妖刀を授ける鬼

 攻略旅団の調査・探索提案に基づき、妖刀の鬼狩人となる武士に、妖刀を与えている存在の探索を行います。
 武士に妖刀を授けているのは、『天の魔焰』立烏帽子 という名の鬼であるようです。
 彼女は『妖怪の圧倒的な力の前に心を折られた武士』に、『妖怪を倒すことが出来る妖刀』という力を授け『妖刀・縁斬り』に変えています。
 彼女が狙っている武士に、彼女よりも先に接触して身柄を確保、やってくる『天の魔焰』立烏帽子を迎え撃ち、撃退しましょう。

 『天の魔焰』立烏帽子は、平安鬼妖地獄変のジェネラル級クロノヴェーダの一体で、現時点で撃破するのは難しいですが、ディアボロスが、彼女の強力な一撃を耐え抜く事ができれば、呼び出した配下に後を任せて撤退するようです。

 多くの武士を彼女の魔の手から救い、『天の魔焰』立烏帽子を挑発することが出来れば、彼女と決戦し、彼女が引き起こす妖刀の事件を終息させることが出来るかもしれません。

妖刀、夜刀、快刀!(作者 唐揚げ
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#平安鬼妖地獄変  #妖刀を授ける鬼  #妖刀 


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「……ほ、本当に、力を得られるのか?」
 肩の傷口を押さえ、荒い息をつく侍がいた。彼の名は玄正(はるまさ)。
 武士として力を見込まれ、京の都で辣腕を振るったこともある、確かな実力者……だった。

 が、それも今ではこのざまだ。
 快刀乱麻と謳われ傲った罰か。妖怪にひどい傷を負わされ、もはや武士としては再起不能と見えた。

 そして彼を見下ろすのは、『天の魔焰』立烏帽子!
 妖刀を授け、武士達を誑していたジェネラル級クロノヴェーダである。
「ええ、もちろん。この妖刀の力があれば、お前は再び京の人々にも認められることでしょう」
 その言葉は、玄正にとってあまりにも魅力的だった。
「これさえ、あれば……」
 血まみれの手が、震えながら剣の柄に伸びる。
 ああ、己は今、愚かな選択をしようとしている。
 だがそもそも、己はなぜ剣を振るっていたのだったか。
 名声のためか、名誉のためか、あるいは……。

 自問の答えが出る前に、彼の意識は闇に沈んだ。
 迷う武士の代わりに立ち上がったのは、『妖刀・縁斬り』だった。

●新宿駅グランドターミナル
「まさか、武士に妖刀を授けているのが、ジェネラル級クロノヴェーダだったとは……ッス」
 七田・ナナ(エンジョイガール・g05125)は腕を組み、うーんと唸っていた。
 彼女の予知によれば、玄正は近いうちに妖刀を授けられ、そしてアヴァタール級に変じてしまう。
「今まで武士の人達が立烏帽子を正確に認識出来なかったのは、鬼であることを隠していたから……だと思うッス。
 そういう狡猾な輩のやることを、見過ごすわけにはいかないッスよ。というわけで、先輩がたにお願いッス!」
 ナナはぐっと拳を握りしめる。
「立烏帽子より先に玄正さんと接触して、妖刀を受け取ってしまわないように玄正さんを護ってほしいッス。
 そして、立烏帽子がやってきたら、追い払ってやるッス! ……さすがに、まだ決戦とはいかないッスけど!」
 敵は慎重で狡猾な相手だ。真の決戦は、おそらくこの先にチャンスがあるのかもしれない。

「改めて手順を確認するッスよ」
 ナナはメモ帳を片手に、人差し指を立てた。
「まず最初に、玄正さんと接触して、身柄を確保。この際、説得は必須ではないッスけど、あればよりよし、ッス。
 玄正さんは、武士であることに強いこだわりというか、自信というか……そういうのがあるみたいッス。
 怪我をしたからといって終わりじゃないこと、武士になった理由を思い出させてあげればいいんじゃないッスかね?」
 ナナは立てた人差し指を顎に当て、考えながらアドバイスした。

「そのあとに、立烏帽子と戦うわけッスけど……相手はジェネラル級。ここでは間違いなく倒せないッス。
 でも、来るとわかってたら、恐ろしい妖刀の攻撃でも、先輩がたならきっと耐えられるはずッスよ!」
 攻撃を耐え抜けば、立烏帽子は配下にあとを任せて撤退するはずだ。これを倒して、事件は解決となる。
「立烏帽子をうまく挑発しておけば、今後、あいつを決戦の場に引きずり出すことも出来るかもしれないッス。
 だからといって、無防備に攻撃を食らうのは危険ッスから、そこは十分に注意して臨んでほしいッス!」
 配下のアヴァタール級との戦いもある以上、無理は禁物だろう。

「ちなみに立烏帽子が連れてるのは、『夜刀』っていう蛇の妖怪と、『黒虚天狗』の群れッス。
 攻撃を喰らったあとの戦いなんで、大怪我しないようにハイパー気をつけてくださいッス!」
 ナナは忠告というよりも、ディアボロスの身を案じた様子で言った。

「それにしても、こうして妖刀を授ける張本人を見つけられたのは、先輩がたが攻略旅団で話し合ったり、
 実際に調査に赴いたりして、あいつらの情報をコツコツ集めてきたおかげッスね。さっすがカッケー先輩ッス!」
 自分のことのように嬉しそうな笑顔を浮かべるナナ。
「でも、ここからが肝心ッスからね。幸い、立烏帽子は、ジェネラル級の中ではそこまで強くはないみたいッス。
 とはいえジェネラル級というだけで一段上ッス。しかも妖刀を次々増やす特殊能力を持ってるわけッスからね。
 なんとかして倒さないと、同じような事件が続いてしまうッス。先輩、けして油断せずに、ファイトッス!」
 ジェネラル級との戦いは、どれも一筋縄ではいかないようだ。
 はたして、妖刀の切れ味を耐え抜くことが出来るか。これもまた、ひとつの死闘だ。

●平安鬼妖地獄変:都から離れた草むら
「はあ、はあ、はあ……ッ」
 あちこちに怪我をした玄正は、ついに力尽きてがくりと崩折れた。
 わけでも深手なのが、肩の傷だ。玄正は負傷した側の腕を動かそうとして、苦痛に顔を顰める。
「これでは、もう剣は握れぬか……おれとしたことが、なんたる未熟よ」
 彼は虚無的な笑みを浮かべた。武芸の才だけが、彼の心の拠り所であり、そしてアイデンティティだったのだ。
「もはや、あの頃の約束も叶えられぬ。……みじめなものだ」
 このまま息絶えるのも一興か。玄正はすべてを諦め、草むらのなかに身を投げだした。
 その心の空虚を、恐るべき鬼が狙っているとも知らずに……。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
2
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【強運の加護】
2
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【腐食】
2
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【隔離眼】
2
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【ハウスキーパー】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建物に守護霊を宿らせる。守護霊が宿った建物では、「効果LV日」の間、外部条件に関わらず快適に生活できる。

効果2

【能力値アップ】LV5 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV3 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV2 / 【アクティベイト】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【アヴォイド】LV2 / 【ダブル】LV1 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

唐揚げ
 ハムカツです。いえ、唐揚げです。
 皆さんの調査の結果、ついに『天の魔焰』立烏帽子が表舞台に姿を表しました。
 頑張って排斥力を突破すれば、場合によっては奴と決戦に臨めるかもしれません。

 が、その前にまず、心折れた武士の身柄を確保し、奴の攻撃を耐え抜く必要があるでしょう。
 いずれ決戦の場に引きずり出すためには、ただ攻撃を受けるのでなく挑発しその気にさせることが大事です。
 とはいえ何の備えもなしに食らうと、めっちゃ痛いので、そのあとの戦いが大変になります。

 選択肢の採用順は、①→②→③→④です。ご参考までに。
 必要成功数を大幅に上回る場合は、人数の関係で不採用が出る場合もありますので、ご了承ください。

 では、皆さんのかっけープレイング、お待ちしてるッス!
198

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


橘樹・六華
武士って何なんだろうね。私も刀を使うけどよくわかんないよ。

急いで玄正さんのとこに向かうよ。
素人のだけど応急手当で止血もして。最近も怖いけど失血による意識障害とかも怖いし。
落ち着いてきたなら聞いてみたい事があるんだ。
ねぇ、教えて欲しい。どうしてあなたは刀を振るう事を選んだの?武士となる事を選んだの?
そしてそれは妖刀を掴んでなされるものなの?

