鬼島津、鹿児島一夜城の決戦

 攻略旅団の提案により、内城に駆けつけようとする「精矛厳建雄命『島津惟新斎』」の進路を予測できました。
 島津惟新斎は、薩摩中の天魔武者戦力を糾合し、南側から内城に迫ってくるようです。
 島津惟新斎が率いる大軍勢が決戦中の内城に雪崩れ込むのを防ぐ為、内城の南に急造の城(鹿児島一夜城)を築城、島津義弘の軍勢を迎え撃ってください。


精矛厳建雄命『島津惟新斎』

気炎万丈オーガインパクト(作者 海鶴
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●パラドクストレイン
 レーネマクダ・デルトダウ(テト・カフ・g08563)は集まってきたディアボロスたちを前に静かに一礼する。
「お集まり頂きありがとうございます。天正大戦国、薩摩国の内城にて決戦中のジェネラル級天魔武者『龍伯』島津義久の切り札が一つ、精矛厳建雄命『島津惟新斎』が率いる軍勢の進路が判明いたしました」
 攻略旅団の方針によって、これらの軍勢の進路上にある最終人類史似て語られる鹿児島城の位置に、一夜城を築くことと相成った。
「これなる一夜城にて精矛厳建雄命『島津惟新斎』を迎え撃つ準備を行っていただきたいのです。鹿児島城の位置は、内城より一キロメートルほど南となります。この位置に皆様が一夜城を築けば、精矛厳建雄命『島津惟新斎』も、これを無視して内城に向かうことはできないでしょう」

 しかし、一夜城を築城は容易ではない。
 城壁から天守閣に至るまで全てを築く時間も猶予もないことは言うまでもない。
 とは言え、天正大戦国において『城』とは特別な意味を持つ。
「皆様が城を築いて待ち受ければ、精矛厳建雄命『島津惟新斎』も警戒せざるを得ないでしょう。最悪でも無視するという状況にはならないはずです」
 今回、一夜城が如何なる姿形を為すのかはディアボロスたちに一任されている。
 無論、天正大戦国に見られる城を築くのも効果的だが、敢えて違う様式の城を用意しても、初見故に敵の警戒を強めることにも繋がるかもしれない。
「実際に戦場となるのは城壁でございます。この部分は残留効果【セルフクラフト】や、最終人類史から運び込んだコンクリートなどを利用して堅牢に作り、それ以外の部分は見た目を派手にさえすれば、虚仮威しで構わないでしょう」
 パラアドクストレインの貨物車両の本領とも言える。
 この一夜城を効果的に築城し、優勢に戦えば、内城に一刻も早く援軍に向かいたい精矛厳建雄命『島津惟新斎』がディアボロスの『決戦提案』を受け入れる可能性は高い。
 そして、精矛厳建雄命『島津惟新斎』を撃破すれば、島津の主力軍を壊滅させることもできるはずだ。

「精矛厳建雄命『島津惟新斎』……島津の退き口にて知られる島津義弘の別名として知られておりますね。最終人類史においては、かの義弘公を祀る神社もあるそうで」
 その活躍に恥じぬ精矛厳建雄命『島津惟新斎』の大軍勢を迎え撃ち、これを全て撃破するのは難しいだろう。
 そして何より、だ。
「精矛厳建雄命『島津惟新斎』もまた戦国最強の一角と言われる武力の持ち主……かなりの激戦となることは予想に難くございません」
 レーネマクダは、そう告げる。
 苦戦を免れぬ戦い。
 だが、それはこれまで幾度となくディアボロスたちは経験してきている。
「ですが、ここで精矛厳建雄命『島津惟新斎』の軍勢を足止めし、迎撃することができれば、内城への増援は不可能。内城にて『龍伯』島津義久を討ち取ることも可能となるはずでございます」」
 彼女はそう告げ、ディアボロスたちの活躍を期待するように一礼してからパラアドクストレインへと案内するのだった。

●疾風迅雷
 赤い拵えの鎧武者たちが土煙を上げて進軍する。
 その速度、正しく疾風のごとく。されど、触れようものならば迅雷のごとく切り裂かんとするような鋭さがあった。
「進め、目指すは内城や。立ち止まっことは許さん。ひっ飛べ!」
 ジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』の言葉にトループス級『鬼面赤備衆』は、よう! と勢いよく答えるように、猿叫を高らかに響かせた。

「薩摩国ん命運、こん一戦にあり。兄上、待っちょってくれん。今、おとっが行っど!!」
 薩摩国中からかき集めた天魔武者の大軍勢。
 それは、正しく疾風迅雷の進軍速度であった。
 唸るように加速し、うねるように大地を這い、しかし獰猛な牙を持つ一つの巨大な生物にも例えられただろう。
 その戦闘を征くのが、正しく精矛厳建雄命『島津惟新斎』である。
 彼の甲冑に配された丸十字の家紋が煌めく。
 鬼島津と呼ばれた彼の戦は、天正大戦国においても最強格。
「兄上とおい、島津ん家紋んごつ合わされば、これ即ち、龍二匹! ディアボロスなぞ恐るっに足らずじゃ!」
 地鳴りを響かせ、大軍が今、内城を目指して征くのだった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【照明】
2
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【神速反応】
2
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【罪縛りの鎖】
2
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【セルフクラフト】
3
周囲が、ディアボロスが、一辺が1mの「コンクリートの立方体」を最大「効果LV×1個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。
【泥濘の地】
2
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【冷気の支配者】
2
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【無鍵空間】
1
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【温熱適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、気温摂氏80度までの暑さなら快適に過ごせる世界に変わる。
【落下耐性】
1
周囲のディアボロスと、「効果LV×300m半径内」の通常の生物に、どんな高所から落下しても、落下時の衝撃を2mの高さから落下した程度に軽減する能力を与える。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【建物復元】
3
周囲が破壊を拒む世界となり、ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の建造物が破壊されにくくなり、「効果LV日」以内に破壊された建物は家財なども含め破壊される前の状態に戻る。
【通信障害】
2
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【寒冷適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、摂氏マイナス80度までの寒さならば快適に過ごせる世界に変わる。
【水中適応】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。
【防衛ライン】
6
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。
【防空体制】
1
周囲が、飛行する存在を察知しやすい世界に変わる。ディアボロスが屋外を飛行中の敵を発見するまでに必要な時間が、「効果LVごとに半減」する。
【イルカ変身】
1
周囲が、ディアボロスが体長2m程度のイルカに変身できる世界に変わる。変身したイルカは最大時速「効果LV×20km」で泳げるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【影忍び】
1
周囲が、ディアボロスが「自身が視認している、3m以内にいる一般人1人」の足元の影に変身できる世界に変わる。変身中は対象とした一般人の足元を離れられず、この効果の解除を除く自発的な行動は行えない。最大「効果LV✕10分」で解除。

効果2

【能力値アップ】LV6 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV10(最大) / 【ガードアップ】LV10(最大) / 【反撃アップ】LV5(最大) / 【アクティベイト】LV1 / 【ラストリベンジ】LV1 / 【先行率アップ】LV2 / 【ダブル】LV2 / 【グロリアス】LV2

●マスターより

海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回は攻略旅団の提案により、内城に駆けつけようとする精矛厳建雄命『島津惟新斎』の進路にて一夜城を築城市、決戦中の内城への増援を阻み、ジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』との決戦に持ち込むシナリオとなっております。

 ①鹿児島一夜城の築城(👑8)
 まずは、史実の鹿児島城の位置に一夜城を築城しなければなりません。
 天正大戦国の天魔武者は『城』を見ると警戒します。
 これを利用し、敵の大軍勢を迎え撃つ準備を行いましょう。
 残留効果【セルフクラフト】や最終人類史より持ち込んだコンクリートなどで城壁をまず強固に造り、その他の部分は虚仮威しでもかまいません。
 そもそも城壁で敵を阻み、戦場としなければ、敵が此方を脅威とみなさないためです。

 ②島津惟新斎に決闘を申し込む(👑4)
 援軍の大軍勢を率いているジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』に決闘を申し込む選択肢です。
 ただ、一夜城である鹿児島城防衛線の状況が優勢でなければ、そもそも精矛厳建雄命『島津惟新斎』は決闘に応じないでしょう。
 まずは此方が無視できない戦力であることを十分に示さねばなりません。

 ③👾鹿児島城防衛戦『鬼面赤備衆』(👑60)
 援軍に向かうための大軍勢です。
 👑の多さから見てもわかるとおり、凄まじい数ですので全滅させるのは難しいでしょう。
 精矛厳建雄命『島津惟新斎』に決戦を挑むために優勢を保つ必要があります。

 ④👿決戦、鬼島津『精矛厳建雄命『島津惟新斎』』(👑45)
 その強さは👑の多さを見ればわかるとおりです。
 天正大戦国、最強格の武力は伊達ではないようです。

 それでは、薩摩国、内城の決戦に援軍として進む精矛厳建雄命『島津惟新斎』の軍勢を阻み、これを打ち倒すために一夜城を築城し、立ち向かう皆さんの物語の一片となれいますように、たくさんがんばります!
67

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


エレオノーラ・アーベントロート
沖縄での島津豊久との決戦から2年近く、ようやく島津と決着をつける時が来ましたわね。
せっかくわたくしが来てあげたのに無視なんてされることがないように――うふふ、張り切って玩具を作りましょうか。

まずは【セルフクラフト】で城壁部分を作りましょう。
あちらの攻撃を受けて崩れ、張りぼての一夜城が攻撃を受けることのないように。ブロックの隙間を砂で埋めて固め、強固な壁にしましょう。

その後はお城の築城。
攻め落とさないといけない――と思わせるには、後背を衝かれるかも、と思わせるのが一番ですわ。
そうなると一番簡単なのはお城に復讐者が詰めていると思わせること。そうですわねぇ……旗でも立てましょうか。
次に建物自体に兵器が搭載され攻撃を行ってくること。
お城は機械化ドイツ帝国の要塞をイメージした黒塗りのもので、建物に砲身を付け、島津惟新斎らが向かって来る方向ではなく、その向かう先となる島津義久の方へ砲身を向けておきましょう。
もし無視してそちらに向かえば背を撃たれる――そう思わせて足を止めさせますわ。


ルチルーク・フレンツェン
最終人類史の豊臣秀吉様の一夜城は80日で築城されたとのこと。
……緊急事態の今はそんなに時間ないですが、やれるだけやりましょう!

ディアボロス版一夜城は西洋風を提案します。
理由は二つ。

一つ
和風ですともしかしたら天魔武者の仲間の城と勘違いしてスルーの迂回をしかねないので、
堂々と違うものと印象付けて無視させない為。
西洋城の知識が疎そうなのを利用して、
城門に見えるだけの城壁のデザインも作って門破りをしたいのに出来ない罠にも出来そうです。

もう一つ
戦闘中に城壁は建物復元で壊れにくくする事が出来ますが、
和風城でよくある堀は建造物ではないので建物復元では壊れにくくするのは無理なはずなので、
堀を頼れないなら城(今回は見た目だけの城)を囲む城壁の建築が一般の西洋城のほうが向いているはずです。

どんな城壁や見た目だけ城や他の築城でも、当機はまず先に城壁を頑張って作って参ります!
コンクリートと【セルフクラフト】をうまく組み合わせて、
固さと堅牢なイメージの両立を築いていきましょう!
今回の決戦限りですがお城様よろしく!


伊佐沼・チカ
ほわぁ、どんなつわものにも、無視はできねぇと思わせるお城、ですか……
チカの頭で思いつけるか、わかんねぇけど、精一杯考えてみるのです

どんな形になるにせよ、お城の壁の部分はきっちり作りましょう
しんずく島から持ち込んだ、「こんくりーとぶろっく」を「もるたる」で継いで、積み重ねてっと
資材が足りなけりゃ、【セルフクラフト】で出てくる壁を足しにするのです

んで、敵さんに攻め込んで貰うための工夫なのですが……
お城の目立つ所に、「でっけぇ大砲に見えるもの」を付けるのは、いかがでしょうか

敵さんは「でぃあぼろす」が桜島を平らげて、火口から火の玉を撃つのを見ているのです
その力を研究して新しく作った、国崩しの大筒をお城に取り付け、敵さんの軍や城を狙ってる……と思わせましょう
そしたら敵さんとしては、撃たれる前に打って出て潰さなきゃならねぇのです
張り子でも、中身に粘土を仕込んで太らせたり、漆なりを塗り込んで光沢を持たせたりしたら、近くに寄るまで紙とはわからんのじゃねぇかと!

チカの考え、ちっとでも役に立てば嬉しいのです


 一夜城。
 それは最終人類史において、真に一夜にして築き上げられたものではない。
 ルチルーク・フレンツェン(均衡を破りし逆襲機械・g02461)は、最終人類史における一夜城の逸話として有名な豊臣秀吉の築城を思い出す。
 築城とは年単位の事業であることは言うまでもない。
 故に一夜城の最たるは、敵の士気を削ぐことにある。
 しかし、今回の状況を考える場合、内城の増援に向かわんと急ぐジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』の軍勢の目を止める必要がある。
 故にルチールクは考えた。
「提案します。此度の一夜城は西洋風の城を築城することを」
「ほわぁ、西洋の御城、ですか」
 伊佐沼・チカ(土興しの鎚・g08514)は、少し困惑しているようだった。
「理由をお聞きしても?」
 逆にエレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)は、ルチルークの提案に興味を示していた。

 一夜城の築城に必要なのは、敵に無視されないことである。
 これから築く城が敵にとって無視できないものである必要がある。
「理由は二つ」
 ルチルークは指を二つ立てた。
「一つは、和風ですともしかしたら、天魔武者にとって見慣れているがゆえに、仲間の城と勘違いしてスルーの迂回をしかねない可能性があること。堂々と違うものである、と印象付けて無視させないという狙いがあります」
「なるほどね。西洋の知識が疎そうという点を利用するわけですわね?」
「はい。城壁のデザインも城門に見えるだけの堅牢なものにすれば、防御面も申し分ないかと。敵からすれば、城門破りを行って内部になだれ込もうとするでしょうから、罠としても機能するはずです」
「ほわぁ……な、なるほどぉ……で、あれば、御城の壁の部分はきっちりと作らないとならねぇですね」
 ルチルークはもちろん、と頷く。

「2つ目は、戦闘中に城壁は残留効果【建物復元】で壊れにくくすることができますが、和風城にある堀は建造物ではないので、【建物復元】で壊れにくくするのは無理かと、堀が惚れないなら、城を囲む城壁の建築が一般の西洋城のほうが剥いているはずです」
「実利と実用を兼ね備えるというわけね」
 しかし、とエレオノーラは少し考える。
「敵の注意を引く、という意味では少しばかり弱いかもしれないわね。それだけでは」
「といいますと?」
「敵からすれば、こちらは鈍亀ですわ。堅牢なれど、己が軍勢に対する攻撃能力がないと見れば、内城援軍を急ぐ精矛厳建雄命『島津惟新斎』にとっては、背後を突かれる可能性を捨てる決断をさせるやもしれませんわ」
 確かに、とルチルークは思ったかも知れない。
 堅牢さと西洋城という敵の目を引く効果は狙えるが、敵が築いた城が防御面に振り切ったものであるのならば、放置してもよし、と考える可能性は捨てきれない。

「あのぉ、であれば、なのです」
「なんです?」
 チカがおずおずと手を挙げる。
「あの、敵さんに攻め込んでもらうための工夫なのですが……御城の目立つところに『でっけぇ大砲に見えるもの』をつけるのは、いかがでしょうか」
「大砲、ですか?」
「はい、敵さんは、でぃあぼろすが桜島を平らげて、火口から火の玉を撃つのを見ているのです」
 内城に攻め込む際に用いいた一度限りのクロノ・オブジェクト。
 桜島の威力は凄まじいものだった。
 確かに、これを薩摩国の天魔武者たちは見ただろう。
 であれば、確かにチカの語る方策は有効に思えた。

「その力を研究して新しく作った、国崩しの大筒を御城に取り付け、敵さんの軍や城を狙ってる……と思わせれば、無視できないと思うのではない、でしょうか?」
「攻め落とさねばならない、と思わせるには確かに狙われている、と考えさせるのは有効ですわね。無視されたくありませんもの」
「しかし、大筒といった兵器群を作る時間もなければ、持ち込んでもいません。それはどうしますか?」
「張り子でもかまわねぇのです。あくまで、今回は敵さんの目を引くためが第一、なのですよね? そしたら、張り子でも中身に粘土を仕込んで太らせたり、漆なりを塗り込んで光沢を保たせたりしたら、近くに夜までハリボテとはわからねぇんじゃねぇかと!」
 なるほど、と二人は頷く。
 実際に機能をもたせる必要はない。そして、その余裕もない。
 であれば、やはり城壁に対して注力すべき、というのは当然であろう。

「面白い考えですわね。西洋城の風貌と大砲。如何にも天魔武者の注意を惹きそうなものですわ。沖縄まで出張っていた島津の天魔武者もいたことを考えれば、冥海機の持つ海戦装の砲門も知っているはずでしょう。後は……そうですわね。精矛厳建雄命『島津惟新斎』らが向かってくる方向だけではなく、内城の方角へも砲身を向けておけば……?」
「背中から撃たれるやも知れない、と」
「そったら、敵さんも撃たれる前に打って出て潰さなきゃならねぇって思うはずです!」
 チカの言葉をまとめにして方針が決まれば、後は動くだけだ。
 手繰り寄せる残留効果【セルフクラフト】によってコンクリート立方体を生み出されていく。
 これを組み上げて、さらに最終人類史から持ち込んだセメントやモルタルといった資材を組み合わせて城壁を作り上げていく。

 それは急ごしらえであったが、西洋城の風貌になんとか見えるものに思えただろう。
 寛容なのは城壁。
 後はハリボテで構わないというのならば、西洋城にはつきものの見張り台である塔を遠目に見えるように高く作り上げる。
 虚仮威しかもしれないが、敵からすれば容易に目に付くものであったはずだ。
 そして、チカの提案によって大筒のハリボテは漆を塗り込み、黒光りするような光沢を生み出し、日光に反射し、ますます砲口を本物に近しい質感にするだろう。
「うし、これで大筒はできましたです!」
「いい感じね。これで敵も此方を無視しようとは思えないでしょう」
「コンクリートと【セルフクラフト】で組み合わせた、堅牢さと硬さ、両立ができていますね。今回の決戦限りの御城様ですが、なんとかなりそうです」
 ルチルークは築き上げられた城壁を見やり頷く。
 だが、もう一つなにか欲しいところだ、と思っていた。

 するとエレオノーラは、にこりと微笑んで黒い旗を手にする。
「見張りの塔の頂きに旗でも立てましょう。そうすれば、わたくしたち復讐者が詰めている、とわかるはずでしょう? うふふ、張り切りすぎたかしら?」
「いえ、よいかと。むしろ、ますます目立って、敵も無視できないでしょう」
 ルチルークは、ディアボロスたちと協力して築き上げた城壁、そしてハリボテとは言えど大筒、さらには西洋城めいた風貌をなんとか取り繕うことのできた様子に力強く頷く。
 そして、彼女たちは見ただろう。
 内城に向かう天魔武者の大軍勢。
 まるで赤き大蛇の如き鋼の鎧武者たちが、進路を変え、ディアボロスの一夜城へと向かってきているのを。

「ほわぁ、敵さん、でごぜぇます!」
「かかりましたわね。沖縄での『島津豊久』との決着から二年近く、ようやく島津との決着をつけるときが来ましたわね」
 無視されることはなかったことをエレオノーラは喜び、ルチルークは声を張り上げる。
「敵の軍勢は精強にして大軍勢です。ここからが勝負どころですよ」
 そう、迫るは鬼島津率いる精鋭。
 その苛烈なる攻勢を城壁抜かれる前に押し留め、率いる精矛厳建雄命『島津惟新斎』との決戦に持ち込まねばならないのだ。
 困難が常につきまとう戦いになるだろう。
 それを証明するように赤き迅雷は、疾風を伴ってディアボロスたちの一夜城を飲み込まんと迫っていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【セルフクラフト】LV3が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!

宇都宮・行
本当に見事な一夜城ですね
建設に携わった皆様、お疲れさまでした

さて、ここからは大軍が相手
困難な状況ではありますが、優位に戦えるよう、更に環境を整えましょう

危惧すべきは、敵が一気に押し寄せて突破されてしまうこと
それを防ぐため【泥濘の地】を使い、敵の行軍速度を僅かですが確実に低下させたいです
また、残留効果の【セルフクラフト】を用いて仮の防壁とし、敵の進路を誘導して、一度に相手する敵の数を多少なりとも減らすよう試みます

これらによって敵を狙い撃ちにする場所、いわゆるキルゾーンを作り、そこへ向けて『王佐土砂計』を発動
土石流を先頭の敵に当たるようにして、敵の出鼻をくじければ幸い
「戦闘を優位に進めるためならば、こうした手段も必要ですね」

加速して突破してきた敵の攻撃は竜骸剣『日光』で受け止めつつ反撃を行います
敵が多く攻撃を受けやすい状況故に【反撃アップ】も効果的なはず
使える残留効果はフルに活用して、『島津惟新斎』への決闘を申し込める状況になれるよう、微力を尽くさせていただきます

※共闘・アドリブ歓迎します


伊佐沼・チカ
な、なんて多勢だぁ……!
赤備がわーっと押し寄せてきて、まるで山火事が迫ってくるみてぇ、です!
でも、気圧されたりしません
この戦の首尾に、薩摩から悪者を追い出せるかどうかが、懸かっているのですから!

