正義では無い陰陽師の事件

 ディアボロス達は、京の都の外で妖怪と戦う、正義の陰陽師を助け、話を聞くことが出来ました。
 彼らの話によれば、陰陽師の中には、京の都に現れる鬼や妖怪を撃退して成果をあげている者もいるといいます。
 パラドクス無しにクロノヴェーダに勝つのは不可能ですので、この陰陽師の活躍は「クロノヴェーダのマッチポンプ」で間違いありません。
 そこで、街中で発生する妖怪事件に介入し、陰陽師が事件を解決する前に妖怪を退治しましょう。
 これを繰り返す事で、陰陽寮への信頼が揺らぎ、陰陽寮を隠れ蓑にしているクロノヴェーダの目論見を打ち砕くことに繋がるかもしれません。
 詳しい内容は、オープニングなどで確認してください。

焔祭りに燃ゆる秋(作者 志稲愛海
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#平安鬼妖地獄変  #正義では無い陰陽師の事件  #陰陽師 


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 都が燃えるような彩りに包まれる夜が、やってくる。
 色づいた紅葉のいろと、燃え盛り灯る数多の松明と。
 そして、願いや決意を天へと届けると謂われている、神聖なる大火の炎によって。
 この日、京の都で行われるのは火祭り。
 大人も子供も、秋の夜祭りに心躍らせる。

 焚かれる炎の美しさや壮大さ、神聖さは勿論なのだけれど。
 この祭りで振舞われるのは、魔除けの効果があり邪気を払うといわれている、おはぎ。
 子供達は、甘い餡子のおはぎに嬉々と笑顔を見せ、元気におかわりの声を上げて。
 大人でも、甘さが調整できる黄粉のおはぎを酒の肴に、宴会に興じている姿が。
 真っ赤に色づいた紅葉と炎燃ゆる景色を眺めながら飲む地酒や甘酒は、この上ない贅沢であるし。
 子供でも安心して飲める、米麹から造られたノンアルコールの甘酒も人気。
 そしてこの平安の世から存在する流行りの飲み方は、甘酒の牛乳割りだという。
 甘酒が苦手でも、麦湯という名の麦茶もあるようだ。

 それに都の者だけでなく、この火祭りには、沢山の人々が足を運ぶのだという。
 燃え盛る大火に、願いや決意、目標や誓いなどを記した祈禱木を投げ入れれば。
 それが叶ったり、達成できたりすると言われているから。
 炎の熱を感じながら投じた、赤に染まる夜に馳せる想いが、天へと届くように。

 そして火祭りが行われる今の時期は、紅葉も見頃。
 のんびり歩いて楽しむも良し、おはぎや飲み物と共に堪能するも良し。
 また、大地震により湧き出たという温泉に足を浸けながらでも。
 見事に燃ゆる景色を存分に心行くまま、眺めることができるのもこの祭りの醍醐味。

 けれど……そんな祭りの夜に蠢くは、襤褸などで姿を隠したモノたち。
 その不穏な存在に、祭りを楽しむ人々は何ら不信には思わなかったのだけれど。
 赤は赤でも……刹那飛沫いたのは、血のいろ。
 不吉な羽音と共に現れた天狗が握る錫杖が人々へと振り下ろされて。
「!! ひいっ」
 顔を覆う布の下をちらりと垣間見た人は、その場で腰を抜かしてしまう。
 その、途轍もない恐怖をかき立てる容貌に。
 途端に楽しいはずの祭りが阿鼻叫喚、一瞬にして恐怖の色に染まるけれど。
 ……その時だった。
「安心なされよ、我ら陰陽寮の陰陽師が悪しきモノを祓いに馳せ参じた!」
「都から退け、妖どもよ!」
 颯爽と現れたのは、8人ほどの陰陽師とそのお供らしき20人程度の集団であった。
 そして何かを詠唱しつつ、えいやぁっと威勢良く符っぽいものを投げては、妖怪と戦闘を繰り広げれば。
「!! 妖怪達が逃げていく……!」
「す、すごい……」
 これは堪らないと言わんばかりに逃げていく妖怪達。
 それから、自分達へと感謝の意を次々に述べる人達に。
「ふふ、これでもう安心ですぞ」
 陰陽師の集団は、そう得意気に笑みを向けるのだった。

●いざ、焔燃ゆる夜祭りへ
「紅葉も色づいてきた頃だけど……紅葉狩り、いいよね。紅葉って炎みたいで、俺は好き。それに、おはぎや甘酒、それに甘酒の牛乳割りとか……平安時代からあったんだって。ぼたもちとおはぎって似てるけど、春と秋で呼び方が違うって聞いたよ。おはぎは萩の花みたいに俵型で、秋の小豆は皮が柔らかいから粒あんだったって言われてるらしいよ」
 逢海・凪都(黒焔・g03331)はそう、狐耳をぴこりとさせながら言った後。
 話を聞きに来てくれて有難う、とぺこりとお辞儀をして、今回の事件の概要を語り始める。
「みんなが赴いてくれて接触した正義の陰陽師達から、京の都の陰陽師の話を聞くことが出来たおかげで、都の中の事件に介入することが出来るようになったよ。そんな中、都で行われる夜祭で、妖怪事件が起きるんだ。でも……そんな起きる妖怪事件の多くは、妖怪達による、正義じゃない陰陽師達の権威を高める為のやらせ……いわゆるマッチポンプの事件で。やらせを企てている陰陽師達が現れたら、妖怪達はわざと負けたふりをして逃げていくみたいなんだ」
 なのでこの事件に介入し、陰陽師達が来る前に、先に妖怪達に戦いを挑んで欲しいというわけだ。
「陰陽師じゃないディアボロスのみんなが妖怪を撃破し、陰陽師達が役に立たないってことを示す事で、陰陽師を束ねる陰陽寮の権威が失墜すれば……陰陽寮を裏から操っているだろう、この時代の断片の王の策略を打ち崩すきっかけと出来るかもしれないよ」

 今回の依頼内容は要するに、陰陽師がやってくるその前から、祭りを楽しむ人のフリをしつつ都に潜入して。
 彼らよりも早く、そして彼らよりも力を示すように、姿を現した妖怪達を退治して欲しい。
「まずは、怪しまれないように、純粋に炎の夜祭りを楽しんでね。おはぎが振舞われたり、大人だったらお酒も飲めるみたい。お酒じゃない甘酒や麦湯なら、未成年のみんなも飲めるよ。甘酒の牛乳割りとかも、できるんだって。あとは……都の中心に焚かれた大きな炎に、想いを書いた祈禱木を投げ入れて燃やせば、それが叶うって言われてるようだし。散策したり、足湯に浸かったり、飲み食いしながら、真っ赤な紅葉や炎を眺めるだけでも、秋の夜を楽しめそうだよね」
 そうやって、事件が起こりそうな場所で待機する事で。
 陰陽師よりも先に、事件現場に駆けつけることが出来るだろう。

「そして妖怪と戦闘中に、陰陽師の集団も駆けつけてくるんだけど……正直、みんなにとって全く脅威では無いから、軽くあしらう事ができるよ。なんか、自分達の威厳を保つために、妖怪の仲間だとか、みんなにいちゃもんつけてきたりするかもね。普通に撃破しても良いけど、脅して撤退させるといった方法でも大丈夫。そんな陰陽師を撤退させて、今回出てくる妖怪の群れ……『黒虚天狗』を撃破すれば、事件は一応解決になるんだけど」
 凪都は、まだそれだけでは終わらないんだ、と続ける。
「天狗達との戦闘が終わって、京の都から出てパラドクストレインで新宿島に戻る時……そんなディアボロスのみんなの足取りを掴もうと、アヴァタール級のクロノヴェーダが尾行してくるよ。パラドクストレインは、危険が無い場所にしか出現できないから……帰ってくる為には、このクロノヴェーダを見つけて撃破する必要があるんだ」
 尾行してくるクロノヴェーダは、『鈴鹿御前』。
 自分の恋以外に興味はなく、支離滅裂な論理であろうと自らの愛のために遂行する鬼なのだという。
 今回も独自の思い込みで、愛する人のために、皆のことを尾行してくるらしいので。
 見つけ出し撃破して、新宿島への帰還を果たして欲しい。

 凪都はそこまで説明を終えた後、皆を見回して。
「人が集まる祭りで、やらせ行動をすれば……確かに、よりマッチポンプとしては、効果的だよね。でも、京の人々に、陰陽師ではなくてディアボロスのみんなが事件を解決したよ、って。そう印象を強く与えるような戦い方をするのも、良いかもしれないね」
 気を付けて行ってきてね……と、狐尻尾をゆらり揺らしながらも。
 皆を、平安鬼妖地獄変の世界へと送り届ける。
 もうすぐ発車する、時の列車・パラドクストレインで。

●陰陽師部隊、いざ出撃!?
 此処は、京都市内にある陰陽寮の待機場所。
 この場所で陰陽師の集団は、呑気にお茶を飲んでいたが。
「妖怪が出現したらしいぞ!」
 そう伝令が駆け込んでくれば、重いその腰を上げる。
「やれやれ、面倒だなぁ。祭りでも任務なら、酒も飲めないしなぁ」
「どうせ、俺達が到着すれば、妖怪どももすぐに逃げ出すんだろ」
「まぁ、給料分は働きますか」
 そして陰陽師達は、供を連れ立って、妖怪が現れたと告げられた場所へと向かうべく歩み出す。
 妖怪達が仕組んでいる企みとは、知らずに。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【水源】
1
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
8
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【狐変身】
2
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【怪力無双】
4
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【強運の加護】
3
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【現の夢】
1
周囲に眠りを誘う歌声が流れ、通常の生物は全て夢現の状態となり、直近の「効果LV×1時間」までの現実に起きた現実を夢だと思い込む。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【動物の友】
1
周囲の通常の動物がディアボロスになつき、意志の疎通が可能になる。効果LVが高い程、知能が高まり、友好的になる。
【セルフクラフト】
1
周囲が、ディアボロスが、一辺が1mの「コンクリートの立方体」を最大「効果LV×1個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。
【迷宮化】
1
洞窟や家屋、砦などの内部を迷宮に変化させる。迷宮化により、敵は探索や突破に必要な時間が「効果LV倍」される。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【光学迷彩】
2
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【壁歩き】
1
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「18+効果LV」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
5
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【修復加速】
1
周囲が、破壊された建造物や物品の修復が容易に行える世界に変わる。修復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」する。
【建造物分解】
2
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。

効果2

【能力値アップ】LV7 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV7 / 【ガードアップ】LV5 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV2 / 【ドレイン】LV5(最大) / 【アヴォイド】LV7 / 【ロストエナジー】LV2

●マスターより

志稲愛海
志稲愛海と申します。
よろしくお願いいたします!

●成功条件
 選択肢④の成功。

●各選択肢について
 ①の選択肢は、採用人数の制限を設けません、お気軽にご参加下さい!

 ②③④の選択肢は、シナリオ成功達成が見込める程度の人数の採用となります。
 内容に問題のないプレイングもお返しになる可能性があること、ご了承ください。

 リプレイの進行は、①→②③④の予定です。

①現地のお祭りに参加しよう
 この選択肢に限り、採用人数の制限はありません。
 お祭りを目一杯楽しめる選択肢です。
 参加人数気にせずに、どうぞお気軽にどんどんご参加下さい!
 祭りで楽しめることの詳細はOPの通りです。おはぎは甘いものだけでなく、甘くないものもあります。

②陰陽師との戦闘
 妖怪達が暴れ出し、しばらくすると陰陽師達がやってきます。
 全く皆様の脅威ではないので、あしらって撤退させてください。

③👾大群のトループス級『黒虚天狗』
 暴れる妖怪の群れとの戦闘です。

④👿アヴァタール級との決戦『恋ひ侘ぶ媿『鈴鹿御前』』
 尾行してくるクロノヴェーダとの戦闘です。
 この選択肢での戦闘に勝利すれば、シナリオ成功となります。
 鈴鹿御前のパラドクスは、元になっているパラドクスと同効果のものになります。


 進行状況等はマスターページにてお知らせいたします。
 公序良俗に反する事、他人への迷惑行為、未成年の飲酒喫煙は厳禁です。
 そのような内容だと判断したものは、大幅なマスタリング及び返金とさせて頂きます。

 皆様のご参加を、心よりお待ちしております!
208

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


瀧夜盛・五月姫
【公園】、だよ。

温泉? 温泉だ。
(衆目も気にせずスルスルとストッキングを脱ぎ捨てて)
姫、一番乗り、だよ。
はやく、みんな、はやく。紅葉、とても、きれい!

はあ……とても、あったかい。
ん? なに、そのコップ? 甘酒……お酒じゃないの?
姫も、飲んでみたい。

ん、乾杯。
……甘い、えへへへへへ。とても、ぽかぽかするね。

矢木さん、黄な粉? とても舞って……えほっえほっ。
おはぎ、もちもち、おいし。
これで呪い、払えるなら、カースブレイド、ならなかったのに、な。


アッシュ・シレスティアル
仮プレ
【公園】
ほら貰ってきたぜ。
(人数分のおはぎとあらかじめ聞いておいた飲み物を貰ってきて配る)

それじゃ俺も失礼して…ふぅ、最近めっきり寒くなってきたのもあって足湯がいい感じだ。
こうしてゆっくりと紅葉を眺めるのは何年ぶりだろうな…。
(紅葉見ながらこれまでのことを少しの間思い返す。)

っと乾杯だ。
俺はさっき話で聞いてから気になってた甘酒の牛乳わりにしたから、地酒の方は今回はスルーだ。
…牛乳で割ると結構飲みやすくなるんだな。
おう、体がぽかぽかするぜ。

おはぎもいい感じの甘さで食べやすい。

※アドリブ歓迎


薬袋・透
【公園】京都は中学の修学旅行以来ね、どんな景色が見れるのかしら?ちょっと楽しみだわ

五月姫ちゃん、そんなに慌てなくても足湯は逃げないわよ?
皆の後ろからゆっくりと、でも楽しそうについていくわ

麦湯?麦茶とは違うの?気になるわ、一杯くれる?
これが、麦湯?温かい麦茶、のような物?(一口すすり)
香ばしい、良い匂い。温かいお陰でより香りが立っているみたい。芯から温まって、ポカポカになるわね。アッシュ君のおはぎとの相性も良いみたい

わ、綺麗!照らされ夜空に浮き上がる紅葉……この光景は千年間変わらない、と考えると感慨深いわね。

アドリブ絡み歓迎


月見山・伊吹
【公園】
※連携、アドリブ歓迎だよ!


見て見て!紅葉が炎のように真っ赤ですっごく綺麗だね絶景だね!!

おや、足湯もあるんだ。
地酒も牛乳割り甘酒も麦湯も美味しそう…頂くよ。
足湯でぽかぽか温まりながら皆と乾杯するよ。
京都の鮮やかな紅葉を眺めながら皆でのんびり足湯に浸かってさ、
飲み比べするのは美味しいし趣があるねぇ。

おはぎを食べてたら日が暮れてきて火祭りが始まる。
暗闇に灯る松明と焚き火の明かりが厳かで幻想的。
祈禱木に願いや誓いとかを書くんだね。何を書こうかな。
旦那とずっと一緒に幸せに暮らせるように、仲間達と楽しく仲良しく過ごせるように、
皆が怪我や病気しないように…って書きたい願い事が多過ぎるよー!


御森・白露
【公園】、じゃ。

五月姫殿、ちとばかしはしたないぞ?温泉は逃げたりせぬよ。

わざわざ済まぬのう、アッシュ殿。
酒精はどうにも苦手でな、我は甘酒を貰おうか。
どれ、乾杯。皆で飲むと美味しさも一入じゃのう。(足湯を楽しみながら、舐めるように少しずつ飲む。顔は薄く赤らんでいる)

餡子のおはぎも甘くて美味いのう。おや、手に餡子が……誰も見てはおらぬな?ぺろっと(はしたなく舌で餡子を舐めとる)

夜闇の中に赤き炎、そして炎にも負けぬ程赤く染まった紅葉。
焔祭りの名に偽りは無しじゃのう。実に良きものじゃて。

……全く。こそこそ闇に紛れても獣は臭いでわかるものじゃぞ?
性根の腐った臭いじゃ。無粋極まりないのう。


矢木・真輝
【公園】の、みんなと、一緒。

(何か泳いでいるのかと覗き込み、他の人の様子を見て、)
足、湯……? 温泉?
(足袋と雪駄は適当にまとめて置いて、湯に足をつける)
ん。あった、かい。

お酒は、苦手。
お米、だけの、甘酒は、好き。
ん、乾杯。……あったかくて、甘くて、美味しい。
(米麹の甘酒を飲めば、ふわりと尻尾が揺れる)

おはぎも、あるの?
僕、きなこが、いい。
(地元の子供たちと一緒になって、競うようにおかわりをしたり。楽しそうにたくさん食べる)
ん、美味しい、ねぇ。
(本人は嬉しそうだが周囲はきなこまみれである)

