リプレイ
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ディアボロスといえば、ここハリウッドでは映画界を席巻したスーパーノヴァ――超新星であった。故に、流行に敏感なハリウッドっ子は、猫も杓子もディアボロスが上演した映画の予告編を鑑賞し、多彩な彼らの姿に心を奪われ始めていた。
『ディアボロスが上映した映画を鑑賞していないものは、ハリウッド市民に在らず』なんて言葉も生まれ始めていた今日この頃であったが、この日、自体は一変する。
ハリウッド一帯にこんなチラシがばら撒かれたのだ。
「『King of POP』Live in Hollywood Boulevard」
そう書かれた文字の上では、白いスーツに蒼穹色のシャツに身を包み、白い帽子に黒い手袋をはめた手を添えたワイズガイが口角を上げて微笑んでいる。
それは『キング・オブ・ポップ』がロサンゼルスはハリウッドで一番の大通り、ハリウッド・ブールバードでライブを行うというのだ。
『キング・オブ・ポップ』といえば、ワイズガイの俳優や歌手、ダンサーの頂点に君臨するスターの中のスター。
ライブチケットは瞬で売れ、肉眼で直に拝むことすら難しいとされる巨星である。
一度彼がステージに立てば会場内は悲鳴にも似た歓声に包まれ、キレのある動作の一挙手一投足は彼を見つめる人々の心を掴み燃え上がらせ、中にはその圧倒的な存在感とパフォーマンスに失神する一般人もいるほどである。
そんな彼が、ハリウッド・ブールバードをステージにしてライブを行うというのだ。
これにはディアボロスの俳優を推していたハリウッドっ子も、黙って彼らを推し続けるわけにはいかなかった。
そしてこの大通りの沿道は今、『キング・オブ・ポップ』を一目見ようと集まるハリウッドっ子で鮨詰め状態。
その姿を一目でも肉眼に収めようと、その人の登場を待っていた。
やがて日も暮れ、空がマジックアワーの色にドレスアップした頃。彼らの前に現れたのは、赤いスーツに身を包んだワイズガイの一団と、音楽家風情の自動人形たち。
そしてその後ろ。眩いほどのバックライトを背に現れたそのワイズガイの姿に、一般人たちは一気に歓声を上げた。
この瞬間こそが圧倒的カリスマを持つパフォーマー、ジェネラル級ワイズガイ『キング・オブ・ポップ』の登場であった。
まさに今、交通規制の敷かれたハリウッド・ブールバードは熱狂の渦の只中であり、その姿を拝めた一般人の悲鳴とも歓声とも聴こえる叫びは、まだその姿を拝むことができない彼方の人々にもその人の登場を饒舌に物語る。
暮色蒼然の世界に灯る街灯やネオン看板も、ようやく暑さも治って流れる涼風も、今日はただひとりのために灯され吹かれると言っても過言ではない。
全ては、馬力のあるオープンカーにゆっくりと牽引されたステージの上でキレのあるダンスを踊り、ジャケットの衣擦れの音も自身に纏わせポーズを決めるそのワイズガイ『キング・オブ・ポップ』のために。
③👾キング・オブ・ポップの音楽隊『量産型ベートーベン』
音羽・華楠
遂に姿を現しましたね、キング・オブ・ポップ!
ディアボロス・マガジンの妨害をされた時から、絶対に倒すと誓ってました……!
今こそその時!!
なの唄さんの助言に従い、音楽隊から撃破を。
キング・オブ・ポップのパレードに、《雷幻想・群雄》で大量の分身を産み出して乱入します。
……私の出演したNinja映画の予告編で、演出に使ったパラドクスです。
観客の一般人の皆さんにそれを観た方たちが居て、ディアボロスの登場と察してもらえれば御の字なんですが。
量産型ベートーベンたちの奏でるキング・オブ・ポップの曲を逆手に取り、私自身と分身たちでキング・オブ・ポップ……それもコーサノストラじゃなく、最終人類史に伝わる史実の『彼』のダンスを一糸乱れぬ動きで再現して披露。
踊りの動作に連動させて分身たちに打撃を繰り出させ、音楽隊を攻撃していきます。
敢えてキング・オブ・ホップのダンスを踊ることで敵側のお株を奪う形にし、ディアボロスが挑戦状を叩き付けた――そういうショーという風に観客たちに認識させ、場を盛り上げる狙いです。
だが、この場に集まった人々の全てが、このライブパレードを歓迎しているわけではなかった。
一団の進む先へと降り立った少女『たち』がいたのだ。
狐の耳に大きな鈴を携えたしなやかなツインテール。和装アレンジの服にふっさりとした尻尾――。この大観衆の中にも彼女の姿と、今と同じような技を目にした者は少なくないだろう。
彼女とは、先日とある映画館で上映されたNinja映画の予告編において、狐に変身するする忍者ガールを演じたディアボロス・音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)。
そしてこの技はパラドクス『雷幻想・群雄』。自分の分身を数多作り出すこの技は、予告編でも演出で使ったものだった。
華楠はその愛らしい顔を凛々しくさせて、その人を見据えるべく顔を上げれば。清らかにリンと鳴った鈴の音が、格式の高い音で調律されたポップスの調べを濁らせた。
それを嫌がってか。『量産型ベートーベン』は一瞬、小難しい顔つきの表情をさらに顰めて音を奏でるのよやめようとした。しかしそれをステージ上の『王』が小声で諌めたのだ。
Don't stop the music.
そんなスマートさもキザさもプロフェッショナルっぷりも、全て癪に障る。
なぜならこの『王』は、華楠たちディアボロスの奮闘を踏み躙ろうとした黒幕のうちの一人だから。
「遂に姿を現しましたね、キング・オブ・ポップ! ディアボロス・マガジンの妨害をされた時から、絶対に倒すと誓ってました……! ――今こそその時!!」
憎しみを込めて宣言する華楠の気持ちは、ステージ上の『王』に向いていた。
しかし、この完全なる一団を前に、いきなり『王』に飛び掛かるのは無謀というもの。それにあの時先案内人の子も、『量産型ベートーベン』の演奏中は『キング・オブ・ポップ』の戦闘力が更に上昇する。故にまずは『量産型ベートーベン』から撃破するのが良いと言っていた。
だから華楠は狙いを『量産型ベートーベン』に変え、分身たちと共に『量産型ベートーベン』が奏でる音楽に乗って『キング・オブ・ポップ』のダンスを踊り出す。
ただそれは、ここ空想科学コーサノストラに実在する『キング・オブ・ポップ』のダンスではない。
最終人類史に伝わる、史実の『彼』のダンスだ。
2021年の刻逆直後の新宿島には『彼』に関する記録媒体は数知れず存在した。故に、『彼』の模倣はいくらでもできるのだ。
一糸乱れぬダンスは『王』には劣るにしても、『彼』のダンスのキレに加え、女性らしいしなやかさも滲み出る美しい身のこなし。
それにいざとなれば、華楠の分身は雷速で動くことができる。その雷速を生かして足を高く振り上げれば、『量産型ベートーベン』の顎下に雷撃を纏った強烈な蹴りをお見舞いする。
雷撃を纏った蹴りを喰らった『量産型ベートーベン』は一瞬にして弾き飛ばされ、沿道の一般人の前へと派手に転げてしまう。
だが、よろよろとながら立ち上がると壊れた下顎を意ともせず。
華楠からの攻撃を喰らった個体が、現在流れている『キング・オブ・ポップ』の曲と合わせるように演奏し始めるのは『交響曲第3番変ホ長調』。だったが、ポップス仕様にチューニングされた彼らの演奏を聴いた者の前に現れるのは、断片の王ナポレオンの幻覚ではない。
大陸軍を指揮統率する王を扮する『キング・オブ・ポップ』の姿。
瞬にして、華楠が相手取る一団は音楽隊の小隊ではなく大陸軍の如き大軍となり――。
その圧倒的数の多さに怯んでしまいそうになる華楠だったが、それでも恐怖心を振り切るように踊ってみせる。
なぜなら。この大軍勢が見えているのは華楠だけなのだから。
「……ディアボロスのパフォーマーとしてここに立ったのだから、ショウを止めるわけにはいきませんよね……っ!」
一方、この戦いを目の当たりにした沿道の一般人は度肝を抜かれたことだろう。
突如として現れたディアボロスの俳優が、『キング・オブ・ポップ』の楽曲に合わせてキレのあるダンスを踊り出したのだから。
これはディアボロスが『キング・オブ・ポップ』のダンスを踊ることで、『キング・オブ・ポップ』のお株を奪う形となり、『キング』に対してチャレンジャーが挑戦状を叩きつけたという格好だ。
ステージの上の『キング・オブ・ポップ』はというと、突然の乱入者に自身のショーパフォーマンスを汚されてブチギレる……なんて態度も素振りも一切見せない。
むしろハットを手で押さえながらにっこりと微笑み、ディアボロスというスーパーノヴァの乱入を歓迎していた。
成功 🔵🔵🔵🔴
効果1 【友達催眠】LV1が発生! 効果2 【ダメージアップ】LV1が発生!
②👾護衛するトループス級『コークマン』
ナイナ・ヴィラネスティズム
WIZ
同選択肢の味方との共闘・連携・アドリブ可
突如現れたスーパーノヴァのサプライズ出演とは、
巨星を前にして恐れ多い事この上ございませんがどうかごめん遊ばせ♪
飛翔を用いての登壇後、身に着けたドレスを勢いよく宙に投げ捨ててボディスーツ姿を披露
717と挿された覆面と天狗面を装着して変身ッと名乗り口上ッ!
飛び入り出演に命を賭ける者・覆面ドライバー!
対峙する護衛の敵群にはヴィラネスト・デスペラード
氷の魔力で生成した89丁のLMGを念動力操作で自身の周囲に展開
氷製のフルメタルジャケット弾による弾幕を以て全方位からダメージアップ込みの制圧射撃
ハリウッドスターとなった以上ヒーローらしく演りますわよ
同じヒーローを助けるのもヒーローのやることですのよ?
敵群からのコーラ溶解液には氷製LMG数丁を念動力操作で厚めの盾を形成してガードアップ込みの防御で耐え凌ぎ
反撃にはパラドクス格闘裏拳もしくはエルボーを叩き込んでからの氷製LMG複数丁の念動力操作による一斉掃射追撃
どうもキングさんこんにちは
ドライバーですの
②👾護衛するトループス級『コークマン』
マリアラーラ・シルヴァ
シャルロット(g00467)と一緒
共闘アドリブ歓迎
変革を予感させる
夕方の薄闇を貫き引き裂く超新星の輝き!
そこからの火球(輝く流れ星)
そして着弾と爆発
そんな登場シーンをパラドクスで演出しながら
【飛翔】でシャルロットと共に翔けつけるよ
あの映画達は偉大な巨星たる貴方への挑戦状だったのだけど
まさかこんなに素敵な舞台を用意してくれるなんて
そんな台詞と共に堂々と巨星に対峙することで
これは避けられないスター同士の衝突だと
より強く輝く絶対不動の極星が今夜誕生するのだと
そう観客の皆の期待と興奮を煽っちゃうね
そんな雰囲気になれば焦ったコーラは護衛に動くでしょ?
でもそんな不粋はハリウッドには要らない
だから相応しくないものを弱体化させるフィールドがコーラの力を奪うから
シャルロットの演奏で一網打尽にできるはずって作戦なの
あとは巨星がどんなスターなのか
実際に渡り合いながら探っていかなきゃなんだけど…
予感がするよ
きっと経済活性化のためにスターをやってるような
ハンパな相手じゃない
モラさんを抱っこして改めて覚悟を決めるね
②👾護衛するトループス級『コークマン』
シャルロット・アミ
マリアさん(g02935)とご一緒に
アドリブ、連携歓迎
燦然と輝くトップスター、それがキング・オブ・ポップ
私たち、超新星のディアボロスが
孤高のキングと違うところは
私たち皆がスターというところ
この物量とクオリティを思い知るといいわ
マリアさんの作り出してくださった
超新星をバックに【飛翔】を使うわ
眩いバックライトを背にしたキングと
橙色の光を浴びる私たち
まさに巨星並び立つという感じで皆の目を攫いましょう
バイオリンを片手に紡ぐのは
キングたる「彼」の作り出した曲
バイオリンで奏でることで始まりの予感を感じさせて
モラさんがもきゅっとマリアさんの手に落ちてくるのは
私たちが作った予告編へのオマージュ
バックダンサーへと攻撃するのは
私たちへの期待感を煽るため
ステップを踏みながらターンを決めれば
ダンスだって負けない自信はあるわ
さあ、見てて
ショーはここから始まるの
伝説の超新星が生まれるショーよ!
(白い鳥が羽を広げて飛んでいくパラドクス)
②👾護衛するトループス級『コークマン』
四葩・ショウ
やぁ、ハリウッドっ子な子猫ちゃん達なら
――『おれ』がだれか、わかるよね?
なーんて映画と同じ役を演技しつつ
救援機動力で合流だ
BGMが止まないうちに
『おれ』と躍ってくれない? ジェントルマン
超圧縮のコーラが胸を貫くなら
ほとばしる、LittleSnowWhite
ミラージュの乙女(レディ)達の手を取って
硝子のレイピアを突き立てて
味方と同じ敵を狙って
特にふかく傷ついた敵から斃していこう
ミラージュ達で幻惑してつつ
踊るように華麗に、派手にうごいて、敵の視線を奪ってあげる
だってわたしに惹きつけたなら、
仲間が格好良く決めてくれるチャンスになるよね?って期待して
皆とすばらしいショウを、作り上げよう
超圧縮コーラには
マジックシールドをひろげて急所を逸らせるように
傷ついたって構わず躍って、おどって
負傷がふかくなる前に積極的に撃破をねらって
【グロリアス】で癒そう
きみ達のダンス、格好よかったよ
名残惜しいな、
でも――お別れだ
バックダンサー達が退場したら
観客にカーテシーもわすれずに
逢えて嬉しいよ、『キング・オブ・ポップ』
華楠による『キング・オブ・ポップ』ライブパレードへの乱入を皮切りに、ここハリウッド・ブールバードはディアボロスたちが救援機動力を駆使してたどり着くべき目的地の対象となる。
その証拠にマジックアワーの空に突如として現れたのは、青も濃くなり始めた空を引き裂く眩い光だった。
その光は徐々に……いや、猛烈な速さでパレードが行われている一帯を光で包み込むと、凄まじい衝撃を以て落下、そして爆発したのだ。
その衝撃は凄まじく、パレードの先頭で踊っていたコークマン達も吹き飛ばす勢いで。
ステージ上の『キング・オブ・ポップ』も踊りながら一瞬そちらを見だだろうか。爆発によって燃える橙色の炎を背に現れたのは、二人のサキュバスだった。
銀色の小さな小悪魔の翼をぱたたと羽搏かせながらマリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)がつま先を地面につけると、その隣にふわりと降り立ったシャルロット・アミ(金糸雀の夢・g00467)も、漆黒の黒髪を靡かせながら深緑色の瞳で『王』の姿を捉えた。
あれが燦然と輝くトップスター、『キング・オブ・ポップ』。
確かに、自分たちが相手取ったワイズガイの俳優たちとは、格が違う。
王者の風格もカリスマ性も、群を抜いている。
「あの映画達は偉大な巨星たる貴方への挑戦状だったのだけど、まさかこんなに素敵な舞台を用意してくれるなんて」
ありがとう。とマリアラーラがスカートの裾をつまんでお辞儀をして見せるが、彼らに向けた笑顔は挑戦的なもの。
彼女の隣に立つシャルロットも凛々しく『王』を見据える。
「私たち、超新星のディアボロスが孤高のキングと違うところ。それは、私たち皆がスターというところ。この物量とクオリティを思い知るといいわ」
それはあの映画の予告編の続きのよう。
決起した二人が挑むのは、この世界の芸能界の頂点に君臨する『王』であったのだ。
無謀だと誰もが思うだろう。
マリアラーラとシャルロットが沿道をチラと伺えば、二人が出演した予告を見たのだろうハリウッドっ子が心配そうにしている。
けれど、これは超新星がさらに輝くためには避けて通れない衝突であり、どちらがより強い輝きを放つ絶対不動の極星であるかを決する戦いなのだ。
まさに『巨星並び立つ』。
シャルロットはバイオリンをその手に呼び寄せると、弦に弓毛をあてがい奏るのは正史における『彼』のナンバー。
イントロをゆったりと奏でるのには訳がある。
ここに集う人々にもワイズガイにも、超新星による快進撃の始まりを予感させるため。
するとシャルロットの隣、マリアラーラの頭上にもきゅっと現れたのはモーラット・コミュのモラさん。
モラさんはマリアラーラが差し出した手の上に落ちてくるのは、彼女達が作り上げた映画の予告編のオマージュだ。
だが、このステージに急行したディアボロスは、彼女達だけではない。
「突如現れたスーパーノヴァのサプライズ出演とは、巨星を前にして恐れ多い事この上ございませんが、どうかごめん遊ばせ♪」
金髪を靡かせて空より舞い降りたのは、麗しいドレスを身に纏った令嬢――ナイナ・ヴィラネスティズム(喜殺令嬢・g00383)。
そんなナイナの隣、コツンと靴音を鳴らしながら颯爽と道路へと進み出たのは、プラチナブロンドの髪を風に揺らした四葩・ショウ(After the Rain・g00878)as.男装の麗人。
「やぁ、ハリウッドっ子な子猫ちゃん達なら――『おれ』がだれか、わかるよね?」
なんて沿道に集まったガール達に手を差し伸べて、オールドローズの眼でウィンクしてみせれば、彼女達ははっと息を呑んでこくこくと頷いた。
ショウは彼女達にやわらかく微笑むと、着ていたジャケットをばっと脱いで空へと放る。
ナイナもそれに合わせてドレスを勢いよく宙へと投げ捨てた。
その一瞬、人々の目は華麗に舞ったジャケットとドレスの方へと向いただろう。
やがてジャケットとドレスが地面へと落ちて、再び人々が視線を向ける先にいたのはシャツにベストといった軽装になったショウに、ビビットピンクのラインが眩しいボティスーツに身を包んだナイナ。
さらにナイナは、
「変身ッ!」
と声をあげるや、717と挿された覆面と天狗面を装着し、続ける。
「飛び入り出演に命を賭ける者・覆面ドライバー!」
意気揚々とした名乗り口上に、ハリウッドっ子は聞き覚えがある。
かの怪獣映画で怪獣達をバッタバッタと薙ぎ倒し、宇宙人とも対峙したあの覆面ヒロインではないか!