本丸への道を駆けてくる敵さん達を、【泥濘の地】で足止めします
進むのが遅くなるだけで、戦いは有利になりませんが、張りぼての天守に近づかせないだけでよいのです

チカは前の方に出て、押し寄せてくる敵さんをどんどん倒します
後ろに押されちまった時は、敵さんの脚がどぉしても遅くなる、城壁の曲がり角でどうにか押し返すのです!
少しの間、敵さんの波が止まる時があったら、【セルフクラフト】で壁が壊れた所を埋めます……が、そんな暇がなければ、ずっと合戦に気を張ります

『神懸・地竜之顎門』をば使って、敵さんの足元の地面を槍に変えます
筍みてぇに下から突き上げる土石の槍で、腰の鎧をすり抜けて胴を貫くのです
敵さんの刀は≪傾奇刀≫で弾いて、飛ぶ斬撃は≪天魔障壁『羽衣』≫で防ぎます

おらおらぁ!そんなんじゃ、チカ達はまだ倒れねぇぞぉ!!


文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

ディアボロスの一夜城というと、伊勢国の織田信雄との戦いを思い出すよ。
あの時は時間をかけて建てたけど、今回は本当に一夜城だね。
しかし仲間のお陰で城壁の作りは堅牢だ、これを活かして有利に戦いたい。
そしてそれには勿論仲間との連携が重要だ。

【パラドクス通信】で仲間と連携。
城壁を利用して此方が有利に戦える位置に、敵軍を誘導していこう。
戦場の優勢を維持しながら、確実に敵数を減らしていきたい。
城を使った戦い方は、何も天魔武者の専売特許じゃないからね。
確り活かしてディアボロスここにありと示せれば、
島津惟新斎も無視は出来なくなるだろう。

城壁と【ガードアップ】を使って防御しながら、
『サンダーストーム』のパラドクスを使用する。
加速しながら城壁に迫る敵軍を、
パラドクスの突風で妨害し、雷を落として殲滅していこう。

破壊された城壁は、仲間の【建物復元】を借りて即座に修復、城壁に穴は開けさせない。
敵に付け入る隙を与える事無く、冷静に優勢に戦いを進めていこう。

ここは俺達の城だ、簡単に落とせると思うなよ!


瀬鍔・頼門
これが一夜城とは…面白きそして見事な威容の城構え。例え見せ掛けだとしても、私のような単純ものの猪武者が奮い立つには十分だ。
いかなる大軍であろうが薩摩隼人気取りの天魔武者ども何するものぞ…!

仲間との連携協力を積極的に。

無双馬を駆り、太刀による【春日ノ御太刀】で攻撃
無双馬による機動力を活かし積極的に突撃し斬り込み、敵隊列を荒らす。

敵の居合斬撃には太刀による受け流しや【春日ノ御太刀】による雷走る刀身での相殺で、無双馬と人馬一体となり耐えていきたい
やむを得ず受ける攻撃には肩の大袖鎧を盾代わりに受けて軽減に努める

発動させた【グロリアス】により継戦能力の持続も狙おう
【パラドクス通信】による仲間からの情報にも耳を傾け、戦場における押し引きを考慮しよう。敵の勢いをいかに挫くか、いかに飲まれず動くか。

さあ来い!戦するなら城内と言わずこの野にて、今ここで馳せ合おうぞ…!


 拵えられた赤い具足。
 踏み鳴らすは大地。
 攻め込むのは鹿児島一夜城。
 遠目に見れば、それは正しく一夜にして築かれた堅牢なる城。
 見たことのない城の構えにトループス級『鬼面赤備衆』たちは、如何なる防備が施されているのかを訝しむだろう。
 だが、その訝しむ感情すらも飛ぶ檄にかき消される。
「ひっとべ! よか! 後ろんこっなど気にすっな!!」
 大軍を率いるジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』は地の底より響くような声を上げた。
「邪魔な城があっとならば、すりつぶせばよか!!!」
「よう! よう! よう!!」
 その声に後押しされるようにして『鬼面赤備衆』たちは、一気に駆け出す。
 直進、盲進、突進。
 それは一糸乱れぬ突撃体制であった。

「な、なんて多勢だぁ……!」
 伊佐沼・チカ(土興しの鎚・g08514)は思わずうめいた。
 赤備の具足が甲冑の音を打ち鳴らしながら狭rう様は、さながら山火事のようであった。
 しかし、彼女は気圧されることはなかった。
 この戦いの趨勢は、己達にかかっている。
 薩摩国から天魔武者を追い出せるかどうか、それがかかっているというのならば彼女は残留効果を手繰り寄せながら待ち構える。
「ですが、皆さんの築城なされた一夜城、活用してみせましょう」
「ああ、そのとおりだ。みんなのおかげで城壁は堅牢だ」
「たとえ、見せかけだとしても、私のような単純者の猪武者が奮い立つには十分だ」
 宇都宮・行(一般的な地方公務員・g03895)と文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)、瀬鍔・頼門(あかとき闢く忌刀舎人・g07120)はチカと共に迫りくる軍勢の最前線に立ち並びながら、意気揚々たる思いで立っていた。
 負けるわけには行かない。
 しかし、敵は多勢。
 大軍であるがゆえにその動きを抑えることは必要なこと思えた。
 何故ならば。

「第一に危惧すべきは、敵が一気に押し寄せて突破されること」
「んですだ! んであれば! ハリボテの天守に近づけさせないのです!」
 チカと行は残留効果【泥濘の地】を手繰り寄せ、『鬼面赤備衆』たちの眼前を泥濘へと変える。
 逆接連鎖戦では、距離は意味をなさない。
 だが、大軍で行動しているのならば、その動きをわずかでも鈍らせるだけでも、その巨体とも言うべき動きを鈍らせる事ができる。
 さらに行は【セルフクラフト】でコンクリートの立方体を防壁として出現させ、敵の進路を誘導させようとする。
「ひっとべ! よう!」
『鬼面赤備衆』たちは、現れたコンクリートの立方体を踏み越えて、さらに進む。
 多くを期待していたわけではない。
 けれど、行は頷く。
「多少なりと敵の動きは誘導できます。後は!」
 彼の瞳がパラドクスに輝く。
 泥濘を操る王佐土砂計によって土石流へと変え『鬼面赤備衆』たちの出鼻を挫くのだ。

「敵の機先を削ぐ。戦闘を優位に進めるためならば、こうした手段も必要です。今です!」
「わかった。畳み掛ける!」
 雪人は残留効果【パラドクス通信】を手繰り寄せ、行のパラドクスによって出鼻をくじかれた敵が土石流を踏み越えて、さらに迫る姿を認めた。
「サンダーストーム! 動きを止めたのなら、この雷撃で!」
 雪人のパラドクスが雨のように雷撃を迸らせる。
「気にすっな! ディアボロスなにすっもんぞ!!」
 雷撃に撃たれながらも、それでも『鬼面赤備衆』たちは直進をやめない。

「敵さん、止まらねぇです!」
 チカは泥濘を蹴り、倒れた天魔武者の残骸すら踏みしめて迫る『鬼面赤備衆』の盲進に目を見開く。
 やはり、撃退する他ないのだ。
 勢いは多少削がれても『鬼面赤備衆』たちは、後から後から踏み込んでくる。
「んならぁ、野のかみさま、あんの不届き者を、足元から噛み砕いてやってくだせぇ……なのです!」
 パラドクス、神懸・地竜之顎門(カミガカリ・チリュウノアギト)によって泥濘が隆起して槍のように『鬼面赤備衆』の足元から走り、その駆体を貫く。
「ガハハハハッ! 死せる時はいまぞ! ひっとべ!!」
「ディアボロスッ、わいどまが如何に策を弄すっとじゃとしてん無駄じゃ! わしらがとまっもんか!!」
「薩摩隼人気取りの天魔武者なにするものぞ……!」
 さらに迫る敵軍に頼門は無双馬『綾目草』と共に踏み込み、雷電纏う太刀、春日ノ御太刀(カスガノオンタチ)の一撃でもって、その首を跳ね飛ばす。

「よう! よか戦働きをする武者ごつ! ディアボロスにも武者がおっようじゃな!」
「いざっ! 参られじゃッ!!」
「いいだろう。戦するなら城内と言わず、この野にて! 今ここで馳せ合おうぞ……!」
 頼門は斬撃を激しく打ち合わせながら敵の隊列を突き崩すように前線で暴れまわる。
 敵の勢いを如何に挫くか。
 それが敵に如何にしてでも、この城が容易に落とせぬものであると知らしめるには重要なことだったからだ。
 そして、大軍であるがゆえに飲み込まれずに戦うか。
 手繰り寄せた残留効果の向こうで繋がれた【パラドクス通信】から生の声が聞こえる。

「おらおらぁ! そんなんじゃ、チカたちはまだ倒れねぇぞぉ!!」
 チカの振るう傾奇刀が『鬼面赤備衆』たちの斬撃を弾き、障壁で受け止める。
 傾ぐ膝。
 だが、それでもチカは踏ん張っていた。
 ここが踏ん張りどころだと分かっていたからだ。
「おなごだてらに、よか働きじゃっどん!!」
「まだまだぁ!!」
 鍔迫り合いながらチカは『鬼面赤備衆』の体躯を弾き飛ばし、蹴倒す。
 そこに雪人のパラドクスによる雷撃が降り注ぐ。

「ここは俺達の城だ。簡単に落とせると思うなよ!」
「武者振りよる! キィエエエエエ!!!」
 凄まじい叫び声と共に迫る斬撃は居合の鋭さを持って雪人の防御に一閃を刻む。
 血潮が舞う中、それでも雪人は突風を巻き起こしながら、果敢に戦う。
「敵の動きが早い……ッ!」
「流石は島津の突進力……それにこの大軍……!」
 行は【パラドクス通信】によって仲間たちがなんとか敵の大軍を押し留めていることを知るだろう。
 まだ城壁に取り付かれてはいない。
 それは幸いであると言えただろう。
「優勢とはまだ、言い難い……ですが、ここが踏ん張りどころです、皆さん!」
 行の言葉が【パラドクス通信】の先で響く。
 それにディアボロスたちは、応、と応えるだろう。

 一夜城は見事に精矛厳建雄命『島津惟新斎』の軍勢を惹きつけた。
 であれば、次に望むは精矛厳建雄命『島津惟新斎』との決戦である。
 どうしても内城へと急行したい敵の思惑を、ここで引き止めるためには、この一夜城が的に取って捨て置けぬものであると示さねばならない。
「そのためには、ここで敵を少しでも討ち取ること! いざ!」
「ああ、付け入る隙は欠片とて与えない!」
 頼門と雪人は互いをカバーするように立ち回り、チカは大技でもって敵の進軍を阻むのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【泥濘の地】LV2が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!

音羽・華楠
戦場全体を俯瞰出来る位置取りを心掛け、戦況の正確な把握に注力を。

これだけの大軍です。
総指揮官は島津惟新斎だとしても、分けられた部隊毎に指揮を担当する個体が居ると考えます。
戦場全体の俯瞰でそういった個体を発見し、優先して撃破することで、敵軍の動きに乱れを生むことも出来るかもしれません。
それを狙います。

ですが、こちらの城がハリボテ同然だとばれたら、敵は私たちを無視して内城への進軍を再開するでしょう。
それを避ける為にも、こちらの城へ近付き過ぎてる個体が居るなら、上記の方針よりもその個体の撃破を優先します。

攻撃には《雷幻想・酒精》を。
鬼面赤備衆も惟新斎も、見た目は鬼っぽいですし。
先日死んだ酒呑童子の逸話にある通り、鬼は酒に酔わされて討たれるのが常道です。
それになぞらえましょう。

また、【通信障害】の展開を。
万が一にも島津義久と連絡を取られないように。
……義久決戦の方で既に【通信障害】は使われてますが、こちらでも使った方が安全なはずです。

義久決戦へのこの横槍に、私、割りと本気で怒ってますのでっ。


エレオノーラ・アーベントロート
うふふ。これぞ戦争ですわね、盛り上がって来ましたわ!
全員をスクラップにするのはほぼ不可能――なんてお話ですけれど、逃がす理由も必要もないのでしょう?
であれば、いつもとやることは変わりませんわ。

電磁レールガン「フェアレーター」を手に戦闘。
陣形は城を背に守るような陣形で。守らないといけない何かがあると思わせましょう。
投射後炎の槍のような形状になる「第五十二の魔弾【炎槍】」を投射。迫る鬼面赤備衆を貫き、焼き尽くしましょう。
後衛から遠距離攻撃で戦う復讐者が他にもいれば、陣形は横並びで。
前衛の援護をしつつ、抜けてきた連中を倒す最後の防衛線になりましょう。

増殖する飛翔斬撃に対してはフェアレーターを盾のように使い防御。
うふふ、機械化ドイツ帝国の兵器は頑丈ですの、この城と同じように。

まだまだ、こんなものじゃありませんわよね?
3割程度が死ねば全滅――なんてよく言われますけれど。
文字通り全員滅ぶまで、愉しみましょう?


鈍・長巻
※アドリブ連携歓迎

島津の赤鬼共が、城に釣られて押し寄せてくるこの感じ、まるで天魔武者ホイホイだな。
なるほど、天魔武者の連中にとって、城の存在は余程重要であるらしい。
だが此方の準備は万端だ、派手にもてなしてやろうじゃないか。

この戦い、重要なのは仲間が作った城壁の存在だ。
上手く活かして戦えば、戦いも有利に運べそうだな。
先ずは【建物復元】の効果を使い、城壁を破壊され難くさせておくのは重要か。
そして破壊されても、効果で破壊前に戻し、堅牢な城壁を維持し続けて戦おう。

城には張り子の大砲もあったな。
ならばパラドクスで偽物を本物にしてやろうじゃないか。

敵の飛翔し増殖する斬撃に対して、城壁を利用して防御を固めつつ、『八紘一宇砲』のパラドクスを使用する。
城壁の上に超巨大な艦砲を具現化し、城へ攻め寄せる敵群を圧倒する様な、苛烈な連続砲撃を仕掛けていこう。

【パラドクス通信】で仲間とも連携し、油断なく迎え撃つ。
特に近接戦で前に出ている仲間に対しては、後方からの砲撃で援護する。

来やがれ赤鬼共、残らず成敗してくれる!


風祭・天
おー…見渡す限り、島津十字の大軍じゃん☆
この大軍相手なシチュ、兄ちゃん達がやってたゲームで見た感がありありのあり☆ ってことで、天さんもゲームみたいに一騎当千にテンアゲしたるしー☆ レッツゴーゴー☆

とりあ、策を練ってる人たちの真意に気付かれんように前線で暴れ回る組も必要っしょ? 勿論、大軍相手に孤立したらぱおん案件だし、他に前線で暴れる人たちと足並みを合わせながら触れるを幸いにブッた斬り案件☆
このブッた斬り案件だけれど、撃破できそうな敵は、他の人たちも積極的に狙うだろうし、私は逆に元気な敵狙いだしー☆

パラドクスは伍式抜刀かにゃー☆ 術式でスパッと倒すのもよきよきなんだけれども、チェストな島津なら、近接戦を挑んで行く方が私の方に集まって来そうだしー? それと、後で決闘を挑むのなら、相手の決闘したい感をアゲしておかんとね☆

あ、そだそだ☆ よきよきな具合に暴れ回れて、天さんの方をちょっとでも注視した感があったら、あれ言っとこー☆
遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ!! ってヤツね☆


「うふふ。これぞ戦争ですわね、盛り上がって来ましたわ!」
 エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)は一夜城に釘付けになった大軍の赤備の具足を認め、己が胸から湧き上がるものを感じて、吐露する。
 敵の大軍は凄まじいものだ。
 数ばかりではない。
 その勢いもまた精強にして精鋭と呼ぶに相応しい武者たちばかりであった。
 これを全て撃破することはほぼ不可能。
 だが。
「だからといって、逃す理由も必要もないのでしょう?」
「ほんとねー☆ 見渡す限り、島津十字の大軍じゃん☆ こんな大軍相手のシチュ、逃す手はないじゃん☆」
 風祭・天(逢佛殺佛・g08672)もまた胸に戦意漲るディアボロスであった。
 大軍を前に足がすくむまでもない。
 震えるのは武者震いゆえ。
 兄たちが興じていたテレビゲームで見たような光景だ。それよりも迫力がましているように思えなくもない。
 あのゲームのように一騎当千たる戦いができるのならば。
「天さん、テンアゲだしー☆」
「いつもとやることは変わりませんわ」
「んじゃ、城壁の守り、よろよろ☆」
「如何になさいます?」
「とーぜん☆」
 天はにこりと笑って、駆け出した。

「天さんの暴れ具合、とくとご覧そうらえ☆」
 天は前線の仲間たちの戦いに加勢するように走り出し、そのパラドクスの光を放つ。
 伍式抜刀「徳叉迦」(ゴシキバットウ「トクシャカ」)。
 それは居合に置いてある種、異端。
 斬撃の走る様は、急所をなぞるようであり、一切の無駄のない軌跡を描きながらトループス級『鬼面赤備衆』たちの首を両断していくのだ。
「よかっ! なんちゅう剣技か! 武者震いがすっ!」
「アハハ☆ よきよき☆」
 天は己が居合の斬撃に目を見開いた『鬼面赤備衆』たちが一斉に、己に惹きつけられたのを理解して笑った。
 大軍相手の孤立するのならば、袋叩きに合うだけだ。
 故に立ち回りは、足並みを合わせなければならない。
 それは最前線で戦う者たちばかとではない。
 そう、己の背中を任せた仲間たちとの連携もまた必須なのだ。

「島津の赤鬼共が、城につられて押し寄せててくる。この感じ、まるで天魔武者ホイホイだな」
 鈍・長巻(ある雨の日の復讐者・g03749)は、やはり天魔武者は『城』を無視できない性質があるのだと改めて理解した。
 彼らにとって『城』とはよほど重要なものなのだろう。 
 故に、此方の準備は万端だ。
「仲間たちが作ってくれたからな」
「ですが、城壁に近づかせすぎるのも禁物です。こちらの城がハリボテ同然だとバレたら……」
 長巻の言葉に音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は危機感を募らせていた。
 確かに敵を誘引することには成功していた。
 だがしかし、だ。
 敵も馬鹿ではないだろう。

 この鹿児島一夜城がハリボテの城壁しかない城だと知れたのならば、反転し即座に内城救援に向かうかもしれない。
 そうなってしまえば、大軍率いるジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』との決戦に持ち込むことはできない。
 ならばこそ、彼女はここで敵を城壁に近づけさせすぎないことを優先する。
「雷幻想・酒精(ファンタズム・ディオニュソス)……彼らの意匠、見た目は鬼っぽいのもあいrますし、こういうのはどうでしょう?」
 鬼は酒に酔わされて討たれるのが常道。 
 であるのならば、此度は鬼退治。
 なぞらえるようにして放たれた彼女のパラドクスは、『鬼面赤備衆』たちの駆体に走る命令伝達系統に影響を及ぼすだろう。
「酒を飲んやわけでもなかどん目が回っ……!?」
「千鳥足担っている場合じゃあ、ありませんことよ?」
 それはエレオノーラの放った電磁レールガン『フェアレーター』より放たれた炎の魔弾。
 第五十二の魔弾【炎槍】(ツヴァイウントフュンフツィヒステ・フライクーゲル)は、正しくその名の通り、炎の槍のように『鬼面赤備衆』たちに飛来し、その湛えられた膨大なる炎を撒き散らしながら、その駆体を溶解させるのだ。
「敵の動きは単純です! ここで敵を抑え込みましょう!」
 華楠の言葉に応えるようにエレオノーラのパラドクスが炎の魔弾を解き放つ。
「前線の援護を。抜けてきた連中は……!」
「任せてもらおう。派手にもてなしてやろうじゃないか」
 長巻は、エレオノーラたちの砲撃を抜けて迫る『鬼面赤備衆』たちを見やる。

 確かに己たちが築き上げた城壁は堅牢かもしれない。
 だが、この白がハリボテであることを看破されてはならない。
 そして、この一夜城にはハリボテとは言え、大筒が備えられている。
「この張り子の大砲を本物にしてな!」
 長巻の瞳がパラドクスに輝く。
 八紘一宇砲……それはパラドクスによる砲撃。
 しかし、城壁の上から長巻は敵軍を見据えていた。
 確かに張り子の大砲でしかない。
 けれど、本物に見せるには、その射角というものが重要になる。
 ディアボロスたちの防衛線を踏み越えてきた『鬼面赤備衆』たちは見ただろう。己たちの頭上に迫る砲撃の苛烈さを。

「来やがれ赤鬼共、残らず成敗してくれる!」
「クッ、砲撃が激しかっ! あの大砲か!」
 己達を打ち据える砲撃の苛烈さに『鬼面赤備衆』たちは呻く。
「まだまだおかわりはありますわよ?」
 エレオノーラの砲撃が飛び、『鬼面赤備衆』たちは、歯噛みすれど、立ち止まることはなかった。
「そいならば、全部叩き切っのみよ!!」
「あら、こんなものじゃあ、機械化ドイツ帝国の兵器は叩き切ることなどできませんわよ? この城と同じように」
 迫る斬撃をエレオノーラは己が電磁レールガンで受け止め、その駆体を弾き返す。
「なんかぁ!!」
「まだまだこんなものじゃあありませんわよね? 三割程度が死ねば全滅――なんてよく言われますけれど」

 さらに前線で敵を惹きつける天は、血風荒ぶような戦いのさなかにあって、いつものように笑い続ける。
「あ、そだそだ☆ あれ言っとこー☆」
 天は居合の構えを解いて、己が指で持って空を示す。
「遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ!! ってね☆」
「おい達より目立って許せん!!」
「アゲてんじゃん☆ でも、やらせないよ☆」
 響くは剣戟の音。
 刀と刀が火花散らし、互いの生存をかけて戦う様は、合戦の華とも言えただろう。
 その苛烈さの中、華楠は、この軍勢が『龍伯』島津義久との決戦に横槍を入れられぬようにと残留効果【通信障害】を手繰り寄せる。

「決戦への横槍は許しません。私、割と本気で怒ってますのでっ」
 パラドクスが明滅する戦場。
 それはディアボロスたちに趨勢が傾きつつある証明でもあった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【通信障害】がLV2になった!
【防衛ライン】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
【ダブル】がLV2になった!