私は覚えてないの。どうして今こうしてこのなりでいるのか。
あなたは覚えてる?どうして今ここにこうしてある理由を。


菱神・桐梧
アドリブ連携大好き

迷った挙句手にする力なんぞ、碌なモンじゃない。
人間様の底力ってのを教えてやらないとな。

まずは急いで玄正に追いつくとしよう。
見つけられれば念の為容体を確認、
出血が酷そうならバンデージで止血しといてやるか。

シケた面してんなあ玄正さんよ。
怪我の一つや二つ、気にするもんでも無いだろ。
そんなもんさっさと治せば良いさ。

死にたけりゃ歳食って死ね。
生きてりゃ腕がもげようが足が取れようが、剣咥えてでも戦える。

武士ってのはあんたの自慢なんだろ?
だったらそいつ一本ブン回して、戦って戦って戦いまくるしかない。

一番強いのは、何度ブチのめされようと最後まで戦う奴だ。
こんな所で寝っ転がってる暇は無いぞ!


相原・相真
アドリブ・連携歓迎

玄正さんを探し接触
他の方が傷の手当てをするのを待ってから話をします

…俺は家族を失って、それから力を得て戦ってきた
だから、戦えなくなるっていうことの怖さはわかるつもりです
でも同時に、俺たちと違う戦い、
俺たちを信じ支えるという戦いをしてくれている人たちがいることを知っています(新宿島の一般の人たちのこと)
貴方もそういう、新たな戦い方を探すことはできませんか?

もう一度刀を取ってもいい、新しい戦い方を探してもいい
でも少なくとも、妖刀のような安易に差し出された力に飛びつくことはしないでほしいです
それはきっと、貴方が戦おうとした理由も何もかも台無しにしてしまうものだから


冰室・冷桜
どいつもこいつもやることの趣味が悪いこって
ま、見逃すわけにはいかんことには変わりねーんだけどね

とりあえず、玄正さんとやらは怪我してるみたいだし……
素人仕事でも手当しないよりはマシでしょってことで包帯とか持ち込んで、他の人と一緒に手当でもしてきましょ

約束がどーとか言ってたのが聞こえたけどさ
それは刀握れなくなったくらいで諦めていいもんなの?
アタシは戦いとかそーゆーのはよくわかんねーけどさ、少なくともこんなにボロボロになってまで叶えたい約束だったんじゃねーの?
だったら、そんな簡単に見切りをつけて諦めていいの? って思うんだけど
諦めるのはやれるだけのことをやってからでも遅くないんじゃね


●その言葉は届くのか
 パラドクストレインから急ぎ降りたディアボロス達は、まず玄正の身柄を徹底的に捜索した。
 身を隠しているとはいえ、相手は重傷者だ。あたりは人里からも離れており、他に通行人も居ない。
 痕跡の発見はたやすく、しかし怪我が怪我であるだけに、ディアボロス達はそれぞれ協力して事に当たった。

「どいつもこいつもやることの趣味が悪いこって……ま、見逃すわけにはいかんことには変わりねーんだけど」
 冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)は、一連の騒動の黒幕である立烏帽子のやり方を、心の底から嫌悪した。
 あえて自ら手を出すのではなく、妖刀を与えることで間接的に悪を広めるという仕業は、実にクロノヴェーダらしい。
 本当であれば、直接立烏帽子を叩くのが最良ではある。しかし、相手は仮にも強大なるジェネラル級の強敵だ。
 その喉元に至るためのチャンスを得られただけでも、ディアボロス達の調査と尽力が実を結んだと言える。
 まずは、奴の陰謀を挫くこと。もどかしさはあったが、冷桜は決して文句を言いはしなかった。

 一方で、橘樹・六華(常葉雪片・g03430)が思うことは、少し違うようだった。
「それにしても、武士ってなんなんだろうね。私も刀を使うけど、よくわかんないよ」
 六華が思うのは、立烏帽子そのものよりもむしろ奴にたぶらかされてしまう玄正のことだった。
「どうして剣を握るのか。なぜ戦うのか……はっきりした理由を常に見定めていられる人なんて、滅多に居ないのかも」
「だとしても、迷った挙げ句に手にする力なんぞ、ろくなモンじゃないぜ」
 菱神・桐梧(喧嘩屋・g05613)が言った。
「相手はそこを突いてくるクソ野郎……いや、女か。ま、そういう奴には、人間様の底力を教えてやらないとな」
 桐梧がニッと不敵に笑うと、六華は口元に薄く笑みを浮かべて頷いた。
 作戦を成功させるには、玄正の説得はあくまで副次的な目標でしかない。身柄を確保できさえすればいいのだ。
 しかし2人は……もちろん冷桜もだが……玄正に投げかけるべき問いかけ、そして言葉を、はっきりと持っているようだ。
 ことの原因は、究極的に言ってしまえば玄正の心の弱さにある。
 それを拭い去ることもまた、クロノヴェーダの支配に対抗するための大きな力となるだろう。

 と、そこへ、相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)が急いで駆け戻ってきた。
「こっちに、玄正さんのものらしき血痕がありました! 這いずったような跡もありましたから、間違いないと思います」
「ん、急ごっか。説得する前に出血死なんてことになったら、元も子もないしね」
 冷桜の言葉に頷き、桐梧と六華も相真を追って走る。
 相真の言う通り、地面には血痕が点々と続き、車輪とは違うタイプの跡がずるずると残されていた。
 おそらく、最初こそ両の足で歩いていたものの、こらえきれずに膝を突いたのだろう。痕跡さえ見つかればあとは簡単だ。
「う、うう……」
「今の声は……こっちだと思います」
 相真は表情を変えず、しかし静かに呟くと、呻き声の聞こえたほう……草むらの中へと分け入っていった。
 そしてそこには、彼らの探していた玄正が横たわり、傷口を押さえて苦しんでいたのである。

「お、おぬしらは……?」
「おっと、まずは容態確認だ。傷口が化膿してたりしたらいよいよ話にならねえだろ?」
 桐梧は玄正の言葉を遮り、力の出ない彼の腕を取ると、痛ませないように動かして傷の具合を確認し、顔を顰めた。
 致命的な傷がひとつあるのではなく、大小様々な負傷が彼の生命力を削り、徐々に弱らせている。そういう状態だ。
 おそらく、相当の激戦だったのだろう。だが、適切な手当をし、休息を摂れば、じゅうぶんに回復するはずだ。
「素人仕事でも、手当しないよりはマシでしょ。包帯とか色々持ってきたから、使って」
「ありがとう。本当なら血も入れてあげたいけど、さすがにこの時代じゃそこまでは無理だよね……」
 六華は、冷桜の持ち込んだ救急用品を受け取り、手分けして手足の傷に対処していく。まずは止血からだ。
 ディアボロス達の迅速かつ適切な処置の甲斐あって、玄正の容態はひとまず安定する。まずは第一の目的達成といったところか。

 なぜ、ここまでしてくれるのか。
 そう言いたげな玄正に対し、話を切り出すタイミングを伺っていた相真が、片膝を突いて視線を合わせた。
「俺達は、あなたが妖怪に襲われたと聞いて駆けつけたんです。それと、目的はもう一つあります」
「もうひとつ、だと……?」
「誤った"力"を手にしてしまうことになるあなたを、踏みとどまらせることです」
 玄正は眉根を寄せた。さすがに、ディアボロスとしての立場や、予知について説明する暇はないし、それは逆に混乱を招くだけだろう。相真は簡潔な言葉で目的を明かした。
 玄正が顔を顰めたのは、その物言いを不審がったのではなく……自分が、そんな妖しい取引を持ちかけられたら、応えてしまうだろうという確信があったからなのだろう。
「約束がどーとか言ってたのが聞こえたんだよね。だから、怪我と同じぐらい、心も弱ってるんじゃないかってさ」
 冷桜が、自然に説得に持ち込めるよう、相真の言葉を補足する。
「そうか、聞こえていたか……」
「……シケた面なさんなや、玄正さんよ。おおかた、怪我で気が落ちたんだろ?」
 桐梧も視線を合わせ、無事なほうの肩に手を置いた。
「そんなもん、さっさと治せばいい。死にたけりゃ歳食って死ぬべきだぜ。こんな終わり方は、あんたの望み通りかい?」
「……簡単に言ってくれるな。だが、おぬしらの手当のおかげで、そうだな……まだ、やれるのかもしれぬ」
 事実、処置は的確だった。じゅうぶんに休み、英気を養った上で鍛錬を重ねれば、玄正はまた剣を握れるはずだ。
 それは、同じ刀使いである六華が、四人の中で誰よりも正確に見立てていた。

