ルール炭鉱破壊作戦

 ゾルダート秘密工場から手に入れた裏帳簿や鉄道網の調査から、機械化ドイツ帝国を支える資源が採掘されている鉱山の位置が判明しました。
 それがルール炭鉱です。
 ルール炭鉱から採掘された資源は、ルール工業地帯でサイボーグ機械に組み立てられ、鉄道網を利用して機械化ドイツ帝国各地に運ばれているようです。

 ルール炭鉱では、多くの一般人が劣悪な環境で働かされています。
 彼らは、近隣地域から非合法な方法で集められた一般人達で、毎日のノルマを果たさない限り喋る事さえ出来ないという労働者の首輪を嵌められ、酷使されているようです。

 このルール炭鉱を支配するクロノヴェーダを撃破し、資源の採掘を止める事が出来れば、ドイツ機械化帝国の戦略を大きく狂わせることが出来るでしょう。

アップグルンド(奈落)の炭鉱崩壊作戦(作者 塩田多弾砲
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#機械化ドイツ帝国  #ルール炭鉱破壊作戦 


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 ルール炭鉱。
 そこは、陰鬱な雰囲気を漂わせていた。さながら『アップグルンド(奈落)』のようなそれを。
 かくして、奈落の名を持つ炭鉱の坑道内へ、下る者がいた。
『……状況は?』
『芳しいとは言えません。鉱石採掘量は右肩下がりです』
 隣に控えた『機械化ドイツ帝国一般研究員』。
 彼の返答を聞き、『ブレンメン・メンシュ』は、喜ぶべきか、憂うべきか、悩んでいた。
『そうか、ならば仕方ない。作業員を二~三人ほど見せしめにするとしよう』
 坑道を通り、炭鉱の中、大きく広い空間内に降り立ったブレンメン・メンシュは、命じた。
 研究員は隣で、それを聞き取り叫ぶ。
『聞け! 労働者ども!』
 石炭を掘り出し、トロッコにそれを乗せていた労働者たちは、すぐに動きを止める。
『えー……偉大なる炭鉱責任者、ブレンメン・メンシュ様は、より多く石炭を掘り出せとの事だ! 最低一人一日10トン! さあお前ら、働け! 一日30時間労働は当たり前だと心得よ!』
「…………!」
 彼ら労働者たちは、全てがそれに従うつもりはないらしい。何人かは、無言で犯行の意を示している。
『……研究員その壱、命令を下す』
 ブレンメンは命じた。
『反抗的と判断した労働者数名の首輪を、爆破せよ』
『はっ』
 そして、数秒後。
 惨劇の赤い花が何輪か、炭鉱内に咲いた。

「ええと、今回は……」
 グレーテルが、アプフェルショーレ(ドイツで飲まれている、炭酸水で割ったリンゴジュース)を飲み干すと、君たちに依頼内容を伝える。
「これまでの、ディアボロスの皆さんの活躍で、重要な情報が判明しました」
 これまでのディアボロスの活躍で、機械化ドイツ帝国の資源採掘の拠点が判明した。
 それが『ルール炭鉱』。
 この炭鉱を支配するゾルダートを撃破し、炭鉱を閉鎖に追い込めれば。機械化ドイツ帝国の戦略を、大きく狂わせる事が可能。
「この『ルール炭鉱』。俗に『アップグルンド(奈落)』と呼ばれています。『まるで地獄に続く奈落』を連想させる雰囲気から、なのですが」
 そして、そこから転じ。『アップグルンド』を『アップフェル(リンゴ)』と空耳したことから、ルール炭鉱の事をレジスタンス間では『アップフェル』という隠語で呼んでいる。
「炭鉱には、各所に爆弾をセットしており、現場監督のゾルダート……ブレンメン・メンシュの機能停止とともに爆破し、崩落する仕掛けが為されています。なので、アヴァタール級を倒せば、この炭鉱もともに崩れ、資源採掘拠点の一つを潰す事になります」
 もちろん、そう簡単にはいかないだろうが。

「それで、このルール炭鉱ですが……」
 各地から、非合法的な手段で攫われてきた、一般人が集められ、労働者として使われている。
「この労働者狩り……レジスタンス間の隠語では、『アップフェル・プリュンデルング(リンゴ泥棒)』と呼んでいますが、とにかくこのリンゴ泥棒たちが人攫いをしている場所の確認ができました。まずは、彼らにワザと捕まり、ルール炭鉱に潜入してください」
 潜入後、彼ないし彼女は、『首輪』をはめられる。
 この首輪には仕掛けが施されており、首にはめられると喋る事が出来なくなる。ノルマを達成しない限り、喋る事すらできず、訴える事が不可能に。
 ノルマを達成すると、この機能が一時的に解除され、発言が許可される。しかし、長くは許可できない。すぐに次のノルマが課せられるため、発言できる時間はわずか。長くとも十分程度だろう……と、グレーテルは言う。
 つまり実質上、発言を封じられると同様。
「この首輪、無理やり外そうとしたら、爆発します。これに加え、首輪をはめたままで炭鉱の外に出ても、爆発します。その爆発は、労働者の頭部を吹き飛ばして余りあるほどの威力がありますね」
 発言する権利のみならず、生きる権利すら、首輪は奪うわけだ。
「ですが、逆に言えばこの首輪冴無ければ、労働者たちは自力で脱出が可能です。首輪に頼り切っているため、炭鉱外部には一般兵士の見張りをわずかにおいているのみで、銃器すら装備していないそうです」
 とはいえ……と、グレーテルは付け加えた。
「首輪を無力化するためには、鉱山を支配するゾルダートから常時発信されている特殊信号を止める必要があります。つまり、『ブレンメン・メンシュ』と戦い、倒さねばなりません。それに加え、撃破すれば首輪の効力が失われるので、労働者のみなさんには、鉱山の崩落のどさくさに紛れて逃げ出すように話をしておくと良いでしょう」

 要は、わざと捕まり、この労働者たちの中に紛れ込み、炭鉱でアヴァタール級を倒せと、そういう事だ。
「それと……資源を採掘するだけならば、一般人の力など必要ないです。おそらく、一般人が過酷な労働を行い、多くの死者をだしながら採掘した資源が必要なのだと思われます。でなければ、もっと効率のいい機械やシステムを導入するはずですから」
 このゾルダートは、採掘のみならず、苦しめるという目的でこのような非効率的な事を行っている。それは君たちもすぐに気が付いた。
『リンゴ狩り』の業者は、この炭鉱近くの鉱山町「フェルス」。そこの宿屋や酒場に、この鉱山の関係者がいるらしい。彼らは獲物を見つけると、酒や料理に睡眠薬を入れて眠らせ、夜になるとこっそりと地下にあるトロッコ列車に運び込む。
 列車は地下を進み、ルール炭鉱へと到着。連れてこられた犠牲者たちは、そこで無理やり労働させられる事となる。
 ちなみに、地上から向かう事も容易との事だ。

「このゾルダートの悪行を止めて下さい。お願いします」
 パラドクストレインが敵ディヴィジョンに到着するまでは、他の仲間と共に作戦を練る事も可能。パラドクストレインは、車両が複数あるので、チーム毎に別々の車両で相談を練るのも良いだろう。
 この依頼を引き受けた君たちは、いかにして潜入し、いかにして敵に近づき、そして戦うか。その作戦を試案しはじめた。

 つるはしを振るいつつ、ラントは時間の感覚がマヒしている事を知った。
 ここに無理やり連れてこられて、もう何日だろう。死なない程度の硬いパンと水を配給されただけで、もう一週間は経過しているだろうか。
 一日に一人一トンをトロッコに運び入れろと言われた。しかし、一人でそんな量を運べるわけがない。なので『ノルマ不足』と言いがかりを付けられ、足りない分は次の日に上乗せになっていた。
 あの、バケツ頭(ブレンメン・メンシュ)と、その脇にくっついているマッドな科学者野郎たちは、俺たちが苦しんでいるのを見て、明らかに楽しんでいた。
 今や、ノルマは一人十トン以上。そんな量の鉱石を、道具も重機も無しで運べるわけがない。
 別の連中は、トロッコ用の線路を、一日最低500m掘り進めろなどと言われた。別のグループは、鉄砲水を一日でほぼ全てくみ出せなどと無茶な事を命じられている。
 この俺のグループは、坑道を崩して塞いだ岩を、一日で全て取り除け、などと言われている。何か重機や機械があれば、一日で何とかなるかもしれないが、ツルハシとハンマー、シャベルだけでそれを行うなんて、不可能だ。
 だがそれでも、やるしかない。
 愚痴の一つも言いたかったが、この首にはめられた首輪のせいで、なぜか声が出ない。読唇術で『あのクソったれ野郎たち』と声無しに言ってる仲間もいた。
 そいつは、もうこの世にはいない。友人のザントは、頭を吹き飛ばされていない。
 同じく友人のフェルゼンも、落盤に巻き込まれて死んでしまった。
 ここで知り合った爺さんのシュトロームも、鉄砲水に流されてしまった。
 同じく知り合った、若造のラウホは、噴き出した有毒ガスをまともに浴び、吸いこんでしまって死亡。
 俺は、生き延びる。生き延びて、恋人の元へ行かなきゃならない。
 彼女は、メーアは、俺の事を待っているんだ。だから、ここでくたばるわけにはいかない。はやく、戻らないと……。
 そう思っているのに、身体が、動いてくれない。たかだか二日三日ほど眠らず、掘り続けただけ。俺はタフなんだ、このくらい……、
 だが、ラントはそのまま意識を失い、倒れ、
 そのまま、立ち上がらなかった。

『なんだ? ……ふん、労働者108号が倒れたか。使えん奴だ』
 機械化ドイツ帝国一般研究員は、ラントを一瞥すると。
 周囲の労働者たちに運ばせた。
『しばらくしたら、水でもぶっかけて目を覚まさせろ。もしそれで立ち上がらなかったら……』
 処刑する。返答できない労働者へ、研究員は言い放った。
 変わりはいくらでもある。いちいち気になどしてられるか。
 研究員は、すぐに興味を失い、その場から立ち去っていった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【水源】
1
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
3
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【現の夢】
1
周囲に眠りを誘う歌声が流れ、通常の生物は全て夢現の状態となり、直近の「効果LV×1時間」までの現実に起きた現実を夢だと思い込む。
【一刀両断】
3
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【神速反応】
3
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【隔離眼】
1
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【トラップ生成】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【光学迷彩】
2
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【無鍵空間】
2
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【活性治癒】
3
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【修復加速】
1
周囲が、破壊された建造物や物品の修復が容易に行える世界に変わる。修復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」する。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【建造物分解】
2
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。

効果2

【能力値アップ】LV6 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV3 / 【ガードアップ】LV3 / 【反撃アップ】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV3 / 【アヴォイド】LV3 / 【ダブル】LV1 / 【ロストエナジー】LV2

●マスターより

塩田多弾砲
 こんにちは、塩田です。
 今回は、炭鉱に入り込んで、その現場責任者たるアヴァタール級を倒す、という内容になります。
 まず最初は、「②敵に誘拐される囮作戦」で、誘拐されてください。場所は近くの炭鉱町「フェルス」で、酒場や宿屋などで、自身をアピールすると眼を付けられやすいです。その際、「力自慢」「仕事を探している」「失業中で何でもする」「いなくなっても周囲に怪しまれない独り身」といった事をそれとなく伝えたら、確率が高くなります。
 誘拐され、現場の炭鉱に放り込まれたら、「①鉱山重労働」で無茶なノルマに挑み、それを成功させる必要があります。
 怪力系、あるいはそれに伴うパラドクスを用いる事で、クリアは比較的容易になるものと思われますが、易々とクリアして怪しまれないように若干注意をして下さい。
 ノルマを達成出来たら、休息時間が与えられ、その時間内のみ喋る事が可能になります。その隙に労働者たちと会話を交わし、情報を収集してください。
 ③取り巻きのトループス、及び④アヴァタール級との直接対決は、これらの後になります。また、トループスは数が少なく、しかもかなり弱いため、すぐにアヴァタール級に向かう事もあるかもしれません(と言っても非道な連中なので、やっつける事推奨ですが。アヴァタール級の知られざる情報も有しているかもしれません)。

 というわけで、皆様の参加をお待ちしてます。
72

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


イルヴァ・ヘレナ
「...偽装が有効か」
装備している鎧と武器を格納し路地裏にいる自身と同じくらいの背丈の浮浪者から衣服を買い取ろう。その後川に飛び込んだりして体を汚してから町での行動を開始する。

町での行動としてはそうだな...
酒を買い飲み歩きながら宿屋や食事処を転々としよう。その中で酔っ払いながら他の客に喧嘩を売ったり食事を食い散らかしたりして悪い意味で注目を集めよう。朝から行動するができるだけ浮浪者が酒飲みながらうろついているように行動して誘拐されるまで何日か続けよう。

浮浪者なら消えても誰も気にしないだろう、それと喧嘩する際だが怪力無双で体をもって投げるなどで力をアピールしよう。これで誘拐されれば良いが...


ラウム・マルファス
嘘は苦手だケド……まぁチョットならバレないカナ
大きな旅行鞄を持って安めの宿屋へ行くヨ。中身はみっしりナノマシン。ボクが持ち上げるときは、浮かせて軽々。床に置く時は浮かないようにして、床が軋むくらいの重さにスル。宿の人の興味が引けたら雑談しよウ

「中身?ナイショ。重いけど人間とかじゃないヨ、安心しテ。持ってみル?」
「ちょっとネ、色々あって夜逃げしてきちゃっタ、アハ。宿代はあるけどサ、その先がネ。あ、支払い、コレで足りル?」
小さな宝石のついた指輪。ホンモノだけど判別出来ないだろうシ、多少買い叩かれてもオッケー

「何かイイ仕事無イ?あと賭場と酒場の場所教えテ」
賭場はともかく、酒場はホントに興味あるけどネ


ウィレイニア・アルクィスト
うぅ……わざと誘拐されるのも怖いけれど、潜入する為だから頑張らないと。
私は宿屋で泊めて貰えないかお願いしてみようかな。

お金が無くて、でもでも野宿なんて出来ないし……。お願いします、一晩だけでも……!
あぁ……やっぱりダメだよね……。どうしよう、どこかに泊まれる場所はないかなぁ。
はぁ、お腹も空いて来ちゃったし……泊めてくれるなら私に出来る範囲でお礼だってするのになぁ……。

薄幸そうなオーラを振りまきながら、どうしようどうしようと宿屋の中を行ったり来たり。

連携やアドリブ歓迎します。


陣・頼人
まぁ、僕の場合見るからに貧弱そうだから装備さえ誤魔化せば普通に通りそうだけど、もう一芝居打たせてもらおうかな。
「お願いです! 何でもするから仕事をください!」
いかにも貧しそうな孤児といった風体を装い、酒場で【情熱】を込めた口調で訴える。
「親も亡くし、親戚も頼れなくて……僕には生きていくためのお金が必要なんです!」
相手にとって理想的なカモを演じれば、向こうも動き出すだろう。

少なくとも、僕が代わりになる事で誰かが狙われずに済むんだしね。


草薙・美珠
●目的
一般人を助けるため、わざと攫われ炭鉱へと潜入します。

●手段
一人旅で偶然フェルスにやってきた、いなくなっても怪しまれない人間として振る舞います。
酒場で鉱山関係者らしき人をみつけたら、何でもするから雇って欲しいと接触しましょう。

夜になったら、言われた通りその鉱山関係者の宿の部屋へと向かい、言うことを聞きますが……
えっ、ふ、服を脱ぐのですか!?

ですが、ここで断るわけにはいきません。
恥ずかしさで顔が真っ赤になりながらも服を脱いで全裸になり、全身をじっくり見られた上、さらに触られて……
ええっ、夜のご奉仕もっ!?

けれど仕方ありません……
不本意ながらも草薙流房中術で奉仕し貫かれて気絶してしまいます。


フレイティア・ユールアリア
人をさらい、利用する…
私達が一つになった時も、最初はそうして…

…今は思い出している場合じゃないわね
でも理由付けにはしてみようかしら

ボロ布を纏い、フェルスの宿屋に駆け込んで
どこからか逃げ込んできたように装いながら

邪教の所から逃げてきたんです…!
どうか匿って下さい!
助けていただけるなら何でもしますから…!

