リプレイ
御守・樹
上方面へ
いい加減終わらせてというかいい加減やめて欲しいと思うんだけど、その分だけ信仰ってやつは厄介なんだろうな。
何かを信じる事で確かな何かを心の中に持つのは大変結構だけど、
【完全視界】で視界を確保して、迷宮の様子を【観察】し【情報収集】、行き止まりや罠の場所などを【看破】し把握、後から来た人たちにもわかるようにそれぞれ用途別に目印を付けていく。
(行き止まりは×、罠には種類がわからばそれを示す簡易記号で)
迷宮内の【地形を利用】し、敵に見つからないように物陰に身を隠しながら先に進む。
アドリブ連携OK
●
「いい加減終わらせて……というか、やめて欲しいもんなんだが……」
小ピラミッドの迷宮。その上部へ向かう道を進む御守・樹(諦念の珪化木・g05753)がふうとため息をつく。
旧都メンフィス外周に点在する小ピラミッド群。
樹がトートの魔術儀式を阻むため、このような小ピラミッド攻略に挑むのは今回が初めてでは無い。
過去に何度かの攻略を繰り返した結果「胸クソ悪い状況だし、いい加減うんざり」というのが樹の本音である。
とはいえ、樹に見て見ぬ振りをするという選択肢は無いのであったが。
「信仰、か。何かを信じる事で、確かな何かを心の中に持つのは大いに結構だけど……」
樹が思うのはエジプトの民の事だ。
彼らの神への信仰を否定する気など毛頭無い。
しかし、その純粋な信仰が歪められ、多数の無辜の民がクロノヴェーダの犠牲になるとなれば話は別である。
もう一度吐き出そうとした息を飲み込み、樹は前を見据えて先へと足を運ぶ。
「色々と厄介だけど。俺たちが何とかしなきゃ誰も救われないだよな」
樹は音をたてないように石造りの通路を進む。
迷宮内は薄暗がりや通路の陰などの死角も多く、そういった所に罠なども仕掛けられているものだが、以前の攻略の経験はこういう所で役に立つものだ。
樹が予め用意しておいておいた『完全視界』によって死角は消失し、罠の発見も容易になっていた。
「これで良し、と」
そうやって発見した罠の近くにはチョークで印を付けておく。ピラミッド下部の攻略に向かった者たちや、新たにやってくる仲間の為にであった。
同じように迷宮の行き止まりには『×』マークを。
樹の中で、ある種洗練された攻略の手順が形作られていた。
「さて、そろそろか?」
敵に気付かれないよう身を隠しながら慎重に迷宮を進んでいった樹。そろそろ目的地に到着しても良い頃合いだと思えた。
今回、上部への侵入は樹の単独攻略になったため、それなりに時間はかかったが、そこは想定通りと言えた。
と、何かに気づき、樹は足を止める。
前方の一本道の先の部屋から漏れる明かり。複数のクロノヴェーダの気配も感じる。
「迂回するのも無理そうだな」
ここまで殆どの通路の確認は済ませてある。別の道は見つからなかった。
おそらくあの部屋の先が目的地である『祈りの間』に繋がっているはずだ。
「先に行きたきゃ戦うしかないか」
樹はグッと左腕の籠手を握りしめた。
成功🔵🔵🔴
効果1【完全視界】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
協力して【下層部を探索】
連携、アドリブ歓迎
……懲りないものだ、何度も同じ儀式をするとは
無辜の人々の犠牲の上に成り立つものに、何の価値があろうか
……それも、信仰を利用するとは……
そろそろ、大いなるトート神とやらを引きずり出したいものだ
使えたら【完全視界】を利用、なければ、用意した明かりで照らしながら、通路を探索
道中は罠に注意し、安全確保しつつ【飛翔】を借り素早く移動
脱出時に利用するため、外への最短経路に、蛍光塗料で印をつけておく
周囲の状況を偵察、観察
八方に注意を配る
同行の方と、手分けして警戒
傾斜も見つつ下る道を探す
敵の気配を感じたら、明かりを消して迂回するか、身を潜めて回避
戦闘になれば手早く倒す
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します
わざわざディアボロスを入れなくする儀式を行うなんて、ディアボロスが怖いって言ってるようなものよね!
生贄の人も居ることだし、だったらその思惑、崩さない訳には行かないわ!
じゃ、アタシは下層に行こうかしら!
ピラミッド内は注意深く【観察】して、罠を見破っていくわね!
万が一罠が発動しても【飛翔】でどうにか突破するわ!
それと、下層に下っていきそうなトループス級が居るなら静かに【追跡】して、攻略の糸口にしていくの!
