ヤマタノオロチ軍団、湿原の戦い

 蘆屋道満達のいる長岡京に攻め寄せていた、大妖怪『ヤマタノオロチ』の軍団が、長岡京のさらに南方に集結しているのが確認されました。
 ヤマタノオロチの軍団は、淀川に繋がる『掛川、宇治川、木津川』が合流する湿原地域に集結し、戦力を整えた後、今度こそ長岡京を滅ぼす為に攻め寄せてくるようです。

 長岡京の陰陽師と協力し、長岡京の防衛態勢を整えると共に、湿原地帯に終結する鬼や妖怪を撃破して、ヤマタノオロチの軍団の弱体化を図りましょう。

 軍団の弱体化に成功すれば、ヤマタノオロチとの決戦を行って撃破し、長岡京から奈良の都に向かう事ができるようになるかもしれません。

いさなのうたう湿原(作者 ツヅキ
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#平安鬼妖地獄変  #ヤマタノオロチ軍団、湿原の戦い  #ヤマタノオロチ  #長岡京  #陰陽師 


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「よいか、此度こそ失敗は許されぬぞ」
 円陣の真ん中の方から聞こえてくるヤマタノオロチの話に他の妖怪たちは神妙な顔で耳を傾けた。姿も声も威厳がある。配下を取りまとめる力もある。
 にも関わらず、長岡京はまだ落とせていない。
「次こそは」
 前回の失敗がヤマタノオロチを急き立てる。
「必ずや――陥落す」
 なにやら盛り上がっているのをあくびしながら眺める一体のアヴァタール級がいた。パッと見た限りでは鯨のような頭に角が8本。
「いさなの王よ」
「はい」
「聞いていたのか?」
「はい」
「ならあくびはやめよ」
「はい」
 のれんに腕押しの反応にヤマタノオロチも呆れた様子だ。
「いさなの王よ」
「はい」
「もういい、そこらの見回りでもしてこい」
「はい」
 湿原を這うように、いさなの王は妖怪集団から離れていった。ふと思い出したように歌いながら。どこかにいるはずの仲間を想い、抒情のしらべを鳴り響かせる。

「蘆屋道満との交渉、無事に終わったみたいだね」
 中山・ネフ(NN・g03318)はディアボロスを迎え、今後について話し始めた。
 重要な点は主に2つだ。
 まずは、長岡京の復興。
 そして未だ長岡京を狙っているヤマタノオロチ軍団への対処。
「敵の準備が整うのは待ってあげることはないもの。あちらから攻めてくる前にできるだけ敵の数を減らしておけばきっと今後の役に立つわ。うまくいったら、ヤマタノオロチとの決戦に持ち込めるかもしれない。ここが頑張りどころだね」

「実はね、長岡京の復興で少し困っていることがあるみたいなの。なにしろあそこはほとんど廃墟のようになっていたから、一般人たちの手作業では立て直しに時間がかかってしまう。皆の力があれば復興速度をかなり上げられるはずよ」
 問題はやはり、長岡京の防衛面だ。
 陰陽師たちも慣れない土木作業を手伝ってはいるものの、人の手作業ではできることにも限りがある。
「それに長岡京の復興が成功したら陰陽師たちだけじゃない、都の外の難民たちも住まわせてあげられるようになるかもしれない。そのためにはもっとたくさんの家が必要だし、安心して生活するための護りがないと。そっちの作業がひと段落したら、長岡京近くの湿原に布陣しているヤマタノオロチ軍団の討伐に出発しよう」

 そっと耳を澄ませば聞こえる“うた”。
 クロノヴェーダの居場所を教えてくれる調べは宇治川の方から風に乗って流れてくる。川沿いに進むと見張りをしているトループス級の集団と先に行き合うはずだ。
「こちらは物理攻撃と炎を操る『僧兵鬼』たち。なかなか連携の取れた小隊だから、突っ込むと囲まれて危ないかもしれない。こちらも油断せずに倒していきたいね。騒動を聞きつけたアヴァタール級がやってくる前に片付けられるようにテンポよく、ね」

 今回の作戦がうまくいけば、現地の陰陽師たちとの連携がますます取りやすくなるだろう。どうやら彼等は排斥力に対して抵抗力を持つらしく、頻繁に接触することでディアボロスのことを覚えていてくれる可能性が高まる。
「みんな、話しかければ喜んでくれるはずだよ。一緒に頑張って、長岡京を復興しよう」

「うーん……この辺りに強固な門を作って護りを固めたいんだが、材料が足りないな」
 陰陽師はため息をついた。
 住む家にすら困っているのに分厚い門など作る余裕がない。近くの林から木を伐り出してくるにしても、ここまで運ぶのには危険がともなう。
「それに門だけあっても、塀もなきゃ意味がない」
「それなあ」
 前途多難である。
 途方にくれて、陰陽師は吹きっさらしの街の外を眺めた。いったいいつ、敵が襲ってくるかわからない。果たして復興は間に合うのであろうか。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【水源】
1
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【修復加速】
1
周囲が、破壊された建造物や物品の修復が容易に行える世界に変わる。修復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」する。
【植物活性】
2
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【土壌改良】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。