炎の、紅葉、赤い。きれい。
葉っぱ、燃えてる、みたい。


 ひらり舞う紅葉はまるで、数多燃ゆる数多の炎のようで。
 焚かれた大火が、その彩りをさらに紅く赤く燃やすのだという。
 そんな、燃える様な夜を迎えんとしている京の都に、ほど近い場所へと。
 人知れず到着したのは、ディアボロス達を乗せた時逆の列車。
「京都は中学の修学旅行以来ね、どんな景色が見れるのかしら?」
 ……ちょっと楽しみだわ。
 なんて、パラドクストレインから一歩降り立った薬袋・透(無彩の魔女の系譜・g02087)の足元でさくりと鳴るのは、真っ赤に色づいた紅葉の絨毯。
 勿論、此処へと赴いた目的は忘れてなどいないが。
 列車に乗って皆と向かう先、事件が起こるまでは自由に過ごせるとなれば、ちょっぴりわくわくしてしまう。まるで、修学旅行のようで。
 そして透に続いて列車を降りた月見山・伊吹(小春日和・g04125)も天をふと仰ぎみれば、ぱあっと表情を輝かせる
「見て見て! 紅葉が炎のように真っ赤ですっごく綺麗だね絶景だね!!」
 見開いた青いっぱいに映る、こよなく愛する自然がもたらした秋の彩に。
 そんな秋の風景に、何やらもわりと上がる煙を見つけたのは、瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)。
 その煙の正体を辿るように、ぴょこりと三つ編みを揺らしながら近づいてみれば……そこには。
「温泉? 温泉だ」
「おや、足湯もあるんだ」
 五月姫と伊吹が仲良く同時に口を開いたように、足を浸けられる温泉が湧き出ていて。
「足、湯……? 温泉?」
 ふたりの言葉に、こてんと首を傾けた後。
 何か泳いでいるのかと、湯気立つ水中をじいっと覗いてみるのは、矢木・真輝(風を奏でる放浪者・g04665)。
 けれど、くるりと泳いでいるのは、舞い落ちてきた紅葉たちばかりで。
 もう一度反対側へと首を傾げるそんな真輝の隣で、衆目も気にせず早速スルスルと。ストッキングを脱ぎ捨てれば、ちゃぽん。
「姫、一番乗り、だよ」
 一番に足を浸してみるのは、五月姫。
 表情には、あまり目に見えては出ないけれど。
「はやく、みんな、はやく。紅葉、とても、きれい!」
 ちゃぷりと足で湯を遊ばせながら紡がれる声は、逸るように弾んでいて。
「五月姫殿、ちとばかしはしたないぞ? 温泉は逃げたりせぬよ」
「五月姫ちゃん、そんなに慌てなくても足湯は逃げないわよ?」
 そんな様子に、御森・白露(放浪する転寝狐・g05193)はそう言葉を掛けつつも、琥珀色の瞳を細めて。
 同じ様に五月姫に声を向けながらも、皆についていく透。後ろからゆっくりと、でも楽しそうに。
 そして五月姫を皮切りに、ちゃぽりと足を湯に浸しはじめた皆の様子をきょろりと見てから。
 脱いだ足袋と雪駄を適当にまとめて置いた後、真輝も皆に倣って、そうっと湯に足をつけてみれば。
「はあ……とても、あったかい」
「ん。あった、かい」
 感嘆の溜息と共に漏れた五月姫の声に、こくりと頷く。
 浸した足にじわり、心地良いあたたかさを感じて。
 そして皆で並んでほっこりと、足湯を堪能していれば。
「ほら貰ってきたぜ」
 足湯の前に、別の場所へとふと立ち寄っていたアッシュ・シレスティアル(蒼破拳・g01219)も合流を果たして。
 皆へと配るのは、人数分のおはぎと飲み物。
「わざわざ済まぬのう、アッシュ殿。酒精はどうにも苦手でな、我は甘酒を貰おうか」
「僕も、お酒は、苦手。でも、お米、だけの、甘酒は、好き」
 酒とは名がついていても、アルコールが入っていない米麹から造られた甘酒に手を伸ばすのは、白露と真輝。
 そんなふたりの言葉に、一瞬きょとりとして。
「ん? なに、そのコップ? 甘酒……お酒じゃないの?」
 ……姫も、飲んでみたい。
 五月姫もアッシュから、米麹の甘酒を受け取って。
「甘酒も牛乳割りとか、ほかにも麦湯や地酒もあるぜ」
「麦湯? 麦茶とは違うの? 気になるわ、一杯くれる?」
「地酒も牛乳割り甘酒も麦湯も美味しそう……頂くよ」
 透と伊吹にも飲み物が行き渡れば、それじゃ俺も失礼して……と。
「ふぅ、最近めっきり寒くなってきたのもあって足湯がいい感じだ」
 皆と一緒に湯に足を浸せば、じんわりと染みわたる様な温もりに零れる、溜息ひとつ。
 そして、金の瞳で燃ゆる天を仰いで。
「こうしてゆっくりと紅葉を眺めるのは何年ぶりだろうな……」
 色々な事があって、今も戦闘技術を磨く日々を過ごしているけれど。
 アッシュはふと思い返してみる。紅葉見ながらこれまでのことを、少しの間。
 でも、程なく視線を皆へと戻してから。
「っと乾杯だ」
 秋空に飲み物を掲げる。
 そんなアッシュは、今回は地酒はスルー。その手には、話で聞いてから気になっていた甘酒の牛乳割りが。
「ん、乾杯」
「どれ、乾杯」
 そしてアッシュの音頭と共に、皆もそれぞれの飲み物を掲げて――乾杯!
「……牛乳で割ると結構飲みやすくなるんだな」
「これが、麦湯? 温かい麦茶、のような物?」
 口にした甘酒の牛乳割りをまじまじと見つめるアッシュから貰った麦湯を、透も一口すすってみれば。
「香ばしい、良い匂い。温かいお陰でより香りが立っているみたい。芯から温まって、ポカポカになるわね」
 足元だけでなく、身体全体にあたたかさが染み渡って。
 五月姫と真輝も、乾杯した米麹の甘酒をそろりと飲んでみれば。
「……甘い、えへへへへへ。とても、ぽかぽかするね」
「……あったかくて、甘くて、美味しい」
 ご機嫌に紡ぐ五月姫に頷いた真輝の尻尾も、ゆうらりふわり。
 そんな皆の様子を見回してから、アッシュも甘酒の牛乳割りを再び口に運んで。
「おう、体がぽかぽかするぜ」
 やはり感じるのは、紅葉舞わせる秋風が吹く夜に最適な、ほわりとあたたかい心地。
 伊吹もくるりと踊る燃える様な彩りに、視線を向けて。
「京都の鮮やかな紅葉を眺めながら皆でのんびり足湯に浸かってさ、飲み比べするのは美味しいし趣があるねぇ」
「皆で飲むと美味しさも一入じゃのう」
 足湯を楽しみながら、舐めるように少しずつ甘酒を飲む白露のその顔は、秋の彩りとお揃い……?
 薄く赤らんで、色づいている。
 それから、アッシュが皆へと配りつつも、はむりと頬張るのは。
「おはぎもいい感じの甘さで食べやすい」
 貰ってきた、餡子と黄粉の2種類のおはぎ。
 透も、すらりと綺麗に伸びた脚でちゃぷりと微か水音を立てつつも、おはぎを貰って食べてみれば。 
「アッシュ君のおはぎとの相性も良いみたい」
 香ばしい麦湯との相性もばっちり。
 そんなふたりの様子に、ぴょこりと狐耳を立てて。
「おはぎも、あるの? 僕、きなこが、いい」
 そわりと尻尾を揺らす真輝が選んだのは、黄粉のおはぎ。
 それをぱくっと口にするも、ひとつでは到底足りなくて。
 地元の子供たちと一緒になって競うように、おかわり!
 そんな戯れの甲斐あって、もりっと皿に盛って貰った黄粉のおはぎを。
 楽しそうにたくさんはむはむと食べる、真輝であったが。
 彼の隣で餡子のおはぎを口にしようとした五月姫は、思わず瞳をぱちくり。
「矢木さん、黄な粉? とても舞って……えほっえほっ」
 真輝本人は、とてもほわほわ嬉しそうなのであるが……周囲は、きなこまみれ!?
 けれど、幸せそうなその顔を見れば。
「おはぎ、もちもち、おいし」
「ん、美味しい、ねぇ」
 一緒に並んで、はむはむ、もちもち。
「餡子のおはぎも甘くて美味いのう」
 白露も、口の中に広がる優しい甘さを存分に堪能しつつも。
 ふと、己の手元を見遣れば。 
「おや、手に餡子が」
 ……誰も見てはおらぬな?
 そうそっと琥珀の視線を悪戯っぽく巡らせた後……ぺろっと。
 はしたなく舌で餡子を舐めとるのも、今夜は内緒のご愛敬。
 そんな彼と同じ、美味しくて甘い味を噛みしめながらも。
 じいっと手元のおはぎを見つめ、ぽつりと言の葉を落とす五月姫。
「これで呪い、払えるなら、カースブレイド、ならなかったのに、な」
 おはぎには、魔除けの効果があって邪気を払うといわれているって……そう聞いたことを、思い出して。
 そんな手元を見つめる彼女の三つ編みに、ひらりと舞い振ってきた一葉をそっと取ってあげてから。
 顔を再び上げた彼女と一緒に伊吹が目にしたのは、日が暮れた空に燃える大火の焔――火祭りの始まり。
 暗闇に灯る数多の松明と焚かれた大きな焔の明かりが、厳かで幻想的で。
「わ、綺麗!」
「炎の、紅葉、赤い。きれい。葉っぱ、燃えてる、みたい」
「照らされ夜空に浮き上がる紅葉……この光景は千年間変わらない、と考えると感慨深いわね」
 透と真輝の声に白露も瞳細め、暫し皆と見つめる。
「焔祭りの名に偽りは無しじゃのう。実に良きものじゃて」
 夜闇の中に燃え盛り揺れる赤き炎。そして、炎にも負けぬ程赤く染まった紅葉が織り成すいろを。
 そして伊吹は、聞いた火祭りに焚かれる炎の話を思い出して。
「祈禱木に願いや誓いとかを書くんだね。何を書こうかな」
 ……旦那とずっと一緒に幸せに暮らせるように。
 仲間達と楽しく仲良しく過ごせるように。
 皆が怪我や病気しないように……。
「って書きたい願い事が多過ぎるよー!」
 少し考えてみただけで、書ききれないくらいの願い事がいっぱい。
 アッシュも紅葉と燃ゆる焔へと瞳を向け、ふと思い返すのは……あの日の事。
 でもそれでも、諍うと決めたのだから。もう二度と何も奪わせない為に。
 そしてあの時何かを奪われたのは、皆一緒で。
 だからこそ今こうやって、此処にいみんなとも出会えたのだけれど。
「……全く。こそこそ闇に紛れても獣は臭いでわかるものじゃぞ?」
 白露は祭りを楽しみつつも、だが決して、自分達が成すべきことを忘れない。
 訪れた夜に蠢く影や不穏な気配に、皆と顔をそっと見合せ、ふるりと首を横に振りながらも。
 ……性根の腐った臭いじゃ。無粋極まりないのう。
 折角の心地良い眠気も覚めてしまうような、興の醒める輩たちにひとつ。
 舞う紅葉と焔燃え盛る夜に、そっと溜息を落とすのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV3が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【狐変身】LV2が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV5が発生!

ラルム・グリシーヌ
【白花】

この菓子、萩の花に似ているんだね
コロンとしていて可愛いし
何より小豆のほっと和める甘さが美味しい!

両手に持ったおはぎを幸せそうに
もちもち頬張ってると
揶揄いの笑み向ける隣の青年

おはぎに伸ばしかけた手を止め
米麹の甘酒で喉を潤すと
赫い双眸を見遣り柔く笑む

深く鮮麗な紅葉も揺れる炎の燈りも心惹かれるけど
ニイナの焔宿す瞳が一等美しいよ

再び食べ始め乍ら
ね、地酒って美味しい?
俺も早く大人になりたいなぁ

問えば返る「お子ちゃま」に
へえ、そうなの?
今しかできない事ってこーいうのだよね!

酒を煽る彼の傍らに在る黄粉のおはぎ
ぱくりと次々に食めばぱっと輝く瞳

ニイナ、こっちのおはぎも美味しい!
喜色滲む声音で応えるよ


篝・ニイナ
【白花】

燃ゆるような紅葉を酒のアテにしながら
きな粉おはぎをひとつまみ
いいねぇこういうのを粋ってゆうのよ
おはぎに夢中なラルムクンにはわかんねーかな~
なんて、揶揄っていれば
返ってきたロマンチックな言葉に
やるじゃん…と面食らって
もちもちと動いている頬を摘んでやりたくなる
ほんと、ラルムクンは”人タラシ”だな

地酒?そりゃあうめーよ
でもお子ちゃまのラルムクンにはあげませーん
…そのうち大人になんだから
今のうちにしかできないことしとけ
と、見せつけるように盃の酒を一気に飲み干して
どやあと踏ん反る間もなく
目の前には口周りを粉だらけにして目を輝かせている少年

おい、おい、まさか…
アーーーーーっ!俺のきな粉おはぎ!!


 燃えるように真っ赤に染まった京の都は、人の声で賑やかで。
 訪れた人たちへと振舞われるのは、少し肌寒い秋の夜に染み渡るあたたかい飲み物や魔除けの謂われもある甘いおはぎ。
「この菓子、萩の花に似ているんだね。コロンとしていて可愛いし」
 ラルム・グリシーヌ(ラメント・g01224)は、何気に沢山盛って貰ったおはぎをじいっと見つめてから。
 ぱくりとひとくち頬張ってみれば、ぱあっと春の眸に咲く煌めき。
「何より小豆のほっと和める甘さが美味しい!」
 そう、ほこほこはむはむ、口に広がる優しい甘さに笑み綻ばせるラルムと一緒に。
 篝・ニイナ(篝火・g01085)が今宵、酒のアテにするのは、眼前の燃ゆるような紅葉と。
 そして、黄粉おはぎをひとつまみ。
「いいねぇこういうのを粋ってゆうのよ」
 はむりと口に運んで、そう紡いだ後。
 くいっと地酒を呷り、何気に火照ったような感覚を早速覚えながらも。
「おはぎに夢中なラルムクンにはわかんねーかな~」
 両手に持ったおはぎをもちもち幸せそうに頬張る少年へと向けるのは、揶揄うような笑みと声。
 そんな隣の青年の言葉に、ラルムはふと、おはぎへと伸ばしかけたおかわりの手を止めてから。
 こくりと米麹の甘酒で喉を潤した後、柔く笑めば。
「深く鮮麗な紅葉も揺れる炎の燈りも心惹かれるけど」
 赫い双眸をじっと見遣って、こう返す。
 ――ニイナの焔宿す瞳が一等美しいよ、って。
 そんな返ってきた思わぬロマンチックな言葉に、ニイナはぱちりと赫を瞬かせて。
 やるじゃん……そう一瞬、面食らってしまうけれど。
 眼前のラルムの姿を改めて見れば、駆られるこんな衝動。
「ほんと、ラルムクンは”人タラシ”だな」
 ……もちもちと動いている頬を摘んでやりたくなる、なんて。
 そしてラルムはちらりと、ニイナが手にしている盃を見て。
「ね、地酒って美味しい?」
「地酒? そりゃあうめーよ」
「俺も早く大人になりたいなぁ」
 強い弱いはともかく、美味しそうに楽しそうに晩酌する姿に、羨まし気な瞳を向ければ。
 再び向けられるのは、揶揄いの響きを纏う声。
「でもお子ちゃまのラルムクンにはあげませーん」
 それからニイナは、見せつけるように盃の酒をぐいっと一気に飲み干して。
「……そのうち大人になんだから、今のうちにしかできないことしとけ」
 どやあと、そう踏ん反る……間もなく。
 問えば返ってきた、「お子ちゃま」の言葉を聞いて。
「へえ、そうなの?」
 ラルムが眼前のどやる大人へと、大きく首を傾けてみせた刹那。
「今しかできない事ってこーいうのだよね!」
 不意に伸ばしたその手の行方は、酒を煽る彼の傍ら。
 そして……ぱくぱく、ぱくり、と。
 手にした黄粉のおはぎを次々と食めば、ぱっと輝くペリドットのいろ。
 そんな目の前の少年が、口の周りを粉だらけにして目を輝かせていることに、ニイナはハッと気付いて。
「おい、おい、まさか……」
「ニイナ、こっちのおはぎも美味しい!」
 にこにこ無邪気な笑みと喜色滲む声音で応えるラルムから、バッと傍らの皿に急いで目を向けるけれど。
 時すでに、遅し。
「アーーーーーっ! 俺のきな粉おはぎ!!」
 ニイナの黄粉おはぎはいつの間にか、もちもち幸せそうに動いている彼の頬の中に。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エイティーン】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!

マコットラビュール・ミディアーク
いすみん先輩(g00995)と参加だよ!
先輩とは会ってそんなに経たないけどさー、何ていうか堅い!ガチガチなんよ!
たまには息抜きも大事、ってことで任務の前にお祭りいこ!

おはぎ食べたことないらしーしまずはそれ食べに行くよ、うちはずんだ餡とか好き!
それとお団子も頼んじゃおっかな、三色のやつね!
やー、良い感じの景色を見ながらの甘味三昧は最高だね!

何かおはぎ1個くれるらしいから特に気にせず貰うけど、先輩は甘いの苦手系?
皆が皆甘いものは別腹ってわけじゃないんだねー。

あとは・・・先輩が足湯に興味ありそうだから行ってみよっか!
ただ先輩の靴脱ぎづらそうだし片足解くの手伝ったげるよ!
足だけでも気持ちいいね、先輩!


