リプレイ
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎
残留効果は相互に活用
……何度訪れた地だろう
一刻の猶予もないか
標的を定めたら、慎重に、大胆に--だ
行くしかない
【飛翔】し空中組で
完全視界で見通し、パラドクス通信で仲間達と密に連携
光学迷彩と双眼鏡で遠方から偵察、敵の布陣と戦力を観察し把握
空中組でタイミングを合わせ
地上組の動線から敵の視線を逸らさせる方向から加速し不意打ち
不意打ち困難なら、散開して集中砲火を避ける
分散して攻撃を仕掛け注意を上へ惹き撹乱、地上組の突破を援護
手狭な塹壕内を上から狙い混乱を誘い
手数で攻撃を重ねて陣を崩し、隙を看破すれば仕留める
高速移動し、不規則軌道で的を絞らせない
魔力障壁も展開
地上組の突破後は挟撃して掃討
エリザベータ・シゲトヴァール
●心情
指揮官一人でここまで変わるか。野党に成り下がっていた連中がすっかりちゃんとした軍に生まれ変わってるじゃない。
本来なら素直に敬意を表したい所だけど、敵に回すと恐ろしい限りだわ。
……私の元上官も、こういう人だったわね。
●行動
※味方との連携を最優先。
【光学迷彩】をロービジ迷彩モードで起動し【飛翔】。
敵陣を【完全視界】で【偵察】し、【パラドクス通信】を用いて地上の味方へ伝達。
敵の配置や火線、防御の手薄な部分等を重点的に。
味方の攻勢に呼応して空中から【制圧射撃】で地上を支援。
対空砲火は【空中戦】【一撃離脱】の応用と『チャフ/フレアグレネード』で【撹乱】し回避。
敵の火力を地上と空中に分散出来る様に。
月下部・小雪
ルール炭鉱破壊作戦、こ、今度こそ成功させます!
相手が準備万端なら、ボ、ボクたちも協力してがんばりましょう。
空と陸からの共同戦線、ですね。ボクは空戦組に参加、です。
【重装甲高火力型モーラット・コミュ】でコダマを呼び出して空中からミサイルを発射です!
まずは陸上組が突撃する前にミサイルを全弾打ち尽くすつもりでコダマに命令しますね。
ボク自身は【飛翔】で飛び回りながら、【フライトドローン】も操って囮にします。
※アドリブや連携も大歓迎
●
炭鉱の近辺を、機人の歩兵が警戒している。小班を組んでじりじりと歩む中、一人がハッと森へ目を向けた。
『そこに誰かいるぞ! 出て来……ッ!』
言い終わる間もなく斬り払われる兵士。銃弾や魔術の閃光がそれに続き、瞬く間に一体のゾルダートが紅い霧を撒き散らして死体に変わる。
しかし。
『敵襲だ! 来たぞ!』
生き残った敵は一目散に逃げた。背や肩を、撃ち抜かれても構わずに。周囲を警戒していた他の斥候達も、一斉に引き上げる気配がする。
個々で無暗に戦わず、陣地まで撤退して反撃……その指示が徹底されているのだ。
「……指揮官一人でここまで変わるか。野盗に成り下がっていた連中が、すっかりちゃんとした軍に生まれ変わってるじゃない」
逃げに徹した敵を背後から撃破するのは困難だ。ため息を落として、エリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)は光学迷彩を解いた。
「潜伏して近づけるのはここまでだな。敵の守りは堅固。死角はない、か」
同じく姿を表すのは、ノイン・クリーガー。
光学迷彩は発見される確率を半減出来る能力だが、敵は警戒状態にある。一歩でも動く度に五割の確率でこちらを見付けて来る敵が多数いる状況では、効果は薄い。
復讐者たちは、藪を出る。この先に、身を隠せるものはないから。
(「……何度訪れた地だろう。一刻の猶予もない、か」)
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は、変わり果てた因縁の地を睨む。
折られた木々に掘り返された土の臭い。機械の油や火薬の臭い。坑道の正面は真っ平に整地され、土嚢を積み重ねた塹壕が二重に並ぶ。
その奥にある坑道入り口の門は、山肌に張り付いた二本の塔のような建造物に挟み込まれていた。高所に開いた銃眼からは、砲口とこちらを睨み据える目が覗いている。山の内側をくり抜いた砦となっているのだ。
「うわあー……万全の防衛陣って感じの敷いてる。ははっ」
無堂・理央が、引き攣った笑みを浮かべた。
放たれる殺気が、放射線のように身を貫く。こちらが近寄った瞬間、あの全ての砲口が火を噴くことは、想像に難くない。
だが。
「ルール炭鉱の破壊……こ、今度こそ成功させましょう!」
「ああ、セオリーとは少し違うが、浸透戦術といこうか」
「前回は力になれなかったからな、その分働くつもりだぜ」
月下部・小雪(デーモンのデジタルサマナー・g00930)、眉立・人鳥、呉鐘・承李……そして。
「敵陣突破……ですね。承りました。合わせます」
ジャンヌ・デスペラーダも、合わせて頷く。魔破・克也が、仲間の様子にため息を一つついて、口の端を吊り上げた。
「……いかれた殺し合いの始まり、か。受けて立つぜ」
足を踏み出すのに必要なものは違えど、退く者はいない。
決意を胸に、復讐者たちはその足を踏み出した。
鉄火の、死地へ向けて……。
●
駆け出す、復讐者たち。
『撃てェ!』
前方の塹壕から、放火が瞬いた。距離はまだ遠く狙いは定まっていない。だが今の一斉射だけで、撃ち手の頭数がまるで違うことだけは分かる。
(「標的を定めたら、慎重に、そして大胆に……だ。行くしかない」)
エトヴァの目配せに、隣を走るエリザベータと小雪が頷く。砲撃の中で三人は大地を蹴って、そのまま飛翔する。
「固まれば集中砲火を浴びる。散開だ」
「り、了解です!」
「任せて!」
エトヴァの合図で三方に散る。敵の銃口も、釣られるように持ち上がる。
『浮かんだか! 馬鹿め、良い的だ!』
「空からなら、そちらも同じよ……!」
撃ち込まれる砲弾を避けて身を捻り、エリザベータは眼下の塹壕を見る。そして、その構造に舌を打った。
「土嚢を積んであるのは前面だけよ! 仮に乗り越えて塹壕を奪っても、後ろの砦から塹壕の中を狙い撃たれるわ! 迂回して!」
地上班はそれを聞いて咄嗟に左右に分かれた。それは敵に作戦を悟らせないための言動でもあり、同時に本当の警告でもある。
(「こっちが塹壕を奪ってもそれを逆利用されないよう、護るのは正面だけ、ってことね。この指揮……本来なら素直に敬意を表したい所だけど、敵に回すと恐ろしい限りだわ」)
下から爆音が響き、エリザベータは射線を潜るように急降下する。マシンピストルSkorpióを手の内で回転させ、次弾を装填するゾルダートを撃ち抜いた。鈍い悲鳴と共に、一人が塹壕の中でのたうつ。
『クソッ……!』
『待て! 浮かんでる奴らは砦に任せろ! 俺たちは地上の方だ!』
瞬間、徹甲弾がエリザベータの肩を掠める。狙い撃ってきたのは、砦の銃眼。大地で炸裂した破片が背を打つのを感じながら、エリザベータはどうにか身を丸めて再び高度を上げる。
(「役割分担もきっちりしてる……元上官も、こういう人だったわね」)
一方、反対側では砲弾を振り切りながら、小雪が空に8の字を描く。一見してそれは、撃たれまくる中でただ逃げ惑う動きにしか見えない……が。
「相手が準備万端なら、ボ、ボクたちも協力してがんばるんです。空と陸からの共同戦線……コダマ、攻撃です!」
コダマを頭上に抱えあげると、瞬く間に重武装が愛らしい身を覆っていく。「キューッ!」という鳴き声と共に発射されるのは、無数のミサイル。着弾と同時に土嚢が吹き飛び、土煙が塹壕を覆う。
『チッ、空爆で陣地に穴をあけるつもりか!』
「う、撃ち尽くす勢いで、行っちゃってください! えと、あとは……フライトドローン! これも飛ばします!」
ゾルダートたちが悲鳴を上げて空中に放り出される中、小雪はフライトドローンを解き放った。パラドクス効果で生み出されたドローンだが、戦闘において何ができるということはなく、次々と撃墜されていく。それでも小雪は、遮二無二ミサイルやドローンを放ち続ける。
目立つことが重要なのだ。
『煩わしい奴らめ! 防衛線に穴を作るな! 戻るぞ!』
爆撃地点から逃げた敵が、一斉に同じ位置へと戻り始める。その銃口がつい上へ向くのを見て、エトヴァが目を細める。
(「そう。塹壕の弱点である空から狙い撃つとなれば、無視は出来ない。派手な攻めを見せることで出来る限り敵を引き付ける。そして……」)
小雪のこじ開けた空隙に向けて、エトヴァは一気に舞い込んだ。地上を掠めると同時に、左右へ放たれた光輪が、敵の頭蓋に突き立った。
『よくも仲間を! この野郎ォ!』
エトヴァはわざと空中で動きを止め、身を回転させて次々と敵を攻撃する。光輪と砲弾の撃ち合いの中、胸元から引き抜いた手に握っていたのは……通信機。
「今だ地上班。先へ」
『了解』
パラドクス通信から聞こえた声。それが誰のものかは関係ない。飛翔班が派手な攻めで塹壕の敵を引き付けたのは、このためだ。
『なっ……!』
地上を走る仲間たちが、土煙を割って飛び出した。砕けた塹壕を飛び越え、驚愕する敵の間を駆け抜ける。咄嗟にその背に砲を向けた敵を、エリザベータの射撃が射抜き、小雪のミサイルが蹴散らして。
「やらせないわよ! みんな行って!」
「お、鬼さん、こちら! ……です!」
発煙弾を撃つノインを先頭に、味方は全速力で塹壕を突破した。敵を押さえながら、三人はそれを見届ける。
同時に、囮を務めた代償に気付いた。味方を突破させる一瞬、一か所に集中した三人に向けて、憎悪を込めた無数の射線が向いていた。
『蠅どもを叩き落せ! 斉射ーッ!』
「二人とも、傍に……!」
エトヴァが咄嗟に障壁を張る。その瞬間、塹壕や砦の各所から、音楽の如き一斉砲撃が鳴り響いた。大地を抉り飛ばすような集中砲火が障壁を撃ち砕き、三人の身を吹き散らす。
「「……ッ!」」
音が絶え、体が千切れるような衝撃。飛びそうになる意識の中で、世界に残留しようとしていたパラドクス効果が、引き裂かれる。視界が白く染まり、指先から感覚が薄れ……。
背が大地に激突した衝撃が、意識を現実に引き戻した。
「い、たた……エ、エトヴァさんの障壁で、助かりました……ま、まだ行けます」
「敵火力の分散が、私たちの務めよ。放棄は、しないわ。最後まで……!」
滲む視界を払い、三人は身を起こす。
「いや。その後の掃討までだ。残留効果は裂かれたが俺が墜ちない限り……まだ飛べるはずだ」
仲間たちは、防衛線を突破した。
ここで自分たちが脱落するわけにはいかない。
第二次ルール炭鉱破壊作戦は始まったばかりだ……!
苦戦🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
ノイン・クリーガー
敵の守りは堅固。
死角はない。
だが突破するしかない。
【パラドクス通信】を使い、味方と連携して要塞攻略を目指す。
自分は地上から敵陣を攻撃する。
まずPzK43Sinで【砲撃】を行い障害となる物を【破壊】し、突破口を開く。
砲弾が尽きたら発煙弾を投げて煙幕を張り、敵部隊を【撹乱】しつつ【完全視界】で敵を捉えながら煙に紛れて【ダッシュ】で突入する。
その後は銃器とナイフを駆使して敵を攻撃する。
対空攻撃を行う敵、空中から狙いにくい敵がいればそいつらを優先して狙う。
高所など、有利な位置に敵がいて進みにくい場合は、そこに赤い発煙弾を投げ、空中の味方に攻撃してもらう。
守りはあまり考えず、攻撃を優先する。
無堂・理央
万全の防衛陣を敷いてる所に強襲かぁ。
本来、搦手とかで弱体化させてから突っ込みたい所だろうけど、力技で抜くのはちょっと心躍るかも。
無双馬『クロフサ』に騎乗して、突撃ー!
