新選組との共闘によるキマイラウィッチ殲滅戦

『歯舞諸島三つ巴の戦』において、暗黒世界蝦夷共和国に漂着したジェネラル級キマイラウィッチ『復権慈母』イザベル・ロメは、蝦夷共和国のクロノヴェーダ種族である『新選組』に合流し、ディアボロスに対抗しようとしました。
 ですが、一般人の幸福をエネルギー源とする新選組は、キマイラウィッチと敵対。ディアボロスを含めた三つ巴の戦となるかに思われました。

 しかし戦いに向かったディアボロスが新選組に対して交渉を呼びかけ、過半数の戦場でキマイラウィッチ勢力のみを撃破して撤退しました。
 そのためイザベル・ロメの思惑とは違い、ディアボロスと蝦夷共和国側が対キマイラウィッチで共闘する状況が発生しました。
 新たに派遣されてきた蝦夷共和国勢力の部隊と共闘してキマイラウィッチを殲滅、イザベル・ロメを討ち取ってください。
 ただし、この部隊の種族は『新選組』でなく『大天使』のようです。

『復権慈母』イザベル・ロメ

決戦、イザベル・ロメ~交錯する思惑(作者 坂本ピエロギ
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#暗黒世界蝦夷共和国  #新選組との共闘によるキマイラウィッチ殲滅戦  #漂着キマイラウィッチ  #大天使  #『復権慈母』イザベル・ロメ 


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 暗黒世界蝦夷共和国、歯舞諸島。
 ディヴィジョン北東に広がる島々を睥睨するように、大空を飛翔する大天使の一団があった。
 いや、『一団』というのは正確さを欠く表現かもしれない。何故ならそれは、無数のトループス級とアヴァタール級が織りなす大軍勢と呼ぶに相応しい規模だったからだ。
 そして軍勢の中枢には、指揮官と思しき女性型のジェネラル級が三体。
 巨大な鎌を携えた大天使と、理知的な気配を纏う白衣の大天使、そして両者の護衛らしき銃使いの大天使だった。

『う~ん、解せないなぁ。山南副長の命令とはいえ……過剰に過ぎるんじゃないかな、この戦力?』
 大空を埋め尽くさんばかりの軍勢を見回して、白衣の大天使は呟いた。
 命令によれば、敵は他ディヴィジョンから漂着した勢力だと言う。規模はせいぜいジェネラル級1体を筆頭とする小勢で、そんな相手にこれだけの兵が必要なのかと訝しむ彼女に、鎌の大天使が口を挟んだ。
『それだけ魔女が脅威ということですよ、セマンゲロフ。奴らの因子が共和国に撒かれれば、いかなる悪影響が生じるか判りません。それに――現地には、ディアボロスたちの姿もあると聞きます』
『ああ。ミカエル様を討った連中が相手なら、この戦力も過剰とは言えまい』
 諭すような口調で言う鎌の大天使に、銃の大天使が訥々とした口調で同意した。少ない口数とは裏腹に力の漲った声には、自らの実力に対する自信が伺える。
 やがて目的地の歯舞諸島が近づくと、島の端には撃破目標である魔女の軍勢がおぼろげに見て取れた。復讐者の襲撃を警戒しているのか、防御に徹する構えのようだ。

『……ねぇ、セノイ。ディアボロスとの交戦は、極力控えろって命令だったよね?』
『ええ。撤退した新選組の報告によれば、交渉の余地があるとのことです』
『本当かい? あのディアボロスと交渉が成り立つなんて、ちょっと素直には信じられないなぁ』
 半信半疑の様子で白衣の天使が問う。その疑問に、セノイと呼ばれた鎌の天使は、半ば確信を持った様子で頷きを返した。
『報告に偽りは無いでしょう。現地の一般人を救うことを、ディアボロスは優先する傾向がある。彼らが蝦夷共和国でも同様の方針で臨んでいることは、ほぼ確実かと』
『うーん、そうかぁ。交渉ねぇ……可能性はあるかな? どう思う、サンセノイ?』
『知らん。ディアボロスだろうが魔女だろうが、私は害為す連中を排除するだけだ』
 白衣の天使の問いに、銃の天使――サンセノイがにべもない返答を返す。
 その視線は既に、次第に近づく戦場へと注がれていた。彼女は三体の中でも一番の武闘派であり、その心は一足早く戦場へ向いているのだ。
『もうじき作戦区域に到達する。始めるぞ、セノイ、セマンゲロフ』
『分かりました。では――』
『ああ、作戦開始だね。さてさて、ディアボロスはどう出ることやら』
 暗黒世界蝦夷共和国に漂着した侵略者、キマイラウィッチ。
 望まれぬ異物を一片残さず排除すべく、大天使の軍勢は飛翔の速度を上げていった。

●新宿駅グランドターミナル
「皆、お疲れ様。ついにイザベル・ロメと決着をつける時が来たよ!」
 集合した復讐者たちへそう告げて、リュカ・アルページュ(人間のサウンドソルジャー・g01327)は説明を開始した。
 魔女化させた自動人形を率い、火刑戦旗ラ・ピュセルで復讐者たちを苦しめた『復権慈母』イザベル・ロメ。奪還戦の敗北によって蝦夷共和国へ漂着した彼女は、現在、配下ともども窮地に陥っている。共和国を支配する新選組勢力との交渉に失敗し、孤立無援となった為だ。
「それでもまだ、イザベルは諦めていない。残った配下をかき集めて、状況の打開を狙っているようだ」
 リュカによると、イザベルとその軍勢は復讐心を一層募らせ、逆転の機を伺っているという。復讐者を滅ぼす為なら、最後の一兵まで戦い続ける気なのだろう。
 だが、そんな彼女たちの動きを新選組は放置しなかった。大天使たちで構成された大部隊を編成したのち、魔女討伐の為に歯舞諸島へ派遣したのだ。
「新選組勢力の狙いは二つ。魔女勢力の殲滅と、指揮官であるイザベルの回収だ。前者はともかく、ここでイザベルを逃がす訳にはいかない。激しい戦いが予想されるけど、何としても彼女に引導を渡そう!」
 派遣された大天使勢力と共闘しつつ、彼らに先んじてイザベル・ロメを撃破すること。それが、今回の作戦目標となる。

「今回の作戦で共闘する大天使の軍勢は、三体のジェネラル級が率いているよ。まずは戦いが始まる前に、向こうの陣に乗り込んで会談を行って欲しいんだ。共闘する相手と顔を合わせて、色々話し合っておこうという算段だね」
 大天使たちは《七曜の戦》後に蝦夷共和国に漂着したと見られ、現在は新選組の傘下として活動している。
 その行動は新選組の意向を反映したもので、復讐者との共闘を拒むことも無い。とは言え、彼女たちは復讐者の敵ではないが味方でもない点には注意が必要だ。意図して攻撃を仕掛ければ当然反撃が来るし、最悪の場合命の危険もある。間違っても油断は禁物だとリュカは付け加えた。
「三体のジェネラル級は、セノイ、セマンゲロフ、サンセノイと呼ばれる女性型大天使だ。指揮系統も統一されていて、それぞれに立場と思惑があるようだから、主な会話相手を誰に選ぶかも会談では重要になるよ」
 彼女たちの中で、セノイは復讐者と協調の余地があると考えている立場で、内容次第では丁重な会話が期待できる。
 対照的に、セマンゲロフは復讐者への不信感が拭えない様子だが、魔女へのスタンスなどを柱に説明を行えば、興味を示す可能性がありそうだ。
 一方、サンセノイは護衛を担う役割の為、積極的に会話に加わることは無い。度を過ぎた行動などを取った場合は、威圧や攻撃を仕掛けて来る恐れがある為、注意を払うべき相手と言えるだろう。

「会談が終わったら、いよいよ戦闘の始まりだ。周囲の魔女は大天使に任せて、皆はイザベルの撃破に専念して欲しい」
 魔女を相手に戦う限り、大天使勢力が復讐者を妨害して来ることは無い。道中では復讐心に駆られた魔女化自動人形たちが襲撃を仕掛けて来る為、決戦前に排除しておく必要がある。その後、護衛を連れたイザベルと交戦を行い、これを撃破すれば作戦は成功だ。
 イザベル自体は飛び抜けて強力な敵ではないが、復讐心を糧とする魔女の戦闘力は侮れない。また、戦闘中に彼女と交わす会話は、すべて新選組勢力に筒抜けとなる。原理は不明だが、これは通信障害などでも阻止できない為、イザベルとの不要な会話は推奨できないとリュカは告げた。
「とは言え、うまく状況を逆手に取れば新選組側へ情報を仕込むことも可能かもしれない。彼らとの交渉を模索する場合は、攻略旅団で提案してみてね!」
 今回の作戦における大天使たちとの会話や共闘は、今後の攻略にも関わり得る。旅団の方針次第では新選組とも会談などを行う可能性もある為、共闘の姿勢を示すことには大いに意味がある筈だ。

「ぼくが見た限り、大天使たちは新選組の命令に忠実に従っているようだ。それが本心か演技かまでは分からないけど……」
 少なくとも、その戦い方や行動方針は新選組と同等と考えて良いだろう。
 火刑戦旗ラ・ピュセルに漂着した自動人形を魔女化し、罪なき人々に惨劇を振りまき続けた『復権慈母』イザベル・ロメ。彼女の暗躍をこれ以上許さない為にも、この作戦に失敗は許されない。
「さあ、出発だ。共和国の攻略を進める為にも、必ずイザベルをぶっ飛ばしてやろう!」
 かくしてリュカが説明を終えると、ホームに発車のベルが鳴り響く。
 行先は暗黒世界蝦夷共和国、歯舞諸島。
 幾多の勢力の思惑が入り乱れる中、復讐心を植え付ける復権慈母との決戦が始まろうとしていた。

●暗黒世界蝦夷共和国:歯舞諸島
『私としたことが、迂闊でした。やはり此処は、天正大戦国とは別のディヴィジョンでしたか……』
 遅きに失した己の理解を悔いるように、『復権慈母』イザベル・ロメは眉を寄せた。
 状況は絶体絶命だった。派遣した部隊が残らず撃破された、これはまだ理解できる。だが――彼女が耳を疑ったのは、その先だ。現地の支配種族が復讐者と共闘したらしいという配下からの報告を、彼女は未だに信じきれずにいた。
 なぜこうも自分たちが拒絶され、敵と見なされるのだろう。復讐者とクロノヴェーダは不倶戴天、復讐を力とする魔女の手を払い除ける理由など、ある筈が無いのに――。
『……少し、示威行動が手緩かったかもしれません。次はもう少し、住民を派手に虐殺しなければ』
 そう思いつつ、イザベルの眼は既に『次』を見据えていた。
 復讐者とクロノヴェーダの共闘関係は遠からず綻びる筈。その時に備え、まずは守りを固めなければ――そう思い、配下へ指示を飛ばそうとした次の矢先だった。
『イザベル様、敵の大軍勢が迫っております! 大天使です!』
『大天使……? ディアボロスを憎む筈の者たちが、一体なぜ……?』
 護衛の『断頭の道化師』が示す先、上空の彼方を仰ぎ見てイザベルは呟く。
 困惑に満ちた彼女の問いに、答える者は誰も居ない。
 確かなことは只一つ――彼女が見据える『次』の機会は、二度と訪れないという現実だけだった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
4
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【狐変身】
2
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【フライトドローン】
2
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【腐食】
2
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【託されし願い】
2
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【避難勧告】
2
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【過去視の道案内】
1
移動時、目的地へ向かう影が出現しディアボロスを案内してくれる世界となる。「効果LV×1日以内」に、現在地から目的に移動した人がいなければ影は発生しない。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【パラドクス通信】
3
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【防空体制】
1
周囲が、飛行する存在を察知しやすい世界に変わる。ディアボロスが屋外を飛行中の敵を発見するまでに必要な時間が、「効果LVごとに半減」する。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV7 / 【ガードアップ】LV4 / 【アクティベイト】LV2 / 【リザレクション】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【アヴォイド】LV1 / 【ダブル】LV1 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

坂本ピエロギ
 坂本ピエロギです。今回は、暗黒世界蝦夷共和国のシナリオをお送りします。
 『復権慈母』イザベル・ロメ討伐の為、山南副長が派遣した大天使の大軍勢。
 三体のジェネラル級が率いる大天使たちと共闘し、魔女の軍勢を掃討して下さい。

🌏現地情報🌏
 歯舞諸島(暗黒世界蝦夷共和国)

✏概要✏
 本作戦の目標は、『復権慈母』イザベル・ロメ率いる魔女勢力の撃破です。
 まずは戦場に布陣する大天使の軍勢へ向かい、ジェネラル級三体と会談。交渉や情報収集などを行って下さい(①)。
 戦闘開始後は、襲撃してくる魔女を蹴散らし(③)、護衛を連れたイザベルを撃破すれば作戦成功となります(②・④)。

 執筆の優先順位は①>③>②>④。成功条件は④の達成です。
 初回の執筆は5/23の8:30より開始し、以降は参加状況を見て適宜進行いたします。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしています。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


イロハ・アプリルシェルツ
※アドリブ歓迎

大天使を通じて蝦夷新選組と交渉と言うのもバイアスがかかるんだよね。
まぁ、向こうからすれば思惑が読めないディアボロスを相手にするんだから一緒かな。

交渉を希望する相手は大天使セノイ。
但し他の大天使2体にも笑顔で敬意を払った態度で接するよ。
とは言え遜る事も無く堂々とした姿勢で交渉に臨もう。

キマイラウィッチと蝦夷共和国へのディアボロスの介入姿勢の違いには気付いてるよね?
一般人に対するキミ達の姿勢のお蔭で、戴冠の戦も間近だけど条件次第では協調出来ることもあると思うんだ。
その辺を話し合あえる秘密の会談の場を戴冠の戦前に設けてくれないかなって提案。
即答出来る内容ではないと思うから、上司が居る所まで持ち帰って報告し返事してくれれば良いよ。
同盟とは行かなくても互いに情報のアプデが出来るから其方側にも利があると思うんだ。
最低でもディアボロスの最新情報をすっぱ抜ける機会だよ?

今回イロハが来たのは件のジェネラル級キマイラウィッチと
個人的な因縁があるから以外にこれを提案したかったからだよ。


 幸福の名の下に人類が管理される世界、暗黒世界蝦夷共和国。
 魔女を討伐すべく歯舞諸島の空に現れた大天使たちの下へ、地上より近づく影があった。開戦前の顔合わせとして、交渉に臨む復讐者、イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)だ。
「いやはや、凄い規模の軍勢だね。さて、どうなることやら……」
 先導の大天使に案内されながら、イロハは周囲の布陣を見遣って呟いた。
 3体のジェネラル級が率いる大軍勢は、《七曜の戦》の後に流れ着いた勢力だという。これだけの規模の戦力を、新選組は従えているのだ。大天使の背後に控える、謎多きクロノヴェーダ勢力――その存在が有する実力に、イロハは改めて気を引き締める。
「……おっと、着いたかな」
 やがて陣営の中枢に案内されると、イロハは緊張を払うように息を整えた。
 今回得た成果は、共和国攻略にも大きく関わる筈。鬼が出るか蛇が出るか、いざ交渉の始まりだ。

 通された先で対面したのは、軍勢を率いる三体の大天使だった。
 『壱の護鎌』セノイ、『参の護賢』セマンゲロフ、そして『弐の護銃』サンセノイ。彼女たちが向ける三者三様の視線に、イロハは目を逸らさず向かい合う。
「ディアボロスのイロハと言うよ。魔女との戦いの前に、時間を割いてくれて有難う」
『構いません。私も、ここで貴方たちと無益な争いは望みませんから』
 イロハの言葉に、そう返事を返したのはセノイだった。
 どうやら彼女も、復讐者とは協調の余地があると考えているらしい。一方セマンゲロフとサンセノイは、咎める様子もなく沈黙を保っている。横槍を入れずに、成行きを見る気なのだろう。セノイとの会話を望むイロハにとっては、決して悪くない展開だ。
「じゃ、本題に入ろう。いいかな、セノイ?」
『ええ。伺いましょう』
 イロハとセノイ、両者の視線が交錯する。
 掌に微かに滲んだ緊張の汗をそっと握り潰し、イロハは話を切り出した。

「まずは……ディアボロスと魔女の、共和国への介入姿勢の違いは気づいてるよね?」
 互いの認識を確認するイロハの問いに、セノイは無論だと首肯で応じた。
『一般人を守るという点において、ディアボロスとは目的を共有できると認識しています』
「なら、イロハの話はシンプルだよ。《戴冠の戦》までに秘密会談の場を設けて欲しいんだ」
『会談……ですか?』
 意図を探るように首を傾げるセノイへ、今度はイロハが頷きを返す。
 一般人を守る姿勢を共有できるなら、条件次第では一時的な協調も可能な筈。《戴冠の戦》で協力するのは、両者にとってメリットとなるだろう――そう彼女は告げる。
「即答出来る内容ではないと思うし、上に報告してから返事をくれれば良いよ。どうかな?」
 そんなイロハの申し出に、暫しの間を置いて。
 セノイはゆっくりと口を開き、答えを返した。

『貴方たちが目先の事象に囚われぬ選択を出来るなら、一考の余地はあります。ただ……』
「ただ?」
 イロハが続きを促すと、セノイは更に続けた。
 共和国で暮らす人々は、争いも飢えもなく暮らしていること。従って、仮に復讐者が人々を幸福にすることが望みならば、それは新選組の管理には及ばぬであろうことを。
『ここに暮らす一般人の幸福は、貧困や戦争を排することで成立しています。故に、それらを脅かしてでも新選組の管理から人々を解放するのが望みなら……残念ですが、交渉の余地はありません』
「成程ね。分かったよ」
 喋り過ぎたと思ったのか口をつぐむセノイに、イロハは頷きと共に告げる。
 交渉の余地があると分かったことは、大きな収穫だ。その上でどう動くかは復讐者次第。大天使勢力から寄越されたボールを確かに受け取って、イロハは次の仲間へ後を託すのだった。
超成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

