リプレイ
マティアス・シュトローマー
紘希(g04512)と
手先は器用な方だと思うけど…石鹸を彫るのは初めてだな
ま、でも今日は天才芸術家の紘希がいるし?
これは勝ったな…!(ふふん)
紘希は何を彫る?
俺は虎。干支の置物って縁起が良いんだろ?
選んだのは橙色の石鹸
虎の写真を見てカッコよく彫るべく、いざ
待って。思ってたより柔らかい…!
くっ…早速虎の片耳が消えた…!
紘希の方は…
(隠された!)
あの、紘希先生。コツを教えてくれない?
話すのが楽しくてつい手が止まる
少し——本当に少しだけミスがあったけど、初めてにしては上出来じゃないかな
え!紘希が彫ってたの、俺だったの?
あの約束、覚えてくれててありがとう
可愛い弟分に向かってカッコよくウインクしてみせた
不知火・紘希
マティアスお兄さん(g00097)と
石鹸のアートかぁ。面白そう!
えっ僕、天才とかじゃないよ…
(真に受けて大照れ)
うーん、僕はどうしようかな。
お兄さんは虎を彫るんだね!運気があがりそう。
カッコいいイメージにもぴったりだ。
真剣に石鹸を選ぶお兄さんを見て、ふと浮かんだのは―
…あ!思いついた。
選ぶのは、真っ白な石鹸。
ええと、食紅はあるかな?
なかったら、食用ペイントを持参して使おう
少し集中しすぎて、声をかけられ驚き
えっ?あ、コツはねぇ…(石鹸をさっと隠して)
せっかく一緒にやるんだもん、楽しくお話しよう
出来上がったのは…
僕が憧れる「マティアスお兄さん」だよ
前に約束したもんね。次はかっこよく描くよって。
●あの日の約束
「石鹸のアートかぁ。面白そう!」
不知火・紘希(幸福のリアライズペインター・g04512)が目を輝かせる傍ら、マティアス・シュトローマー(ザ・フール・g00097)がふふんと笑う。
「手先は器用な方だと思うけど…石鹸を彫るのは初めてだな――ま、でも今日は天才芸術家の紘希がいるし? これは勝ったな……!」
「えっ僕、天才とかじゃないよ……」
自信に満ちたマティアスの言に、何に勝つのだろうとか問うこともなく、真面目に照れる紘希。
「紘希は何を彫る?」
照れた紘希を置いて、マイペースにマティアスは素体となる石鹸を吟味し始める。はっと気付いた紘希も、彼の傍に寄る。
目の前には、色とりどりの石鹸が並んでいた。イメージは数多に湧くが、これぞ、というアイディアには至らない。
「うーん、僕はどうしようかな」
「俺は虎。干支の置物って縁起が良いんだろ?」
唸った紘希へ、もう決めてる、とグレーの瞳がウインクする。
「お兄さんは虎を彫るんだね! 運気があがりそう。カッコいいイメージにもぴったりだ」
我が事のように顔を明るくする紘希に、だろ、と返し。イメージに似合う石鹸を、じっくりと探している。
そんなマティアスの姿を見、
「……あ! 思いついた」
茶の眼をぱっと開いた紘希は、白い石鹸を手にした。
虎の写真を前に、これにしようと選んだ橙色の石鹸に慎重に刃物を滑らせ、マティアスはその手応えに冷や汗をかく。
「待って。思ってたより柔らかい……! くっ……早速虎の片耳が消えた……!」
すぱんと落としてしまった小さな耳が、マットの上でぽてんと横たわっている。そういえば紘希は静かだな、と思って、隣り合う彼の手元を覗き込もうとして、
「紘希の方は……」
「えっ?」
素早く腕で隠されてしまった。少しだけショックだったのは秘密だ。
気を取り直し、マティアスは片耳を喪ってしまった虎(予定)を見せて、苦戦していることを報告する。
「あの、紘希先生。コツを教えてくれない?」
しゅんと項垂れるタンジェリンの髪に、紘希は優しい笑顔を浮かべた。
「あ、コツはねぇ……」
刃物を、こう。力は、こう……。ああっ、少しずつ。持ち手の方を……。
紘希の指南に従いながら刃と悪戦苦闘しつつ、時折「そういえばさぁ」とマティアスが話題を脱線していく。その度に「手が止まってるよ?」というものの、紘希も笑って付き合った。
折角一緒に作るのだから、楽しい時間の方がいい、と。
「できたー!」
完成した石鹸彫刻を前に控えめに叫び、机に突っ伏すマティアス。
「少し――本当に少しだけミスがあったけど、初めてにしては上出来じゃないかな」
「うん、お兄さんっぽいよ! ……カッコいいって意味だよ?」
滑らかさに欠ける無骨なフォルムだが、それによって虎の雄々しさが表現されているとも言える。ちゃんと耳は揃っているし、尻尾も彫り込まれているのだから、彼の言葉通り、上出来といえるだろう。
「紘希のアドバイスで、上達を感じた――で、紘希は何彫ってたんだ?」
隠されてただけに、気になる。
マティアスの問い掛けに、深く頷き、少し照れたような表情で差し出す。
白い石鹸には、カメオブローチのように人物が彫られていた――凜々しい横顔、緋色に染められた髪。
「僕が憧れる『マティアスお兄さん』だよ」
紘希の報告に、マティアスは眼を丸くする。
「え! 紘希が彫ってたの、俺だったの?」
「前に約束したもんね。次はかっこよく描くよって」
綻ぶように笑った弟分の言葉に、マティアスも少しはにかんで、そうか、と零す。
「あの約束、覚えてくれててありがとう」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
不義・無二
【青色】
アドリブ歓迎・語尾にたまにカタカナ混じり
彫刻とかもやったことねェからな~、超初体験
(見本の凝ったものを見ながら)
ほ~…なんか花とかだったら初めてでもやりやすい…か?
いや~セレスさん、こういうのはチャレンジ精神が大事っス。難しいとこ、エトヴァさんにも見てもらいまショ
プレゼントに最適ですしね、消え物系は
俺はこのピンクので…桜の花を3つ彫ってみるか
チョイチョイ…と細やかな桜の花を掘り進めて…意外となんとかなるな
ラッピングを白いオーガンジーのにすれば…中身が目立っていいカンジ~。
終わったらお披露目会ということでね
そうそう、これは日本の春に咲く花ですネ
色も形も、全員個性が出てすげえ良い出来~
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【青色】・3名で参加
アドリブ歓迎
(一緒に見本を眺めて)
色々できるのだな……
透かし模様か、石鹸ではないみたいだ
あ、俺も彫るのは触った程度の門外漢だが……
うん、チャレンジは大事だな
成程……良い贈り物だな
水色の石鹸を選び
真ん中を決めて……花びらの比率を決めておくと良さそうか
後はナイフに慣れる……までがんばろう
所々苦笑を交えつつ、夢中に
生まれた睡蓮の花は、どこか百合のような香り
裏に日付を装飾体で彫り込む
二人はどんなのが出来ただろう?
見せあえば、手の中に花が咲く
……生き物みたいだ
無二さんのは春の花? ロマンチックな感じがする
セレスさんのは愛らしい花だな
性格か……と自分の花を見て
……皆、良いものができたな
セレスティン・ウィンディア
【青色】
確か彫刻の一種だったっけ?
(見本の写真を見て)
え、綺麗…!薔薇がすごいっ!このくるくるってなってるのもどうやって立体的?え、それに透かし模様とかもはや石鹸!?
って、あはは、初心者にはそこまで無理よね
そうなのよね、貰っても置き場所に困るものってあるわよね
その点石鹸なら実用的!無二さんナイスアイディア(グッ
白の石鹸に大きな花を一つ
あ、ナイフの形違うのもある
これで形を変えたりできるのね
慎重に掘っていくも何処か全体の不安定な花が完成
これ、性格が出ちゃうわね(苦笑
二人はどんな感じかしら?
