアヴァタール級の蟲将、管亥は自分が敗れる事などあり得ない、といった態度で堂々と歩き始めていたのである。
「隠れてるならこっちからいこうか? だが……ここに来るまであいつらのお仲間が居たと思うがどうしたんだよ、オイ?」
 手にした槍の穂先にて、後方にて震え倒れる民の躯を指し示し、迷宮内部を徘徊していたはずの動く死者達をどうしたんだと問い掛ける管亥。
 最深部に到達するまでに必ず遭遇するであろう存在から。若しくは警護に当たっていた面々から何の知らせも無い事をいぶかしみつつ歩を進め、やがて何か合点があったとばかりにポン、と手を叩いたのであった。
「あぁ、そうか、ハハハッ、そうかそうか、ぶっ殺してきたのかねぇ。助けて、助けて、って言って苦しんでる連中をさぁ!
 それかあれか、無理矢理縛り付けるか何かして、動けなくしてきたのかねぇ、あんな姿のままどこかに押し込めて、苦しめるだけ苦しめてるのか、オイオイ?」
 自分に気付かれる事無く、そして知らせる事もさせずにここまで到着するのなら。
 進路を阻む存在、動く死者をどうにかしなければならない、そしてその手段として考えられるのは、動く死者をもう一度殺したか、はたまた何らかの手段でもって拘束し、動きを封じたかどちらかで。
 苦しみ助けを求めた民達を殺し、苦しめているんだろうと管亥は決め付け隠れるディアボロス達を笑いながら言葉を続けるのであった。
「ハハハハハッッ、いやあ、助けを求める連中をより苦しめるたぁ、とんでもねぇ奴らだな。これで分かっただろう? 俺が助けてやるってのが本当だってよぉ。
 だからよ、もっと手伝えや。一番役にたった奴の望みをきいてやらぁ、この俺様がよっ!」
 民の思いを踏みにじり、苦しめ続ける自分の行為は棚に上げ。
 迷宮内部を苦しみながらさ迷う民達を救えるのは自分だと、そしてより苦しめているのは侵入者たちだと声高らかに宣言し。
 自分に役立つ働きをすれば望みを叶えてやると動く死者達に発破をかけて管亥は槍を構える。
 ディアボロス達が苦渋の思いで、苦しむ民達を如何に救おうと試みたかなど一切知らず、自分勝手な解釈で悪逆非道だと断じた管亥。
 どちらがより民を苦しめているのか明白、されど自分を正当化し正義と称するその態度、最早許すまじ。
 既にある程度の強化を得て、また己が力を高める為に利用する民の躯が近くにあれど、高まった力による慢心か、自身が率先して前に出てくる今ならば。
 そして力を高める鍵となる、多くの民の躯の動きを封じ、更なる強化を封じた今こそが討伐する好機である。
「さあさぁ、かかって来な、民を苦しめる悪人どもがっ! この俺様が、黄巾党がぶちのめしてやるからよぉ!」
 自身が負けることなど頭の片隅にも無く、己が武を示さんとする管亥とその悪辣な手を止めようとするディアボロス。
 両者の戦いの火蓋が今、切って落とされるのであった。
バッジ・トラバルギフト
よし! わかりやすい作戦は任せろ!
要は見張りをサクッとボコって、無念の民はミネウチ的な攻撃でどっかに置いといて…
あの黄色い虫ヤローを徹底的にボコボコにすればいいってだけだ。
こんなもん朝起きてトイレ行ってシャワー浴びて飯食うくらいの朝飯前だぜ!
男気のねぇクソムシは俺裁判により、大判決! 半殺……いや、8割……(道中の死体の事を思い出す)やっぱ殺すわ。

正面からチンピラポリシーに基づき正々堂々仲間と協力して囲んで殴るぜ。
お前も虫ならわかるだろう……「群れ」のほうが強いってことがよ……

アドリブ歓迎、絡み歓迎
大体ハデに喋って暴れるだけです


安藤・優
※アドリブ連携歓迎
……いや、お前に正義なんてものはないよ。
だってお前、誰も救っていないだろう?何も為して無いだろう?