一里塚・燐寧
主にセマンゲロフに向けて会話を試みるよぉ
最大の目的は、キマイラウィッチを討つスタンスを敵の通信越しに新選組にも伝えさせ、大天使の独断での捕獲を牽制すること
そのついでに会話の流れの中で、相手がキマイラウィッチやアルタン・ウルクのような敵勢力がどれぐらい新選組の脅威だも感じてるかも探りたいなぁ

ご招待ありがとう。あたしは復讐者の一里塚・燐寧だよぉ

あたし達は睨み合う関係だけど……お互い、すぐそばにとんでもない強敵がいる面倒臭さは分かると思うんだぁ
ほら。蝦夷から海を越えてすぐの所はアルタン・ウルク領じゃん
あいつらヤバいくらい強いし話が通じないよねぇ
新選組だって全力で対策の準備してるでしょ。戴冠の戦が始まったら排斥力の守りは消えちゃうもん

で、キマイラウィッチもアルタン・ウルクに迫るぐらい強いし、まともにコミュニケーションが取れないんだよぉ
あいつらが暴れて人が殺されるのは、あたし達も新選組も望んでない
だから、今回はお互い全力でイザベル・ロメをブッ殺すために協力できるはずだよぉ
皆の幸福のために宜しくねぇ


 緊張感漂う空気の中で進む、大天使との会談。
 続けて交渉の場に現れた一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は、セノイとは別の大天使――セマンゲロフへ視線を向けた。
「ご招待ありがとう。ディアボロスの一里塚・燐寧だよぉ」
『よろしく。有意義な会談を期待したいねぇ』
 燐寧の言葉に笑みを浮かべ、セマンゲロフが告げる。
 一見すれば柔和な空気を纏う彼女だが、その視線には燐寧を値踏みするような色がある。セノイ程には、心を許していないということだろう。
(「大天使が、新選組にどの程度従ってるかは分からないけど……イザベルの捕獲は阻止したいねぇ」)
 セマンゲロフに笑顔を返しつつ、燐寧はそう考える。
 会談の内容は、新選組側にも間違いなく伝わる筈だ。こちらの方針を、彼らにも伝えておかねば――大天使の裏に潜む影を見据えながら、大天使との次なる交渉は幕を開けた。

「さてと。まずは本題の前に世間話でもどうかなぁ?」
『世間話?』
「ほら、蝦夷の海を越えた先のコトとかさぁ。魔女もだけど、アルタン・ウルクもヤバいでしょ?」
 北の方角を指差して言う燐寧に、大天使は不思議そうな顔をした。
『共和国の北は、吸血ロマノフ王朝の領土ではなかったかな? 外部の情勢はあまり詳しくないけど……アルタンはそこまで力をつけていると?』
「そうだよぉ。肝心の魔女もアルタンに迫るぐらい強いし、あいつらが暴れて人が殺されるのは、新選組だって望んでないんじゃない?」
 話題を本題に向けつつ、燐寧は大天使をそれとなく観察する。
 彼女たちが持つ世界情勢の認識は、相当に古いもののようだ。背後の新選組も同様なのか、それとも大天使に情報を与えていないだけなのか――その状況までは伺い知れない。
 外部勢力との戦いで、新選組が如何なる対策を用意しているのか。それを知るのは、今回の会談では難しそうだった。

『アルタンの情報は、真偽も含め検討させて貰うよ。さて、本題に入ろうか』
「そうだねぇ。なら単刀直入に言うけど……イザベル・ロメをブッ殺すために協力しない?」
 無用な前置きを省き、燐寧は端的に要求を告げた。
 魔女は強力な種族であり、真面に戦えば大きな被害を受ける。故に、首魁であるイザベルは復讐者の手で撃破したいのだと伝える燐寧に、セマンゲロフは微笑を返す。
『成程、ジェネラル級魔女を撃破する――それが君たちの望みかい?』
「そ。悪い話じゃないと思うけど、どうかなぁ?」
『いいとも、イザベルは君たちの方で排除してくれて構わない。捕獲を狙わないことも約束しよう』
 互いの利害を天秤にかけて、セマンゲロフは燐寧の提案を承諾する。
 面倒事を引き受けてくれるのは、彼女にとっても大歓迎だったのだろう。セノイとサンセノイからも異論は無く、それからの話はとんとん拍子で進んでいった。

『魔女勢力の包囲は完了している。周囲にいる敵は私たちが引き受けるよ』
「頼んだよぉ。イザベルは遠慮なくブッ殺させて貰うねぇ」
『ああ、それと……部下には君たちを攻撃しないよう伝えておくけど、上空は激戦になる筈だ。巻き込まない保証は出来ないから、空を飛ぶのはお勧めしないよ』
「飛翔は厳禁、だね? 問題ないよぉ。じゃあ、宜しくねぇ」
 互いの方針を共有し、会談が幕を下ろすと、燐寧はイロハと共に大天使の中枢を後にした。
 既に魔女勢力は包囲され、決戦で邪魔が入ることも無い。イザベルの命運は、もはや完全に尽きたと言って良いだろう。
「戦闘開始だねぇ。派手にブッ殺すよぉ!」
 かくして――大天使の軍勢が一斉に動き出すと同時、燐寧は仲間たちと駆けて行く。
 ラ・ピュセルから始まった『復権慈母』イザベル・ロメとの因縁に、今こそ終止符を打つ為に。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!

 大天使勢力との会談を終え、遂に開始された三つ巴の戦闘。
 圧倒的な数を以て包囲攻撃を仕掛ける大天使の軍勢に対し、魔女の勢力は厳しい戦いを強いられていた。
 個の戦闘力では強力な魔女たちも、3体のジェネラル級が率いる戦力の前には、流石に劣勢は免れない。大天使の包囲は蟻の這い出る隙間も無く、逃走など元より不可能だ。

『まさか……ディアボロスと大天使が共闘だと!?』『一体なぜ……ぐわぁっ!』

 そして――魔女の混乱と絶叫が木霊する只中を、復讐者たちは突っ切るように突撃していく。
 今も敵陣の中枢で指揮を執る、イザベル・ロメを撃破する為。
 だが次の刹那、その行く手を塞ぐように、復讐者たちの前にトループス級の群れが次々と飛び出した。全身を血で汚した、古めかしい自動人形たち――魔女化した『どたま割り人形』の群れだ。

『ギギ……ディアボロス……』『我等ノ恨ミ……思イ知レ……』

 イザベルの手で復讐心を植え付けられた自動人形たちが、憎悪を込めた声で告げる。
 グランダルメを追われ、ラ・ピュセルを失い、蝦夷共和国へと流れ着き――そして今、大天使の攻撃で死に絶えようとしている彼らにとって、復讐者への復讐は最後の望みなのだろう。
 だが無論、彼らの願いを聞き届ける道理など何処にも無い。
 イザベルの下へ向かう決意を胸に秘めながら、復讐者たちは戦いの火蓋を叩き斬るのだった。
マリリン・モンロー
【ソロ希望、連携・絡みNG】

ん、手負いの獣程恐ろしい相手は居ないから、大勢は決しても油断せずにいこう。
個人的な好奇心としては色々と調べられないのがとても残念、だけれどね。

マリちゃんのディアボロスとしての戦力は一線級の皆と比べるとまだまだ。
確実にイザベル・ロメを倒すためにも他の皆の消耗を抑えたい。
というわけで、マリちゃんは最初から全力全開。
飛び出してきた人形に合わせて飛び出して先陣を切るよ。

今回、取り出すはこちら。
機械化ドイツ帝国のデータからマリちゃんが考えたスーパーすごい奴。
マリちゃんの目標は敵の攻撃を引き付けて、少しでも大きな手傷を与えて次の皆に繋げること。
だから、小細工などはせずに単純にたくさんの敵に、全力の一撃を与えることだけを考えて攻撃するよ。
反撃を受けた時のことは考えずに攻撃に集中。
マリちゃんビーム……発射。

……これは機械化ドイツ帝国の技術を活かしたもの。
大天使が何か反応するようなら少しくらい彼らの知識の程が探れそうだけど、それは何かあれば儲け物くらいの考えで。


 歯舞諸島を舞台とする三つ巴の戦いは、復讐者と共闘する大天使勢力の攻勢で幕を開けた。
 上空より間断なく降り注ぐのは、大天使が浴びせるパラドクスの猛攻だ。三体のジェネラル級率いる大軍勢の圧倒的な火力を前に、魔女たちは抵抗の術を持たない。復讐者への復讐も叶わぬまま絶命した彼らの屍が、戦場のあちこちには早くも現れ始めていた。
「ん、大勢は決した感じかな? とはいえ油断は大敵だね」
 冷静な眼で戦場を見渡しつつ、マリリン・モンロー(偽物は人類の夢を見るか?・g11765)は淡々とした声で呟いた。
 開戦から間を置かず、魔女勢力は窮地に追い込まれている。復讐者と大天使の共闘が成立した時点で、この結果は半ば必然ではあったが、さりとて勝利を確信するにはまだ早い。手負いの獣の恐ろしさは、彼女とて十分承知だ。
「ここは撃破を優先させて貰うよ。……色々と調べられないのが、個人的にはとても残念だけれど」
 マリリンは気を引き締めると、『どたま割り人形』の一団と対峙する。
 自分が果たすべきは、仲間たちの露払い――そう決意する彼女は、復讐心を露わに襲い来る人形たちを真正面から見据え、戦いに身を投じていった。

 開幕と同時、先陣を切ったマリリンが敵群めがけて突撃していく。
 それを迎え撃つのは、先頭に整列する魔女たちだ。血で汚れた剣を抜き放った彼らは、パラドクスの力で即座に包囲陣形を組み上げると、標的のマリリンへ一斉に斬撃を振るって来た。
『ギギ……総員、攻撃……!』
 恨みを込めた猛攻の威力は、並のトループスとは一線を画すほどに鋭く、重い。
 だが、単騎で戦闘に臨むマリリンの覚悟も、また並ではない。負傷など元より覚悟の上、後に続く仲間たちの道を切り開くために彼女は此処に立っている。
 一秒でも長く戦い、一体でも多くの敵を葬り去る。それが彼女、マリリン・モンローの戦う理由だ。
「小細工はしない。マリちゃんの全力全開、食らうといいよ」
『戯言ヲ――ッ!?』
 好機と見た人形たちの声が、次の刹那、ふいに途切れる。突如生じた泥濘に足を取られ、速度を落とされたのだ。
 ふいに足並みを乱し、崩れる陣形。果たしてその隙を、マリリンは逃がさなかった。

「疑似外殻、形成。照準固定。出力限界突破」
 淡々とした声と共に発動したパラドクスが、戦場に巨大なレーザー砲台を生成する。
 超高エネルギーの奔流で標的を消し飛ばす、それは『進軍せし鋼の軍勢』の一撃。攻撃を察知し、陣形を組み直さんとする人形の群れへ、狙いを定めた砲口より必殺の砲撃が放たれた。
「マリちゃんビーム……発射」
『――ッ!!』
 戦場を席巻する、レーザーの閃光。その砲撃に呑まれた人形たちは為す術なく、断末魔の絶叫と共に消滅していく。
 ――続く皆が、少しでも有利に戦えるように。
 ――この一撃で、イザベルへの道を切り開く。
 秘めたる想いを込めた砲撃は、標的の人形たちを跡形も残さず消し飛ばし、魔女の隊列をこじ開ける。
 敵の勢いは未だ健在。その中に在って、しかしマリリンの砲撃は、勝利への一歩を確かに切り開いたのだ。

「ん、滑り出しはいい感じだね」
 敵隊列の一角を削り取ったマリリンは、激戦が続く戦場を見遣りながら、小さく拳を握った。
 戦いは未だ序盤も序盤、襲い来る魔女の群れは尚も健在。だが、そんな敵群の一端を、マリリンは間違いなく削り取った。彼女が得た成果は、間違いなく決戦への一助となるだろう。
「……さ、勝負はここから。頑張って行かないと」
 後続の仲間たちに合図を送り、マリリンは再び戦場を駆けて行く。
 向かう先は、イザベルが待つ魔女勢力の中枢。そこに辿り着くまで、立ち止まることは一秒たりとも許されない――。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!

道路標・識
アドリブ連携その他なんでもご自由にドーゾ!

先達のご活躍により大天使側の敵意が薄れましたね!
解って頂けたようで何よりです!!!

本日も!アイカメラは視界良好です!!が!!!
通せんぼですか?!通せんぼですね!!!
用事があるのはアナタたちじゃあないんですよお!!!
グランダルメ?ちょっと解りませんね!!オレが復讐者になったのは先月なので!!!
ゆえに!邪魔ですので!!そこ開けて下さあい!!さもなくばs《不適切な発言》!!!

相手を【観察】する事で攻撃に対応しつつ陣形を把握し、タイミングを計りながら出来るだけ引き付けてパラドクス『新道開拓!』で開拓(破壊)しまあす!!

あとは歩行者用信号機でブン殴っておきます!!
さすがに頭カチ割れば黙るでしょう!?どっちの頭が先に割れるでしょうねえ!!!
赤信号は!!止まるもの!!!です!!!
そろそろおやすみしてくださあい!!!

可能なら!誘導棒00~03を敵や弾幕にブン投げて爆発させる事で味方を援護しまあす!!!


遠宮・秋
わー……すっご
やっぱあたしたちがいなくても勝てるんだろうね、新選組
勝った後でキマイラウィッチが戦力に組み込まれると困るから、やるしかないんだけど
こんなたくさん敵が居るところは初めてだけど、やったろうじゃん

大太刀「白河泡沫分」を抜いて戦場へ
こっちを狙ってくる敵を倒しながら前に進んで指揮官の元に向かうよ
上にも敵はいるし、全滅させてたら天使が乱入してきて面倒になりそう
全滅じゃなくて道を切り開くのを重視
そういうのはあたし得意だしね

『飛鷹の太刀』を使用して刀と鎌鼬どたま割り人形を切り捨てながら前進、道を開いてく
立ち止まったら包囲されそうだし、後ろとか横からの敵の動きは他の復讐者に任せて、足を止めずに進み続ける

弾幕に対しても低い姿勢で駆け、すれ違いながらパラドクスで攻撃
あっちもこっちも危険なら進むしか無いでしょ
銃を構えてるところに突っ込むなんて、普通じゃないけど、通……れ!

次から次へと……息つく暇もないね


一里塚・燐寧
窓口役の大天使とは言え、七曜の戦より前で情報が止まってるなんてねぇ
新選組までそうだとしたらフローラリア並みの暢気さだし、わざと情報封鎖してる気がするけど……
ま、向こうの事情は後で探るっきゃないか。今はお人形遊びを満喫しよ~っと

≪テンペスト・レイザー≫を構え、イザベル・ロメへの道を阻む敵を片付けるよぉ
後方は大天使に押し付け……預けられるってワケで、前方に攻撃を集中させてどんどん先に進もう!

『呪式:異苦同怨』を発動し、人形の一体に得物を振り下ろす
重厚な刀身を叩きつけて装甲を砕いた所を回転鋸刃で深々と斬り裂くと共に、パラドクスの力でその傷を他の敵にも転写するよぉ
一体に狙いを定めて放つ全力の一閃を一挙に四体に当てる!いやー、お得だよねぇ

敵が万力型機構を開いたら、すかさず得物の刀身をそこに差し込むよぉ
機構が獲物の刃を挟むことで完全に閉じ切らないようにすることで、噛み付きの威力を抑えるねぇ

そーいや、新選組はキマイラウィッチも自動人形も「未確認の敵性種族」扱いしてたねぇ
ヨーロッパに疎いだけかなぁ……?


