リプレイ
金森・椿
アドリブ歓迎
井戸の底ということでひとまずは【照明】が必要そうですね。
コンパスで方角を確認して御所のある方向に近づく通路を探索いたします。
任務ですがこういう場所を探検するのは楽しみです。
一定の歩幅で歩いて通路の向きと長さを正確に測定していきます。
行商で鍛えましたからね。
このくらいは意識せずともできます。
空中からの攻撃は苦しいところですが、幸い明かりと飛べるだけの空間がありますね。
急降下する敵の進路で爆発を起こして一網打尽にしてしまいましょう。
せっかくですから忍術を披露いたします!
肉薄されたら刀で打ち払って急所への打撃だけは避けたいところです。
さて、楽しくなってきましたよ。
文月・雪人
今度こそ死者が出る前に食い止めるべく備えたいけど
後の被害を防ぐ為の調査も大事、気を引き締めて行こう
気になるのは大内裏と、一条戻り橋の周辺かな
仲間と連携、分担して広範囲を調査出来るといいね
光は敵に察知されぬよう【光使い】で光量と方向を調節して使用
でも仲間のより適した効果が使えるなら有難く借りる
クダ吉を先行させつつ【未来予測】で敵との遭遇を警戒
なるべく交戦避けつつ素早く移動し
【観察・情報収集】した内容を地図に記入していく
交戦を避けられない場合は
『逆説推理』で敵の攻撃の弱点を【看破】し鳴き声を【衝撃波】で相殺
密集する敵を【ダメージアップ】の【斬撃】で【両断】する
極力短時間で倒し切り仲間は呼ばせないよ
●京の井戸底
追儺の鬼の儀式に先立ち、京の都に潜入したディボロス達は、秋の調査で横穴が判明している井戸へ急ぐ。
(「今度こそ、死者が出る前に食い止めるべく備えたいけど……」)
これから起こる非道な儀式を思えば、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)の胸中に、ジワリと焦燥が滲む。
(「……否、後の被害を防ぐ為の調査も大事だ。気を引き締めて行こう」)
京の井戸底の探索は、攻略旅団で提案された調査だ。必ずや、後々に繋がる筈。
「よし……」
さて、どの方面を調査しようか――人手はあるし、分担して広範囲を調査出来れば良いと思う。
「あの……私、御所の方へ向かう通路を探索したいのですが」
コンパスで方向を確認している金森・椿(薬売り・g02220)の黒い瞳は、好奇心で輝いている。
(「任務ですが、こういう場所を探検するのは楽しみですね」)
「俺も、大内裏と一条戻り橋の辺りが気になっていたんだ……同道するかい?」
井戸底はクロノヴェータの巣窟でもある。椿に否やは無く、早速、井戸底の水面スレスレに口を開ける横穴から潜入する2人。
「ひとまず、灯りを点けましょう」
椿の指が印を結ぶや、忽ち周囲が明るくなる。残留効果『照明』の賜物だ。
「やはり、パラドクスは便利だな」
雪人も陰陽師であれば、光を操る心得はある。だが、技能より残留効果の方が利便性があるのは確かで、ありがたく恩恵を享受する。
「クダ吉、頼む」
それでも、1寸ならぬ66尺先は闇だ。サーヴァントを先行させる雪人。プイッとつれなくそっぽ向いて駆け出したクダギツネだが、敵を察知すれば報せに戻って来るだろう。
雪人自身も『10秒先』を見据えて、警戒を怠らない。
「方向と距離はお任せ下さい」
井戸底の地図を描くべく白紙を広げ、椿が頼もしく請け合う。確かに、彼女の歩幅は常に一定だ。歩数で距離を測っているのだろう。
「見事なものだな」
「行商で鍛えましたからね。このくらいは意識せずともできます」
とは言え、井戸底は分岐が多く、目指す方向へ最短距離とはいかない模様。暫く、探索と地図起こしに専念する2人。
(「このまま、交戦せずに済めば」)
雪人は僅かに期待するも、流石にそうは問屋が卸さない。
「クダ吉、この先か?」
駆け足で戻ってきたクダギツネは、振り返って低く唸る。
――確かに、いる!
「さあ派手に行きますよ!」
轟く爆発音。今しも天井スレスレから急降下せんとした禍津烏の群れが、椿の火遁の術で吹き飛ばされる。
「……っ」
爆発を掻い潜った数羽の嘴が急所を狙ってくるのを、忍者刀で打ち払い致命傷は避けた。
ギャァギャァと耳障りな叫びが、通路に木霊する。
「仲間は呼ばせないよ」
雪人の思考が加速する。戦況を瞬時に読み取るや、敵の機先を制するべく、陰陽符を群れの中心へ叩き込む。
「……然もありなん」
今日も、逆説推理は冴え渡る。口元に笑み浮かべ、白銀の刀を構える雪人。
「さて、楽しくなってきましたよ」
「極力、短時間で押し切ろう……時は金なり、だ」
椿が好戦的に目を細めれば、雪人はあくまでも冷静に。剣戟の音も鋭く、群れ成す妖鳥に次々と引導を渡していった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【照明】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
磯富良・曹以
仕方ないってわかってはいるけど、敵が事件を起こすまで待たなきゃいけないのは歯痒いなぁ……。
とはいえ井戸の調査も大事な仕事だからね、蔑ろにするつもりはないよ。
時間は有効に使わなくちゃ。
【丸大豆自在陣】で作り出した式神を先行させて、進路の先の状況を確認するよ。
分岐路があってもそれに応じてチームを分けながら偵察させれば、効率的に調べられるんじゃないかな。
敵に遭遇したチームがいたら、撤退させて私たちの方に誘き寄せ、他の通路を偵察している残りの式神で背後をとって挟み撃ちにするよ。
私も「黒叢雨」「金叢草」の二刀で戦うけど、硬直攻撃に対抗する手段はないから、囮になるくらいの覚悟はしておいた方がよさそうだね。
玉梓・はこべ
ううん……これから起こることを思うと気は逸りますけれど……これも今後に関わりえる大切なお役目ですもの
確と励みませんとね
地下に降りたら偵察を兼ねて子機を展開、地形を読んで足跡を辿って……
気がかりとなるのは陰陽寮、藤原家本家邸宅、それに内裏への出入り、でしょうか
こういうとき、べとべとさんが現れてくれたら心強いのですけれど……
まずは人事を尽くしましょう
ともに行ってくれる方々と打ち合わせ、手分けできるところは手分けをして、都の北方、東寄りの方面をざっくりとした目的地に、先に挙げた三か所のいずれかに近づくようであればより念入りに
都度都度万年筆で歩いた距離など描き留めながら進みますね
「仕方ないってわかってはいるけど、敵が事件を起こすまで待たなきゃいけないのは歯痒いなぁ……」
「確かに、これから起こることを思うと気は逸ります」
磯富良・曹以(霖雨蒼生・g01054)のもどかしげな呟きは、玉梓・はこべ(いくさばのたより・g01107)も大いに同意する所。
「けれど……こちらも、今後に関わりえる大切なお役目ですもの。確と励みませんとね」
「あ、勿論。井戸の調査も、蔑ろにするつもりはないよ。時間は有効に使わなくちゃ」
少女の明朗な返答に笑顔で頷き返し、はこべは以前も潜った井戸底へ。