一角・實生
ミディさん(g00809)と参加

ミディさんとふたりで出歩くのは初めてだ
偶に連絡する程度だったもんな
かたい……か? 普通だよ。多分

そうそう、俺オハギを食べてみたくてさ
甘さが強いものは少し苦手だから黄粉がまぶされたもの2つと麦湯を頼む
紅葉がよく見える場所で食べようか

おはぎの程よい甘さと景色に気持ちがほどけていきそうだ
ミディさん美味しそうに食べるな……良かったらこれも
器にひとつ残ったおはぎを差し出そう
俺にはひとつで丁度良いみたいだ、甘くないものだったら別腹なんだけど

温泉の魅力を知った今、気になる足湯
でも俺の靴は着脱に時間が――彼女の申し出に思わず苦笑い
気持ちだけ受け取り早く足湯に浸かれるよう頑張ろう


 パラドクストレインの今回の行先は、紅に色づいた平安の都にほど近い場所。
 一角・實生(あざよいの鷲・g00995)はさくりと、降り積もる彩をロングブーツで踏みしめながら。
「ミディさんとふたりで出歩くのは初めてだ。偶に連絡する程度だったもんな」
 隣を歩くマコットラビュール・ミディアーク(歩き始めた愚者・g00809)へと視線を向け、ふと紡げば。
「先輩とは会ってそんなに経たないけどさー」
 ちらりと、見上げるような瞳を返された刹那。
 びしっと言い放たれたのは、こんな言の葉。
「何ていうか堅い! ガチガチなんよ!」
「かたい……か? 普通だよ。多分」
 そんな彼女の声に、實生は瞳をぱちりと瞬かせた後。
「たまには息抜きも大事、ってことで任務の前にお祭りいこ!」
 無自覚なガチガチ堅い先輩を手招いて一緒に、紅に染まった賑やかな夜祭りへといざ!
 そして、マコットラビュールがまず足を向けたのは。
「先輩、おはぎ食べたことないらしーって聞いたから。まずはそれ食べに行くよ!」
 おはぎを振舞って貰えるという店へ。
 そんな彼女に、こくりと實生は頷いてから。
「そうそう、俺オハギを食べてみたくてさ」
「うちはずんだ餡とか好き! それとお団子も頼んじゃおっかな、三色のやつね!」
 気になるものを次々と頼むマコットラビュールの横で、暫し思案した後。
 黄粉がまぶされたものをふたつと麦湯をお願いする。
 いつもならば、もっもっ、と何気によく食べる彼であるが……甘さが強いものは、少し苦手だから。
「紅葉がよく見える場所で食べようか」
 甘さ控えめのおはぎを受け取ってから、きょろりと緑金の視線巡らせて。
 見つけた見晴らしの良い場所にふたり並んで、腰を落ち着ける。 
 そして初めてのおはぎを、はむりと口にしてみれば。
 淡々とした落ち着いた様子は変わらないものの、大きな翼を思わずぱたぱた。
 實生は舌の上で蕩けるような優しい美味しさに、ほわりと柔く瞳を細める。
 ……おはぎの程よい甘さと景色に気持ちがほどけていきそうだ、と。
 それから、おはぎに三色団子にと、はむはむ口に運ぶ彼女へと視線を移して。
「やー、良い感じの景色を見ながらの甘味三昧は最高だね!」
「ミディさん美味しそうに食べるな……良かったらこれも」
 差し出したのは、器にひとつ残ったおはぎ。
 くれると言っているのだから、マコットラビュールは特に気にせずそれを貰って。
 はむっと早速、黄粉おはぎを口にしつつも、こてりと首を傾ける。
「先輩は甘いの苦手系?」
「俺にはひとつで丁度良いみたいだ、甘くないものだったら別腹なんだけど」
 甘くないものが別腹。そう紡ぐ彼に、マコットラビュールは返す。
「皆が皆甘いものは別腹ってわけじゃないんだねー」
 もぐもぐと、おはぎの甘さを堪能しながら。
 そしておはぎ初体験を無事に楽しんだ後、再び京の都を歩いていた實生は見つける。
 ほかほかと、あたたかそうに上がる湯気を。
 その元を視線で辿れば、そこには……温泉の魅力を知った今、気になる足湯が。
 マコットラビュールも、そんな彼の視線を追って。
「あとは・……先輩が興味ありそうだから足湯に行ってみよっか!」
 足湯へと向かわんとするも、實生が思わず宿すのは苦笑い。
 足湯ということは、裸足になる必要があるわけで。
「でも俺の靴は着脱に時間が――」
「先輩の靴脱ぎづらそうだし片足解くの手伝ったげるよ!」
 ……足だけでも気持ちいいね、先輩!
 そう手伝わんとしてくれる彼女の、その気持ちだけ受け取ることにして。
 ぱっと靴を脱いで、紅葉がぷかり浮かぶ湯に早速ちゃぷりと足を浸けているマコットラビュールを後目に。
 ……早く足湯に浸かれるよう頑張ろう。
 燃えるような紅葉たちが舞い振る中、できるだけ早く脱げるようにと、なかなか手強い己の靴との格闘を始める實生であった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【修復加速】LV1が発生!
【飛翔】がLV4になった!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【アヴォイド】がLV2になった!

乂八・南
g01118/ノスリくん

お祭り楽しみつつ、陰陽師たちの先周りってわけね
うん、お祭りを盛り上げるのも大事だよな

口にする言葉は少しだけ言い訳じみて
その実、あんたと共に過ごせる今日に胸が弾むのは
誰が見ても明らかなほど明白だ

足湯行きたいんだっけ
じゃあ行こうと無邪気に
わぁ、あったけー
ね、気持ち良い

紅葉、綺麗だ。燃えてるみたい
記憶がないと聞いたから
本当は見たことがあるのかも――
感じた想いは胸に秘め

彼の掬った一片を目に
絵じゃないよ
俺たちは此処にいるじゃん

返答にぽかんとするも
そう?自分じゃ分かんないけど
なんて口元を抑え

お腹が鳴れば照れくさそうに
でも彼の音も聞けばふはと笑み
――…お腹減ったね
俺、おはぎ食べたい!


ノスリ・アスターゼイン
g00139/南

…そうそう
宵祭りをね、護らなきゃね

オシゴトを一瞬忘れる程に
燃ゆる焔と紅葉に見惚れて

南の朗らかな声にも喜びを感じたから
返す笑みもふわり華やぐ
共に浸かる足湯の温かさが心地良い

夜を映した水面に浮かぶ
火の粉のような朱金の葉
コントラストの美しさ

初めて見るよ
壮観だな
まるで一幅の掛軸か蒔絵みたいだ
絵物語の住人になった気分

掬い上げた一葉は
焔を照り返していっそう艶めいているけど
南の鮮やかな瞳の色には敵わないな、と笑みつ
風雅へ想いを深めたところで
腹の虫は互いに素直

顔見合わせて
肩を揺らし合う

良いね
餡子も黄粉も
勿論
甘酒も制覇して
秋も
祭りも
あんたと過ごす心弾む此のひとときを
存分に味わい尽くそうじゃないか


 時逆の列車を降り立てば、一面広がるのは燃える様な秋の彩。
 そして訪れた京の都は、祭りに心躍らせる人々の声で賑やかで。
 こう見れば、平和な光景……に見えるのだけれど。
「お祭り楽しみつつ、陰陽師たちの先周りってわけね」
 乂八・南(WONDERFUL LIFE・g00139)は、これから起こると聞いた話を思い返しながらも、今回の目的を紡いで。
「……そうそう。宵祭りをね、護らなきゃね」
 共に並んで真っ赤な絨毯を踏みしめる、ノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)の声に頷いてから。
「うん、お祭りを盛り上げるのも大事だよな」
 暗躍する妖に気取られぬよう、そして敵を巧く誘い出すべく、南はそう口にするのだけれど。
 でも、そんな言葉は少しだけ言い訳じみている、だなんて。
 いくら隠そうとしても、どうしてもできそうにない。
(「あんたと共に過ごせる今日に胸が弾むのは」)
 明らかなほど誰が見ても、きっと明白だから。
 確かに、この地に今回赴いたのは、復讐者としてのお仕事ではあるのだけれど。
 それを一瞬忘れる程に、ノスリは見惚れてしまう。
 燃ゆる焔と紅葉、そんな秋の彩に満ちる世界に。
 そんな隣を行く彼の横顔をちらりと見上げて。
 南は、此処に来る際にノスリが言っていたことをふと思い出して。
「足湯行きたいんだっけ」
 ……じゃあ行こう。
 そう無邪気に、ほかほか湯気が立つ足湯へといざ進路を取って。
 返すノスリの笑みも、ふわり華やぐ。届いた朗らかな声にも、逸るような軽い足取りにも、喜びを感じたから。
 そしてくるりと先客の紅葉たちが浮かぶ足湯に、並んでそうっと足を浸してみれば。
「わぁ、あったけー」
「足湯しつつ紅葉狩りしてみたいなぁと思っていたけど、温かさが心地良いね」
「ね、気持ち良い」
 きっとこんな心地良さを感じるのは、そう言葉交わし合う彼と共に浸かっているから。
 それからちゃぷり、静かに音を立てる足元へと目を遣れば。
(「夜を映した水面に浮かぶ、火の粉のような朱金の葉。コントラストの美しさ」)
 ノスリは紅が彩るもうひとつの世界に、蜜色の瞳を細めて。
「紅葉、綺麗だ。燃えてるみたい」
「初めて見るよ。壮観だな」
 南の声に頷きつつも、そう口にする。
 そしてそんな彼の言葉に、南はそっと思う。
(「記憶がないと聞いたから、本当は見たことがあるのかも――」)
 けれどそう感じた想いは、胸にだけ秘めて。
「まるで一幅の掛軸か蒔絵みたいだ。絵物語の住人になった気分」
 ふと伸ばしたノスリの掌が掬い上げたのは、紅一葉。
 それは燃ゆる焔を照り返しそのいろを纏って、よりいっそう艶めいているけど。
 でもすぐに、また別の赤にノスリの視線は奪われる。
「絵じゃないよ。俺たちは此処にいるじゃん」
 そう告げながらも向けられた、自分の姿を映す一番近い真紅に。
 それからノスリは、笑みつつも彼へと返す。
「南の鮮やかな瞳の色には敵わないな」
 そんな不意に耳に届いた返答に、南は一瞬ぽかんとするも。
「そう? 自分じゃ分かんないけど」
 なんて言いつつも、抑えてしまう口元。
 巡り来た秋の季節だけの、燃ゆるような色たち。
 そしてその風景の只中で、風雅へ想いを深めたところで。
 思わず同時にふたり顔を見合わせ、肩を揺らし合う。
 素直にくぅと鳴った、互いの腹の虫が聞こえたから。
 自分のお腹が鳴ったのは、やはり照れくさかったけれど。
 でも自分とお揃いの彼の音も聞けば、ふはと笑み零れて。
 ――……お腹減ったね。
 鳴ったお腹の訴えに抗わず、南は無邪気に笑んで続ける。
「俺、おはぎ食べたい!」
 そんな申し出に、腹ぺこ仲間として、断るなんて選択肢などないから。
「良いね。餡子も黄粉も勿論、甘酒も制覇して、存分に味わい尽くそうじゃないか」
 ノスリは余すことなく、味わい尽くすつもり。
 燃えるように鮮やかな彼の真紅を、己の蜜色と重ねながら。
 ……秋も、祭りも、あんたと過ごす心弾む此のひとときを、って。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【強運の加護】がLV2になった!
【飛翔】がLV5になった!
効果2【アヴォイド】がLV4になった!

天羽・花菜
「甘酒の牛乳割りかぁ。お砂糖たっぷり入れたホットミルクみたいな感じなのかな?」
まずお祭りで食べられそうなものを物色

「なるほどぉ、おはぎのおふるまいもあるんだねぇ。昔の都って思ってたより裕福なんだなぁ」
古文や日本史で赤点を叩き出してとっちめられていたので実際を見られたのが興味深くキョロキョロ観察

「えーと、大道芸人の真似っことかしてればいいのかな?」
内緒で羽を使って滞空時間長く跳躍したり早業で的当てやジャグリングぽいことをしたり光使いや電撃使い、可能ならパラドクスなんかで夜空に花火っぽい演出や光の文字を書いてみせてこの時代の人にもお祭りを楽しんでもらえるよう頑張ってみる


 時逆の列車が到着したのは、平安の世界。
 そんな都は、祭りを楽しむ人達でいっぱい。
 そしてそんな中でも、特に行列ができている店を見つけて。
 さくりと地に積もった紅の絨毯を踏みしめながら、天羽・花菜(撲殺天使で電子の申し子・g02034)がひょこり、その店先を覗いてみれば。
 人々が受け取っているのは、ほわほわ湯気が立っている飲み物。
 そんな飲み物も、地酒から麦湯まで、種類があって選べるようであるが。
 聞こえてくる声によれば、一番人気はどうやらこれらしい。
「甘酒の牛乳割りかぁ。お砂糖たっぷり入れたホットミルクみたいな感じなのかな?」
 大人はアルコール入りを、子供でもアルコールが入っていない米麹のものを頼める一品。
 牛乳を加えまろやかにした、甘酒の牛乳割りである。
 そんな甘く飲みやすそうな飲み物も気にはなるけれど。
 やはり、腹が減ってはなんとやら。
 まず花菜がお祭りで物色するのは、食べられそうなもの。
 そしてまたもや遭遇したのは、別の店にできている行列。
 次は何かと、嬉々と並んでいた子供達が受け取った皿を見てみれば。
 甘い餡子や黄粉を纏った、ころんとした甘味が。
 その和な赴きの甘味が何か、花菜も勿論知っている。
「なるほどぉ、おはぎのおふるまいもあるんだねぇ。昔の都って思ってたより裕福なんだなぁ」
 古文や日本史で赤点を叩き出してとっちめられていたけれど、おはぎはテストには出ませんから。
 でも、テストの点数は散々だったけれど。
 花菜は緑色を湛える瞳でキョロキョロと周囲を観察しながらも、背中の翼を小さく揺らしてぱたぱた。
 教科書でしか見たことがなかった平安の都の風景を、実際に見られたのが興味深くて。
 けれど此処に来た目的も、ちゃんと忘れていないから。
「えーと、大道芸人の真似っことかしてればいいのかな?」
 暗躍する敵に気付かれないよう、そしてまんまと敵がその姿を現すようにと。
 内緒で羽を使って滞空時間を長く跳躍してみたり、早業でびしっと的当てやくるくるジャグリング風なことをしたりとか。
 輝く光や迸る電撃、それに無数の光の輪を夜空に成して、花火を思わせる演出や光の文字を書いてみせたりして。
「わぁっ、すごーい!」
「すごい妖術を使えるんだね!」
 興味津々集まってきた子供達は勿論、大人な人達もみんな含めて。
 花菜は暫し、色々な手を駆使して頑張ってみる。
 ……この時代の人にもお祭りを楽しんでもらえるように、って。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV6になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!

火撫・穂垂
里の外でも、こんなお祭りがあったんだ。
なんだか、嬉しいな。
先代の父上や、大人の人たちが、儀式の準備に走り回ってたの、思い出す。
お散歩して、見て回ってみよう。

火は命。ボクらが持ってる火も、元は大地から分け与えられた子供たち。
だから、ああやって願いを投げ入れて、灰として大地に還す。
母たる大地に、願いを溶かして、見守ってもらうんだ。

ここにはここの決まりがあるから、手出しはしないけれど。
ボクも、大火にお祈りしていこう。
皆の火が、脅かされることなく、穏やかに燃え、照らしあい、暖め合えますように。

そして、営みを崩す悪意の火は、ボクらが食い止めなきゃ。
それが、火の祭司の役目だから。


 火は太古の昔から、人々とは切っても切り離せないもの。
 生活を営むために必要なものであり、神聖なるものとして焚かれたり、時には畏怖するような猛火を揮ったり。
 人は火と共に歩んできたと言っても過言ではないだろう。
 時逆の列車を降り立てば瞳に飛び込んできたのは、秋の彩りと炎燃ゆる赤。
 今宵の都は、大火灯る火祭りの夜であると聞いて。
「里の外でも、こんなお祭りがあったんだ」
 ……なんだか、嬉しいな。
 そう、『火』を信奉する里の一族として在る火撫・穂垂(奉火・g00006)は、懐かしくも嬉しくなる。
 だって、思い出すから。
(「先代の父上や、大人の人たちが、儀式の準備に走り回ってたな」)
 そんな光景を思い返しながらも、穂垂は紅葉の絨毯を小気味良く鳴らしつつも。
「お散歩して、見て回ってみよう」
 数多の松明の炎に誘われるように、暫し都の中を散策してみることに。
 そしてふと瞳に映るのは、一生懸命願いをしたためた祈禱木を大火へとくべる人たちの姿。
 その様子を眺めながら、穂垂はこくりと大きく頷き紡ぐ――火は命、と。
(「ボクらが持ってる火も、元は大地から分け与えられた子供たち。だから、ああやって願いを投げ入れて、灰として大地に還す」)
 ……母たる大地に、願いを溶かして、見守ってもらうんだ、と。
 けれど、同じ火を信奉する祭りや行事といっても、その土地によって作法などが異なることも、穂垂は知っているから。
(「ここにはここの決まりがあるから、手出しはしないけれど」)
 穂垂は、真っ新な祈禱木を受け取って。
 ……ボクも、大火にお祈りしていこう、って。
 こんな願いをしたためる。
 ――皆の火が、脅かされることなく、穏やかに燃え、照らしあい、暖め合えますように。
 そんな人々に寄り添う火を、穂垂は守っていきたいし。
(「そして、営みを崩す悪意の火は、ボクらが食い止めなきゃ」)
 その為に成すべき事を、改めて心に思いながらも。
 夜の闇を煌々と照らす聖なる焔へと、誓うように己の想いを穂垂は託す。
 ……それが、火の祭司の役目だから、と。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【書物解読】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

響風・涼花
さて、どうしたもんかな……時間はあるようだし、まずはお祭りを楽しむとしようかな。それ位許されてるなら、それもいいか。

炎に照らされた紅葉を見つつ、今を想う。
色んな事が起きたなと。いつか、平和で退屈な日常に戻ることが出来るのだろうか?永遠に戦い続けるのだろうか。
願いが叶うなら、想いを書いた祈禱木を投げ入れよう。
つまらない毎日が戻ってきますようにと。