 魔女勢力との戦闘開始から数分。戦いは、早くも一方的な様相を呈しつつあった。
 共闘する二勢力からの攻撃を地上と空から浴び続け、魔女の軍勢は包囲の輪をじわじわと狭められていく。真綿で首を絞められる形で劣勢に追い込まれた魔女勢力の運命は、もはや風前の灯だ。
「わー……すっご」
 そんな光景を見澄まして、遠宮・秋(アブノーマル中学生・g11768)の口から驚嘆の言葉を洩れる。
 大天使の攻勢は、まさに圧倒的だ。会談の際、ジェネラル級の大天使たちは魔女の殲滅を当然の前提として臨んでいたが、それが虚勢などでは無かったことを彼女は改めて実感する。
「このままだと、あたしたちがいなくても勝っちゃいそうだね。……まあ、大天使とイザベルを引き合わせない為にも、やるしかないんだけど」
「うんうん。後腐れの無いように、徹底的にブッ殺すよぉ!」
 秋に同意を返しつつ、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)が魔女勢力との戦いに戦意を燃やす。
 彼女が果たした交渉の結果、大天使は復讐者を攻撃の対象から外している状況だ。無論、今回の件は新選組勢力も承知しているだろう。
(「アイツら、やっぱ情報を封鎖してるのかなぁ? 大天使は外の情勢を知らないし……ま、考えるのは後だねぇ」)
 燐寧は思考を打ち切ると、魔女の排除に意識を集中することにした。
 どたま割り人形の数は未だ多い。イザベルの下へ辿り着く為にも、今は奴らの撃破が最優先だ。

 同胞を討たれた憎悪を燃やし、尚も迫る魔女の群れ。
 劣勢も構わず、復讐者に一矢報いんと迫る人形たちへ、奇声と紙一重の雄叫びを道路標・識(道狂い・g11764)が上げる。
「おおおおお! これは通せんぼですか?!」
『ディアボロス……ヨクモ仲間ヲ……!』『許スモノカ……許スモノカ……!』
「そうですか! 通せんぼですか!! では実力で通らせて頂きます!!!」
 憎悪を露わに人形たちが突きつける銃口に、しかし識は一切怯まない。
 道を塞ぐクロノヴェーダは実力で排除する――それが識の流儀だ。たとえ銃だろうが大砲だろうが、一度通ると決めた彼を止めることは出来ない。
 アイカメラが映した人形たちを障害物を認識し、誘導棒01を装着する識。それを合図に、秋と燐寧もまた各々の得物を手に戦闘態勢を取った。
 会話が成り立つ敵でないことは既に明白。立ち塞がる敵は、一体残らず斬り捨てるのみだ。
「こんな乱戦の戦場は初めてだけど……やったろうじゃん!」
「ま、向こうの事情を探るのは後だね。今はお人形遊びを満喫しよ~っと」
 大太刀「白河泡沫分」を抜き放った秋が、決意を秘めた眼差しで敵群を睨む。
 鎖鋸剣テンペスト・レイザーを構えた燐寧が、凶暴な意思を瞳に宿して笑う。
 かくして三人の復讐者たちは、放たれた矢のように敵群へ駆けて行く。魔女化した人形たちを蹴散らし、イザベルへの道を切り開く為に。

 開幕と同時、戦場にけたたましい銃声が鳴り響く。
 音の源は、魔女の一団による銃の一斉発射だった。濃密な弾幕を以て、復讐者の足を阻もうと言うのだ。
 だが――そんな悪足掻きめいた抵抗など、三人には意味を為さない。先頭の秋は疾駆の速度を上げると、多少の被弾など物ともせず、敵集団めがけて突っ込んでいく。
「さあ、行くよ。このまま、一気に道を切り開く!」
 戦場を駆け抜ける、一陣の剣風。それが攻撃開始の合図となった。
 弾幕を突き破った秋が、敵陣の只中で縦横無尽に大太刀を振るう。殲滅よりも突破に重点を置いた猛攻は、瞬く間に魔女の隊列を突き崩し、中枢への突破口を作り出した。
「あたしたちは、こんな所で止まれない! 一歩でも前へ、一秒でも早く!」
「オッケー。後方は大天使に押し付け……預けて、どんどん先に進もうじゃん!」
 そこへ続くのは、テンペスト・レイザーを構えた燐寧だ。甲高い唸りを上げる回転刃を武器に、彼女が鎖鋸剣を振るう度、敵の群れは雑草でも刈られるように次々薙ぎ倒されていく。
 大太刀が一閃する度、弾幕を張る魔女が首を刎ねられ斃れ伏す。
 鎖鋸剣が唸る度、万力を開けた魔女が回転刃に全身を粉砕されて絶命する。
 復讐者たちの攻勢は凄まじく、まさに烈火と表現するに相応しい熾烈さだ。上空からは大天使、地上からは復讐者、二つの勢力による猛攻は、収まるどころか更に勢いを増していく。だが、そんな攻勢を前に、魔女たちは復讐心を一層燃え立たせて復讐者たちへ押し寄せる。
『ディアボロスニ、復讐ヲ!』『グランダルメヲ奪ッタ罪、命デ償エ!』
「仰る意味が解りませんねえ!! 用事があるのはアナタたちじゃあないんですよお!!!」
 後から後から迫り来るどたま割り人形たちへ、識が正面から言い返した。
 彼が復讐者として覚醒したのは今年4月、参戦経験の無いグランダルメの恨み言など、彼には何の痛痒も無い。立ち塞がる敵は容赦無用とばかり、彼はパラドクスを発動。『新道開拓!』の一撃で、人形の群れへと襲い掛かった。

「邪魔ですので!! そこ開けてくださあい!!!」
 先端に火を灯した筒状の物体を掲げ、識が堂々たる声で叫ぶ。
 彼が両手に握るそれらは、爆破用のTNT爆薬。面倒な障害物を消し飛ばすには充分な威力を誇る爆薬の束を、識は点火と同時にピッチングマシーンめいた動作で次々と魔女めがけて投擲していく。
「死にたい方以外は!! お下がりくださあい!!!」
 次の瞬間、投擲された爆薬が次々炸裂し、魔女を粉砕しながら赤黒い花火となって咲き誇る。大地を震わす衝撃が立て続けに響く中、識は敵の隊列をこじ開けて、捨て身の猛攻で仲間たちを戦場の奥へと誘って行った。
 恐怖も躊躇もそこには無い。新たな道を作る為、視界を塞ぐ障害は力で開拓する――それが識という復讐者なのだ。
「通りまあす! お下がりくださあい!! 邪魔する方は吹き飛ばしまあす!!!」
『調子ニ、乗ルナ……!』
 人形の中には、得物の剣を掲げて識に斬りかかる者もいた。だが、その程度で止まるほど識の突撃は甘くない。ましてこの戦場には、共に戦う仲間たちも居る。敵の斬撃を凌ぎ切り、やがて十分に道を拓いたことを確かめると、識は後続の秋と燐寧に合図を送った。
「ここからは、援護に移りまあす! 真っ直ぐお進みくださあい!!」
 火薬を内蔵した誘導棒を得物に、人形と切り結びながら識が叫ぶ。
 盛大に炸裂する爆発の嵐。それを背に受けながら、秋と燐寧は足並みを乱した敵群へ切り込むと、邪魔な魔女たちを片っ端から斬り捨てて突き進んでいった。

 大太刀と鎖鋸剣の斬撃が、戦場を席巻する。
 二つの刃がパラドクスを帯びて走る度、絶命した魔女が屍の山を築いていく。
「次は誰かな? 斬られたい奴から前に出ろ!」
 秋は大太刀を振るいながら、敵の弾幕を次々に突き破り続けていた。
 首魁であるイザベルの姿は、未だ敵の群れに阻まれて見て取れない。だが、先程から続く魔女たちの激烈な抵抗は、復讐者たちが目的地へ近づきつつあることを雄弁に物語っていた。
 どれほど長い道程にも、終わりは必ず存在する。だからこそ、秋は振るうのだ。大太刀と鎌鼬で斬り伏せる『飛鷹の太刀』の一撃を、道を塞ぐ魔女たち目掛けて――!
「――飛鷹の太刀!」
 同時、疾走する秋の放つ刃が、魔女の隊列で荒れ狂う。その太刀筋は、何者にも阻まれない風のように変幻自在だ。斬撃と共に生じた鎌鼬は濃密な弾幕を容易く掻い潜り、抵抗を続ける魔女の隊列を切り崩していく。
「銃を構えてるところに突っ込むなんて、普通じゃないけど、通……れ!」
『コ、コノママデハ……!』『応援ヲ寄越セ! 横カラ攻メロ!』
 じわりと押し込まれ始めた魔女たちは、戦場の同胞たちへ援護の要請を送った。
 突撃の勢いが強烈ならば、側面からの攻撃で薙ぎ倒せば良い――そう考えたのだろう。だが、そんな敵の行動など、復讐者は端から想定済みだ。
「赤信号は!! 止まるもの!!! です!!! そろそろお休みしてくださあい!!!」
 魔女の動きよりも早く、秋を守るように識が側面の人形たちへ肉薄する。
 歩行者用信号機を振るい、爆薬をばら撒き、怒涛の攻めで圧倒する識。そこへ息を合わせるように、先頭を行く秋と燐寧は更なる猛攻で敵群を圧倒していった。

「次から次へと、息つく暇もないね……! でも、まだまだ!」
 立ちはだかる敵を斬り捨てながら、秋は仲間たちと共に駆け続ける。
 周囲には未だ多数の敵が展開している今、下手に足を止めれば窮地に直結しかねない。四方の全てが危地ならば、例え攻撃を浴び続けようとも進むのみだ。
 側面の迎撃を識に託し、立ち塞がる敵を斬り捨てて。そうして三人は、着実に中枢への道を拓いていく。
『死ネ、ディアボロス――』
「残念だけど、付き合ってる時間は無いんだよねぇ!」
 吶喊して来た人形を相手に応戦していた燐寧は、万力による噛みつきを力ずくで振り払うと、呪詛と怨念を纏わせた鎖鋸剣を高々と掲げた。
 憎悪に染まったクロノヴェーダに、救済などは必要ない。魔女となったなら、それに相応しい死を与えてやろう。
 刃の回転が俄かに勢いを増すと同時、恨みを帯びた呻き声が戦場に木霊する。続け様、燐寧が人形の一体めがけて鎖鋸剣を振り下ろせば、刻んだ傷より生じた呪詛が周囲の敵へと伝染し始めた。
「一人だけ苦しいのは辛いでしょ? じゃ、みんなを苦しくしたげるよぉ!」
『ガ……ガガッ……!?』
 燐寧の剣が深い傷を齎す程に、『呪式:異苦同怨』で生じた呪いは力を増して、巻き込んだ人形たちを苛んでいく。やがて刃を浴びた一体が音を立てて砕け散ると、呪いを受けた人形たちは後を追うように次々と粉砕されていった。
「一度振るえば、一挙に四体! いやー、お得だよねぇ。さぁ、このまま進むよぉ!」
「イザベルの下まで、後少し……まだまだ、あたしたちは戦える!」
「魔女の皆さん! 退いてくださあい!! ディアボロスが、通りまあす!!」
 天高く掲げたテンペスト・レイザーが、回転する刃の旋律を高らかに響かせる。
 イザベルへ告げる宣戦布告の調べが戦場に木霊する中、燐寧が、秋が、識が、目的地を目指して一直線に駆けて行く。
 人形たちが駆使する銃撃も、万力も、剣も、彼女たちを阻むことは叶わない。かくしてイザベルが待つ中枢へ、復讐者たちは更なる勢いを以て突き進もうとしていた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【狐変身】LV1が発生!
【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】がLV2になった!
【ダメージアップ】LV2が発生!

九重・古安
個としての戦力はキマイラウィッチの方が上だが、数と組織力では天使側が圧倒しているか。
これなら取り逃す心配はせずに済みそうだな。
共闘とは言いつつ競争することになるかと思っていたが、天使側との交渉で向こうがイザベル・ロメの捕獲を狙わないとしたのは都合が良い。
……肝心の新選組が高みの見物というのは気に食わんが、今は虐殺を阻止するためにやれることをやるのみだ。

天使側の警告通り【飛翔】での突破はどこから撃たれるか分からん。となれば【エアライド】で最適な経路を見出しつつ進もう。
必要そうなら他のディアボロスとも情報共有を。
加えて宙を蹴って強引に軌道を変えることでフェイントを駆けつつ、射撃を掻い潜って一気に叩き潰す!
ここはあくまで通過点、この後のことを考えるとあまり時間はかけられんな。つまり……貴様らの復讐や因縁に付き合う暇は無いということだ!
進路を確保できる程度に敵を倒したら、残りの敵の殲滅は天使たちに任せるか。
復讐を謳う者たちが相手にもされないというのは、皮肉な話だがな。


フルルズン・イスルーン
あの辺かなーこの辺かなー。
ディストピアといえば監視というのが定番らしいね。
つまりこれもどこからか見られていると考えるべきなのだ。
指差したりゴーレムくんにポーズとらせてアピールをしておこうね! 意味は特にない!!

アイス・ゴーレムくんゆけー! ゴーレムの凄さを見せつけろー!

という事でブレストブリザード!(ポーズ付き)
周囲の建物が気になるなーって位置の敵を一網打尽である!
やって来たならば氷の躯体が迎撃してくれるわー! ふははは!
まあ撃ち漏らしとかすり抜け狙ってるのは天使が上から見つけて仕留めてくれるから楽だね。
気にせず前身制圧あるのみなのだ。

そしてナナメ45度上を指さし!(一カメ)指さし!(ニカメ)指さし!(三カメ)
むふー。カメラはだいたい俯瞰視点だからね。効率的な区画してるだろうから少し高めな建物をズビズビ指さして満足をする!
文明レベル考えて衛星打ち上げて見てるとか言われてもボクは感知せぬ!


 襲い来る敵を蹴散らし続け、イザベルの待つ中枢へ向かう復讐者たち。
 その足は開幕直後から止まること無く、目的地への距離を着々と縮めつつあった。戦場の彼方より感じる威圧感はいよいよ強く、決戦の時が近いことを復讐者たちは感じ取る。
「……しかし、つくづく大天使の攻勢は凄まじいな。魔女を取り逃がす心配をせずに済むのは有難い」
 上空から包囲陣形を敷いて魔女を駆逐する大天使たちを仰ぎ見て、九重・古安(巻き戻り路逸れる針・g02347)はその熾烈な攻めに舌を巻いた。
 頭数は勿論、大天使の軍勢は統率も相応に高い。あれだけの軍勢を相手に、イザベルの首を奪い合う展開を避けられたのは正に僥倖と言うべきだろう。裏に控える新選組は今頃高みの見物だろうが、そちらは考えても詮無いことだ。イザベルの撃破を最優先に、古安は疾駆の速度を上げていく。
「この戦いで、もはや魔女に勝利の目は無い。このまま、一気に攻め込む!」
「ピースピース! そうだね、派手に暴れてボクたちの力を見せてやろう!」
 そんな彼の横では、召喚したアイス・ゴーレムを引き連れたフルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)が、戦場のあちこちへピースサインを送り続けていた。今この瞬間も新選組が見ていることを想定して、大胆にもアピールを送ろうと言うのだった。
「あの辺かなーこの辺かなー。ディストピアといえば監視というのが定番らしいね。……さてと」
 やがてフルルズンは満足の笑みを浮かべ、前方に展開する敵群を改めて見遣る。
 先行した仲間たちの奮戦の甲斐あって、どたま割り人形の群れは着々と頭数を減らし続けていた。
 ここで勝利を重ねれば、イザベルの下へ到着するのは時間の問題だろう。フルルズンは古安と共に戦闘態勢を取ると、執念深く抵抗を続ける魔女たちを指差して、ゴーレムへ指示を飛ばした。
「アイス・ゴーレムくん、蹴散らせー!」
 攻撃命令が下ると同時、氷の巨像が地響きを立てながら突撃していく。
 目的地までは、後少し。襲い来る敵群を蹴散らさんと、復讐者たちは更なる激戦へと身を投じていった。

 雪崩の如き勢いで突撃する復讐者たちの前方、銃を構えた人形が迎撃の弾幕を形成する。
 度重なる攻撃で戦力を削られてなお、魔女たちの戦意は健在だ。せめて最期に一矢報いようと、死に物狂いの勢いで銃撃の嵐を浴びせにかかる。
 だが、そんな悲壮な決意など、復讐者にはさしたる意味を持たない。先陣を切った古安は得物の鉄槌フルスィンガーを振り被ると、一気に加速。敵陣の先頭を狙い定め、彼我の距離を詰めていく。
「このまま地上から進むぞ。エアライドを発動したから、適宜利用してくれ」
「オッケー! ゴーレムくん、ボクたちも突撃だー!」
 氷のゴーレムが後に続く中、疾走する古安の体がふわりと宙を舞う。
 戦場の上空は、大天使の発動するパラドクスが渦巻く激戦の空域だ。そこへ飛び込むのが自殺行為であることは、古安の目にも一目瞭然だった。しかし、
「飛べずとも問題は無い。このまま射撃を掻い潜って、一気に叩き潰す!」
 言い終えるや、宙を舞う古安はエアライドで更に跳躍し、敵の弾幕へ飛び込んだ。
 この戦いはあくまで通過点、雑兵に時間を割いている暇は無い。宙を跳ぶ変幻自在の機動で、古安は瞬く間に魔女たちとの距離を詰めると、『逆落としの跳撃』を発動。足下に見下ろす人形たちを標的に、フルスィンガーに仕込んだ火薬を勢いよく炸裂させた。

「生憎だが……貴様らの復讐や因縁に、付き合う暇は無いのでな!」
 補助用の火薬が弾けると同時、古安が流星めいた機動で地上めがけて加速する。
 敵の頭上より強襲を仕掛け、渾身の一撃を叩きつける古安のパラドクス、その火力はシンプルにして極悪だ。重量を乗せたフルスィンガーは人形たちの弾幕を容易く突き破り、そのまま敵陣の只中で炸裂した。
「落ちろ。そしてそのまま這いつくばれ!」
『ハッ、速イ――!?』
 爆撃槌の直撃と同時、空気の爆ぜる衝撃が戦場を激しく震わせた。
 自身の身に起きたことを悟る暇も与えられず、攻撃を浴びた人形たちが跡形も残らず消し飛んでいく。刹那、古安の攻撃で切り拓かれた敵隊列へ、地響きを立てながら迫る巨影があった。フルルズンの駆るアイスゴーレムだ。
「ふはははは、氷の躯体で迎撃してくれるわー! くらえ、ブレストブリザード!」
 ビシビシとポーズを決めながら、フルルズンが高らかに笑いを響かせる。
 敵が復讐心に燃えていようと、数に勝る相手だろうと、一切問題は無い。彼女が駆使するゴーレムは、そんな敵を一掃するのにこれ以上なく適した力を行使できるのだから。
 そして――ゴーレムの巨体より生じた夥しい冷気は、瞬時のうちに人形たちを覆い尽くした。
「"野蛮なる 氷の 友"。さあ、氷漬けになれー!」
 そこから先は、まさに一方的な蹂躙となった。
 たとえ肉を持たぬ人形の身であろうと、パラドクスの冷気からは逃げられない。全身を凍てつかせた人形は、もはや真面な身動きも叶わず、
「前身制圧! すすめー!」
『グ…… ……!!』
 岩のような硬さを誇る氷のゴーレムに踏み潰され、断末魔も遺せぬままに絶命していった。

 叩き潰し、粉砕し、フルルズンと古安はそれからも怒涛の勢いで敵陣を突き進んだ。
 熾烈な攻撃を仕掛けて来たどたま割り人形たちは、気づけば殆どが戦場に屍を晒している。イザベルが待つ中枢は、恐らくもうすぐだろう。
 やがて進路を確保すると、古安は後続の仲間たちへ合図を送りつつ、周囲の様子に目を向けた。魔女の軍勢はしぶとく抵抗を続けているが、その勢いは着実に衰えている。そう遠からず、彼らは大天使たちによって殲滅される筈だ。それは同時に、魔女勢力の命運がいよいよ尽きつつある証左でもあった。
「……急がなければな。イザベルの捕獲が行われないとは言え、脂を売っている暇は無い」
「うんうん、大賛成。それじゃ最後に――角度はナナメ45度上、と」
 古安に頷きを返したフルルズンは、ゴーレムの肩にひらりと飛び乗ると、虚空を指差して高々と告げる。戦場の彼方に待つイザベルと、この蝦夷共和国を支配する新選組へ告げるように。
「これが! ボクらの!! パワーだ!!! ……むふー、1カメ2カメ3カメ良し! 大満足!」
 そうしてゴーレムより飛び降りると、フルルズンは満面の笑みを浮かべて再び駆けて行った。
 そんな彼女に続きつつ、古安は最後に一度だけ戦場を振り返ると、そこで残骸となって散らばる自動人形たちに暫し想いを巡らせる。
 グランダルメを追われ、魔女化して望みを果たせず絶命した人形たち。イザベルと出会っていなければ、彼らにも違う結末が有り得たのだろうかと。
「……復讐を謳う者たちが相手にもされないというのは、皮肉な話だな」
 その言葉を最後にかぶりを振ると、古安は再び駆け出した。
 感傷に浸っている暇は無い。イザベルを狙う復讐者の戦いは、まだ始まったばかりなのだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

さて、大天使達は凄まじい包囲攻撃だな……
あちらは任せ、今は為すべき事を
示威行動で民を虐殺する種族に手加減する気はないが、「彼ら」の在り様には複雑ではあるよ

仲間とPD通信を駆使しつつ可能なら連携を取る
戦況を観察しつつ把握し、突撃を妨げる人形達を撃破
銃でPD攻撃、敵を凍てつかせ身動きを封じつつ
斬り込む・近接の仲間の死角をフォローするよう援護
基本は仲間と狙いをあわせ、一撃で倒せる敵>より消耗した敵の順に、確実に数を減らそう
ただし仲間の死角を狙う敵は優先
攻撃後は反撃に備える

敵の攻撃には、大人数からの弾幕に対しタワーシールドを構えて面でガード
Segenの魔力盾を展開し、負傷は強化防弾コートで軽減を
大天使勢の動きは妨げないように

今は情報を大天使方に聞かせるのは無用、と口を噤むが
皇帝ナポレオンは最後まであきらめず戦った、と目で訴え人形達を撃ち抜く
彼らが自ら受け容れたかは知る由もないが
俺は、ロメが彼らを不自然に魔女化しようとしていた事を忘れはしない

イザベル・ロメ、覚悟!


