リプレイ
クィト・メリトモナカアイス
『下層部を探索』
じゅうようきょてんへのしんにゅうきんし。
何があるかはよく分からないけれど。
隠されると見てみたくなる。
見てみたいのでふんじばってでも助ける……けど。
生贄になりたい人を助けるのは果たして是か非か。
んー……まぁいいか。
とりあえず後で考えよう。今は探索。
戦闘で時間を取られるのは今はよくない。
先行してこっそりと「偵察」して内部を巡回するトループス級に見つからないようにする。
たくさん人が集められてるなら人もたくさん通ってるはず。
事前に情報も教えてもらったし足元と壁を特に注意して「観察」。
生贄の人たちが通った跡や壁が動いた跡、崩れやすそうな壁がないか注意しながら進む。
陽光が肌を刺すような外から、薄闇に冷えた静寂の中へ。
横穴から小ピラミッドへの侵入に成功したクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は、通路の角から先を窺っていた。
「……」
内部から見るだけでも十分に巨大だけれど、ここはあくまで一つの儀式の為の場所らしい。
その話をふと想起する。
(「じゅうようきょてんへのしんにゅうきんし……」)
そこに何があるかは、よく判らない。
けれど隠されると見てみたくなる。だからクィトはまず、この場の攻略へ挑む。
そのまま通路を走ると、また更に次の角から先へ。皆に先行して偵察する役割を買って出て、敵の気配を探った。
今はまだ、近くにクロノヴェーダはいない。
それを確認すると下方への道を見つけて滑り降りてゆく。
今は何よりも、生贄となる人々の元へ向かうのが優先。故に戦闘に時間を取られている暇はないから……警戒しつつも素早く下へ下へと目指していった。
その先にも幾つもの分岐があるが、クィトは焦らない。
平素の静かな相貌を崩さず、足元と壁に視線を巡らせて。
「……こっちかも」
壁に付着する砂が僅かに薄い場所を発見する。
他の道に比べ、多くの人数が通った事で生まれた差異だろう。その先へ走れば、同じ跡の残る場所が続いていた。
無論、微細なものでもある為に確証の得られる場所ばかりではない。
ただ、一般の人間が通るならば危険で長い道が続いているばかりでは無いはずだろう。
その考えを元に道を選べば……暫し進んだ先で、砂が浅く溜まっている場所に無数の足跡を発見した。
人々のものに間違いない。
(「……ん」)
と、クィトはそこで壁に背を付けて息を潜める。
僅かな先を、クロノヴェーダが歩む気配があった。
数は一人。だがいなくなるのを待ってから進むと、また別の敵の姿が見える。
少しずつ、その数は増えつつあるようだ。それもまた、この道が間違っていない証左にも思えた。
(「ひとまずは、こっちで良さそう」)
判断すれば、迷いなく。
少しずつ空気の冷たさが増す中、クィトは銀の髪をさらりと靡かせて前進。安全を確認しながら、後続の仲間へも合図を出してゆく。
大成功🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
有栖川宮・永遠
「下層を探索」
攻略が困難というリスクを背負ってでも、人命優先にしたい。クロノヴェーダの儀式の為に生贄になって死ぬなんて酷すぎる。生贄が本望でも野望の糧にはさせませんよ。
ピラミッドという敵の地の陣中なので、同行している皆さんと連携を取って【情報収集】【観察】【地形の利用】で周りを観察しながら進みます。、建物の壁や柱に違和感を感じたら【看破】して仕組みを解明したいですね。同じピラミッドを探索する人達との連絡の為に【パラドクス通信】を使用して置きましょう。
未知の建物ですから用心は過ぎることに越した事は無いですね。力を合わせて、突破していきましょう。
クィトの合図にそっと頷いて、有栖川宮・永遠(玲瓏のエテルネル・g00976)も同じ下方への進路を辿ってゆく。
(「少しずつ……近づいているのかしら」)
まだ判らない。
故にこそ永遠は止まらず、今はただ最奥を目指して探索した。
侵入者を拒むような造りの迷宮は、進んでいると果てが無いような錯覚に囚われる。攻略が困難だというのまた嘘ではないのだろう。
それでも永遠は人命優先の決断に迷いはなかった。
(「クロノヴェーダの儀式の為に生贄になって死ぬなんて……酷すぎる」)
思う程に遣る瀬無さと、それを挫かねばならないという意志が灯る。
「……野望の糧にはさせませんよ」
だから冷たい静謐にも惑わず……順調に距離を伸ばしてゆく。
と、永遠は前方を見やって僅かに歩みを緩めた。
先を行くクィトが、手がかりのない分岐点に当たっていたのだ。それぞれ短くない距離の通路に繋がっていて……容易に片方を選べない状態らしい。
永遠は、そっと細指の先で符を挟むと小さな雷光を奔らせる。
瞬間、身につけた小型通信機が起動し……クィトを含む仲間全員との連絡が繋がった。
永遠はそのままクィトに語りかける。
「私が、右へ行きますね」
『ん、助かる』
クィトはそう言葉を返す。
そうしてクィトが左方へ進むと、永遠は手分けする形で右方へ。注意深く先へ歩みを進めた。
――と。
「行き止まり、ですか」
永遠は呟いて止まる。
連絡すると、向こうでも同じく袋小路に辿り着いたと言った。
「……おかしいですね」
位置関係から考えれば、順路はこの付近にしかない。
クィトの話でも、巡回するクロノヴェーダはこの奥の方向からやってきたはずだ。
「だとしたら……」
壁に見えるそこは、壁ではないという事だ。
永遠は眼前の行き止まりに触れて、それから周りの壁も調べて……すぐに違和感に気づいた。
見た目は完全に同一だが、前の壁だけが全く違う材質で出来ている。
強く押せば、動くほどの軽さで……奥へそれを押し続けると、側面にコの字型の空洞が生まれた。
そこを通れば反対側に行ける。
通った後で岩を元の方向に押せば、元通りの見た目になるという仕組みだった。
「見た目に騙されてはいけませんね……」
永遠は仲間と情報を共有。
そのまま更なる暗がりへと、探索を続けていった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
平良・明
下層へ向かいます
何より上に向かう皆が心強いので、信じて進みましょう
人生初ピラミッド、偽物ですが。楽しんでいきます
ええ、ホルスの目とか見つけたらうきうきするかも
味方と連携しつつ、壁や床など興味深く観察しながら探索
生贄の皆さんを全員外に放り出すためにも、今から仕込みです
違和感がある箇所はセルフクラフトの壁で仕掛けの妨害、壁は崩れる前に補強して進みます
仕掛けは封じきれなくとも、帰りの足場や目印になるはずです
パラドクス通信が使えるなら
上層組としっかり連携を取り、戦闘と救出開始のタイミングをいい感じに合わせます
「成程……」
平良・明(時折の旅行者・g03461)は下層を歩みながら、視線を巡らせていた。
さらさらと砂時計のように落ちてくる砂。
時にごつごつと、時につるりと均された独特の床や壁。
「確かにピラミッドらしいですね」
明がそこに覚えるのは恐怖でも不快感でもなく……好奇心だ。
何しろ、人生初ピラミッド。
旅行者として、常人の立ち入れぬ空間に入るのは純粋に興味を惹かれる思いがあった。
「とはいえ、偽物ですが」
それでもこの巨大さと複雑さには、やはりどこか真に迫るものを感じて……方々に目を向けないではいられない。
こうして楽しむ心を持ってもいられるのは、仲間を信じているからでもある。
同じ下方を歩む皆は勿論、上方へ向かってくれる仲間こそ心強い。
きっと、この戦いは皆の力で良い方向に運ぶ。
そう思えるから、余分な焦りも持たずにいられた。
「おや、あれは」
と、そこで明はまた壁を見る。
その通路は壁画が描かれていて……更に先へ進むと、シンボリックな模様が刻まれている場所もあった。
「これはホルスの目ですね」
美しい曲線を持ったその図柄に、うきうきとしてしまう。
そうして目を楽しませつつ探索を続けると……行き止まりにつく。一つ戻って別の方へ進んでもまた行き止まりで……明は永遠に連絡した。
「そちらはどうですか?」
『こちらも行き止まりです』
そう返す永遠も、手分けして明とは別の分岐を探索しているところだった。
現時点で、押せる壁がある事は判明している。ただ、今ある行き止まりは押してもどうにもならないようでもあった。
