リプレイ
神代・朔夜
先日の戦争では慌ただしくしていたのであまり詳しく見れていなかったのですが、
こうして改めて歩いてみると、新宿以外の地域も同じような街並みが続いているのですね
あの赤い塔も登る機会があれば今度登ってみたいものです
【パラドクス通信】で喩嘉さんや他の皆様と連絡を取り合いながら見回りをしていきます
瓦礫が崩れている場所や危険な場所に止まっている車を見つけたら【怪力無双】で安全な場所へ移動させます
外だけではなくもちろん建物内も見て鍵がかかっていれば【無鍵空間】を使いお邪魔します
中にも危険だと思う場所があれば同じように対処を
私一人だけでは時間がかかりそうなぐらい多ければ、他の方を呼んで手伝っていただきたいですね
孫・リア
東京タワー!帰ってきたのねー戦争の前哨戦で少しだけ展望台から景色を見たけどこれからはいつでも見に来れるし登れるようになるから嬉しいわ!
皆とは【パラドクス通信】連絡先取り合って協力していくわよ!
【怪力無双】で重たくて動いたら危ないものを運んで、壊れて危険そうで動かせないなら【修復加速】と【セルフクラフト】で直したり固定したり……
因みに作業中はずっと【完全視界】で【情報収集】しながら隅々まで確認するよ!
それと『黒衣』を使って阿黒に私達が見れないような狭い場所や上から色々見て貰って確認して協力してもらって……あっ阿黒!毒は使っちゃ駄目だからね!
【アドリブ歓迎】
吉水・翡翠
アドリブ/連携歓迎。
さて……東京タワーも戻ってきて……なんだか感慨深いですね。
車を動かすことで事故を防ぎましょう。
【パラドクス通信】で連絡を取りつつ、
位置的に危なさそうであれば、【怪力無双】で止めて端の方へ運びましょう。
壊れて危険そうで動かせないなら【修復加速】と【セルフクラフト】で直したり固定したりして危険を回避しましょう。
全員と力を合わせて危険を回避させていきましょうね。
「東京タワー! 帰ってきたわよー!」
孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)はそびえる赤色の電波塔を仰ぎ、グッと拳を突き上げた。
狐のお面を頭に載せた少女の傍にふわふわと浮かぶのは、パラドクス通信で活性化した通信機だ。
港区全域に声が届かせることが出来る通信機に向かって、リアは旅団の仲間へ声を送る。
「安全確保はしっかりね! さあ準備はいい?」
「こちら翡翠。ええ、準備完了です」
通信機を介して届くのは、吉水・翡翠(道求める陰陽師・g01824)の声だった。
彼はリアらとともに、戦争の前哨戦である東京タワーの戦いに参加したディアボロスの一人だ。
最終人類史へと戻って来た港区の景色に覚える感慨は、やはり並のものではない。
「しかし……なんとも感慨深いですね、この眺めは」
「そうね、私も嬉しいわ」
通信機から聞こえる声に、リアが同意を返した。
自分達が眺める先には整然と並ぶビル街と、緑豊かな公園。
その中心で、平和を象徴するようにそびえ立つ東京タワー。
大天使とアークデーモンが闊歩するエゼキエル戦争の港区とは、まるで別の世界のようだ。
旅団の仲間達と一緒に立った、展望台のトップデッキ。これからはいつでも、あそこで港区の景色を見られる――その事実に、リアの胸は高鳴った。
「奪還した港区の景色はどんな眺めかしら。とっても楽しみね!」
「私もです。もうじき街の人々も、この地に帰還してくるのですね」
神代・朔夜(桜花爛漫・g00582)は通信機を手に、少し離れた場所から周囲の街並みを散策していた。
かつてエゼキエル戦争ではディアボロス達が最後まで抵抗を行った地、港区。かつては瓦礫や廃墟が広がり荒れ果てていた光景は、もはや影も形もない。
勝利の凱歌が響き渡れば、ここも新宿と同じ賑わいを取り戻すのだろう――そう思うと、身の引き締まる思いがする。
「では始めましょうか。私は東京タワーの南側に向かいます」
「了解よ。わたしは西側の住宅街を中心に行くわ!」
「一人で対処に困る場所があったら呼んで下さいね」
そうして通信を終えると、朔夜は現場へと向かった。
東京タワー周辺の一帯は、自分の旅団仲間を始め、二十名近いディアボロス達が作業中だ。
行動エリアが重ならないよう密に連絡を取り合いながら、朔夜は人手のない場所を重点的に回っていく。
その視界に飛び込むのは、路上のあちこちで『走行中のまま静止』した自動車。運転席に人々の姿はない。
(「……? この感じは……」)
道路を歩くうち、朔夜の胸を妙な胸騒ぎが訴える。危険な場所が近いのだろう。焦燥感と不安を煮詰めたような感覚を手繰るようにして道路を進んでいくと、そこには一台の小型トラックが見えた。さらに前方には、保育園のものと思しきマイクロバスも見える。
「これは園児の送迎中でしょうか。であれば……」
朔夜は怪力無双を駆使しながら、トラックとバスを付近の駐車場へと運んで行った。
無鍵空間でドアロックを解除。エンジンキーを抜いて、サイドブレーキを倒し、カギは助手席に置いておく。
「まずはこんなものでしょう。翡翠さん、そちらはどうですか?」
「順調ですよ。こちらも路上の車に対応中です」
翡翠は通信機から聞こえる朔夜にそう返した。
彼は今、東京タワーの南側を走る道路で、危険な車両を脇へと退けている。
日本のランドマークとも言える観光スポットの付近だけに、車両の数も相当なものだ。たいていの車両は退けることで対応可能だったが、大型の観光バスなどは流石に少々手に余る。
「となれば、ここはセルフクラフトの出番ですね」
翡翠は簡易用の車止めブロックを作成すると、それをバスの前に置き、車両を固定していった。
傍らの通信機には常に耳を傾けて、周辺状況の把握も忘れない。
「今のところ、大した問題はなさそうですね。リアさんはどうですか?」
「こっちはバイクとか自転車が多い感じね。けど、阿黒もいるから心強いわ!」
リアが回る住宅街エリアは、細い道路が入り組んだ場所だった。
自転車などの接触事故が特に懸念される場所である。そんな一帯を、リアは鴉の阿黒とともに虱潰しに回っていた。
「自転車を脇にどけて、バイクのキーは抜いて……と。あっ阿黒! 毒は使っちゃ駄目だからね!」
上空から阿黒がくれる情報と一緒に、リアは危険が予想される乗り物を丁寧に退けていく。
