新宿疑似ディヴィジョンの探索
攻略旅団の提案によって、大天使ヘルヴィムがいる疑似ディヴィジョン(と思われる空間)に向かう『特別なパラドクストレイン』が出現していました。
ですが出現したパラドクストレインは、まるで『出発地点と目的地』が同一であるかのように動き出す事がありませんでした。
天正大戦国奪還戦の為に新宿島が天正大戦国へ転移するのを受け、この『特別なパラドクストレイン』が動き出そうとしています。
特別なパラドクストレインに乗り込み、ヘルヴィムが潜伏している可能性のある空間へ向かって下さい。
現地での調査、そして可能であれば大天使ヘルヴィムからの情報収集を行えると良いでしょう。
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翼持つ者達の王に告げる(作者 真壁真人)
#最終人類史(新宿島)
#新宿疑似ディヴィジョンの探索
#TOKYOエゼキエル戦争
#大天使ヘルヴィム
#新宿区
#天正大戦国奪還戦
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●大天使ヘルヴィムの元へ
天正大戦国奪還戦の当日、日本時間の午前9時。
新宿島が天正大戦国へ転移するのと同時に、戦場へ向かうパラドクストレインが新宿駅のホームへ次々と現れ、ディアボロス達を乗せて戦場へと向かい始める。
そこから少し離れた場所では、ホーム1つを占有していた白い列車が動き出そうとしていた。
通常の山手線と異なる、白亜の神殿のような雰囲気を持つパラドクストレインだ。
この列車は11月、かつてのTOKYOエゼキエル戦争の断片の王『大天使ヘルヴィム』がいる空間(疑似ディヴィジョン)を求めるディアボロスの意志により出現した。
だが、そのまま動き出すことなく、傍迷惑にも長い間ホームを占有していたのである。
動き出さなかった原因は、『目的地の座標が出発地である新宿駅と完全に一致している』こと。
そして、新宿島が他ディヴィジョンへ転移し、座標の変わる『歴史の奪還戦』において、列車はついに動き出せるようになった。
「ヘルヴィムの隠れ場所は、新宿駅と時間、空間を同一にする疑似ディヴィジョンだった」
「まさに新宿区の影だな。そこから虎視眈々と最終人類史を狙って雌伏していたのか……?」
「でも、私達が居場所を突き止めた以上、何を考えてようと好きにはさせない!」
ディアボロス達を乗せてパラドクストレインは動き出し、異なる時空へと旅立つのだった。
●『2013年8月15日新宿区』
パラドクストレインが一瞬の後に停車する。列車の窓の外に広がるのは、新宿のJRホームの光景だ。
だが、そこには誰一人おらず、静まり返っていた。
駅の電光掲示板や掲示物には、『2013年8月15日』の文字が見えた。疑似ディヴィジョンへ辿り着いたのだと、ディアボロス達は理解する。
『2013年8月15日』。
それはTOKYOエゼキエル戦争で『新宿決戦』が発生したとされる日だ。
TOKYOエゼキエル戦争のディアボロスはクロノス級によって抹消されず、放置されていた。
劣勢にあった現地のディアボロス達は、『2013年8月15日』のこの日、全力を投じ新宿区へ乗り込んだのだ。
とはいえ、それは明らかに無謀で、敗北が約束された蜂起のはずだった。
ヘルヴィムに忠実な区の支配者の中にさえ、参戦しない者も何人もいた程だ。
だが、優勢だった大天使ヘルヴィムは何故かディアボロスを滅ぼさず、消えた。
この決戦の結果、TOKYOエゼキエル戦争の新宿区は同面積の塩水湖となり、残る『二十二区』は王の座を巡る『区の支配者』達の果てしない戦争の舞台となったのだ。
『新宿決戦』の最終局面でヘルヴィムでどのような判断をして自ら奇妙な結果を招いたのか、新宿島へ漂着したTOKYOエゼキエル戦争出身者も、何故か誰一人として記憶していない。
だが最終人類史に『新宿島』が残された事実と、新宿決戦の結末は確実に関連していると思われた。
パラドクストレインのドアが開き、ディアボロス達は警戒しながら速やかに列車を降りる。
「人っ子一人いないようだね」
「いや、人どころか生き物の気配が全く無い……。風の音すらしないな」
パラドクストレインから降りたディアボロスは、周囲を警戒しつつ探索を開始した。