効果2

【能力値アップ】LV6 / 【ダメージアップ】LV3 / 【ガードアップ】LV3 / 【反撃アップ】LV2 / 【ドレイン】LV1 / 【ロストエナジー】LV1 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

ツヅキ
 長岡京の復興とヤマタノオロチ軍団の再来です。
 詳しくは下記をご確認下さい。

●長岡京の復興
 陰陽師たちは手伝うことがあれば喜んで働きます。

●ヤマタノオロチ軍団
 見回り中の『いさなの王』とその近くの見張りをしている『僧兵鬼』の集団を討伐してください。成功後は他の敵に気づかれる前に撤退をお願いします。
100

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


佐島・真己
出来れば快適に過ごせるようにしたいところだ
住む場所、水、食料、安心な暮らし
先は長いだろうが少しずつ良くして行けばいいだろう

とりあえず、木材がなければ始まらないだろう
先立つものが無ければ補修も何かを建てることも出来ないからな

まず【建造物分解】で壊せる廃屋などを資材に変えて邪魔にならない場所にきれいに積んでいく

その後で林に行って斧で木を切り倒していく
纏まった数の木を倒したら陰陽師や長岡京の人達に声をかけて運ぶのを手伝ってもらう
林から気を運ぶ時は陰陽師や一般人の護衛を務める
林からの切り出しは繰り返し行う

作業中は世間話をしながら
明るく楽しく
疲れが溜まらないように
打ち解けられるように気を配る


守都・幸児
門を作るぞーっ

力仕事なら任せとけっ
【怪力無双】で伐り出した木材と石材を運ぶぞ
【植物知識】で硬くて頑丈な木材、加工しやすい木材なんかを選り分けておく
木材が集まったら、次は塀だな
端材で簡易の台車を作って
手頃な大きさの石も集めて運ぶぞ
石と土を混ぜて積み上げれば
ちょっとした石垣みてえな塀になるはずだ
石材は俺が集めてくるから
塀を積み上げる作業は陰陽師の皆に手伝ってもらうぞ

俺は陰陽師に恩がある
だからこうやって陰陽師の皆の役に立てるのも嬉しいし
こうして一緒に作業ができるのも嬉しいぞ
一生懸命な姿を見てると
俺の知ってる陰陽師たちを思い出すんだ
守りてえな
そんなことを考えながら
木と石をどんどん運んで
どんどん積むぞっ


文月・雪人
こんにちはと、陰陽師達に気軽に挨拶
一緒に楽しく作業を進めて行こう

何事も計画は大事
何処にどんな形の門と壁を作るのか
事前に十分相談してから作業を開始

木材調達は仲間に任せ
俺は『龍脈解放』で隆起した大地を利用して土壁の基礎を作る
仕上げ作業は陰陽師達にお願いするよ
近くに農地もあれば、良き実りを願い【土壌改良】も使おう

何とかしようと頭を捻りながら、共に働く陰陽師達の姿に
失った友と仲間、そして嘗ての自分の姿が重なって見える
自分もディアボロスとなる前は、平安京で陰陽師として働いていたのだから
彼等に親近感を抱くのは、当然と言えば当然なのかもしれない
懐かしくて、切なくて、でもやっぱり温かくて
護りたいと心から願うよ


アムリタ・アンブロシア
◆心情◆
私はアムリタ、時と歴史を癒す霊薬。
だがその前に、傷ついた人々を癒す甘露だ。
私は涙と共に歩む。だが、無辜の人々にこれ以上の涙は必要ない。
復興への支援、喜んで手を貸そう。

◆方針◆
塀も良いが、堀もあればより守りは強固なものとなる。
幸児の【怪力無双】があれば、堀を作ることは容易だ。
私は更に、水堀を作るための【水源】を用意することにする。
飲み水にも使える清水だ。労働に従事する人々や、土壌を潤すのに用いることもできるだろう。

加えて田畑に水を引くための水路を、陰陽師の手を借りて法陣を描くように配置すれば、妖(あやかし)なるクロノヴェーダの力を、多少は削ぐことも可能かもしれない。試す価値はあるだろう。


葛葉・狐狛
繋がりを深める為にも、しっかりお手伝いするとしよう。

【歴史知識】使って地形をトレインで確認。
ご同道の面々にも連携しておくよ。

現地の陰陽師達にチョコ菓子[忌乃狐の山]を渡して交流を図りつつ、四方の門(予定地)に御札を貼って回って、【修復加速】をできるだけ広い範囲に展開するよ。
前に立てた『標の杖』も【結界術】の足しに組み込んでおこう。

誰か持ち込んでれば【パラドクス通信】、なけりゃトランシーバでも用意しておいて、仲間と状況連携。人手が足りないところは都度【肉体改造】でも使って力仕事のフォローをするさ。

移動中や、南東方面に術を仕込んでる間に【看破】【偵察】で敵の姿を捉えたら、それも速やかに連絡するね。


百鬼・運命
「さてとそれじゃあホエールウォッチングの前に復興支援と行くとしよう」

使うパラドクスはトラッピング。足止め罠を生成する【トラップ生成】の効果を使い、堀を生成していく。
今回は陰陽師たちと一緒に働くことで此方のことを覚えておいてもらうことも重要。