クロノヴェーダとの戦いとは違う、静かで根気を要する作業。そこに手を抜くことは一切ない。
程なくしてリアは作業を完了させると、天高くそびえる東京タワーをふたたび仰ぎ見る。
あの電波塔の見える街の中では、他の仲間達もまた、人々の帰還を迎える作業を続けている筈だった。
「……もうすぐね」
勝利の凱歌が響く時、この地には再び日常が戻って来る。
その時は、またトップデッキから港区を眺めよう。旅団の仲間達と一緒に――。
帰還の準備を整えるべく、リアはふたたび作業を続行するのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
喩・嘉
まずは東京タワーを見上げる
戦の前に、皆で東京タワーを観光し、守る戦いをした。そして、本当に取り返すことが出来たのだ
俺にとっては元は知らぬ土地のものだが、この赤い塔はディアボロスの力の象徴のような気がする
時が止まっていても【悲劇感知】 は使えるだろうか
翅を広げ【飛翔】で移動しながら、危険な箇所を探して仲間へ伝えていく
この場合において最も危険なのは、奪還した地域の端にある車だろう
明に車の使い方を教えてもらって、車の心臓とやらを止めておく
坂道にあるものは【セルフクラフト】でタイヤを固定する
その他にも色々と人手が足りぬなら
「幻鶴翼陣」で幻影の兵士を召喚。物量の助けにはなるだろうか
守都・幸児
はは、東京タワーだっ
戦の前に皆でちょっとだけ登ったんだよな
また皆と一緒に来れて嬉しいぞ
ああ、俺もそう思う
ディアボロスの皆は、こんなすごいもんを取り戻したんだ
喩嘉の言葉に笑って頷いて
俺はこの時代の決まりや機械ってやつのことはよく知らねえから
【パラドクス通信】で皆に相談したり
喩嘉に場所を指示してもらいながら動き回って
力仕事を手伝うぞ
【怪力無双】を使ってもバスやトラックっていう大きな車を運ぶのは
一人じゃちょいと難しそうだから
皆と協力して安全な場所に移動させたり固定したり
【無鍵空間】を使って鍵を回収したりするぞ
いろいろ見て回って【情報収集】
工事現場を見つけたら
作業中の建材は安全な位置に移動させておくぞ
平良・明
あの時守った東京タワーとは違うのに
不思議と親近感の湧くものです
壊してしまうわけにもいきませんし
車の使い方から教えたほうがいい気がします
カチコミとか逃亡とか
あとは旅行とかにもいつか役に立ちます
【パラドクス通信】で必要な方へご連絡
とりあえず鍵を回すところから
それを回せば心臓が止まったり動いたりします
今は息の根を止めるのがいいでしょう
あと、剣の柄みたいなもの、サイドブレーキも上に上げてください
集めた車の鍵は抜いて、ナンバーと一緒に控えて【アイテムポケット】へ
それを一般人の役所の方に丸投げして紛失防止など取り計らってもらいます
もう新宿島の一部ですし、助けを借りましょう
杏・紅花
ただいま東京タワー!
相変わらず赤くてぴかぴかで、かっこいい。今日は登らないけど、また今度登るねっ
戦いで建物が崩れてるところもあるかもだし、そういう所を【飛翔】して探しながら【修復加速】で直していこうかな
見回る場所が重複しないように、【パラドクス通信】で確認しながらいこーっと
食べ物の気配には敏感だぞっ!
ご飯屋さんは火を使ってるかもしれないし、戻ってパニクって火事になったらヒサンだから、火は消えてるかチェック!
水も勿体ないから蛇口はきゅっと捻る〜
建物内は【無鍵空間】で
ちょーっと失礼しまあす!
お料理も時間止まったまま存在してるのかなあ
……た、食べたりしないけどさっ
シャムス・ライラ
東京タワー…
戦場だったこの場所を平和に見上げることが出来る
感慨深いものがありますね
【パラドクス通信】で皆と情報を共有
協力しつつ事故を防ぐよう立ち回る
最初に場所の地図を入手し
周りにも注意して【情報収集】
人が集まりそうな場所は要注意
【地形の利用】も駆使しつつ
車を安全な場所へ移動させたり
エンジンを切っておくなりして事故を防ぐ
電車も停止ボタンを押す等して
動き出さないようにしなければ
ちょっとした物資なら【フライトドローン】で輸送も可能なので
上手く使って良ければ幸い
後は基本火を使う関係のものが危険だと言えるだろうか
こまめに見て回って
火を使っている所があれば消しておくか
元栓を閉めておいた方が良いだろう
TOKYOエゼキエル戦争の港区では、かつて多くの血が流された。
瓦礫と廃墟があちこちに広がり、ハルファスの聖堂が幾十も林立した荒廃の世界。
第一次東京奪還戦では、クロノヴェーダとディアボロスの激戦が繰り広げられた場所――。
そんな港区の象徴でもある東京タワーを、喩・嘉(瑞鳳・g01517)と彼の仲間達は見上げていた。
「ついに、取り返すことが出来たのだな。俺達は」
「ええ。今となっては、全てが夢のようです」
感慨に浸るように呟く嘉の横で、シャムス・ライラ(極夜・g04075)が頷いた。
シャムスらが仰ぐ先に広がるのは抜けるような青空と、そこへ天高くそびえる赤と白の巨大電波塔。クロノヴェーダが跋扈していた世界の面影は、もはやどこにも存在しない。
「ここで天使達を相手に戦って、半月と少し……その間に、随分色々ありましたね」
シャムスの言葉に、嘉は全くだと頷いた。
「元は知らぬ土地のものだが……今ではこの塔が、ディアボロスの力の象徴のように思える」
「俺もだ。こんなすごいもんを取り戻したんだな、俺達は」
そう言って笑顔で同意するのは、守都・幸児(迷子鬼・g03876)だ。
戦いの前に観光して、守る為に戦って、戦争に勝利して、その果てに辿り着いた『今』。ディアボロスが掴んだ戦果を示すかのように、東京タワーは静かに彼らの前に立っていた。
「今では特別な場所ですよね。何だか感慨深いです」
「ああ。戦の前に皆でちょっとだけ登ったりしてな」
そんなシャムスと幸児の会話を聞きながら、平良・明(時折の旅行者・g03461)も静かに頷く。
こうして旅団の仲間と共に見上げる眺めは、不思議と親近感の湧くものだ。たとえそれが、あの時守った場所とは違うのだと、理屈では分かっていても。
「ただいま東京タワー! 相変わらず赤くてぴかぴかで、かっこいい!」