新宿駅の構内に敵の気配が感じられない事で、ディアボロスの一人が【飛翔】して周囲を確認する。
仮に攻撃を受けたなら、敵の存在が確認できるのだから、問題は無い。
ディアボロスは上空から【パラドクス通信】で仲間達に報告する。
『新宿区と他区の境界に光の壁がある。この疑似ディヴィジョンは新宿島と同面積しか無いんだろう』
先の調査でもグランドターミナルと重なって疑似ディヴィジョンが存在しているという事前の推測があったが、この疑似ディヴィジョンの範囲が新宿区を再現しているらしかった。
『空から見た限り、動く物は何も無かった。道路には車があるが動いてはいない。
最終人類史に奪還済みで未帰還の地域と、同じ状況と考えるべきだろうな』
上空から周囲を見たディアボロスが、続けてそう報告する。
「つまり、この疑似ディヴィジョンの時間は止まっているという事だね」
「何か、ヘルヴィムがいそうな場所とかあった?」
『……とりあえずここまで飛んで来てくれ。一目瞭然だ』
指示に従い【飛翔】したディアボロス達は、新宿駅の西側に、輝かんばかりの白亜の聖堂を見る。
そこにはディアボロス達も慣れ親しんだ東京都庁に代わり、スペインのサグラダ・ファミリアをさらに巨大にしたかのような、荘厳なカテドラル(大聖堂)が鎮座しているのだった。
●新宿カテドラルの王
あからさまに大天使の拠点らしきカテドラル。
まずはここを重点調査しなければならないと判断したディアボロスは、手分けして内部の調査を行っていた。
『みんな、上層の……何階だろここ。
とにかく展望室の位置に集まって。ヘルヴィムを発見した……と思う』
そのうちの1チームからの通信が届く。
カテドラル化の影響で階層数が都庁と異なっていたが、都庁45F展望室に当たる位置に存在したホールに集まったディアボロス達は、そこに翼持つ人物を目撃する。
多数の翼と、そこについた多数の『目』らしき器官。
それらは、この人物が、人ならざる存在である事を示していた。
「間違いなく、ジェネラル級以上の高位の大天使だろう」
「ということは、あれがTOKYOエゼキエル戦争の『断片の王』、大天使ヘルヴィムか」
「だけど、あの『槍』は一体?」
ヘルヴィムの閉ざされた瞼からは血液が涙のように滲み、しかしその血涙は床に落ちることはない。
この疑似ディヴィジョン内にある他の物体と同様、ヘルヴィムの時間は止まっていた。
だが奇妙な事に、彼の肉体は何本もの黒い光で出来た槍に貫かれている。
まるで咎人が磔にされるかのように、大天使ヘルヴィムはこの場所に縫い留められていたのだ。
「それに、あのヘルヴィム……」
「断片の王にしては……弱すぎない?」
TOKYOエゼキエル戦争滅亡時の断片の王たる大天使ミカエルよりも、ずっと弱い。
《戴冠の戦》が開戦した今から、断片の王として勝利を目指すには、明らかに力不足だ。
その事実が、ヘルヴィムが最終勝利者になろうとしていると考えていたディアボロス達を困惑させる。
だが、ここまで来た以上、真実を知らねばならない。
意を決し、ディアボロス達は大天使ヘルヴィムとの接触に臨む。
リプレイ
ラキア・ムーン
さて、まずは現場保存だな
アレの現状を全方位から撮影して、現状を把握
後は接触の為に必要な情報を集めよう
先ずは直には触りたくないし、様子見も兼ねて持って来た棒で羽と体
それから槍と鎖を突こう
時間が止まっている以上、どうともならんだろうな
無いとは思うが、近付いて発動する罠があっては困る
持って来たボールを数個ヘルヴィムにぶつけて様子を見よう
大丈夫だとは思うが
大丈夫そうなら接近して、心臓から一番遠い部分にある槍を手に取り抜けないか試すか
触った時に違和感等あればすぐに離せるように気を付けつつ、問題無ければぐりぐりと弄り抜けそうなら抜いてみよう
空いてた穴が閉じないように、抜くと同時に先程使用した棒を代わりに突っ込み穴の保持に使用
抜けた部分に変化は無いか、またこの槍について何か情報は無いかを確認
ついでに抜いた部分の周囲の時間が動き出す等、変化が無いかも確認しておこう
下手に現状を変えて藪蛇にはしたくは無いが……まあ、何かを得るにはある程度リスクが必要か
しかし、こうして見世物にさせられているのも気の毒だな
音羽・華楠
……いえ、真面目な状況なのは重々承知なんですけどね?
