リプレイ
エレオノーラ・アーベントロート
〇アナスタシアさん(g00340)を援護・適宜ディフェンス
うふふ。わらわらと飛んでいますわね。羽虫のようですわ。
羽虫は羽虫らしく――墜としてしまいましょうか。
数で負けている分は1対1の的確な援護でカバーしましょうか。
【飛翔】で空中戦。アナスタシアさんをロッテの長機、自身を僚機とし攻撃の隙を埋めるように後方上空から援護。
アナスタシアさんの攻撃の隙に攻撃のために高高度を取ろうとするサンダーブリッツを「第十三の魔弾【愛執】」で狙っていきましょうか。
仮に高高度を一度取られても【愛執】の誘導弾ならジグザグに落下してくる敵も狙えますわ。
気にされるのは前だけで構いませんわ。こちらはお任せくださいませ。
アナスタシア・コルヒドレ
アドリブ共闘歓迎
ここで帝国の資源を枯渇させることができれば……三度目の正直なんて現実にはない。この二回目で決めたい!
制空権を取られたら苦戦は必至、私はダメでもみんなが進行しやすいように、【突撃】するよ!
いくら訓練されてても航空で陣形を立て直すには数秒ほどかかるはず。単独で突っ込んでくることもないなら……
ツインジェットパックで【飛翔】して、【戦闘知識】を元に敵陣形を【情報収集】。得られたら煙幕をありったけ【投擲】【攪乱】。
即座にMGとСиняя вспышкаで【制圧射撃】。
これはあくまで【時間稼ぎ】、地上に行く人たちが進行しやすいように、どさくさに紛れて地雷やバリゲートを【爆破】するよ!
シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携は歓迎
待ち構えられて釣り出しもできないのは厄介。
地雷原の上を【飛翔】でランダム回避運動しつつ、パラドクスで生み出す呪詛の『手』や弓での地対空攻撃や急上昇突撃。
敵が接近してくるなら【トラップ生成】したボーラ・ネット弾・ワイヤか『手』で【捕縛】して地雷原に叩き落す。
アナスタシアがかき乱して皆が高機動戦するなら下から気を引くのも援護。
不自然な動きは罠と思えが方針なら余計に警戒してくれるかも。
集中攻撃されるリスクはあるし本当に危険なら一旦退いてやり直す。
【フライトドローン】【完全視界】があるから閃光弾や煙幕も追加したトラップをドローンに搭載して特攻や妨害をさせられるか試す。
ダメで元々。
●序幕
レールが敷かれていない岩場に、JR山手線の車両に似た列車が停まっていた。
異様な光景ではあるが、その列車がパラドクストレインとなれば、話は別だ。
「第二次ルール炭坑破壊作戦か……」
車両側面に並ぶ黄緑色の扉が一斉に開き、将官用の軍服を纏った女がそのうちの一つから降り立った。
『第二次』の部分に苦い思いを込めて呟いた彼女の名はアナスタシア・コルヒドレ(蒼炎の閃光(ひかり)・g00340)。サイボーグの殲滅機兵である。
「三度目の正直なんて、現実にはない。この二回目で決めたい」
「そうだね」
アナスタシアの熱の込もった独白に対して、二人目の降客が淡々とした調子で頷いた。鬼人の少女――シエルシーシャ・クリスタ(鬼人の妖精騎士・g01847)だ。
シエルシーシャはアナスタシアの横に並び、岩場の向こうに広がる荒野を見やった。
遙か彼方では白灰色の細い線が水平に伸びており、その上空をいくつもの小さな黒点が飛び回っている。
もちろん、細い線に見えるのは距離があるからだ。荒野のそこかしこに仕掛けられた地雷を避けて傍まで行けば、その正体が高さ三メートル超の防壁であることが判るだろう。そして、黒点の群れが空戦型ゾルダートであることも。
「うふふ……」
静かに笑いながら、黒いジャケットを着た三人目の降客がアナスタシアとシエルシーシャの間に立った。
エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)。アナスタシアと同じくこのディヴィジョンの出身者であり、シエルシーシャと同じく鬼人である。
「羽虫のようにわらわらと飛んでいますわね。ならば――」
エレオノーラは地を蹴り、空へと舞い上がった。
「――羽虫のように墜としてやりましょう」
「うん」
アナスタシアがフライトデバイスのジェットを噴かし、エレオノーラの後に続いた。
「私は下のほうから行くね」
シエルシーシャもまた飛び立ったが、他の二人ほどの高度は取らなかった。
●シエルシーシャ・クリスタ(鬼人の妖精騎士・g01847)
アナスタシアとエレオノーラは高いところを飛んでいるけれど、私は地面の数メートル上を飛行中。高見の見物ならぬ低見の見物……ってわけじゃないよ。見物を決め込む振りをしても無駄だってことは判ってる。あのゾルダードたちは釣り出しが通用しない厄介な連中らしいから。
もっとも、釣り出しに乗ってこなくても、縄張りに足を踏み入れられたとなれば、無視するわけにはいかない。私たちが距離を縮めていくと、敵のほうも編隊を組んで、こちらに向かってきた。
「数では敵いませんが――」
空からエレオノーラの声が落ちてきた。
「――不足分は的確な援護でカバーしましょう」
アナスタシアはなにか返事をしたようだけれど、それは聞こえなかった。『ダダダダダッ!』という銃声にかき消されたから。
私は体を回転させて背面飛行に移り、上空の様子が視界に入るようにした。
敵たちが機銃を撃ちまくってる。アナスタシアとエレオノーラはジグザグに動いて、それらを回避している。
回避だけじゃなくて、反撃も忘れてない。アナスタシアが敵の動きを鈍らせるために煙幕を発射し、峰のところにブースターがついた大きな剣をぶんぶんと振り回し、更に機関銃も撃ち始めた。
凄い迫力ではあるけども、あまり効果的とは言えない。機関銃の流れ弾が次々と降ってきて、そのうちの何発かが地雷に命中して爆発が起きた……あ? 違う。これは流れ弾なんかじゃない。乱射しているように見せかけて、地雷を取り除いてるんだ。
やるね、アナスタシア。
でも、間違って私に当てたりしないでね。
●アナスタシア・コルヒドレ(蒼炎の閃光(ひかり)・g00340)
「数ではとても敵いませんが、不足分は的確な援護でカバーしましょう」
「うん、お願い」
私がエレオノーラさんに答えるのと同時に敵部隊が機銃掃射を開始した。
規律の取れた攻撃だけれど、感心している暇はない。私はツインジェットパックの出力を上げ、左から右へ、上から下へ、右から左へと見せかけて更に右へ……と、不規則な軌道を描いて、弾雨を避けた。こういう時、このジェットパックは本当に頼りになる。ただし、可燃性の燃料がたっぷり詰まってるから、一発でも被弾したら、爆発を起こすかもしれない。気まぐれな死神と一緒に戦っている気分。
死神を背負った状態で銃撃を回避しつつ、私は敵のフォーメーションを把握した(規律が取れているので、動きも捉えやすいよ)。そのフォーメーションを崩せるよう、発煙弾を発射。でも、広大な空中にいることもあって、さしたる効果はなかった。
だったら、普通に攻めるしかない。回避の機動に接近のそれを織り交ぜ、ジェットエンジン突きの曲刀『Blaue Flamme』を振り抜く。三日月型の青い炎が飛び、敵の一機に傷を与えた。
ついでに機関銃を連射。これはパラドクスを伴った攻撃でなかったので、敵にはまったく効かなかった。おまけに流れ弾が地上に落ち、いくつもの地雷が爆発することとなった。
でも、問題なし。
出鱈目に乱射したように見せかけたけど、実はそれこそが私の狙い。地上を行くディアボロスもいるかもしれないから、地雷を出来るだけ処理しておいたんだよ。
その戦果を確認するために地上に目をやった直後、周囲が薄暗くなった。敵機が真上に現れ、陽光を遮断したの。
だけど、そいつは私を攻撃することなく――
「目障りですわ!」
――砲弾らしきものを受けて、横手に吹き飛んでいった。
言うまでもなく、その砲弾の撃ち手にして叫び声の主はエレオノーラ。
「気にされるのは前だけで構いませんわ。こちらはお任せくださいませ」
頼もしい言葉を口にしながら、彼女は別の敵にまた砲弾を浴びせた。
●エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)
わたくしの基本位置はアナスタシアさんの後方上空。
彼女に狙いを定めたと思わしき羽虫に狙いを定め、レールガン『フェアレーター』から第十三の魔弾『愛執』を発射! 発射! また発射!
……と、羽虫の駆除に精を出していたのですが、羽虫どもはアナスタシアさんだけを狙っているわけではありません。そう、わたくしもまた羽虫どもの攻撃の対象。
一匹の羽虫が不遜にもわたくしの頭上に陣取ったかと思うと、急降下して迫ってきました。落雷もかくやという勢いです。
しかし、わたくしは慌てず騒がず真横に飛び退きつつ、『フェアレーター』の銃口を斜め後方に向けてトリガーを引きました。照準はおおよそで充分。『愛執』は誘導弾なのですから。
発射の反動で少しばかり高度が下がると、その隙を衝くかのように(わたくしに言わせれば、そんなものは『隙』のうちに入りませんけど)新たな羽虫が迫ってきました。
「うっとうしいですわね」
すかさず体勢を直し、螺旋を描いて急上昇。その途中、墜落する羽虫の姿が一瞬だけ視界に入りました。最初に襲いかかってきたあの羽虫でしょう。『愛執』は任を果たしたようです。
新たな羽虫のほうはチキンレースでも挑むかのごとく急降下してきましたが、わたくしはすれ違うように回避しました。
そして、十二分に高度を取ったところで『フェアレーター』を地表に向け、上下の位置が入れ替わった相手めがけて『愛執』を……撃ち出そうとしましたが、その必要はありませんでした。
何本もの異形の手が羽虫を捕らえて攻撃を仕掛けていたからです。
それらの手は、地面のそこかしこにある水溜まり(そんなものは先程までは一つもなかったはずですが)から伸びていました。
きっと、水溜まりを生み出したのは――
「アナスタシアに倣って、私も地雷のお掃除をするね」
――超低空を飛行しているシエルシーシャさんですね(高度だけでなく、テンションも低めですわ)。
異形の手の群れが羽虫を地面に叩きつけました。途端に爆発が起きました。叩きつけられた場所に地雷が埋められていたようです。クロノ・オブジェクトの地雷ではないので、羽虫はダメージは受けていないでしょう(とはいえ、パラドクスの産物である手で叩きつけられたことによるダメージは生じているはず)。しかし、邪魔な地雷を『お掃除』することはできましたね。
「さあ、次に地雷掃除の箒役になりたい人は誰かな?」
羽虫を誘うかのようにシエルシーシャさんは手の群れをうねうねと動かしました。
低高度を行く羽虫の相手は彼女に任せて大丈夫のようですね。
わたくしは高高度の羽虫どもの駆除を続けましょう。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【飛翔】LV2が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
エリザベータ・シゲトヴァール
●心情
空戦なら望む所よ。
『ベルケの格言』通りに編隊行動を徹底しているから崩すのは難しそうだけど、こちらも友軍機としっかり連携すれば。
●行動
【ルール攻略隊】前衛
【飛翔】し敵編隊の布陣を【偵察】し味方へ伝達。
【空中戦】【戦闘知識】を活用し、付近の味方機とペアを組み『ロッテ戦術』や
ロッテを複数組み合わせた『シュヴァルム戦術』で局地的に数的優勢を形成する。
ロッテを組む相方が攻撃を行う際は相方が背後を取られない様、味方を狙う敵機を【制圧射撃】する等バックアップに回り、
自分が攻勢に出る際には友軍からの援護を得られる位置に占位する様に意識する。
単独行動は慎み、編隊全体での優勢を保って制空権を確保する。
シル・ウィンディア
【ルール攻略隊】
空中戦…
あぁ、なんてときめく響き…
それじゃ、空に行きましょうかっ!
飛翔からの空中戦機動で前衛をして立ち回るよ
味方が攻撃するタイミングを引き出すために
世界樹の翼をtype.Cにして、誘導弾を連射っ!
誘導弾で吹き飛ばしを試みて、敵の体勢を崩していくよ
ダメージがなくても嫌でしょっ!
敵の攻撃は、空中戦のバレルロールや宙返り、インメルマンターンなど駆使しつつ
残像を生みながら攪乱回避だね
被弾時は結界術でピンポイントに致命箇所を防御
それで落とせるなんて思わないでねっ!
敵が味方の攻撃に気を向けたら…
高速詠唱で天翔光撃破でまとめて撃ち抜くっ!
狙うは、翼をメインに狙っていくよ
おっちろーーっ!
飛鳥・遊里
【ルール攻略隊】連携
フライトユニット【リヒト・フリューゲル】装備、【マルチウェポンデバイス】を大型シールドに変形して装備。味方から【飛翔】を借りる
【ビットコンダクター】を起動、【リーコンビット・デバイス】を一機、残りは全機【αビット・デバイス】を呼び出す
後衛から視野を広くとり、戦域全体を見通しながら、連携中の仲間のフォローに回る
アクティブステルス使用の【リーコンビット・デバイス】で戦域の状況を確認、【統合戦術デバイス】で情報を更新しつつ、支援の必要な場所に【αビット・デバイス】を向かわせる
処理の優先度は、仲間の死角に入った敵の排除>前衛が撃ち漏らした敵の排除で、ビットにプログラミングをしておく
ヒカル・クローシィ
【ルール攻略隊】後衛
アドリブ・連携歓迎
残留効果は適宜使用。
空中戦なら得意分野だ。
いくぞ、任務開始。
【飛翔】を使う。また、味方の【完全視界】で視界で確保。
<空中戦・誘導弾・砲撃>で味方の背を狙う者をから狙撃していく。
頭ないしは心臓撃ち抜いてく。
味方の背も命も奪わせる気はないのでな。
撃つのであれば撃たれる覚悟があるんだろう?
味方の死角、狙えると思うな!
●幕間
スーパーチャージャーとフライトレッグを装備して戦場の空を翔けるはエリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)。このディヴィジョンで生を受けたサイボーグの少女である。
「二人一組のロッテを二隊一組にして、シュヴァルム戦術でいくわよ」
「了解だ」
軍服姿の青年――ヒカル・クローシィ(空飛びし狙撃兵・g05611)が答えた。その背中にあるのは、魔力で構成されたデーモンの翼。
「本来の歴史でシュヴァルム戦術が編み出されるのは二十年くらい後らしいけどね」
事前に目を通した『軍用機大百科』の内容を頭の中でおさらいしつつ、エリザベータはそう付け加えた。
「奴らは練度が高そうだから――」
前方から飛んでくる空戦型ゾルダートたちを電脳ゴーグル越しに見据えている男は飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)。ヒカルのそれと違い、背中の翼には実体がある。フライトデバイスの翼だ。
「――二十年程度の差は簡単に埋めるかもしれないな」
「いかに練度が高かろうと、戦意ではこっちに敵わないだろうさ。とくにこの娘にはな」
ヒカルが横手に顎をしゃくった。
彼の隣にいる『この娘』はシル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)。パラドクスによって発生した二対四枚の光の翼をはためかせ、空を舞っている。
「空中戦……ああ、なんて心ときめく響き!」
抑え切れぬ興奮を独白に変えて吐き出し、少女は光の翼をより激しく動かした。
●ヒカル・クローシィ(空飛びし狙撃兵・g05611)
各ロッテの内訳は俺とシル、遊里とエリザベータ。俺と遊里が後衛で、後の二人が前衛だ。
「オープンコンバット!」
片手に持っている奇天烈なガジェットウェポンを盾の形に変形させて、遊里が叫んだ。どうやら、召喚魔法の類を使ったらしい。十数個のこれまた奇天烈な機械が奴の周囲に現れ出たからな。
そうしている間にも敵の編隊との距離は縮んでいき――
「行くわよ」
「うん!」
――前衛の二人が交戦開始。
後衛といっても大きく離れているわけではないので(俺たちの言う前後衛とは物理的な位置ではなく、役割のことだから)すぐに俺と遊里も乱戦の真っただ中に放り込まれた。
襲い来る敵を双翼魔弾で迎撃しつつ、僚機ならぬ僚人であるシルの動きもしっかり把握……したいところだが、あのじゃじゃ馬は目まぐるしく飛び回ってるので、とても視界に留めておくことはできない。
もっとも、なにも考えずに無軌道に動いているわけじゃないようだ。そうでなければ、俺に向かってきた敵めがけて――
「おっちろぉーっ!」
――刃のごとき光を放ったりしないだろう。
●シル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)
わたしは敵の攻撃を躱し、反撃を加えていった。バレルロールだのインサイドループだのインメルマンターンだのを駆使して。さしずめ、マニューバの披露会。
もっとも、敵の攻撃を躱し切れないこともあったし、敵が攻撃を躱すこともあった。個々の強さはそれほどでもないんだけど、事前に聞いた通り、よく訓練されていて連携が取れている。
でも、わたしだって連携は忘れてないよ。ロッテの相棒であるところのヒカルさんの動きには出来るだけ注意を払ってる。
彼の攻撃を受けた敵が急降下して反撃を試みた時も――
「おっちろぉーっ!」
――と、ウィザードロッド『ユグドラシル・ウィング』を一振りして光の斬撃波を放ち、そいつの翼をブッタ斬ってやったんだから。
ちなみに言っておくと、急降下突撃は敵だけの専売特許にあらず。エリザベータさんもダイブアンドズームを何度も仕掛けてる。敵めがけて真っ逆様に落ちて、爆撃槌でドカンと一発! そして、急上昇して離脱……かーらーのー、またもや真っ逆様にドカーン!