そんな明や仲間達の周りを、杏・紅花(金蚕蠱・g00365)は元気に飛び跳ね回っていた。
もうじきこの場所が、人類の手に戻って来るのだ。不思議な高揚感に背を押されるように、紅花は小さな拳を元気よく突き上げる。
「よ~し! じゃあ皆、さっそく始めよう!」
「うむ。シャムス、周辺の作業状況はどうなっている?」
嘉がそう言うと、シャムスは現場一帯の地図を広げた。
「西と南方面にはリア殿や翡翠殿、北方面は他の方々が向かっています。ですから――」
仲間達の行動範囲は、すでに情報収集によって粗方把握している。
向かうならば、人の足りていない場所を重点的に。そう告げて、シャムスは作業範囲を定めていく。
「東側が良さそうですね。ここを中心に車両の安全確保を進めましょう」
「東区域の端には、中央区に繋がる車道がありますね。中央区は未だ奪還に成功していませんから……」
「うむ、下手をすると車が海に落下しかねんな。俺はそちらに向かうとしよう」
「俺も行くぞ。力仕事なら任せてくれ!」
「では車の対応は、嘉殿と幸児殿、明殿で。私は紅花殿と、建物の確認を進めていきます」
それで構わないかと視線を送るシャムスに、紅花は首肯で応じる。
「崩れてる場所があれば直して、あとあと、ご飯屋さんの火元とかも危ないと思うし!」
「決まりだな。では、作業を始めようか」
そうして嘉の言葉に四人は頷くと、各々の持ち場へと向かっていくのだった。
程なくして――。
「いいですか? これがエンジンキー、これがサイドブレーキです」
無鍵空間で解錠した自動車のドアを開けた明は、嘉と幸児に車の操作方法を解説していた。
場所は東京タワーの東側を走る道路である。数えるのも面倒なほどの車が静止している道路の前方、中央区との境から先は、今も切り取られたかのように消失したままだ。
「なるほど。このまま車が動き出せば大惨事だな、喩嘉」
「うむ、目につく車は全て止めてしまおう。念には念を入れておかねば」
そう言って先を促す嘉と幸児に、明はさらに説明を続ける。
「まずは心臓にあたるエンジンキーを止めて、次にブレーキを上げて……これでよし。もう車は動きません」
「キーを回して、ブレーキを上げる、だな。よし覚えた」
「ぶつかりそうな車は動かしておくか。力仕事は任せてくれ!」
万が一の追突事故を防ぐため、幸児は車間距離の近い車を怪力無双で移動させていく。
嘉と明もまた、一台一台のエンジンを止め、ブレーキを上げて、着実に車を止めていった。
「自動車か。中々複雑な絡繰に見えるが、構造は意外と単純なのだな」
「操作会得を使う手もありましたけどね。一度知っておけば、今後何かの役に立つかもしれないでしょう? 旅行とか、カチコミとか、逃亡とかね」
明が冗談めいて言う間にも、作業は着々と進む。車体が大きなトラックは手分けして、海へ繋がる道はセルフクラフトで封鎖し……気づけば三人の感じた危険の予兆は、すっかり収まっていた。
「よし、これで完了だ。そういえば喩嘉、悲劇感知は使えたのか?」
幸児の問いに、嘉はかぶりを振った。
「試してみたが、使用できんようだな。時が止まった状態では難しいのだろう」
「成程、まあ情報が分かれば問題なさそうですね。……さて、シャムスさん達の方はどうでしょうか」
今も作業を行っているであろう仲間達の顔を思い浮かべながら、明は通信機を手に取った。
「明殿から連絡です。向こうの作業は完了したそうですよ」
「お~! こっちも負けてられないねっ!」
東京タワーを東に500mほど進んだ場所、浜松町駅に近い場所にシャムスと紅花はいた。
彼らは現在、駅前の一帯を中心に、インフラの確認作業を行っている最中なのだ。シャムスは手元のチェックリストに目を落とし、これまでに完了した作業を今一度確認していく。
「物資の搬送よし。電車の停止ボタンもよし。後は……」
「食べ物屋さん~! ……の、火元だねっ!」
そう言って紅花は眼を輝かせると、自分達がいる場所――飲食店エリアが集まる店々を見回した。
イタリアン、フレンチ、中華料理、などなど。いずれも仕事で火を扱う場所が、ずらりと並んでいる。紅花とシャムスはさっそく傍の店に向かうと、無鍵空間を駆使して裏手の厨房へと入り込んだ。
「戻ってパニクって火事になったらヒサンだからね! というワケで、ちょーっと失礼しまあす!」
「おっと。どうやらここは、かき入れ時のようですね」
果たして厨房は、どこも火を入れて調理の真っ最中だ。
フライパンに鍋にオーブンにと揃い踏みする熱源の火元を、二人は着実に止めていく。
「基本、火を使う関係のものが危険ですからね」
元栓を閉め、蛇口をひねり、事故の元となる要素を徹底的に排除するシャムス。
いっぽう紅花は、そんなシャムスに倣うように作業を行いつつ、ちらちらと厨房の『あるもの』に視線を向けていた。
完成したばかりと思しき、一杯のスープである。
「んー、中々美味しそうだね……」
高級そうな食器の中で輝く黄金色のコンソメスープは、見ているだけで食欲をそそる。
しかし――恐らく時間が止まっている影響なのだろう、出来たてと思しきその料理からは一切の熱を感じない。
「ちょ~っと、だけ……」
ほんの少しの間。紅花は悪戯心を起こしたように、スープの入った皿へそっと手を伸ばす。
「紅花殿?」
「た、食べたりしないからっ。ちょっとだけ――」
そう言って指先が皿の端に触れるや、スープからは真っ白な湯気が昇る。
牛肉や香味野菜が絡み合った温かな香りは、まさに出来たて料理のそれだった。
「うわわっ! ……あ、いい匂い」
「私達が触れることで時間が動き出す……成程、これは面白いですね」
と、感心するシャムスの通信機に通信が飛んできた。幸児からだ。
『こっちの作業は終わったぞ。シャムス、紅花、そっちの具合はどうだ?』
「後少しです。少々、想定外のアクシデントはありましたが――」
「あ~! 大丈夫だよっ、何でもないからっ! ほら次行こう、次、次!」
シャムスの言葉を横から遮ると、紅花は店の外へと歩き出す。
安全確保の作業を二人が完了したのは、それから程なくしてのことであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【未来予測】LV1が発生!
【怪力無双】がLV2になった!
