キャッスル・アイランドとチョコレート工場

 攻略旅団により、ボストンのプレジャー湾に面する、キャッスル・アイランドの情報を得る事が出来ました。
 キャッスル・アイランドには軍の施設があると想定されていましたが、実際には軍施設では無く、極秘の工場施設が建設されていたようです。
 この工場では、黄金海賊船エルドラードから密輸された『迷宮産のカカオ』を利用した、特殊なチョコレートが量産されています。
 この作戦の指揮を執っているのが、ジェネラル級大天使である愛とチョコレートの天使『バレンタイン』です。彼女はこの工場で量産したチョコレートを利用して、『2月14日』に、最終人類史の一般人を標的とした大作戦を行おうとしています。
 最終人類史を狙った敵の大規模作戦を看過する事は出来ません。
 急ぎ、キャッスル・アイランドに向かい、バレンタインの配下達を撃破、チョコレート工場の破壊を行ないましょう。

愛とチョコレートの天使『バレンタイン』

ジュングラ・ディ・チョッコラート(作者 海鶴
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#空想科学コーサノストラ  #キャッスル・アイランドとチョコレート工場  #キャッスル・アイランド  #チョコレートの天使『バレンタイン』 


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●バレンタイン前日譚
 チョコレートは愛の魔法。
 なら、準備は入念に。レシピは万端に。素材は抜かりなく。
 ジェネラル級大天使、愛とチョコレートの天使『バレンタイン』は、ベルトコンベアに乗ってきたチョコレートをひとつまみして口に運ぶ。
「う~ん♪ バレンタインまで、あと二ヶ月ね♪ 工場をフル稼働させないとディアボロスのディヴィジョン全土に配りきれないわ!」
 彼女の目算では、まだ足りない。
 工場の規模が足りていないのだ。
 もっと言えば、立地的な問題もある。
 けれど、素材は十二分に確保されている。
「儀式にはラヴクラフト様、仕入れにはマッコイ様。お二人には感謝しなければならないわよね♪ マッコイ様って恋人いるのかなぁ、私が恋人に立候補しちゃおうかな♪」
 彼女の瞳は完全に恋する乙女のそれであった。
 だが、彼女の計画はチョコレートほどは甘くない。
「バレンタインデーには、マッコイ様に告白してみようかしらん」
 なんて、と彼女は一人、工場で身悶えしていた。

●パラドクストレイン
 レーネマクダ・デルトダウ(テト・カフ・g08563)は集まってきたディアボロスたちを前に静かに一礼する。
「お集まり頂きありがとうございます。攻略旅団の提案により行われていたボストン近郊の『キャッスル・アイランド』の調査ですが……当初は軍施設ではないかと言われていましたが、『チョコレート工場』であることが判明いたしました」
 つまり? とディアボロスたちは訝しんだ。
 チョコレート工場。
 それだけならば平和的な響きであろう。
 あの甘やかな味わいが口に広がった者だっていたかもしれない。
 だが、クロノヴェーダが企むチョコレート工場である。ろくなものではないはずだ。

「はい、来年のバレンタインデーに向けてジェネラル級大天使、愛とチョコレートの天使『バレンタイン』が、この直営工場にて大量のチョコレートを生産しているのです。このチョコレートを利用して、最終人類史全土に大してバレンタインの儀式を行うのが愛とチョコレートの天使『バレンタイン』の目論見のようです」
 当然、そんなことを許すわけには行かない。
 ディアボロスたちは、早速パラドクストレインへと踏み出そうとしていた。

 そんなディアボロスたちをレーネマクダは止めた。
「お気持ちはわかりますが……まずは、工場について」
 説明させてほしい、と彼女は告げる。
 そう、真正面から突っ込むことも考えられるが、やはりこの工場がいかなるものかを説明せねばならないだろう。
「この工場は複数の建物に別れており、それぞれ内部は独自の作りになっているようです。内部は魔法的な力が働いており、ファンタジックな方法でチョコレートが製造されております。数多くの一般労働者が強制的に働かされているのです」
 当然、クロノヴェーダは、この工場施設を利用して戦闘を仕掛けてくる。
 これに対応した作戦が必要になるだろう。
 しかも、だ。
「一般労働者は、『交代要員が来ない状態で作業を止めると心臓が止まって死ぬ』強制力が掛けられているようなのです。つまりは、救出するにしても、交代要員にみなさんがなる必要がある、ということです」

 悪辣なやり方である。
 そして、チョコレート工場内部は物理法則を無視した、魔法的な製造工程となっている。留意すべき点が多いのだ。
「この工場で使用されているカカオは、黄金海賊船エルドラードの迷宮産カカオのようです。もしも、この工場に気がつくことができていなければ、来年のバレンタインは阿鼻叫喚の地獄絵図となっていたことでしょう」
 それは許しがたいことである。
 乙女にとっても、チョコレートを楽しみにしている男子諸君についても、だ。
「このような企てを主導していた、愛とチョコレートの天使『バレンタイン』は決して許すわけにはいきません」
 レーネマクダは明らかにチョコレートに細工されることの方に怒りを覚えているようであったが、ディアボロスたちにおいても、それは変わらぬことであったかもしれない。
 決戦に持ち込むにせよ、タイムリミットは来年のバレンタインデーまで。
 急がねばならない、とディアボロスたちはパラドクストレインへと踏み出すのだった。

●狂気の魔法
「ちょっこれいと、ちょっこれいと、ちょこれいとのお歌を歌いましょう♪」
 それは不可思議な光景であった。
 チョコレート工場。
 そこには一般労働者たちが歌いながら、チョコレートを製造していた。
 だが、その作業はどこか一般的なチョコレート製造とは異なる様相を呈していた。
 まるでハムスターの回し車のような円盤の上に一般労働者が歌を歌いながら走らされている。その回転が原料であるカカオをすりつぶしているのだ。
 さらにすり潰されたカカオを混ぜるために、巨大なマドラーを数人がかりでぐるぐると回し続けているし、どろどろになったチョコレートが運河のように流れ行く中をクッキーのボートで進まねばならなかった。
 さらにクッキーのボードとは終着点らしき場所に到達すれば、手にしたハンマーで細かく砕かねばならなかった。
 いずれも奇妙な歌を歌い続けねばならないようだった。

「ちょっこれいと♪」
 手にしたピーナッツをハンマーではなく拳で叩き潰さねばならなかったし、型に注がれたチョコレートをリズムに乗って押し出したりせねばならなかった。
 一つ一つの所作が面倒ことこの上ない。
 けれど、それらは全て儀式なのだ。
 それなくば、チョコレートを出来上がることはない。
 一般労働者は、理不尽だ、と思いながら所定の歌と動作を狂いなく行い続けねばならなかった。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
2
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【過去視の道案内】
1
移動時、目的地へ向かう影が出現しディアボロスを案内してくれる世界となる。「効果LV×1日以内」に、現在地から目的に移動した人がいなければ影は発生しない。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV6 / 【アクティベイト】LV1 / 【リザレクション】LV1 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回は空想科学コーサノストラ、キャッスル・アイランドにて得た情報によって、そこに軍施設ではなく極秘のチョコレート工場が建設されていました。
『迷宮産のカカオ』を利用した、特殊なチョコレートが量産されており、これを指揮しているのがジェネラル級大天使、愛とチョコレートの天使『バレンタイン』です。
 彼女が行おうとしているのは、最終人類史の住人を標的とした大作戦です。
 これを阻止するために工場を破壊するシナリオになります。