「与えられるだけというのに人は慣れてしまうしな」

という事で等間隔で落とし穴を設置し、最後に落とし穴の間を隔てている壁を崩して堀を完成する形とする方法を採用。
最後の仕上げとして陰陽師たちと一緒に壁を崩していく作業を一緒にすることで交流を図る。神主見習いで式神なども使う身、パラドクス無しで式神等を使う事もすごいし、後学の為にもいろいろ話を聞いてみたい所だ。


「こんにちは」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)が挨拶すると陰陽師たちはたちまちのうちに緊張を解き、快くディアボロスの来訪を受け入れた。
「確か、門や塀になる壁を作りたいのですよね。私たちが協力できると思いますので、まずは計画を詰めませんか」
「有り難いことです。できるだけ頑丈なものができればよいのですが……形については心得のある者に設計図を作らせましょう。壁を立てる位置については地面に印をつけて――」
 そうして完成した図案を覗き込んだ葛葉・狐狛(狐憑き・g00840)は「ふむ」とお面の顎の辺りを撫で擦った。
「どうせなら門は四方に作らないかい? ひとつだけでは街全体を守れないだろう」
 狐狛は一握りずつ忌乃狐の山を配りながら提案する。相変わらず喜ばれるお菓子であった。栄養に飢えている彼等はもらったそれを大切に食み、噛み締めた。
「しかし、四つも作るほどの材料が……」
「俺たちが集めてくるぞ」
 守都・幸児(迷子鬼・g03876)は任せろと自らの二の腕を叩き、佐島・真己(暗闇の中の光・g01521)は借りた斧の握り心地を試している。
「よければ林の場所を教えてくれ。皆が快適に過ごせるよう、少しずつ良くしていこう。外は妖怪が心配だろうが、護衛もするので問題ない」
「た、助かります。すぐに案内させてもらいます」
 彼等が木材を調達している間、アムリタ・アンブロシア(竜が欲した月の雫・g00038)と百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)は長岡京の外周に堀を設置するための準備を進めた。
「さてと。それじゃあ、ホエールウォッチングの前に落とし穴作りといこうか」
 運命が設計図通りに印をつけた地面を指差す度に軽々と深い大穴が穿たれる。罠造りの応用だ。陰陽師たちはしきりに感心し、一体どうやっているのかと知りたがる。
「俺からすれば、パラドクス無しで式神等を使うあなた方の方が感心しますよ。よければ後でいろいろとあやかりたい所存です」
 気さくに片目を閉じて微笑み、陰陽師と親交を深める運命。一方のアムリタは田畑へ水を引くための水路造りに着手する。
「敵が妖ならば、こうして法陣を描くように水路を敷設することで多少は護りを強めることが可能かもしれない」
「ええ、風水の知恵ですね。効果があることを祈りましょう」
 アムリタが杖の先で地面を突くと、湧き出たばかりの清水が水路を流れ始めた。
「味見をしてもいいんだぞ」
 時と歴史を癒す霊薬であり、傷ついた人々を癒す甘露の名を持つアムリタは慈悲を込めた眼差しで清水を勧める。土壌を潤し、労働に従事する人々の喉を、心を潤すための水だ。
 陰陽師は喜んで水を掬い、鋭気を養う。
 そして狐狛は、前に立てた『標の杖』を組み込みつつ結界術を展開。門の建設予定地に貼り付ける札の加護が修復に携わる人々に力を与え、作業の加速を促した。 
「うん、いい感じだ」
 アムリタの水路が潤す農地の土壌改良を果たした雪人は満足そうに頷き、手のひらを地面に触れさせた。直後、地面が隆起する。
「おおッ!?」
 ますますせり上がった地面は事前に用意された設計図の通りにうず高い壁となって長岡京の周囲を外界から遮断するための境となった。
「どうです、いい感じでしょう」
「ええ、凄いですね」
 主が褒められたのが分かるのか、クダギツネの『クダ吉』が鼻先を震わせる。
「これでよし、と」
 真己は軽く額をぬぐい、綺麗に積まれた資材の山を見上げた。いずれも、もう使えない廃屋を構造物分解で元の木材にばらしたものだ。
「それじゃ、新しい木材を調達にいくか。どれくらいで着く?」
「二、三刻といったところでしょうか」
「ふうん。天気がよくてよかったな」
 歩いて三十分程度の道のりを、世間話をしながら楽しく過ごす。植物に詳しい幸児は使えそうな樹木に目を付けて「これは固くて頑丈だから門の支柱に」「そっちは加工しやすそうだから組み合わせて扉の部分に」と伐り出した木材を選り分けていった。
 真己は黙々と木を伐り倒し、充分な量が採れた時点で陰陽師を呼ぶ。
「じゃあ、運ぶのを手伝ってくれ」
「喜んで」
 陰陽師は腕をまくって肩に担ぎ上げる。なかでも幸児の怪力無双は頼もしく、何度か行き来しなくてはならないと思っていた道程がほんの2,3回で済んでしまうほどだった。
「妖怪と出くわさないで助かったな」
 護衛のために殿から周囲を警戒していた真己に言われ、荷運びを手伝っていた狐狛も頷いた。
「あちらも不用意に近づくような真似は慎んでいるみたいだねぇ」
 見透かすように南東の方角に視線を向け、軽く首を傾げる。少なくとも長岡京から視認できる範囲に敵の気配は見当たらなかった。こちらに動きを感づかれないよう慎重に行動しているのかもしれなかった。
「そら、石材だ。これで石垣を作って、門の両脇を固めよう」
 幸児が運んできたのは手ごろな大きさの石だ。それもたくさん。真己が分解した端材で造った台車に積み、塀を作っている場所に持っていった。土を混ぜて積み上げるのは陰陽師の仕事だ。
「与えられるだけというのに人は慣れてしまうしな。それじゃ、こちらも仕上げに入ろう。堀と堀の間にある壁を崩してくれ!」
 喝采が起き、人々はディアボロスと一緒に泥まみれになって堀を完成させる。自分たちの手で造ったから、汗をかいて乗り越えたからこそ喜びもひとしおだった。泥だらけけの手で肩を叩かれ、運命も共に喜び合う。
「そら、いつまでもそこにいられたら水が流せないではないか」
 呆れたように肩を竦めるアムリタの顔にも笑顔がある。涙と共に歩む者とて、時には無辜の人々の笑顔を見たいと思って何が悪い。
 ああ、と雪人は懐かしい気分になって目を細めた。嘗ての自分もああやって友や仲間と過ごしていた時代があった。今は失われてしまったけれど。
(「なにしろ平安京で陰陽師として働いていたのだから、親近感を抱くのは当然なのかもしれない」)
 目裏が熱くなる。
 切なくて、でもやっぱり温かくて。
「……護りたいね、お前もそう思うかい?」
 鼻先を寄せるクダ吉にそっと微笑みかける。
「守りてえよなあ」
 幸児の胸にこみ上げるのは強烈な郷愁だった。
「俺にとっては恩返しみてえなもんなんだ。やりたくてやってるんだ。役に立ちたくてここに来たんだ」
 だから、こうして一緒に作業できるのが嬉しくて仕方ない。一生懸命に石を積み、区画が完成するごとに歓声を上げて喜ぶ陰陽師の姿に重なる昔の記憶。
 “彼等”もこんな風に生きていたんだ。
 今度こそ、守りたい。
「さあ、どんどん積むぞっ」
「はいよ」
 狐狛が合いの手で資材を渡し、陰陽師が組み立てる。真己は眩しそうに額に手をかざして縄で引かれ立ち上がる立派な門構えを見上げた。
 まだまだ先が長いことはわかっていた。他にも住む場所、食料、何もかもが足りない。それでも、彼等が安全な暮らしをするためにきっとこの門と塀は役に立つだろう。
 真己が分解した廃材は、門の梁へと生まれ変わっていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【修復加速】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV3が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!