【口福の伝道者】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
ネリリ・ラヴラン
タワーから芝公園の辺りを【飛翔】の力で上空から眺めて回るね。
時間帯は解らないけど、交通量がそこそこあって、徒歩の人も大勢いそうな場所だから事故が起こりやすいと思うわ。
道路と敷地の面する付近を走行している車には申し訳ないけど、キーを抜くなりブレーキを押し込んでおくなりで止まって貰いたいね。【操作会得】が効くならそれが一番かな。
衝突の危険が無さそうなら【セルフクラフト】で簡単なバリケードを作って通行止めにしてしまっても良いわ。
喜ばしいことなんだけど、ここは今の東京。
エゼキエルで感じた懐かしさを覚えないことが、少しだけ寂しいね。
アドリブは歓迎だよ。
東京都港区。
TOKYOエゼキエル戦争におけるディアボロスの拠点であり、クロノヴェーダとの熾烈な抗争が繰り広げられた地。
ネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)は飛翔で上空を移動しながら、作業を行う場所を探していた。
「事故が起こりそうな場所といえば……芝公園の辺りが危険そうかな」
東京タワーと隣接する芝公園は、歩道を往来する区民が少なくないエリアだ。
公園を囲むように走る道路を見下ろせば、車両の安全確保にとりかかるディアボロスの姿があちこちで見える。
恐らくは同じことを危惧してだろう。ネリリもまた手つかずの場所を探し出すと、さっそく路上へと降り立つ。
車両の数はそこそこだが、残留効果を使用すれば大した時間はかからない筈だった。
「さて、始めようかな」
それからの仕事は、非常にシンプルに進んでいった。
無鍵空間でドアを開け、エンジンキーを抜いてブレーキを押し込む。分からない操作は、操作会得ですべて事足りた。
通行止めが必要な場所は、セルフクラフトのブロックで簡易のバリケードを作成し、通行止めとする。
「よし、こんなものね。……そうしたら、最後に……」
ネリリはふたたび飛翔で飛び上がると、港区の景色を見下ろした。
眺めるのは、かつてTOKYOエゼキエル戦争で、自分が戦ってきた場所だ。
「……本当に。とうとう戻って来たんだわ」
右手を見下ろせば住宅地。左手を見下ろせばコンビニに病院。
それはどこにでもある、本当に本当に平和な街の風景だった。
「不思議ね。喜ばしいことの筈なのに」
港区のあちこちを眺める。戦場となった廃校。高架下。それから、それから……。
どこもかしこも、平和で、平穏で、そして……何故かひどく遠い世界に感じる。
(「ここは今の東京。エゼキエルで感じた懐かしさを覚えないことが、少しだけ寂しいね」)
ネリリは港区の上空を舞いながら、改めて心に刻む。
もう二度と足を踏み入れることのない、TOKYOエゼキエル戦争の土地。
そこに確かに存在した、明日を生きる為に戦った人達の顔を――。
大成功🔵🔵🔵
効果1【エイティーン】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
相原・相真
アドリブ・連携歓迎
戦いに勝って終わり、とはいきませんね
街の人たちに戻ってきてもらうために、するべきことをやるとしましょう
【飛翔】で移動し病院へ
【活性治癒】を使ってから、病院の機能が麻痺しないように準備を行います
停電で必要な機械が止まらないよう[発明]で発電機を電源として準備
非常電源が使えるようならそちらも動かしておきましょう
その上で[観察・情報収集・臨機応変]で病院内や周辺を見回り事故が起きそうな部分を対処していきます
病院は人の命を守る場所
人が戻って来た時、問題なく動いてもらえるようにしていないと大変ですからね
自動車が走る路上を中心に、危険への対処が順調に進む東京タワー周辺。
一方その頃、林立するビルや建物の内部でも、安全確保の作業は着々と進んでいた。
「戦いに勝って終わり、とはいきませんね。最後の仕上げと行きましょうか」
相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)は今、港区内の病院で作業を行っている最中だった。院内の機能が停止した事態を想定しての準備作業である。
(「病院に入ってから胸騒ぎが収まらない……やはり、『死』が近い場所だからでしょうか」)
施錠箇所や、難解な電子機器の類は、無鍵空間と操作会得で問題なく対応が可能だった。観察に情報収集にと、持てる力の全てを臨機応変に駆使しながら、相真は病院の復旧作業を進めていく。人々が帰還した時に備えて、活性治癒を発動することも忘れない。
「病院は人の命を守る場所。人が戻って来た時、問題なく動いてもらえるようにしていないと」
病棟の中には人工呼吸器を装着する患者もいるだろう。手術中の患者だっている筈だ。
非常電源を使い、発明した即席の発電機を設置し、いかなる小さなリスクも見逃すことなく。精緻かつ的確に、相真は病院の機能を復旧させていった。
「……よし、これで仕上げだ!」
搬送エレベータ、集中治療室、手術室……。
人々の生死が関わる場所へ電機が通されると同時、相真の胸を焦がすような不安が、次第に収まっていく。
それは即ち、この病院に残る危険が、彼の手によって取り除かれたことを示していた。
「ここはもう大丈夫ですね。次の場所へ向かいましょうか」
達成の余韻に浸る間も惜しいとばかり、新たな現場を求めて歩き出す相真。
ふと途中で目に入った病室には、真白いベッドが人々の帰りを待つように並んでいるのが見える。
きっとあの一つ一つに、明日を生きようと病を癒す人々がいるはずだった。
(「叶うならば、帰還した人達の第一声が、悲しみの叫びではないように――」)
今はただ、自分がすべきことを果たそう。
人々が取り戻した日常を再び歩みだすことで、初めて自分達の任務は完了するのだから。
大成功🔵🔵🔵
効果1【修復加速】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
冰室・冷桜
さーて、お仕事お仕事
大きなドンパチよかこっちの方が気は楽ねっと
んで、事故が起きそうな場所っと
いろいろ思い付かんでもねーが……とりま病院施設とかの大きな建物を中心に回ってきましょうか
車が走ったまんま停止してるってんなら、エレベーターもそうなんじゃね?
ということで、【怪力無双】で扉を開けてーの、【壁歩き】で中を昇るなり下りるなりしてエレベーターを見つけたら一番下の階まで下しちゃいましょ
最悪ぶっ壊れても中に人は居ないし、【修復加速】で直せばおっけー
見落としがないように【悲劇感知】も使用して、人が戻って来た後に事故が起こりそうな場所も確認して対処してきましょ
エレベータの緊急事故において、特に危険なものの一つに内部への閉じ込めがある。
水も食料もない、分厚い鉄の扉に閉ざされた閉所。そんな場所に、ずっと閉じ込められ続けるというものだ。
「ま、そんな映画みたいなコト、まず起きやしない。……普通ならね」
そう、普通はまず起こらない。
だが、もしそれが、千人程度の人々が帰還してきた直後の状況だったら?
閉じ込められて、呼び出し機能で助けを呼んで、呼び出した先に人々が帰還していなかったら?
(「何十時間か何日か、即席棺桶の出来上がりだ。……ま、あんまり考えたくないね、っと」)
そんな胸騒ぎに導かれ、いま冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)は高層ビルの最上階にいた。
エレベータのホールに辿り着くと怪力無双を発動。ドアの扉を易々とこじ開けて足下へ視線を落とす。
発動した完全視界が捉えたのは、十数メートル下で静止したエレベータと、非常点検用のハッチだ。
「おー、あるある。んじゃ、やりますか」
そこからの作業は、まさに流れるような早業だった。
天井に飛び下り、無鍵空間でハッチを解錠。操作会得でエレベータを一階へと停止させ、安全確保を終える。
再び天井からハッチを元に戻し、飛翔で最上階へと帰還。こじ開けた扉を修復加速で直せば、全ての作業は完了だ。
「はい、いっちょ上がり。大きなドンパチよかこっちの方が気は楽ねっと」
胸騒ぎが収まった後も冷桜は淡々と支度を整えて、屋上から飛び立っていく。
これで悲劇感知が使用できれば、言うことはないのだが――。
(「ま、時間が止まってるんじゃ仕方ないね。次行こう次」)
港区を満たす悲劇の芽は、着実に数を減らしつつあった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【通信障害】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
ルキア・アダマント
東京タワーの周りって、大使館もいっぱいあるよね。
私って日本人じゃなさそうだけど、もしかしたら両親や家族が外交官とかだったり……?
わからないけど、そこで働いていたかもしれないなら、大使館を中心に回りたいな。
えーっと、安全のためには何をしておけばいいかな……。
あっ、8月の状態で止まってるなら、みんな夏の状態かも。
冷房は切ろうかな。
あとは、ガスの元栓を閉めたり、扉や門が不意に動かないように固定したり……?
運ぶ最中の重いものや危ないものを、隅に除けておいたり……?