 ゆえに彼女は、直截に問うた。
「ねぇ、教えてほしい。どうしてあなたは、刀を振るうことを選んだの? 武士となることを、選んだの?」
 喉の奥から唸り声を漏らし、答えを渋る玄正に、六華は続けて言った。
「私は覚えてないの。どうしていまこうして、このなりでいるのか。だから、戦う理由だって、たしかなものはない。
 けど、あなたは違うでしょう? だから教えて……いえ、教えてくれなくても、思い出してほしいの。
 どうして今こうしてここにあるのか。なぜそうしてきたのか。それって、大事なことだと思うから」
「……手厳しいな。おれのような年頃になってしまっては、振り返るのもなかなか体力が要ることだ」
「だからって、ここで終わるのをよしとするのは違うと思うがね。あんた、一瞬でもそう思ってたんじゃないか?」
 桐梧の言葉には、玄正は頷かざるを得ない。

「おれには……幼い頃、親しい娘がいたのだ。だが、身体の弱い子でな……両手で歳を数えられるようになる頃には、病で命を落としてしまった」
 玄正は過去を思い出し、顔を顰めた。
「あの子は、自分と違って身体のしっかりしたおれに憧れて、それをすごいすごいといつも褒め称えてくれた。
 だから俺は、今際の際にあの子に言ったのだ……。お前のぶんも、もっとしっかりと、強い男子になってみせる、と」
「……それって、刀握れなくなったくらいで諦めていいもんなの?」
 冷桜は、あえてキツい物言いをした。
「アタシは、戦いとかそーゆーのはよくわかんねーけどさ、少なくともこんなにボロボロになってまで叶えたい約束だったんでしょ?
 だったら、そんな簡単に見切りをつけて諦めていいものとは思えないな。あなたも、悔いはあったんだろうし」
「……それは……」
「極論を言ってしまえば、もう一度剣を執るか、それ以外の道を選ぶかは、玄正さんの自由です」
 相真が言葉を継ぐ。
「新しい戦い方なんて、いくらでもあります。ただ刀を振るうことだけが「戦い」じゃないと思いますから。
 でも少なくとも、安易に差し出された力に飛びつくことだけは、しないでほしい。
 ……俺も、力を得る前に大事なものを……家族を失った身ですから、戦えなくなる怖さは、わかるつもりですよ」
 戦い方は、ひとつではない。その言葉は、弱り陰った玄正の心を強く打った。
「俺達は、知っています。たとえ俺達のように戦う力はなくとも、俺達を信じ支えるという戦いをしてくれている人を」
 それが、新宿島の人々を指していることを、ディアボロス達は悟った。
 彼らの戦いは、彼らだけのものではないのだ。

「話してくれて、ありがとう。話したことで、あなたも自分を見つめ直せたんじゃないかな」
 と、六華が言う。
「一番強いのはな、玄正さんよ。何度ブチのめされようと最後まで戦うやつだ。こんなところで寝っ転がってる暇はないぞ!」
「ま、だからっていきなり暴れられても困るけどさ。傷開くだろうし」
「そいつは言いっこなしだぜ、ハハハ!」
 桐梧と冷桜のやりとりに、玄正の口元に苦笑めいた形が浮かんだ。
「強いな、おぬしらは。……感謝する」
 武士の心には、彼らのくべた火が、たしかに分け与えられ……そして、灯ったようだ。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!

マガミ・ゾーリンゲン
鈴鹿の山の立烏帽子(伝承知識)
天魔、鬼、大盗賊
どれが正しいとしても、私はただのあなたの敵

突撃槍は携えたまま身構えて
【ダッシュ】で攻撃を振り切るように駆けて敵のロックオンを外すことから試してみましょうか
最も、伝説の立烏帽子なら、増やした刀を雨のように降らしてくるのでしょうけれど
……来た

槍を盾に受け止め、払い、振り返らずに柄の石突で迎撃して
手数が足りないと踏んだら迷わず槍を手放して、その場に在るものを【臨機応変】に使って捌いていく
ストリートの戦い方、ですね

――――これは誘い
今まで以上の刀の雨で仕留めに来るのを待って

【電撃使い】で刀の群れを迎え撃つ
いくら妖刀でもひとたまりもない、でしょう?


菱神・桐梧
アドリブ連携大好き

俺は盾にでもなってやるか。
奴に肉薄、煽るだけ煽ってこっちに釘付けにしてやる。

お武士様が言ってたぜ、あんな刀、頼まれたって振りたくねえってよ!
妖刀ってな手負い一人落とせねえのか?拍子抜けだぜ!

攻撃はハンマーで防ぎ、鎖で逸らし、太刀で弾く。
手持ちのモン全部使って防御に集中だ。
武器が使えなくなったら順次放って、あとは身体一つで受けるしかねえな。
急所を重点的に防御、やばそうな攻撃はまともに喰らわないよう注視、
動ければ十分だ、しょっぱい攻撃は無視していくぜ。

一山いくらのナマクラなんぞ、どんだけ持って来たって無駄だ!鍛え直して来い!


灯楼・弐珀
【Nyx】
アドリブ歓迎

妖刀はまだ描いた事無いのですよね……
一体どんなものなのか、気になりますね

しかし敵が強いというなら……悪魔くん、ちょっと深度を高めようか
Διάβολος

攻撃に耐えれる悪魔の体、見切る為の眼を、そして素早く動ける翼を宿す
後はパラドクスで産みだしたカラトリーセットの絵から、巨大なスプーンやナイフにフォークを用い敵の攻撃を上手い事躱しつつ反撃しちゃいましょうか

なぁに多少の攻撃は問題ない
君をもっとよぉぉく見せておくれ
観察し情報集め早業で強打をば
攻撃は避けましょう

立烏帽子くんったら強いのに
逃げるだなんて言わないよねぇ?
もっと君を魅せておくれよ
絵の参考にしたいからさ
まさか逃げないよね?


山本・一郎
「ほーぅ……噂にゃ聞いてたが、人を鬼に変える刀ねぇ。
良いねぇ良いねぇ、そいつぁ非常に興味深ぇ。ちょっとおじさんとお話ししようじゃねぇか?」

職業柄趣味柄、妖刀ってぇのは気になるもんでよぅ。
そいつが何に使われてるのかってぇのはともかく、どんな刀でどうやって作られるのか……根掘り葉掘りジックリシツコク聞いてみっかね。
粘着気味にして、こっちにキレて注意向けてくれたら御の字って奴で。

戦闘は基本、常時守勢。
【呪喰い】で能力を底上げしつつ、限界まで耐えてみるかね。

「さぁ見せてくれよぅ、聞かせてくれよぅ、お前さんの“妖刀【自慢の一品】”!
嫌だっつっても趣味人ってぇのはしつこく付きまとうからな。覚悟しとけや!」


●その名、立烏帽子
「――来た」
 マガミ・ゾーリンゲン(レタルセタカムイ・g00048)の呟きとともに、ざす、ざす、と足音。
「あらあら……なにやら大所帯ね?」
 薄ら笑みを浮かべ、こちらへ姿を現す女、ひとり。
「せっかく、いい具合に心折れた武士を見つけたというのにねぇ……残念だわ」
 浮かべた笑みは邪悪。人を虫か何かと見下す酷薄さが金眼に輝く。
 鬼だ。人に仇なす鬼が、そこにいた。