と、怯え、縋るように懇願するわ
念のため「他に頼れる親族や仲間もいませんから…!」と言うことも添えて…


無事宿に招待され、食事を差し出されたら
たくさん感謝しながら口にして…

急激に襲ってくる眠気の中
何でもする、って言ったよな?
といいながら、にやけた顔をした者たちが迫って来て
そのまま押し倒されて…


セシリー・アーヴェンディル
【アドリブ/連携歓迎】
孤児院を営むシスターを装い、酒場で仕事を求めていると話をする。
このご時世、寄付金も雀の涙で子供たちが飢えてしまっている。
唯一の大人である自分が何とかしなければと、身を切る思いでいる。
睡眠薬を盛られるなど夢にも思っていない、人の良いシスター。
……そんなふうに演じきれればいいのだが。不安だ。
「子供たちのためならば何だってするつもりだ。どうかお願いしたい」

睡眠薬入りの水を飲み干せば意識は遠くなるだろう。
酒場中から私に精神エネルギーを向けられているのは気づいていた。
こんなところで寝てしまっては、その間に何をされるか想像に難くない。
だが、救うための手段ならば耐えなければならない。


●奈落を覗く者は、奈落からも覗かれている
 フェルス村は、寂れていた。
 しかし、食堂と、街にいくつかある酒場、そして宿屋。それらだけはそれなりににぎわっている。
 その酒場、『シュリンムスト・カイザー(最低の皇帝)』亭もまた、にぎわってはいた。
「……あの……」
 セシリー・アーヴェンディル(ルクスリア・g02681)が入り、カウンター越しに声をかけるが、店長らしき男は無視。
「あの! ちょっと!」
 何度も声をかけ、ようやく反応した。
「……シスターのネエちゃん。ここは酒場だ、何か注文しな」
「……ラドラー(ビールのレモネード割り)を」
 グラスを寄越され、代わりに硬貨を渡す。
「私は、孤児院を営むシスターだ。だが、先立つものが無く……仕事を求めている」
「そうか、俺には関係ないな」
「待ってくれ。私が唯一の大人で、自分が何とかしないと、子供たちが……飢えてしまうんだ」
 『困窮しているシスター』を演じるセシリー。だが……演じ切れているか、不安もあった。
「……で? あいにくだが、ウェイトレスは置かない主義だ」
 あからさまに、『消えろ。出ていけ』という態度を隠さない店長。
「ここに来れば、何か仕事を斡旋してくれると聞いて。子供たちの為ならば、何だってするつもりだ。どうか……お願いしたい」
「…………」
「あの、お願いです! なんでもするから、仕事を下さい!」
 セシリーに続き出てきた陣・頼人(武装騎士ヴィクトレオン・g00838)もまた、貧しそうな孤児を演じる。
 その口調には『情熱』が込められていた。
「親も亡くし、親戚も頼れなくて……僕には生きていくためのお金が必要なんです!」
「……」
 それに対し、何か言いそうになった店主だが、
「……悪い事は言わん。別の町に行き、そこで仕事を探せ」
 やはり、突き放すように言った。
 しかし、
「おい店主。その二人、困ってるようじゃねえか」
 店の隅の方から、男がカウンターに近づいてきた。その顔には、十字のひどい傷があり、片目が潰れている。
「俺はクロイツ・アウゲってもんだ。話は聞いた、力にならせてくれ」
「ありがとう、助かります」
「おじさん、ありがとう! シスター、これで一安心だね!」
 ひっかかった演技をするセシリーと頼人。だが、店主の方を見ると。
 無念に歯を食いしばる顔が、そこにはあった。
(「……あの男」)
 彼は『助けようとして』いたのだと、セシリーはその顔を見て悟った。
 止めるかのように、手を伸ばした店主に、
「なあ店主さんよぉ、こういう酷いことをするなら……後はわかるよな?」
 アウゲは一瞬、睨み付けた。間違いない、人質でも取っているんだろう。
(「……協力に感謝する。必ずこいつらを潰し、そして……」)
 取られていたとしたら、人質を助け出して見せる。セシリーは言葉に出さずに誓い、アウゲに連れられ、外に出ていった。

 セシリーと頼人が、愛想のよい男たち数人に連れられ、外に出るのを確認し、
 しばらく時間を置いた後、草薙・美珠(退魔巫女・g03980)が入れ替わりに、酒場へと入った。
(「セシリーさんと頼人くん、うまく行ったようですね……!」)
 沢山の人間が、一度に仕事の斡旋を頼むのは不自然だろうという事から、話し合った結果。
 美珠は、後から来るようにしていた。
「……ええと、アプフェルショーレ(リンゴ果汁の炭酸水割り)というのを下さい」
 適当に飲み物を頼んだ美珠は、店内を見回した。
 今現在店内には、見たところ『鉱山関係者』らしき者は見当たらない。
 どうしましょうかと、飲み物をちびちびと口にしつつ考えた。
「よお、姉ちゃん。一人旅か?」
 ふと、後ろから声をかけられた。そこには数人の老人たちが。
「あ、はい! 一人です!」
 思わず返答してしまった。
「ほう、そりゃいい。俺たちも独り身でな」
「なあ、どっから来たんだ? こっち来なよ、色々話を聞きてえな」
 愛想よく、笑顔を向けてくる。
 適当に会話しつつ、美珠は聞いてみる。
「そういえば、皆さんは鉱山の関係者なんですか?」
「ああ、まあな。ま、俺たちは直接鉱山に努めてるわけじゃあねんだが」
「今は、炭鉱夫の仕事をしたいってやつに、仕事を紹介し世話するのが、俺たちの仕事、みたいなもんだ」
 ビールを何杯か流し込み、彼らは口が軽くなっている。そろそろ、本題に入ってみよう。
「あの……実は私、途中で旅の路銀を盗まれてしまって。それで、仕事を探しているんです。何でもいいから、雇ってもらえませんか?」
 それを聞くと、老人たちは目を見合わせた。
 何やら三人で、ぼそぼそと小声で話し合い、そして、
「……この住所の宿屋の、フリーゲという男を訪ねな」
 そう言って、メモを手渡した。そして、
「……悪いな、飲み過ぎた」
 言い捨て、彼らは去った。
(「うまく行った……のでしょうか?」)
 その背中を見つつ、美珠は。彼らがどこか、普通でない事を感じ取っていた。

●奈落に落ちる、その前に堕ちる
「おらあっ!」
 食堂で、机をひっくり返したイルヴァ・ヘレナ(寡黙な全身鎧の戦士・g05698)は、
「てめえ! 何しやがる!」「この野郎!」
 その机で粗末なアイントプフ(煮込みスープ)を口にしていたごろつきと殴り合っていた。
(「浮浪者から、服を買い取ろうと思っていたが……」)
 安酒を含み、酔ったふりをしつつ。これまでに行った事、そして、これから行う事を、頭の中で反芻していた。
 装備している鎧と武器は格納。その後に路地裏の浮浪者から服を買い取り、宿屋や食堂で酔っぱらいつつ暴れて注目を浴びる……という計画。
 だが、浮浪者たちの姿は無かった。後で知ったが、彼らも既に炭鉱へ連れ去られていたのだ。
 服は幸い、ゴミ箱を漁っていたらちょうどいいサイズのものがあった。それを失敬し、身体も汚し、流れ者の浮浪者の姿に。
 この姿になったイルヴァは、飲食店に入ると騒ぎをわざと起こしていた。
 今は、できるだけ柄の悪そうな店を選び、そこで出来るだけ柄の悪そうな相手に対し、喧嘩を売っている。
「ひっ……!」
『怪力無双』を用い、相手のごろつきを抱え上げ、床に投げつける。そして、酔っ払いを装い、千鳥足で店外に出たが、
「……!」
 後ろから殴りつけられた。
 芝居ではなく、これは効いた。わざと倒れ、地面に伏せると。警官らしい二人組の声が聞こえてきた。
「……くそっ、酔っ払い野郎が。こいつ、どうする?……」
「……収監した後で、アップグルンドに送っちまえ。力もあるし、役立つだろうよ……」
「……それがいい。どうせ浮浪者だ……」
「……いなくなって、せいせいするぜ……」
(「どうやら、作戦通り、だな」)
 うまくいった。このまま誘拐されれば、当初の予定通り。
 イルヴァはそのまま、気を失い。
 警官たちは、意識を無くした彼の身体を、乱暴に運んでいた。

「…………」
 その様子を遠目で見つつ、フレイティア・ユールアリア(互いを捧げた魔人・g04635)は、路地の角で深呼吸すると、
「……お願いです、助けて下さい……!」
 近くの宿屋『マイネ・リーベ(愛しい女性)』亭へと、駆け込んだ。
「!? どうした? なにかあったのか?」
 宿屋の一階、そこは食堂も兼ねていた。そのカウンターにて、店主らしき男がフレイティアを迎え入れる。
「た、助けて、ください……! 邪教のところから、逃げて来たんです……!」
「邪教だって?」
「は、はい。いきなり襲われて……」
 店主や店員の男たちが、フレイティアに近づく。彼らは一瞬視線を交わし、見つめ合うと、
「……そうか、そいつは大変だったな」
 親し気に、そう言ってきた。
 店の奥のテーブルにつかされると、温かい飲み物が目の前に置かれる。それは薄いレモネードだった。
「で? 一体何が起こった? あんたのお仲間は?」
「あ、あの。仲間はいません。頼れる親族もおらず、旅の途中で襲われて……」
 まずいレモネードをすすりつつ、そう訴えるフレイティア。
「よくわかりませんが、隙を見て逃げて来たんです」
「そうか、災難だったろう」
「はい……どうか、匿ってください! 助けていただけるなら、何でもしますから……!」
「……まあ、今は休むがいい。腹減っているんじゃないか? 待っててくれ、ちょっと……」
 と、店主は引っ込んだ。
 すぐに、カルテスエッセン(冷たい食事)を持ってくる。
 皿に盛られているのは、ブロートヒェン(小さめのパン)と、小さなチーズの塊、茹でたジャガイモ、ザワークラウト(酢漬けキャベツ)、そしてアイスヴァイン(冷やした塩漬け豚肉)。
「さあ、ろくなものは無いが食べるといい」
「ありがとう、ありがとうございます……」
 感謝の意を示しつつ、フレイティアは、出された冷たい料理を口に運んだ。上等ではないが、まずくはない。行儀悪くがつがつと食べ続けていくと、
「……あ、あれ……?」
 急に眠気が襲ってきた。
「なあ、どうした? 疲れたんじゃないか?」
「なら、部屋に案内するよ。休んでいけ」
 にやにやしつつ、周囲の男たちがそう言って来るのが聞こえる。返答する間もなく、腕を取られ……、
 部屋へと、引っ張って行かれた。
(「計画通り、ですが……」)
 しかし、その計画を実行するために、痛み……または『屈辱』を伴うだろうことも、予測はしていた。
 当たってほしくは無かったが、その予測……それが、実現しつつあった。

●堕ちるために、あえて落ちていく
「あの……泊めて、もらえないでしょうか?」
 ウィレイニア・アルクィスト(シアワセ方程式・g00366)が、宿屋で頼み込んでいた。
 フレイティアが奥の部屋に運ばれた後に、姿を現してお願いしたが、
「なんだ? カネは持ってるのか? 持ってないなら消えな! うちは慈善事業をやってるわけじゃないんだ!」
 横柄な店員が、追い返そうとする。
「で、でもでも野宿なんて出来ないし……。お願いします、一晩だけでも……!」
「知るかよ! 泊めてほしけりゃカネを払え!」
 店員の後ろからも、店主らがうっとおしいものを見るかのように、ウィレイニアを見ている。
「あぁ……やっぱりダメだよね……。どうしよう、どこかに泊まれる場所はないかなぁ」
 そう言いつつ、ちらりと彼らの反応を見てみる。が、やはり心動かされない様子。
「はぁ、お腹も空いて来ちゃったし……泊めてくれるなら私に出来る範囲でお礼するのになぁ……」
「お礼?」
 だが、その単語を言った途端、
「何ができるんだ? その話次第では、考えても良いぞ?」
 店員らが興味を示してきた。
「あ、あの! 働きます! こき使ってくれれば」「消えろ」
 やっぱり駄目だった。どうしたものか……、
「ハイハイ、ちょっとごめんネ」
 と、そこへ大き目の旅行鞄を持った、男が割って入った。
「この子は、ボクの連れネ。ボクは、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)と言いまス。よろしくネ」
「……あんたは? 客か?」
 頷いたラウムは、そのまま、
 宿屋の中へと、入っていった。

「カバンをお持ちしますね。大きいですが、中身は?」
「ああ、自分でやるからお構いなク。中身? ナイショ、人間とかじゃないヨ」
 言いつつ、宿屋の店主と向かい合って座るラウム。その隣には、ウィレイニアもちょこんと座る。
「ボクとこの子。ちょっとネ、色々あって夜逃げしてきちゃっタ」
「夜逃げ……ですかい?」
「マ、そのあたりは聞かないでほしいナ」
 言いつつ、懐に手を入れ、
「宿代はあるけどサ、その先がネ。あ、支払い、コレで足りル?」
 取り出したものを、店主へと差し出した。
「……宝石付きの指輪?」
 それを受け取り、ためつすがめつする店主。
「……本物だな。俺は元は鑑定士だったんだ。もし偽物だったら、即座にあんたを半殺しにして叩き出してたところだ」
「……まさかボクが偽物を渡しテ、だますとでモ?」
 内心、焦りを感じてしまうラウム。嘘はやはり苦手だ。ばれなければいいが。
「……ま、いいだろう。食事つきで宿代一晩分として、この指輪をもらっておく」
「交渉成立だネ。で、何かイイ仕事無イ? あと賭博場と酒場の場所教えテ」
「酒場だったら、近くに『シュリンムスト・カイザー』ってのがある。賭博場は……待て。飲み代や賭け代があるのか?」
「アア、ゴメンゴメン。聞いただけだヨ。お金稼いだ後デ、酒と博打で楽しもうと思ってサ」
 その言葉を聞き、うさん臭いものを見るような目で見つめる店主。
「……仕事の件なら、今日は遅くなったから、明日だ。部屋はこの鍵の番号の部屋に入りな。食事は、後で部屋に持って行かせる」
 そう伝えると、鍵を置き、席を立ちあがった。
(「……うまくいった……のでしょうか?」)
 ウィレイニアとラウムも、ひそひそと声を交わし合う。
(「……そう思いたいネ。おそらくハ……」)
 おそらく店主は、食事の中にフレイティアと同じく、薬でも盛っているだろう。先刻に食べて昏倒する様子を、窓の外から確認していた。
(「ボクらモ、フレイティアと同じで食べたあとに眠くなリ、その後で『仕事』にありつけるのかモ」)
 そう。眠らされ、その後で炭鉱に運ばれるに違いない。
 ラウムとウィレイニアも立ち上がり、鍵を取ると、
 旅行鞄とともに、部屋へと向かっていった。

●ようこそ、ここが地獄だ
 セシリーと頼人は、激しい眠気と戦っていた。
 ある小屋にアウゲに招かれ。そこで飲み物を貰った。
 飲んでいくと、激しい眠気が。そして、机に突っ伏し、動けなくなっている。
「へへっ、シスターさんよぉ、なかなかいいケツしてんじゃねえか」
 そんな事を言いつつ、さわさわ身体を撫でてくる。
(「くっ……」)
 このまま、触られるのは貞操の危機。でも……耐えねば……!
 しかし、何者かの声が、その手を止めた。
「アウゲ、いるか? これからすぐに出発する。そのシスターとガキの積み込みをやってくれ」
「なんだと? お楽しみも許されねえのか?」
「炭鉱の方でくたばり過ぎて、人手が足りないらしい。で、ちょうど力自慢の浮浪者が暴れてたそうでな。無線で炭鉱にそいつの事を連絡したら、すぐにトラックに積んで、炭鉱へ持って来いとか命令しやがってな」
「じゃあ、そいつだけでいいじゃねえか」
「いや、そこの二人の事も言ったら、ついでだから運んで来い、だとよ」
「テメエが余計な事言ったからか! どうしてくれんだ!」
 いきり立つアウゲだったが、
「まあ聞け。宿屋のフリーゲの所に、食べごろのリンゴが二つ、あるそうだ。うち一人は、薬で眠ってるからヤリ放題だぜ? そっちの方はまだ報告してねえし、明日の明け方にトラックに積んで運べば、大丈夫だろう?」
 それを聞いて、声の調子を変えた。
「へへっ、そう来なくちゃな」
 そして、セシリーは貞操の危機から脱した事は悟ったものの……、
『限界』だった。
(「浮浪者は、イルヴァだろう。二つのリンゴとは……美珠とフレイティアたちか?」)
 なんとか思考を回転させ、眠るまいとする。が……、
 だめだった。頼人と共に、彼女は眠りに落ちていくのだった。