をするのはちょっと待ち、先に空から攻めて気を引いてからの地上突破組の強襲が入るようだしね。
ボクとクロフサは突破組が敵陣に開けた穴を広げたり、突破組の背を突こうとする敵の背中を攻める後詰兼援護役に回るよ。
パラドクスの力で纏う雷を最大出力で撒き散らしながら、敵陣を駆け巡って馬上槍で敵をなぎ倒してく。
足を止めれば射撃攻撃の的になるし、常に駆け続けて射撃&砲撃を掻い潜るよ。
対防衛ライン戦を行う他の人とは可能な範囲で連携するよ。
●
敵陣を進む地上班。
無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)が、後ろを振り返る。
「飛翔班は、墜とされたの? まずいっぽい?」
敵の火力のほとんどが後ろに引き付けられたおかげで、一列目の塹壕は突破出来た。だがこの先には二列目の塹壕と、更にその奥には。
「三人は役目を果たした。そしてまだ闘っている。先に進むことが、助けになる。問題は……あれだ」
発煙弾を撃ち尽くしたノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)が、そう呟く。
二人が見るのは、遠くを撃ちまくる壁砦の銃眼。あれに外から有効打を与えるのは難しい。坑道の内側から制圧しない限り、一方的に狙い撃たれる。今、自分たちが上から蜂の巣にされずに済んでいるのは、まだ飛翔班が飛んでいるからだ。
「なるほどね。なりふり構わず突破した方が、敵の注目もこっちに向くか。よし! ボクが道を拓くよ!」
「ああ。ここからは、俺が後ろを護る」
敵は完全優位。足を止めれば、必ず敗北する。
躊躇や思案を振り払え。
勝機があるのは、前だけだ……!
『突っ込んで来るぞ! 装填急げ!』
飛翔班を狙った一斉射撃から、敵が次弾を装填するまでの間はほんの僅か。
(「本来、搦手で弱体化させるべき場所を力技で強引に抜く、か。無謀だよね……ちょっと、心躍るけどさ!」)
理央は無双馬の横腹を蹴る。口の端を、笑みに引き攣らせて。
「クロフサ! 突撃ー!」
無数の砲口が持ち上がった時、理央と馬の身を稲妻が包み込む。放たれた砲弾が、一瞬前まで理央がいたところを貫き、灼熱の感触が頬を掠める。
『加速した!? う、撃て! 撃ち落と……うわあ!』
戦場を裂く迅雷と化して、理央は馬体ごと壁に突っ込んだ。雷熱に膨れ上がった土嚢が、弾け飛ぶ。目の前の敵兵を、輝く穂先が刺し貫いて。
「駆けて! 砦へ!」
第二の塹壕を無理矢理に突き抜けると、理央は左に馬首を返した。放たれる徹甲弾を弾き、塹壕に並んだ敵へ向けて突き進む。
『単騎で来るぞ! 止めろ! 殺せ!』
「やってみなよ……!」
その背後を、仲間たちが駆け抜ける。目指すは坑道入り口。ここを超えれば、邪魔はない。
(「パラドクスデータリンク開始……第一塹壕の敵残党は第二塹壕に遮られて俺たちを狙えない。第二塹壕の左翼は騎馬突撃に、砦は飛翔班に引き付けられている」)
殿から素早く状況を分析するのは、ノイン。
「行け。俺が敵右翼をかく乱する」
ノインは独り向きを変え、迷いなく右の塹壕へ飛び込んだ。手にしたサブマシンガンが乾いた火を噴いて、砲を構える敵兵の頭が紅く跳ねる。
(「空爆すべき箇所を見定めなければ」)
隣の敵兵が、手斧を構えて突進してくる。その膝を撃ち抜き、つまずくようにつんのめった頭蓋へ、もう三発。赤煙筒に火をつけて放り……。
『死ねッ!』
横から振り下ろされる、敵兵の斧。ノインは身を捻り、即座に拳銃を引き抜いた。手の内で銃が跳ね、敵を怯ませた隙にナイフが閃く。血が、噴き上がる。
(「次だ。足を緩めず進め」)
死体となった敵兵を蹴倒した先からは、更なる敵兵が雄叫びを上げて迫って来る……。
……肺が灼ける。
喉の奥に、血の臭いが詰まる。
それでも四人の復讐者は、坑道の前まで駆け抜けた。
「着いたぜ……ノインサンたちは」
振り返れば、敵勢に追われながらノインが駆けて来る。だが手を招く寸前、横から敵兵が飛びついた。もみ合う二人。敵兵が馬乗りになって斧を振り上げた瞬間、その胸を稲妻が貫く。いや、正確には、駆け付けた理央が投げた槍が。
「大丈夫!?」
「後ろだ……!」
即座に跳ね起きたノインが、理央の背を狙う敵を撃ち抜いた。槍を引き抜き、投げ渡して。
「お二人とも、こちらに……!」
だが言う間に徹甲弾が理央を弾き落とし、ノインの腿を裂いた。身を転がした二人は、咄嗟に背を合わせて。
「先に行け……! 俺たちは追手を止める」
「砦を落としたら上から助けてよね……!」
これでいい。味方を先へ進ませるためには、敵を引き受ける者が必要だ。
彼方では、飛翔班の三人が塹壕に残る敵勢を爆撃している。突入する仲間を追わせないため、銃火に身を晒して。
躊躇する間はない。
引かれる想いを振り切り、四人の復讐者は坑道の扉を蹴破って中へ飛び込んだ。
「やれる?!」
「やるとも」
踊りかかってくる敵兵を、理央とノインが薙ぎ払う。いつまで保つかは、わからない。
だが、囮になるとは、迫る敵を食い止めるとは。
こういうこと。
不利を承知で臨むいくさならば、覚悟を以て自ら苦戦を担う者こそ必要なのだ……。
苦戦🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ジャンヌ・デスペラーダ
敵陣突破…承りました
なればこの身、一振りの剣となり木っ端共を打ち砕きましょう
敵の強みは数、であればそれを現場で統率する個体が居るはずです
なのでまずは【情報収集】に努め現場指揮官を確認、捕捉したらジェヴォーダンに【追跡】させ、その後に続きながら敵陣に飛び込みます
身を挺するは騎士の誉れ
そして我が身は一度死した身、この程度の鉄火の何を恐れましょうか
敵陣突入後はジェヴォーダンに内蔵したブランダーバスや大槍による【連撃】で敵を牽制しつつ、私は【捨て身の一撃】で現場指揮官を襲撃し、部隊間連携の破壊を目指します
不殺剣といえど加減なく振るえばすり潰す程度、造作もありませんからね?
連携アドリブOK
魔破・克也
混戦時こそ、俺の技能が使えるってものだが……殺し合いか
最初は目立つように人を守れるサイズの盾を構え、突入部隊の味方の盾になれるように
煙で視界遮った場合、敵が煙もろとも砲撃によって吹き飛ばすパターンも警戒
安易に煙の中に忍ばず、敵の砲撃、銃撃によって起きた土煙の中に忍ぶ
その際、盾を収納しての機動力の確保と忍ぶ能力の向上を狙い
他人の攻撃、行動を活用しつつ忍び足を使っての気配消し
侵入した側から早業の暗殺、敵戦力への撹乱を行って連携を取らせないように、敵陣形の崩壊も積極的に狙っていく
敵の塹壕、地形を逆に利用しての不意打ち等も
派手な味方や正面から立ち向かう味方の陰に隠れて動く
「鳴かせねえぞ、クソ野郎ども」
●
四人の復讐者は坑道に飛び込んですぐ、道が三つに分かれているのを見た。
中央は坑道奥へ繋がる道。レールが整備され、資源を運び出せるように整えられている主要坑道だろう。左右に開いた、単に岩を抉り抜いただけの二つの穴が、壁面の砦だ。
復讐者たちは即座に二人に分かれ、左右の道へと飛び込む。
道を拓いてくれた仲間たちのおかげで、ついに敵の裏を取った。
勝負は、ここをどれだけ速く制圧できるかに掛かっている。
岩肌をくり抜いた細道に、簡素な灯りが吊り下げられただけの通路。バリスティック・シールドを構え、魔破・克也(金欠守護者・g00588)が突き進む。
(「外の仲間たちがどれだけ場を持たせられるか……くそ、時間がねえ」)
右後ろを進むジャンヌ・デスペラーダ(鉄槌の騎士・g05561)が、周囲を警戒しながら付き添って。
「敵の強みは数。ならば、現場で号令を掛ける役目の個体がいるのでは。まずそれを倒せば、敵は混乱するかと」
「かもな。陣地単位で見ても、ここがアタマなのは間違いねえ。ここを奪えば、塹壕の連中は間違いなく混乱する」
滑るように進んで梯子を上る。迸った殺気に、二人はさっと壁に身を寄せた。鼻先を徹甲弾が掠め、細い通路を砕きながら跳弾していく。
『侵入者だ! 来たぞ!』
『食い止めろ! 外の連中を片付けた後、全員で殲滅してやる!』
反響する敵兵の叫び声。轟く射撃音。間違いない。この廊下の向こうで、敵が外の味方を撃っている。
無論、ここで食い止められてやるつもりは欠片もない。二人は視線を絡ませて。
「……身を挺するは騎士の誉れ。この身を一振りの剣として、木っ端どもを打ち砕きましょう」
「ああ。援護するぜ」
克也が通路に躍り出て、盾を斜めに構える。通路の奥から、即座に砲撃音が轟く。タイミングを合わせて振り上げた盾に衝撃が走り、砲弾がその上を滑り跳ねた。
「今だ、行け……!」
ジャンヌが即座に、大地を蹴る。薄暗い廊下の向こうで、慌てて装填する敵兵。その砲口が持ち上がるのと、ジャンヌが背負った人形を解き放ったのは、同時。狼男の姿をした大人形が、大口を開けて敵兵に躍りかかった。
『ひっ!』
砲撃が、狼男の胴体をすり抜ける。その人形には、下半身がなかったから。悲鳴と共に敵兵は組み敷かれ、喉笛を食い破られた。暗い廊下にこだまする断末魔を無視して、ジャンヌは駆け抜ける。
『クソッ! 来るぞ!』
飛び込んだのは、光の挿し込む無機質な部屋。敵兵はまだ、銃眼に砲口を差し込んで味方を撃っている者もいる。咄嗟にジャンヌが見据えたのは、一人銃眼から離れて双眼鏡を手にしていた兵。撃つべき標的を伝える、観測手か。
『入れるな!』
敵の砲口が火を噴いて、部屋に砲弾が跳ねる。ジャンヌは臆さず飛び込んだ。その手に人形の中に内蔵していた散弾銃と、大槍を握って。
(「我が身は一度死した身。この程度の鉄火の、何を恐れましょうか
……!」)
