リプレイ
桜・姫恋
連携・アドリブ歓迎
いよいよ決戦なのね……
でも、その前にその邪魔な加護とやらを少しでも削らさせてもらうわよ!
【飛翔】にて飛び敵の攻撃をパラドクス魔翼翔波での波で相殺しながら反撃の機会を伺う
少しでも隙ができたら魔力の波を《一撃離脱》にてベディヴィア卿へ放ち加護を削っては避けたりガードしたりを繰り返し少しずつ削るようにする。
慌てたところで意味はないから仲間たちと上手く協力しながら加護を削るようにしないとね。決戦を少しでも有利に進めるためにもね
ロス・ヴェルト
ーー遂に此処まで、辿り着けた。ジェネラル級ドラゴン、竜のトップ。……お前を越え、そして他のジェネラルをも退け、その先へいるアーサー王へと行かせて貰う。その為にも
ーー貴様は此処で滅する
戦場に到達したら竜骸剣【Anti-tusks】を構えて【早業・突撃・ダッシュ・ジャンプ】でベディヴィアへと接敵し、パラドクスを仕掛ける。
貴様がどれだけ空高く飛び、どれ程の人間を見下してきたは知らないがーー今、貴様も同じ目線へと落としてやろう!
反撃対策
【戦闘知識・観察】で敵の攻撃を見極め、神砂時計【改】を盾にしながら銃で魔弾を打ち落としつつ、攻撃を耐え抜く。もし攻撃を食らった場合は【勇気】を振り絞り、立って耐え抜く。
エレナ・バークリー
先日相対したばかりの“氷の”ベディヴィア卿。
こうも早く討滅の機会が訪れるとは。
【飛翔】し「勇気」を抱きベディヴィア卿へ「突撃」します。
「貫通撃」「衝撃波」を伴う屠龍撃でベディヴィア卿へ、相応の傷を刻んで。狙うはかつて己でつけた傷。「記憶術」でその位置を思い出し、傷を重ねて。
反撃は可能な限りかわすつもりですが、直撃したら「忍耐力」で苦痛に耐えつつ、自身を「浄化」して継続ダメージを解除します。
「氷雪使い」で体表に薄く氷の膜を張って炎を相殺。「火炎使い」で心臓を燃え上がらせ、氷の刃を溶かしましょう。
継戦不能になる前に「一撃離脱」で一旦後退です。与えた傷が塞がれるのは避けたい。
すぐに決着をつけますよ。
バルタン・ディエチ
アドリブ連携歓迎。
バルタン・ディエチ、本作戦に参加するであります。
氷のベディヴィア卿……。強敵でありますな。
因縁のある方々が奴と決着をつけられるよう、助力するであります。
攻撃は開幕時に砲撃による一斉射撃を行うであります。
遠距離からの制圧砲撃により、ベディヴィアを消耗させるであります。
その後、反撃のキュイールに備えてシールドを装備。
蒼炎の魔弾を防ぎつつ、苦痛を耐え抜くであります。
戦線離脱か、一時後退か、冷静に戦闘の状況を見て判断し、必要であれば友軍の補助を行うであります。
グレートブリテン島へ至る道、切り拓くであります。
弔焼月・咲菜
*アドリブ・連携可
でかいだけのトカゲが騎士を語るとは、世も末だな。
"面倒事は嫌い"なんだ。意味は分かるか?…人間様の言葉なんざ理解できる訳ねぇか。
【飛翔】の効果で空中のベディヴィア卿目掛けて一気に接近し、狩流刃討雛で加護ごと切り刻む。
攻撃されることを分かってて対策もなしか。馬鹿なのか愚かなのか、それとも両方なのか……。
反撃が来る前に醒怨蟲を周囲にばらまいて勢いを抑えるのに使い、さらに鏖魔の狂脈を全身に巡らせて防御体勢を取って反撃に備える。
倒れたら終わり…なら倒れなきゃ良いだけの話だ。薄皮一枚分でも首が繋がりさえすれば、俺達の勝ちだ…!
無堂・理央
ベディヴィア卿を討つ機会、案外早かったね。
それじゃ、後に続く本命の為にも全力で敵の加護を剥ぎ取るよ!
無双馬『クロフサ』に騎乗して、クロフサにはパラドクスの力で空中に登って貰う。
ランチャー・クリエイト、魔力吸収及び回転動力炉による増幅開始。
相手は待ってくれるんだし、しっかりとエネルギーチャージした最大火力で行かないとね。
十分にエネルギーを充填出来たら、サテライト・バスター・ランチャー!発射!!
蒼炎の魔弾が飛んでくるし、身を焼く苦痛と胸を貫く苦痛が来るんだよね?
上等!その程度の苦痛でボク等は止まりはしない!
更に砲撃の出力を上げて加護を力づくでも剥ぎ飛ばす!
ボク等を甘く見るな!アオトカゲ野郎!!!
リューロボロス・リンドラゴ
参加用
アンデレ(g01601)と共に。
かっこ悪い、か。
恐れられるでもなく、憧憬を向けられるでもない。
ドラゴンとして貴様はもう、ここまでよ。
アンデレ達のクッキーブレスに乗るが如く、我も蹴りを放とうぞ。
このクッキーは貴様に味あわせてやるにはもったいない程、美味だがな!
空中戦は我も得手。迎え撃つのもまた得意よ。
我が加護(ガードアップ)はアンデレをも守ろうぞ。
それにだ。
身を焼かれ、心臓を貫かれるような苦痛だと?
今更だ、今更だよ。
貴様らはどれだけの幼子を焼いた?
どれほどの幼子達を貫いた?
幼子達の痛みは我が痛み。
全ての幼子達の痛みを背負って、我はここにいるのだ。
我は龍、我こそはドラゴン!
幼子達の復讐者也!
ア・ンデレ
リューロボロスちゃん(g00654)と共に。
リューロボロスちゃんこそ真のドラゴンだ。
加護の力で粋がってるカッコ悪いドラゴンなんて、ドラゴンじゃない。
「アンデレちゃんがしんのドラゴンのちからをみせてやる。
これが、リューロボロスちゃんからもらったパワーだ!」
アンデレちゃんが叫ぶ。ミニドラゴンのトロちゃんが吠える。
トロちゃんの口から大量のクッキーが発射される。
これがドラゴンのパワーか。
なんておいしいパワーなんだ。
流石ドラゴン。
もちろん破壊力も抜群。
反撃はリューロボロスちゃんを想う力で耐え抜く。
一生隣に立つと誓ったのだ。
こんなところで倒れていては、格好がつかない。
安藤・優
アドリブ連携歓迎
またお前を殴りに来た。
前回とやる事は…まぁ変わらないだろうね?お互い己の技と己の力に、絶対的な自信がある訳なんだろうし?(僕は全く無いけど)
けどまぁ…前回と違うのはこちらの頭数かな?
「怒り、怨み、憎み、呪え、我が怨讐は焔と成りて、仇なす者を灼滅せん」
火炎使いで地獄の炎を纏い全力の煉獄の刃を叩き込む
反撃の焼成は煉獄を纏わせた鉄塊剣で両断し、更に両断した蒼い炎を煉獄の爆発で吹き飛ばす。多少ダメージは受けるけど、どちらも忍耐力で耐えられる。
怒りを燃やし、心を燃やし、氷の刃を焼き尽くせ
「…まぁ熱いのは熱いし痛いのは痛い。でもそれだけだ。僕達の怒りを、ディアボロスを侮るなよ」
菱神・桐梧
アドリブ連携大好き
神の御加護が仕事サボってんぜ
もしかして、上から見捨てられたか?
そりゃそうだ……使えもしない門番一匹、飼っとく理由なんざ無えよな!
そういうことなら幕引きといこうぜ、蜥蜴野郎!
パラドクスの身体強化と【怪力無双】も駆使
こっちの得物は大型ハンマーだ
一気に【突撃】かまして、圧かけていくぜ
限界まで何度でもぶん殴ってやるからな
反撃は戦いへの【情熱】で捩じ伏せる
燃やされようが氷叩き込まれようが
止まる理由になんぞなるかよ
せっかくの喧嘩が、痛くて動けませんってなァ面白くねえだろ!
そらそらどうした!動きが鈍ってんじゃねえか?
お祈り捧げて、尻尾切られないように頑張んな!
花塚・夜壱
カフカ君(g00583)と
【飛翔】し、空へ
カフカ君の前で、格好悪い姿は見せられない
気を引き締めていこう
絶対に護りきると言う志は、尊敬の念を抱かざるを得ない
だが、俺達にも譲れないものがある
そこを退いて貰おうか
アイリッシュ海の美しさ、その身に刻みつけていけ
常夜刀を使い、『幻霞豪』で攻撃
刺した常夜刀を、トドメとばかりに如意棒で叩きつける
想像を絶する痛みに、歯を食いしばって耐える
心配になってカフカ君を見るが、やはりそう易々と心が折れる子ではないらしい
無論、俺もそうヤワじゃない
そうだな、カフカ君
この痛みを、竜に返しに行こうか
本郷・夏深
夜壱兄ちゃん(g00016)と
【飛翔】の効果を借りて接敵
兄ちゃん、別に格好悪くてもいいんですよ
カフカが格好良く活躍しますので!
ええ、その護るという強い意志、実にご立派ですよね!
だからこそ哀れですねえ、惨めですねえ
全て今日潰えるのですから
敵の素晴らしい巨体を舞台に、武器である扇を広げ
『涼暮』にて臨機応変に縦横無尽に斬り刻んで参ります
既にある傷口は閉じた扇で刺し貫いて抉って差し上げましょう
海の美しさ以上に我々の姿も刻みつけさせてあげますよ!
…ああ、クソが!
痛いのは嫌いですし、炎に焼かれるのは怖くて大嫌いです
ですが心配は無用
恐怖如きで無力となるような子供ではないのでね
返り血で消してやろうぜ、兄ちゃん
ルウェリン・グウィンリウ
いよいよ奴の心臓を穿つ時が来たってことだね。
仕損じはしない。ブリタニアへ帰る為にも。
◆
既に二度ほど奴とは交戦して、魔弾を食らった感触は覚えている。
ならば三度目だって必ず耐えきれる。
そう覚悟を燃やし、赤竜旗を掲げて奴に挑もう。
僕の名はルウェリン! アンブロシウス様が戦士団の生き残り!
醜い貴様らと違い、ブリタニアの神聖な守護者である赤竜の旗を掲げるもの!
そう吼えつつ翼広げ、【空中戦】を挑む。
斬撃を見舞い、そのまま距離を取る【一撃離脱】戦法を。
反撃には回避運動で直撃を避けつつ、盾で防御して少しでも威力を軽減しよう。
炎も、氷の刃も、この旗を折るには足りない。
屹然と敵を睨み、怒りで苦痛も捻じ伏せよう。
ブラッディ・アロ
※アドリブ、連携歓迎。
これまで長い間、ここに立ちはだかってきた
あなたもそろそろ定年ですね。
鮮血残響「原初ノ血」
『血は根源、余に力を与え』
力を帯びた血液が体内を奔流
真っ赤な鎧が体を覆っている
体内から赤黒い血の鎖を抜いて敵に向かって投げ
相手の体に絡まるとすぐに鎖を体内に戻し、自分を相手に引き寄
接近したらただちに氷のベディヴィア卿に全力の一撃を加え
純粋な力で相手の体を破壊する
翼と関節に攻撃目標を集中
敵のバランスを崩し、そして来るべき反撃を弱めるために
反撃に備える
凍える海を打ち砕いて自分の姿を隠す
足りない分はこの血の鎧と忍耐力にまかせてくれ
削られすぎたら血袋で補充する
コンスタンツ・トパロウル
また会ったね
赤い糸って奴を感じるよ
とは言っても……あんたから流れる、血の朱だけどね
撹乱、罠使い、地形の利用を活かし、【トラップ生成】で海面付近で爆薬を炸裂させ、水柱で敵の視界を一瞬でも惑わせ、水柱や水飛沫に紛れて、敵の真下や足元、背後等から竜滅戦技を叩き込む
勇気を胸に突撃!
仲間がピンチなら、煙幕の罠で一瞬でもいいから敵の視界を塞ぎ、立て直したり回避するための時間稼ぎ
こちとら、あんたらが探してる花嫁さんみたいに……お行儀よくもないんでね!
悔しかったら……捕まえて躾直してみな!
とか挑発も織り交ぜ、仲間が一気に仕掛けるチャンスをつくって……こいつの加護を、ぶち破ってやらないと
べディちゃんこっちだよ!
ディスタント・サンダークラップ
今回は消耗させるのが目的じゃなくて、倒すための決戦…
これまでよりも注意深く戦わないといけないけど、みんなで戦えば、きっと。
まずはPOWの加護を削っていくよ。
前に戦った時にベディヴィアの攻撃手段は知ってる!
こっちは前とはパラドクスエフェクトの種類とレベルが違うから、攻撃や防御の感じだって違うはず。
竜翼翔破を使用して【飛翔】をレベルアップ。飛んで撹乱しながら砲撃して、相手の視界を邪魔。少しでも隙を生んで味方の攻撃に繋がるようにする。
さらに【反撃アップ】のレベルも上げて反撃ダメージを下げるよ。今までの戦いで見た攻撃から癖を考えたりして、直撃を避けたり当たる瞬間に気合を入れて耐える!
シュミット・ガドクレイジ
とにかく、加護を粉砕するためには、斧やら槍で打ち抜くことも考えなきゃならんが……
奴の反撃はすでに見た攻撃だ。
魔弾が炎である以上、火炎使いである程度制御ができることは織り込み済みよ。
俺のパラドクス……ブレスを意図的に混ぜることで、より制御もしやすくなれば良し。
少なからずは食らうだろうが、まぁそこは忍耐力というか根性で耐えればいい。
相応に対火装備もあることだしな。
いっちょ、どっちのブレスが強力か、力比べと以降じゃねぇか。
アンゼリカ・レンブラント
私達には勝利の
ドーナツの女神がついてるからさ
彼女を泣かせないようみんなで倒れずに帰ろうね!
心に勇気の焔
覚悟を持って間合いを詰めるよ
なるべく共に戦う仲間とタイミングを合わせ
《光獅子闘拳》の打撃で挑む
反撃を攻撃を受ける際には
黄金獅子状のオーラを前に押し出すように操作
勢いを減じさせるよう試みる
覚悟と気合いも加え堪えてみせるよ!
キュイールを以前受けた経験・戦闘知識を生かし
反撃のダメージを最小限に抑えることに務める
共に戦う仲間がピンチの際には【怪力無双】で
ベディヴィア卿を抑え注意を引くように打撃を打つ
反対に自分がピンチの時には隙を作らないよう
間合いを一時離す等臨機応変に
攻撃を耐えきって――本番に臨もう!
ツィルニトラ・プリルヴィッツ
漸く追い詰めたわよ、氷のベディヴィア卿!
悪しき竜よりブリテン島を解放する為に挑ませて貰うわ!
戦旗を一振りし【蛮竜招来】にて打撃力強化
竜翼で空中戦挑み、黒竜の幻影纏った槍斧をお見舞いよ!
