リプレイ
アンゼリカ・レンブラント
最強巨獣キングゴンドワナとの戦い
本来勝てる相手ではなかった相手に誰も喪わず勝てたのは神像のおかげだよ
物言わぬキミ達も確かに仲間だって思っているから
別れを伴う作戦には抵抗感もある
でも奪還の為、キミ達に恥じないため全力を尽くすよ!
大城壁前で起動させるのはあの決戦で搭乗したこともある『レックスⅣ』に
その後は敵の猛攻を掻い潜りながら城壁まで接近するけど
必ず『朱鉄参號』を動かす仲間と動きを合わせる
狙いを分散させないと辿り着くことも出来ないからね!
こちらからの攻撃は城壁までの進路を阻む相手のみ
けれど狙う相手は神像で強化されたパラドクスを叩き込み、確実に落とす!
進路が開いたら城壁までダッシュダッシュ!
突出しないよう、常に『朱鉄参號』の位置は確認
《パラドクス通信》で連絡を密に
互いの狙いが集中しすぎないようにするね
コクピットの弱点に気づかれれば危うい
囲まれないよう同じ所には止まらないよ
さぁ道をあけろーっ!
城門まで辿り着いたら、攻撃を行う仲間にタッチかな
『レックスⅣ』のラストアタック――しっかり決めてよね!
一里塚・燐寧
天正大戦国がある限り日本の帰還は進まないし、京都や東京は攻められ続けるでしょ
最終人類史の『人命最優先』を掲げちゃった以上、家康はさっさと倒した方がいいよねぇ?
それにあの狸親父は絶対、壁の向こうで逆転の策を練ってるんだ
だったら――切り札で全部ひっくり返してやろうじゃん!
あたしは朱鉄参號で行くっ!
神像スケールの≪テンペスト・レイザー≫を両手持ちで担ぎ、城壁を目指して疾駆
腕の装甲や肩の大袖が自然と胸を隠す姿勢を作り、コクピットを守りながら突き進むよぉ
レックスとは【パラドクス通信】で連携を取り、動きに齟齬が出ないように
攻防に『呪式:爛離骨廃』を使用
呪詛纏う超巨大回転鋸刃でグチャグチャにブッ潰す!
基本は前方を立ち塞がる敵に集中しつつ、コクピットを正確に狙ってくる奴がいたら損耗が嵩む前に片付けとこ
ここが弱点って情報が広まるのもなるべく遅れさせたいからねぇ
突破された敵が追ってくるのを【泥濘の地】で遅れさせ、敵の斬撃は装甲と分厚い刀身で受けて只管進撃!
ふぃー、どーにか耐えきれたぁ……大一番は任せたよぉ!
断崖絶壁の如き威容を誇る巨大城壁、そこを埋め尽くすように展開する天魔武者の大軍勢。
断片の王『戦国覇王徳川家康』の居城を守る日光大城壁と対峙する形で、2機の巨大神像『朱鉄参號』と『レックスⅣ』は起動を完了した。
その目的は、日光東照宮へ向かう道を切り拓くことだ。大城壁を粉砕すべく、進撃を開始する最終兵器――その様子に衝撃を隠しきれない敵軍勢の様子を、アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)はレックスⅣのコクピットから見澄ましていた。
「予想はしてたけど、凄い数……! それだけ向こうも必死ってことかな。朱鉄参號の具合はどう、燐寧?」
「絶好調だよぉ。家康の所へ攻め込む為にも、ここは派手に蹴散らしてやろうじゃん!」
レックスⅣと肩を並べる朱鉄参號のコクピットより、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)がパラドクス通信を介して返答を返した。
鎖鋸剣『テンペスト・レイザー』を担ぐ彼女の視線は、破壊目標である城壁へ真っ直ぐに注がれている。
この作戦はやり直しの利かない一発勝負であり、僅かな手抜かりも許されない。燐寧とアンゼリカ、溢れんばかりの戦意を充溢させる二人の駆る巨大神像が、突撃の間合いへ歩みを進めて行く。
『なっ……何だ、あの巨大ロボは!?』『ディアボロスめ、城壁を破る気か……! 迎撃準備を急げ!』
大城壁のあちこちに声を響かせ、天魔武者の軍勢が大慌てで動き出す。
決死の覚悟で防衛にあたる彼らも、このような形での襲撃は想定外だったのだろう。迫り来る巨大な脅威を退けんと、陣形を組み直し始める天魔武者たち。そんな彼らの見下ろす先では、武装を展開した朱鉄参號とレックスⅣが、突撃まで秒読みの段階に入っていた。
「……レックスⅣと一緒に戦うのも、これで最後なんだね。悔いの無いように頑張らないと」
コクピットで得物の大剣『Day Braek of Leo』を構えたアンゼリカが、胸の内を零すように呟いた。
彼女の脳裏に蘇るのは、最強巨獣キングゴンドワナ決戦の記憶だ。本来ならば勝利も難しかった激戦を制することが出来たのは、紛れも無く巨大神像のおかげだとアンゼリカは今でも思っている。それだけに、別れを伴う今回の作戦に抵抗感があることもまた事実だった。
「でも……奪還の為、キミたちに恥じない為。全力を尽くすよ!」
「うん。家康をさっさと倒す為にも、切り札で全部ひっくり返してやろうじゃん!」
通信機を介して同意を返しながら、テンペスト・レイザーを構えた燐寧が言う。
復讐者が人類に掲げた『人命最優先』を達する上で、新宿島に隣接する天正大戦国の脅威は無視できない。非人道的な兵器で最終人類史への攻撃を目論んだ過去もある敵勢力だけに、その危険性は多くの復讐者が認識している。日本の帰還を進め、京都や東京を守る為にも、断片の王である家康の撃破は急務なのだ。
やがて2機が突撃の間合いに入ると、燐寧は深呼吸を一つ。己が意識を戦闘に集中させていく。
「……よし、準備オッケー。行こっか!」
「任せて。この作戦、必ず成功させるよ!」
そして――通信機より届くアンゼリカの返信と同時、2機の巨大神像が肩を並べて走り出す。
目標は、日光大城壁。家康を守る難攻不落の防壁を、その身を賭して打ち破る為に。
「行くよ! 突撃開始ーっ!!」
アンゼリカの声を合図に、レックスⅣと朱鉄参號が地響きを立てて城壁に突っ込んでいく。
巨大兵器を用いた強襲という想定外の攻撃に、天魔武者の一団が一呼吸遅れて次々に迎撃に動き出す。その狙いが巨大神像のコクピットへ集中するのをモニター越しに見遣り、燐寧の顔に不敵な笑みが浮かんだ。
「向こうも馬鹿じゃないんだし、そりゃ気づくよねぇ。けど――」
敵が神像の弱点を看破することは、元より想定の範囲内だ。燐寧の動きに合わせ、神像スケールのテンペスト・レイザーを担いだ朱鉄参號が、腕と肩の装甲でコクピットを覆い隠す。敵の態勢が整い切っていない今なら、城壁を破壊するまでの間くらいは耐えられるだろう。
両手持ちで構える鎖鋸剣の刃が、唸りを上げて回転を開始する。その隣で、アンゼリカの駆るレックスⅣが大剣を構えると同時、天魔武者が放つ散発的な迎撃の弾幕へ、足並みを揃えて突っ込んだ。
「さぁ道をあけろーっ!」
「あはっ、グチャグチャにブッ潰すよぉ!」
二人の雄叫びに呼応するように、戦場をパラドクスの輝きが席巻する。
復讐者の駆る巨大神像が城壁めがけて、破壊神さながらの勢いで肉薄する――。
そうして始まったのは、怒涛の猛攻だった。
城壁を破壊すべく、肩を並べて猛然と疾駆する朱鉄参號とレックスⅣ。それを阻まんとパラドクスを繰り出す天魔武者たちが、2機が振るう刃で鎧袖一触に蹴散らされていく。留まるところを知らない復讐者の勢いとは対照的に、敵の損害は瞬く間に膨れ上がり、天魔武者の残骸を戦場に晒し始めた。
『ぐわっ!』『ぎゃあぁ!!』
「どんなにかったーい装甲も、ドロドロのバラバラにしちゃうよぉ!」
搭乗した燐寧の動きに合わせ、朱鉄参號の鎖鋸剣が敵陣を一閃する。
コクピットで彼女が発動する『呪式:爛離骨廃』は、「存在否定」の呪詛を纏う斬撃で敵を粉砕するパラドクスだ。進路上の敵を回転刃が薙ぎ払う度、その身に刃を穿たれた天魔武者が残らず消し飛んでいく。その勢いたるや凄まじく、雨霰と降り注ぐ敵の迎撃は、未だ神像を止めることは叶わない。
とはいえ、コクピットの存在が敵側に露見した今、ぐずぐずしている余裕は無い。増援の天魔武者が押し寄せるのは時間の問題であり、その前に城壁を破壊出来なければ全てが終わる。賽が投げられた今、引き返す道は存在せず、故に二人が選んだのは更なる苛烈な猛攻だった。
「やられる前に、やるっ! 雷光よ、我が剣に集いて敵を焼き払え!!」
今は前へ、ただ前へ。
不退転の決意と共にアンゼリカが発動した『雷剣波紋衝』の斬撃が、前方の敵陣を捉える。レックスⅣの掲げる大剣に収束した膨大な魔力とオーラの雷光は、さながら光の洪水と化して、進路を阻む天魔武者を吹き飛ばしていく。
「ダッシュダッシュ! いっけええぇぇぇぇぇーっ!!」
そうしてこじ開けた進路を、まっすぐに突き進み。
レックスⅣと朱鉄参號は、ついに城壁へ取りつくことに成功した。
未だ無傷を誇る城壁を前に、2機の巨大神像が次なる行動に向けて待機する。
敵の増援が来るまでに残された時間は、幾許も無い。それまでに城壁を破壊出来るか否か――それが作戦の成否を分ける。激闘で生じた疲労が押し寄せる中、燐寧とアンゼリカは後続の二人へ操縦を交代した。
「ふぃー、どーにか耐えきれたぁ……大一番は任せたよぉ!」
「さぁ、いよいよだね。『レックスⅣ』のラストアタック――しっかり決めてよね!」
かくして、新たな復讐者をコクピットに向かえ、2機の神像が動き出す。
朱鉄参號とレックスⅣ。その最後の戦いが、いまここに幕を開ける――!
