雪舞う異郷へ~吸血ロマノフ王朝威力偵察(作者 彼方星一
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#機械化ドイツ帝国  #ケーニヒスベルク威力偵察 

●AD????、ケーニヒスベルク
 曇天より落ちてくるのは、雪だ。
 暦は四月というのに、吹きすさぶ風は身を切るように冷たい。
 荷を運んでいる男たちの息は白く、行き交う人々は毛皮の帽子をかぶり、厚手の防寒着で着ぶくれしていた。
 港には、ぎっしりと船が並んでいるが、甲板に歩哨が立っていることから、それらがいずれも軍用と知れた。
 そう、そこは軍港だった。
 埠頭には倉庫が立ち並び、少し離れて、兵士の宿舎と思しき軍施設が広がる。
 周辺には、軍を相手に商売をする店々も軒を連ねているようだった。食堂らしき店からは暖かな灯りが漏れ、軍服の兵士や港湾労働者たちが出入りしている。
 風は冷たく、空は暗いが、人々は活気に満ち、街は喧しかった。

●新宿駅グランドターミナル
「見ろ、あの行先表示を」
 フランク・アイゼンベルク(サイボーグの殲滅機兵・g03487)が示したパラドクストレインの行先表示は『吸血ロマノフ王朝』と記されている。
「ロシア方面から漂流してきた吸血鬼たちを、ロシア側のディヴィジョンに送り届けるという作戦が成功したな。その結果、ディヴィジョンの境界を超えて、わずかながら運行が可能になった。これがその列車というわけだ」
 かくして攻略旅団の方針により、ロシア側ディヴィジョンへの調査が行われることになったのである。
 調査は2チームに分かれ、ひとつは帰還した吸血鬼たちに接触する。
 こちらのチームは、侵入地点であるケーニヒスベルクの港町を偵察してみることとなった。
「このディヴィジョンは『ヴァンパイアノーブル』というクロノヴェーダによって支配されているらしい。連中の戦力規模や戦闘力を知ることも重要な目的だ。そのためには多少、手荒なことになってもかまわんだろう。いわゆる威力偵察ということだな」
 そう言って、フランクはにやりと笑った。

「では任務について説明するぞ」
 ケーニヒスベルクの港町には、多くの軍艦が停泊しており、街の中にも兵士が多く集まっている。
 軍艦、あるいは軍施設を偵察して、敵の戦力規模を確認するのが第一の目的だ。
「今回は高解像度のビデオカメラを用意した。偵察時には、このカメラでの録画をしてきてほしい。持ち帰った動画を新宿島で解析すれば、より詳しい情報を得ることができるだろう」
 しかし、ここはまぎれもなく、敵地である。
 兵士のなかには「ヴァンパイアノーブル」なるクロノヴェーダが混じっていることは間違いないと思われ、あまり目立つ行動は行うべきではないだろう。
 とはいえ、どんなに注意していても、偵察中に敵に発見されてしまうのは避けられない。ケーニヒスベルクは軍事拠点であり、警戒は厳しいからだ。
「もし、敵に発見された場合は、撃破するか、あるいは血路を開いて突破した後に撤退してくれ。敵の拠点でぐずぐずしていると包囲されて脱出不能になってしまう危険もある。威力偵察とは言ったが、勇敢と無謀は違う。くれぐれも、引き際を大事にしてほしい。情報は持ち帰らなければ意味がないのだからな……」
 『吸血ロマノフ王朝』のクロノヴェーダと新宿島のディアボロスは、現時点ではまだ明確に敵対していない。だが、だからこそ、敵はディアボロスを発見すれば、こちらの情報を把握するため捕縛してこようとすることが予測される。
 万一、そのような事態になれば、捕縛されたディアボロスが危険なだけでなく、新宿島そのものが危機的状況に陥る可能性もある。それだけは避けなくてはならないだろう。

「『吸血ロマノフ王朝』のディヴィジョンは、強い排斥力が働いているため、ディアボロスは長く留まれない。時間制限は厳しいが、その中で最善を尽くしてほしい」
 時先案内人はそう結んだ。
 見知らぬ異郷への列車が、出発しようとしていた。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【狐変身】
1
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【光学迷彩】
2
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【断末魔動画】
2
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV3 / 【フィニッシュ】LV1 / 【リザレクション】LV1 / 【ドレイン】LV2 / 【アヴォイド】LV3

●マスターより

彼方星一
 当列車は『機械化ドイツ帝国』経由『吸血ロマノフ王朝』行きの特別列車になります。
 お乗り遅れ、お乗り間違えのないよう、お願いいたします。

 このシナリオはみなさんがケーニヒスベルクへと侵入したところから始まります。
 港町での偵察、情報収集を行ってください。

 どこで、どんな情報を得るために、どんな行動をとるのか……、いろいろ知りたくなると思いますが、ひとつのプレイングではひとつの目的に絞っていただいたほうが成功しやすいと思いますよ!

 ある程度、時間が経つと、クロノヴェーダ「ヴァンパイアノーブル」に発見され、襲撃を受けます。
 基本的には撤退して街から脱出することになりますが、交戦してみることで敵の能力などの情報を得られるかもしれません。しかし、くれぐれも引き際は大切に。

 それではそろそろ出発いたします。未知なるディヴィジョンへ、出発進行!