佐島・真己
次はこの都を守る番だな
人々の生活を

敵と距離を取り
【土くれの意志】を使い戦う

動き回りながら戦い
敵が動きにくい場所に誘導する
物陰に隠れながら戦うなどして地形を生かして有利に立ち振る舞おうとする

基本はナイフを投げて敵を牽制しつつ手榴弾で攻撃
動き回ること、爆発物を使うことで戦場の攪乱も狙う

周囲の様子に気を配り
仲間に声をかけたり
ナイフ投げで敵を牽制する際に味方の攻撃前に牽制するなど味方に有利になるような行動を心がける

余裕があれば手榴弾を複数仕掛けておき
ナイフ投げと自らの移動で網を張り
手榴弾を仕掛けた場所に誘導してとどめの手榴弾を投げ込んで一網打尽を狙う

「土にも意志があり
意志あるところに道は開ける」


葛葉・狐狛
迎撃すると折角直した街に被害が出るので、打って出るのを提案するさ。

【偵察】で相手の居場所を捜索。【歴史知識】も使って、連中が居そうな場所を割り出して【不意打ち】を仕掛けるよ。
とは言え、明らかにヒトガタな相手だし、人間に戻せる見込みは【オーラ操作】で探ってみるさ。
ムリと踏んだら容赦はしない。もう、おぼこでもないからね。

くじらに気づかれる前に速攻が重要かな。仲間と連携して一斉に仕掛けるよ。
【光使い】から【木霊招来】を立ち上げてなるべく数を相手取る。
【看破】で伝令にいきそうなヤツを見かけたら【時間稼ぎ】で仲間に目の前の対応を引き継いで、【追跡】【忍び足】【暗殺】も織り交ぜて優先的に伝令を仕留めるさ。


百鬼・運命
アドリブ絡み◎

心情
さて、鯨が来る前に片づけてしまうとするかね。

行動
敵は連携がとれた手ごわい集団とのこと、ゆえにまず【トラップ生成】にて敵の駐屯する一体に無数の落とし穴を作成。相手の身動きによる連携を封じたうえで、此方は浮舟の歩法で空をかけ【飛翔】。落とし穴を無視して動き回ることで機動性で有利をとり、敵陣をひっかきまわしてさらに落とし穴にはめ、はまっていない敵は切り捨てていく。同時に【水源】で落とし穴にはまった敵に対し水責めをし、炎による攻撃で援護する事を妨害する。


アムリタ・アンブロシア
◆心情◆
なるほど、どうやら派手に燃やしたいらしい。
ならば安心するがいい、貴様らの骸は荼毘に付してくれる。
私はアムリタ、時と歴史を癒す霊薬。
だが……貴様らにとっては単なる毒だ、クロノヴェーダ!

