地獄変第四幕『将門公の大怨霊』

 地獄変の事件を起こしていたジェネラル級クロノヴェーダ『青行燈』が、地獄変の第四幕として『将門公の大怨霊』によるものと称した『貴族の惨殺』を執行し、京の都を恐怖に染め上げようとしています。
 藤原氏のような上位の貴族が『青行燈』が放ったトループス級によって追い立てられ殺されようとしているので、救援に向かってください。
 この貴族を救出する事で、様々な情報が得られるかもしれません。

※情報の取り扱いについて
 このシナリオで、得られた情報は、リプレイでの描写では無く、毎月2日頃に公開される『攻略旅団』の『断片の王および、敵幹部、重要施設に関する情報』で随時公開されます。

丑三つ刻に迫るモノ(作者 baron
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#平安鬼妖地獄変  #地獄変第四幕『将門公の大怨霊』  #地獄変 


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「お許しください、お許しください。麿のせいでは無いのでごじゃる……」
 青白い顔をした男が白紙の巻き物を手に震えていた。
 藤氏の長者、藤原伊尹ともあろうものが一見、誰もない居ない場所に向かって怯えていた。
 いや、誰も居ないのではない。
『謝る必要はありませんよ、伊尹さん。あなた達は、ただ責任をとってくれれば良いのですから』
 そこには在り得ざるモノが居た。
 青い炎に彩られた女のような影。
『古来より為政者とは責任を取る為に居るのですよね?』
 静かに……。
 それでいて耳もとで囀るように。
 ただ結論を下すかのように言葉を連ねていく。
 その先の結論が想像できているからこそ、伊尹は震えているのかもしれない。
『あなた達貴族を、無残に呪い殺す事で、地獄変の第四幕といたしましょう』
「お慈悲を! お慈悲をでごじゃる……」
 青白き炎が消えた時、伊尹は今度こそ何もない場所に向かって情けなく縋っていた。
 その行為に何の意味もないのだが。

「攻略旅団の方針にも助けられ、地獄変第三幕『追儺の鬼』の事件は無事に解決する事が出来たようです」
 南河・緋奈子(人間の陰陽師・g03255)は感慨深げに呟く。
 当初、この件は被害者が出てから事件が動き出すという顛末であった。
 今でも苦い思いを覚えて居る者も居るだろう、心が完全に晴れたりはしないが……。
 それでも攻略旅団という場で皆が話し合い、協力して成し遂げたと言える。
「これで阻止した地獄変の事件は3つとなり、平安鬼妖地獄変のクロノヴェーダの計画を大きく狂わせる事ができたと思われます。この地獄変の事件の黒幕と思われるジェネラル級クロノヴェーダは、これまでの失点を一気に挽回する為なのか、地獄変の第四幕として、日本の三大怨霊と称される『平将門の怨霊により、貴族が惨殺される』事件を引き起こそうとしているようなのです」
 平和な筈の京の都で、最も安全であるはずの、身分のある貴族が惨殺される事件。
 ソレを引き起こす事で京の都の人々の恐怖を、連鎖的に一気に増大しようというのだろう。
「みなさんには、トループス級のクロノヴェーダに追い立てられて京の都を逃げ惑う、貴族を救出し、襲い来るクロノヴェーダを撃退してください」
 クロノヴェーダは、逃げ惑う貴族の哀れな姿を、見せしめのように人々に見せつける事を目的としている。
 この為、最初は直接に貴族を攻撃する事は無いようだ。
 しかし、ディアボロスが貴族を保護しようとすると話が変わって来る。
 次の手として、呪いにより貴族の命を奪おうとするようなので、その対処も必要になるだろう。

「まず、クロノヴェーダに追われて都の中を逃げ惑う貴族の救出を行ってください。これが第一段階です」
 貴族の安全を確保した後は、襲ってくるクロノヴェーダを撃退すれば事件を解決する事が出来る。
「戦闘中、保護した貴族に対して、呪詛の刃が襲い掛かってくる事がありますので注意が必要です。これが第二段階ですね」
 この『呪詛の刃』は、貴族の心臓を貫くように転移してくる刀であり……。
 通常の方法で防御することは出来ないのだという。
「申し訳ありませんが貴族を守る為には、貴族と体を密着させた状態で、代わりに呪詛の刃を受けるしかありません。呪詛を内裏で引き受けろというのは心苦しい限りですが……」
「節句の事件に続きがあるよりマシだろうよ」
「パンピーが犠牲になるよか~ホンの少しは気分は良い的な? オッサンと引っ付きたいとはマジ思わないけどー」
 緋奈子の言葉に話を聞いていたディアボロス達が苦い笑みを浮かべて、顔を見合わせる。
 呪いを人形に移し替えるというのは、呪術の世界ではよくある話だ。人々が死ぬ事件が続くよりマシだと苦笑した。
「ともあれ今回の事件の被害者となる貴族は、藤原氏を始めとした名門貴族の当主などです。彼ら貴族の救出と保護、クロノヴェーダの撃退、呪詛の刃から身を挺して庇うといった行動により……貴族を信頼させる事が出来れば、貴族しか知らないような、それなりに重要な情報を手に入れる事が出来るかもしれません」
 保護した貴族については、都の中ではいつ殺されるか判らない。
 その為、攻略旅団の提案で再建した廃村に、一時的に匿う事になるだろう。
 ただ廃村までの移動は、事件解決後に有志で行う予定なので、手を掛ける問題はないという。

「自分達が利用してきた貴族達を、生贄にするような事件を起こすとは、クロノヴェーダは卑劣極まりないな」
「ですが貴族を切り捨てざるを得ない程、追い詰められているとも考えられます。本来であれば切るのは最期でしょうから」
「ってこたあ謎に包まれていた、平安鬼妖地獄変の断片の王が姿を現す時も近いのかもな」
 ディアボロス達は顔を突き合わせ、現時点で考えられることを口にしては首をひねる。
 とはいえこの時点では答えなどで無いのもまた確かだ。
「その……貴族たちは生まれが生まれもあって、個人的には尊敬できる所は少ないと思います。ですが、この世界の重要人物には違いは無いので、できるだけ保護してあげてくださいね」
 最後に緋奈子は申し訳なさそうな顔で付け加えた。
 新宿出身の者は首を傾げ、現地出身者を含めて貴族というものを良く知るメンバーは苦笑いで返すのであった。
 そして、それでも仕方ないさと相談を続けていく。

「は、早ようにげねば」
 貴族の男が妖怪たちに追われて逃げ出していた。
 常であれば牛車に乗り、数多くの随身や雑色を従えているであろう大身の貴族が……である。
 もしかしたら、既に護衛たちも牛飼い童も殺されているのかもしれない。
「陰陽師どもめ、検非違使どもめ、何をしておじゃる!?」
 その男は太っているからか、ヒーヒー言いながら文句だけを喚き散らしていた。
 暫く走っては息を整え、また走り出しては足を止め、文句を言う体力も次第に失せて行った。
「誰でも良い! 早う麿を助けてたもれ! 疾く疾く! と……く……」
 最後の方は、情けなくも泣き出しそうな顔で、文字通り泣き言を言いながらヨタヨタと歩いていたのである。
 時の頃は日没後であり、その姿を目撃する者も少なく、もちろん助けようとも、出来る筈もない。
 やがてこのまま、無残に殺されてしまうのであろうか……。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
4
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
3
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【一刀両断】
2
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【無鍵空間】
1
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【温熱適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、気温摂氏80度までの暑さなら快適に過ごせる世界に変わる。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【ハウスキーパー】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建物に守護霊を宿らせる。守護霊が宿った建物では、「効果LV日」の間、外部条件に関わらず快適に生活できる。

効果2

【能力値アップ】LV5 / 【命中アップ】LV4 / 【ダメージアップ】LV2 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【反撃アップ】LV5(最大) / 【アクティベイト】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【ダブル】LV1 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

baron
baronと申します、よろしくお願いしますね。
今回は逃げまどう上級貴族を助けるお話となります。

●選択肢
①貴族の保護
 藤原氏に類する大身の貴族で、いずれ身分の高い者と推測される。
体形的には太っており、顔もふくよかなので、別人と間違えることもありません。

③トループス級の撃破
 貴族を追い掛けて来るクロノヴェーダを撃破します。
完全に殲滅せずとも足止めさせすれば、③は始まりますのでシナリオクリアは可能になりますが
逃げ散ったトループス級が周囲に被害を出しますので、可能であれば全滅させておいた方が良いでしょう。

②呪いの刃から貴族を守る
 彼方から飛来する攻撃的パラドクスから貴族を守ります。
クリアしなくてもシナリオは攻略できますが、その場合は貴族は殺されるので注意が必要です。
この攻撃は戦場外からなので反撃できない代わりに、ジェネラル級の攻撃としては弱いレベルになります。

④アヴァタール級を倒す
 指揮官を倒せばシナリオ終了です。
もし②のトループス級が生き残って居ても、援護して不利になる事はありません。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