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
天魔武者を蹴散らし、怒涛の進撃を続けた朱鉄参號とレックスⅣは、遂に大城壁の下へと辿り着いた。
戦場には敵の増援が次々と押し寄せ、神像を破壊せんと動き出している。
彼らに先んじ、城壁破壊に挑める好機は一度のみ。天正大戦国奪還戦を挑む道を拓く為、いま復讐者たちは2機の巨大神像と共に大一番に臨もうとしていた。
文月・雪人
朱鉄参號、君達巨大神像の起動から丁度一年になるんだね。
短い間にも、大阪城突入やキングゴンドワナ決戦と、厳しい戦いを一緒に乗り越えてきた。
この戦果は君達の力があったから、本当にありがとう。
最後の戦いも共に。
行くよ、朱鉄参號!
大壁まで至ったら朱鉄参號の前任者と交代。
必ずレックスⅣの仲間と連携して動く。
分散して壁まで来たなら距離もあり、双方動いて攻撃場所を合わせる必要もあるよね。
『朱鉄の絆』のパラドクス使用。
大壁の構造的に弱い部分を事前予測とパラドクスの力で瞬時に見抜いて情報共有、攻撃場所の最終決定を行う。
神像サイズの雪月花の刀を手に、大壁も足場にした縦横無尽な立ち回りで、敵の攻撃を掻い潜りながら攻撃場所へと接近、
レックスⅣの仲間の攻撃と寸分違わぬ場所狙い、大城壁へと大穴を穿つ!
作戦後も気は抜けない。
敵側の悪用を防ぐべく、起動キーと巨大神像達の心臓部だけでも【アイテムポケット】に。
朱鉄参號、レックスⅣ、君達に誓うよ。
この戦いを決して無駄にはしない。
戦国覇王徳川家康を倒し、この地を必ず奪還する!
月下部・小雪
さ、作戦は決行です。
これが朱鉄参號さん、レックスⅣさんと一緒に戦う最後、く、悔いのないよう頑張ります。
コダマと一緒に城壁に取りついたレックスⅣさんに乗り込みます!
巨大神像さんは元々は獣神王朝エジプトのクロノ・オブジェクトだったかもしれません。
けど、一生懸命復元して一緒に戦えるようになった今はボク達の仲間です。
この雄姿をめ、目に焼き付けていってください!
【トラップ生成】で敵を足止めしつつ、朱鉄参號さんのパイロットと【パラドクス通信】で連絡を取り合って、城壁への攻撃を合わせます。
パラドクス発動、穴を開けるならこのパラドクスです!
【螺旋工具装備型モーラット・コミュ】のコダマのドリルを再現しちゃってください。
コクピットで操縦するボクの頭の上で、コダマももきゅーっとドリルを突き刺す動きをしてくれてます!
大勲章を使って【破壊】技能も上乗せして……これが、これがボク達と巨大神像さんの最大出力、です!!
敵の集中攻撃でボロボロになる巨大神像さん達を見て涙目になるけれど……
絶対にこの犠牲を無駄にはしません!
「……よし、城壁を捉えた。後は攻めるだけだ」
朱鉄参號の操縦を受け継いで、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)がコクピットで呼吸を整える。
敵の防衛戦力が足並みを乱している今は、城壁を破壊する絶好の好機だ。そこに乗じるべく、雪人はレックスⅣの搭乗者へ通信を送った。
「狙う先は城壁の中央部分。それで構わないかな?」
「大丈夫、です。が、頑張りましょう!」
レックスⅣのコクピットから、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)が返事を返す。
退路が断たれた今、復讐者たちの活路は大城壁を突破した先にしかない。それを成し遂げる為には、2機の巨大神像による城壁への集中攻撃が不可欠だ。
今こそ、断片の王が座す『日光東照宮』への道を開く時。
レックスⅣと朱鉄参號、2機の神像より溢れるパラドクスが戦場を包んでいく。
小雪と雪人の駆る巨大神像が攻撃態勢を取る中、天魔武者の軍勢は未だ大きな混乱に包まれていた。
その原因は、彼らの周囲に展開するトラップ群だ。目晦ましの閃光、落とし穴、煙幕――小雪が大勲章の力で生成した罠は天魔武者を阻み、未だ神像への攻撃を許さない。
『何だこの罠は!?』『く、くそ、狙いが……!』
大勲章とトラップ生成で足止めを食う敵をよそに、朱鉄参號とレックスⅣは機体の出力を上げて行く。そうして攻撃準備を着々と整えながら、雪人と小雪は、神像たちへ最後の言葉を送り始めた。
「……朱鉄参號。君たち巨大神像の起動から丁度一年になるんだね」
「元々は獣神王朝エジプトのクロノ・オブジェクト……けど今は、みんなボクたちの仲間です」
短い間に乗り越えてきた戦いを、二人は共に振り返る。大阪城突入、キングゴンドワナ決戦――強大なクロノヴェーダたちの撃破を成し得たのは、巨大神像の力があったからこそ。離別を惜しむ気持ちを今だけは忘れ、雪人が感謝の言葉を紡ぐ。
「本当にありがとう。そして……最後の戦いも共に」
同時、最大まで上昇した出力が、時の到来を告げた。
『雪月花』の刀を構える雪人に応えるように、朱鉄参號の心臓が力強い鼓動を刻む。
小雪の頭上に飛び乗ったコダマと併せ、レックスⅣの剛腕が巨大ドリルを装着する。
「行くよ、朱鉄参號!」
「レックスⅣさん。その雄姿を、て、敵さんの目に焼き付けてやりましょう!」
そうして、二人の声に応えるように。2機の巨大神像は、大城壁めがけ最後の突撃を開始した。
朱鉄参號が、先陣を切って城壁へと肉薄する。
神像サイズの雪月花を構えた神像で、繰り出すは『朱鉄の絆』の一撃だ。堅牢な城壁の最も深く刃を通せる場所を、雪人のパラドクスは瞬時に導き出す。
城壁のあちこちでは、天魔武者の軍勢がトラップを相手に藻掻き続けていた。中には苦し紛れの攻撃を試みる者もいたが、大勲章による妨害は未だ彼らに真面な行動を許さない。
『……っ!!』
次の瞬間、天魔武者の足下より激しい振動が襲い掛かる。
朱鉄参號の刃が、ついに大城壁を捉えたのだ。壁を足場に疾駆する朱色の巨大武者が、紅蓮の炎にも似たオーラを帯びて、神像サイズの雪月花を振るう。後方には、巨大ドリルを回転させながら殺到するレックスⅣの雄姿が見て取れた。
その光景を前に、天魔武者たちの総身を戦慄が襲う。
彼らは悟ってしまった。間に合わない。大城壁は、今この瞬間に破られる――!