ハニエル・フェニックス
うーん、多い……!
あんまりにも多すぎて、他に言葉が出て来ない!
でも敵の大将と戦うためには、敵にこの大軍勢を倒し尽くしちゃうかもって思わせなきゃなんだよね。
そーゆー事ならやる事は一つ。
倒して倒して倒す、それだけだよね!

よーし、それじゃ相手の流儀に則って私も刀で勝負だ!
大上段からの一刀両断……この技、結構薩摩の人の戦い方っぽくない?
真正面から突っ込んで勝負を挑めば、あの好戦的な感じの人達も私に注目してくれるかな。
お城よりもまず目の前の首の方を取りたいってタイプな気がするしね!
居合と飛ぶ斬撃はどうともし難いけど、私のオーラとタフさとガードアップで少しは耐えられるはず。
無闇に逃げずに立ち向かって、相手にもしっかり戦って貰おうかな!
泥濘の地で歩みが遅くなってくれれば注目度もよりアップ、かもね。
どのくらい戦えるかは分からないけど、とりあえずガードアップを重ねる事には意味があるはず。
さぁ、まとめてかかって来なさい!
誰からでも相手になるよ!


月見里・千隼
※連携、アドリブ歓迎


赤備の天魔武者どもが大軍で押し寄せる様は
まるでうねる真紅の竜か氾濫する血の河のようだ。

一夜城と言う火に飛んで入る夏の島津どもは焼き尽くすが如く次々と討ち取ってやるかね。
惟新斎をディアボロスの猛威によって
今生最大の窮地へと追い詰め
最前の戦舞台へと引き摺り出す為にな!

さて、ここは敢えて『明う暗う猫』で赤鬼退治といこう。
猫マジムンに食われ闇の魔力の弾玉の餌食になりながらも
豊久から鹵獲した天岑昌運に斬られるとは島津らとして
ある意味、自業自得で皮肉極まる末路だな。

加速して俺へと向かってくるなら一夜城や城壁から遠ざけるように陽動してからの
容赦なく撃ち抜き、ずんばらりと薙ぎ払ってしまうまで!

反撃は【ガードアップ】で固め身構えてからの天岑昌運でいなし防御して
致命傷にならないように可能な限りダメージを抑えるぞ。

戦局の変化など何かで揺らげば【パラドクス通信】で
情報共有し仲間達と連携し次の一手へと繋ぐ。

鬼を狩る銃の音、刃の風切り音、聞こえたか?
次は惟新斎…貴様がくたばる番だ。


金刺・鞆
ロキシアさま(g07258)と共に、いくさばを駆けましょう。

おびただしいほどの軍勢……こちらの優位を誇示しながら相手取るのは少々骨が折れそうです。
ディアボロスが余程大挙して押し寄せない限り殲滅は難しいと見るべきですが、此度の目的は大将首を盤上に誘い出し討つこと……ですね?
であれば、『余力を残しながら堅実に数を減らす』のがよろしいかと。
殲滅も時間の問題であるのだと、そう思わせられたなら次なる一手に繋がるかと存じます。

そのためのちから、残留効果は着実に重なりつつあり――なればわたくしは、次へと繋げる攻めの布石を重ねましょう。
狙いを研ぎ澄ませ、技の応酬で弱った敵を中心に仕留めます。
一夜城のカラクリに気付かれぬよう、接近させぬことにも留意を。
戦場、敵味方の位置取り。ある程度を俯瞰で脳裏に描いて、わたくしの手が及ばぬ場には【パラドクス通信】で味方への協力要請も適宜行いたいですね。

用いるパラドクスは『氷鱗花』。
扇を奮えば凍てつく花弁の舞い踊り――いざ、御照覧あれ!


ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に
戦闘中は【パラドクス通信】を繋いどく
こっちは準備いーよ鞆ちゃん(g03964)

ちょっとした戦争の数だね
それでいて勝ってるって言わにゃなんだから
そういうこと。所々適切な手札を切って
立てた魔槍の石突側を蹴れば紅の円を描き
より長く元気に踊ってみせようじゃないの
びたり、切っ先を軍勢へ

僕が一発喰らわせるから、飛び込んですぱっとお願い
言うやいなや踏み込みに舞う黒羽は翊の行使
感情が敵を向いた証であり。須臾の疾駆をより華麗にも魅せ
此処に二つとない傾(かぶ)き、三途の道行きに持ってきな!
振るわれる黒の連斬が栄光の光と共に戦場を染めゆく

初撃を当てた後通信越しに味方へ通達
グロリアス追加入れました!攻勢に出れる方はよろしくどうぞ!

反撃に際しては残心から槍を構え直し
何度も戦ってる相手、光より速く覚悟出来てるよ!
受け、後退る段に
来いやぁ!なーんて、ね!
迫る敵へ【防衛ライン】又は【泥濘の地】を展開
鞆ちゃん!
鈍らせた敵を刺す好機へ繋ぐ!
いいね、綺麗に決まってる!
押せ押せで盛り上げて、釘付けにするよ!


 風を切る音が聞こえる。
 恐ろしげな音に聞こえたのならば、それは赤い具足が一塊の暴風へと変貌したように相対する者に思わせたからであろう。
 響くは風斬り音よりも恐ろしい猿叫。
 金切り声とも叫び声とも鬨の声とも言えない、ただ裂帛の気合のみならず、その身に満たす一切合切を迸らせるような音だった。
 しかし、トループス級『鬼面赤備衆』らは、それをただの音とはしていなかった。
 走るは刃。
 鈍色の鋼。
 迫る斬撃の嵐を前にして、ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)は、迫る大軍はちょっとした戦争のそれだと思った。
 背にするのは一夜城。
 城壁以外は虚仮威しの張りぼてである。
 これを敵に悟らせず、そしてこちらが優勢であると示して見せなければんあらぬ無理難題。
 手にした槍の石突が地面を打ち据え、そしてつるりとした革が合皮かの靴が軽く払うようにして、その穂先から紅の円を描いた。
 手にした槍は鈍色の斬撃の嵐を前にしてパラドクスの輝きを放っていた。
「より長く元気に踊ってみせようじゃないの」
 煌きたる切っ先が示すは軍勢の先駆け。
「鞆ちゃん、僕が一発食らわせるから、飛び込んですぱっとお願い」
 鞆ちゃん、とよんだ金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)の答えを待つまでもなく、ロキシアは駆け出していた。
「来っか! ディアボロス! 単騎駆けとはよかっ!」
 迸る閃光のような居合の一閃とロキシアの槍の切っ先が激突して火花を散らす。
 刃の音が響く。
「此処に二つとない傾(かぶ)き、三途の道行きに持ってきな!」
 払われた斬撃が翻り、『鬼面赤備衆』の鉄の駆体を切り裂く。
「……花よ」
 そして、切り裂かれて体制を崩した駆体に迫るのは、氷鱗花(・)であった。
 宙を舞うようにして鞆の放ったパラドクスがロキシアの斬撃に合わせて、一夜城に迫る『鬼面赤備衆』の駆体を切り裂いたのだ。

 敵の軍勢は大軍。
 おびただしいと感じるほどの数だ。この数を前に己たちは優位を誇示しなければならない。
「いくさばを駆けましょう」
「もっちろん! 道先案内人はお任せ!」
 ロキシアの背を追うようにして鞆もまたサーヴァントであるモーラット・コミュ『いぬ』と共に城壁から離れる。
 肝要なのは、敵に一夜城が張りぼてであることを悟らせぬこと。
 であれば、城壁を突破させてはならないし、距離を詰めさせてもらならない。
 此度の目的はただ一つ。
 この軍勢を率いるジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』を決戦に誘い出し、討つことである。
 故に堅実に敵の数を減らす。
 その方針を取るのは当然のこと。しかし、問題は敵が精強にして精鋭であること。そして、その数が多いということ。
「ですが、此方も残留効果は着実に重なりつつあります。わたくしたちは、次へとつなげる攻めの布石となりましょう。ロキシアさま」
「うん! 攻勢に出れる方はよろしくどうぞ!」
 鞆と共に戦場を駆け抜けながら、ロキシアは残留効果【パラドクス通信】を手繰り寄せて、声を届かせた。

 ここからだ。
「うーん、多い……!」
 ロキシアの声の先にて、ハニエル・フェニックス(第七の天使・g00897)は思わずうめいていた。
 あまりにも敵軍の数が多すぎる。 
 それ故に他に言葉が出てこないのだ。
「まるで真紅の竜か氾濫する血河のようだな」
 ハニエルの言葉に月見里・千隼(硝煙と魔弾の騎手/現代ラストジョッキー・g03438)はそう例えた。
「だが、一夜城という火に飛んでくる夏の島津どもは、焼き尽くすがごとく討ち取ってやるかね」
「うん、敵の大将にこの大軍勢を倒し尽くしちゃうかもって思わせなきゃ! そーゆーことなら、やることは一つ」
「ああ。そのとおりだ」
 先駆けた仲間たちが切り拓いた道は、すでに『鬼面赤備衆』たちの数の暴威によって閉じられんとしていた。
 やはり、数が圧倒的なのだ。

 だが、示してみせんとすうるように千隼のパラドクスが瞳に煌めく。
「貴様に光は無い、一寸先は黄昏の闇」
 明う暗う猫(アコークローマヤー)が戦場に走る。
 それはパラドクスに寄って召喚された猫マジムン達。
 閃く爪が『鬼面赤備衆』たちの鉄の駆体を切り裂き、さらに千隼は手にした島津に所縁ある刀を振るう。
「豊久から鹵獲した天岑昌運に斬られるとは島津らとして、ある意味、自業自得で皮肉極まる末路だな」
「今、なんてゆた?」
「この刃の銘は『天岑昌運』。ディアボロスが討ち取りし『島津豊久』が太刀!」
 注ぎ込まれた魔力が炎へと変じて、一閃にて『鬼面赤備衆』の駆体を薙ぎ払う。

「ひゃー、派手だね! さあ、恐れないなら来いやぁ! なーんて、ね!」
「こちらも、はでにまりましょう。扇を奮えば凍てつく花弁の舞い踊り――いざ、御照覧あれ!」
 ロキシアと鞆がパラドクスの煌きを示す。
 埋もれるような軍勢の中にあって、ここだと示すように煌めいた魔槍の赤と氷の華の乱舞。
 その最中に生まれるのは、大輪の破壊の華である。
 標とする華めがけて、ハニエルは大上段からの赤き拵えの太刀の斬撃にパラドクスの光を宿して、振り下ろした。
「『朱鳥』!」
 銘刻まれた刀身の残光が消えゆく頃には、既に『鬼面赤備衆』の体躯は真っ二つに両断されていた。
 しかし、それでも迫るは敵の群れ。
「おなごだてらにえ戦いぶりじゃ!」
「でしょぉ? 結構、薩摩の人の戦い方っぽいでしょ!」
「じゃが、まだ生命捨つっような戦い方ではなか! 生命捨つっとは、こげんすっと!!」
 ハニエルは見ただろう。
 己がパラドクスに一撃を受けてなお、更に恐れなく次なる『鬼面赤備衆』たちが迫る様を。
 居合は飛翔の加速と共にさらなる威力を底上げするように斬撃をハニエルへと叩き込んでいた。
 己が手にした太刀でなければへし折られていただろう。
 そう思わせるほどの重さがあったのだ。

「っ、ぐ……でもさ!」
 沈み込む足。
 手繰り寄せた残留効果【泥濘の地】によって『鬼面赤備衆』の足元が沈み込む。
 ぐらりと体勢が揺らいだ瞬間、ハニエルの斬撃が横一閃に放たれ、その駆体が弾け飛ぶ。
「無闇矢鱈と逃げるつもりなんてないよ! ハニィちゃんはここだよ! まとめてかかってきなさい! 誰からでも相手になるよ!」
「敵の攻勢は強烈……だが、ここで押し留める」
 ハニエルの斬撃が閃く中、千隼もまた手にした太刀の炎を噴出させながら、その切っ先を大軍へと示す。
「鬼を狩る銃の音、刃の風切音、聞こえたか?」
 次は、と言うように波のように迫る赤き具足を切り裂きながら、戦いの趨勢をディアボロス側へと確実にひきよせるのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【無鍵空間】LV1が発生!
【悲劇感知】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
【グロリアス】がLV2になった!

伊佐沼・チカ
悪ぃおさむらいさん達、たっくさん倒したってぇのに、ちっとも減ってる気がしねぇのです
敵さんが、この戦に目一杯の力をつぎ込んでる、ってぇのがよく分かります
……それはチカ達だっておんなじです。ぜってぇに、負けません!

ねめしす形態!からくりで出来た体、丸ごと紅い鋼の具足になります
チカ、皆を護れる、強ぇおさむらいさんになるのです!

いや増した力、≪天魔鎚『山崩』≫を握る腕にぜぇんぶ込めます
鎚の頭から噴き出す炎の勢いで、ぐるんぐるん回って、『天魔機構・山嵐』です!
勢いよく振り回す鎚で敵さんをぶん殴って、叩き潰したり、他の敵さんにぶつけたりします
一発で仕留められなくても、後ろの敵さんも巻き込んで吹き飛ばして、城から遠ざけるのです
おぉぉぉぉりゃぁぁぁぁ!!ぶっ、とん、ぢまえーーーーっ!!!

反撃が来たら、敵さんの刀を叩いて払い、飛ぶ一閃はまた≪天魔障壁『羽衣』≫で防ぎます
そろそろ手傷が多くなってくる頃ですから、【ガードアップ】も使っときましょう
ちっとでも長く耐えられれば、そんだけたくさんの首を獲れるのです!


音羽・華楠
まだ足りてませんか……!
もっと敵軍に被害を与え、本来の目的である義久救援に支障が出ると思わせないと、惟新斎は決闘に応じないでしょう……。
少なくとも、惟新斎自身が最前線へ出てこざるを得ないくらい、こちらが優勢でないと……!!

ネメシス形態発動。
狐耳と尻尾が消え、黒髪黒瞳の人間の姿に。

ネメシス形態の力を上乗せし、《雷幻想・蜈蚣》を発動。
雷の大百足の式神を顕現させ、敵軍へ突撃させます!
敵軍の動きは単純、真っ直ぐにこちらへ突っ込んでくる形――
なら、《蜈蚣》は敵軍の側面に回り込ませ、軍勢の横腹を食い破らせます!
定石的な戦術ですが……定石は効果が高いから定石なんです!!

引き続き戦場全体を俯瞰出来る位置取りを心掛け、戦況の正確な把握に重点を。
……惟新斎にも注意し、動きがあれば【パラドクス通信】で味方と共有します。

……そういえば、レーネマクダさんの予知の中で、惟新斎は自分と義久を龍二匹と喩えてましたが――

龍では大百足は倒せませんよ?

助けを求めるべき俵藤太は天正大戦国には居ません!
地に這いなさい、島津龍!!


宇都宮・行
少しずつ趨勢が傾きつつありますが、ここで油断しないことが大切ですね
引き続き戦場に立ちましょう

◆行動方針
パラドクス通信で味方と連携を図ります
乱戦気味な状況にあるため、こちらの戦力が足りていない所を補うような行動を試みます

◆残留効果の狙い
損害を減らしつつ敵を倒すためには先制攻撃が肝心、故に【先行率アップ】を用います
万が一、戦線を突破されそうになった際はためらわず【防衛ライン】を使います

◆戦闘
数には数をと、不屈の闘志を見せて『インビンシブル・レジメント』を発動します
「この地で苦しむ人々を救うため、私たちは決して負けません!」
幻影は戦国時代の兵士のような姿を取らせ、槍で迎撃を行わせます
また、パラドクスとはいえ、こちらにも大量に兵士がいることを示し、更に『城』の存在に説得力を持たせられるかもしれません
私も竜骸剣『日光』を振るいながら、幻影の兵士達に指示して多対一の状況を作り、戦線を維持しつつ弱った敵を優先して狙いましょう

さて、この状況、島津惟新斎はどう見ているのでしょうか

※共闘・アドリブ歓迎します


瀬鍔・頼門
この大軍相手に私も出し惜しみはせぬ。あの鬼島津の目もこちらに向けさせなければならん…!

ネメシスモードを発動。
納めた太刀の鯉口を切ると妖刀の闇に包まれるも、閃光と共に新たな甲冑姿で踏み出でる

仲間との連携協力も積極的に。
前線で甲冑姿で突撃しつつネメシス強化された重藤の弓による【龍田ノ息吹】を撃ち回る

肩部の左右前後4基の大袖鎧は意志のまま盾代わりに稼動し、敵の攻撃を受ける・受け流す・弾く等の防御行動を【反撃アップ】【ガードアップ】を意識し行う。

鬼面武者の斬撃を大袖鎧によって防ぎつつ、進路上の敵を薙ぎ倒しながら敵隊列を押し込むなどして荒らし回りたい。

【パラドクス通信】による仲間からの情報も変わらず気を払い、どこを突撃し荒らしていくかを考慮する

坂東武者の意地、薩摩の地にて見せてくれよう…!さあ、薩摩隼人ども、翔ぶが如く!参るぞ!


「此方に趨勢が傾きつつあります。が……」
 宇都宮・行(一般的な地方公務員・g03895)は戦況を俯瞰して見ていた。
 迫るは赤き具足の大河。
 唸る竜のように迫るトループス級『鬼面赤備衆』の大軍は、正しく精強にして精鋭の兵たちであることを示すように、ディアボロスに打倒されても士気衰える気配なく、我が身を砲弾とするかのように鹿児島一夜城へと迫っていた。
 苛烈な猛攻。
 彼らからすれば、ここまで時間のかかるものであるとは思えなかっただろう。
 だが、それさえも島津の兵たちには些細な問題であった。
 僅かな時で城を落とせぬのならば、落とすことができるまで前進し続ければよい。
 狂気にも似た進撃。
 己が生命など消耗品としか考えぬ突撃に行は、やはりと息を呑んだ。
「ここで油断はできませんね。すでに乱戦気味……御三方、頼めますか!」
 手繰り寄せた残留効果【パラドクス通信】の先に、瀬鍔・頼門(あかとき闢く忌刀舎人・g07120)、音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)、伊佐沼・チカ(土興しの鎚・g08514)がいた。

 三人は短く頷いた。
「敵の本来の目的は、内城救援……それに支障がきたすと思わせるほどでなければ、精矛厳建雄命『島津惟新斎』は決闘に応じないでしょう……少なくとも、彼自身の武勇持って戦線を突き崩さねばならぬほどに此方が優勢ではないと……!!」
 華楠は現状をそう判断していた。
 故に。
「出し惜しみはせぬ」
 頼門もまた同じ意見であった。
「悪ぃおさむらいさん達、たっくさん倒したってぇのに、ちっとも減ってる気がしねぇのです」
 チカは迫る敵の暴威に、敵がまた本気であることを理解していた。
 故に、これ以上立ち止まってはいられない。
 総判断したのだ。
 故に、行は力強く頷いた。
「この地で苦しむ人々を救うため、私達は決して負けません!」
 行の瞳がパラドクスに輝く。

「私が嚆矢となりましょう。皆さん……頼みます!」
 インビンシブル・レジメント。
 生み出された幻影の兵士たち。
 戦国時代を思わせる甲冑兵士たちの幻影が行と共に一夜城の城壁から走り出す。
 手にした竜骸剣『日光』の刀身が、その銘を示すように煌き、『鬼面赤備衆』と打ち合う。
「どうあってん退かん理由があっと見ゆっな、ディアボロス!」
「ええ、天魔武者の圧政、どうあっても許しがたいことです。故に!」
 迫る斬撃を受け止め、弾き返しながら行は敵を押し返すようにしてパラドクスの輝き灯す瞳と共に叫んだ。
「ここであなた方を止める!」
 そのために己は嚆矢となって道を切り拓いた。

 この状況を精矛厳建雄命『島津惟新斎』はどう見ているか。
 わからない。
 だが、捨て置けぬ状況であることには違いないだろう。であれば、やはり示すは武勇である。
「わいらを捨て置っことなどでくっはずもなか。ここで必ず首を取らせてもらう!!」
「……それはチカ達だっておんなじです。ぜってぇに負けません!」
「ネメシス!!」
 行の背後で復讐の女神の名を冠する形態へと変貌した三人のディアボロスが放つ光が、炎のように立ち上った。
 それは篝火のようであったし、鹿児島一夜城に迫る島津の大軍勢の全ての目を惹きつけるほどに鮮烈であった。

 篝火の中心にあったのは、黒髪黒瞳の人間だった。
 ただの人間。
 しかし、漲る力は、復讐の炎によって増幅させられていた。
「出で参れ、死体を裂く者、怒りに燃えて臥す者、嘲笑う虐殺者よ――オン・ベイシラマンダヤ・ソワカ!!」
 島津の大軍が大蛇、竜に例えられるのならば、華楠の放つパラドクスが生み出したのは雷の化身。
 巨大な百足。
 雷幻想・蜈蚣(ファンタズム・ニーズヘッグ)は、その巨躯をうねらせるようにして、迫る『鬼面赤備衆』の体躯、その横っ腹へと食らいつくように、まるで鞭のようにしなって吹き飛ばす。
「竜では、大百足は倒せませんよ?」
 華楠は、島津の軍勢を竜であると言う精矛厳建雄命『島津惟新斎』に合わせて己が生み出した雷の大百足でもって打倒しながら、ここには遥か昔の御伽噺に出てくる英雄など存在しないことを知らしめるように叫ぶ。
「地に這いなさい、島津龍!!」
 のたうつ雷の大百足が赤き具足を砕きながら、戦場にそのパラドクスの力を示す。