それは明のところも同じだ。
「さて……」
明は考える。
方向自体が間違っているとは思えない。だとすれば何らかの仕掛けがありそうだが――例えばスイッチのようなものもなかった。
ただ、明はやはり闇雲に焦らない。
暫し何もせず、じっと観察していると……成程と頷いた。
「少しずつ、動いているようですね」
角を見つめる。
そこが音を立てない程度に、緩い速度で開閉しているようだった。
気づかぬ内に通路と行き止まりが交互に現れ、侵入者を迷わせる仕組みだ。
「これなら……」
と、明は開いた時を見計らってコンクリートの塊を生成。間にかませて壁が閉じきらないようにした。
仲間も通れるし、帰りの目印にもなるだろう。
「よし、と」
上方との連絡も継続しつつ……明は更に先へと歩みを進めた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【セルフクラフト】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
御守・樹
アドリブOK
上層部へ。人質も気になるけどそっちは他のメンバーを信じて任せよう。
あぁでも悪趣味だ。
生贄って事じゃない。生き埋めって事はより長く苦しませることが目的なんじゃないのか。
【忍び足】で慎重に進みながら【偵察】、稼働や崩れる壁を【看破】していく。
ある程度パターンがるかもしれないから【記憶術】で迷宮及び壁の様子は覚えておき【情報収集】しておく。あとで情報共有する時に役に立つかもしれないしな。
なるべく戦闘を行わないように身を隠しつつ、速やかに。
どうしても避けられないようならパラドクス攻撃での【暗殺】で排除。その際は銃は使わずナイフで接近して直接攻撃か【投擲】で。
「……静かだな」
御守・樹(諦念の珪化木・g05753)は歩みながら小さく声を零す。
祈りの為にここへ入っていった人々は、如何な思いを抱いていたのか。
ふと、そんな事を思ってしまう。
その心の全てをこちらが理解する事は無論、出来ない。
(「あぁ、でも」)
こんな場所を用意した敵へ思いを巡らせれば――悪趣味だ、と呟きが零れた。
生贄だからというだけではない。砂へ生き埋めにしようとするその非道が、樹に僅かに目を伏せさせる。
(「長く苦しませる事が目的なんじゃないのか」)
それが如何な力を敵に与えているか、全容は判らないが……だったらこちらに出来る事は、それを完遂させない事だけだから。
「……やってやるさ」
樹は前を向く。
そこは上層への道だった。
下層には既に仲間が向かっており、その皆がうまくやってくれると樹は信じている。実際、順調に探索を進めているようだと連絡で判ったから……今は、上へ。
「しかし、入り組んでるな」
常に警戒を欠かさず進んでいるが、その複雑さが何より歩みを遅らせる。
下層も迷路になっているようだが、上層も劣らず容易にこちらを進ませなかった。
「どっちにしろ、ディアボロスに突破されちゃ困るって事だろうな」
それでも樹に惑いはない。
道は幾つにも枝分かれしているが……樹はその全てを記憶し、脳内に詳細な地図を作り上げている。
実際に歩むと途方のない道のりに見えるが、その地図を俯瞰して考えれば……確かに前進している感覚はあった。
(「全体で螺旋状の道筋になってるんだな」)
見た目以上に長く感じるのはそれが理由だろう。
そして寸分狂いなく記憶していれば……一度見た場所を再度訪れた時に、景色が変わっているのに気づく。
時間によって動く壁だ。
一箇所ではなく、近場に集まって複数あるらしい。闇雲に歩いているだけでは、出口すら見失ってしまう造りだ。
だがそれも覚えてしまえば難しくはない。
樹は難なくそこをすり抜け、未踏破の場所を潰していく形で更に上層への道を見つけた。
「……っと」
樹はそこで角に隠れる。
道の向こう側を通り過ぎる、クロノヴェーダの姿があった。
こちらでも、徐々に敵影を目撃する回数が増えつつある。
(「首魁に近づいてるってことかもな」)
ただ、今はまだ探索の足を伸ばす事が優先だ。
樹はその場を冷静にやり過ごすと、しかと連絡も取りながら……更に上へと突き進んでゆく。
大成功🔵🔵🔵
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
大総・統
『上層部を探索』
半ば観光気分で来ているような雰囲気の統は、一応は儀式の阻止に来ています
フハハハ、我が名は世界再征服を企む悪の秘密結社ラグナロクが大総統!!
エジプトと言えばピラミッド、内部の観光など滅多に出来ない機会だ
やはり、王の間…いや、祈りの部屋?とやらも見ておきたいところだな!
時間が経てば経つほど、我々に不利となる
ならば私は先行観光…先行偵察を兼ねて上層を目指そう!
故に生贄の救出は下層組に任せたぞ!
迷宮化している構造にあるギミックや意図的に防がれている部分など対しては《偵察・看破》を駆使して効率的に進めるようにしていく
また後々、合流するかもしれない下層組の為、ルート確保、目印も残しておく
「うむ、素晴らしいな!」
容易に立ち入れぬように造られた景色は、同時に幽玄な美しさも兼ねている。
そんな美観とも言える眺めに、大総・統(秘密結社ラグナロクの大総統・g00589)は感心を示しながら歩んでいた。
エジプトと言えばピラミッド。
その内部を訪れるなど滅多にない機会なのだから、と。
趣深い壁画や文様を見つけると、それを横目に観察しつつ……順調に先へと進んでゆく。
仲間と連絡を取りつつ探索するそこは上層だ。
「王の間……いや、祈りの部屋? とやらの造りはどうなっているかだな」
それも気にならないではないから。
下層の探索を仲間に任せられるからという安心感もある。故に自身はこうして先行観光……否、先行偵察に出向いているという訳だ。
実際、半ば観光気分でもあるが……。
「また分岐か。ここは紛らわしくなりそうだな」
統はそこに目印を刻みつける。
後に合流するかも知れない下層組が迅速に動けるようにする為だ。
他にも、連絡を受けて時間によって動く壁があると知れば……そこへ自分もコンクリートの塊を作り出し、動きを止めてルートをしかと確保していた。
そのまま更に上方へ向かい、同じ上層組とも手分けして先への道を探している、と。
「む……?」
統はそこで一度止まる。
三叉路や五叉路、多くの分岐が無数に連なる場所だ。
ただ、ほとんどの分岐の先は壁となっていて、通れる道は少ない。
その意味では寧ろ、迷わぬ道に見えたが……。
「フハハハ!」
統は高らかに笑ってみせた。
「我が名は世界再征服を企む悪の秘密結社ラグナロクが大総統! このような子供だましに引っかかる男ではない!」
言いつつ、通れる道ではなく、逆に壁を虱潰しに調べ始める。
そこにこそ正解があると判断したのだ。
それから一瞬、何も見つからなくて「あれ……?」と焦りそうになりつつも……直後には自分の考えが正しいと判った。
押して動くでもなく、時間で動くでもない壁は……その一部が非常に脆い岩で出来ていたのだ。
「ならば、こうだ!」
統はそこへ世界再征服拳。
真っ直ぐに突き出した一撃でその岩壁を粉砕し、奥に続く通路を見つけていた。
そこを通ると、壁があった場所にまた天井から新たな壁が補充される。
即ち、開ける代わりに砕く事で通れる扉だ。
「――という訳だ!」
統はそんな仕掛けがある事を皆にも伝えつつ……上へと闊歩していった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】がLV2になった!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
プターハ・カデューシアス
【龍夜】
下層に向かいつつ陽動
探索組やシャムス様に目が向かわぬよう
モリオン様と共に、鞭で警報罠を発動させたり
予め崩れる壁は敢えて崩しながら進む等
派手に暴れます
但し探索組が残した脱出目印は残すように留意
呼び出す場所の地形利用により
有利に動け、囲まれぬよう細心の注意を
集まった敵は遠慮無く複数攻撃を仕掛け
負傷は承知で大立ち回り
派手に交戦すれば此方に増援も来る筈
いつも苦労を掛けますね、シャムス様
しかし、貴方がいれば大丈夫
頼りにしておりますよ!