…………これだけは言わせて下さい――
――ヘルヴィムこいつ何で全裸なんですかー!?
せめてっ、下半身には何か……!
翼は服の代わりにはならないんですよ!!
……色々とあれですが、ヘルヴィムの姿をスマートフォン型式神霊柩丸で撮影。
その映像がエゼキエルの残党関連で役に立つかもしれませんし。
……とにかく、如何にしてヘルヴィムの時間を動かすか、ですよね?
奴に突き刺さってる黒い光の槍が怪しいですが――
……これ、私たちが触れても大丈夫なんでしょうか?
曲がりなりにも元・断片の王。
その座を退いてもジェネラル級相当の力はあったはずのヘルヴィムをここまで弱体化させてるのが、或いはこの槍かもしれないわけです。
……私たちだと、下手をすると触れただけで本当に死亡するだけの威力があるかも……?
ヘルヴィム、それにこの疑似ディヴィジョンの状況は、帰還前の奪還地域にも似てますよね?
なら、【勝利の凱歌】で時間を動かせる可能性はないでしょうか?
私はそれに期待して歌ってみます。
ラウム・マルファス
エゼキエル出身として思うところが無いわけじゃないケド、今は一旦置いておこウ
ボクは決戦前に新宿島に流れちゃったし、得られる情報は、とても大切だからネ
まずはゆっくり近づいて状態を観察
時は止まっているらしいけど、槍との関係性が気になるネ
時を止めるのが槍の効果なのか、それともココへ来て何者かに襲撃され、『自身と周囲の時が止まっている』ディヴィジョンを作って延命したのカ
ヘルヴィム以外の仕業なら、罠とか盗聴装置があるかもしれないからネ
鎖と槍は同じ存在の力なのか別物なのかもできれば調べタイ
もし死にかけてるなら延命を試みるヨ
情報貰うまで死なせるわけにはいかないからネ
心臓エネルギーでなんとかなりそうなら注いでみよウ
信仰が必要なら……嫌だけど何人か手伝ってもらって形式だけでも祈ってみようカ
時間を動かすのは、鍵が必要なら無鍵空間を使ウ
信仰や祈りが必要なら、頑張って対応しよウ
槍と鎖の権能なら、反応を見ながら少しずつ抜くヨ
ディヴィジョン自体の性質なら、ボク達がいることで排斥力が低下するから、そのうち目覚めるだろウ
●黒き『槍』と『鎖』の謎
大天使ヘルヴィムを含めた疑似ディヴィジョン内の時間は停止している。
この現象は、最終人類史に奪還済みで未帰還の地域と同様の状況と考えられた。そして、この疑似ディヴィジョンは最終人類史の影のような存在だ。
「人々を『帰還』させる時と同じように【勝利の凱歌】を使えば、大天使ヘルヴィムの時間も動き出すでしょうか?」
そう考えるディアボロスは、音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)をはじめとして複数いた。
【勝利の凱歌】で時間を動かす範囲はディアボロスの任意である程度限定できる。
今月はロシアでスターシティの施設だけを動かしている他、全面『帰還』がままならない時期に、各国から有用なごく一部の人員だけを『帰還』させていた時期もあった。疑似ディヴィジョンのその他のエリアに影響を及ぼさずに、ヘルヴィムの時間だけを動かすことは可能だろう。
華楠とラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)は接触の前に、まず状況を保存しようと撮影を行っていた。
「断片の王だった者が、こうして見世物のようになっているというのも、気の毒といえるかもな」
ヘルヴィムの今の姿は、彼が冒した何かの『リスク』の結果かもしれないと、ラキアは考える。そんな中、華楠は耐えきれなくなったように、それまで誰も触れなかったことを口にした。
「――ヘルヴィム――何で全裸なんですかっ!?」