救いを求める者たちを弄び貪って喰い物にしていただけの塵蟲風情が、正義を語るな。

怒り、怨み、憎み、呪え、我が怨讐は焔と成りて……

……やっぱ止めた。
お前みたいな存在する価値すら無い塵蟲に〈煉獄の刃〉を使う意味が無い。

僕が使うのはこの『剣』だ。
この『剣』は人間の本質だ。人類の怒り、即ち地獄だ。
ただ其処に在る事すら許さんよ、絶空の獣の如きこの『剣』で――
灰燼すら残さず、ただ滅べ。

我等の怒りの赴くままに、吼えろ、絶空剣

創り出したありったけのグラディウスで、滅多刺しにしよう。
慈悲なんか無いよ


レイ・シャルダン
夜明ちゃん(g00805)と
チーム外連携・アドリブ歓迎です

よく喋る蟻だ事、
まぁ…めいっぱい喚くといいですよ。
どうせこれが最後なのだから。

お前の目には見えないんだろうね。
今ここに並び立っている、復讐者達の怒りが
このボクでさえ、今は怒りに燃えている。
決してお前達を許すなと心が言っている。

再び"飛翔"し、仲間と連携して"空中戦"を展開。
手のひらに蒼き光の矢を顕現させ機械魔導弓に番え放つは電撃戦の一矢、
たとえどんな相手でどんな状況であろうとも必ず弱点を撃ち抜く必殺の一撃
慈悲は無いよ、お前はここで終われ。

戦闘が終われば…
可能なら、この巣ごと燃やして皆を弔ってあげたい…な。


シエルシーシャ・クリスタ
連携・アドリブ歓迎

皆の攻撃に合わせて管亥をすり抜けて死者達との間に。
まずは奥の彼らを(可能なら更に奥へ押しやって)【泥濘の地】【トラップ生成】で泥濘に捕らえ、投網にくくり罠、吊上げ罠の類で拘束。泥濘での目潰しも試そう。
管亥は煽るだろうけど三文芝居に付き合う義理はない。
罠は管亥にも使おう。

隔離と拘束がある程度できれば後は倒すだけ。
罠や効かない弓ばかりで済ますつもりもないからね。
私も怒ってるんだ。そのよく回る口、物理的に潰して塞いであげる。

そういえば死者達をディフェンス、できるかな?
どっちにしろ彼らに攻撃させるつもりはないけど。
そんな余分な手、打つ余裕は与えない。



錬晏、こっちでは弔いはどうやるの?


夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
※残留効果活用

こちらが黙っていれば好き勝手と…
我らがどんな想いでいるのか
貴様には想像てきんのだろう

「はっ、小鳥のようによく囀る」

姿を見せて〈挑発〉し返す
心内の怒りはネメシスの黒い闘気に
籠手、佩楯、胸当て、額当て
生前の戦装束を形成し感覚が研がれていく

「貴様が彼らに何をした?
死んでも死にきれぬ民の声を聞いて何を成した?
この穴蔵でふんぞり返っていただけだろう」

蔑ろにしているのは貴様だ

偃月刀を握り多少の傷は気にせず槍攻撃を〈薙ぎ払い〉
その首を〈両断〉する刃を放つ

力を手に入れて
何を成すつもりかは知らんし興味もない
蟻塚と共に沈め

民らの無念は受け取れんが
俺は俺の無念を晴らすために
貴様を討つ


赤薙・夜明
レイさん(g00999)と参加します
チーム外連携・アドリブ歓迎です

【託されし願い】を使用します私達に願いを託してくれた人は居るでしょうか

そして、大層な事言っても貴方はただの黄色い虫です。
この悲哀に汚れ切った巣穴ごど、あなたも殺菌消毒しましょう。

滅菌漂白の煙幕で相手の視界を遮ります
風のない巣穴の中では簡単に煙が晴れる事はないでしょうけど

私にはみんなの呼び声が付いてます
例え貴方の姿が見えなくて私を呼ぶ声が聞こえますよ
自分達を騙し利用しようとした貴方をここで終わらせろと声が願っています

貴方には聞こえないでしょうけれどね……。


 ディアボロスを挑発する管亥、その挑発に対し夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)が動いていた。
「はっ、小鳥のようによく囀る」
 黙っていれば好き勝手語ってくれた、ディアボロスたちがどんな想いを抱いているか想像すら出来ないだろうと滾る怒りと共に姿を見せる。
「……いや、お前に正義なんてものはないよ。だってお前、誰も救っていないだろう? 何も為して無いだろう?」
 その動きに呼応するかのように、そして凪いだ湖面のように、されどその奥底には確かな怒りを宿しつつ、管亥の行いを問い質すかのように安藤・優(名も無き誰かの代表者・g00472)も歩を進め。
「よく喋る蟻だ事、まぁ……めいっぱい喚くといいですよ。どうせこれが最後なのだから」
 これまで巣の外、そして中でも見せられた惨劇に、怒りに燃える自分を感じるレイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)が赤薙・夜明(白蛇の手の後裔・g00805)と並び立ち、鋭き視線を向けていた。
 次々と姿を見せるディアボロス、だがその怒りを受けても管亥に一切の焦り無し、むしろ侵入者を一網打尽にできるとさえ思っているのだろう、あざ笑うかのように首をかしげて顎を撫で。
「くははっ、雁首揃えて好き勝手言いやがる、救ってないだと? 最後だと? 笑わせる、今から救って、これからも救っていくんだよぉ!」
 バンと地面を強く蹴り、ディアボロスを一掃せんと飛び出す管亥。
 その突撃はなるほど、強化されているというに相応しく視認するは困難で。
「ッ、早い!」
 咄嗟に飛び出す錬晏が翳すは黒龍偃月刀、甲高き金属音を響かせ打ち込みを防御したその時には既に管亥は優の打ち込み、振り下ろされた鉄塊剣を矛振るって打ち払う。
 ならばと空中へ飛び上がり、撹乱するかのように夜明が急接近、その影に隠れ同じく空飛ぶレイが機械魔導弓【ACRO】へ光り輝く矢を番え、狙い定めた一矢を放つもそれすら反応できるのか。
 力任せに振るった矛にて飛来した矢を打ち落とし、ディアボロスの攻撃を悉くはじき返したその隙狙ってシエルシーシャ・クリスタ(鬼人の妖精騎士・g01847)が奥より近づき管亥を支援せんとする動く死者へと駆け出すが。
「おっとぉ、させねぇよ! 邪魔すんじゃねぇ!」
 ぐっと力を込めて跳躍、死者とシエルシーシャの間へ割って入って矛を一振り。
 咄嗟に腕を、水晶質な異形へと変化させ、打ち込みを防御したシエルシーシャであるが動く死者には近づけず、大きく吹き飛ばされてしまったその直後。
「黄色い虫ヤローが調子に乗んな、徹底的にボコボコにしてやるぜ!」
 飛び出したバッジ・トラバルギフト(saysaysay最最最高裁判長・g03643)がウォーハンマーの大判決を力いっぱい振り下ろす。
 しかしその攻撃すら翳した矛にて受け止められて、ギリギリと押し合う状態に持ち込まれ。
「惜しいなぁ、実に惜しい」
 嫌らしく嗤い、ギチギチと顎を鳴らしてディアボロスを挑発する管亥、その力は圧倒的かに思えたが、その違和感に最初に気付いたのは誰だっただろう?
 攻撃を容易く打ち払い、ディアボロスを跳ね飛ばした膂力があったのに、今は叩きつけられたハンマーを受け止め押し合う状態。
 先に見せた力があるならばバッジの攻撃も容易く捌き、追撃を仕掛けられるはずが何故に拮抗したままなのか。