◆方針◆
敵は多い、私一人では処理しきれずに村に被害が出るやもしれん。
そこで、私の攻撃の効率は悪くなるが、【飛翔】の残留効果を発動させて、皆が迅速に攻撃と防衛を行いやすくする。
無論、私も指を咥えてみているわけではない。幸いにも【トラップ生成】の残留効果が発生している。
故に私は敵陣に飛び込み、周囲をトラバサミ等の足止めが可能な罠地帯に変化させ、一撃を加えては離脱することを繰り返すとしよう。


守都・幸児
せっかく皆が一生懸命作った門と塀だ
いくら守るためのもんとはいえ、早々に壊されたくはねえ
賛成だ、打って出るぞ

あるだけの【戦闘知識】で敵の居そうな場所と
戦っても長岡京の皆に不利も被害も出ねえ位置取りを測ったら
【不意打ち】からの速攻を仕掛けるぞ

俺が使う技は「危」
腕の闇を湿地の水に紛れて這わせ
敵の足元で一気に顎の形に変える
ちょいと驚かしてやろう

敵が薙刀を使ってきたら
鉄骨をぶん回して切り結ぶ
いや、叩き結ぶか
力比べを楽しむのも悪くはねえが
敵が複数でかかってくるなら、遠慮なく「危」を連発するぞ
長岡京のほうへ向かおうとする鬼がいれば
最優先で闇の顎を放つ

陰陽師たちに手出しはさせねえ
てめえらにあの門は叩かせねえよ


文月・雪人
アドリブ連携歓迎

うたを辿って川沿いを調査
込められた思いも気になる所だけど
先ずは見つからぬよう慎重に[偵察]
[観察・情報収集]で敵の戦力と配置を素早く[看破]する

僧兵鬼達は連携の取れた小隊との事だけど
こちらも一人ではないからね
仲間と連携して対処したい

仲間が作った罠地帯に
俺もまた[一撃離脱]の[演技]で敵を誘い出そう
勿論【トラップ生成】の罠には殺傷能力は無いけれど
その中にパラドクスの罠も含まれていたらどうだろうか

[不意打ち]で『龍脈解放』
土壁の檻に[捕縛]し
噴き出すエネルギーの刃で[両断]する

敵の天狗落としには
ジャンプに合わせ【飛翔】【怪力】使用
空中で攻撃の主導権奪い
逆に罠地帯の地面へと叩きつける


「もう行かれるのですか?」
 頃合いを見て長岡京を離れようとするディアボロスたちを陰陽師は外まで見送りに出る。これから何が起こるのかを詳しく聞かされてはいないものの、戦いの気配を何となく感じ取ったのだろう。
「――どうか、お気をつけて」

 長岡京南部の湿原に布陣する大妖怪『ヤマタノオロチ』の軍団。
 彼等は淀川に繋がる支流の袂に集結し、戦力を整えた後で長岡京を滅ぼすために攻め込むつもりのようだった。その決行前にできるだけ戦力を削ぎ落としてほしいというのが、本件におけるディアボロスの使命。故にこちらから打って出る以外の選択肢はあり得ない。
「せっかく皆で作った門と塀だ。いくら守るためのもんとはいえ、手をこまねいて敵の襲撃を待ってやる気はねえ。それじゃ、行ってくる」
 守都・幸児(迷子鬼・g03876)は軽く門を叩き、その強靭さを確かめてから長岡京を離れた。
「折角直した街に被害が出るのを許すわけにゃいかないからね」
 偵察を請け負ったのは幸児と葛葉・狐狛(狐憑き・g00840)、それに文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)だ。彼等は仲間よりも先を行き、敵の気配をそれぞれに探った。
「……聞こえる」
 そっと耳を澄ませた雪人は確かに物寂しき人外の歌声を捉えた。胸が締め付けられるような、どこか懐かしいような不思議な調べをしている。
「かつてはぐれた仲間を想っているのかな? 方向はこちらであっていると思うけど……しッ、敵影が見えてきた。多数の僧兵――間違いない、見張り中の『僧兵鬼』だ」
 彼等は薙刀を手に隊列を組み、長岡京のある方角に目を光らせている。本隊からはかなり離れた場所の護りを任された警備隊のような存在だ。無論、長岡京までの距離はそれよりも更に離れている。巻き込む心配はないだろう。
「数が多いな」
 アムリタ・アンブロシア(竜が欲した月の雫・g00038)の呟きに雪人が頷いた。
「おおよそ2、30体といったところか。ただし、本隊はここからでは見えない。『いさなの王』も含め、素早く倒せばヤマタノオロチに知られる前にこの場を離脱できるはず」
 いこう、と雪人が言った。
「連携はあちらだけの専売特許ではないというところを、見せてやりたいところだね」

