リプレイ
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
アルマリクに、ようやく辿りつけた
たとえ変えることのかなわぬ過去であったとしても、知るために、手を伸ばそう
点と点が、ここで線に交わるように……
アルタンと融合世界戦の謎、解き明かそう
可能なら予め双眼鏡等で状況を把握
少しでもアルタンがまばらかへこんだ箇所から拠点へ向かおう
仲間とは【PD通信】で声を掛け合い連携と情報共有
敵が城壁を向くなら、初動は不意打ちを狙いたい
城壁の方角を把握し、俺は陣形の後方へ
突破口を拓く仲間と陣形を維持し移動
側方や後方から包囲に押し寄せるアルタンを複数攻撃で広く押し留め、全体が前へ進めるよう陣形の維持を担う
PDにて攻撃
煙幕弾を交え、敵の視野を攪乱しながら
多くを巻き込み、仲間の側方後方の憂いを断つ
タワーシールドを構えながら敵の攻撃・反撃を凌ぎ、強化コートで身を守り応戦
迫る敵を倒さずとも退ける隙に前へ進めるように
援護役の仲間とは手分けと協力を
城壁に近づき、城壁上の敵を抑えれば、俺は後方維持に集中しよう
仲間の背を守り抜く
過去のアルタンは通常形態なんだな
ここの主は何を思うだろう
白石・明日香
過去か・・・このディヴィジョンで何が起きたかとうとう知る事ができる!
この先に何があるかを知る為にも突破口を開くよ。
【通信障害】を使ってアルタンが連携取れないようにしてアルマリクへの最短ルートを切り開くよ!
残像で攪乱しながらダッシュで接近。進路の邪魔をするアルタンに狙いを定めて雷撃を刃に纏って奴らの赤い眼球に狙いを定めて纏めて薙ぎ払ってあげるよ!
迫り来る触手とか巨体は目玉に狙いを定めて牽制射撃を撃ちまくって怯ませて動きを鈍らせて直撃を避けながら雷撃で焼き払いアルマリクへ向けて後退しとにかく道を切り開くよ。
そう言えばこいつら過去のアルタンだけど大きさとか現在と違いはあるのかな?
まあ、それを見る暇はないけど・・・
今は道を切り開くこと優先で
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
心情
成程、此処が過去の……
拠点の終焉は防げない、か
其れでも縁を紡ぐ事で何か残せる物も……いや、今は其れよりもやるべき事をやるのが先か
〇泥濘の地を使用
敵の移動速度を遅くさせ少しでも敵の援軍が来る速度を遅れさせる
又、連携しやすい様に〇パラドクス通信で常に味方とは連絡を取り合う
相方の無双馬に〇騎乗し戦闘
囲まれない様に位置取りに注意しつつ戦場を駆け廻り(〇ダッシュ)ながら戦う事で敵の意識を少しでも自分に向けさせ囮に
突入する仲間の援護
其の上で囲まれそうな時の自分の近くの敵=突入する仲間に攻撃を仕掛けてる敵>自分の近くの敵>他の味方に近い敵>他の優先順位で〇竜血の大地で生みだした赤き長槍を矢とし弓で射る形で攻撃
攻撃の際は竜の血を残存させ敵の移動を阻害
敵の攻撃は猛進は可能な限り回避し触手は〇魔力障壁を多重展開し凌いでいく
さて其れじゃあ突入する皆の援護と行くか!
アルタン・ウルク!
お前達に仲間の邪魔はさせはしない!
如何した!俺は此処にいるぜ!
狙ってくると良いさ!
……如何にか突入出来た様だな
文月・雪人
成程、この地にもまた理不尽を覆さんと戦った者が居たのだね。
それでも最終人類史に漂着していないのは、共に在る者との関係性も関係しているのだろうか。
今はまだ推測しかできないけれど、答えはきっとこの先に。
敗北を覆す事は出来ずとも、もしかしたら、彼らの過去を未来へと繋ぐ為の鍵になれるのかもしれない。
辿り着くべく仲間と共に力を尽くそう。
先ずは拠点を囲むアルタン達の突破だね。
彼らの移動を鈍らせるべく【泥濘の地】に【冷気の支配者】を重ねさせて貰うよ。
そして役割分担も重要、俺は突破口を切り開く方を担当しよう。
【パラドクス通信】で仲間と連携し、分断されない様に陣形はなるべく密に組もう。
『フリージングミサイル』のパラドクスを使用。
細蟹の弓から放つのは、只の矢ではなく冷気を封じたミサイルだ。
今回の目的は殲滅ではなく、俺の役割もまた突破口を開く事。
敵の攻撃の牙の群れをミサイルで撃ち落としながらも、
此方からの攻撃範囲は前方の敵に絞りつつ、
仲間と攻撃先を合わせて敵を倒し、或いは退かせ、包囲網に穴を開けて突き進もう。
ラズロル・ロンド
アルタンの進軍ルート正面での殲滅は狙わず
目的は包囲の圧を削ぎ、仲間が進む隙を作る
冷気の支配者を使い後方からの押寄せを遅らせ
仲間と合わせアルタンの密集地に冬将軍結界を使う
進路上の一角を極寒の雪嵐で満たし
熱やエネルギーの発現を鈍らせ
動きが重くなる状況を作り
進軍速度を落とすことを狙う
完全な足止めや殲滅は期待せず
隊列が詰まり押し合いへ移行する間を作る
密集した個体同士が干渉し
包囲の圧が一時的にでも緩めばよし
反撃の光線は即座に回避を試み
横跳びや魔力障壁で直撃を避け、ダメージは耐え忍ぶ
周囲の状況を常に確認し
突破を狙う仲間や城壁へ接近する動きが見えた場合は
その進路側へ冷気を集中させ
追撃してくるアルタンの足を鈍らせる
深追いはせず
包囲が再形成される前に位置を調整
囮となり過ぎない距離を保ち
仲間が通過できる時間を稼ぐ行動を繰り返す
この場で勝利を得ることは出来なくとも
道を繋ぐ一瞬を作るつもりで行動
城壁内部の状況を知るため
そしてアルタンがかつて歩んだ歴史に触れるためにも
月鏡・サヨコ
クロノス級の存在を辿らずして、基準時間軸より前の時代に辿り着くとは
ヤ・ウマトの展開に多大な影響を与えた敵の秘密には、私も関心を持っている
二度目を期待してはならない機会だろう
……確実に任務を果たすため、往こう
【泥濘の地】を発動し、【冷気の支配者】との合算で敵の移動を遅延
突破口が塞がれるまでの時間を稼ぎ、城壁到達の可能性を引き上げる
戦闘においては、接触時まで情報収集の相手に敵を近づかせないように、主に城壁に群がる群れの対処を担当
≪巡洋戦艦海戦装『黒姫』≫の砲門から『零式弾・広域砲撃』を放つ
城壁の上方で市内に迫っている敵を優先的に攻撃し、撃破または壁にかけた触手や蹄の剥離による落下を狙う
ただし前方の突破に追加戦力が必要な時は狙いの一部を移す等、役割に固執しすぎず状況に合わせる余地は残そう
反撃が来れば蹄に踏まれぬよう身を翻し、それでも迫る触手は≪対艦軍刀『銀鉤』≫で打ち払う
そういえば……見た目は通常形態だけど、過去の個体には何か違いがあるだろうか
鳴き声や挙動に現生種とは異質な要素があれば留意する
ラウム・マルファス
過去のアルマリク、何が待ち受けているんだろうネ。骨は人骨だったと思うケド、四つ足クロノヴェーダも中にいるのカナ。
みっしりアルタンは何か久々だ、初めて融合世界戦に来た時を思い出すネ。延々と集まってくるだろうから、ボクは迎撃より防衛を意識して動こウ。中から見てるなら、味方だと確実にわかるだろうしネ。
ドローンのシールドで自身や味方を防衛しつつ、アルタンの隙間にシールドをねじ込んで道をこじ開けていくヨ。攻撃の意思はなくあくまで盾として使ウ。まぁアルタンから見て攻撃になるなら、反撃されるかもしれないから覚悟しておこウ。
アルタンや味方の攻撃を観察。パラドクス通信も借りて連携しながら進もウ。交渉後に入ることを考えてなるべく入り口付近、もしくは城壁が壊れて乗り越えられそうな場所があればそこを目指すヨ。たどり着けたら砦とアルタンの間に盾を展開して、砦を護っていると分かるようにしよウ。
レイラ・イグラーナ
アルマリクの遺跡では不可解な点も想像するしかないこともございました。
この先にあるはずの光景で、その一端……そして、「アルタン・ウルク」についても分かることがあるでしょう。
それを目にするためにも、歩みを進めましょう。
この戦場、アルタン・ウルクの全滅は不可能です。ですが、私たちと都市の間のアルタン・ウルクを一時的に排除することができれば都市には到達できる。戦いもそう進めましょう。
まずは【通信障害】を使用。遠距離への伝達を不可能にし、アルタン・ウルクたちにとって予期せぬ乱入者である私たちへの対応を遅らせます。倒しても次から次に押し寄せて来られ道を作れない……ということがないように。
続いて【既成奉仕・霹靂】を使用。雷の魔術を仕込んだ針を投擲し、アルタン・ウルクらを感電させます。
黒い壁に針を通すように楔を打ち込み、私たちと都市の間に細くとも突破口を作り、仲間が城壁へと辿り着けるように。
反撃の巨大な牙に対しては、出現したら即座に飛び退き、体を逸らし、直撃と致命傷を避けて長く戦えるように。
リューロボロス・リンドラゴ
滅びからは逃れ得ぬ者達……。
それでも、出会う縁ができたというのなら。
我らはきっと呼ばれたのだ。
アルタンの動きや情報共有を鈍らせる残留効果は戦友達が担ってくれておるからの。
我は【エアライド】の残留を担当させてもらうよ。
アルマリクは既に包囲され、猛攻を受けておる。
時間との勝負であろう。
最適な経路もあったものではないやもだが、それでも。
一秒でも速く城壁へと辿り着く道を見出してみせようぞ!
撃破し、遅延させ、伝達を遮断し、積み重ねた微かな穴、空白。
見過ごしはせぬよ。
空中ジャンプも壁に取り付いたアルタン排除に役立つであろうよ。
我が加護よ、あれ!
逆落としでアルタンを穿ちつつ、突破のため、守るため、疾くかけるため、味方の火力も底上げよ!
いざとなればお約束を言ってやろう。
ここは任せて先に行け! となあ!
祈りには応えてやらねばならぬ。結末は変わらねども、応える声はあったのだと示してやらねばならぬ!
ぬしらの戦いは無為ではなかったのだと!
辿り着くのが我でなくとも良い。負傷も度外視よ!
ルゥオオオオオオオオオ!
パラドクストレインから降り立った復讐者達は、そのままアルマリク拠点――改竄世界史融合世界戦アルタン・ウルクの過去世界で、滅びを迎える要塞都市の名だ――へと歩を進める。
疾く。速く。
常識という枠組みを超えた存在である彼ら/彼女らが、自身の出せる最大速度で進めば、それはまるで疾風の如く、であった。
周囲の光景を置いてきぼりにし、復讐者達は駆け抜けていく。
「滅びからは逃れ得ぬ者達……。それでも、出会う縁が出来たと言うのなら、我らはきっと呼ばれたのだ」
集団の先頭を走るリューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)は、結ばれた奇縁に想いを馳せる。
それらが復讐者に何をもたらすのか。或いは何を見せてくれるのか。現時点では分からない。だが、其処に実ったものがあるならば、それをただ腐らせる真似だけはしないと、少女は断じた。
(「クロノス級の存在を辿らずして、基準時間軸より前の時代に辿り着くとは」)
特別なパラドクストレインの出現、月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は驚愕の思いで回想していた。
そして、同時に思う。
(「二度目を期待してはならない機会だろう。……確実に任務を果たさねば」)
限られた機会であるならば、最善を尽くす。何度も起きないからこその奇跡であれば、如何なる手段を用いても本懐を為す。
それがサヨコの思いだ。
為すべき事を為す。その想いは冥海機ヤ・ウマトを出自とする零式英霊機たる彼女に相応しいものでもあった。
「成る程。この地にもまた理不尽を覆さんと戦った者が居たのだね」
一方で、時先案内人の予知に現れた存在を思い出し、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)はふむと唸る。
普通に考えれば、彼らは仲間――ディアボロスなのだろう。
それならば何故、彼らは最終人類史へと漂着していないのだろうか?