イロハ・アプリルシェルツ
【アドリブ&連携歓迎】

さて大天使勢力達との共闘が成立したから、本来の目的である魔女達を殲滅しないとね。
今回は蝦夷共和国だから共闘も出来たけど、圧政を主とする大正大戦国にイザベル・ロメ達が漂着してたらもっと厄介な事になってたろうね。

大天使の攻勢があっても、まだまだ敵の数は多いから油断は出来ないね。
陣形を組んで襲って来るからば相手の号令や足運び、武器の風を切る音を感じとり攻撃の予備動作を察知して対応するよ。

大切なのはフットワークを活用して相手の攻撃を絞らせないこと。そして一人で突出してしまい包囲されないこと。
ボクシングスタイルで身体を半身にするのも被弾する面積を格段に減らせるよね。
後は聖句を唱え、揺るがぬ信仰を【ゲオルギウスの聖槍】に顕現させたら武器ごと聖なる鉄拳を叩き込んで行こう。

一応聞いとくけど自動人形かつ魔女と化したキミ達にもお祈りの時間は必要かな?
さて此れだけ突き進めば聖母を真似た青衣が見えて来る筈だけど⋯⋯。


 敵陣の中枢を目指して突撃と激戦を繰り返し、突き進むこと暫し。どたま割り人形の襲撃を蹴散らし続けた復讐者たちは、目的地も目前の場所まで迫りつつあった。
 どたま割り人形の生き残りは、既に数える程度しかない。彼らの掃討を終えれば、イザベルとの決戦は目前だ。
 大天使勢力の攻撃が一層激しさを増していく中、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)を始めとする復讐者たちは、序盤戦の最後を締め括る戦いに臨む――。

「さて、大天使たちは凄まじい包囲攻撃だな……」
 戦場の周囲で今も繰り広げられる光景を眺め、エトヴァは人知れず溜息を洩らした。
 魔女の命運がここに尽きることは、もはや誰の目にも明白だ。示威行動で市民を虐殺する勢力に手加減する気などは元より無いが――それでもやはり、胸中には一抹の煮え切らない思いが残る。
「……正直、複雑ではあるよ。『彼ら』の在り様にはね」
「まあ、ね。似たような思いのディアボロスは、他にも居るかもしれないけれど……」
 そう言ってイロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)は頷きつつも、前を見据える視線が揺らぐことは無い。
 視線の先では銃と剣で武装した人形たちが展開し、イロハらを迎え撃たんと身構えている。彼らは最後の一兵まで、復讐者への復讐に命を懸ける気なのだろう。
(「イザベルが天正大戦国に漂着しなかったのは、不幸中の幸いかな。……生憎だけど、ここが君たちの終着点だよ」)
 これ以上の悲劇を防ぐ為にも、魔女たちは確実に滅ぼさねばならない。
 巌のごとき不動の決意を胸に秘めながら、若き修道女は疾駆する足に力を込めた。

「残る敵は後少しだね。イロハはこのまま突撃して、一気に畳み掛けるよ」
「了解した。援護射撃は任せてくれ」
 残留効果で現れた通信機を介してエトヴァと方針を共有すると、イロハは一気に敵の隊列へ突撃していく。
 中枢への到達が時間の問題である今、何よりも優先すべきは速度だ。後方よりエトヴァの援護を頼める今、敵から囲まれる心配は無い。やがて軽快な足さばきで敵との距離を詰めたイロハは、両拳を武器に人形たちの隊列へ襲い掛かった。
「生憎だけど、キミたちに関わっている時間は無い。通して貰うよ」
『侮ルナ、ディアボロス――!』
「侮ってはいないさ。……だが、其方の望みを叶えてやる訳にはいかない」
 剣を構えて応戦の構えを取る人形たち目掛け、イロハの後方よりエトヴァが銃弾を連射する。
 近接で戦う仲間をフォローすべく繰り出した銃撃は、果たしてイロハの左右に展開する敵群を的確に捉え、凍結の力で相手の身動きを封じていく。
「復讐心で力を得ようとも、眼が憎悪に曇っていては無意味だ」
『グッ、ウウウ……!』
 戦場を俯瞰しながら、澄んだ眼差しでエトヴァが呟く。
 正面からは拳、後方からは銃弾。二人の復讐者が繰り出すパラドクスは、僅かに残ったどたま割り人形の群れを、今まさに一掃しようとしていた。

 そこから先の戦いは、今まで以上に激しいものとなった。
 同胞を討たれた怒りを燃やしながら、人形たちは剣を振るい、銃撃で弾幕を張り、決死の反撃を試みる。
 だが、いかに魔女としての復讐心が苛烈であろうと、状況の不利が覆ることは最早無い。残留効果で力を増した復讐者たちの猛攻に晒されて、一体また一体と櫛の歯が欠けるように隊列は崩れていった。
「……さて。一応聞いとくけど、キミたちにもお祈りの時間は必要かな?」
 剣の列を掻い潜り、鉄拳を固めたイロハが問う。
 対する人形たちは、しかし言葉で応じることは無く、ただ恨みの籠った視線を向けるのみだ。
 最後の最後まで、彼らはその生を復讐に注ぐ気なのだろう。である以上、復讐者であるイロハも為すことは決まっていた。敵の弾幕を前に、鋼の鍛錬で鍛えた鉄拳を構え、発動するは『ゲオルギウスの聖槍』だ。
「聖なるかな。あなたが創造なさったすべて、地、空、海、あなたの御名を讃美します」
『死ネ、ディアボロス!』
 人形たちの弾丸が、濃密な弾幕となってイロハの行く手を塞ぐ。
 だが、いかなる悪意も障害も、彼女の信仰心を揺るがすことは叶わない。エトヴァの援護を受けながら正面の敵へと振るう拳は、増幅した怒りの力を帯びて、銃を構えた人形たちを粉砕していく。
 祈りの言葉も、断末魔の悲鳴も、そこには無い。
 侵攻を顕現させたイロハは尚も止まらず、魔女と化した人形たちを聖なる拳で打ち砕き続けた。

 イロハの拳が唸る度、どたま割り人形の群れは粉砕され、戦場に残骸となって転がっていく。
 大天使の攻撃が降り注ぎ、復讐者は未だ一人も倒れず。その現実を前に、人形たちが洩らすのは悲鳴にも似た叫びだ。
『何故! 何故、我等ガ……』
「――凍て、響き渡れ」
 そんな魔女たちへ終焉を告げるように、エトヴァは二挺の銃より氷の弾を発射する。
 パラドクス『Wunderfarber-Λ』。着弾した標的を内部より凍結せしめる、それは必殺の一撃だ。
 増幅した怒りを込めて発射した銃弾は、手負いとなった人形たちの体へ一発残らずめり込んで、その体内より氷の根を張り巡らせていく。
 凍え切った人形たちは、既に真面な身動きも叶わない。そんな彼らの眉間めがけ、エトヴァはとどめの弾丸を次々に放つ。グランダルメを追われ、魔女となった彼らの旅路にピリオドを打つように。
 ――皇帝ナポレオンは最後まで諦めず戦った。君たちが復讐の心を自ら受け入れたかは、知る由もないが……。
 イザベルの行いを、自分は決して忘れない。そう思い暫し目を伏せた後、エトヴァは銃のトリガーを絞った。
「……終わりだ。ゆっくりお休み」
 パラドクスを帯びた銃弾が、断続的に響く。
 必中の一撃は狙いを過たず、人形たちは首を喪った姿で永遠の眠りに落ちていった。

 かくして、どたま割り人形の襲撃を退けた復讐者たちは、敵陣の中枢へと駆けて行く。
 大天使たちの攻撃が続く中、その歩みを阻む者は最早いない。やがて、先頭を駆けるイロハが戦場の空気の変化を察知し、後続の仲間たちへ注意を呼び掛ける。
「……見えてきたよ。皆、気を付けて」
 そう言って指さした先、そこに見えるのは聖母を真似た青衣を纏う一体の魔女だった。
 トループス級のそれとは一線を画す、強者のオーラを纏うキマイラウィッチ。『断頭の道化師』たちを護衛に軍勢の指揮を執る彼女こそ、漂着した魔女勢力の首魁に他ならない。
「イザベル・ロメ、覚悟!」
 首魁の名を叫び、エトヴァが銃を構える。
 それを嚆矢に、続く復讐者たちが次々と中枢へとなだれ込む。
 火刑戦旗ラ・ピュセルより逃れ、魔女勢力の復興を目論むイザベルとの戦いは、次なる段階へと動き出そうとしていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
【避難勧告】がLV2になった!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!

『これは……一体、何が起こっているのですか?』

 目の前で繰り広げられる光景を前に、『復権慈母』イザベル・ロメはそう呟いた。
 自分たち魔女勢力を、大天使の軍勢が襲撃している――ここまではいい。なぜ自分たちを襲うのか理解は出来ずとも、まだ納得は出来るからだ。
 問題は、その後だった。
 続けて復讐者の軍勢が来たという報告が届いた時には、まだイザベルには勝算があった。全てのクロノヴェーダは復讐者と敵対する存在であり、故に彼らは必ず大天使とも敵対する筈。ならば両者が消耗するまで守りに徹し、復讐者を仕留めた後に再びクロノヴェーダと交渉を持てば良い――そう考えていたのだ。

『だと言うのに、何故……何故、ディアボロスと大天使が、手を組んでいるのです……?』

 信じがたい現実を前に、イザベルの口からは呪詛にも似た呻きが洩れた。
 大天使と復讐者は互いに争うこと無く、先程から魔女だけを狙って来る。上空の包囲網は着々と狭まり続け、地上の復讐者たちは既に目と鼻の先にまで迫っている。
 逃げ道は無い。交渉も望めない。配下が全滅するのも、今や時間の問題だ。
 敗北――脳裏を微かによぎる二文字を即座に振り払うと、イザベルは気を取り直したように配下たちへ告げる。

『まだです……まだ終わってはいません。ディアボロスを討てば、クロノヴェーダとは交渉の道も開けるはず。道化師たち、私の護衛を務めなさい』

 そうして『断頭の道化師』の一団がイザベルの周りを固め終えた、正にその刹那。
 中枢へなだれ込んだ復讐者たちが、各々の得物を手に、首魁たるイザベルを討たんと殺到していく――!
遠宮・秋
辿り着いた!
あとは目の前のやつらを倒すだけだね
上に大勢いる大天使ならまだしも、あのジェネラル級たちまでやって来られちゃ何が起きるか分かんない、ソッコーでやっちゃお
っと、そういやこっちの会話は新選組に筒抜けになるんだっけ?
イザベルもそこにいるし、今からの会話は聞かれることになるって思った方がいいかもね

大太刀「白河泡沫分」を手に戦闘。護衛の断頭の道化師たちを片付けるよ
あっちが飛び回ってこようとするなら、自由に動き回られないようにこっちからガンガン攻めよう
『飛鷹の太刀』で敵陣に切り込んで、刀と風の刃で切りつけるよ
ヘンな動きで頭上とか背後とかに回り込んできても他の復讐者と一緒に対応できるように【パラドクス通信】も使って連携をとりやすいように

こっちに切り裂きにかかってくるところに素早く反応して、4本腕の鋭い爪の攻撃を刀で受け止めて防御、傷を減らすよ

あんたたちにとっては普通はそう、手を組むはずはないんだろうね
けど、あたしたちが普通じゃないなんて今更でしょ


九重・古安
アドリブ・連携歓迎だ。

ここまでは手筈通り順調だな。天使勢が取引を反故にしてイザベル奪取に動く気配も無し、新選組が横槍を入れてくる気配もない。
正直意外といえば意外ではあるが……となれば目の前の護衛を蹴散らして本命に喰らい付くのみ。逆転の目を与えないためにも速攻と行こう。
追い詰められてなお士気が落ちない敵は手強い……が、それにも限りはあるはずだ。

相手がフェイントや機動力で翻弄してくるというのなら下手に突っ込むと側面や背後をとられるか。
ここは他の味方と声を掛け合いつつ、死角を庇い合えるよう立ち回ろう。
そして防衛線を切り崩すなら攻撃を集中させての各個撃破が定石、動きを止めた敵がいれば一気に畳みかける。

新選組の思惑に乗ることや蝦夷共和国の体制について思うところが無いでもない。
……が、それはこの戦いが終わってからだ。今は目の前の敵を倒し目的を果たすことに集中を。
そのためにも、そういった迷いや思惑ごと『断迷の大祓』で全力で振り抜く!
本命は既に目の前、貴様らには退場してもらおう。


「辿り着いた……! あとは目の前のやつらを倒すだけだね!」
 どたま割り人形の襲撃を退け、敵陣の中枢へと到達した遠宮・秋(アブノーマル中学生・g11768)は、イザベル・ロメの姿を視界の前方に捉えていた。
 残す障害は、護衛役の『断頭の道化師』のみ。四本腕で武装した道化師人形を排除すべく、秋は白河泡沫分を構える。
 対する道化師たちも復讐者の姿を認めるや、殺意を露わに次々と身構えた。魔女化した他の自動人形と同様に、彼らも最後まで復讐に身を捧げる気なのだろう。
「……もっとも。それに付き合う義理など、此方には無い訳だがな」
 道化師が向けてくる殺意にも動じることなく、九重・古安(巻き戻り路逸れる針・g02347)が冷静な声で告げる。
 周囲を包囲され、戦力を削られ、魔女たちは完全な劣勢だ。ここまで追い詰められてなお復讐心を支えに戦い続ける様は、敵ながら見事と言うべきか。
「……が、奴らの戦力にも限りはあるはず。逆転の目を与えないためにも速攻と行こう」
 中枢の周辺では、大天使による攻勢が未だ続いている。雑兵の対処は彼らに対応を任せて問題ないだろう。
 道化師たちの殺気がいや増す中、古安は爆撃槌フルスィンガーを構え、秋と共に彼我の距離を縮めていく。

『ディアボロスめ、よくも同胞たちを……!』『必ずや復讐してやる!』
 イザベルを守る形で隊列を組みながら、殺意を露わに吼える道化師たち。
 そんな彼らを前にしても、大太刀を構えた秋は微動だにせず、虎視眈々と攻撃の機を伺う。後方に控えるイザベルの撃破を狙う彼女の心に、揺らぎは微塵も無い。
(「そういや、こっちの会話は新選組に筒抜けになるんだっけ。気を付けないとね」)
(「ああ。連携の会話程度ならば、聞かれたところで問題はないだろうが……」)
 パラドクス通信を発動しつつ秋が目線を送れば、心得たように古安が合図を返す。
(「天使勢が取引を反故にしてイザベル奪取に動く気配も無し、新選組が横槍を入れてくる気配も無い。正直、意外といえば意外ではあるが……」)
(「うん、万一セノイたちが出張ってきたら何が起きるか分かんない。時間との勝負になりそうだね」)
 大天使や新選組は今回の作戦でこそ共闘関係にあるが、本来は復讐者と敵対する存在だ。
 約束はいつ反故にされても不思議では無い――その思いを改めて噛み締め、二人は道化師との戦闘を開始するのだった。

 戦場に響く、魔女たちの耳障りな哄笑。群れ成す道化師の群れへ、秋は先陣を切って駆けて行く。
 対する敵は、軽い身動きで戦場を飛び跳ねながら、復讐者を囲むように動き始めた。奇怪な外見とは裏腹の高い機動力で、標的を翻弄する戦闘スタイルなのだろう。
「だったら、こっちからガンガン攻めるよ。自由に動き回られないようにね!」
「心得た。死角のフォローは引き受けよう、奴らに付け入る隙など与えはせん」
 通信機を介し、二人は阿吽の呼吸で得物を構える。先頭は秋、その死角を古安が守る――それが彼らの方針だった。
 前方より、道化師たちが四本腕を振り翳しながら迫る。爪の刃は、人間の首くらいなら一撃で刎ね飛ばせそうな程に鋭い。秋は深呼吸を一つ、全力で大地を踏みしめ、その身を一陣の風と為した。
「――飛鷹の太刀!」
 パラドクス発動と同時、加速した秋が敵陣の只中へと飛び込む。
 大太刀を振るう度、三尺を超える刃に斬られた魔女の四肢が玩具のように吹き飛んでいく。刀自身の斬撃と、刃の風が生み出す鎌鼬が織りなす、二段構えの攻撃だ。
『うああぁっ!』『まだまだぁ!』
「よし、良い滑り出しだ。このまま攻め込むぞ」
 秋の猛攻を浴びて、次々に斬り伏せられる先頭の道化師たち。
 その間にも、古安は秋の側面を狙う敵を爆撃槌で退けながら、息を合わせた動きでじわりと前線を押し上げていった。