「ん――? ぐあッ!!」
 それは周囲が湿地であることを逆手に取った幸児の悪戯めいた不意打ちであった。前触れなく足元からせり上がる異形の顎に驚いた敵が混乱し、陣形を乱したところへ更なる罠が襲いかかる。
「さて、手早くやるか」
 百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)があらかじめ発動しておいた落とし穴のトラップが敵の連携を阻み、瞬く間に浮足立たせる。奴らが隊列を組んで組織的に動こうとすればするほど、落とし穴へ嵌ってしまうというわけだ。
「列にこだわるな! 各々で動け!」
「……という命令を出さざるを得ないよね、この状況では。けどそれが俺たちの狙いだとしたら?」
 すかさず浮舟で空中に浮き上がった運命は落とし穴の影響を受けることなく敵陣を引っ掻き回し、混乱を拡大する。佐島・真己(暗闇の中の光・g01521)がナイフへと錬成した土や石が死角より敵を貫いて仲間の攪乱を支援した。幸い、丈の高い草がいくらでも自生している湿地帯だから身を隠す場所には困らない。
「いまだ、行ってくれ」
「はいよ」
 狐狛の召喚した木霊があっという間に戦場を満たし、眩い光の華で敵を呑み込んだ。本隊に伝令を飛ばす暇など与えない。目を光らせ、戦いを抜け出して伝えに行こうとする者がいないか見張る。
「で、ヒトガタなんだよねぇこいつら。人間に戻せる見込みはあるのやら」
 肩を竦め、狐狛は独り言つ。
「まあ、あれば先に言われてるか。おぼこでもないからね、倒す他ないとなれば容赦はしないよ」
 迸る光華と僧兵鬼の不動炎が複雑に入り乱れ、聖と邪に戦場を塗り分けた。生きとし生けるもの全てを燃やさんとする妖火はしかし、白い髪を靡かせて自在に飛翔するアムリタを捉えるには至らない。
「それほどまでに炎を好むか? ならば安心するがいい、貴様らの骸は荼毘に付してくれる……ッ」
 アムリタの翼が羽搏き、飛翔の残留効果をさらに強めた。追い風に乗った運命が地上に残る敵を薙ぎ払うようにして斬り落とす。
「そんなもん、効くかよ」
 相手の振り回す薙刀を幸児は鉄骨で受け止め叩き結ぶ。切り結ぶ、と言わないのは鉄骨がそのまま相手の武器をひしゃげて敵の身体ごと砕き割ってしまったからだ。
「陰陽師たちに手出しはさせねえ、てめえらにあの門は叩かせねえよ」
「ああ、ヤマタノオロチの思惑なんかぶっ潰してやる。悪いが、長岡京は諦めてもらおうか? あんたらはここでおしまいだ」
 敵の数が減って来たのを見て、真己は自らを囮に網を張る。そら、もっとこっちに来い。土にも意志があり、意志あるところに道が開けるということを証明してやるから。
「なッ……」
 突如、僧兵鬼の足元が爆ぜた。あらかじめ地雷のように潜ませていた手榴弾が新たに投げ込まれたそれに誘爆して一斉に火を噴いたのだ。
 慌てて逃げようとする僧兵鬼だが、アムリタの仕掛けた罠に足を取られて思うように動けない。
「かかったな」
 アムリタは反撃を受けない場所まで飛翔し、名乗りを上げた。
「私はアムリタ、時と歴史を癒す霊薬。だが……貴様らにとっては単なる毒だ、クロノヴェーダ!」
「く――」
 敵は臍を噛み、激しく暴れて罠の破壊を試みる。
「甘いよ」
 だが、雪人の繰り出す罠は正真正銘のパラドクス。ただの罠と侮った敵を土壁が捕縛、龍脈の過大なエネルギーを用いて見る間に断ち切った。
「ただ、問題があるとすれば……」
「少し時間がかかってる、だろ?」
 落とし穴に水を流し込んで敵を翻弄しながら、運命が眼鏡を押し上げる。さっきから例の歌がやけに近いのだ。
「騒ぎを聞きつけたアヴァタール級は自ら引き寄せられるようにやってくる、か。事前に聞いていた通りの動きだな。両面から攻められるのは勘弁願いたいが」
 運命は炎を撒くことで敵の視界を奪い、仲間同士の合流を許さない。一撃離脱を繰り返すアムリタの耳にもはっきりとその歌が聞こえた。

「そこにいるの……?」 
 まるで、置き去りにされた子どもが親を求めるような。ひとりぼっちの子猫が親を探して鳴くような――否応なしに心の琴線を引っ掻いてくる。

「急ぐぞ」
 幸児の差し向ける腕の闇が蠢き、落とし穴に嵌った敵を潰してゆく。真己は土くれのほとんどをナイフから手榴弾へ変え、立て続けに爆発を起こした。 
「ふッ――」
 敵に掴みかかられた雪人は逆に敵の腕を怪力で握り返し、逆に相手の体を地面に叩き付ける。罠地帯の上空で張っていたアムリタがすかさず躍りかかり、一瞬で三日月の軌跡を閃かせた。
 最後の僧兵鬼が頽れる。
 ぎりぎりで間に合ったものの、いさなの王の巨体も目の前にまで迫っていた。息を入れる猶予も陣形を整える暇もありはしない。
 とっさに狐狛が叫んだ。
「身構えるのさ……ッ」
 なし崩し的に幕を開けた、アヴァタール級との連戦が始まる。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【操作会得】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
【飛翔】LV2が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【土壌改良】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV6になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV2になった!