疑問は尽きないが、しかし、今は未だ、その答えを入手出来るはずも無い。
(「敗北と言う必然を覆すことは出来なくても、もしかしたら、彼らの過去を未来へと繋ぐ為の鍵になれるのかもしれない」)
その為に復讐者は今を走るのだ。
そして、復讐者達は滅びの光景を目の当たりにした。
それは、膨大な数の黒い塊が、触手の化け物達が、幾重にも要塞を取り囲む姿だった。赫眼が煌めき、白い牙が刃――否、巨大な杭の如く、突き立てられていく。
城壁を間断なく攻める彼奴らの姿を、復讐者達は知っていた。
「アルタン・ウルク――」
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は静かにその名を口にする。
それ以上は語るべくもない。復讐者であれば最早、その名、その存在は周知の物であった。
(「俺達は此処で何を見る? 何を識る?」)
パラドクストレインの導きの終点が彼奴らではないことは明白だ。点と点が交わり、線となった今、その先を知るために彼は手を伸ばした。
ならば、後は掴み取るのみだ。
「みっしりアルタンは何か久々だ、初めて融合世界戦に来た時を思い出すネ」
アルマリク拠点に群がるアルタン・ウルク達の様子を眺め、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)がぽつりと呟いた。
拿捕したフライング・ダッチマン号を用いて、今は亡き改竄世界史冥海機ヤ・ウマトから融合世界戦アルタン・ウルクに乗り込んだのは約2年ほど昔のこと。
しかし、排斥力の綻びを、新たな大地、新たな力を切望し、改竄世界史の境界に密集していた彼奴らが織り成す光景は、忘れられる物ではなかった。ラウムはその光景を、まるで昨日のように思い出していた。
「まあ、この場所はあの頃よりも遙かな昔のようですが」
アルマリク拠点に群がるアルタン・ウルク達に僅かな違和感を覚え、レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)はそんな感想を漏らした。
(「アルマリクの遺跡では不可解な点も想像するしかないこともございました。この先にあるはずの光景で、その一端……そして、奴らについても分かることがあるでしょうか?」)
銀針を構えた彼女は頭を振る。
まだ想像の域。だが、今為すべき事を為せばそれは、想像と言う枠組みを超えられる。
ならば――。
「やるべき事をやる! 突撃するぞ!」
ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)の発した鬨の声をきっかけに、復讐者達は各々の得物を、そしてパラドクスを紡ぐのであった。
「満たせ、満たせ、満たせ、満たせ!」
ラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)の詠唱は猛吹雪を呼び、それは拠点への道を塞ぐアルタン・ウルク達を片っ端から凍結させていく。
彼の改竄世界史吸血ロマノフ王朝の守護者にして最後のジェネラル級ヴァンパイアノーブル――否、断片の王と化した冬将軍は、ただの一体でアルタン・ウルク達による攻勢を退けたと言う。
ならば、その力を受け継いだ自身が同じ事を成せないはずもない!
その気概は残留効果【冷気の支配者】として顕現。アルタン・ウルク達の動きを鈍らせ、或いは止めていく。
「これを貴方達に見切れる? させないけど」
其処に迸る雷光は白石・明日香(弔いの狩人・g02194)その人であった。
双剣に雷撃を纏わせた彼女は、そのまま黒影に切り込むと、その触手を、赫眼を、白い牙の群れを斬り崩していく。
「突破口を開こう!」
ラズロルに続き、雪人は細蟹の弓へ力を注ぐ。
引き絞った弓から放たれたのは、矢ではない。冷気の力を纏ったミサイルであった。それがアルタン・ウルク達を貫き、その傷口を凍て付かせ、霜を走らせる。
「――絢爛と、咲き誇れ」
続く破砕、そして煙幕と閃光はエトヴァによる銃撃であった。
煙幕弾、閃光弾共に歴史侵略者への大きな優位を得る事は出来ない。だが、それでも、彼奴らを怯ませることは可能なはずだ。
(「このアルタン・ウルク達にどれ程効くかは判らんがな」)
パラドクス攻撃である以上、彼奴らもまた、何らかの損害を受ける。
故に、彼奴らも叫ぶ。
……シュゴォォォォ……シュゴォォォォ……。
「鳴き声はこの地でも変わらず……だよね?」
猛吹雪と共に魔力障壁を展開するラズロルの言葉に、是と頷くエトヴァ。過去の世界と言えど、彼奴らは復讐達の知るアルタン・ウルクそのものである事を実感する。
だけれど、と叫んだのは明日香と共に切り込んだルィツァーリであった。
己がサーヴァントたる無双馬『スヴェルカーニエ』に跨がった彼は、赤き長い槍を召喚しながら、その言葉を口にした。
「だけれど、こいつら、俺達の知るアルタン・ウルクより、弱い!」
「過去の世界であるが故、と言う事か」
地面どころか虚空を蹴りながら進軍するリューロボロスは、ルィツァーリの言葉に是と頷いた。
「成る程」
雷纏いの針を放つレイラは、その独白を浮かべる。
(「先程感じた違和感の正体は、それでしたか」)
彼女達の知るアルタン・ウルクならば、もしかしたらアルマリク拠点を既にすり潰していたかもしれない。それが為されなかったのは、彼奴らが戦闘による経験値を――他の改竄世界史との戦いを蓄積していないが故か。
「されど、この数は脅威だな」
縦横無尽の戦闘機動でアルタン・ウルクを穿ち、突破し、疾く駆けるリューロボロスの言葉は、当然ながら真理であった。
如何に過去の世界で、強化されていないアルタン・ウルク相手とは言え、その物量は脅威の一言に尽きる。それに、アルタン・ウルクの強さは復讐者達の知る現在のアルタン・ウルク達と比較してのこと。如何に弱いと復讐者が断じようと、歴史侵略者としての力は健在している。まして、彼奴らはイレギュラー1と呼ばれ、他の歴史侵略者達からも脅威と恐れられる存在だ。その膂力、勢いはやはり、他の歴史侵略者達と一線を画する物であった。
「私達から見れば弱くとも、現地の人間からしてみれば圧倒的強者である事は間違いない」
要約の言葉と共に、サヨコは海戦装の砲門から炸裂榴弾を砲撃。アルマリク拠点へと取り付くアルタン・ウルク達を片っ端から叩き落としていった。
「それに――ボクらの知るアルタン・ウルクが強過ぎるだけで、目の前のアルタン・ウルクが決して雑魚というわけではないからネ」
仲間達を複数のドローンで守りながら呟くラウムの言葉もまた、正鵠を射ていた。
それ程までに、アルタン・ウルクと言う歴史侵略者は強者であり、自身達との力の差を認識しない復讐者は居ない。
だが、それでも、それはこの戦いの話では無いのだ。
復讐者達のパラドクスはアルタン・ウルクの黒い波を斬り裂き、まるでそれを割るかのように道を拓いていく。その光景は何処か、モーセの十戒を彷彿させた。
それは、まさしく無双。
復讐者達がパラドクスを振るう度にアルタン・ウルクは傷付き、砕け、そして滅んでいく。
「我が加護よ、あれ! 祈りには応えてやらねばならぬ。結末は変わらねども、応える声はあったのだと示してやらねばならぬ! ぬしらの戦いは無為ではなかったのだと!」
そんな中、自身への被弾を度外視し、リューロボロスは走る。疾走る。奔る!
ラズロル、雪人、エトヴァの援護、そして守りを固めるラウムのサポートを受け、道を切り拓くルィツァーリ、レイラよりも前へ前へと進む彼女の心にあるのは焦燥か。
己でなくとも良い。誰かが辿り着ければ良い。
孤高の龍たる自分がそれを為すと叫ぶリューロボロスに、刹那、溜め息を零す者がいた。
「逸る気持ちも分かるけどね」
周囲に残留効果【グロリアス】を施しながら、明日香はそんな微苦笑を浮かべる。
無数の敵が居て、それらをいとも容易く討ち滅ぼせる――戦闘不能に出来る手段がある。ならば、最適解はこれだと言わんばかりの彼女の残留効果は覿面で、矢面に立って傷付いたリューロボロスは即座に己が損傷を治癒。勢いそのままに戦端を切り拓いていく。
無論、【グロリアス】の恩恵を受けるのはリューロボロスのみではない。使用者の明日香は元より、この場に居る全ての復讐者がその対象であった。
故に、結論だけ言えば。
彼らが、このアルタン・ウルク達に敗する理由は無い。無限とも呼ぶ数以外、復讐者達への脅威は存在していなかった。
「どうした! 俺は此処にいるぜ! 狙ってくるといいさ!」
それを是とするルィツァーリの叫びは、アルタン・ウルク達へと届いたか否か。
だが、その触手は、牙は、そして赫眼からの閃光は復讐者達を狙い、しかし、その都度、討ち滅ぼしたアルタン・ウルクの生気が彼らの傷を癒やしていく結果となる。
「まあ、こちらを狙ってくれれば、その分、城壁防衛も楽になる。間違いではないが……些か、危険な行為ではあるのだが」
防衛や援護を仲間達に委託し、当初よりアルマリク拠点へと吶喊するアルタン・ウルクを撃つサヨコが、微苦笑を浮かべる。
だが、彼女の心配する事態は起きそうにない。
その思いは何処か、彼女に安堵の吐息を零させた。
……シュゴォォォォ……シュゴォォォォ……。
それでも、アルタン・ウルク達の声は響き渡っていた。
洪水の様に押し寄せる彼奴らの足は留まる事を知らず、損傷は即座に回復すれど、蓄積される疲労は確実に復讐者達を蝕んで行く。
快速だった歩みも、しかし、今となっては遅々とした物に変わっていた。当然と言えば当然の状況に、しかし、誰一人、諦観をその眼に浮かべていなかった。
「大丈夫だ。俺達の歩みは止められない」
雪人の言葉に、ラズロルは是と頷き、ああ、とエトヴァが首肯する。
その何れの眼も、輝きを失っていない。
「確かに、歩みは遅々とした物だけど!」
氷雪を携えたラズロルの言葉は、復讐者達に力を与える。
無数のアルタン・ウルクに阻まれた彼らの進軍は確かに鈍い。だが、それでも、停滞していない。道を拓き、防衛し、着実に進んでいる。ならば、辿り着けぬ道理はないと、復讐者達はパラドクスを振るい続ける。
ラウムのドローン群が飛び交い、サヨコの砲撃が轟き、そして、明日香の双剣が、レイラの雷針が、ルィツァーリの呼ぶ洪水が、リューロボロスの格闘が全てを押し流すように黒き波を切り裂いていった。
そして、それは、おそらく砦にも伝播したのだろうか。
「――!」
息を飲んだのは誰が最初であったか。
戦場を俯瞰視するエトヴァや雪人、ラウムであったかもしれない。アルマリク拠点を注視するサヨコであったかもしれない。或いは、前を見続ける明日香、レイラ、ルィツァーリ、リューロボロスの何れだったかもしれない。
もしくは、全員が同じ状態だったかも知れなかった。
城壁の上から放たれた何かが、アルタン・ウルク達を穿ったのだ。
それはまさしく、アルマリク拠点からの抵抗――反撃に他ならなかった。
……シュゴォォォォ……シュゴォォォォ……。
アルタン・ウルク達の鳴き声が響き、其処に復讐者達が奏でるパラドクスが重なり、更なる道を形成していく。
視認距離まで接近した事で、復讐者達は理解した。
アルマリク拠点はまだ戦っている。その中に残された人々は、復讐者同様諦めず、押し寄せる理不尽に抵抗しているのだ。
そして――。
「見た?」
明日香が問う声に、リューロボロスとルィツァーリが是と頷いた。
復讐者達はその姿を見た。
砦の内側から攻撃したのは、人間と思わしき人影。
そして――。
「四つ足の存在だったネ?」
ラウムの独白は正しく、しかし過ちだとエトヴァは否定する。
「いや、あれは……正しくは4つの足を持つ存在だった」
何故ならば、四つ足の他に、更に二本の腕を備えた存在だったからだ。
「まるで、ケンタウロスのようでしたが……」
レイラの独白が、その正体を最も正確に言い表していた。
人影と共に戦ったそれは、半人半馬――馬の首から上が人間の上半身に置き換わった体躯をした存在であった。
だが、半人半馬の種族など、いるはずも無い。ただ一つの例外を除けば。
そして、復讐者達の知りうる知識として、その存在が何者かで当然と思い当たる。
故に、誰もが同じ呟きを口にしていた。
「もしかして、半人半馬のクロノヴェーダ?」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【通信障害】LV2が発生!
【泥濘の地】LV2が発生!
【冷気の支配者】LV2が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【アクティベイト】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【能力値アップ】LV2が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
心情
成程、まあ、モンゴルの民と言えば馬とは切っても切り離せられない関係だしな
クロノヴェーダがいるとしたら其方になるか
何れにしても今は敵じゃあないし話し合えるのなら其れで十分、だな
城塞に人間がいるのなら食料は幾らあっても足りない位だろうし其れを見せて交渉してみるか
相棒のアハルテケ種の無双馬、スヴェルカーニエに〇騎乗しアルマリク城塞に〇大声で名乗る
其の上で〇口福の伝道者を使用し食料を増やす様を見せ自分達が戦う力を有し且つ食料を増やせる事を伝え城塞への入城の許可を求める
入城が許可されたら相手側が食料を求めたら即食料を増やし、きちんと毒がないと理解してもらう為自分でも食べる姿を見せる等する
又、交渉相手や周囲は気付かれない程度に〇観察
我が名はルィツァーリ・ペルーンスィン!
キエフの騎士にしてディアボロスなり!
旅の末に此方に流れ着いた身なれど一時的な入城を許して頂きたい!
此方には戦える他にも食料を増やす能力を有している
其方にとっても食料が増える事は悪い話ではないと思うがどうだろうか!