苦言には笑顔で応え
信頼感で息の合った連携を
戦いが無事済めば
「此処は通過点」とのモリオン様の言葉に頷き
生贄の部屋へ急ぎます
P通信が可能なら密な状況報告で効率的に攻略を
モリオン・スモーキー
【龍夜】
アドリブ/連携歓迎
……急ぎます。下層へ向かいます。
罠を踏めば、敵がこちらにくるでしょう。
それを見込んで<ダッシュ>で駆け抜けます。
敵が見えれば<両断>で敵を一刀両断。もしくは<風使い>をブレードに付与して敵を斬り捨てましょう。
更に<光使い>の灯り等で目立てば敵は寄ってくるでしょう。
対集団は苦手ではない。<風使い・氷雪使い・連続魔法>で敵を殲滅。
こちらが派手に立ち回れば隠密は目立たない。<投擲>もうまく使っていきましょう。
必要に応じて【パラドクス通信】で連絡を取り合って効率的に参りましょう。
……さあ、行きましょう。此処は通過点に過ぎないのだから。
シャムス・ライラ
【龍夜】で特に連携強化
下層へ
【パラドクス通信】や目印等で仲間と進捗確認、情報共有
探索方から目を逸らす為、巡回する敵を掃討
【地形の利用】【忍び足】で物陰に潜み
プターハ殿、モリオン殿の引付に乗じ
「星の銀」で剣を生成
敵の死角から【貫通撃】
一撃で駄目なら【連撃】
敵の攻撃は【ジャンプ】で回避し【一撃離脱】で再び潜む
もしもの時は【セルフクラフト】の壁を盾に
プターハ殿は父とも慕う方、モリオン殿は信頼する仲間
狙いを合わせ確実に敵数を減らす
基本奇襲担当だが
彼らに負傷が重なり危険であればディフェンスで庇う
プターハ殿、引付は素晴らしいですが無茶しすぎですよ
御身大事にと言ったはず
モリオン殿も気をつけて
アドリブ等歓迎
少しずつ、底に近づいている感覚はあった。
小ピラミッド下層。仲間と通信を交わしながら、モリオン・スモーキー(存在奪われし魔術発明家・g05961)達はその最奥を目指している。
「やはり気配がありますね」
呟くのは探索の順調さと共に、クロノヴェーダが近くにいる感覚もするからだった。
通信を介しても、敵の目撃情報が増えつつあるのが如実に判る。
そして――
「この先も、ですね」
プターハ・カデューシアス(エジプトの龍人・g03560)は横道と幾つも交わる通路の先を見据えて、静かに言った。
これまで以上の数がいる感覚がある。
それは、ディアボロスに立ち入らせたくない場所がこの先にあるからに他ならないだろう。
シャムス・ライラ(極夜・g04075)もそっと頷いた。
少し進んで先を窺うと、角の向こうにその姿が見え始めている。
――鋭槍の守護者。
禍々しくも、どこか機械的に。
下された命令を従順にこなすように、道を行き来しては周囲を警戒している。
これまでこちら側は、探索速度を優先して悪戯な交戦を避けて来たが……。
「これ以上、戦わずに突破を望むのは難しいかも知れません」
「そうですね」
シャムスにプターハも応える。
この状況で散発的な戦闘が起きてしまえば、ディアボロス側全体の進行が鈍ってしまう可能性もある。
故に結論を出すのは早かった。
モリオンは斜め前方に視線を向ける。
そこに、天井から薄く砂が降る場所があった。床を見て改めて……それが罠だと理解する。
「砂に隠れたスイッチを踏むと、警報が発動する仕組みでしょう。落とし穴も兼ねています」
「では、それを利用する形で」
言ったシャムスがまず、罠に近い横道へ進んで物陰へ潜む。
それからシャムスが送った視線へ応え、プターハが鞭を振るった。撓りながら正確な軌道を描いたそれは、衝撃でスイッチを押下。罠を発動させた。
瞬間、その部分の床だけが大きく窪んで穴となる。同時に生まれた空洞を通って風が吹き抜け……甲高い笛の音にも似たアラームとなって響き渡った。
モリオンも、傍を通り抜けると崩落する壁を発見。そこへ斬撃を加え、敢えて音を立てて壁を瓦解させた。
作戦は……出来得る限りの敵を引きつけて揺動する事。
直後には幾重もの足音が響き、鋭槍の守護者達が現れる。
モリオンは姿を晒したまま、杖型のガジェットをその手に握っていた。
「さあ、始めましょうか」
現れた守護者達へ、まず走ったのはモリオンだった。
結んだ長髪を速度に波打たせ、一息に距離を詰めて。最前にいる一体へ、駆け抜けながら刀を抜き放つ。
その一刀は、狙い違わず守護者を逆袈裟に斬り上げる。衝撃は鋭い風も伴って、肉と骨ごと躰を両断していた。
モリオンは同時に、その攻撃に眩い光も乗せている。
閃光のように弾けて薄暗闇を照らしたそれは……奥から更なる敵を呼び寄せた。
三体、四体、五体。
次々と敵が雪崩込んでくる。
「集団と言ってもいい数が居たようですね」
が、それこそ狙い通り。
守護者達がモリオンを目指して横道の角を通り過ぎた……その瞬間に、シャムスが陰から出て背後を取っていた。
敵のうち数体は気づいて振り返る。
が、遅い。
シャムスは既にすらりと手を伸ばし、虚空に明滅する金属を生成していた。
「――星の加護を」
囁くような言葉に、それらは無数の鋭利な剣となってゆく。
刹那、雨と注いだそれが守護者達を強襲。
腹を穿ち、足を貫き、逃れ得ぬ衝撃の嵐となって四体の敵を斃していった。
「今です」
「ええ」
そうして敵がシャムスの方へ向き始めたタイミングで、応えたのがプターハ。背を向けている守護者達へ杖先を向け、冷気を収束させていた。
渦を巻いて凝集される寒風は、密度を増して氷にも似た凍気の塊と化してゆく。
瞬間、豪速の弾となって発射されたそれは、蒼々と輝く爆轟を煌めかせて……強烈なまでの衝撃で守護者達を吹き飛ばしていった。
それでも残る敵がプターハへと距離を詰めてくる、が。
「遅れは取りませんよ」
プターハもまた常に動き、囲まれぬよう位置を取る。そうしてうまく相手の突撃をいなしながら、複数を射程に収めてまた狙撃していった。
それでも数の差があれば、行く手を塞がれる事もある。
が、モリオンがそこに背中を合わせて死角を補っていた。
ここまで含めて想定内。
大勢を相手に派手に立ち回れば立ち回るほど、仲間達が目立たずに探索を出来るのだから。
「こちらの方を突き崩します」
「では、私が隙を」
と、言ったプターハが最初に前方の敵を撃てば……それによって敵が統制を欠いた隙に、モリオンが疾走しながら一刀。斬撃に合わせて氷雪を吹き荒れさせて道を切り開いた。
守護者も無論、そちらを追う。
だが横合いに……再び身を隠していたシャムス。
「――行かせはしません」
瞬間、真横から刃の暴風を吹かす。
鋭く膚を穿たれた守護者達は、蓄積した負傷も相まってその多くが息絶えていった。
その間もこちらは集中を切らさない。思惑通り、奥から更に敵が現れてきていたからだ。
それでも、それに限りはある。
集団の奥を窺えば……それ以上の新たな守護者の気配はしなかった。
「これで最後ですね」
モリオンの言葉に、プターハは頷いて一体、また一体と落としてゆく。
ただ、敵も追い詰められている自覚はあるのだろう。こちらの猛攻にも退かず、守りを捨てて槍撃を放ち始めた。
プターハとて、それくらいの反撃は予想している。
故にこちらこそ下がらず攻撃を続けていったが……。
あと僅かのところで倒れなかった守護者が、這いながらもプターハへ槍を突き出す。それはすんでのところで直撃する攻撃だった、が。
「通しはしませんよ」
直前、跳躍したシャムスが滑り込むように面前に下りて防御。
槍を弾き返しながら、刃を放って守護者を討っていた。
「お怪我は?」
「ありません。助かりました、シャムス様」
プターハの言葉に安堵を見せつつも、シャムスは少々息をつく。
「策も動きも素晴らしいですが、無茶しすぎですよ。御身大事にと言ったはず」
「ええ――いつも苦労を掛けますね」
プターハはそう柔らかな声を返した。
「しかし、貴方がいれば大丈夫、でしょう? 頼りにしておりますよ!」
そう笑顔で返されれば、シャムスも仄かに表情を和らげて頷くしかない。
それから傍の数体をプターハと共に打ち倒して。
「モリオン殿も気をつけて」
「判りました」
応えながら、モリオンもまた前へ。
二人の攻撃後の僅かな間隙を、自身の斬撃で埋めながら。味方へ攻撃が及ぶと見れば、崩れた壁の一部も投擲して動きを阻害して。
そのまま二人と共に間断のない波状攻撃を仕掛ける事で、その場に残る敵を殲滅していった。
「ご無事ですか?」
静寂が戻るとシャムスは確認の視線を向ける。
二人は健常に頷いた。
作戦は成功。これで生贄のいる場所までの敵は一掃出来たはずだ。
だからこそ、三人はそこで足を止めない。
モリオンはすぐに奥へと走り出す。
「……さあ、行きましょう」
此処は通過点に過ぎないのだから、と。
言葉にプターハとシャムスも頷く。
そして上層も含めた仲間と情報を共有しつつ、最下層への道を進み出した。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
ネリリ・ラヴラン
儀式も文化で、望んでするのなら否定はできないけど、私欲で嫌がる人をまきこむのは許せないよね。
たいへんになるのは解るけど、儀式を止める事より、生贄の人を助けるのがわたし的には目的だよ。あとで辛くなってもそれはディアボロスが頑張れ良い…じゃ駄目かな?
