リプレイ
ユエト・ミナヅキ
何をやるにも、まずは防衛線の突破が必要ト
シンプルな戦闘は腕が鳴るネ
ここは傭兵らしく荒っぽくいきましょうカ
金属製の障害物と毒ガスが相手となればカートリッジ[炎風]が役に立ちそうダ
カートリッジは魔導ガントレットに装填
鉄はガントレットから放たれる炎の弾丸で溶かし、
毒ガスは周囲の空気を動かすことで出来る風の壁で防グ
Rabbit-Eyeも付けてるし抜かりはないネ
完全視野で相手の位置を把握し路地裏の掃除屋で弾幕を張りながら前進
橋頭保を確保出来たら三二式自在装甲を盾にウチは固定砲台と化しマス
トーチカの様に敵を排除していければベストカナ
一角・實生
俺達が早く突破すればしただけ囚われた人達の苦しむ時間が減る
焦りは禁物だがそのことを常に意識しておこう
グラナトゥムによる狙撃を中心に戦闘
【完全視界】をはじめ残留効果は積極的に使う
スコープを通し敵の配置や設置物を観察・偵察
順位付けを迅速に行い(早業)破壊して行く
指揮役らしき敵がいればそいつが最優先かな
パラドクス発動時は可能なら障害物も巻き添えに
【パラドクス通信】で情報を共有しつつ、点の威力や精密さを活かした攻撃で道を切り拓く仲間がより動きやすくなるよう立ち回ろう
毒ガスは軍用ガスマスクと浄化の力を巡らせた白鷲のお守りの障壁を展開し軽減
移動系の残留効果を使い障害物を時には回避しながらここを突破するよ
乾・玄辰
張り巡らされた鉄条網、縦横無尽の塹壕……
かつてモノクロ写真の彼方にあった光景を眼前にするとはね。
さて。複葉機の代わりを果たすか。
箒に跨り【飛翔】して障害物を低空の高速飛行で一気に突破したい。
夜目も【完全視界】を拝借して忘れず確保するよ。
兵器の非人道性を論ずるつもりは無いけれど、毒ガスに苦しむのは御免被る。
敵兵の頭上を飛び越え敵陣に浸透しながら【赫の魔弾】を詠唱。
ガスボンベの破壊は極力避け【誘導弾】で防毒マスクに覆われた顔面を狙おう。
頭上を飛び回られては、自慢の化学兵器も効果的な噴射が出来まい。
ガス対策に高度を取りつつ、サーチライトも破壊しておく。
主戦力の攻勢開始まで敵陣を引っ掻き回すとしよう。
●後へ続く仲間の為に
「……定時連絡。周囲に異常無し。引き続き警戒に当たる」
「静かなものだ。いつもこうであると良いのだがな」
時刻は深夜、漆黒に包まれたルール炭鉱。蠢くサーチライトの下では兵士たちが哨戒についていた。そんな敵情をスコープ越しに窺う一角・實生(黒頭鷲・g00995)は、逸る気持ちを抑える様に小さく息を吐く。
(俺達が早く突破すれば、そうしただけ囚われた人達の苦しむ時間が減る……焦りは禁物だが、そのことを常に意識しておこう)
何事も急がば回れ。敵は準備万端な一方、此方は敵陣地の地形や兵数、配置すらも把握できていないのだ。無為無策で突っ込むなど自殺行為以外の何ものでもない。
故にこそ、狙撃手はその眼の良さを生かしてまずは見に徹してゆく。だが如何せん彼我の距離がある上に、相手は地面より一段下に位置している。平面から見通しが良いとは言い難かった。
(やはり、此処からだと見え辛いな。警戒されるだろうけど、少しばかり突いて反応を見るのも一手か……っと?)
思わず眉根を顰める實生だったが、ふと何かが頭上を通り過ぎてゆくのを感じる。彼が狙撃銃から顔を離して見上げれば、その先にあったのは箒に跨り夜空を征く乾・玄辰(最後の魔法使い・g01261)の姿。
(張り巡らされた鉄条網、縦横無尽の塹壕……かつてモノクロ写真の彼方にあった光景を眼前にするとはね。小規模とは言え、実物はやはり鮮烈だ)
点々とした照明に照らされた防衛線は、物々しくもどこか精緻さを湛えている。これも一種の機能美と言えよう。
(だが、感慨に耽ってばかりもいられない。さて、複葉機の代わりを果たすとしようか)
しかし、いま求められているのは見惚れる事でなく見通す事。彼は高度を活かし、地上からでは読み取り切れぬ情報を拾い上げてゆく。だがそれは同時に不都合な事実も浮かび上がらせてしまう。
(炭鉱と言うだけあって、入り口から先は地下に通じている。つまり、どう足掻いても高度を下げなければ内部への突入は不可能……なるほど、確かに厄介だ)
幾ら航空戦力や重砲を持ち出そうが、炭鉱の主要区画はほぼ地下なのだ。施設を破壊するには歩兵を使わざるを得ず、そうなれば敵の毒ガスが猛威を振るうという寸法である。
「……である以上、どのみち何をやるにもまずは防衛線の突破が必要ト。分かりやすくて助かるヨ。シンプルな戦闘は腕が鳴るしネ?」
偵察の結果、改めて導き出された答えはやはり『正面突破』。当然激しい戦闘が予想されるが、ユエト・ミナヅキ(weißer Hase・g05751)に臆した様子はない。彼は武骨な籠手を嵌めつつ魔導刀を鞘走らせると、さて何を使うべきかと吟味してゆく。
「ここは傭兵らしく荒っぽくいきましょうカ。金属製の障害物と毒ガスが相手となれば……カートリッジ[炎風]が役に立ちそうダ。ガスも多少なら、Rabbit-Eyeで防げそうですしネ」
腕部側面の機構へ円筒形の装置を取り付けるや、緋色の燐光が籠手を駆け巡る。仲間が戦闘準備を整えたのを他の二人も確認したのだろう。通信を介して連絡が入って来た。
「切り込むつもりなら、俺は狙撃支援に回ろう。照明や指揮官を先んじて潰せれば、相手も浮足立つはずだ」
「なら此方はその混乱に乗じ、低空の高速飛行で一気に障害物を突破してしまいたいな。すぐ頭上を飛び回られては、自慢の化学兵器も効果的な噴射など出来まい」
「で、その間に地上からウチが切り込み、橋頭堡を確保するト。オーケー、その手で行きましょうカ」
そうして三人は手短に段取りを組み立てるや速やかに行動へと移ってゆく。初撃を担うのは既に目標へ照準を合わせ終えた實生。彼は敵の位置を分かる限り頭に叩き込むや、引き金へと指を掛ける。
(強い想いは留まり、伝播し……時に他者へ牙を剥く。これまで使い潰した労働者の数はどれ程か。その報いを受ける時が来たぞ!)
そして、決意と共に弾丸が放たれた。それはこの地に残留する無念を纏いながら、一直線にサーチライト目掛けて吸い込まれてゆく。敵に気付かれる事無く、銃弾が煌々と輝く照明に触れた、瞬間。
「がぁあああっ!? 眼が、アイカメラが焼き付いて!」
「どうした、照明がショートしたのか!?」
電力と思念が混ざり合い、強烈な閃光が戦場を満たす。狙撃手は初弾で明かりを潰すと同時に、膨大な光量で相手の暗順応を奪ったのだ。これで暫らくは視界が効くまい。俄かに騒めき出す敵陣地へ、すかさず玄辰が吶喊を敢行してゆく。
「慈悲深き大地の御手離れ、魔空を翔けし一条の星。天穹裂く光跡、晨明の炎が冥応授かりて許されざる者共に疾く降り注げ。汝、不浄を祓いし灼熱の鏃よ!」
急降下からの地面すれすれを這う匍匐飛行。赤熱化した推進部より零れ落ちた真紅の煌めきは、まるでフレアの如く防衛線を照らしながら地上へと降り注ぐ。それらは術者の意に応じて次々と敵兵の頭部を撃ち抜き、防毒面を破壊していった。
「兵器の非人道性を論ずるつもりは無いけれど、毒ガスに苦しむのは御免被る。主戦力の攻勢開始まで、精々戦場を引っ掻き回すとしよう」
再び高度を上げゆく玄辰。一方、相手もそこでようやく襲撃を受けていると気付いたのだろう。通り過ぎる機影を睨みつつ、素早く体勢を立て直し始めた。
「っ、敵襲だ! 後詰の連中を叩き起こせ!」
「迎撃準備が整うまでの時間を稼ぐ。毒ガス弾を順次発射せよ!」
放物線を描いて投射されるは円筒形状の物体。それらは地面へ落ちると、シュウシュウと煙を吹き上がらせ始める。その正体は皮膚を爛れさせ、呼吸器系を麻痺させる凶悪な毒ガスだ。
「障害物で足止めしている間に、コレで一網打尽ト……まぁ、来ると分かっていればどうとでもなりますネ?」
だが突如として一陣の風が吹き荒れ、濛々と漂う毒ガスを攪拌してゆく。そうして生じたガスの濃淡、その隙間を掻い潜って兎面の傭兵が敵陣へと踏み込む。進路上の有刺鉄線を炎の弾丸で溶断し、周囲の空気を操り僅かばかりの安全地帯を生み出し、復讐者はひたすらに前へ。
(打ち合わせ通り、まずは橋頭堡の確保が先決デス。もし可能なら、トーチカの様に敵を排除していければベストカナ)
ユエトも現時点で防衛線を完全に無力化出来るとは考えていない。彼の役目は楔だ。押し戻される事無くこの場に留まり続け、後続が更に進む為の足場を確保する事が最優先事項である。
「さぁさぁ、お掃除の時間デスヨ。少しでもラクをさせてあげたいしネ?」
奥へと進むにつれ、毒ガスは濃密さを増してゆく。これ以上は防ぎきれぬ。そう判断すると、ユエトは持ち込んだ装甲板を地面へと突き刺し遮蔽物としながら、塹壕目掛けて両腕を突き出す。瞬間、猛烈な勢いで灼熱の魔力弾が撒き散らされ始める。
それはさながら機関銃陣地だ。毒の煙幕を焼き抉り、敵兵が塹壕より頭を上げる事すら許さない。
「……上手くいったようで何よりだ。毒ガスの対処は任せて、そちらは攻撃に専念して欲しい」
いつの間にか、防毒面を装着した實生が合流していた。狙撃手が白鷺を模したお守りで毒を浄化する一方、頭上では魔法使いが引き続き遊撃を行っている。これならば少なくとも、仲間の合流までは持たせる事が出来るだろう。
「では、お言葉に甘えテ。無理は禁物ですからネ。まだ序盤も序盤なのですかラ」
そうして三人の復讐者は攻勢を押し返しながら、橋頭堡の確保に専念し続けるのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【完全視界】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
アルメア・グラウプナー
「敵の拠点に乗り込み、無辜の市民を救出した上で親玉を撃破する。良いね、まるで正義のヒーローだ、はっはっは!」
「お世辞にも私はそう言う柄じゃないが…精々ヒーローらしく振る舞ってやろうじゃないか」
・行動
基本的な立ち回りは射撃戦だ。火砲での【砲撃】、ガトリングでの【制圧射撃】【弾幕】、ミサイルでの【爆破】【誘導弾】で攻め立て、防衛線を構築する障害物を敵もろとも【破壊】していく。
射線が開けば大砲火を積極的に使用し、敵の数を減らしに行こう。
また毒ガスは射撃の爆風で吹き飛ばしつつ、【呼吸法】で影響を最小限に抑えよう。
敵が居なくなったら【建造物分解】で残った障害物を無力化し、脱出への影響を極力無くしておく。
ツィルニトラ・プリルヴィッツ
炭鉱の攻撃は大前提、人々を救おうとせずに何が魔法の竜神を名乗れるものですか!
守りを固めているなら、逆鱗に触れる覚悟で挑むだけよ
戦旗を一振りし【鉄血弾雨】
呼び出す彫像の口から大砲を生やし曲射砲撃
【完全視界】の類が欲しいけれど…無いなら砲弾に照明弾を混ぜ光源確保ね
風向きよし!
角度良し!
神罰(実弾)放て!
鉄骨等の防備を破壊、塹壕の敵を炙り出すわ
本格的に突入する味方の為の下準備ね
爆風がすり抜ける鉄条網は…無理矢理地面ごと吹き飛ばすしかないかしら
護りが硬い以上、直ぐに反撃がくる
彫像から生やした機関銃の制圧射撃で接近を迎撃
復讐者の強みは少数故の機動力
ガスが届く前に素早く離脱、新たな砲撃地点に移動よ!
●毒霧と弾雨
「クソ、電力系統がイカれた! このままじゃ視界が効かん、復旧を急げ! すぐに敵の本隊が来るはずだぞ!」
薄闇に包まれた塹壕内に兵士たちの怒号が飛び交う。先んじて交戦した復讐者の活躍によって照明類は一時的にダウンしており、敵の視界は漆黒に塗り潰されている。一方で此方は地形把握に成功した上、橋頭堡の確保まで成し遂げていた。
「なるほど、初っ端から随分と派手に暴れたらしい。悪の拠点に乗り込み、無辜の市民を救出した上で親玉を撃破する、か……良いね、まるで正義のヒーローだ。はっはっは!」
通信を通じて共有された情報を確認しつつ、アルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)は愉快気に快哉を上げる。浪漫と闘争を愛する女傑にとって、ツンと鼻腔を擽る異臭すらも心躍るものなのだろう。
「お世辞にも私はそう言う柄じゃないが……精々ヒーローらしく振る舞ってやろうじゃないか」
「ええ、そうね。炭鉱の攻撃は大前提、人々を救おうとせずに何が魔法の竜神を名乗れるものですか!」
一方、ツィルニトラ・プリルヴィッツ(自称/捏造 魔法竜神・g02012)の相貌には猛々しい義憤が浮かんでいた。一息吸い込めばたちまちの内に悶え苦しむ毒ガスを前にしても、彼女の闘志には些かの翳りもない。
「相手が守りを固めているなら、逆鱗に触れる覚悟で挑むだけよ! それに竜が座すのは洞窟の奥って相場が決まっているもの。兵士如きに遅れを取る訳にはいかないわ!」
「とは言え、無為無策で突っ込んでも文字通り煙に巻かれるだけだろう。となれば、基本的な立ち回りは射撃戦か。塹壕突撃前には入念な準備砲撃が付き物だ」
切り拓かれた橋頭堡から入り口まではまだ距離がある。である以上、ここは無理に突破するよりも敵戦力の漸減に徹するべき。そう判断したアルメアはガシャリと持ち込んだ武装を展開してゆく。
両手それぞれに火砲とガトリングガンを抱え、更には肩部へ四連装の誘導弾を装着。そんな仲間の様子を見たツィルニトラはふむと思案すると、手にした槍斧の先端に黒竜が描かれた戦旗を形成する。
「砲撃ね……そう言えば、砲兵は『戦場の女神』とも呼ばれるのでしょう? なら、魔法の竜神の領分でもいいじゃない! さぁ、こっちも頭数を揃えるわよ!」
彼女がそれを振るった瞬間、周囲に細長いシルエットが幾つも出現する。それは青銅で形作られた竜虫の群れ。古々しい外見の一方、それらの口腔からは機関銃や砲口が覗いていた。
「風向きよし! 角度、視界共に良し! 魔を司りし竜の名の元に命ず!」
「開幕を彩るのは、この一言だけで十分だ……さぁ!」
――神罰、放て/Feuer!
二人の乙女が号令を下した瞬間、凄まじい轟音が戦場に響き渡った。曳光弾交じりの銃弾が火線を形成し、それに一拍遅れて風切り音を伴った砲弾が立て続けに炸裂してゆく。
「鉄骨はやけに頑丈だな。大方、車両や重機の接近を想定してのものだろう」
「爆風がすり抜ける鉄条網は……無理矢理地面ごと吹き飛ばすしかないかしら。障害物を破壊しつつ敵も炙り出せたら良いのだけれど、そう都合よく行きそうにないわね」
機銃掃射で敵の頭を抑えつつ、ミサイルや火砲で鉄骨を粉砕してゆくアルメア。その横ではツィルニトラが塹壕目掛けて火力を集中させるも、流石に相手もこの中へ飛び出してくるほど愚かではない。
「おおぉっ!? 連中、迫撃砲か重砲でも持ち込んで来たのか!」
「まだ照明は復旧しないのか!? ええい、煙幕代わりに毒ガスを散布しろ! 狙いを付けさせるな!」
だが、こうまで釣瓶撃ちにされては反撃の毒ガス弾を放つ隙すら無い。しかしなればと、兵士たちは体内で合成した毒ガスを霧状に散布し始めた。薄靄が如きそれらは陣地を覆い隠しながら、ゆっくりと防衛線の外周部へ向けて拡散してゆく。パラドクス由来ゆえか、完全視界も効きにくい。
「成る程、考えたね。だが、既に射線は開けている……不浄は爆風を以て華々しく吹き散らすとしよう!」
アメリアはキャノン砲を水平に構えるや、障害物の間を狙って砲弾を放つ。霧中に吸い込まれたそれは内部で炸裂するや、衝撃で毒ガスを引き裂いてゆく。反動で巻き上げられた有毒成分がこちらまで届いてしまうものの、女軍人は呼吸数を抑える事でその影響を最小限に留めた。
(護りが硬い以上、きっと直ぐに反撃がくる。この場合、敵の狙いは恐らく……!)
一方、竜人は毒ガスの薄まった部分へと視線を走らせる。砲撃を凌いだのならば、必ずや相手は打って出るはず。果たしてその読みは当たり、煙幕に乗じて接近を狙っていた敵兵の姿が露わとなった。
「見えたわ、そこっ!」
「ぐぅっ!?」
ツィルニトラはすかさず制圧射撃を叩き込み、敵を無力化してゆく。だが毒ガスは絶え間なく噴き出し続け、ゆっくりとだが復讐者へと迫ってきている。
「こちらの強みは少数故の機動力。ガスが届く前に新たな砲撃地点に移動よ!」
「ついでに破壊した残骸も分解してしまおう。脱出への影響は極力無くしておきたい」
そうして二人は砲撃地点を変えつつ、敵陣地の破壊を続けてゆくのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【建造物分解】LV2が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
西堂・千衛蔵
あれだけの数をやっつけるのは骨が折れそうだ
もっとも、自分は難しい事を考えるのが苦手だからな
潜入工作よりこっちの方が性に合ってる
目的は防衛線を破壊しつつ敵の数を減らすことだ
味方とタイミングを合わせて突入し、赤煙のブレスで手近な障害物を破壊する
浮遊効果で障害物より高く浮上して乗り越え、上から塹壕内にいる敵の配置を確認
味方に大声で報せつつ自分でも攻撃する
それと、此方に完全視界効果があるようなんで、サーチライトの光源を優先して破壊し敵方の混乱を狙う
もし光源が遠かったら、赤煙をそこまで投擲して破壊させるぜ
その後は体力が続く限り戦う
できるだけ長く戦えるように、倒した敵からガスマスクを奪い取って被る
●前線を往け益荒男よ
「砲撃を受けてもビクともしない、か。あれだけの数をやっつけるのは骨が折れそうだ」
仲間が叩き込んだ砲弾が大地を揺らし、毒ガスを吹き散らす。だが敵軍もまた、地の利を活かして上手く凌いでいる。そんな戦況を眺めていた西堂・千衛蔵(竜燈鬼・g01901)は、ふむと思案気に顎を撫ぜた。
「もっとも、自分は難しい事を考えるのが苦手だからな。潜入工作よりこっちの方が性に合ってるし、何より分かりやすい」
己に何が出来るのか、それは他ならぬ千衛蔵自身が理解している。彼はグッと足元に力を籠めるや、仲間の砲撃に乗じて前線へと吶喊してゆく。
「橋頭堡はあるが、道中にはまだまだ障害物が残っている。なら、まずは邪魔なそいつらを片付けるとするか。という訳で頼んだぞ、赤煙?」
行く手を塞ぐは幾重にも張り巡らされた鉄条網。それを見た鬼人はそっと首元に巻き付く相棒を撫ぜる。友の意に応じ仔龍は鎌首をもたげるや、ごうと焔の吐息を放つ。高温の焔は鉄条網をどろりと融解させ、ただの鉄屑に変えていった。
「っ、あれは……二時方向に接近する敵を視認した。各員、迎撃せよ!」
だが、夜闇に炎の輝きは非常に目立つ。敵は復讐者の姿を見つけるや、そちら目掛けて毒ガスを散布し始めた。千衛蔵に防毒装備の持ち合わせは無く、そのまま飲まれれば為す術はない。幸い、ガスは空気と比べ比重が重い。彼は上空へと退避するも、地上から強烈な光が浴びせられる。
「っ、電気が復旧したのか。ちょっとばかり遠いが……赤煙!」
しかし、それは逆に何処を攻撃すれば良いかと言う目印でもあった。鬼人は仔龍をそちら目掛けて投擲し照明の破壊を任せる一方、自身は目についた兵士へと頭上から襲い掛かってゆく。
「馬鹿め、生身で毒ガスの中へ飛び込んでくるなど……!」
「確かにコレは吸わない方が良さそうだ。だったら、そいつを拝借させて貰おうか」
迎撃されるよりも前に相手を瞬時に組み伏せるや、千衛蔵は敵のガスマスクを引き剥がして装着する。ややサイズが合わないが、急場を凌ぐにはこれで十分だ。
「頭にランプだと……いったい何のつもりだ?」
「構うな、寧ろ狙い易くて丁度良い!」
仲間が倒された事を察知し、周囲の兵士たちが殺到して来た。対して、鬼人はグッと腰を落として構えを取る。
「さぁ、体力が続く限り付き合って貰うぞ?」
斯くして復讐者は毒ガスの中、敵群と真っ向から渡り合ってゆくのであった。
成功🔵🔵🔴
効果1【浮遊】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
緋塚・ヤスオ
「ここを抜けるための道をただ進むだけだ」
確認できる範囲の地形、障害物…そして敵の迎撃に対して【エアライド】で最適な経路を導き出すぜ。何にしても相手は守りを固めて、そのうち俺等が来るってのも分かってるんだろうさ。少しでも早く、多くの仲間が先に進むためには強引なぐらいで丁度いい。
「さぁ撃ってきな。だが簡単には当たらねぇ」
この両拳を叩きこむために最短最速最適の道を進む。敵の右手の砲身の向きと身体の動きをよく観察し攻撃のタイミングを図り、被弾を抑えながら前へ。それに俺の方を狙ってくるなら有難い。来たのは俺だけじゃねぇ、ほら他にも怖い奴等がそっちへ行くぜ…ってな。
アドリブ・連携歓迎。
●進む覚悟を
「不味いな。連中、徐々に戦線を押し上げているぞ」
「もうすぐ控えの連中も駆けつけてくる筈だ。それまで耐えれば問題ない」
復讐者たちが攻撃を仕掛けてゆく一方、敵もまた当初の混乱から立ち直りつつあった。俗に防御側は攻撃側の三倍有利なのだと言う。故にこそ、焦りを感じていないのだろう。
「つまり何にしても相手は守りを固めて、俺等が来るのを待ち構えているって訳か。だが、関係ない。俺はここを抜けるための道をただ進むだけだ」
漂う刺激臭に顔を顰めながら、緋塚・ヤスオ(探偵という名のなんでも屋・g01581)は敵陣を一瞥する。仲間のお陰で障害物は排除されつつあるが、それでも大半は未だ健在だ。彼は進むべき途を導き出さんと思考を巡らせてゆく。
「少しでも早く、多くの仲間が先に進むためには強引なぐらいで丁度いい。この防衛線を突破しなきゃ何も始まらないしな」
そうしてヤスオは考えを纏めると、拳を握り直しながら腰を落とす。此処から先は一瞬でも足を止めたら即集中砲火を浴びる事になるだろう。だとしても、何ら問題はない。
「この拳を叩きこむため踏み出そう。ただ前へ……最短最速最適の道をッ!」
彼にはあったからだ。何が起きても進むという覚悟が。探偵は勢いよく地を蹴るや、猛然と敵陣目掛けて吶喊してゆく。
「前方に敵を確認! 数は一人、突っ込んで来るぞ!」
「生憎、その先の鉄条網はまだ壊れていない。立ち止まった瞬間を狙い撃て!」
対して相手もヤスオの姿を捉えるや、右腕の砲口を差し向けて来る。敵の言葉通り、眼前には敷設された鉄条網。しかし、復讐者は不敵に笑って見せた。
「さぁ、撃ってきな。だが簡単には当たらねぇよ」
「ほざけ!」
探偵が鉄条網を回避せんと速度を緩めた隙を見計らい、敵が次々とガス弾を投射して来る。降り注ぐそれらは濛々と煙を噴き出し、復讐者を絡め取らんとする、が。
「俺の方を狙ってくるなら有難い。来たのは俺だけじゃねぇ、他にも怖い奴等がそっちへ向かってるんだからな!」
ヤスオは高々と宙へ跳躍し、死の霧より逃れる。ガスは空気より重い故、そうそう上空には拡散しない。彼はそうして続く仲間の為に囮役を買ってでながら、手近な敵目掛けて挑み掛かってゆく。
「生身で飛び込んでくるなど
……!?」
「丈夫じゃなきゃ、探偵はやってられないのさ」
果たして、緋鋼を纏う拳が繰り出されるや、ガスマスクごと敵兵の顔面を打ち砕いてゆくのであった。
成功🔵🔵🔴
効果1【エアライド】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
マリー・ルートヴィヒ
行くぞXII、遅れた分は速さで取り返す
友軍の支援を第一に動きつつ目標を完遂しよう
鉄条網など飛翔して一足飛びだ
空中戦から一撃離脱で敵の各個撃破を試みる
37㎜で砲撃し7.7㎜の弾幕を張れば
迂闊に毒ガス弾を撃ち返すことも出来ないだろう?