砲撃に対し、散弾銃が火を噴いた。敵味方を問わぬ跳弾が、敵兵とジャンヌの身を裂く。さながら地獄に振る鉄の雨を駆け抜けて、ジャンヌは観測手に槍を振り下ろした。槍は咄嗟に防ごうとした敵兵の手斧ごと顔面にめり込み、血が噴き出る。
『がっ
……!?』
「腰が入っていませんね。不殺剣といえど加減なく振るえば、すり潰す程度は造作もありませんからね?」
息を呑む間も与えぬ二撃目。その振り下ろしは敵の背骨を砕き、関節を捻じ曲げながら叩き潰す。
『このアマァ!』
無防備な背中を、砲口が捉えた。放たれた徹甲弾を飛び込んだ大盾が逸らし、ジャンヌの肩口が抉られる。
「アマだけじゃねえんだな、これが」
大盾が敵兵を壁に押し込み、克也は盾ごと相手の頭蓋を蹴り潰した。
「一丁上がり……と!」
隣から顔面に向けられた砲口。それが火を噴く直前に膝を折ると、引き抜いた拳銃が敵兵の顎から頭蓋に掛けてを撃ち抜く。脳漿が天井に飛び散って、土煙と跳弾の地獄に紅が差した。
「混戦なら、俺の技能の出番だぜ。鳴かせねえぞ……クソ野郎ども」
ジャンヌが大槍を振り回して敵を弾き飛ばす中、克也の銃弾が確実に敵の急所を抉る。
怒号と射撃音の地獄の中、二人は一人、また一人と敵を屠っていく……。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎
前回は力になれなかったからな、その分働くつもりだぜ
地上戦力と空中戦力と後発の連携オーライ
パラドクス通信は繋いでおくぜ
上手く敵の目を盗みてぇ所だな
エリザベータが迷彩を使ってくれるならそのお零れに預かる
空中組の仕掛けを待って機会を伺おう
完全視界を使ってくれるなら俺も側に寄る。仕掛ける時は一気に行くぜ
空中組の支援とノインサンの発煙弾を信じて俺も続こう、突撃だ
突破には光翼剣を使うぜ、完全命中・貫通の権能を持った魔力光による貫通撃で予定進路の塹壕ごと敵を吹っ飛ばす
坑道内の様子にも警戒を怠らねェ、いつでも先頭のフォローが出来るように
強化魔力糸を準備しておく、引っ張って攻撃から守るためにな
呉鐘・承李
【アドリブ・連携歓迎】
「お前たちの防御より、俺たちの方が速かった。たったそれだけ、シンプルな理由だ」
さて、セオリーとは少し違うが、浸透戦術といこうか。
飛翔してる仲間達と連携を取って、地上から敵陣地に一点突破を仕掛ける。
突破の合図はノインの発煙弾
敵陣地に浸透後は、相手の塹壕や射撃陣を使って射線を切りながら、敵の各個撃破を狙う。
突破口を維持してくれる仲間たちと協力し、心理的に挟み撃ちの状態を作り精神的に優位に立ちたい。
相手がわざわざご丁寧に塹壕まで作ってくれているんだ、少数突破、単独作戦が可能なディアボロス相手に、懐に飛び込まれた時に脆い陣形を採用したツケを払わせてやる。
●
遠く響く爆音。
それを耳にするのは、眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)。
「向こうも始まったらしいぜ。こっちも手こずってるわけにゃいかねぇな」
『一斉に撃て! 掛かれェ!』
敵は斉射を号令する。だが、轟く砲音は散発的。目の前に迫る徹甲弾を首をひねって躱すと、前面の二人ほどが手斧を振りかぶって突撃してくる。
「皆の支援でここまでたどり着いてみれば、やけっぱちの特攻以外なにもできねぇとはね。ここに突入されること自体が想定外だったってわけか」
人鳥の氷晶剣が蒼い軌跡を描いて、一人の首が落ちる。その隣では、もう一人の敵兵が斧を振り上げた姿勢のまま、動かなくなっていた。
『あ、が……』
呉鐘・承李(剣鬼・g06193)が精霊刀を閉じると、敵兵の体はバラバラに分解されて地に崩れる。
『ば、馬鹿な! ほとんど手傷さえ、与えられんとは……!』
「こんな狭い部屋に一列になっているところを攻められればな。仲間の背に遮られて、一度に闘えるのはせいぜい、二、三人。各個撃破されて当然だ」
そう。ここはあくまで塹壕が敵を抑えることを前提とした砦。その中は、防衛には全く向かない構造だった。
「攻守交替だ。よくも調子に乗ってくれたな。俺たちは、仕掛ける時は一気に行くぜ」
身構える人鳥と承李の後ろ……すでに部屋は血に染まり、幾人もの敵兵が倒れ伏している。地形の有利さえ奪えば、復讐者たちがトループス級に後れを取ることはない。
「わざわざご丁寧に塹壕やこんな砦まで作ってくれたんだ。少数突破、単独作戦が可能なディアボロス相手に、懐に飛び込まれた時に脆い陣形を採用したツケを……払ってもらおう」
承李が刀を抜いてにじり寄る。敵兵たちは怯えたように後ろに下がるが、そこには冷たい壁があるだけ。逃げ場は、ない。
『う、う……うぉおおお!』
自暴自棄な雄叫びと共に砲口が持ち上がり、手斧が振り上げられる。瞬間、承李は床を蹴った。剣閃が舞い、次々と敵兵がその身を寸断されていく。
『何故だ! 俺たちの防備は完璧だった! なのに、何故……!』
最後の一人が悲鳴を上げて、砲を持ち上げる。瞬間、砲身が二つに断ち割れた。炸裂する砲弾がその砲口から飛び出るよりも、速く。
「お前たちの防御より、俺たちの方が速かった……たったそれだけ。シンプルな理由だ」
承李が刃を閉じた。
悲鳴すら上げる間もなく、最後の敵兵は砲の暴発に呑まれて砕け散る。
……坑道前。
ノインと理央が、息を切らして片膝を突く。
にじり寄る敵に囲まれて。
致命的な怪我はないが、流石に息が続かない。
敵兵が、斧を振り上げる。処刑人が、首を斬るときのように。
『手こずらせやがって! 死……ッ!』
「代行者の光よ!」
その時、砦から放たれた魔力閃が敵兵の首を飛ばした。ハッと二人が振り返る間に、もう一閃が瞬いて隣にいた敵の胸を貫く。
『な、なんだ!?』
「ギリギリだったが、フォローが間に合ったな……! さあ、行きな」
銃眼を砕いた人鳥の合図で、承李が二人の前に飛び降りる。
「待たせた。すまない」
「……間に合ったか」
「いいよ。助かったからね」
更に反対側からは克也の銃撃が混乱する敵に降り注ぎ、ジャンヌが人狼の人形を背負って敵兵に躍りかかった。二人を囲んでいた兵は、混乱の中で次々となぎ倒されていく。
『ま、まさか! もう砦が落……ッ!』
最後の一人が言い終わる前に、飛び降りた人鳥の氷晶剣がその身を真っ二つに裂く。
「ご名答だ。さあ、飛翔班を助けに戻るぜ。突撃だ……!」
●
塹壕に、小雪の爆撃が撃ち込まれる。その混乱を縫うようにエリザベータとエトヴァが突っ込み、敵兵を確実に片付ける。
「き、きっともう少しです!」
三人は気付いている。最初こそ苦しかったが、敵の砲撃が散発的になってきている。自分たちが敵を減らしているのもあるが、突入した仲間たちが敵と闘っているのだ。
「ええ! こっちも戦線を上げるわよ!」
第一塹壕はついに空襲に崩れ、敵は第二塹壕へ撤退していく。第二塹壕が健在ならば、敵はそこで再びこちらを押し返そうとしてくるだろう。
しかし。
「……!」
砦の方から飛んだ対戦車ロケットが、敵兵と第二塹壕の一部を吹き飛ばした。ノインの砲撃に合わせて飛び込んで来るのは、騎乗した理央。混乱する段二塹壕の敵を蹴散らし、その後ろからは砦に突入した四人が続いて敵を仕留めていく。
「抜いてくれると信じていた。さあ、挟撃だ」
復讐者たちは、一気に攻勢に出た。堅固な敵陣も、後ろから攻められればひとたまりもない。第二塹壕には紅い煙が棚引き、爆撃個所の目印もついている。
敵は悲鳴を上げて逃げ惑い、麦が刈り取られていくように次々と倒れる。さしたる時を置かぬうちに、土嚢や木々の破片と、泥に塗れた死体が折り重なって……。
やがて、防御陣地は沈黙した。
復讐者たちは遂に、防衛線を突き崩したのだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
●
「なんか悪ぃな。俺たちが、楽なところ持ってっちまったみたいで」
息を切らして、復讐者たちは泥を拭う。
「いや。素早い突破と敵の掃討……こちらこそ助かった」
「ええ。正面から力押しを繰り返してここを抜くのは至難だったもの」
「そ、そうしてたら多分、大怪我する人も、出たと思います……」
そう。囮、足止め、突入。それぞれが役割に徹した作戦は、この防備を抜く上で最上の策の一つだった。
「囮の方々が飛翔を用いてくれたのが何より助かりました」
「うん。あれのおかげで、明らかに敵の狙いが割れたもんね」
「脱落者を出さずにここを抜けたのは大きい。飛翔班のおかげだ」
「謙遜するな。二人が敵を食い止めてくれたことも大きかったさ」
皆、ある程度の手傷は負ったが、闘えぬほどではない。
少数で敵を引き付ける戦場は苦しくなるが、そこが持ちこたえる間に敵陣を攻略する速さと気概があれば、盤面をひっくり返せる。
復讐者たちは互いの健闘を称えつつ、最低限の手当てを終えた。
坑道の壁には簡易な坑道図が貼られている。
基本構造は非常に単純な作りだ。
現在地は陥落させた前面防備陣地から少し入ったところ。
このまま真っ直ぐ進めば採掘を終えた大きな広間に辿り着く。恐らく、敵指揮官はそこにいるだろう。
その道中で左右に道が分かれた十字路があり、労働者エリアと採掘エリアへとそれぞれ続いている。
正面にこれだけの防備を固めていた以上、この地図は罠ではない。そもそもここは本来、基地ではなく鉱山なのだから。
この先をどう攻略するか。
運命は、復讐者たちに委ねられたのだ。
レイ・シャルダン
1人だとボクっ子
人と話す時は私っ子で敬語です。
絡みやアレンジも歓迎です。
【Boeotia】を使用し、周辺の情報を解析しつつ前方へと進む
労働者エリア方面へ向かい、影から看守の存在を確認する。
居ないならそのまま牢の開放へ
居るならACROでの狙撃を行います。
その後、看守から鍵を奪い取り労働者を開放します。
が、
さて、牢にある時限爆弾、労働者たちの首につけられた爆弾は解析できるかな?