特撮好きの声援を一身に浴びたナイナはショウと並ぶと、彼女と同じように鋭い視線を『コークマン』へ向けた。
その隣のショウはスッと手を敵の一団へ向けると、
「BGMが止まないうちに、『おれ』と躍ってくれない? ジェントルマン」
と挑発的に微笑みかけたのだった。
すでに先手を仕掛けられている『キング・オブ・ポップ』の一団、バックダンサー兼護衛の『コークマン』はダンスを辞めて警備配置につくが、それもマリアラーラにはお見通し。
そんな無粋な行動に出るワイズガイは、早々に倒されるべきなのだ。
シャルロットはバイオリンを奏でながら情熱的にステップを踏み、華麗にターンを決めて見せる。
演奏技術もだが、
「ダンスだって負けない自信はあるわ」
なんて目前の赤スーツを見据えれば、奏でながら召喚するのは大きな大きな白い鳥。
「さあ、見てて。ショーはここから始まるの。伝説の超新星が生まれるショーよ!」
と、さらにバイオリンを激しく弾き鳴らせば、大きな白い鳥も音楽に呼応して大きく羽撃いた。すると生み出された衝撃波はマリアラーラの起こした光による爆発によって吹き飛ばされた『コークマン』にさらに深傷を負わせた。
だがその寸胴で屈強な男達は満身創痍の体を押して立ち上がるや、自身の体内のコーラを猛毒原液コーラに変質させるや、マリアラーラとシャルロットめがけて勢いよく噴射する。
あの液体に触れれば、肉や骨どころか鋼鉄ですらグズグズに溶かしてしまうらしい。
マリアラーラはモラさんをギュッと抱っこしながらステップを踏むように飛び跳ねてコーラのレーザーを避けると、シャルロットもたんと地面を蹴ってバックステップ。おイカかてくる猛毒コーラの追撃を躱していく。
しかし反撃を終えた『コークマン』の命はここまで。急に力なく膝から崩れ落ちると、そのまま動かなくなってしまう。
しかし、まだ護衛は何体かいて、連携攻撃とばかりに数体の『コークマン』が手のひらをショウに向けて突き出した。すると一瞬にして噴出されたのは、超圧縮された琥珀色の液体。まるでそれはレーザーの如き速さでショウの胸を貫いた。
「っ……!」
と、思わず呻き声が上がり、沿道のガール達が「あぁ!」と嘆く。
だけどこれも計算のうち。
ぐっと傷口を掴む奥、魂のほとりからほとばしるのは復讐の白焔。それはゆらりとゆらめくと、ショウと瓜二つの乙女たちの姿をかたちどってふわりふわりと地に降り立った。
胸に白焔を灯しながらショウはゆっくり顔を上げる。
「……大丈夫だよ乙女たち。さぁ、行こうか」
ショウは花咲むミラージュの乙女たちの手を取ると硝子のレイピアを構える。乙女たちの手にも白焔のレイピアがそれぞれ携えられており、次々と『コークマン』たちの胸にレイピアを突き立てて消えていく。
その様はまるで、幻想的なオペラのワンシーン。
幻惑的な幻影の踊りは、敵も群衆も魅了する。
踊るように華麗に、かつ派手に舞う乙女が突き立てた無数の細剣が燃えるその中心を一番最後に射抜くのは、ショウ自身のによる鋭く華麗な一撃だ。
こんな幻想的で美しいダンスを魅せつけられて、『コークマン』たちはショウによる反撃をほぼ避けきれなかったのだ。
これにはショウの思惑があった。
「だって、わたしに惹きつけたなら、格好よく決めてくれるチャンスになるよね?」
これも、皆と素晴らしいショウを作り上げるため。
「きみ達のダンス、格好よかったよ。名残惜しいな、でも――お別れだ」
彼女が麗しく微笑んだその後ろ。ナイナ――覆面ドライバーは、仲間が作ってくれた見せ場を活かすべく、にっと口角を上げて微笑んだ。
「では、行きますわよ! 硝氷弾雨! 一帯を霜焼け野原にせし豪雪の宴!」
唱えれば、彼女周囲に現れたのは無数のLMG。そのトリガーを念動力で引けば、氷製のフルメタルジャケット弾が一斉に発射される。
それは『コークマン』たちの寸胴の胴体を射抜きボコボコに凹ませ、ついには穴を開けて体内に充填されていらコーラ駅を噴射させてしまった。
「ハリウッドスターとなった以上ヒーローらしく演りますわよ。そして、同じヒーローを助けるのもヒーローのやることですのよ?」
と、キメるナイナ――覆面ドライバーは相手側の反撃を見据えていた。手前に備えていた氷製LMGを集めると、厚めの盾の陣形に配備する。
程なくして『コークマン』たちが自身の胴体から開いた穴から勢いよく噴出したのは、猛毒原液コーラ。
この反撃を交わしてうまく切り込んで一斉掃射ができれば良かったが、コーラの勢いが凄まじく耐え凌ぐほかなかった。
が、すでに満身創痍であった『コークマン』たちは、体内にあった全て個コーラを撒き散らすと力無くその場に伏せてしまったのだ。
バックダンサーの退場にショウは、このワンシーンを見守ってくれた観客たちに恭しくカーテシー。しかし顔を上げれば、その鋭い目線を『王』へと向けた。
「逢えて嬉しいよ、『キング・オブ・ポップ』」
「どうもキングさんこんにちは。ドライバーですの」
猛毒原液コーラの反撃を耐え切ったナイナ――覆面ドライバーがお辞儀をして見せれば、シャルロットもひらけた視界の奥で踊る巨星をその目に捉えた。
ディアボロスによる一連のパフォーマンス、および、護衛兼バックダンサーの『コークマン』たちの全滅を目の当たりにした『キング・オブ・ポップ』はというと。
華麗にステップアンドターンを決めてみたかと思えば、小首を傾げて肩を竦めおどけ微笑んでみせた。
あぁ、やられちゃった。と言わんばかりのアクション。
仲間の死すらショウのワンシーンに変えてしまうそのエンターティナー性に、マリアラーラはモラさんをギュッと抱きしめた。
「…… 予感がするよ。きっと経済活性化のためにスターをやってるようなハンパな相手じゃない……」
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【操作会得】LV1が発生! 【飛翔】LV2が発生! 【活性治癒】LV1が発生! 効果2 【ダブル】LV1が発生! 【ガードアップ】LV2が発生! 【グロリアス】LV1が発生!
③👾キング・オブ・ポップの音楽隊『量産型ベートーベン』
金森・椿
【椿餅】
アドリブOK
連携OK
さて、いつぞやのグラハム・ベル以来でしょうか
乗りかかった船です
最後まで踊りきりましょう
こういうのをなんて言うんでしたっけ?
そうそう、しょうますとごーおんです!
ラトリアさんの作戦にのってショー用のドレスを着てフレンチカンカンを踊りますよ
分身の術で百花繚乱、華麗で妖艶なラインダンスを披露いたしましょう
軽やかなステップを踏んで脚をほぼ垂直に振り上げるくらいどうってことないですけれども、わざわざ着物を捲って下着を見せるなんて異国の踊りは驚きに満ちていますね
ですが、色事で首級があげられるのでしたら何を躊躇うことがありましょうか
ラトリアさんの趣味が多分に含まれている気もしますけれど……
前に踏み込むステップや体を回転させてスカートを浮かせる際に手裏剣を投げてベートーベンなる敵の楽師を討ち取りますよ
もう皇帝なんてお呼びじゃないんです
ここは民衆の国、合衆国なんですから
将を射んとすればまずは馬から
強敵だからこそ定石通りに手堅くいきましょう
③👾キング・オブ・ポップの音楽隊『量産型ベートーベン』
ラトリア・ブルーアローゾ
【椿餅】
アドリブ・連携OK
いよいよキング・オブ・ポップ様のお出ましだな
こいつは派手に盛り上げてやらねばなるまい!
セクシーなダンサー衣装を纏った椿とアプラウドを従えて行列に立ちはだかり、綺麗にラインを作って観客一同に一礼してショーのスタートだ
機体にスピーカーとアンプを載せて音楽隊の音楽に負けじとあの軽快なナンバーを響かせてフレンチカンカンを披露だ
この賑やかなストリートライブでピアノソナタ第8番ハ短調なんて辛気臭い曲なんて目じゃないぜ!
アプラウドには椿に合わせてセクシーなダンスを披露してもらいながら【聖花光臨】で攻撃だ
俺は美女と美少女のダンスを引き立てるように手拍子で盛り上げたりダイナミックなアクションをアシストしたり道化っぽく幕間に足を振り上げダンスを披露して笑いをとるぜ!
マシンのアシストを受けてるが、それなりに見られるだろう?
ハリウッドスターの意外な一面を見せて、ファンサービスはしっかりしないとな!
●
マリアラーラとシャルロット、ナイナとショウが『コークマン』を相手取るのと同時に、『量産型ベートーベン』と対峙するディアボロスがいた。
救援機動力で仲間たち共にハリウッド・ブールバードにたどり着いたのは、フリルがふんだんにあしらわれたロングドレスに身を包む金森・椿(薬売り・g02220)と、アクション映画の予告編で主役を務めたラトリア・ブルーアローゾ(餅が好きすぎて上官にコールサインを『餅』にされた男・g10730)。
「いよいよ『キング・オブ・ポップ』様のお出ましだな。こいつは派手に盛り上げてやらねばなるまい!」
スピーカーとアンプを搭載した特性パワードスーツに身を包んで腕を組み、迫り来る一団を見据えて笑う傍には、椿と同じゴージャスなドレスに身を包んだオラトリオのアプラウドが控える。
「あれが『キング・オブ・ポップ』……」
呟く椿が思い出すのは、カナダはアンカレジ。椿が介入した事件でディアボロス発行の雑誌に音楽系雑誌をぶつけてきた『グラハム・ベル』のバックにいたのは『キング・オブ・ポップ』であった。
その黒幕が今、目の前で民衆を魅了している。
「乗りかかった船ですからね、最後まで踊り切りましょう! ……っと、こういうのをなんて言うんでしたっけ?」
「『Show Must Go On.』 幕が開いたら何があっても続けばければならないって意味だ」
「そうそう、しょうますとごーおんです!」
そう意気込んだ椿は早速アプラウトの隣に並び、『量産型ベートーベン』を見据えた。
『量産型ベートーベン』といえば、クラッシック音楽をダンサブルなポップスアレンジで流していた。それに合わせて『キング・オブ・ポップ』がタップを刻みポーズを決めれば、老若男女が悲鳴にも見た歓声を上げる。
しかし、手前にいた手負の自動人形たちは二人を見つけるや、先ほどまでの楽しげな音楽から一変。物悲しい曲調で音楽を奏で始めたのだ。
ピアノソナタ第8番ハ長調ポップスアレンジ。
その音楽に合わせて物悲しげに踊る『キング・オブ・ポップ』からの影響は及んでこないが、この音楽による攻撃はラトリアの心を激しく揺さぶってくる。
『王』のダンスと共にこの曲をいつまでも聴いていたい。一瞬そう思い掛けた自分の胸を、ラトリアはダンと叩いた。
こんな出鼻でヒーローが腑抜けにさせられるわけにはいかない。
「……この賑やかなストリートライブでピアノソナタ第8番ハ短調なんて辛気臭い曲なんて目じゃないぜ! ……これに対抗するには、これしかないだろ!」
と、ラトリアがアンプの電源を入れてスピーカーボリュームを上げれば、聞こえてくるのは軽快なクラシック音楽で、曲に合わせて椿が出現させたのは自分の分身たち。
彼女たちとアプラウドと共に観客の前に一列に並んで一礼し、顔を上げればIt's Show Time。
百花繚乱の大和撫子と金髪美少女によるフレンチカンカンの始まりである。
ロングスカートをたくしあげながらアプラウドが可憐に踊れば、宵闇の空から何か光を帯びる青いものが舞い降りてきた。
それはこのディヴィジョンにおいては幻の花であろう青い薔薇の花や花びらである。
『量産型ベートーベン』は花が放つ光に照らされると、何かのバグが起こったかのように音楽を止めてしまう。
一方観客たちは、珍しい花の降臨に感激してみせたる、それを受け取らんと手を伸ばしたり。
だが、花たちの役目はそれだけではない。
椿とアプラウドのダンスに可憐な彩りを添えていたのだ。
軽やかなステップを踏んで脚をほぼ垂直に高く振り上げるなんて、くノ一の椿にとっては造作も無いことであるが……。
(「わざわざ着物を捲って下着を見せるなんて異国の踊りは驚きに満ちていますね……」)
フレンチカンカンとは、女性ダンサーがロングスカートをたくし上げ、ハイキックやアクロバティックな動きを披露する刺激的なダンス。故に特に男性の観客にとってはなんともたまらんショーとなっていることは確かだ。
『王』のカリスマ的ダンスも見たいが、目の前のお姉ちゃんたちの逆ハムストリングとその奥も拝みたい……みたいな、二律背反的な感情が交錯する。
そんな観客の純情な感情を尻目に、椿は踊る。
この作戦の立案者であるラトリアはというと、ただ音楽を流しているだけではない。
美女と美少女による可憐で妖艶なラインダンスを引き立てるように手拍子で盛り上げたり、足を振り上げるダイナミックなアクションをアシストしたり、彼女たちの隣で道化っぽく機械でガッチガチの脚を振り上げたりして、観客たちの笑いをとっていた!