 刃と刃がかち合い、赤い火花で戦場を照らす。
 熾烈な激突が尚も続く中、復讐者の攻撃は一層激しさを増して魔女を斬り伏せ続ける。
「この程度で、あたしたちは止まらないよ!」
『お、おのれ……!』
 敵の刃を全身に浴びても、秋の猛攻が衰えることは無い。襲い来る鋭爪を大太刀で捌き、被弾を最小限に抑えていることが奏功し、受けた刃傷は未だ浅い。魔女の軽やかな身動きにも惑わされず、彼女が振るう刃はどこまでも峻烈だ。
「攻め込んでみせる。イザベルの下まで、一気に!」
「ああ。今こそ、畳み掛ける好機という奴だな」
 やがて秋の攻撃が敵の防衛線に及ぶと、古安は秋が狙う相手に標的を合わせながら頷いた。
 新選組の思惑に乗ること、更には蝦夷共和国の体制――それらについて思うところはある。だが、それはあくまで、今回の戦いが終わってからの話だ。
 今は只、敵の撃破に集中するのみ。かくして古安は『断迷の大祓』を発動すると、爆撃槌フルスィンガーを全力で振るう。内なる迷い、敵の思惑、それら全てを魔女もろとも打ち砕くように。

「本命は既に目の前、貴様らには退場してもらおう!」
 古安の咆哮と共に、フルスィンガーが一際大きな唸りを上げる。
 させじと魔女の鋭爪が迎撃で降り注ぐが、その程度で彼を止めることは叶わない。負の感情を豪快な一振りで吹き飛ばし、迷いを払った一撃を防衛線へと叩き込む。
「これは――前に進むための、そのための力だ!」
 裂帛の気合と共に、魔女の隊列へ畳み掛ける古安。
 ダメージアップで火力を増した一撃は、防衛線を構成する道化師たちの身体を次々と打ち砕き、跡形も無く粉砕していく。秋と共に仕掛ける猛攻は、復讐に燃える魔女を鎧袖一触に薙ぎ払い、イザベルの護衛たちを削り取っていった。
「逃がしはしない。覚悟して貰おう、イザベル・ロメ!」
「あんたたち魔女は、ディアボロスと大天使が共闘するなんて考えてもみなかったんだろうね。けど――」
 けど、と秋は言葉を継いで告げる。
 それは所詮、イザベルの浅薄な見込みの産物。そんなもので計れるほど、復讐者は容易い相手ではないのだと。
「もう、どこにも逃がさない。ここが、あんたたちの墓場だ!」
 秋の声が、決意を帯びて戦場に響く。
 その想いを共に抱く復讐者たちは鯨波を一層高らかに、イザベル・ロメの下を目指して殺到していった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【狐変身】がLV2になった!
【腐食】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!

一里塚・燐寧
イザベル・ロメはどーにも思い込みが強いタイプみたいだよぉ
歪んだ信仰心が物事の判断基準にも響いちゃってるのかなぁ?
暴れ始めてから次を考える癖がなかったら、新選組ともおしゃべり出来たかもしんないのにねぇ?
……ってことを頭の中で考えながら、自動人形にニヤニヤと薄ら笑いを向けるよぉ

無言のまま≪テンペスト・レイザー≫に紫の鬼火を纏わせ、『呪式:襲風炸爆』を仕掛けるよぉ
敵の首や胴体のつなぎ目を狙って回転鋸刃を突き込み、削り斬る斬撃と鬼火の爆破でバラバラにブッ壊すっ!
等身大サイズの人形は持ち込み禁止でーす。入管でバラバラにしときますね~
……聞かれてもいいように意味のない煽りだけ喋ってるけど、これ普段と一緒じゃない?

へー、見た目だけは上手く作ったねぇ。どっかで会ったことあるのぉ?
得物の幅広な刀身をラケットのように用いて生首爆弾を打ち返し、爆発を遠ざけてダメージを軽減するよぉ
匂いや息遣いや声や体温……そーゆーのなしに顔だけ真似ただけじゃ、あたしには効かない

順調に進んでるねぇ。このまま一気に終わらせちゃお!


八雲・譲二
※アドリブ連携歓迎

エゼキエルの大天使と協力してキマイラウィッチを斃す…ディアボロスの一員としても奇妙な気分だ
兎も角ここはジェネラルを落とすための場だ、新選組の監視もある筈。余計なことは一旦考えず戦いに全集中する
イザベル・ロメはすぐそこだ、まず周囲の護衛を蹴散らす!

他の仲間共々イザベル周辺の護衛群と接敵
消耗を抑えるために【パラドクス通信】で連携をとり効率よく戦おう
【飛翔】はNGらしいが【ガードアップ】を重ねておきたい。ここはリングスラッシャーを使う
広範囲のダメージ蓄積を狙い、撃ち漏らしは無理せず仲間に任せる
攻撃タイミングを合わせる・ずらす使い分けて臨機応変に立ち回ろう

反撃の爆発はフライパンや改造鍋蓋で防ぎ、対応し損ねた分はエンジェルオーラで軽減を図るが
偽装された生首の顔が目に入ればゾッとして一瞬固まる
お前コラ!!悪趣味な事してきやがってマジで許さんからな
そんなに生首が好きならそうしてやるよ、光輪で狙うは連中の首
同じ手で何度もビビらせられると思うな!

メインディッシュは目の前だ、気合入れるぞ!


フルルズン・イスルーン
まあディアボロス撃退できれば一目を置かれるのは間違いないだろうけど。
基本的にアヴァタールはジェネラルに従うのが絶対だから、やんちゃしても性能見せつけた方がいいくらいの価値観だったかな?
それよりもディアボロスがクロノヴェーダにどう映るのかある意味で重要かもしれないのだ。
理解ができないってのも、その辺の動き方の違いなんだろうし。

とりあえずコフィン・ゴーレム。戦線投入!

船墓より、現れ出でよ戦乙女の御霊達!
もう後がないから護衛に必死だろうし、こういう時は囲んでリーチある武器でチクチクと追い詰めるものだよね!
ということで霊体ゴーレムの槍で牽制と槍投げだ。
陣形揃えー、敵戦力を削り出すぞー!
浸透されて味方に被害が及ばないように後ろに通さないよう注意だ!
跳躍して飛び込む? こちとら浮遊する船墓だぞよ!

それはそれとして浮いてるのは天使的には大丈夫かな? パラドクスだからねぇ。
まあ流れ弾っぽいのか来たら文句言ってやろう!

もはや寄る辺無き復讐を埋め込まれし人形を海に返す時だ!
せめて空っぽにしてやろうね。


 復讐者と大天使の二勢力による攻撃は、イザベルの軍勢を着々と追い詰めつつあった。
 降り注ぐパラドクスを浴びて戦場に山と転がる魔女の屍は、復権慈母の窮地を如実に物語るものだ。絶体絶命――かの敵の置かれた状況は、その一語が相応しい。
 決戦の時はもはや目前。未だ抵抗を続ける道化師たちを排除すべく、復讐者たちの戦いは続く。

(「イザベル・ロメは、どーにも思い込みが強いタイプみたいだねぇ」)
 対峙する魔女の群れを前に、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は口の端を歪めて笑った。
 魔女勢力にとって、今の状況は完全な『詰み』と言って良い。それを招いたのがイザベルの判断にあることを思えば、笑いの一つも浮かぼうと言うものだ。
(「暴れ始めてから次を考える癖がなかったら、新選組ともおしゃべり出来たかもしんないのにねぇ?」)
 新選組に無用な情報を与えぬよう、無言で戦闘態勢を取る燐寧。
 一方の道化師たちも、燐寧の笑みに込められた挑発のニュアンスは感じ取ったらしい。植え付けられた復讐心を燃え立たせながら、四本の手に魔力を凝縮させていく。
『我らの恨み、晴らしてくれる……!』
 戦場の空気がどろりと濁る中、燐寧は挑発の笑みを浮かべたまま、得物のテンペスト・レイザーを掲げる。
 語ることなど元より無い。殺すか殺されるか――魔女との戦いは、畢竟そのどちらかでしかないのだ。
「それじゃ、ひとつ……派手にブッ殺したげるよぉ!」
 鎖鋸剣が起動し、不穏な唸り声を響かせる。燐寧を筆頭に、復讐者たちは道化師に立ち向かおうとしていた。

 戦場の殺気が密度を増す中、燐寧に続く仲間たちも戦闘態勢を取っていく。
 周囲の様子を見回して、その眺めに眉を寄せるのは八雲・譲二(武闘派カフェマスター・g08603)だ。戦況は復讐者の優勢だが、共闘するクロノヴェーダ勢力の存在を考えれば素直には喜び難い。
「エゼキエルの大天使と協力して、キマイラウィッチを斃す……か」
 そう呟くと、譲二は意識を切り替えるように大きく息を吐き出した。
 思うところは多々あれど、この状況がイザベル撃破に好都合であることは間違いない。ここは彼女を討つ為の場、新選組の監視もある。何をおいても、今は魔女勢力の排除が最優先だ。
「イザベル・ロメはすぐそこだ、まず周囲の護衛を蹴散らす!」
「うんうん。ボクらを撃破出来れば、彼女も一目置かれるかも知れないけど……そんなものは所詮、絵に描いた餅なのだ!」
 フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)は自信を露わに、道化師の撃破に戦意を燃やす。
 復讐者への復讐、そしてイザベルの護衛――それらの役割を果たす最中にも、同胞は次々と討たれ続けている。魔女の劣勢が明らかな今、道化師たちの焦燥がフルルズンには鮮明に感じ取れた。
 そして――そうした必死な連中を追い詰める戦いこそ、彼女が得手とするものの一つでもある。
「というわけでコフィン・ゴーレム。戦線投入! 船墓より、現れ出でよ戦乙女の御霊達!」
 浮遊する船葬墓を召喚し、不敵に笑うフルルズン。それを合図に、三人の復讐者は魔女の群れへ挑んでいった。

「陣形揃えー、敵戦力を削り出すぞー!」
 攻撃の開始を告げるように、フルルズンの声が高らかに響く。
 合図と同時、船葬墓の群れは縦横無尽の機動で道化師の群れを取り囲むと、墓内に収められた女性型ゴーレムが次々に槍を投擲し始めた。平時には人の運搬も可能とする宙舞う棺は、戦いでは勇敢な戦乙女に早変わりするのだ。
 四方八方から降り注ぐ、容赦のない槍の雨。フルルズンが操る『コフィン・ゴーレム』の猛攻は、道化師たちに一切の防御を許すことは無い。
「こういう時は、囲んでリーチある武器でチクチクと追い詰めるものだよね! いっけー!」
 降り注ぐ槍の勢いは尚も止まらず、道化師たちを次々と串刺しにしていく。
 派手さは無いが、間断なく続く投擲の効果は抜群だ。体力を削られ、一体また一体と絶命していく道化師たち。その只中、負けじと敵が投擲する生首との間で、熾烈な逆説連鎖戦が幕を開ける。
『よくも……! 吹き飛べ、ディアボロス!』
 憎き復讐者に、せめて一太刀浴びせようと言うのだろう。道化師が魔法で生成する生首は、フルルズンの周囲で派手に炸裂し、彼女の身に傷を刻む。
 だが――そんな激戦の中でもフルルズンが焦ることは無い。何故なら、これは復讐者にとって予想できた展開だからだ。
「よーし、チャンスなのだ! 二人とも、今だよ!」
 敵の狙いを十分に引きつけたことを確かめて、フルルズンが合図を送る。
 それと同時、息を合わせるように飛び出した燐寧が、譲二の発射する光輪に援護されながら追撃を開始する。フルルズンが生み出した絶好の好機――それを二人は、決して逃さない。

「等身大サイズの人形は持ち込み禁止でーす。入管でバラバラにしときますね~」
 テンペスト・レイザーを振り被った燐寧が、敵集団の左側より肉薄する。
 ここに至り、ようやく道化師たちも復讐者の意図を悟ったらしい。光輪の狙いを免れた一体が燐寧を迎え撃たんと、生首を生成して飛び出して来た。
 結論から言えば、それは最悪の選択と言えただろう。『呪式:襲風炸爆』を発動した燐寧にとって、道化師の行動は進んで生贄になるのと何ら変わらないからだ。
「ぶった斬るだけじゃ足りないや、完膚なきまでに消し飛ばしたげるよぉ!」
 鎖鋸剣の刃が呪詛の鬼火を纏うと同時、鋭刃が回転の速度を上げた。立ちはだかる道化師を標的に、燐寧は更に加速。得物の重量と速度を込めた斬撃を、勢いよく道化師へ叩き込む。
 腕、足、更には首。狙いすました斬撃は敵の五体を容易く切り裂いて、玩具のように刎ね飛ばした。続け様、体内へと潜り込んだ鬼火が盛大に炸裂、道化師の体を内側より吹き飛ばす。
『そ、そんな――ぐわあぁぁぁっ!!』
 断末魔の絶叫が響き、爆散する道化師。手榴弾さながらに破片をまき散らし、周囲の魔女をも巻き込む派手な爆発を前に、燐寧は軽く肩を竦めてみせた。
(「……意味のない煽りだけ喋ってるけど、これ普段と一緒じゃない?」)
 ふと我に返り、今更ながらに考える。とは言え、敵にとってさしたる違いはあるまい。燐寧は再び意識を戦いに切り替え、再び仲間たちと共に猛攻を仕掛けていった。

 時が経つにつれて、戦闘は一層熾烈となった。
 魔女たちが次々に討ち取られていく中、復讐者にも大天使にも目立った被害は出ていない。
 復讐者たちは、前方で激戦を繰り広げる燐寧とフルルズンを、後方から譲二が援護する形で戦い続けていた。巧みな連携の甲斐あって、道化師たちは着々と頭数をすり減らし、更なる劣勢へと追い込まれている状況だ。
「よし、良い流れだ。このペースなら、殲滅も時間の問題だな」
「そうだねー。少し浮いたり跳んだりするくらいなら問題なさそうだし……このまま一気に殲滅に持ち込んでやろう!」
 フルルズンはグッと拳を握ると、宙を舞う船葬墓に命令を下しながら、更なる追撃を道化師たちへ浴びせていく。
 戦闘開始から既に相応の時間が経過しているが、大天使の攻撃に巻き込まれる復讐者は未だゼロだ。この分ならば、流れ弾の心配は無用だろう。
 イザベルに復讐心を埋め込まれ、魔女と化した自動人形たち。寄る辺を失った彼らを海に返すべく、フルルズンは仲間たちと共に更なる猛攻を浴びせていく。
「その復讐心、せめて空っぽにしてやろうね! コフィン・ゴーレムくんたち、すすめー!」
 天と地から間断なく降り注ぐパラドクスの只中、フルルズンが拳を突き上げて叫ぶ。
 イザベルの下までは、後少し。それを達成する瞬間まで、一秒も手を緩めることはすまいと心に誓いながら。

 復讐者がパラドクスを発動する度、戦場には道化師の残骸が転がっていく。
 勝敗は誰の目にも明白な戦況の中、魔女たちはどす黒い復讐心を支えに、尚も抵抗を止めない。だが、そんな彼らの足掻きを物ともしない程に、復讐者の攻撃は苛烈だ。
『くそ……! 死ね、ディアボロス!』
「へー、見た目だけは上手く作ったねぇ。どっかで会ったことあるのぉ?」
 投擲される生首爆弾を、燐寧は先程から余裕で捌き続けていた。
 無論、被弾による肉体の負傷はゼロではない。反面、精神面でのダメージが絶無であることは、まるで衰えない剣捌きからも明らかだ。標的の縁深い人物に偽装した首で心にトラウマを刻む――そんな敵の攻撃を前に、燐寧は余裕の笑みを浮かべて告げる。
「匂いや息遣いや声や体温……そーゆーのなしに顔だけ真似ただけじゃ、あたしには効かないよぉ」
「そうだぞ!! お前コラ、悪趣味な事してきやがってマジで許さんからな!」
 降り注ぐ生首爆弾を凌ぎ切った譲二が、怒りを露わに道化師へ叫ぶ。
 生首の精巧さに一瞬固まった彼だったが、ガードアップで強化した守りによって、受けた負傷は軽微だ。周囲に立ち込める爆風を、楯がわりに用いたフライパンで振り払うと、譲二は『リングスラッシャー』を発動。回転する光輪を次々に生成し、道化師の群れ目がけて発射する。
「そんなに生首が好きならそうしてやるよ。同じ手で何度もビビらせられると思うな!」
 天使の翼の羽ばたきに乗って、飛来する光輪が道化師たちの首を刎ね飛ばした。
 自身の身に起こったことも理解出来ぬまま、首を失った人形たちが次々に斃れ伏していく。
 グランダルメを追われ、ラ・ピュセルを追われ、そうして流れ着いた先の蝦夷共和国でようやく終焉を迎えた道化師たち。そんな彼らの最期に瞑目すると、譲二は仲間たちへ檄を飛ばした。
「さあ、気合入れるぞ! メインディッシュは目の前だ!」
「順調に進んでるねぇ。このまま一気に終わらせちゃお!」
「覚悟しろイザベル・ロメ! もう逃げ場はないぞー!」
 檄に応える燐寧とフルルズン。かくして三人は、次なる敵を求めて駆けて行く。
 自動人形を魔女に変え、罪無き人々を虐げ続けたイザベル・ロメ。かくして彼女との決戦を前に、復讐者たちは最後の攻勢に移ろうとしていた――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【フライトドローン】LV2が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【ガードアップ】がLV2になった!