 ※早期の完結を目指したいと思いますので、必要🔵数に応じた採用を行います。そのため共同プレイングでも全員の方が採用されない場合がありますが、悪しからずご了承ください。
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このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


ノイン・クリーガー
偵察任務は久しぶりだな。
最近は派手にドンパチやっていたからな。
それにしても厳重な警備だ。

いずれ発見されるにしても遅い方がいいだろう。
WTCを起動させ、【地形の利用】により身を隠しながら【光学迷彩】を使い、【忍び足】でビデオカメラによる【偵察】を行う。
【パラドクス通信】 が使えるならば味方と連絡をとりあい、手分けして偵察を行う。
停泊している軍艦の周りを重点的に調査し、兵員の数や使用兵器の種類などを調べる。

発見された時に備え、99型ヘルメットとガスマスクで顔を隠し、ゾルダートの偵察兵に偽装しておく。


百鬼・運命
アドリブ絡み◎

心情
「新しいディヴィジョンか…まずは慎重に行くとしよう」

目的
軍艦や軍港の調査。出来ればロシアの内情も

行動
友好関係に配慮。被発見時を考えドイツ紋章を描いた極限環境戦用電動型動力甲冑に搭乗し見た目をゾルダートに偽装
動力甲冑と水中装備の換装式万能大型ドローンで潜水し、水中工作員の如く軍港に潜入し調査を行う


他メンバーとパラドクス通信で連絡しつつ、まずは海中から軍艦や軍港の様子を撮影。潜水艦や軍港・ロシア内部への潜入に使用できそうな水路や河川などがあれば要チェック。また艦底にとりつき聴診器等で内部の会話の盗聴も試みる
海中からの調査後は潜望鏡で海上を撮影、軍艦軍港の施設や武装、警備体制を調査


 冷たい波が埠頭に砕ける。雪が降るなか、海水は凍死の危険さえあるほどに冷たいが、動力甲冑に護られていればいくぶん冷たさもやわらぐ。
 百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)は海から港に侵入していた。
(「新しいディヴィジョンか……まずは慎重に行くとしよう」)
 海のなかを慎重に進み、港の中へ。発見されたときに備え、動力甲冑にはドイツの紋章を描いている。一見して、あたかも機械化ドイツ帝国のゾルダートに見えるだろうから、敵の誤認を誘えるかもしれない。
(「かなりの数だな……」)
 運命が見たところ、港に停泊している軍艦は、その数、実に20隻。
 しかも、パラドクストレインからここへ至るまで、港の外にも何隻か艦を見かけていた。
 大艦隊と言っていい相当数の軍艦が集まっているようだった。
 運命は艦のひとつに近づき、内部の声などが拾えないかと試みたが、鋼の船底を通して伝わるものは不気味な沈黙だけだった。
 ひとまず、パラドクス通信を使って、わかったことを仲間のディアボロスに共有する。
 このとき、陸側から、ケーニヒスベルク港の埠頭に潜んでいたのはノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)だ。
(「偵察任務は久しぶりだな。最近は派手にドンパチやっていたからな」)
 光学迷彩の残留効果を活用し、物陰を忍び足で移動しつつ、港に停泊している軍艦をカメラに収めていく。
 士官と思しき軍服の人物が、多数の兵士らを引きつれて艦のひとつに向かうのが見てとれた。
 おや、と、ノインはガスマスクの下で、片眉尻を跳ね上げる。様子からして、この部隊の兵士たちはクロノヴェーダではない一般人のように感じられたのだ。
 さらに偵察を続けると、軍人には見えないような女性や、全身が血の鎧で覆われたような恐怖を誘う姿のものの一団が艦に乗り込んでいるところを目にした。かれらはおそらくクロノヴェーダだろう。
 どうやら、停泊している軍艦の多くにはクロノヴェーダが乗り込んでいるが、一部、一般人の兵士や乗員も載せられている艦艇もあるらしい。クロノヴェーダばかりが乗り込んでいる艦のほうが、総じて兵装もものものしく、戦闘での主力になるのだろうと思われた。
「一般人を含む艦は3割ほどといったところか」
 ノインはパラドクス通信で情報を伝えた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

白石・明日香
ふ~ん、此処がロシアか・・・・どんなの食べているのかな?
兵士たちの歓楽街とか近くにあるはずだからそこを見てみましょうか。現地の人に合わせた服装にして目立たないようにしながら周囲を散策というか探索、兵士達は気が緩んで何か喋っているかもしれないからそう言うのに耳を傾けながらカバンの中に隠したカメラで周囲を撮影。
ロシア領内でのインフラとか食糧事情を探りながら巡回しているかもしれない憲兵的な】存在には警戒して近寄らないようにしないと
デヴィジョン内の一般人にとって彼らはどんな存在か探れたら探りましょうか。
その際は買い物ついでのお喋りをしている感じで自然になるように。
キリが良い所でそそくさと退散ね!