ヒーローはただかっこいいだけでは飽きられてしまうから、意外な一面を見せることもファンサービスであると心得ているのだ。
そんな彼をチラと横目で伺って、椿は思う。
この踊りには彼の趣味が多分に含まれている気もしなくはないが、色事で首級があげられるのだったら、何を躊躇うことがあるだろうかと。
「――では、行きますよ!」
分身たちと共にタンと前へと踏み込んで、華麗にターンを決めるその遠心力で一斉に手裏剣を投げ飛ばせば、最前列において手負の『量産型ベートーベン』を仕留めた。
が、絶命前に響くのは、交響曲第3番変ホ長調ポップスアレンジ。
踊る椿の前に浮かび上がるのは、勇壮なる大陸軍を率いる王に扮した『キング・オブ・ポップ』。
その圧倒的な存在感とカリスマ性に、自分の存在をかき消される感覚に苛まれそうになりながらも、椿は振り上げる脚を止めないし、スカートをたくしあげて振る手を休めない。
「……もう皇帝なんてお呼びじゃないんです。ここは民衆の国、合衆国なんですから……!」
その幻覚と対峙し踊り続ければ、やがて幻覚は消えて道端に転げるのは一体の自動人形の亡骸。
同時に役目を一旦終えて消えていく自分たちの分身たちを見送りながら、ラトリアと共に椿が見据えるのは、まだ遥か遠くで踊るジェネラル級ワイズガイ。
「……将を射んとすればまずは馬から。強敵だからこそ定石通りに手堅くいきましょう」
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1 【防衛ライン】LV1が発生! 【植物活性】LV1が発生! 効果2 【ダブル】がLV2になった! 【ガードアップ】がLV3になった!
③👾キング・オブ・ポップの音楽隊『量産型ベートーベン』
一里塚・燐寧
まったくもー。キング・オブ・ポップったらお高く止まっちゃって!
あたし達のパフォーマンスなんて歯牙にもかけてないみたいな余裕ぶりじゃんね
実際、技術はそっちが上かもしんないけど……挑戦者のハングリー精神を舐めて貰っちゃ困るよぉ
≪ブラスト・プレイヤー≫に充電式アンプを取り付け、大音量で演奏しながら戦えるようにして出撃するよぉ
鋭くひずんだエレキギターの音を轟かせて敵のポップスに対抗しよう
ハロー王様、気づいてたかい♪皆を見下ろす君の上でさ♪
か細い糸で吊られた剣が♪風の吹く日を待っているんだ♪
ダモクレスの剣の故事を思わせる挑発的な歌詞を弾き語り、量産型ベートーベンに接近!
歌の切れ目に≪ブラスト・プレイヤー≫を振り上げ、敵の1体を得物のチェーンソー部分でぶった斬るよぉ
『呪式:異苦同怨』が発動し周囲の敵にも裂傷が転写されると同時に、じゃーんと弦をかき鳴らす!
まるで音が敵を斬り裂いたように見せて観客を沸かそう
ピアノソナタに抗って間奏を奏で心を強く保つ
本当のお楽しみはここからだよぉ?眼も耳も離さないでねぇ!
③👾キング・オブ・ポップの音楽隊『量産型ベートーベン』
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
心情
戦いにだけ集中したら拙いってのは厄介だな
とは言え必要ならやるしかないのは確かか
しかし、年代も違う彼迄出て来るとは……バルトルディの時も思ったがアメリカの象徴的な存在は割りとジェネラル級になりうるのか?
京劇風に飾り立てた中華風鎧着用
〇竜血の大地を発動
赤き長槍を青龍偃月刀の形状に変え中華系の激しい動きの演舞を実行
此れには見ている人達への事前アピールとその上で普通の踊りじゃインパクトで勝てないと言う認識あり
身体ごと高速で回転しながら大地や敵を突き刺して周囲の敵を竜の血の洪水で吹き飛ばしていく
吹き飛ばす際等は自分を中心に間欠泉の様に派手に血の洪水が吹き出る様にする等目立つ戦い方を心掛ける
攻撃の優先順位は自分に近付いてくる敵優先
敵の攻撃に対しては迫りくる氷の刃と業火を魔力障壁を用いて防いだり複数の敵に狙われてるなら氷の刃と業火がぶつかる様に誘導する等して対処
さてと踊りは其処まで得意じゃないが……しっかりアピールしないと拙そうだし、な!
我が神よ!我が武、我が舞、ご照覧あれ!ってな
③👾キング・オブ・ポップの音楽隊『量産型ベートーベン』
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
成程、彼がキング・オブ・ポップか。
突然の乱入でも歓迎してくれるとは、器の大きさを感じるよ。
新旧注目の役者が揃った事で、人々の関心もより高まっている。
今この場で一番に求められているものは、極上のエンターテインメントに違いない。
ならばディアボロスの一人として、その期待に応えない訳にはいかないよね♪
有明月の名の竜笛を手に、共演者としてステージへと躍り出よう。
敵であれベートーベンの演奏の素晴らしさには、楽器を奏でる者としてリスペクトの念を抱く。
叶うなら今だけは、互いの音を打ち消すのではなく高め合う様な演奏をしてみたい。
心地よく調和するように、竜笛の音を合わせて和の彩りをプラス。
映画の様にエキゾチックで、ドラマチックな演奏へと昇華する。
場も盛り上がった所で『着ぐるみ召喚・着ぐるみの森』のパラドクス使用。
まるでマジックの様に、ベートーベン達をゆるっと可愛いふわもこ着ぐるみで包み込む。
大陸軍の幻も、みんなみんな着ぐるみに!
もふもふっとした感触で心地よい眠りへと誘おう。
…共演に感謝を。
③👾キング・オブ・ポップの音楽隊『量産型ベートーベン』
宝心・ライラ
アドリブ連携歓迎
・心情
私が目指すエンタメは単なる熱狂なんかじゃない
私達ショーマンは大多数の人からすれば一時の娯楽に過ぎないわ
でもいずれは誰かの人生の支えになるような、そんな最高の思い出をプレゼントする為に私は技を磨いてきたの
だって思い出の中に私の姿を焼き付けてもらえれば、たとえその人が挫けても幸せな思い出の向こうからその人を応援できるでしょ♪
私のハッピースタートを貫くために、ハリウッド女優として、ショーマンとして……負けるわけにはいかないわ!
・戦闘
キング・オブ・ポップに、そして会場全体に想いの丈を届ける
でも説教臭いだけじゃ心には響かない
笑顔のピエロとして愉快奇天烈なサウンドも一緒にね♪
「水色の演目!これが私のオープニングアクト!」
繰り出すはフロアを沸かせる音と水流のDJ攻撃
ベース音源はピエロの定番『剣士の入場』
誰もが振り向くこの曲で会場全体を私色に染め上げるわ
ピアノソナタをかき消す程の音量と乱れ狂う水流攻撃でベートーベンさんと真っ向勝負よ!
「この会場に悲壮は似合わないわ。さあ、笑って!」
ラトリアと椿に続くのは、彼らと同時に救援機動力でハリウッド・ブールバードに到着したディアボロスたち。
時には堂々たるヴィラン。時には仲間と共に世界の謎に迫る美少女ニンジャ。またある時は宇宙人と対峙する忍者に、またある時は恐竜ハンターと多彩な演技を見せた、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)も満を持してこの地に降り立った。
「まったくもー。キング・オブ・ポップったらお高く止まっちゃって! あたし達のパフォーマンスなんて歯牙にもかけてないみたいな余裕ぶりじゃんね」
と、夜風に靡いたピンク色のふんわりした髪を抑えながら見据えるのは、軽快な音楽に乗ってキレのあるダンスを繰り出す『キング・オブ・ポップ』。
実際問題、音楽やダンスに特化したジェネラル級ワイズガイのパフォーマンスとディアボロスのパフォーマンスとでは、あきらかに先方の技術の方が優れている。これは紛れもない事実。
「だけどねぇ、……挑戦者のハングリー精神を舐めて貰っちゃ困るよぉ」
と、エレキギター『ブラスト・プレイヤー』に充電式アンプを取り付けて鳴らせば、先方のクラシックポップスをかき消すほどの鋭くひずんだ大音響が一体に響き渡る。
それはまるでこの世界のミュージックシーンの新風と言っても過言ではなく、宵闇の空をつんざいていく。
豪華絢爛、京劇風に飾り立てた中華鎧を身に纏ったルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)は戦場に降り立つなり、目前の敵軍の一番高所で踊るジェネラル級ワイズガイを見やった。
『キング・オブ・ポップ』。彼には真っ向勝負の攻撃は効かないと聞く。
(「戦いにだけ集中したら拙いってのは厄介だな」)
もし戦いにだけ集中するとなればどんな手痛い返しが来るのか。今は想像力を働かせるしかないのだが、有効打を与えるためには歌も踊りも疎かにはできない。
(「しかし、年代も違う『彼』迄出て来るとは……バルトルディの時も思ったがアメリカの象徴的な存在は割りとジェネラル級になりうるのか?」)
と思い起こすのは、正史で伝説となっている『彼』と自由の女神を設計した偉人。前者はこのディヴィジョンの年代よりもずっと後に生まれ、後者は四半世紀ほど前にこの世を去っているはずである。
このことを含めてもこのディヴィジョンは、他のディヴィジョンとは一線を画しているようだ。
こんな考察をしながら凛々しい表情で『王』を見つめるルィツァーリ。そのあどけない横顔に、観客のお姉様方は「可愛い……」と甘いため息を漏らしていた。
ルィツァーリの隣に立つ文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)にも、注目が集まっていた。
彼は日本の伝統衣装の一つ狩衣に身を包み、竜笛『有明月』を携えている。その異国情緒溢れる佇まいは、そこにいるだけで異彩な存在として人々の目に映るのだろう。
雪人は観客たちに微笑みながら会釈してみせたが、瞬きの後に目線を投げるのは、ステージ上で踊る白いスーツ姿のワイズガイ。
「成程、彼がキング・オブ・ポップか」
従来のジェネラル級だったら、自分たちの独壇場に介入したディアボロスを蹴散らすために配下を仕向けててきた。しかし『キング・オブ・ポップ』はディアボロスの介入を許している。
いや。ディアボロスを、ショーを盛り上げるパフォーマーとして受け入れてくれているようにも感じられた。
「突然の乱入でも歓迎してくれるとは、器の大きさを感じるよ」
チラと横をみれば沿道の観客もディアボロスの登場を歓迎してくれているようで、好意的な反応を見せてくれている。
スーパーノヴァとジャイアントスターの共演に関心を持ってくれているようだ。
ディアボロス側の最終目的は『キング・オブ・ポップ』を倒すこと。だけど、観客が
求めているものは、極上のエンターテインメントだろう。
「ディアボロスの一人として、その期待に応えない訳にはいかないよね♪」
微笑む雪人の言葉にピエロ衣装に身を包む宝心・ライラ(笑顔の大サーカス・g01071)は力強く頷く。
「私が目指すエンタメは単なる熱狂なんかじゃない。私達ショーマンは大多数の人からすれば一時の娯楽に過ぎないわ。でも……」
呟いて見据えるのは、圧倒的な存在感とカリスマ性、そして神域まで昇華させたパフォーマンスで観客を熱狂させる『王』の姿。
だけどあのワイズガイは、この世界の誰かの心の支えとなるようなパフォーマーなのだろうか。
自分と『王』の違いは明確だ。
「私は、いずれは誰かの人生の支えになるような、そんな最高の思い出をプレゼントする為に技を磨いてきたの。だって思い出の中に私の姿を焼き付けてもらえれば、たとえその人が挫けても幸せな思い出の向こうからその人を応援できるでしょ♪」
と、『王』を見据えていた厳しい表情を一変。青い目を細めてにこっと観客席に笑顔を向ければ、自分と目があった子供達が笑顔で手を振ってくれる。
ライラが届けたいのは、気絶するほどの熱狂じゃない。
誰かの人生にそっと色を添える、ささやかでも確かな思い出だ。
「私のハッピースタートを貫くために、ハリウッド女優として、ショーマンとして……負けるわけにはいかないわ!」
だがそんなライラの気持ちを踏み躙るように響いてくるのは、ピアノソナタ第8ハ短調ポップスアレンジ。
その曲に合わせて物悲しげに踊る『キング・オブ・ポップ』。だけどライラの精神を侵すのは彼のダンスではない。『量産型ベートーベン』の奏でるサウンドだ。
自分の表情筋が下がるのがわかる。心が萎えて締め付けられる感覚に、足がすくみそうになる。
だけど、ライラは手のひらを地面に向けると、自分の気持ちをぐっと奮い立たせた。
「この会場に『悲愴』は似合わないわ―― 水色の演目! これが私のオープニングアクト!」
『王』の一団を見据えながら口角を上げて告げれば、手のひらの下に生まれ出でるのは複数の小さな水流で。その渦から聞こえてくるのはピエロの登場の定番『剣士の入場』。
だけどライラがディスクジョッキーのように水流に指を当ててスクラッチしてみせれば、愉快な音楽にさらに変化が生まる。
説教臭いだけでは人の心が動かせないから、笑顔と弾む声のお供は、愉快奇天烈奇想天外なサウンド。
全てのショーは、人々の心に小さくても枯れない花を咲かせるため。
その想いをこの街道にいる観客に、そして『キング・オブ・ポップ』に届けるべく、ライラは悲愴を振り払った。
「さぁ、みんな。笑って! 一緒に楽しんじゃおうよ!」
その音楽と笑顔は、『量産型ベートーベン』たちを返り討ちにしてみせる。
だが、まだ『量産型ベートーベン』の攻撃は続く。
交響曲第3番変ホ長調ポップスアレンジが響き渡る中で雪人の青い瞳がとらえたのは、勇壮なる大陸軍を指揮統率する『キング・オブ・ポップ』の幻影。
「……こんな幻影を見せてもらえるなんて……」
自分に迫る大陸軍に慄きながら、だけど目前の音楽家は量産型とてやはり素晴らしい作曲家であると尊敬の念を抱きながら、雪人は有明月を構えた。
自分も音楽を奏でる者。
叶うなら今だけは、互いの音を打ち消すのではなく高め合う様な演奏をしてみたい。
そう願い奏でる竜笛は細くとも伸びやかな音色で、勇壮な音楽に心地よく調和するような和の彩りで飾られる。
それは異国の文化が混じり合う映画の様にエキゾチックで、『王』の行進に彩りを添えるドラマチックな演奏へと昇華していった。
沿道の観客たちもその竜笛の心地のいい響きに耳を傾ける中、雪人は『ここで真打登場』とばかりに呪符を構えると『量産型ベートーベン』を見据える。
「――今こそ着ぐるみの力を示す時、着ぐるみ召喚・着ぐるみの森!」
唱えれば。宵闇の空に現れたのは、猫に犬、ネズミにアヒル……様々な動物ふんわりもこもこな可愛い着ぐるみたち。
まるで魔法かマジックか。
びっくりしている観客を尻目に着ぐるみたちは地上に降り立つと、『量産型ベートーベン』をふわっと包み込んでしまう。
さらに大陸軍の幻影には虎に熊に豹という、ちょっと獰猛だけど可愛いラインナップを用意して、軍を率いる『キング・オブ・ポップ』の幻影には、ライオンさんでも着ていてもらおう。
こうすれば大陸軍も一気に可愛くなるし、『量産型ベートーベン』の演奏も止まって幻覚も消える。
雪人はなんだか可愛くなってしまった『量産型ベートーベン』をみてふふっと微笑んだが。
「……共演に感謝を」
同じ音楽を嗜むものとしての礼儀を尽くして礼をしてみせれば、観客たちからもたらされるのは拍手の嵐。
この流れを途切れさせまいと続いたのは、ルィツァーリ。
「……踊りは其処まで得意じゃないが……しっかりアピールしないと拙そうだし、な! 我が神よ!我が武、我が舞、ご照覧あれ!ってな」
勝ち気に笑みながら大地へと手をかざせば、その手に現れたのは青龍偃月刀の形状をした赤き長槍で。その得物を手に派手な演舞を繰り広げれば、初めて観るであろう舞に目の前のハリウッドっ子たちの注目を一身に浴びる。
が、相手はこのディビジョンでカリスマ的人気とダンス技術を誇る『キング・オブ・ポップ』。到底インパクトで押してもすぐに飽きられてしまうことなど、わかっている。
だが『王』お抱えの演奏家を倒すにはちょうどいい。
小柄で軽量が故に繰り出せるアクロバティックな回転で観客の視線を奪いながらも、迫り来る『量産型ベートーベン』たちの目前で刀を地面に突き刺して。
「我が故郷より伝わりし竜殺しの英雄、ドブルィニャが授かりし天啓よここに! 母なる大地よ、竜の血を飲み干し賜え!」
唱えれば地面から勢いよく噴き出してくるのは、竜の血の洪水。
その赤い間欠泉に巻き込まれた『量産型ベートーベン』たちは一気に空へと舞い上がり、赤い血の洗礼を浴びる。
だが、そこから聞こえてくる音楽があった。
交響曲第5番ハ短調ポップスアレンジ。
力強いイントロと共に吹き荒れるのは業火の如き熱き暴風であり、降り来るのは氷の刃であり。
ルィツァーリは咄嗟に魔力障壁を展開しながらも、敵同士の反撃がぶつかり合うことを狙って動き回る。
その反撃の終わりを告げるように、炎の暴風と氷の刃が消え始めたころ。
「ハロー王様、気づいてたかい♪ 皆を見下ろす君の上でさ♪ か細い糸で吊られた剣が♪ 風の吹く日を待っているんだ♪」
ブラスト・プレイヤーの弦を爪弾き、ダモクレスの剣の故事を思わせる挑発的な歌詞を弾き語りながら『量産型ベートーベン』たちに接近した燐寧。
次の瞬間には体勢を整えながらじゃーんと弦を掻き鳴らし、にんまりと歌った。
「一人だけ苦しいのは辛いでしょ? じゃ、みんなを苦しくしたげるよぉ」
この一瞬。観客から見たら『量産型ベートーベン』との接近対バンが行われたように見えたであろう。
しかし燐寧は、歌の切れ間に一番手前にいた『量産型ベートーベン』を、振り上げた得物のチェーンソー部分でぶった斬っていたのだ。
一見、普通に武器で叩き切っただけのこの行為こそ、燐寧のパラドクス。
バラされたことによる裂傷により激痛に呻き声をあげる『量産型ベートーベン』だったが、斬られていない『量産型ベートーベン』にも裂傷と激痛が転写されていく。
まるで音が『量産型ベートーベン』を切り裂いたように見えていれば御の字だ。
そう願いながらも燐寧は、バラバラに砕けていく『量産型ベートーベン』の反撃に備える。
ガラクタ化していくその自動人形が奏でるのは、まさに自分たちの『今』を思わせるピアノソナタ第8番ハ短調ポップスアレンジ。
燐寧はその素晴らしい音楽の調べに抗うように、ブラスト・プレイヤーを掻き鳴らして心の平穏を保つ。
「本当のお楽しみはここからだよぉ? 眼も耳も離さないでねぇ!」
歌も歌って聴覚を紛らわらせれば、やがて反撃の音楽は消え去り。
後に残るは、バックダンサーも演奏家も失ったジェネラル級ワイズガイ『キング・オブ・ポップ』ただ一人だった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【過去視の道案内】LV1が発生! 【泥濘の地】LV1が発生! 【避難勧告】LV1が発生! 【迷宮化】LV1が発生! 効果2 【ダメージアップ】がLV2になった! 【アクティベイト】LV1が発生! 【グロリアス】がLV2になった! 【ガードアップ】がLV4になった!