うう、静かに慎重に動くのは性に合わないわ……。アイドルの性ってヤツね……。
こうなったら戦闘で派手に動いてやるんだから!(小声)
ネリリ・ラヴラン
*下層の探索
いったいいくつ、こんなもの用意したのかしら。
と、言うよりも…全部成功してたら、何人の命を奪う気だったのかな。
前に見た最下層の光景を思い出すと
顔に出さないまでも嫌な気持ちになるね。
下を急ぐほど、上も早く進んで良くなると思うから、戦いに時間を使わないように、できるだけ警備を避けて進むよ。
<夜蝶の悪戯>で生み出した揚羽蝶を、先行させて警戒しつつ、分かれ道の先を調べて、可能な限り正解の道だけを勧めたらベターかな。
警備が近くに居るときは【忍び足】をしながらやり過ごして、安全な時は急ぐよ。
あと、わたし自身は、同じ目標の人と一緒が良いわ。哨戒した内容をすぐ共有もできるしね。
アドリブ・連携は歓迎
●
樹が敵を発見した時点より、時間は遡る。
小ピラミッド下部へと向かう迷宮の攻略は順調に進んでいた。
「こっちは行き止まりみたいね」
ふわふわと通路前方を飛ぶ揚羽蝶とその先にある行き止まりの壁。
それを確認して、ネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)は来た道を引き返す。
ネリリが道を戻ると、別の道からソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)が姿を現した。
「やっほー、こっちは落とし穴の罠があったよ。うっかり発動させても『飛翔』していたから意味無かったけど。そっちはどうだったの?」
「うーんと、行き止まりだったわ」
「そっかー、じゃあアタシの行った道が正解かなあ。落とし穴の先にも道が続いてたし」
お互い見知った仲であるのもあってか、どこか気安いネリリとソラの会話。危険の潜むダンジョン内であるにも関わらず、まるで旅団での雑談のようでもある。
「こちらも行き止まりだった。敵も近くには居ないようだな。ソラさんの調べた道の先に進もう」
また別の通路からエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が姿を見せる。
彼らは手分けして迷宮内の探索を進めていた。
道が複数に別れれば、今のように各々が先を調べて合流する。
そうやって攻略時間の短縮をはかっているのだ。
100人に及ぶ民がいつ生贄になってしまうか分からない状況である以上、少しでも早く目的地へと辿り着きたいというのは3人の共通認識である。
エトヴァが蛍光塗料で正しい経路に印をつける。こうしておけば救出した民が迷うことなく小ピラミッドから脱出できるだろうと踏んでの処置だ。
そうして3人はソラが引き返してきた通路へ向かう。
3人並んで通路を進んでいく。敵に見つかりにくくするよう、敢えて明かりは持たない。
その為周囲は薄暗いが、『完全視界』の効果もあるので困る事は無い。
「いったいいくつ、こんなピラミッドを用意したのかしら……」
道すがらネリリがポツリと漏らした言葉。敵を警戒して声の大きさは抑えている。
「……同じ儀式を何度も繰り返すつもりなのだろうな。懲りないものだ」
端正な眉を顰めるエトヴァ。小ピラミッド群で行われていた儀式。その全てを阻止するために、彼らもこれまで作戦に身を投じてきていた。
「もしもわたしたちが気がつけなかったら、もしも阻止に失敗していたら、何人の命が奪われたのかしら……」
「小ピラミッドの数からして1000人は下らなかっただろう。無辜の人々の犠牲の上に成り立つものに、一体何の価値があろうか」
ネリリとエトヴァはこれまで遭遇した儀式の生贄たちの光景を思い出し心を痛めた。
「でも、わざわざこんな儀式を行うってことは、アタシたちディアボロスが怖いって言ってるようなものよね」
しんみりした様子の2人を元気づけるようにソラがニコリと笑って言う。
「この先に生贄の人も居ることだし、だったらその思惑、崩さない訳には行かないわよ」
「そうね」
「そうだな」
ソラと目を合わせうなずくネリリとエトヴァ。
そうしている内にソラが発見した落とし穴の前まで辿り着く。
「結構深いわね。落ちたら大変そうだわ」
ネリリが穴を覗きこめば底が見えなかった。もしも落ちていたら脱出に時間がかかった事だろう。
「飛翔が無かったらそうだろうな。この罠に限らず床に設置された罠の大半が飛翔によって無効化出来たのは僥倖だった」
エトヴァの言う通り。3人は飛翔を駆使してここまで素早く攻略出来ていた。
3人は落とし穴を飛び越えて先へと進んだ。
●
曲がりくねった迷路のような通路が形を潜める。
先にあるのは一歩道。迷宮を突破した証であった。
「どうやら間に合ったようだな」
ほっと息を吐くエトヴァ。
真っ直ぐな通路の先の部屋。そこに祈りを捧げてひざまずく人々の姿が見えた。
「下部は警備の数も少なかったかぁ。うう、いい事なんだけど……」
微妙な顔のソラ。
ここに辿り着くまで何度か警備のマミーとニアミスしていたのだが、ごく少数であった事と3人がひたすら慎重に進んで来た事もあり、気付かれずにやり過ごす事が出来ていた。
それはソラにとって窮屈で鬱憤がたまる状況でもあったのだ。
「これもアイドルの性ってヤツね……」
ソラはひとり納得したようにコクコクとうなずく。
「これなら、説得できれば大丈夫そうね。どうやって納得してもらおうかしら……」
ネリリが遠目に部屋の中をうかがう。
まだ部屋の崩壊は始まっていない。
祈りを捧げる人々の表情はどこか硬い。
それは自分たちが置かれている状況を説明されていない事からくる不安であろう。
ディアボロスたちは最善の状況でこの場へと辿り着く事に成功したのだ。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します!