サティニフィア・ネイバーライト
目的
ケーニヒスベルク港の確認

目標
一般市民の生活感の把握

心情
まだ確定していないディヴィジョンだ、どんな情報でも欲しい所だな
そもそもここがロマノフ王朝だと言うがケーニヒスベルクはドイツ語の地名
ソ連が1945年に占領し翌年カリーニングラードと改名編入
対してロマノフ王朝はロマノフ家以降の含めたとしても1917年が最後だ
既にアタシ達の歴史とは異なってるぜ

行動
軍人を支える一般人は絶対いる
アタシ達が守らなきゃならねぇ人々だ
暮しぶりでどんなアプローチが可能かの材料になるだろうさ
成るべく復讐者としての気配を殺して街を歩き回りちょっと市場の買い物しつつ暮らしぶりについて尋ねたり
度忘れを装い日付を聞く事も忘れないぜ


 白石・明日香(体亡き者・g02194)とサティニフィア・ネイバーライト(スゴ腕情報屋・g00008)は、それぞれ、埠頭や軍施設からは少し離れ、店々が並ぶあたりを歩いている。

(「ロマノフ王朝というが、そもそも」)
 サティニフィアは、思索を巡らす。
(「ロマノフ王朝は1917年まで。それにケーニヒスベルクはドイツ語の地名だ」)
 機械化ドイツ帝国は西暦1919年だった。見たところ、このケーニヒスベルクの街の様子は、大きく年代が外れていないように見える。しかし最終人類史において、ケーニヒスベルクはもっと後、第二次大戦を経てソヴィエト連邦に併合され、カリーニングラードと名を変えることになるのだが。
 それが、このケーニヒスベルクでは、すでに商店の看板や貼り紙に至るまで、書かれているのはすべてロシア語なのだ。
「景気はどうなんだい?」
「まあまあかな」
 商店をひやかしながら、サティニフィアは尋ねてみた。
「そういや、今年は何年だっけ?」
「はぁ、なに言ってんだ。『1915年』じゃあねぇか」
(「年代が違う……! やっぱりここはドイツとはまったく別のディヴィジョンなんだ」)
 おそらく、たどってきた歴史も、最終人類史とも、機械化ドイツ帝国とも違う形に改竄されているのだろう。

 明日香は周囲の人々に合わせた服装に身を包み、目立たず、場に溶け込むことを心掛けていた。
「ふ~ん、此処がロシアか……」
 とはいえ、初めて足を踏み入れる場所だ。好奇心はいやがうえにも刺激される。
 どんなものを食べているのだろう、と店をのぞいてみれば、素朴なパンやスープを、それでもうまそうに食べている人々の姿が目に映る。料理の素材は芋や豆といった農作物が中心で、豊かな印象は受けないが、一般人の食事はこんなものなのかもしれない。
「……にしても冷えるわね」
 世間話のように、傍にいた一般人に話しかけてみたが、「そうかい?」といった反応だ。むろん人々も寒さは感じているのだが、このくらいの気温であるのは別におかしいことではないという認識のようなのだ。
 そのときだ。
 路の向こうから来た一団に、明日香はただならぬ雰囲気を感じ、ひときわおのれの気配を殺した。最終人類史でいうところの「コサック騎兵」のような一団が通り過ぎてゆく。
 カメラはカバンの中に隠しながら撮影していたが、一般人の陰にそっと隠れるようにしてやりすごした。
 おそらく今の連中はクロノヴェーダだろう。
「巡回しているのかしら。なにか物騒なことでもあったの?」
 さりげなく尋ねてみるも、一般人は、特に異常は感じていない様子である。
 クロノヴェーダが支配するディヴィジョンにおいては、どこもそうであるように、一般人はクロノヴェーダの存在に違和感を持つことができないのだ……。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【断末魔動画】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!

レント・オルトマン
さて、手早く調査していこう
カメラを隠し持ち、タケノコと共に港の倉庫を調べるぞ
服装は現地の者に寄せたいが限度もあるだろうか
二人で周囲の視線を警戒しつつ、倉庫の穴やダクト等から内部へ侵入を試みようか
タケノコの通れる規模であれば俺も【狐変身】を用いて後を追うぞ

ここにあるのは食料か武器か建材か、その質や量によっても相手方の資源量や生産力など伺い知れるだろう
機械化ドイツ帝国においてはどれもこれもドイツ製、といった事象もあったが流石にドイツ製ではないのだろうな
小さく持ち運べる物があれば資料とするべく奪取を試みよう

後は発見されるか騒ぎが起こるまで倉庫内部を撮影し、身軽さを生かして倉庫から脱出しよう


 倉庫の壁に沿って、人目につかぬよう小走りに移動しているのはレント・オルトマン(エンデクーゲル・g01439)と、クダギツネの「タケノコ」だ。
 タケノコがするするとパイプを伝い、通気口からするりと侵入すると、レントもその後へと続いた。狐変身の効果を使い、カメラを持って、ダクトの中へ。
 首尾よく倉庫内に侵入することに成功した。
 倉庫のなかはひっそりと静まり返っている。そこに収められていたのは、さまざまな資材の類だ。
 レントは倉庫内をくまなく撮影していった。
 特段、珍しいものはない。港湾地区の資材倉庫といって、あっておかしくないもの、普通に船や港で必要になるようなものが保管されているだけだったが、これも貴重な情報だ。
 そうして、レントはいくつも建ち並ぶ倉庫から倉庫へと、その中身を調べて行った。
 だいたい、どこも同じような資材置き場だと思い、そろそろ別の場所へと目を向けるべきかと思い始めた頃――。