「気がかりとなるのは陰陽寮、藤原本家邸宅、それに内裏への出入り、でしょうか」
大内裏は、その呼称に違わず広い。陰陽寮は中務省の隣。更に藤原本家の邸宅も考慮するならば、先行者が大内裏から一条戻り橋の方向を目指すのに対して、調査範囲はもっと南側となる。
「こういうとき、べとべとさんが現れてくれたら心強いのですけれど……」
残留効果『過去視の道案内』を期待したいはこべだが、過去1日に通過したモノはいない模様。まずは人事を尽くす事にする。
はこべが蜜蜂型のドローンを放てば、曹以も術を編んで、式神を喚ばう。曹以の式神「サポ忍」の依り代は、呪符ではなく大豆。大豆ボディが耐え得る範囲で割と器用だ。
「まあ、可愛らしい」
「小さいからって甘く見ないでよね」
ドローンと式神を先行させ、探索を進める2人。尤も、パラドクスが実体を得て固定化されたサーヴァントをして、会話や自律的な判断、複雑な行動は出来ない。流石に、ドローンや式神単体にサーヴァントを上回るスペックは無く、諸々の判断を下すのはディアボロス本人という事になる。
はこべと曹以で手分けして地形を読み、恐らくクロノヴェーダの痕跡を辿る――井戸底の通路は曲がりくねり、分岐も多い。目指す3箇所へ直線距離で向かう訳ではなく、はこべは都度都度、歩いた距離等を書き留めながら進んでいく。
「……待って」
残留効果『照明』を頼りに、万年筆を走らせていたはこべの袖引き、制する曹以。
「いる」
「!?」
周囲に、他のディアボロスの気配はない。だが、昼の明るさのその先に――確かに禍つものが蠢いている。
「どうしますか?」
「うーんと……確か、ちょっと戻った分岐、ぐるっと回り込めたよね」
わざと物音を立てて撤退し、誘き寄せる。
――――!
果たして、物騒な羽ばたき音が幾重にも木霊して――一斉に突進してきた禍津烏の群れは、「黒叢雨」と「金叢草」の二刀流で身構える曹以を赤光放つ双眸で睨め付ける。
「く……」
次はテメエだと言わんばかりの凶悪な熱視線を浴びせられ、否応なく硬直する。実質囮を買って出た曹以自身に、硬直攻撃に対抗する手段はない。だが、戦う手段は他に有る!
――――!!
丸大豆自在陣――横穴から、大豆式神「サポ忍」が雪崩れ打って押し寄せる。際限ない飽和攻撃に次々と呑み込まれる禍津烏の群れ。
「またお会いできましたね。べとべとさん」
戦場を歩けば足音がする。背後に気配を感じる。振り向いてみても誰もいない――不可思議な怪異の正体は、経験と観察眼が導く行動経路が時間矛盾に補整され可視化された現象。はこべ自身は、足音の怪と信じて疑わないけれど。
「後、10数羽程。全て片付けてしまうが吉ですね」
「了解!」
パラドクスを重ね撃ち、曹以とはこべは、遭遇した怪異を残らず平らげていく。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
ノイン・クリーガー
地下のマッピングか。
おかしな鳥もいるようだ、注意して進もう。
味方とは違う方向へ進み、WTCを起動して効率よく探索を行う。
【完全視界】で視界を確保し、【忍び足】で気配を消して慎重に進む。
禍津烏の群れと遭遇したらMk45/Sを【連射】して【弾幕】を撃ち込む。
包囲や急降下攻撃を防ぎやすいように【地形の利用】によりできるだけ狭いところで戦い、群がってきたら火炎放射器で追い払う。
ガンを飛ばしてきたら飛ばし返す。
篝・子火
迅速な案内に感謝する。
時間の許す限り井中を探るとしよう。
足元で跋扈されては、おちおち寝付けん。
市街地や人々の多い方向へ向かう横穴から探る。
己は浅薄だ。知恵ある者がいれば有難く指示に従おう。
馬はお留守番。地上で待ってなさい。
今までの地図があるならば、スーパーGPSを使用。
井中を進む際は松明で風の方向を確認。
記憶術を頼りに歩数を覚え、おおよその距離を測り地図を書き足す。
出口が見つからぬ際は、早々に一度引き返す。仲間と少しずつ地図や方向を確認しよう。
敵に遭遇したら不運だな。
鳴き声を聞かぬよう両耳を叩き鼓膜を潰す。
攻撃は多節棍で強打、もしくはグラップルで掴み取りしていく。
※アドリブ連携おまかせ
「地下のマッピングか……おかしな鳥もいるようだが」
井戸端に立ち、中を覗き込むノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)。
代々軍人の家系に生まれたノインは、自身もまた兵士だった。今回のような探索調査も、経験がある様子。
「まあ、足元で跋扈されては、おちおち寝付けん。時間の許す限り、井の中を探るとしようか」
同様に、井戸を見下ろす篝・子火(天高し・g02594)は、ノインと比べて歳若い。
「……で、お前はどの方面を探る心算だ?」
気安く声を掛けて、首を傾げる子火。浅薄と自認しているので、知恵ある者の意見は有難い。
「他は、大内裏の方面と聞いている。なら、俺は違う方向だな」
ノインの返答は淡々として。だが、子火はいっそ天真爛漫に笑み零れる。
「大内裏と反対なら、市がある方だな。丁度いい。おれも、人が多い所に向かう横穴を探りたかったんだ」
決断すれば、即動く。傍らに佇む無双馬、疾倶利号の首筋を撫でる子火。
「お前は地上で待ってなさい」
サーヴァントは、主の意志で瞬時に召喚解除出来る。首肯した疾倶利号はすぐさま掻き消え、子火は早速、井戸底へ降りる。
京の井戸底の調査は、今回が初めてだ。故に、地図はまだ無い。
(「スーパーGPSは……不発だな」)
都の地上の地図は、これまでディアボロスが普通に出入り出来た場所については、既に作成されている。だが、残留効果『スーパーGPS』の反応はない。喩えるならば、複数の階層があるダンジョンを探索する時、自分がいる階層の地図に位置が表示される仕様のようだ。
「まあ、仕方ない」
灯りに関しては残留効果で不自由は無いが、子火は改めて松明を点ける。物問いたげな視線に、屈託なく応えた。
「ほら、風の流れが判るからな」
「……そうか」
ノイン自身、異議はなく、粛々とWTCを起動させる。腕に装着した戦術CPUは周辺地形を読み取り、デジタルオートマッピングが可能という。
「へぇ、便利だな」
感心しきりながら、ノインに任せっぱなしにせず、子火は子火で自らの歩数を数え始める。大凡の距離を測り、順々に地図を認める算段だ。
「……」
「……」
暫く、無言の探索が続いた。少しばかり先行するノインは、照明の残留効果ではなく『完全視界』を以て暗闇の中を往く。熟練の忍び足で気配さえも断ち、慎重に進む。
(「このまま、調査を完了出来れば良いが……」)
随分と長く、歩き続けた。そろそろ、探索を切り上げようかという頃合い――音もなく足を止めたノインは、内心で嘆息する。
「……ああ、不運だな」
松明の揺らぎで察した子火は、思わずぼやく。
(「確か、鳴き声が面倒だったな」)
速やかに自らの鼓膜を潰そうとして……寸での所で思い留まった。
敵はトループス級と言えど、クロノヴェーダ。その攻撃はパラドクスで、常識の内に在る物理的な対抗策では防ぎきれない。
ア゛ーーーーー!!!!!