「……なるほど、あれがジェネラル級。たしかに、アヴァタール級とは一線を画すようだね」
 灯楼・弐珀(絵師お兄さん・g00011)は、すっと目を細め、それ……すなわち、『天の魔?』立烏帽子という銘を持つ鬼を観察した。
 わけても彼が注目したのは、立烏帽子が腰に佩いた三振りの妖刀である。
 妖刀。ひとつは血染めの包帯を巻かれ、ひとつは黒鞘、ひとつは血のように赤い柄を持つ。禍々しい気配の妖刀、三振り。
 抜かずして、それが人の世にあってはならぬとわかる、妖しの刀と書くに相応しい雰囲気を放っていた。
「だが、思ったほどじゃねえな。噂の関羽には、さすがに劣る気がするぜ。ま、それでも段違いではあるんだろうがよ」
 強気な言葉を吐き捨て、菱神・桐梧(喧嘩屋・g05613)は一歩前に進み出る。
「ほーぅ……噂にゃ聞いてるぜ、それが人を鬼に変える刀か。いいねぇいいねぇ、"らしい"気配纏ってるじゃねえか」
 一方で、山本・一郎(呪喰い・g04252)もまた妖刀を注視し、楽しそうに哂った。
「ちょっとおじさんとお話しようじゃねぇか? 妖刀ってぇのに、ちょいと縁があるもんでね。ま、趣味がてらってとこさな」
「ふうん。このアタシを前にして、どいつもこいつも減らず口を叩くものねぇ」
 不敵な一郎の物言いに、立烏帽子は目を細め、くすくすと鈴の鳴るような声で笑った。それだけ余裕綽々ということだ。
 事実、立烏帽子は、ジェネラル級という枠組みの中では――純粋な戦闘力のみで言えば――けして上位ではない。
 しかし、級位の違いは絶対的だ。ゆえにこそ隙があり、ゆえにこそ決戦の場に引きずり出すことが肝要なのである。
「鈴鹿の山の立烏帽子、私も聞いたことがあります」
 マガミは突撃槍を、立烏帽子に向けた。
「天魔、鬼、大盗賊……どれが正しいとしても、私はただのあなたの敵。刀を雨のごとく降らせたとて、抗ってみせましょう」
「お武士様も言ってたぜ。あんな刀、頼まれたくも振りたくねえってよ!」
 その言葉に乗るようにして、桐梧も敵を挑発した。
「妖刀ってな、手負いひとり落とせねえのか? 拍子抜けだぜ!」
「妖刀……まだ描いたことがないのですよ。だから、ええ、じっくりと見せてもらいたいんだ」
 にこり。弐珀の浮かべた笑みもまた、どこか不気味だ。
「……ってわけだ。根堀り葉掘りじっくりと、聞かせてくれや」
 四人の言葉に、立烏帽子は肩を揺らし、ついにこらえきれなくなったのか爆笑する。
「あっははは! そう、そこまで死にたいの。なら、ええ、いいでしょう。ただし……狙い通りの刀を使うのは興醒めよね?」
 立烏帽子はつい、とマガミを一瞥した。
「ここは『小通連』でお相手してあげるわ、命知らずの愚かな人達。瞬時に最適解を思考しうるアタシの剣、どうぞ耐えきってごらんなさいな?」
 傲慢にして不遜。鬼の爪が柄をなぞり、そして握る。
 瞬間、じとりと張り付くようだった大気は、鋭い氷柱めいて一同の背筋を突き刺した。……妖刀が、放たれる!

 マガミは、生来の敏捷と突撃槍の扱いで。
 弐珀は、己の内に在りし『創造の悪魔』とさらに深まり、肉体を変異させることで。
 一郎は妖刀の呪咀を己の身に取り込み、力と変えることで。
 それぞれに瞬時にして迅雷の如き速度を得て、恐るべき踏み込みを前に散開した。
「なら一番手は俺だ! 殺してみな、立烏帽子!!」
 これに対して、あえて真っ向から迎え撃ったのが桐梧である。
 避けられない。その確信が、奴の踏み込みの起こりを見た時点で得られたし、そもそも彼は避けるためにここへ来たのではない。
 奴の剣を受け、耐える。そうして奴を刺激し、来たるべき戦いのための布石となす。
 筋肉が緊張し、鋼鉄の如き硬度を得た。構えた巨槌は盾のごとく、並々ならぬ攻撃すらも防ぎきるだろう。
 まさしく盤石。そこに覚悟と意気とが合わされば、いかなアヴァタール級とて、肉を割るとて不可能――な、はずだ。

 されど。
「面白い男ねぇ。武士であったなら、アタシの妖刀で変えてやったのに」
 くすりと、小悪魔めいた声が響いた瞬間には、その鋼鉄の肉鎧はまっぷたつに割かれていた。
 逸らそうと張った鎖が、断ち切られている。弾こうとした太刀は、くるくると宙を舞っている。
(おいおい。順番に使うつもりだったんだぜ)
 桐梧は心の中で失笑した。痛みが遅れてやってきたのは、切れ味があまりに鋭すぎる証左だろう。
 燃えるような痛みが真一文字に走り、桐梧はがくりと膝を突く。ぼたぼたと血が地面を汚した。

「そこ!」
 マガミは狙いを逸らすため、あえて突撃槍で刺突を繰り出した。攻撃ではない、フェイントだ……それも敵のカウンターを誘うための。
「たしかにお前の言う通りよ。お前は、アタシのただの敵だわ」
 ばさり、と黒髪が広がる。立烏帽子はわずかに胸をそらし、刺突を当然のように避けていた。
 感知していたのではない、読んでいたのだ。それもマガミの癖を観察したとか、予測したのではなく、ここでならそう来る……そういう思考を瞬時のうちに行っていた。
 どんな複雑な盤面でも、理論上は手数は有限だ。数億、数兆、それを超える数とて、いずれ数には限界がある。
 遊技盤がそうなら、戦いもまた同じ。少なくとも、この魔剣『小通連』を振るう立烏帽子にとっては。
 斬撃が放たれている。それを認識し、槍を返して石突で迎撃しようとしたマガミの反射能力は、見事と言える。
 それさえも読んだ立烏帽子は、太刀筋を蛇めいてうねらせ、少女のしなやかな肌をばっくりと斬り捨てていた。

 土が爆ぜた瞬間、恐るべき笑みを浮かべた鬼が、弐珀に迫る。
「素早いね。もっと見せてくれ」
 不敵。カトラリーセットの絵を現出させると、巨大なスプーンやナイフを武器めいて扱い、小刻みな斬撃を弾き返す。
「へえ、器用ねぇ? どこまで耐えられるか試してみようかしら」
 立烏帽子もまた笑っていた。一撃ごとに斬撃は鋭く、速く、重くなっていく。小手調べを重ねているのだ。
「もっとよく見せておくれ」
 弐珀は笑っていた。
「もっと、よく、よぉぉぉく、見せておくれ」
 常軌を逸するほどの執念と欲求を込めて、霞じみた速度の斬撃を、その身のこなしを、視線の行くところを狙いを体捌きを観察し記憶し分析し理解し――そして。
「なら、これが最後よ」
 それまでのすべてを超えた、最適かつ最速かつ最大の斬撃が、悪魔の身体を袈裟懸けに叩き斬った。

「おい、俺の相手もしてくれや!」
「待ちきれないのかしら? 死にたがりは理解出来ないわねぇ」
 剣気をぶつけられた立烏帽子は、薄ら笑みを浮かべ、一郎に振り返る。振り返りざまの斬撃を、一郎は伏せて回避。
(ああ、いいねぇ。こりゃ"本物"だ)
 男の血は滾っていた。彼は残念ながら、どうしようもないほどの人でなしだ……なにせ、人を斬らずにはいられない。
 それが彼にとっての「普通」であることが、なにより異常であり異様なのだ。
 ぎらぎらと死んだ目を輝かせる男を、鬼は笑いながら斬る。斬られて哂う、まさに狂気の所業と言えよう。
「さぁ見せてくれよぅ、聞かせてくれよぅ、お前さんの"妖刀『小通連』"!」
 呪咀が身を侵す。痛みが走る。なんのことかと一郎は哂っていた。
 それが心地よいのだ。マゾヒズムなどと生易しいものではない、常軌を逸した快楽。いとおしいまでの執念。
 千の言葉よりも、一の剣戟こそが、一郎に雄弁にすべてを教えてくれる。
 あらゆる回避の目を潰して叩き込まれた斬撃は、まさにその一だった。

 かくて、ディアボロス達はたった一振りの妖刀を浴び、蹴散らされた。
 全員死亡。それで終わり。立烏帽子はつまらぬと髪をかきあげて去ったかもしれない。

 そうなるはずだった。少なくとも彼女の中では。
「……へぇ」
 ふわりと、最初に立っていた場所に降り立った立烏帽子は、ようやく嘲笑と余裕以外の感情を瞳に浮かばせた。感心。
 四人いずれも、斬撃を受けて、斃れていない。
 膝を突きかけた桐梧はそれをこらえ、立つ。
 はらわたをぶちまけていておかしくなかったマガミは、突撃槍を支えにするでもなく屹立している。
 強化された悪魔の肉体をなおも斬り伏せるほどの斬撃を浴びた弐珀は、相変わらず血まみれで笑っていた。
 そして、一郎。瞳の奥の熱はさらに焦がれるように高まっている。
「アタシの一刀を耐え抜くなんてね。褒美として、その命……」
「何か、勘違いをしていますね」
 踵を返しかけた立烏帽子は、ぴたりと足を止めた。