●
護衛兼バックダンサーと専属演奏家の命運がつき、急に静かになったハリウッド・ブールバード。
配下を失ったそのワイズガイは、道路に転がる自動人形の破片やコーラを垂れ流して伏せるワイズガイを見やると、動くステージの上で深く息をついた。
そこには街あかりという名のスポットライトがあるのみ。
ざわめき以外の音はなく、これが余計に彼を引き立たせていた。
沿道に集う観客も憂いを帯びた表情を見せる彼の一挙手一投足を固唾を飲んで見守り始める。
時折、こんな言葉の投げかけられる。
Brake a reg,King of Pop.
Brake a reg,King of Pop!
足を折れとは不吉な言葉だが,これは演劇界で「頑張れ」という意味。
不運を願うようなことを言うことで、逆に幸運を呼び込もうとする迷信からきている。
すると、『キング・オブ・ポップ』の表情が一変。にっと笑むと、そのスラリと伸びた足が動いたするとステージの床板を叩く靴音が軽やかなリズムを生みだした。
その生まれくるリズムに乗ってハミングで唄えばメロディが生まれ、派手なダンスで発生する絹擦れは、やがてハーモニーとなる。
『キング・オブ・ポップ』という男は、自身の肉体をも楽器にしてしまったのである。
そして自身の前に立ちはだかるディアボロスを前に、少しハスキーだが男性にしては高く響く歌声を響かせ始めた。
教えてくれないか 僕に挑む超新星たちよ
キミたちが戦う理由を 僕という巨星に挑むワケを
そしたら僕も教えてあげる 僕という星が輝くワケを
戦う理由を問われたディアボロスたちは、自然と各々の顔を見合わせた。
半端な想いで戦うものなど、少なくともここに集うディアボロスの中には一人もいない。
それは彼らの輝く双眸が、胸から溢れる想いが物語っていた。
誰が歌っても心に響く良い歌を歌うだろう。
誰もがそう思っていた。
そんなディアボロスたちの前で『キング・オブ・ポップ』は空に向かって一つ指を鳴らす。すると、自動運転でステージを牽引していた車がゆっくりと止まった。
そしてからはステージの縁にスラリと伸びた脚を投げ出し座ると、鳴らす指のリズムに乗ってゆっくりと歌い出す。
キミたちが戦うワケは僕の胸に響いて
熱く強く まるで一等星のように光を放つのさ
僕の心の星をも焦がす 想いに触れていたい
僕もモノにしたい 全部 余さず 独り占めしたい
そう歌いながらディアボロスの顔を見回した彼だったが――。
①キング・オブ・ポップとの会話
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ歓迎
心情
歌か……ま拙いなりにやってやる
リュート勇壮に〇演奏
〇大声で〇歌唱質問
我戦いし壱は 祖父が為
彼生き抜きし 西部の大地
彼生き抜きし 開拓時代
彼が戦友(とも)と 駆けし故郷
全て奪われし祖父が為 全て取り戻す 其の為に
我戦う弐は 仲間が為
想い託せし 倒れし同胞(とも)
彼等が想い 受け継ぎ戦う
全て奪われし彼等が為 全て取り戻す 其の為に
我戦う参は 人の為
戦えぬ故 虐げられし人
彼等戦えず 故に奪われる
虐げ奪われし彼等が為 彼等守り抜く 其の為に
我問いしは 祖父の故郷
銃弾飛び交いし 西部の大地
彼の地の現況 如何なるや
彼の地 我が祖父故郷故
祖父に伝えん 其の為に
意訳
私が戦うのは先ず祖父の為です
彼は西部開拓時代に生きた人で彼の戦友も故郷も奪われました
其れを取り戻す為戦うのです
第二に仲間の為です
特に新宿に辿り着けず倒れ私達に遺志を託した人の為に
彼等の思いを受け継いだのですから
第三に虐げられる人の為です
彼等は戦えないし護りたいのです
西部の現況はどうです?
何故聞くかって?
祖父に伝えたいからですよ
彼の白い手袋をはめた手がスッと、ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)を指した。
聞かせてよ 金色に輝くキミの歌を
この空の星を 僕を胸を揺るがしてよ
直にリクエストされて、ルィツァーリは驚き僅かに目を丸くした。
だが、自身の胸に燃える『戦う理由』は明確に言葉にできる。
(「歌か……」)
それを歌にすること自体初めてであったが、いい機会だ。
(「ま、拙いなりにやってやる」)
後は野となれ山となれ、だ。
リュートを手にして弦ひとつ爪弾いたルィツァーリ。
するとしんとした夜空に響くのは、優しい音。
さらに弾いて流せばメロディは周囲のビルに反響し、観客たちもその音に聞き入り始めた。
我戦いし壱は 祖父が為
彼生き抜きし 西部の大地
彼生き抜きし 開拓時代
彼が戦友(とも)と 駆けし故郷
全て奪われし祖父が為 全て取り戻す 其の為に
我戦う弐は 仲間が為
想い託せし 倒れし同胞(とも)
彼等が想い 受け継ぎ戦う
全て奪われし彼等が為 全て取り戻す 其の為に
我戦う参は 人の為
戦えぬ故 虐げられし人
彼等戦えず 故に奪われる
虐げ奪われし彼等が為 彼等守り抜く 其の為に
柔らかく鳴らすリュートの音色に乗せて大声で歌いながら、まずルィツァーリが思い浮かべたのは、祖父のことだった。
彼は西部開拓時代を生きた人物であるが、彼は戦友も故郷もクロノヴェーダに奪われた。
彼の無念は孫である自分が晴らしたい。
それが自分を突き動かす一番の原動力。
だが、ルィツァーリが戦いに赴く理由はこれだけではない。
仲間を失ったのは、ルィツァーリ自身も同じだったから。
新宿島に流れつけずに天に召された仲間の数など、両手で数えても足りるわけがない。
そんな彼らが遺してくれた意志や思いは今でもルィツァーリの心で赤く赤く炎となって燃えているのだ。
そんな思いを抱えながらも最終人類史の一員となって様々なディヴィジョンに赴くと、先々で明してきたのは虐げられる人々。
彼等はクロノヴェーダの略奪に対抗する術を持たない。
だから、自分が彼らのささやかな幸せを護りたいと思った。
そんな想いたちを歌に込めれば、『キング・オブ・ポップ』はステージの縁に座ったまま微動だにしない。
今だけはディアボロスを主役にしてくれている。そんな余裕さえも伺わせていた。
なら今なら、『尋ねられる』だろうか。
天にいる祖父に伝えるための、『答え』を――。
我問いしは 祖父の故郷
銃弾飛び交いし 西部の大地
彼の地の現況 如何なるや
彼の地 我が祖父故郷故
祖父に伝えん 其の為に
リュートを爪弾く音と共に力強く歌い終えれば、沿道の人々もその情緒ある歌を披露したルィツァーリに拍手を送ってくれた。
目の前の『王』も拍手を以ってルィツァーリを称えてくれた。そして、ステージの縁に足を掛けて立ち上がれば、軽やかなバックステップと共にタップダンスを踊り出しした。
僕が踊れば 皆の歓喜と
動くビリオンのマネーと一緒に踊るよ
やがて僕に夢見た星が
共に輝き後に続くだろう
今は見果てぬ新天地 歌い踊れば歓喜を呼んで
虹を掛けていこう 言葉も文化も超えて
世界が混ざり合えば共に歌い踊れるさ
それが僕が歌い踊る理由さ
軽やかなダンスと穏やかな歌声で、自分が歌い踊る意味を表現する『キング・オブ・ポップ』。
ディアボロスはその歌の歌詞を自分たちの頭の中でリフレインさせ、意味を読み解いていく。
まず第一に、経済活動の一環としてショウビジネスを行っていると読み解いて間違いはなさそうだ。
その上で、新天地――おそらく、別のディヴィジョンや最終人類史でも興行を仕掛けることが目的であったのだろうと推測できる。
確かに、音楽やダンスは異文化交流の最初の手段となり得るから、他の経済活動よりはやりやすいことは確かだった。
だが次の瞬間、『キング・オブ・ポップ』はダンと足を踏み鳴らし他かと思ったら、静止画のように止まってしまう。
その立ち姿そのものがひとつの芸術作品のようで、観客もディアボロスも誰もが彼の次の動きに注目した。
次の動作を固唾を飲んで待った。
やがて、今までのダンスとは比べ物にならないアップテンポでタップを踏み鳴らしたかと思えば、激しいシャウト。
たとえ僕の 僕らの命が終わるならば
文化が死に絶えてしまうから!
歓喜を翼に狂気を熱に 僕は叫ぶんだ
それが僕が戦う理由になる!
それはこのライブパレードが始まって、一番激しいリズムでメロディ。
観客が圧倒されて歓喜と狂気を帯びた叫びを上げる中、ディアボロスたちはその歓喜と狂気に飲まれぬよう、自分の戦う理由を胸に各々が武器を構えた。
ルィツァーリが祖父のために聞きたかった西部の情報を『キング・オブ・ポップ』は答えなかった。
答えるだけの情報を持ち合わせてはいなかったのだろうか。或いは――。
けど今は一旦、この熱を止める必要があった。
大成功 🔵🔵🔵🔵
効果1 【口福の伝道者】LV1が発生! 効果2 【凌駕率アップ】LV1が発生!
④👿ハリウッド、ポップミュージック決戦『キング・オブ・ポップ』
四葩・ショウ
すごいね、流石スーパースターだ
だけど
――きみだけのステージには、させないよ
硝子のレイピアに唇寄せて
薔薇窓のスポットライトを一身に受ける、Octavian
わたしがいちばん得意な聖歌を歌唱して
場面転換、しちゃおう
『さぁ、ショータイムだ』
手足をおおきく優雅に動かして
観客を魅了するパフォーマンスも意識しながら
始める、逆説連鎖戦
歌声を響かせながら
ダンスへ誘うようなステップと仕草から
躍るようにしなやかに、レイピアを繰り出して
見惚れるようなスターのダンスを
間近で見られて光栄だけど
弾丸にはひらり白のペリースを翻して急所を護ろう
赤く咲く血汐だって
そういう演出みたいに、散らせて
臆する必要なんてない
派手にうごいて惹きつける
きみはとても素晴らしいショーマンだ
でも、どんなにおおきな星だって
ひとつきりじゃ夜闇を照らせない
ひとりきりじゃ
ハーモニーは生まれない
手を伸ばして届かないなら
きみのところまで駆け上がるだけさ
観客へウインクして
ねぇ、皆も見て見たいよね?
スーパーノヴァの煌めきを!