一足早い手元の春を楽しむの
みんなアーティスト感性が溢れた作品で愛らしいわ
ラッピングに刻印っおしゃれ男子なのです
●三色の花
ソープカービングかぁ、とセレスティン・ウィンディア(エルフのデーモンイーター・g06011)小首を傾げる。
「確か彫刻の一種だったっけ?」
「彫刻とかもやったことねェからな~、超初体験」
不義・無二(予言の鳥・g01986)が期待を込めて、机上を一瞥する。
「色々できるのだな……透かし模様か、石鹸ではないみたいだ」
ほう、と声をあげたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)に続いて、用意された見本を眺めて、えっ、と声をあげたのはセレスティンだった。
「え、綺麗……! 薔薇がすごいっ! このくるくるってなってるのもどうやって立体的? え、それに透かし模様とかもはや石鹸!?」
じぃっと図案を見つめる彼女の横から更に覗き込んで、
「ほ~……なんか花とかだったら初めてでもやりやすい……か?」
この辺り……と花の図案を並べ、無二が腕組み呟けば、複雑怪奇な上級者向け見本をそっと脇に避けて、セレスティンが笑う。
「って、あはは、初心者にはそこまで無理よね」
「いや~セレスさん、こういうのはチャレンジ精神が大事っス。難しいとこ、エトヴァさんにも見てもらいまショ」
ネ、と水を向けられたエトヴァも「あ、俺も彫るのは触った程度の門外漢だが」と少し困り顔を見せたが、折角の機会だと二人に微笑む。
「……うん、チャレンジは大事だな」
見ていた花の図案、そのひとつに惹かれて、手にしながら、肯く。
何より、と無二も一枚拾いつつ、ニッと笑う。
「プレゼントに最適ですしね、消え物系は」
「そうなのよね、貰っても置き場所に困るものってあるわよね――その点石鹸なら実用的! 無二さんナイスアイディア」
ぐっと親指たてて、セレスティンが同意する。ほう、とエトヴァが感心する。そういう視点があるのかと。
「成程……良い贈り物だな」
「で、二人は決まったのかしら?」
未だ悩んだようなセレスティンの問い掛けに、「ああ」「ハイ」と二人が揃う。わぁ、と慌てた彼女の姿を、二人はそれぞれ微笑ましそうに眺めるのであった。
果たして無事に準備の整った三人は、顔を突き合わせるような形で、作業に掛かる――水色の石鹸を手に、エトヴァはナイフをあてがい、中心をとる。
「真ん中を決めて……花びらの比率を決めておくと良さそうか」
バランスを目視で取るのは絵を描くときと似ているから困らないが、作業は慣れぬ彫刻だ。薄く線を入れていく力加減に緊張する。
「後はナイフに慣れる……までがんばろう」
苦笑いひとつ。
しかし丁寧な作業を進める彼に倣い、白い石鹸にちょんちょんと印を刻むセレスティン。
「あ、ナイフの形違うのもある。これで形を変えたりできるのね」
巧く使えるかしら、と呟く彼女に対し、「なるほど?」と相槌した無二はピンク色の石鹸に、ひょいひょいと軽くナイフを当てていく。
小さな桜を素早く切り出すと、その横に、同じくらいの桜を彫り始める。
「チョイチョイ……と……意外となんとかなるな」
器用さなのか、思い切りの良さなのか。鼻歌交じり、さくさくと手を動かす彼を前に、セレスティンもエトヴァは黙々と彫り進めていく。
石鹸の屑を軽く吹き飛ばす以外は、息が詰まるような作業を続け――できたっ、とセレスティンが大きく息を吐いた。
「お疲れサマ~」
笑う無二の朗らかさにつられて、貌を上げたエトヴァは疲れたように瞼を伏せ、瞬きしながら、「どんなのが出来ただろう?」と問いかける。
皆で一斉に、掌に載せ、開く――。
「……生き物みたいだ」
「一足早い手元の春って感じかしらね」
エトヴァの囁きに、セレスティンがくすりと笑う。
無二の掌で咲くのは三つ並んだ桜。透けた白い布でふわっと包み込むことで、ピンクの華やかさが強調されている。
「ラッピングを白いオーガンジーのにすれば……中身が目立っていいカンジ~」
桜の花冠の形のバランスが整っていて、石鹸内に描かれた画として目を引く出来映えだ。
花束みたい、とセレスティンが感心すると、無二は自慢げに双眸を細めた。
「――無二さんのは春の花? ロマンチックな感じがする」
「そうそう、これは日本の春に咲く花ですネ」
「エトヴァさんのは、蓮……睡蓮かしら?」
セレスティンの問いに肯いたエトヴァの手には、水色の睡蓮。どこか百合のような香りを漂わせ、丁寧に彫り込まれた花は繊細の一言だ。凜とした気品というか、水に透けて浮かぶような世界観がある。
裏には装飾体で日付が彫り込まれている。
「丁寧な仕事っスね」
底まで凝ってると呟く無二に、セレスティンは瞳を輝かせた。
「みんなアーティスト感性が溢れた作品で愛らしいわ――ラッピングに刻印っおしゃれ男子なのです」
うんうんと我が事のように喜ぶ彼女の作品は、白い花。
「セレスさんのは愛らしい花だな」
「慎重に彫ったつもりだけど……これ、性格が出ちゃうわね」
何処か全体のバランスが不安定な花。花片の厚みも一定ではないし、と唇を尖らせる彼女に、エトヴァは優しい眼差しを送る。
本人の評価は兎も角、石鹸の中心に咲いた丸っこい花は、全体的に愛らしい丸みを帯びていた。不均等であっても、それが愛らしさに一役買っており、花片の形状は真剣に彫った事が窺える。
性格か……、とエトヴァは自分の作品を見、二人の作品を再度見つめて柔らかに笑むと、
「……素敵だと思う」
率直に褒めれば――ソーソー、と無二も同意する。
「色も形も、全員個性が出てすげえ良い出来~」
二人の言葉に、セレスティンは石鹸を優しく手で包んだ儘、照れたように笑う。
お互いの新たな一面が見られたとも――よく知る素晴らしさが改めて形になったようにも感じられる、三色の花を前に。
「……皆、良いものができたな」
エトヴァが囁くと、二人も笑って応じるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
樹・春一
【削ルヤ】
想いを込めて手作りプレゼント! 素敵じゃないですか!
石鹸なら食べ物じゃありませんし、しばらく置いといても大丈夫です
姉さんにあげるんです! いつ会えるかわかりませんけどね!
やっぱりピンクのお花かなあ。姉さんお花好きですから!
では早速! えいっ!(全力)
……石鹸って儚いんですね
大丈夫です! 今学びました! 手加減が必要であると!
日が暮れるまでには完成させます! 見ててください神よー!
アキラさんのは虹色できれいですね! 確定演出? 回しますか?
師匠のは……せ、せっけん? それで手洗うんですか? えっなんかこわい
荊さんが普通に器用なのがなんか悔しいです。粉じゃないです! ただの事故です!
舞剣・荊
【削ルヤ】
石鹸!しばきにきた!
ん?削るんだっけ
ま いいや
とりあえずやっちゃおーぜ
☆実践
白い長方形の石鹸
よくある清潔感ある香り
ナイフくるくるしつつ
何描こうかなーと思案
はるーち何作るかキメた?と
手元を覗き込……なにそれ粉石鹸じゃん
儚いっつーかウケるわ
ついでに組長は……いやナイフの持ち方プロじゃん
石鹸削るだけであんな迫力でんのヤバない?
たかなし何作ってんの
えすえすあーる?なんかのブランド?
いや石鹸くらい使うっての!
固形石鹸は小学校の手洗い場以来だけどね
だはは!
んーとりあえずハートにしとくか
内側にチョチョッと意匠入れて
あげる奴は浮かばねーけど
サイアク自分で使うとなっても
このデザインなら大丈夫っしょ
小鳥遊・英
【削ルヤ】
必要ですか?そんなイベント
バレンタインイベントなんてソシャゲのボイス回収だけのものでは?
…まぁ、今できませんけどね、ソシャゲ……
……はぇ~。色々種類がありますねぇ
どうすっかな…と色々手に取りつつ
みなさんの手元をチラチラ見て回ります
組長はやっぱり彼女へ贈るんです?
様々な色の石鹸を少しずつ取ってきて
宝石のような型にばらばらと押し込めましょう
ふむ、色の具合はよさそうですね
型から外したら文字を刻み込みます
『SSR祈願』っと
いやぁ、回したいところですねぇ
樹さんはお姉さんにですかね
舞剣さんは……え、石鹸使います??