なんとか間に合ったわね!
すぐ上階に行くためにもまずは説得しなきゃ!
【友達催眠】も使いつつ話しかけるわよ!
皆! 祈ってる途中で悪いけど聞いて!
アタシ達が誰かなんてどうでもよくて、今すぐ此処から逃げて欲しいの!
おかしいと思わないかしら?
こんな狭い部屋に連れてこられて、何も説明しないまま祈ってろだなんて!
でも仕方ないわ、儀式の犠牲になってくれなんて言えないものね!
大体、信仰は自分から進んでやるものよ!
アイドルだって推しは自分で決めて自分で応援するの!
箱に連れてこられてただ応援しろだなんて、サクラもいいトコだわ!
さ、分かったらすぐ逃げるわよ!
目印に沿って行けば外に出られるわ!
ネリリ・ラヴラン
ゆっくりはしていられないけれど、間に合って良かったよ。
…でも、ここからは本番だねっ。
もうすぐ、ここはみんなごと崩れてなくなっちゃうわ。
同じようなピラミッドで、何回も…見たんだよ。
でも、今ならまだ間に合うわ。
信仰心の強い人ほど残りたがるかもだし、予想される未来と、助けがここにある事を伝えたいね。
神様が本当に皆の命を欲しがるのだったら、助けをここに通したりしないと思うの。
もちろん、迷ってしまうのは仕方が無いけれど、確り考える為にも、今は生きよう?
焦る気持ちは押し殺して、生きたいって気持ちに掛けるよ。
【プラチナチケット】の力は、真剣な気持ちを伝える為に使いたいかな。
アドリブや連携は歓迎だよ。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
完全視界、飛翔、残留効果は適宜活用
仲間達と手分けし、迅速安全な生贄達の救出を
後を追う仲間に、分岐や罠の位置など情報はパラドクス通信で伝える
助けに来た
本当の神はこんな犠牲を強いたりはしない
そこにいても苦しむばかりだ
落ち着いて、どうか手を取ってくれ
皆助ける
俺と三人ずつ手を繋いでくれ
と呼びかけ
砂からの脱出、段差の移動は手を繋ぎ【浮遊】を
身動きの難しい方はフライトドローンにのせ運ぶ
渋る方は強引にでも抱える
外までの脱出誘導時は、先導を務め、周囲の罠を確認し、敵がいれば身を挺し排除
落とし穴はドローンで塞ぐ
安全確保しつつ、目印に添って進む
救出完了後に、報せをパラドクス通信で上層の全員へ伝える
●
心の中の不安をかき消すように神に祈り続ける人々。
その男も周囲の者たちと同じように目をつぶり一心不乱に神への祈りを捧げていた。
「皆! 祈ってる途中で悪いけど聞いて!」
淀みなくよく通る少女の声を男の耳がとらえた。
何事かと目を開き声のした方に男は目を向ける。
そこは部屋の入口。そこに銀の髪のきらめく見たこともない服装の女の子——ソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)がいた。
男と同じようにソラに気づいた人々がざわつき始める。
100人もの人間がひしめく狭い部屋で同時に巻き起こったざわめきの大きさに男は思わず耳を塞いだ。
そんな騒音の中。塞いだはずの男の耳にもソラの声は明瞭に聞こえた。
「アタシ達が誰かなんてどうでもよくて、今すぐ此処から逃げて欲しいの!」
声量以上によく通り、聞く者を決して不快にさせない澄んだソラの声。
むしろもっと聞きたいと思えるような綺麗な声に、男は自然と耳を塞いでいた手を退けていた。
多くの人々も男と同じような心持ちなのか。ざわめきは止み、部屋の中は水を打ったように静まり返った。
「おかしいと思わないかしら? こんな狭い部屋に連れてこられて、何も説明しないまま祈ってろだなんて!」
ソラの言葉に男は耳を傾ける。その内容は男たちが抱いていた疑問そのものだった。
そして同時に、こんな澄んだ声の持ち主のあの少女は何者だろうとも思った。
それをソラが知れば「日々の発声練習の成果よ。これくらいアイドルなら出来て当然ね!」と自信満々に言っただろう。
「もうすぐ、ここはみんなごと崩れてなくなっちゃうわ」
今度はソラとは異なるネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)の声が響いた。
「同じようなピラミッドで、何回も……見たんだよ」
そう辛そうな表情で話すネリリは真剣そのもので、男は彼女が嘘を言っているようには全く思えなかった。
そして男は大きく息を飲み込んだ。ネリリが真実を語っているのだとすれば自分たちがどうなるのかに思い至ったからだ。
男の周囲にも顔色を悪くする者があらわれ、部屋を緊迫した空気が包み込んだ。
「な、なんでそんなことを……」
部屋の中の誰かが呟いた。
「儀式の生贄だ」
端的に、されど重い答えが入口から聞こえた。
低く柔らかなバリトン。エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)のその声は人々にすっと抵抗無く受け入れられていった。