月鏡・サヨコ
人馬型のクロノヴェーダがパラドクスを使うのは当然だ
だけど、さっきは人間らしき姿の者も一般法則破壊に阻害されない攻撃を行い、敵を怯ませたようだった
……まさか復讐者なのか?
【フライトドローン】に「援軍に参じた。開門の交渉を求む」と日本語で書いた手紙を乗せて城壁上の人間の所まで飛ばす
城壁上の人間が復讐者であれば、ペルシア語やチャガタイ・トルコ語と言ったこの時代・地域の言語で書かれていない文章でも読めるはずだ
向こうの反応を確かめて此方も応じよう
期待通り人間が文章を読んでくれた場合は、人馬型は復讐者と同盟していると見て正直に素性を語る
但し人間が復讐者でない可能性が高い場合は、「あなた達と同様にあの黒い異形と戦っている者だ」などと暈す
我々は黒い異形と戦いながら、遠い場所から旅を続けてきた
長い旅路の中で、この拠点は最初に発見した人間が生き延びている場所だ
あなた達の滅びを座して視るのは忍びない……どうか、城内で共に戦わせてくれないか
信頼のために情報が必要であれば、旅を通じて異形について知ったことも話そう
リューロボロス・リンドラゴ
人馬型のクロノヴェーダか……。
我等もそれぞれの思惑はどうあれ明智勢を受け入れておる。
とやかくは言えんな。
向こうの経緯や関係も分からぬのだ。敵意は見せぬとするよ。
気付いてもらうのは雪人のパラドクス通信案やサヨコのフライトドローン案がアルタンに気づかれにくいか。
身元についてはレイラの流れに沿わせてもらうよ。
我らは最後まで共に戦ってはやれぬ。
希望を持たせ過ぎてしまうよりは、最初から一時的な来訪者と見てもらったほうが良かろう。
一時的な戦力としても藁にも縋る想いはあろう。
それに……滅亡を悟っておるのなら、旅人にこそ伝えておきたいことや、託したいことがあるやもだしの。
ひとまずアルタンについて触れる時はあの黒い触手呼びするとしようぞ。
アルマリク勢が何と呼称しておるかは分からぬというのもあるが。
この時代もディヴィジョン名にアルタン・ウルクと冠しておる場合、己等を滅ぼさんとしておる相手が自分達の世界の名前で呼ばるのは許せぬであろう。
門を開いてもらっておる間の防衛は手間を取らせぬ。
我らが一体とて通さぬよ。
(「成る程、まあ、モンゴルの民と言えば、馬とは切っても切り離せない関係だしな。クロノヴェーダがいるとしたら其方になるか」)
城壁の上に見えた人影――歴史侵略者であれば人と言うべきかはともかく――を想起し、ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)はふむと唸った。
「つまり、アルマリク拠点には人間とクロノヴェーダが共存し、共に戦っていると言う事か?」
歴史侵略者は人々にとって敵ではなかったのか?
そんな思いをリューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)はしかし、と振り払う。
経緯も関係性も分からない以上、その事を言及出来ない。ならば、この目で確かめるのみだ。
「そんなことより」
先の光景を想起し、月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)が静かに呟いた。
「人馬型のクロノヴェーダがパラドクスを使うのは当然だ。だけど、さっき、人間と思わしき姿の者も攻撃を行い、敵を怯ませていた」
当然の事ながら、アルマリク拠点に群がるアルタン・ウルク――黒い触手と無数の赫眼、無数の牙を持つ存在は歴史侵略者だ。
つまり、歴史侵略者である以上、一般法則破壊の理を有しており、パラドクスを伴わない攻撃が彼奴らに影響を与える筈は無いのだ。
(「まさかディアボロスなのか? ディアボロスとクロノヴェーダが共に戦っていると言うのか……?」)
「ま、いずれにせよ」
「そうじゃな」
サヨコの動揺を悟ったのか否か。ルィツァーリとリューロボロスは顔を見合わせ、頭を振った。
「何れにしても今は敵じゃあないし話し合えるのなら其れで十分、だな」
「ああ、まずは我らに気付いて貰わねばなんともならん」
復讐者達が見上げる城壁は遙かに高く、遙かに巨大で。
そして、アルタン・ウルク達もまた、そんな復讐者達に咆哮し、触手の殴打を、赫眼からの光線を、牙による蹂躙を繰り出して来ている。
早急に城内へと潜り込む必要があった。
「ともあれ、ここは龍に任せておけ! ルィツァーリ、サヨコ。主等は門を開けさせるのじゃ」
言うが早いか、リューロボロスはその身をドラゴンの巨躯へと転身。純白の吹雪を以てアルタン・ウルク達を迎え撃つ。万物を氷晶に置換する死の嵐を伴った咆哮は、アルタン・ウルク達を打ち砕き、シュゴォォォの叫びを轟かせた。
「――行けっ!」
その暇を無駄にしないと、サヨコは城壁へ向かって【フライトドローン】を飛ばす。
開門を依頼する文言を載せたフライトドローンは天高く舞い、城壁の中へと――至る前に爆ぜていった。
「ちっ!」
海戦装から幾多の水上偵察機型ドローンを召喚し、先と同様に飛ばすが、しかし結果は同じだった。
アルタン・ウルク達の光線に阻まれ、城壁を越える事が出来ないのだ。
「飛行する以上、目立つのは仕方ないけれども……ならば仕方ない!」
ルィツァーリは息を吸うと、城壁の中へ向けて声を放った。
「我が名はルィツァーリ・ペルーンスィン! キエフの騎士にしてディアボロスなり! 旅の末に此方に流れ着いた身なれど一時的な入城を許して頂きたい!」
あくまでアルタン・ウルクの名は出さない。
それは、先程、リューロボロスが浮かべた懸念に由来する物であった。
「ひとまず、アルタン・ウルク――あの黒い触手の化け物について触れるときは『あの黒い触手』呼びするとしようぞ」
城壁に接近する前、彼女はそう仲間達に呼び掛けた。
「アルマリク勢が何と呼称しておるかは分からぬというのもあるが、この時代もディヴィジョン名にアルタン・ウルクと冠しておる場合、自身等を滅ぼさんとしておる相手が、自分達の世界の名前で呼ばれるのは許せぬであろう」
「……成る程。理解した」
承知した、とサヨコは頷く。
ディアボロスは能力として、自身の言動で違和感を与えにくいと言う特性を持つ。だが、それはあくまで一般人に対してだ。城内に推定歴史侵略者や推定復讐者がいる以上、何らかの齟齬を与える可能性がある。
何せ、この世界で『アルタン・ウルク』の呼称が何を指すか分かっていない。
もしかしたら、それは単なる杞憂かもしれないし、或いは正鵠を射ているかもしれない。ともあれ、用心に越したことは無いとの提案は、頷けるものであったのだ。
城内に届けと声を張り上げるルィツァーリに、サヨコが追随の言葉を発した。
「我々は黒い異形と戦いながら、遠い場所から旅を続けてきた! どうか、門を開けて欲しい!」
少しでも目を向けて貰えれば、復讐者達の必死の訴えが、そして、リューロボロスがアルタン・ウルク達と交戦しているのが見えるだろう。
そんな一時、そんな刹那を願い、二人は祈るように城壁を見上げる。
――と。
「少し待ってろ!」
声が返ってきた。
それは人の声であった。
共に復讐者達は見た。
城壁の上を走りゆく人影を。馬上用の弓を持ち、アルタン・ウルク達へ矢を浴びせるそれは――遊牧民を彷彿させる衣装を身に着けた、人間の男だった。
無論、それが攻撃である以上、アルタン・ウルク達もまた反撃を紡ぐ。赫の眼が輝いた刹那、発した光条は男を貫――かなかった。
「トグリル!」
男を背に乗せた半人半馬――中華風の重厚な鎧を身に纏ったそれが、そのまま天を駆け抜けるように光条を回避。そのまま、城壁の壁面を駆け抜けると、矢を思わせる光線をアルタン・ウルクへと放っていく。
正に人馬一体の動き。
その動きは、歴戦の勇者たるルィツァーリやリューロボロス、サヨコにしても感嘆する物であった。
「客人を中に迎え入れたい。頼めるか? チャガタイ」
トグリルと呼ばれた男が、その背の上から、半人半馬の男へと語り掛ける。
「彼らがディアボロスである以上、彼らもまた私達の『守護』の対象だ! ならば――」
そして、半人半馬――チャガタイは声を張り上げた。
「アルタン・ウルクの勇士たちよ!」
言うが早いか、城壁から飛び出た数人の半人半馬達はそのまま城壁を疾駆する。先のチャガタイと同じ光線を放ちながら、触手のアルタン・ウルク達を牽制。ルィツァーリ、サヨコの二人をその背にかっ攫い、戦場を駆け抜けていく。
(「よもや、クロノヴェーダの背に乗る日が来るなど?!」)
(「……後で、スヴェルカーニエが嫉妬しなければいいんだけどなぁ」)
サヨコの驚愕、ルィツァーリの苦笑は兎も角、彼らは勢いそのままに、再び城壁を駆け上がっていった。
「我も頼むぞ」
その台詞は龍から少女の姿へと戻ったリューロボロスから発せられた。
一歩遅れて元の姿に戻った彼女もまた、半人半馬の背に乗り、城壁を駆け昇っていったのだった。
駆け上がったその先には、巨躯の半人半馬の男、そしてその背に跨がる民族衣装の男がいた。
彼らの背後では半人半馬の者達が外の黒き触手達――アルタン・ウルクへの牽制攻撃を続けている。中には復讐者と思しき人間も混じっていたが、半人半馬に比べてその数は圧倒的に少なく、攻撃と言うよりも、【残留効果】による支援に徹しているように見えた。
その光景を背景に、民族衣装の男は半人半馬の男の背から降り立つと、復讐者へと手を伸ばしてくる。
「旅人よ。よく来て下さった。……ただ、余り歓待は期待しないでくれよ。見ての通り、ここは風前の灯火と言ったところなんでね」
自虐的な溜め息と共に求められた握手は、復讐者達の先頭に立つ形となったルィツァーリが応じることとなった。
続けざまに彼の言葉を引き継いでか、巨躯の半人半馬が声を上げた。
「私の名はチャガタイ。ジェネラル級アルタン・ウルク『チャガタイ』だ。そして、彼はトグリル。……貴方たちと同じく、ディアボロスの力を持つ者である」
礼儀正しく発せられた声に敵意は感じられない。
むしろ敬意すら込められたそれに、復讐者達は僅かな驚きと戸惑いを覚えていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【修復加速】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
俺達はクロノヴェーダは人を苦しめる存在って偏見があったが人が護る対象なら復讐者と争う理由もないか
此の時代自然の驚異は多いし下手すると俺達がアルタン・ウルクと呼ぶ奴等が出て復讐者が生まれた可能性すら有るか?
奴等が生まれたのすら復讐者を生む為の黒幕の梃入れも……って此れは考え過ぎか
しかしそうなると奴等をアルタン・ウルク、人々を護る彼等の名で呼ぶのは抵抗があるな
チャガタイに感謝の言葉と此方の事情を伝え正面から頼む
下手に言葉を飾らず守護者である彼等に敬意と誠意を
先ず会談を受け入れてくれた事に感謝を
改めて俺はルィツァーリ、キエフの騎士だ
此の地には黒い触手、『奴等』について知る為にやってきた
俺達の土地も奴等に襲われてね
奴等に対抗する為奴等について知りたいんだ
何せ多少の情報は有っても俺達は奴等の本来の名すら知らない
けど其れじゃ皆を護れないかもしれない
余所者の俺達を受け入れてくれた皆を護る為に貴方達が奴等をどう呼ぶか奴等が何処から来たか何でもいい!
どうか貴方が知っている事を教えてほしい!