さぁ、
仲間の熱い想いへ――繋げよう
「すごいね、流石スーパースターだ」
観客たちの歓喜と狂気を呼び起こしてしまった『キング・オブ・ポップ』のパフォーマンスを四葩・ショウ(After the Rain・g00878)は純粋に賞賛する。
彼自身の自身の身体捌きや歌声もだが、間の使い方が秀逸であったし、緩急の付け具合も計算され尽くされていた。故に、あの短時間であの歓喜と熱狂を呼び起こせたのだろう。
けど。
「――きみだけのステージには、させないよ」
そう告げて、携えた透き通るレイピアに唇を寄せれば、きらりと瞬きぱちりと弾けるのはプリズム。
そんなひかりたちが作り上げたスポットライトは、ショウの伸びやかな足元でふわりと花開く薔薇窓で。
「さぁ、ショータイムだ」
華麗なステップでジャンプすれば、ヒカリのプリズムが弾け飛び、薔薇窓のスポットライトもショウを追いかけてきてくれる。
そして高らかに歌い響かせるのは、優雅で荘厳なる聖歌――ショウが一番得意とする歌だ。
伸びやかに軽やかに、ファルセットとビブラートが効いた浄らかなるメロディ歌声、そしてスラリと長い手脚を存分に活かしたダンスは、先ほどの歓喜と熱狂を一変させた。
歓喜と狂気は徐々に収束し、代わりに訪れるのは感動。
これで観客の心は収めることができただろうか。
なら始めようか、逆説連鎖戦を――。
ショウはタンと地面を蹴ってステージ上へと上がれば、歌声を響かせながら『キング・オブ・ポップ』へと迫った。
まるで彼を自身のダンスへと誘うような華麗なステップアンドターンから踏み込んだ拍子にその胸にしなやかに突き立てるのは、相棒であるガラスのレイピア。
観客たちが息を呑む中、その刺し傷から舞うのはひかりの薔薇の花びらたちで。薔薇窓のライトはいまだにショウの足元でひかりの花を咲かせている。
対して。胸を貫かれた『キング・オブ・ポップ』は、右手で胸元を押さえ派手によろけて見せたが、これも演出であろう。
ショウを振り返り妖艶と笑むと、スーツやスラックスの絹擦れの音を響かせながら帽子に手を置いた。
すると観客たちの騒めきや歓声がBGMと化し、『キング・オブ・ポップ』のステップに彩りを添え始めた。
すると彼の足はステージ上を前進するような動きを見せたけど、目の錯覚かそれとも魔法か。スルスルと後退し始めたのだ。
これにはショウも思わず観入ってしまうが、その一瞬の隙を突かれてしまう。
彼の白手袋を跳ねた手が懐に入ったかと思えば、次の瞬間、彼の手に握られたのは拳銃で――。
はっと息を呑み、発砲音共に条件反射。白いペリースを翻す。
しかし頬に一本、熱い熱が走った。
「っ……!」
呻き声と同時に散り、ステージの床に赤い花がぱっぱと咲いた。
ショウは頬の傷から流れる鮮血をあえて拭わず、観客には『これは演出の一環だ』、自分自身には『臆することはない』とばかりに余裕綽々と微笑んで、彼に負けじとステップを踏んでみせた。
「あなたのステップを間近で拝むことができて光栄だよ」
セリフのように告げた後に、また高らかに歌い出す。
きみはとても素晴らしいショーマンだ
でも、どんなにおおきな星だって
ひとつきりじゃ夜闇を照らせない
ひとりきりじゃ
ハーモニーは生まれない
ショウは歌劇俳優のように、ぽつりぽつりと光り始めた一等星たちに手を伸ばしてみせるけど、その手を一旦自分の胸元に戻して、今度は『キング・オブ・ポップ』に差し出した。
手を伸ばして届かないなら
きみのところまで駆け上がるだけさ
伸びやかに歌い上げて観客へとウィンクも飛ばして、
「ねぇ、皆も見て見たいよね? スーパーノヴァの煌めきを!」
尋ねれば、観客たちの歓声も大きくなる。
しばらくしてその歓声を一瞬にしてかき消したのは、音の連なりすら聴き分けられぬほどの高速の、『キング・オブ・ポップ』が奏でるタップのリズムで。
タンと響く靴音が途切れた瞬間、彼はショウを見てこう微笑んだのだ。
「なら、キミが戦うワケを教えてよ。キミの、スーパーノヴァたる輝きを僕にみせて?」
成功 🔵🔵🔵🔴
効果1 【落下耐性】LV1が発生! 効果2 【能力値アップ】LV1が発生!
①キング・オブ・ポップとの会話
四葩・ショウ
(歌唱するのは聖歌めくアリア
コロラトゥーラに想うまま、
正当な怒りから希う未来へ
理由を重ねて)
ゆるせない、ゆるさない
さけぶ声がきこえた
わすれもしない
あの夏の日、すべてを奪われた
かけがえのない家族、友達、故郷──
世界にたったひとり残されて
誓った
ゆるせない、ゆるさない
だから必死に踠いたんだ
もう一度家族を抱きしめたくて!
大切なものを取り戻して
それで、終わり?
ううん。そうじゃ、ないんだ
ゆるせない、ゆるさない
誰かがながした涙が
誰かが熾した怒りが
なかったことにされた世界から
大切なものを奪われた大地から
ずっと、きこえるんだ!
もうだれにも、同じ想いをさせないために
わたしのこの腕は
理不尽から人々を護るつばさになる
たとえわたし自身とひきかえにでも
どれだけ傷付いても護りたい
だからわたしはスーパースター、貴方と出逢った
選ばれたわたし達の歴史の
すべてが正しかった訳じゃないと識っても
それでもわたしは戦う
人類だけじゃない──
あまねく生命を愛してるから
かれらを未来へ連れて行くために
わたしは今だって、踠いてるの
わたしが戦う理由。
それは『キング・オブ・ポップ』のパフォーマンスに感化された観客の熱気を覚ますため、一度は裡におさめた情熱であった。
しかし、こうして直にご指名されて『戦う理由』を披露することになろうとは。
(「これも演出の一つ……?」)
四葩・ショウ(After the Rain・g00878)は眉間に僅かに皺を寄せて彼を見据える。
そんな彼――『キング・オブ・ポップ』はショウの戦う意味を聴く気満々とばかりに、うっすらと笑みを浮かべながらステージの床に腰を下ろしてしまった。
こうなってしまっては、ただ棒立ちでステージの上に立ち続けるわけにはいかない。
みんな、わたしの歌を待っている。
ショウは腹を括ると、ステージの中央に進み出た。
これなら両沿道にいる観客にも、ビルの窓や屋上から見下ろす観客にも、自分の姿がありありと見えるだろう。
「……なら、聴いて? これがわたしが戦う理由だ」
告げて腹式呼吸でこの世界の空気を肺いっぱいに詰め込んだショウは、裡におさめた感情を一気に開花させる。
ゆるせない、ゆるさない
さけぶ声がきこえた
わすれもしない
あの夏の日、すべてを奪われた
かけがえのない家族、友達、故郷──
世界にたったひとり残されて
誓った
ゆるせない、ゆるさない
だから必死に踠いたんだ
もう一度家族を抱きしめたくて!
それは聖歌めくアリア。
本来であればオーケストラの伴奏で歌う気高き独唱であるが、旋律上に細かな装飾音符を加えて歌うコロラトゥーラ技法によって、歌唱のみでも十分に人々の心を惹きつける。
そんな手応えで全身に震えすら起きた。
けれど、ここで怖気付くわけにいかない。
目の前のクロノヴェーダ――ジェネラル級ワイズガイ『キング・オブ・ポップ』にぶつけるように、身振り手振りも感情すらもダンスに変えて、歌う。
何もかもを奪われたあの日に覚えた、身を焦がすような怒りの歌を――。
――だけど様々なディヴィジョンに赴くにつれ、ショウは自分が戦う理由をもうひとつ見つけたのだ。
大切なものを取り戻して
それで、終わり?
ううん。そうじゃ、ないんだ
ゆるせない、ゆるさない
誰かがながした涙が
誰かが熾した怒りが
なかったことにされた世界から
大切なものを奪われた大地から
ずっと、きこえるんだ!
もうだれにも、同じ想いをさせないために
わたしのこの腕は
理不尽から人々を護るつばさになる
たとえわたし自身とひきかえにでも
どれだけ傷付いても護りたい
だからわたしはスーパースター、貴方と出逢った
選ばれたわたし達の歴史の
すべてが正しかった訳じゃないと識っても
それでもわたしは戦う
人類だけじゃない──
あまねく生命を愛してるから
かれらを未来へ連れて行くために
わたしは今だって、踠いてるの
感情が溢れるまま歌い上げたショウは、自分が肩で呼吸をしていることに気がついた。
そして、いつしか自然とピンクローズの瞳濡らして溢れ出たのは、泪。
広げた手を下ろしてひとつ息をついて頬を濡らす涙を指の背で拭い、四方八方から送られる拍手にお辞儀をして回りながら、皮肉なものだと笑みが溢れた。
復讐の怒りから生まれたものが、希う未来だったなんて。
一方の『キング・オブ・ポップ』はというと。ショウのパフォーマンスを見聞きして、少し動揺したような仕草をみせていた。
けど、それを気取られないようにスッと立ち上がると、ハットを抑えてパチンと指を鳴らした。
まだ答えていない事実が聴けるのだろうかと、彼を注視するショウとディアボロス。
観客たちも今か今かと、『キング・オブ・ポップ』のパフォーマンスの返歌を待つ。
すると彼の足がリズムを刻み、今一度大きな靴音をビルの谷間に響かせたかと思ったが刹那、少し掠れた高音が静かに、でも確かに奏でられる。
Revenge(復讐)?
furious?(激怒)?
マイナスからは何も生まれないよ
だから僕は楽しく踊る
戦いの勝者となるために
未来につながる勝利のために――。
大成功 🔵🔵🔵🔵
効果1 【口福の伝道者】がLV2になった! 効果2 【凌駕率アップ】がLV2になった!
①キング・オブ・ポップとの会話
音羽・華楠
キング・オブ・ポップの演出に思わず拍手を。
……なるほど、人気になるのが解る立ち振る舞いです。
確かに彼は偉大なるスター……。
その巨星の誘いに応じます!
曲は衣装に合わせて和ロック調。
【エアライド】で空中でもステップを踏みつつ、神楽をアレンジしたダンスと共に――歌います!
私の戦う理由……!!
君の強さに守られて
君の優しさに救われて
君の笑顔に――恋に落ちた
夏の終わりが訪れる
さよならも言えなかったあの季節
もう触れ合えない
君との距離は幾星霜
いっぱいの思い出を背に
旅立つよ
発車ベルの向こう
君の居ない時代へ
願うのは――
君の強さに守られた
君の優しさに救われた
その希望を僕も
何処かの誰かに渡したい
もしも歴史の終着駅で
君に再び会えたなら
君が誇れる僕でありたいと
心の底から願うから
君の強さに守られて
君の優しさに救われて
もしも歴史の終着駅で
君に再び会えたなら
君の笑顔に――また恋をする
父さんが、母さんが、何より大好きな兄さんが誇れる私である為に!
……私の戦う理由、再確認させてくれたことに感謝します、キング・オブ・ポップ。
ディアボロスに『戦う理由』を尋ねた時のパフォーマンスや、1度目の返歌――。
身一つで人々の心を大きく揺るがしてしまうのだから、『キング・オブ・ポップ』というパフォーマーは底知れない。
先のショウの『戦う理由』を目の当たりにした『キング・オブ・ポップ』の僅かに見せた動揺は、どういう心の動きであろうか。
だけど音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は、彼に拍手を送っていた。
「さすがは偉大なるスター。その立ち振る舞いもダンスも歌も、人々の心をとらえて離さない理由がよくわかります」
『キング・オブ・ポップ』はそんな華楠をステージ上から見下ろしていたが、白手袋を嵌めた手をスッと差し出してこう促した。
「僕に拍手を贈ってくれたキミの歌も、聴かせてくれない?」
華楠はその誘いに、きゅっと表情を引き締めて首肯して。
「わかりました」
と空中へジャンプすれば、空中にもう一段、見えないステージが現れる。
華楠はそのステージ上にそっと膝をついた。
今、華楠が空中をステージにしていることは、彼女が身に纏う服の長い袖がまるで街灯に垂れた旗のように靡く様から見てとれるだろう。
まるで魔法だと驚く人々の囁きの中で華楠はスッと顔を上げると、目前にいる『キング・オブ・ポップ』を見据えて宣言した。
「――歌います! 私の戦う理由……!!」
その力強い宣言とは裏腹に優美に立ち上がるのは、華楠のダンスが神楽舞をアレンジしているから。
君の強さに守られて
君の優しさに救われて
君の笑顔に――恋に落ちた
華楠が奏でるそのメロディは、和風ロック。
緩やかに伸びやかに、だけど激しく気高く。
歌詞に合わせてステップを踏めば、袖と大きな尻尾がふわりと揺れて可憐さを引き立てる。
夏の終わりが訪れる
さよならも言えなかったあの季節
もう触れ合えない
君との距離は幾星霜
心から溢れる想いに『言葉』という翼を与えて。声に乗せて空へと放てば、星空に浮かび上がるのは、もう触れ合うことができない愛おしい人の姿形と思い出で。
ぐっと締め付けられそうな胸の痛みが、華楠から歌を取り上げそうになる。
けど、華楠は自身の胸元に手を当てて、いずこに『君』からかけてもらったあの優しい声色と、言葉を思い出す。
――大丈夫――。
今一度前を向けば、ブロードウェイ・ブールバードの夜景はまるで星のように瞬いていて、華楠は改めて思い知る。
私は懐かしい場所を離れて、こんなに遠くまで来ていたんだ。
いっぱいの思い出を背に
旅立つよ
発車ベルの向こう
君の居ない時代へ
願うのは――
君の強さに守られた
君の優しさに救われた
その希望を僕も
何処かの誰かに渡したい
もしも歴史の終着駅で
君に再び会えたなら
君が誇れる僕でありたいと
心の底から願うから
君の強さに守られて
君の優しさに救われて
もしも歴史の終着駅で
君に再び会えたなら
君の笑顔に――また恋をする
ステップを止めてそっとお辞儀をして見せれば、華楠に与えられるのは拍手と称賛の歓声だった。
顔を上げてぐるりと人々に笑顔を見せた華楠は、改めて『キング・オブ・ポップ』に向き直った。
「……私の戦う理由、再確認させてくれたことに感謝します、キング・オブ・ポップ」
再確認できたのは戦う理由だけではない。
大切な人への想いや自分が歩む道すら、華楠は明確に言葉にできたのだ。
セオリー通りならこの後、『キング・オブ・ポップ』が歌とダンスで自分の戦う理由を答えるはずだった。
しかし目前のジェネラル級ワイズガイは、黒々とした瞳を丸くして、真顔で華楠を見つめていた。
おそらく、この場にいる誰もが初めて見る表情だろう。
「……わからない……。……キミは、どういう気持ちでその歌を歌ったんだい? キミが戦う理由って結局、何……?」
「私が戦う理由。それは、父さんが、母さんが、何より大好きな兄さんが誇れる私である為です!」
一点の澱みもなく言い切る華楠。
一方の『キング・オブ・ポップ』は華楠の言葉の意味を頭の中で繰り返し、顎先に指を当てぶつぶつと言葉とメロディを呟いていた。返す歌を考えていたのだろうか。
しかし、彼は震え出した両手で頭を抱えてしまう。
「……ない……。僕の中に、人を好きだとか、誰かに守られたとか救われたとか……、恋や、愛なんて……!!」
おそらく、ここにいるすべての観客が、すべてのディアボロスが初めて目の当たりにするだろう。
歌やダンスという表現という翼を広げられず、狼狽える彼の姿を。
今なら、畳み込むことができるだろうか。
華楠が得物を構えれば、集うディアボロスも彼女に倣って各々得物を構え出す。
スーパーノヴァの放つ閃光は、輝きを鈍らせ始めた巨星の凡てを呑み込むのか――?
大成功 🔵🔵🔵🔵
効果1 【エアライド】LV1が発生! 効果2 【命中アップ】LV1が発生!
音楽にしてもダンスにしても、それこそ美術や文学などなどをひっくるめた『表現』というものは、自分の内側から湧き出るえも言われぬ想いや感情を、別の形に変えて吐き出す作業。
郷愁の胸の痛みも、家族や友人の暖かさも。
理不尽にも全てを奪われた怒りも嘆きも悲しみも、未来にかける情熱も不安も渇望も。
愛おしい人を想う愛情も、未来に進むために掲げる矜持も。
心が叫ぶから、歌を聴きダンスを観た誰かの心に共鳴を生むのだ。
ハリウッド・ブールバードに集う人々には、郷愁の切なさや家族や友人を思う心がある。
時には何かを奪われ、悔しさに眠れぬ夜を過ごしたことがある者もいるだろう。
愛する人との別れを経験した者もいるだろう。
それでも今を生きているということは、少なくとも未来に希望を見出しているから。
――そうか。だから、ディアボロスのスターの歌やダンスは、こんなにも胸に染み込むんだ――。
観客たちが口々に、呟き始める。
故に、音楽やダンスなどのエンターテインメントを、ビッグマネーを動かすビジネスの道具だと言い切ったワイズガイ『キング・オブ・ポップ』に、今までディアボロスが抱いてきた感情など理解できる訳がないのだ。
本当の意味で、人々の心を熱く揺さぶれる訳がないのだ。
④👿ハリウッド、ポップミュージック決戦『キング・オブ・ポップ』
大崎・朔太郎
アドリブ連携可
しかし調べると似たパラドクスを使う相手ですね。
一応【ダンス】はディアボロストップクラスの自負はありますし。
予告編では演技もしましたが、今の本職はおじさんですがアイドル。
歌とダンスがメインなんですよね。なので負けたくはないんですよね。
ステップでリズムを刻み、
「ディアボロスになって始まるアイドル、王になれずとも誰かの希望にはなれる!
そう信じる僕の願い、誰にも止められはしない!