彼らからすれば正体不明のエトヴァたち復讐者の言葉がどうしてこうも容易く受け入れられたのか。
それは、彼らが置かれている状況が復讐者の言葉を裏付けている事に加えて、『友達催眠』や『プラチナチケット』などの一般人の警戒を解くパラドクスが使用された事も後押ししたようだった。
人々が抱いていた不安はソラ、ネリリ、エトヴァの3人によって間近に迫る危機として認識されていった。
しかし誰もその場から動こうとはしなかった。男もまた俯きその場で強く手を握り込むだけだ。
彼は、彼らは自らの信仰する神々の命に背く事を根源的に恐れていた。
そんな彼らの心の内が分かっているかのように、エトヴァは穏やかな声で人々に語りかける。
「本当の神はこんな犠牲を強いたりはしない。そこにいても苦しむばかりだ」
人々の間に動揺が広がっていく。彼らが神の存在と自分たちの境遇を疑うことなど、これまで意識に上る事も無かったからだ。
「落ち着いて、どうか俺たちの手を取ってくれ」
男が、部屋の全員がエトヴァに目を向け——。
「皆助ける」
その視線を受け止めたエトヴァが力強く断言する。
「神様が本当に皆の命を欲しがるのだったら、助けをここに通したりしないと思うの」
ネリリが人々に問う。自分たちが此処にいる事こそが神の意志の否定であると。
「もちろん、迷ってしまうのは仕方が無いけれど、しっかり考える為にも、今は生きよう?」
こちらを本気で心配し眦を下げた顔で無理矢理に笑いかけてくるネリリに、男は胸の奥から何かがこみ上がってくるのを感じていた。
「大体、信仰は自分から進んでやるものよ!」
部屋全体にソラの声が響く。
「アイドルだって推しは自分で決めて自分で応援するの! 箱に連れてこられてただ応援しろだなんて、サクラもいいトコだわ!」
男にはよく分からない言葉だらけであったが、ソラの言いたい事はフィーリングで理解できた。
三者三様の言葉が男の心の内で渦を巻く。
やがて、男はおもむろに立ち上がった。入口付近の3人と目を合わせて、湧き上がる恐怖を必死に打ち消して、今の素直な想いを口にした。
「オレは、あんたたちを信じる。どうか助けて欲しい」
男がそう言うと、周囲の人々も次々と立ち上がって3人に自らの決意を述べて言った。
程なくして部屋の中の全員が立ち上がる。
「みんなの気持ち受け取ったわ。さ、すぐ逃げるわよ!」
ソラの声に人々が「おう!」と答える。
3人の誘導のもと、人々は次々と部屋を後にしていく。
「みんな、落ち着いて、ね?」
「目印に沿って行けば外に出られるわ!」
部屋の中にいるのは残り数人。その中には先ほどの最初に立ち上がった男の姿もあった。
「君たちで最後だ」
こちらに近づいてくるエトヴァに男は笑顔を見せた。
「ああ、あんたたちには感謝——」
刹那、男たちの足元の石畳の床が砂へと変化した。
不意に身体が下へと沈み込む感覚。背筋を凍らせた男の脳裏に言葉が浮かんだ。
——これは神の罰ではないのか。
奈落へと落ちていくような感覚に男は目をつぶった。
だが次の瞬間、手を何者かに強く掴まれる感触がし、次にはふわりと浮き上がるような感覚がやってきた。
「大丈夫だ。しばらく手を離さないでくれ」
すぐそばから聞こえたエトヴァの声に、男は目を開く。
足元を見る。地面には砂地が広がっていたが、男の足は空中に浮かんでいた。
「!?」
自分が空中に浮かんでいる事に気付き男は目を白黒とさせる。そんな男の様子に彼の手を握り込んだエトヴァがくつくつと笑う。
「助けると言っただろう」
そう言ったエトヴァを見て、男の眦にうっすらと涙が浮かび上がる。
「……あ、ありがとう。あんたたちのおかげで、ここから生きて帰れる」
嗚咽で震える男の声にエトヴァは静かに頷く。
こうして誰一人の犠牲も出さずに、復讐者たちは『生贄の部屋』から人々を脱出させる事に成功したのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
ネリリ・ラヴラン
信者さん達をお外まで送り届けてから、上を目指すよ。
先に上に向かった仲間と【パラドクス通信】で連絡を取って、目印の事を教えて貰えれば、早めに追いつけるかな?
移動してる間は前の方の光景を【未来予測】で眺めて走るよ。不意打ちを受けないようにしながら、できれば先手を取れるようにだね。
戦う時は、出会い頭に”蠱惑の追走曲”を【高速詠唱】。大量の蝙蝠爆弾を展開して、一斉に飛び掛からせて脅かしながら、本命はきっちり盾を迂回するように回り込ませるよ。
もう、悪だくみは失敗してるんだよ。
大人しく道を開けてちょうだいっ。
アドリブや連携は歓迎だよ。
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します
さてと、信者の人達は助け出せた訳だし後は敵を倒すだけかしら!