「……は?」
「私達は、斃れていませんよ」
 鬼が振り向く。己の健在を知らしめるように、桐梧はがつんと拳と拳を叩きつけた。
「一山いくらのナマクラなんぞ、どんだけ持ってきたって無駄だってことだよ! 鍛え直してきな!!」
「…………」
 薄皮一枚。斬撃は桐梧のはらわたまでは届いていなかったのだ。
 無論それは、偶然などではない。彼が、狙ってそうしたのである。
「おや、残念だなぁ。立烏帽子くんったら強いのに」
 弐珀は、戦闘の緊張感をふっと切らして、これみよがしに肩をすくめる。
「まさか、逃げるだなんて」
「…………逃げる?」
「違うのかな? なら、もっと君を魅せておくれよ。絵の参考にしたいんだ」
 弐珀はまくしたてた。
「僕は生きてるし、君は強い。なら、戦うのが筋だろう? まさか……逃げないよね?」
「そうだよぅ、もっともっと、じっくりきっちり、教えてくれよ」
 一郎が血を拭った。
「嫌だっつっても、趣味人ってぇのはしつこくつきまとうぜ。お前さんは一振りしか使っちゃいねえじゃねえか、なあ?
 それでも立ち去るってんなら、覚悟しとけや立烏帽子。俺ぁ、最期まで、お前さんにこだわり続けるぜ?」
「…………は」
 立烏帽子は、それを一笑に付すことも出来たはずだ。
 しかし、聞き捨てならなかった。ことに、弐珀と桐梧の挑発は、際立ってその逆鱗に触れていた。

 だがここでムキになれば、それこそ己の格を落とすことになる。
 それが、何より奴の腹を煮えくり返す。立烏帽子は言う。
「次は、確実に、殺してやる」
 滴るような殺意である。だがいまさら、ディアボロスは恐れなどしない。最初からそうだ。
「覚えておきなさい。その言葉。そしてその言葉を、アタシに放ったことを」
「捨て台詞としちゃ三流だな」
「……お前達!!」
 鬼の怒声が手下を呼ぶ。
「こいつらを揉んでやりな。……殺せ!!」
 敵を見下した。その時点で奴は見誤っていた。いまさら宗旨変えすれば沽券に関わる。ゆえに手は出せない。
 ディアボロス達の挑むような眼差しに怒気を滲ませ、それでも立烏帽子は去らざるを得なかった。
 屈辱。千の傷をも上回る土を、彼らは己の生存と健在によって叩きつけてみせたのだ!
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【強運の加護】がLV2になった!
【怪力無双】LV2が発生!
【腐食】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【Nyx】
連携、アドリブ歓迎

玄正さんの事は、皆が上手くやってくれただろう
立烏帽子と相対した方々に追撃がないよう立ちはだかろう
……面倒な置き土産を残してくれるものだ

連携重視
ご挨拶に早業のフラッシュ弾を
【飛翔】し空中戦での牽制を行う
立体的に飛び回り、死角から銃撃を加えて相手の体勢をかき乱す
相手ばかりに有利は取らせない

相手の動きを観察し、攻撃動作や癖、隙を看破
敵味方の配置を見て、多方向から不意打ちの攻撃を重ね
隙を作り出して、仲間の機に繋げよう
こちら側に隙があれば、逃さずリングスラッシャーで貫通撃を叩き込む

一か所に留まらず、的を絞らせず攻撃を回避
魔力障壁を展開し防御

幸運と臨機応変、使える残留効果を活用


アリア・パーハーツ
【Nyx】
アドリブ・連携は大歓迎!

少しでも戦力を削いで、こっちの有利にしようねえ
何より邪魔する奴らを残しておくのもなあ
ま、ボク様が暴れたいだけってのもあるんだけど…

パラドクス「地獄の踊り場」を使用
無数の銃火器を召喚し、味方には当たらないよう
角度を調整しつつ無造作に多方向へ乱射し続ける

残留効果【飛翔】を活用して敵を地に落としたり
【ダブル】で追撃の機会を作る

ヒールで戦場を駆け巡り、軽やかな動きで敵を翻弄
巨大な愛用武器「独鈷杵」を鎖でぶん回して引き摺り落とし、殴打による攻撃

人の邪魔はしない程度に、好き勝手暴れちゃうんだぜ
被害が出なさそうなら手榴弾の乱れ投げでもしてみよっかな?


クロスタール・ガイゼル
【Nyx】
連携、アドリブ歓迎

少しでも敵の数を減らしていきましょう
そうすれば後続もやりやすくなるというものです

使用パラドクスは【絶氷】
敵の的にならないように絶えず動きつつ、仲間の後ろから敵の動きを【観察】していく
敵の思惑を【看破】していき、その動きを仲間に伝えて攻撃の手助けとしてもらう
また、敵の不意打ち等が仲間に及びそうになれば、声掛けを試みて少しでも回避に役立てば

自身への攻撃は【フェイント】を入れつつ、【残像】で回避を試みる

仲間の攻撃が敵の隙を作れば、それに合わせて【絶氷】を発動
『クロスタールの名に於いて標榜する! 身近なる友よ、凍てつけ!』


今咲・栄華
【Nyx】
ボスも行く、進行優先どうぞ
連携、アドリブ歓迎

加勢するよォ
そっちが地形を帰るンならアタシのパラも面白い軌道を描くかもなァ
投げた石が屋根を転げ枝に当たり落ちた葉が鳥を惑わし…細かい経緯はわからンが最終的には置いたイヤリングが振動で混ざり爆発し君らは巻き込まれる。
…はは、アタシの背後を取ったつもりがさらに背後を時間差で爆発させるだなんて君らも意表を突かれただろ。「撹乱」されたァ?


●天狗、来たる
 立烏帽子は、その面子を完全に潰された。
 余裕綽々で現れておいて、もったいぶって妖刀を振るい、されどディアボロス達は斃れず真っ向挑発してみせたのである。
 これほど奴にとって屈辱なことはあるまい。だが、ここで手を出せば、それは「私は敵を見誤った上に大人気なく本気になりました」と宣言するようなものだ。
 ゆえに奴は、手勢をけしかけた。それが、跳梁し襲い来る『黒虚天狗』どもである!

 対してこれを迎え撃ったのは、四人のディアボロスだ。
「玄正さんのことは、皆が上手くやってくれたようだ。立烏帽子と相対した方々への追撃を、やらせるわけにはいかないな」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は顔を顰め、天狗どもを睨んだ。
 まったく厄介な置き土産を残してくれるものだと毒づきたいところだが、そうもいかない。状況は待ったなし!
「少しでも戦力を削いで、こっちの有利にしようよ。邪魔する奴らを残しておくのもイヤだしね!」
 アリア・パーハーツ(狂酔・g00278)がそれに並ぶ。実際のところ、暴れたいだけという本音が表情からありありと見えた。
 しかし、それでも彼女が頼りになるのは間違いない。
「まだ大物が控えているようですからね。ええ、雑魚を散らすのはおまかせを!」
「加勢するよォ、本音言や、さっさとあのタカビーな女撃ちてェけどな」
 クロスタール・ガイゼル(良い狐・g01139)と今咲・栄華(ゲットワイルド退職・g00910)が加わり、彼らは襲いかかる天狗どもを真正面から迎撃した。
 今はこれでいい。いずれあの立烏帽子を滅ぼすその時まで、やれることをやる。彼らは冷静で、そしてしたたかなのだ。