【Boeotia】で解析しつつ、彼らの爆弾を解体していきます。
その後は労働者達と一緒に脱出を図ります。
彼らを先導して、坑道入り口までの案内を行います。
エリザベータ・シゲトヴァール
●心情
時間稼ぎの為の策略だって事くらいは百も承知よ。
でも彼らを見殺しには出来ない。
●行動
味方との連携を優先。
道中の視界確保と斥候を担当し、警戒中の敵や牢の見張りの兵の排除を主軸に行動。
坑道内の暗がりは【完全視界】【戦闘知識】を活用。
長い隘路等で味方が一か所に固まり過ぎない様に留意し、曲がり角等の死角では出会い頭での接敵を避けるべく味方同士で警戒を喚起しあう。
敵との遭遇時は【忍び足】【不意打ち】で手早く倒す。
牢までは交戦は出来るだけ避けたいが、時間との勝負となる為、隠密性よりは速力を優先。
見張りの兵士を無力化した際には牢の鍵を持っていないか確認。
牢の破壊・人質の解放時には周辺警戒を担当。
呉鐘・承李
【アドリブ・連携歓迎】
電撃作戦の次も電撃作戦だが、文句を言っている暇も惜しいな。
ま、精々最善を尽くそう。
坑道内で出来る限り敵との接触を避けながら、人質の救出に向かう。
もし見つからざるを得ない場面があれば、情報を共有される前に素早く倒す。
敵にこちらの現在地を特定されなければ、その方法は隠密でなくてもいい。
こちらが全力で人質の救出に行く保証はないわけだから、居場所を掴ませなければ多少は警戒から資材の搬出速度も遅れるだろう。
途中、駐屯地のようなところがあれば牢の鍵があるかどうかを調べたい。
牢にたどり着いたら、不意打ちで見張りを倒したい。
もし牢を破壊せざるをえない場合、安全を確保してから牢を斬る。
●
坑道を突き進む復讐者たち。周囲を石と木材で固められた中央坑道は一見すると整備されたトンネルだ。
その半ばで、エリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)が足を止めた。横穴が左右に開いた十字路で。
「……時間稼ぎの為の策略だって事くらいは百も承知よ。でも彼らを見殺しには出来ないわ」
彼女の視線は、労働者の居住区を示す看板の方を向いた。
「電撃作戦の次も電撃作戦というわけか。まあ、文句を言っている暇も惜しいな。精々、最善を尽くそう」
呉鐘・承李(剣鬼・g06193)もまた、迷いなくそちらへ踵を返す。
「周囲を警戒しながら進みましょう。看守がいるかもしれません。……【Boeotia】、起動して」
壁に張り付いたレイ・シャルダン(蒼空を駆ける・g00999)がAIゴーグルを起動して、横道の奥を覗き見た。
復讐者たちは、先に労働者を救出することを選択したのだ。
居住性などまるで考えられていないのか、この先は灯りが少ない。いや……。
「奥は真っ暗です。ゾルダートたち、灯りを落としたんですね。人を置き去りにして……」
ぽつりと漏らされた独り言。レイの眉が寄って、ため息が落ちる。
「援護するわ。任せて」
淡々とエリザベータが呟くと、完全視界が共有される。闇が潮のように引いて、暗視映像のように周囲の景色が浮かび上がった。
「行きましょう。私たち三人で先導するのよ」
敵への怒りと救う決意で心を満たし、三人は闇へと足を踏み入れる……。
不規則な曲がり角、むき出しの壁、細い道。
恐らく、この労働者居住区はすでに採掘を終えた初期の坑道なのだろう。部分部分に木材補強はあるが、中央道と比べると簡素な作りだ。
「天井の電灯は線が切られてますね。復旧は無理そうです。影が落ちれば見張りの存在が察知できるかと思ったんですが」
「発電機も燃料が抜かれてるでしょうね。まあ、完全視界があればそこは大丈夫よ。あと、この先は隘路になってるようだから気を付けて」
三人は先頭に立つ者を入れ替えながら警戒をしつつ細長い通路を進む。承李が先頭に立った時、彼はさっと手を上げて二人を制した。
「検問所か、駐屯所か……小屋がある。採掘に出る労働者を管理していた場所だろう」
見える範囲で、管理所に動きはない。では、と、耳を澄ました時、三人はすすり泣き叫ぶ、人々の声を微かに聞いた。
舌を打つ。労働者たちが閉じ込められている場所までは、もう少しのようだ。
「……敵にこちらの位置さえ特定されなければ、隠密でなくてもいい。重視すべきは速度だ。それに、牢の鍵があるかどうかも調べたい」
敵がいれば、即座に始末すれば問題ない。承李の提案に二人は頷いて、さっと三人は管理所のドアに寄った。エリザベータが小窓から中を覗き見る。
ドアに寄ったレイと承李が目を合わせて、ドアを破ろうとした、その時。
「待って……!」
咄嗟にエリザベータが二人を止めた。
「これ、扉に爆弾が仕掛けられてるわ。窓から少し見える。窓を割って入りましょう」
エリザベータは窓を叩き割ると、その中に滑り込んで眉をひそめた。外からは確認しづらくしてあるが、管理所にはいくつも爆薬が仕掛けられ、無理に扉を開けば着火する仕掛けもついていた。完全視界がなければ、気付かずに爆発させていたかもしれない。
「罠、ですね。この量だと管理所ごと吹き飛んで、この周囲が崩落したかもしれません。パラドクスを伴わないトラップでは、私たちが死ぬようなことはありませんが……」
レイは周囲を解析し、天井に張り付けられた時限式の起爆装置を見つけた。時間が来ると導火線に自動で火がつくような単純なもの。弓を放って、貫くだけでそれは止まった。
「……恐らくこの先に見張りは、いない」
反対の小窓から通路の奥を睨んで、承李がぽつりと漏らす。先の通路を補強している木材の上部に、同じような時限式の爆弾が見える。
「敵はこの坑道を順次爆破して、労働者たちを生き埋めにするよう仕組んでいる。攻められたことを察した段階で全戦力を引き上げて、この区画自体を放棄したんだ」
エリザベータもまた、敵の作戦に気付いて舌を打った。
「私たちがここで罠に掛かれば、瓦礫をどけて労働者を助けに向かわないといけなくなる。こういう罠がこの先の通路に順次仕掛けられてるのね。爆破して崩落させる場所に、警備なんて必要ない……」
復讐者たちが救助に時を掛けると判断し、労働者を全て失う危険を冒しても現状で確保している資源の運び出しを優先する……指揮官はそういう算段で、戦力の全てを入口陣地か採掘場に集中させたのだ。
「ということは……鍵も廃棄したか、持ち去っていますね。それを探す私たちがこの管理所で罠を踏むのを期待していたんでしょうし」
そう。
ゾルダートどもにとって労働者は消耗品で、かつ、囮。復讐者たちを撃退した後に、まだ生きていたなら儲けもの……という程度。
徹底的に合理的かつ、人道無視の時間稼ぎ。
「でも、それに気付けたことは収穫です。この先には、恐らくこういう罠が沢山ありますが、それの解除に集中して最速で進めばいい」
「ええ。爆弾の仕組み自体は複雑じゃないわ。仕掛ける時間も大してなかったはずだから、予め準備しておける単純なもののみのはずよ」
「となれば、俺たちの役割は通路の爆弾を外しながら走るのみだ。行くぞ」
ここまでの時間のロスは、最低限。罠を作動させつつ引き揚げた以上、敵はまだ輸送の準備段階のはず。
頷き合い、復讐者たちは暗闇を駆ける。
ワイヤートラップや隠された爆弾群を解除しながら進む先からは、漆黒に閉じ込められた労働者たちの悲鳴がこだましてくる……。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【託されし願い】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
全員で段取りを共有
首輪は破壊しない
忍び足、地形の利用し素早く牢へ移動、後方を警戒
仲間と連携、効率よく協力
①見張り、道中遭遇の兵を速やかに封じ連携遮断
②牢の破壊
③爆弾全ての破壊:構造を観察、看破。時間制限あれば優先
①②③は適宜、任せられたら持ち場へ
俺は労働者の救護と脱出準備が主
活性治癒で疲労と怪我の回復
深傷は救急箱で応急手当し痛み止めを渡す
身動き取れない者は2人か3人一組を作り、背負い運んで整然と脱出するよう指示
先頭役と数名にランプを渡し、全員に段取りを伝達
入口の坑道図をメモや口述で簡潔に伝え
牢付近で待機し、指揮官を倒せば首輪が外れて炭鉱が崩落する、その混乱に乗じ全員で逃げてくれ
ノイン・クリーガー
突入に成功。
これより、囚人の救出にむかう。
【完全視界】により視界を確保しつつ、【忍び足】で牢を目指す。
見張りの兵士などがいる場合は、可能な限り【不意打ち】して速やかに無力化する。
基本的に見つからないように進むが、時間がない場合は速度を重視する。
鍵がなかった場合は牢を【破壊】する。
【怪力無双】で無理矢理こじ開けるか、アームクローで【両断】。
もしくは囚人に危害が及ばない少量のプラスチック爆薬で鍵を【爆破】する。
牢を開けたら【機械知識】を活かし、時限爆弾を無力化する。
月下部・小雪
人命第一。ま、まずは人質さん達の救出、です!
お姉ちゃんと離れ離れは辛い、です。すぐに再会させてあげますね。
人質救出に向かうみなさんと協力していきます!
簡単なものでいいので出口までの地図を描きながら、みんなに付いていきますね。
捕まってる人達に出来上がった地図を渡して脱出の時に活用してもらい、ます!
見張りのクロノヴェーダはコダマにこっそり近寄ってもらってからの【モーラット・サンダー】で「不意打ち」です。
その後は【操作会得】と「機械知識」で時限爆弾解除を頑張ります。
聞いてる感じ、比較的簡単な作りみたいだから、ボクにも解除、できるでしょうか。
※アドリブや連携も大歓迎
●
「通路の爆弾は私たちが解除します」
「生き埋めにされる心配は取り除いておくわ」
先行する三人は、それぞれに通路の爆弾を解除していく。
「労働者たちは奥だ。先へ進んでくれ」
頷いたノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)が通路を突き進む。やがて、鉄格子で遮られた区画へとたどり着いて。
「……労働者居住区へ到達。これより、囚人を救出する」
奥からは助けを求める叫びが轟いている。
「そこに誰かいるのか!」
「お願い、ここから出して!」
走り寄るのは、月下部・小雪(デーモンのデジタルサマナー・g00930)とエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)。
「人命第一。ま、まずは人質さん達を救出しないと、です!」
「ノインさん、そこを開けられるか」
二人は用意していたランプに灯りを燈していく。完全視界は一般人にも効果を及ぼせるが、それは手を繋いでいる間だけだからだ。
「……こじ開ける。下がっていろ」
気迫と共に刃で錠を断ち、ノインは身構えながら奥へと踏み込んだ。エトヴァと小雪が灯りを持ち上げる。
「これは……なんてことを」
ほの灯りに浮かび上がるのは、広大な旧採掘場。掘られた横穴に鉄格子をつけただけの牢に、襤褸を纏った人々が閉じ込められている。
その前に時計爆弾が無造作に置かれ、天井や壁を這う導火線がしゅるしゅると爆薬に向かっていた……。
「誰だか知らんが、助けてくれ!」
「死にたくない! ここを開けて!」
人々が鉄格子にしがみつく。
「……周囲に敵の姿はない。囚人に紛れている可能性も、恐らくないだろう。俺は爆弾を解除する」
「見た感じ単純な作りっぽいですし、ボクにも解除、出来るでしょうか? て、手伝います!」
ノインが即座に、導火線の火を踏みにじる。小雪が格子戸に巻き付いているワイヤーを握ると、それを見ていた少年が悲鳴を上げた。
「ば、爆発しちゃうよ!」
「だ、大丈夫、です……! どうすればいいか……読み取りますから!」
残留思念を読み、小雪は慎重にワイヤーを引き千切る。壁や天井に仕掛けられたものも見落とせない。一つ残らず、処理しなくては。
その間にエトヴァは人々の前に出る。
「聞いてくれ。俺たちはディアボロス。君たちを助けに来た」
「子供もいるんだ! 早く出してくれ!」
「お願い、そこの弟だけでも助けて……!」
「大丈夫。ここにいる全員を外に逃がす。今は落ち着いて。怪我をすると危険だ」
絶望と恐怖に煽られ、人々はパニックに陥っている。エトヴァの背後で、小雪が格子越しに泣き叫ぶ少年の頭を撫でた。
「お姉ちゃんと離れ離れは辛い、です……爆弾を全部外して、すぐに再会させてあげますからね」
彼女の手つきに迷いはない。人々は息を荒くしながら、外されていく爆弾を睨む。
「聞いての通りだ。逃れるためには慎重に動いてもらわないといけない。怪我をした人はいるか。いたら格子戸の前まで、出て来てくれ」
根気強く語り掛けるエトヴァに促され、女が進み出る。足を痛めたのか、身を引きずるようにして。
「この足じゃ、逃げようがないよ……」
「大丈夫だ。この捻挫はそう重くはない。すぐに応急処置を施す」
エトヴァはフルートを口に添えた。奏でられる涼やかな音色が周囲の人々の体から治癒力を引き出していく。
「え? なんだか、痛みが引いていく……」
「俺の、す、擦り傷が治った……?」
人々は不思議そうに自分の体を撫でた。笛の音に合わせて、怒号と混乱が静まっていく。人々が落ち着くのを待って、エトヴァは口を開いた。
「あくまでこれは応急処置だ。爆弾の解除が終わるまで、負傷者を治療してくれ。医療道具はある」
「わ、わかった……!」
エトヴァが配るのは、痛み止めや抗生剤、ビタミン剤……その指示に従ううち、絶望に支配されていた場にゆっくりと統制が戻っていく。
やがて。
「……爆弾の解除は終了した。牢から解放するぞ。皆、下がってくれ」
鉄格子に駆け寄ったノインが、錠を断ち切っていく。歓声を上げて牢から飛び出した姉弟が、泣きながらお互いを抱きしめ合った。
「私たちは……助かったのか?」
初老の男がそう呟いて、牢から足を踏み出した。
「悪いが、喜ぶのは早い。まだ、首輪を除いていない。それは、俺たちでは取り除けない」
「ああ。そうだな……これがある以上、私たちは死ぬまでこき使われるだけだ」
「そ、そんなことさせません。私たちはこの鉱山の指揮官を、た、倒します! そうすれば首輪は、外れますから!」
小雪の宣言に、人々はざわついて互いを見る。この子たちが倒す? 恐ろしいあの男を? と。
「う、嘘じゃないです。実際、ボクたちは入口を制圧してここまで来ました。証拠になるかどうかわからないけど、これがこの鉱山の地図です……!」
初老の男は、半信半疑ながら彼女の描いた地図を受け取る。
「俺たちがここまで来ているという事実が、警備の全滅を意味する。逃げ道に、すでに障害はない」
「ボクたちが敵を倒したら、坑道は崩れ始めます。だから皆さんには、その時に逃げ出して欲しいんです」
人々の間に、ざわざわと疑念と不安がさざ波立つ。その視線が地図を手にした初老の男に集中したのを見て、エトヴァはまず彼にランプを渡した。
「炭鉱崩落の混乱に乗じてくれ。身動き取れない者は複数人で、運んでやってほしい。……頼めるか」
考え込むように俯く男の服を、幼い姉弟が引っ張った。その目を、誰よりも純粋に輝かせて。
「この人たちの言う通りにしようよ」
「私たちを、助けてくれたもの」
男は、顔を上げる。
「……わかった。君たちを信じて、ここで待とう」
人々の目に不安はあれど、不信はもうない。頼りない灯りに寄り添う目に燈るは、微かな希望。蝋燭のように小さくとも、闇の中に確かに瞬く灯りだ。
「ありがとう……俺たちは必ず仕事を果たす」
「それまで、ま、待っていてくださいね!」
「灯りは置いていく。地図を確認し、手筈通りに頼む」
人々と頷きを交わし、復讐者たちは牢を後にする。
爆弾の解除と人々への対応を並列して行えたことで、時間のロスは最低限。敵はまだほとんどの資源を運び出せてはいないはずだ。
さあ、踵を返せ。
この鉱山の中核を、潰すのだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【完全視界】がLV2になった!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
【先行率アップ】がLV2になった!