『よ、よせ! やめろ――』
「大壁を打ち砕け。朱鉄の絆!」
天魔武者の悲鳴をかき消して、雪月花の切先が大城壁へ繰り出された。
戦地を駆ける友との絆を胸に放つ一撃は、果たして分厚い城壁に深々と突き刺さり。切先より生じた亀裂は、たちまち蜘蛛の巣のように壁面に広がり、大きな傷を刻む。続くようにそこへ突撃するのは、小雪の駆るレックスⅣだ。
「コダマ、スーパーぐるぐるアタック、です!」
「もきゅー!」
小雪の頭上でドリルを操るコダマに合わせ、繰り出すは『螺旋工具装備型モーラット・コミュ』。神像に合わせて巨大化を果たした円錐状ドリルは、狙い違わず城壁の亀裂へ直撃し――コダマの電力が齎す超高速回転が、大城壁を内部から滅茶苦茶に破壊していく。
「これが、これがボクたちと巨大神像さんの最大出力、です!!」
魂に刻まれた大勲章が、一際眩い輝きを放つ。
小雪とコダマ、レックスⅣ。三位一体の一撃に、大城壁は断末魔にも似た轟音を響かせながらその威容を崩壊させていき。天魔武者の大軍勢が護る不落の壁を、跡形も残さず粉砕するのだった。
激闘の果て、ついに復讐者たちは大城壁の破壊に成功した。
日光東照宮への道を塞ぐ要衝は機能を喪い、崩落した城壁の先には日光東照宮へ続く道が開けている。
それは天正大戦国奪還戦に向けた、紛れも無い戦果。だが――その喜びに浸る間もなく、雪人は起動キーを手にコクピットを飛び出した。
疲労の押し寄せる体を叱咤して、向かった先は朱鉄参號の胸部。そこに収まる心臓を、急ぎ回収する為だ。神像を敵に利用される事態は何としても避けねばならない。
「頼む、間に合ってくれ……!」
小雪が大勲章で敵を止めている今が最後の猶予だった。幾許も無い時間の中、大急ぎで胸部装甲を破壊すると、雪人は心臓をアイテムポケットに仕舞い込む。息つく間もなく地面に飛び降り、続くレックスⅣの下へ辿り着くと、そこにはコクピットを脱出する小雪が見えた。
「レックスⅣの起動キーは!?」
「回収しました。そ、それより急いで下さい! 敵さんが、トラップを抜けて来ます!」
果たして小雪が指さす先には、天魔武者の軍勢が今まさに攻撃を開始しようとしていた。
大勲章を駆使して尚、敵の勢いは圧倒的だ。返事を返す時間すら惜しみ、雪人はレックスⅣの胸部へ辿り着くと、急ぎ装甲を剥ぎ取っていく。大急ぎかつ力ずくの回収ゆえ、2機の心臓にどの程度機能が残るかは分からない。再使用の保証すら現状では定かではない。だがそれでも、
「それでも……最後まで諦めないよ!」
そして――レックスⅣの心臓を収納し、雪人が退避を完了した次の刹那。
天魔武者の大軍勢による猛攻が、2機の巨大神像めがけ一斉に降り注ぎ始めた。
「……っ!」
パラドクスの砲火に晒された朱鉄参號とレックスⅣが、その身を破壊されていく。最後の瞬間まで復讐者と共に戦い続けた神像たちは、やがて跡形も無く消し飛ばされ――名残を示すように、地面には僅かなパーツの破片だけが遺された。
「朱鉄参號さん……レックスⅣさん……」
天魔武者のパラドクスに晒され、跡形も無く破壊された巨大神像たち。その残骸を前に、小雪は眦に溢れた涙を拭う。
彼女が見つめる先、攻撃を仕掛けた大城壁には、神像の攻撃で穿たれた大穴が見えた。救援機動力で駆け付けた復讐者たちが次々と城壁の突破に動き出す中、小雪は疲労がのしかかる身体を叱咤して立ち上がる。ここで止まる訳にはいかない。突破を完遂するまで、作戦は終わっていないのだから。
「道は、開けました。……進み、ましょう!」
「ああ。ぐずぐずしてはいられない」
小雪に頷きを返し、雪人が一歩を踏み出した。最後の瞬間まで戦い続けた2機の神像に、自らの誓いを伝えるように。
(「朱鉄参號、レックスⅣ。この戦いを決して無駄にはしない。戦国覇王徳川家康を倒し、この地を必ず奪還する!」)
そうして二人は頷きを交わし、次なる戦場に向けて歩き出す。
大城壁の戦いは、いよいよ佳境。今こそ敵を蹴散らして、日光東照宮への道を突き進む時だ。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
『馬鹿な……だ、大城壁が……!!』
眼前に広がる信じがたい光景に、指揮官の『新刀の祖』堀川国広は悲鳴にも似た呻きを洩らした。
日光東照宮への道を阻む、難攻不落の大城壁。王たる家康の居城を守る城塞は今や跡形も無く破壊され、大穴を穿たれた姿を晒しているのだ。
それは即ち、下野国のみならず、天正大戦国を治める断片の王の危機と同義。
2機の巨大神像を破壊したという報告は彼の下にも届いていたが、今更そんな報せが慰めになる訳も無い。ここで復讐者を討たねば、彼らの刃が家康の下に届くのは時間の問題と言って良い。それは、その事態だけは、命に懸けても阻止しなければならなかった。
『討て、討ち取れ! ディアボロスを一兵たりとも、この奥へ進ませてはならぬ!!』
頭部のモノアイを狂ったように明滅させながら、堀川が叫ぶ。
その命令一下、群れを成して迎撃に動き出す鬼面赤備衆たちへ、復讐者たちは一丸となって突撃していく。
朱鉄参號とレックスⅣによって破壊された、日光大城壁。その地を舞台に、更なる激戦が始まろうとしていた――。
音羽・華楠
……ちょっと今は、どんな表情を浮かべればいいのか、解りません……。
朱鉄参號とレックスⅣを悼むのは後に回します。
今は、不甲斐なさとかやるせなさとか、そういう感情を全部怒りや殺意に変換し、天魔武者共へぶつけます。
……八つ当たりと言いたければ言いなさい……!
朱鉄参號とレックスⅣが拓いた道、閉ざさせなどしません!!
《雷幻想・蜈蚣》――
雷の大百足の式神を招き、行く手を阻む敵へ突撃させます。
《蜈蚣》の巨体で轢き潰し、大顎で噛み砕いてあげましょう……!
派手に暴れることで敵への威圧とし、弱気を煽れれば。
或いは、敵の目を引き付ける陽動に。
それらの隙を突いて、他の復讐者たちがより奥へと浸透出来れば御の字です。
……勿論、敵の攻勢が緩いなら、私自身と《蜈蚣》での突破を視野に入れますが。
敵からの攻撃には、今日は『攻撃は最大の防御』の心持ちで対応。
敵が攻撃を放つよりも早く殺せれば、万全の攻撃が出来ないほど深い傷を負わせれば、結局それがこちらの被害を少なくします。
味方との連携が出来るよう、戦況把握はしっかりと。
朱鉄参號とレックスⅣの猛攻により、跡形も無く崩壊した大城壁。
辛うじて残った防衛拠点から天魔武者の一団が殺到して来る最中、音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は無言で唇を噛み締めた。
城壁の破壊と引き換えに破壊された2機の巨大神像――それは彼女にとって、余りに大きな喪失だったからだ。
「……ちょっと今は、どんな表情を浮かべればいいのか、解りません……」
不甲斐なさとやるせなさ、込み上げる感情に声を震わせながら、華楠は城壁の跡へと目を向ける。
そこに見えるのは、刀を構えた赤備衆の群れ。復讐者を阻むべく迫る天魔武者たちを前に、華楠は自身の感情をありったけ怒りと殺意に換えていく。
無論、理性では分かっている。拠点を守る天魔武者側にすれば、巨大神像の破壊も、復讐者の排除も、至って当然の行動に過ぎない。だが、彼女の胸中に渦巻く想いは、そんな理屈を退ける程に強烈だ。
八つ当たりと言いたければ、言えばいい。行く手を阻む敵は、残らず粉砕する――その決意を胸に、華楠は射殺さんばかりの視線を敵へと向けて叫ぶ。
「朱鉄参號とレックスⅣが拓いた道、閉ざさせなどしません!! 天魔武者、覚悟っ!!」
華楠の怒りに、戦場の空気が沸騰する。
同時、パラドクスの奔流より現れたのは、雷の化身たる大百足。『雷幻想・蜈蚣』で召喚した式神は、発動者である華楠の忠実な手足として、歯向かう敵を粉砕する力を持つ。大型トラックくらいは軽く噛み砕きそうな大顎を武器に、狙うは赤備衆の先頭集団だ。
鎌首をもたげて地上を睥睨する百足の姿は、圧倒的な威圧感を敵に齎す。それを前にした赤備衆は、奮い立つように雄叫びを上げながら、尚も足を止めようとはしない。
『最早我らに退路なし!』『斬れ! ディアボロスを斬り捨てろ!』
「望むところです。残らず轢き潰してあげましょう……!」
華楠の号令一下、蜷局を撒いた巨体が敵群めがけて突進を開始する。電光石火の如き速度で繰り出す猛攻は、一切の防御を敵に許さず――荒れ狂う嵐さながら、天魔武者の先頭集団と激突した。
「立ち塞がるなら容赦しません!」
押し寄せる赤備衆の一団を、大百足が鎧袖一触に蹴散らしていく。
使役する華楠の怒りが乗り移ったように、式神の攻勢は苛烈そのものだ。巨体で引き潰し、大顎で粉砕し、進路を阻む敵を片端からスクラップに変え。尚も止まらない大百足の猛攻は悪夢さながら、戦慄と畏怖を赤備衆に齎した。
『くっ……怯むな、押し切れ!』
「甘く見ないで貰いましょう……!」
敵が反撃で放ってくる居合抜きを物ともせず、大百足が標的を撃破し続ける。
赤備衆とて弱兵では無いが、そんな彼らの抵抗を華楠は物ともしない。
今は、攻めて攻めて攻めまくる時。式神の巨体を以て敵を粉砕し、彼女は仲間たちの突破口を切り拓いていった。
大百足を引き連れて、大立ち回りを繰り広げる華楠。猛攻でこじ開けた血路を目指し、後方より駆け付ける仲間へ、彼女は今こそ好機と視線を送る。
「敵は足並みを乱しています。このまま、一気に突き進みましょう!」
鬼面赤備衆の一団は刻々と頭数を減らしつつあり、排除完了は時間の問題だ。
今は只、日光東照宮を目指して突き進む時。不動の決意を胸に秘め、復讐者たちは崩壊した大城壁を駆け抜けていく――。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【温熱適応】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
顔を伏せてばかりもいられない、作戦を決行したからには最後まで。
前を向き、未来の為に、己のなすべき事をする。
そうさ、ここで止まってなるものか!
迎撃に駆け付ける敵に鋭く視線を向けて、その動きを冷静に見極める。
敵数は多いが、動揺も広がっている今は攻撃のチャンスともいえるだろうか。
【パラドクス通信】で仲間と連携し、間を置く事なく皆と共に仕掛けていこう。
胸を差す痛みと、湧き上がる感情を力に変えて、任務の遂行に集中していく。
【完全視界】で戦場を見通して、今はあくまでも冷静に。
『無明轟刃』のパラドクスを使用。
雑念を払い、己の目に映る敵全ての動きを把握して、
雪月花の刀を手に、【命中アップ】【ダメージアップ】の力と共に、疾風の如く敵を薙ぎ払う!
鬼面赤備衆、敵も刀使いである様子。
居合術には刃に刃を合わせて切り結びつつ、戦場を駆け、次なる攻撃へと繋げていく。
集中攻撃を受けない様に、【泥濘の地】で迎撃に来る敵の足を鈍らせつつ、
仲間と攻撃を合わせて確実に数を減らしていこう。
進むべき道はこの先に!