イツカ・ユメ
今から守りを固めたって、もう遅いよ!
あなた達にはもう逃げ場は無いって、教えてあげる!

お気に入りのリップで唇を彩って。
高らかに夢を、希望を、幸福を歌えば、ここはわたしのステージ♪
…誰かを憎んで、妬んで、恨み続けるのって、心が疲れちゃわない?
ギラギラ復讐するよりも、もっとキラキラ楽しいことができていたら、あなた達にも違う未来があったかもしれないのにね。

周りの人達とも協力して、道化師の一団を切り崩して、首魁への道を拓くよ!
囲まれたり孤立しないように気をつけて、一撃離脱を繰り返して数を減らしていくね。

…犠牲者の首が、大切な人や、友達の首に変わったら。
偽装だと気付いていても、もしこれが、現実になってしまったら、なんて考えが頭をよぎって動きが固まっちゃうかも。
…大丈夫、大丈夫。
それを、現実にさせない為に。
大好きな皆を守る為に、わたしはここにいるのだから!

震える脚を目一杯踏ん張って、お腹いっぱいに息を吸って。
自分自身を、周りの皆を励ますように大声で歌って斬り結び。
イザベル・ロメへ向けて突き進むね!


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
念の為、大天使方の知らなさそうな情勢や固有名詞は話さぬように注意

イザベル・ロメ、復讐だけに燃えてきた彼女に、新選組はおろか大天使の行動も理解できないのだろう
その驕りは、人々を容易く踏み躙ってきた驕りだ

よく見た顔の人形だな
(あの頃はグランダルメだったけれども)
復讐に狂う道化師よ、悪趣味な芸はまだ続けているのかい?

仲間とPD通信を駆使しつつ連携を取ろう
戦況を観察しつつ把握し、護衛の人形達を撃破する
銃に煙幕弾を放ちPD攻撃、敵の視野を攪乱しつつ隙を作り
仲間の死角をフォローするよう援護し、多角的な攻撃
攻防でできた隙あらば逃さずに撃ち抜こう

仲間と狙いをあわせ、一撃で倒せる敵>より消耗した敵の順に、確実に倒す
ただし仲間の死角を狙う敵は優先し巻き込む
攻撃後は反撃に備える

敵の攻撃には、曲芸的な機動の中に腕の振りを観察し
爪を受けぬようMatadorのマントに絡めていなし、直撃はSegenの魔力盾を展開して防ぐ
負傷は防刃コートで軽減を

復讐の禍根を断つために来た
あなた方の好き勝手にはさせないよ


 歯舞諸島を舞台に幕を開けた三つ巴の戦いは、いよいよ佳境に向けて動き出そうとしていた。
 大天使の軍勢による攻撃が続く中、魔女勢力の中枢へ辿り着いた復讐者たち。そこでイザベル・ロメを護衛する道化師との戦闘は、復讐者の優勢で進んでいる状況だ。
「……よく見た顔の人形だな。復讐に狂う道化師よ、悪趣味な芸はまだ続けているのかい?」
 壊滅寸前となった道化師の群れを前に、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は告げた。
 先行した復讐者たちの奮戦によって、護衛の魔女たちは既に戦力の殆どを失っている状態だ。その復讐心だけは今も健在のようだが、既に戦況は寡勢のトループスに覆せるものでは無い。
 現状で勝敗より気にかけるべきは、大天使や新選組を利する情報を与えないことだ。エトヴァを始めとする復讐者の目は、既にこの戦の『先』を見据えつつあった。
「チェックメイトは目前のようだ。油断せず、全力で行こう」
「うん。道化師たちを切り崩して、イザベルへの道を拓くよ!」
 拳銃を手に戦闘態勢を取ったエトヴァに、イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)は頷きを返す。
 目の前の道化師たちが、いかなる理由で復讐心を受け入れたのかは、今となっては知る術もない。だが、人々を害する魔女となった以上、選ぶべき道は撃破のみ。昂る戦意を抑えるように、イツカは静かに呼吸を整え始めた。

 復讐者と魔女、対峙する両者の視線が敵意を帯びて交錯する。
 完全に退路を断たれ、破滅に向かって進む魔女たち。復讐心だけを心の支えに抵抗を続ける彼らを撃破すべく、エトヴァとイツカは静かに敵群との距離を詰め始めた。
 蝦夷共和国の攻略を進める為にも、イザベルの撃破は避けて通れない。己の命運が尽きたことにも気づかない彼女に微かな哀れみを覚えつつ、エトヴァは改めて魔女への怒りを燃え立たせる。
 ――イザベル・ロメ……復讐だけに燃えてきた彼女には、新選組はおろか大天使の行動も理解できないのだろう。
 ――人々を容易く踏み躙ってきた驕りの代償、今こそ払って貰う。
 何があろうとも、あの魔女はここで息の根を止めねばならない。
 この戦いは、そこへ至る為の最後の一手だ。
 仲間たちが積み重ね、力となった想いを頼もしさと共に感じ取りながら、イツカは頷きを一つ。道化師の群れを前に、凛とした声で告げた。
「今から守りを固めたって、もう遅いよ! あなたたちにはもう逃げ場は無いって、教えてあげる!」

 対峙する敵味方のパラドクスが、輝きを帯びて戦場を荒れ狂う。
 劣勢に追い込まれた道化師たちは、このままではジリ貧必死と悟ったようだ。復讐者を撃退する最後の賭けとばかり、死にもの狂いの抵抗で迎撃を開始する。
「やはり、大人しく敗れる気はないか。……いいだろう、叩き潰すまでだ」
 エトヴァの構えた二挺の銃は、標的の道化師たちを捉えるや、装填した弾丸を次々に発車していく。
 断続的に響く銃声。続け様、炸裂する弾丸の生み出す煙幕が、濃霧のように戦場を覆い始めた。エトヴァはパラドクス通信を発動すると、すぐさまイツカへ攻撃開始の合図を送る。
「このまま、一網打尽で撃破しよう。死角のフォローは任せてくれ」
「オッケー! どんどん蹴散らしていくわよ!」
 イツカは元気よく返事を返すと、お気に入りのリップを唇に沿えた。
 敵の撹乱目的でエトヴァが散布する煙幕は、イツカにとってはさながら舞台のスモークだ。ステージに立つアイドルを演出するように濃密な煙幕を利用して、イツカは『イロドリノウタ』を発動。混乱に陥る道化師たちを前に、パラドクスの舞台が幕を開ける。

「高らかに夢を、希望を、幸福を歌えば、ここはわたしのステージ♪」
 戦場に、魔力を秘めた歌声が響き渡る。
 薄紅の煌く唇より紡がれるイツカの歌声は、魔女たちの燃え盛る復讐心を幸福感で塗り潰し、暴力的なまでの魅了で戦意を奪い去っていく。
「……誰かを憎んで、妬んで、恨み続けるのって、心が疲れちゃわない?」
『くっ……うう……!』
 慈しむようなイツカの言葉に、道化師たちが返すのは苦悶の声だった。
 魔女にとって、復讐は言わばエネルギーの源。それを奪われた彼らは脱力したように崩れ落ちると、その機能を次々に停止させていく。そうして――二度と動かなくなった残骸を見下ろして、イツカはぽつりと呟きを洩らした。
「ギラギラ復讐するよりも、もっとキラキラ楽しいことができていたら。あなたたちにも、違う未来があったかも……」
 悲しみに目を伏せる暇もなく、イツカは再び戦いへ意識を切り替える。
 ここで立ち止まることは許されない。討つべき敵は、まだ残っているのだ。

 銃声と歌声が戦場に響く。
 その勢いは次第に力強さを増して、道化師たちの断末魔を呑み込んでいく。
「そこ、逃がさないよ!」
 イツカはエトヴァの煙幕を巧みに利用し、一撃離脱戦法で道化師たちを削り続けていた。続け様にエトヴァが行う援護射撃を前に、絶命を免れる敵は絶無だ。二人の攻撃開始から時間が経つにつれ、魔女は溶けるように頭数を減らし、気づけば数体にまで戦力を減らしていた。
『このまま、無為に終われるものか……!』
 呪詛の言葉を吐きながら、道化師の一体が魔法の生首をイツカへ投擲する。
 その瞬間、迫り来る生首を前に、イツカが一瞬固まった。たとえ偽物と分かっていても、あの首が大切な人や友人のそれに変わったら。もしも、この生首が現実になったら――そんな思いが、脳裏をよぎったのだ。
 瞬間、反射的にガードアップで身体を硬化するイツカ。刹那置いて、叩きつけるような衝撃を間一髪で凌ぎ切ると、彼女は再び意識を切り替えた。
 震える脚を目一杯踏ん張って、大きく深呼吸を一つ。そうして紡ぐのは、高らかな希望の歌だ。
 この程度、どうということは無い。立ち止まることは許されない。何故なら、
「魔女の悪夢を、現実にさせない為に。大好きな皆を守る為に、わたしはここにいるのだから!」
「ああ。復讐の禍根を断つ為にも、彼らの好き勝手にはさせない」
 イツカの歌声が高らかに響く中、エトヴァは頷きを一つ。最後に残った魔女たちへ、銃の照準を合わせた。
 発動するは『Wunderfarber-Φ』。二挺の銃口より発射された煙幕弾は、着弾と同時に次々と炸裂し、道化師たちを極彩色の煙で包み込む。
『ぐ、ぐうううっ……!』
「――絢爛と、咲き誇れ」
 銃撃が、フィナーレを告げるように鳴り響く。
 そうして――煙幕の晴れた戦場には、復讐者の勝利を告げるように。絶命した道化師たちが、物言わぬ残骸となって転がるばかりであった。

「……よし。道化師の撃破は完了だ」
「うん。残るはイザベルだけだね!」
 戦場から護衛の魔女を一掃すると、エトヴァとイツカは頷きを交わし合った。これでもう、イザベルを守る者はいない。
 イツカは共に戦う仲間たちを見回して、励ましの歌を紡いでいく。
 これから始まる戦いは、更に熾烈となるだろう。だが、敵がいかに強大であろうと、復讐者が歩みを止めることは無い。
「さあ皆。イザベル・ロメへ向けて突き進むよ!」
 イツカの檄に応えるように、仲間たちの鯨波が呼応する。
 ラ・ピュセルより続く、長き因縁に終止符を打つ為。そして、未だ謎多きディヴィジョン蝦夷共和国攻略の為。
 『復権慈母』イザベル・ロメを撃破する決意を胸に、復讐者たちは戦闘態勢を取るのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV3になった!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!

 断頭の道化師たちを排除した復讐者たちは、遂に首魁である魔女と対峙を果たす。
 聖母を模した青衣を身に纏う彼女の名は、『復権慈母』イザベル・ロメ。かつて火刑戦旗ラ・ピュセルにおいて、漂着した自動人形たちを魔女へと作り替えた黒幕だ。
 頼りの配下を悉く失い、全ての逃げ場を塞がれた今、彼女の運命は正に風前の灯火と言える。

『復讐心で魔女となった自動人形たちを、まさか悉く退けるとは。つくづく、恐るべき力と言う他ありません』

 そう呟く彼女の双眸に宿るのは、復讐者に対する抑えきれない程の憎悪だった。
 配下の悉くを退け、ラ・ピュセルを滅ぼし、断片の王ジャンヌ・ダルクの命まで奪った怨敵。そんな不倶戴天の存在である復讐者に為すべきことは、彼女にとって滅殺以外に無いのだろう。

『大天使たちの意思は知る由もありませんが……こと此処に及べば、それも詮なきこと。死になさい、ディアボロス!』

 復讐心に煮えたぎる熱を秘めた声で、慈母の姿を借りる魔女が死闘の始まりを告げる。
 ここで彼女を滅ぼさない限り、復讐に名を借りた虐殺が終わることは無い。
 今は亡きジャンヌに仕えし敵将が一角、イザベル・ロメ――かの敵との因縁に決着をつけるべく、復讐者たちは最後の決戦に臨もうとしていた。
道路標・識
アドリブ連携その他なんでもご自由にドーゾ!

先々月!最終人類史でもキマイラウィッチが暴れてましたね!!おかげでオレは今ここに居まあす!!!
ま、そんな私事は置いときましょうか!!!
新選組はこちらの動向を伺っていますし!大天使の軍勢もいますし!!
どう転ぶにしてもアナタを倒さねば道が拓けないので!!!
アナタには!この地に敷かれる新たな道の!!礎となって頂きます!!!

パラドクス『一時停止!』で、連携する味方の攻撃が当たり易くなるように頑張りながら戦いまあす!!
武器の一時停止も使いますよお!!

イザベルの動きや周囲をアイカメラ用測量機器も用いて注意深く【観察】し、攻撃の瞬間を見逃さず避ける努力をします!!
また【パラドクス通信】で観察した事の情報共有を行い、味方の被害をなるべく抑えられるように努めまあす!!

若輩ながら!!
皆さまの!お役に立てれば!!幸い!!です!!!ね!!!


三間・勲
(連携アドリブ歓迎)
CCTSの同僚、道路標さん(g11764)をディフェンスします

救援機動力で戦線に合流
遅れてしまいましたが、今は作戦の成功の為、少しでも仲間の力になれるように僕も最善を尽くして戦います
【パラドクス通信】も借りて仲間と声を掛け合い、連携は積極的に行います

心の中で数々の報告書が示したキマイラウィッチの凄惨な行いを思い起こし
彼女を許せないという意志を強く静かに固めます
仲間の攻撃タイミングに合わせ、攻撃の合間を縫って迅速に対象へと一息に距離を詰め
隙が生じる瞬間を看破して、対艦光刀『新月』の刃を起動すると同時に振り抜きましょう

柔軟に立ち回り、イザベル・ロメの語り掛ける言葉の内容には耳を傾けず歪曲する空間の変化に集中し対処を
【ガードアップ】の効果を借りながら、特にディフェンス対象に気を配り攻撃から守ります
致命傷となる攻撃から身を守る為の警戒はしっかりと払いつつ
出来る限り連戦によってダメージが重なった味方に負担が集中しないように、前線で敵を引き付け戦います
皆で、共に乗り越えましょう!


 復讐者と大天使の大攻勢によって、着々と追い詰められていく魔女勢力。
 その首魁である『復権慈母』イザベル・ロメを、道路標・識(道狂い・g11764)は怒りの炎を宿した瞳で見澄ましていた。もしも彼の視線がパラドクスであれば、イザベルを消し炭に変えられたかもしれない――そう思わせる程に識の怒りは熱く、そして強烈だ。
「先日の奪還戦では、アナタのお仲間が随分派手に暴れてましたね!! おかげでオレは今ここに居まあす!!」
 復讐者としては駆け出しの識だが、打倒魔女の信念は揺るぎない。迅速な攻勢でイザベルを孤立させた今、為すべきは彼女の撃破のみ。応援に駆けつけてくれた三間・勲(漁火・g10186)を振り返り、識はグッとサムズアップを送る。
「今日は、よろしくお願いしまあす!! 気合いれて行きましょう!!」
「こちらこそ。少しでも力になれるよう、最善を尽くします」
 戦意を燃やす識に、勲は頼もしさを感じさせる微笑みで応えた。
 今回彼が取る戦法は、敵に接近戦を挑んで識が追撃する機を生み出すというもの。連携用のパラドクス通信を発動すると、勲は対艦光刀『新月』を起動。その刃をイザベルに突き付け、怒りの炎を心に灯す。復讐の名を借り、数えきれぬ非道を繰り返した魔女勢力――その統率者が一角を為す復権慈母を、許す訳にはいかない。
「……イザベル・ロメ。これ以上の悪逆な振舞いは、僕たちが許しません」
「ええ、ええ! アナタには!! この地に敷かれる新たな道の!!! 礎となって頂きまあす!!!!」
 眼の前の敵を倒さぬ限り、未来への道は開かれない。
 それは恐らく、イザベルにとっても同様だろう。
 故に、両者が選ぶ道は只一つ。殺すか殺されるかの死闘以外に存在しないのだ。

「いざ戦闘開始ですね! 全速前進、このまま突き進みまあす!!」
「全ては勝利の為に。行きましょう!」
 一時停止の標識を構える識と、新月を構える勲。標的のイザベルを挟撃するように、二人の復讐者が疾駆していく。
 対するイザベルは、正面からこれを迎え撃つと決めたようだ。魂より沸き起こる悲憤で唱える嘆きの嘆願が、パラドクスの力を帯びて空間を歪曲。無音で渦巻く空間は意思を有する生物さながら、復讐者たちの足を阻まんと牙を剥いた。
『無の彼方へと消え去りなさい、ディアボロス』
「この程度……! 僕たちの力、甘く見ないで貰いましょうか!」
 イザベルの攻撃が成就せんとした次の刹那、勲が疾駆の速度を上げる。
 同時、発動した『達人撃』のパラドクスは瞬時に勲をイザベルの側面へと肉薄せしめ、叡智を尽くした一閃を導く。魔女の復讐心を上回る怒りを込めて、新月の一刀を以て振り抜く渾身の斬撃だ。
「今です、道路標さん!」
「心得ました! いざ!! 工事(はいじょ)開始でええええええす!!!」
 彼我の攻守が、瞬時のうちに逆転する。
 見出した隙を狙い撃って繰り出す勲の猛攻に全身を刻まれながら、次第に防戦へ追い込まれ始めるイザベル・ロメ。だが、彼女の苦境は未だ終わらない。勲に続くように、一時停止を構える識が突撃して来たからだ。

「この! 《止まれ》が!! 目に入りませんかあ?!!」
 曇りの無い笑顔を浮かべ、赤い信号機を得物に識が叫ぶ。道を塞ぐ存在は工事によって片付ける――それが彼、道路標・識という復讐者だ。
 たとえ障害がジェネラル級だろうが、識の行動に例外は存在しない。『一時停止!』の発動と同時、赤い逆三角形の標識がブンと唸りを上げてイザベルの脳天目掛けて振り下ろされる。
「逃がしません! よ!!」
『この程度で、私に勝てるとでも? 侮らないで貰いましょう』
 コンクリートの塊程度なら一撃で砕かんばかりの威力を秘めた殴打を、イザベルは己が両腕で受け止めた。
 大地を揺さぶる振動。識の殴打がイザベルの両足を地面へと陥没させ、その身動きを半ば強制的に封じ込める。得物の標識に記された『止まれ』の一語は、単なる飾りではない。
 言葉で止まらないなら、力ずくで止める――それが識の流儀なのだ。
「もうアナタは、どこへも行けません! ここが行き止まりでえええええす!!」
「隙あり! そこです、イザベル!」
 渾身の力で振り抜いた一撃が、イザベルの体に傷を刻む。衝撃を殺し切れずによろめく彼女とは対照的に、識と勲の連携は一層冴えを増して、復権慈母を着実に追い詰めていく――。

 体勢を立て直す時間を一秒たりとも敵に与えぬまま、復讐者たちの攻撃は尚も続いた。
 識の一時停止でイザベルが動きを止めれば、生じた隙を突くのは勲の新月が繰り出す斬撃だ。対するイザベルも、歪曲した空間を操りながら、執念深く反攻の隙を伺っていた。
『ジャンヌ様の復讐の為にも、このような場所では死ねません』
 復讐心を秘めて迫る歪曲空間は、ジェネラル級の能力に相応しく、誇る威力も並ではない。
 少しでも空間に五体が囚われれば、復讐者たちの体は捩れ、歪み、全身が激痛と共に軋みを上げた。それでも継戦が可能であったのは、肉体を硬化する残留効果の賜物だろう。勲は自信の攻撃によって更に防御力を強化しながら、尚も休まず新月を振るい続ける。
 識のディフェンスを意識した立ち回りもあって、彼が負ったダメージは決して浅くはない。だが、それで尚、彼にも識にも諦めると言う選択肢は端から存在しない――無論、他の復讐者たちもだ。
「皆さまのお役に立てれば!! 幸い!! です!!! ね!!!」
「ええ。この程度で、僕たちが屈することはありません」
 互いに頷きを交わし合い、二人の視線がイザベルを捉える。
 この決戦に臨む復讐者たちの目的は只一つ――魔女勢力を率いるイザベルの撃破をおいて他に無い。その嚆矢となる激戦を経て、識と勲は復権慈母をまた一歩追い詰めたのだ。
 一人の力は弱くとも、積み重なれば断片の王さえ撃破し得る。それが、勲と、識と、そして彼ら仲間たち――復讐者の戦いなのだから。
「さあ。皆で、共に乗り越えましょう!」
「勝利への道を! 全員で!! 切り開きまあああす!!!」
 勲と識の檄が、次なる復讐者たちを導く。
 かくして一歩、また一歩。歯舞諸島を巡る決戦は、最後の決着に向けて進んでいく――。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【完全視界】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!