華楠は照れと怒りの入り混じったような表情を作りつつ、スマートフォン型式神霊柩丸のカメラをヘルヴィムへ向ける。ラキアは室内を撮影しながら、淡々と応じた。
「宗教画に近い姿だろう。それに、大天使やアークデーモンには……いや、クロノヴェーダには露出度が高いの、色々いないか……?」
「そうかもしれませんがっ……! でもせめてっ、下半身には何か……! 翼は服の代わりにはならないんですよ!!」
特にアークデーモンは鱗で覆われていたり、紫肌だったりもするので、露出度がよく分からない個体も色々といる。そうした敵については、戦闘時に気にはしないが、人間に近い姿だと意識してしまう点かもしれない。
賑やかに撮影を終え、いざ接触という段になって、華楠はぽつりと呟いた。
「……これ、私たちが触れても大丈夫なんでしょうか?」
黒い『槍』や『鎖』の存在は、どうしても考慮しなければならない部分だった。
「曲がりなりにも元・断片の王。その座を退いてもジェネラル級相当の力はあったはず……」
だが、今のヘルヴィムはパラドクスの使用もままならないほどに弱体化している。
その原因であろう『槍』や『鎖』に、華楠は強い危険性を感じ取っていた。
「下手をすれば、触れただけで死ぬんじゃ……?」
「では、まずこれを使ってみるか」
そう言って、ラキアは準備よく持参していた長い木の棒を、指先で軽く持った。
ラキアの手にした棒の先端が、ヘルヴィムの心臓から一番遠い部分にある『槍』に僅かに触れる。
その瞬間だった。
『槍』に触れた棒の先端が、泡のように弾けて消えた。
変化は先端に留まらない。泡化は一瞬のうちに、ラキアが棒を掴んだ部分へ及ぶ。
「ラキアさん!」
「……ッ!」
咄嗟にラキアが棒を捨てた直後、棒の全体が泡となって消える。だが泡への変化は指先に及んだ。舌打ち一つ、ラキアはパラドクスを発動させる。
「炎弾(フレイムバレット)!!」
炎がラキアの掌中で炸裂した。自らのパラドクスで指の第一関節から先を吹き飛ばしたのだ。
華楠のスマートフォンのカメラは、吹き飛ばされた指の先端が床に落ちるより早く、棒と同様、泡となって消えるのを捉えていた。
「変化、止まってますか!?」
「ああ……幸いな。少し休めば治るだろう。だが、厄介な状態だぞ」
ラキアが平静な表情を作って言う。
一瞬の出来事を見ていたディアボロス達も理解した。
「時間を動かせば、ヘルヴィムの体が一気に泡にされて消えるということですか……?」
「おそらくだが……。あの『槍』や『鎖』は見え方が違うだけで、性質は同一だろう。
いずれも、尋常でなく強い、具現化された『排斥力』だ。
触れればディヴィジョンから追い出されるばかりか、存在そのものが無に帰すほどの……」
ラキアは自身の体感した感覚を説明する。
華楠は触れたら即死する可能性を警戒していたが、不用意に触って全身を泡にされていたら、新宿島に漂着できない『完全な死』を迎える可能性すらあっただろう。
ラキアは遅れてやって来た痛みと共に、そう感じていた。
「その排斥される瞬間が、泡となって消えるように見えている……ということカナ」
ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は、改めて状況を捉え直す。TOKYOエゼキエル戦争の出身者として断片の王に思うところはあるにせよ、今は必要なことを為さねばならない。
「大天使ヘルヴィムは、『槍』と『鎖』のせいで死にかけていル。
どうやら時間が止まっているのは、ヘルヴィムにとって幸いのようダ。
彼は『自身と周囲の時が止まった疑似ディヴィジョン』を作って延命したのカナ?」
『槍』に貫かれ、『鎖』に縛られ、なおヘルヴィムが存在を保っているのは、むしろ奇跡的と言って良いかもしれない。
「いずれにせヨ、彼をさらに延命しないと、情報をあまり引き出せそうにないネ」