 ①チョコレート工場の一般人の救出(👑4)
 この工場で働かされている一般労働者を救出する選択肢となります。
 オープニングで描写された一般労働者の労働を肩代わりする必要があります。そのため、オープニング内容と同じ動作を正確に、恥ずかしがらずに行う必要があるでしょう。

 ②👾トループス防衛ライン『アベンジコップス』(👑7)
 チョコレート工場を防衛するトループス級と戦闘を行う選択肢です。
 警備のトループス級であり、作戦のために工場事態が要であることを理解しているため、その警備は厳重であり、強固です。
 気を逸らす、釣り出す、などの工夫が必要になるでしょう。

 ③👾チョコレート工場の戦い『エクスティンガー』(👑7)
 チョコレート工場内部での戦いになります。
 チョコレート工場内部は、オープニングにある通り、チョコレートのジャングルめいています。
 このチョコレートジャングルを利用して戦うにせよ、内部を破壊しながら戦うことになるでしょう。
 また、この選択肢をクリアする前に、一般労働者たちを救出していなければ、彼らは死んでしまいます。

 ④👿チョコレート工場の決戦『バレル・リガー』(👑11)
 このチョコレート工場長を任されたアヴァタール級です。
 工場施設を破壊していない場合は、このアヴァタール級が工場施設を熟知した戦い方で皆さんを翻弄してくるでしょう。

 それでは、来たるバレンタインデーを阿鼻叫喚の地獄絵図に変えようとするクロノヴェーダの企みを阻むために戦う皆さんの物語の一片となれますように、たくさんがんばります!
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


一里塚・燐寧
そーいえばバレンタインって、ナハシュバトが「コーサノストラにいるかもしれない」って名前を挙げてたジェネラル級の中にいたねぇ
わりと真面目な大天使だったあいつが辺境で冷遇されてて、バレンタインみたいな胡乱な奴が重要都市で好き勝手やってるなんて、世の中はままならないよぉ

キャッスル・アイランドに着いたら、敵の釣りだしのために【フライトドローン】を出すよぉ
自分で操作する一機にスピーカーを取り付けて、挑発的なメッセージを流そう
キャッスル・アイランドのチョコレート、まだ食べてるのぉ?
あんな粗悪品はもう時代遅れ!これからはディアボロス・チョコレートの時代だよぉ!

相手が釣り出されてきたら、守りが薄くなった方向から襲撃するよぉ
《テンペスト・レイザー》を敵に突き刺して『呪式:襲風炸爆』でドカン!
回転鋸刃で装甲を削り取ってから、体の中身を爆破しちゃう
敵が放つ光線は武器の刀身で受け止めて、直撃を防ぐよぉ
んふふ。あたしがほんとはどんな罪を重ねてきたか、きみは全然知らないみたいだねぇ?

よっし、工場の中に突入だねぇ!


ラキア・ムーン
ふむ、やはり食品を扱う工場の防衛だからだろうか
どことなくうまあじのある立ち振る舞いを……別に感じんな

気を逸らす……か
なら折角だチョコレートの歌でも利用させて貰おう
聞いて文字起こしした「ちょこれいと」の歌の歌詞を、歌を生成してくれるAI先生に突っ込んで……
メタル調にして貰って、ボイスは野太いおっさんにして……

ワイヤレススピーカーを物陰に置いて、私はそこから少し離れた位置に隠れておこう
準備が出来たら最大音量でメタルちょこれいとの歌を流す
後は、気になって覗きに来たアベンジコップスを狙い撃ちだ

【Call:Flame_Gust】起動
炎の塊を生成して、いつでも飛ばせるように待機
敵が歌に釣られて来たらそいつに向かって飛ばしていこう
迅速に鎮圧できるなら、同じ作戦で各個撃破
騒ぎになったら初撃のみと割り切って乱戦に切り替えよう

《RE》Incarnationを構えて敵の銃弾へと対応
必中であるなら軌道を逸らし銃弾は掠めて命中して貰おう
槍で弾き直撃にならないように捌いてしまう

全く敵も気の長い策だ

アドリブ連携等歓迎


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
ちょっこれいと♪
ちょっこれいと〜

うん、悪趣味だ
チョコレートは人を幸せにしたり元気にする食べ物で、阿鼻叫喚を呼ぶものじゃない
ここで何をやっているのかと思えば、実にけしからぬ企てだ
大天使の目論見ごと工場を叩き潰そう
新宿にきてもう何年
バレンタインに贈り物したり、気持ちを伝えたりって良いきっかけだと思うんだよな

毒を食らわば皿までという
装備のギターでちょこれいとの歌を演奏しPD攻撃
呼び出す幻影はかの聖人ではなく、アステカの王の出で立ちした英雄だ
カカオへの冒涜はマクアウィトル(木剣)で叩き潰す

事前に可能なら双眼鏡で敵の布陣を観察
歌声で一瞬味方と思ってもらえるなら不意を衝こう
メタルは斬新……
仲間とタイミングと狙い合わせ一箇所から防衛線を突き崩す
狙いを揃え敵を減らしていく

敵の攻撃には、告発は仕方なし
腰のレリーフの光線を魔力障壁で遮り、強化コートで負傷を軽減
……ワイズガイも密輸やってるよな?

チョコレートを幸せの食べ物にするため
囚われた人々を救出するため
最終人類史のバレンタインを守るため
守護者として戦うよ


 チョコレート工場の外にまで喧伝するかのように響き渡る奇妙な歌声。
 それは工場で労働している一般労働者たちの歌声だった。
 ちょっこれいと♪ ちょっこれいと♪
 甘い香りすら鼻腔をくすぐるのに、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は少しも甘い気分にはなれなかった。
「悪趣味だ」
 チョコレートは人を幸せにしたり元気にしたりする、幸せの象徴みたいな茶褐色の甘味だ。
 なのに、このチョコレートを用いて、ジェエネル級大天使、愛とチョコレートの天使『バレンタイン』は最終人類史に阿鼻叫喚の地獄を呼び寄せようとしている。
「実にけしからぬ企てだ。大天使め、その目論見ごと工場を叩き潰そうじゃないか」
「そーいえば、『バレンタイン』って、『ナハシュバト』がコーサノストラにいるかもしれないって名前を挙げてたよねぇ」
 一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は、真面目そうな気質を持っていた『ナハシュバト』よりも『バレンタイン』のような胡乱な大天使が重要都市で好き勝手に振る舞っているなんて、世の常というやつをはかなみ、憂うあかりであった。
「ふむ。だが、敵の戦力もなかなかのようだ。やはり食品を取り扱う工場の防衛だからだろうか。どことなく……」
 ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)は、手にしたワイヤレススピーカーを手に取り、工場を防衛するために警邏しているとループス級『アベンジコップス』たちを遠巻きに見やり、首を傾げた。
 うまあじのある立ち振舞をしているのではないかと思ったのだが、特に何も感じない。
 警備は警備、というわけだろうか。