一撃離脱で反撃に対処
避けきれない魔弾に対し竜尾に装着したメイスの強打で迎撃
少しでも粉砕し威力を相殺するわ
炎の扱いには覚えがあるから火傷は抑えられるけど…!
(火炎使い)
……っ!!
(槍斧の柄を噛んで食いしばり、苦痛に耐え)
…神様は人を救う存在
痛いからって諦めたら、アーサー王の騎士を騙るドラゴン以下じゃない
…私は、神を騙る詐欺師なんかじゃない!
人を救える…魔法の竜神になってみせる!
海上に激突する前に体勢を立て直して離脱
●『焼成(キュイール)』
大勢のディアボロスを乗せ、眼鏡の少女に見送られながら新宿駅を定刻通りに発車したパラドクストレインは、タイムトンネルを通り港町であり城塞都市であるベルファストへと空から到着する。
車内ではこれから始まる戦いに向け緊張のためか無言になる者、逆に軽口を叩く者、フラグを立てては怒られる者など様々な賑わいであったが……いざ両開きのドアがチャイムの音と共に開かれると誰もが無言になっていた。
眼前に広がるアイリッシュ海を東向けて飛べばドラゴンたちの本拠地であり、アーサー王が治めると言うイギリス本島……グレートブリテン島だ。
だがディアボロスたちの本土侵入を防ぐため、その海上にはジェネラル級ドラゴンであり円卓の騎士が一席である『氷のベディヴィア卿』が待ち構えていた。
この戦いに先立ち、繰り返し行われた氷のベディヴィア卿への攻撃。
アーサー王に与えられた加護の力を発動させないため、ディアボロスたちは卿の攻撃で倒されない事を強要される。
なぜならその加護の力とは、氷のベディヴィア卿の反撃で攻撃者が倒れるとその力を大きく回復させるというもの。
せっかく与えたダメージも、誰か一人でも倒れると無意味になってしまう……負けられない戦いであった。
ディアボロスたちがアイリッシュ海で戦っている間も、新宿島で残る時先案内人たちは氷のベディヴィア卿の加護についてを解析する。
その結果判明したのが、アーサー王より与えられたという加護の正体が反撃で倒れたことによる惧れを利用していた事。
そしてその効果は永続するものではなく、ここまでの戦いでディアボロスが誰一人として倒れなかった事によりその加護は薄まっている事も分かった。
であれば、最後の一押しとして氷のベディヴィア卿へ勇猛果敢に攻撃を仕掛け……卿の攻撃を耐えきる事が出来ればアーサー王の加護を打ち破れる。
それはアイリッシュ海の守護者を打ち倒し、グレートブリテン島への道を切り開けると言う光明であった。
相手はジェネラル級のドラゴン……加護がなくても驚異的な相手である事には違いない。
実際、ここまでの戦いで大きな傷は与えられていなかった。
だが倒さなくては道は開かれない……そんななか、決戦の第一陣として名乗り出たのは四十五名のディアボロス。
アーサー王の加護を打ち破るべくベルファストの埠頭で最後の準備を整えた彼らは、ディアボロスによりドラゴンの支配から解放された街の人たちに見送られ【飛翔】のパラドクスで空へと舞い上がった。
「みんな! 私たちにはドーナツ好きな勝利の女神がついてるんだ! 彼女を泣かせないよう必ず倒れずに帰ろう!!」
先陣を切るアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)が黄金の髪を風になびかせながら拳を突き上げる。
眼前に見えるは蒼きドラゴン……その巨体はディアボロスたちの攻撃により傷付いてはいるが動きにはまったく支障がないようで、西から来る集団を捉えると大きく翼を広げ空中へと舞い上がる。
氷のベディヴィア卿は加護を最大限に活かすため反撃しかして来ない……だがその攻撃は肉体だけではなく心を折りにくる苛烈なもの。
凍りの刃で心臓を貫かれた痛みは忘れられない。負けないためにも勇気を高めないと……お願い、私に力を貸して!
そうアンゼリカが新宿島で待つ人を強く想うと、胸から暖かな力が溢れ恐怖心が治まり今まで以上の黄金のオーラが全身から満ち溢れてくる。
その勇気は両拳を包む手甲に黄金の獅子が宿らせ、かかってこいと待ち受ける蒼き竜へ向け咆哮と共に飛び掛かるアンゼリカ。
彼女の攻撃をきっかけに、次々とディアボロスたちが空を翔け氷のベディヴィア卿へと戦いを挑む。
「僕の名はルウェリン! アンブロシウス様が戦士団の生き残り! ……醜い貴様らと違い、ブリタニアの神聖な守護者である赤竜の旗を掲げるものだっ!!」
黄金の翼を広げ、赤き竜が描かれた旗を左手に持つルウェリン・グウィンリウ(灯火の騎士・g02040)は竜の心臓から魔力を鍛造した剣を空へと掲げると皆を率いるように空中戦を挑む。
「(ブリタニアへ帰るためにも……この一撃、仕損じはしない!)」
相手は攻撃を受けた瞬間に反撃を繰り出す……今も黄金獅子の少女が蒼き炎で焼かれ海へと墜ちていく。
だが抗い吼えている様子を見れば、きっと耐えるだろう。
しかし初めてこの戦いに参加した者は耐えられるのか? 彼女の様子を見て怯えはしないか?
……ならば既に二度蒼き魔弾を喰らい、三度目に挑もうとする僕がこの旗に続けと皆の前を征こう。
「身を焼く炎も心臓を刺す氷も……そんなものでこの旗を折れると思ったのか!!」
激しい蒼き魔弾の直撃を受けたルウェリンであったが、負けぬとばかりに堂々と赤竜旗を掲げ氷のベディヴィア卿を睨みつける。
黄金獅子の少女も立ち上がっており、その姿はディアボロスたちの士気を高め強敵に挑む勇気を与えるのであった。
「(カフカ君の前で恰好悪い姿は見せられないな……気を引き締めていこう)」
隣を飛ぶ本郷・夏深(逢魔が夏・g00583)の姿をチラリと横目で伺いつつ、懐で握るアイオライト鉱石の短刀の逞しさを感じていた花塚・夜壱(月下鬼人・g00016)。
そんな彼の心を読んだかのように夏深が話しかける。
「兄ちゃん、別に恰好悪くても倒れなきゃいいんです! その分このカフカが格好良く活躍させて頂きますので!」
おどけたように告げる彼の姿に、夜壱はよく吼える弟分だと嬉しそうに口の端を歪めた。
「敵とは言え、護りきると言う志には尊敬の念を抱かるを得ない……だが、俺たちにも譲れないものがある、そこを退いて貰おうか!」
アイリッシュ海の美しさを刃に乗せ、氷のベディヴィア卿の懐に潜り込むと短刀で斬り付ける夜壱。
反撃の蒼き魔弾で彼が吹き飛ばさるのと入れ替えに、その傷口を舞うように飛び込んだ夏深が扇を抉るように突き刺しさらに開く。
「ええ、その強い意志、実にご立派ですよね! だからこそ哀れですねえ、惨めですねえ……全て、今日で潰えるのですから!」
夜壱と同じように蒼い炎で焼かれながらも夏深は叫ぶ。
心の臓に突き刺さる氷の痛みに歯を食いしばりながら、夏深のその姿を見た夜壱は彼が強い子だと再認識し、そして負ける者かと気合を入れ直す。
「さあカフカ君……この痛みを竜に返しに行こうか」
「兄ちゃん、この海以上に美しい我々の姿、刻みつけてやりましょう!」
夏深に向け差し出された夜壱の手を掴むと、二人は再び蒼き竜に挑むべく空へと舞いあがる。
その空では、バルタン・ディエチ(突撃のバトルメイド・g01433)が左右に展開したヘヴイ・キャノンの照準を合わせていた。
「氷のベディヴィア卿、敵種はジェネラル級……強敵でありますな」
ディアボロスたちによる攻撃と繰り出される反撃を冷静に分析していたバルタンに、妖刀を手にした弔焼月・咲菜(葬送の報復鬼・g01723)が声をかける。
「そこのメイド、俺は面倒事は嫌いなんだ……分かるな?」
女性に見間違う美しい姿から吐き出される強い言葉に一瞬認識のエラーを起こしそうになりつつ、彼の要求を考えるバルタン。
彼の手にした武器は近接武器、こちらが遠距離砲撃用のキャノンを展開しているのは認識している筈。
であれば、期待されているオーダーは……。
「了解、バルタン・ディエチ……39秒の火力支援を開始するであります」
飛翔のパラドクスによる速度は重ねられた能力による……つまり最高速度は計算できる。
彼我の距離速度と射撃間隔、気温湿度コリオリ力に緯度自転。そしてパラドクスによる最高速度を計算すれば最適な砲撃支援時間を導き出すのは簡単な事。
左右のキャノンから適時修正を加えつつ制圧射撃を行うバルタンの姿に満足そうな笑みを浮かべた咲菜は、妖刀を抜刀すると砲撃を追い越すかのように海面スレスレを一気に飛翔する。
「……迎撃もしないとは。馬鹿なのか愚かなのか……それとも両方なのか? まあ所詮はでかいだけのトカゲか」
砲弾の雨をその身に受けるも蒼い魔弾を迎撃に使わず、砲手のバルタンへと向け次々と放つ氷のベディヴィア卿の姿を咲菜は愚かに思う。
予定通り咲菜が斬り付ける直前に砲撃は止み、彼は無防備な胴体へと向け完璧なタイミングで暴風雨を思わせるかのように刃を振るうのだが……その刀身は思ったほど蒼い躰を斬り裂けない。
「反撃、来るであります!!」
離れたバルタンの元へ蒼い魔弾が迫り……次に咲菜へと向け氷のベディヴィア卿が冷たい瞳を向ける。
「倒れたら終わり……なら、薄皮一枚分でも首が繋がれば良いだけの話だ」
キャノンを捨てシールドを構えるバルタン、そして放たれた魔弾に向け極小の寄生虫を放つ咲菜……距離の差もあり、蒼い炎は二人の元へほぼ同時に着弾するのであった。
「ふむ、流石はジェネラル級と言う訳だな……お前さん、同じドラゴニアンのよしみで協力と行こうぜ」
アーサー王よりの加護に頼らずとも、己の力で攻めている筈のディアボロスを逆に追い立てている氷のベディヴィア卿。
その姿に、シュミット・ガドクレイジ(たたら吹き・g00026)はドラゴニアン同士と言う事でディスタント・サンダークラップ(目覚めの砲声・g03258)に声をかける。
「今回はアーサー王の加護を消すための戦い……みんなで協力しないと達成できないから問題はないよ」
シュミットの呼びかけに竜翼を広げながら降りると管楽器を模した短砲身の榴弾砲に砲弾を込めつつ、彼の口回りを見ながら作戦を提案する。
「口が少し融けてる……ブレスを吐くんだよね? ならぼくが上から攻撃をかけて」
「俺が下から、って訳だな、了解だ。お前さんも反撃には気を付けろよ?」
氷のベディヴィア卿が放つ魔弾を一度その身で受けているシュミットの言葉に、同じく攻撃を受けた事があるディストが心を強く持つんだよねと元気よく応える。
蒼きドラゴンが放つ攻撃はいずれも肉体と同時に精神面から攻撃するもの……逆に言えば心構えは同じだとシュミットは笑うと、それなら任せてとディストは胸を強く叩いてみせた。
「視界を奪うように……相手の眼前で炸裂させれば!」
上空へと舞い上がったディストは照準器を覗きつつ、榴弾が炸裂する距離を調整するため氷のベディヴィア卿を中心に旋回し距離を整えると反対の目で眼下に視線を走らせる。
そこではシュミットが翼を広げ、卿の死角を取るように距離を詰めており……彼が手を上げるのが見えた。
「よし、いくよ!」
照準と距離を慎重に合わせ、ディストがトリガーを絞るとドーンと言う音と共に砲弾が発射される。
同時に少しでも相手を引き付けるため、竜翼を強く羽撃たかせ距離を取りつつランダムな軌道を描く。
ディストが放った榴弾は狙い通り氷のベディヴィア卿の眼前で弾け、視界を奪うように炎の雨が降り注ぐが……撃たれた蒼いドラゴンはと言うと意に介していないかのように魔弾を次々と放つ。
だがその隙に接近する事が出来たシュミットは大きく口を開くと鉄をも溶かす竜の息吹をその巨体に満遍なく浴びせた。
「どっちの炎が強力か、いっちょ力比べと行こうじゃねぇか!」
空ではサーカスのように逃げるディストを多数の魔弾が追い詰め、直撃させた……だが被弾してもコントロールされた墜落に、シュミットは少年の無事を信じるとこちらに向いた蒼いドラゴンへと炎の威力を上げ放たれる炎の魔弾に抗う。
そんな時、戦場にカッコ悪いドラゴン! と、声が響いた。
「リューロボロスちゃんこそ真のドラゴンだ! 加護の力で粋がってるカッコ悪いドラゴンなんて、ドラゴンじゃない!!」
声の出どころはミニドラゴンのトロを連れたア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)……そして彼女が真のドラゴンと呼ぶのはリューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)。
「アンデレちゃんがしんのドラゴンのちからをみせてやる。これが、リューロボロスちゃんからもらったパワーだ!」
そう言うと彼女の隣に控えるミニドラゴンの口から大量のクッキーが発射される……氷のベディヴィア卿の体表で砕けた欠片から潮の匂いがする戦場に甘い香りが広がると、アンデレはどうだと瞳を輝かせる。
しかし、彼女に向かい交わせぬ量の蒼い魔弾が迫り……その身を焼き尽くそうとする熱の痛みと同時に、心臓が凍りの刃で突き刺される痛みが小さな身体を襲う。
「アンデレ!?」
「だ、大丈夫なのだ……リューロボロスちゃんの隣に一生立つと誓ったのだ、こんなところで倒れていては恰好つかないのだ!」
焦るリューロボロスに大丈夫と手を突き出し、気合を入れて立ち上がるアンデレ……所々が焼け爛れてはいるが平気を装うその健気な姿に彼女の怒りに火が付く。
「貴様……貴様は焼き貫いた幼子の姿を見て何も思わぬのか? 貴様はこれまでどれだけ同じ事を繰り返した?」
全ての幼子たちの痛みを背負い我はここにいる! そう吼えるリューロボロスは必殺の蹴撃を繰り出す。
猛るドラゴンの気迫に、氷のベディヴィア卿も魔弾で返す……だがこの身を焼き尽くす痛みも、心の臓を突き刺す冷たさも、すべての痛みを背負ってみせると彼女は倒れない。
「我は龍、我こそがドラゴン! 幼き子たちの復讐者也!! 恐れられる事も憧憬を向けられる事もない、ドラゴンとしての貴様はもうここまでよ!」
吼えるリューロボロスの言葉は、氷のベディヴィア卿の何かを狂わせ始めた……今は少しの綻びであるが、だが徐々にそれは大きくなっていく。
「あれ? お前……この前より弱くなってないか?」
初めに気付いたのは安藤・優(名も無き誰かの代表者・g00472)……氷のベディヴィア卿の反撃に備え、怒りで心を燃やし氷の刃を焼き尽くそうとしたのだが思っていたより痛みが少ない。
「……まあ熱いのは熱いし、痛いのは痛い。ただ、うーん……そう、絶対お前には勝てない、絶対殺されるってのが減っていると言うか……うーん?」
既に地獄の炎を纏い煉獄の一撃を繰り出しており、また氷のベディヴィア卿による蒼い炎と氷の刃を受けている優に二撃目を放つ余裕は今はない。
安全圏まで後退しつつ彼は氷のベディヴィア卿の変化に首を傾げるのであるが、それが本格的に表れるのはまだ先であった。