闇の向こうに轟く鳴き声。敵も、ディアボロスに気付いた模様。
――――!!
流れるようにサブマシンガンを構えるや、弾幕を張るノイン。すぐさま身を翻して最後の分岐まで戻り、細路に飛び込む。
「……」
粛々と火炎放射器に持ち替え、押し寄せてきた禍津烏の群れに業火を浴びせた――此処までが一連のパラドクス、サプライズアタックだ。
「これは、おれも負けてられんな」
多節棍を構え、子火もグッと気合を入れる。パラドクスに対抗出来るのは、パラドクスのみ。ならば。
「来い! 疾倶利!」
忽ち姿を顕した無双馬に飛び乗り、禍津烏の群れへ突撃!
ア゛ーーーーー!!!!!
「遅い、遅い!」
禍津烏の球の陣形が閉じる前に多節棍で群れごと強打、或いは、個々を掴んでは叩き付ける。正に戦騎で以て、子火は井戸底を疾く駆ける。
「……」
その苛烈な勢いに小さく肩を竦め、ノインは騎馬の後を追う。全き視界はその行く手に、外界からの光を捉えていた。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【完全視界】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
藤原・乙姫
さてもさても、ひどい有様よ。
かような馬鹿騒ぎが都に安寧を齎すなど本気で…
いや、わしとて曲がりなりにも藤原に連なる者であった。
なればこそ、この惨状は何としても収めねばなるまい
まずは逃げ惑う貧民達を助けてやらねばの
[結界術]による防壁を展開し、石礫より彼らを守ろう。
結界より外に出た者を狙う石は【隔離眼】によって異空間に送り、
ひとりでも多く京より脱出できるように時間を稼ぐ。
「ぬしらの憤りはもっともだが、
怒りに任せ仕返せば更なる狂気となってぬしらに返ってこよう。」
「ここはぐっと堪らえ、逃げておくれ。」
それと鬼の面をしたままでは標的となってしまうから捨てるようにとも付け加えておく。
磯富良・曹以
丁度いいタイミング、なんて言いたくないけど間に合ったみたいだね。
さて、まずは石を投げられている人たちの避難だ。
投石は叩き落してもいいけど、わざわざ構ってあげる義理もないかな。
避難が終わるまで、都の人たちには雨宿りでもしててもらおうか。
【水盡天降】で被害が出ない程度に局所的な豪雨を降らせ、投石を止めさせるよ。
ずぶ濡れになってまで続けたいほど、儀式に必死な人がどれだけいるかな?
それでも飛んでくる石があれば、翼を広げて庇うよ。
無理に連れて来られたなら、外への道順は大まかでも伝えた方がよさそう。
わからないことだらけだと思うけど、今ここにいても良いことはないよ。
考えるのは後にして、早く都の外に逃げて。
●追儺の鬼の偽式
――斯くて、都の一角は、異様な熱気に包まれる。
ああ、ああぁぁぁぁ――!
悲鳴を上げて逃げ惑うのは、襤褸を纏い鬼の面を着けた貧民達。
――おにはそと! おにはそと!
声高に叫ぶ都人らが、石もて力一杯に投げ付ける。
「さてもさても、ひどい有様よ。かような馬鹿騒ぎが都に安寧を齎すなど本気で……」
顔を顰めるのも束の間、藤原・乙姫(鬼灯の君・g06248)は重い溜息を吐いて頭を振る。
「……いや、わしとて曲がりなりにも藤原に連なる者であったな」
なればこそ、この惨状は何としても収めねばなるまい。
「正直、丁度いいタイミング、なんて言いたくないけど。間に合ったみたいだね」
苦虫を噛み潰したような表情は、磯富良・曹以(霖雨蒼生・g01054)も同じく。それでも、犠牲はまだ出ていない。貧民らの避難が最優先だ。
「神様、力を貸して!」
投石を叩き落しても良かろうが、わざわざ構ってやる義理もない。地面目掛けてパラドクスを放つ曹以。
――――!!
龍の権能を以て、平民らのすぐ傍に滝のような水が落ちるや、雷鳴が轟いた。
「ずぶ濡れになってまで続けたい程、儀式に必死な人がどれだけいるかな?」
案の定、酷く驚いた人々の足が止まり、石投げる手が竦む。その間に、貧民の方へ駆け寄った乙姫が、庇うように結界を展開する。
「わからないことだらけだと思うけど、今ここにいても良いことはないよ」
やはり、貧民達を庇うように竜翼を広げ、曹以は肩越しに逃げるよう促す。
「考えるのは後にして、早く都の外に逃げて。外への道順は、教えてあげるから」
「あ、あいつら、俺達を鬼だ何だって……!」
「ぬしらの憤りは尤もだが、怒りに任せて仕返せば、更なる狂気となってぬしらに返ってこよう」
乙姫の目の前で、礫が幾つも忽然と消えた。残留効果『隔離眼』の賜物だが、乙姫自身がその場を去れば、その効果も切れる。
「ここはぐっと堪らえ、逃げておくれ……その鬼の面は格好の的となる。捨ててしまうが良かろう」
1人でも多く都より脱出出来るよう、時間を稼ぐ――再度、曹以の水盡天降が局地的豪雨を降らせ、乙姫は声を張る。
「そら、急ぐのじゃ!」
「今の内だよ!」
盾となる少女2人の勢いに気圧されて、貧民達は背を向けて駆け出す。投げ捨てられた鬼の面が、泥濘にビシャリと跳ねた。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【隔離眼】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!
金森・椿
アドリブ歓迎
この状況にしなければならないのが歯がゆいですが……始まりましたね。
ひとまず被害者(貧民)のみなさんをこの場から逃がすのが先決です。
被害者の負傷については【活性治癒】に託すといたしまして。
私は【未来予測】で飛来する石つぶてに合わせて手裏剣や投げ苦無を放ちそのことごとくを叩き落とします。
対象が近ければそのまま身体を入れて自分への攻撃扱いにしてしまい『一般法則破壊』で阻止しますよ。手に持った苦無ではたき落とすのが自然でしょうか。
笑い事ではないのですが、ふと修行の時のことを思い出してしまいます。
我ながらあの頃よりかなり上達しましたね。(しみじみ)
……必ず(歴史を)取り戻します。
貧民達を煽動する鬼は、儀式が進まなければ現れない。
(「この状況にしなければならないのが歯がゆかったですが……始まりましたね」)
界隈を逃げ惑う悲鳴に、金森・椿(薬売り・g02220)は、最初に残留効果を展開する。
『活性治癒』によって、界隈は生命力溢れる世界に変じる。一般の人々の負傷の回復が早くなるのだ。
「ひとまず……被害者のみなさんを、この場から逃がすのが先決です」
石持つ人々を見据える椿。通常の視界に、1秒先の未来が重なる。
――――!