「えっ、ふ、服を脱ぐのですか!?」
 宿の一室にて。美珠は命じられ……男の目前で、躊躇しつつも服に手をかけていた。
「嫌か?」
(「こ、ここで断るわけにはいきません……でも……」)
 羞恥は別。自分の裸を見られるたび、羞恥に身体が燃えそうになる。
「仕事を斡旋するなら、まずは身体を見て、確かめておかないとなあ」
 フリーゲは恰幅のいい中年の男性で、顔はそれほど悪くはない。だが……悪党めいた面構えだった。
「おやおや、どうした? 仕事を欲しくないのか?」
「い、今脱ぎます!」
 恥ずかしい。恥ずかしさで顔が真っ赤になってるのがわかる。それを感じつつ、美珠は……全裸になった。
「手で隠すな、両手は上に上げるんだ」
 一糸まとわぬその全身を、じっくり見られる。視線がねっとりと、身体を撫で上げるかのよう。ふるふると、美珠は羞恥に身体を震わせた。
「……ふん。貧相な胸に尻をしてやがんな。まだ子供か?」
 そう言われ、
「子供じゃありません! それに、貧相なんかじゃないです!」
 思わず言い返してしまった。
「そうか、じゃ……子供じゃないとこを確かめないとな」
 そう言ったフリーゲは、抱きつき、実際に体中を撫で始めた。
「あ、ああっ、いや、や、やめて……」
 思わず感じてしまい、崩れ落ちる美珠。
「おおっと。これからだぜ?」
 それを受け止めたフリーゲは、彼女の耳元で囁く。
「……ええっ、夜のご奉仕もっ!? ……きゃっ!」
 ベッドに導かれた美珠は、
(「し、仕方がありません。これは不本意です、望まずに行う事です!」)
 心の中で言い訳しつつ、フリーゲの求める奉仕を行い、そして……、
「あっ! ……あっ、あっ……あああああっ!」
 快感と共に刺し貫かれ、気絶するのだった。

 別室では、フレイティアが。
(「くっ……」)
 夢を見ているかのように、半分覚醒した状態になっていた。
 そして彼女は、見ていた。アウゲが、自分の身体から服を脱がせるのを。
 動けないまま、撫でまわされ、舐め回され、
(「だ、だめ……やめて……ああっ!」)
 おぞましい快感が、彼女を襲い、包んでいった。

(「……ヤレヤレ、既にここが地獄、じゃないカ?」)
 その情事の音は、ラウムとウィレイニアの部屋にも聞こえていた。
 既に二人は、「運ばれる」事を見越し、睡眠薬入りの食事を口にしていた。
 ウィレイニアは、ラウムの横で眠っている。自分もこのまま眠れば、次に目覚めるのは、トラックの中か炭鉱に到着した時だろう。
 こんな地獄を放置するわけにはいかない。炭鉱を、必ず潰してみせる。
 眠りに入るとともに、そう誓うラウムだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【現の夢】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【命中アップ】LV2が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!

イルヴァ・ヘレナ
計画通り...といったところか。
労働では鉱石を採掘するグループに混ざろう。パラドクスと怪力無双の重ねがけですぐ終わるだろうが奴らに疑惑を与えるだろう。それは他のグループを脅して手伝わせたということにして誤魔化そう。

ノルマ達成後は同じグループの人間に質問しよう、内容はそうだな...
1、手動で首輪を爆破する際奴等が特定の行動をしているか(スイッチ押すとか)
2、連れて来られた人間の種類の推移(悪人とか口減らしとか)
3、誘拐被害者全員が集まるタイミングがあるかどうか
4、奴等の行動スケジュール
これくらいか?
注意点としては労働の際他のグループの人間に自分のアリバイについて話しを通しておくことくらいか...


ラウム・マルファス
ホント、ろくでもないネ
トラウマになりそうだヨ

鉱山に着いたら隅の方で、PDで空気を変換して水とパン入りの箱を生成
チームは選べるなら鉄砲水の所にしよウ
ボク体力ないからネ

倒れそうな労働者は箱の所で休ませて、代わりに対応
PDで水を消し、壁を変換して補強
怪しまれたら
「残りは割れた地面から流れてったヨ。10分でいーから休ませテ」
って誤魔化すヨ

喋れるようになったら事情説明して、薬品で労働者の治療
「助けに来たんダ。ボクたちが鉱山を崩落させるカラ、その間に逃げてネ。ボクの力はさっき見せた通リ。手品じゃないヨ」
「箱に水とパンが入ってるから、逃げる体力付けておいてネ」

可能ならレジスタンスへの連絡方法も聞きたいナ


草薙・美珠
●目的
鉱山で労働者の皆さんに接触します

●手段
ボロ布を巻いただけの格好の私にノルマが告げられます。
ええっ、働けなくなった労働者の皆さんに娼婦としてご奉仕して、再び働けるようにしろ、ですか!?

ですが、働けないままでは皆さんが処刑されてしまいますから、なんとしても元気になってもらわなくてはなりません。

倒れている労働者たちの前で服を脱いで、両手や口でご奉仕します。
これなら見張りに怪しまれずに【活性治癒】の術で手当することができます。

ですが、元気になりすぎた労働者の皆さんに囲まれて押し倒されてしまい……
私は治癒の術による疲労で抵抗できないまま、労働者の皆さんに貫かれ鬱憤を中に大量に出されてしまいます。


陣・頼人
さて、潜入には成功したけど……インドア系の僕にはキツいね、これ。

僕はトロッコ用の線路を掘り進めるよ。
人目がないところでツルハシの【デストロイスマッシュ】の【貫通撃】で大穴を穿ち、【怪力無双】で砕いた岩を運び出してノルマを達成させる。
ただし、崩落しない程度に加減して、ね。
怪しまれても困るし。

作業しながら炭鉱の様子を見て回り、脱出時のために【破壊】しやすい場所の目星をつけておく。

休息時間の間に他の労働者からアヴァタール級たちが普段どこにいるのかを尋ね、その上で
「この鉱山は崩落すると思うからその時が来たらさっさと逃げ出した方がいいよ」
と伝えておく。

※連携・アドリブOKです


フレイティア・ユールアリア
私に下された労働は
「ガスが噴き出す鉱脈での採掘」
それもレアメタルのもととなる鉱石を探す事だった

…首輪だけ着けられた姿で…
…よく見たら周りの労働者も、同じ格好の女の子ばかり…

不安を抱きながらも作業をするけど、どうしてもガスを吸ってしまい
意識が朦朧と…
必死にこらえるけど、周りの子たちは次々と
見張りによって「罰」と称したいやらしい行為の餌食に…

止めようとするけど、思うように体が動かず
私も同じように…

何度も、何時間も「罰」を受け、ようやく解放された…
その後【活性治癒】で労働者を密かに癒し、元気づかせてから
情報収取をするわ

情報収集が終わった所で見張りが…!
言いがかりをつけられ、再び「罰」を受ける事に…


セシリー・アーヴェンディル
【アドリブ/連携歓迎】
シスターはついでか。確かに女の腕で重労働を期待はしないだろう。
あくまでか弱いシスターとして、怪しまれないように【怪力無双】は程々にする。
代りに【光の救済】を使用して労働者を治療していくぞ。
怪我をされていては脱出も手間取るだろうからな。

疲労の肩代わりで重労働に耐えられないように見えるだろう。
さらに【怪力無双】を抑えたことでノルマの達成は難しいか。
それを口実にして、一般兵が体をまさぐってくるとはな。
喋れないのをいいことに、貴様等。
ちょうど作戦の時間だ。気絶させてしまおう。

戦闘前に仲間の治療もするが…
女性陣から伝わってくるもので、疼きを感じてしまう。
サキュバスの体は難儀だ。


●『抜け作ども、起きろ!』
 ブレンメン・メンシュの声が、ディアボロスたちの耳に突き刺さった。
『目が覚めたか? ここは、これからお前達が残る人生を過ごす最後の場所だ。よく見ておくんだな』
(「……ここハ……?」)
 いち早く覚醒し、目を見開いたラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は、眼鏡をかけて周囲を確認した。
 どうやら、自分たちは既に炭鉱内部に連れ込まれているらしい。
 坑道内は大きく広く、高さもかなりある。通風孔が穿たれているのか、息苦しくは無い。周囲の壁には電球が下げられ、視界も確保できている。あちこちに様々な坑道が掘られており、鉱石が掘り出されていた。
 自分の体、および衣服には問題なし。だが……ここで初めて、自分の首に違和感を覚えた。
『首輪』がはめられている。周囲を見ると、仲間のディアボロスたちも……同様だった。首輪には大きく、番号が描かれていた。
 イルヴァ・ヘレナ(寡黙な全身鎧の戦士・g05698)の方へと目を転じると、やはり首輪が。
「……っ!」
 ボロ布……を巻いたように、服がぼろぼろになっている草薙・美珠(退魔巫女・g03980)が口を開き、叫びそうになった。
 このクロノ・オブジェクトはディアボロスには効果は無い。なので、喋る事は出来るが……現時点では、一般人を装わねば。
『その首輪の内部には、細かい針が伸びている。そこから特殊な電気信号を送り……お前らの声帯を機能させないでいるのだ。首輪を外さぬ限り、お前達は喋れない。ノルマをクリアしたと首輪が判断すれば、十分間だけ喋れるようにはなるがな』
 ブレンメンに続き、
『ひっひっひ。そして首輪は、こちらで解除しない限り外す事はできん。強引に取った場合、首輪は爆発し……お前たち抜け作どもの頭は粉微塵だ』
 隣に控えていた、白衣姿の一般研究員が耳障りな声で嘲った。
「…………!」
 ふと、一緒に連れられてきた者たちが、進み出た。
 何かを訴えかけているようだったが、当然ながらその口からは声は聞こえてこない。
(「あれハ、宿屋の店主たちカ?」)
 それは、ラウムたちを陥れた、『マイネ・リーベ』亭の店主たちだった。彼らも一様に首輪を付けられている。
『ちっ、一時的に首輪の沈黙機能解除。何が言いたい?』
 ブレンメンが命じると、
「約束が違うぞ! 従っていたら、いつか鑑定士の仕事に戻してくれると約束したじゃないか!」
 店主が叫んだ。
「そうだ! 間抜けどもをここに送れば、俺たちの安全は保障するってのは嘘だったのか?!」
 こちらは、イルヴァを襲った警官たち。他にも、あのフェルス村に居た住民たちの顔が並んでいる。彼ら全員にも首輪が。
「…………」
 彼らから距離を置き、後ろから見ているのは、屈強そうな男。
(「あれは?」)
 セシリー・アーヴェンディル(ルクスリア・g02681)は見た。その男は、酒場『シュリンムスト・カイザー』亭の店主だと。彼の首にもまた、首輪が。
『……言っただろう、労働者の数が足りない、とな』
 研究員が、嘲りつつ言った。
『フェルス村は接収し、今後は軍事基地として使用する。ゆえに、あの村は閉鎖。お前ら住民たちはここで残る一生、我が軍に奉仕させてやろう』
 何か文句あるか? そう言った研究員へ、
「ちくしょう! 今までさんざん尽くしてやったのに!」
「てめえら、皆殺しだ!」
 店主ら数名は掴みかかったが、
『……爆破』
 掴みかかられる直前、ブレンメンが呟くと。彼らの首輪が爆発。頭部を失った。
 酒場の店主らは、それを見て恐れ慄き、顔を背けている。
 陣・頼人(武装騎士ヴィクトレオン・g00838)は、その様子を凝視して、拳を握りしめて細かく震えていた。
 フレイティア・ユールアリア(互いを捧げた魔人・g04635)もまた、正視できず視線を背ける。が、
「……さてと、マヌケども」
 クロイツ・アウゲ、頼人たちを騙して眠らせ、フレイティアを辱めた張本人が、ブレンメンの隣に立った。
「俺たちに逆らったらどうなるか、理解できたな?」
 アウゲの隣には、美珠を辱めたフリーゲの姿が。
「ああ、俺たちは機械化ドイツ軍の潜入工作兵でな。人員確保の任務に就いていたんだが……おや、そこに居るのはあの時の貧相なリンゴちゃんか。なかなか楽しめたぜ?」
(「…………くっ!」)
 美珠はフリーゲを睨み付けたが、今はそれしかできない。
「そっちには、眠り姫のリンゴちゃんもいるな。起こして楽しんだ方が良かったかな?」
 フレイティアもまた、アウゲを睨む。
 彼らの嘲りの視線が、囚われの身になった彼らを苛んでいた。

●『さあ働け!』
 そんな怒号を受け、ラウムは背中を押された。
(「……さてト」)
 あれからディアボロスたちは、別れて様々な現場へと送られた。
 ラウムは配属されたのは、鉄砲水が噴き出る現場。
『お前のような貧弱な奴は、ここがお似合いだ』と、一般研究員はラウムに言っていた。
 幸い、と言うべきか。兵士は2~3人しかおらず、ろくに見張らず、遠くでだべっている。
 会話を封じ、脱走したら頭が爆破する。ゆえに脱走などするわけがない……と、たかをくくっているのは明らかだった。
(「……まさニ、不幸中の幸いってやつかナ」)
 現場では、鉄砲水が溢れ……完全に水没している。これを一日で復旧するなど、ポンプなどの機械があろうが不可能。加えて、まだ水は噴き出し続けている。
 なのに、与えられているのは、ただのバケツのみ。ふらふらになりながら、労働者たちはバケツを用いて、近くのドラム缶へと汲み出していたが……、
 倒れてしまった。
(「…………!」)
 すぐにラウムは、その労働者たちを脇に寄せる。そして、
 数分後、そこに溜まった水は、完全に引いていた。
(「パラドクスでの物質変換、うまく行ったナ」)
 彼は、ヒビの入っていた壁を変換して補強し、溜まっていた水を変換する事で『消した(水を空気に変換した)』のだ。
『ノルマ達成を確認。鉄砲水班、沈黙機能十分間解除』
 首輪から機械音声が響く。が、その場に居る十数人の労働者たちは、ぐったりしたままで、喋る気力も無い様子だった。
「……しっかリ!」
 倒れた彼らを、介抱するラウム。携えていた薬品を取り出し、それを用いて回復させると、
「あ……あ……」
 一人が、声をあげた。
「大丈夫、十分だけ喋れるヨ」
「……あんた、は?」
「シッ、静かニ。助けに来たんダ」
 そう言いつつ、近くの箱を、彼が空気から生成した箱を引き寄せた。
「この箱に水とパンが入ってるかラ、逃げる体力つけておいてネ」
「逃げ、る?」
「アア。ボクたちは、鉱山を崩落させるカラ、その間に逃げてネ」
「で、でも……」
「大丈夫、ボクの力はさっき見せた通リ。手品じゃないヨ」
「違う! 耳を……」
 そう言いつつ、彼は……、ラウムの耳元で囁いた。
「! ……わかったヨ、気を付けル!」
 ラウムが聞いた情報。それは、
『ブレンメン・メンシュは、格闘戦では。相手の戦い方を「覚える」』
 以前に、捕まったボクサーが自由をかけて戦いを挑んだが。ブレンメン・メンシュは相手のパンチやフットワークをコピーし、それを用いて撲殺したのだという。下手にこちらの手の内を見せたら、不利になるだろう。
 どうやら、一筋縄ではいかないらしい。その情報を得たラウムは、
(「やれやレ、もうちょいト……骨を折る事になりそうダ」)
 そんな事を、声に出さず呟いていた。