「ともかく、連中の気を逸らす」
「釣り出さないとねぇ。じゃあ、複数咆哮から行こうかぁ」
「敵戦力を分散させる。そのための釣り出しだからな……それにしてもなんだこの歌は。歌詞の意味がわからない。これをなんで歌わないといけないんだ?」
 ラキアは首をやはり傾げた。
 耳にした歌詞は、なんだか頭が頭痛で痛い、みたいな歌詞であった。
「まあいい。これをアーティフィシャル・インテリジェンス先生に突っ込んで……メタル調にして、と。あとボイスは野太いおっさんにして、と」
「ぶはっ! なにそれぇ!?」
「いっそ不気味ささえあるな……」
 ラキアが造り上げた音源はひどいもんであった。
 エトヴァと燐寧は思わず吹き出していた。まるでスルメみたいな曲に仕上がっているではないか。最初はクセが強くて、ウッ、となるが聞き慣れると味が深まってくるような。そんなスルメのような風情をラキアが、というか、アーティフィシャル・インテリジェンス先生が造り上げた楽曲から感じてならなかった。

「これを物陰に置いて、と」
「じゃあ、あたしはそれをぉ……【フライトドローン】にスピーカーで通りつかせてBGMにしてぇ……ぷくく」
 燐寧は笑いをこらえてスピーカーを搭載したフライトドローンを飛ばす。
「敵の釣り出しができたら、各個撃破と行こう……ふっ、毒を喰らわば皿まで、というやつだね」
 その言葉と共にスピーカーを載せたドローンが飛び、さらにラキアが仕掛けたスピーカーから野太いデスメタル風味のチョコレイトの歌が響き出す。
 地の底から這うような歌声。
 しかもおっさんの声である。
 チョコレート工場のメルヘンな雰囲気からすれば、あまりにも似つかわしい歌声。
 甘やかな空気すら切り裂くデスメタルのおっさん声。
 そして、フライトドローンに載せたスピーカーからは燐寧の声が響く。
 笑いを堪える声。

 だってそうだろう。
 野太いおっさんのデスメタル声をBGMにして彼女の声が響くのだ。何だこの状況と思わないでもない。
 それは『アベンジコップス』たちも同様だったはずだ。
「キャッスル・アイランドのチョコレート、まだ食べてるのぉ? あんな粗悪品はもう時代遅れ! これからはディアボロス・チョコレートの時代だよぉ!」
「なんだこの声は」
「わからない。いや、あれか!」
『アベンジコップス』たちは、音源の正体を知るだろう。
 フライトドローンから響いているのだ。
「複合術式展開――Call:Flame_Gust(コール・フレイムガスト)」
 気を取られるように踏み出した彼らは、完全に横合いから不意をつかれるようにして、ラキアの精製した炎の塊に吹き飛ばされた。
 体躯が地面を打つように転がり、彼らは見上げる。
 炎と風とが渦巻く中、さらに響くのは歌声だった。

 雄々しい旋律。
 ヒロイックシンフォニーは、ギターの弦爪弾く音と共に幻影を生み出し、英雄の突貫を示す。
『アベンジコップス』たちは見上げるしかできなかっただろう。その頭部が突貫する英雄に蹴り飛ばされ、さらに中を舞う体躯。
「ぐあっ!?」
「やはりメタルは斬新だね。敵の防衛戦が総崩れだ。このまま一気に行こう!」
「くっ、至急応援を乞う! ディアボロスの襲撃……」
「させないよぉ!」
 燐寧が英雄の幻影とともに踏み込み、呪詛と怨念が具現化した紫色の鬼火を宿した『テンペスト・レイザー』の刀身を叩き込み、回転させる。
 鎖鋸の刃が火花をちらしながら『アベンジコップス』の体躯を切り裂く。
「貴様……ディアボロスめっ! その罪状は!」
「んふふ。あたしがほんとはどんな罪を重ねてきたか、君は全然知らないみたいだねぇ? 聞くつもりもないけどねぇ!」
 両断される『アベンジコップス』の体躯を蹴り飛ばして、彼女はさらに踏み出す。
「罪状、と高らかに言われてもな。ワイズガイも密輸やってるよな? そもそも、だ」
 エトヴァは英雄の幻影を生み出す旋律をギターで奏でながら宣言する。
 どれだけ己たちに罪あり、と言うのだとしても、それは彼にとっては意味のないことだった。

「チョコレートを幸せの食べ物ではなく、阿鼻叫喚の地獄へと叩き落とすために利用する。その悪辣さこそが罪ではないか。俺達は囚われた人々を救出するため、最終人類史のバレインタインを守るため、守護者として戦っている。その行いを罪ありと告発するのなら」
 仕方なし。
 その罪状を踏みつけてでも進むのだとエトヴァは宣言する。
 その最中に走る銃弾。
「止まれ! 止まらんと撃つ! 止まっても撃つ!」
「どのみち撃つのなら、止まるわけがないだろう」
 手にした大型突撃槍に満ちる風と炎の術式。
 膨れ上がる熱波を振るいながらラキアは『アベンジコップス』の放った弾丸を弾き返しながら、その体躯を吹き飛ばす。
「狙いは来年のバレインタインデー、か。全く、敵も気の長い策を取ったものだ」
 だが、それを成就などさせない。
 ラキアは炎と風と共にチョコレート工場へと踏み込む。

 敵の防衛戦は突破できた。
 後は、この工場にて働かされている一般労働者たちを解放するために労働を肩代わりし、その上で工場を破壊する。
 アヴァタール級まで撃滅することができれば、打撃を与えることができるだろう。
「さあ、行こう!」
 エトヴァの声の後ろで、おっさんデスメタルが響き渡る。
 燐寧は、何だろ、この状況と首を傾げながらもメルヘンと甘い香りが満ちるチョコレート工場の雰囲気を切り裂くようにして踏み込むのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
いやここが地獄絵図じゃないの……か
世紀末かな
チョコを血と汗と涙の結晶にはしないでいただきたい

まずはレーネマクダさんの予知情報から、似せた衣装を準備し着ていこう
プラチナチケットで労働者になりすまし、友達催眠で頼れるベテラン感を出そう
ちょっこれいと〜♪と鼻歌のように歌いながら近づいて話しかけ
疲れただろう、交代の時間だ
あとは任せて休んでおいで(イメージはベテランパートさん)
歌うのはむしろ楽しげに

ここからは演技力(素)が光るな

交代しても大丈夫だと、行動でも示そう
ディアボロスは元より身体能力も高い
伝説のパートさん並みに働いてみせよう
持ち場を安心して離れてくれるだろうさ
走る!漕ぐ!そして――拳で叩き潰すッ!!!
軽やかに円盤をダッシュ、マドラーをかき回し、ボートで進んで

ボートでもピーナッツでも砕くのは任せて
百人力の働きを見せよう
装備のグローブつけてるのは内緒だ
プロテインも飲んできたぞ
レッツ粉砕!