石が宙で弾かれた。椿の手裏剣が命中したのだ。
「何だ!?」
都人が虚を突かれた隙を逃さず、貧民達を庇うように割り込む。
「あ、新手の鬼だ!? やっちまえ!」
「まあ、鬼の面も被っていませんのに……それは偏見というものですよ」
いっそ不敵な笑みを浮かべ、椿は苦無で投石を打ち払う。喩え、空中で撃ち落とせなかったとして、所詮は只の石。一般法則の内に在る物で、ディアボロスは傷付けられやしない。
「……ふふ」
図らず、笑い声が零れた。
「まあ、笑い事ではないのですが……修行の時のことを、思い出してしまいますね」
しみじみと、独りごちる。ディアボロスとなって、クロノヴェータとの戦闘を重ねて、彼女の腕前は、確実に上達している。
(「……必ず、取り戻します」)
正しき歴史を――総ては、歴史と共に消滅したお家再興の為に。
成功🔵🔵🔴
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
大和・恭弥
妖刀の儀式について行方を気にしていたけど、
統一性が薄いと感じた事件達はやはり繋がっていたか…
これ以上、恨みの連鎖を起こして、敵の力になることは阻止したいな。
馴染みやすく、かつ敵視されない衣装に着替えて、紛れ込む
鬼や妖怪の格好をした貧民を見つけたら速やかに避難誘導を。
晴彦にも避難を手伝ってもらおう。
投げられる石からは結界術を使って庇いつつ、
【傀儡】を使って相手の動きを阻害してみる。
場合によっては、避難誘導にも糸を使用
仲間の説得を頼りにしながら、俺も出来る限り多くの貧民に声掛けをして
都外へ逃がすことに徹するよ
「なるほど……全ては、繋がっていたか」
ディヴィジョンに起こる事件は、一見統一性が薄く感じようとも、連鎖している――大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)としては、妖刀の儀式について気にしていたものの。
(「これ以上、恨みの連鎖を起こして、敵の力になることは阻止したいな」)
服装も平安のそれに着替えて、都の雑踏に紛れ込んだ。界隈を探れば、果たして、鬼の面を被った貧民の一団を発見する。
「あ、新手の鬼だ!? やっちまえ!」
1人のディアボロスが庇い立てたのに乗じて、後方から駆け寄った。急ぎ結界を張って、流れ弾を避ける。
「皆、こっちだ!」
声を張り上げ手招きするも、貧民達は怯えた風で右往左往。
「晴彦も手伝って」
恭弥の呼び声に竹管から飛び出したクダギツネは、都の外へ一目散――ではなく、時に止まっては、尻尾を振って振り返る。
「あのキツネに、ついて行くと良い」
「え、え……?」
戸惑う1人を、残留効果『傀儡』の糸で強引に後を追わせた。
「逃げろ!」
1人が駆け出し、恭弥が叫んで漸く、貧民達も釣られるように晴彦を追って逃げ始める。
傀儡の糸は、恭弥が同行せねば切れてしまう。ちらと肩越しに窺えば、『壁』は単身ながらまだ暫く持ち堪えられそうだ。
(「後は、仲間の説得が頼りだな……」)
成功🔵🔵🔴
効果1【傀儡】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
ノイン・クリーガー
これはクロノヴェーダがいなくても起こり得ることだ。
他人事ではない。
【プラチナチケット】を使用して群衆に呼び掛ける。
『なぜ彼らに石を投げている?
彼らが鬼だという確証はあるのか?
誰かがそう言ったのか?
実際に何か被害を受けたのか?
根拠なく他人を鬼と呼び、石で打てば鬼と化すのは当たり前だ。
それでいていざ報いを受ければ途端に被害者ヅラをする。
貴様らが守ろうとしている社会とはそんなものだ。
彼らを見ろ。もし少し運命が違えば貴様らがああなっていたかもしれない。
あれは自分の姿だ。鬼は人が作る。
つまらん因習より自分の良識に従え』
だが俺も絶対にこいつらのようにならんとは言い切れん。
これは半ば己に向けた言葉だ。
文月・雪人
【プラチナチケット】使用
陰陽師らしい狩衣姿で介入する
【未来予測】で投石や鬼化を察知
【結界術】で防御し被害を最小限に
【活性治癒】が使用可能なら怪我人を癒しながら
石投げる人々を説得する
この追儺の儀式は妖達の策略によるものです
逃げる彼らは鬼ではなく貴方と同じ人間だ
逆らう術など何もなく、何も知らず逃げ惑うのみ
貴方はその背に石を投げ、命すら奪おうとしているのです
己の行いの意味を今一度、己の心に問うて欲しい
追い詰められた人間は、時にその身を鬼へと変える
その復讐の刃が追い詰めた者へと向かうは道理
因果応報を変えたいのなら
今すぐ非を認め謝罪して彼等の怒りを鎮めるのです
彼等を鬼へと変えない為に
彼等を人へと戻す為に
篝・子火
厄祓いに熱中している彼らに話が通じるといいが。
矛先が貧民に向かぬよう、大声で注目を集めたいな。
災祓いのために追儺を行うことはわかる。
だが彼らは人。お前たちと変わらない人間だ。
お前たちが虐げているのは、貧しくも日々を懸命に生きている人間だ!
厄祓いどころか、その種をまいてどうとする。虐げられた人間の、その怒りは誰に向かう。
返ってくるのは復讐の鬼からの報復。
その行為は鬼を生むものだ。
暮らしは異なれど、彼らは同じ人間。
復讐の災いを祓うためにも、どうか自らが犯した過ちを謝り、悔い改めてほしい。
玉梓・はこべ
自らを正義と思うのならば、自らの行為こそが理にかなうと信じるならば、その“理”に沿って話をしなければ伝わりにくいもの、なのかもしれませんね
石を投げる皆さんのひとりへ声高に問いかけます
この儀式は一体誰が始めたものでしょう?
――まぁ藤原さまの!
それは……けれど陰陽師や祭司さまではなく?
人の世の高官であることを疑いませんけれど、祭事の発起人として正しい知識をお持ちなのでしょうか?
年末や年始は神さまに対し厳かに向かい合うもの、斯様な大騒ぎをしては失礼に当たります
まして人の住まう地に血を流すような儀式なんて!