目印を頼りに最短で上を目指しつつ、邪魔なトループス級を倒していくわよ!
アタシ達がまだ見つかっていないなら強襲がベストよね!
【アイスエイジブリザード】を【高速詠唱】で即座に放って、敵を【吹き飛ばし】て行くわ!
顕れなさい、太古の氷精!
エジプトって暑いから吹雪は助かるでしょ!
敵の反撃は【完全視界】で暗闇からの不意打ちを防ぎつつ、攻撃を【飛翔】や【浮遊】などで躱すわね!
んー、やっぱり沢山動けた方がアタシに合ってるわ!
この調子でイミアベトってヤツも倒してやるんだから!
方堂・明音
(サポート)
アドリブ歓迎、基本お任せで。
『ここは私に任せて!』
戦闘? 救助?
なんでもするので、遠慮なく頼って下さい!(フォロー体質)
将来は何か世の中の役に立つ仕事に、とか漠然と思ってたんですけど
まさか、『世の中』の方が消えちゃうなんて……
でも、私自身は消えずに残りましたから。
痛かったり、怖かったり、苦しかったり、疲れたりしますけど
まだ、生きて、考えて、動けるなら
今できる事を精一杯頑張ります。
平時は自宅か図書館か喫茶店で過ごす事が多いですね。
情報収集も人脈より、本やネットが中心かな。
あ、でも、喫茶店で本を読みながら、
周りの席の人達の会話を聞いてると、
色々興味深い話が結構聞こえてくるんですよ。
鬼姫・アヤメ
(サポート)
基本的には、お任せです。
とにかく、MS様の負担が無いように、書きやすさを優先してください。
ノリと勢いで、何とかなると思いますが、よく分からなかった場合は、脳筋タイプで描写していただければ問題ありません。
とりあえず、殴ってから考えるタイプです。
パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
小ピラミッド下部で復讐者たちによる人々の説得と救出が無事に終わった頃。
小ピラミッド上部の一室でトループス級マミーと復讐者の戦いは激しさを増していた。
「オラ、オラ、オラァ!」
鬼姫・アヤメ(鬼人の鬼狩人・g03328)が手の大きな得物を鬼の腕力で振り抜きマミーを吹き飛ばす。
その一撃で地面に転がったマミーは起き上がれない様子であったが、すぐに別のマミーがアヤメに襲いかかり、彼女は呼吸を整える暇さえ無い状況だった。
アヤメ自身は血湧き肉躍る戦いを単純に楽しんでいる節が見えるが、マミーの数は多くこのままでは先に力尽きるのはアヤメたち復讐者の方であろう。
そんな状況に方堂・明音(人間のワールドハッカー・g03535)もマミーからの攻撃をいなしつつ、苦しそうに息を吐いた。
「流石に数が多いですね。でも、あと少し時間を稼げばきっと……」
明音もアヤメも2人だけでマミーたちを撃破できると最初から思ってはいない。
2人は仲間を信じて反撃の機会を待っていた。
明音は手元の『ディアボロス専用小型通信機』へと目を落とす。
そして、その時はすぐに訪れる——。
●
「うん……救出に成功したんだよ。明音ちゃん、すぐにそっちに向かうから、あと少し待っててね」
ネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)は『パラドクス通信』を用いて、手短に救出成功の報告を終えると、小ピラミッド上部へと向かう速度を一気に上げる。
「上で頑張ってる2人のためにも急がなくちゃ!」
ネリリのすぐ横を併走するソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)が真剣な表情で前方の迷宮に目を向けた。
「最速、最短で上を目指すわよ!」
ネリリとソラは多数の罠の仕掛けられ複雑に入り組んだ迷宮を一切のためらい無く全速力で飛んでいった。
左右の壁が流れるように後方へと移動していく。複雑に枝分かれした分岐も一瞬の迷いもなく正しいルートを選択する。
そのスピードは慎重に迷宮を突破していた時とは比べるべくも無かった。
それを可能にしたのは迷宮につけられた無数の目印であった。復讐者たちが記した正しいルートや罠の位置が示された目印をしるべに、ネリリとソラは一分一秒でも早く戦場に辿り着こうと迷宮を駆け抜けていた。
「……危ないんだよ」
突然、ネリリが身をひるがえす。次の瞬間、壁から矢が射出されてネリリのすぐ横を矢が通り過ぎた。
発見が漏れていた罠であったのだろう。しかし、『未来予測』によって罠が発動するより数瞬先に罠に気付いたネリリはあっさりそれを避けて、発動した罠を一瞥さえせずにその場を通り抜ける。
そうやって迷宮を突き進み、ほんの数分でネリリとソラは上部へとたどり着いた。
前方の部屋からマミーたちの怒声に悲鳴、金属同士のぶつかる音が聞こえる。
戦場はもう目と鼻の先だ。
「この先ね、後は敵を倒すだけだわ。いくわよ、ネリリ!」
「うん、準備はおっけーだよ」
2人は速度を落とす事なく部屋へと飛び込んだ。
●