佐島・真己
信用や信頼は思いに答えることで育まれる
だからお前にはここで倒れてもらう
お前の気持ちには応えられない
歌は気に入ったけどな

何かを始めたなら
人は孤独になる
いつまでもそうとは限らないけどな
孤独は友だ、何かに向き合うときには
それは苦しいけど、耐えるばかりのものじゃない

忍耐強く孤独に耐え
攻撃する隙を探す

帰るべき場所
今は失われた場所
仲間がいて
生活があった
自分が手を伸ばして
受け入れてもらって
そうして手に入れた場所
生まれたときは無かった場所

覚悟を持って郷愁を振り切り
炎を纏わせたナイフを突き立てる

歌には感謝する
だが仲間にはなれない

「悪いけど
俺は俺の信じる道を行く
思い出させてくれてありがとう
さよならだ」


葛葉・狐狛
ああ、ここにいるとも。迷子のくじら、オレ達と楽しく踊ろうじゃないか。

【フェイント】【忍び足】で相手の体の死角に潜り込み、【光使い】で呪を編んで、【蒼炎招来】で冷たい炎の銛を突き立てる。
負傷は【蒼炎招来】の効果2【グロリアス】で熱を奪って回復。

いさなの王の【しおふき】は【飛翔】で速度を上げつつ【残像】と【風使い】【空中戦】で勢いをころせりゃよいかな。

仲間の様子も見つつ、いざという時は【肉体改造】で体を張ってでも攻撃を受け止めるよ。

しまったねぇ。折角なら陰陽師達に「いしゅめぇると呼んでくれ」とでも名乗っときゃよかった。

なんて戯ける余裕がありゃいいんだが。万事上手く行ったら速やかに撤退だね。


文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

[観察・情報収集]で弱点を[看破]
巨体な分視覚には死角が多そうだが
鯨は骨と超音波で周囲を知覚すると聞く
歌に重ねて竜笛の音を響かせながら
【飛翔】で飛び回り撹乱しよう

歌の中に感じるのは
嘗てはぐれた仲間達への想い
その悲しみも寂しさも痛い程に分かる
成程、俺達は似ているのかも知れないね
でもだからこそ、譲れないものがある
俺達もまたここで退く訳にはいかないんだ

胸の中、郷愁と孤独への恐怖のその先に、強い思いが湧き上がる
長岡京の陰陽師達もまた、俺にとっては大切な仲間
彼等を護りたいのだと、もう失いたくないのだと
譲れぬ想いを陰陽思念符に込めて
放つ符を大きな銛の形に変化させて
いさなの王の巨体を穿つよ


守都・幸児
あれが勇魚か
御伽噺に聞いちゃいたが初めて見た
こいつはとんでもなくでかいぞ
不思議な妖だ

なんか悲しい歌だな
群れからはぐれたのか
なんとなくわかるぞ
俺もはぐれた
…皆、どっかにいっちまったんだ

だが、俺はお前が長岡京に向かって来る限り
倒さなくちゃならねえ

俺の使う技は「除」
敵が周囲を水中にしても
花弁は緩やかな【弾幕】となって揺蕩い広がって
勇魚のもとへと辿り着くはずだ
水の中では【呼吸法】で息を止め
下手に抵抗せず身を任せてみる
落ち着いて敵の動きを【看破】して
花弁で取り囲むぞ

こっちの方向には
お前を受け入れてやれる群れはねえ
そう言ってみたところで帰っちゃくれねえんだろうな
俺はこっちの群れを守りてえんだ
だから、悪いな


百鬼・運命
心情
さて、いさな…つまるところ鯨の王というだけあって、やはりでかいな。
哀しげな歌の上に半霊体といった風情。どうやら死んだあと迷って幽世に逝き損ねた類か…やれやれ死者亡者を祓い清めあの世へ送るのも神主の仕事か…