血の穢れは不幸の呼び水、このまま儀式を続けたらどうなるか
悲劇感知の歌を歌い聞かせて差し上げますね
(「さて、厄祓いに熱中している彼らに、話が通じるといいが」)
大声で都人の注目を集めようかと、篝・子火(天高し・g02594)が思案していたその時。
滝のような水と、轟く雷鳴――貧民を庇ってディアボロスが放ったパラドクスに、酷く驚いた人々の足が止まり、石投げる手が竦む。
その隙を逃さず、ディアボロス達は人々に駆け寄る。
「あれ? ……ああ、あんたか」
プラチナチケットを持つノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)を、都人の男は『知人の誰か』と認識したようだ。
「何だ、石なんかその辺に幾らでもあるだろ。早く――」
「何故、彼らに石を投げている?」
淡々と問うノインを見返し、男は怪訝そうに眉根を寄せた。
「何故って……追儺の鬼を都から追い出せば、災いも追い払えるんだぞ」
「彼らが鬼だという確証はあるのか?」
誰かがそう言ったのか、実際に何か被害を受けたのか――ノインの矢継ぎ早の問い掛けに、都人達は戸惑ったように顔を見合わせる。
「災祓いのために追儺を行うことはわかる。だが、彼らは人。お前たちと変わらない人間だ。お前たちが虐げているのは、貧しくも日々を懸命に生きている人間だ!」
子火は、都人が石を投げている相手が『人間』であると、何度も強調する。
「根拠なく他人を鬼と呼び、石で打てば鬼と化すのは当たり前だろう」
「厄祓いどころか、その種をまいてどうとする。虐げられた人間の、その怒りは誰に向かう? 石で打つ行為こそが鬼を生む。返ってくるのは、復讐の鬼からの報復だろう」
「その癖、いざ報いを受ければ途端に被害者ヅラをする……貴様らが守ろうとしている社会とは、そんなものだ」
子火と代わる代わるに話すノインの表情は、険しい。
(「これは、クロノヴェーダがいなくても起こり得ることだ。他人事ではない」)
「復讐の災いを祓うためにも、どうか自らが犯した過ちを謝り、悔い改めて――」
「お前達、何言ってんだ!」
だが、子火の言葉を遮った都人達は、憤然と言い募る。
「あいつらは、儀式で正体を現した鬼共なんだ!」
「今、追儺の儀式をやらないと、どんな災いが起きるか……悪い事が起こってからじゃ、遅いんだ!」
「おにはそと! おにはそとー!!」
時先案内人の言う通り、彼らは『追儺の儀式は災厄を払う』と信じ込んでおり、『貧民は追儺の儀式で正体を現した鬼や妖怪』と思い込んでいる。喩えディアボロス達の言葉が正論だとして、排斥力に強いられた思い込みを覆すには、それだけでは足りない。目に見えて、認識を覆せる証左が無ければ。
(「自らを正義と思うのならば、自らの行為こそが理にかなうと信じるならば。その『理』に沿って話をしなければ、伝わりにくいもの、なのかもしれませんね」)
小さく溜息を吐いた玉梓・はこべ(いくさばのたより・g01107)は、仕切り直すように声高に。
「そう言えば、この儀式は一体誰が始めたものでしょう?」
「そりゃぁ、ふじわらのこれたださまで……」
「まぁ、藤原さまの!」
いっそ大仰に驚いて見せたはこべは、心底不思議そうに首を傾げる。
「けれど……陰陽師や祭司さまではなく?」
藤原伊尹が高い地位にあるのは疑いない。だが、言ってしまえば、政を執る公卿でしかないのだ。
「祭事の発起人として、正しい知識をお持ちなのでしょうか?」
「そんな事、俺たちに言われたって」
「いいえ、皆さんだって、血の穢れは不幸の呼び水、くらいはご存知でしょう?」
正史に於いて、平安の時代、疫病や災害の原因は『穢れ』と考えられていた。物忌みは、穢れを避ける風習の1つだ。
「年末や年始は、神さまに対し厳かに向かい合うもの。斯様な大騒ぎをしては、失礼に当たります。まして、人の住まう地に血を流すような儀式なんて!」
「……」
実際、血を流して倒れている貧民が、向こうにいるのだ。はこべの言葉に、あっと怯えた表情を浮かべた何人かが後ずさる。
「け、けど、陰陽師なら、そこに……」
「私も、この追儺の儀式を止めに来たのです」
都人の視線が集まった先――狩衣姿の文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は、静かに頭を振る。
「逃げる彼らは鬼ではなく、貴方達と同じ人間です。逆らう術など何もなく、何も知らず逃げ惑うのみ……貴方達はその背に石を投げ、命すら奪おうとしているのです」
己の行いの意味を今1度、己の心に問うて欲しい、と――『陰陽師』の言葉に、都人達は石握る己が手を見詰め、更に何人かがその石を捨てる。
「なあ、本当の『鬼』が、こんな物を着けるか?」
そして、子火が都人達に突き付けたのは、泥だらけの鬼の面。今しがた、貧民達が泥濘に投げ捨てたそれこそが、『鬼の正体』を如実に告げる。
「暮らしは異なれど、彼らは同じ人間なんだ」
「もし、少し運命が違えば、貴様らがああなっていたかもしれない」
ここぞとばかりに、子火とノインも畳み掛ける。
「鬼は、人が作る。つまらん因習より自分の良識に従え」
(「俺も、絶対にこいつらのようにならんとは言い切れん。これは、半ば己に向けた言葉だな……」)
とうとう、黙りこくってしまった都人達を見詰めるノイン。後は、心底からでなくとも謝罪の言葉が彼らから出れば。
「追い詰められた人間は、時にその身を鬼へと変える。その復讐の刃が、追い詰めた者へと向かうは道理でしょう」
因果応報は、平安の頃に民衆にも浸透した概念と言えよう。
「今すぐ非を認め、謝罪して彼等の怒りを鎮めるのです」
彼等を鬼へと変えない為に、彼等を人へと戻す為に――そこまで説き伏せて、漸く頭を下げる者がまばらに出始めて。
「……っ!」
安堵する暇こそあれ、雪人はハッと通りの向こうを見る。
(「あれは、クロノヴェーダ!」)
――どういう塩梅か、石で打たれた全身の痛みが、随分と和らいでいた。
暫く、気を失っていたようだが、今なら動けそうだ……。
「い、今の、内に……」
「ああ、あんた、まだ生きてたっすねぇ」
襤褸を土まみれにして這いずる貧民の男を、鬼の娘が腕組みして見下ろしている。
「そうっすね、今なら、逃げられるかもっす。連中も飽きたみたいだし」
……飽きた?
「金持ちはいいっすよねぇ、金に飽かして都で贅沢三昧。えーっと……『ついなのおにのぎしき』とかって道楽も、やりたい放題っす」
「ど、道楽……」
「けど、あんたも悪いんすよ? 弱い奴は、強い奴に好き勝手に踏みにじられて、当たり前っす」
泥水啜って必死に生きてきた俺達を、あいつらは、都の奴らは、好き勝手に、遊び道具に……。
「だ・か・ら! あんたも 強くなって、やりたい放題で、仕返しすればいいっすよ!」
ああ、あぁぁ……ガアァァァッ!