「なんだ……、これは……!?」
 今までどおり、狐変身でダクトを這い進み、うっすらと灯りの漏れる部屋側の通気口を覗き込んだところで、レントは驚きに息を呑んだ。
 その倉庫内には、異形のものたちが所せましと立ち、整列していた。
 人型ではあるが剥き出しの赤い皮膚の各所に牙の並んだ口を持つ異様な姿だ。もちろん人間ではありえない、クロノヴェーダだろう。
 だが、かれらは一体として、ぴくりとも動かず、じっと静止しているのみ。眠ってでもいるのだろうか。
 パラドクスを使えない狐変身の状態で、もしもこの異形たちが動き出したら危険だ。レントは撮影だけ済ますと、その倉庫からは素早く脱出するのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【狐変身】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎
残留効果は相互活用

ドイツ経由で行くのはあと少しだろうか……
しっかりロマノフ王朝への道を繋ごう

事前に不測時の集合の合図を決め
あればP通信で仲間と連絡

毛皮の帽子と厚手の防寒着、現地商人の衣裳を準備
前回接触時の情報から、似せた軍服ができれば重畳

俺は軍施設を偵察
【光学迷彩】、忍び足、地形の利用し
ビデオカメラで撮影しながら
行く手に身を隠せそうな遮蔽物や影、人の気配や危険の有無を観察しつつ伝うように移動

全体の建物の数や規模を把握しつつ、個々の内部をざっと撮影
倉庫の中身、練兵場の様子
宿舎は複数なら1か所を確実に

状況を観察、怪しい場所はより詳細に
発見された時は、届け物帰りに迷った商人のふりを


 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は軍施設の敷地内へと侵入することに成功していた。
 光学迷彩も活用しつつ、物陰から物陰へ伝うように移動する。人目を忍んでの行動だが、毛皮の帽子と厚手の防寒着を身につけてきており、もし誰何されれば、出入りの商人が道に迷ったと言い繕う準備はできていた。
 倉庫、練兵場、宿舎など、見て回りたい場所は多くあるが、それなりに広さもあり、あれもこれもと思っていると十分な情報を得られないまま時間切れになってしまうだろう。状況を観察して、特に怪しい場所に絞るべきだ、と考えていると、連れ立って外出するらしい兵士らしい人影が目に留まった。
 かれらが来た方向には宿舎と思われる建物が複数、軒を連ねている。
 エトヴァは、宿舎にはふたつのタイプがあることに気づいた。
 今見掛けた兵士は一般人と思われるが、かれらが出てきたのが簡素な建物だったのに対し、それよりは明らかに造りの良い宿舎が、全体の半分ほどあるのだ。
 エトヴァのなかに、ピンとくるものがあり、彼は迷わず豪華な方の宿舎を目指す。
 そっと足を踏み入れると、調度品も質が良く、全体に貴族趣味といった内装になっていることがわかった。
 宿舎のなかを撮影すること、しばらく。
 エトヴァは殺気を感じて身を翻した。

「!」
 襲い掛かってきた男の一撃をエトヴァがかわし、代わりにテーブルが粉砕される。
「すみません、迷ってしまって」
 計画通り演技を試みたが、相手は、口元から大きな牙をはやした異形へと変じ、クロノヴェーダとしての姿を見せ始めている。問答無用というわけか。
 エトヴァはその場を脱すると、パラドクス通信を通じて、あらかじめ決めておいて緊急時の合図を発した。
 これにより、現在、ケーニヒスベルクに侵入していたすべてのディアボロスに状況が伝わり、エトヴァの、すなわち敵との遭遇ポイントも共有することができたのだった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【光学迷彩】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!

 「ヴァンパイアノーブル」に遭遇したという情報がパラドクス通信によりもたらされた。
 潜入中のディアボロスのなかには、これからいよいよ本格的に偵察を始めようというところにいたものもあったようだが、やむをえず、ここが潮時になるようだ。
 排斥力が強く働いている現状では、これは致し方のないところである。
 ディアボロスたちは行動を中断すると、それぞれに状況判断を行い、あるものはすみやかにケーニヒスベルクから脱出し、またあるものは遭遇地点へと馳せ参じるのだった。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

こちらだ、援護を頼む

P通信で味方と連携
付近の建物の配置や、最短経路を共有
常に【平穏結界】を展開し、発見を遅らせる

最初に接触した敵のみ撃破を目標としつつ、脱出を最優先
相手が逃走した場合や
発見、追っ手など脱出に支障を来しそうな場合は
別方向に武装で音を立てるなどし、注意をそらし速やかに撤退