 案内人が語っていた、動く死者をどうにかしていればやがて強化は失われるという言葉、緒戦に全力でディアボロスを倒そうとした為に一気に強化の力が消耗したと皆が察するに時間はそうかからずに。
「貴様が彼らに何をした? 死んでも死にきれぬ民の声を聞いて何を成した? この穴蔵でふんぞり返っていただけだろう」
 再び飛び出した錬晏、その身は内部の怒りを示すように、染み出した黒い闘気として現れ、彼の籠手、佩楯、胸当て、額当て、死して新宿島へと流れ着く前の形成し、恐るべき速度で振るわれた黒龍偃月刀が戦場に黒き軌跡を描き出す。
 バッジと押し合う状況下、ほんのわずかに反応が遅れたのだろう、管亥は何とか身を引くも伸びる軌跡から逃れることは適わずに、されど致命傷だけは避けたか腕一本に残るは深く刻まれた刀傷。
「ぐおぁっ!? な、なんだ、どうして俺が!?」
 初手で圧倒したはずの一群、しかしその反撃を受け傷つくことが認められなかったのか。
 驚愕と共に連続突きで錬晏を打ち倒さんと反撃する管亥、だがその攻撃すら意に介さず、傷つきながら錬晏は再び黒龍偃月刀を一振りすれば、流石に危険と思ったか。
 攻撃を中断、防御に回る管亥を流血しつつ、錬晏は威圧するように言葉を紡ぐ。
「どうした、何を怯える? 民の声を聞いていたつもりだったんだろう? 力を手に入れて何を成すつもりかは知らんし興味もない、蟻塚と共に沈め」
 死して尚、使い潰される民を蔑ろにしていた報い、民の無念は受け取れずとも、自身の無念を晴らす一撃は放てるとばかりに力を込めて黒龍偃月刀を振り上げたその瞬間。
「くっ、おい、英雄さまの危機だ、お前らこっちへ来い!」
 矛を翳して防御の構え、そして後退しつつ動く死者を呼びつけた管亥であったが、それを阻むのは先ほど跳ね飛ばしたシエルシーシャ。
 錬晏の攻撃を捌くのに手一杯の状況を利用して、彼女は一気に動く死者に急接近。異形となった両手を広げ、次々と動く死者を巻き込みながら部屋の奥へと押し込んで。
 そのまま生成した縄で縛り上げ、更には足元を泥濘へと変化させれば動く死者達は戦場を移動することすら出来ぬ状態へと追い込まれていたのである。
「あぁ!? ははっ、やっぱりな、そうやって民を縛って苦しめる、まるでお役人サマだよ、お前らは!」
 先に見ていた死者への行動、強化の力を失うが故に防げなかったがディアボロスの行為は死者たちをより苦しめるだけだと煽る管亥であったが、その言葉に眉一つ動かさずシエルシーシャは振り返り。
 三文芝居に付き合う義理はないとばかりに生成された投網を管亥の頭上から降らせていた。
「チッ、こんなもの! だったら」
 死角となる頭上、こから動きを阻まんと落ちる網、だがそんな物で拘束など出来ぬとばかりに筋肉質な腕で払いのけた管亥であったがそれらはほんの一瞬、近づく時間を稼ぐための物。
「そんな罠や効かない弓ばかりで済ますつもりもないからね。私も怒ってるんだ。そのよく回る口、物理的に潰して塞いであげる」
 一気に間合いへ踏み込んだシエルシーシャが繰り出すは、鬼の力で異形となった腕より生じる圧倒的な膂力を持っての暴力で。
 咄嗟に胴部を守るように交錯させた管亥の防御の上へ力任せに叩き込まれたストレート、その衝撃で体が揺らいだ隙逃さずに、顔面を、顎を狙って繰り出すアイアンクローでぎっちりと締め上げて。
 何も言えぬ状況へと追い込んだ後、矛を振るって反撃せんとした動きを見せた管亥を壁に向けて思い切り投げ飛ばしていたのである。
 轟音と共に壁が崩れる中、何とか立ち上がる管亥であったが怒りに燃えるディアボロスの猛攻は止まらない。
「見張りはサクっとボコられてる、無念の民はミネウチ的な攻撃でこっちにこないし、あっちの連中は足を止められてる。
 ここまでお膳立てされちゃ、コイツをボコるなんざ朝起きてトイレ行ってシャワー浴びて飯食うくらいの朝飯前だぜ!」
 力強く地面を蹴って急接近するバッジ、先ほど攻撃を止められたが最早強化の力を失い、更には攻撃を受け続け消耗を始めた相手に防げるなど微塵も感じず振り上げるは大判決。
「男気のねぇクソムシは俺裁判により、大判決! 半殺……いや、8割……」
 そう叫びながら、脳裏に過ぎるはここに来るまでに見た数多の民、その躯や死して尚、利用される動く死者の姿であり。
「やっぱ殺すわ」
 裁判長権限により、判決内容を死刑に変更、そのまま一気に距離を詰め、接近させまいと幾度も放たれる矛の切っ先に切り裂かれ流血しようとも彼の突撃は止まらずに。
 仲間の方へ吹き飛ばすように大判決をフルスイング、その衝撃で管亥が地面を転がる様を見て、頬を流れる血を一舐め。
「お前も虫ならわかるだろう……「群れ」のほうが強いってことがよ……」
 数でもって行動するディアボロス、その強さは群れて行動する虫、その性質を知る蟲将にも理解できる筈だと笑いつつ、仲間との包囲を狭めていけば後は正々堂々と、仲間と協力して囲んで殴ると宣言する。
「馬鹿な、こんな筈が……民の為の、正義の俺が……くっ!?」