呉鐘・承李
【アドリブ・連携歓迎】
「理念、覚悟。何より……速さが足りない」
ここまで、最速で動いてきた。
まだ敵の対応が間に合わない時間の筈だ、このまま電撃的に飲み込んでやる。
まだルール炭鉱の支配者面をしている奴らに教えてやる、もうとっくに、状況は逆転しているのだということを。
ここから先は、俺の……俺たちの時間だ
ノインが炊いた発煙弾に乗じて奇襲を行う。
相手の頭数を減らして破壊工作を行う奴を援護する。
常に前線を動き回り囲まれないように注意しながら、広く周囲を見渡し、資材を外に運び出そうとするやつがいれば優先して攻撃を行う。
手が空くようであれば、支柱に切れ込みを入れ味方の破壊工作と共に崩壊するように仕込む
魔破・克也
使える残留効果は適時使用
偵察と観察、情報収集を空陸の両方で行い、把握をスムーズに
忍び足を用いた隠密と暗殺、発煙の活用による撹乱、敵の数を減らし破壊部隊が行動しやすいように
その際、指示等を出す現場リーダー的な敵個体も見極め
罠使いを活用、トラップ作成で敵側の地面を畳返しのような跳ね上げ式の地面に改良
敵が戦車型で地表の影響を受けやすい事を利用、敵の砲撃の瞬間に跳ねさせる事で照準のブレによる攻撃妨害、あわよくば施設への攻撃転用を狙う
混戦時には建物側へ位置するように立ち回り、敵砲撃による二次被害での施設破壊も狙う
また、発掘資源をアイテムポケット内に入るだけ放り込み、奪取による損失と破壊の手間省きを狙う
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎
残留効果は相互活用
ああ、ここまで来たんだ、やり遂げよう
【飛翔】を借り完全視界
偵察・観察し敵数と布陣、資源と採掘場の破壊対象を把握
地上班の攻撃で隙ができたら
飛翔し破壊班と共に護衛として移動
俺は周囲を警戒し、破壊担当への流れ弾と向かってくる敵を排除
攻撃が苛烈なら防衛に専念、敵の数を減らす
地上部隊が苦戦していたら狙撃で援護
閃光・チャフ弾で攻撃いなし隙を作り攻撃
敵方に隙あれば破壊対象に攻撃を加え
トラップ生成で時限爆弾を仕掛けて破壊活動
擲弾を撃ち爆破
高速で飛び回り狙いを定めさせず回避
魔力障壁を展開
集中攻撃を防ぎ援護
窮地や好機には託されし願い
破壊工作が十分か、無茶をする前に全体へ撤退合図
ノイン・クリーガー
『ゴースト(自分)よりユサール(エリザベータ)、フェーデル(エトヴァ)へ。これより作戦を開始する』
飛翔する味方が施設の破壊を行うので、それに先駆けて地上から敵部隊への攻撃を行い、破壊完了まで敵の注意をこちらへ引き付ける。
まず発煙弾で煙幕を張り、【完全視界】で視界確保。
ネメシスモード発動。
敵設備へ対戦車ロケットの【砲撃】を撃ち込み、その後は【地形の利用】により射撃位置を確保し、集まって来た亡霊と共に機関銃の【弾幕】による【制圧射撃】を行い、敵を釘付けにする。
接近された場合はショットガンで応戦する。
とにかく撃ちまくって敵を自由にさせない。
●
復讐者たちは、闇を駆ける。岐路を超えて細道を突き進めば、聞こえて来るのは轟音。
「止まれ。見えたぜ……この先が採掘現場だろう。音の響きからして、どうやら相当に広いみたいだぜ」
魔破・克也(金欠守護者・g00588)が、咄嗟に足を止める。奥に揺れる灯りに、浮かび上がるのは……。
『第一陣、進め!』
爆音と共に蠢く、ゾルダート達の影。
呉鐘・承李(剣鬼・g06193)が、気配を消してそれを睨む。
「資源の運び出しか。開始したばかりのようだな。この通路の出口を見張っている敵は……二体ほどか」
駆け出せば、発見されるのは確実。目を細めて先を見つめると、広間から掘り進めた横穴へと滑り込んでいく敵兵の一団が見えた。無限軌道の背に、大量の物資を満載している。
『第一陣の穿孔作業開始を確認! 発破を掛けろ!』
肚の底に来る振動と共に、敵兵たちが潜り込んだ横穴が瓦礫で塞がった。
「なんだ……仲間を生き埋めに?」
ぽつりと呟くのは、後ろにいたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)。
「いや、違う。あの穴を掘り進んでここを出る気か。俺たちの追撃を断つため、穴を塞いでいるんだ」
仲間たちが顔を見合わせる。物資を抱えて退路を断ち、自力脱出する……確かにクロノヴェーダでなければ不可能な搬出法だ。
「敵もまた、命懸けというわけか」
ノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)が、後ろを振り返る。
「ゴーストよりユサール、フェーデルへ。……これより作戦を開始する」
冷徹な宣言と共に、彼は足を踏み出した。
激戦の地となったルール炭鉱では、敵も、そして味方も……。
リスクを背負わぬ者に、勝ちはないのだ。
四人は、一気に細い通路へ飛び出した。二体の見張りが、ハッと目を見開く。
『敵襲だ!』
炸裂音と共に、弾丸が頬を掠める。即座に跳躍した克也の銃口が敵のゴーグルを叩き割って、銃弾がヘルメットから飛び出した。同時に、ノインの発煙弾が入口から広間へと飛んでいく。
『クソ! もう来……ッ!』
腕を振るう敵に、承李の刃が突き立つ。血反吐がマスクを汚しながらも、敵は腕を振り上げる。それが振り下ろされるよりも速く、エトヴァが敵を蹴りつけた。その身に掴みかかる敵を、押さえ込んで。
「行ってくれ。ここまで来たんだ、やり遂げよう」
エトヴァが敵ともみ合う隣を、承李とノイン、そして克也が、飛び出していく。
『撃て!』
瞬間、放たれる無数の砲撃。広間の入り口が、崩れ落ちる。落ちて来る瓦礫を縫って、三人は敵の布陣を睨んだ。
(「縦横に広大な空間に、無数に空いた採掘用の横穴。敵数は正面砦を超えるか。殲滅を狙うのは、現実的ではない」)
ノインは瞬間的に分析する。身を隠す場所はいくらでもあり、どこからでも顔を出せる状況だ。火線を振り切って岩影に転がり込み、ノインはマスクの裏で僅かに口元を緩ませた。
(「……だが、ここは防備を固めているわけではない」)
殲滅を狙うには不利な地形だが、こちらが身を隠せば敵にとっても同じこと。
ノインは祈るように銃を構え、復讐の念を身に纏う。周囲に浮かび上がるのは、かつて歴史の彼方に消えた無数の仲間たち。
「征くぞ、皆……総員、攻撃開始」
『何!?』
岩影から飛び出す、亡霊部隊。その中に混じり、ノインはロケット砲の引き金を落とす。爆発は広間中に無差別に拡散して、広大な空間に混沌を呼ぶ。
『狼狽えるな! ただの幻影だ! 掻き消せ!』
敵の火砲が仲間たちを再び掻き消していく。だが爆撃と轟音が土煙を呼ぶ中を、ノインは構わずに前進した。その身に破片が食い込んでも、亡霊部隊は最後の一兵が擦り消えるまで、突撃を止めはしない。
『奴が本体だ! 射撃、用……ッ!』
横穴に隠れ潜んでいた敵兵が叫んだ瞬間、土煙の中から鋭い光が煌めいた。言葉ごと、敵兵の頭蓋が縦に割れる。
「お前たちには、足りないものが多すぎる。理念、覚悟……そして何より」
『な……ッ!』
周囲の敵兵が銃口を持ち上げるより早く、承李の刃が閃いた。
「……速さが足りない」
敵の腕が、首が、胴が、緋を散らして泣き別れる。血の雨に怯む敵の一団に、承李はそのまま突っ込んで。
『くっ、怯むな! 突出して来たのは少数だ!』
無限軌道で突っ込んで来る敵兵。そのアームと火花を散らして打ち合いながら、承李は広間に雪崩出ようとする敵兵を押さえ込む。
(「そうだ。それでいい。……ここまで、最速で動いてきた。まだ敵の対応が間に合っていない。このまま電撃的に飲み込んでやる。その為に……」)
微かに振り返れば、ノインもまたショットガンを引き抜いて、横穴に身を隠す敵兵と撃ち合いを繰り広げている。
(「俺たちは遮二無二突っ込むのみだ
……!」)
閃く二重線が、敵の首を落とした。横穴の出入り口を押さえれば、一人で多数の敵を足止め出来る。
だが数に勝る敵を釘付けにするため、二人の背後は無防備。まだ広間に残っていた敵が、マスクの下でニヤリと笑む。火砲を、ノインと承李の背に向けながら。
『馬鹿め……死ね!』
だがその時、身を乗り出した敵兵の前で床が跳ね上がった。二人の姿が隠れ、放たれた砲撃は僅かに狙いを逸らして壁を穿つ。
『なんだ!?』
「させねえよ。借りたぜ、トラップ」
土煙から飛び出すのは、拳銃。敵兵の首筋に密着して、銃弾が跳ねる。血を噴いて倒れた敵の隣に立つのは、克也。
「俺を忘れてもらっちゃ、困るぜ……あ、いや、忘れててくれた方が、やりやすいか?」
雄叫びと共に躍りかかって来る敵兵をいなして、彼はその姿を土煙に紛れさせる。その拳銃は、敵砲に比べるべくもない口径。小さな火花。しかし。
『チッ、攪乱してくる奴がいるぞ!』
「この爆音と土煙の中で、捉えられるもんなら捉えてみろよ。仲間の背中を狙う奴は、徹底的に邪魔させてもらうぜ」
克也は土煙の中を転げまわり、跳ね上げ式トラップを活用しながら敵をかく乱する。
その状況を睨むのは。
「跳ね上げ床くらいは可能だが……爆発となるとトラップ生成の残留効果を超えるか。トラップ生成は彼の援護に徹して、破壊工作は直接行う必要があるな」
エトヴァはそう呟く。入口に降り積もった瓦礫はすでに打ち破り、部屋の各所に設けられた小屋のような倉庫や柱を指して。
「攻撃目標は伝えたとおりだ。前は彼ら三人が開いてくれた。背中は俺に任せてくれ」
とどめを頼む。その意を込めて、エトヴァは身を浮かばせた。
「ええ。これからは私達のターン。行くわよ!」
彼の背後に続くのは、施設破壊を担う仲間たち。エトヴァの筆が宙を舞い、降り注ぐ瓦礫片に印が刻まれて落ちていく。呪印を刻まれた瓦礫は、混乱する敵の眼前で爆発した。
『ちっ、後続が来るぞ! これ以上、やらせるなァ!』
無限軌道で壁を駆け抜けて、突っ込んで来る敵兵。馳せ合いざまに、エトヴァの二の腕から紅が弾ける。だが、すでに敵の顔には呪印が刻まれていて。
『……!』
「いいや、やらせてもらう。これからが本番だ」
淡い薄緑の炎を上げて、敵兵の首が爆散する。
目標に向けて飛び抜け、あるいは駆け抜けていく仲間たちを見送り、エトヴァは追いすがる敵群を振り返る。
「作戦、第二段階への移行を確認。弾幕を維持する」
「さて、俺も出来るだけ後続の手間を省かなくっちゃな」
「教えてやる。もうとっくに、状況は逆転しているのだということを」
それを背に、ノイン、克也、承李の三人は各々、強引に敵を押し込む。
そう。全ては破壊工作を完了させるまで敵の目を引くための陽動。
ならば背を仲間に託し、今はただ、苛烈に攻め込むのみだ……!