行動
【飛翔】の効果で「しおふき」に対応しつつ戦闘。

「やれやれ、でかすぎて普通に斬っていたららちが明かなさそうだな」

パラドクスに【両断】の技能を重ね、一刀で深々と切り裂きつつ【呪詛】を流し込むことでダメージを与えていく。

「悪いがここにそっちの探しているものはないよ。黄泉平坂でも下って向こうの世界で仲間を探すんだな」


 でかい、という百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)の感想は端的にして真を射抜いていた。
 湿地帯を這うように蠢くいさな――即ち鯨の王。はぐれた仲間を想う郷愁と孤独への恐れがない交ぜになった調べが佐島・真己(暗闇の中の光・g01521)を切なく揺さぶる。
(「ああ……」)
 いさなの王の孤独感と共鳴するかのように心が震える。それはまさしく寂寥の痛み。失ったものを求めてやまぬ慟哭そのものであった。
「取り残された悲しみ、寂しさ、痛い程にわかるよ。成程、俺達は似た者同士なのかもしれない。ひとりは……辛い。どうしようもなく、ね」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)はそっと竜笛に唇を寄せ、物悲しい歌声に重ねるように旋律を奏でた。
「――――」
 ぴくりといさなの王が反応する。飛翔して鳥のように滑空する雪人に興味を引かれたように、その視線が地上から逸れた。
 その機を逃さず、葛葉・狐狛(狐憑き・g00840)が足音を消して相手の懐に飛び込む。これだけの巨体だからどうしたって死角が生まれてしまうのだ。上空から全てを視界に入れ、観察に注力する雪人にはそれが手に取るように分かる。
「不思議な妖だな、こいつは」
 勇魚、というのは守都・幸児(迷子鬼・g03876)も御伽噺で聞いたことがあった。それがいま目の前にいる。悲しい歌を紡ぎ、何かを探し求める風情で。その対象が群れ――仲間であるとなんとなく察した時、幸児は心を鷲掴みにされたような痛みを覚えた。
「わかるぞ、俺もはぐれたんだ。……皆、どっかにいっちまった。そして俺はまた、ひとりになったんだ」
 孤独という寂しさが幸児といさなの王を結び付ける。相手もそれをわかっているかのように、戦場を呑み込んだ波に潜って赤い瞳でこちらを見据えた。
 その首元に突き刺さる、冷たく燃える蒼焔の銛。
 狐狛の招来した炎が姿を変えた武具はいさなの王の生命力を奪ってさらに美しく燃え盛る。なおもしおを吹いて辺りを水中に沈めようとする水の流れから逃れるため、狐狛は更に速度を増して翔び、水流を押しやるように風を操った。
 嫌がるように身を捩ったいさなの王の身体が運命の前で次第に半透明の幽幻体と化してゆく。
「やれやれ、これも神主の仕事か……」
 『十束乃大太刀』こと神刀を鞘から引き抜き、運命はタイミングを窺った。どうやら死後に迷って幽世へ逝き損ねたというような風情。祓い清めてやるのがせめてもの供養だろう。
「憐れと思えばこそ、ここで斃してやるべきだろうな」
「ああ、悪いがお前の気持ちには応えられない。俺達は長岡京の陰陽師たちの信頼や思いに応え、彼等を守らねばならないのだから」
 でも、と真己はつぶやいた。
「歌には感謝する。とても懐かしい気がした」
 帰るべき場所、今は失われた場所。
 それは手を伸ばした自分を受け入れて、共に生きてくれた仲間のいる場所だった。生まれたときには持てず、望み続けてようやく得られた大切で愛しい、かけがえのない場所への思いを嚙み殺して真己は続ける。
「けど、孤独もまた友なんだ。何かを始めたなら人は孤独になるものだから……それにいつかは終わりがやってくる」
 そして、孤独に耐えた先にやってくるものを体現するかのように真己は渾身の力で炎を纏わせたナイフを振るった。振り切ったのは郷愁、切り裂いたのはいさなの王。痛みにもがくその視界を幸児の撒いた符が花吹雪となって揺蕩い、美しい彩で覆い尽くす。息を止め、その光景を見届ける幸児に焦りや怖れは感じられない。
 あるのはごめんな、という情けと何があっても長岡京を守ろうとする決意であった。
「こっちの方向にお前を受け入れてやれる群れはねえ。あるのはただ、俺の守りたい群れがあるだけだ」
「俺達もまた、ここで退く訳にはいかない。大切な仲間がそこにいるから。もう二度と、失いたくはないから……!」
 それこそが、哀しき歌に導かれ、雪人の心が郷愁と孤独への恐れを乗り越えた先にあったもの。
 譲れぬ想いを引き受けた思念符が形を変え、敵を討つための武具と成る。銛だ。それはいさなの王の巨体を穿ち、歌を止めて水を消し去った。
「しまったねぇ。折角なら陰陽師達に『いしゅめぇると呼んでくれ』とでも名乗っときゃよかったよ」
 狐狛がおどけて肩を竦める。
 印象的な名前はきっと、彼等の記憶に深く残ったに違いなかった。
「また会った時に言えばいいさ」
 飄々と笑い、運命は一刀にていさなの王を真っ二つに断ち切った。流し込まれた呪詛が巨体を蝕み、あっという間に朽ち始める。
「悪いがここにそっちの探しているものはないよ。黄泉平坂でも下って向こうの世界で仲間を探すんだな」
 決着と同時に、帰ろう、と狐狛が撤退を促した。
「速やかに撤退だ」
 去り際に真己は振り返り、告げる。
「俺は俺の信じる道を行く。思い出させてくれてありがとう、そして――さよならだ」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
【飛翔】がLV3になった!
【断末魔動画】LV1が発生!
【植物活性】がLV2になった!
【腐食】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2022年03月28日