平良・明
為政者とは、民に飯を食わせるために存在する、そう思います
決してブクブク太るために居るわけでは無い、まあ、しょうがなしです

夜のうちに事が起きるのは都合がいいと思いましょう
目撃者も少ないのは勿論、貴族さんも目立って、見つけやすい

何かを恐れる人間は光のある方向に行きたがるもの
味方と協力しつつ「照明」で辺りを照らしながら探します
叫び声など目立つでしょうし、頼りにしたり

しかし、冬の京は微妙に寒い、手がかじかみそうです
貴族さんを確保したら、懐炉と称して「あったか~い缶コーヒー」を渡し
とりあえず、気持ちほぐしてもらいます



「為政者とは、民に飯を食わせるために存在する、そう思います」
 遥か古代、祀り事と書いて政治であった頃は権力者は条件付きで絶対性を付与された。
 代わりといっては何だが、舵取りに失敗すれば殺され、天候不順が続けば似たような結末。
 舟の安全を祈願する持衰の上位互換であったそうな……。
「決してブクブク太るために居るわけでは無い、まあ、しょうがなしです」
 平良・明(時折の旅行者・g03461)は盛大に首を傾げつつも、サッパリその辺に置いて置くことにした。
 クドクド言っても仕方がないし自体は改善しないことを知って居るし、何が転機になって変わるかも判らないのだ。
 ならば前を向いて歩いて行こうと、楽観的であった。
「流石にこの時間になると見えい難いですし、証言を集めようにも人通りが少ないですが……。夜のうちに事が起きるのは都合がいいと思いましょう。目撃者も少ないのは勿論、貴族さんも目立って、見つけ易い」
 明は困難な状況を逆説的に捉えた。
 目撃者が少なければ目や言葉で探し難いが、妖怪が目論んでいる恐怖の収穫には遠い。
 また昼間の市場の様に誰も彼も判らない状況で、『この人が探している人だっけ?』と苦労する必要もないのだ。
「後は……そうですね。向こうの方から来てもらいましょうか。そうしましょう。第一、その方が楽でいい」
 加えてもう一つ。
 明は夜の闇に光明を灯した。
 刻限は既に夜、薄暗がりの闇は次第に深くなる。そんな中で灯された明かりが一つ。
「何かを恐れる人間は光のある方向に行きたがるもの。多分……今ごろこっちに向かってるんじゃないかなあ」
 時々出逢うディアボロス仲間にそう説明して、明は通りを探し続けた。
 そんな中で、ふと他愛ない現実に気が付いたのだ。
「寒っ。しかしまあ、冬の京は微妙に寒い、手がかじかみそうです。貴族さんも困ってそうですね」
「ぉーぃ……。おーい!」
 吐く息は白く、指は凍え始めているではないか。
 明は懐に手を入れると、持って来たナニカに手を掴んだ。
 暖かさが身に染みて、ギュっと握り込みたいと思う程であった。

 しかし明は、平然と聞こえて来た声に向かってソレを差し出したのである。
「……だ……ぁ、誰かおらぬか! 助けてくれ、麿を助けてくれ!」
「はい、懐炉。それとも温石でしたか?」
 明は自分を温めていたはずのソレを平然と差し出した。
 懐には缶コーヒーが二本、暖かいのはその片方。
「なぜじゃ、何故、もっと。何故にもっと早く……疾く麿を保護せなんだ……」
「飲んでも暖かくなるので、適当な所でどうぞ」
 一本きりしかない懐炉を渡し、ソレを奪い取るように腕を抱きしめられても、平然と同じような笑顔を浮かべていた。
 保護してもらったにも関わらず、お礼も言わない男に静かな笑みだけを浮かべ……。
 ゼエゼエと息を尽き、しゃがみこんで鼻水と涙を流す、その言葉にも取り合わなかった。

 闇の中に灯る光明が一つ。
 そして浮かび上がる笑顔も一つ、不思議と……ありがたい気がした。
 気のせいだと明は言うのかもしれないけれど。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【照明】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

十野・樞
いかすけねえ野郎だろうが
クロノヴェーダの贄になるのを放っておくのも寝覚めが悪ぃ
俺は、酒が不味くなるような話は嫌いなんでね

有効な残留効果は仲間と共に探索に利用しつつ
飛翔し観察・看破駆使し上空から貴族を探す

発見すれば即高速詠唱・結界術で結界展開し貴族を防護
貴族と妖怪の間を電撃使いと
結界術で生成した派手に火花を散らす電撃属性結界で阻み、割って入り庇う
そこまでだ、やらせねえさ

脅える貴族を落ち着かせるため救出に来たと説明
あんたを助けに来たんだがね……ま、これが怖えのはわかるが
妖怪どもなら俺達が倒すと自信満々の演技で言い切る
下手に逃げずに落ち着いて俺達に庇われてな
……服の裾を握って引っ張ってくれるなよ?



「いかすけねえ野郎だろうが、クロノヴェーダの贄になるのを放っておくのも寝覚めが悪ぃ」
 十野・樞(division by zero・g03155)は使命感と言うより、気分の問題で行動していた。
 死んでしまう事も、陰謀が進んでしまうのも気に入らない。
「それに……俺は、酒が不味くなるような話は嫌いなんでね」
 樞は想像した。
 誰かが殺されてしまう時、敵が笑っている時。
 そんな時に飲む酒が美味いのか? 否、例え百年を寝かせた酒であろうとも渋く感じるであろう。
「ん? ありゃあ誰かの灯した明かりか」
 そんな中、空を飛んでいた樞は彼方に明かりが灯るのを垣間見る。
 ソレは暗い夜の中で、燦然と輝く昴のようであった。
 あるいは北極星に住まう天の様だと友人たちは言うかもしれない。
「……となると、向こうに向かってる可能性は高けえか。貴族も……敵さんも、な。諸天急勅、飛天急勅」
 樞はクルリと指を回すと、綿飴でも作るかのように空間をかき回した。
 仲間が使った力を借り、代わりに自らの力を配置し、夜空に小さな星を灯す。
 即席の照明灯で闇夜に映し出されたのは、三つの諸相である。

 一つは神官と縋りつく信者のような影。
 一つはディアボロス、最後の一つはクロノヴェーダ!
「助けよや! 麿を助けよや!?」
 貴族らしき男の声が聞こえるが、神官と信者ではなくディアボロスと貴族であったようだ。
「んじゃ、一っ飛び行くかね。九・天・応・元……」
 樞は飛翔用の術式に載せて、もう一つ・二つ術式を起動する。
 クロノヴェーダに牽制用の術など物の役にも立つまい。
 しかし、それは何の使いようも無い……という意味ではない!
「そこまでだ、やらせねえさ」
 樞はバリバリと鳴る雷と共に降り立った。
 貴族の周囲へ雷光を落し、クロノヴェーダとの境を築く。
「神なる雷。か、……それとも飛天を呼べる陰陽師か!? 早う麿を助けぬか!」
「あんたを助けに来たんだがね……ま、これが怖えのは判るが……。妖怪どもなら俺達が倒す」
 ブルブルと震えていたのに助けが来た瞬間にこの様子、苦笑いしか浮かばないがそんな時ではない。
 狂気の狭間に突入されては面倒だ。脅える貴族を落ち着かせるため救援だと説明し、自信満々の演技で言い切ったのだ。
「下手に逃げずに落ち着いて俺達に庇われて……服の裾を握って引っ張ってくれるなよ?」
 樞は振り返らずにそう答え、後は背中で語るのであった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

野本・裕樹
※アドリブ・連携歓迎

貴族に対して思う所が無い訳ではありません。
でも、誰であれ手が届くというのなら助けます。
貴族だって善い人も悪い人もいますからね。
悪い人ならこれを機に心を入れ替えてほしいですけれど。

[風使い][精神集中]で周辺の音を拾いましょう。
日没後で人通りも少ない、助けを呼ぶ声も聞きつけやすい筈。
発見できたら迅速に保護を。

無事ですか?助けに来ました、陰陽師でも検非違使でもないですけどあの妖怪達は任せてください。
貴族なのでしょう?貴方がそんなでは民も不安がります、もっと堂々としてくださいな。

落ち着かせ最後に一言。
私達の仲間の近くに居るようにしてくださいね、いざという時に守れませんから。


御森・白露
いい御身分をしておるようじゃな。清潔な服に苦労を知らぬ手。
贅肉も付いておる……飢えを知らぬ身よな。
ぬしらのような者がいる一方で、日々の糧すらまともに得られぬ者もいる。
難儀なものよな……それでも死なれるわけにはいかぬか。

【悲劇感知】の歌と貴族の悲鳴を風使いで拾い、現場に急行。
発見すれば男を抱きかかえ、刃も抜かず構えも不要の【六ノ刻】で妖怪共を牽制、即座に逃走に移る。
救出時に手短に自分が助けだという事と保護する事を伝えておこう。

「騒々しく囀るな、舌を噛むぞ?――全く、ぬしが望んだことであろう?『早く助けてくれ』と。」

アドリブ連携歓迎


菅原・小梅
◆心情
本来ならば藤原の縁者は捨て置くところですが
実際に捨て置けば青行燈の思う壺なのが悩ましいところですね。

◆行動
さて、先ずは逃げ惑う藤原の某かを探すと致しましょうか。
【飛翔】を使い大路の塀や屋根に跳び移り、より高い処から当たりをつけて探せば効率的かと。
他に必要なのは幾ばくかの【幸運】かもしれませんね。
ふくよか過ぎる身を見付けたら嬉々として叱咤し尻を叩くと致しましょう。
おやおや、暫く見ぬ間に藤原の一門は随分と腑抜けた様ですね。
この有り様ならば代わりに我等が一門が取って変わるのも容易いかと。
其が嫌ならば牛馬の如く動くのですよ、其すら出来ませんか?