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【託されし願い】がLV3になった!
【アイテムポケット】がLV2になった!
【トラップ生成】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【先行率アップ】がLV3になった!
【ドレイン】がLV2になった!
ジャンヌ・デスペラーダ
施設破壊を目的とした戦闘…なかなか難しくはありますがやってみましょう
■集積所の破壊を目的とする戦闘
まず敵の注意をひく為に背後からの【不意打ち】でブランダーバスによる【一斉射撃】や縛撃鎖の【捕縛】、ジェヴォーダンの怪腕による【グラップル】で一時的に身動きを封じます。
ここまではただのおちょくり、本番はここからです
【戦闘知識】【情報収集】を駆使し敵の追撃を受けつつ集積所に突入、それと同時に聖なる手榴弾による聖なる大爆発の発動準備
敵が施設内に入ってきたのと同時に【爆破】し【早業】で脱出します
炭鉱の貯蔵庫ともなれば石炭の粉末や機材から削れ出た鉄粉も舞っているでしょうから粉塵爆発が狙えれば御の字ですね
月下部・小雪
引き続きみなさんと協力していきます!
これ以上、採掘資源をもっていかせません!
準備として牢屋にあった時限爆弾のセットを【アイテムポケット】に放り込んでおきますね。
味方の空爆や煙幕に紛れて、さらに【光学迷彩】も使って物資集積所に近づきます。
【アイテムポケット】から取り出した時限爆弾を次々とセットしていきますね。
コダマにも手伝ってもらって、狭い隙間なんかにも時限爆弾を運んでもらいましょう!
目には目を、歯には歯を、時限爆弾には時限爆弾さん、です!
ある程度セットし終わったら、味方と合流、です。
合流したら、念動力で「アクマ印の魔法爆弾」をどんどん放り投げて敵の邪魔をしていきます!
※アドリブや連携も大歓迎
エリザベータ・シゲトヴァール
●心情
牢の一般人ももう大丈夫。よくも今まで好き放題やってくれたわね。
これからは私達のターン。行くわよ、ペイバックタイムよ!
●行動
【ルール攻略隊】
空からの爆撃での資材の破壊を狙う。
【飛翔】し【完全視界】を発動。
物資の集積・配置状況を【偵察】し、味方に伝達する。
【空中戦】【戦闘知識】【一撃離脱】を活かし、
急降下からのデモリッションガンの【砲撃】と、反転上昇・反復攻撃を行う。
この際
①物資が多く集積されている地点
②敵兵が運び出そうとしている物資
を優先的に狙い、味方が狙っている物や、破壊工作を行っている物に対しては、重複・過剰攻撃を避ける。
●
先行した三人が、敵陣を混乱させている。横穴に身を隠しながらノインが撃ち合い、飛び出して来る敵は承李が斬り合う。二人に横やりを入れる者は、克也が討つ。発煙弾と土煙、明滅する灯りが目を焼く。
ジャンヌ・デスペラーダ(鉄槌の騎士・g05561)が、混沌のいくさ場をふちから見つめて。
「施設破壊を目的とした戦闘……なかなか難しくはありますがやってみましょう」
「攻撃目標は伝えたとおりだ」
出入り口の周囲を確保したエトヴァが、振り返る。応じるのは、エリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)。
「牢の一般人ももう大丈夫……ええ。これからは私達のターン。行くわよ!」
大地を蹴って飛翔するエリザベータの下で、月下部・小雪(デーモンのデジタルサマナー・g00930)が手を振って見送る。
「これ以上、採掘資源をもっていかせません! 皆さん、協力していきましょう!」
果敢に攻める仲間たちの目的は、作戦を完遂するまで場を維持する事。逆を言えば、強引な攻めはいつか綻ぶ。敵が混乱している時間はそう長くはない。敵は身を隠しながら狙い撃てるし、他の横穴から奇襲も出来る。やがて地の利と数の利が、味方を圧し潰すだろう。
急がねばならない。
「言ってた通り、背中は任せるわよ……!」
エトヴァに後ろを任せ、エリザベータが榴弾砲を構える。敵の砲を超える口径で眼下の戦場を舐めて。
(「資源集積所の目星はもうつけてある。でも、ただがむしゃらに撃ちはしないわよ。飛んだからには、狙うは一つ
……!」)
その目は戦場のすみを睨んだ。いくつかある資源集積所からは、守備兵の苛烈な砲撃が飛んでいるが、一か所だけ迎撃が来ない。
『急げ! 奴を落とせ!』
エリザベータは苛烈な弾幕の中を一気に加速し……その集積所を飛び越えた。砲口が、捉えたのは。
「やっぱりいた! よくも今まで好き放題やってくれたわね! さあ、ペイバックタイムよ!」
『見つかっ……!』
資源を満載していた敵の第二陣。横穴に逃れようとする敵を、火砲が貫く。そのまま敵は壁面に激突して爆散し、横穴の入り口が崩れ落ちる。
『クソ! 邪魔をするな!』
突進して来た敵が振り下ろす一撃。痺れるほどの衝撃を砲で受け止め、エリザベータは壁を蹴って再び上昇した。
「馬鹿言わないで。牢に閉じ込められた人たちの犠牲によって掘り出されたものを、アンタたちの好きになんてさせない……!」
空中で身を捻って、彼女は再び敵へと突っ込んだ。砲身で敵をなぎ倒し、再びその引き金を落とす。
鉄火と鉄火の激突……それを、こっそりと集積所の影から覗き見るのは。
(「うわわ……でも、敵は荷物を背負ってるから、動きが鈍いです、ね。これなら、手伝わなくてもだ、大丈夫かも……」)
小雪は、頭を引っ込める。陽動になった者たちが押さえてくれているとはいえ、広間の中にも敵はまだ残っている。混戦状態の中、身を隠せている優位を失うわけにはいかない。
「取って来た時限爆弾、仕掛けてくれました?」
やって来たコダマは、自信満々といった顔だ。小雪は微笑みを返し、急いで次の集積所へと駆け抜けいく。アイテムポケットから取り出すのは、先ほど牢に仕掛けてあった時限爆弾だ。
「ふふふ、目には目を、歯には歯を。時限爆弾には時限爆弾さん……です! さて、えーっと……これ、タイマーはどう起動するんでしょう?」
よく考えれば、時限装置は解体したはずだ。爆弾としては生きているが、仕掛け直すのは結構、難しい。小雪は、コダマを振り返る。
「さっきのはどうしたの? え? 導火線? に、火をつけて? 置いて来た?」
コダマが力強く頷いた時。背後で集積所が爆発し、闘いを忘れるほどの衝撃が戦場を走り抜けた。エリザベータと、彼女に攻められていた敵の第二陣が吹き飛ばされるほどに。
『なっ! 集積所が!』
「っ……! やったわね!」
焔を噴き上げて大爆発を起こした物資集積所。支柱になっていた柱が崩れ落ち、天井から小さな瓦礫が降り注ぐ。
「きゃー! や、やりましたけど、ち、ちょっと早いです!」
『あそこだ! あのチビだ!』
突っ込んで来る敵。コダマが咄嗟に馳せ合って、敵の顔面にぶち当たる。その隙に小雪は、とにかくアクマ印の爆弾を次の集積所の窓から中へと放り込んで、駆け抜ける。
『ガキがぁあ! 取り押さえろ!』
「い、いやですー! 捕まりませんからー!」
再び爆裂する集積所を背後に、敵が小雪に手を伸ばす。だがその手が細首を掴もうとした瞬間、散弾が敵兵の顔面を貫いた。
「こちらへ……!」
血霧を飛ばす敵兵を見据えるのは、ジャンヌ。走って来る小雪を迎えながら、追いすがる敵に狼人形を解き放つ。
「今の衝撃と轟音。集積所には誘爆しやすい可燃物も詰まっているようですね。もう一度、更に大きい一撃を加えられれば……」
「だ、大丈夫でしょうか……や、やるしかない、ですけど」
「ええ。この敵は私が抑えてから、あちらへ走ります。先行をお願いします」
鋭い瞳に、意を察した小雪が駆けていく。再びジャンヌは銃を持ち上げて、敵兵へと引き金を落とした。
『この程度で止まるな! 撃て!』
徹甲弾が飛んでくる。肩や頬を掠め、焼け付くような熱が走る。ジャンヌは銃弾を撃ち尽くすと、人形を呼び戻して踵を返した。傍目には、押し切られて逃げ出す形に見えるように。
(「ここまではただのおちょくり……本番はここからです」)
その背後に幾人もの敵を引き連れたまま、ジャンヌは混戦の広間の中央を駆け抜けて、一つの集積所のドアを破った。さっと周囲に目を走らせた彼女は、にやりと唇を歪めた。
『追い詰めた! 死んでもらうぞ……!』
「ええ。死にましょうか」
窓の向こうで手を振る小雪。すでに集積所の中には、回収された全ての時限爆弾が配置してあった。敵兵たちがハッと目を剥いた時には、ジャンヌは手榴弾のピンを抜いていて。
「ただし三秒の間に爆発を止めなければ、あなた達も一緒に、ですが」
『……ッ! 止めろォオ!』
掌を上に向けて、放り投げる。濃密な時の中、敵兵たちが手榴弾目掛けて駆けだした。同時に、ジャンヌは全力で床を蹴る。窓を打ち破り、転がり出た彼女の腕を掴んだのは……エリザベータ。
「飛ぶわよ!」
二人が飛翔した瞬間、今までで最大規模の爆発が、広間を打ち据えた。音が消し飛び、爆炎が敵兵たちを呑み込む。激震が迸り、降り注ぐのは巨大な瓦礫。次から次へと落ちて来て、もう止まらない。
『ま、マズい! 崩れる! うわああ!』
「皆さん、こ、こっちです!」
小雪とコダマに導かれて、先行して闘っていた四人が来た道へと退避する。最後に残ったエリザベータとジャンヌが、もつれ込むように出口へと滑り込んだ。
そして、瓦礫が広間の全てを圧し潰していく……。
●
むせ返るような土埃。灯りの絶えた、完全な漆黒。
「い、たたた……ぎりぎりだったわ。間に合ってよかった。無事?」
「ええ……助かりました。私一人では、逃げきれませんでしたから」
その中で、復讐者たちは咳き込みながら立ち上がる。周囲を見回すのは、ノイン。
「全員の無事を確認……作戦の主目的の一つは達成したと見ていいだろう」
「ああ。採掘が行われていた坑道は、崩落したからな。皆、お疲れ様」
エトヴァが服の埃を掃って、埋まった通路を振り返る。瓦礫は完全に広間を埋め尽くした。この先で採掘を継続するのは、もう不可能だ。
「でも敵は結構残ってたよな。生き埋めくらいじゃ死なないんじゃないか? クロノヴェーダだろ?」
エジプトでもそんな例があったようだし、と、克也が呟く。それに頷くのは、承李。
「ああ。だが、脱出には時がかかる。真っ暗闇で、方角もわからないはずだからな」
すなわち、敵施設は完全に破壊され、残党がこの作戦に影響を及ぼして来ることもなくなった。
「じゃあ、後は……敵のボスを倒すだけ、ですね」
復讐者たちは頷き合う。
もう二度とこの坑道を再生させないため。
そして、閉じ込められている人々を救うために……。
復讐者たちは道を戻り、最後の広間へと足を踏み入れた。
採掘を終えた坑道なのだろう。ほとんどの物資が撤収され、レールや台車が僅かに残るだけの広大な空間。
『……ディアボロスども。あの布陣を強引に抜けて来るとはな』
その中央に立つ男は、背を向けたままそう語る。振り返るまでもなく、部下の敗北を理解して。
『私自身もここで資源搬出のための囮を務めたつもりだったが、どうやらそれも見破られたか。素直に認めよう。指揮官たる私の、敗北だ。諸君の力は、私の目算を上回った』
にじり寄る復讐者たちへ向けて、男は振り返る。その目に浮かぶ戦意、そして攻める隙を感じさせぬ圧力は、敗北を認めた者のそれではない。
『だが、想定以上ではない。ここまでにお前たちがすり減ることも、計算の内。お前たちさえ討ち払えば、兵も労働者も坑道も、再び整えられる。この鉱山の核は、私なのだからな!』
機甲翼が広がり、噴射熱が男の躯体を宙に浮かばせる。抜き放たれたサーベルが、薄暗い行動の中に鋭い光を放った。
『我が名は、マックス・インメルマン。これより先は指揮官でなく、ただ一人の戦士として……お前たちを迎え討とう!』
身構える機人。
これが、長く暗い闇の果てにたどり着いた最後の闘い。
さあ、決着の時だ……!