それにこちらへ引き付けられれば仲間の進軍も容易
足止めされたら塹壕掘りで拠点構築
HS44を工作腕部で固定して
送風機代わりに毒ガスを吹き飛ばしてやろう
これでも戦闘知識は多少ある
奴等との付き合いは長い
何より独軍にはたっぷり借りがあるんでね
こう見えても忍耐力はある
機を見て剣を抜き貫通撃、ダイブで仕留める
無論、残留効果は最大限利用させて貰う
それに私は運が良い……遅れは取らないさ
●叛逆の翼
「押し込まれているな。突破されている箇所もあるようだ」
「だが、こちらも今しがた増援が到着した。じきに押し返せるだろう」
復讐者たちの攻勢は徐々にだが防衛線を寸断し、敵軍を炭鉱の入口へと押し込みつつあった。だが一方で、相手側も予備戦力が姿を見せており、主導権を取り返さんと塹壕内を駆け巡っている。
「……行くぞ、XII。到着が遅れた分は速さで取り返す。友軍の支援を第一に動きつつ、目標を完遂しよう」
それによって戦況が膠着してしまえば、以前の二の舞となってしまう。そうはさせまいと戦場へ駆けつけてきたのはマリー・ルートヴィヒ(シュヴァリエ・g06578)だ。航空機兵は内燃機関を唸らせながら、相手が体勢を立て直す前に畳み掛けんと挑み掛かってゆく。
「鉄条網など飛翔してしまえば一足飛びだ。砲撃と弾幕を叩き込んでやれば、迂闊に毒ガス弾を撃ち返すことも出来ないだろう?」
地を這うような滑空機動で障害物群を避けつつ、時折跳躍を織り交ぜて有刺鉄線群を回避。飛び上がって射角を確保すると同時に37mmモーターカノンと7.7mmVic機関銃を構えるや、塹壕内の敵目掛けて火力を集中させていった。
「遊撃手か……釣られて塹壕から飛び出すなよ。それが相手の狙いだからな」
「照準は大雑把で良い。直撃せずとも範囲を塗り潰せるのが此方の強みだ」
しかし相手も素人ではない。軽々に動く事を良しとせず、塹壕内から狙いも付けずにガス弾を投射してゆく。無論、それらがマリーに命中することは無いが、落下した弾頭から噴き出した毒ガスは周囲へと拡散。少しずつ彼女の行動範囲を狭めてゆく。
「成る程、考えたな。だが、これでも戦闘知識は多少ある。それに奴等との付き合いは長い。そして何より、クラウツ共にはたっぷり借りがあるんでね?」
だが航空機兵は慌てる事無く8気筒エンジンを工作用補助腕部へと接続。排出される空気の勢いで迫り来る毒ガスを吹き散らし始める。それのみで全てを防げる訳ではないが、それでも僅かばかりの間隙を生み出す事は出来た。
「辿り着けても無傷で済む保証はないが……私は運が良い方だ。連中に遅れは取らないさ」
マリーはその隙間へと身をねじ込ませながら、決闘剣を鞘走らせる。そのまま高々と跳躍し、虚空を蹴って反転。降下体勢を取るや、切っ先を構えながら狙いを定め。
「さぁ、道を開けて貰おうか!」
敵兵の防毒面を深々と穿ち貫いてゆくのであった。
成功🔵🔵🔴
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
百鬼・運命
【ヨアケ】
作戦
電撃戦による短期決着
完全視界で視界確保し前衛の眉立、百鬼が飛翔で急襲。塹壕等障害物は敵ごと攻撃して破壊しルート確保(破壊失敗時は飛び越える)。毒ガスは後衛の桜・三苫が風を伴うパラドクスで吹き飛ばし対処。
ディフェンス
眉立
行動
酸素マスクに密閉式の水中用動力甲冑に乗って毒ガス対策
ミサイルポッドのミサイルで障害物を破壊しつつ急襲。狙い撃たれぬよう足は止めず、ライフルで毒ガスボンベを避けて敵をヘッドショット
ミサイルポッドには水ロケットも搭載、眉立の攻撃による延焼対策と戦場に水を撒いて吹雪で戦場を凍らせる事への補助とし、ガスの揮発阻害や敵の毒ガス発射口凍結による攻撃阻害を狙う
絡みアドリブ歓迎
三苫・麻緒
【ヨアケ】
さて、今度こそ炭鉱を破壊させてもらうよー
お邪魔虫には眠っててもらおうね!
後衛から特に前衛の二人を毒ガスから守る感じで動くよ
前衛の人鳥さんと運命さん、同じ後衛の姫恋さんのことはいざとなったら庇えるように意識しておくね
【飛翔】と【完全視界】も使って、素早く何にも邪魔されず移動できる状態になっておくよ
魔力も大盤振る舞い
がんがん吹雪かせてガスそのものを≪吹き飛ばし≫てやるー!
それと同時に≪連続魔法≫で吹雪かせた周囲を凍らせて、吹雪そのものと凍った環境による周囲の気温の低下、気温低下に伴うガスの揮発性の低下も狙っていくよ
可能なら敵のガス噴出口も凍らせたいところだね
桜・姫恋
連携・アドリブ歓迎
【ヨアケ】で参加
後衛として前衛をサポートする形で動く。
三苫・麻緒(g01206)を最優先でディフェンス
百鬼・運命(g03078)、眉立・人鳥(g02854)は必要に応じてディフェンスに入る。
さて、前衛で戦ってくれる2人のためにも後衛でしっかりとサポートさせていただくよ!
【飛翔】と【完全視界】を借り《空中戦》を行う。
前衛で戦う2人が戦いやすいように毒ガスは桜舞で生み出す風に《風使い》の技能を合わせて強力な風にし《吹き飛ばし》ていく。また、桜舞に《氷雪使い》の力を組み合わせ噴出口を凍らせることも試みてみる。
前の2人の邪魔はさせないわよ?
眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎
【ヨアケ】で動く
悪いが今回も木っ端微塵にさせて貰うぜ
これ以上好きにやらせるつもりはねェ……
運命と共に先陣を切る。完全視界の恩恵を貰いつつ、飛翔で突撃だ
魔凰滅翔炎を使用。地獄の業火をもって毒ガスを焼き払い、無毒化を試みる
もし、可燃性ならその爆発をも利用して敵陣に穴を開けよう
塹壕や鉄条網などの妨害設備は、パラドクスを併用した貫通撃と吹き飛ばしでトループスを巻き込みながら対処だ
ある程度巻き込んだら、一撃離脱と行きたいところだな
炎によるガスの対処が困難ならば麻緒ちゃんと姫恋に任せてそのまま
荒らせるだけ荒らしてやるぜ
ディフェンスは運命を指定、お互い上手くカバーしつつで行こうじゃねぇの
●陽も月も無き地底に夜明けを
「戦況は拮抗状態……いや、戦線が破断されている分、こちらがやや不利、か?」
「ああ。兵力は補充出来たが、大規模な攻撃を受ければどうなるかは分からんぞ」
ルール炭鉱を守る防衛線は依然としてその機能を果たしているものの、復讐者の度重なる攻撃によって障害物は撤去され、複数個所で寸断が発生している。各所にガタが来始めている現状、強烈な衝撃力で崩壊する可能性は十分にあった。
「……なら、此方は電撃戦で行くとしよう。体勢を立て直される前に短期決着を狙おうか」
「右翼側には他のディアボロスたちが見えるね。私たちよりも人数が多いかな? タイミングを合わせられれば、一気に突破できそうよ!」
なればその一撃を叩き込むべく戦場に姿を見せたのは旅団【ヨアケの星】の面々だった。百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)は全身を覆う水中活動用の密閉式動力甲冑の調子を確かめ、その傍らでは桜・姫恋(苺姫・g03043)が右手に見える復讐者と思しきシルエットへ視線を向けている。
どうやら、同じタイミングで到着した一団が居るらしい。そちらと合わせれば頭数は十二分。姫恋の言葉通り、この一戦で防衛線を攻略する目は極めて高いだろう。
「悪いが今回も木っ端微塵にさせて貰うぜ。しぶとく稼働しているみてぇだが、これ以上好きにやらせるつもりはねェ……さっさと閉鎖させてやるよ」
それ故か、眉立・人鳥(約束を背負いし翼・g02854)の戦意も並ならぬものだ。一度は機を逸した破壊作戦を今度こそ完遂せんと、彼はこれまでもルール炭鉱に対する破壊作戦へと身を投じていた。
「うん、今度こそ炭鉱は完全に破壊させてもらうよー。中から援軍も来たようだけど、お邪魔虫には眠っててもらおうね!」
そんな仲間が十全に戦えるよう、三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)は後方から敵の動きを注意深く観察してゆく。今回、四人は予めそれぞれの役割を決めた上で本作戦に臨んでいた。
運命と人鳥が前衛役として敵陣へと切り込み、姫恋と麻緒が後方からそれを援護する。障害物、塹壕、毒ガス。それらは一人でなら対処に手間取るだろうが、各々が分担すればその分だけ負担も減るというものだ。
「それじゃあ、敵の前で長居は無用だ。そろそろ……」
「ああ、始めるとするか!」
斯くして、各人が己の任を果たすべく行動を開始する。まずは運命と人鳥が勢い良く地面を蹴り上げるや、敵陣上空へと飛び上がっていった。何も馬鹿正直に真正面から突っ込む必要もない。相手の頭上を取るや、まずは運命が先制攻撃を仕掛けてゆく。
「兵装換装『スナイパーパック』……まずはミサイルで邪魔な障害物を排除しつつ、指揮系統を封じるとしようか」
彼は各種センサーや高高度偵察カメラを搭載した大型ドローンを招き寄せるや、誘導弾と共に敵を狙い撃つ。それらは阻害鉄骨や鉄条網を粉砕しつつ、濛々と土煙を巻き上げる。これで敵の視界は封じられたが、こちらは残留効果のお陰で見通しに問題はない。そのまま運命は指揮官級と思しき兵士の頭部を撃ち抜き、無力化していった。
「敵襲、敵襲っ! くそ、階級が高い者から狙われたか……油断するな、この機に乗じて攻め入ってくるはずだ!」
「ならばその目論見を利用してやろう。各員、ガスマスクは問題ないな? 毒ガスを散布せよ!」
指揮官が無力化され敵に一瞬動揺が走るものの、良くも悪くも軍とは人材の『替え』が効く組織だ。すぐさま次席階級の兵士が指揮を引き継ぐと、勢いよく全身から毒ガスを吹き上がらせてゆく。
敵からすれば、復讐者は土煙に紛れて接近を狙っていると考えているのだろう。故にこそ、その頼みの綱そのものを死の罠と変じさせたのだ。しかし、人鳥からすればそれすらも想定の内である。
「昔っから、不浄を祓い清めるのは焔だって相場が決まってんだよ。今こそ、俺自身が鳥と化すッ! 魔凰……滅ッ翔ォォ炎ッ!!」
男が咆哮を上げた瞬間、その全身が地獄の炎に包まれてゆく。それは正しく漆黒の不死鳥と形容すべき姿だ。位置エネルギーに魔力放出の推進力を合わせるや、灼熱と共に敵陣へと吶喊。己自身を砲弾と化しながら塹壕内へと飛び込み、毒ガスごと周囲一帯を吹き飛ばしていった。
「Scheiße! 敵に乗り込まれたぞ、白兵戦用意っ! 囲い込んで確実に仕留めろ!」
「はっ、ぞろぞろと雁首を揃えやがって。今ここで相手をしてやっても良いけどよ……」
だが、数であればまだまだ敵に優位がある。乗り込んできた復讐者を圧殺すべく、瞬く間に兵士が殺到して来た。炎の守りがあるとは言え、再び周囲一帯を毒ガスで覆われれば手傷は免れ得ぬ、が。
「悪いが、この後も立て込んでるんでな。一旦退かせて貰うぜ?」
攻撃が届く寸前、人鳥は再び飛翔し敵の手から逃れる。代わりに叩き込まれるは、突風を纏ったミサイルの雨。すかさずカバーに入った運命と姫恋による援護だ。
「一人一人潰していては埒が開かないからな。ここは一つ、手を打つとしよう」
「そっちが数で押してくるなら、私たちも連携で勝負させて貰うわね。前衛で戦ってくれる二人のためにも、後衛でしっかりとサポートさせていただくよ!」
誘導弾は着弾と同時に内部から水が溢れ出し、残留していた有害成分や仲間の放った炎による延焼を洗い流してゆく。更には姫恋の放つ突風が水飛沫を巻き上げ、より広範囲へと水分を拡散させる。
「毒ガスの扱いに長けているようだけれど、これは防げるかしら? さぁ、魅惑の世界へ誘いましょう」
しかも、それはただの風ではない。うっすらと桜色に色づいたそれははらはらと花弁を舞い上がらせながら、狭苦しい塹壕の内部へと満ち満ちてゆく。防毒面越しでも分かる甘い香りに、敵兵は疑念と驚愕を覚えた。
「なんだ、この匂いは……苺、か? 不味い、視界が、霞んで……」
「あれは皇帝陛下? 何故皇帝陛下がこの様な場所へ!?」
そうして次に上がった声は、現状とそぐわぬちぐはぐな内容。幾人かの兵士は虚空へ向かって何やら身振り手振りを行っている。姫恋の手繰る風には、相手の望む幸福を見せるという幻覚効果が秘められていたのだ。彼らはそれにより、願望を反映した幻を見ているのだろう。
「幻覚作用を伴った風だと……!? 同じ土俵で一杯食わせられるとは、これ以上の屈辱は無い!」
「上の女が元凶か。情報へ向けて毒ガスを流し、奴の幻覚作用を中和せよ!」
だが、それは敵兵士にとっては挑発以外の何ものでもなかった。彼らは錯乱状態の仲間を殴り倒しつつ、姫恋へと定める。左手の指先からは高密度かつ空気よりも軽い気体が噴き上がってゆく。
先の土煙と違い、パラドクス由来のガスに対しては完全視界の効果が効きにくい。しかしかといってそれを嫌って地上に降りれば元の木阿弥である。敵はすぐさま別の毒ガスでの殲滅を目論むだろう。ならば、どうすべきか。
「後の事を考えれば、温存しておくべきなんだろうけど……でも、ここを突破しなきゃ始まらない。だから、出し惜しみは無し。魔力も大盤振る舞いでいくよ!」
そんな状況下で動いたのは、後方で戦いの推移を見守っていた麻緒であった。彼女は仲間とは別方向から勢いよく飛び上がるや、毒々しい色彩に覆われつつある防衛線へ視線を巡らせる。現状、ガスはまだ散布しきっておらず、密度に濃淡がある状態だ。即ち、ガスの濃い所に敵兵が居るという事でもあった。
「これならまだ間に合うはず……がんがん吹雪かせて、ガスそのものを吹き飛ばしてやるー!」
彼女はありったけの魔力を練り上げるや、それを凍てつく氷雪に変じさせて猛烈な吹雪を生み出してゆく。当然ながらガスは気体であり、十全に効力を発揮する為には気化する必要がある。故に揮発する為の熱が必要なのだが、零度を下回るほどの寒波はその僅かばかりの熱量すらも奪い尽くしてゆく。更にそれは別の副次効果すらも伴っていた。
「なんだ、ガスの放出量が減って……まさか、さっきの水はこの為か!?」
徐々にだが、放出されるガスが減少していき、遂にはうんともすんとも言わなくなってしまう。単なる寒さだけでは説明がつかない現象に兵士たちは慌てふためくが、己が体を見てようやくその原因を理解する。
先ほど運命が放った誘導弾に詰め込まれていた水、それが風と冷気によって凍結し、ガスの放出口を塞いでしまっていたのだ。こうなればもう、これ以上毒を撒き散らす事は不可能。先に展開した死の霧も現在進行形で薄まりつつあり、そう時間も経たずに無害化されるだろう。
「ば、馬鹿な……我らの毒ガスを、誇り高き躯体を、こうも攻略されるなど!」
これが生身の身体であれば、自前の体温で溶かすなど出来たかもしれない。しかし、脳まで機械化された躯体ではそれもままならぬ。そうして、尤も厄介だった毒ガスが無力化された以上、防衛線の脅威度も大幅に減じており。
「……炎を使ったら、また氷が溶けちまうからな。面倒だが、コイツで仕掛けるとするか」
「まぁ、毒ガス頼みで全くの丸腰という訳でもないだろう。背中のタンクが誘爆すれば巻き添えを喰らうだろうし、最後まで油断は禁物だ」
こうなればもう、距離を取る必要もない。人鳥は獄炎を解除しつつ氷を思わせる両刃剣を鞘走らせ、運命の手には鉄塊と見紛う程の金鞘が握られている。悠然と歩み寄って来る復讐者たちに対し、咄嗟に兵士は小銃火器を構えるも、その動きは洗練されているとは言い難かった。
「おっと、前の2人の邪魔はさせないわよ?」
「右翼側の戦いもそろそろ終わりだしね、こっちも畳み掛けるよ!」
そんな僅かばかりの抵抗も、姫恋と麻緒による氷風によって瞬時に無力化される。最早兵士たちには有効な手段は残されておらず、かと言って敵前逃亡を選べるほどの自由もなく。
程なくして防衛についていた戦力は壊滅し、復讐者たちは炭坑内への侵入口を確保する事に成功するのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【完全視界】がLV2になった!
【使い魔使役】LV1が発生!
【現の夢】LV1が発生!
【飛翔】がLV3になった!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
御門・風花
【ルール攻略隊】で参加。
感情を失った少女。
クールに見えて、マイペースな天然。
「鉄網、鉄骨、塹壕に毒ガス、厄介ですね」
パラドクス使用。【精神集中】で背中の紋章を解放【オーラ操作】で魔力障壁を球状に展開。毒ガスを防ぎ、障壁内部を【浄化】する。
「『ミセリコルデ』作戦を開始します」
《エアライド》で最短ルートを駆け抜ける。
邪魔なものや敵は、魔刃双剣を抜刀し雷の【呪詛】を纏う刃で【両断】していく。
「魔剣解放」
時間がなければ、魔剣を投擲した雷撃で障害物を一気に【貫通撃】【粉砕】で道を作り【呼吸法】で闘気と魔力障壁を強化し【捨て身の一撃】【衝撃波】【グラップル】で強引に突破します。
「時間がない、こじ開けます」
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎
【ルール攻略隊】
同戦場の皆と協力
完全視界、効果は相互活用
口元のガスマスク、ゴーグルで視野確保
接近時、敵の布陣や障害物の状況を偵察、観察し情報共有
戦力集中する箇所はなるべく避け
皆と鉄条網や障害物を突破
突入時は先頭任せ、多方向へ次々攻撃を撃ち込み撹乱し、突破箇所に狙いを定めさせない
迅速な突破を
【飛翔】
低空での塹壕・障害物の飛び越えや、加速移動する場合は特に皆で活用
俺は高度制限に注意し飛翔
塹壕を上から狙い、後方へ回り込んで不意打ちしたり
高所、仲間を死角から狙う敵は優先
但し、塹壕や配置から狙い撃ちの位置は避ける
前方障害物は排除
魔力障壁を展開、速度と不規則軌道で回避
包囲や孤立をフォロー
白水・蛍
【ルール攻略隊】で参加。
その他、同選択肢する人とも行動もしたいです。
問題ございません。一人で行動しているわけではないのですから。
皆で突破しますわよ!
味方残留効果は全て活用。
覆面はしておきましょう。
味方の後ろから徐々に進出。
【飛翔】【完全視界】で何にも邪魔されず移動できる状態にはしておきます。
<演奏・歌唱>の力で敵を遠距離から攻撃。
視界から外れてるなら<不意打ち・一撃離脱>で一撃入れて差し上げます。
毒ガス対策は<風使い><吹き飛ばし>でガスそのものを吹っ飛ばしてあげます。
パラドクスの使用もその為に。我が声にて招くは皆様の背を押す風の凱歌。
勝利のための歌!
皆様と共に絶対に突破して見せますわよ!