(「本当に……キツいね、これ!」)
 インドア派の頼人には、きつい仕事。それ故に……その不満を態度に表さないように気を付けつつ、彼はツルハシ片手に掘り進んだ。
 彼が配属されたのは、トロッコの路線用トンネル採掘現場。
 少ない見張りが、自分の後ろから去ったのを知ると、
 頼人は『デストロイスマッシュ』を用いた。そうして砕いた岩を、『怪力無双』で後方へと運ぶ。
 そして、
『ノルマ達成を確認』
 僅かな時間。頼人らは沈黙から解放された。
「あ、あんたは……?」
 中年の男が、しわがれた声を上げるが、
「しっ……時間がないから聞いて。この鉱山は近々崩落するから、その時が来たら……さっさと逃げ出した方がいいよ」
 それから、と、せかすように問いただす。
「ここの現場責任者のあいつ、ブレンメン・メンシュたちは、普段どこにいるのか。知っていたら教えてほしい」
「それは……」
 労働者たちは、しわがれた声で……話し始めた。

「……なるほど、あの坑内の監督所に」
「ああ、普段奴はそこに居る。あと……あのバケツ頭野郎は、身体の中に『燃える粉末』を入れており、粉塵爆発を起こす事ができるらしい。そんな事を、あのハゲどもが言っていた」
 頼人は直観的に感じた。これは、今後の攻略に重要になると。

●『さあ働け! 怠け者は死ね!』
 鉱石の採掘グループに参加していたイルヴァは、そんな怒号を見張り兵士から聞かされたが、
 そいつは、予想以上の速さでノルマ達成した事を知り、仰天した表情を浮かべていた。それを見たイルヴァは、満足を覚える。
 この坑道の現場は、掘り出した鉱石塊をトロッコへ運んで積み上げる事を命じられていた。『怪力無双』を用いて、それを終え……、
『ノルマ達成を確認。沈黙機能十分間解除』
 首輪の機能が一部解除された。
「……助かったよ、あんちゃん」
 くたくたになった、労働者の一人……ラントが、イルヴァに礼を述べる。
 許された時間は少ない。イルヴァは彼らに問いただした。
 質問、その1。
「首輪を、爆破する時の事?」
 研究員や兵士は、起爆スイッチは持っていないという。
「ただ、小型通信機を持っていて、爆破する労働者の首輪の番号を伝えていたのは見たよ。たぶん、あれでブレンメンに連絡し、爆破させてるんじゃあないかと」
(「……なるほど、そういう仕掛けが……」)
 研究員と兵士たちは、ブレンメンに伝える事で、彼に爆破させている。任意での爆発の判断と命令、実行は、あくまでもブレンメンが行っているのだろう。
 首輪自体には、ノルマ達成の自動判断装置が組み込まれているようだが、そちらの詳細は分からないらしい。
 質問、その2。
「ここに連れてこられた者たちの推移、か……」
 当初は犯罪者やごろつきが多かったが、すぐに『誰でも良くなった』らしい。老若男女手当たり次第に攫っては、ここで働かせ、無理をさせ、何人も死なせたという。
 質問、その3。
「誘拐された者たちが、全員集まるのは……」
 食事と睡眠の時間が、それに当たる様子。
 朝の六時に目覚め、三十分かけて僅かな食事と水を与えられ、すぐ作業開始。
 正午に昼食。その時間も三十分。終わったら午後の作業。
 夕方六時に夕食。三十分経過したら、夜の作業。
 深夜零時に終了。坑内の倉庫のような建物に入れられ、そこで雑魚寝。ベッドはもちろん、毛布すらない。
「で、首輪は作動させっぱなしだ。見張りは立ってないが、脱走したところで自動的に爆発するから必要ないんだろう。当然、喋る事もできない」
 と、補足された。
 誘拐された者たち全員の総数は分からないが、少なくとも500人くらいだと、目前の男は言った。
 質問、その4。
「あのくそったれどもの行動スケジュールだと?」
 スケジュールらしいものはない。研究員とブレンメンは、気が付いた時に適当に回ってくるらしい。
 見張りの兵士たちも、首輪の機能に頼りきりで、真面目に見張る気はない。その総数は、全体で50人に満たないだろう。
「ああそうだ、思い出した」
 彼らのうち一人が、語り出した。
「兵士どもがまともに見張らない理由、もう一つあった。それは……」
 彼は、言った。
『重罪人の女たち』という、見張らない『理由』を。

●『お前たちは重罪人だ。だから服など支給はしない』
 見張りの兵士たちはそう言って、『レアメタルの採掘場』で採掘に勤しむ者たちをにやにやしつつ見つめていた。
 ここは『罰リンゴの狩場』。
 その中に、フレイティアの姿もあった。彼女が身に付けているのは、首輪のみ。
 そしてそれは、他の労働者たちも同じだった。全員が女性で、顔立ちも体つきも悪くは無い。
 兵士たちは裸にした女性たちに、首輪だけを付け、作業をさせていたのだ。『罰』という名目を付けて。
 作業自体は、それほどきつくはない。小さな鉱石の欠片を小さめの籠に入れて、運ぶだけだ。
 だが……ほぼ全裸で、その様子を見られながら作業をさせられている。これは屈辱と、羞恥以外の何物でもない。
(「……くっ」)
 フレイティアは、羞恥に駆られつつ……他の女性たちと共に作業する。だが……、
 ここはガスが噴き出ていた。送風機があるものの、やはり吸ってしまう。
 そして、そのガスは有毒。吸うと意識が朦朧となり、力が抜ける。フレイティアも例外ではなかった。
「まったく、仕方がない連中だ。これは罰を与えねえとなあ」
(「や、やめて……あっ…‥」)
 兵士たちは、容赦なく。『罰』と称したいやらしい行為を、『リンゴ』たちに、裸の女性たちに行っていく。抵抗したくとも、思うように体が動かない。
 胸を揉まれ、太腿を撫でられ、お尻も揉まれ。その度に、声を出さないようにと我慢するフレイティア。
「おや、ここはどうした? 身体がびくびくしてるな」
「病気か? なら、注射が必要だなあ!」
(「……! ひっ!」)
 声の出ない女性たちとともに、フレイティアも荒い息を吐いた。『注射』されて、喘ぎがその場に充満し、
「そうかそうか、まだ足りないか!」
「頼まれちゃ、仕方がないな!」
「あっ! あっ、ああっ……!」
 思わず、フレイティアは嬌声を上げた。他の女性たちも、かすれた声で喘いでいる。どうやら、この程度なら声を出せるらしい。
 兵士たちは、更に蹂躙する。気に入ったのか、力の抜けたフレイティアを抱えると、
「注射、二本同時にどうだ?」
「いや、もう一本サービスだ!」
 彼女の口と前後に、突き刺してきた。
(「! んーーーーっ!」)
 声なき喘ぎが、声なき悲鳴となり、おぞましい快感がフレイティアに注入され……、
 どれだけ時間が経過したのかわからないが、しばらくして、ようやく解放された。
「ふう……ま、『罰』を受けたんだ。少しだけ休ませてやる。沈黙機能十分間解除」
 取り出した小型マイクに兵士が吹き込むと、
『十分間解除』
 喋れるように。
 兵士たちが去った後、『活性治癒』で、女性たちを癒しつつ、
「……お願い、何か知っていたら、教えて?」
 フレイティアは問いかけた。
「……耳を貸して」
 そしてフレイティアも、彼女らから聞いた。
『秘密』を。

「……兵士に、監督所に連れ込まれて……『した』時」
「あの研究員たちが、監督所の建物の一室で、何かの『大きな機械』を操作してるのを見ました」
「聞こえた会話内容から、それは首輪を操作する電波を、増幅する装置だとか」

 しかし、そこまで聞いたフレイティアだったが、
「……ほう、重罪人のくせにサボりとは、いいご身分だ」 
 アウゲが、そこに姿を現した。
「! 今は休憩中……」
「言い訳をするな。サボるリンゴには、俺が直々にお仕置きしてやろう」
 声を出せるようにしてやったからな。だからたっぷり、喘ぎ声を聞かせろ。
 そう言ったアウゲは、宿屋の時と同じく、迫ってきた。逃げようとしたが、他の兵士たちから後ろ手に羽交い絞めされる。話をしてくれた他の皆も、捕まってしまった。
「上官殿、我々もこいつらの懲罰に加わってよろしいでしょうか?」
「いや、まずは俺一人で罰する! ……おら、宿屋の時みたいによがれ!」
「……くっ……んっ……んんんんっ! あああああああっ!」
 懲罰が、再び開始された。

(「ええっ? そ、そんな事を……」)
 美珠はフリーゲに、ある場所へ連れてこさせられていた。採掘現場ではなく、ぐったりした労働者の男たちが、まるでゴミ袋か何かのように入れられている大部屋に。
 そこは、坑内に建てられた『監督所』内部の一室。
 頑強な体つきの男たちが、そこに何人も放り込まれていた。
「沈黙機能解除。……こいつらは、怪我や疲労で動けなくなった労働者たちだ。お前は貧相な身体だが、『こっち』の才覚は悪くない。脱いで、奉仕し動けるようにしてやれ」
 フリーゲが命じる。つまり、娼婦になれという事。
「冗談じゃありません! そんな事……」
 反対しようとしたが、
「嫌か? なら、こいつらはお前のせいで、ここで死ぬ」
 卑劣漢の常套句。そう言われ、仕方なく従う意を示し……、
 美珠は、服を脱いで裸になると、労働者たちに近づいた。
「そうだ、口と手を使って、丁寧にしてやれ。……こうやって快楽を与えてやれば、この馬鹿どもは反抗する気も、ここから逃げる気力も失せるからな」
 得意げに説明してくれるフリーゲ。
「……で、でも、首輪があるなら……んむうっ!」
「だれが喋っていいと言った? 確かに首輪のおかげで、逃亡や反乱を起こしても爆死するだけだ。しかし……そのせいで自殺したり、死なばもろともと自暴自棄で暴れたりする事もあった。働かずに死なれては、こちらとしても『損』だ」
 苦痛と苦役の後に快楽を与えれば、人は反抗心を失う。そのための仕事をさせられているのだと、美珠は理解した。
「さて……俺は別の仕事があるから、席を外す。お前は後でまた、俺を楽しませろよ?」
 フリーゲが室外へ去った事を確認すると、美珠は……、
(「これで……手当できます!」)
『活性治癒』を用いた。その効果で、労働者たちが回復していくのが見て取れた。
「良かった……皆さん、元気になって……え?」
 しかし、美珠の善意は、『仇』になって帰ってきた。
 彼らは、ここに入れられてご無沙汰だった。それだけでなく、目前には胸が小さいとはいえ、裸の美少女が。そして……治癒されて、身体の調子は万全。
「やっ……ちょっと、やめて下さ……きゃあっ」
 その股間の怒張が、美珠が奉仕していたそれが、美珠へと襲い掛かる。
 五人を一度に相手した美珠は、
 左右の手で一つずつ握らされ、一つを口に入れられ、一つをお尻に……そして一つを、大切な前から突き入れられ、
「んむうっ! ……んんんんんっ! ……んーーーーっ!」
 それらの鬱憤を浴びせられ、嬌声とともに昇天するのだった。

●『ガキども、甘えてるんじゃあねえぞ!』
 そんな怒号を聞きつつ、セシリーの横では子供たちが労働に従事させられていた。
 ここは、監督所の建物からやや近い場所。
 細かい瓦礫を人力で、数人がかりで長い距離を運ばされる現場。セシリーはそこで、シスターという理由により配属されていた。
 自分以外では、あの屈強そうな店主も居た。なぜここに回されたのかを疑問に感じたセシリーだったが、すぐにその理由を悟った。彼の右足は、膝から下が義足だったのだ。
 だが、その店主以外にいるのは、十歳前後の子供達。兵士たちは怒鳴り散らし、子供たちの心を折っていく。店主はそれに食って掛かるが、兵士に叩きのめされ、地面に転がされていた。
 子供たちは恐怖し、絶望しているのが見て取れる。
 しばらくの間、セシリーはそこで作業していたが、
(「?」)
 作業の途中で、十歳くらいの男児が倒れるのを、セシリーは見た。
「おいシスター、祈ってやれ。その後でガキの死体は捨てちまえ」
 嘲るように言い放つと、兵士は去っていった。
(「……くっ」)
 すぐに駆け付けると、子供は虫の息だった。だが……まだ生きている。
「……『光の救済』」
 聖剣ルクスリアからの優しい治癒の力が、子供の体に染み込んでいく。本当に天国に行きかけていた彼は、
 シスターの活躍により、その命を繋ぎとめた。
(「よかった。他の子供たちは……」)
 見張りの目が離れた隙に、他の子供たちに、そして店主に、治療を施していく。例外なく、全員がひどく傷ついていた。
「おい! 何をさぼっている? ……シスター、そんなにお仕置きされたいか?」
 だがそこへ、兵士が戻ってしまった。そいつはセシリーの体を、いやらしい手つきで触り始める。
「ノルマの達成はできてないか? まあいい、こっちで個人的にお仕置きしてやる」
 と、近くの岩壁の陰に引っ張られた。
 店主が止めようとするが、
「消えろ……もう片方の足も失いたいか?」
 そう凄まれ、引かざるを得なかった。
(「この……!」)
 反論したかったが、ここで『首輪は効かない』事を知られるのは……、
 迷ったセシリーだが、その時。彼女は『見た』。
『監督所』の建物から出てきた美珠を。
 目が合うと、彼女は手ぶりで『情報は得た』という合図を送る。
 ならば、もう容赦はしない。
「へへっ、たっぷり可愛がって……ぐあっ!」
 ルクスリアの柄頭で後頭部を殴り、相手を気絶させたセシリーは。
 そいつの手足を厳重に縛り、猿轡を噛ませ、目立たぬ場所に放り込んだ。
「……そろそろ、時間か……?」
 子供たちと店主を集めたセシリーは、『避難の準備をするように』と言うと、
 美珠の元へと向かっていった。

 美珠は今、先刻のボロ布となった服ではなく、男物の労働用の上着を羽織っている。が、見たところ……下着は付けて無さげ。
「大丈夫か?」
「はい、なんとか。囚われていた方々を回復させ、『すぐに敵を倒します』『その後で崩落するので、逃げる準備をしておいてください』とお伝えし、見張りの隙を見て逃げてきました……そちらは?」
「こっちも、なんとか大丈夫だ。情報は得られなかったが……」
 残念そうにかぶりを振るセシリーだったが、
「あのっ、ご奉仕した男の方から伺ったのですが……」
 この首輪のコントロールは、監督所内の操作室で行われるらしい。美珠はそう述べた。
「あの鉄の妖魔は、監督所内の操作室に据え付けた『思考波増幅装置』を用いて、自分の思考を洞窟内全域に拡散。首輪を爆破させるそうです」
 しかし、ブレンメンが放つ電波は弱く、装置で増幅させないと至近距離ですら起爆は出来ない。なので、増幅装置を止めれば、一時的に首輪の起爆はできなくなる。
「じゃあ、その機械を止めるか、壊すかすれば。直接対決の時に人質を取られずに済むな?」
「そういう事です。ですが……」
 あくまでも、一時的。装置はかなり大きく頑丈で、完全に破壊するのは時間がかかり不可能。そして、機械のスイッチを切ったとしても、自動的に再起動する。それまでの時間は、約十分。
 そして、首輪を解除し、起爆させないように外すには。ブレンメン自身が許可するか、ブレンメン自体の生命反応が消えるか、どちらかしか方法は無いとも言っていた。
 なので、増幅装置を停止させたその十分で、ブレンメンを倒さねばなるまい。さもなくば……十分経過したら、首輪を起爆させられるだろう。
 加えて外には、別の電波発生器がある。そのため、首輪をしたまま炭鉱外に逃げても、やはり爆発してしまう。
「あの子たちや、労働者の皆さんを、できるだけ入り口近くに避難させて……」
 美珠の言葉に、
「そうした上で、装置を止め。その隙にブレンメンたちと戦い、倒す。どうやら、希望が見えてきたな」
 セシリーは頷いた。が、
(「……んん?」)
 彼女から伝わる『気配』、または『残り香』から、サキュバスとして……感じてしまっていた。
『疼き』を。
「? どうかしましたか?」
「……いや、大丈夫だ……何でもない」
 そんなものに気を取られている暇はない。仲間たちも、恐らくは情報を得ているだろう。
 皆を集め、情報を共有し……奴らを倒さねば。
 疼きを何とか抑え、セシリーは、気を新たにした。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】がLV2になった!
【建造物分解】LV2が発生!
【神速反応】がLV2になった!
【避難勧告】LV1が発生!
【活性治癒】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】LV3が発生!
【命中アップ】がLV3になった!
【ドレイン】がLV2になった!