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【照明】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV2が発生!
ハインツ・ゼーベック
「インメルマン君か。懐かしい、偵察に強襲に随分と働いて貰ったが、今は立場が違う。落とさせてもらおう」
アミアンの受難を発動。展開されるのは戦時下の街。要塞の地形を上書きしてやろう。
そして街というのは身を潜ませるには最適である。
こちらを探して高度を下げてきたところを、建物内に潜む兵が攻撃を加える。
「空兵相手だ、戦車の機銃でも充分効くだろう? 建物の窓から火炎放射を食らうとは思わなかったかね? 曲がり角に仕掛けられた投網は? こちらもドイツ兵だ。まさか対空戦術がないなどと思っていたのかね?」
相手からの反撃は地形の利用とサーヴァントを盾にして防ぐ。
●
武装を引き抜き、対峙する復讐者たち。
「懐かしい……インメルマン君か」
ぽつりと呟くのは、ハインツ・ゼーベック(好奇心は猫を殺す・g00405)。
「貴方は偉大な指揮官だった。乱れ切っていた軍紀を正し、任務に忠実なその姿には、敬意を表するわ」
「将でありながらその身を犠牲にする覚悟……敵ながら見事、それ以外の言葉が見つかりません」
エリザベータの言葉をジャンヌが引き継ぐ。語り掛ける最中にも殺気が両者の間に見えぬ触手を伸ばし、互いの隙を探り合う。一分の隙も無い、睨み合い……。
「だが、もうお前が守るべきものは無い。最終決戦と行こう。剣鬼……参る」
硬直を破った承李が、足を踏み出す。瞬間、全ての者が残像を残して跳躍した。
時空間が歪み、一瞬とも永遠ともつかぬ間に、火花が散る。
闘いが、始まった。
戦場を見渡すハインツの動きを睨む、鋭い殺気。
『まずは、後ろから落とさせてもらおう!』
稲妻のような高速機動が、その身に迫る。
「やはり来たか。君には、偵察に強襲に随分と働いて貰ったが、今は立場が違う。落とさせてもらおう……市街戦で、な」
杖で叩いた足元から広がるのは、戦時下の欧州都市。その光景が、敵を飲み込む中、機人は目の前に現れた戦車の機銃を避けた。
『……! なるほど。パラドクスらしい技だ。人の身で、逆説連鎖戦をよく理解している』
「咄嗟に避けた君の方もな。まあ、こちらもドイツ兵だ。まさか対空戦術がないなどと思っていたわけではあるまい」
焔の街から、ハインツの声が静かに響く。
「街というのは身を潜ませるには最適だ。こちらを探すには、高度を下げなければならない。さて、廃墟の中には何が潜んでいるかな?」
待ち構える布陣を前に、機人はふっと笑みをこぼす。
『お前たちのやったことを突き付け直す、良い挑発だ。だが私をお前の知る“インメルマン”と同じに思ってもらっては困る……!』
ゾルダートの誇りを胸に、インメルマンは突撃する。焔に紛れた老兵の気配を睨んで。対するハインツはその杖で再び大地を叩く。
即座に、煤焦げた戦車が機銃を乱射する。
「空兵相手だ、戦車の機銃でも充分効くだろう? 建物の窓から火炎放射を食らうとは思わないかね? 曲がり角に仕掛けられた投網はどうかな?」
紡がれる一言ごとに、火炎が、網が、対空射撃が、唸りを上げる。機人は目にも留まらぬ剣技と機動でそれを弾くが、全ては受け止めきれない。
弾が足を穿ち、その身で火焔を潜り、剣で網を引き裂き……墜落するように壁面に激突する。
しかし。
「……!」
『捉えたぞ!』
壁を破った機人が背後に見たのは、ハインツの姿。閃く剣に、咄嗟に飛びついたのは、メーラーデーモンのフュースリー。火花が散り、機人の姿が掻き消える。銃声と、壁を突き破る轟音が轟いて……。
「……!」
復讐者たちの前で、廃墟の街並みが蜃気楼の如く消失する。
その中心で、血に濡れた肩口を押さえるのは、ハインツ。
「……私にマウザーを抜かせるとはね。だがこの腕も、錆びついたわけではないよ」
『ふん、それでこそ軍人だ。己が身で闘うことを忘れていれば、楽に首を落とせたがな』
頬に着いた火線を拭い、機人は構える。互いに、一度の馳せ合いで落ちる首ではない。
闘いは、ここからだ。
成功🔵🔵🔴
効果1【トラップ生成】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
エリザベータ・シゲトヴァール
●心情
貴方は偉大な指揮官だった。
乱れ切っていた軍紀を正し、任務に忠実なその姿、敵ながら敬意を表するわ。
ここからは戦士としての戦い。
私も一振りの剣として貴方に挑む。勝負よ、マックス・インメルマン!
●行動
【飛翔】し【完全視界】を発動。
【戦闘知識】を活かして【空中戦】を挑む。
貴方が世界史にその名を刻んだマニューバー、インメルマンターン。
それを破ってこそ、真の意味で貴方に打ち勝ったと言えるでしょう。
こちらも最大戦速で接敵、擦れ違った一瞬でその機動を予測し【看破】、
背後を取らせたその瞬間に【プガチョフ・コブラ】で急減速してオーバーシュートさせ、
追い越した背中にマシンピストルを機銃掃射よ。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎
仲間と連携
完全視界、他残留効果を活用
フェーデル、作戦に移行する
防衛線は見事だった……
エースの名を持つ貴方と空中戦でやり合えるのは……光栄と言っておこう
広くとも限りある場所、追いついてみせる
【飛翔】で仲間と速度強化
俺自身は手数を活かして仲間の援護
足元を掬い、背を晒せば撃ち、死角を狙っていく
戦法に集中させる暇を削ごう
……「敵の死角」が安全だとは限らない
僚機がいるならな
地上組・空中組双方と連携を取り
速度に翻弄されぬよう、全員の位置関係を観察把握し
相手の逃げ場を減らし追いつめる
斬撃の軌道を見極め
相手に加速の兆しあれば軌道上から緊急離脱
魔力障壁を展開し防衛
……この悪夢に目覚めを告げよう
呉鐘・承李
【アドリブ・連携歓迎】
さて、もうお前が守るべきものは無い。
最終決戦と行こう。剣鬼……参る
【行動】
地上から風の刃での遠距離攻撃を行いながら距離を詰め、接近できるチャンスがあれば接近戦を行う。
基本的に隙の大きな攻撃は行わず、相手の攻撃の隙や、味方の攻撃に意識が割かれた際に攻撃を差し込む。
自分が十全に動く、というよりも、相手を十全に動かさせない立ち回りを徹底し、地上~低高度での自由を奪っていく。
さぁ、高度を上げれば仲間の、下げれば俺の間合いだ。
剣鬼の太刀、耐えられるのならば耐えてみろ。
月下部・小雪
さ、最終決戦です!
引き続きみなさんと力を合わせて、マックスさんの想定を上回ってみせますっ!
【重装甲高火力型モーラット・コミュ】を再び呼び出します。コダマ、行ってください!
コダマはブースターを点火して敵の高速機動に対抗していきます。
背後を取られたピンチでも、撃ち尽くしたミサイルポッドを切り離して囮にしつつ
相手の十八番のインメルマンターンを真似してぐるっと180度ターンです!
ブースターを噴かせてそのまま体当たりでマックスさんにぶつかっていきます!
武装を使いつくしたコダマは送還、再召喚して手元に引き戻して、頑張りましたねって褒めてあげますね。
※アドリブや連携も大歓迎
ジャンヌ・デスペラーダ
将でありながらその身を犠牲にする覚悟…
敵ながら見事、それ以外の言葉が見つかりません
貴方が戦士としての戦いを望む以上、こちらも一振りの剣――否、一人の騎士としてお相手します
【完全視界】を使用
ジェヴォーダンは下げ、処刑刀とブランダーバスを手にし地上から迎え撃つ
【戦闘知識】で機動を先読みして偏差射撃で牽制、撃墜は狙えずとも速度は落とさざるを得ないはず
同時に機動の癖を【情報収集】します
残弾が無くなったら銃を投棄、祈り打ちを放つ準備をします
ここからは細工は無用
我が鉄槌の一撃と貴方のマニューバ…
互いの技量の優劣が勝敗を分ける
さぁ戦士よ、昔ながらの一騎打ちと参りましょう…!
アドリブ連携、負傷描写OK
●
ハインツの拳銃が火を噴いて、突進を掛けようとするインメルマンを牽制する。
『思った以上に出来る。あの防衛線を貫くわけだ』
敵のサーベルが振り上げられた時、横合いから走った閃光が、金属音を立てて交差した。
『!』
「……気を付けたまえ。油断はならない相手だよ」
息を吐いたハインツが、割り込んだ背に語る。頷いて敵を見据えるのは、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)とエリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)。
「防衛線は見事だった……エースの名を持つ貴方と空中戦でやり合えるのは……光栄と言っておこう」
「ここからは戦士として。一振りの剣として。貴方に挑むわ」
更に敵を襲う派、斬撃と爆風。インメルマンはあいさつ代わりの一撃を弾き、周囲を囲む復讐者と対峙する。
「一振りの剣……ならば私は一人の騎士としてお相手します。完全な一騎討ちでないことは申し訳ありませんが」
「仲間の危機を見過ごす気はない。まあ、こちらもあれだけの布陣を抜けた後だ。卑怯と泣きつく気はないだろう」
銃と刃……ジャンヌ・デスペラーダ(鉄槌の騎士・g05561)と呉鐘・承李(剣鬼・g06193)の目が、敵を睨む。
『当然だな。己の失態を力づくで修正しようという時に、敵の善意に縋るほど堕ちてはいない。受けて立つとも……!』
不敵に笑う敵に向けて、進み出る月下部・小雪(デーモンのデジタルサマナー・g00930)。その胸元に抱いたコダマが、武装を展開していく。
「じゃ、じゃあ、最終決戦です! みなさんと力を合わせて……マックスさんの想定を上回ってみせますっ!」
天地から、一気に距離を詰める復讐者。
剣を振るい、宙を駆けるインメルマン。
両者の間に、火花が散る……!