さて、わたしは『下層』に向かいたいわ。
”夜蝶の悪戯”で生み出した揚羽蝶を先行させて、哨戒させながら進むよ。
時間との戦いでもあるみたいだから、行き止まりとかを知れるだけでも十分かな。もし敵さんが居ても起爆はしないで避ける方向で考えたいわ、危険は避けるに限るわ。
でも罠を探るのは難しいから、できるだけ同じ方面に行く人とは協力してできる事を分担したいね。
闇が濃くなってゆく。
同時に、目指すべき場所も遠くないのだと判った。
「きっともうすぐ、だね」
呟きながら、ネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)は下層の道を行く。
ネリリもまた、生贄となってしまう人々を助ける事こそ自身の目的だと考えていたから。
(「私欲で嫌がる人をまきこむんだったら、許せないからね」)
今はその場所への道筋も終わりに近づきつつある。
仲間達が敵を引きつけてくれている間に距離を伸ばし――地理上で考えても、おおよそ最奥と思しき場所まで辿り着いていた。
「もう少し……」
ただ、そこも真っ直ぐな道が続いている訳ではない。
こちらを騙す仕掛けこそ、仲間達との遣り取りでその殆どが判明してはいるが……迷路自体がなくなる訳ではなく、複雑な道が交わっては分岐していた。
けれどネリリは惑わない。
「お願いね」
声と共に、ひらり、ひらり。
宙に羽ばたかせるのは、現実のものと見紛う揚羽蝶。
魔術によって虚空に顕現させたそれは、ネリリの意に従って分岐の先へ翔んでゆく。
するとネリリ自身にもその先の景色が視える。
視覚を共有している為だ。
「あっちは……違いそうだね」
ただの壁だと判れば、蝶をまた次の分岐へ。自身も調べながら、素早く正解の道を見つけ出してゆく。
すると段々と、人の気配が感じられてきた。
もう、壁を一枚隔てた先にはその場所があるだろう。
それでも最後には、見回してしまうほどの多叉路に行き遭った。見た目だけでは正解が判らず、調べるには時間がかかるだろう。
だからネリリは迷わず通信。
仲間へ状況を告げながら、自身は一番端の分岐に走った。
優先すべきは時間。だから仲間全員でそれぞれの分岐に行けば、誰かは素早く行き着くだろうという考えだ。
力技だが、これも仲間がいるから出来る事。
「こっちは、どうかな――!」
行き止まりが見えると、ネリリはその壁を調査。
すると当たりを引き当てたか……壁が凹んで横へスライドし始めた。
そしてこれまでとは景色の違う、竪穴のある空間へ行き着く。
その場所こそが、生贄の部屋。
仲間達も皆すぐに到達する、と。
時を同じくして、その竪穴の壁と床が砂となって崩れ始めていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】がLV2になった!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
ジズ・ユルドゥルム
上層
もはや奴らが火にくべる薪の如く人間を扱うことには驚きもない。
阻止するだけだ、いつものようにな。
さて、私の務めは上層探索班の露払いか。
探索班に追手が向かないよう、先んじてこちらへ敵を誘い出そう。
方法は…分かりやすく「大声」でも出してみるか。
「であえ、であえ!!曲者だ!!」
建物内に罠でも存在していれば、床や壁を観察して看破しつつ、敵を逆に罠にかけたいところだな。
探索班と鉢合わせしないよう連携し、進む方向に注意しつつ、移動しながら敵の数を確実に減らす。
敵の臨機応変な機動力は侮れんな。
だが、果たして不可視の刃を視るほどの目はあるか?
私には視える。
この地の砂と風は、我らとともにあるのだから。
空に近づいてゆく。
その感覚に反して、空気は重さを増すようだった。
(「祈りの部屋も遠くはないという事か」)
息詰まる感覚の中でも、ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)は足を緩める事なく上層の道を征く。
既に地上は遥か下方と言えるほどの高度を登っている。
この上で、首魁が儀式を行っているのだ。
目的の為に、人々を供物として捧げる事で。
「……」
もはや、敵が火にくべる薪の如く人間を扱う事にジズは驚きもなかった。
自分達は、そういう存在を相手にしている。
故にこそ。
「――阻止するだけだ」
凛然とした意志と共に駆けてゆく。
その先に、幾つもの気配がある事を察知していた。
先刻からも感じていたが、その数は増え、既に無視出来ない程と言っていい。最上層への到達を何より阻止したいという思惑なのだろう。
ならばこちらは仲間の到達の為、露払いをするまでだ。
「であえ、であえ!! 曲者だ!!」
大きく息を吸ったジズは、よく通る声音をわんわんと響かせた。
するとその誘い出しにのってクロノヴェーダ――鋭槍の守護者が奥の闇から走り出てくる。
近場に居たものは殆どが集まったろう。
これで仲間は探索に集中できる。
後は、叩くだけ。
さら、さら、とジズの黒髪が靡き始める。握った杖に風を渦巻かせ始めていたのだ。
視線の先は落とし穴の罠。
現れた守護者達は無論、起動させないように逸れて通り抜けようとするが……ジズはそこに杖先を向けた。
瞬間、風が刃となって飛翔。
衝撃で仕掛けを作動させ……まずは二体ほどを落下させる。
残る守護者達はそれを見て、罠から離れ始める。同時にこちらを囲もうと、数体が素早く横道に回り始めた。
「成程」
対応力に機動力、それが侮れないとジズには判る。
「だが、果たして――」
不可視の刃を視切れるほどの目はあるか、と。
ジズは杖をすべらかに薙がせた。
刹那、目に見えぬ風の刃が一層鋭さを増し、幾重にも分裂して宙を駆けてゆく。
雨の如く、或いは嵐の如く。空中を踊り舞う風の刃は視認は愚か、察知も回避も守護者達に許さず――その身を深く抉り裂いていった。
「私には視える」
――この地の砂と風は、我らとともにあるのだから。
ジズはそのまま自在に刃を奔らせ、守護者達を斃してゆく。
静けさが戻れば、また走り。仲間に一切の危険を及ばせず、その場の敵を殲滅していった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
平良・明
上層の方、トループス級の殲滅、お手伝いさせて頂きます
仲間が開いてくれた道、迷宮を一気に走り抜けて、救援機動力、というやつです
数と地形、陣形を活かす、手ごわそうな相手ですが、やる事は一つ
こちらも、連携と物量で制圧です、全部が全部、圧し潰して砕く
「インスタントトーチカκ」を用いて小さな岩塩の板を重ねて重ねて
次元から咲く花傘の如く、衝角にして突撃です
敵の陣形が崩れれば、盾を呼び出し槌を呼び出し、敵を砕いて制圧
この偽ピラミッドも今は楽しみますが、いつか全て粉々にします
階段を駆け、罠を避け、仲間が残してくれた道筋を辿る。
平良・明(時折の旅行者・g03461)は下層から上層へと走っていた。
最前線を進むメンバーには追いつけないだろうが……それでも皆が拓いてくれた道を急ぐ事で、その付近までは到達出来る。
目的は、敵を討つ事。
故に探索に加われなくても問題はない。
(「――そこに向かう敵さえ、殲滅出来れば」)
狙いの通り、最上層も遠くないと思える場所で敵の気配を感じ取った。
その付近を巡回していたようだが、更に先にディアボロスの存在を察知したのか……上へと取って返そうとしているようだ。
「させませんよ」
こちらは隠れるつもりもない。
真っ直ぐに突き進むと……向こうもまたこちら側に気づいた。
クロノヴェーダ――鋭槍の守護者。その武器を手に一体、また一体と集まり……即座に明を囲もうと広がってくる。
隙を見て道の反対にも回り、こちらの逃げ道を塞ぐ算段だろう。
(「手強そうな相手ですね」)
それでも、やる事は一つ。