安藤・優
【ルール攻略隊】で参加
※アドリブ連携歓迎
「うーん、毒ガス…塹壕…障害物…有刺鉄線?色々考えるなぁ…」
酸素マスクと呼吸法、浄化の技能で毒ガス対策、まぁ臨機応変にガスの無いところを走るだけなんだけど。
邪魔な障害物はアルバトロスの砲撃で粉砕しつつエアライドで最短ルートを見極めてダッシュで一気に駆け抜ける、塹壕なんかはジャンプか飛翔で飛び越えるよ。
味方に攻撃しようとしてる敵を発見したら【拒絶の祈り】を発動したアウロラを間に割って入らせてディフェンスを試みる(ディフェンス対象:風花g01985,エトヴァg05705,白水g01398)
この戦いは敵の殲滅じゃなくて突破が目的なんだ、立ち止まってる暇は無いよ
ノイン・クリーガー
【ルール攻略隊】で参加。
毒ガスか。厄介なことだ。
昔はあれで大勢死んだ……
【完全視界】で視界確保。
あまり時間はかけられそうにないので一気に攻める。
まずPzK43Sinによる【砲撃】で鉄条網、鉄骨、サーチライト
を破壊し、突撃する。
味方が風使いなどでガスを晴らしてくれる場合はそこから侵攻する。
その後はガスマスクで毒ガスを防ぎながら塹壕を利用しつつ進み、Mk45/Sの【制圧射撃】で敵を倒しながら進む。
ディフェンスは安藤とエトヴァ。
[コードネーム]
コードネームを持つ仲間はコードネームで呼ぶ。
自分:『ゴースト』
エトヴァ:『フェーデル』
御門:『ミセリコルデ』
安藤:『ブレイズ』
レイ・シャルダン
【ルール攻略隊】で参加。
アドリブ連携等歓迎しています。
毒薬攻撃とは、我が祖国ながら、何と酷い事を
【飛翔】を利用して空中へ
毒ガス対策に風下に立たない様に気を付け
この防御陣を突破してやりましょう。
敵もみっちり良い感じに防御を固めておりますね。
それなら、その自慢の防御施設をそのまま使わせてもらいます。
パラドクスを発動し
リビールマジックワイズを使用。
10の指から放たれた魔法の糸で
鉄条網や阻害鉄骨等を持ち上げ
それをそのまま防空壕の中へと叩き込みます。
●完全なる攻略を目指して
防衛線の左翼側において復讐者の一団が制圧と突破に成功したタイミングより、暫し時間は巻き戻り。荒れ果てた戦場の右翼側にも同じように六つの影が姿を見せていた。刺激臭と硝煙の香り漂うその場に現れたのは、反クロノヴェーダ軍事企業【CCTS】の面々である。
彼らを率いる旅団長であるノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)は、防毒面の吸収缶越しに空気を吸い込みながら嘆く様に首を振っている。
「毒ガスか。厄介なことだ。今でこそ対処法は幾らでも思いつくが、昔はあれで大勢死んだからな……」
「ええ、よもや毒薬攻撃とは……我が祖国ながら、何と酷い事を。機械化された自分たちにはどのみち影響がないと高を括っているのでしょうか」
そんな男の呟きにレイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)が相鎚を打つ。毒ガスは時に『貧者の兵器』とも称される武器だ。製造コストが安価にも関わらず広範囲に影響を及ぼし、かつ防ぐには専用の装備を必要とするなど、極めて有用な兵器である……尤も、それは人倫を無視すればの話だが。現に後の時代では、その多くが使用に制限を掛けられていた。
敵に回してこれほど厄介な物は無いが、しかして憂慮すべき要素は他にもまだ在る。
「毒ガスに加えて鉄網、鉄骨に塹壕……これまでの戦闘によって破壊されつつあるとはいえ、どれも厄介ですね」
「障害物を乗り越えるのに手間取れば、毒ガスに巻かれてお仕舞い。かと言って空を飛んでも、炭鉱自体は地下だからどのみち地上に降りなきゃならない、か。相手も色々考えるなぁ……」
敵情を観察しつつ、御門・風花(静謐の凶鳥/ミセリコルデ・g01985)と安藤・優(名も無き誰かの代表者・g00472)は囁くように言葉を交わし合う。敵に対空兵器が無いのは、先行した復讐者たちによって既に確認済みだ。しかし、ただ上空から攻撃しただけでは塹壕内に潜む相手だと効果が薄い。敵陣突破の為にも、やはり直接矛を交える必要があった。
「阻害鉄骨と聞いた時はいったいどんな物かと思ったが……なるほど、鉄骨を十字状に重ね合わせた障害物か。大方、戦車や重機の接近を防ぐ為のものだろう」
戦車は元々、塹壕を突破する為に開発された兵器である。重機の類も同様の運用方法が可能だ。敵としては万が一それを持ち出された時の事も想定していたらしい。あちこちに転がる鉄屑の位置を把握しつつ、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)はゴーグルとガスマスクの位置を入念に調整している。
「確かに敵の数は多く、守りも強固ですわね。ですが問題ございません。我々とて一人で行動しているわけではないのですから。皆で協力して突破しますわよ!」
だが何も、彼らは敵の脅威をわざわざ観察しに来た訳ではない。これらを踏破し、今度こそルール炭鉱を破壊する為にこうして戦場に立って居るのだ。白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)はこの仲間たちと共にであれば、必ずやそれを為し得ると信じていた。
「ま、何であれこいつはまだ前哨戦だしな。こんな所で足踏みするなど御免被る。余り時間も掛けられそうにないんだ……一気に攻めるぞ?」
どうやら早速、左翼側の復讐者たちが仕掛け始めたらしい。敵陣が俄かに騒めき出すのを察知するや、ノインの号令一下【CCTS】の面々も作戦を開始するのであった。
「防衛線左翼側で敵の攻撃が始まったとのこと! これまでよりも数が多いらしい!」
「了解した。だが軽々に持ち場を離れるなよ? 一方に注意を逸らしつつ、別方向からもう一撃喰らわされんとも限らん。各員、注意を怠るな!」
敵軍もまた、復讐者たちによる本格的な攻勢の気配を感じ取っていた。しかし、迂闊に持ち場を離れて隙を見せるほど間抜けではないらしい。塹壕から瞳だけを覗かせ、薄闇へ油断なく視線を向けている。
「……飽くまでも防衛に徹すると。良いだろう、ならこちらはドアを叩くだけだ。お行儀良くな」
なればと、まず先手を打ったのはノインだった。彼は対戦車榴弾を構えるや、敵陣目掛けて発射。周囲に敷設された鉄条網ごとサーチライトを潰すことにより、味方の突撃を援護してゆく。そうして戦場を揺るがす轟音を契機として先陣を切ってゆくのは優である。
(酸素マスクと呼吸法、浄化の異能……色々対策は取ってあるけど、まぁガスの無い所を走り抜けるのが一番かな)
彼は仲間の一撃で壊しきれなかった障害物をショットガンで吹き飛ばしつつ、阻害鉄骨を足場に跳躍。毒ガスの濃淡を見極めながら塹壕の直上を取るや、立て続けに散弾を叩き込み相手の出鼻を挫いてゆく。
「まずは一つ、と。ただ、塹壕線自体はまだまだ残ってる。この戦いは敵の殲滅じゃなくて突破が目的なんだ、立ち止まってる暇は無いよ」
「そうだな、『ブレイズ』。毒ガスを撒かれて足が鈍れば、そのまま包囲されて終わりだ。今必要なのは巧遅よりも拙速……『フェーデル』、周りの動きはどうだ?」
続けてノインが地面に掘られた窪地へと飛び込むと、サブマシンガンの斉射で敵兵を掃討。背中のタンクを傷つけぬよう注意深く止めを刺しながら、エトヴァへと声を掛ける。軍事企業らしく、幾人かのメンバーには作戦行動中のコードネームが付与されていた。
「飽くまでも有利な地形に籠り、積極的に打って出るつもりはないらしい。尤も、後手に回っているからではなくそれで十分だと考えているが故だろう。現に迎撃の圧力はまだ弱まってはいないようだ」
吶喊したノインと優によって防衛線へ楔が打ち込まれた形となるが、逆に言えば敵中へそれだけ突出したとも言える。ゾルダート達の操る毒ガスはわざわざ身を晒して射線を確保する必要は無い。安全な塹壕に潜みつつ、風の流れに乗せて毒ガスを流すだけで事足りるのだ。
エトヴァの言葉を証明する様に征く手には濛々と毒々しい色の煙が滞留しており、かつ放物線を描いて円筒形のガス弾が間断なく投射され続けている。蒼き天使が光の輪を投擲して迎撃しているものの、それでも誘爆した弾頭からガスが撒き散らされていた。
「口元を覆ってはおりますが、はてさてどれほど効果があるのやら。吸い込むだけでなく、触れただけでも肌が爛れる種類もありますでしょうし、出来るだけ触れたくはありませんが……そうも言ってられそうにありませんわね」
身を隠し反撃の機を窺っていた敵兵を先んじて無力化しつつ、仲間の進撃に追従して蛍も前線へと進み出る。いざとなれば上空へ逃れて窮地は脱せるだろうが、それでは増々時間を浪費する事になってしまう。
ならば今のうちにガスを吹き飛ばし、安全地帯を確保しておくべきか。そう思案する吟遊詩人だった、が。
「このルール炭鉱は重工業地帯を支える帝国の心臓……貴様らの好きになぞさせるものか! 我らがハイマートに栄光あれッ!」
「っ!? まさか、自爆覚悟ですか……!」
足元に倒れていた兵士の内、一人が突如として身を起こす。相手は全身を機械化したゾルダート。生身の人間よりも頑丈な上、ぱっと見では絶命しているかが分かりにくい。それを活かして咄嗟に死んだ振りをし、復讐者が近づくのを虎視眈々と待っていたのだ。
しかし、それは自らの生還を度外視した捨て身の戦法である。蛍は咄嗟に剣竪琴を掻き鳴らし衝撃波を叩き込むものの、相手は左腕を引き千切りそれを近くに転がっていたタンクへと叩きつけた。瞬間、兵士自身とタンク内部に収められていた気体が解放され、爆発的な勢いで毒ガスが噴き上がってゆく。
当然ながら、回避する余裕など有りはしない。瞬く間に復讐者の姿は死の霧に覆い隠され、見るも無残に汚染されてしまう――。
「これは出し惜しみできる状況ではないですね。魔力、解放……『ミセリコルデ』、作戦を開始します」
寸前、淡い輝きが球状に展開され、有害物質を遮断する。それは咄嗟に仲間の元へと駆け寄った風花が展開した結界であった。背中の紋章から発生するそれは酸素の出入りすら禁じてしまうが、その分密閉性は折り紙付きだ。
「すみません、『ミセルコリデ』。助かりました……!」
「いえ、お気になさらずに。ですが、ガスボンベを放置したままだったのが裏目に出ましたね。倒した敵の一々処理していたら、それこそ身動きが取れませんし」
蛍の礼に問題ないと応じつつ、少女は悩まし気に眉根を顰める。彼らは敵を倒す際、ガスの誘爆を懸念してそれらを傷つけぬ様に心掛けていた。だがそれは逆に言えば、周囲に機雷が転がっているようなものだ。
常に進み続ければ問題ないだろうが、こうして足止めを喰らってしまえば一転して窮地に陥ってしまう。さてどうすべきかと視線を巡らせていると、サッと頭上に影が差す。
「敵もみっちり良い感じに防御を固めておりますね。通常であればこちらにとって不利なだけですが、こうなれば話は別。その自慢の防御施設をそのまま使わせてもらいます」
それは空中に上がって毒ガスを避けつつ、上方から警戒に徹していたレイであった。彼女は仲間が危険と見るや、ある物を求めて身を翻す。それは頑丈さゆえに破壊を後回しにしていた阻害鉄骨群だ。
「土壌汚染とか諸々の事を考えると少しばかり複雑ですが、今は四の五の言っている場合ではありません。危険物の処理は昔から埋め立てと決まっていますからね」
航空兵は指先より魔力で編み上げた糸を垂らすと、それらを鉄骨へと絡ませてゆく。一つ一つが凄まじい重量を誇るが、レイはフライトデバイスの出力を上げて何とかそれらを持ち上げる。何も高々と引き上げずとも良い。移動させる為にほんの少し浮かせれば事足りるのだ。
そうして彼女は鉄骨を塹壕上まで動かすと、落ちるに任せて糸を切る。するとそれらは複雑に重なり合いながら、敵の骸をボンベごと覆い尽くしていった。これでもう再利用される恐れはないだろう。
「こうなれば、いつまでも立ち止まっている訳には参りませんね。障壁の解除をお願いします。それと同時に、今度こそこの毒ガスを吹っ飛ばしてみせましょう!」
「頼みましたよ? 1、2の……3っ!」
それを見た蛍と風花もまた合わせて動き出す。3カウント同時に結界を解除するや、毒ガスが侵入して来るよりも前に、大きく息を吸い込んだ蛍が調べを奏でゆく。
「皆様と描く未来への希望。言の葉にて綴りましょう。その一端を此処に! 我が声にて招くは皆様の背を押す風の凱歌、勝利のための歌! 先に進む者達の背を押す風となれ!」
軽やかなる旋律と共に一陣の風が追い風となって吹き抜ける。穢れを知らぬ旋風は有害物質を含んだ霧を敵陣へと押し返し、行動可能範囲を拡大してゆく。そしてそれは同時に、毒ガスに乗じて身動きの取れぬ復讐者を仕留めんと塹壕から這い出てきた敵兵の姿をも露わにしていった。
「なっ、毒ガスは大気よりも重い設計にしているのだぞ! こうも易々と吹き流されるとは……!」
「ええい、こうなれば是非もない! 一斉に掛かれ!」
ぎょっと目を剥くゾルダート達だったが、もう形振り構ってられぬと判断。毒ガス弾や通常火器を乱射し、護りを解いた風花や蛍を仕留めんと襲い掛かる、が。
「おっと、そうはいかないよ。アウロラ、そっちは任せるからね?」
両者の間に花天使が飛び込んだかと思うや、煌めきを放つ障壁を形成。攻撃の悉くを跳ね返す。一方、彼女の友輩たる優は相手の側面へ回り込むと、武骨な両刃剣を振るって敵兵を刈り取っていった。
こうなればもはや小細工は不要。一気呵成に前線を押し上げ、そのまま炭鉱内部へと雪崩れ込めば良いだけだ。
「あり得ん……我々がこうまで手玉に取られるとは。左翼側の戦況はどうなっている!? 戦力を抽出できんのか!」
「駄目だ、あちらも押されている! こうなれば一度後退し、戦線の整理を……!」
戦いの流れは復讐者側へと大きく傾きつつある。これを真っ当な戦闘で押し返すのは容易ではないだろう。それは相対する兵士たちも直感的に悟っており、故に後方へと退き一旦体勢を立て直すべきだと判断を下す。
牽制代わりの毒ガスを巻きながら転進せんと試みる敵軍であったが、そんな彼らの視界に飛び込んでくるのは鮮やかな色彩によって彩られた後方陣地。様変わりした光景に警戒感を高めるゾルダートの前に姿を見せたのは、エトヴァとレイだった。
「炭鉱の内部に入られて抵抗を続けられたり、労働者たちを人質に取られたくはなかったのでな。悪いが、先手を打たせて貰った」
「後方迂回に包囲殲滅……戦術レベルでも戦略レベルでも有効な戦術です。こちらが空を飛べる以上、狙わぬ理由もありませんしね?」
二人は最前線で毒ガスによる攻防が繰り広げられている最中、高度を上げながら大きく迂回。敵の警戒網を避けつつ背後へと回り込むことに成功していたのだ。蒼き天使は榴弾付きのクロスボウを、航空兵は機械式の魔導弓をそれぞれ突き付け、それ以上の後退を許さない。
「こ、この程度で我らが臆すると思って……!」
「ああ、思わんね。だからこそ、最後まで手を抜くつもりは無い」
毒ガス弾や銃火器を構え、飽くまでも抵抗を継続せんとする敵兵士。だがその背後から銃口が突き付けられたかと思うや、音もなく内部機構を弾丸が破壊していった。ハッと振り返った兵士たちが見たものは、傷口より漏れ出す気体を鬱陶しそうに手で払うノインの姿。
敵軍がまごついている間に、仲間が彼らの背に追いついたのである。それは奇しくも、相手が当初想定していた迎撃戦術と真逆の形だ。前後を敵に挟まれ浮き足立つゾルダートたち。動揺から立ち直る暇さえ与えまいと、風花を筆頭に復讐者は残存戦力の掃討へと移ってゆく。
「予想よりも攻略に手間取りましたね。時間がない、一気にこじ開けます……魔剣、解放」
「て、徹底抗戦だ! この場を死守せよ!」
最早命令の体を為していない絶叫と共に相手も踏み止まるが、復讐者としてもこれ以上貴重な時間を浪費する訳にはいかない。風花は黒白の双刃を抜刀するや、そのまま一方を投擲。後方の敵兵を串刺しにしつつ、そのまま呼吸と共に魔力を練り上げる。
「先ほどは機械の身体に手古摺らされましたが、欠点が無い訳ではありません」
刹那、手にした魔刃より雷光が迸ったかと思うや、投擲した片割れ目掛けて駆け抜けてゆく。無論、その進路上に立つ兵士を巻き込んでだ。金属製の身体は電気を良く通し、内部から制御系統を焼き切り一瞬のうちに沈黙させていった。
「……今ので最後か?」
「うん、周囲に敵の姿は無し。死んだ振りをしている相手も流石にもう居ないみたいだね」
斯くして、戦場に静寂が訪れる。立って居るのは【CCTS】の面々のみ。ノインの問い掛けに優が問題ないと答えると、僅かに緊張が緩む。しかし、本番は此処からだ。
六人は手短に消耗具合を確かめ合い、呼吸を整えると、そのまま炭鉱の内部へと踏み込んでゆくのであった
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【エアライド】がLV2になった!
【飛翔】がLV4になった!
【クリーニング】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
【完全視界】がLV3になった!
【照明】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
乾・玄辰
鉄条網と塹壕を突破した後は破壊工作ときたか。
戦争映画からスパイ映画の世界を立て続けで体験する気分だね。
【光学迷彩】で姿を眩ませ、クルップ社の工場・倉庫区画を探る。
引き続き【完全視界】で暗がりも見通せる様にしておくよ。
警備が手薄ならば、機密レベルの高い区画を覗き見る余裕もあるだろうか。
何らかの資料や図面など見つけたら手当たり次第に拝借しよう。
一通り偵察して効果的なポイントを見定めたら破壊工作に取り掛かる。
とは言え、闇雲に破壊しては一般人も巻き込みかねない。
資源や生産品の運搬に使用する物流ラインや運搬機材を中心に壊して回ろう。
【北落師門】を引き抜き発動させた【灼光剣】で要所を灼き斬ってしまえ。
●有象無象の山を掘り
ルール炭鉱内部へと突入した復讐者たちは三手に分かれる事となった。つまり、炭鉱の破壊、労働者の救出、そしてクルップ社の調査。乾・玄辰(最後の魔法使い・g01261)はその内の三つ目を行うべく、坑道をひた駆けてゆく。
(鉄条網と塹壕を突破した後は破壊工作ときたか。戦争映画からスパイ映画の世界を立て続けで体験する気分だね。これが現実でさえなければ、まだ良かったのだけれど)
現代人からすれば心躍るシチュエーションだが、実際に虐げられている人が居る事を想うと些か複雑ではある。しかし、自らの行動が実際にそうした人々を救う事に繋がるとなれば、気持ちの入り方もまた違ってくるというものだ。
「あれか……周囲にトループス級の姿は無し。どうやら、炭鉱施設の警備に出払っているみたいだね」
そうして道を突き進むうちにそれらしい区画を発見。魔法使いは自らの姿を周囲に溶け込ませながら、足音を殺して内部へと踏み入ってゆく。ゾルダートは元より、一般工員の姿もない。
(工場……と言うよりは資材倉庫と言った雰囲気かな。これなら機密レベルの高い区画を覗き見る余裕もあるだろうか)
内部は木箱が所狭しとうず高く積み上げられている。側面に記された文字を読み解けば、どうやら労働者用の工具や爆破用の火薬らしい。クルップ社と言えば大砲と言うイメージが強いが、一方でこうした民需品も広く手掛けており、史実でもその評判も上々だった。
玄辰は物陰から物陰へと伝いながら、資材区画の奥へと進んでゆく。果たして、奥まった場所に事務作業用と思しき幾つかの机や引き出しを見つける。
「資材納品書に在庫帳簿、取扱製品リスト……ある意味当然だけれど、真っ当な社内資料だ」
特に鍵も掛けられておらず、青年は幾つかの紙束を取り出して内容を改めてゆく。しかし、機密らしい情報は皆無。日付を見るにクルップ社が駐在し始めたのはどうやら最近らしい。一先ず何かの読み取れる情報もあるかもしれないとそれらを回収しつつ、玄辰は資材の山へと向き直る。
「闇雲に破壊しては労働者や一般社員も巻き込みかねない。取り合えず資材や運搬に使用する物流ライン、運搬機材を中心に壊して回ろう」
彼は鞘走らせた黒剣を赤熱化させるや、手始めに引き込まれたトロッコ路線を寸断。念のため資料関係も燃やし何が奪われたのかを分からなくさせつつ、資材群の焼却を進めてゆくのであった。
成功🔵🔵🔴
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
ユエト・ミナヅキ
アドリブ/連携〇
破壊工作・・・どうしてだかワクワクしちゃうナ
得意な偵察、索敵を生かしてクルップ社の企みを妨害してあげマス
妨害にはカートリッジ[炎風]とカートリッジ[雷電]を活用しましょウ
炎風は発火装置、雷電は閃光弾の代わりとして使いマス
まず閃光弾の大きな音と光で爆発など事故が起こっていると錯覚させル
突発的なアクシデントが起きた時人は大抵避難しようとするモノデス
人が退避したころを見計らい、炎風を着火
一般人への被害を最小限に抑えて、盛大に火事を起こすとしよウ
・・・良い子はマネしちゃだめだヨ?