(「俺達は『クロノヴェーダは人を苦しめる存在』って偏見があったが、確かに『人を護る』が行動原理なら、ディアボロスと争う理由も無いか」)
会談の席に着きながら、ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)はそう思考する。
チャガタイを始めとした半人半馬の歴史侵略者、アルタン・ウルクのエネルギーとする感情が『守護』、或いはそれに基づく物であるならば、彼らの行動指針は復讐者達と変わりなかったのではないか。
(「じゃあ、何故、トグリルはディアボロスに覚醒したんだ?」)
少なくとも、そんな最中、歴史侵略者達に怒りや無念の思いを覚える事は起きないように思える。
復讐者の数が少なく、支援に徹していることと何か関係あるのだろうか。
ともあれ、とルィツァーリはチャガタイへ、まずは一礼と頭を下げた。
「先程は助けてくれて、また、アルマリク拠点へ招き入れてくれた事、感謝する。本当に助かった」
下手に言葉を飾らず、敬意と誠意を以て接する。
確かにチャガタイ達は歴史侵略者で、ルィツァーリ達復讐者とは不倶戴天の敵と筈だ。だが、恩を仇で返すつもりはない。感謝への躊躇は微塵も無かった。
ルィツァーリの礼に対し、意外にも、チャガタイ達もまた、感謝の意を示していた。
「アルマリクに逃げ込めた者達だけで無く、他にもディアボロスが生き残ってくれた事に感謝する。……早速で悪いが、教えてくれ。お前達の様な生き残りはあと、どれ程いるのだ?」
それは焦燥が滲み出る言葉だった。
おそらく、彼らも悟っているのだ。アルマリク拠点が長く保たないことを。
「お前達の拠点が残っているのならば、何とか合流できれば良いのだが……」
申し出と共に周囲を見渡す。彼の視線の先には避難民、そして復讐者と半人半馬のアルタン・ウルク達の姿がある。彼らを慮っての台詞であることは、痛い程、理解出来た。
(「どうする? 何処まで話せば通じる?」)
ここが過去の改竄世界史、融合世界戦アルタン・ウルクで、ルィツァーリ達の『拠点』は未来の世界――最終人類史だ。チャガタイの希望が叶うかどうか――今のルィツァーリは答えを持っていない。
一瞬の逡巡の後、ルィツァーリは首を左右に振った。
「生憎だが、俺達は別のディヴィジョンから来たディアボロスだ。このディヴィジョンのディアボロスじゃ無いんだ」
嘘はつかないと決めた。
ならば、最終人類史の名を出すかはともかく、この改竄世界史の情報を殆ど持っていないことを告げるべきだとルィツァーリは結論付け、その言葉を口にした。
「そうか」
チャガタイとトグリルが同時に嘆息を零した。
おそらく、アルマリク拠点以外の生き残りでは無い事に落胆を覚えたのだろう。
気持ちは分かる、とルィツァーリは彼らの嘆息を首肯する。そして、改めて、と頭を下げた。
「ともあれ、先の礼に加え、会談の場を設けてくれたことにも礼を述べたい」
ルィツァーリは咳払いをすると、この場についての感謝も口にした。
「俺はルィツァーリ・ペルーンスィン、キエフの騎士だ」
「――キエフ?」
一瞬、首を傾げたチャガタイであったが、直ぐに得心したと頷いた。
「ああ、成る程。他のディヴィジョンならば、『吸血ロマノフ王朝』『蹂躙戦記イスカンダル』『大戦乱群蟲三国志』が思い当たるが……、お前達は吸血ロマノフ王朝のディアボロスなのだな」
(「……周囲のディヴィジョンの存在は知っていると言う事か」)
ルィツァーリ達にとっては何れも既に奪還を終えた地域だが、しかしこの世界が過去である以上、チャガタイの認識もまた正だ。
敢えて否定する必要は無いと判断したルィツァーリは、そのまま言葉を続けた。
「此の地には黒い触手――『奴等』について知る為にやってきた」
俺達の土地も奴等に襲われてね。奴等に対抗する為、奴等について知りたい。
そう続けたルィツァーリに対し、チャガタイは――。
半人半馬の巨体を震わせると、前足を折って、深々と頭を下げたのだ。
それは先程の感謝とは一線を画した、謝意を感じさせる物であった。
「済まなかった。お前達のディヴィジョンまで、被害が出ているとは……」
「……どういうことだ?」
黒い触手こと、ルィツァーリ達が『アルタン・ウルク』と呼ぶ存在が何者かを知っている。そう言わんばかりの口調に、ルィツァーリの片眉が跳ね上った。
そんな彼の様子をどう受け止めたのか。震える声で、チャガタイはその事実を口にした。
「あの触手の怪物は『アルタン・ウルク』。……我が同胞達なのだ」
血を吐きそうな声であった。
チャガタイの言葉に対し、ルィツァーリは沈黙してしまう。
その真意を理解すべく、言葉を脳内で反芻する彼のそれを混乱と捉えたのか。
「……まず、説明をしなきゃいけないな」
横からトグリルが言葉を投げ掛けた。
「チャガタイ達アルタン・ウルクは他の生き物と融合し、その特徴を強く反映した能力を得られるって力を持っている。で、多くのアルタン・ウルク達はその能力を使って、馬と融合している……ってのは見たら分かると思う」
(「つまり、チャガタイ達は半人半馬のクロノヴェーダではなく、融合能力を持ったクロノヴェーダが馬と融合している、と言う事か?」)
要するにそれは、先刻、ルィツァーリが想像した通りなのだろう。
彼らの改竄世界史がモンゴルである以上、馬とは切っても切り離せない場所であり、故に融合相手として馬を選んだ。それは納得出来た。
では、何故その説明を今、トグリルがしたのか?
刹那に浮かべたルィツァーリの疑問は、続くチャガタイの言葉で刹那に氷解した。
「我らは、世界の全てを守る使命を果たす為、お前達のディヴィジョンである『吸血ロマノフ王朝』だけでなく、周囲のディヴィジョンのクロノヴェーダの力を重ね合わせる研究をしていたのだ」
チャガタイが口にする言葉は真摯そのものであった。
そして何より、ルィツァーリ達もその情報は知っていた。その研究が進められていた場所こそ――。
「研究はこのアルマリクの遙か東、上都と言う拠点で行われていた」
上都。
そう。それも復讐者には既知の情報だ。それはチャガタイの言葉に、一切の偽りが無い証左でもあった。
「だが、その上都で何らかの事故が起こり、我らが同胞――『アルタン・ウルク』達があの触手の怪物に変わってしまったのだ」
「――?!」
チャガタイの告白にルィツァーリは息を飲む。
それは先程の言葉通り――触手の怪物がアルタン・ウルク達である、と言う答えであった。
つまり、あの黒い触手のアルタン・ウルク達は、元を正せば彼らアルタン・ウルクであり、即ち――。
「我らはなんとか、触手の怪物と戦おうと試みた。だが、奴らと戦ったアルタン・ウルク達は、触手の化け物に変わっていき、取り込まれていったのだ……」
そして、遂には、このアルマリク拠点へ逃げ込む事になった。
そう語るチャガタイの表情には苦悩が刻まれていた。自分達の行った研究が今の惨劇を引き起こしたのだと、彼は心の底から悔いている。
それは世界を全て『守護』すると掲げるアルタン・ウルクであるが故か。
「重ねて済まない、と謝罪させてくれ。我らには、あの怪物に対抗する術はない」
お前達の力になる事は出来ない、と再度、深々と頭を下げたのだった。
「俺達がディアボロスに覚醒したのも、そんな中で、だ。こんなクソッタレな理不尽に晒されて……って所で、俺は力を得た」
トグリルの言葉に、ルィツァーリは成る程、と首肯した。
本来、復讐者は地球や歴史、大切なものを奪った歴史侵略者達への『怒り』が引き鉄となって覚醒する物だ。だが、アルタン・ウルク達に守護されたこの世界では、怒りや無念の思いという引き鉄が存在しなかったのだろう。それが、黒い触手のアルタン・ウルク達に蹂躙される、との状況で覚醒に至った――とすれば説明は付く。
(「結局、クロノヴェーダ由来で覚醒した、って所は俺達と同じだもんな」)
つまり、戦闘経験の少なさこそ、この世界のディアボロスが後方支援に徹していた理由なのだろう。ルィツァーリ達と違い、彼らが死した場合、新宿島の外縁部に漂着することが起きえる筈も無い。それは即ち、不死性が無いと同義であった。
「そうか。じゃあ、ここに来ても奴等に対する有効手段は無いってことか」
元々その調査にやって来たのだ、との姿勢を崩さず、ルィツァーリは言葉を続けた。
「ああ、なんとか力になりたいが、このアルマリクは研究が行われていた上都と離れ過ぎている」
離れていたからこそ、最後まで生き残れたと言う訳ではあるのだが、とチャガタイは自虐的な笑みと共に言葉を綴る。
「ジェネラル級であっても、か?」
チャガタイの立場ならば研究について何か知っていても不思議では無いのではないか?
ルィツァーリの問いを、しかし、チャガタイは首を振って否定した。
「このアルマリクは、ディヴィジョン境界の守護を目的にした軍事拠点だ。故にそう言った情報は殆ど入ってこなかった」
上都の情報も、逃げ延びた同胞や保護した避難民達から聞いたからこそ。
その言葉に、ルィツァーリは頷くしか無かった。此処でチャガタイが嘘を言う理由は無い。ならば彼は、自身の知りうる限りを全て語ってくれたと見るべきだろう。
「……そうだな。もしかしたら避難民の中にこれ以上の情報を持っている者がいるやもしれん。望むなら、話を聞いてやって欲しい」
最後にその言葉を付け加え、チャガタイは大きな溜め息を零すのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【泥濘の地】がLV3になった!
効果2【アクティベイト】がLV2になった!
レイラ・イグラーナ
何らかの事故……?
周囲のディヴィジョンのクロノヴェーダの力を取り込もうとして事故が起きた、ということになるのでしょうか。
考え得るのは「取り込むべきではない何か」を取り込んでしまったか、あるいは取り込んだことにより、ヘルヴィムや絶滅人類史の彼のように、触れてはいけない知識に触れることになったか……?
考えつつ、私はチャガタイ様の元へ残り、質問を。
もしこの場を私たちが切り抜け、またこのディヴィジョンへと戻ってくることができ、そして間に合ったなら……貴方たちの王へと、この戦いのことをお伝えしたく。
貴方たちの王の名前と居場所をお聞かせ願えないでしょうか。
そして……もし、貴方からお伝えすることがあればお伺いしたく。
ジェネラル級という階級の概念があるならば、断片の王はいるでしょう。
通常それは他ディヴィジョンの者には秘匿されることですが……このディヴィジョンの行く末は彼も悟っているでしょう。黒い怪物を止めるためにも、教えてもらえないでしょうか。
そこが私たちが目指すべき中枢の可能性があります。
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
心情
……護る為に力を求めた結果、逆に護りたかった人々を苦しめる結果を生んでしまったか
例え其の結果が今だとしても俺は責める気にはなれないな
しかし事故な
其れ迄は上手くいっていたなら誰かが暗躍してってのもあり得るか?
避難民に会い礼に〇口福の伝道者を使用し生み出した食料を差し出し思い出し苦しむかもしれないので落ち着かせる意味合いも兼ね〇友達催眠を使い話を聞く
基本的に聞きたい事は上都で何が行われていたか、その日に何が起きたのか
他にも普段と違う何かが運び込まれた、或いは普段と違う人が来ていた、知らない誰かが居た、普段見ない何かを見たりしなかったか等を質問
其の後は他の避難民の場所を聞き同じように話を聞いていく
基本的に足を使って調査
奪い合いになると困るので食料は話しを聞いた避難民以外にも配る
先ずは辛いだろうに話を聞かせてくれてありがとう
少しでも奴等を何とかする為に力を貸してほしい
そう言えば護る事で得られる感情か
感謝の気持ちや応援とかか?