 そして、その雷が迸る戦場に『鬼面赤備衆』たちの具足よりも真紅の装甲を持つカラクリの駆体が走った。
 鋼の駆体。
 ネメシス形態へと変貌したチカである。 
 手にするのは天魔鎚『山崩』。
 噴出する炎が弧を描いたのは、彼女の腕が鎚に振り回されていた……からではない。
 重量、そして振るう天魔鎚より放たれる噴射の推力。
 それらはまごうこと無き圧倒的な出力である。
 しかしながら、ネメシス形態へと変貌したチカの膂力は、恐るべきことにこれらに振り回されることなく振り回し、赤き嵐となって天魔武者たちを巻き込んで吹き飛ばしていくのだ。
「おぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ!! ぶっ、とん、ぢまえ――っ!!!」
 天魔機構・山嵐(テンマキコウ・ヤマアラシ)。
 それは彼女の渾身の一撃である。
 如何なる勢いに乗る『鬼面赤備衆』とて、その赤き嵐を前にして踏みこらえることなぞできなかっただろう。

 赤き嵐は雷と共に戦場を飲み込み、赤き龍の如き軍勢をえぐるように吹き飛ばす。
 生み出されるは轍にして道。
 その嵐と雷の元にあるのは、一騎の甲冑武者。
 引き絞るは、重藤の弓。
「落つることなく、弾むことなく、逸るることなく!」
 頼門である。
 彼もまたネメシス形態へと変貌したディアボロス。
「さすっか! ディアボロス! 勢いには乗らせん!!」
 肩部の大袖鎧が振り抜かれた斬撃を受け取めた。
 その斬撃の重さは生命の重さそのものであることは承知の上であった。受ければ、衝撃で鎧ごと叩き伏せるような鋭さと重さを持っていた。
 しかし、頼門の体は些かも揺らぐことはなかった。

「ん、なぁ!? なんか、この巨木んごつ武者はぁ!?」
「我が身は怨太刀御せし枷とせん。魂魄潰えし末世までも……龍田ノ息吹(タツタノイブキ)!」
 そう己が体躯は、坂東武者の意地。
 遠く放たれた薩摩の地においても些かも変わることはない。
「さあ、薩摩隼人ども、翔ぶが如く! 参るぞ!」
 放たれるは、矢継ぎ早に放たれし三矢。
 それは赤き嵐と雷とを巻き込みながら、旋風のように『鬼面赤備衆』たちを一瞬で射抜く。
 剛弓、旋風そのものと矢を為す。

 その戦いぶりを見た者は、もしも戦に生きることを宿命付けられたことを知る者であったのならば。
「よか武者振りじゃぁ!!」
 轟雷のように響き渡る声。
 それは大軍を指揮していた精矛厳建雄命『島津惟新斎』の声であった。
 理解している。
 己が内城救援を急ぐことは。
 故に歯がゆい。
 これだけの武者たちを前にして道急がねばならぬことを。
 しかし、優先すべきことはある。
 薩摩国の行く末がこの戦にかかっていることは重々承知している。故に精矛厳建雄命『島津惟新斎』は、座す。

 ディアボロスたちの活躍は、十二分に島津の大軍との戦いを優勢に進めている。
 後は、精矛厳建雄命『島津惟新斎』に決闘の誘いをもって手繰り寄せるのみ。
 如何なる言葉をもって決闘を誘うべきか。
 はたまた、激昂を誘うか。
 同じく武者としての矜持に訴えるか。
 幾つもの言葉がディアボロスたちの中に浮かぶことだろう。
 鹿児島一夜城の攻略を精矛厳建雄命『島津惟新斎』が諦める決断をするのが先か、それとも決戦を持って全てを決するか。
 今、ディアボロスたちは決断しなければならないのだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【照明】がLV2になった!
【温熱適応】LV1が発生!
【防衛ライン】がLV3になった!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV4になった!

文月・雪人
【雨月】
※アドリブ連携歓迎

決戦に向けた口上は仲間が上げてくれている。
ならば其方は任せ、此方は配下の殲滅に動くとしよう。

元より全て撃破するのは難しいとされていた、大群相手の鹿児島城防衛戦。
それを完遂すれば、援軍とする筈の軍を失った島津惟新斎の面目は丸潰れだ。
最早退く道などないのだと知らしめる意味でも、大軍を殲滅するべく打って出る。

島津の兵は強靭だ、ここで逃せば後々に影響もあるだろう。
例えば、薩摩攻略後に肥後のタラスクと合流されても厄介で、倒せる時に倒しておきたい。

行くぞ長巻、援護は任せた!

瞳を赤く染め、額に2本の赤い角を生やし、ネメシス形態へ移行。
前衛として打って出て、『無明轟刃』のパラドクスを使用する。

あれだけいた大軍も、既に終わりが見えている。
仲間と蓄積した残留効果の追い風もある中で、退くべき要素は最早ない。
雑念を払い、雪月花の刀を構える。
敵の殲滅、今為すべきはそれだけだ。
己の目に映る敵全ての動きを把握、疾風の如く薙ぎ払う。
一鬼刀閃の刃を弾き、【ダメージアップ】な攻撃を重ねていこう。


鈍・長巻
【雨月】
※アドリブ連携歓迎

城の防衛戦は優勢だ、島津惟新斎に決闘を挑むには十分な状況だろう。
しかし苛政を強いる島津の連中の厄介さは他と比べても群を抜いている。
あと一歩、倒し切る事で後の被害を少しでも減らせるならば、ここまで来て逃がす手は無い。

島津惟新斎への決闘の申し込みは仲間に任せ、俺は雪人と共に配下の殲滅に動くとしよう。
残留効果を蓄積する事で、後の決戦にも繋げていきたい。

(雪人の援護要請に軽く笑み返し)
言われなくても分かってるさ、砲撃の雨を降らせてやるから覚悟しろ!

苛政を敷く天魔武者への怒りを胸に、ネメシス形態へと変化。
デーモンの翼が消え、嘗ての人としての姿を取り戻す。

敵を城へ近づかせない様に、視野の広い後方から敵軍の動きを見極めて、
【パラドクス通信】で情報を共有。

【反撃アップ】で敵の斬撃を察知して【ガードアップ】で凌ぎつつ、
再び『八紘一宇砲』のパラドクスを使用する。
まるで城の大砲が本当にそこに存在しているかの様に、
超巨大な艦砲を具現化し、敵群へ向け圧倒する程の苛烈な砲撃を重ねていこう。


無堂・理央
大分優勢で敵兵の数も減ってるか。
なら、島津惟新斎への道を切り開く事は出来るかな?


無双馬『クロフサ』に騎乗して打って出るよ!
敵陣に斬り込んでって槍で敵を突き刺し薙ぎ払いクロフサの蹄で踏み潰しながらの前進!
向かうは島津惟新斎の座する敵陣の中!
群がる雑兵何するものぞ!と蹴散らかしながら島津惟新斎に決闘を申し込む人達の為に道を作ってくよ。

完全に敵陣を貫通して島津惟新斎の所に辿り着けたなら上等、そこまで行かなくても深く斬り込めれば、雑兵に邪魔されずに他の人達が決闘を申し込む為の挑発を仕掛けやすくなるはず。
それに打って出て敵陣深くまで斬り込めるって事実は鹿児島一夜城を迂回して内城に向かおうとすればディアボロスによる襲撃を受けると思わせれるでしょ。
内城側に向く偽造大砲に打って出る事すら出来るディアボロスと鹿児島一夜城を無視すれば更に被害が増えると思わせれば、決闘を申し込む側の成功率を底上げできると思ってる。
無視しても力押ししても被害が増える予測が立つ中での決闘申し入れ、優秀な将なら無視出来ないでしょ。


エレナ・バークリー
やれやれ、出遅れてしまいました。美味しいところは残っていますか?
薩摩国の命運をかけたこの一戦、微力ながら助勢しますよ。

派手に行きましょう。城壁の上に立ってパラドクスを使用します。
さあ、天よ、雷雲に満ちよ。
「全力魔法」「天候予測」「電撃使い」で、万象貫く天よりの雷霆を行使。
天魔武者を雷撃で焼いていきます。
こうすれば、敵兵の目は私に向いて、下で戦う皆さんへの圧力は減るんじゃないかなと。

反撃は、魔力障壁に「結界術」を重ねて、それでも抜けてくるものを盾籠手で弾き、精霊剣で斬り捨てて。
危険を感じたら、自ら後ろへ落ちましょう。そのためにマットをあらかじめ敷いておきます。
まあ、姿が見えなくても逆説連鎖戦では反撃が飛んできますが、能動的攻撃の対象にはならなくなるでしょう。

兵の殲滅まであと少し。どうせなら惟新斎を丸裸にしてやりましょう。
耐えられる限りは、城壁の上でパラドクスを使い続けますよ。
兵が片付いたら、惟新斎、あなたの番です。その次は内城の“龍伯”。島津ももうお仕舞いの時です。潔く散ってください。


 少しでも数を減らさねばならないと、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は思っていた。
 ジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』。
 彼が率いる軍勢は大軍勢。
 全てを打ち倒すことはできはしないだろう。だが、今後のことを考えるのならば、少しでも多く敵を打倒さなければならないと考えるのは自然であった。
 それにまだ精矛厳建雄命『島津惟新斎』は決戦に望んでいない。
 援軍の要たる大軍。
 これの多くを損失したとなれば、精矛厳建雄命『島津惟新斎』の面子は丸つぶれであるし、退路を断つ意味でも打って出るべきだと考えたのだ。
「島津の兵は強靭だ。ここで逃せば後々に影響もあるだろう」
「防衛線が優勢だけれど、ね。少しでも苛政の被害を減らせるならば、ここに来て逃す手はない」
 鈍・長巻(ある雨の日の復讐者・g03749)も同じ意見だった。

 大軍は雲霞のように。
 だからこそ、全てを倒し切ることは難しい。それに、倒しきれなくてもいい。
 己たちの戦いの軌跡は残留効果となって必ずや精矛厳建雄命『島津惟新斎』との決戦において力になるはずだからだ。
 繋ぐのがディアボロス。
 強固な鎖のように連なった力をたぐるのがディアボロス。
 その意気をもって二人は視線を向けた。
「行くぞ長巻、援護は任せた!」
「言われなくても分かってるさ、砲撃の雨を降らせてやるから覚悟しろ!」
 長巻は雪人の言葉に笑む。
 軽いやりとりだった。けれど、雪人はいつもどおりのやりとりだったからこそ、心が落ち着くのを感じた。
「ネメシス……!」
 雪人の瞳が赤く染まる。
 それは復讐の女神の名を冠する姿。
 額に生え揃うは一対の鬼の赤角。
 漲る力によって雪人は戦場を駆ける。相対するは、同じく具足の赤……トループス級『鬼面赤備衆』。
 そして、長巻もまたネメシス形態へと変貌する。
 デーモンの翼は消え、むしろ、それは頼りな鋳物に思えたかも知れない。
 嘗ての人としての姿。
 取り戻したその姿が彼のネメシス形態であった。
 だがしかし、その瞳に輝くパラドクスの輝きは、一際鮮烈そのものであったことだろう。

「良か兵士たちじゃな。だが、我らが退っことはなか。一歩たりともな!」
 走る剣閃を受け止めて雪人は火花を散らしながら、無明轟刃を疾風のごとく放った。
 パラドクスの輝きが背に満ちている。
 それは長巻の放ったパラドクスの砲撃の雨だった。
 宣言通りの八紘一宇砲。
 敵の鮮烈を薙ぎ払うような疾風の斬撃と轟雷の如き砲撃の雨。
 戦場に立ち上る爆煙の中を、無双馬が疾駆していた。
「味方優勢ってやつね! それにしたって敵軍の多い事多いこと!」
 無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)だった。
 彼女は、己がサーヴァント無双馬『クロフサ』を駆り、戦場を駆ける。
 走る黒き毛並みは、戦場において黒い稲妻のように敵陣を突破するように『鬼面赤備衆』と打ち合う。
 戦騎疾駆たるや、その勢いを止めようとする敵を踏みつけ、切り裂きながら彼女は叫ぶ。

「群がる雑兵なにするものぞ!」
 彼女の大立ち回り、敵陣にあって混乱よりも耳目を集めるものだった。
「よう! 女だてらにと褒めてやる! だが!」
 ここより先は活かせぬと立ちふさがる『鬼面赤備衆』たち。
 そのパラドクスの斬撃を受け止めながら、己が食い込んだ戦列にとどまる。
 こうして敵陣深くまで己が食い込めるという事実。
 それは鹿児島一夜城を放置、迂回して内城に進めば、こちらの襲撃を受けて戦列が崩されるという事実にほかならない。
 次なる被害を予想できない精矛厳建雄命『島津惟新斎』ではないだろう。
 ならばこそ、己達は少しでもこの大軍相手に壊滅できずとも、多大なる損害を与えることができるということを証明して見せなければならないのだ。
「能書きよりも、武功で示して欲しいわね!」
「なんかぁ!」
 打ち合う刃の音。

 そのさなかに、エレナ・バークリー(Highlander/Absolute Wish・g00090)は鹿児島一夜城の城壁の上から息を吐き出した。
「やれやれ、出遅れてしまいました。美味しいところは……残っていますか?」
 薩摩国の命運を掛けたこの一戦である。
 助力は微力であっても必要であろうと彼女はパラドクスに瞳を輝かせた。
「加勢といきましょう。さあ、天よ、雷雲に満ちよ!」
 万象貫く天よりの雷霆(バンショウツラヌクテンヨリノライテイ)が迸る。
 城壁から放たれる雷撃の一撃は、『鬼面赤備衆』たちの身を打ち据えるだろう。
 時空を歪める剣閃がエレナを襲う。
 衝撃が身を打ち据えるが、魔力の障壁で受け止める。
 身を打つ衝撃の凄まじさは、さすがは薩摩の軍勢と言えるだろう。精強たるを身を以て感じながらエレナは息を吐き出し、盾篭手でもって『鬼面赤備衆』を弾き返しながら、城壁の内側へと身を翻して再び城壁を利用してパラドクスの紫電を解き放つ。
「敵の軍勢に陰りはありませんが……しかし、決戦の横槍を入れさせぬためには、こうして!」
 戦い続ける。
「維新斎、あなたの番です。その次は内城の『龍伯』。島津ももうおしまいの時」
 潔さを求めるエレナは、追いすがる『鬼面赤備衆』と激しく鍔迫り合いながら、敵の大軍を相手取って戦い続ける。

「この中で決闘の申し入れは、無視できないはず。みんな、頼んだよ!」
 理央は『クロフサ』と共に戦場を駆け抜けながら、口上を上げる仲間たちを見ただろう。
 その勇ましき姿は、正しく雄々しいものだったはずだ。
 だが、まだ戦いは苛烈さを極める。
『鬼面赤備衆』たちの猿叫が鳴り響き、雪人が携えた刀でもって彼らと打ち合う。
「追い風は俺達に吹いている。退くべき要素はもはやない」
「ああ、このまま敵軍を蹴散らす!」
 巨大な艦砲。
 生み出したパラドクスによる砲撃。
 その砲撃が生み出す戦塵を切って、理央は駆け抜け、エレナの紫電が走り抜ける。

 未だ雲霞の如き大軍を霧散させることはかなわない。
 だが、それでも敵にとってディアボロスの脅威は様々と見せつけることができたはずだ。
 後は、仲間たちが精矛厳建雄命『島津惟新斎』を決戦に引きずり出すことのみ。
 そして、これを討ち取ることができれば、内城にて戦う仲間たちの援護にもなるだろう。そうすれば、薩摩国を取り戻すことができる。
 来る《戴冠の戦》まで時間は限られている。
 できうる限りのことをしなければという思いがあるからこそ、ディアボロスたちは、この敵の大軍を前にしても一歩も退くことなく戦い続け、数で劣る戦いでありながら、優勢に導いたのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【完全視界】LV1が発生!
【建物復元】がLV2になった!
【スーパーGPS】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV5になった!
【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
【アクティベイト】LV1が発生!

金刺・鞆
精矛厳建雄命『島津惟新斎』とお見受けする!
わが名は鞆。彼方平安の世にて信濃に栄えし金刺氏が末子、金刺鞆である!
遠き世にて鬼妖に敗れ、わが身も鬼子と成り果てた復讐者がひとり!

援軍として引き連れた手勢もよくよく精強なる天魔武者。
さすがは島津の名を冠する一派であると言えましょう。
――なれど、音に聞き刮目して見よ! われらが築きたるこの城を!
その城壁にすら辿り着けぬなれの手勢を! われらもまた頑強なる猛者である!
この場に集いたるディアボロスを葬る誉れと、この城を手中に収めたくはないか。
なれがわれらとの決戦に応じ、勝利したならば……われらは潔く退き、城を明け渡すと誓おう。

武者の誉れを投げ打って、それでも内城に向かうというのならば好きにせよ。
されど……鬼島津とは、かの龍伯の力と勝利とを疑う臆病者であったか、と。
その程度の武者であったのならば、確かに龍伯こと『島津義久』も援軍なくして復讐者と渡り合うなど到底不可能であろう。
臆病風に吹かれた龍二匹、笑い種としてこの世に語られるがよい!


ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に

応。そちらも!
声を張り上げる。槍は持たないけれど堂とした姿を見せ
薩摩の二つ龍の弟君!率いる武士もまた剛健だったよ!
僕らの城、僕らの復讐を圧さんとするその意気やよし!
正道のいくさで相手するなら、こちらも正道やらせて頂く!
決闘やる腹あるか、精矛厳建雄命『島津惟新斎』!
きみが勝てばこの場の全てをその手に掴ませてやる!
鹿児島城を、城の大事な砲ひっくるめて明け渡す!

兵の命掛けに会うて力を増すのが豊久の捨てがまり
民に繋がり苛政耐え抜く力を与えるのが義久の術
兵に民にと一塊で天下布武やるのが薩摩ならば
ディアボロスの城を落とせばきみだけじゃあない、薩摩の誉れだ
赤備たちの命も捨てがまりになる
諦めて退けばその逆だってのは、きみが一番理解っているはず
こっちだっておんなじだ。文化も戦法も違えど一塊で最終人類史
生きるか死ぬかの世界で鋭く磨かれた修羅の命!
復讐者に対し天辺に立つ益荒男の戦働きが龍頭足るものだと!
薩摩兵児と僕たちに見せてみろ!

ああ、名乗りは後ほど。刃金を鳴らす舞台まで惜しむもんでしょ


音羽・華楠
レーネマクダさんの予知の中で、惟新斎は義久を慕ってる様子でした。
内城で見た義久も、惟新斎を信頼してましたし。
その辺りを踏まえると、惟新斎の逆鱗は義久を貶められることなんじゃないかと推測します。
なので、義久を侮辱することで惟新斎を激昂させ、私たちとの決闘に誘導しましょう。


――温いですね。
琉球で戦った島津豊久やその配下と比べ、あまりに温いです。
惟新斎にも豊久ほどの怖さは感じません。
あの頃より私たちが強くなったにしても――
……あぁ、合点がいきました。

――義久の牙が抜け落ちたからですね。

……内城で垣間見た義久は、随分と次期断片の王に拘ってましたし。
徳川家康に次期断片の王候補という餌を与えられ、飼い慣らされて、牙を失ったということですか。
……大将の義久が牙を抜かれ、家康の飼い犬に成り下がったんですから、義久の配下のあなたたちだって牙が抜けますよね……。
死を恐れず戦場を駆ける獣だった島津勢が、牙を抜かれて飼い慣らされたわんわんに成り下がってるなんて……豊久もあの世で泣いてるでしょうね?
わぉ~んって。


瀬鍔・頼門
味方との連携を考慮して維新斎を引き留める
ネメシスモードの甲冑姿を維持し威儀威容も以て維新斎の目を引きたい

箙から鏑矢を取り出し、重藤の弓で維新斎の頭上上空へと撃ち放ち駆け寄っていく

【以下口上】
味方の美しき名乗りに遅れるわけにはいかぬ
さても時をうつすかな、ようやく見えたな島津維新斎!
我は平安の御代にて鬼狩りの令外官を賜りし坂東の住人、瀬鍔の頼門なり

お前が内城に入るならば我らはこの鹿児島城の大筒火砲にて内城そのものを撃ち崩していくまで。
だがそんな戦よりもここに打って出でし我らディアボロスは維新斎、お前と組み討つことを望んで出てきている
かの鬼島津と組み討つことができるならば、攻略の要たるこの城を明け渡すことすらみな考えるほどに。

見たであろう。今のぶつかり合いを。
聞いたであろう。敵味方の命の叫びを。
命惜しむな、名を惜しめ。お前も武者つはものとして育ったならば知らぬとは言わせぬ

その肩名に負いし精矛(くわしほこ)の矛とは如何なるものか、お前の集合せし薩摩隼人どもを屠った我らと今ここで!いざ組み示せ!