アンゼリカ・レンブラント
迫りくる鬼面赤備衆たちを仲間と協力し迎撃しよう
残骸となった2機の神像の姿はもうない
けれど私や友の胸には生き続けているともさ
進む!
覚悟しなよ天魔武者
今の私たちは、いつもよりずっと強いよ!
激情を剣に乗せ、パラドクスの閃光と衝撃波で敵陣を攻撃
心は猛るけれども頭は冷静に
【パラドクス通信】を駆使し仲間と連携を意識し
敵陣の薄いところや狙いなどを共有し、
倒せる相手から攻撃し確実に敵を倒していこう
そうとも、ただ力を振るうのみならず、細心に勝機を掴む
最強巨獣もそうやって打ち破ったんだものね!
相手の斬撃をしっかり盾で受け、反撃をお返ししてやろう
敵陣の足を鈍らせられるなら【泥濘の地】も活用して
勝利を掴む!
見ろ、あの大穴を穿たれ崩れ落ちた日光大城壁を!
幾多のジェネラル級を擁し、
律令国の厚い護りを誇った難攻不落の天正大戦国は、
今や滅びを待つだけの存在になり下がった!
それを為した我らが友に勝利を捧げよう
私たちのこころ!最大まで輝きて敵陣を蹴散らせ!
神像に届けとばかり叫びをあげ
《光剣閃波》の一刀で敵陣を倒していくよっ
不落を誇る日光大城壁の崩壊は、天魔武者の勢力に大きな混乱を齎していた。
2機の巨大神像が彼らに齎した衝撃は凄まじく、その余波は彼らの足並みを未だ大きく乱したままだ。そんな中、いち早く戦場へ駆け付けた鬼面赤備衆は、復讐者を排除せんと決死の抵抗を続けている。
城壁突破を試みる復讐者と、立ち塞がる天魔武者。両者の死闘が激しさを増して、激戦の熱気で戦場を席巻していく。
「……顔を伏せてばかりもいられない。作戦を決行したからには、最後まで戦う!」
激戦の果てに破壊された、2機の巨大神像。その喪失感に覆われそうになる心を叱咤して、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は己が進む道を見遣った。
未来の為にも、為すべきことは明白。湧き上がる感情を力に変え、冷静に戦況を把握するのが最優先だ。
敵指揮官が発した命令の下に殺到して来る赤備衆の一団は、着々と混乱から立ち直りつつある。腐っても城壁を守る精兵、死に物狂いで復讐者を阻む気なのだろう。
時間が経つほど、状況は敵の有利に傾く――そう判断すると同時、雪人はパラドクス通信を発動していた。
今は仲間と連携し、一気に畳みかける時。態勢を立て直す猶予など与えず、速攻で赤備衆を蹴散らさねば。
「行こう。このまま血路を切り拓く」
「了解っ。戦いは、まだ始まったばかりだからね!」
雪人の呼びかけに、アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)が呼応する。
残骸となった巨大神像はもはや戦場に残っておらず、その痕跡をアンゼリカが振り返ることも無い。2機の雄姿が自分や友の胸に生き続けることを、彼女は知っているからだ。
家康の下へ向かう為、必ずや作戦を成功に導いてみせよう。猛る激情を制しながら、アンゼリカは押し寄せる赤備衆の前に颯爽と進み出る。
「覚悟しなよ天魔武者。今の私たちは、いつもよりずっと強いよ!」
「そうさ、ここで止まってなるものか! 赤備衆、覚悟!」
行く手を阻むならば容赦しない。滾る戦意を胸に、二人の復讐者は戦いの火蓋を叩き切った。
『先へ進ませてなるものか!』『ディアボロスは寡勢だ、圧し潰せ!』
崩壊した大城壁を舞台に、刀を抜き放った赤備衆の鯨波が木霊する。
彼らに残された道は二つに一つ、復讐者の排除か、さもなくば討死あるのみ。そんな鬼気迫る敵を前に、一方の復讐者たちはどこまでも冷静だった。
ただ力を振るうのみならず、細心に勝機を掴むこと――かつて最強巨獣との決戦を制した時の心構えは、この戦場においても何ら変わることは無い。アンゼリカは先陣を切って駆け出すと、燃えるような激情を剣に乗せ、渾身の一撃を敵陣めがけて叩きつけた。
「倒せる相手から……確実に倒すっ!」
眩い閃光、大地を揺さぶる衝撃が、戦闘の開始を告げる。
アンゼリカが狙う先は、先頭を僅かに外れた敵の一団だ。大城壁を破壊された焦燥ゆえか、敵の陣形は完全には整いきっておらず、その僅かな綻びを復讐者たちは見逃さなかった。
泥濘の地で足並みを乱し、続け様に叩きつける衝撃波が赤備衆を消し飛ばす。僅かな時間稼ぎも許さぬアンゼリカの猛攻を前に、死を免れた敵は存在しない。たちまち屍を積み重ねていく敵群を標的に、雪人は『無明轟刃』を発動すると、雪月花の刃で更なる追撃を見舞う。
「この一撃で、薙ぎ払うよ!」
『ぐ……ぐわぁぁぁっ!』
怜悧な輝きを帯びた刀の一閃が、敵陣に真正面から食らいつく。
雑念を払った雪人の眼は、敵のいかなる動きも見逃すことは無い。残留効果で火力を増した斬撃は、赤備衆を捉えた傍から斬り伏せて、敵の屍を戦場に積み上げて行く。その勢いは疾風さながら、一切の防御も回避も許さず――刀光が煌く度に響く断末魔は、たちまち戦場を覆っていった。
斬撃を見舞い続ける雪人が、嵐のように敵陣を翻弄する。
赤備衆が繰り出す居合の刃と切り結び、なおも戦場を駆け続け、その猛攻は未だ収まる気配を見せない。敵の足を鈍らせるべく活用した泥濘の地も奏功し、彼の攻撃は着実に敵戦力を削り続けていた。
「よし。敵の陣形が崩れ始めた……!」
「今が好機だね。それならっ!」
息を合わせた復讐者たちの攻撃が、敵群をじりじりと押し込んでいく。
そこに更なる追撃の機を見て取ったアンゼリカは、今こそその時と胸を張って叫ぶ。抵抗を続ける敵の戦意を挫くように、そして、共に戦う全ての仲間たちを鼓舞するように。
「見ろ! あの大穴を穿たれ、崩れ落ちた日光大城壁を!
幾多のジェネラル級を擁し、厚い護りを誇った難攻不落の天正大戦国は、今や滅びを待つだけの存在になり下がった!」
敵の大群を相手に剣を振るいながら、アンゼリカは尚も鼓舞の言葉を上げ続ける。居合の刃に身を刻まれようとも、決して彼女は止まらない。
「それを為した我らが友に勝利を捧げよう! 私たちのこころ! 最大まで輝きて敵陣を蹴散らせ!」
喪われた神像たちに届けとばかりに叫ぶ中、呼応するようにアンゼリカの剣が黄金の光を帯びていく。
激戦で手負いとなった敵群を標的に、繰り出すのは『光剣閃波』の一撃。斬撃に乗せて放つパラドクスの閃光と衝撃波で、赤備衆の陣形を削り取るのが狙いだ。
「どんな相手でも、この光剣で叩き斬るよっ。負けるもんかーっ!」
アンゼリカの剣より迸る閃光が、波濤となって戦場を包み込む。
未来への道を切り拓く決意を胸に振るう、それは必殺の刃。続け様に放たれた衝撃波は、残留効果で火力を増して敵軍勢を薙ぎ倒し、逃れ得ぬ死を赤備衆に齎した。
『だ、駄目だ、防ぎ切れん……! うおおぉぉぉぉぉぉ!!』
撃破されていく敵陣を切り拓きつつ、アンゼリカと雪人は崩壊した城壁の中を駆けて行く。
残る赤備衆は後僅か。それを排除すれば、次に待つのは敵指揮官との戦いだ。激戦の続く戦場を駆け抜けて、雪人は後続の仲間たちへ合図を送る。
「さあ、あと一息だ。進むべき道はこの先に!」
この戦いで重ねた勝利は、断片の王へ挑む道の礎となる。
天魔武者たちとの激戦が続く中、雪人とアンゼリカの後方より、更なる復讐者たちが駆け付けようとしていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
【泥濘の地】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
クィト・メリトモナカアイス
獣神王朝で最初の起動実験をしたのが3年前、ゴンドワナで朱鉄参號とレックスⅣの前身となる神像を見つけたのが2年前。起動し改造したのが1年前。
どれもよく覚えてる。
けれど。これで徳川家康の想定の上を行き、最終人類史を攻撃する兵器の稼働を遅らせられるなら。
んむ、進もう。
浮遊球形ガジェット「モナカ」斬撃型を呼び出して「斬撃のデボンレックス」。
機体から刃が飛び出した状態でのモナカ斬撃型たちによる突進攻撃。
飛びかうモナカたちの刃で鬼面赤備衆たちを切り裂き、更に刃に塗られた酸で切った所から腐食させていこう。
ふむむん、兵の数よりも防壁を使って防衛するつもりだったのかな……?
となるとやはり今が好機。落としきるべし。
防壁がなくなったし、防壁の上にいた奴らはろくに陣形も作れてなさそう。他の復讐者とも息を合わせて一気に倒しきろう。モナカ斬撃型、ゆけー!