イルヴァ・ヘレナ
研究員がどこにいるかを聞いていなかったが恐らく思考波増幅装置のところだろう。脳波を拡散させる...そんな特殊な機械を兵士らが整備できるとも思えん。

【光学迷彩】を使用し装置の場所を探す、見つけたら部屋の外で【トラップ生成】を使用し扉を開けると閃光手榴弾が落ちるようにし、扉を開けそれを蹴り入れ扉を閉める。

敵の目と耳がやられたところに突撃し数人だけ生かして他は殺す。
一人にパラドクスで中性子線を当て見せしめに殺す。
「貴様らも苦しんで死にたくはないだろう?この機械の制御電源はどこだ」
答えなくても一応機械に中性子線を放射し中の半導体を破壊することで装置の停止を試みる。少しでも再起動が遅くなればよいが...


ラウム・マルファス
さっきの子、まだその辺にいるカナ
「研究員って、どの辺にいる?」
大体の道を指さしてくれれば十分
「じゃ、行ってくるネ。施設は崩れるカラ、入り口の方へ逃げておいテ」
全員逃げてくれるといいケド
どんな下衆でも、人間は人間だからネ

工作兵にも気を付けつつ、研究員を探して教えてくれた道を行ク
愚痴とか聞こえるカナ
「みーつけタ。労働の対価を貰いに来たヨ」
相手はトループス級、油断はしナイ

PDで解析し、足の腱を切断した上で薬品は取り上げル
「増幅装置と関連設備の設計図はドコ?」
機械知識で分析して、少しでも長く止める方法を突き止めるヨ
終わったら研究員の心臓を空気に変換
脳まで改造されてるなら助ける手段はボクにはナイ
ごめんね


草薙・美珠
●目的
例え、男物の上着を羽織っただけの格好でも遅れは取りません。
研究員たちを倒し、思考波増幅装置を破壊します。

●手段
炭鉱に転がっていた角材を手に研究員たちに挑みます。
研究員が投擲してきた薬品を【神速反応】で見切り、草薙流剣術奥義・八岐大蛇による八連撃で薬品の瓶を断ち斬りましょう。

角材でも硝子を綺麗に斬り裂くことなど容易です。
このまま研究員たちや思考波増幅装置も斬り裂いてあげます。

ですが、瓶に入っていた薬剤を浴びてしまった途端、身体が痺れて動けなくなってしまい。
さらに身体の芯が熱くなって頭が朦朧としてきて、研究員たちやフリーゲの慰み者にされてしまいます。

皆さん、私が敵を引きつけている間に……!


フレイティア・ユールアリア
これ以上の横暴はさせない…!
その為にも、思考波増幅装置を破壊しないと…!

(そこに辿り着くまでに、恥ずかしい所を隠せる物があればいいけど…)

敵の攻撃は【神速反応】で回避し
サンドストームで攻撃!
その際は攻撃着弾後、爆発等の影響が広がる事を危惧し、大きめに回避

でも装置破壊を狙う焦りを読まれ、薬品をその身に受けてしまい…

無意味な抵抗しかできなくされ、研究員達に弄ばれてしまう…

何度も意識を飛ばされ、力なく横たわる私に、敵はなにかを注射しようとしてくる…

これまでにない嫌な予感がして、なんとしても回避しようと、渾身のサンドストームで攻撃し、退けるわ

退けたら、さらに力を振り絞り、装置を破壊するために攻撃を!


セシリー・アーヴェンディル
【アドリブ/連携歓迎】
心配をかけたな店主。心配ついでに子供達のことをよろしく頼む。
先に入り口の方へ避難していて欲しい。
私達はこれから首魁を討伐してくる。それが本来の仕事だ。

まずは思考波増幅装置の停止のため操作室を目指すぞ。
悪いが小物と問答をする暇はない。手早く倒させてもらう。
というか他と比較して、手早く倒されておいた方が楽だぞ。
装置の構造はよくわからないが、機械は右斜め45度で叩けばいいと伝承を聞いたことがある。
破壊できずとも止められればいい。【一刀両断】だ。

これから数分以内にバケツ頭を倒さなければならない。
そうでなければ彼等を助けることはできない。
敗けられない戦いか。いつもの事だな。


レイン・ナンバーナイン (サポート)
「ミッションの受領確認、これより作戦に介入します」
↑上記セリフは大体参加時には出る決まり文句です
戦闘スタイルは基本的に遠距離主体、砲撃メインです。
状況に応じて倒すことよりも時間稼ぎや先々のことを踏まえて仕込みを行っておきます。

そして必要であるならば犠牲の出るやり方も辞さない。軍人なので。
おまけに自分の身をおとりにすることも作戦遂行為なら躊躇いません。軍人なので


郷見・竜治 (サポート)
『やれやれ。世の中、侭ならないな……』
どこか草臥れた雰囲気を放ちながら、しかし心に燻る火を持つ男。

調査系の際は【情報収集】【観察】などの技能を用いて効率を重視する。
【幸運】や知識系技能と併せ、事態の考察に頭を働かせます。

戦闘系の際は【ダッシュ】で一息に敵の懐に潜り込み、可能な限りの大威力の攻撃を叩き込む。
また、【フェイント】や【地形の利用】を活かしたトリッキーな戦い方も得意とする。
敵の反撃に関しては、その性質をしっかり見極め【看破】し、致命傷だけは避ける。

他の参加者に迷惑を掛ける様な行動や、故意に依頼の達成を妨げる様な行動は絶対にしない。
また、アドリブや連携等は歓迎です。


緋室・エマ (サポート)
人間の破軍拳士×バウンサー、24歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)」、敵には「攻撃的(私、お前、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

元ボディーガードのため、自由に得物を選べない環境下でも人を護れるよう、自身の体力・体術と周囲の環境を活かして事態を打開する術に長けています。
また、クロノヴェーダから人々を護るためなら、どんな労力も惜しみません。

パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
もっとも、他のディアボロスに迷惑をかける行為、公序良俗に反する行動は行いません。

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


●心を無くした科学者は、奈落の悪夢を作り出す
「……ふウ」
 鉄砲水の現場から、労働者たちを伴い、
 ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は、姿を現した。
「ああそうダ、もう一つだけ質問するネ。……研究員って、どの辺に居ル?」
 既に十分は過ぎており、首輪の沈黙機能が再起動していた。だが、ラウムはディアボロス。そしてディアボロスには、この首輪の機能は通用しない。
「……あア、無理しないデ。大体の道を指差してくれれば充分だカラ」
 それを聞き、彼は指差す。
「OK。じゃア、行って来るネ。もうじきこの坑内と施設は崩れるカラ、入り口の方へ逃げておいテ」
 頷いた彼らを一瞥し、ラウムは先へと進む。
(「全員、逃げてくれるといいケド」)
 そして、心の中でそう呟いた。
 どんなにひどい人間であっても、見捨てていい者などいない。そして、自分たちも……見捨てる様な人でなしには、なりたくない。
 そして、こんな奈落を作り出す人でなしどもを倒さねば。気を新たにして、ラウムは駆け出した。

「その……大丈夫か?」
 セシリー・アーヴェンディル(ルクスリア・g02681)は、草薙・美珠(退魔巫女・g03980)に問いかけたが、
「だ、大丈夫です! これくらいは……」
 美珠は平静を装った。とはいえやはり、下を履いてないのはいささか頼りない。
「……まあいい。それじゃあ行こうか」
 だが、その前に……。
「……店主」
 セシリーは、店主に声をかけた。
「心配をかけたな。それから、あの時に警告してくれてありがとう。見ての通り私たちは……ここを叩き潰すために、あえて潜入したんだ」
 それを聞き、合点がいったとばかりに、静かに店主は頷いた。
「心配ついでに、この子供達の事をよろしく頼む。じきに、この炭鉱は崩れる事になるだろう。だから、先に入口の方へ向かっておいてほしい。首輪があるため、外には出ず、入り口近くで待っているんだ」
「……?」
 既に首輪の沈黙機能は復活している。そんな彼に対し、
「私たちは、これからここの首魁を討伐してくる。それが……本来の仕事だ」
 それじゃ、頼んだぞ。そう言ったところで、
「…………」
 声が出ない状態で、店主は何かを言った。
『気を付けて』
 唇の形から、そう言ったのをセシリーは悟り、頷くと……美珠とともに駆け出した。

 フレイティア・ユールアリア(互いを捧げた魔人・g04635)は、仲間から問いかけられていた。
「おい、大丈夫か? ……とりあえず、服を羽織るといい」
 イルヴァ・ヘレナ(寡黙な全身鎧の戦士・g05698)から、捨てられていた兵士の上着を差し出され、それをはおり美珠は立ち上がる。周囲は『仕置き』を受けた『リンゴ』たち……首輪だけを付けた女性たちが集まっている。あれから散々弄ばれたが……満足した兵士たちは、引き上げていったのだ。
「ええ、大丈夫です。あの……」
「何か情報を得たのか? こっちもだ。とりあえず、他の皆と合流したいが……」
 どこに行けばいいか、ちょっと見当がつかなくてな。そう言ったイルヴァに対し、
「では、監督所へ。恐らく皆さんも……そちらに向かっていると思われます」
 そう言ってフレイティアは、立ち上がる。
 それとともに、他の皆に、首輪だけを付けている女性の囚われ人たちに対し、
「詳しく話すには時間が無いですが、どうか逃げる準備を。着るものを何とか見つけて、外に出ず、洞窟の入り口近くへと逃げて下さい。この事を、相手の手のひらに指で字を書くなどして、できるだけ多くの人に伝えて下さい」
 お願いしますと頭を下げ、彼女は向かっていった。

 そこは、異様な『臭い』が漂う『トロッコ』置き場。
「みーつけタ」
 ラウムは、先刻に指で指し示られた先に向かう事で、その場所に辿り着き、そして……発見していた。
『なっ……?』
 そこに居たのは、研究員の一人。
『おいお前……なぜだ? なぜ首輪を付けているのに喋れる?』
「そんなコト、どうでもいいでショ? それよりモ……」
 何、してるのカナ? と、彼は問いかけた。
 トロッコの中を一瞥し、ラウムは後悔した。そこにあったのは、労働者たちの……首を失った死体だったのだ。
『く、首が無くなっただけだからな。何かの実験に利用できないかと集めていたのさ』
「…………」
 ラウムは自分を褒めたかった。怒りに我を忘れず、当初の目的を遂行できたからだ。
「……言っとくケド、会話するつもりはナイ。質問には素早く答えてもらウ」
 自然と『凄味』を込めた口調でそう述べたラウムは、逃げようとしたそいつの両足、その腱を、切断した。そのまま、そいつから薬品も取り上げる。
『ぎゃあああっ!』
「で、思念波増幅装置と関連設備の設計図はドコ?」

●心を忘れた科学者は、地獄を奈落に作り出す
「……ラウムはどこだ?」
 イルヴァが見回すが、彼の姿はそこには無かった。
 ディアボロスたちは監督所を臨む場所、トロッコの陰に集まっていた。
 皆で得た情報を共有し、そして……、
「……兵士の姿は見えないが、研究員どもと、ブレンメンの姿は見えないな」
 イルヴァの言う通り、監督所の開け放たれた玄関口は、人の気配が無かった。兵士の出入りも無い。
「今なら……行けそうですね」
 角材を拾い上げた美珠は、それを構え、接近する。
 やはり、人の気配はない。かくして皆は、内部へと潜入した。
 イルヴァとセシリー、美珠とフレイティアとで先に進むが……、
「内部は……思ったより広いです」
 フレイティアの言う通り、その建物の規模は思った以上に大きく広い。
 だが、進んでいくうちに、
「……しっ」
 数人の兵士が、歩哨に立っていた。雑談し、煙草をふかしている様子から、真面目に見張りをするつもりは無さそうだが。しかし……彼らの前を通り過ぎないと、どうやら思考波増幅装置の部屋に行く事は出来なさそうだ。
 そして、彼らに見つかることなく、先に進む事もまず不可能。引き返して別の廊下から、或いは外から向かうべきかもしれないが……そうすると時間がかかるのは必至であり、事態はより不利になる事は明らか。
「……俺が一人だけで、『光学迷彩』を使って先に行くか?」
 イルヴァが呟く。そうすれば彼一人だけは先に進めるが、他の皆をここに置いていく事になる。
「けど、ここで戦ったら……」
 セシリーは危惧した。ここはまだ途中、交戦したら騒ぎになり、やはり余計に時間がかかってしまう。
 ならば素早く、あの見張りの兵士たちを倒して先に進もう。そう決めたその瞬間、
『おいお前ら! 誰だ! 何をしている!』
 後ろの方からやってきた研究員たちに、見つかってしまった。それを聞き、見張りの兵士たちも気が付く。
「先に行ってください!」
「私たちが……ここは引き受けます!」
 そいつらに、美珠とフレイティアが向かっていく。全員の注意が彼女ら二人へと集まり、
(「二人とも……!」)
(「恩に着る!」)
 セシリーとイルヴァは駆け出した。
「こちらです!」
「さあ、来るなら来なさい!」
 そして、二人の少女が。兵士と研究員とへ向かっていった。

「ふうン、資料室、ネ……」
『ああ、思念波増幅装置および、関連設備の設計図だったな? 設計図は無いが、概要図と説明書だったら、この資料室に保管しているはずだ』
「ひとつ聞くけド……キミはどうなんだイ? 装置のことを知ってるのかナ?」
『いいや。私は知らされてない。知っているのは、専用の技術班の研究員たちのみだ。さあ……』
 そろそろ解放してくれ。そう言った研究員に対し、
「……わかっタ。それじゃ解放するネ……」
『おお、さあ早く……が、はぁ……?』
 研究員は、事切れた。ラウムにより、その心臓を空気に変換させられたのだ。
 そのまま資料室に入ったラウムは、それらしい図面と書類を発見し、机の上に広げる。
「さてト……」
 今こそ、自身の『機械知識』を動員する時だ。これらの図面から、少しでも長く止められる手段を見つけないと。

 その部屋は、まるで『機械そのものが部屋と融合している』ように見えた。
 機械装置は巨大かつ重厚、そして見るからに頑強。モーターの重低音が室内に響き、空気そのものも震えている。その大きさは、巨大な航空機や船舶からエンジンなどの駆動部を取り外し、この部屋に据え付けたかのよう。
 内部では、あの研究員たちが入り込み、働きアリのごとくあちこちにへばりついて作業している。
 その部屋の、廊下に続く大き目の扉。それが開くと、
『なっ……なんだ!? ぎゃあああああっ!』
『眼がっ、眼がああああっ!!』
『何がっ……何も見えん! き、聞こえんっ!』
 強烈な閃光と爆発とが、扉から室内に響き渡った。光が視覚を、轟音が聴覚を奪い、目と耳を奪われた者たちがのたうち回る。
 混乱する室内に人影が入り込み、そのうち一つは十字聖剣で研究員たちに切りかかった。
『なんだ!?』
『侵入者だ!』
『おい、兵士を呼べ!』
 閃光にやられていない研究員たちが、その姿を認める。何人かは、薬品のフラスコを取り出し、そいつに、セシリーに投げつけようとするが、
「……させるか!」
 イルヴァが放った『致死の地獄(ニュートロンビーム)』を受け、逆に引導を渡された。
『お前ら……労働者か! 反乱するつもりか!?』
 反撃を試みた研究員たちは、そのまま返り討ちにされた。生き残りは、両手を挙げて降参の意を示す。
『反乱分子は処刑されるぞ! お前ら、生きてはここを出られぬ……ぎゃあああっ!』
「貴様らも、苦しんで死にたくはないだろう?」
 口うるさいその研究員に、イルヴァは中性子線を、再び『致死の地獄』を放ち黙らせた。
「質問には素早く答えろ。この機械の制御電源はどこだ?」