顔見知り以上友達未満
奴崎・娑婆蔵
【削ルヤ】
石鹸彫刻。よござんす
おっと、ナイフの貸し出しは結構
自前の準備がありやす故(懐からドスが出る)
左様でござんすね、贈るならばツレ宛よ
(SD調ジョロウグモを彫刻。八本足で自立して折れない砕けない職人バランス)
……益虫とは言え、ちとパンチが強過ぎやしょうか?
ではこいつも
(自転車を彫刻。車輪のスポーク一本一本まで再現した達人バランス)
どれ、各々方の塩梅はいかがで?
小鳥遊のお嬢は――成る程、ソシャゲが配信される程にあるべき歴史を取り返すという意気込みでござんすか(いい解釈)
樹のは……お前さん、もうちょい肩の力ァ抜きなせえ
して舞剣のは?
確かに、手に取るにもしっくり来る形状ではある所か、成る程うまい
●四者四様
バレンタインイベント――その響きに、小鳥遊・英(Code name/Falcon・g00772)はむすっとしている。
「必要ですか? そんなイベント」
画面越しにリア充しねとか言ってきた英にとっては無縁のイベント――まあ、強いて言うなら。
「バレンタインイベントなんてソシャゲのボイス回収だけのものでは? ……まぁ、今できませんけどね、ソシャゲ……」
むしろそれは楽しみにしてたのに――とまた切なくなった。
「想いを込めて手作りプレゼント! 素敵じゃないですか!」
リア充なにそれ殴れますかーとかいう感じだけれど、陽キャの最たる声が響く。
姉仕込みの慈愛を持つ樹・春一(だいたいかみさまのいうとおり・g00319)は、英を楽しもうと誘い出す。
「石鹸なら食べ物じゃありませんし、しばらく置いといても大丈夫です――姉さんにあげるんです! いつ会えるかわかりませんけどね!」
春一の勢いに、おーっと舞剣・荊(Thorm.・g02226)が乗る。
「石鹸! しばきにきた! ん? 削るんだっけ――ま いいや。とりあえずやっちゃおーぜ」
細かい事は気にしない、荊はずんずんと石鹸を目指して歩き出し、春一もわーいとついて行く。
その後ろに、静かな気配が続く。
「石鹸彫刻。よござんす」
瞼閉ざした包帯巻きの男――奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)は物音立てずに歩き進む。ただならぬ気配は、異相ゆえばかりではない。其れも含めて、組長だから、と納得してしまうところではある。
「おっと、ナイフの貸し出しは結構、自前の準備がありやす故――」
ちらりと懐に覗くドス――に怯える者はいないのが幸いである。
うきうきと可愛らしいピンクの石鹸を見つけた春一は、これにしようと作業スペースで腕をめくる。
「やっぱりピンクのお花かなあ。姉さんお花好きですから! ――では早速! えいっ!」
ぱーん!
春一が一刀入れるや、石鹸は爆ぜた。
「はるーち何作るかキメた? って……なにそれ粉石鹸じゃん」
よくある白い石鹸を選んだ荊は、何描こうかなーとナイフをくるくる玩びながら、春一の手元を覗き込み――ブッと噴いた。
「……石鹸って儚いんですね」
「儚いっつーかウケるわ」
荊の言葉に、春一は祈るように、胸の前で指を組む。
「大丈夫です! 今学びました! 手加減が必要であると! 日が暮れるまでには完成させます! 見ててください神よー!」
「アタシも応援してるわ。ガンバ」
意気込む春一だが、ナイフをグーで握りしめている間は、粉砕を続けそうな気がするが、荊は何も言わなかった。
だってその方が面白そうだから。
一方その頃。英は眼前の石鹸の数や色に圧倒されていた。石鹸はこんなに種類があるのか。色があるものなのかと素直に驚き――迷う。
「……はぇ~。色々種類がありますねぇ」
どうすっかな、と幾つか手に取りつつ、皆の手元を覗いてみることにした。
ピンクに、白に――黒と黄色のマダラ?
娑婆蔵の手にする奇抜な柄に、小首傾げて、英が尋ねる。
「組長はやっぱり彼女へ贈るんです?」
「左様でござんすね、贈るならばツレ宛よ」
何作るんです、という問いに、娑婆蔵は鷹揚に頷き、無言で白鞘の短刀を抜くや、赤き双眸で獲物を見据える。
刹那走るは、迷いのない刃物捌き、雷光が如き剣閃。
ぱちぱちと英が目を瞬かせてる間に、彼はSD調のジョロウグモを削り出す。
きちんと八本足で自立している――確りジョロウグモと解るのに、細い足が折れてしまいそうな不安定さもない。
「はあ、なんかカプセルトイみたいで」
職人技とはこのことか。英は胡乱そうに石鹸を見つめる。
一仕事を終えた娑婆蔵の懐で、かちりと鍔が鳴る。
「皆さーん、作る物決まりました……」
とことことやってきたのは春一だった。一度目の失敗から、クールタイムを設けることにしたらしい。
先程彫られた石鹸彫刻をみつめ、彼は驚き、目を瞠る。
「師匠のは……せ、せっけん? それで手洗うんですか? えっなんかこわい」
歯に衣着せない台詞だが、はてさて娑婆蔵も動じない。己とツレは何とも思わないだろうが、世間様には然り。春一の言葉に、顎を撫でて思案する。
「……益虫とは言え、ちとパンチが強過ぎやしょうか? ――ではこいつも」
思い入れがあるからこそ彫り起こした型だが、娑婆蔵は次の作品に取りかかる――当然、先と同じく愛刀で。
ねぇねぇ、はるーち。荊が春一に囁く。
「ついでに組長は……いやナイフの持ち方プロじゃん。石鹸削るだけであんな迫力でんのヤバない?」
「師匠ですし……?」
会話する間に石鹸はみるみる削られて――彼が納刀する頃には、車輪のスポーク一本一本まで再現した自転車が作業台に鎮座していた。
「まじエグいわ」
荊はへらっと笑い、春一は目を輝かせ、机に齧り付く。此所から彼は、適切な力加減を学び取れるだろうか――。
そんな彼らの傍らで、いつしかせっせと作業を進めていた英の手元を、
「たかなし何作ってんの」
荊が覗き込んだ時、英は既に基礎を作り上げていた――色とりどりの石鹸を、鉱石のような形状にした宝石石鹸。
それだけでプレゼントも可能そうな綺麗な石鹸なのだが、今日の本題は彫刻にある。
すっすっす、と迷いの無いナイフ捌きで、彼女はある文字を刻み込んだ。
「『SSR祈願』っと」
「えすえすあーる? なんかのブランド?」
首を傾げる荊の横で、にこにこと笑う春一が現れた。
そう、英が作り出したのは虹色に輝く石。SSR祈願と刻んだことで概念が具体化したとかなんとか。
「アキラさんのは虹色できれいですね! 確定演出? 回しますか?」
「いやぁ、回したいところですねぇ」
無邪気な言葉に、英は遠くを見つめて懐かしむ――そんな姿に、娑婆蔵は腕組み、深く頷く。
削れば出る。復活するなら、そんな世界であってほしい。
「小鳥遊のお嬢は――成る程、ソシャゲが配信される程にあるべき歴史を取り返すという意気込みでござんすか」
――とても前向きな解釈であった。
彼はそのまま、半身振り返る。
「して舞剣のは?」
水を向けられた荊は、へへ、と笑い、白いハート型の石鹸を披露した。
ハート型も当然、彼女が削り出し成形し、内側には小洒落た意匠が彫り込まれている。シンプルながら、商品さながら、文句なしに美しい出来映えであった。
「あげる奴は浮かばねーけど。サイアク自分で使うとなっても、このデザインなら大丈夫っしょ」
自分で使ってもいいデザイン――それに怪訝そうな表情をしたのは、英であった。
「舞剣さんは……え、石鹸使います??」
「いや石鹸くらい使うっての! 固形石鹸は小学校の手洗い場以来だけどね、だはは!」
けらけら笑う荊の作品を、真摯に見つめ、娑婆蔵が微笑む。
「確かに、手に取るにもしっくり来る形状ではある所か、成る程うまい」
「うーん……荊さんまでも」
唸りつつ、皆の石鹸をまじまじと見つめている春一に、英が問いかける。
「樹さんはお姉さんにですかね」
「はい、かわいいお花をプレゼントしたいなって……」
皆を甘く見ているわけでは無いが、皆できたのだ――よし、と春一は再びナイフを構えた。
「見ててください師匠! 僕も続きますよ! えーい!」
片手に石鹸。片手にナイフ。それが、触れあう――瞬間。
ばーん。
叩き合わせた瞬間、弾け飛んだ石鹸(二つ目)を前に、
「……お前さん、もうちょい肩の力ァ抜きなせえ」
流石の娑婆蔵も――それ以上の言葉はなかった。
「やっぱ粉石鹸じゃん!」
「荊さんが普通に器用なのがなんか悔しいです。粉じゃないです! ただの事故です!」
指さし笑われながら、春一の奮闘は続くのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【腐食】LV2が発生!