マリー・ルートヴィヒ
散々煮え湯を飲まされた相手だしね、容赦はしないよ
とは言え…非戦闘員を巻き込む気は無い
仲間との連携を意識しつつ臨機応変に戦おう
37mmの砲撃で壁をブチ破り一拍
7.7mmの弾幕でこれ以上ここに居てはいけない事を示す
こちらはトーチカだ。反撃があろうが早々落ちないよ
防壁をセルフクラフトでそこかしこに展開し前進しつつ
主要機材を一撃離脱で破壊して安全を確保
ついでに重要そうな資料でも回収しよう
特にパリ砲紛いの大規模破壊兵器を作っているとも限らん
今や海の向こうとは言え油断はしないよ
戦闘知識で被害状況を算定し無駄弾は撃たない
この先も控えているんだ
火炎使いらしく派手に燃やしてやろう
燃えるのはパリじゃない、貴様らだ
●地の底にて紅蓮は煌々と
「破壊工作……地味な作業ですが、どうしてだかワクワクしちゃうナ。得意な偵察、索敵を生かしてクルップ社の企みを妨害してあげマス」
遠くから響く炸裂音を感じながら、ユエト・ミナヅキ(weißer Hase・g05751)は狭苦しい坑道を突き進んでいた。敵の最優先防衛目標は当然ながら炭鉱施設そのもの。だがその次はと言うと、敵味方で価値観が異なる。
復讐者側は労働者たちの解放を狙うが、一方のゾルダートにとって彼らは替えの効く消耗品に過ぎない。必然、クルップ社の防衛に手を回してくる可能性は否定できず、そうなる前に該当区画を破壊すべく先手を打ってしまおうと考えたのだ。
「ええ。私としても散々煮え湯を飲まされた相手だしね、容赦はしないよ。とは言え……非戦闘員を巻き込む気は無い。彼らはただ普通に仕事をしているだけだろうから」
一方、仲間に追従するマリー・ルートヴィヒ(シュヴァリエ・g06578)は苦々しそうに呟きを漏らす。落盤、浸水、粉塵爆発。炭鉱という閉鎖環境での事故はどれ一つとっても逃げ場がない。重要区画はしっかりと補強されているだろうが、万が一を想定して動くべきだろう。
「ふむ、あちらがクルップ社に宛がわれている区画ですかネ。扉は金属製の上、今は閉じられているト……はてさて、どうしましょうカ」
そうして暫し走り続けていると、それらしい一角を見つける。そっと気配を殺して近づくと、出入り口は鉄扉によって閉ざされていた。厚みがある為か、中の様子は杳として窺い知れない。
「既にクラウツ共が待ち構えていないとも限らないけど、騒ぎに怯えた工員が避難している可能性も捨てきれない。入口を確保するから、無力化はお願いしても?」
「ええ、勿論デス」
扉を開けた途端に爆弾が炸裂、なんて事態は御免被る。マリーはモーターカノンへ砲弾を籠めつつ、砲口を少し離れた土壁へと向ける。その横では緋と黄色のカートリッジを装填したユエトが控え、そして。
「いくわよ……Feu!」
トリガーを引いた瞬間、衝撃と共に砲弾が土壁を穿ち貫いた。幾ら分厚くとも、機甲兵器の装甲とは比べるべくもない。土砂を撒き散らしながら、ぽっかりと大穴が開く。その後、間髪入れずに傭兵が室内へ腕を繰り出す。
「はてさて、鬼が出るか蛇が出るカ、っと」
強烈な雷轟と共に暴力的なまでの閃光が迸る。稲妻の力を閃光弾代わりにし、音と光で内部に潜む敵の無力化を狙ったのだ。果たして、それらが収まるのを待って二人が室内へと踏み込むと、そこに居たのは――。
「う、うーん
…………」
仕立ての良いスーツを着込んだ優男。ゾルダートではない、生身だ。恐らくクルップ社の社員なのだろう。どうやら衝撃をもろに受けて昏倒したらしい。取り合えずそちらは捨て置き油断なく周囲を一瞥するが、この男以外に動く影は無かった。
「見た限り、他に作業員は居ないようデス。まぁ時間が時間ですし、一般社員は帰っているのでしょウ。こちらの人は管理職か何かですかネ」
「情報を聞き出せれば手っ取り早いんだけど……駄目だね、起きそうにない。せめて何か資料を持っていないかどうか改めるとしよう。秘密裏にパリ砲紛いの大規模破壊兵器を作っているとも限らん。今や海の向こうとは言え、油断はしないよ」
目を覚ました際に逃げられぬよう簡易的な防壁を構築しつつ、男の荷物を調べ始めるマリー。一方でユエトは室内に置かれた資材の間を巡り、万が一取り残された一般人が居ないかを確認してゆく。幸い、正真正銘この男以外の人間は見当たらなかった。
「こちらは問題ナシ……そちらは如何ですカ?」
「うーん、駄目だね。見た所、機密資料とかは見当たらない。管理職とは言え、社内的な階級はそこまでじゃないのかもね」
傭兵の問い掛けに航空兵は残念そうに首を振る。より入念に探せば何かあるかもしれないが、時間を掛け過ぎればトループス級にやって来かねない。二人は調査もほどほどに、資材破壊の為に動いてゆく。
「この先も控えているんだ、無駄弾を撃つ余裕はない。幸い、可燃物も多いんだ……火炎使いらしく派手に燃やしてやろう」
マリーが狙いを絞って機銃弾をばら撒くと、可燃物に引火。瞬く間に火の手が上がり、焔が燃え広がり始める。更にはユエトが風を操り酸素を送り込むことで、その燃焼速度は飛躍的に加速してゆく。
「ちょっと大気の流れを弄れば、火災旋風も自由自在……良い子はマネしちゃだめだヨ?」
「先ほど開けた穴を防壁で塞げば、外にまで延焼はしないだろう。さぁ、次の目標に向かうとしよう」
これ以上室内に留まっては危険だ。気絶したままの男を抱えつつ、復讐者たちは坑道側へと避難してゆく。その際、航空兵はチラリと後ろを振り返る。
「もう、燃えるのはパリじゃない……次は貴様らだ」
そんな呟きは業火のうねりに消えてゆき。二人は元来た道を駆け戻ってゆくのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】がLV4になった!
【セルフクラフト】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
【ガードアップ】がLV4になった!
アルメア・グラウプナー
「話には聞いていたが、彼らが屑鉄兵か。確かに随分と入口の防衛に戦力を割けた物だとは思ったが…ははは、成程ね、納得できたよ」
「これも『救助』の一環だ。多少は痛いだろうが、貴殿らを兵士として名誉の戦死を遂げさせてくれよう。悪く思うなよ」
・行動
まだ囚われている者が残っている以上、彼らを戦闘に巻き込む訳にはいかんな。
敵を発見したら【追跡】の上、空砲を鳴らす等して牢から引き剥がした後に戦闘に移ろう。
今回は爆裂鉄球とソードオフによる近接戦闘を主とする。
相手の爪攻撃をソードオフによる【制圧射撃】でいなしつつ、その隙に爆裂鉄球を叩き込んでいこう。
高熱攻撃には一旦距離を取った上でメテオールで反撃していく。
●戦こそ誉れ、死こそ救い
別動隊によってクルップ社の設備が焼却された頃。アルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)は炭鉱施設と牢屋区画の中間地点へと辿り着いていた。
彼女がまずそっと物陰から炭鉱側の様子を窺ってみると、内部に広がる光景を見て思わず複雑そうな表情を浮かべる。
「話には聞いていたが、彼らが屑鉄兵か。確かに、随分と入口の防衛に戦力を割けた物だとは思ったが……ははは、成程ね、納得できたよ。道理でプライドだけは無駄に高い軍人が肩を並べたがらない訳だ」
頼りない照明に照らされ揺らめく無数の影たち。トループス級の姿を端手に評せば、悲惨の一言である。包帯塗れの外見からも分かる通り、真っ当な処置を施されてはいまい。実験紛いの改造を強行された者たちの成れの果て。微かに零れ落ちる呻き声が、彼らが今どんな状態なのかを物語っていた。
「……これも『救助』の一環だ。多少は痛いだろうが、ただ死んでいないだけの生を放置するのも忍びない。貴殿らを兵士として名誉の戦死を遂げさせてくれよう。悪く思うなよ」
残念ながら、彼らを救う手立てはない。ならばせめて、その苦痛を速やかに終わらせてやらねばならぬ。アルメアは牢屋側へ敵の意識が向かぬ様、自らを囮とすべく空砲を撃ちながら飛び出してゆく。瞬間、幾つもの虚ろな瞳が差し向けられる。
「さぁ、貴殿らが討つべき敵は此処にいるぞ! 我こそはと思う勇者から掛かって来るが良い!」
「あ、ぁ……ガァアアッ!」
臆せず身を晒す復讐者に対し、過剰増幅された闘争心に突き動かされた鉄屑兵たちが殺到し始めた。アルメアは短銃身の散弾銃でそれらを迎撃しつつ、複雑に入り組んだ炭坑内を駆け巡る。
しかし、数も地の利も敵の方が上だ。回り込んだ敵が四方を囲み、包囲殲滅を狙ってくる、が。
「ははは、この中に飛び込む勇気は果たしてあるか!」
対して軍人は爆裂鉄球を担ぎ上げるや、まるでそれを駒の様に振り回し始めた。鎧袖一触、触れた端から木端微塵に打ち砕く暴威を前に、なればと敵群は胸部動力炉より火炎を放つ。
「ア、アツ、ィ……ァ、アアッ!?」
「……もう苦しむ必要は無い。これは私から貴殿らへ贈る、全力のプレゼントだ!」
苦痛に歪む顔を焔越しに認めたアルメアは、遠心力が最大になった瞬間を見計らって柄より手を離す。瞬間、砲弾と化したそれは灼熱を突き破り、炭鉱施設ごと敵兵を粉砕してゆくのであった。。
成功🔵🔵🔴
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
如月・友仁
月が見えないってどんな気分なんだろうね?
昼夜の区別すらあの獣の鳴き声ひとつなのかな……気の毒に
……ああ、大丈夫だよ月子さん
僕は君が見えなくたって、傍に居てくれるのは解ってるから
【完全視界】で視界確保
【光学迷彩】で身を隠して
見張りや見回りの鉄屑兵がいれば
別方向に石を投げて音で[撹乱]、こっそり侵入しよう
鍵や鎖は持ち込みの工具で破壊
ここは連携して仲間にも頼っていきたいな
やあ労働者くん達、助けに来たよ
走れる体力は残っているかい?
【活性治癒】、必要ならパラドクスも使用し傷を癒す
あの獣を倒したら首の爆弾が解除されること
その後始まる崩落から逃げてほしいことを伝える
僕らに任せて。次は月明りの下でまた会おう
●月に叢雲、今はまだ
「遥か地下深きルール炭鉱、か。月が見えないってどんな気分なんだろうね?」
別動隊による炭鉱設備の破壊と思しき戦闘音に耳を傾けながら、如月・友仁(ユアフレンド・g05963)はそう独り言ちる。現在、彼は炭鉱の奥深くに位置する強制労働者の収容区画を目指し坑道を進んでいた。
「昼夜の区別すらあの獣の鳴き声ひとつなのかな……気の毒に。満月は人を狂わせると言うけれど、何時まで経っても新月じゃ狂気に逃げる事すらできない」
逃走防止を兼ねている為か、目的の場所は入り口からだいぶ下った場所にあった。空気も澱んでおり、当然ながら陽も月も差し込むことは無い。友仁は敵との不意遭遇を避けるべく小石を投げて手際よく反応を窺いつつも、意識はふらりと欠けた記憶を巡りゆく。
「……ああ。大丈夫だよ、月子さん。例え僕は君が見えなくたって、傍に居てくれるのは解ってるから。だから、安心しておくれ」
月に狂うというならば、既に彼も半歩そちら側へと踏み込んでいるのか。散歩にでも出掛ける様な足取りは程なくして牢屋の一つへと辿り着く。しかし、炭鉱の規模に反して労働者の数は少なかった。恐らく、反乱の危険を下げるべく少人数ごとに管理しているのだろう。
青年は牢の鍵を持ち込んだ工具で無造作に破壊すると、正体の知れぬ来訪者に怯える人々へと声を掛ける。
「やあ、労働者くん達。そんなに縮こまってどうしたのかな。助けに来たよ。重労働の後で恐縮だけれど、走れる体力は残っているかい?」
「あ、あんたはドイツ軍の連中じゃないのか……?」
「古物は好きだけど、自分を物にする趣味は無いかな」
恐る恐る問い返してくる労働者に相槌を打ちつつ、友仁は彼らを縛る鎖を手際よく断ち切ってゆく。首輪に関してはアヴァタール級の撃破まで手を付けぬ方が良いだろう。また疲弊している者には治療を施し、最低限自力で脱出できるだけの体勢を整える。
「あの獣を倒したら、首輪の爆弾は解除されるよ。ただ、同時に炭鉱の崩落も始まるからね。そうなったら、自力で脱出して欲しい。敵軍の相手は僕らに任せて」
「まさか、助けが本当に来るとはな……この恩はいつか必ず返させて貰うよ」
「お礼にはまだ早いよ。だけど、無事に事が運べば」
――次は月明りの下でまた会おう。
そうして深々と頭を下げて来る労働者たちへ気にするなと返しつつ、友仁は別の収容区画も解放する為にその場を後にするのであった。
成功🔵🔵🔴
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
緋塚・ヤスオ
他のディアボロスとなるべく一緒に。
俺は施設の破壊活動重視だ。敵への攻撃の際に周囲の設備の破壊もできれば良いんだが…他の奴が戦ってる間に持ってきた手榴弾を柱や設備近くに。炭鉱が崩れた時にピンが外れるように地形も利用して臨機応変に…。後で崩れやすくなるように直接的なダメージも忘れずに…な。
「…見てるだけで辛いぜ。だが、やられてやる訳にはいかねぇんでなっ!」
【アイテムポケット】で持ち込んだ武器を状況に応じて【早業】で取り出して攻撃。捨て身の攻撃相手だ、被弾は覚悟の上。大きな一撃を振るい、なるべく距離を取るべく離脱…を繰り返す事で被害を抑えたいがな。
*連携、味方からの指示、情報には従う
*アドリブ歓迎
西堂・千衛蔵
倉庫や牢屋に向かう仲間のために、敵の目を惹きつける
ディアボロス通信で労働者の救出に向かった人と情報交換し、そちらとは別な方向へ行こう
「この一撃は、強制連行された労働者たちの分だ!」
大声で叫びながら、バールのようなもので手当たり次第に施設を破壊して回って敵方をおびき出す
「楽になりてえか、ならかかって来い」
鉄屑兵が現れたら、わざと狭い道の中に逃げ込んでセルフクラフト効果で障害物を作る
囲まれることを避けて一体ずつ接近戦で倒すぜ
こいつらもゾルダートだが、苦痛の中で働かされているという意味では労働者たちと同じ立場でもある
奴らの苦しみを、せめて全身で受け止めてやる
「……止めるな赤煙、これが自分のやり方だ」
●不幸の根源を壊せ
「労働者たちの収容区画へ無事に辿り着けた、か。なら、そちらは任せておこう。救出も悪くは無いが、身体を動かす方が性に合っている」
「とは言え、警備のゾルダートがあの有り様じゃあな。いや、こちらとしてはやるべき事をやるだけだが……もし、俺たちの反応を予想した上での配置だとしたら、悪趣味なんてもんじゃねぇぞ」
炭鉱各所で復讐者たちの活動が活発化する中、西堂・千衛蔵(竜燈鬼・g01901)と緋塚・ヤスオ(探偵という名のなんでも屋・g01581)もまた炭鉱施設の破壊を進めるべく姿を見せていた。
全体の動き自体は比較的順調だが、一方で二人の表情は決して明るくはなかった。しかし、それも無理はない。炭坑内を徘徊するトループスもまた、ある意味で被害者と言っても良い状態なのだ。敵対しているとは言え、彼らにも思うところもあるのだろう。
「さっきも言った通り、工作だ何だといった細かい事は得意じゃない。戦闘は引き受けるから、そっちは任せてしまっても良いか?」
「ああ、そうして貰えると有難い。勿論、万が一の場合はこっちも援護するが……損な役回りを押し付けちまうようで済まないな」
「なに、適材適所だ。気にする必要は無い。では、始めるとするか」
だが、この炭鉱が稼働を続ける限り苦しみは終わらない。ならば今はただ、目的を果たすことが何よりの手向けとなるはず。陽動も兼ねた戦闘役を申し出る千衛蔵に、ヤスオは申し訳なさそうに眉根を顰める。だが、鬼人は問題ないと返しながら物陰より飛び出してゆく。
「弱い連中の涙や怨嗟を吸い取って、よくもまぁここまでデカくなったもんだな! この一撃は、強制連行された労働者たちの分だ!」
彼は注目を惹くようわざと雄たけびを上げながら、バールのようなもので手近にあった運搬用トロッコを殴り飛ばす。その音に反応し、あちこちから無数のトループス級が殺到して来る。獰猛な殺意を滲ませながらも、鉄屑兵の口元から零れ落ちるは悲痛な嘆きだ。
「い、たぃ……コロス、ころ、して」
「いつまで、イツまで、このまま……ダ」
千衛蔵は仲間の元から引き剥がす為に敵を狭い通路へと誘い込みつつ、包囲されぬよう障害物を生み出し一対一の状況を作り出す。そうして足を止めてゾルダートたちへ向き直ると、静かに拳を握り締めた。
「楽になりてえか、ならかかって来い。貴様らの同類はそっぽを向いただろうが、自分は真正面から相手をしてやるぞッ!」
斯くして哀しき叫びが木霊する中、復讐者は拳を以て敵と語り合ってゆく。その一方、ヤスオもまた自らの役目を果たすべく着々と炭鉱を破壊する為の準備を進めていた。
「攻撃する際に周囲の設備も破壊できれば良いんだが、そう上手くいくとも限らん。敵を倒せても炭鉱は無傷でした、なんざ笑い話にもならねぇからな」
掘り出した石炭を運搬するトロッコやレール、内部で機械を動かす為の発電装置、スピーカーを始めとする放送設備。そうした炭鉱を運用するのに重要な箇所へ持ち込んだ手榴弾を敷設してゆく。
「アヴァタール級が倒されれば、炭鉱自体も崩れるって話だったよな? なら、それを利用しない手もないだろ。手榴弾のピンを紐と結んでやれば、っと」
更には坑道を支える柱の上下にも爆薬を貼り付け、安全装置に結び付けた糸を梁や手頃な大きさの石榑と繋げる。これでちょっとした衝撃によって起爆し、崩壊時のダメージを更に大きくするはずだ。
「加えて、後で崩れやすくなるように直接的なダメージも忘れずにな……って、うん?」
そうして下準備を進める探偵だったが、ふっと手元に影が差した。咄嗟に顔を上げると、虚ろな瞳と視線が交わる。作業に集中していたせいか、接近する敵の存在に気付けなかったのだ。
「ァア……いだい、イタ、い!?」
「っ!?」
咄嗟に短剣を引き抜き迎撃せんと試みるも、相手が鉤爪を振り降ろす方が僅かに早い。直撃は避けられぬかと冷や汗が頬を伝った、瞬間。
「お前たちの相手は俺だッ! 優しい言葉を掛ける小器用さはないが、代わりにその苦しみを全身で受け止めてやる!」
間一髪、引き付けていたトループス級を全滅させた千衛蔵が両者の間へと割って入り、爪撃から仲間を庇う。刻まれた傷口から鮮血が飛び散り、それを見た緋色の龍が小さく声を上げた。だが、鬼人はこれで良いのだと断言する。
「止めるな赤煙、これが自分のやり方だ……!」
「誰も幸せにならねぇな、ほんと……見てるだけで辛いぜ。だが、やられてやる訳にはいかねぇんでなっ!」
ヤスオとて守られているだけではない。彼は仲間の生み出してくれた一瞬の隙を活かし、短剣による刺突を繰り出す。それは狙い違わず動力部を貫くや、鉄屑兵を沈黙させていった。
一先ず、これで周辺のトループス級掃討と破壊工作は完了である。二人がまだ手付かずの区画を破壊すべくその場を去ると同時に、仕掛けられた火薬によって炭鉱施設は破壊されるのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
【アクティベイト】LV1が発生!
マリー・ルートヴィヒ
仲間と連携して迅速に救助を行う
皆、頼んだよ
召喚したコウノトリ戦隊の力を借りて、一般人脱出の手筈を整えよう
残留効果も有効に使って
クリーニングで進路を綺麗にして逃げやすいようにね
牢から出口までのルートを確認する者
脱出用の鍵を確保する者
見張り番を無力化する者
負傷者を救助する者
この辺りを班分けして直ちに向かわせる
私はパラドクス通信で情報を共有し
手早く確実に隊員を統率してみせるよ
墜落したって自力で戻る連中だ
撃ち合い以外も出来る所を見せてくれ
無論、仲間と連携し人手が必要な所には直に隊員を向かわせよう
お腹を空かせてたら缶詰を分けよう
体力が戻ってその時が来たら、後は分かるね?
ここのボスが出てくる前に、迅速にだ
●地の底にて鴻鵠は羽搏き
「……反乱防止の為に労働者を小分けに収容している、か。全く、尽くが癪に障るね。ただ、それでも問題はないよ。頭数なら、私だって負けてないのだから」
クルップ社の倉庫を焼き払い終えたマリー・ルートヴィヒ(シュヴァリエ・g06578)は、仲間から齎される情報を確認しながら坑道を飛翔していた。どうやら、牢屋を一つ開け放てばそれで解決という訳ではないらしい。苛立たしそうに歯噛みしつつ、先ずは人手を増やす事が最優先であると結論付ける。
「皆、頼んだよ……これより、労働者の解放作戦を開始する!」
号令を下した瞬間、赤いコウノトリの記章を帯びた航空突撃兵たちが呼び出された。彼らは三々五々に散ってゆくや、出口までの経路確認、鍵の確保、敵位置の偵察など各機に割り振られた任務を遂行すべく行動してゆく。
「幸い、仲間のお陰で敵の意識は炭鉱施設側に向いているみたいだね。牢屋や鎖の鍵は……成る程、見つからないと。まぁこの混乱の中だ、仕方ないよ。ちょっと強引だけど、破壊する方向でいこう」
航空兵は派遣した分隊より上がってくる情報を取り纏め、統合したそれらを共有する事で部隊を有機的に統率してゆく。鸛をシンボルとしているからと言って、烏合の衆になるなど御免被る。
(『全力を尽くさなければ、それは何もしない事と同じこと』……誰も彼も、墜落したって自力で戻る連中だ。撃ち合い以外も出来る所を見せてくれ)
果たしてその甲斐もあり、マリーは新たな収容区画の特定に成功する。一報を受け急行すると、既に牢と鎖の縛めより解放された労働者たちの姿が在った。
「良かった、無事……とは言えないだろうけど、怪我とかは無さそうだね」
「よもや、また自由になれる日が来ようとは。なんとお礼を言って良いか……貴方はフランス軍の方なのですか?」
期待と不安の入り混じった視線を受けつつ、航空兵はそっと労働者たちへ缶詰を配ってゆく。時期が来たら全力で動いて貰わねばならぬ。今のうちに腹ごしらえを済ましておくべきだろう。
「合ってるけど、ちょっと違うかな。兎も角、体力が戻ってその時が来たら、後は分かるね? 首輪が機能を失ったら、迅速にだ」
「分かりました、フロイライン。本当に感謝します」
そう言って、缶詰を頬張り始める労働者たち。取り合えず、此処はこれで問題ないだろう。マリーは更に救出を進めるべく、次なる収容区画へと向かうのであった。
成功🔵🔵🔴
効果1【隔離眼】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV3になった!