反撃の巨大な斬撃は手に持った黄金猫拳打棒で防御。
今日の我はとっても本気。全員しばき倒す。
一里塚・燐寧
巨大神像は敵だった頃からよく知ってるよぉ
今まで実用化に向けた提案を考えたり、デザインや名前を決めたり……ほんとに色んなことがあったねぇ
エジプトから長く関わった分、実感するんだ
強いクロノ・オブジェクトは大事に飾るためのコレクションじゃないってさ
使うべき時が来たら使う。でもって――絶対に勝つッ!
仲間やその召喚物が放つ攻撃に合わせて、≪テンペスト・レイザー≫を手に突撃!
敵陣に穿った穴をあたしの技で押し広げながら前線を前に進め、迎撃態勢を崩しにかかろう
鋭い回転鋸刃で敵の1体に斬りつけると共に『呪式:異苦同怨』を発動
周囲にいる他の個体にも、巨大な回転鋸刃が鎧を斬り削り、躯体の内側まで引き裂く傷を転写
重ねた【ダメージアップ】で速やかに集団の数を減らせれば、それだけで攻め易くなるでしょ!
反撃の剣を鋸刃で打ち払いながら突き進むよぉ
防壁上にいる敵に対しては≪DCブラスター≫に持ち替えてパラドクス発動
できれば特に混乱・狼狽してる奴を狙い、直撃弾のダメージを伝染させるよぉ
これが覚悟を決めた復讐者の強さだよぉ!
元は獣神王朝エジプトの兵器であり、最終人類史の敵でもあった巨大神像たち。
その後、鹵獲した復讐者たちの手で実験と回収を進め、改造と起動の後に実戦配備を行い。朱鉄参號とレックスⅣという名を与えられ、城取合戦や断片の王との決戦で活躍し――そうして彼らは3年という年月を駆け抜け、今ここに役割を全うして喪われた。
3年。短いようで長かった神像たちとの日々を、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は静かに思い返す。今なお脳裏に鮮明に蘇る、仲間たちと駆け抜けた日々と共に。
「……んむ。どれもよく覚えてる」
「今まで、ほんとに色んなことがあったねぇ。……実用化に向けた提案を考えたり、デザインや名前を決めたりさ」
クィトの横に立つ一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は頷きを返すと、神像たちとの日々を思い返す。
最初期から――敵であった頃からの付き合いとは裏腹に、二人の紡ぐ言葉は少ない。あえて言わずとも、それは彼女たちの心で、今も色褪せない記憶として残っているからだ。
「……長く関わった分、実感するんだ。強いクロノ・オブジェクトは、大事に飾るためのコレクションじゃないってさ」
「んむ」
悔いの無い笑顔を浮かべながらテンペスト・レイザーを構える燐寧に、クィトは静かに頷いた。
彼女たちが見澄ます先には、崩れ去った大城壁と、今なお抵抗を続ける赤備衆の群れが見える。序盤の戦闘で数を減らした彼らは、戦況を覆すことも叶わぬまま、既に全滅も間近の状態だ。それは巨大神像による大城壁の破壊が、天魔武者にとって青天の霹靂であることを物語る光景でもあった。
徳川家康の想定の上を行き、最終人類史を攻撃する兵器の稼働を遅らせる――その一歩となる礎を、2機の巨大神像たちは確かに築いたのだ。
故にクィトと燐寧は思う。この戦いに、勝利以外の結末は許されない。
「使うべき時が来たら使う。でもって――絶対に勝つッ!」
「んむ、進もう」
燐寧の言葉に応じるように、クィトが浮遊球形ガジェット『モナカ』斬撃型を次々と展開する。
ここから先は、ただ結果を以て語るのみ。
行く手を塞ぐ天魔武者の集団を排除すべく、二人の復讐者たちは阿吽の呼吸で戦場を駆け出した。
敵が頭数を減らし、復讐者が有利を得てなお、クィトと燐寧に一切の油断は存在しなかった。
大城壁の破壊が成ったとは言え、戦場に展開する敵は多勢を極める。無用な時間を与えれば、増援が押し寄せるのは確実と言って良い。作戦の完遂までは一秒たりとも気を抜くこと無く、クィトは崩壊しかけた赤備衆の隊列を標的に、モナカ斬撃型の群れを一斉にけしかけた。
「ふむむん、敵が混乱している今が好機。汝等雑兵に用は無し、道を開けよ」
『おのれ……侮るか、貴様っ!』
迎撃で放たれる光速の居合を、黄金猫拳打棒を得物に切り結びながら、クィトが斬撃型の攻撃で敵陣を撹乱する。
酸を帯びた鋭刃を武器に、斬撃と腐食で標的に死を齎すのが斬撃型のスタイルだ。可愛い外見とは裏腹に極悪な威力を誇る浮遊ガジェットの群れは、陣形を崩した赤備衆の一団へ食らいつき、彼らを更なる窮地に追い込んでいく。
「んむ、敵陣に穴が開いた。このままこじ開けるべし」
「オッケー! ガンガン突き進むよぉ!」
クィトの言葉に呼応して、燐寧のテンペスト・レイザーが唸りを上げる。
生き残った赤備衆は既に残り少ない。足並みを乱した敵を一掃すべく、彼女が振るう鎖鋸剣は唸りを上げて、崩壊しかけた敵陣へ瞬時に肉薄した。
「一人だけ苦しいのは辛いでしょ? じゃ、みんなを苦しくしたげるよぉ!」
ダメージアップで火力を増した回転刃が、敵の装甲を薄紙同然に切り裂いて、一撃で絶命せしめる。呪詛と怨念を纏う斬撃は標的を葬るだけでは飽き足らず、標的に与えた傷を周囲の敵に転写し始めた。大群相手の戦いにとりわけ効果を発揮する、『呪式:異苦同怨』の真骨頂だ。
回転鋸が齎す呪詛の呻きは、未だ留まるところを知らず。燐寧の猛攻は一層熾烈に、戦場の敵を呑み込んでいった。
崩壊した大城壁への突撃開始から数分。破竹の勢いで進撃を続ける復讐者たちは、赤備衆の一団を早くも全滅に追い込もうとしていた。
戦いの流れが復讐者の側にあることは、既に明らかだ。敵軍勢の多くが陣形を乱す中、いち早く迎撃に駆け付けた赤備衆を相手に、燐寧とクィトは嵐の如き勢いで敵を撃破し続けている。
「これが覚悟を決めた復讐者の強さだよぉ!」
「モナカ斬撃型、ゆけー!」
『ぐわっ!』『く、いかん……このままでは……!』
テンペスト・レイザーが呪詛の唸りを上げる。モナカ斬撃型が敵陣を駆け抜ける。二人がパラドクスを振るう度、赤備衆の屍が増えていく。
最後の一兵まで果敢に戦い続ける敵の士気は、確かに見事なものと言えよう。だが、そんな彼らに容赦する気は、燐寧にもクィトにも存在しない。
巨大神像と共に拓いた道を駆ける二人の足は、一秒たりとも止まらない。瞬く間に敵を全滅寸前に追い込んだ燐寧は、反撃で迫る加速斬撃を回転鋸で弾きながら、クィトへとどめの合図を送る。
「クィトちゃん、締めは任せたよぉ!」
「んむ、今日の我はとっても本気。全員しばき倒す」
息を合わせてクィトが発動するのは、『斬撃のデボンレックス』。
突撃命令と共に加速したモナカ斬撃型は、僅かに残った赤備衆に最後の斬撃を浴びせ、刃に秘めた腐食性の酸によって敵の体を浸食していく。
果たしてクィトの猛攻に、敵は為す術なく一体また一体と絶命し――最後の赤備衆が斃れることで拓けた道を、二人は疾風の如く駆け抜けていった。
襲い来るトループスを蹴散らした復讐者たちが、混乱の続く戦場を疾駆する。
大城壁の突破は、もはや目前だ。崩れ去った瓦礫の向こう、見出した突破口を目指して更に速度を上げようとした、しかし次の刹那――先頭を進むクィトと燐寧の足がぴたりと止まる。
「むむ。前方から不穏な気配がする」
「うん。……どうやら、親玉のお出ましみたいだねぇ」
言葉を交わし合う二人の視線が、揃って前方へと向けられた。
立ち込める土煙の向こう、大地を震わせながら一つの影が現れる。戦車型の脚部、不気味に光るモノアイ――赤備衆を指揮する『新刀の祖』堀川国広に間違いない。城壁を破られ、配下の全てを討たれた指揮官は、その眼に執念の光を宿して復讐者たちへ叫ぶ。
『これ以上、先には進ません! お前たちの進撃も此処までだ、ディアボロス!』
自らの身を壁と為し、最後の障害として立ちはだかる堀川国広。
だが無論、ここで引き返す選択肢などクィトには存在しない。燐寧にも、共に戦う仲間たちにも存在しない。退けない理由があるのは、彼女たちも同じだからだ。
かくして勝利の決意を胸に、復讐者たちは決戦の舞台に臨む。大城壁を突破し、日光東照宮への道を切り拓く為に――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【腐食】LV1が発生!