さあさあ、俺に任せて行きたまえよ
ちょっこれいと〜
ちょっこれいと〜♪

工程は別にいいけど服の趣味だけは物申したい


ラキア・ムーン
……まあ、やれと言うならやるだけではあるのだが
なりきりロールプレイとでも思えば良かろう
キッズに好評なザニア的な職業体験みたいな……普通に嫌だが
大人は楽して稼ぎたいんだ

プラチナチケットで交代要員と思わせる
なんかこう、偉そう感も出して少数精鋭班みたいな雰囲気も出しとこう

そんな人数で大丈夫か?だって?
大丈夫だ、問題ない

(後ろで流れる神聖なアレンジのちょっこれいと曲)

で、ラインに向かおう
……面倒くさいから回し車担当で
ジョギングだと思えば楽だな

はいはい、ちょこれいとちょこれいと

呼吸のリズムを良い感じにちょこれいとの単語に合わせて、ジョギングの呼吸ついでに歌うっぽくしとこう
たぶん『と』の所で息を吐く感じ
一定のペースを守って走り、長く走れるようにスタミナを維持


無限の回転エネルギーで、カカオを破壊!
無限かどうかは、知らんけど

まあ、ランニングマシンだと思えば苦も無いさ
たまには普通の運動も悪くない
変な歌と、甘ったるい空気がなければより良いのだがな

アドリブ連携等歓迎


一里塚・燐寧
うひゃー、アレほんとにやんなきゃいけないのぉ?
あたしみたいなシリアスな復讐者(嘘)にとっちゃ、或る意味ジェネラル級以上の難題かもしれないねぇ

仕事を交代しなきゃいけないんだけど、あたし達だけだと働かされてる人たちより人数が明らかに少ないんだよねぇ
少数精鋭で自分たちと同じだけの仕事ができるなら大丈夫、と思ってもらえるよーに、【怪力無双】を用意しとこう
マドラー回し・ボートの手漕ぎ・クッキー割り・チョコレート砕きと、多岐に渡るシチュエーションで役に立つと思うよぉ

みんなぁおつかれぇ~、交代しに来たよぉ
こっからはあたし達がお仕事を引き継ぐからさぁ……こっそり逃げちゃいなよぉ
今なら外の見張りは死んでるし、中で巡回してる奴はこれからブッ殺しとくよぉ
仕事のノルマがこなせなくなったら怪しまれるだろーけど、あたし達ならだいじょぶ
こんなっ、風に……!上手くやれるからねぇ!
残留効果を駆使した仕事ぶりを見せちゃおう

後は交代完了までヤケクソで働くしかないっ!
ちょっこれいと!ちょっこれいと!いやー、心が無になってくねぇ


 一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は、眼の前に広がる光景に思わず声を上げていた。
「うひゃー、アレほんとうにやんなきゃいけないのぉ?」
 彼女がそんな声を上げたのは何故か。
 言うまでもない。
 チョコレート工場におけるチョコレート製造の現場を目の当たりにしたからだ。
 そこにあったのは、甘い香りと狂気であった。
「ちょっこれいと♪ ちょっこれいと♪ ちょこれいとのお歌を歌いましょう♪」
 リズムに乗って一般労働者たちが、果たして意味があるのかもわからない動作を繰り返させられているのだ。
 チョコレート製造の工程は確かに多い。
 だが、だからといって歌う必要性などない。
 作業効率というのならば、黙々と作業をこなした方がいいに決まっている。
 だが、このチョコレート向上では、こうした狂気の産物のような所定の動作を繰り返さなければならなかったのだ。
「いや、ここが地獄絵図じゃないの……か。世紀末の方が似合っているような気がする」
 チョコを血と汗と涙の結晶に変えることが、もしかしたら、この儀式めいた工程の目的であったのかもしれない、とエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は思った。
 すでにラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)も作業着に着替えている。
 後は、残留効果でもって労働者になりすますのみ。

「……まあ、やれと言うならやるだけではあるのだが」
「あたしみたいなシリアスな復讐者にとっちゃ、或る意味ジェネラル級以上の難題かもしれないよねぇ」
 戦って倒す。
 それはディアボロスの戦いにおいては単純明快と言うに相応しいものであった。
 単純な力と力のぶつかり合い。
 だからこそ、眼の前に広がる光景は彼女たちにとっては、難題にも等しいものであったのかもしれない。
 それに、とラキアは自分に言い聞かせるようであった。
「なりきりロールプレイとでも思えば良かろう。キッズに好評なザニア的な職業体験みたいな……普通に嫌だが。何故労働しなければならない。大人はらくして稼ぎたいんだ」
 本音、とエトヴァは思ったかも知れない。
 けれど、やらねばならない。
 ここに彼らが来たのは、一般労働者を逃すためだ。
 このまま向上を破壊するのならば、一般労働者たちが死んでしまう。
 故に彼らと交代し、その上で破壊を齎すのだ。

「ちょこれいと~♪ やあ、おつかれさまだ。交代の時間だ。代わろう」
「え……、でも、三人、だけ? 大丈夫なのか?」
 エトヴァたちが近づくと、漸く交代の時間か、と一般労働者たちは安堵の顔色を見せる。だが、すぐに交代要員がたった三人だけだったのを見て顔色が変わる。
 所定の作業量がこなせなければ、どうなるか。
 だが、三人はベテランであることを納得させる謎のオーラを放っているように思えてならなかった。
 いや、彼らこそがこのチョコレート工場における最優良エキスパートであることを一般労働者たちは即座に理解した。
 醸し出されるのは、仕事ができる感。
「大丈夫だ、問題ない」
「こっからはあたしたちがお仕事を引き継ぐからさぁ……こっそり逃げちゃいなよぉ」
 燐寧が一般労働者たちに耳打ちする。
「いや、えっ!?」
「だいじょうぶだいじょうぶ。今なら外の見張りもいないし、中で巡回してる連中はこれからブッ殺すからさぁ」
 彼女の柔らかな雰囲気とは裏腹な剣呑な言葉に一般労働者たちは目をギョッとさせるしかなかっただろう。
 怪しい動きをすれば、それだけ自分たちが怪しまれることを理解しているようだった。