 鹿児島一夜城。
 はっきりと言えば、とジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』は侮っていた。
 それは認めるところである。
 己が不明を認める所でもあったが、しかし彼は冷静だった。
 これだけの大軍を前にしてあの見慣れぬ城は寡兵でありながらディアボロスは耐えたのだ。
 称賛に値する。 
「よか! よか兵士じゃっど! だが、それとこれとは別じゃ」
 そう、武士としての矜持と軍略。
 今は一刻も早く内城へと向かわねばならない。
 多くの兵が打倒され、損耗しているとは言え、未だ大軍は在る。
 この兵力を持って急ぎ内城へと向かえばいい。
 追撃はあるだろう。 
 だが、敵の寡兵さはわかっている。速度で引き剥がしてしまえばいいのだ。

 故に精矛厳建雄命『島津惟新斎』は決断した。
 軍勢の損耗よりも、己が面子よりも、『龍伯』島津義弘の元へ今は一刻も早く、と。
「薩摩の二つ龍の弟君! 聞こえているか!」
 その凛とした声に精矛厳建雄命『島津惟新斎』は、わずかに足を止めた。
「率いる武士もまた剛健! 僕らの城、僕らの復讐を圧さんとするその意気やよし!」
 ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)の言葉に彼は眉根を寄せることなく、真っ直ぐに見据えた。
 敵を認める。
 それは間違いなく大正大戦国最強格の武力を持つ精矛厳建雄命『島津惟新斎』の強さでもあった。

 そして、さらに声が上がった。
「わが名は鞆。彼方平安の世にて信濃に栄えし金刺氏が末子、金刺・鞆である!」
 金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)はロキシアとともに並び立ち、その幼子にも思える体躯の腹の底から声を発していた。
「遠き世にて鬼妖に敗れ、わが身も鬼子と成り果てた復讐者がひとり!」
「よう! 幼き身でありながら、よか武者振りよ!」
「そちらも精強なる天魔武者。さすがは島津の名を冠する一派であると言えましょう――なれど、音に聞き刮目してみよ! われらが築きたるこの尻を! その城壁にすらたどり着けぬなれの手勢を! われらもまた頑強なる猛者である!」
 精矛厳建雄命『島津惟新斎』は、その堂々たる佇まいに揺らめく光宿す瞳を細めた。
 それはまるで幼子が虚勢を持って大人に対峙しているように思えてならなかったのかも知れない。
 だが、違う。
 彼は、鞆とロキシアの口上に敵ながら感服していたようだった。

 故に遮ることはなかったのだ。
「この場に集いたるディアボロスを屠る誉と、この城を手中に収めたくはないか」
「正道のいくさで相手するなら、こちらも正道殺らせて頂く!」
 それは決闘へのいざないであった。
 即ち、精矛厳建雄命『島津惟新斎』が勝利を得れば、鹿児島一夜城をと誉をそっくりそのまま得ることに繋がる。
「兵の命懸けに会うて力を増すのが豊久の捨てがまり! 民の苛政に耐え抜く力を与えるのが義久の術。兵に民にと一塊で天下布武やるが薩摩ならば、ディアボロスの城を落とせば、きみだけじゃあない、薩摩の誉だ!」
「じゃっど! じゃっど! 然り!!」
 精矛厳建雄命『島津惟新斎』は膝を打ち据えた。
 痛快であった。
 幼子として、一瞬で彼女らを見た己が双眸をえぐり出したい気分だった。
 見目に惑わさられた眼など、どうして誇れようか。
 彼は、胸を打つ口上にむしろ胸踊らせていたようあった。

 だがしかし、だからこそとも言えた。
 これだけの武者振りを見せるディアボロスに背を向けてでも、内城へと向かわねばならない。
 己が誉などどうでもいい。
 求めるは、薩摩。
 その天下布武。
 故に、敵に背を向けてでも退く。如何に謗られようと、精矛厳建雄命『島津惟新斎』は一切気に留めることはなかったのだ。
「ようやく見えたな、島津維新斎! 我は平安の御代にて鬼狩りの令外官を賜りし坂東の住人、瀬鍔の頼門なり」
 だが、その翻らんとした十字家紋を引き止める声が響き渡る。
 瀬鍔・頼門(あかとき闢く忌刀舎人・g07120)は、鞆とロキシアの向上は美しかった。
 だからこそ、名乗り遅れることは許されない。
「坂東が武者が如何なっか。この精矛厳建雄命『島津惟新斎』に答えてみっせ!!」
 この期に及んで、と精矛厳建雄命『島津惟新斎』は自嘲した。
 後ろ髪引かれるほどの口上であった。
 故に、その眼光が頼門を射抜いた。

「若武者二人が申した通り! お前が内城に入るならば、我らにはこの鹿児島城の大筒火砲にて内白そのものを打ち崩すまで。しかして、我らディアボロスは精矛厳建雄命『島津惟新斎』、お前と組み討つことを望む」
「ないごて望むとは、いわんや。然り。それこそ武者の求むるっとこじゃ」
 そう、それこそ誉。
 故に、と頼門は続ける。
「若武者の意を汲むか」
「おっしゃっとおりじゃ。じゃっどん、今は」
 そう、ディアボロスは決戦に応じ、敗北するのならば城を明け渡すことすら考えているのだと言う。
 であれば、これに答えぬのは武者としての矜持に関わることである。

「見たであろう。今のぶつかり合いを。聞いたであろう。敵味方の生命の叫びを。命惜しむな、名を惜しめ。お前も武者つわものとして育ったのならば知らぬとは言わせぬ」
「ぐぬっ……」
 懊悩があった。
 ディアボロスたちの口上を挑発とは捉えていなかった。
 あくまで、これは名の問題。
 故に、ディアボロスは武者の道理に則っていることが精矛厳建雄命『島津惟新斎』は理解できたのだ。
「その肩名に負いし、精矛(くわしほこ)の矛とは、如何なるのものか、
お前の集合せし、薩摩隼人共を屠った我らと今ここで! いざ組み示せ!」
 堂々たる口上。
 これに答えられぬ我が身を恥じる。
 それでも。
「武者の誉を擲って、それでも内城に向かうというのならば、好きにせよ。されど……鬼島津とは、かの『龍伯』のちからと勝利を疑う臆病者であったか、と。臆病風に吹かれた龍二匹、笑い草としてこの世に語られることになりましょうぞ」
 鞆の言葉に、足が止まる。

 そしりを受けることは、承知の上であった。
「生きるか死ぬかの世界で鋭く磨かれた修羅の命! 復讐者に対し天辺に立つ益荒男の戦働きが龍頭足るものだと! 薩摩兵児と僕たちに見せてみろ!」
 ロキシアの言葉に喉の支えを示されたような思いであった。
 ぎりぎりと拳が軋む。
 命惜しむでもなく、名を惜しむでもなく。
 ただ、ひたすらの薩摩国の為に。
「伝令せい、全軍撤……」
「――温いですね。琉球で戦った『島津豊久』とその配下と比べ、あまりに温いです」
 その音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)の言葉に精矛厳建雄命『島津惟新斎』は、硬直した。

「豊久ほどの怖さは感じません。あの頃より私達が強くなったにしても――……あぁ、合点がいきました」
 華楠の言葉は侮辱の色があった。
 無論、それは撤退してそのまま内城に急行遷都する決断をした精矛厳建雄命『島津惟新斎』を引き止めるものである。
 その目論見通り、足が止まったのを華楠は見て続ける。
「――義久の牙が抜け落ちたからですね。断片の王の名、余程欲しているように思えます。その名という餌を与えられ、飼いならされて、牙を失ったということですか」
「……わいにないがわかっか……?」
「わかりますとも。大正の義久が牙を抜かれ、家康の飼い犬に成り下がったんですから、義久の配下であるあなたたちだって牙が抜けますよね……」
 響いている、と華楠は理解しただろう。
 だが、まだ軽い。
 義久の名を出しても、謗っても、まだ精矛厳建雄命『島津惟新斎』は、激情に駆られることはないようだった。
 このまま、決戦に引きずり込むには、と華楠は言葉を選んだ。

「死を恐れず、戦場を駆ける獣だった島津勢が、牙を抜かれて飼いならされたわんわんに成り下がってるなんて……」
 笑む。
 彼女は精矛厳建雄命『島津惟新斎』の地雷を踏み抜かんとしていた。
 それがどんな結果になるのか、火を見るより明らかだった。
 故に、その名を出した。

「かの『島津豊久』も、あの世で泣いているでしょうね? わぉ~んって」
 死せる獣も、狼でなく犬であった。
 彼女のその言葉は、正しく地雷。
 精矛厳建雄命『島津惟新斎』が内城援軍という鎖を引きちぎるに値する、キラーワード。
「犬、ちいうたか……豊久を」
 気炎が高く立ち上る。
 揺らめく熱気めいた怒気が大軍の奥より万丈する。

「……――ッ!!!!!!!!!」
 声成らぬ絶叫。
 鋼鉄の駆体に配された島津十字家紋が明滅する。
 激怒。憤怒。逆上。
 示す言葉はそれだけに飽きたらぬ怒髪天衝たる在り様。そして、大軍をかき分けて迫るは、赤き天魔武者。
 赤熱するかのような狂瀾怒濤たる疾駆。
 これまで見せた武勇と誇りに満ちた天魔武者は、もうそこにはいなかった。
 始まるは、決戦にして血戦。
 赤き備えは、己が怒りに狂い湧き上がる血潮と敵の血潮によって染まる。
 精矛厳建雄命『島津惟新斎』、今は退き口ならぬを示すように鬼の形相がディアボロスに迫るのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【寒冷適応】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
【防空体制】LV1が発生!
【防衛ライン】がLV4になった!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV7になった!

伊佐沼・チカ
チカ、おめぇさん達を犬ほど上等だとは思いません
お百姓が、汗水垂らしてお世話した田畑の取り分、目一杯掠め取る悪ぃおさむらいさんは、野良犬より始末に負えねぇのです
おめぇさん方が、薩摩の民草、ずぅっといじめ続けてきた分の恨み辛み!
チカ達がしょって立って……成敗するのです!

今度も紅い具足のねめしす形態です!
敵さんの強さは、他所ん国の殿様方と比べても上でしょう
重てぇ鎚がまぐれでも当たるようにと、【命中アップ】をば重ねます

いくぞぉぉおっ!『神懸・地牢重撃鎚』!
敵さんの周りを塞ぐ壁みてぇに、地べたを盛り上げて、逃げ場をなくしてから、跳び上がって《天魔鎚『山崩』》でブッ叩くのです!
お仲間さんより先に動くなら、頭上のチカに目線が行ってる間に近付いて貰って、壁が消えるのと同時に仕掛けるようお願いするのです
チカが後なら、お仲間さんが敵さんを浮かせた隙に攻めます!

敵さんの金棒には必死に鎚をぶつけて、なんとか狙いを逸らします
お化けが出てきたら、肩の《天魔大筒『稲妻』》で薙ぎ払うのです

まだだ、まだ終わってねぇぞぉ!


音羽・華楠
自分で挑発しておいてなんですが……凄まじい怒りっぷりですね、惟新斎……!
ですが、超大和を怒らせた時よりはましです。
そう自分を奮い立たせ、再びネメシス形態、黒髪黒瞳の人間の姿に。

気迫で負けては勝てるはずもありません!
臆さず惟新斎へ突っ込み、《雷幻想・凶鳥》で投げ飛ばすことを狙います。
重視するのは、投げ飛ばして惟新斎の体勢を崩すこと……!

超大和や豊臣秀吉との戦いで実感してるんです――
如何に時間や空間を超越する逆説連鎖戦であっても。
断片の王やジェネラル級であっても。

崩れた体勢では万全の動きは出来ない!

……逆説連鎖戦において、敵に確実な隙を作れる数少ない方法なんですよ。
惟新斎に隙を作ることで、他の復讐者が強烈な一撃を入れられる好機を生み出せれば……!

惟新斎の反撃は、ここまで積み重ねた【ガードアップ】を信じて耐えます。
惟新斎の攻撃と我が身の間に武器も差し入れて、僅かでも威力を削げれば……。

常に笑みを崩さず、挑発時と同様の雰囲気を保ちます。
それで惟新斎がさらに苛立ち、視野が狭くなれば御の字です。


 怒り狂う声成らぬ声が立ち上る。
 炎よりも苛烈。
 そう知らしめるようにジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』は、その赤き具足の一歩を踏み出していた。
 大軍の奥においてさえ見ることができたのは、その野太刀の長大さ故ではなかった。
 その構え。
 名をつけるならば、蜻蛉の構え。
 最上段に掲げるかのごとく野太刀でもって天を衝く姿は、一見すれば胴ががら空きである。
 一撃、ただ一撃、胴に入るのならば、それで臓腑を切り裂かれ絶命に至る隙多き構え。

 しかし、精矛厳建雄命『島津惟新斎』を前にして、そのような考えの一切は無駄であると理解させられるだろう。
 音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は自らを奮い立たせた。
 自らで挑発したのだ。
 であれば、初撃は己めがけて放たれる。
 理解していたし、自覚していたし、覚悟もしていた。
 復讐の女神の名を冠するネメシス形態。
 黒髪が風に揺れ、黒い瞳が赤き鬼を認めた。
 気迫で負けるわけにはいかない。気後れすれば、負ける。故に華楠は踏み出していた。

「柔能く剛を制し、弱能く強を制す。柔は徳なり、剛は賊なり――急急如律令!!」
 雷が迸るように華楠は疾駆する。
 これは超常の戦い。
 逆接連鎖戦。
 であれば、距離は意味をなさず、時空を歪めて視認した敵へと必中する。
 それはどのような存在においても同じである。故に彼女は精矛厳建雄命『島津惟新斎』の体勢を崩すことを主眼にするように己がパラドクスを発露する。
 飛ぶようにして時空を歪めた彼女の跳躍は一瞬で精矛厳建雄命『島津惟新斎』の頭部を帯電する大腿でもって挟み込んでいた。
 アクロバティックな技。
 彼女は己が体重を持って研鑽した体術を極め、赤き鬼の形相となった精矛厳建雄命『島津惟新斎』の駆体を投げ飛ばそうとする。
「如何に時間や空間を超越する逆接連鎖戦であっても、断片の王やジェネラル級であっても、崩れた体勢では万全の動きはできない! ……ッ!?」
 瞬間、かの駆体は大地に根ざした巨木の如き気配を放っていた。
 汗が噴き出す。

 確かに彼女のパラドクスは精矛厳建雄命『島津惟新斎』の頭部へと雷撃と共にほとばしり、その駆体を投げ飛ばそうとしていた。
 だが、巨木のごとく立つ精矛厳建雄命『島津惟新斎』の体躯を投げ飛ばすには至らなかった。
 兜を模した頭部の両頬がひしゃげるほどの衝撃なのだ。
 であるのに精矛厳建雄命『島津惟新斎』は崩れる事なく立っていた。
 そんなことをすればどうなるかなど言うまでもない。
 精矛厳建雄命『島津惟新斎』の頭部と胴部を繋ぐ基部は嫌な音を立てていた。
 人間であれば首の骨が折れている。
 それは天魔武者とて同じはずだ。初撃をいなすこともできただろう。だが、それをしなかった。
 正気ではない。
 我が身を守るはずの理性を、ただ眼の前の敵を屠るためだけに無視していた。

「チェェェェェェェェェイストォォォォォ!!!」
 大地震撼せしめるかのような咆哮と共に最上段から振り下ろされた斬撃が華楠の身に強烈な衝撃と共に叩き込まれる。
 手繰り寄せた残留効果、手にした武器、そして何よりネメシス形態でなければ、その身は寸断されていたであろうことは疑うまでもない。
 身が弾けるようにして大地に叩きつけられた瞬間、伊佐沼・チカ(土興しの鎚・g08514)は踏み込んでいた。
 鬼島津と呼ばれた精矛厳建雄命『島津惟新斎』と奇しくも同じ赤き鋼鉄の甲冑。
 ネメシス形態となったチカは毬のように大地に弾む華楠のをその瞳に映した。
 だが、それでも彼女のパラドクスはわずかであったが精矛厳建雄命『島津惟新斎』の身を浮かせていた。
 この隙を逃すことはできない。
 挑発によって精矛厳建雄命『島津惟新斎』は決戦に引きずり出されている。
「いくぞぉぉおっ!」
「来っがよか、ディアボロスの武者!!」
 チカは、島津の天魔武者を犬ほど上等だとは思っていない。

 犬と愚弄されるほどもないと思う。
 彼女にとって天魔武者が圧政によって人々を虐げるのは、許しがたいことだった。
 生命の営みを思う。
 汗水を垂らして田畑を耕す百姓を思う。
 その苦労は、その心労は、チカが思う以上のものだと知っている。
 だからこそ、そうした田畑寄り得られる取り分を掠め取るような行いをする天魔武者が許しがたい。
 野良犬よりも始末に負えない。
「おめぇさん方が、薩摩の民草、ずぅっといじめ続けてきた分の恨みつらみ! チカ達がしょって立って……成敗するのです!」
「情けなかことをゆな。百姓には百姓ん矜持があっじゃろ。我らは天魔武者には天魔武者ん矜持があっとじゃ。立場が違えば、境遇もちごっ。ただそいだけんこっだ。それを成敗などと思い上がりも甚だしかッ!!」
 振りかぶられた金棒が悍ましいほどの膂力でもってチカへと叩きつけられる。
 駆体が浮かんでいたとしても、それでも有り余る力は振り下ろされた金棒の衝撃として発露する。
 チカの体が軋む。
 鋼鉄の鎧すらひしゃげさせるほどの衝撃と、大地より呪詛と共に現れた天魔武者の幽鬼たちが斬撃をチカへと叩き込む。

 痛みが走る。
 明滅する視界。
 その中で、しかしチカは叫んだ。
「まだだ、まだ終わってねぇぞぉ!」
 裂帛の気合と共にチカの瞳がパラドクスに輝く。
 精矛厳建雄命『島津惟新斎』の周囲を取り囲むように大地が隆起し、チカは痛みと血潮が噴出する体を押して踏み込み、その手にした天魔鎚『山崩』を振りかぶる。

 神懸・地牢重撃鎚(カミガカリ・チロウジュウゲキツイ)。

 それはパラドクスに煌き宿した鉄槌の一撃。
 強烈なる一撃は精矛厳建雄命『島津惟新斎』の掲げた金棒と激突し、その力の奔流を生み出す。
 明滅するパラドクス。
 ネメシス形態に至ってなお、互いに一歩譲らぬ戦いぶり。
 それは決戦に相応しき幕開けであった。
善戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【防衛ライン】がLV5になった!
【影忍び】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!

ディアナ・レーヴェ
【ガチレン】
それ以外の人ともアドリブ連携歓迎

まずは陰からそっと観察してたけれど……やー。
さすが桜島だか向島だか言うだけあって、全面全方位どこをとっても一分の隙もないわね!(笑って)
――とはいえ、隙がないならこじ開けるまで。行くわよ二人共ッ!

西堂が移動を阻害して右手側上方から仕掛けるのに合わせ、私は火砲を構えて左手側下方から狙いを定めましょう。
相手が体格で優るからこそ、ここからでも狙えるはず。その右腕をタイミングを合わせて撃ち貫くわ。
連携重視の小細工無用で、ただ腕の装甲の隙間に同時に衝撃をねじ込むことだけに集中する、火砲による【カルカロクレス・ヒュージキャノン】。

即座に炎の拳で殴り返してくるでしょうけれど、一発攻撃入れた後ならもう衝撃任せでそのまま吹っ飛ばされちゃって構わない!
むしろ一箇所にとどまっていたら爆発の餌食でしょう?
城壁ぶち破って良いからゴロゴロゴロ、視界からさっさと逃れて次撃に備えましょう。

……溶岩に敵の血反吐で桜吹雪っていうのは……ちぇ、豪勢ねー?(転がりつつ)


西堂・千衛蔵
【ガチレン】
それ以外の人ともアドリブ連携歓迎

あれが島津惟新斎か!?
以前戦ったキングゴンドワナ程じゃないが、天魔武者でも最強の一角と言われるだけあって、流石の威圧感だ
だが、こいつを倒さなければ島津義久の打倒は覚束ない、引いては天正大戦国の奪還もならない
何より、これ程強そうな奴と戦わずにいられるものか
「遅まきながら、自分達も加勢するぜ!」

【泥濘の地】を使用して惟新斎の移動を阻害し【飛翔】を使用して速さの優位を得て、奴の右手側上方から攻撃
獅子堂さん、ディアナさんと共に三方向から攻撃を仕掛ける

力で押し負けることは承知の上、奴の右腕と自分の全身を引き換える気でやる
惟新斎が大金棒を振り上げて振り下ろす、その勢いが十分乗る前に、自分から奴の右腕に突進!
巨大化した赤煙と共に、身体ごと自分の金棒を叩きつける
【ガードアップ】とドラゴンオーラの「真砂」、そして右腕に与える衝撃で奴の振り下ろしの威力を削ぐ
「その大金棒、地面までは届かせないぜ」

この連続攻撃で倒せなくても、確実に残留効果を積み上げよう


獅子堂・崇
【ガチレン】
それ以外の人ともアドリブ連携歓迎

惟新斎という名前は聞き覚えがなかったが、島津義弘の別名なのか。
あの力強さに攻撃を受けても正面から打ち破ってくる胆力、本物だな。
それでもここで倒しておかないと島津義久を討つのを妨害されるんだ。俺たちの全力で相手をさせてもらう。

千衛蔵とディアナが左右から攻めてくれるから俺は真っ正面からいかせてもらう。
二人の動きに合わせて俺にできる最速の一撃をその胴体に叩き込む。俺一人で惟新斎の技の冴えと速さに及ぶと思うほど自惚れてはいないが、仲間と一緒なら届くというもの、それが俺たちの戦いかただ。