傲慢なる王に一撃を、顔に一つのかすり傷も、いつか落日に繋がるだろう!
さあ、王に一撃を!返り討ちも承知の上よ!
さあ、王に一撃を!喰らえ、思い込めた一発を!」
と所々韻を踏むように歌いながらの【魂への一撃】。
カウンターの銃撃は当たったらキレイに後ろに倒れる事で
弾の勢いを少しでも殺しつつ演出されたようにしてみますか、
アイドルなもんで、こういう演出もやり返すのがカッコイイでしょ?
そこから立ち上がれたらムリしてでもカッコつけてたってやりますか。
救援機動力を駆使し、ハリウッド・ブールバードに到着した大崎・朔太郎(若返りサキュバスアイドル・g04652)。
彼が目の当たりにしたのは、華楠の歌に返すパフォーマンスを見出せずにいる『キング・オブ・ポップ』と、その様子を見守っている観客の困惑した姿だった。
映画の予告編でバーテンダー兼ストーリーテラーを演じた彼を観た観客も多い。故に、朔太郎の姿が視界に入ると、彼を指さしたり手を振ったりしてくれる市民たちもいる。
朔太郎は穏やかに笑みながら彼らに手を振って答え、状況把握に努める。
今現在の状態はいわゆる、ショウが止まっている状態。
この状況から、仲間たちの歌が彼を追い詰めてたのだとわかる。
あのジェネラル級ワイズガイ『キング・オブ・ポップ』は、『舞台に巣食う魔物に遭遇している』のだ。
だけどこれはあくまでライブパレード。
演出以外でショウを止めては、観客たちは興醒めしてしまうだろう。
「――Show Must Go On.」
朔太郎は意を決して呟くと、サキュバスの翼を羽搏かせながら颯爽と『キング・オブ・ポップ』の目前に立った。
「こんばんは『キング・オブ・ポップ』。良い夜ですね」
こう挨拶しながら微笑んだ朔太郎。しかし手には確かな戦う意志を携える。
一方、ステージ上の『キング・オブ・ポップ』は朔太郎の姿を捉えると、
「……僕にとっては最悪な夜になりそうだ。で、君も僕に愛を解きにきたの?」
と肩を竦めた。
「愛も素敵ですが、僕は愛よりも少し手前にあるもので勝負をしたいと思います」
そう宣言すると、華麗で巧みなステップで沿道のビルへとタップの音色を響かせ始めた。
ディアボロスになって始まるアイドル、王になれずとも誰かの希望にはなれる!
そう信じる僕の願い、誰にも止められはしない!
傲慢なる王に一撃を、顔に一つのかすり傷も、いつか落日に繋がるだろう!
さあ、王に一撃を! 返り討ちも承知の上よ!
さあ、王に一撃を! 喰らえ、思い込めた一発を!
朔太郎が歌うのは、所々韻を踏んだアイドルポップス。
愛よりももう少し手前にある『希望』を込めて、『王』に立ち向かう自分を歌にした。
だが、リズムを刻むたび足を踏み鳴らすたび、そしてステップを踏むたびに放たれるのは、『王』を狙う弾丸。
だがその弾丸は『キング・オブ・ポップ』へと向かう途中でサキュバスミストを纏う朔太郎の姿へと変化を遂げ、次々と目標であるワイズガイを襲う。
目前の『王』はエネルギーを奪われつつも白い手袋をはめた手刀で朔太郎の分身を次々と払うが、さすがは生粋のパフォーマー。その足元は華麗にステップを踏んでいた。
そして全ての分身を払うと、スーツやスラックスの絹擦れの音を響かせながら帽子に手を置いた。
すると観客たちの騒めきや歓声がBGMと化し、『キング・オブ・ポップ』のステップに彩りを添え始める。
彼の足は歓声に乗りステージ上を前進するような動きを見せたけど、目の錯覚かそれとも魔法か。スルスルと後退し始めたのだ。
「やはり、史実の『彼』と似たダンステクニックのパラドクスを使うんですね……」
頭ではそう理解できていても目が彼の動きを追ってしまう。
その一瞬の隙を突かてれ放たれるのは彼の手にいつの間にか握られていた拳銃からの一撃――!
「っ……!」
観客が息を引く音が響く中、朔太郎の胸を打つのはするどい痛みで。
そのまま慣性に逆らわずに後ろに倒れ込むと、しんとした静寂が辺りを包み込んだ。
朔太郎はこの一撃を避けなかったのか。
――いや、あえて避けなかったのだ。
銃弾が命中した拍子に後ろに倒れることで弾の勢いを殺し、『キング・オブ・ポップ』の反撃でやられた『演出』を繰り出してみせたのだ。
あとは少しの間を置いて指を少し動かせば、観客の安堵する息が時間を動かし始める。
そして傷を押さえながらも両足で地をとらえて立ち上がり、顔を顰めながらも大丈夫と言わんばかりに微笑めば、『王』に挑んだ不屈のアイドル像の完成である。
その一連のパフォーマンスはまさに王道。
この演出に引き込まれた観客たちの歓声が、ハリウッド・ブールバード一体をわっと包み込んだのだった。
大成功 🔵🔵🔵🔵
効果1 【狼変身】LV1が発生! 効果2 【ガードアップ】がLV5になった!
④👿ハリウッド、ポップミュージック決戦『キング・オブ・ポップ』
一里塚・燐寧
人はスターに自分の夢を投影して、自分が感じてることを歌ってくれたと思い込むものだよねぇ
だけどあいつは人の当たり前の心が判らないって言いきっちゃった
キラキラのメッキが剥げたんだ。今なら殺れるっ!
《ブラスト・プレイヤー》をかき鳴らし仲間の攻勢に続くよぉ
冷徹な分析は心の中に留め、お客さんには情熱の歌とダンスを届ける!
この世界と来たら不条理さ 生まれてこの方車輪の下で
日々のささやかな勝利さえ 奪い取られてく悪循環
王様!神様!ヅラしたやつらのために この星は回ってる
皆が納得してたら 永遠に変わらないよ
気付け 僕らは持ってるんだ
神すらバラバラにできる武器を!僕らのために廻る明日を!
DYNAmic/chainSAW!止まらないよ
誇大妄想じゃない古代の衝動
時を超えて廻り続ける本能で 牙を剥け!
サビのダンスで華麗にスピンしながら『屠竜技:大回転爆砕斬り』を発動!
得物の回転鋸刃で敵を斬る動きを演技とシームレスに繋ぐ
歪んだ重力に吹き飛ばされても【エアライド】の空中跳躍で鮮やかに着地し、それすら演出に見せるよぉ
④👿ハリウッド、ポップミュージック決戦『キング・オブ・ポップ』
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
心情
恋や愛が判らないか
何時の時代も其れは唄が生まれる元だってのに
其処は同情しちまうかな
〇ガードアップで守りを固め重力で地面に抑えつけられるのを避ける為〇飛翔
〇落下耐性で地面激突対処
ギターを〇演奏し〇歌唱し〇ペルーン神の慈雨
本来人々に活力を齎す魔力を収束し〇電撃(使い)状にしぶちかます
成る程、メチャメチャだなこりゃ!
だが此の程度の暴力で歌が止まると思うな!
喉ある限り歌ってやるさ!
想いの力……喰らいやがれ!!
let's Fight! The Avenger
戦い抜くんだ!
己が愛する故郷を 絶対取り戻す為に!
Never Give Up!The Warriors
諦めるかよ!
どれだけ苦しくたって 仲間が居るならいけるさ!
Stand up The Hero
立ち上がろうぜ!
愛も判らぬ奴等に 絆の力魅せてやれ!
Defend!! Brave Guardian
守り抜くんだ!
傷付き苦しむ人々 涙を止める其の為に!
そして皆の力で 必ず勝利を掴むぞ!
奪われちまった未来を取り戻す 其の為に――!
自分のパフォーマンスを観ているハリウッド市民の目前で、ビジネスのために歌い踊っていると言い切り、あまつさえ愛がわからないとパフォーマンスを止めてしまった。
そんな『キング・オブ・ポップ』の一連の行動と観客の反応を目の当たりにし、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)の心は高揚していた。
「人はスターに自分の夢を投影して、自分が感じてることを歌ってくれたと思い込むものだよねぇ。だけどあいつは人の当たり前の心が判らないって言いきっちゃった。――キラキラのメッキが剥げたんだ。今なら殺れるっ!」
赤茶色の瞳をギラつかせながら、興奮気味に『キング・オブ・ポップ』を見据える燐寧。
こう声には出したが、高揚する心とは真逆に頭をきっちり冴えさせる。
言うても彼は、未だにハリウッドのスーパースター。
それはまだ人々が『キング・オブ・ポップ』のテクニックだけのパフォーマンスに惹きつけられている様が物語っていた。
なら、どうしたらあいつを凌駕できるか――。
どうしたら人々の心をあいつから引き剥がせるのか――。
そんな彼女の隣。同じワイズガイを見上げるルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)が向ける視線は、哀れみを帯びていた。
「何時の時代も其れは唄が生まれる元だってのに、恋や愛が判らないか……」
それすなわち、『キング・オブ・ポップ』は、何からも愛情も何も受け取ってこれなかったとイコールだから。
「其処は同情しちまうかな」
と、つぶやいたルィツァーリ。
その言葉を耳にした『キング・オブ・ポップ』はギロリと、自分に同情心をあらわにした少年を睨みつけた。
「――同情なんて、いらないよ」
そう告げたかと思った次の瞬間、自身が奏でるタップのBGMの中、繰り出し始めるのはキレッキレのダンス。
ジャケットプレイにハイキック、高速ターンからぴたりと直立する。すると、そのまま体をゆっくりと前傾させた。
すると、ルィツァーリの体にも異変が起こる。
四方八方からあり得ない重力がかかり始めたのだ。
「やばっ……!」
このまま地面に押さえつけられ蹂躙されてしまっては元も子もない。ルィツァーリは腕に脚に頭にもかかり始めた重力から逃れるべく、稲妻の翼を羽搏かせて空へと飛んだ。
しかし、『キング・オブ・ポップ』が縦横無尽にかけてくるパラドクスの重力は、空へ飛んだところで回避できるものではない。
背中に重荷がかかったと思えば、今度は脚を引っ張られ、危うく墜落の危機――。
「……!」
迫り来る地面に思わず目をギュッと瞑って力の限りに翼を羽搏かせ、寸でのところで地面への激突を回避する。
『キング・オブ・ポップ』にパラドクスによる大ダメージは免れたが、あり得ない重力を受け続けた体の節々は、かなり悲鳴を上げている。
「……成る程、メチャメチャだなこりゃ!」
最低最悪のジェットコースターはこんな乗り心地なのだろうかと通常の重力上で息をつきながら、ルィツァーリはギターを構えた。
「だが此の程度の暴力で歌が止まると思うな! 喉ある限り歌ってやるさ! ―― 想いの力……喰らいやがれ!!」
決意の叫びと共にギターをかき鳴らし、歌うのは力強いロックポップス。
let's Fight! The Avenger
戦い抜くんだ!
己が愛する故郷を 絶対取り戻す為に!
Never Give Up!The Warriors
諦めるかよ!
どれだけ苦しくたって 仲間が居るならいけるさ!
Stand up The Hero
立ち上がろうぜ!
愛も判らぬ奴等に 絆の力魅せてやれ!
祈りを込めてギターをかき鳴らして歌えば、本来は人々の活力を齎す魔力を自分に集中させ――。
Defend!! Brave Guardian
守り抜くんだ!
傷付き苦しむ人々 涙を止める其の為に!
そして皆の力で 必ず勝利を掴むぞ!
奪われちまった未来を取り戻す 其の為に――!
ありったけの声と共にぶちかましたのは、最大レベルの電撃。
スパークルを纏わせたそれは、鋭い衝撃と共にそのワイズガイを縛り付けた。
今が絶好のチャンスではなかろうか。
燐寧は桃色のふわふわとしたツインテールを大きく揺らしながらブラスト・プレイヤーを掻き鳴らし、ぐるりと周囲を見渡した。
自分が今からパフォーマンスを行うことを、『キング・オブ・ポップ』ではなく敢えて四方八方に入り観客に向かってアピールしたのだ。
すると一瞬で、観客の注目は燐寧へと向かう。
「あたしの歌、聴いて!!」
そう叫んでで今一度弦を掻き鳴らせば、エレキの音がビルに反響した。
この世界と来たら不条理さ 生まれてこの方車輪の下で
日々のささやかな勝利さえ 奪い取られてく悪循環
王様! 神様! ヅラしたやつらのために この星は回ってる
皆が納得してたら 永遠に変わらないよ
気付け 僕らは持ってるんだ
神すらバラバラにできる武器を! 僕らのために廻る明日を!
AメロにBメロをダンサナブルに歌いきり、いよいよサビだと言うところで、燐寧は華麗にスピンターンを繰り出した。
すると唸りをあげるブラストプレイヤーの回転鋸刃と共に、そのスマートな敵の体を斬るのは超高威力の回転斬り。
DYNAmic/chainSAW!止まらないよ
誇大妄想じゃない古代の衝動
時を超えて廻り続ける本能で 牙を剥け!
激痛に顔を歪ませる『キング・オブ・ポップ』。
燐寧はそのまま鋸刃を振りかぶって、シームレスにダンスへと繋げる。
が、反撃はすぐにやってきた。
ボロボロのスーツに身を包んだそのワイズガイは、燐寧がしてみせたように高速ターンを繰り出すとぴたりと止まり――。体を前傾させると、燐寧にかかり始めるのはあり得ない方向の重力。
一時は重力に蹂躙された燐寧だったが。吹き飛ばされる方向の重力に乗って空中で一度跳ねてみせて、そのまま大勢を立て直しながら地面へと着地した。
敵の反撃も演出にしてみせる作戦は成功したようで、そのあり得ないパフォーマンスに数々に観客たちからは歓声が上がり始めていた。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1 【エイティーン】LV1が発生! 【口福の伝道者】がLV3になった! 効果2 【ダメージアップ】がLV3になった! 【凌駕率アップ】がLV3(最大)になった!
④👿ハリウッド、ポップミュージック決戦『キング・オブ・ポップ』
マリアラーラ・シルヴァ
共闘アドリブ歓迎
王は王でも裸の王様だったの?
舞台の流れとタイミングを見てそんな挑発を言い放つよ
そうして引き出したお転婆なお嬢ちゃんって軽口を
タップダンス(パラドクス)で黙らせ
狼狽させたところに
背中合わせになって踊り歌ってあげるね
愛や恋だけじゃない
王だから
当たり前に勝つ者だから分からない
勇気を振り絞る辛さも
理不尽に振り回される嘆きも
伸ばした手が届かない哀しみも
孤独な王には分からない
でも!
分からなくたって歌は届く
踊り合えば愛すら伝わる
王自身が愛を理解できなくても
その歌に踊りに
皆が愛を感じ取って王の背中に恋をする
だから微笑みの仮面なんて外して
皆の顔を見て
そうして王に促す先には
固唾を飲んで見守る観客の姿
王が愛を知らずとも
王は皆に愛されてる
芸能を愛するハリウッド市民の目を疑うというの?
彼らは貴方のダンスに愛を見いだしてる
貴方は貴方のダンスの力を見くびっているの
そんな風に王にはっぱをかけるよ
巨星が白色矮星になっちゃったらぶつかり合っても
超新星もビックバンも起きないもの
そんな弱腰キングじゃ困っちゃうの
ルィツァーリと燐寧に続くマリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)は、
「まるで裸の王様だよねっ」
なんていかにも生意気そうな口調と表情と仕草で、『キング・オブ・ポップ』に挑発を飛ばす。
すると、『キング・オブ・ポップ』は不意に、マリアラーラに視線を向けた。
裸の王様で結構。と開き直るわけでもなく。
どういう意味? と伺うでもなく。
僕を侮辱する気? と不快感を露わにするわけでもなく。
無機質な視線であったが、
「どうしたの? お転婆なお嬢さん」
だなんて軽口が、差し出された指先と共に飛んできた。
マリアラーラはその言葉を合図に、タン、タタンとタップを踏み始め、ついに不規則性なタップ音を置き去りにして、ステージ上の『キング・オブ・ポップ』の背後へと回り込むことに成功した。
その華麗な足技と、まるでテレポーテーション瞬間移動のように見える動きに観客から驚きの声が上がる。
彼もわずかに自分の背後を振り返り、下を覗き見て息を呑む気配がしたから、マリアラーラはステップを踏みながら歌い始めた。
愛や恋だけじゃない
王だから
当たり前に勝つ者だから分からない
勇気を振り絞る辛さも
理不尽に振り回される嘆きも
伸ばした手が届かない哀しみも
孤独な王には分からない
でも!