戦闘時
初回は相手を観察
外見、動き、技の性質など情報収集

……変身しないと戦えないのだろうか
あるいはこれが本性か?
変身による変化、身体能力……
隙を看破し攻撃、早期撃破を

反撃には魔力障壁を展開
フェイントで方向転換、的をずらして回避

光学迷彩とモブオーラ、忍び足で移動
緊急時はあれば飛翔活用で突破
速やかに脱出だ


ノイン・クリーガー
おっと、発見されたようだな。
そろそろ潮時か。

『ゴースト了解。これより合流する』

まずは【パラドクス通信】を使い、お互い位置を確認しながらヴァンパイアとの遭遇地点に向かう。

仲間と合流できたら発煙弾を投げて煙幕を張って敵を【撹乱】しつつ、【完全視界】を使いながらMK45/Sで【弾幕】張りながら離脱する。

周囲の物体を飛ばしたり、爪と牙による攻撃はアイゼンファウストで防御。
獣の頭は銃で撃ち落とす。


「こちらだ、援護を頼む」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)の声がパラドクス通信を経て届く。
『ゴースト了解。これより合流する』
 頼もしい仲間の声が、未知の地で未知の敵と相対した状況でも、エトヴァを落ち着かせてくれた。
 宿舎から脱出するエトヴァを、ヴァンパイアノーブルが追ってくる。
 長く伸びた牙に、鋭い血色の爪。この姿が敵の本性ということなのだろうか。逃げながらも、エトヴァは敵を観察し、少しでも情報を得ようと試みる。
 ドイツに漂着した「吸血鬼」と比べても、この存在は、明確に人類とは異質なものだとわかる。吸血鬼とヴァンパイアノーブルは異なるものであり、ヴァンパイアノーブルはクロノヴェーダに他ならないのだ。
 エトヴァの唇から、聖歌の一節がのびやかに零れる。
 声はパラドクスとなり、聖なる光となって周囲を照らすと、銀の弾丸に結晶し、エトヴァの手の中の銃に装填された。
 放たれた銀の銃弾が、ヴァンパイノーブルを撃つ。
 敵は驚いたようだ。立ち向かってくるとは思っていなかったのかもしれない。
 反撃として、鮮血色がぶわりと広がり、周囲の物をまきあげて、ポルターガイストのように投げつけてくる。
 エトヴァが魔力障壁を展開してそれに耐えしのいでいるところへ、突如、煙幕が周囲を覆ってしまった。
「すまんな、遅くなった」
 煙幕の向こうの低い、声。ノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)だ。
 ヴァンパイアノーブルは、声を頼りに襲い掛かってきたが、そのときすでにノインはもといた場所にはいない。
 ノイン自身は「完全視界」の効果により煙幕の影響は受けない。
 そして文字通り亡霊のように、ヴァンパイアノーブルの背後に静かに立っていたのだ。
 サプライズアタックで、至近距離からの銃撃を浴びせる。
 敵は撃たれると同時に、逆説連鎖戦による反撃で、鋭い爪の斬撃をノインへ向けた。
 ノインは鋼鉄の腕でその一撃を受け止め、なかなかに重い衝撃と、硬質な爪に表面の塗装が削られる感触を感じながら、後退する。
 サブマシンガンで弾幕をはりながら、撤退の途につく。
 晴れ始めている煙幕の向こうから、さらなる敵影が近づいてくるのをみとめたが、同時に、仲間が集まってきていることにも気づいていた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

エリザベータ・シゲトヴァール
CCTS関係者はコールサインで呼称する。

●心情
こちらユサール。フェーデル(エトヴァさん)のカバーに回る。

情報の精査は後よ。全員の帰還を最優先。

●行動
襲撃地点へ急行。可能であれば【飛翔】を使用し最大速度で移動する。
移動中も【偵察】【戦闘知識】の応用で、敵の警戒部隊や増援の規模やルートを解析し、味方が包囲されぬ様に【パラドクス通信】でナビゲート。

私が空から移動すれば、敵の対空能力や航空戦力を炙り出せる。
楽観視は危険だけど、もしこちらの方が速く飛べるなら、空からの脱出が有効かも知れない。

包囲を狙う敵が居れば【空中戦】【一撃離脱】を活用した急降下攻撃で優先的に狙い、【制圧射撃】で味方の脱出を援護する。


御門・風花
CCTSメンバーはコードネームで呼び合います。
ユサールや雪月と共に支援行動
雪月(g02551)をディフェンス指定

雪月。いえ、ビャッコに
「わかりました。無理は禁物ですよ」
眼鏡の奥の無表情な瞳で敵を見つめ、右逆手でナイフを抜刀。
「ミセリコルデ、戦闘を開始します」
《呼吸法》で闘気解放しパラドクス発動
《精神集中》で敵の動きを見切り、爪牙を《オーラ操作》で強化した手甲やナイフで受け流します
攻撃の隙を突いて《グラップル》《衝撃波》を伴う掌底や蹴撃で敵を《粉砕》したり、ナイフで《両断》します

戦闘が長引きそうなら、凍結の波動で敵の足元の地面を凍結、敵が足と気を取られた隙に【エアライド】最短ルートで撤収
「琥珀」


御門・雪月
CCTSの先輩方とはコードネームで呼び合います!
ユサールさん(g00490)とお姉ちゃん(g01985)と一緒に、フェーデルさん(g05705)の支援に行きます!