『血塗れの怪爪・八瀬童子』に煽られ、貧民の男は、黄金餓鬼と化す。
「なーんか、あいつら随分逃げちまったし、都の連中も儀式を止めちまうし。流石に1匹くらいは仕立てないと、後でどやされるっすよ」
喩えトループス級であろうと、『鬼』が1匹でも放たれれば、惨劇は必至。気安い口調で呟きながら、八瀬童子の金色の双眸は獰猛に輝いていた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【プラチナチケット】LV2が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【悲劇感知】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
磯富良・曹以
誰も鬼にならずにっていうのは、やっぱり無理なのか……。
それでも、一人でも元に戻せる可能性があるのなら、私は諦めない!
想いが届けば一番いいけど、真っ直ぐ伝えるだけがやり方じゃない。
先程降らせた雨の跡に誘導し、水鏡で自身の姿を確認させて自分のことに気持ちを向けてもらう。
今やろうとしてることは、都の人たちよりも醜い……それはその心を映した姿。
だから今度は、本当に退治しなくちゃいけなくなるよ。
でも、怒りを抑えればまだ戻れる。
やり返すだけが復讐じゃないんだ。
都の人たちがちゃんと償いをするか、見届けるのは一番辛い思いをしたあなた(たち)の役目じゃないの?
もし果たされなかったら、その時は好きにするといいよ。
藤原・乙姫
ぬしらには見えぬか?
己の愚行を悔い、許しを乞う者どもの姿が
富める者も貧しき者も、都の内も外も、鬼妖が蔓延り誰もが明日をも知れぬ身。
あ奴らの行いは到底許されるものではないが、それも必死に生きようと足掻くが故…ぬしらと同じよ
じゃが、過ったやり方に縋ったが故に報いを受けた
ぬしらも怒りの侭に仕返せば、その先に待つは更なる地獄ぞ
今ならまだ間に合う
人として踏み留まるのじゃ
…既に身も心も鬼と成り果て、もはや聞く耳も持たぬと見えたら仕方なし
せめて人に仇成す前に終わらせねばの
[オーラ操作]にてわしの金気を移した陰陽符を放り、攻撃の矛先をそちらへ逸らす
符に群がった所へ攻性式神結界を展開し、纏めて祓ってくれようぞ
文月・雪人
誰も犠牲になんてしたくない
鬼が人へと戻れるよう諦めずに説得を
これが道楽というなら彼らのではない
貴方を騙した鬼の道楽だ
貴方達を騙し都に集めたのも
厄払いの儀式と偽り都の人に石を投げさせたのも
全て裏で糸引く鬼の仕業
この地に地獄を生む為に
でも貴方は鬼となる為にこの地へ来たのではない筈だ
ただ穏やかに安心して暮らしたいと
鬼の手を振るい壊すのは
都の人だけじゃない
家族を仲間を大切な誰かを
あなた自身の心もその手で
でも今ならまだ間に合う、人に戻れる
どうか鬼でなく人として生きる道を選んで
放つのは『破邪治癒符』
なるべく痛みのないように
【ドレイン】【浄化】で妖力と体力を吸収して人へと戻し
得られた力で怪我人を【治癒】する
(「誰も鬼にならずにっていうのは、やっぱり無理なのか……」)
ゆうらりと立ち上がったその姿は、大の男にしては随分と貧弱で、肋骨浮いた胸の下で、腹だけがポッコリと膨れている。手足は枯れ木のようにしなび、しゃれこうべに皮を貼り付けだけのような頭部は、赤い眼ばかりが炯々と周囲を見回していた。
黄金餓鬼――金に執心しながらその手に出来ず、只管に餓えては黄金を求めて人々を襲うという。
金に飽かせて非道を強いた都人への怨みを晴らさんと、貧民の男――黄金餓鬼は、ゆっくりと動き出す。
(「それでも、元に戻せる可能性があるのなら、私は諦めない!」)
黄金餓鬼の方へ駆け寄った磯富良・曹以(霖雨蒼生・g01054)は、大きく息を吸って声を張る。
「鬼さんこちら!」
「!?」
ぎょろりと曹以の方を向いた、黄金餓鬼は数歩踏み出し――泥に塗れた裸足が、びちゃりと飛沫を上げる。
「その水鏡を覗いてみるといい。それが、今のあなたの姿だよ」
想いが届けば1番良いが、真っ直ぐ伝えるだけがやり方ではない。そう思った曹以は、先だってパラドクスで降らせた水溜りに、黄金餓鬼を誘導した。
「……」
じぃっと、水溜りに映る餓鬼の姿を、男は食い入るように見詰めている。
「今やろうとしてることは、都の人たちよりも醜い……それは、その心を映した姿」
このままでは、黄金餓鬼と化した男の方こそ退治しなければならなくなると、曹以は訴える。
「……あぁ、そうか。俺は、醜いのか」
「やり返すだけが復讐じゃ――」
「都の連中は、綺麗なべべ着て、あぁ、立派ななりだ……だったら。あいつらの心は、さぞかし、御立派なんだろうなぁ」
「……っ」
曹以は心の顕れを問おうとした。だが、心身の醜さを断じられた男は、翻って都人の姿を見て、彼らの方が正しいと言われたと思ってしまったのだ。
「ち、ちが……」
「違わねぇ。あんたは、石で俺達をぶち殺そうとしたあいつらの心が綺麗だって、言ったんだよ。醜い『俺達』は『道楽』で殺されて、当然だってな」
捻じ曲げられた理屈が、更なる憎悪を生む。或いは、此処でディアボロスの言葉が終となっていれば、黄金餓鬼は復讐にひた走っただろう。
「それこそ間違いだ。これは、彼ら都人ではなく、貴方を騙した鬼の道楽なんだ」
文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)とて、誰も犠牲になんてしたくない。怨みを募らせる黄金餓鬼を目の前にしても、諦めず説得しようと口を開く。
「貴方達を騙し都に集めたのも、厄払いの儀式と偽り都の人に石を投げさせたのも……全て、裏で糸引く鬼の仕業だ」
この地に、地獄を生む為に。
「でも、貴方は鬼となる為にこの地へ来たのではない筈だ。ただ穏やかに安心して暮らしたいと……そう願ったんじゃないのか?」
「……」
「ぬしには見えぬか? 己の愚行を悔い、許しを乞う者どもの姿が」
藤原・乙姫(鬼灯の君・g06248)が指差す先――都人達は、確かにその身なりも悪くない。いっそ傲慢にも映るその様相の中で、ぽつぽつと、項垂れている者が複数見える。
「富める者も貧しき者も、都の内も外も、鬼妖が蔓延り誰もが明日をも知れぬ身じゃ。追儺の儀式とは名ばかりのあやつらの行いは、到底許されるものではない。しかし、それも必死に生きようと足掻くが故……ぬしと同じよ」
「貴方の鬼の手が壊すのは、都の人だけじゃない。家族を、仲間を、大切な誰かを……あなた自身の心も、その手で壊してしまう事になる」
「ぬしも怒りの侭に仕返せば、その先に待つは更なる地獄ぞ」
今ならまだ間に合うと、雪人も乙姫も口々に繰り返せば、曹以も神妙な面持ちで大きく肯く。
「どうか鬼でなく、人として生きる道を選んで」
「『人』として踏み留まるのじゃ」
「その怒りを抑えれば、まだ戻れるんだから!」
「……」
幾許かの迷いを見せながら、黄金餓鬼の視線は落ち着きなくディアボロスと都人の間を彷徨う。
「過ったやり方に縋ったが故に、あやつらとて報いを受けよう。人の姿のまま、鬼の所業に加担したのじゃからな」
「都の人たちがちゃんと償いをするか、見届けるのは一番辛い思いをしたあなたの役目じゃないの? もし果たされなかったら、その時は好きにするといいよ」
「……もういい」
とうとう力無く座り込み、黄金餓鬼は嗚咽を漏らす。
「あんな奴らの償いなんか、どうだっていい……都の中も外も地獄なら、俺を帰してくれ。村には、病で動けず捨て置かれたおっかぁが、残っているんだ……」
鬼の心に蘇ったのが肉親への憐憫だとして、怨みを抑えられた事こそが重畳であれば。
雪人は、黄金餓鬼の背後から破邪治癒符を放つ。
祓へ給ひ、清め給へ――。
果たして、倒れた黄金餓鬼の像がぶれ、みすぼらしい襤褸を纏った人間の男の姿へと、戻っていった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
【ハウスキーパー】がLV2になった!