【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
クィト・メリトモナカアイス
その意気はヨシ。
けれども。今日の我はとってもやる気。
道はあり、前は開け、後ろに戻る理由なし。
黄金猫拳打棒を手に「屹立せし羽根の抱擁」。距離を取った状態からの黄金猫拳打棒の投擲で堀川国広を狙う。
立ち止まって投げるのではなく、敵の側面に回り込むように動きながら投擲。他の復讐者とは別々の方向から攻撃を仕掛けることで敵の意識の外から攻撃し、攻撃が当たりやすいようにする。
肉球部分を前に投げ、黄金の肉球の殴打で天魔武者の金属の装甲を砕こう。
反撃に敵が飛ばし、追ってくる刀はいつの間にか手元に戻ってきた黄金猫拳打棒で叩き落として防御。
我の黄金猫拳打棒もじまんのいっぴん。刀にも負けはせぬ。
んむー、この壁が崩されたことを知ったら安土城も何かしら動かすだろうけれど。
安土城の方も安房国への潜入で経路予測とか、下総国と上総国国境の拠点構築による誘導とか色々進めてる。
朱鉄参號とレックスⅣの開いた道。活かす準備はばっちり。
一里塚・燐寧
あは。守衛さんに頼まれたって、今更帰るワケにはいかないねぇ
こっちはもう安くはない拝観料を支払っちゃったんだからさぁ
日光東照宮の日暮門、ほんとに一日見ても飽きないか試させてよぉ?
好戦的な笑みと共に挑発を飛ばすのは、敵をナメてるからじゃない
それは誰にも気圧されず自分のやり方を貫く、あたしなりの信念の現れ
≪テンペスト・レイザー≫を手に駆け、『屠竜技:大回転爆砕斬り』を仕掛ける!
身体ごとブン回した大剣を爆発で更に加速し、重さと速さを両立した一撃を見舞うよぉ
巨大神像に乗ってた時は敵を全滅させる余裕はなかったし、生き残りが後ろから追いついてくるかもしんない
そーなる前に……重ねた【ダメージアップ】と、間髪入れず仲間と畳みかける攻撃で、装甲を削り尽くすっ!
敵はあたしの剣を見て、対抗できるほど大きな剣を作る?それとも身軽に立ち回れる小刀かなぁ……
前者寄りなら全力で激しく打ち合い、後者寄りなら得物を細かく動かして回転鋸刃で斬撃を弾こう
さーて。天正大戦国の日光東照宮がどんなのか、この眼で確かめてやろーじゃん?
崩壊した大城壁を突き進む復讐者たちの前に、一機の天魔武者が立ちはだかる。
己が身を肉壁と為し、日光東照宮への道を塞ぐ彼の名は『新刀の祖』堀川国広。配下の鬼面赤備衆を喪って尚、自身の使命に殉じる彼を前に、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は好戦的な笑みを投げつけた。
「あは。守衛さんに頼まれたって、今更帰るワケにはいかないねぇ」
得物のテンペスト・レイザーを構えながら、燐寧は早くも攻撃態勢に入っている。序盤戦は完勝と言える形で終わったが、元より此処は敵拠点の真っ只中だ。敵将である堀川国広を撃破し、一刻も早く大城壁を突破しなければ、いつ敵の増援が駆け付けて来てもおかしくない。
だが、そんな状況にあって、燐寧が焦燥を覚えることは無かった。
この作戦に臨んだ時から、覚悟はとうに決めている。信頼する仲間と共に、今は眼前の敵を葬ることに集中するのみ。
「こっちはもう安くはない拝観料を支払っちゃったんだからさぁ。日光東照宮の日暮門、ほんとに一日見ても飽きないか試させてよぉ?」
復讐者の本命は断片の王であり、下っ端に用は無い――そんな挑発の言葉は、しかし侮りから生じたものでは決してない。誰にも気圧されず自分のやり方を貫く、燐寧の信念の現れだ。
その意志を感じ取ったか、堀川国広も毅然と言い返す。彼にもまた、退けぬ理由があるのだ。
『ふん……生憎だが、東照宮は見世物などではない。拝観料は、三途の川の渡し賃に使うがいい!』
「んむ、その意気はヨシ」
敵将の覚悟に頷きを返し、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)が身構える。
自身の力が続く限り、この天魔武者は最後の一秒まで戦い続けるだろう。である以上、クィトが復讐者として為すべきことは一つしかない。かの敵を全力で排除すべき相手と認め、相棒の黄金猫拳打棒で粉砕するのみ。
そう――退けない理由があるのは、復讐者たちも同じなのだ。進むべき道が開けた今、引き返す選択肢など存在しない。
「今日の我はとってもやる気。んむ、ゆくぞー」
「オッケー。速攻で蹴散らしちゃうよぉ!」
クィトの声に応じるように、燐寧の鎖鋸剣が刃を激しく回転させる。
それは即ち天魔武者と復讐者、互いの命を懸けた決戦が開始されたことを意味していた。
戦場に勢いよく木霊するテンペスト・レイザーの咆哮。それを合図に、二人の復讐者が逆説連鎖戦の火蓋を叩き切る。
開幕と同時、地面を蹴って突撃を仕掛けたのは燐寧だった。その後方ではクィトが黄金猫拳打棒を構え、息を合わせる形で援護の構えを取る。前衛と後衛、遠近からの同時攻撃で敵を翻弄する――それが彼女たちの狙いだ。
「行くよ、クィトちゃん!」
「んむ、任せるべし」
この作戦は時間との戦いであり、1秒も無駄には出来ない。クィトの声を背にテンペスト・レイザーを振り被った燐寧は、その身を竜巻めいて高速回転させながら『屠竜技:大回転爆砕斬り』を発動。重量と遠心力を込めた必殺の斬撃で、堀川国広を狙い定める。
「どかーんと行ってブッタ斬っちゃうよぉ!」
同時、剣の纏う鬼火が、攻撃開始の号砲めいて一斉に爆発。その力を推進剤に突撃する燐寧の刃が、まさにロケットの如き勢いと共に唸りを上げて堀川国広の脳天に直撃した。
必勝の覚悟を胸に振るう一撃は、どこまでも重く、速く。戦車型ボディが悲鳴にも似た軋みを上げる中、堀川は続けざまに飛来するクィトの黄金猫拳打棒と斬り合いを演じながら、負けじと燐寧に斬りかかる。その得物は、火床より生じた鉄で瞬時に鍛え上げた大剣だ。
『流石に大口を叩くだけのことはあるか……だが、まだまだ! 我が剣の錆びとなれ、ディアボロス!』
「あはっ! そっちこそ、あたしの剣でスクラップになりなよぉ!」
「んむ、我が肉球に砕けぬものなし。故に堀川国広、ここが汝の墓場となる」
堀川国広と熾烈な剣戟を演じながら、いっそう好戦的な笑顔で言い返す燐寧。そこに息を合わせ、挟撃を仕掛けるクィト。激突する三者の刃は勢いの衰えぬまま、パラドクスの火花を散らし続ける――。
重い衝撃が大地を揺らす。激戦を物語る剣戟の余波が、戦場を席巻する。
大剣を振るう堀川を相手に、燐寧は負けじと全力で打ち合い、分厚い装甲を回転鋸の刃で削り続けていた。その身に受けた傷も、彼女の勢いを止めるには至らない。
敵増援の気配は未だ無いが、油断は禁物だ。いかに敵を圧倒しようと、増に包囲された時点で全てが水泡に帰してしまう。今は一歩でも前へ、一秒でも早く、堀川国広を撃破せねばならなかった。
「畳み掛けるよぉ、クィトちゃん!」
「んむ。我らの力、今こそ見せるべし」
黄金猫拳打棒を構えたクィトが、燐寧の呼びかけに呼応する。
敵が生成した妖刀の写しに猛攻を受け続けていた彼女だが、その程度で連携を乱すほど甘くはない。お返しとばかり黄金の肉球を堀川に向けて、発動するは『屹立せし羽根の抱擁』。天高く放り投げられた鈍器が黄金の輝きを帯びて、意志を持ったように敵の脳天めがけ振り下ろされた。
「我の黄金猫拳打棒もじまんのいっぴん。刀にも負けはせぬ。――放て肉球!」
『ぐ、っ……!』
装甲の破砕音と、堀川の呻きが重なった。
燐寧と息を合わせて繰り出した一撃が、残留効果で火力を増して、敵の体に着々と傷を刻んでいく。
たとえ刃を持たずとも、その威力は決して敵の刀に劣らない。宙を飛ぶ黄金猫拳打棒は、戦いの勝者を暗示するように眩い光で復讐者たちを照らしながら、クィトの手へと戻るのだった。
「まだまだ! ブッ殺すまで、攻めて攻めて攻めまくるよぉ!」
負傷を重ねながら熾烈な抵抗を続ける堀川国広を前に、燐寧は竜巻めいた斬撃を浴びせ続けた。
目の前の天魔武者を葬るか、或いは己が敗れるか、攻撃が止む時は二つに一つ。そして無論、この戦いに敗れる気など燐寧は勿論、クィトにも仲間たちにも微塵も無い。
斬撃を浴びせ続ける燐寧と息を合わせ、クィトも黄金猫拳打棒を堀川国広に投擲し続ける。立ち止まることは許されない。今この瞬間も、断片の王たる家康は日光東照宮で策謀を張り巡らせているのだから。それを阻止する為、クィトの仲間たちは天正大戦国の各地で戦っているのだから。
(「んむー。この壁が崩されたことを知ったら、安土城も何かしら動くかもだけれど……」)
下総・上総国国境の拠点構築による誘導準備が完了し、安土城が停泊する阿房国への潜入も成功は目前。天正大戦国を巡る情勢が大きく動く日は、そう遠くないことだろう。
だからこそ、負ける訳にはいかない。朱鉄参號とレックスⅣの開いた城壁を突破し、日光東照宮へ辿り着き、天魔武者勢力を追い詰める一手とする為にも。
「家康がどんな策を弄しようと……んむ、我らは負けぬ」
「いよいよ大詰めだよねぇ。さーて、天正大戦国の日光東照宮がどんなのか――この眼で確かめてやろーじゃん?」
刻々と迫る決着の瞬間を確信し、クィトと燐寧が笑みを交わし合う。
全ては、断片の王を討ち取る為。最後の障壁たる堀川国広を撃破すべく、戦いは更なる佳境に向けて動き出す――!