当然、敵もエリザベータさんに対して攻撃してるんだけど、そのすてべが届いてるわけじゃない。わたしにヒカルさんがついてくれているように、彼女には遊里さんがついてるからね。
●飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)
エリザベータさんの爆撃槌が炸裂し、また一機の敵が墜ちた。
別の敵が彼女の死角に回り込み、機銃を向けようとした……が、機銃より先に火を噴いた物がある。
俺が最初に召喚したビット・デバイスたちだ。
可愛いそいつらの猛攻を受け、敵は穴だらけになった。しかし、息耐えることはなかった。無数の弾痕から白煙を噴きながらも標的を俺に変更して、何十発ものミサイルを発射。あっという間にビット・デバイスは全滅し(それらの中にはアクティブステルス仕様の物もあったんだが、目視されてしまえば、ただの的に過ぎないんだよな)、俺自身もダメージを被った。
「オープンコンバット!」
ビット・デバイスたちを再召喚。
だが、それらを展開するまでもなく、敵は粉々になった。エリザベータさんのダイブアンドズームを食らったんだ。俺のほうに気を取られて、最初の標的を忘れていたようだな。
「こいつら、思っていた以上にやるわね」
爆撃槌を構え直して、エリザベータさんは上のほうに飛んでいった。
「二十年どころか五十年くらい先行しているのかもな。だが、百年後から来た俺たちの敵じゃない」
「そうね……」
頭上から落ちてきたエリザベータさんの声はいまひとつ冴えない。
この時代に生まれた彼女としては、後の百年の歴史に対していろいろと思うところがあるのかもしれない。
●エリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)
何度目かのダイブアンドズーム。頼れる僚友の遊里君から攻撃を食らってふらついていた敵に爆撃槌『Hohlladungen Hammer』を浴びせてやった。
弧を描いて上昇した時、ヒカル君の姿が見えた。二機の敵にしつこく追い回されてる。
それを援護すべく、私は上昇から下降へ移ったけれど、こちらが手を出すより先に――
「私の前で仲間を落とせるなんて思わないでね!」
――ヒカル君のロッテであるシルさんが、翼の装飾が施された杖を長銃のような形に変えて連射した。ダメージは与えられなかったみたいだけど(きっと、パラドクスを伴う攻撃ではなかったんでしょう)、牽制にはなったようね。敵は二機とも体勢を崩したから。
お見事……と、シルさんを誉めたいところだけれど、敵のほうも誉めてあげるべきかもしれない。体勢が崩れた勢いをそのまま活かして旋回し、シルさんを新たな目標に定めたのよ。流石ね。本当に訓練が行き届いてるわ。
でも、シルさんに目をつけたってことは、ヒカル君から目を離しちゃったってことよ。不覚ね。訓練は充分だけど、実戦の経験は不十分なのかも。
「何者かを撃つからには――」
ヒカル君が双翼魔弾を発射。
「――自分もまた撃たれる覚悟があるんだろうな?」
二発ともに命中。一機はその場で爆発し、もう一発は片翼を吹き飛ばされた。
「はあ!? 盗人、猛々しいわ!」
と、錐揉み状態で落下しながら、片翼を失った敵が吠えた。
「小汚いレジスタンスどもが! 撃たれる覚悟を問われるべきは貴様らのほうだろうが! 先に撃ったのは! ここに侵入してきたのは! 貴様らのほうなんだからな!」
そうね。確かにこの炭鉱に侵入したのは私たちよ。
でも、この『歴史』に侵入したのはあなたたちクロノヴェーダでしょうが。
……と、言い返すかどうか迷っているうちに、敵は地面に激突して果てた。
苦戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
※マスターより
二節目のリプレイの成功判定が「苦戦」になっておりますが、「成功」の間違いです。申し訳ありません。
アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎
【ヨアケ】で参戦
運命さん(g03078)をディフェンス
退かないのであれば望むところ……
一気に攻め立てますよ!
箒に乗り【飛翔】、此方も【空中戦】を仕掛けます
チームから離れ過ぎないようなるべく最高速・高低差をつけた機動により撹乱、【連続魔法】で矢継ぎ早に槍刃を生成し【制圧射撃】
当たれば良し、狙いは大雑把に、【逆巻く流星】を発動、無数の【誘導弾】で撃ち抜く
味方に気を取られていたり、機動の切り返しなど隙を晒した敵には斬撃を仕掛け【一撃離脱】で距離を取っていく
躱す間など与えない、この流星群で押し潰す!
桜・姫恋
連携・アドリブ歓迎
【ヨアケ】で参加。
【眉立・人鳥/g02854】をディフェンス。
空中戦なら私の得意分野ね。頑張らせてもらうわよ。
なるべくチームで固まりながら戦えるようにする。
【飛翔】を使い空中へ。
《空中戦》を用いて仲間が突っ込めるようにパラドクス星舞にてサポートしつつ《吹き飛ばし》を星舞で出す弾へ付け敵と距離を取り《連続魔法》、《連射》などで手数を多くするようにし《誘導弾》で敵に反撃の機会をなるべく与えないように攻撃していく。速さと高低差をつけながらの攻撃をし撹乱させれるように動く。人鳥が攻撃をずらしてくれたものは念の為その場で星舞にて相殺しておく。
《一撃離脱》をしながらうまく敵を捌く。
眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎
【ヨアケ】で動く
作戦もクソもねぇときたか、上等
だったらやる事は一つだぜ
こういう時こそ俺が鳥になるってワケ
なるべくチームで固まって動くようにして、高高度から飛翔で斬り込むぜ
空中戦なら心得がある、突撃だ!
捨て身の覚悟をもって貫通撃の魔凰滅翔炎でぶち抜きながら、上空へ一撃離脱を限界まで繰り返す。天すらも焦がす程に焼き尽くせェッ!
俺に来るようならそれでいい、他が撃てる
俺以外にヘイトを向けてる奴が居たら切り返して不意打ちで突っ込むぜ
姫恋(g03043)をディフェンス対象にする。来るもの悉くを燃やし尽くしてやろうじゃねぇか。一応、強化魔力糸で引っ張って敵の攻撃をズラす事も考えておく
百鬼・運命
【ヨアケ】
基本作戦
飛翔の残留効果を重ね、残留効果を重ねられない敵に高度と速度で優位に立ち、一撃離脱戦法。
まず太陽に隠れて接近。
高空から急降下で奇襲をかけ、敵の追えない上空まで逃げるを繰り返す
行動
動力甲冑に搭乗、ドローンを背部に合体しパラドクスを使用
ロングレンジライフルをショットガンモードの命中重視にして急降下。離脱時はマルチミサイルポッドで機雷をまき追撃と足止め
チームでまとまって戦う事やアイネリスさん(g01781)との相互ディフェンス、空中戦技能やアヴォイドでダメージを抑える
「深追いしないという命令のおかげで一撃離脱しやすいな。もっとも深追いしない。と出来ない。は別物だが…」
絡みアドリブOK
ゼット・ノアール
「防衛ライン強行突破を開始する……数で押すか」
【ヨアケ】
ごり押しで突破というならとにかく場を乱して敵の連携を崩すか
掩護と撹乱・障害排除に務めて仲間の突破を円滑にする
トループス級に【通信障害】で妨害しつつズィーガーレイヴを突撃させてい動きが速いので衝撃波で加速しながら攻撃を避ける方向でいき
ズィーガーのバリアも展開する
【飛翔】で空中戦を展開しながらソリッドカノンやミサイルなどの
火砲を集中させて防壁を破壊する
鉄線は一緒に吹き飛んでくれればいいが邪魔ならば斬撃で処理だ
※アドリブ大歓迎です
●幕間
五人のディアボロスが空を行く。
そのうちの一人であるゼット・ノアール(群青の傭兵・g01952)はサイボーグなのだが、彼よりも機械的な外見の者がいた。
それは百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)。大型の動力甲冑を着込んでいるのだ。
しかし、誰よりも異彩を放っているのはアイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)かもしれない。
『魔女の端くれ』を自称する彼女は箒に乗って飛んでいた。
「退いても無駄という戦いであれば……望むところ」
魔女は指先で眼鏡(この状況下では防風ゴーグルの役割も果たしている)を押し上げた。
レンズ越しの視線の先にいるのは空戦型ゾルダートの群れ。
「一気に攻め立てましょう!」
「うん!」
と、答えたのは桜・姫恋(苺姫・g03043)。サキュバスである彼女は桃色の翼を広げて飛んでいた。寄り添うようにして伴飛行しているスフィンクスのルナの被毛もまた桃色だ。
「頑張らせてもらうわよ。空中戦なら、私の得意分野だかね」
「おまえだけの得意分野じゃないぜ」
と、眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)が言った。この五人組の最年長にして唯一の三十路である彼もまた、ある意味では異彩を放っている。フライトデバイスの類は使用していないし、人間である故に翼も有していないのだから(パラドクス効果で飛べるので、なんの支障もないが)。
「こういう任務は俺にこそうってつけ。そう、鳥になれる俺こそが!」
その宣言を試すかのようにゾルダートたちが迫ってきた。
●眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)
俺は姫恋をぴたりとマークして飛んでいた。いつでも庇えるようにな。でも、ルナほどにはくっついてないぜ。付かず離れずの距離を保っている。
他の面子も御同様。五人で一塊りになりながらも、近付き過ぎてはいない。
だが、敵の編隊が迫ってくると――
「防衛ライン強行突破を開始する」
――付かず離れずの『離れず』の部分の限界値を試すかのようにゼットが前に出た。先行して敵を攪乱し、後に続く俺たちをスムーズに進撃させようって腹か。
「エリア生成」
ゼットは四つのドローンだかなんだかよく判らない機械(奴が『ズィーガーナントカ』って呼んでる代物だ)を射出した。
それらは小さな体からスパイクを生やして突撃し、三機ほどの敵に体当たりをぶちかました。だが、その三機がやられっぱなしで終わるはずもない。揃って上昇したかと思うと、ゼットめがけて急降下。体当たりを以て体当たりの返礼をした。
で、そいつら以外の敵はというと、ゼットには見向きもせずにこちらに向かっている。
「やはり、単騎で攪乱するのは無理のようですね」
アイネリスが箒の速度を少しばかり上げ、さっきのゼットと同じように前に出た。
もっとも、同じだったのはそこまで。
自称『魔女の端くれ』はいきなり高度を下げ、視界から消えた。
「私も攪乱を担当させていただきます」
俺たちにそう言い残して。
●ゼット・ノアール(群青の傭兵・g01952)
空中を激しく飛び回り、ゾルダートたちとドッグファイト。
ほんの一瞬、目まぐるしく動く視界の中にアイネリスの姿が入った。高度を大きく下げ、地面に足が着くか着かぬかといった飛び方をしている。
数秒後にまた見えた。今度は俺の頭上。視界から消えている間に一気に上昇したのか。波を描くように上下に動き、敵を翻弄しようとしているのかもしれない。
しつこく後ろを取ろうとしていたゾルダートの一機をなんとか振り切り、つかの間の水平飛行(そう、つかの間で終わるのは判っている)に移った時、アイネリスは俺のすぐ横を飛んでいた。
「波打ち、追い立てろ!」
彼女の叫びは俺に向けられたものでもなければ、敵に向けられたものでもなかったらしい。その声に応じて、槍の穂先のようなものがいくつも出現し、ミサイルさながらに飛んでいったのだから。おそらく、魔法の産物だろう。さすが、魔女だな。
空飛ぶ穂先たちは最初のうちは一直線に進んでいたが、やがて花が咲く様を表すかのように四方八方に展開し、ゾルダートたちへと向かっていった……が、それを悠長に見送っている余裕などない。ゾルダートたちのほうもこちらに向かってきたからな。数は五機。
「先頭にいる奴とその両隣は俺がやる」
「では、残りの二体は私が……」
俺とアイネリスは言葉を交わし、同時に急旋回した。
俺は左に。
アイネリアスは右に。
●アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)
槍の穂先を飛ばして敵を攻撃していると、大きな甲冑に身を包んだ運命さんの姿が見えました。
運命さんは一体の敵を後ろにつけた状態で、ほぼ垂直に上昇しています。飛翔のパラドクス効果がいくつも重なっているため、敵が追いついてこれない高さまで上がれる……とはいきません。現段階では敵も同程度もしくはそれ以上の高度まで到達できるようです。しかし、速度に関しては私たちのほうが勝っているらしく、敵との距離はどんどん広がっていきます。
そして、十二分に距離を取ったところで急降下。太陽を背にして一直線に敵に向かい、すれ違い様に長大な太刀で斬りつけ、ついでにミサイルもばら撒きました。
ミサイルが次々と爆発し、空に爆炎の花が咲き乱れました。
百花繚乱ならぬ百火繚乱。
その花園から敵が飛び出してきました。斬撃のダメージは受けていますが、パラドクスを伴っていないミサイルは利いていない模様。
運命さんを追いかけるため、敵は機体を傾けて軌道を変えようとしましたが――
「そうはいきません」
――私が飛ばした槍の穂先を受け、大きくよろめきました。
そこに運命さんが二度目の急降下攻撃。
敵は白煙を噴いて墜落し、地面にぶつかって爆炎の花を咲かせました。
●百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)
動力甲冑の背中に装着した水空両用大型ドローンの推進力を活かし、急降下からの一撃離脱――それを俺は幾度か繰り返し、何体ものゾルダートどもにダメージを与えた。その度に反撃を食らったので、こちらも無傷では済まなかったが。
「にゃー!」
新たな標的を定めるべく水平に飛んでいると、ルナの鳴き声が耳元を掠めていった。姫恋とすれ違ったんだ。
姫恋(とルナ)はすぐに反転し、俺の横に並んだ。
「『敵は深追いしない』と聞いていたから、一撃離脱の戦法が通用しやすいと思っていたんだが――」
「――そうでもなかったみたいね」
と、姫恋が後を引き取った。
敵が深追いしてこないというのは、こちらが戦闘圏から撤退する素振りを見せた場合の話らしい。まあ、考えてみれば、当然だな。ただ間合いを広げる程度の離脱では戦意は隠しようがないし、しかも何度も同じ攻撃を繰り返しているとあっては、離脱が攻撃の前振りでしかないのはバレバレだろう。
「なんにせよ、やることは変わらないけどね。こっちが逃げない限りは食いついてくるっていうのなら――」
海面から跳ね上がるイルカさながらに姫恋は急上昇した。
「――逆に食い散らかしてやる!」
勢いよく広げられた両腕の先端から星形の光が放たれた。いや、星に見えるのは魔法かなにかの作用で、本当は違う形をしているのかもしれないが……とにかく、右腕から飛び出した光は上に向かい、左腕から飛び出した光は下へと向かい、どちらもゾルダートに命中。下にいたゾルダードはそれで撃墜されたが(ダメージが蓄積していたらしい)、上の奴はなんとか持ちこたえ、おなじみの急降下体当たりを敢行した。もちろん、狙いは姫恋だ。
●桜・姫恋(苺姫・g03043)
「にゃん!」
ルナの警告の叫び。それとも、悲鳴かな?