ついでに、甘酒でも飲みながら妖怪の情報を探ってみよう。
最近この辺で妖怪が出てるとか、聞いてない?
そうして事件が起こりそうな場所を先に知っておこう。


 足を踏み入れた紅葉舞う京の都は、沢山の人出で賑やかだけれど。
 秋を彩る紅葉や焚かれている大火の焔と同じいろを湛える赤の視線を、ぐるりと巡らせて。
 さて、どうしたもんかな……と。
 響風・涼花(世界に拳を叩きつけろ・g05301)は、そう呟きを落とすも。
「……時間はあるようだし、まずはお祭りを楽しむとしようかな」
 此処に来た目的は確りと分かっているし、まだ事件が起こる時間はもう少し先らしいから。
 ……それ位許されてるなら、それもいいか。
 涼花は楽し気な人の声で溢れる夜祭りをふらりと巡ってみることに。
 そしてふと天を見上げてみれば、ひらり舞い降る紅葉たち。
 その彩りは、大火や数多照る松明の炎に照らされ、より燃え上がっているようにも見えて。
 そんな紅葉を見つつ、涼花はふと今を想う――色んな事が起きたなと。
 同時に、心の中に生じるのは、未来のこと。
(「いつか、平和で退屈な日常に戻ることが出来るのだろうか? 永遠に戦い続けるのだろうか」)
 奪われて、戦って、そして……取り戻せるのだろうか、と。
 涼花は受け取った祈禱木へと視線を落とし、願いをしたためてから。
 想いを書いた祈禱木を、神々しくも燃え盛る大火へと投げ入れる。
 願いが叶うなら――つまらない毎日が戻ってきますように、と。
 そして焔に願いを託し、再び紅葉舞う都を歩んでいれば。
 見かけて涼花が立ち寄ったのは、飲み物を振舞っている店。
 甘酒といっても、米麹でできた酒ではない甘酒を貰って、飲みながらほわりと暖をとりつつも。
「最近この辺で妖怪が出てるとか、聞いてない?」
 甘酒をくれた店の人に、さり気なく訊ねてみる涼花。
 そんな問いに、店主は暫し考えてから答える。
「そういや、人が多い大通りによく出るって聞く気がするなァ」
 陰陽寮の威厳を高めるべく、都の人々に茶番を見せつけたいという敵の思惑を考えれば、それは至極当然のこと。
 マッチポンプするのならば、沢山の人の目があった方が、いいに決まっているから。
 けれど、そんな目論見を打破すること、それが自分達の成すべく事であるから。
 涼花は店主に礼を告げた後、教えてもらった大通りを目指し再び歩き出す。
 ……こうやって、事件が起こりそうな場所を先に知っておこう、って。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

藺草・風水
即興連携、アドリブ歓迎
「招かれざる客やそれに踊らされてるのが来る前に、楽しめるだけ楽しんどくの」
妖怪の企みを阻止する前に楽しめるだけ楽しむつもりで行く

「ワンちゃん達も、一緒に入るの?」
おはぎを食べつつ一般客の邪魔にならない範囲で、【動物の友】で引き寄せた数匹の犬猫達と一緒に足湯につかる

「大地震っていうけど、何年ぐらい前の話なの?」
足湯に浸かってる一般客相手にいつ頃の地震で温泉ができたかを尋ねるなどして、大地震が起きた年を探る


 パラドクストレインが停車したのは、京の都にほど近い場所。
 小さな炎の如くひらりと舞う紅葉たちの色に染まった今宵の京は特に、沢山の人の楽し気な声で溢れている。
 それは、この秋の季節にしか行われない、特別な火祭りの夜だから。
 けれどすでに、子供も大人も平和に祭りを楽しんでいる風景を台無しにする輩が、都には暗躍しているという。
 陰陽師を利用して陰陽寮の権威を高めるために、いわゆる八百長を行なうべく潜む妖怪達が。
 そんな目論見を打破すること、それが今回このディヴィジョンを訪れた復讐者達の目的であるのだが。
「招かれざる客やそれに踊らされてるのが来る前に、楽しめるだけ楽しんどくの」
 藺草・風水(天使喰らいの重ガンナー・g00346)は、事が起こるその前に、楽しめるだけ楽しむつもりで歩みを進める。
 現れた正義ではない陰陽師達をこらしめ、妖怪達を倒すことは勿論のこと。
 敵が行動を起こす前に気付かれては本末転倒であるし。
 祭りという日常を満喫すること、それが自分達ディアボロスの力となるのだから。
 そして、振舞われているおはぎを貰った後、風水が足を向けたのは――ほかほか湯気が立っている、足湯。
 ちゃぽんと足を湯につけてゆったりと過ごしながら、貰ったおはぎをはむりと食べつつも。
 周囲の人たちの邪魔にならない範囲で、風水は引き寄せてみる。
「ワンちゃん達も、一緒に入るの?」
 動物の友を駆使し、数匹の犬や猫達を。
 それから寄ってきた子たちに声を掛け、一緒に足湯に浸かって。
 動物達と仲良くほっこりと足湯を楽しみながらも。
「大地震っていうけど、何年ぐらい前の話なの?」
 風水は近くで同じように足湯に浸かっている一般客達へと、さり気なく尋ねる。
 いつ頃の地震でこの温泉ができたか……大地震が起きた年を探る意図で。
「さァな、物心ついたときからあるし、随分前なんじゃないか」
「俺のばあちゃんが子供の頃から、もうすでにこの温泉湧いてたらしいからな」
 中年の彼らが生まれるよりも前の地震だということは、分かったのだが。
 さすがに年までは把握していないようであるし、記憶や記録に残るほど重要な何かがあったというわけでもなさそうだ。
 風水は答えてくれた彼らに礼を言ってから、甘えるようにてしてししてくる犬や猫を撫でてあげつつも。
 とりあえずもう少し詳しい人などいないか、時間まで祭りを楽しみつつも。
 紅に彩られた都をぐるりと巡ってみることにするのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【動物の友】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!

風戸・文香
■WIZ
去年、家族と一緒にこっちの方を旅行に行ったものですが……(遠い目)
なんとなくこの稜線の形、時逆以前の現代にも見覚えがあるような無いような。

いやいやいや。思い出に浸りすぎてはいけません!
今は紅葉を楽しみましょう
時代こそ違えど、やっぱり紅葉は綺麗ですねー。カメラ持って来れればよかったんですけど、それはダメ、ですね。

それではおはぎをいただけませんでしょうか?
えーと……やっぱり甘い方で!
それからお酒は、年齢からしてダメですのでここは諦めて、麦湯で

紅葉狩りして足湯におはぎに麦湯だなんて、この「後の事」を考え無ければ…いや、それがあるからこそ、私達はここにいるんです!

※連携アドリブ、共に歓迎


 新宿駅から発車したパラドクストレインが辿り着いた時の先。
 それは、燃える様な真っ赤な色に彩られた平安の都であったのだけれども。
 風戸・文香(エレクロトニカのタマゴ・g00142)は辿り着いた地に降り立ちながら、思わず遠い目をする。
「去年、家族と一緒にこっちの方を旅行に行ったものですが……」
 記憶にもまだ鮮明に残っている、去年の家族旅行。
 その行き先は何の因果か、京都や奈良という、まさに今いる場所であったのだ。
 一応、此処はディヴィジョンであるため、家族旅行をしたその地そのものではないのかもしれないけれど。
 じいっと暫し、紅葉のいろに染まった山々を眺めてみれば。
(「なんとなくこの稜線の形、時逆以前の現代にも見覚えがあるような無いような」)
 やっぱり何だか、すごく覚えがある気が……!?
 けれど、記憶とやたらぴったりしっくりくる風景から、敢えて目を逸らして。
 ふるふると首を横に振り、文香は気を取り直す。
「いやいやいや。思い出に浸りすぎてはいけません!」
 ……今は紅葉を楽しみましょう、って。
 そして改めて周囲の景色へと視線を向ければ。
「時代こそ違えど、やっぱり紅葉は綺麗ですねー」
 カメラを持ってきて写真に収めたいくらい、眼前の紅葉はちょうど見頃を迎えているけれど。
 でもこの時代にカメラなんてないだろうから……それはダメ、ですね、って。
 文香は己の目に、確りと美しい秋のいろを焼き付けておくことにする。
 そんな紅葉狩りのお供には。
「それではおはぎをいただけませんでしょうか? えーと……やっぱり甘い方で! それから、麦湯もください」
 地酒や普通の甘酒などのお酒は、年齢からしてまだ飲めないので勿論諦めたけれど。
 甘い餡子のおはぎと麦湯を受け取った後。
 紅葉がひらり舞い落ちる中、ちゃぽりと足を浸けてみながらも、文香はふと思う。
(「紅葉狩りして足湯におはぎに麦湯だなんて、この「後の事」を考え無ければ……」)
 けれど、祭りを存分に楽しめば、敵にも気付かれにくいだろうし。
 今のような日常を楽しむ、それが自分達の力になるのだから。
 はむりとおはぎを口に運び、広がる甘さにほわり和みつつも。
 文香は改めて、今はまだ平穏な風景を楽しむことにする。
 ……いや、それがあるからこそ、私達はここにいるんです! って。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【セルフクラフト】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!

鳴声偲・獏祓食
紅葉に夜の火祭りか、いいねえ、描きごたえがある。
酒を片手に祭りの景色を楽しんでいます。
人々の話す声に耳を傾け、
陰陽寮や妖怪の話を聞いてみたり、
加わってみたりして情報収集。

浮かれ気分でフラリと行きたいところだけれど、
なんか気をつける場所とかある?

事件が起こりそうな場所がわかれば、
そっちに言って待機かな。


 出発した新宿島の街路樹も、確かに紅く色づいていたけれど。
 時先の列車が到着し降り立った先に広がるのは、まさに絶景であった。
 日が落ちると同時に深く沈むような夜闇のいろに、舞い降り踊る鮮やかなたちは、とてもよく映える。
 そんな燃ゆるような紅のいろを肴に。
「紅葉に夜の火祭りか、いいねえ、描きごたえがある」
 振舞われた酒を片手に、ゆるりと。
 秋祭りの景色を存分に楽しんでいるのは、鳴声偲・獏祓食(鬼人のデーモンイーター・g04666)。
 そして聞こえてくる噂話に、さり気なく耳を傾けてみれば。
「先週も妖怪が出たんだって?」
「でも、陰陽師達が追い払ってくれて助かったな」
「最近何だか妖怪が出たって聞くよな、しかも人が多い場所や時間に……くわばら、くわばら」
 ちょうど、酒のアテ代わりに男達が話しているのは、京の都に出現する妖怪のこと。
 獏祓食はくるりと、へのへのもへじの面で覆った顔を彼らへと向けて。
「お兄さん達、その話ちょっと俺にも聞かせてくれない?」
 穏やかっぽい雰囲気を醸し出しながら、手にした徳利を傾けて。
 スッと自然に、話の輪の中へ。
「話って、妖怪のことかい?」
「浮かれ気分でフラリと行きたいところだけれど、なんか気をつける場所とかある?」
 妖怪に襲われたらたまったものではないから、なんてそれらしく付け加えれば。
 酒の勢いもあってか、饒舌に話し始める男達。
 妖怪達は最近は、大通りなどの人の目が多い場所によく出没すること。
 陰陽寮のことはよく知らないが、毎回駆けつけてきた陰陽師達が妖怪を追い払ってくれること。
 そのため陰陽寮を支持する人も最近はちらほら出てきていること……なんかを話してくれて。
 それらを聞きながら、絵になる見事な紅葉の景色を眺めつつも。
 ……そっちに行って待機かな。
 そっと、事件が起こりそうな場所の目星をつけてみる獏祓食であった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!

望月・百代
火祭りか…寒くなるこの時分にゃ、温まれて丁度良いのぅ

さて、と
潜入、諜報はお手の物
京を巡回しとる巫女と身分を偽って民衆の方々から陰陽寮の噂話を聞きながら、軽ゥくこのディヴィジョンならではの酒を堪能させてもらおうかね
そのための白衣と腰の紅飾りじゃし
「最近陰陽寮の方々の話を聞くが、こういった所まで来てくれるもんなんかえ?」

しかし、酒だけでなく甘酒に麦湯か…どぉれ、飲み比べでもさせてもらおうか
今後の戦闘に支障がない程度に抑えはするが、ま、こういうのも復讐者の役得といったところかね
「牛乳割りもまろやかな味で悪ぅないな。もう一杯頂けるかね?」

重要そうな情報を聞きだせれば通信で他の者とも共有を

アドリブ等◎


 行楽の秋とは言うものの、日が落ちて夜になれば。
 吹き抜ける秋風に、途端に感じる肌寒さ。
 けれど今宵の京の都を彩るのは、煌々と燃ゆる数多の炎たち。
 そんな、紅のいろに染まる都の風景の中。
「火祭りか……寒くなるこの時分にゃ、温まれて丁度良いのぅ」
 そう紡ぎながらも、ごく自然に周囲をくるりと見回してみるのは。
(「さて、と。潜入、諜報はお手の物」)
 京を巡回している巫女……と今宵は身分を偽っている、望月・百代(白湯梓・g02747)。
 そして民衆の人々から陰陽寮の噂話を聞き出し、情報になりそうな話を集めながらも。
 何気に百代が足を向けるのは、沢山の人々が訪れている店。
 子供も大人もその手には、ほかほかあたたかな飲み物が。
 百代のお目当ても、勿論。
 ……軽ゥくこのディヴィジョンならではの酒を堪能させてもらおうかね。
 祭りで振舞われる、様々な飲み物。
 いや、祭りの話を聞いた段階で、元よりそのつもりであったから。
(「そのための白衣と腰の紅飾りじゃし」)
 はじめから、準備も万端です!
 そして、妖怪から陰陽師達が都を救った、と話す人へとこう声を掛けてみる。
「最近陰陽寮の方々の話を聞くが、こういった所まで来てくれるもんなんかえ?」 
「何だか最近、妖怪の出現が頻繁でね。でも、陰陽寮の陰陽師達が来てくれて妖を祓ってくれるんだ」
 妖怪は恐ろしいけど、陰陽師達は心強い、とそう口にする一般人。
 むしろこうやって陰陽寮の評判を上げることこそが、妖怪達の狙いだ。
 そんな一般人の話を聞きながら、引き続き情報収取は怠らないものの。
「しかし、酒だけでなく甘酒に麦湯か……」
 百代が見つめる先には、どれも捨てがたい飲み物たちが。
 そしてひとつになんて決めきれないから……そういう時は、これがきっと正解。
「……どぉれ、飲み比べでもさせてもらおうか」
 ……ま、こういうのも復讐者の役得といったところかね、なんて。
 今後の戦闘に支障がない程度に抑えつつも、どれも飲んでみることに。
 そしてまずは、京の都でも流行っているという甘酒の牛乳割りを口にしてみれば。
「牛乳割りもまろやかな味で悪ぅないな。もう一杯頂けるかね?」
 早速もう一杯、おかわりを!
 それから、二杯目の甘酒牛乳割りを嬉々と堪能しながらも。
 ええ、潜入や諜報はお手の物。
 今度は牛乳で割っていない甘酒も飲んでみて、味わいや飲み心地を比べてみつつ。
 得た情報は素早く他の仲間達へと通信し飛ばして、抜かりなく確りと共有を。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!

犬神・百合
お祭り、いいですわね。こうした場所での出会いが恋を育むこともあるでしょうから、恋占い屋を営むわたくしとしては、この時代の恋神籤などにも興味がございますわ…甘酒をいただきつつお祭りを楽しみながら周囲の警戒を行いたいと思いますのよ。戦闘に関しては万が一も考え【活性治癒】で準備は怠らないようにいたしましょう、一般の方はもちろんわたくしたちが怪我を負っては元も子もありませんものね。それに治癒の力を神秘的に見せることができれば現地の皆さまへの信頼も高まるかと思いますの。
敵の姿が見えたら即座に指笛をひとつ鳴らしましょうか、皆様への集合の合図になるかと思いますので……。


 乗り込んだパラドクストレインが今回向かう先は、鬼や妖が闊歩する平安の世。
 そして停車した列車を降りれば、そこには、燃える様に彩られた夜の京の都が。
 日もすっかり落ちて夜を迎えているというのに、都を訪れる人の姿は絶えない。
 それもそのはず、だって今宵は特別な日なのだから。
「お祭り、いいですわね」
 犬神・百合(ラストダンス・g05341)がふわりと笑んで紡いだ通り。
 京の都で行われているのは、今宵限りの特別な火祭り。
 そんな賑やかな人々の声で溢れる中、降り積もった紅の絨毯を踏みしめ歩きながらも。
 百合はきょろりと、夜の如き漆黒の視線を周囲に巡らせてみる。
「こうした場所での出会いが恋を育むこともあるでしょうから、恋占い屋を営むわたくしとしては、この時代の恋神籤などにも興味がございますわ……」
 恋する心は、どの時代のどの場所だって、きっと同じであるし。
 秋の彩に染まった夜祭りなんて、恋が芽生えることに最適なシチュエーション。
 そして、この時代の恋神籤はどのようなことが書いてあるのでございましょうか……なんて、そわりと興味をそそられつつも。
 まずは、訪れた者に今宵限り振舞われているのだという甘酒を貰って。
 小さな炎のように舞い踊る紅葉たちと戯れるかのように祭りを楽しみながらも、周囲の警戒を行うことも忘れない。
 まだ眼前に広がる風景は、平和な祭りのものであるけれど。
(「一般の方はもちろんわたくしたちが怪我を負っては元も子もありませんものね」)
 これから起こる戦闘において万が一を考え、傷を癒せる準備も怠らずに心掛けつつも。
 同時に、百合は一般人にもたらすこんな効果も狙う。
(「それに治癒の力を神秘的に見せることができれば現地の皆さまへの信頼も高まるかと思いますの」)
 そして妖怪を陰陽師達よりも早く倒せば、一般人の信頼もより得られ、敵の目論見も潰えるだろうと。
 そう思いを巡らせつつ、そっと百合はいつでも即座に指笛を吹けるよう準備をしておく。
 ひとつ鳴らせばそれが、闇夜に暗躍する敵の姿が見えたことを知らせる、皆への合図になるだろうから。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV2になった!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
アドリブ、連携等お任せ

燃えるような紅葉、を見てみたくてな
賑わいから少し離れ、夜に照る、種々の赤の様相を観察しながら歩く
暗ければ燭を手に

闇に映える赤天井
こんなに鮮烈な赤に呼ばれれば、妖が出ても不思議ではなかろうな
その眩さと濃密さに、静かに息を呑む
……心惹かれるな

持参した用紙に軽くスケッチ
一枝と、風景をそれぞれ描き
絵筆で色づけていく

……紅、
美しいな

紙上に散り燃ゆる赤
景色の閃きを縫い留めるように筆を刷き
魂宿す色彩をのせる

黒衣は染めずとも、この身まで包み燃え上がるような
赤の眩惑を浴びていよう

この色彩もまた
俺の魂のいろとなるだろうから

景色を堪能したら
縁起物のおはぎと麦湯を頂きながら
願いの焔を眺めていよう


 この話を耳にした時、まず芽生えた好奇心は。
(「燃えるような紅葉、を見てみたくてな」)
 闇を染め上げるという、その彩りに対してであった。
 秋風に揺れるエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)の青空映すいろも、深い夜の漆黒にはよく映えるけれど。
 銀の煌めき秘めた蒼穹が向ける先は今、全て、燃ゆるかの如き紅に染め上げられていて。
 賑わいから少し離れるように一歩を踏み出せば、さくりと鳴る足元のそのいろもまた、同じもの。
 けれど世界を染めるそれは、数多の紅が織り成した彩りで。
 エトヴァは、そんな種々の赤の様相を観察しながらも、ゆるりと歩く。
 燭も不要なほど燃え盛る大火と道を示す沢山の松明の炎が、より一層そのいろを照らす中を。
 そしてふと天を仰げば、闇に映える赤天井。
「こんなに鮮烈な赤に呼ばれれば、妖が出ても不思議ではなかろうな」
 いや、それは何も妖だけではない。
 ……心惹かれるな。
 その眩さと濃密さに、静かに息を呑むエトヴァだって、そう。
 呟きが零れるほど、呼ばれたその彩に魅入ってしまっているのだから。
 そして広げた用紙に軽くスケッチをしてみる。一枝と、風景をそれぞれ描いて。
 さらに手にした絵筆で、色づけていけば。
「……紅、美しいな」
 何もなかった紙上の白の世界にも、散っては燃ゆる赤。
 エトヴァは景色の閃きを縫い留めるように筆を刷き、そしてのせてゆく。
 美しさに心震えるような、魂宿す色彩たちを。
 いや、紙の上だけでなく、余すことなく。
 エトヴァはそのいろを浴びていようと、そう思うのだ。
 黒衣は染めずとも……この身まで包み燃え上がるような、赤の眩惑を。
 だって、きっと違いない。
(「この色彩もまた、俺の魂のいろとなるだろうから」)
 漆黒に舞う赤はこんなにも今、自分の心を美しく燃やして彩っているのだから。
 そんな静かに秋の景色を存分に堪能すれば。
 次は、先程は背を向けた、賑やかな喧騒の方へ。
 ……縁起物のおはぎと麦湯を頂きながら、願いの焔を眺めていよう。
 それもまた、五感で秋を楽しむ一興となるだろうから。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】がLV5になった!