うーん、とにかくやってみよう。
入館や内部の移動は【無鍵空間】とか【スーパーGPS】で何とかなるのかな。
作業は【操作会得】の力も借りられそう。
「えーっと、安全のためには何をしておけばいいかな」
東京タワーの西側に並ぶ建物を眺め、ルキア・アダマント(金時計に刻む記憶・g04840)はそう呟いた。
この一帯は、各国の大使館が並ぶエリアでもある。もしかすると、自分の両親や家族も、そうした場所で働いていたのだろうか……そんなことを考えながら、ルキアは危険を感じた建物をひとつひとつ回っていく。
「入口のロックは無鍵空間で解除。機械の操作は操作会得で……と」
ルキアが足を踏み入れたのは、小さなオフィスと思しき場所だった。
重い木製のドアを潜った先には、重厚な佇まいのデスクやチェアの数々。応接間の調度品は、ひと目で高級品と分かるものばかりだ。大使館やそれに近しい人々が、利用するような場所なのかもしれない。
(「凄い立派な場所……ここで仕事をしていたのは、どんな人達だったのかな」)
そんなことを考えながら、ルキアは自分の果たすべき仕事を開始した。
給湯室ではガスの元栓を閉め、室内の空調を暖房へと切り替える。出来ることは全てやってみようと、ルキアはどんな小さな違和感も見逃さず、事故の芽を着実に摘み取っていく。
(「これで、大体平気みたい」)
一通りの作業を終えて、違和感が収まったことを確かめると、ルキアは再び建物の外へ出る。
そんな彼女の視界の先、広がる景色はどこまでも静かなビルや建物の数々。
かつて戦ってきたTOKYOエゼキエル戦争の港区とは、まるで別世界のようだ。
「もう少しかな。最後まで頑張ろう」
この地に日常を取り戻すため、ルキアは再び任務へと赴くのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
効果2【ダブル】がLV2になった!
リズ・オブザレイク
世界と歴史を取り戻す度に帰還する方をお迎えしないといけないんですね。
東京は車の交通量が多くてそのまま戻ってきたら大変な事になりそうです。
どこか停めてもいい場所に連れていけたら……
そうだ。無双馬のユニコーンと共に首都高に上って、【怪力無双】を発揮して車を安全な場所に引いていきましょう。
港区の芝浦パーキングエリアという場所が広くて多く停められるようなので、そちらへ。
その場に置くだけでは急発進してしまうでしょうし、鍵は抜いて持ち主の方の手に握らせておきましょ……鍵を持ってない方がいるんですけどどうすれば!?
あっ、キーレスという仕組みになってるんですね。
東京タワーの南、首都圏を動脈のように走る首都高速道。
すべての車両が静止ボタンを押した動画のようにピタリと止まった道を、リズ・オブザレイク(人間の妖精騎士・g00035)は無双馬『ユニコーン』に跨って駆けていた。
車、車、車。鉄の馬車を思わせる車両の大群を視界に収めながら、リズは人知れず息を呑む。
「こんな場所に人が戻ってきたら、大変なことになりそうですね」
一般道と違い、高速道路は時速百kmを超える車両も行き交う場所だ。いくら急ブレーキを踏んだところで防げる事故には限りがあろう。万が一にも死傷者を出さぬよう、まずは車を安全な場所まで移動させなければ――そう考えたリズは,
地図を手にスーパーGPSを起動した。
「付近で車が停められそうな場所……よし、ここなら……」
程なくして彼が選定したのは南東にある芝浦パーキングエリアと呼ばれる場所だった。
十分なスペースがあるこの場所なら、かなりの数の車を停められることだろう。
「さあ、行くよユニコーン!」
怪力無双を発動したリズによって、車道の車がまるで段ボール箱のように軽々と運ばれていく。
限界LVまで行使可能な残留効果によって作業は滞ることなく進んでいき、それから程なくして芝浦パーキングエリアは車両で一杯になった。後は、車のエンジンを止めて走れない状態にすれば、全ての作業が完了する。
そう思い、無鍵空間で一台目のドアを開放したリズは、思わず目を丸くした。
「……あれ、鍵がない!?」
どういうことかとドアを一旦閉める。すると今度は、
ビーッ ビーッ ビーッ
「わ、わわわ! 何ですかこれ、どうなってるんですか!?」
鳴り響くクラクションに慌てたリズは、深呼吸をひとつ。
しばし思案した末、操作会得を発動して教えを乞うことにした。
「なるほど、キーレスという仕組みになってるんですね。オンオフは携帯機で……」
そうして車内を探し、ダッシュボードの上にそれらしき物を発見したリズは、携帯機を使って今度こそ車を止める。
「一度覚えれば、操作は簡単ですね。よし、どんどん進めて行きましょう」
年若い少年は、要領さえつかめば習得はあっという間だ。
ものの三十分も経たないうちに、リズはすべての車両の安全を確保すると、新たな現場を求めて駆け出していく。
「さあ、まだまだ! ユニコーン、行こう!」
港区の首都高速に、無双馬の嘶きが響く。
リズの進む先には、人々の帰還を待つ東京タワーが静かにそびえ立っていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
天風・悠雨
【紡舞】
東京を奪還し、僕らはここにいる……
さーて、まずは安全を確保しないとね。
とはいえ、僕は詩を作ったり、それを奏でるくらいしかできない。
あ、ルル、エレれん、空から見える景色から、危険な所を探そう!
それなら僕らでもできる。
そうだね! 大きな道は人々がよく通るから、念入りに見ておいて、力仕事とか出来ない事は他の人に知らせよう。
風使い。危険を除ける所は除く!
そして、今、勝利の凱歌を響かせるわけには行かないから、作るだけ作ろうか。
えっへへ、どんな詩かはお楽しみさ♪
うん、一部だけど、ちゃんと取り戻せたんだ。
僕は、まだ故郷を思い出せていないけど……いつか、ルルやエレれんの故郷も、取り戻せるさ。
必ず。
ルリラ・ラプソディア
【紡舞】
わたしや、だれかの故郷…
ええ…取り戻すことができて…よかった
それが一部のところでも…とてもうれしい…
勝利の凱歌のまえに
いまは、みんなが帰れるばしょ、準備する
空から…そうね、わたし達は飛べるから…
そう、しましょう
危ないところを探して…
わたし達だけで解決できないところは他の人に報せよう…ね?
みんなで一つずつ解決して…
このばしょに、東京のひとたち…迎えるの
たいせつな、この東京の街に
…一歩、一歩と踏み出せば…いつか大切な歴史も時間もとりもどせる…
いつかわたしも…きっと、たいせつな時間を……ううん、いまは迎える人の事だけを考えよう
はやく、戻ってきたみんなの笑顔…みたいね…
エレノア・グローア
【紡舞】
わたしたちが取り戻した場所
ふふ、ルリラや誰かの大切な故郷を取り戻せて嬉しいわ
翼を広げて空を飛び
上空から危険な場所がないか確認
汚染された箇所を発見したら浄化を試みる
どう?ふたりとも何か見つけられた?