こちらめがけて敵がダイブしてきてる。
私は回避を試みようとした。ちょっと下のほうを飛んでいた運命も迎撃しようとしたみたい。
でも、誰よりも速く動いたのは――
「魔凰、滅ッ翔ォ炎ッ!」
――人鳥だった。
その姿は人鳥と言うよりも火の鳥。鳥の形をした黒い炎を纏ってるんだよ。
人鳥は火の粉を撒き散らして斜め上に突き進み、垂直に降下していた敵の横腹にドーン! 体当たりを食らった敵は火達磨になって落ちてった。
「ありがとう」
私は人鳥の傍まで上昇して(でも、火が燃え移らない程度に距離は保って)声をかけた。一応、お礼は言っとかないとね。
「でも、今のは私だけで捌けたよ」
「へいへい、そーですか。負けず嫌いも大概にしとけよ」
と、人鳥が言い返している間に新たな敵が彼を(あるいは私を?)攻撃しようとしていたので、私はまたパラドクス『星舞(ヒカリノマイ)』を発動! その敵は星形の魔弾を受けて爆発四散。連携、ばっちりだねー。
もっとも、敵さんたちのほうもしっかり連携してるけどね。
「ゼットのズィーガーナントカが通信障害を発生させてるはずなんだが、敵の連携は期待したほど乱れてないな」
「腕を振って簡単なハンドサインを示したり、体をバンクさせたりして、意思の疎通をしてるみたいよ。ほら、あんな風に……」
腕だけを人型のそれに戻している敵の一機を私は指さした。指を向けた瞬間にそいつはアイネリスに撃墜されちゃったけど。
「たぶん、通信機が使えなくなった時の対応についてもしっかり訓練されてるんだろうね」
「上等だ。その訓練の成果もなにもかも焼き尽くしてやるぜ」
新たな獲物を求めて、黒い火の鳥は飛んでいった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【飛翔】がLV6になった!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【反撃アップ】LV2が発生!
【アヴォイド】がLV2になった!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【ルール攻略隊】前衛
連携アドリブ歓迎
残留効果は相互利用
総員空中戦か
仲間に背は預けた、行こう
ロッテ戦術を基調とした前衛と後衛に編隊
前衛は攻撃、後衛は援護と警戒を主に
死角を互いにフォローし、前線を押し上げる
レイさん達と共に前衛
完全視界、パラドクス通信で密に連携
【飛翔】し空中戦
後衛からの援護、前衛間の連携も意識
周辺含めた行く手の敵を排除
隙を看破し
撃破できそうな敵は味方と攻撃集中し確実に前進
魔力障壁を展開、高速飛翔で攻撃回避と同時に
前方や目につく範囲の危険は、後衛や周囲の仲間に伝達
上下方攻撃も警戒、報せあれば対応
戦況を偵察・観察し敵陣の綻びや異変、好機を看破したら伝達
編隊を維持し
負傷者は前後衛間に保護
赤上・イズル
■【ルール攻略隊】前衛
■アドリブ・絡み歓迎
空中戦ですね、お任せください
赤き悪魔…もとい赤上イズルいざ参ります!
仲間のパラドクス効果を使用
魔力の翼を広げ【飛翔】し、自身は【完全視界】を発動させ視界を確保
【空中戦】と【戦闘知識】を持って空中戦に挑む
単独行動にならないように常に二人一組の態勢で動く
背後を取られないようにしまた周囲の敵機にも注視
敵の動きのパターンは【記憶術】にて記憶
それにより攻撃のタイミングを【看破】し回避を試みる
【誘導弾】にて敵を翻弄し一気に近接しパラドクス【百夜】にて【斬撃】を与える
【パラドクス通信】で後衛の仲間と連絡をとり後衛からの射撃のタイミング時に「今です!」と射線を開ける
呉鐘・承李
【ルール攻略隊】連携【アドリブ歓迎】
チーム内のポジション:後衛
【心情】
さて、不慣れな空中戦だが、精々頑張るとしようか。
臨機応変に対処を行うのは得意分野だ。
【行動】
後衛部隊を厄介に思って張り付いてきた敵を対処する。
常に周りを飛ぶ敵を牽制できる位置を仲間の残留効果である飛翔を用いて飛び回り、後衛部隊に手を出させない。
【ロマン行動(もし描写に余裕があったら……)】
「飛鳥!シールドを頭上に構えろ!」
飛鳥遊里のシールドの上に着地して、後衛部隊に張り付いてきた敵を地上での抜刀踏み込みの要領で切り捨てる。
月下部・小雪
【ルール攻略隊】で連携していきます!
ボクとコダマは後衛担当ですね。
味方の残留効果の【完全視界】【飛翔】を借りてついていきます!
【フライトドローン】で呼び出したドローン達は【飛翔】の速度についてこれないですが、
後続と見せかけるために遅れてついてこさせますね。
戦場では教えてもらったロッテ戦術という戦い方、やってみます!
味方の攻撃に合わせて、周りを警戒、です。
攻撃中の味方が襲われそうになったら【重装甲高火力型モーラット・コミュ】のコダマに命じて長距離射撃で援護、です。
最高速度で飛び回ってる敵機体にはミサイルポッドからのミサイルをお見舞いしてやりましょう!
※アドリブや連携も大歓迎
●幕間
新たに何十もの機影が戦場に飛来した。
もっとも、ゾルダート側からすれば、それらは脅威ではないだろう。
パラドクスによって召喚されたドローンの群れに過ぎないのだから。
召喚者は月下部・小雪(デーモンのデジタルサマナー・g00930)。手枷を嵌めたデーモンの少女である。
彼女は、時速二十キロメートルしか出せないドローンたちの遙か先を三人の仲間とともに飛んでいた。
「もきゅっ!」
いや、正確には三人と一匹だ。頭の上にモーラット・コミュのコダマが乗っている。
「もきゅきゅっ!」
いや、三人と二匹。小雪の同族の赤上・イズル(コードネーム:ミラージュ・g04960)もまたモーラット・コミュを伴っていた。名前はマリコさん。
「空中戦なら、お任せください」
静かに意気込みながら、イズルは腰の日本刀を抜いた。
「俺は空中戦は不慣れだが――」
銀髪の妖狐――呉鐘・承李(剣鬼・g06193)が口を開いた。彼も刀を携えているが、まだ抜刀はしていない。
「――臨機応変に対処するのは得意だ。せいぜい頑張るとしようか」
「ああ、頑張ろう」
と、頷いたのはエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)。黒衣に身を包んだ天使。
戦闘圏内に入る直前、彼は三人(と二匹)の仲間に叫んだ。
「背中は預けたぞ!」
●月下部・小雪(デーモンのデジタルサマナー・g00930)
仲間たちに教えてもらったロッテ戦術というのを実行中なのです。二人一組で敵にあたるのがロッテ戦術。ボクのロッテの相手はイズルさん。ボクが後衛、イズルさんが前衛です。コダマとマリコさんもいるから、本当は四人ですけどね。
「背中は預けたぞ!」
もう片方のロッテの前衛担当であるエトヴァさんが青い翼をはばたかせ、いくつもの光輪を放ちました。
青い羽がはらはらと舞い散る中を光輪がくるくると飛び回る様はどこか宗教画めいた美しさのありましたが、その後に続いた光景は凄惨なものでした。四人ほどの飛行機型ゾルダートが次々と光輪に斬り裂かれたのですから。
でも、ゾルダートたちはちっとも怯みませんでした。訓練の賜物なのか。それとも、ゾルダート化された際に、痛みを感じる機能を取り除かれたのか……とにかく、彼らはミサイルを発射して反撃してきました。
無数のミサイルが乱舞する様には光輪の時とはまた違った無機質な美しさがありましたが、もちろん、エトヴァさんはそれに見とれたりしませんでした。両手を付きだし、それぞれの中指に嵌められた指輪から荊のような魔力障壁を展開しつつ、跳ね回るように飛んで、ミサイル群を回避。
一方、ミサイルを放ったゾルダートたちにも新たな脅威が迫っていました。
「赤き悪魔……もとい、赤上イズル! いざ参ります!」
イズルさんです。
●エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)
さすがにすべてのミサイルを躱し切ることはできなかったが、敵がそうであるように俺もまた怯んだりはしなかった。もとより、無傷で攻略できるとは思っていない。
最後のミサイルを魔力障壁で受けた時、障壁越しに広がる爆煙の向こうからイズルさんの叫びが聞こえた。
「赤き悪魔……もとい、赤上イズル! いざ参ります!」
爆煙が晴れると、ミサイルを撃った連中のもとに飛び込んでいくイズルさんの姿が見えた。左手で拳銃を連射しているが、パラドクスではないので、敵にはまったく利いていないようだ。おまけにあっという間に弾丸が尽きた。
イズルさんは拳銃を投げ捨て、右手で保持していた刀を両手で持ち直した。
「もきゅ!」
少し遅れて飛んでいたマリコさんが拳銃をキャッチ。
ほぼ同時に――
「九字切流、白夜!」
――イズルさんが日本刀を振り抜いた。赤い弧線が見えたのは、刀身が仄かに赤味を帯びているから。
俺の光輪を受けて傷だらけになっていた敵のうちの二体が真っ二つになり、仲良くまとめて落ちていった。
それらとすれ違って上昇してくる機影が四つ。イズルさんに攻撃を仕掛けようとしているらしい。
「下だ!」
俺はイズルさんに警告を発した。
だが、それに反応したのはイズルさんではなく、彼とロッテを組んでいる小雪さんのほうだった。
「コダマ! やっちゃってください!」
「もきゅ!」
訂正しよう。小雪さんとコダマくんだった。
●呉鐘・承李(剣鬼・g06193)
「コダマ! やっちゃってください!」
「もきゅ!」
耳朶を打ったのは可愛くも勇ましい二人分(一人と一匹分?)の咆哮だが、視界に入ってきたのはとんでもないものだった。
大きく様変わりしたコダマの姿だ。
いや、『様変わり』なんてレベルじゃない。丸っこい体に砲身だのミサイルポッドだのブースターだのがごちゃごちゃと付いて……モーラット・コミュとは違うなにかと化してるぞ。
「もきゅっ!」
イズルの後ろでマリコが鳴いた。同族への声援か?
「コダマ! かっこいいです!」
小雪も歓声をあげてる。
コダマはそれに応えるかのように――
「もきゅきゅー!」
――イズルの下方に迫っていたゾルダートどもめがけて、砲弾やミサイルを次々と撃ち込んだ。いろんな意味でスゴい光景だな。
更にエトヴァが急降下して追撃。砲弾とミサイルの豪雨に光輪の暴風を加え、ゾルダートどもにとどめを刺していった……ってな感じで実況していると、一方的に俺たちが圧しているように思えるかもしれないが、攻撃を受けてないゾルダートが指をくわえてこの状況を見ているわけじゃない。
現に三体のゾルダートが小雪とコダマの後方に回り込み、機銃の銃口を向けようとしている。
それを阻止すべく、逸早く動いたのはイズル。
そして、二番目は俺だ。
●赤上・イズル(コードネーム:ミラージュ・g04960)
後続の援軍だと誤認させるために小雪さんは大量のフライトドローンを引き連れてきたのだけれど、敵はまったく相手にしませんでした。おそらく、それらが脅威的な存在ではないことを一目で見抜いたのでしょう。
しかし、重武装モードのコダマくんと彼(彼女?)に指示を送っている小雪さんのことは『脅威的な存在』と見做したらしく、三体の敵が上空から襲いかかりました。
すぐに一体だけになりましたけどね。
俺が急上昇し、九字切流の『白夜』をお見舞いしたので。
そして、残った一体も――
「後衛に手出しはさせん」
――真横から飛んできた承李さんと交錯した直後、爆発しました。その爆発音の直前に聞こえたのは小気味良い唾鳴り。どうやら、承李さんは抜刀術で仕留めたようです。
「そう言う承李さんも後衛担当なのでは?」
エトヴァさんが光輪を放った。その攻撃を受けて墜落したのは、承李さんの背中を狙っていたゾルダート。
「俺は後衛を守る後衛なんだよ」
背後からの爆風や爆音など気に留める様子も見せずに承李さんは急降下して、抜刀術をまた披露した。叩き斬られたのは、小雪さんとコダマくんを狙っていたゾルダート。
「コダマ! あっちです!」
小雪さんが指さした方向にコダマくんのミサイル群が飛んでいった。粉微塵になって吹き飛んだのは、俺を狙っていたゾルダート。
そして、俺も斬りかかった。
エトヴァさんを狙っているゾルダートに向かって。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【飛翔】がLV7になった!
【完全視界】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
●幕間
警報が鳴り止む気配はない。
牢内の照明も赤いままだ。
労働者という名の囚人たちは不安に押し潰れそうになっていた。
「やっぱり、崩落事故じゃないのかも……」
囚人の一人がそう呟いた時、機械的な声が警報に加わった。
『崩落事故が発生した。全作業員は居住室の安全区で待機せよ。繰り返す。崩落事故が発生した。全作業員は居住室の安全区で待機せよ』
囚人たちは慌てて牢獄(鉱山の管理者たちに言わせると『居住室』だが)の奥に移動すると、床に引かれた白いラインの内側に立ち、背中と尻をぴたりと壁に合わせて横一列に並んだ。
このライン内のエリアが『安全区』なのだが、他の場所よりも安全というわけではない。『安全区で待機せよ』とは『鉄格子から最大限離れろ』という意味なのだ。そして、『万が一、鉄格子が破れるようなことがあっても、牢獄から出るな』という意味でもあるし、『外に出た奴は殺す』という意味でもある。
囚人たちもそれは重々承知。瞬きすら我慢して、彫像のようにじっと立っていた。
第十七番区は、オズワルド・ベルケが統括している区劃の心臓だ。
鉱山内らしからぬその大ホールにはトロッコのレールが何条も敷かれ、ターンテーブルも設けられ、坑道という血管に労働力を送り出し、採掘された資源を受け取っている。
だが、今はその巨大な心臓が停止していた。
囚人(鉱山の管理者たちに言わせると『作業員』だが)や看守(鉱山の管理者たちに言わせると『事務員』だが)の姿もない。
その代わりに――
「あつい……くるしい……」
「や、やめて……こないで……」
「いたいよ、いたいよぉ」
――頭部を包帯で覆った男たちが呻き声を漏らしながら、よろよろと歩き回っていた。
彼らの通称は『鉄屑兵』。
空戦型トループス級の防衛ラインが突破されたこと(鉱山の管理者たちに言わせると『崩落事故』だが)を受けて坑内に放たれた兵士たちである。
※マスターより
「①囚われた牢からの脱出」と「③👾敵施設破壊戦闘(ルール炭鉱)『鉄屑兵』」の攻略順に決まりはありません。
また、オープニングの「●マスターより」でも述べたように、「①囚われた牢からの脱出」をクリアしなくても『オズワルド・ベルケ』を撃破さえすれば、シナリオは成功判定となります。
シル・ウィンディア
【ルール攻略隊】
味方との連携を心掛けて動くね
空中戦、楽しかったー♪
さて、頭を切り替えていきましょうかっ!
坑道内に敵がいっぱいいるなら、気づかれないように注意しないとね
曲がり角などは、手鏡で直視せずに索敵
油断している敵は、光精瞬殺剣で速攻を心掛けて攻撃を仕掛けるね
交戦を開始したら、わたしはできるだけ敵を引き付けて
破壊工作を行う人を奥に送り届けるね
狼さん、ここは通さないからっ!
敵攻撃の回避は、残像を生み出しての攪乱回避
飛翔も使って三次元で動いていくけど、頭上に注意だね
交戦中に隙をついて攻撃する人がいたら
その人に意識が行かないようにも立ち回るよ
交戦中に破壊できそうなものがあれば
誘導弾を連射していくよ
ノイン・クリーガー
【ルール攻略隊】で参加。
鉄屑兵…?