時間を動かしたところで、一瞬でヘルヴィムが『排斥』され消滅してしまっては意味がない。そこで、ラウムはクロノ・オブジェクトの使用を提案する。
「『巨大神像の心臓』を持って来ようカ」
大天使は『信仰』の感情をエネルギーとする種族だ。
『円卓の間』に集まる世界中の『信仰』のエネルギーをクロノ・オブジェクト『巨大神像の心臓』で注げば、ヘルヴィムから情報を引き出すまでの時間を稼げるかもしれない。
「『槍』をどうにかする手段が、今後見つかるかどうかも分からなイ。
ここまで、散々手間をかけさせてくれたんダ。情報を貰うまで、死なせるわけにはいかないヨ」
何としても、ヘルヴィムから情報を引き出してみせる。
それは、この場にいるディアボロス達の総意に違いなかった。
●翼持つ者達の王は告げる
疑似ディヴィジョン内の時間は止まっており、最終人類史に戻って『巨大神像の心臓』を準備して来るのにも支障は無かった。エネルギー供給準備を整えると、ディアボロス達は【勝利の凱歌】を歌う。
ヘルヴィムの行いに感謝する者。歌声に『信仰』の感情を乗せようとする者。逆に渋々歌う者。
様々な感情の籠もった歌声が、ホールを満たしていく。
「いいネ、反応しタ……!」
ラウムが快哉を上げる。『巨大神像の心臓』に満たされていたエネルギーが減っていく。
それは『信仰』をエネルギーとする存在……大天使ヘルヴィムの時間が、【勝利の凱歌】を受け、再び動き出そうとしている証拠だった。
前触れのようにヘルヴィムの瞼から流れる血の雫が滴り、落下した床を赤く染める。
反応するように『槍』と『鎖』がヘルヴィムを消し去らんとするも、『信仰』のエネルギーはそれを阻止した。
急激な消滅を免れたヘルヴィムが、かすかに身じろぎする。
いまだ自由な身動きは出来ないまま、彼は安堵の混じった声音で、周囲で【勝利の凱歌】を歌っていたディアボロス達に言葉をかける。
「嗚呼、この力は……あなた達は、新宿区のディアボロスですね。
あなた達が、これ程までに強くなり、私に『信仰』の力をもたらすとは……」
ヘルヴィムは感慨深げに深く息をついた。そして想像を絶する苦痛に耐え、ディアボロス達がここに至るまでの道程を労るよう、穏やかな笑みすら浮かべて言葉を続ける。
「どうやら、我が子達は正しい選択を為せたようです。
あなた達、ディアボロスが生き延びた事も、私は祝福しましょう。
あなた達が、ここに来たという事は、《戴冠の戦》が始まろうとしているタイミングでしょうか。
さて、あなた達ディアボロスの主は、誰が務めているのですか?
アルケーか、セノイか、あるいはラミエルか。他の者でも構いません。
大至急、この場に呼び寄せてください。
これからの事を話し合わねばなりません」
(((──いや、何言ってんだコイツ)))
ディアボロス達は怪訝な表情を浮かべないよう、表情筋に力を入れつつ確信する。
(「大天使ヘルヴィムの意図と、最終人類史の迎えている現状は、大きく食い違っている……」)
ヘルヴィムは『大天使がディアボロスを率いている』のが、当然の前提であるかのように言った。
彼の意図したところでは、彼が姿を消した後、そうなるはずであったのだ。
だが、ただ単にヘルヴィムの言を否定していても埓が空かない。
『信仰』エネルギーには限りがある。
ヘルヴィムが消滅する前に、知る情報を引き出さねばならないだろう。
そのためには、どのように話を進めれば良いか……。
神妙な表情を作りつつ、ディアボロス達は考えを巡らせるのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【未来予測】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV2が発生!