分からなくたって歌は届く
踊り合えば愛すら伝わる
王自身が愛を理解できなくても
その歌に踊りに
皆が愛を感じ取って王の背中に恋をする
だから微笑みの仮面なんて外して
皆の顔を見て
――歌劇のように身振り手振りを加えながら踊り、ほら。と言わんばかりに『キング・オブ・ポップ』視線を観客に誘導したマリアラーラ。
『キング・オブ・ポップ』もその指の先を見ただろうか。
マリアラーラのその澄んだ青い目にも映るのは、固唾を飲んで『王』を見守る観客の姿――ではなかった。
マリアラーラの可憐で直向きな歌に、うっとりとした表情の観客たち。
「――キミのダンスや歌の完成度を高く評価してる。そんな表情だね」
『キング・オブ・ポップ』は抑揚のない声色でそう告げるや、今度は自分の番と言わんばかりに華麗な足技を披露してみせる。
すると今度は観客から熱狂的な歓声が聞こえてきた。
僕が動くたびに 世界は巡る
僕が歩くたびに 世界は呻く
『キング・オブ・ポップ』が歌いながら後退すれば、それは魔術も言える足技で前進しているかのように見える。
プロの足技がこんなに近くで拝めるなんて……と、思わず見惚れてしまいそうになるマリアラーラだったが、頭を振って自我を保つように努める。
そんな中。不意にジャケットから取り出された拳銃のマズルだけは、自身のパラドクスのおかげか、はっきりとよく見えた。
「危ないっ!」
反射的に叫んだ声と甲高い銃声はほぼ同時。
急所を外そうと避けた弾丸は、マリアラーラの肩を掠め――お気に入りのドレスの切れ端と共に赤い鮮血が宙を舞った。
熱い傷口を手で抑え、マリアラーラが苦痛に顔を歪めながら『キング・オブ・ポップ』を仰ぎ見れば、目元をハットで隠したその『王』は小気味のいいタップ音を
ビルに響かせながら、わずかに口端を上げる。
「……続きがあるんじゃないの? あの歌の続き。……歌ってよ?」
そう促されてマリアラーラは声を振り絞り、また歌い始めた。
どんなことが起こっても、ショウを止めるわけにはいかないから。
王が愛を知らずとも
王は皆に愛されてる
芸能を愛するハリウッド市民の目を疑うというの?
彼らは貴方のダンスに愛を見いだしてる
しっかりと歌い上げ、観客からの拍手も賜ったマリアラーラ。
「……あなたのダンスを観て聴いて、みんなあなたに魅了されてるの。それこそが『愛』だって、マリアは思うっ……!」
今度は「キング・オブ・ポップ」を振り返ると、一点の澱みなく強くそう言い切った。
巨星が白色矮星になっちゃったら、ぶつかり合っても超新星もビックバンも起きないから。
ここで終わらせる星の最期なら、せめて『愛』とはなんなのかを知ってほしい。
小さな胸に秘めるのは、神々が慈しんで宇宙を生み出した優しさに引けを取らない『想い』であった。
善戦 🔵🔵🔴🔴
効果1 【壁歩き】LV1が発生! 効果2 【命中アップ】がLV2になった!
④👿ハリウッド、ポップミュージック決戦『キング・オブ・ポップ』
一里塚・燐寧
なるほどねぇ。理屈が読めてきたよぉ
きみは生まれた瞬間から『皆のスター』でいるしかなかった
だって、与えられた名前と姿のままに生きる存在だから
そりゃ愛が分からないのも道理ってもんだねぇ
ハイテンポながら抒情的に≪ブラスト・プレイヤー≫を弾き語る
張り裂けそうな胸の内を、緩急の効いた踊りで見せよう
血塗れの手で握る剣と ずっと旅を続けてたんだ
錆び付いた胸の時計を 止めていい場所が欲しくて
一人で消えられたなら どれだけ楽かな?
甘い見積もりだなって 今なら笑えるよ
翳ってゆくあたしを 見逃さないきみがいて
気が付けばほら 帰り道が待ってた
壊れた過去も 歪んだ世界も怖くない
二人で生きる今だけを どこまでも信じるよ
たったひとつの愛 この胸に抱いて進むんだ!
ステップで距離を詰め『屠竜技:裂傷徹し斬り』!
死にたいほど自分が嫌いなあたしは、大切な人と出会って変われた
それに比べてきみは――どこまでもキング・オブ・ポップでしかない!
反撃の重力に低空【飛翔】で対抗しつつ、技が図星を突かれての拒絶に見えるように強く主張しよう
④👿ハリウッド、ポップミュージック決戦『キング・オブ・ポップ』
文月・雪人
人々の心動かす事に長けたキングが、その心を理解出来ないというのもまた皮肉な話だと思う
でもこの地の人々には笑顔があり、それは彼の功績でもあるのだろう
計算された彼のダンスは完璧で、でもだからこそ足りないものもあるのではないか
新しいエンタメの姿を示し、王の牙城を崩していこう
輝く世界の楽しみ方は見ているだけが全てじゃないと
演者だけでなく観客達も自ら参加したくなる様な、心躍る最高のステージに
『レジェンダリースマイト』のパラドクス使用
伸びやかに琵琶の音を重ね衝撃波としつつ
歌う曲は他でもない君によく似た英雄のサーガ
観客にも一緒に歌って欲しいと優しい笑顔で合図を送ろう
俺達の【勝利の凱歌】と共に
王に憧れ見上げたステージ
いつかこの手は届くだろうか
完璧なんかじゃなくていい
それでも踏み出す勇気のその先に
僕と君と誰かの笑顔がきっとある
僕はキングじゃないけれど
君の小さなヒーローになれたら嬉しい
そして君もまた大切な誰かのヒーローに
声を上げよう
リズムを刻もう
高鳴る胸を抱き締めて
僕と君と皆で紡ぐ新たなステージの幕開けだ!
④👿ハリウッド、ポップミュージック決戦『キング・オブ・ポップ』
ナイナ・ヴィラネスティズム
WIZ
※強敵につき共闘連携歓迎重視
※引き続き「覆面ドライバー」の姿で行動
※アドリブ可
フハハハハ!人の説く愛とは如何なものかをッ
自慢手である歌唱(なお音痴)と共に教えて差し上げましょうッ!
覆面と天狗面を改めて被り直して変身
メチャクチャにかかる重力を宮廷舞踊ばりのステップでいなして演出として交えつつマイクパフォーマンスで捌き、口からのヴィラネスト・ボイスファンタジアをキングに披露
魔力付与を込めた聖なる歌唱(精神攻撃)にて紡ぐ曲目は本邦初披露の「ドライバー・愛のテーマ」
哀愁を感じさせつつ熱血に歌い上げる(それでも音痴)ステージにしますわよ・・・!
♪強く走り出す己を信じ!愛を羽ばたかせて!(のずみりんMS作詞部分)
♪罪を、愛を、全てを許そう・・・蛸壺に全てを流してッ愛は世界を救うものだからッ!(相原きさMS作詞部分)
♪【※歌詞の一フレーズを朝下万里MSにお願い申し上げます】
♪心の中に己と歴史の闇を抱きながらッ愛の儚さと深さと潔さと尊さとの意味を知るために戦う天狗面のドライバー!(ナイナ作詞部分)
マリアラーラの必死の訴えを一瞥した『キング・オブ・ポップ』は、憂さ晴らしとばかりにキレッキレでメチャクチャなダンスを踊りだす。
好き勝手ばかりのsentenceじゃ
僕の心は動かない
僕は自分の道をゆく そう
重力さえも味方につけて
そして不意に直立してぐっと体を前に傾ければ、717覆面の上に天狗面を改めて被り直したナイナ・ヴィラネスティズム(喜殺令嬢・g00383)の身体にかかるのは、メチャクチャな方向からのあり得ない重力の予感。
「きましたわねッ! ありえない重力ッ!」
ナイナは宮廷舞踊ばりの軽やかなステップと身のこなしで四方八方から押し寄せる重力の波をすり抜けていく。
だが、これが『キング・オブ・ポップ』の攻撃。逆説連鎖戦において受けるダメージ量は反撃時の比ではない。
肉体が押し潰されそうになり、内臓も圧迫される感覚に陥る。
それでも「ダメージなんて受けてませんのよ!」と言わんばかりにナイナは微笑みながら華麗にステップを踏み続け、メチャクチャな重力をひたすら躱していく。
そして攻撃が止むや、下ツェ英気をしながらもその場で仁王立ちして「フハハハハ!」と高笑い。
「『キング・オブ・ポップ』ッ! あなたに人の説く愛とは如何なものかをッ、自慢手である歌唱と共に教えて差し上げましょうッ!」
と手にしたマイクで高らかに宣言し、すっと黙り込むナイナ。
一体何が始まるのかと、シンと静まり返る沿道の観客。『キング・オブ・ポップ』も興味津々にナイナを見つめる中、その歌い手はカッと目を見開き顔を上げた。
「それではお聴きくださいッ。曲目は本邦初披露ッ! ――『ドライバー・愛のテーマ』ッ!」
強く走り出す己を信じ! 愛を羽ばたかせて!
罪を、愛を、全てを許そう……蛸壺に全てを流してッ
愛は世界を救うものだからッ!
哀愁を感じさせる一方で熱血に歌い上げる一音一音に、音痴が故の雑音と魔力が篭り、調子ハズレ音程ハズレの歌声はどこか畏怖をも感じさせる。
これには『キング・オブ・ポップ』も耳を塞いで膝をつき、その場にうずくまってしまう。
「……自慢手って、言ったじゃないかっ。何この雑音……! 僕にこんな雑音を、聴かせないでくれ……!!」
おそらく、こんな『キング・オブ・ポップ』は誰もが初めてお目にかかるだろうか。
苦痛にうずくまる『王』の様子に、ナイナは口端を上げた。
「効いてますわねッ! さらに歌い上げますわよッ!」
それが運命(さだめ)であるならば
愛と希望 そして僅かな涙で心を燃やす
ドライバー! 己が己であるためにッ
心の中に己と歴史の闇を抱きながらッ
愛の儚さと深さと潔さと尊さとの意味を知るために戦う天狗面のドライバー!
「もういいありがとう、素晴らしい素晴らしいよッ」
雑音と魔力と、調子外れ音程外れの、哀愁がありつつなんかすごい熱血な歌を聴いた『キング・オブ・ポップ』は、未だステージ上で膝をついて片掌をナイナに向けて「歌を止めてくれ」と懇願している。
なんかすごい現場に居合わせたような感覚に陥る観客たちも、ナイナの歌は耳を塞いで聴いていた人たちである。
それは文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)も例外ではなかった。
ナイナの歌声にやられてよろよろと立ち上がった『キング・オブ・ポップ』に警戒しながらも、一連の流れを思い起こして妙に納得してしまう。
(「人々の心動かす事に長けたキングが、その心を理解出来ないというのもまた皮肉な話だね」)
だけど、この戦いの只中にいてわかったことがある。
このライブパレードは、ディアボロスとワイズガイの戦闘だが、沿道の観客にとってこの戦いはハリウッドの大スター『キング・オブ・ポップ』のライブパレードである。
だからこそこの数の観客が集まり、彼の一挙手一投足に感動し熱狂し笑顔を見せる。
その光景を青い瞳に映しながら、雪人は呟く。
「それは彼の功績でもあるのだろうな」
そんな雪人の呟きを聞いて、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は、自身が導き出した答えに目を細める。
空想科学コーサノストラの『キング・オブ・ポップ』は生まれた瞬間から『皆のスター』でいるしかなかった。
なぜなら、与えられた名前と姿のままに生きる存在だから。
故に、葛藤した過去もなければ成功に打ち震えた瞬間もないのであろう。
そんな存在に、自分が起こしたムーブメントのお返しが、オーディエンスからの『愛』であるなんて理解が及ぶわけがない。
「なるほどねぇ。理屈が読めてきたよぉ。そりゃ愛が分からないのも道理ってもんだねぇ」
なら今度は――と、ブラスト・プレイヤーの弦を激しく爪弾いて奏でてみせるのは、ハイテンポながら抒情的なメロディライン。
そして張り裂けそうな胸の内から溢れかえる感情に言葉を乗せれば、普段は軽薄そうに見える表情に、切なさや卑屈さ、そして後悔が滲み始める。
血塗れの手で握る剣と ずっと旅を続けてたんだ
錆び付いた胸の時計を 止めていい場所が欲しくて
一人で消えられたなら どれだけ楽かな?
甘い見積もりだなって 今なら笑えるよ
翳ってゆくあたしを 見逃さないきみがいて
気が付けばほら 帰り道が待ってた
壊れた過去も 歪んだ世界も怖くない
二人で生きる今だけを どこまでも信じるよ
たったひとつの愛 この胸に抱いて進むんだ!
それはたった一人の『きみ』に向けたラブソング。
緩急の効いたステップとボディーワークと共に自身の裡の内を歌い上げた燐寧の瞳に、いつしか光が宿っていることを観客たちは読み取っただろうか。
夜空に響いては消えた歌声の直後。燐寧は『キング・オブ・ポップ』が立つステージに駆け上がるや、『王』との距離を一気に詰めると、破れたスーツの奥の傷を今一度抉り出すように激しい金属音を立てまくる回転鋸刃を突き立てた。
「……っ!」
ギャリギャリと嫌な音が辺りに響く中、燐寧は至近距離にある『ポップの王』たるワイズガイの苦痛に歪む面を覗き込み、告げる。
「……死にたいほど自分が嫌いなあたしは、大切な人と出会って変われた。それに比べてきみは――どこまでもキング・オブ・ポップでしかない!」
ワイズガイとディアボロス。
同じ逆説連鎖戦で戦う者同士。
しかし今ここ場に限って一つだけ違うのは、『愛』を知るか知らぬかの差――。
『キング・オブ・ポップ』は腹を穿つ回転鋸刃がもたらす苦痛に顔を歪めていたが、深傷を承知で一歩、ステップを踏んで後ろへと飛んだ。
が、『キング・オブ・ポップ』に次なるパフォーマンスがぶつけられる。
『キング・オブ・ポップ』が後退したと同時に軽やかに舞台から降りた燐寧の後ろに控えていたのは、琵琶を構えた雪人。
雪人は『キング・オブ・ポップ』を見据えながら撥で琵琶の弦を弾けば、伸びやかな音色が異国の空に滲みていく。
計算された『キング・オブ・ポップ』のダンスは完璧。歌声も聴けば一気に高揚感を掻き立てられる。
でもだからこそ足りないものもあるのではないかと、雪人は考える。
輝く世界の楽しみ方は、そこで見ているだけが全てじゃない。だからこそ、自分が新しいエンタメの姿を示して、王の牙城を崩していこう。
俺達ディアボロスや『キング・オブ・ポップ』だけじゃない、観客の皆も歌い踊りたくなるような、心躍るステージにしよう。
雪人はぐるりと観客達を見渡すと、安心感のある優しい笑顔とと共に手拍子を促して喉を震わせ始める。
「さぁ一緒に歌おう、俺達の勝利の凱歌を」
王に憧れ見上げたステージ
いつかこの手は届くだろうか
完璧なんかじゃなくていい
それでも踏み出す勇気のその先に
僕と君と誰かの笑顔がきっとある
その歌は『『君によく似た英雄』のサーガ』。
観客が起こした手拍子と雪人が奏でる琵琶の音と伸びやかに響く歌声は、一音一音が『王』に挑む挑戦者が放つ衝撃波となり、『キング・オブ・ポップ』を脅かす。
傷ついた体で無駄口を叩こうものなら、その衝撃波をもろに喰らってしまうだろう。故に必死のステップで衝撃波を避けようとはするが、次々と自分に挑んでくる波動に四肢を撃たれ体勢を崩す。
そこを狙って、雪人はさらに音楽と歌を重ねていく。
僕はキングじゃないけれど
君の小さなヒーローになれたら嬉しい
そして君もまた大切な誰かのヒーローに
声を上げよう
リズムを刻もう
高鳴る胸を抱き締めて
僕と君と皆で紡ぐ新たなステージの幕開けだ!