シル・ウィンディア
【博物館】のみんなと一緒に

お祭りかぁ
いろいろ気になることは多いけど、せっかくだから楽しもー♪

飲み物、おいしそーなの…
でも、アルコールが入っているなら、我慢…
はいっていないのなら、もらって、みんなで乾杯っ♪

おはぎももらって、はむはむしながら紅葉を鑑賞
すごくきれいだよね…
こんなきれいなものって、そんな見れるものじゃないよね

ん、お願い事?
そうだね、せっかくだしやってみようか
わたしの願いは…

みんなと一緒に、また、楽しく遊びに行きたい
クロノヴェーダが関係なく、のんびりしてみたいっ!
そんな願いを託して…

こんな、かけがえのない日常
それが、わたし達の力になるんだ
だから、守るっ!


シャムス・ライラ
【博物館】の皆と

現地の風俗に合わせた服装
うっかりいつもの癖で【モブオーラ】
馴染みすぎて甘酒の配布係に混ざっておりました

ここの甘酒、おすすめですよ
今日はアルコールはほどほどに、ですが
こっちのは入ってないので、宜しければどうぞ?
はい、かんぱーい!
「ちょっと出てきますねー」(奥へ一声かけて)

四季が明瞭な世界なのですね
葉がこのように鮮やかに色づくなど
…つい見入ってしまいます

あまり篝火に寄ると
火が爆ぜますから気をつけて
願い事、願い事ね…
ええ、たまにはこうしてのんびりした時間に癒されたいものです

成程、勇ましいですね
(同行者達を眩しそうに見て)
まぁ、まずは実行という所で
(隠し持った武器に手をやり)


イツカ・ユメ
【博物館】の皆と

現地に合わせた秋の装いで
妖怪の企みも気になるけど、今はお祭りを楽しむね♪

秋風がちょっと冷たいし、あったかい甘酒を飲みながら観光しようか
大丈夫大丈夫!酔い潰れないように、飲むのはちょっとだけだから!ほろ酔いくらいに留めておくからっ

煌めく炎もすごいけれど、負けないくらい真っ赤な紅葉も綺麗だね
上手く言えないけど、こう、暖かくて、力強く燃えていて……見ていると、元気を貰える気がするよ

折角だから祈禱木に願い事も託してみようか
わたしの願い事は……またこんな風に、皆と一緒にのんびり遊びたいな、なんて


……失くしたものは、今ここで願わなくても
いつか、きっと
自分の手で取り戻せるって、信じてるから


アオイ・ダイアログ
【博物館】の皆さんと
アドリブ歓迎

実は平安は初めてなんですよねー
こうしてると平和に見えますねぇ

あれ、シャムスさんは……あ、居た居た
いや雰囲気は凄いですが、馴染み過ぎでは?

はぇ~、これが甘酒ですか
では、かんぱーい🎵
……なるほど、甘酒って言うだけあって甘いんですねぇ
結構嫌いじゃないです🎵

んー、おはぎ美味しい
あー、新宿は緑が少なめでこう雄大って感じしないですもんね
ここのはとても綺麗です♪
しかし、赤い…あか……お姉ちゃん……

儀式用の篝火とか、なんか神聖に見えますよねぇ
願いですか。では私も
……大切なものを取り戻せますように
憂いなく笑って、泣ける日が来ますように

では、奴らには目にもの見せてあげましょう♪


 乗り込んだパラドクストレインの扉が開けば、目の前に広がる彩りは一面の紅。
 そして地へと降り立ったイツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)の装いも、辿り着いたこの地に合わせた秋の装い。
 平安鬼妖地獄変のディヴィジョンに赴いた目的は、暗躍するクロノヴェーダの目論見を阻止するため。
 妖怪達によって、正義ではない陰陽寮の陰陽師達を持ち上げる動きが確認されたということなのだが。
(「妖怪の企みも気になるけど、今はお祭りを楽しむね♪」)
 色づいた紅葉で真っ赤に染まった京の都に足を踏み入れれば、賑わいをみせている人々の姿が。
 そう、今宵は特別な、秋の夜の火祭りなのだから。
 妖怪の事も勿論忘れてなどいないけれど、まずは自分達が潜入していることを敵に気取られぬようにと。
 シル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)は紅に染まった秋空を見上げながらも、共に歩む皆に視線を向けて笑んで。
「お祭りかぁ。いろいろ気になることは多いけど、せっかくだから楽しもー♪」
「実は平安は初めてなんですよねー。こうしてると平和に見えますねぇ」
 きょろりと物珍し気に、初めて訪れるディヴィジョンの景色に視線巡らせてみるのは、アオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)。
 そんなふたりへと、魅力的な青を湛える瞳を交互に向けながら。
「秋風がちょっと冷たいし、あったかい甘酒を飲みながら観光しようか」
 紅の世界に映える緑の髪を揺らし、イツカがそう誘いの声を掛ければ。
 ふと周囲を見回したアオイはあることに気が付いて、こてりと首を傾ける。
 パラドクストレインへと確かに一緒に乗り込んだはずの、シャムス・ライラ(極夜・g04075)がいつの間にか見当たらないから。
「あれ、シャムスさんは……あ、居た居た」
 けれど、3人は程なく彼の姿を見つける。
 現地に溶け込むような秋の装いをして、うっかりいつもの癖でモブオーラを纏いながらも。
「ここの甘酒、おすすめですよ」
 ちゃっかりと何の違和感もないほど自然に、甘酒の配布係に混ざっているシャムス。
「いや雰囲気は凄いですが、馴染み過ぎでは?」
 アオイはそんな馴染みすぎている彼に、思わず瞳をぱちくりと瞬かせるも。
「今日はアルコールはほどほどに、ですが」
「大丈夫大丈夫! 酔い潰れないように、飲むのはちょっとだけだから!」
 ……ほろ酔いくらいに留めておくからっ、と。
 シャムスの声に、そう何気にイツカが返せば。
 振舞われているほかほかあったかそうな飲み物を、シルは円らな瞳でじいっと見つめて。
「飲み物、おいしそーなの……」
 でも、アルコールが入っているなら、我慢……そうちょっぴり残念そうに紡ぐけれど。
「こっちのは入ってないので、宜しければどうぞ?」
「はいっていないのもあるんだ、じゃあそれをもらおうかな♪」
「はぇ~、これが甘酒ですか」
 未成年のシルとアオイには、ノンアルコールの米麹の甘酒を。
 そして皆の手に甘酒が渡れば。
「あったかい甘酒で乾杯しよっか!」
「みんなで乾杯っ♪」
「では、かんぱーい♫」
「はい、かんぱーい!」
 杯を秋色の空へと掲げて、まずは乾杯!
「……なるほど、甘酒って言うだけあって甘いんですねぇ」
 ……結構嫌いじゃないです、なんて。
 アオイがほこほこ、シルやイツカと顔を見合せ笑んでいる合間に。
 奥へとこう、一声かけておくシャムス。
「ちょっと出てきますねー」
 どこまでもその適応力の高さ故に、完全に馴染み過ぎている彼であった。
 それからあたたかくて美味しい甘酒をお供に、紅のいろが積もる京の風景の中を歩きながら。
「煌めく炎もすごいけれど、負けないくらい真っ赤な紅葉も綺麗だね」
「四季が明瞭な世界なのですね。葉がこのように鮮やかに色づくなど……つい見入ってしまいます」
 皆で一緒に見上げてみるのは、すっかり日も落ちた秋の夜空。
 そして天を染め燃ゆる炎の彩りに、イツカがそう紡げば。
 短い銀の髪を秋風にさわりと揺らすシャムスも、炎の如く舞う紅葉たちを暫し眺める。
 見つめるそんな秋の紅は、激しくも美しくて。
「上手く言えないけど、こう、暖かくて、力強く燃えていて……見ていると、元気を貰える気がするよ」
「すごくきれいだよね……」
 燃え盛るそのいろに瞳細めたイツカの横で。
 シルも感嘆の声を零しながら、貰ったおはぎをはむはむ。
 美味しいも綺麗も一緒に堪能しつつ、皆と紅葉狩りを。
「こんなきれいなものって、そんな見れるものじゃないよね」
「あー、新宿は緑が少なめでこう雄大って感じしないですもんね。ここのはとても綺麗です♪」
 ……んー、おはぎ美味しい、と。
 シルと並んで、おはぎをもちもちと口へと運び、その優しい甘さに笑むアオイだけれど。
(「しかし、赤い……あか……お姉ちゃん……」)
 京に満ちるその彩りに、ふと呼び起こされる姿は……消えた姉のもの。
 眼前の炎は神々しくて、眺めているだけでも何かこみ上げてくるものがあるのも、不思議ではないのかもしれない。
「折角だから祈禱木に願い事も託してみようか」
「儀式用の篝火とか、なんか神聖に見えますよねぇ」
 眼前で煌々と燃ゆるのは、都が紅に染まる今の季節だけ……今宵限り焚かれる、願いの大火なのだから。
 シルも早速、願いや誓いを記す祈禱木を手にして。
「ん、お願い事? そうだね、せっかくだしやってみようか」
「あまり篝火に寄ると、火が爆ぜますから気をつけて」
 そう皆を気遣い声を掛けつつも、願い事、願い事ね……と。
 思案してみるシャムスであったが。
「わたしの願い事は……またこんな風に、皆と一緒にのんびり遊びたいな、なんて」
「ええ、たまにはこうしてのんびりした時間に癒されたいものです」
 イツカの声に、青の瞳を柔く細めて頷く。
 そして、シルも。
「わたしの願いは……」
 手にした祈禱木に、したためてみる。
 ――みんなと一緒に、また、楽しく遊びに行きたい。
 ――クロノヴェーダが関係なく、のんびりしてみたいっ!
 そんな願いを託して。
 だって皆と一緒に巡るお祭りは、こんなに楽しいのだから。
 そしてアオイも皆に続いて。
「願いですか。では私も」
 ――大切なものを取り戻せますように。
 ――憂いなく笑って、泣ける日が来ますように。
 それは、心から馳せる願いであると同時に。
 自分達が今、この世界に在る意味でもあるから。
 イツカは皆と一緒に、願い託した祈禱木を炎にくべながらも。
 天を仰ぎ、その心にも想いの炎を灯す。
(「……失くしたものは、今ここで願わなくても。いつか、きっと」)
 ……自分の手で取り戻せるって、信じてるから、と。
 自分達は、ただ願うだけではない。
 その想いは勿論、シルも同じで。
「こんな、かけがえのない日常。それが、わたし達の力になるんだ」
 記憶がなくても、こうやって今を楽しめるし。
 そしてそんな日常が、二度と奪わせない為の大きな力となるから。
「だから、守るっ!」
 そうぐっと気合を入れるシルの明るく元気一杯な声に、アオイも頷いて。
「では、奴らには目にもの見せてあげましょう♪」
「成程、勇ましいですね」
 夜空に煌々と燃える炎にも負けないくらい想い燃やす彼女達の姿を、シャムスは眩しそうに見てから。
 今度は、蠢く不穏な気配が濃くなった闇へとさり気なく目を向け、呟きを落とす。
 ……まぁ、まずは実行という所で、と。
 隠し持った武器を、そっと手にしながら。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV4になった!
【凌駕率アップ】LV1が発生!

●鬼と天狗と陰陽師
 今年も京の都に燃ゆる炎を囲む人々に宿るのは、楽し気な笑みばかりで。
 都の道を照らしていた松明が、ひとつずつ大火へとくべられてゆく。
 そう……全ての松明が炎の中へと投じられ、大火が消えた時。
 この火祭りも終わりを告げる。
 けれど、数多の炎が合わさり、最後に燃え盛る焔の様はこの祭りの一番の見どころで。
 はらりと天から舞う小さな紅葉の炎もまた、祭りの終幕に彩りを添える。
 そんな大火の周辺には、祭りの終わりを見届けようと、今宵一番の人の姿があるが。
 やはり人々にその力を知らしめるのであれば――狙うのは、この瞬間しかないだろう。
 夜の闇に蠢いていたモノたちが、その姿を現すのは。
 刹那、大火が焚かれた広場に響くのは、大きな衝撃音。
 不吉な羽音と共に現れた天狗が握る錫杖が、満を持して振り下ろされたのだから。
 そして何事かと一斉に人々の視線が向けば、次の瞬間、そこかしこから上がる悲鳴。
「!! ひいっ」
 顔を覆う布の下をちらりと垣間見た人は、途轍もない恐怖をかき立てるその容貌に腰を抜かして。
 逃げ惑い慌てふためく人々が、妖の恐怖に混乱する。
 そして誰かが、こう叫ぶ声が聞こえる。
「早く! 早く陰陽寮の陰陽師を呼ぶんだ!」
 けれど人々は知らない。それが最初から仕組まれた火種であることを。
 まもなく、呼ばれた陰陽師達もこの場へ到着するだろう。
 だが、きっと人の目の多い場所に現れるだろうと……聞いた話からそう推測していたディアボロス達の方が、陰陽師達よりも確実に先に動ける。
 とはいえ、陰陽師達と鉢合わせてしまうことも避けられないだろう。
 まずは現れた妖怪の群れ『黒虚天狗』を撃破しつつ、やってきた陰陽師を追い払って。
 力の差を見せつけるなり、信頼を失わせたりと、陰陽寮への人々の期待を失望へと変えるような振舞いをすれば。
 妖怪達の目論見を打破する際、より効果的だ。

 けれど陰陽師を退け、『黒虚天狗』を殲滅しても――まだ、終わりではないのだという。
『田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま! 全ては田村麻呂さまの為!』
 田村麻呂さまの為だと連呼しながら尾行してくる、クロノヴェーダの姿が。
 彼女は『鈴鹿御前』……自分の恋以外に興味はなく、支離滅裂な論理であろうと自らの愛のために遂行する鬼。
 そしてどういう論理か、田村麻呂さまの為にと、ディアボロスの皆の足取りを掴もうとしてくるというが。
 危険が起こりかねない状況では、パラドクストレインは皆のことを迎えにはいけない。
 新宿島へと帰るためには、そう――妖退治だけでなく鬼退治をせねばならないというわけだ。
 恋に盲目になっている彼女の尾行は分かりやすく、一通り周囲を見回せばすぐ見つかるだろうので。
 京の都の一件を解決した後、クロノヴェーダである強敵『鈴鹿御前』を撃破して、新宿島へと無事に帰還する。
 それが、復讐者が成すべきこと。
 祭りを全力で沢山楽しんだディアボロス達の力は、強敵さえも凌ぐだろうから。
ラルム・グリシーヌ
彼らの地位を築く為にこんなやり方で
甘くて美味し……神聖な夜祭を襲撃する
無粋な妖怪達にはキツいお仕置きが必要だね

静かな怒りを指先に込め竪琴で紅葩を詠う
紅葉よりも、大火の炎よりも紅く、朱く
爆ぜる暁の花を戦場に鮮やかに咲かせよう

連携重視
攻撃時の瞬間等、動きの節目を狙い
体勢を崩すように風の塊をぶつけて吹き飛ばしたり
翼を氷雪で凍らせ捕縛し、仲間が攻撃する隙を作る

敵の呪い羽根は飛翔で回避に努めつつ
雷の障壁を作り出し一般人や大火など
周囲に被害が及ばぬよう留意
仲間を狙うなら魔力を紡ぎ氷槍で牽制

都に生きる人達の安寧を揺るがす妖怪を
陰陽師が見逃すのなら…俺達が此処で斃さないとね
今宵の戦いでは誰一人、帰れはしないよ


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎

……せっかくの祭の夜なのだから
人々を怯えさせずに、解決しよう

安心するといい
皆の願いを守るため
ほんとうの神様が、俺たちを遣わしてくださった
不浄を祓おう

人々の安全を重視
天狗達を阻むよう立ち回り、流れ弾に注意
状況をよく観察、動きを把握し狙いを看破
臨機応変に対処

今宵は、溢れるほど色彩が満ちているのでな
左手に絵筆取り
闇色の空間を、紅葉と焔の赤で彩っていく
そのいろで、祭の熱に浮く人々を魅了しよう
黒虚天狗がかかれば色彩の破片が断罪するだろう
不意打ちに注意、魔力障壁で受ける