「で、でも、それでノルマがこなせなければ……」
 意味がない。
 だが、エトヴァは軽く笑ってみせた。
「ここにいるのは伝説の労働者だよ。見給え、あれを」
 そう言ってエトヴァが示したのは、回し車の上で凄まじい勢いでランニングするラキアの姿であた。
「はいはい、ちょこれいとちょこれいと」
 何気ない会話のような呼気を漏らしながら、ラキアは平然とした顔で回し車をぐるんぐるん回し続けていた。
 息を切らした様子もなければ、必死ですらない。
 どこまでも平然とラキアは回し車の上を走り続けていた。
 さながらジョギングである。
 ランニングですらない。 
 ちょっとそこらまで散歩に行ってくる来るくらいの気楽さでもってラキアは、ちょこれいと、ちょこれいと、とつぶやきながら一定のペースを保っている。
 
 とは言え、その速度は常人のそれではない。
「無限の回転エネルギーでカカオを粉砕。無限かどうかは、しらんけど」
 まあ、ランニングマシンだと思えば苦でもなんでもない。
 たまには普通の運動も悪くないな、くらいの感じである。
「な、な……」
 そんなラキアの様子に一般労働者たちは驚愕するしかなかった。
「だいじょうぶそうでしょぉ? あたしたちならだいじょぶ。ほら、こんなっ、風に……! うまくやれるからねぇ!」
 燐寧は本来なら数人で使用せねばならない巨大マドラーをたった一人、それも片手で回してみせた。
 さらには、もう片方に巨大マドラーを手にして、二刀流である。
 尋常ならざる膂力。
 その発露で持ってチョコレートの大渦を生み出しながら、やんわり微笑むのだから、一般労働者たちは驚くしかないのだ。
「ほら、ちょっこれいと♪ ちょっこれいと♪ってねぇ!」
 彼女からすればヤケクソ以外のなにものでもなかった。
 なんで歌を謳わないといけないのか。
 この歌の意味もわからない。

 周囲に溢れる甘い香りもそうだし、この謎のメルヘンな作業工程だって意味が或るのかすらわからない。
「さあ、そういうわけだ。安心して行くといい。後は……」
 任せろ、とエトヴァはノリノリであった。
 二人がカカオをすりつぶし、マドラーでかき回す中、彼はクッキーのボートで運河を進み、終着点まで一気にこぎつけるのだ。
「さて、これを砕くんだったか」
 手にしたグローブを握りしめ、エトヴァは振りかぶった。
 そう、このときの為にちゃんとプロテインを飲んできたのだ。
 いや、せっかくプロテインを飲むのなら労働後がいいのだろうが、この際言ってられない。
 理屈ではない。
 ここがメルヘンの国じみた様相を呈しているのならば、理屈よりノリが勝つ。
「レッツ粉砕! さあさあ、俺に任せて行き給えよ。ちょっこれいと~ちょっこれいと♪」
 なかなかにメルヘンな作業服。
 まるで道化師か何かなった気分であるが、エトヴァはそこだけがどうにも不服であった。
 これさえなければなぁ、と思いながらクッキーボートを砕くエトヴァは同意を求めるように二人に視線を送る。

 だが、ラキアは。
「この変な歌も、甘ったるい空気もなければいいと思う」
 それ以外は別に、と言わんばかりであった。
 そして、燐寧の目は若干光が消えているように思えてならない。ハイライトが家出したのかもしれない。
「いやー、心が無になっていくねぇ」
 心を殺すには単純作業と報われぬことが肝要。
 まさしく、今、この工場でおこなれていることがそれなのだと彼女はなんともいい難い表情で労働をこなし、明らかにおかしな作業量をこなす。
 その作業量の多さに気がついた工場内にいたクロノヴェーダたちが殺到するまで、そう時間はかからないだろう――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【プラチナチケット】がLV2になった!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【リザレクション】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

一里塚・燐寧
あは。ノルマ以上の仕事をしてあげたってゆーのに、文句を言いに来られるのは心外だねぇ?
むしろボーナスを貰いたいぐらいだよぉ

ふつーの人達が無事に逃げ去った今、楽しい暴力の時間の始まりだねぇ
背負っていた≪テンペスト・レイザー≫を再び抜刀し、騒ぎを聞きつけた敵を迎え撃つよぉ

チョコレートの運河の上で【水面走行】って使えるのかなぁ……?
ちょっと不安だから、あたしは別の手立てを用意しとこう
空中に展開した【フライトドローン】を操作したり、ジャンプで乗り継いで移動することで、施設内の運河や動きづらい地形を極力無視するよぉ

ドローンの上から敵に跳びかかり、手近な敵の一体に『呪式:異苦同怨』をブチこむっ!
落下の勢いを乗せて振り下ろす重い刀身と、重さで叩き伏せた敵に追撃する鋭い回転鋸刃によるダメージを、周囲に展開してる他の敵にも転写するよぉ
反撃の消火液は、武器を盾代わりにガードしたり、周囲に丁度壁にできそうな設備があったらその後ろに隠れて対処しよう
んふふ。この施設の大切な設備ごとあたしを撃っちゃっていいのかなぁ?


ラキア・ムーン
働き過ぎて文句を言われるのは心外だな
こんなに働いてやったのにグチグチ言うとは何事か
もっと働いて1月頃にノルマ達成して出荷してやろうか???
それか、ハラスメントで訴えて厄介従業員になってやるぞ?
面倒臭い存在になるぞ???
他の職員と結託して、最低限の仕事だけして帰るぞ?
それでもいいのか?

《RE》Incarnationを構え敵と対峙
飛翔で跳躍補助を行い、施設の設備を飛び越え敵の懐まで潜る
【Call:Flame_Slash】起動
槍に炎の魔力を槍に纏わせながら敵に接近
一気に槍を振り、敵を斬り裂く
敵の装甲を焼きながら斬り、内部を抉ってダメージを与えていこう

可燃液に対してEmu【E.S】展開
魔術障壁で受け止め、炎をそこで食い止める
炎が直撃しないように逸らし、弾きながら戦場を跳び回り敵の狙いを集中させないように射線を乱す

工場内は火気厳禁ではないかな
ま、こっちも使ってはいるがそちら程派手には使ってない
全く、工場火災など後始末が大変になるぞ
意識が低いんじゃないか意識が?