『飛翔』の勢いのまま、空中で銀色のポニーテールをなびかせたソラが、部屋の真ん中に綺麗に降り立つ。
それはステージのセンターに立つアイドルのごとく。部屋の中のマミーたちの視線がソラへと一斉に注がれる。
そして、次の瞬間、戦場の剣戟と怒号を吹き飛ばすようにソラの声が響き渡った。
「顕れなさい、太古の氷精!」
呆気にとられたマミーたちの眼前。ソラを中央に雪混じりの風が吹き出し、古代エジプトのピラミッドの一室を猛烈な吹雪が包みこむ。
「うわぁああああ!? 俺の手が、足が!?」
ソラの近くにいたマミーが猛吹雪によって凍りついていく。そして、氷像と化したマミーを後ろからアヤメの金棒が打ち砕いた。
「ハハッ! ド派手な登場じゃねぇか!」
嬉しそうに笑うアヤメ。
「エジプトって部屋の中も暑いからね。冷たい吹雪で少しはクールダウンできたかしら?」
目の前の惨状に混乱するマミーたちに、ソラは吹雪の勢いを弱める事なく、にこやかにいってのける。
そしてさらにマミーたちを追い立てるように、部屋のあちこちで爆発が巻き起こった。
「い、一体なんなんだ!?」
爆発により吹き飛ぶ仲間を見て立ちすくむマミー。そんなマミーの頭上、マミーが顔を上げれば、天井近くを無数のコウモリが飛び交っているのが見えた。
「なんだ、こいつら……」
コウモリたちが一斉にマミーへと飛びかかる。
慌てて盾を構え槍を突き出し応戦するマミー。
すると、その近くでネリリの声がした。
「狙い通りだよ」
ネリリがパラドクスによって作り出した魔力コウモリの群れ。見かけは全く同じだがマミーに飛びかかったコウモリたちは囮で、本命の攻撃役のコウモリは別にいた。
そして、その本命はすでに囮に気を取られたマミーの背後に回り込んでいた。
「『蠱惑の追走曲(ルナティック・スナイプ)』!」
ネリリの声に応えて本命のコウモリが無防備なマミーの背中へぶつかる。
次の瞬間、コウモリは爆発し背中を燃え上がらせたマミーが爆風で吹き飛ぶ。
起こった爆発はこの一箇所ではない。同じようにネリリに手玉に取られたマミーたちが同時に複数箇所で吹き飛んでいた。
「ネリリさん!」
マミーが倒れるのを見て、姿を現したネリリに明音が駆けつける。
「お待たせしたんだよ」
明音たちの無事を確認して安堵の笑顔を浮かべるネリリに、明音は嬉しそうに微笑み返す。
「お前たちよくもやってくれたな!」
怒号に振り返るネリリと明音。見れば、混乱から立ち直ったマミーたちが盾を構え整列していた。
「もう、悪だくみは失敗してるんだよ。大人しく道を開けてちょうだいっ」
笑顔から一転、ネリリは目を鋭くしてマミーたちを強く睨んだ。
●
「これで最後です!」
明音が最後の生き残りのマミーにとどめを刺す。
ソラとネリリが戦場に駆けつけた際に巻き起こした混乱で戦況は一変し、混乱から立ち直ったマミーたちも4人の連携で次々と討ち取られていった。
「んー、やっぱり沢山動けた方がアタシに合ってるわ!」
晴れ晴れとした表情でソラが言う。これまでのコツコツとした迷宮探索や救出作業でフラストレーションも溜まっていたのかもしれない。
「この調子でイミアベトってヤツも倒してやるんだから!」
新たな決意を固めるソラ。残る敵はあと1人。
その道を阻むものはもう何も無かった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【未来予測】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV5になった!
御守・樹
同じ様な動きする相手は本当に苦手なんだけど、でもやれるだけやるしかないよな。
念のために【完全視界】で視界を確保、且つ【光学迷彩】を纏い、さらに【忍び足】で移動する事で己の気配を消すようにする。
そのうえで隙をついてパラドクスで攻撃を。受け流しはある程度動きを見てという前提だと思うから、なるべく攻撃の瞬間まで相手の視界外意識外にいるようにする。もし連携が取れるならそれもまた利用して。それでもなお受け流されるようなら【一撃離脱】で一旦距離を取る。
あとはいっそ【攪乱】目的で動くか。俺の攻撃を当てられなくとも他の人が当ててダメージになれば十分だ。
アドリブ連携歓迎
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します
さてと、残るはアナタだけね!
信者たちなら逃げてもらったわ!アナタ達の計画の犠牲にはさせないわよ!
(ネメシスにより、四肢に赤い呪紋が浮き出てきます)
アタシは【飛翔】して上から攻撃を加えるわ!
「レゾネイト」から【誘導弾】を【連続魔法】で発射して牽制!
目眩ましで味方の攻撃を援護するわ!
敵の攻撃は【未来予測】も使いつつ、【ダンス】するように避けていくわ!
ふふん、ダンスなら負けないわよ!
トドメはアタシのとっておき!
【熱狂と湧然の四元光芒!】を【全力魔法】でぶっ放すわ!
此処がアナタのラストステージよ!