 追い詰められつつある状況、何とか民を殺し、その無念を身に宿そうと遠方にて拘束された動く死者へと視線を向ける管亥。
 だがオーラを、蝗を呼び出し仕掛けようにも間に立つシエルシーシャがそれを阻まんと立ち塞がり、仮に無理矢理攻撃すれば、他のディアボロスがその隙逃さず攻撃を放つ、いわば詰みの状態で。
「おい……救いを求める者たちを弄び貪って喰い物にしていただけの塵蟲風情が、正義を語るな」
 そんな状況下であろうと容赦せず、優が怒りを隠さずゆっくりと近づいて。
「怒り、怨み、憎み、呪え、我が怨讐は焔と成りて……」
 昂ぶる怒り、それを糧とし焔を纏い歩を進める優であったが、ふいにその足を止め。
「……やっぱ止めた。お前みたいな存在する価値すら無い塵蟲に〈煉獄の刃〉を使う意味が無い」
 頭を振れば、彼の纏った焔は払われ、代わりにその手に一本の剣、グラディウスが握られて。
「僕が使うのはこの『剣』だ。この『剣』は人間の本質だ。人類の怒り、即ち地獄だ」
 彼の周囲に次々と生み出されるは、光り輝く片手剣。
 此処に在る事すら許さぬと、怒りと共に生成された膨大な数のそれは灰燼すら残さぬとばかりに数を増し、その切っ先を管亥に向けていて。
「ひっ、や、やめ……!」
「我等の怒りの赴くままに、吼えろ、絶空剣」
 怯えを見せた管亥、対する優は非情なまでに表情変えず、数多の剣に命ずればそれを合図として一斉に放たれるは光る剣の奔流で。
 次々と飛来する刃は雷光伴う一撃、更に刺さると同時に爆発する代物。
 体の各所を刺し貫かれ、雷光と爆発にて肉片を飛ばしながらも何とか逃げようとしたのだろう、管亥が地面を転がりながら輝く剣の流れから逃れるも最早生存は絶望的。
「おやおや、威勢が良かったのに無様ですね。そして大層な事言っても貴方はただの黄色い虫です、この悲哀に汚れ切った巣穴ごど、あなたも殺菌消毒しましょう」
 緒戦の勢いが嘘のように、情けない姿を晒す管亥をあざ笑うかのように響く声、それは広間の天井スレスレを飛ぶ夜明のものであり。
 その見苦しい姿は見るに耐えないとばかりに投げ込まれるは、滅菌漂白の煙を放つ発煙手榴弾。
 風すら通さぬ巣の中ならば、煙が晴れるにはかなりの時間を要するのは必定、そして長時間、人に害成す存在である管亥の体が蝕まれ、視界を防がれるのは当然の事であろう。
「クッ、前が……だがお前らもこっちは見えまい!」
 体を徐々に溶かされながら、されど視界が塞がれた状態ならば自分の姿も見つけられまいと叫ぶ管亥。
 この煙を逆に利用、壁に穴でも空けて逃走せんと摺り足で移動を始めていたのだが。
「おや? 何処へ行くつもりですか? 私にはみんなの呼び声が付いてます。例え貴方の姿が見えなくて私を呼ぶ声が聞こえますよ」
 煙の中にて動く管亥、その逃走を察知したかのように夜明が透き通る声で呼びかける。
 自分の企みに気付かれたのか、と焦りつつ、ハッタリやもしれぬと声を殺し慎重に進む管亥、だが不意にその耳へディアボロス以外の声が聞こえてきた。
「ユルサナイ……オマエ、ココデ、オワレ」
「ダマシタ、シネェ」
 その声は自分に縋り、願いを託し力を高める糧であるはずの動く死者の声。
 ありえない、そんな声が聞こえる筈が無いと頭を振って、耳を塞がんとするが声が止む事は無く。
「コッチ、ハヤク、タオシテ」
「あぁあああっ! 黙れ黙れ、お前らは俺の言うことを聞いてりゃいいんだよ!」
 頭を掻き毟りつつ、死者の声を止めようと叫ぶ管亥。
 彼が聞いた声は、夜明に願いを託した民の物だったのだろうか、はたまた追い詰められ、死の直前に聞こえた幻聴だったのか、その真相は分からぬが。
「おや、貴方には聞こえないと思っていましたが……相当恨まれているようですね、まあ自業自得でしょう」
 恐慌状態に陥る相手を前に夜明が言葉を続け、更に追い詰めれば逃走の機会を逸した管亥。
 煙の中にて見えぬ存在、民の導く声と同時に視界を塞ぐ煙に蝕まれる姿は外から見えぬが、レイのサイバーゴーグル【Boeotia】には悶え苦しむ姿がシルエットであるもしっかりと映されて。
「お前の目には見えてなかったんだろうね。今ここに並び立っている、復讐者達の怒りが」
 淡々と言葉を続け、機械魔導弓【ACRO】を構えて浮かぶレイ。
「このボクでさえ、今は怒りに燃えている。決してお前達を許すなと心が言っている」
 心の奥底から湧き出す衝動、怒りの感情と共に彼女の右手には蒼き光の矢が編み上げられて、その矢を番え目を見開き。
「慈悲は無いよ、お前はここで終われ」
 容赦なき最後通牒、それと共に放たれた矢は管亥の胸へと吸い込まれるように飛翔してその身を貫き、壁へと管亥を射止めていたのであった。
「ご、あぁぁあ!! なんで、どうして、この、俺がっ!?」
 煙が晴れていく中、信じられぬと喚き散らし手足をばたつかせる管亥。
 そんな無様な姿を皆へと晒しつつ、やがて動きは弱まって……ぶらりと手足を投げ出した後、関節各所からどろりと粘液のようなものを噴出しつつ体が崩壊。
 やがて跡形もなく、その姿は消失していたのであった。