アドリブ連携等歓迎


「どういうことだ。規定の作業量を超過している。定められた作業を正しく行えないとは一体どういう了見か!」
 トループス級ワイズガイ『エクスティンガー』たちは、チョコレート工場の作業進捗を見やり喚いていた。
 彼らは所定の作業によって得られる成果を規定通りに行うように命令を受けているのだろう。
 数とは正しさである。
 一般労働者たちの一日に作業量はこれまでの結果で算出されている。
 明らかに作業終了によって得られた成果物であるチョコレートが倉庫を圧迫し始めているのだ。それだけではない。生産されたチョコレートが次から次に送られてくるせいで、倉庫に運び出す作業に支障がで始めているのだ。
 本末転倒である。
 だからこそ、彼らはチョコレート工場にて働く一般労働者たちを叱責せんとやってきたのだ。
 だが、そこに居たのは一般労働者ではなかった。
 無論、ベテランエキスパートスーパーシゴデキ労働者でもなかった。三重にも同じ意味の言葉を繋いでどうする、という意見は認められるところであるが、そんなとんでもない作業量を熟したディアボロスたちには関係のないことであった。
「働きすぎて文句を言われるのは心外だな」
「あは。ノルマ以上の仕事をしてあげたってゆーのに、文句を言いに来られるなんてねぇ? むしろ、ここはボーナスをもらいたいくらいだよぉ」
 ベテランエキスパートスーパーシゴデキ労働者ならぬディアボロス、ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)と一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は現れた『エクスティンガー』たちを前に言い切った。

 すでに一般労働者たちは交代させてこの場にはいない。
 彼らがノルマを達成できず死ぬこともない。であれば、この工場施設に対して加減をする必要もなければ、『エクスティンガー』たちを前に手心を加える必要などないのだ。
「こんなに働いてやったのにグチグチ言うとは何事か。もっと働いて1月ごろにノルマ達成して出荷してやろうか??? それかハラスメントで訴えて厄介従業員になってやるぞ? 面倒くさい存在になるぞ??? 他の職員と結託して、最低限の仕事だけして帰るぞ?」
 ラキアの労働への恨みつらみは止まらなかった。
 それくらい労働というものに対しての怒りが溜まりに溜まっていたのかもしれない。
 この機会に爆発させてやろうとでも言わんばかりであった。
「でぃ、ディアボロスだと……!?」
「あはっ。気がついてなかったんだ? なら、ここからは楽しい暴力の時間の始まりだよぉ!」
 燐寧は背負っていたテンペスト・レイザーを抜き払い、唸るようなエンジン音を響かせた。
 ラキアもまた炎の魔力を大型突撃槍に宿し、噴出させた。

「焔の連撃、叩き込む!」
 Call:Flame_Slash(コール・フレイムスラッシュ)は、彼女の動きに連動するように炎を噴出させながら『エクスティンガー』たちへと叩き込まれた。
 不意の一撃。 
 いや、労働への恨み辛みの強烈さに怯んだところを突いての一撃であった。
「ぐああああっ!?」
「よく燃える物を内包しているようだな。ならば!」
 ラキアの槍の穂先から炎が噴出し、可燃液を溜め込んだポッドごと『エクスティンガー』を燃焼させる。
 吹き上がる炎。
 その炎をラキアは魔力障壁でもって防ぎながら、炎の中に紛れるようにして消えた。
「クソッ! 工場が燃える! 火災は許されない! 消火だ、まずは消火、を……」
『エクスティンガー』たちは焦っていた。

 この工場は来るバレンタインデーにおいて最終人類史を阿鼻叫喚に叩き落とすための要。
 であれば、ここで工場に損害がでては計画に支障が出るのは当然の帰結。だからこそ、施設を破壊されては敵わないと消火剤を撒き散らそうとする。
 だが、そんな彼らの思惑を切り裂くように唸り声が聞こえた。
 怨念。
 地の底から噴出するような音。
 それは燐寧の振るうテンペスト・レイザーから噴出していた。
 だが、どこから?
 炎と消火剤の赤と白が視界を染め上げる中、音だけが響いているのだ。
「……一体どこから来る? どこだ、どこから……」
「遅いよねぇ」
 切り裂くように迫るのは頭上からの一撃。
 彼女は【フライトドローン】を足場にして一気に『エクスティンガー』に肉薄していた。
 閃光のように迸るのはパラドクスの光。
 彼女の振り上げた唸りあげるテンペスト・レイザーの呪式:異苦同怨(ヘクスアーツ・ウーンドリフレクション)によって編み込まれた呪詛と怨念とが『エクスティンガー』の体を切り裂く。

 それは転写されるように周囲にいた『エクスティンガー』にも刻まれる。
「クソッ! ディアボロスめ! やってくれる! だが……!」
「奴ら、施設を盾に……!」
「んふふ。この施設は大切なんだよねぇ? そぉんな大切な設備ごと、あたしたちを撃っちゃっていいのかなぁ?」
「クッ……!」
「工場内は火気厳禁なのが常なるものであるが……ま、今更だな」
 ラキアの手繰る魔力が炎となって噴出する。
 その苛烈さは工場内を炎で包み込む。

「全く、工場火災など後始末が大変になるぞ。意識が低いんじゃないか意識が?」
 ラキアは挑発するように炎を撒き散らしながら工場施設内に損害を与えていく。
『エクスティンガー』たちは思うように動けない。
 自らの装備が、自身の首を絞めることになるなど想いもしなかったのだろう。
 そんな中、次々と彼らは打倒されていくしかなかったのだ。
 そして、その騒ぎの奥から漸く……いやに重役出勤。
 ふらつく足取りでやってきたのは、アヴァタール級『バレル・リガー』であった。
「な、な、なんだ、これは!?」
 驚愕の声に二人は、暢気なものだ、と互いを見やって息を吐き出すのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【過去視の道案内】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!

一里塚・燐寧
いやー、頑張ってお仕事してたらなぜか邪魔されたもんでさ
むしゃくしゃしてつい全員ぶちのめしちゃった~
ま、部下のモチベーションを下げる上司は消されても仕方ないよねぇ?
きみにもチョコレートの海に沈んで貰うよぉ!

引き続き、工場内の足場がない/不安定な場所の踏破には、【フライトドローン】を足場に連続ジャンプするよぉ
動きに緩急をつける時は、【飛翔】で着地までの軌道を変えたり加速したり
こっちの動きに慣れさせない立ち回りで、うまく敵の体力を削ってこう

《テンペスト・レイザー》で『舵木通し』を放ってガンガン攻めるよぉ
ドローンからの落下の勢いを乗せた下突きと、【飛翔】で敵のいる足場に乗り上げての突進斬りを織り混ぜて、どこから攻撃が来るかの判断に悩ませちゃおう
得物が敵の身体を捉えたら、回転鋸刃でガリガリ切り刻むっ!
あははぁ、バラバラにしたげるよぉ!

密造酒は身体に直接吹き付けられないように、刀身の横腹で防ぐよぉ
足元が燃え始めたらすぐにドローンの上に逃げとこう

んふふ。あたしに手こずってたらノルマを達成できないよぉ?