「フェーデル、作戦に移行する」
「ええ、行くわよ!」
エトヴァとエリザベータは飛翔効果を重ね合い、馳せ合った勢いのまま弧を描いて敵の背を追う。
『先ほどの老兵は知を絞って私の軌道を封じたというのに、自ら空中戦を挑むか……!』
「貴方が世界史にその名を刻んだマニューバー、インメルマンターン……それを破ってこそ、真の意味で貴方に打ち勝ったと言えるでしょう!」
インメルマンは二人をやすやすと引き離し、高速旋回してエリザベータを狙う。だがその剣が振るわれる直前、機銃の如き光輪が間に割って入った。
『……! 機銃掃射というわけか』
「空中戦だからな。俺の“機銃”は前方以外にも飛ぶ。ここは広くとも限りある場所だ。追いついて、墜としてみせるさ」
エトヴァが周囲に浮かばせるのは斬撃の光輪。更に地上を走る小雪が抱えるコダマが、抱えたミサイルポッドのふたを開く。
「し、射角に捉えましたよ、コダマ! 地対空なんとかです! 発射ー!」
光輪の群れと無数の熱弾。解き放たれた弾幕が迫る中、敵はその顔に不敵な笑みを浮かべた。
『手数で墜とす肚だろうが、この程度の弾幕は想定済みだ。私の速度と運動性を見せてやろう!』
無数の弾が一斉に突っ込んだ瞬間、敵はエンジンを爆発させるように噴かすと着弾点から消失する。
(「速い
……!」)
敵は不規則に軌道を変え、音も時も置き去りにして飛び抜ける。復讐者たちの時空間を超越した目でなくば、迸った稲妻にしか見えまい。敵は追いすがる射撃を翻弄し、弾幕と交差してもなお迫り来る。
「うわわ、あ、当たらないです! というか、弾より速いです!」
(「まずい。多数を相手取るための弾幕技は、この相手には不利だ。速度に翻弄されぬよう、逃げ場を減らして追いつめるつもりだったが。……仕方ない」)
エトヴァは両の手に光輪を構え、向かっていく。散弾が当たらないなら、一撃に懸けて狙い撃つのみ。狙いを定めて指先を弾いたのと、敵が刃を振るい斬撃を飛ばしたのは、ほぼ同時。力と力が激突し、甲高い音を響かせる。緋を、散らしたのは……。
「っ」
翼を裂かれたエトヴァが、ぐらりと滑落する。敵もまた肩口を斬られたが、損傷の差は大きい。速度を落とした敵に、エトヴァは眉を歪めて振り返る。
「流石の速さと正確さだが……“敵の死角”が安全だとは限らないのは、互いに同じだ。そちらに速さがあるのなら、こちらには……仲間がいる」
はっと敵が顔を上げた瞬間、上段から振り下ろされた斬撃。太刀とサーベルが激突して、そのまま承李が敵を押さえ込む。
「お前たち流に言うなら、僚機がいる。といったところか。俺は仲間が作った隙も見過ごしはしない……最高速を出した後は、一瞬の隙を見せるようだな。再び最高速を出せるまでに必要な時間は何秒だ?」
そう。正面からの弾幕では敵を捉えきれないと判断したエトヴァは、敢えて囮を担い攻撃をひき付けたのだ。敵は舌を打って競り合いを脱しようとするが、押し込む刃が空中機動を許さない。
「追いつけないなら、足が止まったところに近距離射撃です! コダマ、ぜ、全弾発射です!」
「ええ、こちらからも行くわよ!」
「援護いたしましょう」
押さえ込まれた敵を目掛けて、小雪が、エリザベータが、ジャンヌが銃口を向ける。
「さぁ、高度を上げても下げても俺たちの間合いだ。剣鬼の太刀、耐えられるのならば耐えてみろ。あかしま流、秘奥、十の型。暴風……!」
『舐めるなよ……! 生身の人間が!』
弾幕の援護の中、承李は嵐の如く斬りかかった。一太刀が風を生み、幾筋もの斬撃となって襲い掛かる。死に物狂い防ぐ敵の剣技もさるもの。だが速さを活かせない中で、更に熱弾と銃弾の集中砲火を浴びせれば、熱や弾丸がその装甲を少しずつ削っていく。
(『くっ……エンジンブーストまで、あと数秒……! 距離を取らねば!』)
敵は咄嗟に太刀を弾き、その衝撃を利用して承李の間合いを脱する。だがその時こそ、承李と小雪の狙った、機。
「残念だったな……そこはまだ、俺の間合いだ」
「今です、コダマ! ブースター点火!」
放たれたのは風の刃と、ポッドをパージして突撃するコダマ。敵は辛うじて防御姿勢を取ったものの、二人分の力に挟み込まれて破片を散らした。鉄のひしゃげる音が響き、咽こんだ口から漏れたのは、血か、それともオイルなのか。
『ぐ、はっ!』
「やりましたか。とどめを……!」
だがジャンヌが駄目押しに銃を構えた瞬間、敵のエンジンが火を噴いた。再び広間に衝撃が迸り、目にも留まらぬ速度で承李と小雪を弾き飛ばす。
『まだだ! 俺はまだ、墜ちはしない!』
二人は咄嗟に防いで両断を免れたものの、身を転がした跡には紅い筋が点々と落ちる。ここまでの闘いで傷ついて来た復讐者たちには、敵の渾身を受けきる余力はもう残っていない。
それでも。
「……っ。それなら……墜ちるまで斬るのみだ」
「コダマ、ありがとう。あと、もう少しだからね……」
「ああ。夜明けは近い……この悪夢に目覚めを告げよう」
承李と小雪が。そしてエトヴァが、幽鬼の如く膝を持ち上げて身を起こす。
『……ッ! しつこいぞ、ディアボロスめ!』
炯々と燃える敵の目に混じる、一抹の恐怖。それを振り払うように、敵は再び大気を切り裂いた。互いの渾身の技が大地を砕き、広間に轟く。馳せ合う度に吹き飛ばされても、復讐者たちは立ちあがる。だが敵の最高速度も、一度、また一度と馳せ合う度に維持できる時間が短くなっていく。
(「敵も限界が近い。でも、先にみんなが限界だわ。ここで動くしかない」)
激情を抑えて戦況を睨むエリザベータが、牽制の射撃を止めて身を回す。その膝が、奮い立つように天井を蹴った。鬼の如く剣を振るう敵機へ向けて。
「貴方の軌道は見切ったわ! 最大戦速の一撃に、この身を賭ける! 勝負よ、マックス・インメルマン!」
『舐めるな! 遠巻きの援護に徹していた弱兵風情が!』
両者が交差した瞬間、脇腹を裂かれたのはエリザベータ。それでも、激突するかの如き勢いで地面を蹴って、彼女は再び宙に舞う。
『遅いッ! これで終わりだ!』
(「遅いでしょうね。確かに貴方は速い。私を一瞬で追い越すくらいに……速かったわ!」)
エリザベータは両手に持った火砲を構え、まだ何もいない眼前へと撃ち放った。全身で風の抵抗と迫撃砲の反動を受け止めて、身が引き千切れるような減速をしながら。
瞬間的に背後に現れた敵が、勢い余って剣を振り抜く。首を落とすはずの一閃は、肩を深く抉って血を噴かせた。迫撃砲が、墜ちる。
『な、にッ!』
「そう。最高速度を出した貴方は、攻撃をしながら敵を追い抜く。速すぎて、止まれないのよ。そして私のもう一方の手は……まだ動くわよ!」
構えたマシンピストルが、火を噴いた。加速を終えた無防備な背を、銃弾が貫く。更に仲間たちの攻撃が、そこへ殺到した。血と油が飛び散って、男の機体は爆炎に包まれる。
『う、おおぉおお!』
「とどめよ、インメルマン!」
咆哮が上げる。油が小爆発を繰り返し、火花を散らしながらも、敵はエンジンを噴き上げた。己を証明しようとするかの如く。
『私は、ただでは墜ちんぞ! まだ、飛んでみせる!』
弾幕を無理矢理に飛び抜けた敵機。その前に一人立つのは……。
「ええ。貴方の空は、私を突き抜けた先にあります。まだ飛ぶと言うなら、我が鉄槌の一撃と貴方のマニューバ……互いの技量で勝敗を分かちましょう!」
ジャンヌ。援護に用いた散弾銃を投げ捨てて、女騎士は鉄槌を大上段に構える。
細工は無用。馳せ合いは刹那。互いに一撃。昔ながらの一騎打ちだ……!
渾身を懸けた一閃が、交差する。血飛沫が、舞う。相手を貫いたのは、敵のサーベル。ジャンヌの肢体を突き刺したまま、宙に持ち上げる。
『殺ったぞ! 次は……!』
だが腹腔を貫かれたジャンヌは、鎚を構えたまま静かに唇を開いた。噴き出すのは血と、そして……。
「貴方は、速かった……しかし、捉えましたよ」
『まさ――』
敵の言葉が、刈り取られるように絶える。振り下ろされた鎚は、慈悲と敬意を込めて男の首を落としていた。
女騎士の身体がずるりと滑落する背後で、コントロールを失った敵の躯体が天井へと激突し、爆散する。
まるで、空へ解き放たれようとするかのように……。
●
闘いは、終わった。
しかし、復讐者たちに休む暇はない。
地面から肚の底まで響く振動に、膝が揺れたから。
「インメルマンが死んで、坑道が崩れ始めた……! 皆、脱出よ!」
エリザベータが、広間の出口で手を振る。承李は、落ちて来る瓦礫を切り裂いて。
「労働者たちの方は、うまく逃げ始めただろうか」
「あちらにも援護の仲間たちが向かっている。大丈夫だ」
応えるのは、エトヴァ。ハインツに支えられたジャンヌに手を貸して、共に引きずるように広間を出る。
「皆、大丈夫かね。今回は少々、無茶をしすぎたようだな」
「……申し訳ございません。お手間をお掛けします」
先頭を走る小雪は、慌てて逃げていく労働者たちの背を見つけた。
「だ、大丈夫ですか皆さん。あの、逃げ遅れた人とか……!」
脇道から飛び出してきて、その肩を叩いたのはノイン。
「大丈夫だ。全員の無事を確認した。後はここを脱するのみだ」
敵将の死により、すでに坑道全体が崩れ落ちつつある。復讐者たちは労働者たちの殿を務めながら、悪夢のような闇を走り抜けた。
最後に克也が穴を飛び出すと、凄まじい土煙が中から吹き上がる。むせ込みながら視界が開けた時、坑道は全て埋まってその影さえ残っていなかった。
「ごほっ……間一髪だったぜ。凄い久しぶりに太陽を拝んだ気分だ」
「ん~、あっちの人たちは、本当に久しぶりだろうけどね」
理央が笑って振り返ると、人々は口々に「助かった」「ありがとう」と復讐者たちに礼を叫んでいる。幼い姉弟が、泣きながらお互いを抱きしめ合っているのを見て、レイが微笑んで。
「ふふ、よかった。二人とも無事に連れて来られて……」
「全員が無事に帰れるよう、手配しないとな。にしても……つらい闘いだったぜ」
人鳥がため息を漏らして天を仰ぐ。
……激戦の末の勝利を以て、第二次ルール炭鉱破壊作戦の一幕は、終わりを告げる。
しかし今も蠢く機械化ドイツ帝国の陰謀が止まる気配は、ない。
復讐者たちは守りを固めたルール炭鉱を崩し、悲劇を終わらせられるのか。
降り注ぐ黄昏の中、復讐者たちは帰還する。
この地の明日はまだ、誰にもわからない……。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【飛翔】がLV3になった!
【一刀両断】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【命中アップ】LV2が発生!
【先行率アップ】がLV4になった!