怒りもまた人を動かす原動力なのですよ。



「天に明星? 見つけたとの合図でしょうか。……あんな所に入り込んで」
 菅原・小梅(紅姫・g00596)は大通りの塀や、屋根に飛び移って捜索していた。
 高台に腰を据えれば四方を確認し易いからだ。
 この時代は高い建物は限られるし、各段に見つけ易くなるのである。
 そして仲間が闇の中に掲げた光明で、探し人が向こうなのだと即座に悟った。
「本来ならば藤原の縁者は捨て置くところですが、実際に捨て置けば青行燈の思う壺なのが悩ましいところですね」
「……貴族に対して思う所が無い訳ではありません。でも、誰であれ手が届くというのなら助けます。貴族だって善い人も悪い人もいますからね」
 小梅は仲間と共に飛んで空を翔け付けつつ、野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)の言葉に表面上は頷いた。
 判って居る、判って居るのだ。そんな事は。
 諸人の誰もが悪人ではないし、陰謀に巻き込まれた全ての人が凋落したわけでもない。
 物部氏も蘇我氏も滅びた扱いにされてはいるが、普通に生き残って居るし全員が悲惨な末路になったわけでもない。勿論他の貴族も同様だ。ただ……納得できないというだけである。
「あやつか。……いい御身分をしておるようじゃな」
 御森・白露(放浪する転寝狐・g05193)の思いはまた別口の話だ。
 空を飛び翔け付ける中で、仲間の灯した明かりで震える貴族の様子を見て溜息を吐いた。
「清潔な服に苦労を知らぬ手。贅肉も付いておる……飢えを知らぬ身よな」
 あの貴族のような者がいる一方で、日々の糧すらまともに得られぬ者もいる。
 彼は貴族の中でも上流貴族であり、昇殿可能な貴族であろうし、もしかしたら上達部の公卿かもしれない。
 貴族というだけの者であったり、都の庶民……いやいやその日を暮せるかも判らぬ貧民とは比べ物にはならないだろう。
「難儀なものよな……それでも死なれるわけにはいかぬか」
「……」
 白露の言葉に今度こそ小梅は苦い物を感じた。
 日々の生活に困る人々はともかく、貴族など助けたくもない。
 そう思う白露ですら、クロノヴェーダの陰謀をくじく為には仕方ないと己を律しているのだ。ここで文句をつける訳にも、まして放置する訳にもいかないではないか。
「無事ですか? 助けに来ました、陰陽師でも検非違使でもないですけどあの妖怪達は任せてください」
「なん……じゃと!? では貴様らは……貴殿らは一体、まさか……」
 裕樹が降り立って声をかけると、救援が増えた事に喜色を浮かべた貴族は、再び青い顔を浮かべた。
 その脇に他の二人も降り立っていく。
「おやおや、暫く見ぬ間に藤原の一門は随分と腑抜けた様ですね。この有り様ならば代わりに我等が一門が取って変わるのも容易いかと」
「ひ、ひぃい!?」
 小梅が声をかけると、貴族は周辺を守る稲妻の結界に目を向けた。
 何やら妙な勘違いをしたようだが、あながち勘違いでもないので放っておく。
「其が嫌ならば牛馬の如く動くのですよ、其すら出来ませんか? 怒りもまた人を動かす原動力なのですよ」
「まあまあ。貴族なのでしょう? 貴方がそんなでは民も不安がります、もっと堂々としてくださいな」
 狙ったわけでもないが、小梅と裕樹は飴と鞭になった。
 あるいは北風と太陽と言い換えても良い。
 福々しい(ふくよか過ぎる)身を嬉々として叱咤し、尻を叩いたり優しく声をかけている。
「ああ、最後に一つ。私達の仲間の近くに居るようにしてくださいね、いざという時に守れませんから」
「そういうことじゃ」
「ヒ!?」
 裕樹の言葉と共に白露が貴族を抱き上げた。
 もちろんお姫様だっこなんてロマンの欠片もありはしない。
「ななな、何を……」
「騒々しく囀るな、舌を噛むぞ? ――全く、ぬしが望んだことであろう?『早く助けてくれ』と」
 白露は貴族を抱えたまま、迫る骸骨兵たちに立ちも抜かずに斬りつけた。
 まだ向こうも驚かすだけで間合いは遠いが、牽制には問題なく使用できる。朽ちた穂先を切り落とし、兜を両断する。
 効果のほどはともかく、貴族に不可思議な力を思い知らせるには十分だろう。
 そして空を飛んで、敵集団とは離れた方向に飛びのいたのである。
「悪い人ならこれを機に心を入れ替えてほしいですけれど」
「そうですね。せめて、これからの世の中に役立ってくれることでも期待するとしましょうか」
 悲鳴を上げながら空を飛ぶ男。
 不可思議な体験が彼を変えてくれるように思いながら、小梅は仲間と敵だけになったことで表情を戻し気分を入れ替えたのである。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【悲劇感知】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!

狭間・ならく
カタカタカタカタうるせェな。
屍は屍らしく寝ていろよ。

……あァ、クソ。面倒くせェ。
(灼刀、抜いて)(構える)

あんなもの呪ってどうなる。……ああ、もうどうでもいい。どうでもいいさ。お前は妖で、アタシの邪魔をする。ならアタシはそれを斬るだけだ。
この刃はその為にある。

──叫べ、地獄花
死してなお死なぬものを滅せよ


月下部・小雪
貴族さん、あまり立派な方じゃないみたいですが、
だ、だからってクロノヴェーダに殺されていいわけがありません。
みなさんと協力して助けてあげなきゃ、です。

仲間が貴族さんを保護したら、ボクは追いかけてくるトループス級の足止め、です。
て、敵がいっぱいですが、ボクとコダマも負けてられません!
【百モラ夜行】を使ってこっちもいっぱいになります!

200匹に分身したコダマの背に飛び乗って真正面から吹き飛ばしていってやります!
カ、カタカタ、う、うるさいです。粉々になっちゃってください!

※アドリブや連携も大歓迎



「貴族さん、あまり立派な方じゃないみたいですが……」
 元から気分の良い相手では無い上に、助けた端から命令口調。愉快であろうはずもない。
 月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)は周辺の仲間を見て背中が寒くなった。
 みなさん、凄い顔をしていらっしゃる?
「だ、だからってクロノヴェーダに殺されていいわけがありません。みなさんと協力して助けてあげなきゃ、です」
「あー。マッ、そうだな」
 小雪が勇気を振り絞って口にすると狭間・ならく(【嘘】・g03437)は曖昧な笑顔を浮かべた。
 最初に出逢ったディアボロスが一番慈悲深いと悟って、『かみさまほとけさま明さま』とばかりに祈りを捧げる姿を見て……。
 別にあんな貴族、珍しかないし? と言う風情で周辺から迫る骨たちを眺める。
『カカカ、ク、カカ。カタカタ……』
「修羅かヨモツイクサか知らねえが、カタカタカタカタうるせェな。屍は屍らしく寝ていろよ」
 ディアボロスは地獄からの使者とも言える。
 今更に動き回る骸骨など珍しくも無いと、苦笑しながら刀を引き抜いたのだ。
『カタカタ。ゲゲゲ、カカ』
「……あァ、クソ。面倒くせェ。あんなもの呪ってどうなるってんだ」
 イライラとする。
 控えめに言ってムカ付く。
 それは自分自身にか貴族にか、目の前のこいつらにか。それとも敵の親玉か、あるいは黒幕か。
「……ああ、もうどうでもいい。どうでもいいさ。お前は妖で、アタシの邪魔をする。ならアタシはそれを斬るだけだ」
 ナラクはそう言って刀を構え、この刃はその為にあるのだと気分を入れ替えたのだ。
 そして迫りくる敵に対し、仲間と共に迎え撃つ!