【セルフクラフト】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ガードアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
笹井・幽
【残響】の皆と
オラトリオに日傘をさして貰いながら参加
お天道様の下を歩くの 何年ぶりかな
目標は雛罌粟の彫刻
薄紅の石鹸に彫刻刀を滑らせながら少年を見て
手元に気をつけて 指を大事にね
少しずつ 少しずつ 彫り進めながら少女を見て
器用だなあ 彫り方が安定しているね
俺はと言えば不器用で 一手入れるたび大きく削れて
結局歪な花が刻まれた石鹼を 小さな箱にしまって赤いリボンをかける
ト音記号を五線譜で包んだソレイユくん これは小さな楽譜だね
硝子のドームに花を入れたアザレアちゃん 一つの絵画みたいだ
そう これは雛罌粟の花 リボンの色も大正解
俺の石鹼にはノーコメントを貫くつもりだったのに
楽しいからかな つい口が滑った
アザレア・クラン
【残響】の皆と
乳白色の石鹸を手に、ナイフをくるり
今日の為に少し練習してきた
大丈夫 問題ない
…と言ったけど、木と比べて柔らかく力加減が難しい
ソレイユ、怪我をしないように気を付けて
隣の少年へ心配の声を掛けながら丁寧に削っていく
幽も、花を作っているの?ちらりと横目で覗き見て
器用だろうか… 返す声は自信なく
一枚ずつ丁寧に花びらを形成して
目指す形は白いアザレア
華やかな香りが舞う 頭がぼうっとする
(時間帯の所為もあるかもしれないけど…)
完成した石鹸の花はドーム型の硝子容器に
どう、かな 2人へ感想を求めつつ
ソレイユは箱のデザインも凝っててお洒落
幽は花の色にリボンを合わせた?
怪我なく無事に完成して何より
ソレイユ・クラーヴィア
【残響】の皆と
薄紫のラベンダー石鹸で
彫刻刀は握るのも初めて
なにやら心が弾みます
手先は器用なつもりでしたが
この石鹸、硬いようで柔らかく、そして滑りますね…っと、わ!?
労りの言葉はありがたく、そして少し恥ずかしく
アザレアの繊細な手技と
幽の丁寧かつ大胆な彫刻刀捌きを見習って
己も悪戦苦闘した結果
ト音記号を彫って漸く完了
表面はやや凸凹していますが
箱に入れ細い黒リボンを横方向にぐるぐる巻き付ければ
そう、五線譜
幽は大正解です
アザレアのは作者の心遣いが現れた様な繊細で美しく
ああ、この花もアザレアの言うのですね
幽のは個性的で…、もしかしてコクリコの花ですか?
小さな愛らしさで、なんだか大人っぽい作品の様に感じます
●藹藹
「お天道様の下を歩くの 何年ぶりかな」
オラトリオ『ウタコさん』が日傘を畳むのを穏やかな眼差しで見守りつつ、笹井・幽(回遊魚・g06444)が片手をあげて挨拶したのは、白黒の魔力翼持つ少年と、夜空を流し込んだ髪が印象的なエルフの娘――。
「待たせたかな?」
「いいえ時間通りです」
少年、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は肯いて、
「時間通りで、少し驚いた」
娘、アザレア・クラン(落花・g06282)は漆黒の瞳を僅かに細めた。
約束を破ることはそんなにないけどなあ、と幽は曖昧に笑う。
「まあまあ。楽しみにしてたんですよ」
ソレイユが二人を引っ張るように、卓へと向かう。
石鹸の色とモチーフを決めて、ナイフを手に、三人並んで席に着く。
「彫刻刀は握るのも初めてで、なにやら心が弾みます」
ナイフを前に、そわそわと。ソレイユがアザレアは、と娘に問えば、彼女はナイフをくるりと回し、肯く。
「今日の為に少し練習してきた――大丈夫、問題ない」
「二人とも、気をつけてね」
なんとなく不安が勝って幽が心配すると、それぞれの表情で、やはり神妙に肯いた。
そして誰からとも無く、石鹸に一刀入れ始める――。
練習してきたとは言ったけれど。アザレアは慎重に角度を変えながら、感覚の違いと対峙する。
(「木と比べて柔らかく力加減が難しい」)
押さえる指がつるっと滑ってしまいそうになるのは、力が入りすぎているからなのだろう――乳白色の石鹸を逃がさぬよう、丁寧に刃を沈め、少しずつ削る。
その隣で、飄々とこなせそうな手つきで彫刻を始めたソレイユが、薄紫のラベンダー色した石鹸を前に、む、むむ、と唸り始める。
「この石鹸、硬いようで柔らかく、そして滑りますね……っと、わ!?」
「ソレイユ、怪我をしないように気を付けて」
案じるアザレアに、幽は薄紅の石鹸を削る手を止めず、やんわりと続けた。
「手元に気をつけて 指を大事にね」
美しい旋律を奏でる指なのだから、と。
二人の労いに、はい、と応えながらソレイユは恥じらいに頬を薄く染め――すぐに真剣な表情になって、作業を再開する。
「幽も、花を作っているの?」
淡淡と手を動かす幽を、ちらりと横目で覗き、アザレアが問う。
「うん、一応ね……」
語尾が曖昧に溶けていくのは、彼の手腕は淀みなく、少しずつ気をつけて削っているにも関わらず――かなり大雑把に見える。いや、大雑把にしたいわけではないのだが、生来の不器用さが発揮されてしまっている。
誤魔化すわけでは無いが、ひとたび手を止め、アザレアのナイフ捌きをひたと見た。
「器用だなあ……彫り方が安定しているね」
「器用だろうか……」
彼女は自信がなさそうに答えるが、繊細と切り出された花びらは、柔らかなフリルのようで、ソレイユも「巧いなあ」とぽつり零した。
面映ゆい気持ちになりながら、アザレアは作業に没頭していく――石鹸から溢れた削り粉か、華やかな香りが舞うと、頭がぼうっとするようで――時々目を瞬かせる。
(「時間帯の所為もあるかもしれないけど……」)
花の形になってきた石鹸から丁寧に屑を落としながら、しゃんとしなければ、と小さく呟く。
――気付けば、三人、会話も忘れて彫刻を続けていた。だが、不快な沈黙ではない。同じ空気を共有するような感覚があれば、言葉を交わさずとも良かった。
(「アザレアの繊細な手技と、幽の丁寧かつ大胆な彫刻刀捌きを見習って」)
悪戦すること小一時間、ソレイユは最後の一刀を入れ、漸く長い溜息を吐いた。
「後は、箱に入れ細い黒リボンを横方向にぐるぐる巻き付ければ……」
できた、と彼が呟いた時、アザレアも作品の完成したらしく彼らの名を呼ばう。
「どう、かな」
そっと、ドーム型の硝子容器に収めた石鹸を差し出し、アザレアが二人に感想を求める。
内側で咲く白い花は、細かく重なった花弁。その縁の繊細な湾曲まで、きちんと再現されている。それを硝子容器に収めたことで、幻想的な雰囲気を高めていた。
「一つの絵画みたいだ」
素直に感嘆したのは、幽だ。青い瞳を丸くして、ソレイユも褒める。
「アザレアのは作者の心遣いが現れた様な繊細で美しく――ああ、この花もアザレアと言うのですね」
ありがとう――消えそうな、しかし二人には届く声で、アザレアは礼を告げると、二人のも見せて、と促した。
さっと先に差し出したのは、ソレイユだった。
少し凹凸があるラベンダーのト音記号が、ぴったりの白い箱に収まっている。それをぐるりぐるりと黒いリボンが五本、横に走るように巻かれていた。
「ソレイユは箱のデザインも凝っててお洒落」
「これは小さな楽譜だね」
表面は申告通り少し歪だけど、曲線がきちんと綺麗に彫れてる、と感心するアザレアの隣、わかった、と幽が微笑む。
「そう、五線譜。幽は大正解です」
喜色を隠さず、ソレイユが胸を張る。そうなのね、とアザレアが覗き込んでいる間に、然り気無く幽が二人の前に自分の作品を差し出した。
赤いリボンを掛けた小さな箱に、歪な花が刻まれた薄紅色の石鹼が収まっている。
花だとは解るけれど、まるっとして、花弁も少し分厚い。
二人は暫し眺めるや、真剣な声音で告げる。
「幽のは個性的で……、もしかしてコクリコの花ですか? 小さな愛らしさで、なんだか大人っぽい作品の様に感じます」
「幽、花の色にリボンを合わせた?」
二人は決して、笑ったりはしなかった――むしろ真剣に見てくれるとは。
「そう これは雛罌粟の花 リボンの色も大正解」
肩を竦めて幽は認める。花の種類まで言い当てられるのは、嬉しい誤算だった。
「俺の石鹼にはノーコメントを貫くつもりだったのに、楽しいからかな……つい口が滑った」
藍色の瞳が語る本音に――ただアザレアは静かに首肯する。
「怪我なく無事に完成して何より」
本当に、安堵の息を吐いたのはソレイユで。あはは、と幽は笑って返した。
この時間が確かに存在し、楽しかったことを証明するかのように。三つの石鹸彫刻は、寄り添っていた――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【植物活性】LV1が発生!