観客の歓声に乗った雪人の歌声は一番大きな衝撃波へと変わり、『キング・オブ・ポップ』に直撃。彼は体勢を大きく崩し尻餅をついてしまう。
が、その転倒すらもなかったことにするほど軽やかな動きで立ち上がる。
僕はいつから僕だったのか
思い出そうにも思い出せない
だって過去などどうでもいいから
僕は常に一等星であり続ける
まだまだ君たちに主役は譲らない
歌で聴かせダンスで魅せ。このアヴェニューに集う全てを虜にするようなパフォーマンスから一転、その場に立ち止まるとあり得ないほど体を前傾させた。
すると燐寧と雪人を襲うのは、あり得ない方向からあり得ない重さでかかり始めた重力。
燐寧は地面を蹴ると、低空飛行。雪人も彼女に倣って空へと逃げる。
「図星だからってっ、拒絶するのは良くないと思うんだよねぇ」
『キング・オブ・ポップ』がディアボロスの訴えを拒絶している。観客たちがそう見てくれるようにセリフで印象操作する燐寧。
メチャクチャな重力の蹂躙を辛くも躱しながらも、雪人と燐寧は目に映る『王』を見据え、小さな違和感に気がついた。
ハリウッドの支配者たるジェネラル級ワイズガイ『キング・オブ・ポップ』。
その姿がライブパレードが始まって時よりも小さく『揺れて』見えるのは、気のせいだろうか――。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1 【完全視界】LV1が発生! 【勝利の凱歌】LV1が発生! 【口福の伝道者】がLV4になった! 効果2 【命中アップ】がLV3になった! 【ガードアップ】がLV6になった!
④👿ハリウッド、ポップミュージック決戦『キング・オブ・ポップ』
🎖️🎖️🎖️🎖️🎖️🎖️大勲章を使用🎖️🎖️🎖️🎖️🎖️🎖️
ラトリア・ブルーアローゾ
アドリブ・連携OK
なんかこう……急にお前たちが哀れに思えてきたぜ
グラハム・ベルは他のグラハム・ベルも最終人類史のグラハム・ベルも知らなかった
お前もコーサノストラのスター『キング・オブ・ポップ』としての自分しか知らないんだろう
まるで刻逆で創造されたキャラみたいにな
それならキャラとして与えられた役割を果たさせてやるのがせめてもの手向けだ
さて、それじゃあ俺の音楽と踊りをご覧いただこう
エアレースから発展したエアダンス!
とくとご覧あれだ!
宙返りを皮切りにきりもみ状態で進みながら即座に姿勢を固定しての急旋回、ほぼ垂直向きに全力推進して急上昇し、失速と見せかけてからの急降下、機首を起こしつつ地面すれすれで飛び去りながら【ダイブアンドズーム】だ
撃ち合ってもいいがやっぱりサーベルで斬るほうが絵になるよな
蒼穹の果て、もっと高く、もっと遠くへ
巨星を踏み越えその先へ行かせてもらう
手違いがあったが最後まで凛々しく『キング・オブ・ポップ』のステージらしく踊りきろうぜ
Show Must Go Onだからな!
ジェネラル級ワイズガイ『キング・オブ・ポップ』がディアボロスの功績を無きものとしようとしている。
その現場に意気揚々と推参し、奴さんとアツい激闘を繰り広げつつも奮闘の末に撃破。ハリウッドスターとして観客の歓声を浴びながら颯爽と帰還する予定だったのに――。
今現在、ラトリア・ブルーアローゾ(餅が好きすぎて上官にコールサインを『餅』にされた男・g10730)の胸中に押し寄せるのは、高揚とは程遠い感情だった。
男は自分でも気がついていないだろう。
握り込んでいた拳がいつしか弛んでいたことを。
しっかりと見据えていた敵を、虚に見つめていることを。
「なんかこう……急に『お前たち』が哀れに思えてきたぜ……」
そう呟いて思い出すのは、カナダのアンカレジ。
『キング・オブ・ポップ』を主としたコーサノストラのワイスガイスターたちをフューチャーした雑誌をワイズガイが売り捌いていた事件。
拠点に突入した際、アンカレジ経済大戦争の首謀者『グラハム・ベル』は他の大経済戦争に参戦している『自身』のことも、最終人類史――正史のグラハム・ベルも知らなかった。
ということは、自分の目前で歌い踊る『キング・オブ・ポップ』も勿論、正史における『キング・オブ・ポップ』と称された男の存在を知らないであろう。
歌とダンスで魅せ、愛嬌と奔放さで人々を魅了し、平和を愛し慈愛に満ちドラマティックな人生を送った『彼』のことを――。
そんな『彼』をなぞった存在である『キング・オブ・ポップ』は、ラトリアをジロリと見やり白手袋の指先で指し示し尋ねる。
「哀れ? 今哀れと言ったよね君。どういう意味だい?」
「お前もコーサノストラのスター『キング・オブ・ポップ』としての自分しか知らないんだろう」
語尾を上げなかったのは、こんなことを尋ねたところで返ってくる答えなど分かりきったことだから。
ほら。相手は肩を竦めて小首を傾げた。そしてボロボロになったスーツを纏った上半身を前傾させて白手袋の指先を手前の胸元に当てた。
「何を言ってるんだ? 僕は僕でしかない。それともあれかい? その言い草だと君たちの世界にも『僕』は居るのかい?」
すっと自分に差し示される指先。
その少しミステリアスで演技めいた仕草も口調も、その立ち振る舞いも、存在そのものが刻逆によって創造された『キャラクター』のようだとラトリアは思う。
ただし、性格や経験、思想や哲学はまるっきり違う。史実のモデルには及びもしない。
だからあえて『キング・オブ・ポップ』の問いには答えなかった。
「――キャラとして与えられた役割を果たさせてやるのがせめてもの手向けだ」
答えずにひとりごちたラトリアは拳をグッと握るや否や、ハリウッド・ブールバードの地面を蹴ると青白い光の翼を燃やして一気に空へと飛翔した。そして振り返り、自分を見上げる観客や『キング・オブ・ポップ』を見下ろして。
「さて、それじゃあ俺の音楽と踊りをご覧いただこう、とくとご覧あれだ!」
告げると、ラトリアはアヴェニューの上空を駆けるように踊り出した。
それは一見、エアレーサーと呼ばれる飛行機で行われるエアレース。しかし宙返りしたのを皮切りに錐揉み回転進みながら、ここだと決めたポイントで姿勢を固定しての急旋回。
皆、ラトリアのダンスを見るため空を見上げている。
勿論『キング・オブ・ポップ』もハットを抑えてラトリアのパフォーマンスを見ている。
ラトリアはそのままほぼ垂直向きに全力推進して急上昇。ここだと思ったポイントで失速し、急降下。
誰もが墜落の未来を予感し、固唾を飲んでその動向を見守っただろう。しかしラトリアは、地面スレスレで機首を起こすやそのまま利き手にサーベルを構えた。
撃ち合ってもいい。けどやっぱりサーベルで斬るほうが絵になるから――!
蒼穹の果て、もっと高く、もっと遠くへ
巨星を踏み越えその先へ行かせてもらう
クロノヴェーダにかける慈悲はない。とばかりに力強く歌いながら突撃する先には、目を見開きこちらを凝視する『キング・オブ・ポップ』で。
サーベルの柄から手に伝わるのは確かな手応えにラトリアは本能的に「斬った」と悟る。
「ぐっ……!」
相手の呻き声と観客の歓声を背に再び空へと飛んで、ふと地上を見れば『王』はよろりと倒れそうになる最中。しかし急に振り返り空を睨んだかと思えば――。
ならまだ僕は燃やさねばならない
情熱を、この命を、赤く熱く
まだ超新星を脅かせるだけの熱が滾るから
激しいシャウトで歌い終わるや、華麗なる足技で高速スピン。そこからぴたりと止まるや、前進。――しかしこのダンスを見つめる全員には後退しているように見える。
観客から歓声が上がる中で不意に繰り出されたのは、彼が隠し持っていた拳銃による銃撃。
それはラトリアの肩を捉え、パワードスーツに深い傷が入る。
けどラトリアはメットの中で意気揚々と笑う。
「手違いがあったが最後まで凛々しく『キング・オブ・ポップ』のステージらしく踊りきろうぜ! Show Must Go Onだからな!」
『キング・オブ・ポップ』のその技が、まだ鈍っていないことに喜びすら感じていた。
大成功 🔵🔵🔵🔵
効果1 【飛翔】がLV3になった! 効果2 【アヴォイド】LV1が発生!
④👿ハリウッド、ポップミュージック決戦『キング・オブ・ポップ』
音羽・華楠
……狼狽するキング・オブ・ポップへ畳み掛け、一気に撃破する。
きっと、それが復讐者として正しい姿なんでしょうが――我儘を言わせてもらいます。
手拍子を始めます。
一般人の観客たちも促し、手拍子でキング・オブ・ポップの――今度は史実じゃなく、コーサノストラの彼の曲の旋律を奏でます。
それに合わせて歌い、踊り、観客の皆さんにも呼び掛けてもらって、キング・オブ・ポップにも歌と踊りを促します。
キング・オブ・ポップが応じたなら、曲の間奏中に訴えましょう。
あなたがどんな動機で歌って踊っていようと、人々はあなたの歌と踊りに魅せられた!
恋い焦がれ、愛してる!
だから今も、あなたに歌ってほしい、踊ってほしいと願うんです。
愛を知らないというなら、ここで知りなさい――
今、ブロードウェイ・ブルーバードに満ちてるこれこそが、愛です!!
曲の最高潮に合わせ、《雷幻想・墜星》で攻撃を。
まさに、キング・オブ・ポップという巨星が墜ちることになぞらえて!
反撃の重力変動は、《墜星》と合わせることで逆に宇宙を思わせる演出へと昇華します。
仲間たちが次々と『キング・オブ・ポップ』へパフォーマンスをぶつける中、音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は一つ、葛藤を抱いていた。
愛や恋を知らず、私の歌に返すパフォーマンスができずに狼狽するキング・オブ・ポップ。
そんな彼を一気に畳み掛け、撃破する。
或いは、愛を説きながら撃破する。
――きっと、それが復讐者として正しい姿なんでしょう。
だけど華楠は、そんな終わり方を望んではいなかった。
「――我儘を言わせてもらいます!」
そう宣言すると、今や腹部に深い深い傷を負い、その最期も間も無くであろうハリウッドの支配者であるジェネラル級ワイズガイ『キング・オブ・ポップ』の前に進み出た。
すると、華楠の鳴らす鈴の音に顔をあげた『キング・オブ・ポップ』は、ラトリアの方を撃った銃を懐に仕舞いながら、次の相手は自分を黙らせた彼女かとため息をつく。
「……何? また愛だの恋だので僕の歌を奪う気なの?」
うんざりとした口調で虚な瞳を自分の向ける『王』の言葉に首を横に振って、華楠は高く両腕を上げると一定のリズムで手拍子を打ち始めた。
ビルの谷間に響き渡る清浄の手拍子に、何が始まるんだ? と興味津々の観客。
華楠は彼らに、
「皆さんもご一緒に!」
と手拍子を促す。
すると、最初は戸惑っていた観客が、徐々に華楠の手拍子に合わせて手を打ち始めた。
「……何? 何がしたいの君は……?」
戸惑う『キング・オブ・ポップ』をよそに、華楠は観客の手拍子を促し続けた。
そしてそのリズムが安定し出したところでステップを踏んで踊り始め、メロディを紡ぎ出す。
それは史実の『彼』の曲――ではなく、目の前の『王』の曲。
彼の歌はアンカレジの大経済戦争時において入手したレコードで履修済み。
その曲は英語の歌詞だったから「ら」の一音のスキャットでしか旋律をなぞれないけど。華楠はその曲に合わせて歌い踊った。
きっとこの歌は、愛だの恋だのを歌っていないはずだ。
だけどアンカレジで流れるということは、芸能の最先端・ハリウッドでは連日連夜流れていたはず。
その証拠に観客は皆、リズムに乗ったり歌を口遊んだりさんだりしている。
『キング・オブ・ポップ』はその様子を眺め呆然としていた。だから華楠はジェスチャーで一緒に歌えと訴えた。
「……は? どういうつもり……? 君のリクエストになんか……答えるわけないだろ」
『キング・オブ・ポップ』は眉根を寄せて怪訝な表情を華楠に向けたけど、華楠の訴えを汲み取った観客が、次々と『王』に歌えとリクエストを始めたのだ。
ディアボロスからのリクエストは怪訝に突っぱねたが、観客のリクエストには答えねばならない。
なぜならそれがスーパースターだから。
『キング・オブ・ポップ』はハットを目深にかぶると短く深く息をついた。そして満身創痍のその体でパフォーマンスを披露してみせる。
さぁ歌い踊ろうよ
君の心がもし嵐にさらされていたら
僕が連れて行くよ 晴れの国(パラダイス)へ
だが、予期せぬことがここで起こった。
不意に華楠に思わぬ方向から重力がかかり始めたのだ。
目の前の『王』も今が攻撃の瞬間であるなんて思ってもいなかっただろう。しかし、それは今発動したのだ。
これは、自分で自分のパラドクス発動の瞬間さえの決められないほど『キング・オブ・ポップ』という存在の終わりは間近であるという証左。
もう時間がない。
華楠は押し寄せるメチャクチャな重力に抗いながら手で印を組みながら訴える。
「あなたがっ、どんな動機で歌って踊っていようと、人々はあなたの歌と踊りに魅せられた! 恋い焦がれ、愛してる!」
重力に押され転んでも立ち上がり、見てくださいと華楠が印を組んでいた両手を広げれば、沿道の観客は確かに『キング・オブ・ポップ』、その人の歌を聴きそのダンスを観て楽しんでいる。
「っだから今も人々は、あなたに歌ってほしい、踊ってほしいと願うんです。……愛を知らないというなら、ここで知りなさい――。今、ブロードウェイ・ブルーバードに満ちてるこれこそが、愛です!!」
華楠の我儘。
それは、『キング・オブ・ポップ』に『愛』という餞を与えること。
自身が『王』の弱点を抉り出してしまった責任感からではなく、純粋に知って欲しかったのだ。
あなたは自分が知らないうちに人々に愛を与え、また、愛を返されている存在であったのだと。
いつしか『王』のパラドクスは収まり。華楠は今一度スキャットで『王』の歌を歌位始めた。
今度は、観客が歌う『キング・オブ・ポップ』の歌に合わせて――。
『キング・オブ・ポップ』はその暖かな光景を、その黒い瞳で目の当たりにしただろう。
だが彼の頭上に迫り来るのは、華楠が雷術による超磁力で誘導した、熱く赤く燃える鉄隕石。
まさに今が『キング・オブ・ポップ』という巨星が堕ちる瞬間なのだろう。
それは『王』自らも悟ったのか。強烈な光に飲み込まれる間際、彼は告げる。
「……僕が最期に思うのがビッグマネーのことじゃなくて、『愛』だなんてね……。ディアボロス、君たちの歌は全て……素晴らしかったよ……」
そう微笑んだのが、華楠をはじめとしたディアボロスたちが見た『キング・オブ・ポップ』の最後の瞬間だった。
善戦 🔵🔵🔴🔴
効果1 【怪力無双】LV1が発生! 効果2 【先行率アップ】LV1が発生!
最終結果:成功
完成日 2025年10月28日
宿敵
『キング・オブ・ポップ』を撃破!