「いよいよ氷のベディヴィア卿との決戦なのね……でもその前に、邪魔な加護とやらを少しでも削らせて貰うわよ!」
サキュバスの翼を広げた桜・姫恋(苺姫・g03043)は氷のベディヴィア卿を中心にし水平に旋回すると攻撃の隙を伺う。
相手は反撃しかしてこないとは言え生き物であるのならば、構えている目の前から攻撃するのと死角から斬り付けるのでは反応が違う事が予想されるからだ。
「そうだね、後に続く本命の為にも、全力で敵の加護を剥ぎ取らないとね!」
そんな彼女に並ぶよう、相棒である無双馬のクロフサに跨った無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)が空を駆ける。
「ねぇ、月は見えるかな?」
理央の突然の問いかけに、姫恋は左右を見回すと薄く見える昼の月を見つけ指を差し示す。
「月ってあれよね? ……何かあるの?」
不思議に思う姫恋に、ふふーんと笑みを浮かべた理央は、自分がきつーい一撃を与えるのでその隙に攻撃をして欲しいと言うと手綱を引き上空へと駆け上がる。
「……何を考えてるのかしら? まあ、慌てても仕方ないわね」
そう呟きつつその時に備え準備する姫恋であったが、直後に多いに慌てる事になる。
何せ、敵が動かない事を良い事に理央が放つ一撃は、背にした月からの魔力を最大まで受け放った物であったのだから堪った物じゃない。
「ちょ、ちょっと、聞いてないわよっ!?」
海が割れるかのような一撃に大慌ての姫恋であったが……魔力砲の光を遡るように蒼い魔弾が上っていくと砲撃は急に止まる。
「ぼ、ボクらを甘く見るなぁ! このアオトカゲ野郎っ!!」
舞い上がった海水の雨を浴びつつ元気よく墜ちていく理央の姿に、我に返った姫恋も大きく翼を羽撃たかせ魔力の波で攻撃を行うのであった。
「“氷”のベディヴィア卿……こうも早く討滅の機会が訪れるとは」
まるで別のベディヴィア卿を知っているのか、エレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ・g00090)は氷のベディヴィア卿の姿を感慨深げに眺める。
蒼い体表に氷河を思わせる翼、そして魔眼……躰はディアボロスの攻撃で傷付いていても吹雪と共に堂々と飛ぶその姿は、これまで遭遇したどんなクロノヴェータとも格が違う存在だと主張している。
しかしそれでも倒さなくては……鞘から両手剣を引き抜くと正眼に構えたエレナにブラッディ・アロ(鮮血ノ王・g05921)が話しかける。
「騎士さん、余があいつの動きを止めるよ」
自身の血液を操り、鎖の付いた錨を生み出したブラッデイはそれを振り回すと氷のベディヴィア卿へと投擲する。
一周、二週と氷のベディヴィア卿を取り囲むように円を描いた錨の先が鎖を掴むと、一気に引き絞られその巨体を固定する。
「ここまでディアボロスを邪魔するように立ち塞がってきたあなたも、そろそろ定年ですよ?」
ギリギリと音を立て絞られる鎖を振り解き飛び立とうとする蒼き巨体を海面へと引き寄せたブラッディは、全身から血液で生み出した血の刃を氷のベディヴィア卿の翼と関節を狙い突き立てる。
「くっ、硬い……このまま潜る!」
だが繰り出した血の刃は砕け、反撃の蒼い魔弾が来る前にと氷のベディヴィア卿が生み出した氷雪で凍る足元を砕き、海中へと身を沈めた彼女を追いかけるように魔弾が奔る。
しかし血の拘束は解けぬまま……それを見たエレナはブラッディが作ってくれた好機を無駄にしないため、両手剣を大上段に振りかぶりつつ雄叫びをあげ斬りかかった。
「狙うは、私が付けたあの傷……!」
翼に残る斬撃の痕……正確にその一点を捉え振り下ろした切っ先は、以前の戦いで彼女が残した傷跡を更に深く切り裂く。
蒼い体表が裂け肉の色が見えた時、拘束が解けた蒼い巨体より反撃の魔弾がエレナを焼きつくすべく放たれる。
「くっ、ここまで来て与えた傷を塞がれてなるものですか!」
勇気で心臓を燃え上がらせ、身を焼かれているのに心臓を貫く凍りの刃と言う相反する痛みから必死に耐えるエレナ。
氷のベディヴィア卿の翼で悶える彼女を、海上に浮かび上がったブラッディが血の鎖を伸ばし水しぶきを上げながら海面に引き摺り降ろすと、大丈夫だと声をかけつつ曳航する。
……エレナが与えた傷は、塞がる事はなかった。
「神の奴が仕事サボってんぜ、もしかして見捨てられたか?」
ここまでの戦況に菱神・桐梧(喧嘩屋・g05613)は思わず天を仰ぎ愚痴を漏らす。
だがそんな彼に、ツィルニトラ・プリルヴィッツ(自称/捏造 魔法竜神・g02012)が優しく語り掛ける。
「神様は人を救う存在。私は人を救わぬ神を騙る詐欺師ではないわ……人を救う、魔法の竜神よ」
そう言うと黒いスカートの裾を摘まみ微笑むツィルニトラの姿を、桐梧は上下にしげしげと眺める。
長い漆黒の髪から生える竜の角、背中には巨大な翼と巨大な果実……うん、見た目は信仰に値するかも知れない。
「だが……やっぱり最後に頼れるのはコレよコレ! 腕っぷしに自信はあるのか、自称神様よ?」
筋肉を盛り上げ、巨大なハンマーを振り回す桐梧の姿に、まあと笑顔を浮かべたツィルニトラも巨大な戦旗をクルっと回し槍斧へと姿を変える。
「私も少々、嗜んでおりますわ」
「面白れぇ……嬢ちゃん、神様だって信じて欲しければな、アイツを俺より凹ましてみな!」
殴り合ってもいいけどそっちのが面白いだろ、とニヤッと口の端を吊り上げた桐梧に、竜神の実力を魅せてあげると美しい笑みで応えるツィルニトラ。
二人は気合いの叫びと共に氷のベディヴィア卿へとそれぞれの獲物を振りかぶる。
一瞬脱力し、一気に力を入れ筋肉を爆発させた桐梧のハンマーが蒼い躰に振り下ろされ……反撃の魔弾で吹き飛ばされる。
戦旗を掲げながら突撃したツィルニトラはそれを槍斧へと変え振りかぶり叩き付け……次の瞬間、蒼い炎に包まれる。
「せっかくの喧嘩が、痛くて動けませんってなァ面白くねえだろ!」
「痛いからって諦めたら、アーサー王の騎士を騙るドラゴン以下じゃない!」
身を焼く炎も心臓を突き刺す凍りの刃もほぼ同時に耐えきった二人は、痛みを吹き飛ばすべく大きく叫ぶ。
……その声にお互い顔を見合わすと、同じ痛みを乗り越えた同士として戦場のど真ん中であったが笑い声が止められなかった。
「……ついに此処まで辿り着けた。ジェネラル級のドラゴン……竜のトップ」
ゆっくりと歩くような速度で飛ぶロス・ヴェルト(針を動かす者・g00100)は、氷のベディヴィア卿の蒼い巨体を見下ろしつつ声を漏らす。
「そうだね……あたしもあいつから赤い糸って奴を感じるよ」
同じように氷のベディヴィア卿を見下ろしていたコンスタンツ・トパロウル(生き残りの撃竜騎士・g05674)は、ドラゴンに恨みを持つ者としてジェネラル級は避けては通れない相手。
何時かは倒さなくてはならない相手とこんなに早く巡り合うとは運命的な物を感じる。
「まあ、赤い糸を染めてるのは、あいつから流れる血の朱で……だけどね」
「ははは、そりゃいい……俺もあいつを越え、他のジェネラル級をも退け、その先にいるアーサー王の元へと行かせて貰うためにも……」
コンスタンツの言葉に豪快に笑ったロスは、白くなった髪を搔き上げると……猛禽のような瞳で氷のベディヴィア卿を睨みつける。
そして二人は同時に決意を口にする。
「……貴様は此処で滅する」
「……あんたはここで倒す」
同時に宙を蹴った二人、まず仕掛けたのはコンスタンツ……パラドクスで生み出した多数の機雷を氷のベディヴィア卿の足元で一斉に起爆させ、次々と立ち上る水柱で視界を奪うとドラゴンの牙から作り上げた大剣で斬り付ける。
「どうだい、同族の牙で斬られるのは……お行儀が良くないのは勘弁してくれよ、文句があるなら捕まえてみな!」
挑発しつつ大剣を振るうコンスタンツに向け、蒼い魔弾が放たれる。
いくつかは機雷の爆発で迎撃したが、潜り抜けた魔弾に撃たれ燃え上がるコンスタンツ。
だがロスは時計の針は前と進むだけと彼女の無事を祈りつつ、竜を素材に作った西洋剣を手に氷のベディヴィア卿の頭部を目掛け飛び上がった。
「貴様がどれだけ高く飛び、どれ程の人間を見下して来たかは知らないが……貴様も同じ目線に落としてやろう!」
頭上へと飛び上がり、重力に任せ振り下ろす単純な一撃。だが、だからこそ磨かれれば必殺の一太刀になる。
数多の竜を一刀に斬り伏せてきたその刃だが、相手はジェネラル級……傷を与える事は出来たが斬り落とす事は出来なかった。
そして氷のベディヴィア卿と至近距離で向き合ったロスは彼の声を聞く。
『ディアボロスよ……我をこの程度で倒せると思うたか?』
【焼成(キュイール)】……その声と同時に蒼い魔弾がロスを襲うと全身を蒼く燃やす。
「折れるな、勇気だっ!」
その声に反射的に勇気を振り絞り耐えるロスの身体を、コンスタンツが間一髪助け離脱する。
アーサー王の加護で回復させる事はなかったが、氷のベディヴィア卿、まだその力は衰えず……。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV5が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
【動物の友】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV2が発生!
【怪力無双】LV4が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV4が発生!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV5が発生!
【ガードアップ】LV2が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV2が発生!
【能力値アップ】LV3が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
レイ・シャルダン
連携、アドリブ歓迎
味方は居ないのですか?
真に主の身を案じ、この地を護る決意をしたのであれば
どんな手を使ってでも、頭を下げてでも
貴方1人で来るべきでは無かったんです。
【Boeotia】のテンプルをノックして起動し各武装の制御を託す。
機械魔導弓【ACRO】に矢を番えパラドクスを発動。
展開された3つの魔法陣を経由し、我が鏃よ、青き竜を討て!
超常結界式【アルヴァーレ】を起動し障壁を展開
敵の魔眼の効果をほんのわずかでも遮断しよう。
そしてボクは【精神集中】【忍耐力】で心を強く…
この心が貴方に恐怖し、信仰する事等無い
貴方と違い、ボクには隣に立つ仲間がいる。
そしてその仲間も貴方に負ける事等無いと信じている。
一里塚・燐寧
共闘・アレンジ大歓迎
んふふ、とうとう氷のベディヴィア卿ともお別れの日だねぇ
綺麗な氷の翼をかき氷にしたげるよぉ!
巨大鎖鋸剣≪テンペスト・レイザー≫を手に
【飛翔】の最高速度で洋上のベディヴィア卿に迫るよぉ
近づいても勢いを殺さぬままぶつかる【捨て身の一撃】の構えで
『屠竜技:斬翼閃』を発動
轟音あげて廻る鋸刃で翼を狙って斬りつけ
ガリガリと破砕しながら【呪詛】を傷に注ぎ込んで腐らせていくねぇ
反撃には
敵から意識をそらさないための【精神集中】と
どんな傷も痛みも恐れない【勇気】で立ち向かうよぉ
出会った大切な人たちを惨殺される幻影には殺意を滾らせるまで!
ふーん、こんな風に死にたいんだ?
待っててよ。試してみるからさ
ナイナ・ヴィラネスティズム
SPD
同選択肢の味方との協力重視
使える効果2は全て使用
「あなたとの顔合わせもここまでとさせていただきますわ。殴られる覚悟をなさって」
マジックグレネードで牽制をかけつつ一気に接敵してヴィラネストアーツ
敵の懐に格闘の連撃を叩き込む
「同化」の反撃に対しては精神攻撃を防御に活用しつつ「託されし願い」で共に抗う仲間の姿を映しながら耐え凌いでみせる
大切な人や物・・・例えばこの場で戦う仲間の無残な光景を見せられるのならばそんな幻影など逆にこちらから破壊して差し上げます
この場にいるのは私が武運と勝利を心から見込んだ仲間達だけですの
睨みつけられた程度で怯むような心など持ち合わせておりませんのよ
私達を見縊るなよ
音羽・華楠
今月はジェネラル級との決戦が多いですね。
何度挑んでも昂ります。
ベディヴィア卿が空中に居ようと関係ありません。
《雷幻想・斬鉄》を届くまで伸ばし、【両断】します!
反撃で受ける恐怖や信仰は『名も無き鈴の髪飾り』に触れ、兄さんを想って耐えます。
私には兄さん以上に信じるものは存在しません!
そして、兄さんを想えばどんな恐怖も【勇気】を持って乗り越えられます……!
……その兄さんが喪われる幻影は苦しいですが――実は本物の兄さんの最期を、私は知らない。
彼より先にクロノス級相手に倒れ、新宿島へ流れ着いたから……。
一番大事な人の最期を看取れない方が、最期を見せ付けられるよりつらいのよ!!
この程度で屈するかぁっ!!
リエル・ドラン
再戦だな
ちょっとは俺たちの、アンタが持たない繋ぐ闘い分かってくれたか?
【戦闘具召喚】で攻撃
石などを引いた場合は【投擲】するなど【臨機応変】に【フェイント】【不意討ち】交えて対応しつつ、【幸運】にもよい武器が出るよう祈るぜ
よい武器が出た場合は、武器を使い捨てるつもりで【一撃離脱】の攻撃を仕掛ける
針山のように武器突き立ててやる
反撃は【忍耐力】で耐えつつ、それでもダメなら愛しのユウェルちゃんに【浄化】込めて気合を入れろとオレをひっぱたいてもらうぜ
ドラゴンは嫌いじゃねぇけど
それより大事な、幻影じゃない本物が今確かにここにいる
大事なものをまた失うのは勘弁だ
だからここで戦意を失って倒れるわけにはいかねぇ
鳳・四葉
○心情
・凍てつく冷気の竜が相手ならば、激しく燃える不死鳥が相手をしましょう。ボクたちの炎、ちょっとやそっとの冷気では消えませんよ。
○攻撃
・飛翔を駆使して高速飛行。「Afterburner」から炎を噴出し、超加速しながら、ユーカリプタスと一緒に一撃を喰らわせる
○反撃対策
・魔眼によって齎される恐怖には怒りと情熱を燃やすこと、大悪魔ユーカリプタスとの契約「どんな辛いことがあっても復讐を遂げなくてはならない」を遵守することで対応する。…どんなに怖かろうがボクは止まれない
・家族が壊される幻影は…毎日のようにユーカリプタスに見せられているんだ。契約を忘れるんじゃないわよ…ってね。見慣れているんだよ、糞が!