【土壌改良】がLV2になった!
【プラチナチケット】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!
喩・嘉
【瑞鳳占房】の仲間達と
石鹸彫刻とは面白いことを考えるものだ
俺たちは皆でそれぞれ一つずつ菓子を彫ろう
並べたら菓子棚のようになって愉快そうだ
俺は月餅を彫ろうかな
月餅は表面の模様が特徴的だから、綺麗になりそうだ
色は白、香りは蜂蜜にしようかな
少し俺の匂いに似ているだろうか
菓子を模していると、多少形が歪んでいてもそれも美味しそうに見えるのもいいな
彫りながら、助けが必要そうな者がいれば時々手や口を出す
完成したら、しばらく並べて眺めていたいな
……このあと皆で喫茶店にでも行こうか
孫・リア
【瑞鳳占房】の皆と!石鹸でお菓子を彫りに来たわよ!
私が彫るのはパンケーキ!ここに来て食べて物凄く美味しかったし、このパンケーキの香りの石鹸で作るのってぴったりだと思うの!
皆の様子を見つつ手を切らないように気をつけて……んーこの大きななら分厚いの2枚重ねかな?蜂蜜が垂れてるようにして…あとバターも……
よし!できたー!……んーちょっといびつ?かな?まぁこれはこれで味があるって事よね!
みんなのはどんな感じになったのかな?……うわー!皆のもとっても素敵!
えっ?喫茶店?行きたい!行きたい!作ってたら本物のパンケーキ食べたくなっちゃったからね!
【アドリブ歓迎】
吉水・翡翠
アドリブ歓迎。
【瑞鳳占房】の皆と
バレンタインデーですね。
恋人同士などで贈り物する日ですが、別のところでは親しい人の間で贈り物を贈りあいする日でもあるようですね。
と皆さんに説明しましょうか。
……さて、石鹸をどのように彫りましょうか……
……マカロンにしますか。
上下と中身を色など変えつつそれっぽく彫ります。
……マカロンは贈る意味がありまして。
「あなたは特別な人」という意味です。
……今は説明しませんけどね。
守都・幸児
【瑞鳳占房】の皆と参加するぞ
皆で甘味を彫るぞ
こいつは石鹸って言うのか
いい匂いのする柔らかい石だな
俺はおはぎを作るぞ
俺の手じゃ細かい細工は難しいが
おはぎならでこぼこしてても大丈夫、だよな
餡の香りがする小豆色の石鹸を一生懸命削るぞ
つるつる滑って苦戦するが頑張るぞ
どうしても上手くいかねえときは
喩嘉、ちょいと助けてくれねえか
あんまりいい匂いで
削った欠片をちょっと口に入れてみる
…いい匂いだけどやっぱ食えねえのか、不思議だな
月餅とケーキと練り切りとマカロンと…
お、初めて見る甘味もあるぞ
どれもすごくいい匂いで
すごく美味そうだ
どんな味がするんだろう
本物食べてみてえな
喫茶店てとこ行けば食えるのか?行こう行こうっ
鳴・蛇
【瑞鳳占房】の皆と一緒に参加
石鹸彫刻…何を作るか。お菓子なら…そうだ、荷花酥で。(満開のハスの花を模したお菓子)
爪があるので彫刻刀は必要ない、失敗したら口からの炎で溶かしてまだやり直し。
石鹸の選択は、外部は半透明で白色内部は小豆色、香りは荷花のオリーブオイル石鹸。
オリーブオイルの匂いと荷花の香り、二者のコンボで菓子のような匂いを強調する。
更に油揚げしたお菓子質感を再現するため、粉末状の石鹸をふりかける。
さって、皆さんの調子はどうかな、少し見に行こう…
後で本物を作ろうか…喫茶店?あちらの台所を借り事は出来るかな。
万が一のため、「ここのお菓子は全部石鹸製品です」とようメッセージを菓子棚の前に置く。
平良・明
【瑞鳳占房】の皆と参加
こう、生き死にが関わらないと、辺りを眺めつつぼんやり色々と考えてしまいます。
皆の好みとかが出ていいなぁ、とか思いつつ
私は普通に、ミニチュアサイズのホールケーキ
真っ白の石鹸をベースに、クリームたっぷりな見た目でデコレーション
上には真っ赤に着色した苺をちょこんと乗せて
菓子棚の隅っこに目立たずあるくらいがちょうどいい
そんな普通なケーキです
額装には小さなショーケースを持ち込んで
皆、思い思いに置けばいいでしょう
食べれないのは寂しいですが、こういうのも悪くない
でも食べれればもっといい
喩嘉さんの店選びは間違いないので、ついていきます
十野・樞
【瑞鳳占房】の皆と一緒に
石鹸彫刻か、なるほど面白そうだ
手先の器用さにはあまり自信はねえが、頑張ってみるか
みなで菓子を作るんだったな
チョイスや作り方、色んなところに好みやらしさが出て、それを見ているだけでも楽しい
俺はラム酒…じゃねえ、ラムレーズンサンドでも
ラムレーズンバター部分は、
薫り高いラム酒のような香りの葡萄色の石鹸でレーズン大きめに
挟むバターサブレは狐色の石鹸
このままじゃちょいと地味だ
何か幾何学模様でも刻むかね
カトラリーも作って添えるか
皿に盛って皆と一緒にならべ飾れば…すごいと思うと同時に、確かに腹が減ってくるな
そうだな、喫茶店行くか
皆で作った甘味全種類…皆で分ければ制覇出来るだろうしな
杏・紅花
【瑞鳳占房】のみんなと
(名前+サン呼び)
いいかおり〜…石鹸を削ってカタチづくるなんて、おしゃれ!
ココは集中してがんばろお!
バニラの香り、たまご色の石鹸選んで、「エッグタルト」を作るっ
タルト部分は波なみに彫って、くりーむは美味しそーに、てかーん、つるーんとさせたい!
集中して彫ってるみんなの顔、つい見ちゃったりして
みんな、それぞれ「らしい」なあって思う
んふ。あたしの、だいじ。
みんな、だいじ。
甘いのと並べて並べて、ぜんぶおいしそ!
並べたら壮観っ!
……でもこれ、食べれないのかあ…お腹、すきそう…
喫茶店!行きたい行きたぁい!
アドリブ大歓迎っ
神代・朔夜
【瑞鳳占房】
さて、私は何のお菓子を作るとしましょうか……
普段から食べているお菓子となるとそうですね、花の練り切りにしますわ。
この腕なので花一つを丸々作るような細かくて難しい作業は出来ませんが、練り切りには花弁一枚だけのものもありますし、それであれば作れると思いたいですね。
石鹸も淡い桃色で花の香りがするものを探して彫っていきます
気を付けないと深く彫り過ぎてしまいそうで少し怖いですね、慎重に彫らないと……
出来ました。形は少しいびつになってしまいましたが整えれば花弁に見えるでしょうか?