「大丈夫です、お姉ちゃん。僕だって戦えます!」
大型武装は目立つので使いません!右手で抜刀した魔動機械剣の光刃を展開します。
「こちら、ビャッコ。戦闘に参加します!」
パラドクス発動。陽菜も聖剣抜刀し、二人の息の合った連携で敵の攻撃を避けたり《斬撃》で迎撃します。
避け切れない場合は左腕のエネルギーシールドで《早業》《結界術》で防御。
「させません!」

撤退時は、陽菜の聖剣による《光使い》《浄化》のフラッシュで目潰し【飛翔】で撤退します
「陽菜!」


「こちらユサール。フェーデルのカバーに回る」
 雪舞う空を翔ける姿がみっつ。
 飛翔効果を活用したディアボロスによる空からの襲撃だ。
 エリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)は、煙幕のなか、撤退を始めた仲間を援護すべく、追撃しようとするヴァンパイアノーブルへ制圧射撃を浴びせた。
 後方より、同種の敵があらわれるのを、エリザベータは視界の端にとらえる。その数は、最初の一体を含めて八体。軍事拠点への侵入者に対して差し向けられた戦力として多いとは言えない数だが、その理由は果たして。
 エリザベータは急加速し、あえて敵の頭上を駆け抜けてゆく。
 彼女に気づいたヴァンパイアノーブルたちが獰猛な威嚇の声をあげた。
「別のディヴィジョンから来た獲物か!」
「かぶりついて、血を全部吸い尽くせ」
 そんな野次めいた声が聞こえてくる。

「ミセリコルデ、戦闘を開始します」
 エリザベータに続いて飛来した、御門・風花(静謐の凶鳥/ミセリコルデ・g01985)が地上に降り立つ。
 眼鏡の奥の瞳に表情はない。ただ、敵を見据え、逆手にナイフを抜き放つ。
 その後方には、御門・雪月(魔機使いの白虎・g02551)の姿があった。風花の彼への一瞥に、
「大丈夫です、お姉ちゃん。僕だって戦えます!」
 と応え、魔導機械剣の光の刃を展開した。
「わかりました。無理は禁物ですよ」
「はい! こちら、ビャッコ。戦闘に参加します!」
 ふたりは同時に駆け出す。それぞれのサーヴァントも付き従った。
 雪月のオラトリオ「陽菜」も剣を手に、雪月のダンスパートナーのようにぴたりと寄り添いながらも、滑るような動きで敵に斬り込む。雪月は陽菜のつくった隙を突いて間合いを詰め、光の刃でヴァンパイアノーブルを刺し貫いた。
 むろん、敵は牙と爪で反撃してくるが、エネルギーシールドでそれを受け止める。
 さらには、割り込むように踏み入ってきた風花のナイフが、ヴァンパイノーブルの爪を寸断した。
 間合いを取ろうとバックステップで飛びのく敵へ、それ以上の速度で追随。オーラをまとうナイフを正面から突き立てた。
 傷みか怒りか、あるいはその両方をあらわす咆哮とともに、反撃の牙が風花に迫る。
 その攻撃は手甲でいなし、下腹に強烈な蹴りを入れることで、反動で後ろに下がった。まさしく完全解放(フルブースト)の身体能力を見せつけた格好だ。
 
 そんな戦闘の様子を、エリザベータはつぶさに見つめる。
 このヴァンパイアノーブルたちは決して弱敵ではない。だが。
(「トループス級ね。それに八体の部隊では『圧倒的戦力』とまではとても言えない」)
 現に、風花と雪月は立派に渡り合っている。もし敵が、この戦力でディアボロスを制圧できると考えていたのなら、それは慢心だったのではないだろうか。
(「あるいはまだ、私たちのことをよく知らない」)
 そのような推測が成り立つが、情報の精査をするのは後にしよう。エリザベータは大きく旋回し、そのまま急加速する。今は全員が帰還することが大事だ。
 爆撃槌を振るい、ダイブアンドズームの痛烈な一撃を敵の一体にお見舞いする。
 離脱するエリザベータへ、逆説連鎖戦の反撃は届きはするが、飛行してまで追っては来ないようだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【飛翔】LV2が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV3になった!

白石・明日香
残留効果2はすべて使用。
ところでここに駐留している艦隊ってバルチック艦隊?
これが吸血鬼!しかし海軍基地にいる吸血鬼って・・・それはともかく相手の戦闘能力を確かめないと!
【光学迷彩】で姿を隠して物陰に隠れながら彼らの動きを観察、どんな戦い方をするのか観察とカメラによる撮影。特に彼らの会話は聞き洩らさないようにこの軍港にジェネラル級と思しき指揮官が滞在しているのか可能なら誰か確認しておく。
戦闘では獣の頭部の軌道を見切って回避しながら残像で攪乱しダッシュで接近!
纏めて薙ぎ払うように武器改造しながら早業呪詛、捨て身に一撃で纏めて解体してあげる!
後は逃げるだけね。それじゃまたね❤


八栄・玄才
敵との遭遇地点に駆けつける

寒冷過酷な土地で育った戦士と闘り合えると思ってたが、ずいぶんイイとこに住んでるヤツ等だな
まっ、見た目で強さを測れねぇのがクロノヴェーダだ
さあ、闘ろうか!