 驚愕に喚く声。
 それはアヴァタール級『バレル・リガー』の声であった。
 彼にとって、このチョコレート工場の管理というものは容易いものであった。一般労働者たちを管理する。後はトループス級にでも任せていればいい。
 そういう意味でも容易いものだった。
 だから、と怠け癖が出たのは言い訳でしかない。
 けれど、事実容易い仕事だったはずだ。
 それが今目の前で瓦解している。
 仕事を任せきっていたトループス級が倒されているばかりか、工場の内部施設が破壊されているではないか。
 まるで悪酔いしたかのような光景が眼の前に広がっている。

「いやー、がんばってお仕事してたら、なぜか邪魔されたもんでさ」
 手にしたテンペスト・レイザーを肩に担いで一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は首を傾げた。
 その表情は今だ状況を飲み込めていない『バレル・リガー』を嘲笑うようであった。
「むしゃくしゃして、つい全員ぶちのめしちゃった~」
「む、むしゃくしゃして……!? お、お前は何を言っているんだ?」
「言葉通りだよぉ。ま、部下のモチベーションを下げる上司は消されても仕方ないよねぇ?」
「さっきから何を言っているのかさっぱりわからん!」
「いいよ、わからなくっても。きみにもチョコレートの海に沈んで貰うよぉ!」
 彼女の周囲には【フライトドローン】が浮かぶ。
 チョコレートの運河の中では足場が少ない。

 彼女はどのみち、この工場は破壊するのだから、と手にしたテンペスト・レイザーでもって損害を気にせず戦っていた。故に足場が少なく、不安定になっていた。だが、問題などない。
 足場がなければ作ればいい。
 残留効果である【フライトドローン】であれば、人一人分の足場にはなる。
 軽快に彼女は足場にした【フライトドローン】を蹴って【飛翔】する。
「誰がこんな甘ったるいだけのものに沈ものかよ!」
 毒性密造酒が『バレル・リガー』の手にした噴射器から放たれ、霧状に変化したと思った瞬間、着火され業火なって燐寧に襲いかかる。
 炎の勢いは凄まじい。
 周囲のチョコレートを焼き焦がし、甘ったるいような、鼻を突くような刺激臭が彼女の鼻腔を刺激しただろう。
「だから無駄だってばぁ!」
 振るうはテンペスト・レイザー。
 舵木通し。
 それはカジキを思わせるような連続刺刺突攻撃。
 鎖鋸の回転と合わせれば、強烈な摩擦と刺突が組み合わさって、あらゆる防護を貫くことだろう。
 それは炎とて例外ではない。
 彼女の手にしたテンペスト・レイザーは、その名の通り嵐のような暴風を生み出して『バレル・リガー』の放った炎を吹き飛ばしながら、その体躯へと叩き込む。

「ぐあああっ! こ、こいつ!」
 回転鋸刃が『バレル・リガー』の体躯を切り裂くようにして嫌な音を響かせる。
 振るう噴射器の銃身が燐寧を払うようにして叩きつけられる。炎が彼女の体にまとわりつくようだったが、燐寧は笑う。
「あははぁ、バラバラにしたげるよぉ!」
「ちょこざいな真似を! 燃えろ!!」
 噴射される炎を彼女はテンペスト・レイザーの腹で受け止めながら、【フライトドローン】を蹴って飛ぶようにして逃れる。
「んふふ。あたしに手こずってたらノルマを達成できないよぉ?」
「うるさい! 頭に響く嫌な音を立てやがって! ちょこまかと!」
「ようやく事態が飲み込めてきたかなぁ? でも遅いんだよねぇ!」
 吹き荒れる炎と共に燐寧はテンペスト・レイザーの唸りあげる呪詛と共に嵐のように酒気と甘い香気を帯びる工場の空気を切り裂くようにして『バレル・リガー』の体へと一撃を叩き込むのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水面走行】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!

ラキア・ムーン
では、これでこの工場は閉鎖だな
最後は食中毒の罪状も追加だ
……工場管理者が毒をまき散らすなら、尤もらしい罪状だろう
いや他も多々あるが……閉鎖してしまえば些細な事だ
終わりだ

限定解除、形状変換
再誕の槍よ更なる先へ……《RE》Incarnation:Extend、顕現

槍を構え一気に駆ける
距離を詰めながら【Call:Breaker_Lance】起動
地面を蹴り、槍を突き出しながら術式を起動
魔力の槍を拡張させながらバレル・リガーを槍で穿つ
槍が突き刺さったら更に一歩踏み出して、より深く突き刺してダメージを与えよう

武装制服のジャケット部分を脱ぎ、片手に持ち密造酒を受ける
制服に炎を集中させ、体に引火しない様に防御
炎受けた制服を地面に叩きつけて消火し、態勢を整え次の行動へ

儀式とはいえ、面倒ごとばかりな工場だったな
スポーツジムにでも改装した方が良いんじゃないか
あと、チョコはもう少しビターな方が助かる
労働条件がビターなのは勘弁だがな……

アドリブ連携等歓迎


一里塚・燐寧
はー、不味そうなお酒ばらまいちゃって
とゆーかこれ工業用アルコールなんじゃない?
メチルアルコールを飲むと視神経がやられて失明することが多いんだよぉ、だから「目散る」アルコール……ってワケじゃないんだけど
もし工員さん達に振る舞おうとしてたならやめた方がいいよぉ?

相手のペースを乱すように場にそぐわない雰囲気の雑談を続けつつ、それとなく仲間に目配せ
あたしのダル絡みや回転鋸刃が立てる爆音と火花が周囲の状況を分かりづらくしてる所に、ドカンと追撃をかけてもらおっか!

《テンペスト・レイザー》を振り上げながら【フライトドローン】から飛び降り、『屠竜技:大回転爆砕斬り』!
普段は走りながら横回転して出す技だけど、今回は落下しながら縦回転して武器を思いっ切り叩きつけるよぉ
頭上から落ちて敵の視界を塞ぎながら、落下速度と【ダメージアップ】の乗った一撃をぶちこんじゃおう!
攻撃後は素早くその場を飛び退き爆発から逃げるよぉ

チェーンソーでつける傷は深いよぉ。そのアルコールで消毒しとくといいんじゃない?
生きて帰れたならねぇ!


ナイナ・ヴィラネスティズム
SPD
味方との協力・連携・アドリブ可

あらまあ
なんだこれは、ですってよ
ここまで荒らされたら工場は閉鎖するしかないですわ

敵の突撃に対しては盾で捌いての防御か怪力無双込みのグラップルで受け止めて耐える形の防御で対応
人の字の如く吹き飛ばされないように地に足を着けて踏ん張りますわよ
フライトドローンのドローンをぶつける嫌がらせで突撃の軌道を逸らせないか試みる

攻撃と反撃時にはヴィラネストアーツ
こちらからの攻撃時には加速機構が備わっている敵の脚部目掛けてローキックを交えた徒手空拳によるパラドクス格闘術(グラップル)の連撃
ダメージアップと命中アップ込みで蒸気噴射口を破壊を狙った立ち回り
反撃時は怪力無双込みで脚部を掴んで持ち上げてからのジャイアントスイング
自分の体ごとマワしつつ、回転数を稼いでから工場内の火災区域に向けてぶん投げるように吹き飛ばしていく