並べてみるとお菓子らしく見えてくる気がします
喫茶店もぜひ皆さんで行きましょう
本物を食べるのが楽しみです
シャムス・ライラ
【瑞鳳占房】の皆と
ばれんたいんでーは良く分からないが
こうして気心の知れた者同士出かけるのも良いものだ
石鹸彫刻で和菓子『道明寺』を作成
周りの様子を微笑ましく眺めながら見様見真似
石鹸を手に取って
丁寧に、まずは丁寧に!
『道明寺』は見た事はあるが、実は食べた事がない
ただ春を思わせる色で、可愛らしい甘味だと思ったから
石鹸も似た色を選ぼう
爪楊枝で大体の構図をなぞって
後はナイフで…黙々と葉の葉脈を削り出す
意外とはまる
皆で菓子棚を埋めてみるのも一興
歪んでいるのもそれはそれ、賑やかで可愛らしい
見知らぬ甘味もたくさんある
この後喫茶店へ?
では、本物を味わえるかもしれないな
他者との絡みやアドリブ等歓迎
●絢爛
「ばれんたいんでーは良く分からないが、こうして気心の知れた者同士出かけるのも良いものだ」
軽く首傾げて微笑んだシャムス・ライラ(極夜・g04075)の言に、
「恋人同士などで贈り物する日ですが、別のところでは親しい人の間で贈り物を贈りあいする日でもあるようですね」
吉水・翡翠(道求める陰陽師・g01824)が真面目にバレンタインデーについて説明する。
平穏な一日。気心知れた仲間――、その言葉にくすぐったいような、漠然としたような感覚を覚えて、平良・明(時折の旅行者・g03461)は目を細める。
(「こう、生き死にが関わらないと、辺りを眺めつつぼんやり色々と考えてしまいます」)
その傍ら、ジャコウアゲハの翅を垂らした、喩・嘉(瑞鳳・g01517)がゆるりと振り返る。
「石鹸彫刻とは面白いことを考えるものだ」
清潔感漂う香りに、小さく笑う。うんうん、と杏・紅花(金蚕蠱・g00365)が頷き同意する。
「いいかおり~……石鹸を削ってカタチづくるなんて、おしゃれ!」
「なるほど面白そうだ――手先の器用さにはあまり自信はねえが、頑張ってみるか」
ひょこひょこ跳ねる彼女を一瞥し、十野・樞(division by zero・g03155)が静かに言う。
「で、何を彫る?」
自由に作ってもいいが、折角皆を誘ったのだ、何か考えがあるんだろう――樞の眼差しに、如何にも喩嘉は首肯する。
「俺たちは皆でそれぞれ一つずつ菓子を彫ろう。並べたら菓子棚のようになって愉快そうだ」
それはいいな、と守都・幸児(迷子鬼・g03876)がすかさず目を輝かせた。未だ現代やらなんやら色々解らないことは多いが、食べ物は良い。
「皆で甘味を彫るぞ」
おー、と幸児がにこやかに拳を振り上げると、紅花もぶんぶんと腕を振る。
「ココは集中してがんばろお!」
斯くして、瑞鳳占房を縁とした面々の石鹸彫刻が開始される――。
その前に、まずは素材と題材である。
「こいつは石鹸って言うのか、いい匂いのする柔らかい石だな」
小豆色の石鹸をにぎにぎと、幸児は弾力を確かめるように握ってみる。ぎこちないのは、鬼人の力加減で握りつぶしてしまわないかと不安だからだ。
「食いもんみてーな匂いもするな……」
鼻を利かせながら、彼がそう呟くと、「見て見て」と孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)が珍しいものを見つけたと報告にやってくる。
「このパンケーキの香りの石鹸で作るのってぴったりだと思うの!」
「そんな香りのものまであるのですね」
まあ、と口元を隠し、神代・朔夜(桜花爛漫・g00582)は目を丸くする。リアの喜ぶ甘い匂いは朔夜からは複雑で、自分では巧く扱えそうもない――。
「さて、私は何のお菓子を作るとしましょうか……」
知らぬものは彫れない。ならば、自ずとよく知ったものを探してしまう――白く堅い顎をぞろりと撫でて、並ぶ石鹸を眺めた鳴・蛇(不吉な龍蛇・g05934)も唸る。
「石鹸彫刻……何を作るか。お菓子なら……そうだ、荷花酥で」
満開のハスの花を模したお菓子だ、と説明しながら、向いた石鹸を選び出す。
外部は半透明で白色内部は小豆色、香りは荷花のオリーブオイル石鹸――あるものだな、と愉快げに言い、
「爪があるので彫刻刀は必要ない」
作業台へと向かって行った。
さくさくと判断していった彼の姿に、自分の馴染みと言えば、と朔夜は桃の香りを探す。
桃色ならば沢山並んでいる。その中で一番イメージに合う、淡い桃色で花の香りがする石鹸を見つけると、朔夜はそれを手に微笑した。
「普段から食べているお菓子となるとそうですね、花の練り切りにしますわ」
「俺はラム酒……じゃねえ、ラムレーズンサンドでも」
作るか、と言いながら樞が選んだのは、ラム酒のような香りをさせる葡萄色の石鹸だった。ほんのり混ざり物の匂いだが、あるもんだなあ、と思う。
「あたしはね~、バニラの香り、たまご色の石鹸で、『エッグタルト』を作るっ」
紅花が両手で石鹸を掲げる近く、喩嘉も蜂蜜の香りがする丸い白色の石鹸を手にした。
「俺は月餅を彫ろうかな――月餅は表面の模様が特徴的だから、綺麗になりそうだ」
荷花酥に蛋撻に月餅に、片やパンケーキにラムレーズンサンドと。
「皆の好みとかが出ていいなぁ」
明はそっと呟くと、だなと樞が低く笑う。
「チョイスや作り方、色んなところに好みやらしさが出て――」
見ているだけでも楽しい、笑った儘、彼は明に問う。
「で、何を作るんだ?」
「私は普通に、ミニチュアサイズのホールケーキを」
定番と言えば定番でしょう、と平凡を語る彼は白い石鹸を手にしたのだった。
「……さて、石鹸をどのように彫りましょうか……」
無造作に様々な色を並べた翡翠が首を捻る。お菓子というテーマは決まっていて、バレンタイン、ということも意識にある――そう、贈り物だ。
「……マカロンにしますか」
決まるや、ナイフを迷いなく動かす。
「その心は?」
問うたのはシャムスだ。翡翠は含みのある微笑と共に、
「石鹸での見栄えが良さそうなことと……マカロンは贈る意味がありまして――」
バレンタインに相応しいかと、と翡翠は答える。
彼が言うからにはもしや呪い的な意味があるのかな、などと思いつつ、翡翠の丁寧な仕事をある程度見届けると、シャムスは別の仲間の元へとふらりと寄る。
眉間に皺を寄せ、小豆色の石鹸と格闘しているのは幸児。自身の硬化した腕で細かい作業をすることに慣れておらぬ彼は、つるり滑る石鹸を絶妙な力加減で押さえる。
(「俺の手じゃ細かい細工は難しいが」)
「おはぎならでこぼこしてても大丈夫、だよな」
そっと刃物を滑らせる。これもまた、力加減が難しい。
たかだかおはぎ、しかしその凹凸の表現が細かく、ぐっと入れた鋒に冷や汗を掻く。
とうとう一人での戦いに降参して、助けを求める。
「喩嘉、ちょいと助けてくれねえか」
呼ばれた喩嘉の手元では、掌に収まる円形の石鹸に、見事な細工が施されている。祝いの言葉に花のような装飾は、惚れ惚れする出来映えである。
幸児から石鹸を預かった喩嘉は、とすっと刺さってしまったナイフを緩く戻し、動かす。
「刃に力を入れず、石鹸を動かすんだ――滑るなら、こう……」
「はー、器用だな」
しげしげ眺めていた幸児だが、削る度生み出される、鰹節のようにくるんと丸まった石鹸の一欠片に目が行く。
それもまた甘い香りをさせている。蜂蜜だったり、小豆だったり。
つい、それをひとつ拾い、ぱくっと口に含む。
「……いい匂いだけどやっぱ食えねえのか、不思議だな」
「不味いだろう? 身体に悪いから、やめた方がいい」
焦らず騒がず喩嘉が微笑みながら咎めると、そうだな、と幸児は屈託無く笑って、ぺろっと欠片を吐き出した。
蛇は、荷花酥の形状を爪で刻む。自前の爪であるため、大胆かつ繊細な作業もお手の物である。
荷花の香りとオリーブオイル石鹸の匂いに拘ったのは、菓子に近づけるためである――中心から六弁、花びらをゆるり広げたハスの形状を再現したら、最後の仕上げは、粉末状の石鹸。
あくまでも荷花酥。そのリアリティに拘る蛇であった。
出来映えにひとたび肯くや、。
「さって、皆さんの調子はどうかな、少し見に行こう……」