俺もこうなっていたのかもしれない。
ゾルダートの横暴は断じて許すわけにはいかん。
【パラドクス通信】で味方と連携しながら敵を引き付け、仲間が破壊工作を行う【時間稼ぎ】を行う。
まず発煙弾で煙幕を張り敵を【撹乱】 しつつこちらは【完全視界】を使用しながら敵陣へ突撃。
不意打ちを受けないように共に戦う仲間の死角をカバーしつつ、銃撃とアームクローで攻撃を加える。
もはや死によってしか解放されないのであれば、すみやかに葬るしかない。
あらゆる意味において…
エリザベータ・シゲトヴァール
●心情
……飛鳥さんから聴いたわ。
機械化手術の失敗作を無理やり使い捨ての戦力に仕立てただなんて……。
●行動
【ルール攻略隊】
【完全視界】で地下の暗がりに対応。
狭い通路で密集し過ぎない様に留意、曲がり角等の見通しの悪い箇所は要警戒。
【偵察】技能と、【戦闘知識】から自分が不意打ちを仕掛けるなら何処からという視点で警戒・索敵。
交戦時は【地形の利用】を活かして壁や天井を蹴って加速したり、強引に向きを変える等、立体的な【空中戦】機動で立ち回り、
【制圧射撃】で敵の動きを止めて、友軍の攻撃を支援するわ。
彼らを救う手立ては無い。それなら少しでも早く、苦痛の少ない様に倒す。
……胸を締め付けられる様な気分だわ。
飛鳥・遊里
【ルール攻略隊】連携
閉所に犇めく機械の亡者か…人によっては地獄の風景だな。これ以上の地獄を顕現させちゃならないな
【リーコンビット・デバイス】のアクティブステルスを起動し随伴させ、レーダーとソナー探知をフル活用して
坑道内のマッピングと敵配置の確認を同時進行し、【統合戦術デバイス】で精査。得られたデータを【パラドクス通信】で共有する
【ビットコンダクター】で【シールドビット・デバイス】全機を呼び出し、鉄屑兵を処理していく
こういう場所なら、砲撃よりもシールドビットのビームカッターの方が小回りが利くし、坑道に余計なダメージを与えないで済む
後は施設破壊に向かう人の護衛もシールドでまとめて行える、一石二鳥だ
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【ルール攻略隊】
連携アドリブ歓迎
効果活用
同戦場の方とも協力
完全視界、P通信で密に連携
【飛翔】し機動力を活かし、施設の破壊を担当
戦場を偵察・観察し、施設の配置を情報収集し把握
仲間の情報も得て共有
破壊対象を見定め
仲間が敵群を引きつけた隙に、飛翔速度で抜け
空中から弓で狙い貫通撃、広範囲は爆破で破壊活動
危険は魔力障壁で払い、高度と速度で回避
隠密で素早く活動、戦況は常に把握
仲間の援護も受け
直接破壊が適した施設は怪力無双で持ち上げちぎる・投げる・早業・爆破等
手薄な箇所から始め、周囲にトラップ生成し虎挟みや網で絡め取る等、敵の到達を遅滞
集中攻撃の気配で高速離脱
臨機応変に応戦・援護
破壊完了時は全員に伝達し撤収
呉鐘・承李
【ルール攻略隊】【アドリブ・連携歓迎】【残留効果は適宜使用】
さて、ようやくちゃんと地に足をつけて戦える。
剣鬼の名、伊達ではないと証明してみせよう。
【役割】
破壊工作を行う奴の作戦地点までの護衛
及び、破壊工作中に敵が工作班まで抜けないように遊撃を行う
【行動】
「……哀れな奴らだ」
鉄屑兵を見やり、そうつぶやくが決して心は揺らさない。
ただ、己が心は一振りの刃である。
決して曇ることなく、純粋なる殺意で敵を切り伏せる。
「……せめてもの情けだ、一太刀で、痛みを感じるべくもなく逝かせてやる」
「哀れな魂に、せめてもの救済を」
●飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)
空戦型ゾルダートの防衛ラインを突破して、俺たちは炭坑の中に突入した。
で、坑道を進み、二股になったところに差しかかった時、おどろおどろしい声が右側の道から流れてきた。
「あついよぉ……」
「ぐぎぎぇぇぇ……」
「みずぅ……みずを……」
もっとも、俺も仲間たちも驚いたりしなかったけどな。声が聞こえてくる前から、俺の傍に浮かんでいる偵察用の機械――リーコンビット・デバイスが捕捉していたから。
立ち止まって待つこと数秒。声の主たちが現れた。
長くて鋭い鋼鉄の爪を左右の手に四本ずつ装着し、頭部を包帯で覆った、不気味な三人の兵士だ。
「俺もこうなっていたのかもな……」
ノインさんが呟いた。声がくぐもっているのはガスマクスを装着しているから。それだけでも怪しさ満点だっていうのに、フード付きの黒いコートで全身を包んでいるので、初見の一般人は肝を冷やすこと請け合い。
「ようやく、地に足をつけて戦える時が来たか」
承李さんが兵士たちにつかつかと歩み寄っていった。一振りの刀を手にして。
包帯まみれの兵士たちの姿は実に無惨だったが、承李さんのその刀も無惨なものだった。刀身が焼け焦げているんだ。
「わたしは足が浮いてるほうが好きだけどね」
そう言いながら、シルさんが小剣を構えた。しかし、承李さんとは違い、そこから動こうとはしない。
「さっきの空中戦、楽しかったなー。でも、頭を切り替えていきましょうかっ!」
彼女が頭を切り替えてる間に――
「焔華流秘奥、十の型。終炎」
――承李さんは敵に切りつけた。
烈風が生じるほどの強力な斬撃。その烈風は後方の俺にも届いた。熱を帯びた風だ。もしかして、あの刀が焼け焦げていたのは、それ自身が持つ炎の妖力のせいなのか?
「あつぃやぇぇぇーっ!?」
「あっつぅ゛ぅ゛ぅ゛ーっ!?」
斬撃を受けた二人の兵士が絶叫し、そして、反撃した。
体から熱気を発するというパラドクスで。
●呉鐘・承李(剣鬼・g06193)
痛みを感じる間もなく、一太刀で逝かせてやろう。
そう思って刀を振るったのだが、二体の敵はどちらも即死することなく、熱風を浴びせてきた。俺が用いた『残火』と同様、空気が歪んで見えるほどの超高熱パラドクス。
当然、俺は無傷では済まなかったが、悲鳴をあげたのは敵たちのほうだった。
「あぁぁぁぁぁーっ!?」
「もえるっ! もえるぅぅぅ!」
高熱の発生源であろう器官(あるいは機関?)に体内を灼かれているらしい。
そいつらを楽にしてやるために『残火』を再び見舞おうとした時――
「光の精霊よ、我が身に宿りて、すべてを斬り裂けっ!」
――後方からシルの声が聞こえた。
次の瞬間、彼女の姿は俺の前にあった。瞬間移動のパラドクスか?
「やっぱり、地に足をつけて戦うのも悪くないかも!」
宙に刻まれた碧色の弧線は、シルが振った小剣の軌跡。
その軌跡の途中にいた二体の敵のうちの一体が倒れ伏した。
もう一体はよろめきながらも――
「うぇっ! うぇっ! うぇーっ!」
――慟哭めいた奇声とともにシルに襲いかかった。
鉤爪が走り、シルの肩のあたりから血飛沫が散った。しかし、それが最後の抵抗。遊里の周囲に浮かんでいた機械たち(遊里は『シールドビット・デバイス』とか呼んでいるらしい)がその敵に群がり、刃のごとき光線で斬り刻み、とどめを刺した。
「あと一人!」
肩の傷など気にかける素振りも見せず、最後の一体をシルが睨みつけた。その一体も遊里の機械たちに猛攻を受けているが、まだ死に至ってはいない。
「いや、一人じゃない」
二股に分かれた坑道の右側を遊里が指し示した。最後の一体だったはずの敵の後方から、何体もの敵がよたよたと歩いてくる。
「じゃあ、あいつらはわたしが引きつける! その間に皆は奥に進んで!」
先手必勝とばかりにシルが再び瞬間移動。ぼやけた残像を置き土産にして(さっきは俺の後ろでパラドクスを使ったから、その残像が見えなかったんだ)、新手たちとの間合いを一気に詰め、碧色の小剣を振った。
●ノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)
「早く行け」
そう言い捨てて、承李がシルの援護に向かった。その後に遊里が続く。
敵の相手は三人に任せて、俺は仲間たちとともに左側の坑道へと進んだ。
程なくして、また『あつい』だの『くるしい』だのといった呻き声が前方から聞こえてきた。
「声や足音を立てずに行動するという発想はないようだな」
「不意打ちを警戒してたけど、意味がなかったわね」
少しばかり呆れた調子で言葉を交わすエトヴァとエリザベータの横で、俺は発煙弾を投擲した。狭い坑内ということもあって、たちまちのうちに煙幕が立ち罩めていく……が、俺たちに支障はない。パラドクス効果の完全視界が働いているからな。
限りなく透明に近い煙の中を進んでいくと、壁面に設けられたシャッターが見えた。大きく『S-42』と記されている。なんだか知らんが、破壊しておいたほうがよさそうだな。
しかし、破壊に専念するのは無理だろう。視界に入ってきたのはシャッターだけじゃない。声の主である兵士たち(例によって、顔は包帯まみれだ)もそこにいた。この煙は奴らにとって『限りなく透明に近い』わけではないので、俺たちの姿はまだ確認できていないはず。だが、視界が悪化したことに動揺はしていないようだ。
いや、動揺していないのではなく――
「なんで、こんなぁ……」
「いたぁぁぁいぃぃぃぃぃ……」
「ころ……すぅ……ころぉ……してぇ……」
――苦しみにとらわれ、最初からなにも見えていないのかもしれないが。
「『殺して』って聞こえたような気がするけど、空耳じゃないわよね?」
痛ましげに眉を顰めつつ、エリザベータが短機関銃のワイヤーストックを展開した。
そして、横手に跳躍して壁を蹴り、飛ぶようにして(いや、パラドクス効果を用いて実際に飛んでいるのだろう)兵士たちの側面に回り込んだ。
「空耳だったとしても、私たちには――」
憐憫を含んだ声に重なるのは軽快な連射音。
狭い銃の中から弾丸の群れが解放され、限りなく透明に近い煙に爪痕めいた軌跡を刻み、新たな住み家へと飛び込んでいった。
すなわち、兵士の体に。
「――殺す以外の選択肢はないのだけれど」
●エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)
銃弾を浴びた四体の兵士は狂ったように両腕を振り回し、鉤爪で反撃しようとした。
煙幕のせいでエリザベータさんの正確な位置は掴めないだろうし、おまけに彼女は三次元的な軌道で飛び回っているので、合わせて三十二本の鉤爪はどれも虚しく空を切るばかり……と、思ったが、そうでもない。場所が狭い上に敵の数が多いので、何本かの鉤爪が血を吸うこととなった。おまけに他の兵士たちも攻撃に加わった。
もっとも、乱戦に加わったのは敵だけじゃない。
「パラドクスデータリンク開始」
ノインさんが敵陣に突入。機械の両腕(彼はサイボーグなんだ)に収納されていた爪を『カシュッ!』という小気味良い音とともに伸ばし、兵士たちを斬り裂いた。データリンク云々と言ったのは、その攻撃がパラドクス通信の効果を伴っていたからだろう。俺の手元には(きっと、エリザベータさんのところにも)通信機らしきものが出現していた。
兵士たちはノインさんに反撃したが、エリザベータさんの時と同様、狂ったように腕を振り回しているようにしか見えない。
「外にいた連中と違って、高度な訓練は受けていないみたいね」
上下左右に飛び続けながら、エリザベータさんは短機関銃の弾倉を交換した。
そして、再び連射。
「というか、そもそも訓練を受けられるほどの知性を持っていないんでしょうけど……」
「見たところ、不良品の類のようだしな。なんにせよ、もはや死によってしか解放されないのであれば――」
ノインさんも爪を振るい続けているが、兵士たちのように闇雲に攻撃しているわけじゃない。エリザベータさんをカバーするような戦い方をしている。
「――すみやかに葬るしかない」
「そうね。少しでも早く、大きな苦痛を与えないように倒しましょう」
「苦痛についてはともかく、『すみやか』とか『少しでも早く』とかいうのは難しいかもしれないぞ」
俺が悲観的な意見を述べたのは根拠あってのこと。坑道の奥から、兵士の一団がまたやってきたんだ。
「どれだけの数がいるのやら……」
俺は『Paradiesvogel』に矢を装填した。こいつはグレネードランチャーと一体化した特製のクロスボウ。矢のほうも特製だ。魔力を込めた塗料を鏃に塗ってある。
●エリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)
私やノインさんや敵の兵士たちの間をすり抜けるようにして、真一文字の線が引かれた。
細長いなにかが飛んでいったの。
その軌跡をなぞって、二本目のなにかが通過した時、私はそれらの正体を悟った。
エトヴァ君がクロスボスから放った矢よ。
でも、次の瞬間には、自分の出した答えに自信が持てなくなった。だって、坑道の奥へと向かった二本目の矢(かもしれないもの)は、新たにやってきた兵士たちのうちの一人に命中した途端、盛大に爆発したんだもの。矢が爆発するなんて……爆弾かなにかを仕込んでいたの?
しかも、ただの爆発じゃない。巻き起こった炎は紅蓮でも漆黒でもなく、黄金の色。それが爆風とともにうねり広がっていく様は透明のキャンバスに薔薇の絵が描かれていくよう。サウンドソルジャーにしてリアライズペインターであるエトヴァ君には相応しいアーティスティックな技ね。
「ぎぇるぁぁぁーっ!?」
「びぃらぉぉぉーっ!?」
ダメージを受けた二人の兵士(矢の直撃を受けた兵士と、爆発に巻き込まれた兵士)が叫んだ。その叫びもただの叫びじゃなかった。そう、パラドクスよ。エトヴァ君だけをピンポイントに狙った反撃らしく(どういう原理でそんなことができるのかは判らない)私はダメージを受けなかったけど。
エトヴァ君の体はびりびりと震えてる。でも、それは恐怖に身震いしているわけじゃなくて、衝撃による振動でしょうね。表情は平静そのものだもの。
「爆発だけでは足りないか? じゃあ、罠もくれてやる」
エトヴァ君がそう言うと、ただでさえ緩慢だった新手たちの足取りが更に緩慢になった。足をもつれさせて転倒した兵士もいる。トラップ生成のパラドクス効果を使ったのね。
「今のうちにノインさんとエリザベータさんはこちらの敵を始末してくれ。俺は――」
エトヴァ君は翼を広げてジャンプすると、低い天井すれすれに飛んで兵士たちの頭上を通過し、例の『S-42』のシャッターの前に着地した。
「――設備を破壊する」
シャッターを押し上げると、その奥にあったのは配管だらけの壁。でも、行き止まりというわけじゃない。上下に伸びる縦坑よ。Sは『Schacht』の略だったのかも。
私とともにエトヴァ君を守りつつ、ノインさんが尋ねた。
「壊せるか?」
「壊せるとも」
エトヴァ君は片手を穴の縁にかけて半身を縦坑に乗り出し、上に向けてクロスボウの矢を放った。半身を戻して素早く再装填。そして、また半身を乗り出し、二本目を発射。
数秒後、縦坑から爆発音が聞こえ、坑道が揺れた。
上のほうでまた黄金の薔薇の絵が描かれたんでしょうね。
●シル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)
『ゲージ用か入気用か配電用か知らないが……とにかく、縦坑の一つを破壊した。場合によってはそちらの壁だの天井も崩れるかもしれないから、気をつけろ』
いつの間にか耳にくっついていた通信機(誰かがパラドクス通信を使ったみたい)越しにエトヴァさんが報告してくれた。
別班は奮闘してくれてるみたいだね。こっちも頑張らないと!