「まずはご挨拶だ。受け取れ」
 最初に口火を切ったのはエトヴァ。天使の翼を広げて空に飛び上がると同時、漆めいた黒に彫金の施された流麗な拳銃から、まばゆい閃光弾を放ち、敵の視界を奪った。
 天狗の群れは同じく空に舞って応じ、追尾能力を持つ呪いの黒羽根矢を放つ! 四方八方から襲いかかる黒き殺意!
「遅いな。数を揃えれば、俺を射止められると思ったか?」
 まるで踊るような見事な空中機動を描き、エトヴァは黒羽根矢をかいくぐり、逆に天狗の死角を取って銃撃を叩き込んだ。
 一瞬にして敵の動き、あるいは癖を読み取ったエトヴァの眼には、奴らの攻撃はまるで止まっているように見えるだろう。
「目には目を、弾幕には弾幕をってね! 好き勝手暴れちゃうんだぜ、もちろん迷惑はかけない程度にだけどさァ!!」
 地上。カカッ、とヒールを高らかに鳴らし、アリアはそれ以上の楽しげな声音で叫ぶ。
 続いて空気をつんざくのは、『地獄の踊り場(クレマツィオーネ)』で召喚された無数の銃火器、そしてその銃声!
「踊れ、狂乱の名のもとに! 逃しなんてしないけどねッ!!」
 BRATATATA!! 鼓膜を破らんばかりの銃撃交響曲ががなりたて、蝿めいて飛んで逃れようとする天狗どもを穴だらけにし、撃ち落とす。
 もちろん連中も、空中から対地攻撃として黒羽根矢を放つが、アリアの機敏な動きはそう簡単には捉えられない。
 独鈷杵を鎖で振り回し、空中を飛び回る天狗を縛り付けて引きずり下ろすと、喜色満面で拳を叩きつけるほどの猛威!
 まさしく蹂躙だ。奴らが、蹂躙される側なのだ!

 二人の機動力によって、敵集団の足並みは大きく乱れた。
 ここまで敵の動きを観察し、奴らの狙い……つまり包囲戦術を見きったクロスタールが声をあげる。
「こちらを囲んで撃ち落とすつもりです、囲まれないように注意してください!」
「了解した!」
「囲まれるぐらいなら囲んでやるよ、銃でね!!」
 エトヴァ、そしてアリアは警告を素直に受け入れ、さらにスピードを増して敵を翻弄する。
 リングスラッシャーと独鈷杵が乱舞し、敵を地へと引きずり落とした。その隙を逃すクロスタールではない!
「クロスタールの名において標榜する! 身近なる友よ、凍てつけ!」
 口訣によって空気中の水蒸気が恐るべき速度で魔術冷却され、黒羽根矢を放とうとしていた天狗を氷漬けにしてしまう。
 その攻撃の隙を狙い、別の天狗が襲いかかろうとするが、突如としてKBAM!! と盛大な爆発が発生し、天狗を爆煙が飲み込んだ!
「残ァん念、トラップ敷設済み、ってな」
 栄華である。彼女のパラドクス『使えるものは猫の手でも使え(アームズ・アンド・クラフツ)』は、複雑怪奇なカラクリトラップを一瞬にして構築するという特殊な術式だ。
 なお、爆発して丸焦げになった天狗がぼとりと地面に落ちると、その身体に小さな旗が立った。何故?
「栄華さん、後ろに来ていますよ!」
「わってるわってるってばァ、そっちも用意すんでっからさ」
 クロスタールの警告に対し、栄華はへらへらと余裕の笑みで笑った。そして……KA-BOOOM!!
「ほら、な? アタシの背後を取ったつもりが、さらに背後で時間差爆発だ。君ら、意表を突かれたろ?」
 そしてまた、やっぱり旗が立つ。だから何故?
「てなわけだ、ここから畳み掛けちまえ!」
 栄華の号令のもと、三人はさらに天狗どもを攻め立て、撃ち落とし、叩き潰し、氷漬けにしてその勢いを削いでいく。
 たとえ数で劣ろうと、極めて高度な連携と応用力の高さこそが、ディアボロス達の武器なのだ。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【飛翔】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV4になった!
【アクティベイト】LV1が発生!

橘樹・六華
ばさばさ飛んでるの邪魔だなぁ。
ここはパラドクスの結界に閉じ込めちゃおう。ついでに【罪縛りの鎖】も重ねて利用すれば効果ドン!封じこめちゃうんだから。そのままそこにいて動かなくなってくれればいいんだけど。
相手の攻撃も結界で防ぐか、式神で相殺してしまえば楽かな。

もしこっちに近づいてきたら遠慮なく刀で切り伏せるだけ。
これでも【殺気】の感知はできるし、【臨機応変】に動く事は日ごろの好奇心で動く事からも得意だよ。
ね、だからおとなしくやられてよ。そしたら苦しまずに送ってあげられるから。


珠々院・アンジュ
※連携・アドリブ可能です。
「敵ですね。殺しましょう」
無表情で淡々と喋りますが無口ではありません。
他の人ともコミュニケーションは取れます。
敵に対しても淡々とした口調ですが荒くなります。
成功のため自身の持てる技能は惜しみ無く使います。
表情には出しませんが、相手を呪詛で侵食することに愉悦を感じています。


 パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。自身の怪我は疎く気にしません。
他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


●天狗の落つるとき
 天狗の群れの動きは、大きく分けてふたつある。
 ひとつはバサバサと激しく羽音を立て、めまぐるしく動くことで敵を撹乱する陽動班。
 もうひとつは、羽音を消し、ディアボロス達の死角を突こうと巧妙に動く、奇襲班だ。
「ばさばさ飛んで、こそこそ忍んで、どっちも邪魔だなぁ」
 橘樹・六華(常葉雪片・g03430)は顔を顰め、罪縛りの鎖を放つ……が、クロノヴェーダを囚えるには至らない。
 陽動班の動きは、陽動とわかっていてなお無視出来ぬほどに機敏であり、少しでも隙を見せれば袋叩きに遭うだろう。
 それは、迂闊に攻撃しても同じこと。六華は、敵を一網打尽にするタイミングを見計らう。
(「近づいてくるなら、それはそれでカウンターを叩き込めばいい……けど、ダメージは避けられないかな」)
 たとえ気配を消しても、殺気というのは完全に消せるものではない。
 六華の鋭い感覚なら、針のごとく細い殺気を感じ取るのも不可能ではないのだ。

 そんな彼女の後ろを守るように、敵と六華の間に割って入ったのは、珠々院・アンジュ(エントゾルグングフルーフ・g05860)だった。
「あちらの奇襲役は、私が叩きます。陽動をしている連中を存分に叩いてください」
「本当? ありがとう!」
 アンジュの面持ちは鉄面皮のごとく無表情だが、没交渉というわけでもない。
 その無表情は、氷のような相貌のうちに煮えたぎる憎悪と怒りの炎がゆえ。
 ディアボロスとは、怒りによって立つ者。その点から言えば、アンジュはまさしくつわ者と言えよう。

「さあ、かかってきなさい。殺してやる」
 アンジュの、静かだが苛烈な憎悪混じりの殺意が、二体の天狗を打ち据えた。
 まるでその殺意に恐れをなしたかのように、奇襲役が挑みかかる。アンジュの両拳に、くろぐろとしたオーラが鎧った。
「この呪いを味わえ。そして悶えろ。苦しめ、生きていることを後悔しろ……!」
 拳に纏うは、己に宿る呪い。それは呪咀をもって侵食する毒であり、アンジュに昏い愉悦をもたらす邪悪だ。
 だがそんなことはどうでもいい。敵を……憎きクロノヴェーダを殺せるならば、力の在処や種類など、どうでもいい!
 そんな激情に突き動かされるアンジュは、たとえ錫杖で叩こうが突こうが、そうそう止められるものではない。
 いわば、激流だ。大河というものは、遠巻きに見れば穏やかで静かに見えるが、その実は岩を小石に変えてしまうほどに、激しく複雑な流れを秘めているもの。彼女の憎悪も同じだ。
「腐り果てて、死ね」
 錫杖がその肉を裂いた瞬間、呪いを込めた拳が、ヴェールの上から天狗の頭部を粉砕していた。
 一匹目が吹き飛んだ次の瞬間には、二体目の胴体に拳がめりこみ、侵食する呪いによって全身が腐り果て、爆裂した。

 これによって後顧の憂いを断った六華は、満を持して攻性式神結界を展開する。
 天狗どもは、奇襲役の四散を見て、遠巻きからの攻撃を選んでしまった。これが、奴らにとっての不幸だ。
 もっとも、仮に接近戦を挑んでいたとして、六華が遅れを取るはずもなかったが。
「おとなしくやられてよ。そしたら苦しまずに送ってあげられるからさ」
 六華の静かな闘気は、背後で敵を殴り殺すアンジュのそれとは何もかもが対照的だ。
 たとえ相手がクロノヴェーダとて、苦しまず一瞬で送ることができるなら、それに越したことはない。
 剣を振るうもの……殺すための技を鍛え上げたものであるがゆえに、彼女は「殺す」ことの重さを知っている。
 人類の歴史を奪い取った侵略者相手でも、彼女のアイデンティティが揺らぐことはない。

 一瞬で展開された結界は、天狗どもの逃走と回避を完全に封殺した。
 反撃が六華の肌を裂くが、すでに式神は放たれている。
「どうして、抗ってしまうんだろうね。私は心からそう願ってたんだけどな」
 ともすれば傲慢に思える台詞。されど、六華とトループス級の力量は、圧倒的に明暗が分かれている。
 見よ。閉ざされた結界のなか、荒れ狂う式神が三体の天狗をバラバラにし、滅ぼすさまを。
「じゃあね」
 六華の声音は、ガラスめいて透明だった。憎悪もなければ、憐れみもない。ただ何故という思いだけがある。
 黒をも塗りつぶすほどの透明。もしかしたらそれは、悪意よりも残酷なのかもしれない。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【ハウスキーパー】がLV2になった!
【腐食】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!