反撃の鬼島津斬は重ねられたガードアップの効果と敢えて前に出ることで斬撃の打点をずらすことで致命傷を避ける。

簡単に勝てる相手じゃないことはわかっている。倒せなければ体が動く限り挑むまでだ。


 島津十字家紋が揺れるようにして光を放っている。
 駆体に配された家紋。
 それはジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』の誇りであったかもしれない。
 ディアボロスとの決戦において、これを真正面から迎え撃つ赤き具足に傷は生まれど、攻防は一進一退である。
「あれが精矛厳建雄命『島津惟新斎』か!?」
 西堂・千衛蔵(竜燈鬼・g01901)は駆けつけた決戦にて猛威を振るう赤き鬼めいた天魔武者の姿を認めてうめいた。
 威圧感は本物だ。
 武力最強の一角。
 そう表現される精矛厳建雄命『島津惟新斎』の武威は、正しく烈火の如く万丈するようだった。
「島津義弘の別名、か。あれは本物だな」
 獅子堂・崇(破界拳・g06749)もまた精矛厳建雄命『島津惟新斎』の戦いぶりの獰猛さと苛烈さを知る。
 パラドクスを真正面から受けてもなお、打ち破って激進せしめる胆力というものを見せつけられているようでもあった。
 しかし、それでもあれを倒さねばならない。
 次なる断片の王の候補の一人、『龍伯』島津義久との決戦。これに妨害が入る恐れがある。
「ならばこそ、でしょう? やー、さすが桜島だか向島だか言うだけあって、全面全方位どこをとっても一部の隙もないわね!」
 眼の前に迫る武威を前にしても、ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は笑った。
 相対する脅威はディアボロスにとって常なるものだった。

「どうする?」
「どうするも何も、こいつを倒さなければ島津義久の打倒はおぼつかない、ひいては天正大戦国の奪還もままならない。何より、これほど強そうな奴と戦わずにいられるものか」
「ハッ、そうだな。俺達の全力で相手をさせてもらおう。だが、確かに隙などひつもない。大胆不敵に構えているだけであるっていうのにな」
「隙がないならこじ開けるまで。行くわよ二人共ッ!」
 ディアナは二人の背中を叩くようにして走り出した。

 崇は、走る背中の衝撃に笑った。
 笑って前に走る。
「戦場で笑っか、ディアボロス!」
 精矛厳建雄命『島津惟新斎』は正面から迫った崇に相対した。
 構えは野太刀をそびえ立たせるような蜻蛉の構え。
 直立不動。
 胴をさらすことに些かの躊躇いもない潔き構え。
 隙だらけとも言える。だが、崇にはわかっていた。僅かな隙すらない。
 自惚れはない。
 己一人の技が精矛厳建雄命『島津惟新斎』に勝ると思うほど自惚れてはいない。だが、ここには仲間がいる。
 彼の左右から両翼を広げるよにして千衛蔵とディアナが迫っている。
 ディアボロスは共に紡いで繫いでいく戦い方をする。
 そうすることで届かぬはずのクロノヴェーダへと肉薄するのだ。
 これまで戦場に刻まれてきた残留効果のか細い光が証明していた。一つ一つがクロノヴェーダにとっては取るに足らない光だろう。
 意識したとて、この残留効果の光を彼らが知ることはない。
 これはディアボロスのみが認識しえる力なのだ。

 故に三人は残留効果を手繰り寄せた。
 か細い光は鎖のように強固に束ねられている。
「ならば、さぱりと死せい! おいどまの血路となっがよか!」
 猿叫。
 大気を切り裂くかのような絶叫と共に一閃が崇へと振り下ろされる。
 直上からの振り下ろし。
 それは最速にして最短。
 だが、崇は徒手。
 如何な蜻蛉の構えとて、振り下ろす切っ先は弧を描く。だが、折りたたまれた彼の腕部は、人の可動域において最速最短。
 拳握る者であれば誰もが知る人間最速の攻撃。
 それが我流にして本流。

 曰く、ジャブ。
 そして、我流にて語るところにおいては、我流破界拳・風烈(ガリュウハカイケン・フウレツ)。
 放たれた一撃と一撃とが交錯する。
 火花が散る代わりに散るは、血飛沫――そして、鉄の破片。
「なんと!」
「……簡単に倒せる相手じゃないってことは、わかっている……」
 だが、倒せなければ体が動く限り挑むまでだと血飛沫舞う中、崇は笑む。
 そして、精矛厳建雄命『島津惟新斎』は見ただろう。
 血飛沫を挟むようにして迫ったパラドクスの輝きを。

 視線を上に向ける。
 そこにあったのは、千衛蔵であった。
「滾れ、滾れ、強壮なる竜の血よ! 今一度その背に空を斬る力を!」
 空舞破衝撃(エアロバティックインパルス)。 
 それは千衛蔵のパラドクスの輝きと共に一時的に巨大化したサーヴァント、ミニドラゴン『赤煙』と共に迫る千衛蔵の一撃であった。
「龍を駆っか! じゃっどん、龍たるおいもまたねじ伏せられっち思うたか!」
 振りかぶられる金棒。
 悍ましいほどの膂力を感じさせる一撃が激突し、パラドクスの明滅を放つ。
 衝撃波が身を打ち据えるのは、互いに同時。
 骨が軋む。
 自分の体ごと叩きつけた一撃。
 それ故に千衛蔵は己が身を守るドラゴンオーラをも砕きながら、迫る金棒の衝撃を削ぐ。
「ぬぅぅぅぅぅおおおおっ!!!」
 咆哮。
 叫ぶは精矛厳建雄命『島津惟新斎』。
 振り抜いた金棒を受け止めた千衛蔵は、己が両腕をひしゃげさせながら、笑う。

「その大金棒、地面までは届かないぜ」
「よか武者じゃ! その意気、よしとせねばならん! じゃどん、おいにも矜持っちゅうもんがあっ!」
 ミシミシと音を立てながら千衛蔵の体躯が地面に沈む。
 ここからさらに押し込まれるのか、と思っただろう。
 だが、千衛蔵の表情から笑みは消えなかった。
 なぜなら、ここには己一人ではないからだ。
「小細工は無用よね!」
 放たれるは、カルカロクレス・ヒュージキャノンの火砲の一閃。
 ディアナは仲間二人を相手取った精矛厳建雄命『島津惟新斎』の痛烈な一撃の合間を縫うようにして火砲の一撃をパラドクスによって叩き込んでいた。
 膨大なエネルギーを注ぎ込んだ火砲の一撃は、その赤き鎧を、更に赤く赤熱させるだろう。
 鎧に弾かれた火砲の一撃が周囲に飛び散り、そしてディアナは見ただろう。

「なんって、デタラメッ!」
「女だてらにっちは、言わんがッ! 受けちみいやい! おいが拳が一撃を!!」
 赤熱した具足。
 振りかぶられる剛腕。
 正しく溶岩を思わせる灼熱。振り抜かれた拳は大地を粉砕し、ディアナの体躯を容易く吹き飛ばすだろう。
 身は転がるように叩き付けられながらもディアナは痛みに悶える間もなく、ただひたすらに精矛厳建雄命『島津惟新斎』から視線を切らすように城壁への奥へと飛び退く。
「……ゴハッ!」
 ディアナは見ただろう。
 己が血反吐を撒き散らすのと同時に精矛厳建雄命『島津惟新斎』もまた、その鬼の形相から溢れる血油を吐き出しているのを。
「……溶岩に敵の血反吐で桜吹雪っていうのは……ちぇ、豪勢ねー?」
 身を起こせば、見えるは敵の威容。
 決戦は正しく血戦。
 ディアボロスと精矛厳建雄命『島津惟新斎』の戦いは、まだ始まったばかりだ。
 互いに譲らぬは、剛力故か。
 それとも、矜持がためか。
 いずれにせよ、決戦の趨勢は未だ定まっていなかった。
善戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【イルカ変身】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!

金刺・鞆
ええ。ロキシアさま(g07258)、油断なされぬよう!
味方とも積極的に協力、連携して参りましょう。

気迫、殺気、びりびりと――まるで大気ごとふるえるかのよう。
下手を打てば頭と胴とが泣き別れるのは必至。それは怖気奮うほど。
……なれど。灼けるようですらあるこの苛烈さは、まさに猛る炎のようでいて。
さすがは天正大戦国の最強格とうたわれる猛者。その勇名に恥じぬつわものであることは疑いようもなきこと。

たとえひとときでもその目に武者と写ったならば、こちらも無様は晒せませぬ。
恐怖を克え、わたくしもふてぶてしく笑いましょう。
逆説連鎖戦に小細工の余地はほぼない、ゆえに。
挑み、全力を以て応えるのみ。シンプル、ですとも。

敵の膂力は想定をゆうに超えている。
更なる護りのちからを重ねて――信じて、受ける!
受ける傷は浅からずとも。動けるならば、まだ立って居られるならば十全!

水天様に畏み畏み申す! わが意宜に応えるならばその御力下賜給う!
仕掛け扇はさながら軍配の如きに揮い、水の龍を炎拳にぶつけましょう。


ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に
元より義久の策の延長線上をゆく戦い
だから此方も策を弄した
成って尚。漕ぎ着けただけなんだよね
ああ、正念場だよ鞆ちゃん(g03964)

遅くなったね弟龍
僕はロキシア・グロスビーク
きみに挑み、きみを倒すディアボロスの一人
魔槍をぐるり一回し
いざ
機鋒の先、大将を見据え

同行者は庇えるならSPDで対応する方針を頭に入れ
鞆ちゃん。シンプルやるよ
中てて、揺らがす
損傷部位を狙い、より良い攻撃結果で被害を減らす
蓄積した攻撃系残留効果で勝ちを手繰る定石
と。理解してても恐れはある
痛苦、或いはこの子の前で倒れてしまわないか。だとか
(おんなじだよね)
大丈夫。僕たちなら負けない!
応じるように笑えば勇気が、転じた障壁が
決断的な歩による突撃で、貫くまでに至らせる!

先手か反撃かで捌くのは同じ
互いに――
翊。中空に顕れた茨の円が致命を阻まんとする
道半ばだろ……薩摩!
それは不退転、必殺を紡がんとする覚悟が創るもの
やらいでかっ!
示現流に氣勢で負けるつもりはないとばかりに
直様魔槍で穿ちに行く気迫から対手にぶつけるんだ


 鬼島津。
 そう評される言葉に偽りなどなかった。
 正しく赤鬼。
 武者の具足身に纏いし赤熱たる体躯。それがジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』である。
 火の粉が舞う中に彼は立っていた。
 ディアボロスのパラドクス、その光が明滅する中、なおも健在。
 攻防は一進一退。
 共に譲るつもりは毛頭もなく。
 激突は必至であるというのならば、決着はいずれか。
 その必死たる決戦を前に二人の若武者とも言うべきディアボロスがいた。

「決戦に成って尚、漕ぎ着けただけなんだよね」
「ええ、ロキシアさま、油断なされぬよう!」
 ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)と金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)共に並び立つ。
 その気概を示す佇まいに油断はない。
「ああ、正念場だよ鞆ちゃん」
「若武者が来たか。口上は見事やった。やっどん、その口上に見合うだけの力なくば、ただの蟷螂そのもの。であれば!」
 轟轟と吹き荒れる重圧。
 散る火の粉を前にして鞆は、我が身に迫る気迫、殺気というものが大気を揺るがしたのを感じただろう。
 理解する。
 瞬き一つ。
 ただ一つ瞬く合間さえあれば、精矛厳建雄命『島津惟新斎』は己が頭と胴を寸断するだろう、と。

「……なれど。さすがは大正大戦国の最強格と謳われる猛者。その勇名に恥じぬつわものであることはうたがいようもなきこと」
 その瞳に、例え一時でも武者として己が写ったのならば、これに対して無様をさらすことは許されない。
 恐怖がこみ上げるのを鞆は感じながら、しかし彼女はふてぶてしく笑む。
 おそれはあれど、これを噛み殺す方策を彼女は知っている。
 それに加えて、共に立ち並ぶものたちだっている。
「遅くなったね弟龍。僕はロキシア・グロスビーク。きみに挑み、君を倒すディアボロスの一人」
「よう! よう来た。よか若武者よ。おいを倒すと息巻くさまを笑うことはせん。そいを笑うはやっせんぼうのするこちある。じゃっで、戦仕事に上下はなか」
 構えるは蜻蛉の構え。
 最上段。
 胴をがら空きにして示すは、天を衝く野太刀。
 佇まい一つ。
 それだけでロキシアは己の死を予感しただろう。
 手にした魔槍の穂先が弧を描いて、その構えを示す。

「鞆ちゃん。シンプルやるよ」
 その言葉はたただ一つを意味していた。
 ディアボロスたちの攻勢によって刻まれた傷跡。
 それを狙う。
 積み重ね、束ねられた残留効果。
 手繰り寄せ、勝利をも引き寄せる方策。
 定石だ。けれど、恐れはある。理解しても尚、だ。
 だからこそ、ロキシアは声を張り上げた。
「大丈夫。僕達なら負けない!」
「挑み、全力を以て応えるのみ。シンプル、ですとも」
 二人の瞳がパラドクスに輝いた瞬間、精矛厳建雄命『島津惟新斎』の猿叫が響き渡る。

 大気を切り裂く声。
 それは二人の身を打ち据えるような苛烈さであった。
 だが、同時にロキシアは踏み出していた。
 加速する。
 だが、その加速を踏み潰すかのように放たれるは野太刀の一閃。
 いや、光条と見紛うばかりの精矛厳建雄命『島津惟新斎』の一撃がロキシアの眼前に現れた茨の円を容易く両断し、その切っ先が彼へと迫る。
「道半ばだろ……薩摩!」
 踏み込む。
 それでなお踏み込むは不退転の決意。
 必殺を紡ぎ、覚悟によって支えられるもの。
 振り抜かれた魔槍の一撃。

 己が身一つを弾として放つパラドクス。
 激突する轟音が響く。
 それは強烈な衝撃でもってロキシアの体躯を走り抜けた。五体が砕けるのかと思わんばかりの痛み。
 血潮が舞い散り、しかして精矛厳建雄命『島津惟新斎』は己が肩を砕かれて、若武者の一撃に笑った。
「見事じゃ、若武者! この精矛厳建雄命『島津惟新斎』に手傷を追わせたちう誉を持って、涅槃へとゆけい!」
 さらに振るい上げた剛腕。
 赤熱するは、マグマを思わせるほどの熱量を帯びた具足。
 その拳を受け止めたのは鞆だった。
 悍ましいほどの膂力によって放たれた拳の一打に守りの力は容易く貫かれる。
 だが、鞆は信じていた。

 重ねたもの。
 紡いできたもの。
 そのすべてを信じるからこそ、鞆は前に踏み出した。
 ロキシアの魔槍の一撃は精矛厳建雄命『島津惟新斎』の肩を射抜き、砕いた。その腕で尚振り下ろされた一撃は重たく、彼女の身を膨大なる熱で灼く。
 だが、それでも彼女は叫んだ。
「水天様に畏み畏み申す! わが意宜に応えるならばその御力下賜給う!」
 炎の中、舞うは水天神楽(・)。荒ぶは息吹。
 軍配の如き扇がひらめいた瞬間、水の龍は精矛厳建雄命『島津惟新斎』の拳と激突して、凄まじい熱波を生み出す。
「ぐ、ぬ……! 舞いでもって、おいが拳を受け止めっとすっか! 面妖! なれど、見事じゃ! 故にこのまま押し通す!」
 振り抜かれる拳。
 だが、その拳を縫うようにして鞆は舞う。
 流麗なる舞いは水龍と共に精矛厳建雄命『島津惟新斎』の兜を打ち据え、その鬼の如き形相を歪めさせたのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
【水中適応】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV9になった!

エレオノーラ・アーベントロート
あら、挑発に乗ってやってきた時にはずいぶんと頭に血が上っていたようですし、冷やしてあげようかと思っていましたけれど――
それなりにすっきりしていそうですわね?

うふふ、それは何よりですわ。せっかく戦争をしにきたのに、暴れ回る獣を相手にするのは期待外れですもの。
昔話がお望みなら、一席くらいは沖縄でのお話をするのも構いませんけれど?
まぁ、きっとあなたの思う通りですわ。最期まで、前しか見ていませんでしたわよ。

戦闘は電磁レールガン「フェアレーター」を構えて「第四十九の魔弾【氷剣】」を投射。氷の剣で島津惟新斎の装甲を貫き、切り裂いていきましょう。
大金棒の攻撃はフェアレーターを盾のようにして防御。完全に受けようとするのではなく、直撃は避けつつ衝撃で下がることで、叩き潰されるのを避けましょう。
湧き出て来る幽鬼たちは【氷剣】の魔弾で相手をしてあげますわ。
あら、まだ戦い足りませんの? 仕方ありませんわねえ、大将ともども、満足するまで相手をして差し上げますわ!


風祭・天
敵将への一番槍は逃したけれど…バチギレモードからは落ち着いて来たみたいだし、純粋に戦闘をするのならよきよきだにゃー☆
つまり、天さん最前線で血戦案件☆

あれがよっしー…もとい維新入道かー☆ 鬼石曼子の威圧感マジでパない☆
…と、さっき赤備と戦ってた時の天さんの音は届いたかなー? ま、届いてても届いてなくても、今から目に見せてやるぜぃ☆
ドーモ、風祭天です☆
いざいざ、御首頂戴仕る…!!

私相手に使って来るのは金棒っぽいけど、薩摩の初太刀は外せって言われてるし、ここは弐式抜刀でカウンター案件だよねー☆
攻撃を華麗に必要最低限の動きで躱す…って言うか、躱せないと天さんのビューティフェイスがぱおん案件だから、ガチのマに最大集中力で躱してのズンバラリンしか許されんヤツ☆
カウンターのズンバラリンは、他の人たちが付けてくれた傷痕を積極的に狙って行くOne for Allな精神でゴーゴー☆
このどちゃくそな強敵と戦ってる緊張が愉しいかって言われると…にふふー☆ どうだろうねー?


瀬鍔・頼門
そうか…維新斎の逆鱗とはそこにあったか。お見事というほかない。
これで惟新斎と馳せ合い、組み討てる!我らの本懐を遂げよう!

仲間との連携協力も積極的に。

ネメシスモードの甲冑状態を保ちつつ突撃。太刀と弓による【石清水ノ託閃】で攻撃を仕掛ける。

前後左右4基の大袖鎧を稼働させ、惟新斎の攻撃に備える。
【ガードアップ】を意識し4基の大型大袖鎧を盾の如く扱い、代わる代わる動かし防ぐ。
【反撃アップ】を意識した、大袖鎧での敵の攻撃を弾いての攻撃の差し込み。

一心に惟新斎へ兜をぶつけ合うほどに組みかかるように突撃。組み合うことで押し込めればいいが、できなくとも味方のチャンスも作れよう。


惟新斎、その情動を貶めるつもりはない。後ろめたきことなき晴れの一戦、仕ろう…!


 濛々と蒸気が立ち上る。
 それはディアボロスのパラドクスとジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』のパラドクスが激突した余波である。
 それほどまでの熱量が生み出される中、未だ精矛厳建雄命『島津惟新斎』は立っていた。
 恐るべきことである。
 大正大戦国において、最強格の武勇を誇る天魔武者。
 その威容は立ち上る蒸気をかき分け、健在であることを指し示す。
 肩を砕かれて尚、振るう金棒と野太刀は、損傷を感じさせないほど威風堂々。
「まだだ。まだ戦いは終わっちょらん。これからじゃ。これからが島津ん戦じゃ!」
 気炎万丈するは、島津の意地か。

「あら、挑発に乗ってやってきたときには随分と頭に血が上っていたようですし、冷やして差し上げようかと思っていましたけれど――それなりにすっきりしていそうですわね?
「んねー☆ めっちゃバチギレモードでパキってたよねー☆」
「精矛厳建雄命『島津惟新斎』の逆鱗は、『島津豊久』であったか……お見事という他ない。だが、これで馳せ合い、組み討てる! 我らの本懐を遂げよう!」
 エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)は、風祭・天(逢佛殺佛・g08672)と瀬鍔・頼門(あかとき闢く忌刀舎人・g07120)の言葉に笑む。
「うふふ、それは何よりですわ。せっかく戦争しにきたのに、暴れまわる獣を相手にするのは期待外れですもの」
「見苦しか所をお見せした。恥じ入っばっかいや。だが、じゃっどん、豊久んこと侮辱したこち、許しはならん!」
「昔話がお望みなら、一席ぐらいは沖縄でのお話をするのも構いませんけれど?」
 エレオノーラの言葉に精矛厳建雄命『島津惟新斎』は頭を振った。
「いらん。思えば、やつは」
「ええ、きっとあなたの思うとおりですわ。最期まで、前しか見ていませんでしたわよ」
「……そうか」
 であれば、もはや言葉は要らぬ。
 そう言わんばかりに精矛厳建雄命『島津惟新斎』の駆体に配された島津十字家紋が揺らめくように光を放つ。

 手にした大金棒が唸りを上げて振り上げられた。
「鬼石曼子の威圧感マジでパない☆」
「よか武者ぶりじゃ。名は」
「ドーモ、風祭・天です☆ いざいざ、御首頂戴仕る……!!」
 いざ、待ったなし。
 振るわれるは大金棒。
 風を切り、大地を震撼させる強烈なる一撃を支えるは、悍ましいほどの膂力。肩を穿たれて尚振るわれる一撃に遜色などあろうはずもない。
 鋼鉄の駆体は赤熱するかのごとく強烈な一撃となって天を襲う。

 最終人類史において、幕末と呼ばれる時代。
 その時代において薩摩の初太刀は必ず外せと言われたのは、何故か。
 言うまでもない。
 受ければ太刀ごと叩き切られる。
 さりとて、その初太刀の速度は尋常ならざる速さ。
 故に外させる以外に手立てなし。
 初撃必殺。
 その真髄を見せるは、今。
「人の心は知られずや――!!」
 しかし、天が放つは後の先。
 即ちカウンター。
 己が血脈すべてを総動員して行うはなにか。それは『視る』ことである。
 初撃の速さなど言うまでもない。
 だからこそ、『視る』のだ。彼女のパラドクスに昇華されし剣術は、ただそれに尽きる。