「狼さん! ここは通さないから!」
包帯を巻いた『狼さん』が爪を振り上げてきたので、わたしは飛び退った。そして、飛翔のパラドクス効果の力を借りて、今度は前方斜め上に大きくジャンプ。『地に足をつけて戦うのも悪くない』とは言ったものの、こうやって飛んでるほうが性に合ってるねー。もっとも、『飛んでる』と言えるほどの高さまで上昇するのは無理。狭い場所だから、頭が天井がめり込んじゃう。
パラドクス『光精瞬殺剣(エレメンタル・ドライブ・ライトミラージュ)』をまたまた発動して、天井にめり込む役は残像に譲り、狼さんの背後に瞬間移動。光の精霊の力を一時的に宿したショートソードで背中をばっさり! ついでに魔法の誘導弾も発射! 誘導弾のほうは狼さんじゃなくて、分かれ道にあるレールの分岐器を狙ったんだよ。坑内の施設もしっかり壊しておかないとね。
「こないで! こないで! こないでぇーっ!」
別の狼さんが突進してきた。『来ないで』と言いながら近寄ってくるというのは滑稽だけれども、ぜっんぜん笑えない。その声はあまりにも悲愴だったから。
「こない……どぅえっ!?」
わたしが迎撃するまでもなく、狼さんは呻きを発して倒れた。承李さんが素早く踏み込んで、斬り捨てたんだよ。その拍子に熱風が吹き付けてきたけれど、それは狼さんのパラドクスじゃなくて、承李さんの刀から生じたもの。
「哀れな……」
狼さんの死体を見下ろして、承李さんは呟いた。
でも、すぐに他の狼さんたちに向き直った。とても厳しい目つき。哀れだと思っているのは嘘じゃないだろうけど、だからといって、手を抜いて戦うつもりはないみたい。
「うん。哀れだ」
遊里さんが機械群で狼さんたちを攻め立てた。
「暗い閉所に犇めき、苦しみもがく半機械の兵士たち……人によっては、地獄に見えるだろうな」
「いや」
と、承李さんがかぶりを振った。
「『人によっては』なんてことはないだろう。誰が見ても、これは地獄だ」
「いや」
と、今度は遊里さんのほうがかぶりを振った。
「残念ながら、そうでもない。地獄を地獄だと思わない輩がこの世には沢山いる。だから、こうして――」
遊里さんの機械群が隊列を組み直し、敵にまた攻撃を仕掛けた。
「――俺たちの前に地獄が繰り広げられているんだ」
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【神速反応】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【フライトドローン】がLV3になった!
【操作会得】LV1が発生!
【温熱適応】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV4が発生!
【先行率アップ】がLV2になった!
【ダブル】LV1が発生!
奴崎・娑婆蔵
●SPD
死して尚、異形の改造を積まれェの……と
成る程、ここが地獄でござんすか
・自分も全身包帯グルグル巻きなので、立ち回りつつ鉄屑兵の中にしれっと紛れ込む
・鉄屑兵の挙措をマネてみたり、ウウーとかアアーとか言う
・そうこうしつつ「トンカラトンと言え……」と囁きながら『トンカラ斬り』にて斬り付けて回る
・鉄屑兵各人の包帯を自身の呪いの包帯で上書き/被覆、彼らを自身に連なる存在たらしめるべく【呪詛】を掛けよう
・呪いの包帯を操作することで鉄屑兵達個々人の心身を支配、同士討ちを同時多発的に誘発しつつ、また周辺設備を巻き込むような攻撃軌道も取らせる
・設備破壊時は味方や友軍を崩落等二次被害に巻き込まぬように注意
エレオノーラ・アーベントロート
あら、組長さん(g01933)に似た格好の方がわらわらと……って本物も混じっていませんこと?
間違えて当ててしまったらごめんあそばせ。
なんて言いながらキッチリと敵にあたるように「第六十五の魔弾【轟雷】」で敵を減らしつつレールやターンテーブルを破壊していきますわ。
ある程度減らしたらレールの本数や大きさから主要な採掘箇所を予測してそちらを重点的に破壊していきましょう。可能であれば鉄屑兵を突破してホールの奥の施設まで破壊したいですわね。
トループス級が高熱の波動を放出したら「第六十五の魔弾【轟雷】」で施設の方へ吹き飛ばし防御しつつ、細かなコントロールができないという敵の技で施設を破壊させますわ。
眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎
【ヨアケ】で引き続き行く
お次は施設の破壊工作、この調子で進めようじゃねぇか
俺は破壊メインで行こうか
やる事は一つ、爆破だ
合点!んじゃ、今回もよろしく頼むぜ、アイネちゃん
完全視界を発動しつつ、炭鉱内部の様子をしっかり観察だ
隠れた資材も見逃さず、きっちり吹き飛ばさせて貰おうか
鉄屑兵の相手は基本的に運命と姫恋に任せて
怪力無双を使いつつ、氷晶剣の貫通撃なんかで物資や機材を破壊して進みながら
強化魔力糸を張り巡らせて鉄屑兵どもの行動遅延を狙う
ある程度巻き込めそうな頃合いを見計らって
パラドクスを使うぜ
発破の準備オーケイ!
行くぜアイネ!根こそぎ吹っ飛ばしてやれ!
桜・姫恋
アドリブ・絡み歓迎
【ヨアケ】の皆と。
施設破壊はうちのご自慢のカップルに任せて私はカップルの護衛を努めようかな。
【完全視界】で視界は確保しつつ《情報収集》で敵の動きを読み取る。【飛翔】し、施設破壊を担当するアイネリスと人鳥を狙う敵を中心に《連撃魔法》《連射》の技能を使いながらパラドクスの眼鏡ビームで打ち倒していく。
悪いけど仲間に手は出させないよ!
危うい時には《全力魔法》のメガネビームに切り替え常に破壊してる人たちには攻撃が行かないようにする。
ねぇもっと私を楽しませてよね♪
アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎
【ヨアケ】
彼らを亡者のまま苦しませるのは不本意ですですから……
新たな生を得られるよう、一切吹き飛ばします。
力をお借りしますよ。
【完全視界】を使用しつつ周囲を【観察】
資材を見つけ次第槍刃を撃ち込み【爆破】します
【飛翔】の速度を利用して一気に攻めていきましょう
鉄屑兵は基本的に味方に任せますが
立ち塞がるのであれば【両断】して撃破していきます
人鳥さんから合図を受けたら連携を開始
【連続魔法】【制圧射撃】を駆使、パラドクスで全て纏めて吹き飛ばします。
このような非道を見過ごす訳には行かない。
必ず追い詰める……逃げられるとは思わない事ね。
百鬼・運命
【ヨアケ】
動力甲冑は送還、ネズミを使い魔にして、まず坑道内を探査し重要施設や牢獄を捜索。
他の参加者とパラドクス通信で情報交換、場合によっては使い魔で道案内も
戦闘では施設破壊中、警備兵を引き受ける。
「やれやれ、なかなかえぐいが効率的な手を使うな」
こういうのを相手にするのは気がひけると嘆息交じりにそう言いつつも、仕事は別と割り切っているので容赦なく群鳥で敵を削っていく。
増援の妨害に【通信障害】をかけつつも、【フライトドローン】等で戦闘中も常に周辺警戒と退路確保し、戦闘中の部隊とは別の部隊のニアミスに注意。増援により此方の処理能力を超えそうな場合は【トラップ生成】で足止め、一時撤退
アドリブ絡み歓迎
●眉立・人鳥(約束を背負いし翼・g02854)
坑道をどんどこ進み、着いたところはホールというかドームというか……まあ、とにかく、だだっ広い場所だ。トロッコの発着場なのかな? 中央にはいくつかのターンテーブルがあって、それらから何本ものレールが蜘蛛の巣みたいに伸び、壁のそこかしこに穿たれた坑道に続いている。
普段なら、ブラック国家事業の犠牲者たちが忙しなく動き回り、何台ものトロッコが行ったり来たりして、脱走系映画の前半部分かプロレタリア文学かっていうような光景が繰り広げられているんだろうな。
しかし、『普段』ならざる今は違う。何十人もの兵士がよたよたとした足取りで俺たちに迫っているんだ。ここに来るまでに見かけた奴らと同じ、顔を包帯でぐるぐる巻きにして鋼の爪で武装した兵士たちだよ。名付けるなら、『鉤爪添えゾンビ兵の包帯巻き 機械化ドイツ帝国風仕上げ』ってところか。シェフの人間性(というか、非人間性?)が一目で判るな。
だが、そんな悪趣味な創作料理を味わってる暇はない。俺の担当は敵兵の相手じゃなくて、炭坑の設備や貯め込んだ資源を破壊することだから。
「坑道内の探査は俺に任せてくれ」
と、眼鏡をかけた兄ちゃんが言った。こいつの名は運命。そう、俺らと一緒に飛び回ってたあのゴツい動力甲冑の中の人だ。
「実際に働くのは俺じゃなくて、この子だけどな」
中の人が腰を屈めて何事かをすると、その足下から『この子』とやらが走っていった。
坑内に住み着いていたであろう煤まみれのネズミだ。
どうやら、パラドクス効果の使い魔使役を用いたらしい。
●百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)
ここで働かされている人たちがいる場所に行け――そう命じると、ネズミは走り出した。
その後を追っていく何人かの仲間たちに向かって、人鳥さんが手を振った。
「頼んだぜ、チュー太郎」
「いや、その名前は安直すぎるでしょ」
今にもネズミを追いかけていきそうなスフィンクスのルナを抱き抱えるようして押さえつつ、姫恋さんが人鳥さんをジト目で見た。
「せめて『ねずみん』にしようよ」
「それも安直じゃないか?」
と、俺は思わず苦笑したが、すぐに表情も気持ちも引き締め、向き直った。
頼りない歩き方(レールにつまづいてる奴もいる)で迫り来る包帯姿の兵士たちに。
「あ゛あ゛あ゛あ゛……」
「く、くるしい……」
「たすけて……」
包帯の隙間から覗く口から吐き出されているのは苦悶の声。もっとも、俺たちに苦しみを訴えかけようとしているわけじゃないらしい。熱病に犯された者の譫言のようなものだろう。
改造を施された兵士というのは機械化ドイツ帝国ではおなじみの存在だが、こいつらは明らかに失敗作の類だ。自分の意思で志願したのであれば、自業自得と言えなくもないが、強制的に改造された結果がこれだとしたら……。
「やれやれ。こういうのを相手にするのは気が引けるな」
「お気持ちは判りますが――」
アイネリスさんが腕を振った。その動作に合わせて槍が彼女の横に出現したけれど、空戦型ゾルダートとの戦闘時に召喚したそれとはまた別の種類の槍のようだ。
「――私たちが手を下さなければ、この人たちは生者か亡者か判らぬ状態のままで苦しみ続けるだけです。新たな生を得られるよう、一切を吹き飛ばしましょう。力を貸していただけますね?」
「合点!」
と、人鳥さんが返事をした。
「今回もよろしく頼むぜ、アイネちゃん!」
●アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)
「新たな生を得られるよう、ですか……」
私が口にした言葉の一部を復唱しながら、エレオノーラさんが前に出ました。その手にあるのは、防衛線を突破する際にも猛威をふるっていた火砲です。火砲と言っても、火薬の類を用いた武器ではないようですが。
「輪廻転生というものが実際にあるかどうかはさておき、この哀れな兵士たちを――」
エレオノーラさんは、風を切る音がするほどの勢いで火砲を振り上げ、すぐにぴたりと停止させました。仰角六十度ほどでしょうか。
「――成仏させることに異存はありませんわ!」
火花が散る音にも似た駆動音が火砲の機関部から聞こえ、砲弾が撃ち出されました。
それは榴弾の類だったのでしょう。一筋の軌跡をコンマ数秒ほど描いた後、無数の弧線に枝分かれし、何人かの兵士に降り注ぎました。
「んぎゃあーっ!?」
「あ、あつい! あつい!」
「あ゛ぁぁぁつ゛ぅぅぅい゛ぃぃぃ!」
身悶えして絶叫する兵士たち。砲弾の破片によって穿たれた傷口から血とも腐汁ともしれぬものが撒き散らされ、体全体から熱風が発せられました。おそらく、それはパラドクス。距離を置いている私でさえ熱を感じることができたのですから、前方にいるエレオノーラさんは少なからずダメージを受けているはず。
しかし、火砲を構えて仁王立ちする彼女の後ろ姿は毅然としたものでした。
「それにしても、この兵士たちの外見は組長さんを彷彿とさせますわね」
姿が毅然なら、語調は悠然。熱風の反撃に動じていないことをアピールしているのかもしれません。
「とくにあの兵士はそっくり……って、あら? よく見たら、そっくりさんじゃなくて、本物じゃありませんか」
そう、兵士たちの中には、エレオノーラさんが言うところの『組長さん』――つまり、娑婆蔵さんが混じっていました。
●エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)
「うおぉぉぉ……あえぇぇぇ……」
何者かを呪詛するかのように呻きながら、包帯まみれの御仁――組長さんは兵士たちの群れに加わっていました。
当人は上手く紛れ込んだつもりなのかもしれませんが、包帯以外に共通点はありませんから、どこからどう見ても浮いています(さっきは『そっくり』と言いましたけれど、あれは冗談ですからね)。
当然のことながら、兵士たちも騙されませんでした。知能は低下しているようですが、敵と味方の判別くらいはできるのでしょう。
「こ、な、い、でぇぇぇー!」
兵士の一人が走り出し、爪で組長さんに斬りつけました。一瞬前までののろのろとした歩みからは想像もできない素早さです。
兵士は更に走り続け、姫恋さんにも斬撃を浴びせました。
「にゃにゃ!?」
姫恋さんに抱き抱えられていたルナが悲鳴を上げましたが、彼女もしくは彼は無傷です。姫恋さんが咄嗟に反転し、自らの背中で爪を受けたので。
「あらら? この程度なの?」
背中の傷をものともせずに翼を広げて舞い上がる姫恋さん。
そして、空中でルナを離すと、赤いアンダーリムの眼鏡をスチャッと装着し――
「どうせなら、これくらい派手にやってよね!」
――その眼鏡から桜色の光線を発射しました。確かに派手ですね。桜色をしているだけでなく、桜吹雪を伴っているのですから。
雨のごとく降り注ぐ桜の花片を浴びながら、兵士は胸を光線に撃ち抜かれて体勢を崩しました。
その背後に突進したのは、偽装をやめた組長さん。
「トンカラトンと言え」
意味不明の言葉を呟きながら、腰の黒鞘から抜いた妖刀を一閃。兵士の背中からどす黒い血が迸ったかと思うと、それは灰色がかった包帯に変わりました。
「トンカラトンと言うんだよぉ」
組長さんが包帯の端を掴み、ぐいと引くと、兵士は地面に倒れました。
「ほれ、言わねえかい」
かつては自分の血だった包帯に引っ張られ、ごろごろと転がされる兵士の姿のなんと無様なことか。しかし、組長さんは敵に屈辱を与えるためにそんなことをしているわけではないでしょう(そんな人ではありませんからね)。なにか別の目的があるのだと思われます。
●奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)
あっしが敵のヘータイさんを必要以上に蹂躙しているのは、この胸糞悪い炭坑の設備を破壊するためでござんす。ほら、地面を見てごらんなせぇ。ヘータイさんを転がしまくったもんだから、トロッコのレールが鉤爪でズタズタになっているでしょうが?
言うまでもないたぁ思いますが、設備を破壊してるのはあっしだけじゃありませんぜ。うちの組(『奴崎組』というケチな一家でござんす)のエレオノーラもレールガンとかいう代物を周りの坑道めがけてブッ放してまさぁ。とはいえ、なにも考えずにやたらめったら撃ちまくってるわけじゃないようで。奥のほうに続いてくレールの本数だのなんだのを鑑みて、より重要と思われる坑道ばかりを狙っている模様。
そして、坑道ばかりでなく、ヘータイさんたちを攻撃することも忘れちゃあいません。
「組長さんと敵との見分けがつき難いですから、狙いを定めるのが難しいですわね。間違えて当ててしまったら、ごめんあそばせ」
物騒なことを抜かしてやすが、もちろん、あっしはそんな戯れ言を真に受けたりしやせんでした。エレオノーラが誤射するなんてこたぁ、万が一にも……いやさ、億が一にもありゃしません。
もっとも、エレオノーラの主目的ってのはあくまでも設備の破壊のほうなんで、どうしても撃ち漏らしちまうヘータイさんもいるわけで。
そういうヘータイさんは――
「群鳥ノ簇ガリテ鶉如セ」
――運命が撃退してくれやした。何十枚もの符を四方八方にばら撒いて。
「『気が引ける』とか言ってた割にはしっかり働いてるじゃないか。感心、感心」
「まあね」
人鳥がニヤリと笑いかけると、運命は肩をすくめてみせやした。
「仕事は仕事と割り切るさ。心がまったく痛まないわけじゃないが、そのせいでやるべきことを見失ってしまうほどナイーブでもないからな」
確かにナイーブな奴には耐えられないでしょうな。異形の改造を施されたヘータイたちがのたうち回る様はまさに――
「――地獄でござんすから」
おっと、いけねぇ。声に出しちまった。
●桜・姫恋(苺姫・g03043)
眼下に広がるのは、組長が『地獄』と評した光景。
その一角から呟きが聞こえてきた。
「このような非道を見過ごすわけにはいきません」
声の主はアイネリアス。『地獄』をじっと見据えている。
そんな彼女に二体の敵が向かっていったけど――
「仲間に手は出させないよ!」
――必殺の眼鏡ビームで撃退!