●心を認めぬ科学者は、心が無きゆえ敗れ去る
「はぁっ!」
 フレイティアは、兵士たちの動きを見切り回避しつつ、『サンドストーム』を放つ。
 金属にすら食い込む砂粒の砂嵐が、兵士たち数名をまとめて吹き飛ばした。
「草薙流剣術奥義……『八岐大蛇』!」
 そして、接近し接近戦を挑んだ兵士たちには、美珠が対処していた。
 踏み込み、剣代わりの角材を打ち込む美珠。ただの角材なれど、美珠が手にすれば木刀にも匹敵し、容赦なく敵を打ち据える。
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ……」
「はあっ……イルヴァさん、セシリーさん……装置の元には、辿り着けた、でしょうか?」
 息が上がる二人、既に百人以上を薙ぎ払い、倒していた。
 目前の兵士たちは全て倒し、動く様子を見せない。
「行きましょう! 私たちも……」
 しかし、身を翻した美珠へと、何かが投げつけられた。
「はっ!」
 反射的に、角材でそれを打ち据える美珠。それはガラス製のフラスコで、中には液体が入っていた。
 ガラスが割れ、内部の液体は気化。煙状になり二人を包み込む。
「え?」
「こ、これは……!」
 それを吸い、途端に激しい身体の痺れが二人を襲い……麻痺してしまった。
 角材を取り落とした美珠は、別のフラスコを投げつけられ、なすがまま液体を浴びせられてしまった。
「きゃっ!」
「な、なにを……ふわあ……」
『教えてやろう。最初のは麻痺剤。そして次のは、向精神剤の一種だ。思考がまとまらず、ぼうっとしてくるだろう?』
 研究員たちが、姿を現した。にやにやしつつ、至近距離まで顔を近づける。
 それを拒む事が出来ない。身体が動かないのもそうだが、それ以上に……拒む事自体が面倒だと、美珠とフレイティアは実感していた。
「そいつは、実験用の薬でな。まだ開発中だが……」
「完成したら、拉致や誘拐に使う予定だ。女をモノにするのにも使えるぜ?」
 その言葉を投げかけて来たのは、アウゲとフリーゲ。研究員たちと同じく、にやにや笑いを浮かべ……美珠の頬を、いやらしくべろりと舐め上げた。
(「くっ……こ、こんな薬になど、負けはしません! ……くうっ!」)
 美珠は逃げようとしたが、身体がゆっくりとしか動いてくれない。
 そればかりか、身体の芯が熱くなってくる。思考がまとまらず、頭が朦朧とする。
「は、はあっ……はあっ、はあっ……」
 フレイティアも、息が荒くなり、まるで……発情しているかのよう。いや、『発情』させられている。
 抵抗するすべはない。力の抜けた二人はそのまま……されるがままに抱え上げられ、運ばれていった。

「それじゃ、さっき言った通り……俺の相手をしてもらおうか」
 そこは、倉庫らしき部屋。その片隅に並べられた土嚢の上に、二人の体は投げ出された。
 体を覆う布切れは、全てむしり取られ、全裸を晒した状態に。隠そうとしても、手足に力が入らない。その状態で、研究員らに胸やお尻やへその下、敏感な場所を撫でられ続け、
「あんっ! あっ……ふぁ……あひっ!」
 快感に体が反応し、びくびくと痙攣してしまった。
「あ、ああ……ああっ!」
 フレイティアも、美珠同様に反応する。抗おうにも抗えず、逃げられない。
 そして……、
「ひっ! ああああっっ!」
 美珠の中に、アウゲが入ってきた。腰が浮き、背中が反り返る。
「どうだアウゲ。そいつは貧相な体つきだが……具合は良いだろう? ……くっ」
 その隣では、フリーゲがフレイティアへとあてがい、突き入れていた。
「あ、あひいいっっ!」
「……あ、ああ。なかなかいいな。だがフリーゲ、そっちの眠り姫もなかなかのものだろう? ……くうっ!」
「おう、悪くないぜ……なかなか敏感で、可愛く反応しやがる……ううっ!」
 そして、
「「あっ、あっ、あっ……ああああああっ!」」
 美珠とフレイティアは、二人で絶頂に押し上げられた。
 その後で、研究員たちも加わり……お尻と口にも入れられ、散々弄ばれる。十数回も犯され、絶頂させられたのに、身体の自由はまだ戻らない。
(「も、もう……やめて……」)
 そして、研究員の一人が注射を取り出した。
 嫌な予感がする。これまでにない、嫌な予感が。
『さて……これを注射すれば……もっといい気分になれるぞ?』
『これも実験中の薬でな。脳神経組織の一部が破壊され、思考が出来なくなる代物だ』
『要は、自分の意志が無くなるわけだ。楽しみだろう? 我々は楽しみだ!』
 その針先が、フレイティアの腕に向けられた。美珠にも向けられている。
(「くっ……」)
(「や、やめてっ!」)
 喘ぎ声は出るのに、言葉は出ない、出せない。
「おっと、逃がさないぞ」
「安心しな。肉人形になっても、俺たちがたっぷり可愛がってやる」
 首輪をアウゲとフリーゲ、それぞれに押さえつけられ、二人は逃げられない。
 針が肌に、突き刺さらんとしたその瞬間。
「そこまでに……しときなさい!」
 動けぬ彼女らへの助けが、そこに現れた。

●心を無くさず人として、奈落の悪夢を打ち破る
「動けない女の子相手に、なにやってるのよ!」
 突撃した緋室・エマ(人間の破軍拳士・g03191)の、拳の一撃が炸裂する。
「なっ!? ……ぐはあっ!」
 それは注射器を破壊し、アウゲの横っ面に叩き込まれ……フレイティアを解放した。
「まったくだ。男として気持ちはわからんでもないが……見るに堪えん、なっ!」
 それに続き、一瞬で敵の懐に潜り込む男の姿。彼、郷見・竜治(今は燻る火が如く・g01084)の握った拳の、破軍衝の一撃が、
「何を……がはっ!」
 美珠を狙う注射器を吹っ飛ばし、フリーゲの鼻面にもろに入れた。鼻を潰され、後ろざまに吹っ飛ばされるフリーゲは、
アウゲと共に、壁に叩き付けられた。
「なんだこいつら!」
「逃げろ!」 
 と、卑劣漢二人はそのまま逃走。
『お、お前らは! このおっ!』
 立ち直った研究員らは、エマと竜治へ応戦しようとするも、
「ミッションの受領確認、これより作戦に介入します」
 室内に現れた、金髪の少女、レイン・ナンバーナイン(コード:№9・g00199)の砲撃が、彼らに襲い掛かった。
『イマジナリキャノン』が、研究員たちへと放たれ、吹き飛ばし、そして……、
 数刻後、室内のトループス級は、全てが葬られていた。
「大丈夫? まったく、最低な奴も居たものね」
 エマはフレイティアと美珠を起こし、
「……ったく、こういう状況じゃあなきゃ、おいしく頂くんだが。やれやれ、侭ならないな……」
 竜治は研究員から取った白衣を、二人に着せた。
「……あ、ありがとう、ございました……」
「おかげで……助かりました」
 薬の効果が切れ、ようやく体の自由が戻る二人。
「先刻合流したラウムさんから、話は聞いたよ。皆がピンチになってたら、助けてって言われて」
 大丈夫?と問うレインに、頷く二人。
「どうやラ、大丈夫みたいだネ」
 と、そこにラウムも駆けつけた。
「皆ありがとウ。後もうひとツ……」
 まだ避難し終えてない労働者たちがいるので、彼ら彼女らの誘導を……と、ラウムはエマ、竜治、レインにお願いした。
 そして、
「二人とモ、動けル? 後の二人ハ?」
 フレイティアと、美珠に向き直る。
 数刻後。
「……装置を止める前に、知っておくべき事?」
「協力はもちろんしますが……何をすれば?」
「今ハ、イルヴァとセシリーの所へ急ぐんダ! 話はその後!」
 自前で調べたらしく、ラウムは部屋へと走る。そして、
「待っテ!」
 その部屋にて。思念波増幅装置の制御装置のパネルを、イルヴァは外していた。そのまま、内部の機械を破壊しようとしていた彼へ、
「破壊するナ! 装置を止めるのは中止ダ!」
 ラウムは声を張り上げた。
「!?」
『……ちっ!』
 と、研究員は舌打ちを。
「ラウム? それに……フレイティアに美珠も? 無事だったのね?」
 セシリーも、安堵の表情を浮かべる。
「……おい、お前。何を企んでいる?」
 イルヴァが、研究員の胸ぐらをつかんだ。
『……あんたらは、この思念波増幅装置を止めたいんだろう? だから、言う通りにしたまでだ』
 嘲笑うそいつに、ラウムは、
「……この装置の安全装置を動かそうとしてたネ? それを使って、まとめてボクらを始末しようと考えてたんだろウ?」
 そう、指摘した。
『……ばれたか』
 研究員は悪びれず、呟く。
「説明しろ! どういう事だ!」
 研究員を問い詰めるイルヴァに、
「ボクが説明するヨ。この装置はネ……」
 ラウムが変わって説明し始めた。

 平たく言えば、この装置。『安全装置』が付いていた。
 下手に破壊を試みると、装置自体が『乗っ取られた』と判断し、首輪そのものを強制的に起爆させる信号を発信するのだ。
 なので、もしもこのままイルヴァが装置破壊を続けていたら、その機能が作動。首輪を付けていた者たち全員が、頭部を吹き飛ばされていたわけだ。
「なぜその事を言わなかった!」
 イルヴァは問い詰め、
『聞かれなかったからな』
 そううそぶく研究員を殴りつけた。
「安全に完全停止する方法は?」
 セシリーが問うと、
『ブレンメン様が命じるか、停止コードを知らされた研究員から聞きだし、機械に打ち込むか。そのどちらかだ。それ以外には無い』
「そのコードを知ってる者は!?」
 イルヴァが問いかけると、
『さっき、お前に中性子線を浴びせられて焼け死んだ』
 と、先刻に『致死の地獄』を浴びた研究員の死体に、指を指した。
「……他にコードを知っている者は?」
『いない。コードは週一で発行され、ランダムに研究員の一人が選ばれ、その一人だけに知らされる。で、次の週になるとコードは変更され、また別の一人に選ばれ、その者のみに知らされる。変更後に前のコードを打ち込んだら、自動的に爆破信号が放たれる』
「次にコードが発行されるのは?」
『一週間後だ。コード発行装置は、この思念波増幅装置と連動しており、タイマーが内蔵されている。下手にそれらを弄ったり、細工したりしたら……』
 そういう状態でも爆破するのだろう。もう聞かなくともわかる。
「……随分ト、厳重な安全装置だネ。なぜこんな仕掛けにしたんダ?」
 ラウムの質問に、得意げに応える研究員。
『……いわゆる、支配・管理システムの研究のためだ。今はこの炭鉱内での実証実験中だが、次は刑務所や強制収容所といった施設で実験する予定だ。それだけではない……』
 訓練施設や学校において、多くの人間を管理するのに応用できるし、市町村といったスケールで運用すれば、国の地方一帯を少人数で支配する事も不可能ではない。ゆくゆくは、侵略した国家そのものに似たシステムを用い、支配を盤石にできる。
 自国民でも有用だ。普通の労働者や学生にも用いれば、落ちこぼれや無能は削除、より効率的にノルマをこなし、生産量も上がる。
 そういった応用例を聞き、
「……人間を、国の人たち全てを、ここの炭鉱の人たちみたいに……するって事ですか?」
 フレイティアは、震えるように、そう問いただした。
『そうだ。ちなみに一時的に停止させるだけなら、そこの大型レバーを下げるだけで済むが……十分で再起動する。連続では停止は出来ず、五分のインターバルが必要だがな』
 指差した先には、大きなレバーが。すぐにイルヴァがそれに向かい、手をかける。つまりは、再起動したら五分は停止できないと言うわけだ。
「……ブレンメンを倒せば、この機械も連動して止まり、首輪も外れるんですよね? それは確実ですか?」
 美珠の問いに、
『そうだ。だが……それも望み薄だろうよ』
 研究員は、馬鹿にしたような表情で、部屋の奥を見た。
 その先には、奥へ続く扉が。そして開いたその扉の奥から、
『……なるほど、こいつらが闖入者か』
 アヴァタール級『ブレンメン・メンシュ』。そいつが現れたのだ。

 ブレンメンはゆっくりと、まるで値踏みするかのようにディアボロスたちを見回した。そのバケツのような頭部からは、炎が噴き出している。
『機械化ドイツ帝国、一般研究員どもよ。もしも生きているなら、我が前に集合せよ!』
 その命令に、生き残っていた研究員たちは……ブレンメンの前へと駆け寄っていく。
 研究員たちの数は、少ない……十名前後か。だが、ブレンメンの能力は、恐らく彼らとは比べ物にならないほどに、協力で危険だろう。
 ディアボロスたちは、警戒しつつそいつらを睨む。
『ふん。お前ら、俺を倒そうという魂胆らしいが……その首輪、俺を破壊し殺害しない事には……外れんぞ? ほれ、電源を切るがいい』
 でないと……爆発だ。ブレンメンのその言葉に、慌ててイルヴァはレバーを下ろす。
『十分間の戦い、開始だ。俺かお前らか、二つに一つ。十分のうちに俺を倒せれば、首輪は外れてお前達の勝利。俺に倒されたら、俺が命じて首輪を爆破、俺の勝利。勝負がつかず、十分の時間が経過しても、俺の勝利。引き分けは無い! 最後に言いたい事があるなら、言い残しておくんだな』
「……ならバ、言わせてもらうヨ」
 ラウムが、進み出る。
「……ボクたちは必ズ、君たちに勝ツ。そしてここカラ……脱出すル」
 気迫と、凄味。それらを込めつつ、ラウムは言い放った。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
【神速反応】がLV3になった!
【土壌改良】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【修復加速】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV4になった!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!

陣・頼人
監督所の操作室に奇襲を仕掛け、仲間が思考波増幅装置のスイッチを停止させたのと同時にブレンメンへの攻撃を仕掛ける。
10分以内に、終わらせるよ。

【地形の利用】と【ジャンプ】で椅子やテーブルを足場に飛び回りながら火炎や蒸気を回避し、同時に【トラップ生成】と【罠使い】で足元にスネアトラップを仕掛ける。
奴の攻撃手段は上半身に集中しているから足元は手薄な筈。
そして思考波増幅装置に攻撃を仕掛けるフリをして奴の注意を逸らし、その隙にトラップを作動させて奴を転倒させ、生じた隙に【インベイデッド・ユア・テリトリー】の連撃を叩き込む。


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
戦闘の連携歓迎

ルール炭鉱の暴虐を、ディアボロス達は止め続けてきた……
あと一歩の、ここで立ち止まる訳にはいかないな

思考波増幅装置が停止した報せを受けたら
ブレンメンを不意打ち、十分以内の短期決戦を仕掛ける

現場や状況、相手をよく観察し情報収集、仲間と共有
臨機応変に、炭鉱の人々の安全を最優先とする

仲間が得た情報を元に立ち回り
粉塵爆発の兆候は見逃がさず、自他に退避を促そう

俺の技は初見だろう
絵筆に炭鉱の闇の色彩を乗せて描こう
……暗闇に沈め
あなたが人々にしてきたように

地形の利用し、遮蔽物と魔力障壁で防御、神速反応で回避
もし装置が稼働したら矢かパラドクスを早業で撃ち込み破壊
仲間と連携を取り、適時援護を行う


瀧夜盛・五月姫
怨霊に憑かれています。
アドリブ、連携、歓迎ぞ。

数多の輩(ともがら)どもの働きを徒(いたづら)にするわけにはいかん故な。
新皇たる、吾が出るぞ。

――愚かなる衆生の一二三四五六七八九十(ひふみよいむなやこと)なる余殃を、高龗神に祓い浄め給へと祈願奉り、大願を成就なさしめ給へと恐み恐みも白す(かしこみかしこみももうす)。

輩(ともがら)が装置の停止を試みている間に高龗神への祝詞を唱えよう。
成功の報、届けば吾は【水源】の水流を操り、アヴァタール級に襲撃させるぞ。
取り巻きもろとも水圧に押しつぶされるがよい。

あとは【避難勧告】だ。
逃げる者はなくとも“危険な地域”に笛が鳴るのであろう。
待避の合図になるだろうよ。


ラウム・マルファス
早業でドローンを自動ハッキング用に換装

「さて、残るはキミだけだネ。アハ、ホントにバケツ頭ダ」
挑発してみんなが装置を壊す時間を稼ごウ

装置にドローンをくっ付けてハッキングし復旧を遅延させル
さらに5分おきに視線向けて復旧した部分を破壊しよウ
装置の情報が入手できていれば活用するヨ
まぁ、10分以内に倒せばいーんだケド、念のためサ

接近戦の人がいるならイバラの冠で撹乱して援護すル
粉塵爆発に備えて消火剤を搭載したドローンも待機させておこウ

ボク自身は後方で敵の動きを観察
隙があればパラドクスで心臓付近を空気に変換して攻撃するヨ

鉱山を崩す装置があるなら、思念波の装置と同様に止めようカナ
500人、逃がさないとだからネ


百鬼・運命
「やれやれ、排斥力のタイムリミットまであとわずか。とっとと片づけないと、いろいろまずいな」

状況がまずいと聞いたので取り急ぎ参加。

「さてあんたはデータを蓄積するらしいが、飛び込みゲストのデータを所持しているかな?」

短気決戦の構え
乱入後、詠唱を唱えながら祓乃太刀を振るって、熱気や炎など邪魔する形無き物を切り払いながら一足飛びに間合いを詰めて斬り伏せます。

アドリブ絡みOK


イルヴァ・ヘレナ
排斥力を忘れていた...時間がないな。
魂から武具を再形成s...しない。防御に関しては加護で十分、それよりも鎧と大剣を捨てることで速度を。
奴は攻撃を覚えるらしいな?ならば技術など関係なく力で押さえつけることで妨害をする、タックルをかまし地面に倒し後ろから首を絞めるとかだな。力で締め付けることで破壊も狙ってみよう
一度相手をつかんだなら決して離さん、2度も掴めるか分らんからな。

このパラドクスは身体能力を上げるもの...そもそも武具や道具がなければ使用できないものはない、魂は必要とするがな。

それと粉塵爆発を起こせるとのことだが自分ごと吹き飛ばすことはないだろう。できる限り離れないようにして行動する。


草薙・美珠
●目的
敵を倒し人々を助け出します!