蛇は周囲を乳白色の瞳でぐるり一瞥する。
――赤茶の髪が、机に覆い被さっている。リアだ。
普段なら偃月刀を自在に操るリアも、小さな石鹸にナイフを入れるとなると気を遣う。
何せ、すぱっと一閃するのとは、勝手が違う。
「手を切らないように気をつけて……んーこの大きななら分厚いの2枚重ねかな?」
石鹸の元の形から、作りたい形状を刻み出す試行錯誤を重ね、くるくると様々動かして形にしていく。
「蜂蜜が垂れてるようにして…あとバターも……」
そうなると、全体を徐々に削って、形を整えねば。
真剣な眼差しでごりごりと、時に繊細に削り出す。甘い匂いがふんわり漂う。
「よし! できたー! ……んーちょっといびつ? かな? まぁこれはこれで味があるって事よね!」
パンケーキの香りがする、ほんのり焦げ色の石鹸が少し傾いた二段重ねのパンケーキ。黄色いバターを載せて、とろけた蜂蜜の再現は、滑らかに仕上がった気がする。
暫し、皆の作業の様子を微笑ましく見学していたシャムスも、いよいよ石鹸と対峙していた――見様見真似でナイフを前に、眼差しが真剣さを帯びる。
「丁寧に、まずは丁寧に!」
シャムスが選んだのは、桜色の石鹸。
作りたいものは『道明寺』だ。
(「見た事はあるが、実は食べた事がない……ただ春を思わせる色で、可愛らしい甘味だと思ったから」)
爪楊枝を使って大体の大きさを下書きしてから、ナイフを入れていく。
まるっとした全体の形状を整えれば、残るは桜の葉の表現だ。
「……意外とはまる」
呟き、すっすと刃を動かし続けている。
皆が真剣に石鹸に向き合っているのをチラリと見つめ、
「んふ」
紅花は、嬉しくなる。皆と同じ事をしている。皆が好きな物を見せてくれる。てんでバラバラなのに、一緒に集まっている。
この時間がいとおしい――そんな気持ちを、笑顔にして。
エッグタルトに挑む。
「タルト部分は波なみに彫って、くりーむは美味しそーに、てかーん、つるーんとさせたい!」
切り刻むのは、得意なのだ。
えいやっと刃を滑らせれば、なみなみと石鹸が断たれ、しゃーっと滑らせれば、つるんと綺麗な断面ができる。縁をきちんと整えて彫ることができたら、あとはキレイに仕上がった。
好好と喜ぶ姿は、本物のエッグタルトを前にしたかのようであった。
さらにその向こうで、樞はラム酒の香りがする石鹸で、大きめのレーズンを切り出し、狐色の石鹸で挟み込む。となると、ぱっと見は板状の石鹸になってしまう。
「このままじゃちょいと地味だな……何か幾何学模様でも刻むかね」
少々物足りなさを感じて、彼はその表面に、細かな文様を刻む。紋を刻む事に比べれば、気楽なものだと、繰り返しの線と形、繊細な柄を彫り込んで、意外と見栄えするではないかと、片頬で笑む。
凜とした眼差しを石鹸に向け、挑むは朔夜。
(「花一つを丸々作るような細かくて難しい作業は出来ませんが、練り切りには花弁一枚だけのものもありますし――」)
硬化した黒い指先で石鹸を押さえ、桃の花弁を彫る。
「気を付けないと深く彫り過ぎてしまいそうで少し怖いですね、慎重に彫らないと……」
ついつい、ぐっと刃物を入れてしまう。
力を抜く事に注力し、朔夜は慎重に石鹸を動かしながら、刃の角度を変える。
徐々に花の形に整ってくると、作業にも慣れて、滑らかに彫れるようになってくる。
「形は少しいびつになってしまいましたが整えれば花弁に見えるでしょうか?」
練り切りの柔らかさ、となると難しいが、形状の再現だけならばできたとおもう――まるっと可愛い桃の花びらを掌に載せ、朔夜は漸く表情を和らげた。
「形は少しいびつになってしまいましたが整えれば花弁に見えるでしょうか?」
明は真っ白の石鹸を、クリームたっぷりにデコレーションされた形に切り出していく。
真っ赤に着色した苺を均等に配置する。
「菓子棚の隅っこに目立たずあるくらいがちょうどいい……そんな普通なケーキです」
彼の言葉通り、「ケーキ」と言われたら思い浮かべる、そんなごく有り触れた、ホールのショートケーキが出来上がった。
「我が事ながら、可も無く不可も無く……」
その出来映えの平凡さに、小さく笑うと、彼は皆の目に映る場所に、小さなショーケースを置いた。
「皆、思い思いに置けばいいでしょう」
そして宣言通り、自分のケーキもその菓子棚の片隅に配置する。
続いて、翡翠は丸く色鮮やかなマカロンを添える。
(「マカロンを贈るのは――『あなたは特別な人』という意味です。……今は説明しませんけどね」)
内心で囁いて、瞑目する。
そっと桃花の練り切りを置いて朔夜が微笑む。
「並べてみるとお菓子らしく見えてくる気がします」
善きかなと蛇が作品を置いて、皆が次々と並べ出す。
「ついでにコイツも」
オマケに彫ったカトラリー――皿やフォークを樞があしらえば、一層、寄り合う甘味が引き立つ。
「……うわー! 皆のもとっても素敵!」
リアが素直に歓声を上げた。
「月餅とケーキと練り切りとマカロンと……お、初めて見る甘味もあるぞ」
にっかり笑って、幸児がこれはなんて言うんだ、と問いかける。
集うに集った十種の甘味は。
月餅に、おはぎ、パンケーキから、マカロン、荷花酥、練り切り、道明寺、ラムレーズンサンド、エッグタルト、そしてホールケーキ。
繊細な物もあれば、豪快なものも。拘りのポイントもそれぞれ違う、石鹸彫刻――誰もが初めて披露した手技であるが、どれもとても愛らしい。
「菓子を模していると、多少形が歪んでいてもそれも美味しそうに見えるのもいいな」
柔らかな笑みを浮かべて、喩嘉は皆の作品に魅入る。
「歪んでいるのもそれはそれ、賑やかで可愛らしい――それにしても、見知らぬ甘味もたくさんあるな」
欠損した記憶の中にもあるだろうか。
而して世界は広いものだとシャムスが感心する。
「んふ。あたしの、だいじ。みんな、だいじ――甘いのと並べて並べて、ぜんぶおいしそ!」
嬉しそうな声をあげて、卓に齧り付くように紅花が見て、不意に悲しそうな表情を浮かべた。
「並べたら壮観っ! ……でもこれ、食べれないのかあ……お腹、すきそう……」
確かにと明も肯いた。見事な分だけ切なさを覚えてしまう。
「食べれないのは寂しいですが、こういうのも悪くないですね」
何より、匂いがする。本物とはちょっと違うが、バニラに蜂蜜に……混ざり合うと少々奇妙だが、ひとつひとつの香りは食慾を刺激する。
「どれもすごくいい匂いで、すごく美味そうだ――どんな味がするんだろう」
本物食べてみてえなという幸児に、樞は素直に同意する。
「……確かに腹が減ってくるな」
ただ作品をすごいと思うばかりなのに、すごいがゆえに語りかけてくるのは直球の欲求なのだろうか。くすりと、困惑と同意の入り交じった笑みをひとつ、
「……このあと皆で喫茶店にでも行こうか」
喩嘉の提案に、早速目を輝かせたのは、リア。
「えっ? 喫茶店? 行きたい! 行きたい! 作ってたら本物のパンケーキ食べたくなっちゃったからね!」
「喫茶店! 行きたい行きたぁい!」
紅花が両手を挙げた。
「では、本物を味わえるかもしれないな」
「喫茶店てとこ行けば食えるのか? 行こう行こうっ」
嬉しそうに肯くシャムスに、マジか、と幸児が勢いよく振り返った。
果たして、全部あるだろうか――蛇が首を捻る。
「後で本物を作ろうかと思ったが……喫茶店? あちらの台所を借り事は出来るかな」
なければないで、腕を振るおうと意気込む彼に、翡翠も静かに肯いた。
「喩嘉さんの店選びは間違いないので、ついていきます」
食べれればもっといい――にっこり笑う明に、朔夜も両手を合わせて、双眸を細める。
「ぜひ皆さんで行きましょう――本物を食べるのが楽しみです」
「そうだな、喫茶店行くか。皆で作った甘味全種類……皆で分ければ制覇出来るだろうしな」
酒は少し我慢しておこうと、樞が軽口を叩く。
そんな皆の姿ごと――善き縁を得たと、喩嘉は目を伏せ口元を綻ばせた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【プラチナチケット】がLV3になった!