閃く光、舞い散る桜。我ながら、華麗な技だわー。
その桜吹雪に紙吹雪も加わった。ただの紙じゃなくて、呪符だけどね。そう、運命が追い打ちをかけたんだよ。
「敵は俺たちが引き受ける」
「はい」
運命の言葉に頷き、ホールの隅のほうに目をやるアイネリス。
私も反射的にそっちを見た。
何台かのトロッコが並んでいる。一時的な収納箱として使われていたのか、中には石炭がぎっしり。
「敵もオマヌケですわね。火気厳禁の炭坑に――」
エレオノーラがレールガンを発射。一体の敵が吹き飛ばされ、収納箱代わりトロッコにぶつかり、石炭がぶちまけられた。
「――火種のごとき兵士を配置するなんて」
トロッコにぶつかったその敵は例の熱気系パラドクスを発動中だった。まさに火種。散乱した石炭が熱せられて赤く染まり、嫌な煙を噴いてるよー。
「ほれ、燃料追加だ」
人鳥もなんだかよく判らないパラドクスを使って、数人の敵をまとめてトロッコの位置に押しやった。燃料扱いされるだけあって、その敵たちも熱気むんむん状態。体に陽炎を纏っているように見える。
「発破の準備、オッケー! 根こそぎ吹っ飛ばしてやれ、アイネちゃん!」
「はい。姫恋さんのリクエスト通り――」
アイネリアスの傍に浮いてた槍が向きを水平に変えて、勢いよく飛び出した。
「――派手にいきましょう」
槍は二体の敵をまとめて刺し貫き……そして、爆発!
粉微塵に吹き飛んだのは、槍を直に食らった二体だけで、他の敵はノーダメージだったみたい。でも、周囲にある石炭はクロノ・オブジェクトでもなんでもないから、ノーダメージとはいかないんだよね。トロッコに積まれていた分も地面に転がっていた分も火の玉と化して盛大に飛び散ったよ。で、それらが落ちた先に別の石炭があったりするもんだから、引火が引火を呼び、爆発が爆発を呼んで、そこかしこで炎と煙が巻き起こった。
「必ず追い詰めてやる……」
爆風に煽られて乱れる髪を直そうともせず、アイネリスが静かに宣言した。
ここにはいないクロノヴェーダたちに。
この『地獄』を生み出したクロノヴェーダたちに。
「逃げられるとは思わないことね」
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【腐食】LV1が発生!
【通信障害】がLV2になった!
【避難勧告】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
【フライトドローン】がLV4になった!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【反撃アップ】がLV4になった!
【アクティベイト】LV1が発生!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
赤上・イズル
■【ルール攻略隊】
■アドリブ・絡み歓迎
*効果2はすべて使う
坑内に放たれた兵達はそちらへ向かう仲間達にお任せして
我々は囚われている作業員たちの救出に向かいましょう
さぁ、マリコさん行きますよ
【完全視界】で坑内での視覚を確保し
仲間と【パラドクス通信】で連絡を取り合いながら
敵と鉢合わせしないよう確認しながら進む
牢に辿り着き作業員を確認したら助けに来た旨を知らせ落ち着かせる
牢を破壊するので隅に避難してて貰うよう告げ
パラドクス【徒花】で【精神集中】し脆い部分を見つけ
刀にて【一刀両断】して【怪力無双】でこじ開ける
その際にも周囲に敵がいないか警戒を怠らない
その後作業員たちに首輪の仕掛けを話し脱出の説明をする
月下部・小雪
【ルール攻略隊】、です。
囚われている労働者さん達を助けに、行きます!
【契約召喚】でアクマを呼び出し(うぅ、こ、怖いです)、周辺を警戒させつつ坑道を進みます。
牢獄までたどり着いたら、【友達催眠】を使って、友好的に話かけますね。
こ、これから仲間達と一緒にここを爆破していっちゃいます!
このままここにいたら、み、みんな生き埋めになっちゃうから、崩落のどさくさで逃げ出して、ください。
お外にいたゾルダートはボク達がいっぱい、倒しました。
ここの指揮官さんをやっつけたら指揮が乱れるはず、です。その隙に鉱山から、離れてくださいね。
※アドリブや連携も大歓迎
白水・蛍
【ルール攻略隊】
アドリブ・連携歓迎
効果2は全て使う。
さあ、救出いたしましょう。
【完全視界】で視界確保。【パラドクス通信】で連絡を取り合いつつ、敵と鉢合わせしないように確認しつつ進みます。
牢を見つけたら<両断>もしくは【一刀両断】で鍵・牢屋の入り口を壊して入ります。
その後は作業員たちに首輪の説明をし、脱出を説明いたします。
我々はあなた方を助けに来ました。大丈夫。絶対に助けます。
もし、他にも牢がありましたら、上記行動を繰り返し、救出いたしますわ。
だからありましたら教えていただきたいです。と聞く事も忘れません。
シエルシーシャ・クリスタ
アドリブや連携は歓迎
③班と同時行動だから見周りも牢番も多分いないだろうけど、気は抜かない。
妖精達にも天井付近から先行偵察してもらいながら進む。
敵がいたら脱出時に危険かもしれないし、確実に潰す。
牢は手分けして解放かな。私は【腐食】させようか。
逃げたくない人はいないはず。諦めてるだけで。
外に出ても希望がない、もう終わりにしたいっていうなら残るのも選択だけど……それは冷たくて寂しいよ。
あ、最近持ち歩き始めたドライフルーツ、出そう。
逃げるのにも体力は必要だし少しでも足しにしてほしい。みんなで分けて。
それと、地雷原だった進入路と破壊工作現場については伝えておこう。
別ルートをちゃんと意識してもらいたいし。
アナスタシア・コルヒドレ
アドリブ共闘歓迎
苦労はしたけど防衛線は突破した。
破壊工作はみんなに任せて私は救助を!
破壊に関しては悲しいけど私得意。
牢の扉に【建造物分解】が使えるなら使いたいけど、もしだめならBlaue Flammeかバーナー砲で【破壊】するよ!
レジスタンスとはちょっと違うけど、助けに来たよ。
貴方たちは助かるんだ。その首の爆弾も時期に解除されるからね。
牢は壊してあげる、その時が来たら全力で走って……いいね?
と、この言葉を【情熱】を持って【大声】で労働者みんなに伝えて、しっかりと諦めない【勇気】を与えておくね!
●赤上・イズル(コードネーム:ミラージュ・g04960)
敵兵との戦闘や設備の破壊は他の人たちに任せて、俺は四人の仲間とともに作業員の救出に向かいました。
四人というのはディアボロスだけの人数ですよ。実際はもっと大所帯。運命さんの使い魔のネズミが案内役として先頭を走っていますし、シエルシーシャさんの友達の妖精たちが天井近くを飛んで斥候を務めていますし、小雪さんが召喚したアークデーモンも周囲を警戒してくれています。
もっとも、当の小雪さんは――
「ううっ……怖いです……」
――容貌魁偉なアークデーモンに脅えて、今にも泣きそうな声を出していますが。
俺の肩に乗っているマリコさんや、小雪さんの頭に乗ってるコダマくんも忘れてはいけませんね。
それにオラトリオもいます。名前はスパーライトさん。
そんな季節外れのハロウィンめいた面々と一緒に走り続けていると、スピーカー越しの警告が聞こえてきました。
『崩落事故が発生した。全作業員は居住室の安全区で待機せよ。繰り返す。崩落事故が発生した。全作業員は居住室の安全区で待機せよ。繰り返す。崩落事故が……』
俺たちの襲撃は崩落事故として扱われているようです。ある意味では正しいですね。最終的には崩落させるつもりでいるのですから。
更に進んでいくと、坑道の先に赤い光が見えました。
「照明が赤い……」
そう呟いたのは、長い黒髪を纏め上げた男装の女性。
スパーライトさんの主の蛍さんです。
「パラドクス効果の『避難勧告』の作用というわけではなさそうですね」
「そだね」
シエルシーシャさんが蛍さんの言葉に頷き――
「はい、到着」
――赤い照明が灯った区域に入ったところで足を止めました。
俺たちも立ち止まりました。
作業員の方々が閉じこめられている『居住室』とやらがその区域にあったからです。
●白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)
『崩落事故が発生した。全作業員は居住室の安全区で……』
「うるさいなあ」
スピーカーが備え付けられた辺りにアナスタシアさんが機関銃を連射すると、警告のメッセージは聞こえなくなりました。
『避難勧告』のサイレンはまだ鳴っていませんし、赤い灯りも明滅していません。この地域は危険と見做されていないということでしょう。崩壊の要因であるアヴァタール級が現段階では戦闘をおこなっていませんから。
しかし、『現時点では』というのは『時間の問題』と言い換えることもできます。閉じこめられているであろう人々を早急に避難させないと……。
坑道の片側には鉄格子が等間隔に設けられていました。しかし、人の声は聞こえてきません。少しばかり不安になりながらも、私は他の方々とともに手前にあった鉄格子を覗き込んでみました。
不安は杞憂だったようです。鉄格子の向こう側――いちばん奥の壁に作業員と思わしき人々が横一列に並んでいました。壁に身長の目盛りこそありませんが、容疑者の面通しのように見えますね。
声が聞こえなかったのは、全員が口を引き絞っているからです。目もぎゅっと閉じていますし、顔は汗まみれ。機関銃の連射音を看守の脅しかなにかと思い込んで、脅えているのかもしれません。
「もしもし?」
「もきゅもきゅ?」
イズルさんとマリコさんが声をかけると、一人の作業員がゆっくりと目を開けました。
そして、きょとんとした顔で私たちを十数秒ほど見つめた後――
「うぇぇぇーっ!?」
――驚愕と歓喜の声をあげました。
●アナスタシア・コルヒドレ(蒼炎の閃光(ひかり)・g00340)
作業員の叫び声はそれはもう大きかった。
どれくらい大きいかというと――
「もきゅっ!?」
――コダマくんが腰を抜かして小雪さんの頭から落ちてしまうほど(でも、モーラット・コミュの腰ってどこだろう?)。スパーライトちゃんも蛍の背中に隠れてるし。
他の作業員たちも目を開き、次々と声をあげた。
「うわっ!? マジか!?」
「女だ! 女だぁーっ! しかも、三人もいる!」
「肉眼で御婦人を見るのは三箇月振りですぞぉ!」
「俺なんて七箇月振りだ!」
女性陣は三人じゃなくて四人なんだけどね(スパーライトちゃんを含めれば、五人か)。小雪ちゃんはノーカウントなのかな? まあ、十歳児をカウントしていたら、それはそれで問題だよね。
他の牢屋にも興奮が伝染して、全員がわいわいきゃあきゃあと騒ぎ出した。
「すいません。もう一度、奥まで下がってください。この鉄格子を破壊しますから」
鉄格子のところにまで駆けてきた作業員たちをイズルくんが落ち着かせてる。赤みがかった刃の刀を構えながら。
「あんたら、レジスタンスなのか?」
そう尋ねたのは、イズルくんが壊そうとしているのとは別の牢屋の作業員。
「んー? ちょっと違うかな」
と、私はその作業員に答えた。
「でも、敵じゃないよ。あなたたちを助けに来たんだ」
「それはありがたいけど、鉱山の外には機械野郎どもがうようよいるんじゃねえの?」
「だ、大丈夫です」
と、小雪ちゃんが言った。
「お外にいたゾルダートは……ボ、ボクたちが倒しましたから」
おどおどした語調だけど、作業員たちは彼女の言葉を疑う素振りを見せなかった。『友達催眠』が効いているみたいだね。
●シエルシーシャ・クリスタ(鬼人の妖精騎士・g01847)
「九字切流、徒花」
イズルが刀を閃かせると、鉄格子の一部――鍵穴のある場所がスパッと綺麗に切れた。
「斬った後で怪力無双を使ってこじ開けようと思っていたのですが、徒花だけで充分でしたね」
「私はこっちを開けるね」
別の鉄格子の前でアナスタシアも刀を振りかぶった。刀といっても、イズルのそれとは大違い。空戦型ゾルダートを何機もスクラップにした、あのブースター付きの厳ついやつだよ。
「皆、もうちょっとの辛抱だよ! そう、五秒後には自由の身!」
作業員たちを大声で励ましながら、ブースターを噴かしてドカーン! 五秒どころか二秒で叩き壊しちゃった。
原型を留めていない鉄格子(ちぎれたり曲がったりして、前衛的なオブジェみたいになってる)の向こう側から我先にと飛び出してくる作業員たち。全員、大喜びしてる。
でも、さっきまで大声をあげていたアナスタシアはちょっと浮かない顔だね。
「私、こういう風になにかを壊すのだけは得意なんだよね。悲しいことに……」
「悲しむ必要はないでしょう。その得意なことがこうして役立っているのですから」
アナスタシアをフォローしつつ、蛍が日本刀めいたフォルムのソードハープで鉄格子を断ち切った。パラドクス効果の『一刀両断』を使った模様。
その見事な手並みにスパーライトが拍手を送った。
隅っこのほうで三角座りしていたアークデーモンも拍手をした。
●月下部・小雪(デーモンのデジタルサマナー・g00930)
「確認させてください」
蛍さんが、作業員さんの一人に尋ねました。
「この区劃には他にも『居住室』とやらがあるのですか?」
「ないない。働かされていたのは、ここにいるので全員だよ」
つまり、ボクたちは全員を(とりあえずは)助けることができたのですね。よかった、よかった。
そうこうしているうちにシエルシーシャさんがパラドクス効果『腐食』の霧を生み出し、残りの牢屋の錠をボロボロに錆びつかせて壊しました。でも、爆弾が仕掛けられた首輪は『腐食』の影響を受けていません。たぶん、クロノ・オブジェクトなのだと思います。
その首輪のことなどについて、イズルさんと蛍さんが作業員さんたちに説明しました。
「御存じかもしれませんが、炭坑から離れると、皆さんの首輪は爆発してしまいます」
「しかし、この区劃の管轄者が死ねば、首輪の機能は失われます。あなたがたはとりあえず出口まで逃げて、そこで待機してください」
「待機して……その後はどうすりゃいいんだ?」
と、一人が作業員さんが尋ねました。ちょっと不安そうな顔をしていますね。
「心配御無用! 私たちが管轄者を倒すから!」
大きな声で言い切ったのはアナスタシアさんです。
「管轄者が死んだら、この区劃は崩壊するらしいよ。だから、その時が来たら、全力で外に走って……いいね?」
「お、おう!」
作業員さんは頷きました。他の作業員さんたちも頷きました。不安が完全に消えたわけではなさそう。でもボクたちへの信頼のほうが勝っているようです。
「あ! そうだ」
シエルシーシャさんがなにかを思いついたのか、あるいは思い出したのか、懐をごそごそと探りました。
取り出したるは――
「逃げるのにも体力は必要だし、これを少しでも足しにして」
――ドライフルーツの詰め合わせです。
それを見た途端、作業員さんたちはまたもや大騒ぎを始めました。
「うわっ!? マジか!?」
「ドライフルーツだ! ドライフルーツだぁーっ! しかも、いろんな種類があるぅ!」
「甘いものをいただけるのは二週間振りですぞぉ!」
「俺なんて五週間振りだ!」
女の人たちを見た時よりも喜んでいるような気がします……。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV2になった!
【腐食】がLV2になった!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV8になった!
【ダブル】がLV2になった!