 カタカタと、カタカタと。
 骨が積み重なり、雪崩のように迫って来る。積み上がっては腕の様に、牙の様に!
「ボクらの役目は足止め、です。て、敵がいっぱいですが、ボクとコダマも負けてられません!」
 小雪は雪崩には雪崩であると、無数のモーラットを呼び寄せた。
 それは一緒に居るコダマさんを分身させた物であり……。
「お、みろよモコモコ野郎。お友達がいっぱい居るじゃねえか。一匹くらい貰ってもわかんねーかな?」
「だ!? 駄目です! 上げられません、とととと、突撃! コダマ、突撃ですー」
 分身なので本体を掴まれたら一瞬で奪われてしまう。
 コダマは自分の相棒なのだと抱きしめて、津波のようなモーラットの大行進に乗って突撃を始めた。
 もこもこモコモコ大行進!
 二百匹モーラットの大行進!!
『カタカタカタ……』
「ひゃーう!? カ、カタカタ、う、うるさいです。粉々になっちゃってください!」
 雪崩落ちる骨たいtに、詰み上がって足元から迫る骨たち。
 小雪はおっかなびっくり涙目ながら、勇気を振り絞って二百匹近いコダマに攻撃を支持した。
 ここには自分たちを信じて貴族を説得したり、呪いから守ろうとする仲間がいるのだ。恐ろしいからと言って逃げる訳にはいかない!
「ったく、もう見てられねえなあ。──叫べ、地獄花」
 歴戦の戦士が振るう蛮勇には心が動きはせぬ。
 しかし怯えた小兵が振り絞った、小さな勇気のカケラ。
 それを見て、骸骨など怖ろしいとも思わぬ自分が黙って居る訳にもいかないだろう。多分、きっとね。
「死してなお死なぬものを滅せよ」
 箏の音が鳴る。
 それは弔いの鐘の様であり、明日の夜明けを付ける鐘の様であり……。
 鬼(ここでは幽霊の事)を跳ねのける、弓や犬声の如き音魂でもあった。
 土砂降りのような骨を跳ねのけ、踏み砕き、血化粧で紅を引いてナラクは笑って刀を振い音魂を奏でた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV3になった!

菱神・桐梧
アドリブ連携大好き

人助けなんてなガラじゃねえが……呪詛の刃とやら、面白そうだ
一つ噛ませて貰うとするか

パラドクスで身体強化
話しかけつつ呪詛の刃を受けに行く
そうすりゃ貴族様の気も紛れるだろ
自然に肩でも組んで秘密のお話といくか

よう旦那、あんたも死にたかないよな?
『善意で助けられました』なんてのもカッコつかねえだろうし、取引しようぜ
呪い一つで酒一杯、奢ってくれよ
それで命拾えるなら安いもんだ
良しと言えば五体満足で帰らせてやる

庇うのは良いが、こっちの負傷を見て騒がれても面倒だ
【呼吸法】で息を整えて誤魔化しておく

もう一つオマケだ
あんたを呪った野郎ども……腹立つだろ?
俺が代わりにぶっ潰してやるよ



「おう? 何もないのにヒリ付く感覚。……来やがったな」
 菱神・桐梧(喧嘩屋・g05613)は妙な気配にニヤリと笑った。
 自分の体を強化しつつ、何処からでも来いよと唸りを上げる。
「人助けなんてなガラじゃねえが……呪詛の刃とやら、面白そうだ。一つ噛ませて貰うとするか」
 桐梧はそう言って仲間が書賭けている貴族をパスしてもらった。
 そいつは缶コーヒーなんぞを握り締め祈っているが本題に入ろう。
「よう旦那、あんたも死にたかないよな? とはいえ『善意で助けられました』なんてのもカッコつかねえだろうし、取引しようぜ」
「と、取引じゃと?」
 桐梧は肩を組むようにして空飛びながら貴族に話しかける。
「あんたは呪われて居て、そいつを俺らが引き受ける。呪い一つで酒一杯、奢ってくれよ。それで命拾えるなら安いもんだ」
「最上の酒を取り寄せよう! じゃから麿を守ってたもれ!」
 桐梧の言葉に貴族はブンブンと頷いた。
 こういった取引は、意味こそないが判り易いものだ。
 銘酒の一部は千金の価値があり、そしてそれらはコネでしか集められないこともある。

 そして……肩でも組むようにして接近していたことで、良い事が幾つかあった。
「よーしよしよし。じゃ……じゃあ、五体満足で帰らせてやる……ぜ。ハハハ」
「?」
 桐梧は話の途中で暫し息を止め、プクっと吐き出した。
 深呼吸することで、空を飛ぶから疲れるかのように見せておく。
 実際には、まあ、なんだ。ザックリと……既に桐梧の背中に刃が突き刺さっていたのだ。
「何でもねえよ。もう一つオマケだ。あんたを呪った野郎ども……腹立つだろ? 俺が代わりにぶっ潰してやるよ」
「ううむ。貴族の中の貴族である麿を狙うなど不届きモノよ! 必ずや討ち取るのじゃ!」
 桐梧は貴族に悟られないように、仲間へパスしながら豪語した。
 このまま見せなければ、怯えて何処かに行くこともあるまい。
 そして背中に突き刺さった刃が、いつの間にか消えている事に苦笑する。
「ヤベ。まったく気が付かなかったぜ。確かにこりゃあ離れてちゃ助けるどころじゃねえな」
 最初に違和感こそ感じたものの、本命の攻撃にはまったく反応できなかった。
 空間転移と言うやつがこれほどまでに厄介だとは思わなかった。腐ってもジェネラル級の攻撃と言う事だろう。
 仲間にその脅威を伝え、応急手当を施すのであった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

万象・スイ
彼方より襲い来る呪詛のパラドクス、一般人からしてみれば回避不能の絶対的死だね。
とはいえ今のボクが受けたら逆に深手を負って他のディアボロスさんたちの迷惑になりそうだし……まずはトループス級の退治だ!
貴族たちを殺させなんてしないよ、白骨夜行!

パラドクス発動、空さえも覆う迷宮となったのならむしろ好都合だよ。 
的が大きくなってありがたいね。

『高速詠唱』で八咫烏たちを召喚して『浄化』の斬撃を浴びせてみよう。

ガラガラうるさいなぁ……現代の東京からしてみれば近所迷惑だってば!



「彼方より襲い来る呪詛のパラドクス、一般人からしてみれば回避不能の絶対的死だね」
 万象・スイ(妖狐の陰陽師・g04518)は何処かより飛来して、何処ともなく去った刃に驚いた。
 この場所から飛び去り、視界の端に居た筈の仲間へ。
 正確には彼が抱えていたであろう貴族目指して転移したのだ。
「とはいえ今のボクが受けたら逆に深手を負って他のディアボロスさんたちの迷惑になりそうだし……まずはトループス級の退治だ!」
 スイはそう言って周囲に満ちる敵を眺めた。
 無数の骨たちはそれぞれに人間のような形を作り、あるいは雪崩の様に存在する。
「貴族たちを殺させなんてしないよ、白骨夜行!」
 ある時は積み上がって腕を伸ばし、食らい付こうとする。
 ある時は持っていたボロボロの武器を突き、あるいは振り下ろしてくる。
 それは諸天を覆う天候の様であり、この世がまるで地獄になったかのようであった。
『ガラガラガラ……』
「これ以上は進ませないよ!」
 スイは意を決すると、途中まで書き込まれた符に最後の文字を加える。
 それはただの線であり、咄嗟に書き記せるからこそ意味がある。
 完成系の手前まで構築されて居た術式が、一気に完成に至り発動する!
「幽世より告げろ霊鳥、急急如律令!」
 スイは奥歯をガチガチと鳴らしながら呪を唱えた。
 無論、恐ろしいからではない!
 歯を鳴らすことで発動する呪術を使い、符に書き込んだ線を術に組み込んだのだ。
 そして狙いも定めずに術を放つのだが……。
「空さえも覆う迷宮となったのならむしろ好都合だよ。的が大きくなってありがたいね」
 敵は諸天を覆って攻撃してくる。
 ならば狙いを定める必要すらなかった。
 ドドドと雪崩落ちる敵は先ほどの比ではなく、周辺に骸骨を振らせる為ではなく、骸骨そのもので押し潰さんとするかのようだ。

 対して周辺に散りばめられた形代が、敵陣を貫くように八咫烏の群れを召喚する。
「ガラガラうるさいなぁ……現代の東京からしてみれば近所迷惑だってば!」
 知って居る者も居るだろう。
 八咫烏はかつて王の道を導いた。
 即ちそれは未来を切り拓いたとも言えるのだ。
「あれ? もうちょっと掛かるかと思ったけど……霊核を貫いたのかな?」
 偶然もあってか、スイの一撃は。
 八咫烏の群れは、不可視の斬撃によって骸骨たちの中心点を貫いた。
 業界用語でジャストとかクリティカルというとか。
 稀にこういう事もあるらしいが、空間を超越する一撃が敵本体を打ち砕いたのである。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!