……陰陽寮は動きが遅いな?
皆が困っているというのに
まるで時宜を見計らっているみたいだ

怪我人には活性治癒
破壊には修復加速を


アッシュ・シレスティアル
陰陽師どもは仲間に任せて俺はクロノヴェーダの方を処理させてもらうぜ。

戦闘
「まずは一発、受け取れ!」
ブーステッドフィストを装備、【飛翔】を用いて高速で近づき、相手の上空から地面に叩きつけるように【ブーストスマッシュ】を打ち込む。
以降戦闘はほぼ零距離でインファイトを維持し、一体一体確実に処理する

「不意打ちするってばれてる時点で意味がないんだよなぁ!」
虚空撃に関しては【地形の利用】などで少しでも死角を狭めブーステッドフィストで受け止めたり流したりし、隙の大きい技が来たらパラドクスをぶつける錫杖の破壊を試みる。

※アドリブ、絡み歓迎


 祭りも大詰めを迎え、パチパチと折り重なった紅たちが火の粉を散らし燃え盛る中。
 その荘厳でさえもある空気を突如破ったのは、あちらこちらから上がった衝撃音と人々の悲鳴。
 闇に蠢いていた妖たちが、満を持して姿を現した瞬間であった。
 けれどそれは、事前に聞いていた通り。その目論見もお見通しだ。
「陰陽寮の地位を築く為にこんなやり方で、甘くて美味し……神聖な夜祭を襲撃する」
 その細見とは裏腹に、一体いくつおはぎを味わったか。
 餡子も黄粉もどちらも存分に余すことなくもちもちと楽しんだラルム・グリシーヌ(ラメント・g01224)は、そんな甘くて美味しい……いや、勿論人々が願いを馳せた大火を前に、騒ぎを起こし始めた輩へと目を向けて。
 炎に微か彩られた白藤の髪をふわり揺らし駆け出しながらも、こう続ける。
「無粋な妖怪達にはキツいお仕置きが必要だね」
 そんなラルムと同様、いち早く行動に移ったのは、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)。
(「……せっかくの祭の夜なのだから、人々を怯えさせずに、解決しよう」)
 慌てふためく人々を安心させるように、エトヴァは彼らに声を掛ける。
「安心するといい。皆の願いを守るため、ほんとうの神様が、俺たちを遣わしてくださった」
 闇の様な黒衣を翻し、そう紡ぐ彼が湛えるのは、紅の世界によく映える青空のいろたち。
 青空を思わせる髪と翼、見つめる蒼穹は柔い月光の如き銀を秘めていて。
 縋る様に自分の言葉に救いを求める者達に、エトヴァはこくりと頷いて見せる。
 ……不浄を祓おう、と。
 この後、連絡を受けた陰陽師たちがのこのことやって来るであろう。
 けれどそんな彼らは仲間に任せて。
「まずは一発、受け取れ!」
 ――ブースト、スマッシュ!!
 クロノヴェーダの処理を担うべく、天狗よりも高い上空からアッシュ・シレスティアル(蒼破拳・g01219)が挨拶代わりにぶちかますのは、すれ違いざまに叩き込まれた、相手を破壊することに特化した拳の一撃。
 ライトブルーに発光する翼で高速で近づき、装着したブーステッドフィストで地面に叩きつけるように打ち込まれた拳撃は、都の人々に与えるインパクトも大。
『……ぐ、ぎゃぁっ』
 その衝撃に堪らず声を上げ、無様に墜落するも。
 暗闇と舞い上がる紅葉に紛れながら、錫杖による反撃を繰り出してくる黒虚天狗。
 だがそれも、事前の情報からお見通し。
 少しでも死角を狭めるべく地形を利用しつつ素早く構えを取り、ブーステッドフィストで衝撃を受け流して、モロに貰わないよう対応を図るアッシュ。
 エトヴァは自分の声に耳を傾けた人々を、パニックにならぬよう安全な方向へ導いてあげながらも。
 流れ弾に注意しつつも、紅が舞う戦場で、天狗達の前へと立ちはだかる様に躍り出て。
 確りと敵の動きや状況を冷静に観察し把握に努め、狙いを看破するべく対処にあたる。
 まだ到着していない陰陽師たちよりも信頼できる存在だと、さり気なく誇示することも勿論忘れずに。
 刹那、紅の世界をより一層彩るのは、さらに鮮烈なあかのいろ。
 それはラルムが爪弾いた、熱の花を導く古謡の開花。
 美味しいものを提供してくれ、神聖なる炎が灯るこの火祭りを冒涜したモノたちへの、静かな怒りを込めた紅葩が詠われれば。
 白藤咲き零れる竪琴が、幾重にも織り成す耀きを響かせ舞わせる。
 聲に蕾綻ばせた暁色の焔を、紅く、朱く。紅葉よりも、大火の炎よりも鮮やかに、爆ぜ咲かせながら。
 そんな猛火の花弁たちに翼を焼かれまいと漆黒の翼を羽ばたかせ、禍々しき呪いを帯びた羽根を飛ばしてくる天狗だけれど。
 ラルムは、これまで積み上げられたディアボロスのみが得られる力で天へと飛翔し、回避に努めつつも。
 都の人々や大火など周囲に被害が及ばぬよう、雷の障壁を作り出して。
 仲間を狙う敵の動きを春めく彩の眸で捉えれば、すかさず編み出した魔力で成した氷槍で牽制を。
 そんなラルムが鮮烈に咲かせた数多のあかと連携し、揮われるのは。
「今宵は、溢れるほど色彩が満ちているのでな」
 エトヴァが左手に握る、黒水晶のいろに干渉し、魂と共鳴した色彩を色づける絵筆。
 当然今宵のそのいろは、闇色の空間を燃やすような紅葉と焔の赤。
 そんな色たちは祭りの熱に浮く人々を魅了し、同時に彼らを守って。
 黒虚天狗が煌めく炎の迷宮に誘われれば牙を剥く、砕け散った色彩の破片たち。
 色彩の光踊る揺蕩いに彩られぬようにと、天狗どもも深い呪いの黒羽根を上空から不意打ちを狙い放ってくるも。
 さらりと紅の戦場に絵筆を走らせ、描き出した魔力障壁で受けんと試みるエトヴァ。
 けれど生み出される色は、何も紅だけではない。
 鴉の黒矢を放ってくる天狗たちへの反撃の機を窺いつつ、仲間の動きに合わせ、動きの節目を狙って。
 ラルムが生み出すのは、天狗どもを吹き飛ばす風の塊やその翼を凍つかせる氷雪。
 そして一瞬の隙が敵に生まれれば、不完全な体勢から放たれた錫杖の一撃を上空へと飛んで躱すと同時に。
 アッシュは大きく夜空を蹴るように、一気に敵の懐へと急降下し潜り込んで。
「不意打ちするってばれてる時点で意味がないんだよなぁ!」
『! うぐぅっ!』
 大振りされた錫杖目掛け、決して穢れぬことなき破壊の魔力纏う拳の一撃を、再びお見舞いする。
 そして一体一体、確実に。インファイトを維持し、アッシュは零距離から勢いを乗せた拳を容赦なく捩じ込んでいく。悪しき妖を破壊するべく。
 そんなディアボロス達の戦いぶりを、安全な場所へ避難しつつ見つめる都の人々。
 エトヴァは闇に色彩を振り撒きながらも、大きく首を傾けてみせて。
「……陰陽寮は動きが遅いな? 皆が困っているというのに。まるで時宜を見計らっているみたいだ」
「都に生きる人達の安寧を揺るがす妖怪を、陰陽師が見逃すのなら……俺達が此処で斃さないとね」
 ……今宵の戦いでは誰一人、帰れはしないよ、って。
 こくりと頷いたラルムが響かせ咲かせた熱の花が、不穏な黒きモノたちを捉えては焦がしていく。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV7になった!
【光学迷彩】がLV2になった!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【アヴォイド】がLV6になった!
【ダメージアップ】がLV6になった!

望月・百代
マッチポンプと判っていれば時機も読める
…来るなら、今か

祭の終わり時を襲撃の頃合いと読み陰陽師たちの対応に出る

「やぁどうも。音に聞こえた陰陽寮の
わざと胡散臭い笑みを浮かべて出迎え
「こんな夜分にわざわざのご足労。骨が折れますなぁ。
「それにしても随分と早いお付きで。まるでこの襲撃が判っていたような速さだ!
「助けを呼ぶ者はつい先ほど出たばかりじゃが…何、伝令はもっと早くに?妙な話じゃの
慇懃無礼な言葉を大声で投げつけ、民衆・陰陽師双方に襲撃の奇妙さを自覚させたい

攻撃されれば何故無辜の民へ攻撃を!?と煽りつつ【セルフクラフト】と【迷宮化】の組み合わせで陰陽師を足止め
妖怪討伐まで時間を稼ぐ

アドリブ連携◎


篝・ニイナ
まあ陰陽師サマがぞろぞろと
お役目ご苦労って感じだな

妖怪の仲間だって?
そうだと思うんなら相手してくれよ
お強い陰陽師サマなら
酔っぱらいがひとりやふたり増えたって、楽勝だよなあ
何か詠唱されても小難しい早口言葉にしか聞こえず
紙切れ投げられてもぺちっと軽い音が鳴るだけ
本当に倒しに来たのか?
俺達ディアボロスは妖怪みてーに、アンタらの都合よく逃げたりしねーよ

そら、命を賭けてみろ!

必要があるなら【鬼神変】で脅して追い払う
危害は加えない
こんぐらいでビビって尻尾巻いて逃げるようなやつらが妖怪を倒せるわけねーだろ
帰って不味い酒でも煽ってな

ぺらぺら喋ってたら酔いが回ってきちまった
あとは仲間に任せるよ

※連携アドリブ歓迎


犬神・百合
嘘も混ざり合っているとはいえ平穏な日々、
都の平和を思ってのことでしょう。
今の状況をよーくご覧にくださいな

反撃は最小限に、一番は手を出さないこと。
お話に耳を傾けることなく攻撃してくる方には、手加減して。
サキュバスミストを優しくひと吹き【ロストエナジー】を展開しておきましょう。

ごめんあそばせ?
ここで皆さまと痴話喧嘩している暇ではございませんの。

【現の夢】で少しお休みになって?

怪我を負ってしまわれた方には応急処置を。
突然現れたわたくしたちをすぐに信用するなど難しいかと思いますわ、
けれど救いたいという想いは同じですのよ。
どうか、わたくしたちにお力を貸していただけませんか?
『都の人々の希望の為』にも……


 闇を蠢く妖たちが、これまで息を潜めるように暗躍していた理由。
 それは彼らが企てている目論見を思えば、火を見るよりも明らかである。
 都の人々へと、陰陽寮の陰陽師に対しての信頼を植え付けること。
 故に妖たちが動き出すとすれば恐らく、それを一番効果的に行える刻と場所……つまり。
「……来るなら、今か」
 パチパチと爆ぜる火の粉の音に紛れ落とされたのは、望月・百代(白湯梓・g02747)の呟き。
 人の目がより多くあり、人々に強い印象を与える舞台であるほど、成果が得られるから。
 今宵、最も人が集まると予想される刻と場所――祭りの終わり時、まさに今が襲撃の頃合いであると。
 そう読み、いつでも対応できるよう百代が控えていれば。
 案の定、示し合わせたように暴れ出した天狗達に、阿鼻叫喚になる広場。
 それから、誰が呼んだのか……颯爽と現れたのは、陰陽寮の陰陽師達。
「安心なされよ、我ら陰陽寮の陰陽師が悪しきモノを祓いに馳せ参じた!」
 そう偉そうに告げる8人ほどの陰陽師と、お供らしき一般人20人程度の集団であった。
 けれど、すでにディアボロスによって半数ほどの黒虚天狗が倒されていたり。
 復讐者達へ攻撃を仕掛ける妖怪どもの姿を見て、ちょっぴり動じている陰陽師達。
「やぁどうも。音に聞こえた陰陽寮の」
 そんな彼らを、百代は出迎える。
「こんな夜分にわざわざのご足労。骨が折れますなぁ」
 わざとらしく胡散臭い笑みを浮かべて。
「まあ陰陽師サマがぞろぞろと。お役目ご苦労って感じだな」
 仄かに顔が赤いのは、燃える大火に照っているからか、それとも酒の所為か。
 篝・ニイナ(篝火・g01085)も、やってきた陰陽師達の前へと立ちはだかれば。
「い、一般人は危険だから下がっていなさい」
「我ら陰陽寮の陰陽師が来たからには……きっと妖どもも、すぐに逃げていくだろう」
 明らかに一般人ではない雰囲気のふたりにたじたじしながらも、まだ虚勢を張る陰陽師達。
 そんな彼らへと、百代は大きく首を傾けてみせて。
「それにしても随分と早いお付きで。まるでこの襲撃が判っていたような速さだ!」
「え? 何を言う、妖が出たと伝令があったから馳せ参じたんだ」
「助けを呼ぶ者はつい先ほど出たばかりじゃが……」
 ――何、伝令はもっと早くに? 妙な話じゃの、と。
 敢えて慇懃無礼な言葉を選び、大声で投げつける百代。
 都の人々と陰陽師双方に自覚させたいと、そう思ったから。この襲撃の奇妙さを。
 きっと最初に報せたのは、妖の手の者だろう。
 陰陽師達がのろのろ駆けつけて、人々が粗方逃げてしまった後では意味がないから。
「そう言われれば……」
 そんな彼女の声に、ぽつりと疑惑の呟きを落とす都の人々。
 まだ陰陽師達への信頼が揺らぐほどではないとはいえ、疑心を植え付けるだけで十分。
 そして、さらに動揺する陰陽師達へと言葉を向けるのは、犬神・百合(ラストダンス・g05341)。
「嘘も混ざり合っているとはいえ平穏な日々、都の平和を思ってのことでしょう」
 彼らも一応、都を守る為に、赴いているのだろうことは分かるけれど。
 百合は、仲間達へと攻撃を向ける天狗達を見遣って。
 諭すように、陰陽師達へと紡ぐ――今の状況をよーくご覧にくださいな、と。
 そんな少女の見目をした百合の、年不相応な淑女のような佇まいと言の葉に。
 陰陽師達は瞳をぱちり、一瞬面食らうけれど。
 都の人達が見ている手前、面目を保つためか、こんな言いがかりをつけ始める。
「……お、お前ら、到底人とは思えぬ!」
「さては、妖怪か!」
 そんな完全なるいちゃもんに、ハッとニイナは鼻で笑って。
「妖怪の仲間だって? そうだと思うんなら相手してくれよ」
 ……酔っぱらいがひとりやふたり増えたって、楽勝だよなあ、って。
 そんな彼へ向けて、何かをごにょごにょ唱えた後。
 えいやぁっと投じられるのは、式神っぽい紙。
 けれど、それを手で払う事すらせずに。
 ――ぺちっ。
「!? な、何っ」
 ニイナの身体にただ軽く当たっただけで、へにょりと紅に染まった地面に落ちる紙切れ。
 再び何か詠唱されても、ただの小難しい早口言葉にしか聞こえない。
 そんなニイナへと、紙切れが投じられれば。
「何故無辜の民へ攻撃を!?」
 そう大きな声で、すかさず煽ってから。百代は声を上げつつも成す。
「む、無辜の民ではないだろう、妖怪め……、っ!?」
 オーギュメント演算子を確定させ、多重展開し防御拠点化させた球状障壁を。
 ディアボロスだけに適応されるセルフクラフトや迷宮化の力も利用し、陰陽師を足止めしつつも。
 妖怪討伐まで大人しくしてもらうべく時間を稼げば。
「よ、妖怪は速やかに退散せよ!」
 自分達の声に耳を傾けず、また何かを詠唱しだした陰陽師へと、百合はふうっとひと吹きする。
「ごめんあそばせ? ここで皆さまと痴話喧嘩している暇ではございませんの」
 ――現の夢で少しお休みになって?
 そっと優しく手加減した、魅了の魔力を宿す桃色の風を。
 そんなあっさり障壁に足止めされたり、現の夢に溺れる姿を見て。
「本当に妖怪を倒しに来たのか?」
 情けないその様子に、思わずニイナは溜息と共に首を傾ける。
 正義の陰陽師達とは違い、妖怪達が演技しているとも知らないこの陰陽師達は驕って、色々と怠ってきたのだろう。
 けれど相変わらず、妖怪め! と紙を投げては喚き散らしているから。
 ニイナは、ぐっと拳を握り締めて。
「俺達ディアボロスは妖怪みてーに、アンタらの都合よく逃げたりしねーよ」
 ――そら、命を賭けてみろ!
 危害は決して加えぬよう、己の腕を一時的に異形巨大化させてみせれば。
「ひィッ!?」
「あっ、置いて行かないで下さいよ!?」
 情けない声を上げて、お供や民を置いて逃げていく陰陽師達。
 そして慌てすぎた故に、自分ですてんと転んだ陰陽師の元へと百合はスッと駆け寄って。
 手を差し伸べ、起こしてあげながらも紡ぐ。
「突然現れたわたくしたちをすぐに信用するなど難しいかと思いますわ、けれど救いたいという想いは同じですのよ。どうか、わたくしたちにお力を貸していただけませんか?」
 ――『都の人々の希望の為』にも……、と。
 そんな彼女の言葉に一瞬、耳を傾けはしたものの。
 立ち上がれば、ひっ、と短い悲鳴を上げて退散していく陰陽師。
 百合の言う様に、都の人達もすぐにディアボロスたちを信頼したわけではないかもしれないが。
「あれ、陰陽師達は……え、俺達を置いて逃げた!?」
「余所から来た人たちは、妖怪と戦ってくれているのに……」
 命の危機にさらされている今、誰を頼ればいいかくらいは人々にも分かっていて。
 多大な期待をよせていた陰陽師達への失望は、大きいようだ。
 そして、あっさりと陰陽師達を追い払って。
「こんぐらいでビビって尻尾巻いて逃げるようなやつらが妖怪を倒せるわけねーだろ」
 ……帰って不味い酒でも煽ってな。
 陰陽師達の背に、そう投げてから。
「ぺらぺら喋ってたら酔いが回ってきちまった」
 ニイナはくらりと回る紅の世界を見遣り、あとは仲間に任せることに。
 好むが実は弱い酒の方が、陰陽師達よりも余程、彼にとっては手強いから。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【迷宮化】LV1が発生!
【怪力無双】がLV3になった!
【現の夢】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV5になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!