 蟲将を討ち果たし、その影響か動いていた死者たちも倒れ、利用されるだけの役割から開放されていた。
「終わったね、この人たちなんだけど。錬晏、こっちでは弔いはどうやるの?」
 そう問いかけるはシエルシーシャ。
 命を奪われるだけでなく、死しても尚、利用され続けていた者を弔いたいという自然な思いであったのだ。
「そうだな……穴を掘っての土葬、なのだが……彼女は別の弔いをしたいようだ」
 問いかけられ返答する錬晏、彼の視線の先にはもう控える必要は無いとばかりに松明を掲げるレイの姿。
「可能なら、この巣ごと燃やして皆を弔ってあげたい……かな」
 そう、彼女は火葬という形で囚われた民の躯を弔いたいという意思を示していたのである。
 弔いたい方法があるのならば反対せぬと一同は頷き、蟻塚の各所に火が放たれれば燃え上がるのも早い。
 ディアボロス達が塚を抜け出した後、内部から上がった火の手は蟻塚全てを飲み込み大きく燃え上がり、立ち上る火の粉はまるで囚われた民の魂が、天に昇っていくようでもあった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【託されし願い】がLV3になった!
【泥濘の地】がLV2になった!
【飛翔】がLV3になった!
【怪力無双】LV1が発生!
【トラップ生成】がLV3になった!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】がLV3(最大)になった!
【アクティベイト】LV2が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2022年05月15日