菅原・小梅
◆心情
さて、先刻仕込みを済ませた
『呪詛の刃』を対処しましょうか

◆行動
先程までの叱咤は伊達や酔狂で行っていたのではありませんよ?
此所にあるのはどさくさに紛れて彼の御仁の汗を染み込ませた懐紙と
二、三本失敬した髪を仕込んだ人形(ヒトガタ)です
此方を懐に入れて隠し持てば私の方へ呪詛が来る確率はより上がることでしょう
そして僅かとは言え予兆は御座います
ならば【精神集中】し
【神速反応】でその機会を捉えられれば立ち位置を入れ換え
代わりに刃を受けるのも不可能ではありません

何故私がわざわざこの様な事をと?
貴方にも妻や子は居るでしょう
少なくとも非業の死を迎えれば悲しむ家族は居る筈
そんな人の姿を見たくないだけですよ


文月・雪人
※アドリブ・連携歓迎

バトンタッチで貴族を受け取ったら
仲間に倣い【能力値アップ】で身体強化
【怪力無双・飛翔】で怪異達から距離を取る

貴族を抱える形で密着し、反対側はクダ吉がスタンバイ
呪いの刃が狙っているため、自分達から離れないよう伝えておく

「どうせ庇うなら女性の方が良かったな……なんてのは冗談ですよ」
【友達催眠】を使った気安い会話で恐怖を和らげつつ
「大丈夫です、必ずお守りします」
と余裕の笑みを

呪いの刃が来たら身を挺して庇い
『破邪治癒符』で[呪詛]を[浄化]【ドレイン】して傷を癒す
「ほら、大丈夫」
日頃の行いがいいからね?

お礼はいらないけど
助けられたと思ったなら
いつか貴方も誰かの助けになってくれたらと



「呪いが飛んできますので、迂闊に離れて逃げないように」
 その事だけは言い含めてディアボロス達はクロノヴェーダに狙われた貴族を連れ出していた。
 次なる運び手もまた肥満した相手を抱えて空を飛んでいる。
「どうせ庇うなら女性の方が良かったな……なんてのは冗談ですよ」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は空を飛びながら貴族を抱え、反対側を管狐のクダ吉に守らせていた。
 仲間がやった連柵呪術を真似び(学とも書く)、金剛力と飛天の力を行使している。
 こうすることで他人を抱えて飛ぶことができる。敵と離れる事で攻撃を避けると同時に、呪いでしか殺害という目標を果たせないようにしたのだ。
「う、うむ。試みに尋ねるが……そなたには妹がおらんかえ? この際、姉でも良いが」
「……お答えできかねます」
 こいつ、捨てて行こうかな……。
 なんて思いが一瞬だけ頭の中を過った。
 出世を目指してる訳でもないので家族を差し出せと言われても困る。
(「でも、こちらが場を和ませようとしているのに気が付いたのだとしたら、この人……素の状況だと地頭は良いんだろうな。やっぱり上流貴族なのか」)
 催眠状態にして落ち着かせているとはいえ、それほど強烈な力はない。
 混乱した状態で笑えないジョークを言う頭脳があるならば、普段は気の利いた会話を繰り広げているのだろうと思ったのだが……。
「またそんな益体もない話を」
「ひ、ひぃい!?」
「ちょっ! 動かないで、動かないでくださいってば!」
 隣に別の仲間が飛来し、憮然とした表情を浮かべると途端に慌て出した。
 もしかしたら落ち着いてジョークを返したのではなく、普段から好色なのかもしれない。
「大丈夫です、必ずお守りします」
「まったく……相応の用意をすることで、貴方には問題ないと教えて差し上げますので、これからちゃんと都のために働くのですよ」
 雪人が落ちくように声をかけると、菅原・小梅(紅姫・g00596)は軽く頭を押さえてから懐からナニカを取り出した。
 それはただの懐紙の様に見えるが、然にあらず!
「先程までの叱咤は伊達や酔狂で行っていたのではありませんよ?」
「まさかそれは形代か!?」
 小梅はもう一つ、人形を手にしている。
 懐紙にはこの男の汗を染み込ませ、更に今また髪の毛を二・三本引き抜いて目の前で人形に組み込んだ。
 古来よりの呪術である、空の器である人形を介して呪術を行う荒業であった。
 この術もまた白と黒の両面があり、人と呪い殺すのにも使えるが、呪いを引き受ける事にも使えるのだ。この貴族の因子を持つ人形を胸元にしまったという事は、小梅が呪いを引き受けるという事に他ならない。
「何故にそこもとが……」
 辻に埋めればたちまち狂い、社に埋めればいずれ死するとすら言われている。
 迂闊な使用自体が禁じられており、朝廷でも律令を締め直す大祓や、雛流し以外では禁じる事もあったという。
 この時代、呪いは当然の事として受け入れていたということであり、その意味は深い。
「直撃しても我々ならば死にません。ですが貴方にも妻や子は居るでしょう。少なくとも非業の死を迎えれば悲しむ家族は居る筈……」
 小梅はそう言って、少しだけ悔しそうな顔をした。
 本当はここまでこの貴族に、いや藤氏の縁者に行う縁などないのだ。むしろ逆ですらある。
 しかし口に登らせた通り、誰かが不幸になるのを見過ごせないのが性分と言える。
「そんな人の姿を見たくないだけですよ。……霧立ちて、照る日のもとは見えずとも」
 そういって小梅はパラドクスを使用する。
 その術には体術や思考速度を何倍にも高める効果があり、呪いを引き受ける事も可能かもしれない。
 少なくとも心の葛藤から、この貴族は彼女の本気を悟った可能性は高かった。

 そして小梅と雪人の二人は交代で敵の呪詛を引き受け、あるはその身で庇うのであった。
「ほら、大丈夫」
 やがて時が過ぎ、汗びっしょりになった雪人が作り笑いを浮かべた。
 日頃の行いがいいからね? と軽口を叩きながら『祓へ給ひ、清め給え』と呪符で己の傷を癒す。
「こ、この褒美はいかにすれば……」
「お礼はいらないけど助けられたと思ったなら、いつか貴方も誰かの助けになってくれたらと」
 情けは人の為ならず。
 転じていずれ我が身の為、あるいは何処かで困っている誰かの為であると……。
 傷みを堪えながら笑いかけたのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【神速反応】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ドレイン】LV1が発生!

瀧夜盛・五月姫
父上の名、聞くだなんて、ね。
赦さない、ああ、許されない。
父の名、騙る、不埒者(クロノヴェーダ)。
この呪いの正体が、どうあれど、クロノヴェーダには、覚悟して、貰わないと、ね。

さて、貴方。
姫、豪族の娘、だから、ね。
貴方、もとい貴族には、いい思いは、ない。
だけど、それでも、貴方はこの平安京の、重要人物。
すなわち、貴方が生きなければ、平安京に平安は、ない。
だから不本意、だけど、護るよ。

姫の体、貴族“殿”の心臓、最も厚く重なるように、密着。
形振り? そんなものは、ない。
【臨機応変】に、姫の体の刺される場所、調整しつつ、【託されし願い】、少しでも、《ディフェンス》の判定、有利にしつつ、じっと耐える、よ。


平良・明
この貴族さんは、脂肪が筋肉に変わる事があれば
そこそこ頼りになる方な気がします
今はまだ、肉のわりに、心が冷え切っている

持衰……代わりに引き受ける。舟は祈りの形、水に揺れ前途知れずどんぶらこ
「時折」を使い、陰陽符の「ORIGAMI」でだまし舟を折りあげて
貴族さんと一緒に時の河へと漕ぎだしましょう
呪いの引き受けなんてうまくいくかはわからないですが
悪政者だって、歴史に名を残すような奴は信仰を持っていたはず
助かりたいなら祈る事、何にかは知りませんが

どちらかというと魂は頭でなく心臓にある派なので
この呪詛を送ってくる輩とは、気が合いそうな、そうでもないような
私が受ければ、その痛みは戦う理由にしかなりません



(「父上の名、聞くだなんて、ね。赦さない、ああ、許されない」)
 そんな中で瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)は不満を押し隠してマスコットをやっていた。
 ベッタリと貴族にくっつき、彼の子供……というよりは大きな人形に見える。
(「この呪いの正体が、どうあれど、クロノヴェーダには、覚悟して、貰わないと、ね」)
 父の名、騙る、不埒者。
 すなわちクロノヴェーダ。その存在だけでも許せないが、陰謀として利用するなど許せはすまい。
 だが、それ以前にやっておくべきことがあったのだ。
「さて、貴方」
「なんじゃ……。麿も良い大人、少し恥ずかしいのじゃが」
 なお、五月姫がだっこされて居たのではない。
 ディアボロスの力を使って貴族のオッサンが少女にだっこされていた。
 俺だったら軽く死ねるね……と思った仲間もいるかもしれない。
「形振り? そんなものは、ない。必要と思わないし、構っても居られない。……本題。姫、豪族の娘、だから、ね」
「まさか、末路わぬ土……。いや、何でもない」
 五月姫の言葉を遮ろうとして、男は急に黙った。
 この時代、地方豪族は土蜘蛛と呼ばれて疎まれており、場合によっては土地を奪うのだ。
 もう少し時代が下れば鬼扱いされたという説もある(というより鬼はこのごろまでは中国式で幽霊を挿すことが多い)。
「貴方、もとい貴族には、いい思いは、ない。だけど、それでも、貴方はこの平安京の……都の、重要人物」
「……」
 姫の言葉をさすがに男はもう遮ろうとも、その正体を誰何する気にはならなかった。
 背景を適当に類推して、迂闊に喋らぬ方が良いと判断したのだろう。
「すなわち、貴方が生きなければ、平安京に平安は、ない。だから不本意、だけど、護るよ」
「お、お願いし申す。生き延びれば、麿に可能な事であれば協力させてもらおう」
 これまでの逃避行でディアボロス達が命を懸け、我が身で防いでいたことくらいは察せよう。
 甘やかされてきた貴族ではあるが、上流貴族で居続ける存在がお馬鹿さんであることはありえないのだ。