ある意味、今の俺達には復讐心より相性が良いかもだな
「何らかの事故……?」
ジェネラル級アルタン・ウルク『チャガタイ』の言葉を、レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)はそう反芻する。
(「周囲のディヴィジョンのクロノヴェーダの力を取り込もうとして事故が起きた、ということになるのでしょうか?」)
例えば『取り込むべきではない何か』を取り込んだか。
例えば取り込むことによって『触れてはいけない何か』に触れてしまったか。
思考は巡るが、しかし、全ては机上空論。答えが出るはずも無い。
「じゃあ、それを聞きに行こうぜ」
ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)の提案に、「是非」とチャガタイ、トグリルの首肯が重なった。
議論を重ねるチャガタイ、トグリル、そして仲間達を残し、ルィツァーリとレイラはアルマリク拠点の通路を進む。
外からは激しい戦闘音が響き、「シュゴォォ」の鳴き声や怒号、悲鳴が木霊している。
それは明らかに、アルマリク拠点が劣勢に立たされていることを意味していた。
「――ッ!」
悲痛な呻きを漏らすルィツァーリに、レイラが首を振る。
今、此処で自分達が援護したところで、アルマリク拠点の終焉を免れられない。それが確定した未来であることを、他ならぬルィツァーリ達が知っているのだ。
「もしもアルマリク拠点を助けられたとしても、それは奇跡以上の奇跡としか言えません」
むしろ、この時代、この瞬間に復讐者達がいることが奇跡そのものなのだ。
ならば、今為すべき事を為す。
レイラの言葉にルィツァーリは頷くしか出来なかった。
アルマリクの避難民達の境遇は、悲惨の一言に尽きた。
避難民達が詰め寄る避難民区画は、おそらく、元々は倉庫であったのだろう。屋根があるだけマシ、と言った場所に寝具など詰め込み、人々は生活を営んでいる。
(「もしも、最終人類史で大きな地震があって、長期間、体育館などでの避難生活を強いられれば、こんな感じになるでしょうか」)
避難区域に到着した二人を最初に襲ったのは、臭気であった。
レイラの想像した避難所生活は、それでもマシな部類だと理解してしまう。公衆衛生は――端的に言えば、トイレの問題は、最終人類史に分があるのは誰の目にも明らかだった。
戦闘が繰り広げられる外へ汚物を捨てることも出来ず、穴を掘って処分している。そんな生活は最終人類史の民であれば耐えられないだろうことは想像に難くない。
「お兄ちゃんお姉ちゃん、誰?」
おそらく10に満たない少女が、二人の到来に小首を傾げ、そう問うた。
満足に手入れがされていない髪はボサボサで、衣服や肌も薄く汚れている。おそらく、このアルマリク拠点での避難生活を強いられて、一度も入浴など経験できていないのだろう。
「……俺達はディアボロスだ。皆に食料を持ってきた」
何はともあれ、まずは、とルィツァーリとレイラは【口福の伝道者】の残留効果を用い、避難民達へ食事を振る舞う。二人で食する事で、都合、800人前のご飯を用意出来たが、それで足りないならば二人前でも三人前でも平らげ、倍やその倍の数も用意する気概だった。
「わぁ!」
魔法の如く出現する食器や食事の類いに、少女は歓声を上げた。
「みんな! ディアボロスのお兄ちゃんお姉ちゃんがご飯を持ってきてくれたよ!!」
其処から波の様に、感謝と感嘆、感激の嵐が広がっていった。
「……まあ、満足な食事を取ってなかっただろうしな」
歓声に沸く避難民達に、ほぅと嘆息するルィツァーリ。レイラもまた、何処か柔和な微笑を浮かべていた。
とは言え、二人はただ、避難民達に食事を振る舞いに来ただけでは無い。彼らに問いに来たのだ。
「ありがとうございます。ディアボロス様。元々、アルタン・ウルク様達の好意で、アルマリク拠点の備蓄の支給はありましたが、しかし、それでも……」
少女の祖父であろうか。喜びながら食事をする子どもを見やり、彼は頬に涙を伝わせる。
聞けば、備蓄はやはり保存優先で、干し肉やチーズ、馬乳酒と言った類いだったらしい。緊急事態故、それ自体は仕方ないが、それでも、食に対する渇望は強かったんだろうな、と思ってしまう。
「上都の情報を聞きたいのですが、そちらから避難されている方はいらっしゃらないでしょうか?」
「おお。奇遇ですね。儂は過去、上都で働いていた事もあります。食事のお礼と言うのは差し出がましいですが、何なりとお聞き下さい」
学者肌風の老人は、二人に対して力強く頷いた。
聞けば、上都で働いていた過去があり、避難直前は首都であるカラコルムに戻っていたらしい。
(「つまり、カラコルムからアルマリクまで流れ着いたってわけか」)
上都以外の情報も期待出来るかもしれない、とルィツァーリは内心のみで独白する。
「上都でアルタン・ウルク達の実験を行い、そこで怪物騒ぎが……までは聞いている。何でもいい。教えて貰えないか?」
「――全てを知るわけではありませんが、分かる限りお話ししましょう」
老人は咳払いをし、語り始めた。
「上都では、他のディヴィジョンのクロノヴェーダを捕らえ、その力を得る研究を行っていました。人の形をした物。人と虫の合いの子の様な物。獣の様な物。様々なクロノヴェーダがいたと記憶しています」
「成る程」
では、上都にあった人を捕らえる為の檻とは、捕まえた他の改竄世界史の歴史侵略者のための物だったのか。
レイラは脳裏に刻み込みながら、老人に続きを促した。
「実験は成功し、実験に参加したアルタン・ウルク様達は、他のディヴィジョンのクロノヴェーダの力を得て、強くなりました。そして、後はこの実験の成果を『全てのアルタン・ウルク』様に適用するだけ、となったようです」
つまり、量産化の目処が立ったという訳か。
「とは言え、全てのアルタン・ウルク様を強化することは、偉大なる大ハーンでなければ不可能。そのため、大ハーンが上都に来る予定もあったと聞きますが……すみません。その頃、儂は別の仕事に従事することになり、首都カラコルムに戻っていました」
「……す、少し待って下さいッ!」
聞き逃せない単語を聞き、レイラが声を上げた。
(「大ハーン? つまり、チンギス・ハーン? 全てのアルタン・ウルクを強化出来る存在とか、断片の王しか出来ない所業では?」)
だが、老人に「断片の王はチンギス・ハーンなのか?」と問うても、伝わるかどうか。これは後でチャガタイに問うた方が良いだろう、と思い直す。
「あ、いえ。続けて下さい」
「別の仕事って?」
語りやすくするためだろうか。レイラのフォローと、ルィツァーリが問う。
「強化されたアルタン・ウルク様の性格が変わっていないかなどの、聞き取り調査が主でした」
つまり、他の歴史侵略者と融合することで、何らかの異変が無かったか、との調査を行っていたのだろう。
結果、そのような兆候は認められなかったと、老人は語った。
「強化された為でしょう。使命感が強くなったようには思えました。ですが、強い力を持つことで、使命感を強めるのは不思議な事ではありません。それはきっと、アルタン・ウルク様達だけでは無く、誰しもがそうでしょうね」
「あー、まあ、そんなもんだろうなぁ」
貴族の義務、と言う訳では無いが、しかし、実力が上がれば、相応の使命感や義務感が強くなることも、復讐者である二人には分かる。
「……と言う事は、アルタン・ウルク達にも強化実験に対する不安はあったのでしょうか?」
「ええ。実験に参加していたのは、アルタン・ウルク様の中でも、勇士と言える方々でした。これを全体に広げた場合、耐えられない場合もあるかも知れない……とは言われていました。そのために、行動の優先順位を設定する必要があるとか。……詳しいことは畑違いなので、分かりませんが」
おそらく老人の専門は心身のケアの方で、化学者方面や魔術的な要素は門外漢、と言う事なのだろう。
「勇士、か」
「……おそらく、ジェネラル級は大丈夫でも、アヴァタール級やトループス級に広めるのはもしかして……と言う話だったかもしれませんね」
老人に悟られないよう、小声でレイラが囁き、ルィツァーリも是と頷く。
「ああ、そう言えば『何があろうとも、世界を守る意志が残っていれば、それはアルタン・ウルクなのだ』と話されていたのも聞きました。もしかしたら、アルタン・ウルク様達には世界のための決意があったのやも知れません」
「そうか……」
その後、上都で事故が起きたとの報の後、カラコルムを捨てて逃げる事態が発生した、とのこと。
老人の口から「あれは無茶苦茶としか言いようが無かった」との文言を受け、心中察して余り有ると、二人は老人へと頷いた。
「……今思えば、カラコルムを捨てて逃げたとき、大ハーンの姿をお見かけすることはありませんでした。もしかしたら、あの時、大ハーンは予定通り、上都へと向かわれていたのかもしれません」
想起する老人の目は遠くを映しているように思えた。
そうして、老人の語らいは終わったのだった。
「――断片の王はチンギス・ハーンですか?!」
会談の場に戻るなり、レイラはチャガタイへと問う。
断言口調の勢いに押されたか、それとも元々隠すつもりも無かったのか、チャガタイは鷹揚に頷き、答えた。
「我らの大ハーン、断片の王は『チンギス・ハーン』だ。世界を統べ、世界を守る事ができるのは、我らの大ハーン『チンギス・ハーン』だけである」
(「……いやまあ、ジェネラル級らしい回答と言えば回答だけどさぁ」)
やはり、断片の王は歴史侵略者の絶対君主として君臨しているのは間違いない。チャガタイの言葉は何処か、心酔している様子も窺わせた。
「となると、他のディヴィジョンのクロノヴェーダと融合するのは、王の命令でしょうか?」
「ああ、そうだ。大ハーンは『隣接するディヴィジョンのクロノヴェーダの力を取り込む』戦略を我らに示していた。それに従い、我らはヴァンパイアノーブル、蟲将、亜人の3種族を捕らえ、融合研究を行っていたのだ」
語る言葉に嘘は見受けられなかった。
そして、レイラ達は理解する。彼の言葉が真実であろう、と。
おそらく、この旅が攻略旅団提案によるもので、齎される力が情報そのものを精査する能力を向上させているのだろう。過去に何度もあった恩恵が今、復讐者達を後押ししていることは肌身として実感できた。
「……もしかしたら、表向きはそう命じていて、断片の王が裏で画策していた可能性は無いのか?」
例えば改竄世界史TOKYOエゼキエル戦争のヘルヴィムみたいに何らかの暗躍をしていたら?
自分達の直感に従い、ルィツァーリはチャガタイに問う。
「無い」
チャガタイの返答はシンプルだった。
「考えて見て欲しい。大ハーンが我らに提示した以外の道を取ろうとしても、それを我らに秘匿する理由は無い。断片の王は我らジェネラル級であれど従える力を持つ。そんな大ハーンが我らを騙して別の路線を選ぶ理由は何処にもない。我らを騙す理由が無い以上、この戦略以外の行動を取ったとは思えない」
とは言え、とチャガタイは僅かに首を振った。
「何事も例外はありうる。異なるディヴィジョンの友よ。お前達がそう考えることは当然だ」
それは、復讐者達の考えを慮ってのことか。
疑問を問うことそのものに不快感を覚えたわけでは無い、との言葉に、レイラとルィツァーリはほっと吐息を零した。
「まあ、誰しも疑いたくなるのは当然と言えば当然だからな」
逆にもしも、先の言葉に不快感を覚えていたらすまない、とトグリルが笑い、チャガタイはむしろトグリルの態度に対して憮然に、と頷く。
そして、言葉を続けた。
「大ハーンは偉大なるお方だ。先に挙げた3種族以外の特別な何かを、思いつきで取り込むような軽率なことを、大ハーンがなさるとは思えない」
「貴方が言うなら、そうなんでしょうね」
つまり、「取り込むべきで無い何かを取り込んだ」路線は無いと言う事か。
思わぬ所で最初の思考の答えが出てしまい、レイラは僅かに唸るのであった。
「……お前達は、大ハーンに会いに行くのか?」
そして、当然の如く、チャガタイはレイラとルィツァーリに問う。
先程までの会話から、それに至らないはずも無い。隠しても意味は無いと、二人は是と頷いた。
「もしこの場を私たちが切り抜け、またこのディヴィジョンへと戻ってくることが出来、そして間に合ったなら……貴方たちの王へと、この戦いのことをお伝えしたいと考えています」
だが、過去に向かうパラドクストレインが二度も現れることはないだろう、との思いがある。
おそらく、断片の王にチャガタイ達のことを伝えるにせよ、レイラ達の知る改竄世界史融合世界戦アルタン・ウルクの時間軸での話になるだろう。
「ですから、断片の王の所在地を知りたい……と思っていましたが、存じませんよね?」
「ああ。大ハーンは首都カラコルムにいる。……が、カラコルムからの避難民は『大ハーンの姿を見なかった』と言っていた。上都の研究結果の仕上げに向かったのでは? と言う声も聞いている」
それは避難民の老人の言葉を肯定するものでもあった。
或いは、チャガタイも、あの老人から聞き及んでいたのかもしれない。
「もし、貴方からお伝えすることがあればお伺いしたく」
それは、滅び行くアルマリク拠点への、そして自身等を友と呼んだ歴史侵略者へのせめてもの餞だったのかも知れない。
レイラの言葉に、チャガタイは刹那の沈黙を経て、そして口を開いた。
「我々は、人々をあの怪物から守ろうと戦ってきた。それは守護のエネルギーのためでもあったし、それが我々の行動原理だったからだ」
故に、我らアルタン・ウルクは、避難した一般人を守るために戦って死ぬことに、躊躇いは無い。
そう断じたチャガタイ、だが、と言葉を続けた。
「だが、それは本当に正しい行動なのだろうか?」
それは、彼が抱いた疑問であった。
黙するレイラにチャガタイはそのまま語る。
「あの怪物は、――我らの同胞であったあの怪物は、あらゆる生物を喰らい尽くしてきた、許されない怪物の筈だ。……しかし、あの怪物から、悪意を感じ取る事が出来ないのだ」
それは、触手の怪物がアルタン・ウルク達の変異した姿だから、と言う訳ではないだろう。
言語立てて説明は出来ない。故に、直感的にチャガタイは感じ取っているのかもしれない。
「だから、少しだけ考えてしまう。あの怪物が全ての生命を喰らい尽くすことが、世界を統べ守るために、必要なことなのでは無いか、と」
その目が映すのは、レイラ達の姿では無く、その壁の向こう。
触手の怪物達と今もなお、死闘を繰り広げられている同胞達へと向けられていた。
「おそらく、我らは遠からず、怪物に喰われ融合することになる。……もし、お前が大ハーンと会うことがあったならば、我らが怪物と融合する事が、世界を守る為に必要な事なのかだけ、確認して欲しい」
彼が終焉を認識していることはもはや、疑い様も無かった。
「……承知しました」
未来を知るからこそ、諦めるなとも言えない。
せめて、心苦しい表情をせず安心感のみを与えようと、レイラは無表情を装い、是と頷いた。
外から聞こえる戦いの音が激しくなってきている。
何かを語ろうとし、しかし言葉にならない復讐者達に向け、チャガタイは声を上げた。
「そろそろお前達も脱出の準備をするといい。あと少しは話が出来るであろうが……もはや僅かな時間を稼ぐぐらいしか出来ないであろうな」
自身もそろそろ出るべきだ、とトグリルは弓を持ち、チャガタイは彼を背に乗せるべく立ち上がる。
確かに、チャガタイが語るように、残された時間はあと僅か。
それは復讐者達も痛い程、理解していた。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【冷気の支配者】がLV3になった!