【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
【ドレイン】がLV2になった!
金森・椿
アドリブ歓迎
おや、とうとう本物の鬼が現れましたか。
この事態を引き起こした輩まではたどり着けそうもないのが残念ですが……流石にクロノヴェーダ1匹くらいは仕留めないと、この後の幕が引けません。
【平穏結界】を展開して秘密裏にそして速やかに鬼を仕留めてしまいましょう。
この騒ぎの場には鬼などいなかったのですから。
舞い上がる風は【完全視界】で見通して、風の刃は【未来予測】で両断されぬよう立ち回り、ガードアップの助力も受けて、多少の裂傷は甘受しつつも果敢に切り込んで忍者刀による一閃を。
役どころのない鬼は人知れずご退場いただきます。
高遠・葉月
(サポート)
アレンジ歓迎。
基本的には全体や共闘者の指針に沿う感じ。
基本的に前衛で戦闘員。
あたし自身は出来る事はシンプル。素手で殴る、踏みつける。武器で殴る、投げつける。それだけ。
パラドクスもそれだけだしね。
共闘者が戦いやすい様立ち回り必要なら護衛に努めるわ。
使用する武器は状況と気分。鉄パイプ、バール、デーモンの魔力で作った武器(大斧、大剣、ハンマー)あたりかしら。あとはチープウェポンとしてそこらの道路標識やバス停、岩や柱、木なども振り回すわよ。
単純労働や力仕事があるのなら【怪力無双】で手伝うわ。。
場の進行のサポートもする。ツッコミ不在の場合とか嫌々ツッコミいれる。
あとは適当に。
●寒風に哭く鬼の名は
「あー! もう! 後でどやされるどころか、ぼこられるっす! どーしてくれるんすか!」
なけなしの謀すら破られ、血塗れの怪爪・八瀬童子は地団太を踏む。
(「とうとう本物の鬼が現れましたか」)
腹に据えかねた面持ちで、金森・椿(薬売り・g02220)は駄々っ子のような鬼を睨む。
(「この事態を引き起こした輩まではたどり着けそうもないのが残念ですが……流石にクロノヴェーダ1匹くらいは仕留めないと、この後の幕が引けません」)
鬼が他に八つ当たりを仕出かす前に――平穏結界を展開する椿。
「この騒ぎの場に、鬼などいなかったのです」
外からでは窺い知れぬ結界の中で、秘密裏に、そして速やかに仕留めてしまうべく。
「さて、どう仕掛けましょうか……」
椿自身、秘かに事を済ませるのが得手であるが、見晴らし良い往来のど真ん中では、喧騒に紛れようもない。
「じゃあ、あたしからやるね」
或いは、静寂の中とて凶刃は振えようが、高遠・葉月(猫・g04390)の言葉に素直に首肯する椿。
「宜しくお願い致します」
「了解」
いっそ素っ気なく頷いて、葉月は気負う風もなく前に出る。
(「まあ、あたしが出来る事はシンプルだけど」)
素手で殴る、踏みつける、或いは、武器で殴る、投げつける……それだけ。
だが、破壊する事は、誰にも負けない。
「……あ? あんたは――」
「このっ!」
一気に間合いを詰める。振り上げるのは、巨大なハンマー。魔力で構築した得物を、自身に宿った騎士型デーモンの膂力を以て力一杯に殴りつける!
ドコォッ!
手応えは確かに。硬化ゴムをぶっ叩いたような感触と同時、葉月の鳩尾を突いたのは握り込んだ鬼の拳。
「ぐ……」
無意識に発動している魔力障壁で衝撃を殺して尚、葉月はくの字に身体を折る。
――――!!
だが、追撃せんと間合いを詰めた八瀬童子に閃いたのは、忍者刀の斬撃。
「一人歩きは危ないですよ」
日常の中にこそ、脅威は潜んでいるのだから――嘯く椿を間近から睨め付け、鬼は振り払うように両腕を振り回す。
「……っ」
風の刃が椿の袖を切り裂く。多少の裂傷は致し方あるまい。僅か1秒とて刹那より長い未来を見据え、致命的な一撃だけは被らぬよう身を翻す。
「役どころのない鬼は、人知れずご退場いただきます」
紙一重で急所への一撃を避けながら、椿は果敢に斬り込んだ。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
藤原・乙姫
おやおや、まことの鬼が紛れ込んでおったのかえ?
あまりにも弱そうだった故、気が付かぬ所じゃったぞ
…ふん、嫌味に決まっておろう
このわしが憎き鬼を見逃しなどするものか
まず妖気を高める為の舞いを行いつつ、陰陽符を用いた[結界術]により敵の動きを阻害
残留効果【未来予測】の助けを借りて風刃の直撃を避けながら味方の動きに乗じる形で接近
隙を見せた所に、具現化せし妖気の尾による奪魂尾獣穿を放ち刺し貫いてくれようぞ
どうじゃ、石で打たれる者の気持ちが少しは分かったかの?