遠宮・秋
分かりやすくていいじゃん
こっから戦いたくないとかゴネられた方が困るとこだったから
北海道での戦いの最初の一歩、躓いてなんかいられない!

引き続き大太刀「白河泡沫分」を手に戦闘
さっきからずっと戦い通しだっていうのに体が軽い、いつもより調子がいい……姿が特に変わるわけじゃないけど、これがネメシス形態ってやつ?
っと、新選組に情報が筒抜けらしいし、そういうこと私たちの情報も口に出さないように注意しないとね

回転しながら刀を横薙ぎに振るい、鎌鼬を起こす『飯綱の太刀』でイザベル・ロメを切り裂くよ
あたしは遠距離攻撃だし、特に近接で戦う人との連携を意識
別々の方向から攻撃したり、接近してる人に攻撃の手がいきそうな時はそれを妨害したりね
黄金色の後光に照らされようと、攻撃の手は緩めず、飯綱の太刀で光や敵の防御を抜いてダメージを与えていくよ

これがジェネラル級……っ
配下とは全然違う、けど
あたしがやると決めたんだから、やってみせる
食い……破れ!


九重・古安
随伴の護衛は既に亡く残るは指揮官のみ。状況は圧倒的にこちらが有利だが、このプレッシャーは流石はジェネラル級といったところだな。
ここまで追い詰めてなお油断はできない、か。
新選組に筒抜けになる以上まだ口には出せんがこれは蝦夷共和国攻略の前哨戦、ここを越えねば先は無いと思わねば。

文字通り決死の覚悟というわけだろうが、不退転の気迫という意味ではこちらも引けは取るまい。
今のこの状況は苦難でも試練でもなく、ただ単に因果応報というだけのことだ。
故に……ここで俺たちが負ける道理も、貴様がこの場を生き残る道理もない。
その復讐はどこにも届くことは無いと知れ!

一対一では分が悪いのは承知、味方と連携し一撃離脱狙いを一点に絞らせないことで切り崩していこう。
側面に回り込むことで味方が攻撃するチャンスを作りつつ、隙あらば『時廻の断撃』による一撃を叩きつけてやる。
一撃必殺と行かずとも、確実にダメージを蓄積させていくことができれば十分。
決して手を緩めず、確実に勝利する。ただそれだけだ。


イツカ・ユメ
…いつか、きっと、夢は叶う。
そう信じて、歌い続けてきたの。
でも、ね。
もし、叶わない夢があっても。夢を、奪われても。
誰かのせいにして、復讐しようだなんて思わない。
わたしは何度だって夢を見て、諦めずに未来へ進む!
復讐心に、過去に囚われ続けるあなた達とは違うって、教えてあげる!

さぁ、ここからはわたしだけじゃなくて、皆とのステージだよ。
滾らせるパッション、火花散るセッション♪
クライマックスまで駆け上がるよ♪
痛いのも怖いのも吹き飛ばすように、明るく歌って皆を鼓舞しつつ、
ダンスのリズムで心を重ねて、息を合わせて畳み掛けるね!

空間の歪曲の兆しがあれば、素早く攻撃範囲からの離脱を試みるね。
…人々の嘆く声を、多くの命を踏み躙り虐殺をしてきたあなた達が、
今更請願なんかして都合良く歪曲しようとしてんじゃないわよ!
ピンチの人がいたら庇って、体勢を立て直す時間稼ぎをするね。


…目の前の相手だけに集中出来れば良いけれども。
念の為周囲の観察、警戒も怠らずに。
少しでも異変を感じたらすぐに【パラドクス通信】で皆に伝えるよ。


フルルズン・イスルーン
周りを巻き込めない孤立した復讐者だ!
熾火も燃え移るものがなければ一時の命。世界を焼く木の枝ほどの火の勢いがなければちっぽけなものなのだ。
それでもやりようはあったかもしれないけど、まあこればっかりは無知と向こう見ずの罪と罰だね。

フラックス・ゴーレム。錬金炉に火を焚べよ!

対象空間定義。急速反応促進。錬金術式焼却開始!
もう見るからにそこまで動き回らないような感じだし、空間座標の追従が楽で助かるね。
真っ黒になるまでグツグツに煮込むぞー! 目指せニグレド!
いつまでも燃え足りないと喚く燃料だ。良質な原形質の素材になるまでしっかりと燃焼しつくしてくれるであろーうなのだ。
まあ失敗して錬金術ゴミになっても惜しくはない素材だ。好きなだけ煮込んであげようね。ゴーレムくん。

そういや磔刑火炙り儀式してたんだっけ? ボクあんまり知らないけど。
今度はごっこ遊びじゃなくて最後までやろうね。ボク十字教好きじゃないけどけど。
浅慮なのにその名を冠した罪をよくよく燃やし尽くして清めてあげようね。


「随伴の護衛は既に亡く、残るは指揮官のみ……か」
 戦場で孤軍奮闘するイザベルと対峙しながら、九重・古安(巻き戻り路逸れる針・g02347)は重々しい口調で呟いた。
 状況が敵にとって不利であることは、既に一目瞭然だった。しかし、状況が未だ予断を許さないことも古安は十分理解している。イザベルの放つ膨大なプレッシャーが、嫌でもそうさせるのだ。
「五体を鋳型に嵌め込むような、この威圧感……流石はジェネラル級といったところか」
「分かり易くていいよね。『戦いたくない!』とかゴネられたら困るとこだったもん」
 そんな古安とは対照的に、遠宮・秋(アブノーマル中学生・g11768)は溢れる戦意を抑えきれない様子だ。
 この作戦は北海道を巡る戦いの第一歩であり、躓いてなどいられない。復讐者として秘めた不動の決意は、彼女に更なる力を齎していく。
 手に構える大太刀が、普段よりも軽い。体の奥から、泉のように力が湧き出て来る。戦いの昂揚だけでは説明のつかない、復讐者として初めて経験する感覚――その正体を、秋はすぐさま理解した。
(「これが、ネメシスの力……姿は特に変わってないけど……」)
 敵は強力だが、自分も――いや、自分たちも、そんな相手に挑める力がある。秋は改めて気を引き締めると、静かに戦いの構えを取った。
「必ず勝つからね。宜しく!」
「ああ。ここを越えねば先は無い……そう思わねばな」
 最後の最後まで油断は出来ない。その思いを共有しながら、秋と古安は戦いに臨もうとしていた。

 復讐者と魔女が対峙する中、戦場に張り詰めた空気が漂う。
 フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)はゴーレムの生成準備を進めながら、今なおしぶとく抵抗を続けるイザベルの姿を見遣った。
「ふふん、腐ってもジェネラル級だけあるね。敵ながら大した執念だよ」
 尽きぬ憎悪に魂を焦がし、復讐者を抹殺せんと戦う魔女。その姿にフルルズンは、哀れみにも似た色を浮かべる。
 こと精神力においてならば、魔女勢力のそれは確かに凄まじい。とは言え、それを活かせる知恵が無いのであれば、単なる宝の持ち腐れだ。
 ――熾火も燃え移るものがなければ一時の命。
 ――世界を焼く木の枝ほどの火の勢いがなければ、ちっぽけなものなのだ。
 仮にイザベルが、状況を早期に把握していれば、示威行動の名を借りた虐殺を自重していれば、まだやりようはあったかもしれない――フルルズンはそう考える。
 同時に、それが結果論でしかないことも承知している。無知と向こう見ずの罪と罰、その代償は命で払って貰うとしよう。
「フラックス・ゴーレム。錬金炉に火を焚べよ!」
 錬金術の炉に、パラドクスの火が灯される。仮初の命を吹き込まれ、ゴーレムと化した炉がむくりと身を起こす。
 そうして、フルルズンが準備を完了すると、イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)は静かに口を開いた。殺気と敵意で張り詰めた戦場の空気に、イツカの声が響き渡る。
「……いつか、きっと、夢は叶う。そう信じて、歌い続けてきたの」
 パラドクスを使える復讐者も、神ならぬ身である以上は全能ではない。
 無論、イツカも例外ではない。
 叶わぬ夢もあれば、奪われた夢もあった。だが、それを誰かの所為にしたことは無い。復讐しようと考えたことも、無い。だからわたしは、とイツカは言う。
「何度だって夢を見て、諦めずに未来へ進む! 復讐心に、過去に囚われ続けるあなたたちとは違うって、教えてあげる!」
 イツカの言葉を嚆矢に、古安が、秋が、フルルズンが一斉に動き出す。
 これから始まるのは、復讐者たち皆のステージ。歌声が高らかに紡がれる中、更なる死闘が幕を開けた。

「滾らせるパッション、火花散るセッション♪ クライマックスまで駆け上がるよ♪」
『ジャンヌ様が受けた苦しみ、味わって貰いましょう』
 イツカの歌が、鼓舞の響きを帯びて木霊する。対するイザベルは復讐心を露わに、尚もパラドクスで空間を歪曲させながら襲撃を仕掛けて来た。防戦を続けてもジリ貧は必至、攻めに転じて活路を拓こうと言うのだろう。
「みんな気を付けて、来るよ!」
「望むところなのだ! ――対象空間定義。急速反応促進。錬金術式焼却開始!」
 次の刹那、通信機を介してイツカの合図を受け取ると、フルルズンは待っていたとばかりにゴーレムを起動。錬金炉に命を吹き込むと、イザベルが存在する空間を腐食させていく。
 元より逆説連鎖戦は物理の法則を無視して行うもの、世界の理へ介入する攻撃はイザベルの専売特許ではないのだ。
「真っ黒になるまでグツグツに煮込むぞー! 目指せニグレド!」
 機動力に特段優れる相手でもないイザベルは、空間座標の追従もまた容易だった。炉の炎が勢いを増す度、それに比例するように復権慈母を取り巻く空気は激しく炎上し、その身を腐食させていく。
『鬱陶しい真似を……!』
「来たね。ふふ、これぞ“計画通り”って奴かな?」
 怒りを露わに、歪曲した空間をフルルズンへとけしかけるイザベル。対するフルルズンは、空間に身を捻じられる苦痛にも構わず、通信機に向けて口を開く。敵の復讐心が向いている今こそ、仕掛ける好機――そう判断したのだ。
「さあ、ここからだよ! 皆、どんどん行こう!」
「心得た。この隙、逃がしはしない……!」
「イザベル・ロメ。その首貰うよ!」
 フルルズンの合図に、すかさず古安と秋が応じる。
 爆撃槌フルスィンガーを振り被る古安と、大太刀を構える秋。各々の得物に必殺の威力を込めながら、二人は嵐の如き勢いでイザベルに次々と襲い掛かった。

 先頭を駆ける古安の後方より、地面を蹴った秋が軽やかに宙へと跳躍する。
 遠距離攻撃で戦う彼女にとって、接近戦を主体とする古安との連携は特に重要だ。ここは先行して攻撃を仕掛け、一気呵成に畳み掛ける好機としよう。
「挟撃で行こう。あたしは右から行くね!」
「ならば、俺は左からだな。任せて貰おう」
 通信機から古安の声が返ると同時、秋の体が宙で高速回転。独楽めいた横薙ぎの一閃で叩き込む鎌鼬が、イザベルの懐へと直撃した。
 そこへ続くように、古安は『時廻の断撃』を発動。僅かに体勢を崩しつつも黄金色の後光で秋に応戦するイザベルへ、渾身の一撃を叩き込む。
「ほんの一時なのが残念だが……まぁいい、最盛期の再現と行こうか!」
 瞬時に肉薄し、得物の爆撃槌を全力で振り下ろす。言葉で表せばシンプル極まりない攻撃だが、パラドクスによって生命力
を活性化させた古安が繰り出せば、それは侮りがたい必殺の一撃に化ける。最盛期の肉体を駆使して振り下ろす一撃は、視認
すら許すことなくイザベルの脳天に直撃した。
「ぬんっ!!」
『……っ。この程度の試練に、負けはしません……!』
 大地を揺さぶる衝撃が、轟音を伴って戦場に響く。叩きつける隕石の如き一撃にイザベルが悶絶する中、古安は迫る波動の力を振り切って離脱すると、次なる襲撃に向けて再び戦闘態勢を整え始めた。
「自ら撒いた種を試練と呼ぶか。それは単なる因果応報というだけのことだ!」
 迷いを振り切った表情で、古安がイザベルを睨みつける。
 強力なジェネラル級とて不死身ではない以上、ダメージを蓄積させればいつかは斃れるものだ。
 一対一の勝利など元より求めてはいない。その瞳に猛禽めいた光を宿しながら、古安は仲間たちとの連携で着実にイザベルを追い詰めていく――。

 一撃離脱を繰り返す古安を、秋の鎌鼬が援護する。
 フルルズンのゴーレムに灯る炎で爛れる空気を包むように、イツカの歌声は未だ止まることを知らない。
『ジャンヌ様の命を奪ったディアボロスの力、やはり並ではありませんね。ですが、まだまだ……!』
「いつまでも燃え足りないと喚く燃料だ。良質な原形質の素材になるまで、しっかりと燃焼しつくしてあげようなのだ!」
 盛大に焦燥の色を見せ始めたイザベルに、フルルズンは堂々と笑ってみせる。
 復讐心に燃える魔女も、ゴーレムの炉にとっては単なるサンプルと同義だ。素材化に失敗しても惜しくは無いとばかりに、炉の炎は更に勢いを増していく。
「復権慈母、か……浅慮なのにその名を冠した罪、よくよく燃やし尽くして清めてあげようね!」
 フルルズンとイザベル、両者のパラドクスが戦場を空間を歪め、激しくせめぎ合う。
 その間にも傷を重ねていくイザベルは、尚も死に物狂いで復讐者たちと戦い続けていた。空間を捻じ曲げ、決意の力を波動に変えて解放し。その顔に浮かべる慈愛の笑みとは裏腹に、彼女が繰り出す猛攻は手負いの獣さながらだ。
『まだ、まだ……復讐を果たすまで死ぬ訳には……!』
(「これがジェネラル級……っ。配下とは全然違う、けど!」)
 眩い黄金色の後光を浴びた秋は、全身を焼くような苦痛に歯を食いしばって耐えながら、両手両足に全神経を集中する。
 イザベルの攻撃は確かに激しい。だが同時に、敵である彼女もまた苦痛の只中にあることを、秋は激戦の手応えから明白に感じ取っていた。
 心が弱きに流れれば、負ける。ならば、今の自分がすべきは只一つだ。即ち、
「食い……破れ!」
 敗北を拒むように全力で跳躍すると同時、秋の体がくるりと宙を回転する。
 体のひねりを加え、繰り出すのは『飯綱の太刀』。真一文字に降り抜いた大太刀の生み出す鎌鼬は、鋭い切れ味を帯びて、標的であるイザベルの身を派手に切り裂いた。
『う、あぁっ……!』
 口の端に赤い血を滴らせ、イザベルが苦悶の声を洩らす。
 その顔から微笑はとうに消え、余裕の色は既に無い。戦況の逆転を一切許さぬまま、復讐者の攻撃は更に激しさを増して、
魔女を呑み込もうとしていた。