 故に、名を弐式抜刀「跋難陀」(ニシキバットウ「バツナンダ」)。
 その斬撃は大金棒が振り下ろされるよりも速く放たれ、精矛厳建雄命『島津惟新斎』の胴甲冑へと食い込んでいた。
「……っ!」
「カウンターでズンバラリン! いけいけゴーゴー☆」
 その言葉にエレオノーラの電磁レールガンが第四十九の魔弾【氷剣】(ノインウントフィアツィヒステ・フライクーゲル)を放つ。
 無数の氷剣魔弾。
 それは天の斬撃によって体勢を崩した精矛厳建雄命『島津惟新斎』へと殺到し、傷を広げるように切り裂く。
 だが、振るわれる大金棒は嵐のように熱波を吹き散らしながらエレオノーラへと迫っていた。
「ぬしゃどまには、縁もある。恩もある。情もある。じゃっどん、おいどま島津の道を阻むちうのならば、叩き伏せて進むまでよ!!」
 振り下ろされた一撃をエレオノーラはレールガンを盾にするように防ぐ。
 それは受け流すように衝撃を受けながら、その身を吹き飛ばす。
「……受け流すか!」
「ええ、正面切って馬鹿力とかち合うなんてエレガントではないですわ。それに……」
 エレオノーラの周囲に浮かぶは幽鬼たる天魔武者たち。
 湧き上がるは薩摩の意地。
 ならばこそ、と彼女は笑むのだ。

「まだ戦い足りませんの? 仕方ありませんわねぇ、大将ともども、満足するまで相手をして差し上げますわ!」
「ありがとごわっ! そいでこそ、武者!」
 激突する氷の剣と幽鬼の如き天魔武者。
 火花が散る中、頼門が走る。
 ネメシス形態の甲冑を揺らし、彼は疾駆する。
 幽鬼の天魔武者たちを蹴散らし、ただただ一直線に精矛厳建雄命『島津惟新斎』を目指して走る。
 大袖鎧は四基。
 されど、幽鬼の如き天魔武者たちが遅い来るは苛烈にして熾烈。
 激突するたびに大袖鎧は傷つき、剥がれ落ちるようにして脱落していく。幽鬼たる所以というように頼門の手足を枷のようにすがりつき、その身を傷つけていくのだ。

「……さすがは音に聞こえしは鬼島津! されど、惟新斎、その情動を貶めるつもりはない。うしろめたきことなき晴れの一戦、仕ろう……!」
「よう! よう! 来やった、坂東の! いざ!」
 互いに組み合うようにして激突する。
 火花が散り、衝撃が吹きすさぶ。
 その中にあって、頼門と精矛厳建雄命『島津惟新斎』は、どこか晴れやかな思いであったかもしれない。
 組みかかる旅に、互いの駆体が軋む。
 凄まじき力比べ。
 悍ましいとさえ評された膂力に頼門の体はひしゃげるも、しかしそれでも彼は踏み込んだ。
 恐れはない。
 あるのは、ただ一つ。
「我が心中の八幡座より清水を徹(とお)す……!」
「その心構え、見事じゃ! なればこそ、これにて打ち勝って誉とせん!」
 頼門は束ねる。
 これまで戦場に刻まれてきた残留効果を。
 そして、己が昂ぶる闘志を。
 束ねて己が太刀の光となして、振り下ろす。

 大金棒と激突する一撃。
 だが、その一撃――石清水ノ託閃(イワシミズノタクセン)は、大金棒をすり抜けるようにして袈裟懸けに精矛厳建雄命『島津惟新斎』の鎧を切り裂く。
 それは己が一人の力ではないことを証明するように、確かにその赤き甲冑に傷跡を刻むのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!

エレナ・バークリー
ネメシスモード(昨年の水着)

ふ、“鬼島津”とはよう言うたもんじゃ。一手、相対を所望致す。『戦国最強』島津惟新斎義弘公。
其方を倒さねば、落ち着いて“龍伯”に攻めかかれぬでのう。

相対する以上、己が全力を出さねば無礼というもの。それ故にこの姿に変じ、持てる最高の術式を差し向けん。
その炎気、まさに桜島の如し。ならば対極は氷雪よ。
「結界術」「氷雪使い」「全力魔法」で螺旋渦巻く氷獄の大伽藍を行使。
凍った氷の渦で「捕縛」仕ろう。
即割り砕かれるのは見えておるが、刹那動きを止める程度は期待してよかろう?

反撃の金棒は【ガードアップ】を頼りに、盾籠手付けし左腕で弾き飛ばさん。薩摩の馬鹿力など、まともに受けられるものか。妾のパラドクスで太刀筋が鈍っていればよし。
湧いてくる幽鬼どもは、こちらも「呪詛」の大剣で打ち合うかの。
足を止めず死角を潰すように、刃を交えつつ駆け回りながら、二度目のパラドクスを撃つ隙を探るのじゃ。

妾の力でも長く相対するのは厳しいかや?
されど、其方を駆動させる熱を奪い去るだけでもやり遂げねばな!


伊佐沼・チカ
情けなくなんかねぇ!お百姓は、声を上げるだけで命懸けなんだぁ!
チカは、何度だって叫んでやるのです!
大事な蓄えから重てぇ年貢を取り立てて、狸か狐を狩るみてぇに人を殺す、悪ぃおさむらいさん達を……ぜってぇに許さねぇッッ!!

まだまだぁ!ねめしす形態です!
チカやお仲間さんが長く戦場に残れるほど、敵さんを沢山ぶっ叩けます
【ガードアップ】をば限界まで重ねて、身を護るのです

敵さんが大金棒を振り下ろしてすぐの時や、お仲間さんの技で出来た隙を、≪天魔鎚『山崩』≫で狙います
背の≪天魔噴進器『彗星』≫をごおっと吹かして走り、一息に間近へ
鎚に突っ込む勢いを載せて振るい、『金剛亀重鎚』を放つのです!
鎧の傷を叩き、打ち砕いてやる気概で、思いっきりブン殴ります!
よくてヒビが入るだけかもしんねぇ
でも、砕く気じゃなきゃ、心だけでもう負けちまいますから!
ぶっ、つぶ、れろぉぉぉぉぉーーっっ!!

振り下ろした鎚をすかさず跳ね上げ、反撃の金棒をカチあげて防ぎます
鬼さん達には、走りながら鎚を叩きつけ、吹き飛ばして包囲を突破するのです


「ふ、“鬼島津”とはよう言うたもんじゃ」
 エレナ・バークリー(Highlander/Absolute Wish・g00090)は復讐の女神の名を冠するネメシス形態へと変貌し、ジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』の赤き威容を認めた。
 ディアボロスのパラドクスを数多受けてなお、その身は健在であることを示すように赤熱し、大気を揺らがせている。
 駆体に配されし、島津十字家紋。
 発する光は、その武威を示すには十分すぎるほどに輝いていた。
「一手、相対を所望致す。『戦国最強』島津惟新斎義弘公。其方を倒さねば、落ち着いて『龍伯』に攻めかかれぬでのう」
「自惚れるっな、ディアボロス。兄上ならば、見事おいが往くまで堪えてくださるに違いなかっ!」
 轟轟と響く声。
 まるで大気すら味方するかのような裂帛たる気勢にエレナは笑む。
「その炎気、まさに桜島の如し。ならば」
 対極は如何なるか。
 パラドクスに煌めいたエレナの瞳。
 手繰るは氷雪。
 
 しかして、迫るは悍ましき膂力によって振りかぶられた大金棒。
 その一撃は、一閃、否、光条とも言うべき一撃となってエレナへと叩き込まれる。
 頼りにしたのは残留効果。
 盾篭手が砕けた。
 骨身が砕けた。
 弾き返そうとして砕けた腕に走る激痛をして、彼女は理解していた。
 薩摩、島津の中において最強。
 その一撃をまともに受けられるものではない、と。故にエレナは賭けに出ていた。
「荒野の果てより来たれ、氷精たち! 冷たく凍える汝らの御業を持って、今ここに極北の氷塔牙を打ち立てん! 螺旋渦巻く氷獄の大伽藍(ラセンウズマクヒョウゴクノダイガラン)にて、その太刀筋、鈍るか!」
 彼女のパラドクスは氷雪となって精矛厳建雄命『島津惟新斎』の関節に入り込んでいた。
 軋む音が聞こえなかったのは、精矛厳建雄命『島津惟新斎』の膂力が凄まじいものであったからだ。
 故に、振り抜かれた一撃は鈍ることはなかったが、しかし、そらす事はできたのだ。

 しかして、その一撃は振り下ろされて終わりではない。
 大地より湧き上がるは呪詛を持って現れる幽鬼の如き天魔武者たち。
 その群れをエレナは砕けた腕をたなびかせるようにして走り、大剣を片手で奮って打ち据える。
「よか武者じゃ! 砕けてなお、片手で大剣を振るうかっ!」
「ふっ……戦国最強格、その武威を前にして長く相対することが厳しいことなど理解しておるわ。されど」
 エレナは笑む。
 痛みで笑むどころではないはずだ。だが、それでも笑ったのだ。
「ないごて笑う」
「なに、それでも其方を駆動させる熱を奪い去るだけでもやり遂げねばと思うただけよ!」
 彼女の言葉と共に赤熱するもう一騎が走り抜けた。

 それは伊佐沼・チカ(土興しの鎚・g08514)であった。
 彼女もまたネメシス形態に変貌して戦い続けた荒武者であった。
 その胸中には怒りがあった。
 復讐の炎が、怒りによって再燃する。燃え盛る。昌盛する。
「情けなくなんかねぇ! お百姓は、声を上げるだけで命懸けなんだぁ!」
「来るか、赤武者! 聞き分けなか、子どんがごつ、屁理屈で駄々をこねる様にしか思えぬ!」
 だが、それでもチカは叫んだ。
 苛政は人の生命を縮める。
 なんのためにこんなことをするのかと思うほどにいじめ抜かれ、生きるのにも必死な時代にあって、さらに死に生命を近づけさせるだけのことでしかない。
 生きることは営みの根底。
 それを根底から否定する者をチカは許せなかった。
「大事な蓄えから重てぇ年貢を取り立てて、狸か狐かを狩るみてぇに人を殺す、悪いおさむらいさん達を……ぜってぇに許さねぇッッ!!」
「ならば、力を示してみっすがよか! きさんは言葉だけで武者を打ち取れるか。討ち取れんじゃろう! であればぁ!」
 振りかぶった大金棒の一撃がチカを打ち据える。

 砕けた鎧。
 ひしゃげたように歪曲する頬当て。
 エレナが受け止め、いなした一撃の合間をぬってチカは踏み込んでいた。
 隙を狙ったのだ。
 だが、精矛厳建雄命『島津惟新斎』は即座に大金棒を振り上げていた。
 恐るべき速さである。
 力、速さ。
 いずれをとっても一級。
 故にチカは己に走る衝撃と痛みの凄まじさを知る。だが、止まらない。止まれない。
 まだ、まだ。
「まだまだぁ!!」
 裂帛の気合と共にチカは溢れる幽鬼の天魔武者を蹴散らして、背面をごうごうと鳴り響かせて一気に精矛厳建雄命『島津惟新斎』へと飛び込む。

 懐に飛び込むだけでも鎧は傷つき、久h気ている。
 だが、それでも彼女の眼光がパラドクスの輝きを解き放つ。
「ぶっ、つぶ、れろぉぉぉぉぉ――っっ!!」
 砕く。
 砕く! 砕く! 砕く!!
 実力差など当然。だが、その差を埋めるのは気概である。故にチカは叫ぶ。
 心だけでも負けてなるものかと、己が矜持を持って天魔鎚を振り抜く。
 迫るは振り下ろされた大金棒のかち上げ。
 ひしゃげた頬当てが宙に舞う。
 頭が揺れる。
 視界が揺れる。
 だが、揺れぬものが一つチカにはあった。

 それは己の心だ。
 負けるかという心。
「おおおおおおお!!!」
 金剛亀重槌の一撃が精矛厳建雄命『島津惟新斎』の駆体を打ち据える。
 赤き鎧に亀裂が走る。
 徐々に走る亀裂は深く、広がっていく。
「どうじゃ、義弘公。これが妾らが気概よ」
 エレナの言葉に精矛厳建雄命『島津惟新斎』は深く頷いた。
「……見事じゃ。その気概、確かにおいに届いた。きさんの、否、赤武者よ。その魂、確かにおいを打ち据えた」
 チカは振り抜いた一撃と共に咆哮をあげ、戦いの趨勢をディアボロスに引き寄せたのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【冷気の支配者】がLV2になった!
【防衛ライン】がLV6になった!
効果2【ダメージアップ】がLV8になった!
【ガードアップ】がLV10(最大)になった!

文月・雪人
生憎と、俺は陰陽師であって侍ではない。
お前の求める強き武者とは違うかもしれない。
それでもこの戦国の地を駆け戦ってきたのは、俺にもまた譲れぬものがあるからだ。
島津を倒して苛政を止める。
その為に、この戦いは決して負けられない。

赤い瞳と赤い二本角のネメシス形態のまま
雪月花の刀を手に『光明一閃』のパラドクス使用
仲間と連携し戦いたい

パラドクスで高めた観察眼と【反撃アップ】で、目にも止まらぬ筈の一刀を見極めて。
攻撃に刀を合わせ、滑らせる様に刃を逸らして【ガードアップ】。
衝撃に怯んでなるものか、この先にこそ勝利への糸口がある。
仲間が刻んだ傷の状況を冷静に見極めて【命中アップ】、
不屈の意志と共に前へ踏み込み『光明一閃』!
【ダメージアップ】な斬撃で切り裂いて、
仲間の攻撃へと繋げよう。

俺達はディアボロスだ。
クロノヴェーダの齎す理不尽に、屈せず抗い戦う者だ。
お前がどれだけの力を振るいねじ伏せようと、
この胸に宿る怒りの炎を、皆で繋いだこの希望の光(残留効果)を、
消すことなんて出来やしない。
勝利を掴むのは俺達だ!


月見里・千隼
※連携、アドリブ歓迎


島津惟新斎…か
あぁ上等だ来なよ、義弘の別名を冠する最強格の天魔武者

群青の装甲を纏ったネメシス形態になり
気炎万丈、いざ参る!

義久との再会?生憎だが、そうはさせん
島津十字の兄弟竜ごと断ち斬る!

惟新斎、この太刀…見覚えあるだろう?
かつて討伐した豊久の太刀を鹵獲して改修した刀の天岑昌運さ

天岑昌運を見せつけ怒りで冷静さを削ぐのも一興
この太刀を目にして、貴様がどう出るか見ものだな

『紅蓮月』にて納刀からの抜き即斬、雲耀の一閃で
大声の猿叫と共に闇と炎を纏う刀身の天岑昌運の斬撃で
惟新斎めがけて幽鬼どもごとチェスト!

反撃は装甲の硬さと【ガードアップ】を活かし致命傷にならぬよう防御しつつ
幽鬼の太刀の呪詛は強靭な精神力で耐えてみせるさ

豊久の苛烈な勇猛果敢な残火が灯る刀の切れ味は妖刀より悍ましいだろう?

復讐者達に追い詰められた挙句
豊久の刀で斬られるとはなんとも皮肉な末路だな
今ここで圧政の報いを亡き人々の怨念を喰らいくたばれ

覚悟、鬼島津!
貴様の首級、この手で討ち獲らせてもらうぞ!


音羽・華楠
黒髪黒瞳の人間の姿のネメシス形態を維持し、再び惟新斎へ挑みます。

大概のジェネラル級なら、もう倒れてるんでしょうが――
……それでも、断片の王には劣ります!
奪還戦を経ず、超大和を、キングゴンドワナを破ってきた私たち復讐者が、どれだけ強力でもジェネラル級に屈するわけにはいきません!!
そう声を上げ、自分を、味方を鼓舞します。

そうして高めた気迫を籠め、惟新斎へ《雷幻想・蹴聖》を放ちましょう。
奴の装甲の損傷が僅かでも大きい箇所を狙い、多少でも深く威力が浸透するように尽力します。

……天地の 開けぬ先の 我なれば 生くるにもなし 死するにもなし――

正史の島津義弘公の辞世の句です。
……無念というなら誰よりも、正史の惟新公こそが今それを感じてるはずです。
それを晴らすこともまた、私たち復讐者の役目ならば!
歴史侵略者・島津惟新斎――あなたが正しき歴史から奪った全て、正史の義弘公へ還す時です!!

惟新斎の反撃には、僅かでも大きく刀を振り抜かせ、構え直す時間が少しでも掛かるように身を捻り、味方の好機を作ることを意識。


無堂・理央
島津惟新斎との決戦もいよいよ最終盤かな。
なら九州最強の将を討ち取る最後の攻め手に参加させて貰うよ。


引き続き無双馬『クロフサ』に騎乗して最後の攻勢へ。
パラドクスでガンランスを生成したら、一発だけの【託されし願い】を込めた弾を装填した後にランス形態に切り替える。

他の人達による先の攻防の間か今の攻防の間に惟新斎から離れて助走距離を取る。
逆説連鎖戦で彼我の距離は考えなくていいけれど、突撃の勢いを乗せるなら加速する長さが必要だからね。
そして、ガンランスを構えてクロフサが加速する為の力を溜めた後に一気に駆ける!
生半可な速度なら反応される、だからクロフサの全速力で!
そして全速力を越えた速さで!真っ直ぐ突っ込む!!
反撃よりも先に討つ為にも!音を越えて!雷の!雲耀の速さまで!!
反撃を気にせずボクとクロフサが一つの砲弾となって惟新斎にぶち当たる!!

ぶち当たってガンランスの穂先を惟新斎に突き立てれたら、そのままガンランスを砲撃形態に切り替えて零距離で一発限りの砲撃を叩き込む!!
これが!ボクの最後の一撃だー!!


 戦いの趨勢は傾いた。
 されど、しかしてジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』は立っていた。
 亀裂走るは赤き甲冑。
 その深さは言うまでもない。
 島津十字家紋のゆらめきは、裂傷を受けて尚燦然と輝くようだった。
 ディアボロスたちは知るだろう。
 ここに来て未だ精矛厳建雄命『島津惟新斎』は踏みとどまっている。
 否、ここから相対するディアボロス全てを打倒し、己が兄、『龍伯』島津義久の元へと駆けつけんとしている。 
 その気概というものを身より迸る重圧でもってひしひしと感じる他なかったのだ。
「これが、精矛厳建雄命『島津惟新斎』……か」
「九州最強の将ね」
「大概のジェネラル級であれば、もう倒れているんでしょうが――」
 月見里・千隼(硝煙と魔弾の騎手/現代ラストジョッキー・g03438)と無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)、音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は、その重圧を前にして怯むことはなかった。
 退くことは選択肢にない。
 なぜなら。
「それでも断片の王にはお取ります!」
 己たちディアボロスが打倒してきた敵を思う。

 ただ一人で為すことなど何一つない
「そうだ。だからこそ」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は一歩前に踏み出した。
「生憎と、俺は陰陽師であって侍ではない。お前の求める強き武者とは違うかもしれない」
「そいがどがん理由なっか。侍とは即ち矜持にあり方よ! 名前は関係なかっ! 言い訳ごちしたかなれば!」
「そうだな。だが、この戦国の地を駆け戦ってきたのは、俺にもまた譲れぬものがあったからだ。それを矜持と呼ぶのならば」
「如何にす!」
「島津を倒して苛政を止める。そのために」
 赤き瞳と双角が煌めく。
 手にした『雪月花』の刀身に光明一閃(コウミョウイッセン)の光が灯された瞬間、雪人は駆けた。
 眼の前にあるのは、巨山の如き赤き武者。
 精矛厳建雄命『島津惟新斎』の蜻蛉の構えであった。
 最上段に振り上げた野太刀。

 幾度のものディアボロスとのパラドクスの応酬にあってなお、その構えに一部の隙もなし。
「チェィィィィストォォォォォ!!」
 振るわれる斬撃。
 それはあまりにも速い一撃であった。
 高められた雪人の眼ですら、その目にもとならぬ斬撃の一撃は光条にしか認識できなかったことだろう。
 衝撃が脳天から股下までを貫く。
 受けられたのか、それとも受けきれなかったのか。
 己の五体に問いかける。
 火花が散る様を雪人は見ただろう。放たれた一撃は、本来であれば、そらすことすら許されぬ強靭にして苛烈なり一撃。
 だがしかし、彼は己が不撓の闘志でもって踏み込み、退くのではなく前に進むことで火花をちらしながら野太刀の一撃を逸らしたのだ。
 衝撃が身を打ち据える。

 ただ、それだけなのに身を打つ強烈さに骨身がきしんだ。
 怯んでなるものか。
 己は何だ。
 問いかける声に応える。
「俺は、俺達はディアボロスだ。クロのヴェーダの齎す理不尽に、屈せず抗い戦う者だ」
「そいが理由か矜持ちか! それならばおいどまも同じよ! きさんらという不条理をまえにひっとぶ! そいがおいどまの矜持っ!」
 迫る力は凄まじい。
 ねじ伏せるような力。
 だが、己のが胸に宿る怒りの炎を、繋いできた希望を、消すことなど出来はしないのだ。故に勝利を掴むのは己達。
 それを示すように雪人は、その斬撃の一撃を精矛厳建雄命『島津惟新斎』の胴へと叩き込み、ぐらりと体を揺らす。
「見事! じゃっどん!」
 崩れ落ちんとする雪人を背に精矛厳建雄命『島津惟新斎』は更に蜻蛉の構えを取った。