 西洋でもブルーブラッドとそうでない者には大きな差があると言うが、その程度の資質はこの男は備えているらしい。
 まあ成功報酬で、助かってから教えるというチャッカリさもあるようだが。
「この貴族さんは、脂肪が筋肉に変わる事があれば、そこそこ頼りになる方な気がします」
 平良・明(時折の旅行者・g03461)は静かに一連のやり取りを見ていた。
 地頭は良く交渉などの話はスムーズにできるし、ユーモアは足りないがジョークも言える。
 この時代、教養とか素養と言うのは貴重なものだ。どちらかといえば、才能はある方ではないかと思う。
「今はまだ、肉のわりに、心が冷え切っている。まあいずれ……でしょうね」
 だが先ほども言ったが、甘やかされた貴族そのものだ。
 誰かの為に良い事をしたいとも思っていないだろうし、自分で活躍しろと言われても、その努力が足りるまい。
 脂肪を燃やして努力を行い、できれば世のため人のためになってくれれば……と思った。
「さてさて、ここな紙をちょいと見てください」
「お、おお? 貴方は……」
 明はいつもの様に口元を引き締めた笑顔を浮かべていた。
 彼はあずかり知らぬ話ではあるが、この当時の仏教様式で結構貴重とされる(現代では国宝級)の仏像が浮かべる笑顔ってこんなのである。神さま仏さま明さまとピンチな時くらいは、ゲンキンなこの貴族も思ったかもしれない。
「仲間が同じような事をやったと思いますけど。この舟を差し上げましょう。術の向きを曲げるお守りですよ」
「何と……帆の向きで姿が変わるとは……」
 明は折り紙を模した、陰陽符『ORIGAMI』でだまし舟を作った。
 全体はT字型で、帆部分であるL字の向きが単純に変化するアレだ。
「貴族さんと一緒に時の河へと漕ぎだしましょう。舟は祈りの形、水に揺れ前途知れず……どんぶらこ」
 その昔、持衰……そう呼ばれる船の厄を代わりに引き受ける人があった。
 そういった意味もあり、呪術を引き受けるという象徴には判り易い。
 知って居るだろうか? 雛人形と言うものは、厄災を引き受けた後は川に流してしまうモノなのである。
 律令でも大祓で常識の外へ流すし、早佐須良比売さまは大活躍であろう。
(「まあ呪いの引き受けなんてうまくいくかはわからないですが……」)
 明のやったことは気休めでしかない。
 しかし意味は非常に大きかった。
 まずこの貴族の心を恐怖から守り、後に誰かに語る時に『恐れ』からも人々を守る。運が良ければ恩も……。
(「悪政者だって、歴史に名を残すような奴は信仰を持っていたはず。助かりたいなら祈る事、何にかは知りませんが」)
 明は別に恩を押し付けようとも思ってはいない。
 彼にとってはその時間帯は一期一会。
 その場の行いに寄って、全てがつり合い採れているモノなのだ。残る結果、増える結果など全てはオマケに過ぎない。
「む……何か感じる……」
「そうですか。どちらかというと魂は頭でなく心臓にある派なので、この呪詛を送ってくる輩とは、気が合いそうな、そうでもないような」
 姫が何かを感じた時、明は他愛ないことを思い出した。
 エジプト様式では頭は鼻水を作るだけの器官で、魂は心臓に宿るモノなのだ。
「くっ……。あ痛たたた……。遠からん者は、音にも、聞け! 近くば寄って目にも、見よ!  やあやあ、姫こそ、日の本より、参った。姓は瀧夜盛、名は五月姫。だよ!」
 やはり最初の前触れこそあれ、転移に寄る攻撃は一切判らなかった。
 貴族を抱っこしていた姫は傷を受けると、明に渡して空に向けて吠える。
 鼓膜が破れんかと思うほどの叫声で名乗りを上げ……次があろうと必ずや防いでみせると豪語した。
 反応はなかったが……誰かがクスクスと笑っているような、あるいはゲラゲラと笑った気がして、無性に腹が立った。
「嫌な予感とか全然しませんが……これで終わりの様です。……私が受ければ、その痛みは戦う理由にしかなりません。まあ恨みを宇保得て挑みに行く程でも無かったような、あったような?」
 念の為に貴族を抱えつつも、明はいつもの表情で空を見上げていた。
 敵が諦めたのか、それとも呪術が切れたのか。
 彼を都の外に連れ出すという仲間に預けるまで、それ以上の追撃は無かったのである。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【水面歩行】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!

瀧夜盛・五月姫
あなた、アヴァタール級?
大きい。大きいね、クロノヴェーダ。
はて、こんなに大きい、一体、どこにいた? とても、気になる。
突然、現れた、なら良し。や、良くはない。だけど、“在ったのに認識できてなかった”、なら、とても、不味い、かも、ね。

……戯言、ともかく、姫も戦う。
目には目を、歯には歯を、だった? 現代の諺。
――【怪怨召喚『古内裏妖』】
巨大な、相馬さん【召喚】。
大きさ、活かして、インファイト。(姫は肩に乗るよ)
やっちゃえ、相馬さん。
殴って殴って殴って殴って、粉々に、粉々に、粉々に!
皆の攻撃、仕掛けやすいよう、絶対に立たせてあげない、かな。

骨は地、伏せる、べき?
や、ごめん、相馬さんのことじゃ、ない。


十野・樞
アドリブ・連携歓迎

白骨夜行に巨大髑髏ときたか
ああ、将門公を詐称するんだったか
なら滝夜叉姫でもついでにぶちこむつもりなのかね
ま、生憎カルシウムは不足してない
早々に地獄にお帰り願おうか

【高速詠唱】【氷雪使い】【結界術】で氷雪属性結界生成し、敵行動妨害しつつパラドクス展開

闇龗神・高龗神の力を借り
敵が振り撒く炎を空間ごと結界に封じその神威ある雨で洗い流す
迦具土神を斬り殺した際に産まれた神々の影だ
炎をめっするのはお手のもの……地獄の炎も、それを纏うてめえの骨身も、すべて綺麗に浄化してくれるだろうよ
……って、身はねえか



「あなた、アヴァタール級?」
「大きい。大きいね、クロノヴェーダ」
 瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)は空を見上げながら続けざまに呟いた。
 正確には首を傾げて尋ねたのだが、まるで屍の様に返事がない。
 それもしかあるまい。相手は巨大な巨大な骸骨なのだ。
「はて、こんなに大きい、一体、どこにいた?」
 とても、気になる。
 とても、とても。
 突然、現れた、なら良し。いや、良くはない。
 いつの間にか、気が付いたらそこに居たのだ。どうして? いつの間に?
「だけど、"在ったのに認識できてなかった"、なら、とても、不味い、かも、ね」
 姫はそう思いながらも空を飛んで目線を引きながら翔けた。
 もしかしたら彼女が操っているかのように見えた者もいるかもしれない。
「……戯言、ともかく、姫も戦う。目には目を、歯には歯を、だった? 現代の諺」
 彼女は滑るように空を飛んでいたが、途中で屋根を蹴って一気に飛び跳ねた。
 その瞬間に二つの力が交錯する。
 ズズンと上から骸骨の手が振り下ろされ、先ほどよりも大きな状態で地面に穴を空けた。
 あのままであれば、姫の形をした穴が出来ただろう。
『ズズズゥゥゥン!』
「骸骨の、相馬さん。おねがい、します」
 代わりに現われたのは、巨大な巨大な骸骨の影であった。
 彼女が飛びあがった先に現われた骸骨の馬は、そのまま彼女を乗せてポーンポン。
 しかしてその影は遥かに大きく、まだ大きく。