 力を合わせて戦う四人の攻撃が、イザベルの首を狙って襲い掛かる。
 幾度にも及ぶ逆説連鎖戦は復讐者たちにも浅からぬ傷を刻んでおり、無傷の者は一人もいない状況だ。だが、いかなる苦痛
に晒されようと、彼らの心が挫けることは無い。
「痛いのも怖いのも、みんな吹き飛ばして。このまま、決着まで駆け抜けるよ!」
 負傷した体を叱咤しながら、イツカは軽やかなステップで戦場を跳ね続けていた。紡ぐ歌声はいよいよ高らかに響き、仲間たちの心を鼓舞していく。
 ダンスのリズムで心を重ね、澄んだ歌声と共に息を合わせ。そんな彼女に背を押され、勇気を奮い立たせた仲間たちの攻勢は未だ衰えを知らない。
「さあゴーレムくん! 好きなだけ煮込んであげようね!」
「あたしがやると決めたんだから、やってみせる……! このまま押し切るよ!」
 抵抗を続けるイザベルを相手に、フルルズンが、秋が、怒涛の攻めで襲い掛かる。
 炎上する空間と、牙を剥く鎌鼬は一切の容赦を示さない。そこへ息を合わせて急襲をかけるのは、フルスィンガーを構える古安だった。
 決して手を緩めず、確実に勝利する――抱く想いはそれだけだ。敵とて覚悟は本物だろうが、不退転の気迫という意味では彼も引けは取らない。憎悪を燃やすイザベルを睨み返し、彼は猛然と爆撃槌を振るい続ける。
「ここで俺たちが負ける道理も、貴様がこの場を生き残る道理もない。その復讐は、どこにも届くことは無いと知れ!」
『私が死ぬ訳にはいきません。ジャンヌ様、そして自動人形たち……勇敢に戦い殺された、彼らの無念を晴らす為にも』
 古安の投げつける言葉に、イザベルは平然と言い返す。
 そこに、彼女を始めとする魔女が働いた虐殺への改悛は無い。自分たちは虐げられし存在であり、その為に行う復讐は常に正しい――そう言って恥じないイザベルの態度は、どんな悪罵にも勝って復讐者たちに怒りを齎した。

(「……人々の嘆く声を、多くの命を踏み躙り虐殺をしてきたあなたたちが、今更……!」)
 烈火の怒りに胸を焦がしながら、イツカは『イツカノウタ<dolce arrange>』を発動。迸るような感情をパラドクスの力に変えて、戦場を希望の歌声で包んでいく。
 どこまでも優しいアレンジを加えた、いつかどこかで聞いた歌――それが今、イザベルの破滅を誘う歌唱となって、彼女の精神をじわりと蝕み始めた。
「いつか叶う、夢はきっと叶う……大丈夫。痛いのも、怖いのも、全部飛んでいっちゃうから……!」
『う、ぐ……!』
 イザベルの意思に反するように、その心から復讐心が薄れていく。
 人間ならざる魔女にとって、それは命を蝕む猛毒に等しい。平穏と復讐心、矛盾する二つの心のせめぎ合いに耐えかねる様に、血の涙を流して悶絶するイザベル・ロメ。その姿は、彼女がいよいよ窮地に追い詰められたことを物語っていた。
 決着の時は、今。
 そうして――イツカら四人の想いを託したバトンが、続く仲間へと託される。
 歯舞諸島に流れ着いた魔女勢力との戦いを、今こそ復讐者の勝利で終える為に。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【飛翔】がLV4になった!
【エイティーン】LV1が発生!
【腐食】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【リザレクション】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

心情:
(歯痒くはあるな。言ってやりたい事の十はあるというのに)
(一年か。ロメを追い続けてようやく手にしたこの機会
二度と復讐の輪廻を紡がせない為に)

情勢や単語を含め、新選組に余分な情報は与えぬように
ロメが情報を喋りかけたら挨拶や単純な挑発を被せる

敵の動きを観察しつつ把握
仲間達とはPD通信で連携し、包囲や挟撃となる立ち位置を取り
双銃を連射し、PD攻撃
青き炎を纏う弾丸で動きを縫い留め
仲間の攻撃を援護しつつ
味方との攻防の隙を看破し、狙い澄ました一弾で撃ち抜こう

敵の攻撃には、頭を垂れる兆しを観察
0-Gravitation(オーラ)を展開、羽搏きにエネルギー場を纏い、後光返しで攻撃の威力を緩衝
視界はAllsend(バイザー)で後光を和らげて伏し目に避け、隙を作らぬよう構え続ける

感慨も今は封じ
バイザー越しに真剣に見据え訴える
『逃がしはしない』、と

人々を襲い仇なす魔女よ
多くの配下を送り出してきたならば、今度は貴女の番だ
人形達の操り糸と共に、全ての禍根を断つ
イザベル・ロメ! 異国の地に眠れ


一里塚・燐寧
【通信障害】に意味がないってことは、この戦場にあたし達の話を逐一記録する新選組が隠れてたりするのかなぁ?
そう考えると、どうでもいい話を真面目に考察させて神経すり減らしてみたくなるけど……今回は無難にやろっか

乱戦を切り抜けて来た仲間と、【パラドクス通信】で互いの位置を把握し合って連携するよぉ
まさかとは思うけど、万が一大天使が裏切ってきた時のために後方もきっちり警戒はしとこう
それが結果的に、散らばって戦う仲間の立ち回りをしっかり理解することに繋がるだろーしねぇ

≪テンペスト・レイザー≫に紫の鬼火を纏わせ『呪式:業鬼火断』を繰り出すよぉ!
早い段階で動く場合は、回転鋸刃を敵に突き刺して捕縛し、【ガードアップ】で反撃を耐えながら仲間の大技に繋げるよぉ
仲間の技や負傷で敵の動きが乱れた隙を狙えるなら、全力の縦一閃を叩き込んで脳天からブッタ斬る!

敵の言葉と共に空間が歪んだら、咄嗟に走ったり横に転がったりして歪曲の範囲から素早く逃れるよぉ

ここは農民にはいい土地なんだけど……馴染めなかったかぁ、残念だねぇ!


イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎

都合の悪い現実からは目を逸らし、願望を夢見るとは復讐に囚われた者の末路だね。
少しでも冷静に考えられれば同じクロノヴェーダから此処まで敵対的な態度を取られる原因も想像つくだろうに。

鋼の信仰と鍛錬によって極限まで練り上げたオーラを全身に纏わせ降り注ぐ後光は相殺しよう。
苦難の路を歩んだ聖人の加護に由来した力は此方も決して引けを取らないからね。
そして使徒たるイロハの四肢は正しく凶器。
信仰によって研ぎ澄まされた拳へと【ダメージアップ】の力を引き出し
【パラドクス通信】によって仲間と連携して動いて隙を作り、イザベル・ロメの堅牢な護りを貫くとしよう。
とは言えジェネラル級である彼女が一撃だけで倒れるとは思えないから
祈りの強さも此方が上だと言う事を解らせる様に攻撃の手は決して緩めないよ。

救世の乙女の尊厳を回復した母を騙ったキミには最期の祈りは捧げないよ。
断片の王と同じく妄執に囚われたまま、復権を果たす事なく逝くと良いよ。
大天使と復讐者達に看取られる最期はキミには不本意だろうけどね。


 復讐心の赴くまま、漂着先の蝦夷共和国で勢力拡大を目論む『復権慈母』イザベル・ロメ。そんな彼女が紡いだ因果は今、破滅という形で終焉を迎えつつあった。
 現地種族の新選組からは敵と見なされ、大天使による包囲殲滅に晒されたことで魔女たちは全滅寸前。指揮を執るイザベルもまた、復讐者との激戦で満身創痍の状態だ。
 もはや、逃げ場は何処にも無い。イザベルの命運は、今ここに尽きようとしていた――。

『嗚呼、何故です……! 何故私が、同胞たちが、このような目に……!』
 刻々と包囲の狭まる戦場で、満身創痍となったイザベルの口から嘆きの声が洩れた。
 周りを固める配下は既に無く、周囲は全て敵ばかり。この期に及んで尚、復讐者に憎悪を燃やし続ける魔女をバイザー越しに見つめ、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は無言で眉を寄せる。
(「……歯痒いものだな。言ってやりたいことの十はあるというのに」)
 二挺の銃で油断なくイザベルを狙いながら、口をついて出そうになる言葉を彼は呑み込んだ。自分たちの発言を、新選組は今も何らかの方法で収集している。未だ謎多きディヴィジョン、蝦夷共和国――この地の攻略を進める上で、敵を利する情報を与える訳には行かない。
「こっちは準備OK。派手にブッ殺すよぉ、皆!」
 最前列でイザベルと対峙しつつ、パラドクス通信で檄を飛ばすのは一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)だ。
 今回の戦闘では、後方からのサポート役をエトヴァが担い、燐寧は正面からの攻撃に専念する方針だった。相手は腐ってもジェネラル級、味方の援護を受けられることを掛け値なしに心強い。新選組の情報収集にも意識は向くものの、今はイザベルの排除を優先せねばなるまい。
(「戦闘中も、出来る範囲で後方は警戒しとくよぉ。大天使に背中をブスリ! ……なんてオチは御免だしねぇ」)
(「助かるよ。何かあれば、すぐに知らせる」)
 燐寧の合図に頷きを返すと、エトヴァは静かに精神を研ぎ澄まし始めた。
 今は無きラ・ピュセルの地で、イザベル・ロメを巡る事件を追い始めて約一年。その長き戦いに、いよいよ終止符を打つ時が訪れようとしているのだ。
(「……ようやく手にしたこの機会、二度と復讐の輪廻を紡がせない為に」)
 あの魔女は、ここで確実に葬り去らねばならない。
 無言の決意を胸に秘め、エトヴァは二挺の銃口をイザベルへと突き付けた。

 決戦の趨勢が決しつつある中、復讐者が間合いを着々と詰めていく。
 青色の聖衣を血で染めたイザベルに、残された余力は僅かだ。復讐者への憎悪を支えに立ち続ける、妄執の魔女――そんな彼女の姿を、燐寧と同じ前列の位置から、イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)は見澄ましていた。
「都合の悪い現実からは目を逸らし、願望を夢見てこの有様とは……復讐に囚われた者の末路だね」
『……くっ……!』
 窮地に立つ魔女に対し、イロハの舌鋒はどこまでも鋭い。
 復讐心に目を曇らせたイザベルには、同じクロノヴェーダである新選組からも敵視されている原因も、恐らく理解できないのだろう。イロハは握り固めた拳を己が得物と為すと、愚かさの代償を支払う時が来たことを告げるように、瀕死のイザベルに向かって告げる。
「後は、最後の決着をつけるだけだ。……始めさせて貰うよ」
 今こそ、慈母を騙る魔女を討ち取る時。
 イロハが合図を送ると同時、復讐者のパラドクスが次々と戦場に展開され始めた。

「さぁ、跡形も残さず消し飛ばしたげるよぉ!」
 刃の回転するテンペスト・レイザーを構え、燐寧が疾駆する。
 そこへ続くのは、信仰心で鍛え上げた鉄拳を武器と為すイロハだ。先行する二人の後方、双銃を構えたエトヴァは青い炎の弾丸を装填すると、イザベルの身動きを封じにかかった。
「このまま縫い留めさせて貰う!」
 双銃の奏でる銃声が、逆説連鎖戦の開幕を告げる。
 パラドクスの炎を帯びた弾丸でエトヴァが狙うのは、燐寧とイロハのサポートだった。後方からの銃撃を浴びせ、接近戦を挑む二人へ有利を齎す――果たして彼の援護を受けた二人は、見る間にイザベルとの距離を縮めていく。
『ジャンヌ様。どうか、私に御力を!』
 それを迎え撃たんと、イザベルは首を垂れた体勢でパラドクスを発動。彼女の背後より生じた黄金色の輝きが、不吉な力を帯びた奔流となって解き放たれる。
 次の刹那、イロハは全身をオーラで包み、イザベルの後光を受け止めた。鋼の信仰と鍛錬で極限まで練り上げたオーラは、そう簡単には破られない。ガードアップの守りを併せて重ねたイロハの疾駆を、悪足掻きめいたパラドクスで止めることなど元より不可能だ。
「この力は、苦難の路を歩んだ聖人の加護に由来するもの。見縊って貰っては困るよ」
 眩い後光にも屈すること無くイロハが繰り出す拳が、イザベルの五体を打ち据える。
 エトヴァの銃撃、イロハの鉄拳――二人の猛攻で防戦に追い込まれたイザベルへ、燐寧は『呪式:業鬼火断』を発動。呪詛と怨念の鬼火を纏うテンペスト・レイザーを天高く掲げ、肉薄と同時に全力で振り下ろした。

「思いっきりブッタ斬って、バラバラにブッ壊したげるよぉ!」
 回転刃の甲高い響きが呪詛の唸りを帯びて、イザベルを袈裟に斬り裂く。
 積み重ねた残留効果で威力を増した斬撃は、たとえジェネラル級でも容易には凌げない。激しく回転する刃は魔女の身体を滅茶苦茶に切り裂いてなお止まらず、その傷を鬼火の炸裂で吹き飛ばす。激しい衝撃が戦場を駆ける中、深手をったイザベルの口から、ドス黒い血がとめどなく溢れ出た。
『がっ、は……!』
「ここは農民にはいい土地なんだけど……馴染めなかったかぁ、残念だねぇ!」
『何を、訳の分からぬことを……!』
 血を吐く口から慟哭と悲哀を洩らし、反撃とばかり空間を捻じ曲げるイザベル。
 だが、もはやそれは、間近に迫る敗北を先延ばしにする悪足掻きに過ぎない。燐寧が身を横転させて直撃を避けると同時、銃撃の嵐がイザベルへ降り注ぐ。エトヴァが双銃を介して放つ魔法の銃弾、『Blauer Meteor』のパラドクスだ。
「――光、祈り、集いて結ぶ」
『っ、次から、次へと……!』
 次の刹那、エトヴァの放つ無言の視線が、満身創痍のイザベルを縛りつけた。
 燦燦と降り注ぐ黄金色の後光に怯むこと無く、青炎の弾を銃に込め――そうして決意に満ちた瞳で、必殺の弾丸に先んじてエトヴァは無言のうちに告げる。逃がしはしない、と。
 ――人々を襲い仇なす魔女よ。多くの配下を送り出してきたならば、今度は貴女の番だ。
 ――人形たちの操り糸と共に、全ての禍根を断つ。
 瞬間、展開した0-Gravitationの羽ばたきが、その力強さを俄かに増した。
 イザベルの後光を振り払い、愛用の銃で狙いを合わせ。青い炎の弾丸を、今こそエトヴァは放つ――!

「イザベル・ロメ! 異国の地に眠れ」
 戦場に木霊する、高らかな銃声。エトヴァの意思を秘めた銃弾は輝く流星にも似て、イザベルの胸板を射貫き、その全身を猛烈な火焔で焼き焦がす。
 それでもなお最後の力で、イザベルは踏み止まった。それを為したのは苛烈な復讐心が為せる業か、それともジャンヌへの忠誠心が故だったのか。確かなことはただ一つ――次の一撃が、死闘の幕引きとなる事実だ。そして、
「……終わりだ。断片の王と同じく妄執に囚われたまま、復権を果たす事なく逝くと良いよ」
『……!』
 瀕死のイザベルを前に、静かな声でそう告げたのはイロハだった。
 黄金色の後光にも怯むこと無く『ペトロの殉教』を発動した彼女は、次の刹那、放たれた矢のようにイザベルへと迫る。
 この敵へ、捧げる祈りはない。救世の乙女の尊厳を回復した母を騙る存在には、もっと相応しいものがある。即ち、神敵に立ち向かう勇気を胸に放つ、イロハの鉄拳が。
「――聖なるかな。海に金の冠を投げ捨て すべての聖徒はあなたを崇めます」
 信仰心を秘めた一撃が、イザベルの体に直撃する。
 燐寧が切り裂き、エトヴァが穿ち、なおもしぶとく鼓動を続ける魔女の心臓。それを今、イロハの振るう鉄拳が突き破り、永久に停止せしめる。
 胸に風穴を穿たれたイザベルは、その場に力無く崩れ落ち。血濡れた顔を無念に歪め、虚空を睨みながら叫ぶ。
『申し訳ありません、ジャンヌ様。御免なさい、同胞たち。どうかディアボロスたちに……復讐を……!』
 そうして最後の息を吐き切ると、彼女は憎悪と復讐心に塗れた生を終えた。
 自動人形を魔女へと変え、最期の瞬間まで復讐に生きた『復権慈母』イザベル・ロメ。その死と共に粒子となって消滅していく亡骸を見届けて、イロハは最後に呟いた。
「大天使とディアボロスに看取られる最期は、キミには不本意だろうけどね。……これで、決着だよ」
 見上げる空の彼方に、イザベルだったものの残骸が粒子となって飛散していく。
 それが、ラ・ピュセルより紡いだ魔女と復讐者の、長き戦いが決着を迎えた瞬間だった。

 やがて戦場から魔女が一体残らず撃破されると、撤収の準備は完了した。
 大天使の軍勢は暫し地上の様子を窺うように上空を旋回したのち、別れの言葉を残すでもなく、海の彼方へと去っていく。次に戦場で相見える時、かの大天使たちとは如何なる形で関わることになるか――その答えを知る者は誰もいない。
(「飛んでいったのは、南西の方角だねぇ。となると行先は釧路か、函館か、或いは全く別の場所か……」)
 遠ざかっていく大天使の軍勢を眺めつつ、燐寧は無言で思いを巡らせる。
 海を隔てた先、蝦夷の探索を進めて行けば、新たな情報もきっと発見できる筈だ。その為にも、今は最終人類史へ帰還し、イザベル撃破の報を届けるとしよう。
「作戦成功だね。じゃあ皆、帰ろうか」
「ああ、お疲れ様だ」
 帰還していくイロハに頷きを返し、エトヴァもまた仲間たちと共に戦場を後にする。
 ラ・ピュセルより続いた魔女との因縁は、かくして一つ終わりを迎えた。
 8月に控える《戴冠の戦》まで、残された時間は後少し。かの戦いに勝利する決意を胸に秘めながら、復讐者たちは帰途に就くのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】LV2が発生!
【防空体制】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!
【ガードアップ】がLV4になった!

最終結果:成功

完成日2025年06月06日
宿敵 『『復権慈母』イザベル・ロメ』を撃破!