百鬼・運命
【ヨアケ】で参加。絡みアドリブ歓迎
「さて、なにはともあれ、まずは坑道内の捕らわれている人がいる地点を割り出すのが先決か」
【使い魔使役】で炭鉱のネズミを使い魔にして労働者の捕らえられている所へ道案内させる。
牢に着いたら、動力甲冑のハッチをあけて姿を見せ、【友達催眠】を使用し、労働者の警戒を解く。
「おっとこんな姿じゃ警戒されても当然かな?まあ安心してくれ、俺達は炭鉱での労働者の開放を行っているものだ」
三苫さんや眉立さん達を手伝って介抱等を行い、案内した鼠に今度は労働者たちが逃げ出すときに一緒に逃げだして案内するように命令
余裕があれば労働者から炭鉱の情報を得て【パラドクス通信】で選択肢④側に連絡も
三苫・麻緒
【ヨアケ】
やり残しの清算に来たのに、ここで無理やり働かされている人を見捨てるなんて選択肢はないよね
念のため道中は【完全視界】で警戒しながら移動
牢の入口はできるだけ静かに≪解体≫しちゃおう
過熱して脆くなったところを蹴り飛ばせば壊せるかな
怪我するかもだから、中にいる人に声がけができそうなら牢を破壊する前に下がっててもらうね
防寒具類の提供や手当て、説得は運命さんと人鳥さんたちと協力しながら
炭鉱を破壊しにきたこと、皆を助けに来たこと、私たちとは別行動になるけど逃げてほしいこと、敵や首輪のことはこちらで解決すること
労働者さんのことを労いながらしっかり伝えないとね
避難のタイミングで【避難勧告】も使用するよ
眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎
【ヨアケ】で引き続き動く
助けるために来たんだ、やってやるぜ
完全視界、光学迷彩を使い偵察しつつ
敵の気配が無いルート選択で牢まで移動だ
念のため罠使いで強化魔力糸のワイヤートラップも仕掛けつつ行くか
アイテムポケットには、入れれるだけ
防寒具やめっちゃ熱くなるカイロとか入れて来た
これで少しでも労働者が暖を取れればいいが……
麻緒ちゃんが作業してる間の周囲警戒も怠らず
観察し続けるぜ、何か異変があれば即知らせる
焦らず確実に、そしてスマートに行こうぜ
大丈夫、絶対に助かるさ
●凍てつく悪意に暖かさを
「……さて。なにはともあれ、まずは捕らわれている人がいる地点を割り出すのが先決か。既に幾つかの収容区画が解放されているが、それが全てとは限らない。此処まで来たのに取り零すなど御免被るからな」
クルップ社区画の焼却は既に完了し、炭鉱施設の破壊は順次継続中。採掘作業に従事させられていた労働者たちも既にかなりの人数が解放されつつある。なればと、百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)を始めとする【ヨアケの星】の面々は、残る人々の救出も完遂すべく坑道内を虱潰しに捜索していた。
「同感だよ。やり残しの清算に来たのに、ここで無理やり働かされている人を見捨てるなんて選択肢はないよね。どうせなら、ドイツ軍の目論見は全部潰しちゃおう!」
「ああ、そもそも最初から助けるために来たんだ。敵がどれだけ多かろうが、やってやるぜ」
極論を言えば、炭鉱施設を使えなくすればそれだけで目的は達せられる。だがそれで良しとするつもりなど、三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)と眉立・人鳥(約束を背負いし翼・g02854)には端からない。彼らはやれるだけの事を尽くすと始めから決めていた。
とは言え、目ぼしい収容区画は既に他の復讐者たちが解放済みだ。残る強制労働者たちを見つけるにはひと工夫凝らす必要があるだろう。頼りない明かりに照らされた通路を進みながら、運命はあるモノを探して目を凝らしてゆく。果たして、彼の眼鏡は視界の端でちょろりと動く何かを捉える。
「やぁ、騒がしくて済まない。ちょっと教えて欲しいんだが、もし人間が閉じ込められている場所を知っていたら案内してくれないか?」
運命が膝を折って話しかけたのは、炭坑内に住み着いているネズミだった。人工物である炭鉱内において、彼らの餌となるモノがある場所は自ずと限られてくる。ましてやゾルダートは全身を機械化しているのだ。つまり、通常の食事を必要とするのは労働者たちのみ。
果たして、ネズミはチュウと一声鳴くと三人を先導し始める。幾つもの角を曲がり、通路を過ぎ、炭鉱の最深部まで進んでゆく。幸い敵の気配は無いが、こうも奥深くまで潜るといつ不意の遭遇が起こるかも分からない。その可能性に思い至った人鳥は、自前の魔力で編んだ糸を取り出す。
(警備のトループス級に加えて、まだ一番厄介なアヴァタール級だって控えてんだ。いざ脱出って時に退路を塞がれても面倒だしな。念のため、ワイヤートラップも仕掛けつつ行くか)
彼はそれを手際よく柱や梁に張り巡らせ、端に適当な小石や金属片を括り付けてゆく。それは簡易的な警報装置、いわゆる鳴子だ。通り掛かった敵が糸に引っかかると先端の石や鉄片がぶつかり合い、甲高い音を立てて接近を知らせるという仕組みである。
また糸自体もくるぶし程度の高さに張られている為、万が一の際には相手の足を引っ掛ける事も出来るだろう。派手さは無いが、いざと言う時は一瞬の猶予が生死を分かつものだ。そうして罠を設置しつつ暫し進んだ後、ネズミはある地点で足を止めたのだが……。
「おいおい、何もないぞ。本当にあってるのか?」
「ふむ、確かに単なる土壁にしか見えんな」
其処は何の変哲もない坑道の途中であった。左右を見渡しても部屋らしい区画はない。訝しむ人鳥と運命だったが、ネズミはただジッと壁のある一角へ視線を向けてる。
「……待って、もしかして」
それを見た麻緒はある可能性に思い至り、そっと壁を叩いてゆく。最初はボロボロと土埃が零れ落ちるだけだったが、ある場所からはコンと甲高い音が返って来る。それは紛れもなく金属の発する音で在り、かつ反響の具合から向こう側に空間がある事を示していた。
「やっぱり……この先に部屋があるよ! 入り口が外からじゃ分からない様に偽装されてるみたい!」
ガリと表面を削ってみれば、くすんだ鉄製の表面が露わとなる。試しに押し引きしてみたがビクともしなかった。恐らく鍵が掛かっているのだろうが、探しに戻っている余裕はない。麻緒は一歩下がって距離を取ると、魔力を練り上げて灼熱を生み出してゆく。
「過熱して脆くなったところを蹴り飛ばせば壊せるかな? 中の様子も分からないし、怪我をしないようあんまり時間を掛けずに……せぇ、のぉっ!」
少女は扉に熱を加える事で脆性を増大させるや、蹴撃を以て勢いよく扉を打ち破ってゆく。鮮やかな一撃によって入り口が解放されると、ぞっとする様な冷気が溢れ出して来た。警戒しつつ室内へと踏み込んだ三人は、内部の様子に思わず顔を顰める。
「なに、ここ……凄く寒い上に、明かりが殆どないよ」
「明らかに普通の牢屋じゃねぇな。察するに懲罰房ってところか?」
恐らく、人鳥の推察は間違っていないだろう。内部は小さな牢が幾つも並んでおり、その中にぐったりした様子の労働者たちが鎖で繋がれていた。彼らは坑道から差し込む僅かな明かりすらも眩しそうに目を細め、怯えた様に身を縮こまらせる。
「な、なんだ……いつものドイツ兵、じゃない?」
「おっと、こんな姿じゃ警戒されても当然かな? まあ安心してくれ、俺達は強制労働者の解放を行っている者だ。既に他の収容房も救出済みで、残りは貴方たちだけだ」
「色々説明しなきゃいけない事もあるけど、まずは手当てが最優先だね。牢を壊すから、後ろに下がっててくれると嬉しいな」
運命は労働者たちの警戒を解くために、動力甲冑のハッチを開けて顔を見せる。併せて言葉の抑揚や立ち振る舞いを意識し、敵でない事を示してゆく。一方その横では、麻緒が先程と同じ要領で牢の鍵を破壊し、鎖を断ち切っていった。
「碌な暖房器具も無い上、床や壁はご丁寧に石造りとはな。胸糞悪くて反吐が出るぜ……これで少しでも暖を取れればいいんだが」
だが通常の収容区画よりも劣悪な環境に置かれていた労働者たちは衰弱が著しい。特にこの冷気が厄介だった。せめて僅かでも体温を取り戻せるようにと、人鳥は持参した防寒具を羽織わせてやり、手にはカイロを握らせてやる。これだけでも幾分かはマシになったはずだ。
「今のところ周囲に敵の気配は無し、と。だが、いつ誰がやって来るかも分からねぇ。焦らず確実に、そしてスマートに行こうぜ」
「ああ。アヴァタール級を撃破後、脱出を手助けできるとも限らない。今のうちに可能な限りの事はやっておかないとな」
警戒役を買って出る人鳥に相槌を打ちつつ、運命と麻緒は共に労働者たちの介抱を行いながら事情説明を進めてゆく。炭鉱を破壊しに来たこと、労働者の救助もその一環であること、そして首輪爆弾の機能停止条件と脱出するタイミングについてなど。話を理解するにつれ、労働者たちの表情は活力を取り戻し始めていった。
「また、地上に戻れるのか……もう二度と、明かりを拝めないかと思っていたのに」
「経路についてはこのネズミが案内してくれる。それに従えば、出口まで辿り着けるはずだ」
「タイミングについても赤い光とサイレンが鳴るはずだから、それに合わせれば問題ないよ」
段取りを忘れぬ様、復讐者の説明を一語一句記憶に刻み込もうと耳を傾ける労働者たち。そんな彼らの緊張をほぐす様に、人鳥が安心しろと頼もしげな笑みを浮かべる。
「大丈夫、絶対に助かるさ。地上までの道は必ず切り拓くからからな」
斯くして三人は救出準備を終えると、残る作戦目標を果たすべくその場を後にするのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】がLV2になった!
【避難勧告】LV1が発生!
【アイテムポケット】がLV2になった!
効果2【アクティベイト】がLV3(最大)になった!
【先行率アップ】がLV4になった!
ツィルニトラ・プリルヴィッツ
【使い魔使役】で鼠を操り視界同調
先行させて炭鉱内部を調査、防備の配置や通路を記憶術で覚え
施設破壊に労働者の救助…
まずは彼らを排除しないと始まらないわね
連携が出来る状態でも無さそうね
巡回中の敵を襲いましょう
応援が来て数で押し潰される前に使い魔で把握していた経路から逃走
施設破壊は後続の人達に任せて、一撃離脱を繰り返し防備を攪乱していくわ
【竜身変化】で肉体改造
竜翼縮め、代わりに機動力秀でた後ろ足
巨大な爪生やす前腕
そして熱を通さぬ甲殻備えた黒竜に変身
熱が危険域に及ぶ前に猛然と突っ込んで爪や尾の一撃で解体よ
苦しみや悲しみに光を灯すのが信仰の…神様の務め
戦い辛いのよ、貴方達は
…せめてすぐに終わらせてあげる
●竜は洞窟の主なれば
「クルップ社区画の焼却に続き、労働者の救出も解放……なら、後は炭鉱施設を破壊するだけよ。その為にも、まずは彼らを排除しないと始まらないわね」
通信機から絶えず飛び込んで来る情報を確認しつつ、ツィルニトラ・プリルヴィッツ(自称/捏造 魔法竜神・g02012)は最後の目標である炭鉱施設の破壊を遂行せんとしていた。
彼女は坑道内で見つけた鼠たちを使役する事で索敵範囲を広げ、複雑に入り組んだ地形や敵の動きを取り纏めてゆく。数の利は相手に有るが、それでも付け入る隙が無い訳ではない。
(見た限り、連携が出来る状態でも無さそうね……下手に注目を集めるよりも、巡回中の敵を個別に襲いましょうか)
鉄屑兵は躯体の負荷を無視して戦闘力を確保している一方、代償として知性が低下している。故に複雑な戦術などは組み立てられず、ただ獣の様に眼前の獲物へと襲い掛かるのみ。ならば狙うべきは一撃離脱による各個撃破だろう。
ツィルニトラは足音を忍ばせて坑道を進み、単独で行動している敵へと狙いを定めた。だが奇襲を仕掛けようにも、この狭苦しい空間では彼女の翼や尾は些か大仰に過ぎる。そこで竜人は自らの身体を戦旗で包み込むや、その姿形を変容させてゆく。
(地下で飛ぶわけにもいかないから、翼は小さくて良い……必要なのは俊敏性。強靭な後ろ足と鉤爪を備えた前足かしら。炭鉱だから落石とか爆発の危険もありそうだし、熱や衝撃に耐えられるように甲殻も厚くして、と)
暫しゴキバキと全身を軋ませた後、戦旗の下より姿を見せたのは一頭の黒竜だった。見た目は恐竜の獣脚類に近しいか。ツィルニトラは正に獲物を狩る捕食者さながらの動きで静かに距離を詰め、そして。
(苦しみや悲しみに光を灯すのが信仰の……神様の務め。だから、そういう意味では戦い辛いのよ、貴方達は。救ってあげるなんて、口が裂けても言えないけれど)
――せめて、すぐに終わらせてあげる。
物陰から飛び出すや、一気に鉄屑兵目掛けて襲い掛かってゆく。相手もまた復讐者の襲撃に気付き動力炉より灼熱を放つも、竜が灼熱の吐息に焼かれる道理も無し。頑強な鱗で高温に耐え切るや、そのまま剥き出しの爪牙を突き立てる。
「全部、解体してあげるわ……諸悪の根源である炭鉱設備ごとね!」
その勢いは凄まじく、吹き飛ばされた鉄屑兵はその先に合った掘削設備へと突っ込むや、諸共木端微塵に打ち砕かれてゆくのであった。
成功🔵🔵🔴
効果1【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
一角・實生
直接行かずとも、この場所で行動することで救出を更に確実なものとできるはず
仲間が鉄屑兵を引きつけている間に施設の通路や罠の有無について情報収集
此方に害を及ぼすものを黒曜銃を使い極力音を立てずに破壊
パラドクス発動後は黒鷲を放ち同時進行で調査を進めよう
得た情報を通信で仲間と共有しつつ、より良い脱出経路について意見を聞く
人々がこの施設についてどの程度把握しているかでも大分違うだろうから
其れを基に重点的に調査する場所を絞る
黒鷲はある程度調査をするか鉄屑兵に見つかったら戻るよう言っておく
細い通路に引き込みアドウェナで応戦しよう
俺はお前達を助けることはできない
せめて痛みが少なくて済むよう一撃で終わらせたいな
●生者の為に、死者の為に
「炭鉱施設の破壊は順調に進行中、か。となれば、次の段階を見据えるべきかな。この場所で行動することで救出を更に確実なものとできるはず」
通信を介して共有される作戦進捗を確認しながら、一角・實生(黒頭鷲・g00995)は事態が佳境へと差し掛かりつつある事を悟ってゆく。主要な目標の内、クルップ社焼却と労働者の解放は達成。残る炭鉱施設の破壊も進んでいる。
となれば、青年が今後の事に思考を巡らせるのはある種当然と言えた。作業を終えれば、後はアヴァタール級を討ち果たすのみ。その際に懸念となるのは、やはり労働者たちの身の安全について。
(幸いにも、これまで罠の類は見つかっていない。まぁ、相手としてもわざわざ作業しにくい環境にするなんて非効率的だ。それに出口が一つだけだから、必要もなかったんだろう……其処まで辿り着けるかも含めてね)
労働者たちが小集団に分けられて管理されていたと聞いた時点で、實生は半ば確信に近い予感を抱いていた。果たして案の定、彼らの多くが自らの収容区画と作業現場周辺の地形しか把握して居なかったのである。
これもゾルダートたちの手管なのだろう。炭鉱は複雑に入り組んでおり、かつ日々の採掘作業で肥大化し続けている。仮に逃亡を試みたとしても、出口までの道が分からなければ延々と迷った挙句に捕まるのが関の山だ。
(道案内役を残している仲間も居るけど、それで全てをカバーはし切れないはず。迂回路も含めて、今のうちに脱出経路を選定しておくべきだろう)
そう判断した青年は自らの身に宿る呪詛を凝縮させると、常闇色の黒鷲として顕現させる。仲間たちから齎される地形情報は広範かつ有益だが、細々とした部分にはどうしても欠けがある。猛禽は術者の意に応じるや、それらを埋めるべく偵察へと繰り出してゆく。
「それじゃあ、頼んだよ……っと、あれは」
黒鷲を見送った狙撃手だったが、別方向から近づいてくる気配を感じ取る。恐らく、巡回の鉄屑兵か。いま敵に発見されてしまえば、調査どころではなくなってしまう。
(……残念だが、俺はお前達を助けることはできない。ならば、せめて痛みが少なくて済むように一撃で終わらせる)
鉄屑兵と労働者、いまどちらを優先すべきかなど問うまでもない。實生は一瞬だけ眼を閉じると、短銃身の散弾銃を取り出す。そうして、彼は相手が此方側の通路へと足を踏み入れた瞬間を狙い澄まし――。
「もう、眠ると良い。苦しむことなく、静かに」
咄嗟に放たれた灼熱を振り払いながら、相手の動力炉を吹き飛ばすのであった
成功🔵🔵🔴
効果1【使い魔使役】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV6になった!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【ルール攻略隊】
連携、アドリブ歓迎
完全視界、P通信で連携
残留効果を活用
……何度見ても見慣れる事はない
この悪夢は、ここで終わらせる
仲間が戦闘する間
施設破壊を優先しつつ臨機応変に
飛翔、忍び足、光学迷彩で気づかれにくく
使い魔使役と手分けし炭鉱内を偵察、観察
発見した主要設備を、パラドクスで爆破し破壊
怪力無双も利用
包囲を警戒し素早く移動
仲間から離れすぎないよう位置を知らせ
敵兵と設備が同じ場所にあれば、敵を攻撃しつつ施設を巻き込み破壊
兵はなるべく苦痛少なく一撃で仕留める
……楽に、なってくれ
行き止まりに敵群が来たら、セルフクラフトで押し止め、飛翔で飛び越えて後背へ抜け反撃
魔力障壁で叫びを軽減
破壊達成で撤収だ
御門・風花
【ルール攻略隊】
連携やアドリブ歓迎
あなた達の痛みをここで終わらせる。
ネメシス形態。悪魔の翼を展開し『呼吸法』『精神集中』で限界まで魔剣の封印を解く。
「魔剣解放」
凄まじい雷の『呪詛』が周囲に広がり、群がる兵士を薙ぎ払う。
「『ミセリコルデ』あなた達を解放します」
闘気と魔力障壁を『オーラ操作』で両手に集中させ、魔剣の呪詛で両手が焼け崩れる事を防ぎながら『捨て身の一撃』で魔剣二刀流の『連撃』で敵兵を纏めて『両断』し『粉砕』する。
呪詛の反動が限界に来たら魔剣を投擲し、敵陣を『貫通撃』『電撃使い』で設備ごと薙ぎ払う。
もう一つも投擲し雷の呪詛で暴れさせている間、ナイフで両断したり蹴撃で『衝撃波』を叩き込む。
レイ・シャルダン
【ルール攻略隊】
絡み、アドリブ等歓迎です。
囚われになった労働者達は仲間に任せましょう。
私達はこっちのトループス級を叩きます!
使い捨ての駒だなんて…可哀そうではあるけど…
だからこそこの場で葬ってあげます。
フライトデバイスアクロヴァレリアを点火し
空を踊り【空中戦】を仕掛け、機械魔導弓ACROを引き絞る。
敵の数が多い…のなら。
私の矢が役に立つはず。
敵陣目掛けてパラドクス【スカイレイダー】を発動
矢の雨を降らし【蹂躙】して差し上げます。
【誘導弾】で敵のヘイトを取りつつ
敵の行動をよく【観察】し、【一撃離脱】で回避行動を行いましょう
白水・蛍
【ルール攻略隊】
連携・アドリブ歓迎
囚われの方々は仲間にお任せします。
敵は引き受けましたわ。
ネメシス発動。髪・目の色が変わります。
視界は【完全視界】で確保。
味方との連携に【パラドクス通信】を使用。
移動時は【飛翔】【光学迷彩】で出来る限り隠密で移動します。
敵を見かけたら<不意打ち>を決めますか。
≪妖弓琴≫で<演奏・歌唱>で魔力と矢を飛ばしましょう。
それと敵を倒す際に施設破壊も一緒にやりましょうか。<爆破>の力を矢や魔力に乗せて敵を倒しつつ施設を壊します。
敵の攻撃は<結界術>で攻撃を受け止めたり、【飛翔】や<一撃離脱>で回避を試みます。
味方と連携をとりつつ、敵を倒す・施設を破壊いたしましょう。
●次の為に、今を全力で
「囚われになった労働者達は仲間の手によって既に救出されたようですね。ならば私達は残るトループス級を叩き、炭鉱施設の破壊を完遂させます!」
ルール炭鉱を巡る戦いは後半戦へと突入しつつある。主要な作戦目標はほぼ達成され、収容区画が解放された事で後顧の憂いも無くなった。レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)を始めとする【CCTS】の面々もまた各所で行動する復讐者たち同様、作戦を速やかに次の段階へと移行させるべく行動してゆく。
「何度見ても見慣れる事はないな。寧ろ、最初の攻略戦時よりも事態は悪化していると言って良いだろう……この悪夢は、ここで終わらせる」
仲間たちから齎される情報の数々、そして坑道を駆け抜ける途中で飛び込んで来る光景。それらを目の当たりにしたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は痛まし気に顔を顰める。彼は一次二次両方の攻略戦に参加経験があった。その過程で労働者たちの惨状を幾度も見てきたのだろう。
だが、そうした暴虐を今度こそ終わらせるべく自分たちはこの場に居るのだと、白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は仲間の言葉に返してゆく。
「ええ、勿論です。その為にも敵は私たちで引き受けますわ。代わりに設備の破壊はお任せしますね?」
「私たちも出来る限り撃破と合わせて破壊も狙うようにしますが、やはり並行しての作業は中途半端になりかねません。各人の役割を明確にした方が、結果的には効率が良いはずですから」
今回の作戦は敵の排除よりも、どれだけ多くの施設を破壊出来るかと言う点に重きが置かれている。しかし、御門・風花(静謐の凶鳥/ミセリコルデ・g01985)の言う様に、トループス級の攻撃を凌ぎながら破壊工作を行うのは至難を極めるだろう。
ならばと、彼らが選んだ作戦は分担作業だった。エトヴァは施設の破壊に注力しつつ、他の三人が鉄屑兵の襲撃から彼を守り抜くという形だ。人数比的に作業が完了するまでやや時間を要するかもしれないが、確実さを求めるならばこれが最良と言える。
だがそれは裏を返せば、そうしなければならないほど苛烈な戦場が待ち受けるという事も意味していた。
「無事な区画も残り少ない以上、敵も戦力を集中させて来るでしょう。ならばこちらも全力で挑む必要がある……『ミセリコルデ』、ネメシス形態へと移行します」
「この後にアヴァタール級が待ち受けておりますでしょうが、いま出し惜しみをして破壊を達せられなければ片手落ち。私も本気を出すと致しましょう」
故にこそ、彼らも切り札の使用を決断する。風花が背に負いし紋章へと意識を集中させるや、刻印が全身を覆い尽くすと同時に一対の黒翼が生じてゆく。深く息を吸い込み魔力を練り上げ、それを手にした双魔剣へと注ぎ込むことで暴走寸前まで封印を解除。これこそ、慈悲の名を冠す者の全力だった。
またその横では蛍が静かに瞼を閉じて精神を研ぎ澄ませば、髪色がスゥと漆黒から紫水晶を思わせる色合いへと変じゆく。開かれた瞳の色もまた、黒檀から群青に装いを変えていた。手にした弓に幾つもの弦を張れば、彼女の戦闘準備も完了である。
「これは……進行方向に空間を検知、かなり広いようです。それに動体反応も相当な数……皆さん、気を付けてください!」
そんな中、ネメシス形態へと移行する仲間たちを先導していたレイが警告を飛ばす。制御装置を兼ねるバイザーゴーグルには、坑道の先にある空間とその中に蠢く者たちの存在が表示されていた。
まず間違いなく敵だが、下手に出方を窺えば膠着状態に陥りかねない。今は巧遅よりも拙速を尊ぶべき場面。航空兵は減速ではなく更なる加速を選ぶや、トップスピードを保ったまま坑道を駆け抜け、そして。
「ぁ、あぁ……来る、ナ。来なイ、で!」
「がああっ! おおおおおッ!」
その先にあったのは半球状の空間。地面を走るレールや脇に寄せられたトロッコ車両、発電や換気を担うと思しき機械群を見るに、恐らくは鉱脈から掘り出した石炭の集積基地といった所だろうか。
だがレイにその詳細を観察している余裕はなかった。彼女が内部へ飛び込んだ瞬間、待ってましたとばかりに鉄屑兵が襲い掛かって来たからだ。
「っ、待ち伏せ!? ですが、速度勝負なら……!」
振るわれた鉤爪が迫り来るも、少女は強引に身を捩じって回避せんと試みる。交錯は一瞬。流石に躱しきれず焼け付く様な痛みを覚えるも、傷自体はそこまで深くはない。彼女は高度を上げて距離を取りつつ、手にした機械魔導弓へと矢を番えてゆく。
「使い捨ての駒だなんて、可哀そうではあるけど……だからこそ、この場で葬ってあげます。敵の数が多いのなら、私の矢が役に立つはず!」
引き絞った弦に押し出された鋭矢は一直線に地上目掛けて飛翔しながら、その途中で無数に分裂。鏃の雨と化して地上へ降り注ぐ。それらは敵を穿ち貫くと同時に、仲間たちが切り込む為の隙を作り出すことに成功する。
「……あなた達の痛みはここで終わらせる。『ミセリコルデ』、これより機械化ドイツ帝国よりルール炭鉱を解放します!」
果たして、敵の注意が頭上へと逸れた一瞬を突き、風花が得物を手に切り込む。封印を解いた魔剣は今この瞬間も呪詛によって使い手を焼き、凄まじい痛苦を与え続けている。だが少女は闘気と魔力障壁によってそれを強引に抑え込む事で、無理やり戦闘可能な状態を維持していた。
「魔剣、解放……ッ!」
絶え間なく殺到して来るトループス級の群れ目掛け、雷轟と共に強烈な稲妻が迸る。辛うじてそれに耐えようとも、巧みに繰り出される二刀連撃によって確実に両断し仕留めてゆく。
そうして、瞬く間に乱戦状態となる一方。少し間を開けてから内部へと踏み込んだエトヴァは、敵の視界から逃れつつ手近な施設群へと忍び寄っていった。
(優先的に狙うべきは高価な機材や復旧に時間が掛かる物……この場合は発電や換気用の機械、後は運搬トロッコのレール類か。幾らクロノヴェーダとは言え、無尽蔵に金や物は湧いて出る訳ではあるまい)
当然だが、高価な機材は準備するだけでも相応の労力を要するはず。石炭を運搬するレールも破断すれば、修復までの間は採掘効率がグッと落ちるだろう。蒼き天使はそうした費用対効果の高い目標を手早く選定すると、取り出したクロスボウを突き付ける。
まず放たれた一射目が、軌跡に沿って鏃へ塗布された黄金色の塗料を振りまいてゆく。魔力に反応する絵具であれば、下手なタイミングで起爆し余計な注目を惹く心配もない。エトヴァは起爆用の第二射を放つべく、新たなボルトを装填しようとした……。
「あ、ぁ……命、レい。施設の破壊、ヲ、許さズ。があああああっ!」
瞬間、耳をつんざくような咆哮が鳴り響く。金色の煌めきを視界に捉えた鉄屑兵が、施設の破壊を察知してそれを止めんとしたのだ。凄まじい声量ながらも悲哀を滲ませた叫びは、一瞬だけとは言え復讐者の動きを止める事に成功した。
「っ、やはり少しばかり目立ってしまったらしいな……!」
こうなれば幾ら知能が低下しているとは言え、トループスたちもこちらの意図に気付く。彼らは思考に刻み込まれたプロトコルに従い攻撃目標をエトヴァへと変えるや、一斉に襲い掛かって来る。レイや風花も敵を押し留めんとするが、それでも仕留めきれなかった鉄屑兵が青年へと肉薄してゆく。
(飛翔による離脱は……駄目だな。いま射線を切れば、敵が割り込んで二射目が狙えなくなる。簡易防壁や魔力障壁で足止めしつつ迎撃すべきか?)