【友達催眠】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
マリーさんとのお茶会を、リヨンの劫火を思い返していた
俺はこの奇跡の邂逅を、復讐者の漂着に賭けよう
二人の目を見て、握手を求め会談の礼を伝える
チャガタイへ
俺達は遠い場所で、あの変異体に『頼む、滅ぼして』と託された
その返答だ
「確かに託された」
俺達は、何処にいても、友だ
響く戦闘音に声を張り上げる(成否は問わずPD通信も発動)
トグリル、復讐者達よ
俺達は、多くのディヴィジョンから1つ所に集った
拠点は日本の【新宿島】という
今も、こんな理不尽に抗い、世界中で戦い続けてる
理不尽まみれだ!
このクソッタレな世界に抗う意志があるのなら
たとえ命断たれようとも、【俺達は新宿島で待っている!】
君達が、許せぬと怒り、意志の火を燃やし続ければ、辿り着ける
もし君達が望めば、俺達の拠点へ直接連れ帰る
望む者がいれば掬い上げよう
(だが、彼らは抗う者だ
避難民を最後まで守り、人馬一体の相棒と征くならば)
奇跡を信じろ
共に、この悲劇を終わらせ、結末を変えてみせよう!
彼ら人々が子々孫々まで平和に笑ってる世界を取り戻す!
抗い続けよう、復讐者
立ち上がったトグリルとチャガタイに倣うよう、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)もまた立ち上がった。
彼は片手を差し出し、チャガタイへと握手を求める。
鷹揚に応じたチャガタイの手はゴツゴツとして大きく、人々を守る戦士の手であると理解出来た。
「……俺達は遠い場所で、あの変異体に『頼む、滅ぼして』と託された」
それは、過去――否、この世界から見れば未来の話で、触手のアルタン・ウルクがエトヴァ達に託した言葉だった。
だから、と彼は言葉を続けた。
「確かに託された」
そして、エトヴァは力強く頷いた。
「俺達は、何処にいても、友だ」
復讐者と歴史侵略者。
その垣根はあっても、彼はそう唱える。人々を守護しようとする彼は、確かに友であると。
それ以上の言葉は不要とばかりに、チャガタイは首肯で応じる。その表情は誇らしげにも、安堵のようにも思えた。
「トグリル」
そしてチャガタイから手を放したエトヴァは、その手をそのままトグリルに差し出す。握手に応じるトグリルの手もまた硬く、彼もまた、戦士であることを強く心に刻み込む。
「――キミの仲間と……俺達と同じディアボロスに話をさせて欲しい」
それこそが、エトヴァの出る最後の賭けだった。
彼ら、融合世界戦アルタン・ウルクの復讐者達を、この世界で戦い続けた戦士達の意思を無に帰さない。
そのために、エトヴァは彼らへと呼び掛けるつもりだった。
「我々は席を外そう」
察する物があったのだろう。チャガタイの言葉に従い、会談の場にいたアルタン・ウルク達は全て、部屋の外へと移動する。
残されたのはエトヴァ含めた復讐者達、そしてこのアルタン・ウルク過去世界の、復讐者達のみとなった。
(「ああ、思い出すな」)
彼が想起するのはリヨンの業火。そして、1793年と言う疑似改竄世界史のベルサイユ宮殿であった。
(「俺は、この奇跡の邂逅を、ディアボロスの漂着に賭ける」)
だからこそ、彼は、トグリル達、改竄世界史融合世界戦アルタン・ウルクの復讐者達に向かって声を張り上げた。
「トグリル、復讐者達よ。俺達は、多くのディヴィジョンから一つ所に集った。――拠点は日本の【新宿島】と言う」
彼の宣言に、トグリルは目を細める。
おそらくチャガタイもトグリルも、彼ら復讐者が改竄世界史吸血ロマノフ王朝出身でないことを悟っていたのであろう。そこに驚愕の色はなく、ただ得心の首肯があるのみだった。
「俺達は、今も、こんな理不尽に抗い、世界中で戦い続けてる。――そうだ、世界は理不尽まみれだ!」
それはこの過去の改竄世界史融合世界戦アルタン・ウルクでも、現代社会の時間軸、最終人類史でも変わらない。
「このクソッタレな世界に抗う意志があるのなら、たとえ命断たれようとも、俺達は新宿島で待っている! 君達が、許せぬと怒り、意志の火を燃やし続ければ、辿り着ける筈だ!」
そして、彼は言葉を付け加えた。
復讐者であれば、今からでもパラドクストレインに乗り、最終人類史へと向かえる、と。
「もし君達が望めば、俺達の拠点へ直接連れ帰る。望む者がいれば掬い上げよう!」
だが、と彼は内心で自身の言葉を否定する。
(「彼らは抗う者だ。避難民を最後まで守り、人馬一体の相棒と征く。ならばその答えは――」)
果たしてそれは、エトヴァの望み通りだったと言うべきか。
現地復讐者の一人が、エトヴァに問うた。
「『掬い上げる』。この状況でその話をしたということは――、それは俺達だけってことなんだな? チャガタイや避難民は――?」
見捨てろと言うことか。そんな言葉を呑み込んだのは明白だった。
そう。彼らは何処までも正しく復讐者だった。
新宿島で――世界の全てが改竄世界史の海に消え、20キロ平方メートルしか無い土地しか残らず、それでも諦めず戦ったエトヴァ達に、彼らの想いは痛い程理解出来た。
あの頃の自分に同じ問いをしたら、否と答えるだろう。もしかしたら問い主を「見損なうな」と罵倒したかも知れない。
だからこそ、彼は、復讐者達の言葉を肯定するしか無かった。
「俺達はチャガタイ達と――アルタン・ウルク達と共に、この世界の人々を守る。俺達は最後まで、ここで戦う。戦い抜く!」
たとえアルタン・ウルク達に守られながら、理不尽への些細な抗いしか出来なくとも。
それが自身達の矜持だと、彼らは断じたのだった。
(「ああ」)
エトヴァは思う。
今、ハッキリと理解した。理解してしまった。
彼らは――彼らのいるこの融合世界戦アルタン・ウルクは、やはりエトヴァ達の知る融合世界戦アルタン・ウルクへと変貌するのだ、と。
復讐者達がチャガタイを――歴史侵略者を慕う姿を、そして共に死ぬとの決意を告げる姿に、そのことを認識するしか無かった。
(「俺の会ってきたクロノヴェーダは全て邪悪であったが、チャガタイのようなクロノヴェーダもいたのだな」)
そして、気付く。
エトヴァがこれまでに会ってきた歴史侵略者こそ、特別に邪悪な立ち位置だったのだろう、と。
改竄世界史化の条件として『ディアボロスの全滅』があることを、彼は認識している。
故に、改竄世界史火刑戦旗ラ・ピュセルの断片の王ジャンヌ・ダルクは『復讐者達の復讐心を無くし、世界そのものから復讐者を失わせる』ことで火刑戦旗ラ・ピュセルの改竄世界史化に成功した。
改竄世界史神威断罪ギガントマキアは神像鎧を用いて、復讐者達を取り込むことで改竄世界史となった。
そして、改竄世界史暗黒世界蝦夷共和国は、幸福を人々に与えることで、『復讐心と怒り』を断ち、復讐者への覚醒を無へと帰した。
つまり――復讐者達を全滅させるような邪悪さを持たなければ、そもそも改竄世界史化を成立させることが出来なかったのだ。
(「もしも、その世界のクロノヴェーダが、チャガタイ達のようなディアボロスと仲間になれる存在あったならば――」)
改竄世界史化は果たせず、歴史の露に消えていった。その可能性は否定出来ない。
(「全てのクロノヴェーダが悪人では無く、悪人のクロノヴェーダしか生き残れなかった……と言うことか」)
人類史改竄術式『刻逆』が禁忌の外法と呼ばれるわけだ、と嘆息する。
改竄世界史に成り得なかった世界――疑似改竄世界史の歴史侵略者は、復讐者へ「自身はお前達の友となりうる存在だった」と語った。
彼が心底の悪人だったか否か。それは今となっては語れない。証明する手段は何処にもない。
だが、少なくとも、歴史侵略者だから悪人。そんな図式が成り立たないことをエトヴァはこの世界で識ってしまった。
「ならば、奇跡を信じて欲しい」
それでも、とエトヴァはトグリル達に訴えた。
奇跡は起こらず、彼らが新宿島に流れ着くことは無いかもしれない。もしかしたらその可能性の方が高いだろう。だが、それでも、と彼は声を張り上げた。
「俺達と共に、この悲劇を終わらせ、結末を変えてみせよう! 彼ら人々が、子々孫々まで平和に笑ってる世界を取り戻す! 抗い続けよう、復讐者」
彼は拳を掲げ、復讐者達を鼓舞する。
「お前達の守護の想いは、戦いの意志は、俺達が全て受け継ぐ。俺達が、世界を取り戻し、守ってみせる!!」
世界の全てで戦え。
それはチャガタイらアルタン・ウルク達の想いだけでは無い。この世界に息付き、抗い続けた仲間達の思いでもあったのだ。
ならば、それだけで持ち帰ると、彼は力強く言葉にした。
「おお!」
鼓舞の言葉に、復讐者達は声を張り上げ、応えるのだった。
「……ありがとな」
戦場に向かうトグリルは、最後にとエトヴァ達復讐者へ頭を下げる。
「正直に言うと、少しだけ、臆していたところがあった。だが……俺達の戦いは無駄じゃ無いんだな」
おそらくその思いはトグリルの仲間達も同じだったのだろう。皆、晴れ晴れとした顔で、それぞれの戦場へと向かっている。憑き物が落ちた、との表現があれば、正にそれであった。
「……」
エトヴァはその言葉に、応えることは出来なかった。
そんなトグリルを背に乗せ、チャガタイもまた、ぺこりと頭を下げた。
席を外すとの言葉通り、彼は先のエトヴァの演説をあえて聴かなかったのであろう。しかし、晴れ渡ったトグリルの表情を見て、全てを察したのか、力強く頷く。
「――友よ。遙か彼方から来た友よ。このアルマリク砦は今、正に陥落の時を迎えようとしている。だが――それでも、お前達だけは我らアルタン・ウルクの矜持に賭けて『守護』ろう。道を拓こう。だから……」
そして、飛び出すトグリルとチャガタイの言葉が、重なった。
「世界を『守護』ってくれ。友よ!」
それが、ディアボロス達に託された願いでもあった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
ああ。その『守護』の意思、託された!
俺達は、世界を守護り抜いてみせる!
最後の時まで己らしくある事
譲れぬものを貫き通そうと願う
それが痛いほどわかる
己も戦う。戦うために俺は立ち上がった!
胸に燃え上がる、願いを持ち帰るために
冷気の支配者と泥濘の地、効果2を活用しアルタンの動きを鈍らせつつ
チャガタイ達の援護を受けながら
一点突破で隙を穿ち脱出の道を切り拓いていこう
トグリル達にも残留効果の支援が可能なら届ける
痛かろう、苦しかろう、悔しかろう
守護するため胸に絶やさぬ炎
その心、確かに受け継いだ
包囲を脱出できたら振り返り、信号弾を結わえた矢を、天へ放とう
これは俺達の狼煙
守護の意思、確かに受け取ったと知らしめるため
そして、“灯”をともすため
僅かな間ながら触れ合った避難民もいる
復讐者が守り戦うという希望
あなた達の、未来を取り戻すから
【託されし願い】があれば受けて
俺達は、新宿島という灯台に火を燃やし続けよう
矛盾してる、でも願わずにはいられない
この戦いの果てに
歴史を超えて
あなた達に、また会いたい
トレインで脱出する
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
心情
そうだよな
自分達だけ助かるなんて選択肢取れる訳ないよな
けど其れでも俺は……せめて彼等だけでも……
いや、未練がましい真似は止めろ
今は彼等の言葉に報いる為、俺達に託して良かったと思って貰える様……駆け抜ける!
〇泥濘の地使用
〇大声で彼等に向かい叫んだ後、彼等に見える様全力で戦いながら駆け抜ける
ネメシス体
彼等の意思を継ぎ世界を守護るという決意も込めトグリルに似た装束の青年姿
相棒に〇騎乗
戦場を駆け敵を〇竜血の大地で生みだした赤き長槍を矢にし〇電撃(使い)を纏わせ弓で射放ち攻撃
騎士として誓う……此の世界は絶対に護って見せると!
けどな無茶だと判ってて言うぜ!
絶対死ぬな!
死んでも生き返って俺達に会いに来い!
俺はあんた達の思い出が!平和だった頃の此の地が忘れ去られちまうのは嫌だから!
其れ迄俺達が世界を護り抜く!
だから何時でも良い
どんな形でも良い
会いに来て俺に教えてくれ!
俺達に託せて良かったと思って貰う為……全力で駆け抜ける!
絶対此の地は奪還し世界も守護りぬいてみせる!
彼等に誓って……!
リューロボロス・リンドラゴ
我は龍、我こそはドラゴン、幼子達の守護者、水天竜王リューロボロス!
その想い、我が名に誓い、確かに受け取った!
世界も、人々も、ぬしらの願いと誇りも。
我らが『守護』ろう!
ぬしらの想いとともに!