●幕間
作業員の救助、設備の破壊、鉄屑兵の掃討――それらを終えたディアボロスたちは第十七番区で合流した。
戦闘はとりあえず収束したものの、そこはまだ地獄の様相を呈していた。あちこちで炎が燃え立ち、煙が巻き上がり、力尽きた鉄屑兵が累々と転がり……。
その地獄の舞台に新たな登場人物が現れた。
航空突撃兵型のゾルダートである。
空戦型ゾルダートたちと違い、全身これ機械といった姿はしていない。
鉄屑兵のようなアンデッドめいた姿でもない。
にもかかわらず、そのゾルダートは人間味に欠けていた。
特に顕著なのが目だ。己の心を律することができる優秀かつ非情な軍人の目。
「サンダーブリッツの部隊にリソースを割きすぎたツケを払わされたか……坑内の警備など鉄屑兵で充分だと思っていたのだがな」
鉄屑兵たちの死体を見回した後、ゾルダートは感情なき目をディアボロスたちに向けた。
「貴様たちに感謝すべきなのかもしれんな。警備体制を見直して再編する機会を与えてくれたのだから。その礼として――」
ゾルダートの背中にある複葉型フライトユニットが空咳にも似た不快な駆動音を響かせた。
「――直々に空戦のノウハウを教授してやろう。このオズワルド・ベルケがな」
ゆっくりと上昇しながら、英雄の名を持つゾルダートは付け加えた。
「だが、学んだことを活かす機会はないぞ。貴様たちにとっては人生最後の授業なのだから」
シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携歓迎
敢えてこう返そうか。君には学んだことを活かす機会はないよ。
君はここで墜ちて、再編を考える必要のない場所に行く。
こんな所で自在に飛べる性能と技量は凄いけど、そんな事に気を遣わなきゃいけない戦場に篭もってる時点で「オズワルド・ベルケ」失格。
(全然知らないけど煽り)
弓も射るけどせいぜい嫌がらせ。速い相手には点より線、面、何より空間。
動きやすい空間を削っていこう。呪詛の「手」の群は多少遅くても長く長く伸びて追い縋るよ。
一瞬でも【捕縛】して動きを鈍らせられれば援護になるし。
あと閃光弾の罠を【トラップ生成】。相手の嫌そうなタイミングで「手」で積極的に起動させ視界を潰す。常時でもいいかな。
シル・ウィンディア
【ルール攻略隊】
連携・アドリブ歓迎
空中戦のノウハウね…
せっかくだから、ご教授いただきましょうかっ!
ただし…
払うお金はないからねっ!!
飛翔で上空に舞い上がって、空中戦機動開始っ!
世界樹の翼はtype.Aのままで動くよ
三次元機動で、上下に前後左右と揺さぶりながら動いていくよ
後ろを取られたら、加速してからの残像を生みつつ急速なエアブレーキで攪乱していくよ
通常時は高速詠唱で隙を減らしてからのパラドクス使用
ショートチャージでの収束砲で牽制攻撃しつつ…
わたしから気が逸れたら、射線を確保してから…
全力魔法の六芒星精霊収束砲!
みんな、射線から退いてっ!!
…授業料、これでお支払いっ!
おつりはいらないからねっ!!
白水・蛍
【ルール攻略隊】
連携・アドリブ歓迎
残るは貴方だけ。
貴方は一人。私たちは多数。1対多、さばききれますか?
【飛翔】を使用し、空中戦を挑みます。
【パラドクス通信】で連絡を取りつつ仲間との連携を取ります。
そして、【フライトドローン】を展開。
敵の攻撃を受ける盾や遮蔽物、
相手に見せつけるように攻撃の為にぶつけたりと相手の視界にちらちらと見せつけるように動かしましょう。
そうして相手の集中力を削ぎます。
いつこれが迫ってくるか分からない圧迫感を与えます。
味方が攻撃をとるための隙を作るのです。
隙を見せればそれがあなたの最後。
我が声にて来るは貴方の身を焼き尽くす炎の華。
消せるものなら消してみなさいな。
ヒカル・クローシィ
【ルール攻略隊】
Last mission start.
さあ、いくぞ。
【飛翔】と<空中戦>をフル活用して戦う。得意なのはお前だけではない。
【完全視界】で視界確保。【パラドクス通信】で連絡を取り合い、連携を密に。
後ろから敵を狙い撃つ。翼を狙い撃つ。
お前の精密な行動はお前のものだけでない。「それ」もかかわってるのだろう?
見た目は変わらないかもしれないが、傷がつけばどうなるかな?
<誘導弾・砲撃>、使えるものは何でも使う。
距離を詰められたら<一撃離脱・弾幕>で退きつつ攻撃する。
後は死角から狙い撃つ、当たらなくとも動かすために撃つ。だな。
味方がいる方向に追い込めばいい。
そして、一斉攻撃、だ。
ノイン・クリーガー
【ルール攻略隊】で参加。
空戦のノウハウねぇ。
偽者がよく言う。
【託されし願い】で囚人達の現在の様子を映しながら【パラドクス通信】で味方と連携とり、地上からMk45/Sで【弾幕】を張って、対空攻撃を行う。
敵の移動先に弾を撃ち込み、その機動を制限して味方が攻撃するための隙をつくる。
ベルケがこちらに向かってきたら【地形の利用】でやり過ごし、再び攻撃に転じる。
●ノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)
「空戦のノウハウねえ……ベルケの名を騙っているだけの偽者がよく言う」
恐れ多くも空戦のノウハウを御教授してくださるという大先生――宙に浮かんで腕組みしている自称『ベルケ』を俺は挑発してみた。
しかし、相手は泰然自若たる態度のまま。つまらん奴だ。
「せっかくだから、ご教授いただきましょうか。ただし、払うお金はないからね!」
ベルケを追って、シルが飛び立った。
「言っておくけど――」
続いて飛翔したのはシエルシーシャ。
「――君のほうこそ、学んだことを活かす機会はないよ。ここで墜ちて、警備部隊の再編を考える必要のない場所に行くんだから」
他の連中も次々と離陸したが、俺は地上に残った。空中戦よりも対空戦のほうが性にあっているからな。
「ふむ」
ベルケは、組んでいた腕を解いた。
「確かめさせてもらおうか。その言葉が自信に裏打ちされたものなのか、過信で飾られたものなのか……」
そして、その場から消えた。
ディアボロスの面々も消えた。
もちろん、本当に消えたわけじゃない。皆、ドームの中を高速で飛び回っているんだ。ドックファイトとはよく言ったもので、確かに犬たちが互いの尻尾を追いかけてるように見えるな。狭いドーム(いや、充分に広いんだが、空中戦の舞台としては狭すぎる)の中をめまぐるしく動く様はグローブ・オブ・デスの空中版といった趣もある。
「空中戦が得意なのはアンタだけじゃないぞ」
魔力の翼を大きく広げたヒカルがベルケの後方から迫った。
「アンタの精密な行動はアンタの力だけによるものじゃない。それもかかわってるのだろう? 見た目は変わらないかもしれないが、傷がつけばどうなるかな?」
双翼魔弾が放たれ、ベルケに命中した。しかし、ヒカルが狙ったであろう翼は無傷。ベルケは素早く身を捻り、致命傷を避けたんだ。
いや、捻るだけにとどまらず、完全に反転してヒカルに向き直り――
「は? なにを言ってるのか、よく判らないのだが?」
――閃光弾を発射した。
自分の後方に。
●ヒカル・クローシィ(空飛びし狙撃兵・g05611)
「もしかして『それ』というのはフライトユニットのことを指しているのか?」
ベルケの背後で閃光弾が炸裂した。奴は太陽を背にして攻撃することを推奨していると聞いたが……閃光弾を即席の太陽をにしたってことか?
「だとすれば、貴様は『人が歩けるのは足があるから』といった類のごく当然のことをしたり顔で抜かす大戯けということだな」
ムカつく声が聞こえてくるが、姿は見えない。閃光弾で目をやられたから。
『右に回り込まれたよ!』
パラドクス通信機越しにシルが警告してくれたが、時すでに四半秒ほど遅し。右脇腹に衝撃! 俺は横手に吹き飛び、壁にぶつかり、墜落した。無様に頭から落ちたりせず、二本の足で着地できたけどな。
足の裏が地面に触れてから数秒後、視力がどうにか回復した。
見上げた視界に入ってきたのは、ベルケに攻撃を仕掛けているシエルシーシャの姿。
「こんな場所で自在に飛べる性能と技量は凄いけどね」
なにかの破片を継ぎ合わせたかのような奇っ怪な形状の弓を続けざまに引いている。
「そんなことに気を遣わなきゃいけない戦場に篭もってる時点でオスワリダ・ベンケー失格だから」
うーん、違うデス。名前が違うデース。さてはベルケのことをよく知らずに煽ってマスネー?
「気を遣わなくてはいけない場所だからこそ、ここで戦っているのだ」
ベンケーならぬベルケは華麗な動きで矢をすべて躱していく。
「飛行速度だけに限って見れば、貴様たちは私に優っているかもしれない。しかし、空戦では速度よりも機動性が重要とされる。限定空間ならば、尚更だ」
なるほど。狭苦しい場所ならば、機動性のあるほうがより有利になるし、速度差のアドバンテージは小さくなるだろう。地の利ならぬ空の利というわけだ。
だけど――
「――私たちが優っているのは速度だけではありませんよ」
俺が思っていたことを蛍が言ってくれた。
戦闘中とは思えないほど平静な声で。
●シエルシーシャ・クリスタ(鬼人の妖精騎士・g01847)
「なにが優っているというのだ?」
ベンケーだかベルケだかは蛍に問いかけた。
「数です。あなたは一人。私たちは多数」
と、蛍が答えた。縦横無尽に飛ぶベンケーだかベルケだかの後を、スパーライトと一緒にしっかりと追いながら。私が『折弓オーブ』で嫌がらせじみた攻撃(パラドクスじゃないから、ダメージは受けてない)をしている間にロックオンしたみたい。
「さばききれますか? これだけの数を?」
蛍はそう尋ねると――
「我が声に応えて来たれ、華の如く咲く焔!」
――パラドクスを使って、紅蓮の炎を前面に出現させた。それに沢山のフライトドローンも。
炎は詠唱の通りに『華の如く咲』き乱れて空中に燃え広がり、ベルケ(めんどくさいから、この呼び方でいこう)に襲いかかった。
だけど、炎に焼かれても、ドローンが飛び回っても、ベルケはあいかわらず冷静だった。
「私が一人だと?」
そう呟いた瞬間、航空突撃兵型ゾルダードの編隊が飛来した。いったい、どこから? もしかして、パラドクスで召喚したの?
編隊は蛍に一斉攻撃を仕掛け、彼女にダメージを与え、ついでに結構な数のドローンも破壊した。蛍はドローン群を盾代わりにしたかったのかもしれないけど、一機ずつにしか指示できないから、さすがに追っつかない。
「目視だけで敵の戦力を判断するな。伏兵や後衛の存在を念頭に置いて行動しろ」
ベルケがまたエラそうに語ってるし……でも、私たちを挑発したり、自分の有能さを鼻にかけたりしているわけじゃなくて、事実だと思ったことを淡々と告げているだけみたい。思いやりはないけど、悪意もないタイプ。
ある意味、教官としては優秀なのかな? 生徒たちから好かれるかどうかはさておき……。
●白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)
敵とはいえ、ベルケの教えはためになりますね。
しかし――
「――そう言うアンタだって、こっちの後衛のことなんて念頭に置いてないだろう?」
私が思っていたことをヒカルさんが言ってくれました。再び飛び立ちながら。
「そうだ」
と、地上にいるノインさんが頷きました。
「こちらにも強力な後衛がついている」
ベルケと私たちが飛び交う空中に大きな映像が浮かび上がりました。
パラドクス効果の『託されし願い』による映像です。
そこに映し出されているのは、炭坑の出口の付近で待機している労働者の方々。シエルシーシャさんから貰ったドライフルーツをまだ持っている人もいます(すぐに食べきるのが惜しくて、少しずつ囓っているのでしょう)。
彼らの姿は私たちに力と勇気を与えてくれました。
ベルケには疑問を与えたようですが。
「……これのどこが『強力な後衛』だ?」
「どこを取っても強力だとも」
投射された映像の陰からヒカルさんがショットガンを連射しました(連射機能を有したショットガンのようです)。それに合わせて、彼の傍に浮かぶドローンも機関砲を連射。
おそらく、敵の動きを遅くするために撃ったのでしょう(パラドクスによる攻撃ではありませんから、命中したところでダメージはありません)が、ベルケはスピードを落とすことなく、巧みな飛行で全弾を回避しました。
もっとも――
「授業料、これでお支払いっ!」
――回避した先にはシルさんがいましたけどね。
天使でもデーモンでもないのに、彼女の背中からは青白い魔力の翼が広がっていました。パラドクスの副産物でしょうか?
「お釣りはいらないからねっ!」
主産物であろう光の奔流が放たれました。
シルさんが手にしている杖の先端から。
●シル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)
『六芒星精霊収束砲(ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト)』の直撃を受けたにもかかわらず、ベルケは眉一つ動かさなかった。対単用のパラドクスだから、ダメージは小さくないはずなんだけどね。
「ふむ。動きを鈍らせるためではなく、僚機の射線に誘導するために攻撃していたのか。『大戯け』という評価は撤回してやろう」
上から目線でヒカルさんを誉めつつ、ベルケはこっちに向かってきた。
「お釣りはいらないって言ったのにー!」
でも、空の追いかけっこなら負けないよ。追いかける側だろうと、追いかけられる側だろうとね。外で空戦型ゾルダートを相手取った時と同じように、マニューバ披露会といきますか。
飛んで!
跳ねて!
急降下して!
時には急停止!
ベルケはまだしつこく追いかけてくる。でも、振り切られないように飛ぶのに手一杯で攻撃する余裕はないみたい……と、思ったけど、甘かった。
「……っ!?」
何発かの銃弾を撃ち込まれちゃった。攻撃してきたのはベルケじゃなくて、どこからともなく出現したゾルダートの編隊。蛍さんに反撃する時にも使った召喚系のパラドクスかー。
「言ったはずだぞ。伏兵や後衛の存在を念頭に置け、と……」
失速したわたしの側面にベルケが回り込んできた。
だけど――
「言ったはずだぞ。こちらにも強力な後衛がいる、と……」
――地上にいるノインさんが短機関銃で援護射撃。戦争映画とかなら、『ダダダダダッ!』みたいな連射音が景気よく聞こえたりするんだろうけど、消音器が付いているらしく、『シュシュシュシュシュッ!』って感じ。
その静かな弾幕の隙間をベルケはアクロバット飛行じみた動きですり抜けた。そこだけを切り取って見ると、百点満点。
だけど、すり抜けた先で、別のディアボロスが攻撃を仕掛けた。さっきと同じパターンにはまっちゃったね。
「ちょこまか動く奴を相手にする時は点で考えるんじゃなくて、線、面、なによりも――」
『別のディアボロス』であるところのシエルシーシャさんがパラドクスを発動。
地面にいくつもの水溜まりが現れ、それらの水面から奇妙な手みたいなものが何本も突き出てきた。
「――空間で考えないとね」
うねうねと蠢きながら、手の群れは伸びていった。
ベルケのいる『空間』に向かって。
●幕間
シエルシーシャが召喚した無数の手はベルケに追い縋り、絡みつくようにして四肢を掴んだ。
ただ掴んだだけであり、外傷を与えたわけではないが、パラドクスの行使者たるシエルシーシャ以外の面々も本能的に悟った。それらの手がベルケから生命力を啜り取っていることを。
しかし、例によって例のごとく、ベルケは動じなかった。
「思っていたよりも飲み込みの早い連中だ。教え甲斐があるな」
「いや、おまえに飲み込まされた覚えはないんだが?」
手に絡まれて動きが鈍っているベルケめがけて、ノインが短機関銃を撃った。
「ならば――」
銃弾を浴びながらも、手の拘束から逃れるベルケ。
「――これから飲み込ませてやる」
だが、すぐに新たな攻撃を受けた。
今度のそれは炎だ。
「最終的にはあなたのほうが多くのことを飲み込み、多くのことを学ぶはずです」
炎の花を咲かせながら、蛍がベルケに言った。
「敗北こそが最良の教師ですから」
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【トラップ生成】がLV2になった!
【クリーニング】LV1が発生!
【フライトドローン】がLV5になった!
【飛翔】がLV8になった!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV10(最大)になった!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【ルール攻略隊】
連携、アドリブ歓迎
同戦場の方と協力
完全視界、P通信、他残留効果を活用
先の戦場の様子を一度だけ思い返す
……地獄を終わらせよう
ここで止めさせてもらう、必ず
【飛翔】し空中戦を挑む
戦況全体を観察し、仲間と連携
空中では友軍機と臨機応変に陣形を維持
相手の死角を狙い、かつ味方の死角を補いあうよう補佐的な動き
地上部隊とも立体的に連携しよう
隙を突き、宙に描き出すは敵機
技量を持つ者ならば意はわかるだろう
さあ、汝自身と踊れ
フライトドローンを軌道上に浮かべぶつけて幾何か妨害
反撃には神速反応で構え、活路を看破し最高速度で回避
魔力障壁で防御
……後方から攻撃せよ、か
同意する
あらゆる好機も利用する
そうだろう?