奉利・聖
耐えるのは昔から得意です
死人ですからねぇ…死ぬほど辛いことも何千回と味わってきました
いいじゃないですか、幻影
見せてくれるなら存分に見てあげましょう
<呼吸法>に気を練り上げ、<オーラ操作>で錬気を纏いましょう
──『斬気功』
この龍骨はただの棒切れのようなものですが…こうして気を纏わせておけば、剣のように斬ることができるんですよ
深く、えぇ…深く刺し入れて、出来る限りの傷を作ってあげますよ
──恐怖、信仰
もはや浴びるほどに死を平らげた僕にとって、怖れは無い
何かを信仰するほど、縋る気も無い
で、幻影ですか?<呼吸法>で精神を安定させる
人も、物も、文明も
何度失ったことか
壊れた心は、これ以上壊れようが無いんです
リュヌ・ドゥートランキルテ
アドリブ連携歓迎します
恐怖もある。怖いって思うさ
けれど、それでも前へ進まなきゃ行けない。怖いってのは、健全だって証拠だぜ?
その怖さを、危機感を、オレは手にする
誰かが前に、恐怖を抱き、それを武器にして──!
嫌な景色、辛い思い出、逃げたくなる──
目を背けたくなるものばかりだ
けれど
オレの大切だったものは過去にあって、大切にしているものはすぐ側にある
だからわかる。これらは全部、まやかしだって
【看破】してみせる
戦場を走り回り、基本的にはサポートよりの戦いを行います
戦場はまだ慣れないですが、よく見える目で全体を把握します
【頬を撫でる女神の息吹】から生まれる風を、ベディヴィア卿を攻撃します
赤薙・夜明
人の心を蝕む魔眼ですか。魔術や異能のようなものはよくわかりませんね。
でも。私は負けません。
失ったものは記憶喪失の私には思い出せませんし
今覚えて居る大切な人はこの戦場で今も戦って居るのだから!
レイさん! 居るのでしょう!
答えが返ろうと返るまいと、親友は私に勇気をくれる。
恐怖とまやかしには【勇気】で立ち向かう!
そして先に目を逸らすのは貴方の方です!
【観察】し、相手がアンテグレを使う隙を【看破】!
【早業】で【銀鍵】を装備。
【不意打ち】で【Daybreaker】の【貫通撃】
例えまやかしの声でも。彼女が私に助けを呼ぶのなら私は崩れない。
より強い力で立ち向かい続けるだけです。
園田・詠美
いかにもファンタジーで魔法の出番っぽい感じで燃えますね!
先手を譲って頂けるなら遠慮なく!
目には目を、氷には氷を……というわけではないですが!
ありったけのフリージングミサイルをその顔目掛けて連続で発射、発射発射!
敵の魔眼も氷で覆われたら少しは効力が下がらないかなぁという打算込みで最大化力をぶち込みます!
恐怖に信仰……ブラック企業に務めていた頃の虚無を思えば、むしろそんな風に心が揺れることすら嬉しいですね、そしてそれに抗おうと思えることも!
大切な物? それは勿論、今の生活……そして、それを壊そうとしているのは目の前の貴方!
抗うべき相手が目の前に居るというのに、心を奮い立たせない理由などありません!
呉鐘・承李
【アドリブ・連携歓迎】
精神を研ぎ澄ます。
放つは風の刃。そして――反撃が、来る。
……ベディヴィアの前に立つ度に、幾度となく見てきた光景。
友が、大切なモノが、壊されていく。
そして……そうだよな、やっぱり最後に来るのは、あなただ。――師匠。
大切だった、大好きだった師が目の前で壊されていく。お前のせいだと、怨嗟を紡ぎながら。
そんな光景に、存在しない筈のトラウマに、恐怖を、怒りを
……抱いていたんだろうな、前までならば。
俺は新宿島で、大切な人達を見つけた。
だから――もう、心配しないでくれ。
今日、ここで。あなたを……超える
抜刀、そして一閃。自ら師の幻影を断つ。
思い出に沈むのは、ここまでだ。
俺は、先に進む。
ユーベリアル・ヴァルトグラーフ
アドリブ、連携歓迎
■行動指針
波状攻撃
仲間の攻撃に合わせて間髪入れずの一撃を加えることを第一に考える。
■戦法
妖精と人形の融合体を操作して戦うパラドクスを用いる。
・妖精人形トートロジー
大鎌を持ち、呪いを操る。
『聖剣があれば、私も直接戦えたのですがね……。仕方ありません、今ある手段で最善を尽くす。これが戦争の常ですから。さぁ、行きますよトートロジー』
■攻撃
効果︰腐食を与えることに専念。
『加護という鎧の中は存外脆いのかもしれませんね。騎士として、呪いを用いるのはどうかと思いますが…。今は仕える王さえ奪われた身ゆえ、ご容赦願いたい』
アデレード・バーンスタイン
グレートブリテン島に卿を近づけてはきっと…グレートブリテン島にさらなる戦火と恐怖をばら撒いてしまうことになりますわ。
秩序と平和の守護者として、それだけはどうしても看過できませんわ!
可能ならば【飛翔】の効果を使用。
進軍するベディヴィア卿を周囲から囲むように攻撃を仕掛けます。
また【光学迷彩】を付与し包囲襲撃する味方を手助けをします。
接近したら【光学迷彩】により意識外からベディヴィア卿に【不意打ち】を仕掛け強烈な踵落としをお見舞いします。
攻撃時に【アヴォイド】を付与し反撃によるダメージ無効の確率を高めます。
反撃に対しては秩序と平和の守護者としてこのディビジョンを守るという確固たる意志で対抗します。
エリザベータ・シゲトヴァール
●行動
【飛翔】し最大高度より急降下、最大速度で交戦。
たとえ相手がジェネラル級であろうとも【空中戦】なら負けない。
【戦闘知識】【一撃離脱】の技能とスーパーチャージャー、耐Gスーツ、強心剤も駆使。
鼻先をマシンピストルの掃射で【制圧射撃】してから爆撃槌を【捨て身の一撃】でフルスイング。
●反撃対策
私は聖イシュトヴァンの護国の剣。私の心も全て祖国と民族の誇りの為にある。
国を滅ぼされる様を見せられても怯まない。こんなのはただの幻影。二重帝国の崩壊はこの眼で嫌という程見てきたし……ブダペストが焼かれる姿は新宿島に来てから『未来の歴史』の記録映像で知った。
それでも、私の祖国は灰の中から必ず甦ると信じているわ!
●『同化(アンテグレ)』
氷のベディヴィア卿へ対するディアボロスたちの第一波攻撃が終了する。
炎に焼かれ、心臓を貫かれ、ダメージを負った者も多く、立て直しのために一度安全圏まで退避していく。
だが攻撃の手を止む事は許されない……ジェネラル級ドラゴンと言う惧れを吹き飛ばし、アーサー王の加護を撃ち砕くまで。
第二波の先頭に立つリエル・ドラン(サーヴァントコンプレックス・g01912)は、彼に続く仲間たちに声をかける。
「いいか、氷のベディヴィア卿は心をへし折ろうと幻影を見せてくる……折られないように心を強く持つんだぜ!」
オーッ! と彼に応える仲間たち……背に乗る愛するミニドラゴンのユウェルも頬を摺り寄せて来る。
暖かい体温が風を切る寒さを忘れさせてくれるが、ここから先は戦場だ。
気を引き締めたリエルはパラドクスで武器を生み出すとそれを見る。
「結束手榴弾……もっと殴ったりするのが良かったんだけどな、まあ開幕の花火には丁度いいんじゃねぇの?」
そう呟くとユウェルに耳を塞ぐよう告げ、手榴弾のピンを抜き氷のベディヴィア卿へと上空から放り投げる。
爆発の派手な音とともにディアボロスたちが一斉に降下していくが……蒼いドラゴンの頭がこちらを向き、その蒼く輝く魔眼と視線が合った。
「くっ、寒くなって来た……これが奴の反撃か」
確かに氷のベディヴィア卿への畏怖と信仰が心に湧き上がってくるが……だが耐えられないほどではない。
そんな時、フッと背中にいる筈のユウェルの感覚が消えた。
どこへ……そうリエルが左右を見ると、正面には蒼いドラゴンが大きく口を開けている。
その口の中には、愛しい白いミニドラゴンの姿……幻覚だ、あれは幻覚だ、だがもし本物なら。
「や、やめろー!!」
思わず口に出た叫びも空しく、開かれていた口は閉じガリゴリッと骨と肉が砕かれる音だけが響く。
咀嚼音が響くなか、膝をついた彼の前へと吐き出される紅い固まり……それは、恐怖で固まったユウェルの頭であった。
血に濡れる事も構わず抱き上げると、ソレはだんだんと温もりが抜けていく。
声にならない声を上げるリエルに向かい、ゆっくり氷のベディヴィア卿が近づいてくる……このまま首を垂れればユウェルと同じように頭を砕いてくれる。
そう折れかけた彼の頬を叩く僅かな感触が彼の魂を呼び戻す。
それは確かな暖かさを持ち、何度も何度も小さな力だがリエルの頬を叩く。
「愛しのユウェルちゃん……そこに、いるんだな」
目を閉じて抱きしめたそれは暖かく、春の訪れを感じさせ……瞳を開くと彼の前には心配そうな顔をするユウェルの姿が。
「もう大丈夫だ、心配かけたな……みんなは!?」
振り返れば、攻撃を仕掛けたディアボロスたちが次々と氷のベディヴィア卿に屈しようかと膝をついている。
リエルとユウェルは、急いで仲間たちの元へ翔けるのであった。
「ここは……どこですか?」
青いバイザーを上げ、周囲を確認するレイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)。
直前までは確かにこの手にした機械魔導弓で放った一撃で氷のベディヴィア卿へダメージを与えていたはず。
だが今は彼女の周囲には薄っすらと闇が降り、大勢いた筈の人の気配も感じない。
暗闇を彷徨う彼女に、暖かな声がかけられる……振り返った先にいたのは赤薙・夜明(白蛇の手の後裔・g00805)の姿。
「レイさん、どうしたんですか? 戦いは終わって平和になったんですよ、そんなのもう要らないんです」
そう言うと彼女はレイの装備を次々と剥ぎ取っていく。
弓が落ちゴーグルが捨てられフライトデバイスが失われると、まるで裸にされたようで恥ずかしくなるレイであったが、夜明は楽しそうに笑い……そしてそっと手を取ると歩き出す。
「この世界はクロノヴェータ様の物になったんです、私たちも早く貢物になりましょう」
そう言う彼女の手は冷たく、まるで氷のよう……凍えるような寒さを感じつつ連れていかれた先では、蒼いドラゴンがレイの大切な人たちをその爪で、牙で、炎で解体している現場であった。
「ね、ねぇ、ボクたちは……氷のベディヴィア卿に勝ったのではないのですか?」
笑顔で列に並ぶ彼らの先頭で、青い髪の長髪の少年が笑顔のまま首を落とされた光景を見てしまった彼女は、顔を青ざめたまま隣に立ち少女に恐る恐る尋ねる。
逃げようとしてもその冷たい手は強く握られ離しては貰えず、列の最後尾に強引に並ばされるとやっと少女は答えてくれた。
「何言ってるんです? この時間もあの時間も、全てクロノヴェータ様に捧げられるんです……勿論私も、あなたも」
そう夜明が告げた瞬間、掴まれていた彼女の手から先が無くなる。
見れば斬られた腕から血を流し、何本もの長槍に突き刺され掲げられた夜明は……白い顔に真っ赤な血化粧をしながら、歌うように微笑んでいる。
気が付けば彼女を取り巻くように捨てられた筈のレイの魔導弓に光の矢が番えられ、フライトデバイスからは小型砲台が展開し、両肩にあった筈の固定砲台が目標を定め、それらが全て夜明を狙っている事を強引に取り付けられたゴーグルが教えてくれる。
「……めて……やめ……やめてください、ボクの大切な仲間を、これ以上壊すのはもう止めて欲しいんです!」
叫ぶレイに、夜明の口が動き……そして声を発する前に撃たれ貫かれ血が飛び散る。
「あああああああっ!!」
小さな胸で揺れるペンダントを……彼女がくれたペンダントを握り叫ぶレイ。その先端がチクりと掌を刺し、屈した膝に血が零れる。
「……血が、熱い、のですか?」
ドクンドクンと早鐘を打つ心臓、熱い鼓動は掌の中から……そっと開くと、ペンダントから彼女の声が聞こえる。
「……はい、ボクは負けません。独りぼっちの貴方と違い、隣に立つ仲間がいますから」
ペンダントに意識を集中すると、呼びかける声が大きくなる……目を覚ませば、夜明の膝の上であった。
「起きましたか……起きなければ無理やり起こそうかと思っていた所です」
心配そうにのぞき込む夜明の赤い瞳はいつもより赤い気がする……彼女はあの世界で何を見たのだろうか?