チョコレイトの工場と聞いて工場特有の無料食べ放題ができると思っていましたのにあなた達は・・・!
戦闘後は炎上中の工場にマジックグレネードを投擲・爆破しましょう


「ここまで荒らされたら工場は閉鎖するしかないですわ」
 ナイナ・ヴィラネスティズム(喜殺令嬢・g00383)は、チョコレート工場の惨憺たる有り様を見やり、アヴァタール級『バレル・リガー』の言葉に答えた。
 すでにディアボロスたちは一般労働者たちを死なせないように工場の作業ノルマを超える勢いで作業を完了させ、さらには工場を戦いの余波で破壊しはじめていた。
 それ故の惨憺たるこの状況である。
『バレル・リガー』が喚くのも理解できる。
 だが、だからといってはいそうですか、とはならない。
 それがこの工場の責任者である『バレル・リガー』のせめてもの執着であったのかもしれない。
「閉鎖? 閉鎖だと!? そんなことなどさせるものか。お前たちを退ければ、また労働者たちに工場を再建させて、急ぎ復旧すればいいだけのこと……」
「酔っ払っているのか? この状況でどうにかなるとでも?」
 ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)は、冷ややかな瞳で『バレル・リガー』を見下ろしていた。

 ディアボロスたちのパラドクスは工場のあちこちを破壊に巻き込んでいる。
 これを再建しようとすれば、一般労働者たちではどうにもできないだろう。よしんばできたとしても、だ。ノルマの上にさらなる過重労働である。
 到底、一般労働者たちが耐えられるとは思えない。
「やらねばならんのだよ。貴様たちのせいでな!」
 構えたノズル。
 その繋がれたチューブの先では毒性密造酒が音を立てて走り抜け、一気にノズルから噴射される。
 さらにノズルの先にて点火され、炎がラキアを襲う。
 強烈な匂い。
 気化した毒性密造酒は強烈な引火性を発揮して、彼女へと炎となって殺到するのだ。
「……工場管理者が毒を撒き散らすな。いや、他にも言いたいことはあるが……閉鎖してしまえば、些細なことだ」
「そうとも! お前たちを退けさえすれば、些細なことだ!」
「できるとでも?」
「やれるとも!」
「やはり、酔っ払っているようだな」
「不味そうなお酒ばら撒いちゃってさー、とゆーか、これ工業用アルコールなんじゃない?」
 一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)が炎を切り裂きながら、『バレル・リガー』へと肉薄する。

 手にしたテンペスト・レイザーの回転鋸が火花を散らして『バレル・リガー』と鍔迫り合う。
「失敬な! この密造されし酒を、そこらのメチルアルコールなどと一緒にしてくれるな!」
「いやぁ、これはそれにも劣るでしょ。匂いも最悪、きっと味も最低なんでしょぉ? あ、もしかして工員さんたちに振る舞おうとしていたならやめといた方がいいよぉ? きっと逆に作業効率落ちちゃうだろうからねぇ?」
「黙れ! 俺の作る密造酒の味も知らぬ小娘がぁ!!」
 両腕のバレルから噴射される液体。
 それは一瞬で点火され、爆発となって燐寧を包み込む。
 けれど、彼女は【フライトドローン】を足場にして爆発の熱を受け流しながら飛ぶ。
 跳ねるように彼女は一気に『バレル・リガー』へと肉薄し、振るうテンペスト・レイザーの回転を活かして身ごと一撃を叩き込むのだ。
「屠竜技:大回転爆砕斬り(スレイヤーアーツ・ワーリングストライク)ってねぇ!」
「チッ……!」
「チェーンソーでつける傷は深いよぉ? そのアルコールで消毒しとくといいんじゃない? 生きて帰れたらねぇ!」
 その言葉を証明するように、よろめく『バレル・リガー』へと迫るのは、【フライトドローン】であった。

 それはナイナの放ったものであり、ただの嫌がらせであった。
「小細工! その程度で、この俺がどうとなるとでも思ったか!」
 バレルを振るって叩き落される【フライトドローン】。
 だが、その陰にナイナがいた。
「令嬢制裁! 拳に込めるは怒りの打擲!」
 ヴィラネストアーツ(ヴィラネストアーツ)は、自らの感情と衝動の赴くままに振るわれる強烈なる一撃。
「武器も持たない者など!」
 弾丸のようにナイナへと『バレル・リガー』は脚部の噴射機構を解放して突進する。
 それは砲弾そのものであった。
 ナイナは構える。
 放つはローキック。
 敵が噴射機構でもって突進してくるというのなら、その噴射機構を狙う。
 鋭くカミソリのように放たれた蹴撃は、機構を粉砕するようにへし折る。

「……!?」
「その加速は脅威でしょうが!」
 体勢を崩した『バレル・リガー』の足をナイナは掴み上げた。まるで獲物を取るような、そんな所作。
「何をするつもりだ!?」
「こうするつもりですわ!」
 体ごとナイナは『バレル・リガー』を回転する。スウィングする、というのが正しいだろう。
 怪力を誇示するかのようなパフォーマンスめいた攻勢。
 その勢いのままに彼女は『バレル・リガー』を投げ放つ。
 それはジャイアント・スイングと呼ばれる投げ技。
「チョコレイトの工場と聞いて、工場見学特有の無料食べ放題ができるとおもっていましたのに……!」
「流石にそれは、難しいのではないか」
『バレル・リガー』の体躯が吹き飛ぶ中、ラキアは構えた。

「限定解除、形状変換。再誕の槍よ、さらなる先へ……Call:Breaker_Lance(コール・ブレイカーランス)」
 構えた槍が変化する。
 起動されたパラドクスの輝きと共に彼女は魔力の演りを拡張させ、術式と共に一気に投げ放たれた『バレル・リガー』へと飛び込む。
「く、おおおおっ!」
 放たれる毒性密造酒。
 その噴霧を前にラキアは武装ジャケットを脱ぎ払い、引火する炎を薙ぎ払う。
 叩きつけるようにして炎がジャケットともに地に落ちる。
 眼の前には無防備な『バレル・リガー』。
 もはや、狙うまでもない。
「廻り紡ぐは破壊者の槍……」
 形成されるは二重らせんの炎。
 風の術式と組み合わされた槍の穂先は一層強大となって、突き立てられた槍から形成され、『バレル・リガー』の体躯に風穴を空けるように巨大な打突痕を刻み込む。
「ごはっ……! く、そ……、ディアボロス、め……!」
「仕事もせずに飲んだくれていたものがよく言うよぉ!」
 燐寧の言葉を最後に『バレル・リガー』の体躯が爆散する。

 その破片を背にナイナはマジックグレネードを工場のあちこちに投げ放ち、爆破する。
 もはやアヴァタール級は立ち上がれないだろう。
「まったく……こんなろくでもないことにチョコレイトを使わないでほしいですわ!」
 ぷりぷりしながらナイナはブツブツと呟いていた。
 そんな彼女の様子を見ながら、ラキアは肩を鳴らしてジャケットを羽織り直した。
「儀式とは言え、面倒事ばかりな工場だったな」
「アトラクションみたいで楽しかったんじゃない?」
「まだスポーツジムの方がマシだ……あと、チョコはもう少しビターな方が助かる」
 ラキアは燐寧の言葉に肩をすくめた。
「労働条件がビターなのは勘弁だがな……」
 ままならないものだ、とラキアたちは爆炎上げる工場の破壊と共に帰路につくのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV2になった!
【エイティーン】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV6になった!

最終結果:成功

完成日2025年12月09日