無事に帰還してもらう為にも念入りに探さないとね
あ、悠雨。あっちの大きな道はどうかしら?
人々が通る場所はチェックしておかなくちゃ
歴史は、故郷は取り戻せるわ
今回の戦争はそれを証明できた一歩ね
いつか絶対にわたしの故郷も取り戻して見せる
誓った想いを忘れぬよう胸の裡に秘め
ええ。悠雨の故郷も必ず思い出せるわ
いまは戻ってくるみんなを笑顔で迎えましょう
そしてこれからも守っていく大切な場所
二度と奪われないように
ふと思い出す。
パラドクストレインに乗って、初めて戦場に降り立った時のことを。
西暦2021年8月29日、TOKYOエゼキエル戦争。死と破滅のハルファスが支配していた荒廃の地、港区。
ディアボロスとして初陣を飾ったあの地を、エレノア・グローア(ソレイユ・g00058)とルリラ・ラプソディア(Ⅻの子守歌・g00784)は、今再び訪れていた。
「わたしや、だれかの故郷……」
「そして、わたしたちが取り戻した場所、ね」
東京タワーを仰いで呟くルリラの横で、エレノアは微笑みを浮かべた。
「ふふ、ルリラや誰かの大切な故郷を取り戻せて嬉しいわ」
「ええ……取り戻すことができて……よかった。それが一部のところでも……とてもうれしい……」
眼前に広がる港区の景色を眺め、ルリラは深く、深く頷いた。
荒れ果てた瓦礫も、破壊された廃墟もない。東京タワーを囲むように林立したカテドラルもない。代わりにあるのは、シンとした静寂の支配する、ジオラマめいた平和な街の風景である。きっとこれからも戦争に勝てば、こうした場所が東京の、日本の、世界のあちこちに現れるのだろう。
港区は、本当に奪還されたのだ。その事実を天風・悠雨(孤高たる風詠みの旅人・g00820)は静かに噛み締めた。
「何と言うか、本当に感無量だね」
僕は詩を作り、奏でるくらいしかできない――悠雨は自身をそう評するが、ディアボロスたる彼がこの地で出来ることは、けして少なくない。差し当たって必要なのは、危険な場所の探索であろう。悲劇感知が利用できない以上、探索には人手が必要だ。手伝う者が多いほど、作業はスムーズに進められる。
「というわけで、まずは安全を確保しようか」
そう考えていたのはエレノアとルリラも同じだったようで、三人は頷きを交わすと飛翔で上空へと飛び立った。
「勝利の凱歌のまえに、いまは、みんなが帰れるばしょ、準備する」
「地図の準備はOKだ。危なさそうな場所は、片っ端からマークしていこう」
「じゃ、行きましょう。頼りにしてるわよ、二人とも」
こうして、三人の任務は開始された。
通信機で周囲との連絡を常に取り合い、スーパーGPSを駆使し、悲劇の予兆を感じた場所を記録していく。
最初こそ少人数で対応できない危機を懸念していたルリラだったが、最大レベルで行使できる残留効果を駆使すれば、対応不可能な状況はほぼ存在しないと言って良かった。
「悠雨、あっちの大きな道はどうかしら? 人々が通る場所はチェックしておかなくちゃ」
「そうだね、エレれん。危険の芽はどんどん摘んでいこう」
そうして降り立った先、道路のあちこちで静止する車両は、力仕事が苦手な悠雨でも軽々と扱うことが出来た。
恐らく数百kgはある車は、どれも怪力無双で片手に少し力を込めれば、どれも食器のように軽く持ち上がった。
「危険を除ける所は除く!」
「いい調子で片付いて来てる……もう少し……」
道路の車をあっという間に近くの駐車場に停車させると、三人は再び上空へと飛翔していった。
そうして彼らが見下ろすのは、帰還の準備が着々と整っていく港区の街並みだ。
エレノアはその光景を感慨深そうに見澄ましながら、小さく頷く。
「歴史は、故郷は取り戻せるわ。今回の戦争はそれを証明できた一歩ね」
「うん。みんなで一つずつ解決して……このばしょに、東京のひとたち……迎えるの」
ルリラもまた、エレノアの言葉に頷いた。
自分達が眺めるこの景色は、自分とエレノアと仲間達と、全てのディアボロスが小さな一歩を積み重ねた結果だ。
だから――最後の一歩、勝利の凱歌は、とびきりの歌を捧げよう。そうして、港区の人々に帰還してもらうのだ。
「たいせつな、この東京の街に」
「そうね。そして……」
――そして。いつかわたしの故郷も、絶対に。
言葉に出さない想いを、エレノアは胸の裡に秘める。
その横では、地図を開いた悠雨が、全体の作業状況をまとめて得たりと微笑む。
「どうやら、作業も順調に進んでるみたいだ。とっておきの歌、今のうちに作っちゃおうかな」
流石にまだ、勝利の凱歌を響かせるわけには行かないからね――。
そう言って、悠雨はインスピレーションの赴くままにペンを走らせ始めた。
「あら。どんな詩が出来るの?」
「えっへへ、お楽しみさ♪」
「……一歩、一歩と踏み出せば……いつか大切な歴史も時間もとりもどせる……」
「いつか、ルルやエレれんの故郷も、取り戻せるさ。必ず」
僕はまだ、故郷の記憶も定かじゃないけど――そう呟く悠雨を、エレノアは笑顔で励ます。
「悠雨も必ず思い出せるわ。まずは、みんなを笑顔で迎えましょう」
「うん。いつかわたしも……きっと、たいせつな時間を……」
ルリラは言葉を切って、小さくかぶりを振った。
今は、迎える人の事だけを考えよう。皆で凱歌を唄い、帰還を祝い、それでも時間は沢山あるのだから。
「はやく、戻ってきたみんなの笑顔……みたいね……」
「ええ。ここは、これからも守っていく大切な場所。二度と奪われないように」
静寂の中、着々と進む作業。
東京タワーが見守る港区の地に、まもなく帰還の時が訪れようとしていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【飛翔】がLV3になった!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV2が発生!
天夜・理星
よーし、歌うぞー♪
…の前に、やることあるよね。早とちりしないのアタシ!
でもどうしよ、やれることあるかな?
真夏から真冬に投げ出されるくらいだから、即刻戻っちゃうってなると…帰還した人々が寒暖差で急にびっくりして何かしらの混乱をするかもしれない。
じゃあ温度か! 熱波の支配者を屋外で施すことで、程よくぽかぽかした状態のままに出来れば…多少は安心するかもだし。
アタシも見て回るよ、桜田通りを中心に。で、アタシもパラドクス通信を使って、他の復讐者のみんなと一緒に何が出来るか、どこか危険な場所がありそうかを共有したりとかできそうだよね…!