逆にアタシ達が、アナタをエジプト解放の礎にしてやるんだから!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎
完全視界使用
パラドクス通信で情報共有と連携
残してくれた目印を手がかりに、【飛翔】で罠を避けつつ速やかに合流
大いなるトートとやらがどんな奴かは知らないが
人の信仰を利用して、生贄に仕立てようとは……
このピラミッドで最後だ。終わらせよう
後は貴様を倒すだけ
もう儀式は動かないぞ
飛翔し戦場を偵察、観察
味方と包囲挟撃の形に位置取り、連携攻撃
相手の姿を描き出し、戦わせよう
Eis-Spiegelを配置し素早い攻撃を阻害
反撃には魔力障壁を展開し、動きを観察
未来予測でわずかな先手と読みを活かし
飛翔の機動力で回避
攻撃に集中させ引き付けて隙を生み出し味方の攻撃に繋げる
撃破後は飛翔も併用し、速やかに脱出
●
部屋の外からカツ、カツ、と石の床を叩く靴音が聞こえた。次第に近づいてくるその音に、祈りの間の中央に佇むアヴァタール級クロノヴェーダ『神護のイミアベト』は吐息を吐き出し、小さく呟く。
「きました、か……」
その呟きと同時。部屋につながる唯一の入り口から、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が悠然と祈り間に足を踏み入れる。
「このピラミッドで最後だ。もう儀式が動く事は無い」
エトヴァがアイスブルーの目をイミアベトへと向ける。
その声色には冷ややかな怒りが込められていた。
「そう、ですね」
そんなエトヴァの冷たい怒りを受け流すかのようにイミアベトは淡々と首を縦に振った。
「計画は台無しになって、残るのもアナタだけなのに。随分と淡白なリアクションね」
同じく部屋に入ってきたソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)がイミアベトの塩対応に肩をすくめる。
「怒り狂っても、泣き喚いても、儀式の失敗が覆りはしませんので」
淡々と語るイミアベトの端正な顔には何ら感情が浮かんでいない。
「だったらこんな所で待っていないで、尻尾を巻いて逃げたら良かったんじゃない?」
それにソラは皮肉混じりに挑発してみせる。
「いえ、そうはいきません」
イミアベトの否定の言葉。その直後。
「せめて一矢。あなた達だけでもこの神の地から消しておかないと」
ソラたちの目の前から一瞬でイミアベトの姿が消えた。
●
キィンと金属同士がぶつかる音が祈りの間に響いた。
見れば、ソラたちの死角から振り下ろされたイミアベトの錫杖を左手の籠手で弾き返す御守・樹(諦念の珪化木・g05753)の姿があった。
樹は少し離れた位置でエトヴァやソラとイミアベトのやり取りをうかがっていた。
だからイミアベトが2人の死角に潜り込むのを確認し、即座に反応ができた。
「チッ、同じ様な動きする相手か」
さらに、正々堂々とは程遠い身軽さを生かし相手の虚をつくような立ち回り。
これが樹の戦闘スタイルと似ていた事でその動きが読めたことも幸いした。
武器を弾かれたイミアベトに、樹が即座に右手の小型拳銃を撃ち放つ。
その銃撃をイミアベトは体をくるりと回転させて避けると、その回転の勢いのまま別の手に握った鎌のような短剣を樹の首へと振りかぶる。
樹はその一撃が分かっていたかのように、後ろに飛び退きイミアベトから距離を取った。
「こういうやつは本当に苦手なんだよ」
戦闘スタイルが似ているという事は相手の攻撃が読み易い反面、相手にも読まれ易いという事だ。
特に素早さや戦闘技術を生かして相手の隙を突くのを得意とする樹にとって、手の内が読まれてしまうような相手は勘弁してほしいというのが正直なところだ。
だが、しかし。
この場でイミアベトと戦うのは樹1人では無い。
「アイドル相手に奇襲ドッキリを仕掛けるなんて目の付け所は悪くなかったけど、完全に失敗ね!」
いつの間にか空色の魔力翼を広げ空中に飛び出していたソラが大きなリボンとマイクのついた杖を口元に掲げ、顔を上げたイミアベトに向かってパチンとウインクをする。
「これはお返しよ!」
ソラのステージ衣装の狭間からのぞく白い手足に紅い呪紋が浮かび上がる。
そして、悪魔の力を解放したソラの杖から誘導弾が絶え間なく地上を動き回るイミアベトへと撃ち込まれていく。
誘導弾はイミアベトの錫杖に弾かれるも、その周囲でカラフルな爆発を起こした。
そして、イミアベトの視線が空中のソラに注がれる中、爆発の中からイミアベトへ飛び込む人影があった。
「そうくると思っていましたよ」
イミアベトが視線はソラに向けたまま、飛び込んできた人影に短剣を突き出した。
確かな手応え。
相手の温かい血が己の手を伝うのを感じ取り、イミアベトはチラリと人影へと目を向け——。
「えっ……」
短剣を腹に突き立てられ血を吐く褐色肌の少年を目にし、その瞳は大きく見開かれた。
●