菱神・桐梧
アドリブ絡み大好き

次と言わず今殺しておけば良かったのによ。
ま、こっ酷くやられたが誰も死んじゃいない。
勝ちと言い張るには十分だな。

俺は無茶しても死にたがりじゃねえからな
腹も掻っ捌かれたところだし、チクチク攻めるとするか
まずは鎖分銅の【投擲】で牽制だ。せいぜいイラついて大技振ってくれよ?

適当に仕掛けて大技の気配を感じたら受けに回る
尻尾の振り下ろしが来た瞬間に【神速反応】、【ブラスト・チャージ】で下に潜りつつ突撃だ!
懐に飛び込んだら一気に攻めたて、大型リボルバーを全弾ぶち込み
あとは捨て身だ、根こそぎぶった斬ってやるぜ!


●大蛇を降す
 夜刀神。
 姿を見た者は、一族もろともに滅びるとされる、恐るべき魔物である。
 その名を冠したクロノヴェーダは、まさしく荒御魂……かの立烏帽子の都合のいいように動く駒だった。
 天狗を降したディアボロス達に、夜刀の名を持つ魔物が牙を剥く。あるじの言いつけ通り、縊り殺してくれようと。

 血の混じった唾を吐き捨て、菱神・桐梧(喧嘩屋・g05613)が鎖分銅をぶんぶんと振り回す。
「次と言わず、今殺しておけばよかったのによ。お前が十分だと思われたかね?」
 桐梧は腹部に真一文字の剣を受けていたが、斬撃はかろうじて臓物に届いていなかった。
 彼の鋼のごとき筋肉が、妖刀の斬撃から臓器を守ったのだ。
「だが、奴は背を向け去った……いや、逃げ出したっていうべきかね? つまり、こりゃ俺らの"勝ち"だ」
 シャアアア、と夜刀が威嚇する。桐梧の挑発に苛立っているのだろう。
 桐梧の口元に笑みが浮かぶ。彼は無茶をしがちな男だが、死にたがりではない。死ぬためにここに来たのではない。
「そうだ、もっと怒れよ……ご主人様のために、必死こいてかかってきやがれ!」
 言うやいなや、桐梧は鎖分銅を夜刀の頭部めがけて投げつけた!

 瞬間、夜刀は水銀のごとく素早く鋭くうねり、胴体の鱗で鎖分銅を弾いてしまう。
 その巨体ゆえに、仮に桐梧が鎖分銅で動きを妨げようとしても、拘束はうまくいかなかっただろう。
 だが問題はない……桐梧の目的は、最初から牽制だからだ。
(「イラついてんだろ? 来いよ、大技を」)
 夜刀はとぐろを巻き、地を滑るつむじ風めいて一回、二回と回転する。
 三回転目から放たれるのは、大地に亀裂を穿つほどの、強烈な尾の一撃だろう。
「来たな……!」
 桐梧は鎖分銅を手放し、鋭く呼気を吐き、爆発的速度で地を蹴った。
 どうっ!! と土が爆ぜる。弾丸めいたチャージで、尾撃の真下をくぐり抜ける桐梧!
「!?」
「ありがとよ蛇野郎、こっちの挑発に乗ってくれてよ!」
 BLAMBLAMBLAM!! 大型リボルバーが火を噴く。大口径の弾丸が、鱗を貫き、肉を劈き、向こう側へと飛び出した!
「シャアアアッ!!」
 夜刀は紫色の血を撒き散らし、のたうち回る。桐梧はリボルバーをリロードした。
「運がなかったな。つくべき主人を間違えたぜ、お前」
 ジェネラル級の一太刀を浴びたとは思えないほどの、気骨ある表情だった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【隔離眼】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!

マガミ・ゾーリンゲン
……これだけ手ひどくやられたのは、久しぶりかも
油断した、なんて負け惜しみは言わない

ちいさく息を吐いて。
頭は冷えた。今するべきことをやり遂げよう

祟り神の類いですか。蛇の祟りはしぶとそうね

「狼の牙」を携えてゆっくりと前へ歩き出す
巨体の蛇を、畏れる風もふない、静かな瞳で

敵が、私を叩き潰そうと素早く動こうとした、刹那に
一歩、二歩……から機先を制するように急激に加速(不意打ち、ダッシュ)

敵が、尾を振り落とすためにもたげた動きよりも速く。
「牙」を届かせる

≪星墜とし≫

これは、星を墜とす狼の牙
天翔けず、地を這う蛇がこらえきれますか?


●星を墜とす
 一矢報いるつもりだった。
 戦いを経て鍛え上げた己ならば、倒すと言わずとも一撃は届くだろうと。
 驕りと呼ぶには、マガミ・ゾーリンゲン(レタルセタカムイ・g00048)が経てきた戦いはあまりにも壮絶すぎる。
 彼女はけして増上慢などしていないし、素人でもなければ、井の中の蛙でもない。紛れもない強者だ。

 だが、それでも手の届かぬ域というものは、ある。
 全身に与えられた傷がその証左であり、つまりはこれは戒めとすべき教訓だ。
「……ふう」
 小さく息を吐く。瞬間的に沸騰した頭は冷えて、いつも通り静かに、穏やかに世界が見える。大丈夫だ、まだやれる。
 目の前の魔物は……神を驕るモノは、あれに比すれば脆弱ではある。だがアヴァタール級はそれ自体が強大だ。
 この傷で、どこまでやれる。不安がある……だからこそ、挑み、打ち倒すべき相手なのだ。

 狼の牙を携えて、マガミはゆっくりと前に歩き出す。
 畏れはない。油断もない。散歩するようにリラックスしてはいるが、神経を研ぎ澄まし一切の隙を殺している。
 静かな瞳を、蛇は睨む。一歩、二歩……。
「キシャアアッ!!」
 咆哮。その巨体からは信じられない速度で、夜刀が動いた!
「しッ」
 瞬間、マガミは風となった。そよ風から烈風へと、一瞬にして吹き変わるように。
 静から動への急激な変化は、夜刀の認識を揺るがした。
 風を捕らえることは出来ない。ましてや、神を驕る怪物になど。

 尾が振り落とされるよりも……いや、そうしようともたげた動きが、天頂に届くよりも疾く、牙が届いた。
 その技、銘を星堕としと云う。
 天を仰ぎ吠えるオオカミが如く、星を射落とす矢が如く。
 韋駄天も目を見張る速度を前提としてなしえる、至極単純な……しかしそれゆえに、視えたとして避け得ぬ迅雷疾風。
 矛盾の域にまで鍛え上げられた技は、超常をすら貫き、地平へと叩き落とすのだ。

 風が遅れて吹きすさぶ。
 一直線に貫かれたエネルギーが迸り、空へと届かんばかり。
 夜刀の身体など、一撃で穿つが必定。
「天翔けず、地を這う蛇が、雷を捕らえることなど出来ませんよ」
 いつか、あの身へと必ず届かせてみせる。
 それは、少女なりの意思表明でもあった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

今咲・栄華
【Nyx】
凄いモン隠してやがったか、ここまで来たらァ皆で囲ってボコるだけよォ、なあ?
「しっぽで西のアタシを攻撃するなら頭は東…ってな」
頭と身体の方にドローンを飛ばして投下による爆撃だ。
さらにドローンには持ち込んだ武装のワイヤーを絡ませてある
絡めて縛り上げて動きにくくしてしっぽ攻撃も威力を弱めれりゃ
アタシも避けるのが楽になるはず。

アドリブ・連携・分離お任せ


灯楼・弐珀
【Nyx】
連携、アドリブ歓迎

妖刀まだ全部見れてないのに…まぁいっか
死なずに生き延びれたなら問題無し、さ

爆撃かぁ、実に派手だ

ともあれお陰で、妖刀の一振りを良く視て、感じて、身を持って味えた
やはりインプットは絵を描く上でも大事だよね
百聞は一見に如かずとはこの事さ

カラトリーセットの絵はまだ複数残していたからねぇ、使い勝手良くって
ともあれ襲い掛かってくる牙はスプーンで弾き、時に叩き付け、ナイフで切ってフォークで刺して

呪の牙、其れもどんなものかは大変興味がある
よぉく見せてよ、ね?