 彼の眼前に迫るのは、雷幻想・蹴聖(ファンタズム・フェイルノート)が生み出した雷球。
 それ華楠が放ったパラドクスであった。
 高められた気迫。
「……天地の 開けぬ先の 我なれば 生くるにもなし 死するにもなし――」
「句を読むか、ディアボロス!」
「これは正史の島津義弘公の辞世の句……無念というのなら、誰よりも、正史の惟新公こそが感じている筈。それを晴らすことが!」
 己達ディアボロスの役目だと彼女は言う。
 そう、どれだけの気概を見せようともディアボロスにとってクロノヴェーダは歴史の簒奪者に他ならない。
 奪われたのだ。
 なかったことにされたのだ。
 その無念を思えばこそ、彼女の胸には怒りがこみ上げる。
「その全て、正史の維新公へと還す時です!!」
 放たれた雷球と打ち合う野太刀。
 力の奔流が周囲にほとばしり、破壊をもたらしながら華楠は身を捩った。

 雷に全身を焼かれながらも、精矛厳建雄命『島津惟新斎』は踏み込み、彼女に一撃を振り下ろしていたのだ。
 なんたる一撃であろうか。
 華楠は、その苛烈なる一撃の前に、その身から血潮を噴出させる。だが、己が血潮すらも精矛厳建雄命『島津惟新斎』の視界を塗りつぶす書き割りでしかないのだ。
 彼女の真紅の書き割りを割るようにして迫るのは、理央だった。
 無双馬『クロフサ』を駆り、突撃砲槍生成(クリエイト・ガンランス)によって生み出された砲撃槍を携え、迫る。
 雪人、華楠。
 二人のパラドクス攻撃の合間に彼女は助走距離を得ていた。
 逆接連鎖戦において彼我の距離は意味をなさない。
 だが、それでも突撃の勢いを乗せたかったのだ。

 そう、生半可な速度なら反応される。
 加えて、反撃を時空を歪めて放たれるのがパラドクス。
 対する精矛厳建雄命『島津惟新斎』の構えは依然、蜻蛉の構え。
 全てを擲つかのような構えである。
 その構えを前にして理央ができることなど多くはない。
 そう、全力。
 全速力を超えた速さでもって、真っ直ぐに突っ込むこと。
「音を越えて! 雷の! 雲耀の速さまで!!」
 構わない。
 あの野太刀の一撃が己が身を切り裂くのだとしても、彼女は構わなかった。
 無双馬『クロフサ』と己とを一つの砲弾として、精矛厳建雄命『島津惟新斎』にぶち当てる。ただそれだけ、ただその一念を持って彼女は野太刀の一撃と真っ向から激突する

 野太刀が身に食い込む。
 激しい痛みが彼女の身に走り、鮮血が舞う。
 だが、それでも振り上げた砲撃槍の柄は逆手に握りしめられていた。
「捨てがまりかッ!」
「それよりもさらに速く!!」
 これが。
「これが! ボクの最後の一撃だー!!」
 振り抜いた一撃が精矛厳建雄命『島津惟新斎』の胸へと叩きつけられ、ひしゃげた槍から彼女は力なく手を離す。
 
 その苛烈な戦いの中、精矛厳建雄命『島津惟新斎』は未だに立っていた。
 最後に相対するは、群青の甲冑。
 ネメシス形態。
 千隼廃棄を吐き出した。
「気炎万丈、いざ参る!」
「よう! 群青の武者かッ! 上等よっ!」
 振るわれるは大金棒。
 その痛烈な一撃は言うに及ばず、千隼の身を打ち据えるだろう。
 群青の甲冑が砕け、破片が散る。
 だが、それでも彼は踏み込んでいた。
「邪魔あ、すんじゃなかっ! おいは兄上の元へ往かねばならぬ!」
「生憎だが、そうはさせん。島津十字の兄弟龍ごと断ち切る! ……惟新斎、この太刀……見覚えがあるだろう?」
「そいは……豊久の!」
「ああ、その太刀を鹵獲して回収した刀、『天岑昌運』さ」
 千隼は、その太刀を見て精矛厳建雄命『島津惟新斎』が怒り狂うと思っていた。
 だが、精矛厳建雄命『島津惟新斎』は僅かに目元を細めただけだった。

 何故、とは言わない。
 その所作一つに込められたのは万感の思いであったことだろう。
 甥の最期。 
 それを侮辱された怒りは、その身を焦がすばかりであった。
 だがしかし、今相対するのは誰か。 
 ディアボロスである。
 正気のまま怒る。
 それが精矛厳建雄命『島津惟新斎』である。一度燃え盛る怒りあれど、それを狂気のままにせぬのが、鬼島津。
 故に赤熱する駆体とは裏腹に精矛厳建雄命『島津惟新斎』の内は、相対する群青のようであった。
「復讐者に追い詰められた挙げ句、豊久の刀で斬られるとは、なんとも皮肉な末路だな。今ここで圧政の報いを亡き人々の怨念を喰らい、くたばれ!」
「そこに豊久が魂はなか。でれば!」
 振るう大金棒が千隼を打ち据えた。
 砕かれた群青の甲冑。
 
 だが、その幽鬼が立ち上るより速く、彼は踏み込んでいた。
 身を打つは激痛。
 されど、覚悟がある。
「覚悟、鬼島津!」
 振るう斬撃の軌跡は、紅蓮月(ヴァーミリオンムーン)。
 疾風迅雷の如き斬撃は、炎の魔力の軌跡を描いて、精矛厳建雄命『島津惟新斎』の駆体を袈裟懸けに切り裂くのだった。
善戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【建物復元】がLV3になった!
【一刀両断】LV1が発生!
【落下耐性】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
【先行率アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV9になった!

金刺・鞆
やはり、手強い……!
しかし趨勢は確かにわれらへと傾いている。
あとひと息です、ロキシアさま(g07258)!

先の傷は浅くない。護りのちからを最大に近く重ねていてもなおこれだけの威力を奮う……!
もう一度耐えられるかはわからない。なれど、超常の応酬は仕掛けるのもほぼ同時。そこに必ず勝機はある!

舞扇を再度に翻して、水龍に更なる御力を。龍は流。絶えぬ瀑布の如く!
わたくしが繰り出すのは『蹂躙舞踏・流縛の鎖』。
神力にて煌めく水流の縛め――叶うなら、その首級を縊る。
怖れを克えよ、限界を超えよ! 深手など覚悟の上!
わたくしの技すら目晦ましであっても良い。――届け!


鬼島津、惟新斎。
認めます。確かに汝はその名に恥じぬ強者であったと。
胸中に満つるこの想いに、僅かならざる敬服の念が在ることを。
われらは次いで龍伯とも戦うでしょう。そして、必ずやかの者をも打ち倒す。
恨みたくば恨め。それでもわれらは歩むのだから。

……その先に、戴冠を成したのちに何が待ち受けていようとも。
隣人のため、善き人のため――その未来を護るために。


ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に
しんどいけれど、最後に出来るなら
掲げた金杯より光が差し、鎧姿をつくる
うん、鞆ちゃん(g03964)。札を切る時だ
伝承の片割れ、聖杯の騎士のネメシス姿を

SPDで庇う意識を入れながら、思考は最良の一撃へ
手負いは必ずしも一手を緩ませるものじゃあない
特にパラドクスを交わす者にとっては
刺すならば怒涛の如く
魔槍が再び唸る、必殺へのアイドリング

全槍、伝承開放
佳境を締めるに相応しき力の収束
同じく蹂躙舞踏の幕をあげるため
ぎらつく穂の眼にも負けんと紅玉の瞳も爛に煌き
閃電の如き疾駆は水流を縫って鋭く
残留効果の導く先、偉容を終着として
因果を駆けよ、命を賭けよ。全霊を以て好敵を下す!
僕らの蹂躙はこれより龍を討つ
――呪え!
一度穿てばストレージ経由で量産型魔槍が生え貫く
徹底した呪殺と浄化こそ、ふたりの最強の札として!

攻撃は槍で受け、押されれば進み
ここまで喰い付いた相手。倒れないって
僅かにも連携を途切れさせないと只管に
きみも……理解ってんだろ!

まだまだ。二龍も王も打ち勝って
僕たちの道は続いてゆくんだ


伊佐沼・チカ
惟新斎さん……もしあなたが善いおさむらいさんなら、きっと朝から晩までどっぷり、武芸の道を語り明かせました
百姓生まれのチカのことを、戦ぶりだけで、武者だと言ってくれたんだもの……!

そんでも……民草ぁいじめる輩は、懲らしめてやんなきゃならねぇ
チカがなりてぇ、おさむらいさんの生き方、貫かせて貰います
島津惟新斎どの――いざ尋常に、勝負です!

ねめしす形態で、最後まで戦います!

チカが鎚でブッ叩く所は、ここまでの戦いで何度も見せました
振りかぶってから打ち付けるまでの「間」も、既に読まれてるはずなのです
だからチカは、この合戦で使う最後の技に、『天魔機構・驚天』を選びます
≪天魔鎚『山崩』≫から火が噴き出して、チカの力だけで振るよりも、速くて重ぇ一発が出せるこの技なら……
惟新斎さんが、チカの戦ぶりに「慣れちまった」今この時こそ、意表を突けるかもしれねぇのです!

皆がたらふく美味ぇもんを食べられて、悪ぃおさむらいさんに斬り捨てられたりしねぇ、泰平の世ん中を作る!それがッ!
――チカがゆく、もののふの道なのです!!


瀬鍔・頼門
あれほどの攻撃と傷を重ね受けてなお立つか!覚悟はしていたがなんと強き将か、島津惟新斎。いにしへに聞く熊襲もかくやあらん
…私の限界も近いか。それまでにつはものの慣らいたる一太刀、果たさねばならん

仲間との連携協力も重視
ネメシスモードの甲冑を維持。太刀の呪力を最大解放し、されど呑まれずその力を太刀の刀身に集束させる
南無八幡大菩薩、これは改竄されし天の下、大八洲国に稀なるつはものますらをとの戦なり
願わくば、我が太刀筋照らし給え

【命中アップ】を意識し太刀を肩に担ぐように両手で構え、突撃。
駆け向かい狙うは【童子斬り】による首狙いの一撃
【ガードアップ】を利かせるように盾代わりの4基の大袖鎧を駆使。重い一撃は大袖鎧を重ね防ぎ、割れようと砕き飛ぼうと勢いは止めない
残る力を振り絞り【ダメージアップ】を込めて湧き来る幽鬼どもを斬り倒し、大袖鎧で弾き退け、惟新斎の首目掛けて組み討ちかかる

今日ここでこれほどまでの戦に逢えしこと我が誉れだ鬼島津!
いつか地獄で逢えたならば豊久への仁心ゆえの激昂、冥府の神仏に伝えよう!


 ジェネラル級天魔武者、精矛厳建雄命『島津惟新斎』の姿は、まさしく満身創痍。
 なれど、そこにあったのは鬼島津と異名されし姿であった。
 受けた手傷はどれも浅いものではなかった。
 穿たれた槍。
 袈裟懸けに走る裂傷。
 具足に亀裂走らぬ場所はない。
 赤き甲冑は、熱を帯びて赤熱を通り越して黒色にところどころ変色している。
 そのさまをして、威風堂々たる佇まい。
「……まだ、まだ……おいは、たっちょうぞ、ディアボロス……!」
 踏み出す。
 それだけで激震走るような重圧がディアボロス達を襲う。
「やはり、手強い……!」
 戦いの趨勢はディアボロスに傾いている。だと言うのに、それでもなおこれを覆さんとする気迫を感じ、金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)はうめいたが後退くことはしなかった。
 あと一息なのだ。
 あと一息で倒せる。
 だが、それは同時に自分たちも同様であった。
 戦いの傷跡は浅くない。故に守りの力を最大にまで撚り合わせてもなお、かの野太刀の一撃、大金棒の痛打、苛烈なる剛腕は些かも陰ることはない。

 あと一撃。
 耐えることすら危うい。
「なれど、ロキシアさま!」」
「うん! 鞆ちゃん、札を切る時だ」
 ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)は騎士たる姿へと変貌する。
 ネメシス形態。
 それは己達最後の一撃だと理解してのことだろう。
 超常の戦い。
 逆接連鎖戦においてパラドクスは必中。
 ならば、時空を歪めて互いに数百、数千とオリナスは技の応酬。
 しかし、今はそこに勝機を見出していた。

「舞えや水、捕らえよ鎖」
 それは騎士の門出を祝するかのような舞、蹂躙舞踏・流縛の鎖(・)。
 浄化の水は瀑布の如く流れゆき、精矛厳建雄命『島津惟新斎』の身を縛めるかのように迸るのだ。
「怖れを克えよ、限界を超えよ!」
「幼き若武者よ見事。じゃっどん! こいはおいが道じゃ! 例え瀑布が立ち塞がろうちとも!」
 振るうはマグマのごとき赤熱せし剛腕。
 叩き込まれた熱拳は鞆の体を打ち伏せる。
 痛打。
 あまりにも強烈な痛みが鞆の体を駆け抜けた。

 臓腑が圧迫され、骨身がひしゃげる音がした。
 己のパラドクスなど目眩ましにもならないのではないか。
 そう思うほどの一撃に鞆は痛みに喘ぐ……よりも口を開いた。
 刮目せよ。
 若武者と言ったのは侮ったわけではない。
 もとより見事な武者振りであったのだ。それは認める所。されど、鞆の口より発せられし言葉は、精矛厳建雄命『島津惟新斎』をして驚嘆せしめるものであった。
「鬼島津、惟新斎。認めます。確かに汝はその名に恥じぬ強者であったと」
 吐き出された言葉は相対する者をして敬服の念。
 だがしかし、その敗北の二字は欠片と手なかった。
「よう! ぬしもまた良き武者ぶりであった。であれば!」
 辞世の句を、と精矛厳建雄命『島津惟新斎』は思ったのだろう。だが違う。
「われらはついで『龍伯』とも戦うでしょう。そして、必ずかの者を打ち倒す」
 うらみがあるだろう。だが、それでも構わない。
 ここより先に己たちは征く。 
 その気概を持って彼女は叫び、その叫びに呼応するようにしてパラドクスが煌めく。

 唸るは魔槍。 
 翻るは戦塵。
 ならば、閃くはなにか。
「蹂躙舞踏・命穿つ牙(バルバロイダンス・ガエ・クリード)」
 牙は研ぎ澄まされた。
 そして、放たれたのはロキシアの一撃。
 戦いの佳境にありて、その鋭さは紫電よりも鋭く。
 手繰り寄せた残留効果が紡がれていく。まだこれより先があると知らしめるように、その槍の一撃は鎹であると示すように、楔の一撃をロキシアは放った。
「――呪え!」
 瞬間、蹂躙されしは龍。
 されど、龍は咆哮する。

「チェィィィィストォォォォ!!!」
 裂帛激烈。
 その斬撃は一瞬にしてロキシアの生み出したパラドクスの光を凌駕するようだった。
 吸い込まれる斬撃。
 ロキシアは己の鮮血が舞う様を見ただろう。
 因果を手繰り寄せ、命を懸けた。
 であれば、駆け抜けたとも言えただろう。
 全霊を以て、好敵手とも言うべき敵を穿った。それは互いの身に刻まれた傷跡を示していた。
 穿たれた槍の痕にさらに叩き込まれたロキシアの槍は精矛厳建雄命『島津惟新斎』の左肩を抉り、左腕を吹き飛ばしていた。
 宙に舞う左腕。
 大地に落ちる衝撃の凄まじさは身を震わせる絵ほどであったことだろう。
「見事、じゃ……我が片腕くれてやろう。それでおいが勝利じゃ……!」
「いいや! まだまだ! きみも……理解ってんだろ!」
 満身創痍はディアボロス同様。
 だがロキシアは告げた。
 己たちの道はまだ途絶えていないと。
 続いていくのだと。
 
 それはディアボロスだけが認識できる光。
 そう、残留効果。
 か細い糸は、今や鎖のように強靭。
 音を立てることはないが、しかして鞆とロキシアは見ただろう。
 その光の流れ着く先にあるのは、二騎の鎧武者。
「島津惟新斎。いにしへに聞く熊襲もかくやあらん。つはものの慣らいたる一太刀、果たさねばならん」
 瀬鍔・頼門(あかとき闢く忌刀舎人・g07120)の身は限界が近い。
 いや、限界を超えていかねばならない。 
 手繰り寄せた残留効果が言っている。
 ここで終わりではないと。立ち止まるなと。それが連綿と紡がれてきたディアボロスたちの石である。
 故に彼は走った。
 甲冑を維持するのもやっとである。
 だがしかし、走る。
 手にした太刀。
 その呪力を開放する。奔流のような呪いは頼門の身を苛むだろう。だが、御さねばならない。

「南無八幡大菩薩、これは改竄されし天の下、大八洲国に稀なるつはものますらをとの戦なり。願わくば、我が太刀筋照らし給え」
 捨てる。
 全て捨てる。
 命残されてなお、捨てるものがある。
 我が身を捨ててでも、と担ぐ太刀はもはや防御など捨てた。
 盾代わりの大袖鎧は、大金棒の一撃によって粉砕され、弾け飛ぶ。
 衝撃が頼門の鎧兜すら粉砕しただろう。
 砕けたうちにあるのは、パラドクスの光。
 雷光のように棚引く光と共に頼門は精矛厳建雄命『島津惟新斎』へと迫った。

「こいで尚、前に踏み込むッ! よか! よかぞ! ディアボロス!」
 溢れ出る幽鬼が天魔武者が頼門に迫る。だが、それを押しのけて精矛厳建雄命『島津惟新斎』は組み合った。
 この期に及んで、なお戦に真摯たる様に頼門は血反吐撒き散らしながら叫んだ。
「今日ここでこれほどまでの戦に逢えしこと我が誉れだ鬼島津! いつか地獄で逢えたならば豊久への仁心ゆえの激昂、冥府の神仏に伝えよう!」
 振るうは、童子切。
 一閃は鬼の首すら断ち切る一撃。
 走る斬撃の閃きは確かに精矛厳建雄命『島津惟新斎』の首を横薙ぎに……払いきれなかった。
 彼の斬撃は精矛厳建雄命『島津惟新斎』の歯列によって噛み、止められていた。
「ぐ、ギッ、ぐ……!!」
「ぐ、おおおおおおおおお!!!」
 一進一退ではない。
 頼門の一撃は正しく振り抜かれ、精矛厳建雄命『島津惟新斎』の両頬を横一閃に、その刀傷を以て刻んだのだ。

「が、フッ……!!」
 口裂をさらなる一閃によって切り開かれた精矛厳建雄命『島津惟新斎』の顔面に滴るは天魔武者の血潮。
 だが、面を上げた。
 そう、もう一騎。
 最後の一騎が迫っていた。

 伊佐沼・チカ(土興しの鎚・g08514)の胸中には言葉が溢れていた。
 ありもしない可能性を夢見ていた。
 言葉にすれば、それがどんなに陳腐なものに様変わりするかわかっていた。 
 だからこそ、チカは言葉を多く飲み込んだ。
 もしも精矛厳建雄命『島津惟新斎』が善い侍であったのならば。
 そんなあり得たかもしれない虚構に溺れることもできたかもしれない。
 なぜなら、百姓生の己を認めてくれたのだ。
 戦いぶり一つで、武者と。
 それは得難きものだった。

 だが、己が喜びと民草の嘆きは別である。
「懲らしめてやんなきゃならねぇ……」
 兜の頬当てはひしゃげ、兜は歪む。
 具足の全てが傷を負っている。
 真紅の鎧武者は、しかして前に踏み出した。
 そう、言葉で示すことはない。
 侍とは矜持。 
 であるのならば、チカは己がなりたいと願った、おさむらいさんの生き方を、我が身を持って貫かねばならぬと断じる。

「精矛厳建雄命『島津惟新斎』どの――いざ、尋常に」
「お゛うども……! 見苦じがごち、許じちぐいやい……! 勝負……ッ!!」
 頭を振った。
 見苦しいことなどないあ。
 これよりは、ただ己が力をたたきつけるだけのこと。
 隻腕となって尚、迫るは大金棒の気迫。
 振り抜かれた大金棒の軌跡をチカは見上げていた。
 ゆらり、と体が前のめりになる。
 手にした天魔鎚もまた緩やかな弧を描いていた。それを認め、精矛厳建雄命『島津惟新斎』は怒るだろうか。
 否。
 この武者において、それはない。
 手負い、満身創痍。
 それが何の理由になる。
 眼の前の敵は、敵でしかない。
 屠るのに加減など要らぬ。

 そういうように振るわれる大金棒の一撃が額に触れた瞬間、チカの瞳がパラドクスに煌めく。
「──だぉりゃあああっ!」
 裂帛の気合と共に噴射するは天魔鎚の噴射口。
 吹き荒れる力と共に火の如き苛烈さを以て彼女は振り抜いた。
 その一撃は互いの額を割るだろう。
 ひしゃげた音、明滅する双眸。
 互いに向かい合ったまま、チカは眼前に立つ精矛厳建雄命『島津惟新斎』を見上げた。

「みんながたらふく、美味ぇもん食べられて、悪ぃおさむらいさんに斬り捨てられたりしねぇ、太平の世ん中、作る……それがっ……」
 宣言する。
 見上げた先には、赤熱したまま立ち往生を迎えた精矛厳建雄命『島津惟新斎』の駆体がある。
「――チカがゆく、もののふの道なのです!!」
 贈るは言葉。
 相いれぬ、交錯するしかなかった道程なれど。
 しかして、そこには確かに武者としての矜持があった。
 ぶつけ合った力は、正しさではなく、ただあり方として次なる道へと続くことを示したのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【罪縛りの鎖】がLV2になった!
【神速反応】LV2が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV6になった!
【ダメージアップ】がLV10(最大)になった!

最終結果:成功

完成日2025年07月13日
宿敵 『精矛厳建雄命『島津惟新斎』』を撃破!