火撫・穂垂
始めよう。
裏でこそこそ動いてるのも、いるみたいだけど。
人々の営みを、好きにできると思ったら大間違いだよ。
こうやって、隙間から風が入って、在り方は簡単に形を変える。
火を御せぬを知れ。それは、何も文字通りの火に限った話じゃない。

よく動くね。目で追うのは難しいかも。
でも、地形を使った動き、ならボクも、地形を見ればいい。
起伏、物陰、障害物。風の流れを読むのと同じ。
道は絞れる。なら、その中でボクを襲いやすいやつ。そこからくる。
わかれば後は対応できる。

……ほら、捕まえた。
キミの火は、確かに強い。けど、それはまわりを焼きかねない、危険な火。
だから、ここで消す。
自らの火で、燃え尽きろ。


マコットラビュール・ミディアーク
いすみん先輩(g00995)と一緒!
詩的な表現上手いね、先輩。小説書けそう。

ちょっ、乙女になんてこと言うの先輩!
そんなにがっついてないし!こーゆーのは食べた分だけ動かなきゃいけないんだし!

てなわけでうちも無駄な火や血を洗い流しちゃうよ!
指定パラドクスで直接流水を発生、もしくは地下の水脈を刺激して空へ向かって噴き出る水柱を複数生成!
敵も呪いの羽根も全部水の勢いで叩き落すよ!
ただ火祭りだから【計略】や【地形の利用】でお祭りの火を消さない位置に水柱を出すよう確認しつつ、
自分や味方や一般の人たちを守るように流水を壁のように発生させたりするね。

天狗も仕事しない陰陽師も、顔洗って出直して来いし!


一角・實生
ミディさん(g00809)と

天を目指す浄火はもう此処にある、地を這う不穏な火種は要らないだろう

ミディさん、沢山食べてたけど動ける?
黒虚天狗から彼女を庇うように立ち一応確認

天狗の黒翼と正反対の自らの翼を一般人に印象付けるように[空中戦]を主体とした戦闘をするよ
≪パニッシャー≫を使う時は敵が自分より上方にいる時だけ
自分達を守る為戦っている、一般人にそう思わせたいので彼らに向かいそうな敵の攻撃は率先して防ぎに行く

ミディさんの水柱には驚くけどきちんと制御されているようだ
澄んだ水の向こう側に見える炎の赫は美しいな

黒い羽根にはパラドクスを発動
[呪詛]塗れの白い羽根で相殺してみよう
この場所だと紅色の羽根かも


 人は時に火を畏れ、火を敬い、火もまた人に恵みと災害を齎す。
 燃え盛る大火を囲む沢山の人々にとっても、炎は畏怖の気持ちすら抱く崇高なものであると同時に。
 様々な側面で身近なものでもあるからこそ心惹かれ、癒されるのだろう。
 火撫・穂垂(奉火・g00006)にとっては、『火』はいつだって己のすぐ傍にある特別なもの。
 だから、表情や言葉にこそ大きくは現れないけれど。
 ――始めよう。
 大火を祀る夜を無下にするような輩は、当然放ってなどおけない。
 事前に聞いていた通り暴れ始めた天狗どもの元へと駆けながらも、穂垂は大火が照らし出す闇のモノたちを見据える。
「人々の営みを、好きにできると思ったら大間違いだよ」
 火種を撒きさえすれば、思いのままに事が運ぶだろうと高を括っていたのだろうが。
(「こうやって、隙間から風が入って、在り方は簡単に形を変える」)
 今宵の穂垂は、天狗達が予期せぬような、炎を煽る風となる。
 ――火を御せぬを知れ。
 そう、言の葉を敵へと投げるように紡ぎながらも。
 ふるりと微かに首を横に振り、覆った顔は途轍もない恐怖をかき立てる容貌だという敵にも怯むことなく。
 真っ直ぐに天狗どもから目を逸らさずに、こうも思うのだった。
(「それは、何も文字通りの火に限った話じゃない」)
 眼前で燃え盛るのは、人々の願いが託された神聖なる焔。
 緑金の瞳にもその鮮烈な炎のいろを重ねながら、一角・實生(あざよいの鷲・g00995)は黒虚天狗の群れへと紡ぐ。
「天を目指す浄火はもう此処にある、地を這う不穏な火種は要らないだろう」
「詩的な表現上手いね、先輩。小説書けそう」
 そしてちらりと、そう言ったマコットラビュール・ミディアーク(歩き始めた愚者・g00809)へ視線を移してから。
 荒ぶる天狗どもから彼女を庇うような位置取りをしつつも、實生は一応こう確認しておく。
「ミディさん、沢山食べてたけど動ける?」
 自分のおはぎだけでなく、三色団子に自分の黄粉おはぎ。さらには結局、好きだと言っていたずんだ餡のものまで。
 はむはむと甘いものを口に運んでいた姿を思い返し、多分きっとよかれと思って。
 むしろ真面目に心配する気持ちから念の為、訊ねたのだろうけれど。
 つい数秒前まで詩的な言葉を綴っていた同じ口から聞こえた、そんな實生の言葉に。
 大きく瞳を見開き、マコットラビュールは抗議の色を滲ませた声で返す。
「ちょっ、乙女になんてこと言うの先輩!」
 それから何気に、自分のおなかへとちらっと視線を向けた後。
 ぶんぶんと首を大きく横に振って続ける。
「そんなにがっついてないし! こーゆーのは食べた分だけ動かなきゃいけないんだし!」
 そして、必死にそう口にするマコットラビュールの、ある意味やる気に満ちた様子を確りと確認した後。
 實生は、ばさりと紅の舞い降る夜空に大きな白き翼を広げ、戦場を天へと移す。
 不吉な羽音を鳴らす天狗の黒翼とは正反対の自らの大翼を、都の人々に印象付けるように。
 そして己よりも上空にいる敵にのみ、構えたパニッシャーで狙いを定めれば。
『ギャアッ!』
 引き金を引いた刹那、禍々しき鴉を撃ち抜いて地へと落とし、這わせながら。
 小さき炎の如き紅と共に天を翔け、率先して相手取るのは、都の人々の元へと向かいそうな敵。
 自分達を守る為戦っている、一般人にそう思わせたいから。
 そして、いっぱい食べた分、動かなければいけないというマコットラビュールも気合を入れて。
「皆の安心安全は、知的で聡明! 時に冷酷! 賢いうちが保証すんよ!」 
 ……てなわけでうちも無駄な火や血を洗い流しちゃうよ!
 本人曰くクールビューティにしゃきんと手にしたのは、彼女が自作したタロットカードの「女教皇」。
 魔力を注げば、「知性」「冷徹」の意味合いを持つ女教皇が敵に与えるのは、容赦なき罰。
 刹那、刺激された地下水脈が勢いよく吹き出し、紅の夜空へとそそり立つのは複数の水柱。
「……!」
 そんなマコットラビュールの成した水柱に、一瞬驚く實生だけれど。
「敵も呪いの羽根も全部水の勢いで叩き落すよ!」
 とはいえ、火祭りだから、と。
 計略の技能や地形の利用の残留効果を巧く駆使し、大火を消さない位置に水柱を出すよう確認しつつも。自分や味方や都の人々を守るように、流水で成した壁を発生させて。
「天狗も仕事しない陰陽師も、顔洗って出直して来いし!」
 まさに強制的に顔を洗わせるかのように、敵に水の洗礼を浴びせつつも、びしっと言い放つマコットラビュール。
 そんな姿や、きちんと彼女の手によって制御されている水柱を見遣ってから。
 實生は天狗どもの黒き呪いの羽根を相殺するべく、呪詛塗れの白い羽根を生み出し射出する。
(「この場所だと紅色の羽根かも」)
 刃を備えた無数の光る羽根で、様々な彩りの紅を纏い散らしながらも。
 ふと金のいろを帯びる緑に映るその彩に目を向けて、實生は瞳を細める。
 ――澄んだ水の向こう側に見える炎の赫は美しいな、って。
 そんな、空と地下から見舞われるふたりの衝撃で、天から落ちていく鴉たち。
 そして地上を駆ける穂垂は、闇に潜むその気配を肌で感じながらも。
「よく動くね。目で追うのは難しいかも」
 地形を利用し死角から攻めの機を窺う敵の姿を、視覚で完全に捉えようとすることは止めにして。
(「でも、地形を使った動き、ならボクも、地形を見ればいい」)
 目を向けるのは、起伏、物陰、障害物――紅に染まる地形がみせるかたち。
 それは、風の流れを読むのと同じで。要領を得れば、自ずと道は絞れるから。
(「なら、その中でボクを襲いやすいやつ。そこからくる」)
 ……わかれば後は対応できる。
 自分へと襲い掛かる敵の動きを読み、しゃん、と闇の奥で微か鳴った錫杖の音を聞いた刹那。
「……ほら、捕まえた」
『!』
 穂垂は身を翻し、迫る敵の姿を確りと捉えて。
「キミの火は、確かに強い。けど、それはまわりを焼きかねない、危険な火。だから、ここで消す」
 ――滅却せよ。
 魂を種火に、火撫の呪術をもって。
「自らの火で、燃え尽きろ」
『ぐ……!? ギャアァッ!!』
 穂垂の手により激しく燃え上がった悪しき火は自らを焼き尽くし、そして一瞬にして灰となり消えてゆく。
 薪が尽きるまで燃やせば火は消えるものだということを、穂垂はよく知っているから。
 同時に全ての黒虚天狗が駆逐され、天を燃やすような大火の元、妖の企みは潰えて。
 復讐者達へと感謝の言葉を述べる都の人々の営みの火は、守られたのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【飛翔】がLV8になった!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV5になった!

鳴声偲・獏祓食
せめて帰り道の確保ぐらいするか。
んで、流石に怖いわ、いろんな意味で。
一念岩をも通すていうけれどさ、
通すものを考えろての。

【飛翔】も利用して移動し、相手との間合いを取る。
向こうの攻撃をできるだけ回避しつつ、
こちらも鬼神変で腕を変化させて殴りつけたり、
相殺するように攻撃していく。


望月・百代
逢海曰く、最後は追跡者を迎撃だったか
それはそれで遣り様がある
むしろ来ると判っているものほど迎えやすいものはなかろ
では、殺し間を整えるとしよう

【セルフクラフト】で判りやすい道標を作ってやり御前に態と追跡の手掛かりを与える
それを追えば目標に追いつける…見え見えの餌でも、恋に盲目であれば深く考えることもあるまい
クラフトに【迷宮化】を組み合わせ追跡速度は鈍化させ、その間に「環境改竄」で場を整えよう
ついでに【光学迷彩】や移動系効果の活用で不意打ちも用意

来ることも、方角も分かっておる追跡者
恋にかまけて現実を見んのなら、精々罠に嵌ってもらおうか!

場を整えればあとは潜伏
狙うは拳銃での暗殺

アドリブ連携◎


アッシュ・シレスティアル
前に田村麻呂の方とは戦ったことはあるが、鈴鹿御前…噂には聞いていたがこれはすごい狂い方だな。

戦闘
あえて目立つように飛びながら探し、見つけたら【パラドクス通信】で伝え誘導もしくは接敵する。
「そらよ、田村麻呂を破壊した拳だぜ!」
ブーステッドフィストを装備、【飛翔】を用いて高速で近づき、相手の上空から地面に叩きつけるように【ブーストスマッシュ】を打ち込む。

「目の前の相手さえまともに見てないような奴には負けられないんだよ!」
以降戦闘はほぼ零距離でインファイトを維持。大通連は回避するか籠手で弾く、またはパラドクスをぶつけて相殺を試みる。

※アドリブ、絡み歓迎


 京の都を照らしていた大火が燻り消えれば、火祭りも無事に終わりを迎える。
 一時は、妖怪の襲撃で騒然となった祭りであったが。
 ディアボロス達の手に寄って妖怪達の目論見も阻まれ、逃げ帰った陰陽寮の陰陽師達の権威も失墜するだろう。
 これで事件も解決……と言いたいところであるが。
 小さい炎の如き紅葉がはらりと舞う中、新宿島へと帰るパラドクストレインの姿はない。
 けれど帰還する列車が見当たらなくとも復讐者達に慌てる様子がないのは、分かっているから。
 帰路に着くまでに、あともうひと仕事あるという事を。
 祭りの終わった京の都を出て、何食わぬ顔で歩きながらも。
(「逢海曰く、最後は追跡者を迎撃だったか」)
 望月・百代(月輪七曜・g02747)は、時先案内人から聞いた話を思い返す。
 妖怪を撃破した後、自分達を追う者の存在があって。その追跡者を倒さなければ、帰る事は叶わないと。
 だが百代は、特徴的な意匠がいくつも施された白衣の小袖を紅舞う夜に微か揺らしながらも、橙の瞳をそっと細める。
 ……それはそれで遣り様がある、と。
(「せめて帰り道の確保ぐらいするか」)
 百代だけでなく、鳴声偲・獏祓食(鬼人のデーモンイーター・g04666)も勿論、追跡者の存在は把握済ではあるのだけれど。
『……田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻』
「んで、流石に怖いわ、いろんな意味で」
 思わず肩を竦め、小声でそう零さずにはいられない。
 尾行している割には隠れる気があるのかないのか、闇の中から聞こえる異常な声。
 追跡者である、恋ひ侘ぶ媿『鈴鹿御前』は自分の恋以外に興味はなく、支離滅裂な論理であろうと自らの愛のために遂行するという鬼なのだというのだ。
 今回は、ディアボロス達がどこからやって来るのかをつきとめれば、想い焦がす殿方が喜んでくれるだろうと。
 そう思い込んで、愛の為に行動しているらしいのだけれど。
『呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村』
(「一念岩をも通すていうけれどさ、通すものを考えろての」)
 やはり……色々な意味で、とても怖い。
(「前に田村麻呂の方とは戦ったことはあるが、鈴鹿御前……噂には聞いていたがこれはすごい狂い方だな」)
 以前、鈴鹿御前の想い人の田村麻呂さまこと、軍神とも呼ばれる武人の名を自称する鬼と相対したことがあるアッシュ・シレスティアル(蒼破拳・g01219)であるが。恋もここまでくると、狂気以外のなにものでもない。
 それからアッシュは、燃える紅の夜によく映える、ライトブルーに発光するエネルギー状の翼を大きく羽ばたかせて。
 あえて目立つように飛びながら、想い人の名をひたすら連呼している敵の正確な位置を探れば。
 見事に色づいた木と木の間にできた深い闇の中、潜んでいる姿を発見して。
 ――敵は9時の方向、木と木の間にいるぞ。
 パラドクス通信で仲間達と情報を共有すれば、敵を誘導するかのようにアッシュはもう一度、翼を大きくばさりと鳴らして。
(「むしろ来ると判っているものほど迎えやすいものはなかろ」)
 ……では、殺し間を整えるとしよう。
 百代は彼女に、セルフクラフトを用いて判りやすい道標を作ってやることにする。
 わざと、追跡の手掛かりを与えるために。
(「それを追えば目標に追いつける……見え見えの餌でも、恋に盲目であれば深く考えることもあるまい」)
 そう、罠という餌を撒きながら、百代が闇の中に蠢く気配をさり気なく探ってみれば。
『麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さ』
 聞こえる声の感じから、思惑通りまんまとついてきているようだ。
 そして百代はさらに、作りだした道標に迷宮化を組み合わせ、追跡速度の鈍化を試みつつも。
 光学迷彩などの効果も加え、これまで皆で積み上げてきた復讐者だけが活用できる残留効果を存分に駆使して。
 相手から知覚するこちらの姿を朧にし、不意打ちの用意も抜かりなく行なえば。
「来ることも、方角も分かっておる追跡者。恋にかまけて現実を見んのなら、精々罠に嵌ってもらおうか!」
 百代は刹那、置き換える。
 ――テクスチャ座標設定、改竄開始。
 周辺一帯をマッピング・モデル化し、再レンダリングした有利な戦場となる地形を。
 そして瞬間引かれるのは、高感度のナイトサイトを搭載した拳銃の引き金。
 場を整えれば、あとは潜伏して。
『田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻……!?』
 狙うは、敵の暗殺。
 そんな闇の中、正確に位置を捉えた百代の銃撃に、鈴鹿御前は思わず想い人の名を連呼する声を一瞬止めて。
 田村麻呂さまへの愛を邪魔する輩は許さない、そういわんばかりに。
 まるで怨念のような、全身の膂力を籠めた強烈な一撃を闇雲に繰り出して反撃してくるも。
「そらよ、田村麻呂を破壊した拳だぜ!」
『田村麻呂さま!? っ!』
 口にした『田村麻呂』の単語に大きく反応した鈴鹿御前にアッシュが打ち込むのは、装備したブーステッドフィストから放った叩きつけるような拳の衝撃。
 飛翔し高速で近づき、上空から強烈なブーストスマッシュをぶち込んで。相手を内側からも破壊するべく、魔力を送り込めば。
 とめてとまらぬこひのみち……鈴鹿御前の大通連が唸りを上げ返されるも、それを籠手で弾かんと試みるアッシュ。
 そして瞬間、異形巨大化するのは獏祓食の腕。
 鬼神変で大きく変化させた拳を握り締めれば、その凄まじい膂力をもって鈴鹿御前を殴りつけるべく繰り出して。
『田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま……っ!』
「いや、だから怖いわ」
 紅が燃える夜空へと飛翔し、反撃してくる相手との間合いを取らんと大きく地を蹴る獏祓食。
 鈴鹿御前の放つ、膂力と病的なほどの想いを籠めた反撃は、色々な意味で強烈であるが。
 ディアボロス達を打ち倒すには、全く至っていない。
『田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂』
 けれども相変わらず怖いくらいの愛を迸らせながらも。
 田村麻呂の名を出した目の前のアッシュへと、再び大通連を繰り出す鈴鹿御前。
 それを、真っ向から迎え撃つべく果敢に踏み出して。
「目の前の相手さえまともに見てないような奴には負けられないんだよ!」
『さま田村麻呂さま田村麻呂……う、ぐっ!』
 アッシュは、勢いをつけたブーストスマッシュをぶつけて返してから。
 素早く懐に潜り込み、ほぼ零距離から拳を叩き込むインファイトを展開し維持するべく立ち回る。
 そして敵に微か隙が生じれば、背理演算式の支援を受け構築された百代の環境改竄が、再び戦場の地形を変化させて。
「恋に盲目とはよく言ったものじゃのぅ、ならばそれを利用させてもらおう!」
 まさに恋しか見えていない敵へと、再び狙い澄まし構えた拳銃の引き金を百代が容赦なく引いた刹那。
 鬼神の如き巨大な獏祓食の拳が唸りを上げ、狂気しか感じない恋する輩へと振り下ろされる。
『くっ、田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻』
 それからすかさず、自分達復讐者の畳みかけるような連携攻撃に揺らぎながらも返された大通連を相殺するべく。
 炎の如く燃える様な恋どころか強火すぎる想いに寒気を覚えつつも、獏祓食は再び凄まじい膂力の拳を繰り出す。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】がLV4になった!
【泥濘の地】LV1が発生!
【建造物分解】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV7になった!
【ダメージアップ】がLV7になった!