時間は正しく、動くべきだ。
そのための準備も、ちゃんとしないとね…♬
「よーし、歌うぞー♪ ……の前に、安全確保が優先よね」
早とちりしないのアタシ、と天夜・理星(復讐の王・g02264)は頭を振った。
「うーん、でもどうしよ。何か、やれることあるかな?」
こういう時は行動あるのみだ。東京タワーの南側にいた理星は大空へ飛翔し、地上へ視線を走らせる。
東京タワー周辺で行われていた作業は着々と完了しつつあり、パラドクス通信の通信機からは安全確保を終えた仲間達の報告がひっきりなしに流れて来ている。危険そうな場所の自動車などは、どれも処置が済んだものばかりだ。
(「んー、手ぶらで待つのも気が引けるし、何かないかな」)
そう思いながら、ふと視線を芝公園――東京タワーの東にあるエリアへと向けた、その時だった。
『ある施設』が、彼女の目に飛び込んできたのは。
(「あれは……プール?」)
公園の端にある運動場には、並々と水が張られた屋外プールがある。
人類史改竄術式が発動したのは八月だ。建物の外を移動する人々は全員が半袖などの涼しい服装だろう。
中には汗で濡れた者もいるに違いない。そんな彼らが、真冬の空の下に放り出されたら――。
「大変なことになるわね。戻って来た人達が凍えちゃう!」
理星は東京タワーの西側を南北に走る桜田通りへ移動すると、その上空で熱波の支配者を発動した。
理星の発動するパラドクスが、寒風の吹く港区に暖かな空気を呼び込んでいく。気温を暑すぎないよう調整し、戻って来た人達が快適に過ごせるように。
(「ぽかぽかした状態のままに出来れば……多少は安心するかもだし」)
桜田通りから東京タワーを眺めつつ、理星は満足の笑みを浮かべた。
港区を包む、春のように温かい空気。危機を知らせる予兆はもうどこにも感じられない。
それは同時に、人々の帰還を迎える準備がととのったことを示す瞬間でもあった。これで、あとは勝利の凱歌で人々を迎え入れれば――失われた時間が、港区に戻って来る。クロノヴェーダを倒し、皆の手でつかんだ勝利。その瞬間が、今まさに理星達の目の前で結実しようとしているのだ。
「時間は正しく、動くべきだ。そのための準備も、ちゃんとしないとね……♬」
理星は東京タワーを見澄ましながら、凱歌の準備を整えていく。
これより帰還して来るであろう人々の顔を、その脳裏に思い描きながら――。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
天夜・理星
…想像は、整った。
勝利の凱歌を、全力で歌わせてもらおう!
依然場所は桜田通りのままで…!
さあ、みんなが戻ってきたら…
手をまず二度叩いて、士気高揚、それから友達催眠の残留効果を効かせる。
そして、みんなの時が止まっていた理由を説明しよう。
そして、世界が壊れてしまったことも。
東京6区を取り戻せたことも!
復讐者には世界を取り戻す力がある。
そうやって刻を動かして、アタシたちは世界を救うんだってこと!
最後に自己紹介、天夜・理星のこともわかってもらおう、
アタシたち復讐者に任せてもらう為に、
復讐の王と共に立つ友達になる為に。
…そのお手伝いなら、幾らでもするよ♪
…ところで、アタシの友達は?
え、いない? マジかよ。
静寂に包まれた港区の中心部。
天夜・理星(復讐の王・g02264)は飛翔で空を舞いながら、足元の桜田通りを見下ろしていた。
「……想像は、整った。全力で歌わせてもらおう!」
無人の桜田通りに、勝利の凱歌が響き渡る。
歌声に息を吹き込まれるように、灰色の街が色を取り戻していく。
一人、二人。五人、十人。時を再び刻み始めた東京タワーの足元に、人々が帰還を開始する。
(「よし……大きな混乱はなさそうだね」)
ディアボロスの安全対策が万全だったこともあり、騒ぎらしい騒ぎは起こらなかった。
事故の心配が杞憂に終わったことに理星は安堵しつつ、帰還した人々へと呼びかける。
「アタシはディアボロスの天夜・理星。まずは皆、東京への帰還を心から祝福するよ!」
そこからの行動は、まさに流れるように進んでいった。
理星が手を叩けば、彼女の周囲に帰還した人々の目は彼女に釘付けとなった。
士気高揚と友達催眠を発動すれば、人々の心も理星ひとりに注がれた。
そうして、全ての準備が整ったことを確認すると、理星はゆっくりと人々へ口を開く。
今までいた世界が、クロノヴェーダと呼ばれる者達に侵略されたこと。
それが原因で、人々の時間が止まっていたこと。今なお、世界の多くは奪われたままであること――。
「東京6区は、アタシ達が取り戻した。残る区も、世界も、必ず取り戻す!」
理星の言葉は、なおも続く。
人々の帰還を寿ぐ、勝利の凱歌に乗って。
「復讐者には世界を取り戻す力がある。そうやって刻を動かして、アタシたちは世界を救う!」
最後に理星は言った。
どうかその戦いを、自分達ディアボロスに任せてほしい。復讐の王と共に立つ友達になる為に、と。
「……そのお手伝いなら、幾らでもするよ♪」
理星の言葉に、区民は歓声と喝采をもって返した。
それはまさに、彼らがディアボロスの理念に賛同を示した瞬間でもあった。
止むことのない拍手の中、理星は人々を励ます歌をいつまでも送り続けた。
刻逆で失われた友の姿がそこにないという事実に、一抹の寂しさを覚えながら――。
大成功🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
今城・姫愛
安全確保の方は手伝えなかったっすけど、帰還はお手伝いさせてもらうっすよ!
【セルフクラフト】で即席ステージを作ってライブするっす!曲は8月辺りの流行曲から今の12月の曲へと流れていくメドレー!曲と曲の間や間奏中にはマイクパフォーマンス?としてあの日起こった事や現状の説明をしていくっすよ!せっかくっすしアイドルっぽい衣装でも着ておくっすかね!
皆さんまだ色々思う所があるかもしれないっすけど、ともかく今はこの地を奪還できたこと、そして帰還出来たことを祝うっすよ!さぁ、最後は世界中で知らない人はいないあの超名曲!盛り上がっていくっすよー!