「圧し潰して……砕いてみせますよ」
明は走りながらその手を前へ翳した。
瞬間、眼前の空間が僅かに歪み、そこに重量を感じさせるシルエットが顕現される。
――インスタントトーチカκ。
その力によって喚び出された岩塩の板。
一枚、二枚……幾重にも重ね、束ね、固められたそれは凶器と化していく。
刹那、明はそれを衝角にしながら突撃。敵が完全に散開しきる前に直撃を加え、まずは二体程を潰して撃破した。
守護者達はそれに焦ったか、陣形を崩して逐次に明へ反撃をしようとする。
明は冷静にその動きを見切り、最初に放たれた槍を回避。次にやってくる攻撃は……新たに呼び出した板を楯と成して防ぎきった。
敵が次の手に出ようとした時には、もう岩塩の壁が明への攻撃を通さぬ状況が出来上がっている。
明はそのまま、更に成長させた岩塩の塊を落とし……眼前の守護者を圧殺した。
それから回り込もうとしていた相手へも、逆に立ち塞がる。
敵の後ろに見える景色に、ふと意識をやった。上層の造りは下層とはまた違い、一層儀式めいた色合いが強かった。
この偽ピラミッドも、今は楽しんでみせるけれど。
「いつか全て粉々にしますよ」
意志と共に板をぶつけ、最後の守護者も打倒する。
敵の気配が消え去る。そこにはただ、静けさが降りていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【セルフクラフト】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
金刺・鞆
『上層部を探索』
ぴらみっど……王墓とされることが多い、ですが。少なくとも今は刻一刻と民たちの墓所となりつつあるのが痛ましく。
なれど、そちらに向かうのはみなさまにおまかせを。あばたーる級の撃破には戦力を要するでしょうから、ともは上に向かうことといたしましょう。
探索中は低速、低空……浮かぶ程度に【飛翔】を用いれば、足音や足元の崩落の対策となるでしょうか?
一度通った場所に何かしらの目印を残して、おおよその地図を書きながら進もうかと。目印と合わせて地形の変わる場所に警戒、です。
仕掛けの有無、巡回警備が付近にいないかよく観察、偵察。
付近の警備は後のいくさのため倒しておきたく。いざ先制攻撃と参りましょう。
静謐の濃さと共に、造りの荘厳さも度合いが強くなってゆく。
金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)は上層を進みながら、その景色に瞳を向けていた。
(「ぴらみっど……」)
その建造物は王墓とされる事が多い。
だが、今は刻一刻と民達の墓所になりつつある――それが、鞆には痛ましかった。
けれど生贄とされる人々の元へは、仲間が向かってくれている。
おそらくこのまま最下層に辿り着いてくれる事は間違いなく……だからこそ鞆は、倒すべき敵を目指す為に上へと向かう。
「ここは……」
と、鞆は前方を見据えた。
そこは真っ直ぐに伸びる道が続いていて、奥側の壁が見えないほどに長い。
見た目にはただの一本道にも見えた。
が、鞆はそこに潜む違和感にも早々に気づいている。
(「……床に、仕掛けがあるようで」)
薄い砂がまぶされる事でカモフラージュされているが、床となっている直方体の石と壁の間に、僅かな隙間がある。
重さがかかる事で下方に凹み……それが契機となって何かの仕組みが発動するのだろう。
「だと、すれば――」
鞆は横の壁を見た。
するとそれは一枚岩に見えるが、細かな瓦礫が積まれた物だと判った。即ち床が凹む事で、それらが一斉に崩落してくるという罠だろう。
ただ、それさえ判れば脅威ではない。
鞆は足音を消し、罠も警戒する為……既に低空を飛翔していた。
故にそのまま前進。重量がかからなければ仕掛けは動かないらしく……無事に突破する。
ただ、油断はしない。
上層も終端に近い感覚があるが、道の複雑さも更に増していた。
とはいえ、鞆は一度通った場所に目印を描き、地図を残しながら動いている。仲間と通信を交わしながら情報も補強する事で、ほぼ正しい構造が判っていた。
「そういうこと、ですか」
鞆は地図を確認して呟く。
最奥への道に出たかと思いきや、また同じ場所を巡る、という地形に出くわしていたのだが……全く同じ景色の空間が幾つも用意されていたと判ったのだ。
鞆は仲間と手分けし調査。自身は一番辿り着きにくかった場所へ向かう。
すると……。
「正解、でしょうか」
柱の並ぶ道から、初めて見た階段に行き着く。
鞆はすぐ皆へ通信した。
その先に、禍々しい気配を感じたのだ。
間違いなく、そこが祈りの中枢。敵の首魁のいる最上層だ。
排斥力は僅かにだけ働き始めているようだが、十分に戦う事は出来るだろう。
鞆は追いついた仲間と共に……そこを上ってゆく。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
プターハ・カデューシアス
部屋の崩壊が始まったようですね
細かい説明するのが省けますが、急ぎましょう
まだ状況が分かっていないのなら取り急ぎ説明
「貴方達は、信じる神に裏切られました
もうすぐこの部屋もピラミッドも崩れます
命が惜しくば、ここから脱出を
まだ祈りを続けたいなら、止めませんが
信じるものを生贄にする神など、
自ら捨てることをお勧めします」
手段としては崩れる壁の代わりに
仲間と共に【セルフクラフト】で作ったブロックを出口に届くよう階段状に設置
そこを登るのも大変でしょう、防災バック内のロープを設置し登りやすく工夫
健常者にはそこから逃げてもらい
負傷者や力のない人は【フライトドローン】と自身の【飛行】で確実に出口に運びます
連携歓迎
クィト・メリトモナカアイス
――聞こえた。
声が聞こえたのなら迷わない。助ける。
【勝利の凱歌】は使用。色々あるだろうけど今は生きることに希望を持ってもらう。
汝らの祈りは神には通じず。
神は人を助けない。あの時もそうだった。
生きる道は汝らが見つけるといい。
切り開く術と力がないならそれでもいい。
我が守る。
プターハや他の復讐者と一緒に【セルフクラフト】。1×1mのブロックを組み合わせて階段状にすることで上って3mの竪穴から出られるようにする。
こっち。急いだほうがいい。
弱っている人や1×1mの段差を上るのに苦労しそうな老人や若い人は我が手をつないで【壁歩き】で一緒に上る。
シャムス・ライラ
仲間と情報共有、連携
【過去視の道案内】【パラドクス通信】目印等を活用
素早く生贄の部屋へ
【友達催眠】で真摯に語りかけ
生贄達に避難してもらう
現状でわかるように
このままここにいれば命はない
どうか速やかに避難してほしい
可能な限り手を貸そう
可能なら【勝利の凱歌】で皆の心を奮い立たせつつ
【活性治癒】で傷を癒す
【地形の利用】【情報収集】を駆使し
仲間と手分けし、効率的に救助を
【フライトドローン】に持ち込んだロープや縄梯子を繋ぎ
動かせる1機のドローンに連結させる等
なるべく多くの人数を穴から引き上げられるよう工夫
「客の訪い」でアナグマ等穴掘りの得意な動物を【契約】【召喚】
埋まった人の救援を
アドリブ等歓迎
モリオン・スモーキー
仲間と情報共有、連携を密に。
アドリブ/連携歓迎。
【アイテムポケット】に縄梯子を持ち込めるようでしたら持ち込んで、
【過去視の道案内】【パラドクス通信】目印等を活用し、
素早く生贄の部屋へ向かいます。
説明は皆様に任せて脱出のための準備を。
怪我人に【活性治癒】を行い、治療を。
治りきらない、力のない人場合は【フライトドローン】に乗ってもらい、出口へ。
歩ける方は共に脱出を。
登れなさそうな場所は【セルフクラフト】で作ったブロックを階段の様にして登りましょう。
大丈夫です。共に支えあえば脱出が出来る。
我々はあなた方と共に生きるために来たのです。
味方と手分けして急ぎ脱出を!