悪魔くんには空中から魔力の弾丸とか飛ばしてもらって援護頼もうかな
『仕方あるまい、……後で対価を儂に頼むぞ?』
あぁ、当然だとも!


相原・相真
アドリブ・連携歓迎

こんなに多くの人が来てくれている
なら、俺だってやるべき事をやらないと
あの蛇を倒して、この戦いを終わらせます!

残留効果2は全て使用
[観察・看破・臨機応変]で
冷静に状況を把握しながら戦闘

敵からの攻撃は魔力障壁で防御
呪いの力は[忍耐力・精神集中]で耐えます

攻撃としては【託されし願い】の力も込めて、角を叩き折るつもりで夜刀の頭に向けて思いきり全力の[強打]で拳を叩き込みます

もし敵を倒せたら、玄正さんに挨拶を
これから玄正さんはどうなさるんですか?
…どうであれ、まずはどうかお元気で
貴方のこれからに幸ありますように、祈っています


●かくて、決着のとき
「あーあ、まだ妖刀全部見れてないのに……まぁいっか」
 けして無事ではない有様で、それでも灯楼・弐珀(絵師お兄さん・g00011)は残念そうな声をしていた。顔は笑んだままだ。
 斬られることを好ましく思うわけではない。彼はただ、本当に……立烏帽子の妖刀を、技を、執着を、憎悪を怒りを……その眼に収めたかっただけなのだろう。
「言ってる場合かよォ、向こうはすっかりやる気だぜ」
 今咲・栄華(ゲットワイルド退職・g00910)が、夜刀を顎で示す。その通り、奴はやる気だ。
 主人の命令に盲目的に従う怪物、それが、神を驕る大蛇の本性だ。
「つゥか、やれンだよな? その身体で」
「もちろん。死なずに生き延びられたんだから問題なしだよ」
 たいしたタフさだ、と、栄華は呆れた。弐珀はにこにこと笑ったままで、それが強がりなのかどうかもわからない。
「立烏帽子の攻撃を受けきったばかりか、それでもまだ戦おうとするなんて……俺も、やるべきことをやらないと」
 そんな弐珀のタフネスに、相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)は感心したようで、いっそう奮起した。
 他のディアボロス達が天狗の相手をしてくれたおかげで、玄正は安全な場所に避難させられている。
 そも、奴の狙いは我々なのだ。立烏帽子は「こいつらを殺せ」と命じたのだから。
 つまり、もはや待ったなし。
「シャアアッ!!」
夜刀が、戦いを告げるゴングめいて吠えた!

 まず最初に、夜刀は、その巨大な体躯を生かした尾撃でディアボロス達を薙ぎ払おうとした。
 フィクションにおいて、巨体は鈍重とイコールで結び付けられがちだ。しかし、それはあくまで空想上の話。
 身体の大きさはすなわちフィジカルの強さに直結し、筋肉量が多ければそれだけトップスピードは上がる。当然の話だ。
 尻尾を振り上げ、攻撃態勢に移行するまでが、恐ろしく疾い!
「尻尾で西のアタシを攻撃するなら、頭は東……ってな!」
 だがこの素早い攻撃は大振りであり、来ることを予期していたディアボロス達なら十分に反応しうる。
 栄華はすでにドローンを飛ばしていた。狙いは身体とその向こう側……槍の一撃で血まみれになった頭部への爆撃!
 尾が誰もいない地面を叩いた瞬間、まったく同時に爆撃が着弾、爆炎が炸裂し頭部を包み込んだ!
「爆撃かぁ、実に派手だ。カラフルでいいね、画になるよ」
「だろ? ここまで来たらァ、皆で囲ってボコるだけだもんなァ!?」
 ドウ、ドウッ! 立て続けの爆撃が、夜刀の防御を崩す。
 弐珀は再び空中にカトラリーセットを描くと、実体化したそれらを叩きつけ、あるいは突き刺して鱗を砕いていく。
「これで決着……とは、いかないようですね。角に気をつけてください!」
 相真は二人に警戒の一声を飛ばし、同時に魔力で障壁を張って、敵の反撃の勢いを削ごうと試みた。
 爆炎を振り払った夜刀は、頭部に生えた角を刀に変化させ、その巨体すべてを駆動させ、ぶうん! と大太刀を振るう。
「まだ暴れる元気あんのかよ! あっちもタフだなァ!」
「いいじゃないか。呪いの牙に妖しの角、どっちも気になるよ。インプットは絵を描く上で大事だからね」
 どうやら、弐珀の表情を見る限り、強がりで言っているわけでもないらしい。
 爆炎を切り裂いて突進してきた大蛇の噛みつきを、スプーンで弾き、ナイフで受け、フォークを口蓋に突き刺して凌ぐ。
「よぉく見せてよ。君のすべてを」
 創作とは狂気だ。己の命を代価にしても、戦場で得られるインスピレーションの価値には余りある。
 さらに傷つき、牙で肉を裂かれながら、弐珀はけして退こうとしない。その執着が、逆に夜刀の狙いを彼に集中させる。

「うねうねぶんぶん危なっかしいな! いい加減……おとなしくしろ」
 栄華は、ドローンにワイヤーを絡ませておいた。
 攻撃に巻き込まれずにいたドローン達が複雑な軌道を描いて飛行し、そのワイヤーでがっちりと夜刀の巨体を縛り上げる。
「キシャアアッ!?」
「これでもううねうね出来ねェだろ、なァ?」
 夜刀は頭部の角を再び刀に変じさせて、ワイヤーを斬ろうとする……が、そこですでに、相真が頭部後ろに跳んでいた!
「この戦いを終わらせます……! 『機構腕・超過駆動(アームズアーム・オーバードライブ)』ッ!!」
 一時的な限界突破で加速を得た相真の拳が、刀に変じた角を叩きのめし、バキン!! と派手に砕いた。
「ガアアアアッ!?」
「うん、こんなところかな。ありがとう、全部見せてくれて」
 弐珀が悪魔の絵を描く。それは水に流れる絵の具めいて歪み、無数の光弾と化した。
「それじゃあね」
 破滅の光が、身動きの取れない夜刀を貫き、爆散せしめた。


 戦いが終わったあと。
「……玄正さん、これからあなたはどうなさるんですか?」
 相真に問われ、玄正は眉をハの字にし、苦笑いを浮かべた。
「まずは、剣以外でできることを探すつもりだ。ひとつに執着しすぎていたのが悪かったのだ、きっとな」
「あァ、わかるよそういうの。会社も同じだもんなァ」
「うーん、僕にはピンとこないかな。サラリーマンとか窮屈そうだからね」
 うんうんと頷く栄華と、のほほんとした弐珀。
「武士の生き様を会社勤めと同列に扱えるかは、わかりませんが……」
 相真は曖昧に言葉を濁し、改めて玄正に向き直った。
「どうであれ、まずはどうかお元気で。あなたがこれからどうするにせよ、幸ありますように」
「人生終わったなんて思っても、なんとかなるもんさ」
「含蓄があるね、その言葉。難しく考えすぎるのがよくないのは、同意するよ」
 3人の激励を受けて、玄正は莞爾と笑った。晴れやかな表情だ。
「かたじけない。貴殿らの行く末にも、どうか勝利のあらんことを……」
 玄正は恭しく一礼し、傷ついた身体をおして、力強く歩き出した。
 その背中を見送り、ディアボロス達もまた帰途につく。次の戦いへ挑むために……。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【隔離眼】がLV2になった!
【液体錬成】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2021年12月17日