廃都洛陽の蟲将の巣

 ジェネラル級に匹敵する強力なクロノヴェーダ、呂布を撃破したディアボロス達は、漢の首都であった洛陽への入城を果たしました。
 しかし、洛陽には生きた人間の姿は無く、積み重ねられた人骨と、徘徊するトループス級の蟲将、そして、呂布を生み出したと思しき『蟲将の巣』が発見されました。
 蟲将の巣は、巨大な蟻塚のような構造で、多数の人間の死体を苗床に、強大な蟲将を生み出そうとしているようです。
 現在の所、呂布に匹敵する『完成体』は存在していないようですが、放置すれば、この蟲将の巣から強大な蟲将が次々と湧き出てくるかもしれません。
 その前に、この蟲将の巣を破壊しなければならないでしょう。

 巣の効果で強化されている蟲将と有利に戦う為の工夫が重要になるかもしれません。


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#大戦乱群蟲三国志
🔒
#廃都洛陽の蟲将の巣
🔒
#洛陽


30




選択肢『蟲将の巣の探索』のルール

 蟲将の巣の探索を行います。
 蟲将の巣は、小山ほどの大きさで、内部は迷宮状になっていますが、あまり広くなく、構造も単純なようです。
 この迷宮を探索し、アヴァタール級の居場所を探したり、或いは、重要な施設やアイテムの場所を探し出しましょう。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】この選択肢の🔵が👑に達しない限り、マスターは👿のリプレイを執筆できない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『蟲将の強化を打ち消せ』のルール

 蟲将の巣のアヴァタール級は、その戦闘力が大きく強化されています。
 どのように強化されているかは、オープニングやリプレイで確認してください。
 この敵の強化に対して、対策を行い、強化を打ち消しましょう。
 強化を打ち消す為の方法についても、オープニングやリプレイで確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達しない限り、👿のリプレイでは大成功🔵🔵🔵🔵以上が発生しない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾施設を警備するトループス級『黄巾党残党』のルール

 施設の警備を行っているトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 撃破する事で、施設での行動を行いやすくなります。
 撃破せずに行動する場合は、行いたい行動の選択肢を選びつつ、👾への対策などを同時に行う必要があるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『管亥』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「冰室・冷桜」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。