いずれにせよぬしは此処で終わりじゃ
ぬしらの仕掛けた蛮行にて死した者達には何の慰めにもならぬが…せめてその命を以って償うがよい
空・心菜
(サポート)
『私も皆と抗うわ』
妖狐の神算軍師×クダギツネ、16歳の女です。
普段の口調は「1(私、~様、ね、わ、~よ、~の?)」、時々「2(うち、~殿、や、やろ、やろか?)」です。
パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「おやおや、まことの鬼が紛れ込んでおったのかえ?」
ゆうらりと手足を動かし、否、妖気を高める舞を舞い、ふうわりと狐を羽衣を翻した藤原・乙姫(鬼灯の君・g06248)は、振り返り様に緑の眼を瞬く。
「あまりにも弱そうだった故、気が付かぬ所じゃったぞ」
八瀬童子の剣呑な視線にも、冷ややかに嘲笑うのみ。
(「……ふん、嫌味に決まっておろう。このわしが憎き鬼を見逃しなどするものか」)
「ちびっこの癖に生意気っす! よし、殺すっす」
判り易く逆上した鬼が両腕を振り回せば、風の刃が唸りを上げる。
「……っ」
乙姫が陰陽符を放って結界を張るも、飛来した風刃はその結界ごと乙姫を切り裂く。未来を識る眼のお陰で致命傷は避けられたものの、やはりパラドクスに抵抗出来るのはパラドクスのみ。
(「彼奴が隙さえ見せれば……」)
「自分がちょっと大きいからって、失礼ね……私も抗うわ」
乙姫が悔しげに唇を噛んだその時――やはり憤慨した面持ちの空・心菜(小少弐の御許・g03176)の竹管より、クダギツネが飛び出す。
「むむっ!?」
新手に反応した八瀬童子は、素早く身構える。無頼の連撃はその拳自体が疾風の如く。だが、クダギツネは双尾が惑わせるように動かして、ぽぽんと宙返り。頭から地面に突っ込みそうな勢いで急降下するや、その小さな牙を敵影に突き立てる。
「な……」
「今よ!」
管狐影縛法を以て、心菜が鬼の自由を奪ったのは、瞬き程の間。だが、待ち構えていた乙姫には千載一遇の好機。
――――!!
「どうじゃ、石で打たれる者の気持ちが少しは分かったかの?」
奪魂尾獣穿――伸縮自在の乙姫の狐尾は、狙い過たず八瀬童子を刺し貫く。
「う、うるさいっす! こんなもの、屁でもないっす!」
「ふん、鬼の反省なぞ、最初から期待しておらぬ。いずれにせよ、ぬしは此処で終わりじゃ」
喩え、鬼の蛮行で亡くなった者達には何の慰めにもならぬとしても……せめて、その命で償いを。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【狐変身】LV1が発生!
【傀儡】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【反撃アップ】がLV4になった!
黄泉王・唯妃
※アドリブ、連携歓迎。
また鬼ですか。
貴方達も懲りないというか諦めが悪いというか。
まあ、何度だって叩き潰してさしあげますけどね。
敢えて相手の正面に無手で出向いて油断を誘います。
舌戦を仕掛けつつ【不意打ち】で【捕縛】、右足の自由を奪うとしますか。
動きが鈍れば素早く、正確な打撃など打てないでしょうからむしろカウンター狙いで顎を掌底で撃ち抜きます。
「まさか今更正々堂々だなんて言ったりしませんよね? あれだけ弱者を煽ったのだから貴女も弱者らしく死になさいな」
奴崎・娑婆蔵
●SPD
素手喧嘩が得手か、そちらさん
よござんす
敬意を持って打ち込んで来なするってんなら、喧嘩師奴崎娑婆蔵、流儀に沿わせて頂きやしょう
・腰の黒鞘『トンカラ刀』を外し足元に降ろす
・バンテージ代わりとばかり拳へ包帯を重ねて巻き、徒手の構えで相対
・初め「受け」に回りつつ、打ち込み来る軌跡と律動を意識に刻む
・【未来予測】も込めて、敵攻撃に先読みが掛けられるようになったら――懐から出し抜けに『ドス』を抜く
・敵の腕/脚が飛んで来る箇所へ、刃を「予め置く」ように【黒死斬】、腱を【両断】せん
・素手喧嘩に付き合う気なんぞハナから無し
・懐に得物を呑んでいて、それを頼みにしているものと悟られぬよう、己の挙措には留意
(「また鬼ですか」)
黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)の目の前で、八瀬童子はディアボロス達と打撃戦を繰り広げている。
(「貴方達も懲りないというか諦めが悪いというか……まあ、何度だって叩き潰してさしあげますけどね」)
唇に刷く少女の微笑は、残忍を帯びて。
「ほぉ、素手喧嘩が得手か、そちらさん」
だが、先に前に出たのは、奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)の方だ。
「よござんす。敬意を持って打ち込んで来なするってんなら、喧嘩師奴崎娑婆蔵、流儀に沿わせて頂きやしょう」
間合いを取り直して、鬼が後方へ跳躍したタイミングを見計らい、腰の黒鞘――トンカラ刀を足元に置く娑婆蔵。バンテージ代わりとばかりに拳に包帯を重ねて巻き、徒手の構えで相対する。
「それとも、身の程を知って、石を投げてくるのかしら」
冷ややかに吐き捨てた唯妃は、これ見よがしに無手を大きく広げて見せる。
「鬼に武器など不要、鬼であれば拳で戦うべしっす!」
唯妃の挑発に息巻き、勢いよく地を蹴る八瀬童子。今しも飛び掛からんとした瞬間。
「ぐ……が……!?」
愕然と、金の眼が見開かれた。
「お、俺の右足が!?」
「まさか、今更正々堂々だなんて言ったりしませんよね?」
傀儡蜘蛛――敵の神経系に糸を差し込み自由を奪う、唯妃のパラドクス。
「あれだけ弱者を煽ったのだから、貴女も弱者らしく死になさいな」
「な、なめるなぁッ!」
動かぬ右足を軸に、身を捻る八瀬童子。足が捩じ切れん勢いで、回し蹴りを唯妃目掛けて――。
ドゴォッ!
その実、逆説連鎖戦に於いて、実際の間合いは然したる意味は無い。時間・空間・世界法則すら書き換える「常軌を逸した戦い」故に、反撃も周辺時空のみをより強力に歪めて繰り出されるのだ。
「……っ」
それでも、万全の反撃であれば唯妃の細い頸を薙いでいただろう一撃は、胸を強打するに留まる。
そして、同時に娑婆蔵が動く。握り込まれたのは己が拳、ではなく、懐に隠し持っていたドス。
(「素手喧嘩に付き合う気なんぞ、ハナから無し」)
ディアボロスの装備はクロノ・オブジェクトであるが、それだけでクロノヴェーダにダメージを与えるような特殊効果は無い。
だが、娑婆蔵が振るったその太刀筋は。
――餓鬼道〝刀途〟。
パラドクス『黒死斬』は、敵の急所を絶つ。
ガ、ガァァァッ!
八瀬童子の左足の軌道を見定め、刃を「予め置く」ように腱を両断する。
「嗚呼、上手く斬れやした」
赤い双眸を細める娑婆蔵を打とうとした鬼の拳は儚く大地を突き、その体躯は土煙を上げて崩れ落ちる。
「……妾も掌底を狙っていたとゆうに。どうしてくれるのじゃ」
「カハハ、そりゃすまねえ。けど、早いモン勝ちってもんでさァ」
唯妃の抗議も何処吹く風。娑婆蔵は己が妖刀を拾い上げる。
平穏結界の只中の攻防は、都人達も知る由もなく――斯くて、寒風に哭く追儺の鬼は、もういない。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【傀儡】がLV3になった!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
【命中アップ】がLV2になった!