言葉は尽くした。
無粋はせぬ。
我らは、希望だ。
トグリル達にとっての希望だ。
無駄ではなかった。無駄ではなかったのだ。
彼らが最後まで戦い抜いてくれたからこそ、我らはこうして出会えた。
多くを知り、未来に繋げることができた。
その希望が、明日へと羽撃く所を、トグリル達に魅せてやろう!
――この手が創るは滅びと再生司りし篝火なり。闇を祓い照らすは竜である
我らを護ろうとする友たちを信じ、振り向かず、前だけを見て駆け抜けよう!
触手たるアルタン達を弔いの炎で薙ぎ払おう!
我が炎は闇を照らす!(【照明】)
目立つ?
狙われる?
構わぬ!
黒に覆われた世界に、それでも小さな光が灯り、無事飛び立っていくのを見せてやらねばならぬ!
彼らの最後が闇に覆われた絶望であってはならぬ!
どこかの誰かの明日を、希望を『守護』れたのだと、煌めく星を灯すのだ!
ラウム・マルファス
アルマリクが滅びることは決まっていル
ボクは彼らを助けられナイ
それでも、今までのこともこれからのことも、無駄とは思わないヨ
アルマリクのディアボロスは、残留効果で戦闘支援をしていたようダ
彼らもボクらも同じディアボロス、ならボクたちの残留効果だって使えるハズ
だから今までの黒アルタンとの戦闘知識を元に、残留効果の効果的な使い方を教えるヨ
「泥濘の地は黒いアルタン・ウルクだけを対象としテ。冷気の支配者はチャガタイたちの動きも鈍るから気をつけテ。完全視界を置いて行くから、弓兵は使うとイイ。ボクたちディアボロスの戦い方は、残留効果と連携によるチェインだからネ」
必要な説明をしたら脱出するヨ
ボクが戦場にいる限り、彼らはボクを護るためにも動くだろウ
説明した残留効果をボク自身も使い、周囲のアルタンを足止めし、迫ってきたら防衛ラインで防いで速やかに脱出すル
少し離れたら振り返り、戦場とアルマリクを観察
託された守護の意思に応え、可能な限りパラドクスでチャガタイを守護するヨ
この世界に残れるギリギリまで、最期を見届けよウ
レイラ・イグラーナ
はい、必ず。同志よ。
時間まで越えたこのディヴィジョンでもそれが適応されるかは未知数ですが、私たちは死しても戦う意思を失わなければ最終人類史へと漂着します。
それを信じるのであれば、彼らとともに最期まで戦うことも可能です。
ですが……
行きましょう、振り返らずに。
彼らが私たちを守護するのならば、私たちは、彼らの矜持を守るために。
彼らから託された願いを胸に、アルマリクの街を出ます。
彼らが切り開いた道を通り、アルタン・ウルクの群れを抜けます。
足は止めず、後ろを振り返らず。
可能な限り戦闘も避け、彼らを信じてトレインまで駆け抜けましょう。
私たちは多数のディヴィジョンを滅ぼしてきました。
ですが、知らぬところでもこうして半ばにて滅んだディヴィジョンがある。
私たちの戦いは、滅ぼすためではなく、守るために。
貴方たちの意志も受け継ぎ、私たちは戦い続けましょう。私たちの友、アルタン・ウルク。
文月・雪人
同じディアボロスとして、仲間の言葉が胸にしみるよ。
世界を『守護』る。
ああそうだね、『託されし願い』は確かに受け取った。
だから俺達からも、友として仲間として彼らの武運を祈らせて貰いたい。
新宿島で待っているよ。
……例えこの地の陥落が免れ得ないものなのだとしても、
彼らは確かにこの地に生きて、抗い、戦っているんだね。
彼らの覚悟と誇りをこの胸に刻んで、彼らの紡いだ過去を未来へと繋ぎたい。
道を開く彼らに感謝を伝えつつ、黒い群れを抜けるまで共に戦いたい。
ここまで俺達が重ねてきた残留効果を彼らに託す。
人々が彼らに託した【託されし願い】の力も届けよう。
そして彼らの思いと共に、彼らが切り開いてくれた道を進む。
帰還したその先で、託された約束を果たす為に。
トグリル達とチャガタイ達。
ディアボロスとクロノヴェーダが友として戦う姿を、この目に確と焼き付けておきたい。
同時に頭に浮かぶのは明智光秀と彼の配下達の事。
埋めるべき溝はまだまだ大きく感じるけれど、それでも、
復讐とは違う未来に向けて可能性は繋がっているのだろうか。
月鏡・サヨコ
去り行くチャガタイとトグリルの背に、いつになく声を張り上げて言葉を投げ掛ける
現地の復讐者達が漂着に成功する確率が少しでも上がるように、私たちの拠点である日本を強く想像して貰うために
復讐者が望むことで、円卓の座のようなクロノ・オブジェクトが奪還による消失を免れて漂着した例もあるわけで、無意味な精神論ではないと考える
戦士よ!
新宿島は遥か東方……大戦乱群蟲三国志の版図からさらに東の海に在る!
そこは天を衝くが如き威容の高楼が立ち並ぶ地だ
赦すべからざる敵への復讐を果たし、人類を守護する意志を、最後の一瞬まで保ち続けたなら……
かの島に打ち寄せる波が、私達の大地に導くだろう
ここにいない者にも、間に合うならそう伝えてくれ!
――貴官らの健闘を祈る!
あとは彼らを信じて撤退するのみ
《巡洋戦艦海戦装『黒姫』》から放つ『零式弾・広域砲撃』で、トレインの方向を塞ぐ敵群を撃滅する
【泥濘の地】と【冷気の支配者】で殺到する敵を押し止め、退路の封鎖を阻止しながら突き進む
アルタン・ウルク……彼らの意志を、決して無駄にはしない
「世界を『守護』ってくれ。友よ!」
チャガタイとトグリル――この世界で出会い、復讐者達を友と呼ぶ言葉に、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)と文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は是と頷いた。
「ああ。その『守護』の意志、託された!」
俺達は世界を――俺達の世界を守護り抜いてみせる。
走り行く戦士達の背中に、エトヴァはその言葉を投げ掛ける。
「――同じディアボロスとして、彼らの言葉が胸に染みるよ」
トグリルとチャガタイの二人――否、彼らを先頭としたアルタン・ウルクやディアボロス達の背を見送り、雪人はしみじみとその言葉を口にした。
(「世界を『守護』る。キミ達の願いは分かった」)
だからこそ、と再度祈ってしまう。
(「だからこそ、俺達からも、友として仲間として彼らの武運を祈らせて貰いたい」)
「――新宿島で待っているよ!!」
たとえ、祈りが届かなくとも。
たとえ、アルマリクの陥落が免れ得ない物だとしても。
彼らは確かにこの地で生き、抗い、戦い続けていた。
その想いを胸に刻み、未来へと繋げていく。その先で彼らの想いだけでも持って行けるのであれば――其処は、彼らが自分達復讐者と繋がっていることに他ならない。
それが欺瞞と呼ばれる物だと雪人自身が理解している。
それでもなお。それでもなお、願ってしまう。
彼らは自分達と共にあって欲しい。彼らの世界を守ると言う想いが、自分達と共にあって欲しい。
そう願うのだ。
「……そうだよな」
分かっていた、とルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)は呟く。
彼らが同じ復讐者ならば、アルマリク拠点の避難民を見捨て、自分達だけが助かるという道を選ぶはずも無い。
彼らが同じ復讐者ならば、アルマリク拠点を守るために戦う仲間を――たとえ歴史侵略者であっても仲間と認めた存在を裏切るはずも無い。
彼らは――ルィツァーリと同じ、復讐者なのだから。
(「けど、それでも、俺は、せめて彼らだけでも――」)
もしかしたら、アルマリクに残る全ての民を助ける術があったかもしれない。
パラドクストレインに乗れるのは復讐者、それと器物と言った僅かな例外だ。その例外に避難民達が、アルタン・ウルク達が当て嵌まったかも知れない。此度現れたパラドクストレインが特別な物であったならば、過去に成し得なかったそれも実現したかもしれない。
だが、ルィツァーリの想いもまた、もはや過去の話であった。
(「いや、未練がましい真似は止めろ」)
首を振る。
それは、彼の抱く全てを打ち払うための儀式でもあった。
「今は彼等の言葉に報いる為、俺達に託して良かったと思って貰えるように――駆け抜ける!」
腹は決まったとルィツァーリは叫び、己が得物たる竜血の赤き長槍を生み出した。
「我は龍、我こそはドラゴン、幼子達の守護者、水天竜王リューロボロス! その想い、我が名に誓い、確かに受け取った!」
チャガタイ、トグリルと併走しながら、リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)はその言葉を口にした。
「世界も、人々も、ぬしらの願いと誇りも。我らが『守護』ろう! ぬしらの想いとともに!」
そして、リューロボロスは彼らの咆哮を聞く。
「アルタン・ウルクの民よ。聞け! このアルマリク砦は崩壊する! 我らは時間を稼ぐ。皆は――逃げ、生き延び、そして、己が人生を全うしろ!」
トグリルの呼び掛けに、避難民達は顔を上げ、そして立ち上がる。
遂にその時が来た。誰しもがそんな決意の表情をしていた。
「世界の境界の海に出たとしても、排斥力の綻びがあれば、他の世界に逃げられるかもしれん! その先にはもしかしたら――」
そこで、チャガタイは言葉を呑み込んだ。
よしんば、改竄世界史の境界を――排斥力の綻びである霧を乗り越えたとしても、その先にあるのは別の改竄世界史だ。『蹂躙』が支配する蹂躙戦記イスカンダル。『大戦乱』が繰り広げられる大戦乱群蟲三国志。或いは――『従属』の吸血ロマノフ王朝や他の改竄世界史に辿り着くかもしれない。
避難民たる彼らは即座にその世界に取り込まれ、歴史侵略者達の感情エネルギーを生み出すための糧となるかもしれない。否、その可能性の方が高いだろう。
だがそれでも――。
それでも、この地で死ぬよりは、あの化け物となった同胞達に食い殺されるよりもマシだと、チャガタイは首を振った。
「――すまない。お前達を最後まで『守護』ることは出来なかった!」
「チャガタイ様!」
避難民から声が上がる。
それは、復讐者達にカラコルムのことを語った学者肌の老人だった。
「分かりました。貴方に守られた儂等は――その心のまま、逃げます。逃げおおせます。ですから、チャガタイ様達も――」
チャガタイ達もまた、逃げて欲しい。
最後まで紡がれなかった想いに、代わりに、リューロボロスは声を張り上げた。
「ああ。ぬしらと言う希望も、我らは知っておる。憶えておる。だから――お主等も達者でな!」
「ディアボロス様!」
方々で別れを惜しむ声が聞こえ、そして、それもやがて終息していった。
そして、その時はやって来た。
ギシギシと砦を封鎖する扉が軋みを上げ、城壁すらも其処彼処から悲鳴を上げていた。
「同志よ」
最後に、とレイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)が声を上げた。
「時間まで越えたこのディヴィジョンでもそれが適応されるかは未知数ですが、私たちは死しても戦う意思を失わなければ最終人類史へと漂着します」
それを信じるのであれば、自分達は最期まで、トグリルやチャガタイ達と共に戦うことも可能。その筈だ。
その独白をどう受け止めたのか。それとも先までの祈りを全て肯定したのか。
「そうだな」
それはあなた達も同じ筈だと言う激励と捉えたのか。
レイラの言葉に、トグリルは是と頷いた。
(「そう、ですね」)
レイラは内心でのみ、独白する。
この融合世界戦アルタン・ウルクの過去世界で死しても、自分達は新宿島へと流れ着くだろう。それはおそらく、トグリル達とは異なる結果なのだろうとも思う。
(「それでも、戦い抜くことに意味は……無いのでしょうね」)
レイラ達が死ねば、何もかもを守り抜けなかった無念の中、トグリルやチャガタイ達を果てさせる結果になる。
それだけは避けなければならなかった。
だからこそ、彼女達は――復讐者達は逃げるのだ。逃げて逃げて、逃げ伸びて、最終人類史に帰投するのだ。
それが、彼らに取って何よりの救いだと、レイラは理解している。……理解してしまった。
「ならば、もしも我らアルタン・ウルクが流れ着いたら、歓待してくれ。友よ。味気ない古びた馬乳酒ではなく、上質な酒を酌み交わし、再度言葉を交わそう」
「……ええ。それもいいですね。覚悟していて下さい。ロマノフの……最終人類史のロシアのお酒は強いですよ?」
それが叶わない事を知りながら。
レイラはチャガタイの軽口に、是と頷いた。
――崩壊の音と共に、黒き触手と白き牙と、赤い目の色が砦へと流れ込んでくる。
それが、アルマリク拠点の終焉の始まりだった。
「現地ディアボロスの皆に、残留効果の使い方を指導してきたのか?」
砦の中を泥濘へと変貌させていく彼らに視線を送りながら、月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)はラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)に問いかけた。