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水面走行】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV6になった!
音羽・華楠
……言葉にしたくても適切な言葉が見付からない――
そんな思いが胸中にまだ、渦巻いてますね……。
なので、今、私から堀川国広へ言える言葉はこれだけです――
――退きなさい、堀川国広!
朱鉄参號とレックスⅣが拓いてくれた道を塞ごうとするなら、殺しますよ……!!
胸の内に渦を巻く感情、それをパラドクスに籠め、全身全霊で撃ち放ちます――
――《雷幻想・閃耀》!
魔術的荷電粒子砲で日光東照宮への道、こじ開けます!!
断片の王徳川家康は討つ。
天正大戦国は最終人類史へ奪還する。
それを為し遂げるまで、もう復讐者は止まりません!
たかがアヴァタール級1体でそれに抗えると思わないで下さいな!!
向こうの反撃は力ずくでねじ伏せます。
というか……如何にパラドクスでも、こちらの目の前で刀を暢気に鍛錬するとか、舐め過ぎじゃないですかね!?
……そんな怒りも、さらなる力を《閃耀》へ籠める為の火種に昇華しましょう。
……それから、一点ツッコミたいんですが――
百歩譲ってつるはしは鉄鉱石を掘る為のものとしても、鍛冶にドリルは要らないでしょう……。
大城壁の突破を駆けて、堀川国広と激戦を繰り広げる復讐者たち。そこへ更なる応援で駆け付けたのは、音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)の姿だった。
作戦に参加する他の仲間たちと同様、華楠もまた喪われた巨大神像と関わりを持っていた復讐者の一人。そんな彼女が敵に対して抱える怒りは、未だ鎮まることを知らない。
「……言葉にしたくても適切な言葉が見付からない――そんな思いが胸中にまだ、渦巻いてますね……」
微かに声を震わせ、激情を宿した双眸で睨む先、そこには敵である堀川国広の姿があった。
先行した復讐者たちとの激戦を物語るように、彼は既に浅からぬ傷を負っている。それでもなお踏み止まるのは、偏に家康への忠誠心故だろう。
もし他の作戦であれば、そんな敵に華楠は賞賛の一言も送ったかもしれない。
だが、今は違う。彼女の口から出たのは、刃のように鋭い熾烈な言葉だった。
「――退きなさい、堀川国広! 朱鉄参號とレックスⅣが拓いてくれた道を塞ごうとするなら、殺しますよ……!!」
『愚問だな……! 通るならば、力ずくで果たしてみせるがいい!』
戦意を露わに吼える堀川国広を前に、華楠は即座に戦闘態勢を取ることで応じた。
日光東照宮への道は必ず繋ぐ。自分たちには、そうする責務がある。
である以上、すべきことはただ一つ――行く手を阻む敵は、例外なく排除あるのみだ。
開幕と同時、戦場を眩い光が包み込む。
空気の弾ける音と共に帯電、集束するのは多量の重金属粒子だ。華楠のパラドクスによって超高電圧で加速した光の束が、破城槌めいた巨大ビームと化して発射される。周囲を舞う土煙が一瞬で消し飛び、被弾した堀川国広の分厚い装甲が飴細工のように融解した。
『成程、問答無用か。望むところだ……!』
華楠が繰り出す猛攻に舌を巻く堀川国広だが、彼とて復讐者を通す気は更々ない。火床から噴出した鉄で作成した刀を武器に、負けじと突撃を開始した。
『我が刀の切れ味、その身で知るがいい!』
「こちらの目の前で刀を暢気に鍛錬とは……舐め過ぎじゃないですか?」
四本腕で繰り出す変幻自在の斬撃が、華楠めがけて襲い掛かる。虚を突かれれば大ダメージは確実の一撃に、しかし華楠はどこまでも冷静だ。
多少の被弾など構いはしない。直撃を巧みに避けながら、追い打ちめいた一言を堀川国広へ叩きつける。
「百歩譲ってつるはしは鉄鉱石を掘る為のものとしても、鍛冶にドリルは要らないでしょう……」
『ぬう……!?』
果たして、その一言が切欠か――敵が見せた僅かな隙を逃さず、華楠は怒りの火種を瞬時に昇華。胸中で爆発する想いを、パラドクスに変えて解き放った。
「私の全身全霊、受け取りなさい――『雷幻想・閃耀』!」
身構える隙など、敵には与えない。増幅した怒りを秘めて放つ魔術的荷電粒子の砲撃は、堀川国広の身を寸分違わず捉え、その機体に大きな風穴を穿つ。
相手が不退転の覚悟で臨もうと、容赦は無用だ。崩壊した傷口から火花を散らし、苦悶するように明滅するモノアイを正面から睨みつけ、華楠は堂々と言い放つ。堀川国広と、そして戦場に未だ残る天魔武者たちへ、己が胸中に渦巻く想いを余さず吐露するように。
「断片の王徳川家康は討つ。正大戦国は最終人類史へ奪還する。それを為し遂げるまで、もう復讐者は止まりません!」
『ぬうぅ、言ってくれる……!』
深手を負った堀川国広に、残された余力は後僅か。日光への道を開く為にも、ここで負ける訳にはいかない。
かくして大城壁を舞台とする決戦に勝利する為、復讐者たちは最後の攻勢に臨もうとしていた。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【土壌改良】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
月下部・小雪
巨大神像さん達が切り開いてくれた道、こんなところでは止まれません!
キャタピラな堀川国広さんを押し通して、ボク達は断片の王の首元に噛みついてみせます!
少しは休憩が取れたから、ここからはボクとコダマもぜ、全力です。
コダマがVキャリバーで、ボクはピンポイント魔力障壁で敵のツルハシやドリルをいなしながら攻撃です。
そ、そんなへっぽこな攻撃ではボク達には通用しません!
そっちがどんな刀を用意してきてもコダマの一撃で叩き折ってやります。
コダマがぴょーんと飛び上がって勢いをつけて転がってからの【毛玉一刀流奥義・雷毛の太刀】!
今ボク達が思っているのは恩讐なんかではありません!
その身を犠牲にして壁を破壊してくれた『朱鉄参號』さんと『レックスⅣ』さんに恥じない戦いをしてみせます!
こ、これで日光東照宮は目の前です。
逆転の秘策を使われる前に一気に王手をかけましょう!
※アドリブ連携大歓迎
アンゼリカ・レンブラント
敵将の目に宿る執念の輝きは、
普段なら脅威に思ったかもしれない
――けれど、今の私たちの勢いを
強い激情を止められると思わないでよね
覚悟だよ、堀川国広っ!
遠距離攻撃を行う仲間と息を合わせての砲撃っ!
畳みかけるように撃ち込み、ダメージを重ねるよ!
近接攻撃を行う仲間の支援にもなるよう撃っていくね
こっちに注意を引きこみ、隙を作りだしてやれっ
相手の攻撃は距離をしっかり保ちつつ、
追いすがる敵の斬撃は盾でしっかり受け止めよう
確かに強い太刀筋だ
けれど、日光大城壁の硬さに比べれば
それを穿った巨大神像に比べれば大したことはないね
そのドリルやつるはしで私たちと、その志を砕けるもんかだよぉ!
連携を意識し【パラドクス通信】も活用
常に友を鼓舞するような言葉をあげ、
攻撃を続けていこう
ディフェンスもPOWで仲間に積極的に行い
反撃の機会を得て痛撃を返す!
相手の消耗が分かれば今が攻め時だね
仲間のラッシュに合わせ呼吸を整え
パワー全開の《終光収束砲》で勝利をつかむね
『朱鉄参號』、そして『レックスⅣ』
私たちは、必ず全てを取り戻すよ!
文月・雪人
指揮官のお出ましか、だが俺達を止められるとは思わない事だ。
敵にもまた護るべきものがあるのは当然の事だが、
自らを壁と為して立ちはだかるというならば、その壁もまた打ち破るのみ!
朱鉄参號、レックスⅣ、彼らを思う胸の中に決して消えぬ炎を感じながら、
前を見据えて、再び『朱鉄ノ絆』のパラドクスを使用する。
大城壁破壊時に、朱鉄参號に搭乗して使用した技を、
今度は自分自身の体を使って発動させよう。
堀川国広、歴史に名を残す刀匠だな。
だが恩讐を断つというその刀でも、この絆は切らせはしない。
周囲の瓦礫も、或いは敵の体や武器さえも足場として、
雪月花の刀を手に、縦横無尽な立ち回りで敵へと挑む。
雪月花の刀に朱いオーラを宿し、巨大神像達を、共に戦った友を想う。
彼らに恥じぬ戦いを。
パラドクスで強化した推理と直観で、国広の刀や装甲の脆い部分を見出して、
【パラドクス通信】で仲間と情報共有しつつ連携、
湧き上がる感情を力に変えて、立ち塞がる壁を、敵を穿とう。
日光東照宮、示した覚悟の先に続く道。
徳川家康よ、首を洗って待っていろ!