ネリリ・ラヴラン
おまたせ、ネリリちゃんが助けに来たよ。
まあ、初めましてなんだけどね、細かい事は気にしないっ。
切羽詰まってるけど明るく振舞うよ。焦りを伝えて良い事はないからね。
まずは【照明】代わりに光源をPDで用意するよ。穴の下の方は見えにくいかもだし、作業するにもやりやすくなりそうだからね。
【セルフクラフト】で穴の中に足場を作って登りやすくしたいわ。でも数が必要かもだからしっかり協力して手分けしたいね。歩けない人がいたら、直接手を貸して他の人が準備してくれてるフライトドローンで運びたいね。
乱入者を一応警戒して出入り口の傍を避けた所に集まって貰って、全員揃ったら脱出かな。
アドリブは好き&連携は必須だね。
――聞こえた。
クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)はそこから響く幾重もの悲鳴、そして無我夢中に助けを求める声を確かに捉えていた。
ならば迷わない。
「助ける」
「ええ」
合流するシャムス・ライラ(極夜・g04075)も短く応え、視線を前方にやる。
こちらが目指す先を導くように、影が道の先へ滑っていくのが見えていた。
「あの先ですね」
「急ぎましょう」
モリオン・スモーキー(存在奪われし魔術発明家・g05961)も言葉と共に疾駆。仲間が作ってくれた道筋を辿り、分岐の先へ向かい――生贄の部屋に辿り着く。
そこに劈くのは、人々の混乱の声だ。
「……崩壊が、始まっているのですね」
プターハ・カデューシアス(エジプトの龍人・g03560)は素早く視線を奔らせる。
竪穴の壁と床は既に砂となり、足がかりはない。
中にいる生贄は一見には数え切れぬ数で……その皆が独力で抜け出すすべを持たぬ、力なき人々だった。
そして今尚何が起きたのかも判らず、埋まってゆく足元に恐怖を浮かべている。
だからネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)は皆へ顔を向け――。
「おまたせ、ネリリちゃんが助けに来たよ」
そう明るく伝えてみせた。
「まあ、初めましてなんだけどね」
細かい事は気にしないっ、と。
ふわりと竪穴の中に降り立って手をのばす。
瞬間、光を抱く魔法球が顕現した。
――満月の誘い(ロスト・リアリティ)。
ネリリの意に従って眩さを増すそれは、薄暗闇を克明に照らし出して空間を明るくする。
「これで作業には問題ないかな?」
「助かります」
言ったモリオンも素早く飛び降りると、足を取られて倒れていた者を助け起こし……他にも動けぬ者がいないかどうかも確かめ始めた
人々はそこでこちらに目を向けてくる。
「あなたたちは……? これは、一体……」
「もうすぐ、この部屋もピラミッドも崩れます」
静やかなまでの声で答えたのはプターハだった。
「貴方達は、信じる神に裏切られました」
起きた出来事を、真実を、悪戯に覆い隠す事はしない。それは冷酷というよりも、人々を覚ます為の冷静な判断だ。
故に命が惜しくばここから脱出を、と。
それに対し……最初は否定をする声が幾つも上がる。
だが刻一刻と動く状況が、何よりプターハの言葉を証明していた。
クィトもそんな皆へ視線を奔らせる。
「汝らの祈りは神には通じず。神は人を助けない」
あの時もそうだった、と。
思いと共に、現実を突きつけるように。
それに黙した人々を、プターハは皆回してみせた。
「まだ祈りを続けたいなら、止めませんが。信じるものを生贄にする神など、自ら捨てることをお勧めします」
「だが……」
と、人々は僅かに惑いを残す。
神に祈り、時に縋ってきた。
そんな自分達が信奉を捨て、何を思い、どうやって生きていけばいいのかと。
だからクィトは、砂塵の中に響き始める勝利の凱歌の中で皆へ伝えた。
「生きる道は汝らが見つけるといい」
そうするしかないのだから、と。
「切り開く術と力がないならそれでもいい。我が守る」
「……」
「このままここにいれば、命がないのは確かな事」
シャムスも言いながらドローンへ縄梯子を結びつけている。
故に今はただ、どうか速やかに避難してほしいのだと。
「可能な限り手は貸します。その為に来たのですから」
「大丈夫。ちゃんと皆、助かるよ」
ネリリも言葉を重ねると、人々は顔を見合わせる。
それから一人が、示された縄梯子を握ると……他の面々も一人、また一人と脱出の意思を表し始めた。
ディアボロス達は皆で頷き合う。
己が為に人を贄にする、信ずるべからざる神。
そこに自身の心と魂、そして命の全てを捧げようと思う者はもう、ただの一人も居なかった。
広大とは言えぬ竪穴。
そこに押し込められていた人々は、およそ百人。
足元だけではなく壁までもが形を失ってゆくその場所の中では……皆が生きる意思を持っていようとも、容易に事を運ばせぬだけの人数だ。
それでもモリオンは焦りなく、人々の間へ。
「こちらへ」
と、老齢の者を見つけるとドローンへ乗ってもらう。
それをそのまま上に向かわせて退避してもらうと……それを繰り返し、まずは力のない面々から運び出していった。
その間にシャムスも、縄梯子を幾つものドローンに結びつけ終えている。
後はそれらのドローンを、動かせる一機のドローンに連結させて。
「しっかり掴まっていて下さい」
梯子に手と足をかけた人々へ呼びかけてから、動かす。
すると他のドローンも同じ方向に追従する形となり、梯子を自力で登れぬ者も上へ運んでゆく事が出来ていた。
とはいえ、一度に数人程度となればまだ避難完了には遠い。
故にクィトも油断なく……並行してコンクリートの塊を生成。
まずは床に接した場所に置き、最初の足場とした。
「この上に」
「うん。判ったよ」
応えたネリリもまた、そこにブロックを顕現。
階段状に積み上げて、穴の縁に登っていける形にしていく。
「後は……」
「上はお任せを」
ネリリに言ったプターハは、穴の上から下まで届くロープを垂らす。
出来た階段のおかげで、一度に登ればいい高さは一メートル。
ロープを頼りにすれば、上がれない高さではないだろう。
「登れる方々は、こちらから」
「ん、急いだほうがいい」
プターハと共にクィトもまた人々へ呼びかける。
階段自体は頑丈なものだが、その土台となる床や壁は今も崩壊が進行している。決して安心出来る状況ではないのだから、と。
その言葉に、若い者達が中心となってブロックを登り始める。
一時は混乱と絶望の底にあった人々の中にも、安堵の表情を浮かべる者が出てくる。
ドローンでの救助も続き、加速度的に穴から脱出する人数が増え始めていた。
ただ、懸念も杞憂には終わらない。
崩壊は更に進行し、足元の不安定さも一秒ごとに増してゆく。
いつしか沼に嵌ってしまったかのように……人々は歩むどころか、穴の中で身動きをとる事すら容易に出来なくなり始めていた。
だが、それでもネリリは人々を悪戯に焦らせず。
「全員、助かるからね」
言うと動けぬ一人を砂から引き上げて……仲間にも視線を向ける。
「そっちはどう?」
「問題ありません」
応えたのはシャムス。
こちらにも自力で脱出出来ぬ者がいたけれど……シャムスはその傍へゆらりと陽炎を靡かせ始めていた。
――客の訪い(マロウドノオトナイ)。
黄泉の力に呼び起こされた揺らめきは、徐々に四肢を持った形を取り始めていく。
その内に砂へと降り立ったそれは、アナグマ。シャムスの意に沿うように高速で砂を掘り起こし、埋まりかけていたその一人を救出した。
もし誰も助けに来ていなければ、全ての人間が埋まっていたかも知れない頃合い。
だがまだ誰も犠牲になっていない。
だから最後まで、一人も取りこぼしはしないのだと。クィトはシャムス達が助けた中で、体力を失っている者を見つけると……自身がその手を取って。