気が付けば、影どころか骨の体ですら大きくなって人型の骸骨を踏みつけたのだ。
「白骨夜行に巨大髑髏ときたか」
 十野・樞(division by zero・g03155)はそこに盛り上がる影を見上げた。
 ズズンと地響きを立て始め、歩くだけでダンダンと木霊する。
「ああ、将門公を詐称するんだったか。なら滝夜叉姫でもついでにぶちこむつもりなのかね」
 死の群れがそこに居る。死が集いている。
 死群死邑死村。
 その姿に笑って、呆けている間に正体に気が付いた。
「ああ、こいつはウッカリしていた。ブロッケン現象だな。本体はもっと上で、上にいる方の霊威がより大きく地面に映し出されるってやつか」
 闇に対する恐れが大きさと変えて、大きさに合わせて質量が大きくなって、質量に合わせて威力が増していく。
 この世界で質量こそ不変の事実であり、もっとも効率の良い暴力なのだ。
 一瞬にして出現し、一瞬にして巨大化できるのであれば利用して何が悪かろう。行燈めがと笑うしかなかった。
「ま、生憎カルシウムは不足してない。早々に地獄にお帰り願おうか」
 老兵は死なずして、ただ去り行くなり。死は去った。
 しかして死はこの世から去り行くなり。死は消え去る。
 Non obiit, abiit。短い言葉に幾つもの韻を乗せ得ることで、多重の術式を起動させた。
「飛べよ闇龗神、翔けよ高龗神。水剋火、我は呪詛を返すなり」
『オオオオオーン!』
 振り落ちる骨の雨霰、それは先ほどの骸骨と比べようがない。
 形造られていた巨大骸骨という存在は、上から下へと落下することで周辺一帯を爆砕する。
 それは全てを飲み込むかのようで、しかし……骨と骨の間にはまだ目に見えない空間がある。シトシトシトシトと何かが割って入っていた。
「落下エネルギーと摩擦による大爆発ってか? 残念だが迦具土神を斬り殺した際に産まれた神々の影だ。その力を封じてくれるよ。今まで死に損ねていたなら、知らなかったろ?」
 樞が骨の落下と大爆発に巻き込まれて無事だったのは、ただの偶然ではない。
 先ほど招請した神の力を借り、神威ある雨で洗い流していたからだ。
 水の激流は摩擦を消し去り、大爆発が起きる前に、質量が押しつぶす前に彼を押し出してくれる。
「炎をめっするのはお手のもの……地獄の炎も、それを纏うてめえの骨身も、すべて綺麗に浄化してくれるだろうよ。……って、身はねえか」
 樞はそんなことを言いながら、巻き込まれた懐のブツの方を心配していた。
 肋骨が何本かイっているが、そんな物はいつか直る。
 しかし足を延ばして探したお酒は二度と手に入らないかもしれない。
「あーあー。割りちまってら。こいつは痛み止めにするとして……さっきのお嬢ちゃんは大丈夫かね」
「やっちゃえ、相馬さ~ん!」
 半分割れた破片を片手に樞がグビリとやってると、向こうの方で五月姫が戦っていた。
 殴られそうになって緊急起動で回避しつつ傷を可能な限り押さえ、反撃で巨大な馬に攻撃を指せていたのだ。
 殴って殴って殴って殴って、粉々に、粉々に、粉々に!
 そこでは骨と骨に寄る、パワフリャーな戦いが繰り広げられていたのである。
「骨は地、伏せる、べき? や、ごめん、相馬さんのことじゃ、ない」
 死群死邑死村。
 その群れがそこ舞踊を踊る。
 その姿に滝夜叉姫が何処かで笑っているような気がした。あるいは怒っているのだろうか?
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【怪力無双】がLV2になった!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!

呉鐘・承李
【アドリブ・連携歓迎】
さて。
そろそろ仲間たちが無事貴族を救出できた頃合いか?

では、後は……このデカブツを、三枚に卸すだけだな。

知り合いが、珍しく怒ってるんだ。
救出戦では力になれそうになかったからな……
ここで、首の一つは取らせてもらうぞ――巨躯の骸。

【行動】
残火を抜刀、常に相手と距離を詰め、大柄な体での攻撃に速度が乗らない位置をキープする。
巨大化の際には即座に距離を取ってから、再び距離を詰めなおす。

……自爆、か。
なるほど。引き際は弁えていると見る。
やってみるがいい。――摂氏三千度、太陽の黒点に迫る熱量に、耐えられたら、な。

自爆の兆候が見えた瞬間、残火に込められた炎の力を全て開放し攻撃を行う。


月下部・小雪
ふぅ、貴族さんは無事に助け出せたみたい、ですね。
あ、あとは指揮官のクロノヴェーダを倒せば、安心、です。

指揮官さんは……、と、とっても大きな骸骨さん、です!?
これは、ばらばらにするのもすごく、大変そうですね。

コダマ、こ、攻撃の準備してきてくださいと、ええいっと上空にコダマを放り投げます。
その間、周りの建物がなるべく壊されたりしないように【飛翔】で飛び回りながら攻撃を避け続けます。

逃げ回って時間が稼げたら【巨大毛玉墜とし】を敢行、です。
巨躯の骸を押しつぶせるくらいまで巨大化したコダマが上空から降ってきますよ!

※アドリブや連携も大歓迎



「さて。そろそろ仲間たちが無事貴族を救出できた頃合いか?」
「そう……みたいですね。ふぅ、貴族さんは無事に助け出せたみたい、です」
 呉鐘・承李(剣鬼・g06193)の言葉に山のように積み上がったモーラットの上から月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)がお返事。
 掌を庇にして遠くを眺めてたが、仲間の挨拶らしき輝きが教えてくれたそうだ。
「あ、あとは指揮官のクロノヴェーダを倒せば、安心、です。けど、指揮官さんは……、と、とっても大きな骸骨さん、です!?」
 その声と同時に先ほど展開したパラドクスが解け、分身体が消えてたった一つに戻る。
 危うい所でプカっと浮いて、そう言えば飛翔の力が満ちているのを思い出す。
 かいた汗を袖で拭きながら戦いに行こうと提案するのであった。
「では、後は……あのデカブツを、三枚に卸すだけだな」
 その提案に承李も即座に乗った。
 いつもすまし顔の知り合いが、珍しく怒ってるのだ。
 ここで力に成れずして、何処で力を貸そうというのか。
「救出戦では力になれそうになかったからな……ここで、首の一つは取らせてもらうぞ――巨躯の骸」
 承李は火の力を残す刀を引き抜くと、即座に疾走して相手が動き始める前に仕掛ける事にした。
 そして位置を脇へ、肩の上へと飛翔することで、相手の力を出せない様に保ち始める。
「これは、ばらばらにするのもすごく、大変そうですね。……って、ちょっと、待ってください。ボクも行きますから―」
 小雪は出遅れたことに驚きながらも、『コダマ、こ、攻撃の準備してきてください。ええいっ!』とモーラットのコダマを放り投げた。
 このままでは攻撃参加に遅れるし、相手はとっても背が高いのです。
 だから、えいやっと投げつけたのですよー。スッゴイ良い位置で攻撃できましたー!
「必殺、コダマ、墜としです! ……あ」
『ズズッズズズーン!』
 小雪は会心の一投げに爽やかな笑みを浮かべていた。
 しかしながら彼女は忘れていたのだ。
 逆連鎖戦は時間を曲げる同時攻撃。こちらが覗き込むと、相手からも覗き込めるのである。
 何が言いたいかと言うと……。
「にゃー!?」
 小雪の上に、巨大な骸骨。
 巨大な骸骨の上に、巨大なモーラット。
 その質量は親子亀・孫亀の火ではなく、結果として押し潰されそうになって逃げまどう羽目に。
「……自爆、か。なるほど。引き際は弁えていると見る」
「っ♪」
 気が付けば隣に承李が居た。ばらばらと砕け散る骨が足元へ積み上がる。
 小脇に抱える姿が荷物の様でやり直しを要求したいが、軽傷で済んだので文句は言えない。
 というかお姫さま抱っこをされたら赤面し過ぎて血が足りなくなってしまうだろう。
「やってみるがいい。――摂氏三千度、太陽の黒点に迫る熱量に、耐えられたら、な」
「熱っ……じゃなくて暑っ!?」
 承李の周囲が高温になり、耐えきれなくなりそうになったところで放り出された。
 高速機動で飛び抜ける後ろが、蒸気になり、その蒸気すら消えて陽炎と化していく。
「焔華流……秘奥、十の型。――終炎」
『ズズッズズズーン!』
 一つだけ訂正するならば、承李の予測と違って奴は自爆攻撃ではなく格闘攻撃を繰り返した。
 自爆であればもっと巻き込まれたかもしれないが、スイングをし直した分だけ余裕がある。
 灼熱の剣と超質量がぶつかって、彼は負傷しながらも大きく巨大な骸骨を切り裂いたのであった。
 だがしかし、戦いはまだ終わらない!!
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【温熱適応】LV1が発生!
【飛翔】がLV3になった!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【反撃アップ】がLV4になった!

万象・スイ
小さな骸骨の群れの次は巨大な骸骨か……!
燃やすべき骸が自分で燃えてるなんて、随分と皮肉が効いてるっていうかなんというか……油断はできないけどね!
一旦霊安室に戻ってもらおう。ううん、霊安室の冷気なんて生ぬるいほどの冷気を浴びせてあげるよ!

蛟を『召喚』、絶対零度のブレスで『浄化』するよ。
デカブツにはデカブツをって相場が決まってるからね。

あっちはガラガラうるさかったけど、こっちは叫び声の大音響だし……!
いい加減お墓の下に戻ってよもう!