そう考えつつ起き上がると、そっと彼女の手を握る。
「声が聞こえました、ありがとうございます……うん、暖かい」
握った夜明の手は暖かく、あの夜明とはまったく違うと現実に戻ってきた事をレイに実感させるには充分であった。
「航空突撃兵の実力、その身で味わうといいわ!」
高高度を飛翔していたエリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)は、上半身を大きく振ると一気に降下姿勢へと移る。
過給機が限界を超えた空気をフライトレッグへと押し込み、身体中の血液が脚へと集まり暗くなる視界と意識を対Gスーツが締め上げ辛うじて繋ぎ止める。
空気の壁で銃口が暴れる機関拳銃から伸びるストックを脇に押し当てると必死に宥め、セレクターをフルオートにセットすると初弾をチャンバーへと叩き込んだ。
「最高速度からの一撃離脱……氷のベディヴィア卿よ、私を捉えれるかしら!」
サイレンのような音と共にダイブしたエリザベータはサイトからはみ出すぐらいまでその蒼い巨体に近づくとトリガーを引き絞る。
短銃身の宿命か、目標を中心に散らばるように着弾するが気にせずマガジンが空になるまで撃ち尽くすと爆撃槌に持ち替え巨竜の鼻先に叩き付ける。
装填された炸薬が爆発する感触を感じつつ、身体を持ち上げ迫る海へと墜ちないように、それでいて速度を落とさないようにと海面スレスレを飛行し離脱しようとしたエリザベータ。
だが氷のベディヴィア卿の魔眼はあっと言う間に小さくなる彼女を捉えると服従を迫る。
「私は栄えある二重帝国の兵士、主君を変えるつもりは無いわ!」
この身体も心も全ては祖国と民族の誇りのために! そう誓う彼女は氷のベディヴィア卿に服従を誓う事はない。
そう、だから彼女は見てしまう……その護るべく祖国の民が戦火で焼かれる姿を。
君主である皇帝であり国王が討たれる姿、そして二つの国民が次々と撃たれ焼かれ灰燼に帰す光景。
……新宿島で知った祖国の最後とは違う、より凄惨で悲惨な姿を彼女が諦めるまで何度となく繰り返される。
世界一美しい街と言われた彼女の故郷は至る所から火の手が上がり、その空を一人飛ぶうちにふと街を流れる大河が見える。
このまま故郷に沈むのも……失速寸前まで速度が落ちていたエリザベータはどんどん高度を失い、街を焼く熱を肌で感じるまで降りてきた。
しかし、その熱が彼女の心に火を灯す。フライトレッグに力が戻り、一気に上空へと舞い上がった。
「私の祖国は……灰の中から必ず甦ると信じているわ!」
気が付けば彼女は青い空を飛んでいた……悪夢は遠く後ろへ振り切ったのだ。
「いかにもファンタジーで魔法の出番っぽい感じで萌えま……燃えますわね、先手を譲って頂けるなら遠慮なく!」
氷のベディヴィア卿を前にハイテンション気味に叫んだ園田・詠美(社畜(元)系魔法少女・g05827)は、FOX3と叫びつつ機械仕掛けの魔法の杖より冷気を封じたミサイルを乱射する。
推進装置から煙を引きながら氷のベディヴィア卿の魔眼を目掛け飛翔するミサイルは次々と命中するが……蒼い巨竜が頭を振れば凍り付いた着弾地点は砕けて元に戻ってしまう。
逆に詠美は氷のベディヴィア卿の魔眼で睨みつけられ、心が仕事をしていた時の月曜の朝のように重くなっていく事を感じるのだが……魔法少女(と書いてディアボロスと読む)となった今なら怖くはないと振り切ろうとした。
「……ここは?」
気が付けば詠美は電車に乗っていた。
つり革に掴まる彼女の周りには、スーツ姿で会社に行く人ではなく一緒に依頼をこなした仲間たちの姿。
「そ、そうよね、もう会社はないんだから……」
一瞬、今までが夢でありそれが覚め、今日も満員の通勤電車に揺られて吐きそうになりながら出勤する……そんな事を思い浮かべて苦笑いをしていると、向かいで座る少女が突然昔の上司へと姿を変える。
えっ、と思う間もなく冒険を共にした仲間たちは次々と社畜時代の同僚であったり先輩であったり、XXXな取引先へと姿を変え、空いていた車内は気がつけば満員に。
『XXXX! XXXXXXX!!』
「あの、その、すみません……って、なんで私は謝ってるの?」
怒鳴られ続けて心を病みかけていた詠美であったが、その右手に魔法の杖がある事に気が付く。
「……これは幻影、会社はもうないのよっ!」
そう叫んだ詠美は魔法の杖を掲げ、車内でミサイルを発射する……特にピーーーな上司とピーーピーーーな取引先には念入りに撃ちこんだ。
「ふう、スッキリしたわね♪」
気が付けば幻影の電車から抜け出していた詠美は、うーんと笑顔で身体を伸ばしたのである。
「んふふ、とうとう氷のベディヴィア卿ともお別れだねぇ……記念にその綺麗な氷の翼をかき氷にしたげるよぉ!」
上空から氷のベディヴィア卿に迫る一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)……手にした大剣仕立ての鎖鋸が彼女に応えるかのように、翼を削らせろとギュンギューンと心地よく唸る。
「かき氷か、シロップはメロンだよな? いやイチゴも捨てがたいぜ……」
天使の翼を広げて隣に並ぶリュヌ・ドゥートランキルテ(天使のガジェッティア・g01655)が空中で器用に考えるポーズを取る。
だがその指先が震えている事を見抜いた燐寧は、安心させるように軽口を叩く。
「えぇ、ガリガリって削って食べ放題だよ? 食べ過ぎてお腹を壊さないようにだねぇ、ねぇ天使ちゃん?」
「ちょ、まてオレは男だぜ、ちゃん付けはないだろ!?」
戦闘には不慣れなリュヌであったが、燐寧との会話で緊張が解れていく……だが楽しいお喋りの時間は長くは続かなかった。
「それじゃ、天使ちゃんがオトコノコかどうかは、あのドラゴンの反撃を耐えきったら認めてあげるよ!」
そう言うと、一気に降下し鎖鋸で翼を削っていく燐寧……リュヌも彼女を援護すべく、戦場を見渡すと動こうとする頭を狙い真空の刃と空気の塊を絡めた風を放つ。
「くっ、ダメだ、止められない……逃げろ!」
放たれた風をそよ風かのように往なし、魔眼を光らせつつ燐寧へと頭を向け持ち上げる氷のベディヴィア卿の姿に思わずリュヌが声を上げる。
しかし彼女はその声に、まあ任せるんだよと指を立てて見せた。
そして魔眼が光り……幻影に囚われたのか燐寧はその場に倒れる。
駆け寄ろうと翼を広げたリュヌであったが、次は彼だと氷のベディヴィア卿は瞳を向ける。
あっ、と声を上げる間もなくとてつもない重圧に襲われ、それに耐えたと思うと次は見たくない光景が広がる。
過去の光景、暖かいリビング、賑やかな夕食……笑顔で溢れる家族の姿が枯れ落ちていく。
逃げ出そうと席を立つが、軽やかに走るはずの彼の足は床に沈み動く事が出来ない。
そして時間が流れ朝が来て、楽し気な朝食が始まり……次はボロボロと両親の身体が崩れていく。
朝が来て昼が来て夜が来てまた朝が来て……リュヌの心が壊れるまで家族は黄泉帰り壊れていく姿を見ているうち、彼は改めてきっかけに気付いた。
「……オレの大切だったものは確かにここにあったぜ。だけどな、それを取り戻すためには前に進まなきゃ行けないんだ」
奪われた歴史で失った家族……戦わなければ帰って来ない。だからオレは「それをなんとかする」んだ!
そう叫んだリュヌは、気が付けば燐寧の胸に抱かれていた。
「おっ、戻ったね……おめでとう、天使ちゃんは天使くんに昇格だよっ!」
ピンクの髪を楽しそうに揺らす彼女に、リュヌは思わずどんな幻覚を見せられたのか尋ねる。
「うーん、似たようなもんだよ? 大事な人とか友達とか……思い出を穢されたからには、同じ目に合わせて殺らないとだよねぇ?」
可愛く笑いつつ殺意を隠さない燐寧の言葉に怖いと感じつつ、だがそれも武器にしないといけないと学ぶリュヌであった。
「兄さん? どこへ行かれるんですか!?」
どこか懐かしく、そして凍えるほど冷たく長い廊下を音羽・華楠(赫雷の妹狐・g02883)は必死に走る。
前を走る義兄に追いつくべく髪留めの鈴を鳴らしながら走るのであるが、その距離は一向に縮まらない。
このまま行かせてはいけない……それだけが彼女を走らせる。
廊下の外から見知った声が聞こえる……走りつつも外を窺うと、そこには新宿島に来てから知り合った仲間たちが見るも無残な姿に変えられていく光景と血の匂いで溢れていた。
だが、それより義兄だ、追いつかなくては……また失ってしまう。
そう走る彼女の前で義兄はピタリと脚を止めると、こちらへと振り返る。
『華楠……私はどう死んだと思う?』
突然かけられる懐かしい声……だがその問いかけは彼女にとって残酷なものであり、義兄の死の瞬間を知らない彼女は一瞬様々な死に様を思い浮かべてしまう。
『なるほど……では、それを見せよう。好きな死に方を選ぶがいい』
次の瞬間、舞台は変わり始まるのは最愛なる義兄の、残酷すぎる断末魔のショー。
炎に燃やされ、矢に撃たれ、槍に刺され、剣で四肢を斬り落とされ……想像してしまったありとあらゆる死に方で殺され続ける義兄の姿。
そして決まって最後は華楠の名を呼ぶのだ。
……耳を引き千切り、目を貫きたい欲求が彼女を追い詰めていく。
『どうだ、私の死に方はどれが好みだ? 決めれないなら何度でも繰り返そう』
首を落とされた義兄が華楠の前に立ち、無い筈の口から優しい声色で問いかける。
繰り返される悪夢に、無意識で華楠の手は鈴の髪飾りへと伸び……澄んだ音色が辺りに響いた。
「兄さんの……一番大事な人の最後を看取れなかった罪はね、どんな最後を見せ付けられるのより辛いものなのよ!」
吼えた華楠は、死の誘惑に屈するものかと立ち上がる……そこにはもう苦しい顔をした義兄の姿はなかった。
「姉さん、今日のネタはとっておきだぜ! 動画見て思わず爆笑だったからな」
自慢の姉に仕入れたばかりのお笑いを披露しようとし、また動画ばっかり見て……宿題はしたの? そう夕食の支度をしていた母に怒られる。
それを見ていた父がまあ良いじゃないか、どんなものか見せて貰おうかと助け船を出してくれた。
「よーし、今日こそオレのネタで笑わせるから覚悟するんだぜ? ショートコント……」
自慢のネタを披露した彼が振り返ると、家族は物言わぬ塩の塊になっていた。
怒ると怖いが優しい母さん、困った時には助けてくれた父さん、そして美人で優しい自慢の姉さん……サラサラと風に乗り散っていく家族の姿に少年の心は深く傷付けられる。
だが……それは彼にとっては日常であった。
「……ボクは毎日見せられてるんですよ、この糞が!」
少年は吠える……契約した悪魔に毎夜見せられている悪夢。復讐を、契約を忘れるなと眠るたびに殺され壊されおもちゃにされる家族の姿。
しかし、毎日見せられているからと言って慣れるものではない。
それは確実に少年の心を傷付け蝕み続けている……そんな光景を見せたのだ、まさに虎の尾を踏む行為であるだろう。
少年……鳳・四葉(アンラッキー・クローバー・g02129)は、復讐のために目覚める。
このクソッタレな悪夢を見せてくれた氷のベディヴィア卿への怒りを胸に。
「フム……恐怖と言っても浴びるほど死を平らげた僕にとっては恐れるほどもなかったですね」
一方、奉利・聖(クリーナー/スイーパー・g00243)は大切だと思う人たちが壊される姿を見ても何も感じず、ただため息だけを漏らす。
「人も、物も、文明も、形あるモノは全て壊れるのです……何度失ったか、もう数えてません」
目の前でまた一人、砕けて消えゆくが……それもまた運命と悟ったかのように聖は受け入れる。
その瞳は光を失い、まるで生気を感じさせない。
幾つの死を重ねればこの領域に到るのか、そう感じさせる聖の態度に死者たちが声を上げる。
なぜ壊れないのか、なぜ仲間にならないのか、なぜ見捨てるのか……と。
「見捨てるなんてひどいですね……そうですね、壊れた心はこれ以上壊れようがないんです」
そうあっさりと告げた聖は、手にしたモップに気を込めて地面に突き立てる。
すると闇が晴れ現実へと戻ってきた。
「お兄さん、目が死んでますけど……大丈夫ですか?」
先に目覚めていた四葉が、立ち上がった聖の瞳を見て思わず声を掛けるが……当の本人はと言うと瞳はそのままでニカっと明るく笑う。
「ご心配ありがとうございます、僕は大丈夫ですよ……君はこうなってはダメですよ?」
悲しみに慣れてはいけない、痛みを感じる心を忘れちゃいけない……そう聖は笑うのであった。
死者の列が並ぶ。
これから死者の仲間入りをする列が並ぶ。
その中を進む呉鐘・承李(剣鬼・g06193)は、投げかけられる怨嗟の声を掻き分けながらその列を遡る。
遡るたび、大切な人たちはお前のせいだと恨み声を上げて壊れていく。
そして、列の最後尾にいる人を見つけると……深く吸った息を吐き出し、呼吸を整える。
「そうだよな、やっぱり最後に来るのはあなただ……師匠」
大好きだった、この世で一番大切だった。そんな師が自分を呪い壊されていく……その光景は彼の心を砕くには十二分であった。
だが……それは二度は通じない。
「師匠、俺は新宿島で大切な人たちを見つけたんだ。だから……だからもう、俺のことは心配しないで大丈夫だ」
師の姿に満面の笑みを見せると、能面のような無表情を張り付けた師匠から洟垂れ小僧が生意気言いよるとハナで笑われた気がする。
そして真剣な表情を浮かべると、承李は手にした精霊刀を構える。
柄を通して感じる刃は何時になく重く感じる……そうだ、今日ここで師を、死を超えるのだ。
「……行きます」
ぐっと強く脚に力を入れると承李は音もなく、しかしバネのように一気に踏み込む。
すれ違う一瞬、刃が煌めき……師の幻影がゆっくりと崩れていく。
「立ち会わせて貰った事は礼を言わせてもらう……だが俺は、先に進む」
パリーンと空間が割れるように光が差し込み、気が付けば承李は氷のベディヴィア卿の前で抜刀したまま立っていた。
そしてその蒼き魔眼には、薄っすらと一筋の刀傷が残されていた。
「あなたとの顔合わせもここまでとさせていただきますわ、殴られる覚悟をなさって!」
爆炎のなか飛び込んだナイナ・ヴィラネスティズム(凱閃令嬢・g00383)は、その美しき外見からは想像できない豪快な拳に肘に膝に蹴りにと連撃を繰り出す。
一方的に殴り蹴られる氷のベディヴィア卿であったが、やがてナイナへと首を向けると魔眼で睨む。
同時に彼女を襲い来る強烈な圧迫感……これが恐怖と信仰かと認識した彼女は、共に轡を並べ戦う仲間たちの姿を見て奮起する。
「仲間たちが倒れないんですもの、私が倒れるなんて無様な真似は出来ませんですもの」
悪しからず……と強がるナイナに、『では仲間たちが倒れればどうなる』と声が投げかけられる。
その瞬間、横で攻撃を仕掛けていたディアボロスの上半身が消え、ナイナへと降り注いだ血の雨が彼女のドレスも黄金の髪も真っ赤に染める。
「えっ? ……なに!?」
呆然とする彼女の前で、蒼いドラゴンは次々と仲間たちに手をかける。
一人、また一人とその爪や牙で肉塊になり、アイリッシュ海を紅く染める……だがそれを見たナイナは、呆然とするどころか肩を震わせ笑いを浮かべていた。
「ふふっ、ふふふふっ……」
『何がおかしい?』
蒼い巨竜の問いかけに、ナイナは手近な仲間を掴むと……思いっきり殴りつける。
吹き飛ばされたソレは海面を転がり……そして黒く消えていった。
「やはり……幻影ですわね。そして味方だとは思わないのか、と思っておりますわね? この場に居りますのは、私が武運と勝利を心から望み見込んだ仲間たちだけですの……あなた如きに倒れる者はおりませんわ」
それに、円卓の騎士を名乗る者が自らのポリシーを曲げてまで攻撃する訳はございませんでしょう? そう告げた彼女の笑みに、氷のベディヴィア卿は大きく笑う。
「私たちを見縊るなよ、ですわっ!」
力強く踏み込み、氷のベディヴィア卿を殴り飛ばしたナイナの雄叫びは戦場で崩れかけそうな者たちに立ち上がる勇気を与えるのであった。
「なるほど……これが屈しない者への報い、と言う物ですか……」
メイド姿で大鎌を持つ妖精人形が、主であるはずのユーベリアル・ヴァルトグラーフ(天籟の妖精人形遣い・g00107)の意思に背きその凶刃で奏者を斬り付ける。
その刃は、先ほどまで氷のベディヴィア卿へと向け振るわれていたはず。それが自らへ振り下ろされるとは。
ずぶずぶと傷跡が腐りはじめ動けない彼を残し、無表情の妖精人形は次々と彼の大切な人たちの首を撥ね、腐食させては壊していく。
騎士として護るべき人たちを自らの人形が壊していく姿に、ユーベリアルの心は絶望に支配される。
「ドラゴンによりアイルランド島が恐怖に包まれたのですから、卿をグレートブリテン島に戻しては更なる戦火と恐怖が……ああっ!?」
炎の質量を残し接近し、強烈な一撃を与えた筈のアデレード・バーンスタイン(エルフのデストロイヤー・g05838)の前で、故郷の森が蒼き巨竜により焼かれていく。
助かったはずの命が燃やされ、砕かれ、助けてくれたはずのディアボロスも森と全てが灰に……護ると誓った筈のモノが手のひらの上からぽろぽろと零れ落ちていく様に、アデレードは立ち上がる事が出来ない。
二人が諦めかけたその時、仲間の声が幻影を破り響き渡る。
空には一筋の光……同時にユーベリアルとアデレードは手を伸ばす。
身体に、心に痛みが走る。このまま倒れてしまえば楽になる……だが、呼んでいる人がいる!