このまま被弾覚悟で破壊を続行するか、それとも一旦反撃に徹するか。どちらの選択肢も一長一短である。しかし、忘れてはならない。復讐者たちには連携と言う敵が持たぬ強みがあるのだ。
「声というよりも絶叫ですが……音に関して後れを取る訳には参りませんね。皆様と描く未来への希望。言の葉にて綴りましょう。さぁ、その一端を此処に!」
不協和音染みた雄叫びを掻き消すは調和の取れた旋律。その紡ぎ手は、万が一に備えて支援役に徹していた蛍だった。彼女は幾本もの弦を魔力と共に爪弾くや、調べを音の矢に変えて放ってゆく。
勢い任せで放たれる乱雑な叫びに跳ね除けられる程、詩人の音も軟ではない。攻撃は鉄屑兵の声量に負けることなく命中すると、衝撃によって相手を吹き飛ばす。もんどりうって倒れ込んだ先は、幸か不幸か守るべき設備の元。
「こうなれば一石二鳥といきましょう。『フェーデル』、合わせられますか?」
「勿論だとも。助けられた礼は働きを以て返すとしよう。やり方は少々手荒だが……どうか、楽になってくれ」
こうなればやるべき事はただ一つ。琴と弩、音色を番えた二張の弓は藻掻く鉄屑兵へ狙いを定めると、同時に矢を放つ。それらは狙い違わず敵を穿つと共に、改造を施された身体ごと機材を貫いてゆく。果たして事前に散布されていた塗料も相まって、凄まじい爆発によってトループス級は諸共に爆破されるのであった。
「少しばかり危なかったですが、何とかなりましたね」
「でも、壊すべき施設はまだ残っています。この勢いのまま終わらせてしまいましょう!」
しかし、己の戦果を確認している暇もない。小さく息を吐く詩人だったが、その頭上では航空兵が飛び回りながら敵勢の攪乱を続けている。レイの言葉通り、いまは可能な限り損害を与えておきたいところだ。
「とは言え、呪詛の反動を騙し騙し耐えるのもそろそろ限界……次もありますし、此処は一気に決めるべきですね」
アヴァタール級との戦闘を考えれば、これ以上の負荷は避けたい。風花は指先の感覚が無くなる前に二振りの魔剣を敵中目掛けて投擲すると、残った魔力を全て使い電流を拡散。設備ごとトループスを焼き払ってゆく。
斯くして、暫しの交戦の後。四人は鉄屑兵の攻勢を掻い潜りながら、炭鉱施設の破壊を達成するのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【フライトドローン】LV2が発生!
【腐食】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV6になった!
【先行率アップ】がLV5になった!
如月・友仁
相手の攻撃が始まる前に
【隔離眼】で目についた無機物を隔離しておく
優先順位はなるべく大きな物品から、としよう
ふふ、楽しいねえ月子さん。動物園みたいだ!
君もお友達同士でいっぱいくっついて楽しそうだけど……
危ないから、もうちょっと小さな檻の中で大人しくしててもらおうか。ごめんね?
霧状になったジンに
僕の周りを覆ってもらって[結界術]で攻撃を防ぎ
【飛翔】で無理矢理ズー・モーントの処へ突っ切る
ズー・モーントを閉じ込めている間
変化させられた機械化獣が向かってくるなら
光の檻本体を盾にするように飛び回ろうかな
カバーしきれない範囲は大鎌で薙ぎ払うよ
●狂い狂えや、獣に人よ
――ウォォォォォオオオオンッ!
半壊した坑内放送から途切れ途切れのサイレンが鳴り響き、地の底より獣の咆哮が轟いてゆく。それが『狂月の動物園』の解放を意味していると察した如月・友仁(ユアフレンド・g05963)は、チラリと周囲に散らばる炭鉱設備の残骸へと視線を向ける。
「どうやら、動物たちも目を覚ましてしまったらしいね。なら、彼らがやって来る前に邪魔なものは片づけておこうか」
視界に収めた端からスクラップ群が音もなく消失してゆく。事前情報によれば敵は物量を強みとしたゾルダートだ。である以上、戦いやすい場を整えるのは当然の事。いざと言う時に蹴躓くなど笑い話にもならなかった。
そうして障害物を粗方消し去り終えると同時に、友仁は微かな振動を感じ取る。急速に激しさを増すその源へと視線を向けた青年は、思わず笑みを浮かべた。
「これはまた……壮観な光景だ」
狭い坑道を埋め尽くすは機械化された猛獣たちの群れ。察するに、破壊された炭鉱設備を再利用して生み出されているのだろう。彼らは一塊となり、何かに駆り立てられる様に地上を目指して暴走している。
「ふふ、楽しいねえ月子さん。本当に動物園みたいだ! 君たちもお友達同士でいっぱいくっついて楽しそうだけど……首輪も鎖も無いのは宜しくないね。危ないから、もうちょっと小さな檻の中で大人しくしててもらおうか。ごめんよ?」
これが地上に出れば、労働者の脱出どころではない。友仁は獣群の前へと立つや、ランプより砂塵の精霊を召喚。霧状へ変じたジンが結界を張り、まずは先頭を征く猛獣を受け止める。だが、その程度で敵全体の暴走は止められない。
なればと、青年はふわりと風に乗って浮き上がる。そうして辛うじて安全な場所である坑道の天井スレスレを飛翔し、獣たちを生み出している核の元へと急行してゆく。
「なるほど、アレがズー・モーントか」
跳躍し牙を剥く獣を手にした大鎌で薙ぎ払いながら、友仁は奥に居るアヴァタール級を視認する。ソレは常に狂気を齎す月光を放っており、常人が近づけば発狂は免れない、が。
「水面に移る満月の様に、檻に隔てられた虜囚の様に……ここにいる君が、こんなにも遠い」
始めから半歩、現よりもズレていたならば。その効果も半減するだろう。青年の独白と共に降り注ぐは光の柱。それらは幾重にも重なり合い檻を形作るや、猛獣たちの暴走を一時と言えど拘束してゆくのであった。
成功🔵🔵🔴
効果1【活性治癒】がLV3になった!
効果2【ドレイン】がLV3になった!
アルメア・グラウプナー
「また随分な代物が舞台に上がってきたものだな。軍はアレの下にこの炭鉱を管理していたのかね?」
「まったく、どっちが飼主でどっちが犬か分かったもんじゃないな、はっはっは!」
・行動
相手は機械化獣による物量作戦が驚異となる…さて、どう掻い潜ったものか。
兎に角、まずは道を開こう。各火器による【砲撃】【制圧射撃】【爆破】【誘導弾】【弾幕】で放たれた機械化獣を退けていく。
また狂月の波動対策で周囲の無機物を【隔離眼】で消して獣化を防ごう。
ある程度道が開けたら後は力押しだ。【飛翔】や【エアライド】等も使いつつ一気に【突撃】し、多少噛みつかれても気にせず【捨て身の一撃】にて本体へ肉薄、大喝砕を叩き込んでしまえ。
緋塚・ヤスオ
「最後まで一番の敵は圧し潰さんとしてくる物量…って事かねぇ」
出現した機械化猛獣を倒し続けてもキリがなさそうだ。強引にでも本体を削らねぇとな。敵味方全体の動きをよく【観察】し、相手に届く隙が見えたならパラドクスで強行突破しての一撃を見舞ってやるぜ。
欲張って近くに留まったんじゃこっちが潰されちまう。心がけるのは【一撃離脱】。その分重なった【飛翔】や他の効果を乗せて、体ごとぶつかっていく強烈な一撃をヤツに!
「此処にいるのはお前達が固めた守りを突破してきた連中だ。今更止められるなんて思わねぇことだなっ!」
他のディアボロスとなるべく連携
他者の行動を阻害するような動きはしない
アドリブ歓迎
●理性なき獣へ、挑むは人の矜持
「また随分な代物が舞台に上がってきたものだな。軍はアレの下にこの炭鉱を管理していたのかね? だとしたら、なんとも賢いワンちゃんじゃないか。いっそ対話でも持ち掛けてみようか!」
「実際は外の毒ガス使いが取り仕切ってたんだろ。アレは大方、労働者の反乱やら坑道事故やらが起こった時、一切合切をわやにする為のモンだろうな。最後まで一番の敵は圧し潰さんとしてくる物量……って事かねぇ」
月を手繰る復讐者が交戦を開始したのとほぼ同時刻。別の場所でもまた、機械化猛獣の暴走が確認されていた。狭い坑道に犇めき合う獣の群れを前にしたアルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)が愉快気に笑う一方、緋塚・ヤスオ(探偵という名のなんでも屋・g01581)はげんなりした表情を浮かべている。
この獣たちが高度な知性を持ち合わせているとは思えない。探偵の言葉通り、いざと言う時の処分用兵器といったところだろう。だが制御も統制も取れない獣など尤も厄介な手合いである。
「まったく、これではどっちが飼主でどっちが犬か分かったもんじゃないな。ふふん、飼い犬に手を噛まれるとは正にこの事だ。とは言え……さて、どう掻い潜ったものか」
ひとしきり笑い終えると、アルメアは戦闘へと思考を切り替える。恐らくはこの群れが湧き出て来る先に『狂月の動物園』の本体が居るはずだ。その元まで辿り着く為には、兎にも角にも数を減らさねばならぬ。
「……よし、まずは道を開こう。死体から獣を再召喚されても面倒だしな。鉄屑も合わせて片づけていくとしようか」
女軍人はガトリング銃や火砲、誘導弾など手持ちの武装をありったけ展開するや、敵群目掛けて射線を集中させてゆく。アヴァタール級さえ討伐出来れば、今回の作戦は完了するのだ。彼女は残弾を気にすることなく最大火力を叩き込む。
そしてそれと同時に、放置されていたスクラップや斃れた敵の骸へ視線を向ける事でそれらを消失させてゆく。相手が無機物から新たな機械化獣を生成してくる以上、戦力の逐次投入など許すはずもなかった。
「とは言え、やはり数が数だな……給弾の隙を突かれれば押し切られかねん。無茶を承知で言うが、早々に切り込んでしまった方が良いだろう」
「いや、構わねぇさ。どのみち、機械化猛獣を倒し続けてもキリがなさそうだ。今は足を止めて撃ち合うより、強引にでも本体を削らねぇとな!」
弾幕掃射を継続するアルメアの脇をすり抜け、ヤスオが獣の群れ目掛けて切り込んでゆく。無論、真正面から挑んだところで猛獣の餌になるだけだ。なればと探偵は跳躍するや、牙を剥き出し襲い来る獣の顔面を踏みつける。
「そっちが地面を駆けるなら、俺は空中を全力疾走してやるよ。相応しいだろう? これが終わらせるための力と翼だッ!」
探偵の背にはためくは黒き輝きで形作られた翼。彼は噴き出す魔力を推進力代わりにしつつ、眼下を埋め尽くす敵を足場として流れに逆らい突き進む。無論、無傷とはいかない。跳躍力に優れた種が間断なく爪牙を突き立てて来た。
(途中の猛獣は相手にしねぇ……狙うは本体ただ一つ!)
じわじわと重なりゆく痛みをねじ伏せながら、ひたすらに前へ。果たして、ヤスオは獣群の中央で浮遊する巨大な球体を発見する。紛れもなく、咆哮するそれこそが月に狂った動物園に他ならない。
(ダメージを与えようと欲張って近くに留まったんじゃ、逆にこっちが潰されちまう。心掛けるべきは一撃離脱。その分、身体ごとぶつかっていく強烈な一発をお見舞いしてやる!)
ヤスオは被弾覚悟で更に加速。距離が詰まるにつれ、接続された獣たちの悍ましい有様がはっきりと見て取れた。だがそれでも臆することなく、彼は最高速度まで達し――。
「此処にいるのはお前達が固めた守りを突破してきた連中だ。今更止められるなんて思わねぇことだなっ!」
緋鋼の籠手による強烈な殴打がアヴァタール級へと叩き込まれる。それは装甲を凹ませ、巨躯を揺らがせてゆく。だが一方、速度を破壊力へと転化してしまったヤスオは、攻撃後の一瞬だけどうしても無防備となってしまう。
飛んで火に入る何とやら、周囲の猛獣たちが復讐者を捕食せんと一斉に殺到して来る、が。
「ははははっ、躾のなっていないケダモノばかりだな! どれ、私が手ずから教育してやろう。ほら、これがお座りだッ!」
横合いより叩き込まれた鉄塊の一撃が獣を纏めて叩き伏せた。残弾を撃ち果たしたアルメアが、仲間の飛び翔けた道を辿って駆けつけたのだ。彼女は初撃の薙ぎ払いで僅かばかりの安全地帯を生み出すや、そのまま勢いを生かしてくるりと一回転。遠心力を載せた本命の第二撃を放つ。
「吼えるのは得意だろう? この一撃、大喝砕で迎えるが良い!」
果たして、単純故に絶大な威力を誇る一撃が敵本体へと吸い込まれると、凄まじい爆発と共に球体核の一部を抉り粉砕してゆくのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【隔離眼】がLV2になった!
【飛翔】がLV5になった!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【反撃アップ】がLV4になった!
西堂・千衛蔵
アドリブ連携歓迎
見た目はともかく、兵器としてはこの形で完成してるようだな
生き物としては鉄屑兵の方が「まだまし」だったように見えるが……
「どっちにしても、こいつを倒す以外の道はない!」
どれだけ機械化獣をばら撒こうが、相手にするべきはあの丸い奴だけだ
エアライドと完全視界の効果で、弾幕を掻い潜ってズー・モーント本体に向かう移動経路は見極める
それでも何発か食らうのは覚悟の上だ
三段ジャンプで本体に近づき、鬼神変で異形巨大化した貫手を叩きこむ
鬼神・地獄突き!
元はゾルダートの勝手で改造された動物だ
こいつらにも無念はあろうが、鉄屑兵のようにそれを受け止めてやるには、自分はまだ弱過ぎた
「……許せ」
ユエト・ミナヅキ
アドリブ/連携◎
どう考えてもこいつを倒さないで帰る訳にはいかないよネ
元は何かの形があったのか、元は被害者なのか加害者なのか判断するすべはもうないカ
生き物と呼べる姿をじゃないし、早く楽にしてあげるヨ
残響効果は【完全視界】で視野の確保
【壁歩き】で炭鉱の地形を利用して立体的な軌道で動いていク
肉塊と金属・・・なら炎で焼き尽くすのがベターカナ
カートリッジ[炎風]を魔道刀とガントレットに装填
最大熱量で白兎星連舞を放ち、繰り出される機械化獣もろとも灼熱で燃やし尽くス。
●その咆哮は狂気か、悲哀か
――ォォォォオオッ!
炭鉱内部を埋め尽くさんばかりの数を誇る、機械化された猛獣たち。倒してもなお溢れ出し、地上目掛けて暴走する狂気の群れを見て、西堂・千衛蔵(竜燈鬼・g01901)は複雑そうな表情を浮かべる。
「見た目はともかく、兵器としてはあの形で完成してるようだな。尤も、生き物としては鉄屑兵の方が『まだまし』だったように見えるが……これでは月に当てられずとも狂うというものだ」
「元は何かの形があったのか、被害者なのか加害者なのか……判断するすべはもうないカ。ともあれ、どう考えてもこいつを倒さないで帰る訳にはいかないよネ。もう生き物と呼べる姿をじゃないし、せめて早く楽にしてあげるヨ」
傍らに立つユエト・ミナヅキ(weißer Hase・g05751)も仲間に同意を示す一方、現状であの動物たちをどうにかする手段はない。軍用に訓練された従僕だったのか、それとも実験に狂された哀れな家畜だったのか。いずれにせよ、今できる事はその全てを討ち果たす事だけだ。
「ああ、分かっているさ……どっちにしても、こいつを倒す以外の道はない!」
得物を構える傭兵の言葉を受け、鬼人もまた拳を握り込む。迷いを抱えたままいなせる程、敵も容易い相手ではない。四足二足は勿論、猛禽や爬虫類と言った猛獣もチラホラ見えている。これらを超えて、球体状の本体を叩かねばならないのだ。
だが、凄まじい密度の獣群を真正面から掻き分けて進むのは現実的ではない。可能だろうが、幾ら何でも此方の損耗も激しすぎる。である以上、二人が地面以外のルートを求めたのはごく自然な選択であった。
「猛獣とあって、どれも肉食系ばかりですネ。窮鼠猫を噛むとも言いますし、況や兎が後れを取る道理もないという訳デ。いやまぁ、見た目的にはヤモリみたいな感じですガ」
突進して来た獅子が爪牙を振るう直前、ユエトは勢い良く身を跳ねるやピタリと壁面へ身体を吸い付けさせる。空を切った爪撃に対し、青年は魔導刀を振るい頚部を寸断してゆく。
「どれだけ機械化獣をばら撒こうが、相手にするべきはあの丸い奴だけだ。無駄な消耗戦に付き合う道理もない!」
また他方では刻一刻と変わりゆく敵群の濃淡を読み解きながら、千衛蔵が身体能力を活かして八艘飛びも斯くやという跳躍を見せていた。足場とした敵の頭部を踏み砕き、頭上を舞う猛禽類を叩き落し、着実に本体との距離を詰める。
――オオオォォォォォンッ!
だが狂気に侵され本能が半ば壊れてはいるが、相手は腐ってもアヴァタール級のゾルダートなのだ。迫り来る脅威を感じ取るや、一際大きな雄たけびを上げてゆく。すると不意に体へ掛かる重みが軽くなったかと思うや、それまで地を駆けていた獣たちがふわふわと浮き始めた。
「不味いですネ。相手も同じような考えに至りましたカ」
「元より何発か食らうのは覚悟の上だ。こうなった以上、一秒でも早く丸い奴の元まで行くぞ!」
二人が警戒感を引き上げた次の瞬間、浮遊する猛獣たちはまるでミサイルの如く殺到してゆく。敵はこの低重力下でも問題なく行動可能だが、復讐者が感覚を適応させるまでは若干の時間を要するだろう。だが短時間であろうとも、機械化獣からすれば獲物を捕食するには十分すぎる。
「肉塊と金属……なら、炎で焼き尽くすのがベターカナ。これなら流石に重力変化の影響も少ないでしょウ。幾ら兎だとしても、本当に食べられるのは御免被りますしネ?」
ならばと、ユエトは魔導刀と籠手へ緋色のカートリッジを装填。俄かに赤熱化する武装を構えるや、足場にしていた壁面を割れんばかりに蹴って宙空へと飛び出してゆく。繰り出されるは縦横無尽、天地自在の連続斬撃だ。
状況が状況ゆえ、狙いの精度はどうしても落ちざるを得ない。しかし、高温を発する刃と籠手は掠めただけでも猛獣たちを発火させ、金属部を融解させていった。燃え盛る塊と化した骸を敵中へと蹴り飛ばしてやれば、それだけで延焼が広がり一石二鳥である。
(元はゾルダートの勝手で改造された動物だ。こいつらにも等しく無念は有るだろうが……鉄屑兵のようにそれを受け止めてやるには、自分はまだ弱過ぎた)
その様に千衛蔵も同情を覚えぬ訳ではない。だが、真正面からそれを受け止められる頑丈さも腕力も、今の彼は持ち合わせていなかった。己が未熟さを痛感しながらも、いまは出来ることを全力で果たすのみ。
「力及ばぬ事を言い訳はせん……許せ。鬼神・地獄突き!」
鬼人は球体を攻撃圏内へ捉えると、弓を引く様に腕へ力を籠める。渾身の力を以て繰り出されるは鋭い貫き手。それは装甲を穿つや、内部の機構ごと接続された動物たちをもぎ取っていった。
「感覚も慣れましたし、突破口さえ出来れバ!」
そうして間髪入れず、ユエトの斬撃が叩き込まれる。最大熱量を纏った猛攻は敵本体深くへと届き、より傷口を広げるよう無機有機問わず溶断してゆくのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【怪力無双】がLV2になった!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV7になった!