飛んで来る物体は『立樹の体』で受け止めて【グラップル】
そのまま敵側に投げ返してやる

敵はトループス級だし、余裕をもって倒せるようなら挑発
軍港だっていうのに、ここには三下しかいないのか!?
吸血貴族ってのは随分と戦力の層が薄いんだな!
敵の反応を見て戦力の【看破】を試みる

撤退時は錬気帯電を解放して、周囲を思い切り【破壊】
【電撃使い】の力でフラッシュを起こし、敵の視界を遮る

じゃあな! 次はもっと腰を据えて殴り合おうや、吸血鬼


エレオノーラ・アーベントロート
さ、それでは後は愉しく暴れて帰りましょうか。
うふふ。この国ではバケモノが貴族を名乗りますの? 変わった国ですわね。
敵の情報が少ないのはお互い様。何も問題はございませんわ。

わたくしの役目は足止めですわね。殿軍はお任せあれ。
「フェアレーター」から放つ「第三十八の魔弾【蹂躙】」による「弾幕」で敵の足止めをし、倒せるだけ倒しつつ時間を稼ぎますわ。
他の方が敵の情報収集を終わらせるかアヴァタール級と思しき者が来た段階でわたくしも撤退いたしましょう。

わたくしも本来は醜いクソどもを全員ブチ殺して帰りたいのですけれど、今日はまだ準備ができていませんの。
ですから――次はブチ殺しに来ますわね。うふふ。


 このとき、戦場にはもうひとつ、戦いの観察に徹する目があった。
 パラドクス通信を聞いて駆け付けた白石・明日香(体亡き者・g02194)である。到着するや、光学迷彩で姿を隠し、物陰からカメラで戦闘の様子を撮影する。
(「そういえば、ここに駐留している艦隊ってバルチック艦隊なのかな……?」)
 ふと、明日香は思った。
 バルチック艦隊とは最終人類史において、ロシア帝国がバルト海に展開していた艦隊だ。ケーニヒスベルクはまさしくバルト海に接する街だ……。

「ここにも獲物がいるぞ!」
 ヴァンパイアノーブルの一体に気づかれてしまったようだ。
 近づいてくる敵へと、明日香が身構えたそのとき、敵の前に立ちはだかった長身の姿がある。
「寒冷過酷な土地で育った戦士と闘り合えると思ってたが、ずいぶんイイとこに住んでるんだな」
 八栄・玄才(井の中の雷魔・g00563)はにやりと笑うと、拳術の構えをとる。
「さあ、闘ろうか!」
 玄才の周囲に、目に見えぬ圧のようなものが、彼を中心に八方へ広がり、粉塵を巻き上げる。そのなかに、バチバチと音を立てて紫電が弾け、静電気がヴァンパイアノーブルたちの髪までも逆立てた。
 玄才の動きやしなやかで、水流のように敵の間を縫う。それでいて、撃ち込む拳や蹴り上げる膝はどこまでも重くて堅い。これこそ八栄流心得『立樹の体』――樹木の堅さとしなやかさを併せ持つ技だ。
「軍港だっていうのに、ここには三下しかいないのか!? 吸血貴族ってのは随分と戦力の層が薄いんだな!」
 殴打とともに放った挑発には、
「貴様らと言葉を交わすのは、捕らえた後だ!」
 という言葉が反撃とともに返ってくる。
 血色のオーラに巻き上げられた物さえも、玄才はしなやかに受け止め、投げ返しさえする。まったくの無傷ではいられないが、玄才がそれに頓着する様子はなかった。

(「ジェネラル級指揮官がいるのかどうか、確認したかったけれど」)
 明日香は、戦いの最中でも、敵が言った言葉を一言も聞き漏らしていない。
 だが、さすがに有用な情報をぽろりと零すほど間抜けな連中でもないようだ。
 敵の戦闘能力についての情報は、おおむね集まった頃合いだろうか。ならばあとは撤退するのみ。
 明日香は自らの身に双剣の刃を突き立てる。
 彼女自身の血が、武器を覆い、その形状を変えてゆく……。
 抜き放たれた刃から血がしぶいた。真紅の鞭のような血の尾を引かせながら、押し寄せる敵群を薙ぐように斬りつける。
 前衛のヴァンパイアノーブルたちが衝撃にのけぞると同時に、繰り出される反撃が、明日香を襲った。
 血色のオーラが獣の頭部をかたちづくり、明日香に喰らいついてきたのだ。
 だが、咬みつかれたのは残像――、そのときすでに、攻撃を回避した明日香は後方へ離脱している。
 ヴァンパイアノーブルたちは、なおも追おうとするのだが、そこへ新たなディアボロスが立ちふさがった。