「連れて行くから」
そのまま力を貸しつつ手を引いて、壁歩き。
一歩一歩、導いていくように穴の外にまで一緒に登っていった。
他にも、砂に足を取られて怪我をしていた者もいたが……モリオンが見逃さず、介助しながらドローンへ乗せてゆく。
時間に猶予はない。
今も尚、少し行動が遅れれば犠牲になってしまう人が出てもおかしくない状況だ。
その恐怖に不安を口にする者も少なくはないけれど。
「大丈夫です」
と、だからこそモリオンはそんな彼らへ言葉をかけた。
「共に支えあえば脱出が出来る。我々はあなた方と共に生きるために来たのです」
それは人々にとって、絶望の淵で光り輝く希望に思えた事だろう。
頷く彼らは、決してパニックには陥らず……こちらの言葉をよく聞いて動いた。
そうして一人、また一人と竪穴から抜け出していき……残りも十人程度となる。
そうなっても皆は最後まで気を抜かない。
砂が崩れてコンクリートブロックが傾けば、決して焦らず安定を保ち直してから避難を再開させて。
自力で登れぬ者に対しても、根気強くドローンや壁歩きを使って一人一人を外に運び出す。
「さあ、行きましょう」
足を挫き、砂に転びそうになったものを支えて……プターハはそのまま体を抱える。
そしてふわりと上方まで飛翔して助け出した。
それが、最後の一人。
直後には増していた轟音が一層大きくなって、竪穴が原形をなくしてゆく。
程なく完全に崩れ去るだろう。
「それじゃ、部屋から出るよ」
ネリリは外からの危険を警戒し、出入り口の傍を避けたひとところに人々を集めていた。
その全員が頷く。
今はまだ、この闇から抜け出して、その先に何があるのかは判らないけれど。
それも自身で決めて歩んでいく為に。
一人が外に向かえば、それにまた一人が続き。嘗て生贄だった百人もの人々が……自分自身の足で歩み始めていた。
「このままついてきて」
クィトがその先頭で皆を導いていくと、シャムス、モリオン、プターハ、ネリリもまたそれに続き、人々を警護して進み出す。
そうして上層との連絡も欠かさずに……皆で地上へ急いだ。
眩い太陽の光は、もうすぐそこだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV2になった!
【壁歩き】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!
【先行率アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
御守・樹
アドリブ連携OK
パラドクス通信で下層の様子を確認。戦う際中、常に気を遣うわけではないけどそれでも救出を優先したいから。
手加減できる相手じゃないってのはわかってるけど、それでも救出終了まで止めを刺さないようにする。
いつも通り【モブオーラ】を纏って【忍び足】で移動、隙を伺って【ダッシュ】で一気に近づきパラドクスで攻撃を。一撃入れる事が出来たら【一撃離脱】で一旦離れて再度次の攻撃の隙を伺う。
鷲のミイラには姿を隠す事でやり過ごしたいけど、無理なら銃撃で翼を狙い最低でも飛ぶことをやめさせる。それだけでもこちらの邪魔する方法は制限する事は出来るだろうから。
平良・明
説教する気も無いので、事実だけ述べましょう
ホルスの目は飾りではない、信じるとは、目を開く事
目を閉じたまま、信じた振りをすることを盲信と呼ぶのです
私は、それがとことん嫌いなので、偽神、粉々に砕けて砂に還ってもらいます
パラドクス通信で声が聞こえればもっといいですが
私は目に見えない事も、救出に向かっている味方を信じているので全力で
「インタントトーチカκ」を用いて戦闘
呼び出した板や「セルフクラフト」で壁面に足場を作ったりしながら
敵の攻撃の気配をよく「観察」して見極め
砂嵐を起こそうとした所に合わせてこちらも攻撃
岩塩の板で砂嵐ごと敵を封じ込め
自分で作り出した呪いの砂嵐に巻かれるといいでしょう
大総・統
フハハハ、ここが祈りの間とやらか!
やはり、一度は観光に…今後も踏まえ情報収集しておかねばな!
(戦闘に支障はまだ出てないが、下の方も崩壊しつつあるって話だし、これが排斥力か…? こう、体感的になんか喉に刺さった魚の小骨のような感じかな…お、喉を針鼠にされたらヤバいやつだコレ!?)
敵の攻撃の際は、不穏な動きに対処出来るように、可能な限り《看破》して立ち回るとしよう
ククク、鷲のミイラたちまで召喚してくるか
エンネアド配下の幹部なら、戦闘員を擁していても不思議はない。むしろ様式美だな!
ならば、我がアーツ【内へと穿つ世界の裂け目】にて、その鷲ごと飛んだり、這いずったり出来なくなるほど《破壊》してくれよう!
金刺・鞆
計略において、戦力の逐次投入は基本避けるべきこと。【パラドクス通信】での連絡が可能であれば、下層の救助の様子を確認後にみなで攻め入りたいところ、です。救えるものは、すくいたい。
きさまが此度の儀式とやらの首魁か。民の信心をもてあそび、苦痛を与えて力を得ようとするその企み――わたくしの最も嫌うものと知れ。
喚ばれたのは木乃伊……つまり死体、か?
なれば、【腐食】で動きを鈍らせる程度のことはできるやも。翼や足、動き回るのに重要な器官を狙って、敵本体ごとを両断してみせましょう。
金刺当家の祀る国津の水神、その荒魂に込められし呪詛と――木乃伊と成り果てたものへの魂に浄化の力をのせて、水の刃で切り捨ててくれる。
階段の先に、確かにその気配を感じる。
静寂に張り詰める空気の中で……金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)はそれでも焦らずに仲間を待っていた。
計略において、戦力の逐次投入は基本的に避けるべき事。
故に悪戯に急がず、下層の面々とも通信して。
「……そう、ですか。良かった」
「救助が始まったみたいだな」
と、御守・樹(諦念の珪化木・g05753)もまた仲間と連絡を交わしながら合流してくる。
生贄の部屋では作戦通りに事が運んでいるようだった。
順調に行けば、人々は助かるだろう。
ならばこちらもやるべき事をやるだけ、と。
樹と鞆が頷き合えば、そこに大総・統(秘密結社ラグナロクの大総統・g00589)もまたやってくる。
「待たせたな!」
「これで全員ですね」
言って階段の先を仰ぐのは、追いついてきた平良・明(時折の旅行者・g03461)。
このメンバーで、強大な敵を倒し切る。
決めれば後は早く……皆で階段を駆け上がり、その部屋へと飛び込んでいった。
薄闇の中に、精緻な彫刻の石柱が並んでいる。
そこは重たい静けさに沈む荘厳な空間だった。
「フハハハ、ここが祈りの間とやらか! やはり、一度は観光に……いや、今後も踏まえ情報収集にきて損はなかったな!」
統は言いつつ見回す。
そこは名の通り、確かに祈りの為に造られたとしか言えぬ眺め。余分な装飾の排された中に、神聖さすら感じられる色合いが広がる光景だ。
だが、それは見目だけなのだともまたディアボロス達には判る。
真に在るのは神聖さよりも禍々しさで。
揺蕩っているのは聖なる空気よりも淀んだ気配。
何よりその中枢で立ち上がった存在が……歴史に仇なすクロノヴェーダに他ならないのだから。
「ディアボロス……」
憎々しげに呟いたその敵影は、鷲使いのナスル。
鈍く光る瞳に、殺意を滲ませてこちらを睨んでいた。
鞆はぱらりと扇を広げて戦いの態勢を取る。
「きさまが此度の儀式とやらの首魁か」
から、と。
下駄で床を踏み、一歩近づいて。
「民の信心をもてあそび、苦痛を与えて力を得ようとするその企み――わたくしの最も嫌うものと知れ」
「……信心、か」