【命中アップ】がLV4になった!
百鬼・運命
【ヨアケ】で参加
絡みアドリブ歓迎
【完全視界】で視界確保、【飛翔】で重力対策し、煙幕弾を撃って敵視界を封じる。同時に煙幕に紛れて【腐食】の霧をばら撒いて機械化獣の材料となる無機物を腐食させて脆くしておく。
「意趣返しというわけではないが、閉所がアダになったな。煙の類がよく回る」
仲間と連携しながら煙幕に紛れて敵に突っ込む。途中で霧に紛れて動力甲冑から離脱し、動力甲冑はそのまま突っ込ませて敵の攻撃を引き付ける囮としつつ、此方は大太刀を構えて別方向から斬りかかる
「悪いが俺は動力甲冑脱いだ方が強いぞ?『撃剣矯捷ナルコト隼ノ如ク』…」
桜・姫恋
連携・アドリブ歓迎
【ヨアケ】で参加
さて、そろそろ終わりにしましょうか。
【完全視界】で視界は確保しつつ【飛翔】する。
仲間たちの援護をするわね?
縛神帯を用いてパラドクス狂縛法にて《不意打ち》で敵の足元から無数の布を出現させ《捕縛》する。捕縛した後は少しずつ締め上げながら味方が攻撃する隙を少しでも作る。
敵が抜け出しそうになった際には《一撃離脱》にて再度布で締め上げたあと距離を取るようにする。
私の布に精々苦しめばいいわよ?
あなたは狂わずに耐えれるのかしら?
その他使える効果は全て使用
三苫・麻緒
【ヨアケ】
あんな寒くて暗い劣悪空間に労働者さんたちを閉じ込めるなんて…!
でもあとは最大戦力を潰すだけ
さあ、悪いわんわんはハウスだよっ!
機械化獣が大量に出てくるのなら、ちょっと今回は強行突破でいっちゃおうか
まずは【飛翔】で機動速度を確保
煙幕対策に【完全視界】も使うよ
的にならないよう回避行動をとりつつ、戦況をよく≪観察≫してズー・モーントを直接狙えそうな瞬間を探るね
有効そうなら【エアライド】も活用しちゃおう
その瞬間を見つけたら躊躇わず全力で突撃!
仲間が生んでくれたチャンス、無駄にはしない!
突撃している最中にこっちに向かって飛んできた機械化獣はまとめて轢いて≪吹き飛ばし≫
邪魔する方が悪いんだよ!
眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎
【ヨアケ】で行く
何だァ?随分気味悪いのが出てきたな
完全視界、照明、活性治癒も使っておくか
パラドクス通信を繋いで逐一情報交換し、敵戦力に対応しよう
数だけ揃えたところで無駄だって事をしっかり躾てやるぜ
俺も姫恋と取り巻きをやる。道先案内人をやらせて貰おうか
突撃して道を切り開く!氷晶剣で押し込みつつ
姫恋の布に合わせて強化魔力糸を張り巡らせ、敵を逃がさず絡め取る
今回はただのトラップじゃねえぞ、捕縛し、侵食したやつに
降り籠める災禍を使う……いくら出そうが片っ端から
巻き込んで吹き飛ばしてやるぜ。アイネ、お前の力も使わせて貰うッ
さぁ、おネンネの時間だ
運命、麻緒ちゃん、路は開く
一気に叩き潰せ!
●紡ぎ繋げ、勝利の道を
「……何だァ? 随分と気味悪いのが出てきたな。労働者は解放したが、こんな連中まで檻から出してやった記憶はねぇんだがよ」
坑道内は無数の足音で小刻みに震え、熱狂を帯びた咆哮が地の底へ轟きゆく。縛めより解き放たれた『狂月の動物園』は、犇めき合いながら地上目指して暴走を続けている。俄かに騒々しさを増す光景に眉立・人鳥(約束を背負いし翼・g02854)は苛立たしげに眉根を潜めていた。
「あんな寒くて暗い劣悪空間に労働者さんたちを閉じ込めてた上、こんな危ない猛獣たちと一緒だったなんて……! でも、あとは最大戦力を潰すだけ。さあ、悪いわんわんはハウスだよっ!」
「ええ、今回の作戦もいよいよ終盤。最後の最後で詰め切れなかったら、全てがご破算だものね。さぁ、そろそろ終わりにしましょうか」
この様子を見る限り、ゾルダート達が万が一何かあれば労働者を諸共に処分する気だったのは明白だ。先ほど目の当たりにした光景も相まって、三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)も憤懣やるかたないと言った様子である。合流した桜・姫恋(苺姫・g03043)も仲間の言葉に同意を示しながら、ふわりと香を焚きしめた布を取り出し戦闘準備を整えてゆく。
「……どうやら、こちらにも猛獣たちが到達したらしい。あの様子だとやはり肉食獣がメインか。道案内用のネズミが捕食されても困るしな、まずは目と鼻を潰すとしよう」
果たして、周辺を警戒していた百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)がそう言うや否や、曲がり角から機械化された獣が凄まじい勢いで溢れ出す。どうやら本体からの影響を受けているのか、どれもが宙を浮き壁や天井を問わず駆けずり回っている。しかしそれは裏を返せば、討つべき球体核の居場所がそう遠くない事も意味していた。
「意趣返しというわけではないが、閉所がアダになったな。これなら煙の類がよく回るだろう?」
なればと、運命は動力甲冑にマウントされたポッドより誘導弾を斉射。それらは先頭を駆ける狼の鼻先へぶつかると、弾頭に搭載された煙幕を撒き散らす事で視界と嗅覚の精度を鈍らせてゆく。しかし、その程度で足を止めるほど今の相手は真っ当な状態ではない。
「まぁ、そんなことは此方だって始めから百も承知よ。という訳で援護をするわね?」
だが、その程度は復讐者としても想定の範囲内だ。仲間の先制に合わせ、間髪入れずに動いたのは姫恋。彼女が手にしていた幾反もの帯を紐解くや、それらは地面や壁面へ沿うように伸び走ってゆく。
それらはまるで獲物を狙う蛇の如く一斉に鎌首をもたげると、猛獣たちを瞬時に縛りあげた。脚を絡め取られて体勢を崩した獣たちが縺れ込む様に転倒。軽くなった重力も相まって、次々と玉突き事故を引き起こす。
「これで勢いは大分削がれたわね。ただ物量が物量だし、抑え込める時間はそう長くはないわ! だから、今のうちに!」
「オーケイ、短時間だろうとありがてぇ。それじゃあ、俺は道先案内人をやらせて貰おうか。ただ数だけ揃えたところで無駄だって事を獣共にしっかり躾てやるぜ!」
しかし、今この瞬間も通路の奥より新たな群れが次から次へと溢れ出していた。それらを全て拘束するのは幾ら何でも現実的ではない。手が足りなくなる前に仕掛けて欲しいという姫恋の声を受け、人鳥が獣群へと臆することなく飛び込んでゆく。
「あんまし手間取ってもいられねぇんでな。一先ず道を塞いでいるヤツから切り伏せる!」
縛り上げられた獣たちが固まりとなって揺蕩い、そのうえ先ほど仲間の放った煙幕が未だ濃密に残留している。それはさながら、機雷が漂う海中を思わせる状況。だが、これまで積み重ねてきた残留効果を活用すれば問題はない。
男は足場代わりに機械化獣を蹴り飛ばし、氷の如く透き通った刀身を朱に染めながら敵の数を着実に減らしてゆく。だが始めこそ拘束された敵を屠るだけで済んではいたものの、ある地点から敵の攻勢が激化する。それは姫恋の放った帯の射程圏外にまで到達したことを意味していた。
「邪魔っけな首輪が無くて一安心ってトコか? 残念だが、そう上手くはいかねぇよ。今回のはさっきみてぇなただのトラップじゃねえぞ……ッ!」
唸る牙、突き立つ爪、繰り出される嘴。間断なく襲い来る殺意の数々にダメージを蓄積させながらも、人鳥は得物を振るい果敢にも斬り結ぶ。と同時に、労働者を救出した際に使用していた魔力糸を引き伸ばしたかと思うや、器用にもそれを張り巡らせて敵を絡め取る。
姫恋の帯よりも細いが、強靭さであれば負けてはいない。寧ろ幅が無い分、藻掻く程に肉へと食い込み衰弱させてゆく。尤も、男としては悠長に弱るまで待つつもりなど毛頭なかった。
「打ち上げ準備完了ってな。いくら出そうが、片っ端から巻き込んで吹き飛ばしてやるよ。アイネ、お前の力も使わせて貰うッ!」
この糸は単に耐久力を上げただけの代物ではない。想い人によってその一本一本へ術式が封じてあるのだ。つまり、正真正銘のとっておき。切るべきは今しかないと判断し、一気に魔力を起動させる。
瞬間、虚空より無数の槍や剣が出現したと思うや、周囲の敵を纏めて穿ち貫いてゆく。しかもそれだけには留まらず、剣槍群は内包する魔力を解き放ち凄まじい爆発を巻き起こす。一瞬にして狭苦しい坑道内は爆炎と衝撃で満たされ、荒れ狂っていた猛獣たちを飲み込んでゆく。
「運命、麻緒ちゃん、路は開けた! さぁ、おネンネの時間だ。一気に本体を叩き潰せ!」
「拘束していた猛獣たちの手応えも無くなった……ええ、行けるわよ!」
こうなれば姫恋が拘束していた個体群も含めて無事では済むまい。モタモタして居れば再び猛獣たちが生み出されかねないと、二人は今が好機だと仲間たちへと叫ぶ。
「爆煙に包まれてはいるが、視界が効かないのは向こうだけ。これならば或いは……ああ、助かった!」
「人鳥さん、姫恋さん、ありがとうございます! 仲間が生んでくれたチャンス、無駄にはしないんだから!」
呼びかけに応じ、青年と少女が猛然と飛び出してゆく。未だ低重力の影響は残っているが、飛翔や跳躍の残留効果を駆使すれば問題はない。そうして濃密な煙を超えた先、資材の一時集積所と思しき空間内に『狂月の動物園』の核が鎮座していた。
幾つもの機械を組み合わせて出来た球体の核。その表面には生々しく血管が浮かび、身体を半ばより寸断された動物たちが接続されている。一目見ただけでもマトモな設計思想でないと分かる有り様だ。これでは生み出された猛獣が狂乱状態であるのも頷けるというもの。
「こんなの……なんて、酷い。だけど、手加減なんてしていられる相手じゃない。申し訳ないけど、邪魔する方が悪いんだよ!」
麻緒の胸中に憐憫と同情が湧きあがるも、既にこれらは兵器へと成り果ててしまった存在だ。である以上、今はただ一刻でも早く機能停止させてやる他ない。新たに生み出された猛獣たちが宙を駆け迫り来るも、翼による空戦機動で避けつつ拳打蹴撃で薙ぎ払う。
――ウォォォオオオッ!
一方、本体もただ呼び出した機械化獣にのみ戦闘を任せている訳ではない。表層に縫い付けられた無数の獣たちを蠢かせながら、牙を剥き出し吶喊して来る。狙いは動力甲冑に身を包む運命。
纏う鋼は見た目通りの頑強さを誇るものの、この異形のゾルダートはそれよりもなお巨大で荒々しかった。幾つもの顎が手足へと食らい付き、鋭い爪が装甲を貫くと膂力に任せて大鎧をバラバラに引き裂いてゆく。こうなれば当然、着用者が無事で済むはずもない。
哀れ、復讐者の五体がそこら中へと撒き散らされ――。
「……中に居れば、の話だがな。悪いが、俺は動力甲冑を脱いだ方が強いぞ?」
なかった。未だ滞留する爆煙を破り、姿を見せたのは鎧の纏い手であったはずの運命。彼は煙幕に乗じて甲冑を脱ぎ捨てるや、それを囮として先行させつつ自らは攻撃の機を窺っていたのである。
本来であれば使えぬ手管だが、この低重力下であれば話は別。抜き捨てられた甲冑であろうとも、慣性運動でそのまま押し出すことが出来たのだ。青年は祝詞と共に腰に佩いた神刀の呪詛を解放してゆく。
「撃剣矯捷ナルコト隼ノ如ク……対人戦の手管だが、獣に通じん道理もあるまい」
刹那、白刃が煌めいたと思った次の瞬間には、バラリと獣の首が刎ね飛ばされていった。更には鋭利な切り口から呪詛が注ぎ込まれ、無機有機を問わず侵食。相手に痛覚が残っているか定かではないが、苦しそうに身悶えしながら咆哮を轟かせる。
「これなら……音より速く、風より疾く。縛り付けようとする悪意はこの翼で吹っ飛ばす!」
その隙に二撃目を叩き込まんとする麻緒。だが、濁った瞳の焦点が新たな敵手へ向けられたと思うや、ぞるりと接合部を引き千切って猛獣たちが飛び出して来た。自壊も構わぬ動きで技の出掛かりを制され、攻撃のタイミングを逸しかける、が。
「……それまで押し留めていた相手が纏めて吹き飛んだんだもの。なら、空いた手を動かさない理由もないわよね。私の布に精々苦しむと良いわ。さぁ、あなたは狂わずに耐えれるのかしら?」
しゅるりと後方から飛び出した帯が半身獣を絡め取り、更には球体状の本体すらもグルグル巻きにしてしまう。その源は無論、姫恋である。残敵を掃討し終えると、すかさず仲間の援護へと手を回したのだ。こうなってしまえばもう、相手に抵抗手段は残されていない。
「みんなが繋いでくれたこの一撃、全力を以て叩き込むよ!」
麻緒は力強く翼を一打ちし、風の流れを捉える。そうして思い切り上昇するや天井を蹴って勢いをつけると、更に加速。持ち前の速度と落下エネルギーを全て破壊力へと転換しながら、くるりと身を反転させて爪先を敵へと差し向け、そして。
「いっ、けぇえええッッ!」
己を一つの砲弾と化した渾身の飛び蹴り。それは敵の装甲を大きく凹ませると同時に、『狂月の動物園』を炭鉱の奥へと叩き返してゆくのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【腐食】がLV2になった!
【傀儡】LV1が発生!
【飛翔】がLV6になった!
【避難勧告】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!
【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
【アヴォイド】がLV2になった!
御門・風花
【ルール攻略隊】
連携アドリブ歓迎
《精神集中》《呼吸法》再び抜刀した魔剣を抑えるべく、闘気と魔力障壁を《オーラ操作》で両手に集中
「『ミセリコルデ』目標を解放する」
ネメシスの黒翼を広げ【飛翔】魔剣の《呪詛》で手が炭化するのをオーラで防ぎ抑えつけた《捨て身の一撃》による魔剣二刀流の《連撃》と斬撃を飛ばす《衝撃波》で敵を《両断》していく
手が足りない時は《グラップル》蹴撃で《粉砕》する
「切りがない」
魔剣一振りをボスを狙い投擲、敵群を《貫通撃》
躱されるのも想定内、戦闘中に投擲で突き刺さった魔剣と手元の魔剣で相手を挟む位置関係になったら魔剣同士を共鳴させ生み出した雷の電流で敵を拘束し味方に繋げる
「いまです」
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【ルール攻略隊】
連携アドリブ歓迎
同じ戦場の方と協力
残留効果は相互活用
……あれはゾルダートなのか……? いかなる存在なのだろう
……狂気を見るようだな。彼らではなく……改造をした方の……だ
【飛翔】し完全視界、P通信で密に連携
相手の動きを観察、攻撃動作や隙に繋がる動きを看破
飛翔で飛び回り、攻撃を加える
……難題だが描こう
宙に敵の姿描き
仲間との攻防で、機械化獣の数が減る隙を看破
中の球体の中心へ向けて獣たちを一斉に放とう
狂月の光は【照明】での対抗を試みる
無機物は変化完了の前に攻撃し破壊
機械化獣の群れは、セルフクラフトを防壁に
魔力障壁で防御しつつ対処
飛翔にエアライドや壁歩き併用し立体的に回避、反撃の機へ繋ぐ
白水・蛍
【ルール攻略隊】
連携アドリブ歓迎
残留効果全て使用
……終わらせましょう。悲しき命を生み出される事も。このような無為な事も!
ネメシス発動。髪・目の色が変化します。
相手の攻撃の妨害・制限に徹底します。
周囲に【フライトドローン】を展開。敵の攻撃の妨害、味方への攻撃のための盾にします。相手にぶつけたりと相手の行動を制限します。
また、<演奏・歌唱>で出来る音の魔力は衝撃波です。
故に相手の射撃は<風使い・吹き飛ばし>も含めて全力で相手に撃ち返します。
相手がパラドクスを使えばこちらも【パラドクス】使用。
この場にある影全てを動かす勢いで射撃物も、相手自身も全てその動き、縛って止めてみせます!
レイ・シャルダン
【ルール攻略隊】
連携、アドリブ等歓迎
沢山の獣たちと機械のキメラ…?
何てものを作り出してるんだこのディビジョンは
同じドイツ人として、同じ…作り手として、許せない!
機械魔導弓【ACRO】に矢を番え
パラドクス【閃星の一矢】を発動。
敵と自身の間に3つの魔法陣を展開し
【eins】魔力で編んだ矢を雷神の一撃に変える加護
【zwei】矢の魔力量を肥大化させる力の加護
【drei】流星の如き加速の加護
その3つの加護を束ね敵を貫きます。
安藤・優
【ルール攻略隊】
※アドリブ連携歓迎
なんだあのキメラ、機械と動物を混ぜて作るとか惨い事するなぁ全く…目障りだし腹が立つし、解体しちゃおうか。
鉄塊剣を構えて煉獄を纏いネメシス化
突撃してくる目障りな機械化獣達を地獄の焔で薙ぎ払い焼き払い爆破する。
致命傷は受けないよう臨機応変に立ち回りつつも、多少の被弾ならアクティベイトとアヴォイドで耐えつつ切り返しながら距離をつめて、本体に緋皇爆焔刃を叩き込む。
「怒りを燃やせ、心を燃やせ!全て燃やして焼き尽くせ!」
……片付いたらさっさと脱出しよう、爆発するし。
それに『この』ルール炭鉱で出来る事はもうやった、それなら『次の』ルール炭鉱に向かわないとね。
●其はなぜ月に狂うたか
「……あれはゾルダート、なのか?」
アヴァタール級との戦闘が開始され、既に短くない時間が経過していた。炭鉱各所で交戦を続けている復讐者たちの奮闘により、序盤はスタンピートを繰り広げていた機械化猛獣群の勢いも減じつつある。
その甲斐もあって【CCTS】の面々は『狂月の動物園』の本体を視認できる位置まで接近する事に成功していたのだが、その姿を目の当たりにしたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は思わず言葉を失った。
「いったい如何なる目的を以て建造されたのか。確かに狂気を見る様だな。尤も、それは彼ら自身ではなく……改造をした側の、な」
この改竄世界史の主戦力は人間を機械化したゾルダートである。故にこそ、それ以外の生物に改造を施すという発想自体はそう驚くものではない。だがそれを差し引いたとしても、このアヴァタール級の設計思想は異様と言う他なかった。
これまでの交戦で受けた傷口からは内部機構が露出。球体状の装甲表面には赤黒い血管が張り巡らされ、不規則に脈動している。それらは半身を寸断された猛獣たちと繋がっており、無理やりに結合させている様子が伺えた。
「沢山の獣たちと機械のキメラ……? 本当に、何てモノを作り出してるんだこの○○○○○○は。クルップ社の入れ知恵か、それとも別の意図があるのか。同じドイツ人として、同じ……作り手として、許せない!」
余りにも冒涜的な姿に、レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)の顔が堪らず怒りと嫌悪に歪んでゆく。クルップ社と同じ兵器製造を生業にしている為か、彼女としてもこの様な無意味に思える所業は受け入れがたいのだろう。
「明確な用途があったというより、試作や実験が目的だったのでしょうか。少なくとも、あんな状態で制御ができるとは思えません。もっと別のやり方もあった様に思えますね」
「ホント、機械と動物を混ぜてキメラを作るとか惨い事するなぁ、全く……なんというかつくづく悪趣味だよね。目障りだし腹が立つし、さっさと解体しちゃおうか。」
その横では御門・風花(静謐の凶鳥/ミセリコルデ・g01985)も見て取れる情報から開発意図を考察するが、残念ながら合理的な要素を導き出すのは難しい。寧ろ製作者のねじ曲がった悪意を感じ取り、安藤・優(名も無き誰かの代表者・g00472)は眉を顰める。その意図が何であれ、いま明確なのは倒すべき敵だというただ一点のみ。
「もう、終わらせましょう。無辜の民が虐げられる事も、悲しき命を生み出される事も……このような無為な事も! ルール炭鉱と言う忌まわしき檻を打ち破る事で、です!」
思えば入り口を防衛して毒ガス使いを除き、この炭鉱内部には犠牲者しか居なかった。彼らが互いに相争う様を、その原因となった者らが高みの見物を決め込むなど言語道断である。白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は引き続きネメシス形態を維持しながら、仲間たちと共に『狂月の動物園』へと対峙してゆく。
――ウォォォオンッッ!