「さーて。港区民の帰還、キッチリお手伝いさせてもらうっすよ!」
セルフクラフトでこさえた即席のステージ。
東京タワーを背に立つ今城・姫愛(スピリットギア装者・g00800)の歌が、港区の一角に木霊する。
奏でる歌は夏から冬へと流れる季節のメドレー。歴史が奪われた頃の流行曲で人々を出迎えるのだ。
「響け! アタシの勝利の凱歌ぁぁぁっ!!」
止まった時計の針が、再び時を刻む。
歩道に、車に、それまで人のいない閑散とした世界が正され、最終人類史へと組み込まれていく。
メドレーが夏から秋へと流れる中、姫愛は人々へ語り掛けるように、かつてこの地で起きたことを伝えていった。
人類史改竄術式『刻逆』。それによって生じた大天使とアークデーモン。
クロノヴェーダの暴虐が続く日々と、それを自分達ディアボロスが解放したことを。
「今はこの地を奪還できたこと、そして帰還出来たことを祝うっすよ!」
アイドル衣装で歌い踊る姫愛の言葉に、人々は黙って聞き入っていた。
彼女の言葉が紛れもない事実であること――それを、その場の誰もが本能的に理解する。
自分達の世界は、日常は、クロノヴェーダと呼ばれる存在に奪われたのだと。
「これからもアタシ達は戦うっす。世界を取り戻すその日まで! だから――応援よろしくっす!!」
人々の歓声が、即席のステージを包む。
姫愛の曲は12月を終わり、いよいよ最後。世界中でも有名であろう名曲で、その最後を締めくくる。
「さあ! 盛り上がっていくっすよー!」
2021年12月30日。
港区に再び人々が帰還した日として、最終人類史に刻まれる日の出来事であった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
リズ・オブザレイク
しまった、【勝利の凱歌】を歌うには手持ち無沙汰です。
【騎士の武器】で剣がマイクだとか楽器に変形してくれる事を祈ります。
歌い終わった後、混乱を鎮める為に強い残留効果で友達や関係者だと思って貰うのは簡単ですが……なるべく僕の言葉を聞いて貰って考えた上で納得していただきたいです。
【託されし願い】で新宿区の一般人の方の様子や変わってしまった生活様式を映しながら、世界から奪われた人と物を取り返す為に復讐者が戦っている事を周囲の方へ説明します。
長い戦いになるかもしれないけれど、騎士として必ず勝ってみせると。
それまでどうか、この日本での普通を過ごす事で取り返す手伝いをして欲しいとと。
(「しまった。凱歌を歌うには手持ち無沙汰ですね」)
準備を完了し、リズ・オブザレイク(人間の妖精騎士・g00035)が真っ先に思ったのは、その一点だった。
場所は東京タワーの東側に位置する芝公園。その一角、満杯まで車両を並べた駐車場でリズは頭を抱える。
騎士の武器が楽器に変形しないかと試してみるも、残念ながら結果は芳しくなかった。
だが、特に問題はない――ディアボロスなら、たとえ声を出せぬ状況でも栄光の凱歌は発動出来るからだ。
「気を取り直して。……失われし刻よ、今こそ動く時!」
リズがフェアリーソードを指揮棒のごとく掲げると、彼を取り巻くように荘厳な歌声が響き始めた。
停滞した時が動き出す。無人の車内に、公園に、存在を抹消された人々が帰還を開始する。
「な、何だこれは?」「何が起こった!?」
人々からは口々に狼狽の言葉が発せられた。
リズはユニコーンに跨ると、そんな彼らへ呼びかける。
「僕はディアボロスのリズ・オブザレイク! 皆さん、港区の時間は動き始めました!」
リズの言葉は、その場に居合わせた全ての人々の耳目を引きつけた。
プラチナチケットや友達催眠を用いることなく、リズ自身の言葉で語り掛けたが故かもしれない。
続けてリズは、託されし願いで新宿島の様子を映す。変わってしまった世界と、ディアボロスに願いを託す人々を。
「長い戦いになるかもしれないけれど……奪われた世界は、僕達が奪還します!」
リズは言う。かつての日常は失われてしまった。だが、自分達ディアボロスはそれを良しとしない。
必ず、必ず、世界を取り戻す、と。
その言葉に人々は最初こそ動揺したが、願いを託した新宿島の人々の姿は、雄弁に彼らの心を打ったようだ。
「ほ、本当なのか……」「でも、中央区も目黒区も海だし
……」「……ああ、信じるよ。俺は信じる」
そんな彼らに、リズは胸を張って言う。
「騎士として必ず勝ってみせます。ですから……」
だから。
それまで、どうか――。
「共に、世界を取り返す手伝いをして欲しいのです。この日本での『普通』を過ごす事で!」
決意に満ちたリズの言葉は、砂にしみいる清水のように、人々の心へと染み渡った。
暫しの沈黙の後、港区の人々は自分達が置かれた状況を受け入れる。
そうして、あちこちで生じる小さな喝采はすぐに大きなうねりとなって、リズを包み込んだ。
止むことのない歓声。それは静止したモノクロの街が、再び色を取り戻した瞬間だった――。
大成功🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
シャムス・ライラ
仲間と情報共有、連携
【勝利の凱歌】を歌い、人々を『帰還』させよう
住民達が戻ったら、仲間達が展開している情報も活かしつつ
【友達催眠】も必要なら使用し
歴史侵略者から土地を奪還した事によって
止まった時が動き出した事を告げよう
混乱していると思うがどうか落ち着いて
ライフラインは生きているから
まずは住処の確認
質問には誠心誠意対応を
子どもでも例外なく
逆に話を聞いてほしい者がいたら丁寧に聞き取り然るべき対応を
取り戻した土地と歴史はまだ一部
家族と出会えていない者
外部から来た者もいるかもしれないから
避難所を作る等の配慮を主だった者に提案
まず生活の第一歩を踏み出す事が大切で
その為の手助けは惜しまない
アドリブ等歓迎
東京都、港区。
それはかつて、クロノヴェーダによって奪われた地。
そして、TOKYOエゼキエル戦争のディアボロス達が、最後まで簒奪者達への抵抗を続けた地。
「ですが、それも全ては過去のこと。今よりこの地は、最終人類史へと組み込まれます」
シャムス・ライラ(極夜・g04075)は東京タワーの西側、住宅街のエリアで凱歌を歌い上げていた。
彼が手にするパラドクス通信の通信機から聞こえてくるのは、リズの、姫愛の、理星の歌声。
そして、帰還してきた人々の歓声だ。
「皆さん。混乱していると思いますが、落ち着いて聞いて下さい」
そんな中、シャムスもまた、住宅街に帰還してきた人々へ呼びかけを始めていた。
「ライフラインは生きています。皆さんは、今まで通りの生活を続けられます」
シャムスの行う説明は、無用な混乱を招かぬよう要点を絞った簡潔なもの。加えて、不安な者からの質問にも誠心誠意の対応を行うことで、混乱は最小限に留められた。
そうして人々が落ち着きを取り戻すと、シャムスは本題を切り出す。
かつてこの地で起こったこと。そして、自分達ディアボロスが、この地の歴史を取り戻したことを。
「取り戻した土地と歴史はまだ一部です。奪還のためには、皆さんの助力が不可欠なのです」
信頼を込めた眼差しを向ける人々へ、シャムスはなおも語る。
「日常を取り戻すための手助けを、私達は惜しみません。ですからどうか、力を貸して下さい」
そうして彼を包んだのは、惜しみない歓声と拍手だった。
日常の歯車が静かに回り始めた音を確かに聞きながら、ふとシャムスは思い出す。
かつて彼が仲間達と戦った東京タワーで、仲間の一人が言った言葉。
敵を倒し切ったこの地を、いつか皆で観光したいという、その願いを。
(「平和……東京タワーがそびえるこの街に、全ての人が戻るのは一体いつになるのでしょう」)
その答えを知る者は誰もいない。
だが、それが遠からぬ未来に現実となるであろうことは、誰もが事実として理解していることだろう。
シャムスは改めて仲間達と共に祝福を贈る。正しい歴史を刻み始めた、この世界の全てに。
(「お帰りなさい、皆さん。そして――お帰りなさい、東京タワー」)
師走の末、動き始めた日常の中、人々の歓声はいつまでも響き続けた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV2になった!