●手段
機械が置いてある部屋なら武器があるはずです。
鉄パイプを構え敵と対峙します。

ですが、すでに私の弱点は敵に知られていました。
力任せに押さえつけられ、【神速反応】の副作用で敏感になった胸や下半身を責められてしまいます。

敵の責めに屈しかけてしまいますが【退魔の聖光】の光で相手の視界を封じた隙に【一刀両断】で剣のような切れ味を持たせた武器で反撃です!

●戦闘後
フリーゲとアウゲ……卑劣な二人は許せません。
まだ遠くには逃げていないはず。
鉱山周辺を捜索します。

ですが、二人の仕掛けた罠にかかってしまい、【神速反応】で何倍にも敏感になった身体を無理やり犯されてしまいます。


フレイティア・ユールアリア
残された時間は僅か…
できるだけ急いがないと…!

焦りは隙を生むから、逸る気持ちを抑えつつ、分析データに引っ掛からないよう立ち回りながら
牽制による粒子発火の相殺と回避をしながら
敵の隙を見付けるわ

もしそれで隙を見せなかったら
あえて隙を晒し、そこに付け入る事を誘い
ギリギリで【神速反応】で回避し、隙を作り出すわ

そうしてできた隙を見て
破窮の翔墜による全身全霊【一刀両断】の一撃を
叩き込む!

この一撃で、何としても!

無事勝利できたら、私達を弄んだ者たちを捜索

見付けたけど、そいつらは人質を…!
人質を助けるために、仕方なく身代わりに…

人質諸共散々弄ばれて…

せめて一矢は…!
と、奴らが人質から離れた所で反撃を…!


セシリー・アーヴェンディル
【アドリブ/連携歓迎】
確かに与えられた時間は少ないが、死力を尽くすだけだ。
背負っているものの違いというのを見せてやろう。
粉塵爆発用の粉末を体内に仕込んでいるらしいが、それを直接爆発させたらどうなるだろうな?
【神速反応】で肉薄し、剣を刺すと同時に最大出力で【光の流星】を叩きこんでやろう。
奴を倒せば戦いが終わる以上出し惜しみをする必要はない。出力度外視でいくぞ。

子供たちは逃げきれただろうか? 店に顔を出してみよう。
重ね重ね任せてしまってすまないな、店主。
何かノンアルコールの飲み物を貰おうか。
ところで……子供たちに仕事を与えてやってくれるか? 飢えてしまわないようにな。


●止めろ止めろ、機械(マシーネ)を止めろ、
「さてト……。アハ、ホントにバケツ頭ダ」
 ブレンメンを嘲笑うは、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)。
『ほう、そこのメガネ。お前は……じわじわと殺してやろう』
 そう言いつつ、ブレンメンは威嚇するように、頭部の炎を噴き上げる。
『だが……その前に、そこの小娘と、男にも聞いておこう。このメガネを殺すのは、お前らを殺す前と後、どちらがいいか?』
「くっ……!」
 近くに積まれていた鉄パイプを見つけ、拾い上げ。草薙・美珠(退魔巫女・g03980)は構えた。
 その身体は色々と弄ばれていたため、『疲労』していた。身体よりも、精神の疲労の方が激しい。
「……前も後もありません。どちらでもなく、あなたを倒します!」
 だがここが正念場。回復はこの場を切り抜けた『後で』と、美珠は気を新たにする。
「ああそうだ。お前の言葉、そっくり返そう!」
 イルヴァ・ヘレナ(寡黙な全身鎧の戦士・g05698)もまた、己の疲労を『後で』回復させる事とした。鎧と大剣を再形成しようとしたが、すぐにそれを止める。
 代わりに、レスリングの選手のように、両腕を広げた。
「時間は少ないが……死力を尽くすだけだ!」
 背負っているものの違いを見せんと、セシリー・アーヴェンディル(ルクスリア・g02681)は……ブレンメンの頭部と腕とに目をやった。
『粉塵爆発用の粉末を仕込んでいる』らしいが、どこに仕込んでいるのか。散布する前に爆発させたらどうなるか。
 十字聖剣が通用するかはわからないが、通用させる、させてみせる。
「できるだけ……急がないと!」
 そしてそれは、フレイティア・ユールアリア(互いを捧げた魔人・g04635)も同様。焦りは隙を生む。故に焦りを押さえつつ、相手の隙を伺っていた。
『……いいだろう、まずはお前からだ!』
 ボクサーのように両腕を構えたブレンメンは、まるで瞬間移動したかのように一歩を踏み出し、イルヴァの目前に立っていた。
「なっ……!」
 速い。対処する前に、左右のストレートパンチを受け、イルヴァは後ろざまに吹っ飛ばされる。
「よくもイルヴァさんを!」
「……このっ!」
 思わず美珠、そしてセシリーは、手にした得物で殴りつける。だがそれらをかわしたブレンメンは、
『遅い! 遅すぎて、あくびがでるわ!』
 頭部からの火炎を、二人へと浴びせかけた。
「きゃあっ!」
『神速反応』を用い、美珠とセシリーは火炎を回避するが、
「くうっ!」
 その熱まではかわしきれず、二人の皮膚は、軽く炙られた。
 だがその隙をつき、後ろからフレイティアの槍、リバースヘブンの攻撃が放たれる。が、それも掠っただけに終わった。
『! ……なかなか素早いな。だが……「覚えた」』
 お返しとばかりに、フレイティアにも火炎が放たれる。
「……!」
 ラウムは、装置へと向かいかけていたが、一瞬迷った。あのブレンメンを倒すのに加勢した方がいいかと。
 だが、すぐに思い直し……機械にとりつく。
 とりつくが……、
『おおっと、我々を忘れてはおりまいな?』
『戦闘員ではないが、研究員とは言え戦えないわけではないぞ?』
 一般研究員、トループス級の生き残りが肉薄する。こいつらを相手する暇など無いと言うのに。
 しかし、
「やれやれ、まずい状況と聞いたけど、確かにこれはまずいね」
 太刀を片手に、
『なんだお前ら! ……ぎゃああっ!』
 どす黒い心を持つ、白衣の連中に切り込む影が。
 それは、室外から入ってきた百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)。
 彼は、太刀を振るいつつ、
「とっとと片付けるよ。排斥力のタイムリミットも、あとわずかだ!」
 研究員たちを切り伏せた。
 さらに、広い室内を跳躍し、現れたる影が。
(「これハ……?」)
「遅くなりました! 協力します!」
 陣・頼人(武装騎士ヴィクトレオン・g00838)が、研究員たちを殴りつけて弾き飛ばし、ブレンメンへと襲い掛かった。
(「終わらせる、10分以内に!」)
 拳の一撃が、ブレンメンの顔面に決まった……と思いきや、
『ふん、遅い! ……なっ!?』
 それはフェイント。ブレンメンは足元で何かにつまずいた。
「うまくいった! 今です!」
「ああ、心得た!」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が、室内に漂う闇を絵の具とし、絵筆を握る。
『トラップ生成』と『罠使い』、頼人の仕掛けに引っかかったブレンメンは転倒。
「俺の技は初見だろう?」
 エトヴァの携えていた絵筆が、炭鉱の闇の色彩を乗せ、暗闇を描く。
「……暗闇に沈め、あなたが人々にしてきたように」
『Trugbild der Glasmalerei(トルークビルト・デア・グラースマーレライ)』、ブレンメンの周囲を、ステンドグラスのような『絵』が描かれ、包み込む。
『な、なんだこれはっ!』
「……誘おう、色彩の迷宮へ……」
 干渉された空間内にあるのは、踊る色彩の光とともに揺蕩う迷宮のみ。
 色彩が砕け散り、破片となりて……ブレンメンへと襲い掛かった。
 手ごたえあり。アヴァタール級へダメージを与えた事を実感したエトヴァは、
 通常空間へと戻った、不様に転がるそいつの姿を見た。

●邪悪な機械(ラスター・マシーネ)に悪魔が宿る
「我が親愛なる輩(ともがら)よ。吾も助太刀いたそう」
 瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)、少女がラウムの近くに降り立ち、祝詞を口にする。
「――高龗神、天津神、国津神、八百万の神たちとともに、聞こし召せと恐み恐みも白す」
(「これは……神道の祝詞?」)
 巫女たる美珠の耳にも、それは響いてきた。だが、すぐに彼女の注意は、目前のブレンメンへと注がれる。
『……なるほど、干渉された空間内での攻撃か。しかし……「覚えた」』
「……!」
 ブレンメンは立ち上がっていた。血を流しはしていたが、致命傷ではない。さしてダメージは受けていない様子だった。
 そして、刻々と時間は過ぎていった。

 ラウムは、装置に取り付きつつ、その頭脳を回転させていた。イルヴァが下げたレバーは下がったままだが、じきに元に戻るだろう。
(「皆、悪いけド……戦いの方は任せたヨ!」)
 余裕を見せて煽っては見たが、彼の中に余裕は無かった。既に手持ちのドローンを、ハッキング用に換装し、装置を調べにかかっていたが……。
『理解できた事』は、ただ一つ。この機械を十分以内に破壊する事は、『不可能』という事実のみ。
 それでも、数秒間をかけて対策を考え付く。だが、その対策全てには、成功できるという確信がない。
 装置の連続一時停止は出来ない。実行するには、五分のインターバルが必要。そして復旧されると、首輪はすぐに爆発させられる。
 物理的に破壊しても、その最中に装置の安全装置で、首輪を爆破してしまう。
 大量の埃や水を用いては? 装置自体に防塵・防滴・防水機能があり、機能不全にはならない。なったとしても予備回線や補助装置で再起動するだろう。
 仮に予備回線も機能不全にしたところで、破壊されたとみなされ、安全装置がはたらき、首輪爆破する事には変わらない。
 現時点で実行できる唯一の方法は、『ブレンメンと戦い倒す』事。しかし……十分以内で成功させる可能性は、極めて低い。
(「まったク、なんて装置だろウ。作った奴ハ、とんでもなく性格悪い奴だろうサ」)
 だが、方法は無いわけではない。
 貴重な時間、二秒をかけて、ラウムはにやりと笑みを浮かべた。
 そして、全ドローンに命じた。するべき作業を。

 ディアボロスたちはブレンメンに余裕を与えまいと、すかさずイルヴァが、後ろから組み付く。
『なっ……?』
「気付くのがちょっとだけ、遅かったみたいだね。もらったよ!」
『インベイデッド・ユア・テリトリー』、敵の『隙』を作り、そこを狙い全力の一撃を食らわせる、頼人の必殺の技。
 彼の竜骸剣の刃が、ブレンメンに切り込まれるが……、
『……ああ、遅かったが……これも「覚えた」!』
「えっ……!」
 刃は確かに、そいつの体を捕えた。だがブレンメンは、切られた場所に防刃チョッキを着こんでいたのだ。
『おい、お前もいい加減離れろ!』
「離すものか! お前をこのまま……離さん!」
 組み付いたままのイルヴァは、決して離さないとばかりに動かず、締め上げたが……。
『ならば、そのまま焼いてやる!』
 ブレンメンは、全身を赤熱化させた。
(「……負けてたまるか、我が名はレギオン、我ら多きが故なり!」)
 しかし、イルヴァも負けてはいない。『御霊契約(ミタマケイヤク)』、魂を身にまとう事で、自身を強化しているのだ。この程度の熱は、無傷で済みはしないものの、まだ耐えられる。耐えつつ、その腕力でベアハッグ……胴締めをし続ける。
(「粉塵爆発を起こしても、この距離だったら自分にダメージを食らう! 流石に自分ごと吹き飛ばしはしまい!」)
 そう目論んだイルヴァだったが、
『ええい、こうなったら……』
 と、ブレンメンは両腕の一部を展開させた。そこから、粉末めいたものを出している事を……セシリーは見逃さなかった。
(「あれは……粉塵爆発用の、粉末?」)
 ならば、あれを直接、体内で爆発させれば……!
 考える前に『神速反応』を用い、突貫する。
 そして、粉末の散布は、イルヴァも知るところとなった。
「貴様……!? まさかっ!」
『当てが外れたか? 自分にもダメージを食らうが、お前を引きはがせるならばやむを得まい!』
 ブレンメンの頭部の炎が、火炎放射器のように放たれる。
「……これは……粉塵爆発? まずい、みんな退避を!」
 兆候を見つけたエトヴァが警告したが、
『遅い! 爆裂せよ!』
 着火された。
「させないと……言っているだろうッ!」
 刹那、セシリーの剣が、腕の片方、粉塵の散布口の一つを貫く。
「『光の流星(スーテラ・ルーメン)』ッ! 最大出力だ! 駆けろッ!」
 十字聖剣ルクスリアからの強烈な聖気が、内部に注ぎ込まれる。
『何いッ!』
 次の瞬間。ブレンメンの腕が、爆発した。

(「やったカ?」)
 ラウムが爆炎を見つめる。
(「倒せ、ました?」)
 美珠も、フレイティアと共にその様子を見つめていた。二人は『神速反応』で、爆発の直前に距離を取っていた。
(「これだけの爆発。倒せなかったとしても……」)
(「立てないほどのダメージを受けているはず!」)
 頼人とエトヴァも、期待とともに戦況を見極めんとしていた。
 ラウムのドローンの一部が、消火剤を噴霧して鎮火させた。
 五月姫もまた、『高龗神薙』を放たんとしたが……、
(「何か……『妙』、だ……」)
 妙な、そして嫌な予感を覚えていた。この程度で倒せたとは思えない。なにより、まだ首輪は外れていない。
 そして、その予感は。
『……倒せた、と思ったか?』
 消火剤の煙が晴れたそこに、ブレンメンが立った事で的中した。
 そいつの周囲には、研究員たちの成れの果てがあった。全員が絶命している。
 ブレンメンは確かに、自爆に近い状態で爆発させたため……自分にもダメージを受けていた。
 だが、彼は爆発させる前に、ユニット化していた両腕装甲部を外していた。
 ブレンメンの腕部装甲内には、爆発用粉塵を内蔵していたタンクが内蔵されている。それが攻撃・破壊された時、腕の装甲部分をパージし、廃棄するギミックが内蔵されていた。そのため、若干だが距離を取る事が出来、自爆を免れたのだ。
 無傷ではないが、まだ動ける。
「そ、そん……なっ……!」
「おのれ……ぐっ……はぁっ……!」
 そしてセシリーとイルヴァは、爆発をもろに受けつつも……壁の方へと吹き飛ばされていた。二人とも、無事だ。かろうじて、だが。
「……やれやれ、俺の『祓乃太刀』がなかったら……お二人さん、危なかったぜ? ……ぐっ、ごぼっ……」
 彼らの前に立っていた運命が、平静を装いつつ言った。彼の『祓乃太刀』は、物理的な物以外にも、災いや呪いといった概念すら切り払える。熱気や炎、爆炎や衝撃波、その程度の切り払いは、彼にとってはたやすい事。
 が、至近距離かつ、強烈な爆炎と熱は、彼と言えども完全に防ぎ切れたわけではなかった。火傷と衝撃を受け、激痛に全身を苛まれつつ……運命は膝を付く。
 セシリーとイルヴァは、立ち上がろうとしたが、立ち上がれない。
「……まずいな」
 五月姫の口は、自分が焦りの言葉を口にしたのを聞いた。
 このまま、『高龗神薙』を放つべきか? いや、その程度で倒せるほど、やわな相手ではないだろうし、恐らく装置の方もそうだろう。簡単に破壊できるのなら、ラウムが既にやっている。
 そして、
『装置の一時停止時間、残り一分! そして俺は、両腕装甲を失ったが、まだ戦える! 加えて……装置に命令を放ち、首輪を爆発させる機能も健在だ!』
 絶望の宣言を、ブレンメンは口にした。