ナスルは歯噛みしながらも……反抗の意を示すよう、嘲りを浮かべた。
「そう、信心だ。あの人間共は自身の心で、望んでここへやってきた。貴様らさえ余計な事をしなければ、信心を全うして死ぬ事が出来たのだ」
いかに苦しもうと、それもまた自らの信心が招いた事なのだから、と。
「それを邪魔するというのなら、貴様らこそ民の信仰を否定している」
言葉と共にナスルは死の風を揺らめかせ始める。
それに明は、一度だけ目を伏せていた。
「説教する気も無いので、事実だけ述べましょう」
そして壁に刻まれたホルスの目を見やって言葉を続ける。
「ホルスの目は飾りではない。信じるとは、目を開く事。目を閉じたまま、信じた振りをすることを盲信と呼ぶのです」
「そう」
と、鞆も声を継ぐ。
「それを強いるのならば、それこそ民の心を踏みにじり、己が糧の為に利用しているだけ」
「そしてあなた自身の信仰もまた盲信に他ならない」
ナスルへ言った明は、手元に白煙の如き成分を凝集させていた。
「私は、それがとことん嫌いなので――偽神。粉々に砕けて砂に還ってもらいます」
瞬間、形作られたのは岩塩の塊。
ナスルはそれを攻撃の機と見取ってか警戒を浮かべる……が。
初撃はそれとは全く別の方向だった。
極限まで気配と足音を殺し、樹が死角に走っていたのだ。
「……!」
ナスルははっとして振り返るが、遅い。
樹は小型拳銃を真っ直ぐに突きつけて……発砲。眩いマズルフラッシュと共に弾丸を放ち、ナスルの膚を穿っていた。
血煙にも似た飛沫が弾ける。
ナスルはそれでも倒れず反撃を目論む、が。
「させはしませんよ」
そこで明が攻撃。岩塩の塊を大ぶりに振るい、苛烈なまでの殴打を加えていた。
ナスルは石床を大きく滑って後退。
僅かにだけよろめく、が、それでも体勢を直して一層鋭い敵意を表した。
「いいだろう。ならば排除してくれる」
手をのばすと、その周囲に淀んだ霧が立つ。
直後に虚空に喚び出されたのは、干からびた翼で羽ばたく鷲の群れだった。
鞆は瞳を細める。
「あれは、木乃伊……」
「ククク、なるほどな」
と、統は怯むでもなく笑ってみせていた。
「エンネアド配下の幹部なら、戦闘員を擁していても不思議はない。むしろ様式美だな!」
フハハハと胸を張るその様相は、好敵に寧ろ歓迎をするようでもある。
が、そんな素振りをしつつ、統は同時に体を蝕む違和感に気づいてもいた。
(「これが排斥力か
……?」)
戦いにはまだ大きな支障が出るほどではない。
だが……。
(「こう、なんか喉に刺さった魚の小骨のような感じだな……。お、喉を針鼠にされたらヤバいやつだコレ!?」)
一瞬置きに少しずつ、その度合いが増してくる。
あくまで態度には出さない。
が、それでも統はここは急ぐべきと即断した。
「ならば、我がアーツを披露してやろう! 開け、世界の裂け目!」
瞬間、周囲がばちりと漆黒に明滅する。
直後に開いたのは異空間に繋がる穴だった。
――内へと穿つ世界の裂け目(ユーバーファル・ギンヌンガガプ)。
統がそこへ拳を打ち込むと、異空間を介して拳が瞬間移動。鷲のミイラを捕らえ、重い衝撃でその体を四散させた。
そのまま鷲を二体、三体と打倒し……ナスル本体をも掴み上げて一撃。片腕をへし折ってみせる。
「……っ!」
ナスルは苦悶に顔を歪め、数歩ふらつく。
だがそれでも譲るつもりはないのか、逆の腕を突き出して鷲の大軍を増やしてきた。
数え切れぬそれは、こちらの視界を塞ぐまでになってゆく。
「……」
だが鞆は、そこに付け入る隙もあると気づいていた。
ふわりと薙がせた扇に、腐食の力を乗せる。
と、鷲が急速に動きを鈍らせ始めた。
ミイラであるからこそ、腐る事を避けられてきた。その躰がまるで時間を思い出したかのように朽ち始めたのだ。
そのまま鞆は自身の周囲に水流を巡らせる。
金刺当家の祀る国津の水神、その荒魂に込められし呪詛を纏い顕現したものだ。
――荒魂水刃。
呪詛と共に、木乃伊と成り果てたものへの魂に浄化の力をのせて……生み出した水の刃は鋭く、疾い。
刹那一刀、放った斬撃はミイラを払い、ナスル本体をも袈裟懸けに斬り抉った。
深い衝撃にナスルは吹き飛ばされて床に転げてゆく。
未だ残る鷲もいるが……それが一体、また一体と落下していた。
樹が銃で撃ち落としていたのだ。
(「数は、多いけどな」)
樹の機動力であれば、石柱の陰に隠れて攻撃をやり過ごしつつ撃墜する事は難しくはない。
そのままナスルが止まっている僅かな時間に、翼を貫き、体を砕き。樹は残る鷲の全てを撃破した。
呻くナスルが立ち上がり、再度鷲を呼び寄せようとする。
だがその頃には……樹が近距離へ。
「悪いけど、そこまでだ」
直前まで死角を保ったまま、ナスルへ発砲。残る片腕を根元から貫通させた。
倒れ込んだナスルは、既に死の淵にあった。
だが這い上がるように体を起こす。
「おのれ、ディアボロス……」
声音にあるのは自身の思惑通りに運ばぬ苛立ちと、ディアボロスへの深い憎しみ。
それでも最後に自分が勝てばいいのだと言うように。
「ここで、潰えさせてくれる」
直後、四方に風を渦巻かせた。
砂塵を伴うそれは、嵐の如く巨大になってゆく。
呪いの砂を込めた暴風。それによってこちらを飲み込んでしまう策だろう。
それは確かに強力に違いない、が。
「喰らいませんよ」
それが飛んでくる瞬間、明は壁にコンクリートの塊を作り……足場にして跳躍。衝撃の塊から素早く回避する。
そのまま次撃が飛来する直前に岩塩の板を射出。ナスルを四方から閉じ込めた。
「自分で作り出した呪いの砂嵐に巻かれるといいでしょう」
「……っ!」
直後、ナスルは自身の放った嵐に飲み込まれて一時身動きが取れなくなる。
それでも足掻くように岩塩を払い、脱出を試みたが……。
「逃れられると思わぬ事だ!」
間合いを取った位置から拳を振りかぶるのが統。
刹那、放たれた一撃が異空間への裂け目からナスルの頭上に出現。直撃によってナスルに膝をつかせる。
樹はそこに狙いをつけながら……下層と通信を交わしてもいた。
直前まで、仲間達が生贄だった人々と共にピラミッドからの脱出を続けていた。
それが今、完了したと伝わったのだ。
「皆、無事だ」
「ならば――」
後はこの戦いを終わらせるのみ、と。
鞆もまた頷いて水流の刃を鋭く研ぎ澄ます。
ナスルは最後まで抗おうとしていた。が、樹はそこへ躊躇わず銃弾を放つ。
風を裂くように一直線に飛んだ弾丸は……違わずナスルの胸を貫いた。
同時、鞆が刃を奔らせる。
一閃に振るわれたそれは、企みも悪意も、全てを斬り捨てるように。ナスルを両断して消滅させていった。
轟音が響く。
ピラミッドが崩れ始める中、ディアボロス達は脱出を始めた。
迷路を下る必要はない。天井が崩壊すると……皆でその隙間から飛翔。空から地上を目指してゆく。
降下しながら、明はそこに仲間と助かった人々がいるのを見た。
「皆さん、問題ないようですね」
「うむ、我らの勝利という事だな!」
見るものも見れたので、統も満足の心持ちで勝利宣言。
「何より、です」
人々の顔が明るそうだから――鞆もまた呟く。
地面に下りると、樹は周囲を見回して。
「それじゃ、とりあえずここを離れるか」
まずは人々を安全な場所へ誘導。
そうして皆が帰途につける、その算段が出来ると……自分達もまたパラドクストレインへと足を運ぶ。
未だこの時代は、予断を許さぬ状況だ。
それでも最後に振り返った景色には……淀んだ薄闇にはない、陽光に照らされた眩い爽風が吹き抜けていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【モブオーラ】がLV2になった!
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