乂八・南
g01118/ノスリくん

凶気振り撒く敵を見て
覚悟はしていたものの身体が強張る

でも、この為に力を温存しておいた
前の戦いで傷ついている仲間に手は出させない

小さく深呼吸
「よし」と零し両手で頬打ち

視線を移せば笑み携えるあんたの
なんと頼もしいこと
「だね」そう強がりで笑った

警棒を握る
出来ることをしなきゃ

刻標を確認し南側を陣取る
ノスリくんの手助けをするように
警棒のワイヤーで動きの制限を狙う

果敢に立ち向かう姿に憧れすら懐いていると

「へ!?」
「な、内緒…!」

動揺明らかに耳染めるも
攻撃は瓦礫等を壁に避け


「ねえ、さっきの――」
ノスリくんはいたの
なんて。記憶ないあんたに尋ねても
答えはないのかもと飲み込んで


ノスリ・アスターゼイン
g00139/南

飛翔し
上空から敵影を確認

…うわ、コワイ

名を連呼する情念へ
つい本音

だが却って
此方は冷静さを得られたかも
なんて笑いつ
手に顕現させた水晶のナイフ

切り刻むごとに
くるり持ち手を変え
時に逆手に握り
刃の軌道を読ませない

敵の動きもよく見
後ろや左右にステップして躱す
皆と声掛けも確りと

なぁ
南は誰かに深く恋したことがある?

剣を交えながらも
友と軽口

深みに嵌まるのは御免だが
たったひとつの輝きを得られることは
少し羨ましくもあるね

だってそれが
黄泉路を渡る灯りにもなるでしょ、と
鈴鹿御前の最期を見送ろう

ナイフの露を払って仕舞ったなら
朱赤の紅葉を拾い掲げる

月明りに透かし
消えぬ炎のような其の美しさを
胸に焼き付けよう


 京の都を照らしていた大火は人々の願いを天へと送り届けた後、静かに燃え尽きて。
 賑やかな祭りも無事に終わりを告げたけれど。
 はらりと舞い降る紅は、より一層深くなった秋の夜に尚、降り積もり続けている。
 そんな燃ゆるかの如きいろの只中に炙り出された白き鬼の姿は、上空から容易に探り当てる事ができて。
 天へと飛翔し敵影を確認したノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)は、つい本音を漏らしてしまう。
『田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村』
「……うわ、コワイ」
 夜の闇に想い人の名をひたすら連呼する、恋ひ侘ぶ媿の情念に。
 それに眼前の鈴鹿御前は、ただの恋する乙女などという存在では決してない。
 止まらぬ恋の衝動のまま、全身の膂力と狂った想いを籠めた強烈な衝撃で人を殺める鬼なのだ。
 乂八・南(WONDERFUL LIFE・g00139)は一瞬、身体が強張ってしまう。
 覚悟はしていたものの、凶気振り撒く敵の姿を見て。
 けれどすぐに……でも、と。
 ふるり、茜射す黒曜のいろを微か振って。
(「前の戦いで傷ついている仲間に手は出させない」)
 すぅと小さく深呼吸した後。
「よし」
 両手で頬をぱしんと打ち、前を向く。
 だってこの為に、力を温存しておいたのだから。
 無事に皆で、新宿島に帰還するべく。
 そんな南の耳を不意に擽ったのは、隣に降り立ったノスリの声。
「あの情念はコワイけど、でも却って此方は冷静さを得られたかも」
 そしてふと真紅の右眼と機械仕掛けの左眼を彼へと移せば、つられて向けたそれらを細める。
「だね」
 そう笑ってみせたのは、ちょっぴりの強がり。
 だけど、水晶のナイフ握る彼の顔を見れば、こうも強く思うから。
(「笑み携えるあんたの、なんと頼もしいこと」)
 だから南も、ぐっと警棒を握る。
 手にしたこの警棒の名の通り、ためらわずに思い切って。
(「出来ることをしなきゃ」)
 ノスリと視線交わせ、紅の降る中、同時に一歩を踏み出す。
『田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま! こ奴らの足取りを掴めば、きっと田村麻呂さまもお喜びになるわ……っ、!?』
 勿論、刻標を確認した南が迷わず位置取るのは。
 ――こっち、俺の場所だから。
 生まれた時より持つ己の運を最大限に引き出せる、閃きと幸運に導かれし方角。
 燃ゆるようないろたちを味方につけ、舞う紅が隠してくれるその間隙を縫って敵を捉えるのは、警棒から放たれたワイヤー。
 そして敵の動きを制限し、彼女の意識が自分へと向いて。
 自由に動きが取れないながらも、強引に鈴鹿御前が反撃の大通連が繰り出さんとした刹那。
 白き恋鬼へと閃き、その身を切り刻むのは水晶の刃。
 そしてくるり持ち手を変え、時に逆手に刃を握るのは、決してその軌道を読ませないため。
『……呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さまぁ!』
「うわ、やっぱりコワイ。次はこっちに向かってきそうね」
 そう敵の動きをよく見つつ、全身の膂力と怨念の如き恋情を籠めた一撃の予備動作を見逃さず、ノスリはそう声を掛けながらも。
 己の手助けをするように絡みつくワイヤーで動きが鈍っている彼女が繰り出す衝撃を、風に踊る猛禽の如く背後へとステップして躱さんと試みる。
 そして、そんな彼の果敢に立ち向かう姿に憧れすら懐いていれば。
 あくまで敵の動きを注視したまま、ふと南へとノスリが向けたのは、こんな軽口。
「なぁ、南は誰かに深く恋したことがある?」
「へ!?」
 敵と剣を交えながらも紡がれた彼の言葉に、思わず瞳を見開き、ぱちくりと瞬かせる南であったけれど。
「な、内緒……!」
 ぐっと警棒を握り直しつつも言葉返したその様子は、耳も紅に染まって色づいて動揺明らか。
 そして恋に荒ぶる鈴鹿御前が向けてくる攻撃に備え壁を盾にするように位置取ったそんな南の反応に、陽を封じた蜜色の瞳を細めてから。
『田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田……っ!』
「深みに嵌まるのは御免だが、たったひとつの輝きを得られることは少し羨ましくもあるね」
 ノスリは唸りを上げ向けられた衝撃へと反撃するべく、くるり宙を舞わせた刃を逆手で受け取って揮う。
 ……だってそれが、黄泉路を渡る灯りにもなるでしょ、って。
 南のワイヤーで動きが制限されている鈴鹿御前は、見舞われた閃きに思わず呻いて。
 一旦二人から距離を置くように、大きく跳躍する。
 その先に仲間の姿を確認し、ノスリはナイフの露を払って。
 落ちたそのいろよりも深い朱赤をひとつ、拾い掲げてから。
 摘まんだ一葉を月明りに透かし、胸に焼き付けんと見上げる。消えぬ炎のような其の美しさを。
 そんなノスリの横顔へと、真紅のいろをちらりと向けて。
「ねえ、さっきの――」
 ふとそう口を開くけれど。そこまで言って、南は飲み込む。
(「記憶ないあんたに尋ねても、答えはないのかも」)
 ――ノスリくんはいたの。
 なんて、そう続けようとした言の葉を。月に照る紅の夜に、そっと。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【強運の加護】がLV3になった!
【活性治癒】がLV3になった!
効果2【アヴォイド】がLV7になった!
【ドレイン】がLV3になった!

響風・涼花
アドリブ・絡み歓迎

くそっ。無茶苦茶だ。
こいつが何を考えているかわかりゃしない。いや、わかるけれど思考がそれしか読めない!
どうか落ち着いて……あいつの弱点を狙う。

田村麻呂は此処にはいないよ!
此処にいるのは、私だ!響風・涼花だ!私を見ろ!
どうにかこちらに気を向かせて、他の人へのダメージも抑えるよ。
光使いで目潰しをしつつ、拳銃の誘導弾で牽制。
地形を利用しつつ忍び足で徐々に下がって、近接を拒む。
距離を取れたら、リーザルジャベリンを投げ込む。貫通撃をかましつつ、他のディアボロスへの援護とディフェンスをする。


天羽・花菜
「うっわコワ!何言ってるかワカンナイ恋愛脳チョーコワッ」
身震い

「ソレ絶対相手に引かれるヤツ!いやもしかしたら相手もオカシーのかもしんないけど…コワッ」

「分かりあえないし分かりあいたくないのでさっさと逝っちゃえ、どっせーい!」
掛け声と共に血塗れトンカチをPDで投げつける
飛行効果もあるし自前の羽もあるし、他人の攻撃を邪魔しないよう基本は空中から

敵の攻撃は幸運で避けたりオーラ操作で防いだりパラドクスの残留効果を使わせて貰ったりする

「コワいから話すなー!」
PD使用後は空中から早業と投擲で飴玉を敵の口の中や武器狙って指弾し邪魔する

「ゴメン、ホントはカワイソーなのかもしれないけど、アレはちょっとムリ…」


犬神・百合
(恋に狂っていらっしゃるのね)
「ソレは全てを見えなくさせて、迷いの森の様……」
自分も恋に狂っているのだから、貴方の想いに寄り添いたくもありますわ
けれど、けれども。
「出口まで手を引いて、寄り添うことはできませんのよ。ごめんなさいね?」

指先から真っ赤な糸を繰り出し、傍らの傀儡に微笑
「最期のダンスを踊りましょう?」
ダンスマカブルで攻撃開始

敵に隙があれば【壁歩き】【飛翔】等で背面へ回り込み攻撃したいですわね
味方側に戦闘要員が充実しているようでしたら、ディフェンスに回ろうかと

「嗚呼、この痛み。安心なさって……わたくしが受け止めて忘れませんわ」

去り際、手向けの花に白百合を一輪。
「さようなら、次は良い恋を」


 ディアボロスの与えた衝撃が彼女の身にダメージとして蓄積しているのは、目に見えて分かるのだけれど。
『田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま。きっと喜んで下さるわよね? うふふ、田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま』
「うっわコワ! 何言ってるかワカンナイ恋愛脳チョーコワッ」
 己の恋のことしか相変わらず頭にない鈴鹿御前に、思わず身震いしてしまう天羽・花菜(撲殺天使で電子の申し子・g02034)。
 恋する乙女、とは言うけれど……でも、同じ女子でも。
「くそっ。無茶苦茶だ。こいつが何を考えているかわかりゃしない」
 花菜と同様、響風・涼花(世界に拳を叩きつけろ・g05301)にも全く、恋に狂う眼前の鈴鹿御前の考えが理解できない。
 むしろ、分からないというよりも。
『田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま、ただ影から貴方様をじいと見つめているだけで幸せ……田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま』
「いや、わかるけれど思考がそれしか読めない!」
 自分達ディアボロスの追跡を、自らの愛のために遂行する鬼。
 その頭の中は、田村麻呂さまの為という支離滅裂な論理で構築されているのはわかるのだけれど。
 戦闘の真っ只中であるというのに、田村麻呂さま、しか思考が読めないのだ。
「ソレ絶対相手に引かれるヤツ! いやもしかしたら相手もオカシーのかもしんないけど……コワッ」
 現に彼女の想い人の田村麻呂さまもクロノヴェーダっぽいので、どっちもどっちなのかもしれないけれど。
 花菜は狂気染みたストーカーでしかない言動にますます引いて。
『うふふ、田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻』
 涼花は、自らの血に塗れつつも嗤う彼女のペースに惑わされないように。
(「どうか落ち着いて……」)
 ふっと一息ついて、改めて敵の姿を見遣る。
 ……あいつの弱点を狙う、と。
 そんな、鈴鹿御前の出方を窺い、弱点を探らんと見据える涼花とは逆に。
「分かりあえないし分かりあいたくないのでさっさと逝っちゃえ、どっせーい!」
 ――お命頂戴!
 怖すぎて深く考えるのをやめた花菜は、血塗れトンカチ……いえ、膨大な魔力を宿したマジカルワンドをどっせーい!
 ぱたぱたと秋の夜空を自らの羽で飛びながら、空中から得物を投げつければ。
 燃ゆる秋色を照らす神々しいエフェクトをキラキラと発生させながら、鈴鹿御前めがけて飛んでいく血塗れトンカチ。
 そして想い人の名を連呼しながらも、叡智を尽くし放ってくる敵の一撃を躱すべく。
 これまで皆で積み上げてきた、ディアボロスにだけしか使えない残留効果を出来る限り駆使し、戦場を翔ける。
 そんな花菜や涼花は、彼女の行き過ぎた恋心が理解できなかったが。
(「恋に狂っていらっしゃるのね」)
 犬神・百合(ラストダンス・g05341)にはどうしても、他人事とは思えないのだった。
 だって、恋というものがどういうものなのか、百合には分かるのだ。
「ソレは全てを見えなくさせて、迷いの森の様……」
 何せ、百合自身も狂っているのだから。恋というものに。
「わたくしも貴方と同じ。だから、貴方の想いに寄り添いたくもありますわ」
 森を彷徨うように行き先を見失う心、焦がれる様な恋慕、狂おしいほどの情念。
 そんな呪いの如き恋に囚われるその心は、よくわかるのだ。
 でも百合はすぐに、ふるりと首を振る……けれど、けれども、と。
 そして恋に狂う鬼へと、こう告げる。
「出口まで手を引いて、寄り添うことはできませんのよ。ごめんなさいね?」
 刹那、指先から真っ赤な糸を繰り出しながら、傍らの傀儡に微笑んで。
 ふたり結ばれたその糸を用いて、百合は愛を囁く様に、紅に燃ゆる戦場に傀儡を踊らせる。
「最期のダンスを踊りましょう?」
 恋狂いの白き鬼の呪いを断ち切ってあげるかのように。
 けれどやはり、己の恋にしか興味はない彼女は、ただ連呼する。
『呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村』
 嗤いながら、ひたすら想い人の名を。
「田村麻呂は此処にはいないよ!」
 涼花はそんな鈴鹿御前の意識を向けるべく、声を上げて。
 田村麻呂、という単語にぴくりと反応を示した相手へとこう続ける。
「此処にいるのは、私だ! 響風・涼花だ!」
 ……私を見ろ! と。
 それからどうにか自分に気を向かせれば、他の仲間に攻撃が出来るだけ向かぬよう抑えるべく。
 敵の視線が向いた刹那、紅の世界に一瞬、眩い光を生じさせる涼花。
 そして光使いで目潰しを試み、すかさず服の下に隠し持っていた小型拳銃を抜き放って。
 誘導弾で牽制するべくその引き金を引いた後、地形を利用しつつも忍び足で徐々に下がり、敵の近接を拒んで。
 ――こいつで……爆ぜろ!
 狙い澄まし投擲するのは、敵の身を刺し貫く暗色の光の槍。
『……!』
 そんな貫通する鋭撃をお見舞いつつ、涼花は顕明連で反撃してくる敵の前へと果敢に踏み込む。
 他の仲間への援護や攻撃の肩代わりを担うべく。
 それでもまだ、彼女の脳内には想い人のことしかなく。
『嗚呼、愛しの田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま田村麻呂さま』
「だから、田村麻呂はいないから!」
「コワいから話すなー! 黙って飴ちゃん舐めてろー!」
 花菜が空中から素早く鈴鹿御前へと投げつけるのは飴玉。
 その口の中や握る得物を狙って指弾し、邪魔するために。
 それから、天へとうっとり向ける定まっていない視線にもう一度、身震いを。
「ゴメン、ホントはカワイソーなのかもしれないけど、アレはちょっとムリ……」
 そしてそんな恋に狂う鬼が、愛する田村麻呂さまのためにという支離滅裂な論理で、反撃の衝撃を突いてくれば。
 咄嗟に紅に染まる木々を壁代わりに使い、残留効果の力を借りて天へとひらり舞って。
 その身をもって仲間を庇いに入ったのは、百合。
 それから彼女が放った攻撃を肩代わりすれば、柔い微笑みと共に返す。
「嗚呼、この痛み。安心なさって……わたくしが受け止めて忘れませんわ」
『……! 田村麻呂さま田村麻呂さ……っ!』
 紅のいろを攫い巻き上げるような反撃の衝撃を。
 そして最期まで想い人の名を口にした、恋に溺れた鬼へと百合は手向ける。
 脅威を払い安全が確保された秋の風景に、パラドクストレインが現れたことを皆と確認した後。
「さようなら、次は良い恋を」
 紡いだ言の葉と共に――去り際に、白百合を一輪。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】がLV5になった!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV5(最大)になった!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!

最終結果:成功

完成日2021年12月01日