赤上・イズル
■【ルール攻略隊】
■アドリブ・絡み歓迎
*効果2はすべて使う
残るはベルケですね。あの近代空中戦の父と言わしめたエース
皮肉な事ですがクロノヴェーダのおかげで飛翔の力を手にしました
それと我が剣術を合わせた技との勝負と行きましょう
マリコさん、しっかり掴まっててくださいね
【飛翔】【完全視界】それと技能の【空中戦】をもって空での戦いに特化した戦闘態勢に入る
【パラドクス通信】で連絡を取り合いつつ常に仲間との連携を取る
相手は確実にこちらの照準を捉えた時に攻撃を仕掛けてくるはず
それはこちらも同じこと。ならば、と互いに間合いに入る
そこへ【神速反応】にて一気に加速
九字切流二刀式・双竜!
両手に持った刀で【双竜】を放つ
エリザベータ・シゲトヴァール
●心情
アヴァタールの写し身とは言え、あのベルケと砲火を交えるなんてね。
油断はしないわ。最大の脅威として最大限の敬意を払う。それが、同じく空戦を己の存在意義とする者の矜持よ。
●行動
【ルール攻略隊】
【空中戦】【戦闘知識】をフル活用し【飛翔】。
空戦用強心剤と耐Gスーツも併用して真っ向勝負を挑む。
【完全視界】で暗がりを見通し、【パラドクス通信】で連絡を取り合い、警戒を喚起し合ったり、攻撃に移る際にバックアップに付く等友軍機との連携を密に。
【地形の利用】で天井や壁を蹴って増速し、マシンピストルの【弾幕】を張りつつ【一撃離脱】。
最後だけどこれだけは言わせて。
貴方が鍛えた双雷隊の技量と練度は見事だったわ。
月下部・小雪
【ルール攻略隊】で連携していきます!
作業員さん達を本当の意味でも助け出すために、ま、負けられません!
ボクもコダマを抱きかかえながら【飛翔】で飛び上がって、前に出るみなさんのフォロー、です。
ベルケさんが味方の後ろに回り込もうとするのを邪魔する動きがメインですね。
「アクマ印の魔法爆弾」を「念動力」で投げつけてやります。
わわっ、ボクの火力が低いと見破ってこっちに来ました!?
なんとか攻撃を回避しながら、コダマを放して攻撃の布石、です。
ベルケさんがコダマを無視して背中を向けたところに【モーラット・サンダー】!
置きコダマで不意打ち攻撃、です!
※アドリブや連携も大歓迎
アナスタシア・コルヒドレ
アドリブ共闘歓迎
囚人達もよし、破壊工作もよし
あとはあなたを倒すだけだよ!
まずは味方の支援優先。
MGの【制圧射撃】やナイフシャベルの【投擲】を【戦闘知識】での先読みで、味方への攻撃や回避などを潰すように打ち込むよ。
効かなくて結構、でも銃弾が顔面に飛んでくれば気はそれるはず!
味方と足並み合わせて攻め時まではひたすら妨害援護と敵の弱点【看破】のため【情報収集】に回り、その時が来たら【飛翔】でかっ飛びつつ【残像】を出しながら【突撃】!
攻撃は残像と【神速反応】でなるべく回避、駄目なら【忍耐力】で耐える!
十分近づいたならНатиск огняで完全に【破壊】してやる!
落ちろ蚊蜻蛉!γρααα!!
●エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)
ベルケを照準に捉えるために(相手もまた俺たちを照準に捉えようとしているのだろうが)飛翔しながら、俺は数瞬だけ地上に目をやった。
シエルシーシャさんが召喚した手の群れは既にない。水溜まりの中に引き戻されたんだ。その水溜まりも染みだけを残して消え去っている。
異形の手が踊り狂うように蠢く様は異常な光景だったが、それらが見えなくなったからといって、世界が正常に戻ったわけじゃない。
ベルケが『鉄屑兵』と呼んだ者たち――包帯まみれの兵士の亡骸があちこちに転がっているのだから。
無惨に焼け爛れて、あるいは完全に炭化して、あるいは弾痕だらけになって、あるいは原型を留めぬほどに斬り刻まれて、物言わぬ存在となり果てたにもかかわらず、彼らは雄弁に証明している。ここが地獄であることを……。
だが、地獄のままで終わらせたりはしない。
と、決意を新たにした時――
「捕らわれていた人たちは解放した! 施設も破壊した! あとはあなたを倒すだけだよ!」
――同じく決意を新たにしたであろうアナスタシアさんの叫びが後方から聞こえてきた。
「だから、無駄な抵抗はやめて、さっさと倒されちゃいなさい!」
彼女は俺を追い抜き、軍用シャベルらしきものをベルケに投げつけた。
ベルケはシャベルを一瞥もせずに回避。
しかし、すぐにまた別のものが迫った。
魔力の翼を広げて飛ぶイズルさんだ。
その頭の上には――
「しっかり掴まっててくださいね」
「もきゅ!」
――マリ子さんが乗っていた。
イズルさんは赤い髪をポニーテールに結っているので、マリコさんの丸い体の後ろで色違いの尻尾が風にたなびいているように見えるな。
●アナスタシア・コルヒドレ(蒼炎の閃光(ひかり)・g00340)
サイボーグ用に改造されたMG42(機関銃だけど、カテゴリー上はアームキャノンだよ)を断続的に撃ってベルケを牽制しながら、私は激しく飛び回った。
同じように激しく飛び回っている仲間たちの姿が視界に入っては消え、また入ってくる。とくに目をひくのはイズル君。いえ、正確に言うと、彼の頭にしがみついているマリコさんなんだけどね。
「もきゅー!」
「もきゅきゅっ!」
マリコさんの可愛い鳴き声に応じるかのように同じく可愛い声を出したのはコダマ君。小雪さんに抱き抱えられた状態で空中戦に参加中。
で、その小雪さんはというと――
「作業員さんたちを本当の意味でも助け出すためにも……ま、負けられません!」
――『託されし願い』の映像をバックにして頼もしいことを言いながらも、ぷるぷると震えている。可愛いけれど、あぶなっかしい。あぶなっかわいい。
そんな彼女と対照的なのがエリザベータさん。臆することなく、何度もベルケに突っ込んでる。でも、ベルケのことを甘く見ているわけじゃないと思う。相手が格上の存在だってことを知った上で、果敢に挑んでいるんじゃないかな。
「ベルケ……現し身ならぬ写し身のアヴァタール級とはいえ、あなたは最大の脅威よ」
ほらね?
「ゆえに最大限の敬意を払う。それが、同じく空戦を己の存在意義とする者の矜持」
だけど、ベルケはエリザベータさんの突撃を軽くいなして――
「矜持など捨てろ。そんなものは戦場では役に立たない」
――すげない言葉を無表情で返した。
そして、毎度のごとく御高説をたれはじめた。
「実よりも花を選ぶ者に軍人たる資格はない。そのような奴らが……そう、『空の騎士』などと嘯き、誇りだの名誉だのを重んじ、エースという空虚な称号に固執する奴らこそが空戦の発展を妨げているのだ」
●エリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)
ベルケの主張には頷けるところもあれば、納得できないところもあり……とことん議論したいけれども、今はそんな場合じゃない。いえ、今だけに限らず、この先だって『そんな場合』はないでしょうね。
「感情不要論みたいなことを唱えているが、空中戦への深い思い入れが語り口から伝わってくるぞ」
ベルケを揶揄しながら、エトヴァ君が私をフォローするようにフォーメーションを組んだ。
「だからといって、思い入れのないものに対する扱いを許すことはできないが……」
ほんの一瞬だけ、エトヴァ君の目が地上に向けられた。鉄屑兵たちの死体が散乱している地上に……。
「そ、そうです! 許すことは、で、できないです!」
と、声を張り上げたのは小雪さん。ベルケめがけて、爆弾のようなものを投げつけてる。ちなみに、先程まで彼女の胸に抱かれていたコダマ君は攻撃に加わらず、離れた場所で8の字飛行をしてるわ。
「……」
次々と巻き起こる爆炎(『爆弾のようなもの』は爆弾だった模様)の中をベルケは無言ですり抜けた。爆弾はパラドクスではなかったらしく、傷は負っていない。
そして、小雪さんに反撃……するかと思いきや、コダマ君のほうに向かった。外での戦いをしっかりチェックしていて、小雪さんより先にコダマ君を排除すべきと判断したのかもしれない。
「はわわわわー!?」
想定外(だったのでしょう、たぶん)の事態に動揺しながらも、小雪さんはスマートフォンを手に取り、そこに記されているであろうキーワードを口にした。
「えーっと、えーっと……『モーラット・サンダー』です!」
それに応じて、コダマ君が口を大きく開き――
「もきゅーっ!」
――世にも可愛らしい咆哮を轟かせた。
雷撃とともに。
●月下部・小雪(デーモンのデジタルサマナー・g00930)
ボクを狙って背中がお留守になるベルケさん。
そこにコダマが不意打ちをしかける。
……というような寸劇を頭の中で描いていたのですが、甘かったです。
コダマの『モーラット・サンダー』はなんとかギリギリで命中したものの――
「奇妙な生体兵器だな」
――ベルケさんは慌てず騒がす、くるくると旋回して機銃を連射。ボクとコダマ(生体兵器なんかじゃありませんよー)にまとめて銃弾を撃ち込んできました。い、痛いです……。
でも、その間にエトヴァさんがベルケさんの後ろを取りました。
「『ベルケの格言』なるものには、後方からの攻撃の有用性と重要性を説いた一条があると聞いたが――」
そう言いながら、エトヴァさんは右手を素早く動かしました。そこに握られている武器は銃でも剣でもなく、絵筆です。柄の部分が青い水晶ででてきる綺麗な筆。
「――強く同意する。利用できる好機はすべて利用すべきだ。そうだろう?」
筆が宙に描き出したのは、ベルケさんの姿でした。本物よりもちょっとだけキラキラ度が増しているような気がします。
「汝自身と踊るがいい」
ベルケさんの絵が本物のベルケさん(クロノヴェーダですから、偽物でもあるのですけれど)に機銃を発射しました。
「生憎だが、自分と踊る趣味など持ち合わせてはいないのでな。ここは――」
銃弾を受けながらも、本物のベルケさんは反転してエトヴァさんとベルケさん(絵)にパラドクスを仕掛けました。でも、直接的に攻撃したわけではありません。
「――部下たちに任せよう」
シルさんや蛍さんの時と同じように編隊を召喚したのです。
編隊の銃撃を浴びて、ベルケさん(絵)はたちまちのうちにズタズタになり、消えてしまいました。エトヴァさんのほうは魔力障壁を展開して物凄いスピードで飛び退りましたが、それでも何発かの銃弾を受けたようです。
ベルケさんからすれば、追撃のチャンスですね。実際、追撃したかったでしょう(ベルケさんの格言には『一度仕掛けた攻撃は完遂せよ』というのもあるのだとか)。でも、できませんでした。
イズルさんが妨害したからです。
「皮肉なことですが、クロノヴェーダのおかげで俺は飛翔の力を手にしました」
左右の手に一本ずつ刀を持って、ベルケさんに突っ込んでいくイズルさん。プラス、マリコさん。
「その力と九字切流剣術を合わせた技で勝負させてもらいます」
「もきゅー!」
●赤上・イズル(コードネーム:ミラージュ・g04960)
二刀流の技『双竜』の間合いに入った瞬間、神速反応で一気に加速! ……しようとしたのですが、できませんでした。そういえば、このパラドクス効果は反応速度が上昇するだけであり、物理的なスピードまでもが加速するわけではありませんでしたね。そもそも『他の行動を取らずに集中する』という制約付きですし。
かろうじて『双竜』の斬撃を浴びせることはできたものの、期待していたほどのダメージは与えられず……しかも、こちらも無傷では済みませんでした。ベルケはすれ違い様に機銃で反撃していったのです。
「もきゅー!?」
「大丈夫ですよ、マリコさん」
俺は痛みに耐えつつ、弧を描くように動き、ベルケを再び視界に捉えました。
先程と同じようにベルケは追撃してきませんでした。これも先程と同じように妨害されたからです。先程と違うのは、助けられたのが俺で、助けてくれたのがアナスタシアさんだということ。
「さあ! 今のうちに!」
機関銃を連射してベルケの機動を乱しながら、アナスタシアさんは叫びました。
それに応えたのはエリザベータさんです。
「『ベルケの格言』にはこんなのもあったわね」
天井にぶつからんばかりの勢いで急上昇。いえ、『ぶつからんばかり』どころか、本当にぶつかりました。
ただし、足の裏で。
そして、天井を蹴り、今度は急降下。短機関銃で弾幕を張りながら、ベルケめがけてダイブアンドズームを敢行しました。
「敵が降下攻撃を仕掛けてきたら――」
「――避けることなく、機首を向けよ」
エリザベータさんの後を引き取り、真っ直ぐに上昇するベルケ。
銃弾をばら撒きながら、両者は斜めに交差しました。ともに被弾した模様。ベルケは『空の騎士』という概念を蔑んでいましたが、今の攻防(いえ、『攻攻』と言うべきでしょうか?)は騎士の馬上槍試合を彷彿とさせましたね。
馬上槍試合なら、すれ違って終わり。しかし、実戦ではそうはいきません。攻撃のタイミングをずっと狙っていたであろう三人目の騎士――アナスタシアさんが乱入しました。機関銃を曲刀に持ち替えて。
「落ちろ、蚊蜻蛉!」
刀の峰に仕込まれたブースターが青い炎を噴きました。
その勢いを利用してアナスタシアさんはプロペラのように回転。ベルケに斬撃を浴びせていきます。何度も何度も何度も何度も。
しかし、ベルケは――
「落ちるものか」
――閃光弾の目くらましを利用して(ヒカルさんに使ったのと同じパラドクスです)アナスタシアさんに反撃し、巨大プロペラの刃が届かないところまで離脱しました。
もっとも、プロペラの攻撃圏外は別の人たちの攻撃圏内なのですが。
「いや、落とさせてもらう」
「お、落とします!」
エトヴァさんと小雪さん(と、コダマくん)がベルケに食らいつきました。それにエリザベータさんも、ノインさんも、蛍さんも、シルさんも、シエルシーシャさんも、ヒカルさんも。
もちろん、俺も。
●終幕
数分後。
ベルケが言うところの『人生最後の授業』は終わりを迎えようとしていた。
ベルケの敗北という形で。
確かな技術と豊富な経験でディアボロスを圧倒したのも今は昔。片腕はだらりと力なく下がり、片足は半ばから千切れ、人工血液ともオイルとも知れぬものが額から流れ、フライトユニットは排気煙とは違う煙を吹いている。
「最後だけど、これだけは言わせて」
エリザベータが壁を蹴って斜め上に飛び、天井を蹴って真下に向かった。横向きの二等辺三角形の軌跡を描いて仕掛ける幾度目かのダイブアンドズーム。
「あなたが鍛えた、あの空戦型ゾルダート部隊の技量と練度は――」
水平に飛ぶベルケと垂直に降下するエリザベータが十字に交差した。
その際に連射音を鳴り響かせたのは後者の短機関銃のみ。ベルケの機銃はただの鉄の棒と化していた。
「――実に見事なものだったわ」
「当然だ」
そう答えて、ベルケは初めてニヤリと笑った。
およそ軍人にふさわしくない笑み。
戦争ごっこで手柄をあげたガキ大将のごとき笑み。
次の瞬間、穿たれたばかりの弾痕から火が噴き出し、彼の体は炎に包まれた。
だが、墜落はしなかった。火柱と化した後も、英雄の名を持つゾルダートは真っ直ぐ飛び続けた。
そして、壁にぶつかって爆発四散し、鉄屑兵たちの死体が転がる地上に幾百もの破片を降らせた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【液体錬成】LV1が発生!
【飛翔】がLV10になった!
【操作会得】がLV2になった!
【怪力無双】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
【アヴォイド】がLV4になった!
【先行率アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV2になった!