「うふふ。この国ではバケモノが貴族を名乗りますの? 変わった国ですわね」
 エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)が、声を弾ませる。
 ヴァンパイアノーブルたちは、ノーブルの名ももはや虚しく、ここまでのディアボロスとの交戦で傷つき、疲弊している。
 それでも獰猛な戦意を完全になくしていないのはクロノヴェーダの本能的なものか、あるいは、エレオノーラの見かけ上の可憐さを侮ったものか。
 ディアボロスは撤退の様子を見せている。自分たちもここで退くか、あくまでも捕縛を行うか――躊躇を見せたのはひとときのこと、ヴァンパイアノーブルたちは牙を向き、エレオノーラに一斉に襲い掛かってきた。
「捕らえろ!」
「いいや、血を吸い尽くせ!」
「ドイツに攻め込む前の景気づけだ!」
 口々に叫ぶ怒号へ、エレオノーラは笑みを向ける。
 音を立てて、彼女が手にする巨大な携行兵器――電磁レールガン「フェアレーター」に砲弾が装填される。
 それはフェアレーターの第三十八の魔弾【蹂躙】(アハトウントドライツィヒステ・フライクーゲル)。
 魔弾は発射された瞬間、装填された状態で再出現し、ここに無限の連射を可能にする。空気を震わせるほどの圧倒的な威力の砲弾が、弾幕となって連射される、まさしく蹂躙の砲撃。
 エレオノーラはすべてを焼き払い、滅し尽くす、終末の天使のごとく、ヴァンパイアノーブルたちに砲弾の嵐を浴びせた。
 逆説連鎖戦の法則により、ただちに反撃が生じ、鮮血色のオーラにかたちづくられた獣の牙が彼女に喰らいついたが、エレオノーラの砲撃が止むことはなかった。彼女自身の血か、敵の返り血か、血色のオーラの残滓か、区別のつかぬ真紅がその頬に散り、なおもエレオノーラが浮かべる笑みは凄絶ですらある。
 ヴァンパイアノーブルの何体かが、ついに力尽き、崩れてゆく。
 
「わたくしも本来は醜いクソどもを全員ブチ殺して帰りたいのですけれど、今日はまだ準備ができていませんの。ですから――次は全員、ブチ殺しに来ますわね。うふふ」
 そう言い残し、エレオノーラは身を翻す。
「それじゃまたね!」
「じゃあな! 次はもっと腰を据えて殴り合おうや」
 ディアボロスたちは、撤退の途へ。

 このときまでに、ケーニヒスベルクに潜入していたディアボロスは全員、無事に脱出していた。
 かれらは見聞したことは、カメラが録画した映像とともに新宿島へと持ち帰られることとなった。
 謎多き新たなディヴィジョン「吸血ロマノフ王朝」の攻略が、ここから始まるのだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【断末魔動画】がLV2になった!
【エイティーン】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
【リザレクション】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2022年04月06日

ケーニヒスベルク威力偵察

 攻略旅団の提案の影響により、新宿駅に、ロシア勢力の艦隊の拠点『ケーニヒスベルク』へ向かう2編成のパラドクストレインが出現しました。
『ケーニヒスベルク』は機械化ドイツ帝国の領域外で、パラドクストレインの行先表示には『吸血ロマノフ王朝』と表記されています。
 かねてから存在が判明していた、ロシアのディヴィジョンに間違いないでしょう。
 先だってディアボロスが接触した海軍の艦の技術レベルなどから、「吸血ロマノフ王朝」内は機械化ドイツ帝国とかなり近い時代と判明しています。

 ディアボロスが接触した艦隊は、『ケーニヒスベルク』の港に帰還しています。
 この港には多数の軍艦が集められており、大きな戦いの準備が行われているようです。
 攻略旅団の方針もあり、ロシア勢力の戦力を把握する一助として、軍艦が集まった港の様子を調査した上で、軍艦或いは軍施設に踏み入り、実際に、どの程度のクロノヴェーダが存在しているかを確認する威力偵察を行う事となりました。

 情報を集めて実際に交戦し、敵軍の中のクロノヴェーダの比率や、その戦闘力を知ることが出来れば、今後の作戦で大きな助けになるでしょう。


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#機械化ドイツ帝国
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#ケーニヒスベルク威力偵察


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選択肢『ケーニヒスベルク港の偵察』のルール

 軍艦が多数停泊しているケーニヒスベルク港の偵察を行います。
 クロノヴェーダの力により、港周辺の開発が急速に進められており、資材を集積する倉庫や練兵場、兵士の宿舎などもあるので、そちらの偵察を行っても構いません。
 港周辺はクロノヴェーダの警戒が厳しいので、偵察は、敵に発見されるまでの短時間で行う必要があるでしょう。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『警戒するヴァンパイアノーブルの襲撃』のルール

 警戒の厳しい敵の拠点での偵察を行えば、敵の襲撃を引き寄せる事になります。
 襲撃してくるトループス級ヴァンパイアノーブルを撃退するか、或いは、逃走を成功させて、撤退しましょう。
 トループス級ヴァンパイアノーブルは戦闘時には常人から掛け離れた外見(イラストのような姿)に変化しますが、周囲の一般人は違和感を感じる事はなく、軍の憲兵が捕縛に来たように反応します。
 詳しくはオープニングやリプレイを確認してください。

 戦闘となった場合は、敵は以下のパラドクスで戦闘を仕掛けてきます。
================================
・赤き獣達(POW)
 鮮血の如きオーラで形成した「獣の頭部」を飛ばし、敵を噛みちぎり血液を略奪します。
・ブルートスクラッチ(SPD)
 素早く敵との距離を詰め、鋭い爪と牙で肉体を引き裂きます。
・レッドフィールド(WIZ)
 鮮血の如きオーラで周囲を包み込み、その範囲内にある物体を飛ばして敵に激突させます。
================================


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、シナリオは成功で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。