「まあ、ネ」
しかし、【泥濘の地】は移動速度を減少させるのみ。最終人類史ならば動きを止めることも期待出来るが、それがこの融合世界戦アルタン・ウルクでは何処まで通じるか、分からない。
まして、敵もまたアルタン・ウルク。超常識の歴史侵略者ならば、その残留効果を遙かに凌駕する可能性も否定出来なかった。
そして――。
「いやー。そう言えば【冷気の支配者】って僕らが強化したんだったネ」
吸血ロマノフ王朝の冬将軍がアルタン・ウルク達を足止めした。故にアルタン・ウルク達は冷気に弱いに違いない。
その想像の志向性――もとい、信じる心が残留効果【冷気の支配者】を強化し、アルタン・ウルクの移動速度低下の効果をもたらしたことを思えば、残念ながら彼らが操る【冷気の支配者】はそれに準じないことは明白だった。
「――それでも、少しでも役に立てば、ネ」
無為だとは思いたくない。
黒い波が押し寄せる中、【防衛ライン】の10mをとても心細く思いながら、ラウムもまた、彼らと共に駆け出すのであった――。
響くは怒号。人馬アルタン・ウルク達は矢のような光線を紡ぎ、その援護にと、現地ディアボロス達の弓矢が触手のアルタン・ウルク達へと刻まれていく。
だが、それも触手の波に呑まれ、白き牙に蹂躙され、そして、赫き眼からの熱線によって焼き尽くされていく。
「この手が創るは滅びと再生司りし篝火なり。闇を祓い照らすは竜である」
我が炎は闇を照らす光である、と弔い代わりの炎を薙ぎ放ちながら、リューロボロスはその戦場を駆け巡る。
一体でも、一つでもいい。
この身に触手アルタン・ウルク達のパラドクスが刻まれれば、その分、彼らの被害が減じる。その分、彼らを護る事ができる。
彼女はそれを信じ、戦場を駆け巡る。
「リューロボロス殿!」
「言うな! 必ず逃げる。逃げ切ってみせる! 故に今は……我らにも戦わせろ!」
チャガタイの叱責を振り払い、彼女は一人でも多くのアルタン・ウルクを、ディアボロスを守るために疾走する。そして、その道を選んだのはリューロボロスのみではなかった。
エトヴァや雪人、ラウムにサヨコ、そしてレイラと言った復讐者達は残留効果を生み出しながら、リューロボロス同様に力強く頷き、気持ちは同じだと示す。
「チャガタイ! トグリル!!」
赤き槍を生み出しては地面に刺し、泥濘と共に赤い洪水を生み出しながら、ルィツァーリは彼らへと叫んだ。
「騎士として誓う……此の世界は絶対に護って見せると!」
それは、先程の「世界を守護って欲しい」との願いに対する返答だった。
そして。
「けどな無茶だと判ってて言うぜ! 絶対死ぬな! 死んでも、生き返ってでも、俺達に会いに来い!」
無茶な台詞でも、それを言わずにはいられなかった。
目から零れる熱い物をそのままに、ルィツァーリはその無茶を二人へと――否、この場にいるアルタン・ウルクやディアボロス達へと叩き付けた。
「俺はあんた達の思い出が! 平和だった頃の此の地が忘れ去られちまうのは嫌だから! それまで、俺達が世界を護り抜く! だから何時でも良い!! どんな形でも良い!! 会いに来て、俺に教えてくれ! この世界の素晴らしさを! お前達が守ろうとした世界そのものを!!」
その叫びにトグリルとチャガタイはしばし顔を見合わせ。
そして、チャガタイは光の矢を紡ぎながら、豪快に笑った。
「約束は『守』ろう。友よ。ルィツァーリ殿よ」
「俺は人間だから、こいつらみたいに何処まで出来るか判らないけど……まあ、その時は宜しくな」
刹那、熱線がトグリルを焼き、その頭巾を弾き飛ばす。
熱傷に皮膚が爛れ、髪は焦げている。それを引き剥がしたトグリルは、それでもと微笑じみた表情を復讐者達へと向けた。
「行くぞ、チャガタイ。友のために道を拓こう!」
「ああ、トグリル。我らの矜持を此処に示そう!」
トグリルを背に乗せたまま、チャガタイは砦を、壁を、空を駆け抜ける。
その姿は先の戦い同様、人馬一体の動きで、しかし、その煌めきも長く続かないことを復讐者達は悟っていた。
「――ッ!」
そして、それは、突然だった。否、必然でもあった。
本能のまま動くように見える触手アルタン・ウルク達だが、しかし、愚かしい突撃を繰り返すばかりではない。
蟲の様な本能で、おのれ等を阻害する存在の中心を感知したのか。チャガタイを無数の黒い触手が拘束し、空へと締め上げていった。
「「チャガタイ!」」
エトヴァと雪人、ラウムは叫びと共に【冷気の支配者】を振りかざし、触手達を凍て付かせる。
動きを鈍らせるディアボロス達の残留効果は、確かにチャガタイを束縛する黒き触手を捉え、その動きを鈍化させた。
だがそれでも、その決定打を止める事は出来なかった。
血肉が弾ける音が響いた。
触手アルタン・ウルクの牙がチャガタイの左腕を捉えそのまま食い千切ったのだ。
夥しいまでの鮮血が辺りを濡ら――さなかった。其処には一滴たりとも、チャガタイの血が零れていなかったのだ。
砲撃でチャガタイに取り付いた触手アルタン・ウルクをはき祓ったサヨコは、その光景を見た。異様なまでの光景に目を見開き、そして、驚愕のまま彼の名を呼んだ。
「――チャガタイ」
その呟きは、トグリルと同じタイミングで響き渡った。
「……どうやらここまでのようだな」
トグリルを背に乗せたままのチャガタイが自嘲気味に頷く。
その左腕は……確かに無かった。否、あった。
黒き触手が、腕の代わりに蠢いていた。其処から零れ落ちる白い牙は、赫の目は、それがアルタン・ウルクの物であることを明白に伝えていた。
「チャガタイ――」
誰かの叫びが聞こえる。
だが、チャガタイはそれらを振り払い、ただ、首を振る。
もはやここまで融合が進めば、後は時間の問題。そう言い切るように彼はトグリルを背から降ろすと、空を駆けながら咆哮した。
「我は! 我は誇り高きアルタン・ウルク! ジェネラル級アルタン・ウルク『チャガタイ』!! 我が恐れるのはただ一つ、怖じ気づき『守護』を忘れることのみ! ――ならば、友に果てよう。同士達! アルタン・ウルクの勇士達よ!!」
光の矢が、赤い熱線が、そしてチャガタイから伸びる黒い触手が、触手アルタン・ウルク達を押し止め、その道を強引に切り開いていく。
「――駆けよ、遠い世界から来た友よ! あとは……託した!」
任せたでもなく、逃げよでもなく、託したと。
彼は最後の言葉として、それを紡いでいた。
「行きましょう! 振り向かず! 彼らの矜持が私達の守護にあるなら、私達はその彼らの矜持を守るために!!」
レイラは一言。その一言だけを口にし、チャガタイの穿った道を駆け抜ける。
「キミ達の姿を忘れない。キミ達のことを忘れない。だから――力を貸してくれ」
残留効果【託されし願い】を使用し、雪人もまた駆けていく。彼らの想いを最終人類史に、仲間達に伝える。帰還したその先で、託された約束を果たす。その為に。
「ああ、ああ!」
駆け抜けながらエトヴァは叫んだ。
「必ずこの『灯』をともす。俺達は新宿島という灯台に火を燃やし続けよう。あなた達の未来を取り戻す事を、約束しよう!!」
アルマリク。その名は『リンゴの城』『リンゴのなる町』を意味するという。
そしてリンゴこそ――取り分け、黄金のリンゴこそ、人々の希望の象徴だ。
ならばそのリンゴを手に入れ、灯し、持ち帰るのが復讐者達の此度の使命だったのならば――それは、果たされる。彼らがそれを果たすのだ。
「絶対、この地は奪還し、世界も守護り抜いてやる! 彼らに誓って!」
「そうだ。そうだとも。何処かの誰かの明日を、希望を『守護』れたのだと、煌めく星を灯すのだ!!」
ルィツァーリとリューロボロスもまた、誓いと共に駆け抜けていった――。
そして。
おそらく最後だろう。
最後の弓を――パラドクスを触手アルタン・ウルクへ放ち、反撃を受けたトグリルは、無様に地面に転がると、ぜえぜえと荒い息を吐いた。
(「……終わったな」)
この世界の復讐者は強くない。それが未来から来た復讐者の評価だった。悔しくも当たっている。それを理解したからこそ、トグリルは最後の最後まで戦い――そして、己の最後を冷静に見つめていた。
その時だった。
声が響いた。
彼らの――遙か彼方から響く仲間の声を聞き、トグリルは「くはぁ」と笑みを零した。
「戦士よ!」
声は、確か、サヨコと名乗った少女の物だった。
彼女の叫びは彼の背を押し、力を失ったはずの彼の身体を、融合世界戦アルタン・ウルクの大地に立ち上がらせる。
おそらく、今もなお触手アルタン・ウルク達の中で奮闘するチャガタイの背を押しているのだろうか。
(「ああ、仲間の声って凄えな」)
此処にいない相棒に向かい、彼は小さく呟いた。
サヨコの声は続く。
「新宿島は遥か東方……大戦乱群蟲三国志の版図からさらに東の海に在る! そこは天を衝くが如き威容の高楼が立ち並ぶ地だ!」
それは願いだった。
おそらく叶わぬと感じながら、それでも、想いを強くすることで、願いそのものを昇華しようとしているのか。
その気持ちはトグリルに痛いほど判った。
「赦すべからざる敵への復讐を果たし、人類を守護する意志を、最後の一瞬まで保ち続けたなら……かの島に打ち寄せる波が、あなた達を私達の大地に導くだろう」
その願いを叶えたいと思う。その願いに応えたいと思う。
だがそれでも――トグリルは理解した。理解してしまった。
サヨコの願いは叶わない。
自分が死ぬべき場所は、この場所なのだと、彼は知ってしまった。
「――貴官らの健闘を祈る!」
言葉に対し、ようやく紡げた独白は弱々しく、それでも確かな物だった。
「だってさ。相棒。どうする?」
目の前に蠢く巨大な触手にそう言う。
彼の対峙する異形は、周囲の触手アルタン・ウルク達同様に巨大で禍々しく異形で冒涜的で……そして、見覚えのある鎧の欠片が張り付いていた。
戦いの最中で剥ぎ取られたそれがたまたまくっついたのか。それとも彼を喰らった個体が、鎧そのものは融合できず、ただ、触手に絡まるままにしていたのか。
もはや、それはトグリルには分からなかった。
「向こうに灯りが――信号弾が見えただろう? あれが俺達の『守護』った結果だ。だから……俺達の勝ちだ。喜んでくれ。チャガタイ」
自身に降り注ぐ黒い触手を浴び、無数の牙で引き千切られ、赫の瞳に睨まれながら、最後の最後まで、トグリルは笑みを絶やすことは無かった。
誰かが火を放ったのか。
アルマリク砦は炎を上げ、ゆっくりと崩れ去っていく。
それを遠目で見つめながら、ラウムは仲間達へと声を掛ける。
「帰ろう、カ」
これ以上留まれば、違う事を口にしかねない。恨み言か呪詛か。それとも、たらればか。それは分からないけれどモ、と彼は言ってパラドクストレインへと歩を向けた。
そんな彼にリューロボロスとルィツァーリが続き、その歩みに次々と復讐者達が続いていった。
「……矛盾しているのは分かっている。でもそれでも、願わずにいられない」
道すがら、エトヴァは全てを吐き出すよう、独白した。
「この戦いの果て、歴史を超えてでも、また、彼らに会いたい」
もしかしたらそんな未来を紡ぐ事が出来るかもしれない。
全てが定まっていない事こそが未来であるならば、そんな未来があっても良いはずだ。
そう願わずにいられなかった。
「私達は数多のディヴィジョンを滅ぼしてきました。ですが、知らぬところでもこうして半ばにて滅んだディヴィジョンがある」
レイラは呟き、そして、おのれの心にその文言を刻む。
(「私たちの戦いは、滅ぼすためではなく、守るために。貴方たちの意志も受け継ぎ、私たちは戦い続けましょう。私たちの友、アルタン・ウルク」)
「……クロノヴェーダとディアボロス、か」
復讐者と歴史侵略者が友として戦う姿をこの目に焼き付けた、と雪人は静かに呟いた。
彼の脳裏には、彼らが庇護する歴史侵略者達の姿があった。
(「もしも、俺達の未来が、復讐とは違う可能性に繋がっているならば……」)
埋めるべき溝はまだまだ多く、だが、それは無理なことでは無い筈だと、彼は思う。
それを、トグリルとチャガタイ達が証明してくれたのだから。
「アルタン・ウルク。彼らの意志を、決して無駄にはしない」
此度は一時的な別れであっても、永遠の別離ではない。
そう信じるように、否、信じたいと願うように、サヨコは立ち止まり、己が視線を燃えさかるアルマリク砦へと向ける。
そこにはいた。友が、仲間が、そして力強く生きる者達が。
浮かび上がる幻影を振り払うよう、頭を振った彼女は、赤く染まる光景に背を向け、歩き始めていった――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】LV3が発生!
【泥濘の地】がLV5になった!
【照明】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【アクティベイト】がLV3(最大)になった!
【ダブル】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!