光を掴んだ二人の意識は絶望の闇から浮かび上がり……気が付けば幻影を打ち破っていた。
「トートロジー、無事ですか!?」
「卿は……今だ健在、ですわね」
ユーベリアルは妖精人形が自分の元にある事を確認し、アデレードは氷のベディヴィア卿を睨みつける。
戦いはまだ、これからであった……。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV9になった!
【託されし願い】がLV4になった!
【一刀両断】LV3が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】がLV6になった!
【ダメージアップ】がLV10(最大)になった!
【命中アップ】がLV4になった!
【ロストエナジー】がLV3になった!
苺ヶ谷・紬
確かにあなたの加護は驚異的なものであり
そして何よりあなた自身の力も凄まじいものです
それでも絶えず侵攻するディアボロスたちに一抹の不安さえも抱かないのであれば
そこにあなたの弱さがあるのですよ
私は【グラサージュ】を放ちましょう
ちいさなちいさな砂糖の雪
同じ名前なのに何と矮小なのだろうと
あなたは笑うでしょうね
でもこの力の前に
以前のあなたは退けられたのですよ
いいえ、私一人の力ではありません
ここに集ったディアボロス皆の力の前に!
奮い立たせる闘志が
私の心が凍てついてしまうのを防いでくれる
パイ生地一枚の薄さでも、私の意識が繋がり続ければ
それが
弱き人が強き龍から道を奪い返すための一歩になるのです
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎
【飛翔とガードアップ】を残し次へ繋ごう
あと一手、か
まずは確実に加護を削ぎ、礎を築く
【飛翔】し空中戦を挑む
黄金の光輪に魔法触媒で火炎使いの属性を乗せ叩き込む
反撃の雪は、魔力障壁と光輪で薙ぎ払い少しでも接触を避け
防水のロングコートに帽子、手袋、ブーツで寒さ対策
頭の中では冷静な攻撃分析を
耐える間、呼吸を意識して整え、明確な己を意識する
「停止」に抗う、意思が勝るならば
仲間達の顔を、潜り抜けた死線を、ベルファストの民を思い浮かべていよう
雪を溶かすのは炎……
復讐の業火が燃える限り
ディアボロスがここまで歩み続けてきた事を、止められはしない
……負ける訳にはいかない
その加護、打ち砕かせてもらう
飛鳥・遊里
【可変装甲ギガント】、フライトユニット【リヒト・フリューゲル】装備の空戦仕様
ちまちま削ってる場合じゃないな。最大火力を一気に叩き込む
【マテリアルビルダー】で顕現できるだけのありったけの数のミサイルコンテナを装備し、全力掃射する。遠慮はいらない、全部残さず平らげてくれ
…なるほど、雪か。【フォースフィールド】展開で直接接触や冷気は防げるが、心まで凍てつかせる物とはな
確かに綺麗だ。本当にこの世の物かと思うぐらいな
でも俺は、もっと綺麗で、暖かなものを持っているんでな
帰る場所、いつもの仲間との他愛ないお喋りの時間、そして大切な人との思い出…
つまりはまあ…【明日を生きる希望】だよ。心に灯る、暖かな道標だ
ソレイユ・クラーヴィア
未だ健在なる強きドラゴンよ
その翼を貫く一助となるべく
いざ、参ります
宙に出したピアノの鍵盤で凱歌を演奏
雄々しく、勇ましく、英雄よ高らかに歌い翔けよと
空駆ける幻想の騎士ですれ違いざまの一撃を
可能であれば翼を狙い
空から墜とすことができれば
多少は有利になるかも
反撃には一心不乱に演奏へ集中する事で耐えます
卿は音楽の力を知っていますか
これはただの音の羅列ではありません
聞いているだけで自然と心が安らぎ、沸き立ち、勇みだす
凍てつく魂にも光を宿すもの
この指が動く限り、貴方に屈したりはしません
凍える寒さの中で必死に修練を重ねた事など、珍しくもなかった
この程度の淡雪で、私の音楽を、魂を
かき消せると思わないでください
リヴァル・アーク
ディアボロスたちの波状攻撃、ベディヴィアに付与された加護を打ち破るために、オレも加勢させてもらいます!
思考、精神、その全てを停止させる淡雪。恐ろしいパラドクス……ですが。
この思い、決して砕けることはありません。
龍を斃す。この瞬間、この覚悟だけは絶対に途切れさせません。
パラドクス【天毅の虞】による『殺気』を放ちながら『破壊・貫通撃』の拳の一撃を放ちます。覚悟と『勇気』を持って立ち向かいましょう。
この拳届かせた後……静かに降り積もる淡雪、その力に抗います。
決してベディヴィアから目を逸らしません。斃す。絶対に。
……ここでこちらが倒れるわけにはいかない!お前を斃すために!
シル・ウィンディア
円卓の騎士だからって…
地道に傷をつけてきたんだ。今度こそ、きっと届かせるっ!
攻撃は、精霊収束砲
後が控えているとはいえ…
全力魔法で撃ちぬかせてもらうからっ!
・対反撃
綺麗な雪…
きっと、この雪に包まれて眠ることができたら…
何も考えなくてもいいのなら…
…ううん、違う
ここでなんか、倒れるわけにはいかないっ!
守るものがある。
帰る場所がある。
おかえりと行ってくれる人がいる…
その人たちの為にも、わたしはっ!!
心に勇気をもって、停止しそうな思考に抗って…
火炎使いで炎を生み出して、少しでも暖をとって体の硬直も取り除くよ
…騎士様
これくらいでどうこうできるとは思わないでね
復讐者はこんなところでは止まれないのっ!
アルラトゥ・クリム
魔法使いが、再度興業に訪れたよ
今回でグランドフィナーレにしてみせる!
今回は思いきり、激しいので行くよ!
コネクトでサウンドユニットと『Once Again』を召喚装着
空へ舞い上がり、サウンドもソウルも、魔力も全開で叩き付ける!
「さあ、ショータイムだ!私の歌を聴け!」
(IS:オベリスク(マクロスF))
PDでサウンドウェーブを叩き付けつつ
波動内の侵蝕ウィルスで敵の精神と意識を侵していく
「精神侵蝕はお互い様。どっちが先に音を上げるかな?」
敵の侵蝕は自身に纏った情報ウィルスで相殺・減衰させ
余剰分は精神集中して大声で歌唱演奏する事で意思を強く保ち
可能なら戦場内の仲間の意思も鼓舞する
※アドリブ&絡み連携OK
一ノ瀬・綾音
また会ったねベディヴィア卿。
今度は逃がさない。綾音ちゃん達と勝負だ!
まずは【水魔法】を『全力魔法』で放って攻撃。この海上だ、海の水がそのまま敵になったらどうだろうね?ベディヴィア卿なんてあっという間に飲み込んじゃうよ?
っと、反撃の雪が来たね。
何度受けてもつい眠ってしまいたくなる…けど、『情熱』『勇気』で己を奮い立たせる!
綾音ちゃんには帰ってくるのを待ってくれるみんながいる!ベディヴィア卿、君みたいな鉄砲玉とは違う!
絶対負けるものか、今日この場で、君をゲームオーバーにするために綾音ちゃん達は来たんだ!
あの時に言った勝つための『意志の力』、ゲームでも現実でも大事なそれを、見せてあげるんだからっ!
遠遠・忽
アドリブ・絡み歓迎や
人の積み上げて来た歴史の力、見せたろやないか
対抗法其の壱!
見ない!!
キラキラした雪が思考を鈍らせるんやったら
見ないことで効果を減少できるんちゃうやろか
全然見ないのは無理やから、鏡を使ってみるとかな
鏡は乙女の基本装備やで~
其の弐!
めっちゃ考える!
思考にも加速と勢いがあるんや
つまりフル回転しとったら鈍りにくい!
かといって戦闘と関係ないことに集中するんは危険やから
九九くらいにしとくわ
其の参!
何が歴史やねんとか思った?
ここからや
うちの経験かて、人の積み重ねや
人間、知っとることには抵抗しやすい
うちはグラサーシュを体験しとる
と参枚重ねで抵抗するで
白銀・氷織
即興、連携ともに歓迎いたします
敵は強大です
わたくしたち復讐者の総力を結集させて挑みましょう
氷雪を操る術に関しては、
わたくしにも人後に落ちないという自負が御座います
その力、ことごとくを凍てつかせて御覧にいれましょう
《氷雪使い》と《全力魔法》による攻撃力減衰魔術をもって、
氷のベディヴィア卿の攻撃の相殺を試みます
たとえ一撃でも相手の攻撃を阻むことが出来れば、
その千載一遇の好機を、皆様が勝利の二文字へと繋げてくださると信じます
思考、精神力、生命活動を停止させるグラサージュによる反撃は、
《精神集中》による《結界術》からの防御結界を展開して耐久いたします
それでも力及ばぬ時は潔く撤退いたしますね
竜城・陸
――これを打ち倒せば、本土への到達が叶う
勿論、一筋縄ではいかない相手だろうけど
それでも、ここは押し通らせてもらう
【飛翔】の加護を得て戦うよ
【光使い】の本領、光の権能を以て相対しよう
光で象るのは無数の剣
可能な限りに魔力を収束させ、間断なく【連続魔法】で
既に負った手傷を貫くように(貫通撃)攻撃を重ねるよ
降り注ぐ淡雪が思考を、心を、命を鈍らせる
――何もなくなって、それで死んでしまえたらいい
なんて、昔の俺ならきっと思っていたけれど
もう、そんな風には思わない
何もかもを削ぎ落されようと
「生きたい」というこの思いも
この世界の在るべき様を取り戻したいという願いも
……お前たちへのこの怒りも
決して、消させやしない
エスト・リンフィールド
心だけでなく、命の鼓動をも止める……甘く美しい罠
ならば……甘い糖衣をも融かすような、英雄達の熱い凱歌で、お前の企みを打ち破ってやる
伝承知識、歌唱を活かし、【勝利の凱歌】でみんなの心を奮い起たせ、レジェンダリースマイトを敵に叩き込む
どんなに強大で、その一撃を耐えることすら困難と恐れられる敵が相手でも……知恵と勇気を振り絞り、勝利を得た英雄達
そんな英雄達に迫る仲間の戦いに想いを馳せれば……私の心の臓は、早鐘のように鳴り響く
そして、決して遠くない未来
氷のベディヴィアを討つ……竜殺しの英雄達の姿が目の前に見える
それは、そう……ここに居る仲間達だ!
思考は止まらない
精神は燃えるように熱く
鼓動は一層早くなる
●『糖衣(グラサージュ)』
氷のベディヴィア卿へ対するディアボロスによる第二波の攻撃が終了した。
蒼き巨竜へとダメージを与える事には成功したが、代償として心に深い傷を負った者も多く……攻撃者たちを落ち着かせるため安全圏へと後退する。
しかし繰り返すようだが、氷のベディヴィア卿に施されたアーサー王の加護を打ち破るには卿に対する惧れを打ち破らなくてはならない。
そのためにも、ディアボロスは攻撃を続けなくてはならなかった。
海の碧をその翼に染め第三波の先頭を飛ぶエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は、入れ替わりに下がる仲間たちに敬意を払う。
「ご苦労だったな……残すはあと一手、確実に加護を削ぎ決戦へと繋ごう」
氷のベディヴィア卿はこちらの攻撃に対抗してくる。次に来るのは思考や精神を凍らせる淡雪を降らせ、命まで停止させるというもの。
だからこそ凍らされないよう魂を燃やさなくては……天使の翼を羽撃たかせ一気に高度を上げるとエトヴァは無数の光輪を生み出した。
「負ける訳にはいかない……その加護、撃ち砕かせて貰う!」
光輪が幾つもの軌道を描き氷のベディヴィア卿へと降り注ぐ。
同時に彼の周りに淡雪が舞い踊り……思考が、だんだんと、重く、なる……。
「寒い……」
翼を身を包むようにたたみ身体を丸め、少しでも暖まろうとするエトヴァへと白い雪が降り積もる。
遠くなる意識は海を漂い、ベルファストの街並みを思い出す。
そこでは見送ってくれた住民たちが、ディアボロスたちの無事を祈る姿が。
『ディアボロスの皆さん、無事だと良いのですが……』
『私たちを助けてくれた皆さんです、信じて待ちましょう』
そうだ、俺はこの人たちを助けた……仲間と一緒にベルファストを解放した。そしてこの海の道を開いたんだ。
ラキ火山から始まり、この時代を取り戻すまで長い道を歩いて来たんだ……それがこんなところで倒れる訳にはいかない!