「っ、どうやら相手も仕掛けて来るようです……!」
そんな復讐者たちの戦意を本能的に感じ取ったのだろう。獣が幾つもの咆哮を響かせると、周囲に散らばっていた炭鉱設備が浮かび上がり始める。蛍と同じくネメシス状態のまま挑む風花が仲間へと警告を飛ばした瞬間、スクラップが機械化猛獣へと変貌。群れを成して殺到して来た。
「私と蛍さんが後方援護を行います! 『フェーデル』、『ミセリコルデ』、『ブレイズ』はその隙に前へ!」
そう言うが早いか、レイは飛び上がって射角を取りつつ機械魔導弓に矢を番える。鏃の先へ展開されるは燐光を放つ魔方陣。放たれた鋭矢がそれを透過した瞬間、雷光と化して地上目掛けて着弾。落雷の如き一撃によって射線上の猛獣たちを爆散させてゆく。
機先を制された事で、獣群は数瞬だけだが突進の勢いを喪失。更にはなまじ重力が軽減されていたせいで踏ん張りも効かず、次々と地面から足の離れた猛獣同士の衝突が発生している。結果てんでんばらばらの方向へと流されて、辛うじて付与されていた暴走の流れも逸らされてしまっていた。
「了解です。お陰で敵の陣形が乱れました……『ミセリコルデ』、これより目標を解放する」
航空兵の叫びに応じ、双魔剣を握り締めた風花がすかさず先陣を切る。戦闘の合間に応急手当を施したとはいえ、両手には未だ浅からぬ呪詛のダメージが残っていた。だが此処が正念場であると、先ほど同様に魔力障壁によって崩壊を押し留めながら彼女は得物を振るってゆく。
しかし個々の体躯も、質量も、そして戦闘能力も先のトループス級とは比較にならぬ。刀身から伝わる手応えは重く、稲妻の魔力を解き放っても一撃で致命にまでは至らない。風花は手数が足りなければと、飛び退り際に蹴撃を叩き込む事でトドメとする。
「頑丈な上、数も多いですね……これでは切りが無い」
「一応、他のディアボロスとも交戦した後なんだよね……なのに、まだこれだけの数が残っているだなんて。一番重要な石炭は有機物だから効果の範囲外とは言え、帝国側は本当に何を考えているんだか」
仲間が思わず零した呟きに、同じく前衛役を担う優も同意を示す。炭鉱側からすれば、この『狂月の動物園』が解き放たれるのは今の様な非常事態に限られる。故にそうした場合には重要な機材も破壊された後だと踏んでいるのだろうか。だとしても、対応としては大雑把に過ぎる。
「これは、僕も出し惜しみしている余裕はなさそうだ。獣なら獣らしく、火を怖がってくれるとまだ可愛げがあるんだけどね!」
ともあれ、まずはこの取り巻き連中を排除しない事には始まらない。少年も肩を並べる戦友同様、己もまた全力を賭す覚悟を決めた。纏うは灼熱の闘気、手にするは赤熱化する鉄塊。風花が雷、蛍が風であるなら、優の本領はコードネームが示す通り焔。
当たるを幸いに巨大な得物を振り抜くや、高温とそれに伴う爆発を以て獣の群れを薙ぎ払ってゆく。ネメシス形態によって殲滅速度は確かに向上した。だが、依然として数の優位は相手にある。無機物を利用した戦力補給も相まって、戦況としてはやや復讐者側の劣位といった所か。
「……であれば、まずは頭数の問題を解消すると致しましょうか。命令は単純に『ただ前へ』。攻撃を防ぐ盾として、動きを阻害する障害物として、彼らならば打ってつけでしょう?」
そんな戦場へ、突如として無数の物体が雪崩れ込む。それらは蛍によって呼び寄せられた浮遊ドローンだ。直接的な戦闘力こそ皆無だが、人間大の物体を載せて飛行できるだけあってサイズは中々の物。その上数が多いとなれば利用しない手はない。
攻撃に寄与しないとしても、壁役が出来るだけも大きな差だ。加えて、詩人自体もただその様子を見守っているだけではない。重力が低下しているとは言え、何も宇宙空間の様に真空状態という訳でもなし。ならば当然、風の影響を受けるというもので。
「味方には追い風を、敵には逆風を。それだけでも大分違うはずです。そして、音とは即ち大気の振動。激しさを増せば衝撃となる……どちらの圧が勝るか、勝負ですわ」
ひゅるり、と。機械油に埃、獣臭の入り混じった空気を押し流す様に風が吹く。それらは炭坑内の澱みを祓うかの如く勢いを増すと、瞬く間に嵐も斯くやという勢いへと変化する。無論、ドローンの動きを阻害せぬよう調整するのも忘れてはいない。
更にはその合間を縫って琴弓を爪弾けば、戦場を駆け抜けた衝撃波が猛獣たちを跳ね返し、前線への到着を阻害してゆく。
(ふむ……これでようやく拮抗状態といった所か。ならばあともう一押しが欲しい所だな)
そんな濃密さが増す戦場を、一歩引いた位置よりエトヴァは眺めていた。強大なアヴァタール級を前によく戦えていると言うべきか、それともネメシス形態となった復讐者を複数相手取れる敵を脅威と評すべきか。ともあれ、これでようやく五分五分といった所だ。
今に至るまでタイミングを見て支援射撃など行っていたものの、蒼き天使が主として行っていたのは情報の収集。俯瞰視点より戦場全体を把握し、敵群の動きや攻撃の予兆を察知し味方へと共有していたのである。だがそれも此処まで。戦力比が均衡となった以上、押し切る為の一手が必要だった。
(機械化され、月に狂った古今東西の猛獣たち……難しい題材だが、描こう。時間もそう取れない以上は巧遅よりも拙速となるだろうが、それでも出来る限りは仕上げておきたいな)
そうして、エトヴァが取り出したのは青水晶の柄を持つ絵筆。彼が筆先を虚空へと添わせるや、絵具は愚かキャンバスすら無いにも関わらず色彩が空間を彩ってゆく。
手が進むにつれ、浮かび上がるのは戦場で荒れ狂う獣たちの姿。大まかな輪郭を整えると、すぐさま細部の詰めへ。今必要なのはドローンではカバーしきれぬ戦闘力だ。爪や牙、それを振るう為の筋肉を描写し終えるや、最後に瞳を入れて描き上げる。瞬間、虚構の獣画は独りでに動き出すや、現実の猛獣へと襲い掛かり始めた。
「これまでは相手の勢いに押され、自ずと後手に回らざるを得なかったが……こうなれば話も変わって来るだろう?」
果たして、蒼き天使の推察は間違っていなかった。徐々にだが敵の勢いが鈍化し、復讐者側が押し返し始めたのである。こうなれば早晩戦線が崩壊し、一気に押し切れると予想したのだが……。
――ガアアアァァァッ!
そう簡単と行くほど相手も容易い相手ではない。アヴァタール級は表面に接合された猛獣たちを一斉に咆哮させると、叫びに乗せて狂月の波動を撒き散らしてゆく。ドローンも勿論、可能であれば絵画たちも狂わせる事で自らの支配下に置こうという狙いなのだろう。
もしもそれらは敵へと回れば、一瞬にして形勢が逆転してしまうのは明白。しかしそれを防ごうにも、敵本体へ攻撃を届かせるにはまだ射線が通らず――。
「音ならば関係ありませんわね……我が音に応えて来たれ、音にて動く影の歌! 無駄吠えする犬には口輪をせねばならぬ時もありましょう。その動き、縛って止めてみせます!」
しかして、旋律ならばその前提には囚われぬ。蛍が琴弓を爪弾き調べを奏でれば、か細いランプに照らされた影が質量を得て動き出す。それらは瞬時に獣の口を縛り上げると、それ以上の浸食を封じてゆく。
「敵全体の動きが鈍りましたね。これなら……今です!」
好機と見るや、前線で斬り結んでいた前衛たちの動きは早かった。まずは邪魔な敵を一掃すべく、風花が手にした魔剣の片割れを全力で投擲する。刃は進路上の敵を貫き飛翔してゆくものの、アヴァタール級がその巨躯を咄嗟にズラすことで結果は掠めたのみ。
「避けましたか。浮遊しているとは言え、思ったよりも機敏ですね。ですが、躱されるのも想定の範囲内。直線状に捉えました」
だが、それでも問題はない。本体が居るのは二つの魔剣、その丁度中間だ。敵が動く前に少女は残りの魔力をありったけ注ぎ込むと、のたうつ蛇の如き電流が迸ってゆく。一瞬では終わらぬ放電は球体核を拘束し続け、身動きを封じる事に成功する。
「我は火種、我が身は薪也……怒りを燃やせ、心を燃やせ! 全て燃やして焼き尽くせ!」
敵が拘束より逃れる前に攻撃圏内へと踏み込んだ優が、赤を超え白く熱せられた巨刃を振るう。自滅覚悟の一撃は装甲を凹ませるどころか、暴力的な熱量によって触れた端から金属部を溶解させていった。無論、肉体部も無事では済まず、焼け付く痛みに獣は苦し気に叫びゆく。
「立て直す時間は与えない。狙うべきは、熱で装甲が脆くなってる箇所!」
一の雷撃、二の灼熱。ならば三の矢を担うのはレイの役目だ。航空兵はこれまでと同じように弓へ矢を番えると、狙いを『狂月の動物園』へと合わせる。だが、今まで違うのは展開される魔方陣の数。単独ではなく、三重である事から彼女の本気が伺えた。
「この一撃は私の……ボクの特別。決して、外さないッ!」
弦より放たれた矢が第一の魔法陣に触れるや、これまでと同様に雷光を纏う。第二では内包する魔力量を肥大化させ、三つ目の陣により更なる加速を付与する。三重の加護を以て放たれるは閃星の一矢。それは回避も防御も許すことなく、球体状の核へと吸い込まれ、そして――。
狙い違わず、その中心部を真っ直ぐに射貫いてゆくのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【腐食】がLV3になった!
【液体錬成】LV1が発生!
【傀儡】がLV2になった!
【飛翔】がLV7になった!
【照明】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV8になった!
【アヴォイド】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV5になった!
一角・實生
趣味の悪い月だな
人々に恐怖を与える動物園なんて閉鎖しかないだろうに
【完全視界】【エアライド】を用い周囲の状況を観察
坑道最奥ともなれば不安定な環境だろうし
情報取集しながらアドウェナで接近戦を挑む
敵の動きを全体・部位ごとに戦闘知識・看破能力で把握(記憶術)
仲間と連携して戦うよ
機械化獣は攻撃の為だけに存在するのだろうか
感覚器替わりの可能性は?
高頻度で正面にくるもの
常に視線が俺を捉えているもの、或いは耳
それを削ぎ落とせば大きな隙を生めないかな
大ぶりな攻撃の回避後に敵へ肉薄、パラドクスを発動してみよう
攻撃後は【エアライド】【飛翔】で距離を取る
持ち替えたグラナトゥムで機械化獣を纏めて撃ち落とすよ(貫通撃)
乾・玄辰
地下に浮かぶ獣の月、何とも醜悪の極みだね。
……いや、彼らも好き好んであの有様に成り果てた訳ではないか。
僕の眼前で生死を弄ぶなど言語道断。
【百鬼封神之儀】で仮初の命が吹き込まれた獣共を封殺してやる。
敵に肉薄を試みる仲間がいるなら、その突破口を作るべく道を切り拓こう。
味方が敵を弱らせれば、その分だけ術式に捕らえる好機も訪れるというもの。
歪なる月の周囲に符を張り巡らし、生死分かつ陰陽の剣を一斉に突き立てる。
それにしても創造した者の正気と設計思想を疑う外観だ。
絡み合う機械と生体の配置や接合から重要器官ないし中核に目星をつけられるかな?
攻撃で露呈した部分も含め【完全視界】で【観察】しながら狙ってみよう。
●剣/弾は狂狼を穿つか
――ガ、ォォオ……オオオオォッ!
度重なる復讐者たちの攻撃により、『狂月の動物園』は着実に追い詰められつつある。球体状の本体には無数の傷が刻まれ、変換可能な無機物もあらかた消費したせいで機械化猛獣の数も減っていた。
しかし、生存本能など端から壊れてしまっているのだろう。追い詰められても尚、逃走や怯えを見せる素振りは無い。そんな生物としても兵器としても狂った有り様に、乾・玄辰(最後の魔法使い・g01261)の相貌にも苦々しさが浮かぶ。
「地下に浮かぶ獣の月、何とも醜悪の極みだね。……いや、彼らも好き好んであの有様に成り果てた訳ではないか。ある意味、鉄屑兵や労働者と同じ被害者と言える」
「だが、趣味の悪い月に変わりはないな。一目見ただけで、設計者の性根が窺い知れるというもの……人々に恐怖を与える動物園なんて閉鎖しかないだろうに」
そんな仲間の言葉に一角・實生(黒頭鷲・g00995)もまた同意を示す。威圧か、実験か、それとも単なる趣味か。いずれにせよ、あまり褒められた内容でないのは確かだ。ともあれ、今はこのアヴァタール級を打ち倒さなければ全てが水泡に帰す。
臨戦態勢を整える復讐者たちを前に、アヴァタール級ゾルダートもまた唸り声を上げながら無数の瞳で睨みつけて来る。こんな有り様であろうとも、手負いの獣は危険極まりないと彼らは知っていた。故に先手を取って押し切るか、それとも出方を窺い反撃を狙うか。そうして、ジリジリとした緊張感が張り詰める中……。
――ウォォォオオッ!!
先に動いたのは敵の方であった。『狂月の動物園』は雄叫びを轟かせるや、周囲の重力を低下させてゆく。更には何と機能不全に陥った自らの部品を引き千切ると、それを使って機械化猛獣を生み出し突撃させ始める。
文字通り、自らの身を削る戦い方だ。しかし一方で、實生はある可能性について考えを巡らせていた。
(果たして、機械化獣は攻撃の為だけに存在するのだろうか。あれらが感覚器の替わりを兼ねている可能性は? 視線か、或いは耳か……それを削ぎ落とせば、大きな隙を生めないかな)
銃身を切り詰めた散弾銃で獣たちを仕留めながら、彼は半壊状態の球体核を観察してゆく。機械化されているだけあって、センサーの類は当然備えてはいるだろう。だが、接続されている獣たちも無意味だとは思えない。あれが索敵能力を備えているのであれば、減らした分だけ此方が有利になるはずだ。
「問題は、乱戦状態だと狙いをつけるのが難しそうだっていう点だけれど……」
「突破口が必要かい? ならば、僕がその道を切り拓こう」
散弾銃は多数を相手取るのに適しているが、射的距離は普段使っている狙撃銃と比べるべくもない。かと言って、この混戦下で悠長に狙いを定めている余裕が有るとは思えなかった。どうすべきかと思案する實生に対し、玄辰が横から助け船を出す。
「僕の眼前で生死を弄ぶなど言語道断……仮初の命が吹き込まれた獣共を封殺してやる」
魔弾を以て猛獣たちを仕留めていた魔法使いは、一旦大きく後退して距離を取るや剣指を結んで祝詞を口遊む。それは彼の装いとは裏腹な、洋の西ではなく東の術式だった。
「群山の祖にして五岳の宗、泰山府君に血書願い奉る。我が報仇雪恨の真言、青史を簒奪せし邪魅魔障剋す百鬼封神の陣と成せッ!」
ばらりと吹き上がるは玄辰の血によって誓書された無数の呪符。それらは術者を中心として太極図を描き出すと、ある種の祭壇を構築してゆく。そうして生み出されるは黒と白の陰陽剣。それらは一斉に切っ先を敵群へと向けるや、次々と貫き地面や壁面へ縫い留めていった。
無論それは、歪なる月とて例外ではない。身動きを封じられた獣は狂乱の儘に叫びながら身悶えしている。
「見れば見るほど、創造した者の正気と設計思想を疑う外観だね。だが、これで暫くは身動きできまい。感覚器官や重要部位を狙うならば絶好の好機だろう」
「ああ、助かったよ。これなら……!」
術式の維持に努める魔法使いへ感謝を述べつつ、狙撃手が一気に距離を詰めてゆく。案の定と言うべきか、無数の濁った眼が實生を捉えギョロギョロと追従して来る。恐ろしい光景だが、今は逆に好都合だ。
「少しばかり気が退けるけど……可哀そうなどと言っている場合じゃないか」
大きく跳躍して射線を確保すると同時に、得物を使い慣れた狙撃銃へと持ち変える。狙うは勿論、感覚器官が集中する頭部。スコープ越しに視線を交わらせながら、狙撃手は引き金を押し込んだ。
(……攻撃を察知して嫌がった? どうやら、相手としても狙われたくはないらしいね)
攻撃を躱そうと激しく身を捩る敵を剣群で圧しつつ、術越しに獣の焦りを感じ取る玄辰。果たして、それを裏付ける様に呪詛を帯びた弾丸は敵の顔面へと吸い込まれ。
――凄まじいまでの絶叫が、地の底に響き渡るのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【操作会得】LV1が発生!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV6になった!
【能力値アップ】がLV8になった!
マリー・ルートヴィヒ
あれは……私ね
そういう可能性もあった
だけど、私はこっちを選んだの
悪いけど、ここで終わりにさせてもらうわ
飛翔して空中戦を敢行
7.7mmで弾幕を張りつつフライトドローンを統率し
編隊飛行で敵の目を引き付け
速度を合わせ敵の目を欺くんだ
多少やられても構うものか
エアライドで急制動を掛けて反転、攪乱
37mmの砲撃で更に隙を大きくしてやる
仲間が攻撃を合わせやすいようにね
本望じゃ無いだろう
だが、出会ってしまったんだ
だから、どちらかが倒れるまで
このダンスは終わらない
弱らせたら抜刀し加速
ドローンで攪乱した分、奴は目が追い付かない筈
こじ開けた隙に一撃離脱――ダイブして一気に決着をつける
怨むならクラウツ共を怨むがいい!
ツィルニトラ・プリルヴィッツ
悪い夢に出てきそうな怪物ね
あれを作るのにどれだけ獣が使われたのか…
…未熟な私では手加減は出来ないわね
悪いけど、囚われた人達を逃がす為に倒させて貰うわ
迫る獣達を槍斧で退けつつ、一旦後退
軍勢と狂気の月を視界に納めるわ
…鏡面は無いわよね?
(パラドクスの訓練中、自滅による重傷経験アリ)
右目を瞑って魔力を集中して…【邪眼】を解放
機械と生物の融合…そんな技術、この時代には無いでしょう!
「虚偽」という情報を押し付け、獣と機械の結合部を文字通り“吹き飛ばし”消滅
配下の獣は兎も角、アヴァタール級には致命打にならない
軍勢を攪乱した隙に一気に低空【飛翔】
傷口から見える内部…出来れば核に槍斧を叩き込むわ
●月は地に墜ち、人は空の下へ
――ォ、ォォオォ、ガァ……ッ!
それは手負いの獣でもまだマシだろうというほど、悲惨な姿であった。度重なる戦闘で機械部分は半壊、結合された猛獣たちも多くが絶命しダラリと骸を垂れさせている。だが、辛うじて息のあるモノらはそんな状況を意にも介さず、牙を剥き出し唸り吼え立てゆく。
「悪い夢に出てきそうな怪物ね。元から凄まじい見た目だったけれど、こうなると猶更……あれを作るのにいったいどれだけ獣が使い潰され、どんな仕打ちを受けたのか。想像するだけでゾッとするわね」
そんなアヴァタール級を前にしたツィルニトラ・プリルヴィッツ(自称/捏造 魔法竜神・g02012)は不快そうに眉根を顰める。ただの獣なら、或いはただの兵器なら、ここまで嫌悪感を覚えまい。改めてクロノヴェーダの悪意を目の当たりにした竜人は、槍斧を握る手に力を籠め直してゆく。
その一方、同じタイミングで戦場へと踏み込んだマリー・ルートヴィヒ(シュヴァリエ・g06578)の胸にはまた別の感情が去来していた。それは微かな郷愁と憐憫、そして同情。
(あれは……私ね。そういう可能性もあった。逃げ出さなければきっと、同じように単なる材料として消費されていたはず。それこそ、この動物たちの様に、苦痛に呻く屑鉄兵の様に)
彼女もまた多くのサイボーグたちと同じく、帝国によって改造を施された身だ。運よく自我を保ったまま逃れられたものの、そうでなければどうなっていたのか。そんな『もしも』がこの炭鉱内には幾つも転がっていた。
「だけど、私はこっちを選んだの。誰かに強制されたのではなく、自らの意志でね。だから悪いけど、ここで終わりにさせてもらうわ!」
「ええ、そうね。未熟な私ではそもそも手加減は出来るような相手じゃない。それにどのみち、アヴァタール級を倒さなければ囚われた人々も逃がせないもの」
そんな未練を断ち切る様にマリーは機関銃の安全装置を外し、ツィルニトラも仲間の戦意へ応ずるように得物を構える。対する『狂月の動物園』はもはや形振り構う心算はないらしい。
――ォォ、ォオ、ウォオオオオッ!
血反吐を吐きながら咆哮するや、球体内部から夥しい数の機械化猛獣たちが溢れ出す。どこにこんな戦力を隠し持っていたのかと驚くほどだが、よくよく見ればその多くが四肢のいずれかを欠損している。
相手は本体に接続されていた猛獣たちを無理やり引き千切ってまで、戦闘へ投入していたのだ。更には重力を軽減する事により、機動力の低下もカバーしていた。
「本当に生存本能ってものが無いらしいわね……!」
「私は上空から援護に回るわ! ドローンも引き連れれば、多少はマシになるはず!」
敵が群れならこちらは編隊。盾代わりのフライトドローンを引き連れつつ、高度を取って弾幕を張るマリー。彼女は敵の注意を自らへと惹きながら、時折ドローンを足場代わりに蹴って攻撃を躱し、反撃の37mm砲を以て着実に敵戦力を漸減してゆく。
(猛獣たちもこれで打ち止めだろうけど、それだけ相手も死に物狂いで抵抗してくるはず。なら、手は一つよ……念のため確認するけど、鏡面は無いわよね?)
また他方ではツィルニトラが斧槍で猛獣を薙ぎ払いながら、敵全体を視界に収められる位置を探っていた。鏡に類するものが無いか一瞥して確かめると、そっと右目を閉じて魔力を収束させる。竜が誇る武威は様々。爪牙鱗は言うに及ばす、吐息に毒も有名だ。しかし、此度使用するのはその何れにも非ず。
「魔を司りし竜の名の元に命ず! 虚偽を暴け、我が眼! 機械と生物の融合……そんな技術、本来この時代には無いでしょう!」
其れは瞳、虚偽捏造を暴く邪眼である。在り得ざるを糾弾し、存在を否定するその権能は猛獣と機械の結合を緩めさせ、次々と敵群を無力化してゆく。しかし何故、それが己自身にも有効なのか。彼女がそれを思いだすのはきっとまだ先の話だろう。
ともあれ、これで取り巻きは排除できた。球体状の本体も邪眼の呪いを受けて悶えており、畳み掛けるならば今しかない。マリーは残弾の尽きた兵装を投棄するや、決闘剣を鞘走らせる。
「誰かに使役され、戦いを強いられる。きっと、君たちも本望じゃ無いだろう。だが、出会ってしまったんだ。だから、どちらかが倒れるまで……このダンスは終わらない」
ドローンが敵の周囲へと展開し注意を分散させ、かつ赤き鴻鵠の姿も紛れさせてくれる。センサー類を軒並み潰され、結合した獣の大半も失った『狂月の動物園』にそれらを見分けるだけの力は残されていない。
航空兵は衝突すれすれまで上昇すると、天井を蹴って反転。急降下体勢へ移ると同時に、竜人もまた槍斧を手に吶喊してゆく。そうして天と地、双方向より迫る復讐者へと突き立てる牙も、振るう爪も、差し向ける眷属すらも、相手にはもう残っておらず。
「この一撃でルール炭鉱と言う檻を打ち破ってみせる!」
「ああ、これで終わりだ! 怨むならば、クラウツ共を怨むがいい!」
渾身の力を籠めた、決着の斬撃。それらは辛うじて原型をとどめていた球体核を木端微塵に打ち砕くや、遂に猛威を振るった『狂月の動物園』を討ち果たすことに成功するのであった。
「よっし、これで……っ!?」
ツィルニトラは己が戦果に笑みを浮かべるも、俄かに炭鉱全体が震え始めるのを感じて気を引き締め直す。アヴァタール級が斃れた事で崩壊が始まったのだ。このまま留まれば、地の底へ生き埋めとなってしまう。
「こうなればもう長居は無用ね。急いで脱出しましょうか」
「勿論、労働者たちを手助けしながらね!」
そうして竜人と航空兵は地上を目指し、崩れゆく坑道を駆け抜けてゆく。
炭鉱そのものを閉鎖に追い込むまでは、まだまだ継続した活動が必要となるだろう。
しかし、今回の戦いは紛れもなく復讐者たちの勝利である。
こうして此処に第二次ルール炭鉱破壊作戦、その一つが幕を閉じるのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV8になった!
【完全視界】がLV5になった!
効果2【アヴォイド】がLV4になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!