「こ、これは……」
石畳に倒れた自分とそっくりの少年にイミアベトは初めて狼狽の表情を浮かべる。
次の瞬間。イミアベトの背中に熱い痛みが走った。
「やっと隙を見せたな」
背後からの声。振り向いたイミアベトの視界の端に見えたのは、血のついたナイフを構えた樹の姿。
しかしそれは一瞬の事で、背中の痛みだけを残し樹はイミアベトの前から姿を消す。
「厄介な……」
一分の隙も無い樹の徹底した戦闘スタイルに悪態をついたイミアベトであるが、直ぐに気を取り直し、再開されたソラの誘導弾の雨を弾きつつ、周囲の警戒に努める。
ジリジリと続く膠着状態。
その時、視界に再び褐色肌の少年が見え、即座にイミアベトは錫杖を叩き込んだ。
「どんなカラクリかは知りませんが、同じ手が何度も通用する訳がありません!」
そう叫んだイミアベトであったが、叩き込んだ錫杖に手応えは無い。
そして、頭上から別の褐色肌の少年が振り下ろした錫杖がイミアベトを強かに打ちすえる。
強い衝撃にぐらりと膝を崩したイミアベトの視線の先に、床に散らばる氷の欠片が見えた。
「お前が砕いたのは、お前自身が映っただけの氷片だったということだ」
地面に手をついたイミアベトを空中のエトヴァが冷たく見下ろす。
エトヴァは『リアライズペイント』でイミアベトを描き出し、同時に鏡のような氷片を戦場に配置していたのだ。
「此処がアナタのラストステージよ。アタシ達が、アナタをエジプト解放の礎にしてやるんだから!」
ソラが杖を天へと掲げると、強い光が戦場を照らす。
ソラの頭上で4色の魔力をきらびやかに輝かせる魔法陣が放つ光である。
「これはアタシのとっておき! 4つの力、纏めて一気に喰らいなさい!」
魔法陣から、火水風土のエネルギーを集約した巨大な魔力の光条が放たれる。
「『熱狂と湧然の四元光芒(エキサイトステージ・ストライク)!』」
光条は動きの止まったイミアベトを直撃し、真っ白い光が祈りの間を染めあげた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
モリオン・スモーキー
アドリブ/連携○
使える残留効果は全て使用。
お待たせしました。加勢いたします!
と<ダッシュ>ではいってきます。
そのまま敵の懐に飛び込んで【パラドクス】発動。
貴方も同じような事が得意のようですね。
どちらが上手かどうか確かめましょうか?
と<ダンス>を踊るように風と刃と共に踊り敵にダメージを。
その後は味方と連携をとりつつ攻撃、ダメージを重ねていきましょう。
●
全てを染め上げた白い光が収まった祈りの間。
ディアボロスたちの前には、未だ倒れぬイミアベトの姿があった。
イミアベトが震える足を前に一歩踏みしめる。
「まだ、平穏な世界の礎に……」
ここまでイミアベトに蓄積されたダメージは甚大て、もはや意地と信念で立っているようなものであった。
そんなイミアベトの間合いにモリオン・スモーキー(存在奪われし魔術発明家・g05961)が飛び込む。
首の後ろで一本にまとめた濡羽色の長髪と黒いスーツの裾が薄闇に舞う。
モリオンの得物は鈍い光を放つブレードとショートソードの二刀流。
そのブレードの根元に持ち手を守る護拳があり、そこには煌びやかな宝石がはめ込まれていた。
モリオンが打ち込むブレードをイミアベトの錫杖が弾き返す。すかさずイミアベトが差し込んだ短剣をモリオンのショートソードが阻んだ。
互いに目まぐるしく攻防を入れ替えながら、大小2本の武器を振るい合う。
部屋の中に甲高い金属音が幾度も鳴り響く。
「そのダメージで未だ折れぬ信念……いや執念とでも言いましょうか。大したものです」
形振り構わぬ様子で攻撃を繰り出してくるイミアベトにモリオンが口を開く。
「しかし、それは此方も同じこと。貴方の執念、ここで絶たせて頂きます」
その言葉に応えるようにブレードの護拳の宝石が光を放った。
「風の宝石。解放」
宝石から解放された風の魔力を受けたモリオンの斬撃は次第に速度を増し、やがてイミアベトの動きを凌駕していく。
崩れる均衡。さらにモリオンが仕掛ける。
「風刃舞踏——風と共に我は舞う。共に舞踏を」
宝石を削り出した刃を持つダガーが2人の周りを飛び交い始める。
空中に浮かんだそのダガーは、モリオンの振るうショートソードのエスコートの下、風に乗って華麗に舞い踊る。
ブレード、ショートソード、そしてダガー。
風に舞い狂う3本の刃が、限界に達したイミアベトの身体を斬り刻んでいった。
そして——。
「これで終わりですね」
イミアベトが冷たい床に倒れ伏す。
イミアベトの死と共に小ピラミッドが崩壊を始める。
既に生贄は100人全員が小ピラミッドから脱出していた。
クロノヴェーダたちの亡骸だけを残し、ディアボロスたちはその場から去っていった。
成功🔵🔵🔴
効果1【壁歩き】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!