心に灯った炎は一気に燃え広がり全身に熱が行きわたる。
死の眠りに落ちそうな四肢に活力が戻り、エトヴァはゆっくりと立ち上がる。
その心に宿る炎は淡雪程度では消えそうになかった。
「敵は強大です……総力を結集させて挑みましょう」
氷のベディヴィア卿のとは違うが、氷で出来た翼を広げた白銀・氷織(白銀の令嬢・g00151)は青い宝石が埋め込まれた杖を掲げる。
同じ氷を操る者同士、どちらの力が強いか……考えるまでもない。
個々の力ではジェネラル級である氷のベディヴィア卿には敵わない。
だがディアボロスの強みは力を、絆を重ね、そして重ねれば重ねるほど強くなる事。
であれば氷織一人ではなく、共に力を合わせて戦えば……そう呼びかける彼女に仲間たちは応えてくれる。
「氷のベディヴィア卿を打ち倒せば、イギリス本土への到達が叶う……勿論手伝わせて貰うよ」
羽撃たかせた竜翼で風を巻き起こしながら氷織の隣へと降り立つ竜城・陸(蒼海番長・g01002)は、海風で汚れた眼鏡を取り出したクロスで拭き終えると氷のベディヴィア卿に……そしてその先のグレートブリテン島へと視線を向ける。
「せやな、うちらが積み重ねてきた歴史の力、あのキラキラに見せたろうやないか!」
続けて声を上げたのは遠遠・忽(抜きっぱなしの伝家の宝刀・g00329)……こちらこちらで着地の衝撃でズレた少し大きなサイズの眼鏡を指で直すと、うちに任せとけと小さな膨らみを誇らしげに見せる。
「でな、うち考えたんや、どうすれば反撃を防げるかって……でな、こんなのはどうや?」
そう声を上げた忽が荷物から取り出したのは女の子らしい可愛いデザインの手鏡。
これをどうするのかと言う二人の問いかけに、鏡の向きを変え蒼いドラゴンを鏡面に映した彼女は自慢げに告げる。
「対抗法其の壱! こうやって鏡に映して、直接見なければどやろ? ほら、メデューサ倒したペルセウスは鏡を見ながら戦ったって言うやんか」
「うーん、ただパラドクスによる攻撃だ……流石に無理だろうね」
残念そうな陸の言葉に、そっかーと残念そうな顔を見せる忽。だがまだまだあるでと次のアイデアを話し出す。
「なら其の弐や! ええか、反撃来たらめっちゃ考えてな、常に思考のフル回転で鈍くなるのに対抗するんやで! まあ、かと言って戦闘以外に集中するんは危険やからな、九九辺りがええんやないか?」
それは……確かに常に何かを考えるのはアリかも知れないと氷織と陸は顔を向け合う。
聞いている範囲では、氷のベディヴィア卿の反撃は凍死に近いと考えられる。
ならば常に何かを考えていれば、思考が凍り単純な計算が出来なくなるまでは意識を保てるかも知れない。
「ふふふっ、なんせうちは一度あの攻撃を喰らっとるからな……あとはあれや、倒れそうになっても一人やない。ここまで人生歩んできて関わった人たちの事を思い出すとええで?」
「そう……ですね、ディアボロスの力は絆の力。強大な相手に対抗するのでしたら、大切な人を想えばきっと力になるでしょうね」
忽の言葉に同意する氷織。陸も彼を慕う人たちの事を思い出すと、確かに負けたくない、生きたいと言う思いが溢れ力が湧いた気がする。
「(昔の俺だったらきっと……いや、今感じている生きて在るべき世界を取り戻したいと言う気持ちに嘘はないんだろうね)」
「どうしたんや? ぼやぼやしとらんと……いくで!」
自身の意識の変革を感慨深げに感じていた陸に戦闘準備を終えた忽が声をかける。
その言葉に我に返った彼はいま行くよと竜翼を広げ、先頭を飛ぶ氷織に追いつくべく強く羽撃いた。
「また会ったね氷のベディヴィア卿! 君とのゲームも今回で終わり、綾音ちゃんたちと勝負だ!」
氷のベディヴィア卿とは再戦となる一ノ瀬・綾音(綺羅星の如く・g00868)は、魔法の杖を突き付けドーンとポーズを取る。
その後ろには普段はおっとりとした笑顔を浮かべている苺ヶ谷・紬(Sucré fraise・g04322)が何時になく真剣な表情を見せていた。
「氷のベディヴィア卿……確かにあなたの加護は驚異的で、あなた自身の力も凄まじいものです。ですが……絶えずあなたを攻めた私たちに一抹の不安も抱かなかったのですか?」
そう、グレートブリテン島へ渡ろうとするディアボロスを阻止するためアーサー王は氷のベディヴィア卿をアイリッシュ海へと派遣した。
確かに反撃で相手を倒す事で惧れを抱かせ、自身の傷を回復させると言うアーサー王の加護は氷のベディヴィア卿自身の能力と噛み合い恐るべき強さである事は違いない。
しかし何度も繰り返し挑み、そして誰一人として倒れないディアボロスの攻撃により少なくない傷を与えられていた。
それなのに氷のベディヴィア卿は今も独り……紬はそれが弱さだと言う。
「そうだよね、綾音ちゃんたちはこうして仲間たちと君を倒しに来た……なのに君は独り、ひょっとしてアーサー王にとって君は鉄砲玉なのかな?」
同意するように綾音が言った鉄砲玉と言う言葉に、氷のベディヴィア卿は反応する。
『我は鉄砲玉ではない。円卓の騎士が一席として……王を守護する者として望んでここにいる。お前たち如きが、我を倒せると思うたか!』
ドラゴンの咆哮は、まるでイギリス本島で待つアーサー王へ届けと言わんばかりに空気を震わせ、彼女たちは思わず耳を抑える。
「ありゃりゃ、怒らせちゃったかな?」
「そうかも知れませんね……ですが私たちが重ねた絆の強さ、お見せしましょう」
ちょっと言い過ぎたかなと頬を掻く綾音に、紬はきっと大丈夫ですよと優しく微笑む。
「それじゃ、まずは綾音ちゃんの魔法を受けるんだよ! この海の水がそのまま敵になったらどうなるかな!?」
杖を振るう綾音に従うように氷のベディヴィア卿の足元の海水が盛り上がると、渦を巻いてまるで水龍のように巨竜へと飛ぶ。
飛沫が弾け、太陽の光が反射し虹が描かれるなか……淡い雪が綾音を襲う。
その光景を見ながら、紬は祈るかのように手を握る。
「あなたが雪を降らすなら、私はちいさなちいさな砂糖の雪を降らせましょう……同じ名前なのに矮小だとあなたは笑うでしょう。でもこのちいさな幸せが……いいえ、ここに集まったちいさな力の集まりに孤独なあなたは負けるのです!」
紬の言葉と共に氷のベディヴィア卿へと粉砂糖がサラサラと降り注ぎ、甘い香りを放ちながら焼き焦がされる。
一人ひとりでは届かないかも知れない。でもちいさな力が集まれば……弱き人が巨大な竜から歴史を奪い返すための一歩になる。
伸ばした手を綾音が掴む。
冷たくなった二つの指先が絡まり、だんだんと熱を持つ。
私たちは独りじゃない! ……二人の少女は、孤独な竜へと叫ぶのであった。
「コイツが氷のベディヴィア卿……アーサー王の加護を打ち破るため、全ての竜を倒すために、オレも加勢させて貰います!」
家族全てを竜によって殺された過去を持つ竜殺しの少年、リヴァル・アーク(竜滅の拳・g00136)は溢れる殺気を隠そうともせず氷のベディヴィア卿の眼前に立つ。
氷のベディヴィア卿はジェネラル級のドラゴン……これまで現れたアヴァタール級やトループス級とは違う分身体ではない本体。
この程度の相手に手間取っているようでは、全ての竜を駆逐する事など出来ない……まずはお前からだとリヴァルは拳を握りしめた。
「そこを動くなよ……この拳でお前を屠る!」
パラドクスの力で強化した脚力で一気に氷のベディヴィア卿の懐に飛び込んだリヴァルは、竜の如き怪力と殺気を乗せた拳を放つ。
……確かな手応えはあった。だが彼が感じたのは、まるで巨大な山に拳を打ち込んだような感触。
「これが、ジェネラル級……」
負けてなるものかと氷のベディヴィア卿へと繰り返し拳を打ち込む彼の周囲に、白い雪が舞い始める。
動いている筈なのにどんどんと身体から熱が奪われ、なんで拳を繰り出しているのかがだんだんと分からなくなってきた。
視界もぼやけ、今すぐ眠りにつきたくなるが、何かに取り付かれたかのように蒼き竜を睨む事だけは止めない。
そんな彼の耳に音楽が流れてきた。
「勇ましいディアボロスに栄光の凱旋を……強きドラゴンを倒すため、いざ参ります!」
ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)が両手に装着したグローブに電源を入れると、空中にピアノの鍵盤が現れる。
鍵盤の前に立ったソレイユが勝利の凱歌を力強く奏でると、その旋律に乗り現れた幻想の騎士が馬上槍を抱え氷のベディヴィア卿へと向かい駆け出す。
「心だけでなく、命の鼓動をも止める甘く美しい罠……ならば、甘い糖衣をも融かすような英雄たちの凱歌よ!」
続いて手にしたソードハープの弦を爪弾き、ソレイユの奏でるピアノとメロディーを重ねるエスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)の歌声が戦場を騎士の決闘広場へと舞台替えする。
そして……エレキギター型の魔導楽器から伸びるケーブルをサウンドユニットに接続したアルラトゥ・クリム(現代の魔法使い・g05088)が軍帽を投げ飛ばすとマイクを手に叫んだ。
「さぁ、急造ディアボロスユニットによるショータイムだよ! 私たちのメロディーを聴けぇぇ!!」
三者三様の音楽が交じり合う決闘広場を駆ける騎士が馬上槍を突き刺すべく飛び上がると、負けじと周囲を飾る赤と白の薔薇が浮かび上がり舞台の中心に立つ氷のベディヴィア卿へと放たれる。
またエレキのメロディーが電子の波となり、氷のベディヴィア卿の聴覚より侵入し精神を侵蝕しようと犯し始めた。
だが……必死に演奏し歌う彼ら彼女らの即興のステージを白い雪が襲い、演奏を止めようと降り注ぐ。
「まだだよ……私は、歌は負けないよ!」
アルラトゥが冷たくなり震える手で必死にピックを弾き、弦を抑える指先から血が滴るのも構わず叫ぶように歌う。
「そうです、この程度の淡雪で私の音楽を……魂をかき消せると思わないで下さい!」
鍵盤を押す指先が何時もより重く感じるが、それを自らが奏でる旋律で奮い立たせピアノと向き合うソレイユ。
「この凱歌の先に見える光景……それは氷のベディヴィア卿を討つ竜殺しの英雄たち。そう、ここにいる仲間たちだ!」
重くなる意識の下、未来に想いを馳せ心臓を早鐘のように打ち鳴らしたエストが絶望に沈むかと声量を更に上げた。
ディアボロスたちのステージは氷のベディヴィア卿を前に止まらず希望の音色を鳴り響かせ、それは倒れかけた仲間たちに勇気を与える。
「……まだ立てる、まだ拳は砕けてはいないんだ!」
希望の凱歌に後押しされ、起き上がったリヴァルが再び拳を構える。
次々と立ち上がる仲間たちの姿に三人は親指を立てると、次の曲へと新たなセッションを奏で始めた。
「これが音楽の力……そしてディアボロスの力か!」
パッセンジャーシートに青い少女を乗せ、音楽が流れる大海原を赤く巨大なバイクが走る。
スロットルを握る飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)は迫る浪を越えるべくハンドルを引き同時にアクセルを開けると、愛機は彼に応えるかのように前輪を持ち上げ空へと翔けた。
「そう、小さな力が重なってここまで来たの……みんなが力を貸してくれる、円卓の騎士だからって怖くなんてない!」
遊里の後ろに座り彼の腰に手を回していた少女……シル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)は氷のベディヴィア卿を一瞥すると、ヘルメットを脱ぎ青い髪を風になびかせる。
「俺たちも……」
「ええ、わたしたちも……!」
二人は行くかと頷き合うと、まずシルがシートの上に立ち空中へと飛ぶ。
「……騎士様、わたしたちには護るものがある。帰る場所がある……おかえりと言ってくれる人がいる。その人たちの為にも、わたしたちは止まらないのっ!」
手にした風翼の装飾が施された白銀の長杖が変形すると先端で魔法陣が浮かび上がり、それぞれの頂点には四色の精霊が宿り力となり輝く。
溢れる力は彼女の背から青白い魔力の翼を形成し、限界まで収束された力は閃光となり巨竜を撃つ。
「ちまちま削ってる場合じゃない、最大火力を一気に叩き込む!」
白い閃光が竜へと向かい横を追い越していくのを横目で見ながら、遊里は愛車のコンソールを操作するとプラズマエンジンが唸りをあげ赤い車体が変形し彼の身体を包んでいく。
パワードアーマーとなった愛車を着込んだ遊里……彼と合体したフライトユニットが翼を広げ、雲の糸を引きながら一気に高度を上げた。
「ミサイルコンテナ展開! 遠慮はいらない、全部残さず平らげてくれ!」
遊里の全身各所にあるハードポイントに装着されたミサイルコンテナが展開し、露わになった弾頭が白煙と共に次々と撃ち出される。
「計器に異常!? 出力がダウン……これが【グラサージュ】か」
突然鳴り響く警告音、メーターを見るとエンジンの回転数がアイドリングまで落ちている。
外を見れば赤いボディに白い雪が張り付いており、振り返るとシルも白い雪に襲われていた。
だが出力が下がったのは僅かな間だけ……搭載されたプラズマエンジンは再び雄々しく吼えると彼の全身に力を満ち溢れさせる。
『何故だ……何故懼れぬ!?』
驚愕の声をあげる氷のベディヴィア卿へ向け、遊里は耳に指を当てる。
「この曲が聞こえるだろう? 力強く今を、そして明日を輝かせようとする歌だ」
『歌……? そんなもので……!』
そう、そんなものだ……がむしゃらに歌う声、帰る場所、仲間とのお喋り……そして大切な人との時間。
何時の間にか遊里の隣には、彼に優しく微笑むシルの姿があった。
「つまりはな……そんなちっぽけな、だが明日を生きる希望が俺たちの心に灯る道しるべだ!」
それがある限り俺たちは負けない! そう言い切る遊里を、そしてシルの姿を映した瞳で周囲を見回せば、氷のベディヴィア卿を取り囲むよう希望を宿した眼で見上げているディアボロスたちの姿が。
『認めるか……認めるものか! 我は円卓の騎士、氷のベディヴィア卿!! ディアボロスよ、そのちっぽけな道しるべとやら……我がすべて消し去ってくれる!!』
惧れを抱かぬのであれば自らの力で希望なぞすべて消し去ってみせよう……その蒼き巨体を震わせ、吹雪を巻き起こしながら追い詰められた巨竜の咆哮がアイリッシュ海に響くのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【飛翔】がLV11になった!
【修復加速】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV2が発生!
【平穏結界】LV2が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV8になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
赤薙・夜明
レイさん(g00999)と参加します
【飛翔】の残留効果が溜まっていますね。
最大速度は時速550キロくらいでしょうか?
レイさんからもらったスーツで多少無理はできるでしょう。
【空中戦】、空でレイさんと一緒にベディヴィア卿と戦いましょう。
悪い夢を見せてくれたお礼に私は悪い現実を見せ返しましょう。
【滅菌漂白】を使用。
薬煙を吹き出す発煙手榴弾を発煙させたまま手に持ちつつ飛行。
航空ショーで戦闘機が煙の文字を描くように飛び回りながら煙幕を描き
ベディヴィア卿を【攪乱】。
素の空中戦は貴方が上でしょうけど、私は友人からもらった力で覆します
空を塗り替え貴方を地に叩き落します!