【液体錬成】がLV2になった!
【平穏結界】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
【強運の加護】がLV2になった!
【現の夢】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV6になった!
【反撃アップ】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】がLV2になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
藤臣・明鶴
(サポート)
バレンタインかー
俺、貰う方だったしなー
同級生とか、家族とか、近所のおばちゃんから
でも誰かにあげるってのもいいかも
時先案内人にどんなことしてんのか聞いて、できそうならやる
料理とか菓子作ったりなんてしたことねーけど、多分いけるだろ
やり方があるならなんとかなる
上手くできるかどうかはわからねぇけど、それなりにはなると思う
こんな風に世界がなってなかったら誰かにこういうことするってなかっただろうな
ま、いつもの感謝の気持ちってことでこの場を手伝ってくれてるやつにあげよ
手伝ってる新宿島の人には『いつもありがとな』ってメッセージもそえて
時先案内人がいるなら、あんたも準備とかお疲れと声かけて持ってた飴も贈る
●そんな一幕
そんな時期だったか、と少年はからりと笑う。
「バレンタインかー、俺、貰う方だったしなー」
同級生とか、家族とか、近所のおばちゃんから――金の眸を細めて、藤臣・明鶴(白雷・g03329)は曾てを懐かしむ。
バレンタインは恋愛を中心としたイベントというより、親愛を籠めたものに変じつつあって。それでも二月十四日に複雑に一喜一憂する男心は知っている。
まあ、基本的に。現代地球人男子としては、女性主体のイベントという認識であるからして。
「でも誰かにあげるってのもいいかも」
贈り手になったことはないので、わくわくする。
「で、どんなことしてんの」
明鶴の問いに、かくかくじかじか、つまり石鹸彫刻であるとセティが答えると、
「料理とか菓子作ったりなんてしたことねーけど、それなら出来るか」
自信ありげに双眸を細めた。
上手くできるかどうかはわからねぇけど、と嘯きながら、白い石鹸を手に、くるくる刃物を回しながらアタリを付ける。
頭に描く図案はあるが、それをきっちり落とし込めるかは――持ち前の、柔軟な対応でなんとかする。
刺して、滑らせ、削るだけだ。いつも敵にやっている、うん、問題ない。
ちゃきちゃき手を動かしながら、ふと思う。
「こんな風に世界がなってなかったら誰かにこういうことするってなかっただろうな」
柔らかな石鹸は容易に削れていく。気付けば、最後となった一刀を抜いて、ふっと息を吹きかければ、落ちた欠片から、ふわりと白檀の香りが漂う。
円形に沿うよう、翼を広げた――白鶴の紋を刻んだ和風の石鹸。
よく見ると歪な部分もあるが、図案と香りが手伝って、一級品の高貴な風情がある。明鶴は出来映えに、満足そうに肯いた。
そして、会場をぐるりと見渡すや、細々を手伝っているらしい新宿島の一般人を見つけて、声を掛ける。感じの良い可愛らしいお嬢サンで、明鶴も自然と表情が和らぐ。
「ま、いつもの感謝の気持ち」
いつもありがとな、屈託の無い笑みを浮かべ、石鹸を手渡す。
彼女が驚いている間に、明鶴は白髪の尻尾を揺らめかせ、軽やかに身を翻す。
「あんたも準備とかお疲れ」
持っていた飴をセティにぽんと手渡し、ひらひらと手を振りながら去って行った。
成功🔵🔵🔴
効果1【悲劇感知】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
マティアス・シュトローマー
せっかく上手に彫れた虎だし、どうせなら誰かにプレゼントしたいな。——例えば、お世話になってる時先案内人の……。
セティ!
いたいた、今日は素敵なイベントを企画してくれてありがとう。お陰で大事な弟分とも時間を忘れて楽しく過ごせたよ。
お礼と言ったらなんだけど……これ。
差し出したのは完成したばかりの虎の石鹸彫刻。透明な箱に明るい黄色のリボンが結ばれていて、緩衝材に埋もれるようにして鎮座した虎は中々堂々としている。
いつもありがとうと、今年一年がセティにとっても良い年になりますように。
……バレンタインって感謝を伝える日でもあるんだろ?ま、友チョコの代わりって事で。
これからもよろしくな!
●おくりもの
掌に載せた橙色の彫刻を眺める度、マティアス・シュトローマー(ザ・フール・g00097)はニヤっとしてしまう。勇敢なる虎の彫像は、自分が作ったとは思えない出来映え。
そんな自慢の作品であるが、彼はつと考える――。
「せっかく上手に彫れた虎だし、どうせなら誰かにプレゼントしたいな」
何せ、バレンタインの贈り物として作ったのだ。
だが、誰に贈ろうか。
弟分とは、楽しい時間を共有したし――日頃お世話になっている友人は多すぎて、ひとりに贈るのは不平等な気もする。
(「そうだな――例えば、お世話になってる時先案内人の……」)
はっ、と名案を閃いたように、グレーの瞳が輝いた。
思い立ったら即行動とばかり、マティアスは――他の人々の迷惑にならないように、駆け出す。
会場の奥に密やかに。時折、皆の様子を見ている男を見つけるや、声を掛けた。
「セティ!」
名を呼ばれ、軽く瞠目したセティへ、マティアスは朗らかに話しかけた。
「いたいた、今日は素敵なイベントを企画してくれてありがとう。お陰で大事な弟分とも時間を忘れて楽しく過ごせたよ」
「それは、光栄だ」
真っ直ぐな視線を向けられ、セティは笑う。
「お礼と言ったらなんだけど……これ」
マティアスから差し出されたのは、明るい黄色のリボンを結わえた透明な箱。
透けて見える、鳥の巣のような紙の緩衝材の中心で、雄々しく鎮座する虎の石鹸彫刻。
堂々とした佇まいの虎と丁度見つめ合うように向けられた箱に、セティは笑みを深める。
「汝らに穏やかな一時を過ごして貰えれば……対価は充分なのだが」
先程受け取った飴を掌に転がしつつ、頷く。
「受け取らぬのは、かえって失礼だな。力作、ありがたく頂戴する」
生真面目に言い、両手で箱を受け取る。
まるで宝物のような恭しさで扱われたのを目の当たりに、へへ、とマティアスは端麗な貌に子供のような笑みを作って、照れくささを誤魔化す。
「いつもありがとうと、今年一年がセティにとっても良い年になりますように……バレンタインって感謝を伝える日でもあるんだろ? ま、友チョコの代わりって事で」
そういって貌をあげたマティアスの、太陽に似た明るい髪がさらりと揺れた。
「これからもよろしくな!」
溌剌と言い、にかっと笑った少年に、こちらこそと――深き感謝と共に、セティは答える。
それは彼に向けたものであり、同時に、多くのディアボロス達に向けた言葉でもあった。
今日という日が。この催事が。誰かにとって、善き日であった事を祈りながら――。
大成功🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】がLV3になった!
効果2【アヴォイド】がLV3になった!