崩壊した大城壁を舞台に激戦を繰り広げ、復讐者たちは堀川国広を着実に追い詰めていく。
巨大神像の突撃に始まった一気呵成の猛攻により、城壁の突破は目前だ。尚も攻防が激しさを増す中、復讐者と天魔武者の決戦はいよいよ決着の時を迎えようとしていた。
「流石は指揮官、敵ながら見事な奮戦ぶりだな。だが……その程度で俺たちを止められるとは思わないことだ」
満身創痍の堀川国広と対峙しながら、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は敢然と告げる。
敵の忠誠心は確かに見事であり、賞賛にも値しよう。だが、そんな敵だからこそ全力で撃破することを、雪人を始めとする復讐者たちは誓っていた。
敵が壁となって立ちはだかるならば、その壁もまた打ち破るのみ。雪月花を構えて戦闘態勢を取る彼を筆頭に、戦場に立つ復讐者が次々に身構える。
「朱鉄参號さん、レックスⅣさんが切り開いてくれた道……こんなところでは止まれません!」
「もきゅー!」
コダマを連れて、決意の言葉を紡ぐのは月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)だ。
巨大神像の操縦で否応なく生じた疲労は、未だ完全に回復したとは言い難い。だが、ここは多少の無理を押してでも突破を試みるべき局面と判断した小雪は、全力で挑む覚悟で戦場に立っている。対峙する堀川国広を撃破し、その先に待つ断片の王の首元に噛みついてやる為に。
雪人と小雪、二人の復讐者が堀川国広との距離を着々と詰めていく。
その後方では、彼らを援護すべく準備を完了したアンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)が、攻撃の好機を静かに伺い続けていた。
(「流石に城壁を守る敵将、一筋縄では行かない様子だね」)
堀川国広のモノアイが放つ眼光を正面から睨み返しながら、アンゼリカは思う。
敵将の目に宿る執念の輝きは、普段なら脅威に思ったかも知れない。だが今は違う。決死の覚悟で戦いに臨んでいるのは、かの天魔武者だけではないのだから。
「今の私たちの勢いを、強い激情を、止められると思わないでよね。――覚悟だよ、堀川国広っ!」
『抜かせ……! この身に変えても、貴様等ディアボロスを通しはせん!』
激戦で負った深手も意に介さず、戦意を露わに堀川国広が吼える。
戦いの決着はもはや目前。道を阻む最後の障害を除く為、アンゼリカは戦いの火蓋を斬るのだった。
戦闘は、決戦の最後を締めるに相応しい熾烈なものとなった。
雪月花を手に先陣を切る雪人に続き、コダマを連れた小雪が、次々に堀川国広の懐へと肉薄。態勢を立て直す暇を与えず、一気呵成の猛攻を仕掛けていく。後方からはアンゼリカの砲撃が間断なく降り注ぎ、復讐者たちの攻撃は三位一体で敵を圧倒し始めた。
「二人とも、支援させて貰うね。このままダメージを重ねていこう!」
「了解。朱鉄参號とレックスⅣの分も、全力でぶつけていくよ」
「コダマ、遠慮はいりません! 大暴れです!」
「もきゅー!」
パラドクス通信を介して言葉を交わし、三人は戦闘方針を即座に共有。雪月花の刀身を朱いオーラで包み、直観で見抜いた雪人の斬撃を皮切りに、アンゼリカの支援砲撃が光の濁流となって堀川国広に直撃した。その勢いは尚も衰えず、小雪の攻撃が加わることで更に激しさを増していく。
「今です、コダマ! 突撃です!」
「もっきゅー!」
雪人とアンゼリカの猛攻に押される堀川国広へ、雷光を纏うコダマが超高速で突撃する。
発動した『毛玉一刀流奥義・雷毛の太刀』で加速するコダマは稲妻の如く、影を踏むことも許さない。させじと鍛え上げた刀で反撃を試みる堀川国広へ、小雪は瞬時に魔力障壁を展開。襲い来る斬撃の嵐に一歩も退かず、激戦の火花を戦場に散らし始めた。
『図に乗るな……! 返り討ちにしてくれる!』
「そ、そんなへっぽこな攻撃、ボクたちには通用しません!」
敵が振るう刀は、決してなまくらでは無い。だが――多少鋭い程度の切れ味で、今の小雪を、コダマを、復讐者たちを阻むことは不可能だ。果たして次の刹那、全身の体毛を静電気で逆立てたコダマが毬のように跳躍を果たし、回転突撃で繰り出す痛烈な斬撃を叩き込む。
自分たちが進む道は朱鉄参號、そしてレックスⅣと共に切り開いた道。それを阻むならば、容赦はしない。
「毛玉一刀流の奥義、いきます! こ、これが雷毛の太刀、です!」
電撃を纏う一閃が、敵の身を焼き焦がす。
さしもの分厚い装甲も、残留効果で火力を増したコダマの斬撃の前には意味を成さず――受けたダメージを物語るように、全身から黒煙を立ち昇る中、堀川国広の口から苦悶の呻きが洩れた。
小雪とコダマの連携攻撃を切欠に、戦況は一気に復讐者の優勢へと傾き始めた。
闘志こそ未だ衰えぬ堀川国広だが、身体の耐久は無尽蔵ではない。パラドクスの応酬を繰り返す度、その身には一つ二つと傷が刻まれ、着実に敗地へと追い込まれていく。
『ぬうう……まだまだ……っ!』
作り手の情念で標的を切り裂く妖刀を放ち、更には復讐者の恩讐すら絶つ刀で斬りかかり。最後まで勝利を諦めずに抵抗を続ける堀川国広の猛攻を、アンゼリカと雪人は冷静に捌き続ける。敵の攻撃は確かに脅威だが、この程度で押し切られるほど復讐者は甘くはない。
「なるほど、確かに強い太刀筋だ。けれど――」
追い縋る妖刀を盾で受け止めながら、アンゼリカの顔には力強い笑みが浮かんでいた。
この程度の反撃など、大したことは無い。日光大城壁の硬さ、それを穿った巨大神像――それらに比べれば、恐れるに足りないことは自明だ。さしたる被弾なく妖刀の斬撃を凌ぎ切ると、アンゼリカは満身創痍の堀川国広に向かって叫ぶ。
「そのドリルやつるはしで私たちと、その志を砕けるもんかだよぉ!」
「ああ。たとえ恩讐を断つという刀でも、この絆は切らせはしない」
「その通り、です。今ボクたちが思っているのは、恩讐なんかではありません!」
アンゼリカの言葉に呼応するように、雪人が、小雪が、己が想いを胸にパラドクスを発動していく。
いかに鋭い切れ味を誇る刀も、彼らの心を挫くことは叶わない。
朱鉄参號とレックスⅣ――その身を犠牲に大城壁を破壊してくれた彼らに、恥じぬ戦いを見せる為。三人の復讐者たちは心を一つに、最後の攻撃を開始した。
雪月花を構えた雪人が、瓦礫を足場に戦場を疾走する。
息を合わせて勢いよく飛び跳ねるコダマが、小雪の号令に合わせて雷の斬撃を見舞う。
二人が繰り出す連携攻撃に、敵が付け入る隙は絶無だ。やがて堀川国広の消耗が極限に達した好機を見逃さず、アンゼリカは『終光収束砲』を発動。収束させた光の砲撃で標的を消し去るパラドクスが、雪人と小雪のラッシュに呼吸を合わせ、必殺の一撃となって牙を剥いた。
「裁きの光と共に輝け、六芒星に集いた精霊よ! 邪悪なる者全てを……撃ち抜けぇーっ!」
『ぐ、ぐおぉぉ……っ!』
命中アップが齎す直撃を浴びて、敵の装甲が悲鳴めいた軋みを上げる。
アンゼリカの攻撃によって胴体に大穴を穿たれ、なおも抵抗を続けんとする堀川国広。その姿を真っ直ぐに見据えながら、雪人は自らの胸に燃え盛る熱い炎を感じ取った。
「朱鉄参號、レックスⅣ。――どうか、俺たちの戦いを見ていてくれ」
復讐者たちと共に戦い、喪われた巨大神像たち。彼らを思う炎を糧に、雪人が発動するのは『朱鉄ノ絆』だ。
大城壁を破壊する際、朱鉄参號に搭乗して使用した必殺技――それを今、彼は自身の身で再び放つ。巨大神像たちを、共に戦った友を想い、彼らに恥じぬ戦いを示す誓いと共に。
「大壁を打ち砕け、朱鉄の絆!」
雪月花の纏うオーラが、俄かに輝きを増した。
パラドクスの直観が導く先、湧き上がる想いを秘めた必殺の刃を、いま雪人が振るう。堀川国広の命を繋ぐ心臓部めがけ、雪月花の切先が朱い一閃となって直撃する。
『――……!!』
それは、復讐者たちの壁を穿つ最後の一撃。次の瞬間、堀川国広は傷だらけの機体を爆散させていき――残骸に成り果てた屍を、未だ混乱収まらぬ戦場に晒すのだった。
「ボ、ボクたちの勝利です! 皆さん、急ぎましょう!」
「もきゅー!」
かくして敵の排除が完了すると、復讐者たちは崩壊した大城壁を駆け抜けた。コダマを連れて先頭を駆ける小雪は、城壁の突破を完了すると、そのまま仲間たちと共に北へ向かう道を駆けて行く。断片の王『戦国覇王徳川家康』が控える、下野国の日光を目指して。
「こ、これで東照宮は目の前ですね。逆転の秘策を使われる前に、一気に王手をかけましょう!」
小雪の言葉に応じるように、雪人とアンゼリカもまた道の彼方を見澄ました。
日光へと至るその道に、もはや復讐者たちを遮るものは無い。辿り着いた先に待つであろう、天正大戦国を巡る一大決戦を前に、復讐者たちは勝利の決意を燃やす。
「示した覚悟の先に続く道……徳川家康よ、首を洗って待っていろ!」
「『朱鉄参號』、そして『レックスⅣ』。私たちは、必ず全てを取り戻すよ!」
刻々と迫る、天正大戦国の奪還戦。
その戦いに勝利することを、共に戦った2機の巨大神像に誓いながら、復讐者たちは日光へ至る道を駆けて行った。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【照明】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
【アイテムポケット】がLV2になった!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV3になった!