●戦乱を産み出すアイテムで、黒い邪悪のエネルギー
『……最後に言っておく。お前達を侮っていた事は詫びよう、お前達は敬意を払うに値する者たちだ。故に……』
 口調から嘲りが消え、本気を感じさせていた。
『セシリーに、イルヴァと言ったか? お前達だけは、首輪を爆発させず、この俺が直接殺してやる。それと……』
 頼人とエトヴァ、運命。三人をそれぞれ指差し、
『お前達三人も、同様だ。この俺が直々に殺そう。ああ……それから、そこの小娘ども二人』
 美珠とフレイティアへにも、向き合う。
『お前らは、娼婦として養ってやってもいい。この場から去れば、生かしてやる。俺の慈悲だ』
「そんな慈悲など……!」
 美珠はいきり立ったが、
「シッ……ボクに『策』があル。この場は逃れテ、労働者たちの避難をお願いするヨ」
「……『策』?」
 フレイティアは不安そうな眼差しを向けるが、
「……わかりました、ラウムさん。お任せします!」
 美珠は頷き、フレイティアの手を取ると、二人して室外へと退散した。
『懸命だな……だが、そこのメガネ! さっきから何をこそこそと装置を弄っていたのかは知らんが……お前は目障りだ。だから装置が再起動したら、最初に殺してやる』
 破壊は出来ておらず、首輪を外す事も出来てない。装置そのもののハッキングはしたが、装置自体の破壊の算段は……できていない。装置自体の破壊は不可能ではないが……わずかな時間でどうにかなる代物ではなく、加えて……下手に壊そうとしたら、安全装置で問答無用とばかりに首輪を爆破される。
 チェス勝負でチェックメイトを悟った選手のように、ラウムの顔が険しくなった。
 ラウムを助けんと、イルヴァやセシリーは立ち上がり、頼人とエトヴァ、運命も迫ろうとするが……、
『全員動くな! お前達の首にも首輪がある事を忘れるな……敬意を表すとは言ったが、俺の命令ひとつで、お前ら全員すぐに殺せるんだぞ?』
……成す術もなかった。
『ふん。……再起動したら、首輪よ、爆発せよ!』
 そして。
 首輪爆発の命令が、声高に響き渡った!

「ラウムさんは、大丈夫でしょうか……」
「今は、ラウムさんを信じましょう! 逃げるようで不服ではありますが……」
 既に見切られている自分たちがあの場にいるよりも……他の労働者たちを助ける方がいい。ブレンメンを仲間たちが倒す事を信じて、二人は坑道内を走った。
 何人か、うずくまっている者を見つけては、避難を促していく。
「ここで、最後……あ、彼らは!」
「フリーゲと、アウゲ……」
 そいつは性懲りなく、女性を押し倒し、暴行していた。
「やめなさいっ」
 鉄パイプを持って突撃し、振り下ろさんとしたが、
「ん? お前らか!」
「さっきはよくもやってくれたな! お返しにお前らを仕置きしてやる!」
 その鉄パイプをあっさり掴まれ、脇に捨てられてしまった。
「え……ひゃあん! や、やめて……ああっ!」
 美珠は、身体の力が抜けるのを感じた。
「や、やめなさ……あっ……はあっ……」
 フレイティマも同様で、疲労に苛まれ、うまく動けない。
 それも当然。先刻から乱暴され、そして戦いに巻き込まれ、再び坑道内を歩き回り……と、体力を消耗し、休息してなかったのだ。
 美珠とフレイティアは、その事に気付いていなかった。気付けないほどに、危機的状況が続いていたため、己を省みる事などできなかったのだ。
 そして、『神速反応』を多用した結果、
「はうっ! あ……あひぃっ!」
「なんだ? 随分と敏感になってやがるな。触っただけだってのに、いい声で鳴くじゃねえか」
「そ、そんな事は……ひゃああっ!」
 フリーゲの言う通りだった。つうっ……と、首筋や背中を撫でられただけで、美珠はびくびくし、軽く絶頂するとともに、倒れてしまう。
「……ふん、こいつはわざわざ犯されにやって来たらしいな。だったら……」
 フリーゲは美珠にのしかかり、
「その望みを叶えてやるとするか。おら、お前は消えろ」
 今まで襲っていた女性を突き飛ばす。
 アウゲも同様に、フレイティアを押し倒した。
「さて、お前は俺と遊ぼうぜ? さっきから女どもがいなくなり、退屈していたん……だっ!」
「い、いやっ、やめてっ!」
 フレイティアの胸元に手をかけ、引きちぎるように開いた。
 この炭鉱に来て、何度目なのか。卑劣漢二人は、疲れ切った美少女たちを飽くことなく弄び、辱めていく。
 しかし、美珠とフレイティア、二人の身体は。快感に染まり始めていった。

●闇と破滅のメカニック
『……ん?』
 ブレンメンが命じて、五秒が経過した。
 が、首輪は。沈黙を保ったままだった。再起動もしない。
 いや、イルヴァが先刻に下げた電源レバー。あれが……上がっていない。すなわち、電源は落ちたまま。
『どうした? 再起動! 爆発しろ! ……どうした! なぜ反応しない!』
 混乱し、戸惑いを見せるブレンメン。
『莫迦なっ! 再起動の時間は、既に経過している。なぜ反応しない! 首輪を爆発させろと思念波は出しているのに! ……ま、まさか!』
 そいつが狼狽えている隙に、ラウムは叫んだ。
「みんナッ! 総攻撃ダッ!」
 その叫びと同時に、その場に居たディアボロスたちは全員が立ち上がる。
「今度こそ、もらったよ!」
 頼人の、今度は強烈な拳の一撃による『インベイデッド・ユア・テリトリー』の連撃が、ブレンメンの体を貫く。打撃は、ブレンメンの体内組織と機械を破壊した。
「『祓乃太刀(ハラエノタチ)』、二ノ段! ……吾ガ太刀ノ一振ヲ以テ、祓ノ御技ト成サシメン!」
 邪悪を切り払う、神気霊気を帯びた太刀の一振り、再び。その刃を叩き折らんとしたブレンメンの手刀とかち合い……、
 逆に、切断した。切り飛ばされた片腕が、宙を舞う。
「さっきの、お返しだ!」
 イルヴァが先刻同様に組み付き、ブレンメンの体を抱え上げると……、
 強烈な勢いとともに、床へと叩き付けた。
 ブレンメンの頭部が砕け、その首が折れたように奇妙に曲がった。
「――愚かなる衆生の一二三四五六七八九十(ひふみよいむなやこと)なる余殃を、高龗神に祓い浄め給へと祈願奉り、大願を成就なさしめ給へと恐み恐みも白す」
『我流薙刀術・薙舞「高龗神薙」』。
 それは、水神・淤加美神に奉る薙刀の舞。五月姫が舞った禁忌たる水乞いの神楽は、水害の力そのものとなりて具現化、ブレンメンの体へと直撃する。
『お、お前……まさか……?』
 まだ信じられないとばかりに、ブレンメンが呟く。
 即座に駆け寄ったラウムは、そいつの心臓があると思しき位置に、掌底を放つと、
「……心臓を、空気に変換すルッ!」
 それとともに、ブレンメンの身体から力が抜け……、
 その動きが止まった。
「……はアッ……」
 数秒が経過し、安堵のため息がラウムから放たれる。
「……うまく行っタ。流石にヒヤヒヤしたけどネ」
 と、安堵した彼は、その場に崩れ落ちた。
「……のう、ラウム殿。一体……」
「そうだ。ラウムさん、装置は破壊も、停止も出来なかったのに、なぜ……再起動しなかったんだ?」
 崩れ落ちた彼を、五月姫とエトヴァが助け起こす。
「僕も気になってた。破壊しようとしたら、装置がすぐに感知し、首輪を即座に爆破するそうだし……」
「装置は壊れていなかったとしたら、いったいどうやって?」
 頼人と運命も、その質問に加わった。
「機械は命令を受けテ、反応シ、処理すル。さっきはドローンでハッキングしテ、本体の再起動復旧装置の反応速度と処理速度を遅滞させたんダ」
「……どういう事ですか?」
 頼人がまだ、疑問符を頭に浮かべている。
「単純な事だヨ。ボクはこの装置の概要図と説明書を手に入れテ、情報処理の仕組みを知ってネ。ドローンを使って、情報演算能力及ビ。その反応速度と処理速度ヲ、最低速にするようハッキングしテ、復旧機能を『遅くした』のサ」
 ラウムの返答を聞き、
「そうか、再起動の際に、処理と反応をとことん遅くすれば……当然、再起動も遅くなる!」
「単に処理が遅くなっただけでは、機械を止めたわけでも、壊したわけでもないから、安全装置の制約も受けない。そして……遅くなったその分、時間を稼げるという事か!」
 運命とエトヴァが、感心し感嘆した様子で頷いた。
「最初はそうした上デ、復旧した部分を五分おきに破壊しようと考えていたんだけド、五分や十分で簡単に破壊できるほド、この装置はヤワじゃなくてサ。ボクのパラドクスで破壊出来なくは無かったんだけド、破壊しようとしたらしたで装置が反応しテ、即座に首輪が爆発するってのも厄介だったからネ。」
 そうこう言っているうちに、五分ほどが経過し。
 首輪が外れた。
「後ハ……囚われの労働者たちの避難だネ」
 美珠とフレイティアからも、首輪は外れただろうか。祈りつつ……、ラウムは鉱山を崩す仕掛けを止めんと、取り掛かった。

●歴史を繋ぐのか、ピリオド打つのか
「あああっ……あ――っ!」
 美珠は、卑劣漢二人に前後から入れられ、何十回目の絶頂を味合わされていた。
「へへへっ、変わらずいい声で鳴きやがる」
「おら、俺たちに前後から入れられ、嬉しいだろう?」
「…………」
 フレイティアは、既に同じ目に遭わされた後、ぐったりして動けなくなっていた。
 彼女のその姿を、横目で見つつ美珠は、
「…………こんな、事を……」
「ん?」
「こんな、事を、続けていたら……必ず、『罰』が当たります……!」
 呻くような口調で、美珠は言った。
「だから何だってんだ、悔い改めるとでも?」
「地獄に落ちる? もうここが地獄だろうが!」
 嘲りとともに、それを笑い飛ばす二人。
 しかし、その笑いは止まった。
「え?」
「これは!?」
 美珠とフレイティアの首から、首輪が外れたのだ。
「ラウムさん! やったんですね!」
「さすがです!」
 安堵の笑みを浮かべた美珠とフレイティア。だが、フリーゲとアウゲは、
「……首輪が取れた……な、なんでだ?」
「やばい! 逃げるぞ!」
 と、逃げようとした。
 しかし、
「ぎゃあああっ!」
「い、痛えっ!」
 完全に不意を突かれた。何者かにより、アウゲとフリーゲはスコップやツルハシで殴られたのだ。
「……え?」
「な、何を……?」
 美珠は戸惑い、フレイティアは混乱しつつ、それを見る。
「こいつら、よくも私の夫を!」
「わたしの兄さんを!」
「弟を殺してくれたわね!」
「返して! 息子を返して!」
「父さんの仇!」
「おじいちゃんを殺した悪魔!」
 そこに居たのは、百人近くはいる女性たち。先刻の女性も、その中にいた。
 アウゲとフリーゲは、逃げ出したが、
「逃がさないで!」「あいつら、殺せ!」「地獄に落としてやる!」
 彼女たちはすぐに追いついた。
「ま、待て……ぎゃああっ!」
「お、おい! 俺が、俺たちが悪かった!」
「あ、謝る! 謝るから、助けてくれ!」
「痛えっ! あ、足の骨が折れた!」
 アウゲとフリーゲ、二人とも男で、兵士。
 だが……相手は百人以上はいた。敵うわけがない。
「ま、待って……!」
 美珠は、その虐殺を止めんとしたが……、
 立てなかった。気力も体力も消耗し、頭もうまく働かない。
「…………」
 フレイティアは逆に、半身を起こしてその様子を見るだけで、手を出そうともしない。
「お、お前ら……助けろ! 見捨てる気かよ!」
「た、助けて……背骨が折れた! 動けねえ!」
「助けて下さい! お願いしますっ!」
「た、たすけ……がっ! あっ!」
「ぎゃあっ! ひいっ!」
 その悲鳴が弱々しくなり、聞こえなくなった。
 なんとか立ち直った美珠は、即座に駆け付けたが、
「皆さん、落ち着いてください! たとえ悪人であっても、こんな事は……うっ」
 興奮した女性たちを落ち着かせ、その中心部のアウゲとフリーゲの様子を見たが。
 そこに、人の形をしたものは無かった。ただ赤黒い、ぐちゃぐちゃした塊が、服をまとって倒れているだけだった。
「……逃げましょう。もうじきここは、崩れます」
 そして、フレイティアが後ろから進み出ると、女性たちにそう述べた。
 美珠とフレイティア、そして女性たちは。汚らしいその赤黒いものをその場に残し、炭鉱の外へと急ぐのだった。

 脱出から数時間後。
「……あんたらのおかげで、助かったよ。ありがとう」
 フェルス村。シュリンムスト・カイザー亭。
 最初に会った時の、あのカウンターにて。店主はセシリーに礼を言っていた。
 鉱山を崩す装置を止める事は出来なかったが、それでも皆が脱出するまでの時間を稼ぐことはできた。美珠とフレイディアも協力し、鉱山内・坑道内の囚われていた500名は全員が脱出できた。助かった彼らは、ディアボロスたちに何度も何度も礼を述べては、頭を下げている。
 生き残った兵士たちも、村の留置所に入れられていた。彼らの処遇は、村の裁判官がこれから決めると言う。
「無事で何よりだ。ところで……何か、ノンアルコールの飲み物を貰えるかな」
 セシリーの注文に、店主はシュペーツィ(コーラのレモネード割り)を差し出した。
「重ね重ね任せてしまってすまないな、店主。ところで……」
「なんだい? 命を差し出せと言うなら、よろこんで差し出す。言ってくれ」
「そんな大層な事じゃない。……この村の子供たちに、仕事を与えてやってくれるか? 飢えてしまわないようにな」
 セシリーは、自分のそのお願いを、
「お安い御用だ。……あんたに救ってもらったこの命、その程度の事ならば、この村中の子供を雇って見せるさ」
 店主が笑みを浮かべつつ、承諾するのを知った。
「……ああ、頼むぞ」
 無理はしないようになと、セシリーも笑みを浮かべる。
 ルール炭鉱は、もう存在しない。今は崩れて埋もれたあの炭鉱。
 ディアボロスたちはそこから、彼らを救った。そこから生じる可能性と未来に、幸があるようにと……、
 セシリーはシュペーツィを飲みつつ、そう願うのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【トラップ生成】がLV2になった!
【光学迷彩】がLV2になった!
【水源】LV1が発生!
【無鍵空間】がLV2になった!
【一刀両断】がLV3になった!
【怪力無双】がLV3になった!
【活性治癒】がLV3になった!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【アヴォイド】がLV3になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV6になった!
【ドレイン】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2021年12月17日