「小さな骸骨の群れの次は巨大な骸骨か……!」
 万象・スイ(妖狐の陰陽師・g04518)の上に影を落とす存在。
 その姿は巨大な山の様であり、死の群れであった。
 ただそこに居るだけで、その質量は全てを圧倒する!
「燃やすべき骸が自分で燃えてるなんて、随分と皮肉が効いてるっていうかなんというか……油断はできないけどね!」
 その姿は巨大な燐気、死者の焔で燃えている。
 覗き込めば地獄に通じそうな空洞の中で、目に物いう様な意志ではなく恨みの焔で彩られていた。
「一旦霊安室に戻ってもらおう。ううん、霊安室の冷気なんて生ぬるいほどの冷気を浴びせてあげるよ!」
 スイは大福帳のような無数の紙束の中から、水気を練り込んだ紙片を引き抜く。
 それは事前に魔力を込めておいたことで、水神や水霊の依り代となっていた。
 そして神も霊も日本では、チと言う発音、あるいは蛇の姿であらわされるという。
『オオオオーン!』
「……昏き水の淵より来たれ、急急如律令!」
 双頭の蛇は召喚されるや、炎をまき散らす骸骨へと氷のブレスを吐き出していた。
 想定温度は絶対零度、後は奴が吐き出す焔との対抗合戦で何処まで再現できるかだろう。
「デカブツにはデカブツをって相場が決まってるからね。あっちはガラガラうるさかったけど、こっちは叫び声の大音響だし……!」
『オーン!』
 何と奴は手刀のみを冷気のこちら側に突き出し、自らん防御を捨てて攻撃して来た。
 溢れかえる炎はスイを焼き尽くそうとして、仕方なく両方の手指を絡めて相殺することにした。
「いい加減お墓の下に戻ってよもう! 退散! ええい!」
 双頭の蛇は二つの頭が呑み込みあうことで、水の嵐となって炎の雨を消し去った。
 おかげで負傷も危険なほどではなく、熟練者であれば軽傷と呼べるほどで済んだのである。
 もう少し力があればなあと思いつつ、修行して次はもっと楽勝で戦うぞと思いなすスイであった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!

狭間・ならく
はーあァ。また骨かね。
死霊の分際で現世を彷徨き回るな。目障りだ。
在るべき場所へ還ンな。ここにお前の居場所はねェ。

(ひとつ、息を吐く)(灼刀を抜いて、構え)(腕なり脚なり、骨を叩き割るつもりで)

──吼えろ、地獄花

(サテ、テキトーに攻撃を食らわせたら後は他に任せたとばかりに移動する)(こんだけ騒ぎゃあちらは手薄だろうと)(貴族が置いて逃げただろう、牛車だののほうへ)(雑色たち、牛飼い童たちは無事だろうかね)


菱神・桐梧
アドリブ連携大好き

魑魅魍魎、選り取り見取りってな。
約束も取り付けたことだし……潰すついでに、遊ばせて貰おう。

目には目を歯には歯を
こっちもデカブツ……大型ハンマーをぶつける
そんじゃ力比べだ
パラドクスに怪力無双の効果も添えてパワーマシマシで行くぜ

【飛翔】の速度とハンマーの大質量
こいつを掛け合わせ全力で【突撃】、迫ってくる拳ごとブチ抜きに行く
一撃でダメなら何度でもだ
ハンマーでの【強打】を重ねまくって【粉砕】してやる!

いつまでも出しゃばってんじゃねえ……
骸は骸らしく、黄泉路へ消えとけ!


文月・雪人
※アドリブ・連携歓迎

後はアイツを倒すのみ……って、これまたデカいなぁ([観察・情報収集・伝承知識・看破]で状況確認
クダ吉何匹分だろう、上に乗ったら大層眺めも良さそうだけど
え?クダ吉も高さなら負けないって?
はいはい分かったよ(やれやれと笑み
共に空へ、妖飛翔!

やる気満々で巨大化したクダ吉の背に乗り空へ
さて、仲間と重ねた【飛翔】で奴の頭は超えられるかな?

先ずは頭上からの[不意打ち]
関節を【能力値・命中・ダメージアップ】の[斬撃]で[両断]し[一撃離脱]

おお、更に大きくなった!
骸の拳の一撃は軌道を[看破]し【神速反応】で回避
【反撃アップ】でクダ吉のキック!
肉球スタンプを刻んで、どや顔なクダ吉だったとさ



「はーあァ。また骨かね」
「魑魅魍魎、選り取り見取りってな」
 狭間・ならく(【嘘】・g03437)の溜息に対し菱神・桐梧(喧嘩屋・g05613)はカラカラと笑った。
 ヒヒヒと笑い返せば、ウヒヒと楽しそうに笑う。
「死霊の分際で現世を彷徨き回るな。目障りだ。在るべき場所へ還ンな。ここにお前の居場所はねェ」
 笑い合って牽制するのに飽きたナラクは、刀を担いで前線へと出ていく。
「後はアイツを倒すのみ……って、これまたデカいなぁ。うや?」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は巨大な骸骨の姿を見て……。
 管狐のクダ吉何匹分だろうかと呑気に構えていた。
 上に乗ったら大層眺めも良さそうだけど、なんて考えても居たが流石に見慣れた仲間が戦いに赴くのを見て放置は出来まい。
「援護に行かないと駄目かな……え? 当然行くし、クダ吉も高さなら負けないって? はいはい分かったよ」
 雪人は後衛だからいかなくても良いよね?
 と念のために聞いてみたが、気の良いクダ吉は援護に行けと言う。
 それどころか随分とやる気を出して巨大化したので、その背に乗って空中戦を挑むことにした。
 この姿を見れば、大きなチョコレートをくれるかもしれないしね!
「おうおう、みなさんやる気だね。んじゃ約束も取り付けたことだし……潰すついでに、俺も遊ばせて貰おう」
 桐梧が持ち出したのは、あまりにも暴力的なカタマリであった。
 何しろ鉄筋コンクリート製の電柱を引き抜き、先に色々施してバランスを取り直した物である。
 どこのヤーさんの出入りかと聞けば、奴崎組降臨! とでも口にするだろう。
「目には目を歯には歯をこっちもデカブツ……大型ハンマーをぶつける。そんじゃ力比べだ。飛ばしていくぜ!」
『ズズズーン!』
 桐梧はリラックスした表情で巨大質量に対して真っ向勝負を挑んだ。
 パラドクスで体を一気に強化して、パワーにパワーで挑むのだ!
 ただし正面からと言えど相手の攻撃を受け止めたりはしない! 空を飛んで飛行速度かける重量かけるパワーの大激突である!
『ズッズウズン! ズズッズン!』
「おお、更に大きくなった! 跳んでクダ吉!」
 その様子を見ていた雪人だが、敵がゴムを握り締めたように巨大化したことで更に上へ飛ぶ。
 相手は攻撃として膨れ上がっただけなので、上に行くだけならば簡単だ。
 捻り込むように螺旋を描き、肩口から上へと飛び抜けて攻撃を仕掛ける!
 決まり手はクダ吉のキック!
「肉球スタンプを刻んで、どや顔なクダ吉だったとさ……って、まだ来るし!」
「はは、いいじゃねえか! 一撃でダメなら何度でもだ」
 雪人の笑顔が不意に固まり、桐梧の笑顔が獰猛な獣のソレになる。
 圧倒的な脅威の存在。人はソレに対して抗えるのだろうか?

 そう思った時、不意に何処かで箏の音が鳴った。
 そういえば……あの女、ナラクは何処に行ったのか?
「──吼えろ、地獄花」
 ボン! と内側から大爆発する骸骨の中から、血だらけのナラクが赤い刀を構えていた。
 相手の腕を千切り足を千切り、骨を叩き割りながら現世へと帰って来る。
「お、おかえり。クダ吉も御帰りって」
「あー。よく死んだ。マっ、攻撃を浴びせられた分はお返ししたけどな……つか舐めんな」
 どうやら懐に飛び込んだナラクを倒すために爆発したようだ。
 爆発自体を切り分けて反撃し、何とか脱出したようである。
 ではどうしてそのまま追撃しないのかと言うと……、まあ面倒くさいし、傷が痛いじゃん? とか言ってみる。
 あと、巨大な狐にペロペロされるのは御免被る。
「いつまでも出しゃばってんじゃねえ……骸は骸らしく、黄泉路へ消えとけ!」
 最後に桐梧がトドメを刺し、巨大な骸骨をぶん殴って破壊して回ったという。
 当面カルシウム補給には困らなさそうである。
 そして……。
「そういや雑色や牛飼い童どもは無事なんかね。助ける代わりに一杯驕らせてやっか」
 などと言いつつナラクは貴族が置いて逃げた牛車の方へ向かっていた。
 どこが本音かは知らないが、ただ一つ言える事がある。
 殺されかけた貴族は助かり、陰謀の火が未然に防がれた事だ。
「しかし、この事件はあと何幕あるのかな?」
 将門公の怨霊だという暗殺事件、そして……地獄変を巡る一連の闇は雪人にもまだ見通せない。
 燻っているだけで済むのか、それとも飛び火するのか、まだまだこの事件の先行きは見えないでいた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【一刀両断】がLV2になった!
【怪力無双】がLV3になった!
【飛翔】がLV4になった!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV5になった!
【反撃アップ】がLV5(最大)になった!

最終結果:成功

完成日2022年02月25日