呉鐘・承李
【かき氷A】で参加【連携・アドリブ歓迎】
……良い夢を、とても良い夢を見た。
お前の瞳のおかげで、例えそれが紛い物でも、また師匠と会えた。
だからこれは礼だ。この手で、引導を渡してやる。
呉鐘承李。呉鐘龍牙のたった一人の弟子にして、お前の命を奪う者。
その首――もらい受ける
【戦闘】
常にアウトレンジから風の刃を放ち、行動を牽制し続け仲間が攻撃を行う隙を作る。
魔眼の幻影……諄い!
我が心、明鏡止水――二度と、その幻は通じぬと知れ……!
【大技】
仲間達の攻撃で疲弊した隙を狙い澄まし放つ。
思い浮かべ、模倣するは師の姿。――いや、それを超えた理想の自分。
限界を超えろ、今、ここで!
あかしま流、秘奥、十の型
――暴風
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎
……何度凍える雪を受けても
かつての仲間達に託された炎、この身ある限り、心ある限り
絶えることはない
【飛翔】し空中戦
最高速度の飛翔で空を翔け、一撃を叩き込もう
ベルファストの民達の、託されし願いと共に
……あの街に、竜殺しの騎士の絵を刻んだ
今がその時だ
ダイナミックに飛翔し、空間にベディヴィアの姿を描き出す
力を過信する者よ、その力に溺れるといい
相応しきは、己が姿に喰らわれる悪夢
さあ、汝自身と踊れ
その淡雪、ここへ集った復讐者達の意志に敵うか?
反撃はコートに手袋で防寒しつつ魔力障壁で軽減し
己が意志で耐えよう
……俺達は、立ち止まりはしない
戦況全体を観察し、攻撃者の援護を行い、負傷者を保護する
シル・ウィンディア
耐えたよ。
そして、加護にはもう頼らせないからね
…ここで、落として見せるっ!
飛翔で空に舞い上がって、空中戦を挑んでいくよっ!
空を飛ぶことに関しては負けないからっ!!
空中から、敵に向って世界樹の翼type.Cからの誘導弾を連射して気を惹いていくよ。ダメージとかそういうのじゃない、一瞬でも気を惹ければ、それでみんなは取ついてくれると信じているから
取り付いたら、世界樹の翼をtype.Aに変形させ、高速詠唱で隙を減らし、パラドクスを撃つタイミングを見計らうよ
狙うは、味方が敵から離れたタイミング。
やり過ごしたと思わせてからの、全力魔法の六芒星精霊収束砲!
これがわたしの全て…
遠慮せずに全部もってけーっ!!
アオイ・ダイアログ
【ヨアケ】から
【飛翔】で声の届く距離へ
さぁ、宣言通り来ましたよ
あなたへ私が贈る最後の歌、是非とも聴いてください
すべての仲間の心に火を灯す
凍れる世界に負けないように
畏怖と喪失の恐怖に負けないように
途塞ぐその翼、焼き尽くして沈めましょう
私たちの意思は、勇気は、覚悟は!
あなた一人で止められるほど温くはありません!
敢えて同じ技で挑みます
【勝利の凱歌】も駆使しここにいる皆さんの闘志を燃え上がらせて、その熱をすべてベディヴィア卿にぶつけましょう
ここが正念場なんです
あの時とは決意も覚悟も違います!
この闘志、凍らせられるならやってみるといい!
私の本気の言霊の歌で塵に帰りなさい!
●『破砕(ブロワイエ)』
「見て、みんな来てくれたよ……!」
歌声が、希望のメロディーが奏でられているアイリッシュ海。
それを掻き消すかのよう巨竜の咆哮が響き、思わず目を閉じ耳を抑えていたシル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)がそっと瞳を開くと、そこには第二波までの攻撃で一時撤退していたディアボロスたちの……いや、それ以上の人影が溢れていた。
総勢は五十名を軽く超え六十名に迫ろうかという人波は、驚く彼女に手を振ると傷付きも誇りを失わない蒼き巨竜を取り囲むように展開して行き……それぞれの武器を道具を構える姿に、シルは思わず隣に立つ青年へと抱き着くと無邪気な喜び顔を露わにする。
「パラドクストレインが運んでくれたって? ……かき氷にしたいとは、お前たちも物好きだな」
呆れた顔を見せる呉鐘・承李(剣鬼・g06193)に、そうつれないことを言うなってと駆け付けた彼の仲間たちが肩に手を乗せていく。
顔では嫌そうな顔をしているのだがその心中はと言うと、幻影のなかで斬った師匠に、こいつらが俺の大切な人たちですと胸を張って誇っていた。
「大丈夫、あなたのスーツなら耐えてみせる……私は、アイツに悪夢のお礼をしないといけません」
心配顔を隠せない親友の手を握りながらが、赤薙・夜明(白蛇の手の後裔・g00805)はあなたからのプレゼントを信じてると優しく伝えると一気に大空へ向け飛び立つ。
目標は氷のベディヴィア卿……ディアボロスたちの波状攻撃によりアーサー王から授けられた加護を失うも、歴史を奪った際に挑んだ過去のディアボロスを全滅させた実力は本物。
「……円卓の騎士に任じられる実力は伊達ではないと言う事ですね」
分析を済ませた夜明は、だが負ける訳にはいかないと強く手を握る……親友の手の感触を忘れてしまわないように、強く、しっかりと。
「さあみなさん、武器を構えて……アイリッシュ海に、そしてアーサー王を倒してグレートブリテン島に夜明けを、奪われた歴史を取り戻しましょう! せーのぉ!」
集まったディアボロスたちの前で大きく息を吸い叫ぶアオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)は、刻逆で失ったピンクの髪をした双子の姉を想いつつ無意識のうちにお揃いの髪飾りを一撫でする。
「(アオイ、思いっきり歌うんや
……!)」
そんな彼女の背をそっと押すかのように姉の声が一瞬聞こえた気がしたと思った瞬間、爆発的な音楽が戦場を支配し、アオイはそれに遅れまいと必死に手にしたハンドマイクへ向けて歌を叫ぶ。
夜明けの歌を……明日の未来を輝かす歌を。
彼女の、そしてディアボロスたちが奏でるメロディーに乗るように、氷のベディヴィア卿へ向けて様々な武器やパラドクスの一撃が豪雨のように降り注ぐ。
アーサー王の加護を失った今、蒼き竜の反撃で倒れても回復する事はない……そんな持てる力をすべて込めたかのような一撃必殺の雨の隙間を抜け、天使の翼を広げたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が巨竜へと迫る。
「何度凍える雪を受けても……この身ある限り、心ある限り、俺たちに託した炎が絶えることはない!」
この場に立つまで、多くの人たちの助けを得た。
そしてその度に託されてきた……この世界を歪みを正し、奪われた歴史を取り戻すと言う希望と願いを。
氷のベディヴィア卿へと力強く宣誓するエトヴァへと蒼き竜が応える。
『吹けば消えるような矮小な火の粉が我に届くと思うたか!? 我の力に惧れ讃え詫び、この海で躯を晒すがよい!!』
そう告げた蒼き巨竜も氷河のような翼を広げ、放たれる暴力の雨に反撃の魔弾を、幻影を、淡雪を返しながらディアボロスたちへと向け迫る。
最後の戦いが、今始まるのであった。
「言の葉は紡がれ夜明けの希望を歌う……茜色に染まれ、氷のベディヴィア卿!!」
アオイの歌う情熱のメロディは彼女と共に参戦した仲間たちだけではなく、支援するディアボロスすべての心に勇気の火を灯し燃え上がらせる。
その炎は氷のベディヴィア卿が広げる氷河の翼へと降り注ぎ、その熱が分厚い氷を融かすように熱を与えると茜色に輝く。
「はぁっ……はぁっ……うん、お姉ちゃん……私は、負けない、だよ……」
汗が蒸発し限界まで息を吐いたことで軽い酸欠になりかけくらくらする頭に、氷のベディヴィア卿が返してきた【グラサージュ】の雪が白く積もる。
その雪を振り払いながら横を見れば仲間たちが親指を立て、武器をペンライトのように振り彼女が再び歌声を上げるのを待っている。
「すぅー……この闘志、凍らせられるならやってみるといい! みんなっ!」
息を吸い込みそう叫んだアオイはマイクを掴むと空気を震わせ、全身からあふれ出す茜色の情熱を歌に込める。
その音楽に背を押された夜明は【飛翔】のパラドクスで出せる最大の速度を絞り出す。
既に時速は500kmを超えており、彼女のほっそりとした白い脚に血流が集まりだしだんだんと視界が黒くなっていく。
「これがブラックアウトですか……でも、このスーツなら」
着込んだ対Gスーツを作動させると痛いぐらいに下半身が搾り上げられ、足元に集まった血が強制的に全身に戻されると彼女の暗くなりかけていた視界がクリアに戻った。
「これなら戦える……ありがとうございます」
親友の贈り物に心からの感謝を胸に空気の壁へと挑んだ夜明は、雲を抜け氷のベディヴィア卿を視認すると一気に高度を上げる。
同時に両手に発煙手榴弾を取り出した彼女はピンを抜き、翼に見立て広げた両腕の先端から白い煙を引き空中にハートを描くように飛び始めた。
キラキラとした白煙……その正体はパラドクスで生み出した人に害するモノを殺す消毒薬。
それは多くの人を害した氷のベディヴィア卿も対象外ではなく、煙を吸い込み苦しみ始める。
「さぁ、悪い夢を見せてくれたお礼に、悪い現実を見せ返してやりましょう……ベディヴィア卿、あなたを海へと叩き落とします!」
巨竜から次々と放たれる蒼い誘導弾を身を捻りながら交わしながら、夜明は空になった手榴弾を棄てると次の手榴弾へと手を伸ばす。
「ベルファストにて、民たちの願いと希望を筆に乗せ竜殺しの騎士を描いた……その願いを叶える、今がその時だ」
白煙に包まれる氷のベディヴィア卿を見下ろしたエトヴァは青水晶で作られた柄を持つ絵筆を取り出すと、目の前の空間に翼を広げながらダイナミックに筆を走らせる。
空中をキャンパスに描かれるのは蒼い巨竜……そう、描かれたのは眼前で猛威を振るう氷のベディヴィア卿であった。
「力を過信する者よ、汝に相応しき絵は己が姿に喰らわれる悪夢……さあ、汝自身と踊れ」
エトヴァに描かれた氷のベディヴィア卿が実体を持ち、驚く巨竜へ向かって翼を広げ襲い掛かる……二頭の巨竜が縺れるように飛び、お互いの後ろを捉えるべく空にメビウスを描くかのように激しく踊り傷付けあう。
反撃の【グラサージュ】による冷気に思考を奪われそうになりながらも、描かれたドラゴンへ意識を集中するエトヴァ。
そんな彼の元へ、吉報を携えた承李が声をかける。
「これより仲間たちが援護のパラドクスを放つ……アイツを拘束出来るか?」
その言葉にエトヴァはやってみせようと描かれたドラゴンを操り、暴れ藻掻く氷のベディヴィア卿の動きを止める。
そこにパラドクスの一斉砲撃が飛来し、蒼い巨体が煙で包まれるなか……承李は腰に差した太刀へと手をかけた。
「皆がチャンスを作ってくれた……この一撃、無駄にはしない」
そう呟くと、脳裏に何度もイメージした師匠が技を放つ際の動き姿を思い描く。
「(思い出せ承李、幻影のなかで師匠はどう動いていた……違う、俺は今、師を越えるんだ!)」
今まで何度模倣しても再現出来なかった師匠の動き……だが魔眼で魅せられた幻影のなか、師の動きは自分のモノとなった。
ならば、その先を目指してこそ師匠に顔向け出来ると言う物……限界を越える時が来たのだ。
「不出来な弟子の一撃、ご笑納ください……秘奥、十の型」
指先から爪先まで、流れるように動く承李の一挙手一投足が風を呼ぶ。
彼が薫風の刃を引き抜いた時、その刀身は暴風を纏い、切っ先は大気を斬り嵐を巻き起こす。
暴風の斬撃はアイリッシュ海に集うすべてのディアボロスたちが放ったパラドクスの着弾で煙る氷のベディヴィア卿を捉え、一斉砲撃で脆くなったその蒼い表皮をズタズタに斬り裂いた。
「空が綺麗……」
ディアボロスによるパラドクスの一斉射撃の直後、空中へと舞い上がったシルは丸く見える水平線とその先で沈む夕日を見る。
反対を向けば、海の青と空の蒼が混ざり合う狭間が彼女の青い瞳に飛び込んで来た。
宇宙へと近付いた空には澄んだ空気の先で星が瞬き、新宿島のネオンとスモッグで紫に染まる空とは違う蒼い空が広がる。
「でも、この空は……もうあなたの飛んでいい空じゃないの!」
シルが流れる星を追いかけるように眼下を振り返ると、そこには全身血だらけになり海を紅く染めながらも未だ砕けた翼を広げ空に浮かぶ氷のベディヴィア卿の姿が。
もうこれ以上、この空を血で汚させない……そう叫んだ彼女の手にした杖に飾られた風翼が大きく広がり、同時に杖頭の藍鉱石が花を咲かせる。
構えた杖の先に巨大な六芒星が浮かび上がり、その各頂点で精霊たちが集まり六色に輝きだした。
そしてその力は六芒の中心へと注がれ……白く輝く光の塊となる。
「これがわたしのすべて……遠慮せずに全部、もってけーっ!!」
溢れた魔力が反動に備えシルの背中に青白い魔力の双翼を広げたのと同時に、限界まで凝縮された光が一直線に直下へと放たれる。
すべてのディアボロスが彼女の一撃に願いを込め、希望を託し、戦いの終わりをと叫び……数多の願いを乗せた光の柱は氷のベディヴィア卿へ直撃し、その身を粉砕しつつ貫き海を割った。
『我は敗れるのか……王よ、アーサー王よ、あなたの騎士として、務めを果たせず先に逝くことをお許し下さい……』
光のなか……氷のベディヴィア卿は崩壊していく躰でグレートブリテン島を振り返ると首を垂れ、アイリッシュ海を封鎖すると言う王命を果たせず倒れる不忠の騎士となる事に許しを請う。
『……此度のディアボロスは、お、王の脅威となりましょう……願わく、ば……』
だが紡ぐ言葉の最中、蒼き竜の瞳から意思の輝きは消える。
願わくば……願わくば何とアーサー王へと伝えたかったのだろうか? それはもう誰にも分からない。
ただ一つ言える事、それは……。
「ジェネラル級ドラゴンでありアーサー王が率いる円卓の騎士が一席、氷のベディヴィア卿……アイリッシュ海に墜ちる!!」
誰かがそう囁くと、それは騒めきと共に瞬く間にディアボロスたちの間に広まる。
そして続くのは歓喜の声……勝利を祝う曲が鳴り、歓声が沸き上がり、胴上げの声や手拍子は鳴りやまない。
幻想竜域キングアーサー。
ディアボロスによる奪われた歴史を奪回する旅路は、この瞬間アイルランド島からアイリッシュ海を越え、アーサー王の待つグレートブリテン島へとレールが遂に繋がったのである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【避難勧告】がLV2になった!
【一刀両断】がLV4になった!
【液体錬成】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【勝利の凱歌】がLV3になった!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
【ドレイン】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV9になった!
最終結果:成功 |
完成日 | 2022年03月07日 |
宿敵 |
『氷のベディヴィア卿』を撃破!
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